(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ケトン体またはケト原性化合物と鎮痛剤または抗酸化剤との組み合わせ
(51)【国際特許分類】
A61K 31/19 20060101AFI20240705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 45/06 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/22 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/167 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/4152 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/616 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/4402 20060101ALI20240705BHJP
A61P 39/06 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/165 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/343 20060101ALI20240705BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240705BHJP
A23L 33/10 20160101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K31/19
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K45/06
A61P25/06
A61P25/04
A61K31/22
A61K31/167
A61K31/4045
A61K31/4152
A61K31/352
A61K31/616
A61K31/4402
A61P39/06
A61K31/165
A61K31/343
A61P21/00
A61P29/00 101
A23L33/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502510
(86)(22)【出願日】2022-07-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-07
(86)【国際出願番号】 EP2022069972
(87)【国際公開番号】W WO2023001724
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521491163
【氏名又は名称】ケトスイス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グロス,エレナ
【テーマコード(参考)】
4B018
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD08
4B018MD09
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(57)【要約】
本発明は医薬品、機能性食品または補助品、および医療食または特殊医療用食品(FSMP)の分野に属する。特に、本発明は、対象において頭痛などの疼痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤との組み合わせに関する。さらに、本発明は、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤とを含む組成物、例えば、医薬組成物、食品、補助食、栄養補助品、医療食、または特殊医療用食品(FSMP)、ならびにその使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象、好ましくはヒト患者において疼痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤との組み合わせ。
【請求項2】
前記疼痛が片頭痛、線維筋痛症、群発頭痛、および/もしくは関節リウマチに関連しており、かつ/またはそれにより引き起こされる、請求項1に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項3】
前記疼痛が頭痛を含むかまたは頭痛である、請求項1または2に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項4】
前記疼痛、片頭痛、および/または片頭痛症状が、単一の有効成分としてのアセチルサリチル酸、イブプロフェン、およびトリプタンからなる群から選択される少なくとも1種の鎮痛剤による処置に対して抵抗性である、請求項1~3のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項5】
急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作ならびに/またはその症状が処置される、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項6】
(I)前記ケトン体が、
(i)β-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含むβHB、
(ii)アセト酢酸、アセトアセテート、および/または薬学的に許容されるアセト酢酸塩を含むAcAc
を含み;
(II)前記ケト原性化合物が、ケトンエステル、1,3-ブタンジオール、トリアセチン、中鎖トリグリセリド、およびケト原性アミノ酸からなる群から選択される、前記βHBおよび/またはAcAcの代謝前駆体を含み、
好ましくは、前記ケトンエステルが、βHBとβHBとの結合、βHBとAcAcとの結合、またはAcAcとAcAcとの結合により形成されるエステル;βHBと脂肪酸との結合により形成されるエステル;βHBまたはAcAcと一価、二価、または三価アルコールとの結合により形成されるエステル(ここで前記二価または三価アルコールは脂肪酸によってさらにエステル化されていてもよい);および1,3-ブタンジオールと少なくとも1個の脂肪酸との結合により形成されるエステルからなる群から選択される、
請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項7】
前記鎮痛剤が(i)非ステロイド性抗炎症薬、(ii)シクロオキシゲナーゼ阻害剤、(iii)アセトアミノフェン、(iv)トリプタン、(v)メラトニン、(vi)オピオイド、および/または(vii)カンナビノイドを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項8】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物がβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項9】
前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が、少なくとも1種の非ステロイド性抗炎症薬を含む鎮痛剤である、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項10】
前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が、アセチルサリチル酸および/またはイブプロフェンを含む鎮痛剤である、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項11】
前記鎮痛剤および/または抗酸化剤がメラトニンを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項12】
前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が、トリプタンを含む鎮痛剤である、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項13】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物がβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が、少なくとも1種の非ステロイド性抗炎症薬を含む鎮痛剤である、請求項1~12のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項14】
頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状が処置される、請求項13に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項15】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物がβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が、アセチルサリチル酸および/またはイブプロフェンを含む鎮痛剤である、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項16】
頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状が処置される、請求項15に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項17】
片頭痛が処置される、請求項15または16に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項18】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物がβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が、トリプタンを含む鎮痛剤である、請求項1~17のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項19】
前記ケトン体がD-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはD-β-ヒドロキシ酪酸を含む、請求項1~18のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項20】
前記ケト原性化合物が前記対象においてD-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはD-β-ヒドロキシ酪酸に代謝される、請求項1~19のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項21】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物が薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が、アセチルサリチル酸および/またはイブプロフェンを含む鎮痛剤であり、好ましくは、前記β-ヒドロキシ酪酸塩がD-β-ヒドロキシブチレートを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項22】
前記抗酸化剤がメラトニンなどのインドールアミン、5-ヒドロキシ-インドールもしくはインドール-3-酢酸などのインドール、レスベラトロールなどのポリフェノール、α-リポ酸、アスタキサンチン、アスコルビン酸、ビタミンE、ケンペロール、および/またはコエンザイムQを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項23】
前記抗酸化剤が、フリーラジカルスカベンジャーであり、かつ/または直接的に活性酸素種および/もしくは活性窒素種を解毒し;スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン還元酵素、および/もしくはカタラーゼなどの抗酸化酵素を刺激し、かつ/または一酸化窒素合成酵素などの酸化促進酵素の活性を抑制し;かつ/あるいは例えばFenton-Haber-Weiss反応に関与する遷移金属をキレート化することが可能である、請求項1~22のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項24】
前記抗酸化剤がミトコンドリア標的化抗酸化剤であり、ミトコンドリアの内側で機能するものであり、かつ/またはミトコンドリアに入ることが可能である、請求項1~23のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項25】
前記抗酸化剤が親油性または両親媒性である、請求項1~24のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項26】
前記抗酸化剤がメラトニン、ならびに/またはアゴメラチンおよび/もしくはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニストを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項27】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物がβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含む、請求項22~26のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項28】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物がβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤がメラトニンを含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項29】
前記急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作または前記その症状が約2時間以内に改善または除去される、請求項4~28のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項30】
急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状の再発が少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも約24時間予防される、請求項29に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項31】
前記組み合わせが、前記片頭痛発作の前兆期に、かつ/または前記頭痛の強度が0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約0~約4であるときに投与される、請求項4~30のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項32】
前記片頭痛または片頭痛症状が、一側性および/または拍動性もしくは脈動性の頭痛、ならびに(i)アウラ;(ii)悪心、吐き気、および/または嘔吐;ならびに(iii)光感受性、騒音感受性、および/または臭気感受性からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる症状を含む、請求項1~31のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
【請求項33】
(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)メラトニン、ならびに/またはアゴメラチンおよび/もしくはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニストとを含む組成物。
【請求項34】
(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)メラトニン、ならびに/またはアゴメラチンおよび/もしくはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニストとを含む食品、補助食、または栄養補助品。
【請求項35】
(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)メラトニン、ならびに/またはアゴメラチンおよび/もしくはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニストとを含む医療食または特殊医療用食品(FSMP)。
【請求項36】
メラトニンを含む、請求項33に記載の組成物、請求項34に記載の食品、補助食、もしくは栄養補助品、または請求項35に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項37】
前記ケトン体および/またはケト原性化合物がβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含む、請求項33もしくは36に記載の組成物、請求項34もしくは36に記載の食品、補助食、もしくは栄養補助品、または請求項35もしくは36に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項38】
(i)β-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩、好ましくは薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩と(ii)メラトニンとを含む、請求項33、36、もしくは37のいずれか1項に記載の組成物、請求項34、36、もしくは37のいずれか1項に記載の食品、補助食、もしくは栄養補助品、または請求項35~37のいずれか1項に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項39】
前記ケトン体がD-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはD-β-ヒドロキシ酪酸を含む、請求項33もしくは36~38のいずれか1項に記載の組成物、請求項34もしくは36~38のいずれか1項に記載の食品、補助食、もしくは栄養補助品、または請求項35~38のいずれか1項に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項40】
疼痛を軽減するための、請求項33もしくは36~39のいずれか1項に記載の組成物、請求項34もしくは36~39のいずれか1項に記載の食品、補助食、もしくは栄養補助品、または請求項35~39のいずれか1項に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項41】
前記疼痛が片頭痛、線維筋痛症、群発頭痛、および/もしくは関節リウマチ、好ましくは片頭痛に関連しており、かつ/またはそれにより引き起こされる、請求項40に記載の組成物、食品、補助食、栄養補助品、医療食、またはFSMP。
【請求項42】
片頭痛、群発頭痛、線維筋痛症、てんかん、外傷性脳損傷、うつ病、不安障害、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、慢性疲労症候群、および慢性疼痛状態からなる群から選択される神経障害および/または脳障害を処置および/または予防することにおける使用のための、請求項33もしくは36~41のいずれか1項に記載の組成物、または請求項35~41のいずれか1項に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項43】
片頭痛、群発頭痛、線維筋痛症、および/または関節リウマチ、好ましくは片頭痛を処置および/または予防することにおける使用のための、請求項33もしくは36~41のいずれか1項に記載の組成物、または請求項35~41のいずれか1項に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項44】
疼痛、好ましくは頭痛が軽減または処置される、請求項43に記載の使用のための組成物、医療食、またはFSMP。
【請求項45】
対象、好ましくはヒト患者において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、請求項33もしくは36~41のいずれか1項に記載の組成物、または請求項35~41のいずれか1項に記載の医療食もしくはFSMP。
【請求項46】
片頭痛を処置および/または予防することにおける使用のための、請求項38に記載の組成物、医療食、またはFSMP。
【請求項47】
前記ケトン体および/もしくはケト原性化合物または前記組成物を対象に投与することで、前記対象の血中のβHB濃度が約0.3mM~約5mMに、好ましくは約1mM~約3mMに増加する、請求項1~32のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、請求項33もしくは36~41のいずれか1項に記載の組成物、請求項34もしくは36~41のいずれか1項に記載の食品、補助食、もしくは栄養補助品、請求項35~41のいずれか1項に記載の医療食もしくはFSMP、または請求項42~46のいずれか1項に記載の使用のための組成物、医療食、もしくはFSMP。
【請求項48】
