IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ セルメタの特許一覧

<>
  • 特表-熱交換器 図1
  • 特表-熱交換器 図2
  • 特表-熱交換器 図3
  • 特表-熱交換器 図4
  • 特表-熱交換器 図5
  • 特表-熱交換器 図6
  • 特表-熱交換器 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/02 20060101AFI20240705BHJP
   F28D 7/02 20060101ALI20240705BHJP
   F24H 9/00 20220101ALI20240705BHJP
【FI】
F28F1/02 A
F28D7/02
F24H9/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024502214
(86)(22)【出願日】2022-07-15
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 EP2022069914
(87)【国際公開番号】W WO2023285680
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】2107688
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515004821
【氏名又は名称】セルメタ
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 卓
(72)【発明者】
【氏名】ジョゼフ、ル、メール
【テーマコード(参考)】
3L036
3L103
【Fターム(参考)】
3L036AA04
3L036AA21
3L103BB02
3L103CC02
3L103CC24
(57)【要約】
本発明は熱交換器(1’)に関し:-気密ケーシング(2)、-熱的に良好な伝導性の材料で作られ且つその内側において被加熱流体が循環可能な少なくとも1つのチューブ(4)、-そこに燃焼チャンバー(26)を定めるように、バーナー(3)などのケーシング(2)の内側において高温ガスを運ぶ及び/又は生成するための手段を備え、このらせん状の巻線(40)は、2つの隣り合うターン間にギャップ(45)を設けるように配置され、前記少なくとも1つのチューブ(4)は、反対の前面(41)及び後面(42)、長手方向軸(X-X’)に向けて方向付けられる底部サイド(43)、及び前記ケーシング(2)に向けて方向付けられるトップサイド(44)を有し、チューブ(4)の前記前面(41)及び前記後面(42)は、平面状又は実質的に平面状であり、ギャップ(45)の両側に位置する。この交換器は、前記少なくとも1つのチューブ(4)が、その前面(41)に及び/又はその後面(42)にショルダー(46)を有し、当該ショルダー(46)は、チューブの底部サイド(43)からそのトップサイド(44)に向かって、このチューブ(4)の直線セクションの高さ(H1)の一部にわたって延び、またこのチューブ(4)の全長にわたって又は実質的に全長にわたって延びる点で注目される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換器(1、1’)であって、
- 燃焼済みガスを排出するためのスリーブ(21)が設けられる気密ケーシング(2)と、
- 熱的に良好な伝導性の材料で作られ且つその内側において水などの被加熱流体が循環可能な少なくとも1つのチューブ(4)であって、このチューブ(4)が長手方向軸(X-X’)を有するらせん状の巻線(40)を形成するようにらせん状に巻かれており、このらせん状の巻線(40)が前記ケーシング(2)の内側に配置される、少なくとも1つのチューブと、
- そこに燃焼チャンバー(26)を定めるように、ガスバーナー又はオイルバーナー(3)などの前記ケーシング(2)の内側において高温ガスを供給する及び/又は生成するための手段と、を備え、
このらせん状の巻線(40)は、2つの隣り合うターン間に間隙(45)を設けるように配置され、
前記少なくとも1つのチューブ(4)は、互いに反対の前面(41)及び後面(42)、前記長手方向軸(X-X’)に向けて方向付けられる内輪サイド(43)、及び前記ケーシング(2)に向けて方向付けられる反対側の外輪サイド(44)を有し、前記チューブ(4)の前記前面(41)及び前記後面(42)は、平面状又は実質的に平面状であり、前記間隙(45)の両側に位置し、
この交換器は、
