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特表2024-525845船舶の蒸発ガスの再液化システム及び蒸発ガスの再液化方法並びに船舶用再液化装置のオフガス処理システム及びオフガス処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】船舶の蒸発ガスの再液化システム及び蒸発ガスの再液化方法並びに船舶用再液化装置のオフガス処理システム及びオフガス処理方法
(51)【国際特許分類】
   B63B 25/16 20060101AFI20240705BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
B63B25/16 D
B63H21/38 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502448
(86)(22)【出願日】2021-12-24
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 KR2021019890
(87)【国際公開番号】W WO2023017924
(87)【国際公開日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】10-2021-0104732
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0131739
(32)【優先日】2021-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517430897
【氏名又は名称】ハンファ オーシャン カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジン ホ
(72)【発明者】
【氏名】リー,ジュン チェ
(72)【発明者】
【氏名】リー,スン チョル
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ヘ ミン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ウォン ジェ
(57)【要約】
船舶の蒸発ガスの再液化システム及び蒸発ガスの再液化方法並びに船舶用再液化装置のオフガス処理システム及びオフガス処理方法を開示する。本発明の船舶の蒸発ガスの再液化システムは、船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機と、圧縮機で圧縮された圧縮ガスを冷却する熱交換器と、熱交換器に供給される冷媒を循環させる冷媒循環ラインと、貯蔵タンクと前記圧縮機とを接続する加温ラインと、加温ラインに設けられる加熱器とを備え、加熱器は圧縮機が要求する適正吸入温度まで蒸発ガスを加熱することを特徴とする。
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機;と、
前記圧縮機で圧縮された圧縮ガスを冷却する熱交換器;と、
前記熱交換器に供給される冷媒を循環させる冷媒循環ライン;と、
前記貯蔵タンクと前記圧縮機とを接続する加温ライン;と、
前記加温ラインに設けられる加熱器:とを備え、
前記加熱器は、前記圧縮機が要求する適正吸入温度まで前記蒸発ガスを加熱することを特徴とする、船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項2】
前記貯蔵タンクと前記圧縮機とを前記熱交換器を介して接続するガス供給ライン;と、
前記ガス供給ラインに設けられて、前記熱交換器に供給された後に前記圧縮機に供給される蒸発ガスの流量を調節するガス供給バルブ:とをさらに備え、
前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記ガス供給ラインを介して前記熱交換器に供給して前記圧縮ガスと熱交換させた後に前記圧縮機に供給することを特徴とする、
請求項1に記載の船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項3】
前記加温ラインに設けられて、前記加熱器に供給された後に前記圧縮機に供給される蒸発ガスの流量を調節するバイパスバルブ;をさらに備え、
前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記熱交換器に供給して加熱した後に前記圧縮機に供給して、
再液化システムを稼働させない場合または再液化システムの負荷が小さい場合に、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスの全部または一部を、前記熱交換器を迂回させて、前記加温ラインを介して前記加熱器で加熱した後に前記圧縮機に供給することを特徴とする、
請求項2に記載の船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項4】
前記冷媒循環ラインに設けられて、前記熱交換器で熱交換させた後に前記熱交換器から排出された冷媒を圧縮する冷媒圧縮部;と、
前記冷媒循環ラインに設けられて、前記熱交換器に供給される前記冷媒を膨張させて冷却する冷媒膨張装置;とをさらに備え、
前記冷媒循環ラインの冷媒を、前記冷媒圧縮部で圧縮して、前記熱交換器に供給して冷却した後、前記冷媒膨張装置で膨張させて冷却し、前記熱交換器に冷熱源として供給することを特徴とする、
請求項3に記載の船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項5】
前記熱交換器は、前記圧縮機で圧縮された圧縮ガス、前記冷媒膨張装置で膨張により冷却された冷媒、前記貯蔵タンクから前記ガス供給ラインを介して前記圧縮機に供給される非圧縮の蒸発ガス及び、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒の4つの流れを熱交換させることを特徴とする、
請求項4に記載の船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項6】
前記冷媒圧縮部は、前記冷媒膨張装置に接続されて、前記冷媒膨張装置から冷媒の膨張エネルギーが伝達されて冷媒を圧縮することを特徴とする、
請求項4に記載の船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項7】
前記圧縮機は、船舶に設けられる推進エンジンが要求する燃料供給圧力まで前記蒸発ガスを圧縮して、
前記推進エンジンに、10bara~20baraの圧力まで圧縮された蒸発ガスを供給することを特徴とする、
請求項6に記載の船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項8】
前記熱交換器で熱交換により冷却された前記圧縮ガスを減圧する減圧装置;と、
前記減圧装置で減圧された蒸発ガスを気液分離する気液分離器:とをさらに備え、
前記気液分離器で分離されたフラッシュガスを前記熱交換器の上流の前記非圧縮の蒸発ガスの流れに合流させて、前記気液分離器で分離された液化ガスを前記貯蔵タンクに送ることを特徴とする、
