IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ テーデーカー エレクトロニクス アーゲーの特許一覧

<>
  • 特表-NTCセンサを製造する方法 図1
  • 特表-NTCセンサを製造する方法 図2
  • 特表-NTCセンサを製造する方法 図3
  • 特表-NTCセンサを製造する方法 図4
  • 特表-NTCセンサを製造する方法 図5
  • 特表-NTCセンサを製造する方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】NTCセンサを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01C 17/28 20060101AFI20240705BHJP
   H01C 7/04 20060101ALI20240705BHJP
   H01C 17/02 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H01C17/28
H01C7/04
H01C17/02
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502525
(86)(22)【出願日】2022-05-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 EP2022064569
(87)【国際公開番号】W WO2023001434
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021118566.1
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518379278
【氏名又は名称】テーデーカー エレクトロニクス アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【弁理士】
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】オッハス,ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィチャンドラン,サブラマニアン
(72)【発明者】
【氏名】チャヴァン,ダナンジャイ
(72)【発明者】
【氏名】フェイル,ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
5E032
5E034
【Fターム(参考)】
5E032BA23
5E032BB10
5E032CA11
5E032CC11
5E032CC16
5E032DA02
5E034BA09
5E034BB01
5E034DA03
5E034DA07
5E034DB05
5E034DC04
5E034DE12
(57)【要約】
本発明は、NTCセンサを製造する方法に関し、この方法は、特定の順序でいくつかのプロセスステップを含むNTCセンサを組み立てる方法及びNTCセンサをコーティングする方法を含む。本発明は、さらに、NTCサーミスタ素子(4)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
NTCセンサを組み立てる方法であって:
NTCサーミスタ要素と、前記NTCサーミスタ要素にコンタクトするための端部を有する接続ワイヤと、を提供するステップと、
電流を印加することによって以下のステップ中に前記NTCサーミスタ要素を自己加熱するステップと、
前記接続ワイヤの端部にはんだペーストを分配するステップと、
前記NTCサーミスタ要素に前記接続ワイヤを適用するステップと、
前記NTCサーミスタ要素によって生成される熱によって前記はんだペーストを溶融させ、それによって、前記NTCサーミスタ要素と前記接続ワイヤとの間のはんだ接合部を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記NTCサーミスタ要素は、200℃を越えて加熱される、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記電流は、前記NTCサーミスタ要素に適用された補助電極によって印加される、
請求項1記載の方法。
【請求項4】
2つの接続ワイヤは、前記NTCサーミスタ要素の対向する2つの側面に適用される、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記はんだペーストは、フラックス剤を含むリザーバ内に前記接続ワイヤをディップすることによって浸漬される、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記はんだペーストは溶融し、30秒未満の間に前記はんだ接合部を形成する、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
NTCセンサをコーティングするための方法であって:
