(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】コネクタブロック及び吸引回路を有する摩擦アセンブリ
(51)【国際特許分類】
F16D 65/00 20060101AFI20240705BHJP
F16D 65/092 20060101ALI20240705BHJP
F16D 69/00 20060101ALI20240705BHJP
F16D 69/04 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
F16D65/00 C
F16D65/092 B
F16D69/00 G
F16D69/04 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502154
(86)(22)【出願日】2022-06-28
(85)【翻訳文提出日】2024-02-26
(86)【国際出願番号】 EP2022067690
(87)【国際公開番号】W WO2023285130
(87)【国際公開日】2023-01-19
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514287580
【氏名又は名称】タラノ・テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロイク・アダムザック
(72)【発明者】
【氏名】アドリアン・メストル
(72)【発明者】
【氏名】パスカル・ボノー
【テーマコード(参考)】
3J058
【Fターム(参考)】
3J058AA41
3J058BA64
3J058BA78
3J058CA43
3J058CA47
3J058DD02
3J058DD05
3J058DE17
3J058FA21
(57)【要約】
摩擦アセンブリ(1)は、二次チャネル(38)を有するブレーキヘッド(3)と、一次チャネル(28)を有し、ブレーキヘッド(3)に組み付けられる摩擦プレート(2)と、二次チャネル(38)に挿入され、一次チャネル(28)が二次チャネル(38)と位置合わせされたときに、一次チャネル(28)との連結を確立する少なくとも1つの連結リング(8)と、ブレーキヘッド(3)に固定されたコネクタブロック(50)と、を備えている。ブロック(50)は、吸引装置に接続され、穴(58)によって二次チャネル(38)に接続されたキャビティ(55)を備えており、少なくとも1つのリング(8)は、連結プレート(40)上に取り外し可能に取り付けられており、連結プレート(40)と少なくとも1つの連結リング(8)とによって形成されたエンティティは、ブレーキヘッド(3)に取り外し可能に固定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道車両のブレーキシステムのための摩擦アセンブリ(1)であって、
下面(31)と、上面(32)と、前記下面(31)と上面(32)とを連結する中心軸(A)の少なくとも1つの二次チャネル(38)とを有するブレーキヘッド(3)と、
摩擦面である第1の面(21)、組立機構(4、5)によって前記下面(31)に組み付けられるように適合された第2の面(22)、及び前記第1の面(21)と前記第2の面(22)とを接続する少なくとも1つの一次チャネル(28)を備えた摩擦材料で作製された少なくとも1つの摩擦プレート(2)と、
前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に挿入され、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)が前記少なくとも1つの二次チャネル(38)と位置合わせされたときに、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)との連結を確立する、少なくとも1つの連結リング(8)と、
吸引装置に接続され、前記上面(32)で前記ブレーキヘッド(3)に固定されたコネクタブロック(50)であって、該コネクタブロック(50)は、キャビティ(55)であって、回路(51)によって前記吸引装置に接続されていると共に、前記キャビティ(55)と前記上面(32)とを接続し、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)と位置合わせされた少なくとも1つの穴(58)を含む、キャビティ(55)を有し、前記少なくとも1つの連結リング(8)が連結プレート(40)に取り外し可能に取り付けられ、前記連結プレート(40)と前記少なくとも1つの連結リング(8)とが、前記ブレーキヘッド(3)に取り外し可能に固定された、コネクタブロック(50)と、
を備えている摩擦アセンブリ。
【請求項2】
前記連結プレート(40)は、前記ブロック(50)と前記ブレーキヘッド(3)との間に収容され、前記ブロック(50)は、前記連結プレート(40)を前記ブロック(50)と前記ブレーキヘッド(3)との間に保持するように、前記ブレーキヘッド(3)に着脱可能に固定された、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項3】
前記下面(31)はハウジング(314)を有し、前記少なくとも1つの連結リング(8)が前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に挿入されると、前記連結プレート(40)が前記下面(31)の残りの部分から突出すること無く前記ハウジング(314)に収容され、前記摩擦プレート(2)が前記組立機構(4,5)によって前記ブレーキヘッド(3)に組み立てられると、前記摩擦プレート(2)が前記連結プレート(40)を覆う、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項4】
前記ブロック(50)は、前記ブレーキヘッド(3)の一体部分である、請求項3に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項5】
前記連結プレート(40)は、固定機構(70)によって前記ブレーキヘッド(3)及び前記ブロック(50)の少なくとも一方に機械的に固定されている、請求項3に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項6】
前記ハウジング(314)はタップ穴(75)を有し、前記連結プレート(40)は、前記ハウジング(314)に収容されたときに前記タップ穴(75)と一直線に並ぶねじ穴(47)で貫通され、前記固定機構(70)は、前記タップ穴(75)と、前記ねじ穴(47)を介して前記連結プレート(40)を通って前記タップ穴(75)に螺合するように適合されたねじ(V)とからなる、請求項5に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項7】