請求項1~7のいずれか1項に記載の船舶の蒸発ガスの再液化システム。
【請求項9】
船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機;と、
前記圧縮機と前記貯蔵タンクとを接続し、前記蒸発ガスを再液化させて前記貯蔵タンクに送る再液化ライン;と、
前記再液化ラインに設けられて、前記圧縮機で圧縮された蒸発ガスを冷却する熱交換器;と、
前記再液化ラインに設けられて、前記熱交換器で冷却された蒸発ガスから、前記貯蔵タンクに送られる液化ガスを気液分離するセパレータ;と、
前記セパレータで分離されたオフガスを、ガス燃焼ユニットに供給するオフガス燃焼ライン;と、
前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを貯蔵タンクから排出させるベーパーメインライン:とを備え、
前記ガス燃焼ユニットは、前記ベーパーメインラインから蒸発ガスが供給されて前記オフガスを燃焼させることを特徴とする、
船舶用再液化装置のオフガス処理システム。
【請求項10】
前記オフガス燃焼ラインに設けられて、前記ガス燃焼ユニットに供給されるオフガスを加熱するヒータ;と、
前記オフガス燃焼ラインの前記ヒータの上流で前記オフガス燃焼ラインから分岐して、前記ベーパーメインラインと接続するオフガス再循環ライン;と、
前記オフガス再循環ラインに設けられる過圧防止バルブ:とをさらに備える、
請求項9に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理システム。
【請求項11】
前記ガス燃焼ユニットの始動時またはガス燃焼ユニットの稼働停止時に、前記過圧防止バルブを開放し、前記オフガス再循環ラインを介して前記オフガスを前記ベーパーメインラインに供給することを特徴とする、
請求項10に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理システム。
【請求項12】
前記熱交換器で前記蒸発ガスと熱交換される冷媒が循環する冷媒循環部;をさらに備え、
前記冷媒循環部の冷媒は窒素であることを特徴とする、
請求項10に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理システム。
【請求項13】
前記オフガス燃焼ラインの前記オフガス再循環ラインとの分岐点の上流に設けられる第1バルブ;と、
前記圧縮機の下流で前記再液化ラインから分岐して、前記セパレータの上部に接続される圧力補償ライン;と、
前記冷媒循環部に設けられるバッファタンクから、前記圧力補償ラインに窒素を供給するバックアップライン;とをさらに備え、
前記圧力補償ラインを介して蒸発ガスまたは窒素を前記セパレータに供給するか、または前記第1バルブを介して前記セパレータから前記オフガスを排出させて、前記セパレータの内部圧力を調節することを特徴とする、
請求項12に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理システム。
【請求項14】
前記ベーパーメインラインと船内エンジンとを接続するガス供給ライン:をさらに備え、
前記オフガス再循環ラインを介して前記オフガスを前記ベーパーメインラインに送り、前記オフガスを前記貯蔵タンクから排出される蒸発ガスと共に前記船内エンジンに燃料として供給することを特徴とする、
請求項10に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理システム。
【請求項15】
前記貯蔵タンクとガス供給ラインとを接続する液化ガス供給ライン;と、
前記液化ガス供給ラインに設けられて、前記貯蔵タンクから供給される液化ガスを気化させる気化器;とをさらに備え、
前記オフガスと前記貯蔵タンクから排出される蒸発ガスとの混合ガスが前記エンジンの発熱量を満たさない場合に、前記貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスを強制的に気化させて前記混合ガスと混合させることを特徴とする、
請求項14に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理システム。
【請求項16】
船舶の貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、圧縮機で圧縮した後、冷媒循環ラインを介して循環される冷媒が供給される熱交換器で熱交換により冷却して再液化させ、
前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記圧縮機が要求する適正吸入温度まで加熱器で加熱した後、前記圧縮機に供給することを特徴とする、
船舶の蒸発ガスの再液化方法。
【請求項17】
前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記熱交換器で熱交換により加熱した後、前記圧縮機に供給し、
前記蒸発ガスを再液化させる再液化システムを稼働させない場合または再液化システムの負荷が小さい場合には、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスの全部または一部を前記熱交換器を迂回させて、前記貯蔵タンクと前記圧縮機とを接続する加温ラインに設けられる加熱器で加熱した後、前記圧縮機に供給することを特徴とする、
請求項16に記載の船舶の蒸発ガス再液化方法。
【請求項18】
前記冷媒循環ラインを循環する冷媒を、冷媒圧縮部で圧縮し、前記熱交換器で冷却した後、冷媒膨張装置で膨張させて冷却し、前記熱交換器に冷熱源として供給し、
前記冷媒圧縮部は、前記冷媒膨張装置に接続され、前記冷媒膨張装置から冷媒の膨張エネルギーが伝達されて冷媒を圧縮することを特徴とする、
請求項17に記載の船舶の蒸発ガス再液化方法。
【請求項19】
前記圧縮機で、船舶に設けられる推進エンジンが要求する燃料供給圧力まで前記蒸発ガスを圧縮し、
前記推進エンジンに、10bara~20baraの圧力まで圧縮した蒸発ガスを供給することを特徴とする、
請求項18に記載の船舶の蒸発ガス再液化方法。
【請求項20】
船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、
前記圧縮機で圧縮された蒸発ガスを熱交換器で冷却して再液化させて、セパレータで気液分離した後、分離された液化ガスを前記貯蔵タンクに送り、
前記セパレータで分離されたオフガスを、前記貯蔵タンクで発生してベーパーメインラインに排出された蒸発ガスと共にガス燃焼ユニットに供給して、前記オフガスを燃焼させることを特徴とする、
船舶用再液化装置のオフガス処理方法。
【請求項21】
前記ガス燃焼ユニットの始動時またはガス燃焼ユニットの稼働停止時に、前記セパレータで分離されたオフガスを前記ベーパーメインラインに供給することを特徴とする、
請求項20に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理方法。
【請求項22】
前記ベーパーメインラインに供給されたオフガスを、前記貯蔵タンクから前記ベーパーメインラインに排出された蒸発ガスまたは前記貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスを強制的に気化させた気化ガスと混合し、船内エンジンが要求する発熱量に応じて前記船内エンジンに燃料として供給することを特徴とする、