NTCサーミスタ要素と、前記NTCサーミスタ要素上に固定された接続ワイヤと、を備えるNTCセンサを提供するステップと、
電流を印加することによって以下のステップ中に前記NTCサーミスタ要素を自己加熱するステップと、
コーティング原料に前記NTCサーミスタ要素をディップするステップと、
前記NTCサーミスタ要素によって生成される熱によって前記コーティング原料を溶融させるステップと、
前記NTCサーミスタ要素と前記接続ワイヤの隣り合う部分とを取り囲むコーティング層を形成するステップと、
を含む方法。
【請求項8】
前記NTCサーミスタ要素は、170℃を越えて加熱される、
請求項7記載の方法。
【請求項9】
電流は、前記接続ワイヤを用いることによって印加される、
請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記コーティング原料は溶融し、30秒未満の間に前記コーティング層を形成する、
請求項7記載の方法。
【請求項11】
NTCセンサを製造する方法であって、
請求項1乃至6いずれか1項記載の方法による組立ステップと、
請求項7乃至10いずれか1項記載の方法によるコーティングステップと、
を含む方法。
【請求項12】
複数のNTCサーミスタ要素が同時に取り扱われる、
請求項11記載の方法。
【請求項13】
NTCセンサ要素であって、
NTCサーミスタ要素と、
はんだ接合部によって前記NTCサーミスタ要素の対向する側に固定された2つの接続ワイヤと、
前記NTCサーミスタ要素と前記はんだ接合部とを完全に包囲する単層コーティングと、
を備える、NTCセンサ要素。
【請求項14】
前記接続ワイヤと前記NTCサーミスタ要素との間の前記はんだ接合部は6Nを超える高い強度を示す、
請求項13記載のNTCセンサ要素。。
【請求項15】
前記NTCサーミスタ要素はブロック形状又はディスク形状を備え、3mm×3mm×1mmの寸法を超える、
請求項13又は14記載のNTCセンサ要素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、NTCセンサを製造する方法に関し、この方法は、特定の順序でいくつかのプロセスステップを含むNTCセンサを組み立てる方法及びNTCセンサをコーティングする方法と、を含む。
本発明は、さらに、NTCサーミスタ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
すでに利用可能な、プラスチックコーティングを使用するNTCサーミスタ温度センサは、従来の熱制御されたアセンブリ及びコーティング技術を用いて製造される。
【0003】
NTCサーミスタ材料の電気抵抗は、温度の変化と共に変化する。特に、NTCサーミスタの抵抗は、温度の上昇と共に減少する。NTCサーミスタ材料は、接続ワイヤによって電気回路に組み込まれる。プラスチックハウジングは、サーミスタを環境の影響から保護することができる。
【0004】
NTCサーミスタ要素の例は、文献DE 102005017816 A1から知られている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の課題は、NTCセンサの公知の製造方法を改善することである。
【0006】
方法は、いくつかの製造ステップに関する。
【0007】
第1の態様において、本発明は、いくつかのステップを含むNTCセンサを組立てる方法(method of assembling)に関する。
【0008】
1つのステップにおいて、NTCサーミスタ要素(NTCは負の温度係数を表す)と、NTCサーミスタ要素にコンタクトするための端部(terminals)を有する接続ワイヤとが設けられる。
【0009】
NTCサーミスタ要素は、表面実装デバイス(SMD)に使用できるように構成されたディスク形状又はブロック形状に構成され得る。
【0010】
NTCサーミスタ要素は、NTCセラミック材料を含み得る。NTCセラミック材料は電気抵抗として機能し、その抵抗は材料の内部温度に依存して変化する。NTCセラミック材料は、電流を印加することによって自己加熱(self-heated)され得る。
【0011】
NTCサーミスタ要素は、NTCセラミック材料の対向する表面上に構成された2つの電極をさらに備え得る。電極は、NTCサーミスタ要素に電気的にコンタクトし、NTCサーミスタ要素を電気回路に組み込むことを可能にする。電極は、金属、貴金属又は金属合金などの良好な導電性を示す材料を含み得る。
【0012】
代替的に、NTCサーミスタ要素は、多層コンポーネントとして設計されることができる。この多層コンポーネントは、NTCセラミック材料の複数の層と、これらの層の間に配設された内部電極とを備える。内部電極は、金属の導電性材料を含む。
【0013】
この多層コンポーネントは、複数のセラミック層と内部電極との積層体として形成されており、好ましくは全体として直方体構造(cuboid structure)を有している。
【0014】