前記少なくとも1つのチューブ(4)が、その前面(41)に及び/又はその後面(42)にショルダー(46)を有すること、
このショルダー(46)が、前記チューブの前記内輪サイド(43)からその外輪サイド(44)の方向に、このチューブ(4)の直線セクションの高さ(H1)の一部にわたって延びること、及び、このショルダー(46)がまた、前記燃焼チャンバー(26)に位置する前記少なくとも1つのチューブ(4)の全長にわたって、又は、前記らせん状の巻線(40)の最初のターン又は最後のターンを除いて前記燃焼チャンバー(26)に位置する前記少なくとも1つのチューブの全長にわたって延びること、
及び、隣り合う2つのターン間の各間隙(45)が、前記チューブ(4)の前記外輪サイド(44)において、2つのターン間の前記間隙内に導入されるくし状部(5)の歯(50)を用いて、又は、前記少なくとも1つのチューブ(4)の前記前面(41)及び/又は前記後面(42)に形成されるボスなどの複数の突出要素を用いて較正され、前記チューブ(4)のターンに形成される各突出要素が、隣り合うターンの前記後面(42)及び/又は前記前面(41)に対してそれぞれもたれ、それによって前記ショルダー(46)が、前記間隙(45)を通過する前記高温ガスに同伴する煤及びスラグを回収することを可能にすること、を特徴とする、
熱交換器(1、1’)。
【請求項2】
前記ショルダー(46)は、前記内輪サイド(43)から測定して、前記チューブ(4)の前記直線セクションの高さ(H1)の約3分の1までの高さ(H2)にわたって延びることを特徴とする、請求項1に記載の熱交換器(1、1’)。
【請求項3】
前記1又は複数のショルダー(46)が位置する箇所で測定される隣り合う2つのターン間のギャップ(E1、E2)は、ショルダー(46)がない箇所で測定される隣り合う2つのターン間のギャップ(E3)よりも幅広いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱交換器(1’)。
【請求項4】
円板状のデフレクター(6)が、前記らせん状の巻線(40)の内側に気密に取り付けられ、この円板状のデフレクター(6)は、前記ケーシング(2)の内側に、前記円板状のデフレクター(6)と前記ケーシング(2)の底部との間に延びる凝縮チャンバー(27)と、前記円板状のデフレクター(6)と、前記高温ガス供給手段及び/又は前記高温ガス生成手段を持つドア(25)が取り付けられる前記ケーシング(2)の正面部(24)との間に延びる燃焼チャンバー(26)とを設け、前記ショルダー(46)は、前記燃焼チャンバー(26)に位置づけられる1又は複数のチューブ(4)又はチューブ部分(4)にのみ形成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の熱交換器(1、1’)。
【請求項5】
隣り合うターン間の前記間隙(45)は、前記少なくとも1つのチューブ(4)の前記前面(41)及び/又は前記後面(42)に形成されるボスなどの複数の突出要素を用いて較正され、各突出要素は、隣り合うターンの前記後面(42)及び/又は前記前面(41)に対してそれぞれもたれる前記チューブ(4)のターンに形成され、各突出要素は、前記ショルダー(46)を含まない前記前面及び/又は前記後面の部分(49)に形成されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱交換器(1、1’)。
【請求項6】
前記隣り合うターン間の前記間隙(45)は、前記少なくとも1つのチューブ(4)の前記前面(41)に又は前記後面(42)に形成されるボス(47)などの複数の突出要素を用いて較正され、前記突出要素及び前記ショルダー(46)は前記チューブ(4)の反対の面に形成され、前記突出要素は、前記ショルダー(46)を含まない前記チューブの面の部分(49)に対してもたれることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱交換器(1、1’)。
【請求項7】
前記チューブ(4)はハイドロフォーミング化されていることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱交換器(1、1’)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明は、熱交換器、特に家庭用温水又は暖房ネットワーク用の水を生成するために使用されるもの、の分野にある。
【0002】
発明は、より詳細には、ケーシングと、このケーシング内に高温ガスを供給する及び/又は生成してそこに燃焼チャンバーを定める手段と、この燃焼チャンバーに配置され且つその内側で水などの被加熱流体が循環する少なくとも1つのらせん状に巻かれたチューブとを備える熱交換器に関する。
