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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】後屈防止アイドラー
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/14 20060101AFI20240705BHJP
   B62D 55/205 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B62D55/14 A
B62D55/205
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502062
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022037535
(87)【国際公開番号】W WO2023003838
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】17/382,845
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘイクス、デビッド ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヨハンセン、エリック ジェイ.
(57)【要約】
後屈防止アイドラーを提供する。 アイドラアセンブリ(200)は、回転軸(204)、半径方向(206)および円周方向(208)を画定するハブ(202)と、第1半径方向内面(212)および半径方向外面(214)を有する段付き円周面(210)とを含み、隆起部(216)を形成する。半径方向外面(214)は外径を画定し、第1半径方向内面(212)は内径(ID)を画定する。外径(OD)と内径(ID)の比は1.06~1.28の範囲である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アイドラアセンブリ(200)であって、
回転軸(204)、半径方向(206)および円周方向(208)を画定するハブ(202)と、
第1半径方向内面(212)および半径方向外面(214)を有し、隆起部(216)を形成する段付き円周面(210)と、を含み、
前記半径方向外面(214)は外径(OD)を画定し、前記第1半径方向内面(212)は内径(ID)を画定し、前記外径(OD)と前記内径(ID)との比は1.06~1.28の範囲である、アイドラアセンブリ(200)。
【請求項2】
前記外径(OD)は588.2mm~590.2mm、568.0mm~572.0mm、または623.0mm~629.0mmの範囲であるか、または前記隆起部(216)の少なくとも一部は、ロックウェルスケールCで45.0~55.0の範囲の厚さを有する、請求項1に記載のアイドラアセンブリ(200)。
【請求項3】
前記内径(ID)は、505.0mm~507.0mm、506.0mm~510.0mm、または554.0mm~558.0mmの範囲である、請求項1に記載のアイドラアセンブリ(200)。
【請求項4】
前記段付き円周面(210)は、前記第1半径方向内面(212)と同一の広がりを有する第2半径方向内面(212a)をさらに含む、請求項1に記載のアイドラアセンブリ(200)。
【請求項5】
前記外径(OD)から前記内径(ID)を差し引いた差が82.0mm~84.0mmの範囲である、請求項1に記載のアイドラアセンブリ(200)。
【請求項6】
前記半径方向外面(214)は、前記隆起部(216)の半径方向外側の軸方向寸法(218)を画定し、前記第1半径方向内面(212)は、前記段付き円周面(210)の第1軸方向端部(220)を画定し、前記第2半径方向内面(212a)は、前記段付き円周面(210)の第2軸方向端部(220a)を画定し、前記半径方向内側の軸方向寸法(222)は、前記第1軸方向端部(220)から前記第2軸方向端部(220a)まで軸方向に広がり、前記半径方向内側の軸方向寸法(222)と前記半径方向外側の軸方向寸法(218)との比は2.93~3.54の範囲である、請求項4に記載のアイドラアセンブリ(200)。
【請求項7】
前記半径方向外側の軸方向寸法(218)は、45.8mm~47.8mmの範囲である、請求項6に記載のアイドラアセンブリ(200)。
【請求項8】
前記段付き円周面(210)は、前記第1半径方向内面(212)から前記半径方向外面(214)まで延びる第1傾斜面(224)を含み、前記第1傾斜面(226)は、前記半径方向外面(214)と前記第1傾斜面(224)との交点で半径方向(206)に対して第1傾斜角(226)を形成し、前記第1傾斜角(226)は、15.0度~25.0度の範囲である、請求項7に記載のアイドラアセンブリ(200)。
