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特表2024-525864計数・阻止アセンブリを伴う吸入装置システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】計数・阻止アセンブリを伴う吸入装置システム
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A61M11/00 D
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502604
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-08
(86)【国際出願番号】 EP2022070044
(87)【国際公開番号】W WO2023001750
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21186739.5
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21198912.4
(32)【優先日】2021-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519084526
【氏名又は名称】インヴォックス ベルジアム エヌヴイ
【氏名又は名称原語表記】invoX Belgium NV
【住所又は居所原語表記】Agoralaan building Abis, 3590 Diepenbeek Belgium
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】ラヴェルト, ユルゲン
(72)【発明者】
【氏名】ダドリー, スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】オリヴェラス, アルナウ ペルディゴ
(72)【発明者】
【氏名】ブリオネス, アンドレア カロリナ ヘラス
(72)【発明者】
【氏名】モレル, ジュリア オリヴァ
(72)【発明者】
【氏名】クロテット カサクベルタ, ラウラ
(72)【発明者】
【氏名】グアルディア, マーク アリアナ
(57)【要約】
本発明は、噴霧形態の医学的に活性な液体を吸入投与するための吸入装置システムであって、吸入装置システムが、吸入装置(20)と、複数用量の医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバ(30)とを備え、吸入装置システムの作動ごとに1用量の医学的に活性な液体が吸入装置から分配され、吸入装置(20)が、-受け入れユニット(23)を有するハウジング(21)であって、受け入れユニットが、交換可能なリザーバ(30)の接続ポート(31)に解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニット(24)を有し、受け入れユニット(24)が、交換可能なリザーバ(30)を受けて交換可能なリザーバ(30)に流体接続するようになっている、ハウジング(21)と、-医学的に活性な液体を噴霧するためのノズル(25)と、-ハウジング(21)内に配置されるポンプユニット(40)であって、交換可能なリザーバ(30)及びノズル(25)に流体接続されるようになっているとともに、医学的に活性な液体を(下流方向で)交換可能なリザーバ(30)からノズル(25)に搬送するようになっており、ポンプユニットのプライミング時に交換可能なリザーバを休止位置からプライミング位置に移動させるようになっている、ポンプユニット(40)とを備える、吸入装置システム(10)において、吸入装置システムが、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)吸入装置システムの作動回数を計数するための計数ユニットと、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)所定の作動回数に達するときに交換可能なリザーバの休止位置からプライミング位置への移動を阻止するための阻止ユニットとを備える、複合計数・阻止アセンブリを備え、計数ユニット及び阻止ユニットは、交換可能なリザーバが休止位置にあるときに互いに物理的に分離され、交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動するたびに互いに相互作用するようになっている、吸入装置システムを提供する。
【選択図】図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴霧形態の医学的に活性な液体を吸入投与するための吸入装置システム(10)であって、吸入装置システムが、吸入装置(20)と、複数用量の医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバ(30)とを備え、前記吸入装置システムの作動ごとに1用量の前記医学的に活性な液体が前記吸入装置から分配され、
前記吸入装置(20)が、
-受け入れユニット(23)を有するハウジング(21)であって、前記受け入れユニットが、前記交換可能なリザーバ(30)の接続ポート(31)に解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニット(24)を有し、前記受け入れユニット(24)が、前記交換可能なリザーバ(30)を受けて前記交換可能なリザーバ(30)に流体接続するようになっている、ハウジング(21)と、
-前記医学的に活性な液体を噴霧するためのノズル(25)と、
-前記ハウジング(21)内に配置されるポンプユニット(40)であって、前記交換可能なリザーバ(30)及び前記ノズル(25)に流体接続されるようになっているとともに、前記医学的に活性な液体を(下流方向で)前記交換可能なリザーバ(30)から前記ノズル(25)に搬送するようになっており、前記ポンプユニットのプライミング時に前記交換可能なリザーバを休止位置からプライミング位置に移動させるようになっている、ポンプユニット(40)と、
を備える、吸入装置システム(10)において、
前記吸入装置システムが、(前記吸入装置内への前記交換可能なリザーバの挿入後に)前記吸入装置システムの作動回数を計数するための計数ユニットと、(前記吸入装置内への前記交換可能なリザーバの挿入後に)所定の作動回数に達するときに前記交換可能なリザーバの前記休止位置から前記プライミング位置への移動を阻止するための阻止ユニットとを備える、複合計数・阻止アセンブリを備え、
前記計数ユニット及び前記阻止ユニットは、前記交換可能なカートリッジが前記休止位置にあるときに互いに物理的に分離され、前記交換可能なカートリッジが前記休止位置から前記プライミング位置に移動するたびに互いに(物理的に)相互作用するようになっており、
前記阻止ユニットが前記交換可能なリザーバに取り付けられ、前記計数ユニットが前記吸入装置の前記ハウジングに取り付けられ、又は
前記計数ユニットが前記交換可能なリザーバに取り付けられ、前記阻止ユニットが前記吸入装置の前記ハウジングに取り付けられる、
ことを特徴とする吸入装置システム(10)。
【請求項2】
前記計数ユニットが前記吸入装置の前記ハウジングに取り付けられ、前記阻止ユニットが前記交換可能なリザーバに取り付けられる、請求項1に記載の吸入装置システム。
【請求項3】
前記交換可能なリザーバは、上流端及び下流端を有する交換可能なカートリッジの形態を成し、阻止ユニットが前記交換可能なカートリッジの前記上流端に取り付けられる、請求項1又は2に記載の吸入装置システム。
【請求項4】
前記阻止ユニットは、阻止機構を収容するハウジングを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【請求項5】
前記阻止ユニットの前記ハウジングは、前記計数ユニットと前記阻止機構との間の相互作用のための開口を備える、請求項4に記載の吸入装置システム。
【請求項6】
計数ユニットが計数機構及び起動機構を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【請求項7】
前記起動機構が前記阻止ユニットの前記阻止機構と相互作用する、請求項1から6のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【請求項8】
前記起動機構は、前記阻止ユニットの前記阻止機構と相互作用するための起動部材を備え、前記起動部材が移動可能であり、前記起動部材の位置は、前記吸入装置システムの各作動に伴って変化する、請求項1から7のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【請求項9】
前記起動部材は、各作動に伴って徐々に又は段階的に移動している、請求項8に記載の吸入装置システム。
【請求項10】
前記阻止ユニットの前記起動部材は、前記交換可能なリザーバが前記休止位置から前記プライミング位置に移動すると、前記阻止機構と相互作用するために前記阻止ユニットの前記開口に入る、請求項8又は9に記載の吸入装置システム。
【請求項11】
前記計数機構は、前記交換可能なリザーバが前記休止位置から前記プライミング位置に移動すると、前記阻止ユニットとの相互作用によって動作される、請求項1から10のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【請求項12】
前記阻止ユニットは、前記交換可能なリザーバの前記プライミング位置への移動がもはや不可能であるように所定回数の使用後に前記起動部材のための空間を制限する阻止機構を備える、請求項1から11のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【請求項13】
噴霧用の医学的に活性な液体を保持するための請求項1から12のいずれか一項に記載の複合計数・阻止アセンブリを備える吸入装置システムのための交換可能なカートリッジシステムであって、先行する項のいずれか一項に記載の吸入装置システムでの使用に適合される交換可能なカートリッジシステムにおいて、前記カートリッジシステムが、医学的に活性な液体を保持するための有効容積Vを有する容器部と、特に前記吸入装置の前記受け入れユニットの前記接続ユニットを介して、前記カートリッジシステムを前記ポンプユニットに解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ポートとを備え、前記カートリッジシステムが、請求項1から12のいずれか一項に記載の複合計数・阻止アセンブリを備える吸入装置の計数ユニットと相互作用するようになっている阻止ユニットを備える、交換可能なカートリッジシステム。
【請求項14】
請求項1から12のいずれか一項に記載の複合計数・阻止アセンブリを備える吸入装置システム用の吸入装置であって、
前記吸入装置が、
-受け入れユニットを有するハウジングであって、前記受け入れユニットが、前記交換可能なリザーバの接続ポートに解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニットを有し、前記受け入れユニットが、前記交換可能なリザーバを受けて前記交換可能なリザーバに流体的に接続するようになっている、ハウジングと、
-前記医学的に活性な液体の噴霧のためのノズルと、
-前記ハウジング内に配置されるポンプユニットであって、前記ノズルに流体接続されるようになっているとともに、交換可能なリザーバに接続可能であり、前記医学的に活性な液体を下流方向で交換可能なリザーバから前記ノズルに搬送するようになっており、前記ポンプユニットのプライミング時に前記交換可能なリザーバを休止位置からプライミング位置に移動させるようになっている、ポンプユニットと、
を備える吸入装置において、前記吸入装置が、
-請求項1から12のいずれか一項に記載の複合計数・阻止アセンブリの阻止ユニットと相互作用するようになっている計数ユニット、及び/又は
-請求項1から12のいずれか一項に記載の複合計数・阻止アセンブリの計数ユニットと相互作用するようになっている阻止ユニット、
のうちの少なくとも一方を備えることを特徴とする吸入装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医学的に活性な液体のための吸入装置の分野に関する。特に、本発明は、吸入装置と、医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバとを備える吸入装置システムに関し、吸入装置システムは複合計数・阻止アセンブリを備える。
【背景技術】
【0002】
液体用の噴霧器又は他のエアロゾル発生器は、当技術分野で長い間知られている。とりわけ、そのような装置は医学及び治療において使用される。そこでは、そのような装置は、エアロゾル、すなわち気体に埋め込まれた小さな液滴の形態の活性成分を適用するための吸入装置として機能する。そのような吸入装置は、例えば欧州特許第0627230号明細書から知られている。この吸入装置の必須構成要素は、エアロゾル化される液体が内部に収容されるリザーバ、液体を噴霧するのに十分に高い圧力を発生させるための圧送装置、並びにノズルの形態の霧化装置である。ポンプ装置によって、液体は、リザーバから離散量で、すなわち連続的ではなく引き出され、ノズルに供給される。ポンプ装置は、推進剤なしで作動し、機械的に圧力を発生させる。
【0003】
そのような吸入装置の既知の実施形態は、例えば国際公開第91/14468号パンフレットに提示される。そのような装置では、ハウジングに接続されるポンプ室内の圧力は、可動中空ピストンの移動によって生成される。ピストンは、不動のシリンダ又はポンプ室の内側に移動可能に配置される。中空ピストンの上流側に配置された入口は、リザーバの内部(すなわち、リザーバ管部分)に流体接続される。その下流側に配置された先端はポンプ室に通じる。また、ピストンの先端の内側には、リザーバへの液体の逆流を阻止する逆止弁が配置されている。
