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特表2024-525823同軸テストソケット及びプリント回路基板のインタフェースのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】同軸テストソケット及びプリント回路基板のインタフェースのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 33/76 20060101AFI20240705BHJP
   H01R 13/24 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01R33/76 505Z
H01R13/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502133
(86)(22)【出願日】2022-07-12
(85)【翻訳文提出日】2024-03-07
(86)【国際出願番号】 US2022036835
(87)【国際公開番号】W WO2023287798
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,118
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519417551
【氏名又は名称】スミスズ インターコネクト アメリカズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SMITHS INTERCONNECT AMERICAS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225543
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 真
(72)【発明者】
【氏名】ハリド エルマドブリー
(72)【発明者】
【氏名】ジアチュン ジョウ
【テーマコード(参考)】
5E024
【Fターム(参考)】
5E024CA18
5E024CB06
(57)【要約】
テストソケットが提供される。テストソケットは、プリント回路基板(PCB)に対面するように構成された第1表面、及び集積回路(IC)チップに対面するように構成される第2表面を有する導電体を含む。導電体は、第1表面から第2表面まで延在する信号キャビティ及びグラウンドキャビティを画定する。テストソケットは、さらに、信号キャビティの中に配置される信号プローブを含む。信号プローブは、PCBの信号導体及びICチップの信号パッドに電気的に接続するように構成される。テストソケットは、さらに、グラウンドキャビティの中に配置されるグラウンドプローブを含む。グラウンドプローブは、PCBのグラウンド導体及びICチップのグラウンドパッドに電気的に接続するように構成される。導電体は、PCBのグラウンド導体に電気的に接続されるように構成される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集積回路(IC)チップをプリント回路基板(PCB)に結合するためのテストソケットであって、前記テストソケットは、
前記PCBに対面するように構成される第1表面、及び前記ICチップに対面するように構成される第2表面を有する導電体であり、前記導電体は、信号キャビティ及びグラウンドキャビティを画定し、前記信号キャビティ及び前記グラウンドキャビティは、前記第1表面から前記第2表面まで延在するものである、該導電体と、
前記信号キャビティ内に配置される信号プローブであり、前記信号プローブは、前記PCBの信号導体及び前記ICチップの信号パッドに電気的に接続するように構成される、該信号プローブと、並びに、
グラウンドキャビティ内に配置されるグラウンドプローブであり、前記グラウンドプローブは、前記PCBのグラウンド導体及び前記ICチップのグラウンドパッドに電気的に接続するように構成され、前記導電体は、前記PCBのグラウンド導体に電気的に接続されるように構成される、該グラウンドプローブと、
を備える、テストソケット。
【請求項2】
請求項1に記載のテストソケットにおいて、前記導電体は、さらに、前記第1表面から前記第2表面まで延在する電力キャビティを画定し、前記テストソケットは、さらに、前記電力キャビティ内に配置された電力プローブを備え、前記電力プローブは、前記PCBの電力導体及び前記ICチップの電力パッドに電気的に接続するように構成される、テストソケット。
【請求項3】
