IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スキンキュア オンコロジー リミティド ライアビリティ カンパニーの特許一覧

特表2024-525844強度変調された画素化表在放射線療法システム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】強度変調された画素化表在放射線療法システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61N5/10 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502441
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-01-15
(86)【国際出願番号】 US2022036229
(87)【国際公開番号】W WO2023287621
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】63/222,309
(32)【優先日】2021-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524019070
【氏名又は名称】スキンキュア オンコロジー リミティド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】カルマン フィッシュマン
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082AC02
4C082AG21
4C082AG26
(57)【要約】
X線治療システムは、電子ビームを発生させるように構成された電子ビーム発生器と、X線透過性内部を画定する側壁を含む画素ソースセルのアレイを備えるX線治療ヘッドと、を含む。側壁は、X線吸収性材料を含む。標的要素は、電子ビームによって衝撃を受けたときに、X線透過性画素ソースセル内部内でX線光子放射線を発生させるように位置決めされる。電子ビーム制御システムは、治療計画に応答して、画素ソースセルのうちの特定の画素ソースセルへの電子ビームの方向及び強度のうちの少なくとも一方を制御し、次いで、治療計画に応答して、少なくとも1つの追加の画素ソースセルへの電子ビームの方向及び強度のうちの少なくとも一方を制御するように構成されたコントローラを含む。X線光子放射線を用いて患者を治療する方法も開示される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線治療システムであって、
電子ビームを発生させるように構成された電子ビーム発生器と、
複数の画素ソースセルを含む画素ソースセルアレイを備えるX線治療ヘッドであって、前記複数の画素ソースセルの各々が、前記画素ソースセルのX線透過性内部を画定する側壁を備え、前記側壁が、X線吸収性材料を含み、前記画素ソースセルが、前記電子ビームによって衝撃を受けたときに、前記X線透過性内部内でX線光子放射線を発生させる標的要素を更に備える、X線治療ヘッドと、
コントローラを備える電子ビーム制御システムと、を備え、前記コントローラが、
治療される治療部位についての治療計画を受信することと、
前記受信された治療計画に基づいて、前記複数の画素ソースセルから1つ以上の画素ソースセルを選択することであって、前記1つ以上の画素ソースセルが、前記治療部位の形状を描写する、選択することと、
前記受信された治療計画に基づいて、前記選択された1つ以上の画素ソースセルの各々に送達される前記電子ビームの方向及び強度の少なくとも一方を決定することと、
前記電子ビーム発生器及び前記X線治療ヘッドにデータを送信することであって、前記データが、前記選択された1つ以上の画素ソースセルと、前記選択された1つ以上の画素ソースセルの各々についての前記方向及び前記強度のうちの前記決定された少なくとも一方とを含む、送信することと、を行なうように構成されている、X線治療システム。
【請求項2】
前記標的要素が、モリブデン、金、及びタングステンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のX線治療システム。
【請求項3】
前記標的要素が、基板上に提供されている、請求項2に記載のX線治療システム。
【請求項4】
前記基板が、ダイヤモンド、ベリリウム(Be)、炭化ケイ素(SiC)、サファイア、アルミニウム(Al)、セラミックアルミナ(Al)、又は窒化ホウ素(BN)からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3に記載のX線治療システム。
【請求項5】
前記X線吸収性材料が、ステンレス鋼、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1に記載のX線治療システム。
【請求項6】
前記画素ソースセルの各々が、前記X線透過性内部内に前記標的要素を含む、請求項1に記載のX線治療システム。
【請求項7】
前記X線透過性内部内に提供された前記標的要素の周囲全体が、前記画素ソースセルの前記側壁に接触している、請求項6に記載のX線治療システム。
【請求項8】
前記標的要素が、前記画素ソースセルの近位端において前記画素ソースセルアレイに取り付けられている、請求項1に記載のX線治療システム。
【請求項9】
前記画素セルは、円形、六角形、正方形、長方形、三角形、五角形、八角形、又は七角形からなる群から選択される少なくとも1つを含む断面幾何学的形状を有する、請求項1に記載のX線治療システム。
【請求項10】
複数の前記画素ソースセルの遠位端に配置されたレーザ発光体を更に備える、請求項1に記載のX線治療システム。
【請求項11】
前記コントローラが、前記治療部位の輪郭と一致する形状を形成する1つ以上のレーザ発光体を選択し、
前記選択された1つ以上のレーザ発光体によって形成される前記形状が、前記選択された1つ以上の画素ソースセルの周囲に対応し、
前記コントローラが、前記治療ヘッドが前記治療部位上に運ばれたときに、前記選択された1つ以上のレーザ発光体をオンにするように構成されている、請求項10に記載のX線治療システム。
【請求項12】
前記基板が、第1の基板及び第2の基板を含み、
前記標的要素が、前記第1の基板と前記第2の基板との間に挟まれている、請求項3に記載のX線治療システム。
【請求項13】
複数の硬化フィルタを更に備える、請求項1に記載のX線治療システム。
【請求項14】
前記複数の硬化フィルタのうちの少なくとも1つが、分離され得る少なくとも2つのセグメントを含む、請求項13に記載のX線治療システム。
【請求項15】
前記少なくとも2つのセグメントを開位置及び閉位置に位置決めするように構成されたアクチュエータを更に備える、請求項14に記載のX線治療システム。
【請求項16】
前記少なくとも2つのセグメントの前記位置を決定するように構成されたセンサを更に備える、請求項14に記載のX線治療システム。
【請求項17】
前記複数の硬化フィルタのうちの2つが各々、分離され得る2つのセグメントを含み、一方の硬化フィルタのセグメント間の分離開口部が、他方の硬化フィルタのセグメント間の分離開口部と直交して位置決めされている、請求項14に記載のX線治療システム。
【請求項18】
患者の標的部位をX線光子放射線を用いて治療する方法であって、
X線治療システムを提供することであって、前記X線治療システムが、
電子ビームを発生させるように構成された電子ビーム発生器と、
複数の画素ソースセルを含む画素ソースセルアレイを備えるX線治療ヘッドであって、前記複数の画素ソースセルの各々が、前記画素ソースセルのX線透過性内部を画定する側壁を備え、前記側壁が、X線吸収性材料を含み、前記画素ソースセルが、前記電子ビームによって衝撃を受けたときに、前記X線透過性内部内でX線光子放射線を発生させる標的要素を更に備える、X線治療ヘッドと、
コントローラを備える電子ビーム制御システムと、を備え、前記コントローラが、
治療される治療部位についての治療計画を受信すること、
前記受信された治療計画に基づいて、前記複数の画素ソースセルから1つ以上の画素ソースセルを選択することであって、前記1つ以上の画素ソースセルが、前記治療部位の形状を描写する、選択すること、
前記受信された治療計画に基づいて、前記選択された1つ以上の画素ソースセルの各々に送達される前記電子ビームの方向及び強度のうちの少なくとも一方を決定すること、
