(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】レドックスフロー電池システムのためのリバランシングセル
(51)【国際特許分類】
H01M 8/18 20060101AFI20240705BHJP
H01M 8/02 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/2483 20160101ALI20240705BHJP
H01M 4/96 20060101ALI20240705BHJP
H01M 4/92 20060101ALI20240705BHJP
H01M 4/90 20060101ALI20240705BHJP
H01M 8/0258 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/0263 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/2455 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/2475 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/04 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/04276 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/04186 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/04089 20160101ALI20240705BHJP
H01M 8/2465 20160101ALI20240705BHJP
【FI】
H01M8/18
H01M8/02
H01M8/2483
H01M4/96 B
H01M4/92
H01M4/90 M
H01M8/0258
H01M8/0263
H01M4/96 M
H01M8/2455
H01M8/2475
H01M8/04 J
H01M8/04276
H01M8/04186
H01M8/04089
H01M8/2465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024501988
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-01-12
(86)【国際出願番号】 US2022073693
(87)【国際公開番号】W WO2023288251
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519297300
【氏名又は名称】イーエスエス テック インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】ESS Tech,Inc.
【住所又は居所原語表記】26440 SW Parkway Avenue,Wilsonville,Oregon 97070 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】キシック シーン
(72)【発明者】
【氏名】ソン ヤン
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス クレイグ
【テーマコード(参考)】
5H018
5H126
5H127
【Fターム(参考)】
5H018AA08
5H018DD06
5H018EE02
5H018EE03
5H018EE10
5H126AA02
5H126AA08
5H126AA22
5H126AA23
5H126AA24
5H126AA28
5H126BB10
5H126EE11
5H126EE24
5H126EE35
5H126FF10
5H126JJ03
5H126RR01
5H127AA10
5H127AC05
5H127BA01
5H127BA28
5H127BA57
5H127BB03
5H127BB13
5H127BB37
(57)【要約】
レドックスフロー電池のためのリバランシングセルのためのシステム及び方法が提供される。一実施例では、リバランシングセルは、電極アセンブリの積層体を含み得、各電極アセンブリは、レドックスフロー電池からのH
2ガスのフローを誘導するためのフローフィールドプレートと接合している負電極を含み得る。いくつかの実施例では、各電極アセンブリは、レドックスフロー電池からの電解質のフローを誘導するためのウィッキング炭素フェルトから形成された正電極を更に含み得る。いくつかの実施例では、電流は、リバランシングセルから離れるように導かれない場合があり、各電極アセンブリの負電極及び正電極は、連続的に導電性であり得る。このようにして、リバランシングセルの各電極アセンブリは、内部短絡され、それによって、全体的な信頼性を犠牲にすることなく、リバランシングセルの還元速度を増加させ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レドックスフロー電池のためのリバランシングセルであって、
セルエンクロージャと、
H
2ガスが通って前記セルエンクロージャに流動する水素ガス入口ポートと、
電解質が通って前記セルエンクロージャに流動する電解質入口ポートと、
前記電解質が通って前記セルエンクロージャから排出される電解質出口ポートと、
前記セルエンクロージャによって囲まれた電極アセンブリの積層体であって、前記電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、フローフィールドプレートと面共有接触している負電極を含む、電極アセンブリの積層体と、
前記セルエンクロージャに結合された勾配付き支持体と、を備える、リバランシングセル。
【請求項2】
前記電解質出口ポートが、重力の方向に対して前記電解質入口ポートよりも低く位置付けられている、請求項1に記載のリバランシングセル。
【請求項3】
前記電解質から未反応のH
2ガスを排出するための圧力放出出口ポートを更に備える、請求項1又は2に記載のリバランシングセル。
【請求項4】
前記未反応のH
2ガスが、前記電極アセンブリの積層体の前記負電極を通って前記電解質に流動し、かつ前記圧力放出出口ポートを通って流動した後にのみ、前記セルエンクロージャから排出される、請求項3に記載のリバランシングセル。
【請求項5】
未反応のH
2ガスが通って前記セルエンクロージャから排出される水素ガス出口ポートを更に備える、請求項1~4のいずれか一項に記載のリバランシングセル。
【請求項6】
前記水素ガス入口ポート、前記水素ガス出口ポート、前記電解質入口ポート、及び前記電解質出口ポートが、横方向構成で前記セルエンクロージャ上に位置付けられており、前記横方向構成は、前記水素ガス出口ポート及び前記電解質入口ポートが、前記セルエンクロージャの上半分の異なる側面上に位置付けられており、前記水素ガス入口ポート及び前記電解質出口ポートが、前記セルエンクロージャの下半分の異なる側面上に位置付けられていることを含む、請求項5に記載のリバランシングセル。
【請求項7】
前記H
2ガスが、前記水素ガス入口ポートから、前記電極アセンブリの積層体の前記負電極と面共有接触している前記フローフィールドプレートからそれぞれ形成された1つ以上の水素ガス入口通路に導かれる、請求項1~6のいずれか一項に記載のリバランシングセル。
【請求項8】
前記電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、内部短絡されており、電流が、前記リバランシングセルから離れるように導かれない、請求項1~7のいずれか一項に記載のリバランシングセル。
【請求項9】
前記勾配付き支持体が、前記勾配付き支持体が置かれる外面に対して前記セルエンクロージャを2°~30°の角度傾ける、請求項1~8のいずれか一項に記載のリバランシングセル。
【請求項10】
前記電極アセンブリの積層体の各負電極が、上に触媒がコーティングされた導電性炭素基板から形成されており、前記触媒が、
Pd、Rh、Ru、Ir、Ta、若しくはそれらの合金を含む貴金属触媒、又は
第二鉄溶液中で安定な非貴金属触媒を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のリバランシングセル。
【請求項11】
前記電極アセンブリの積層体の前記負電極と面共有接触している前記フローフィールドプレートが、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はそれらの組み合わせとして構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のリバランシングセル。
【請求項12】
前記電極アセンブリの積層体の各負電極が、ウィッキング導電性炭素フェルトから形成された正電極と更に面共有接触している、請求項1~11のいずれか一項に記載のリバランシングセル。
【請求項13】
レドックスフロー電池システムであって、
レドックス電極及びめっき電極をそれぞれ収容する、正電極コンパートメント及び負電極コンパートメントと、
前記正電極コンパートメントにポンプ投入するための正電解質と、前記負電極コンパートメントにポンプ投入するための負電解質と、をそれぞれ含む正電解質チャンバ及び負電解質チャンバであって、前記正電解質チャンバ及び負電解質チャンバが、それぞれのガスヘッドスペースを更に含む、正電解質チャンバ及び負電解質チャンバと、
前記正電解質の電解質リバランシングのための第1のリバランシングセルであって、前記第1のリバランシングセルが、前記正電極コンパートメントと前記正電解質チャンバの前記ガスヘッドスペースとに流体的に結合されている、第1のリバランシングセルと、を備え、
前記正電解質の前記電解質リバランシングが、前記第1のリバランシングセルの正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され、H2ガスが、第1のフローフィールド構成を介して前記第1のリバランシングセルを通って対流し、前記正電解質が、重力供給及び毛細管作用を介して前記第1のリバランシングセルを通して導かれる、レドックスフロー電池システム。
【請求項14】
前記H
2ガスが、前記正電解質チャンバの前記ガスヘッドスペースから前記第1のリバランシングセルに流動し、前記正電解質が、前記正電極コンパートメントから前記第1のリバランシングセルに流動する、請求項13に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項15】
前記第1のリバランシングセルの前記接合対の各々について、前記正電極及び負電極が互いに面共有接触しており、連続的に導電性である、請求項13又は14に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項16】
前記レドックスフロー電池システムが、全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムであり、
前記正電解質の前記電解質リバランシングが、前記正電解質中のFe
3+をFe
2+に還元することを含む、請求項13~15のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項17】
前記負電解質の電解質リバランシングのための第2のリバランシングセルを更に備え、前記第2のリバランシングセルが、前記負電極コンパートメントと前記負電解質チャンバの前記ガスヘッドスペースとに流体的に結合されており、
前記負電解質の前記電解質リバランシングが、前記第2のリバランシングセルの正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され、H2ガスが、第2のフローフィールド構成を介して前記第2のリバランシングセルを通って対流し、前記負電解質が、重力供給及び毛細管作用を介して前記第2のリバランシングセルを通して導かれる、請求項13~16のいずれか一項に記載のレドックスフロー電池システム。
【請求項18】
レドックスフロー電池システムのための方法であって、
前記レドックスフロー電池システムのリバランシングセルのそれぞれの入口ポートでH
2ガス及び電解質を受容することと、
前記リバランシングセルの電極アセンブリ積層体全体に前記H
2ガス及び前記電解質を分配することと、
対流を介して前記電極アセンブリ積層体のアノードを横切る前記H
2ガスのフローを誘導し、その後、
前記H
2ガスを前記電解質中の正荷電イオンと反応させて、前記正荷電イオンを還元することと、
未反応のH
2ガス及び前記電解質を、前記H
2ガス及び前記電解質の出口ポートを介して前記リバランシングセルから排出することと、を含む、方法。
【請求項19】
前記H
2ガスを前記正荷電イオンと反応させる前に、重力供給及び毛細管作用を介して、前記電極アセンブリ積層体のカソードを横切る前記電解質のフローを誘導することを更に含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記電極アセンブリ積層体を通って流れる電流が、外部負荷を通してチャネリングされない、請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月13日に出願された、“REBALANCING CELL FOR REDOX FLOW BATTERY SYSTEM”と題された米国仮出願第63/221,325号の優先権を主張する。本出願は、2021年7月13日に出願された、“REBALANCING CELL FOR REDOX FLOW BATTERY SYSTEM”と題された米国仮出願第63/221,330号の更なる優先権を主張する。上記の特定された出願の各々の全内容は、あらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、概して、レドックスフロー電池システムで使用するためのリバランシングセルのためのシステム、及びかかるリバランシングセルを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
レドックスフロー電池は、電力と容量とを独立してスケーリングする能力があるため、グリッドスケールの蓄電アプリケーションに好適であり、かつ、従来の電池技術と比較して、性能損失が少なくて数千サイクルにわたる充電及び放電に好適である。全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池は、低コストで地球に豊富に存在する材料を組み込むため、特に魅力的である。一般に、鉄レドックスフロー電池(IFB)は、電解質として鉄、塩、及び水に依存し、したがって、単純で、地球に豊富に存在し、安価な材料を含み、過酷な化学物質の組み込みを排除し、その環境フットプリントを低減する。
【発明の概要】
【0004】
IFBは、レドックス反応が生じる正(レドックス)電極、及び電解質中の第一鉄(Fe2+)が還元され、めっきされ得る負(めっき)電極を含み得る。プロトン還元、鉄腐食、及び鉄めっき酸化:
H++e-←→1/2H2 (プロトン還元)(1)
Fe0+2H+←→Fe2++H2 (鉄腐食) (2)
2Fe3++Fe0←→3Fe2+ (鉄めっき酸化)(3)
を含む様々な副反応が、Fe2+還元と競合し得る。ほとんどの副反応はめっき電極で発生するため、IFBサイクル能力は、めっき電極上で利用可能な鉄めっきによって制限される可能性がある。鉄めっき損失を改善するための例示的な試みは、式(1)及び(2)からの水素(H2)ガス発生と、式(3)からの電解質電荷不均衡(例えば、過剰なFe3+)と、式(4)を介したイオンのクロスオーバと、に対処するための触媒電解質リバランシングに焦点を当てている。
Fe3++1/2H2→Fe2++H+ (電解質リバランシング)(4)
【0005】
いくつかの実施例では、電解質リバランシングは、トリクルベッド又はゼリーロール反応器の装備を介して実現され得、ここで、H2ガス及び電解質は、式(4)の電解質リバランシング反応を実行するための触媒表面で接触し得る。しかしながら、かかる装備のより低いFe3+還元速度は、より高い性能の用途には望ましくない場合がある。他の実施例では、燃料電池の装備が、正電極及び負電極の対の間に直流(DC)を印加しながら、触媒表面でH2ガス及び電解質に同様に接触し得る。しかしながら、DCフローを中断する不注意な逆電流スパイクの結果として、燃料電池において信頼性の問題が生じ得る。
【0006】
一実施例では、上述した問題は、レドックスフロー電池のためのリバランシングセルによって対処され得、リバランシングセルは、セルエンクロージャと、H2ガスが通ってセルエンクロージャに流動する水素ガス入口ポートと、電解質が通ってセルエンクロージャに流動する電解質入口ポートと、電解質が通ってセルエンクロージャから排出される電解質出口ポートと、セルエンクロージャによって囲まれた電極アセンブリの積層体であって、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、フローフィールド構成と面共有接触している負電極を含む、電極アセンブリの積層体と、セルエンクロージャに結合された勾配付き支持体と、を含む。いくつかの実施例では、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリにおける負電極及び正電極は、導電性であり、互いに面共有接触し得る。追加的又は代替的な実施例では、電流は、リバランシングセルから離れるように導かれない場合がある。このようにして、リバランシングセル内の電解質リバランシングは、内部の正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され得る。
【0007】
具体的には、いくつかの実施例では、正電極及び負電極の接合対を内部短絡することによって、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、電極アセンブリの積層体を通って1つの電極アセンブリから逆電流が駆動されず、かつ他の電極アセンブリを劣化させ得ないように、互いから電気的に分離され得る。追加的又は代替的な実施例では、正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡が、内部短絡していない電極対と比較して電気抵抗を低減し、それによって、正電極及び負電極でのそれぞれの酸化還元反応速度を増加させ得る。各電極アセンブリのセル電位が付随して低減され、それによって副反応速度(例えば、式(1)~(3)の反応の速度)を減少させ得る。このようにして、内部短絡していないセルと比較して、リバランシングセルにおいては、有効寿命が延長され得、また電気化学的性能が増強され得る。
【0008】
上記の概要は、詳細な説明で更に説明される概念の抜粋を簡略化された形で導入するために提供されていることを理解されたい。これは、特許請求される主題の重要な又は本質的な特徴を特定することを意図せず、その範囲は、詳細な説明に続く特許請求の範囲によって一意に定義される。更に、特許請求される主題は、上記又は本開示のいずれかの部分に記述されるいずれかの不利点を解決する実装形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】それぞれのリバランシング反応器に流体的に結合されたレドックス電極及びめっき電極を有する電池セルを含む、例示的なレドックスフロー電池システムの概略図を示す。
【
図2A】内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルの斜視図を示す。
【
図2B】内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルの斜視図を示す。
【
図3】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルに関する電極アセンブリの分解図を示す。
【
図5A】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってH
2ガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
【
図5B】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってH
2ガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
【
図5C】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってH
2ガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
【
図5D】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの負電極を横切ってH
2ガスを対流させるための例示的なフローフィールド構成の概略図を示す。
【
図7A】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの例示的な電極アセンブリ内の電解質フローの斜視図を示す。
【
図7B】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの例示的な電極アセンブリ内の電解質フローの斜視図を示す。
【
図8A】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの電極アセンブリの例示的なフローフィールドプレートの斜視図を示す。
【
図8B】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの電極アセンブリの例示的なフローフィールドプレートの斜視図を示す。
【
図8C】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルの電極アセンブリの例示的なフローフィールドプレートの斜視図を示す。
【
図9A】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどの、リバランシングセルのセルエンクロージャを傾けるための例示的な勾配付き支持体の斜視図を示す。
【
図9B】
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどの、リバランシングセルのセルエンクロージャを傾けるための例示的な勾配付き支持体の斜視図を示す。
【
図10】それぞれの全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムにおける3つの例示的なリバランシングセルについて、還元されたFe
3+の合計量の関数としてのFe
3+還元速度のプロットを示す。
【
図11】内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルを動作させるための方法のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下の説明は、中に含まれる電極アセンブリの内部電気短絡を介して駆動されるリバランシングセルのためのシステム及び方法に関する。例示的な実施形態では、リバランシングセルは、レドックスフロー電池の電解質サブシステムに流体的に結合され得る。レドックスフロー電池は、
図1に、別個の正及び負電解質チャンバを有する統合されたマルチチャンバタンクを有するように概略的に描写される。いくつかの実施例では、レドックスフロー電池は、全鉄フロー電池(IFB)であり得、これはIFBの正(レドックス)電極及び負(めっき)電極の両方で鉄レドックス化学を利用する。電解質チャンバは、1つ以上の電池セルに結合され得、各セルは正電極及び負電極を含む。そこから、電解質が、正電極及び負電極をそれぞれ収容する正電極コンパートメント及び負電極コンパートメントを通ってポンプ注入され得る。
【0011】
いくつかの実施例では、レドックスフロー電池は、ハイブリッドレドックスフロー電池であり得る。ハイブリッドレドックスフロー電池は、電極(例えば、負電極)上の固体層としての1つ以上の電気活性材料の堆積によって特徴付けられ得るレドックスフロー電池である。ハイブリッドレドックスフロー電池は、例えば、電池充電プロセス全体を通じて基板上に固体として電気化学反応を介してめっきし得る化学種を含み得る。電池放電中、めっきされた種は、更なる電気化学反応を介してイオン化し、電解質中に可溶性になり得る。ハイブリッドレドックスフロー電池システムでは、レドックスフロー電池の充電容量(例えば、蓄積される最大エネルギー量)は、電池充電中にめっきされた金属の量によって制限され得、したがって、めっきシステムの効率、並びにめっきに利用可能な体積及び表面積に依存し得る。