請求項2に記載のテストソケットにおいて、前記信号プローブ、前記グラウンドプローブ、又は前記電力プローブのうちの少なくとも1つはスプリングプローブを含む、テストソケット。
【請求項4】
請求項2に記載のテストソケットにおいて、前記導電体は、さらに、前記第1表面から内方に延在する凹部を画定し、前記信号キャビティ又は前記電力キャビティのうちの少なくとも一方は、前記凹部に開口する、テストソケット。
【請求項5】
請求項4に記載のテストソケットにおいて、前記凹部が、0.02ミリメートル~0.1ミリメートルの深さを有する、テストソケット。
【請求項6】
請求項2に記載のテストソケットにおいて、前記信号プローブ又は前記電力プローブのうちの少なくとも一方は、絶縁コーティングを含む、テストソケット。
【請求項7】
請求項1に記載のテストソケットであって、さらに、前記第1表面に隣接して配置され、前記導電体を前記PCBのグラウンド導体に電気的に接続するように構成される導電性エラストマーを備える、テストソケット。
【請求項8】
請求項1に記載のテストソケットであって、さらに、前記第1表面上に配置され、前記導電体を前記PCBのグラウンド導体に電気的に接続するように構成される金箔を備える、テストソケット。
【請求項9】
請求項1に記載のテストソケットであって、さらに、前記第1表面から延在し、前記導電体を前記PCBのグラウンド導体に電気的に接続するように構成されるシールドプローブを備える、テストソケット。
【請求項10】
請求項9に記載のテストソケットにおいて、前記シールドプローブはスプリングプローブを含む、テストソケット。
【請求項11】
請求項1に記載のテストソケットであって、さらに、前記信号プローブ上に配置される絶縁部材を備え、前記絶縁部材は、前記信号プローブを前記導電体から電気的に絶縁するように構成される、テストソケット。
【請求項12】
請求項11に記載のテストソケットにおいて、前記絶縁部材はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む、テストソケット。
【請求項13】
請求項11に記載のテストソケットにおいて、前記絶縁部材の形状は環状である、テストソケット。
【請求項14】
集積回路(IC)チップをプリント回路基板(PCB)に結合するように構成されるテストソケットを製造するための方法であって、前記方法は、
前記PCBに対面するように構成される第1表面、及び前記ICチップに対面するように構成される第2表面を有する導電体に、前記第1表面から前記第2表面まで延在する信号キャビティ及びグラウンドキャビティを形成するステップと、
前記信号キャビティ内に信号プローブを位置決めするステップであり、前記信号プローブは、前記PCBの信号導体及び前記ICチップの信号パッドに電気的に接続するように構成される、該信号プローブを位置決めするステップと、並びに、
前記グラウンドキャビティ内にグラウンドプローブを位置決めするステップであり、前記グラウンドプローブは、前記PCBのグラウンド導体及び前記ICチップのグラウンドパッドに電気的に接続するように構成され、前記導電体は、前記PCBのグラウンド導体に電気的に接続されるように構成される、該グラウンドプローブを位置決めするステップと、
を備える、方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法であって、さらに、
前記導電体に、前記第1表面から前記第2表面まで延在する電力キャビティを形成するステップと、並びに、
前記電力キャビティ内に電力プローブを位置決めするステップであり、前記電力プローブは、前記PCBの電力導体及び前記ICチップの電力パッドに電気的に接続するように構成される、該電力プローブを位置決めするステップと、
を備える、方法。
【請求項16】
請求項15に記載の方法であって、さらに、前記導電体に、前記第1表面から内方に延在する凹部を形成するステップを備え、前記信号キャビティ又は前記電力キャビティのうちの少なくとも一方は前記凹部に開口する、方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法であって、さらに、前記第1表面に隣接するように導電性エラストマーを位置決めするステップを備え、前記導電性エラストマーは、前記導電体を前記PCBのグラウンド導体に電気的に接続するように構成される、方法。
【請求項18】
請求項14に記載の方法であって、さらに、前記第1表面から延在するようにシールドプローブを位置決めするステップを備え、前記シールドプローブは、前記導電体を前記PCBの前記グラウンド導体に電気的に接続するように構成される、方法。
【請求項19】