【0004】
更なる吸入装置が国際公開第2018/197730号パンフレットから知られている。この国際公開に開示されるハンドヘルド吸入装置は、ユーザに面する側を有するハウジングと、少なくとも2つの液体ジェットの衝突によって噴霧エアロゾルを生成するための衝突型ノズルであって、ハウジングに対して不動であるようにハウジングのユーザに面する側に強固に取り付けられる、衝突型ノズルと、ハウジング内に配置される流体リザーバと、ハウジング内に配置されるポンプユニットとを備え、ポンプユニットは、流体リザーバに流体接続される上流端と、ノズルに流体接続される下流端とを有する。ポンプユニットは、流体リザーバからノズルに流体を圧送するようになっており、ポンプユニット内のピストンとして機能するようになっているとともにハウジングに対して不動であるようにハウジングのユーザに向く側に強固に固定されたライザ管を備える。
【0005】
国際公開第2017/076938号パンフレットは、噴霧器を伴うシステム、並びに流体を伴う容器及びそのような噴霧器用のインジケータ装置を開示する。チェック方式は、噴霧器と共に既に使用されているか、又は噴霧器と共にまだ使用することができる容器の数を示すために使用される。インジケータ装置は、現在の容器で実行された、又は依然として可能な使用回数を示す。
【0006】
国際公開第2019/016409号パンフレットは、容器から液体を噴霧するための噴霧器及びそのような容器を開示する。噴霧器は、容器から所定用量の液体を引き出し、噴霧のためにそれぞれの用量を加圧するための流体ポンプを備える。容器は、容器内の液体を加圧して容器から液体を引き出すのを助けるためのピストン/シリンダ構成を有する空気ポンプを備える。制御弁は、液体に作用する空気圧を制限する。
【0007】
既知の吸入装置又は吸入装置システムは、一般に、通常は容器の起動数を計数し、容器が交換されるまで噴霧器の更なる使用を阻止する計数・阻止システムを利用する。この複合システムは、容器に取り付けられ、容器と一緒に交換されることが多く、容器の製造をより高価にする。
【0008】
本発明の目的は、吸入装置又は吸入装置システムで使用されるときにより柔軟性を可能にする新規な複合計数・阻止アセンブリを伴う吸入システムを提供することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2018/197730号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2017/076938号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2019/016409号パンフレット
【発明の概要】
【0010】
第1の態様において、本発明は、噴霧形態の医学的に活性な液体を吸入投与するための吸入装置システムに関し、
システムは、吸入装置(20)と、複数用量の医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバ(30)とを備え、吸入装置システムの作動ごとに1用量の医学的に活性な液体が吸入装置から分配され、
吸入装置(20)は、
-受け入れユニット(23)を有するハウジング(21)であって、受け入れユニットが、交換可能なリザーバ(30)の接続ポート(31)に解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニット(24)を有し、受け入れユニット(24)が、交換可能なリザーバ(30)を受けて交換可能なリザーバ(30)に流体接続するようになっている、ハウジング(21)と、
-医学的に活性な液体を噴霧するためのノズル(25)と、
-ハウジング(21)内に配置されるポンプユニット(40)であって、交換可能なリザーバ(30)及びノズル(25)に流体接続されるようになっているとともに、医学的に活性な液体を(下流側方向で)交換可能なリザーバ(30)からノズル(25)に搬送するようになっており、ポンプユニットのプライミング時に交換可能なリザーバを休止位置からプライミング位置に移動させるようになっているポンプユニット(40)と、
を備え、
吸入装置システムは、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)吸入装置システムの作動回数を計数するための計数ユニットと、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)所定の作動回数に達するときに交換可能なリザーバの休止位置からプライミング位置への移動を阻止するための阻止ユニットとを備える複合計数・阻止アセンブリを備え、
計数ユニット及び阻止ユニットは、交換可能なリザーバが休止位置にあるときに互いに物理的に分離され、交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動するたびに互いに相互作用するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】先行技術に係るカートリッジが吸入装置に挿入された状態の吸入装置システムの断面図を示す。
図2】本発明に係る吸入装置システムの概略的な実施形態を示す。
図3】計数ユニットと阻止ユニットを備える容器システムの形態の交換可能なリザーバとを伴う装置の下部を示す、吸入装置システムの下部の概略図を示す。
図4A】計数ユニットの典型的な実施形態の概要を示す。
図4B】計数ユニットの典型的な実施形態の概要を示す。
図4C】計数ユニットの典型的な実施形態の概要を示す。
図5A】任意選択的に交換可能なリザーバに取り付けられる阻止ユニットの典型的な実施形態の概要を示す。
図5B】任意選択的に交換可能なリザーバに取り付けられる阻止ユニットの典型的な実施形態の概要を示す。
図6A】計数ユニットの典型的な実施形態及び阻止ユニットとの潜在的な相互作用を示す。
図6B】計数ユニットの典型的な実施形態及び阻止ユニットとの潜在的な相互作用を示す。
図6C】計数ユニットの典型的な実施形態及び阻止ユニットとの潜在的な相互作用を示す。
図7A】計数ユニットの別の典型的な実施形態を示す。
図7B】計数ユニットの別の典型的な実施形態を示す。
図7C】計数ユニットの別の典型的な実施形態を示す。
図7D】計数ユニットの別の典型的な実施形態を示す。
図8A】阻止ユニット及び阻止機構の典型的な実施形態を示す。
図8B】阻止ユニット及び阻止機構の典型的な実施形態を示す。
図8C】阻止ユニット及び阻止機構の典型的な実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、噴霧形態の医学的に活性な液体を吸入投与するための吸入装置システムを提供し、
システムは、吸入装置(20)と、複数用量の医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバ(30)とを備え、吸入装置システムの作動ごとに1用量の医学的に活性な液体が吸入装置から分配され、
吸入装置(20)は、
-受け入れユニット(23)を有するハウジング(21)であって、受け入れユニットが、交換可能なリザーバ(30)の接続ポート(31)に解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニット(24)を有し、受け入れユニット(24)が、交換可能なリザーバ(30)を受けて交換可能なリザーバ(30)に流体接続するようになっている、ハウジング(21)と、
-医学的に活性な液体を噴霧するためのノズル(25)と、
-ハウジング(21)内に配置されるポンプユニット(40)であって、交換可能なリザーバ(30)及びノズル(25)に流体接続されるようになっているとともに、医学的に活性な液体を(下流側方向で)交換可能なリザーバ(30)からノズル(25)に搬送するようになっており、ポンプユニットのプライミング時に交換可能なリザーバを休止位置からプライミング位置に移動させるようになっているポンプユニット(40)と、
を備え、
吸入装置システムは、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)吸入装置システムの作動回数を計数するための計数ユニットと、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)所定の作動回数に達するときに交換可能なリザーバの休止位置からプライミング位置への移動を阻止するための阻止ユニットとを備える複合計数・阻止アセンブリを備え、
計数ユニット及び阻止ユニットは、交換可能なリザーバが休止位置にあるときに互いに物理的に分離され、交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動するたびに互いに相互作用するようになっている。
【0013】
本発明に係る吸入装置システムは、噴霧形態の医学的に活性な液体の吸入投与に適しており、本明細書で使用される「医学的に活性な液体」という用語は、薬理学的活性を有するか、又は薬理学的活性を有し、対象、特に温血動物又はヒト、特にヒトの疾患、障害又は状態などの呼吸器系の疾患、障害又は状態に関連する症状を改善又は予防することができる化合物又は組成物を含む液体化合物又は組成物を指す。そのような疾患、障害又は状態の具体例としては、限定されないが、喘息及び/又は慢性閉塞性肺疾患(COPD)、特にCOPD、又は肺及び肺組織の間質に影響を及ぼす間質性肺疾患、例えば気道及び/又は空気袋(肺胞)に関連するもの、例えば肺線維症、例えば特発性肺線維症(IPF)、間質性肺炎、又はサルコイドーシスが挙げられる。
【0014】
更に、本明細書で使用される「吸入投与」という用語は、医学的に活性な液体が、対象による噴霧形態又はエアロゾル化形態の医学的に活性な液体を含む他のキャリアガスの空気流の吸入によって、呼吸器系、特に対象の肺などの下呼吸器系に輸送される投与経路を指す。本明細書で使用される「噴霧された」、「エアロゾル化された」又は「霧化された」という用語は、同義的に、少なくとも2つの相:空気又は別のキャリアガスなどの気体であり、小さな液滴の形態の分散液相を含む連続相、及びそれ自体が液体溶液、分散液、懸濁液、又はエマルジョンを表し得る液相、すなわち医学的に活性な液体を有するエアロゾルの形態で存在する医学的に活性な液体の状態を指す。特定の実施形態では、そのようなエアロゾルは、好ましくはそれぞれ約10μm以下、特に約7μm以下、又は約5μm以下の空気動力学的質量中央径(レーザ回折によって測定)を有する呼吸可能な粒子又は液滴を有する。
【0015】
特定の実施形態では、本明細書で使用される「医学的に活性な液体」という用語は、少なくとも1つの活性医薬成分(API)、より具体的には少なくとも1つの吸入可能な活性医薬成分を含む医薬組成物の形態の医学的に活性な液体を指す。より具体的には、そのような少なくとも1つの吸入可能な活性医薬成分は、例えば、単独で又は互いに組み合わせて、長時間作用型ムスカリンアンタゴニスト(LAMA)、長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)及び吸入可能な糖質コルチコステロイド(ICS)、並びに鎮痛薬及び抗糖尿病薬から選択されてもよい。
【0016】
長時間作用型ムスカリン拮抗薬(LAMA)の例としては、限定されないが、臭化アクリジニウム、臭化グリコピロニウムなどのグリコピロニウム塩、ブレフェナシン、臭化チオトロピウムなどのチオトロピウム、臭化ウメクリジニウム、臭化オキシトロピウム、臭化フルトロピウム、臭化イプラトロピウム、塩化トロスピウム、トルテロジンが挙げられる。
【0017】
長時間作用型ベータアゴニスト(LABA)の例としては、限定されないが、アルブテロール、アロホルモテロール、バンブテロール、ビトルテロール、ブロキサテロール、カルブテロール、クレンブテロール、フェノテロール、ホルモテロール、ヘキソプレナリン、イブテロール、インダカテロール、インダクテロール、イソエタリン、イソプレナリンレボサルブタモール、マブテロールメルアドリン、メタプロテレノール、オロダテロール、オルシプレナリン、ピルブテロール、プロカテロール、レプロテロール、リミテロール、リトドリン、サルメテロール、サルメファモール、ソテレノト、スルホンテロール、チアラムド、テルブタリン、テルブテロールが挙げられる。
【0018】
吸入可能な糖質コルチコステロイド(ICS)の例としては、プレドニゾロン、プレドニゾン、ブチキソコート・プロピオネート、フルニソリド、ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ブデソニド、フルチカゾン、モメタゾン、シクレソニド、ロフレポニド、デキサメタゾン、エチプレドニゾロン-ジクロロアセテート、デフラザコート、エチプレドノール、ロテプレドノール、RPR-106541、NS-126、ST-26が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
更に、活性医薬成分は、オピオイド鎮痛薬(例えば、モルヒネ、フェンタニル)又は非オピオイド鎮痛薬(例えばサリチル酸誘導体、例えばアセチルサリチル酸)又はカンナビノイド(例えばテトラヒドロカンナビノール)などの鎮痛薬、インスリンなどの抗糖尿病薬から選択されてもよい。
【0020】
本吸入装置システムによって噴霧又はエアロゾル化され得る医学的に活性な液体又は液体医薬組成物は、上記の少なくとも1つの活性な薬学的成分を含み得るが、吸入によって投与され得る2つ以上の活性な薬学的成分の混合物も含み得る。
【0021】
本発明に係る吸入装置システムによってエアロゾル化することができる医学的に活性な液体又は医薬組成物は、好ましくは、吸入使用に適し、適合した組成物、換言すれば、吸入のために噴霧化又はエアロゾル化することができ、対象による吸入のために生理学的に許容される組成物として製剤化される。
【0022】
