(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】生分解性繊維用組成物及び該組成物を使用して製造される生分解性繊維
(51)【国際特許分類】
C08L 67/04 20060101AFI20240705BHJP
D01F 6/62 20060101ALI20240705BHJP
C08L 101/16 20060101ALN20240705BHJP
【FI】
C08L67/04 ZBP
D01F6/62 305Z
C08L101/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502547
(86)(22)【出願日】2022-08-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-16
(86)【国際出願番号】 KR2022012960
(87)【国際公開番号】W WO2023033518
(87)【国際公開日】2023-03-09
(31)【優先権主張番号】10-2021-0115993
(32)【優先日】2021-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2022-0067166
(32)【優先日】2022-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512088051
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】CJ CheilJedang Corporation
【住所又は居所原語表記】CJ Cheiljedang Center, 330, Dongho-ro, Jung-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ソン, ボ‐ソク
(72)【発明者】
【氏名】ユン, キ チュル
(72)【発明者】
【氏名】ジュン, ミンホ
(72)【発明者】
【氏名】シム, ユン ジュン
【テーマコード(参考)】
4J002
4J200
4L035
【Fターム(参考)】
4J002AB04Y
4J002CF03Y
4J002CF05Y
4J002CF18W
4J002CF18X
4J002CF18Y
4J002CF19Y
4J002GK01
4J200AA04
4J200BA12
4J200BA14
4J200BA15
4J200BA16
4J200BA18
4J200BA19
4J200BA20
4J200BA37
4J200CA06
4J200EA11
4L035AA05
4L035BB31
4L035DD20
4L035EE20
4L035HH10
(57)【要約】
本発明は、生分解性繊維用組成物及び該組成物を使用して製造される生分解性繊維に関する。詳細には、本発明の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を有するポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂、具体的には、4-HB繰返し単位を各々有する第1のPHA樹脂及び/又は第2のPHA樹脂を含有し、熱重量分析器によって測定されたときに220℃以上の分解温度(Td 5%の重量減少)を満たす。よって、該組成物は、優れた生分解性及び生体適合性を有する環境に調和したものであり、該組成物を使用して、優れた性質を有する生分解性繊維を容易に製造することができる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含む生分解性繊維用組成物であって、熱重量分析器(TGA)によって測定される分解温度(Td、5%の重量減少)が220℃以上である、生分解性繊維用組成物。
【請求項2】
前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂が、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を0.1重量%~60重量%の量で含む、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項3】
前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂が、3-ヒドロキシブチレート(3-HB)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)、3-ヒドロキシヘキサノエート(3-HH)、3-ヒドロキシバレレート(3-HV)、4-ヒドロキシバレレート(4-HV)、5-ヒドロキシバレレート(5-HV)、及び6-ヒドロキシヘキサノエート(6-HH)からなる群から選択される少なくとも1種の繰返し単位をさらに含む、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項4】
前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂が第1のPHA樹脂を含み、前記第1のPHA樹脂が、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を15重量%~60重量%の量で含み、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定されたときに0.1g/10分~20g/10分のメルトフローインデックス(MFI)を有する、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項5】
前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂が第2のPHA樹脂を含み、前記第2のPHA樹脂が、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を0.1重量%~30重量%の量で含み、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定されたときに0.1g/10分~15g/10分のメルトフローインデックスを有する、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項6】
前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂が、第1のPHA樹脂と第2のPHA樹脂とを含み、前記第1のPHA樹脂の4-HB繰返し単位の含有量と前記第2のPHAの4-HB繰返し単位の含有量とが互いに異なる、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項7】
前記第1のPHA樹脂の前記第2のPHA樹脂に対する重量比が1:0.5~5である、請求項6に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項8】
前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂を、前記生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて10重量%~100重量%の量で含む、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項9】
ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種の生分解性樹脂を含む、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項10】
前記生分解性樹脂が、前記生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて30重量%以上の量で用いられ、前記ポリヒドロキシアルカノエート樹脂の前記生分解性樹脂に対する重量比が1:0.2~4.5である、請求項9に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項11】
顔料、染料吸収剤、吸光剤、酸化防止剤、相溶化剤、増量剤、核剤、溶融強度剤、及びスリップ剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含む、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項12】
ASTM D1238に従って190℃及び2.16kgでの測定されたときに1g/10分~30g/10分のメルトフローインデックス、及び210℃及び2.16kgで測定されたときに35g/10分~130g/10分のメルトフローインデックス、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されたときに-35℃~15℃のガラス転移温度(Tg)及び105℃~200℃の溶融温度(Tm)、並びに熱重量分析器(TGA)によって測定されたときに240℃~300℃の分解温度(Td、5%の重量減少)を有する、請求項1に記載の生分解性繊維用組成物。
【請求項13】
4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含む生分解性繊維であって、ASTM D3822に従って測定される強度が0.5g/d~10g/dである、生分解性繊維。
【請求項14】
0.05mm~10mmの直径、100デニール~10,000デニールの繊度、及び25%以上の伸度を有する、請求項13に記載の生分解性繊維。
【請求項15】
不均一断面の複合繊維、又は二成分以上若しくは三成分以上の複合繊維である、請求項13に記載の生分解性繊維。
【請求項16】
芯部及び鞘部を含む芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、又はセグメントパイ型である、請求項15に記載の生分解性繊維。
【請求項17】
前記芯部がポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含み、前記鞘部が生分解性樹脂を含み、前記生分解性樹脂が、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、ポリブチレンエチレンアジペートサクシネート(PBEAS)、ポリブチレンエチレンサクシネート(PBES)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項16に記載の生分解性繊維。
【請求項18】
生分解性繊維を調製するための方法であって、生分解性繊維用組成物、又は前記生分解性繊維用組成物を溶融押出することによって調製されたペレットを紡糸及び延伸するステップを含み、前記生分解性繊維用組成物が、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含み、熱重量分析器(TGA)によって測定される分解温度(Td、5%の重量減少)が220℃以上である、生分解性繊維を調製するための方法。
【請求項19】
前記紡糸速度が10mpm~500mpmであり、前記延伸が1.1倍以上の延伸倍率での冷延伸又は熱延伸によって実施され、前記冷延伸が25℃~35℃のチャンバー温度及び25℃~35℃のローラー温度で実施され、前記熱延伸が150℃~200℃のチャンバー温度及び80℃~130℃のローラー温度で実施される、請求項18に記載の生分解性繊維を調製するための方法。
【請求項20】
前記生分解性繊維用組成物を150℃~200℃で溶融押出してペレットを調製するステップをさらに含む、請求項18に記載の生分解性繊維を調製するための方法。
【請求項21】
前記ペレットを紡糸するステップが、前記ペレットを140℃~190℃で溶融紡糸するステップであり、前記方法が、前記溶融紡糸ステップの前に、前記ペレットを40℃~60℃で10時間以上乾燥させるステップをさらに含む、請求項20に記載の生分解性繊維を調製するための方法。
【請求項22】
前記生分解性繊維用組成物を紡糸するステップが、芯鞘複合紡糸装置を使用して実施される、請求項18に記載の生分解性繊維を調製するための方法。
【請求項23】
前記芯部及び前記鞘部に供給する原料の重量比が、5:95~95:5である、請求項22に記載の生分解性繊維を調製するための方法。
【請求項24】
前記生分解性繊維用組成物が前記芯部に供給される、請求項22に記載の生分解性繊維を調製するための方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、生分解性繊維用組成物及び該組成物から調製された生分解性繊維に関する。
【0002】
[背景技術]
近年、環境問題に関する懸念が増大するにつれ、様々な家庭廃棄物の処理及び再生利用についての研究が活発に行われている。具体的には、安価で優れた加工性を有するポリマー材料が、紙、薄膜、繊維、包装材料、ビン、及び容器などの様々な製品を製造するために広く使用されているが、これらの製品の耐用年数が終了したときに、該製品を焼却すると有害物質が排出されることがあり、該製品のタイプに応じて完全に自然分解するまでに数百年を要する。