【0012】
いくつかの実施例では、レドックスフロー電池における電解不均衡は、プロトン還元及び鉄腐食などの水素(H2)ガス生成反応:
H++e-←→1/2H2 (プロトン還元)(1)
Fe0+2H+←→Fe2++H2 (鉄腐食) (2)
及び鉄めっきの酸化中に生成される過剰な第二鉄(Fe3+)からの電荷不均衡:
2Fe3++Fe0←→3Fe2+ (鉄めっき酸化)(3)
を含む、所望のレドックス化学と競合する多数の副反応から生じ得る。式(1)~(3)の反応は、鉄めっきを制限し、それによって全体的な電池容量を減少させ得る。かかる不均衡に対処するために、電解質リバランシングを活用して、単一のレドックス反応:
Fe3++1/2H2→Fe2++H+ (電解質リバランシング)(4)
を介してFe3+を還元し、過剰なH2ガスを除去し得る。
【0013】
本明細書の実施形態によって説明されるように、相対的に高性能用途のための十分なFe
3+還元速度は、
図3の例示的な電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、
図2A及び
図2Bの例示的なリバランシングセルなどのリバランシングセルを介して確実に達成され得る。
図4A及び
図4Bは、リバランシングセル内のH
2ガスフローの態様を描写し、H
2ガスは、
図5A~
図5Dの例示的なフローフィールド構成などのそれぞれのフローフィールド構成を含む、
図8A~
図8Dの例示的なフローフィールドプレートなどのフローフィールドプレートを介して、内部短絡電極アセンブリの負電極を横切って対流し得る。同様に、
図6A~
図7Bは、リバランシングセル内の電解質フローの態様を描写し、ここで電解質は、重力供給及び毛細管作用の組み合わせを介して内部短絡電極アセンブリの正電極を横切って分配され得る(追加的又は代替的に、負電極を横切るH
2ガスの対流と同様に、電解質は、
図5A~
図5Dの例示的なフローフィールド構成などのそれぞれのフローフィールド構成を含む、
図8A~
図8Dの例示的なフローフィールドプレートなどのフローフィールドプレートを介して正電極を横切って対流し得る)。いくつかの実施例では、重力供給は、
図9A及び
図9Bの例示的な勾配付き支持体などの勾配付き支持体をリバランシングセルのセルエンクロージャに結合することによって支援され得、その結果、セルエンクロージャは、重力の方向に対する傾斜面上に置かれ得る。リバランシングセルシステムを動作させる例示的な方法が、
図11に描写される。
図10は、例示的なリバランシングセルの動作中に減少したFe
3+の総量の関数としてのFe
3+還元速度をプロットしており、内部短絡電極アセンブリを含むリバランシングセルについてのFe
3+還元の増加を示す。
【0014】
図1に示されるように、レドックスフロー電池システム10では、負電極26は、めっき電極と呼ばれ得、正電極28は、レドックス電極と呼ばれ得る。レドックスフロー電池セル18のめっき側(例えば、負電極コンパートメント20)内の負電解質は、めっき電解質と呼ばれ得、レドックスフロー電池セル18のレドックス側(例えば、正電極コンパートメント22)上の正電解質は、レドックス電解質と呼ばれ得る。
【0015】
「アノード」は、電気活性材料が電子を失う電極を指し、「カソード」は、電気活性材料が電子を獲得する電極を指す。電池充電中、負電解質は、負電極26で電子を獲得し、負電極26は、電気化学反応のカソードである。電池放電中、負電解質は電子を失い、負電極26は、電気化学反応のアノードである。代替的には、電池放電中、負電解質及び負電極26は、それぞれ、電気化学反応のアノード液及びアノードと呼ばれ得、一方、正電解質及び正電極28は、それぞれ、電気化学反応のカソード液及びカソードと呼ばれ得る。電池充電中、負電解質及び負電極26は、それぞれ、電気化学反応のカソード液及びカソードと呼ばれ得、一方、正電解質及び正電極28は、それぞれ、電気化学反応のアノード液及びアノードと呼ばれ得る。簡潔にするために、「正」及び「負」という用語は、レドックスフロー電池システムにおける電極、電解質、及び電極コンパートメントを指すために本明細書で使用される。
【0016】
ハイブリッドレドックスフロー電池の一実施例は、全鉄レドックスフロー電池(IFB)であり、電解質は、鉄塩(例えば、FeCl2、FeCl3など)の形態の鉄イオンを含み、負電極26は、金属鉄を含む。例えば、負電極26において、第一鉄(Fe2+)は、電池充電中に2つの電子を獲得し、鉄金属(Fe0)として負電極26上にめっきし、Fe0は、電池放電中に2つの電子を失い、Fe2+として再溶解する。正電極28において、Fe2+は、電池充電中に電子を失って、第二鉄(Fe3+)を形成し、Fe3+は、電池放電中に電子を獲得して、Fe2+を形成する。電気化学反応は、式(5)及び式(6)に要約され、ここで、順方向反応(左から右)は、電池充電中の電気化学反応を示し、一方、逆方向反応(右から左)は、電池放電中の電気化学反応を示す。
Fe2++2e-←→Fe0 -0.44V (負電極)(5)
Fe2+←→2Fe3++2e- +0.77V (正電極)(6)
【0017】
上述のように、IFBで使用される負電解質は、電池充電中に、Fe2+が負電極26から2つの電子を受け入れて、Fe0を形成し、基板上にめっきし得るように、十分な量のFe2+を提供し得る。電池放電中、めっきされたFe0は、2つの電子を失い、Fe2+にイオン化し、電解質に溶解して戻り得る。上記反応の平衡電位は-0.44Vであり、したがって、この反応は所望のシステムに負の端子を提供する。IFBの正側では、電解質は、電池充電中にFe2+を提供し得、これは電子を失い、Fe3+に酸化する。電池放電中、電解質によって提供されるFe3+は、正電極28によって提供される電子を吸収することによってFe2+になる。この反応の平衡電位は+0.77Vであり、所望のシステムに正の端子を作成する。
【0018】
IFBは、非再生電解質を利用する他の電池タイプとは対照的に、その中で電解質を充電及び再充電する能力を提供し得る。充電は、端子40及び42を介して電極26及び28を横切ってそれぞれ電流を印加することによって達成され得る。負電極26は、(例えば、正電極コンパートメント22内の正電解質中でFe2+が、Fe3+に酸化される際に)電子が正電極28を介して負電解質に送達され得るように、端子40を介して電圧源の負側に電気的に結合され得る。負電極26に提供される電子は、負電解質中のFe2+を還元して、(めっき)基板にFe0を形成し得、Fe2+を負電極26上にめっきさせる。
【0019】
放電は、Fe0が酸化のために負電解質に対して利用可能なままである間、及びFe3+が還元のために正電解質において利用可能なままである間、持続し得る。一例として、Fe3+利用可能性は、外部正電解質チャンバ52などの外部供給源を介して追加のFe3+イオンを提供するために、レドックスフロー電池セル18の正電極コンパートメント22側の正電解質の濃度又は体積を増加させることによって維持され得る。より一般的には、放電中のFe0の利用可能性は、IFBシステムで問題となり得、ここで放電のために利用可能なFe0は、負電極基板の表面積及び体積、並びにめっき効率に比例し得る。充電容量は、負電極コンパートメント20内のFe2+の利用可能性に依存し得る。一例として、Fe2+利用可能性は、外部負電解質チャンバ50などの外部供給源を介して追加のFe2+イオンを提供して、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側への負電解質の濃度又は体積を増加させることによって維持され得る。
【0020】
IFBでは、正電解質は、第一鉄イオン、第二鉄イオン、第二鉄錯体、又はそれらの任意の組み合わせを含み得、一方、負電解質は、IFBシステムの充電状態(SOC)に応じて、第一鉄イオン又は第一鉄錯体を含み得る。前述のように、負電解質及び正電解質の両方における鉄イオンの利用は、レドックスフロー電池セル18の両側で同じ電解質種の利用を可能にし得、これは、電解質交差汚染を低減し得、IFBシステムの効率を高め得、その結果、他のレドックスフロー電池システムと比較して電解質交換が少なくなる。
【0021】
IFBにおける効率損失は、セパレータ24(例えば、イオン交換膜バリア、微孔性膜、など)を通る電解質クロスオーバから生じ得る。例えば、正電解質中のFe3+イオンは、Fe3+イオン濃度勾配及びセパレータ24を横切る電気泳動力によって負電解質に向かって駆動され得る。その後、セパレータ24を貫通し、負電極コンパートメント20にクロスオーバするFe3+イオンは、クーロン効率損失をもたらし得る。低pHレドックス側(例えば、より酸性の正電極コンパートメント22)から高pHめっき側(例えば、より酸性でない負電極コンパートメント20)にクロスオーバするFe3+イオンは、Fe(OH)3の沈殿をもたらし得る。Fe(OH)3の沈殿は、セパレータ24を劣化させ、永久的な電池性能及び効率の損失を引き起こす可能性がある。例えば、Fe(OH)3沈殿物は、イオン交換膜の有機官能基を化学的に汚すか、又はイオン交換膜の微細孔を物理的に詰まらせる場合がある。いずれの場合も、Fe(OH)3沈殿物のために、膜のオーム抵抗が時間の経過とともに上昇し、電池の性能が低下する可能性がある。沈殿物は、IFBを酸で洗浄することによって除去され得るが、一定のメンテナンス及びダウンタイムは、商業用電池用途にとって不利であり得る。更に、洗浄は、電解質の定期的な調製に依存し得、追加の処理コスト及び複雑さに寄与する。代替的には、電解質のpH変化に応答して正電解質及び負電解質に特定の有機酸を添加することは、全体的なコストを押し上げることなく、電池充電及び放電サイクリング中の沈殿物の形成を軽減し得る。追加的に、Fe3+イオンクロスオーバを抑制する膜バリアを実装することはまた、汚れを軽減し得る。
【0022】
追加のクーロン効率の損失が、H+(例えば、プロトン)の還元及びその後のH2ガスの形成、並びに負電極コンパートメント20内のプロトンと、負電極26のめっきされた鉄金属に供給される電子との反応によって引き起こされて、H2ガスを形成し得る。
【0023】
IFB電解質(例えば、FeCl2、FeCl3、FeSO4、Fe2(SO4)3、など)は、容易に入手可能であり得、低コストで生成され得る。一実施例では、IFB電解質は、塩化第一鉄(FeCl2)、塩化カリウム(KCl)、塩化マンガン(II)(MnCl2)、及びホウ酸(H3BO3)から形成され得る。IFB電解質は、負電解質及び正電解質に同じ電解質が使用され得るため、より高い再利用値を提供し得、結果として、他のシステムと比較して交差汚染の問題を低減する。更に、鉄の電子配置のため、鉄は、負電極基板へのめっき中に概して均一な固体構造に固化し得る。ハイブリッドレドックス電池で一般的に使用される亜鉛及び他の金属の場合、めっき中に固体樹枝状構造が形成される場合がある。IFBシステムの安定した電極形態は、他のレドックスフロー電池と比較して電池の効率を高め得る。なお更に、鉄レドックスフロー電池は、有毒な原材料の使用を低減し得、他のレドックスフロー電池電解質と比較して比較的中性のpHで動作し得る。したがって、IFBシステムは、生産中の他の全ての現在の先進的なレドックスフロー電池システムと比較して、環境有害性を低減し得る。
【0024】
図1を続けると、レドックスフロー電池システム10の概略図が示されている。レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に流体的に結合されたレドックスフロー電池セル18を含み得る。レドックスフロー電池セル18は、負電極コンパートメント20、セパレータ24、及び正電極コンパートメント22を含み得る。セパレータ24は、電気絶縁イオン伝導障壁を含み得、これは、特定のイオンの伝導を可能にしながら、正電解質と負電解質とのバルク混合を防止する。例えば、上述したように、セパレータ24は、イオン交換膜及び/又は微孔性膜を含み得る。
【0025】
負電極コンパートメント20は、負電極26を含み得、負電解質は、電気活性材料を含み得る。正電極コンパートメント22は、正電極28を含み得、正電解質は、電気活性材料を含み得る。いくつかの実施例では、多数のレドックスフロー電池セル18を直列又は並列に組み合わせて、レドックスフロー電池システム10でより高い電圧又は電流を生成し得る。
【0026】
図1に更に図示されているのは、負及び正電解質ポンプ30及び32であり、両方とも、レドックスフロー電池システム10を通して電解質溶液をポンプ投入するために使用される。電解質は、セルの外部の1つ以上のタンクに貯蔵され、それぞれ、レドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側及び正電極コンパートメント22側を通して、負及び正電解質ポンプ30及び32を介してポンプ投入される。
【0027】
レドックスフロー電池システム10はまた、第1のバイポーラプレート36及び第2のバイポーラプレート38を含み得、各々は、それぞれ、負電極26及び正電極28の背面側、例えば、セパレータ24に面する側の反対側、に沿って位置付けられる。第1のバイポーラプレート36は負電極26と接触し得、第2のバイポーラプレート38は正電極28と接触し得る。しかしながら、他の実施例では、バイポーラプレート36及び38は、電極26及び28に近接して配列され得るが、電極26及び28から離間され、それぞれの電極コンパートメント20及び22内に収容されてもよい。いずれの場合も、バイポーラプレート36及び38は、それぞれ、負及び正電極26及び28との直接接触を介して、又は負及び正電極26及び28を介して、それぞれ、端子40及び42に電気的に結合され得る。IFB電解質は、バイポーラプレート36及び38の材料の導電特性に起因して、第1及び第2のバイポーラプレート36及び38によって、負及び正電極26及び28の反応部位に輸送され得る。電解質のフローはまた、負及び正電解質ポンプ30及び32によって補助され得、レドックスフロー電池セル18を通る強制対流を容易にする。反応した電気化学種はまた、強制対流並びに第1及び第2のバイポーラプレート36及び38の存在の組み合わせによって、反応部位から離れるように導かれ得る。
【0028】
図1に例解されるように、レドックスフロー電池セル18は、負の電池端子40及び正の電池端子42を更に含み得る。充電電流が電池端子40及び42に印加されると、正電解質は正電極28で酸化され得(1つ以上の電子を失う)、負電解質は負電極26で還元され得る(1つ以上の電子を獲得する)。電池放電中に、逆レドックス反応が電極26及び28上で生じ得る。言い換えれば、正電解質は、正電極28で還元され得(1つ以上の電子を獲得する)、負電解質は、負電極26で酸化され得る(1つ以上の電子を失う)。電池を横切る電位差は、正電極コンパートメント22及び負電極コンパートメント20における電気化学的レドックス反応によって維持され得、反応が持続している間、集電体を通る電流を誘導し得る。レドックス電池によって貯蔵されたエネルギーの量は、電解質の総量及び電気活性材料の溶解度に応じて、放電のために電解質中で利用可能な電気活性材料の量によって制限され得る。
【0029】
レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を更に含み得る。マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、バルクヘッド98によって分割され得る。バルクヘッド98は、正及び負電解質の両方が単一のタンク内に含まれ得るように、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に多数のチャンバを作成し得る。負電解質チャンバ50は、電気活性材料を含む負電解質を保持し、正電解質チャンバ52は、電気活性材料を含む正電解質を保持する。バルクヘッド98は、負電解質チャンバ50と正電解質チャンバ52との間に所望の体積比をもたらすように、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に位置付けられ得る。一実施例では、バルクヘッド98は、負のレドックス反応と正のレドックス反応との間の化学量論比に従って、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の体積比を設定するように位置付けられ得る。
図1は、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の充填高さ112を更に図示し、これは、各タンクコンパートメント内の液体レベルを示し得る。
図1はまた、負電解質チャンバ50の充填高さ112の上に位置するガスヘッドスペース90、及び正電解質チャンバ52の充填高さ112の上に位置するガスヘッドスペース92を示す。ガスヘッドスペース92は、レドックスフロー電池の動作を通じて(例えば、プロトン還元及び鉄腐食の副反応により)生成され、レドックスフロー電池セル18から戻る電解質とともにマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に運ばれるH
2ガスを貯蔵するために利用され得る。H
2ガスは、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内の気体-液体境界部(例えば、充填高さ112)で自然に分離され得、それによって、レドックスフロー電池システム10の一部として追加の気体-液体セパレータを有することを排除する。電解質から分離されると、H
2ガスは、ガスヘッドスペース90及び92を満たし得る。こうして、貯蔵されたH
2ガスは、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110から他のガスをパージするのに役立ち得、それによって、電解質種の酸化を低減するための不活性ガスブランケットとして機能し、これは、レドックスフロー電池容量損失を低減するのに役立ち得る。このようにして、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110を利用することは、従来のレドックスフロー電池システムに共通の別個の負及び正電解質貯蔵タンク、水素貯蔵タンク、及び気体-液体セパレータを有することを不要にし得、それによって、システム設計を簡素化し、レドックスフロー電池システム10の物理的フットプリントを低減し、システムコストを低減する。
【0030】
図1はまた、スピルオーバホール96を示し、これは、ガスヘッドスペース90と92との間のバルクヘッド98に開口部を作成し得、チャンバ50と52との間でガス圧力を均等化する手段を提供し得る。スピルオーバホール96は、充填高さ112の上の閾値高さに位置付けられ得る。スピルオーバホール96は、電池クロスオーバが発生した場合に、負及び正電解質チャンバ50及び52の各々における電解質の自己バランスをとる能力を更に可能にし得る。全鉄レドックスフロー電池システムの場合、同じ電解質(Fe
2+)が、負及び正電極コンパートメント20及び22の両方で使用され、それにより負電解質チャンバ50と正電解質チャンバ52との間の電解質のスピルオーバは、全体的なシステム効率を低減させる可能性があるが、全体的な電解質組成、電池モジュール性能、及び電池モジュール容量が維持され得る。フランジ継手が、漏れのない連続的に加圧された状態を維持するために、入口及び出口のマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110との間の全ての配管接続に利用され得る。マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、負及び正電解質チャンバ50及び52の各々からの少なくとも1つの出口、並びに負及び正電解質チャンバ50及び52の各々への少なくとも1つの入口を含み得る。更に、1つ以上の出口接続が、H
2ガスをリバランシング反応器又はセル80及び82に導くために、ガスヘッドスペース90及び92から提供され得、その結果、リバランシング反応器又はセル80及び82が、それぞれ、ガスヘッドスペース90及び92に流体的に結合され得る。
【0031】
図1には示されていないが、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の各々に熱的に結合された1つ以上のヒータを更に含み得る。代替の例では、負及び正電解質チャンバ50及び52のうちの1つだけが、1つ以上のヒータを含んでもよい。正電解質チャンバ52のみが1つ以上のヒータを含む場合には、負電解質は、レドックスフロー電池セル18において生成される熱を負電解質に伝達することによって加熱されてもよい。このようにして、レドックスフロー電池セル18は、負電解質を加熱し、負電解質の温度調節を容易にし得る。1つ以上のヒータは、コントローラ88によって作動されて、負電解質チャンバ50及び正電解質チャンバ52の温度を独立して又は一緒に調節し得る。例えば、閾値温度を下回る電解質温度に応答して、コントローラ88は、電解質への熱流束が増加し得るように、1つ以上のヒータに供給される電力を増加させ得る。電解質温度は、センサ60及び62などのマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に取り付けられた1つ以上の温度センサによって示され得る。例として、1つ以上のヒータは、電解質流体に浸漬されたコイル型ヒータ若しくは他の浸漬ヒータ、又はその中の流体を加熱するために負及び正電解質チャンバ50及び52の壁を通して熱を伝導的に伝達する表面マントル型ヒータを含み得る。本開示の範囲から逸脱することなく、他の既知のタイプのタンクヒータが使用されてもよい。更に、コントローラ88は、固体充填閾値レベルを下回る液体レベルに応答して、負及び正電解質チャンバ50及び52内の1つ以上のヒータを停止させ得る。別の方法で言えば、いくつかの実施例では、コントローラ88は、固体充填閾値レベルを上回る液体レベルに応答してのみ、負及び正電解質チャンバ50及び52内の1つ以上のヒータを作動させ得る。このようにして、負及び/又は正電解質チャンバ50、52内に十分な液体なしで1つ以上のヒータを作動させることが回避され得、それによって、ヒータ(複数可)の過熱又は焼損のリスクを低減させる。
【0032】
なお更に、1つ以上の入口接続が、フィールド水和システム(図示せず)から負及び正電解質チャンバ50及び52の各々に提供され得る。このようにして、フィールド水和システムは、最終使用場所での、レドックスフロー電池システム10の設置、充填、及び水和を含む、レドックスフロー電池システム10の稼働開始を容易にし得る。更に、最終使用場所でレドックスフロー電池システム10を稼働開始する前に、レドックスフロー電池システム10は、レドックスフロー電池システム10を最終使用場所に配送する前に、レドックスフロー電池システム10を充填及び水和することなく、最終使用場所とは異なる電池製造施設で乾式組み立てされ得る。一実施例では、最終使用場所は、レドックスフロー電池システム10が設置され、オンサイトエネルギー貯蔵のために利用される場所に対応し得る。言い換えれば、レドックスフロー電池システム10は、いったん最終使用場所に設置され、水和されると、レドックスフロー電池システム10の位置が固定され、レドックスフロー電池システム10がもはやポータブルな乾式システムとみなされ得ないように設計され得る。したがって、エンドユーザの観点から、乾式のポータブルレドックスフロー電池システム10は、現場に配送されてもよく、その後、レドックスフロー電池システム10は、設置、水和、及び稼働開始されてもよい。水和の前に、レドックスフロー電池システム10は、乾式のポータブルシステムと呼ばれ得、レドックスフロー電池システム10は、水及び湿った電解質を含まないか、又はない。水和されると、レドックスフロー電池システム10は、湿式の非ポータブルシステムと呼ばれ得、レドックスフロー電池システム10は、湿った電解質を含む。
【0033】
