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特表2024-525805眼の疾患および障害における視機能を改善するための方法および組成物
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  • 特表-眼の疾患および障害における視機能を改善するための方法および組成物 図1
  • 特表-眼の疾患および障害における視機能を改善するための方法および組成物 図2A
  • 特表-眼の疾患および障害における視機能を改善するための方法および組成物 図2B
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】眼の疾患および障害における視機能を改善するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/10 20060101AFI20240705BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240705BHJP
   C07K 7/08 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
A61K38/10
A61K9/08
A61P27/02
C07K7/08 ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502082
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 US2022036830
(87)【国際公開番号】W WO2023287794
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/221,329
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/336,896
(32)【優先日】2022-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524016437
【氏名又は名称】オーエヌエル セラピューティクス,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110003797
【氏名又は名称】弁理士法人清原国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コカブ,アンドルー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】チャン,コンスタンス アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ザックス,デイヴィッド エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】エスポージト,デイヴィッド エー.
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン デ ゴアー,ジャナ
(72)【発明者】
【氏名】クラインマン,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ゴジー,リンジー エム.
(72)【発明者】
【氏名】マリク,スシャンタ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB11
4C076BB24
4C076CC10
4C076CC44
4C076CC46
4C076CC50
4C076DD09F
4C076EE23F
4C076FF16
4C076FF43
4C084AA02
4C084AA03
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA18
4C084BA23
4C084MA05
4C084MA17
4C084MA58
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZC411
4C084ZC412
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA16
4H045EA20
4H045FA10
(57)【要約】
【解決手段】本明細書では、眼の疾患を有する個体の眼の視機能を改善するための方法および組成物が提供される。本明細書に記載される方法は、概して、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、眼の疾患または障害を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)を改善する方法を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼の疾患または障害を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)を改善する方法であって、
前記個体の前記眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、前記ペプチドを含む組成物)、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記眼の疾患または障害は、視機能の喪失を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記眼の疾患または障害は、光受容細胞死またはその症状(例えば、視機能の喪失)を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項4】
前記眼の疾患または障害は、網膜色素上皮細胞死またはその症状(例えば、視機能の喪失)を含む、請求項1~2のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記眼の疾患または障害は、黄斑変性を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記視機能は、最良矯正視力(例えば、可読数)、視野、コントラスト感度、両眼機能、低輝度視力、低コントラスト視力、色覚、視野測定、閾値感度、読書速度、および明暗順応からなる群から選択される1つ以上の測定値を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
手術を行うことなく前記視機能を改善することを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記個体の前記眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うことをさらに含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記手術は、前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与した後に行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記手術は、網膜再付着手術を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記手術は、硝子体手術を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記視機能を改善することは、前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与する前のベースラインとなる視機能と比較して、前記視機能を改善することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
個体の眼の地図状萎縮を伴う黄斑変性を処置する方法であって、
前記個体の前記眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、前記ペプチドを含む組成物)、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、方法。
【請求項14】
黄斑変性を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)の喪失を処置する方法であって、
前記個体の前記眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、前記ペプチドを含む組成物)、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、方法。
【請求項15】
処置することは、前記視機能を改善することを含む、請求項13~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記視機能を改善することは、前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与する前のベースラインとなる視機能と比較される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記黄斑変性は、加齢黄斑変性を含む、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記黄斑変性は、地図状萎縮を含む、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記視機能は、最良矯正視力(例えば、可読数)、視野、コントラスト感度、両眼機能、低輝度視力、低コントラスト視力、色覚、視野測定、閾値感度、読書速度、および/または明暗順応からなる群から選択される1つ以上の測定値を含む、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
個体の眼の網膜剥離を処置する方法であって、
前記個体の前記眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、前記ペプチドを含む組成物)、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、前記個体の前記眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、方法。
【請求項21】
網膜剥離を有する個体の眼の視機能の喪失を処置する方法であって、
前記個体の前記眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、前記ペプチドを含む組成物)、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、前記個体の前記眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、方法。
【請求項22】
処置することは、前記眼の視力の低下および/または喪失を阻害することを含む、請求項20~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
処置することは、視機能を改善することを含む、請求項20~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記視機能を改善することは、前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与する前のベースラインとなる視機能と比較される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
処置することは、光受容細胞死を阻害することを含む、請求項20~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記網膜剥離は、完全に剥離した網膜または部分的に剥離した網膜を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記網膜剥離は、完全に剥離した網膜を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記網膜剥離は、部分的に剥離した網膜を含む、請求項20~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記手術は、網膜再付着手術を含む、請求項20~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記手術は、硝子体手術を含む、請求項20~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記個体の前記眼は、網膜が剥離しており、前記網膜は、(例えば、前記ペプチドを含む前記組成物を投与する前に)約(y)日以上剥離しており、前記(y)は、少なくとも1である、請求項20~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記(y)は、1から21である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記(y)は、3から21である、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
前記(y)は、7から21である、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記手術は、前記ペプチドを含む前記組成物を投与してから約(z)日後に行われ、前記(z)は、少なくとも1である、請求項20~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記(z)は、1である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記(z)は、1から3である、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記(z)は、1から7である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記眼の硝子体に、前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記変異体配列は、アミノ酸置換を含む、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記変異体配列は、1つのアミノ酸置換を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記変異体配列は、2つのアミノ酸置換を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記変異体配列は、3つのアミノ酸置換を含む、請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記ペプチドは、修飾をさらに含む、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記修飾は、修飾アミノ酸を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ペプチドは、アミド化されたC末端を含む、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記ペプチドは、式IIIの構造:
【化1】
またはその薬学的に許容可能な塩を有する、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記薬学的に許容可能な塩は、ポリ酢酸塩である、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
ポリ酢酸塩は、三酢酸塩である、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩は、組成物に製剤化される、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記組成物は、界面活性剤をさらに含む、請求項52~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記界面活性剤は、ポリソルベート、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、またはオキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体である、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記界面活性剤は、前記組成物の約0.01%から約20%の重量比を形成する、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記界面活性剤は、前記組成物の約0.05%から約10%の重量比を形成する、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記組成物は、張力調整剤、緩衝剤、またはそれらの組合せをさらに含む、請求項52~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記組成物は、pH2.5から7.5で緩衝される、請求項52~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
5マイクログラム(μg)から10,000μgの前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも10マイクログラム(μg)、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも150μg、少なくとも200μg、または少なくとも250μgの前記ペプチドもしくはその変異体配列、または前記ペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される、請求項1~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記ペプチドは、0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から10.0mg/mLの濃度で存在する、請求項1~62のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
相互参照
本出願は、2021年7月13日出願の米国仮特許出願第63/221,329号、および2022年4月29日出願の米国仮特許出願第63/336,896号の利益を主張するものであり、当該出願の全体は、あらゆる目的のために参照によって本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
視力は、概して、眼の構造の保全が維持できているか否かに依存し、網膜の恒常性が変化すると、視力の喪失および/または網膜の疾患もしくは障害の原因となる場合がある。眼の疾患および障害の処置のための治療法は、概して、眼の疾患または障害によって生じる眼の機能不全に関連付けられる有害な変化を阻止したり、軽減したりすることを対象とする。
【発明の概要】
【0003】
眼の疾患に関連付けられる視機能の有害な変化の停止または軽減を対象とすることは、治療プログラムにおいて有用であり得るが、視機能の回復および改善の方が好ましいことが示されており、一般的な症例では、患者の転帰を達成することがより困難である。本明細書では、眼の疾患および/または障害を有する個体の眼の視機能を改善するのに有用な組成物および方法が記載され、提供される。
【0004】
本明細書では、眼の疾患または障害を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)を改善する方法が提供され、記載され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、視機能の喪失を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、光受容細胞死またはその症状(例えば、視機能の喪失)を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、網膜色素上皮細胞死またはその症状(例えば、視機能の喪失)を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、黄斑変性を含む。
【0005】
いくつかの実施形態では、視機能は、最良矯正視力(例えば、可読数)、視野、コントラスト感度、両眼機能、低輝度視力、低コントラスト視力、色覚、視野測定、閾値感度、読書速度、および明暗順応からなる群から選択される1つ以上の測定値を含む。いくつかの実施形態では、方法は、手術を行うことなく視機能を改善することを含む。
【0006】
いくつかの実施形態では、方法は、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うことをさらに含む。いくつかの実施形態では、手術は、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与した後に行われる。いくつかの実施形態では、手術は、網膜再付着手術を含む。いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術を含む。
【0007】
いくつかの実施形態では、視機能を改善することは、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与する前のベースラインとなる視機能と比較して、視機能を改善することを含む。
【0008】
本明細書では、個体の眼の地図状萎縮を伴う黄斑変性を処置する方法が提供され、記載され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。本明細書では、黄斑変性を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)の喪失を処置する方法が提供され、記載され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、処置することは、視機能を改善することを含む。いくつかの実施形態では、視機能を改善することは、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与する前のベースラインとなる視機能と比較される。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、加齢黄斑変性を含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、地図状萎縮を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、視機能は、最良矯正視力(例えば、可読数)、視野、コントラスト感度、両眼機能、低輝度視力、低コントラスト視力、色覚、視野測定、閾値感度、読書速度、および/または明暗順応からなる群から選択される1つ以上の測定値を含む。
【0011】
個体の眼の網膜剥離を処置する方法が本明細書で提供され、記載され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む。網膜剥離を有する個体の眼の視機能の喪失を処置する方法が本明細書で提供され、記載され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、処置することは、眼の視力の低下および/または喪失を阻害することを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、視機能を改善することを含む。いくつかの実施形態では、視機能を改善することは、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与する前のベースラインとなる視機能と比較される。いくつかの実施形態では、処置することは、光受容細胞死を阻害することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、網膜剥離は、完全に剥離した網膜または部分的に剥離した網膜を含む。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、完全に剥離した網膜を含む。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、部分的に剥離した網膜を含む。いくつかの実施形態では、手術は、網膜再付着手術を含む。いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、個体の眼は、網膜が剥離しており、網膜は、(例えば、ペプチドを含む組成物を投与する前に)約(y)日以上剥離しており、(y)は、少なくとも1である。いくつかの実施形態では、(y)は、1から21である。いくつかの実施形態では、(y)は、3から21である。いくつかの実施形態では、(y)は、7から21である。
【0015】
いくつかの実施形態では、手術は、ペプチドを含む組成物を投与してから約(z)日後に行われ、(z)は、少なくとも1である。いくつかの実施形態では、(z)は、1である。いくつかの実施形態では、(z)は、1から3である。いくつかの実施形態では、(z)は、1から7である。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、眼の硝子体に、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、2つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、3つのアミノ酸置換を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、修飾をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾は、修飾アミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、アミド化されたC末端を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、ポリ酢酸塩である。いくつかの実施形態では、ポリ酢酸塩は、三酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。
【0019】
いくつかの実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、組成物に製剤化される。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、またはオキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、組成物の約0.01%から約20%の重量比を形成する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、組成物の約0.05%から約10%の重量比を形成する。いくつかの実施形態では、組成物は、張力調整剤、緩衝剤、またはそれらの組合せをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、pH2.5から7.5で緩衝される。