【0003】
したがって、柔軟性及び強度などの機械的性質、生産性、並びに加工性を強化し、製品自体の耐用年数を延ばし、それによって廃棄物の量を低減させるか、又は製品の再利用性を強化しながら、短期間で分解して環境調和性を強化することができる生分解性ポリマーについての研究が続けられている。
【0004】
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)は、数多くの微生物によって産生され、細胞内貯蔵物質として使用される幾つかのタイプのヒドロキシルカルボン酸から構成される生分解性ポリマーである。ポリヒドロキシアルカノエートは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、及びポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)などの従来の石油由来の合成ポリマーのものと類似した物理的性質を有し、完全な生分解性を呈し、生体適合性に優れている。
【0005】
一方、生分解性ポリマーから作製された生分解性繊維は、不織布、使い捨てティッシュ、包装材料、マスク、エンジニアリングプラスチックなどの工業材料、又は空気清浄機用のフィルターなどに広く使用されている。しかし、これらの製品は、その使用後に収集又は再生利用するのが困難なため、土壌又は海洋中に放置され、それによって環境を深刻に汚染している。したがって、強化された生分解性を有する生分解性繊維が適用されつつあるが、原料が高価であり、機械的強度などの物理的性質を強化するには限界があるために、様々なプロセスに適用したり、生分解性繊維の使用を様々な方式に拡大するのは困難である。したがって、優れた生分解性及び生体適合性によって環境調和性でありながら、柔軟性、強度、及び加工性のような特性の全てを強化することができる生分解性繊維を開発する必要性が存在する。
【0006】
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]韓国公開特許公報第2012-0103158号
【0007】
[発明の開示]
[技術的課題]
したがって、本発明は、優れた生分解性及び生体適合性によって環境調和性でありながら、柔軟性、強度、及び加工性の全てを強化することができる生分解性繊維組成物、並びに該組成物を使用して調製された生分解性繊維を提供することを目的とする。
【0008】
[課題の解決策]
本発明の実施形態による生分解繊維用組成物は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含み、熱重量分析器(TGA)によって測定される分解温度(Td、5%の重量減少)が220℃以上である。
【0009】
本発明の実施形態によれば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、0.1重量%~60重量%の量の4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含んでもよい。
【0010】
本発明の実施形態によれば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、3-ヒドロキシブチレート(3-HB)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)、3-ヒドロキシヘキサノエート(3-HH)、3-ヒドロキシバレレート(3-HV)、4-ヒドロキシバレレート(4-HV)、5-ヒドロキシバレレート(5-HV)、及び6-ヒドロキシヘキサノエート(6-HH)からなる群から選択される少なくとも1種の繰返し単位をさらに含んでもよい。
【0011】
本発明の実施形態によれば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、第1のPHA樹脂を含んでもよい。
【0012】
本発明の実施形態によれば、第1のPHA樹脂は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を15重量%~60重量%の量で含んでもよく、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定されたときに0.1g/10分~20g/10分のメルトフローインデックス(MFI)を有してもよい。
【0013】
本発明の実施形態によれば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、第2のPHA樹脂を含んでもよい。
【0014】
本発明の実施形態によれば、第2のPHA樹脂は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を0.1重量%~30重量%の量で含んでもよく、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定されたときに0.1g/10分~15g/10分のメルトフローインデックス(MFI)を有してもよい。
【0015】
本発明の実施形態によれば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、第1のPHA樹脂と第2のPHA樹脂とを含んでもよく、第1のPHA樹脂の4-HB繰返し単位の含有量と第2のPHA樹脂の4-HB繰返し単位の含有量とは互いに異なっていてもよい。
【0016】
本発明の実施形態によれば、第1のPHA樹脂の第2のPHA樹脂に対する重量比は、1:0.5~5であってもよい。
【0017】
本発明の実施形態によれば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて10重量%~100重量%の量で用いられてもよい。
【0018】
本発明の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種の生分解性樹脂を含んでもよい。
【0019】
本発明の実施形態によれば、生分解性樹脂は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて30重量%以上の量で用いられてもよく、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂の生分解性樹脂に対する重量比は1:0.2~4.5であってもよい。
【0020】
本発明の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物は、顔料、染料吸収剤、吸光剤、酸化防止剤、相溶化剤、増量剤、核剤、溶融強度剤、及びスリップ剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤を含んでもよい。
【0021】
本発明の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物は、ASTM D1238に従って190℃及び2.16kgで測定されたときに1g/10分~30g/10分のメルトフローインデックス、210℃及び2.16kgで測定されたときに35g/10分~130g/10分のメルトフローインデックス、示差走査熱量測定(DSC)によって測定されたときに-35℃~15℃のガラス転移温度(Tg)、熱重量分析器(TGA)によって測定されたときに105℃~200℃の溶融温度(Tm)及び240℃~300℃の分解温度(Td、5%の重量減少)を有してもよい。
【0022】
本発明の別の実施形態による生分解性繊維は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含み、ASTM D3822に従って測定される強度が0.5g/d~10g/dである。
【0023】
本発明の別の実施形態によれば、生分解性繊維は、0.05mm~10mmの直径、100デニール~10,000デニールの繊度、及び10%以上の伸度を有してもよい。
【0024】
本発明の別の実施形態によれば、生分解性繊維は、不均一断面の複合繊維、又は二成分以上若しくは三成分以上の複合繊維であってもよい。
【0025】
本発明の別の実施形態によれば、生分解性繊維は、芯部及び鞘部を含む芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、又はセグメントパイ型であってもよい。
【0026】
本発明の実施形態によれば、芯部はポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含んでもよく、鞘部は生分解性樹脂を含んでもよく、生分解性樹脂は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、ポリブチレンエチレンアジペートサクシネート(PBEAS)、ポリブチレンエチレンサクシネート(PBES)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0027】
本発明のさらに別の実施形態による生分解性繊維を調製するための方法は、生分解性繊維用組成物、又は該生分解性繊維用組成物を溶融押出することによって調製されたペレットを紡糸及び延伸するステップを含み、生分解性繊維用組成物は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含み、熱重量分析器(TGA)によって測定される分解温度(Td、5%の重量減少)は220℃以上である。
【0028】
本発明のさらに別の実施形態によれば、紡糸速度は10mpm~500mpmであってもよく、延伸は1.1倍以上の延伸倍率での冷延伸又は熱延伸で実施されてもよく、冷延伸は、25℃~35℃のチャンバー温度及び25℃~35℃のローラー温度で実施されてもよく、熱延伸は、150℃~200℃のチャンバー温度及び80℃~130℃のローラー温度で実施されてもよい。
【0029】
本発明のさらに別の実施形態によれば、本発明は、生分解性繊維用組成物を150℃~200℃で溶融押出してペレットを調製するステップをさらに含んでもよい。
【0030】
本発明のさらに別の実施形態によれば、ペレットを紡糸するステップは、ペレットを140℃~190℃で溶融紡糸するステップであってもよく、該方法は、溶融紡糸ステップの前に、ペレットを40℃~60℃で10時間以上乾燥させるステップをさらに含んでもよい。
【0031】
本発明のさらに別の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物を紡糸するステップは、芯鞘複合紡糸装置を使用して実施されてもよい。
【0032】
本発明のさらに別の実施形態によれば、芯部及び鞘部に供給する原料の重量比は、5:95~95:5であってもよい。
【0033】
本発明のさらに別の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物は、芯部に供給されてもよい。
【0034】
[発明の有利な効果]
本発明の実施形態による生分解性繊維用組成物は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂を含み、該樹脂は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含む共重合されたポリヒドロキシアルカノエート樹脂であり、具体的には、4-HB繰返し単位を各々有する第1のPHA樹脂及び/又は第2のPHA樹脂であり、それによって熱重量分析器(TGA)によって測定される分解温度(Td、5%の重量減少)が220℃以上であることを満たす。よって、優れた生分解性及び生体適合性によって環境調和性でありながら、柔軟性、強度、及び加工性のような特性を強化することが可能である。
【0035】
さらに、生分解性繊維用組成物から生分解性繊維を直接調製することができるだけでなく、生分解性繊維用組成物から得られた生分解性ペレットを使用して生分解性繊維を調製することもでき、これによって必要に応じてプロセスが好都合に選択され、適用される。
【0036】
加えて、生分解性繊維用組成物及び該組成物から調製された生分解性繊維は、優れた熱的及び機械的性質と共に、土壌中と海中の両方で生分解性であるために、より多様な分野に有利に適用されて優れた特性を呈することができる。
【0037】
[発明を実施するための最良の形態]
以降、本発明を詳細に説明する。本発明は、以下に示す開示に限定されるものではなく、本発明の趣旨が改変されない限り様々な形態に修正されてもよい。
【0038】
本明細書を通して、ある部分がある要素を「含む」ことが言及されるとき、特に明記されない限り、他の要素が除外されるのではなく、他の要素が含まれてもよいことが理解される。
【0039】
本明細書に使用される構成要素の分量、反応条件などに関する全ての数及び表現は、特に示されない限り、「約」という用語によって修飾されると理解されたい。
【0040】
本明細書を通して、第1の、第2のなどの用語は、様々な構成要素を記載するために使用される。しかし、構成要素は、該用語によって限定されるべきではない。該用語は、ある構成要素を別の構成要素から区別する目的だけに使用される。