請求項14に記載の方法であって、さらに、前記信号プローブ上に絶縁部材を位置決めするステップを備え、前記絶縁部材は、前記信号プローブを前記導電体から電気的に絶縁するように構成される、方法。
【請求項20】
集積回路(IC)テストアセンブリであって、
信号パッド及びグラウンドパッドを含む集積回路(IC)チップと、
信号導体及びグラウンド導体を含むプリント回路基板(PCB)と、並びに、
テストソケットと、
を備え、
前記テストソケットは、
前記PCBに対面するように構成される第1表面、及び前記ICチップに対面するように構成される第2表面を有する導電体であり、前記導電体は、信号キャビティ及びグラウンドキャビティを画定し、前記信号キャビティ及び前記グラウンドキャビティは、前記第1表面から前記第2表面まで延在し、前記導電体は、前記グラウンド導体に電気的に接続されるように構成される、該導電体、
前記信号キャビティ内に配置される信号プローブであり、前記信号プローブは、前記信号導体及び前記信号パッドに電気的に接続するように構成される、該信号プローブ、並びに、
前記グラウンドキャビティ内に配置されるグラウンドプローブであり、前記グラウンドプローブは、前記グラウンド導体及び前記グラウンドパッドに電気的に接続するように構成される、該グラウンドプローブ、
を含む、集積回路(IC)テストアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2021年7月15日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR COAXIAL TEST SOCKET AND PRINTED CIRCUIT BOARD INTERFACES」という名称の米国仮出願第63/222,118号に対する優先権の利益を主張し、その内容及び開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載されている実施形態は、一般的に電磁相互接続に関し、より詳細には、同軸テストソケット及びプリント回路基板(PCB)のためのインタフェースに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
電子工学及び半導体産業では、集積回路(IC)半導体チップをテストするために使用されるシステムが、しばしばテストソケットを含む。テストソケットは、PCB又は「ロードボード(load board)」上に配置され、ソケット本体と、ICチップをPCBに電気的に接続する1つ以上のプローブ(すなわち、電気接点又はピン)とを含む場合がある。テストソケットは、一般的に、所与のICチップを十分にテストするための種々の電気的及び機械的性能閾値を満たさなければならない。例えば、テストソケットは、テスト中のICに対して所望のデータ転送率で、所望のエラー率又は信号対雑音比等のシグナルインテグリティ(信号整合性)を維持する必要がある。現在のテストソケットは、一般的に、毎秒約30ギガビットのデータ転送率までは、シグナルインテグリティを維持する。5Gの電気通信又は人工知能などのいくつかの用途は、より高いデータ転送率を必要とする場合がある。したがって、より高いデータ転送率でシグナルインテグリティを維持することが可能なテストソケットが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、集積回路(IC)チップをプリント回路基板(PCB)に結合するためのテストソケットが提供される。テストソケットは、PCBに対面するように構成される第1表面、及びICチップに対面するように構成される第2表面を有する導電体を含む。導電体は、信号キャビティ及びグラウンドキャビティを画定する。信号キャビティ及びグラウンドキャビティは、第1表面から第2表面まで延在する。テストソケットは、さらに、信号キャビティ内に配置される信号プローブを含む。信号プローブは、PCBの信号導体及びICチップの信号パッドに電気的に接続するように構成される。テストソケットは、さらに、グラウンドキャビティ内に配置されるグラウンドプローブを含む。グラウンドプローブは、PCBのグラウンド導体及びICチップのグラウンドパッドに電気的に接続するように構成される。導電体は、PCBのグラウンド導体に電気的に接続されるように構成される。
【0005】