前記リング(8)を前記第2の面(22)に押し付けるように適合された復帰機構(90)を更に備えている、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項8】
前記組立機構(4,5)は、前記下面(31)に形成された受けスライド(5)と、前記第2の面(22)に形成され、前記受けスライド(5)と係合するように構成されたダブテール部(4)とを備えている、請求項1に記載の摩擦アセンブリ。
【請求項9】
コネクタブロック(50)が吸引装置に接続された状態で、少なくとも1つの連結リング(8)をブレーキヘッド(3)に取り付けるための方法であって、該ブレーキヘッド(3)は、下面(31)、上面(32)、及び中心軸(A)の少なくとも1つの二次チャネル(38)を含み、前記ブレーキヘッド(3)及び前記連結リング(8)は、鉄道車両用のブレーキシステムのための摩擦アセンブリ(1)の一部を形成しており、該摩擦アセンブリ(1)は、摩擦面である第1の面(21)、組立機構(4、5)によって前記下面(31)に組み立てられるように適合された第2の面(22)、及び前記第1の面(21)と前記第2の面(22)とを連結する少なくとも1つの一次チャネル(28)を含む摩擦材料で作製された摩擦プレート(2)を更に含み、前記少なくとも1つの連結リング(8)は、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に挿入され、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)が前記少なくとも1つの二次チャネル(38)のうちの1つと位置合わせされたときに、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)との連結を確立するように適合されており、
- 前記ブロック(50)に、回路(51)によって吸引装置に接続されたキャビティ(55)と、該キャビティ(55)と前記上面(32)とを接続し、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)と位置合わせされた少なくとも1つの穴(58)と、を設けるステップと、
- 連結プレート(40)を設けるステップであって、前記少なくとも1つの連結リング(8)が前記連結プレート(40)上に取り外し可能に取り付けられた、ステップと、
- 前記連結プレート(40)を前記ブレーキヘッド(3)の前記上面(32)に対して位置決めし、同時に、前記少なくとも1つの連結リング(8)を前記上面(32)から中心軸(A)に沿って摺動させることによって前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に挿入し、次に、前記連結プレート(40)と前記少なくとも1つの連結リング(8)とが共に前記ブレーキヘッド(3)と前記ブロック(50)との間に挟まれるように、前記ブロック(50)を前記連結プレート(40)上に配置するステップと、
- 前記ブロック(50)を前記ブレーキヘッド(3)に取り外し可能に固定するステップと、
- 前記摩擦プレート(2)が前記二次チャネル(38)を覆うまで、前記摩擦プレート(2)を前記組立機構(4、5)によって前記ブレーキヘッド(3)に組み立てるステップと、
を含む、方法。
【請求項10】
下面(31)と上面(32)とを有し、該上面(32)側に位置して吸引装置に接続されたコネクタブロック(50)を有するブレーキヘッド(3)に、少なくとも1つの連結リング(8)を取り付ける方法であって、前記ブレーキヘッド(3)は、中心軸(A)の少なくとも1つの二次チャネル(38)を有し、前記ブレーキヘッド(3)及び前記連結リング(8)は、鉄道車両用ブレーキシステムのための摩擦アセンブリ(1)の一部を形成しており、該摩擦アセンブリ(1)は、摩擦面である第1の面(21)、組立機構(4、5)によって前記下面(31)に組み立てられるように適合された第2の面(22)、及び前記第1の面(21)と前記第2の面(22)とを連結する少なくとも1つの一次チャネル(28)を含む摩擦材料で作製された摩擦プレート(2)を更に含み、前記少なくとも1つの連結リング(8)は、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に挿入され、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)が前記少なくとも1つの二次チャネル(38)のうちの1つと位置合わせされたときに、前記少なくとも1つの一次チャネル(28)との連結を確立するように適合されており、
(a) 前記ブロック(50)に、回路(51)によって吸引装置に接続されたキャビティ(55)と、該キャビティ(55)と前記上面(32)とを接続し、前記少なくとも1つの二次チャネル(38)と位置合わせされた少なくとも1つの穴(58)と、を設けると共に、前記下面(31)にハウジング(314)を設けるステップと、
(b) 連結プレート(40)を設け、前記少なくとも1つの連結リング(8)を前記連結プレート(40)に取り外し可能に取り付けるステップと、
(c) 前記連結プレート(40)が前記下面(31)から突出しないように前記ハウジング(314)内に前記連結プレート(40)を収容し、同時に、前記少なくとも1つの連結リング(8)を前記下面(31)から中心軸(A)に沿って摺動させることによって前記少なくとも1つの二次チャネル(38)に挿入し、前記連結プレート(40)及び前記少なくとも1つの連結リング(8)を、前記ブレーキヘッド(3)に取り外し可能に固定するステップと、
(d) 前記摩擦プレート(2)が前記二次チャネル(28)及び前記連結プレート(40)を覆うまで、前記摩擦プレート(2)を前記組立機構(4,5)によって前記ブレーキヘッド(3)に組み立てるステップと、
を含む、方法。
【請求項11】
前記ブロック(50)は、前記上面(32)における前記ブレーキヘッド(3)の一体部分である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(a)の間、前記ブロック(50)は、その上面(32)で前記ブレーキヘッド(3)に取り外し可能に固定される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記ステップ(c)の後で且つ前記ステップ(d)の前に、
