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特表2024-525831胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体及びこれを含む局所脂肪除去用の医薬組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体及びこれを含む局所脂肪除去用の医薬組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/575 20060101AFI20240705BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 8/63 20060101ALI20240705BHJP
   A61Q 90/00 20090101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K31/575
A61P3/04
A61P17/00
A61P3/00
A61K9/06
A61K9/107
A61K9/12
A61K9/70 401
A61K47/10
A61K47/44
A61K47/36
A61K47/46
A61K47/42
A61K47/18
A61K47/24
A61K47/26
A61K47/06
A61K47/14
A61K47/12
A61K8/63
A61Q90/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502161
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 KR2022010403
(87)【国際公開番号】W WO2023287260
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093764
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0087631
(32)【優先日】2022-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523169877
【氏名又は名称】スカイ・セラピューティクス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】キョン・ヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】チョル・ファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジ・ソン・ジャン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA17
4C076AA24
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC18
4C076CC21
4C076DD34
4C076DD38
4C076DD41
4C076DD46
4C076DD52
4C076DD63
4C076EE30
4C076EE37
4C076EE43
4C076EE53
4C076EE58
4C083AD491
4C083CC05
4C083CC07
4C083CC50
4C083DD08
4C083DD12
4C083DD31
4C083DD41
4C083EE50
4C086AA01
4C086AA02
4C086DA11
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA28
4C086MA32
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA70
4C086ZA89
4C086ZC21
(57)【要約】
本発明は、胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体及びこれを含む組成物に関し、具体的には、脂肪分解薬理物質であるデオキシコール酸を従来の注射剤ではなく、外用剤として開発し、患者の順応度を画期的に改善する、皮膚透過デオキシコール酸の剤形に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胆汁酸の分子または胆汁酸塩の分子が物理的に結合した分子会合体であって、
前記分子会合体に水を含む組成物で形成される場合、
前記組成物の中で前記分子会合体は、凝集した構造を有する、
分子会合体。
【請求項2】
前記分子会合体の平均粒径は、1.0~10 nm以下である、請求項1に記載の分子会合体。
【請求項3】
前記分子会合体は、無定形(amorphous)である、請求項1に記載の分子会合体。
【請求項4】
前記分子会合体は、pHが8.5超過10未満である、請求項1に記載の分子会合体。
【請求項5】
前記分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間の濃度の変化率が1超過10%未満である、請求項1に記載の分子会合体。
【請求項6】
前記分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間の粒子サイズの変化率が1超過10%未満である、請求項1に記載の分子会合体。
【請求項7】
前記分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間のpHの変化率が0超過5%未満である、請求項1に記載の分子会合体。
【請求項8】
前記胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸からなる群のいずれか一つであり、前記胆汁酸塩は、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸からなる群のいずれか一つの塩である、請求項1に記載の分子会合体。
【請求項9】
請求項1の分子会合体を含む、局所脂肪除去用の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物は、非手術的(non-surgical)、非侵襲的(no injection)な方法である、皮膚外用剤として塗布して使用する、請求項9に記載の局所脂肪除去用の医薬組成物。
【請求項11】
前記組成物は、グリセリン、チアシードオイル、グルカン、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、金銀花抽出物、コラーゲン、セラミド、レシチン、ベタイン、トレハロース、パンテノール、スクアラン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール、レブリン酸ナトリウム(Sodium Levulinate)、水添レシチン(Hydrogenated Lecithin)及びヒアルロン酸ナトリウム(Sodium Hyaluronate)からなる群から選択されるいずれか1種以上をさらに含む、請求項9に記載の局所脂肪除去用の医薬組成物。
【請求項12】
前記組成物は、前記分子会合体を0.05~10重量%で含む、請求項9に記載の局所脂肪除去用の医薬組成物。
【請求項13】
前記組成物は、肥満、脂肪再分布症候群、局所的に脂肪が蓄積してできた二重あごである顎下脂肪(submental fat)、眼瞼脂肪ヘルニア(lower eyelid fat herniation)形成、脂肪(lipomas)腫、ダーカム病(Dercum's disease)、脂肪異栄養症(lipodystrophy)、バッファローハンプ異栄養症及びその組み合わせからなる群から選択される疾患を治療するためのことを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の局所脂肪除去用の医薬組成物。
【請求項14】
前記組成物は、腹部頸部の脂肪、内ももの脂肪、二の腕の脂肪、内臓脂肪の蓄積、乳房拡大手術後に発生した脂肪、胸部の脂肪、腕周りに拡散した脂肪、目の下の脂肪、顎下の脂肪、お尻の脂肪、ふくらはぎの脂肪、背中の脂肪、太ももの脂肪、足首の脂肪、セルライト及びその組み合わせからなる群から選択される部位に局所化されることを特徴とする、請求項9~11のいずれか1項に記載の局所脂肪除去用の医薬組成物。
【請求項15】