【請求項9】
トラックチェーンアセンブリ(300)であって、
複数のトラックピン(302)、およびトラックピン(302)の周りに配置されたトラックブッシング(304)と、
前記トラックピン(302)または前記トラックブッシング(304)のいずれかによって互いに接続され、それぞれがレール面(308)を画定する複数のトラックリンク(306)と、を含み、
前記複数のトラックリンク(306)の各々は、前記トラックピンまたは前記ブッシングを受け入れるための複数の穴(312)を画定し、前記複数のトラックブッシング(304)の少なくとも1つは、前記複数のトラックリンクの少なくとも1つの外径(310)と、前記複数のトラックリンクの少なくとも1つのレール面(308)までの最小距離(314)とを画定し、前記外径(310)と前記最小距離(314)との比が、1.53~1.85の範囲である、トラックチェーンアセンブリ(300)。
【請求項10】
前記外径(310)は、66.0mm~67.4mmの範囲であるか、または前記外径(310)は、ロックウェルスケールCで52.0~62.0の範囲の硬度を有する、請求項9に記載のトラックチェーンアセンブリ(300)。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、土木、建設、鉱山機械などで使用される無端車台駆動装置のトラックチェーンアセンブリを案内するために使用されるアイドラーに関する。具体的には、本開示は、トラックチェーンアセンブリの「後屈」の可能性を低減するように構成されたアイドラーに関する。
【背景技術】
【0002】
土工機械、建築機械、採鉱機械などは、通常、荒れたオフロード地形で使用されることがよくある。これらの機械は、通常、トラックシューを備えたエンドレスドライブを採用しており、このような環境では障害物や不整地などを乗り越えて機械をより良く推進できる。シューを含むトラックチェーンアセンブリは、機械のドライブスプロケット、アイドラーおよびサポートローラに支持された一連の相互に接続されたトラックリンク、ピンおよびブッシングによって一緒に保持される。ドライブスプロケットと呼ばれるのは、トラックチェーンアセンブリを駆動したり動力を伝達したりしてアイドラホイールの周りを回転させ、機械の直線運動を引き起こすからである。アイドラホイールは、トラックチェーンアセンブリに案内を提供し、トラックチェーンアセンブリを車台上に保持するのを助ける。
【0003】
図1に示すように、機械10は、トラックシステム12が取り付けられた本体14と、機械のオペレータを収容する運転台(図示せず)とを含んでもよい。機械はまた、ブレードまたはバケット等の作業具16を含んでもよい。制御システムは、運転台内に収容されてもよく、この制御システムは、発掘、掘削、または任意の他の適切な用途のために、機械オペレータが作業具16を操作および関節運動できるように適合されていてもよい。
【0004】
その車台構造は、機械10の移動のためのトラックシステム12を支持する支持構造を含む。トラックシステム12は、車台アセンブリのそれぞれの第1および第2側面から離間して隣接する第1および第2トラックローラフレームアセンブリ18を含んでもよい。図1では、トラックローラフレームアセンブリ18のうちの1つのみが示されていることが理解されるべきである。また、アイドラー20および複数のトラックローラ22を設けることもできる。
【0005】
トラックチェーンアセンブリのリンクの平面と接触するアイドラーは通常円形であり、大きな負荷がかかることがよくある。また、過酷な地形を通って機械を推進しようとするとき、スプロケットによってトラックチェーンアセンブリに大きな負荷がかかる可能性がある。これは、トラックチェーンアセンブリの「後曲」を引き起こす可能性があり、地面と接触するトラックチェーンアセンブリ(図1の所望の真っ直ぐなトラックチェーン経路を示す線1Bとは対照的に、後屈を示す線1Aを参照されたい)の底部のジョイントでトラックリンクが曲がる。
【0006】
これにより、トラックチェーンアセンブリや機械の車台の他の部品が損傷し、機械の望ましくないダウンタイムが発生する可能性がある。
【発明の概要】
【0007】
本開示の一実施形態によるアイドラアセンブリは、回転軸線、半径方向および円周方向を画定するハブと、第1半径方向内面および半径方向外面を有し、隆起部を形成する段付き円周面とを含む。半径方向外面は外径を画定し、第1半径方向内面は内径を画定し、外径と内径の比は1.06~1.28の範囲である。
【0008】