請求項21に記載の船舶用再液化装置のオフガス処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガス(BOG;Boil-Off Gas、ボイルオフガス)を再液化して貯蔵タンクに回収する再液化システム及び蒸発ガスの再液化方法、並びに再液化装置のセパレータで分離された窒素含有量の高いオフガスを排出させて処理し、再液化装置の再液性能を維持することができる再液化装置のオフガス処理システム及びオフガス処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガス(Natural gas)は、メタン(Methane)が主成分で、燃焼時に環境汚染物質が殆ど排出されないことから、環境性に優れた燃料として注目されている。液化天然ガス(LNG;Liquefied Natural Gas)は、天然ガスを大気圧で約-163℃まで冷却して液化させることで得られる。液化天然ガスは、気体状態の天然ガスと比べて、その体積が約1/600まで減少することから、海上ルートを利用した長距離輸送に非常に適している。したがって、天然ガスは、主に貯蔵や輸送が容易な液化天然ガス状態で貯蔵されて輸送される。
【0003】
天然ガスの液化点は大気圧で約-163℃の極低温であることから、LNG貯蔵タンクにLNGを液体状態で維持するための断熱処理を施すことが一般的である。しかし、LNG貯蔵タンクに断熱処理を施しても、外部熱を遮断するのには限界があり、外部熱がLNG貯蔵タンクに継続して伝達されることで、LNG輸送の過程でLNGがLNG貯蔵タンク内で継続して自然気化し、蒸発ガスが発生する。
【0004】
LNG貯蔵タンク内で蒸発ガスが継続して発生することで、LNG貯蔵タンクの内圧が上昇する。LNG貯蔵タンクの内圧が設定した安全圧力以上になると、タンク破損(Rupture)などの緊急事態を起こす虞があるため、安全バルブを利用して蒸発ガスを貯蔵タンクの外部に排出させる必要がある。しかし、蒸発ガスはLNG損失の1つとしてLNGの輸送効率及び燃料効率において重要な問題であるため、貯蔵タンクで発生する蒸発ガスを処理する様々な方法が用いられている。
【0005】
近年、船舶のエンジンなどの燃料需要先で蒸発ガスを使用する方法、蒸発ガスを再液化させて貯蔵タンクに回収する方法、またはこれら2つの方法を組合せて使用する方法などが開発され、用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願の出願人は、蒸発ガス自体を冷媒として用いることで他の冷媒を用いずに蒸発ガスを再液化させる方法として、圧縮機で圧縮された蒸発ガスを、圧縮機で圧縮される前の蒸発ガスとの熱交換により冷却した後、J-Tバルブなどにより膨張させて、蒸発ガスの一部を再液化させる方法を発明した。このようなシステムをいわゆるPRS(Partial Re-liquefaction System)という。
【0007】
例えば、貯蔵タンク内の液化ガス量が多いために蒸発ガスの発生量も多い場合、船舶が停泊している場合や、低速度運航のためにエンジンで使用される蒸発ガス量が少ない場合など、再液化させる蒸発ガス量が多くなる場合には、PRSだけでは必要な再液化量に達しないことがある。そのため、本願の出願人は、より多くの量の蒸発ガスを再液化できるよう、PRSの改良技術を発明した。
【0008】
PRSの改良技術として、蒸発ガス自体を冷媒として用いる冷媒サイクルにより、蒸発ガスを追加冷却できるシステムをMRS(Methane Refrigeration System)という。
【0009】
また、再液化させる蒸発ガスの冷却には、混合冷媒や窒素などの他の冷媒を利用することもできる。
【0010】
船舶で蒸発ガスを再液化させるために再液化サイクルを利用する場合、代表的な液化方法としては、例えばSMRサイクルやC3MRサイクルを用いる工程がある。C3MRサイクル(Propane-precooled Mixed Refrigerant Cycle)は、天然ガスをプロパンの単一冷媒を用いて冷却した後、混合冷媒を用いて液化及び過冷却させる工程である。SMRサイクル(Single Mixed Refrigerant Cycle)は、複数の成分で構成される混合冷媒を用いて天然ガスを液化させる工程である。
【0011】
これらのSMRサイクルやC3MRサイクルは、混合冷媒を用いる工程があり、液化工程の進行に伴って冷媒が漏洩し、混合冷媒の組成比が変化することで液化効率が低下する。このため、混合冷媒の組成比を継続して計測し、不足した冷媒成分を充填することで、冷媒の組成を維持する必要がある。
【0012】
蒸発ガスを再液化させるための再液化サイクルの他の方法としては、窒素冷媒を用いるシングルサイクル液化工程がある。
【0013】
混合冷媒を用いるサイクルと比較して、窒素冷媒は冷却効率が低いが、冷媒が不活性の物質であることから安全性が高く、また冷媒の相変化がないことから船舶に適用し易いという利点がある。
【0014】
一方、蒸発ガスを燃料として使用できるエンジンが設けられる船舶では、エンジンに燃料を供給する圧縮機を、蒸発ガスを再液化させるために利用することができる。このような圧縮機は、エンジンが必要とする燃料供給条件に応じて設けられ、また、装置の損傷防止のため、圧縮機に供給される蒸発ガスの温度が、圧縮機が要求する適正吸入温度の範囲内であることが求められる。
【0015】
また、従来の再液化装置を運転する場合、再液化された蒸発ガスは気液分離された後、再液化ガスは貯蔵タンクに回収される。また、分離された気体は、貯蔵タンクで発生した蒸発ガスと共に再液化装置へ再供給される。
【0016】
しかし、貯蔵タンクで発生した蒸発ガスには、窒素などのメタン以外の成分も含まれており、窒素はメタンより液化点が低く、再液化装置では液化されない。このため、再液化装置を連続して運転すると、再液化サイクル内の窒素含有量が段々と高くなることで、再液化性能が低下してしまう。
【0017】
本発明は、このような問題を解決するものであり、蒸発ガスの温度を圧縮機が要求する適正吸入温度の範囲内に調節することで、再液化される蒸発ガスを効果的に冷却して、再液化性能を高めることができるシステムを提案する。
【0018】
また、本発明は、再液化装置で気液分離により分離された窒素含有量の高いオフガスを排出させて処理することで、再液化装置の再液化性能を維持する方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記課題を解決するため本発明は、船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機と、前記圧縮機で圧縮された圧縮ガスを冷却する熱交換器と、前記熱交換器に供給される冷媒を循環させる冷媒循環ラインと、前記貯蔵タンクと前記圧縮機とを接続する加温ラインと、前記加温ラインに設けられる加熱器とを備え、前記加熱器は、前記圧縮機が要求する適正吸入温度まで前記蒸発ガスを加熱することを特徴とする、船舶の蒸発ガスの再液化システムが提供される。
【0020】