前記組成物は、ゲル、クリーム、軟膏(ointment)、軟膏(unguent)、スプレー、増粘された剤形及び湿布剤からなる群のいずれか一つの剤形として使用される、請求項9~11のいずれか1項に記載の局所脂肪除去用の医薬組成物。
【請求項16】
前記組成物は、皮膚に塗布した後、3時間後に血漿で測定した胆汁酸の濃度が0.001~0.2μg/mlである、請求項9~11のいずれか1項に記載の局所脂肪除去用の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体及びこれを含む局所脂肪除去用の医薬組成物に関し、具体的には、脂肪分解薬理物質である胆汁酸または胆汁酸塩を従来の注射剤ではなく、皮膚外用剤として開発し、患者の順応度を画期的に改善する胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体及びこれを含む局所脂肪除去用の医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
胆汁酸(bile acid)及び胆汁酸塩(bile salt)は、脂肪を乳化させ、消化酵素であるリパーゼの作用を促進させ、脂肪酸を溶解させることができる。人体内の消化器官にも存在する成分なので、食べた脂肪を分解して消化吸収させるのに役立つ役割を果たすことができる。このような薬理機序を用いて、グローバル企業であるAllergan社は、胆汁酸の一種であるデオキシコール酸を用いた脂肪除去注射を開発し、ベルカイラ(Belkyra(登録商標), in Canada)を開発した。前記ベルカイラ(Belkyra(登録商標), in Canada)は、注射で皮下に伝達し、非可逆的な脂肪細胞破壊を起こした後、治療部位に新しいコラーゲン生成を促進して二重あごを改善する機序であり、脂肪除去手術よりリスクが少ない注射剤であるが、痛症、炎症、あざ、腫れ、打撲傷、ひどい場合、顔面の筋肉弱化、あごの神経損傷などの副作用により、専門医療人の施術が要求され、施術後にも数回来院を必要とする不便さがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国登録特許 第10-2061001号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、針及び注射器を用いて、直接薬物を注入して伝達する外科的方式ではなく、皮膚透過が可能な胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体を皮膚に塗布する、皮下注射剤と類似した脂肪除去性能を有する分子会合体であり、注射剤の副作用がなく、患者の利便性が保障される物質を提供することを目的とする。
【0005】
また、本発明は、皮膚透過が可能な胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体を大量に製造して保管安定性を確認し、動物に適用した結果、有効性を確認した皮膚透過型の胆汁酸の分子会合体を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、前記分子会合体を含み、皮膚透過が可能な局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、胆汁酸または胆汁酸塩の分子が物理的に結合された分子会合体であり、前記分子会合体に水を含む組成物で形成される場合、前記組成物の中で前記分子会合体は、凝集した構造を有する分子会合体を提供する。
【0008】
また、本発明の一実施例によると、前記分子会合体のpHが8.5超過10未満である、分子会合体を提供することができる。
【0009】
また、本発明の一実施例によると、前記分子会合体の平均粒径は1.0~10nm以下である、分子会合体を提供することができる。
【0010】
また、本発明の一実施例によると、前記分子会合体は、無定形(amorphous)である、分子会合体を提供することができる。
【0011】
また、本発明の一実施例によると、前記分子会合体の40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間の濃度の変化率が1超過10%未満である、分子会合体を提供することができる。
【0012】
また、本発明の一実施例によると、前記分子会合体の40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間の粒子サイズの変化率が1超過10%未満である、分子会合体を提供することができる。
【0013】
また、本発明の一実施例によると、前記分子会合体の40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間のpHの変化率が0超過5%未満である、分子会合体を提供することができる。
【0014】
また、本発明の一実施例によると、前記胆汁酸は、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸からなる群のいずれかであり、前記胆汁酸塩は、コハク酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸からなる群のいずれか一つの塩である、分子会合体を提供することができる。
【0015】
また、本発明の一実施例によると、前記分子会合体を含む、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【0016】
また、本発明の一実施例によると、前記組成物は、非手術的(non-surgical)、非侵襲的(no injection)な方法である皮膚外用剤として塗布して使用する、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【0017】
また、本発明の一実施例によると、前記組成物は、グリセリン、チアシードオイル、グルカン、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、金銀花抽出物、コラーゲン、セラミド、レシチン、ベタイン、トレハロース、パンテノール、スクアラン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール、レブリン酸ナトリウム(Sodium Levulinate)、水添レシチン(Hydrogenated Lecithin)及びヒアルロン酸ナトリウム(Sodium Hyaluronate)からなる群から選択されるいずれか1種以上をさらに含む、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【0018】
また、本発明の一実施例によると、前記組成物は、前記分子会合体を0.05~10重量%で含む、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【0019】
また、本発明の一実施例によると、肥満、脂肪再分布症候群、局所的に脂肪が蓄積してできた二重あごである顎下脂肪(submental fat)、眼瞼脂肪ヘルニア(lower eyelid fat herniation)形成、脂肪(lipomas)腫、ダーカム病(Dercum's disease)、脂肪異栄養症(lipodystrophy)、バッファローハンプ異栄養症及びその組み合わせからなる群から選択される疾患を治療するための、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【0020】
また、本発明の一実施例によると、腹部頸部の脂肪、内ももの脂肪、二の腕の脂肪、内臓脂肪の蓄積、乳房拡大手術後に発生した脂肪、胸部の脂肪、腕周りに拡散した脂肪、目の下の脂肪、顎下の脂肪、お尻の脂肪、ふくらはぎの脂肪、背中の脂肪、太ももの脂肪、足首の脂肪、セルライト及びその組み合わせからなる群から選択される部位に局所化される、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【0021】
また、本発明の一実施例によると、ゲル、クリーム、軟膏(ointment)、軟膏(unguent)、スプレー、増粘された剤形及び湿布剤からなる群のいずれか一つの剤形として使用される、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【0022】