本吸入装置システムによって投与され得るか、又は対応する交換可能なリザーバ内に収容され得る医学的に活性な液体又は医薬組成物は、分散液の形態、例えば液体連続相及び固体分散相を有する懸濁液の形態又は溶液の形態であり得る。
【0023】
更なる実施形態では、上記の医学的に活性な液体又は医薬組成物は、任意選択的に、吸入使用に適した1つ以上の生理学的に許容される賦形剤を含んでもよい。組成物において特色とされ得る賦形剤には、溶液のpHを調節又は制御するための1つ以上の緩衝剤、塩、矯味剤、界面活性剤、脂質、酸化防止剤、及び共溶媒が含まれ得るが、これらに限定されず、これらは溶解度、例えばエタノール又はグリコールを増強又は改善するために使用され得る。
【0024】
特定の実施形態では、上記の医学的に活性な液体は、ヒドロフルオロアルカン(HFA)噴射剤などの噴射剤を本質的に含まなくてもよい。
【0025】
更なる特定の実施形態では、上記の医学的に活性な液体は水溶液であってもよく、その中で上記の1つ以上の活性な薬学的成分は、水を含む液体担体溶液に溶解され、可溶化される。そのような水溶液はまた、場合により、上記の1つ以上の賦形剤を含んでもよい。
【0026】
本発明の吸入装置システムは、吸入装置と、医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバとを備える。本発明の吸入装置システムの吸入装置は、特定の実施形態では、手持ち式装置であってもよく、換言すれば、片手で便利に保持して使用することができ、吸入療法のために前述したように噴霧された医学的に活性なエアロゾルを送達するのに適したモバイル装置であってもよい。吸入療法に適しているために、装置は、その粒径が呼吸可能である、すなわち前述の範囲の呼吸可能な粒子で患者又は使用者の肺によって取り込まれるのに十分小さい医学的に活性なエアロゾルを放出することができなければならない。この点で、吸入装置は、米国特許出願公開第2004/0068222号明細書に開示されているような、経口又は経鼻投与用のスプレーを放出する装置とは実質的に異なる。
【0027】
本システムの吸入装置は、吸入装置の外側ケーシング、具体的には、吸入装置の更なる構成要素が受け入れられ及び/又は取り付けられる外側ケーシングを画定するハウジングを備える。ハウジングは、特に前述の吸入投与のために、吸入装置のユーザが接触することができるユーザに面する側を有することができる。特定の実施形態では、ユーザに面する側は、特に噴霧された医学的に活性な液体の吸入又は投与のために、ユーザの口に導入することができるマウスピースであってもよい。
【0028】
更に、ハウジングは、好ましくは吸入装置の上流端に配置された下部を有することができ、下部は、ハウジングを開き、交換可能なリザーバを挿入することができる受け入れユニットへのアクセスを可能にするために、移動、開放、又は取り外し、少なくとも部分的に取り外すことができる。本明細書で使用される「上流」という用語は、本吸入装置、吸入装置システム、カートリッジシステム、又は他の構成要素に関して、動作中に吸入装置によって医学的に活性な液体が搬送される方向又は位置を意味する。これとは対照的に、本明細書で使用される「下流」という用語は、動作中に吸入装置によって医学的に活性な液体が搬送される反対の方向又は位置を意味する。
【0029】
ハウジングの前記下部は、好ましくは、以下に定義されるような受け入れユニットへのアクセスを与えるように移動可能である。一実施形態では、これは、受け入れユニットへのアクセスを提供する可動要素に対応する。幾つかの実施形態では、前記可動要素はハウジングに恒久的に取り付けられ、特定の実施形態では、前記可動要素は、例えばヒンジでハウジングに接続される。他の実施形態では、可動要素はハウジングから取り外し可能である。
【0030】
幾つかの実施形態では、吸入装置のハウジングは、ポンプユニット、ノズル、及び受け入れユニットを備える固定部分と、少なくとも1つの可動部分とを有し、可動部分は、閉状態及び開状態から、及び/又は休止位置からプライミング位置まで可動である。
【0031】
吸入装置、より具体的には、本吸入装置のハウジングは、以下で更に詳細に説明するように、交換可能なリザーバ又はカートリッジシステムを受けるようになっている受け入れユニットを備える。受け入れユニットは、交換可能なリザーバの接続ポートに解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニットを有する。本明細書で使用される「流体接続する」という用語は、2つの接続要素に関して、好ましくはガス又は液体などの流体の一方の要素から他方の要素への移送を可能にする、好ましくは気密及び/又は液密接続が、好ましくはそのような流体が一方の要素から他方の要素に完全に移送されるように確立されるか又は確立されてもよいことを意味する。
【0032】
幾つかの実施形態では、ハウジングの可動部分は、ハウジングの受け入れユニットを覆って閉じるキャップの形態である。
【0033】
ハウジングの受け入れユニットは、以下で更に詳細に説明するように、交換可能なリザーバを受けるか、又は幾つかの実施形態では、完全に受けて流体的に接続するようになっている。これは、特に本明細書で使用される「完全に受け入れる」という用語に関して、そのような交換可能なリザーバは、受け入れユニット及びハウジングが交換可能なリザーバを完全に封入又は収容することができるように、好ましくは受け入れユニットに導入されたときに交換可能なリザーバの表面が吸入装置のハウジングによって完全に封入されるように、ハウジングの受け入れユニットに完全に導入され得ることを意味する。
【0034】
本発明のシステムの吸入装置は、医学的に活性な液体を噴霧するためのノズルを更に備える。当業者は、衝突型ノズル、旋回ノズル、オリフィスノズル、表面衝突ノズル又は多流体ノズルなど、本発明のシステムによって投与される医学的に活性な液体の噴霧、エアロゾル化又は霧化に適した異なる種類のノズルを知っている。しかしながら、特定の実施形態では、本吸入装置のノズルは衝突型である。これは、ノズルが、衝突して小さなエアロゾル液滴に分解するように向けられた少なくとも2つの液体ジェットを放出するようになっていることを意味する。特定の実施形態では、ノズルは、ハウジングに対して、又は少なくともユーザ(例えば、患者)に面するハウジングの側面もしくは部分に対して不動であるか、又は移動不能であるように、又はより具体的には、装置が使用されるときにユーザの口に導入されるように、ハウジング、特に吸入装置のハウジングのユーザに面する側に強固に固定される。
【0035】
本発明のシステムの吸入装置は、吸入装置のハウジング内に配置されたポンプユニットを更に備える。ポンプユニットは、特に受け入れユニットの接続ユニットを介してリザーバに流体接続されるようになっている。特定の実施形態では、ポンプユニットは、受け入れユニットの接続ユニットを介してリザーバに流体接続される。更に、ポンプユニットはまた、ノズルに流体接続されるようになっており、又は特定の実施形態では、ノズルに接続され、更に、リザーバからノズルへと下流方向に医学的に活性な液体を搬送する、言い換えれば圧送するようになっている。
【0036】
本発明の吸入装置に含まれるポンプユニットは、特定の実施形態では、噴霧された医学的に活性な液体を不連続な様式で、すなわち個別のユニットの形態で送達するのに適しており、送達するようになっており、ポンプサイクルごとに1つのユニットが送達される。この態様では、吸入装置は、典型的には数秒から数分までの期間にわたって連続的に噴霧エアロゾルを生成及び送達するジェット式噴霧器、超音波噴霧器、振動メッシュ式噴霧器、又は電気流体力学的噴霧器などの一般的に知られている噴霧器とは異なり、その結果、エアロゾルは、患者又はユーザによって吸入されるために多数の連続的な呼吸操作を必要とする。代わりに、本発明の吸入装置は、個別のエアロゾル単位を生成して放出するようになっており、各単位は、1回の圧送サイクルでポンプユニットによってノズルに圧送される流体(すなわち、医学的に活性な液体)の量(すなわち、体積)に対応し、そこで直ちにエアロゾル化されてユーザ又は患者に送達される。逆に、1回の圧送サイクルでポンプユニットによって圧送される液体の量は、患者が投与ごとに受け取る薬理学的に活性な薬剤の量を決定する。したがって、所望の治療効果を達成することに関して、ポンプユニットが正確に、確実に、再現可能に動作することが非常に重要である。高い精度及び再現性を示すそのような吸入装置、具体的には以下で更に詳細に説明するようなポンプユニットを組み込んだ吸入装置は、当業者に知られており、国際公開第2018/197730号パンフレットに記載されており、その開示はその全体が本明細書に組み込まれる。しかしながら、ポンプユニットの具体的な設計は変更されてもよく、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2012/0090603号明細書に記載されているユニットなどの更なるポンプユニットも本発明の吸入装置に使用されてもよいことに留意すべきである。
【0037】
特定の実施形態では、ポンプユニットはまた、ハウジング内に配置されてもよく、プランジャポンプとも呼ばれるピストンポンプとして機能するようになっていてもよく、ライザ管は、中空シリンダ内で長手方向に移動可能なピストン又はプランジャとして機能する。ポンプユニットは、交換可能なリザーバに流体接続された上流端と、ノズルに流体接続された下流端とを有してもよい。更なる特定の実施形態では、ポンプユニットは、ポンプユニット内のピストンとして機能するようになっていてもよいライザ管と、中空シリンダと、位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段とを備えてもよい。ロック可能手段は、ロックされたときに位置エネルギーを蓄積することができ、渦巻きばね又は他の弾性要素などのロック解除されたときに蓄積エネルギーを放出するように適合され得る。ロック可能手段は、手段のロックを解除すると、ポンプユニットの下流端に向かってシリンダが長手方向に推進移動するように、中空シリンダの外側に配置され、中空シリンダに機械的に結合されてもよい。そのようなライザ管の上流端が移動するそのような中空シリンダの内側セグメントは、シリンダに対するライザ管の位置に応じて可変容積を有するポンプ室を形成する。
【0038】
一般に、位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段がロックされて位置エネルギーを蓄積する場合、吸入装置システムはプライミング状態にあり、前記プライミング状態において、リザーバはプライミング位置にある。位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段が解放されロック解除される場合、吸入装置システムは休止状態にあり、交換可能なリザーバは休止位置にある。
【0039】
ポンプ室を提供する中空シリンダは、任意選択のリザーバパイプ(又はリザーバパイプ部)などによって、直接的又は間接的に、交換可能なリザーバに、又はより具体的には交換可能なリザーバの接続ポートに流体接続されてもよい。同様に、リザーバに面する、中空シリンダ内に受けられ得る内部(上流)端部を有するライザ管は、その下流又は外部端部において、直接的又は間接的に、ノズルに液密に流体接続することができる。
【0040】
これに関連して、「中空シリンダ」という表現は、円筒形状を有するか、又は円筒空間を有するセグメントを有する内部空隙を含むという意味で中空である部品又は部材を指す。言い換えれば、他のタイプのピストンポンプに適用可能であるように、それぞれの部品又は部材の外形が円筒形である必要はない。更に、「中空シリンダ」という表現は、「中空」空間が材料、例えば噴霧される液体で満たされ得るそれぞれの部品又は部材の動作状態を排除するものではない。
【0041】
本明細書で使用する場合、長手方向の動きは、中空シリンダの主軸に沿った動きであり、推進移動は、下流(又は前方)方向の部品の動きである。
【0042】
特定の実施形態では、本発明の吸入装置のポンプユニットのライザ管は、シリンダの下流に配置されてもよく、ハウジング又はハウジングのユーザに面する側を含むハウジングの少なくとも一部に対して不動であるように、ハウジングのユーザに面する側に強固に固定されてもよい。誤解を避けるために、「強固に固定される」という用語は、それぞれの部品間の相対移動を防止するように、直接的又は間接的に(すなわち、1つ以上の接続部を介して)固定されることを意味する。ノズルはまた、好ましくは、ハウジング又はハウジングのそれぞれの部分に対して不動であるので、ライザ管もまた、好ましくは、ノズルに対して不動であり、圧送作用は、これらの実施形態では、中空シリンダの長手方向の動きによってもたらされる。この実施形態ではライザ管に対して上流位置に配置されているシリンダの推進移動は、ポンプ室の容積の減少をもたらし、シリンダの反発移動は、容積の増加をもたらす。換言すれば、これらの実施形態では、ライザ管は、ハウジングに対するその位置を維持し、中空シリンダは、ハウジングに対するその位置を、特にその長手方向軸に沿って、可動円筒部材内の不動ライザ管のシリンダ内ピストン型移動を実行するように変更することができる。
【0043】