また、前記貯蔵タンクと前記圧縮機とを前記熱交換器を介して接続するガス供給ラインと、前記ガス供給ラインに設けられて、前記熱交換器に供給された後に前記圧縮機に供給される蒸発ガスの流量を調節するガス供給バルブとをさらに備え、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記ガス供給ラインを介して前記熱交換器に供給して前記圧縮ガスと熱交換させた後に前記圧縮機に供給することが好ましい。
【0021】
また、前記加温ラインに設けられて、前記加熱器に供給された後に前記圧縮機に供給される蒸発ガスの流量を調節するバイパスバルブをさらに備え、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記熱交換器に供給して加熱した後に前記圧縮機に供給して、再液化システムを稼働させない場合または再液化システムの負荷が小さい場合に、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスの全部または一部を、前記熱交換器を迂回させて、前記加温ラインを介して前記加熱器で加熱した後に前記圧縮機に供給することが好ましい。
【0022】
また、前記冷媒循環ラインに設けられて、前記熱交換器で熱交換させた後に前記熱交換器から排出された冷媒を圧縮する冷媒圧縮部と、前記冷媒循環ラインに設けられて、前記熱交換器に供給される前記冷媒を膨張させて冷却する冷媒膨張装置とをさらに備え、前記冷媒循環ラインの冷媒を、前記冷媒圧縮部で圧縮して、前記熱交換器に供給して冷却した後、前記冷媒膨張装置で膨張させて冷却し、前記熱交換器に冷熱源として供給することが好ましい。
【0023】
また、前記熱交換器は、前記圧縮機で圧縮された圧縮ガス、前記冷媒膨張装置で膨張により冷却された冷媒、前記貯蔵タンクから前記ガス供給ラインを介して前記圧縮機に供給される非圧縮の蒸発ガス及び、前記冷媒圧縮部で圧縮された冷媒の4つの流れを熱交換させることが好ましい。
【0024】
また、前記冷媒圧縮部は、前記冷媒膨張装置に接続されて、前記冷媒膨張装置から冷媒の膨張エネルギーが伝達されて冷媒を圧縮することが好ましい。
【0025】
また、前記圧縮機は、船舶に設けられる推進エンジンが要求する燃料供給圧力まで前記蒸発ガスを圧縮して、前記推進エンジンに、10bara~20baraの圧力まで圧縮された蒸発ガスを供給することが好ましい。
【0026】
また、前記熱交換器で熱交換により冷却された前記圧縮ガスを減圧する減圧装置と、前記減圧装置で減圧された蒸発ガスを気液分離する気液分離器とをさらに備え、前記気液分離器で分離されたフラッシュガスを前記熱交換器の上流の前記非圧縮の蒸発ガスの流れに合流させて、前記気液分離器で分離された液化ガスを前記貯蔵タンクに送ることが好ましい。
【0027】
また、上記課題を解決するため本発明は、船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを圧縮する圧縮機と、前記圧縮機と前記貯蔵タンクとを接続し、前記蒸発ガスを再液化させて前記貯蔵タンクに送る再液化ラインと、前記再液化ラインに設けられて、前記圧縮機で圧縮された蒸発ガスを冷却する熱交換器と、前記再液化ラインに設けられて、前記熱交換器で冷却された蒸発ガスから、前記貯蔵タンクに送られる液化ガスを気液分離するセパレータと、前記セパレータで分離されたオフガスを、ガス燃焼ユニットに供給するオフガス燃焼ラインと、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを貯蔵タンクから排出させるベーパーメインラインとを備え、前記ガス燃焼ユニットは、前記ベーパーメインラインから蒸発ガスが供給されて前記オフガスを燃焼させることを特徴とする、船舶用再液化装置のオフガス処理システムが提供される。
【0028】
また、前記オフガス燃焼ラインに設けられて、前記ガス燃焼ユニットに供給されるオフガスを加熱するヒータと、前記オフガス燃焼ラインの前記ヒータの上流で前記オフガス燃焼ラインから分岐して、前記ベーパーメインラインと接続するオフガス再循環ラインと、前記オフガス再循環ラインに設けられる過圧防止バルブ:とをさらに備えることが好ましい。
【0029】
また、前記ガス燃焼ユニットの始動時またはガス燃焼ユニットの稼働停止時に、前記過圧防止バルブを開放し、前記オフガス再循環ラインを介して前記オフガスを前記ベーパーメインラインに供給することが好ましい。
【0030】
また、前記熱交換器で前記蒸発ガスと熱交換される冷媒が循環する冷媒循環部をさらに備え、前記冷媒循環部の冷媒は窒素であることが好ましい。
【0031】
また、前記オフガス燃焼ラインの前記オフガス再循環ラインとの分岐点の上流に設けられる第1バルブと、前記圧縮機の下流で前記再液化ラインから分岐して、前記セパレータの上部に接続される圧力補償ラインと、前記冷媒循環部に設けられるバッファタンクから、前記圧力補償ラインに窒素を供給するバックアップラインとをさらに備え、前記圧力補償ラインを介して蒸発ガスまたは窒素を前記セパレータに供給するか、または前記第1バルブを介して前記セパレータから前記オフガスを排出させて、前記セパレータの内部圧力を調節することが好ましい。
【0032】
また、前記ベーパーメインラインと船内エンジンとを接続するガス供給ラインをさらに備え、前記オフガス再循環ラインを介して前記オフガスを前記ベーパーメインラインに送り、前記オフガスを前記貯蔵タンクから排出される蒸発ガスと共に前記船内エンジンに燃料として供給することが好ましい。
【0033】
また、前記貯蔵タンクとガス供給ラインとを接続する液化ガス供給ラインと、前記液化ガス供給ラインに設けられて、前記貯蔵タンクから供給される液化ガスを気化させる気化器とをさらに備え、前記オフガスと前記貯蔵タンクから排出される蒸発ガスとの混合ガスが前記エンジンの発熱量を満たさない場合に、前記貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスを強制的に気化させて前記混合ガスと混合させることが好ましい。
【0034】
また、上記課題を解決するため本発明は、船舶の貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、圧縮機で圧縮した後、冷媒循環ラインを介して循環される冷媒が供給される熱交換器で熱交換により冷却して再液化させ、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記圧縮機が要求する適正吸入温度まで加熱器で加熱した後、前記圧縮機に供給することを特徴とする、船舶の蒸発ガスの再液化方法が提供される。
【0035】
また、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、前記熱交換器で熱交換により加熱した後、前記圧縮機に供給し、前記蒸発ガスを再液化させる再液化システムを稼働させない場合または再液化システムの負荷が小さい場合には、前記貯蔵タンクで発生した蒸発ガスの全部または一部を前記熱交換器を迂回させて、前記貯蔵タンクと前記圧縮機とを接続する加温ラインに設けられる加熱器で加熱した後、前記圧縮機に供給する。
【0036】