また、本発明の一実施例によると、皮膚に塗布した後、3時間後に血漿で測定した胆汁酸の濃度が0.001~0.2μg/mlである、局所脂肪除去用の医薬組成物を提供することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、針及び注射器を用いて直接薬物を注入して伝達する外科的方式ではなく、皮膚に直接塗布して使用可能であり、投与方法の手間を減らすことができるという長所がある。また、従来の製品形態と異なり、注射剤形でないにもかかわらず、皮膚透過度、脂肪分解及び蓄積減少に優れた効果を有するという長所がある。
【0024】
また、皮膚の隙間は80 nmで、従来の医薬製品は皮膚内への浸透が難しかったが、本発明の場合、0.5~5 nmの小さなサイズを有するため、皮膚透過度が高くなる効果を有する。
【0025】
また、ナノサイズの分散された粒子は、凝集またはOstwald ripening現象に簡単に露出されるため、貯蔵安定性が低い一方、本発明の分子会合体及び組成物は、40±2℃/75±5%の加速条件において、性状、pH、粒子サイズの変化が少なく、安定性に優れる効果を有する。
【0026】
また、本発明は、従来の技術において溶解度を向上するためにAPIと水の他に追加で使用された界面活性剤、ミセル、シクロデキストリン、lipid、アルブミン、水溶性高分子、安定化剤/分散剤、ナノ粒子、多孔性粒子などのcarrierなどのような第3の物質を必須的に使用しなくてもよいという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】デオキシコール酸の分子会合体のZetasizer粒子サイズの分析結果である。
図2】デオキシコール酸の分子会合体のTEM写真である。
図3】デオキシコール酸の分子会合体のcalibration curveに関するグラフである。
図4】デオキシコール酸の分子会合体の脂肪前駆細胞の破壊能に関する図である。
図5】脂肪前駆細胞の脂肪細胞への分化過程である。
図6】デオキシコール酸の分子会合体の脂肪細胞の破壊能に関する図である。
図7】生きたマウスの皮下組織にデオキシコール酸の前駆体を1回注射、同量のデオキシコール酸の前駆体と本発明のデオキシコール酸の分子会合体を皮膚上に連続塗布した後、皮膚透過量を皮下組織を採取して測定した図である。
図8】生きたマウスの皮下組織にデオキシコール酸の前駆体を1回注射、同量のデオキシコール酸の前駆体と本発明のデオキシコール酸の分子会合体を皮膚上に連続塗布した後、皮膚透過量を皮下組織を採取して皮膚組織内の分布量を比較した図である。
図9】生きたマウスの皮膚にデオキシコール酸の前駆体を1回皮下注射した場合と同じ量を皮膚に連続塗布したデオキシコール酸の前駆体と分子会合体の時間経過による血漿内の分布量を比較した図である。
図10】生きたマウスの皮膚にデオキシコール酸の前駆体を1回皮下注射した場合と同じ量を皮膚に連続塗布したデオキシコール酸の前駆体と分子会合体が塗布時間によって皮下組織に及ぼす組織学的影響評価のためのH&E染色結果である。
図11】生きたマウスの皮膚にデオキシコール酸の前駆体を1回皮下注射した場合と同じ量を皮膚に連続塗布したデオキシコール酸の前駆体と分子会合体が塗布時間によって皮下組織に及ぼす組織学的影響評価のために、Masson's Trichrome染色の結果で脂肪細胞の破壊またはコラーゲンの増加により、青色に染色された部分が面積増加を示す図である。
図12】肥満マウスの皮膚にデオキシコール酸の分子会合体1.0%と2.5%を1日2回ずつ4週間塗布時の体重の変化を陰性対照群と比較した図である(N=5)。
図13】肥満マウスの皮膚にデオキシコール酸の分子会合体1.0%と2.5%を1日2回ずつ4週間塗布時の腰周りの変化を陰性対照群と比較した図である(N=5)。
図14】肥満マウスの皮膚にデオキシコール酸の分子会合体1.0%と2.5%を1日2回ずつ4週間塗布時の腰周りの変化を陰性対照群と比較した図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
難溶性薬物は、水溶液での飽和溶解度が極めて低く、水との界面エネルギー(interfacial tension/energy)が極度に高く、熱力学的に不安定(thermodynamically unstable)な状態であるため、沈殿(sedimentation)したり、相分離(phase separation)する。従って、薬理学的に意味があるように薬物含量(すなわち、溶解度)を高めるためには、界面エネルギーを下げる表面活性物質(surface active agent)や高含量の薬物を含有できるキャリアなどの第3の物質が必要であった。
【0029】
このような従来の溶解度向上技術は、共通的にAPIと水を除く第3の物質を必須的に使用しなければならないか、溶解度を向上させる核心因子として作用した。例えば、界面活性剤、ミセル、シクロデキストリン、lipid、アルブミン、水溶性高分子、安定化剤/分散剤、ナノ粒子、多孔性粒子などがこのような第3の物質に該当する。
【0030】
しかし、本発明の発明者らは、前記のような第3の物質を使用しなくても、極性相互作用または水素結合を活用した分子会合体を製造し、構造体表面が疎水性(hydrophobic)を有するようにして、リン脂質膜に対する透過度を増加させ、その会合体の粒径を1.0~10nmレベルに調節し、約80nm程度のサイズを有する皮膚の隙間への透過度を増加させ、これを通じて皮膚内の脂肪細胞に薬理物質を伝達して脂肪分解及び脂肪蓄積の減少に優れた効果を示すことを確認し、本発明を完成した。
【0031】
以下、より詳しく説明する。
【0032】
用語
本発明において、前記「胆汁酸(bile acid)」及び「胆汁酸塩(bile salt)」とは、ステロイド酸(及び/またはそのカルボン酸アニオン)、及びその塩を意味し、動物(例えば、ヒト)の胆汁で発見されるものであり、これに対する非制限的な例としては、コール酸、ケノデオキシコール酸、グリココール酸、タウロコール酸、デオキシコール酸及びリトコール酸からなる群から選択されるいずれか一つである胆汁酸やその塩である胆汁酸塩が挙げられる。
【0033】
本発明において、前記「胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体」とは、胆汁酸を含む溶液にせん断応力を加え、胆汁酸の分子または胆汁酸塩の分子が物理的に結合するように分子会合体を製造したものであり、胆汁酸の分子が互いに固まりになった構造を意味する。
【0034】
本発明において、「胆汁酸の分子または胆汁酸塩の分子」とは、本発明による胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体を生成するのに使用される前駆物質または先駆物質である胆汁酸または胆汁酸塩の分子そのものを意味し、「前駆体」と呼ぶこともできる。すなわち、本発明による胆汁酸または胆汁酸塩の分子は、せん断応力が加えられない胆汁酸または胆汁酸塩を意味する。
【0035】
本発明において、用語「患者(patient)」、「対象(subject)」、「個体(individual)」などは、本明細書において、互いに互換的に使用され、本明細書に記述された方法に順応することができるインビトロまたはインサイチュなど、任意の動物、またはその細胞を指称する。特定の非制限的な実施態様において、前記患者、対象または個体はヒトである。
【0036】
本発明において、用語「組成物(composition)」または「薬剤学的組成物(pharmaceutical composition)」は、本発明の少なくとも1つの化合物と担体(carriers)、安定化剤、希釈剤、分散剤、懸濁剤、濃厚剤(thickening agents)、及び/または賦形剤(excipients)のような他の化学成分の混合物を意味する。前記薬剤学的組成物は、前記化合物の有機体としての投与を促進する。
【0037】
本発明において、用語「有効量(effective amount)」、「薬剤学的に有効な量(pharmaceutically effective amount)」及び「治療学的に有効な量(therapeutically effective amount)」は、非毒性であるが、所望する生物学的結果を提供するのに十分な量を示す。前記結果は、徴候、症状、または疾患の原因の減少及び/または軽減、または生物学的システムの任意の他の所望する変化(alteration)であってもよい。任意の個別的事案において、適当な治療学的量は、通常の実験を使用して、通常の技術者によって決定することができる。
【0038】
本発明において、用語「効能(efficacy)」は、分析方法内で達成される最大効果(Emax)を示す。