固定機構(70)によって、前記連結プレート(40)を前記ブレーキヘッド(3)又は前記ブロック(50)に機械的に固定するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両(railway rolling stock)のブレーキに関し、特に鉄道車両のブレーキシステムの摩擦アセンブリ(friction assembly)に関する。鉄道車両とは、列車、路面電車、地下鉄車両等、レール上を走行するように構成された全ての車両を意味すると理解されている。
【背景技術】
【0002】
ブレーキシステムは、一般に、鉄道車両の車輪または車軸に固定されたディスクを含む。ブレーキシステムは、摩擦プレートを支持するブレーキヘッドを含む摩擦アセンブリを更に含む。摩擦プレートは通常、ブレーキヘッドへの取り付け手段と摩擦パッドとで構成されている。運転者がブレーキシステムを作動させると、摩擦プレートの摩擦パッドがディスクに接触し、ディスクにブレーキ力を加える。従って、摩擦によって、摩擦プレートは、車輪または車軸に固定されたディスクを減速させる。鉄道車両は、一般に、2つの摩擦アセンブリを備え、ディスクの両側に1つずつ配置されて、ディスクを把持するか、言い換えれば、ディスクを挟んで両側を圧縮している。摩擦プレートの摩擦パッドは、通常、鋳鉄等の金属材料、焼結材料、または複合材料で構成されている。従って、摩擦プレートの摩擦パッドがディスクに対して擦れると、摩擦パッド及びディスクからの材料の粒子が摩擦アセンブリの周囲の大気に放出される。従って、ブレーキシステムは、様々な粒度(granularity)の粒子の形で大気汚染物質を放出する。
【0003】
従って、制動中に放出される粒子を捕捉するために努力がなされてきており、特に、ポンプによって動力供給される吸引装置を、摩擦プレートの摩擦パッドから来る粒子の放出領域の近くに配置してきた。更に、この粒子吸引が可能な限り効果的であることを保証するための努力がなされてきた。
【0004】
この問題に対する1つの解決策は、従来技術を表す
図9及び
図10に示された摩擦アセンブリである。この先行技術は、特許文献1に記載されている。
図9は、このアセンブリの底面図であり、
図10は、
図9の線X-Xに沿った断面図である。
【0005】
ブレーキヘッド103は、縦方向Xにおいて縦方向に延在し、横方向Yにおいて横方向に延在している。平面X-Yは水平である。基準フレーム(X,Y,Z)を形成するために平面X-Yに垂直な方向Zは、垂直で上向きである。ブレーキヘッド103は、摩擦プレート102を収容するための下面131と、それぞれが平面X-Yに平行に延在している上面132とを含む。
【0006】
ブレーキヘッド103は、下面131上に凹形ダブテール(concave dovetail)の受けスライド105を有し、このスライドは、ブレーキヘッド103の第1の端部からブレーキヘッド103の第2の端部の近傍まで縦方向に延在し、この第2の端部には開口が無い。ブレーキヘッド103は、縦軸X上に、互いに間隔を置いて配置された2つの二次チャネル138を含む。各二次チャネル138は、上面132を上面のスライド105の底部に接続している。
【0007】
摩擦プレート102は、2つの同一の(例えば、対称な)部品とされており、各部品は、車両のディスク(図示せず)と接触するように意図された摩擦面121と、対向面122とを有する。対向面122は、受けスライド105と係合するように構成された凸状のダブテール部(convex dovetail section)104を有している。使用中、摩擦プレート102の第1の部分は、スライド105の端部に対して押圧されるまで、スライド105内でダブテール部104を摺動させることによって縦軸Xに沿って押し込まれる。次に、摩擦プレート102の第2の部分は、摩擦プレート102の第1の部分に対して押圧されるまで、スライド105内でダブテール部104を摺動させることによって縦軸Xに沿って押し込まれ、第1の部分と第2の部分との接触面は、理想的には、それらの表面全体に沿って互いに適合するような形状とされている。
摩擦プレート102の各部分は、垂直軸Zに沿って配された一次チャネル128を含む。これらの部分が使用中にブレーキヘッド103と組み合わされると、2つの一次チャネル128のそれぞれは、二次チャネル138と一直線に配置される。軸Bは、一次チャネル128及びそれに対向して位置する二次チャネル138の主軸を示し、従って、一次チャネル128及び二次チャネル138は同軸である。従って、各一次チャネル128は、ブレーキヘッド103に設けられた二次チャネル138の1つと共に、ブレーキ中に摩擦プレート102によって放出される粒子を吸引することを可能にする回路を形成する。従って、軸Bは垂直軸Zに平行である。
【0008】
管と、この管をその端部の一方で半径方向外側に延在させるフランジ1082とからなる連結リング108が、二次チャネル138に取り付けられている。管は二次チャネル138に挿入され、管の外径は二次チャネル138の内径に等しく、可能な限り最良の密封を保証する。フランジ1082は、ブレーキヘッド103の環状ハウジングに収容され、このハウジングは主軸Bを中心として摩擦プレート102の対向面122に面している。環状ハウジングは、二次チャネル138の直径より大きく、フランジ1082の直径より小さい直径を有している。従って、フランジ1082は、摩擦プレート102のダブテール部とブレーキヘッド103のスライド105の底部との間に挟持されている。フランジ1082は、そのハウジング内に入ると、摩擦プレート102のダブテール部104の面122と接触する。この接触は、例えば、ハウジングの底部と面122との間のフランジ1082の変形(押しつぶし)によって達成されている。
【0009】
これに代えて(
図10に示すように)、この接触は、フランジ1082とハウジングの底部との間の管に取り付けられた螺旋ばねの圧縮によってなされる。従って、フランジ1082自体または螺旋ばねは、フランジ1082をダブテール部104(下記参照)に対して押圧することを可能にする復帰機構(return mechanism)190である。
【0010】
連結リング108は、ブレーキヘッド103を完全に横切り、その上面132を越えて、スライド105が設けられたその下面131まで突出している。リング108の管のこの端部には、吸引装置(図示せず)に接続され、摩擦プレート102の摩耗による鉄道車両の制動から生じる粒子を、一次チャネル128及び二次チャネル138を介して吸引することを可能にするパイプ150が固定されている。パイプ150と吸引装置とで粒子除去装置が構成されている。
【0011】
連結リング108は、ブレーキから来る粒子を摩擦プレート102の一次チャネル128からブレーキヘッド103の二次チャネル138に案内する役割を果たしている。従って、連結リング108は、一次チャネル128及び二次チャネル138を介して起こり得る漏洩を防止することを目的としている。特に、連結リング108は、摩擦プレート102とブレーキヘッド103との間の境界面におけるギャップに滑り込む可能性のある、制動から生じる粒子の量を減少させることを目的とし、とりわけ、外部からの空気の流れがこのギャップを通って二次チャネル138に入り、吸引装置による吸引を劣化させることを防止することを目的としている。
