(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】核酸、当該核酸を含む組成物及び複合体ならびに調製方法と使用
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240705BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20240705BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K48/00
A61K31/713
A61P3/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502055
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 CN2022103049
(87)【国際公開番号】W WO2023284559
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】202110807464.3
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517452453
【氏名又は名称】スーチョウ リボ ライフ サイエンス カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU RIBO LIFE SCIENCE CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リャン、ツーツァイ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ホンイェン
(72)【発明者】
【氏名】カオ、シャン
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA13
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZC331
4C084ZC332
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZC33
(57)【要約】
本開示は、アポリポタンパク質C3(APOC3)遺伝子の発現を抑制できるsiRNAを提供する。siRNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖及びアンチセンス鎖は、それぞれ19個の修飾又は未修飾のヌクレオチドからなるヌクレオチド配列I又はヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的に逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的にAPOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の1つのヌクレオチド配列と逆相補的であり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第3~6位のヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、安定化修飾ヌクレオチドである。本開示により提供されるsiRNA及び当該siRNAを含む医薬組成物とsiRNA複合体は、APOC3遺伝子の発現に関連する疾患又は症状を効果的に治療及び/又は予防し、かつオフターゲット効果を顕著に低下させることができる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
siRNAであって、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列IIは、いずれも19個のヌクレオチドからなり、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列II中の各ヌクレオチドは、修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的に逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的に第1ヌクレオチド配列と逆相補的であり、前記第1ヌクレオチド配列は、アポリポタンパク質C3遺伝子によって発現されるmRNA中の、長さが19個のヌクレオチドであるヌクレオチド配列であり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第3~6位のヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、安定化修飾ヌクレオチドであり、前記安定化修飾ヌクレオチドとは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが安定化修飾基で置換されたヌクレオチドを指し、対応する位置のヌクレオチドが未修飾のヌクレオチドであるsiRNAと比較して、前記安定化修飾ヌクレオチドを含むsiRNAは、熱安定性が増加し、かつ前記安定化修飾基の立体障害が2’-O-メチルよりも大きい、siRNA。
【請求項2】
5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第3位又は第5位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドである、請求項1に記載のsiRNA。
【請求項3】
5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第3~9位のヌクレオチドのうちの2個以下のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドである、請求項1又は2に記載のsiRNA。
【請求項4】
前記siRNAの熱安定性が増加するとは、前記siRNAのTmが上昇することを指し、Tmは、siRNAの二本鎖熱解離温度である、請求項1~3のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項5】
前記siRNAの熱安定性が増加するとは、前記siRNAのTmが少なくとも0.05℃上昇することを指す、請求項4に記載のsiRNA。
【請求項6】
前記siRNAの熱安定性が増加するとは、前記siRNAのTmが0.1~6℃上昇することを指す、請求項4に記載のsiRNA。
【請求項7】
前記siRNAの熱安定性が増加するとは、前記siRNAのTmが0.5~4℃上昇することを指す、請求項4に記載のsiRNA。
【請求項8】
各前記安定化修飾基は独立して、-X-Rに示される構造を有し、Xは、O、NR’、S又はSiR’
2であり、Rは、C
2-C
6アルキル、置換されたC
2-C
6アルキル、C
6-C
8アリール、置換されたC
6-C
8アリールのうちの1つであり、各R’は独立して、H、C
1-C
6アルキル、置換されたC
1-C
6アルキル、C
6-C
8アリール、置換されたC
6-C
8アリールのうちの1つであり、前記置換されたC
2-C
6アルキル、置換されたC
6-C
8アリール又は置換されたC
1-C
6アルキルとは、C
2-C
6アルキル、C
6-C
8アリール、又はC
1-C
6アルキル中の1又は複数の水素原子が置換基で置換された基を指し、前記置換基は、C
1-C
3アルキル、C
6-C
8アリール、C
1-C
3アルコキシ、ハロゲン、オキシサブユニット、及びスルフィドサブユニットから選択される1又は複数である、請求項1~7のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項9】
各前記安定化修飾基は、2’-O-メトキシエチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-O-2-N-メチルアミノ-2-オキシイリデンエチル、2’-O-2-N,N-ジメチルアミノエチル、2’-O-3-アミノプロピル、及び2’-O-2,4-ジニトロフェニルから独立して選択される1つである、請求項8に記載のsiRNA。
【請求項10】
各前記安定化修飾基は、2’-O-メトキシエチルである、請求項9に記載のsiRNA。
【請求項11】
前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:2に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、
5’-CAAUAAAGCUGGACAAGAZ
1-3’(SEQ ID NO:1)、
5’-Z
2UCUUGUCCAGCUUUAUUG-3’(SEQ ID NO:2)、
ただし、Z
1はAであり、Z
2はUであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
1に対応するヌクレオチドZ
3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
2に対応するヌクレオチドZ
4が含まれ、前記Z
4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:46に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ
5-3’(SEQ ID NO:45)、
5’-Z
6GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(SEQ ID NO:46)、
ただし、Z
5はUであり、Z
6はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
5に対応するヌクレオチドZ
7が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
6に対応するヌクレオチドZ
8が含まれ、前記Z
8は、前記アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:106に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZ
9-3’(SEQ ID NO:105)、
5’-Z
10GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(SEQ ID NO:106)、
ただし、Z
9はUであり、Z
10はAであり、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ
9に対応するヌクレオチドZ
11が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ
10に対応するヌクレオチドZ
12が含まれ、前記Z
8は、前記アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドである、請求項1~10のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項12】
前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列であるか、又は、SEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列であるか、又は、SEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列である、請求項11に記載のsiRNA。
【請求項13】
前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:2に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、
或いは、前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:46に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、
或いは、前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:106に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下である、請求項11又は12に記載のsiRNA。
【請求項14】
前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:2に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z
4の位置の差異を含み、Z
4は、A、G又はCから選択され、
或いは、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:46に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z
8の位置の差異を含み、Z
8は、G、C又はUから選択され、
或いは、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:106に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z
12の位置の差異を含み、Z
12は、G、C又はUから選択される、請求項13に記載のsiRNA。
【請求項15】
前記Z
3は、Z
4と相補的なヌクレオチドであり、或いは、前記Z
5は、Z
6と相補的なヌクレオチドであり、或いは、前記Z
8は、Z
7と相補的なヌクレオチドである、請求項11~14のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項16】
前記ヌクレオチド配列IIと前記第1ヌクレオチド配列は、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記基本的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間にミスマッチがないことを指す、請求項1~15のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項17】
5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2~19位のヌクレオチドと前記第1ヌクレオチド配列の第1~18位のヌクレオチドとは、完全に逆相補的である、請求項16に記載のsiRNA。
【請求項18】
前記ヌクレオチド配列IIと前記ヌクレオチド配列Iとは、完全に逆相補的であり、或いは、5’末端から3’末端に向かう前記ヌクレオチド配列II中の第2位のヌクレオチドと、3’末端から5’末端に向かう前記ヌクレオチド配列I中の第2位のヌクレオチドとの間に塩基ミスマッチが存在する、請求項17に記載のsiRNA。
【請求項19】
前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23個のヌクレオチドであり、アンチセンス鎖の長さが19~26個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列Iは、SEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、SEQ ID NO:4に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-CAAUAAAGCUGGACAAGAZ
3-3’(SEQ ID NO:3)、
5’-Z
4UCUUGUCCAGCUUUAUUG-3’(SEQ ID NO:4)、
ただし、Z
3は、A、U、G又はCから選択され、Z
4は、Z
3と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iは、SEQ ID NO:47に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、SEQ ID NO:48に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ
7-3’(SEQ ID NO:47)、
5’-Z
8GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(SEQ ID NO:48)、
ただし、Z
7は、A、U、G又はCから選択され、Z
8は、Z
7と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記ヌクレオチド配列Iは、SEQ ID NO:107に示されるヌクレオチド配列であり、前記ヌクレオチド配列IIは、SEQ ID NO:108に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZ
11-3’(SEQ ID NO:107)、
5’-Z
12GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(SEQ ID NO:108)、
ただし、Z
11は、A、U、G又はCから選択され、Z
12は、Z
11と相補的なヌクレオチドである、請求項1~18のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項20】
Z
3はAであり、Z
4はUであり、或いは、Z
7はUであり、Z
8はAであり、或いは、Z
11はUであり、Z
12はAである、請求項19に記載のsiRNA。
【請求項21】
5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドではない場合、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドである、請求項1~20のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項22】
前記ヌクレオチド配列II中の全てのヌクレオチドは、いずれも修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の全てのヌクレオチドは、いずれも修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドではない場合、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列II中の他のヌクレオチドは、それぞれ独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つである、請求項21に記載のsiRNA。
【請求項23】
5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7~9位のヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドである、請求項1~22のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項24】
前記ヌクレオチド配列I中の全てのヌクレオチドは、いずれも修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7~9位のヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドである、請求項23に記載のsiRNA。
【請求項25】
前記ヌクレオチド配列I中の全てのヌクレオチドは、いずれも修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7~9位のヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列I中の他のヌクレオチドは、それぞれ独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つである、請求項24に記載のsiRNA。
【請求項26】
前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIを更に含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVを更に含み、前記ヌクレオチド配列III及び前記ヌクレオチド配列IVの各ヌクレオチドは独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つであり、かつ前記安定化修飾ではなく、前記ヌクレオチド配列IIIの長さは、1個、2個、3個、4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IVと前記ヌクレオチド配列IIIとは、長さが等しく、かつ実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合され、かつ前記ヌクレオチド配列IVは、第2ヌクレオチド配列と実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2ヌクレオチド配列とは、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、第1ヌクレオチド配列に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す、請求項1~25のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項27】
前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも1個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基は、Cであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基は、Gであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも2個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、CCであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、GGであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとの長さは、いずれも3個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、UCCであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、GGAであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVの長さは、いずれも4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、CUCCであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、GGAGである、請求項26に記載のsiRNA。
【請求項28】
前記第2ヌクレオチド配列は、長さが1個、2個、3個又は4個のヌクレオチドであり、塩基組成がそれぞれC、CC、UCC又はCUCCである、請求項27に記載のsiRNA。
【請求項29】
前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも1個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基は、Cであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基は、Gであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも2個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、GCであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、GCであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとの長さは、いずれも3個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、UGCであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、GCAであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、UUGCであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、GCAAである、請求項26に記載のsiRNA。
【請求項30】
前記第2ヌクレオチド配列は、長さが1個、2個、3個又は4個のヌクレオチドであり、塩基組成がそれぞれC、GC、GCA又はGCAAである、請求項29に記載のsiRNA。
【請求項31】
前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも1個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基は、Gであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基は、Cであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも2個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、AGであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、CUであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも3個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、AAGであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、CUUであり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、AAAGであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、CUUUである、請求項26に記載のsiRNA。
【請求項32】
前記第2ヌクレオチド配列は、長さが1個、2個、3個又は4個のヌクレオチドであり、塩基組成がそれぞれG、AG、AAG又はAAAGである、請求項31に記載のsiRNA。
【請求項33】
前記siRNAは、オリゴヌクレオチド配列Vを更に含み、前記オリゴヌクレオチド配列Vの各ヌクレオチドは独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つであり、かつ前記安定化修飾ヌクレオチドではなく、前記ヌクレオチド配列Vは、長さが1~3個のヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の3’末端に結合されて、前記アンチセンス鎖の3’オーバーハング端を構成する、請求項1~32のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項34】
前記ヌクレオチド配列Vは、長さが2個のヌクレオチドであり、かつ5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Vは、連続した2個のチミンデオキシリボヌクレオチドであり、連続した2個のウラシルリボヌクレオチドであり、又は第3ヌクレオチド配列と完全に逆相補的であり、前記第3ヌクレオチド配列は、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、第1ヌクレオチド配列又は第2ヌクレオチド配列に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列Vと等しいヌクレオチド配列を指す、請求項33に記載のsiRNA。
【請求項35】
前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を有し、前記第3ヌクレオチド配列の塩基組成は、CCであり、或いは、前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列を有し、前記第3ヌクレオチド配列の塩基組成は、GCであり、或いは、前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列を有し、前記第3ヌクレオチド配列の塩基組成は、AGである、請求項34に記載のsiRNA。
【請求項36】
前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:6に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CAAUAAAGCUGGACAAGAZ
3-3’(SEQ ID NO:5)、
5’-Z
4UCUUGUCCAGCUUUAUUGGG-3’(SEQ ID NO:6)、
ただし、前記Z
4は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
3は、A、U、G又はCから選択され、Z
4は、Z
3と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:8に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CCCAAUAAAGCUGGACAAGAZ
3-3’(SEQ ID NO:7)、
5’-Z
4UCUUGUCCAGCUUUAUUGGGAG-3’(SEQ ID NO:8)、
ただし、前記Z
4は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
3は、A、U、G又はCから選択され、かつZ
4は、Z
3と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:49に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:50に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ
7-3’(SEQ ID NO:49)、
5’-Z
8GAAUACUGUCCCUUUUAAGC-3’(SEQ ID NO:50)、
ただし、前記Z
8は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
7は、A、U、G又はCから選択され、Z
8は、Z
7と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:51に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:52に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCZ
7-3’(SEQ ID NO:51)、