【0039】
本発明において、「治療(treatment)」または「治療する(treating)」は、本明細書において考慮された状態、本明細書において考慮された状態の症状または本明細書において考慮された状態に進展する潜在性を治療(cure)、治癒(heal)、軽減(alleviate)、緩和(relieve)、変化(alter)、救済(remedy)、改善(ameliorate)、向上(improve)または影響を与えるために、治療学的作用剤、すなわち、本発明の化合物(単独または他の薬剤学的作用剤と組み合わせて)を患者に適用または投与することと定義されるか、または(例えば、診断またはエクスビボ適用のために)患者から分離された組織または細胞株に治療学的作用剤を適用または投与すること(例えば、診断またはエクスビボ適用のために)と定義され、前記本明細書において考慮された状態、本明細書において考慮された状態の症状(symptoms)または本明細書において考慮された状態に進展する潜在性を有する。前記治療は、薬理学分野から得られた知識に基づき、具体的に合わせるか、または変形することができる。
【0040】
本発明において、「治療学的に有効な量(therapeutically effective amount)」は、患者に投与される場合、疾患の症状を改善する本発明の化合物の量である。「治療学的に有効な量」を構成する本発明の化合物の量は、前記化合物、疾患の状態及びその深刻性、治療される患者の年齢などによって変化することができる。治療学的に有効な量は、自分の知識及び本開示を考慮して、当分野における通常の技術を有する者によって、通常決定することができる。
【0041】
本発明において、用語「皮膚外用剤として塗布」とは、例えば、非手術的(non-surgical)、非侵襲的(no injection)な方法で皮膚の外部に医薬組成物を塗布して薬物を皮膚の内部に伝達することをいい、その他にも自分の知識及び本開示を考慮して、当分野における通常の技術を有する者によって、通常決定することができる。
【0042】
本発明において、用語「局所脂肪除去」とは、例えば、肥満、脂肪再分布症候群、局所的に脂肪が蓄積してできた二重あごである顎下脂肪(submental fat)、眼瞼脂肪ヘルニア(lower eyelid fat herniation)形成、脂肪(lipomas)腫、ダーカム病(Dercum's disease)、脂肪異栄養症(lipodystrophy)、バッファローハンプ異栄養症及びその組み合わせからなる群から選択される疾患を治療するための行為をいい、その他にも、自分の知識及び本開示を考慮して、当分野における通常の技術を有する者によって、通常決定することができる。
【0043】
本発明において、用語「局所脂肪」とは、例えば、腹部頸部の脂肪、内ももの脂肪、二の腕の脂肪、内臓脂肪の蓄積、乳房拡大手術後に発生した脂肪、胸部の脂肪、腕周りに拡散した脂肪、目の下の脂肪、顎下の脂肪、お尻の脂肪、ふくらはぎの脂肪、背中の脂肪、太ももの脂肪、足首の脂肪、セルライト及びその組み合わせからなる群から選択される部位に局所化されることをいい、その他にも、自分の知識及び本開示を考慮して、当分野における通常の技術を有する者によって、通常決定することができる。
【0044】
本発明において、用語「皮膚外用剤」とは、例えば、皮膚に塗布することができる剤形であり、ゲル、クリーム、軟膏(ointment)、軟膏(unguent)、スプレー、増粘された剤形及び湿布剤からなる群のいずれか一つの剤形として使用されることをいい、その他にも、自分の知識及び本開示を考慮して、当分野における通常の技術を有する者によって、通常決定することができる。
【0045】
胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体
本発明は、胆汁酸の分子または胆汁酸塩の分子が物理的に結合された分子会合体であって、前記分子会合体に水を含む組成物で形成される場合、前記組成物の中で前記分子会合体は、凝集した構造を有する分子会合体を提供する。
【0046】
本発明において、前記分子会合体の平均粒径は、1.0~10nm以下であってもよく、望ましくは1.5nm以上、2.0nm以上であってもよく、7.0nm以下、5.0nm以下、3.0nm以下であってもよい。前記分子会合体の平均粒径は、回折実験を通じて測定することができ、望ましくはZetasizerやSmall Angle Neutron Scattering(SANS)を使用して測定することができる。また、Transmission Electron Microscopyを用いてimageを測定することもできる。前記分子会合体の平均粒径が10 nmを超過すると、分散性が落ち、透明度と透過度が落ちる問題がある。また、前記分子会合体の平均粒径の下限値は特別な制限はないが、約1.0 nm以上であるものを使用することができる。
【0047】
本発明による分子会合体は、胆汁酸の分子または胆汁酸塩の分子にせん断応力を加えて製造されるため、ナノサイズで製造されるにもかかわらず、無定形(amorphous)の形態を有することができるようになり、これによってサイズ調節が容易なだけでなく、皮膚透過度も向上することができる。
【0048】
また、本発明による分子会合体は、pHが8.5超過10未満であってもよい。pH値が前記範囲を満たす場合、分子会合体の皮膚透過度が高くなるだけでなく、脂肪細胞に到達した後、脂肪を効果的に分解することができる。また、本発明の分子会合体は、従来の注射剤として使用された物質とは異なり、外用剤(topical)として使用されるため、pHが相対的に高いことがあり、pHが高いことにより、保管安定性もより向上することができる。具体的に前記分子会合体のpHは、8.6超過、8.7超過、8.8超過、8.9超過、9.0超過、9.1超過であってもよく、9.9未満、9.8未満、9.7未満、9.6未満、9.5未満、9.4未満、9.3未満であってもよい。
【0049】
また、本発明による分子会合体は、保管安定性に優れている。一般的なナノサイズの分散された粒子は、凝集またはOstwald ripening現象に簡単に露出されるため、貯蔵安定性が低い一方、本発明の分子会合体及び組成物は、40±2℃/75±5%の加速条件において、性状、pH、粒子サイズの変化が少なく、安定性が優れた効果を有する。
【0050】
具体的には、本発明による分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間の濃度の変化率が1超過10%未満であり、望ましくは1超過5%未満であり、より望ましくは1超過4%未満であってもよい。また、本発明による分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、3ヶ月間の濃度の変化率が1超過10%未満であり、望ましくは1超過5%未満であり、より望ましくは1超過3%未満であってもよい。
【0051】
具体的には、本発明による分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間の粒子サイズの変化率が1超過10%未満であり、望ましくは1超過7%未満、より望ましくは1超過5%未満であってもよい。また、本発明による分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、3ヶ月間の粒子サイズの変化率が1超過10%未満であり、望ましくは1超過5%未満であり、より望ましくは1超過3%未満であってもよい。
【0052】
具体的には、本発明による分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、12ヶ月間のpHの変化率が0超過5%未満であり、望ましくは0超過3%未満であり、より望ましくは0超過1.5%未満であってもよい。また、本発明による分子会合体は、40±2℃/75±5%の加速条件において、3ヶ月間のpHの変化率が0超過5%未満であり、望ましくは0超過3%未満であり、より望ましくは0超過1.5%未満であってもよい。
【0053】
前記変化率とは、前記期間までの各月の変化率の平均値を求めた平均変化率を意味する。
【0054】
前記のように、本発明による分子会合体の安定性が優れていることが分かる。
【0055】
分子会合体の製造方法
本発明の一実施例による胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体は、前記分子会合体の前駆体である胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液にせん断応力を加えて製造することができる。
