(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】産物及び組成物
(51)【国際特許分類】
C12N 15/113 20100101AFI20240705BHJP
A61K 31/7105 20060101ALI20240705BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/54 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/56 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/61 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/62 20170101ALI20240705BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20240705BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240705BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240705BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240705BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20240705BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240705BHJP
A61P 17/06 20060101ALI20240705BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240705BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20240705BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20240705BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/7105
A61K48/00
A61K31/7125
A61K47/54
A61K47/56
A61K47/61
A61K47/62
A61K31/712
A61K45/00
A61P37/02
A61P27/02
A61P13/12
A61P11/06
A61P19/02
A61P17/06
A61P17/00
A61P21/04
A61P21/00
A61P25/00
A61P37/06
A61P9/10
A61P31/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502618
(86)(22)【出願日】2022-07-18
(85)【翻訳文提出日】2024-03-06
(86)【国際出願番号】 US2022037478
(87)【国際公開番号】W WO2023018523
(87)【国際公開日】2023-02-16
(32)【優先日】2022-03-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509127310
【氏名又は名称】サーナオミクス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】サマルスキー, ドミトリー
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB13
4C076BB16
4C076CC07
4C076CC41
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4C084ZB35
4C086AA01
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4C086EA16
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4C086MA04
4C086MA65
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA33
4C086ZA36
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4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB15
4C086ZB35
(57)【要約】
CFB遺伝子発現を調節し、特に妨害又は阻害する核酸産物が提供される。産物は、CFB遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に対して少なくとも部分的に相補的である少なくとも第一の核酸塩基配列を有する連結ヌクレオシドの少なくとも第一の領域を含むオリゴマー化合物であり得、第一の核酸塩基配列は、配列番号1から391、751及び752、又はそれらの断片から選択される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
補体因子B(CFB)の発現を阻害することができるオリゴマー化合物であって、CFB遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的である少なくとも第一の核酸塩基配列を有する連結ヌクレオシドの少なくとも第一の領域を含み、前記第一の核酸塩基配列が、次の配列:表1aの配列(配列番号:1から250、751及び752)、又はそれらの一部から選択され、前記一部が有利には少なくとも18ヌクレオチドの長さを有する、化合物。
【請求項2】
前記第一の核酸塩基配列に少なくとも部分的に相補的であり、次の配列:表1bの配列(配列番号:251から500、753及び754)、又はそれらの一部から選択される、少なくとも第二の核酸塩基配列を有する連結ヌクレオシドの少なくとも第二の領域を更に含み、前記一部が有利には少なくとも8、9、10若しくは11ヌクレオチド、又は特には少なくとも10ヌクレオチドの長さを有する、請求項1に記載のオリゴマー化合物。
【請求項3】
前記第一の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号:94、247、13、106、28、135、132、32、83、102、62、241、9、54、143、103、128、53、150、82、36、25、71、17、5、141、90、127、75、95、751、及び752、又はそれらの一部から選択される、請求項1又は2に記載のオリゴマー化合物。
【請求項4】
前記第二の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号:344、497、263、356、278、385、382、282、333、352、312、491、259、304、393、353、378、303、400、332、286、275、321、267、255、391、340、377、325、345、753及び754、又はそれらの一部から選択される、請求項3に記載のオリゴマー化合物。
【請求項5】
前記第一の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号:13、53、62、83、102、106、135、751、及び752、又はそれらの一部から選択される、請求項1から4の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項6】
前記第二の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号263、303、312、333、352、356、385、753及び754、又はそれらの一部から選択される、請求項5に記載のオリゴマー化合物。
【請求項7】
連結ヌクレオシドの前記第一の領域が18から35、18から20、18若しくは19、又は19の連結ヌクレオシドから本質的になる、請求項1から6の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項8】
連結ヌクレオシドの前記第二の領域が10から35、10から20、10から16、又は10から15の連結ヌクレオシドから本質的になる、請求項2から7の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項9】