この構成は、米国特許出願公開第2012/0090603号明細書に開示されているように、そのライザ管が上流位置にあって円筒部材が下流位置にあるポンプユニットに依存する他の衝突型吸入装置であって、ライザ管が移動可能であり、円筒部材がハウジングに固定される、衝突型吸入装置とは異なる。前述のような固定されたライザ管を有する装置の重要な利点は、ポンプ室と交換可能なリザーバとの間の通路を、その寸法に関してより少ない制限で設計できることである。このような装置は、非常に大きな入口弁(逆止弁とも呼ばれる)を収容することが可能であり、これは、狭いライザ管内に収容する必要がないため、製造が容易である。代わりに、ポンプユニットの固定ライザ管設計は、ハウジングの内部サイズ又は位置エネルギーを蓄積する手段の寸法によってのみサイズが制限される逆止弁の使用を可能にする。言い換えれば、バルブ、ライザ管、及び使用される場合はリザーバ管の直径は、互いに一致する必要はない。更に、この実施形態では、可動ピストンを交換可能なリザーバに接続する必要がないため、リザーバへの流体接続をもたらす構成要素は、可動構成要素、すなわち中空シリンダとは独立して設計することができ、個々の部品をそれぞれの個々の機能に適するように適合させことができる。この点において、この特定の実施形態による固定ライザ管設計は、可動中空シリンダが、その堅牢な構造及び寸法に起因して、それほど堅牢ではない可動ライザ管よりも、リザーバとの機械的に安定した接続を設計するためのより良好な機会を提供するので、より高い設計柔軟性を提供する。また、この実施形態では、中空シリンダと交換可能なリザーバとの間の接続は、より高い流速及び流体粘度が実現可能になるように、より大きな直径で設計することができる。更に、交換可能なリザーバの支持体は、シリンダを含む任意の構成要素に一体化することができる。更に、この実施形態では、交換可能なリザーバの圧力平衡のための任意の通気口は、リザーバ本体自体から離れて、例えば、交換可能なリザーバとポンプユニットの中空シリンダとの間の界面を形成するコネクタに移動することができ、したがって構造が容易になり、本質的に「開いた」リザーバ本体を設ける必要性が回避される。これは、リザーバが本発明の場合のように交換可能なリザーバとして設計されている場合に特に重要である。
【0044】
前述したように、位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段は、そのロック状態でエネルギーを蓄積し、ロック解除されたときに蓄積エネルギーを放出するようになっていてもよい。特定の実施形態では、ロック可能手段は、手段のロックを解除すると、ポンプユニットの下流端に向かって中空シリンダが長手方向に推進移動するように、中空シリンダに機械的に結合される。この移動中、シリンダの内容積、すなわちポンプ室の容積は減少する。逆に、位置エネルギーを蓄積する手段がロック状態にあるとき、中空シリンダは、ポンプ室の容積が最大であるその最上流位置にある。ロック状態は、プライミング状態と考えることもできる。エネルギーを蓄積する手段の状態が、装置のプライミングと呼ばれ得るロック解除状態からロック状態に変更されると、中空シリンダは、反発する長手方向移動、すなわち、その最も下流の位置からその最も上流の位置に向かって移動する。圧送サイクルは、中空シリンダの最も下流の位置からその最も上流の(又はプライミングされた)位置へと始まり、次にそのエネルギーを放出する位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段によって駆動され、その最も下流の位置に戻る、中空シリンダの2つのその後の対向する移動からなる。好ましい実施形態では、交換可能なリザーバは、前記移動中に中空シリンダと共に移動する。
【0045】
特定の実施形態では、ポンプユニットは、高圧ポンプユニットであり、少なくとも約50バールの圧力で作動するか、又は流体を排出するようになっている。他の好ましい実施形態では、ポンプユニットの動作圧力は、それぞれ少なくとも約10バール、又は少なくとも約100バール、又は約2バール~約1000バール、又は約50バール~約250バールである。本明細書で使用される場合、作動圧力は、ポンプユニットが、医学的に活性な成分の吸入可能な水性液体製剤などの投与される医学的に活性な液体をその圧送チャンバから下流方向に、すなわちノズルに向かって排出する圧力である。これに関連して、「動作するようになっている」という表現は、ポンプユニットの構成要素が、指定された圧力での動作を可能にするように、材料、寸法、表面の品質及び仕上げに関して選択されることを意味する。
【0046】
更に、そのような高圧ポンプユニットは、位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段が、それぞれの圧力が得られるような力でシリンダの推進長手方向移動を駆動するのに十分な量のエネルギーを蓄積及び放出することができることを意味する。
【0047】
位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段は、引張又は加圧ばねとして設計されてもよい。或いは、金属体又はプラスチック体の他に、気体媒体又は磁力利用材料もエネルギー蓄積手段として使用することができる。圧縮又は引張りによって、位置エネルギーが手段に供給される。手段の一端は、適切な位置でハウジング又はハウジング内に支持されてもよく、したがって、この端部は本質的に不動である。他端は、ポンプ室を提供するポンプユニットの中空シリンダに接続されてもよく、したがって、この端部は本質的に可動であり得る。位置エネルギーを蓄積するための手段は、十分な量のエネルギーを負荷した後にロックすることができ、ロック解除が行われるまでエネルギーを蓄積することができる。ロック解除されると、手段は、ポテンシャルエネルギー(例えば、ばねエネルギー)をポンプ室を有するシリンダに解放することができ、ポンプ室はその後、(この場合、長手方向)移動を実行するように駆動される。典型的には、エネルギー放出は急激に起こるため、かなりの量の医学的に活性な液体が放出される前にポンプ室内に高圧が蓄積する可能性があり、これにより圧力が低下する。実際、放出相のかなりの部分の間、位置エネルギーの蓄積手段によって送達される圧力と、既に放出された医学的に活性な液体の量との平衡が存在する。したがって、医学的に活性な液体の量は、この段階の間、本質的に一定のままであり、これは、文献米国特許出願公開第2005/0039738号明細書、米国特許出願公開第2009/0216183号明細書、米国特許出願公開第2004/0068222号明細書、又は米国特許出願公開第2012/0298694号明細書に開示されている装置など、放出のためにユーザの手動の力を使用する装置にとって大きな利点であり、これは、手動の力が個々のユーザ又は患者に依存し、放出段階の間に大きく変化する可能性が非常に高く、不均一な液滴の形成、サイズ、及び量をもたらすためである。従来技術とは対照的に、本発明に係る手段は、吸入装置が高度に再現可能な結果をもたらすことを保証する。
【0048】
更なる実施形態では、位置エネルギーを蓄積するための手段はまた、高度に加圧されたガス容器の形態で提供されてもよい。適切な配置及びその反復可能な断続的な起動(すなわち、開放)によって、ガス容器内に蓄積されたエネルギーの一部をシリンダに放出することができる。このプロセスは、残りのエネルギーがポンプ室内に所望の圧力を再び構築するのに不十分になるまで繰り返すことができる。この後、ガス容器を補充又は交換しなければならない。
【0049】
特定の実施形態では、位置エネルギーを蓄積するためのロック可能手段は、撓んだ状態で少なくとも10Nの荷重を有するばねである。好ましい実施形態では、位置エネルギーを蓄積する手段は、撓んだ状態で約1N~約500Nの荷重を有する鋼製の圧縮ばねである。他の好ましい実施形態では、鋼製の圧縮ばねは、その撓んだ状態で約2N~約200N、又は約10N~約100Nの荷重を有する。
【0050】
1つの好ましい実施形態では、単回用量の薬剤(すなわち、医学的に活性な液体の噴霧エアロゾル)は、1単位、すなわち、1回の圧送サイクルでエアロゾルを生成するためにポンプユニットからノズルに送達される量に含まれる。この場合、ユーザ又は患者は、装置を1回だけプライミング及び作動させ、放出されたエアロゾルを投与ごとに1回の呼吸操作で吸入する(すなわち、投与事象ごとに)。
【0051】
別の好ましい実施形態では、単回用量の薬剤は2単位のエアロゾルからなり、したがって2回の圧送サイクルを必要とする。典型的には、ユーザ又は患者は、吸入装置をプライミングし、エアロゾルの単位を放出して吸入するように吸入装置を作動させ、次いで手順を繰り返す。或いは、3つ以上のエアロゾルユニットが単一の投与を構成してもよい。
【0052】
1回の圧送サイクルで本吸入装置システムのポンプユニットによって圧送される流体(例えば、医学的に活性な液体)の量は、好ましくは、約0.1μL~約1000μL、又は約1μL~約250μL、又は約2μL~約150μLの範囲であってもよい。特に、量は、約2μL~約50μL、又は約5μL~約25μL、より具体的には約10μL~約20μL、例えば約15μLの範囲であり得る。これらの量の範囲は、吸入装置によって生成されるエアロゾルの1単位に含まれる液相の体積とほぼ同じであり、おそらく装置内の液体の微小損失に起因してわずかな差がある。
【0053】
更なる特定の実施形態では、吸入装置のポンプユニットは、中空シリンダ内に配置された、逆止弁又は入口逆止弁とも呼ばれる入口弁を備える。この実施形態によれば、中空シリンダの内部空間、すなわちポンプ室は、入口逆止弁を介して流体リザーバと流体的に接続される。入口弁は、ポンプ室への液体の流入を可能にするが、交換可能な流体リザーバへの、又は交換可能な流体リザーバへの医学的に活性な液体の逆流を防止する。好ましい実施形態では、入口弁の位置は、中空シリンダの内容積のほぼ全体をポンプ室として機能するために利用可能にするように、シリンダの上流端又はその近くにあってもよい。或いは、入口弁は、シリンダの上流セグメント及び下流セグメントを画定するように、中空シリンダの(長手方向の)主軸に沿ってより中央に配置されてもよく、上流セグメントは入口バルブの上流にあり、下流セグメントはバルブの下流にある。この場合、ポンプ室は下流セグメントに位置する。
【0054】
前述したように、固定又は不動ピストンを有するポンプユニットの特定の実施形態の有利な効果の1つは、比較的大きな寸法を有する入口弁がこの位置、すなわちポンプ室の上流端に収容され得ることである。これは、弁内の流体導管の大きな寸法を可能にし、したがって吸入装置のプライミング中にポンプ室の急速な充填につながる高い流体速度を可能にするので、特に有益である。更に、可溶性活性成分の高濃度溶液など、吸入のための通常の液体製剤よりも高い粘度を有する医学的に活性な液体の使用が、吸入療法のために実現可能になる。
【0055】
更なる実施形態では、入口弁は、弁の上流側と下流側、すなわち流体リザーバ側とポンプ室側との間の圧力差が所定の閾値を超えた場合にのみ開くようになっていてもよく、圧力差が閾値を下回る限り閉じたままである。これに関連して、「圧力差」という用語は、絶対圧力値に関係なく、2つの側の間の相対圧力差のみが、バルブが阻止するか開くかを決定するために関連することを意味する。例えば、上流(リザーバ)側の圧力が既に正(例えば、熱膨張による1.01バール)であるが、下流(ポンプ室)側の圧力が周囲圧力(例えば、1.0バール、装置の起動なし)である場合、圧力差(ここでは0.01バール)が閾値(例えば、20mbar)を下回っているため、開弁方向に正圧がかかっても弁は閉じたままである。このことは、閾値圧力が満たされるまで逆止弁が閉じたままであり、したがって、例えば吸入装置が使用されていないときに、リザーバとポンプ室との間の通路を安全に閉じたままにすることを意味する。閾値圧力差の例は、1から1000mbarの範囲、より好ましくは約10から約500mbarの間、又は約1から約20mbarの間である。
【0056】
本吸入装置システムの吸入装置を作動させる場合、位置エネルギーを蓄積する手段がその状態をロック状態からロック解除状態に変化させると、シリンダにその推進長手方向移動を実行させるエネルギーが放出され、ポンプ室内にかなりの圧力が蓄積される。これは、ポンプ室内の高圧及び圧力差の閾値を超える流体リザーバ内の実質的に低い圧力に起因して顕著な圧力差を生成し、その結果、逆止弁が開き、圧力室が交換可能なリザーバからの医学的液体で満たされるようになる。
【0057】
そのような閾値圧力差で動作するように設計され得るバルブタイプは、ばねで予め荷重されたボールバルブである。ばねはボールをその座に押し込み、ばね力に作用する圧力がばね力を超える場合にのみ、ボールバルブが開く。その構造に応じて、そのような閾値圧力差で動作することができる他の弁タイプは、ダックビル弁又はフラップ弁である。
【0058】
閾値圧力差で動作するそのような弁の利点は、吸入装置が能動的に使用されるまでリザーバを閉じたままにすることができ、したがって、装置輸送中にカートリッジシステムに蓄積された医学的に活性な液体の望ましくない飛散、又は装置の長期蓄積中の蒸発を低減することである。
【0059】
更なる特定の実施形態では、本発明に係るシステムの吸入装置は、ライザ管から中空シリンダへの液体又は空気の戻り流を回避するために、ライザ管の内側又はライザ管の端部に出口弁を更に備えてもよい。多くの場合、そのような出口弁の使用が有利であることが分かる。典型的には、ライザ管の下流端は、ノズルの近くに配置される。ノズルは、外気と流体連通している。シリンダの長手方向の推進移動によって駆動される、ポンプユニットからノズルを通って送達される医学的に活性な液体の量をエアロゾル化された形態で放出した後、ポンプ室を再充填しなければならない。この目的のために、ポンプ室の内容積が増加するように、ライザ管上をその前の上流位置(すなわち、反発長手方向移動を実行する)にスライドして戻る。これに伴い、ポンプ室の内部に相対的な負圧「負圧」が発生し、ポンプ室の上流に位置する交換可能なリザーバからポンプ室に液体が吸引される。しかしながら、そのような相対的な負圧はまた、ライザ管を通ってノズルの外側まで下流に伝播することができ、空気がノズル又はノズル開口を通って装置に吸い込まれることにつながる可能性がある。この問題は、ノズル開口に向かって開き、反対方向に阻止する出口逆止弁とも呼ばれる出口弁を設けることによって回避することができる。
【0060】
任意選択的に、出口弁は、上記の入口弁との関連で説明したように、閾値圧力差未満に阻止する(及び閾値圧力差を超えて開く)タイプのものである。ばねを備えたボールバルブが使用される場合、ポンプ室の内部圧力と周囲圧力との間の差が閾値圧力差値を超えると、出口バルブが開くように、ばね力をポンプ室に向けなければならない。そのような弁の利点は、前述のそれぞれの利点に対応する。