【発明の概要】
【0003】
技術水準
そのような熱交換器は、技術水準において既に知られている。このタイプの交換器において、チューブのらせん状の巻線は、その隣り合うターン間にわずかな間隙を設けるように配置されている。巻線内で発生した又は巻線内に持ち込まれた高温ガスは、内側から外側へと間隙を通過し、その後、この目的のために設けられた燃焼済みガスを排出するためのスリーブによって熱交換器の外部に排出される。
【0004】
高温ガスがこれらの間隙を通過する際、それは、間隙の両側に位置するチューブのターンの壁を加熱し、そうすることでそれはこのチューブで循環する流体も加熱する。
【0005】
しかし、特にチューブが平面又は実質的に平面の前面及び後面を有する細長形状(oblong)断面を有する場合、スラグが、すなわち高温ガスによって運ばれる煤又は未燃焼粒子が、そこに堆積するため、隣り合う2つのターン間の間隙が目詰まりを起こして時間の経過とともに閉塞することさえありうることが観察される。
【0006】
一部の間隙のこの全体的又は部分的な閉塞は、燃焼チャンバー内を循環するガスの圧力の上昇をもたらす効果を有し、それは空気/燃料ミクスチャー(mixture)をバーナーに送り込むファン又は熱風を燃焼チャンバー内に送り込むファンの速度を上げる必要があり、したがってこのファンの電気消費が増加する。
【0007】
いくつかの間隙のこの閉塞は、被加熱流体と高温ガスとの間の熱交換面を減少させ、従ってチューブで循環する流体の加熱を発生させる効果があるが、それは後者の全長にわたって均質ではなく、熱交換器の効率の低下につながる。
【0008】
さらに、交換器の効率は、間隙が詰まるにつれて時間とともに悪化する。
【0009】
最後に、この閉塞があるため、定期的にこれらの間隙を清掃することも必要である。このメンテナンス作業は大きな労力及び多大な時間がかかる。
【0010】
内蔵バーナーを有するドアを備えた加熱装置は、US2015/0153067のドキュメントから既に知られている。この装置はチューブを備え、当該チューブの内側において加熱されるべき流体が循環することができる。このチューブは、らせん状の巻線を形成するようにらせん状に巻かれており、当該巻線の複数のターンは、バーナーによって作り出される高温ガスの通過を可能にする間隙によって、互いに間隔があけられている。これらの間隙は、このドキュメントの図において見られるように、チューブの複数の平面のうちの1つに形成されたエンボス状のポイントを使用して較正される。
【0011】
しかしながら、この文献は、このチューブの前面及び/又は後面において、チューブの内輪サイド(intrados side)からこのチューブの直線セクションの高さの一部にわたって且つチューブの全長又はチューブのほぼ全長にわたって形成される煤及びスラグ回収ショルダーを成すことを、記載又は示唆していない。
【0012】
らせん状に巻かれたチューブを備え、筐体の内側及びバーナーの周囲に配置される熱交換器も、EP 3 141 838号から知られている。ターン間の間隙は、チューブの外輪サイドに配置された歯が設けられるくし状部によって較正される。
【0013】
このチューブはまた、内輪サイドにおいて、チューブ、したがってそこで循環する被加熱流体、とバーナーによって生成された高温ガスとの間の接触面及び熱伝達を増加させることが意図された複数のウイングを有する。これらのウイングは、チューブの内輪端部に(その短辺において)形成される。
【0014】
この文書は、煤とスラグを回収するために、チューブの前面及び/又は後面にショルダーを有することについて記載していない。
発明の開示
したがって、発明の1つの目的は、前述の問題を解決することを可能にする熱交換器であって、特に、この交換器のチューブの隣り合う2つのターンの間の間隙の詰まりを抑制することを可能にする熱交換器を提案することである。
【0015】
この目的のため、発明は:
- 燃焼済みガスを排出するためのスリーブが設けられる気密ケーシング、
- 熱的に良好な伝導材料で作られ、内側において水などの被加熱流体が循環可能な少なくとも1つのチューブであって、このチューブが長手方向軸X-X’を有するらせん状の巻線を形成するようにらせん状に巻かれており、このらせん状の巻線が前記ケーシングの内側に配置される、少なくとも1つのチューブ、
- そこで燃焼チャンバーを定めるように、ガスバーナー又はオイルバーナーなどの前記ケーシングの内側で高温ガスを供給する及び/又は生成するための手段、を備え、