別の態様では、テストソケットを製造するための方法が提供される。テストソケットは、集積回路(IC)チップをプリント回路基板(PCB)に結合するように構成される。本方法は、PCBに対面するように構成される第1表面、及びICチップに対面するように構成される第2表面を有する導電体に、信号キャビティ及びグラウンドキャビティを形成するステップを含む。信号キャビティ及びグラウンドキャビティは、第1表面から第2表面まで延在する。本方法は、さらに、信号キャビティ内に信号プローブを位置決めするステップを含む。信号プローブは、PCBの信号導体及びICチップの信号パッドに電気的に接続するように構成される。本方法は、さらに、グラウンドキャビティ内にグラウンドプローブを位置決めするステップを含む。グラウンドプローブは、PCBのグラウンド導体及びICチップのグラウンドパッドに電気的に接続するように構成される。導電体は、PCBのグラウンド導体に電気的に接続されるように構成される。
【0006】
別の態様では、テストアセンブリが提供される。テストアセンブリは、信号パッド及びグラウンドパッドを含む集積回路(IC)チップを備える。テストアセンブリは、さらに、信号導体及びグラウンド導体を含むプリント回路基板(PCB)を備える。テストアセンブリは、さらに、導電体を含むテストソケットを備え、導電体は、PCBに対面するように構成される第1表面、及びICチップに対面するように構成される第2表面を有する。導電体は、信号キャビティ及びグラウンドキャビティを画定する。信号キャビティ及びグラウンドキャビティは、第1表面から第2表面まで延在する。導電体は、グラウンド導体に電気的に接続されるように構成される。テストソケットは、さらに、信号キャビティ内に配置される信号プローブを含む。信号プローブは、信号導体及び信号パッドに電気的に接続するように構成される。テストソケットは、さらに、グラウンドキャビティ内に配置されるグラウンドプローブを含む。グラウンドプローブは、グラウンド導体及びグラウンドパッドに電気的に接続するように構成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図7は、本明細書に記載されているシステム及び方法の例示的な実施形態を示す。
図1】例示的なテストソケットを含む例示的なテストアセンブリの断面図である。
図2図1に示すテストアセンブリで使用するための例示的なPCBの平面図である。
図3】別の例示的なテストソケットを含む別の例示的なテストアセンブリの断面図である。
図4図3に示す例示的なテストアセンブリにおいて使用するための例示的なPCBの平面図である。
図5】別の例示的なPCBの平面図である。
図6図5に示す例示的なPCBの部分的に透明な平面図である。
図7図1に示すテストソケットを製造するための例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の明細書及び特許請求の範囲ではいくつかの用語が参照されており、それらは以下の意味を有するように定義される。
【0009】
単数「a」、「an」、及び「the」は、文脈から明らかでない限り、複数の場合も含む。
【0010】
本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって本明細書で使用される近似を表す文言は、その文言が関連する基本的な機能の変化をもたらすことなく許容可能に変化可能な任意の定量的表現を修飾するために適用される。したがって、「約(about)」、「ほぼ(approximately)」、及び「実質的に(substantially)」等の用語によって修飾される値は、指定されている正確な値に限定されるべきではない。少なくともいくつかの事例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここで、並びに本明細書及び特許請求の範囲の全体にわたって、範囲の限定は、組み合わされ且つ交換され、そのような範囲は、文脈又は文言がそうでないことを示さない限り、その範囲の中に含まれるすべての部分範囲によって特定され、且つそれらのすべての部分範囲を含む。
【0011】
開示されるシステム及び方法は、集積回路(IC)チップ及びプリント回路基板(PCB)を結合して、例えば、PCBを使用してICチップをテストすることを容易にする、テストソケットを開示する。テストソケットは、PCBに面する第1表面、及びICチップに面する第2表面を有する導電体を含む。導電体は、1つ以上の信号キャビティ及び1つ以上のグラウンドキャビティを画定し、各キャビティは第1表面から第2表面まで延在する。テストソケットは、さらに1つ以上の信号プローブを含み、各信号プローブは、信号キャビティのうちの1つの中に配置される。信号プローブは、PCBの信号導体及びICチップの信号パッドに電気的に接続して、例えば、PCBとICチップの間で電気信号を伝送可能にするように構成される。