図1に更に例解されているように、最初にマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110内に貯蔵された電解質溶液は、負及び正電解質ポンプ30及び32を介して、レドックスフロー電池システム10全体にポンプされ得る。負電解質チャンバ50に貯蔵された電解質は、負電解質ポンプ30を介してレドックスフロー電池セル18の負電極コンパートメント20側を通ってポンプ投入され得、正電解質チャンバ52に貯蔵された電解質は、正電解質ポンプ32を介してレドックスフロー電池セル18の正電極コンパートメント22側を通ってポンプ投入され得る。
【0034】
電解質リバランシング反応器80及び82は、それぞれ、レドックスフロー電池システム10内のレドックスフロー電池セル18の負及び正側で、電解質の再循環流路とインライン又は並行して接続され得る。1つ以上のリバランシング反応器は、電池の負及び正側で電解質の再循環流路とインラインに接続されてもよく、他のリバランシング反応器は、冗長性のために(例えば、リバランシング反応器は、電池及びリバランシング動作を中断することなく保守され得る)、及び増加したリバランシング容量のために、並行して接続されてもよい。一実施例では、電解質リバランシング反応器80及び82は、それぞれ、負及び正電極コンパートメント20及び22から負及び正電解質チャンバ50及び52への戻り流路に配置されてもよい。電解質リバランシング反応器80及び82は、本明細書に記載されるように、副反応、イオンクロスオーバ、などのために発生するレドックスフロー電池システム10における電解質充電の不均衡をリバランスするのに役立ち得る。
【0035】
一実施例では、リバランシング反応器80及び82のうちの一方又は両方は、トリクルベッド反応器を含み得、ここで、H2ガス及び(液体)電解質は、電解質リバランシング反応を実行するために、充填床内の触媒表面で接触し得る。追加的又は代替的に、リバランシング反応器80及び82の一方又は両方は、ゼリーロール内で構成された触媒床を有し得る。追加的又は代替的な例では、リバランシング反応器80及び82のうちの一方又は両方は、H2ガスと電解質とを接触させ、かつ充填された触媒床なしで電解質リバランシング反応を実行することができるフロースルー型反応器を含み得る。しかしながら、電解質リバランシング中のより低いFe3+還元速度(例えば、約1~3mol/m2時間ほどの)は、より高性能用途におけるかかるリバランシング反応器構成の実装を妨げ得る。
【0036】
他の実施例では、リバランシング反応器80及び82の一方又は両方は、燃料電池を含み得、ここで、H2ガス及び電解質は、電解質リバランシング反応を実行するために触媒表面で接触し得、閉回路が、外部負荷を通して燃料電池から電流を導くことによって形成され得る。しかしながら、かかる燃料セルにおける逆電流スパイク[例えば、逆電流の一時的な増加であって、「逆電流」は、予想とは反対の(すなわち、「前方」方向とは反対の)方向において電気経路に沿って移動する任意の電流を指すために本明細書で使用され得る]は、ある特定の状況では避けられず、かかるリバランシング反応構成の信頼性を損ない得る。
【0037】
リバランシング反応器80及び82の全体的な信頼性を犠牲にすることなくFe
3+還元速度を増加させるために、本開示の実施形態は、内部電流、対流、重力供給、及び毛細管作用の組み合わせを介して触媒表面で反応するように、H
2ガス及び電解質を駆動するように構成された、
図3の電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含む、
図2A及び
図2Bのリバランシングセルなどのリバランシングセルを提供する。本明細書において説明される実施形態では、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極アセンブリは、リバランシングセルの動作中に、電流が内部短絡電極アセンブリの積層体から離れるように導かれないという点で、「内部短絡された」と呼ばれ得る。かかる内部電気短絡は、Fe
3+還元速度を劇的に増加させ(例えば、約50~70mol/m
2時間もの高さに)、かつ付随して副反応速度(例えば、式(1)~(3)の反応の速度)を減少させながら、逆電流スパイクを低減又は排除し得る。更に、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリは、内部短絡電極アセンブリの積層体の各他の電極アセンブリから電気的に分離され得、その結果、1つの電極アセンブリでの電流スパイク中の内部短絡電極アセンブリの積層体への劣化がそれに限定され得る(例えば、逆電流は、他の電極アセンブリを通じて1つの電極アセンブリから駆動され得ない)。かかる場合、単一の劣化した電極アセンブリは、内部短絡電極アセンブリの積層体から容易に除去され、非劣化電極アセンブリと交換され得る。
【0038】
内部短絡回路を実現するために、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリは、正電極及び負電極の接合対を含み得る(例えば、連続的に導電性であるように互いに面共有接触して構成されている)。本明細書で使用される場合、一対の第1の構成要素及び第2の構成要素(例えば、電極アセンブリの正電極及び負電極)は、第1の構成要素及び第2の構成要素が、互いに面共有接触するように、第1の構成要素が第2の構成要素に隣接して配置されている場合、互いに「接合している」として説明され得る(「隣接する」とは、間に介在する構成要素を有しない任意の2つの構成要素を指すために本明細書で使用される)。更に、本明細書で使用される場合、複数の電極の導電性を説明する場合の「連続的に」は、複数の電極の任意の面共有接合で実質上又は実用的にゼロ抵抗を有する、内部を通る電気経路を指し得る。
【0039】
例示的な実施形態では、(正の)リバランシング反応器82は、内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルであり得る。電池充電中に正電極28で著しい量のFe3+が生成され得るため、より高いFe3+還元速度が、正電解質をリバランシングするために望ましい場合がある(式(6)を参照)。追加的又は代替的な実施形態では、(負の)リバランシング反応器80は、同様の構成であり得る[Fe3+は、鉄めっき酸化中に負電極26で生成され得る(式(3)を参照のこと)]。
【0040】
レドックスフロー電池システム10の動作中、センサ及びプローブは、電解質のpH、濃度、SOC、などのような電解質の化学特性を監視及び制御し得る。例えば、
図1に図示されるように、センサ62及び60は、それぞれ正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50で正電解質及び負電解質の状態を監視するように位置付けられ得る。別の例では、センサ62及び60は各々、それぞれ正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50内の電解質のレベルを示すために、1つ以上の電解質レベルセンサを含んでもよい。別の例として、また
図1に図示されるセンサ72及び70は、それぞれ正電極コンパートメント22及び負電極コンパートメント20における正電解質及び負電解質の状態を監視し得る。センサ72及び70は、pHプローブ、光学プローブ、圧力センサ、電圧センサ、などであり得る。センサは、電解質化学的特性及び他の特性を監視するために、レドックスフロー電池システム10全体の他の場所に位置付けられてもよいことが理解されるであろう。
【0041】
例えば、センサは、外部酸タンク内に、外部酸タンク(図示せず)の酸量又はpHを監視するために位置付けられてもよく、外部酸タンクからの酸は、電解質中の沈殿物形成を低減するために、外部ポンプ(図示せず)を介してレドックスフロー電池システム10に供給されてもよい。追加の外部タンク及びセンサが、他の添加剤をレドックスフロー電池システム10に供給するために設置されてもよい。例えば、フィールド水和システムの温度、導電率、及びレベルセンサを含む様々なセンサが、コントローラ88に信号を送信し得る。更に、コントローラ88は、レドックスフロー電池システム10の水和中に、フィールド水和システムのバルブ及びポンプなどのアクチュエータに信号を送信し得る。センサ情報は、コントローラ88に送信され得、それは次に、例として、ポンプ30及び32を作動させて、レドックスフロー電池セル18を通る電解質フローを制御するか、又は他の制御機能を実行し得る。このようにして、コントローラ88は、センサ及びプローブの1つ又は組み合わせに応答し得る。
【0042】
レドックスフロー電池システム10は、H
2ガスの供給源を更に含み得る。一実施例では、H
2ガスの供給源は、別個の専用水素ガス貯蔵タンクを含み得る。
図1の実施例では、H
2ガスは、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に貯蔵され、そこから供給されてもよい。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、正電解質チャンバ52及び負電解質チャンバ50に追加のH
2ガスを供給し得る。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、電解質リバランシング反応器80及び82の入口に追加のH
2ガスを交互に供給し得る。一実施例として、質量流量計又は他の流量制御デバイス(コントローラ88によって制御され得る)が、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からのH
2ガスのフローを調節し得る。統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110は、レドックスフロー電池システム10内で生成されたH
2ガスを補足し得る。例えば、レドックスフロー電池システム10においてガス漏れが検出された場合、又は低水素分圧で還元反応速度(例えば、Fe
3+還元速度)が低すぎる場合、H
2ガスは、正電解質及び負電解質中の電気活性材料のSOCをリバランシングさせるために、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110から供給され得る。一実施例として、コントローラ88は、pHの測定された変化に応答して、又は電解質若しくは電気活性材料のSOCにおける測定された変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からH
2ガスを供給し得る。
【0043】
例えば、負電解質チャンバ50、又は負電極コンパートメント20のpHにおける増加は、H2がレドックスフロー電池システム10から漏れていること、及び/又は利用可能な水素分圧では反応速度が遅すぎることを示し得、コントローラ88は、pHの増加に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からレドックスフロー電池システム10へのH2ガスの供給を増加させ得る。更なる実施例として、コントローラ88は、pH変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からH2ガスを供給し得、pHは、第1の閾値pHを超えて増加するか、又は第2の閾値pHを超えて減少する。IFBの場合、コントローラ88は、追加のH2を供給して、Fe3+イオンの還元速度及びプロトンの生成速度を増加させ、それによって正電解質のpHを低減させ得る。更に、負電解質のpHは、正電解質から負電解質にクロスオーバするFe3+イオンの水素還元によって、又はプロトン濃度勾配及び電気泳動力に起因して負電解質にクロスオーバする正の側で生成されるプロトンによって低下され得る。このようにして、負電解質のpHは、Fe(OH)3としてFe3+イオン(正電極コンパートメント22からクロスオーバする)の沈殿のリスクを低減しながら、安定した領域内に維持され得る。
【0044】
酸素還元電位(ORP)メータ又は光学センサなどの他のセンサによって検出される、電解質pHの変化又は電解質SOCの変化に応答して、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110からのH2ガスの供給速度を制御するための他の制御スキームが、実施され得る。なお更に、pH又はコントローラ88のSOCトリガアクションの変化は、変化率又はある期間にわたって測定された変化に基づき得る。変化率の期間は、レドックスフロー電池システム10の時定数に基づいて予め決定又は調整され得る。例えば、再循環速度が高い場合、期間を短縮することができ、時定数が小さい場合があるため、濃度の局所変化(例えば、副反応又はガス漏れに起因する)は迅速に測定され得る。
【0045】
コントローラ88は、レドックスフロー電池システム10の動作モードに基づいて制御スキームを更に実行し得る。例えば、
図11を参照して下記で詳細に考察されるように、上で説明されたようにリバランシング反応器80及び82へのH
2ガスのフローを制御することと並行して、同時に、レドックスフロー電池システム10から過剰H
2ガスを除去し、Fe
3+イオン濃度を低減するように、コントローラ88は、レドックスフロー電池セル18の充電及び放電中に、それぞれ、リバランシング反応器80及び82への負電解質及び正電解質のフローを制御し得る。電解質リバランシングの後、コントローラ88は、リバランシング反応器80及び82から、リバランシングされた負電解質及び正電解質(例えば、Fe
3+の減少した濃度及びFe
2+の増加した濃度を含む)とともに、任意の過剰又は未反応のH
2のフローを、マルチチャンバ電解質貯蔵タンク110のそれぞれの電解質チャンバ50及び52に戻るように導き得る。追加的又は代替的に、未反応のH
2ガスは、別個の専用水素ガス貯蔵タンク(
図1には示されていない)に戻されてもよい。
【0046】
別の例として、コントローラ88は、システムコンディショニング中に負電極26で鉄の予備成形を引き起こすように、レドックスフロー電池セル18の充電及び放電を更に制御し得る(システムコンディショニングは、電池サイクリングの外でレドックスフロー電池システム10の電気化学的性能を最適化するために用いられる動作モードを含み得る)。すなわち、システムコンディショニング中、コントローラ88は、負電極26上に鉄金属をめっきするようにレドックスフロー電池システム10の1つ以上の動作条件を調整して、それに続く電池サイクリング中に電池充電容量を改善し得る(したがって、鉄金属は、電池サイクリングのために予め形成され得る)。このようにして、負電極26で鉄を予め形成し、システムコンディショニング中に電解質リバランシングを実行することは、鉄めっき損失を軽減することによって、電池サイクリング中のレドックスフロー電池セル18の全体的な容量を増加させ得る。本明細書で使用される場合、電池サイクリング(「充電サイクリング」とも称される)は、レドックスフロー電池システム10の充電モードと放電モードとの間で交互することを含み得る。
【0047】
センサ60及び62並びに統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110(及びそこに含まれる構成要素)を除く全ての構成要素は、電力モジュール120に含まれるとみなされ得ることが理解されよう。このように、レドックスフロー電池システム10は、統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110に流体的に結合され、センサ60及び62に通信可能に結合された電力モジュール120を含むと説明され得る。いくつかの実施例では、電力モジュール120及びマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110の各々は、単一のハウジング又はパッケージング(図示せず)に含まれてもよく、その結果、レドックスフロー電池システム10は、単一の場所において単一のユニットとして含まれ得る。正電解質、負電解質、センサ60及び62、電解質リバランシング反応器80及び82、並びに統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110(及びそれらに含まれる構成要素)は、電解質サブシステム130に含まれるとみなされ得ることが更に理解されるであろう。このように、電解質サブシステム130は、1つ以上の電解質をレドックスフロー電池セル18(及びその中に含まれる構成要素)に供給し得る。
【0048】
ここで
図2A及び
図2Bを参照すると、それぞれ斜視
図200及び250が示されており、斜視
図200及び250の各々は、
図1のレドックスフロー電池システム10などのレドックスフロー電池システムのためのリバランシングセル202を描写している。例示的な実施形態では、リバランシングセル202は、
図3を参照して下記で詳細に説明される電極アセンブリなどの内部短絡電極アセンブリの積層体を含み得、これは、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極の触媒表面において、
図1のレドックスフロー電池セル18などのレドックスフロー電池の正又は負電極コンパートメントからのH
2ガスと電解質との接触を促進することによって、電解質リバランシング反応を駆動し得る。したがって、リバランシングセル202は、
図1のリバランシング反応器80及び82の一方又は両方であり得る。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び
図2A~
図4B、
図6A、
図6B、
図9A、及び
図9Bの図の間の比較のために、一組の基準軸201が提供され、軸201は、x軸、y軸、及びz軸を示す。
図2A、
図2B、及び
図6Aの破線で更に示されるように、追加の軸gは、重力の方向(例えば、軸gに沿った正の方向)及び垂直方向(例えば、軸gに沿った負の方向であり、重力の方向とは反対)と平行であり得る。
【0049】
レドックスフロー電池システム内に含まれるリバランシングセル202の数及び内部短絡電極アセンブリの積層体内に含まれる電極アセンブリの数は、特に限定されず、対応して、より高性能用途に適合するように増加してもよい。例えば、75kWレドックスフロー電池システムは、20個の電極アセンブリの積層体(例えば、積層体の反対側の端部に位置付けられた2つの端部プレートを有する19個のバイポーラアセンブリの積層体)を含む、2つのリバランシングセル202を含み得る。
【0050】
示されるように、内部短絡電極アセンブリの積層体は、外部セルエンクロージャ(例えば、ハウジング)204内に取り外し可能に囲まれ得る。したがって、いくつかの実施例では、セルエンクロージャ204は、エンクロージャベースに取り外し可能に取り付けられたトップカバーを含み得、その結果、トップカバーが一時的に取り外されて、内部短絡電極アセンブリの積層体のうちの1つ以上の電極アセンブリを交換するか又は診断し得る。追加的又は代替的な実施例では、矩形角柱として
図2A及び
図2Bに描写されるセルエンクロージャ204は、レドックスフロー電池システムの他の構成要素に対して隙間嵌めであるように成形され得、その結果、リバランシングセル202は、かかる構成要素と面共有接触し得る。いくつかの実施例では、セルエンクロージャ204は、望ましくない短絡事象を低減するように、プラスチック又は他のポリマーなどの低い導電性を有する材料で構成され得る。
【0051】
セルエンクロージャ204は、リバランシングセル202の接合構成要素のための開口部又は空洞を含むように更に構成され得る。例えば、セルエンクロージャ204は、レドックスフロー電池システムの他の構成要素に流体的に結合するように構成された複数の入口ポート及び出口ポートを含み得る。一実施例では、示されるように、複数の入口ポート及び出口ポートは、PP配管に溶接されたポリプロピレン(PP)フランジ継手固定を含み得る。
【0052】
例示的な実施形態では、複数の入口ポート及び出口ポートは、電解質をセルエンクロージャ204に流動させるための電解質入口ポート206と、電解質をセルエンクロージャ204から排出するための電解質出口ポート208と、を含み得る。一実施例では、電解質入口ポート206は、セルエンクロージャ204の上半分に位置付けられ得、電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の下半分に位置付けられ得る(セルエンクロージャ204の上半分及び下半分は、z軸に沿って、x軸及びy軸の各々と平行な平面によって分離される)。したがって、電解質出口ポート208は、重力の方向に対して(例えば、軸gに沿って)電解質入口ポート206よりも低く位置付けられ得る。
【0053】
具体的には、電解質が電解質入口ポート206を介してセルエンクロージャ204に入ると、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体を横切って分配され、電極アセンブリの積層体を通して重力供給され、内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極を通って(例えば、重力の方向に対して)ウィックアップされて、カソード半反応で負電極の触媒表面で反応し、電解質出口ポート208を介してセルエンクロージャ204から排出され得る。電解質の重力供給を支援し、その圧力降下を増加させるために、リバランシングセル202は、セルエンクロージャ204に結合された勾配付き支持体220を介して、重力方向に対して更に傾けるか又は傾斜され得る。いくつかの実施例では、このようにしてセルエンクロージャ204を傾けることは、(例えば、レドックスフロー電池システムのアイドルモード中に)リバランシングセル202の電解質排出を更に支援し、(いくつかの実施例では、電解質に十分な期間浸漬された後、触媒表面が腐食し得るので)触媒表面を比較的乾燥したままにし得る。
【0054】
示されるように、勾配付き支持体220は、セルエンクロージャ204を角度222で傾け得、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極シートの平面が、勾配付き支持体220が置かれている下部表面(図示せず)に対して角度222で傾斜するようにする。いくつかの実施例では、(例えば、下部表面に対するセルエンクロージャ204の)角度222は、0°~30°であり得る。角度222が実質的に0°である実施形態では、リバランシングセル202は、依然として機能し得るが、セルエンクロージャ204を0°を超える角度で傾けると、圧力降下が大きくなり、負電極への電解質クロスオーバが低減され得る。いくつかの実施例では、角度222は、2°~30°であり得る。いくつかの実施例では、角度222は、2°~20°であり得る。一実施例では、角度222は、約8°であり得る。したがって、例えば、電解質入口ポート206を通ってセルエンクロージャ204に入る場合の電解質の圧力降下は、角度222を増加させることによって増加され得、角度222を減少させることによって減少され得る。勾配付き支持体220の更なる態様を、
図9A及び
図9Bを参照して以下でより詳細に説明する。
【0055】
追加的又は代替的に、1つ以上の支持レール224が、セルエンクロージャ204の上半分(例えば、勾配付き支持体220と反対側)に結合され得る。いくつかの実施例では、
図2Aの斜視
図200に示されるように、1つ以上の支持レール224は、1つ以上の支持レール224が、リバランシングセル202を、下部表面の上の、かつ下部表面と平行な上部表面に、取り外し可能に固定し得るように、角度222でセルエンクロージャ204に対して傾けられ得る。このようにして、及び幾何学的考慮に基づいて、z軸は、同様に、角度222で軸gからオフセットされ得る(例えば、セルエンクロージャ204は、
図2A及び
図2Bに示されるように、角度222によって重力の方向と反対の垂直方向に対して傾けられ得る)。いくつかの実施例では、リバランシングセル202を通る電解質の重力供給は、重力の方向と反対の垂直方向に対して、リバランシングセル202をレドックスフロー電池システムの電解質貯蔵タンク(例えば、
図1のマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)の上に位置付けることによって更に支援され得る。電解質フローの更なる態様を、
図6A~
図7Bを参照して下記でより詳細に考察する。
【0056】
更に示されるように、電解質出口ポート208は、電解質の少なくとも一部分を排出するように構成されたセルエンクロージャ204内の複数の開口部(PP配管に溶接されたPPフランジ継手固定を含む複数の開口部の各々)を含み得る。例えば、
図2A及び