【0012】
更に、連結リング108は、上述のように、復帰機構190によってダブテール部104に対して押圧されている。復帰機構190は、一次チャネル128及び二次チャネル138において、摩擦プレート102とブレーキヘッド103との間の境界面における空気の通過を効果的に防止しているが、この空気の通過は、ブレーキヘッド103と摩擦プレート102との間の境界面におけるクリアランスによるものである。
【0013】
リング108は、ブレーキヘッド103と一体となるように、軸Bに沿った両方向への並進運動を防止しなければならない。これは、リング108の下端のフランジ1082によって一の方向で達成される。これは、吸引デバイスに接続されたパイプ150上に固定されているリング108の上端によって、他の方向で達成される。
【0014】
従って、本発明者らは、鉄道車両のブレーキシステムのための摩擦アセンブリを有しており、この摩擦アセンブリは、
一方では、下面、上面、及び下面と上面とを接続する中心軸Bの少なくとも1つの二次チャネルを備えるブレーキヘッドと、
他方では、摩擦面である第1の面、組立機構(assembly mechanism)によって下面に組み付けられるように適合された第2の面、及び第1の面と第2の面とを接続する少なくとも1つの一次チャネルを備えた摩擦材料で作製された少なくとも1つの摩擦プレートと、
を備えており、この摩擦アセンブリは更に、
二次チャネルに挿入され、少なくとも1つの一次チャネルが少なくとも1つの二次チャネルと位置合わせされたときに、一次チャネルとの接続を確立する、少なくとも1つの連結リングと、
を備えていると共に、
吸引装置(suction device)に接続され、上面でブレーキヘッドに固定されるコネクタブロックと、を更に備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】国際公開第2020/094962号公報
【特許文献2】国際公開第2021/001639号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2020/149601号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、ブレーキヘッドと、コネクタブロックと、連結リングとの間のアセンブリを改良し且つ単純化する必要がある。
【0017】
本発明は、これらの欠点を改善することを目的としている。
【0018】
本発明は、吸引システム、例えば空気マニホールドブロックに接続されるコネクタブロックがブレーキヘッドに固定される鉄道ブレーキシステム用の摩擦アセンブリを提案することを目的とし、このアセンブリは、少なくとも1つの連結リングのブレーキヘッドへの取り付けが簡単であり、摩擦プレートの摩耗によって放出される粒子を吸引装置に向かって運び去ることを可能にしている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的は、ブロックが、回路によって吸引装置に接続されていると共に、キャビティと上面とを接続し、少なくとも1つの二次チャネルと位置合わせされた少なくとも1つの穴を含むキャビティを有するという事実、及び少なくとも1つの連結リングが連結プレート上に取り外し可能に取り付けられ、連結プレートと少なくとも1つの連結リングとによって形成されるエンティティ(entity)がブレーキヘッドに取り外し可能に固定されるという事実によって達成される。
【0020】
これらの構成によって、各連結リングは、各穴及び二次チャネルに挿入されて、摩擦プレートを吸引装置と連通させるように適合されている。連結プレート及びこの連結プレートに担持されたリング(または複数のリング)からなり、ブレーキヘッドに取り外し可能に固定された状態に保たれる単一のエンティティを操作することによって、この挿入は簡単な方法で行われる。従って、摩擦プレートから発生する粒子は、摩擦アセンブリの動作中に吸引装置に確実に運び去られる。特に、リングを連結プレートから取り外すことができ、この連結プレートとリングとで構成されるエンティティをブレーキヘッドから取り外すことができるため、アセンブリのメンテナンスが容易になる。
【0021】
例えば、連結プレートは、コネクタブロックとブレーキヘッドとの間に収容され、ブロックは、連結プレートをブロックとブレーキヘッドとの間に保持するように、ブレーキヘッドに着脱可能に固定されている。
【0022】
従って、リングはブレーキヘッドに確実に固定された状態に保たれ、交換が容易になる。
【0023】
例えば、下面はハウジングを有し、少なくとも1つの連結リングが少なくとも1つの二次チャネルに挿入されると、連結プレートが下面の残りの部分から突出すること無くこのハウジングに収容され、摩擦プレートが組立機構によってブレーキヘッドに組み立てられると、摩擦プレートは連結プレートを覆う。
【0024】
従って、リングは、ブレーキヘッドに固定されているブロックとは独立してブレーキヘッドに固定することができる。
【0025】
例えば、ブロックはブレーキヘッドの一体部分である。
【0026】
従って、ブレーキヘッドの一方の面(ブロック側)にアクセスできない場合でも、リングをブレーキヘッドに固定することは可能である。
【0027】
例えば、連結プレートは、固定機構(securing mechanism)によってブレーキヘッド又はブロックに機械的に固定されている。
【0028】
従って、リングは、固定機構によって、より効果的にブレーキヘッドに固定された状態に保たれる。
【0029】
例えば、ハウジングはタップ穴(tapped hole)を有し、連結プレートは、ハウジングに収容されたときにタップ穴と一直線に並ぶねじ穴(screw hole)で貫通され、固定機構は、タップ穴と、ねじ穴を介して連結プレートを通ってタップ穴に螺合するように適合されたねじとからなる。
【0030】
従って、固定機構は単純である。
【0031】
例えば、摩擦アセンブリは、リングを第2の面に押し付けるように適合された復帰機構を更に含む。
【0032】
従って、リングと摩擦プレートとの間のシールが改善される。
【0033】
例えば、組立機構は、下面に形成された受けスライドと、第2の面に形成され、受けスライドと係合するように構成されたダブテール部とを備えている。
【0034】
従って、摩擦プレートのブレーキヘッドへの組み立ては、取り外し可能でありながら、摺動させることによって達成されるので容易である。
【0035】