記載された実施形態において、内部電極は、多層コンポーネントの表面上の外部電極によって電気的にコンタクトされ得る。外部電極は、好ましくは、多層コンポーネントの2つの対向する側面に適用される。外部電極はキャップ形状であることができ、多層コンポーネントの異なる側面を覆うことができる。好ましくは、多層コンポーネントに積層された内部電極は、それぞれ、対向して位置する2つの外部電極に交互に接続される。
【0015】
外部電極は、例えば銀又は金の金属化層を有しており、これらの金属化層は、例えばスクリーン印刷法と、これに続く熱処理とによって適用される。
【0016】
かかる多層コンポーネントの電気抵抗は、非常に精密に画定することができる。したがって、1%未満の抵抗許容誤差を達成することができる。
【0017】
接続ワイヤは、導電性金属又は金属合金を含む導電性ワイヤである。接続ワイヤは、ポリマーコーティングによって絶縁され得る。接続ワイヤの端部の少なくとも一部は、コーティングによって絶縁されないことができる。
【0018】
さらなるステップにおいて、NTCサーミスタ要素は、電流の印加によって自己加熱される。自己加熱は、以下のステップの間維持される。
【0019】
第1のステップでは、はんだペーストが接続ワイヤの端部に分配される(dispensed)。はんだペーストは、鉛、スズ、亜鉛、銀、銅、金、アンチモン、及びビスマスなどの異なる金属を含み得る。好ましくは、はんだペーストは鉛を含まないことができる。さらに、はんだペーストはフラックス剤を含浸させ得る。
【0020】
加熱後に分配されたはんだペーストは、接続ワイヤの端部である接続ワイヤのヘッドに炎のような形状をもたらし得る。
【0021】
第2のステップにおいて、接続ワイヤがNTCサーミスタ要素に適用される。特に、接続ワイヤは、要素の2つの対向する側のNTCサーミスタ要素の電極に適用され得る。接続ワイヤは、はんだペーストがNTCサーミスタ要素、特に電極と直接コンタクトするように、NTCサーミスタ要素に適用される。
【0022】
第3のステップでは、NTCサーミスタ要素により生成される熱によりはんだペーストが溶融する。はんだペーストの溶融によって、NTCサーミスタ要素、特に電極と、接続ワイヤ、特に端部との間にはんだ接合部(solder bonds)が形成される。
【0023】
それによって、第1の接続ワイヤの端部と、第1のはんだ接合部と、NTCサーミスタ要素の第1の電極と、NTCサーミスタ材料と、NTCサーミスタ要素の第2の電極と、第2のはんだ接合部と、第2の接続ワイヤの端部との間の閉電気接続を含む閉電気回路が形成される。
【0024】
記載されたステップは、所与の順序で、又は適用可能な任意の他の順序で行われ得る。ここで、及び以下において、「第1の」、「第2の」などの指定は、プロセスステップの必須の順序を決定するものではない。
【0025】
一実施形態において、NTCサーミスタ要素は200℃を越えて加熱される。
【0026】
かかる温度に、NTCサーミスタ材料の特性の変更を伴わずに達することができる。
【0027】
NTCサーミスタ材料をオーブンで加熱する場合とは異なり、NTCサーミスタ材料の相構成は、記載された自己加熱プロセスの間に著しく変化しない。
したがって、その後の時間のかかるエージングプロセスを省略することができ、又は大幅に短縮することができる。
以下のコーティングプロセスは、はんだ付けプロセスの直後に、追加の熱処理なしに行われ得る。
【0028】
好ましくは、NTCサーミスタを加熱するための電流は、接続ワイヤ自体によってNTCサーミスタに印加される。
【0029】
代替的実施形態において、電流は、NTCサーミスタに適用される補助電極によって印加される。補助電極は、一時的かつ可逆的に適用される。
【0030】
補助電極は、NTCサーミスタ要素の2つの対向する表面上に適用され得る。
【0031】
補助電極は、製造中にNTCサーミスタ要素が固定される保持構造に含まれ得る。
【0032】
補助電極は、NTCサーミスタ要素の電極と接触し得る。
【0033】
このことによって、第1の補助電極と、NTCサーミスタ要素の第1の電極と、NTCサーミスタ材料と、NTCサーミスタ要素の第2の電極と、第2の補助電極の端部との間の閉電気接続を含む閉電気回路が形成される。
【0034】
前述のプロセスにおいて、NTCサーミスタ要素によって生成される熱により、はんだペーストが溶融する。これにより、NTCサーミスタ要素と接続ワイヤとの間に、はんだ接合部が形成される。その後、補助電極を除去してNTCサーミスタ要素の自己加熱を停止させる。
【0035】
一実施形態において、接続ワイヤとNTCサーミスタ要素との間のはんだ接合は、高い強度を示す。はんだ接合部は、少なくとも6N、好ましくは7Nまで、さらにより好ましくは8Nまでの引張力に耐えることができる。
【0036】
一実施形態において、2つの接続ワイヤが、NTCサーミスタ要素の2つの対向する表面上に、特に、NTCサーミスタ要素の対向する表面に構成された2つの対向する電極上に適用される。
【0037】
一実施形態では、はんだペーストは接続ワイヤをフラックス剤を含むリザーバ内にディップすることによって浸漬される。
【0038】
はんだペーストは、ワイヤがNTCサーミスタ要素上に適用される前、かつ、はんだペーストが溶融される前に、フラックス剤で含浸される。