【0061】
前述したように、出口弁は、前述したようにライザ管内に配置されてもよい。或いは、吸入装置は、ライザ管内に組み込まれておらず、ライザ管の一方の端部又はその近傍、特にその下流端又はその近傍、例えばライザ管とノズルとの間の別個のコネクタに配置された出口弁を備える。この実施形態は、特定の場合、例えば、バルブの一体化を困難にする特に小さい直径を有するライザ管が必要な場合に有利であり得る。ライザ管の下流に出口弁を収容することにより、比較的大きな直径を有する弁を使用することができ、したがって弁設計の要件が簡素化される。
【0062】
更なる代替実施形態では、出口弁は存在しない。この実施形態は、衝突型ノズルの流体チャネルが比較的小さい断面を有することができ、吸入装置のプライミング中に所与の圧力条件で医学的に活性な液体のわずかな又は非常に遅い逆流をもたらすので、実現可能であり得る。特定の製品用途を考慮して逆流量が許容可能であると考えられる場合、吸入器設計は、出口弁を回避することによって単純化され得る。
【0063】
いずれの場合でも、吸入装置が出口弁の有無にかかわらず、他の装置の特徴に関して説明した他の全ての選択肢及び選好は、これらの代替実施形態の両方に適用可能である。
【0064】
本発明の吸入装置システムに含まれる医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバは、カートリッジシステムの形態で提供される。本発明のカートリッジシステムは、全体積Vを有し、本明細書で使用される「全体積」という用語は、カートリッジシステムの外壁などのその全ての構成要素を含むカートリッジシステム全体の収容部を意味する。カートリッジシステム全体の全体積Vは、典型的な実施形態では、約0.1mL~約100mL、又は約0.1mL~約50mL、又は約0.2mL~約30mL、例えば約2.5mL~約20mL、又は約5mL~約15mLの範囲内で選択されてもよい。
【0065】
本発明の交換可能なカートリッジシステムは、上流端及び下流端を有し、医学的に活性な液体を保持するための有効容積Vを有する容器部と、特に吸入装置の受け入れユニットの接続ユニットを介してカートリッジシステムをポンプユニットに解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ポートとを備える。
【0066】
本交換可能なカートリッジシステムの容器部は、典型的な実施形態では、約0.1~約50mL、又は約0.1mL~約25mL、又は約1mL~約15mL、又は約1~約10mL、具体的には約3mL~約6mL、又は約6mL~約9mL、より具体的には約4.0mL~約5.0mL、又は約7.0mL~約8.0mLの範囲内で選択される有効容積Vを有する。
【0067】
特定の実施形態では、容器部の接続ポートは、容器部の下流端に取り付けられたキャップなどのキャップの形態であってもよい。接続ポートは、容器部の内側ルーメン及びその中に収容された医学的に活性な液体への流体接続を確立することを可能にする開口を有することができる。「有効容積」という用語は、容器部の外壁又はキャップなどの接続ポートなどのその全ての構成要素を含む容器部全体の収容を意味する。容器部などの中空体に関連して本明細書で使用される「ルーメン」又は「内側ルーメン」という用語は、そのような内部空間又は空洞が前記中空体の外壁によって完全に又は部分的にのみ囲まれているか否かにかかわらず、そのような中空体の内側の内部空間又は空洞を意味する。
【0068】
更なる特定の実施形態では、本交換可能なカートリッジシステムの容器部は、可撓性容器の形態であってもよく、又は剛性もしくは言い換えれば寸法的に安定した容器の形態であってもよい。本明細書で使用される「剛性」又は「寸法的に安定」という用語は、その中に収容された医学的に活性な液体が本吸入装置システムの標準的な動作中に容器から排出されるとき、又は換言すれば、医学的に活性な液体の噴霧及び投与中にポンプユニットによって容器部から医薬活性な液体が引き出されるときに、容器部がその形状又は体積を変化しないことを意味する。本吸入装置システムの特定の実施形態では、本交換可能なカートリッジシステムの容器部は、寸法的に安定した容器の形態である。更なる特定の実施形態では、本交換可能なカートリッジシステムの容器部は、以下で更に詳細に説明するように、可撓性又は折り畳み可能な内側容器を含む寸法安定性容器の形態であり、内側容器は、本発明の吸入装置システムによって投与される医学的に活性な液体を含む。
【0069】
一般に、容器部は、特に寸法的に安定した形態で提供される場合、容器部又はそのような容器部を含む交換可能なカートリッジシステム全体を本吸入装置システムの吸入装置に導入することを可能にする任意の適切な形状を有することができる。特定の実施形態では、適切な形状は、ボトル型又は管状又は円筒形を含むが、これらに限定されず、対称及び非対称の形状を実施することができる。特に、その上流端の中心をその下流端の中心に接続する容器装置又はカートリッジシステムの主回転軸に関して容器装置又はカートリッジシステム全体の軸対称性に関して、これは、容器装置又はカートリッジシステムが特定の向きのみで吸入装置に挿入されてもされなくてもよい有利な実施形態を可能にし得る。しかしながら、好ましい実施形態では、吸入装置又はカートリッジシステム全体は、容器装置又はカートリッジシステムが長手方向主軸線の周りの回転方向とは無関係に吸入装置に導入され得るように、実質的に円形の断面形状を有してもよい。
【0070】
更なる実施形態では、容器部は、蓄積及び投与される医学的に活性な液体を充填又は排出するために、好ましくはその下流端に(主)開口を有するボトルの形態であってもよい。しかしながら、容器部は、例えば換気目的のための更なる(小さな)開口を備えてもよいことに留意すべきである。
【0071】
特定の実施形態では、交換可能なリザーバの容器部は、医学的に活性な液体を保持し、最大内容積Vを有する内側容器を含むことができる。容器部に関連して本明細書で使用される「内容積」(V)という用語は、液体、具体的には本発明に係る吸入装置システムによって投与される医学的に活性な液体で(部分的に又は完全に)充填することができる容器部の総内容積を意味する。したがって、医学的に活性な液体で完全に充填された容器部の内容積Vは、そのような完全に充填された容器部に含まれる医学的に活性な液体の容積に対応する。典型的な実施形態では、最大内容積Vは、容器部の有効容積Vにほぼ対応し、好ましくは0.1~約15mL、又は約1~約10mL、具体的には約3mL~約6mL、又は約6mL~約9mL、より具体的には約4.0mL~約5.0mL、又は約7.0mL~約8.0mLの範囲内で選択されてもよい。しかしながら、更なる実施形態では、任意選択の内側容器の最大内容積Viは、容器部の有効容積Vよりも小さくてもよく、その結果、容器部のルーメン全体が任意選択の内側容器で充填されない状況が生じる。
【0072】
例えば、リザーバの容器部に収容され得る内側容器は、可撓性又は弾性壁などによって折り畳み可能に設計されてもよい。そのような設計の効果は、リザーバの漸進的な空にすることを含む装置の繰り返し使用時に、可撓性又は弾性の壁が座屈し又は折り畳まれてリザーバの内容積を減少させ、その結果、一定量の液体の抽出に必要な負圧が使用期間にわたって実質的に増加する必要がないことである。特に、交換可能なリザーバの任意選択の内側容器は、折り畳み式バッグとして設計されてもよい。折り畳み式バッグの利点は、リザーバ内の圧力が充填レベルと殆ど無関係であり、熱膨張の影響が殆ど無視できることである。また、そのようなリザーバタイプの構造はかなり単純であり、既に十分に確立されている。しかしながら、更なる実施形態では、内側容器は、内部に蓄積された医学的液体の投与中の周囲雰囲気との圧力平衡が、入口弁又は可動ピストンなどの他の手段によって達成される非可撓性又は剛性の形態を有してもよい。
【0073】
カートリッジシステムの容器部は、特定の実施形態では、ポリマー材料から、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオキシメチレン(POM)、ポリスチレンなどの熱可塑性ポリマーから作製又は製造することができる。別の実施形態では、容器部は、ステンレス鋼、アルミニウム又は他の適切な金属又はそれらの混合物などの金属で作製されてもよい。しかしながら、好ましい実施形態では、容器部は、ポリエチレン又はポリプロピレン、好ましくはポリプロピレンで作られる。しかしながら、好ましくはキャップの形態の接続ポートなどの容器部の別個の構造は、前述したのと同じ又は別の金属又は非金属材料から形成されてもよいことに留意すべきである。
【0074】
一般に、カートリッジシステムは、対称又は非対称の断面形状を有してもよい。カートリッジシステムが特定の向きでのみ吸入装置の受け入れユニットに導入され又は受け入れられ得ることが重要であり得る場合、非対称断面が有利であり得る。一方、特に、例えば乳児又は障害のあるユーザのためのカートリッジシステムの挿入を容易にするために、カートリッジシステムは、円形断面(下流端を交換可能なカートリッジシステムの上流端と接続する主中心軸に垂直)などの対称断面を有することが有益であり得る。
【0075】
本発明の吸入装置システムは、吸入装置システムの作動回数を計数するための計数ユニットと、所定の作動回数に達するときに交換可能なリザーバの休止位置からプライミング位置への移動を阻止するための阻止ユニットとを備える複合計数・阻止アセンブリを備える。計数ユニット及び阻止ユニットは、交換可能なリザーバが休止位置にあるときに互いに物理的に分離され、交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動するたびに互いに相互作用するようになっている。
【0076】
好ましい実施形態において、前記阻止・計数アセンブリは、手動で動作され、電子要素を備えない。
【0077】
アセンブリの阻止ユニットは、所定回数の使用後にリザーバの更なる使用を防止する。吸入装置システムは、所定の条件下での吸入装置システムの使用を防止する更なる阻止機構を備えてもよい。そのような阻止システムの一例は、国際公開第2019/122451号パンフレットに見出される。更なる阻止システムが吸入装置システムに含まれる場合、阻止システムは互いに連動して、又は互いに独立して動作することができる。
【0078】
本発明の計数・阻止アセンブリは、交換可能なリザーバが休止位置にある間、阻止ユニット及び計数ユニットが互いに物理的に分離されることを特徴とする。結果として、両方のユニットは、互いに別々にリセット及び/又は交換され得る。
【0079】
本発明の文脈において互いに物理的に分離されているとは、リザーバが休止位置にあるとき、計数アセンブリの可動部分が阻止アセンブリの可動部分と接触していないことを意味する。幾つかの実施形態では、計数ユニット及び阻止ユニットは、それぞれ独立して、2つの化合物を分離するハウジングを含み得る。それぞれのユニットのハウジングは、恒久的に接触していてもいなくてもよく、リザーバの移動時に阻止ユニット及び計数ユニットの可動部分が互いに相互作用することを可能にする開口を備える。
【0080】
好ましい実施形態では、阻止ユニット及び計数ユニットはそれぞれ、2つの系を分離するハウジングを備える。好ましくは、2つのハウジングは、交換可能なリザーバが休止位置にあるときは互いに接触せず、交換可能なリザーバがプライミング位置にあるときは接触又は少なくとも非常に近接している。
【0081】
吸入装置が使用の準備ができ、リザーバがプライミング位置に移動すると、計数アセンブリと阻止アセンブリとが相互作用する。本発明の文脈において、相互作用とは、少なくとも2つのユニットを物理的に近接させることを指す。本発明の好ましい実施形態では、複合計数・阻止アセンブリの計数ユニット及び阻止ユニットは、リザーバの移動時に互いに相互作用する。
【0082】
前記相互作用は、両側相互作用又は片側相互作用であり得る。好ましくは、相互作用のタイプは、吸入装置システムの状態に依存する。例えば、一実施形態では、交換可能なリザーバが交換されて使用されなくなると、阻止ユニットと計数ユニットとが両方向に相互作用し、阻止ユニットが計数ユニットをリセットし、計数ユニットが阻止ユニットを始動させる。リザーバの所定の使用回数に達すると、相互作用により、阻止ユニットの阻止機構が起動し、リザーバの更なる使用を阻止する。リザーバが使用中であり、所定の使用回数に達していない場合、阻止ユニットは計数ユニットを起動させることができる。
【0083】
阻止ユニットと計数ユニットとの間の前記相互作用の結果は、好ましくは、吸入装置及び交換可能なリザーバの状態に依存する。例えば、新しいリザーバが挿入された場合、計数ユニットと阻止ユニットとの間の相互作用は、計数ユニットをリセットし、及び/又は阻止ユニットを初期化することができる。所定回数の使用後、計数ユニットと阻止ユニットとの間の相互作用は、阻止ユニットを起動させ、リザーバの更なる使用を阻止する。これらの2つの状態の間では、相互作用を制限することができ、2つのユニットに接触すること、すなわち一方のユニットの可動部分を他方のユニットの可動部分に接触させることのみを含むことができ、又は相互作用は、ユニットのハウジングの開口に入る他方のユニットによって一方のユニットの一部を移動させることに限定される。幾つかの実施形態では、計数ユニットは、好ましくはリザーバの交換後又はリザーバの交換によってリセット可能である。好ましくは、計数ユニットは、リザーバの交換前に、吸入装置システムの作動回数及び/又は残りの使用回数を割り出すための割り出し手段を備える。
【0084】
特定の実施形態では、阻止ユニットは、相互作用時に新しい交換可能なリザーバが挿入された後に計数ユニットをリセット又は起動作動させ、計数ユニットは阻止ユニット内の阻止機構を始動させる。交換可能なリザーバが挿入された後に装置が使用されるが、リザーバとの最大使用回数に達していない場合、阻止ユニットは、各相互作用中に使用回数を計数するために計数ユニットを起動させる。所定の使用回数に達すると、計数ユニットは阻止ユニットを起動させ、リザーバの更なる使用を防止する。