【0056】
前記分子会合体の前駆体である胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に加わるせん断応力は、機械的せん断応力または超音波印加の中のいずれか一つであってもよい。
【0057】
前記機械的せん断応力は、溶液をシリカが充填されたカラムまたはフィルターペーパーを通過させて加えるものであってもよい。以下で機械的せん断応力を具体的に説明する。
【0058】
本発明の一実施例によると、前記機械的せん断応力は、前記分子会合体の前駆体である胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液をシリカが充填されたカラムに通過させて加えるものであってもよい。前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液がシリカなどで充填されたカラムを通過すると、物理的に狭い領域を通過することにより、前記分子会合体の前駆体である胆汁酸または胆汁酸塩が非常に高いせん断応力を受けることになる。
【0059】
前記シリカは、球形や角形であってもよいが、その形態には制限されない。
【0060】
前記シリカの平均粒子サイズは、1.0~50μmであってもよく、具体的には、1.5μm以上、2μm以上であってもよく、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、5μm以下であってもよい。前記シリカのサイズが1.0μm未満か50μmを超過の場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液が、シリカが充填されたカラムを通過しても、せん断応力が加わらないため、分子会合体の変化がないことがある。
【0061】
前記シリカが充填されたカラムの下部には、0.1 bar~1.0 barまたは0.2 bar~0.9 barの陰圧をかけることができる。前記シリカが充填されたカラムの下部にかかる陰圧が0.1 bar未満の場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液が前記カラムを通過するのに所要時間が増加し、本発明による胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体の製造時間が遅延することがある。また、前記シリカが充填されたカラムの下部にかかる陰圧が1.0 barを超過した場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液が前記カラムを通過するのに所要時間が短縮し、本発明による胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体の製造時間を短縮することができるが、追加のポンプ装備が必要なため、製造費用が増加することがある。
【0062】
本発明の他の実施例によると、前記機械的せん断応力は、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液を一つ以上のフィルターペーパーに通過させて加えるものであってもよい。前記一つ以上のフィルターペーパーを通過すると、物理的に狭い領域を通過することにより、前記分子会合体の前駆体である胆汁酸または胆汁酸塩が非常に高いせん断応力を受けることになる。
【0063】
前記フィルターペーパーは、一つのフィルターペーパーであるか、二つ以上の複数のフィルターペーパーであってもよい。前記フィルターペーパーが二つ以上の複数のフィルターペーパーである場合、前記フィルターペーパーを積層して配置することができる。前記フィルターペーパーが二つ以上の複数のフィルターペーパーである場合、一つのフィルターペーパーより高いせん断応力を提供することができる。
【0064】
前記フィルターペーパーの気孔のサイズは、0.1~5.0ミクロンまたは0.3~4.5ミクロンであってもよい。前記フィルターペーパーの気孔のサイズが0.1ミクロン未満の場合、前記胆汁酸を含む溶液が前記フィルターペーパーに通過または濾過される量が非常に少なく、本発明による胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体の製造速度が減少することがあり、前記フィルターペーパーの気孔のサイズが5.0ミクロンを超過した場合、前記胆汁酸を含む溶液が前記フィルターペーパーを単純に通過し、せん断応力が効果的に加わらないことがある。
【0065】
前記せん断応力は、超音波を用いて加えるものであってもよい。以下で超音波印加について具体的に説明する。
【0066】
本発明の一実施例によると、前記せん断応力は、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に超音波を印加して加えるものであってもよい。
【0067】
前記超音波を前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に加えると、圧力波が発生し、前記圧力波により、前記分子会合体の前駆体である胆汁酸または胆汁酸塩にせん断応力が加わることがある。
【0068】
前記印加される超音波の強さは200 J/sec~800 J/secまたは400 J/sec~600 J/secであってもよい。
【0069】
前記印加される超音波の体積当たりに加わるエネルギーは、超音波の強さ(J/sec) × 加わった時間(sec)/測定体積(ml)で求めることができる。
【0070】
本発明の一実施例によると、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に印加される超音波の体積当たりに加わるエネルギーは、100 J/ml~90 kJ/mlであってもよい。
【0071】
前記超音波のエネルギーが100 J/ml未満の場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に十分なせん断応力が加わらず、分子会合体の形成が難しいことがある。また、前記超音波のエネルギーが90 kJ/ml超過の場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に過度の熱が加わり、分子会合体の形成が難しいことがある。
【0072】
前記超音波は、10℃~80℃で10秒~60分間印加することができる。前記超音波が10℃未満の温度で印加する場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に変化がなく、80℃を超過した温度で印加する場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に相変化が起こり、本発明による胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体の形成が難しいことがある。また、前記超音波が10秒未満で印加する場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に変化がなく、60分を超過した時間の間印加する場合、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に分子会合体が変形し、本発明による胆汁酸または胆汁酸塩の分子会合体を形成することができない。
【0073】
本発明の他の実施例によると、前記せん断応力を加える方法で、シリカが充填されたカラムを超音波発生装置と結合することができる。前記シリカが充填されたカラムが超音波発生装置の内部に配置されたり、前記シリカが充填されたカラム及び超音波発生装置が分離され、連続的に配置されることができる。
【0074】
例えば、前記シリカが充填されたカラムに前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液を注いだ後、前記カラムを超音波発生装置内に配置させ、超音波を印加させることができる。また、前記胆汁酸または胆汁酸塩を含む溶液に超音波を印加させた後、前記シリカが充填されたカラムに前記溶液を通過させることができる。
【0075】
局所脂肪除去用の医薬組成物
本発明は、前記分子会合体を含む局所脂肪除去用の医薬組成物を提供する。
【0076】