前記薬学的に許容される塩が、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、およびマグネシウム塩からなる群から選択される少なくとも1種、2種、3種、または4種の塩を含む、請求項6~32のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または請求項37~41のいずれか1項に記載の組成物、食品、補助食、栄養補助品、医療食、もしくはFSMP。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は医薬品、機能性食品または補助品、および医療食または特殊医療用食品(FSMP)の分野に属する。特に、本発明は、対象において頭痛などの疼痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤との組み合わせに関する。さらに、本発明は、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤とを含む組成物、例えば、医薬組成物、食品、補助食、栄養補助品、医療食、または特殊医療用食品(FSMP)、ならびにその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
片頭痛は、世界人口の約15%が発症する、複雑で、遺伝的に不均一で、一般的で、かつ消耗性の神経障害である。人生で最も生産性が高い年代の間に発生率がピークになることから、片頭痛は多くの苦痛を引き起こすだけでなく、欧州だけで1年当たり約185億ユーロという相当なコストを社会に負担させることになる。それは、通常は4~72時間持続する、再発性で、中程度~重度で、通常は拍動性および一側性の頭痛発作を特徴とする。多くの場合、頭痛は、任意の種類の身体活動により増悪し、光恐怖症、音恐怖症、および/もしくは臭気恐怖症、ならびに/または悪心を伴う。片頭痛は、アウラ、すなわち、片頭痛患者の3分の1において通常は頭痛期の最大1時間前に生じる、一時的かつ可逆的な視覚障害、感覚障害、または運動障害の時期の存在または非存在に基づいて、2つの主要なサブグループに分けることができる。片頭痛発作の頭痛期(発作期)は、通常、頭痛の最大12時間前に起きる前兆期、および片頭痛後に起きて数時間または数日間続くことがある後発症状期の間の神経症状を伴う。
【0003】
現行の片頭痛処置オプションには限界があり、それらの作用機序も完全には理解されていない。予防的片頭痛処置の主な目的としては、頭痛頻度を減少させること、および機能を回復することが挙げられるが、さらなる目的としては慢性片頭痛への進行の防止がある。現在入手可能な予防剤(例えばβ遮断薬、抗痙攣剤、または抗うつ剤)はいずれも片頭痛特異的ではなく、大部分の予防剤は著しい、多くの場合では忍容されない副作用を伴う。さらに、それらの片頭痛予防特性はせいぜい中程度(片頭痛頻度の平均減少率が25%未満)である。
【0004】
ケトジェニックダイエット、またはβ-ヒドロキシブチレートなどの外因性ケトン体、もしくはその前駆体(ケト原性化合物)の定期的投与は、十分に忍容されるものでありながら片頭痛発作を有効に予防することが示された(WO2018/115158)。
【0005】
ケトン体、すなわちβ-ヒドロキシブチレート(βHB)および/もしくはアセトアセテート(AcAc)、またはケト原性化合物の投与は、主に血糖がエネルギーを供給する解糖状態とは対照的に、身体のエネルギー供給の一部が血中のケトン体に由来する代謝状態であるケトン症状態を誘発することがある。一般にケトン症は飢餓または絶食の間に生じる。通常、ケトン症は0.5mMを超えるケトン体、すなわちβHBおよびAcAcの血清中濃度を特徴とする。外因性ケトン体またはケト原性化合物の投与によるケトン症の誘発は、患者アドヒアランスが向上することから、絶食、ならびに/または高い脂肪含有量、低い炭水化物含有量、および中程度のタンパク質含有量のケトジェニックダイエットに比べて有利である(例えばWO2018/115158を参照)。ケト原性化合物としては、例えば中鎖トリグリセリド(MCT)、1,3-ブタンジオール、トリアセチン、ケト原性アミノ酸、およびケトンエステル、例えば、βHBまたはAcAcとβHB、AcAc、1,3-ブタンジオールもしくはグリセロールなどのアルコール、または脂肪酸(例えば中鎖脂肪酸)とのエステル、または脂肪酸(例えば中鎖脂肪酸)と1,3-ブタンジオールもしくはグリセロールなどのアルコールとのエステル、あるいはそれらの組み合わせ、例えばβHBおよび脂肪酸と1,3-ブタンジオールもしくはグリセロールなどのアルコールとのエステルが挙げられる(例えばWO2010021766;US2001/0014696;US2015/0164855;US7,351,736;US2019/0209491;Clarke(2012),Regul Toxicol Pharmacol.63(3)号;Desrochers(1995),Am J Physiol,268(4Pt1):E660-7;およびVeech(2014),Journal of Lipid Research55巻を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野においては、ケトン体、およびケトンエステルなどのケト原性化合物が、例えば急性片頭痛発作の再発を予防するかまたは頻度を減少させることによる片頭痛の処置に非常に好適な予防薬であることが知られている。しかし、ケトン体またはケト原性化合物が他の薬物と相互作用するか否か、または他の薬物とどのようにして相互作用するか、および、その特定の組み合わせが片頭痛または他の頭痛を処置または予防するためのさらなる利点を有するか否かはまったく不明である。また、外因性ケトン体またはケト原性化合物の投与が急性片頭痛発作または他の急性頭痛の即時処置に有用であるか否かも不明なままである。特に、ケトン体またはケト原性化合物の取り込みが、急性頭痛もしくは急性片頭痛発作を改善し、それを除去し、またはその増悪を予防するために迅速な効果を示すか否かは不明である。
【0007】
鎮痛剤による急性片頭痛発作または他の急性頭痛の処置はいまだ満足できるものではない。例えば、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、例えばイブプロフェン、ケトプロフェン、アセチルサリチル酸、ジクロフェナク、ケトロラク、またはアセトアミノフェン(パラセタモール)とアセチルサリチル酸とカフェインとの組み合わせが、この目的のために一般的に使用される(例えばGilmore(2011),American Family Physician.83(3)号;Rabbie(2013),Cochrane Database Syst Rev(4);Derry(2013),Cochrane Database Syst Rev(4);およびKirti(2013),Cochrane Database Syst Rev(4)を参照)。しかし、例えばイブプロフェンは、片頭痛発作の約50%でしか有効な疼痛緩和を示さないことがわかっている。これらNSAIDの有効性が不十分であることから、それを高用量で用いること、ならびに/またはトリプタンおよびエルゴタミンなどのより強力な薬物による処置が必要になることがあり、これにより、頭痛の重症度および頻度が高まる薬物乱用頭痛、ならびに他の望ましくない副作用、例えば胃腸損傷、腎損傷、および/もしくは肝損傷、または窮迫、悪心、および/もしくは疲れが発生することがある。多くの場合、大部分の患者が単純鎮痛剤および/またはトリプタンに応答しないことから、現在のところ、急性片頭痛発作または他の急性頭痛を許容される副作用プロファイルで処置することは全くできない。
【0008】
さらに、トリプタンまたは単純鎮痛剤の使用による急性片頭痛の管理は、物質が働きを停止した後の、例えば物質が外に代謝または希釈された後の、片頭痛の再発である反跳頭痛という問題を伴う。片頭痛発作がそれ自体まだ進行中であるとき、さらなるレスキュー薬の摂取が必要になるが、これにより薬物乱用による問題、および薬物乱用頭痛がさらに増悪する。したがって、現行の片頭痛レスキュー薬の使用は1か月当たり最大10日許容される。多くの高頻度片頭痛患者にとっては、これは、1か月当たり数日は治療なしであることを意味する。
【0009】
したがって、頭痛などの疼痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防するための改善された手段および方法がなお求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の技術的課題は、特許請求の範囲において特徴づけられ、かつ以下に記載される、本発明によって解決される。
【0011】
したがって、本発明は、対象、好ましくはヒト患者において疼痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤との組み合わせに関する。
【0012】
本発明はさらに、特に、対象において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤との組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】ケトン体および鎮痛剤は、片頭痛患者において急性片頭痛発作の間に頭痛を相乗的に改善する。0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で測定される、指示通りの投薬後の片頭痛患者における11回の片頭痛発作の間の平均頭痛強度(疼痛)を示す。0時間の時点は薬物摂取の時点を示す。ケトン体はβ-ヒドロキシ酪酸無機塩の混合物(MigraKet)とし、鎮痛剤はアセチルサリチル酸またはイブプロフェン(すなわち単純鎮痛剤)とした。MigraKetのみ:n=3;アセチルサリチル酸またはイブプロフェンのみ:n=4;MigraKetとアセチルサリチル酸またはイブプロフェンとの組み合わせ:n=4。
【
図2】概念実証臨床試験のスキーム。マークのない矢印は、ベースライン時ならびに薬物消費の30分後および60分後のKetoMojo携帯式指先穿刺装置を使用する家庭での血中ケトン値および血糖値の測定を示す。星でマークされた矢印は、アンケート(片頭痛の頻度、薬物の使用、強度、片頭痛による支障、有害事象、片頭痛に関連する支障、忍容性など)の時点を示す。三角形でマークされた矢印は、最終的な包含または除外、試験投薬、ならびにKetoMojoおよびストリップの廃棄を示す。六角形でマークされた矢印は、空のおよび満杯の試験投薬サッシェの返却を示す。V3*およびV4*は仮想訪問である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付の実施例に示すように、本発明は、少なくとも部分的には、(i)β-ヒドロキシブチレート(βHB)と(ii)単純鎮痛剤(すなわちイブプロフェンもしくはアセチルサリチル酸)、トリプタン(すなわちフロバトリプタン)、またはメラトニンとの組み合わせ投与によって片頭痛患者において急性頭痛が改善または除去された一方で、β-ヒドロキシブチレートのみ、イブプロフェンのみ、アセチルサリチル酸のみ、トリプタンのみ、またはメラトニンのみでは有効性がはるかに低く、かつせいぜい一時的であるのみであったという驚くべき発見に基づく。さらに、大部分の場合では、本発明の組み合わせによって頭痛が摂取後2時間以内に除去された。驚くべきことに、急性片頭痛発作の前兆期に摂取されたときに、または頭痛の発症時に、すなわち、頭痛の強度がまだ低かった(すなわち0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約0~約4であった)ときに、(i)β-ヒドロキシブチレート(βHB)と(ii)イブプロフェン、アセチルサリチル酸、またはフロバトリプタンとの組み合わせ処置によって前記患者において頭痛が少なくとも24時間完全に除去された一方で、β-ヒドロキシブチレート(βHB)、イブプロフェン、アセチルサリチル酸、またはフロバトリプタンを単独で投与した場合では、頭痛は少なくとも4~12時間以内に再発し、かつ/またはいっそう強くなった。
【0015】
したがって、本発明者らは、驚くべきことに、β-ヒドロキシブチレート(βHB)などのケトン体、またはその前駆体、およびイブプロフェンまたはアセチルサリチル酸などの鎮痛剤が、頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状の処置および/または予防に非常に有用な相乗効果を示しうることを発見した。さらに、本発明者らは、ケトン体またはケト原性化合物と他の鎮痛剤、例えばトリプタンまたはメラトニンとの組み合わせも、頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状の処置および/または予防に関して、単独でのこれら個々の成分に比べて有利でありうることを発見した。さらに、本発明者らは、驚くべきことに、β-ヒドロキシブチレート(βHB)などのケトン体、またはその前駆体がレスキュー薬としても機能し、急性頭痛および/または急性片頭痛発作を処置するために鎮痛剤、例えばイブプロフェンもしくはアセチルサリチル酸などの非ステロイド性抗炎症薬、トリプタン、またはメラトニンとの組み合わせで使用可能であることを発見した。
【0016】
理論に拘束されるものではないが、ケトン体、例えばβHBが片頭痛発作、すなわち酸化ストレスおよび/またはエネルギー欠乏の根本的原因に対処可能であるが、疼痛を引き起こすペプチドの効果を緩和しないため、ケトン体と鎮痛剤、例えば非ステロイド性抗炎症薬、トリプタン、またはメラトニンとの相乗効果が生じうる。したがって、ケトン体単独では、既に存在する疼痛を除去する上ではそれほど有効ではないことがあるが、むしろ頭痛の発生および/またはさらなる増悪を予防しうる。対照的に、アセチルサリチル酸またはイブプロフェンなどの鎮痛剤は、疼痛を緩和するのみであり、根底にある片頭痛発作を停止させるわけではなく、したがって、それらの痛み止め効果が終了するときに、片頭痛がまだ存在し、片頭痛発作の症状、例えば頭痛が再発する。
【0017】
さらに、やはり理論に拘束されるものではないが、ケトン体またはケト原性化合物、およびアセチルサリチル酸、イブプロフェン、トリプタン、またはメラトニンなどの鎮痛剤は抗炎症特性を有し、その作用機構は、発作の原因および結果の両方としての、片頭痛の一部である(神経)炎症に対して相乗的に働きうる。
【0018】
さらに、特定の鎮痛剤、例えばメラトニンの抗酸化特性は、ケトン体またはケト原性化合物との相乗作用の一因となりうる。理論に拘束されるものではないが、身体の疼痛反応の一部として、炎症誘発性の分子およびフリーラジカルが放出される。これらは、抗酸化物質、例えば、本明細書に記載のようにミトコンドリアの内側でも働く非常に強力な抗酸化剤であるメラトニンによって軽減可能である。ケトン体は、それ自体が抗炎症性であるというだけでなく、ATPに変換されるために必要な酸素がブドウ糖に比べて少ない強力な代替的エネルギー基質として、炎症性応答の原因を取り除くものであり、したがって、抗酸化化合物、例えばメラトニンと相乗的に働く。
【0019】
特に、本明細書において、および本発明の文脈において、片頭痛および/または片頭痛症状は疼痛、すなわち頭痛を含む。特に、前記頭痛は、例えば片頭痛発作の25%において一側性であるが、二側性であってもよい。通常、前記頭痛は拍動性または脈動性である。特に、頭痛は中程度~高度の強度(例えば0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約5~約10)でありうる。
【0020】
したがって、本明細書において使用される頭痛は、片頭痛に関連する頭痛、または急性片頭痛発作の間に生じる頭痛に似ていることがあり、例えば、それは一側性、拍動性、もしくは脈動性であることがあり、かつ/または中程度~高度の強度(例えば0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約5~約10)であることがある。例えば、本明細書において、および本発明の文脈において使用される頭痛は、薬物もしくはアルコールの消費もしくは乱用に関連するか、またはそれにより引き起こされることがあり、したがって、例えば二日酔いの状況で生じることがある。さらに、本発明の文脈において、頭痛は群発頭痛(通常は眼の周囲の再発性で重度の一側性頭痛(持続時間が15分~3時間)を特徴とし、多くの場合、流涙症、鼻閉症、および/または患部側の眼の周囲の腫脹を伴う、片頭痛関連の神経障害)の一部でありうる。さらに、頭痛は緊張型頭痛(前頭部の周囲の、眼の後方の、および頭頸部の周囲の鈍痛、緊張、または圧力を特徴とする、最も一般的で通常は軽度または中程度の頭痛型)、あるいは他の状況、例えば外傷性脳損傷後の状況における頭痛、またはその状況により引き起こされる頭痛(頭部に対する打撃、衝突、もしくは衝撃により、または頭部が物体に激しく当たることにより、または物体が頭蓋骨を貫通して脳組織に入るときに引き起こされうる、脳の正常な機能の破壊)でありうる。また、頭痛は線維筋痛症(疲労、睡眠、記憶、および気分の問題を伴う広範囲にわたる筋骨格痛を特徴とする、片頭痛との同時罹患率が高い状態)に関連していることもある。
【0021】
上記で既に示したように、片頭痛と他の疼痛障害、例えば線維筋痛症(Penn(2019),BMJ Open 9(4)号;Onder(2019),Neurol Res 41(10)号)、群発頭痛(Vollesen(2018),J Headache Pain,19(1)号)、および関節リウマチ(Kim(2021),BMJ Open 11(6)号;Jacob(2021),J Clin Med 10(2)号)との同時罹患率が高い。例えば、研究によっては、線維筋痛症患者の約55~92%が片頭痛にも罹患している。このことは、片頭痛において観察される疼痛、すなわち頭痛が、病態生理学的機序および根本的原因を他の疼痛状態と共有している可能性があることを示唆している。しかし、線維筋痛症または関節リウマチなどの疾患では、疼痛は頭痛に限定されない。したがって、本発明の組み合わせまたは組成物は、他の疼痛(頭痛に加えて、または頭痛の代わりに)、例えば線維筋痛症または関節リウマチに関連する疼痛を処置するためにも好適でありうるものと想定される。
【0022】
したがって、本明細書に記載される本発明の組み合わせ、組成物、食品、補助食、栄養補助品、医療食、または特殊医療用食品(FSMP)を、疼痛、例えば片頭痛、線維筋痛症、群発頭痛、および/もしくは関節リウマチに関連しており、かつ/またはそれにより引き起こされる疼痛を処置および/または予防するためにも使用することができる。好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、疼痛は頭痛、好ましくは、片頭痛に関連しており、かつ/もしくは片頭痛により引き起こされる、頭痛を含むか、またはそれである。
【0023】
本明細書において使用される片頭痛および/またはその症状は、好ましくは、頭痛に加えて、アウラ;悪心、吐き気、または嘔吐;光感受性、騒音感受性、および/または臭気感受性;平衡感覚障害または平衡感覚喪失;換語困難;感覚障害および/または運動障害;アロディニア;認知困難、例えば意識朦朧、ブレインフォグ、および/または集中困難;混乱;頻回のあくび;食欲および食物渇望の変化、例えば過食;疲れ、疲労、または低エネルギー;気分変化、例えばうつ状態から多幸感への気分変化;口渇および排尿の増加;頸部硬直;顔面痛;頭部緊張;ただれ目;温度感覚の変化、例えば熱すぎるかまたは冷たすぎると感じること;下痢または便秘;発汗;イライラ、めまい、または失神感からなる群から選択される少なくとも1種の、好ましくは少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種のさらなる症状を含む。
【0024】
より好ましくは、片頭痛および/またはその症状は、頭痛、ならびにアウラ;悪心、吐き気、および/または嘔吐;ならびに光感受性、騒音感受性、および/または臭気感受性からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる症状を含む。
【0025】
混乱を避けるために言えば、片頭痛および急性片頭痛発作の症状は同じである。さらに、「急性片頭痛発作」、「急性片頭痛発作」、および「急性片頭痛」という用語は互換的に使用される。
【0026】
「片頭痛」の処置と急性「片頭痛発作」の処置との間の差は、主に、片頭痛の処置が片頭痛発作の予防(予防的要素)を特に含む一方で、急性片頭痛発作の処置が既存の片頭痛発作の処置(レスキュー要素)に特に重点を置いているということである。しかし、急性片頭痛発作の処置は、約1日または2日以内の、すなわち同じ発作の時間内での片頭痛発作および/またはその症状の再発の予防を含んでもよい。
【0027】
特に、本明細書において、および本発明の文脈において、対象は脊椎動物、好ましくは哺乳動物、例えばヒト、または非ヒト動物、例えば特にサル、イヌ、ネコ、ウマ、雌ウシ、ブタ、ヒツジ、ラクダ、マウス、ラット、モルモット、もしくはハムスター、最も好ましくはヒトである。さらに、対象は好ましくは雌でありうる。好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、対象は、本明細書において単に「患者」と呼ばれる、医学的注意および/または医学的介入を必要とする患者である。対象は、片頭痛、線維筋痛症、群発頭痛、および/もしくは関節リウマチ、あるいは片頭痛、線維筋痛症、群発頭痛、および/もしくは関節リウマチに関連しており、かつ/またはそれにより引き起こされる疼痛に罹患しているか、または罹患していることが疑われる、患者でありうる。特に、対象は、頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状に罹患しているか、または罹患していることが疑われる、患者でありうる。
【0028】