また、前記冷媒循環ラインを循環する冷媒を、冷媒圧縮部で圧縮し、前記熱交換器で冷却した後、冷媒膨張装置で膨張させて冷却し、前記熱交換器に冷熱源として供給し、前記冷媒圧縮部は、前記冷媒膨張装置に接続され、前記冷媒膨張装置から冷媒の膨張エネルギーが伝達されて冷媒を圧縮する。
【0037】
また、前記圧縮機で、船舶に設けられる推進エンジンが要求する燃料供給圧力まで前記蒸発ガスを圧縮し、前記推進エンジンに、10bara~20baraの圧力まで圧縮した蒸発ガスを供給する。
【0038】
また、上記課題を解決するため本発明は、船舶の貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを圧縮機で圧縮し、前記圧縮機で圧縮された蒸発ガスを熱交換器で冷却して再液化させて、セパレータで気液分離した後、分離された液化ガスを前記貯蔵タンクに送り、前記セパレータで分離されたオフガスを、前記貯蔵タンクで発生してベーパーメインラインに排出された蒸発ガスと共にガス燃焼ユニットに供給して、前記オフガスを燃焼させることを特徴とする、船舶用再液化装置のオフガス処理方法が提供される。
【0039】
また、前記ガス燃焼ユニットの始動時またはガス燃焼ユニットの稼働停止時に、前記セパレータで分離されたオフガスを前記ベーパーメインラインに供給することが好ましい。
【0040】
また、前記ベーパーメインラインに供給されたオフガスを、前記貯蔵タンクから前記ベーパーメインラインに排出された蒸発ガスまたは前記貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスを強制的に気化させた気化ガスと混合し、船内エンジンが要求する発熱量に応じて前記船内エンジンに燃料として供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0041】
本発明は、貯蔵タンクで発生した極低温の非圧縮の蒸発ガスを、熱交換器に供給した後に圧縮機に供給して、冷媒循環ラインの冷媒と共に熱交換器の冷熱源として利用し、また、極低温の蒸発ガスを圧縮機が要求する適正吸入温度に応じて圧縮機に供給することができる。さらに、貯蔵タンクで発生した蒸発ガスを、熱交換器を迂回させて、そのまま圧縮機に供給できる加温ラインを設け、加温ラインに加熱器を設けたことで、再液化システムを稼動させない時や再液化システムの負荷が小さい時でも、蒸発ガスを上記適正吸入温度まで加温して、圧縮機に供給することができる。
【0042】
このように蒸発ガス自体の冷熱及び冷媒サイクルの冷熱を利用し、熱交換器の冷却効率を高めることができる。その結果、再液化率を高めるために、再液化される蒸発ガスを高圧に圧縮するブースト圧縮機のような追加設備の設置や運用が不要となり、CAPEX(Capital expenditure、資本支出)とOPEX(Operating expenditure、営業費用)を削減することができる。また、再液化システムの稼動状況及び負荷に関わらず、蒸発ガスを圧縮機が要求する適正吸入温度で圧縮機に供給することで、圧縮機の装置の損傷を防止し、安定して運転することができる。
【0043】
また、燃料消費後の残存蒸発ガスのみを再液化させることで、残存蒸発ガス量に応じて冷媒サイクルの負荷を調節することができ、燃料消費量を削減することができる。
【0044】
本発明では、貯蔵タンクに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを再液化させ、LNG損失を防止すると共にLNGの輸送効率を高めることができる。
【0045】
特に、再液化装置の連続運転により窒素含有量が高くなったオフガスを、再液化装置から排出させて処理することで、再液化性能を維持しながら再液化装置を安定して運転することができる。
【0046】
さらに、オフガスは窒素含有量が多いことから焼却や燃料としての供給が困難であり、また、メタンガスが含まれていることから大気排出(Vent)も許されないという問題があった。これらの問題を解決し、船舶の状況に応じて柔軟かつ効果的にオフガスを処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】本発明の実施形態の船舶用蒸発ガスの再液化システムを概略的に示す。
図2】本発明の実施形態の船舶用再液化装置のオフガス処理システムを概略的に示す。
図3図2に示すオフガス処理システムの第1実施例を示す。
図4図2に示すオフガス処理システムの第2実施例を示す。
図5図2に示すオフガス処理システムの第3実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図面及び図面に記載の内容を参照して、本発明の動作上の利点及び本発明の実施形態によって達成される目的を本発明の実施形態を例に説明する。
【0049】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、その構成及び作用を説明する。また、各図面の構成要素の参照符号は、同一の構成要素については、他の図面上に表示されるものも可能な限り同一の符号で表記する。
【0050】
以下、本発明の船舶には、液化ガスや液化ガスから発生する蒸発ガスを推進用または発電用エンジンの燃料として使用するエンジンが設置される船舶や、液化ガスまたは蒸発ガスを船内機関の燃料として使用する全種類の船舶が含まれる。代表的なものとして、LNG運搬船(LNG Carrier)、液体水素運搬船、LNG RV(Regasification Vessel)などの自走能力を備える船舶をはじめ、LNG FPSO(Floating Production Storage Offloading)、LNG FSRU(Floating Storage Regasification Unit)などの推進能力を有しない海上浮遊式の海上構造物も含まれる。
【0051】
また、本発明の液化ガスには、ガスを低温で液化させて輸送することができ、貯蔵状態で蒸発ガスが発生し、エンジンなどの燃料として使用できる全種類の液化ガスが含まれる。このような液化ガスとしては、例えば、LNG(Liquefied Natural Gas)、LEG(Liquefied Ethane Gas)、LPG(Liquefied Petroleum Gas)、液化エチレンガス(Liquefied Ethylene Gas)、液化プロピレンガス(Liquefied Propylene Gas)などの液化石油化学ガスがある。ただし、後述する実施形態では、代表的な液化ガスの1つであるLNGを例に説明する。
【0052】
図1は、本発明の第1実施形態の船舶用蒸発ガスの再液化システムを概略的に示す。
【0053】
図1に示すように、本実施形態の再液化システムは、圧縮機100a,100bを備える。圧縮機100a,100bは、船舶に設けられる貯蔵タンクTに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを再液化させるためのものであり、貯蔵タンクTで発生した蒸発ガスが圧縮機100a,100bに供給されて圧縮される。また、熱交換器200を備え、圧縮機100a,100bで圧縮された蒸発ガスの全部または一部が、熱交換器200に供給され、圧縮機100a,100bに供給される前の非圧縮の蒸発ガスを冷媒として熱交換により冷却される。このため、熱交換器200を介して貯蔵タンクTと圧縮機100a,100bとを接続するガス供給ラインGLと、圧縮機100a,100bの下流に設けられて、再液化させた蒸発ガスを貯蔵タンクTに供給する再液化ラインRLとがそれぞれ設けられる。