前記電子ビーム発生器及び前記X線治療ヘッドにデータを送信することであって、前記データが、前記選択された1つ以上の画素ソースセルと、前記選択された1つ以上の画素ソースセルの各々についての前記方向及び前記強度のうちの前記決定された少なくとも一方とを含む、送信すること、を行なうように構成されている、提供すること、
前記画素ソースセルアレイを患者の治療部位に対して位置決めすること、
前記電子ビームの前記方向及び強度のうちの少なくとも一方を制御して、第1の画素ソースセルに関連付けられた標的要素部分を選択的に打ち、前記治療部位の対応する部分を照射する拘束されたX線光子束を発生させること、
前記電子ビームの前記方向及び強度のうちの少なくとも一方を制御して、第2の画素ソースセルに関連付けられた標的要素部分を選択的に打ち、前記治療部位の異なる対応する部分を照射する拘束されたX線光子束を発生させること、を含む、方法。
【請求項19】
前記第1の画素ソースセル及び前記第2の画素ソースセルが異なる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
治療部位の厚さの増加に関連付けられた前記画素ソースセルのうちの特定の画素ソースセルについて、前記電子ビームのエネルギーを増加させるステップを更に含む、請求項18に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、放射線療法に関し、より具体的には、X線光子放射線療法システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表在放射線療法、術中放射線療法、一般小線源療法、及び腔内放射線療法を含む小線源療法は、標的細胞、特に皮膚癌病変、ケロイド、原位癌病変、及び表皮、真皮、皮下、並びに体の他の臓器及び組織における他の感染細胞のアポトーシスを誘導する治療として、X線光子などの放射線の使用を含む。小線源療法中には、健康な細胞への損傷を避けるように注意を払う必要がある。治療用X線光子の投与中に、切り欠き部分を備えた高X線吸収性材料で作られたシールドテンプレートを作製して、切り欠きによって露出された所定の領域内のみにおいてX線光子を透過させて治療部位に当てることを可能にすることが一般的である。そのようなテンプレートの製作は時間がかかり、不正確である。切り欠き部分は、X線光子が標的病変の細胞に当たることを可能にするようなサイズ及び輪郭でなければならない。そうでなければ、全ての標的癌細胞が除去されるとは限らない。したがって、治療ビームへの周囲組織の曝露をある程度制御しながら、病変の全体が治療されることを確実にするために、病変の決定され、かつ標的とされた輪郭を越えるテンプレート切り欠き設計では、場合によっては最大20%の治療マージンが許容される。この治療マージンの作製は、主観的であり、病変の不規則な表面形状及び表面下形状によって複雑になる。また、治療の前にテンプレートを正確に配置して取り付ける必要があり、テンプレートの移動は避けなければならない。
【発明の概要】
【0003】
本発明の技術の態様は、電子ビームを発生させるように構成された電子ビーム発生器を含むX線処理システムに関する。X線治療システムは、複数の画素ソースセルを含む画素ソースセルアレイを含むX線治療ヘッドを更に含む。複数の画素ソースセルの各々は、画素ソースセルのX線透過性内部を画定する側壁を含む。側壁は、X線吸収性材料を含む。画素ソースセルは、電子ビームによって衝撃を受けたときに、X線透過性内部内にX線光子放射線を発生させる標的要素を更に含む。X線治療システムはまた、コントローラを含む電子ビーム制御システムを含む。コントローラは、治療される治療部位についての治療計画を受信するように構成されている。コントローラはまた、受信された治療計画に基づいて、複数の画素ソースセルから1つ以上の画素ソースセルを選択するように構成され、1つ以上の画素ソースセルは、治療部位の形状を描写する。コントローラは、受信された治療計画に基づいて、選択された1つ以上の画素ソースセルの各々に送達される電子ビームの方向及び強度のうちの少なくとも一方を決定するように更に構成される。コントローラはまた、電子ビーム発生器及びX線治療ヘッドにデータを送信するように構成され、データは、選択された1つ以上の画素ソースセル、及び選択された1つ以上の画素ソースセルの各々についての方向及び強度のうちの決定された少なくとも一方を含む。
【0004】
本技術の他の構成は、本技術の様々な構成が例として示され説明される、以下の詳細な説明から当業者に容易に明らかになるであろうことが理解される。理解されるように、本技術は、他の異なる構成が可能であり、そのいくつかの詳細は、全て本技術の範囲から逸脱することなく、様々な他の点で修正が可能である。したがって、図面及び詳細な説明は、本質的に例示と見なされるべきであり、限定と見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面には、現在好ましい実施形態が示されており、本発明は、示されている構成及び手段に限定されないことを理解されたい。
【0006】
図1】本技術の例示的な態様による例示的なX線治療システムの概略図である。
図2】本技術の例示的な態様による、例示的な治療ヘッドの正面図である。
図3】本技術の例示的な態様による、例示的な画素ソースセルアレイの斜視図である。
図3A】本技術の例示的な態様による、例示的な画素ソースセルアレイの内部特徴を明らかにするために、部分透視拡大図である。
図4】本技術の例示的な態様による、画素ソースセルアレイの例示的な病変輪郭形成システムの斜視図である。
図5】本技術の例示的な態様による、可動X線治療システムの側面図である。
図6】本技術の例示的な態様による、例示的なX線治療システムの構成要素のブロック図である。
図7】本技術の例示的な態様による、X線療法を実施する例示的な方法を例示するブロック図である。
図8】本技術の例示的な態様による、画素ソースセルアレイの代替実施形態の概略斜視図である。
図9A】本技術の例示的な態様による操作の第1の段階における治療ヘッドの概略図である。
図9B】本技術の例示的な態様による第1の段階における治療されている病変の概略図である。
図9C】本技術の例示的な態様による操作の第2の段階における治療ヘッドの概略図である。
図9D】本技術の例示的な態様による第2の段階で治療されている病変の概略図である。
図9E】本技術の例示的な態様による操作の第3の段階における治療ヘッドの概略図である。
図9F】本技術の例示的な態様による第3の段階における治療されている病変の概略図である。
図10A】本技術の例示的な態様による、例示的な多強度画素ソースX線硬化フィルタシステムの概略図である。
図10B】本技術の例示的な態様による、部分的に開いた位置にある多強度画素ソースX線硬化フィルタシステムの概略図である。
図10C】本技術の例示的な態様による、多強度画素ソースX線硬化フィルタシステムの概略底面図である。
図10D】本技術の例示的な態様による、完全に開いた位置にある多強度画素ソースX線硬化フィルタシステムの概略図である。
図10E】本技術の例示的な態様による、多強度画素ソースX線硬化フィルタシステムの概略底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に記載される詳細な説明は、本技術の様々な構成の説明として意図されており、本技術が実施され得る唯一の構成を表すことを意図しない。添付の図面は、本明細書に組み込まれ、詳細な説明の一部を構成する。詳細な説明は、本技術の完全な理解を提供する目的のための具体的な詳細を含み得る。しかしながら、本技術は、本明細書に記載された特定の詳細に限定されず、これらの特定の詳細なしに実施され得る。いくつかの例では、本技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、構造及び構成要素がブロック図の形態で示されている。
【0008】
図1は、本技術の例示的な態様によるX線治療システム100の概略図を示す。X線治療システム100は、高電圧発生器104、ライン108、電子ビーム発生器112、集束電磁コイル116、真空ドリフトチューブ118、電子ビームステアリング電磁コイル120、画素セルソースアレイ126、及び真空ジャケット128を含む。
【0009】
高電圧発生器104は、ライン108を介して電子ビーム発生器112と通信し得る。集束電磁コイル116は、ビームを集束させ、ビームを真空ドリフトチューブ118を通過させて電子ビームステアリング電磁コイル120に到達させ、電子ビームステアリング電磁コイル120は、ビーム124を画素セルソースアレイ126上の所望の位置にステアリングする。真空ジャケット128は、電子ビーム124が周囲空気による減衰なしに画素セルソースアレイ126に移動することを可能にするように提供される。