図2Bでは、電解質出口ポート208は、5つの開口部を含むように示されている。このようにして、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体を横切って均等に分配され得、実質的にスムーズなフローでセルエンクロージャ204から排出され得る(「実質的に」は、「効果的に」を意味する修飾語として本明細書で使用され得る)。他の実施例では、電解質出口ポート208は、5つより多い開口部又は5つより少ない開口部を含み得る。一実施例では、電解質出口ポート208は、単一の開口部を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、電解質出口ポート208は、z軸に対して(例えば、z軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上で)セルエンクロージャ204の下に位置付けられ得る。
【0057】
電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、内部短絡電極アセンブリの積層体(例えば、電解質入口ポート206から電解質出口ポート208まで、並びに電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208に流体的に結合されたセルエンクロージャ204内のチャネル、通路、マニホールド、プレナム、ウェルなどを含む)を通る電解質の流路に基づいて、セルエンクロージャ204上に位置付けられ得る。いくつかの実施例では、示されるように、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の隣接する側面(例えば、共通の縁部を共有するセルエンクロージャ204の面)上に位置付けられ得る。他の実施例では、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の反対側に位置付けられ得る。他の実施例では、電解質入口ポート206及び電解質出口ポート208は、セルエンクロージャ204の同じ側に位置付けられ得る。
【0058】
いくつかの実施例では、電解質入口ポート206は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。追加的又は代替的な実施例では、電解質入口ポート206は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。一実施例では、示されるように、電解質入口ポート206の1つの開口部は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得、電解質入口ポート206の別の開口部は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。
【0059】
いくつかの実施例では、複数の入口ポート及び出口ポートは、H
2ガスをセルエンクロージャ204に流動させるための水素ガス入口ポート210と、H
2ガスをセルエンクロージャ204から排出するための水素ガス出口ポート212(
図2Bに示される)と、を更に含み得る。一実施例では、示されるように、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212の各々は、セルエンクロージャ204の下半分に(例えば、z軸に沿った内部短絡電極アセンブリの積層体の最下部電極アセンブリに)位置付けられ得る。別の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212の各々は、セルエンクロージャ204の上半分に(例えば、z軸に沿った内部短絡電極アセンブリの積層体の最上部電極アセンブリに)位置付けられ得る。更に別の例では、水素ガス入口ポート210は、セルエンクロージャ204の下半分に位置付けられ得、水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の上半分に位置付けられ得る。かかる実施例では、水素ガス入口ポート210は、重力の方向に対して(例えば、軸gに沿って)水素ガス出口ポート212よりも低く位置付けられ得る。
【0060】
具体的には、H
2ガスが水素ガス入口ポート210を介してセルエンクロージャ204に入ると、H
2ガスは、強制対流(例えば、
図5A~
図5D及び
図8A~
図8Dを参照して下でより詳細に考察されるように、それぞれのフローフィールドプレートのフローフィールド構成によって誘導される)を介して内部短絡電極アセンブリの積層体を横切って、及び内部短絡電極アセンブリの積層体を通って分配され、負電極の触媒表面においてアノード半反応で分解され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、過剰な未反応のH
2ガスは、触媒表面との接触後にリバランシングセル202内に残る可能性がある。いくつかの実施例では、触媒表面で反応していないH
2ガスの少なくとも一部分が、電解質に通過し得る。かかる実施例では、望ましくない圧力の蓄積を回避し、それによって正電極上での電解質のプール及び付随する負電極の電解質フラッディングを防止するために、複数の入口ポート及び出口ポートは、圧力放出出口ポート214(
図2Aに示されるように)を更に含み、電解質から未反応のH
2ガスを排出し得る。更に、いくつかの実施例では、水素ガス出口ポート212は、触媒表面で反応しておらず、負電極を通って電解質に流動していないH
2ガスの少なくとも一部分を排出するように構成され得る。H
2ガスフローの更なる態様を、
図4A~
図5Dを参照して下記でより詳細に考察する。
【0061】
水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、内部短絡電極アセンブリの積層体を通るH
2ガスの流路に基づいて、セルエンクロージャ204上に位置付けられ得る。例えば、流路は、水素ガス入口ポート210から水素ガス出口ポート212(含まれている場合)までであり、セルエンクロージャ204内のチャネル、通路、プレナムなどを含み、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212(含まれている場合)に流体的に結合され得る。いくつかの実施例では、示されるように、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の反対側に位置付けられ得る。他の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の隣接する側面上に位置付けられ得る。他の実施例では、水素ガス入口ポート210及び水素ガス出口ポート212は、セルエンクロージャ204の同じ側に位置付けられ得る。更に、水素ガス入口ポート210は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられるように
図2A及び
図2Bに示され、水素ガス出口ポート212は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられるように
図2A及び
図2Bに示されるが、他の実施例では、水素ガス入口ポート210は、x軸の正の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得、水素ガス出口ポート212は、x軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられ得る。
【0062】
一実施例では、水素ガス入口ポート210、水素ガス出口ポート212、電解質入口ポート206、及び電解質出口ポート208は、横方向構成でセルエンクロージャ204上に位置付けられ得る。横方向構成は、セルエンクロージャ204の上半分の異なる側面(例えば、面)上に位置付けられた水素ガス出口ポート212及び電解質入口ポート206、並びにセルエンクロージャ204の下半分の異なる側面上に位置付けられた水素ガス入口ポート210及び電解質出口ポート208を含み得る。
【0063】
他の実施例では、負電極の触媒表面で反応していないH2ガスと、負電極を通って電解質に流動していないH2ガスと、を排出するための水素ガス出口ポート212が存在しなくてもよい。しかしながら、かかる実施例では、電解質から未反応のH2ガスを排出するための圧力放出出口ポート214は、依然として存在してもよく、未反応のH2ガスは、負電極を通って電解質に流動し、圧力放出出口ポート214を通った後にのみ、セルエンクロージャ204から排出されてもよい。水素ガス出口ポート212を欠く例示的なリバランシングセル構成は、圧力放出出口ポート214を含むかどうかにかかわらず、「デッドエンド構成」と呼ばれ得る。デッドエンド構成では、H2ガスのうちの実質的に全てが、負電極の触媒表面と接触させられ得、そこでH2ガスは、アノード半反応を介して分解し得、かつ/又はH2ガスは、負電極を通過した後(例えば、その触媒表面で反応することなく)電解質に入ることができる。
【0064】
ここで
図3を参照すると、
図2A及び
図2Bのリバランシングセル202などのリバランシングセル用の電極アセンブリ302の分解
図300が示されている。したがって、電極アセンブリ302は、内部短絡され得る(例えば、電極アセンブリ302を通って流動する電流は、外部負荷を通ってチャネリングされない)。例示的な実施形態では、電極アセンブリ302は、リバランシングセルを形成するために、セルエンクロージャ内の同様の構成の電極アセンブリの積層体内に含まれ得る。電極アセンブリ302は、活性炭フォーム306、正電極308(ある実施例では本明細書で「カソード」とも呼ばれる)、及び負電極310(ある実施例では本明細書で「アノード」とも呼ばれる)が順次積層されたプレート304を含み得る。電極アセンブリ302は、炭素フォーム306を通して電解質を受容するようにリバランシングセル内に位置付けられ得、そこから電解質は、毛細管作用を介して正電極308の孔に入り得、負電極310と接触し得る。電極アセンブリ302は、対流を介して正電極308と反対側の負電極310の触媒表面を横切ってH
2ガスを受容するように、リバランシングセル内に更に位置付けられ得る。触媒表面を横切るH
2ガスの対流は、触媒表面と接合しているフローフィールドプレート(
図3には示されていない)によって補助され得る。アノード半反応を介して触媒表面でH
2ガスが分解されると、プロトン及び電子は、負電極310と正電極308との接合部に流動し得、そこで電解質中のイオンは、カソード半反応を介して還元され得る(例えば、Fe
3+は、Fe
2+に還元され得る)。このようにして、電極アセンブリ302は、電極アセンブリ302を含む、リバランシングセルに流体的に結合された
図1のレドックスフロー電池セル18などのレドックスフロー電池のための電解質リバランシングのために構成され得る。
【0065】
いくつかの実施例では、プレート304は、望ましくない短絡事象を低減するように、プラスチック又は他のポリマーなどの低い導電性を有する材料で構成され得る。したがって、一実施例では、プレート304は、
図2A及び
図2Bのセルエンクロージャ204と同じ材料から形成され得る。
【0066】
示されるように、プレート304は、それを通る複数の入口及び出口を含み得る。例えば、複数の入口及び出口は、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bを含み得る。具体的には、プレート304は、電解質をリバランシングセルから導くための電解質出口チャネルセクション316、H
2ガスをリバランシングセルに、負電極310を横切って導くための水素ガス入口チャネルセクション318a、及びH
2ガスをリバランシングセルから導くための水素ガス出口チャネルセクション318bを含み得る。プレート304は、電極アセンブリ302で電解質を受容するための電解質入口ウェル312を更に含み得、電解質入口ウェル312は、炭素フォーム306を横切って受容された電解質を分配するために炭素フォーム306に隣接して位置付けられたバーム314bに設定された複数の電解質入口通路314aに流体的に結合されている。いくつかの実施例では、電解質入口ウェル312は、(例えば、電解質入口チャネルを介して、
図3には示されていない)電解質入口ウェル312に流体的に結合された電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206)から電解質を受容してもよく、電解質出口チャネルセクション316は、電解質出口チャネルセクション316に流体的に結合された電解質出口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質出口ポート208)を通じて電解質を排出してもよく、水素ガス入口チャネルセクション318aは、水素ガス入口チャネルセクション318aに流体的に結合された水素ガス入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの水素ガス入口ポート210)からH
2ガスを受容してもよく、水素ガス出口チャネルセクション318bは、水素ガス出口チャネルセクション318bに流体的に結合された水素ガス出口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの水素ガス出口ポート212)を通じてH
2ガスを排出してもよい。
【0067】
水素ガス入口チャネルセクション318aは、本明細書において、水素ガス入口チャネルのセクションとして説明され、水素ガス出口チャネルセクション318bは、本明細書において、水素ガス出口チャネルのセクションとして説明されるが、他の実施例では、チャネルセクション318bが、(例えば、水素ガス入口ポートからH2ガスを受容した後、H2ガスをリバランシングセルに、負電極310を横切って導くために)水素ガス入口チャネルのセクションであってもよく、ガス入口チャネルセクション318aが、(例えば、水素ガス出口ポートを通じてH2ガスを排出することによって、H2ガスをリバランシングセルから導くために)水素ガス出口チャネルのセクションであってもよいことが理解されよう。他の実施例では、リバランシングセルは、デッドエンド構成として構成され得、いかなる水素ガス出口ポートも、水素ガス出口チャネルセクション318bに流体的に結合され得ない。かかる実施例では、水素ガス出口チャネルセクション318bは、H2ガスを、負電極310を横切って戻すように導き得るか、又は水素ガス出口チャネルセクション318bが、代わりに(例えば、水素ガス入口ポートからH2ガスの一部分を受容した後、H2ガスの一部分をリバランシングセルに、かつ負電極310を横切って導くために)別の水素ガス入口チャネルセクションとして構成され得る。
【0068】
複数の入口及び出口は、リバランシングセル全体の電解質及びH2ガスフローを容易にするように構成され得る。一実施例として、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bの各々のサイズは、それを通る圧力降下を最小限に抑えるように選択され得、それによって、内部短絡電極アセンブリの積層体の各々の電極アセンブリ302へのフロー分配に役立つ。別の実施例として、各電解質入口通路314aのサイズ及びバーム314bに対する複数の電解質入口通路314aの総数は、電解質フローを実質的に均等に分配するための比較的小さい圧力降下を誘導するように選択され得る。かかる実施例では、各電解質入口通路314aのサイズ及び複数の電解質入口通路314aの総数の選択は、電解質フローフィールドのサイズ及び所望の電解質流量などの、リバランシングセルの所与の構成に特有のいくつかの要因に依存し得る。
【0069】
追加的又は代替的な実施例では、電解質出口チャネルセクション316は、電解質出口ポートに含まれる複数の開口部を通して電解質を分配するように更に構成されてもよい。例えば、
図3の分解
図300では、電解質出口チャネルセクション316は、2つの開口部を含むように示されている。いくつかの実施例では、電解質出口チャネルセクション316に含まれる開口部の数は、電解質出口ポート内に含まれる開口部の数に等しくてもよく、その結果、電解質出口チャネルセクション316の開口部は、それぞれ、電解質出口ポートの開口部に対応し得る。このようにして、電解質は、電極アセンブリ302を横切って均等に分配され得、実質的にスムーズなフローでリバランシングセルから排出され得る。他の実施例では、電解質出口チャネルセクション316は、2つより多いの開口部又は2つより少ない開口部(例えば、単一の開口部)を含み得る。
【0070】
更に、電極アセンブリ302が電極アセンブリの積層体内に含まれる場合、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bは、それぞれ(下記で説明する
図4A、
図4B、
図6A、及び
図6Bに様々に示されるように)連続した電解質出口チャネル、連続した水素ガス入口チャネル、及び連続した水素ガス出口チャネルを形成するように整列し得る。このようにして、電極アセンブリの積層体は、モジュール方式で形成され得、それによって、任意の実用的な数の電極アセンブリ302が積層され、リバランシングセル内に含まれ得る。
【0071】
更に示されるように、複数の封止インサートは、固着されるか(本明細書で使用される場合、「固着(affix)」、「固着された(affixed)」、又は「固着する(affixing)」は、限定されるものではないが、直接的若しくは間接的な関係を通して、1つの構成要素を別の構成要素に接着、取り付け、接続、締結、接合、連結、又は固定することを含む)、又は別様にプレート304に結合されてもよい。一実施例として、複数の封止インサートは、H
2ガスバイパスを緩和することによって負電極310を横断するH
2ガスのフローを誘導するための水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bを含み得る。具体的には、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bは、それぞれ、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310を含むプレート304の側面上で、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bに固着されるか、又は別様に隣接して結合され得る。いくつかの実施例では、
図4A及び
図4Bを参照してより詳細に考察されるように、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bは、水素ガス入口チャネル封止インサート320a及び水素ガス出口チャネル封止インサート320bがプレート304との固着又は結合の地点から延在し、正電極308と部分的に重複し得るように、負電極310のx-y平面と一致し得る。
【0072】
別の実施例として、複数の封止インサートは、水素ガス入口チャネルセクション318aと別の電極アセンブリの水素ガス入口チャネルセクションとの接合部、及び水素ガス出口チャネルセクション318bとを別の電極アセンブリの水素ガス出口チャネルセクションとの接合部をそれぞれ封止するために、水素ガス入口チャネルOリング322a及び水素ガス出口チャネルOリング322bの各々を更に含み得る。具体的には、水素ガス入口チャネルOリング322a及び水素ガス出口チャネルOリング322bは、水素ガス入口チャネルセクション318a及び水素ガス出口チャネルセクション318bをそれぞれ外接するように、プレート304に固着されるか、又は別様に結合され得る。
【0073】
別の実施例として、複数の封止インサートは、電極アセンブリ302と別の電極アセンブリとの接合部をその外縁部で封止するためのオーバーボードOリング324を更に含み得る。具体的には、オーバーボードOリング324は、電解質入口ウェル312、複数の電解質入口通路314a、バーム314b、電解質出口チャネルセクション316、水素ガス入口チャネルセクション318a、及び水素ガス出口チャネルセクション318bの各々と外接するように、プレート304に固着されるか、又は別様に結合され得る。
【0074】
炭素フォーム306は、y軸に沿ってバーム314bと電解質出口チャネルセクション316との間、及びx軸に沿って水素ガス入口チャネルセクション318aと水素ガス出口チャネルセクション318bとの間で、プレート304の空洞326内に位置付けられ得る。具体的には、炭素フォーム306は、空洞326の基部を形成するプレート304の側面と面共有接触して位置付けられ得る。いくつかの実施例では、炭素フォーム306は、連続したモノリシックピースとして形成され得るが、他の実施例では、炭素フォーム306は、2つ以上の炭素フォームセクションとして形成され得る。例示的な実施形態では、炭素フォーム306は、導電性、透過性、及び多孔質であり得、複数の電解質入口通路314aからそれを通って重力供給される電解質のための分配フィールドを提供する。いくつかの実施例では、炭素フォーム306の孔分配は、10~100PPIであり得る。一実施例では、孔分配は、30PPIであり得る。追加的又は代替的な実施例では、炭素フォーム306の透過性は、0.02~0.5mm2であり得る。このため、炭素フォーム306の全体的なサイズに加えて、孔分配及び透過性の各々は、比較的小さい圧力降下を目標とし、それによって、炭素フォーム306から正電極308への電解質の対流を誘導するように選択され得る。例えば、圧力降下は、2~3mmの電解質ヘッド上昇を対象とし得る。
【0075】
いくつかの実施例では、炭素フォーム306は、フローフィールドプレートのフローフィールド構成によって誘導される対流を介して電解質を正電極308に輸送するように構成されたフローフィールドプレートと交換され得る。具体的には、フローフィールドプレートは、複数の電解質入口通路314a及び電解質出口チャネルセクション316の各々に流体的に結合され得る。一実施例では、フローフィールドプレートは、z軸に対して正電極308の下に位置付けられた、電極アセンブリ302のプレート304内に一体的に形成され得る。他の実施例では、フローフィールドプレートは、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。
【0076】
いくつかの実施例では、
図5A~
図5Dを参照して下記で詳細に説明されるように、フローフィールド構成は、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、又は蛇行したフローフィールド構成であり得る。いくつかの実施例では、各電極アセンブリ302は、各他の電極アセンブリ302と同様の構成(例えば、互い違いになった、部分的に互い違いになった、蛇行したなどの)のフローフィールド構成と接合し得る。他の実施例では、
図2A及び
図2Bのリバランシングセル202内の所与の電極アセンブリ302の場所によって、電極アセンブリの積層体内の電極アセンブリ302の間にいくつかの異なるフローフィールド構成が提供され得る。このようにして、電解質は、電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206)から、電極アセンブリの積層体内の正電極308とそれぞれ接合しているフローフィールドプレートに導かれ得、フローフィールドプレートは、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はそれらの組み合わせで構成されている。
【0077】
ある特定の実施例では、
図4A及び
図4Bを参照して(
図8A~
図8Dも参照のこと)下記でより詳細に考察されるように、炭素フォーム306がフローフィールドプレート(本明細書において「電解質フローフィールドプレート」とも呼ばれる)と交換されることに加えて、別のフローフィールドプレート(本明細書において「水素ガスフローフィールドプレート」とも呼ばれる)は、z軸に対して正電極308と反対側の負電極310と接合し得る。しかしながら、他の実施例では、電解質フローフィールドプレートが含まれ得(例えば、炭素フォーム306を交換する)、水素ガスフローフィールドプレートは、存在しなくてもよい。更に他の実施例では、水素ガスフローフィールドプレートが含まれ得(例えば、負電極310と接合している)、電解質フローフィールドプレートは存在しなくてもよい。
【0078】