前記第二のヌクレオシド領域の少なくとも一部に直接的又は間接的に連結された前記第一のヌクレオシド領域の少なくとも一部を含む少なくとも一つの相補的二重鎖領域を含み、二重鎖領域が、10から19、12から19、又は12から15の塩基対の長さを有し、任意選択的に、前記二重鎖領域内に一つのミスマッチが存在する、請求項2から8の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項10】
前記第一のヌクレオシド領域及び前記第二のヌクレオシド領域のそれぞれが5’から3’への方向性を有し、それによってそれぞれその5’領域及び3’領域を規定する、請求項9に記載のオリゴマー化合物。
【請求項11】
前記第一のヌクレオシド領域の5’領域が、例えば相補的塩基対形成によって、前記第二のヌクレオシド領域の3’領域に直接的又は間接的に連結され、有利には前記第一のヌクレオシド領域の5’末端ヌクレオシドが、前記第二のヌクレオシド領域の3’末端ヌクレオシドと塩基対形成している、請求項10に記載のオリゴマー化合物。
【請求項12】
前記第一のヌクレオシド領域の3’領域が、前記第二のヌクレオシド領域の5’領域に直接的又は間接的に連結され、有利には、前記第一のヌクレオシド領域が、例えばリン酸、ホスホロチオエート、又はホスホロジチオエートにより、前記第二のヌクレオシド領域に直接的かつ共有結合的に連結されている、請求項11又は13に記載のオリゴマー化合物。
【請求項13】
一つ又は複数のリガンドを更に含む、請求項1から12の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項14】
前記一つ又は複数のリガンドが、前記第二のヌクレオシド領域及び/又は前記第一のヌクレオシド領域に結合している、請求項13に記載のオリゴマー化合物。
【請求項15】
前記一つ又は複数のリガンドが、3’領域で、有利には第二のヌクレオシド領域及び/又は第一のヌクレオシド領域の3’末端に、及び/又は前記第二のヌクレオシド領域の5’末端に結合している、請求項10に従属する、請求項14に記載のオリゴマー化合物。
【請求項16】
前記一つ又は複数のリガンドが、細胞膜又は細胞表面上の特定の標的に結合する、脂質、糖、アプタマー、ビタミン及び/又はペプチドなどの任意の細胞指向性部分である、請求項13から15の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項17】
前記一つ又は複数のリガンドが一つ又は複数の糖を含む、請求項16に記載のオリゴマー化合物。
【請求項18】
前記一つ又は複数の糖が、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖又は多糖でありうる、請求項17に記載のオリゴマー化合物。
【請求項19】
前記一つ又は複数の糖が、一つ又は複数のヘキソース部分を含むか、又はそれらからなる、請求項18に記載のオリゴマー化合物。
【請求項20】
前記一つ又は複数のヘキソース部分が、一つ又は複数のガラクトース部分、一つ又は複数のラクトース部分、一つ又は複数のN-アセチル-ガラクトサミン部分、及び/又は一つ又は複数のマンノース部分である、請求項19に記載のオリゴマー化合物。
【請求項21】
前記一つ又は複数の糖が一つ又は複数のN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む、請求項20に記載のオリゴマー化合物。
【請求項22】
二つ以上、有利には三つのN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む、請求項21に記載のオリゴマー化合物。
【請求項23】
前記一つ又は複数のリガンドが、直鎖状配置又は分岐状配置で前記オリゴマー化合物に、有利にはその第二のヌクレオシド領域に結合している、請求項13から22の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項24】
前記一つ又は複数のリガンドが、二分岐又は三分岐配置として前記オリゴマー化合物に結合している、請求項23に記載のオリゴマー化合物。
【請求項25】
前記化合物が、連結ヌクレオシドの前記第一の領域と連結ヌクレオシドの前記第二の領域からなる、請求項1から24の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項26】
前記第一の領域と前記第二の領域の間に、連結ヌクレオシドの介在する第三の領域が存在する、請求項1から24の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項27】
前記オリゴマー化合物が、前記第一のヌクレオシド領域、前記第三のヌクレオシド領域、及び前記第二のヌクレオシド領域を含むか、又はそれらからなる一本鎖を含むか、又はそれらからなり、前記第一のヌクレオシド領域の少なくとも一部が、前記少なくとも部分的に相補的な二重鎖領域を形成するように、前記第二のヌクレオシド領域の少なくとも一部に直接的又は間接的に連結される、請求項26に記載のオリゴマー化合物。
【請求項28】
前記オリゴマー化合物が、前記第一のヌクレオシド領域及び第二のヌクレオシド領域を含むか、又はそれらからなる一本鎖を含むか、又はそれらからなり、前記第一のヌクレオシド領域の少なくとも一部が、前記少なくとも部分的に相補的な二重鎖領域を形成するように、前記第二のヌクレオシド領域の少なくとも一部に直接的又は間接的に連結される、請求項9から25の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項29】
前記第一のヌクレオシド領域及び前記第二のヌクレオシド領域が前記一本鎖上で直接隣接している、請求項28に記載のオリゴマー化合物。
【請求項30】
前記第一のヌクレオシド領域が、第二のヌクレオシド領域と比較してより多数の連結ヌクレオシドを有する、請求項28又は29に記載のオリゴマー化合物。
【請求項31】
第一のヌクレオシド領域の追加数の連結ヌクレオシドが、第一のヌクレオシド領域及び第二のヌクレオシド領域を連結するヘアピンループを形成する、請求項30に記載のオリゴマー化合物。
【請求項32】
前記一本鎖が、配列番号:751及び752から選択される核酸塩基配列を有し、有利には、前記鎖が、配列番号:753及び754から選択される追加の核酸塩基配列を有する、請求項27から31の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項33】
前記一本鎖が、表3から、特に配列「13(5)a+s」及び「106-13(4)as+s」から、又は表4から選択される、請求項32に記載のオリゴマー化合物。
【請求項34】
前記ヘアピンループが、前記第一のヌクレオシド領域の3’領域に存在し、任意選択的に、一つ又は二つ以上の3’末端ヌクレオチドの核酸塩基が許容する程度まで該一つ又は二つ以上の3’末端ヌクレオチドが、第二のヌクレオシド領域を折り畳んで第二のヌクレオシド領域を形成し若しくは第二のヌクレオシド領域に寄与する、請求項10に従属する、請求項33に記載のオリゴマー化合物。
【請求項35】
前記第三のヌクレオシド領域と任意選択的に前記第一のヌクレオシド領域の、有利には1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10の連結ヌクレオシドからなる、3’末端部分、及び/又は前記第二のヌクレオシド領域の、有利には1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10の連結ヌクレオシドからなる、5'末端部分が、ヘアピンを形成する、請求項26又は27に記載のオリゴマー化合物。
【請求項36】
前記ヘアピンループが、1から8、2から7、3から6、有利には4又は5の連結ヌクレオシドを含む、請求項29から31の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項37】
表2に示される配列(配列番号:501から750、755又は756)の何れか一つの核酸塩基配列を有するか又は含む、請求項29から32の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項38】
ヌクレオシド間結合を含み、少なくとも一つのヌクレオシド間結合が、修飾ヌクレオシド間結合である、請求項1から37の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項39】
前記修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合である、請求項38に記載のオリゴマー化合物。
【請求項40】
1から16のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項39に記載のオリゴマー化合物。
【請求項41】