【0041】
(生分解性繊維用組成物)
生分解性繊維とは、繊維に導入された無機物質の鎖が微生物により切断されることによって、無機物質となる繊維を指す。近年、環境問題に対する懸念が増大するにつれ、生分解性繊維は、様々な家庭廃棄物の処理及び再利用に広く使用されている。
【0042】
例えば、生分解性繊維は、おむつ、生理用品、縫合糸、及びガーゼなどの衛生及び医療用品、使い捨て用品及びアウトドアレジャー用品などの家庭用品、包装材料などの工業用品、クラッド材などの農業用品、海苔網及び漁網などの漁業用品などに広く使用されている。
【0043】
しかし、環境調和性であり、廃棄物がより少なく生じるという生分解性繊維の利点にもかかわらず、機械的及び熱的性質、具体的には、柔軟性、耐久性、及び強度などの物理的性質の限界から、生分解性繊維を様々な分野に適用するのは困難である。
【0044】
本発明の実施形態による生分解性繊維用組成物は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含む。
【0045】
具体的には、本発明の実施形態による生分解性繊維用組成物は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂を含み、該樹脂は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含む共重合されたポリヒドロキシアルカノエート樹脂であり、具体的には、4-HB繰返し単位を有する第1のPHA樹脂及び/又は第2のPHA樹脂であり、それによって該組成物は優れた生分解性及び生体適合性によって環境調和性であり、優れた特性を有する生分解性繊維を容易に調製することが可能である。
【0046】
さらに、従来の生分解性繊維用組成物は、高価であるだけでなく、ペレットを調製するのに適した物理的性質も有していないため、ペレットを生成するのが困難となり、よってプロセスが限定される。対照的に、本発明の実施形態による生分解性繊維用組成物は、優れた分散性を有し、適正な数値範囲のガラス転移温度、溶融温度、及び分解温度などの物理的性質を満たし;よって、該組成物を使用して生分解性ペレットを容易に調製することが可能である。
【0047】
したがって、生分解性繊維用組成物から生分解性繊維を直接調製できるだけでなく、生分解性繊維用組成物から得られた生分解性ペレットを使用して生分解性繊維を調製することもでき、これによって必要に応じてプロセスが好都合に選択され、適用されるという利点がもたらされる。
【0048】
加えて、生分解性繊維用組成物及び該組成物から調製された生分解性繊維は、優れた熱的及び機械的性質と共に、土壌中と海中の両方で生分解性であるために、より多様な分野に有利に適用されて優れた特性を呈することができる。
【0049】
本発明の実施形態による生分解性繊維用組成物は、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂を含む。
【0050】
PHAは、微生物細胞内に蓄積される、熱可塑性の天然ポリエステルポリマーである。PHAは生分解性材料であるため、堆肥化することができ、有毒廃棄物を生じることなく最終的に二酸化炭素、水、及び有機性廃棄物に分解される。特に、PHAは土壌中及び海中であっても生分解性であるため、生分解性繊維用組成物及び該組成物を使用して調製された生分解性繊維がPHA樹脂を含む場合、該組成物及び繊維は環境調和性の特性を有することができる。よって、生分解性繊維用組成物及び該組成物を使用して調製された生分解性繊維は、生分解性且つ環境調和性であるため、様々な分野に使用することができるという点で大きな利点を有する。
【0051】
具体的には、PHAは、微生物細胞内に蓄積される、熱可塑性の天然ポリエステルポリマーである。該ポリマーは、ある種の細菌が偏って栄養素(窒素源、リンなど)を与えられたときに、炭素及びエネルギーを貯蔵するために細胞内にPHAが蓄積することによって形成される。
【0052】
加えて、PHAは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートテレフタレート(PBST)、及びポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)などの従来の石油由来の合成ポリマーのものと類似した物理的性質を有し、完全な生分解性を呈し、生体適合性に優れている。
【0053】
特に、PBS、PLA、及びPTTなどの他の環境調和性のプラスチック材料とは異なり、PHAは、150種類を超えるモノマーから合成することができるので、モノマーの種類に応じて数百種類のPHAを調製することができる。モノマーの種類に応じた数百の異なる種類のPHAは、完全に異なる構造及び性質を有する。
【0054】
PHA樹脂は、生細胞内の単一のモノマー繰返し単位から構成されてもよく、1種又は複数のモノマー繰返し単位を重合することによって形成されてもよい。具体的には、PHA樹脂は、ホモ-ポリヒドロキシアルカノエート樹脂(以降、HOMO PHA樹脂と呼ぶ)であっても、又は共重合されたポリヒドロキシアルカノエート樹脂(以降、共重合PHA樹脂と呼ぶ)、すなわち、異なる繰返し単位がポリマー鎖中にランダムに分散されたコポリマーであってもよい。
【0055】
PHA樹脂に含有されてもよい繰返し単位の例として、2-ヒドロキシブチレート、乳酸、グリコール酸、3-ヒドロキシブチレート(以降、3-HBと呼ぶ)、3-ヒドロキシプロピオネート(以降、3-HPと呼ぶ)、3-ヒドロキシバレレート(以降、3-HVと呼ぶ)、3-ヒドロキシヘキサノエート(以降、3-HHと呼ぶ)、3-ヒドロキシヘプタノエート(以降、3-HHepと呼ぶ)、3-ヒドロキシオクタノエート(以降、3-HOと呼ぶ)、3-ヒドロキシノナノエート(以降、3-HNと呼ぶ)、3-ヒドロキシデカノエート(以降、3-HDと呼ぶ)、3-ヒドロキシドデカノエート(以降、3-HDdと呼ぶ)、4-ヒドロキシブチレート(以降、4-HBと呼ぶ)、4-ヒドロキシバレレート(以降、4-HVと呼ぶ)、5-ヒドロキシバレレート(以降、5-HVと呼ぶ)、及び6-ヒドロキシヘキサノエート(以降、6-HHと呼ぶ)が挙げられる。PHA樹脂は、上から選択される1種又は複数の繰返し単位を含有してもよい。
【0056】
具体的には、PHA樹脂は、3-HB、4-HB、3-HP、3-HH、3-HV、4-HV、5-HV、及び6-HHからなる群から選択される1種又は複数の繰返し単位を含んでもよい。
【0057】
より具体的には、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位を0.1重量%~100重量%の量で含んでもよい。例えば、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位を0.2重量%~100重量%、0.5重量%~100重量%、1重量%~100重量%、5重量%~100重量%、10重量%~100重量%、20重量%~100重量%、30重量%~100重量%、40重量%~100重量%、50重量%~100重量%、60重量%~100重量%、70重量%~100重量%、80重量%~100重量%、又は90重量%~100重量%の量で含んでもよい。
【0058】
すなわち、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位単独から構成されるHOMO PHA樹脂であっても、又は4-HB繰返し単位を含む共重合PHA樹脂であってもよい。
【0059】
加えて、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位を含み、且つ4-HB繰返し単位とは異なる1種の繰返し単位、又は互いに異なる2種、3種、4種、5種、6種、若しくはそれ以上の繰返し単位をさらに含む共重合PHA樹脂であってもよい。例えば、PHA樹脂は、ポリ-3-ヒドロキシブチレート-co-4-ヒドロキシブチレート(以降、3HB-co-4HBと呼ぶ)であってもよい。
【0060】
加えて、PHA樹脂は、異性体を含んでもよい。例えば、PHA樹脂は、構造異性体、鏡像異性体、又は幾何異性体を含んでもよい。具体的には、PHA樹脂は、構造異性体を含んでもよい。
【0061】
加えて、PHA樹脂は、制御された結晶性を有する共重合PHA樹脂であってもよい。例えば、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位の少なくとも1つ又は複数を含んでもよく、4-HB繰返し単位の含有量は、PHA樹脂の結晶性を調整するために制御されてもよい。
【0062】
例えば、PHA樹脂は、3-ヒドロキシブチレート(3-HB)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)、3-ヒドロキシプロピオネート(3-HP)、3-ヒドロキシヘキサノエート(3-HH)、3-ヒドロキシバレレート(3-HV)、4-ヒドロキシバレレート(4-HV)、5-ヒドロキシバレレート(5-HV)、及び6-ヒドロキシヘキサノエート(6-HH)からなる群から選択される少なくとも1種の繰返し単位を含む共重合PHA樹脂であってもよい。
【0063】
具体的には、共重合PHA樹脂は、4-HB繰返し単位を含み、且つ3-HB繰返し単位、3-HP繰返し単位、3-HH繰返し単位、3-HV繰返し単位、4-HV繰返し単位、5-HV繰返し単位、及び6-HH繰返し単位からなる群から選択される1種又は複数の繰返し単位をさらに含んでもよい。より具体的には、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位及び3-HB繰返し単位を含んでもよい。
【0064】
より具体的には、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位及び3-HB繰返し単位を含む共重合PHA樹脂であってもよく、4-HB繰返し単位を0.1重量%~60重量%の量で含んでもよい。例えば、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位を0.1重量%~55重量%、0.5重量%~50重量%、1重量%~49重量%、3重量%~48重量%、5重量%~48重量%、6重量%~35重量%、7重量%~30重量%、15重量%~50重量%、10重量%~40重量%、10重量%~30重量%、10重量%~20重量%、20重量%~30重量%、20重量%~40重量%、35重量%~49重量%、又は6重量%~28重量%の量で含んでもよい。
【0065】
加えて、PHA樹脂は、4-HB繰返し単位及び3-HB繰返し単位を含む共重合PHA樹脂であってもよく、3-HB繰返し単位を20重量%以上の量で含んでもよい。例えば、PHA樹脂は、3-HB繰返し単位を35重量%以上、40重量%以上、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、又は75重量%以上、且つ99重量%以下、98重量%以下、97重量%以下、96重量%以下、95重量%以下、93重量%以下、91重量%以下、90重量%以下、80重量%以下、70重量%以下、60重量%以下、又は55重量%以下の量で含んでもよい。
【0066】
結晶性が調整されたPHA樹脂は、該樹脂の分子構造の不規則性が増大したときに結晶性及び非晶性が調整されたものであってもよい。具体的には、モノマーの種類若しくは比率、又は異性体の種類若しくは含有量が調整されてもよい。
【0067】
本発明の実施形態によれば、PHA樹脂は、異なる結晶性を有する2種類以上のPHA樹脂を含んでもよい。具体的には、PHA樹脂は、特定の範囲内の含有量の4-HB繰返し単位を有するように、異なる結晶性を有する2種類以上のPHA樹脂を混合することによって調製されてもよい。
【0068】
具体的には、PHA樹脂は、制御された結晶性を有する非晶質PHA樹脂である、第1のPHAを含んでもよい。
【0069】
制御された結晶性を有する非晶質PHA樹脂(以降、aPHA樹脂と呼ぶ)として、第1のPHA樹脂は、4-HB繰返し単位を15重量%~60重量%、15重量%~55重量%、20重量%~55重量%、25重量%~55重量%、30重量%~55重量%、35重量%~55重量%、20重量%~50重量%、25重量%~50重量%、30重量%~50重量%、35重量%~50重量%、又は20重量%~40重量%の量で含んでもよい。
【0070】
第1のPHA樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-45℃~-10℃、-35℃~-15℃、-35℃~-20℃、又は-30℃~-20℃であってもよい。加えて、第1のPHA樹脂の結晶化温度(Tc)は、測定されなくてもよいか、又は60℃~120℃、60℃~110℃、70℃~120℃、若しくは75℃~115℃であってもよい。第1のPHA樹脂の溶融温度(Tm)は、測定されなくてもよいか、又は100℃~170℃、100℃~160℃、110℃~160℃、若しくは120℃~150℃であってもよい。
【0071】