テストソケットは、さらに1つ以上のグラウンドプローブを含み、各グラウンドプローブは、グラウンドキャビティのうちの1つの中に配置される。グラウンドプローブは、PCBのグラウンド導体及びICチップのグラウンドパッドに電気的に接続して、PCB及びICチップの各グラウンドの電気的接続を可能にするように構成される。また、導電体は、第1表面から第2表面まで延在する1つ以上の電力キャビティも画定してもよく、電力キャビティの中に電力プローブが配置されてもよい。同様に、電力プローブは、PCBの電力導体及びICチップの電力パッドに電気的に接続するように構成される。導電体は、PCBのグラウンド導体に電気的に接続されるように構成され、それにより、導電体が信号プローブ用の同軸シールド(遮蔽)体として機能することが可能になり、またテストソケットがパラメータの向上した電気性能、例えばより高いデータ転送率などを達成することが可能になる。
【0012】
図1は、テストソケット102、プリント回路基板(PCB)104、及び集積回路(IC)チップ106を含む例示的なテストアセンブリ100の一部分の断面図である。いくつかの実施形態において、テストソケット102は、ICチップ106をテストするために、ICチップ106をPCB104に通信可能に結合できるように構成される。以下でさらに詳細に説明するように、テストソケット102は、PCB104とICチップ106と、PCB104及びICチップ106のそれぞれに対応する電気グラウンドの接続部との間で電気信号及び電力を伝送する。
【0013】
テストソケット102は、導電体108と、信号プローブ110と、グラウンドプローブ112と、電力プローブ114とを含む。導電体108は、PCB104に隣接して配置される第1表面116、及びICチップ106に隣接して配置される第2表面118を有する。導電体108は導電性であり、例えば、アルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、銅、鉄、又はそれらのうちの1つ以上を含む合金などの導電材料を含む。導電体108は複数のキャビティを備え、キャビティは、第1表面116における第1信号開口部122から第2表面118における第2信号開口部124まで延在する信号キャビティ120と、第1表面116における第1グラウンド開口部128から第2表面118における第2グラウンド開口部130まで延在するグラウンドキャビティ126と、第1表面面116における第1電力開口部134から第2表面118における第2電力開口部136まで延在する電力キャビティ132とを含む。いくつかの実施形態において、導電体108は、複数の信号キャビティ120、グラウンドキャビティ126、及び/又は電力キャビティ132を含む。特定の実施形態では、信号プローブ110、グラウンドプローブ112、及び電力プローブ114のうち任意の2つの間における距離が、中心から中心まで約50ミリメートルを超える。
【0014】
信号プローブ110は、信号キャビティ120内に配置され、また、PCB104の基板140上に配置された信号導体138と、ICチップ106の信号パッド142とに接触し且つ電気的に接続して、PCB104とICチップ106の間で電気信号を伝送できるように構成される。信号プローブ110は、単一の導電性部片(ピース)を含んでもよく、又は多数の構成要素(コンポーネント)を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、信号プローブ110はスプリングプローブである。信号プローブ110は、導電体108から電気的に絶縁される。例えば、特定の実施形態において、信号プローブ110又は信号キャビティ120は、電気絶縁コーティング(図示せず)を含んでもよい。そのような実施形態において、絶縁コーティングは、例えば、金属の上に生成される陽極皮膜、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コーティング、それらの組み合わせ、又は別のコーティング若しくはシール材であってもよい。例えば、いくつかのそのような実施形態において、コーティングとして、約0.02ミリメートルを超える厚さを有する陽極酸化アルミニウム層、及び約0.001ミリメートルを超える厚さを有するPTFEシール層が挙げられる。いくつかの実施形態において、信号プローブ110は、信号プローブ110上に配置される1つ以上の絶縁部材144を含む。2つの絶縁部材144が図示されているが、信号プローブ110上には2つより多い又は少ない絶縁部材144が存在してもよい。