このらせん状の巻線は、2つの隣り合うターン間に間隙を設けるように配置され、
前記少なくとも1つのチューブは、互いに反対の前面及び後面、長手方向軸X-X’向けて方向付けられる内輪サイド、及びケーシングに向けて方向付けられる反対側の外輪サイドを有し、チューブの前記前面及び前記後面は、平面状又は実質的に平面状であり、間隙の両側に位置する、
熱交換器に関する。
【0016】
発明によれば、前記少なくとも1つのチューブは、その前面及び/又は後面においてショルダーを有し、このショルダーは、チューブの内輪サイドからその外輪サイドの方向に、このチューブの直線セクションの高さの一部にわたって延び、このショルダーはまた、前記燃焼チャンバーに位置する前記少なくとも1つのチューブの全長にわたって、又は、らせん状の巻線の最初のターン又は最後のターンを除いて前記燃焼チャンバーに位置する前記少なくとも1つのチューブの全長にわたって延び、隣り合う2つのターン間の各間隙は、チューブの外輪サイドで、2つのターン間の間隙内に導入されたくし状部の歯を使用して、又は、前記少なくとも1つのチューブの前面及び/又は後面に形成された、ボス(bosses)などの複数の突出要素を使用して較正され、チューブのターンに形成された各突出要素が、隣り合うターンの後面及び/又は前面に対してそれぞれもたれて、それによってショルダーが、間隙を通過する高温ガスに同伴する煤及びスラグを回収することを可能にする。
【0017】
このショルダーは、隣り合う2つのターン間の間隙を空いている状態に保ちながら、バーナーによるガスの燃焼から生じる煤やスラグを回収することを可能にする。こうして高温のガスはこの隙間を通過し続けることができ、らせん状の巻線において循環する水を加熱することができる。
【0018】
したがって、このショルダーは、ターンの目詰まりの速度を遅らせて、燃焼チャンバーにおける圧力上昇を制限し、交換器の電気的過消費を発生させないようにして、交換器の効率を維持し、熱交換器チューブに対して実施されるメンテナンス/クリーニングの介入を遅らせて間隔をあけることを可能にする。
【0019】
単独で又は組み合わされて取り入れられる発明の有利で非限定的な他の特徴によれば:
- ショルダーは、内輪から測定して、チューブの直線セクションの高さの約3分の1までの高さにわたって延びる。
- 1又は複数のショルダーが位置する場所で測定される隣り合う2つのターン間のギャップは、ショルダーがない場所で測定される隣り合う2つのターン間のギャップよりも広い。
- 円板状のデフレクターが、らせん状巻線の内側に気密的に取り付けられ、この円板状のデフレクターは、ケーシングの内側に、前記円板状のデフレクターとケーシングの底部との間に延びる凝縮チャンバーと、前記円板状のデフレクターと、前記高温ガス供給手段及び/又は生成手段を持つドアが取り付けられるケーシングの正面部との間に延びる燃焼チャンバーとを提供し、ショルダーは、燃焼チャンバーに位置づけられる1又は複数のチューブ又はチューブ部分にのみ形成される。
- 隣り合うターン間の間隙は、前記少なくとも1つのチューブの前面に及び/又は後面に形成されたボスなどの複数の突出要素を用いて較正され、各突出要素は、隣り合うターンの後面及び/又は前面に対してそれぞれもたれるチューブのターンに形成され、各突出要素は、ショルダーを具備しない前面及び/又は後面の部分に形成される。
- 隣り合うターン間の間隙は、前記少なくとも1つのチューブの前面又は後面に形成されたボスなどの複数の突出要素を用いて較正され、突出要素及びショルダーはチューブの反対の面に形成され、突出要素は、ショルダーを具備しないチューブの面の部分に対してもたれる。
- 前記チューブはハイドロフォーミング化されている。
【図面の簡単な説明】
【0020】
発明の他の特徴、目的及び利点は以下の説明から明らかになり、以下の説明は純粋に例示であって限定的なものではなく、添付図面との関連で読まれるべきであり、添付図面において:
図1図1は、発明による熱交換器の縦断面図を示し、当該熱交換器において燃焼チャンバーが1つだけある。
図2図2は、発明による熱交換器チューブの一部の斜視図である。
図3図3は、発明による凝縮熱交換器の縦断面図である。
図4図4はくし状部の斜視図である。
図5図5は、発明によるチューブの3つのターンの断面の詳細図であり、その断面はボスのレベルで作られている。
図6図6は、発明によるチューブの3つターンの断面の詳細図であり、その断面はボスのないチューブの箇所で作られている。
図7図7は、発明の別の実施形態によるチューブの3つのターンの断面の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