本明細書では、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、及び溶融温度(Tm)は、示差走査熱量計(DSC)を使用して測定されてもよい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、及び溶融温度(Tm)は、示差走査熱量測定(DSC)モードで第1の走査又は第2の走査を行うことによって測定されてもよく、第1及び第2の走査によって得られた熱流曲線から確認することができる。より具体的には、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、及び溶融温度(Tm)は、温度を10℃/分の速度で40℃から180℃に上げ、次いで温度を10℃/分の速度で-50℃に冷却することによって得られた熱流曲線から確認されてもよい。
【0072】
第1のPHA樹脂は、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定される0.1g/10分~20g/10分のメルトフローインデックス(MFI)を有してもよい。例えば、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定される第1のPHA樹脂のメルトフローインデックス(MFI)は、0.1g/10分~15g/10分、0.1g/10分~12g/10分、0.1g/10分~10g/10分、0.1g/10分~8g/10分、0.1g/10分~6g/10分、0.1g/10分~5.5g/10分、0.5g/10分~10g/10分、1g/10分~10g/10分、2g/10分~8g/10分、3g/10分~6g/10分、又は3g/10分~5.5g/10分であってもよい。
【0073】
第1のPHA樹脂は、10,000g/モル~1,200,000g/モル、10,000g/モル~1,000,000g/モル、50,000g/モル~1,000,000g/モル、200,000g/モル~1,200,000g/モル、250,000g/モル~1,000,000g/モル、100,000g/モル~900,000g/モル、500,000g/モル~900,000g/モル、200,000g/モル~800,000g/モル、又は200,000g/モル~500,000g/モルの重量平均分子量を有してもよい。
【0074】
加えて、PHA樹脂は、半晶質PHA樹脂である第2のPHA樹脂を含んでもよい。
【0075】
制御された結晶性を有する半晶質PHA樹脂(以降、scPHA樹脂と呼ぶ)として、第2のPHA樹脂は、4-HB繰返し単位を0.1重量%~30重量%の量で含んでもよい。例えば、第2のPHA樹脂は、4-HB繰返し単位を0.1重量%~30重量%、0.5重量%~30重量%、1重量%~29重量%、3重量%~29重量%、1重量%~28重量%、1.5重量%~25重量%、2重量%~20重量%、2.5重量%~15重量%、3重量%~25重量%、5重量%~21重量%、7重量%~18重量%、10重量%~30重量%、10重量%~20重量%、15重量%~23重量%、又は20重量%~30重量%の量で含んでもよい。
【0076】
第2のPHA樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-30℃~80℃、-30℃~10℃、-25℃~5℃、-25℃~0℃、-20℃~0℃、又は-15℃~0℃であってもよい。第2のPHA樹脂の結晶化温度(Tc)は、70℃~120℃、75℃~120℃、又は75℃~115℃であってもよい。第2のPHA樹脂の溶融温度(Tm)は、105℃~165℃、110℃~160℃、115℃~155℃、又は120℃~150℃であってもよい。
【0077】
加えて、第2のPHA樹脂は、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定される0.1g/10分~15g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。例えば、ASTM D1238に従って165℃及び5kgで測定される第2のPHA樹脂のメルトフローインデックス(MFI)は、0.1g/10分~10g/10分、0.2g/10分~7g/10分、0.5g/10分~5.5g/10分、0.6g/10分~5g/10分、0.8g/10分~5g/10分、1g/10分~5g/10分、0.1g/10分~5g/10分、1g/10分~6.5g/10分、1.5g/10分~15g/10分、3g/10分~10g/10分、3.5g/10分~12g/10分、又は4.5g/10分~10g/10分であってもよい。
【0078】
第2のPHA樹脂は、10,000g/モル~1,200,000g/モル、50,000g/モル~1,100,000g/モル、50,000g/モル~350,000g/モル、100,000g/モル~1,000,000g/モル、100,000g/モル~900,000g/モル、200,000g/モル~800,000g/モル、200,000g/モル~600,000g/モル、200,000g/モル~500,000g/モル、又は500,000g/モル~1,200,000g/モルの重量平均分子量を有してもよい。
【0079】
第1のPHA樹脂及び第2のPHA樹脂は、4-HB繰返し単位の含有量に関して区別されてもよく、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tc)、溶融温度(Tm)、及びメルトフローインデックスからなる群から選択される少なくとも1つの特性を有してもよい。具体的には、第1のPHA及び第2のPHAは、4-HB繰返し単位の含有量、ガラス転移温度(Tg)、結晶化温度(Tg)、溶融温度(Tm)、メルトフローインデックスなどに関して区別されてもよい。例えば、第1のPHA樹脂の4-HB繰返し単位の含有量と第2のPHAの4-HB繰返し単位の含有量とは、互いに異なっていてもよい。
【0080】
本発明の実施形態によれば、PHA樹脂は第1のPHA樹脂若しくは第2のPHA樹脂を含んでもよいし、又はPHA樹脂は第1のPHA樹脂と第2のPHA樹脂の両方を含んでもよい。
【0081】
具体的には、PHA樹脂が非晶質PHA樹脂である第1のPHA樹脂を含むか、又は非晶質PHA樹脂である第1のPHA樹脂と半晶質PHA樹脂である第2のPHA樹脂の両方を含むとき、より具体的には、第1のPHA樹脂及び第2のPHA樹脂の含有量が調整されるとき、所望の物理的性質をより効果的に制御することが可能である。
【0082】
本発明の実施形態によれば、PHA樹脂は、第1のPHA樹脂又は第2のPHA樹脂を含んでもよい。具体的には、PHA樹脂は、第1のPHA樹脂のみ又は第2のPHAのみから構成されてもよい。
【0083】
本発明の別の実施形態によれば、PHA樹脂は、第1のPHA樹脂及び第2のPHA樹脂を含んでもよい。そのような場合、第1のPHA樹脂の第2のPHA樹脂に対する重量比は、1:0.5~5であってもよい。例えば、第1のPHA樹脂の第2のPHA樹脂に対する重量比は、1:0.5~4.5、1:0.6~4.2、又は1:0.7~3.5であってもよい。第1のPHA樹脂の第2のPHA樹脂に対する重量比が上の範囲を満たすとき、所望の物理的性質をより効果的に制御することが可能である。
【0084】
加えて、PHA樹脂のガラス転移温度(Tg)は、-45℃~80℃、-35℃~80℃、-30℃~80℃、-25℃~75℃、-20℃~70℃、-35℃~5℃、-25℃~5℃、-35℃~0℃、-25℃~0℃、-30℃~-10℃、-35℃~-15℃、-35℃~-20℃、-20℃~0℃、-15℃~0℃、又は-15℃~-5℃であってもよい。
【0085】
加えて、PHA樹脂の結晶化温度(Tc)は、測定されなくてもよいか、又は60℃~120℃、60℃~110℃、70℃~120℃、75℃~120℃、75℃~115℃、75℃~110℃、又は90℃~110℃であってもよい。
【0086】
PHA樹脂の溶融温度(Tm)は、測定されなくてもよいか、又は100℃~170℃、105℃~170℃、105℃~165℃、110℃~160℃、115℃~155℃、110℃~150℃、120℃~150℃、又は120℃~140℃であってもよい。
【0087】
PHA樹脂は、熱重量分析器(TGA)によって測定されたときに、220℃~280℃、245℃~275℃、255℃~270℃、又は260℃~270℃の分解温度(Td、5%の重量減少)を有してもよい。
【0088】
本明細書では、分解温度(Td)は、熱重量分析器(TGA)を使用して測定されてもよい。具体的には、分解温度(Td)は、熱重量分析器(TGA)を使用して温度を10℃/分の速度で室温から600℃に上げることによって得られる重量変化曲線からPHA樹脂の重量が5%低減する温度として確認されてもよい。
【0089】
加えて、PHA樹脂は、10,000g/モル~1,200,000g/モルの重量平均分子量を有してもよい。例えば、PHA樹脂の重量平均分子量は、50,000g/モル~1,200,000g/モル、100,000g/モル~1,000,000g/モル、200,000g/モル~1,200,000g/モル、250,000g/モル~1,150,000g/モル、300,000g/モル~1,100,000g/モル、350,000g/モル~950,000g/モル、100,000g/モル~900,000g/モル、200,000g/モル~800,000g/モル、250,000g/モル~650,000g/モル、200,000g/モル~400,000g/モル、300,000g/モル~600,000g/モル、500,000g/モル~1,200,000g/モル、500,000g/モル~1,000,000g/モル 550,000g/モル~1,050,000g/モル、550,000g/モル~900,000g/モル、600,000g/モル~900,000g/モル、又は500,000g/モル~900,000g/モルであってもよい。
【0090】
PHA樹脂は、示差走査熱量計(DSC)で測定されたときに90%以下の結晶性を有してもよい。例えば、PHA樹脂の結晶性は、示差走査熱量測定によって測定されてもよく、90%以下、85%以下、80%以下、75%以下、又は70%以下であってもよい。
【0091】
加えて、PHA樹脂は、0.5μm~5μmの平均粒径を有してもよい。例えば、PHA樹脂の平均粒径は、0.7μm~4.6μm、1.1μm~4.5μm、1.5μm~4.3μm、2.2μm~4.2μm、2.6μm~4.0μm、2.8μm~3.9μm、又は3.1μm~3.8μmであってもよい。
【0092】
PHA樹脂の平均粒径は、ナノ粒径分析器(例えば、Zetasizer Nano ZS)で測定されてもよい。具体的には、Zetasizer Nano ZS(製造業者:Marven)を使用して、25℃の温度及び175°の測定角度で、PHAを動的光散乱法(DLS)による平均粒径の測定に供する。そのような場合、0.5の信頼区間における多分散度指数(PDI)を通して導出されるピークの値を粒径として取得する。
【0093】
PHA樹脂は、2.5未満の多分散度指数(PDI)を有してもよい。例えば、PHA樹脂の多分散度指数は、2.5未満、2.3以下、2.1以下、又は2.0以下であってもよい。
【0094】
加えて、PHA樹脂は、非機械的方法又は化学的方法を使用する細胞破壊によって得てもよい。具体的には、PHA樹脂は、微生物細胞内に蓄積される熱可塑性の天然ポリエステルポリマーであり、比較的大きい平均粒径を有するため、所望の材料の収率又は物理的性質をより効果的に制御し、プロセス効率を強化するために、破壊プロセスを通してPHA樹脂を得てもよい。
【0095】
一方、本発明の別の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、ポリブチレンエチレンアジペートサクシネート(PBEAS)、ポリブチレンエチレンサクシネート(PBES)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種の生分解性樹脂を含んでもよい。
【0096】
該生分解性樹脂がPHA樹脂と共に用いられるとき、生分解性繊維用組成物は、優れた分散性を有し、メルトフローインデックス、ガラス転移温度、溶融温度、及び分解温度のような性質をさらに強化することができる。
【0097】
生分解性繊維用組成物は、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂を生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて10重量%~100重量%の量で含んでもよい。例えば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂の含有量は、10重量%以上、12重量%以上、15重量%以上、20重量%以上、25重量%以上、又は30重量%以上、且つ100重量%以下、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、75重量%以下、又は70重量%以下であってもよい。具体的には、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂の含有量は、10重量%~85重量%であってもよいが、それに限定されない。