本開示の一実施形態によるトラックチェーンアセンブリは、複数のトラックピンと、トラックピンの周りに配置されたトラックブッシングと、トラックピンまたはトラックブッシングのいずれかによって互いに接続され、それぞれがレール面を画定する複数のトラックリンクと、を含んでもよい。複数のトラックリンクのうちの少なくとも1つのトラックリンクは、トラックピンまたはブッシングを受け入れるための複数の穴を画定し、複数のトラックブッシングのうちの少なくとも1つは、複数のトラックリンクのうちの少なくとも1つの外径と、複数のトラックリンクのうちの少なくとも1つのレール面までの最小距離とを画定してもよい。外径と最小距離との比は1.53~1.85の範囲であってもよい。
【0009】
本開示の一実施形態による車台アセンブリは、回転軸、半径方向および円周方向を画定するハブと、第1半径方向内面および半径方向外面を有し、隆起部を形成する段付き円周面とを含むアイドラーを含んでもよい。車台アセンブリは、複数のトラックピンおよびトラックピンの周りに配置されたトラックブッシングを含むトラックチェーンアセンブリと、トラックピンまたはトラックブッシングのいずれかによって互いに接続され、それぞれがレール面を画定する複数のトラックリンクと、を含んでもよい。複数のトラックブッシングのうちの少なくとも1つは、半径方向外面に接触する外径を画定し、複数のレール面のうちの少なくとも1つは、アイドラーの第1半径方向内面に接触する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する図面は、本開示のいくつかの実施形態を示し、説明と共に本開示の原理を説明するために使用される。図において、
図1】従来技術において知られているトラックチェーンアセンブリに生じる「後屈」の問題を示すブルドーザーなどの機械の側面図である。
図2】従来技術において知られている方法で、後屈を受けるために図1と同様のトラックチェーンアセンブリと協働するアイドラーを示す拡大図である。
図3】本開示の一実施形態に従って構成された、後屈の可能性を低減することができるアイドラーおよびトラックチェーンアセンブリの側面図である。
図4図3のアイドラーおよびトラックチェーンアセンブリの拡大斜視図であって、トラックチェーンアセンブリのブッシングに接触するアイドラーをより明確に示すために、一組のリンクが取り外されている。
図5図3に別個に示されたアイドラーと同様または同一のアイドラアセンブリの斜視図である。
図6図5のアイドラアセンブリの車軸および上部の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を詳細に参照し、その例を添付図面に示す。可能な限り、図面において、同一の参照番号を使用して同一または類似の部品を示す。場合によっては、参照番号は本明細書で表され、図面は参照番号の後に文字、例えば100a、100b、または100'、100''などのプライムが続くことを示す。参照番号の直後に英文字またはプライムを使用することは、幾何学的形状が対称平面鏡像を囲む場合によく見られるように、これらのフィーチャが同様の形状および同様の機能を有することを示すことが理解されるべきである。本明細書における説明を容易にするために、文字およびプライムは多くの場合本明細書に含まれないが、本明細書内で論じられる類似または同一の機能または幾何学的形状を有する特徴の重複を示すために図面に示される場合がある。
【0012】
図2を参照すると、本開示の発明者らは、従来技術の車台が、トラックチェーンアセンブリのブッシングまたはトラックリンクのレール面の一方に接触するが、両方には接触しないアイドラーを有することを発見した。この不安定さは後屈のリスクの増加につながる。
【0013】
ここで、後屈の問題を防止するのに役立つトラック式作業機械に関連する車台が開示される。アイドラーは、中央の隆起部と2つの端部とを含んでもよい。さらに、中央の隆起部は、機械トラックチェーンのカートリッジジョイントのブッシングに接触するように構成されてもよく、一方、端部は、機械トラックチェーンのリンクに接触するように構成されてもよく、これにより、車台のトラックジョイントの後屈の可能性を制限することができる。
【0014】
この構成はブルドーザーに関連して示されているが、本明細書で開示されている構成は、車輪ではなく、トラックシステムを一般的に採用している他の様々なタイプの機械に一般的に適用可能である。「機械」という用語は、「機械」という用語は、鉱業、土木、建設などの産業、あるいは当技術分野で知られている他の産業に関連する何らかの種類の作業を実行するあらゆる機械を指す場合がある。例えば、機械は、掘削機、ホイールローダ、ケーブルショベル、トラック式トラクター、油圧式採掘ショベル、または牽引索などであってもよい。さらに、1つ以上の作業具を機械に接続することができる。この作業具は、持ち上げや積み込みなど、さまざまな作業に利用することができる。