【0039】
したがって、NTCサーミスタ要素の不所望な含浸によってフラックス剤が浪費されることはない。
好ましくは、はんだペーストは、フラックス剤を有するスポンジに接続ワイヤをディップすることによって含浸される。
【0040】
このようにして、フラックス剤を、ターゲットを定めて、フラックス剤の無駄を最小限にして適用することができる。
【0041】
金属のはんだ付けにおいて、フラックス剤はいくつかの目的に役立つ。フラックス剤は、はんだ付けされる表面から酸化金属を除去し、空気を追い出してシールし(seals out air)、それによってさらなる酸化を防止し、液状はんだの濡れ特性を改善する。
【0042】
一実施形態では、記はんだペーストは溶融し、30秒未満の間にはんだ接合部(solder bonds)を形成する。
【0043】
このタイムスパンにおいて、NTCサーミスタ要素と、はんだペーストが適用されたNTCサーミスタ要素の表面とを所定の温度まで加熱することができ、はんだペーストが溶融し、はんだ接合部が形成される。
【0044】
必要な温度は、はんだペーストの組成に依存する。NTCサーミスタ要素は、電流の印加によって200℃を超えて、好ましくは200℃~400℃まで加熱されるように構成されてもよい。
【0045】
はんだペーストは、はんだが適用された(applied)自己加熱NTCサーミスタ要素によって直接溶融されるので、熱的な前処理及び後処理ステップを省略することができる。
【0046】
このため、従来に比べて、はんだ付け工程を短縮することができる。
【0047】
第2の態様において、本発明は、いくつかのステップを含むNTCセンサをコーティングする方法に関する。
【0048】
第2の態様の方法は、第1の態様の方法の全てのステップをさらに含み得る。
【0049】
NTCセンサをコーティングする方法は、NTCサーミスタ要素と、NTCサーミスタ要素上に固定された接続ワイヤとを備えるNTCセンサを提供するステップを含む。
【0050】
NTCサーミスタ要素及び接続ワイヤは、第1の態様において説明したように処理され得る。NTCセンサは、第1の態様のプロセスを実行することによって提供され得る。
【0051】
1つのステップにおいて、NTCサーミスタ要素は、電流の印加によって自己加熱される。自己加熱は、以下のプロセスステップの間、維持される。
【0052】
第1のステップでは、NTCサーミスタ要素をコーティング原料に浸漬する。
【0053】
コーティング原料は、ポリマー粉末として又は樹脂として提供され得る。典型的なコーティング材料は、例えば、ペルフルオロアルコキシアルカン(PFA)、テフロン(登録商標)、ポリウレタン(PU)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、シリコン、ポリエステル、ポリアクリレート、エポキシポリマー、樹脂、及びエポキシ樹脂などのポリマーを含み得る。
【0054】
コーティング材料は、コーティング原料リザーバ、例えばタブに貯蔵され得る。
【0055】
第2のステップでは、NTCサーミスタ要素によって生成される熱により、コーティング原料を溶融させる。必要な熱は、使用されるコーティング原料に依存する。
【0056】
第3のステップにおいて、NTCサーミスタ要素及び接続ワイヤの隣接部分を取り囲むコーティング層が形成される。
【0057】
コーティング層は、溶融したコーティング原材料から形成される。好ましくは、コーティング層は、ポリマー材料の1つの単一層のみを含む。
【0058】
開示されたプロセスステップにより、コーティング層は、加熱エネルギー及びコーティング原材料の最小需要によって適用され得る。NTCサーミスタ要素の自己加熱された表面に隣接する原材料のみが溶融し、コーティング層を形成する。リザーバ内に供給されるさらなるコーティング原料は、粉末又は樹脂の形態のままである。
【0059】
一実施形態において、NTCサーミスタ要素は170℃を越えて加熱される。
【0060】
かかる温度に、NTCサーミスタ材料の特性の変更を伴わずに達することができる。
【0061】
NTCサーミスタ材料をオーブンで加熱する場合とは異なり、NTCサーミスタ材料の相構成は、記載された自己加熱プロセスの間に著しく変化しない。したがって、その後の時間のかかるエージングプロセスを省略することができ、又は大幅に短縮することができる。
【0062】
さらにまた、少量のコーティング原料のみを目標とする加熱のため、コーティング材料の硬化及び焼き戻し(tempering)のための熱的後処理ステップ(thermal post-treatment steps)を、2時間未満、好ましくは1時間未満のタイムスパンに短縮することができる。
【0063】
必要な温度は、コーティング原料の組成に依存する。NTCサーミスタ要素は、電流の印加によって、80℃を超えて、又は100℃を超えて、又は170℃を超えて、好ましくは80℃~350℃の温度に加熱されるように構成されてもよい。
【0064】
一実施形態において、電流は、NTCサーミスタ要素に固定された接続ワイヤを使用することによって印加される。
