(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240705BHJP
H01L 23/473 20060101ALI20240705BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
H01L23/46 Z
H01L25/04 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502000
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 EP2022069949
(87)【国際公開番号】W WO2023285694
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513039333
【氏名又は名称】ヤサ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サイモン デイビッド ハート
(72)【発明者】
【氏名】ティム ウールマー
(72)【発明者】
【氏名】マイケル デイビッド パントリー
(72)【発明者】
【氏名】ラジェシ クディカラ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル レンデル
(72)【発明者】
【氏名】ポール ドナルド スペンドレイ
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ジェームズ レオポルト ファーマー
(72)【発明者】
【氏名】アダム ロバート ニール
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ジョン ウェブスター
【テーマコード(参考)】
5F136
5H770
【Fターム(参考)】
5F136CB06
5F136DA09
5F136DA27
5F136EA41
5H770AA21
5H770BA01
5H770DA03
5H770DA41
5H770PA12
5H770PA14
5H770PA22
5H770PA42
5H770PA43
5H770QA01
5H770QA08
5H770QA12
5H770QA22
5H770QA27
(57)【要約】
ベースが熱伝導性材料の上部プレートを有し、底部プレートおよび側壁がチャンバを画定する電力変換器の冷却装置を説明する。入口および出口は、チャンバと流体連通しており、チャンバは、入口と出口との間を流れる冷却流体で満たされる。電力変換器のPCBは、上部プレートに取り付けられて熱的に結合され、PCBは、複数の電源モジュール(電力変換に使用される)を受け入れる。ベースは、冷却流体を流すための複数の流路を備える。流路のそれぞれは、PCBに取り付けられた1つまたは複数のコンポーネントの位置と一致するように配置される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器の冷却装置であって、前記電力変換器は入力電圧を出力電圧に変換するためのものであり、
前記電力変換器は、
入力電圧を受信するための入力と、出力電圧を出力するための出力と、
前記入力と出力との間に接続された複数の電源モジュールであって、各モジュールは、ヒートシンクの前面に取り付けられ、熱的に結合された複数のパワーデバイスを備え、前記入力電圧を出力電圧に変換するための電源モジュールと、
前記入力に接続された複数のコンデンサと、を備え、
前記複数の電源モジュールおよび前記複数のコンデンサはPCBに取り付けられ、
前記冷却装置は、
熱伝導性材料の上部プレート、チャンバを画定する底部プレートおよび側壁、ならび前記チャンバと流体連通する入口および出口を有するベースであって、前記チャンバは、前記入口と出口との間を流れる冷却流体で満たされ、前記PCBは、前記ベースの前記上部プレートの外面に取り付けられて熱結合され、
前記ベースは、冷却流体を流すための複数の流路を備え、前記流路の各々は、前記PCBに取り付けられた1つまたは複数のコンポーネントの位置と一致するように配置される、電力変換器の冷却装置。
【請求項2】
前記流路のうちの1つまたは複数は、前記流路の他の部分より大きい幅を有する1つおよび複数の部分を備える、請求項1に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項3】
1つまたは複数の冷却特徴が、前記上部プレートの内面から前記流路の前記1つまたは複数のより広い部分に突出し、前記冷却流体と接触する、請求項2に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項4】
前記1つまたは複数の冷却特徴はフィンを備える、請求項3に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項5】
前記コンデンサのうちの1つまたは複数および/または1つまたは複数のヒートシンクおよび/または前記パワーデバイスの1つまたは複数の特徴は、前記ベースの前記流路のうちの1つまたは複数と一致するように位置する、請求項1から4のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項6】
前記PCB内に、前記ベースの前記流路のうちの1つまたは複数の前記位置と一致するように位置する銅の1つまたは複数の領域を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項7】
前記複数の電源モジュールのそれぞれの前記ヒートシンクは、熱モジュールに取り付けられ、前記熱モジュールは、冷却流体を受け入れるための入口と、冷却流体を排出するための出口と、冷却流体で満たされたチャンバとを有し、前記熱モジュールの前記入口および出口は、前記ベースの前記チャンバと流体連通している、請求項1から6のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項8】
前記熱モジュールの入口および出口は、前記PCBを通って前記ベース内に延在する、請求項7に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項9】
前記ヒートシンクの背面は、前記熱モジュールの前記チャンバ内の前記冷却流体と接触するように前記熱モジュールの前記チャンバに露出され、前記ヒートシンクの前記背面は前記ヒートシンクの前記前面に対向する、請求項7または8に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項10】
前記ヒートシンクの背面は、前記熱モジュールのチャンバ内の前記冷却流体に接触するように配置された1つまたは複数の熱交換素子を備える、請求項7、8または9に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項11】
前記1つまたは複数の熱交換素子は、前記ヒートシンクの前記背面から前記熱モジュールのチャンバ内に突出するピンまたはフィンを備える、請求項10に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項12】
前記熱モジュールはポリマー材料を備える、請求項7から11のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項13】
前記熱モジュールの前記入口と出口との間の前記冷却流体の前記流路内のフローダイバータを備え、前記フローダイバータは、前記冷却流体を前記熱モジュールのチャンバを通って蛇行させるように構成される、請求項8から13のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項14】
前記フローダイバータは、
前記ヒートシンクの前記背面に実質的に平行に配置された上部プレートであって、前記ヒートシンクの前記背面に面する内面と、前記内面に対向する外面とを有し、前記熱モジュールの前記入口と前記出口との間に延在する長さを有する、上部プレートと、
前記冷却流体の流れを遮断するための複数の内側バッフルであって、前記上部プレートの前記内面から前記ヒートシンクの前記背面に向かって延在する、複数の内側バッフルと、