7、8、9又は10のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項40に記載のオリゴマー化合物。
【請求項42】
第一のヌクレオシド領域の5’領域に一つ又は複数のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項10に従属する、請求項39から41の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項43】
第二のヌクレオシド領域の5’領域に一つ又は複数のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項10に従属する、請求項39から42の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項44】
ヘアピンループ内に存在するヌクレオチドの数に依存して、ヘアピンループの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの隣接ヌクレオシド間にホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項30から32の何れか一項に従属する、請求項39から43の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項45】
前記ヘアピンループ内に存在する各隣接ヌクレオシド間にホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項44に記載のオリゴマー化合物。
【請求項46】
少なくとも一つのヌクレオシドが修飾糖を含む、請求項1から45の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項47】
前記修飾糖が、2’修飾糖;ロックド核酸(LNA)糖、(S)拘束エチル二環式核酸、及び拘束エチル(cEt)糖などの立体構造的に制限されたヌクレオチド(CRN)糖、トリシクロDNA、モルホリノ、非ロック核酸(UNA)糖、グリコール核酸(GNA)、D-ヘキシトール核酸(HNA)、及びシクロヘキセン核酸(CeNA)から選択される、請求項46に記載のオリゴマー化合物。
【請求項48】
前記2’修飾糖が、2’-O-アルキル修飾糖、2’-O-メチル修飾糖、2’-O-メトキシエチル修飾糖、2’-O-アリル修飾糖、2’-C-アリル修飾糖、2’-デオキシ修飾糖、例えば、2’-デオキシリボース、2’-F修飾糖、2’-アラビノ-フルオロ修飾糖、2’-O-ベンジル修飾糖、及び2’-O-メチル-4-ピリジン修飾糖から選択される、請求項47に記載のオリゴマー化合物。
【請求項49】
少なくとも一つの修飾糖が2’-O-メチル修飾糖である、請求項48に記載のオリゴマー化合物。
【請求項50】
少なくとも一つの修飾糖が2’-F修飾糖であり、有利には最大5つの糖が2’-F修飾糖である、請求項48又は49に記載のオリゴマー化合物。
【請求項51】
糖がリボースである、請求項49又は50に記載のオリゴマー化合物。
【請求項52】
第一のヌクレオシド領域の5’領域の第一のヌクレオシドから下流の2位及び14位の何れかのヌクレオシドの糖が、2’-O-メチル修飾を含まない、請求項10に従属する、請求項49から51の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項53】
第二のヌクレオシド領域の3’末端位置が2’-O-メチル修飾を含まない、請求項49から52の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項54】
第一のヌクレオシド領域の5’領域の第一のヌクレオチドから下流の2位及び14位の何れかのヌクレオシドの糖が、2’-F修飾を含む、請求項53に記載のオリゴマー化合物。
【請求項55】
第一のヌクレオシド領域の5’領域の第一のヌクレオチドから下流の9位から11位の何れかの第一のヌクレオシド領域のヌクレオシドの何れかと位置が対応する、第二のヌクレオシド領域のヌクレオシドの糖が、2’-F修飾を含む、請求項53から54の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項56】
第二のヌクレオシド領域の3’末端位置が、2’-F修飾を含む、請求項54又は55に記載のオリゴマー化合物。
【請求項57】
第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が修飾され、及び/又は第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる偶数番目のヌクレオチドの一つ又は複数が修飾され、典型的には、偶数番目のヌクレオチドの修飾が、奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる第二の修飾である、請求項10に従属する、請求項53から56の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項58】
第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が、第一のヌクレオシド領域の奇数番目のヌクレオシドの修飾とは異なる修飾によって修飾されている、請求項57に記載のオリゴマー化合物。
【請求項59】
第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる偶数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が、請求項52に記載の第一のヌクレオシド領域の偶数番目のヌクレオシドの修飾とは異なる修飾によって修飾されている、請求項57又は58に記載のオリゴマー化合物。
【請求項60】
第一のヌクレオシド領域の修飾された偶数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数が、第一のヌクレオシド領域の異なって修飾された奇数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数に隣接する、請求項57から59の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項61】
第二のヌクレオシド領域の修飾された偶数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数が、第二のヌクレオシド領域の異なって修飾された奇数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数に隣接する、請求項57から60の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項62】
第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数の糖が2’-O-メチル修飾糖である、請求項57から61の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項63】
第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる偶数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が2’-F修飾糖である、請求項57から62の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項64】
第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数の糖が2’-F修飾糖である、請求項57から63の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項65】
第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる偶数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が2’-O-メチル修飾糖である、請求項57から64の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項66】
第一のヌクレオシド領域の複数の隣接ヌクレオシドの糖が共通の修飾によって修飾されている、請求項46から65の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項67】
第二のヌクレオシド領域の複数の隣接ヌクレオシドの糖が共通の修飾によって修飾されている、請求項46から66の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項68】