【0098】
生分解性繊維用組成物は、生分解性樹脂を生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて30重量%以上の量で含んでもよい。例えば、生分解性樹脂の含有量は、32重量%以上、35重量%以上、50重量%以上、55重量%以上、又は65重量%以上であってもよい。加えて、生分解性樹脂の含有量は、95重量%以下、90重量%以下、85重量%以下、80重量%以下、又は70重量%以下であってもよい。
【0099】
加えて、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂の生分解性樹脂に対する重量比は、1:0.2~4.5であってもよい。例えば、ポリヒドロキシアルカノエート樹脂の生分解性樹脂に対する重量比は、1:0.2~4.2、1:0.3~3.8、1:0.4~3、1:0.45~2.8、1:0.5~2.5、1:0.8~2.4、又は1:1~2.35であってもよい。
【0100】
加えて、生分解性繊維用組成物は、顔料、染料吸収剤、吸光剤、酸化防止剤、相溶化剤、増量剤、核剤、溶融強度剤、及びスリップ剤からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含んでもよい。
【0101】
顔料は、カーボンブラック及びコバルトグリーンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。顔料は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。
【0102】
酸化防止剤は、オゾン若しくは酸素による分解を防止するか、保管中の酸化を防止するか、又は物理的性質の劣化を防止するための添加剤である。本発明の効果が損なわれない限り、一般的な酸化防止剤が使用されてもよい。
【0103】
具体的には、酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤及びホスフェート系(リン系)酸化防止剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0104】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、例えば、4,4’-メチレン-ビス(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、及び3,9-ビス[2-[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0105】
ホスフェート系(リン系)酸化防止剤は、例えば、トリス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ホスファイト、ビス-(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジホスファイト、ビス-(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトール-ジホスファイト、ジステアリル-ペンタエリスリトール-ジホスファイト、[ビス(2,4-ジ-t-ブチル-5-メチルフェノキシ)ホスフィノ]ビフェニル、及びN,N-ビス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキシホスフェピン-6-イル]オキシ]-エチル]エタンアミンからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0106】
酸化防止剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。酸化防止剤の含有量が上の範囲を満たすとき、繊維の物理的性質を強化することができ、本発明の所望の効果を達成するのにより有利であり得る。
【0107】
相溶化剤は、生分解性樹脂及び/又はPHA樹脂の剥離性を除去することによって相溶性を付与するための添加剤である。本発明の効果が損なわれない限り、一般的な相溶化剤が使用されてもよい。
【0108】
具体的には、相溶化剤は、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、イソシアネート、ポリプロピレンカーボネート、メタクリル酸グリシジル、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン酢酸ビニル、及び無水マレイン酸からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0109】
相溶化剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。相溶化剤の含有量が上の範囲を満たすとき、使用される樹脂間の相溶性が増大することによって繊維の物理的性質を強化することができ、本発明の所望の効果を達成するのにより有利であり得る。
【0110】
増量剤は、無機材料であり、成形プロセス中の結晶化速度を増加させることによって成形性を増大させるための、また生分解性樹脂の使用に起因する費用の増加の問題を低減するための添加剤である。本発明の効果が損なわれない限り、一般的な無機材料が使用されてもよい。
【0111】
増量剤は、亜鉛及びカルシウム、ステアリン酸、軽質又は重質炭酸カルシウム、シリカ、タルク、カオリン、硫酸バリウム、クレイ、酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化チタン、カーボンブラック、及びガラス繊維などの無機材料からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0112】
増量剤は、0.5μm~5μmの平均粒径を有してもよい。例えば、増量剤の平均粒径は、0.5μm~4.8μm、0.5μm~4.5μm、又は0.7μm~4μmであってもよい。増量剤の平均粒径が0.5μm未満であるならば、粒子の分散が困難になる。増量剤の平均粒径が5μmを超えるならば、粒径は過剰に大きくなり、本発明の効果が損なわれる場合がある。
【0113】
増量剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。増量剤の含有量が上の範囲を満たすとき、本発明の所望の効果を達成するのにより有利であり得る。
【0114】
核剤は、ポリマーの結晶化形態を補助するか又は変化させるための、またポリマーの溶融物が冷却されるときに結晶化(凝固)速度を強化するための添加剤である。特に、本発明で使用されるPHA樹脂は低い結晶化速度を有するために、プロセス中の結晶化が不足するためにプロセスが容易に実施されない場合がある。この問題を解決するために核剤が使用されるのならば、結晶化速度を増加させて加工性、成形性、及び生産性をさらに強化することができ、所望の物理的性質を効果的に達成することが可能である。
【0115】
本発明の効果が損なわれない限り、一般的な核剤が使用されてもよい。具体的には、核剤は、例えば、単一元素物質(純物質)又は複合酸化物を含む金属化合物、金属カルボキシレート基を有する低分子量有機化合物、金属カルボキシレート基を有する高分子有機化合物、高分子有機化合物、リン酸若しくは亜リン酸又はそれらの金属塩、ソルビトール誘導体、チオグリコール酸無水物、及びp-トルエンスルホン酸又はその金属塩などを含んでもよい。核剤は、単独で使用されても、それらの組合せで使用されてもよい。
【0116】
単一元素物質(純物質)又は複合酸化物を含む金属化合物は、例えば、カーボンブラック、炭酸カルシウム、合成ケイ酸及びその塩、シリカ、亜鉛白、クレイ、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、マイカ、タルク、石英粉末、珪藻土、苦灰石粉末、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アンチモン、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、アルミナ、ケイ酸カルシウム、並びに有機リン及び窒化ホウ素の金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0117】
金属カルボキシレート基を有する低分子量有機化合物は、例えば、オクチル酸、トルイル酸、ヘプタン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、ベンゼン酸、p-tert-ブチルベンゼン酸、テレフタル酸、テレフタル酸モノメチルエステル、イソフタル酸、及びイソフタル酸モノメチルエステルの金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0118】
金属カルボキシレート基を有する高分子有機化合物は、例えば、ポリエチレンの酸化反応によって得られるカルボキシル基含有ポリエチレン、ポリプロピレンの酸化反応によって得られるカルボキシル基含有ポリプロピレン、アクリル酸又はメタクリル酸とオレフィン(エチレン、プロピレン、及びブテン-1など)とのコポリマー、アクリル酸又はメタクリル酸とスチレンとのコポリマー、オレフィンと無水マレイン酸とのコポリマー、及びスチレンと無水マレイン酸とのコポリマーの金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0119】
高分子有機化合物は、例えば、3位の炭素原子に対して分岐した、5個以上の炭素原子を有するアルファ-オレフィン(3,3-ジメチルブテン-1、3-メチルブテン-1、3-メチルペンテン-1、3-メチルヘキセン-1、及び3,5,5-トリメチルヘキセン-1など)、ビニルシクロアルカン(ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン、及びビニルノルボルナンなど)のポリマー、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールなど)、ポリ(グリコール酸)、セルロース、セルロースエステル、及びセルロースエーテルからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0120】
リン酸若しくは亜リン酸又はそれらの金属塩は、例えば、リン酸ジフェニル、亜リン酸ジフェニル、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、及びメチレンビス-(2,4-tert-ブチルフェニル)ホスフェートの金属塩からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。ソルビトール誘導体は、例えば、ビス(p-メチルベンジリデン)ソルビトール又はビス(p-エチルベンジリデン)ソルビトールであってもよい。
【0121】
核剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。核剤の含有量が上の範囲を満たすとき、結晶化速度を増加させて加工性を強化することができ、例えば、調製プロセスにおいてペレットを生成するための切断ステップ中の結晶化速度を強化することによって、生産性及び成形性をさらに強化することが可能である。
【0122】
溶融強度剤は、反応物の溶融強度を強化するための添加剤である。本発明の効果が損なわれない限り、一般的な溶融強度剤が使用されてもよい。
【0123】
具体的には、溶融強度剤は、ポリエステル、スチレン系ポリマー(アクリロニトリルブタジエンスチレン及びポリスチレンなど)、ポリシロキサン、有機変性シロキサンポリマー、及び無水マレイン酸グラフト化エチレンプロピレンジエンモノマー(MAH-g-EPDM)からなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。
【0124】
溶融強度剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて、0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。溶融強度剤の含有量が上の範囲を満たすとき、本発明の所望の効果を達成するのにより有利であり得る。
【0125】
スリップ剤は、押出中のスリップ性(滑り性)を強化するための、また繊維表面が互いに貼り付かないようにするための添加剤である。具体的には、本発明の効果が損なわれない限り、一般的なスリップ剤が使用されてもよい。例えば、スリップ剤は、エルカ酸アミド、オレイン酸アミド(oliamide)、及びステアリン酸アミドからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0126】
スリップ剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。スリップ剤の含有量が上の範囲を満たすとき、加工性、生産性、及び成形性をさらに強化することができ、本発明の所望の効果を達成するのにより有利であり得る。