絶縁部材144は、信号プローブ110の外面の周囲の一部に巻き付くリングでもよいし、信号プローブ110の外面の周囲の全体に巻き付いてもよい。したがって、絶縁部材144の形状は環状であり得る。いくつかの実施形態において、絶縁部材144は、例えばPTFE等の絶縁材料を含む。特定の実施形態において、導電体108は、信号プローブ110と電気グラウンドの間で追加的に電気絶縁するために、第1の信号開口部122の周りに画定された凹部146を含む。以下でさらに詳細に説明されるように、凹部146の深さは、特定の電気的特性を達成するように選択されてもよい。いくつかのそのような実施形態において、凹部146の深さは約0.02ミリメートル~約0.1ミリメートルである。
【0015】
信号プローブ110及び信号キャビティ120は、共に同軸伝送ラインを形成する。したがって、信号プローブ110、信号キャビティ120、絶縁部材144、及び凹部146は、例えば、定インピーダンスを達成すること、電気信号の反射若しくは歪みを低減すること、挿入損失及び反射損失を低減すること、所望の特性インピーダンスを達成すること、並びに/又はクロストークを低減すること等の所望の電気的特性を達成するような形状及びサイズにされてもよい。
【0016】
グラウンドプローブ112は、グラウンドキャビティ126内に配置されており、また、PCB104のグラウンド導体148及びICチップ106のグラウンドパッド150に接触し且つ電気的に接続して、PCB104及びICチップ106の各グラウンドを電気的に接続するように構成される。信号プローブ110と同様に、グラウンドプローブ112は、単一の導電性部片を含んでもよく、又は多数の構成要素を含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、グラウンドプローブ112はスプリングプローブである。以下でさらに詳細に説明されるように、導電体108は、PCB104のグラウンド導体148に電気的に接続されてもよい。したがって、信号プローブ110とは異なり、グラウンドプローブ112は、導電体108から電気的に絶縁されなくてもよい。
【0017】
電力プローブ114は、電力キャビティ132内に配置され、PCB104の電力導体152及びICチップ106の電力パッド154に接触し且つ電気的に接続して、PCB104からICチップ106に電力を供給するように構成される。信号プローブ110及びグラウンドプローブ112と同様に、電力プローブ114は、単一の導電性部片を含んでもよく、又は多数のコンポーネントを含んでもよい。例えば、いくつかの実施形態において、電力プローブ114はスプリングプローブである。信号プローブ110と同様に、電力プローブ114は、導電体108から電気的に絶縁される。例えば、特定の実施形態において、電力プローブ114は、絶縁部材144と同様の電気絶縁コーティング(図示せず)及び/又は絶縁部材を含んでもよい。特定の実施形態において、導電体108は、電力プローブ114と電気グラウンドの間で追加的に電気絶縁するために、第1電力開口部134の周りに画定された凹部146を含む。
【0018】
導電体108は、PCB104のグラウンド導体148に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、図1に示すように、導電性エラストマー156が、導電体108とPCB104のグラウンド導体148との間に配置されて、導電体108とグラウンド導体148との間に電気接続を形成する。付加的に又は代替的に、導電体108とグラウンド導体148の間に金箔などの導電箔を配置して、電気接続をさらに改善することができる。特定の実施形態では、導電体108とグラウンド導体148の間の接触を改善するために、第1表面116が粗くなっている。
【0019】
図2は、テストアセンブリ100で使用される例示的なPCB104の平面図である。PCB104は、信号導体138、基板140、グラウンド導体148、及び電力導体152を含む。基板140は、例えば、FR-4材料又ソルダーマスク材料などの1つ以上の絶縁材を含む。信号導体138、グラウンド導体148、及び電力導体152は、基板140上に配置された導電層、基板140を貫通して延在するビア、又はそれらの組み合わせを含む。図2に示すように、いくつかの実施形態において、グラウンド導体148はグラウンド面を含み、グラウンド面は、上述のように、テストソケット102の導電体108に電気的に接続可能である。信号導体138及び電力導体152は、それぞれ信号プローブ110及び電力プローブ114に接触するように位置決めされたパッドを含む。