前記冷却流体の流れを遮断するための複数の外側バッフルであって、前記上部プレートの前記外面から前記熱モジュールの内壁まで延在する、複数の外側バッフルと、
前記冷却流体が前記上部プレートの前記内面と前記外面との間を流れることを可能にするように構成された前記上部プレート内の複数の貫通スロットと、を備え、
内側バッフルおよび外側バッフルは、前記上部プレートの前記長さに沿って交互に配置される、請求項13に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項15】
前記複数の貫通スロットは、内側バッフルと外側バッフルとの間の前記上部プレートに位置する第1の複数の貫通スロットと、外側バッフルと内側バッフルとの間の前記上部プレートに位置する第2の複数の貫通スロットとを備える、請求項14に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項16】
前記第1の複数の貫通スロットは、前記上部プレートを通って前記ヒートシンクに向かって前記冷却流体の流れを可能にするために前記内側バッフルと外側バッフルとの間に配置され、前記第2の複数の貫通スロットは、前記上部プレートの前記外面から前記ヒートシンクに向かって前記冷却流体の流れを可能にするために前記外側バッフルと内側バッフルとの間に配置され、前記第1および第2の複数の貫通スロットは、前記フローダイバータの前記上部プレートの前記長さに沿って配置され、前記冷却流体が前記熱モジュールのチャンバを通って蛇行し、交互に前記第2の複数の貫通スロットを通って前記ヒートシンクから離れ、前記第1の複数の貫通スロットを通って前記ヒートシンクに向かうことを可能にする、請求項15に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項17】
前記第1の複数の貫通スロットのそれぞれは、平行スロットの複数の行を備える、請求項15または16に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項18】
前記第2の複数の貫通スロットのそれぞれは、前記第1の複数の貫通スロットに垂直に配置され、前記上部プレートの高さの一部にわたって延在する単一の貫通スロットを備える、請求項15、16または17に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項19】
前記内側バッフルおよび/または外側バッフルのうちの1つまたは複数の前記高さは、前記冷却流体の少なくとも一部がそれぞれの前記内側バッフルまたは前記外側バッフルの前記上部または下部を流れることを可能にするように、前記上部プレートの前記高さよりも低い、請求項14から18のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項20】
前記複数の電源モジュールは前記モジュールの複数の対に配置される、請求項7から19のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項21】
電源モジュールの対ごとに、前記熱モジュールのそれぞれの対は互いに実質的に平行に配置され、ギャップによって分離される、請求項20に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項22】
前記コンデンサのうちの前記1つまたは複数は、前記熱モジュールのそれぞれの対の間の前記ギャップ内に位置する、請求項21に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項23】
前記熱モジュールのそれぞれの対は、それぞれの前記1つまたは複数のコンデンサに熱的に結合される、請求項22に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項24】
前記熱モジュールのそれぞれの対は、それぞれの支持構造を使用して各端部で支持されかつ一緒に接合され、前記熱モジュールそれぞれの対のおよびそれぞれの支持構造は、前記1つまたは複数のコンデンサを囲む、請求項22または23に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項25】
前記電源モジュールの1つまたは複数について、それぞれのヒートシンクは、それに取り付けられた前記複数のパワーデバイスのうちのそれぞれの前記1つまたは複数の間で電力を伝達するためのバスバーとして構成される、請求項1から24のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項26】
前記電力変換器は、電力を伝達するための1つまたは複数のバスバーをさらに備え、前記バスバーは、前記PCBに取り付けられる、請求項1から25のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項27】
前記電力変換器は、前記複数の電源モジュールのうちの3つを備え、各電源モジュールは、それぞれの出力電圧を出力するように構成される、請求項1から26のいずれかに記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項28】
前記3つの電源モジュールは、前記PCBの長さに沿って互いに実質的に平行に配置される、請求項27に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項29】
前記電源モジュールのそれぞれは、前記電源モジュールの第1の端部で前記入力電圧を受け取り、それぞれの前記電源モジュールの第2の端部でそれぞれの出力電圧を出力する、請求項27または28に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項30】
前記電力変換器は、前記コンポーネントの1つまたは複数を制御するための、および/または外部デバイスとインターフェースするための制御PCBをさらに備え、前記制御PCBは、前記複数の電源モジュールの上部に位置する、請求項1から29のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項31】
電力変換器の冷却装置であって、前記冷却装置は、前記電力変換器を囲むために前記ベースから延在するハウジングを備える、電力変換器の冷却装置。
【請求項32】
前記電力変換器は、DC入力をAC出力に変換するためのインバータとして構成される、請求項1から31のいずれか一項に記載の電力変換器の冷却装置。
【請求項33】
入力電圧を出力電圧に変換するための電源モジュールの冷却装置であって、
ヒートシンクの前面に取り付けられ、熱的に結合された複数のパワーデバイスと、
冷却流体を受け入れるための入口と、冷却流体を排出するための出口と、冷却流体で満たされたチャンバとを有する熱モジュールであって、前記ヒートシンクは前記熱モジュールに取り付けられ、前記ヒートシンクの背面は前記熱モジュールの前記チャンバ内の前記冷却流体と接触するように前記熱モジュールの前記チャンバに露出され、前記ヒートシンクの前記背面は前記ヒートシンクの前記前面に対向している、熱モジュールと、
前記熱モジュールの前記入口と出口との間の前記冷却流体の前記流路内のフローダイバータと、を備え、
前記フローダイバータは、前記冷却流体を前記熱モジュールのチャンバを通って蛇行させるように配置される、電源モジュールの冷却装置。
【請求項34】
前記フローダイバータは、
前記ヒートシンクの前記背面に実質的に平行に配置された上部プレートであって、前記ヒートシンクの前記背面に面する内面と、前記内面に対向する外面とを有し、前記熱モジュールの前記入口と出口との間に延在する長さを有する、上部プレートと、
前記冷却流体の流れを遮断するための複数の内側バッフルであって、前記上部プレートの前記内面から前記ヒートシンクの前記背面に向かって延在する、複数の内側バッフルと、
前記冷却流体の流れを遮断するための複数の外側バッフルであって、前記上部プレートの前記外面から前記熱モジュールの内壁まで延在する、複数の外側バッフルと、
前記冷却流体が前記上部プレートの前記内面と外面との間を流れることを可能にするように構成された前記上部プレート内の複数の貫通スロットと、を備え、