本発明において、前記局所脂肪除去用の医薬組成物は、ゲル、クリーム、軟膏(ointment)、軟膏(unguent)、スプレー、増粘された剤形及び湿布剤からなる群のいずれか一つの剤形として使用されてもよい。
【0077】
本発明において、前記局所脂肪除去用の医薬組成物は、前記分子会合体の他に、グリセリン、チアシードオイル、グルカン、ヒアルロン酸(Hyaluronic acid)、金銀花抽出物、コラーゲン、セラミド、レシチン、ベタイン、トレハロース、パンテノール、スクアラン、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、ブチレングリコール、プロパンジオール、ペンチレングリコール、レブリン酸ナトリウム(Sodium Levulinate)、水添レシチン(Hydrogenated Lecithin)及びヒアルロン酸ナトリウム(Sodium Hyaluronate)からなる群から選択されるいずれか1種以上を含んでもよい。
【0078】
また、本発明において、前記局所脂肪除去用の医薬組成物は、前記成分の他に、クリーム剤形として使用するために、当該業界で使用される成分であれば、特別な制限なしにさらに含むことができる。
【0079】
本発明において、前記局所脂肪除去用の医薬組成物は、前記分子会合体が0.05重量%~10.0重量%になるように含んでもよく、具体的には、0.08重量%以上、0.1重量%以上、0.3重量%以上、0.5重量%以上、1.0重量%以上であってもよく、5重量%以下、3.0重量%以下、2.0重量%以下、1.0重量%以下であってもよい。
【0080】
本発明において、前記局所脂肪除去用の医薬組成物は、皮膚に塗布した後、3時間後に血漿で測定した胆汁酸または胆汁酸塩の濃度が0.001~0.2μg/mlであってもよく、具体的には、0.01μg/ml以上、0.05μg/ml以上、0.1μg/ml以上であってもよく、0.18μg/ml以下、0.15μg/ml以下、0.12μg/ml以下であってもよい。
【実施例
【0081】
以下、本発明の実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。本発明は、これらの実施例に局限されないことは当然である。
【0082】
[実施例]
実施例1-1. デオキシコール酸(DCA)の分子会合体の製造
250mlのビーカーにデオキシコール酸(deoxycholic acid, DCA)3.6gを入れ、エタノール177gに溶解した。3LのビーカーにSYLOID 244 FP 142gを入れ、オーバーヘッドスターラーを用いて50rpmで攪拌した。攪拌が進行しているシリカに1M NaHCO3 17gと1M Na2 SO4 5gを徐々に添加した後、前記DCA溶液をゆっくり添加し、投入された水溶液がシリカによく担持できるように30分間攪拌した。3Lのビーカーにエタノール1780gを入れ、70rpmで攪拌しながら、デオキシコール酸が担持されたシリカをゆっくり投入した。投入が完了した後、45分間さらに攪拌することで、十分な時間流出させた。攪拌が完了した後、1μm紙フィルターと0.45μm membrane filterを用いて順次的にfilterした。Filterされた流出液は1450gであり、rotary evaporatorでエタノールを一部除去して704gに濃縮した。ビーカーに1640gの水を入れ、NaHCO3 0.3gを添加した後、前記1次濃縮液を追加した。この希釈液をrotary evaporatorで3時間程度濃縮し、無色透明の液体112gを得た。この溶液の濃度は2.34%、pHは9.22である。この過程でDCAの回収率は69%であった。
【0083】
実施例1-2. デオキシコール酸(DCA)の分子会合体の製造
500mLのビーカーにデオキシコール酸(deoxycholic acid, DCA)2.0gとエタノール98.75gを入れ、magnetic stirrerで攪拌してDCA溶解液を準備する。SYLOID 244 FP 8.2gにエタノール80gを追加し、シリカを十分に湿らす。1M NaHCO3と1M Na2SO4の水溶液を一定割合で混ぜ、co-salt水溶液1.3mLを準備する。ブフナー漏斗に1.00 μmの紙フィルターを敷き、エタノールで紙フィルターを湿らせてから、ポンプを用いて漏斗の底に吸着させた後、準備した湿らせたシリカを徐々に注ぐ。パッキングされたシリカの上にエタノールが1cm程度残った時、co-salt水溶液と精製水100gを徐々に注ぐ。その後、エタノール100gを追加で注ぎ、エタノールの一部がフィルターされた後は、ポンプを停止させてから、下段の1000mlの濾過瓶を交替する。再びポンプを作動させた後、準備したデオキシコール酸の溶解液をゆっくり注ぎ、エタノール202gを追加で注ぐ。得られた流出液は0.45umメンブレンフィルターを用いてフィルターすると、フィルター濾液394.2gが得られる。他の2.0Lのビーカーを用いて4 mMのNaHCO3水溶液920gを製造し、フィルター濾液を徐々に投入して希釈する。この希釈された液体をrotary evaporatorを用いて30度、180rpmで2時間25分間濃縮する。最終濃縮液の量は98.19gであり、濃度は1.92%のデオキシコール酸の分子会合体が得られ、粒子サイズは1.36 nm、pHは9.15、最終回収率は94.2%である。
【0084】
実施例1-3. デオキシコール酸ナトリウム(NaDC)の分子会合体
1Lのビーカーにデオキシコール酸ナトリウム(Sodium deoxycholate, NaDC, Sigma Aldrich #30970)18.0gを入れ、水604gにマグネットバーを使用して溶解させた。Silica gel 60 (Merck) 60.5gを0.1M NaHCO3 242gが入った400mLのビーカーに入れ、スパチュラで混ぜた。湿らせたシリカを真空ポンプが付いた真空濾過装置(圧力200 mbar)にゆっくり注ぎながらパッキングした。パッキングされたシリカに前記NaDC溶液を投入した。シリカパッドが乾く前に水160gを80gずつ2回に分けて投入した。流出時間は合計1時間であり、流出が完了した後、0.45um membrane filterを用いてfilterした。Filterされた流出液は808gであった。この溶液の濃度は2.07%、pHは7.67である。この過程でデオキシコール酸ナトリウムの回収率は93%であった。
【0085】
実施例2. デオキシコール酸の分子会合体を含む組成物
前記実施例1は水溶液状態であるため、皮膚塗布時に流れ落ちる傾向があり、皮膚内に十分に伝達されない可能性があることから、前記実施例1で製造した分子会合体を経皮に適用可能な剤形に製造するために、前記実施例1の分子会合体0.04重量%及び0.08重量%のそれぞれにHyaluronic acid(HA)を0.7重量%、1,2-hexanediol 2重量%をさらに含むようにゲルタイプの剤形を作製し、そのテスト結果を後述する実験例3の脂肪前駆細胞及び脂肪分化細胞の破壊能の確認で確認した。
【0086】
比較例1. デオキシコール酸の前駆体
実施例1のシリカを通過する工程を進行しないデオキシコール酸自体を使用した。
【0087】
[実験例]
実験例1. デオキシコール酸の分子会合体の粒子サイズの測定
デオキシコール酸は、水に対する溶解度が0.024%と非常に低く、溶解度を改善し、水溶液上で安定させるため、先の実施例1ではデオキシコール酸をエタノールに溶解させた後、水を追加し、エタノールを除去する本発明の工程を経て、デオキシコール酸の分子がクラスター(cluster)を成す無色、無臭、透明な液状のデオキシコール酸の分子会合体を製造した。デオキシコール酸の分子会合体を下記のZetasizerとTEM分析を通じて、1.6 nmの粒子サイズを確認した。
【0088】
Zetasizer分析
Zetasizer(Malvern, Nano ZSP)を用いて、実施例1のデオキシコール酸の分子会合体を0.2μmフィルターした後、下記表1の条件で10回測定し、size distribution by volumeから平均粒子サイズ1.6 nmを確認した(図1)。
【表1】
【0089】
TEM分析
EMS社のFCF300-Cu 50/pk (Formvar/Carbon 300Mesh, Copper)グリッドを濾紙の上に置き、その上にmicropipetteで該当サンプル約20μlを落とし、negative stainingはせず、15分以上待機してグリッドを乾燥させ、TEMイメージで実施例1のデオキシコール酸の分子会合体の粒子サイズを測定した結果、Zetasizerで測定した粒子サイズと類似することを確認した(図2)。