好ましくは、本明細書において、頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状が、少なくとも1回の片頭痛発作に既に罹患したことがあり、かつ/または再発性片頭痛発作に罹患中である、対象において予防および/または処置される。したがって、患者は片頭痛に月当たり1~31日、好ましくは少なくとも約3日または5日、より好ましくは少なくとも約10日罹患中でありうる。好ましい実施形態では、患者は代謝性片頭痛患者、すなわち、片頭痛の50%超が代謝イベント、例えば特に絶食、食事を抜くこと、または運動によって誘発される患者である。
【0029】
しかし、いくつかの実施形態では、すなわち、非治療的使用の文脈では、対象は、医学的注意および/または医学的介入を必要とする患者ではなく、健康な対象、すなわち、疼痛障害、例えば片頭痛に罹患中ではない対象である。さらに、本明細書において、および本発明の文脈において、対象はうつ病、躁病、気分動揺、および/または性欲減退に罹患中でありうる。
【0030】
特に、本明細書において、および本発明の文脈において使用される、「ケトン体」という用語は、本明細書において「βHB」と総称されるβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩、ならびに本明細書において「AcAc」と総称されるアセト酢酸、アセトアセテート、および/または薬学的に許容されるアセト酢酸塩を含む(例えばCAS No.541-50-4を参照)。
【0031】
本明細書において使用される前記βHBは、ベータヒドロキシ酪酸および/またはその共役塩基ベータヒドロキシブチレートの任意の鏡像異性体、すなわちD-βHBおよび/もしくはL-βHB、ならびに/またはラセミ体(すなわちD/L-βHB)をさらに含む。ベータヒドロキシ酪酸はβ-ヒドロキシ酪酸または3-ヒドロキシ酪酸としても知られており、ベータヒドロキシブチレートはβ-ヒドロキシブチレートまたは3-ヒドロキシブチレートとしても知られている(CAS No.300-85-6)。
【0032】
最も好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、βHBはD-βHBである。
【0033】
本明細書において使用される、(R)-βHBとしても知られるD-βHBは、βHBの特定の鏡像異性体を意味する。前記鏡像異性体はヒトにより肝内で産生されうる。さらに、D-βHBまたはD-βHB前駆体は脳代謝効率を増加させ、細胞の転写状態および後成状態を制御することが示された;WO2010021766A1およびShimazu et al.,Science.2013 Jan 11;339(6116)号:211-4。
【0034】
β-ヒドロキシ酪酸(左)、D-β-ヒドロキシ酪酸(中央)、およびD-β-ヒドロキシブチレート(右)の式を以下に示す:
【0035】
【0036】
アセトアセテートの式を以下に示す:
【0037】
【0038】
βHBおよびAcAcは、絶食またはケトジェニックダイエットに応答してヒトにより産生される主要な種類のケトン体であり、したがって、例えば本明細書に記載の対象の血中で測定可能な「内因性ケトン体」と呼ばれることもある。特に、βHBおよびAcAcは、飢餓、絶食、糖欠乏および/もしくは炭水化物欠乏、ならびに/または長時間の激しい運動の時に脂肪組織から放出される脂肪酸から肝臓によって産生される。それらは、ブドウ糖、乳酸、およびケトン体以外の他のエネルギー基質を代謝することができない身体の大部分の組織、とりわけ脳によって、ブドウ糖に変わるエネルギー基質として使用されうる。
【0039】
しかし、βHBおよびAcAcは、対象にそれらが投与される際に、本明細書において、および本発明の文脈において記載されるように、「外因性ケトン体」と呼ばれることもあるが、それらは「内因性ケトン体」と化学的に同一でありうる。
【0040】
本明細書において、および本発明の文脈において使用される、「ケトン体」、「ケト原性化合物」、「βHB」、および「ケトンエステル」という用語は、特に、ポリ-3-ヒドロキシブチレート、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸、ポリ-3-ヒドロキシブチレート共重合体、例えばポリ(β-リンゴ酸)-b-ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、ならびに/あるいは、少なくとも10000、5000、1000、500、200、100、50、20、もしくは10単位、例えば少なくとも100単位の単量体βHBを含むかまたはそれからなり、かつ体内で単量体βHBに有効に代謝されず、かつ/あるいは生分解性プラスチックなどのプラスチックの製造に使用される、他のポリエステル、例えばポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-3-ヒドロキシバレレート)またはポリ(3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート)を含まない。特に、本明細書に示される本発明の組成物は、体積比および/または重量比で約90%、70%、50%、30%、10%、1%を超えて、または約0%を超えてポリ-3-ヒドロキシブチレート、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸、ポリ-3-ヒドロキシブチレート共重合体、例えばポリ(β-リンゴ酸)-b-ポリ(β-ヒドロキシブチレート)、および/または他の非ケト原性ポリエステルを含むことができない。
【0041】
特に、本明細書において、および本発明の文脈において使用される、「ケト原性化合物」という用語は、βHBおよび/またはAcAcの前駆体を意味する。特に、本明細書において使用されるケト原性化合物は、特定の化学物質、または化学物質の規定の混合物である。特に、本明細書において使用される「ケト原性化合物」という用語は、特定の化学物質が添加されていない天然の組成物または食物を意味しない。
【0042】
内因性ケトン体、すなわちβHBおよび/またはAcAcの前駆体は、対象への投与時に、または対象への投与のための前記前駆体の調製の間に、βHBおよび/またはAcAcを産生する。好ましくは、本明細書において、βHBおよび/またはAcAcの前駆体はβHBおよび/またはAcAcの代謝前駆体である。特に、代謝前駆体は、本明細書に記載の対象の体内でβHBおよび/またはAcAcに代謝される。例えば、代謝前駆体は、ヒトまたは動物の身体に投与されるときに、例えば肝内で代謝されて、D-βHBおよびAcAcを好ましくは生理学的比率で産生する。
【0043】
好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、ケトン体および/またはケト原性化合物はケトン体、好ましくはβHB、より好ましくはD-βHBを含む。
【0044】
本明細書において使用されるβHBはD-βHBおよび/もしくはL-βHB、ラセミDL-βHB、または異性体D-βHBのみを含みうる。好ましくは、βHBは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%、99.99%、もしくは100%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは少なくとも約99%、最も好ましくは少なくとも100%のD-βHB、および/または約50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、0.1%、0.01%、もしくは0%未満、好ましくは約10%未満、より好ましくは約1%未満、最も好ましくは約0%のL-βHBを含む。いくつかの実施形態では、βHBは少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、99.9%、99.99%、または100%のL-βHBを含む。しかし、上記で言及したように、本明細書において、および本発明の文脈において、βHBは好ましくはD-βHBを意味する。
【0045】
好ましい実施形態では、ケトン体は薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含む。
本明細書において使用される薬学的に許容される塩は、カリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルギニン塩、亜鉛塩、バリウム塩、鉄塩、銅塩、マンガン塩、モリブデン塩、リチウム塩、リン塩、硫黄塩、ヨウ素塩、セレン塩、クロム塩、コバルト塩、リジン塩、ロイシン塩、ヒスチジン塩、オルニチン塩、クレアチン塩、アグマチン塩、シトルリン塩、メチルグルカミン塩、およびカルニチン塩、または前記塩のうち少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択されうる。
【0046】
好ましくは、薬学的に許容される塩は、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、およびマグネシウム塩からなる群から選択される少なくとも1種、2種、3種、または4種、好ましくは全種の塩を含む。例えば、薬学的に許容される塩は、約1:2:1:2、約1:1:1:2、または約1:1:1:1の混合比でのナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム無機塩のブレンドでありうる。
【0047】
数種の塩の組み合わせを使用することが好ましい。特に、異種の塩の数を増加させることで、総忍容量を増加させることができる。
【0048】
さらに、本明細書において、および本発明の文脈において使用されるケトン体は、β-ヒドロキシ酪酸を含みうる。したがって、ケトン体は薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩およびβ-ヒドロキシ酪酸を含みうる。
【0049】
例えば、ケトン体および/またはケト原性化合物は、本明細書に記載のD-β-ヒドロキシ酪酸とD-β-ヒドロキシブチレートの薬学的に許容される塩混合物との(1:1)混合物、および場合によってはさらに本明細書に記載の乾燥剤を含みうるか、またはそれからなりうる。
【0050】
好ましくは、本明細書において、ケトン体はD-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはD-β-ヒドロキシ酪酸を含み、かつ/あるいは、前記ケト原性化合物はD-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはD-β-ヒドロキシ酪酸に代謝される。また、本明細書において、および本発明の文脈において、前記ケトン体がL-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはL-β-ヒドロキシ酪酸を含まず、かつ/あるいは、前記ケト原性化合物がL-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはL-β-ヒドロキシ酪酸に代謝されないことが好ましい。
【0051】
本明細書において、および本発明の文脈において、ケト原性化合物は、1,3-ブタンジオール、トリアセチン、脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸、もしくは脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸を含む化合物、例えば中鎖トリグリセリド、またはケト原性アミノ酸、例えばロイシンもしくはリジンからなる群から選択される、βHBおよび/またはAcAcの代謝前駆体;あるいは前記代謝前駆体の薬学的に許容される塩を含みうる。特に、1,3-ブタンジオールはCAS No.107 88 0を指し、トリアセチンはCAS No.102-76-1を指す。
【0052】
特に、本明細書において、および本発明の文脈において、「脂肪酸」という用語は、本明細書に記載の短鎖脂肪酸、中鎖脂肪酸、および長鎖脂肪酸、例えば4~21個の炭素原子、すなわち4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、または21個の炭素原子、例えば4、5、6、7、または8個の炭素原子、好ましくは6個または8個の炭素原子、より好ましくは8個の炭素原子の脂肪族末端を有する酸を含む。好ましくは、本明細書において、前記鎖(脂肪族末端)は飽和している。
【0053】
特に、本明細書において、本発明の文脈において、「中鎖(medium chain)脂肪酸」、「中鎖(middle chain)脂肪酸」、または「MCFA」という用語は、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子、好ましくは6個または8個の炭素原子、より好ましくは8個の炭素原子の鎖を含む脂肪族モノカルボン酸を意味する。したがって、MCFAは好ましくはカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、およびラウリン酸、好ましくはカプリル酸またはカプリン酸、より好ましくはカプリル酸を含む。しかし、本発明の文脈においては、βHBおよび/またはAcAcに代謝可能である限り、他の脂肪酸、例えば13~21個の炭素の脂肪族末端を有する長鎖脂肪酸、または4個もしくは5個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸を、中鎖脂肪酸の代わりに使用してもよい。特に、4個または5個の炭素原子を有する短鎖脂肪酸は非常にケト原性が高く、したがって、本明細書において、および本発明の文脈において中鎖脂肪酸の代わりによく使用されうる。
【0054】
本明細書において使用される「中鎖(medium chain)トリグリセリド」、「中鎖(middle chain)トリグリセリド」、または「MCT」は、グリセロール(例えばCAS No.56-81-5を参照)と3個のMCFAとの結合により形成されるエステルを意味する。さらに、本明細書において、および本発明の文脈において、グリセロールと3個の短鎖、中鎖、もしくは長鎖脂肪酸、またはそれらの組み合わせとの結合により形成されるエステルでMCTを置き換えることができる。
【0055】
本明細書において使用される「ケト原性アミノ酸」という用語は、内因性ケトン体の前駆体であるアセチル-CoAに分解されうるアミノ酸を意味する。ロイシンおよびリジンは、ケト原性であるのみであるケト原性アミノ酸である。イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、およびチロシンは、糖原性でもあるケト原性アミノ酸である。したがって、ケト原性アミノ酸は、ロイシン、リジン、イソロイシン、フェニルアラニン、トリプトファン、および/またはチロシンを特に含みうる。
【0056】
さらに、ケト原性化合物は、アセトアセチル部分および/または3-ヒドロキシブチレート部分を含む化合物を含みうる。
【0057】
エステルとは、カルボン酸とアルコールとの置換反応と同様に少なくとも1個の-OHヒドロキシル基が-O-アルキル(アルコキシ)基で置き換えられた、酸に由来する化学物質のことである。したがって、本明細書において、2種の化合物の結合により形成されるエステルは、これら2種の化合物が特に一方の化合物の酸基および他方の化合物のアルコール基を通じてエステル化されていることを意味する。
【0058】
好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、ケト原性化合物はケトンエステルまたはその薬学的に許容される塩、好ましくはケトンエステルを含む。
【0059】
本明細書における「ケトンエステル」という用語は、本明細書に記載のβHBおよび/またはAcAcの前駆体、好ましくは代謝前駆体である任意のエステルを意味する。したがって、ケトンエステルは3-ヒドロキシブチレート(βHB)部分、アセトアセチル(AcAc)部分、ならびに/またはそれ自体がβHBおよび/もしくはAcAcの前駆体である少なくとも1個の部分、例えば1,3-ブタンジオール部分もしくは中鎖脂肪酸部分を特に含みうる。
【0060】
したがって、本発明の文脈において、ケトンエステルはβHBおよび/またはAcAcのエステルを含みうる。
【0061】
したがって、ケトンエステルは、βHBとβHBとの結合、βHBとAcAcとの結合、またはAcAcとAcAcとの結合により形成されるエステル、例えば3-ヒドロキシブチル-(R)-3-ヒドロキシブチレートを含みうる。
【0062】
さらに、ケトンエステルは、βHBまたはAcAcと一価、二価、または三価アルコールとの結合により形成されるエステルを含みうる。例えば、ケトンエステルは、βHBと1,3-ブタンジオールまたはグリセロールとの結合により形成されるエステルを含みうるものであり、ここで1,3-ブタンジオールまたはグリセロールは脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸でさらにエステル化されていてもよい。したがって、ケトンエステルは、例えば、βHBまたはAcAcと1,3-ブタンジオールとの結合により形成されるエステル、例えば(R)-3-ヒドロキシブチレート-R-1,3-ブタンジオールモノエステルを含みうる。さらなる例では、ケトンエステルは、βHBまたはAcAcとグリセロールとの結合により形成されるエステル、例えばグリセリル トリス(3-ヒドロキシブチレートを含みうる。グリセロールは少なくとも1個の脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸でさらにエステル化されていてもよい。
【0063】
また、ケトンエステルは、βHBまたはAcAc(好ましくはβHB)と脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸との結合により形成されるエステルを含みうる。
【0064】
さらに、ケトンエステルは、1,3-ブタンジオールと少なくとも1個の脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸との結合により形成されるエステル、例えば、2個のカプロン酸でエステル化された1,3-ブタンジオールを含みうる。
【0065】
好ましくは、本明細書において、ケトンエステルはD-βHBのエステルであり、かつ/あるいは、ケトンエステルは対象の体内でD-βHBおよび/またはアセトアセテートに、好ましくは少なくともD-βHBに代謝される。
【0066】
さらに、ケト原性化合物はβHBおよび/もしくはAcAcのアミド、またはその薬学的に許容される塩を含みうる。
【0067】
さらに、ケト原性化合物は、D-β-ヒドロキシブチレート-D-1,3-ブタンジオール;(3R)-ヒドロキシブチル-(3R)-ヒドロキシブチレート;アセトアセチル-1,3-ブタンジオール;アセトアセチル-R-3-ヒドロキシブチレート;アセトアセチルグリセロール;3-ヒドロキシブチル 3-ヒドロキシブタノエート;(3-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル)3-ヒドロキシブタノエート;3-(3-ヒドロキシブタノイルオキシ)ブチル 3-ヒドロキシブタノエート;3-(3-ヒドロキシブタノイルオキシ)ブタン酸;3-ヒドロキシブチル 3-オキソブタノエート;3-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル)3-オキソブタノエート;3-(3-オキソブタノイルオキシ)ブチル 3-オキソブタノエート;3-(3-オキソブタノイルオキシ)ブタン酸;2,3-ジヒドロキシプロピル 3-オキソブタノエート;[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エチル]3-オキソブタノエート;[2-ヒドロキシ-3-(3-オキソブタノイルオキシ)プロピル]3-オキソブタノエート;[3-ヒドロキシ-2-(3-オキソブタノイルオキシ)プロピル]3-オキソブタノエート;2,3-ビス(3-オキソブタノイルオキシ)プロピル 3-オキソブタノエート;ならびに式
【0068】
【0069】
のうちいずれか1つ、ならびにその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物を含みうる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態では、ケトン体および/またはケト原性化合物はβ-ヒドロキシブチレート-1,3-ブタンジオールモノエステル、グリセリル-トリス-3-ヒドロキシブチレート、R-3-ヒドロキシ-ブチレート-R-1,3-ブタンジオールモノエステル、および/またはD-β-ヒドロキシブチレート-(R)-1,3-ブタンジオールを含まない。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態では、ケトン体および/またはケト原性化合物は中鎖トリグリセリドを含まない。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態では、ケトン体および/またはケト原性化合物はβ-ヒドロキシブチレート-1,3-ブタンジオールモノエステル、グリセリル-トリス-3-ヒドロキシブチレート、R-3-ヒドロキシ-ブチレート-R-1,3-ブタンジオールモノエステル、D-β-ヒドロキシブチレート-(R)-1,3-ブタンジオール、および/または中鎖トリグリセリドを含まない。
【0073】
本明細書において、および本発明の文脈において使用される、鎮痛剤は、「痛み止め」と呼ばれることもあり、感覚を完全に消失させることなく、特に鎮痛または疼痛緩和を達成するために使用される。さらに、鎮痛剤、例えば、イブプロフェンもしくはアセチルサリチル酸などの非ステロイド性抗炎症薬、またはメラトニンは、抗炎症性でありうる。さらに、メラトニンなどの鎮痛剤は抗酸化特性を有しうる。