ヘアピンループの複数の隣接ヌクレオシドの糖が共通の修飾によって修飾されている、請求項30から33の何れか一項に従属する、請求項57から67の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項69】
前記共通の修飾が2’-F修飾糖である、請求項66から68の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項70】
前記共通の修飾が2’-O-メチル修飾糖である、請求項66から68の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項71】
前記複数の隣接2’-O-メチル修飾糖が、前記第一のヌクレオシド領域及び/又は前記第二のヌクレオシド領域の少なくとも8つの隣接ヌクレオシドに存在する、請求項70に記載のオリゴマー化合物。
【請求項72】
前記複数の隣接2’-O-メチル修飾糖が、前記ヘアピンループの3つ又は4つの隣接ヌクレオシドに存在する、請求項70に記載のオリゴマー化合物。
【請求項73】
前記ヘアピンループが、修飾糖を有する少なくとも一つのヌクレオシドを含む、請求項31から34の何れか一項に従属する、請求項46に記載のオリゴマー化合物。
【請求項74】
前記少なくとも一つのヌクレオシドが、異なる修飾糖を有するヌクレオシドに隣接している、請求項73に記載のオリゴマー化合物。
【請求項75】
前記修飾糖が2’-O-メチル修飾糖であり、前記異なる修飾糖が2’-F修飾糖である、請求項74に記載のオリゴマー化合物。
【請求項76】
第一のヌクレオシド領域及び/若しくは第二のヌクレオシド領域の一つ又は複数のヌクレオシドが逆位ヌクレオシドであり、その糖の3’炭素と隣接ヌクレオシドの糖の3’炭素を介して隣接ヌクレオシドに結合し、並びに/又は第一のヌクレオシド領域及び/若しくは第二のヌクレオシド領域の一つ又は複数のヌクレオシドが逆位ヌクレオシドであり、その糖の5’炭素と隣接ヌクレオシドの糖の5’炭素を介して隣接ヌクレオシドに結合している、請求項1から75の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項77】
平滑末端である、請求項1から76の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項78】
第一のヌクレオシド領域又は第二のヌクレオシド領域の何れかがオーバーハングを有する、請求項1から76の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項79】
表3に記載の化合物から選択される、請求項37から8の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項80】
請求項1から79の何れか一項に記載のオリゴマー化合物と、生理学的に許容される添加物とを含む組成物。
【請求項81】
請求項1から79の何れか一項に記載のオリゴマー化合物を含む薬学的組成物。
【請求項82】
薬学的に許容される添加物、希釈剤、抗酸化剤、及び/又は保存料を更に含む、請求項81に記載の薬学的組成物。
【請求項83】
前記オリゴマー化合物が唯一の薬学的活性剤である、請求項81又は82に記載の薬学的組成物。
【請求項84】
一又は複数種の更なる薬学的活性剤を更に含む、請求項81又は82に記載の薬学的組成物。
【請求項85】
前記更なる薬学的活性剤が、自然免疫系及び/若しくは適応免疫系を調節する薬剤、例えば、CFBとは異なる免疫系標的、有利にはインターロイキン-6に向けられている更なるオリゴマー化合物;インターロイキン-6の発現若しくはレベルを低下させる薬剤;又は補体成分を標的とする抗体などの薬剤であり、前記抗体が有利にはエクリズマブである、請求項84に記載の薬学的組成物。
【請求項86】
前記オリゴマー化合物と前記更なる薬学的活性剤が、同時に又は任意の順序で投与される、請求項84又は85に記載の薬学的組成物。
【請求項87】
ヒト又は動物用医薬又は治療に使用するための、請求項1から79の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項88】
疾患又は障害を治療、改善及び/又は予防する方法において使用するための、請求項1から79の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【請求項89】
前記疾患又は障害が、補体成分関連疾患若しくは障害、又はCFB発現レベルの減少を必要とする疾患若しくは障害である、請求項88に記載の使用のための化合物。
【請求項90】
前記疾患又は障害が、自己免疫疾患、CFBなどの補体成分の異常な上方制御を含む補体系機能不全、ドライ型AMD及び地図状萎縮を含む加齢黄斑変性症(AMD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、C3糸球体症(C3G)、IgA腎症及び原発性膜性腎症などのIg媒介腎臓病変、喘息、リウマチ性疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、糸球体腎炎、乾癬、皮膚筋炎水疱性類天疱瘡、志賀毒素大腸菌関連溶血性尿毒症症候群、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)、デンスデポジット病、C3神経障害、寒冷凝集素病、体液性及び血管性移植拒絶、移植片機能不全、心筋梗塞、移植に対する感作、並びに敗血症から選択される、請求項89に記載の使用のための化合物。
【請求項91】
前記疾患又は障害が、ドライ型AMD及び地図状萎縮を含む加齢黄斑変性症(AMD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、並びにC3糸球体症(C3G)から選択される、請求項89又は90に記載の使用のための化合物。
【請求項92】
治療を必要とする個体に、請求項1から79の何れか一項に記載のオリゴマー化合物を投与することを含む、疾患又は障害を治療する方法。
【請求項93】
オリゴマー化合物が個体に皮下又は静脈内投与される、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
遺伝子機能解析ツールとして研究に使用するための、請求項1から79の何れか一項に記載のオリゴマー化合物の使用。
【請求項95】
疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、請求項1から79の何れか一項に記載のオリゴマー化合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連する特許出願との相互参照]
この出願は、内容の全体が出典明示によりここに援用される、2022年3月9日に出願された米国仮特許出願第63/318341号及び2021年7月17日に出願された米国仮特許出願第63/222974号の利益及び優先権を主張する。
【0002】
[分野]
補体因子B(CFB)遺伝子発現を調節し、特に妨害又は阻害する核酸産物が提供される。核酸を含む組成物がまた、CFB関連を含む補体系関連障害、例えば自己免疫疾患、加齢黄斑変性症(AMD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、及びC3糸球体症(C3G)を治療、予防、又は改善するためのそれらの使用方法と共に提供される。
【背景技術】
【0003】
補体系は自然免疫系の一部である。適応免疫系と比較して、それは進化的に古く、殆どの分類群にわたって保存されている。その機能には、潜在的に病原性の微生物を装飾し(オプソニン化と呼ばれるプロセス)、それらを破壊の標的にすることが含まれ、これは、膜付着複合体(MAC)として知られる巨大分子集合体によってなされる。補体系の所定の成分は、ひとたび活性化されると、白血球の化学誘引と活性化に寄与する。
【0004】
補体活性化は、全てが微生物の存在を含む様々な要因によって引き起こされうるが、IgMを含むIgなどの適応免疫系の構成要素もまた関与する場合がある。補体活性化には三つの主要経路が認識されており、古典経路、代替経路、レクチン経路と呼ばれる。
【0005】
機能的な観点では、補体活性化は本質的に低レベルで発生し(C3の自発的切断によりC3a及びC3bが生成)、微生物の存在下において不活性型の酵素(酵素前駆体)をその活性対応物に変換する酵素カスケードを介して強化される。C3コンバターゼなどの「コンバターゼ」という用語は、主に機能的用語であり、構造的に異なる複合体を指す場合がある。C3コンバターゼの一つのタイプは、C3bと補体因子B(CFB、因子B)の複合体である。C3コンバターゼは、ひとたび形成されると、大量のC3をその切断産物C3a及びC3bに短時間のうちに転換できる。C3bと因子Bの複合体である特定のC3コンバターゼは、もともと代替経路の文脈で記載されているが、他の二つの経路の文脈でも形成される場合がある。代替経路内では、因子Bは、経路のより下流の成分であるC5をその活性型に転換する複合体であるC5コンバターゼの構成成分でもある。