内側バッフルおよび外側バッフルは、前記上部プレートの前記長さに沿って交互に配置される、請求項33に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項35】
前記複数の貫通スロットは、内側バッフルと外側バッフルとの間の前記上部プレートに位置する第1の複数の貫通スロットと、外側バッフルと内側バッフルとの間の前記上部プレートに位置する第2の複数の貫通スロットとを備える、請求項34に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項36】
前記第1の複数の貫通スロットは、前記上部プレートを通って前記ヒートシンクに向かう前記冷却流体の流れを可能にするために前記内側バッフルと外側バッフルとの間に配置され、前記第2の複数の貫通スロットは、前記上部プレートの前記外面から前記ヒートシンクに向かう前記冷却流体の流れを可能にするために前記外側バッフルと内側バッフルとの間に配置され、前記第1および第2の複数の貫通スロットは、前記フローダイバータの前記上部プレートの前記長さに沿って配置され、前記冷却流体が前記熱モジュールのチャンバを通って蛇行し、交互に前記第2の複数の貫通スロットを通って前記ヒートシンクから離れ、前記第1の複数の貫通スロットを通って前記ヒートシンクに向かうことを可能にする、請求項35に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項37】
前記第1の複数の貫通スロットのそれぞれは、平行スロットの複数の行を備える、請求項35または36に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項38】
前記第2の複数の貫通スロットのそれぞれは、前記第1の複数の貫通スロットに垂直に配置され、前記上部プレートの高さの一部にわたって延在する単一の貫通スロットを備える、請求項35、36または37に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項39】
前記内側バッフルおよび/または外側バッフルのうちの1つまたは複数の前記高さは、前記冷却流体の少なくとも一部がそれぞれの前記内側バッフルまたは外側バッフルの前記上部または下部を流れることを可能にするように、前記上部プレートの前記高さよりも低い、請求項34から38のいずれか一項に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項40】
前記ヒートシンクの背面は、前記熱モジュールのチャンバ内の前記冷却流体に接触するように配置された1つまたは複数の熱交換素子を備える、請求項33から39のいずれか一項に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項41】
前記1つまたは複数の熱交換素子は、前記ヒートシンクの前記背面から前記熱モジュールのチャンバ内に突出するピンまたはフィンを備える、請求項40に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項42】
前記熱モジュールは、ポリマー材料を備える、請求項33から41のいずれか一項に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項43】
第2の複数の電源モジュールが取り付けられ、熱的に結合された第2のヒートシンクと、第2の熱モジュールであって、冷却流体を受け入れるための入口と、冷却流体を排出するための出口と、冷却流体で満たされたチャンバとを有する前記第2の熱モジュールとを備え、前記第2のヒートシンクは、前記第2の熱モジュールに取り付けられ、前記第2のヒートシンクの背面は、前記第2の熱モジュールの前記チャンバ内の前記冷却流体と接触するように前記第2の熱モジュールの前記チャンバに露出され、前記第2のヒートシンクの前記背面は、前記第2のヒートシンクの前記前面と対向する、第2のヒートシンクと、
前記熱モジュールの前記入口と出口との間の前記冷却流体の前記流路内のフローダイバータと、を備える、請求項33から42のいずれか一項に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項44】
前記第1および第2の熱モジュールは、互いに実質的に平行に配置され、ギャップによって分離される、請求項43に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項45】
1つまたは複数のコンポーネントは、前記熱モジュールのそれぞれの対の間の前記ギャップ内に位置する、請求項44に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項46】
前記第1および第2の熱モジュールは、それぞれの前記1つまたは複数のコンポーネントに熱的に結合される、請求項45に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項47】
前記第1および第2の熱モジュールは、それぞれの支持構造を使用して各端部で支持されかつ一緒に接合され、前記第1および第2の熱モジュールならびにそれぞれの支持構造は、前記1つまたは複数のコンポーネントを囲む、請求項45または46に記載の電源モジュールの冷却装置。
【請求項48】
前記ヒートシンクは、それに取り付けられた前記複数のパワーデバイスのそれぞれの1つまたは複数の間で電力を伝達するためのバスバーとして構成される、請求項33から47のいずれか一項に記載の電源モジュールの冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置、特に、電力変換器のための冷却装置、およびパワーデバイスを冷却するための冷却装置に関する。このような装置は、電力変換に使用されるパワーデバイス、例えばパワーインバータの冷却に有用であるが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
より小型のパワーユニットにおける電力需要の増加は、多くの分野で長年にわたって技術の推進力となっており、この10年間で電気機械用パワーインバータの開発における新たな緊急性を呈している。多くのアプリケーションでは、より小さなスペースでより多くの電力を得るための前進、すなわち電力密度の増加は、エネルギーを無駄にする不要な重量の運搬を減らすことであり、多くのアプリケーション、特に乗用車では、スペースは高価な産物である。
【0003】
多くの発明は、電力密度を最適化するという課題に取り組んでおり、多くの場合、特定のコンポーネントから熱を除去する方法に焦点を当てており、通常、最も弱いリンクは、アクティブな電力スイッチ、例えばIGBTである。
【0004】
IGBTの冷却は依然として非常に重要だが、他のいくつかのコンポーネントと同等であり、アクティブスイッチの冷却への注目は今、新しい重要なコンポーネント、特にエネルギー貯蔵およびレベリングに使用されるコンデンサと同時に行われる必要がある、という電力変換器(例えばインバータ)の開発における段階に現在は来ている。
【0005】
いわゆるDCリンクコンデンサは、負荷が変化するにつれて電圧変化の影響を最小限に抑え、スイッチング回路によって生成されるリップル電流に低インピーダンス経路を提供する。DCリンクコンデンサは今、インバータの信頼性との関連性において、アクティブスイッチデバイスと同等である。IGBTとDCリンクコンデンサの両方のすべての主要な仕様パラメータである最大温度定格、フォールトトレランス、および過電圧容量を改善するために多くのことが行われてきたが、動作温度を低減および制御するための努力が行われると、全体的なデバイスの信頼性が向上する。
【0006】
ゼネラルモーターズの米国特許出願公開第2008/117602号明細書は、DCリンクコンデンサのアレイを収容する冷却構造にボルトで固定されたピンフィンヒートシンクを有する電源モジュールを使用したパワーインバータの冷却に対処する。ゲートドライバは含まれておらず、別個のものとして想定されているため、電力密度は低下する。
【0007】
ヒョンデの米国特許第10414286号明細書は、アクティブスイッチとDCリンクコンデンサの冷却に対処するために同様のルートをとっており、ゲートドライバと制御ボードを含む。熱はコンデンサおよび電源モジュールから液体冷却通路に引き出されるが、複雑さを軽減し、熱除去を改善することにはかなりの追加の利点がある。