【0054】
また、熱交換器200に供給される冷媒が循環する冷媒循環ラインCLが設けられている。冷媒循環ラインCLには、熱交換器200に供給される冷媒を膨張させて冷却する冷媒膨張装置650と、熱交換器200で熱交換された後、熱交換器200から排出される冷媒を圧縮する冷媒圧縮部600とが設けられている。
【0055】
冷媒圧縮部600には、コンパンダー(Compander)式の圧縮機が設けられ、当該圧縮機と冷媒膨張装置650とが軸連結されて、冷媒の膨張エネルギーが伝達されてコンパンダー式の圧縮機が駆動される。本実施形態では、冷媒圧縮部600をモーターMで駆動させるものを例に説明するが、冷媒膨張装置650にモーターMが接続され、冷媒の膨張エネルギーが伝達されてモーターMを駆動させることで、冷媒を圧縮するように構成してもよい。
【0056】
冷媒圧縮部600で圧縮された冷媒は、熱交換器200に供給されて冷却された後、冷媒循環ラインCLを介して冷媒膨張装置650に供給され、膨張により冷却され、熱交換器200に冷媒として再度供給される。
【0057】
したがって、本実施形態の熱交換器200では、圧縮機100a,100bで圧縮された蒸発ガスの全部または一部、圧縮機100a,100bに供給される前の非圧縮の蒸発ガス、冷媒膨張装置650で膨張により冷却された冷媒、及び冷媒圧縮部600で圧縮された冷媒の4つの流れが熱交換される。
【0058】
冷媒循環ラインCLを循環して熱交換器200に供給される冷媒には、例えば窒素(N)がある。圧縮された冷媒を熱交換器200に供給して、冷媒自体の冷熱により冷却した後に膨張させて、熱交換器に供給して循環させる冷媒サイクルを構成し、蒸発ガスを熱交換させて冷却する場合、主成分がメタンである蒸発ガスと窒素とには熱容量の差があることから、蒸発ガスを液化温度まで冷却するには多量の窒素冷媒が必要となる。このため、窒素冷媒自体の冷却に冷媒サイクルの冷熱の大部分を使用しなければならず、これにより、冷媒の圧縮装置や膨張装置などの容量増加、また、これらの容量増加に伴い消費電力が増加するという問題がある。このような問題を解決するため、本実施形態では、貯蔵タンクTで発生した極低温の非圧縮の蒸発ガスを熱交換器200に供給した後、圧縮機100a,100bに供給するように構成した。これにより、冷媒サイクルに必要な冷媒流量を減らすことができ、その結果、冷媒の圧縮や膨張に必要な装置の容量を減らすことができ、また消費電力を削減でき、さらには設置と運営費用を削減することができる。
【0059】
本実施形態のシステムに関して、貯蔵タンクT内の液化ガスから発生した蒸発ガスを処理する過程では、貯蔵タンクTで発生した蒸発ガスは熱交換器200に供給された後、圧縮機100a,100bに供給される。
【0060】
圧縮機100a,100bでは、蒸発ガスが圧縮され、例えば蒸発ガスは、船舶の主エンジンまたは推進エンジンの燃料供給圧力まで圧縮される。例えば、DFエンジンが設けられる場合には5.5barg、X-DFエンジンが設けられる場合には15barg、ME-GIエンジンが設けられる場合には300bargの圧力まで蒸発ガスが圧縮される。圧縮された蒸発ガスは、船舶の推進エンジンE1や発電エンジンE2などの燃料として供給され、燃料として供給されずに残った残存蒸発ガスが再液化される。
【0061】
船舶に関する規定に関して、エンジンに燃料を供給する圧縮機は、緊急事態に備えて冗長設計(Redundancy)する必要がある。冗長設計とは、一方の装置が故障やメンテナンスなどの理由により使用できなくなった時に、その代わりに他の装置を使用できるように設計することを意味する。このために、圧縮機は主圧縮機100aと予備圧縮機100bとを備えて構成され、正常運転(Normal operation)では主圧縮機100a、すなわち1台の圧縮機を運転して推進エンジンE1や発電エンジンE2などの燃料を供給し、主圧縮機100aで圧縮された圧縮ガスの残量は再液化ラインRLで再液化される。
【0062】
圧縮機100a,100bで圧縮された蒸発ガスは、再液化ラインRLを介して熱交換器200に供給されて冷却される。圧縮後に再液化される蒸発ガスと冷媒圧縮部600で圧縮された冷媒とは、熱交換器200の高温流体(Hot stream)となり、非圧縮の蒸発ガスと冷媒膨張装置650で膨張により冷却された冷媒とは、熱交換器200の低温流体(Cold stream)となる。
【0063】
熱交換器200では4つの流れが熱交換され、高温流体が低温流体との熱交換によって冷却される。熱交換器200は、例えばBAHE(Brazed Aluminum Heat Exchanger)である。
【0064】
高温流体と低温流体との熱交換がより効果的に行われ、再液化される圧縮ガスが冷却されるように、熱交換器200内の各流れの供給位置及び排出位置を異ならせることができる。
【0065】
熱交換器200の低温流体のうち、膨張により冷却された後に熱交換器200に供給される窒素冷媒は、例えば圧力が10bar程であれば-167℃程の温度であり、熱交換器200のもう一方の低温流体である非圧縮の蒸発ガス(-50℃程)より温度が低い。したがって、熱交換器200に共に供給されると、窒素冷媒の冷熱の全てが再液化される圧縮ガスの冷却に使用されず、冷熱の一部がもう一方の低温流体(非圧縮の蒸発ガス)に吸収される虞がある。このため、特に図示して説明はしないが、低温流体のうち温度が低い窒素冷媒の流れCLは、熱交換器200の下流から供給して熱交換器200の全長を通過させ、低温流体のうち温度の高い非圧縮の蒸発ガスの流れGLは、熱交換器200の中間部分から供給させる。
【0066】
したがって、再液化ラインRLの圧縮ガスは、熱交換器200の高温領域から低温領域を通過して順次冷却され、高温領域では、2つの低温流体、すなわち冷媒循環ラインCLの冷媒と蒸発ガス供給ラインの非圧縮の蒸発ガスとから冷熱が供給されて冷却される。また、低温領域では、1つの低温流体、熱交換器200に供給された直後の冷媒循環ラインCLの冷媒と熱交換されて順次冷却される。
【0067】
このように熱交換させることで、再液化される圧縮ガスをより効果的に冷却して再液化率を高めることができ、熱交換器200の熱疲労を防止して装置の損傷を防ぐことができる。
【0068】
一方、熱交換器200で熱交換により冷却された蒸発ガス(圧縮ガス)は、再液化ラインRLの減圧装置400に供給されて減圧され、減圧装置400で減圧された蒸発ガスは気液分離器500に供給される。
【0069】
減圧装置400は、圧縮後に冷却された蒸発ガスを減圧する膨張機(Expander)またはジュールトムソンバルブなどの膨張バルブで構成される。減圧により蒸発ガスは断熱膨張または等エントロピー膨張により冷却される。
【0070】
減圧装置400で減圧されて追加冷却された蒸発ガスは、気液分離器500に供給される。気液分離器500で分離された液体は、再液化ラインRLを介して貯蔵タンクTに供給されて再貯蔵される。ただし、本実施形態では、気液分離器500を経由させても、気体のフラッシュガスと液体の液化ガスとが完全に相分離しないことがあり、分離された液体または液化ガスには、未分離のフラッシュガスが含まれ得る。