発明の詳細な説明
次に、発明の第1実施形態が、燃焼チャンバーのみを備える熱交換器1を表す図1を参照して説明される。この図において、熱交換器は、その通常の使用位置において表されている。
【0022】
この熱交換器1は、ケーシング2、前記ケーシングの内側に高温ガスを供給する及び/又は生成するための手段、及び加熱されるべき流体、特に水、が内側で循環する少なくとも1つのチューブ4を備える。図には見えないポンプが、この水循環を確保している。
【0023】
ケーシング2は概してチューブ状を有し、長手方向軸X-X’に沿って延びる。既知のやり方においてそれは、その上部において、燃焼済みガスを排出するためのスリーブ21を有し、その下部において、凝縮物を排出するためのダクト22に接続された出口オリフィスを有する。
【0024】
ケーシング2は、その後端において底部23により閉じられており、その内周面には熱絶縁材料で作られるディスク230が取り付けられている。
【0025】
ケーシング2のフロントには正面部24が固定されている。それは、ドア25によって塞がれることができる中央開口部を備える。
【0026】
チューブ4は、金属などの熱伝導性の良い材料で作られている。それは、らせん状の巻線40を形成するようにそれ自体にらせん状に巻かれており、それは、その長手方向軸X-X’がケーシング2の長手方向軸X-X’と一致するようにケーシング2の内側に配置されている。
【0027】
高温ガス生成手段は、好ましくはバーナー3であり、例えばガスバーナー又はオイルバーナーである。このバーナー3は、好ましくはチューブ状の形状であり、それは、その長手方向軸X-X’がケーシング2の長手方向軸X-X’と一致するように、ケーシング2の内側及び巻線40の内側に配置される。
【0028】
バーナー3はドア25の内側面に固定されている。
【0029】
高温ガス供給手段(図には示されていない)は、交換器の外側に配置されたバーナーと、ドア25に固定されたファンとを備え、らせん状の巻線40においてケーシング2の内側に高温ガスを導入する。
【0030】
こうして巻線40の内側に広がる空間が燃焼チャンバー26を構成する。
【0031】
チューブ4は、入口部及び出口部を形成する2つの端部を有し、それらから被加熱流体がそれぞれ導入され及び取り出される。図2には、これらの口部400のうちの1つが見える。
【0032】
チューブ4は細長形状(oblong)直線セクションを有し、当該細長形状直線セクションは、オーバル(oval)形状、又は矩形状、或いは(図に表されるような)突出して湾曲することができる短辺或いは突出してV形状とすることができる短辺を有する矩形状とすることができる。
【0033】
こうしてチューブ4は、互いに反対側の前面41と後面42を有する。
【0034】
慣例的に、本明細書の残りの部分及び特許請求の範囲において、「前面」という用語は、交換器のフロントに向けられた、すなわち正面部24に向けられた面を意味し、「後面」という用語は、交換器の後ろに向けられた、すなわち底部23に向けられた面を意味する。
【0035】
さらに、チューブ4は、軸X-X’に向けて及び燃焼チャンバー26に向けて(後者が存在する場合はバーナー3に向けて)方向付けられる内輪サイド43と、ケーシング2に向けて方向付けられる反対側の外輪サイド44とを有する。これらの内輪サイド43及び外輪サイド44は、チューブ4の短辺に対応する。
【0036】
好ましくは、図に表れているように、前面41及び後面42は平面であり、互いに平行である。しかし、チューブ4の直線セクションの形状によっては、これらの前面41及び後面42は厳密には平面ではない可能性があり、実質的に平面である(例えばわずかに湾曲している)可能性がある。
【0037】
好ましくは及び正面部24と底部23又はディスク230との間の巻線40のアセンブリを簡単にするために、チューブ4の巻線は、チューブの直線セクションの長軸Y-Y’がらせん状巻線40の長手方向軸X-X’に対して垂直であるように行われる。しかしながら、この長軸Y-Y’はまた、発明の範囲から逸脱することなく、らせん状巻線40の長手方向軸X-X’に対してわずかに傾斜しうる。
【0038】
らせん状巻線40は、隣り合う一連のターンを有し、2つの隣り合うターンの間には間隙45があり、その値は後に詳述するように較正される。この巻線40内では、図1及び図3に見られるように、チューブ4の前面41及び後面42が間隙45の両側に位置している。
【0039】