【0020】
いくつかの実施形態では、5マイクログラム(μg)から10,000μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、少なくとも10マイクログラム(μg)、少なくとも25μg、少なくとも50μg、少なくとも100μg、少なくとも150μg、少なくとも200μg、または少なくとも250μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、ペプチドは、0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から10.0mg/mLの濃度で存在する。
【0021】
本明細書ではさらに、手術(例えば、網膜再付着および/または硝子体手術)との併用で視機能を改善する方法が提供される。例えば、本明細書では、神経網膜剥離を処置する際、ならびに/または、神経網膜剥離後の視力の低下および/もしくは喪失を阻害する際に使用するための方法および組成物が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される方法は、(例えば、個体の眼、例えば、その硝子体に)Fas阻害剤(例えば、Fas阻害ペプチド)を投与することと、手術(例えば、網膜再付着手術)を行うこととを利用する。特定の実施形態では、Fas阻害剤は、個体の眼(例えば、その硝子体)に投与され、例えば、眼は、網膜が(例えば、部分的または完全に)剥離している(例えば、完全または部分的に剥離している)(またはその疑いがある)。いくつかの事例では、(例えば、個体の眼にFas阻害剤を投与することを含む)本明細書で提供される方法は、個体の眼、例えば、網膜が剥離している(例えば、完全または部分的に剥離している)眼の炎症を阻害する。さらなる例として、ある特定の事例では、(例えば、神経網膜の剥離を伴う眼の炎症を抑制することと、手術(例えば、網膜再付着手術)を行うこととによって)眼にFas阻害剤を投与することは、(例えば、手術単独と比較して)神経網膜の剥離によって生じる視力の低下および/またはそれに関連付けられる視力の低下を阻害する。ある特定の事例では、本明細書で提供される方法および組成物は、(例えば、手術単独と比較した場合)剥離した神経網膜を有する患者における患者転帰を改善する(例えば、視力の低下を阻害する)のに有用である。
【0022】
本明細書のある特定の実施形態では、個体の眼にFas阻害剤(例えば、それを含む組成物)を投与することを含む方法(例えば、眼障害を処置する方法)が提供される。本明細書のいくつかの実施形態では、個体の眼にFas阻害剤(例えば、それを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法(例えば、眼障害を処置する方法)が提供される。本明細書の特定の実施形態では、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、それを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法(例えば、眼障害を処置する方法)が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法が提供される。
【0023】
いくつかの実施態様では、個体の眼の網膜剥離を処置する方法が本明細書で提供され、当該方法は、個体の眼にFas阻害剤(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYまたはその変異体配列を含むペプチド)を投与することと、(例えば、それに続いて)個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)(例えば、網膜を少なくとも部分的に再付着させる手術)を行うこととを含む。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴う(macula-off)裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴わない(macula-on)裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、牽引性網膜剥離である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、滲出性剥離である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、網膜損傷によるものである。
【0024】
いくつかの実施形態では、方法は、視力の喪失および/または低下を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、視機能の喪失および/または低下を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法である。
【0025】
いくつかの実施形態では、方法は、眼の光受容細胞の喪失を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の炎症(例えば、Fas媒介性炎症)を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の炎症(例えば、Fas媒介性炎症)を阻害、軽減、および/または予防する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の疾患、障害、または病態を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の疾患、障害、もしくは病態、またはそれらに関連付けられる症状の進行を阻害する方法である。
【0026】
いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術、強膜バックル、気体網膜復位術、レーザー手術、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術を含む。ある特定の実施形態では、硝子体手術は、シリコーンオイルの使用(例えば、硝子体をシリコーンオイルに置き換える)を含む。ある特定の実施形態では、硝子体手術は、気体の使用(例えば、硝子体を気体に置き換える)を含む。いくつかの実施形態では、手術は、強膜バックルを含む。いくつかの実施形態では、手術は、気体網膜復位術を含む。いくつかの実施形態では、手術は、レーザー手術を含む。いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術、強膜バックル、気体網膜復位術、およびレーザー手術のうち1つ以上またはその組合せを含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、個体は、剥離した神経網膜を有する。ある特定の実施形態では、神経網膜は、完全に剥離している。ある特定の実施形態では、神経網膜は、部分的に剥離している。ある特定の実施形態では、神経網膜は、完全に剥離している。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、(クロック時間を基準とする、0から12の範囲の規模で)0から1、約1超、約2超、約3超、約4超、約5超、約6超、約7超、約8超、約9超、約10超、約11超、または約12超である。いくつかの実施形態では、(中心黄斑部から測定された)剥離の高さは、0から1ミリメートル、約1ミリメートル超、約2ミリメートル超、約3ミリメートル超、約4ミリメートル超、または約5ミリメートル超である。
【0028】
いくつかの実施形態では、手術は、ペプチドを含む組成物を投与してから約(z)日後に行われ、(z)は、少なくとも1である。ある特定の実施形態では、(z)は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、または10を超える数である。いくつかの実施形態では、手術は、ペプチドを含む組成物を投与してから約(h)時間後に行われ、(h)は、少なくとも1である。ある特定の実施形態では、(h)は、1、2、3、4、5、6、12、18、24、30、または36である。
【0029】
いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力(BCVA)が手の動きを弁別することである。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力が指数弁である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/100(例えば、スネレン視力表、ETDRS、タンブリングC、幼児用HOTVなどによる)である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが3以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが2 logMAR以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが1 logMAR以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが0.5 logMAR以上である。
【0030】
いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/200以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/100以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/70以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/50以上である。
【0031】
いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)視角が32分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が24分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が16分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が8分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が4分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が2分以上である。
【0032】
いくつかの実施形態では、対象は、中心視力の喪失を有する。いくつかの実施形態では、個体の眼は、網膜が剥離しており、網膜は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(y)日以上剥離しており、(y)は、少なくとも1である。いくつかの実施形態では、個体の眼は、中心視力が喪失しており、中心視力の喪失は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(y)日以上存在しており、(y)は、少なくとも1である。ある特定の実施形態では、個体の眼は、網膜損傷またはその症状があり、網膜損傷またはその症状は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(y)日以上存在しており、(y)は、少なくとも1である。ある特定の実施形態では、(y)は、1(例えば、約1日以上)、2、3、4、5、6、7、8、14、21、28、または28を超える数である。
【0033】
いくつかの実施形態では、対象は、剥離した神経網膜に関連付けられる症状(例えば、視機能の喪失または低下)を有する。いくつかの実施形態では、個体の眼は、剥離した神経網膜に関連付けられる症状(例えば、視機能の喪失または低下)を有し、剥離した神経網膜に関連付けられる症状(例えば、視機能の喪失または低下)は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(s)またはそれ以上の日数存在しており、(s)は、少なくとも1である。ある特定の実施形態では、(s)は、1(例えば、約1日以上)、2、3、4、5、6、7、8、14、21、28、または28を超える数である。
【0034】
いくつかの実施形態では、個体は、40歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約50歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約55歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約65歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、70歳以上である。
【0035】
いくつかの実施形態では、個体の眼は、炎症(例えば、1つ以上のバイオマーカーの量の増加)を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、個体の眼は、白内障を有する。いくつかの実施形態では、個体の眼は、白内障を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、個体の眼は、白内障を発症するリスクがある(例えば、白内障の1つ以上の症状を示すことや、加齢することや、眼への外傷を経験することなど)。いくつかの実施形態では、個体の眼は、偽水晶体レンズを有する可能性がある。いくつかの実施形態では、個体は、眼以外の病態(例えば、糖尿病)を含む既存の疾患または障害を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、組成物は、硝子体内注射、前房内注射、脈絡膜上腔への注射、テノン嚢下腔への注射、結膜下注射、球後注射、眼周囲注射、マイクロニードル注射、網膜下注射、または網膜下注入によって投与される。
【0038】
いくつかの実施形態では、変異体配列は、アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、2つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、3つのアミノ酸置換を含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、修飾をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾アミノ酸または天然にないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、アミド化されたC末端を含み、ここで、ペプチドは、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、ポリ酢酸塩である。いくつかの実施形態では、ポリ酢酸塩は、三酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。
【0041】
いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0042】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、またはオキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベートである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリエトキシル化アルコールである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、オキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体である。
【0043】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポロキサマー407、チロキサポール、またはクレモフォールを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー407を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、チロキサポールを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、クレモフォールを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、組成物の約0.01%から約20%の重量比を形成する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、組成物の約0.05%から約10%の重量比を形成する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/wから組成物の約2%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の少なくとも約0.05%w/wである。
【0044】
いくつかの実施形態では、組成物は、(例えば、記載の範囲および/または記載の範囲内の値のいずれかを含む、本明細書に記載のとおりの)張力調整剤、緩衝剤、またはそれらの組合せをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、pH2.5から7.5で緩衝される。
【0045】
いくつかの実施形態では、組成物は、5マイクログラム(μg)から10,000μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5マイクログラム(μg)のペプチドから約300μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から10.0mg/mLの濃度で存在する。
【0046】
参照による引用
【0047】
本明細書で言及される出版物、特許、および特許出願はすべて、あたかも個々の出版物、特許、または特許出願がそれぞれ参照によって組み込まれるように具体的かつ個々に指示されるのと同じ程度にまで、参照によって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
本発明の新規な特徴は、添付の特許請求の範囲に具体的に記載される。本発明の特性および利点をより良く理解するには、本発明の原理が用いられる例示的な実施形態を記載している以下の詳細な説明と添付の図面とを参照されたい。
図1】Fas阻害剤を投与されたGA患者の視力転帰の改善を実証するデータを示す。
図2A図2A図2Bは、視力測定値の例示的な変換を提供する。図2Aは、視力測定値の第1の例示的な変換テーブルを示す。
図2B図2A図2Bは、視力測定値の例示的な変換を提供する。図2Bは、視力測定値の第2の例示的な変換テーブルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書では、眼の疾患および/または障害を有する個体の眼の視機能を改善するのに有用な組成物および方法が記載され、提供される。ある特定の例では、視機能の改善は、眼のFas関連炎症を処置(例えば、阻害、軽減、および/または予防)し、それにより網膜変性を予防、軽減、および/または阻害することで達成される。網膜変性は、細胞死(例えば、細胞アポトーシス)、グリア細胞活性化、および網膜組織内または網膜組織周辺の炎症が網膜内の細胞死(例えば、網膜色素上皮(RPE)細胞および/または光受容体(PR))に結び付いている、複雑な多因子性病態である。Fas媒介性炎症は、直接または間接的に網膜変性をもたらす可能性があり、網膜変性によって生じる症状と関連付けられる可能性がある。Fas媒介性炎症シグナル伝達経路は、概して、膜結合型Fasリガンド(TNFファミリーのII型膜貫通タンパク質であるFasL)とFas受容体との間の相互作用によって開始され、それにより炎症誘発性シグナル伝達(例えば、サイトカインシグナル伝達、インターロイキンシグナル伝達、カスパーゼ作用など)経路および/または細胞死シグナル伝達(例えば、アポトーシスシグナル伝達、壊死シグナル伝達など)経路の活性化をもたらす。
【0050】
Fas阻害剤
本明細書では、Fas媒介性シグナル伝達を調節(例えば、阻害、予防、および/または軽減など)するのに有用なFas阻害剤が提供される。ある特定の事例では、Fas阻害剤は、Fas媒介性炎症の処置、阻害、予防、および/または軽減に有用である。ある特定の事例では、Fas媒介性炎症を阻害、予防および/または軽減することで、網膜内の細胞の喪失(例えば、光受容体および/または網膜色素上皮)の処置および/または予防が可能となる。したがって、ある特定の事例では、Fas阻害剤は、網膜細胞の喪失および/または網膜細胞の喪失に関連付けられる症状を処置および/または予防するのにも有用である。ある特定の事例では、Fas媒介性炎症を阻害、予防、および/または軽減することで、網膜細胞の喪失(例えば、網膜上皮(RPE)細胞および/または光受容体(PR)細胞)がさらに処置、阻害、軽減、および/または予防される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFas阻害剤は、網膜細胞の喪失および/または網膜細胞の喪失に関連付けられる症状を処置、阻害、軽減、および/または予防するのに有用である。このような事例では、本明細書に記載されるFas阻害剤は、上記の様式で有用であるので、Fas阻害剤は、眼の疾患および障害を処置する方法において有用である。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFas阻害剤は、Met由来ペプチドおよび/またはその断片を包含する。いくつかの実施形態では、c-Metまたは肝細胞増殖因子受容体(HGF受容体)とも呼ばれるMetタンパク質は、Met遺伝子によってコードされる(NCBI遺伝子ID4233、位置:NC_000007.14(116672196..116798386)、UniProtKB-P0858)。Metタンパク質は、αサブユニットおよびβサブユニットの2つの主要なサブユニットから構築され、MetおよびMetの断片(Metの細胞外ドメインおよびそのαサブユニットを含む)は、Fasに結合し、細胞がアポトーシスを起こすのを防止することが示されている。いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、Fas阻害ペプチド(例えば、Met由来ペプチドおよび/またはその断片)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるFas阻害剤は、アミノ酸HHIYLGAVNYIY(His-His-lle-Tyr-Leu-Gly-Ala-Val-Asn-Tyr-lle-Tyr)(例えば、配列番号1~8)を含むMet由来化合物を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYまたはその変異体配列を含む。
【0052】
本明細書で使用される場合、ペプチドは、あるアミノ酸のカルボキシル基と別のアミノ酸のアミノ基を結合するペプチド結合によって接合された2つ以上のアミノ酸を含有する、種々の天然化合物または合成化合物のいずれかを含むか、および/または、それを指す。また、本明細書で使用される場合、アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、非天然アミノ酸、天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指すか、ならびに/または、それらを含む。アミノ酸は、概して、本明細書において、その名称、すなわち一般に知られている3文字の記号か、またはIUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionによって推奨される1文字の記号のいずれかによって言及される。
【0053】
いくつかの実施形態では、Fas阻害ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)は、1つ以上の天然に存在するアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Fas阻害ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)は、1つ以上の天然に存在するアミノ酸からなる。本明細書で使用される場合、天然に存在するアミノ酸は、一般に天然に見出され、ヒトによって操作されていないアミノ酸を含むか、および/または、それを指す。いくつかの実施形態では、天然に存在するものには、20種類の従来のアミノ酸であるアラニン(AまたはAla)、システイン(CまたはCys)、アスパラギン酸(DまたはAsp)、グルタミン酸(EまたはGlu)、フェニルアラニン(FまたはPhe)、グリシン(GまたはGly)、ヒスチジン(HまたはHis)、イソロイシン(IまたはIle)、リジン(KまたはLys)、ロイシン(LまたはLeu)、メチオニン(MまたはMet)、アスパラギン(NまたはAsn)、プロリン(PまたはPro)、グルタミン(QまたはGln)、アルギニン(RまたはArg)、セリン(SまたはSer)、トレオニン(TまたはThr)、バリン(VまたはVal)、トリプトファン(WまたはTrp)、およびチロシン(YまたはTyr)を含むか、および/または、それらをさらに指す。
【0054】
いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)の変異体配列を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸置換は、必ずしもポリペプチドの活性を減少させたり、除去したりすることなく、本明細書に記載されるポリペプチドのいずれかの配列に行われてもよい。したがって、いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つ以上のアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、2つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、3つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、置換は、保存的置換(例えば、匹敵する化学的特徴のアミノ酸との置換)を含む。いくつかの実施形態では、非極性アミノ酸は、別の非極性アミノ酸で置換され、置き換えられてもよく、ここで、非極性アミノ酸として、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、グリシン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびメチオニンが挙げられる。いくつかの実施形態では、中性電荷を有する極性アミノ酸は、別の中性電荷を有する極性アミノ酸で置換され、置き換えられてもよく、ここで、中性電荷を有する極性アミノ酸として、セリン、トレオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、およびグルタミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、正電荷を有するアミノ酸は、別の正電荷を有するアミノ酸で置換され、置き換えられてもよく、ここで、正電荷を有するアミノ酸として、アルギニン、リジン、およびヒスチジンが挙げられる。いくつかの実施形態では、負電荷を有するアミノ酸は、別の負電荷を有するアミノ酸で置換され、置き換えられてもよく、ここで、負電荷を有するアミノ酸として、アスパラギン酸およびグルタミン酸が挙げられる。また、アミノ酸置換の例としては、L-アミノ酸をその対応するD-アミノ酸に置換すること、システインをホモシステインまたは他の天然にないアミノ酸に置換することが挙げられる。