【0065】
好ましくは、2つの接続ワイヤが、NTCサーミスタ要素の2つの対向する表面上に、特に、NTCサーミスタ要素の対向する表面に構成された2つの対向する電極上に適用される。
【0066】
このことによって、第1の接続ワイヤと、NTCサーミスタ要素の第1の電極と、NTCサーミスタ材料と、NTCサーミスタ要素の第2の電極と、第2の接続ワイヤとの間の閉電気接続を含む閉電気回路が形成される。
【0067】
一実施形態において、コーティング原料は溶融し、30秒未満の間にコーティング層を形成する。
【0068】
このタイムスパンにおいて、NTCサーミスタ要素と、NTCサーミスタ要素のコーティング原料が塗布された表面と、を所定の温度まで加熱することができ、表面に隣接するコーティング原料が溶融し、コーティング層が形成される。
【0069】
別の実施形態において、コーティング原料は溶融し、50秒未満の間にコーティング層を形成する。
【0070】
短いタイムスパンを選択することによって、1つのコーティング層のみが形成される。したがって、原料の需要が最小限に抑えられる。
【0071】
コーティング原料は原料が適用された自己加熱NTCサーミスタ要素によって溶融されるため、コーティング層を形成するための熱的な前処理や後処理ステップが不要である。
【0072】
したがって、従来プロセスと比較するとコーティングプロセスを短縮することができる。
【0073】
第3の態様において、本発明は、第1及び第2の態様に関して記載されたような、組み立て方法のステップのいずれか1つ、及びコーティング方法のステップのいずれか1つを含む、NTCセンサを製造する方法に関する。
【0074】
第1の態様の製造方法は、第1の態様の方法の全てのステップを含んでもよく、第2の態様の方法の全てのステップをさらに含んでもよい。
【0075】
本発明の最初の2つの態様は、第3の態様の全てのステップを含むこともできる。
【0076】
NTCセンサを製造する方法はいくつかの組立ステップといくつかのコーティングステップとを備える。
【0077】
特に、製造方法は、所与の順序で実施され得る以下のステップを含む。
【0078】
1つのステップにおいて、NTCサーミスタ要素と、NTCサーミスタ要素にコンタクトするための端部を有する接続ワイヤと、が提供される。
【0079】
次のステップにおいて、NTCサーミスタは、電流の印加によって、好ましくは接続ワイヤ自体によって、又は代替的に補助電極を使用することによって、自己加熱される。自己加熱は、以下の3つのステップの間維持される。
【0080】
第1のステップでは、はんだペーストが接続ワイヤの端部に分配される(dispensed)。
【0081】
第2のステップにおいて、接続ワイヤがNTCサーミスタ要素に適用される。
【0082】
第3のステップでは、NTCサーミスタ要素により生成される熱によりはんだペーストが溶融する。
これにより、NTCサーミスタ要素と接続ワイヤとの間に、はんだ接合部が形成される。
【0083】
第3のステップの後、任意の補助電極を除去してもよく、NTCサーミスタ要素の自己加熱を停止する。
【0084】
以下において、NTCサーミスタ要素と、NTCサーミスタ要素上に固定された接続ワイヤとを備えるNTCセンサがさらに処理される。
【0085】
第4のステップにおいて、NTCサーミスタ要素は、電流の印加によって自己加熱される。接続ワイヤによって電流が印加されることができる。自己加熱は、次のステップまで維持されることができる。
【0086】
第5のステップでは、NTCサーミスタ要素をコーティング原料に浸漬する。
【0087】
第6のステップでは、NTCサーミスタ要素によって生成される熱により、コーティング原料を溶融させる。
【0088】
第7のステップにおいて、NTCサーミスタ要素及び接続ワイヤの隣接部分を取り囲むコーティング層が形成される。
【0089】
その後、NTCサーミスタ要素の自己加熱を停止させることができる。
【0090】
さらなる熱的後処理ステップは必要とされない。
【0091】
あるいは、熱的後処理ステップを行って、コーティングを硬化及び/又は焼き戻してもよい。これらの熱的後処理ステップは、1時間未満で実施され得る。
【0092】
一実施形態では、いくつかのNTCサーミスタ要素が同時に取り扱われる。好ましい実施形態において、少なくとも5つのNTCサーミスタ要素が同時に取り扱われる。従来の製造工程の簡素化により、同時処理が可能となる。
【0093】
同時に取り扱うことにより、NTCセンサの大量生産が可能になる。
【0094】
本発明は、さらに、NTCサーミスタ要素と、はんだ接合部によってNTCサーミスタ要素の対向する側に固定された2つの接続ワイヤと、NTCサーミスタ要素及びはんだ接合部を完全に囲む単層コーティングと、を備えるNTCセンサ要素に関する。
【0095】
一実施形態において、接続ワイヤとNTCサーミスタ要素との間のはんだ接合は、高い強度を示す。はんだ接合部は、少なくとも6 Nの引張力(tensile force)に耐えることができる。この強度は、従来のはんだ接合部の強度に少なくとも匹敵する。好ましくは、はんだ接合は、7Nまで、さらにより好ましくは8Nまでの高い強度を示す。