高温ガスは、矢印iで象徴されるように、内側から外側に、間隙45を通過することによって燃焼チャンバー26から出る。そうすることで、それはチューブ4の壁を、特に前面41及び42を、したがってこのチューブにおいて循環する水を、加熱する。その後、ガスはスリーブ21を通って外部に排出される(矢印ii参照)。
【0040】
発明に従い、図2、5及び6においてより良く分かるように、チューブ4は、その前面41及び/又はその後面42に、ショルダー46を有する。このショルダー46は、チューブ4の直線セクションの高さH1の一部にわたって、内輪サイド43から外輪サイド44の方向に延びる。
【0041】
図2において、このショルダー46が、H1よりも小さい(内輪サイド43から測定される)高さH2にわたって延びることが分かる。換言すれば、図5及び図6において分かるように、ショルダー46の存在は、ショルダー46のレベルでとらえられたチューブ4の断面の外側幅L2が、ショルダー46のないチューブの部分でとらえられたチューブ4の断面の外側幅L1よりも小さいことを意味する。
【0042】
好ましくは、高さH2は高さH1の約3分の1までである。
【0043】
ショルダー46はチューブ4の全長にわたって延びることができる。好ましくは、図2に見られるように、このショルダー46は途切れない。
【0044】
しかしながら、好ましくは、それは、この巻線のケーシング2における取り付けを簡単にするために、この長さの全体にわたって(しかしほぼ全体にわたって)延びていなくてもよく、特に巻線40の最初のターン及び/又は最後のターンにわたって延びていなくてもよい。したがって、例えば図1において、正面部24に対して適用される巻線の最初のターンが、このショルダー46を有していないことが分かる。それは、ショルダー46が後面42に設けられる場合に、底部23及びプレート230に対して適用される巻線の最後のターンについても同様でありうる。
【0045】
また、図7に示すように、チューブ4の前面41にショルダー46を設け、後面42に別のショルダー46を設けることも考えられうる。この場合、ショルダー46のレベルでとらえられたチューブ4の断面の外側幅はL3で参照され、L3は幅L1より小さい。
【0046】
ショルダー46は、間隙45を通過する高温ガスに同伴する煤及びスラグを回収するためのハウジングを作ることを可能にする。このショルダー46のレベルで測定された隣り合う2つのターン間のギャップ(又は幅)は、前面41においてのみショルダー46がある場合(図5及び図6参照)又は後面42にのみショルダー46がある場合にはE1で参照され、前面41にショルダー46があり且つ後面42にショルダー46がある場合(図7参照)にはE2で参照される。
【0047】
したがって、このギャップE1、E2は、ショルダー46がない場所で測定される、隣り合う2つのターン間のギャップ(又は幅)E3よりも広く、そのことは、スラグをショルダー46において捕捉することを可能にし、高温ガスの通過のための空間を残すことを可能にする。そのため、巻線40の目詰まりが緩やかになり、そのことは清掃作業の頻度を減らすことを可能にする。
【0048】
隣り合う2つのターンの間の間隙45は、有利には、すべて同一となるように、従って、そこで循環する高温ガス流が均質となるように、及び流体の加熱がチューブの全長にわたって均一となるように、較正される。
【0049】
発明の第1代替実施形態によれば、例えば図4に表したものなどの1つ又は複数のくし状部5を用いて間隙45を較正することができる。
【0050】
このくし状部5は、互いに平行な複数の歯50を有する。この間隙45を較正するために、このくし状部5は巻線40に対して配置され、それによってその歯50の各々が、チューブ4の外輪サイド44において、間隙45内に導入される。したがって、各歯50は、チューブ4のターンの前面41と、チューブ4の隣り合うターンの後面42とに接触する。好ましくは、歯50はショルダー46の高さまでは延びない。
【0051】
発明の第2代替実施形態によれば、間隙45は、(図1図2及び図5に表されているように)チューブ4の前面41に又は(図では見えない)後面42に形成されたボス47(波形部)などの突出要素を用いて較正されることができる。これらのボスは、好ましくは、チューブの全長にわたって均一に分布して、一定幅の間隙45を得るようになっている。
【0052】
チューブ4の前面41に及び/又は後面42に形成された各突出要素は、隣り合うターンの後面42及び/又は前面41に対してそれぞれもたれる。
【0053】