【0055】
いくつかの実施形態では、Fas阻害ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)は、1つ以上の天然にないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、Fas阻害ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)は、天然にないアミノ酸からなる。本明細書で使用される場合、天然にないアミノ酸および/または非天然アミノ酸は、いずれの生体からの非修飾遺伝子または修飾遺伝子を使用しても、いずれの生体においても生合成で産生され得ないアミノ酸構造を含むか、および/または、それを指す。いくつかの実施形態では、天然にないアミノ酸および/または非天然アミノ酸は、天然に存在する(野生型)Metタンパク質配列に存在しないアミノ酸残基をさらに含むか、および/または、それを指す。例えば、天然にないアミノ酸および/または非天然アミノ酸としては、限定されないが、20種類の天然に存在するアミノ酸の1つではない修飾アミノ酸および/またはアミノ酸類似体(例えば、非天然側鎖変異体配列アミノ酸)、D-アミノ酸、ホモアミノ酸、β-ホモアミノ酸、N-メチルアミノ酸、α-メチルアミノ酸が挙げられる。さらなる例として、天然にないアミノ酸としてはまた、4-ベンゾイルフェニルアラニン(Bpa)、アミノ安息香酸(Abz)、アミノ酪酸(Abu)、アミノヘキサン酸(Ahx)、アミノイソ酪酸(Aib)、シトルリン(Cit)、ジアミノブタン酸(Dab)、ジアミノプロパン酸(Dap)、ジアミノプロピオン酸(Dap)、γ-カルボキシグルタミン酸(Gla)、ホモアラニン(Hala)、ホモアルギニン(Harg)、ホモアスパラギン(Hasn)、ホモアスパラギン酸(Hasp)、ホモシステイン(Hcys)、ホモグルタミン酸(Hglu)、ホモグルタミン(Hgln)、ホモイソロイシン(Hile)、ホモロイシン(Hleu)、ホモメチオニン(Hmet)、ホモフェニルアラニン(Hphe)、ホモセリン(Hser)、ホモチロシン(Htyr)、ホモバリン(Hval)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、イソニペスチック酸(Inp)、ナフチルアラニン(Nal)、ニペコチン酸(Nip)、ノルロイシン(Nle)、ノルバリン(Nva)、オクタヒドロインドール-2-カルボン酸(Oic)、ペニシラミン(Pen)、フェニルグリシン(Phg)、ピログルタミン酸(Pyr)、サルコシン(Sar)、tブチルグリシン(Tle)、およびテトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボン酸(Tic)が挙げられる。このような天然にないアミノ酸残基は、天然に存在するアミノ酸を置換することによって、および/または、天然に存在する(野生型)Metタンパク質配列に天然にないアミノ酸を挿入することによって導入できる。天然にないアミノ酸残基はまた、所望の機能性を、アペリン分子に、例えば、機能性部分(例えば、PEG)に接合する能力が付与されるように組み込まれてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つ以上のアミノ酸欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つのアミノ酸欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、2つのアミノ酸欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、3つのアミノ酸欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、4つのアミノ酸欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つ以上の追加のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、追加のアミノ酸は、Met配列からの追加のアミノ酸である。いくつかの実施形態では、変異体配列は、置換および欠失を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、置換と、1つ以上の追加のアミノ酸とを含む。いくつかの実施形態では、置換は、天然にあるアミノ酸または天然にないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、レトロインベルソ型アミノ酸配列である。いくつかの実施形態では、変異体配列は、N末端またはC末端に1つ以上の追加のアミノ酸残基(例えば、1つ、2つ、または3つの付加)を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、N末端またはC末端におけるアミノ酸残基に1つ以上の欠失(例えば、1つ、2つ、または3つの欠失)を含む。
【0057】
ペプチドの変異体配列(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYの変異体配列)の機能性は、インビトロアッセイによって判断されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、変異体配列は、Fas受容体(FasR)への結合について、Fasリガンド(FasL)と競合する。いくつかの実施形態では、変異体配列は、(例えば、市販の発光性テトラペプチド切断アッセイキット(プロメガ(ウィスコンシン州マディソン))によって測定されるように)FasLで処理した細胞においてカスパーゼ8の活性化を阻害、減少、または防止する。いくつかの実施形態では、変異体配列は、FasLで処理した細胞の細胞死を阻害、減少、または防止する。さらなる例として、いくつかの実施形態では、変異体配列は、Fas受容体(FasR)への結合について、Fas活性化抗体(例えば、FasアゴニストJo2モノクローナル抗体(BD Biosciences(カリフォルニア州サンノゼ)))と競合する。いくつかの実施形態では、変異体配列は、(例えば、市販の発光性テトラペプチド切断アッセイキット(プロメガ(ウィスコンシン州マディソン))によって測定されるように)Fas活性化抗体で処理した細胞においてカスパーゼ8の活性化を阻害、減少、または防止する。いくつかの実施形態では、変異体配列は、Fas活性化抗体で処理した細胞の細胞死を阻害、減少、または防止する。したがって、いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)の変異体配列(例えば、本明細書に記載される変異体配列のいずれか1つ)を含み、変異体配列は、Fas受容体(FasR)への結合について、Fasリガンド(FasL)と競合する。いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)の変異体配列(例えば、本明細書に記載される変異体配列のいずれか1つ)を含み、変異体配列は、FasLで処理した細胞においてカスパーゼ8の活性化を阻害、減少、または防止する。いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)の変異体配列(例えば、本明細書に記載される変異体配列のいずれか1つ)を含み、変異体配列は、FasLで処理した細胞において細胞死を阻害、減少、または防止する。いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)の変異体配列(例えば、本明細書に記載される変異体配列のいずれか1つ)を含み、変異体配列は、Fas受容体(FasR)への結合について、Fas活性化抗体と競合する。いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチドの変異体配列(例えば、本明細書に記載される変異体配列のいずれか1つ)を含み、変異体配列は、Fas活性化抗体で処理した細胞においてカスパーゼ8の活性化を阻害、減少、または防止する。いくつかの実施形態では、Fas阻害剤は、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチドの変異体配列(例えば、本明細書に記載される変異体配列のいずれか1つ)を含み、変異体配列は、Fas活性化抗体で処理した細胞において細胞死を阻害、減少、または防止する。
【0058】
ペプチドまたはその変異体配列は、1つ以上の修飾をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYまたはその変異体配列を含むもの)は、修飾を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、修飾ペプチドである。本明細書で使用される場合、修飾または修飾ペプチドは、ペプチドの1つ以上のアミノ酸の修飾を含むか、および/または、それを指す。いくつかの実施形態では、修飾は、立体異性体の種である。上記化合物の立体異性体はすべて、混合物または純粋な形もしくは実質的に純粋な形のいずれかで企図される。化合物は、原子のいずれかに不斉中心を有してもよい。したがって、ペプチド化合物またはその成分は、エナンチオマー形もしくはジアステレオマー形またはそれらの混合物で存在してもよい。本発明は、任意のラセミ体(すなわち、各エナンチオマーを等量含有する混合物)、エナンチオマーが濃縮された混合物(すなわち、1つのエナンチオマーが濃縮された混合物)、純粋なエナンチオマーもしくはジアステレオマー、またはそれらの任意の混合物の使用を企図する。キラル中心は、RもしくはSもしくはR、Sもしくはd、D、1、L、もしくはd、1、D、もしくはLとして設計されてもよい。アミノ酸残基を含む化合物は、D-アミノ酸、L-アミノ酸、またはアミノ酸のラセミ誘導体の残基を含む。糖残基を含む化合物として、D-糖、L-糖、または糖のラセミ誘導体の残基が挙げられる。修飾の非限定的な例として、リン酸化、グリコシル化、ユビキチン化、ニトロシル化、メチル化、アセチル化、アミド化、または脂質化がある。修飾は、ペプチドのC末端、ペプチドのN末端、またはその間にある任意の場所に導入されてもよい。それゆえ、修飾または修飾ペプチドは、遊離のアミノ末端および/またはカルボキシル末端(それぞれ、N末端およびC末端)の修飾を含むか、および/または、それを指す。いくつかの実施形態では、N末端修飾としては、限定されないが、アセチル化、ホルミル化、ピログルタミル化、カルバミド付加、脂質化、スルホンアミド化、およびアルキルアミノ化が挙げられる。いくつかの実施形態では、C末端修飾としては、限定されないが、アミド化、エステル化、およびアルデヒド基の組み込みが挙げられる。いくつかの実施形態では、修飾は、アミド化を含む。いくつかの実施形態では、アミド化は、c末端で起こる。いくつかの実施形態では、修飾は、レトロインベルソペプチド(例えば、YIYNVAGLYIHH)を含む。いくつかの実施形態では、修飾は、ペプチドの1つ以上のアミノ酸残基のキラリティを(例えば、Lアミノ酸からDアミノ酸に)変化させる。
【0059】
したがって、ある実施形態では、配列(a)-HHIYLGAVNYIY-(b)もしくは(a)-YIYNVAGLYIHH-(b)またはその変異体配列を含むペプチドが本明細書で提供され、
式中、
(a)は、-H、-OH、-NH、G(CH-、RCONH-、またはRO-であり、
(b)は、-H、-CHOH、-CHOR、-CHO、-CO、-CONH、-CONHR、-CON(R、-CONH(CHNR(、-(CH-G、-COCH-G、-CONHCH-G、-(CHNH、-(CHNHR、-(CHN(R、NH-Glu-His-OH、NH-Glu-His-NH、-Ala-His-NH、-Gly--His-NH、-NH-Glu-His-OH、-NH-Glu-His-NH、-Ala-His-NH、-Gly-His-NH、-NH-[D]Glu-[D]-His-OH、-NH-[D]Glu-[D]-His-NH、-[D]Ala-[D]-His-NH、-Gly-[D]-His-NH、または-CONH(CH-Gであり、Gは、各出現において、独立して-H、-C(=O)NH、-C(=O)NHR、-C(=O)N(R、C(=O)OR、または-C(=O)Rであり、Gは、各出現において、環内に少なくとも第三級アミン官能基を含む4~6員の複素環、または-N(Rで置換された3~7員の炭素環であり、
は、各出現において、独立してH、C1-6アルキル、-(CH(OCHCHOR、C1-6-アルコキシ、またはLであり、
は、各出現において、独立してC1-6アルキル、ORもしくはNR で置換されたC2-6アルキル、-(CH(OCHCHOR、またはLであり、
Lは、各出現において、それぞれが独立してH、Rでキャッピングされていてもよい2~4つの末端を有する多価ポリエチレングリコール誘導体であり、
は、各出現において、独立してC1-6アルキル、ORもしくはN(Rで置換されたC2-6アルキル、-(CH(OCHCHORであり、
あるいは、2つのRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~8員の単環式環、または6~10員の縮合、架橋もしくはスピロ二環式環を形成してもよく、環内に、-O-、-(C=O)-、NR、S、SO、またはSOから独立して選択される最大で2つの基を含んでもよく、
は、各出現において、独立してC1-6アルキル、C1-6アシル、または-OPO(Rであり、
は、各出現において、独立してHまたはC1-6アルキルであり、
は、各出現において、H、C1-6アルキル、C2-6ヒドロキシアルキル、C1-6アルコキシ-、C1-6アルキル、またはC1-6アシルであり、
mは、1~100であり、
nは、0~3であり、
xは、0~6であり、
yは、2~4であり、
およびRのうち最大で1つは、Lである。
【0060】
ある特定の事例では、式Iもしくは式IIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチドが本明細書で提供され、
【0061】
【化1】
【0062】
【化2】
式中、Aは、H-、-OH、-NH、G(CH-、RCONH-、またはRO-であり、
Bは、-H、CHOH、CHOR、-CHO、-CO、-CONH、-CONHR、-CON(R、-CONH(CHN(R、-(CH-G、-COCH-G、-CONHCH-G、-(CHNH、-(CHNHR、-(CHN(R NH-Glu-His-OH、NH-Glu-His-NH、-Ala-His-NH、-Gly-His-NH、NH-Glu--His-OH、NH-Glu-His-NH、-Ala-His-NH、-Gly-His-NH、NH-[D]Glu-[D]-His-OH、NH-[D]Glu-[D]-His-NH、-[D]Ala-[D]-His-NH、-Gly-[D]-His-NH、またはCONH(CH-Gであり、
Eは、各出現において、独立して-H、-OH、-OR、SH、-SR、またはハロゲンであり、
は、各出現において、独立して-H、-C(=O)NH、-C(=O)NHR、-C(=O)N(R、C(=O)OR、または-C(=O)Rであり、
は、各出現において、環内に少なくとも1つの第三級アミン官能基NRを含む4~7員のヘテロ脂環式環、またはN(Rで置換された3~7員の炭素環であり、
Qは、各出現において、独立して1-プロピル、2-プロピル、2-メチル-プロパ-2-イル、C3-6-シクロアルキル、C4-6-シクロアルケニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエニル-2-イル、テトラヒドロチエニル-3-イル、テトラヒドロピラン-2-イル、テトラヒドロピラン-3-イル、テトラヒドロピラン-4-イル テトラヒドロチオピラン-2-イル、テトラヒドロチオピラン-3-イル、テトラヒドロチオピラン-4-イル、または1-CH(OR)CHであり、
は、各出現において、独立してH、C1-6アルキル、-(CH(OCHCHOR、C1-6アルコキシ、またはLであり、
は、各出現において、独立してC1-6アルキル、ORもしくはN(Rで置換されたC2-6アルキル、-(CH(OCHCHOR、またはLであり、
Lは、各出現において、それぞれが独立してH、Rでキャッピングされていてもよい2~4つの末端を有する多価ポリエチレングリコール誘導体、または式IもしくはIIのペプチドの別の分子であり、
は、各出現において、独立してC1-6-アルキル、ORもしくはN(Rで置換されたC2-6-アルキル、-(CH(OCHCHORであり、
あるいは、2つのRは、それらが結合しているN原子と一緒になって、4~8員の単環式環、または6~10員の縮合、架橋もしくはスピロ二環式環を形成してもよく、環内に、-O-、-(C=O)-、NR、S、SO、またはSOから独立して選択される最大で2つの基を含んでもよく、
は、各出現において、独立してC1-6アルキル、C1-6アシル、または-OPO(Rであり、
は、各出現において、独立してHまたはC1-6アルキルであり、
は、各出現において、H、C1-6アルキル、C2-6ヒドロキシアルキル、C1-6アルコキシ-、C1-6アルキル、またはC1-6アシルであり、
mは、1~100であり、
nは、0~3であり、
xは、0~6であり、
yは、2~4であり、
【0063】
およびRのうち最大で1つは、Lである。
【0064】
いくつかの実施形態では、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0065】
【化3】
【0066】
式III:His-His-Ile-Tyr-Leu-Gly-Ala-Val-Asn-Tyr-Ile-Tyr-アミド(配列番号3)。
【0067】
いくつかの実施形態では、式IVの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0068】
【化4】
【0069】
式IV:すべての[D]Tyr-Ile-Tyr-Asn-Val-Ala-Gly-Leu-Tyr-Ile-His-His-アミド(配列番号4)。
【0070】
いくつかの実施形態では、式Vの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0071】
【化5】
【0072】
式V:すべての[D]Tyr-allo-Ile-Tyr-Asn-Val-Ala-Gly-Leu-Tyr-allo-Ile-His-His-アミド(配列番号5)。
【0073】
いくつかの実施形態では、式VIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0074】
【化6】
【0075】
式VI:すべての[D]Tyr-Val-Tyr-Asn-Val-Ala-Gly-Leu-Tyr-Val-His-His-アミド(配列番号6)。
【0076】
いくつかの実施形態では、式VIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0077】
【化7】
【0078】
式7:すべての[D](デスアミノTyr)-Val-Tyr-Asn-Val-Ala-Gly-Leu-Tyr-Val-His-His-アミド(配列番号7)。
【0079】
いくつかの実施形態では、式VIIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0080】
【化8】
【0081】
式8:すべての[D](ヒドロキシ-デスアミノTyr)-allo-Ile-Tyr-Asn-Val-Ala-Gly-Leu-Tyr-allo-Ile-His-ヒスタミン(配列番号8)。
【0082】
いくつかの実施形態では、式IXの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0083】
【化9】
【0084】
式IX:すべての[D](デスアミノTyr)-Val-Tyr-Asn-Val-Ala-Gly-Leu-Tyr-Val-His-His-ピペラジンアミド(配列番号9)。
【0085】
Fas阻害ペプチドの塩
さらに、本明細書では、眼のFas媒介性炎症を阻害するためのペプチドの塩、および本明細書に記載される方法において使用するためのペプチドの塩が提供される。本明細書で使用される場合、塩は、概して、薬学的に許容可能な塩と同義であるか、および/または、薬学的に許容可能な塩を含むか、もしくはそれを指す。薬学的に許容可能な塩の例として、当該技術分野において周知の方法を使用して調製される、有機酸または無機酸、例えば、(限定されないが)酢酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、酪酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、臭化水素酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、メタンスルホン酸、4-メチルベンゼンスルホン酸、ニコチン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、または酒石酸を有する塩である。いくつかの実施形態では、塩は、塩酸塩である。
【0086】
これに加えて、これらの塩は、無機塩基または有機塩基を遊離酸に添加することにより調製されてもよい。無機塩基に由来する塩としては、限定されないが、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩が挙げられる。有機塩基に由来する塩としては、限定されないが、第1級アミン、第2級アミン、および第3級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、およびポリアミンの樹脂の塩が挙げられる。
【0087】
塩および薬学的に許容可能な塩については、J.Pharmaceutical Sciences、66巻:1~19頁(1977年)に記載されており、その内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0088】
いくつかの実施形態では、塩は、酢酸塩である。いくつかの実施形態では、酢酸塩は、ポリ酢酸塩である。いくつかの実施形態では、ポリ酢酸塩は、トリ酢酸塩である。
【0089】
医薬組成物
ある実施形態では、Fas阻害ペプチドを含む医薬組成物(組成物とも呼ばれる)がさらに提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)またはその薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドを含む。
【0090】
医薬組成物は、1つ以上の賦形剤を含んでもよい。本明細書で使用される場合、賦形剤は、製剤化および/または患者への投与のためのものを通常含める、医薬品有効成分(API)以外の任意の薬学的に許容可能な添加剤、担体、希釈剤、補助剤、または他の成分を含むか、および/または、それらを指す。医薬組成物は、単一の医薬製剤(例えば、持続放出、即時放出、遅延放出、ナノ粒子など)または複数の製剤(例えば、即時放出および遅延放出、ナノ粒子および非ナノ粒子など)を含んでもよい。賦形剤はさらに、所望の稠度の提供(例えば、バルク特性の変更)、安定性の改善、および/または浸透圧の調整のために製剤に添加され得る薬剤を含むか、および/または、それを指す。一般に使用される賦形剤の例としては、限定されないが、糖類、ポリオール類、アミノ酸類、界面活性剤類、およびポリマー類が挙げられる。いくつかの実施形態では、非イオン性賦形剤または非イオン化可能な賦形剤は、本明細書で使用される場合、正味電荷を有さない薬剤を含むか、および/または、それを指す。
【0091】
いくつかの実施形態では、非イオン性賦形剤は、pHなどのある特定の製剤条件下で正味電荷を有さない。非イオン性賦形剤の例としては、限定されないが、糖類(例えば、スクロース)、糖アルコール類(例えば、マンニトール)、および非イオン性界面活性剤類(例えば、ポリソルベート80)が挙げられる。
【0092】
いくつかの実施形態では、組成物は、眼への適用に適した賦形剤を含む。適切な賦形剤としては、限定されないが、等張化剤、防腐剤、キレート剤、緩衝剤、界面活性剤、共溶媒、および酸化防止剤が挙げられる。適切な張力調整剤としては、マンニトール、塩化ナトリウム、グリセリン、ソルビトールなどが挙げられる。適切な防腐剤としては、p-ヒドロキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンゾドデシニウム、ポリクオタニウム-1などが挙げられる。適切なキレート剤としては、エデト酸ナトリウムなどが挙げられる。適切な緩衝剤としては、リン酸塩、ホウ酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、トロメタミンなどが挙げられる。適切な界面活性剤としては、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤は、ポリソルベート、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体(Poloxamer)、およびオキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体(Tyloxapol)などの非イオン性界面活性剤を含む。他の適切な界面活性剤も含まれてもよい。適切な抗酸化剤としては、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、アスコルビン酸塩、BHA、BHT、トコフェロールなどが挙げられる。
【0093】