【0010】
画素セルソースアレイ126は、治療ヘッド(例えば、図2の治療ヘッド200)上に提供され得る。画素セルソースアレイ126は、個々の画素セル130で構成されている。画素ソースセルアレイ126は、治療ヘッド幾何学的形状を形成するために、一緒に取り付けられるか、又は単一のモノリシック構造として製作された、複数の単一画素ソースセル130で構成され得る。画素ソースセルアレイ126は、様々な形態であり得る。これらの形態には、平面アレイ、湾曲アレイ、及び輪郭アレイが含まれる。
【0011】
画素ソースアレイ126は、各々が直径250マイクロメートル~2cmの範囲の3~15,000画素ソースセル130を有し得る。例えば、画素ソースセルアレイ126は、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個、20個、30個、40個、50個、60個、60個、80個、90個、100個、200個、300個、400個、500個、600個、700個、800個、900個、1000個、2000個、3000個、4000個、5000個、6000個、7000個、8000個、9000個、10000個、11000個、12000個、13000個、14000個、又は15000個の画素ソースセル130、及び、これらの値から選択された任意の小さい値及び大きい値の範囲内のいくつかの画素ソースセルを有することができる。各画素ソースセル130は、0.25mm、0.5mm、0.75mm、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、又は20mmの直径を有してもよく、これらの値から選択される任意の大きい値及び小さい値の範囲内の直径を有してよい。
【0012】
画素ソースセルアレイ126は、治療される腫瘍よりも大きくてもよい。腫瘍が画素ソースセルアレイ126よりも大きい場合、画素ソースセルアレイ126を、治療される病変又は標的組織表面全体を覆い包含するようにラスター化して移動させてもよい。画素ソースセル130の数及び寸法は、所望の解像度に依存し得、所与の領域におけるより多くの数の画素ソースセル130は、健康な周囲組織の照射を最小限に抑えながら、病変輪郭を覆う際のX線光子束の解像度及び精度を増加させる。画素ソースセルアレイ126内の画素ソースセル130の画素密度は、1平方インチ当たり1~25画素であり得る。各画素ソースセル130の長さは、1mm~100cmであり得る。したがって、画素ソースセルアレイ126の寸法は一定でなくてもよい。一態様では、画素ソースセルアレイ全体は、1mm~10cmの寸法を有することができる。
【0013】
画素ソースセルアレイ126は、画素ソースセルアレイ126から放出されるX線光子束によって病変全体を照射するのに十分な大きさであり得る。いくつかの態様では、画素ソースセルアレイ126よりも大きい領域は、画素ソースセルアレイ126をラスター化することによって治療され得る。画素ソースセルアレイ126のラスター化は、例えば、画素ソースセルアレイ126をロボットアーム上に取り付け、適切な位置付け基準を使用することによって実施されてもよい。
【0014】
画素ソースセルアレイ126の画素セル130の各々は、基板132、標的136、及び開放内部140を含む。標的136は、画素セル130の各々の開放内部140内に取り付けられた基板132上に提供されてもよい。例えば、電子ビーム124は、単一の画素セル130又は画素セル130の小グループの標的136に当たって、X線光子を発生させる。標的136に当たった電子ビーム124によって発生したX線光子は、画素セル130の壁によって制限され、画素セル130の軸と整列した画素化され拘束されたX線光子束144を提供する。
【0015】
画素ソースセル130は、電子ビーム124によって個別に標的化されてもよい。いくつかの例では、複数の画素ソースセル130は、電子ビーム124で一度に標的化され得るが、これは、画素ソースセルアレイ内の全画素ソースセルのサブセットである。画素ソースセル130は、図面(図1~4、8、9A、9C、及び9E)に示される幾何学的形状に限定されず、任意の好適な断面幾何学的形状を有し得る。例えば、画素ソースセル130は、円形、六角形、正方形、長方形、三角形、五角形、八角形、又は七角形からなる群から選択される少なくとも1つを含む断面幾何学的形状を有し得る。
【0016】
任意の数の画素ソースセル130をアレイに組み込むことができる。画素ソースセル130の数、形状、及び寸法は、図面(例えば、図1~4、8、9A、9C、及び9E)に示される数、形状、及び寸法に限定されず、臨床的必要性及び用途に応じて変更し得る。
【0017】
X線治療システム100は、画像誘導システム148、ライン152、治療計画システム(TPS)156、ライン158、中央処理装置(CPU)160、ライン162、X線中央制御基板164、及びライン166を更に含む。高電圧発生器104、画像誘導システム148、TPS156、CPU160、及びX線中央制御基板164の各々は、電子デバイスを表し得る。電子デバイスは、1つ以上のプログラム可能なプロセッサ、1つ以上のプログラム可能な論理回路、及び/又はプログラム可能なプロセッサ及びプログラム可能な論理回路によって実行されるプロセス及び論理フローに関する命令を記憶する1つ以上の記憶デバイスを含み得る。
【0018】
画像誘導システム148は、ライン152を介してCPU160に通信する。CPU160は、ライン158を介してTPS156と通信する。CPU160はまた、ライン162を介してX線中央制御基板164と通信する。X線中央制御基板164は、ライン166を介して高電圧発生器104と通信する。画像誘導システム148の助けを借りて、X線治療システム100は、正確な高解像の度強度変調された画素化X線ビームを標的治療部位に送達するように構成されている。
【0019】
例えば、画像誘導システム148は、標的治療部位の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像を取得し、取得された画像データをライン152を介してCPU160に送信する。CPU160は、画像データを処理し、画像データを変換する。CPU160は、変換済み画像データをライン158を介してTPS156に送信し、その後、ライン162を介してX線中央制御基板164に送信する。
【0020】
TPS156は、画像誘導システム148から指定された治療部位の取得された画像から抽出された画像誘導データを埋め込むことによって治療計画を生成する。治療計画は、画像誘導データ、標的治療部位をカバーするための選択された画素ソースセル130の活性化シーケンス、各画素ソースセル130の所望の強度、及び標的治療部位についての総治療線量(各画素ソースセル130についての標的に対する活性化時間の関数)で構成される。治療計画は、CPU160を介してX線中央制御基板164上にロードされる。
【0021】
X線中央制御基板164は、X線治療システム100の操作シーケンスを調整及び制御する。X線中央制御基板164は、X線治療システム100の操作シーケンスに基づいて高電圧発生器104を制御する。高電圧発生器104は、X線中央制御基板164によって制御されると、TPS156からの治療計画を実行しながら、治療ヘッド(例えば、図2の治療ヘッド200)内の各画素ソースセル130について変化する高電圧レベルを設定する。
【0022】
例えば、X線中央制御基板164は、TPS156からロードされた治療計画に従って、電子ビーム124の発生及び偏向を選択された各画素ソースセル130に向けて制御する。電子ビーム124は、真空チャンバ128を通って指定された画素ソースセル130に向かって移動する。電子ビーム124は、高電圧発生器104によって選択された高電圧範囲において発生し、TPS156からロードされた治療計画に従って、高電圧ライン108を介して、画素ソースセル130ごとに離散的に電子銃カソード112に送られる。
【0023】