【0071】
気液分離器500で分離されたフラッシュガスは、フラッシュガスラインFLを介して気液分離器500の上部から熱交換器200及び加熱器300の上流の非圧縮の蒸発ガスの流れに合流され、熱交換器200または加熱器300に供給された後、圧縮機100a,100bに供給される。
【0072】
本実施形態のシステムは、蒸発ガス自体の冷熱及び冷媒サイクルの冷熱を利用し、熱交換器200の冷却効率を高めることで、再液化率を高めるために、再液化される蒸発ガスを高圧に圧縮するブースト圧縮機などの追加設備の設置や運用が不要となり、CAPEX(Capital expenditure、資本支出)とOPEX(Operating expenditure、営業費用)を削減することができる。
【0073】
一方、貯蔵タンクTで発生した蒸発ガスは、貯蔵タンク運転状況(Tank operation)に応じて、-140℃~-100℃の範囲の極低温で貯蔵タンクTから排出される。このとき、エンジンへの燃料供給のために設けられた圧縮機の種類によっては、圧縮機に供給される蒸発ガスの温度が所定の温度範囲となるよう要求される。例えばX-DFエンジンなどの中圧エンジンへの燃料供給用の圧縮機は、常温圧縮機が設置される。この場合、再液化システムが稼働中であり、再液化される蒸発ガスの量が多く再液化システムの負荷(Load)が所定範囲以上であるときには、貯蔵タンクTで発生した低温蒸発ガスは、熱交換器200に供給されて熱交換により十分に加熱されて圧縮機に供給される。しかし、エンジンで消費される蒸発ガスの量が多く、再液化システムを稼動させない場合や再液化システムの負荷が小さい場合には、蒸発ガスを熱交換器200に供給しても、蒸発ガスは圧縮機が要求する適正吸入温度まで十分に加熱されない。
【0074】
本実施形態のシステムでは、このような問題を解決するため、貯蔵タンクTから熱交換器200を迂回させて、圧縮機100a,100bにそのまま供給できる加温ラインBLを設け、この加温ラインBLに蒸発ガスを加熱できる加熱器300を設けた。
【0075】
ガス供給ラインGLには、熱交換器200に供給された後に圧縮機100a,100bに供給される蒸発ガスの流量を調節するガス供給バルブGVが設けられている。また、加温ラインBLには、加熱器300に供給された後に圧縮機100a,100bに供給される蒸発ガスの流量を調節するバイパスバルブBVが設けられている。
【0076】
再液化システムを稼動する場合、貯蔵タンクTで発生した蒸発ガスは、熱交換器200で熱交換により加熱された後に圧縮機100a,100bに供給される。しかし、再液化システムを稼動させない場合や再液化システムの負荷が小さい場合、貯蔵タンクTで発生した蒸発ガスの全部または一部は、熱交換器を迂回して加温ラインBLを介して加熱器300で加熱され、圧縮機100a、100bに供給される。
【0077】
ガス供給バルブGVとバイパスバルブBVとの開度を調節し、熱交換器200及び加熱器300にそれぞれ供給された後に圧縮機100a、100bに供給される蒸発ガスの流量を調節することで、再液化システムを稼動させない場合や再液化システムの負荷が小さい場合でも、圧縮機100a、100bが要求する適正吸入温度で蒸発ガスを圧縮機100a、100bに供給することができる。このように、再液化システムの稼動状況及び負荷に関わらず、蒸発ガスを圧縮機100a、100bが要求する適正吸入温度で圧縮機100a、100bに供給することで、圧縮機100a、100bの装置の損傷を防止し、安定して運転することができる。
【0078】
図2は、本発明の第2実施形態の船舶用再液化装置のオフガス処理システムを概略的に示す。図3図5は、本実施形態システムの様々な運用例をそれぞれ示す。
【0079】
図2に示すように、本実施形態の再液化装置のオフガス処理システムは、船内に設けられる貯蔵タンクCTに貯蔵される液化ガスから発生する蒸発ガスを再液化して、貯蔵タンクCTに戻すための再液化装置のオフガス処理システムであり、蒸発ガスが供給されて蒸発ガスを圧縮する圧縮機150と、圧縮機150と貯蔵タンクCTとを接続して、蒸発ガスを再液化させて貯蔵タンクCTに戻す再液化ラインRLとを備える。
【0080】
貯蔵タンクCTで発生する蒸発ガスは、ベーパーメインライン(Vapor main)VMに排出され、ベーパーメインラインVMからガス供給ラインGLを介して船内エンジンEに燃料として供給される。
【0081】
ガス供給ラインGLには、船内エンジンEの燃料供給圧力まで蒸発ガスを圧縮するFG圧縮機(Fuel Gas Compressor)100が設けられている。
【0082】
FG圧縮機100では、例えばDFエンジンが設けられる場合には5.5barg、X-DFエンジンが設けられる場合には15barg、ME-GIエンジンが設けられる場合には300bargの圧力まで蒸発ガスが圧縮される。圧縮された蒸発ガスは、船内エンジンEの燃料として供給され、燃料として供給されずに残った蒸発ガスは再液化ラインRLを介して再液化される。
【0083】
再液化ラインRLの圧縮機150は、蒸発ガスの再液化率を高めるためにFG圧縮機100で圧縮された蒸発ガスを追加圧縮することができる。なお、再液化のためにFG圧縮機100で圧縮された蒸発ガスを追加圧縮する必要がない場合には、圧縮機150を設置しなくても良い。
【0084】
圧縮機150で圧縮された蒸発ガスは、再液化ラインRLを介して熱交換器200に供給され、冷媒との熱交換により冷却される。
【0085】
再液化ラインRLには、圧縮機150で圧縮された蒸発ガスを冷却する熱交換器200と、熱交換器200で冷却された蒸発ガスを気液分離するセパレータ300とが設けられており、セパレータ300で分離された液化ガスが貯蔵タンクに供給される。なお、必要に応じて、熱交換器200で冷却された蒸発ガスを減圧装置(図示せず)に供給して減圧した後、セパレータ300に供給してもよい。
【0086】
熱交換器200では、冷媒循環部(図示せず)を循環する冷媒と貯蔵タンクCTで発生した非圧縮の蒸発ガスなどを冷熱源として、熱交換により蒸発ガスが冷却される。
【0087】
冷媒循環部は、冷媒が循環する冷媒循環ラインを備え、冷媒循環ラインを循環する冷媒としては窒素(N)を用いることができる。窒素は冷媒循環ラインを介して圧縮、冷却及び膨張による冷却の工程を経た後、熱交換器200の冷媒として使用され、再び圧縮されて冷媒循環ラインを循環する。
【0088】
熱交換器200で冷却された蒸発ガスは、再液化ラインRLを介してセパレータ300に供給され、セパレータ300の下流に設けられる液位調節バルブの開閉により、セパレータ300から、分離された再液化ガスが貯蔵タンクCTに送られる。
【0089】
セパレータ300から液化ガスを貯蔵タンクへ送るために、セパレータ300の下流の液位調節バルブを開放すると、セパレータ300の内部圧力が変化する。この場合、セパレータ300に供給される液化ガスから発生するフラッシュガス、すなわちオフガスによって、セパレータ300の内部圧力を維持することができる。
【0090】