いくつかの実施形態では、組成物は、非イオン性界面活性剤である。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリソルベート、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体(Poloxamer)、またはオキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体(Tyloxapol)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリソルベートを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリエトキシル化脂肪酸を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリエトキシル化アルコールを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体(Poloxamer)を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、オキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体(Tyloxapol)を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、組成物の0.05%~20%の重量比(w/w)を占める。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/wから組成物の約20%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の少なくとも約0.05%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の最大で約20%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約5%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約10%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約20%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.1%から組成物の約1%w/w、組成物の約0.1%から組成物の約2%w/w、組成物の約0.1%から組成物の約5%w/w、組成物の約0.1%から組成物の約10%w/w、組成物の約0.1%から組成物の約20%w/w、組成物の約0.5%から組成物の約1%w/w、組成物の約0.5%から組成物の約2%w/w、組成物の約0.5%から組成物の約5%w/w、組成物の約0.5%から組成物の約10%w/w、組成物の約0.5%から組成物の約20%w/w、組成物の約1%から組成物の約2%w/w、組成物の約1%から組成物の約5%w/w、組成物の約1%から組成物の約10%w/w、組成物の約1%から組成物の約20%w/w、組成物の約2%から組成物の約5%w/w、組成物の約2%から組成物の約10%w/w、組成物の約2%から組成物の約20%w/w、組成物の約5%から組成物の約10%w/w、組成物の約5%から組成物の約20%w/w、または組成物の約10%から組成物の約20%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/w、組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.5%w/w、組成物の約1%w/w、組成物の約2%w/w、組成物の約5%w/w、組成物の約10%w/w、または組成物の約20%w/wである。
【0094】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/wから組成物の約2%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の少なくとも約0.05%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の最大で約2%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.6%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.6%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.6%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約2%w/w、または組成物の約1.5%w/wから組成物の約2%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/w、組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.6%w/w、組成物の約1%w/w、組成物の約1.5%w/w、または組成物の約2%w/wである。
【0095】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20、ポロキサマー407、チロキサポール、またはクレモフォールを含む。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポロキサマー407である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、チロキサポールである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、クレモフォールである。本明細書に記載される非イオン性界面活性剤は、本明細書に記載される範囲(例えば、パーセントw/w)のうちいずれか1つの範囲内、すなわち、記載される範囲内に収まる特定の値内に存在してもよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、組成物は、N,N-ジメチルアセトアミド、エタノール、PEG-400、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの共溶媒(例えば、0.5から50%w/w)をさらに含み、医薬製剤に油またはシクロデキストリンが添加されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、張力調整剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、等張液である。いくつかの実施形態では、張力調整剤は、マンニトール、ソルビトール、グルコースもしくはトレハロース、または塩化ナトリウムなどの無機塩である。いくつかの実施形態では、組成物は、マンニトールを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ソルビトールを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、グルコースまたはトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、無機塩を含む。いくつかの実施形態では、張力調整剤は、組成物の張力を250~400mOsm/Lの範囲にするのに適した量で存在する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約1%w/wから組成物の約10%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の少なくとも約1%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の最大で約10%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約1%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約3%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約4%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約5%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約10%w/w、組成物の約2%w/wから組成物の約3%w/w、組成物の約2%w/wから組成物の約4%w/w、組成物の約2%w/wから組成物の約5%w/w、組成物の約2%w/wから組成物の約10%w/w、組成物の約3%w/wから組成物の約4%w/w、組成物の約3%w/wから組成物の約5%w/w、組成物の約3%w/wから組成物の約10%w/w、組成物の約4%w/wから組成物の約5%w/w、組成物の約4%w/wから組成物の約10%w/w、または組成物の約5%w/wから組成物の約10%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、約1%w/w、組成物の約2%w/w、組成物の約3%w/w、組成物の約4%w/w、組成物の約5%w/w、または組成物の約10%w/wである。
【0097】
いくつかの実施形態では、組成物は、緩衝剤を含む。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、酸性化剤である。いくつかの実施形態では、酸性化剤は、pH4.5の酢酸緩衝液である。いくつかの実施形態において、pH4.5の酢酸緩衝液の濃度は、約10ミリモル(mM)である。概して、pHの制御は、眼への注射に適した適切な緩衝液によって行われてもよく、例えば、組成物のpHは、3.0~7.5の範囲または3.5~4.5の範囲であってもよい。
【0098】
本明細書に記載されるように、組成物は、1つ以上の賦形剤を含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドと組み合わせて非イオン性界面活性剤、張力調整剤、および緩衝剤を含む。記載される賦形剤のいずれも、記載される量および/または範囲内で組み合わされてもよい。
【0099】
投与量および投与計画
ある実施形態では、本明細書に記載される組成物は、眼のFas媒介性炎症を阻害し、かつ/あるいは、眼の網膜変性もしくはその症状を処置、阻害、軽減および/または予防するのに適した量のペプチドを含む。本明細書で使用される場合、用量または投与量は、組成物(例えば、眼に投与するための組成物)中の治療剤、例えば、記載されるペプチドの量を含むか、および/または、それを指す。用量は、(i)ペプチド(親化合物)またはその薬学的に許容可能な塩のいずれかを指してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される(例えば、網膜変性を処置する)方法に適した組成物(すなわち、医薬組成物)中のペプチドの量は、5マイクログラム(μg)~10,000μgの範囲である。本明細書に記載される組成物を含む剤形は、概して、眼の硝子体液に投与され、眼への注射(例えば、硝子体内注射)のためにさらに製剤化されてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に適したペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)またはその薬学的に許容可能な塩の量は、5μgから10,000μgの範囲である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に適した、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の量は、5μgから10,000μgの範囲である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に適した、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの量は、5μgから10,000μgの範囲である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に適した、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの量は、5μgから10,000μgの範囲である。
【0100】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチドから約10,000μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約5μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、最大で約10,000μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチドから約25μgのペプチド、約5μgのペプチドから約50μgのペプチド、約5μgのペプチドから約100μgのペプチド、約5μgのペプチドから約200μgのペプチド、約5μgのペプチドから約500μgのペプチド、約5μgのペプチドから約1,000μgのペプチド、約5μgのペプチドから約2,500μgのペプチド、約5μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約5μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、約25μgのペプチドから約50μgのペプチド、約25μgのペプチドから約100μgのペプチド、約25μgのペプチドから約200μgのペプチド、約25μgのペプチドから約500μgのペプチド、約25μgのペプチドから約1,000μgのペプチド、約25μgのペプチドから約2,500μgのペプチド、約25μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約25μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、約50μgのペプチドから約100μgのペプチド、約50μgのペプチドから約200μgのペプチド、約50μgのペプチドから約500μgのペプチド、約50μgのペプチドから約1,000μgのペプチド、約50μgのペプチドから約2,500μgのペプチド、約50μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約50μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、約100μgのペプチドから約200μgのペプチド、約100μgのペプチドから約500μgのペプチド、約100μgのペプチドから約1,000μgのペプチド、約100μgのペプチドから約2,500μgのペプチド、約100μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約100μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、約200μgのペプチドから約500μgのペプチド、約200μgのペプチドから約1,000μgのペプチド、約200μgのペプチドから約2,500μgのペプチド、約200μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約200μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、約500μgのペプチドから約1,000μgのペプチド、約500μgのペプチドから約2,500μgのペプチド、約500μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約500μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、約1,000μgのペプチドから約2,500μgのペプチド、約1,000μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約1,000μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、約2,500μgのペプチドから約5,000μgのペプチド、約2,500μgのペプチドから約10,000μgのペプチド、または約5,000μgのペプチドから約10,000μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチド、約25μgのペプチド、約50μgのペプチド、約100μgのペプチド、約200μgのペプチド、約500μgのペプチド、約1,000μgのペプチド、約2,500μgのペプチド、約5,000μgのペプチド、または約10,000μgのペプチドを含む。
【0101】
いくつかの実施形態では、用量は、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、少なくとも約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、最大で約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、または約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約1,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約2,500μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、または約10,000μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に適した、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の量は、5μgから300μgの範囲である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に適した、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの量は、5μgから300μgの範囲である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に適した、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの量は、5μgから300μgの範囲である。
【0103】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチドから約300μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約5μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、最大で約300μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチドから約10μgのペプチド、約5μgのペプチドから約25μgのペプチド、約5μgのペプチドから約50μgのペプチド、約5μgのペプチドから約75μgのペプチド、約5μgのペプチドから約100μgのペプチド、約5μgのペプチドから約150μgのペプチド、約5μgのペプチドから約200μgのペプチド、約5μgのペプチドから約250μgのペプチド、約5μgのペプチドから約300μgのペプチド、約10μgのペプチドから約25μgのペプチド、約10μgのペプチドから約50μgのペプチド、約10μgのペプチドから約75μgのペプチド、約10μgのペプチドから約100μgのペプチド、約10μgのペプチドから約150μgのペプチド、約10μgのペプチドから約200μgのペプチド、約10μgのペプチドから約250μgのペプチド、約10μgのペプチドから約300μgのペプチド、約25μgのペプチドから約50μgのペプチド、約25μgのペプチドから約75μgのペプチド、約25μgのペプチドから約100μgのペプチド、約25μgのペプチドから約150μgのペプチド、約25μgのペプチドから約200μgのペプチド、約25μgのペプチドから約250μgのペプチド、約25μgのペプチドから約300μgのペプチド、約50μgのペプチドから約75μgのペプチド、約50μgのペプチドから約100μgのペプチド、約50μgのペプチドから約150μgのペプチド、約50μgのペプチドから約200μgのペプチド、約50μgのペプチドから約250μgのペプチド、約50μgのペプチドから約300μgのペプチド、約75μgのペプチドから約100μgのペプチド、約75μgのペプチドから約150μgのペプチド、約75μgのペプチドから約200μgのペプチド、約75μgのペプチドから約250μgのペプチド、約75μgのペプチドから約300μgのペプチド、約100μgのペプチドから約150μgのペプチド、約100μgのペプチドから約200μgのペプチド、約100μgのペプチドから約250μgのペプチド、約100μgのペプチドから約300μgのペプチド、約150μgのペプチドから約200μgのペプチド、約150μgのペプチドから約250μgのペプチド、約150μgのペプチドから約300μgのペプチド、約200μgのペプチドから約250μgのペプチド、約200μgのペプチドから約300μgのペプチド、または約250μgのペプチドから約300μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチド、約10μgのペプチド、約25μgのペプチド、約50μgのペプチド、約75μgのペプチド、約100μgのペプチド、約150μgのペプチド、約200μgのペプチド、約250μgのペプチド、または約300μgのペプチドを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、用量は、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、少なくとも約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、最大で約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、または約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩から約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、用量は、約5μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約25μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約50μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約100μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約150μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約200μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、約250μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩、または約300μgのペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。
【0105】
組成物中のペプチドの濃度は、眼投与に適した方法で調整されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、約0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から約5mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、約0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から約10mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、約0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から約100mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)またはその薬学的に許容可能な塩の濃度は、約0.1mg/mLから約5mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の濃度は、約0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から約5mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの濃度は、約0.1mg/mLから約5mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの濃度は、約0.1mg/mLから約5mg/mLの範囲である。
【0106】
いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、約0.1mg/mLから約5mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、少なくとも約0.1mg/mLである。いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、最大で約5mg/mLの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、約0.1mg/mLから約0.5mg/mL、約0.1mg/mLから約1mg/mL、約0.1mg/mLから約1.5mg/mL、約0.1mg/mLから約2mg/mL、約0.1mg/mLから約2.5mg/mL、約0.1mg/mLから約3mg/mL、約0.1mg/mLから約4mg/mL、約0.1mg/mLから約5mg/mL、約0.5mg/mLから約1mg/mL、約0.5mg/mLから約1.5mg/mL、約0.5mg/mLから約2mg/mL、約0.5mg/mLから約2.5mg/mL、約0.5mg/mLから約3mg/mL、約0.5mg/mLから約4mg/mL、約0.5mg/mLから約5mg/mL、約1mg/mLから約1.5mg/mL、約1mg/mLから約2mg/mL、約1mg/mLから約2.5mg/mL、約1mg/mLから約3mg/mL、約1mg/mLから約4mg/mL、約1mg/mLから約5mg/mL、約1.5mg/mLから約2mg/mL、約1.5mg/mLから約2.5mg/mL、約1.5mg/mLから約3mg/mL、約1.5mg/mLから約4mg/mL、約1.5mg/mLから約5mg/mL、約2mg/mLから約2.5mg/mL、約2mg/mLから約3mg/mL、約2mg/mLから約4mg/mL、約2mg/mLから約5mg/mL、約2.5mg/mLから約3mg/mL、約2.5mg/mLから約4mg/mL、約2.5mg/mLから約5mg/mL、約3mg/mLから約4mg/mL、約3mg/mLから約5mg/mL、または約4mg/mLから約5mg/mLである。いくつかの実施形態では、組成物中のペプチドの濃度は、約0.1mg/mL、約0.5mg/mL、約1mg/mL、約1.5mg/mL、約2mg/mL、約2.5mg/mL、約3mg/mL、約4mg/mL、または約5mg/mLである。
【0107】
薬物動態
本明細書で意図される場合、本明細書に記載される組成物は、必要としている個体の眼に投与される。眼への投与(すなわち、「眼適用」または「眼投与」)には、結膜下投与、硝子体内投与、球後投与、前房内投与、網膜下、または脈絡膜上が含まれる。いくつかの実施形態では、眼投与は、結膜下投与、硝子体内投与、球後投与、または前房内投与を含む。いくつかの実施形態では、眼投与は、硝子体内投与を含む。いくつかの実施形態では、眼投与は、結膜下投与を含む。いくつかの実施形態では、眼投与は、球後投与を含む。いくつかの実施形態では、眼投与は、前房内投与を含む。