【0006】
[疾患]
補体系は一般に、表面上の結合部位のパターンによって引き起こされる。これらの結合部位は微生物又は病原体の構成要素である場合があるが、以前に任意の標的に結合した抗体である場合もある。後者の場合、補体系は適応免疫系を強化するように作用する。その結果、述べた抗体が自己抗体である場合、補体系は望ましくない自己免疫反応を悪化させる。このような状況で補体系を妨害することは、自己免疫疾患を治療し又は改善する方法である。補体系、より具体的には古典経路のC1は抗体の定常部分を認識するため、補体系の妨害により、一般に自己免疫疾患を特に制限なく妨害する道が開かれる。そうは言っても、経験上、自己免疫疾患は他の臓器よりも皮膚、関節、腎臓に頻繁に影響を及ぼす。
【0007】
一方、自己抗体がない場合の補体機能不全も疾患の引き金となる場合がある。また、これに関連して、補体系の一般的な機構により、補体系の阻害剤、より具体的には因子B(CFB)阻害剤による治療が受け入れられる疾患は、特に限定されないと言える。
【0008】
[治療]
エクリズマブは、C5を標的とするヒト化モノクローナル抗体であり、PNH治療用に承認されている。その生産にはマウス細胞株が使用される。エクリズマブは、マウスタンパク質に対して感受性のある患者には使用されるべきではない。エクリズマブによる治療は非常に高価であり、費用は1患者当たり年間600000ユーロを超える場合がある。
【0009】
従って、因子B関連疾患を含む補体関連疾患を治療するための治療法の必要性が依然として存在する。従って、我々は、そのような疾患の治療のための化合物、方法、及び薬学的組成物を提供することを目的としている。
【0010】
発現されたmRNAに相補的に結合できる二本鎖RNA(dsRNA)が、RNA干渉(RNAi)と名付けられた機構により、遺伝子発現を遮断できることが示されている(Fire等,1998,Nature.1998 Feb 19;391(6669):806-1 1及びElbashir等,2001,Nature.2001 May 24;41 1(6836):494-8)。低分子dsRNAは、脊椎動物を含む多くの生物において遺伝子特異的な転写後サイレンシングを指示し、遺伝子機能を研究するための有用なツールとなっている。RNAiは、RISC複合体にロードされたサイレンシングトリガーと相同なメッセンジャーRNAを破壊する配列特異的な多成分ヌクレアーゼであるRNA誘導サイレンシング複合体(RISC)によって媒介される。siRNA、アンチセンスRNA、マイクロRNAなどの干渉RNA(iRNA)は、遺伝子サイレンシング、つまりmRNA分子の分解によるタンパク質の遺伝子翻訳の阻害によってタンパク質の形成を防ぐオリゴヌクレオチドである。遺伝子サイレンシング剤は、医学における治療用途にとって益々重要になってきている。
【0011】
Watts及びCoreyのJournal of Pathology(2012;Vol226,p365-379)によると、核酸サイレンシングトリガーの設計に使用できるアルゴリズムはあるが、これらには全て重大な制約がある。アルゴリズムでは標的mRNAの三次構造又はRNA結合タンパク質の関与などの要因が考慮されていないため、強力なsiRNAを同定するには様々な実験的方法が必要となる場合がある。従って、オフターゲット効果を最小限に抑えた強力な核酸サイレンシングトリガーの発見は複雑なプロセスである。これらの高度に緊迫した分子の薬学的開発には、それらが経済的に合成され、標的組織に分布し、細胞に入り、許容範囲内の毒性で機能しうることが必要である。従って、目的は、RNAiによる遺伝子発現を調節し、特に阻害するオリゴマー化合物を含む、ここに記載の血栓塞栓性疾患の治療のための化合物、方法、及び薬学的組成物を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
補体因子B(CFB)遺伝子発現を調節し、特に妨害又は阻害する核酸産物が、関連する治療用途と共に、提供される。特定のオリゴマー化合物及び配列がここに記載される。この概要は、請求項記載の主題の重要な特徴又は本質的な特徴を特定することを意図したものではないし、請求項記載の主題の範囲を決定するために使用されることを意図したものでもない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、CFB遺伝子発現の低下の観点から配列構造最適化を示す。
【
図2】
図2は、非ヒト霊長類(NHP)への用量投与の時点とサンプル採取の時点を有するタイムラインを含む研究デザインを示す。
【
図3A】
図3Aは、本発明のオリゴマーコンストラクト106-13(4)又は13(5)を用いた単一治療オリゴマーの血漿中の残存因子Bb(CFB下方制御及び補体経路下方制御の確立された読み出し)レベルの平均パーセントを示す。
【
図3B】
図3Bは、本発明のオリゴマーコンストラクト106-13(4)又は13(5)を用いた複数回の治療における血漿中の残存因子Bbレベルの平均パーセントを示す。
【
図4A】
図4Aは、対照群と比較した、本発明のオリゴマーコンストラクト106-13(4)で治療した群の血漿中の残存因子Bbレベルの平均パーセントを示す。
【
図4B】
図4Bは、対照群と比較した、本発明のオリゴマーコンストラクト13(5)で治療した群の血漿中の残存因子Bbレベルの平均パーセントを示す。
【
図5】
図5は、ヒト化肝臓を有するマウスにおける研究プロトコルの概要を示す。
【
図6】
図6は、2週間後及び6週間後の陰性対照と比較した、二種の化合物のmRNAレベルでのマウスのノックダウンを示す。
【
図7】
図7は、2週間後及び6週間後の陰性対照と比較した、マウスの血漿中のCFB(「因子B」)並びに因子Bbの量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次は非限定的な態様である。
態様1.CFBの発現を阻害することができるオリゴマー化合物であって、CFB遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的である少なくとも第一の核酸塩基配列を有する連結ヌクレオシドの少なくとも第一の領域を含み、第一の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号1から250、751及び752の配列、又はそれらの一部から選択され、前記一部が有利には少なくとも18ヌクレオチドの長さを有する、化合物。
【0015】
特に有利な実施態様は、最適化されたヘアピンRNA(mxRNAと呼ばれる)に関する;更なる詳細については、以下の実施態様とその考察を更に参照のこと。
【0016】
加えて、ここに開示されるアンチセンス領域及びセンス領域は、複数の標的に向けられた化合物のビルディングブロックとして機能しうる。このような化合物の一般的な構造は、国際公開第2020/065602号に記載されている。
【0017】
更に、以下に更に開示されるように、二本鎖RNA(dsRNA)が提供される。mxRNAとは異なり、dsRNAにはアンチセンス部分とセンス部分を連結するループが欠如しているため、二本の鎖を含む。これら二本の鎖は互いに共有結合で連結されていないが、塩基対形成が起こる二重鎖領域を形成する。
【0018】
態様2.態様1に記載のオリゴマー化合物と生理学的に許容される添加物とを含む組成物。
態様3.態様1に記載のオリゴマー化合物を含む薬学的組成物。
態様4.ヒト又は動物用医薬又は治療に使用するための、態様1に記載のオリゴマー化合物。
態様5.疾患又は障害を治療する方法において使用するための、態様1に記載のオリゴマー化合物。
態様6.治療を必要とする個体に態様1に記載のオリゴマー化合物を投与することを含む、疾患又は障害を治療する方法。
態様7.遺伝子機能解析ツールとして研究に使用するための、態様1に記載のオリゴマー化合物の使用。
態様8.疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、態様1に記載のオリゴマー化合物の使用。
【0019】
更なる実施態様(項)は、単なる例として以下に記載される。
ここに記載される利益と利点は、一つの実施態様に関連する場合もあれば、幾つかの実施態様に関連する場合もあることが理解されよう。実施態様は、述べられた課題の一部又は全てを解決するもの、或いは述べられた利益と利点の何れか又は全てを有するものに限定されない。
【0020】
ここに記載の異なる態様と実施態様の特徴は、当業者には明らかであるように、必要に応じて組み合わせることができ、また任意の他の態様と組み合わせることができる。