5’-Z
8GAAUACUGUCCCUUUUAAGCAA-3’(SEQ ID NO:52)、
ただし、前記Z
8は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
7は、A、U、G又はCから選択され、Z
8は、Z
7と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:49に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:149に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ
7-3’(SEQ ID NO:49)、
5’-Z
8GAAUACUGUCCCUUUUAAUU-3’(SEQ ID NO:149)、
ただし、前記Z
8は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
7は、A、U、G又はCから選択され、Z
8は、Z
7と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:51に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:150に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCZ
7-3’(SEQ ID NO:51)、
5’-Z
8GAAUACUGUCCCUUUUAAGCUU-3’(SEQ ID NO:150)、
ただし、前記Z
8は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
7は、A、U、G又はCから選択され、Z
8は、Z
7と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:109に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:110に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZ
11-3’(SEQ ID NO:109)、
5’-Z
12GCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(SEQ ID NO:110)、
ただし、前記Z
12は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
11は、A、U、G又はCから選択され、Z
12は、Z
11と相補的なヌクレオチドであり、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:111に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:112に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-AGGGACAGUAUUCUCAGUGCZ
11-3’(SEQ ID NO:111)、
5’-Z
12GCACUGAGAAUACUGUCCCUUU-3’(SEQ ID NO:112)、
ただし、前記Z
12は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z
11は、A、U、G又はCから選択され、Z
12は、Z
11と相補的なヌクレオチドである、請求項1~35のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項37】
各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが非フッ素基で置換されたヌクレオチド、又はヌクレオチドアナログから独立して選択される1つである、請求項1~36のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項38】
各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、いずれもメトキシ修飾ヌクレオチドであり、前記メトキシ修飾ヌクレオチドとは、リボースの2’-ヒドロキシがメトキシで置換されたヌクレオチドを指す、請求項1~37のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項39】
前記siRNAは、siAPOC3a1-M1、siAPOC3a1-M2、siAPOC3a2-M1、siAPOC3a2-M2、siAPOC3b1-M1、siAPOC3b1-M2、siAPOC3b2-M1、siAPOC3b2-M2、siAPOC3b3-M1、siAPOC3b3-M2、siAPOC3b4-M1、siAPOC3b4-M2、siAPOC3c1-M1、siAPOC3c1-M2、siAPOC3c2-M1、及びsiAPOC3c2-M2のうちの1つである、請求項1~38に記載のsiRNA。
【請求項40】
前記センス鎖及び前記アンチセンス鎖のうちの少なくとも1つの一本鎖のリン酸-糖骨格中のリン酸エステルのうちの少なくとも1つは、修飾基を有するリン酸エステルであり、前記修飾基を有するリン酸エステルは、
前記センス鎖の5’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の5’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の3’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、及び
前記アンチセンス鎖の3’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間からなる群から選択される少なくとも1つに存在する、請求項1~38のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項41】
前記siRNAは、siAPOC3a1-M1S、siAPOC3a1-M2S、siAPOC3a2-M1S、siAPOC3a2-M2S、siAPOC3b1-M1S、siAPOC3b1-M2S、siAPOC3b2-M1S、siAPOC3b2-M2S、siAPOC3b3-M1S、siAPOC3b3-M2S、siAPOC3b4-M1S、siAPOC3b4-M2S、siAPOC3c1-M1S、siAPOC3c1-M2S、siAPOC3c2-M1S及びsiAPOC3c2-M2Sのうちの1つである、請求項40に記載のsiRNA。
【請求項42】
前記アンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドは、5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドである、請求項1~38及び40のいずれか一項に記載のsiRNA。
【請求項43】
前記siRNAは、siAPOC3a1-M1P1、siAPOC3a1-M2P1、siAPOC3a2-M1P1、siAPOC3a2-M2P1、siAPOC3a1-M1SP1、siAPOC3a1-M2SP1、siAPOC3a2-M1SP1、siAPOC3a2-M2SP1、siAPOC3b1-M1P1、siAPOC3b1-M2P1、siAPOC3b2-M1P1、siAPOC3b2-M2P1、siAPOC3b1-M1SP1、siAPOC3b1-M2SP1、siAPOC3b2-M1SP1、siAPOC3b2-M2SP1、siAPOC3b3-M1P1、siAPOC3b3-M2P1、siAPOC3b4-M1P1、siAPOC3b4-M2P1、siAPOC3b3-M1SP1、siAPOC3b3-M2SP1、siAPOC3b4-M1SP1、siAPOC3b4-M2SP1、siAPOC3c1-M1P1、siAPOC3c1-M2P1、siAPOC3c2-M1P1、siAPOC3c2-M2P1、siAPOC3c1-M1SP1、siAPOC3c1-M2SP1、siAPOC3c2-M1SP1、及びsiAPOC3c2-M2SP1のうちの1つである、請求項42に記載のsiRNA。
【請求項44】
請求項1~43のいずれか一項に記載のsiRNA及び薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項45】
請求項1~43のいずれか一項に記載のsiRNA及び当該siRNAに複合して結合される複合基を含み、前記複合基は、リンカー及び薬学的に許容される標的基を含み、前記siRNA、前記リンカー、及び前記標的基は、順に共有結合的に又は非共有結合的に結合され、各前記標的基は、細胞表面受容体に結合できるリガンドから選択される、siRNA複合体。
【請求項46】
請求項1~43のいずれか一項に記載のsiRNA、及び/又は、請求項44に記載の医薬組成物、及び/又は、請求項45に記載のsiRNA複合体の、APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状を治療及び/又は予防する薬物の調製における使用。
【請求項47】
前記APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状は、脂質異常症である、請求項46に記載の使用。
【請求項48】
APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状の治療及び/又は予防方法であって、請求項1~43のいずれか一項に記載のsiRNA、及び/又は、請求項44に記載の医薬組成物、及び/又は、請求項45に記載のsiRNA複合体を、それを必要とする被験体に投与することを含む、方法。
【請求項49】
前記APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状は、脂質異常症である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
細胞中のAPOC3遺伝子の発現レベルの抑制方法であって、請求項1~43のいずれか一項に記載のsiRNA、及び/又は、請求項44に記載の医薬組成物、及び/又は、請求項45に記載のsiRNA複合体の有効量を前記細胞と接触させることを含む、方法。
【請求項51】
請求項1~43のいずれか一項に記載のsiRNA、及び/又は、請求項44に記載の医薬組成物、及び/又は、請求項45に記載のsiRNA複合体を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、オフターゲット効果を低下させ、アポリポタンパク質C3(APOC3)遺伝子発現を抑制できる核酸、当該核酸を含む組成物と複合体に関する。本開示は更に、これらの核酸、組成物及び複合体の調製方法と使用に関する。
【背景技術】
【0002】
脂質異常症は、高脂血症とも呼ばれ、脂肪代謝又は作動の異常により、血漿脂質が正常値より高くなる全身性疾患であり、全世界の患者の健康に深刻な脅威を与えている。アポリポタンパク質C3(APOC3)は、脂質代謝において重要な役割を果たし、APOC3変異遺伝子を保有する人は、血液循環中のAPOC3の発現量が46%低下し、血漿中のトリグリセリドレベルが一般の人と比較して39%低下する。したがって、低分子干渉RNA(small interfering RNA、siRNA)を用いて遺伝子レベルで遺伝子発現をサイレンシングさせ、APOC3を遮断することができれば、APOC3に関連する脂質異常症を治療する理想的な手段となることに疑いはない。近年、APOC3遺伝子の発現を抑制するsiRNA医薬品の開発においてかなりの進展があった。
【0003】
siRNA医薬品の開発研究において、オフターゲット効果は、毒性に関連する重要な副作用の1つである。現在、前臨床の薬学的研究で優れた薬学的活性を示す多くのsiRNAは、オフターゲット効果による毒性のため、実際の薬物研究開発に用いることが困難である。実際に患者に投与される薬物の調製に用いられることが期待される理想的なsiRNAは、オフターゲット効果による低毒性を含めて、疑いなく低毒性であるべきである。したがって、本分野において、低いオフターゲット効果を有するsiRNAをどのように取得するかについては、更に深く探索する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オフターゲット効果を顕著に低下させ、APOC3遺伝子を抑制できるsiRNAを開発するために、本発明者らは、配列の特定の位置に安定化修飾ヌクレオチドを有するsiRNAが、対応する位置に安定化修飾ヌクレオチドを有していないsiRNAよりも顕著に低いオフターゲット効果を示すことを、予想外に見出した。更に、配列の特定の位置に安定化修飾ヌクレオチドを有するいくつかのsiRNAは、顕著に低いオフターゲット効果を有するとともに、安定化修飾ヌクレオチドを有していないsiRNAと比較して明らかに低下していないか又はそれに相当するAPOC3遺伝子抑制活性を示す。そこで、本発明者らは、以下の発明を行った。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本開示は、siRNAを提供し、前記siRNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列IIは、いずれも19個のヌクレオチドからなり、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列II中の各ヌクレオチドは、修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的に逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的に第1ヌクレオチド配列と逆相補的であり、前記第1ヌクレオチド配列は、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、長さが19個のヌクレオチドであるヌクレオチド配列であり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第3~6位のヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、安定化修飾ヌクレオチドであり、前記安定化修飾ヌクレオチドとは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが安定化修飾基で置換されたヌクレオチドを指し、対応する位置のヌクレオチドが未修飾のヌクレオチドであるsiRNAと比較して、前記安定化修飾ヌクレオチドを含むsiRNAは、熱安定性が増加し、かつ前記安定化修飾基の立体障害が2’-O-メチルよりも大きい。
【0006】
別の態様において、本開示は、医薬組成物を更に提供し、当該医薬組成物は、本開示により提供されるsiRNA及び薬学的に許容される担体を含む。
【0007】
更に別の態様において、本開示は、siRNA複合体を更に提供し、前記siRNA複合体は、本開示により提供されるsiRNA及び当該siRNAに複合して結合される複合基を含み、前記複合基は、リンカー及び薬学的に許容される標的基を含み、前記siRNA、前記リンカー、及び前記標的基は、順に共有結合的に又は非共有結合的に結合され、各前記標的基は、細胞表面受容体に結合できるリガンドから選択される。
【0008】
更に別の態様において、本開示は、本開示のsiRNA、医薬組成物、及びsiRNA複合体の、APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状を治療及び/又は予防する薬物の調製における使用を更に提供する。
【0009】
更に別の態様において、本開示は、APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状の治療及び/又は予防方法を更に提供し、前記方法は、本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体を、それを必要とする被験体に投与することを含む。
【0010】
更に別の態様において、本開示は、細胞中のAPOC3遺伝子の発現レベルの抑制方法を更に提供し、前記方法は、本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体の有効量を前記細胞と接触させることを含む。
【0011】
また、本開示は、キットを更に提供し、前記キットは、本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体を含む。
【0012】
[引用による組み込み]
本明細書で言及される全ての出版物、特許及び特許出願は、各々の出版物、特許又は特許出願が特別にかつ個別に引用により本明細書に組み込まれるのと同じ程度に、引用により本明細書に組み込まれる。
【発明の効果】
【0013】
本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体は、良好な安定性を有し、低いオフターゲット効果を有し、良好なAPOC3遺伝子発現抑制活性を有し、かつ良好な脂質低下効果を示す。以下、具体的に説明する。
【0014】
第一に、本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体は、インビトロ又はインビボにおいて、より低いオフターゲット効果及び/又はオフターゲット効果による毒性反応を有し得る。特に、本開示のsiRNA複合体を投与したマウスは、参照siRNA複合体の場合と比較して、顕著に低い血液生化学的結果及び明らかな毒性優位性を示した。例えば、本開示のsiRNA複合体を100mg/kgの用量で投与したマウスにおいては、血液生化学的指標が顕著に低下し、ブランク対照群と比較して明らかな異常がなく、また、本開示のsiRNA複合体を投与したマウスにおいては、参照siRNA複合体と比較して、中程度以上の炎症性細胞浸潤及び壊死が示されず、組織病理学的に顕著に低い毒性反応を示した。また、例えば300mg/kgの高用量でも、血清ALTはブランク対照群と比較して明らかな差異がなく、また、参照複合体を投与したマウスのうちの6匹のマウスの組織病理切片において、いずれも炎症性細胞浸潤を示したのと比べて、本開示の複合体を投与したマウスのうち、炎症性細胞浸潤を示したのは3匹のみで、炎症性細胞浸潤を示したマウスの数は明らかに低下した。また、例えば本開示のsiRNA複合体は低いオフターゲット効果を有し、インビトロsicheck系において、本開示のsiRNA複合体は優れたオンターゲット目的配列抑制活性を示し、IC50値が4.50pM~11.3pMであり、また、試験したsiRNA濃度の全範囲内でのオフターゲット目的配列抑制率はいずれも50%未満であり、低いオフターゲット効果を示した。また、例えば、本開示のsiRNA複合体を毎週300mg/kgの高用量で3週間連続投与したマウスにおいて、血清ALT及びAST濃度はブランク対照群のレベルに相当する。更に、本開示のsiRNA複合体を投与したマウスの病理切片においては、肝脂肪変性及び炎症に関して同様にブランク対照群に近い反応を示し、顕著な異常がなく、本開示のsiRNA複合体が非常に低い肝毒性を有することが示された。
【0015】
第二に、本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体は、インビトロとインビボの実験において優れたAPOC3遺伝子発現調節活性を示す。例えば、本開示により提供されるsiRNA複合体は、インビトロsicheck系において、非常に高い目的配列抑制活性を示し、IC50が6.89~8.55pMの間にあり、また、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照siRNA複合体と比較して近い目的配列抑制活性を有する。また、例えば、本開示により提供されるsiRNA複合体は、インビトロsicheck系において、非常に高い目的配列抑制活性を有する。0.01nMの低濃度では、目的配列発現抑制率は少なくとも38.92%、最大67.54%に達し、0.1nMの濃度では、目的配列発現抑制率は84.73~89.35%に達する。また、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照siRNA複合体に近い、又はそれらと比較して顕著に低下しない目的配列抑制活性レベルを有する。
【0016】
第三に、本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体は、インビボで良好な脂質TG低下効果を示す。例えば、投与後の異なる時点で、本開示のsiRNA複合体は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができ、かつ対応する安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照siRNA複合体に近い、又は顕著に低下しない脂質レベル低下効果を示した。特に、3mg/kgの用量で、本開示のsiRNA複合体は、最大50日間の全投与時間内に一貫して非常に高い脂質TG低下効果を示し、最大抑制率が90.2%に達することができる。また、例えば、投与後の異なる時点で、本開示のsiRNA複合体は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができ、かつ対応する安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照siRNA複合体に近い脂質レベル低下効果を示した。特に、3mg/kg及び1mg/kgの用量で、本開示のsiRNA複合体は、最大50日間の全投与時間内に一貫して非常に高い脂質TG低下効果を示し、最大抑制率が92.0%に達することができる。また、例えば、投与後の異なる時点で、異なる濃度の本開示のsiRNA複合体は、いずれもマウス血清中のTGレベルを低下させることができ、特に、9mg/kgの投与量で、1回だけ投与した後、本開示のsiRNA複合体は、64日間の長期間にわたって一貫して50%を超えるTGレベル抑制率を保持することができ、かつ抑制率が最大89.5%に達することができ、優れた脂質抑制能力を示した。また、例えば、投与後の異なる時点で、本開示のsiRNA複合体は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができる。また、実験期間の43日間内に一貫して高い抑制効果を保持し、特に、3mg/kg用量の本開示のsiRNA複合体は、マウスに対して、いずれも優れた脂質抑制効果を示し、血清TGの最大抑制率がいずれも88%よりも高く、血清CHOの最大抑制率は51.18%~57.41%である。また、例えば、投与後の異なる時点で、本開示のsiRNA複合体は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができ、また、実験期間の22日間内に一貫して高い抑制効果を保持し、かつ対応する安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照siRNA複合体に近い脂質レベル低下効果を示した。
【0017】
これにより、本開示により提供されるsiRNA、医薬組成物、及びsiRNA複合体は、顕著に低いオフターゲット効果及びオフターゲット効果による毒性反応、特に肝毒性反応を有するとともに、インビボとインビトロでAPOC3遺伝子の発現を効果的に抑制し、良好な脂質低下活性を示すことができるため、顕著に高い安全性を有するとともに、APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患症状、特に脂質異常症を効果的に治療及び/又は予防することができ、応用において明るい見通しを有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1A-1B】それぞれ本開示のsiRNA複合体又はPBSを毎週300mg/kgで3週間連続投与した後の、マウス血清中のALT及びAST濃度の散布図である。
【
図2】目的配列を含むプラスミドとsiRNA複合体又は参照siRNA NCをコトランスフェクションした後の、インビトロsicheck系における目的配列の相対的発現レベルのヒストグラムである。
【
図3A-3B】それぞれ本開示のsiRNA複合体、参照siRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。
【
図4A-4B】それぞれ本開示のsiRNA複合体、参照siRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。
【
図5A-5B】それぞれ本開示のsiRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。
【
図6】異なる濃度の本開示のsiRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。
【
図7A-7B】それぞれ本開示のsiRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。
【
図8A-8B】それぞれ本開示のsiRNA複合体、参照siRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の具体的な実施形態を詳細に説明する。ここで記述した具体的な実施形態は、本開示を説明し解釈するためのものに過ぎず、本開示を限定するものではないことを理解されたい。
【0020】
本開示において、他の説明がない限り、APOC3 mRNA又は「APOC3遺伝子によって発現されるmRNA」とは、Genbank登録番号NM_000040.3に示される配列を有するmRNAを指し、APOC3遺伝子とは、上記APOC3mRNAを転写する遺伝子を指す。
【0021】
<定義>
文脈において、特に説明がない限り、大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基組成を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1個のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1個のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右に隣接する2個のヌクレオチド間がチオリン酸エステルにより結合されていることを表し、P1は、当該P1の右側に隣接する1個のヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであることを表し、いくつかの実施形態において、P1は、具体的に修飾されたVP、Ps又はPであり、組合せ文字VPは、当該組合せ文字VPの右側に隣接する1個のヌクレオチドがビニルリン酸エステル(5’-(E)-vinylphosphonate、E-VP)修飾ヌクレオチドであることを表し、組合せ文字Psは、当該組合せ文字Psの右側に隣接する1個のヌクレオチドがチオリン酸エステル修飾ヌクレオチドであることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1個のヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。
【0022】
文脈において、前記「フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシがフッ素で置換されたヌクレオチドを指し、「非フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを指す。「ヌクレオチドアナログ」とは、核酸においてヌクレオチドの代わりとなることができるが、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド又はチミンデオキシリボヌクレオチドと構造が異なる基を指し、例えば、イソヌクレオチド、架橋ヌクレオチド(bridged nucleic acid、BNAと略称される)又は非環式ヌクレオチドがある。前記「メトキシ修飾ヌクレオチド」とは、リボースの2’-ヒドロキシがメトキシで置換されたヌクレオチドを指す。
【0023】
本明細書の文脈において、用語「相補的」又は「逆相補的」は、互換的に使用されてもよく、当業者に周知の意味、即ち、二本鎖核酸分子において、一方の鎖の塩基と他方の鎖上の塩基とが相補的に対合するという意味を有する。DNAにおいて、プリン塩基であるアデニン(A)は、常にピリミジン塩基であるチミン(T)(又は、RNAにおいてウラシル(U)である)と対合し、プリン塩基であるグアニン(C)は、常にピリミジン塩基であるシトシン(G)と対合する。各塩基対は、いずれも1つのプリンと1つのピリミジンを含む。一方の鎖上のアデニンが常に他方の鎖上のチミン(又はウラシル)と対合するとともに、グアニンが常にシトシンと対合する場合、両方の鎖同士が相補的である、またその相補的な鎖の配列から当該鎖の配列を推知できると考えられる。これに応じて、「ミスマッチ」は、本分野において、二本鎖核酸において、対応する位置の塩基が相補的に対合して存在しないことを意味する。
【0024】
文脈において、特に説明がない限り、「基本的に逆相補的」とは、関連する2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、「実質的に逆相補的」とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、「完全に逆相補的」とは、2つのヌクレオチド配列間に塩基ミスマッチが存在しないことを指す。
【0025】
文脈において、特に本開示のsiRNA、医薬組成物、又はsiRNA複合体の調製方法を説明する際に、特に説明がない限り、前記ヌクレオシドモノマー(nucleoside monomer)とは、調製対象のsiRNA又はsiRNA複合体におけるヌクレオチドの種類と順序に応じてホスホルアミダイト固相合成に用いられる修飾又は未修飾のヌクレオシドホスホルアミダイトモノマー(unmodified or modified RNA phosphoramidites。RNA phosphoramiditesをNucleoside phosphoramiditesということもある)を指す。ホスホルアミダイト固相合成は、当業者に公知のRNA合成に用いられる方法である。本開示に用いられるヌクレオシドモノマーは、いずれも市販品を購入可能である。
【0026】
1又は複数の置換基を含む任意の基に関して、これらの基が、立体的に非現実的な、合成上実行不可能な及び/又は本質的に不安定な、いかなる置換又は置換パターンも導入することは意図されないと、当業者に理解される。
【0027】
本明細書で用いられる場合、「アルキル」とは、特定の数の炭素原子を有する直鎖と分岐鎖を指し、前記特定の数は、通常1~20個の炭素原子、例えば、1~8個又は1~6個などの1~10個の炭素原子である。例えば、C1-C6アルキルは、1~6個の炭素原子の直鎖と分岐鎖アルキルを含む。特定の数の炭素を有するアルキル残基を命名する場合、当該数の炭素を有する全ての分岐鎖及び直鎖形式を含むことを意図する。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びtert-ブチルを含むことを意味し、「プロピル」は、n-プロピル及びイソプロピルを含む。アルキレンは、アルキルのサブセットであり、アルキルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0028】