X線中央制御基板164は、集束電磁コイル116を使用して電子ビーム124の磁場強度を制御することによって、電子ビームの焦点サイズ(直径)を設定する。次いで、集束された電子ビーム124は、真空ドリフトチューブ118を介して電子ビームステアリング電磁コイル120上に送られる。電子ビームステアリング電磁コイル120は、電子ビーム124の角度及びベクトルを、治療ヘッド(例えば、図2の治療ヘッド200)内の画素ソースセルアレイ126の選択された画素ソースセル130に向かって偏向させる。選択された画素ソースセル130内に密閉され、基板132上に提供されたX線標的136に当たると、コリメートされ、明確に画定されたX線光子束放出が、指定された治療部位に向かって発生する。コリメーション、X線ビーム幾何学的形状、及び適合性は、画素ソース130の高Zセル壁構造によって達成される。このシーケンスは、TPS156によって生成された治療計画及びX線中央制御基板164によるシーケンス制御に従って、治療ヘッド(例えば、図2の治療ヘッド200)内の指定され、かつ選択された画素ソースセル130ごとに繰り返される。X線治療システム100を制御する方法は、本明細書に記載の方法に限定されず、本技術の範囲外で修正された方法を包含し得る。
【0024】
X線治療システム100は、電子渦ビームを発生させるように構成された電子ビーム源を含む。電子ビーム制御システムは、コントローラ(例えば、画像誘導システム148、CPU160、TPS156、X線中央制御基板164、高電圧発生器104)を備え、コントローラは、画素ソースセルのうちの特定の1つへの電子ビームの方向及び強度のうちの少なくとも一方の治療計画に応答し、次いで、少なくとも1つの追加の画素ソースセルへの電子ビームの方向及び強度のうちの少なくとも一方を制御するための治療計画に応答して、電子ビーム発生システム((例えば、電子ビーム発生器112、集束電磁コイル116、真空ドリフトチューブ118、電子ビームステアリング電磁コイル120)を制御するように構成されている。電子ビームの操縦は、特定の病変治療部位についての治療計画に整合している。
【0025】
X線治療システム100は、共焦点撮像などのレーザベースの画像誘導(例えば、画像誘導システム148)を採用して、治療される腫瘍又は病変表面及び皮下解剖学的特徴及びトポロジーを有する治療計画システム(例えば、TPS156)を提供し、治療される病変又は腫瘍の表面及び深さ全体をよりうまくカバーするように画素化ビームの幾何学的配置の形状及び強度をよりうまく向上させて計画し、各画素ソースセルについての線量ペインティングを正確に計画して、病変又は腫瘍をより効果的に治療する。
【0026】
X線治療システム100は、図1に示すように、電子ビームの制御及びステアリングによって画素ソースセル140の個々の通電を可能にする。電子ビーム124は、電子ビーム124を非常に小さい公差、例えば、100um~2cmの焦点サイズ範囲、及び0.5~45度の電子ビーム偏向範囲で集束させステアリングするように制御され得る。また、ビームのエネルギーは、1つの画素ソースセルから別の画素ソースセルまで個別に制御され得る。各画素ソースセルのビームエネルギーの選択的制御は、各単一画素ソースセルにおけるX線光子ビーム透過の識別を可能にし、各画素ソースセルのビームオンタイムの関数として、標的治療部位の対応する照射領域間の線量を調節する。病変は、様々な皮下深度で異なる厚さ及び悪性度を有し、透過及び線量の個別化された画素ソースセル制御は、各標的病変について、治療部位におけるより大きい透過深度及び増強された線量が必要である場合に、治療の有効性及び精度を高めることを可能にする。本開示によるX線治療システム100は、ほとんどの場合に妥協的な方法である、病変全体にわたって包括的な凝集線量及び治療ビームを送達することの代わりに、臨床医によって必要とされるような高精度及び強度で各病変を治療するための新規の機能を提供する。
【0027】
図2は、本技術の例示的な態様による治療ヘッド200の正面図を示す。治療ヘッド200は、画素化X線源セルアレイ208、光源212、及びレーザビームエミッタ216を収容するハウジング204を含む。
【0028】
治療ヘッド200のハウジング204の形状は、図2に示される形状に限定されず、他の形状であってもよい。画素化X線セルソースアレイ208は、X線セルソースアレイ126の構造と同様又は同じ構造を含み得る。画素化X線セルコースアレイ208の形状は、図2に示される形状に限定されなくてもよい。画素化X線セルソースアレイ208内のX線セルソースの数は、図2に示されるX線セルソースの数に限定されず、これよりも少なくても又は多くてもよい。
【0029】
光源212は、治療ヘッド200の前面の周囲に設けられる。光源212は、患者の体の標的治療部位に照射する光を発生させるLED光源を含む。光源212は、オペレータが画素化X線セルソースアレイ208が標的治療部位をカバーするかどうかを調べることを可能にするために使用されてもよい。光源212の形状及び数は、図2に示されるものに限定されないが、光源212が標的治療部位に光を照射し、オペレータが標的治療部位全体をカバーしているかどうかを調べることを可能にする限り、任意の形状又は任意の数の光源212を含み得る。
【0030】
レーザビームエミッタ216は、治療ヘッド200の中心点の正確な十字線映像を作成して、オペレータが患者の体の指定された治療部位上の適切で正確な位置決め及び配置を確認することを可能にしてもよい。レーザビームエミッタ216は、4つのレーザビームエミッタを含むが、レーザビームエミッタ216の数は、レーザビームエミッタ216が治療ヘッド200の中心点の十字線映像を作成することができる限り、図2に示される4つよりも少ないか又は多いレーザビームエミッタであってもよい。
【0031】
図3は、本技術の例示的な態様による、画素ソースセルアレイ300の斜視図を示す。画素ソースセルアレイ300は、複数の個々の画素ソースセル304で構成されている。
【0032】
図3Aは、本技術の例示的な態様による、画素ソースセルアレイ300の画素ソースセル304のうちの1つの拡大図を示す。画素ソースセル304は、内部の特徴を明らかにするために部分的に透視図で示されている。各画素ソースセル304は、X線吸収性壁308、X線透過性内部310、標的材料312、及び1つ以上のX線透過性基板層316から構成されている。
【0033】
X線吸収性壁308は、X線透過性内部310を画定する。画素ソースセル304のX線透過性内部310内には、標的材料312がX線透過性基板層316によって支持されるように、標的材料312及びX線透過性基板層316が提供される。
【0034】
X線吸収性壁308は、X線吸収性材料を含む。例えば、X線吸収性材料は、高Z材料を含む。高Z材料という用語が本明細書で使用される場合、一般に、少なくとも21の原子番号を有する材料を指す。好適な高Z材料は、ステンレス鋼、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、及びタンタル(Ta)からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。他のX線吸収性材料もあり得る。X線吸収性壁308は、画素ソースセル内のX線光子束を制約し、それによって、画素化され拘束されたX線光子束が、各画素ソースセルによって発生する。
【0035】
画素ソースセル304の各々のX線吸収性壁308によって画定されるX線透過性内部310は、開放されてもよく、又はX線透過性材料(例えば、X線透過性基板層316)で充填されるか若しくは覆われてもよい。X線透過性基板層316は、選択された画素ソースセル304内を標的とする電子ビームを透過させなければならない。X線透過性基板層316が標的要素の後に提供されるとき、X線透過性基板層316は、標的材料312によって発生したX線光子束を透過させるべきである。X線透過性基板層316は、ダイヤモンド、ベリリウム(Be)、炭化ケイ素(SiC)、サファイア、アルミニウム(Al)、セラミックアルミナ(Al)、又は窒化ホウ素(BN)からなる群から選択される少なくとも1つであり得る。電子ビームを透過させる他の基板材料は、X線透過性基板層316に使用され得る。
【0036】
X線透過性基板層316は、X線透過性内部310に設けられており、標的要素(例えば、標的材料312)を支持し、標的材料312が電子ビームによって衝撃を受けたときに、標的材料312がX線光子放射線を発生させることを可能にする。例えば、標的材料312は、単一のX線透過性基板層316によって支持され得る。いくつかの実施形態では、X線透過性基板層316は、2つのX線透過性基板層316の間に標的材料312を挟むことによって標的材料312を支持し得る。しかしながら、いくつかの他の実施形態では、標的要素は、2つ以上のX線透過性基板層316の間に設けられてもよい。
【0037】