【0074】
特に、鎮痛剤は非ステロイド性抗炎症薬、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、アセトアミノフェン(Paracetamol)、トリプタン、メラトニン、オピオイド、および/またはカンナビノイドを含みうる。前記シクロオキシゲナーゼ阻害剤は、少なくともCOX2を阻害することが好ましく、また、COX2のみを阻害するがCOX1は阻害しないということもあれば、COX2およびCOX2の両方を阻害することもある。例えば、いくつかの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)がシクロオキシゲナーゼ阻害剤でもありうることから、これらのクラスの間に重複も存在しうる。好ましくは、本明細書において、鎮痛剤は単純鎮痛剤を含むか、またはそれからなる。特に、本明細書において使用される単純鎮痛剤は、アセチルサリチル酸およびイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬、シクロオキシゲナーゼ阻害剤、ならびに/またはアセトアミノフェンを含む。
【0075】
好ましくは、本明細書において、鎮痛剤、例えば単純鎮痛剤は、少なくとも1種の非ステロイド性抗炎症薬を含む。特に、非ステロイド性抗炎症薬は下記(i)~(vii):
(i)サリチレート、例えばアセチルサリチル酸(例えばAspirin)、ジフルニサル(例えばDolobid)、サリチル酸もしくはその塩、またはサルサレート(例えばDisalcid);
(ii)プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、デキスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デキスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、ペルビプロフェン、またはザルトプロフェン;
(iii)酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、アセクロフェナク、ブロムフェナク、またはナブメトン;
(iv)エノール酸(例えばオキシカム)誘導体、例えばピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、またはフェニルブタゾン(例えばBute);
(v)アントラニル酸誘導体(フェナム酸)、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、またはトルフェナム酸;
(vi)選択的COX-2阻害剤(コキシブ)、例えばセレコキシブ、パレコキシブ、またはエトリコキシブ;および
(vii)クロニキシン、リコフェロン、またはH-ハルパギドからなる群から選択されうる。
【0076】
しかし、本発明に好適な非ステロイド性抗炎症薬は、非ステロイド性抗炎症薬の上記の群(i)~(vii)に限定されない。
【0077】
好ましくは、鎮痛剤、すなわち非ステロイド性抗炎症薬は、サリチレート、および/またはイブプロフェン、デキスイブプロフェン、デキスケトプロフェン、もしくはナプロキセンなどのプロピオン酸誘導体を含む。最も好ましくは、本明細書において、鎮痛剤、すなわち非ステロイド性抗炎症薬は、アセチルサリチル酸および/またはイブプロフェンを含む。イブプロフェンはイソブチルフェニルプロピオン酸とも呼ばれる。
【0078】
したがって、特定の好ましい実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物は薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤はアセチルサリチル酸またはイブプロフェンを含む。
【0079】
トリプタンは、セロトニン受容体アゴニストであり、いくつかの異なったありうる作用機構、すなわち、血管平滑筋に作用することによる疼痛感受性頭蓋内血管の血管収縮;ならびに例えば三叉神経求心路からのカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)およびサブスタンスPなどの血管作用性および/または炎症誘発性神経ペプチドの放出の阻害を示す。例えば、CGRPは、特に片頭痛における疼痛伝達に関与する炎症誘発性神経ペプチドである。トリプタンは、CGRP放出を阻害することから、痛み止めとして、すなわち本発明の文脈における鎮痛剤として分類されうる。
【0080】
例えば急性片頭痛発作または群発頭痛の処置での使用に好適なトリプタンとしては、特にスマトリプタン、ゾルミトリプタン、ナラトリプタン、リザトリプタン、アルモトリプタン、エレトリプタン、フロバトリプタン、ドニトリプタン、およびアビトリプタンが挙げられる。いくつかの実施形態では、フロバトリプタンが本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物、例えばβHBとの組み合わせで使用される。
【0081】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に示される鎮痛剤または本発明の組成物はトリプタン、例えばフロバトリプタンを含む。
【0082】
したがって、いくつかの実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物は薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤はトリプタンを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物はアセチルサリチル酸またはイブプロフェンなどの単純鎮痛剤、およびトリプタンとの組み合わせで使用されうる。
【0084】
メラトニンは、夜間に松果体によって主に放出される、睡眠覚醒周期の制御に関連するホルモンである。メラトニンはN-[2-(5-メトキシインドール-3-イル)エチル]アセトアミドまたはN-アセチル-5-メトキシトリプタミン;すなわちCAS-Nr.73-31-4とも呼ばれる。メラトニンは、多くの場合では例えば時差ボケまたは交代勤務による不眠症の短期的処置に使用され、通常は経口摂取される。
【0085】
近年のエビデンスは、メラトニンが鎮痛特性を有していて、例えば、頭痛、例えば特に群発頭痛の処置に使用可能であるということを示している(Xie(2020),J Pain Res.13号;Chen(2016),Exp Ther Med.12(4)号;Peres(2006),Expert Opinion on Investigational Drugs.15(4)号;Evers(2005),Practical Neurology.5(3)号)。
【0086】
さらに、メラトニンが抗酸化剤であることは周知である(Tan(2015),Molecules 20(10)号;Chitimus(2020),Biomolecules 10(9)号;Hardeland(2005),Nutr Metab(Lond)2号;Reiter(2016),Journal of Pineal Research 61号)。
【0087】
Hardeland(2005),Nutr Metab(Lond)2号に記載のように、メラトニンは、その両親媒性が理由で、あらゆる体液、細胞、または細胞区画に入ることができる。メラトニンは、直接的なラジカル捕捉以外に、抗酸化酵素の上方制御および酸化促進酵素の下方制御においても役割を果たす。メラトニンは、アスコルビン酸塩およびTroloxなどの他の抗酸化剤の効果を増強することが示されている。
【0088】
さらに、メラトニンはミトコンドリアの内側で作用する。メラトニンがミトコンドリア標的化抗酸化剤として分類されるべきであることが示唆されている。さらに、メラトニンが、Fenton/Haber-Weiss反応に関与する遷移金属をキレート化することが報告されている(Reiter(2016),Journal of Pineal Research 61号)。
【0089】
したがって、メラトニンは毒性ヒドロキシルラジカルの形成を特に減少させ、これにより酸化ストレスを減少させる。
【0090】
特に、本明細書において、および本発明の文脈において、抗酸化剤は生体組織および/または細胞において酸化ストレスを減少させる。したがって、抗酸化剤は生物学的抗酸化剤でありうる。
【0091】
さらに、抗酸化剤は、(i)フリーラジカルスカベンジャーであり、かつ/または活性酸素種および/もしくは活性窒素種を直接的に解毒可能であり、(ii)スーパーオキシドジスムターゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、グルタチオン還元酵素、および/もしくはカタラーゼなどの抗酸化酵素を刺激し、かつ/または一酸化窒素合成酵素などの酸化促進酵素の活性を抑制し、かつ/あるいは(iii)例えばFenton-Haber-Weiss反応に関与する遷移金属をキレート化することがありうる。
【0092】
さらに、抗酸化剤はミトコンドリア標的化抗酸化剤でありうる。すなわち、抗酸化剤はミトコンドリアの内側で機能し、かつ/またはミトコンドリアに入ることが可能であることがありうる。
【0093】
さらに、抗酸化剤は親油性または両親媒性、好ましくは両親媒性でありうる。有利なことに、メラトニン、α-リポ酸、またはアスタキサンチンなどの両親媒性抗酸化剤は細胞の水性部分および脂質部分の両方を保護する。
【0094】
メラトニンに比べて少なくとも同等以上の抗酸化能を有する様々な異なる物質が存在する(Rodriguez-Naranjo(2012),Journal of Food Composition and Analysis,28巻,1号)。
【0095】
例えば、レスベラトロールが強力な抗酸化剤として公知である(Munoz(2020),Arch Med 16(4)号)。さらなる好適な抗酸化剤としてはアスコルビン酸/ビタミンCおよびビタミンE(Naziroglu(2010),Cell Biochemistry & Function,28巻,4号;Vitamin C(2017),published by InTech,Rijeka,Croatia - Pehlivan,page 23;Machlin(1986),Advances in Free Radical Biology & Medicine,2巻,2号)、α-リポ酸(Packer(1995),Free Radical Biology & Medicine,19巻,2号);Tibullo(2017),Inflamm Res 66(11)号)、コエンザイムQ10(Saini(2011),J Pharm Bioallied Sci.3(3)号;Lee(2012),Nutrition,28巻,3号)、ならびにアスタキサンチンがある。
【0096】
さらに、メラトニンがインドールアミンであり、5-ヒドロキシ-インドールが高い抗酸化活性を示すことが知られている(Rodriguez-Naranjo(2012),Journal of Food Composition and Analysis,28巻,1号)。
【0097】
したがって、本明細書において、および本発明の文脈において、抗酸化剤はメラトニンなどのインドールアミン、5-ヒドロキシ-インドールもしくはインドール-3-酢酸などのインドール、レスベラトロールなどのポリフェノール、α-リポ酸、アスタキサンチン、アスコルビン酸、ビタミンE、ケンペロール、および/またはコエンザイムQを含みうる。
【0098】
さらに、抗酸化剤は、メラトニンの代わりに、またはそれに加えて、アゴメラチンおよび/またはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニストを含みうる。
【0099】
したがって、本明細書において、および本発明の文脈において、アゴメラチンまたはタシメルテオンがメラトニンの代わりに使用されうる。しかし、本明細書において、および本発明の文脈において、メラトニンがアゴメラチンまたはタシメルテオンに比べて好ましい。
【0100】
最も好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、抗酸化剤はメラトニンを含むかまたはメラトニンである。
【0101】
本発明の組み合わせまたは組成物は、本明細書に記載のケトン体またはケト原性化合物(例えばβ-ヒドロキシブチレート)、鎮痛剤(例えばイブプロフェンまたはアセチルサリチル酸)、および抗酸化剤(例えばメラトニン)を含みうる。しかし、鎮痛剤および抗酸化剤は同じ化合物、例えばメラトニンであってもよい。
【0102】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に示される鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤または本発明の組成物は、メラトニンを含む。
【0103】
したがって、いくつかの実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物は薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤はメラトニンを含む。いくつかの実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物はアセチルサリチル酸またはイブプロフェンなどの単純鎮痛剤、およびメラトニンとの組み合わせで使用されうる。さらなる実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物はトリプタンおよびメラトニンとの組み合わせで使用されうる。
【0104】
本発明における鎮痛剤としての使用に好適なカンナビノイドとしては、特に、カンナビジオール(CBD)、アミノアルキルインドールなどのカンナビミメティクス、1,5-ジアリールピラゾール、キノリン、およびアリールスルホンアミド、ならびにエイコサノイド(エンドカンナビノイドに関連する)、テトラヒドロカンナビノール(THC)、THCの効果を模倣する合成カンナビノイド、およびCBDの効果を模倣する合成カンナビノイドが挙げられる。好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、カンナビノイドはカンナビジオールを含むか、またはそれからなる。
【0105】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に示される鎮痛剤または本発明の組成物はカンナビノイド、例えばカンナビジオールを含む。
【0106】
したがって、いくつかの実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物は薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤はカンナビノイドを含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物はアセチルサリチル酸またはイブプロフェンなどの単純鎮痛剤、およびカンナビノイドとの組み合わせで使用されうる。
【0108】
いくつかの実施形態では、ケトン体またはケト原性化合物はアセチルサリチル酸またはイブプロフェンなどの単純鎮痛剤、トリプタン、メラトニン、または前記鎮痛剤の任意の組み合わせとの組み合わせで使用されうる。
【0109】
本発明における鎮痛剤としての使用に好適なオピオイドとしては、特に、ヒドロコドンまたはジヒドロコデイノン(例えば特にVicodin(登録商標)、Norco(登録商標)、Zohydro(登録商標))、オキシコドン(例えばOxyContin(登録商標)またはPercocet(登録商標))、オキシモルホン(例えばOpana(登録商標))、モルヒネ(例えばKadian(登録商標)、Avinza(登録商標)、Duramorph(登録商標)、MS Contin(登録商標))、コデイン、フェンタニル(例えばActiq(登録商標)、Duragesic(登録商標)、またはSublimaze(登録商標))、ヒドロモルホン(例えばDilaudid(登録商標))、メペリジン(例えばDemerol(登録商標))、およびメサドン(例えばDolophine(登録商標)、Methadose(登録商標))が挙げられる。
【0110】
さらに、本発明は、本発明に記載の(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤とを含む組成物に関する。
【0111】
いくつかの実施形態では、組成物は(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)メラトニン、ならびに/またはメラトニン、アゴメラチン、および/もしくはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニスト、好ましくはメラトニンとを含む。
【0112】
本発明の組成物は、特に、本明細書に記載の疼痛を軽減するために好適である。前記疼痛は片頭痛、線維筋痛症、群発頭痛、および/もしくは関節リウマチ、好ましくは片頭痛に関連しうるし、かつ/またはそれにより引き起こされうる。好ましくは、前記疼痛は頭痛、例えば、片頭痛に関連しており、かつ/もしくは片頭痛により引き起こされる、頭痛を含むか、またはそれである。
【0113】
したがって、本明細書に示される本発明の組成物は、特に、本明細書に記載の対象において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防するために好適である。
【0114】
したがって、本明細書に示される本発明の組成物は、片頭痛、群発頭痛、線維筋痛症、てんかん、外傷性脳損傷、うつ病、不安障害、多発性硬化症、パーキンソン病、アルツハイマー病、慢性疲労症候群、および/または慢性疼痛状態からなる群から選択される神経障害および/または脳障害を処置および/または予防するために使用されうる。例えば、本発明の組成物は、本明細書に記載されるように、片頭痛、群発頭痛、線維筋痛症、および/または関節リウマチ、好ましくは片頭痛を処置および/または予防するために使用されうる。
【0115】
さらに、本明細書に示される本発明の組成物は、本明細書に記載の対象において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防するために使用されうる。
【0116】
本発明の組成物は食品または補助食に含まれうる。したがって、本発明はまた、本明細書に示される本発明の組成物、すなわち(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤とを含む食品、補助食、または栄養補助品に関する。本発明の組成物、食品、補助食、または栄養補助品のいくつかの実施形態では、鎮痛剤は1種もしくは複数のカンナビノイドを含むか、またはそれからなる。例えば、カンナビノイドはCBDを含みうるか、またはそれからなりうる。
【0117】
本発明の組成物、食品、補助食、または栄養補助品のいくつかの実施形態では、鎮痛剤および/または抗酸化剤はメラトニンを含むか、またはそれからなる。好ましくは、組成物はβ-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩をさらに含む。
【0118】
本発明の組成物、食品、補助食、または栄養補助品のいくつかの実施形態では、鎮痛剤および/または抗酸化剤はメラトニンおよび/もしくは少なくとも1種のカンナビノイド、好ましくはCBDを含むか、またはそれからなる。
【0119】
いくつかの実施形態では、食品、補助食、または栄養補助品は(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)メラトニン、ならびに/またはアゴメラチンおよび/もしくはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニスト、好ましくはメラトニンとを含む。
【0120】
好ましい実施形態では、食品、補助食、または栄養補助品は(i)β-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩、好ましくは薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩と(ii)メラトニンとを含む。
【0121】
特に、本発明の食品、補助食、または栄養補助品は、疼痛、すなわち頭痛、頸部緊張、認知困難、睡眠障害、または他の片頭痛関連もしくは頭痛関連の症状を軽減すること、ならびに/あるいは、片頭痛発作または関連する症状および状態の頻度および/または強度が結果として減少しうるように、脳の健康および/または認知機能を促進および支援すること、例えば脳の過興奮(てんかんおよび片頭痛ならびに他の脳の健康の問題における共通の現象)を減少させることにより、対象の健康を促進することができる。いくつかの実施形態では、本発明の組成物、すなわち本発明の食品、補助食、または栄養補助品、より具体的には(i)本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)カンナビノイド(例えばCBD)および/またはメラトニンとを含む食品、補助食、または栄養補助品は、非治療的目的でのみ、例えば、特に医学的注意および/または医学的介入を必要としていない対象において、認知パフォーマンス、自信、安眠、および/または精神的健康を促進および/または支援するために使用されうる。好ましくは、非治療的使用の文脈では、鎮痛剤および/または抗酸化剤は1種もしくは複数のカンナビノイド、および/またはメラトニンを含むか、あるいはそれからなる。例えば、カンナビノイドはCBDを含みうるか、またはそれからなりうる。
【0122】