【表2】
【0090】
実験例2. 安定性試験
(1)材料
本発明が適用されたデオキシコール酸の分子会合体の保管安定性を確認するために、実施例1と同じ方法で製造した、物性変化がないDCA200265~67 292gを製造し、12ヶ月間の安定性試験の試料として使用した。
【表3】
【0091】
(1)試料保管方法
サイラボ、SL/Vi1361 5 mL serum vialにサンプルを1.7 mLずつ取り、一つのvialに入れた後、保管キャップを閉じ、capperを用いてvialと保管キャップを固定した。Vialと保管キャップの間をパラフィルムを用いて巻き、ラベリングした(物質名、batch No、試験日を含む)。
【0092】
(2)分析方法
性状
肉眼で観察した。
濃度
濃度分析のために、下記表4のようにHPLC分析を行い、その結果として示されたデオキシコール酸のcalibration curveは図3に示す。
【表4】
【0093】
粒子サイズの分析
実施例1のZetasizerの分析条件と方法に従って分析した。
【0094】
pH
デオキシコール酸の分子会合体を0.45μmフィルターした後、Mettler toledo S220を用いて測定した。
【0095】
(3)加速安定性試験の結果
性状
無色透明の液体で、12ヶ月間40±2℃/75±5%の加速条件において、同じ性状が維持された。
濃度
12ヶ月間加速条件においての濃度の変化を下記表5に示し、有意的な濃度変化は観察されなかった。具体的には、12ヶ月間、40±2℃/75±5%の温度及び湿度を有する加速条件においての濃度の変化を1ヶ月単位で測定し、その結果を下記表5に示した。初期(0ヶ月)の濃度とその後の濃度の差を計算した後、初期の濃度で割った値を濃度の変化率として計算し、このような変化率の平均値を3ヶ月及び12ヶ月でそれぞれ計算した値を下記表5に記載した。
【表5】
【0096】
粒子サイズ
12ヶ月間加速条件においての粒子サイズの変化を下記表6に示し、有意的な粒子サイズの変化はなかった。具体的には、12ヶ月間40±2℃/75±5%の温度及び湿度を有する加速条件においての粒子サイズの変化を1ヶ月単位で測定し、その結果を下記表6に示した。初期(0ヶ月)の粒子サイズとその後の粒子サイズの差を計算した後、初期の粒子サイズで割った値を粒子サイズの変化率として計算し、このような変化率の平均値を3ヶ月及び12ヶ月でそれぞれ計算した値を下記表6に記載した。
【表6】
【0097】
pH
12ヶ月加速条件においてのpHの変化を下記表7に示し、経時的な変化なく安定したpHを示した。具体的には、12ヶ月間40±2℃/75±5%の温度及び湿度を有する加速条件においてのpHの変化を1ヶ月単位で測定し、その結果を下記表7に示した。初期(0ヶ月)のpH値とその後のpH値の差を計算した後、初期のpH値で割った値をpHの変化率として計算し、このような変化率の平均値を3ヶ月及び12ヶ月でそれぞれ計算した値を下記表7に記載した。
【表7】
【0098】
(4)加速安定性試験の最終結果
加速安定性試験の最終結果をまとめ、下記表8に記載した。
【表8】
表8に示すように、12ヶ月の期間中に三つのbatchで加速安定性試験を進行した結果、全体の試験項目で経時的な変化は確認されず、安定的であった。
【0099】
実験例3. 脂肪前駆細胞及び脂肪分化細胞の破壊能の確認
(1)試験物質
脂肪前駆細胞及び脂肪分化細胞の破壊能を比較するため、デオキシコール酸と本発明が適用されたデオキシコール酸の分子会合体(DCA2001JJ43, DCA2001JJ83-1)とデオキシコール酸塩の分子会合体(DCA2001JJ85-1)を使用した。
【0100】
(2)脂肪前駆細胞の破壊能
3T3-L1の脂肪前駆細胞を96 well plateにwell当たり5x103 96個接種し、16時間の間培地で(high glucose DMEM, 10% bovine calf serum, 1% penicillin/streptomycin)育てた後、前記薬物をそれぞれ0.04%及び0.08%で含むように製造した後、4時間の間処理した。Dojingo CK04-11 cell counting kit-8をmanualに従って10 μlずつwellに添加した後、2時間反応させた後、
分光光度計で450 nmの吸光度を測定して脂肪前駆細胞の破壊能を比較し、図4に示した。
【0101】
その結果、0.04%ではデオキシコール酸塩の前駆体とデオキシコール酸の分子会合体とデオキシコール酸塩の分子会合体の脂肪前駆細胞の破壊能は同じであったが、0.08%処理時の前駆体24.6%と比較して、デオキシコール酸塩の分子会合体が添加された脂肪前駆細胞の生存率が11.9%減少した12.7%(*p=0.008)、デオキシコール酸の分子会合体の処理区で生存率が13.8%減少した10.8%(#p=0.01)と確認され、本発明の技術が適用されたデオキシコール酸の分子会合体の脂肪前駆細胞の破壊能の増加を確認した。
【0102】
(3)脂肪分化細胞の破壊能
Biovision 3T3 L1 differentiation kit manualに従って、3t3 L1の脂肪前駆細胞を培養皿に100% confluenceするように育てた後、培養液を分化維持培地に交替した6日後、多数のlipid dropletを有する脂肪分化細胞を誘導した(図5)。脂肪分化細胞に0.07%のデオキシコール酸の分子会合体を(DCA2001JJ43)処理し、Tomocube HT-2Hの顕微鏡を用いて、秒当たり2.5 framesで3D imageを得た後、imaging softwareであるTomoStudioを用いてmulti point acquisition機能を適用し、分化した脂肪細胞の変化を25秒の間隔で40分間撮影した。その結果、撮影後5分まで観察された脂肪分化細胞の cell membraneと細胞内の構造が5分後に急激に薄れることを確認することができ、8分後にはlipid droplet周辺のRI valueが外のmediumとほぼ類似したことで、分化した脂肪細胞の破壊能を確認した(図6)。
【0103】
実験例4. 前臨床試験
(1)SD rat 皮膚透過実験
材料
デオキシコール酸の分子会合体(実施例1の方法で製造されたDCA2002JJ84)のSD ratマウスの皮膚透過能と皮下脂肪組織除去能の確認実験を進行した。
【0104】
実験方法
十分な皮下脂肪組織を有する10週齢のSD rat (280~350g)のinterscapular部位(耳側の後ろ首の部位)を除毛して麻酔をかける。除毛した部位にdonor cellをテープで付着させる。前駆体である2.5%デオキシコール酸と本発明のデオキシコール酸の分子会合体500μlをdonor cellに2.5%を載せた後、麻酔持続状態で3、6、9時間連続的に皮膚に適用する。皮下組織、皮膚、血漿内のデオキシコール酸の分布量を確認して皮膚透過能を確認し、組織染色を通じて皮下脂肪細胞層の破壊能を確認して図7の下段に示した。陽性対照群としてデオキシコール酸の皮下注射群を使用した(1% DCA、500 μl皮下注射)。
【0105】
皮下組織のDCA分布量の測定結果
デオキシコール酸の前駆体とデオキシコール酸の分子会合体をSD ratの皮膚に連続塗布時、二つのグループとも時間経過により皮膚透過量が増加することを皮下組織内のデオキシコール酸の定量で確認した。皮下注射グループでは、皮下注射後、DCAの量が皮下組織内で徐々に減少した反面、皮膚塗布グループでは、時間経過による増加状態を示し、デオキシコール酸の分子会合体の透過率の増加幅がデオキシコール酸の前駆体より多少高かった(図7)。
【0106】
皮膚のDCA分布量の測定結果
デオキシコール酸の前駆体とデオキシコール酸の分子会合体をSD ratの皮膚に連続塗布時、二つのグループとも時間経過により皮膚に分布するデオキシコール酸の増加を確認した。一方、皮下注射グループの場合、6時間後に皮膚組織のデオキシコール酸が最も高く分布したが、9時間後には皮膚塗布グループより低い分布を示した(図8)。
【0107】
血漿のDCA分布量の測定結果
図9の結果はマウス血漿のDCA濃度を示したものであり、デオキシコール酸の皮下注射グループでのみ血漿からDCAが検出され、皮膚塗布グループでは血漿内DCAが検出されず、皮膚塗布で皮下脂肪除去効果があるが、血漿に移行せず、安全性の問題がないデオキシコール酸の分子会合体を確認した。
【0108】
組織学的分析の結果