標的材料312は、画素ソースセル304のX線吸収性壁308と接触するように位置決めされ得、それによって、標的材料312に当たる電子ビームによって発生したX線光子は、画素ソースセル304の高Z壁(例えば、X線吸収性壁308)内に放出され、画素ソースセル304の高Z壁(例えば、X線吸収性壁308)によって制限される。標的材料312は、ステアリングされた電子ビームを標的材料312の中心において受け取るように位置決めされ得、それによって、高Z画素ソースセル壁によって封じ込められ、コリメートされる所望のX線光子束を発生させる。例えば、標的材料312は、X線吸収性壁308によって画定されたX線透過性内部310内に配置され得る。いくつかの実施形態では、標的材料312は、画素ソースセル304の端部に配置され得る。
【0038】
標的材料312は、X線光子を発生させることによって電子ビームに反応する材料で形成される。好適な標的材料としては、例えば、モリブデン、金又はタングステンが挙げられる。電子ビームによって衝撃を受けたときに比較的高い効率でX線光子を効率的に発生させる他の材料が、標的材料312に使用され得る。標的要素は、画素ソースセルアレイ全体に関連付けられた単一の大きな標的要素、又は一緒にクラスタ化された複数の画素ソースセルであってもよい。標的要素は、各画素ソースセルに対して離散的であり得る。
【0039】
画素ソースセル304は、X線吸収性壁308、X線透過性内部310、標的材料312、及びX線透過性基板層316を使用して、幾何学的に画定され限定された表面領域をカバーする制限された正確なX線ビームを提供する。画素ソースセル304は、集束されステアリングされた電子ビームを標的材料312に向けることによってそのような技術的改善を達成し、ステアリングされた電子ビームが標的材料312に当たった後、標的材料312によって発生したX線光子束が、高Z壁によって制限され、高Z壁が、結果として生じるX線光子ビームを、画素ソースセルの幾何学的形状を超えて散乱させることなく、コリメートし、画定された表面領域(例えば、患者の治療部位)に向かって誘導する。これにより、X線に曝露される患者の治療部位の近くの健康な細胞の量が更に減少する。アレイ内に複数の画素ソースセルを提供することによって、ステアリングされた電子ビームの制御を使用して、標的治療部位の所定の形状及び輪郭を画素化様式で生成することができる。
【0040】
図4は、本技術の例示的な態様による、画素ソースセルアレイのための病変輪郭形成システム400の斜視図を図示する。病変輪郭形成システムは、画素ソースセル404のアレイ、開放内部412、光ファイバレーザ発光体416、光ファイバケーブル420、1つ以上の光ファイバケーブルクラスタ422及び424、好適な病変輪郭形成レーザ源426、病変輪郭形成中央制御基板432、並びに接続438及び442を含む。
【0041】
画素ソースセル404は、それぞれ、開放内部412を含む。開放内部412は、標的材料(例えば、図3の標的材料312)によって発生したX線光子の放出を可能にする。光ファイバレーザ発光体416は、開放インテリア412の各々の周囲に沿って提供される。光ファイバレーザ発光体415は、患者の治療部位上に開放内部412を通して放出されるX線光子によって照射される領域の輪郭を画定するために使用されるレーザビームを発生させる。光ファイバレーザ発光体416は、光ファイバケーブル420を通してレーザ光を受け取る。光ファイバケーブル420は、1つ以上の光ファイバケーブルクラスタ422及び424に束ねられてもよい。レーザ光は、好適な病変輪郭形成レーザ光源426によって発生する。病変輪郭形成中央制御基板432は、患者の治療部位についての治療計画に従って、レーザ光を接続部438を介して束422に向け、接続部442を介して束424に向け、そしてそれによって光ファイバケーブル420及び光ファイバレーザ発行体416に向ける。
【0042】
病変(例えば、患者の体の治療部位)上の標的X線ビームの輪郭の表示をオペレータに提供することにより、オペレータは、実際の病変上の治療ビームの正確な配置及び縁をリアルタイムで検証することができる。この機能は、病変輪郭形成モジュール(例えば、病変輪郭形成システム400)によって達成される。病変輪郭形成システム400は、レーザなどの光を投影して、ヘッド及び画素ソースセルアレイの位置決めの表示をオペレータに提供する。病変輪郭形成システム400の光ファイバクラスタは、複数の光ファイバストランドで構成され得、光ファイバストランドは、画素ソースセルアレイ全体に提供することができ、各画素ソースセルのエッジポイントを示すために各画素ソースセルのエッジ間に埋め込むことができ、治療計画システムによって提供される治療計画に従って病変輪郭形成システム400を使用して個々に制御可能とすることができる。
【0043】
図5は、本技術の例示的な態様による可動X線治療システム500の側面図を示す。可動X線治療システム500は、治療ヘッド504、画素ソースセルアレイ508、関節屈曲アームアセンブリ512、位置決めモータ516、可動ベース支持体520、共焦点撮像ヘッド524、共焦点撮像ヘッドデータ及び電源ケーブル528、治療計画タブレット532、1つ以上のベース荷重キャスタ536、1つ以上のベースステアリングキャスタ540、冷気吸入ルーバー544、及び熱気排気ルーバー548を含む。
【0044】
治療ヘッド504は、画素ソースセルアレイ508を含む。治療ヘッド504と画素ソースセルアレイ508との間の構造的関係は、図2の治療ヘッド200を使用して説明された構造的関係と同様であり得る。画素ソースセルアレイ508は、図1~4に関して説明された画素ソースセルアレイの任意の組み合わせと同じ又は類似の構造を有し得る。治療ヘッド504は、関節屈曲アームアセンブリ512の一端に取り付けられている。関節屈曲アームアセンブリ512の他端は、位置決めモータ516に接続されている。位置決めモータ516は、可動ベース支持体520上に取り付けられている。
【0045】
図5には示されていないが、可動ベース支持体520は、画像誘導システム(例えば、図1の画像誘導システム148)、CPU(例えば、図1のCPU160)、TPS(例えば、図1のTPS156)、X線中央制御基板(例えば、図1のX線中央制御基板164)、及び高電圧発生器(例えば、図1の高電圧発生器104)を含み得る。可動ベース支持体520は、共焦点撮像ヘッド524を更に含み、共焦点撮像ヘッド524は、共焦点撮像ヘッドデータ及び電源ケーブル528を介して可動ベース支持体520に接続されている。例えば、共焦点撮像ヘッド524は、画像誘導システムの一部であってもよく、患者の体の治療部位の1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像を取得するために使用される。取得された1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像は、共焦点撮像ヘッドデータ及び電源ケーブル528を介して、可動ベース支持体520内のCPUに送信される。
【0046】
可動ベース支持体520には、治療計画タブレット532が更に取り付けられている。治療計画タブレット532は、オペレータが1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像を確認し、治療ヘッド504を制御するためのデータ及び指示(例えば、治療計画)を入力することを可能にするユーザインターフェースである。例えば、治療計画タブレット532は、TPSの一部であってもよく、取得された1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像をCPUから受信する。受信された1つ又は複数の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像は、オペレータによる確認のために治療計画タブレット532上に表示され得る。治療計画タブレット532は、オペレータからのユーザ入力を受信して、受信された1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像に少なくとも基づいて治療計画を生成し得る。生成された治療計画は、治療計画タブレット532からCPUを介してX線中央制御基板に送信される。受信された治療計画に基づいて、X線中央制御基板は、治療部位をカバーする画素ソースセルアレイ508から1つ以上の画素ソースセル(図示せず)を選択し、選択された1つ以上の画素ソースセルの各々に送達されるX線ビームの強度を決定する。次いで、X線中央制御基板は、選択された1つ以上の画素ソースセル及びX線ビームの対応する強度を高電圧発生器に通信する。X線中央制御基板からの通信に基づいて、高電圧発生器は次いで、治療ヘッド504及び画素ソースセルアレイ508と通信して、正確な高解像度の強度変調された画素化X線ビームを標的治療部位に送達する。