本発明はまた、吸引装置に接続されたコネクタブロックを備えたブレーキヘッドに連結リングを取り付けるための方法に関し、ブレーキヘッドは、下面、上面、及び中心軸の少なくとも1つの二次チャネルを含み、ブレーキヘッド及び連結リングは、鉄道車両のブレーキシステムのための摩擦アセンブリの一部を形成しており、この摩擦アセンブリは、摩擦面である第1の面、組立機構によって下面に組み立てられるように適合された第2の面、及び第1の面と第2の面とを連結する少なくとも1つの一次チャネルを含む摩擦材料で作製された摩擦プレートを更に含み、少なくとも1つの連結リングは、少なくとも1つの二次チャネルに挿入され、少なくとも1つの一次チャネルが少なくとも1つの二次チャネルのうちの1つと位置合わせされたときに、少なくとも1つの一次チャネルとの接続を確立するように適合されている。
【0036】
本発明によれば、この方法は以下のステップを含む:
(a)前記ブロックは、回路によって前記吸引装置に接続されたキャビティと、前記キャビティと前記上面とを接続し、前記少なくとも1つの二次チャネルと位置合わせされた少なくとも1つの穴と、を備える。
(b)連結プレートが設けられ、少なくとも1つの連結リングが連結プレート上に取り外し可能に取り付けられる。
(c)次に、連結プレートをブレーキヘッドの上面に対して配置し、同時に、少なくとも1つの連結リングを上面から軸Aに沿って摺動させることによって少なくとも1つの二次チャネルに挿入し、次に、連結プレートと少なくとも1つの連結リングとによって形成されるエンティティがブレーキヘッドとブロックとの間に挟まれるように、ブロックを連結プレート上に配置する。
(d)ブロックはブレーキヘッドに取り外し可能に固定される。
(e)摩擦プレートが二次チャンネルを覆うまで、摩擦プレートを組立機構によってブレーキヘッドに組み立てられる。
【0037】
本発明はまた、下面と上面とを有し、上面側に位置して吸引装置に接続されたコネクタブロックを備えたブレーキヘッドに連結リングを取り付けるための別の方法に関し、ブレーキヘッドは、中心軸の少なくとも1つの二次チャネルを有し、ブロックは、上面でブレーキヘッドの一体部分を形成し、ブレーキヘッド及び連結リングは、鉄道車両のブレーキシステム用の摩擦アセンブリの一部を形成し、この摩擦アセンブリは、摩擦面である第1の面と、組立機構によって下面に組み立てられるように適合された第2の面と、第1の面と第2の面とを接続する少なくとも1つの一次チャネルとを有する摩擦材料からなる摩擦プレートを更に含み、少なくとも1つの連結リングは、少なくとも1つの二次チャネルに挿入され、少なくとも1つの一次チャネルが少なくとも1つの二次チャネルのうちの1つと整列したときに、少なくとも1つの一次チャネルとの接続を確立するように適合される。
【0038】
本発明によれば、この方法は以下のステップを含む。
(a)前記ブロックは、回路によって前記吸引装置に接続されるキャビティと、前記キャビティと前記上面とを接続し、前記少なくとも1つの二次チャネルと整列する少なくとも1つの穴と、を備え、前記下面は、ハウジングを備える。
(b)連結プレートが設けられ、少なくとも1つの連結リングが連結プレート上に取り外し可能に取り付けられる。
(c)次に、連結プレートが下面の残りの部分から突出しないように、連結プレートをハウジング内に収容し、同時に、少なくとも1つの連結リングを、下面から軸Aに沿って摺動させることによって、少なくとも1つの二次チャネルに挿入し、連結プレートと少なくとも1つの連結リングとによって形成されるエンティティは、ブレーキヘッドに取り外し可能に固定される。
(d)摩擦プレートは、摩擦プレートが二次チャネル及び連結プレートを覆うまで、組立機構によってブレーキヘッドに組み立てられる。
【0039】
例えば、ブロックは上面のブレーキヘッドの一体部分である。
【0040】
例えば、ステップ(a)の間、ブロックは、その上面でブレーキヘッドに取り外し可能に固定されている。
【0041】
例えば、この方法は、ステップ(c)の後且つステップ(d)の前に、以下のステップ(c2)を含む。
(c2)連結プレートが、固定機構によってブレーキヘッドまたはブロックに機械的に固定される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】ブレーキヘッドから分解された摩擦プレートを有する、本発明の第1の実施形態による摩擦アセンブリの分解斜視図である。
【
図2】ブロックを含む
図1の摩擦アセンブリの領域の平面(X,Z)における斜視部分断面図である。
【
図3】
図1の摩擦アセンブリの連結プレート及びリングの分解斜視図である。
【
図4】ブレーキヘッドから分解された摩擦プレートを有する、
図1の変形による摩擦アセンブリの分解斜視図である。
【
図5】ブロックを構成する
図4による摩擦アセンブリの領域の平面(X,Z)における斜視部分断面図である。
【
図6】摩擦プレートの無い、本発明の第2の実施形態による摩擦アセンブリの分解斜視図である。
【
図7】リングを含む
図6による摩擦アセンブリの領域の平面(X,Z)における断面斜視図である。
【
図8】別の実施形態による摩擦アセンブリの結合プレート及びリングの分解斜視図である。
【
図9】従来技術による摩擦アセンブリの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は十分に理解され、その利点は、非限定的な例によって表されるいくつかの実施形態の以下の詳細な説明を読むことによってより明らかになるであろう。
【0044】
図1は、鉄道車両のブレーキシステム用の摩擦アセンブリ1を示す。例えば、このブレーキはディスクブレーキである。例えば、これらのブレーキは、車両車輪の走行面のブレーキである。アセンブリは、縦軸Xに沿って縦方向に延在し、上向きの垂直軸Zに沿って垂直方向に延在している。横軸Yは、軸X及びZと共に三角法の座標系を形成し、この座標系は
図1、
図2、
図4、
図5及び
図6に使用される。摩擦アセンブリ1は、下からの斜視図で示されており、明瞭にするために様々な部品が分離されて示されている。
【0045】
摩擦アセンブリ1は、ブレーキヘッド3と、摩擦材料からなる少なくとも1つの摩擦プレート2とを備えている。ブレーキヘッド3は、下面31と上面32とを有している。摩擦プレート2は、摩擦面である第1の面21と、第2の面22とを有している。摩擦プレート2は、
図1に示すように、1つの部品であっても良く、または2つの別々の半体であっても良い。作動中、摩擦プレート2は、組立機構(4,5)によってブレーキヘッド3に組み立てられる。例えば、この組立機構は、下面31に形成された受けスライド5と、第2の面22に形成され、受けスライド5と係合するように構成されたダブテール部4とを備える。このように、摩擦プレート2は、縦軸Xに沿ったスライド5におけるダブテール部4の挿入及び並進運動によってブレーキヘッド3に組立てられている。組立機構は、このアセンブリを元に戻すことができるようになっている。一般的に言えば、摩擦プレート2のブレーキヘッド3へのアセンブリは外すことができ、摩耗した摩擦プレート2を交換することができる。