【0127】
生分解性樹脂組成物は、他の添加剤として架橋剤及び/又は安定剤を含んでもよい。
【0128】
架橋剤は、PHA樹脂の性質を改変し、樹脂の分子量を増加させるための添加剤である。本発明の効果が損なわれない限り、一般的な架橋剤が使用されてもよい。
【0129】
例えば、架橋剤は、脂肪酸エステル、エポキシ基含有(エポキシ化)天然油、フタル酸ジアリル、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、及びビス(2-メタクリルオキシエチル)ホスフェートからなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0130】
架橋剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。
【0131】
安定剤は、リン酸トリメチル、リン酸トリフェニル、トリメチルホスフィン、リン酸、及び亜リン酸からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0132】
安定剤は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて0.01重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.01重量%~12重量%、0.01重量%~10重量%、0.01重量%~8重量%、0.01重量%~5重量%、0.2重量%~4.5重量%、0.2重量%~4重量%、又は0.5重量%~3重量%の量でさらに用いられてもよい。
【0133】
本発明のさらに別の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物は、バイオマスをさらに含んでもよい。
【0134】
生分解性繊維用組成物がバイオマスを含むとき、生分解性を強化することが可能であるだけでなく、土壌を改良することが可能である。すなわち、バイオマスは、優れた生分解性を有し、未分解であるときに容易に破壊され、肥料を改良し、土壌強度を増大させ、それによって土壌改良効果を生じる。
【0135】
バイオマスは、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて5~50重量%の量で用いられてもよい。具体的には、バイオマスの含有量は、生分解性繊維用組成物の総重量に基づいて10重量%~48重量%、15重量%~48重量%、20重量%~45重量%、20重量%~43重量%、又は20重量%~40重量%であってもよい。バイオマスの含有量が上の範囲を満たす場合、生分解性がさらに強化され、土壌改良効果が生じ、PHA樹脂との架橋強度が改良され、それによって本発明の所望の効果を効果的に達成することが可能である。
【0136】
生分解性繊維用組成物は、ASTM D1238に従って190℃及び2.16kgで測定される1g/10分~30g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。例えば、ASTM D1238に従って190℃及び2.16kgで測定される生分解性繊維用組成物のメルトフローインデックスは、2g/10分~28g/10分、2.3g/10分~26g/10分、2.5g/10分~22g/10分、3.3g/10分~20g/10分、3.5g/10分~19g/10分、4g/10分~18.5g/10分、4.5g/10分~18g/10分、1.5g/10分~10g/10分、2.5g/10分~8.5g/10分、3.2g/10分~6.5g/10分、4.2g/10分~6g/10分、11g/10分~25g/10分、11.5g/10分~21g/10分、又は12g/10分~17.5g/10分であってもよい。
【0137】
加えて、生分解性繊維用組成物は、ASTM D1238に従って210℃及び2.16kgで測定される35g/10分~130g/10分のメルトフローインデックスを有してもよい。例えば、ASTM D1238に従って210℃及び2.16kgで測定される生分解性繊維用組成物のメルトフローインデックスは、40g/10分~120g/10分、42g/10分~115g/10分、48g/10分~112g/10分、50g/10分~110g/10分、又は55g/10分~108g/10分であってもよい。
【0138】
ASTM D1238に従って生分解性繊維用組成物について測定されるメルトフローインデックスは、生分解性繊維用組成物を使用して調製されたペレットについてASTM D1238に従って測定されてもよい。
【0139】
具体的には、メルトフローインデックスは、生分解性繊維用組成物を二軸スクリュー押出機内に供給し、混合し、該混合物を溶融押出することによって調製された生分解性ペレットについて、ASTM D1238に従って測定されてもよい。より具体的には、生分解性ペレットは、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら生分解性繊維用組成物を混合し、12バールの圧力及び177℃の温度で該混合物を溶融押出し、アンダーウォーターカッターシステムを使用することによって調製されてもよい。
【0140】
生分解性繊維用組成物は、示差走査熱量計(DSC)によって測定されたときに、-35℃~15℃、-25℃~5℃、-20℃~1℃、又は-18℃~-5℃のガラス転移温度(Tg)、及び105℃~200℃、106℃~195℃、110℃~180℃、又は113℃~173℃の溶融温度(Tm)を有してもよい。
【0141】
加えて、生分解性繊維用組成物は、熱重量分析器(TGA)によって測定されたときに、220℃以上、230℃以上、240℃以上、250℃以上、又は260℃以上、220℃~275℃、235℃~273℃、240℃~300℃、245℃~285℃、255℃~280℃、260℃~275℃、又は263℃~270℃の分解温度(Td、5%の重量減少)を有してもよい。
【0142】
(生分解性繊維)
本発明の別の実施形態による生分解性繊維は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含み、ASTM D3822に従って測定される強度が0.5g/d~10g/dである。
【0143】
生分解性繊維は、生分解性繊維用組成物を使用して調製されてもよい。ポリヒドロキシアルカノエート樹脂についての詳細は上に記載される。
【0144】
例えば、生分解性繊維は、ASTM D3822に従って測定されたときに、0.5g/d以上、0.6g/d以上、0.75g/d以上、0.8g/d以上、0.9g/d以上、1g/d以上、1.1g/d以上、1.2g/d以上、1.5g/d以上、1.8g/d以上、又は2g/d以上、10g/d以下、8.5g/d以下、7g/d以下、5.5g/d以下、5g/d以下、4.8g/d以下、4.5g/d以下、4.2以下、3.9g/d以下、3.5g/d以下、3.2g/d以下、2.9g/d以下、又は2.8g/d以下、且つ0.5g/d~10g/d、0.6g/d~8g/d、0.7g/d~6g/d、0.9g/d~3.5g/d、1.1g/d~4.0g/d、1.2g/d~3.8g/d、1.3g/d~3.5g/d、1.5g/d~3.2g/d、1.8g/d~3.1g/d、1.9g/d~2.9g/d、又は2g/d~2.8g/dの強度を有してもよい。
【0145】
加えて、生分解性繊維は、0.05mm~10mmの直径、及び100デニール~10,000デニールの繊度を有してもよい。例えば、生分解性繊維は、単繊維であってもよく、生分解性繊維の直径は、0.06mm~8mm、0.08mm~6mm、0.1mm~4mm、0.15mm~2mm、0.2mm~1mm、又は0.25mm~0.6mmであってもよく、生分解性繊維の繊度は、120デニール~8,500デニール、150デニール~5,500デニール、200デニール~4,000デニール、500デニール~2,500デニール、650デニール~2,200デニール、700デニール~1,950デニール、800デニール~1,350デニール、900デニール~1,800デニール、又は950デニール~1,600デニールであってもよい。
【0146】
加えて、生分解性繊維は、10%以上、12%以上、15%以上、20%以上、25%以上、32%以上、35%以上、40%以上、45%以上、50%以上、又は60%以上、且つ1,000%以下、850%以下、650%以下、500%以下、350%以下、200%以下、130%以下、90%以下、80%以下、又は75%以下の伸度を有してもよい。
【0147】
生分解性繊維は、300,000g/モル以上又は500,000g/モル以上、10,000g/モル~5,000,000g/モル、20,000g/モル~4,000,000g/モル、又は50,000g/モル~3,000,000g/モルの重量平均分子量を有してもよい。
【0148】
本発明の別の実施形態によれば、生分解性繊維は、不均一断面の複合繊維、又は二成分以上若しくは三成分以上の複合繊維であってもよい。
【0149】
不均一断面の繊維は、円形、楕円形、又は多角形の断面を有してもよいが、それらに限定されない。
【0150】
加えて、生分解性繊維は、芯部及び鞘部を含む芯鞘型、サイドバイサイド型、海島型、又はセグメントパイ型であってもよい。
【0151】
芯鞘型において、芯部の断面及び鞘部の断面は互いに異なっていてもよい。例えば、芯部の断面は円形であってもよく、鞘部の断面はドーナツ形であってもよいが、芯部及び鞘部の断面はそれらに限定されない。
【0152】
加えて、生分解性繊維は、鞘部及び芯部の各々が異なる単一成分の樹脂を含む二成分複合繊維であってもよい。生分解性繊維は、鞘部が単一成分の樹脂を含み、芯部が少なくとも二成分の樹脂を含むか、又は芯部が単一成分の樹脂を含み、鞘部が少なくとも二成分の樹脂を含む、三成分複合繊維であってもよい。加えて、生分解性繊維は、鞘部及び芯部が各々少なくとも二成分の樹脂を含む複合繊維であってもよい。
【0153】
例えば、芯部がポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含んでもよく、鞘部が生分解性樹脂を含んでもよい。例えば、生分解性樹脂は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、ポリブチレンエチレンアジペートサクシネート(PBEAS)、ポリブチレンエチレンサクシネート(PBES)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種であってもよい。
【0154】
芯部の鞘部に対する重量比は5:95~95:5であってもよい。例えば、芯部の鞘部に対する重量比は、5:95~85:15、7:93~80:20、10:90~75:25、又は10:90~70:30であってもよい。
【0155】
(生分解性繊維を調製するための方法)
本発明のさらに別の実施形態による生分解性繊維を調製するための方法は、生分解性繊維用組成物、又は該生分解性繊維用組成物を溶融押出することによって調製されたペレットを紡糸及び延伸するステップを含み、生分解性繊維用組成物は、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)繰返し単位を含むポリヒドロキシアルカノエート樹脂を含み、熱重量分析器(TGA)によって測定される分解温度(Td、5%の重量減少)は220℃以上である。
【0156】
生分解性繊維用組成物の詳細は上記の通りである。
【0157】
具体的には、本発明のさらに別の実施形態による生分解性繊維を調製するための方法では、生分解性繊維用組成物がデバイスに直接供給され、紡糸され、次いで延伸されてもよく、又は生分解性繊維用組成物の溶融押出によって調製されたペレットがデバイスに供給され、紡糸され、次いで延伸されて、それによって生分解性繊維が調製される。
【0158】
紡糸ステップの後に延伸ステップがあるとき、生分解性繊維の直径又は長さをより効果的に制御することができる。具体的には、生分解性繊維の直径又は長さが紡糸又は溶融紡糸ステップ単独によって制御されるならば、生産性及び加工性が劣化することがある。
【0159】
本発明のさらに別の実施形態によれば、該方法は、生分解性繊維用組成物を150℃~200℃で溶融押出してペレットを調製するステップをさらに含んでもよい。
【0160】
具体的には、溶融押出は、6バール~30バールの圧力及び150℃~200℃の温度で実施されてもよい。例えば、溶融押出は、7バール~28バール又は8バール~26バールの圧力及び155℃~190℃又は165℃~185℃の温度で、一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機を使用して実施されてもよい。
【0161】
加えて、溶融押出ステップの前に、一軸スクリュー押出機又は二軸スクリュー押出機を使用して温度を50℃から170℃に上げながら混合するステップがさらに実施されてもよい。
【0162】
加えて、溶融押出ステップ後に、溶融押出物を15℃以下、10℃以下、又は6℃以下に冷却し、次いで切断して生分解性ペレットを調製してもよいが、それに限定されない。
【0163】