【0047】
可動ベース支持体520は、オペレータが可動X線治療システム500を必要に応じた場所に移動させることを可能にするために、ベース荷重キャスタ536及びベースステアリングキャスタ540を更に含み得る。可動ベース支持体520は、可動X線治療システム500に冷却空気を供給するために、冷気吸入ルーバー514及び熱気排気ルーバー548を更に含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、X線治療システム500は、サイズ、アレイ内の画素ソースセルの数、アレイ全体の形状、各画素ソースセルの形状及び寸法、各画素ソースセルの軸、及びしたがって、各画素ソースセルから放出されるX線光子束の方向、並びにアレイ内の全ての画素ソースセルセルの配置によって互いに異なるいくつかの交換可能な治療ヘッドから構成され得る。
【0049】
図6は、本技術の例示的な態様によるX線治療システム600の構成要素のブロック図である。具体的には、ブロック図は、本技術の例示的な態様による、X線治療システム600の構成要素及びX線治療システム600を制御するための方法の流れを示す。
【0050】
X線治療システム600は、電子ビーム源604、電子ビーム606、集束電磁石608、集束された電子ビーム610、ステアリング電磁石612、方向付けられた電子ビーム614、電子ビーム真空チャンバ616、電子ビーム618、画素ソースセルアレイ620、高電圧発生器624、接続部626、システム電源バンク630、電力線628、X線中央制御基板640、電力線638、接続部642、接続部644、接続部646、CPU648、電力線650、TPS654、接続部656、画像誘導システム660、接続部662、電力線664、及び電力線670を含む。接続部626、642、644、646、及び656は、2つの構成要素間の双方向通信を提供し得る。
【0051】
システム電源バンク630は、電力線628を介して高電圧発生器624に電力を供給し、電力線638を介してX線中央制御基板640に電力を供給し、電力線650を介してCPU648に電力を供給し、電力線664を介してTPS654に電力を供給し、電力線670を介して画像誘導システム660に電力を供給する。高電圧発生器624は、接続部626を介して電子ビーム源604に電力を供給する。
【0052】
画像誘導システム660は、患者の体の治療部位(例えば、病変)の1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像を取得し、取得された1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像に基づいて画像誘導データを生成する。画像誘導データは、接続部662を介してCPU648に通信される。CPU648はまた、接続部662を介して画像誘導システム660に情報を受信して提供する。CPU648は、接続部656を介して画像誘導データをTPS654に通信する。TPS654は、画像誘導データに基づいて治療計画を生成する。生成された治療計画は、接続部656を介してCPU648に通信される。CPU648は、治療計画に基づいて、電子ビーム源604、集束電磁石608、及びステアリング電磁石612を制御するための命令を生成し、接続部644を介してX線中央制御基板640に命令を通信する。
【0053】
X線中央制御基板640は、これらの命令を処理して、接続部642を介して集束電磁石608に制御信号を提供し、接続部646を介してステアリング電磁石612に制御信号を提供する。X線中央制御基板640は更に、高電圧発生器624に制御信号を提供する。高電圧発生器624は、X線中央制御基板640から受信された制御信号に基づいて、接続部626を介して電子ビーム源604に高電圧ゲインを提供する。
【0054】
電子ビーム源604は、X線中央制御基板640から受信された制御信号に基づいて電子ビーム606を発生させる。すなわち、電子ビーム源604内の電子ビーム生成及び制御は、TPS654によって生成された治療計画に基づいて、X線中央制御基板640によって管理される。電子ビーム606は、集束された電子ビーム610を発生させる集束電磁石608を通過する。次いで、集束された電子ビーム610は、ステアリング電磁石612に入る。方向付けられた電子ビーム614が出現し、電子ビーム真空チャンバ616に入る。次いで、電子ビーム618は、画素ソースセルアレイ620に当たり、そこから強度変調された画素化X線光子ビームが発生して、病変(例えば、治療部位)を治療する。CPU648は、システムのモジュール、信号、及び操作シーケンスを制御することによって、X線治療システム600を高レベルで操作し患者の治療部位上に管理する。
【0055】
図7は、本技術の例示的な態様に従った、強度変調された画素化表在放射線療法システム700をX線療法するための方法を示すブロック図を示す。システム700は、治療アーム及びヘッド要素制御システム704、メインシステム制御モジュール724、TPS744(例えば、図1のTPS156、図5の治療計画タブレット532、図6のTPS654)、画像誘導モジュール750(例えば、図1の画像誘導システム148、図6の画像誘導システム660)、画像誘導モジュール750によって接続及び制御された画像誘導ヘッド762(例えば、図5の共焦点撮像ヘッド524)、及び病変輪郭形成モジュール780(例えば、図4の病変輪郭形成システム400)を含む。
【0056】
画像誘導モジュール750は、撮像中央制御ユニット754及び撮像ビーム発生器758を含む。撮像中央制御ユニット754は、接続部760を介して画像誘導ヘッド762に接続され、接続部759を介して撮像ビーム発生器に接続されている。例えば、画像誘導ヘッド762は、患者の治療部位(例えば、病変)の1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像を取得するために必要な画像ビームを、接続部759を介して撮像ビーム発生器758から受け取る。取得された1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像は、接続部760を介して画像誘導ヘッド762から撮像中央制御ユニット754に送信される。撮像中央制御ユニット754は、取得された1つ以上の解剖学的画像及び/又はトポロジカル画像の画像誘導データを、接続部770を介してメインシステムモジュール724のCPU728に通信する。撮像ビーム発生器758は、画像誘導ヘッド762を制御するための命令を、接続部774を介してメインシステムモジュール724のCPU728から受信し得る。
【0057】
メインシステムモジュール724は、CPU728(例えば、図1のCPU160、図6のCPU648)、中央XC線システム制御基板732(例えば、図1のX線中央制御基板164)、高電圧発生器(HVG)736(例えば、図1の高電圧発生器104、図6の高電圧発生器624)、及びシステム電源バンク740(例えば、図6のシステム電源バンク630)を含む。CPU728は、接続部730を介して中央X線システム制御基板732に接続されている。中央X線システム制御基板732は、接続部734を介してHVG736に接続されている。接続部738を介してシステム電源バンク740に接続されたHVG。システム電源バンク740は、システム700に電力を提供する。
【0058】
CPU728は、撮像中央制御ユニット754から画像誘導データを受信すると、撮像誘導データを接続部742を介してTPS744に送信する。TPS744は、画像誘導データをシステム700のオペレータに提供してもよい。例えば、TPS744は、画像誘導データを表示するためのディスプレイ(図示せず)と、オペレータからユーザ入力を受信するためのユーザインターフェース(図示せず)とを含み得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイは、ユーザインターフェースとして機能するタッチスクリーンであり得る。TPS744は、画像誘導ヘッド762によって撮像された患者の治療部位についての治療計画を、ユーザインターフェースを介してオペレータから受信し得る。TPS744は、治療計画をCPU728に送信する。