【0046】
摩擦プレート2は、第1の面21と第2の面22とを接続する少なくとも1つの一次チャネル28を含む。一次チャネル28の側壁は、液密(fluid-tight)であり、第1の面21に存在する可能性のある溝においてのみ開口している。
図1において、摩擦プレート2は、2つの一次チャネル28(摩擦プレート2の各半体に1つ)を含む。ブレーキヘッド3は、受けスライド5の底部の上面32と下面31とを液密に接続する中心軸Aの少なくとも1つの二次チャネル38を含む。
図1において、ブレーキヘッド3は2つの二次チャネル38を含む。摩擦アセンブリ1は、少なくとも1つの二次チャネル38に挿入され、少なくとも1つの一次チャネル28との接続を確立する少なくとも1つの連結リング8を含む。
図1において、ブレーキヘッド3は2つの連結リング8を含む。摩擦プレート2がブレーキヘッド3に組み立てられると、各一次チャネル28は、二次チャネル38と整列され、これは、各一次チャネル28の中心軸が、それが整列される二次チャネル38の中心軸Aであることを意味している。
【0047】
連結リング8は、管状の本体81を含む。例えば、本体81の内径は、軸Xに沿った摩擦プレート2とブレーキヘッド3との間のクリアランスを補償するために、一次チャネル28の直径よりも大きい。各連結リング8は、半径方向外側に延在しているフランジ82によって本体81の一端で延在している。本体81の他端は、本体81の遠位端である。
【0048】
各連結リング8は、連結プレート40が全ての連結リング8を支持するように、連結プレート40に取り外し可能に取り付けられる。各リング8は、連結プレート40がフランジ82に当接するように連結プレート40に取り付けられている。従って、本体81の遠位端は、フランジ82に対して連結プレート40の他方の側に位置している。連結プレート40は、実質的に平面内に延在しており、各本体81の縦方向軸線は、この平面に対して垂直である。連結プレート40及び連結リング8は、2つのリング8の場合について
図2に示されている。
図1において、各リング8の本体81は2分割されており、それぞれが他方の延長部にある。リング8及び連結プレート40によって形成されるエンティティは、
図3を参照して以下に詳細に説明される。あるいは、本体81は、
図8に示され、以下に説明されるように、1つの部品である。
【0049】
以下の説明では、要素「一次チャネル28」、「二次チャネル38」、「連結リング8」、「穴58」、及び決定要因(determinant)である「それぞれ(each)」に対して複数形を使用して、これらの要素のうちの2つ以上の場合について説明する。以下の説明は、単一の一次チャネル28、単一の二次チャネル38、単一の連結リング8、及び単一の穴58の場合にも有効である。
【0050】
ここで、
図1から
図5を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
【0051】
ブレーキヘッド3の下面31は、ハウジング314を有している。このハウジングは陥没している。各二次チャネル38の一端は、ハウジング314に通じている。
【0052】
摩擦アセンブリ1は、コネクタブロック50を更に含む。例えば、ブロック50は空気マニホールドブロックである。ブロック50は、二次チャネル38の開口を含む上面32の部分でブレーキヘッド3の上面32を覆っている。ブロック50は、吸引装置に接続された回路51に接続されたキャビティ55を含む。ブロック50は、キャビティ55と上面32とを接続する穴58を有し、各穴58は、二次チャネル38の1つと一直線に並んで配置されている。従って、
図1に示すように、ブロック50は2つの穴58を有している。
【0053】
ある場合には、(例えば、ねじ及びナット等を使用する機械的接続によって)ブロック50は、ブレーキヘッド3に取り外し可能に固定されている。
【0054】
あるいは、別の場合には、ブロック50は、上面32におけるブレーキヘッド3の一体部分である。「一体部分である(is an integral part)」とは、工具を用いない限り、ブロック50をブレーキヘッド3から分離することができないことを意味すると理解される。例えば、ブロック50は、ブレーキヘッド3と共に成形されるか、又はブレーキヘッド3に溶接されている。この場合、本発明の解決策は特に興味深い、と言うのもブロック50がブレーキヘッド3の一体部分を形成しているので、リング8は上面32を介して二次チャネル38に挿入できないからである。
【0055】
いずれの場合も、各リング8は、摩擦プレート2をブレーキヘッド3に組み立てる前に、下面31を介してのみ二次チャネル38に挿入されている。ブロック50の穴58の各々の直径は、本体81の外径よりも大きいか又は等しい。従って、各リング8の本体81が二次チャネル38に挿入されると、本体81も穴58内を摺動する。従って、連結プレート40は、下面31によって位置決めされている。連結リング8は、ブロック50の穴58及び二次チャネル38内で摺動され、連結プレート40は、下面31の残りの部分から突出すること無く、ハウジング314内に収容されている。
【0056】
図1及び
図2は、ハウジング33が上面32で開放されていない状況を示す。
図2は、ブロック50を含む
図1の摩擦アセンブリの領域の平面(X,Z)における斜視部分断面図である。この場合、ハウジング314は、底面を有するキャビティであり、ハウジング314の深さは、キャビティの底面とキャビティの周囲の下面31との間の(方向Zに沿った)距離である。ハウジング314の深さは、ブレーキヘッド3の厚さ(この厚さは、下面31と上面32との間の距離である)よりも厳密には小さい。連結プレート40の厚さは、ハウジング314の深さよりも小さいので、連結プレート40がハウジング314の底部(キャビティの底部を意味する)に接触したとき、連結プレート40はハウジング314から突出しない。従って、連結プレート40は、ハウジング314の底部に当接するまでハウジング314内に配置されている。同時に、フランジ82が二次チャネル38内で摺動し、連結リング8の本体81が二次チャネル38及びブロック50の穴58内に係合している。
【0057】
ここで、連結プレート40から分解されたリング8を示す
図3を参照して、リング8と連結プレート40とによって形成されるエンティティについて説明する。
【0058】