【0008】
ゲートドライバおよび制御回路コンポーネントも、駆動から電力密度の増加に影響を受けないことはなく、現在は信頼性のためにシステム全体のアプローチが必要になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
インバータモジュールのアクティブスイッチと並んでDCリンクコンデンサの動作条件を管理する作業が明らかに行われてきたが、より安価で軽量で小型のものの需要が続いており、追加のコンポーネントおよび接続を最小限に抑えながら、システム全体からの熱分配および除去を管理するとともに、アクティブスイッチおよびDCリンクコンデンサからの熱除去にさらに対処する必要があることが分かっている。
【0010】
したがって、発明者等は、電力変換器およびパワーデバイスを冷却するための改善された冷却装置の必要性を認識している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、本明細書に添付された独立請求項に記載の電力変換器の冷却装置および電源モジュールの冷却装置を提供する。本明細書にさらに添付された従属請求項に係るさらなる有利な実施形態が提供される。
【0012】
特に、発明者等は、入力電圧を出力電圧に変換するための電力変換器の冷却装置を説明し、電力変換器は、入力電圧を受信するための入力と、出力電圧を出力するための出力と、入力と出力との間に接続された複数の電源モジュールであって、各モジュールは、ヒートシンクの前面に取り付けられ、熱的に結合された複数のパワーデバイスを備え、入力電圧を出力電圧に変換するための電源モジュールと、入力に接続された複数のコンデンサとを備え、複数の電源モジュールおよび複数のコンデンサがPCBに取り付けられ、冷却装置は、熱伝導性材料の上部プレートを有するベースと、チャンバを画定する底部プレートおよび側壁と、チャンバと流体連通する入口および出口と、を備え、チャンバは、入口と出口との間を流れる冷却流体で満たされ、PCBは、ベースの上部プレートの外側表面に取り付けられ熱的に結合され、ベースは、冷却流体を流すための複数の流路を備え、流路の各々が、PCBに取り付けられた1つまたは複数のコンポーネントの位置と一致するように配置される。
【0013】
有利には、この構成は、コンポーネントが冷却流体と接触することなくコンポーネント冷却を提供する、被収容流体共通回路を提供することを可能にする。したがって、電気コンポーネントまたはPCBに触れる問題なく、ある程度の範囲の汚れた侵襲性のオイルを使用し得る。
【0014】
1つまたは複数の流路は、流路の他の部分よりも大きな幅を有する1つまたは複数の部分を備え得る。1つまたは複数の冷却特徴は、上部プレートの内面から流路の1つまたは複数のより広い部分に突出し、冷却流体と接触し得る。1つまたは複数の冷却特徴は、フィンを備える。
【0015】
1つまたは複数のコンデンサおよび/または1つまたは複数のヒートシンクおよび/または1つまたは複数のパワーデバイスの1つまたは複数の特徴は、ベースの1つまたは複数の流路と一致するように位置する。
【0016】
PCBは、ベースの1つまたは複数の流路の位置と一致するように位置する1つまたは複数の銅の領域を備え得る。
【0017】
複数の電源モジュールのそれぞれのヒートシンクは、熱モジュールに取り付けられ得、熱モジュールは、冷却流体を受け入れるための入口と、冷却流体を排出するための出口と、冷却流体で満たされているチャンバとを有し、熱モジュールの入口および出口は、ベースのチャンバと流体連通している。熱モジュールの入口および出口は、PCBを通ってベース内に延在し得る。熱モジュールは、ポリマー材料を備え得る。
【0018】
ヒートシンクの背面は、熱モジュールのチャンバ内の冷却流体と接触するように熱モジュールのチャンバに露出され得、ヒートシンクの背面は、ヒートシンクの前面に対向している。
【0019】
ヒートシンクの背面は、熱モジュールチャンバ内の冷却流体に接触するように配置された1つまたは複数の熱交換素子を備え得る。1つまたは複数の熱交換素子は、ヒートシンクの背面から熱モジュールチャンバ内に突出するピンまたはフィンを備え得る。
【0020】
冷却装置は、熱モジュールの入口と出口との間の冷却流体の流路内にフローダイバータを備え得、フローダイバータは、冷却流体が熱モジュールチャンバを通って蛇行するように配置される。フローダイバータは、ヒートシンクの背面に実質的に平行に配置された上部プレートであって、ヒートシンクの背面に面した内面と、内面に対向する外面とを有し、熱モジュールの入口と出口との間に延在する長さを有する上部プレートと、冷却流体の流れを遮断するための複数の内側バッフルであって、上部プレートの内面からヒートシンクの背面に向かって延在する内側バッフルと、冷却流体の流れを遮断するための複数の外側バッフルであって、上部プレートの外面から熱モジュールの内壁まで延在する外側バッフルと、冷却流体が上部プレートの内面と外面との間を流れることを可能にするように構成された上部プレート内の複数の貫通スロットとを備え、内側バッフルと外側バッフルとが上部プレートの長さに沿って交互に配置されてもよい。
【0021】
複数の貫通スロットは、内側バッフルと外側バッフルとの間の上部プレートに位置する第1の複数の貫通スロットと、外側バッフルと内側バッフルとの間の上部プレートに位置する第2の複数の貫通スロットとを備え得る。第1の複数の貫通スロットは、上部プレートを通ってヒートシンクに向かう冷却流体の流れを可能にするために内側バッフルと外側バッフルとの間に配置され得、第2の複数の貫通スロットは、上部プレートの外面からヒートシンクに向かう冷却流体の流れを可能にするために外側バッフルと内側バッフルとの間に配置され得、第1および第2の複数の貫通スロットは、フローダイバータの上部プレートの長さに沿って配置され、冷却流体が熱モジュールチャンバを通って蛇行し、交互に第2の複数の貫通スロットを通ってヒートシンクから離れ第1の複数の貫通スロットを通ってヒートシンクに向かうことを可能にする。
【0022】
第1の複数の貫通スロットのそれぞれは、平行スロットの複数の行を備え得る。第2の複数の貫通スロットのそれぞれは、第1の複数の貫通スロットに垂直に配置され、上部プレートの高さの一部にわたって延在する単一の貫通スロットを備え得る。
【0023】
内側バッフルおよび/または外側バッフルのうちの1つまたは複数の高さは、冷却流体の少なくとも一部がそれぞれの内側バッフルまたは外側バッフルの上または下を流れることを可能にするように、上部プレートの高さよりも低くてよい。これにより、より高温になるヒートシンクの領域に入る冷却器の冷却液のブリード経路が提供される。
【0024】
複数の電源モジュールは、複数のペアのモジュールに配置され得る。電源モジュールの各対について、それぞれの熱モジュールの対は、互いに実質的に平行に配置され、ギャップによって分離され得る。いくつかの実施形態では、それらは、ギャップによって分離されることなく、互いに平行に配置され得る。
【0025】
それらの間にギャップを有する熱モジュールを備える実施形態では、コンデンサのうちの1つまたは複数は、それぞれの一対の熱モジュールの間のギャップ内に位置し得る。それぞれの一対の熱モジュールは、それぞれの1つまたは複数のコンデンサに熱的に結合され得る。
【0026】
それぞれの一対の熱モジュールは、それぞれの支持構造を使用して、それぞれの端部で支持され、一緒に接合されてもよく、それぞれの一対の熱モジュールおよびそれぞれの支持構造は、1つまたは複数のコンデンサを囲んでもよい。
【0027】
1つまたは複数の電源モジュールについて、それぞれのヒートシンクは、それに取り付けられた複数のパワーデバイスのそれぞれの1つまたは複数の間で電力を伝達するためのバスバーとして構成され得る。
【0028】
電力変換器は、電力を伝達するための1つまたは複数のバスバーをさらに備え得、バスバーは、PCBに取り付けられる。
【0029】
電力変換器は、複数の電源モジュールのうちの3つを備え得、各電源モジュールは、それぞれの出力電圧を出力するように構成される。3つの電源モジュールは、PCBの長さに沿って互いに実質的に平行に配置され得る。電源モジュールのそれぞれは、電源モジュールの第1の端部で入力電圧を受信し得、それぞれの電源モジュールの第2の端部でそれぞれの出力電圧を出力する。