【0021】
[定義]
特定の定義が提供されない限り、ここに記載される分析化学、有機合成化学、及び薬化学及び製薬化学に関連して使用される命名法、及びそれらの手順及び技術は、当該技術分野でよく知られており、一般的に使用されているものである。化学合成及び化学分析には標準的な技術を使用できる。所定のそのような技術及び手順は、例えば、”Carbohydrate Modifications in Antisense Research”Sangvi及びCook編,American Chemical Society,Washington D.C.,1994;”Remington’s Pharmaceutical Sciences,”Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,21版,2005;及び”Antisense Drug Technology,Principles,Strategies,and Applications”Stanley T.Crooke編,CRC Press,Boca Raton,Florida;及びSambrook等,”Molecular Cloning,A laboratory Manual,”2版,Cold Spring Harbor Laboratory Press,1989に見出すことができ、これらは如何なる目的に対しても出典明示によりここに援用される。許可される場合、本開示を通して引用される全ての特許、出願、公開出願及び他の刊行物及び他のデータは、それらの全体が出典明示によりここに援用される。
【0022】
特に明記されていない限り、次の用語は次の意味を持つ:
ここで使用される場合、「添加物」は、オリゴマー化合物の送達に適した、ここで提供される組成物に添加される任意の化合物又は化合物の混合物を意味する。
【0023】
ここで使用される場合、「ヌクレオシド」は、核酸塩基部分と糖部分とを含む化合物を意味する。ヌクレオシドには、限定されないが、(DNA及びRNAに見出される)天然に存在するヌクレオシド及び修飾ヌクレオシドが含まれる。ヌクレオシドはリン酸部分に連結されていてもよく、リン酸連結ヌクレオシドはまた「ヌクレオチド」とも呼ばれる。
【0024】
ここで使用される場合、「化学修飾」又は「化学的に修飾された」とは、天然に存在する対応物と比較したときの化合物における化学的差異を意味する。オリゴヌクレオチドの化学修飾には、(糖部分修飾及び核酸塩基修飾を含む)ヌクレオシド修飾とヌクレオシド間結合修飾とが含まれる。オリゴヌクレオチドに関して、化学修飾には、核酸塩基配列のみの違いは含まれない。
【0025】
ここで使用される場合、「フラノシル」は、四つの炭素原子と一つの酸素原子を含む5員環を含む構造を意味する。
【0026】
ここで使用される場合、「天然に存在する糖部分」は、天然に存在するRNAに見出されるリボフラノシル、又は天然に存在するDNAに見出されるデオキシリボフラノシルを意味する。ここで言及される「天然に存在する糖部分」は、「未修飾糖部分」とも呼ばれる。特に、ここで言及されるそのような「天然に存在する糖部分」又は「未修飾糖部分」は、糖部分の2’位に-H(DNA糖部分)又は-OH(RNA糖部分)を有し、特に糖部分の2’位に-H(DNA糖部分)を有する。
【0027】
ここで使用される場合、「糖部分」は、ヌクレオシドの天然に存在する糖部分又は修飾された糖部分を意味する。ここで使用される場合、「修飾された糖部分」は、置換された糖部分又は糖代替物を意味する。
【0028】
ここで使用される場合、「置換された糖部分」は、置換されているフラノシルを意味する。置換された糖部分には、限定されないが、2’位、3’位、5’位及び/又は4’位に置換基を含むフラノシルが含まれる。所定の置換糖部分は二環式糖部分である。
【0029】
ここで使用される場合、「2’置換糖部分」は、2’位にH又はOH以外の置換基を含むフラノシルを意味する。特に明記しない限り、2’置換糖部分は二環式糖部分ではない(すなわち、2’置換糖部分の2’置換基はフラノシル環の別の原子への架橋を形成しない)。
【0030】
ここで使用される場合、「MOE」は、-OCH2CH2OCH3を意味する。
【0031】
ここで使用される場合、「2’-Fヌクレオシド」は、2’位にフッ素を含む糖を含むヌクレオシドを指す。特に明記しない限り、2’-Fヌクレオシドのフッ素は(天然リボースのOHを置き換える)リボ位置にある。RNA鎖にハイブリダイズした均一に修飾された2’-フッ素化(リボ)オリゴヌクレオチドの二重鎖はRNase H基質ではないが、ara類似体はRNase H活性を保持する。
【0032】
ここで使用される場合、「糖代替物」という用語は、フラノシルを含まず、得られるヌクレオシドサブユニットが一緒に結合し、及び/又は他のヌクレオシドに結合して、相補的なオリゴマー化合物にハイブリダイズできるオリゴマー化合物を形成できるように、ヌクレオシドの天然に存在する糖部分を置き換えることができる構造を意味する。そのような構造には、フラノシルとは異なる数の原子を含む環(例えば、4、6、又は7員環);フラノシルの酸素の非酸素原子(例えば、炭素、硫黄、又は窒素)での置換;或いは原子の数の変化と酸素の置換の両方が含まれる。そのような構造にはまた、置換された糖部分について記載されたものに対応する置換が含まれうる(例えば、追加の置換基を任意選択的に含む6員炭素環二環糖代替物)。糖代替物にはまたより複雑な糖置換物(ペプチド核酸の非環系など)が含まれる。糖代替物には、限定されないが、モルホリノ、シクロヘキセニル及びシクロヘキシトールが含まれる。
【0033】
ここで使用される場合、「二環式糖部分」は、第二の環を形成するために4から7員環の二つの原子を連結する架橋を含み、二環式構造を生じる(限定されないが、フラノシルを含む)4から7員環を含む修飾された糖部分を意味する。所定の実施態様では、4から7員環は糖環である。所定の実施態様では、4から7員環はフラノシルである。所定のそのような実施態様では、架橋はフラノシルの2’炭素と4’炭素を連結する。
【0034】
ここで使用される場合、「ヌクレオチド」は、リン酸連結基を更に含むヌクレオシドを意味する。ここで使用される場合、「連結ヌクレオシド」は、リン酸結合によって連結されていても連結されていなくてもよく、従って、限定されないが、「連結ヌクレオチド」を含む。ここで使用される場合、「連結ヌクレオシド」は、連続した配列で連結されたヌクレオシドである(すなわち、追加のヌクレオシドが連結されたヌクレオシド間に存在しない)。
【0035】
ここで使用される場合、「核酸塩基」は、オリゴヌクレオチドに取り込むことができるヌクレオシドを生成するために糖部分に連結することができる原子団であって、別のオリゴヌクレオチド又は核酸の相補的な天然に存在する核酸塩基と結合(より特定的には水素結合)することができる原子団を意味する。核酸塩基は天然に存在する場合もあれば、修飾されている場合もある。
【0036】
ここで使用される場合、「未修飾核酸塩基」又は「天然に存在する核酸塩基」という用語は、RNA又はDNAの天然に存在する複素環式核酸塩基、すなわちプリン塩基のアデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基のチミン(T)、シトシン(C)(5-メチルCを含む)、及びウラシル(U)を意味する。
【0037】
ここで使用される場合、「修飾核酸塩基」とは、天然に存在する核酸塩基ではない任意の核酸塩基を意味する。
【0038】
ここで使用される場合、「修飾ヌクレオシド」は、天然に存在するRNA又はDNAヌクレオシドと比較して、少なくとも一つの化学修飾を含むヌクレオシドを意味する。修飾ヌクレオシドは、修飾糖部分及び/又は修飾核酸塩基を含みうる。
【0039】
ここで使用される場合、「二環式ヌクレオシド」又は「BNA」は、二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0040】
ここで使用される場合、「ロックド核酸ヌクレオシド」又は「LNA」は、4’-CH2-O-2’架橋を含む二環式糖部分を含むヌクレオシドを意味する。
【0041】
ここで使用される場合、「2’-置換ヌクレオシド」は、糖部分の2’位にH又はOH以外の置換基を含むヌクレオシドを意味する。特に明記しない限り、2’-置換ヌクレオシドは二環式ヌクレオシドではない。
【0042】
ここで使用される場合、「デオキシヌクレオシド」は、天然に存在するデオキシリボヌクレオシド(DNA)に見出されるような、2’-Hフラノシル糖部分を含むヌクレオシドを意味する。所定の実施態様では、2’-デオキシヌクレオシドは、修飾核酸塩基を含んでもよく、又はRNA核酸塩基(例えば、ウラシル)を含んでもよい。
【0043】