連結プレート40には、連結リング8と同数の穴42が設けられている。図示の例では、2つのリング8に対して2つの穴42がある。両方のリング8は同一であり、両方の穴42は同一であるので、参照符号のいくつかは繰り返し記載されてはいない。各リング8の本体81は2分割されており、互いに延長されている。本体81の近位部分811は、フランジ82を担持している。本体81の遠位部分812は、近位部分811の延長部にあり、その遠位端に半径方向のリップ8121を担持している。遠位部分812の外径及び近位部分811の外径は、それぞれ、穴42の直径以下であり、これらの部分のそれぞれは、穴42内で摺動可能である。例えば、遠位部分812の外径は、近位部分811の外径に等しい。本体81の近位部分811は、フランジ82が穴42の縁部に当接するまで、穴42内に挿入される。次に、連結プレート40の他方の側を介して、遠位部分812が近位部分811に組み立てられている。この組立は、例えば、ねじ止め又はスナップ留めによって行われている。フランジ82の外径及びリップ8121の外径は、各々、穴42の直径よりも大きく、その結果、リング8は、組み立て後に、連結プレート40から滑り出ることができない。このようにリング8は、連結プレート40に取り外し可能に固定されている。組み立て後、フランジ82の環状頂部(本体81の遠位端から最も遠いフランジの部分を意味する)は、連結プレート40の表面を越えて突出している。例えば、この環状頂部は、フランジ82側で連結プレート40の表面を越えて突出するリング8の唯一の部分である。
【0059】
復帰機構90は、連結プレート40とリング8のフランジ82との間に取り付けられている。例えば、この復帰機構は、本体81に取り付けられたバネ(例えば、つる巻バネ)である。静止状態では、復帰機構90は、連結プレート40及びフランジ82と接触しており、連結プレート40は、下面31(例えば、スライド5が存在する場合には、スライド5の底部)から突出している。摩擦プレート2が(例えば、スライド5内で摩擦プレート2のダブテール部4を摺動させることによって)ブレーキヘッド3に組み立てられると、第2の面22は下面31と接触し、リング8は、ハウジング314内にある連結プレート40に対して押し戻され、従って、復帰機構90を圧縮する。
図2及び
図3において、復帰機構90は、一方のリング8については静止状態で、他方のリング8については圧縮状態で示されている。例えば、復帰機構90は、フランジ82の環状頂部のみが連結プレート40の表面を越えて突出するように、穴42を取り囲む環状ハウジング49に収容されている。
【0060】
図4及び
図5は、ハウジング314の深さがブレーキヘッド3の厚さに等しい変形例を示す。ブレーキヘッド3のその他の特性は、
図1及び
図4で同一である。
図5は、ブロック50を含む
図4の摩擦アセンブリの領域の平面(X,Z)における斜視部分断面図である。この場合、ハウジング314は上面32で開口しており、ハウジング314はブレーキヘッド3の貫通穴となっている。従って、連結プレート40は、穴58の縁部に当接するまでハウジング314内に配置されている。同時に、フランジ82が二次チャネル38内で摺動し、連結リング8の本体81が二次チャネル38内及びブロック50の穴58内で摺動している。
【0061】
全ての場合において、フランジ82の頂部は、復帰機構90によって摩擦プレート2の第2の面22に対して押圧された状態に保たれることに留意されたい。従って、フランジ82は、リング8と第2の面22との間のシール機能も果たしている。有利なことに、このシールは、
図2及び
図5に示すように、連結プレート40の周囲を取り囲み、ハウジング314の側面に当接するシール48によって補強されている。シール48は、
図3及び
図7にも見られる。
【0062】
全ての場合において、連結プレート40は、軸Aに沿った二次チャネル38内の連結リング8の両方向への並進移動をブロックしている。
【0063】
連結プレート40の各穴42の側面は、Oリング428が部分的に収容された環状ハウジングを含むことができる。次に、Oリング428の各々は、リング8の本体81の側面に当接して、リング8と連結プレート40との間にシールを形成している。これらのOリング428は、
図7に見ることができる。
【0064】
ブレーキヘッド3の上面32側に位置するコネクタブロック50を用いて、ブレーキヘッド3に1つ以上の連結リング8を取り付けるための本発明による方法において、ブロック50がその上面32でブレーキヘッド3の一体部分である場合、第1のステップ(ステップ(a))は、回路51によって吸引装置に接続されるキャビティ55と、キャビティ55とブレーキヘッド3の上面32を接続し、それぞれがブレーキヘッド3の二次チャネル38と整列する1つ以上の穴58とをブロック50に設けることと、下面31にハウジング314を設けることとからなる。
【0065】
この方法は、ブロック50がブレーキヘッド3の上面32に取り外し可能に予め固定されている場合にも適用される。この場合、ブロック50は、ステップ(a)の間、ブレーキヘッド3の上面32に取り外し可能に固定されている。
【0066】
第2のステップ(ステップ(b))では、連結プレート40が設けられ、各連結リング8が連結プレート40に取り外し可能に取り付けられる。
【0067】
ステップ(b)の後の第3のステップ(ステップ(c))では、連結プレート40が下面31の残りの部分から突出しないように、連結プレート40がハウジング314に収容され、同時に、各連結リング8が、下面31から軸Aに沿って摺動することによって二次チャネル38に挿入され、連結プレート40及び連結リング8によって形成されるエンティティが、ブレーキヘッド3に取り外し可能に固定されている。例えば、連結プレート40は、その穴42の各々の周りに、穴58の直径と実質的に等しく且つそれよりも小さい外径を有する環状の肩部44を有しており、これは、プレート40及びリング8をブレーキヘッド3及びブロック50に連結することによって形成されるエンティティの組立を容易にしている。
【0068】
次に、各リング8の本体81は、少なくとも穴58のエッジまで延在している。例えば、
図2及び
図5に示すように、本体81は、穴58を貫通している。
【0069】
復帰機構90が存在する場合、フランジ82が下面31の残りの部分から突出しないように、復帰機構90を圧縮しなければならない。
【0070】
次のステップ(ステップ(d))において、摩擦プレート2は、摩擦プレート2が二次チャネル28及び連結プレート40を覆うまで、組立機構(4,5)によってブレーキヘッド3に組み立てられる。
【0071】
復帰機構90が存在する場合、復帰機構90はリング8のフランジ82を摩擦プレート2の第2の面22に対して押し付ける。このようにして、リング8と摩擦プレート2との間にシールが確立されている。
【0072】