信号導体138及び電力導体152の配置は、テストソケット102を使用してテストされる特定のICチップ106の設計に基づいて選択されてもよい。例えば、信号導体138及び電力導体152は、ICチップ106における各信号パッド142又は各電力パッド154と整列するように位置決めされてもよい。図2に示すように、特定の実施形態において、信号導体138及び電力導体152は、円形の導電層を含む。代替的に、いくつかの実施形態において、信号導体138及び電力導体152は、別の形状を有してもよい。特定の実施形態において、信号導体138は、テストソケット102を介してICチップ106に信号を伝送するために、マイクロストリップ若しくは同軸伝送ライン等の伝送ラインを含む又は伝送ラインに結合される。
【0020】
図3は、例示的なテストアセンブリ300の断面図である。テストアセンブリ300は、テストソケット102、PCB104、及びICチップ106を含み、これらは一般的に、図1に関して説明したように機能する。図4は、テストアセンブリ300で使用されるPCB104の平面図である。図3に示すように、いくつかの実施形態において、テストソケット102は、1つ以上のシールドプローブ302を含む。シールドプローブ302は、導電体108内に部分的に配置され、導電体108に電気的に接続され、第1表面116から延在する。シールドプローブ302は、グラウンド導体148に接触して導電体108をグラウンド導体148に電気的に接続するように構成される。いくつかの実施形態において、シールドプローブ302はスプリングプローブである。図3及び4に示すように、特定の実施形態において、シールドプローブ302は、信号プローブ110及び信号キャビティ120の周囲に、並びに/又はグラウンドプローブ112及びグラウンドキャビティ126の周囲に配置される。シールドプローブ302は、導電体108及びグラウンド導体を結合する、例えば、導電体108及びグラウンド導体を接触するよう位置決めする、又は図1に示すように導電性エラストマー156を利用する等の、他のタイプに付加して又はその代替として使用されてもよい。
【0021】
図5は例示的なPCB500の平面図であり、PCB500は、テストアセンブリ100又はテストアセンブリ300等のテストアセンブリにおいて使用可能である。図6は、PCB500の部分透視図である。PCB500は、基板502と、グラウンド面504、複数の信号パッド506、及びグラウンドパッド508を含む。いくつかの実施形態において、基板502は一般的に、基板140(図1に示す)に関して説明したように機能する。グラウンド面504は、例えば銅などの導電材料の層であり、基板502の表面上に配置されており、グラウンド導体148の少なくとも一部を形成してもよい。いくつかの実施形態において、グラウンド面504は、約0.05ミリメートルの厚さである。グラウンド面504は、信号パッド506及びグラウンドパッド508を露出させるように位置決めされた信号ホール510及びグラウンドホール512を含む。信号パッド506及びグラウンドパッド508は、それぞれ信号プローブ110及びグラウンドプローブ112と整列するように位置決めされる。特定の実施形態において、信号ホール510は、直径が約0.38ミリメートルであり、グラウンド穴512は、直径が約0.2ミリメートルを超える。図6に示すように、各信号パッド506は、ソルダーマスクを含まない非信号パッド領域602によって囲まれている。
【0022】
図7は、テストソケット102を製造するための例示的な方法700のフローチャートである。方法700は、第1表面116及び第2表面118を有する導電体108に、信号キャビティ120及びグラウンドキャビティ126を形成するステップ702を含む。信号キャビティ120及びグラウンドキャビティ126は、第1表面116から第2表面118まで延在する。
【0023】
方法700は、さらに、信号キャビティ120内に信号プローブ110を位置決めするステップ704を含む。信号プローブ110は、PCB104の信号導体138及びICチップ106の信号パッド142に電気的に接続するように構成される。いくつかの実施形態において、信号プローブ110、又は信号キャビティ120の周囲の導電体108のうちの少なくとも一方は、絶縁コーティングを含む。いくつかのそのような実施形態において、絶縁コーティングは、陽極皮膜を含む。特定の実施形態において、方法700は、さらに、信号プローブ110上に絶縁部材144を位置決めするステップを含み、絶縁部材144は、信号プローブ110を導電体108から電気的に絶縁するように構成される。いくつかのそのような実施形態において、絶縁部材144はリング状の形状である。特定のそのような実施形態において、絶縁部材は、PTFE又は別の絶縁材料を含む。