【0015】
図3および図4を参照すると、このような後屈の生じにくい車台アセンブリ100は、回転軸204、半径方向206および円周方向206を画定するハブ202を含むアイドラー200を含んでもよい。第1半径方向内面212と半径方向外面214とを有する段付き円周面210が設けられてもよい。この構成は、隆起部216を形成することができる。
【0016】
車台アセンブリは、複数のトラックピン302と、トラックピンの周りに配置されたトラックブッシング304とを含むトラックチェーンアセンブリ300をさらに含んでもよい。また、複数のトラックリンク306は、トラックピンまたはトラックブッシングのいずれかによって互いに接続される。複数のトラックリンク306の各々は、レール面308を画定することができる。
【0017】
また、複数のトラックブッシング304のうちの少なくとも1つは、半径方向外面214に接触するように構成された外径310を画定してもよく、複数のレール面308のうちの少なくとも1つは、アイドラー200の第1半径方向内面212に接触するように構成されてもよい。より具体的には、第1および第2半径方向内面212および212a(図5および図6には212および212aが示されている)がアイドラーの下を通過するときに、すべてのレール面は第1および第2半径方向内面212および212aに接触するように構成されてもよい。
【0018】
いずれの接触も、本明細書の後でさらに詳細に説明するように、断続的に、または実質的に同時に発生することがある。実際、アイドラー200は、図3に示すように、ブッシング304の外径310およびレール面308の両方に実質的に同時に接触してもよい。これにより、トラックチェーンアセンブリとアイドラーの両方に十分な安定性が提供され、後屈を防止することができる。
【0019】
後屈の可能性を低減する代わりに、摩耗の問題がより頻繁になるのを防止するために、トラックブッシング304の外径310は、アイドラー200の隆起部216の少なくとも一部よりも硬くしてもよい。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない可能性がある。
【0020】
このような実施形態では、アイドラー200の半径方向外面214に接触するように設計されたトラックブッシング304の外径310は、ロックウェルスケールCで52.0~62.0の範囲の硬度を有し接触するように設計されたアイドラー200の隆起部216の部分(例えば、半径方向外周面214全体)は、ロックウェルスケールCで45.0から55.0の範囲の硬度を有してもよい。硬度の他の値および差異本開示の他の実施形態では、それらの間の選択が可能である。
【0021】
このようなブッシングとアイドラーとの間の表面特性の変化は、アイドラーとブッシングとの間の摩耗の問題を改善または防止するのに役立つ可能性がある。また、摩耗の問題を解決するために、アイドラーおよび/またはブッシングに、さまざまな種類の表面コーティングや表面処理がアイドラーおよび/またはブッシングに適用される場合がある。
【0022】
図3および図4を引き続き参照すると、現場で交換品または改造品として供給できるトラックチェーンアセンブリ300について説明する。
【0023】
このようなトラックチェーンアセンブリ300は、複数のトラックピン302およびトラックピン30の周りに配置されたトラックブッシング304と、トラックピン302またはトラックブッシング304のいずれかによって互いに接続された複数のトラックリンク306とを含んでもよい。複数のトラックリンク306の各々は、レール面308(ローラおよびアイドラーがこの面上を転動するためにこのように呼ばれる)を画定することができる。
【0024】
複数のトラックリンク306の各々は、トラックピン302またはブッシング304を受け入れるための複数の穴312を画定してもよく、複数のトラックブッシング304の少なくとも1つは、外径310を画定してもよい。最小距離314は、外径310から複数のトラックリンクのうちの少なくとも1つのレール面308まで測定されてもよい。本開示のいくつかの実施形態では、外径310と最小距離314との比は、1.53~1.85の範囲であってもよい。このような実施形態では、外径310は、66.0mm~67.4mm(例えば、約66.7mm)の範囲であってもよく、および/またはその硬度は、ロックウェルスケールCで52.0~62.0の範囲であってもよい。本開示の他の実施形態では、他の範囲が可能である。
【0025】
図3に最もよく示すように、トラックチェーンアセンブリ300は、複数のトラックファスナ316と、トラックファスナ316を介してトラックリンク306に取り付けられた複数のトラックシュー318とをさらに含んでもよい。本開示の他の実施形態では、他の形態の取り付けが可能である。