【0085】
幾つかの実施形態では、ユニットの相互作用は、ユニットのうちの1つの移動によって達成される。好ましい実施形態では、阻止ユニットは、装置のプライミングステップ中に移動可能であるか、軸方向に又は長手方向に移動し、それによって計数ユニットと相互作用するが、計数ユニットは同じ軸方向位置に留まる。幾つかの実施形態では、計数ユニットは、装置のプライミングステップ中に移動可能であるか、軸方向に又は長手方向に移動し、それによって阻止ユニットと相互作用する。
【0086】
計数ユニット及び阻止ユニットは、吸入装置システム又はその一部に強固に取り付けられてもよい。計数及び阻止ユニットは、吸入装置システムの異なる部分に取り付けられても接続されてもよい。幾つかの実施形態では、一方のユニットはハウジングに取り付けられ、他方のユニットは交換可能なリザーバに取り付けられる。幾つかの実施形態では、一方のユニットは可逆的に交換可能にハウジングに取り付けられ、他方のユニットは交換可能なリザーバに固定される。幾つかの実施形態では、一方のユニットはハウジング又はその一部に恒久的に取り付けられ、他方のユニットは交換可能なリザーバに恒久的に取り付けられ、リザーバと交換される。
【0087】
幾つかの実施形態では、計数ユニットは、吸入装置システムのハウジングに取り付けられる。特定の実施形態では、計数ユニットは下部ハウジング部品に取り付けられる。幾つかの実施形態では、前記ハウジング部品は、移動可能又は取り外し可能である。幾つかの実施形態では、計数ユニットは、ハウジング部品に取り外し可能に接続される。別の実施形態では、計数ユニットは、ハウジング部品に取り外し不能に接続される。前記ハウジング部品は、交換可能なリザーバの交換を可能にするために移動又は取り外しすることができる。
【0088】
幾つかの実施形態では、計数ユニットは、吸入装置システムのハウジングの内面に取り付けられる。特定の実施形態では、計数ユニットは、ハウジングの内面に取り外し可能に取り付けられる。他の実施形態では、計数ユニットは、ハウジングの内面に恒久的に取り付けられている。幾つかの実施形態では、計数ユニットは、ハウジングの可動部分の内面に取り付けられる。
【0089】
幾つかの実施形態では、計数・阻止アセンブリの1つのユニットが交換可能なリザーバに取り付けられる。好ましい実施形態では、組み合わされたアセンブリの阻止ユニットは、交換可能なリザーバに取り付けられる。幾つかの実施形態では、阻止ユニットは交換可能なリザーバに強固に取り付けられ、リザーバと交換される。これらの実施形態では、阻止ユニットは、吸入装置システム内のリザーバと共に移動する。吸入装置システムの円滑な動作を可能にするために、カートリッジアセンブリ全体が吸入器本体と干渉しないことが好ましい。したがって、阻止ユニットは、交換可能なリザーバと実質的に同じ断面直径を有することが好ましい。幾つかの実施形態では、断面直径はリザーバの断面直径よりも小さい。阻止ユニット及び交換可能なリザーバは、円形断面を有することが特に好ましい。
【0090】
阻止ユニットは、任意の手段によって交換可能なリザーバに取り付けることができる。当業者は、適切な取り付け手段を知っている。阻止ユニットは、交換可能なリザーバに接着又は溶接されてもよい。好ましくは、阻止ユニットは、交換可能なリザーバの外面に取り付けられる。幾つかの実施形態では、阻止ユニットは、圧力嵌め又は形状嵌合接続によって交換可能なリザーバの外面に取り付けられる。
【0091】
阻止ユニットの交換可能なリザーバへの取り付けは、阻止ユニットのハウジングを介して行うことができる。阻止ユニットのハウジングは、交換可能なリザーバに接続する下流端に開口を備えてもよい。阻止ユニットのハウジングの開口は、理想的には、交換可能なリザーバの上流端の外径に対応する直径を有する。前記開口は、例えば、阻止ユニットを交換可能なリザーバに接続するためのねじ山を備えてもよい。
【0092】
交換可能なリザーバは、上流端及び下流端を有する交換可能なカートリッジの形態であってもよく、阻止ユニットが交換可能なリザーバの上流端に取り付けられている。
【0093】
阻止ユニットが交換可能なリザーバに取り付けられる場合、阻止ユニット及び交換可能なリザーバは、リザーバに医学的に活性な液体を充填する前に組み立てられ、滅菌されることが好ましい。
【0094】
阻止ユニットをリザーバから取り外すことができないか、又は取り外すことが困難である場合が好ましい。阻止ユニットが交換可能なリザーバに取り付けられている好ましい実施形態では、交換可能なリザーバから阻止ユニットを取り外すのに必要な力は、吸入装置の受け入れユニットから交換可能なリザーバを取り外すのに必要な力よりも高い。これらの実施形態では、阻止ユニットはリザーバと一緒に交換される。
【0095】
幾つかの実施形態では、交換可能なリザーバは、バッグの形態、具体的には折り畳み可能なバッグの形態で医学的に活性な液体を保持するための内側容器を含む外側(寸法的に安定した)シェルを有するカートリッジの形態で提供され、阻止ユニットはシェルに取り付けられる。
【0096】
幾つかの実施形態では、阻止ユニットを備える交換可能なリザーバは、交換可能なリザーバ(31)の下流端に位置する交換可能なリザーバ(30)の接続ポート(32)を交換可能なリザーバの上流端に取り付けられた阻止ユニットの上流端と接続する中心長手方向軸(A)を有する円筒形状を有する。
【0097】
阻止ユニットは、阻止機構を備える。
【0098】
幾つかの実施形態では、阻止ユニットは、阻止機構を備えるハウジングを更に備える。好ましい実施形態では、阻止ユニットは、ハウジングと阻止機構とを備え、阻止ユニットのハウジングは、計数ユニットと阻止機構との間の相互作用のための開口を備える。幾つかの実施形態では、前記開口は、阻止ユニットの上流端に位置する。
【0099】
阻止機構は、好ましくは、起動後に交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動するのを防止する。
【0100】
移動は、阻止ユニット自体によって又は吸入装置システムの他の部分と相互作用することによって防止されてもよい。好ましい実施形態では、前記阻止機構は、計数ユニットの起動機構に関連して交換可能なリザーバの移動を阻止する。
【0101】
計数ユニットは、計数機構及び起動機構を備える。計数機構は、吸入装置システムの作動を計数する。吸入装置システムの作動という用語は、流体の放出を開始するための全てのステップを指す。これらのステップは、下部ハウジング部を回転させ、それによってリザーバをプライミング位置に移動させる機構を起動させるステップと、アクチュエータ部材を起動させて、リザーバをプライミング位置から解放し、流体を解放するステップとを含む。
【0102】
したがって、本発明の文脈において、計数機構は、好ましくは、
・少なくとも1つのハウジング部の回転、
・交換可能なリザーバの移動、
・アクチュエータ部材の起動、
のうちの少なくとも1つを計数する。
【0103】
好ましい実施形態では、計数機構は、可能な限り早く作動を計数する。例えば、計数機構が下部ハウジング部の回転を計数する場合、前記回転は回転中に早期に計数されることが好ましい。好ましい実施形態では、計数機構は、下側ハウジング部分を回転させることによって動かされる計数部材の垂直移動によって起動される。計数部材は、阻止ユニットの一部であってもよい。
【0104】
計数ユニットは、使用回数を示すインジケータ手段を備えることができる。幾つかの実施形態では、インジケータ手段は、残りのリザーバの使用回数を示し、他の実施形態では、インジケータ手段は、リザーバの使用回数を示す。
【0105】
或いは、交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動すると、阻止ユニットと計数ユニットとの相互作用によって計数機構が動作することも選択肢である。
【0106】
計数ユニットは、計数機構に加えて起動機構を備える。好ましい実施形態では、前記起動機構は、阻止ユニット、好ましくは阻止ユニットの阻止機構と相互作用する。
【0107】
起動機構と阻止ユニットとの相互作用の結果は、阻止ユニット及び計数ユニットの状態に依存する。本発明の好ましい実施形態では、起動機構と阻止ユニットとの相互作用は、以下のうちの1つをもたらす。
・リザーバが所定回数の使用後に交換された場合、相互作用は計数ユニットのリセットをもたらす。
・リザーバが使用中であり、所定の使用回数に達する場合、相互作用は阻止機構を起動させ、リザーバの更なる使用を防止する。
・リザーバが使用中であり、所定の使用回数にまだ達していない場合、相互作用は影響を及ぼさないか、又は相互作用は計数ユニットを起動し、吸入装置システムの1回の使用を計数する。
【0108】
幾つかの実施形態では、起動機構は起動部材を含む。好ましい実施形態では、起動機構は移動可能な起動部材を含む。起動部材は、ギア又はピンであってもよい。好ましい実施形態では、起動部材はピンである。幾つかの実施形態における起動機構は、計数機構によって駆動される。他の実施形態では、起動機構は、計数機構とは無関係に駆動されてもよい。
【0109】
幾つかの実施形態では、起動機構の起動部材は、阻止機構及び/又は計数機構と相互作用する。幾つかの実施形態では、起動部材は、阻止機構内の可動要素と相互作用する。幾つかの実施形態では、起動部材はピンであり、所定回数の使用後に阻止機構と相互作用する。例えば、起動部材は、リザーバの所定回数の使用後に、阻止機構内の移動部材を移動させて阻止機構を起動させる。幾つかの実施形態では、前記阻止機構の起動は可逆的である。好ましい実施形態では、阻止機構の前記起動は不可逆的である。
【0110】
好ましい実施形態では、計数ユニットの起動機構の起動部材は、交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動すると、阻止機構と相互作用するために阻止ユニットの開口に入る。所定の使用回数に達するとすぐに、移動可能な起動部材は阻止機構を起動させる。
【0111】
幾つかの実施形態では、移動可能な起動部材は計数機構によって駆動される。幾つかの実施形態では、移動可能な起動部材は、計数機構の各起動によって徐々に又は段階的に動かされる。この場合、起動部材は、計数ユニットから出現するピンであってもよく、リザーバの移動時に阻止ユニットと相互作用する。ピンは、計数ユニットの起動時に位置を変えることができる。このように、起動部材の位置は、計数ユニットによって制御される。
【0112】
好ましい実施形態では、起動部材は移動可能であり、例えば段階的な移動によって徐々に移動し、部材の位置は交換可能なリザーバの使用回数に依存する。
【0113】
好ましい実施形態では、起動部材は計数機構によって制御される。幾つかの実施形態では、計数機構は、起動部材が支持される任意選択的に円形の傾斜ランプを有する回転可能部材を含む。好ましい実施形態では、計数機構の各起動は、傾斜ランプ上で回転可能部材を移動させ、好ましくは、部材は、上面傾斜ランプ上で摺動することによって徐々に移動される。
【0114】
好ましい実施形態では、前記回転可能部材は、計数機構によって駆動されて、ランプの傾斜面に沿って、好ましくは徐々に移動する。回転可能部材の移動はまた、起動部材を駆動し、起動部材は、回転可能部材が傾斜面上を移動するにつれて、軸方向又は下流方向にゆっくりと上方に移動する。回転部材が傾斜の最高点に達すると、起動部材は最高位置にある。
【0115】
本発明の特定の実施形態では、起動部材は、前記所定の使用回数の後に傾斜面の最高点にあり、及び/又は新しい交換可能なリザーバが挿入されたときに最高点にある。リザーバの交換後、吸入装置システムの次の作動は、起動部材を傾斜面上の最も低い位置に移動させ、好ましくは同時に計数ユニットをリセットする。次いで、吸入装置システムの各作動は、例えば段階的な移動によって起動部材を徐々に移動させて、傾斜部材上の最高位置に移動させ、所定の使用回数の後に最高位置に到達させ、それによって阻止ユニットの阻止機構を起動させる。
【0116】
前記回転可能部材及び起動部材は、単一の部品であってもよく、又は2つの別個の部品であってもよい。好ましい実施形態では、前記回転可能部材及び起動部材は単一部品であるか、又は起動部材は回転可能部材に接続される。
【0117】
特定の実施形態では、阻止機構は、起動部材用の開口を備える。開口は、阻止機構が起動された後に阻止要素によって制限される起動部材へのアクセスを可能にする。所定の使用回数の後、起動部材は、傾斜の上端に向かって配置され、計数機構のリセットを可能にするリザーバが交換されるまで阻止部材がもはや移動できないことが好ましいため、開口の背後の空間が制限されるときにリザーバのより大きな移動を防止する。
【0118】
特定の実施形態では、阻止システムは、互いに接続することができる2つの部材を備える。前記部材は、移動構成及び阻止構成を有する。第1の部材又は固定部材は、第2の部材又は移動部材の少なくとも一部が移動することができる中空管を備える。移動構成では、第2の部材は、リザーバの移動中に計数ユニットの起動部材によって駆動され、第1の部材の中空管の内部を移動する。前記部材は、プランジャ及びカムとして実現されてもよい。移動構成では、非移動部品は、リザーバに対して同じ相対位置を維持する。起動部材が十分に遠くに移動される場合、所定の回数の使用後、2つの部材は阻止構成に連動する。阻止構成では、両方の部材が阻止位置に移動し、任意選択的にインターロックし、起動部材のための空間を制限する。阻止位置では、両方の部材が固定され、動くことができない。
【0119】