ここで使用される場合、「オリゴヌクレオチド」は、複数の連結ヌクレオシドを含む化合物を意味する。所定の実施態様では、オリゴヌクレオチドは、一つ又は複数の未修飾リボヌクレオシド(RNA)及び/又は未修飾デオキシリボヌクレオシド(DNA)及び/又は一つ又は複数の修飾ヌクレオシドを含む。
【0044】
ここで使用される場合、「修飾オリゴヌクレオチド」は、少なくとも一つの修飾ヌクレオシド及び/又は少なくとも一つの修飾ヌクレオシド間結合を含むオリゴヌクレオチドを意味する。
【0045】
有利な修飾ヌクレオシド間結合には、天然に存在するホスホジエステルと比較して増加した安定性を与えるものが含まれる。「安定性」とは、特に、酵素触媒加水分解を含む加水分解、エキソヌクレアーゼ及びエンドヌクレアーゼを含む酵素に対する安定性を指す。
【0046】
有利には、そのような修飾ヌクレオシド間結合は、ここに記載されるような一本鎖オリゴマー化合物の末端及び/又はヘアピンループに配置されうる。例えば、5’末端から数えて第一及び第二ヌクレオシドと第二及び第三ヌクレオシドを連結するヌクレオシド間結合、並びに/又は3’末端から数えて第一及び第二ヌクレオシドと第二及び第三ヌクレオシドを連結するヌクレオシド間結合が修飾される。加えて、3’末端の末端ヌクレオシドをGalNAcなどのリガンドと連結する結合が修飾されてもよい。
【0047】
上で検討したように、有利な位置は、一本鎖オリゴマー化合物のヘアピンループ内にある。特に、ヘアピンループ内の全ての結合、一つを除く全ての結合、又は大部分の結合が修飾される。ここで使用される場合、「ヘアピンループ内の結合」とは、塩基対形成に関与していないヌクレオシド間の結合を指す。例えば、5つのヌクレオシドからなるヘアピンループには、塩基対形成に関与していない4つのヌクレオシド間結合がある。「ヘアピンループ内の結合」はまたステムをループに連結する結合、すなわち、塩基対のヌクレオシドを非塩基対のヌクレオシドに連結する結合にまで延びうる。一般に、ここに記載されているように、ヘアピンとmxRNAにはそのような位置が二つある。
【0048】
有利には、修飾ヌクレオシド間結合は両末端及びヘアピンループ内にある。
【0049】
ここで使用される場合、「結合」又は「連結基」は、二つ以上の他の原子団を連結する原子団を意味する。
【0050】
ここで使用される場合、「ヌクレオシド間結合」は、オリゴヌクレオチド中の隣接するヌクレオシド間の共有結合を意味する。
【0051】
ここで使用される場合、「天然に存在するヌクレオシド間結合」とは、3’から5’ホスホジエステル結合を意味する。ここで使用される場合、「修飾ヌクレオシド間結合」とは、天然に存在するヌクレオシド間結合以外の任意のヌクレオシド間結合を意味する。特に、ここで言及される「修飾ヌクレオシド間結合」には、ホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合などの修飾リン連結基が含まれうる。
【0052】
ここで使用される場合、「末端ヌクレオシド間結合」は、オリゴヌクレオチド又はその規定領域の最後の二つのヌクレオシド間の結合を意味する。
【0053】
ここで使用される場合、「リン連結基」は、リン原子を含む連結基を意味し、ホスホジエステル連結基などの天然に存在するRNA又はDNA中に存在するような天然に存在するリン連結基、或いはホスホロチオエート又はホスホロジチオエート連結基などの天然に存在するRNA又はDNA中に一般には存在しない修飾リン連結基を含みうる。従って、リン連結基には、限定されないが、ホスホジエステル、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホネート、メチルホスホネート、ホスホロアミダート、ホスホロチオアミダート、チオノアルキルホスホネート、ホスホトリエステル、チオノアルキルホスホトリエステル及びボラノホスフェートが含まれうる。
【0054】
ここで使用される場合、「ヌクレオシド間リン連結基」は、二つのヌクレオシドを直接連結するリン連結基を意味する。
【0055】
ここで使用される場合、「オリゴマー化合物」は、二つ以上の部分構造を含むポリマー構造を意味する。所定の実施態様では、オリゴマー化合物は、修飾オリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドを含む。所定の実施態様では、オリゴマー化合物は、一つ又は複数のコンジュゲート基及び/又は末端基及び/又はリガンドを更に含む。所定の実施態様では、オリゴマー化合物はオリゴヌクレオチドからなる。所定の実施態様では、オリゴマー化合物は、一つ又は複数の連結された単量体糖部分の骨格を含み、各連結された単量体糖部分は、複素環式塩基部分に直接的又は間接的に結合している。所定の実施態様では、オリゴマー化合物はまた、複素環塩基部分に連結していない単量体糖部分を含み得、それによって脱塩基部位を提供しうる。オリゴマー化合物は、核酸塩基配列に関してのみ、つまり、A、G、C、U(又はT)の配列を特定することによって規定されうる。そのような場合、糖-リン酸骨格の構造は特に限定されず、修飾糖及び/又は修飾リン酸を含んでもよく、含まなくてもよい。他方、オリゴマー化合物は、より包括的に、つまり、核酸塩基配列だけでなく、骨格の構造、特に糖(未修飾、2’-OMe修飾、2’-F修飾など)及び/又はリン酸の修飾状態を特定することによって規定されうる。
【0056】
ここで使用される場合、「末端基」は、オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端の何れか又は両方に結合した一つ又は複数の原子を意味する。所定の実施態様では、末端基は、一つ又は複数の末端基ヌクレオシドを含む。
【0057】
ここで使用される場合、「コンジュゲート」又は「コンジュゲート基」は、オリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物に結合した原子又は原子団を意味する。所定の実施態様では、コンジュゲート基は、リガンドを修飾オリゴヌクレオチド又はオリゴマー化合物に連結する。一般に、コンジュゲート基は、限定されないが、薬力学、薬物動態、結合、吸収、細胞分布、細胞取り込み、電荷及び/又はクリアランス特性を含む、それらが結合する化合物の一つ又は複数の特性を改変しうる。
【0058】
ここで使用される場合、コンジュゲート基の文脈における「コンジュゲートリンカー」又は「リンカー」は、任意の原子又は原子団を含み、オリゴヌクレオチドをコンジュゲート基の別の部分に共有結合させるコンジュゲート基の一部を意味する。所定の実施態様では、オリゴマー化合物上の結合点は、オリゴヌクレオチドの3’末端ヌクレオシドの3’ヒドロキシル基の3’酸素原子である。所定の実施態様では、オリゴマー化合物上の結合点は、オリゴヌクレオチドの5’末端ヌクレオシドの5’ヒドロキシル基の5’酸素原子である。所定の実施態様では、オリゴマー化合物への結合を形成するための結合は、切断可能な結合である。所定のそのような実施態様では、そのような切断可能な結合は、切断可能な部分の全部又は一部を構成する。
【0059】
所定の実施態様では、コンジュゲート基は、切断可能な部分(例えば、切断可能な結合又は切断可能なヌクレオシド)と、一つ又は複数のリガンドを含みうるリガンド部分、例えば「GalNAc」とも呼ばれるN-アセチル-ガラクトサミンクラスター部分などの糖クラスター部分を含む。所定の実施態様では、糖クラスター部分は、リガンドの数及びアイデンティティによって識別される。例えば、所定の実施態様では、糖クラスター部分は2つのGalNAc基を含む。例えば、所定の実施態様では、糖クラスター部分は3つのGalNAc基を含む。所定の実施態様では、糖クラスター部分は、4つのGalNAc基を含む。そのようなリガンド部分は、切断可能な結合又は切断可能なヌクレオシドなどの切断可能な部分を介してオリゴマー化合物に結合される。リガンドは、二分岐又は三分岐配置などの直鎖状又は分岐状配置で配置されうる。糖クラスターの例は次の式:
(構造式中、一つ、二つ、又は三つのホスホジエステル結合をホスホチオネート結合で置換することもできる)を有する。
【0060】
ここで使用される場合、「切断可能な部分」は、生理学的条件下で切断可能な結合又は基を意味する。所定の実施態様では、切断可能な部分は、エンドソーム又はリソソームなどの細胞又は細胞内区画の内部で切断される。所定の実施態様では、切断可能な部分は、ヌクレアーゼなどの内因性酵素によって切断される。所定の実施態様では、切断可能な部分は、一つ、二つ、三つ、四つ、又は四つを超える切断可能な結合を有する原子団を含む。所定の実施態様では、切断可能な部分はホスホジエステル結合である。
【0061】
ここで使用される場合、「切断可能な結合」とは、切断可能な任意の化学結合を意味する。
【0062】