正電極308は、z軸に沿ってプレート304から反対側の炭素フォーム306の側面と面共有接触して、空洞326内に位置付けられ得る。例示的な実施形態では、正電極308は、毛細管作用を介して炭素フォーム306を通って流動する電解質を負電極310と接触させ得るウィッキング導電性炭素フェルト、スポンジ、又はメッシュであり得る。したがって、いくつかの実施例では、正電極308は、導電性及び多孔質であり得る(ただし、かかる実施例では、炭素フォーム306ほど多孔質ではない)。一実施例では、炭素フォーム306の多孔性が所定の範囲内にあり得る場合(例えば、正電極308へのウィックアップを促進するのに十分な固体材料を保持するために上側閾値多孔性を下回り、炭素フォーム306を通る電解質のフローを妨げないように下側閾値多孔性を上回る)、電解質は正電極308にウィッキングされ得る。追加的又は代替的な実施例では、正電極308の多孔性の増加に伴って、正電極308の吸着性の各々は、減少し得、正電極308の透過性は、増加し得る(例えば、少なくとも、正電極308の閾値多孔性に達するときなどの、電解質のウィッキングを促進するための正電極308の固体材料がほんのわずかしか残らなくなるまで)。いくつかの実施例では、正電極308の表面は、(例えば、徹底的な電解質湿潤を促進し、それによってイオン伝導性媒体を形成することによって)望ましいリバランシングセル動作のために十分に親水性であり得る。かかる実施例では、正電極308の全体的な親水性は、その表面をコーティングするか又は処理することによって増加され得る。更に、H2ガスのうちの少なくとも一部は、正電極308にウィッキングされた電解質の一部分に加えて、正電極308に通過し得るが、正電極308は、その上のH2ガスのバルクとその下の電解質のバルクとの間のセパレータとみなされ得る。
【0079】
いくつかの実施例では、正電極308及び負電極310の各々は、(例えば、離散粒子又は複数のピースとは対照的に)連続したモノリシックピースとして形成され得、その結果、電解質を負電極310の触媒表面でH2ガスと接触させる場合に、境界層フィルムを横断する相間質量輸送損失が低減され得、それによってイオン及びプロトン移動が促進される。対照的に、離散的に充填された触媒粒子を含む充填床構成は、各個々の粒子を取り囲む質量輸送制限境界層フィルムを含み得、それによって、電解質のバルクから粒子の表面への電解質の質量輸送の速度を低減する。
【0080】
負電極310は、z軸に沿って炭素フォーム306から反対側の正電極308の側面と面共有接触して空洞326内に位置付けられ得、その結果(ウィッキングされた)電解質と、負電極310の触媒表面と、H2ガスとの間の三相接触境界部が、プロトン(例えば、H+)及び三相接触境界部を通るイオン移動(H3O+)のために形成され得る。並行して、正電極308は、電子が電解質フロントに移動するための導電経路を提供し、そこでFe3+イオンを還元することによって、全体的な電子抵抗を低減し得る。
【0081】
例示的な実施形態では、負電極310は、上に金属触媒がコーティングされた多孔質非導電性材料又は導電性炭素基板であり得る。いくつかの実施例では、多孔質非導電性材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレンなどを含み得る。いくつかの実施例では、導電性炭素基板は、カーボンクロス又はカーボン紙を含み得る。いくつかの実施例では、金属触媒は、貴金属触媒を含み得る。いくつかの実施例では、貴金属触媒は、Ptを含み得る。追加的又は代替的な実施例では、貴金属触媒は、Pd、Rh、Ru、Ir、Ta、又はそれらの合金を含み得る。いくつかの実施例では、コスト考慮のために、相対的に少量(例えば、0.2~0.5重量%)の導電性炭素基板上に担持される貴金属触媒が用いられ得る。しかしながら、実際には、貴金属触媒の量は、特に制限されない可能性があり、リバランシングセルについての所望の反応速度及びリバランシングセルの予想される寿命のうちの1つ以上に基づいて、選択され得る。更に、貴金属触媒内に含まれる合金は、コストを低減させ、貴金属触媒の腐食安定性を増加させるために利用され得る。例えば、PtへのRhの10%の添加は、PtのFe3+による腐食を98%超低減させ得る。他の実施例では、金属触媒は、第二鉄溶液及び他のかかる酸性環境(例えば、硫化モリブデン)における安定性のために選択された非貴金属触媒を含み得る。一実施例では、負電極310は、1.0mg/cm2Ptでコーティングされたカーボンクロスを含み得、(例えば、疎水性のために)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)結合剤で結合された微孔性層を含み得る。実際、PTFE結合剤を含めることは、他の結合剤を使用して形成された電極アセンブリに対して、長時間にわたってリバランシングセル性能の耐久性を増加させ得る。
【0082】
いくつかの実施例では、貴金属触媒がPtを含む場合など、負電極310の浸漬は、最終的に貴金属触媒の腐食をもたらし得る。他の実施例では、
図2A及び
図2Bを参照して上記でより詳細に考察されるように、電極アセンブリ302は、(電極アセンブリの積層体及びリバランシングセル全体とともに)リバランシングセルが置かれる表面に対して傾けられ得るか、又は傾斜され得(例えば、z軸は、重力の方向と平行でなくてもよい)、その結果、電解質のフローが、重力供給を介して炭素フォーム306を通って、電解質出口チャネルセクション316に向かって引き出されるので、貴金属触媒は比較的乾燥したままであり得る。このため、いくつかの実施例では、電極アセンブリ302は、リバランシングセルが置かれる表面に対して水平であってもよいか、又は0°~30°の角度で傾斜していてもよい。
【0083】
例示的な実施形態では、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310の各々を含む電極アセンブリ302は、z軸に沿って圧縮され得、正電極308は、所与の圧縮圧力下で、炭素フォーム306及び負電極310よりも大きい撓みを有する。したがって、空洞326の深さは、炭素フォーム306の厚さ、正電極308の厚さ、正電極308の所望の圧縮、及び負電極310の厚さに基づいて、選択され得る。具体的には、空洞326の深さは、(電解質フローを妨げる可能性がある、炭素フォーム306の過剰応力及び破砕を回避するため)実質的に完全に圧縮された後の炭素フォーム306の厚さと、実質的に完全に圧縮された後の正電極308の厚さとの合計の下側閾値深さよりも大きく、(H2ガスと電解質との不十分な接触をもたらし得る、正電極308のゼロ圧縮、場合によっては隙間を回避するため)炭素フォーム306の厚さと正電極308の厚さとの合計の上側閾値深さ未満であるように選択され得る。例えば、炭素フォーム306の厚さが6mmであり、正電極308の厚さが3.4mmであり、正電極308の所望の圧縮が(0.01MPaの所望の圧縮圧力を達成するため)0.4mmであり、負電極310の厚さが0.2mmである実施例では、空洞326の深さは、9.2mm(=3.4mm+6mm+0.2mm-0.4mm)であり得る。別の実施例として、炭素フォーム306の厚さは、2~10mmであり得、正電極308の厚さは、1~10mmであり得、正電極308の所望の圧縮は、(0~0.09MPaの所望の圧縮圧力を達成するように)0~2.34mmであり得、負電極310の厚さは、0.2~1mmであり得、その結果、空洞326の深さは、0.86~21mmであり得る。追加的又は代替的な実施例では、正電極308の厚さは、炭素フォーム306の厚さの20%~120%であり得る。一実施例では、正電極308の厚さは、炭素フォーム306の厚さの100%~110%であり得る。一実施例では、空洞326の深さは、炭素フォーム306の破砕強度に更に依存し得る(例えば、空洞326の深さは、破砕強度の減少とともに増加し得る)。例えば、空洞326の深さが9.2mmである場合(例えば、正電極の所望の圧縮が0.4mmである場合)、フォーム破砕安全率(FOS)は、5.78であり得る。フォーム破砕FOSは、いくつかの実施例では、0.34の最小値を有し得、フォーム破砕FOS値が、1未満である場合、少なくともいくつかの破砕が予想されることを示し得る。いくつかの実施例では、炭素フォーム306の破砕強度は、その製造中に炭素フォーム306の熱処理によって低減され得る(一実施例では、0.08MPa~0.03MPa)。電極アセンブリ302は、(例えば、電解質フローが、負電極310に近接し得る際)一般的により薄い電極アセンブリ302が、リバランシングセルの全体的なサイズの低減及び電極アセンブリ302を横切る電気抵抗の低減をもたらし得るため、空洞326の深さが可能な限り低くなるように(例えば、上記の制約の範囲内で)構成され得ることが理解されよう。
【0084】
このようにして、電極アセンブリ302は、炭素フォーム306と、互いに面共有接触し、連続的に導電性である正電極308及び負電極310の接合対との順次積層を含み得る。具体的には、第1の接合部は、正電極308と炭素フォーム306との間に形成され得、第2の接合部は、正電極308と負電極310との間に形成され得、第2の接合部は、正電極308を横切る第1の接合部と反対であり、炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310の各々は、導電性であり得る。したがって、電極アセンブリ302は、内部的に短絡され得、その結果、電極アセンブリ302を通って流動する電流は、外部負荷を通ってチャネリングされ得ない。
【0085】
例示的な実施形態では、上で考察されたように、強制対流は、(例えば、負電極310と接合しているフローフィールドプレートを介して、
図3には示されていない)H
2ガスの電極アセンブリ302への負電極310を横切るフローを誘導し得る。そこでは、H
2ガスは、式(4a)(例えば、式(1)の逆反応):
1/2H
2→H
++e
- (アノード半反応)(4a)
を介して負電極310の触媒表面と反応し得る。プロトン(H
+)及び電子(e
-)は、負電極310を横切って正電極308に伝導され得る。炭素フォーム306を介して電極アセンブリ302を通って導かれた電解質は、正電極308にウィッキングされ得る。正電極308と負電極310との間の第2の接合部で、及びその近くで、電解質中のFe
3+は、式(4b):
Fe
3++e
-→Fe
2+ (カソード半反応)(4b)
を介して還元され得る。
式(4a)及び(4b)を合計すると、電解質リバランシング反応は、式(4):
Fe
3++1/2H
2→Fe
2++H
+ (電解質リバランシング)(4)
として取得され得る。
【0086】
電極アセンブリ302は内部的に短絡しているため、電極アセンブリ302のセル電位は、以下のようにゼロに駆動され得る。
0=(E
正-E
負)-(η
act+η
mt+η
オーム)(7)
式中、E
正は、正電極308の電位であり、E
負は、負電極310の電位であり、η
actは、活性化過電圧であり、η
mtは、質量輸送過電圧であり、及びη
オームは、オーム過電圧である。
図3において構成される電極アセンブリ302について、η
mt及びη
actは、無視できると想定され得る。更に、以下のように、η
オームは、電解質の過電圧η
電解質及び正電極308を形成する炭素フェルトの過電圧η
フェルトに依存し得る。
η
オーム=η
電解質+η
フェルト(8)
したがって、電極アセンブリ302の性能は、少なくとも電解質の電気抵抗率σ
電解質及び炭素フェルトの電気抵抗率σ
フェルトによって制限され得る。電解質の電気伝導率及び炭素フェルトの電気伝導率は、それぞれ、電解質の抵抗R
電解質及び炭素フェルトの抵抗R
フェルトに更に依存し得、以下のように与えられ得る。
R
電解質=σ
電解質×t
電解質/A
電解質(9)
R
フェルト=σ
フェルト×t
フェルト/A
フェルト(10)
式中、t
電解質は、電解質の厚さ(例えば、電解質フロントの高さ)であり、t
フェルトは、炭素フェルトの厚さ(例えば、正電極308の厚さ)であり、A
電解質は、電解質の活性面積(フロント)であり、A
フェルトは、炭素フェルトの活性面積である。したがって、電極アセンブリ302の性能は、炭素フェルト内の電解質のフロント場所、したがって、炭素フォーム306を横切る電解質の分配、及び正電極308を形成する炭素フェルトにウィッキングされた電解質の量に基づいて、更に制限され得る。
【0087】
R電解質及びRフェルトを判定した後、電極アセンブリ302の電流Iアセンブリは、以下のように判定され得、
Iアセンブリ=(E正-E負)/(R電解質+Rフェルト)(11)
及び電解質リバランシング反応の速度vリバランシング(例えば、Fe3+の還元速度)は、以下のように更に判定され得る。
vリバランシング=Iアセンブリ/(nFAリバランシング)(12)
式中、nは、負電極310を通って流動する電子の数であり、Fは、ファラデー定数であり、Aリバランシングは、電解質リバランシング反応の活性面積(例えば、電解質フロントと負電極310との間の接合部の面積)である。一実施例として、tフェルト=3mmを有する非圧縮炭素フェルトの場合、vリバランシングは、113mol/m2時間の最大値を有し得る。
【0088】
ここで
図4A及び
図4Bを参照すると、断面
図400及び拡大挿入
図450がそれぞれ示され、断面
図400及び拡大挿入
図450の各々は、リバランシングセル202内のH
2ガスフローの例示的な態様を描写している。具体的には、拡大挿入
図450は、破線楕円410によって区切られた断面
図400の一部分を拡大する。
図4A及び
図4Bに示されるように、リバランシングセル202は、各電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネルセクション318aが、各他の電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネルセクション318aと連続した水素ガス入口チャネル404を形成するように整列された個々の電極アセンブリ302の積層体として形成された電極アセンブリ積層体402を含み得る。水素ガス入口プレナム406は、水素ガス入口チャネル404内に更に含まれ得、水素ガス入口プレナム406は、水素ガス入口チャネル404を水素ガス入口ポート210に流体的に結合する。それぞれの水素ガス入口チャネルOリング322a及びオーバーボードOリング324は、電極アセンブリ302の対の間の接合部で水素ガス入口チャネル404を封止し得る。リバランシングセル202の切断部分は、詳細については、断面
図400及び拡大挿入
図450において描写されており、リバランシングセル202の追加の特徴(例えば、
図2A及び
図2Bに示される)は、描写されない場合があることが理解されよう。更に、所与の用途のための断面
図400に示されるものよりも多く又はよりも少ない電極アセンブリ302が電極アセンブリ積層体402内に含まれ得る(しかしながら、いくつかの実施例では、スケールアップ性能は、50%H
2ガス利用率で、又は50%H
2ガス利用率を下回ってH
2ガスフローに実質的に非感受性であり得る)ことが理解されよう。更に、水素ガス入口チャネル404及び隣接する構成要素の構造的特徴が、
図4A及び
図4Bを参照して詳細に説明されているが、対応する水素ガス出口チャネル[例えば、各電極アセンブリ302の水素ガス出口チャネルセクション318b(
図3を参照のこと)を整列させることによって形成される]及び隣接する構成要素の構造的特徴が、(水素ガス出口チャネルが、デッドエンドであり得ること、又は水素ガス出口チャネルに含まれる水素ガス入口プレナムが、x軸及びz軸に沿って水素ガス入口プレナム406の反対側に位置付けられ得ることを除いて)同様に構成され得ることが理解されよう。
【0089】
図示されるように、かつ矢印408aによって示されるように、H
2ガスは、水素ガス入口ポート210を介して水素ガス入口チャネル404に入り、最初に水素ガス入口プレナム406内に、次いで、z軸に沿って正の方向に水素ガス入口チャネルセクション318aを順次通って流動し得る。水素ガス入口プレナム406のサイズ及び形状は、特に限定されないが、水素ガス入口プレナム406の最小サイズ(例えば、最小体積、最小流路幅)が、比較的高い流速及び圧力降下がH
2ガス分布の不良をもたらすことを回避するために選択され得る。更に、勾配付き支持体220は、水素ガス入口チャネル404がz軸の正の方向に沿って重力の方向から離れるように延在するように(
図2A及び
図2Bを参照して上記で詳細に考察されるように、重力の方向とは正反対ではないが)、リバランシングセル202を傾け得、H
2ガスは、z軸の正の方向に沿って水素ガス入口チャネル404に沿って対流し得る。
【0090】
更に図示されるように、かつ矢印408bによって示されるように、H2ガスの少なくとも一部は、水素ガス入口チャネル404から、各電極アセンブリ302それぞれの水素ガス入口チャネル封止インサート320aを横切って、水素ガス入口チャネル404に流体的に結合され、かつそれぞれの電極アセンブリ302と接合している1つ以上の水素ガス入口通路452に流動し得る。一実施例では、所与の電極アセンブリ302の1つ以上の水素ガス入口通路452と反対側の所与の電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネル封止インサート320aの表面が、所与の電極アセンブリの1つ以上の水素ガス入口通路452と反対側の所与の電極アセンブリ302の負電極310の表面と同じx-y平面と一致し得る。更に、いくつかの実施例では、所与の電極アセンブリ302の水素ガス入口チャネル封止インサート320aは、所与の電極アセンブリ302のプレート304との固着又は結合の地点から延在し、z軸に沿って所与の電極アセンブリ302の正電極308と部分的に重複し、それによって、正電極308を正電極308の縁部で封止することを支援し得る。
【0091】
例示的な実施形態では、1つ以上の水素ガス入口通路452は、任意の所与の電極アセンブリ302に完全には含まれなくてもよく、代わりに、電極アセンブリ積層体402内の電極アセンブリ302の隣接する対の間の1つ以上のギャップとして形成されてもよい。いくつかの実施例では、所与の電極アセンブリ302と接合している1つ以上の水素ガス入口通路452は、H
2ガスが所与の電極アセンブリ302と接合している1つ以上の水素ガス入口通路452内に強制的に対流され得るように、フローフィールド構成で構成され得る。具体的には、
図8A~
図8Dを参照して下記で詳細に説明されるように、フローフィールド構成で構成された1つ以上の水素ガス入口通路452は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレートから形成され得る。一実施例では、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレートは、z軸に対して隣接する電極アセンブリ302の炭素フォーム306の下に位置付けられた隣接する電極アセンブリ302のプレート304に一体的に形成され得る。他の実施例では、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレートは、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。追加的に、z軸に対する最上部のフローフィールドプレートは、いかなる電極アセンブリ302とも一体的に形成されなくてもよく、代わりに、別個の取り外し可能な構成要素又は別の構成要素(例えば、
図2A及び
図2Bのセルエンクロージャ204)の一体的な特徴のいずれかとしてリバランシングセル202に含まれてもよい。
【0092】
いくつかの実施例では、
図5A~
図5Dを参照して下記で詳細に説明されるように、フローフィールド構成は、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、又は蛇行したフローフィールド構成であり得る。いくつかの実施例では、各電極アセンブリ302は、各他の電極アセンブリ302と同様の構成(例えば、互い違いになった、部分的に互い違いになった、蛇行したなどの)のフローフィールド構成と接合し得る。他の実施例では、(リバランシングセル202内の所与の電極アセンブリ302の場所に応じて)電極アセンブリの積層体402の電極アセンブリ302の間にいくつかの異なるフローフィールド構成が提供され得る。このようにして、H
2ガスは、水素ガス入口ポート210から、電極アセンブリ402負電極310とそれぞれ接合しているフローフィールドプレートに導かれ、フローフィールドプレートは、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はそれらの組み合わせで構成され得る。
【0093】
更に図示されるように、かつ矢印408cによって示されるように、H2ガスは、電極アセンブリ積層体402の負電極310を横切って(例えば、負電極310の触媒表面の1m2当たり10~50l/分の流量で)対流され得る。いくつかの実施例では、それぞれの電極アセンブリ302と接合しているフローフィールドプレートは、対流を支援し、それぞれの負電極310を横切ってH2ガスを分配し得る。H2ガスは、アノード半反応(式(4a)を参照のこと)で電極アセンブリ積層体402の負電極310の触媒表面と反応して、プロトン及び電子を生成し得、次いで、プロトン及び電子は、それぞれの正電極308及び炭素フォーム306に向かって流動し得る。いくつかの実施例では、H2ガスの少なくとも一部は、未反応のままであり得、同様に、電極アセンブリ積層体402の負電極310を横切って矢印408cに沿って流動し得る。
【0094】
ここで
図5A~
図5Dを参照すると、概略
図500、520、540、及び560がそれぞれ示されており、概略
図500、520、540、及び560は、それぞれ、例示的な互い違いになったフローフィールド構成、例示的な部分的に互い違いになったフローフィールド構成、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成、及び第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成を示す。例示的な実施形態では、
図4A及び
図4Bの1つ以上の水素ガス入口通路452は、所与の電極アセンブリのための
図5A~
図5Dの例示的なフローフィールド構成のいずれかとして構成されたフローフィールドプレートから形成され得る。追加的又は代替的な実施形態では、
図3~
図4B、
図6A、及び
図6Bの炭素フォーム306は、所与の電極アセンブリのための
図5A~
図5Dの例示的なフローフィールド構成のいずれかとして構成されたフローフィールドプレートと交換されてもよい。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び
図5A~
図5Dの図の間の比較のために、一組の基準軸501が提供され、軸501は、x軸、y軸、及びz軸を示す。
図5A~
図5Dに示される相対的な寸法は例示的であり、他のフローフィールド構成(例えば、より広い通路、より多くの数の通路、又はその中の屈曲などを有する)が、本開示の範囲内と考えられることが理解されよう。例えば、フローフィールド構成を形成する通路は、フローフィールド構成を形成することに、通路の入口から通路の出口又は端部まで(例えば、実質的にゼロの高さから通路の総深度で又は総深度の近くまで)高さが漸増的に延びる一連のステップ(例えば、8つのステップであるが、ステップの総数が増加又は減少して流体拡散を変更し、それによって、所与の用途の性能を増強させ得る)を含み得る。
【0095】
図5Aの概略
図500に示されるように、例示的な互い違いになったフローフィールド構成は、第1の入口チャネル506a及び第2の入口チャネル506bを含み得る。流体(例えば、H
2ガス、電解質)は、z軸に平行な第1の入口チャネル506a及び第2の入口チャネル506bの各々を通って流動し得、そこから流体は、(矢印504によって示されるように)端壁508を越えて強制的に対流され、x軸に平行な互い違いになったフローフィールド構成の通路502に入り得る。いくつかの実施例では、例示的な互い違いになったフローフィールド構成が多孔質媒体(