別の実施形態では、阻止システムは、移動部材と案内部材の2つの部材を備えてもよい。案内部材は、移動部材が移動することを可能にする中空管を備える。移動部材及び案内部材は、プランジャ及びカムの形態で実現されてもよい。移動要素の移動は、計数ユニットの起動部材によって駆動される。移動部材又は案内部材は、突出要素を備えてもよい。阻止ユニットは、任意選択的に、部材のうちの1つの突出要素に嵌合する凹部又は対応する突出部を備える。移動要素は、使用回数に応じて、吸入装置システムの作動中に移動する。所定回数の使用後、移動又は案内要素の突出部が前記凹部内に移動し、それによって移動要素の更なる移動を防止し、それによって開口の背後の空間を制限して、阻止ユニットのハウジングの場合に開口を通る起動部材の部分的な進入のみを可能にし、したがって、起動部材の完全な進入を回避する。
【0120】
更なる態様では、本発明は、噴霧用の医学的に活性な液体を保持するためのカートリッジシステムであって、上で定義した吸入装置システム(10)に適合されているカートリッジシステムに関する。本発明の交換可能なカートリッジシステムは、上流端及び下流端を有し、医学的に活性な液体を保持するための有効容積Vを有する容器部と、特に吸入装置の受け入れユニットの接続ユニットを介してカートリッジシステムをポンプユニットに解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ポートとを備え、上で定義した阻止ユニットが容器部の上流端に接続される。
【0121】
カートリッジシステムは、一般に、上記で詳細に定義及び説明されている。また、上記の詳細は、以下に定義される特定の実施形態と組み合わせることができる。
【0122】
更なる特定の実施形態では、本交換可能なカートリッジシステムの容器部は、上記で定義された阻止ユニットが取り付けられた寸法的に安定した容器の形態である。
【0123】
阻止ユニットは、恒久的に又は取り外し可能に取り付けられてもよい。好ましくは、阻止ユニットは恒久的に取り付けられる。阻止ユニットは、上で定義した阻止ユニットであり、好ましくは容器に接続するハウジングを備える。ハウジングは、容器、カートリッジの外殻と同じ又は異なる材料であってもよい。
【0124】
上記のように、カートリッジシステムが医療用流体で充填される前に、カートリッジシステムが組み立てられ、滅菌されることが好ましい。
【0125】
更なる態様では、本発明は、吸入装置システムで使用するための吸入装置に関し、吸入装置は、
-受け入れユニットを有するハウジングであって、受け入れユニットが、交換可能なリザーバの接続ポートに解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニットを有し、受け入れユニットが、交換可能なリザーバを受けて交換可能なリザーバに流体的に接続するようになっている、ハウジングと、
-医学的に活性な液体の噴霧のためのノズルと、
-ハウジング内に配置されるポンプユニットであって、ノズルに流体接続されるようになっており、交換可能なリザーバに接続可能であるとともに、医学的に活性な液体を下流方向で交換可能なリザーバからノズルに搬送するようになっており、ポンプユニットのプライミング時に交換可能なリザーバを休止位置からプライミング位置に移動させるようになっている、ポンプユニットと、
を備え、
吸入装置は、
阻止ユニットと相互作用するようになっている、上で規定されたような計数ユニット、及び/又は
計数ユニットと相互作用するようになっている、上で規定されたような阻止ユニットと、
のうちの少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0126】
好ましい実施形態では、吸入装置は、阻止ユニットと相互作用するようになっている、上で定義したような計数ユニットを備える。特定の実施形態では、計数ユニットが相互作用する阻止ユニットは、交換可能なリザーバの一部である。吸入装置は、動作を阻止するための更なる阻止装置を備えてもよいが、前記阻止装置は、上で定義したように計数ユニットと相互作用しない。
【0127】
本発明は、以下の番号が付けられた実施形態に更に関連する。
【0128】
1.噴霧形態の医学的に活性な液体を吸入投与するための吸入装置システム(10)において、吸入装置(20)と、複数用量の医学的に活性な液体を保持するための交換可能なリザーバ(30)とを備え、吸入装置システムの作動ごとに1用量の医学的に活性な液体が吸入装置から分配され、
吸入装置(20)が、
-受け入れユニット(23)を有するハウジング(21)であって、受け入れユニットが、交換可能なリザーバ(30)の接続ポート(31)に解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニット(24)を有し、受け入れユニット(24)が、交換可能なリザーバ(30)を受けて交換可能なリザーバ(30)に流体接続するようになっている、ハウジング(21)と、
-医学的に活性な液体を噴霧するためのノズル(25)と、
-ハウジング(21)内に配置されるポンプユニット(40)であって、交換可能なリザーバ(30)及びノズル(25)に流体接続されるようになっているとともに、医学的に活性な液体を(下流方向で)交換可能なリザーバ(30)からノズル(25)に搬送するようになっており、ポンプユニットのプライミング時に交換可能なリザーバを休止位置からプライミング位置に移動させるようになっている、ポンプユニット(40)と、
を備え、
吸入装置システムが、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)吸入装置システムの作動回数を計数するための計数ユニットと、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)所定の作動回数に達するときに交換可能なリザーバの休止位置からプライミング位置への移動を阻止するための阻止ユニットとを備える、複合計数・阻止アセンブリを備え、
計数ユニット及び阻止ユニットは、交換可能なカートリッジが休止位置にあるときに互いに物理的に分離され、交換可能なカートリッジが休止位置からプライミング位置に移動するたびに互いに相互作用するようになっている、
吸入装置システム(10)。
【0129】
2.計数ユニットが吸入装置のハウジングに取り付けられる、項1に記載の吸入装置システム。
【0130】
3.阻止ユニットが交換可能なリザーバに取り付けられる、項1又は2に記載の吸入装置システム。
【0131】
4.複合阻止・計数ユニットは、動作されて電子素子を備えない、項1から3のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0132】
5.吸入装置のハウジングは、静止部(ポンプユニットと、ノズルと、受け入れユニットとを備える)及び可動部(閉鎖状態及び開放状態から及び休止位置からプライミング位置まで移動可能である)を有し、計数ユニットがハウジングの可動部に取り付けられる、項1から4のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0133】
6.ハウジングの可動部は、ハウジングの受け入れユニットを覆って閉鎖するキャップの形態を成す、項5に記載の吸入装置システム。
【0134】
7.計数ユニットは、吸入装置のハウジングの(可動部)の内面に(恒久的に)取り付けられる、項1から6のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0135】
8.計数ユニットが(交換可能なリザーバの交換時に)再設定可能である、項1から7のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0136】
9.阻止ユニットが交換可能なリザーバに強固に取り付けられる、項1から8のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0137】
10.阻止ユニットが交換可能なリザーバに解放可能に取り付けられる、項1から8のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0138】
11.交換可能なリザーバは、上流端及び下流端を有する交換可能なカートリッジの形態を成し、阻止ユニットが交換可能なカートリッジの上流端に取り付けられる、項1から10のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0139】
12.阻止ユニットは、阻止機構を収容するハウジングを有する、項1から11のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0140】
13.阻止ユニットのハウジングは、計数ユニットと阻止機構との間の物理的相互作用のための開口を備える、項12に記載の吸入装置システム。
【0141】
14.阻止ユニットの開口は、阻止ユニットの上流端に位置される、項13に記載の吸入装置システム。
【0142】
15.計数ユニットが計数機構及び起動機構を備える、項1から14のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0143】
16.起動機構は、阻止ユニットの阻止機構と相互作用する、項1から15のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0144】
17.起動機構は、阻止ユニットの阻止機構と相互作用するための(ピンの形態を成す)起動部材を備える、項1から16のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0145】
18.交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動するときに計数ユニットの起動部材が阻止機構と相互作用するために阻止ユニットの開口に入る、項17に記載の吸入装置システム。
【0146】
19.起動部材の位置が計数機構によって制御される、項17又は18に記載の吸入装置システム。
【0147】
20.計数機構は、交換可能なリザーバが休止位置からプライミング位置に移動するときに阻止ユニットとの(物理的/機械的な)相互作用によって動作される、項1から19のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0148】
21.計数機構は、(交換可能なカートリッジの挿入後に)吸入装置システムの作動回数を割り出すための割り出し手段を備える、項1から20のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0149】
22.計数機構は、起動部材が支持される(円形の)傾斜ランプを有する回転可能部材を備える、項1から21のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0150】
23.阻止ユニットは、(交換可能なカートリッジの挿入後の)吸入装置システムの所定回数の作動後に計数機構と相互作用するときに阻止状態に「移行」することができるように最初に起動される阻止部材を備える、項1から22のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0151】
24.阻止ユニットの阻止部材は、(吸入装置内への交換可能なリザーバの挿入後に)所定回数の作動に達するときに阻止位置に移動される、項1から23のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0152】
25.交換可能なリザーバは、バッグの形態、具体的には折り畳み可能なバッグの形態を成す医学的に活性な液体を保持するための内側容器を備える外側(寸法的に安定した)シェルを有するカートリッジの形態で設けられる、項1から24のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0153】
26.阻止ユニットを交換可能なリザーバから取り外すのに必要な力は、交換可能なリザーバを吸入装置(20)の受け入れユニット(23)から取り外すのに必要な力よりも高い、項10から25のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0154】
27.阻止ユニットを備える交換可能なリザーバは、交換可能なリザーバ(31)の下流端に位置される交換可能なリザーバ(30)の前記接続ポート(32)を交換可能なリザーバの上流端に取り付けられる阻止ユニットの上流端と接続する中心長手方向軸(A)を伴う円筒形状を有する、項1から26のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0155】
28.交換可能なリザーバ(31)が上流端(34)及び下流端(35)を有し、接続ポート(32)が交換可能なリザーバ(31)の下流端(34)に位置され、阻止ユニットが交換可能なリザーバの上流端(35)に取り付けられる、項1から27のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0156】
29.阻止ユニット(33)は、圧力嵌め又は形状嵌合接続によって交換可能なリザーバ(31)の前記外面に取り付けられる、項1から28のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0157】
30.阻止ユニット(33)は、交換可能なリザーバ(31)と実質的に同じ断面直径を有する、項1から29のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0158】
31.阻止ユニット(33)及び交換可能なリザーバ(30)が円形断面を有する、項1から30のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0159】
32.阻止ユニット(33)(のハウジング)が下流端に開口(37)を有し、開口は、交換可能なリザーバの上流端(34)の直径(外径)に対応する直径を有する、項1から31のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0160】