【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される組成物を含む剤形は、概して、眼の硝子体液に投与される。いくつかの実施形態では、硝子体液においてペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)またはその薬学的に許容可能な塩の半減期は、約30日超から約275日超である。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、硝子体液において約30日超から約275日超の半減期を有する。いくつかの実施形態では、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドは、硝子体液において約30日超から約275日超の半減期を有する。いくつかの実施形態では、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドは、硝子体液において約30日超から約275日超の半減期を有する。いくつかの実施形態では、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、硝子体液において約14日超から約275日超の半減期を有する。いくつかの実施形態では、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドは、硝子体液において約14日超から約275日超の半減期を有する。いくつかの実施形態では、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドは、硝子体液において約14日超から約275日超の半減期を有する。
【0109】
いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約14日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約30日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約60日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約90日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約120日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約150日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約180日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約210日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約240日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、眼において約270日超である。
【0110】
いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約14日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約30日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約60日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約90日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約120日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約150日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約180日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約210日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約240日超である。いくつかの実施形態では、ペプチドの半減期は、硝子体液において約270日超である。
【0111】
硝子体液におけるペプチドの量を判断するには、概して、硝子体液をサンプリングするために眼からすべての硝子体液またはその実質的な部分を採取するか、または眼を犠牲にする必要がある。いくつかの実施形態では、ヒトの眼からすべての硝子体液またはその実質的な部分を採取したり、眼を犠牲にしたりするのは、ヒトの眼の健康を維持する上で実施可能ではない。したがって、いくつかの実施形態では、ヒトの眼におけるペプチドの半減期は、哺乳動物の眼におけるペプチドの半減期を測定および/または推定することによって判断される。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、ウサギである。いくつかの実施形態において、哺乳動物は、ブタ(例えば、ミニブタ)である。いくつかの実施形態では、哺乳動物は、サルである。薬物の存在を検出する様々な方法も、ペプチドを検出するのに適している。例えば、ペプチドを検出するのに適した方法は、硝子体液からのサンプルに対して質量分析(例えば、液体クロマトグラフィー/質量分析(LC-MS)または高速LC-MS(HPLC-MS))を行うことを含む。
【0112】
方法
本明細書では、眼の疾患および/または障害を有する個体の視機能を向上させる際に使用するのに有利な方法が提供される。いくつかの実施形態では、眼の疾患および/または障害は、視機能の喪失(例えば、最良矯正視力、視野、コントラスト感度、両眼視機能、低輝度視力、低コントラスト視力、色覚、視野測定、閾値感度、読書速度、および/または明暗順応)を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患および/または障害は、光受容細胞死を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患および/または障害は、網膜色素上皮細胞死を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患および/または障害は、黄斑変性を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患および/または障害は、(例えば、硝子体からのサンプル内の炎症誘発性マーカーによって測定される)眼および/または網膜組織内の炎症を含む。
【0113】
本明細書では、眼の疾患または障害を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)を改善する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼にFas阻害剤を投与することを含む。さらに、本明細書では、眼の疾患または障害を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)を改善する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。さらに、本明細書では、眼の疾患または障害を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)を改善する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。本明細書では、眼の疾患または障害を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)を改善する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、視機能の喪失を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、光受容細胞死またはその症状(例えば、視機能の喪失)を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、視機能の喪失を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、光受容細胞死またはその症状(例えば、視機能の喪失)を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、網膜色素上皮細胞死またはその症状(例えば、視機能の喪失)を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患または障害は、黄斑変性を含む。いくつかの実施形態では、方法は、手術を行うことなく視機能を改善することを含む。いくつかの実施形態では、手術は、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与した後に行われる。いくつかの実施形態では、手術は、網膜再付着手術を含む。いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術を含む。
【0114】
さらに、本明細書では、黄斑変性を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)の喪失を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼にFas阻害剤を投与することを含む。また、黄斑変性を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)の喪失を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。さらに、本明細書では、黄斑変性を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)の喪失を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。本明細書では、黄斑変性を有する個体の眼の視機能(例えば、BCVA)の喪失を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、加齢黄斑変性を含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、地図状萎縮を含む。
【0115】
また、本明細書では、地図状萎縮(例えば、地図状萎縮を特徴とするAMD)を有する個体の眼の黄斑変性を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼にFas阻害剤を投与することを含む。さらに、地図状萎縮(例えば、地図状萎縮を特徴とするAMD)を有する個体の眼の黄斑変性を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。さらに、本明細書では、地図状萎縮(例えば、地図状萎縮を特徴とするAMD)を有する個体の眼の黄斑変性を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。本明細書では、地図状萎縮(例えば、地図状萎縮を特徴とするAMD)を有する個体の眼の黄斑変性を処置する方法が記載され、提供され、該方法は、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、加齢黄斑変性を含む。
【0116】
いくつかの実施形態では、視機能を処置することは、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の投与前のベースラインとなる視機能と比較して、視機能を改善することを含む。いくつかの実施形態では、視機能は、最良矯正視力(例えば、可読数)、視野、コントラスト感度、両眼機能、低輝度視力、低コントラスト視力、色覚、視野測定、閾値感度、読書速度、および明暗順応からなる群から選択される1つ以上の測定値を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、最良矯正視力を含む(例えば、20/200から20/100への視力の上昇、もしくは20/50から20/40への視力の上昇、および/または、logMAR値の減少から測定される視力の上昇など)。いくつかの実施形態では、視機能は、視野を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、コントラスト感度を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、両眼視機能を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、低輝度視力を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、低コントラスト視力を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、色覚を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、視野測定を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、閾値感度を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、読書速度を含む。いくつかの実施形態では、視機能は、明暗順応を含む。いくつかの実施形態では、視機能を改善することは、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与する前のベースラインとなる視機能と比較して、視機能を改善することを含む。
【0117】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法は、眼の炎症(例えば、Fas媒介性炎症)に関連付けられる視力喪失を治療する方法を含む。いくつかの実施形態では、網膜炎症は、眼の炎症に関連付けられる症状(例えば、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を観察することによって、および/または、眼から採取した試料(例えば、硝子体液試料)中の炎症性分子(例えば、炎症性サイトカイン)の存在を検出する生物学的アッセイによって判断されてもよい。例示的な炎症性分子としては、限定されないが、Fas媒介性炎症関連分子(例えば、TNFa、IL-1b、IP-10、IL-18、MIP-1a、IL-6、GFAP、MIP2、MCP-1、またはMIP-1b)、Fas媒介性補体関連分子(補体成分3(C3)または補体成分1q(Clq))カスパーゼ8、インフラマソームの成分(例えば、NLRP3またはNLRP2)、C-X-Cモチーフケモカイン(例えば、CXCL2(MIP-2α)もしくはCXCL10(IP-10))、C-X3-Cモチーフケモカイン(例えば、CX3CL1(フラクタルカイン))、C-Cモチーフケモカイン(CCL2(MCP-1)、CCL3(MIP-1a)、およびCCL4(MIP-1b))、toll様受容体4(TLR4)、インターロイキンサイトカイン(例えば、IL-1b、IL-18、およびIL-6)、TNFスーパーファミリーサイトカイン(例えば、TNFa)、またはGFAPが挙げられる。
【0118】
いくつかの実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、硝子体内注射、前房内注射、脈絡膜上腔への注射、テノン嚢下腔への注射、結膜下注射、球後注射、眼周囲注射、マイクロニードル注射、網膜下注射、または網膜下注入によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、硝子体内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、前房内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、脈絡膜上腔への注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、テノン嚢下腔への注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、結膜下注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、球後注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、眼周囲注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、マイクロニードル注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、網膜下注射によって投与される。ある特定の実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、網膜下注入によって投与される。
【0119】
いくつかの実施形態では、変異体配列は、アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、2つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、3つのアミノ酸置換を含む。
【0120】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、修飾をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾アミノ酸または天然にないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、アミド化されたC末端を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、ペプチドの薬学的に許容可能な塩は、投与される。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、ポリ酢酸塩である。いくつかの実施形態では、ポリ酢酸塩は、三酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。
【0122】
いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、ポリ酢酸塩である。いくつかの実施形態では、ポリ酢酸塩は、三酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。
【0123】
いくつかの実施形態では、ペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩は、組成物(例えば、本明細書に記載される医薬組成物)に製剤化される。
【0124】
いくつかの実施形態では、約5~1,000μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約5~500μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約5~200μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約5~100μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約5~50μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約50~500μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約50~200μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約50~100μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。
【0125】
いくつかの実施形態では、約5μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約25μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約50μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、100μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約200μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約500μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。いくつかの実施形態では、約1000μgのペプチドもしくはその変異体配列、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が投与される。
【0126】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から10mg/mLの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から5.0mg/mLの濃度で存在する。
【0127】
本明細書で使用される場合、「最良矯正視力」または「BCVA」という用語は、概して、ある特定の分角によって範囲が定められた最小視角を指す。ある特定の事例では、ある物体における範囲が定められた視角は、眼から物体の上下(または左右側方)に投射される光線によって形成される角度である。そのような事例では、かかる視角を使用して、物体の網膜像の大きさ(例えば、視角が大きいほど、網膜像の大きさが大きくなる)を示す。ある特定の事例では、視角は、物体の大きさおよび眼からの物体の距離という2つのパラメータによって、影響を受ける。小さい物体よりも大きい物体の方が大きい像を網膜上に投影する。したがって、物体が大きいほど、その視角が大きくなる。小さい物体よりも近くにある物体の方が大きい像を網膜上に投影する。したがって、物体が眼に近づくほど、その視角が大きくなる。それゆえ、一例として、標準視力は、1分角離れた点を識別する能力である。さらなる例として、1分角離れた一組の線を識別する能力は、20/20視力であり、2分角離れた一組の線を識別する能力は、20/40視力である。いくつかの実施形態では、視力は、スネレン指標、ETDRSチャート、ランドルトCチャート、タンブリングEチャート、HOTVチャート、および/またはlogMAR(最小視角)によって測定される。図2A~2Bは、BCVA値を比較するための、例示的であるが限定されない変換チャートを示す。
【0128】
本明細書で使用される場合、黄斑変性は、概して、網膜黄斑が変性したり、および/または、機能不全に陥ったりする(例えば、黄斑細胞の増殖の減少、黄斑細胞(例えば、RPE細胞)の死滅の増加もしくは再構成の増加、正常な生物学的機能の喪失、またはそれらの組合せの結果として生じる)多数の病態のいずれかを含むか、および/または、それを指す。黄斑変性は、概して、正常な黄斑細胞および/もしくは細胞外マトリックスの組織学的構造の完全性の喪失ならびに/または黄斑細胞の機能の喪失を引き起こす。本明細書で使用される場合、黄斑変性はまた、黄斑機能不全および/または黄斑変性の前または後に生じる黄斑外における変化を含むか、および/または、それを指す。いくつかの実施形態では、方法は、黄斑変性に関連付けられる症状(例えば、網膜変性、眼圧の上昇、視力の喪失および/または低下、霧視、視覚のゆがみなど)を処置することを含む。いくつかの実施形態では、処置することは、(例えば、処置前に測定したベースラインとなる視機能と比較して)視機能を改善することを含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、加齢黄斑変性である。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、地図状萎縮を含む。いくつかの実施形態において、黄斑変性は、網膜色素上皮細胞、光受容体、またはそれらの組合せの喪失および/または死滅を含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、網膜色素上皮細胞の喪失および/または死滅を含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、光受容体の喪失および/または死滅を含む。いくつかの実施形態では、黄斑変性は、網膜色素上皮細胞および光受容体の組合せの喪失および/または死滅を含む。
【0129】
手術を含む方法
神経網膜剥離を処置するための外科技術の進歩(例えば、網膜再付着手術)にもかかわらず、多くの場合、機能的転帰が不良であるか、および/または、最適ではない。そのような外科処置の進歩を考慮したとしても、全患者のうち約半数未満しか視力20/40を達成せず、黄斑が関与している症例のみを考慮すると、患者の約4分の1しか同様の転帰を示していない。概して、視力の回復は、剥離時間が長くなるにつれて悪化する。このような患者の視力の喪失や場合によっては永久的な損傷は、概して、網膜の剥離状態の影響によって生じる光受容細胞死や網膜無酸素状態に起因する。網膜剥離を効果的に処置する上でさらなる課題も生じており、これは、場合によっては、患者が治療へのアクセスが不足していたり、症状についての知識が不足していたりするため、網膜剥離の診断が遅れることが珍しくないからである。剥離時間(例えば、中心視力の喪失によって測定可能である)、剥離の程度、剥離の大きさ、個体の年齢、および/または眼の炎症状態などの他の要因を考慮すると、さらなる課題も生じる。概して、そのような要因が増えるにつれて、手術のみに関連付けられる治療転帰(例えば、治療後の最良矯正視力)が悪化する。本明細書に記載される方法および組成物は、神経網膜剥離および神経網膜剥離を伴う眼の疾患または障害を処置する課題に対する解決手段を提供する。さらに、ある特定の事例では、本明細書に記載される方法および組成物は、標準治療の手術(例えば、網膜を再付着させる手術)のみに関するそのような課題を満たす利点を提供する。
【0130】