「食物」および「食品」という用語は、本明細書において互換的に使用されるものであり、生物に栄養支援を与えるために消費される任意の物質を意味する。食物は、生物起源でありうるものであり、また、炭水化物、脂肪、タンパク質、ビタミン、もしくはミネラルなどの必須栄養素を含み、かつ/または水溶液から本質的になることがありうる。食物は、エネルギーを与えるか、生命を維持するか、または成長を刺激するために、対象により経口摂取され、対象の細胞により吸収される。食品は対象により摂取または対象に投与されうる。好ましくは、食品は食べられるかまたは飲まれる。
【0123】
本明細書において使用される補助食とは、栄養学的および/または生理学的効果を示す濃縮栄養源を意味する。本発明において、補助食に含まれる主要栄養素は、本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物でありうる。補助食は他の栄養素、例えばビタミンまたはミネラルをさらに含みうる。補助食は対象により摂取または対象に投与されうる。好ましくは、補助食は食べられるかまたは飲まれる。
【0124】
食品はさらなる食用および/または飲用の材料をさらに含みうる。
さらに、本発明の組成物は医療食および/または特殊医療用食品として調合されうる。医療食および/または特殊医療用食品も、本明細書に記載の食品、補助食、または栄養補助品と見なされうる。
【0125】
したがって、本発明はさらに、本発明に記載の(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤および/または抗酸化剤とを含む医療食または特殊医療用食品(FSMP)に関する。
【0126】
いくつかの実施形態では、医療食または特殊医療用食品(FSMP)は(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)メラトニン、ならびに/またはアゴメラチンおよび/もしくはタシメルテオンなどのメラトニン受容体アゴニスト、好ましくはメラトニンとを含む。
【0127】
1つの実施形態では、医療食または特殊医療用食品(FSMP)は(i)β-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/または薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩、好ましくは薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩と(ii)メラトニンとを含む。
【0128】
さらに、本明細書において使用される特殊医療用食品とは、特定の疾患、障害、または医学的状態に罹患している個体の食事管理(医学的監督下での)用の食品を意味する。これらの食物は、栄養所要量を通常の食物によって満たすことができない人々の唯一のまたは部分的な摂食用に意図されている。
【0129】
さらに、本明細書において使用される医療食とは、医師の監督下で消費または経腸投与されるように調合されていて、認められた科学的原理に基づくその特有の栄養所要量が医学的評価によって確定される疾患または状態に関する特殊な食事管理用に意図されている食物を意味する。
【0130】
特殊医療用食品および/または医療食は、特に、本発明の治療的使用に関する。
好ましくは、本明細書において、本発明の組成物は医薬組成物および/または薬物である。したがって、本明細書に示される本発明の組成物は、疾患を処置するために使用されうる。
【0131】
さらに、本発明は、対象において疾患を処置および/または予防するための方法であって、前記対象に有効量の本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物を投与する工程を含む方法に関する。
【0132】
「障害」、「疾患」、および「医学的状態」という用語は、本明細書においては互換的に使用されるものであり、外的もしくは内的要因に対する病態生理学的応答、身体もしくは身体の一部における正常もしくは規則的な機能の妨害、および/または通常の活動もしくは健康感を妨げる異常な健康状態を意味しうる。
【0133】
本明細書において使用される「処置」(およびその文法的変形、例えば「処置する」または「処置すること」)とは、処置中である個体の自然な経過を変化させようとする臨床的介入を意味する。望ましい処置効果としては、疾患または疾患に関連する症状の予防、発生または再発の予防、症状の緩和、疾患の任意の直接的または間接的な病的結果の減少、疾患進行速度の減少、疾患状態の改善または軽減、予後の向上、および治癒が挙げられるがそれに限定されない。
【0134】
特に、本明細書において使用される「処置」という用語、およびその文法的変形は、症状の緩和もしくは消失、疾患状態の改善、および/または疾患もしくは疾患に関連する症状の再発の予防を意味する。「予防」という用語(およびその文法的変形、例えば「予防する」または「予防すること」)とは、特に、疾患または疾患に関連する症状の予防、および/または発生もしくは再発の予防を意味する。さらに、「改善」という用語は、特に、疾患の症状の強度、持続時間、および/または頻度の減少を意味するものであり、症状の増悪の予防、および/または増悪した症状の再発の予防も含みうる。
【0135】
本明細書において、および本発明の文脈において、疾患は疼痛障害、例えば片頭痛、群発頭痛、線維筋痛症、および/または関節リウマチでありうる。
【0136】
言い換えれば、疾患は本明細書に記載の疼痛、好ましくは頭痛に関連しうる。
特に、処置は、疼痛を、例えば片頭痛、線維筋痛症、群発頭痛、および/もしくは関節リウマチに関連しており、かつ/またはそれにより引き起こされる疼痛を軽減または処置することを含みうる。好ましくは、前記疼痛は頭痛を含むかまたは頭痛である。
【0137】
さらに、疾患は、例えばWO2020229364に記載のようにケトン体および/またはケト原性化合物により処置可能でありうる。さらに、本明細書において、および本発明の文脈において、すなわち、疾患を処置することにおける使用のための本発明の組成物の文脈において、疾患は、本明細書に記載の神経障害および/または脳障害、例えば特に片頭痛、群発頭痛、線維筋痛症、てんかん、外傷性脳損傷、うつ病、不安障害(すなわち鎮痛剤がCBDなどのカンナビノイドを含む場合)、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病もしくはアルツハイマー病などの神経変性障害、慢性疲労症候群(CFS)、または慢性疼痛状態、好ましくは片頭痛でありうる。
【0138】
より好ましくは、本明細書において、本発明の組成物は、本明細書に記載の対象において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防するために、すなわち、対象において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤との組み合わせの文脈において、使用される。
【0139】
本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物は、単一の有効成分としてのアセチルサリチル酸またはイブプロフェンによる処置に対して抵抗性である疼痛(例えば頭痛)、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防するために特に有用である。処置に対して抵抗性であるとは、疼痛(例えば頭痛)、片頭痛、および/もしくは片頭痛症状が処置によって改善されないこと、または、それらが処置によって短時間しか、例えば頭痛、片頭痛、および/もしくは片頭痛症状が再発するまでの多くとも約6時間、8時間、10時間、もしくは12時間、例えば約8時間しか改善されないことを意味する。
【0140】
さらに、疼痛(例えば頭痛)、片頭痛、および/または片頭痛症状は、単一の有効成分としてのトリプタン、例えばフロバトリプタンによる処置に対して抵抗性でありうる。
【0141】
片頭痛は、片頭痛発作の再発を特徴とする。したがって、片頭痛の処置は、予防的要素、例えば片頭痛発作の頻度の減少、およびレスキュー要素、例えば急性片頭痛発作の強度の改善を含む。
【0142】
したがって、本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物は、例えば、(i)片頭痛発作の頻度を減少させ、(ii)片頭痛発作の持続時間を減少させ、(iii)片頭痛発作の重症度を減少させ、かつ/あるいは(iv)本明細書に記載の片頭痛症状のいずれか、例えば片頭痛に関連する神経症状のいずれか、例えば光恐怖症、音恐怖症、および/もしくは臭気恐怖症、視覚障害、感覚障害、もしくは運動障害、ならびに/またはアロディニア;ならびに/あるいは、片頭痛発作に随伴、先行、または後続することが知られている任意の他の特徴、例えば疲労、悪心、認知困難、疲れ、飢餓もしくは口渇、筋肉痛、性欲減退、うつ病、躁病、および/または気分動揺を減少させ;かつ/あるいは偶発性片頭痛から慢性片頭痛への移行を予防し、遅延させ、または好転させるために使用されうる。
【0143】
さらに、本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物は、片頭痛に関連する構造的または機能的な神経細胞損傷、例えば白質病変または機能的結合の障害を好転させ、遅延させ、または予防するために有用でありうる。
【0144】
さらに、本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物の投与は、片頭痛発作の頻度を減少させ、片頭痛発作の重症度を減少させ、片頭痛症状の重症度を減少させ、疾患の進行を予防し、かつ/または疾患の慢性化を予防するという効果を示しうる。
【0145】
本明細書に示される組み合わせまたは組成物は、慢性頭痛および/または急性頭痛を予防、処置、および/または改善するために有用でありうる。例えば、処置される対象では、頭痛日が1か月当たり5日、10日、15日、20日、25日、もしくは30日を超えるかまたはそれに満たない可能性がある。
【0146】
本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物は、急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作、ならびに/または急性片頭痛発作の症状を処置するために特に有用である。
【0147】
急性片頭痛発作の症状は、概して片頭痛の文脈で本明細書に記載のものと同じである。しかし、急性片頭痛発作の処置は、特にレスキュー処置を指す。このレスキュー処置は、片頭痛発作がもはや予防不可能であって、自然な経過をたどろうとしているときに特に必要である。したがって、本発明の組み合わせまたは組成物は、特に急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状を、特に、妥当な量の時間にわたって改善または除去するためのレスキュー処置薬として特に有用である。したがって、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の処置は、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の再発を例えば少なくとも約0.5日間、1日間、または2日間予防することも含みうる。
【0148】
さらに、急性頭痛に罹患中である対象は、少なくとも約1か月のうち少なくとも約2日間、3日間、5日間、7日間、10日間、または14日間、頭痛に罹患していなかった可能性がある。さらに、急性頭痛に罹患中である対象は、慢性頭痛に罹患中ではない可能性があり、例えば、急性頭痛に罹患中である対象では、頭痛日が1か月当たり5日、10日、15日、20日、25日、または30日、好ましくは15日を超えない可能性がある。
【0149】
したがって、本発明の文脈において、急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状は約24時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、または1時間以内に、好ましくは約2時間以内に改善または除去されうる。さらに、例えば視覚的アナログスケール上で測定される、急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状の強度は、好ましくは約24時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、または1時間以内に少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または100%減少しうる。例えば、急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状は約2時間以内に除去されうる。さらに、急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状の再発は少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、または48時間、好ましくは少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも約24時間予防されうる。
【0150】
さらに、本明細書において、および本発明の文脈において、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の処置は、頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の持続時間の減少を含みうる。例えば、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の持続時間は少なくとも約30%、50%、70%、または90%減少しうる。さらに、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の持続時間は少なくとも2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、24時間、または48時間減少しうる。
【0151】
さらに、本明細書において、および本発明の文脈において、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の処置は、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の増悪の予防を含みうる。例えば、急性頭痛もしくは急性片頭痛発作および/またはその症状の増悪は少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、または48時間、好ましくは少なくとも約12時間、より好ましくは少なくとも約24時間予防されうる。
【0152】
さらに、本明細書において、および本発明の文脈において、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の処置は、初期改善後の増悪した頭痛および/もしくは増悪した急性片頭痛発作またはその症状の再発を例えば少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、または48時間、好ましくは少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも約24時間予防することを含みうる。
【0153】
好ましくは、本明細書において、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の改善とは、本明細書に記載の頭痛の強度の減少を意味する。好ましくは、頭痛の強度は、本明細書に記載の視覚的アナログスケール上で測定される。さらに、本明細書に記載の片頭痛のあらゆる症状、例えば特に悪心、疲労、疲れ、光感受性、騒音感受性、および/もしくは臭気感受性、認知困難、ならびに/または換語困難が改善または除去されうる。
【0154】
好ましくは、本明細書において、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の増悪の予防とは、本明細書に記載の頭痛の強度の増加の抑制を意味する。
【0155】
好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、頭痛および/または片頭痛の強度は、疼痛の強度を測定するために好適な視覚的アナログスケール(VAS)に基づいて分類される。本発明の文脈において、疼痛とは、特に、脳、頭蓋、および顔面を特に含む頭部において知覚される疼痛、すなわち「頭痛」を意味する。さらに、疼痛の知覚される強度は、頭痛により引き起こされ、かつ/または頭痛に関連している付随症状、例えば本明細書に記載のさらなる片頭痛症状に影響されうる。
【0156】
視覚的アナログスケール(VAS)は、疼痛を測定するために広く使用されているツールである。患者は彼/彼女が知覚した疼痛の強度を例えば100mm水平線に沿って示すように要請され、次にこの評価が左端(=VASスコア)から測定され、例えば10mm=1疼痛点、0=無疼痛、10=想像可能な最悪の疼痛とする。さらに、スケールは、例えば楽しげな顔、曖昧な顔、悲しげな顔、もしくは苦しげな顔、および/または「良い」もしくは「悪い」に関連する色もしくは記号によって疼痛の強度を可視化する、顔文字を伴うことがある。VASは急性痛および慢性痛の両方に関して定評があって正当で信頼性がある尺度である(例えばHawker(2011),Arthritis Care Res(Hoboken);63,Suppl 11を参照)。
【0157】
「頭痛」の文脈で本明細書に記載されていることと同じことが、本明細書に記載の「疼痛」にも、必要な変更を加えて適用されうる。
【0158】
本明細書において使用される前兆期(または前駆期)は、片頭痛発作の最初の徴候である前兆症状を特徴とする。これらは、片頭痛発作の強度がピークに到達する数時間前または数日前に生じうる。
【0159】
片頭痛発作の前兆期は、認知能力の変化、気分変化、頻回のあくび、口渇、冷感、尿頻度の増加、睡眠の困難もしくは疲れの増加、ならびに/または光恐怖症および音恐怖症などの感覚感受性といった総体的症状を包含しうる。
【0160】
最も一般的な前兆症状としては疲労、気分変化(例えばうつ状態もしくはイライラ)、および/または胃腸症状(例えば排便習慣の変化もしくは悪心)が挙げられる。さらなる一般的な前兆症状としては、例えば頸部、背部、および/もしくは顔面における筋硬直、うずく痛み、および/もしくは疼痛;食物渇望もしくは食欲不振;集中困難;混乱;冷感;光、騒音、および/もしくは臭気に対する感受性;過度のあくび;ならびに/または鮮明な夢が挙げられる。
【0161】
前兆症状は、頭痛が迫っていることを対象に警告しうるものであり、したがって治療可能性を提供しうる。特に、前兆症状は、疼痛期が始まる前に発作が進行中であることを患者に警告しうる。さらに、添付の実施例に示すように、ケトン体および/またはケト原性化合物と鎮痛剤および/または抗酸化剤との組み合わせは、頭痛の強度がまだ低いときに、例えば前兆期の終わりに特に有効である。
【0162】
好ましくは、本明細書において、および本発明の文脈において、ケトン体および/もしくはケト原性化合物と鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤との組み合わせ、または本発明の組成物は、片頭痛および/もしくはその症状が始まるときに、片頭痛発作の前兆期に、例えば頭痛が始まる前兆期の終わりに、ならびに/またはアウラの間に投与される。したがって、前記組み合わせまたは組成物は、好ましくは、頭痛がまだ存在していないとき、または頭痛の強度がまだ低いとき、例えば頭痛が0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約0~約4であるときであっても、片頭痛発作が自然な経過をたどろうとしていると対象が感じるときに、対象に投与されうる。言い換えれば、本発明の組み合わせまたは組成物は、好ましくは、急性頭痛の始まり、ならびに/または急性片頭痛発作および/もしくはその症状の開始時(例えば前兆期)に投与される。したがって、本発明の好ましい実施形態では、本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物は、0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で測定される頭痛の強度が約0~約4、好ましくは約0~約3、好ましくは約0~約2、好ましくは約1であるときに、対象に投与される。さらに、本明細書に示される本発明の組み合わせまたは組成物は、好ましくは、以下の症状群から選択される少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種、好ましくは少なくとも4種、好ましくは少なくとも6種の症状が存在するときに、前記対象に投与される:疲労;気分変化;悪心などの胃腸症状;筋硬直および/または筋痛;食物渇望または食欲不振;集中困難;混乱;冷感;光、騒音、および/または臭気に対する感受性;過度のあくび;ならびに鮮明な夢。
【0163】
本発明の文脈において、ケトン体および/またはケト原性化合物は、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤が対象に投与されるよりも前もしくは後に、またはそれとほぼ同時に投与されうる。例えば、ケトン体および/またはケト原性化合物、ならびに前記鎮痛剤および/または抗酸化剤は多くとも約1時間、30分、20分、10分、または5分の時間差で対象に投与されうる。
【0164】
好ましくは、ケトン体および/もしくはケト原性化合物はほぼ同時に投与される。
本発明の文脈において、すなわち、本明細書に示される組み合わせの本発明での使用の文脈において、アセチルサリチル酸は約100~約2000mg、好ましくは約250~約1000mg、好ましくは約500mgの用量で使用されうる。
【0165】