【0026】
次に、図3図6を参照して、交換品または後付けとして提供され得るアイドラアセンブリ(例えば、200を参照)についてさらに詳細に説明する。
【0027】
アイドラアセンブリは、回転軸204、半径方向206、および円周方向208を画定するハブ202を含んでもよい。また、アイドラーは、第1半径方向内面212(円筒状、やや円錐状、またはやや円弧状であってもよい)および半径方向外面214(円筒状、やや円弧状、またはやや円錐状であってもよい)を有する段付き円周面210を有し、隆起部216を形成してもよい。
【0028】
図3に最もよく示すように、半径方向外面214は外径ODを画定し、第1半径方向内面212は内径IDを画定してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、外径ODと内径IDとの比は、1.06~1.28の範囲(例えば、約1.16)であってもよい。
【0029】
このような場合、外径ODは588.2mm~590.2mm(例えば589.2mm程度)、内径は505.0mm~507.0mmの範囲であってもよい。言い換えれば、本開示のいくつかの実施形態では、外径ODから内径IDを差し引いた差は、82.0mm~84.0mm(例えば、約83.0mm)の範囲であってもよい。これらの比率または寸法範囲はいずれも、特定の用途に適合するように本出願の他の実施形態において変更することができる。
【0030】
例えば、別の実施形態では、内径は506.0mm~510.0mmの範囲、外径は568.0mm~572.0mmの範囲であってもよい。さらに別の実施形態では、内径は554.0mm~558.0mmの範囲、外径は623.0mm~629.0mmの範囲であってもよい。
【0031】
図5および図6を参照すると、段付き円周面210は、第1半径方向内面212と同一の広がりを有する第2半径方向内面212aをさらに含んでもよい(例えば、隆起部216によって中断されなければ、212および212aは同じ面となる)。このため、2つの表面は実質的に同じ内径を持つことができる。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない可能性がある。
【0032】
図6は、半径方向外面214が隆起部216を画定することができる半径方向外側の軸方向寸法218を示している。同様に、第1半径方向内面212は、段付き円周面210の第1軸方向端部220を画定し、第2半径方向内面212aは、段付き円周面210の第2軸方向端部220aを画定してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、半径方向側の軸方向寸法222は、第1軸方向端部220から第2軸方向端部220aまで軸方向に広がり、半径方向側の軸方向寸法222と半径方向外側の軸方向寸法218との比は、2.93~3.54の範囲であってもよい。この場合、半径方向外側の軸方向寸法218は、45.8mm~47.8mmの範囲であってもよい。アイドラーの用途等に応じて、他の比率や寸法範囲も可能である。
【0033】
さらに、段付き円周面210は、第1半径方向内面212から半径方向外面214まで延びる第1傾斜面224を含み、第1傾斜面224は、半径方向外面214と第1傾斜面226との交点に半径方向206を有する第1傾斜角226を形成してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、第1傾斜角度226は15.0度~25.0度の範囲であってもよく、または他の実施形態等では省略されてもよい。
【0034】
また、段付き円周面210は、回転軸204に垂直な対称面228(中間面であってもよい)を画定してもよい。
【0035】
なお、本明細書で述べたように、隆起部216の少なくとも一部は、ロックウェルスケールCで45.0~55.0の範囲の硬度を画定してもよい。あるいは、この硬化に加えて、隆起部には、窒化等の各種表面コーティングや浸炭等の表面処理が施されていてもよい。
【0036】
前述の特徴のいずれも、本開示のさまざまな実施形態において本明細書で具体的に説明したものとは異なる構成または寸法であってもよい。
【0037】
多くの実施形態では、段付き周面を形成する外側リムおよび/またはハブなどのアイドラー構成要素は、鉄、ねずみ鉄、鋼、または他の適切な材料を使用して鋳造することができる。あらゆるタイプの機械加工、鍛造など、他の製造プロセスを使用することもできる。例えば、鋼または「強靱な鋼」を使用して、段付き円周面を作成することができる。アイドラコンポーネントは、さまざまな用途に適した特性を提供するために、コーティングや熱処理などを行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