加えて、紡糸速度は、10mpm~500mpmであってもよい。例えば、紡糸速度は、10mpm~450mpm、10mpm~400mpm、又は15mpm~400mpmであってもよい。
【0164】
加えて、延伸は、1.1倍以上の延伸倍率での冷延伸又は熱延伸によって実施されてもよい。例えば、延伸は、1.1倍以上、2.5倍以上、3.5倍以上、5倍以上、5.5倍以上、6倍以上、6.5倍以上、又は7倍以上の延伸倍率で実施されてもよい。
【0165】
冷延伸は、25℃~35℃のチャンバー温度及び25℃~35℃のローラー温度で実施されてもよい。熱延伸は、150℃~200℃のチャンバー温度及び80℃~130℃のローラー温度で実施されてもよい。
【0166】
本発明のさらに別の実施形態によれば、ペレットを紡糸するステップは、ペレットを140℃~190℃で溶融紡糸するステップであってもよい。具体的には、生分解性ペレットは、ノズルを通して押出及び溶融紡糸され、冷却され、次いでローラーで巻取られて生分解性繊維が調製される。
【0167】
例えば、ペレットは、150℃~190℃、155℃~190℃、又は160℃~185℃で溶融紡糸されてもよい。そのような場合、限定するものではないが、従来の溶融紡糸装置が使用されてもよい。例えば、溶融紡糸は、一軸スクリュー押出機をベースにする溶融紡糸装置を使用して実施されてもよいが、それに限定されない。
【0168】
加えて、溶融紡糸装置は、溶融部、フィルターを含むノズル部、ノズル穴と巻取りローラーの間のドラフト部、及び巻取り部を含んでもよい。溶融紡糸装置の溶融温度、ノズル穴の直径、ノズル穴の長さ、ノズル穴の長さに対する直径の比率、ノズルの内部フィルターのサイズ、ノズルを通した吐出量、ドラフト部の長さ、紡糸速度、冷却温度、巻取り速度を制御して、所望の物理的性質を有する生分解性繊維を調製してもよい。
【0169】
本発明のさらに別の実施形態によれば、該方法は、溶融紡糸ステップの前に、ペレットを40℃~60℃で10時間以上乾燥させるステップをさらに含んでもよい。
【0170】
例えば、溶融紡糸ステップの前に、ペレットを40℃~58℃又は42℃~60℃で11時間以上又は12時間以上乾燥させるステップがさらに実施されてもよい。
【0171】
加えて、乾燥ステップは、ペレットの樹脂水分含有量が2,000ppm以下、1,500ppm以下、1,100ppm以下、500ppm以下、300ppm以下、150ppm以下、100ppm以下、60ppm以下、又は50ppm以下になるまで実施されてもよく、乾燥ステップは、熱風乾燥又は除湿乾燥によって実施されてもよいが、それらに限定されない。
【0172】
本発明のさらに別の実施形態によれば、生分解性繊維用組成物を紡糸するステップは、複合紡糸装置を使用して実施されてもよい。例えば、複合紡糸装置は、芯鞘複合紡糸装置であってもよい。
【0173】
具体的には、生分解性繊維用組成物は、芯鞘複合紡糸装置の芯部又は鞘部に直接供給されて生分解性繊維が調製されてもよい。
【0174】
より具体的には、生分解性繊維用組成物が芯部又は鞘部に供給されてもよく、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、ポリブチレンエチレンアジペートサクシネート(PBEAS)、ポリブチレンエチレンサクシネート(PBES)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種を含む生分解性樹脂が芯部又は鞘部に供給されてもよい。
【0175】
例えば、生分解性繊維用組成物が芯部に供給されてもよく、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリブチレンサクシネート-アジペート(PBSA)、ポリブチレンサクシネート-テレフタレート(PBST)、ポリヒドロキシブチレート-バレレート(PHBV)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリブチレンサクシネートアジペートテレフタレート(PBSAT)、ポリブチレンエチレンアジペートサクシネート(PBEAS)、ポリブチレンエチレンサクシネート(PBES)、及び熱可塑性デンプン(TPS)からなる群から選択される少なくとも1種を含む生分解性樹脂が鞘部に供給されてもよい。
【0176】
加えて、芯部に供給される原料の、鞘部に供給される原料に対する重量比は、5:95~95:5、5:95~85:15、7:93~80:20、10:90~75:25、又は10:90~70:30であってもよい。
【0177】
[発明の態様]
以下、本発明を以下の実施例を参照しながらより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明を例示することを意図するものであり、実施例の範囲は、以下の実施例のみに限定されるものではない。
【実施例】
【0178】
(生分解性ペレットの調製)
〔実施例1-1〕
100重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(a)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:8重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:1.1g/10分)を含む30重量%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)と、70重量%のポリ乳酸(PLA、製造業者:Total Corbion)とを混合し、続いて該混合物に1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0179】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を190rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を14バールの圧力及び176℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0180】
〔実施例1-2〕
100重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(b)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:17重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:4.86g/10分、190℃でのメルトフローインデックス:19.72g/10分)を含む30重量%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)と、70重量%のポリ乳酸(PLA、製造業者:Total Corbion)とを混合し、続いて該混合物に1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0181】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を17バールの圧力及び180℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0182】
〔実施例1-3〕
ポリ乳酸の代わりにポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を使用したことを除いて、実施例1-1と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0183】
〔実施例1-4〕
ポリ乳酸の代わりにポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を使用したことを除いて、実施例1-2と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0184】
〔実施例1-5〕
100重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(a)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:8重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:1.1g/10分)を含む30重量%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)と、70重量%のポリブチレンサクシネート(PBS)とを混合し、続いて該混合物に1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0185】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を12バールの圧力及び177℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0186】
〔実施例1-6〕
100重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(b)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:17重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:19.72g/10分、190℃でのメルトフローインデックス:19.72g/10分)を含む30重量%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)と、70重量%のポリブチレンサクシネート(PBS)とを混合し、続いて該混合物に1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0187】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を12バールの圧力及び177℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0188】
〔実施例1-7〕
25重量%の第1のPHA樹脂(aPHA、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:33重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:5.5g/10分)と75重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(a)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:8重量%、重量平均分子量(Mw):300,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:1.1g/10分)とを含む30重量%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)と、70重量%のポリ乳酸(PLA、製造業者:Total Corbion)とを混合し、続いて該混合物に1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0189】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を21バールの圧力及び178℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0190】
〔実施例1-8〕
50重量%の第1のPHA樹脂(aPHA、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:33重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:5.5g/10分)と50重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(a)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:8重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:1.1g/10分)とを含む30重量%のポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)と、70重量%のポリ乳酸(PLA、製造業者:Total Corbion)とを混合し、続いて該混合物に1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0191】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を14バールの圧力及び175℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0192】
〔実施例1-9〕