さらに、本発明の文脈において、すなわち、本発明の組成物およびその使用の文脈において、組成物は約100~約2000mg、好ましくは約250~約1000mg、好ましくは約500mgのアセチルサリチル酸を含みうる。
【0166】
さらに、本発明の文脈において、すなわち、本明細書に示される組み合わせの本発明での使用の文脈において、イブプロフェンは約100~約1600mg、好ましくは約200~約800mg、好ましくは約400mgの用量で使用されうる。
【0167】
さらに、本発明の文脈において、すなわち、本発明の組成物およびその使用の文脈において、組成物は約100~約1600mg、好ましくは約200~約800mg、好ましくは約400mgのイブプロフェンを含みうる。
【0168】
本発明の文脈において、すなわち、本明細書に示される組み合わせの本発明での使用の文脈において、トリプタン、例えばフロバトリプタンは約1~約10mg、好ましくは約2~約5mg、好ましくは約2.5mgの用量で使用されうる。
【0169】
さらに、本発明の文脈において、すなわち、本発明の組成物およびその使用の文脈において、組成物は約1~約10mg、好ましくは約2~約5mg、好ましくは約2.5mgのトリプタン、例えばフロバトリプタンを含みうる。
【0170】
本発明の文脈において、すなわち、本明細書に示される組み合わせの本発明での使用の文脈において、メラトニンは約0.5~約20mg、好ましくは約2~約15mg(例えば約10mg)、好ましくは約9mgの用量で使用されうる。
【0171】
さらに、本発明の文脈において、すなわち、本発明の組成物およびその使用の文脈において、組成物は約0.5~約20mg、好ましくは約2~約15mg(例えば約10mg)、好ましくは約9mgのメラトニンを含みうる。
【0172】
本明細書に記載の他の鎮痛剤および/または抗酸化剤の用量または含有量は、本明細書に示されるアセチルサリチル酸もしくはイブプロフェン、フロバトリプタン、またはメラトニンの用量または含有量と同様の有効性を示すように容易に調整可能である。特に、他の非ステロイド性抗炎症薬の用量または含有量は、本明細書に示されるアセチルサリチル酸またはイブプロフェンの用量または含有量と同様の有効性を示すように容易に調整可能である。
【0173】
本発明の文脈において、すなわち、本明細書に示される組み合わせの本発明での使用の文脈において、βHBまたはβ-ヒドロキシ酪酸塩は約1~約100g、好ましくは約5~約40g、好ましくは約10~約20g、好ましくは約10gの用量で使用されうる。
【0174】
さらに、本発明の文脈において、すなわち、本発明の組成物およびその使用の文脈において、組成物は約1~約100g、好ましくは約5~約40g、好ましくは約10~約20g、好ましくは約10gの前記βHBまたはβ-ヒドロキシ酪酸塩を含みうる。
【0175】
本明細書に記載の他のケトン体および/またはケト原性化合物の用量または含有量は、本明細書に示されるβHBまたはβ-ヒドロキシ酪酸塩の用量または含有量と同様の有効性を示すように容易に調整可能である。
【0176】
特に、本発明の文脈において本明細書に示されるケトン体および/またはケト原性化合物を対象に投与することで、前記対象の血中のケトン体濃度、すなわちβHB濃度が好ましくは約0.3mM~約5mMに、好ましくは約0.5mM~約5mMに、好ましくは約1mM~約3mMに増加する。
【0177】
さらに、本発明の文脈において本明細書に示されるケトン体および/またはケト原性化合物を対象に投与することで、前記対象の血中のケトン体濃度、すなわちβHB濃度が、対応するベースライン濃度に比べて少なくとも約1.5倍に増加しうる。特に、ベースライン濃度とは、ケトン体またはケト原性化合物の経口摂取前に測定される濃度を意味する。
【0178】
したがって、ケトン体またはケト原性化合物の投与時に血中のケトン体濃度、すなわちβHB濃度を確定することで、本明細書に示される本発明での使用の文脈において使用されるべきであるケトン体および/もしくはケト原性化合物の用量、または本明細書に示される本発明の組成物に含まれるべきであるケトン体および/もしくはケト原性化合物の含有量を確定することがさらに可能になる。したがって、添付の実施例において使用されるβHB塩を、特段の困難なく、本明細書に記載の他のケトン体またはケト原性化合物で容易に置き換えることができる。しかし、本発明の文脈において使用される好ましいケトン体またはケト原性化合物は、βHBを含むか、またはそれからなる。
【0179】
好ましくは、本発明の文脈において、血中のケトン体濃度は、本明細書に示されるケトン体もしくはケト原性化合物または本発明の組成物の投与から約2時間、1時間、30分、15分以内に、好ましくは約30分以内に増加する。さらに、増加した血中のケトン体濃度は少なくとも約1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、または14時間、好ましくは少なくとも約1時間または2時間、好ましくは少なくとも約2時間維持されうる。
【0180】
例えば、ケトン体および/またはケト原性化合物、例えばβHBは対象に約0.01~約1g/kg体重の用量で投与されうる。例えば、ケトン体および/またはケト原性化合物、例えばβHBは対象に1日1回、2回、3回、または4回投与されうる。
【0181】
例えば、投与されるケトン体および/またはケト原性化合物、例えばβHBの一日量は約0.05g/kg~約1g/kg体重(=約3.5~70g/70kg)、約0.1g/kg~約0.7g/kg体重(=約7~49g/70kg)、または約0.2g/kg~約0.4g/kg体重(=約14~28g/70kg)でありうる。例えば、投与されるケトン体および/またはケト原性化合物、例えばβHBの一日量は約3.5g~約70g、約5g~約50g、または約10g~約40g、例えば約10gまたは約20gでありうる。
【0182】
好ましくは、本明細書に示される、ケトン体および/もしくはケト原性化合物ならびに/または鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、あるいは本発明の組成物は、対象に経口投与または非経口投与、好ましくは経口投与される。したがって、本明細書に示される本発明の組成物は、経口投与または非経口投与、好ましくは経口投与用に調合されうる。例えば、本明細書に示される、ケトン体および/もしくはケト原性化合物ならびに/または鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、あるいは本発明の組成物は、経口投与用粉末として調合されうる。さらに、粉末または錠剤は、消費前に水に溶解するように調合されうる。さらに、粉末または錠剤は、口内で溶解するように調合されうる。いくつかの実施形態では、本明細書に示される、ケトン体および/もしくはケト原性化合物ならびに/または鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、あるいは本発明の組成物は、飲料として調合される。
【0183】
しかし、本明細書に示される、ケトン体および/もしくはケト原性化合物ならびに/または鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、あるいは本発明の組成物は、当技術分野において一般的な他の種類の投与用に、例えば直腸投与用の坐薬として、または血液への注入用の注入液として調合されることもある。
【0184】
好ましくは、本明細書において、すなわち、急性頭痛、急性片頭痛発作、および/またはその症状の処置の文脈において、本明細書に示される、ケトン体および/もしくはケト原性化合物、鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、ならびに/または本発明の組成物は、血中のケトン体ならびに/または鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤の濃度を急速に増加させるように調合される。したがって、ケトン体および/もしくはケト原性化合物、鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、ならびに/または本発明の組成物は、好ましくは、水などの水溶液に溶解する粉末もしくは錠剤として、口内で溶解する粉末もしくは錠剤として、または飲料として調合されうる。
【0185】
さらに、本明細書に示される、ケトン体および/もしくはケト原性化合物、鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、ならびに/または本発明の組成物は、急速放出と緩徐放出との組み合わせ用に調合されうる。例えば、組成物の前記化合物の一方の部分は本明細書に記載の微粒子に埋め込まれるかまたは封入され、他方の部分は封入されない。
【0186】
注目すべきことに、微粒子は、特に、水などの水溶液に溶解する粉末もしくは錠剤として、口内で溶解する粉末もしくは錠剤として、または飲料として調合されることもある。
【0187】
いくつかの実施形態では、すなわち、本明細書に示される組み合わせの本発明での使用の文脈において、ケトン体および/またはケト原性化合物は1つの組成物、好ましくは医薬組成物として調合され、前記鎮痛剤および/または抗酸化剤は別の組成物、好ましくは医薬組成物として調合される。
【0188】
しかし、本明細書において、および本発明の文脈において、ケトン体および/またはケト原性化合物、ならびに前記鎮痛剤および/または抗酸化剤は1つの組成物、好ましくは医薬組成物として調合されることもある。
【0189】
本発明の組成物、例えば医薬組成物は粉末、錠剤、カプセル、微粒子、ガス、エアロゾル、溶液、または懸濁液の形態でありうる。例えば本発明の食品の文脈における本発明の組成物は、食物グレードのグミ、例えばグミベアの形態であることもある。さらに、本発明の組成物、例えば医薬組成物は、少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤を含みうる。
【0190】
薬学的に許容される賦形剤は、当技術分野において周知であり、特に、抗粘着剤、例えばステアリン酸マグネシウム、結合剤、例えば糖(例えばスクロース、ラクトース、デンプン、セルロース、キシリトール、ソルビトール、もしくはマンニトール)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン(PVP)、またはポリエチレングリコール(PEG)、コーティング、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、セラック、ゼイン、脂肪酸、ワックス、合成樹脂、および植物繊維、着色料、崩壊剤、例えば架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはデンプングリコール酸ナトリウム、香料(例えばメントール、シトラス、または液果)、流動促進剤、例えばシリカゲル、ヒュームドシリカ、タルク、または炭酸マグネシウム、潤滑剤、例えばタルク、シリカ、植物ステアリン、ステアリン酸マグネシウム、またはステアリン酸、防腐剤、例えば抗酸化剤(例えばビタミンC)、システイン、メチオニン、クエン酸、クエン酸ナトリウム、メチルパラベン、またはプロピルパラベン、吸着剤、甘味料(例えばステビア、サッカリン、アセスルファム、スクラロース)、媒体、例えばペトロラタム、ジメチルスルホキシド、またはミネラルオイル、ならびにグミが挙げられる。
【0191】
さらに、ケトン体および/もしくはケト原性化合物、または本発明の組成物は、例えば前記ケトン体および/もしくはケト原性化合物または組成物がβ-ヒドロキシ酪酸を含む場合、食物グレードの乾燥剤、すなわちシリカ(二酸化ケイ素)を例えば4%(w/w)以下、例えば3.2~3.4%(w/w)でさらに含みうる。
【0192】
本明細書に示される本発明の組成物中のケトン体および/またはケト原性化合物と鎮痛剤および/または抗酸化剤との組み合わせの含有量は、組成物の少なくとも約20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、または100%(w/w)、好ましくは少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約90%でありうる。
【0193】
ケトン体および/またはケト原性化合物、対、鎮痛剤および/または抗酸化剤の混合比は約10000:1~約1:10000、1000:1~約1:1000、100:1~約1:100、10:1~約1:10、2:1~約1:2、または約1:1(重量対重量)でありうる。好ましくは、ケトン体および/またはケト原性化合物、例えばβHB、対、鎮痛剤および/または抗酸化剤、例えばアセチルサリチル酸またはイブプロフェンの混合比は約1000:1~約1:2、好ましくは約100:1~約5:1、より好ましくは約50:1~約10:1、例えば約30:1または約20:1(重量対重量)でありうる。
【0194】
さらに、本明細書に示される本発明の組成物はビーガンであることがあり、かつ/またはプラスチックを含まないことがある。
【0195】
さらに、本発明の文脈において、ケトン体および/もしくはケト原性化合物、または本発明の組成物は微粒子に収容されうる。特に、前記微粒子は薬学的に許容されるマトリックスをさらに含む。例えば、ケトン体および/もしくはケト原性化合物ならびに/または鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤は、薬学的に許容されるマトリックスに分散され、かつ/または埋め込まれうる。薬学的に許容されるマトリックスは(i)変性および/もしくは重合タンパク質、例えばピープロテイン、(ii)多糖、例えばアルギン酸、ならびに/または(iii)メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体、例えばEudragitを含みうる。変性および/または重合タンパク質は例えばピープロテイン、大豆タンパク質、乳清タンパク質、ゼラチン、またはカゼイン、好ましくはイエローピープロテインを含みうる。さらに、微粒子はヒドロゲルの形態でありうる。前記多糖および/またはヒドロゲルは、例えばアルギン酸、アガロース、セルロース、デンプン、および/またはペクチン、好ましくはアルギン酸を含みうる。特に、マトリックスおよび/またはヒドロゲルは、本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物の、場合によってはさらに鎮痛剤および/または抗酸化剤の、持続放出、制御放出、および/または緩徐放出を可能にしうる。例えば、微粒子は胃通過の間に無傷なままでありうるし、微粒子に含まれるケトン体および/またはケト原性化合物、ならびに場合によっては鎮痛剤および/または抗酸化剤は小腸で、具体的には回腸で放出されうる。好ましくは、微粒子は約50μm~約500μm、好ましくは約50μm~約200μmの粒径を有する。微粒子は種々の構造および形状を有しうる。例えば、微粒子はマイクロビーズであって、かつ/または球状の形状を有することがありうる。
【0196】
ケトン体またはケト原性化合物を収容する好適な微粒子またはマイクロビーズ、およびこの微粒子またはマイクロビーズを生成するための方法は、例えば、全体が参照により本明細書に組み入れられるWO2020229364に記載されている。微粒子またはマイクロビーズの生成に関しては、さらにWO2016096929A1を参照されたい。
【0197】
本発明の文脈において、WO2020229364に記載の微粒子またはマイクロビーズは、本明細書に記載の鎮痛剤および/または抗酸化剤をさらに収容しうる。さらに、これらの微粒子またはマイクロビーズは、WO2020229364に記載のケトン体の代わりに、またはそれに加えて、本発明の文脈において本明細書に記載されるケトン体またはケト原性化合物を収容しうる。
【0198】
微粒子を使用することの利点は、増加した血中ケトン体濃度を他の製剤に比べて相当に長い間維持することができるということである。したがって、微粒子は、頭痛、片頭痛発作、および/もしくはその症状の予防、頭痛、片頭痛発作、および/もしくはその症状の再発の予防、ならびに/または初期改善後の増悪した頭痛、片頭痛発作、および/もしくはその症状の再発の予防に特に有用でありうる。
【0199】
有利なことに、ケトン体またはケト原性化合物を微粒子に封入することで、さらに、組成物の味を向上させ、かつ/または胃腸の不調を減少させることができる。
【0200】
ケトン体またはケト原性化合物を微粒子内に封入することのさらなる利点は、環境によるケトン体もしくはケト原性化合物の物理特性もしくは化学特性の望ましくない変化を防止すること、および/または前記ケトン体が望ましくない様式で環境に影響を与えることを防止することである。特に、ケトン体またはケト原性化合物を微粒子に封入することで、ケトン体もしくはケト原性化合物(例えばβ-ヒドロキシ酪酸)の吸湿性を減少させ、水溶液中のケトン体もしくはケト原性化合物の安定性を増加させ、ケトン体もしくはケト原性化合物の分解を防止し、かつ/または胃などの望ましくない位置でのケトン体の取り込みを防止することができる。
【0201】
したがって、本発明のケトン体またはケト原性化合物を収容する微粒子を対象に投与することで、本明細書に記載の前記対象の血漿中のケトン体濃度を例えば約0.3mM~約5mMに、かつ/または対応するベースライン濃度に比べて少なくとも1.5倍に増加させ、前記増加した血中ケトン体濃度を約4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、または14時間、好ましくは約8時間または約12時間維持することができる。
【0202】
さらに、本発明の文脈において、本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物ならびに鎮痛剤および/または抗酸化剤をカフェインとさらに組み合わせることができる。したがって、本明細書に示される本発明の組成物はカフェインをさらに含みうる。
【0203】
いくつかの実施形態では、鎮痛剤はアセチルサリチル酸またはイブプロフェン、好ましくはアセチルサリチル酸をアセトアミノフェンとの組み合わせで含む。特に、これらの実施形態では、本発明の組み合わせまたは組成物はカフェインをさらに含みうる。
【0204】
さらに、本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物ならびに鎮痛剤および/または抗酸化剤を、片頭痛を予防するかまたはミトコンドリア機能を強化することが示されたさらなるビタミン、補酵素、ミネラルおよび/もしくは他の微量栄養素、またはニュートラシューティカルと組み合わせることができる。特に、本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物ならびに鎮痛剤および/または抗酸化剤を、ビタミンA(例えばβ-カロテンとしての)、ビタミンC(例えばアスコルビン酸カルシウム、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、アスコルビン酸マグネシウム、ナイアシンアミドアスコルビン酸塩、アセロラエキスとしての)、ビタミンD3(例えばコレカルシフェロールとしての)またはD2、ビタミンE(例えばD-α-トコフェリルスクシネート、D-α-トコフェロールを含む混合トコフェロールとしての)、チアミン(ビタミンB1)(例えばチアミンHClとしての)、リボフラビン(ビタミンB2)(例えばリボフラビン、リボフラビン5’-リン酸としての)、ナイアシン(例えば61%ナイアシンアミド、38%ナイアシン、1%ナイアシンアミドアスコルビン酸塩としての)、ビタミンB6(例えばピリドキサール5’-リン酸、ピリドキシンHClとしての)、葉酸(例えばL-5-メチルテトラヒドロ葉酸カルシウム塩としての)、ビタミンB12(例えばメチルコバラミンまたはアデノシルコバラミンとしての)、ビオチン、パントテン酸(例えばパンテチン5mg入りのD-パントテン酸カルシウムとしての)、カルシウム(例えばリン酸二カルシウム、アスコルビン酸Ca、D-パントテン酸カルシウム、D-グルカル酸Caとしての)、ヨウ素(例えばヨウ化カリウムとしての)、マグネシウム(例えば酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、アルギン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、タウリン酸マグネシウム、またはアスコルビン酸マグネシウムとしての)、亜鉛(例えばクエン酸亜鉛、または亜鉛モノ-L-メチオニンスルフェートとしての)、セレン(例えば亜セレン酸ナトリウム、またはSe-メチルL-セレノシステインとしての)、銅(例えばビスグリシン酸銅キレートとしての)、マンガン(例えばクエン酸マンガンまたはグルコン酸マンガンとしての)、クロム、モリブデン(例えばモリブデンアミノ酸キレートとしての)、カリウム(例えばクエン酸カリウムとしての)、CoQ10(ユビキノンまたはユビキノール)、L-リジン、L-ロイシン、ブロッコリー濃縮物、N-アセチル-L-システイン(NAC)、カフェイン抜き緑茶エキス(葉)、アセロラエキス、イノシトール、ダイダイシトラスバイオフラボノイド、果実/液果ブレンド(例えばセイヨウニワトコ、ブラックベリー、ブルーベリー、セイヨウミザクラ、クランベリー、セイヨウスモモ、カキ(カキノキ)粉末)、タウリン、ワイルドブルーベリーアントシアニンエキス、アシュワガンダエキス(根、葉)、シリマリン(マリアアザミエキス(種)由来)、トリメチルグリシン、スミノミザクラ(タルトチェリー)プロアントシアニジン粉末(皮膚)、ザクロエキス(果実)、天然混合トコフェロール(γ、δ、α、β-トコフェロールを生じさせる)、コケモモエキス(果実)、ブドウプロアントシアニジンエキス(ブドウ全体)、ブドウ種子プロアントシアニジンエキス、ケルセチン、ブロメライン、ルテイン、オリーブエキス(果実)、ゴマ種子エキス、ルテオリン、アピゲニン、ホウ素(例えばホウ素アミノ酸キレートとしての)、リコペン(例えば天然トマトエキス)、ならびにカシスエキスからなる群から選択される少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、12種、15種、20種のさらなるビタミン、補酵素、ミネラル、微量栄養素、またはニュートラシューティカルと組み合わせることができる。