【0030】
電力変換器は、1つまたは複数のコンポーネントを制御するため、および/または外部デバイスとインターフェースするための制御PCBをさらに備え得、制御PCBは、複数の電源モジュールの上に配置され得る。
【0031】
冷却装置は、電力変換器を囲むためにベースから延在するハウジングを備え得る。
【0032】
電力変換器は、DC入力をAC出力に変換するためのインバータとして構成され得る。
【0033】
発明者等はまた、入力電圧を出力電圧に変換するための電源モジュールであって、ヒートシンクの前面に取り付けられ、熱的に結合された複数のパワーデバイスと、冷却流体を受け入れるための入口と、冷却流体を排出するための出口と、冷却流体で満たされたチャンバとを有する熱モジュールであって、ヒートシンクが熱モジュールに取り付けられ、ヒートシンクの背面が熱モジュールのチャンバ内の冷却流体と接触するように熱モジュールのチャンバに露出され、ヒートシンクの背面がヒートシンクの前面と対向している熱モジュールと、熱モジュールの入口と出口との間の冷却流体の流路内のフローダイバータとを備え、フローダイバータが、冷却流体が熱モジュールチャンバを通って蛇行するように配置される、電源モジュールの冷却装置を説明する。熱モジュールは、ポリマー材料を備え得る。
【0034】
有利には、この構成は、コンポーネントが冷却流体と接触するようになることなくコンポーネント冷却を提供する、被収容流体共通回路を提供することを可能にする。したがって、電気コンポーネントまたはPCBに触れる問題なく、ある程度の範囲の汚れた侵襲性のオイルを使用し得る。ヒートシンクとパワーデバイスなどのコンポーネントとの間に電気的絶縁が存在する場合、水、または水ベースの流体が使用され得る。
【0035】
フローダイバータは、ヒートシンクの背面に実質的に平行に配置された上部プレートであって、ヒートシンクの背面に面した内面と、内面に対向する外面とを有し、熱モジュールの入口と出口との間に延在する長さを有する上部プレートと、冷却流体の流れを遮断するための複数の内側バッフルであって、上部プレートの内面からヒートシンクの背面に向かって延在する内側バッフルと、冷却流体の流れを遮断するための複数の外側バッフルであって、内側バッフルが上部プレートの外面から熱モジュールの内壁まで延在する外側バッフルと、冷却流体が上部プレートの内面と外面との間を流れることを可能にするように構成された上部プレート内の複数の貫通スロットとを備え、内側バッフルと外側バッフルとが上部プレートの長さに沿って交互に配置されてもよい。
【0036】
複数の貫通スロットは、内側バッフルと外側バッフルとの間の上部プレートに位置する第1の複数の貫通スロットと、外側バッフルと内側バッフルとの間の上部プレートに位置する第2の複数の貫通スロットとを備え得る。第1の複数の貫通スロットは、上部プレートを通ってヒートシンクに向かう冷却流体の流れを可能にするために内側バッフルと外側バッフルとの間に配置され得、第2の複数の貫通スロットは、上部プレートの外面からヒートシンクに向かう冷却流体の流れを可能にするために外側バッフルと内側バッフルとの間に配置され、第1および第2の複数の貫通スロットは、フローダイバータの上部プレートの長さに沿って配置され、冷却流体が熱モジュールチャンバを通って蛇行し、交互に第2の複数の貫通スロットを通ってヒートシンクから離れ、第1の複数の貫通スロットを通ってヒートシンクに向かうことを可能にする。
【0037】
第1の複数の貫通スロットのそれぞれは、平行スロットの複数の行を備え得る。第2の複数の貫通スロットのそれぞれは、第1の複数の貫通スロットに垂直に配置され、上部プレートの高さの一部にわたって延在する単一の貫通スロットを備え得る。
【0038】
内側バッフルおよび/または外側バッフルのうちの1つまたは複数の高さは、冷却流体の少なくとも一部がそれぞれの内側バッフルまたは外側バッフルの上または下を流れることを可能にするように、上部プレートの高さよりも低くてよい。
【0039】
ヒートシンクの背面は、熱モジュールチャンバ内の冷却流体に接触するように配置された1つまたは複数の熱交換素子を備え得る。1つまたは複数の熱交換素子は、ヒートシンクの背面から熱モジュールチャンバ内に突出するピンまたはフィンを備え得る。
【0040】
電源モジュールの冷却装置は、第2の複数の電源モジュールが取り付けられ、熱的に結合された第2のヒートシンクと、第2の熱モジュールであって、冷却流体を受け入れるための入口と、冷却流体を排出するための出口と、冷却流体で満たされたチャンバとを有し、第2のヒートシンクは、第2の熱モジュールに取り付けられ、第2のヒートシンクの背面は、第2の熱モジュールのチャンバ内の冷却流体と接触するように第2の熱モジュールのチャンバに露出され、第2のヒートシンクの背面は、第2のヒートシンクの前面と対向する、第2の熱モジュールと、第2の熱モジュールの入口と出口との間の冷却流体の流路内のフローダイバータとを備え得る。
【0041】
第1および第2の熱モジュールは、互いに実質的に平行に配置され、ギャップによって分離され得る。いくつかの実施形態では、第1および第2のモジュールは、それらの間に隙間を設けることなく、互いに実質的に平行に配置され得る。第1の熱モジュールと第2の熱モジュールとの間にギャップを有する実施形態では、1つまたは複数のコンポーネントは、それぞれの一対の熱モジュールとの間のギャップ内にあり得る。第1および第2の熱モジュールは、それぞれの1つまたは複数のコンポーネントに熱的に結合され得る。
【0042】
第1および第2の熱モジュールは、それぞれの支持構造を使用して、それぞれの端部で一緒に支持および接合され得、第1および第2の熱モジュールおよびそれぞれの支持構造は、1つまたは複数のコンポーネントを囲む。
【0043】
ヒートシンクは、そこに取り付けられた複数のパワーデバイスのそれぞれの1つまたは複数の間で電力を伝達するためのバスバーとして構成され得る。
【図面の簡単な説明】
【0044】
次に、以下の図面を参照して、例としてのみ本発明を説明する。
【
図1】インバータなどの電力変換器の例示的な回路図である。
【
図2】ヒートシンクに取り付けられたパワースイッチングデバイスの例示的な配置を示す図である。
【
図4】熱モジュールに取り付けられたヒートシンクを示す図である。
【
図6】入口と出口との間の冷却流体の流路内にフローダイバータを有する実施形態を示す図である。
【
図10】分離したフローダイバータを示す図である。
【
図11】内側バッフルが上部プレートの高さに沿って部分のみ延在する実施形態を示す図である。
【
図12】電力変換器の位相のうちの1つについての好ましい配置を示す図である。
【
図13】電力変換器の位相のうちの1つについての好ましい配置を示す図である。
【
図14】冷却装置の態様、および電力変換器の冷却コンポーネントにおけるその使用を示す図である。
【
図15】冷却装置の態様、および電力変換器の冷却コンポーネントにおけるその使用を示す図である。
【
図16】説明される冷却装置を使用する例示的な電力変換器を示す図であり、
図16は切断図を示す。
【
図17】説明される冷却装置を使用する例示的な電力変換器を示す図であり、
図17は投影図を示す。
【
図19】DCコンデンサの代替配置を示す図である。
【
図20】DCコンデンサおよび熱モジュールの代替配置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
簡単に言えば、ベースが熱伝導性材料の上部プレートを有し、底部プレートおよび側壁がチャンバを画定する電力変換器冷却装置について説明する。入口および出口は、チャンバと流体連通しており、チャンバは、入口と出口との間を流れる冷却流体で満たされる。電力変換器のPCBは、上部プレートに取り付けられて熱的に結合され、PCBは、複数の電源モジュール(電力変換に使用される)を受け入れる。さらに、ベースは、そこを通って冷却流体を流すための複数の流路を備える。流路のそれぞれは、PCBに取り付けられた1つまたは複数のコンポーネントの位置と一致するように配置される。そのような構成は、従来技術の解決策と比較して、電力変換器内のコンポーネントの改善された冷却を提供する。