33.交換可能なリザーバ(31)及び阻止ユニット(33)は、カートリッジシステム(30)に医学的に活性な液体を充填する前に組み立てられて滅菌される、項1から32のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0161】
34.交換可能なリザーバ(30)は、約0.1~約15mLの範囲内で選択される有効容積Vを有する、項目1から33のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0162】
35.吸入装置(20)のポンプユニット(40)は、
-交換可能なリザーバ(30)に流体接続される上流端と、
-ノズル(25)に流体接続される下流端と、
を備え
ポンプユニットは、
(i)上流端を有するライザ管(43)であって、
-ポンプユニット内のピストンとして機能するようになっており、
-ハウジング(21)に対して不動であるようにハウジング(21)のユーザに向く側に強固に固定される、
ライザ管(43)と、
(ii)ライザ管(44)の上流側に位置される中空シリンダ(41)であって、シリンダ(41)がライザ管(43)上で長手方向に移動可能であるようにライザ管(43)の上流端がシリンダ(41)内に挿入される、中空シリンダ(41)と、
を更に備える、項1から34のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)。
【0163】
36.ポンプユニット(40)は、
(iii)ロックされたときに位置エネルギーを蓄積し、ロック解除されたときに蓄積エネルギーを解放するためのロック可能手段(46)であって、手段(46)のロックを解除することによってポンプユニットの下流端に向かってシリンダ(41)が長手方向に推進移動するように、手段(46)が、シリンダ(41)の外側に配置されるとともに、シリンダ(41)に機械的に結合される、ロック可能手段(46)、
を備える、項35に記載の吸入装置システム(10)。
【0164】
37.吸入装置が手持ち式吸入装置である、項1から36のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0165】
38.吸入装置は、少なくとも1つの衝突型ノズルを備えるソフトミスト吸入器である、項1から37のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0166】
39.少なくとも1つの衝突型ノズルは、医学的に活性な液体の少なくとも2つのジェットを噴出するための少なくとも2つのチャネルを備え、少なくとも2つの液体チャネルは、少なくとも2つのジェットの軌道が少なくとも1つの衝突点で交差するように方向付けられる、項38に記載の吸入装置システム。
【0167】
40.吸入装置システム及び/又は医学的に活性な液体がフッ化水素(HFC)推進剤などの推進剤を含まない、項1から39のいずれか一項に記載の吸入装置システム。
【0168】
41.噴霧用の医学的に活性な液体を保持するための交換可能なカートリッジシステム(30)であって、項1から40のいずれか一項に記載の吸入装置システム(10)で使用するのに適合された交換可能なカートリッジシステム(30)において、医学的に活性な液体を保持するための有効容積Vを有する容器部と、特に吸入装置の受け入れユニットの接続ユニットを介して、カートリッジシステムをポンプユニットに解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ポートとを備え、阻止ユニットが容器部の上流端に接続される、交換可能なカートリッジシステム(30)。
図面の詳細な説明
【0169】
図面を参照して本発明を更に説明する。図は、本発明の具体的であるが非限定的な実施形態を示す。
【0170】
図1は、吸入装置(20)と、吸入装置に挿入されたカートリッジシステム(30)(カートリッジシステムの異なる要素は図示せず)の形態の交換可能なリザーバとを備える従来技術に係る吸入装置システム(10)を示す。吸入装置(20)は、下部(22)を有するハウジング(21)を有し、下部は、吸入装置(20)から取り外されてハウジング(21)を開き、交換可能なカートリッジシステム(30)を挿入することができる受け入れユニット(23)へのアクセスを可能にすることができる。受け入れユニット(23)は、交換可能なリザーバの接続ポート(32)に解放可能に且つ流体的に接続するようになっている接続ユニット(24)を更に有する。
【0171】
吸入装置(20)は、医学的に活性な液体を噴霧するために吸入装置の下流端に位置されたノズル(25)を更に有する。吸入装置は、ハウジング(21)内に配置されたポンプユニット(40)を更に有する。上記で詳細に説明したように、ポンプユニットは、リザーバに流体接続され(受け入れユニット(23)の接続ユニット(24)を介して)及びノズル(25)に流体接続され、リザーバ(30)からノズル(25)へと下流側方向に医学的に活性な液体を圧送するようになっている。
【0172】
ポンプユニット(40)は、交換可能なリザーバ(30)に流体接続される上流端(41)と、ノズル(25)に流体接続される下流端(42)とを有し、ポンプユニット(40)は、(i)上流端(44)を有するライザ管(43)であって、ライザ管(43)が、ポンプユニット(40)内のピストンとして機能するようになっており、ライザ管(43)が、ハウジング(21)に対して不動であるようにハウジング(21)のユーザに向く(下流)側に強固に固定される、ライザ管(43)と、(ii)ライザ管(43)の上流側に位置される中空シリンダ(45)であって、シリンダ(45)がライザ管(43)上で長手方向に移動可能であるようにライザ管(44)の上流端がシリンダ(45)内に挿入される、中空シリンダ(45)とを更に備える。
【0173】
図1にも示されるように、ポンプユニット(40)は、(iii)ロックされたときに位置エネルギーを蓄積し、ロック解除されたときに蓄積エネルギーを解放するためのロック可能手段(46)を備え、手段(46)は、該手段(46)のロックを解除することによってポンプユニット(42)の下流端に向かってシリンダ(45)が長手方向に推進移動するように、シリンダ(45)の外側に配置されるとともに、シリンダ(45)に機械的に結合される。
【0174】
図2は、完全に組み立てられた状態の、本発明に係る吸入装置システム(10)の例示的な実施形態を示す。吸入装置システムは、カートリッジシステム(30)の形態の挿入された交換可能なリザーバを有する吸入装置(20)を備える。この特定の実施形態では、吸入装置は計数ユニット(32)を備え、リザーバのカートリッジシステムは阻止ユニット(33)を備える。
【0175】
計数ユニットは、吸入装置(20)の下側ハウジング部分(22)の一部である。下側ハウジング部分(22)は、例えばヒンジ(図示せず)によって取り外し可能に取り外し又は開くことができる。
【0176】
カートリッジシステム(30)は、計数ユニット(32)と相互作用するようになっている阻止ユニット(33)を備える。
【0177】
図3は、上側ハウジング部のないハウジング(22)の下側部分の概略図を示す。計数ユニット(32)は、吸入装置システムの取り外し可能なベース(27)に配置される。交換可能なカートリッジシステム(30)は、容器部(31)及び阻止ユニット(33)を備える。阻止ユニット(33)は、計数ユニット(32)から物理的に分離されており、計数ユニットと相互作用することができる計数部材(65)を備える。
【0178】
図4A図4Cは、本発明に係る計数ユニット(32)の例示的な実施形態を示す。図4Aは、組み立てられた状態の計数ユニットを示す、計数ユニット(51)のハウジングの内側の図を示す。図4Bは、計数ユニットの構成要素の詳細図を示し、図4Cは、吸入装置なしで組み立てられた計数ユニットを示す。
【0179】
計数ユニット(32)は、計数機構が配置されたハウジング(51)を備える。計数機構は、計数ギア(53)を駆動して、表面歯及び傾斜ランプ(58)を備えるインジケータ部材(55)を移動させる可動スレイ(54)を含む。インジケータ部材(55)の外側には、吸入装置システムの使用回数を示すために割り出し手段(56)が存在する。計数ユニットは、傾斜ランプ上の位置に基づいて、傾斜ランプ上で高さを増加させるように移動可能な起動部材(52)を更に備える。起動部材は、阻止機構と相互作用するようになっている。
【0180】
図5は、本発明に係る阻止ユニットを含む本発明に係るカートリッジシステムの一実施形態の概要を示す。図5Aは、計数ユニットと相互作用するための計数部材(65)を含む阻止ユニット(61)のハウジングに接続することができるカートリッジシステムの容器部(31)を示す。阻止システムは、プランジャ(62)及びカム(63)を備え、これらは相互作用することができ、ばね(64)機構によって保持される。
【0181】
図5Bは、阻止ユニットの状態に応じてプランジャ(62)及びカム(63)の動きを制限する突出部(66)を備える、阻止ユニット(62)のハウジングの内側を示す。
【0182】
図6A図6Cは、計数機構の一実施形態、及び阻止ユニットと計数ユニットとの想定し得る相互作用を示す。図6Aは、休止位置にある吸入装置システムを示す。阻止システムの計数部材は、計数ユニットの開口の上方にあり、計数ユニットと相互作用しない。計数機構の可動スレイ(54)は中立位置にある。インジケータ部材(55)の傾斜ランプ(58)上の起動部材(52)の位置は、以前の使用回数に依存する。図6Aは、新しい交換可能なリザーバを挿入した直後の初期段階を示し、起動部材(62)は傾斜ランプ上の低い位置にある。
【0183】
図6Bは、プライミング位置にある吸入装置システムを示す。阻止ユニットの計数部材(65)は、計数ユニットの開口(57)に入り、それによって可動スレイ(54)を移動させる。可動スレイの移動は計数ギア(53)を駆動し、計数ギアはインジケータ部材(55)を移動させ、割り出し手段(56)を前進させ、起動部材(52)を傾斜ランプ上で上昇させる。図6Bは、起動部材が、所定の使用回数に達するまで阻止ユニットと相互作用しないことを更に示す。
【0184】
図6Cは、所定の回数の使用後に相互作用する計数ユニット及び阻止ユニットを示す。起動部材(52)は、傾斜ランプ(58)上を移動しており、プランジャ(62)と相互作用することによって阻止ユニットと相互作用することができる。
【0185】
図7A図7Dは、計数機構の別の実施形態を示す。計数機構は、傾斜ランプ(58)上に配置されて所定数の起動後にクロッキング機構と相互作用する起動部材(52)を備える。
【0186】
図7Aは、ハウジング(51)内の断面を通して計数機構を示し、図7Bは、計数機構の断面を示す。図7Cは、傾斜ランプ(58)上に配置されたハウジング(51)の内側部分及び起動部材(52)を示す。
【0187】
図7Dは、計数機構の部分を別々に示す。
【0188】
別の計数機構は、可動スレイ(54)の代わりに駆動部材(57)を備える。前記駆動部材は、螺旋状ガイド脅威(70)と、径方向に配置されたギア歯(69)とを備える。螺旋状ガイド脅威(69)は、計数ユニットのハウジング(51)に配置されたガイド部材(68)と相互作用する。駆動部材は移動可能であり、ばね(64)によって元の位置に戻ることができる。
【0189】
計数ユニットを起動させるために、阻止ユニットの計数部材(55)がハウジング(51)の開口(57)に入り、駆動部材(67)を移動させる。駆動部材は、ガイド部材(68)によって案内されてギア(53)を移動させ、これにより割り出し手段(56)を移動させ、それにより、起動部材が阻止ユニットと相互作用するまで、起動部材も傾斜ランプ(58)に沿って移動させる。幾つかの実施形態では、駆動部材が割り出し手段を直接移動させることも可能である。
【0190】
図8A図8Cは、阻止機構の一実施形態を示す。図8Aは、カム(63)が阻止ユニット(61)のハウジングの内側の突出部(66)によって定位置に保持される初期位置の阻止機構を示す。プランジャ(62)は、カム(63)の内部で移動可能であり、計数ユニットの起動部材(52)によって起動させることができる。カム及びプランジャは、ばね(図示せず)によって定位置に保持される。
【0191】
図8B及び図8Cは、阻止機構の起動を示す。計数ユニットの起動部材(52)による起動後、プランジャ(62)が移動してカム(63)を起動し、カムを突出部(66)から移動させる(図8B)。ばね機構(図示せず)に起因して、カム(62)は突出部(66)に沿って阻止位置(図8C)に移動し、これによりプランジャ(62)及びカム(63)の更なる移動が防止される。この場合、計数ユニットの起動部材(52)は、カートリッジの更なる移動を防止し、したがってカートリッジの更なる使用を防止する。
【符号の説明】
【0192】
10 吸入装置システム
20 吸入装置
21 ハウジング
22 ハウジングの下部
23 受け入れユニット
24 接続ユニット
25 ノズル
26 キャップ
27 取り外し可能なベース
30 交換可能なカートリッジシステム
31 容器部
32 計数ユニット
33 阻止ユニット
40 ポンプユニット
41 ポンプユニットの上流端
42 ポンプユニットの下流端
43 ライザ管
44 ライザ管の上流端
45 ポンプユニットの中空シリンダ
46 位置エネルギーを蓄積するロック可能手段
51 計数ユニットのハウジング
52 起動部材
53 ギア
54 可動スレイ
55 傾斜ランプ及び表面歯を伴うインジケータ部材
56 割り出し手段
57 開口
58 傾斜ランプ
61 阻止ユニットのハウジング
62 プランジャ
63 カム
64 ばね
65 計数部材
66 突出部
67 駆動部材
68 ガイド部材
69 ギア歯
70 螺旋状ガイドねじ山
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図8C
【国際調査報告】