ボス47とショルダー46がチューブ4の同じ前面又は後面に、例えば図2に表したように前面41に、作られる場合、ボス47は、有利には、ショルダー46を具備しないチューブの面のうち49で参照される部分に作られる(図5も参照)。
【0054】
(ボス47などの)突出要素とショルダー46がチューブ4の反対側の面に(例えば、ショルダー46が前面41に、突出要素が後面42又はその反対に)作られる場合、突出要素は、ショルダー46を含まないチューブの面の部分49に対してもたれる。
【0055】
次に、発明による熱交換器の第2実施形態を図3に関連して説明する。後者において、一般的な参照1’を持つ凝縮熱交換器が見られる。
【0056】
熱交換器1に関して説明したものと同じ要素には同じ参照番号を付し、再度詳細には説明しない。
【0057】
この交換器1’は、以下の点で交換器1とは異なり、それは円板状のデフレクター6を備え、当該円板状のデフレクター6はチューブ4のらせん状の巻線40の内側で軸X-X’に垂直に配置され、ケーシング2の内側に、一方ではドア25とこのデフレクター6との間に延び且つ高温ガスが生成又は導入される燃焼チャンバー26を提供し、他方ではデフレクター6とケーシング2の底部23との間に延びる凝縮チャンバー27を提供するようになっている。
【0058】
この場合、ガス排出スリーブ21は凝縮チャンバー27に接続されることに留意される。
【0059】
デフレクター6は、半径方向の周縁フランジ63が設けられる薄いシートメタルフレーム62により担持された熱的絶縁材料で作られるディスク61を備える。
【0060】
デフレクター6は、チューブ4の巻線40の内側に取り付けられ、それによってそのフランジ63が、燃焼チャンバー26に位置するチューブ4の最後のターンと凝縮チャンバー27に位置するチューブ4の最初のターンとの間に存在する間隙45に、気密に挿入されて位置付けられる。
【0061】
好ましくは、ショルダー46は、燃焼チャンバー26に位置するチューブ4のターンにのみ形成され、凝縮チャンバー27に位置するチューブのターンには形成されない。
【0062】
実際、前述したように、バーナー3によって生成された高温ガスは、この燃焼チャンバー26に位置するチューブ4のターンに設けられた間隙45を通過して燃焼チャンバー26を出て行き(矢印i参照)、スラグがショルダー46において捕捉される。そして、高温のガスはケーシング2に突き当たり、凝縮チャンバー27に位置するチューブ4のターンの外輪サイド44に向かって導かれる(矢印iii参照)。そして、これらの高温ガスは、ターン間に形成された間隙45を、今度は外側から内側に、凝縮チャンバー27の方向へ通過する(矢印iv参照)。そしてこれらの高温ガスはもはやスラグを含まないので、ショルダー46は必要ない。
【0063】
ちょうど先に説明した2つの実施形態において、熱交換器1又は1’は、1つのらせん状に巻かれたチューブ4を備える。凝縮熱交換器1’の場合、単一チューブ4のターンの一部は燃焼チャンバー26内に延び、ターンの他の一部は凝縮チャンバー27内に延びる。
【0064】
しかし、各々がらせん状に巻かれ且つ並んで配置される複数のチューブ4を有し、それらのそれぞれの長手方向軸X-X’が同軸となるようにすることも可能であろう。この場合、異なるチューブ4はマニホールドによって互いに接続される。
【0065】
凝縮熱交換器1’の具体的な場合において、燃焼チャンバー26において1つ以上のチューブ4を有し、凝縮チャンバー27において1つ以上のチューブ4を有することも可能である。
【0066】
チューブ4はさまざまな方法で製造できる。製造方法の非限定的な2つの例を以下に示す。
【0067】
それは、例えば、金属の押出成形、例えばアルミニウムの押出成形、によって得られることができる。
【0068】
有利には、それはハイドロフォーミング(hydroforming)によって得られることもできる。
【0069】
このテーマについては、例えば出願人の特許FR2700608を参照することが可能である。
【0070】
そのような方法は、らせん状の巻き線40全体にわたってチューブ4の断面のプロファイルを変えることができ、特にチューブ4の長さのある部分にわたってのみショルダー46を形成することができるという利点がある。特に、この方法は、凝縮熱交換器1’の場合に、燃焼チャンバー26に位置するターンにのみショルダー46を作り出すことを可能にする。
【0071】
加えて、この方法は、最初のターンの面及び最後のターンの面が平面であるチューブを持つことも可能にし、そのことは、交換器の底部と正面部の設計を簡素化することを可能にする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】