【0046】
また、電源モジュールが入力電圧を出力電圧に変換するのに適している電源モジュールの冷却装置についても説明する。複数のパワーデバイスはヒートシンクの前面に取り付けられ、熱的に結合される。ヒートシンクは、冷却流体で満たされたチャンバと、チャンバと流体連通する入口および出口とを有する熱モジュールに取り付けられる。ヒートシンクは、ヒートシンクの背面(すなわち、電源モジュールが取り付けられているヒートシンクの前面に対向する面)が、熱モジュールのチャンバ内の冷却流体と接触するように、熱モジュールのチャンバに露出されるように、熱モジュールに取り付けられる。この構成はまた、熱モジュールの入口と出口との間の冷却流体の流路内にフローダイバータを備える。フローダイバータは、冷却流体が熱モジュールチャンバを通って蛇行し、流体を集束させ、冷却流体に乱流を引き起こすように配置され、すべてが熱管理効率をサポートする。そのような配置は、従来技術の解決策と比較して、電源モジュールの改善された冷却を提供する。
【0047】
電力変換器は一般的に知られている。一例は、米国特許第8958222号明細書に見出され得、
図1を挙げると、DC電源12を、次いで負荷(図示せず)に接続され得るAC出力14に変換するための簡略化された3相パワーインバータ10を示している。インバータは、3つの別個の位相20、30、40(それぞれ、位相U、V、Wとも称される)を備える。各位相は、直列の2つのスイッチ、すなわち位相Uの20a、20b、位相Vの30a、30b、および位相Wの40a、40bを含む。スイッチ20a、30a、および40aは、正のレール16(「上部」スイッチとも呼ばれ得る)に接続され、スイッチ20b、30b、および40bは、負のレール18(「下部」スイッチとも呼ばれ得る)に接続される。
【0048】
図1では、各スイッチは、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり得、各IGBTについて、関連するアンチパラレルダイオードが使用され得る(図示せず)。ただし、高速スイッチング機能を有する任意のスイッチを使用してもよい。制御システム(プロセッサなど)(図示せず)は、スイッチ20a、20b、30a、30b、40a、40bのスイッチングを制御して、インバータ10のAC出力を制御する。パワーインバータはまた、DCバスコンデンサ50を含み、これは、より安定したDC電圧を提供し、インバータが散発的に大電流を要求するときに変動を制限する。DCバスコンデンサは、単一のコンデンサとして表されるが、実際には、DCバスコンデンサは、1つまたは複数のコンデンサで構成される。正弦波出力電流は、6つのスイッチのスイッチング状態の組み合わせによって、AC出力14で作成することができる。
【0049】
電力変換、特に電気モータに電力を供給するために使用されるインバータのための高電力変換に関与する電流のために、熱は、回路コンポーネントおよび回路接続部およびPCB内で生成される。
【0050】
従来技術の解決策は、回路全体を冷却流体に浸すことによって、例えば、チャンバと流体連通する入口および出口を有するチャンバ内で、冷却流体がチャンバを通って流れ、コンポーネント、回路およびPCBから熱を抽出して、この問題に対処していた。しかしながら、この配置の問題は、オイルがコンポーネントおよびPCBと接触しているため、誘電性オイルなどの浸される冷却流体内での使用についてコンポーネントおよびPCBに適格性を付与するための設計者および製造業者への負担があることである。
【0051】
発明者等は収容される冷却流体溶液を使用してシステムの様々な部分を冷却することで、この問題に対処しようとしている。すなわち、冷却流体は画定された領域に収容されるため、PCBおよびコンポーネントは冷却流体に浸されず、システムで使用されているコンポーネントの適格性付与の負担が軽減される。
【0052】
ここでは、2つの主な分野について説明する。
(i) パワーデバイスおよびDCコンデンサの冷却
(ii) その他の大きな部品およびPCBの冷却
【0053】
パワーデバイスおよびDCコンデンサの冷却
コンバータ10の上部20a、30a、40aおよび下部20b、30b、40bスイッチを参照すると、各スイッチは、ヒートシンクに取り付けられた複数の別個のパワースイッチングデバイスを備える。複数のパワースイッチングデバイスは、より大きなスイッチの機能を提供するために一緒に動作する。
【0054】
図2は、ヒートシンク120に取り付けられたパワースイッチングデバイス110の例示的な構成を示す。パワーデバイス110は、ヒートシンク120上で支持され、パワーデバイス110からの熱がヒートシンク120に流入し得るように、ヒートシンク120に機械的および熱的に接続される。さらに、いくつかの実施形態では、ヒートシンク120はバスバーとしても機能し得、すなわち、電流は、パワーデバイス110とヒートシンク120との間、およびさらにヒートシンク120とヒートシンク120に電気的に接続され得る任意のPCBまたは他のコンポーネントとの間を流れ得る。参照を容易にするために、パワーデバイス110が取り付けられるヒートシンク120の面は、ヒートシンク120の前面120aと称される。ヒートシンク120の前面120aの反対側の面は、ヒートシンク120の背面120bと称される。
【0055】
図3は、熱モジュール130の簡略化された図を示す。ヒートシンク120およびパワーデバイス110に冷却を提供するために、ヒートシンクは、熱モジュール130に取り付けられる。熱モジュール130は、冷却流体が流れ得るチャンバ140を有する本体を備える。チャンバ140と流体連通する入口150および出口160は、冷却流体がチャンバ140に出入りすることを可能にする。
【0056】
図4は、熱モジュール130に取り付けられたヒートシンク120を示す。ヒートシンク120は、チャンバ140との流体密閉シールを作成するようにヒートシンクに取り付けられる。ヒートシンク120は、ヒートシンク120の背面120bがチャンバ140に露出し、したがって、チャンバ140を通って流れる冷却流体と接触するように取り付けられる。
【0057】
ヒートシンク120はまた、デバイス間の電流を伝導するためのバスバーとして機能し得るので、熱モジュール130は、高温ナイロン(HTN)、ポリフェニレンサルフィド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリタラミド、およびこれらのガラス充填バージョンによって例示される(が、これらに限定されない)、ポリマー材料などの非導電性材料から作製されることが好ましい。
【0058】
図5は、ヒートシンク120の背面120bを示す。いくつかの実施形態では、ヒートシンク120の背面120bは、ヒートシンク120とチャンバ140内のヒートシンク120と接触する冷却流体との間の熱伝達の増加を提供するために、熱交換素子170を備えてもよい。これらの熱交換素子170は、ヒートシンク120の背面120bからチャンバ140内に延在するピンまたはフィンまたは他の同様の特徴の形態をとり得る。そのような構成は、チャンバ140内の冷却流体と接触する増加された表面積を与える。
【0059】
図6は、入口150と出口160との間の冷却流体の流路内にフローダイバータ200を有する実施形態を示す。フローダイバータは、冷却流体が熱モジュール130を通って蛇行するように配置され、これは、ヒートシンク120と冷却流体との間の熱伝達を改善する。さらに、フローダイバータ200は、冷却流体内に乱流を引き起こし得、冷却流体の一部をヒートシンクの背面に集束させるジェット機能も提供し得る。
【0060】
図7から
図9は、明確化のために分離したフローダイバータ200を示す。フローダイバータ200は、ヒートシンク120の背面120bに実質的に平行に配置された上部プレート210を備える。上部プレート210は、ヒートシンク120の背面120bに面する内面210bと、内面210bに対向する外面210aとを有する。上部プレート210は、チャンバ140の長さの少なくとも一部に沿って延在する長さを有する。実施形態では、上部プレート210の長さは、熱モジュール130の入口150と出口160との間に延在してもよい。
【0061】