【0024】
方法700は、さらに、グラウンドキャビティ126内にグラウンドプローブ112を位置決めするステップ706を含む。グラウンドプローブ112は、PCB104のグラウンド導体148及びICチップ106のグラウンドパッド150に電気的に接続するように構成される。また、導電体108は、PCB104のグラウンド導体148に電気的に接続されるように構成される。いくつかの実施形態において、信号プローブ110又はグラウンドプローブ112のうちの少なくとも一方は、スプリングプローブである。
【0025】
いくつかの実施形態において、方法700は、さらに、導電体108に、第1表面116から第2表面118まで延在する電力キャビティ132を形成するステップと、及び電力キャビティ132内に電力プローブ114を位置決めするステップとを含む。電力プローブ114は、PCBの電力導体152及びICチップの電力パッドに電気的に接続するように構成される。特定の実施形態において、電力プローブ114はスプリングプローブである。いくつかの実施形態において、電力プローブ114、又は電力キャビティ132の周囲の導電体108のうちの少なくとも一方は、絶縁コーティングを含む。
【0026】
いくつかの実施形態において、方法700は、さらに、第1表面116に隣接するように導電性エラストマー156を位置決めするステップを含む。導電性エラストマー156は、導電体108をグラウンド導体148に電気的に接続するように構成される。特定の実施形態において、方法700は、さらに、第1表面116上に金箔を位置決めするステップを含む。金箔は、導電体108をグラウンド導体148に電気的に接続するように構成される。いくつかの他の実施形態において、方法700は、さらに、第1表面116から延在するようにシールドプローブ302を位置決めするステップを含む。シールドプローブ302は、導電体108をグラウンド導体148に電気的に接続するように構成される。いくつかのそのような実施形態において、シールドプローブ302はスプリングプローブである。
【0027】
特定の実施形態において、方法700は、さらに、導電体108に、第1表面116から内方に延在する凹部146を形成するステップを含み、信号キャビティ120又は電力キャビティ132は凹部146に開口する。いくつかのそのような実施形態において、凹部120は、0.02ミリメートル~0.1ミリメートルの深さを有する。
【0028】
同軸テストソケット及びPCBインタフェースのための方法及びシステムの例示的な実施形態は、上記で詳細に説明されている。方法及びシステムは、本明細書で説明される特定の実施形態に限定されず、むしろ、システムの構成要素及び/又は方法のステップは、本明細書で説明される他の構成要素及び/又はステップとは独立して且つ別々に使用されてもよい。したがって、例示的な実施形態は、本明細書で具体的に説明されていない多くの他の用途に関連して実施及び使用することができる。
【0029】
本明細書で説明するシステム及び方法の技術的効果は、(a)テストソケットの導電体と電気グラウンドとの間の電気結合を改善することにより、同軸テストソケットのシグナルインテグリティ(信号整合性)を改善すること、及び(b)テストソケットの導電体と電気グラウンドとの間の電気結合を改善することにより、同軸テストソケットのデータ転送率を増加させること、のうちの少なくとも一方を含む。
【0030】
本開示の様々な実施形態の特定の特徴はいくつかの図面に示されており、他の図面に示されない場合があるが、これは単に便宜上のためである。本開示の原理によれば、図面における任意の特徴は、任意の他の図面における任意の特徴と組み合わせて参照及び/又は請求することができる。
【0031】
本明細書は、最良の形態を含む様々な実施形態を開示するために実施例を使用しており、また本明細書により、任意の当業者は、本開示を実施して、任意のデバイス又はシステムを製造及び使用し、並びに任意の組み込まれた技術を実施することができる。本開示における特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の実施例を含む場合がある。そのような他の実施例が、特許請求の言語の文言と相違しない構造要素を有する場合、又は特許請求の言語の文言と実質的に相違しない同等の構造要素を含む場合、そのような他の実施例は、特許請求の範囲の範囲内にあるように意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】