【0059】
CPU728は、TPS744から治療計画を受信すると、受信された治療計画に基づいて、IMVB治療ヘッド708内の画素ソースセルアレイ(図示せず)から、X線を放出して治療部位を透過させるために使用される1つ以上の画素ソースセルを選択する。CPU728は、治療計画に基づいて、選択された1つ以上の画素ソースセルの各々についてのX線の強度を決定する。CPU728は、X線の放出の角度及び/又は方向を更に決定し得る。CPU728は、選択された1つ以上の画素ソースセル、X線の対応する強度、及びX線の放出の角度及び/又は方向に対応する制御信号を、接続部730を介して中央X線システム制御基板732に送信する。
【0060】
中央X線システム制御基板732は、接続部734を介して高電圧発生器736に制御信号を送信し、接続部720を介してIMVB治療ヘッド708に制御信号を送信し、接続部789を介して病変輪郭形成モジュール780の病変輪郭形成中央制御基板788に制御信号を送信する。
【0061】
高電圧発生器736は、中央X線システム制御基板732から制御信号を受信すると、受信された制御信号に基づいて高電圧ゲインを決定し、決定された高電圧ゲインをIMVB治療ヘッド708内の電子ビーム源(図示せず)に提供する。
【0062】
病変輪郭形成モジュール780は、病変輪郭形成レーザ光源784、病変輪郭形成中央制御基板788、及び光ファイバクラスタ792を含む。病変輪郭形成レーザ光源784は、接続部786を介して病変輪郭形成中央制御基板788に接続されている。病変輪郭形成中央制御基板788は、接続部790を介して光ファイバクラスタ792に接続されている。
【0063】
光ファイバクラスタ792は、接続部794を介してIMVB治療ヘッド708に接続された複数の光ファイバケーブル(図示せず)を含む。病変輪郭形成レーザ光源784は、接続部785を介してシステム電源バンク740から電力を受け取る。病変輪郭形成レーザ光源784は、レーザ光を複数の光ファイバケーブルに提供する。病変輪郭形成中央制御基板788は、中央X線システム制御基板732から受信された制御信号に基づいて、複数の光ファイバケーブルから、レーザ光を透過させるための1つ以上の光ファイバケーブルを選択する。
【0064】
治療アーム及びヘッド要素制御システム704は、IMVB治療ヘッド708、関節屈曲アーム712、及びアームアクチュエータ716を含む。治療ヘッド708は、接続部710を介して関節屈曲アーム712に接続されている。関節屈曲アーム712は、接続部714を介してアームアクチュエータ716に接続されている。
【0065】
図7には図示されていないが、IMVB治療ヘッド708は、画素ソースセルアレイ(例えば、図1の画素ソースセルアレイ126、図2の画素化X線ソースセルアレイ208、図3の画素ソースセルアレイ300、図5の画素ソースセルアレイ508、図6の画素ソースセルアレイ620)を含んでもよい。IMVB治療ヘッド708内の画素ソースセルアレイから治療計画に基づいて選択される1つ以上の画素ソースセルは、高電圧発生器736から電子ビームを受け取ってもよい。例えば、選択された1つ以上の画素ソースセルの各々に送達される電子ビームの強度は、治療計画に基づいて設定されてもよい。いくつかの実施形態では、強度は、1つ以上の画素ソースセルにわたって均等であってもよい。いくつかの他の実施形態では、強度は、画素ソースセルごとに異なり得る。更に、いくつかの他の実施形態では、同じ強度が1つ以上の画素ソースセルのうちのいくつかに送達されてもよく、一方、異なる強度が1つ以上の画素ソースセルのうちの他の画素ソースセルに送達されてもよい。
【0066】
IMVB治療ヘッド708は、光ファイバレーザ発光体(例えば、図4の光ファイバレーザ発光体416)(図示せず)を更に含んでもよい。光ファイバケーブルのうちの選択された1つ以上の光ファイバケーブルに対応する1つ以上の光ファイバレーザ発光体は、病変輪郭形成レーザ光源784からレーザ光を受け取り得る。1つ以上の光ファイバレーザ発光体は、X線を照射される領域の周囲を表す輪郭を患者の治療部位上に形成する。
【0067】
関節屈曲アーム712(例えば、図5の関節屈曲アームアセンブリ512)は、IMVB治療708が患者の治療部位上に位置決めされるように、中央X線システム制御基板732から受信した制御信号に従って、アームアクチュエータ716によって制御されてもよい。
【0068】
図8は、本技術の例示的な態様による、治療ヘッド800の画素ソースセルアレイ802の代替実施形態の概略斜視図を示す。治療ヘッド800は、個々の画素ソースセル806で構成された画素ソースセルアレイ802を含む。画素ソースセルアレイ802は、標的材料810に取り付けられている。標的材料810は、モリブデン、金、又はタングステンなどの材料を含み得る。標的材料810は、好適な標的基板816上に取り付けられてもよい。好適な標的基板816は、ダイヤモンド、ベリリウム(Be)、炭化ケイ素(SiC)、サファイア、アルミニウム(Al)、セラミックアルミナ(Al)、又は窒化ホウ素(BN)などの材料を含み得る。他の基板材料もあり得る。集束されステアリングされた電子ビーム824が、標的材料810に当たる。集束されステアリングされた電子ビーム824が標的材料810に当たったことに反応して、X線光子が発生してもよい。標的材料810から発生したX線光子は、個々の画素ソースセル806の壁によって制限され、拘束されたX線光子束830が発生する。次いで、X線光子束830は、患者の治療部位を照射する。
【0069】
図9A~9Fは、本技術の例示的な態様による、X線治療システムを使用して実施される治療操作の例示的な段階を示す。具体的には、図9A及び9Bは、治療操作の例示的な第1の段階を示し、図9C及び9Dは、治療操作の例示的な第2の段階を示し、図9E及び9Fは、本技術の例示的な態様による治療操作の例示的な第3の状態を示している。
【0070】
図9Aは、治療操作の第1の段階における治療ヘッド904の概略図であり、図9Bは、治療操作の第1の段階における治療される患者の治療部位(例えば、病変)908の概略図である。治療ヘッド904は、図2に記載の治療ヘッド200と同じ又は類似の構成を有し得る。X線治療システム(例えば、図1~7に記載のシステム)のステアリング電磁石(例えば、図6のステアリング電磁石612)は、治療計画に従って、電子ビームを画素ソースセル916にステアリングする。画素ソースセル916は、治療計画に基づいてX線光子を治療部位に送達するために使用される画素ソースセルとして選択された画素ソースセルのうちの1つである。光ファイバレーザ発光体920は、治療計画に従って照射されて、X線光子によって照射される領域の輪郭を画定する。図9Bに示されるように、光ファイバレーザ発光体920は、患者上にレーザスポット924を提供し、レーザスポット924は、X線光子によって照射される領域の輪郭をマークする。輪郭は、治療部位908の全体を包含してもよい。画素ソースセル916を透過した電子ビームによって発生した対応するX線光子束918は、第1の段階で治療部位908の一部に当たる。
【0071】
図9Cは、治療操作の第2の段階における治療ヘッド904の概略図であり、図9Dは、治療操作の第2の段階における治療される患者の治療部位(例えば、病変)908の概略図である。図9Cに示されるような第2の段階では、X線治療システムのステアリング電磁石は、治療計画に従って、電子ビームを別の画素ソースセル930にステアリングする。画素ソースセル930は、治療計画に基づいてX線光子を治療部位に送達するために使用される画素ソースセルとして選択された、画素ソースセルのうちの別の画素ソースセルである。これにより、図9Dに示すように、対応するX線光子束932が病変908の別の部分に当たる。
【0072】
図9Eは、治療操作の第3の段階における治療ヘッド904の概略図であり、図9Fは、治療操作の第3の段階における処置される患者の治療部位(例えば、病変)908の概略図である。図9Eに示すような第3の段階では、X線治療システムのステアリング電磁石は、電子ビームを更に別の画素ソースセル940にステアリングする。画素ソースセル940は、治療計画に基づいてX線光子を治療部位に送達するために使用される画素ソースセルとして選択された、画素ソースセルのうちの更に別の画素ソースセルである。これにより、図9Fに示すように、対応するX線光子束942が、治療部位908の更に別の部分に当たる。このプロセスは、治療部位908の全てがX線光子束によって照射されるまで継続する。X線光子束の位置は、健康な細胞との接触を最小限に抑え、シールドテンプレートを使用することなく、画素セルソースアレイによって慎重に制御することができる。