本明細書で用いられる場合、「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を有する不飽和分岐鎖又は直鎖アルキルを指し、前記炭素-炭素二重結合は、親アルキルの隣接する炭素原子から1つの水素分子を除去することにより得られる。当該基は、二重結合のシス又はトランス配置にあってもよい。典型的なアルケニルとしては、ビニルと、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、プロパ-2-エン-2-イルなどのプロペニルと、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチルプロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イルなどのブテニルと、を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、アルケニルは、2~20個の炭素原子を有するが、他の実施形態において、2~10個、2~8個又は2~6個の炭素原子を有する。アルケニレンは、アルケニルのサブセットであり、アルケニルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0029】
本明細書で用いられる場合、「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する不飽和分岐鎖又は直鎖アルキルを指し、前記炭素-炭素三重結合は、親アルキルの隣接する炭素原子から2つの水素分子を除去することにより得られる。典型的なアルキニルとしては、エチニルと、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルなどのプロピニルと、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどのブチニルと、を含むが、これらに限定されない。ある実施形態において、アルキニルは、2~20個の炭素原子を有するが、他の実施形態において、2~10、2~8又は2~6個の炭素原子を有する。アルキニレンは、アルキニルのサブセットであり、アルキニルと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0030】
本明細書で用いられる場合、「アルコキシ」とは、酸素橋により結合された特定の数の炭素原子のアルキルを指し、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、2-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、ネオペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、2-ヘキシルオキシ、3-ヘキシルオキシ、3-メチルペンチルオキシなどがある。アルコキシは、通常1~10個、1~8個、1~6個又は1~4個の、酸素橋により結合された炭素原子を有する。
【0031】
本明細書で用いられる場合、「アリール」とは、芳香族単環式又は多環式炭化水素環系から誘導される、環炭素原子から水素原子を除去して形成された基を指す。前記芳香族単環式又は多環式炭化水素環系は、水素及び6~18個の炭素原子の炭素のみを含有し、前記環系中の環のうちの少なくとも1つは、完全不飽和であり、即ち、それは、ヒュッケル理論に従う環状、非局在化(4n+2)π-電子系を含む。アリールとしては、フェニル、フルオレニル及びナフチルなどの基を含むが、これらに限定されない。アリーレンは、アリールのサブセットであり、アリールと同じであるが2つの結合点を有する残基を指す。
【0032】
「ヘテロアリール」とは、2個~17個の炭素原子と、窒素、酸素及び硫黄から選択される1~6個のヘテロ原子とを含む、3~18員芳香環ラジカルから誘導される基を指す。本明細書で用いられる場合、ヘテロアリールは、単環、二環、三環又は四環系であってもよく、この環系中の環のうちの少なくとも1つは、完全不飽和であり、即ち、それは、ヒュッケル理論に従う環状、非局在化(4n+2)π-電子系を含む。ヘテロアリールは、縮合環又は架橋環系を含む。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール中のヘテロ原子は、酸化されたヘテロ原子である。いくつかの実施形態において、ヘテロアリールは、1又は複数の窒素原子を含む。いくつかの実施形態において、ヘテロアリール中の窒素原子のうちの1又は複数は、4級化された窒素原子である。ヘテロアリールは、環中の任意の原子を介して分子の残りの部分に結合される。ヘテロアリールの実例としては、アゼピニル、アクリジニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾインドール、1,3-ベンゾジオキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾ[b][1,4]ジオキセピニル(benzo[b][1,4]dioxepinyl)、ベンゾ[b][1,4]オキサジニル(benzo[b][1,4]oxazinyl)、1,4-ベンゾジオキサン(1,4-benzodioxanyl)、ベンゾナフトフラニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾジオキソリル(benzodioxolyl)、ベンゾジオキシニル(benzodioxinyl)、ベンゾピラニル、ベンゾピロニル、ベンゾフリル、ベンゾフラノニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチエノ[3,2-d]ピリミジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾ[4,6]イミダゾ[1,2-a]ピリジル、カルバゾリル、シンノリル(cinnolinyl)、シクロペンタ[d]ピリミジニル、6,7-ジヒドロ-5H-シクロペンタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6-ジヒドロベンゾ[h]キナゾリニル(5,6-dihydrobenzo[h]quinazolinyl)、5,6-ジヒドロベンゾ[h]シンノリニル(5,6-dihydrobenzo[h]cinnolinyl)、6,7-ジヒドロ-5H-ベンゾ[6,7]シクロヘプタ[1,2-c]ピリダジニル、ジベンゾフリル、ジベンゾチオフェニル、フリル、フラノニル、フロ[3,2-c]ピリジル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリミジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリダジニル、5,6,7,8,9,10-ヘキサヒドロシクロオクタ[d]ピリジル、イソチアゾリル、イミダゾリル、インダゾリル(indazolyl)、インドール、イソインドール、インドリニル、イソインドリニル、イソキノリル、インドリジニル(indolizinyl)、イソオキサゾリル、5,8-メタノ-5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル(5,8-methano-5,6,7,8-tetrahydroquinazolinyl)、ナフチリジニル(naphthyridinyl)、1,6-ナフチリジノニル(1,6-naphthyridinonyl)、オキサジアゾリル、2-オキソアゼピニル(2-oxoazepinyl)、オキサゾリル、オキシラニル(oxiranyl)、5,6,6a,7,8,9,10,10a-オクタヒドロベンゾ[H]キナゾリニル、1-フェニル-1H-ピロリル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、フタラジニル(phthalazinyl)、プテリジニル(pteridinyl)、プリニル、ピロリル、ピラゾリル、ピラゾロ[3,4-d]ピリミジニル、ピリジル、ピリド[3,2-d]ピリミジニル、ピリド[3,4-d]ピリミジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノキサリニル(quinoxalinyl)、キノリル、テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロキナゾリニル、5,6,7,8-テトラヒドロベンゾ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、6,7,8,9テトラヒドロ-5H-シクロヘプタ[4,5]チエノ[2,3-d]ピリミジニル、5,6,7,8-テトラヒドロピリド[4,5-c]ピリダジニル、チアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、トリアジニル、チエノ[2,3-d]ピリミジニル、チエノ[3,2-d]ピリミジニル、チエノ[2,3-c]プリジニル(thieno[2,3-c]pridinyl)、及びチオフェニル(thiophenyl/thienyl)を含むが、これらに限定されない。
【0033】
本開示において各種のヒドロキシ保護基を用いることができる。一般的には、保護基は、化学官能性を特定の反応条件に不敏感にすることができ、かつ分子の残りの部分を実質的に損傷することなく分子中の当該官能基に付加するか又はそれから除去することができる。代表的なヒドロキシ保護基は、Beaucageら、Tetrahedron 1992,48,2223-2311、及びGreeneand Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Chapter 2,2d ed,John Wiley & Sons,New York,1991に開示されており、引用により、上記文献は、全体として本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態において、保護基は、塩基性条件で安定しているが、酸性条件で除去することができる。いくつかの実施形態において、本明細書で使用できるヒドロキシ保護基の非排他的実例としては、ジメトキシトリチル(DMT)、モノメトキシトリチル、9-フェニルキサンテン-9-イル(Pixyl)、及び9-(p-メトキシフェニル)キサンテン-9-イル(Mox)を含む。いくつかの実施形態において、本明細書で使用できるヒドロキシ保護基の非排他的実例としては、Tr(トリチル)、MMTr(4-メトキシトリチル)、DMTr(4,4’-ジメトキシトリチル)、及びTMTr(4,4’,4’’-トリメトキシトリチル)を含む。
【0034】
用語「被験体」は、本明細書で用いられる場合、任意の動物、例えば、哺乳動物又は有袋動物を指す。本開示の被験体としては、ヒト、非ヒト霊長類(例えば、アカゲザル又は他の種類のマカク属のサル)、マウス、ブタ、ウマ、ロバ、ウシ、ヒツジ、ラット及び任意の種類の家禽を含むが、これらに限定されない。
【0035】
本明細書で使用されるように、「治療」とは、有益な又は所望の結果を得る方法を指し、治療効果を含むが、これに限定されない。「治療効果」は、治療される潜在的障害を根絶又は改善することを意味する。また、治療効果は、被験体が依然として潜在的障害の苦痛を受ける可能性があるにもかかわらず、潜在的障害に関連する1又は複数の生理的症状を根絶又は改善することにより、被験体に改善が観察されて得られる。
【0036】
本明細書で用いられる場合、「予防」は、有益な又は所望の結果を得る方法を指し、予防効果を含むが、これに限定されない。「予防効果」を得るために、特定の疾患に対する診断が行っていないかもしれないが、二本鎖siRNA、医薬組成物又はsiRNA複合体を、当該疾患に罹患するリスクのある被験体に投与するか、又は当該疾患の1又は複数の生理的症状が報告された被験体に投与することができる。
【0037】
本開示のsiRNA
一態様において、本開示は、高いAPOC3遺伝子抑制活性を有し、かつ低いオフターゲット効果を有するsiRNAを提供する。
【0038】
本開示のsiRNAは、基本的な構造単位としてヌクレオチド基を含み、前記ヌクレオチド基がリン酸基、リボース基及び塩基を含むことは、当業者に公知であるので、ここでは説明を省略する。
【0039】
本開示のsiRNAは、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIを含み、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列IIは、いずれも19個のヌクレオチドからなり、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列II中の各ヌクレオチドは、修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列I及び前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的に逆相補的に二本鎖領域を形成し、前記ヌクレオチド配列IIは、少なくとも部分的に第1ヌクレオチド配列と逆相補的であり、前記第1ヌクレオチド配列は、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、長さが19個のヌクレオチドであるヌクレオチド配列であり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列2の第3~6位のヌクレオチドのうちの少なくとも1つは、安定化修飾ヌクレオチドであり、前記安定化修飾ヌクレオチドとは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが安定化修飾基で置換されたヌクレオチドを指し、対応する位置のヌクレオチドが未修飾のヌクレオチドであるsiRNAと比較して、前記安定化修飾ヌクレオチドを含むsiRNAは、熱安定性が増加し、かつ前記安定化修飾基の立体障害が2’-O-メチルよりも大きい。
【0040】
いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第3位又は第5位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第3~9位のヌクレオチドのうちの2個以下のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドである。特定の位置における安定化修飾ヌクレオチドの個数を限定することにより、本開示のsiRNAは、薬学的活性と低いオフターゲット効果との最適なバランスを取ることができるとともに、優れた安定性を有する。いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第3位及び/又は第5位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第3位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第5位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドである。
【0041】
本開示のsiRNAでは、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列II中の第3~9位のヌクレオチド以外のヌクレオチドは、いずれも安定化修飾ヌクレオチドではない。ヌクレオチド配列II中の第3~6位のヌクレオチドのうちの少なくとも1つが安定化修飾ヌクレオチドであるとともに、第3~9位のヌクレオチド以外に安定化修飾ヌクレオチドが含まれている場合、当該siRNAの目的配列の発現レベルの調節能力に顕著に影響を与える可能性がある。
【0042】
いくつかの実施形態において、「siRNAの熱安定性が増加する」とは、前記siRNAの熱解離温度(Tm)が上昇することを指す。いくつかの実施形態において、「二本鎖siRNAの熱安定性が増加する」とは、前記siRNAのTmが少なくとも0.05℃上昇することを指し、いくつかの実施形態において、0.1~6℃上昇することを指し、いくつかの実施形態において、Tmが0.5~4℃上昇することを指す。理論的な解釈に限定されることなく、特定の位置に安定化修飾ヌクレオチドを含むことにより、本開示のsiRNAのアンチセンス鎖は、APOC3遺伝子によって発現されるmRNAとの結合能力がほとんど影響を受けず、オフターゲット目的mRNAとの結合が顕著に低下し、それにより、オフターゲット効果を低下ないし除去する。
【0043】
いくつかの実施形態において、各前記安定化修飾基は独立して、-X-Rに示される構造を有し、Xは、O、NR’、S又はSiR’2であり、Rは、C2-C6アルキル、置換されたC2-C6アルキル、C6-C8アリール、置換されたC6-C8アリールのうちの1つであり、各R’は独立して、H、C1-C6アルキル、置換されたC1-C6アルキル、C6-C8アリール、置換されたC6-C8アリールのうちの1つであり、前記置換されたC2-C6アルキル、置換されたC6-C8アリール又は置換されたC1-C6アルキルとは、C2-C6アルキル、C6-C8アリール、又はC1-C6アルキル中の1又は複数の水素原子が置換基で置換された基を指し、前記置換基は、C1-C3アルキル、C6-C8アリール、C1-C3アルコキシ、ハロゲン、オキシサブユニット、及びスルフィドサブユニットから選択される1又は複数である。なお、本開示は、上記構造を満たす全ての修飾基をカバーすることを意図せず、siRNAの熱安定性の増加を実現できる安定化修飾基のみに関し、いくつかの実施形態において、各前記安定化修飾基は、2’-O-メトキシエチル、2’-O-アリル、2’-C-アリル、2’-O-2-N-メチルアミノ-2-オキシイリデンエチル、2’-O-2-N,N-ジメチルアミノエチル、2’-O-3-アミノプロピル、及び2’-O-2,4-ジニトロフェニルから独立して選択される1つである。いくつかの実施形態において、各前記安定化修飾基は、いずれも2’-O-メトキシエチルである。
【0044】
いくつかの実施形態において、本開示の安定化ヌクレオチドを有するsiRNAは、以下の第1種、第2種、第3種のsiRNAであってもよく、以下、各種のsiRNAをそれぞれ説明する。
【0045】
第1種のsiRNA
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、第1種のsiRNAである。前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:2に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、
5’-CAAUAAAGCUGGACAAGAZ1-3’(SEQ ID NO:1)、
5’-Z2UCUUGUCCAGCUUUAUUG-3’(SEQ ID NO:2)、
ただし、Z1はAであり、Z2はUであり、
また、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ1に対応するヌクレオチドZ3が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ2に対応するヌクレオチドZ4が含まれ、前記Z4は、前記アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドである。前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列である。ただし、各Uは、任意にTで置換される。本開示の文脈において、「位置が対応する」とは、ヌクレオチド配列の同一端から、ヌクレオチド配列において同じ位置にあることを指す。例えば、ヌクレオチド配列Iの3’端の第1位のヌクレオチドは、位置がSEQ ID NO:1の第1位のヌクレオチドに対応するヌクレオチドである。
【0046】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0047】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:2に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下である。
【0048】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:2に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z4の位置の差異を含み、Z4は、A、G又はCから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z4の位置の差異であり、Z4は、A、G又はCから選択される。いくつかの実施形態において、Z3は、Z4と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNAの標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させたり、siRNAのオフターゲット効果を向上させたりすることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0049】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記基本的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間にミスマッチがないことを指す。
【0050】
いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2~19位のヌクレオチドと前記第1ヌクレオチド配列の第1~18位のヌクレオチドとは、完全に逆相補的である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと前記ヌクレオチド配列Iとは、完全に逆相補的であり、或いは、5’末端から3’末端に向かう前記ヌクレオチド配列II中の第2位のヌクレオチドと、3’末端から5’末端に向かう前記ヌクレオチド配列I中の第2位のヌクレオチドとの間に塩基ミスマッチが存在する。当該塩基ミスマッチを含むことにより、低いオフターゲット効果を保持するとともに、本開示のsiRNAの目的遺伝子発現抑制活性を更に向上させることができる。
【0051】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、SEQ ID NO:3に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、SEQ ID NO:4に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-CAAUAAAGCUGGACAAGAZ3-3’(SEQ ID NO:3)、
5’-Z4UCUUGUCCAGCUUUAUUG-3’(SEQ ID NO:4)、
ただし、Z3は、A、U、G又はCから選択され、Z4は、Z3と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z3はAであり、Z4はUである。
【0052】
また、前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23個のヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の長さが19~26個のヌクレオチドである。このように、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/19、19/20、19/21、19/22、19/23、19/24、19/25、19/26、20/20、20/21、20/22、20/23、20/24、20/25、20/26、21/20、21/21、21/22、21/23、21/24、21/25、21/26、22/20、22/21、22/22、22/23、22/24、22/25、22/26、23/20、23/21、23/22、23/23、23/24、23/25又は23/26であってもよい。いくつかの実施形態において、前記siRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/21、21/23又は23/25である。
【0053】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIを更に含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVを更に含み、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVの各ヌクレオチドは独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つであり、かつ前記安定化修飾ではなく、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVとは、長さがそれぞれ1~4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IVと前記ヌクレオチド配列IIIとは、長さが等しく、かつ実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合される。また、前記ヌクレオチド配列IVと第2ヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2ヌクレオチド配列とは、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、前述の第1ヌクレオチド配列に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0054】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも1個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基は、Cであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基は、Gであり、前記第2ヌクレオチド配列の塩基は、Cであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、20/20であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも2個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、CCであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、GGであり、前記第2ヌクレオチド配列の組成は、CCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、21/21であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも3個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、UCCであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、GGAであり、前記第2ヌクレオチド配列の組成は、UCCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、22/22であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、CUCCであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、GGAGであり、前記第2ヌクレオチド配列の塩基組成は、CUCCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、21/21である。
【0055】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVとは、完全に逆相補的であるため、ヌクレオチド配列IIIの塩基組成が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基組成も決定される。
【0056】
第2種のsiRNA
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、第2種のsiRNAである。前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:46に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ5-3’(SEQ ID NO:45)、
5’-Z6GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(SEQ ID NO:46)、
ただし、Z5はUであり、Z6はAであり、
また、前記ヌクレオチド配列Iに、位置がZ5に対応するヌクレオチドZ7が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ6に対応するヌクレオチドZ8が含まれ、前記Z8は、前記アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドである。前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列である。ただし、各Uは、任意にTで置換される。
【0057】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:46に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下である。
【0059】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:46に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z8の位置の差異を含み、Z8は、U、G又はCから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z8の位置の差異であり、Z8は、U、G又はCから選択される。いくつかの実施形態において、Z7は、Z8と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNAの標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させたり、siRNAのオフターゲット効果を向上させたりすることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0060】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記基本的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間にミスマッチがないことを指す。
【0061】
いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2~19位のヌクレオチドと前記第1ヌクレオチド配列の第1~18位のヌクレオチドとは、完全に逆相補的である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと前記ヌクレオチド配列Iとは、完全に逆相補的であり、或いは、5’末端から3’末端に向かう前記ヌクレオチド配列II中の第2位のヌクレオチドと、3’末端から5’末端に向かう前記ヌクレオチド配列I中の第2位のヌクレオチドとの間に塩基ミスマッチが存在する。当該塩基ミスマッチを含むことにより、低いオフターゲット効果を保持するとともに、本開示のsiRNAの目的遺伝子発現抑制活性を更に向上させることができる。
【0062】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、SEQ ID NO:47に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、SEQ ID NO:48に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ7-3’(SEQ ID NO:47)、
5’-Z8GAAUACUGUCCCUUUUAA-3’(SEQ ID NO:48)、
ただし、Z7は、A、U、G又はCから選択され、Z8は、Z7と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z7はUであり、Z8はAである。
【0063】
また、前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23個のヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の長さが19~26個のヌクレオチドである。このように、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/19、19/20、19/21、19/22、19/23、19/24、19/25、19/26、20/20、20/21、20/22、20/23、20/24、20/25、20/26、21/20、21/21、21/22、21/23、21/24、21/25、21/26、22/20、22/21、22/22、22/23、22/24、22/25、22/26、23/20、23/21、23/22、23/23、23/24、23/25又は23/26であってもよい。いくつかの実施形態において、前記siRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/21、21/23又は23/25である。
【0064】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIを更に含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVを更に含み、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVの各ヌクレオチドは独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つであり、かつ前記安定化修飾ではなく、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVとは、長さがそれぞれ1~4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IVと前記ヌクレオチド配列IIIとは、長さが等しく、かつ実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合される。また、前記ヌクレオチド配列IVと第2ヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2ヌクレオチド配列とは、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、前述の第1ヌクレオチド配列に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0065】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも1個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基は、Cであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基は、Gであり、前記第2ヌクレオチド配列の塩基は、Cであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、20/20であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも2個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、GCであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、GCであり、前記第2ヌクレオチド配列の組成は、GCであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、21/21であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも3個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、UGCであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、GCAであり、前記第2ヌクレオチド配列の組成は、GCAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、22/22であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、UUGCであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、GCAAであり、前記第2ヌクレオチド配列の塩基組成は、GCAAであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、21/21である。
【0066】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVとは、完全に逆相補的であるため、ヌクレオチド配列IIIの塩基組成が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基組成も決定される。
【0067】
第3種のsiRNA
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、第3種のsiRNAである。前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:106に示されるヌクレオチド配列とは、長さが等しく、かつヌクレオチド差異が3個以下であり、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZ9-3’(SEQ ID NO:105)、
5’-Z10GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(SEQ ID NO:106)、
ただし、Z9はUであり、Z10はAであり、
また、ヌクレオチド配列Iに、位置がZ9に対応するヌクレオチドZ11が含まれ、前記ヌクレオチド配列IIに、位置がZ10に対応するヌクレオチドZ12が含まれ、前記Z8は、前記アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドである。前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列である。ただし、各Uは、任意にTで置換される。
【0068】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列Iのみを含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IIのみを含む。
【0069】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IとSEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下であり、及び/又は前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:106に示されるヌクレオチド配列との間にヌクレオチド差異が1個以下である。
【0070】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIとSEQ ID NO:106に示されるヌクレオチド配列との間のヌクレオチド差異は、Z12の位置の差異を含み、Z12は、G、C又はUから選択される。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド差異は、Z12の位置の差異であり、Z12は、G、C又はUから選択される。いくつかの実施形態において、Z11は、Z12と相補的なヌクレオチドである。これらのヌクレオチド差異は、siRNAの標的遺伝子抑制能力を顕著に低下させたり、siRNAのオフターゲット効果を向上させたりすることがなく、これらのヌクレオチド差異を含むsiRNAも、本開示の保護範囲内にある。
【0071】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Iと前記ヌクレオチド配列IIは、基本的に逆相補的、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記基本的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に3つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記実質的に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間に1つ以下の塩基ミスマッチが存在することを指し、前記完全に逆相補的とは、2つのヌクレオチド配列間にミスマッチがないことを指す。
【0072】
いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2~19位のヌクレオチドと前記第1ヌクレオチド配列の第1~18位のヌクレオチドとは、完全に逆相補的である。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIと前記ヌクレオチド配列Iとは、完全に逆相補的であり、或いは、5’末端から3’末端に向かう前記ヌクレオチド配列II中の第2位のヌクレオチドと、3’末端から5’末端に向かう前記ヌクレオチド配列I中の第2位のヌクレオチドとの間に塩基ミスマッチが存在する。当該塩基ミスマッチを含むことにより、低いオフターゲット効果を保持するとともに、本開示のsiRNAの目的遺伝子発現抑制活性を更に向上させることができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列Iは、SEQ ID NO:107に示されるヌクレオチド配列であり、ヌクレオチド配列IIは、SEQ ID NO:108に示されるヌクレオチド配列であり、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZ11-3’(SEQ ID NO:107)、
5’-Z12GCACUGAGAAUACUGUCC-3’(SEQ ID NO:108)、
ただし、Z11は、A、U、G又はCから選択され、Z12は、Z11と相補的なヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、Z11はUであり、Z12はAである。
【0074】
また、前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが同じか又は異なり、前記センス鎖の長さが19~23個のヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の長さが19~26個のヌクレオチドである。このように、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/19、19/20、19/21、19/22、19/23、19/24、19/25、19/26、20/20、20/21、20/22、20/23、20/24、20/25、20/26、21/20、21/21、21/22、21/23、21/24、21/25、21/26、22/20、22/21、22/22、22/23、22/24、22/25、22/26、23/20、23/21、23/22、23/23、23/24、23/25又は23/26であってもよい。いくつかの実施形態において、前記siRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/21、21/23又は23/25である。
【0075】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖は、ヌクレオチド配列IIIを更に含み、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列IVを更に含み、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVの各ヌクレオチドは独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つであり、かつ前記安定化修飾ではなく、前記ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVとは、長さがそれぞれ1~4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IVと前記ヌクレオチド配列IIIとは、長さが等しく、かつ実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、前記ヌクレオチド配列IIIは、前記ヌクレオチド配列Iの5’末端に結合され、前記ヌクレオチド配列IVは、前記ヌクレオチド配列IIの3’末端に結合される。また、前記ヌクレオチド配列IVと第2ヌクレオチド配列は、実質的に逆相補的又は完全に逆相補的であり、当該第2ヌクレオチド配列とは、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、前述の第1ヌクレオチド配列に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列IVと同じであるヌクレオチド配列を指す。
【0076】
いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも1個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基は、Cであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基は、Gであり、前記第2ヌクレオチド配列の塩基は、Cであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、20/20であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも2個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、AGであり、前記ヌクレオチド配列IVの塩基組成は、CUであり、前記第2ヌクレオチド配列の組成は、AGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、21/21であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも3個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、AAGであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、CUUであり、前記第2ヌクレオチド配列の組成は、AAGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、22/22であり、或いは、前記ヌクレオチド配列IIIとIVとは、長さがいずれも4個のヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列IIIの塩基組成は、AAAGであり、前記ヌクレオチドIVの塩基組成は、CUUUであり、前記第2ヌクレオチド配列の塩基組成は、AAAGであり、このとき、センス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、21/21である。
【0077】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチド配列IIIとヌクレオチド配列IVは、完全に逆相補的であるため、ヌクレオチド配列IIIの塩基が与えられると、ヌクレオチド配列IVの塩基も決定される。
【0078】
以下、ヌクレオチド配列V、siRNA中のヌクレオチド修飾及び修飾配列の説明は、上記本開示のsiRNA、例えば、第1種のsiRNA、第2種のsiRNA又は第3種のsiRNAに適用される。即ち、特に明記されていない場合、以下、siRNAの説明は、上記本開示のsiRNA、例えば、第1種のsiRNA、第2種のsiRNA及び第3種のsiRNAを1つずつ説明したものとみなされるべきである。例えば、具体的なsiRNAが指定されていない場合、「前記siRNAがヌクレオチド配列Vを更に含む」とは、「本開示のsiRNA、例えば、上記第1種のsiRNA、第2種のsiRNA又は第3種のsiRNAがヌクレオチド配列Vを更に含む」ことを意味する。
【0079】
いくつかの実施形態において、前記センス鎖とアンチセンス鎖とは、長さが異なり、前記アンチセンス鎖は、ヌクレオチド配列Vを更に含み、ヌクレオチド配列Vの各ヌクレオチドは独立して、非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つであり、かつ前記安定化修飾ヌクレオチドではなく、ヌクレオチド配列Vは、長さが1~3個のヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖の3’末端に結合されて、アンチセンス鎖の3’オーバーハング端を構成する。これにより、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/20、19/21、19/22、20/21、20/22、20/23、21/22、21/23、21/24、22/23、22/24、22/25、23/24、23/25又は23/26であってもよい。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列Vは、長さが2個のヌクレオチドであり、これにより、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖との長さ比は、19/21、21/23又は23/25であってもよい。
【0080】
前記ヌクレオチド配列V中の各ヌクレオチドは、任意のヌクレオチドであってもよく、容易に合成し、かつコストを節約するために、前記ヌクレオチド配列Vは、連続した2個のチミンデオキシリボヌクレオチド(dTdT)、または連続した2個のウラシルリボヌクレオチド(UU)であり、或いは、siRNAのアンチセンス鎖とターゲットmRNAとの親和性を向上させるために、ヌクレオチド配列Vと第3ヌクレオチド配列とは、完全に逆相補的であり、前記第3ヌクレオチド配列とは、APOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の、第1ヌクレオチド配列又は第2ヌクレオチド配列に隣接し、かつ長さが前記ヌクレオチド配列Vに等しいヌクレオチド配列を指す。したがって、いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖の長さ比は、19/21又は21/23であり、このとき、本開示のsiRNAがより良好なmRNAサイレンシング活性を有する。
【0081】
いくつかの実施形態において、前記第1種のsiRNAについて、前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:1に示されるヌクレオチド配列を有し、前記第3ヌクレオチド配列の塩基組成は、CCであり、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:5に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:6に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CAAUAAAGCUGGACAAGAZ3-3’(SEQ ID NO:5)、
5’-Z4UCUUGUCCAGCUUUAUUGGG-3’(SEQ ID NO:6)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:7に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:8に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CCCAAUAAAGCUGGACAAGAZ3-3’(SEQ ID NO:7)、
5’-Z4UCUUGUCCAGCUUUAUUGGGAG-3’(SEQ ID NO:8)、
ただし、前記Z4は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z3は、A、U、G又はCから選択され、Z4は、Z3と相補的なヌクレオチドである。
【0082】
いくつかの実施形態において、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:9に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:10に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CAAUAAAGCUGGACAAGAA-3’(SEQ ID NO:9)、
5’-UUCUUGUCCAGCUUUAUUGGG-3’(SEQ ID NO:10)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:11に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:12に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-CCCAAUAAAGCUGGACAAGAA-3’(SEQ ID NO:11)、
5’-UUCUUGUCCAGCUUUAUUGGGAG-3’(SEQ ID NO:12)。
【0083】
いくつかの実施形態において、前記第2種のsiRNAについて、前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:45に示されるヌクレオチド配列を有し、前記第3ヌクレオチド配列の塩基組成は、GCである。前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:49に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:50に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ7-3’(SEQ ID NO:49)、
5’-Z8GAAUACUGUCCCUUUUAAGC-3’(SEQ ID NO:50)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:51に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:52に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCZ7-3’(SEQ ID NO:51)、
5’-Z8GAAUACUGUCCCUUUUAAGCAA-3’(SEQ ID NO:52)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:49に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:149に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCZ7-3’(SEQ ID NO:49)、
5’-Z8GAAUACUGUCCCUUUUAAUU-3’(SEQ ID NO:149)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:51に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:150に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCZ7-3’(SEQ ID NO:51)、
5’-Z8GAAUACUGUCCCUUUUAAGCUU-3’(SEQ ID NO:150)、
ただし、前記Z8は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z7は、A、U、G又はCから選択され、Z8は、Z7と相補的なヌクレオチドである。
【0084】
いくつかの実施形態において、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:53に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:54に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-UUAAAAGGGACAGUAUUCU-3’(SEQ ID NO:53)、
5’-AGAAUACUGUCCCUUUUAAGC-3’(SEQ ID NO:54)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:55に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:56に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GCUUAAAAGGGACAGUAUUCU-3’(SEQ ID NO:55)、
5’-AGAAUACUGUCCCUUUUAAGCAA-3’(SEQ ID NO:56)。
【0085】
いくつかの実施形態において、前記第3種のsiRNAについて、前記第1ヌクレオチド配列は、SEQ ID NO:105に示されるヌクレオチド配列を有し、前記第3ヌクレオチド配列の塩基組成は、AGである。前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:109に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:110に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCZ11-3’(SEQ ID NO:109)、
5’-Z12GCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(SEQ ID NO:110)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:111に示されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖は、SEQ ID NO:112に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-AGGGACAGUAUUCUCAGUGCZ11-3’(SEQ ID NO:111)、
5’-Z12GCACUGAGAAUACUGUCCCUUU-3’(SEQ ID NO:112)、
ただし、前記Z12は、アンチセンス鎖の5’末端の第1位のヌクレオチドであり、Z11は、A、U、G又はCから選択され、Z12は、Z11と相補的なヌクレオチドである。
【0086】
いくつかの実施形態において、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:113に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:114に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-GGACAGUAUUCUCAGUGCU-3’(SEQ ID NO:113)、
5’-AGCACUGAGAAUACUGUCCCU-3’(SEQ ID NO:114)、
或いは、前記siRNAのセンス鎖は、SEQ ID NO:115に示されるヌクレオチド配列を含み、前記siRNAのアンチセンス鎖は、SEQ ID NO:116に示されるヌクレオチド配列を含み、
5’-AGGGACAGUAUUCUCAGUGCU-3’(SEQ ID NO:115)、
5’-AGCACUGAGAAUACUGUCCCUUU-3’(SEQ ID NO:116)。
【0087】
前述のように、本開示のsiRNA中のヌクレオチドは、それぞれ独立して修飾又は未修飾のヌクレオチドであり、いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA中の一部又は全部のヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり、ヌクレオチド基上のこれらの修飾により、本開示のsiRNAがAPOC3遺伝子発現を抑制する機能を明らかに弱めるか又は喪失させることがない。
【0088】
本開示の文脈において、用いられる用語「修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが他の基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログ、或いは、ヌクレオチド上の塩基が修飾された塩基であるヌクレオチドを指す。前記修飾ヌクレオチドにより、siRNAが遺伝子発現を抑制する機能を明らかに弱めるか又は喪失させることがない。例えば、J.K. Watts,G.F. Deleavey,and M.J. Damha,Chemically modified siRNA: tools and applications. Drug Discov Today,2008,13(19-20):842-55に開示された修飾ヌクレオチドを選択してもよい。