図3~4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、流体の実質的に全てが、(例えば、入口チャネル506a、506bの一方から他方へ通過するのではなく)通路502に強制的に対流された後、多孔質媒体中を通過し得る。示されるように、通路502の各々は、第1の入口チャネル506a及び第2の入口チャネル506bのうちの1つに対して開放され得る。しかしながら、いくつかの実施例では、第2の入口チャネル506bは、他の場所で第1の入口チャネル506aに流体的に結合され得る。したがって、一実施例では、第2の入口チャネル506bは、流体の出口チャネルとして機能し得る(例えば、流体は、最初に第1の入口チャネル506aを通って流動し、次いで、多孔質媒体を通る流体の通過に続いて第2の入口チャネル506bを通って流動し得る)。追加的又は代替的な実施例では、流体のための出口チャネルは、入口チャネル506a、506bのいずれでなくてもよい。例えば、出口チャネルは、
図2Aの圧力放出出口ポート214などの圧力放出出口ポートであってもよく、流体は、多孔質媒体を通る流体の通過に続いて、圧力放出出口ポートを通って流動し得る。流体がH
2ガスであり、かつ多孔質媒体が
図3~
図4Bの負電極310である、ある特定の実施例では、流体は、負電極310を順次通過し、負電極310の他方側で流動電解質に入り、(流動電解質に流体的に結合された)圧力放出出口ポート214を介して排出され得る。
【0096】
図5Bの概略
図520に示されるように、例示的な部分的に互い違いになったフローフィールド構成は、第1の入口チャネル526a及び第2の入口チャネル526bを含み得る。流体(例えば、H
2ガス、電解質)は、z軸に平行な第1の入口チャネル526a及び第2の入口チャネル526bの各々を通って流動し得、そこから流体は、(矢印524によって示される)x軸に平行な部分的に互い違いになったフローフィールド構成の通路522の端壁528を二分する収縮した入口522aに強制的に対流され得る。いくつかの実施例では、例示的な部分的に互い違いになったフローフィールド構成が多孔質媒体(
図3~4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、通路522の各々が第1の入口チャネル526a及び第2の入口チャネル526bの各々に対して開放され得るが、流体の実質的な全てが、収縮された入口522aを介して通路522に強制的に対流された後(例えば、入口チャネル526a、526bの一方から他方へと通過するのではなく)、多孔質媒体中を通過し得る。収縮した入口522aの各々の厚さは、対応する通路522の最大厚さ(例えば、入口522aが実質的に収縮していない直線チャネルのフローフィールド構成)から実質的にゼロの厚さ(例えば、
図5Aの例示的な互い違いになったフローフィールド構成などの完全に互い違いになったフローフィールド構成)までの範囲で可変であり得る。
【0097】
図5Cの概略
図540に示されるように、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、入口チャネル546a及び出口チャネル546bを含み得る。流体(例えば、H
2ガス、電解質)は、z軸に平行な入口チャネル546aを通って流動し得、そこから流体は、x軸に平行な第1の例示的なフローフィールド構成の蛇行した通路542の入口542aに強制的に対流され得る。矢印544によって示されるように、流体は、x軸及びy軸に平行な蛇行した通路542に沿って流動し、流体が蛇行した通路542の出口542bから出口チャネル546bに排出されるまで、蛇行した通路542内の90°のベンドで方向を変更し得る。更に示されるように、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、y軸に平行な蛇行した通路542のより長い直線セクション、及びx軸に平行な蛇行した通路542のより短い直線セクション(例えば、Uベンドの基部)を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、類似又は同様の構成の複数の蛇行した通路542が、入口チャネル546aを出口チャネル546bに流体的に結合してもよい。いくつかの実施例では、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成が多孔質媒体(
図3~
図4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、蛇行した通路542が入口チャネル546a及び出口チャネル546bの各々に対して開放され得るが、流体の実質的に全てが、入口542aを介して蛇行した通路542に強制的に対流された後(例えば、入口チャネル546aから出口チャネル546bへと通過するのではなく)、多孔質媒体中を通過し得る。しかしながら、一実施例では、蛇行した通路542は、出口542bを含まなくてもよく、したがって、(例えば、第1の例示的な蛇行したフローフィールド構成がデッドエンドである場合など)出口チャネル546bに流体的に結合されなくてもよい。
【0098】
図5Dの概略
図560に示されるように、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、入口チャネル566a及び出口チャネル566bを含み得る。流体(例えば、H
2ガス、電解質)は、z軸に平行な入口チャネル566aを通って流動し得、そこから流体は、x軸に平行な第2の例示的なフローフィールド構成の蛇行した通路562の入口562aに強制的に対流され得る。矢印564によって示されるように、流体は、x軸及びy軸に平行な蛇行した通路562に沿って流動し、流体が蛇行した通路562の出口562bから出口チャネル566bに排出されるまで、蛇行した通路562内の90°のベンドで方向を変更し得る。更に示されるように、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成は、x軸に平行な蛇行した通路562のより長い直線セクション、及びy軸に平行な蛇行した通路562のより短い直線セクション(例えば、Uベンドの基部)を含み得る。追加的又は代替的な実施例では、類似又は同様の構成の複数の蛇行した通路562が、入口チャネル566aを出口チャネル566bに流体的に結合してもよい。いくつかの実施例では、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成が多孔質媒体(
図3~
図4Bの正電極308又は負電極310など)と接合している場合、蛇行した通路562が入口チャネル566a及び出口チャネル566bの各々に対して開放され得るが、流体の実質的に全てが、入口562aを介して蛇行した通路562に強制的に対流された後(例えば、入口チャネル566aから出口チャネル566bへと通過するのではなく)、多孔質媒体中を通過し得る。一実施例では、蛇行した通路562は、出口562bを含まなくてもよく、したがって、(例えば、第2の例示的な蛇行したフローフィールド構成がデッドエンドである場合など)出口チャネル566bに流体的に結合されなくてもよい。
【0099】
ここで
図6A及び
図6Bを参照すると、断面
図600及び拡大挿入
図650がそれぞれ示され、断面
図600及び拡大挿入
図650の各々は、リバランシングセル202内の電解質フローの例示的な態様を描写する。具体的には、拡大挿入
図650は、破線楕円610によって区切られた断面
図600の一部分を拡大する。
図6A及び
図6Bに示されるように、リバランシングセル202は、電極アセンブリ積層体402の個々の電極アセンブリ302内に含まれる電解質入口ウェル312に流体的に結合された1つ以上の電解質入口チャネル614を含み得る。1つ以上の電解質入口チャネル614の各々は、それぞれの電解質入口チャネル614への電解質のフローを調節、制限、又は別様に制御するそれぞれのノズル又はオリフィス612を介して、z軸に対して、電極アセンブリ積層体402の上に位置する電解質入口プレナム606aに流体的に結合され得る。電解質入口プレナム606aは、電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206、
図6A及び
図6Bには示されていない)に更に流体的に結合されてもよい。電極アセンブリ積層体402は、各電極アセンブリの電解質出口チャネルセクション316が、各電極アセンブリ302の電解質出口チャネルセクション316とともに連続した電解質出口チャネル604を形成するように整列された個々の電極アセンブリ302の積層体として更に形成され得、電解質出口チャネル604は、1つ以上の電解質入口チャネル614及びz軸に対して平行であり、y軸に対して、1つ以上の電解質入口チャネル614からリバランシングセル202の反対側の端部上にある。電解質出口プレナム606bは、電解質出口チャネル604内に更に含まれ得、電解質出口プレナム606bは、電解質出口チャネル604を電解質出口ポート208に流体的に結合する。それぞれのオーバーボードOリング324は、電極アセンブリ302の対の間の接合部で電解質出口チャネル604を封止し得る。リバランシングセル202の切断部分は、断面
図600、及び詳細については拡大挿入
図650において描写されており、リバランシングセル202の追加の特徴(例えば、
図2A及び
図2Bに示される)は、描写されない場合があることが理解されよう。更に、所与の用途のために断面
図600に示されるよりも多くの又は少ない電極アセンブリ302が電極アセンブリ積層体402内に含まれ得ることが理解されよう。
【0100】
電解質は、電解質入口ポートを介して電解質入口プレナム606aに入ることができ、そこから、電解質は、それぞれ、1つ以上のオリフィス612を介して、1つ以上の電解質入口チャネル614に導かれ得る。いくつかの実施例では、電解質入口プレナム606aの断面形状は、加工の容易さのために選択され得る。一実施例として、電解質入口プレナム606aの断面形状は、長方形であり得る。別の実施例として、電解質入口プレナム606aの断面形状は、円形であり得る。電解質入口プレナム606aのサイズは、電解質がリバランシングセル202に入ると比較的低い圧力降下を実現するように選択され得る。
【0101】
いくつかの実施例では、1つ以上のオリフィス612の各々のサイズは、電極アセンブリ積層体402内の電極アセンブリ302の総数、リバランシングセル202の全体のサイズ、及び電解質流路設計に依存して、3~10mmであり得る。1つ以上のオリフィス612の各々のサイズ及び全体的な構成は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302全体に実質的に均一な電解質フローを維持するように選択され得る。
【0102】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体402に隣接して構成された連続した切れ目のないチャネルであり得る。他の実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302は、それぞれ、1つ以上の電解質入口チャネル614に対応する1つ以上の電解質入口チャネルセクションを含み得る。かかる実施例では、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302は、各電極アセンブリ302の1つ以上の電解質入口チャネルセクションが、それぞれ各他の電極アセンブリ302の1つ以上の電解質入口チャネルセクションとともに、1つ以上の電解質入口チャネル614を形成するように整列され得る。
【0103】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614は、複数の電解質入口チャネル614を含み得、1つ以上のオリフィス612は、電解質入口マニホールドが形成され得るように、複数の電解質入口チャネル614にそれぞれ流体的に結合された複数のオリフィス612を含み得る。
図6Aの断面
図600では、複数の電解質入口チャネル614のうちの単一の最も近い電解質入口チャネル614が視認可能であり、x軸に対して平行に整列された複数の電解質入口チャネル614の各他の電解質入口チャネル614が隠されている。いくつかの実施例では、電解質入口マニホールドを形成する複数の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体の電極アセンブリ302を横切って電解質を均等に流動させるように(例えば、負電極310の触媒表面の1m
2当たり約10~40L/分の電解質流量で)、電極アセンブリ積層体402の単一の電極アセンブリ302にそれぞれ流体的に結合され得る。
【0104】
いくつかの実施例では、電解質入口プレナム606aに入る電解質は、(例えば、
図1のコントローラ88などのレドックスフロー電池システムのコントローラによって、レドックスフロー電池システムの非一時的メモリ内に格納された命令を実行することによって)調整可能な流量を有し得、その結果、リバランシングセル202及びリバランシングセル202内への電解質の均一な分配が、所与の用途に基づいて、制御可能に調整され得る。ある特定の実施例では、電極アセンブリ積層体402の個々の電極アセンブリ302間の電解質フロー分配は、電解質入口プレナム606aに入る電解質の電解質流量の調整に基づいて、対応して調整され得る。
【0105】
他の実施例では、複数の電解質入口チャネル614の各々は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302に流体的に結合されて、x軸及びy軸の両方に対して電極アセンブリ積層体402を横切って電解質を均等に分配し得る。代替的な実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614は、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302に流体的に結合され得る、1つの電解質入口チャネル614を含み得る。
【0106】
いくつかの実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、円であり得る。しかしながら、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、特に限定されず、他の幾何学的形状が用いられる場合もある。1つ以上の電解質入口チャネル614の各々のサイズは、全体としてリバランシングセル202の実用的なサイズ考慮事項を維持しながら(例えば、相対的に大きいサイズは、不必要に大きいリバランシングセル202をもたらし得る)、負電極310の触媒表面の1m2当たり約10~40L/分の電解質流量に関して比較的低い圧力降下を実現するように選択され得る(例えば、比較的小さいサイズは、電解質の不良分配をもたらし得る)。一実施例では、1つ以上の電解質入口チャネル614の各々の断面形状は、10~30mmの直径を有する円であり得る。
【0107】
1つ以上の電解質入口チャネル614に入ると、電解質入口チャネル614内の圧力は、電解質源(例えば、
図1の負電極コンパートメント22及び正電極コンパートメント20並びに/又は統合されたマルチチャンバ電解質貯蔵タンク110)の圧力と実質的に同様であり得、その結果、重力が、1つ以上の電解質入口チャネル614を通る電解質フローを実質的に排他的に駆動し得る。具体的には、矢印608aによって示されるように、電解質は、z軸に沿って負の方向に1つ以上の電解質入口チャネル614を通って、電極アセンブリ積層体402の電解質入口ウェル312に流動し得る。勾配付き支持体220は、z軸が重力方向と一致する軸gからオフセットされるように、リバランシングセル202を傾けることができ、電解質は、(矢印608bによって示されるように)重力供給を介して電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動し得る。
【0108】
更に示されるように、及び矢印608cによって示されるように、電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動しながら、電解質の少なくともいくつかは、毛細管作用を介して、電極アセンブリ積層体402の負電極310に向かって電極アセンブリ積層体402の正電極308に誘導され得る。電解質中のFe
3+イオンは、陰極半反応(式(4b)を参照)で電極アセンブリ積層体402の負電極310を通って流動する電子によって還元されて、Fe
2+イオンを生成し得る。電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302に関して、正電極308と負電極310との間に隙間が存在しないことを確実にするために(これは、Fe
3+還元速度の減少をもたらし得る)、空洞(例えば、
図3の空洞326)の深さ652は、正電極308が炭素フォーム306の過度に圧縮する(炭素フォーム306のフォーム構造を座屈及び劣化させ得る)ことなく少なくとも部分的に圧縮されるように選択され得る。したがって、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302内の炭素フォーム306の圧縮を最小限に抑えるために、隣接する正電極308の厚さ654は、正電極308が完全に未圧縮である場合と比較して(例えば、約10%)減少し得る。いくつかの実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302について、正電極308の厚さ654は、炭素フォーム306の厚さ656の20%~120%であり得、正電極308の厚さ654及び炭素フォーム306の厚さ656の各々は、炭素フォーム306の透過性、正電極308の全体的なサイズなどの構造的考慮事項に基づいて、選択され得る。一実施例では、電極アセンブリ積層体402の各電極アセンブリ302について、正電極308の厚さ654は、炭素フォーム306の厚さ656の100%~110%であり得る。
【0109】
更に示されるように、及び矢印608dによって示されるように、電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って流動後、電解質は、電極アセンブリ積層体402の電解質出口通路658を通って、電解質出口チャネル604に導かれ、そこから電解質出口ポート208を通って出てもよい。具体的には、電極アセンブリ積層体402の各所与の電極アセンブリ302について、電解質は、炭素フォーム306から電解質出口通路658を通って、電解質出口チャネルセクション316に流動し得、そこから電解質は、重力の方向で(例えば、軸gの正の方向に沿って)、(所与の電極アセンブリ302と電解質出口プレナム606bとの間に挿入された任意の更なる電解質出口チャネルセクション316を通過した後)電解質出口プレナム606bに流動し得る。次いで、電解質は、電解質出口プレナム606bを通って電解質出口ポート208に通過し得、そこから電解質は、リバランシングセル202から排出され得る。このようにして、電解質は、電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206、
図6A及び
図6Bには示されない)から電極アセンブリ積層体402の炭素フォーム306を通って、電解質出口ポート208に導かれ得る。
【0110】
いくつかの実施例では、電解質出口通路658の各々の全体的なサイズは、好適な圧力降下を生成し、電解質出口プレナム606bを過充填しないように十分に大きくなるように選択され得る(これは、z軸に対して電極アセンブリ積層体402の底部で電極アセンブリ302をフラッディングさせ得る)。したがって、かかる実施例では、電解質出口通路658の各々の全体的なサイズは、電解質出口プレナム606bの全体的なサイズ及び電解質出口ポート208に対応する開口部の全体的な数に依存し得る。他の実施例では、電解質出口プレナム606bの寸法は、より少なく、より大きい開口部を有する電解質出口ポート208に適合するために、より大きくてもよい。電解質出口ポート208がz軸の負の方向に面するセルエンクロージャ204の面上に位置付けられる実施例では、z軸に沿って最も低い電極アセンブリ302の厚さを維持しながら、より大きい開口部が適合され得、圧力降下は、(例えば、電解質が、電解質出口プレナム606bから電解質出口ポート208まで約90°の角度で流動しないため)更に低減され得る。
【0111】
更に示されるように、フローフィールドプレート626は、それぞれ、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302と接合し得る。いくつかの実施例では、フローフィールドプレート626は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合(例えば、面共有接触)し得、z軸に対して隣接する電極アセンブリ302の炭素フォーム306の下に位置付けられた隣接する電極アセンブリ302のプレート304に一体的に形成され得る。他の実施例では、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレート626は、別個の取り外し可能な構成要素であり得る。追加的に、更に示されるように、z軸に対する最上部のフローフィールドプレート626は、いかなる電極アセンブリ302とも一体的に形成されなくてもよく、代わりに、別個の取り外し可能な構成要素、又は別の構成要素(例えば、
図2A及び
図2Bのセルエンクロージャ204)の一体的な特徴のいずれかとして、リバランシングセル202に含まれてもよい。
【0112】
例示的な実施形態では、所与の電極アセンブリ302を横切ってH2ガスを流動するように構成された1つ以上の水素ガス入口通路452は、所与の電極アセンブリ302の負電極310と接合しているフローフィールドプレート626から形成され得る。例えば、1つ以上の水素ガス入口通路452は、互いに平行な複数の水素ガス入口通路452及びx軸(例えば、互い違いになったフローフィールド構成若しくは部分的に互い違いになったフローフィールド構成)、又はH2ガスがx軸に対して平行に入り得る単一のコイル状の水素ガス入口通路452(例えば、蛇行したフローフィールド構成)のいずれかとして構成され得る。いくつかの実施例では、1つ以上の水素ガス入口通路452は、x軸に対して平行に延在し得、電解質は、(矢印608bによって示されるように)y軸に対して平行に所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を通って流動し得る。したがって、かかる実施例では、H2ガスは、電極アセンブリ積層体402に、90°の角度で導かれ得、ここから電解質が電極アセンブリ積層体402に導かれ得る。
【0113】
追加的又は代替的な実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306は、フローフィールドプレート626と実質的に同様のフローフィールド構成のフローフィールドプレートと交換され得る。かかる一実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート626のフローフィールド構成と同じ方向に配向され得る。別のかかる実施例では、所与の電極アセンブリ302の炭素フォーム306を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート626のフローフィールド構成とは異なる方向に(例えば、90°の角度、180°の角度、又は270°の角度で)配向され得る。
【0114】
ここで
図7A及び
図7Bを参照すると、それぞれ斜視
図700及び750が示されており、斜視
図700及び750の各々は、レドックスフロー電池システムのリバランシングセルのための例示的な電極アセンブリ702を通る電解質フローの態様を描写している。示されるように、電極アセンブリ702は、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層を含み得、炭素フォーム706及び正電極708は、互いに面共有接触し得、正電極708は、負電極710と面共有接触し得、順次積層は、連続的に導電性であり得る。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ702の積層体が、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302の代わりに、リバランシングセル202に実装され得る(
図2A~
図4B、
図6A、及び
図6Bを参照のこと)。したがって、レドックスフロー電池システムは、
図1のレドックスフロー電池システム10であり得る。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び
図7A~