このとき、冷媒循環部の窒素冷媒との熱交換により冷却された液化ガスが過冷却されてセパレータ300に供給される場合には、オフガスが発生しないかまたは発生するオフガスの量が少ない状態で、セパレータ300の下流の液位調節バルブを開放すると、セパレータ300の内部圧力が急激に低下する虞がある。本実施形態では、このような場合でも、セパレータ300の圧力を補償して、その内部圧力を維持できるように、圧縮機150の下流に再液化ラインRLから分岐させてセパレータ300の上部に接続される圧力補償ラインPLを設け、この圧力補償ラインPLに窒素を供給するバックアップラインBLを設けた。これにより、セパレータ300から貯蔵タンクCTに液化ガスを送る時、圧力補償ラインPLを介して蒸発ガスまたは窒素をセパレータ300に供給してセパレータ300の内部圧力を維持することができる。
【0091】
セパレータ300の内部の圧力を検知する圧力検知器PIと、セパレータ300の内部の液位を検知する液位検知器LIとが設けられ、液位検知器LIで検知した液位値に応じて液位調節バルブを開閉する液位コントローラLICが設けられている。圧力補償ラインPLのバックアップラインBLとの合流点の下流には、圧力補償バルブPVが設けられている。また、圧力補償ラインPLのバックアップラインBLとの合流点の上流には、第1遮断バルブSV1が設けられている。また、バックアップラインBLには、第2遮断バルブSV2が設けられている。
【0092】
圧力検知器PIで検知したセパレータ300の内部の圧力に応じて圧力コントローラPICが、圧力補償バルブPVを介して蒸発ガスまたは窒素の圧力を調節し、圧力補償ラインPLを介してセパレータ300の上部に蒸発ガスや窒素を供給する。
【0093】
バックアップラインBLを介してセパレータ300に供給される窒素は、船舶に設けられる窒素供給システム(N2 Supply System)の窒素バッファタンクタンク(N2 Buffer Tank)、または冷媒循環部を循環する窒素冷媒を供給及び補充する窒素インベントリシステム(N2 Inventory System)などから供給することができる。
【0094】
しかし、再液化装置を連続して運転すると、メタンより液化点の低い窒素は再液化装置で液化せず、温度変化時に先に気化してしまう。また、セパレータ300の圧力調節などのために窒素が供給されることもあり、貯蔵タンクCTから排出される蒸発ガス中の窒素含有量が段々と高くなることで、再液化性能が低下してしまう。また、セパレータ300から窒素含有量の高いオフガスを分離しても、窒素含有量が高いことから船内エンジンEの発熱量を満たさず、燃料として供給することが困難となる。しかも、窒素含有量の高いオフガスには、メタンが含まれるため、そのまま大気中に排出(Vent)させることも許されない。
【0095】
本実施形態のシステムは、これらの問題を解決して、オフガスを効果的に処理できるように、セパレータ300で分離されたオフガス(Off gas)をガス燃焼ユニットGCU(Gas Combustion Unit)に供給するオフガス燃焼ラインOSLを設けた。
【0096】
これにより、ガス燃焼ユニットGCUにはベーパーメインラインVMからの蒸発ガスが供給されて、オフガスと共に燃焼される。
【0097】
また、オフガス燃焼ラインOSLには、ガス燃焼ユニットGCUに供給されるオフガスを加熱するヒータ400が設けられている。また、ヒータ400の上流でオフガス燃焼ラインOSLから分岐してベーパーメインラインVMに接続するオフガス再循環ラインFLが設けられ、オフガス再循環ラインFLには過圧防止バルブOV3が設けられている。
【0098】
オフガス燃焼ラインOSLのオフガス再循環ラインFLとの分岐点の上流には、第1バルブOV1が設けられ、セパレータ300からオフガス燃焼ラインOSLやオフガス再循環ラインFLなどにオフガスが排出されるように調節することができる。
【0099】
貯蔵タンクCTとガス供給ラインGLとを接続する液化ガス供給ラインLLが設けられ、液化ガス供給ラインLLには、貯蔵タンクCTから供給される液化ガスを気化させる気化器500が設けられている。
【0100】
図3図5を参照して、本実施形態のシステムのオフガス処理の実施例を説明する。まず、図3に示す第1実施例のようにセパレータ300で分離されたオフガスを、オフガス燃焼ラインOSL及びヒータ400を介してガス燃焼ユニットGCUに供給する。そして、GCUに供給されるオフガスの量に応じて、これを燃焼できる蒸発ガス(NBOG)をベーパーメインラインVMを介してガス燃焼ユニットGCUに供給し、オフガスを焼却処理する。
【0101】
ガス燃焼ユニットGCUの始動時(Start)やトリップ(Trip)などでガス燃焼ユニットGCUの稼働を停止した場合には、過圧防止バルブOV3を開放し、オフガスをオフガス再循環ラインFLを介してベーパーメインラインVMに供給して再液化装置を運転する。
【0102】
他の実施例として、図4に示す第2実施例では、セパレータ300で分離されたオフガスを船内エンジンEの燃料として供給して処理することができる。この場合、上述したように、オフガスの窒素含有量が高いことから船内エンジンEの発熱量を満たさない場合がある。そこで、本実施形態では、この問題を解決するため、オフガスをオフガス再循環ラインFLを介してガス供給ラインGLに送り、貯蔵タンクCTからベーパーメインラインVMに排出された蒸発ガス(NBOG)をオフガスに混合し、船内エンジンEの発熱量に応じてFG圧縮機100に供給して圧縮した後、船内エンジンEに供給するように構成した。
【0103】
一方、オフガスの量が貯蔵タンクCTで発生する蒸発ガスの量に比べて多いため、自然発生した蒸発ガスだけでは船内エンジンEの発熱量を満たさない場合がある。そこで、図5に示す第3実施例では、この場合に、貯蔵タンクCTの液化ガスを液化ガス供給ラインLLを介して気化器500に供給して強制気化させ、気化させた液化ガスをガス供給ラインGLに送り、オフガスまたはオフガスと蒸発ガス(NBOG)とが混合された混合ガスに気化させた液化ガスを混合し、FG圧縮機100に供給して圧縮した後、船内エンジンEに燃料として供給する。
【0104】
以上のように、本実施形態では、貯蔵タンクCTで発生する蒸発ガスを再液化させて輸送効率を高めることができ、再液化装置の連続運転により窒素含有量が高くなったオフガスを排出させて効果的に処理することで、再液化装置の再液化性能を維持しながら安定して運転することができる。
【0105】
本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の技術的要旨を超えない範囲内で様々な変更または変形ができることは、本発明が属する技術分野の当業者にとって自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正の内容】
図2
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正の内容】
図3
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正の内容】
図4
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図5
【補正方法】変更
【補正の内容】
図5
【国際調査報告】