【0096】
NTCセンサ要素は、本発明の態様1~3のいずれか1つに記載の方法によって製造されてもよい。
【0097】
NTCセンサ要素は、さらに、態様1~3のいずれか1つの態様によって構成されてもよい。
【0098】
一実施形態において、NTCサーミスタ要素はブロック形状を有する。
【0099】
さらなる実施形態において、NTCサーミスタ要素は、ディスク形状を有する。
【0100】
NTCサーミスタ要素の寸法は、30mm×30mm×5mmを超えないことがあり、好ましくは3mm×3mm×1mmを超えないことがある。
【0101】
ディスク又はブロックは、円形、楕円形、丸みを帯びた角を有するかもしくは有さない矩形又は正方形の形状を有し得る。
【0102】
NTCサーミスタ要素は、NTCセラミック材料を含み得る。NTCセラミック材料は電気抵抗として機能し、その抵抗は材料の内部温度に依存して変化する。NTCセラミック材料は、電流を印加することによって自己加熱され得る。
【0103】
NTCサーミスタ要素は、NTCセラミック材料の対向する表面上に構成された2つの電極をさらに備え得る。電極は、NTCサーミスタ要素に電気的にコンタクトし、NTCサーミスタ要素を電気回路に組み込むことを可能にする。電極は、金属、貴金属又は金属合金などの良好な導電性を示す材料を含み得る。
【0104】
一方の電極から他方の電極までのNTCサーミスタ要素の寸法である電流経路の厚さは、5mmを超えないことがあり(その中に電極の寸法を含む)、好ましくは1mmを超えないことがある。
【0105】
電流経路の方向に垂直なNTCサーミスタ要素の表面は、円形、楕円形、長方形、又は正方形の形状を有することがあり、30mm×30mmを超えないことがある、好ましくは3mm×3mmを超えないことがある。
【0106】
接続ワイヤは、導電性金属又は金属合金を含む導電性ワイヤである。接続ワイヤは、ポリマーコーティングによって絶縁され得る。接続ワイヤの端部の少なくとも一部は、コーティングによって絶縁されないことができる。
【0107】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態をより詳細に説明する。図中の類似の又は明らかに同一の要素は、同じ参照符号でマークされる。図及び図中の比率は、縮尺通りではない。なお、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0108】
図1図1は、接続ワイヤの第1の実施形態を示す図である。
図2図2は、はんだバンプを有する接続ワイヤの第1の実施形態を示す図である。
図3図3は、はんだ付けプロセス中のNTCサーミスタ要素内部の温度及び電気抵抗プロファイルを示す図である。
図4図4は、コーティングプロセス前のNTCサーミスタ要素の第1の実施形態を示す。図である
図5図5は、コーティングプロセス中のNTCサーミスタ要素内部の温度及び電気抵抗プロファイルを示す図である。
図6図6は、コーティングが施されたNTCサーミスタ要素の第1の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0109】
以下、図面を参照しながら、NTC(負の温度係数:negative temperature coefficient)サーミスタ要素の製造工程の一例について説明する。NTCサーミスタ要素4は、NTCセンサに用いられるものである。
【0110】
第1のプロセスセクションにおいて、NTCサーミスタ要素4に接続ワイヤ1が設けられる。接続ワイヤ1は、NTCサーミスタ要素4の2つの対向する表面上にはんだ付けによって設けられる。NTCサーミスタ要素4の対向する2つの表面には、2つの電極5が形成されている。接続ワイヤ1は、電極5の表面に適用される。
【0111】
まず、図1に示すように、接続ワイヤ1を用意する。接続ワイヤ1は、銀又は銅などの貴金属、又は対応する合金などの良好な導電性を有する材料から主に作られる。ワイヤ1は、非導電性ポリマー材料のコーティング絶縁層2を有し得る。絶縁層2は、ワイヤ1の端部には存在せず、その後、はんだペーストが適用される。
【0112】
第1の製造ステップにおいて、ワイヤ1、好ましくは2本ずつ5対のワイヤ1が保持装置にクランプされる。このようにして、5つのセンサを同時に製造することができる。ここで、コーティングを有しないワイヤ1の端部が処理される。はんだバンプ3は、シリンジを介してワイヤ1の自由端に適用される。目標を定めて(in a targeted manner)はんだペーストを適用することによって、必要なはんだの量を最小限に抑えることができる。その後廃棄される過剰なはんだ材料は減少する。
【0113】
はんだバンプ3が適用されたワイヤ端部が図2に示されている。
【0114】
次のプロセスステップでは、はんだバンプ3が適用されたワイヤ1をフラックス剤のリザーバ内に浸漬する。フラックス剤のリザーバは、好ましくは、フラックス剤を含むスポンジの形態であってもよい。その後、ワイヤ1を、まずはんだバンプ3をスポンジに押し付けて、はんだバンプ3にフラックス剤を含浸させる。