図7Bの図の間の比較のために、一組の基準軸701が提供され、軸701は、x軸、y軸、及びz軸を示す。
図7Bに破線で更に示されるように、追加の軸gは、重力の方向(例えば、軸gに沿った正の方向)及び垂直方向(例えば、軸gに沿った負の方向であり、重力の方向とは反対)と平行であり得る。
【0115】
示されるように、電極アセンブリ702は、プレート704上の炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層を含み得、プレート704は、炭素フォーム706と面共有接触し得、炭素フォーム706は、正電極708と面共有接触し得、正電極708は、負電極710と面共有接触し得る。
図7Bの斜視
図750に更に示されるように、炭素フォーム706は、複数のホルダ766によって所定の位置に保持され得る。したがって、炭素フォーム706の全体的なサイズは、複数のホルダ766にクリアランスフィットするように選択され得る。炭素フォーム706及び正電極708の各々は、多孔質であり、負電極710と連続的に導電性であり得る。具体的には、例示的な実施形態では、炭素フォーム706は、活性化された導電性炭素フォームであり得、正電極708は、導電性炭素フェルトであり得、負電極710は、上にPt触媒がコーティングされた導電性炭素基板であり得る。したがって、いくつかの実施例では、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710は、それぞれ、
図3の炭素フォーム306、正電極308、及び負電極310であり得る。したがって、一実施例では、炭素フォーム706は、電極アセンブリ702を横切って電解質を対流させ、かつ正電極708と接触させるためのフローフィールドプレートと交換され得る。
【0116】
(例えば、リバランシングセルの電解質入口ポートから)電解質を受容するための電解質入口ウェル712に加えて、プレート704は、H2ガス及び電解質のフローを誘導するために、プレート704を通る複数の入口及び出口を含み得る。例えば、複数の入口及び出口は、H2ガスを(例えば、リバランシングセルの水素ガス入口ポートから)受容するための水素ガス入口チャネルセクション718aと、H2ガスを(例えば、リバランシングセルの水素ガス出口ポートを通して)排出するための水素ガス出口チャネルセクション718bと、電解質を排出するための1つ以上の電解質出口通路716(例えば、1つ以上の電解質出口通路716によってそれぞれ受け入れられ、取り付けられたリバランシングセルの1つ以上の電解質出口ポートを通して、1つ以上の電解質出口ポートは、例示的な実施形態では、1つ以上の融合溶接配管フランジとして構成されている)と、を含み得る。
【0117】
更に示されるように、電解質入口ウェル712は、x軸に平行に延在するバーム714bに設定された複数の電解質入口通路714aを介して、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層に流体的に結合され得る。具体的には、複数の電解質入口通路714aは、バーム714bを横切って分配され、複数の電解質入口通路714aの各々の長さは、y軸に平行に延在し得る。いくつかの実施例では、
図7Bの斜視
図750に示されるように、電解質トラフ764が、バーム714bと、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層と、の間に更に介在し得る。このようにして、電解質入口ウェル712、複数の電解質入口通路714a、バーム714b、及び電解質トラフ764は、炭素フォーム706、正電極708、及び負電極710の順次積層を横切って電解質を分配するように構成され得る。
【0118】
いくつかの実施例では、複数の電解質入口通路714aの全体的な数は、0.5~3mmの電解質ヘッド上昇の目標圧力降下(当該目標圧力降下は、電極アセンブリ702の電解質流量及び全体的なサイズの関数であり得る)に基づいて選択され得る。いくつかの実施例では、複数の電解質入口通路714aの各々の形状は、(例えば、製造の容易さのために)長方形であり得る。しかしながら、複数の電解質入口通路714aの各々の形状は、特に限定されず、他の幾何学的形状が用いられてもよい。
【0119】
例示的な実施形態では、矢印708aによって示されるように、電解質入口ウェル712は、電解質入口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質入口ポート206)から電解質を受容し得る。電解質が電解質入口ウェル712全体に分配されると、電解質は、バーム714bに対して集まり、バーム714bを横切って複数の電解質入口通路714aを介して電解質トラフ764に流動し得る。電解質が電解質トラフ764全体に更に分配される際、電解質は、(矢印708bによって示されるように)電解質トラフ764から炭素フォーム706を通って流動し得る。炭素フォーム706を通って流動している間、矢印708cによって示されるように、正電極708は、(例えば、重力の方向に逆らって)電解質の少なくとも一部を負電極710に向けてウィックアップし得、負電極710で、電解質中のイオンは、(例えば、負電極710でのH
2ガスの分解から)負電極710を通って流動する電子によって還元され得る。炭素フォーム706を通って流動した後、矢印708dによって示されるように、電解質は、1つ以上の電解質出口通路716を通って流動し得、そこから、電解質は、電解質出口ポート(例えば、
図2A及び
図2Bの電解質出口ポート208)を介してリバランシングセルから排出され得る。
【0120】
図7Bに更に示されるように、電極アセンブリ702は、重力供給を介してy軸に沿って電極アセンブリ702を通る電解質フローを誘導するように、重力の方向に対して傾けられ得る。したがって、いくつかの実施例では、z軸は、y軸が軸gに直交しなくてもよいように、0°~30°の角度で重力の方向と反対の垂直方向と整列され得るか、又は垂直方向からオフセットされ得る。
【0121】
ここで
図8A~
図8Dを参照すると、斜視
図800、825、及び850、並びに断面
図875がそれぞれ
図8A、
図8B、
図8C、及び
図8Dに示されており、レドックスフロー電池システムのリバランシングセル用の例示的な電極アセンブリ802のフローフィールドプレート826を描写する斜視
図800、825、及び850の各々、並びに断面
図875がそれぞれ示されている。示されるように、フローフィールドプレート826は、電極アセンブリ802のプレート804に一体的に形成され、フローフィールドプレート826は、H
2ガスの通路を通してH
2ガスを対流させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、電極アセンブリ802の積層体が、電極アセンブリ積層体402の電極アセンブリ302の代わりに、リバランシングセル202に実装され得る(
図2A~
図4B、
図6A、及び
図6Bを参照のこと)。したがって、レドックスフロー電池システムは、
図1のレドックスフロー電池システム10であり得る。示される構成要素の相対的な位置付けを説明するため、及び
図8A~
図8Dの図の間の比較のために、一組の基準軸801が提供され、軸801は、x軸、y軸、及びz軸を示す。
【0122】
図8Aの
図800に示されるように、プレート804に、フローフィールドプレート826は、プレート804の電解質出口チャネルセクション816に隣接して、かつプレート804の水素ガス入口チャネルセクション818a及び水素ガス出口チャネルセクション818bの各々と流体連通して、形成され得る。フローフィールドプレート826は、複数の入口通路852aを含み、複数の入口通路852aの各々は、水素ガス入口チャネルセクション818aに流体的に結合され得る。フローフィールドプレート826は、複数の出口通路852bを更に含み、複数の出口通路852bの各々は、プレート804の水素ガス出口チャネルセクション818bに流体的に結合され得る。更に示されるように、複数の入口通路852aは、複数の出口通路852bと互い違いになっており、複数の入口通路852a及び複数の出口通路852bの各通路は、通路壁856によって少なくとも1つの隣接する通路の各々から分離され得る。このようにして、フローフィールドプレート826は、互い違いになったフローフィールド構成として構成されているとみなされ得る(ただし、フローフィールドプレート826は、部分的に互い違いになったフローフィールド構成又は蛇行したフローフィールド構成などの代替的なフローフィールド構成として構成されてもよいことが理解されよう)。複数の入口通路852aは、x軸の正の方向に沿って延在し得る一方、複数の出口通路852bは、x軸の負の方向に沿って延在し、複数の入口通路852a及び複数の出口通路852bの各通路は、端部壁854で終端し得る。
【0123】
図8Dの断面
図875に示されるように、複数の入口通路852a及び複数の出口通路852bの各通路は、均一な高さ858及び均一な厚さ860を有し得る。追加的又は代替的に、各通路壁856は、高さ858及び均一な厚さ862を有し得る。いくつかの実施例では、高さ858は、1mm~5mmであり得、厚さ860は、1mm~5mmであり得、厚さ862は、1mm~4mmであり得る。ただし、通路及び通路壁に非均一な寸法が採用されてもよく、その結果、個々の通路が異なる高さ及び/又は厚さを有してもよく、個々の通路壁が異なる高さ及び/又は厚さを有してもよいことなどが理解されよう。
【0124】
例示的な実施形態では、フローフィールドプレート826は、z軸に対してプレート804の表面868と反対側の電極アセンブリ802に一体的に形成され、表面868は、表面868上に、炭素フォーム、正電極、及び負電極(
図8A~8Dには示されていない)の順次積層を含み得る。電極アセンブリ802は、同様の構成の電極アセンブリ802の積層体に更に含まれ得る。所与の電極アセンブリ802は、所与の電極アセンブリ802のフローフィールドプレート826が、隣接する電極アセンブリ802の負電極と面共有接触し得るように、かつ電極アセンブリ802の積層体の水素ガス入口チャネルセクション818aが、電極アセンブリ802の積層体の各フローフィールドプレート826の複数の入口通路852aに流体的に結合された連続した水素入口チャネル(
図8A~
図8Dには示されていない)を形成し得るように、他の電極アセンブリ802と整列され得る。したがって、H
2ガスが水素ガス入口チャネルを通って流動するとき、所与の電極アセンブリ802のフローフィールドプレート826の複数の入口通路852aは、入口通路852aを通して、かつ隣接する電極アセンブリ802の負電極を横切らせて、H
2ガスを強制的に対流させ得る。更に、電極アセンブリ802の積層体の水素ガス出口チャネルセクション818bは、電極アセンブリ802の積層体の各フローフィールドプレート826の複数の出口通路852bに流体的に結合された連続した水素出口チャネル(
図8A~
図8Dには示されていない)を形成し得る。
【0125】
図8Dの断面
図875に更に示されるように、プレート804は、表面868を横切って、かつ表面868上に位置付けられた炭素フォーム(
図8Dには示されていない)を通して、電解質を分配するのを補助する1つ以上の特徴を更に含み得る。一実施例として、プレート804は、電解質が[例えば、電解質入口チャネル(
図8Dには示されていない)を介して]電極アセンブリ802に流動する際に集まり得る電解質入口ウェル812を含み得る。別の実施例として、プレート804は、電解質が接して集まり得るバーム814bを含み、バーム814bは、x軸に対して平行に延在し得る。バーム814bは、電解質がy軸の正の方向にバーム814bを通って流動することを可能にするために、バーム814b内に設定され、かつバーム814bを横切って分散された複数の電解質入口通路(図示せず)を含み得る。別の実施例として、プレート804は、電解質入口ウェル812から、複数の電解質入口通路を介してバーム814bを通って流動する電解質を収集及び分配し得る電解質トラフ864を含み得る。電解質フローを更に支援するために、プレート804は、電解質がy軸の正の方向に沿って、複数の電解質入口通路を通して重力供給され得るように、重力の方向に対して傾けられ得る。したがって、いくつかの実施例では、z軸は、0°~30°の角度で重力の方向と反対の垂直方向と整列され得るか、又は垂直方向からオフセットされ得る。このようにして、電解質入口ウェル812からの電解質は、表面868を横切って(例えば、電極アセンブリ802の炭素フォームを通して)実質的に均等に分配され得る。
【0126】
追加的又は代替的な実施例では、
図3~
図4B、
図6A、及び
図6Bの炭素フォーム306又は
図7A及び
図7Bの炭素フォーム706は、フローフィールドプレート826と実質的に同様のフローフィールド構成のフローフィールドプレートと交換され得る。かかる一実施例では、炭素フォーム306又は炭素フォーム706を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート826のフローフィールド構成と同じ方向に配向され得る。別のかかる実施例では、炭素フォーム306又は炭素フォーム706を交換するフローフィールドプレートのフローフィールド構成は、x軸及びy軸に対してフローフィールドプレート826のフローフィールド構成とは異なる方向に(例えば、90°の角度、180°の角度、又は270°の角度で)配向され得る。
【0127】
ここで
図9A及び
図9Bを参照すると、それぞれ斜視
図900及び950が示されており、斜視
図900及び950の各々は、リバランシングセル202の勾配付き支持体220を描写している。示されるように、勾配付き支持体220の上部表面902は、角度222で、勾配付き支持体220の下部表面904、後足部906、及び前足部908の各々に平行であり得るか、又はそれらからオフセットし得る。一実施例では、角度222は、0°~30°であり得る。したがって、後足部906と上部表面902との間の高さ910と、前足部908と上部表面902との間の高さ912と、は、角度222に応じて同じであってよいし、異なっていてもよい。一実施例として、角度222が0°であるとき、高さ910は、高さ912に等しくてよい。別の実施例として、示されるように、角度222が0°を超えるとき、高さ910は、高さ912よりも大きくてよい。
【0128】
いくつかの実施例では、勾配付き支持体220は、比較的軽量の材料から形成され得る。例えば、勾配付き支持体220は、強度対重量比及び衝撃強度は比較的高く、かつ摩擦が比較的低い非腐食性材料から形成され得る。一実施例では、勾配付き支持体220は、高密度ポリエチレン(HDPE)から形成され得る。
【0129】
いくつかの実施例では、勾配付き支持体220は、角度222が、重力の方向に対してリバランシングセルのセルエンクロージャ(
図9A及び
図9Bには示されていない)を水平にするように調整され得るという点で調整可能であり得る。一実施例では、勾配付き支持体220は、他の支持体が角度222を上昇又は低下させるように置き換えられ得るように、セルエンクロージャに取り外し可能に結合され(例えば、取り外し可能に固定され)得る。追加的又は代替的な実施例では、所与の用途のために所望されるように角度222を調整するために、調整機構(例えば、ヒンジ、可逆ロック要素など、
図9A及び
図9Bには示されていない)が勾配付き支持体220に含まれ得る。
【0130】
ここで
図10を参照すると、例示的なリバランシングセル内の還元されたFe
3+の総量の関数としてのFe
3+還元速度を描写する例示的なプロット1000が示されている。リバランシングセルの各々は、同様の構成の全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムに独立して含まれている。プロット1000に示されるように、横座標は、(mol/m
2での)還元されたFe
3+の総濃度を表し、縦座標は、(mol/m
2時間での)Fe
3+還元速度を表す。
【0131】
プロット1000に更に示されるように、曲線1002、1004、及び1006は、様々なリバランシングセルのFe3+還元速度を表す。具体的には、曲線1002は、典型的なゼリーロールリバランシング反応器についての平均Fe3+還元速度を表し、曲線1004は、第1の例示的なリバランシングセルについての平均Fe3+還元速度を表し、曲線1006は、第2の例示的なリバランシングセルについての平均Fe3+還元速度を表す。第1及び第2の例示的なリバランシングセルの各々は、H2ガスが対流を介して流れ、電解質が重力供給及び毛細管作用を介して流動する、内部短絡電極アセンブリの積層体を含む。第1及び第2の例示的なリバランシングセルの内部短絡電極アセンブリの各々は、炭素フォーム、正電極、及び負電極の順次積層を含み得る。ただし、第1の例示的なリバランシングセルの負電極は、Nafion(商標)結合剤を含むのに対して、第2の例示的なリバランシングセルの負電極は、PTFE結合剤を含む。
【0132】
第1及び第2の例示的なリバランシングセルの負電極にどの結合剤が含まれているかにかかわらず、[(曲線1002によって示されるように)5mol/m2時間未満の平均Fe3+還元速度を呈する]典型的なゼリーロールリバランシング反応器と比較して、両方とも、有意に高速のFe3+還元速度を呈する。第1の例示的なリバランシングセルについて、平均Fe3+還元速度は、(曲線1004によって示されるように)最初約60mol/m2時間であり得、第2の例示的なリバランシングセルについて、Fe3+還元速度は、(曲線1006によって示されるように)50mol/m2時間以上を保ち得る。しかしながら、第1の例示的なリバランシングセルについての平均Fe3還元速度は、(還元されたFe3+の総量によって測られるように)長期使用中に悪化し得る。例えば、第1の例示的なリバランシングセルの平均Fe3+還元速度は、(曲線1004によって示されるように)約3000mol/m2の総Fe3+が還元された後に、20mol/m2時間未満に劣化し得る。しかしながら、第2の例示的なリバランシングセルは、還元された総Fe3+が16000mol/m2を超えても性能を維持するように示されている。このようにして、Nafion(商標)結合剤の代わりにPTFE結合剤がリバランシングセル用の負電極を製造する際に採用される場合、より高いセル耐久性が達成され得、その結果、より高いFe3+還元速度が、リバランシングセルの延長された作動にわたって実現され得る。理論に拘束されることを望まないが、耐久性のかかる差は、より低い塩蓄積(これは、H2ガスが例示的なリバランシングセル内の負電極の触媒表面に到達することを防止し得る)、負電極の触媒表面の塩化物ポイズニング、及び/又は負電極の孔内の水蓄積に起因し得る。
【0133】
ここで
図11を参照すると、内部短絡電極アセンブリの積層体(例えば、内部短絡電極アセンブリの積層体を通って流動する電流が外部負荷を通ってチャネリングされない)を含むリバランシングセルを動作させるための方法1100のフローチャートが示されている。具体的には、リバランシングセルは、過剰なH
2ガスを減少させ、かつ電解質中の電荷不平衡をリバランシングするために、レドックスフロー電池システムに実装され得る。例示的な実施形態では、レドックスフロー電池システムは、
図1のレドックスフロー電池システム10であり得、リバランシングセルは、
図2A及び
図2Bのリバランシングセル202であり得る。したがって、方法1100は、
図1~
図2Bの実施形態を、単独で、又は
図3~
図9Bの実施形態及び考慮事項と組み合わせて参照して考慮され得る(ただし、本開示の範囲から逸脱することなく、同様の方法が他のシステムに適用されてもよいことが理解され得る)。例えば、方法1100では、(例えば、リバランシングセルでの分配のためにH
2ガス及び電解質を受容することを伴う)少なくともいくつかのステップ又はステップの部分が、
図1のコントローラ88を介して実行され得、コントローラ88に通信可能に結合された非一時的記憶媒体(例えば、メモリ)に実行可能な命令として記憶され得る。
図11を参照して説明される更なる構成要素は、
図1~
図9Bの対応する構成要素の実施例であり得る。
【0134】
1102において、方法1100は、H2ガス及び電解質を、リバランシングセルのそれぞれの入口ポートを介してリバランシングセルで受容することを含む。電解質は、第1の入口ポートを介してリバランシングセルで受容され得、H2ガスは、第2の入口ポートを介してリバランシングセルで受容され得る。一実施例では、第1の入口ポートは、重力の方向に対して第2の入口ポートの上に位置付けられている。
【0135】
1104において、方法1100は、H2ガス及び電解質を、内部短絡電極アセンブリの積層体全体に分配することを含む。具体的には、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体の電極アセンブリにそれぞれ結合された複数の第1の入口チャネルを含む入口マニホールドを介して分配され得、H2ガスは、内部短絡電極アセンブリの積層体によって形成され、かつ内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリに流体的に結合された第2の入口チャネルを介して分配され得る。いくつかの実施例では、入口マニホールドを介した分配の後、電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極とそれぞれ接合している第1のフローフィールドプレートを介して分配され得る。他の実施例では、入口マニホールドを介した分配の後、電解質は、それぞれ正電極と接合している活性炭フォームを通して分配され得る。いくつかの実施例では、第2の入口チャネルを介した分配の後、H2ガスは、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極とそれぞれ接合している第2のフローフィールドプレートを通して分配され得る。
【0136】
1106において、方法1100は、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極及び正電極での電解質リバランシング反応を起こすように、H2ガス及び電解質のフロー(例えば、横方向の、平行な、又は対向するフロー)を誘導することを含む。負電極及び正電極は、負電極及び正電極の接合対において、内部短絡電極アセンブリの積層体の間で分配され得る。上で考察したように、負電極及び正電極の接合対の各正電極は、それぞれの活性炭フォーム又はそれぞれの第1のフローフィールドプレートと更に接合し得る。一実施例では、負電極は、上にPt触媒がコーティングされた導電性炭素基板であり得、正電極は、炭素フェルトであり得る。いくつかの実施例では、H2ガス及び電解質のフローを誘導することは、(i)1108において、対流(例えば、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極と接合している第2のフローフィールドプレートを介した強制対流)を介して内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極を横切るH2ガスのフローを誘導することと、(ii)1110において、重力供給(例えば、重力の方向に対してリバランシングセルを傾けることによる)、毛細管作用(例えば、電解質を内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極にウィックアップすること)、及び対流(例えば、内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極と接合している第1のフローフィールドプレートを介した強制対流)のうちの1つ以上を介して内部短絡電極アセンブリの積層体の正電極を横切る電解質のフローを誘導することと、を含み得る。一実施例では、H2ガスのフローは、対流によって負電極を横切って誘導され得、電解質のフローは、重力供給及び毛細管作用の各々によって正電極を横切って誘導され得る。内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極及び正電極を横切ってH2ガス及び電解質を流動させると、1112においてH2ガスを電解質中の正荷電イオンと反応させて正荷電イオンを還元することを含む、電解質リバランシング反応が起こり得る(式(4)を参照のこと)。
【0137】