実際に、本明細書に記載されたいずれかの実施形態によるアイドラアセンブリ、アイドラコンポーネント、トラックチェーンアセンブリ、および車台アセンブリは、OEM(相手先ブランド製造業者)またはアフターマーケットの状況で販売、購入、製造、またはその他の方法で入手することができる。
【0039】
アイドラーおよびトラックチェーンアセンブリの様々な実施形態は、トラックチェーンアセンブリおよび/またはアイドラーにさらなる安定性を提供するのに役立ち、後屈が発生する可能性を低減することができる。また、これらの実施形態は、異なる機械で使用される異なるスタイルの車台に適応するために、拡大または縮小したり、寸法を調整したりすることができる。
【0040】
より具体的には、図3は、第1二等辺三角形102が、回転軸204からアイドラー200とブッシング304との間の接線接触点106まで延びる2本の半径方向線104と、一方の接線接触点106から他方の接線接触点106まで描かれた仮想的な基線108とによって形成され得ることを示している。第2二等辺三角形109(いくつかの実施形態では、正三角形またはほぼ正三角形であってもよい)は、トラックチェーンアセンブリ300とアイドラー200との間に3つの接点が形成されるので、非常に安定した構造を形成することができる(第3点110は、レール面308とアイドラー200の半径方向内面212との間の界面にある)。いくつかの実施形態では、第1二等辺三角形は、15.0度~20.0度(例えば、約17.5度)の範囲の角二等分線112を形成してもよい。
【0041】
第2二等辺三角形は、トラックチェーンの潜在的な結合を防ぐために、実際にはある程度のクリアランスを提供する可能性があることを理解されたい。例えば、下側の2つの接点は、図示より少なくとも1.0mm~5.0mm低くなるように配置される場合がある。
【0042】
角度の二等分線が減少するにつれて、より安定性が得られることが考えられる。これらの3つの接点は同時に存在するが、トラックチェーンアセンブリがアイドラーに対して横方向に移動し続けるときに断続的にのみ存在することが理解される。1つのブッシングが回転軸の垂直直下に近づくと、レール面はアイドラーと接触しなくなる。最終的に、ブッシングは、トラックチェーンが再び上昇して3点接触するまで、この底部位置を通過する。角度の二等分線を小さくすると、3点接触の頻度が増加し、安定性が向上する。しかし、シューの取り付け点とトラックチェーンアセンブリの合計コストは、二等分角度の下限を制限する可能性がある。
【0043】
本明細書で使用されるように、冠詞「1つ(a)」および「一(an)」は、1つまたは複数の項目を含むことが意図されており、「1つまたは複数の」と交換して使用することができる。1つの項目のみを使用することが意図されている場合は、用語「1つ」または類似の用語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「有する(with)」などの用語は、無制限の用語であることを意図しているさらに、「に基づいて」という語句は、特に明記しない限り、「少なくとも部分的に基づく」ということを意味することを意図している。
【0044】
当業者にとって明らかなように、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書で論じた装置および組立方法の実施形態に様々な修正および変更を加えることができる。本明細書に開示された様々な実施形態の仕様および実践を考慮することによって、本開示の他の実施形態は当業者にとって明らかである。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構成および機能を有してもよく、いずれかの方法のある特定のステップは、省略されてもよく、既に具体的に言及されたものとは異なる順序で実行されてもよく、場合によっては同時にまたはサブステップで実行されてもよい。さらに、様々な実施形態の特定の態様またはフィーチャは、さらなる実施形態を作成するために変更または修正されてもよく、様々な実施形態のフィーチャおよび態様は、さらにさらなる実施形態を提供するために、他の実施形態の他のフィーチャまたは態様に追加され、またはそれらの代わりになってもよい。
【0045】
したがって、明細書および実施例は例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲および精神は以下の特許請求の範囲およびその均等物によって示されることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】