【0205】
したがって、本明細書に示される本発明の組成物、例えば医薬組成物、食品、補助食、または栄養補助品は、少なくとも1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、10種、12種、15種、20種の前記ビタミン、補酵素、ミネラル、微量栄養素、またはニュートラシューティカルをさらに含みうる。
【0206】
さらに、本明細書に記載のケトン体および/またはケト原性化合物ならびに鎮痛剤および/または抗酸化剤を、疼痛、頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状の処置に好適なさらなる化合物または組成物とさらに組み合わせることができるということが想定される。したがって、本明細書に示される本発明の組成物、例えば医薬組成物は、疼痛、頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状の処置に好適なさらなる化合物または組成物を含みうる。
【0207】
さらに、本発明は、(I)本明細書に記載のケトン体および/もしくはケト原性化合物ならびに鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、ならびに/または(II)本明細書に示される本発明の組成物を含む、キットに関する。キットは、ケトン体および/もしくはケト原性化合物ならびに鎮痛剤および/もしくは抗酸化剤、または本発明の組成物をどのようにして使用するか、あるいは本明細書に示される本発明の方法をどのようにして実行するかに関する情報または説明を備えたパンフレットまたはリーフレットをさらに含みうる。さらに、ケトン体、ケト原性化合物、鎮痛剤、および/または抗酸化剤は、キット中の別々の容器、サッシェ、またはバイアルに収容されてもよく、同じ容器、サッシェ、またはバイアルに収容されてもよい。例えば、容器、サッシェ、またはバイアルは、1用量の、本明細書に示される、ケトン体、ケト原性化合物、鎮痛剤、および/もしくは抗酸化剤、または本発明の組成物を収容しうる。さらに、キットは、1用量の、本明細書に示される、ケトン体、ケト原性化合物、鎮痛剤、および/もしくは抗酸化剤、または本発明の組成物を与えるために好適な測定装置、例えば特にスプーンまたはカップを含みうる。
【0208】
さらに、本発明は以下の項目に関する:
1.対象において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける使用のための、(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤との組み合わせ。
2.前記頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状が、単一の有効成分としてのアセチルサリチル酸またはイブプロフェンによる処置に対して抵抗性である、項目1に記載の使用のための組み合わせ。
3.急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作ならびに/またはその症状が処置される、項目1または2に記載の使用のための組み合わせ。
4.急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状が約24時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、または1時間以内に、好ましくは約2時間以内に改善または除去される、項目3に記載の使用のための組み合わせ。
5.急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状の強度が、好ましくは約24時間、12時間、8時間、6時間、4時間、3時間、2時間、または1時間以内に、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、または100%減少する、項目3または4に記載の使用のための組み合わせ。
6.急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状が約2時間以内に除去される、項目3~5のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
7.急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作またはその症状の再発が少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、または48時間、好ましくは少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも約24時間予防される、項目4~6のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
8.急性頭痛および/もしくは急性片頭痛発作ならびに/またはその症状の増悪が予防される、項目3~7のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
9.急性頭痛もしくは急性片頭痛発作および/またはその症状の増悪が少なくとも約2時間、4時間、8時間、12時間、24時間、36時間、または48時間、好ましくは少なくとも約12時間、好ましくは少なくとも約24時間予防される、項目8に記載の使用のための組み合わせ。
10.前記ケトン体および/またはケト原性化合物が、前記鎮痛剤が前記対象に投与されるよりも前もしくは後に、またはそれとほぼ同時に投与される、項目1~9のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ。
11.前記ケトン体および/またはケト原性化合物、ならびに前記鎮痛剤が多くとも約1時間、30分、20分、10分、または5分の時間差で、好ましくはほぼ同時に対象に投与される、項目10に記載の使用のための組み合わせ。
12.(i)ケトン体および/またはケト原性化合物と(ii)鎮痛剤とを含む組成物。
13.前記組成物が食品または補助食である、項目12に記載の組成物。
14.前記組成物が医薬組成物である、項目12に記載の組成物。
15.対象において頭痛、片頭痛、および/または片頭痛症状を処置および/または予防することにおける項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための、項目12に記載の組成物。
16.前記ケトン体が、
(i)βHB:β-ヒドロキシ酪酸、β-ヒドロキシブチレート、および/もしくは薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩、ならびに/または
(ii)AcAc:アセト酢酸、アセトアセテート、および/もしくは薬学的に許容されるアセト酢酸塩
を含み;
前記ケト原性化合物が前記βHBおよび/またはAcAcの前駆体、好ましくは代謝前駆体を含む、項目1~11のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14のいずれか1項に記載の組成物、または項目15に記載の使用のための組成物。
17.前記ケト原性化合物が対象の体内でβHBおよび/またはAcAcに代謝される、項目1~11もしくは16のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16のいずれか1項に記載の組成物、または項目15もしくは16に記載の使用のための組成物。
18.前記ケトン体が薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含む、項目1~11もしくは16もしくは17のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16もしくは17のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~17のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
19.前記薬学的に許容される塩がカリウム塩、ナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルギニン塩、亜鉛塩、バリウム塩、鉄塩、銅塩、マンガン塩、モリブデン塩、リチウム塩、リン塩、硫黄塩、ヨウ素塩、セレン塩、クロム塩、コバルト塩、リジン塩、ロイシン塩、ヒスチジン塩、オルニチン塩、クレアチン塩、アグマチン塩、シトルリン塩、メチルグルカミン塩、およびカルニチン塩、または前記塩のうち少なくとも2種の組み合わせからなる群から選択される、項目16~18のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目16~18のいずれか1項に記載の組成物。
20.前記薬学的に許容される塩が、カルシウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、およびマグネシウム塩からなる群から選択される少なくとも1種、2種、3種、または4種、好ましくは全種の塩を含む、項目16~19のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目16~19のいずれか1項に記載の組成物。
21.前記薬学的に許容される塩が約1:2:1:2、約1:1:1:2、または約1:1:1:1の混合比でのナトリウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、マグネシウム無機塩のブレンドである、項目16~20のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目16~20のいずれか1項に記載の組成物。
22.前記ケトン体がβ-ヒドロキシ酪酸を含む、項目16~21のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目16~21のいずれか1項に記載の組成物。
23.前記ケトン体が薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩およびβ-ヒドロキシ酪酸を含む、項目16~22のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目16~22のいずれか1項に記載の組成物。
24.前記ケトン体がD-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはD-β-ヒドロキシ酪酸を含み、かつ/あるいは、前記ケト原性化合物がD-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはD-β-ヒドロキシ酪酸に代謝される、項目1~11もしくは16~23のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~23のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~22のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
25.前記ケトン体がL-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはL-β-ヒドロキシ酪酸を含まず、かつ/あるいは、前記ケト原性化合物がL-β-ヒドロキシブチレートおよび/またはL-β-ヒドロキシ酪酸に代謝されない、項目1~11もしくは16~24のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~24のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~24のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
26.前記ケト原性化合物が、1,3-ブタンジオール、トリアセチン、脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸、もしくは脂肪酸を含む化合物、例えば中鎖トリグリセリド、またはケト原性アミノ酸、例えばロイシンもしくはリジンからなる群から選択される、βHBおよび/またはAcAcの代謝前駆体;あるいは前記代謝前駆体の薬学的に許容される塩を含む、項目1~11もしくは16~25のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~25のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~25のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
27.前記ケト原性化合物が、アセトアセチル部分および/または3-ヒドロキシブチレート部分を含む化合物を含む、項目1~11もしくは16~26のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、項目12~14もしくは16~26のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~26のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
28.前記ケト原性化合物がケトンエステルまたはその薬学的に許容される塩を含む、項目1~11もしくは16~27のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~27のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~27のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
29.前記ケトンエステルがβHBおよび/またはAcAcのエステルを含む、項目28に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28に記載の組成物。
30.前記ケトンエステルが、βHBとβHBとの結合、βHBとAcAcとの結合、またはAcAcとAcAcとの結合により形成されるエステルを含む、項目28もしくは29に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28もしくは29に記載の組成物。
31.前記ケトンエステルが、βHBまたはAcAcと一価、二価、または三価アルコールとの結合により形成されるエステルを含む、項目28~30のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28~30のいずれか1項に記載の組成物。
32.前記ケトンエステルが、βHBまたはAcAcと1,3-ブタンジオールとの結合により形成されるエステルを含む、項目28~31のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28~31のいずれか1項に記載の組成物。
33.前記ケトンエステルが、βHBまたはAcAcとグリセロールとの結合により形成されるエステル、例えばグリセリル トリス(3-ヒドロキシブチレート)を含む、項目28~32のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28~32のいずれか1項に記載の組成物。
34.前記ケトンエステルが、βHBと1,3-ブタンジオールまたはグリセロールとの結合により形成されるエステル、例えば(R)-β-ヒドロキシブチレート-R-1,3-ブタンジオールモノエステルを含む、項目28~33のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28~33のいずれか1項に記載の組成物。
35.前記グリセロールが少なくとも1個の脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸でさらにエステル化されている、項目33もしくは34に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28~34のいずれか1項に記載の組成物。
36.前記ケトンエステルが、1,3-ブタンジオールと少なくとも1個の脂肪酸、例えば中鎖脂肪酸との結合により形成されるエステル、例えば、2個のカプロン酸でエステル化された1,3-ブタンジオールを含む、項目28~35のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28~35のいずれか1項に記載の組成物。
37.前記ケトンエステルがD-βHBのエステルであり、かつ/あるいは、前記ケトンエステルが対象の体内でD-βHBおよび/またはアセトアセテートに、好ましくは少なくともD-βHBに代謝される、項目28~36のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目28~36のいずれか1項に記載の組成物。
38.前記ケト原性化合物がβHBおよび/もしくはAcAcのアミド、またはその薬学的に許容される塩を含む、項目1~11もしくは16~37のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~37のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~37のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
39.前記ケト原性化合物が、D-β-ヒドロキシブチレート-D-1,3-ブタンジオール;(3R)-ヒドロキシブチル-(3R)-ヒドロキシブチレート;アセトアセチル-1,3-ブタンジオール;アセトアセチル-R-3-ヒドロキシブチレート;アセトアセチルグリセロール;3-ヒドロキシブチル 3-ヒドロキシブタノエート;(3-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル)3-ヒドロキシブタノエート;3-(3-ヒドロキシブタノイルオキシ)ブチル 3-ヒドロキシブタノエート;3-(3-ヒドロキシブタノイルオキシ)ブタン酸;3-ヒドロキシブチル 3-オキソブタノエート;3-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル)3-オキソブタノエート;3-(3-オキソブタノイルオキシ)ブチル 3-オキソブタノエート;3-(3-オキソブタノイルオキシ)ブタン酸;2,3-ジヒドロキシプロピル 3-オキソブタノエート;[2-ヒドロキシ-1-(ヒドロキシメチル)エチル]3-オキソブタノエート;[2-ヒドロキシ-3-(3-オキソブタノイルオキシ)プロピル]3-オキソブタノエート;[3-ヒドロキシ-2-(3-オキソブタノイルオキシ)プロピル]3-オキソブタノエート;2,3-ビス(3-オキソブタノイルオキシ)プロピル 3-オキソブタノエート;ならびに式
【0209】
【0210】
のうちいずれか1つ、ならびにその薬学的に許容される塩からなる群から選択される化合物を含む、項目1~11もしくは16~38のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~38のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~38のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
40.前記鎮痛剤が(i)非ステロイド性抗炎症薬、(ii)シクロオキシゲナーゼの、好ましくは少なくともCOX2の阻害剤、(iii)アセトアミノフェン、(iv)トリプタン、(v)メラトニン、(vi)オピオイド、および/または(vii)カンナビノイドを含む、項目1~11もしくは16~39のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~39のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~39のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
41.前記鎮痛剤が下記(i)~(vii):
(i)サリチレート、例えばアセチルサリチル酸、ジフルニサル(例えばDolobid)、サリチル酸もしくはその塩、またはサルサレート(例えばDisalcid);
(ii)プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、デキスイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、デキスケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジン、ロキソプロフェン、ペルビプロフェン、またはザルトプロフェン;
(iii)酢酸誘導体、例えばジクロフェナク、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、アセクロフェナク、ブロムフェナク、またはナブメトン;
(iv)エノール酸(例えばオキシカム)誘導体、例えばピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、またはフェニルブタゾン(例えばBute);
(v)アントラニル酸誘導体(フェナム酸)、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、またはトルフェナム酸;