【0115】
NTCサーミスタ要素4は、ホルダ内に提供され、好ましくは、一度にいくつかの要素、例えば5つの要素が提供される。
【0116】
はんだバンプ3を有するワイヤ1は、NTCサーミスタ要素4の電極5を備える2つの対向する表面上に適用される。
【0117】
NTCサーミスタ要素4には、NTCセラミック材料の抵抗値と抵抗温度(R-T)曲線に応じて、ワイヤ1を介して、1Aまでの電流が印加され、自己加熱する。
【0118】
200℃を超えるまでのNTCサーミスタ要素の自己加熱によって、はんだバンプ3は溶融し、NTCサーミスタ要素4とワイヤ1との間に固体はんだ接続部が形成される。
【0119】
図3は、はんだ付けプロセス中の温度プロファイルを示す。
【0120】
期間T1の間、NTCサーミスタ要素4は120℃を超えて予熱される。120℃と210℃との間の温度で、フラックス剤は活性化される。本温度プロファイルでは、約5秒後に120℃の温度に到達する(T1)。約220±10℃の温度で、はんだペーストは液化する。さらに11秒後(T2)、270±5℃の最高温度に達する。
【0121】
このはんだ付けプロセスの最高温度を14秒間(T3)保持してはんだバンプ3を形成する。
【0122】
30秒の合計時間の後、はんだ付けプロセスは終了し、NTCサーミスタ要素の自己加熱は停止される、すなわち、自己加熱のために印加される電流はオフに切り替えられる。
【0123】
NTCサーミスタ素子4は定義上、高温では高い電気伝導性を有するため、図3にも示されている電気抵抗は温度とは逆に変化する。270の°Cのハンダ付けプロセスの間、電気抵抗は、対応するR-T曲線に基づいて低下する。
【0124】
はんだ付けプロセスの後、NTCセンサは図4に示される構成になる。2本のワイヤ1は、その自由端部がはんだバンプ3を介してNTCサーミスタ要素4の対向する面の電極5に取り付けられている。
【0125】
以下では、コーティングプロセスを行う。コーティングプロセスは、図5の温度図を参照して説明される。NTCサーミスタ要素4は、電流を印加することにより自己発熱する。この目的のために、電流は、ここで取り付けられた接続ワイヤ1を介して印加され得る。
【0126】
第1のステップでは、NTCサーミスタ要素4を11秒以内に140℃の温度まで予熱する(S1)。
【0127】
予熱されたNTCサーミスタ要素4は、その後、コーティング原料を含むリザーバ内に浸漬される。コーティング原料は、粉末形態又は樹脂形態である。記載された例において、コーティング原料は、粉末形態であり得る。浸漬動作は約3秒間続く(S2)。NTC要素よりも低温のコーティング原料の粉末に浸漬することにより、NTCサーミスタ要素4は比較的急速に約50℃まで冷却される。コーティング原料は、約室温(25℃前後)を有する。
【0128】
その後、コーティング原料のリザーバ内のNTCサーミスタ要素4を3秒間で約170℃まで再び加熱し(S3)、NTCサーミスタ要素4に隣接するコーティング原料粉末を溶融させ、NTCサーミスタ要素4と、接続ワイヤ1及びそれに隣接する接続はんだバンプ3の部分との周囲に単一のコーティング層7を形成する。
【0129】
その後、コーティング層7が適用されたNTCサーミスタ要素4は、約3秒以内にコーティング原料のリザーバから持ち上げられ(S4)、それによって、NTCサーミスタ要素4は約160℃まで冷却される。その後、コーティング層7がNTCサーミスタ要素4上に適用される。約20秒後に、実際のコーティングプロセスが完了する。その後、コーティング層7は、熱的に後処理されて、強化される。
【0130】
前硬化ステップ(a pre-curing step)では、コーティング層7が塗布されたNTCサーミスタ要素4を10秒間で190℃まで加熱する(S5)。その後、約195±5℃の硬化温度を30秒間維持する(S6)。約40秒後に、硬化プロセスが完了し、NTCサーミスタ要素の自己加熱が停止される。
【0131】
このようにして、図6に示されるNTCセンサ要素が得られ、NTCサーミスタ要素、隣接するはんだバンプ3、及び接続ワイヤ1の隣接する非絶縁部分が、コーティング7内に取り囲まれる。
【0132】
上述の方法により、コーティング材料を均一に薄く適用することが可能になり、その結果、NTCサーミスタ要素4は、コーティング材料の1つの層のみが適用された後に、完全にかつ均一に取り囲まれる。したがって、さらなるコーティング層7の適用は必要ではない。これは、コーティングを製造するのに必要な時間及びコストを著しく低減できることを意味する。
【0133】
薄い単層コーティング7は、追加の時間のかかる熱的後処理ステップの必要性も排除する。薄いコーティング7は、上述の40秒以内に硬化されることができる。
【0134】
必要であれば、さらなる後処理工程を実施することができる。硬化及び焼き戻しなどのこれらのステップは、1時間未満で行われ、コーティング7の必要な特性を達成する。
【0135】