本明細書では、剥離した(例えば、完全または部分的に剥離した)網膜を有する患者を処置する際に使用するのに有利な方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、個体の眼にFas阻害剤(例えば、Fas阻害ペプチド)を投与することと、眼に手術を行うこととの組合せを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、網膜剥離を処置する方法を含む。いくつかの実施形態では、方法は、網膜剥離に関連付けられる症状(例えば、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を処置することを含む。本明細書で使用される場合、網膜剥離は、概して、神経網膜が下層の支持組織から剥離する(例えば、剥がれ、離れていくなどする)眼の病態および/または障害を含み、それを指す。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、神経網膜が下層の支持組織から剥離する(例えば、剥がれ、離れていくなどする)場合を指す。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、神経網膜が下層の支持組織から剥離する(例えば、剥がれ、離れていくなどする)疾患または障害を指す。いくつかの実施形態では、網膜剥離の種類としては、限定されないが、裂孔原性網膜剥離(RRD)、牽引性網膜剥離、滲出性剥離が挙げられる。本明細書で使用される場合、裂孔原性網膜剥離(RRD)は、概して、硝子体液の粘性度が低くなり、網膜が硝子体と網膜との付着部から引っ張られて、液化の段階で網膜が剥離する状態を含み、これを指す。これに加えて、鈍力によって眼球にさらなる外傷を受けた場合、裂孔原性網膜剥離(RRD)を引き起こす場合がある。本明細書で使用される場合、牽引性網膜剥離は、概して、疾患過程(例えば、増殖性糖尿病網膜症による血管新生)の結果として網膜上に形成し得る細胞膜の収縮を含み、それを指す。本明細書で使用される場合、滲出性剥離は、概して、流体が網膜色素上皮と神経網膜との間に蓄積する状態(例えば、眼の炎症、出血、または腫瘍増殖に起因する)を含み、それを指す。網膜剥離は、比較的小さく、離散的である場合や、網膜の大きな領域に関与する場合がある。網膜剥離は、部分的または完全な剥離を含む場合がある。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、慢性である。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、急性である。いくつかの事例では、剥離の大きさおよび位置(黄斑または黄斑外)が視力の喪失程度を判断する。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴う網膜剥離を含む。いくつかの実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴わない(macula-on)網膜剥離を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、網膜損傷を処置する方法を含み、網膜損傷は、神経網膜の剥離を含む。ある特定の実施形態では、網膜損傷は、眼の損傷(例えば、網膜剥離)を引き起こす、個体への外力(例えば、レーザー光による損傷、物体による衝撃、力による外傷など)を含む。ある特定の実施形態では、網膜損傷は、眼への損傷(例えば、網膜剥離)を引き起こす、個体への内力(例えば、疾患、炎症、加齢など)を含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、視力の喪失および/または低下を処置する方法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法を含む。いくつかの実施形態では、視力の喪失および/または低下は、視力の低下(例えば、20/100から20/200への視力の低下、もしくは20/40から20/50への視力の低下、および/または、logMAR値の増加から測定される視力の低下など)を特徴としているか、および/または、それに相当している。
【0132】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、視機能の喪失および/または低下を処置する方法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法を含む。いくつかの実施形態では、視機能の喪失は、視機能評価(例えば、視力、視野、コントラスト感度、両眼機能、低輝度視力、低コントラスト視力、色覚、視野測定、閾値感度、および/または明暗順応)の低下を特徴としているか、および/または、それに相当している。
【0133】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、眼の炎症(例えば、Fas媒介性炎症)を処置する方法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、眼の炎症(例えば、Fas媒介性炎症)を阻害、軽減、および/または予防する方法を含む。いくつかの実施形態では、方法は、眼の炎症に関連付けられる症状(例えば、眼圧の上昇、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を処置することを含む。いくつかの実施形態では、網膜炎症は、眼の炎症に関連付けられる症状(例えば、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を観察することによって、および/または、眼から採取した試料(例えば、硝子体液試料)中の炎症性分子(例えば、炎症性サイトカイン)の存在を検出する生物学的アッセイによって判断されてもよい。例示的な炎症性分子としては、限定されないが、Fas媒介性炎症関連分子(例えば、TNFa、IL-1b、IP-10、IL-18、MIP-1a、IL-6、GFAP、MIP2、MCP-1、またはMIP-1b)、Fas媒介性補体関連分子(補体成分3(C3)または補体成分1q(Clq))カスパーゼ8、インフラマソームの成分(例えば、NLRP3またはNLRP2)、C-X-Cモチーフケモカイン(例えば、CXCL2(MIP-2α)もしくはCXCL10(IP-10))、C-X3-Cモチーフケモカイン(例えば、CX3CL1(フラクタルカイン))、C-Cモチーフケモカイン(CCL2(MCP-1)、CCL3(MIP-1a)、およびCCL4(MIP-1b))、toll様受容体4(TLR4)、インターロイキンサイトカイン(例えば、IL-1b、IL-18、およびIL-6)、TNFスーパーファミリーサイトカイン(例えば、TNFa)、またはGFAPが挙げられる。
【0134】
ある特定の事例では、眼の炎症および/または剥離した神経網膜を処置することは、網膜細胞の喪失の処置に有用である。ある特定の事例では、眼の炎症を阻害、軽減、および/または予防することは、網膜細胞の喪失を処置、阻害、軽減、および/または予防するのに有用である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、眼の網膜細胞(例えば、網膜色素上皮細胞および/または光受容体)の喪失を処置する方法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、眼の網膜細胞(例えば、網膜色素上皮細胞および/または光受容体)の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法を含む。いくつかの実施形態では、方法は、眼の網膜細胞(例えば、網膜色素上皮細胞および/または光受容体)の喪失に関連付けられる症状(例えば、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を処置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、眼の網膜細胞(例えば、網膜色素上皮細胞および/または光受容体)の喪失に関連付けられる症状(例えば、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を阻害、軽減、および/または予防することを含む。
【0135】
ある特定の事例では、眼の炎症、剥離した神経網膜、および/または網膜細胞の喪失を処置する。ある特定の事例では、眼の炎症および/または網膜細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防することは、眼の疾患、障害、または病態の病理を処置、阻害、軽減、および/または予防するのに有用である。本明細書で使用される場合、眼の疾患、障害、または病態は、概して、健康な状態の眼に正常でない眼の障害または病的状態を含むか、および/または、それを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、眼の疾患、障害、または病態を処置する方法を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、眼の疾患、障害、または病態を阻害、軽減、および/または予防する方法を含む。いくつかの実施形態では、方法は、眼の疾患、障害、または病態に関連付けられる症状(例えば、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を処置することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、眼の疾患、障害、または病態に関連付けられる症状(例えば、視力の喪失および/または低下、中心視力の喪失、霧視、視覚のゆがみなど)を阻害、軽減、および/または予防することを含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患、障害、または病態は、光受容体の喪失および/または死滅を含む。
【0136】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、Fas阻害剤(例えば、Fas阻害ペプチド)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、Fas阻害ペプチド(例えば、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYを含むペプチド)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することを含む。
【0137】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法が提供される。
【0138】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0139】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0140】
いくつかの実施形態では、方法は、網膜剥離を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、網膜剥離を処置する方法である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴う(macula-off)裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴わない(macula-on)裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、牽引性網膜剥離である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、滲出性剥離である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、網膜損傷によるものである。いくつかの実施形態では、方法は、視力の喪失および/または低下を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、視機能の喪失および/または低下を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の炎症(例えば、Fas媒介性炎症)を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の炎症(例えば、Fas媒介性炎症)を阻害、軽減、および/または予防する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼における眼の光受容細胞の喪失を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の疾患、障害、または病態を処置する方法である。いくつかの実施形態では、方法は、眼の疾患、障害、もしくは病態、またはそれらに関連付けられる症状の進行を阻害する方法である。
【0141】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法が提供される。
【0142】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0143】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、網膜剥離を処置する方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0144】
ある特定の実施形態では、網膜剥離は、裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴う(macula-off)裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、黄斑剥離を伴わない(macula-on)裂孔原性網膜剥離(RRD)である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、牽引性網膜剥離である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、滲出性剥離である。ある特定の実施形態では、網膜剥離は、網膜損傷によるものである。
【0145】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法が提供される。
【0146】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0147】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドがさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を処置する方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0148】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。
【0149】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0150】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドがさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視力の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0151】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。
【0152】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0153】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドがさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、視機能の喪失および/または低下を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0154】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法が提供される。
【0155】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0156】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドがさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、光受容細胞の喪失を阻害、軽減、および/または予防する方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0157】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法が提供される。
【0158】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0159】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドがさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼疾患を処置する方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0160】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法が提供される。また、個体の眼に、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法が提供される。個体の眼に、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法がさらに提供される。個体の眼に、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法が提供される。また、個体の眼に、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を含むペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法が提供される。
【0161】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法における、Fas阻害剤の使用が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法における、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩の使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法における、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用がさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法における、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法における、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドの使用が提供される。
【0162】
本明細書では、個体の眼にFas阻害剤を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法において使用するためのFas阻害剤が提供される。また、個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはペプチドの薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法において使用するための、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYもしくはその変異体配列を含むペプチド、またはペプチドの薬学的に許容可能な塩が提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法において使用するための、式IからIXのいずれか1つの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドがさらに提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法において使用するための、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。個体の眼にペプチド(例えば、ペプチドを含む組成物)またはその薬学的に許容可能な塩を投与することと、個体の眼に手術(例えば、標準治療の手術)を行うこととを含む、眼の疾患、障害もしくは病態、またはそれに関連付けられる症状の進行を阻害する方法において使用するための、式IIIの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有するペプチドが提供される。
【0163】
いくつかの実施形態では、手術(例えば、標準治療の手術)は、外科的に神経網膜を再付着させることを含む。神経網膜の剥離を修復するために、概して、様々な外科手術が利用可能である。ある特定の事例では、外科手術は、網膜裂孔の位置および大きさならびにその後の剥離によって決まる。例えば、関連付けられる網膜下液がない単離した網膜裂孔(例えば、剥離まで進行していない裂孔)の場合は、通常、レーザー光凝固術が使用される(例えば、特異的に設計された小さなレーザーがレンズまたは検眼鏡を通して照射され、裂孔周辺の組織が焼灼され、瘢痕が形成され、要するに、網膜が網膜色素上皮に「溶接」される)。レーザー光凝固術に加えて、ある特定の事例では、冷凍凝固術が使用され、裂孔周辺の網膜が凍結され、また、裂孔周辺に瘢痕が形成され、網膜が所定の場所に保持される。裂孔が剥離まで進行した場合は、他の技術が提示される。ある特定の事例では、気体網膜復位術が行われ、この手術では、網膜裂孔を塞ぎ、RPEによって網膜下液を再吸収するための方法として、少量の不活性気体(SF6またはC2F8)が硝子体に注入される。ある特定の事例では、強膜バックルが単独で、または別の手術との併用で使用され、この手術は、眼の周辺および眼外直筋の下にシリコンバンド(silicone band)をつけることが含まれる。いくつかの事例では、手術は、経毛様体扁平部硝子体切除術(PPV)を含み、この手術は、硝子体液を除去したり、気体(C3F8またはSF6)またはシリコーンオイルタンポナーデを使用して、網膜をRPEに押し付けるように均質な圧力をかけたりすることを含む。そのような事例では、PPV手術は、多くの場合、介入の転帰を向上させるために強膜バックルと併用される。ある特定の事例では、PPVは、(1)候補となる原因物質(液化した硝子体)を除去し、(2)網膜に眼球を押し付け、(3)RPEに網膜を押し付け戻すという3つの治療機序を利用して、それによって再付着させる。ある特定の事例では、本明細書に記載される方法において、本明細書に記載される外科手術のいずれが使用されてもよい。
【0164】
いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術、強膜バックル、気体網膜復位術、レーザー手術、またはそれらの組合せを含む。いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術を含む。ある特定の実施形態では、硝子体手術は、部分硝子体手術である。ある特定の実施形態では、硝子体手術は、完全硝子体手術である。ある特定の実施形態では、硝子体手術は、シリコーンオイルの使用(例えば、硝子体をシリコーンオイルに置き換える)を含む。ある特定の実施形態では、硝子体手術は、気体の使用(例えば、硝子体を気体に置き換える)を含む。いくつかの実施形態では、手術は、強膜バックルを含む。いくつかの実施形態では、手術は、気体網膜復位術を含む。いくつかの実施形態では、手術は、レーザー手術を含む。いくつかの実施形態では、手術は、硝子体手術、強膜バックル、気体網膜復位術、およびレーザー手術のうち1つ以上またはその組合せを含む。
【0165】
いくつかの実施形態では、個体は、剥離した神経網膜を有する。ある特定の事例では、剥離の程度は、手術単独の後に視力および視機能がより大きく低下することに関連付けられる。そのような事例では、手術による視力の低下の処置または阻害の有効性は、概して、剥離の大きさまたは程度に伴って低下するが、本明細書で提供される方法は、剥離がより大きい患者において視力および視機能の低下を阻害するのに有用である。ある特定の実施形態では、神経網膜は、完全に剥離している。ある特定の実施形態では、神経網膜は、部分的に剥離している。ある特定の実施形態では、神経網膜は、完全に剥離している。網膜剥離は、概して、クロック時間で示され、剥離の程度または大きさは、1から12の範囲であり、12を完全な剥離とする。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、12である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、11以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、10以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、9以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、8以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、7以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、6以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、5以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、4以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、3以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、2以上である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、1以上である。
【0166】
いくつかの実施形態では、剥離の程度は、約1から約12である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、約1から約2、約1から約3、約1から約4、約1から約5、約1から約6、約1から約7、約1から約8、約1から約9、約1から約10、約1から約11、約1から約12、約2から約3、約2から約4、約2から約5、約2から約6、約2から約7、約2から約8、約2から約9、約2から約10、約2から約11、約2から約12、約3から約4、約3から約5、約3から約6、約3から約7、約3から約8、約3から約9、約3から約10、約3から約11、約3から約12、約4から約5、約4から約6、約4から約7、約4から約8、約4から約9、約4から約10、約4から約11、約4から約12、約5から約6、約5から約7、約5から約8、約5から約9、約5から約10、約5から約11、約5から約12、約6から約7、約6から約8、約6から約9、約6から約10、約6から約11、約6から約12、約7から約8、約7から約9、約7から約10、約7から約11、約7から約12、約8から約9、約8から約10、約8から約11、約8から約12、約9から約10、約9から約11、約9から約12、約10から約11、約10から約12、または約11から約12である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、または約12である。いくつかの実施形態では、剥離の程度は、少なくとも約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、または約11である。
【0167】