(vi)選択的COX-2阻害剤(コキシブ)、例えばセレコキシブ、パレコキシブ、またはエトリコキシブ;および
(vii)クロニキシン、リコフェロン、またはH-ハルパギド
からなる群から選択される少なくとも1種の非ステロイド性抗炎症薬を含む、項目1~11もしくは16~40のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~40のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~40のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
42.前記鎮痛剤がサリチレート、および/またはイブプロフェン、デキスイブプロフェン、デキスケトプロフェン、もしくはナプロキセンなどのプロピオン酸誘導体を含む、項目1~11もしくは16~41のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~41のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~41のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
43.前記鎮痛剤がアセチルサリチル酸および/またはイブプロフェンを含む、項目1~11もしくは16~42のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~42のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~42のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
44.前記ケトン体および/またはケト原性化合物が薬学的に許容されるβ-ヒドロキシ酪酸塩を含み、前記鎮痛剤がアセチルサリチル酸またはイブプロフェンを含む、項目1~11もしくは16~43のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~43のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~43のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
45.アセチルサリチル酸が約100~約2000mg、好ましくは約250~約1000mg、好ましくは約500mgの用量で使用され、あるいは、前記組成物が約100~約2000mg、好ましくは約250~約1000mg、好ましくは約500mgのアセチルサリチル酸を含む、項目43もしくは44に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目43もしくは44に記載の組成物。
46.イブプロフェンが約100~約1600mg、好ましくは約200~約800mg、好ましくは約400mgの用量で使用され、あるいは、前記組成物が約100~約1600mg、好ましくは約200~約800mg、好ましくは約400mgのイブプロフェンを含む、項目43~45のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目43~35のいずれか1項に記載の組成物。
47.前記βHBまたはβ-ヒドロキシ酪酸塩が約1~約100g、好ましくは約5~約40g、好ましくは約10~約20gの用量で使用され、あるいは、前記組成物が約1~約100g、好ましくは約5~約40g、好ましくは約10~約20gの前記βHBまたはβ-ヒドロキシ酪酸塩を含む、項目44~46のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目44~46のいずれか1項に記載の組成物。
48.前記ケトン体および/もしくはケト原性化合物または前記組成物を対象に投与することで、前記対象の血中のケトン体濃度、すなわちβHB濃度が約0.3mM~約5mMに、好ましくは約0.5mM~約5mMに、好ましくは約1mM~約3mMに増加する、項目1~11もしくは16~47のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~47のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~47のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
49.前記ケトン体および/もしくはケト原性化合物または前記組成物を対象に投与することで、前記対象の血中のケトン体濃度、すなわちβHB濃度が、対応するベースライン濃度に比べて少なくとも約1.5倍に増加する、項目1~11もしくは16~48のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~48のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~48のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
50.血中のケトン体濃度が約2時間、1時間、30分、15分以内に、好ましくは約30分以内に増加する、項目48もしくは49に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目48もしくは49に記載の組成物。
51.前記血中ケトン体濃度が少なくとも約1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、または14時間、好ましくは少なくとも約1時間または2時間、好ましくは少なくとも約2時間維持される、項目48~50のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目48~50のいずれか1項に記載の組成物。
52.前記組み合わせ、組成物、またはケトン体および/もしくはケト原性化合物が前記対象に約0.01~約1g/kg体重の用量でかつ/または1日1回、2回、3回、もしくは4回投与される、項目1~11もしくは16~51のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~51のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
53.前記組み合わせ、組成物、またはケトン体および/もしくはケト原性化合物が前記対象に経口投与され、あるいは、前記組成物が経口投与用に調合される、項目1~11もしくは16~52のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~52のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~52のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
54.(i)前記ケトン体および/またはケト原性化合物が医薬組成物として調合され、前記鎮痛剤が別の医薬組成物として調合され;あるいは、
(ii)前記ケトン体および/またはケト原性化合物ならびに前記鎮痛剤が1つの医薬組成物として調合され、
医薬組成物が粉末、錠剤、カプセル、微粒子、溶液、もしくは懸濁液の形態であってもよく、かつ/または薬学的に許容される賦形剤をさらに含んでもよい、項目1~11もしくは16~53のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~53のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~53のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
55.前記ケトン体および/もしくはケト原性化合物または前記組成物が微粒子に収容され、前記微粒子が薬学的に許容されるマトリックスをさらに含む、項目1~11もしくは16~54のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~54のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~54のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
56.前記薬学的に許容されるマトリックスが(i)変性および/もしくは重合タンパク質、例えばピープロテイン、(ii)多糖、例えばアルギン酸、ならびに/または(iii)メタクリル酸とメタクリル酸メチルとの共重合体、例えばEudragitを含む、項目55に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目55に記載の組成物。
57.前記微粒子が約50μm~約500μm、好ましくは約50μm~約200μmの粒径を有する、項目54~56のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目54~56のいずれか1項に記載の組成物。
58.前記微粒子を対象に投与することで、前記対象の血漿中のケトン体濃度が約0.3mM~約5mMに、かつ/または対応するベースライン濃度に比べて少なくとも1.5倍に増加し、前記増加した血中ケトン体濃度が約4時間、6時間、8時間、10時間、12時間、または14時間、好ましくは約8時間または約12時間維持される、項目54~57のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせもしくは組成物、または項目54~57のいずれか1項に記載の組成物。
59.前記組み合わせまたは組成物がカフェインをさらに含む、項目1~11もしくは16~58のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、項目12~14もしくは16~58のいずれか1項に記載の組成物、または項目15~58のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
60.前記片頭痛および/または片頭痛症状が頭痛を含む、項目1~11もしくは16~59のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~59のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
61.前記頭痛が一側性である、項目1~11もしくは16~60のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~60のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
62.前記頭痛が拍動性または脈動性である、項目1~11もしくは16~61のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~61のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
63.前記頭痛が中程度~高度の強度、例えば0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約5~約10である、項目1~11もしくは16~62のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~62のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
64.前記片頭痛および/またはその症状が頭痛、ならびにアウラ;悪心、吐き気、または嘔吐;光感受性、騒音感受性、および/または臭気感受性;平衡感覚障害または平衡感覚喪失;換語困難;感覚障害および/または運動障害;アロディニア;認知困難、例えば意識朦朧、ブレインフォグ、および/または集中困難;混乱;頻回のあくび;食欲および食物渇望の変化、例えば過食;疲れ、疲労、または低エネルギー;気分変化、例えばうつ状態から多幸感への気分変化;口渇および排尿の増加;頸部硬直;顔面痛;頭部緊張;ただれ目;温度感覚の変化、例えば熱すぎるかまたは冷たすぎると感じること;下痢または便秘;発汗;イライラ、めまい、または失神感からなる群から選択される少なくとも1種の、好ましくは少なくとも2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種、9種、または10種のさらなる症状を含む、項目1~11もしくは16~63のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~63のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
65.前記片頭痛および/またはその症状が、頭痛、ならびにアウラ;悪心、吐き気、および/または嘔吐;ならびに光感受性、騒音感受性、および/または臭気感受性からなる群から選択される少なくとも1種のさらなる症状を含む、項目1~11もしくは16~64のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~64のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
66.頭痛、ならびに悪心、疲労、疲れ、光感受性、騒音感受性、および/または臭気感受性、認知困難、ならびに換語困難から選択される少なくとも1種、好ましくは少なくとも2種、3種、4種、5種、または全種の症状が改善または除去される、項目1~11もしくは16~65のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~65のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
67.前記対象が、少なくとも1回の片頭痛発作に既に罹患したことがあり、かつ/または再発性片頭痛発作に罹患中である、項目1~11もしくは16~66のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~66のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
68.前記対象がうつ病、躁病、気分動揺、および/または性欲減退に罹患中である、項目1~11もしくは16~67のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~67のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
69.前記組み合わせまたは組成物が、対象がアウラを示すときに、片頭痛および/もしくはその症状が始まるときに、かつ/または、片頭痛発作の前兆期に、特に頭痛の強度がまだ低いかもしくは頭痛がまだ存在していないときに、例えば0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約0~約4であるときに投与される、項目1~11もしくは16~68のいずれか1項に記載の使用のための組み合わせ、または項目15~68のいずれか1項に記載の使用のための組成物。
【0211】
本発明は、以下の図面、図面の説明、および以下の非限定的な実施例によっても特徴づけられる。
【実施例】
【0212】
実施例
本開示における使用のための方法および材料を本明細書に記載するが、当技術分野において公知である他の好適な方法および材料を使用してもよい。材料、方法、および実施例は例示的なものでしかなく、限定的であるようには意図されていない。
【0213】
実施例1 (i)βHBと(ii)単純鎮痛剤、すなわちアセチルサリチル酸もしくはイブプロフェン、トリプタン、またはメラトニンとの組み合わせによる、急性片頭痛発作の処置の改良
再発性片頭痛発作の病歴を持ち、「代謝性片頭痛患者」(片頭痛の50%超が代謝イベント、例えば絶食、食事を抜くこと、運動などによって誘発される)であると見なされた女性片頭痛患者を、この初期試験のために選択した。試験の途中、患者は17回の記録された急性片頭痛発作を示し、これらは以下の9つの処置レジメンのうちいずれか1つによって処置された。
1.「MigraKet」と呼ばれるβ-ヒドロキシ酪酸(βHB)無機塩(ケトン体)の風味付き混合物13g
2.アセチルサリチル酸(単純鎮痛剤)500mg
3.イブプロフェン(単純鎮痛剤)400mg
4.MigraKet 13g+アセチルサリチル酸500mg(ケトン体と単純鎮痛剤との組み合わせ)
5.MigraKet 13g+イブプロフェン400mg(ケトン体と単純鎮痛剤との組み合わせ)
6.フロバトリプタン(トリプタン)2.5mg
7.MigraKet 13g+フロバトリプタン2.5mg(ケトン体とトリプタンとの組み合わせ)
8.メラトニン9mg
9.MigraKet 13g+メラトニン9mg(ケトン体とメラトニンなどの抗酸化剤との組み合わせ)
「MigraKet」は、1:1:2:2比のナトリウム、カリウム、マグネシウム、およびカルシウムD-BHBミネラル混合物10gならびに香料(リンゴ酸、およびステビアによって甘くされた天然のレモンライム味)3gの静水0.5l中溶液からなっていた。
【0214】
頭痛(疼痛)の強度を、物質の摂取時(0時間)、およびそれに続く1日の途中の5つの時点(物質摂取の2時間後、4時間後、8時間後、12時間後、24時間後)に記録した。頭痛(疼痛)の強度を視覚的アナログスケール上で0(「無疼痛」)から10(「想像可能な最悪の疼痛」)までに分類した。観察結果を表1に示す。
【0215】
【0216】
さらなる評価のために、処置レジメンを以下の3つの群に分類した。
1.MigraKet(ケトン体のみ)
2.アセチルサリチル酸またはイブプロフェン(単純鎮痛剤のみ)
3.MigraKet+アセチルサリチル酸またはイブプロフェン(ケトン体と単純鎮痛剤との組み合わせ)
様々な時点での3つの群の平均強度を
図1に示す。
【0217】
処置レジメンの開始時の、すなわち物質摂取の時点(0時間)での頭痛の強度は3つの群の間で同様であった(約2~3)。アセチルサリチル酸のみとイブプロフェンのみとの間で有意差は見られなかった。しかし、驚くべきことに、βHBとアセチルサリチル酸またはイブプロフェンとの組み合わせによって頭痛の強度が少なくとも24時間減少した一方で、βHB、アセチルサリチル酸、またはイブプロフェンのみでは頭痛が平均で非常にわずかにしか、または一時的にしか、すなわち約4~8時間しか改善されなかった。
【0218】
したがって、これらのデータは、ケトン体またはケト原性化合物(例えばβHB)と鎮痛剤(例えばアセチルサリチル酸またはイブプロフェン)との組み合わせが、急性片頭痛発作の間の頭痛の処置に関して相乗効果を示すことを示唆するものである。
【0219】
さらに、驚くべきことに、βHBとアセチルサリチル酸またはイブプロフェンとの組み合わせによって、頭痛が多くとも2時間以内に完全に除去され、4例中3例において実験の終わり(24時間)まで頭痛の再発が予防されたことがわかった。これは、疼痛調節物質、すなわち鎮痛剤のみで片頭痛発作を処置する場合、非常に稀である。対照的に、βHBのみでは3例中1例でしか頭痛が除去されず、アセチルサリチル酸またはイブプロフェンのみでは4例中2例でしか頭痛が除去されなかった。さらに、βHB、アセチルサリチル酸、またはイブプロフェンのみでは、実験全体にわたって頭痛の再発が予防されることが決してなく、せいぜい約4~12時間しか頭痛の再発が予防されなかった。
【0220】
さらに、トリプタン(例えばフロバトリプタン)のみであっても頭痛が12時間未満しか改善されなかった一方で、トリプタンとβHBとの組み合わせによって頭痛が少なくとも24時間改善されたことが観察された。このことは、ケトン体および/またはケト原性化合物とトリプタンとの組み合わせが個々の成分のみに比べて有利であることを示唆するものである。
【0221】
さらに、メラトニンのみでは頭痛が改善されず、24時間にわたって激しく増悪した一方で、2例中1例において、メラトニンとβHBとの組み合わせによって頭痛が少なくとも20時間改善されたことが観察された。2番目の例では、メラトニンとβHBとの組み合わせによって少なくとも頭痛の強い増悪が予防された(8時間後に始まる軽度の増悪のみが観察された)。このことは、ケトン体および/またはケト原性化合物とメラトニンとの組み合わせが個々の成分、すなわちメラトニンのみに比べて有利であることを示唆するものである。
【0222】
さらに、βHBとアセチルサリチル酸またはイブプロフェンとの組み合わせによって頭痛が改善または除去されなかった唯一の例では、疼痛の強度は処置の開始(物質の摂取)時に既に相対的に高かった(「6」)。このことは、片頭痛発作がまだ本格的でないときに、片頭痛発作の根本的原因に対処するかまたはそれを改善することができるということをさらに示唆するものである。しかし、その例であっても、この組み合わせは少なくとも頭痛のさらなる増悪を予防した。
【0223】
これらのデータは、最適な効果を実現するには、ケトン体またはケト原性化合物と鎮痛剤との組み合わせを急性片頭痛発作の開始時に、すなわち頭痛の強度がまだ低い(例えば0~10の範囲の視覚的アナログスケール上で約0~約4である)ときに、および/または前兆期に投与することが好ましいことをさらに示すものである。
【0224】
実施例2 概念実証臨床試験
以下の臨床試験は、特に、実施例1に記載の片頭痛患者で観察された効果をさらに確認することが想定される。特に、臨床試験は、ケトン体またはケト原性化合物、例えばMigraKetが急性片頭痛発作の処置に有用であることを確認するために行われる。さらに、臨床試験は、標準的急性片頭痛処置、例えばアセチルサリチル酸またはイブプロフェンなどの鎮痛剤による処置にケトン体またはケト原性化合物、例えばβHBを付加することによる相加的または相乗的効果を確認するためにも行われる。
【0225】
【0226】
【0227】
さらに、いくつかのアームによるプラセボ対照第2相試験が想定される。
【国際調査報告】