【0089】
いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドではない場合、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列II中の全てのヌクレオチドは、いずれも修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位のヌクレオチドは、前記安定化修飾ヌクレオチドではない場合、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列II中の他のヌクレオチドは、それぞれ独立して非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つである。いくつかの実施形態において、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7~9位のヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、前記ヌクレオチド配列I中の全てのヌクレオチドは、いずれも修飾ヌクレオチドであり、5’末端から3’末端に向かって、前記ヌクレオチド配列Iの第7~9位のヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチドであり、前記ヌクレオチド配列I中の他のヌクレオチドは、それぞれ独立して非フルオロ修飾ヌクレオチドのうちの1つである。本開示のsiRNAは、上記修飾を有することにより、遺伝子発現調節活性とインビボ安定性との良好なバランスを実現することができる。
【0090】
本開示の文脈において、「フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシがフッ素で置換された、以下の式(7)に示される構造を有するヌクレオチドを指す。「非フルオロ修飾ヌクレオチド」とは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログを指す。いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、ヌクレオチドのリボースの2’位のヒドロキシが非フッ素基で置換されたヌクレオチド又はヌクレオチドアナログから独立して選択される1つである。
【0091】
これらのリボースの2’位のヒドロキシが非フッ素基で置換されたヌクレオチドは、当業者に公知であり、これらのヌクレオチドは、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチド、2’-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-置換アルキル修飾ヌクレオチド、2’-アミノ修飾ヌクレオチド、2’-置換アミノ修飾ヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチドから選択される1つであってもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、2’-アルコキシ修飾ヌクレオチドは、式(8)に示されるメトキシ修飾ヌクレオチド(2’-OMe)である。いくつかの実施形態において、2’-アミノ修飾ヌクレオチド(2’-NH2)は、式(9)に示される。いくつかの実施形態において、2’-デオキシリボヌクレオチド(DNA)は、式(10)に示される。
【0093】
【0094】
ヌクレオチドアナログとは、核酸においてヌクレオチドの代わりとなることができるが、アデニンリボヌクレオチド、グアニンリボヌクレオチド、シトシンリボヌクレオチド、ウラシルリボヌクレオチド又はチミンデオキシリボヌクレオチドと構造が異なる基を指す。いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログは、イソヌクレオチド、架橋ヌクレオチド(bridged nucleic acid、BNAと略称される)又は非環式ヌクレオチドであってもよい。
【0095】
BNAとは、拘束された又は近づけないヌクレオチドを指す。BNAは、五員環、六員環、又は七員環の、「固定された」C3’-エンド糖パッカリングを有する架橋構造を含んでもよい。通常、当該橋を当該リボースの2’-、4’-位に導入して2’,4’-BNAヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、BNAは、式(12)に示されるLNA、式(13)に示されるENA、式(14)に示されるcET BNAなどであってもよい。
【0096】
【0097】
非環式ヌクレオチドは、ヌクレオチドの糖環が開環されたヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、非環式ヌクレオチドは、式(15)に示されるアンロックド核酸(UNA)、又は式(16)に示されるグリセロール核酸(GNA)であってもよい。
【0098】
【0099】
上記式(15)及び式(16)において、Rは、H、OH又はアルコキシ(O-アルキル)から選択される。
【0100】
イソヌクレオチドとは、ヌクレオチドにおいて塩基のリボース環における位置が変化した化合物を指す。いくつかの実施形態において、イソヌクレオチドは、式(17)又は(18)に示される、塩基がリボース環の1’-位から2’-位又は3’-位に移行した化合物であってもよい。
【0101】
【0102】
上記式(17)及び式(18)の化合物において、Baseは、A、U、G、C又はTなどの核酸塩基を表し、Rは、H、OH、F又は上述した非フッ素基から選択される。
【0103】
いくつかの実施形態において、ヌクレオチドアナログは、イソヌクレオチド、LNA、ENA、cET、UNA及びGNAから選択される1つである。いくつかの実施形態において、各非フルオロ修飾ヌクレオチドは、いずれもメトキシ修飾ヌクレオチドであり、文脈において、前記メトキシ修飾ヌクレオチドは、リボースの2’-ヒドロキシがメトキシで置換されたヌクレオチドを指す。
【0104】
文脈において、「フルオロ修飾ヌクレオチド」、「2’-フルオロ修飾ヌクレオチド」、「リボース基の2’-ヒドロキシがフッ素で置換されたヌクレオチド」及び「2’-フルオロリボースを有するヌクレオチド」は、意味が同じであり、いずれもヌクレオチドの2’-ヒドロキシがフッ素で置換された、式(7)に示される構造を有する化合物を指し、「メトキシ修飾ヌクレオチド」、「2’-メトキシ修飾ヌクレオチド」、「リボースの2’-ヒドロキシがメトキシで置換されたヌクレオチド」及び「2’-メトキシリボースを有するヌクレオチド」は、意味が同じであり、いずれもヌクレオチドのリボースの2’-ヒドロキシがメトキシで置換された、式(8)に示される構造を有する化合物を指す。
【0105】
いくつかの実施形態において、本開示の安定化修飾ヌクレオチドを含むsiRNAは、以下の修飾を有するsiRNAである。5’末端から3’末端に向かって、前記センス鎖において、前記ヌクレオチド配列Iの第7、8、9位又は第5、7、8、9位のヌクレオチドは、フルオロ修飾ヌクレオチドであり、他の位置のヌクレオチドは、メトキシ修飾ヌクレオチドであり、前記アンチセンス鎖において、前記ヌクレオチド配列IIの第2、6、14、16位又は第2、6、8、9、14、16位のヌクレオチドは、フルオロ修飾ヌクレオチドであり、第3位又は第5位のヌクレオチドは、安定化修飾ヌクレオチドであり、他の位置のヌクレオチドは、メトキシ修飾ヌクレオチドである。
【0106】
上記修飾を有するsiRNAは、コストが低いだけでなく、血液中のリボヌクレアーゼで核酸を切断しにくくすることができ、これにより、核酸の安定性を向上させ、核酸により強いヌクレアーゼ加水分解耐性という性能を持たせる。また、上記修飾は、siRNAのオフターゲット効果を低下させるが、siRNAの抑制性能を顕著に低下させることがない。
【0107】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、siAPOC3a1-M1、siAPOC3a1-M2、siAPOC3a2-M1、siAPOC3a2-M2、siAPOC3b1-M1、siAPOC3b1-M2、siAPOC3b2-M1、siAPOC3b2-M2、siAPOC3b3-M1、siAPOC3b3-M2、siAPOC3b4-M1、siAPOC3b4-M2、siAPOC3c1-M1、siAPOC3c1-M2、siAPOC3c2-M1、及びsiAPOC3c2-M2のうちの1つである。
【0108】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAのセンス鎖とアンチセンス鎖において、少なくとも1本の一本鎖のリン酸-糖骨格中のリン酸エステルのうちの少なくとも一部は、修飾基を有するリン酸エステルである。いくつかの実施形態において、修飾基を有するリン酸エステルは、リン酸エステルにおけるリン酸ジエステル結合中の少なくとも1つの酸素原子が硫黄原子で置換されたチオリン酸エステルである。いくつかの実施形態において、前記修飾基を有するリン酸エステルは、式(1)に示される構造を有するチオリン酸エステルである。
【0109】
【0110】
このような修飾により、siRNAの二本鎖構造を安定化させ、塩基対合の高い特異性と高い親和力を維持することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAにおいて、チオリン酸エステルは、センス鎖又はアンチセンス鎖の任意の一端の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、センス鎖又はアンチセンス鎖の任意の一端の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間、及びそれらの任意の組合せからなる群から選択される少なくとも1つに結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステルは、センス鎖の5’末端を除く全ての上記位置に結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステルは、センス鎖の3’末端を除く全ての上記位置に結合されて存在する。いくつかの実施形態において、チオリン酸エステルは、
前記センス鎖の5’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の5’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、
前記センス鎖の3’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の5’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間、
前記アンチセンス鎖の3’末端端部の第1位のヌクレオチドと第2位のヌクレオチドとの間、及び
前記アンチセンス鎖の3’末端端部の第2位のヌクレオチドと第3位のヌクレオチドとの間から選択される少なくとも1つに結合されて存在する。
【0112】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAは、表1a~表1cに示される、siAPOC3a1-M1S、siAPOC3a1-M2S、siAPOC3a2-M1S、siAPOC3a2-M2S、siAPOC3b1-M1S、siAPOC3b1-M2S、siAPOC3b2-M1S、siAPOC3b2-M2S、siAPOC3b3-M1S、siAPOC3b3-M2S、siAPOC3b4-M1S、siAPOC3b4-M2S、siAPOC3c1-M1S、siAPOC3c1-M2S、siAPOC3c2-M1S及びsiAPOC3c2-M2Sのうちの1つである。
【0113】
いくつかの実施形態において、前記siRNAのアンチセンス鎖の5’末端のヌクレオチドは、5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドである。
【0114】
通常用いられる前記5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドは、当業者に公知であり、例えば、5’-リン酸ヌクレオチドは、以下の構造を有してもよい。
【0115】
【0116】
また、例えば、Anastasia Khvorova and Jonathan K. Watts,The chemical evolution of oligonucleotide therapies of clinical utility. Nature Biotechnology,2017,35(3):238-48には、以下の4種類の5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドが開示されている。
【0117】
【0118】
ただし、Rは、H、OH、メトキシ、フッ素から選択され、Baseは、A、U、C、G又はTから選択される核酸塩基を表す。
【0119】
いくつかの実施形態において、5’-リン酸ヌクレオチドは、式(2)に示される、5’-リン酸修飾を含むヌクレオチドであり、5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドは、式(3)に示される、ビニルリン酸エステル(5’-(E)-vinylphosphonate、E-VP)修飾を含むヌクレオチドであり、又は、式(5)に示される、チオリン酸エステル修飾ヌクレオチドである。
【0120】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAは、以下の表1a~表1cに示される、siAPOC3a1-M1P1、siAPOC3a1-M2P1、siAPOC3a2-M1P1、siAPOC3a2-M2P1、siAPOC3a1-M1SP1、siAPOC3a1-M2SP1、siAPOC3a2-M1SP1、siAPOC3a2-M2SP1、siAPOC3b1-M1P1、siAPOC3b1-M2P1、siAPOC3b2-M1P1、siAPOC3b2-M2P1、siAPOC3b1-M1SP1、siAPOC3b1-M2SP1、siAPOC3b2-M1SP1、siAPOC3b2-M2SP1、siAPOC3b3-M1P1、siAPOC3b3-M2P1、siAPOC3b4-M1P1、siAPOC3b4-M2P1、siAPOC3b3-M1SP1、siAPOC3b3-M2SP1、siAPOC3b4-M1SP1、siAPOC3b4-M2SP1、siAPOC3c1-M1P1、siAPOC3c1-M2P1、siAPOC3c2-M1P1、siAPOC3c2-M2P1、siAPOC3c1-M1SP1、siAPOC3c1-M2SP1、siAPOC3c2-M1SP1、及びsiAPOC3c2-M2SP1のうちの1つである。
【0121】
本開示の発明者は、本開示により提供されるsiRNAが、顕著に向上した血漿及びリソソームの安定性と、顕著に低いオフターゲット効果とを有するとともに、非常に高い遺伝子抑制活性を保持することを意外にも見出した。
【0122】
本開示により提供されるsiRNAは、本分野における通常のsiRNA調製方法(例えば、固相合成方法及び液相合成方法)により得ることができる。ここで、固相合成は、既に商用カスタマイズサービスが行われている。対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを用いることにより修飾ヌクレオチドを本開示に記載されたsiRNAに導入することができ、対応する修飾を有するヌクレオシドモノマーを調製する方法、及び修飾ヌクレオチドをsiRNAに導入する方法も、当業者によく知られている。
【0123】
医薬組成物
本開示は、医薬組成物を提供し、前記医薬組成物は、活性成分としての上述したsiRNAと、薬学的に許容される担体とを含む。
【0124】
前記薬学的に許容される担体は、siRNA投与分野で通常用いられる担体であってもよく、例えば、磁性ナノ粒子(magnetic nanoparticles、例えば、Fe3O4又はFe2O3に基づくナノ粒子)、カーボンナノチューブ(carbon nanotubes)、メソポーラスシリコン(mesoporous silicon)、リン酸カルシウムナノ粒子(calcium phosphate nanoparticles)、ポリエチレンイミン(polyethylenimine、PEI)、ポリアミドアミンデンドリマー(polyamidoamine (PAMAM) dendrimer)、ポリリジン(poly(L-lysine)、PLL)、キトサン(chitosan)、1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウムプロパン(1,2-dioleoyl-3-trimethylammonium-propane、DOTAP)、ポリD-又はL-乳酸/グリコール酸共重合体(poly(D&L-lactic/glycolic acid)copolymer、PLGA)、ポリ(アミノエチルエチレンリン酸エステル)(poly(2-aminoethyl ethylene phosphate)、PPEEA)及びポリ(N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート)(poly(2-dimethylaminoethyl methacrylate)、PDMAEMA)並びにこれらの誘導体のうちの1又は複数があるが、これらに限定されない。
【0125】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物において、siRNAと薬学的に許容される担体の含有量について特に要件がなく、いくつかの実施形態において、siRNAと薬学的に許容される担体の重量比は、1:(1~500)であってもよい。いくつかの実施形態において、上記重量比は、1:(1~50)である。
【0126】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物には、薬学的に許容される他の添加剤が含まれてもよく、当該添加剤は、本分野で通常用いられる各種の製剤又は化合物のうちの1又は複数であってもよい。例えば、前記薬学的に許容される他の添加剤は、pH緩衝液、保護剤及び浸透圧調節剤のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0127】
前記pH緩衝液は、pH7.5~8.5のトリスヒドロキシメチルアミノメタン塩酸塩緩衝液及び/又はpH5.5~8.5のリン酸塩緩衝液であってもよく、例えば、pH5.5~8.5のリン酸塩緩衝液であってもよい。
【0128】
前記保護剤は、イノシトール、ソルビトール、スクロース、トレハロース、マンノース、マルトース、ラクトース及びグルコースのうちの少なくとも1つであってもよい。前記医薬組成物の全重量を基準とし、前記保護剤の含有量は、0.01~30重量%であってもよい。
【0129】
前記浸透圧調節剤は、塩化ナトリウム及び/又は塩化カリウムであってもよい。前記浸透圧調節剤の含有量は、前記医薬組成物の浸透圧が200~700ミリオスモル/キログラム(mOsm/kg)となるように決定される。所望の浸透圧により、当業者は、前記浸透圧調節剤の含有量を容易に決定することができる。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物から製造された製剤の投与過程における用量は、投与方式によって調整される。
【0130】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、注射液などの液体製剤であってもよく、凍結乾燥粉末注射剤として、投与時に液体添加剤と混合し、液体製剤としてもよい。前記液体製剤は、皮下、筋肉又は静脈注射投与に用いることができるが、これらに限定されず、噴霧により肺に投与されるか、又は噴霧により肺を通して他の臓器組織(例えば、肝臓)に投与されるか、又は口腔吸入若しくは鼻腔投与などの方式で前記医薬組成物を送達することもできるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、噴霧により投与される。
【0131】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、リポソーム製剤の形式であってもよい。いくつかの実施形態において、前記リポソーム製剤に用いられる薬学的に許容される担体は、アミン含有トランスフェクション化合物(以下、有機アミンともいう)、補助脂質及び/又はポリエチレングリコール化脂質を含む。ここで、前記有機アミン、補助脂質及びポリエチレングリコール化脂質は、それぞれ中国特許出願公開第103380113号明細書(引用によりその全体を本明細書に組み込む)に記載されたアミン含有トランスフェクション化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは誘導体、補助脂質及びポリエチレングリコール化脂質からそれぞれ選択される1又は複数であってもよい。
【0132】
いくつかの実施形態において、前記有機アミンは、中国特許出願公開第103380113号明細書に記載された、式(201)に示される化合物又はその薬学的に許容される塩であってもよい。
【0133】
【化8】
ただし、
X
101及びX
102は、それぞれ独立してO、S、N-A又はC-Aであり、Aは、水素又はC
1-C
20炭化水素鎖であり、
Y
101及びZ
101は、それぞれ独立してC=O、C=S、S=O、CH-OH又はSO
2であり、
R
101、R
102、R
103、R
104、R
105、R
106及びR
107は、それぞれ独立して水素、環式又は非環式の、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖脂肪族基、環式又は非環式の、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖ヘテロ脂肪族基、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アシル、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖アリール、置換又は無置換の、分岐鎖又は直鎖ヘテロアリールであり、
xは、1~10の整数であり、
nは、1~3の整数であり、mは、0~20の整数であり、pは、0又は1であり、ここで、m=p=0である場合、R
102は、水素であり、
n及びmのうちの少なくとも1つが2である場合、R
103と式(201)における窒素とは、式(202)又は式(203)に示される構造を形成する。
【0134】
【化9】
ただし、g、e及びfは、それぞれ独立して1~6の整数であり、「HCC」は、炭化水素鎖を表し、各
*Nは、式(201)における窒素原子を表す。
【0135】
いくつかの実施形態において、R103は、ポリアミンである。他の実施形態において、R103は、ケタールである。いくつかの実施形態において、式(201)におけるR101及びR102のそれぞれは、独立して、置換又は無置換の、任意の分岐鎖又は直鎖アルキル又はアルケニルであり、前記アルキル又はアルケニルは、3~約20個の炭素原子、例えば、8~約18個の炭素原子、及び0~4個の二重結合、例えば、0~2個の二重結合を有する。
【0136】
いくつかの実施形態において、nとmのそれぞれは、独立して1又は3の値である場合、R103は、下記式(204)~式(213)のいずれか1つであってもよい。
【0137】
【0138】
式(204)~式(213)中、g、e及びfは、それぞれ独立して、1~6の整数であり、各「HCC」は、炭化水素鎖を表し、各*は、R103と式(201)における窒素原子との結合可能点を示し、任意の*位置上の各Hは、式(201)における窒素原子との結合を実現するために置換されてもよい。
【0139】
式(201)に示される化合物は、中国特許出願公開第103380113号明細書の記載により調製されてもよい。
【0140】
いくつかの実施形態において、前記有機アミンは、式(214)に示される有機アミン及び/又は式(215)に示される有機アミンである。
【0141】
【0142】
前記補助脂質は、コレステロール、コレステロールのアナログ及び/又はコレステロールの誘導体であり、
前記ポリエチレングリコール化脂質は、1,2-ジパルミトアミド-sn-グリセロ-3-ホスファチジルエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)]-2000である。
【0143】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物において、前記有機アミン、前記補助脂質及び前記ポリエチレングリコール化脂質のモル比は、(19.7~80): (19.7~80): (0.3~50)であり、例えば、(50~70): (20~40): (3~20)であってもよい。
【0144】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAと上記アミン含有トランスフェクション試薬により形成された医薬組成物粒子は、約30nm~約200nmの平均径を有し、一般的に約40nm~約135nmであり、より一般的には、当該リポソーム粒子の平均径は、約50nm~約120nm、約50nm~約100nm、約60nm~約90nm又は約70nm~約90nmであり、例えば、当該リポソーム粒子の平均径は、約30、40、50、60、70、75、80、85、90、100、110、120、130、140、150又は160nmである。
【0145】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNAと上記アミン含有トランスフェクション試薬により形成された医薬組成物において、siRNAと全脂質(例えば有機アミン、補助脂質及び/又はポリエチレングリコール化脂質)の重量比(重量/重量比)は、約1:1~約1:50、約1:1~約1:30、約1:3~約1:20、約1:4~約1:18、約1:5~約1:17、約1:5~約1:15、約1:5~約1:12、約1:6~約1:12又は約1:6~約1:10の範囲内にあり、例えば、本開示のsiRNAと全脂質の重量比は、約1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:11、1:12、1:13、1:14、1:15、1:16、1:17又は1:18である。
【0146】
いくつかの実施形態において、前記医薬組成物は、市販時に各成分が独立して存在してもよく、使用時に液体製剤として存在してもよい。いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNAと上記薬学的に許容される担体により形成された医薬組成物は、既知の各種の方法に従い調製されてもよく、従来のsiRNAの代わりに本開示により提供されるsiRNAを用いればよい。いくつかの実施形態において、以下の方法に従い調製されてもよい。
【0147】
有機アミン、補助脂質及びポリエチレングリコール化脂質を上記モル比でアルコールに懸濁させ均一に混合して脂質溶液を得る。アルコールの用量は、得られた脂質溶液の総質量濃度が2~25mg/mL、例えば、8~18mg/mLとなるように決定される。前記アルコールは、薬学的に許容されるアルコール、例えば、エタノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400などの、室温付近で液体であるアルコールから選択される1又は複数であり、例えばエタノールであってもよい。
【0148】
本開示により提供されるsiRNAを緩衝塩溶液に溶解し、siRNA水溶液を得る。緩衝塩溶液の濃度は、0.05~0.5Mであり、例えば、0.1~0.2Mであってもよく、緩衝塩溶液のpHは、4.0~5.5に調節され、例えば、5.0~5.2であってもよく、緩衝塩溶液の用量は、siRNAの濃度が0.6mg/mL以下、例えば、0.2~0.4mg/mLとなるように決定される。前記緩衝塩は、可溶性酢酸塩、可溶性クエン酸塩から選択される1又は複数であり、例えば、酢酸ナトリウム及び/又は酢酸カリウムであってもよい。
【0149】
脂質溶液とsiRNA水溶液を混合した後、得られた生成物を40~60℃で少なくとも2分間、例えば、5~30分間インキュベートし、インキュベートしたリポソーム製剤を得る。脂質溶液とsiRNA水溶液の体積比は、1:(2~5)であり、例えば、1:4であってもよい。
【0150】
インキュベートしたリポソーム製剤を濃縮又は希釈し、不純物を除去し、除菌し、本開示により提供される医薬組成物を得る。その物理化学的パラメータとしては、pHが6.5~8であり、封入効率が80%以上であり、粒子径が40~200nmであり、多分散指数が0.30以下であり、浸透圧が250~400mOsm/kgであり、例えば、物理化学的パラメータとしては、pHが7.2~7.6、封入効率が90%以上、粒子径が60~100nm、多分散指数が0.20以下、浸透圧が300~400mOsm/kgであってもよい。
【0151】
ここで、濃縮又は希釈は、不純物を除去する前、不純物を除去した後又は同時に行われてもよい。不純物を除去する方法としては、従来の各種の方法を用いてもよく、例えば、タンジェンシャルフロー系、中空糸カラムを用い、100K Daの条件で限外濾過し、限外濾過交換溶液をpH7.4のリン酸塩緩衝液(PBS)としてもよい。除菌方法としては、従来の各種の方法を用いてもよく、例えば、0.22μmのフィルターで濾過して除菌してもよい。
【0152】
siRNA複合体
本開示は、siRNA複合体を提供し、前記siRNA複合体は、本開示により提供されるsiRNAと、当該siRNAに複合して結合される複合基とを含む。いくつかの実施形態において、前記複合基は、リンカーと、薬学的に許容される標的基及び/又は送達補助基とを含み、前記siRNA、前記リンカー、前記標的基又は前記送達補助基は、順に共有結合的又は非共有結合的に結合され、各前記標的基は、細胞表面受容体に結合できるリガンドから選択され、各送達補助基は、送達目的器官又は組織における前記siRNA複合体の生体適合性を向上させることができる基から選択される。
【0153】
本開示の文脈において、特に説明がない限り、「複合」とは、それぞれ特定の機能を有する2つ以上の化学部分間が共有結合的に互いに結合されることを指し、これに応じて、「複合」とは、当該各化学部分間が共有結合的に結合されることにより形成された化合物を指す。更に、「siRNA複合体」は、特定の機能を有する1又は複数の化学部分がsiRNAに共有結合的に結合されて形成された化合物を表す。siRNA複合体は、文脈により、複数のsiRNA複合体の総称、又はある化学式に示されるsiRNA複合体であると理解されるべきである。本開示の文脈において、「複合分子」は、反応することによりsiRNAに複合され、最終的に本開示のsiRNA複合体を形成することができる特定の化合物であると理解されるべきである。
【0154】