1114において、方法1100は、電解質(還元された正荷電イオン、例えば1102において第1の入口ポートで受容されるときよりも低濃度のFe3+、を有する)及び任意の未反応のH2ガスを、リバランシングセルからH2ガスの出口ポートを介して排出することを含む。具体的には、1116において、電解質が、リバランシングセルから第1の出口ポートを介して排出され得、いくつかの実施例では、1118において、未反応のH2ガスが、リバランシングセルから第2の出口ポートを介して排出され得る。ただし、他の実施例では、リバランシングセルは、H2ガスを流動させるためのデッドエンド構成を含んでもよく、第2の出口ポートは、含まれなくてもよい。いずれの場合も、少なくともいくつかの未反応のH2ガスは、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極を通って電解質に流動し得る。したがって、リバランシングセルから未反応のH2ガスを排出することは、1120において、圧力放出出口ポートを介して電解質中の未反応のH2ガスを排出することを含み得る(例えば、電解質中に圧力が蓄積し、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極をフラッディングするのを防止するために)。
【0138】
このようにして、レドックスフロー電池のための、内部短絡電極アセンブリの積層体を含むリバランシングセルが提供される。具体的には、レドックスフロー電池からのH2ガス及び電荷不均衡電解質のフローが、リバランシングセルに提供され、内部短絡電極アセンブリの積層体の負電極及び正電極を横切って誘導され得る。いくつかの実施例では、H2ガスは、フローフィールドプレートを介して負電極を横切って対流され得る。追加的又は代替的な実施例では、電荷不平衡電解質は、内部短絡電極アセンブリの積層体を通して重力供給及び/又は対流され、内部短絡電極アセンブリ内の正電極にウィッキングされ得る。負電極及び正電極は、電流がリバランシングセルから離れるように(例えば、外部負荷を通して)導かれないように、導電性であり、互いに面共有接触し得る。更に、内部短絡電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、内部電気短絡され、かつ内部短絡電極アセンブリの積層体の各他の電極アセンブリから電気的に分離されることから、ある電極アセンブリが劣化する(例えば、電流のスパイクを経験する)ときに、逆電流が内部短絡電極アセンブリの積層体全体にわたって流動することが防止され得る。驚くべきことに、かかる内部電気短絡は、リバランシングセルの全体的な信頼性を犠牲にすることなく、電解質リバランシング速度を増加させた。
【0139】
一実施例では、レドックスフロー電池のためのリバランシングセルであって、リバランシングセルは、セルエンクロージャと、H2ガスが通ってセルエンクロージャに流動する水素ガス入口ポートと、電解質が通ってセルエンクロージャに流動する電解質入口ポートと、電解質が通ってセルエンクロージャから排出される電解質出口ポートと、セルエンクロージャによって囲まれた電極アセンブリの積層体であって、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、フローフィールドプレートと面共有接触している負電極を含む、電極アセンブリの積層体と、セルエンクロージャに結合された勾配付き支持体と、を備える、リバランシングセルである。リバランシングセルの第1の実施例は、電解質出口ポートが、重力の方向に対して電解質入口ポートよりも低く位置付けられている、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1の実施例を含む、リバランシングセルの第2の実施例は、リバランシングセルの第2の実施例は、電解質から未反応のH2ガスを排出するための圧力放出出口ポートを更に備える。任意選択でリバランシングセルの第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第3の実施例であって、未反応のH2ガスが、電極アセンブリの積層体の負電極を通って電解質に流動し、かつ圧力放出出口ポートを通って流動した後にのみ、セルエンクロージャから排出される。任意選択でリバランシングセルの第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第4の実施例は、未反応のH2ガスが通ってセルエンクロージャから排出される水素ガス出口ポートを更に備える。任意選択でリバランシングセルの第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第5の実施例は、水素ガス入口ポート、水素ガス出口ポート、電解質入口ポート、及び電解質出口ポートが、横方向構成でセルエンクロージャ上に位置付けられており、水素ガス出口ポート及び電解質入口ポートが、セルエンクロージャの上半分の異なる側面上に位置付けられており、水素ガス入口ポート及び電解質出口ポートが、セルエンクロージャの下半分の異なる側面上に位置付けられている、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第5の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第6の実施例は、H2ガスが、水素ガス入口ポートから、電極アセンブリの積層体の負電極と面共有接触しているフローフィールドプレートからそれぞれ形成された1つ以上の水素ガス入口通路に導かれる、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第6の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第7の実施例は、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、内部短絡されており、電流が、リバランシングセルから離れるように導かれない、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第7の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第8の実施例は、勾配付き支持体が、勾配付き支持体が置かれる外面に対してセルエンクロージャを2°~30°の角度傾ける、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第8の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第9の実施例は、電極アセンブリの積層体の各負電極が、上に触媒がコーティングされた導電性炭素基板から形成されており、触媒が、Pd、Rh、Ru、Ir、Ta、若しくはそれらの合金を含む貴金属触媒、又は第二鉄溶液中で安定な非貴金属触媒を含む、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第9の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第10の実施例は、電極アセンブリの積層体の負電極と面共有接触しているフローフィールドプレートが、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はそれらの組み合わせとして構成されている、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第10の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第11の実施例は、電極アセンブリの積層体の各負電極が、任意選択で炭素フォームと面共有接触しているウィッキング導電性炭素フェルトから形成された正電極と更に面共有接触している、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第11の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第12の実施例は、電解質が、電解質入口ポートから、電極アセンブリの積層体の炭素フォームを通って電解質出口ポートに導かれる、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第12の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第13の実施例は、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、炭素フォームを横切って電解質入口ポートで受容された電解質を分配するために、炭素フォームに隣接して位置付けられた複数の電解質入口通路を更に備える、ことを更に含む。
【0140】
別の実施例では、レドックスフロー電池システムであって、レドックス電極及びめっき電極をそれぞれ収容する正電極コンパートメント及び負電極コンパートメントと、正電極コンパートメントにポンプ投入するための正電解質と、負電極コンパートメントにポンプ投入するための負電解質と、をそれぞれ含む正電解質チャンバ及び負電解質チャンバであって、正電解質チャンバ及び負電解質チャンバが、それぞれのガスヘッドスペースを更に含む、正電解質チャンバ及び負電解質チャンバと、正電解質の電解質リバランシングのための第1のリバランシングセルであって、第1のリバランシングセルが、正電極コンパートメントと正電解質チャンバのガスヘッドスペースとに流体的に結合されており、正電解質の電解質リバランシングが、第1のリバランシングセルの正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され、H2ガスが、第1のフローフィールド構成を介して第1のリバランシングセルを通して対流され、正電解質が、重力供給及び毛細管作用を介して第1のリバランシングセルを通して導かれる、第1のリバランシングセルと、を備える、レドックスフロー電池システムである。レドックスフロー電池システムの第1の実施例は、H2ガスが、正電解質チャンバのガスヘッドスペースから第1のリバランシングセルに流動し、正電解質が、正電極コンパートメントから第1のリバランシングセルに流動する、ことを更に含む。任意選択でレドックスフロー電池システムの第1の実施例を含む、レドックスフロー電池システムの第2の実施例は、第1のリバランシングセルの接合対の各々について、正電極及び負電極が互いに面共有接触しており、連続的に導電性である、ことを更に含む。任意選択でレドックスフロー電池システムの第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、レドックスフロー電池システムの第3の実施例は、レドックスフロー電池システムが、全鉄ハイブリッドレドックスフロー電池システムであり、正電解質の電解質リバランシングが、正電極のFe3+をFe2+に還元することを含む、ことを更に含む。任意選択でレドックスフロー電池システムの第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、レドックスフロー電池システムの第4の実施例は、負電解質の電解質リバランシングのための第2のリバランシングセルを更に備え、第2のリバランシングセルが、負電極コンパートメントと負電解質チャンバのガスヘッドスペースとに流体的に結合されており、負電解質の電解質リバランシングが、第2のリバランシングセルの正電極及び負電極の接合対の内部電気短絡を介して駆動され、H2ガスが、第2のフローフィールド構成を介して第2のリバランシングセルを通して対流され、負電解質が、重力供給及び毛細管作用を介して第2のリバランシングセルを通して導かれる。
【0141】
更に別の実施例では、レドックスフロー電池システムのための方法であって、レドックスフロー電池システムのリバランシングセルのそれぞれの入口ポートでH2ガス及び電解質を受容することと、H2ガス及び電解質をリバランシングセルの電極アセンブリ積層体全体に分配することと、対流を介して電極アセンブリ積層体のアノードを横切るH2ガスのフローを誘導することと、その後、H2ガスを電解質中の正荷電イオンと反応させて、正荷電イオンを還元することと、未反応のH2ガス及び電解質をリバランシングセルからH2ガス及び電解質の出口ポートを介して排出することと、を含む、方法である。本方法の第1の実施例は、H2ガスを正荷電イオンと反応させる前に、重力供給及び毛細管作用を介して、電極アセンブリ積層体のカソードを横切る電解質のフローを誘導することを更に含む。任意選択で本方法の第1の実施例を含む、本方法の第2の実施例は、H2ガスを、電極アセンブリ積層体のカソードと電極アセンブリ積層体のアノードとのそれぞれの接合部で、電解質リバランシング反応を介して、正荷電イオンと反応させる、ことを更に含む。任意選択で本方法の第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、本方法の第3の実施例は、電極アセンブリ積層体を通って流動する電流が、外部負荷を通ってチャネリングされない、ことを更に含む。
【0142】
更に別の実施例では、レドックスフロー電池セルのための電極アセンブリ積層体であって、複数の内部短絡電極アセンブリを備え、複数の内部短絡電極アセンブリの各々が、ウィッキング炭素フェルトから形成された正電極と、正電極と面共有接触している電解質フローフィールドプレートと、を備え、電解質フローフィールドプレートの通路が、レドックスフロー電池セルに流体的に結合されている、電極アセンブリ積層体である。電極アセンブリ積層体の第1の実施例は、複数の内部短絡電極アセンブリの各々が、水素ガスフローフィールドプレートであって、水素ガスフローフィールドプレートの通路が、レドックスフロー電池セルに流体的に結合されている、水素ガスフローフィールドプレートと、水素ガスフローフィールドプレートと正電極との間に位置付けられており、かつ水素ガスフローフィールドプレート及び正電極の各々と面共有接触している負電極であって、負電極が、電解質フローフィールドプレートと反対側の正電極の側面にある、負電極と、を更に備える、ことを更に含む。任意選択で電極アセンブリ積層体の第1の実施例を含む、電極アセンブリ積層体の第2の実施例は、複数の内部短絡電極アセンブリの各々の電解質フローフィールドプレートの通路が、レドックスフロー電池セルの正電極コンパートメントに流体的に結合されており、任意選択で複数の内部短絡電極アセンブリの各々の水素ガスフローフィールドプレートの通路が、レドックスフロー電池セルに流体的に結合された正電解質チャンバのガスヘッドスペースに流体的に結合されている、ことを更に含む。任意選択で電極アセンブリ積層体の第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、電極アセンブリ積層体の第3の実施例は、複数の内部短絡電極アセンブリの各々の電解質フローフィールドプレートの通路が、レドックスフロー電池セルの負電極コンパートメントに流体的に結合されており、任意選択で複数の内部短絡電極アセンブリの各々の水素ガスフローフィールドプレートの通路が、レドックスフロー電池セルに流体的に結合された負電解質チャンバのガスヘッドスペースに流体的に結合されている、ことを更に含む。任意選択で電極アセンブリ積層体の第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、電極アセンブリ積層体の第4の実施例は、複数の内部短絡電極アセンブリの各々の電解質フローフィールドプレートの通路が、電極アセンブリ積層体を通る電解質フロー経路の少なくとも一部分を形成し、任意選択で複数の内部短絡電極アセンブリの各々の水素ガスフローフィールドプレートの通路が、電極アセンブリ積層体を通る水素ガスフロー経路の少なくとも一部分を形成する、ことを更に含む。任意選択で電極アセンブリ積層体の第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、電極アセンブリ積層体の第5の実施例は、電極アセンブリ積層体が、重力に対して傾けられている、ことを更に含む。
【0143】
更に別の実施例では、レドックスフロー電池のためのリバランシングセルであって、セルエンクロージャと、電解質が通ってセルエンクロージャに流動する電解質入口ポートと、電解質が通ってセルエンクロージャから排出される電解質出口ポートと、セルエンクロージャによって囲まれた電極アセンブリの積層体であって、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、ウィッキング導電性炭素フェルトから形成された正電極を含む、電極アセンブリの積層体と、セルエンクロージャに結合された勾配付き支持体であって、勾配付き支持体が、勾配付き支持体が置かれる外面に対してセルエンクロージャを傾ける、勾配付き支持体と、を備える、リバランシングセルである。リバランシングセルの第1の実施例は、電極アセンブリの積層体の各正電極が、炭素フォームと面共有接触している、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1の実施例を含む、リバランシングセルの第2の実施例は、電解質が、電解質入口マニホールドと電極アセンブリの積層体の炭素フォームとの各々を介して、電解質入口ポートから電解質出口ポートに導かれる、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第3の実施例は、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリが、炭素フォームを横切って電解質入口ポートで受容された電解質を分配するために、炭素フォームに隣接して位置付けられた複数の電解質入口通路を更に備える、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第4の実施例は、電極アセンブリの積層体の各正電極が、フローフィールドプレートと面共有接触している、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第5の実施例は、電解質が、電解質入口マニホールドと、電極アセンブリの積層体の正電極と面共有接触しているフローフィールドプレートとの各々を介して、電解質入口ポートから電解質出口ポートに導かれる、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第5の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第6の実施例は、電極アセンブリの積層体の正電極と面共有接触しているフローフィールドプレートが、互い違いになったフローフィールド構成、部分的に互い違いになったフローフィールド構成、蛇行したフローフィールド構成、又はそれらの組み合わせとして構成されている、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第6の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第7の実施例は、電極アセンブリの積層体の各正電極が、負電極と面共有接触しており、電極アセンブリの積層体の各電極アセンブリ内の正電極及び負電極が、連続的に導電性である、ことを更に含む。任意選択でリバランシングセルの第1~第7の実施例のうちの1つ以上を含む、リバランシングセルの第8の実施例は、勾配付き支持体が、勾配付き支持体が置かれる外面に対してセルエンクロージャを2°~30°の角度傾ける、ことを更に含む。
【0144】
更に別の実施例では、レドックスフロー電池システムのための方法であって、レドックスフロー電池システムのリバランシングセルの入口ポートで電解質を受容することと、電解質をリバランシングセルの電極アセンブリ積層体全体に分配することと、重力供給、毛細管作用、及び対流のうちの1つ以上を介して、電極アセンブリ積層体のカソードを横切る電解質のフローを誘導することと、電極アセンブリ積層体のカソードと電極アセンブリ積層体のアノードとのそれぞれの接合部での電解質リバランシング反応を介して、電解質中の正荷電イオンを還元することと、リバランシングセルから電解質の出口ポートを介して電解質を排出することと、を含む、方法。本方法の第1の実施例は、電極アセンブリ積層体の各カソードが活性炭フォームと接合しており、電極アセンブリ積層体全体に電解質を分配することが、電極アセンブリ積層体のカソードとそれぞれ接合している活性炭フォームを通して電解質を分配することを含む、ことを更に含む。任意選択で本方法の第1の実施例を含む、本方法の第2の実施例は、電極アセンブリ積層体の各カソードが、フローフィールドプレートと接合しており、電極アセンブリ積層体全体に電解質を分配することが、電極アセンブリ積層体のカソードと接合しているフローフィールドプレートを通して電解質を分配することを含み、電解質のフローが、フローフィールドプレートによって強制される対流を少なくとも介して誘導される、ことを更に含む。任意選択で本方法の第1及び第2の実施例のうちの1つ以上を含む、本方法の第3の実施例は、電極アセンブリ積層体の各カソードが、炭素フェルトであり、電解質のフローが、炭素フェルトの毛細管作用を少なくとも介して誘導される、ことを更に含む。任意選択で本方法の第1~第3の実施例のうちの1つ以上を含む、本方法の第4の実施例は、リバランシングセルが、リバランシングセルが置かれる表面に対して傾けられ、電解質のフローが、重力供給を少なくとも介して誘導される、ことを更に含む。任意選択で本方法の第1~第4の実施例のうちの1つ以上を含む、本方法の第5の実施例は、電解質が、出口ポートを介して排出されるときよりも、入口ポートで受容されるときに、より高濃度のFe3+を有する、ことを更に含む。
【0145】
図2A~
図4B及び
図6A~
図9Bは、様々な構成要素の相対的な位置付けを伴う例示的な構成を示す。互いに直接接触しているか、又は直接結合されていることが示されている場合、次いでかかる要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ直接接触している又は直接結合されていると呼ばれ得る。同様に、互いに連続するか又は隣接して示される要素は、少なくとも一実施例では、それぞれ連続するか又は互いに隣接し得る。一例として、互いに面共有接触で置かれる構成要素は、面共有接触と呼ばれ得る。別の例として、少なくとも一例では、互いに離れて位置付けられた要素は、それらの間は空間のみであり、他の構成要素はそのように呼ばれ得ない。更に別の例として、互いに上/下に、互いに反対側に、又は互いの左/右に示される要素は、互いに対してそのように呼ばれ得る。更に、図に示されるように、最上部の要素又は要素の点は、少なくとも一例では、構成要素の「上部」と呼ばれ得、最下部の要素又は要素の点は、構成要素の「下部」と呼ばれ得る。本明細書において使用される場合、上部/下部、上側/下側、上/下は、図面の垂直軸に対してであり得、互いに対する図面の要素の位置付けを説明するために使用される。したがって、一実施例では、他の要素の上に示される要素は、他の要素の上に垂直に位置付けられる。更に別の実施例として、図面内に描写される要素の形状は、それらの形状(例えば、円形、直線、平面、曲線、丸みを帯びた、面取りされた、角度の付いた、など)を有すると呼ばれ得る。更に、互いに交差して示される要素は、少なくとも1つの実施例では、交差する要素又は互いに交差する要素と呼ばれ得る。なお更に、一実施例では、別の要素内に示される、又は別の要素の外側に示される要素は、そのように呼ばれ得る。
図2A~
図4B、
図6A~
図9Bは、およそスケールに応じて描かれているが、他の寸法又は相対寸法が使用されてもよい。
【0146】
以下の特許請求の範囲は、新規かつ自明ではないとみなされる特定の組み合わせ及びサブ組み合わせを特に指摘している。これらの特許請求の範囲は、「1つの」要素又は「第1の」要素若しくはその等価物を指し得る。かかる特許請求の範囲は、1つ以上のかかる要素の組み込みを含むと理解されるべきであり、2つ以上のかかる要素を要求したり排除したりするものではない。開示された特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組み合わせ及びサブ組み合わせは、本特許請求の範囲の修正を通じて、又は本出願若しくは関連出願における新しい特許請求の範囲の提示を通じて請求され得る。かかる特許請求の範囲は、元の特許請求の範囲に対して範囲がより広いか、より狭いか、等しいか、又は異なるかにかかわらず、また、本開示の主題内に含まれるとみなされる。
【国際調査報告】