ある特定の事例では、剥離の高さの増加は、手術単独の後に視力および視機能がより大きく低下することに関連付けられる。そのような事例では、手術による視力の低下の処置または阻害の有効性は、概して、剥離の高さの増加に伴って低下するが、本明細書で提供される方法は、剥離の高さがより大きい患者において視力および視機能の低下を阻害するのに有用である。いくつかの実施形態では、剥離の高さは、0から1ミリメートルである。いくつかの実施形態では、剥離の高さは、1ミリメートル以上である。いくつかの実施形態では、剥離の高さは、2ミリメートル以上である。いくつかの実施形態では、剥離の高さは、3ミリメートル以上である。いくつかの実施形態では、剥離の高さは、4ミリメートル以上である。いくつかの実施形態では、剥離の高さは、5ミリメートル以上である。いくつかの実施形態では、剥離の高さは、7ミリメートル以上である。
【0168】
いくつかの実施形態では、手術は、ペプチドを含む組成物を投与してから約(z)日後に行われ、(z)は、少なくとも1である。ある特定の事例では、手術前にFas阻害剤を提供することによって、手術単独と比較して転帰(例えば、視力および視機能)の改善をもたらす。ある特定の事例では、剥離の時間は、手術単独の後に視力および視機能がより大きく低下することに関連付けられる。さらに、手術による視力の低下の処置または阻害の有効性は、概して、剥離の時間に伴って低下するが、患者は必ずしも直ちに、または妥当な時間内(例えば、約8日未満)に手術を受けるわけではない。そのような事例では、本明細書で提供される方法は、患者における視力および視機能の低下を阻害しつつ、手術が行われる時間を安全に延長するのに有用である。いくつかの実施形態では、(z)は、1以上(例えば、約1日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、2以上(例えば、約2日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、3以上(例えば、約3日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、4以上(例えば、約4日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、5以上(例えば、約5日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、6以上(例えば、約6日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、7以上(例えば、約7日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、8以上(例えば、約8日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、10以上(例えば、約10日以上)である。いくつかの実施形態では、(z)は、14以上(例えば、約14日以上)である。
【0169】
ある特定の実施形態では、(z)は、約0.5から約21である。ある特定の実施形態では、(z)は、約0.5から約1、約0.5から約2、約0.5から約3、約0.5から約4、約0.5から約5、約0.5から約7、約0.5から約10、約0.5から約14、約0.5から約21、約1から約2、約1から約3、約1から約4、約1から約5、約1から約7、約1から約10、約1から約14、約1から約21、約2から約3、約2から約4、約2から約5、約2から約7、約2から約10、約2から約14、約2から約21、約3から約4、約3から約5、約3から約7、約3から約10、約3から約14、約3から約21、約4から約5、約4から約7、約4から約10、約4から約14、約4から約21、約5から約7、約5から約10、約5から約14、約5から約21、約7から約10、約7から約14、約7から約21、約10から約14、約10から約21、または約14から約21である。ある特定の実施形態では、(z)は、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約7、約10、約14、または約21である。ある特定の実施形態では、(z)は、少なくとも約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約7、約10、または約14である。
【0170】
いくつかの実施形態では、手術は、ペプチドを含む組成物を投与してから約(h)時間後に行われ、(h)は、少なくとも1である。いくつかの実施形態では、(h)は、1以上(例えば、約1時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、2以上(例えば、約2時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、3以上(例えば、約3時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、6以上(例えば、約6時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、12以上(例えば、約12時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、18以上(例えば、約18時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、24以上(例えば、約24時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、30以上(例えば、約30時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、36以上(例えば、約36時間以上)である。いくつかの実施形態では、(h)は、48以上(例えば、約48時間以上)である。
【0171】
ある特定の実施形態では、(h)は、約1から約42である。ある特定の実施形態では、(h)は、約1から約2、約1から約3、約1から約6、約1から約12、約1から約18、約1から約24、約1から約30、約1から約36、約1から約42、約2から約3、約2から約6、約2から約12、約2から約18、約2から約24、約2から約30、約2から約36、約2から約42、約3から約6、約3から約12、約3から約18、約3から約24、約3から約30、約3から約36、約3から約42、約6から約12、約6から約18、約6から約24、約6から約30、約6から約36、約6から約42、約12から約18、約12から約24、約12から約30、約12から約36、約12から約42、約18から約24、約18から約30、約18から約36、約18から約42、約24から約30、約24から約36、約24から約42、約30から約36、約30から約42、または約36から約42である。ある特定の実施形態では、(h)は、約1、約2、約3、約6、約12、約18、約24、約30、約36、または約42である。ある特定の実施形態では、(h)は、少なくとも約1、約2、約3、約6、約12、約18、約24、約30、または約36である。
【0172】
本明細書で使用される場合、「最良矯正視力」または「BCVA」という用語は、概して、ある特定の分角によって範囲が定められた最小視角を指す。ある特定の事例では、ある物体における範囲が定められた視角は、眼から物体の上下(または左右側方)に投射される光線によって形成される角度である。そのような事例では、かかる視角を使用して、物体の網膜像の大きさ(例えば、視角が大きいほど、網膜像の大きさが大きくなる)を示す。ある特定の事例では、視角は、物体の大きさおよび眼からの物体の距離という2つのパラメータによって、影響を受ける。小さい物体よりも大きい物体の方が大きい像を網膜上に投影する。したがって、物体が大きいほど、その視角が大きくなる。小さい物体よりも近くにある物体の方が大きい像を網膜上に投影する。したがって、物体が眼に近づくほど、その視角が大きくなる。それゆえ、一例として、標準視力は、1分角離れた点を識別する能力である。さらなる例として、1分角離れた一組の線を識別する能力は、20/20視力であり、2分角離れた一組の線を識別する能力は、20/40視力である。いくつかの実施形態では、視力は、スネレン指標、ETDRSチャート、ランドルトCチャート、タンブリングEチャート、HOTVチャート、および/またはlogMAR(最小視角)によって測定される。図2A~2Bは、BCVA値を比較するための、例示的であるが限定されない変換チャートを示す。
【0173】
ある特定の事例では、網膜剥離による視力の喪失の程度は、手術による処置後の最終的な視覚転帰に関連付けられる(例えば、ベースラインとなる視力の悪化は、視力の低下に関連付けられる)。ある特定の事例では、本明細書に記載される方法は、ベースラインとなる視力の喪失が広範である(例えば、視力が、手動弁や指数弁に限定される)患者を処置するのに有用である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力が手の動きを弁別することである。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力が指数弁である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力がスネレン指標で20/100以下(例えば、20/200などの低い視力)である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力が3logMAR以上(例えば、3.5logMARなどの低い視力)である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力が2logMAR以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力が1logMAR以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)最良矯正視力が0.5logMAR以上である。
【0174】
いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/200以下(例えば、20/400などの低い視力)である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/100以下である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/70以下である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAが20/50以下である。
【0175】
いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)視角が32分以上(例えば、視角が40分などの低い視力)である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が24分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が16分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が8分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が4分以上である。いくつかの実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が2分以上である。
【0176】
ある特定の実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が約1分から約32分である。ある特定の実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が約1分から約2分、約1分から約4分、約1分から約8分、約1分から約12分、約1分から約16分、約1分から約20分、約1分から約24分、約1分から約28分、約1分から約32分、約2分から約4分、約2分から約8分、約2分から約12分、約2分から約16分、約2分から約20分、約2分から約24分、約2分から約28分、約2分から約32分、約4分から約8分、約4分から約12分、約4分から約16分、約4分から約20分、約4分から約24分、約4分から約28分、約4分から約32分、約8分から約12分、約8分から約16分、約8分から約20分、約8分から約24分、約8分から約28分、約8分から約32分、約12分から約16分、約12分から約20分、約12分から約24分、約12分から約28分、約12分から約32分、約16分から約20分、約16分から約24分、約16分から約28分、約16分から約32分、約20分から約24分、約20分から約28分、約20分から約32分、約24分から約28分、約24分から約32分、または約28分から約32分である。ある特定の実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が約1分、約2分、約4分、約8分、約12分、約16分、約20分、約24分、約28分、または約32分である。ある特定の実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が少なくとも約1分、約2分、約4分、約8分、約12分、約16分、約20分、約24分、または約28分である。ある特定の実施形態では、個体は、ベースラインとなる(例えば、処置前の)BCVAの視角が最大で約2分、約4分、約8分、約12分、約16分、約20分、約24分、約28分、または約32分である。
【0177】
いくつかの実施形態では、対象は、中心視力の喪失を有する。ある特定の事例では、手術前にFas阻害剤を提供することによって、手術単独と比較した場合に、中心視力の喪失のある患者において転帰(例えば、視力および視機能)の改善をもたらす。そのようなある特定の事例では、手術前にFas阻害剤を提供することによって、手術単独と比較した場合に、長期(例えば、3日、5日、7日、10日、14日、21日など)にわたって中心視力の喪失のある患者において転帰(例えば、視力および視機能)の改善をもたらす。ある特定の事例では、剥離の時間は、中心視力の喪失によって測定される。ある特定の事例では、中心視力の喪失の時間は、手術単独の後に視力および視機能がより大きく低下することに関連付けられる。さらに、手術による視力の低下の処置または阻害の有効性は、概して、中心視力の喪失の時間が長くなるにつれて低下する。そのような事例では、本明細書で提供される方法は、長期(例えば、3日、5日、7日、10日、14日、21日など)にわたって中心視力の喪失のある患者を処置するのに有用である。いくつかの実施形態では、個体の眼は、網膜が剥離しており、網膜は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(y)日以上剥離しており、(y)は、少なくとも1である。いくつかの実施形態では、個体の眼は、中心視力が喪失しており、中心視力の喪失は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(y)日以上存在しており、(y)は、少なくとも1である。ある特定の実施形態では、個体の眼は、網膜損傷またはその症状があり、網膜損傷またはその症状は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(y)日以上存在しており、(y)は、少なくとも1である。
【0178】
ある特定の実施形態では、(y)は、1(例えば、約1日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、3(例えば、約3日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、5(例えば、約5日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、7(例えば、約7日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、10(例えば、約10日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、14(例えば、約14日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、20(例えば、約20日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、30(例えば、約30日以上)である。ある特定の実施形態では、(y)は、約0.5日から約40日である。ある特定の実施形態では、(y)は、約0.5日から約1日、約0.5日から約3日、約0.5日から約5日、約0.5日から約7日、約0.5日から約10日、約0.5日から約14日、約0.5日から約20日、約0.5日から約30日、約0.5日から約40日、約1日から約3日、約1日から約5日、約1日から約7日、約1日から約10日、約1日から約14日、約1日から約20日、約1日から約30日、約1日から約40日、約3日から約5日、約3日から約7日、約3日から約10日、約3日から約14日、約3日から約20日、約3日から約30日、約3日から約40日、約5日から約7日、約5日から約10日、約5日から約14日、約5日から約20日、約5日から約30日、約5日から約40日、約7日から約10日、約7日から約14日、約7日から約20日、約7日から約30日、約7日から約40日、約10日から約14日、約10日から約20日、約10日から約30日、約10日から約40日、約14日から約20日、約14日から約30日、約14日から約40日、約20日から約30日、約20日から約40日、または約30日から約40日である。ある特定の実施形態では、(y)は、約0.5日、約1日、約3日、約5日、約7日、約10日、約14日、約20日、約30日、または約40日である。ある特定の実施形態では、(y)は、少なくとも約0.5日、約1日、約3日、約5日、約7日、約10日、約14日、約20日、約30日、または約40日である。
【0179】
いくつかの実施形態では、対象は、剥離した神経網膜に関連付けられる症状(例えば、視機能の喪失または低下)を有する。ある特定の事例では、剥離の時間は、剥離した網膜または剥離中の網膜に関連付けられる症状の発症によって測定される。ある特定の事例では、中心視力の喪失の時間は、手術単独の後に視力および視機能がより大きく低下することに関連付けられる。そのような事例では、手術による視力の低下の処置または阻害の有効性は、概して、剥離した網膜または剥離中の網膜に関連付けられる症状の時間が増えるにつれて低下するが、本明細書で提供される方法は、長期(例えば、3日、5日、7日、10日、14日、21日以上など)にわたって剥離した網膜または剥離中の網膜に関連付けられる症状を有する患者を処置するのに有用である。いくつかの実施形態では、個体の眼は、剥離した神経網膜に関連付けられる症状(例えば、視機能の喪失または低下)を有し、剥離した神経網膜に関連付けられる症状(例えば、視機能の喪失または低下)は、(例えば、Fas阻害剤を含む組成物を投与する前または手術を行う前に)約(s)またはそれ以上の日数存在しており、(s)は、少なくとも1である。
【0180】
ある特定の実施形態では、(s)は、1(例えば、約1日以上)である。ある特定の実施形態では、(s)は、3(例えば、約3日以上)である。ある特定の実施形態では、(s)は、5(例えば、約5日以上)である。ある特定の実施形態では、(s)は、7(例えば、約7日以上)である。ある特定の実施形態では、(s)は、10(例えば、約10日以上)である。ある特定の実施形態では、(s)は、14(例えば、約14日以上)である。ある特定の実施形態では、(s)は、20(例えば、約20日以上)である。ある特定の実施形態では、(s)は、30(例えば、約30日以上)である。
【0181】
ある特定の実施形態では、(s)は、約1日から約40日である。ある特定の実施形態では、(s)は、約1日から約3日、約1日から約5日、約1日から約7日、約1日から約10日、約1日から約14日、約1日から約20日、約1日から約30日、約1日から約40日、約3日から約5日、約3日から約7日、約3日から約10日、約3日から約14日、約3日から約20日、約3日から約30日、約3日から約40日、約5日から約7日、約5日から約10日、約5日から約14日、約5日から約20日、約5日から約30日、約5日から約40日、約7日から約10日、約7日から約14日、約7日から約20日、約7日から約30日、約7日から約40日、約10日から約14日、約10日から約20日、約10日から約30日、約10日から約40日、約14日から約20日、約14日から約30日、約14日から約40日、約20日から約30日、約20日から約40日、または約30日から約40日である。ある特定の実施形態では、(s)は、約1日、約3日、約5日、約7日、約10日、約14日、約20日、約30日、または約40日である。ある特定の実施形態では、(s)は、少なくとも約1日、約3日、約5日、約7日、約10日、約14日、約20日、約30日、または約40日である。
【0182】
ある特定の事例では、個体の年齢の増加は、視力および視機能がより大きく低下することに関連付けられる場合がある。そのような事例では、手術による視力の低下の処置または阻害の有効性は、概して、剥離した網膜または剥離中の網膜を有する個体の年齢が増加するにつれて低下するが、本明細書で提供される方法は、年齢層を超えて患者を処置するのに有用である。いくつかの実施形態では、個体は、40歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約50歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約55歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約60歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約65歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、70歳以上である。いくつかの実施形態では、個体は、約75歳以上である。
【0183】
ある特定の実施形態では、個体は、約20歳から約80歳である。ある特定の実施形態では、個体は、約20歳から約30歳、約20歳から約40歳、約20歳から約50歳、約20歳から約60歳、約20歳から約70歳、約20歳から約80歳、約30歳から約40歳、約30歳から約50歳、約30歳から約60歳、約30歳から約70歳、約30歳から約80歳、約40歳から約50歳、約40歳から約60歳、約40歳から約70歳、約40歳から約80歳、約50歳から約60歳、約50歳から約70歳、約50歳から約80歳、約60歳から約70歳、約60歳から約80歳、または約70歳から約80歳である。ある特定の実施形態では、個体は、約20歳、約30歳、約40歳、約50歳、約60歳、約70歳、または約80歳である。ある特定の実施形態では、個体は、少なくとも約20歳、約30歳、約40歳、約50歳、約60歳、または約70歳である。
【0184】
ある特定の事例では、神経網膜剥離は、眼内(例えば、網膜組織内)の炎症状態を伴う。さらなる事例では、炎症によって、眼内の細胞死(例えば、光受容細胞死)の悪化を引き起こすか、またはそれに関連付けられる。これらの事例では、手術単独は、眼内(例えば、網膜組織内)の炎症の軽減を対象としていない。そのような事例では、本明細書で提供される方法は、個体の眼の炎症を処置および/または阻害するのに有用である。いくつかの実施形態では、個体の眼は、炎症(例えば、1つ以上のバイオマーカーの量の増加)を含む。ある特定の実施形態では、炎症は、炎症に関連付けられる1つ以上のバイオマーカーの量の増加を含む。ある特定の実施態様では、炎症に関連付けられる1つ以上のバイオマーカーの量の増加は、剥離した神経網膜を有さない眼または損傷していない眼に対するものである。ある特定の実施形態では、炎症に関連付けられる1つ以上のバイオマーカー(すなわち、炎症性分子)としては、限定されないが、Fas媒介性炎症関連分子(例えば、TNFa、IL-1b、IP-10、IL-18、MIP-1a、IL-6、GFAP、MIP2、MCP-1、またはMIP-1b)、Fas媒介性補体関連分子(補体成分3(C3)または補体成分1q(Clq))カスパーゼ8、インフラマソームの成分(例えば、NLRP3またはNLRP2)、C-X-Cモチーフケモカイン(例えば、CXCL2(MIP-2α)もしくはCXCL10(IP-10))、C-X3-Cモチーフケモカイン(例えば、CX3CL1(フラクタルカイン))、C-Cモチーフケモカイン(CCL2(MCP-1)、CCL3(MIP-1a)、およびCCL4(MIP-1b))、toll様受容体4(TLR4)、インターロイキンサイトカイン(例えば、IL-1b、IL-18、およびIL-6)、TNFスーパーファミリーサイトカイン(例えば、TNFa)、またはGFAPが挙げられる。ある特定の実施形態では、炎症に関連付けられる1つ以上のバイオマーカーの存在および/または量は、眼から採取した試料(例えば、硝子体液試料)中の炎症性分子(例えば、炎症性サイトカイン)の存在を検出する生物学的アッセイ(例えば、イムノアッセイ、ELISAベースのアッセイなど)によってでもよい。
【0185】
いくつかの実施形態では、個体の眼は、白内障を有する。いくつかの実施形態では、個体の眼は、白内障を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、個体の眼は、偽水晶体レンズを有する可能性がある。いくつかの実施形態では、個体は、眼以外の病態(例えば、糖尿病)を含む既存の疾患または障害を有する。
【0186】
いくつかの実施形態では、組成物は、硝子体内注射、前房内注射、脈絡膜上腔への注射、テノン嚢下腔への注射、結膜下注射、球後注射、眼周囲注射、マイクロニードル注射、網膜下注射、または網膜下注入によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、硝子体内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、前房内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、脈絡膜上腔への注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、テノン嚢下腔への注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、結膜下注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、球後注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、眼周囲注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、マイクロニードル注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、網膜下注射によって投与される。ある特定の実施形態では、組成物は、網膜下注入によって投与される。
【0187】