一般的には、前記複合基は、薬学的に許容される少なくとも1つの標的基及び任意のリンカー(linker)を含み、前記siRNA、前記リンカー及び前記標的基は、順に結合されている。いくつかの実施形態において、前記標的基は、1~6個である。いくつかの実施形態において、前記標的基は、2~4個である。前記siRNA分子は、前記複合基に非共有結合的又は共有結合的に複合されてもよく、例えば、前記複合基に共有結合的に複合されてもよい。siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’端又は5’端にあってもよく、アンチセンス鎖の5’端にあってもよく、siRNAの内部配列にあってもよい。いくつかの実施形態において、前記siRNAと複合基との複合部位は、siRNAのセンス鎖の3’末端にある。
【0155】
いくつかの実施形態において、前記複合基は、ヌクレオチドのリン酸基、2’-位のヒドロキシ又は塩基に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、前記複合基は、3’-位のヒドロキシに結合されてもよく、この場合、ヌクレオチド間が2’-5’リン酸ジエステル結合により結合されている。複合基は、siRNA鎖の末端に結合される場合、通常ヌクレオチドのリン酸基に結合され、siRNAの内部配列に結合される場合、通常リボース糖環又は塩基に結合される。各種の結合方法については、Muthiah Manoharan et.al. siRNA conjugates carrying sequentially assembled trivalent N-acetylgalactosamine linked through nucleosides elicit robust gene silencing in vivo in hepatocytes. ACS Chemical biology,2015,10 (5):1181-7を参照することができる。
【0156】
標的基は、適切なリンカーを介してsiRNA分子に結合されてもよく、当業者は、標的基の具体的な種類により適切なリンカーを選択することができる。これらのリンカー、標的基の種類及びsiRNAへの結合方法については、国際公開第2015006740号の開示内容を参照してもよく、引用によりその内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0157】
いくつかの実施形態において、前記標的基は、siRNA投与分野で通常用いられるリガンド、例えば、国際公開第2009082607号に記載された各種のリガンドであってもよく、引用によりその開示内容が全体として本明細書に組み込まれる。
【0158】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つ又は各前記標的基は、前記APOC3遺伝子を発現する細胞表面受容体に結合できるリガンドから選択される。
【0159】
いくつかの実施形態において、少なくとも1つ又は各前記標的基は、哺乳動物の肝の実質細胞表面の受容体(ASGPR)に結合できるリガンドから選択される。いくつかの実施形態において、各前記標的基は独立して、哺乳動物の肝細胞表面のアシアロ糖タンパク質受容体と親和性のあるリガンドである。いくつかの実施形態において、各前記標的基は独立して、アシアロ糖タンパク質又は糖である。いくつかの実施形態において、各前記標的基は独立して、アシアロ糖タンパク質、例えば、アシアロオロソムコイド(asialoorosomucoid、ASOR)又はアシアロフェチュイン(asialofetuin、ASF)である。いくつかの実施形態において、各前記標的基は、D-マンノピラノース、L-マンノピラノース、D-アラビノース、D-キシロフラノース、L-キシロフラノース、D-グルコース、L-グルコース、D-ガラクトース、L-ガラクトース、α-D-マンノフラノース、β-D-マンノフラノース、α-D-マンノピラノース、β-D-マンノピラノース、α-D-グルコピラノース、β-D-グルコピラノース、α-D-グルコフラノース、β-D-グルコフラノース、α-D-フルクトフラノース、α-D-フルクトピラノース、α-D-ガラクトピラノース、β-D-ガラクトピラノース、α-D-ガラクトフラノース、β-D-ガラクトフラノース、グルコサミン、シアル酸、ガラクトサミン、N-アセチルガラクトサミン、N-トリフルオロアセチルガラクトサミン、N-プロピオニルガラクトサミン、N-n-ブチリルガラクトサミン、N-イソブチリルガラクトサミン、2-アミノ-3-O-[(R)-1-カルボキシエチル]-2-デオキシ-β-D-グルコピラノース、2-デオキシ-2-メチルアミノ-L-グルコピラノース、4,6-ジデオキシ-4-ホルミルアミノ-2,3-ジ-O-メチル-D-マンノピラノース、2-デオキシ-2-スルホアミノ-D-グルコピラノース、N-グリコリル-α-ノイラミン酸、5-チオ-β-D-グルコピラノース、メチル2,3,4-トリ-O-アセチル-1-チオ-6-O-トリチル-α-D-グルコピラノシド、4-チオ-β-D-ガラクトピラノース、エチル3,4,6,7-テトラ-O-アセチル-2-デオキシ-1,5-ジチオ-α-D-グルコヘプトピラノシド、2,5-アンヒドロ-D-アロニトリル、リボース、D-リボース、D-4-チオリボース、L-リボース、L-4-チオリボースから独立して選択される1つである。いくつかの実施形態において、少なくとも1つ又は各前記標的基は、ガラクトース又はN-アセチルガラクトサミンである。
【0160】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA複合体におけるリンカーは、式(301)に示される構造を有する。
【0161】
【化12】
ただし、kは、1~3の整数であり、
L
Aは、式(302)に示されるアミド結合を含む構造を有し、L
Bは、式(303)に示されるN-アシルピロリジンを含む構造を有し、カルボニルと酸素原子とを含み、L
Cは、ヒドロキシメチルアミノメタン、ジヒドロキシメチルアミノメタン又はトリヒドロキシメチルアミノメタンに基づく結合基である。
【0162】
【化13】
ただし、n
302、q
302及びp
302は、それぞれ独立して、2~6の整数であり、好ましくは、n
302、q
302及びp
302は、それぞれ独立して、2又は3であり、n
303は、4~16の整数であり、好ましくは、n
303は、8~12の整数であり、
は、基が共有結合的に結合される部位を表す。
【0163】
前記リンカーにおいて、LAは、それぞれ、1つの前記標的基とエーテル結合により結合され、LC部分におけるヒドロキシの酸素原子がLC部分とエーテル結合を形成することにより結合され、LBは、式(303)中のカルボニルがLC部分におけるアミノの窒素原子とアミド結合を形成することにより結合され、式(303)中の酸素原子が前記siRNAと酸素原子を介してリン酸エステル結合又はチオリン酸エステル結合を形成することにより結合される。
【0164】
いくつかの実施形態において、本開示により提供されるsiRNA複合体は、式(305)に示される構造を有する。
【0165】
【化14】
ただし、Nuは、本開示により提供されるsiRNAを表す。
【0166】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA複合体におけるリンカーは、式(306)に示される構造を有する。
【0167】
【化15】
ただし、n
306は、0~3の整数であり、各p
306は独立して、1~6の整数であり、
は、基が共有結合的に結合される部位を表し、前記結合基は、
*で示される酸素原子が前記標的基とエーテル結合を形成することにより結合され、前記結合基は、#で示される酸素原子のうちの少なくとも1つが前記siRNAとリン酸エステル結合又はチオリン酸エステル結合を形成することにより結合され、#で示される酸素原子が水素原子に結合されてヒドロキシを形成するか、又はC
1-C
3アルキルに結合されてC
1-C
3アルコキシ基を形成する。
【0168】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA複合体は、式(307)に示される構造を有する。
【0169】
【化16】
ただし、Nuは、本開示により提供されるsiRNAを表す。
【0170】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA複合体は、式(308)に示される構造を有する。
【0171】
【化17】
ただし、
n1は、1~3から選択される整数であり、n3は、0~4から選択される整数であり、
m1、m2及びm3は、それぞれ独立して、2~10から選択される整数であり、
R
10、R
11、R
12、R
13、R
14又はR
15は、それぞれ独立して、Hであるか、又はC
1-C
10アルキル、C
1-C
10ハロゲン化アルキル及びC
1-C
10アルコキシからなる群から選択され、
R
3は、式A59に示される構造を有する。
【0172】
【化18】
ただし、E
1は、OH、SH又はBH
2であり、Nuは、本開示により提供されるsiRNAであり、
R
2は、長さが1~20個の炭素原子の直鎖アルキレンであり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)
2、C
2-C
10アルケニレン、C
2-C
10アルキニレン、C
6-C
10アリーレン、C
3-C
18ヘテロシクリレン及びC
5-C
10ヘテロアリーレンからなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、R
2は、C
1-C
10アルキル、C
6-C
10アリール、C
5-C
10ヘテロアリール、C
1-C
10ハロゲン化アルキル、-OC
1-C
10アルキル、-OC
1-C
10アルキルフェニル、-C
1-C
10アルキル-OH、-OC
1-C
10ハロゲン化アルキル、-SC
1-C
10アルキル、-SC
1-C
10アルキルフェニル、-C
1-C
10アルキル-SH、-SC
1-C
10ハロゲン化アルキル、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH
2、-C
1-C
10アルキル-NH
2、-N(C
1-C
10アルキル)(C
1-C
10アルキル)、-NH(C
1-C
10アルキル)、-N(C
1-C
10アルキル)(C
1-C
10アルキルフェニル)、-NH(C
1-C
10アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、-CO
2H、-C(O)O(C
1-C
10アルキル)、-CON(C
1-C
10アルキル)(C
1-C
10アルキル)、-CONH(C
1-C
10アルキル)、-CONH
2、-NHC(O)(C
1-C
10アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C
1-C
10アルキル)C(O)(C
1-C
10アルキル)、-N(C
1-C
10アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C
1-C
10アルキル、-C(O)C
1-C
10アルキルフェニル、-C(O)C
1-C
10ハロアルキル、-OC(O)C
1-C
10アルキル、-SO
2(C
1-C
10アルキル)、-SO
2(フェニル)、-SO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
10アルキル)、-SO
2NH(フェニル)、-NHSO
2(C
1-C
10アルキル)、-NHSO
2(フェニル)及び-NHSO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル)からなる群のうちの1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
各L
1は、長さが1~70個の炭素原子の直鎖アルキレンであり、1又は複数の炭素原子は、C(O)、NH、O、S、CH=N、S(O)
2、C
2-C
10アルケニレン、C
2-C
10アルキニレン、C
6-C
10アリーレン、C
3-C
18ヘテロシクリレン及びC
5-C
10ヘテロアリーレンからなる群から選択される1又は複数で任意に置換され、L
1は、C
1-C
10アルキル、C
6-C
10アリール、C
5-C
10ヘテロアリール、C
1-C
10ハロゲン化アルキル、-OC
1-C
10アルキル、-OC
1-C
10アルキルフェニル、-C
1-C
10アルキル-OH、-OC
1-C
10ハロゲン化アルキル、-SC
1-C
10アルキル、-SC
1-C
10アルキルフェニル、-C
1-C
10アルキル-SH、-SC
1-C
10ハロゲン化アルキル、ハロゲン置換基、-OH、-SH、-NH
2、-C
1-C
10アルキル-NH
2、-N(C
1-C
10アルキル)(C
1-C
10アルキル)、-NH(C
1-C
10アルキル)、-N(C
1-C
10アルキル)(C
1-C
10アルキルフェニル)、-NH(C
1-C
10アルキルフェニル)、シアノ、ニトロ、-CO
2H、-C(O)O(C
1-C
10アルキル)、-CON(C
1-C
10アルキル)(C
1-C
10アルキル)、-CONH(C
1-C
10アルキル)、-CONH
2、-NHC(O)(C
1-C
10アルキル)、-NHC(O)(フェニル)、-N(C
1-C
10アルキル)C(O)(C
1-C
10アルキル)、-N(C
1-C
10アルキル)C(O)(フェニル)、-C(O)C
1-C
10アルキル、-C(O)C
1-C
10アルキルフェニル、-C(O)C
1-C
10ハロアルキル、-OC(O)C
1-C
10アルキル、-SO
2(C
1-C
10アルキル)、-SO
2(フェニル)、-SO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル)、-SO
2NH
2、-SO
2NH(C
1-C
10アルキル)、-SO
2NH(フェニル)、-NHSO
2(C
1-C
10アルキル)、-NHSO
2(フェニル)及び-NHSO
2(C
1-C
10ハロゲン化アルキル)からなる群のいずれか1又は複数の置換基を任意に有してもよく、
は、基が共有結合的に結合される部位を表し、
M
1は、標的基を表し、その定義及び選択可能な範囲は、上記と同じである。いくつかの実施形態において、各M
1は、哺乳動物の肝細胞表面のアシアロ糖タンパク質受容体に対して親和力を有するリガンドから独立して選択される1つである。
【0173】
便宜上、L1は、線形アルキルとして定義されるが、例えば上述の取替及び/又は置換によって生じるアミノ又はアルケニルであり、線形基ではないか、又は名称が異なる可能性があることは、当業者に理解される。本開示内容の目的のために、L1の長さは、2つの結合点を結合する鎖における原子数である。この目的のために、前記直鎖アルキレンの炭素原子を置換して得られた環(例えば、ヘテロシクリレン又はヘテロアリーレン)を、1個の原子とする。
【0174】
M1が哺乳動物の肝細胞表面のアシアロ糖タンパク質受容体に対して親和力を有するリガンドである場合、いくつかの実施形態において、n1は、1~3の整数であってもよく、n3は、0~4の整数であってもよく、前記複合体におけるM1リガンドの個数が少なくとも2であることを確保する。いくつかの実施形態において、n1+n3≧2であり、これにより、M1リガンドの個数が少なくとも3であり、M1リガンドと肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体をより容易に結合させ、更に前記複合体が細胞内取込み作用により細胞に取り込まれることを促進することができる。実験から分かるように、M1リガンドの個数が3個以上である場合、M1リガンドと肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合の容易さの向上が明らかではないので、合成の容易さ、構造/プロセスコスト及び送達効率などの多方面を総合的に考慮すると、いくつかの実施形態において、n1は、1~2の整数であり、n3は、0~1の整数であり、また、n1+n3=2~3である。
【0175】
いくつかの実施形態において、m1、m2及びm3が2~10の整数から独立して選択される場合、複数のM1リガンド間の空間位置を、M1リガンドと肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合に適合させることができる。本開示により提供される複合体をより簡略化し、より容易に合成し、及び/又はコストを低下させるために、いくつかの実施形態において、m1、m2及びm3は、それぞれ独立して2~5の整数であり、いくつかの実施形態において、m1=m2=m3である。
【0176】
R10、R11、R12、R13、R14及びR15が、それぞれH、C1-C10アルキル、C1-C10ハロゲン化アルキル及びC1-C10アルコキシから独立して選択される1つである場合、いずれも本開示の複合体の性質を変化させることなく、本開示の目的を実現することができることは、当業者に理解され得る。いくつかの実施形態において、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、それぞれH、メチル及びエチルから独立して選択される。いくつかの実施形態において、R10、R11、R12、R13、R14及びR15は、いずれもHである。
【0177】
本開示により提供されるsiRNA複合体によれば、R3は、式A59に示される構造の基であり、ただし、E1は、OH、SH又はBH2であり、調製原料の入手しやすさを考慮すると、いくつかの実施形態において、E1は、OH又はSHである。
【0178】
いくつかの実施形態において、R2は、窒素含有骨格上のNとA59との結合を実現するために選択される。本開示の文脈において、「窒素含有骨格」とは、R10、R11、R12、R13、R14及びR15が結合された炭素原子とNが互いに結合されている鎖状構造を指す。したがって、R2は、適当な方法でA59の基を窒素含有骨格上のNに結合することができる任意の結合基であってもよい。いくつかの実施形態において、固相合成プロセスにより本開示のsiRNA複合体を調製する場合に、R2には、窒素含有骨格上のNに結合される結合部位及びR3におけるPに結合される結合部位がともに含まれる必要がある。いくつかの実施形態において、R2における前記窒素含有骨格上のNに結合される部位は、Nとアミド結合を形成し、前記R3上のPに結合される部位は、Pとリン酸エステル結合を形成する。いくつかの実施形態において、R2は、B5、B6、B5’又はB6’である。
【0179】
【化19】
ただし、
は、基が共有結合的に結合される部位を表す。
【0180】
q2の値の範囲は、1~10の整数であってもよく、いくつかの実施形態において、q2は1~5の整数である。
【0181】
L1は、M1リガンドを窒素含有骨格上のNに結合し、本開示のsiRNA複合体に標的機能を提供するという役割を果たす。いくつかの実施形態において、L1は、式A1~A26の基から選択される1又は複数の結合の組合せである。いくつかの実施形態において、L1は、A1、A4、A5、A6、A8、A10、A11及びA13から選択される1又は複数の結合の組合せであり、いくつかの実施形態において、L1は、A1、A4、A8、A10及びA11から選択される少なくとも2つの結合の組合せであり、いくつかの実施形態において、L1は、A1、A8、A10から選択される少なくとも2つの結合の組合せである。
【0182】
【0183】
いくつかの実施形態において、L1の長さは、3~25個の原子、3~20個の原子、4~15個の原子又は5~12個の原子であってもよい。いくつかの実施形態において、L1の長さは、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、30個、35個、40個、45個、50個、55個、60個の原子である。
【0184】
いくつかの実施形態において、j1は、2~10の整数であり、いくつかの実施形態において、j1は、3~5の整数である。いくつかの実施形態において、j2は、2~10の整数であり、いくつかの実施形態において、j2は、3~5の整数である。R’は、C1-C4アルキルであり、いくつかの実施形態において、R’は、メチル、エチル及びイソプロピルのうちの1つである。Raは、A27、A28、A29、A30及びA31のうちの1つであり、いくつかの実施形態において、Raは、A27又はA28である。Rbは、C1-C5アルキルであり、いくつかの実施形態において、Rbは、メチル、エチル、イソプロピル及びブチルのうちの1つである。いくつかの実施形態において、式A1~A26において、j1、j2、R’、Ra、Rbをそれぞれ選択することにより、M1リガンドと窒素含有骨格上のNとの結合を実現し、M1リガンド間の空間位置を、M1リガンドと肝表面のアシアロ糖タンパク質受容体との結合により適合させる。
【0185】
【0186】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA複合体は、式(403)、(404)、(405)、(406)、(407)、(408)、(409)、(410)、(411)、(412)、(413)、(414)、(415)、(416)、(417)、(418)、(419)、(420)、(421)又は(422)に示される構造を有する。
【0187】
【0188】
いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNA配列中の任意の可能な位置に結合されてもよく、例えば、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖のいずれか1個のヌクレオチドに結合されてもよく、いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖のいずれか1個のヌクレオチドに結合される。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の端部に結合され、いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の端部に結合される。前記端部とは、前記センス鎖又は前記アンチセンス鎖におけるその一端からの前の4個のヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖又はアンチセンス鎖の末端に結合され、いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の3’末端に結合される。siRNAのセンス鎖の上記位置に結合された場合、本開示により提供される複合体は、細胞に入り込んだ後、巻き戻されるときに、単独のsiRNAのアンチセンス鎖を放出し、RNAiメカニズムにより標的遺伝子の発現を抑制することができる。
【0189】
式A59におけるPは、siRNA中のヌクレオチド上の任意の可能な位置、例えば、ヌクレオチドの5’位、ヌクレオチドの2’位、ヌクレオチドの3’位又はヌクレオチドの塩基に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、リン酸ジエステル結合を形成することにより前記siRNA中のヌクレオチドの2’位、3’位又は5’位に結合されてもよい。いくつかの実施形態において、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の3’末端のヌクレオチドの3’ヒドロキシを脱水素した酸素原子に結合され、或いは、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖における1個のヌクレオチドの2’-ヒドロキシ中の水素を置換することによりヌクレオチドに結合され、或いは、式A59におけるPは、siRNAのセンス鎖の5’末端のヌクレオチドの5’ヒドロキシ中の水素を置換することによりヌクレオチドに結合される。
【0190】
いくつかの実施形態において、本開示のsiRNA複合体に含まれるsiRNAは、例えば、表1a、1b又は1cに示される任意のsiRNAであってもよい。これらのsiRNAを含むsiRNA複合体は、低いオフターゲット効果と高いAPOC3遺伝子によって発現されるmRNAに対する抑制活性を示す。
【0191】
【0192】
【0193】
【0194】
ただし、大文字C、G、U、Aは、ヌクレオチドの塩基組成を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1個のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1個のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、下線で示される大文字Sは、当該文字Sの左側に隣接する1個のヌクレオチドが安定化修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右の2個のヌクレオチド間がチオリン酸エステルにより結合されていることを表し、P1は、当該P1の右側に隣接する1個のヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチド又は5’-リン酸アナログ修飾ヌクレオチドであることを表す。いくつかの実施形態において、Sは、具体的な安定化修飾、例えばmoeを表し、下線で示される組合せ文字moeは、当該組合せ文字moeの左側に隣接する1個のヌクレオチドが2’-O-メトキシエチル修飾を有するヌクレオチドであることを表す。いくつかの実施形態において、P1は、具体的に修飾されたVP、Ps又はPであることを表し、組合せ文字VPは、当該組合せ文字VPの右側に隣接する1個のヌクレオチドがビニルリン酸エステル(5’-(E)-vinylphosphonate、E-VP)修飾ヌクレオチドであることを表し、組合せ文字Psは、当該組合せ文字Psの右側に隣接する1個のヌクレオチドがチオリン酸エステル修飾ヌクレオチドであることを表し、大文字Pは、当該文字Pの右側に隣接する1個のヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。また、上記表1a~1cに示される配列中の各Uは、任意にTで置換されてもよく、siRNAの活性又はオフターゲット効果に明らかな影響を与えない。
【0195】
本開示のsiRNA複合体の調製
上記siRNA複合体は、従来技術において既に詳しく記載された方法により合成されてもよい。例えば、国際公開第2015006740号には、複数種のsiRNA複合体の調製方法が詳しく記載されている。当業者によく知られている方法により、本開示のsiRNA複合体を得ることもできる。例えば、国際公開第2014025805号には、式(305)に示される構造の調製方法が記載されており、Rajeevらは、ChemBioChem 2015,16,903-908に式(307)に示される構造の調製方法を記載した。中国特許出願公開第110959011号明細書にも、式(308)に示されるsiRNA複合体の調製方法が詳細に開示されている。上記文献内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0196】
本開示のsiRNA複合体は、薬学的に許容される他の添加剤と併用してもよく、当該添加剤は、本分野で通常用いられる各種の製剤又は化合物のうちの1又は複数であってもよく、詳細については、上述した本開示の医薬組成物に関する記載を参照することができる。
【0197】
本開示のsiRNA、医薬組成物及びsiRNA複合体の使用
いくつかの実施形態において、本開示は、本開示のsiRNA、及び/又は医薬組成物及び/又はsiRNA複合体の、APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状を治療及び/又は予防する薬物の調製における使用を提供する。いくつかの実施形態において、前記APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状は、脂質異常症である。いくつかの実施形態において、前記脂質異常症は、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症又はアテローム性動脈硬化である。
【0198】
いくつかの実施形態において、本開示は、APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状の治療及び/又は予防方法を提供し、前記方法は、本開示のsiRNA、及び/又は医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体を、それを必要とする被験体に投与することを含む。いくつかの実施形態において、前記APOC3遺伝子によって発現されるmRNAレベルに関連する疾患又は症状は、脂質異常症である。いくつかの実施形態において、前記脂質異常症は、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症又はアテローム性動脈硬化である。
【0199】
いくつかの実施形態において、本開示は、細胞中のAPOC3遺伝子の発現レベルの抑制方法を更に提供し、前記方法は、本開示のsiRNA、及び/又は医薬組成物、及び/又はsiRNAの有効量を前記細胞と接触させることを含む。
【0200】
本開示により提供されるsiRNA、医薬組成物及び/又はsiRNA複合体を、それを必要とする被験体に投与することで遺伝子の発現を調節するメカニズムにより、細胞中の特定の遺伝子の発現に起因する病理学的状態又は疾患を予防及び/又は治療するという目的を達成することができる。したがって、本開示により提供されるsiRNA、医薬組成物及び/又はsiRNA複合体は、前記病理学的状態又は疾患の予防及び/又は治療に用いられてもよく、本明細書に記載の病理学的状態又は疾患を予防及び/又は治療する薬物の調製に用いられてもよい。
【0201】
本明細書で用いられる用語「薬剤投与/投与」とは、siRNA、医薬組成物及び/又はsiRNA複合体を少なくとも部分的に所望の部位に局在化して所望の効果を生じさせる方法又は経路により、siRNA、医薬組成物及び/又はsiRNA複合体を被験体の体内に入れることを指す。本開示の方法に適した投与経路は、局所投与と全身投与を含む。一般的には、局所投与により、被験体全身よりも多くのsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体が特定の部位に送達されるが、全身投与により、前記siRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体が被験体のほぼ全身に送達される。本開示が肝細胞中の特定の遺伝子の発現に起因する病理学的状態又は疾患の予防及び/又は治療手段を提供することを意図することを考慮すると、いくつかの実施形態において、薬物を肝臓に送達することができる投与方法である。
【0202】
本分野で既知の任意の適切な経路で被験体に投与することができ、前記経路は、経口投与又は胃腸外経路(非経口経路)、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経皮投与、気管内投与(エアロゾル)、肺部投与、鼻部投与、直腸投与及び局所投与(口腔内投与と舌下投与を含む)を含むが、これらのみに限定されない。投与頻度は、1日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月又は1年に1回若しくは複数回であってもよい。
【0203】