デオキシコール酸1% 500μLの皮下注射グループ、デオキシコール酸2.5% 500μLの皮下塗布グループ、そしてデオキシコール酸の分子会合体2.5% 500μLをfranz cellが付着された部位に3、6、9時間連続適用した後、intercapular部位の組織(skin, subcutaneous tissue)を採取して固定後、H&E stainingとMasson's trichome stainingを実施し、顕微鏡観察を通じて組織変化を調査した。
【0109】
H&E染色の結果、デオキシコール酸の皮下注射グループでは、皮下注射後に組織がひどく損傷したことを観察することができた。皮膚塗布グループでは、時間が経過することによってdermis white adipose tissueの減少が観察され、これはデオキシコール酸の分子会合体の塗布グループでより明確に観察された(図10)。
【0110】
皮膚及び皮下組織内のコラーゲンの増減を観察するため、Masson's trichome stainingを実施した結果、皮膚塗布グループで脂肪細胞の破壊またはコラーゲンの増加による青色でstainingされた面積の増加を観察した(図11)。デオキシコール酸の皮下注射グループでは、組織に血腫及び浮腫が発生し、組織の損傷がひどく、切片生成時に組織が硬化し、9 hr処理グループでは、脂肪組織硬化で切片が割れ、適切な組織切片を得ることができなかった。
【0111】
結論
皮膚塗布グループでは、時間が経過することによって皮膚及び皮下組織に分布したデオキシコール酸の量が増加する傾向性を示し、デオキシコール酸の分子会合体がデオキシコール酸の前駆体処理群に比べて、皮膚や皮下組織に分布したデオキシコール酸の量がより高かった。血漿でのデオキシコール酸の濃度は、皮下注射グループでのみ検出され、組織学的分析において、皮膚塗布グループで投与後、時間が経過することによって組織内adipose tissueの減少が観察され、このような現象はデオキシコール酸の分子会合体の処理グループでより明確に示された。Pharmacokinetic研究結果で、皮下組織内に分布したデオキシコール酸の量が、時間が経過することによって蓄積され、組織学的分析で皮膚内のdermis white adipose tissueが減少したことで、デオキシコール酸の分子会合体が効果的に皮膚を透過し、脂肪組織の減少に寄与したと結論付けることができる。
【0112】
(2)ob/ob肥満マウスモデルを用いた皮膚透過脂肪分解の効果
材料
実施例1と同じ方法で2.52%デオキシコール酸の分子会合体を製造し(DCA2103JJ134-02、115 g、95%回収率)、ob/ob肥満マウスの脂肪減少効能評価のため、1.0%と2.5%で希釈した後、剤形化した(1.0% SCAI-101、2.5% SCAI-101)。
【0113】
実験方法
ob/ob肥満マウスモデルを用い、実施例1で製造したデオキシコール酸の分子会合体(1.0% SCAI-101、2.5% SCAI-101)の皮膚透過後の脂肪減少効果を確認しようとした。ob/ob肥満マウスの背中と腹部(お腹)の被毛を除毛し、1cm2サイズのそれぞれ2ヶ所(総4ヶ所)に1.0%と2.5%濃度のデオキシコール酸の分子会合体を含む溶液(SCAI-101)100μLずつ、1日2回ずつ十分に吸収されるように塗布した。4週間の体重変化、腰周りとマウス腹部のmicro-CT撮影で得た腹部脂肪量を陰性対照群と比較し、表9のように皮膚透過能と脂肪分解効能を確認した。
【表9】
【0114】
Body weightの変化
ob/ob肥満マウス対照群の体重は、正常飼料を摂取しながら持続的に成長し、46.2±1.13g(0週)から51.1±0.89g(4週)に4週間増加し、0週目の対照群の体重と比較時、3週目と4週目に統計学的に有意に増加した(それぞれp<0.01とp<0.001)。2.5%濃度塗布群も43.4±1.62g(0週)から48.3±1.49g(4週)に増加し、0週目の体重と比較時、4週目に統計学的に有意な増加が観察された(p<0.05)。しかし、1.0%濃度塗布群は42.1±2.14g(0週)から41.7±4.07g(4週)に減少した。
【0115】
下記表10と図12の結果のように、対照群と2.5%塗布群の体重は持続的に増加されたことが確認され、1.0%と2.5%塗布群の間の体重変化を比較すると、用量依存的な傾向性は観察されなかった。
【表10】
【0116】
腰周り及び腰周りの変化量
ob/ob肥満マウスに4週間1日2回ずつ塗布して腰周りを測定した結果、対照群の腰周りは0週目と比較時、1週、2週、3週、そして4週後まで統計学的に有意に増加した(すべてp<0.001)。(図13と表11)
【表11】
【0117】
デオキシコール酸の分子会合体を塗布した場合、1.0%濃度の場合、腰周りは0週目に比べ、若干増加し、2週目に統計学的に有意な増加を示したが(p<0.001)、3週目から減少し、4週目まで統計学的に有意な増加なしに0週目と類似して維持される。一方、塗布後、同じ週間に対照群の腰周りと比較時、1.0%濃度塗布群は1週目、2週目、3週目と4週目すべて統計学的に有意に短かった(すべてp<0.05)(表15)。これと一致して、腰周りの変化量(waist girth gain)は、同じ週間の対照群と比較時、1.0%濃度塗布群の1週目、3週目と4週目で統計学的に有意に減少した(すべてp<0.05)(表11)。2.5%濃度塗布群は0週目の腰周りと比較時、3週目に統計学的に有意に増加したが(p<0.01)(表11)、腰周りの変化量(waist girth gain)で対照群と比較時、統計学的に有意性が認められず、一時的な結果と判断された(表12)。
【表12】
【0118】
micro-CTスキャンの腹部脂肪量の測定結果
試験物質の塗布部位を含む腰部と腹部の腰周り(腰椎3-5番の間)に対する脂肪量の測定結果、1.0%と2.5%濃度塗布群の皮下脂肪量はそれぞれ2233.2±351.4mm3と2589.7±93.4mm3で、対照群(2505.4±279.4mm3)と比較時、統計学的に有意ではなく、皮下脂肪量の割合は対照群に比べてそれぞれ89.1±14.03%と103.4±3.73%であった。1.0%濃度塗布群の皮下脂肪量は対照群に比べて平均10.9%低かったが、2.5%濃度塗布群との用量依存的な減少傾向は観察されなかった。(表13)
【表13】
【0119】
塗布した皮膚組織の脂肪細胞組織の厚み評価
実施例1で製造したデオキシコール酸の分子会合体(SCAI-101、DCA WP)が直接塗布された皮膚の脂肪細胞組織の厚み測定結果、対照群、1.0%と2.5%濃度塗布群は1日2回ずつ塗布後、4週目にそれぞれ594.6±30.46μm、394.3±17.96μmそして492.4±11.42μmであり、1.0%と2.5%濃度塗布群いずれも対照群と比較時、統計学的に有意に減少した(すべてp<0.05)。対照群の脂肪組織の厚み対比、デオキシコール酸の分子会合体を塗布した群の脂肪組織の厚みの割合(% Average)は、それぞれ66.0±2.94%(1.0%濃度塗布群)と82.6±1.87%(2.5%濃度塗布群)で、低い濃度である1.0%濃度塗布群でのみ統計学的に有意な減少が確認された(p<0.05)。1.0%濃度塗布群の脂肪分解及び蓄積減少は、2.5%濃度塗布群より優れていることを確認することができた。(図14と表14)
【表14】
【0120】
結論
1.0%濃度塗布群(1.0% SCAI-101, DCA WP)を1日2回ずつ4週間塗布後、腰周り及び脂肪細胞の厚みにおいて、統計学的に有意な減少結果を確認したことで、皮膚透過後、皮膚脂肪量を減少または分解する薬理効果を確認した。このような結果は、一般的に皮膚透過が難しいと知られているデオキシコール酸の特性とは異なり、直接皮膚に塗布したデオキシコール酸の分子会合体の皮膚透過された薬理作用によるものと見ることができる。
【0121】
対照群と比較時、体重、腰周り及び皮下脂肪量の減少結果は、皮膚透過されたデオキシコール酸の分子会合体が直接的な脂肪細胞分解作用による間接的な影響による結果であったと予測される。
【0122】
従って、本発明の条件である1.0%濃度塗布群の皮膚透過脂肪分解の効果は最も適切な濃度であったと判断される。ただし、2.5%濃度塗布群の効果と用量依存的な傾向性は認められなかったが、今後、適切な濃度と組成改善を通じて、デオキシコール酸の分子会合体を含む溶液は、脂肪分解効果の極大化が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【国際調査報告】