【0073】
図10Aは、本技術の例示的な態様による、離散画素ソースセルX線硬化マルチフィルタシステム1000の概略図を示す。X線硬化マルチフィルタシステム1000は、3つ以上の硬化フィルタ層1012、1016、及び1020を含む。硬化フィルタ層1012、1016、及び1020は、X線ビーム硬化機能を提供するように、アルミニウム(Al)、又は他の金属材料で作製されてもよい。
【0074】
離散画素ソースセルX線硬化マルチフィルタシステム1000は、本開示のX線治療システム100の治療ヘッド(例えば、図2の治療ヘッド200、図5の治療ヘッド504、図9の治療ヘッド904)内の画素ソースセルアレイ(例えば、図1の画素ソースセルアレイ126、図3の画素ソースセルアレイ300、図5の画素ソースセルアレイ508)内の各画素ソースセル1021要素について3層以上のX線マルチフィルタ作用を提供する。離散画素ソースセルX線硬化マルチフィルタシステム1000は、治療ヘッドの画素ソースセルアレイ内の全ての画素ソースセル1021に対して、1つのデフォルトフィルタ作用及びビーム硬化層1020を提供してもよい。2つ以上の追加の作動フィルタ層が、画素ソースセル1021の遠位端上の画素ソースセル1021内に埋め込まれてもよい。2つ以上の追加の作動フィルタ層は、画素ソースセルごとに異なるフィルタ作用を提供するために、様々な材料で作られ様々な厚さを有してもよく、したがって、標的治療部位及び組織への様々な程度のビーム透過を提供する。
【0075】
フィルタ層1012、1016は各々、アクチュエータ1008などによってフィルタ層1012、1016を開閉することを可能にするように、1つ以上のセグメントで構成されてもよい。フィルタ層1012は、図10C及び10Eに示されるように、フィルタ層1012を半分に分割する2つのセグメント1024、1028で構成され得る。フィルタ層1016は、図10C及び10Eに示されるように、フィルタ層1012を半分に分割する2つのセグメント1032、1036で構成され得る。
【0076】
図10Bは、部分的に開いた位置にあるフィルタ層1016のセグメント1032、1036、及び画素ソースセル1021の底部において閉位置にあるフィルタ層1012を示す。アクチュエータ1008は、セグメント1032、1036を開位置と閉位置との間で移動させ、かつ、画素ソースセル1021内で垂直に移動させてもよい。アクチュエータ1008はまた、フィルタ層1012、1016のセグメントの位置を決定するためのセンサであってもよい。フィルタ層1012、1016の各セグメントは、独自のアクチュエータ1008を有し得る。各アクチュエータ1008は、アクチュエータを操作し、セグメントの位置を通信するためのライン1004を有してもよい。図10Dは、画素ソースセル1021の壁の近くで開位置にあるフィルタ層1012、1016の全てのセグメント1024、1028、1032、1036を示す。
【0077】
離散画素ソースセルX線硬化マルチフィルタシステム1000は、第1のフィルタ1016を閉じて、第1のフィルタ1016をデフォルトのフィルタ作用層1020に追加し得、したがって、治療された組織又は病変へのビーム硬化及び透過を増大させる。離散画素ソースセルX線硬化マルチフィルタシステム1000はまた、第3の層1012を閉じて、総ビーム硬化フィルタ質量及び密度を増大させ、したがって、各特定の画素ソースセル1021要素についてのビーム透過を更に増大させ得る。離散画素ソースセルX線硬化マルチフィルタシステム1000のこの構成は、治療計画によって必要とされる画素ごとのフィルタ作用規制を提供し、X線光子の強度及びX線光子が個々の画素ソースセルレベルで送達される領域を制御するための別の実施形態であり得る。
【0078】
単数形での要素の参照は、具体的な記載がない限り、1つのみを意味することを意図せず、むしろ1つ以上を意味することを意図する。例えば、「a」モジュールは、1つ以上のモジュールを指し得る。「a」、「an」、「the」、又は「said」が先行する要素は、さらなる制約なしに、追加の同じ要素の存在を除外しない。
【0079】
態様、この態様、別の態様、いくつかの態様、1つ以上の態様、実装形態、この実装形態、別の実装、いくつかの実装形態、1つ以上の実装形態、実施形態、この実施形態、別の実施形態、いくつかの実施形態、1つ以上の実施形態、構成、この構成、別の構成、いくつかの構成、1つ以上の構成、本技術、この開示、本開示、他の変形例などの語句は、便宜上のものであり、そのような語句(複数可)に関する開示が本技術に不可欠であること、又はそのような開示が本技術の全ての構成に適用されることを意味するものではない。そのような語句(複数可)に関する開示は、全ての構成、又は1つ以上の構成に適用され得る。そのような語句(複数可)に関する開示は、1つ以上の例を提供してもよい。態様又はいくつかの態様などの語句は、1つ以上の態様を指すことがあり、その逆もまた然りであり、このことは、他の前述の語句にも同様に当てはまる。
【0080】
開示されたステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は、例示的な手法の例示であることが理解される。特に明示的な記載がない限り、ステップ、動作、又はプロセスの特定の順序又は階層は、異なる順序で実施されてもよいことが理解される。ステップ、動作、又はプロセスのいくつかは、同時に実行されてもよい。付随する方法クレームが存在する場合、様々なステップ、動作、又はプロセスの要素をサンプル順序で提示しており、提示される特定の順序又は階層に限定されることを意図してはいない。これらは、直列に実施されるか、線形に実施されるか、並列に実施されるか、又は異なる順序で実施されてもよい。説明された命令、動作、及びシステムが、概して、単一のソフトウェア/ハードウェア製品に一体化され得るか、又は複数のソフトウェア/ハードウェア製品にパッケージ化され得ることが理解されてもよい。
【0081】
本開示は、当業者が本明細書に記載された様々な態様を実施することを可能にするために提供されている。いくつかの例では、本技術の概念を不明瞭にすることを避けるために、周知の構造及び構成要素がブロック図の形態で示されている。本開示は、本技術の様々な例を提供し、本技術はこれらの例に限定されない。当業者には、これらの態様の様々な修正が容易に明らかとなり、本明細書に記載された原理は、他の態様に適用され得る。
【0082】
当業者に既知であるか、又は後で既知となる、開示全体にわたって記載された様々な態様の要素の全ての構造的及び機能的等価物は、参照により明示的に本明細書に組み込まれ、特許請求の範囲によって包含されることが意図される。更に、本明細書に開示されたことはどれも、そのような開示が特許請求の範囲において明示的に記載されているかどうかにかかわらず、公共に捧げられることを意図してはいない。
【0083】
名称、背景、図面の簡単な説明、要約、及び図面は、本開示に組み込まれており、限定的な説明としてではなく、本開示の例示的な例として提供されている。本開示は、特許請求の範囲の範囲又は意味を限定するために使用されないことを理解した上で提出されている。更に、詳細な説明では、説明が例示的な例を提供しており、様々な特徴が、本開示を合理化する目的で様々な実装形態においてグループ化されていることがわかる。開示の方法は、特許請求の範囲の主題が、各特許請求の範囲に明示的に記載されているよりも多くの特徴を必要とするという意図を反映していると解釈されるべきではない。むしろ、特許請求の範囲が反映する発明の主題は、単一の開示された構成又は動作の全ての特徴よりも少ないことにある。特許請求の範囲は、本明細書によって、詳細な説明に組み込まれており、各請求項は、別個に請求される主題として独立している。
【0084】
特許請求の範囲は、本明細書に記載の態様に限定されることを意図するものではなく、文言による特許請求の範囲と一致する完全な範囲を付与され、全ての法的同等物を包含するものである。それにもかかわらず、いずれの請求項も、適用される特許法の要件を満たさない主題を包含することを意図しておらず、そのような方法では解釈され得ない。
図1
図2
図3-3A】
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E
図9F
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
【国際調査報告】