本開示に記載されたsiRNA、医薬組成物及び/又はsiRNA複合体の用量は、本分野における一般的な用量であってもよく、前記用量は、各種のパラメータ、特に被験体の年齢、体重及び性別により決定されてもよい。細胞培養又は実験動物で標準薬学的手順により毒性と治療効果を測定し、例えば、LD50(50%の群体を死亡させる用量)及びED50(定量的反応において、50%の最大反応強度を引き起こすことができる用量を指し、定性的反応において、50%の実験対象に陽性反応が発生する場合の用量を指す)を測定してもよい。細胞培養分析及び動物研究により得られたデータに基づいてヒト用量の範囲を得ることができる。
【0204】
本開示に記載されたsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体を投与する場合、例えば、雄性又は雌性、6~12週齢、体重18~25gのC57BL/6J又はC3H/HeNCrlVrマウスに対して、前記siRNA、医薬組成物及び/又はsiRNA複合体中のsiRNAの量として、siRNAと薬学的に許容される複合分子とで形成されるsiRNA複合体について、そのsiRNAの用量が0.001~100mg/kg体重であってもよく、いくつかの実施形態において、0.01~50mg/kg体重であり、更なる実施形態において、0.05~20mg/kg体重であり、より更なる実施形態において、0.1~15mg/kg体重であり、また更なる実施形態において、0.1~10mg/kg体重である。本開示に記載されたsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体を投与する場合、上記用量が好ましい。
【0205】
また、本開示のsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体を、特定の遺伝子が異常に発現する細胞に導入することにより、遺伝子の発現を調節するメカニズムにより、細胞中の当該特定の遺伝子の発現を抑制するという目的を達成することもできる。いくつかの実施形態において、前記細胞は、肝細胞である。いくつかの実施形態において、前記肝細胞は、Hep3B、HepG2、Huh7などの肝癌細胞系から選択される細胞又は単離された初代肝細胞であってもよく、いくつかの実施形態において、初代肝細胞である。
【0206】
本開示により提供される方法により、特定の遺伝子の細胞での発現を抑制し、提供されるsiRNA、医薬組成物、及び/又はsiRNA複合体中のsiRNAの用量は、当業者が得ようとする効果に基づいて容易に確定するものである。例えば、いくつかの実施形態において、提供されるsiRNA複合体中のsiRNAの用量は、一般的に、標的遺伝子の発現を低減でき、標的細胞表面では1pM~1μM、0.01nM~100nM、0.05nM~50nM、又は0.05nM~約5nMの細胞外濃度となる量である。当該局所濃度を達成するのに必要な量は、送達方法、送達部位、送達部位と標的細胞又は組織との間の細胞層の数、送達するのが局所か全身かなどを含む各種の因子により変化する。送達部位における濃度は、標的細胞又は組織の表面における濃度よりも顕著に高くてもよい。
【0207】
キット
本開示は、キットを提供し、前記キットは、本開示により提供されるsiRNA、医薬組成物及び/又はsiRNA複合体を含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、siRNA、医薬組成物及び/又は複合体を1つの容器で提供することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、薬学的に許容される賦形剤を提供する容器を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記キットには、他の成分、例えば、安定化剤又は防腐剤などが含まれてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されたキットは、本明細書に記載されたsiRNA、医薬組成物、及び/又は複合体を提供する容器とは別の容器で少なくとも1種の他の治療剤を含んでもよい。いくつかの実施形態において、前記キットは、siRNA、医薬組成物、及び/又は複合体と薬学的に許容される担体及び/又は添加剤又は他の成分(存在する場合)を混合するための説明書を含んでもよい。
【0209】
本開示のキットにおいて、前記siRNA、薬学的に許容される担体及び/又は添加剤、並びに前記医薬組成物及び/又は複合体、及び/又は薬学的に許容される添加剤は、任意の形態、例えば液体形態、乾燥形態又は凍結乾燥形態で提供することができる。いくつかの実施形態において、前記siRNA及び薬学的に許容される担体及び/又は添加剤、並びに前記医薬組成物及び/又は複合体及び任意の薬学的に許容される添加剤は、基本的にクリーン及び/又は無菌である。いくつかの実施形態において、本開示のキットで無菌水を提供することができる。
【0210】
以下に実施例により本開示を更に説明するが、本開示は、これによって何ら制限されない。
【0211】
<実施例>
特に説明がない限り、以下の実施例で用いられる試薬、培地は、いずれも市販品であり、用いられる核酸電気泳動、real-time PCRなどの操作は、いずれもMolecular Cloning(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))に記載された方法を参照して行われる。
【0212】
調製例1~7:本開示により提供されるsiRNA複合体の合成
中国特許出願公開公報第110959011号明細書の調製例1に記載された調製方法により、以下の表2における複合体1~7を調製して得た。相違点は以下のみである。各siRNA複合体に含まれるsiRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ表2に示され、核酸配列中の、表2における番号が複合体1~複合体7であるsiRNAの核酸配列に従って、siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖をそれぞれ合成した。超純水(Milli-Q超純水装置、抵抗率18.2MΩ*cm(25℃))を用いて各siRNA複合体を濃度0.2mg/mL(siRNAとして)に希釈した後、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS、Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、Waters社から購入、型番:LCT Premier)を用いて、分子量を検出した。実測値が理論値と一致しており、合成された複合体1~7が目的設計の二本鎖核酸配列であることが示された。各siRNA複合体は、それぞれ式(403)に示される構造を有し、かつ当該siRNA複合体に含まれるsiRNAは、それぞれ表2における複合体1~7に対応するsiRNA配列を有する。例えば、複合体5の分子量(mw)のセンス鎖の理論値が7581.42であり、実測値が7581.22であり、アンチセンス鎖の理論値が6948.55であり、実測値が6948.72であり、実測値が理論値と一致しており、当該複合体が式(403)に示される構造を有し、かつ当該複合体が表2における複合体5に対応するsiRNA配列を有することが示された。
【0213】
表2 siRNA複合体中のsiRNA配列
【表4】
【0214】
ここで、大文字C、G、U、A、Tは、ヌクレオチドの塩基組成を表し、小文字mは、当該文字mの左側に隣接する1個のヌクレオチドがメトキシ修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字fは、当該文字fの左側に隣接する1個のヌクレオチドがフルオロ修飾ヌクレオチドであることを表し、下線で示された組合せ文字moeは、当該組合せ文字moeの左側に隣接する1個のヌクレオチドがリボース2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチドであることを表し、小文字sは、当該文字sの左右の2個のヌクレオチド間がチオフォスフェートにより結合されていることを表し、Pは、当該文字Pの右側の1個のヌクレオチドが5’-リン酸ヌクレオチドであることを表す。
【0215】
比較調製例1-3:参照siRNA複合体の合成
中国特許出願公開公報第110959011号明細書の調製例1に記載の調製方法により、以下の表2における番号が参照複合体1~3である参照siRNA複合体を調製したが、各参照siRNA複合体に含まれるsiRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖がそれぞれ表2に示され、以下の表2における番号が参照複合体1~3であるsiRNAの核酸配列に従って、siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖をそれぞれ合成したことのみが異なる。超純水(Milli-Q超純水装置、抵抗率18.2MΩ*cm(25℃))を用いて各参照siRNA複合体を濃度0.2mg/mL(siRNAとして)に希釈した後、液体クロマトグラフィー質量分析計(LC-MS、Liquid Chromatography-Mass Spectrometry、Waters社から購入、型番:LCT Premier)を用いて、分子量を検出した。実測値が理論値と一致しており、合成された参照複合体1~3がそれぞれ目的設計の二本鎖核酸配列を有することが示された。各参照siRNA複合体は、式(403)に示される構造を有し、かつ含まれるsiRNAは、それぞれ表2における参照複合体1~3に対応するsiRNA配列を有し、これらのsiRNA配列には安定化修飾ヌクレオチドが含まれていない。
【0216】
比較調製例4:参照siRNA NCの合成
国際公開第2019105418号の調製例1に記載された方法により、固相合成方法で以下の参照siRNA NCを合成したが、DEPC水を用いて、互いに相補的なSEQ ID NO:161に示されるセンス鎖及びSEQ ID NO:162に示されるアンチセンス鎖を等モル溶解し、その後にアニーリングして参照siRNA NCを得たことのみが異なる。
【0217】
5’-UmsUmsCmUmCmCmGfAfAfCmGmUmGmUmCmAmCmGmUm-3’(SEQ ID NO:161)、
5’-AmsCfsGmUmGmAfCmAmCmGmUmUmCmGfGmAfGmAmAmsCmsUm-3’(SEQ ID NO:162)。
【0218】
調製例8~14:本開示により提供されるsiRNAの合成
国際公開第2019105418号の調製例1に記載された方法により、固相合成方法で表2に示されるsiRNA配列をそれぞれ合成したが、DEPC水を用いて、表2における互いに相補的なセンス鎖とアンチセンス鎖を等モル溶解し、その後にアニーリングして、配列が表2に示されている、本開示により提供されるsiRNA1~siRNA7を得たことのみが異なる。
【0219】
比較調製例4~10
調製例8~14と同じ方法により、参照siRNA1~参照siRNA7を調製した。
【0220】
実験例1:マウスでのsiRNA複合体の毒性効果
複合体1、複合体2及び参照複合体1をそれぞれPBSで10mg/mlの溶液(siRNA複合体として)に溶解した。ICRマウス(雌雄半々、体重18~22g、5~6週齢、斯貝福公司から購入)をランダムに群分けし、1群当たり6匹のマウス(雌雄半々)とし、それぞれ番号を付けた。試験群として、各マウスに上記siRNA複合体溶液を10mL/kgの投与体積で項部皮下注射の方式で投与し、また、ブランク対照群として、1群の各マウスにPBSを10mL/kgの投与体積で投与した。
【0221】
投与時点を1日目とし、8日目に試験群及びブランク対照群の各マウスに対して眼窩から0.6mLの採血量で採血し、採血した後、37℃で60minインキュベートし、そして4℃で、3000rpmの回転数で15min遠心分離して血清を得た。更に、PM1P000/3全自動血清生化学分析装置(SABA、イタリア)を用いて血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度を検出した。結果を表1に示す。
【0222】
更に、8日目に採血した後、マウスを致死させて剖検し、10%の中性緩衝ホルマリン固定液中で保存して病理切片を作製した。病理切片における、肝脂肪変性及び炎症の重症度を評価して等級付けした。
【0223】
表1 siRNA複合体を投与したマウスの血液生化学的結果
【表5】
【0224】
表1において、%及びその前の数字は、マウス血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度とブランク対照群の血清中の濃度との差の、ブランク対照群の血清中の濃度に対する百分率を表す。例えば、表1における420%は、参照複合体1を100mg/Kgで投与したマウスのインビボでのアラニンアミノトランスフェラーゼの濃度がブランク対照群よりも420%高いことを表す。
【0225】
表1の結果から分かるように、ブランク対照と比較して、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体1を投与したマウスは、明らかな血液生化学的指標の変化を示し、ALTの濃度が420%上昇し、ASTの濃度が126%上昇した。本開示のsiRNA複合体1又は2を投与したマウスにおいて、ALTの濃度は、それぞれ116%及び118%だけ上昇し、ASTの濃度は、32%だけ上昇し、顕著に低下した血液生化学的指標を示した。
【0226】
病理切片の結果から分かるように、ブランク対照と比較して、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体1を投与した6匹のマウスのうち、1匹のマウスが中程度の肝細胞炎症反応を示し、具体的な症状としては、その肝小葉には少量のびまん性炎症性細胞浸潤が見られ、肝洞には線維細胞のびまん性増殖が見られ、3匹のマウスが軽度の肝細胞炎症反応のみを示し、局所的な肝小葉には炎症性細胞の小巣状浸潤が見られ、1匹のマウスが局所的な肝小葉の炎症性壊死と個別の肝細胞の点状壊死を示した。本開示の複合体1を投与したマウスのうち、2匹のマウスのみが軽度の肝細胞炎症反応を示し、少量の炎症性細胞浸潤が見られ、中程度以上の炎症反応及び壊死が示されなかった。本開示の複合体2を投与したマウスのうち、1匹のマウスのみが軽度の肝細胞炎症反応を示し、中程度以上の炎症反応及び壊死が示されなかった。参照複合体1と比較して、複合体1及び2は、顕著に低い毒性反応を示した。
【0227】
上記結果から明らかなように、参照複合体と比較して、本開示のsiRNA複合体は、オフターゲット効果による肝毒性反応を効果的に低下させることができるため、脂質異常症関連疾患又は症状の治療及び/又は予防のための薬物の調製において、顕著に高い安全性を示し、優れた開発の見通しを有する。
【0228】
実験例2:マウスでのsiRNA複合体の毒性効果
複合体6、複合体7及び参照複合体3をそれぞれPBSで10mg/ml及び30mg/mlの溶液(siRNA複合体として)に溶解した。ICRマウス(雄雌半々、体重18~22g、5~6週齢、斯貝福公司から購入)をランダムに群分けし、それぞれ番号を付けた。各濃度の各複合体について、2週間群と4週間群の2群の動物に分け、1群当たり6匹のマウス(雌雄半々)とした。試験群として、各マウスに上記siRNA複合体溶液を10mL/kgの投与体積で項部皮下注射の方式で投与し、また、それぞれブランク対照群の2週間群又は4週間群として、2群の各マウスにPBSを10mL/kgの投与体積で投与した。
【0229】
投与時点を1日目とし、15日目後、300mg/kg濃度の複合体の2週間群の6匹のマウスを致死させて剖検し、それぞれ10%の中性緩衝ホルマリン固定液中で保存して病理切片を作製した。29日目に試験群及びブランク対照群の4週間群における6匹のマウスに対してそれぞれ眼窩から0.6mLの採血量で採血し、採血した後、37℃で60minインキュベートし、そして4℃で、3000rpmの回転数で15min遠心分離して血清を得た。更に、PM1P000/3全自動血清生化学分析装置(SABA、イタリア)を用いて血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度を検出し、かつブランク対照群と対照し、結果を表2に示す。病理切片における、炎症性細胞浸潤と肝細胞壊死の重症度を評価して等級付けし、相対比較を行った。
【0230】
表2 siRNA複合体を投与したマウスの血液生化学的結果
【表6】
【0231】
表2において、Fは、雌性マウスを表し、%及びその前の数字は、マウス血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度とブランク対照群の血清中の濃度との差の、ブランク対照群の血清中の濃度に対する百分率を表す。例えば、表2におけるF:212%は、参照複合体3を300mg/Kgで投与した雌性マウスのインビボでのアラニンアミノトランスフェラーゼの濃度がブランク対照群よりも212%高いことを表す。
【0232】
表2の結果から分かるように、ブランク対照と比較して、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体3を投与したマウスは、明らかな血液生化学的指標の変化を示し、300mg/Kgの高用量で、雌性マウスのインビボでのALT及びASTの濃度は、それぞれ212%及び36%上昇した。同じ用量で、本開示の複合体7を投与した雌性マウスのインビボでのALT及びASTの濃度は、それぞれ130%及び32%上昇し、参照複合体3と比較して、ALTの濃度は、明らかに低下し、本開示の複合体6を投与したマウスのインビボでのALT及びASTの濃度の上昇は、見られていないが、参照複合体3と比較して、血液生化学的指標の変化程度は、明らかに低下した。
【0233】
病理切片の結果から分かるように、ブランク対照と比較して、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体3を投与したマウスは、明らかな肝炎症反応を示し、6匹のマウスは、いずれも炎症性細胞浸潤を示した。複合体6を投与したマウスのうち、3匹のマウスのみが炎症性細胞浸潤を示した。複合体7を投与したマウスのうち、3匹のマウスのみが炎症性細胞浸潤を示した。参照複合体と比較して、本開示の複合体の場合に、炎症性細胞浸潤を示すマウスの数も組織病理学的に顕著に減少した。
【0234】
上記結果から明らかなように、参照複合体と比較して、本開示のsiRNA複合体は、オフターゲット効果による肝毒性反応を効果的に低下させることができるため、脂質異常症関連疾患又は症状の治療及び/又は予防のための薬物の調製において、顕著に高い安全性を示し、優れた開発の見通しを有する。
【0235】
実験例3:マウスでのsiRNA複合体の毒性効果
実験例2の方法により、マウスでのsiRNA複合体の毒性効果を検証したが、複合体3及び参照複合体2を用いて試験したことのみが異なる。複合体をそれぞれPBSで10mg/mlの溶液(siRNA複合体として)に溶解し、2週間群及び4週間群(表19において、それぞれD15群及びD29群とした)に分け、1群当たり3匹のマウスとし、いずれも雄性とする。即ち、マウスでの100mg/kgの用量の複合体13及び参照複合体2の毒性効果を試験した。
【0236】
表3 siRNA複合体を投与したマウスの血液生化学的結果
【表7】
【0237】
表3において、%及びその前の数字は、マウス血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)又はアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度とブランク対照群の血清中の濃度との差の、ブランク対照群の血清中の濃度に対する百分率を表す。
【0238】
表3の結果から分かるように、ブランク対照と比較して、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体2を投与したマウスは、明らかな血液生化学的指標の変化を示し、投与後15日目に、血清中のALT及びASTの濃度は、それぞれ71%及び54%上昇し、投与後29日目に、血清中のALT及びASTの濃度は、それぞれ118%及び94%上昇した。複合体3を同じ用量で投与したマウスにおいて、血清中のALT及びAST濃度の上昇は、見られなかった。本開示の複合体3は、顕著に低い血液生化学的指標を示す。
【0239】
病理切片の結果から分かるように、ブランク対照と比較して、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体2を投与したマウスのうち、1匹のマウスが組織病理学的結果において重度の肝細胞変性を示し、具体的な症状としては、肝細胞が広範囲に腫れ、細胞質が緩んで薄く染色されており、一部の肝細胞が空胞変性を伴い、細胞質内に小さな丸い空胞が見られ、2匹が中程度の肝細胞変性を示し、具体的な症状としては、多数から広範な肝細胞の細胞質が緩んでおり、一部の肝細胞が空胞変性を伴い、細胞質内に小さな丸い空胞が見られた。本開示のsiRNA複合体3を投与したマウスのうち、3匹のマウスが軽度の肝細胞変性を示し、細胞質が緩んでいる肝細胞の数がより少ない。参照複合体と比較して、肝細胞の変性程度が組織病理学的に明らかに低下し、顕著に低い毒性反応を示した。
【0240】
上記結果から明らかなように、参照複合体と比較して、本開示のsiRNA複合体は、オフターゲット効果による肝毒性反応を効果的に低下させることができるため、脂質異常症関連疾患又は症状の治療及び/又は予防のための薬物の調製において、顕著に高い安全性を示し、優れた開発の見通しを有する。
【0241】
実験例4:マウスでのsiRNA複合体の毒性効果
複合体3及び複合体5をそれぞれPBSで30mg/mlの溶液(siRNA複合体として)に溶解した。ICRマウス(雌雄半々、体重18~22g、5~6週齢、斯貝福公司から購入)をランダムに群分けし、1群当たり10匹のマウス(雌雄半々)とし、それぞれ番号を付けた。試験群として、各マウスに上記siRNA複合体溶液を10mL/kgの投与体積で項部皮下注射の方式で投与し、また、ブランク対照群として、1群の各マウスにPBSを10mL/kgの投与体積で投与した。
【0242】
初回投与時点を1日目とし、8日目と15日目にそれぞれ各マウスに繰り返して投与し、用いられたsiRNA複合体溶液(又はPBS)の濃度と投与体積は、初回投与と同じである。16日目に試験群及びブランク対照群の各マウスに対して眼窩から0.6mLの採血量で採血し、採血した後、37℃で60minインキュベートし、そして4℃で、3000rpmの回転数で15min遠心分離して血清を得た。更に、PM1P000/3全自動血清生化学分析装置(SABA、イタリア)を用いて血清中のアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の濃度を検出した。結果を
図1A、
図1Bに示す。
【0243】
図1A、
図1Bは、それぞれ本開示のsiRNA複合体又はPBSを毎週300mg/kgで3週間連続投与した後の、マウス血清中のALT及びAST濃度の散布図である。
図1A及び
図1Bから分かるように、ブランク対照群と比較して、本開示のsiRNA複合体を投与した後、血清中のALT及びASTの濃度は、ブランク対照群のレベルと同等であり、本開示のsiRNA複合体が非常に低い肝毒性を有することが示された。
【0244】
更に、採血した後、マウスを致死させて剖検し、10%の中性緩衝ホルマリン固定液中で保存して病理切片を作製し、相対比較を行った。病理切片から分かるように、本開示のsiRNA複合体3又は複合体5を投与したマウスは、肝脂肪変性及び炎症のいずれにおいてもブランク対照群に近い反応を示し、顕著な異常がない。同様に、本開示のsiRNA複合体は、非常に低い肝毒性を有することが示された。
【0245】
上記結果から明らかなように、本開示のsiRNA複合体は、オフターゲット効果による肝毒性反応を効果的に低下させることができるため、脂質異常症関連疾患又は症状の治療及び/又は予防のための薬物の調製において、顕著に高い安全性を示し、優れた開発の見通しを有する。
【0246】
実験例4:インビトロsicheck系におけるsiRNA複合体の抑制活性
本実験例において、インビトロsicheck系を用いて、複合体1、複合体2、複合体3、複合体4、複合体6、複合体7、参照複合体1、参照複合体2、参照複合体3又は参照siRNA NCのインビトロsicheck系における目的配列抑制活性を検出した。
【0247】
[1]検出プラスミドの構築
psiCHECKTM-2(PromegaTM)プラスミドを用いて検出プラスミドを構築し、前記プラスミドに1つの目的配列1、即ちsiRNA標的配列が含まれる。試験対象のsiRNA複合体について、目的配列1を以下に示す。
【0248】
TGCTCAGTTCATCCCTAGAGGCAGCTGCTCCAGGAACAGAGGTGCCATGCAGCCCCGGGTACTCCTTGTTGTTGCCCTCCTGGCGCTCCTGGCCTCTGCCCGAGCTTCAGAGGCCGAGGATGCCTCCCTTCTCAGCTTCATGCAGGGTTACATGAAGCACGCCACCAAGACCGCCAAGGATGCACTGAGCAGCGTGCAGGAGTCCCAGGTGGCCCAGCAGGCCAGGGGCTGGGTGACCGATGGCTTCAGTTCCCTGAAAGACTACTGGAGCACCGTTAAGGACAAGTTCTCTGAGTTCTGGGATTTGGACCCTGAGGTCAGACCAACTTCAGCCGTGGCTGCCTGAGACCTCAATACCCCAAGTCCACCTGCCTATCCATCCTGCGAGCTCCTTGGGTCCTGCAATCTCCAGGGCTGCCCCTGTAGGTTGCTTAAAAGGGACAGTATTCTCAGTGCTCTCCTACCCCACCTCATGCCTGGCCCCCCTCCAGGCATGCTGGCCTCCCAATAAAGCTGGACAAGAAGCTGCTATG(SEQ ID NO: 163)
【0249】
当該目的配列1は、検出されたsiRNAの標的ヒトAPOC3遺伝子によって発現されるmRNA中の1つのヌクレオチド配列であるため、各siRNA複合体の目的配列1に対する抑制効果は、検出されたsiRNA複合体中のsiRNAのAPOC3遺伝子発現抑制能力を反映することができる。目的配列1及びその相補的な配列をpsiCHECKTM-2プラスミドのXho I/Not I部位にクローニングした。
【0250】
[2]トランスフェクション
20%のウシ胎児血清(FBS、Hyclone社)及び0.2体積%のペニシリン-ストレプトマイシン(Penicillin-Streptomycin、Gibco、Invitrogen社)を添加したDMEM完全培地(Hyclone社)でHEK293A細胞(南京科佰生物技術有限公司から購入)を37℃で5%CO2/95%空気含有インキュベーターにおいて培養した。
【0251】
HEK293A細胞を8×103個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに接種し、16時間後に細胞増殖密度が70~80%に達したとき、培養ウェル中のH-DMEM完全培地を全て吸引し、各ウェルに80μLのOpti-MEM培地(GIBCO社)を添加して培養を1.5時間継続した。
【0252】
DEPC水を用いて上記検出プラスミドを希釈して200ng/μLの検出プラスミド希釈標準溶液とし、DEPC水を用いて以下のsiRNA複合体中のそれぞれ又は参照siRNA NCを調製してそれぞれ10nM、3nM、1nMの計3種類の異なる濃度(siRNAとして)のsiRNA複合体希釈標準溶液又は参照siRNA NC希釈標準溶液とし、用いられるsiRNA複合体は、それぞれ上記調製で得られた複合体1、複合体2、複合体3、複合体4、複合体6、複合体7、参照複合体1、参照複合体2、参照複合体3である。
【0253】
各siRNA複合体又は参照siRNA NCについて、1A1~1A3溶液をそれぞれ調製し、1部の1A1~1A3溶液は、それぞれ1μLの上記3種類の濃度のsiRNA複合体希釈標準溶液又は参照siRNA NC希釈標準溶液、0.05μLの検出プラスミド希釈標準溶液(検出プラスミド10ngを含む)及び10μLのOpti-MEM培地を順に含む。
【0254】
1B溶液を調製し、1部の1B溶液は、0.2μLのLipofectamineTM 2000及び10μLのOpti-MEM培地を含む。
【0255】
1C溶液を調製し、1部の1C溶液は、0.05μLの検出プラスミド希釈標準溶液(検出プラスミド10ngを含む)及び10μLのOpti-MEM培地を含む。
【0256】
それぞれ1部の1B溶液を1部の得られた各siRNA複合体又は参照siRNA NCの1A1~1A3溶液と混合し、それぞれ室温で20minインキュベートして、各siRNA複合体及び参照siRNA NCのトランスフェクション複合体1X1~1X3溶液を得た。
【0257】
1部の1B溶液を1部の1C溶液と混合し、室温で20minインキュベートして、ブランクトランスフェクション複合体1X4を得た。
【0258】
培養ウェルに、各siRNA複合体又は参照siRNA NCのトランスフェクション複合体1X1~1X3をそれぞれ20μL/ウェルの添加量で添加して均一に混合し、各siRNA複合体又は参照siRNA NCの、最終濃度がそれぞれ約0.1nM、0.03nM及び0.01nM(siRNAとして)であるトランスフェクション複合体を得て、各siRNA複合体又は参照siRNA NCのトランスフェクション複合体1X1~1X3をそれぞれ3つの培養ウェルにトランスフェクションし、siRNA複合体又は参照siRNA NCを含むコトランスフェクション混合物を得て、試験群とした。
【0259】
各siRNA複合体又は参照siRNA NCについて、他の3つの培養ウェルに、トランスフェクション複合体1X4をそれぞれ20μL/ウェルの添加量で添加し、siRNAを含まないトランスフェクション混合物を得て、ブランク対照群とした。
【0260】
siRNAを含むコトランスフェクション混合物とsiRNAを含まないコトランスフェクション混合物をそれぞれ培養ウェルに4時間トランスフェクションした後、各ウェルに20%のFBSを含むH-DMEM完全培地を100μL追加した。96ウェルプレートをCO2インキュベーターに置いて培養を24時間継続した。
【0261】
[3]検出
培養ウェル中の培地を吸引し、各ウェルに150μLのDual-Glo(登録商標)Luciferase試薬とH-DMEM混合溶液(体積比1:1)を添加し、十分かつ均一に混合し、室温で10minインキュベートした後、120μLの混合溶液を96ウェルのマイクロプレートに移し、Synergy II多機能マイクロプレートリーダー(BioTek社)を用いて96ウェルのマイクロプレートの各培養ウェル中のFirefly化学発光値(Fir)を読み取り、更に96ウェルのマイクロプレートの各ウェルに60μLのDual-Glo(登録商標)Stop & Glo(登録商標)試薬を添加し、十分かつ均一に混合し、室温で10minインキュベートした後、Firを読み取る並び順に従って、マイクロプレートリーダーを用いて96ウェルのマイクロプレートの各培養ウェル中のRenillaの化学発光値(Ren)を読み取った。
【0262】