従来プロセスでは、かかる後処理ステップに必要な時間は、典型的には、硬化プロセスでは8時間、焼き戻しプロセスでは72時間である。従来プロセスでは、材料を均一に適用できにくいので、2層より多い、又は5層より多いコーティング材料がしばしば必要とされる。
【0136】
図6に示されるような例示的なNTCサーミスタ要素が以下に説明される。
【0137】
NTCサーミスタ要素4は、直方体形状(a cuboid shape)を有する。NTCサーミスタ要素4は、直方体形状を有するNTCサーミスタセラミック6を備える。
【0138】
NTCサーミスタセラミック6の2つの対向する表面上に、電気的コンタクトのための電極5が設けられる。NTCサーミスタ要素4全体の寸法は、3mm×3mm×1mmを超えない。
【0139】
ここで、1mmは、一方の電極5が適用される表面から他方の電極5が適用される表面までのNTCサーミスタ要素の厚さの測定値である。この厚さは、印加された電流がNTCサーミスタ要素内を流れる電流経路の長さに対応する。
【0140】
電流経路に垂直な表面は、3mm×3mmを超えない寸法を有する。一般に、表面の長辺は、要素に取り付けられた接続ワイヤ1と同じ方向を指し、短辺は、接続ワイヤ1が延在する方向に垂直な方向を指す。
【0141】
電極5は、好ましくは、銀、金、銅、ニッケル、白金、又はパラジウムのうちの少なくとも1つを含む材料を含む電極であり、例えばスクリーン印刷又はスパッタリングによってサーミスタ材料に適用される。
【0142】
接続ワイヤ1は、はんだバンプ3を介して電極5に取り付けられる。はんだバンプ3は、ゲルマニウム、スズ、銀、鉛、アンチモン、ビスマス、金、亜鉛、銅などの様々な適切な金属を含むはんだ付け可能な材料で作られる。好ましくは、はんだ付け可能な材料は無鉛である。
【0143】
例えば、接続ワイヤ1は、0.25mmの直径を有し、銅などの良好な導電性を有する材料を含む。接続ワイヤ1は、その端部を除いて電気絶縁層2によって被覆されている。
【0144】
絶縁されたワイヤ1の直径は約0.5mmである。好ましくは、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、PFA、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、PA、PI、又は同様のプラスチックなどの高温耐性プラスチックが、絶縁2に使用される。
【0145】
あるいは、非絶縁ワイヤを使用してもよい。
【0146】
NTCサーミスタ要素4及びワイヤ1の隣接部分、特に非絶縁部分は、単層コーティング7、例えばエポキシ樹脂又は他のエポキシポリマー材料を含むコーティング層7によって囲まれる。さらに可能なコーティング材料は、PFA、テフロン(登録商標)又はフッ素化エポキシ材料を含む。
【0147】
上述の方法に従ってはんだ付けされた接続ワイヤ1とNTCサーミスタ要素4との間のはんだジョイントは、少なくとも従来のはんだジョイントの強度に匹敵する高い強度を示す。はんだジョイントは、少なくとも6N、好ましくは7Nまで、さらにより好ましくは8Nまでの引張力に耐えることができる。
【0148】
本方法で記載された短い処理時間のために、従来のように操作される作動するバッチ方式の製造の代わりに、連続的なシリアル製造がNTCサーミスタ要素4の製造において作動し得る。
【0149】
これは、必要な製造設備のサイズをかなり小さくできることを意味する。したがって、例えば、数百の要素を同時にバッチ方式で製造する代わりに、それぞれ5つの要素を同時に連続して製造することによって、十分に高い生産量を達成することができる。
【0150】
さらに、熱的な前処理及び後処理の省略により、製造設備の一部も省略することができる。
【0151】
例えば、従来のサーミスタセラミック材料のエージングステップや、コーティング層の硬化及び焼き戻しステップを行うオーブンを省略したり、オーブンを大幅に小型化することができる。
【0152】
例えば、新しい方法の生産ラインは、長さ及び幅が3.5×2mであり、はんだ付け、コーティング、及び後熱処理(post-thermal treatment)のための3つのモジュールを備える。5つの要素のみを並列に製造すればよいので、モジュールは小さい。後熱処理モジュールは、サーミスタ要素を1時間収容するための小型オーブンを備える。
【0153】
一方、従来の生産ラインは、例えば、長さ及び幅が14×5mであり、はんだ付け、エージング、コーティング、硬化及び焼き戻しのための5つのモジュールを備える。新しい方法と同じ生産能力を達成するためには、数百の要素を並行して生産しなければならないので、モジュールは比較的大きい。硬化及び焼き戻しのための後熱処理モジュールは、数百のサーミスタ要素を最大80時間収容するための巨大なオーブンを備える。
【符号の説明】
【0154】
1 接続ワイヤ
2 絶縁層
3 はんだバンプ
4 NTCサーミスタ要素
5 電極
6 サーミスタセラミック
7 コーティング層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】