変形例によれば、摩擦アセンブリ1は、連結プレート40がハウジング314内に収容されたときに、連結プレート40をブレーキヘッド3またはブロック50に固定するための固定機構70を備えている。従って、固定機構70は、連結プレート40がハウジング314から出るのを防止し、従って、連結リング8が二次チャネル38から出るのを防止している。有利には、固定機構70を外すことができ、これにより、必要に応じて連結プレート40及びリング8を容易に交換することが可能になる。
【0073】
従って、ステップ(c)の後、ステップ(d)の前に、連結プレート40は、固定機構70によってブレーキヘッド3またはブロック50に機械的に固定される(ステップ(c2))。
【0074】
固定機構70は、連結プレート40がハウジング314の外側に突出するのを防止している。
【0075】
ここで、固定機構70の一例と、連結プレート40をブレーキヘッド3またはブロック50に固定する方法について説明する。
【0076】
ハウジング314はタップ穴75を含む。ハウジング314が上面32(
図2)に開口していない場合、タップ穴75はハウジング314の底部に配置され、更に場合によってはブロック50に配置されている。ハウジング33がブレーキヘッド3(
図5)を横切る場合、タップ穴75はブロック50内に位置している。連結プレート40には、ねじVが貫通可能なねじ穴47(
図3に示す)が穿設されており、ねじVが連結プレート40を横切るようになっている。ねじVは、ねじVがねじ穴47を通過するときに連結プレート40に当接し、ねじVが連結プレート40を完全に横断するのを防止する頭部を有している。連結プレート40は、ねじVの頭を受け入れるように適合された凹部を有している。例えば、ねじVの頭部は円錐形であり、凹部は、この頭部の形状に適合するように円錐形に広がる。従って、ねじ頭Vは、連結プレート40から突出していない。従って、ねじVは、摩擦プレート2のブレーキヘッド3に対する摺動を妨げない。ねじ穴47は、連結プレート40がハウジング314内に収容されたときに、タップ穴75と一直線に並ぶ。ねじVは、タップ穴75に螺合することができる。固定機構70は、タップ穴75とねじVとで構成されている。
【0077】
従って、ステップ(c2)では、ねじVの頭部が連結プレート40の凹部に収容されるまでねじVをねじ穴47に通すことによって、連結プレート40がブレーキヘッド3またはブロック50に機械的に固定されている。従って、ねじVの残りの部分は、連結プレート40を横切る。次に、ねじVはタップ穴75に螺合される。ねじVは、連結プレート40がブレーキヘッド3から外れるのを防止している。
【0078】
ここで、
図6及び
図7を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0079】
図6は、摩擦アセンブリ1を上方からの分解斜視図で示す。摩擦プレート2は図示されていない。ブレーキヘッド3の上面32は、連結プレート40を受け入れるように適合されたハウジング324を有している。二次チャネル38の各々は、ハウジング324に口部を有している。リング8を備えた連結プレート40がハウジング324内に収容されると、リング8のフランジ82及び本体81がブレーキヘッド3の二次チャネル38内に挿入される。次に、ブロック50は、ブレーキヘッド3の上面32の連結プレート40の上に取り外し可能に固定される。この取り付けは、機械的な取り付け機構によって達成されている。例えば、この機構は、複数のねじ及びナットと、ブレーキヘッド3と、これらのねじを受け入れる穴を有するブロック50とから構成されている。例えば、ねじ及びナットの数は4であり、連結プレート40の周囲に分散配置されている。この取り付けの後、各フランジ82は、摩擦プレート2の第2の面22と接触している。
【0080】
復帰機構90が存在する場合、復帰機構90は、リング8のフランジ82を第2の面22に対して押し付ける。この状況は、ブロック50及び二次チャネル38を含む
図6の領域の斜視部分断面図である
図7に見ることができる。
【0081】
有利なことに、ブロック50とブレーキヘッド3との間のシールは、
図6及び
図7に示すように、連結プレート40(又は環状の肩部44が存在する場合には環状の肩部44)の周囲を取り囲み且つハウジング324の底部に当接するシール43によって形成又は補強される。
【0082】
上記の説明において、各連結リング8は、2分割された本体81を有している。あるいは、変形実施形態では、各連結リング8は、1つの部品である。この変形例は
図8に例示されており、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態に適用することができる。この変形例では、本体81は単一の部品であり、その遠位端には、静止時に本体81を延在して半径方向外側に広がる弾性ペタル(elastic petal)813がある。リング8を連結プレート40の穴42に挿入し始めると、ペタル813は弾性的に内側に変形し(押され)、これにより遠位端が穴42を通過することが可能になる。ペタル813が穴42を通過すると、それらは初期(静止)位置に戻る。穴42からリング8を取り外そうとすると、ペタル813が穴42のエッジに当接し、各リング8が穴42から取り外せないようにしている。
【0083】
ブロック50がブレーキヘッド3から取り外し可能である場合に、ブレーキヘッド3に1つまたは複数の連結リング8を取り付けるための本発明による方法において、第1のステップ(ステップ(a))は、回路51によって吸引装置に接続されるキャビティ55と、キャビティ55と上面32とを接続し、二次チャネル38と整列される少なくとも1つの穴58とをブロック50に設けることからなる。
【0084】
第2の工程(工程(b))では、連結プレート40が設けられ、各連結リング8が連結プレート40に取り外し可能に取り付けられる。
【0085】
ステップ(b)の後の第3のステップ(ステップ(c))において、連結プレート40は、ブレーキヘッド3の上面32上のハウジング324内に配置され、同時に、各連結リング8は、上面32から軸Aに沿って摺動することによって、別個の二次チャネル38内に挿入される。次に、ブロック50は、連結プレート40と連結リング8とによって形成されるエンティティがブレーキヘッド3とブロック50との間に挟まれるように、連結プレート40上に配置される。
【0086】
次に、
図7に示すように、各リング8のフランジ82が摩擦プレート2の第2の面22と接触している。
【0087】
次のステップ(ステップ(d))では、ブロック50がブレーキヘッド3に取り外し可能に固定される。
【0088】
次のステップ(ステップ(e))において、摩擦プレート2は、摩擦プレート2が二次チャネル28及び連結プレート40を覆うまで、組立機構(4,5)によってブレーキヘッド3に組み立てられる。
【国際調査報告】