ポリ乳酸の代わりにポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を使用したことを除いて、実施例1-7と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0193】
〔実施例1-10〕
ポリ乳酸の代わりにポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)を使用したことを除いて、実施例1-8と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0194】
〔実施例1-11〕
25重量%の第1のPHA樹脂(aPHA、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:33重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:5.5g/10分)と75重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(a)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:8重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:1.1g/10分)とを含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB,製造業者:CJ)を使用したことを除いて、実施例1-5と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0195】
〔実施例1-12〕
50重量%の第1のPHA樹脂(aPHA、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:33重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:5.5g/10分)と50重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(a)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:8重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:1.1g/10分)とを含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)を使用したことを除いて、実施例1-5と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0196】
〔実施例1-13〕
30重量%の第1のPHA樹脂(aPHA、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:33重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:5.5g/10分)と70重量%のポリ乳酸(PLA、製造業者:Total Corbion)とを混合し、続いて該混合物に1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0197】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を21バールの圧力及び178℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0198】
〔実施例1-14〕
40重量%の第1のPHA樹脂と60重量%のポリ乳酸とを使用したことを除いて、実施例1-13と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0199】
〔実施例1-15〕
50重量%の第1のPHA樹脂と50重量%のポリ乳酸とを使用したことを除いて、実施例1-13と同様に生分解性ペレットを調製した。
【0200】
〔比較例1-1〕
1phrのポリ酢酸ビニル(PVAc、製造業者:Wacker)を100重量%のポリ乳酸(PLA、製造業者:Total Corbion)に添加して生分解性繊維用組成物を調製した。
【0201】
その後、該組成物を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、溶融押出して生分解性ペレットを調製した。具体的には、二軸スクリュー押出機のスクリュー回転速度を200rpmに設定し、内部温度を50℃から170℃に上げながら組成物を混合し、該混合物を21バールの圧力及び178℃の温度で溶融押出し、ストランドカット法を使用することによって生分解性ペレットを調製した。
【0202】
【0203】
〔試験例1-1:メルトフローインデックス〕
実施例1-1、1-2、1-5~1-8、及び1-11~1-15で調製された生分解性繊維用組成物を各々、メルトフローインデックス(g/10分)についてASTM D1238に従って190℃及び2.16kgで測定した。
【0204】
具体的には、生分解性繊維用組成物の各々を二軸スクリュー押出機に供給し、混合し、該混合物を溶融押出することによって調製された、実施例1-1、1-2、1-5~1-8、及び1-11~1-15の生分解性ペレットについて、ASTM D1238に従ってメルトフローインデックスを測定した。
【0205】
〔試験例1-2:Tg及びTm〕
実施例1-1、1-2、1-5~1-8、及び1-11~1-15で調製された生分解性繊維用組成物を各々、ガラス転移温度(Tg)及び溶融温度(Tm)について示差走査熱量測定(DSC)を使用して測定した。
【0206】
具体的には、5mg~20mgの生分解性繊維用組成物の各々をアルミニウムパンに入れ、示差走査熱量計を使用して温度を10℃/分の速度で40℃から180℃に上げ、続いて該組成物を10℃/分の速度で-50℃に冷却して熱流曲線を得、熱流曲線からガラス転移温度(Tg)及び溶融温度(Tm)を測定した。
【0207】
〔試験例1-3:Td〕
実施例1-1、1-2、1-5~1-8、及び1-11~1-15で調製された生分解性繊維用組成物を各々、分解温度(Td)について熱重量分析器(TGA)を使用して測定した。
【0208】
具体的には、熱重量分析器(TGA)を使用して温度を10℃/分の速度で室温から600℃に上げることによって得られた重量変化曲線から、生分解性繊維用組成物の各々の重量が5%低減した温度として分解温度(Td)を測定した。
【0209】
【0210】
上の表2からわかるように、実施例1-1、1-2、1-5~1-8、及び1-11~1-15の生分解性繊維用組成物は各々、優れた分散性を有し、且つ適正な数値範囲を満たすガラス転移温度、溶融温度、及び分解温度を有していた;よって、該組成物を使用して生分解性ペレットを容易に調製することが可能である。さらに、生分解性繊維を生分解性繊維用組成物から直接調製することができるだけでなく、生分解性繊維を、生分解性繊維用組成物から得られた生分解性ペレットを使用して調製することもでき、これによって必要に応じてプロセスが好都合に選択され、適用される。
【0211】
(生分解性繊維の調製)
〔実施例2-1〕
実施例1-1で調製された生分解性ペレットを、ペレットの水分含有量が100ppm以下になるまで、少なくとも12時間、約40℃~60℃で熱風乾燥又は除湿乾燥させた。次いで、一軸スクリュー押出機をベースにする溶融紡糸装置を使用して、該生分解性ペレットを溶融紡糸して生分解性繊維を調製した。
【0212】
具体的には、ノズルを通してペレットを押出及び溶融紡糸し、冷却し、次いでローラーで巻取って生分解性繊維(単繊維)を調製した。
【0213】
そのような場合、溶融紡糸装置のプロセス条件は以下の通りであった。
溶融紡糸温度:約140℃~190℃
ノズル穴の直径:0.1mm~5.0mm(Ψ0.2~5.0)
ノズル長さのノズル穴径に対する比率(長さ/直径(L/D)):1.0以上
ノズル内部フィルターのサイズ:10μm~250μm
吐出量:5g/分/穴~20g/分/穴
ノズル穴と巻取りローラーの間(ドラフト部)の距離:1m以上
紡糸速度:10mpm~500mpm
冷却空気温度:10℃~30℃
巻取り速度:10mpm~500mpm
延伸倍率:5.0倍~7.0倍
延伸温度
:冷延伸(チャンバー温度:25℃~35℃、ローラー温度:25℃~35℃)
:熱延伸(チャンバー温度:150℃~200℃、ローラー温度:80℃~130℃)
【0214】
〔実施例2-2~2-15及び比較例2-1〕
実施例1-2~1-15及び比較例1-1で調製された生分解性ペレットをそれぞれ使用したことを除いて、実施例2-1と同様に生分解性繊維を各々調製した。
【0215】
〔試験例2-1:繊維の繊度〕
実施例2-1、2-2、2-5、2-6、2-8、及び2-12~2-15、並びに比較例2-1で調製された生分解性繊維を各々、繊度(デニール、D)についてKS K ISO 2060のかせ法に従って測定した。
【0216】
そのような場合、デニール(D)は、繊維又は糸の繊度を示す単位であり、9,000mの繊維又は糸の重量をグラムで表す。
【0217】
〔試験例2-2:繊維の強度及び伸度〕
実施例2-1、2-2、2-5、2-6、2-8、及び2-12~2-15、並びに比較例2-1で調製された生分解性繊維を各々、強度(g/d)及び伸度(%)についてASTM D3822に従って測定した。
【0218】
具体的には、繊維が破断されるまで一定の力で繊維を延伸したときに、加荷重をデニールで割った値(g/d)が強度であり、初期長さの延伸された長さに対する百分率として表される値(%)が伸度である。
【0219】
【0220】
表3からわかるように、実施例2-1、2-2、2-5、2-6、2-8、及び2-12~2-15で調製された生分解性繊維は各々、所望の範囲内の直径、繊度、強度、及び伸度特性を有していた。具体的には、実施例2-1、2-2、2-5、2-6、2-8、及び2-12~2-15で調製された生分解性繊維は、優れた紡糸性を有する実施例1-1、1-2、1-5、1-6、1-8、及び1-12~1-15の生分解性ペレットを使用して各々調製されたため、柔軟性、強度、伸度、生産性、及び加工性に優れていた。
【0221】
(生分解性繊維の調製)
〔実施例3-1〕
100重量%の第2のPHA樹脂(scPHA(c)、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:6重量%、重量平均分子量(Mw):410,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:2.88g/10分)を含むポリヒドロキシアルカノエート(PHA)樹脂(3-HB-co-4-HB、製造業者:CJ)を含む生分解性繊維用組成物を芯部として調製し、ポリブチレンサクシネート(PBS)を鞘部として調製した。
【0222】
その後、芯鞘複合紡糸装置を使用して10重量%の芯組成物と90重量%のPBSとを100mpm~150mpmの紡糸速度で紡糸し、6.0倍の延伸倍率で延伸して生分解性繊維を調製した。そのような場合、延伸温度は以下の通りであった。
延伸温度
:冷延伸(チャンバー温度:25℃~35℃、ローラー温度:25℃~35℃)
:熱延伸(チャンバー温度:150℃~200℃、ローラー温度:80℃~130℃)
【0223】
〔実施例3-2~3-22〕
成分及びプロセス条件を以下の表4~6に示す通りに変えたことを除いて、実施例3-1と同様に生分解性繊維を調製した。ここで、実施例3-17~3-22では、第1のPHA樹脂(aPHA、4-ヒドロキシブチレート(4-HB)含有量:33重量%、重量平均分子量(Mw):600,000g/モル、165℃及び5kgでのメルトフローインデックス:5.5g/10分)を使用した。
【0224】
〔試験例3-1:繊維の繊度〕
実施例3-1~3-22で調製された生分解性繊維を各々、繊度(デニール、D)についてKS K ISO 2060のかせ法に従って測定した。
【0225】
そのような場合、デニール(D)は、繊維又は糸の繊度を示す単位であり、9,000mの繊維又は糸の重量をグラムで表す。
【0226】
〔試験例3-2:繊維の強度及び伸度〕
実施例3-1~3-22で調製された生分解性繊維を各々、強度(g/d)及び伸度(%)についてASTM D3822に従って測定した。
【0227】
具体的には、繊維が破断されるまで一定の力で繊維を延伸したときに、加荷重をデニールで割った値(g/d)が強度であり、初期長さの延伸された長さに対する百分率として表される値(%)が伸度である。
【0228】
【0229】
表4~6からわかるように、実施例3-1~3-22で調製された生分解性繊維は各々、所望の範囲内の直径、繊度、強度、及び伸度特性を有していた。具体的には、実施例3-1~3-22の生分解性繊維は各々鞘部及び芯部を含む芯鞘型に調製され、より具体的には、鞘部は生分解性繊維用組成物を含むものであった。衣類及び漁網などの製品を製造するための二次加工、例えば、染色及びブレーディングなどの二次加工における加工性をさらに強化することが可能である。
【国際調査報告】