フローダイバータ200は、冷却流体の流れを遮断するための複数の内側バッフル230を備える。内側バッフル230は、上部プレート210の内面210bからヒートシンク120の背面120bに向かって延在する。フローダイバータ200はまた、冷却流体の流れを遮断するための複数の外側バッフル220を備える。外側バッフル220は、上部プレート210の外面210aから熱モジュール130のチャンバ140の内壁まで延在する。
【0062】
いくつかの実施形態では、外側220および/または内側230バッフルは、入口150と出口160との間の冷却流体の流れを遮断する、上部プレート210の高さに沿って延在する。
【0063】
冷却流体を、熱モジュール130のチャンバ140を通って蛇行させるために、フローダイバータ200は、冷却流体が上部プレート210の内面210bと外面210aとの間を流れることを可能にするように配置された、上部プレート210内の複数の貫通スロット240、250を備えている。
【0064】
内側230バッフルおよび外側220バッフルは、上部プレート210の長さに沿って交互に配置される。
【0065】
2つのグループの複数の貫通スロット240、250がある。第1の複数の貫通スロット240は、内側230と外側220のバッフルとの間の上部プレート210に位置する。好ましい実施形態では、第1の複数の貫通スロット240は、上部プレート200を通ってヒートシンク120に向かう冷却流体の流れを可能にするために、内側230と外側220のバッフルとの間に配置される。図に示されるように、第1の複数の貫通スロット230は、複数の水平スロットの形態であってもよいが、他の構成は当業者には明らかであろう。さらに、これらはスロットとして説明されているが、開口はスロット構成に限定される必要はなく、スロットの代わりに他の開口形状が使用され得る。
【0066】
第2のグループの貫通スロット250は、外側220と内側230のバッフルとの間の上部プレート210に位置する。第2の複数の貫通スロット250は、上部プレート210の外面210aからヒートシンク120に向かう冷却流体の流れを可能にするために、外側220と内側230のバッフルとの間に配置される。図に示されるように、第2の複数の貫通スロットの各々は、垂直スロットを備えるが、当業者には他の構成または配置が明らかであろう。同様に、これらはスロットとして説明されているが、開口はスロット構成に限定される必要はなく、他の開口形状がスロットの代わりに使用され得る。
【0067】
第1の240および第2の250複数の貫通スロットは、内側230および外側220バッフルと共に、フローダイバータ200の上部プレート219の長さに沿って配置され、冷却流体が、第2の複数の貫通スロット250を通ってヒートシンク120から離れて、第1の複数の貫通スロット240を通ってヒートシンク120に向かって、交互に蛇行することを可能にする。
【0068】
上述したように、いくつかの実施形態では、外側220および/または内側230バッフルは、入口150と出口160との間の冷却流体の流れを遮断する上部プレート210の高さに沿って延在し、これは、冷却流体のすべてをヒートシンク120から離れたりヒートシンク120に向かったりして蛇行するように強制する。
【0069】
図11は、内側230バッフルが、上部プレート210の高さに沿って一部のみ延在する実施形態を示す。
【0070】
これらの実施形態では、外側220および/または内側230の1つまたは複数のバッフルは、入口150と出口160との間の冷却流体の流れを部分的に遮断し、ヒートシンク120から離れることなく、1つのセクションからの冷却流体の一部がバッフルを介して隣接するセクションに流出することを可能にする、上部プレート210の高さに沿った部分のみが延在する。前のセクションからの冷却器の冷却流体が次のセクションに流れ込むことがあるため、この構成は、外側220および内側230がフローダイバータ200の高さを延長する実施形態よりも改善された冷却性能を提供することが見出されている。これは、各セクションが前のセクションから順次供給されるこの構成で特に有用である。したがって、ブリード経路がない場合、最終セクションに関連付けられたパワーデバイス110は、(前のセクションからの加熱に起因して)最も高温の冷却流体を受け取る。ブリード経路を実装することによって、冷却流体は、最も高温のパワーデバイス110に到達することができ、したがって、それらのコンポーネント上の熱応力を低減することができる。さらに、そのような配置は、入口150と出力160との間の冷却流体の全体的な圧力降下を低減することが見出されている。
【0071】
好ましくは、入口150と出口160との間の流路内の少なくとも第1のバッフルは、低減された高さを有する。いくつかの実施形態では、バッフルの残りの一部またはすべてはまた、低減された高さを有する。
【0072】
ヒートシンク120が熱モジュール130に取り付けられる実施形態を説明した。
【0073】
図12および13は、電力変換器の位相のうちの1つのための好ましい構成を示す。
【0074】
いくつかの実施形態では、位相のうちの1つにおいてスイッチを実装するためのパワーデバイス110の数は、2つのヒートシンク120にわたって分割される。そのような構成では、各ヒートシンク120は、それぞれの熱モジュール130に取り付けられ、各モジュール130は、熱チャンバ140を備える。この構成では、熱モジュール130は、それらの間にギャップ190aを有するように配置することができる。適切なサイズのギャップ190aによって、熱モジュール130の間に他のコンポーネントを挟むことが可能である。示される例では、DCコンデンサ180は、ギャップ190aに位置し、熱モジュール130は、それらの間にDCコンデンサ180をはめ込むように、またモジュール130がDCコンデンサ180と接触するように離間される。そのような配置は、DCコンデンサ180から熱を除去するように、熱モジュール130がDCコンデンサ180と熱接触することを可能にする。この構成はまた、位相のためのコンパクトな構成を提供し、冷却を伴うスイッチを実装するために必要なスペースを最小限に抑える。
【0075】
いくつかの実施形態では、一対の熱モジュール130は、支持構造190bを使用して、各端部で支持され、一緒に接合される。そのような構成では、一対の熱モジュール130および支持構造190bは、DCコンデンサ180を囲む。いくつかの実施形態では、支持構造190bは、熱モジュール130と一体となるように、熱モジュール130のそれぞれから延在する堅い壁部分である。他の実施形態では、支持構造190bの壁内の追加の流路が、熱モジュール130の間に設けられてもよい。流路は、チャンバ140のいずれかまたは両方と流体連通して、チャンバ140間に追加の流れを提供し得る。上記の実施形態のいずれかにおいて、支持構造190bを有する熱モジュール130は、単一の部品または一緒に接合された複数の部品から形成されてもよい。
【0076】
多相変換器では、各相は、このようにしてモジュール式の解決策を提供するように構成され得る。
【0077】
PCBおよびその他のコンポーネントの冷却
次に、電力変換器に使用されるPCBやその他のコンポーネントの冷却について説明する。
【0078】
図14から17は、冷却装置の態様、および電力変換器の冷却コンポーネントにおけるその使用を示す。これらの図のいくつかは、(上述したように)電源モジュールの冷却装置と組み合わせたPCB冷却装置を示すが、PCB冷却装置は、電源モジュールの冷却装置の代わりに、または電源モジュールの冷却装置と同様に使用され得ることを理解されたい。
【0079】
ベース300は、上部プレート300a、側壁300b、および底部プレート300cを備えている。PCB370(様々なコンポーネント、銅トラックなどを担持する)は、上部プレート300aの外面に取り付けられる。PCB370は、上部プレート300aに機械的に接続または接合されてもよく、また、上部プレート300aに熱的に結合されてもよい。上部プレート300a、側壁300b、および底部プレート300cは、入口320および出口330と流体連通するチャンバ310を画定する。チャンバ310は、入口320と出口330との間を流れる冷却流体で満たされる。
【0080】