96ウェルのマイクロプレートの各ウェルの発光比Ratio=Ren/Firを計算し、各試験群又は対照群の発光比Ratio(試験)又はRatio(対照)は、3つの培養ウェルRatioの平均値であり、対照群の発光比を基準とし、各試験群の発光比を正規化し、Renillaレポーター遺伝子の相対的発現レベル、即ち、残留活性を示すためのRatio(試験)/Ratio(対照)の比Rを得た。目的配列1に対する各siRNA複合体又は参照siRNA NCの抑制率=(1-R)×100%。
【0263】
目的配列1に対する各siRNA複合体又は参照siRNA NCの抑制効果を
図2に示す。
図2は、目的配列1を含むプラスミドと試験対象のsiRNA複合体又は参照siRNA NCをコトランスフェクションした後の、インビトロsicheck系における目的配列1の相対的発現レベルのヒストグラムである。更に、目的配列1に対する各siRNA複合体又は参照siRNA NCの発現抑制率を表3にまとめた。
【0264】
表4 インビトロsicheck系における目的配列1の発現抑制率
【表8】
【0265】
図2及び表4の結果から分かるように、本開示により提供されるsiRNA複合体は、インビトロsicheck系において、非常に高い目的配列抑制活性を有する。0.01nMの低濃度では、目的配列1の発現抑制率は少なくとも38.92%、最大67.54%に達し、0.1nMの濃度では、目的配列1の発現抑制率は少なくとも84.73%、最大89.35%に達する。また、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体1、参照複合体2又は参照複合体3に近い目的配列抑制活性レベルを有する。
【0266】
実験例6:インビトロsicheck系におけるsiRNA複合体の抑制活性
本実験例において、インビトロsicheck系を用いて、インビトロsicheck系における複合体6、複合体7又は参照複合体3の目的配列抑制活性を検出した。
【0267】
Kumico Ui-Tei et.al.,Functional dissection of siRNA sequence by systematic DNA substitution: modified siRNA with a DNA seed arm is a powerful tool for mammalian gene silencing with significantly reduced off-target effect. Nucleic Acids Research,2008.36(7),2136-2151に記載された方法に基づいて、検出プラスミドを構築し、前記検出プラスミドを試験対象の複合体と共にHEK293A細胞にコトランスフェクションし、デュアルルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現レベルにより、siRNAの目的配列抑制活性を反映する。具体的なステップは、以下のとおりである。
【0268】
[1]検出プラスミドの構築
psiCHECKTM-2(PromegaTM)プラスミドを用いて検出プラスミドを構築し、前記プラスミドに1つの目的配列2、即ち、siRNA複合体の標的配列が含まれる。試験対象のsiRNA複合体について、目的配列2を以下に示す。
【0269】
TTGCTTAAAAGGGACAGTATTCTCAGTGCTCTCCTACC(SEQ ID NO: 164)
【0270】
当該目的配列2は、検出されたsiRNA複合体中のアンチセンス鎖と完全に相補的な配列であるため、目的配列1に対する各siRNA複合体の抑制効果は、検出されたsiRNA複合体の目的遺伝子発現抑制能力を反映することができる。目的配列2及びその相補的な配列をpsiCHECKTM-2プラスミドのXho I/Not I部位にクローニングした。
【0271】
[2]トランスフェクション
20%のウシ胎児血清(FBS、Hyclone社)及び0.2体積%のペニシリン-ストレプトマイシン(Penicillin-Streptomycin、Gibco、Invitrogen社)を添加したDMEM完全培地(Hyclone社)でHEK293A細胞(南京科佰生物技術有限公司から購入)を37℃で5%CO2/95%空気含有インキュベーターにおいて培養した。
【0272】
HEK293A細胞を8×103個の細胞/ウェルで96ウェルプレートに接種し、16時間後に細胞増殖密度が70~80%に達したとき、培養ウェル中のH-DMEM完全培地を全て吸引し、各ウェルに80μLのOpti-MEM培地(GIBCO社)を添加して培養を1.5時間継続した。
【0273】
DEPC水を用いて上記検出プラスミドを希釈して200ng/μLの検出プラスミド希釈標準溶液とし、DEPC水を用いて表4における各siRNA複合体を調製してそれぞれ1.00μM、0.330μM、0.110μM、0.0370μM、0.0123μM、0.00412μM、0.00137μM、0.000457μM、0.000152μM、0.0000508μM及び0.0000169μM(siRNA複合体中のsiRNAの量として)の計11種類の異なる濃度のsiRNA複合体希釈標準溶液とした。用いられるsiRNA複合体は、それぞれ上記調製で得られた複合体6、複合体7及び参照複合体3である。
【0274】
各siRNA複合体について、2A1~2A11溶液をそれぞれ調製し、1部の2A1~2A11溶液は、それぞれ1μLの上記11種類の濃度のsiRNA希釈標準溶液、0.05μLの検出プラスミド希釈標準溶液(検出プラスミド10ngを含む)及び10μLのOpti-MEM培地を順に含む。
【0275】
2B溶液を調製し、1部の2B溶液は、0.2μLのLipofectamineTM 2000及び10μLのOpti-MEM培地を含む。
【0276】
2C溶液を調製し、1部の2C溶液は、0.05μLの検出プラスミド希釈標準溶液(検出プラスミド10ngを含む)及び10μLのOpti-MEM培地を含む。
【0277】
それぞれ1部の2B溶液を1部の得られた各siRNA複合体の2A1~2A11溶液と混合し、それぞれ室温で20minインキュベートして、各siRNA複合体のトランスフェクション複合体2X1~2X11溶液を得た。
【0278】
1部の2B溶液を1部の2C溶液と混合し、室温で20minインキュベートし、ブランクトランスフェクション複合体2X12を得た。
【0279】
培養ウェルに、各siRNA複合体のトランスフェクション複合体2X1~2X11をそれぞれ20μL/ウェルの添加量で添加して均一に混合し、各siRNA複合体の、最終濃度がそれぞれ約0.01μM、0.0033μM、0.0011μM、0.00037μM、0.000123μM、0.0000412μM、0.0000137μM、0.00000457μM、0.00000152μM、0.000000508μM及び0.000000169μM(siRNA複合体中のsiRNAの量として)であるトランスフェクション複合体を得て、各siRNA複合体のトランスフェクション複合体2X1~2X11をそれぞれ3つの培養ウェルにトランスフェクションし、siRNA複合体を含むコトランスフェクション混合物を得て、試験群とした。
【0280】
各siRNA複合体について、他の3つの培養ウェルに、それぞれトランスフェクション複合体2X12を20μL/ウェルの添加量で添加し、siRNA複合体を含まないトランスフェクション混合物を得て、ブランク対照群とした。
【0281】
siRNA複合体を含むコトランスフェクション混合物とsiRNA複合体を含まないコトランスフェクション混合物をそれぞれ培養ウェルに4時間トランスフェクションした後、各ウェルに20%のFBSを含むH-DMEM完全培地を100μL追加した。96ウェルプレートをCO2インキュベーターに置いて培養を24時間継続した。
【0282】
[3]検出
培養ウェル中の培地を吸引し、各ウェルに150μLのDual-Glo(登録商標)Luciferase試薬とH-DMEM混合溶液(体積比1:1)を添加し、十分かつ均一に混合し、室温で10minインキュベートした後、120μLの混合溶液を96ウェルのマイクロプレートに移し、Synergy II多機能マイクロプレートリーダー(BioTek社)を用いて96ウェルのマイクロプレートの各培養ウェル中のFirefly化学発光値(Fir)を読み取り、更に96ウェルのマイクロプレートの各ウェルに60μLのDual-Glo(登録商標)Stop & Glo(登録商標)試薬を添加し、十分かつ均一に混合し、室温で10minインキュベートした後、Firを読み取る並び順に従って、マイクロプレートリーダーを用いて96ウェルのマイクロプレートの各培養ウェル中のRenillaの化学発光値(Ren)を読み取った。
【0283】
96ウェルのマイクロプレートの各ウェルの発光比Ratio=Ren/Firを計算し、各試験群又は対照群の発光比Ratio(試験)又はRatio(対照)は、3つの培養ウェルRatioの平均値であり、対照群の発光比を基準とし、各試験群の発光比を正規化し、Renillaレポーター遺伝子の相対的発現レベル、即ち、残留活性を示すためのRatio(試験)/Ratio(対照)の比Rを得た。目的配列に対するsiRNAの抑制率=(1-R)×100%。
【0284】
異なる濃度の試験対象のsiRNAをトランスフェクションした後、HEK293A細胞中のRenillaの相対残留活性に基づいて、Graphpad 5.0ソフトウェアの非線形回帰分析機能を利用してlog(inhibitor) vs. response-Variable slope (four parameters)用量-効果曲線をフィッティングした。
【0285】
フィッティングされた用量-効果曲線に対応する関数に基づいて、試験対象のsiRNA標的目的配列のIC50値を計算し、前記関数は、以下のとおりである。
【0286】
【数1】
式中、
Yは、比R、即ち、Renillaの相対残留活性であり、
Xは、トランスフェクションされたsiRNAの濃度の対数値であり、
Botは、定常期の最低のY値であり、
Topは、定常期の最高のY値であり、
X’は、Yが底部と頂部との間の半分にあるときに対応するX値であり、HillSlopeは、X’における曲線の傾きである。
【0287】
当該用量-効果曲線と対応する関数から、Y=50%のときに対応するX50値を確定し、各siRNAのIC50値=10^X50(nM)を計算し、IC50値を表5にまとめた。
【0288】
表5 pscheck系におけるsiRNA複合体のIC
50
【表9】
【0289】
表5の結果から分かるように、本開示のsiRNA複合体は、インビトロsicheck系において、非常に高い目的配列抑制活性を有し、IC50は、6.89~8.55pMの間にある。また、残りの配列と同じであるが、安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体3に近い目的配列抑制活性を有する。
【0290】
実験例7:インビトロsicheck系におけるsiRNA複合体の抑制活性
実験例6の方法により、インビトロsicheck系における複合体3及び複合体6のオフターゲット配列抑制活性を試験した。試験されるsiRNA複合体の代わりに複合体3又は複合体6を用いて検出し、複合体6について、用いられる目的配列が目的配列2であるか、又は目的配列2の代わりにそれぞれ以下に示す目的配列3~5を用い、複合体3について、用いられる目的配列が目的配列2であるか、又は目的配列2の代わりにそれぞれ以下に示す目的配列6~8を用いたことのみが異なる。
【0291】
目的配列3:
TAGGCCCCTTTCAAGTATTCT(SEQ ID NO: 165)
目的配列4:
AGAATACTGTCCCTTTTAAGC(SEQ ID NO: 166)
目的配列5:
CTCCGCAGTGAAATTTTAAGC(SEQ ID NO: 167)
目的配列6:
CTTTCACTGCGGATCAGTGCT(SEQ ID NO: 168)
目的配列7:
AGCACTGAGAATACTGTCCCT(SEQ ID NO: 169)
目的配列8:
CTACAGTCTCCGCCTGTCCCT(SEQ ID NO: 170)
【0292】
目的配列2には、複合体3及び複合体6中のsiRNAのアンチセンス鎖と完全に相補的な配列が含まれるため、目的配列2に対する複合体3又は6の抑制効果は、複合体3又は6のApoC3 mRNA抑制活性を反映することができ、目的配列3には、複合体6中のsiRNAのアンチセンス鎖と部分に相補的な配列が含まれ、目的配列4には、複合体6中のsiRNAのセンス鎖と完全に相補的な配列が含まれ、目的配列5には、複合体6中のsiRNAのセンス鎖と部分に相補的な配列が含まれるため、目的配列3、4又は5に対する複合体6の抑制効果は、オフターゲット効果の程度を反映することができる。即ち、抑制効果が高いほど、複合体6は、オフターゲットが発生する可能性が高くなる。同様に、目的配列6には、複合体3中のsiRNAのアンチセンス鎖と部分に相補的な配列が含まれ、目的配列7には、複合体3中のsiRNAのセンス鎖と完全に相補的な配列が含まれ、目的配列8には、複合体3中のsiRNAのセンス鎖と部分に相補的な配列が含まれるため、目的配列6、目的配列7又は目的配列8に対する複合体3の抑制効果は、オフターゲット効果の程度を反映することができる。即ち、抑制効果が高いほど、複合体3は、オフターゲットが発生する可能性が高くなる。
【0293】
その結果、インビトロsicheck系において、複合体6の目的配列2に対する抑制IC50が11.3pMであり、目的配列3、4又は5に対する、試験したsiRNA濃度の全範囲内での抑制率がいずれも50%未満であり、即ち、いずれもオフターゲットが発生せず、複合体3の目的配列2に対する抑制IC50が4.50pMであり、目的配列6、7又は8に対する、試験したsiRNA濃度の全範囲内での抑制率がいずれも50%未満であり、即ち、いずれもオフターゲットが発生しなかった。
【0294】
以上から分かるように、インビトロsicheck系において、本開示のsiRNA複合体は、優れたオンターゲット目的配列抑制活性を示し、IC50値は、4.50pM~11.3pMであり、また、本開示のsiRNA複合体は、低いオフターゲット効果を有する。
【0295】
実験例8:インビトロsicheck系におけるsiRNA複合体の抑制活性
実験例6の方法により、インビトロsicheck系における複合体5の抑制活性を試験したが、試験されたsiRNA複合体の代わりに複合体5を用いて試験したことのみが異なる。その結果、複合体5は、インビトロsicheck系において高い目的配列抑制活性を示し、IC50は、49.8pMである。
【0296】
実験例9:マウスのインビボ(in vivo)でのsiRNA複合体の脂質低下効果
血清TGの含有量>2mmol/LのヒトAPOC3トランスジェニックマウスTg(APOC3)3707Bres(米国Jacksonラボラトリーから購入)をランダムに群分けし、1群当たり6匹とし、雌雄半々とした。各群のマウスに複合体6、参照複合体3及びPBSブランク対照をそれぞれ投与した。全ての動物に対して、体重に応じて投与量を計算し、皮下注射の方式で単回投与し、各siRNA複合体の投与量(siRNAの量として)が3mg/kgマウス体重であり、投与体積が5ml/kgである。各siRNA複合体は、それぞれPBS水溶液で提供され、投与量及び投与体積に基づいて、複合体の調製すべき濃度を計算した。別の1群のマウスのそれぞれに1×PBSを5ml/kgの投与体積で投与し、ブランク対照群とした。
【0297】
投与時点を1日目とし、1日目、9日目、15日目にそれぞれマウスの眼窩静脈叢から毎回100μL採血した。採血した後、室温で30min放置し、そして4℃で、3000rpmの回転数で15min遠心分離して血清を得た。更に、PM1P000/3全自動血清生化学分析装置(SABA、イタリア)を用いて血清中の総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を検出した。
【0298】
標準化された脂質レベル=(薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。
【0299】
脂質レベルの抑制率=(1-薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。
【0300】
脂質とは、総コレステロール(CHO)又はトリグリセリド(TG)を指す。
【0301】
図3A及び
図3Bは、それぞれ本開示のsiRNA複合体、参照siRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。更に、各時点での血清TG抑制率及び血清CHO抑制率を以下の表6A及び表6Bにまとめた。
【0302】
表6A トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清TG抑制率
【表10】
【0303】
表6B トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清CHO抑制率
【表11】
【0304】
図3A、
図3B及び表6A、表6Bの結果から明らかなように、投与後の異なる時点で、複合体6は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができ、かつ対応する安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体3と比較して11%以下の脂質レベル低下効果を示した。
【0305】
実験例10:マウスのインビボ(in vivo)でのsiRNA複合体の脂質低下効果
実験例9の方法でマウスのインビボでの本開示の複合体7の脂質低下効果を調べた。各群のマウスに複合体7、参照複合体3及びPBSブランク対照をそれぞれ投与したことのみが異なる。全ての動物に対して、体重に応じて投与量を計算し、皮下注射の方式で単回投与し、各siRNA複合体の投与量(siRNAの量として)が3mg/kg及び1mg/kgマウス体重であり、投与体積が5ml/kgである。投与時点を1日目とし、1日目、9日目、15日目、22日目、29日目、36日目、50日目にそれぞれマウスの眼窩静脈叢から採血した。
【0306】
図4A及び
図4Bは、それぞれ本開示のsiRNA複合体、参照siRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。更に、各時点での血清TG抑制率及び血清CHO抑制率を以下の表7A及び表7Bにまとめた。
【0307】
表7A トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清TG抑制率
【表12】
【0308】
表7B トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清CHO抑制率
【表13】
【0309】
図4A、
図4B及び表7A、表7Bの結果から明らかなように、投与後の異なる時点で、複合体7は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができ、かつ対応する安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体3と比較して、同等又はそれ以上の脂質レベル低下効果を示した。特に、3mg/kgの用量で、複合体7は、最大50日間の全投与時間内に一貫して非常に高い脂質TG低下効果を示し、最大抑制率が90.2%に達することができる。
【0310】
実験例11:マウスのインビボ(in vivo)でのsiRNA複合体の脂質低下効果
実験例9の方法により、マウスのインビボでのsiRNA複合体の脂質低下効果を検出したが、用いられるsiRNA複合体が複合体3又は複合体4であることのみが異なる。結果を
図9A及び
図9Bに示す。
【0311】
図9A及び
図9Bは、それぞれ本開示のsiRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。更に、各時点での血清TG抑制率及び血清CHO抑制率を以下の表8A及び表8Bにまとめた。
【0312】
表8A トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清TG抑制率
【表14】
【0313】
表8B トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清CHO抑制率
【表15】
【0314】
図5A、
図5B及び表8A、表8Bの結果から明らかなように、投与後の異なる時点で、複合体3及び複合体4は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができる。特に、3mg/kg及び1mg/kgの用量で、複合体4は、最大50日間の全投与時間内に一貫して非常に高い脂質TG低下効果を示し、最大抑制率が92.0%に達することができる。
【0315】
実験例12 マウスのインビボ(in vivo)での脂質に対するsiRNA複合体の低下効果
実験例9の方法により、マウスのインビボでのsiRNA複合体の脂質低下効果を検出したが、用いられるsiRNA複合体が複合体3であり、各siRNA複合体の投与量(siRNAの量として)が9mg/kg、3mg/kg、1mg/kg、0.5mg/kg、0.25mg/kg、0.1mg/kg又は0.05mg/kgマウス体重であり、投与体積が5ml/kgであることのみが異なる。各siRNA複合体は、それぞれPBS水溶液で提供され、投与量及び投与体積に基づいて、複合体の調製すべき濃度を計算した。投与時点を1日目とし、1日目、8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目及び64日目にそれぞれマウスの眼窩静脈叢から採血して血清中のTGレベルを検出した。結果を
図6に示す。
【0316】
図6は、異なる濃度の複合体3又はPBSを投与した後の、血清TGレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。更に、各時点での血清TG抑制率を以下の表9にまとめた。
【0317】
表9 トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清TG抑制率
【表16】
【0318】
図6及び表9の結果から明らかなように、投与後の異なる時点で、異なる濃度の複合体3は、いずれもマウス血清中のTGレベルを低下させることができ、特に、9mg/kgの投与量で、1回だけ投与した後、本開示のsiRNA複合体は、64日間の長期間にわたって一貫して50%を超えるTGレベル抑制率を保持することができ、かつ抑制率が最大89.5%に達することができ、優れた脂質抑制能力を示した。
【0319】
実験例13 マウスのインビボ(in vivo)でのsiRNA複合体の脂質低下効果
血清TGの含有量>2mmol/LのヒトAPOC3トランスジェニックマウスTg(APOC3)3707Bres(米国Jacksonラボラトリーから購入)をランダムに群分けし、1群当たり8匹とし、雌雄半々とした。各群のマウスに複合体3、複合体5及びPBSブランク対照をそれぞれ投与した。全ての動物に対して、体重に応じて投与量を計算し、皮下注射の方式で単回投与し、各siRNA複合体の投与量(siRNAの量として)が3mg/kg及び1mg/kgマウス体重であり、投与体積が5ml/kgである。各siRNA複合体は、それぞれPBS水溶液で提供され、投与量及び投与体積に基づいて、複合体の調製すべき濃度を計算した。別の1群のマウスのそれぞれに1×PBSを投与し、投与体積が5ml/kgであり、ブランク対照群とした。
【0320】
投与時点を1日目とし、1日目、8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目にそれぞれ100μLずつマウスの眼窩静脈叢から採血した。採血した後、室温で30min放置した後、4℃で、3000rpmの回転数で15min遠心分離して血清を得た。更に、PM1P000/3全自動血清生化学分析装置(SABA、イタリア)を用いて血清中の総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を検出した。
【0321】
標準化された脂質レベル=(薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。
【0322】
脂質レベルの抑制率=(1-薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。
【0323】
脂質とは、総コレステロール(CHO)又はトリグリセリド(TG)を指す。
【0324】
図7A及び
図7Bは、それぞれ本開示のsiRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。更に、本開示のsiRNA複合体を投与した後の、各時点でのマウス血清TG抑制率及び血清CHO抑制率を以下の表10A及び表10Bにまとめた。
【0325】
表10A トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清TG抑制率
【表17】
【0326】
表10B トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清CHO抑制率
【表18】
【0327】
図7A、
図7B及び表10A、表10Bの結果を分析して分かるように、投与後の異なる時点で、複合体3及び複合体5は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができる。また、実験期間の43日間内に一貫して高い抑制効果を保持した。特に、3mg/kg用量の複合体3及び複合体5は、マウスに対して、いずれも優れた脂質抑制効果を示し、血清TGの最大抑制率は、いずれも88%よりも高く、血清CHOの最大抑制率は、それぞれ51.18%及び57.41%である。上記結果から明らかなように、本開示のsiRNA複合体は、長期間内に脂質レベルを効果的に低下させることができ、脂質異常症関連疾患又は症状の治療及び/又は予防のための薬物の調製において優れた開発の見通しを示す。
【0328】
実験例14 マウスのインビボ(in vivo)での脂質に対するsiRNA複合体の低下効果
血清TGの含有量>2mmol/LのヒトAPOC3トランスジェニックマウスTg(APOC3)3707Bres(米国Jacksonラボラトリーから購入)をランダムに群分けし、1群当たり6匹で、雌雄半々とした。各群のマウスに複合体1、複合体2、参照複合体1及びPBSブランク対照をそれぞれ投与した。全ての動物に対して、体重に応じて投与量を計算し、皮下注射の方式で単回投与し、各siRNA複合体の投与量(siRNAの量として)が3mg/kg及び1mg/kgマウス体重であり、投与体積が5ml/kgである。各siRNA複合体は、それぞれPBS水溶液で提供され、投与量及び投与体積に基づいて、複合体の調製すべき濃度を計算した。別の1群のマウスのそれぞれに1×PBSを5ml/kgの投与体積で投与し、ブランク対照群とした。
【0329】
投与時点を1日目とし、1日目、8日目、15日目、22日目にそれぞれマウスの眼窩静脈叢から毎回100μL採血した。採血した後、室温で30min放置し、そして4℃で、3000rpmの回転数で15min遠心分離して血清を得た。更に、PM1P000/3全自動血清生化学分析装置(SABA、イタリア)を用いて血清中の総コレステロール(CHO)及びトリグリセリド(TG)の含有量を検出した。
【0330】
標準化された脂質レベル=(薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。
【0331】
脂質レベルの抑制率=(1-薬剤投与後の試験群における脂質の含有量/薬剤投与前の試験群における脂質の含有量)×100%。
【0332】
脂質とは、総コレステロール(CHO)又はトリグリセリド(TG)を指す。
【0333】
図8A及び
図8Bは、それぞれ本開示のsiRNA複合体、参照siRNA複合体又はPBSを投与した後の、血清TGレベル又は血清CHOレベルの経時変化を示す折れ線グラフである。更に、本開示のsiRNA複合体を投与した後の、各時点でのマウス血清TG抑制率及び血清CHO抑制率を以下の表11A及び表11Bにまとめた。
【0334】
表11A トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清TG抑制率
【表19】
【0335】
表11B トランスジェニックマウスでのsiRNA複合体の血清CHO抑制率
【表20】
【0336】
図8A、
図8B及び表11A、表11Bの結果から明らかなように、投与後の異なる時点で、複合体1及び複合体2は、マウス血清中のTG及びCHOレベルを明らかに低下させることができる。また、実験期間の22日間内に一貫して高い抑制効果を保持し、かつ対応する安定化修飾ヌクレオチドを含まない参照複合体1に近い脂質レベル低下効果を示した。
【0337】
特に、3mg/kg用量の複合体1及び複合体2は、マウスに対して、いずれも優れた脂質抑制効果を示し、血清TGの最大抑制率は、いずれも92%よりも高く、血清CHOの最大抑制率は、それぞれ57.5%及び54.9%である。上記結果から明らかなように、本開示のsiRNA複合体は、長期間内に脂質レベルを効果的に低下させることができ、脂質異常症関連疾患又は症状の治療及び/又は予防のための薬物の調製において優れた開発の見通しを示す。
【0338】
実験例15:二本鎖熱解離温度Tmの測定
1XPBS緩衝液を用いて、上記調製したsiRNA1~siRNA7及び参照siRNA1~参照siRNA7をそれぞれ0.02mg/mLの溶液に調製し、試験対象溶液とした。加熱プログラムを記憶したAgilent cary300 UV分光光度計における10mm経路長の石英キュベットに試験対象溶液を添加し、260nm波長で温度-吸光率曲線をモニタリングし、加熱速度を0.5℃/minとし、20.0℃から95℃まで昇温した。分光光度計の説明書に基づいて温度-吸光率曲線の一次導関数から二本鎖熱解離温度Tmを計算した。Tm値の結果を以下の表12に示す。
【0339】
【0340】
参照siRNA1~参照siRNA7は、順に、siRNA1~siRNA7と同じ塩基配列を有するが、siRNA1~siRNA7において安定化修飾ヌクレオチドを有する位置に、いかなる修飾ヌクレオチドを有していないsiRNAである。
【0341】
ΔTm値(試験対象のsiRNA)=Tm(siRNA)-Tm(参照siRNA)。
【0342】
表12の結果から分かるように、同じ位置が未修飾のヌクレオチドである場合と比較して、本開示の安定化修飾ヌクレオチドを含む二本鎖オリゴヌクレオチド及びその複合体は、より高い二本鎖熱解離温度を有し、二本鎖熱解離温度が少なくとも1.33℃上昇し、その中で最も上昇したのは、siRNA1であり、それは参照siRNAと比較して2.91℃上昇した。
【0343】
以上、本開示のいくつかの実施形態を詳しく記載したが、本開示は、上記実施形態の具体的な細部に限定されず、本開示の技術的思想の範囲で、本開示の技術的解決手段に対して複数の簡単な変形を行うことができ、これらの簡単な変形は、いずれも本開示の保護範囲に属する。
【0344】
なお、上記いくつかの実施形態に記載された各具体的な技術的特徴は、矛盾しない場合に、いずれの適当な方式によって組み合わせることができ、不要な重複を回避するために、本開示は、可能なあらゆる組合せ方式を別途に説明しない。
【0345】
また、本開示の様々な実施形態は、任意に組み合わせることができ、本開示の思想から逸脱しない限り、本開示に開示されている内容とみなすべきである。
【配列表】
【国際調査報告】