いくつかの実施形態では、変異体配列は、アミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、1つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、2つのアミノ酸置換を含む。いくつかの実施形態では、変異体配列は、3つのアミノ酸置換を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、修飾をさらに含む。いくつかの実施形態では、修飾アミノ酸または天然にないアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、ペプチドは、アミド化されたC末端を含み、ここで、ペプチドは、式Iの構造またはその薬学的に許容可能な塩を有する。
【0189】
いくつかの実施形態では、組成物は、ペプチドの薬学的に許容可能な塩を含む。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、ポリ酢酸塩である。いくつかの実施形態では、ポリ酢酸塩は、三酢酸塩である。いくつかの実施形態では、薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩である。
【0190】
いくつかの実施形態では、Fas阻害剤(例えば、Fas阻害ペプチド)を含む組成物は、個体の眼に投与される。いくつかの実施形態では、ペプチドを含む組成物は、個体の眼に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、1つ以上の賦形剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、界面活性剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。
【0191】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート、ポリエトキシル化ヒマシ油誘導体、ポリエトキシル化脂肪酸、ポリエトキシル化アルコール、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体、またはオキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベートである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリエトキシル化アルコールである。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体である。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、オキシエチル化第三級オクチルフェノールホルムアルデヒド重合体である。
【0192】
いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20、ポロキサマー407、チロキサポール、またはクレモフォールを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、ポロキサマー407を含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、チロキサポールを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、クレモフォールを含む。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、組成物の約0.01%から約20%の重量比を形成する。いくつかの実施形態では、界面活性剤は、組成物の約0.05%から約10%の重量比を形成する。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/wから組成物の約2%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の少なくとも約0.05%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の最大で約2%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.05%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.1%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.2%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.3%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.4%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約0.6%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.5%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約0.6%w/wから組成物の約1%w/w、組成物の約0.6%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約0.6%w/wから組成物の約2%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約1.5%w/w、組成物の約1%w/wから組成物の約2%w/w、または組成物の約1.5%w/wから組成物の約2%w/wである。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、組成物の約0.05%w/w、組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.1%w/w、組成物の約0.2%w/w、組成物の約0.3%w/w、組成物の約0.4%w/w、組成物の約0.5%w/w、組成物の約0.6%w/w、組成物の約1%w/w、組成物の約1.5%w/w、または組成物の約2%w/wである。
【0193】
いくつかの実施形態では、組成物は、(例えば、記載の範囲および/または記載の範囲内の値のいずれかを含む、本明細書に記載のとおりの)張力調整剤、緩衝剤、またはそれらの組合せをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、pH2.5から7.5で緩衝される。
【0194】
いくつかの実施形態では、組成物は、5マイクログラム(μg)から10,000μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチドから約300μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約5μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約25μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約50μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約100μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約125μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約150μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約200μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約250μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも約300μgのペプチドを含む。
【0195】
いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチドから約10μgのペプチド、約5μgのペプチドから約25μgのペプチド、約5μgのペプチドから約50μgのペプチド、約5μgのペプチドから約75μgのペプチド、約5μgのペプチドから約100μgのペプチド、約5μgのペプチドから約150μgのペプチド、約5μgのペプチドから約200μgのペプチド、約5μgのペプチドから約250μgのペプチド、約5μgのペプチドから約300μgのペプチド、約10μgのペプチドから約25μgのペプチド、約10μgのペプチドから約50μgのペプチド、約10μgのペプチドから約75μgのペプチド、約10μgのペプチドから約100μgのペプチド、約10μgのペプチドから約150μgのペプチド、約10μgのペプチドから約200μgのペプチド、約10μgのペプチドから約250μgのペプチド、約10μgのペプチドから約300μgのペプチド、約25μgのペプチドから約50μgのペプチド、約25μgのペプチドから約75μgのペプチド、約25μgのペプチドから約100μgのペプチド、約25μgのペプチドから約150μgのペプチド、約25μgのペプチドから約200μgのペプチド、約25μgのペプチドから約250μgのペプチド、約25μgのペプチドから約300μgのペプチド、約50μgのペプチドから約75μgのペプチド、約50μgのペプチドから約100μgのペプチド、約50μgのペプチドから約150μgのペプチド、約50μgのペプチドから約200μgのペプチド、約50μgのペプチドから約250μgのペプチド、約50μgのペプチドから約300μgのペプチド、約75μgのペプチドから約100μgのペプチド、約75μgのペプチドから約150μgのペプチド、約75μgのペプチドから約200μgのペプチド、約75μgのペプチドから約250μgのペプチド、約75μgのペプチドから約300μgのペプチド、約100μgのペプチドから約150μgのペプチド、約100μgのペプチドから約200μgのペプチド、約100μgのペプチドから約250μgのペプチド、約100μgのペプチドから約300μgのペプチド、約150μgのペプチドから約200μgのペプチド、約150μgのペプチドから約250μgのペプチド、約150μgのペプチドから約300μgのペプチド、約200μgのペプチドから約250μgのペプチド、約200μgのペプチドから約300μgのペプチド、または約250μgのペプチドから約300μgのペプチドを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、約5μgのペプチド、約10μgのペプチド、約25μgのペプチド、約50μgのペプチド、約75μgのペプチド、約100μgのペプチド、約150μgのペプチド、約200μgのペプチド、約250μgのペプチド、または約300μgのペプチドを含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、ペプチドは、0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から10mg/mLの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、ペプチドは、0.1ミリグラム/ミリリットル(mg/mL)から5.0mg/mLの濃度で存在する。
【0197】
本明細書で使用される場合、個体は、患者および/または対象と同義であり、ヒトを含むか、および/または、ヒトを指し、本明細書で開示されるような疾患または病態を処置する必要があると診断されたヒトであってもよい。しかし、例は、ヒトに限定されず、チンパンジー、マーモセット、ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモットなどが挙げられる。個体は、通常、ヒトであり、本明細書に開示されるような疾患または病態を処置する必要があると診断されたヒトであってもよい。
【0198】
本明細書で使用される場合、「阻害(inhibition)」または「阻害すること(inhibiting)」という用語は、所与の病態、症状、障害、もしくは疾患の軽減もしくは抑制、および/または、生物学的活性もしくはプロセスのベースラインとなる活性の低下を含むか、および/または、それを指す。
【0199】
本明細書で使用される場合、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」という用語は、疾患もしくは障害またはその症状を寛解すること(例えば、疾患またはその臨床症状のうち少なくとも1つの進展を遅らせるか、停止させるか、または軽減すること)を含むか、および/または、それを指す。ある特定の実施形態では、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」はまた、患者によって識別可能でない場合があるものを含む、少なくとも1つの物理的および/または生物学的パラメータを緩和または寛解することを含むか、および/または、それを指す。ある特定の実施形態では、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、疾患、障害、または生物学的プロセスを、物理的に(例えば、識別可能な症状の安定化)、生理学的に(例えば、物理的および/または生物学的パラメータの安定化)、またはその両方のいずれかで調節することを含むか、および/または、それを指す。ある特定の実施形態では、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、疾患または障害の発症または進展または進行を予防または遅延することを含むか、および/または、それを指す。ある特定の実施形態では、「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」は、(i)健全な生理状態、または(ii)ベースラインとなる生理状態(例えば、疾患または障害の進行)の悪化を予防、または遅延、または阻害することを含むか、および/または、それを指す。
【0200】
本明細書で使用される場合、「a」または「an」は、特許請求の範囲および/または明細書内の「含む(comprising)」という用語と併用して使用される場合、「1つ」を含むか、および/または、「1つ」を指し、また、「1つ以上(one or more)」、「少なくとも1つ」、および「1つまたは1つ以上(one or more than one)」の意味とも一致するものである。同様に、「別の」という単語は、少なくとも1つ以上の他のものを意味してもよい。
【0201】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」(ならびに「含む」のいずれかの形態、例えば、「含む(comprise)」および「含む(comprises)」)、「有する(having)」(ならびに「有する」のいずれかの形態、例えば、「有する(have)」および「有する(has)」)、「含む(including)」(ならびに「含む」のいずれかの形態、例えば、「含む(includes)」および「含む(includes)」)、または「含有する(containing)」(ならびに「含有する」のいずれかの形態、例えば、「含有する(contain)」および「含有する(contains)」)という用語は、包括的または非限定的であり、記載されていないさらなる要素またはプロセスステップを除外するものではない。
【0202】
本明細書で使用される場合、所与の値または範囲の文脈において「約」という用語は、所与の値または範囲の20%以内、10%以内、および/または5%以内の値または範囲を含むか、および/または、それを指す。
【0203】
本明細書で使用される場合、「および/または」という用語は、他のものの有無にかかわらず、2つの特定された特徴または構成要素のそれぞれの具体的な開示と見なされるべきである。例えば、「Aおよび/またはB」は、(i)A、(ii)B、ならびに(iii)AおよびBのそれぞれが、あたかも本明細書において個別に記載されているかのように、それぞれの具体的な開示と見なされるべきである。
【0204】
本明細書で使用される場合、「試料」は、解析対象物を検出および/または定量化するために解析されているいずれかの流体または液体試料を含むか、および/または、それを指す。いくつかの実施形態では、試料は、生物学的試料である。試料の例としては、限定されないが、体液、抽出物、タンパク質および/もしくはDNAを含有する溶液、細胞抽出物、細胞溶解物、または組織溶解物が挙げられる。体液の非限定的な例としては、尿、唾液、血液、血清、血漿、脳脊髄液、涙液、精液、汗、胸水、液化糞便物質、および涙腺分泌物が挙げられる。
【0205】
本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるいずれの事例または実施形態であっても、「含む(comprising)」は、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」および/または「からなる(consisting of)」と置き換えられてもよい。本明細書で使用される場合、本明細書に記載されるいずれの事例または実施形態であっても、「含む(comprises)」は、「本質的に~からなる(consists essentially of)」および/または「からなる(consists of)」と置き換えられてもよい。
【実施例
【0206】
実施例1-GA患者の視力の改善
目的
主な目的は、式IIIの構造を有するペプチド(ONL1204)の安全性を判断してから、地図状萎縮(GA)を特徴とする黄斑変性を有する患者における用量を選択することとした。主要評価項目は、有害事象の報告、最良矯正視力(BCVA)を含む臨床評価、および臨床評価など、本試験で実証された安全性プロファイルとした。
【0207】
試験デザイン
GAを示す患者を漸増用量群に登録し、式IIIの構造の酢酸塩を有するペプチド(ONL1204)の単回硝子体内注射を施した。ベースラインとなる最良矯正視力(BCVA)は、ONL1204による処置前に測定した。その後、BCVAは、ONL1204による処置の1週間後、2週間後、4週間後、12週間後、および24週間後に測定した。式IIIの濃度が0.5mg/mLおよび/または2mg/mLとなるように50μgおよび100μgの用量をバイアルに入れて、評価した。
【0208】
結果
25μgのONL1204を含む用量を投与した患者と50μgのONL1204を含む用量を投与した患者は全員、視覚転帰(例えば、視力)の改善を示した。図1は、最良矯正視力(BCVA)の変化に関する試験データを示す。ベースラインとなるBCVAと比較して、ONL1204を投与した患者全体にわたって全体的に視力の改善が観察された(実線は試験眼を示し、破線は僚眼/非処置眼を示す)。
【0209】
実施例2-網膜剥離の処置
目的
主な目的は、アミノ酸配列HHIYLGAVNYIYおよび式IIIの構造のペプチド(ONL1204)の最大耐用量(MTD)を判断してから、さらなる臨床実験用の用量を選択することとした。また、試験中、治験薬注射時および硝子体手術時に眼液試料を採取した。これらの試料を薬物動態学解析および薬力学解析に使用した。主要評価項目は、有害事象の報告、最良矯正視力(BCVA)を含む臨床評価、および臨床実験評価など、本試験で実証された安全性プロファイルとした。探索的評価項目は、本試験で行われた薬物動態学解析および薬力学解析とし、これには、PK解析における血漿中および硝子体液中のONL1204薬物レベルの測定値、硝子体手術時に硝子体穿刺によって採取した水性試料中および硝子体試料中のサイトカインおよび他の候補となる分子バイオマーカーの測定値が含まれる。
【0210】
試験デザイン
患者を漸増用量群に登録した。患者がインフォームドコンセントに署名し、すべての適格基準を満たしてから、サイトカインおよび他の候補となる分子バイオマーカーの解析のために硝子体穿刺を行い、続いて、式IIIの構造の酢酸塩を有するペプチド(ONL1204)の単回硝子体内注射を施した。ONL1204の注射は診断日(1日目)に行った。安全性来院は注射から1日後に行い、治験責任医師によって、来院3回目まで(3日毎に少なくとも1回来院)必要であるとみなされた。来院3回目(注射から3日後以上、標準治療に従う)において、患者に、硝子体手術(強膜バックルの有無にかかわらない)および気体もしくはオイルタンポナーデを用いて患者の網膜剥離の外科的修復を行った。手術時に、薬物動態学解析および薬力学解析のために無希釈の硝子体試料を採取し、薬力学解析のために水性試料を採取した。さらなる安全性来院は、手術から1日後、手術から7日後(±3日)、手術から14日後(+4日)、ならびに、6週目、9週目、12週目(それぞれ±7日)および24週目(±14日目、試験終了)を目標とし、概してこれを行った。
【0211】
式IIIの濃度が0.5mg/mLおよび/または2mg/mLとなるように25マイクログラム(μg)および50μgの用量をバイアルに入れて、評価した。したがって、試験眼には0.05または0.1mLの容量を注射した。患者の参加は、およそ24週間(6ヶ月)であり、これには、単回注射による処置と、24週間の追跡調査とが含まれる。
【0212】
安全性
用量制限毒性の計画決定には、以下の事象を考慮することを含めた。
1.炎症に付随するが薬物製剤自体に付随するものではない房水または硝子体の曇りに関するぶどう膜炎分類基準(Standardization of Uveitis Nomenclature;SUN)評価スケールで、眼の炎症が注射前から2単位増加したことを、ONL1204注射後と網膜再付着手術前に特定した。
2.薬物療法にもかかわらず、ONL1204注射後と網膜再付着手術前に、IOPが持続的に上昇し、連続3日間にわたって30mmHgを超えることを特徴としていた。
3.ONL1204注射後と網膜再付着手術前に、ベースラインから視力が低下した。責任医師の意見では、この視力の低下は、治験製品に起因する可能性が高く、(a)20/200または20/400から、下層からの網膜の剥離の進行を伴わない光知覚までの視力の低下、または(b)ベースラインから光知覚なしまでの視力の低下を引き起こすものである。
4.ONL1204注射から最初の14日以内に生じる何らかの重篤な有害事象(SAE)は、責任医師の意見では、ONL1204に関連するものである。
【0213】
患者8名(25マイクログラム(μg)のONL1204を投与した患者4名と、50μgのONL1204を投与した患者4名)のうち計7名において、計20件の有害事象が生じた。ほとんどは軽度であり、試験手順や手術に関連するものであった。各コホートのデータを評価した後に、SRCは、100μg用量への用量漸増に進めることを全会一致で推奨した。
【0214】
結果
25μgのONL1204を含む用量を投与した患者と50μgのONL1204を含む用量を投与した患者は全員、視覚転帰(例えば、視力)の改善を示した。表1は、スネレンによる最良矯正視力(BCVA)に関する試験データを示す。表2は、logMARの最良矯正視力(BCVA)に関する試験データを示す。表1および表2で実証されるように、25μgのONL1204を投与した患者と50μgのONL1204を投与した患者の全員で、本試験内の全年齢の患者全体にわたって視力の改善が観察された。表3は、(i)症状の発症または(ii)中心視力の喪失の日付とスクリーニングの日付との間の時間を示す。表3は、(i)症状の発症または(ii)中心視力の喪失の日付とONL1204の投与の日付との間の時間を示す。表3で実証されるように、ONL1204を投与した患者の全員で、視覚転帰の改善が観察され、10日を超えて中心視力の喪失のある患者にONL1204を投与した場合でさえ、改善が観察された。表4は、ONL1204の投与から手術までの時間を示す。また、表4は、(i)症状の発症または(ii)中心視力の喪失の日付と手術の日付との間を示す。表4で実証されるように、患者の全員で、視覚転帰の改善が観察され、ONL1204の投与から手術までの時間が3日以上(最大で7日に及ぶ)の場合でさえ、改善が観察された。表4で実証されるように、ONL1204を投与した患者の全員で、視覚転帰の改善が観察され、網膜再付着手術の時点までに15日を超えて中心視力の喪失のある患者にONL1204を投与した場合でさえ、改善が観察された。表5は、剥離の程度(1~12、12を完全な剥離とする)および高さを示す。表5で実証されるように、ONL1204を投与した患者の全員で、剥離の高さおよび剥離の程度の範囲を超えて、視覚転帰の改善が観察された。
【0215】
表6は、試料の大きさ(n)、平均、および標準偏差(sd)を含む、患者の全員に関する要約統計量を示す。手術単独との比較として、1回の手術で治療が成功した、既存の網膜疾患を有していない、黄斑剥離を伴う裂孔原性網膜剥離(RRD)のスコットランド人患者291名からなる前向き集団ベース試験によると、ベースラインとなる平均logMAR視力が1.71であり、続いて、手術から6週間後、3か月後、6か月後、および12か月後で、平均logMAR視力がそれぞれ0.87、0.66、0.65、および0.57であったことが報告された(Mitry et al.“Long-term visual acuity and the duration of macular detachment:findings from a prospective population-based study”Br J Ophthalmol. 2013 Feb;97(2):149-52.doi:10.1136/bjophthalmol-2012-302330.Epub 2012 Nov 17.PMID:23159447)。さらに、本試験により、8日以下にわたって剥離のある患者については、ベースラインとなる平均logMAR視力が1.73であり、続いて、手術から6週間後、3か月後、6か月後、および12か月後で、平均logMAR視力がそれぞれ0.81、0.60、0.55、および0.45であったことが報告された。8日を超えて剥離のある患者については、本試験により、ベースラインとなる平均logMAR視力が1.67であり、続いて、手術から6週間後、3か月後、6か月後、および12か月後で、平均logMAR視力がそれぞれ0.98、0.82、0.86、および0.79であったことが報告された。
【0216】
表7は、ONL1204の投与時間から手術までのサイトカインレベルの変化を示す。表7で実証されるように、ONL1204の投与によって、MCP1、ICAM、IL1RA、およびIL18の平均減少があった。
【0217】
【表1】
【0218】
【表2】
【0219】
【表3】
【0220】
【表4】
【0221】
【表5】
【0222】
【表6】
【0223】
【表7】
【0224】
本開示の好ましい実施形態が本明細書で示され、記載されてきたが、このような実施形態はほんの一例として提供されているに過ぎないことが当業者には明らかであろう。当業者であれば、ここで、本開示から逸脱することなく多数の変形、変更および置換を思いつくであろう。本発明の実施に際して、本明細書に記載の実施形態の様々な代替案を利用することができることを理解されたい。以下の特許請求の範囲は、本明細書に開示の実施形態の範囲を定義するものであり、この特許請求の範囲内の方法および構造ならびにそれらの同等物が、特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【0225】
【表8】
図1
図2A
図2B
【配列表】
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【国際調査報告】