ベース300は、そこを通って冷却流体を流すための複数の流路340を備える。流路340のそれぞれは、PCBに取り付けられた1つまたは複数のコンポーネントの位置、または冷却が必要なまたは所望される上部プレート300aの他の領域と一致するように配置される。
【0081】
好ましくは、少なくとも上部プレート300aは、PCB370および他のコンポーネントの冷却を容易にするために、熱伝導性材料から作製される。
【0082】
いくつかの実施形態では、流路340のうちの1つまたは複数は、流路の他の部分340よりも大きな幅を有する1つまたは複数の部分350を備える。これらの領域内の冷却流体と接触する上部プレート300aの下面の表面積が増加するため、これは有利に、より大きな冷却領域を提供する。
【0083】
さらにより大きな冷却を提供するために、1つまたは複数の冷却特徴または熱交換素子360は、上部プレート300aの内面から流路340の1つまたは複数のより広い部分350に突出し、冷却流体と接触し得る。再び、熱交換素子360は、冷却流体との上部プレート300aの接触表面積を増加させ、これは、上部プレート300aから冷却流体に伝達することができる熱の量を増加させる。これらの熱交換素子360はまた、流路340のより狭い部分に設けられてもよい。1つまたは複数の冷却特徴360は、ピンもしくはフィンまたは他の既知の熱交換素子を備え得る。
【0084】
図16および17は、説明されるように冷却装置を使用する例示的な電力変換器を示し、
図16は切断図を示し、
図17は投影図を示す。再び、この図はPCB冷却および電源モジュール冷却の両方を示すが、両方の冷却態様を一緒に使用する必要はない。しかしながら、冷却性能が大幅に改善されるため、両方の冷却態様を一緒に使用することが好ましい。
【0085】
最初にPCB冷却に焦点を当てると、上述したように、ベース300は、チャンバ310と流体連通する入口320および出口330として有し、チャンバは、1つまたは複数の流路340と流体連通する。流路340は、DCコンデンサ180の位置の下に配置されていることが示される。好ましい実施形態では、流路340の広がった部分350は、DCコンデンサ180の位置と一致するように位置する。これは、それらの領域内のPCBに対して、またDCコンデンサ180自体に対しても改善された冷却を提供する。
【0086】
流路340はまた、冷却流体への熱伝達を改善するように構成されたPCB370内の他のコンポーネントまたは特徴またはトラックを備えるPCB370の領域と一致してもよい。例えば、より大きな電流を伝達するために、PCB370層内の大きな銅トラックは、改善された熱伝達のために流路340の上にまたは隣接して位置づけられ得る。さらに、大きな電流を伝達するバスバー380などの電力変換器の他のコンポーネントまたは特徴は、追加の冷却を受けるようにPCB370上に配置されてもよく、またはベース300の上部プレート300aを介して熱が抽出されるように配置されてもよい。
【0087】
図16および17に示されるように、熱モジュール130も冷却される実施形態に関し、入口150および出口160を介して熱モジュール130のチャンバ140に冷却流体を供給するために、追加の流路390が提供される。これらの追加の流路390は、ベース300のチャンバ310と流体連通している。
【0088】
そのような配置を使用することによって、コンポーネントは、冷却流体によって依然として冷却されている間に、冷却流体から離れる。したがって、冷却流体は画定された領域に収容されるため、PCBおよびコンポーネントは冷却流体に浸されず、システムで使用されているコンポーネントの適格性付与の負担を軽減する。
【0089】
示される電力変換器はまた、1つまたは複数の電圧入力を受信するための1つまたは複数の入力400と、1つまたは複数の出力電圧を出力するための1つまたは複数の出力410とを備える。好ましい実施形態では、電力変換器は、DC入力電圧を受け取り、1つまたは複数のAC出力相電圧、好ましくは3相AC出力電圧を出力するインバータである。EMIを低減するために、DCおよび/またはACチョークを設けてもよい。これらの1つまたは複数のAC出力相電圧は、モータもしくはヒータまたは他の既知の負荷などの負荷に電力を供給するのに適していてもよい。
【0090】
【0091】
示される電力変換器はまた、制御PCB430を含んでもよく、制御PCB430は、例えば、パワーデバイス110および熱モジュール130などの電力コンポーネントの上に配置されてもよい。変換器はまた、デバイスにとって過酷な環境であり得る外部環境からコンポーネントを保護するために、ハウジング420で覆われ得る。
【0092】
図19は、DCコンデンサ180の代替構成を示す。この構成では、前の実施形態のように3つの列とは対照的に、より小さいコンデンサ180の5つの行がある。これは、コンデンサがより分散しているため、より並行して作動し、各相のヒートシンク間の接続が短くなるため、全体的なエンクロージャの高さを低減し、位相接続損失およびACループインダクタンスも低減し得る。示されるそのような配置では、コンデンサ180の3つの中間の行は、熱モジュール130(存在する場合)およびベース上部プレート300aを介して冷却され得、コンデンサ180の外側の2行は、ベース上部プレート300aを介して冷却される。
【0093】
図20は、さらなる代替構成を示す。この構成では、熱モジュール130の各対は、背中合わせに配置される。すなわち、冷却のための他のコンポーネントの配置を可能にする熱モジュール130間のギャップがない。DCコンデンサ180は、例えば、PCBの外側に配置される。これは、DCコンデンサ180の一例の構成であるが、他の構成も可能である。例えば、DCコンデンサ180のバンクは、隣接する熱モジュール130の間に、ならびに外縁部での追加のバンクの代わりに配置されてもよい。DCコンデンサ180の配置を考慮に入れるために、ベース300にも修正がなされる。例えば、流路340および流路の広げられた部分350は、DCコンデンサの位置の下に配置される。そのような構成は、PCB上の位相トラックの縮小された長さを提供する(これらは、熱チャンバの下に延在し得る)。DCコンデンサが熱モジュールの間にある実施形態では、トラックはより長くてもよい(そのため、より大きな抵抗を有し、熱を通してより大きな損失を与える)。コンデンサが熱モジュールから離れている代替の実装では、DCコンデンサは、熱モジュールを介して冷却されず、ベース上部プレートが提供する冷却プレート機能は、DCコンデンサを冷却するのに十分であることを見出した。
【0094】
実施形態のいずれかにおいて、冷却流体は、コンポーネントおよび熱モジュールの使用および構成に応じて適切な特性を有する誘電性冷却流体であってもよい。好ましくは、誘電性冷却流体は、流体がヒートシンクから電気的に隔離されていない実施形態(例えば、ヒートシンクがバスバーとして使用される場合)に対して適切な誘電体強度を有し得る。ヒートシンクがバスバーとして使用されず、代わりに冷却流体とパワーデバイスまたは他のコンポーネントとの間に電気的絶縁が存在する実施形態では、水、または水ベースの冷却流体などの非誘電性冷却流体が使用され得る。
【0095】
上述したように、本発明は、少なくとも以下の利点を提供し得る。
【0096】
・ 被収容流体共通回路(ある程度の汚れたオイルや侵襲性オイルが電気部品やPCBに触れることなく使用できる)。あるいは、バスバーとヒートシンクとの間に電気的絶縁が導入される場合は、水または水ベースの流体を使用してもよい。)
・ パワーデバイスの冷却はジェットおよび乱流によって提供され、ヒートシンクはバスバーでもある。
【0097】
・ DC容量およびパワーデバイスの位置による低いACループインダクタンス
・ パワーPCB層による低いPCB出力容量
・ 熱チャンバの内側(この実施形態を使用する場合)を使用する、電源基板PCBを介した冷却プレートからの(この実施形態を使用する場合)コンデンサの冷却
・ 冷却プレートを使用し、短い平面とバスバーを使用して電源基板PCBが通電する大電流の量を制限する、電源PCBの冷却
【0098】
疑いなく、多くの他の効果的な代替案が当業者に生じることとなるであろう。本発明は、説明される実施形態に限定されず、本明細書に添付される特許請求の範囲内にある当業者に明らかな修正を包含することは理解されよう。
【国際調査報告】