ここで使用される場合、「糖クラスター」は、リンカー基に結合した一つ又は複数の糖残基を有する化合物を意味する。
【0063】
ここで使用される場合、「修飾糖」は、天然に存在する糖と比べて一つ又は複数の化学修飾を有する任意の糖を意味する。
【0064】
ここで使用される場合、「糖誘導体」は、出発物質又は中間体として糖を使用して合成されうる任意の化合物を意味する。
【0065】
ここで使用される場合、「糖」は、天然に存在する糖、修飾糖、又は糖誘導体を意味する。糖は、炭素(C)、水素(H)、酸素(O)原子を含む生体分子である。糖には、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖又は多糖、例えば、一若しくは複数のガラクトース部分、一若しくは複数のラクトース部分、一若しくは複数のN-アセチル-ガラクトサミン部分、及び/又は一若しくは複数のマンノース部分が含まれうる。有利には、糖はN-アセチル-ガラクトサミンである。
【0066】
ここで使用される場合、「鎖」は、連結ヌクレオシドを含むオリゴマー化合物を意味する。
【0067】
ここで使用される場合、「一本鎖(single strand)」又は「一本鎖(single-stranded)」は、間に切れ目なく連続した配列で連結された連結ヌクレオシドを含むオリゴマー化合物を意味する。そのような一本鎖は、ヘアピン構造で安定した自己二重鎖を形成できるように十分な自己相補性の領域を含みうる。
【0068】
ここで使用される場合、「ヘアピン」は、自己相補的で方向性が反対である鎖内の配列間の塩基対形成によって形成される二重鎖を含む一本鎖オリゴマー化合物を意味する。
【0069】
ここで使用される場合、「ヘアピンループ」は、自己相補的配列のハイブリダイゼーションの結果として生成されるヘアピン内の連結ヌクレオシドの不対ループを意味する。結果として得られる構造は、ループ又はU字形のように見える。
【0070】
特に、shRNAとも呼ばれる低分子ヘアピンRNAは、二重鎖領域と、二重鎖を形成する領域を連結するループを含む。ループを持たない二重鎖領域の末端は、平滑末端であり得、或いは(a)3’及び/又は(a)5’オーバーハングを有しうる。平滑末端コンストラクトが特に有利である。
【0071】
ここで使用される場合、「方向性」とは、糖部分の炭素原子の番号付けの化学慣例に基づいた、オリゴヌクレオチドのエンドツーエンドの化学的配向を意味し、糖部分の5’炭素によって定義される5’末端と、糖部分の3’炭素によって定義される3’末端とが存在することを意味する。二重鎖又は二本鎖オリゴヌクレオチドでは、それぞれの鎖が反対の5’から3’方向に延び、それらの間で塩基対形成が可能になる。
【0072】
ここで使用される場合、「二重鎖(duplex)」は、又は「dup」とも略され、それらの間の非共有結合性の配列特異的相互作用によって一緒にハイブリダイズされた、オリゴヌクレオチド(一つ又は複数)の二つ以上の相補鎖領域又は鎖を意味する。最も一般的には、二重鎖におけるハイブリダイゼーションは、核酸塩基アデニン(A)とチミン(T)、及び/又は(A)アデニンとウラシル(U)、及び/又はグアニン(G)とシトシン(C)の間でなされる。二重鎖は一本鎖構造の一部であってもよく、その場合、自己相補性によりハイブリダイゼーションが生じるか、又は二本鎖コンストラクトのそれぞれの鎖間のハイブリダイゼーションの結果として生じる。
【0073】
ここで使用される場合、「二本鎖(double strand)」又は「二本鎖(double stranded)」は、互いにハイブリダイズされる一対のオリゴマー化合物を意味する。所定の実施態様では、二本鎖オリゴマー化合物は、第一及び第二のオリゴマー化合物を含む。
【0074】
ここで使用される場合、「発現」とは、遺伝子が最終的にタンパク質をもたらすプロセスを意味する。発現には、限定されないが、転写、転写後修飾(例えば、スプライシング、ポリアデニル化、5’キャップの付加)、及び翻訳が含まれる。
【0075】
ここで使用される場合、「転写」又は「転写された」とは、DNAの標的配列が酵素RNAポリメラーゼによってRNA(特にmRNA)にコピーされる、DNAベースの遺伝子発現の幾つかのステップの最初のステップを指す。転写中、DNA配列はRNAポリメラーゼによって読み取られ、これが一次転写物と呼ばれる相補的で逆平行のRNA配列を生成する。
【0076】
ここで使用される場合、「標的配列」とは、オリゴマー化合物がハイブリダイズしてCFB発現に関して所望の活性をもたらすことが意図される配列を意味する。オリゴヌクレオチドは、生理学的条件下でハイブリダイゼーションを可能にするために、その標的配列に対して十分な相補性を有している。
【0077】
ここで使用される場合、「核酸塩基相補性」又は「相補性」は、核酸塩基に関して言及する場合、別の核酸塩基と塩基対形成をなすことができる核酸塩基を意味する。例えば、DNAでは、アデニン(A)はチミン(T)に相補的である。例えば、RNAでは、アデニン(A)はウラシル(U)に相補的である。DNAとRNAの両方において、グアニン(G)はシトシン(C)と相補的である。所定の実施態様では、相補的核酸塩基は、その標的配列の核酸塩基と塩基対形成をなすことができるオリゴマー化合物の核酸塩基を意味する。例えば、オリゴマー化合物の所定の位置にある核酸塩基が、標的配列の所定の位置にある核酸塩基と水素結合できる場合、オリゴマー化合物と標的配列との間の水素結合の位置はその核酸塩基対において相補的であるとみなされる。所定の修飾を含む核酸塩基は、対応する核酸塩基と対形成する能力を維持する場合があり、従って依然として核酸塩基の相補性が可能である。
【0078】
ここで使用される場合、核酸塩基に関して「非相補的」とは、互いに水素結合を形成しない一対の核酸塩基を意味する。
【0079】
ここで使用される場合、オリゴマー化合物(例えば、連結ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド)に関する「相補的」とは、そのようなオリゴマー化合物又はその領域が、核酸塩基相補性を通じて標的配列又はオリゴマー化合物自体の領域にハイブリダイズする能力を意味する。
【0080】
相補的なオリゴマー化合物は、各ヌクレオシドにおいて核酸塩基の相補性を有している必要はない。むしろ、多少のミスマッチは許容される。所定の実施態様では、相補的なオリゴマー化合物又は領域は、核酸塩基の70%で相補的である(70%相補的)。所定の実施態様では、相補的なオリゴマー化合物又は領域は80%>相補的である。所定の実施態様では、相補的なオリゴマー化合物又は領域は90%>相補的である。所定の実施態様では、相補的なオリゴマー化合物又は領域は少なくとも95%相補的である。所定の実施態様では、相補的なオリゴマー化合物又は領域は100%相補的である。
【0081】
ここで使用される場合、オリゴマー化合物に関する「自己相補性」は、それ自体で折り返され、内部相補鎖領域の核酸塩基ハイブリダイゼーションの結果として二重鎖を形成しうる化合物を意味する。鎖領域がどの程度接近しているか、及び/又はどの程度長いかに応じて、化合物はヘアピンループ、ジャンクション、バルジ、又は内部ループを形成しうる。
【0082】
ここで使用される場合、「ミスマッチ」とは、標的配列の対応する位置において、又はオリゴマー化合物が自己相補性の結果としてハイブリダイズする場合、オリゴマー化合物とオリゴマー化合物の標的配列及び/又は自己相補的領域とが整列している場合のオリゴマー化合物自体の対応する位置において、核酸塩基と対形成できないオリゴマー化合物の核酸塩基を意味する。
【0083】
ここで使用される場合、「ハイブリダイゼーション」とは、相補的なオリゴマー化合物(例えば、オリゴマー化合物とその標的配列)の対形成を意味する。特定の機構に限定されないが、最も一般的な対形成機構には、相補的核酸塩基間のワトソン・クリック水素結合、フーグスティーン水素結合、又は逆フーグスティーン水素結合などの水素結合が含まれる。
【0084】
ここで使用される場合、「特異的にハイブリダイズする」とは、オリゴマー化合物が、別の核酸部位にハイブリダイズするよりも高い親和性で、ある核酸部位にハイブリダイズする能力を意味する。
【0085】
ここで使用される場合、オリゴマー化合物又はその領域に関して「完全に相補的」とは、オリゴマー化合物又はその領域の各核酸塩基が、相補的核酸標的配列又はオリゴマー化合物の自己相補的領域の核酸塩基と対形成することができることを意味する。従って、完全に相補的なオリゴマー化合物又はその領域は、その標的配列又はオリゴマー化合物の自己相補的領域に関してミスマッチ又はハイブリダイズしていない核酸塩基を含まない。
【0086】
ここで使用される場合、「相補性パーセント」は、標的核酸の等しい長さの部分に相補的であるオリゴマー化合物の核酸塩基のパーセンテージを意味する。相補性パーセントは、標的核酸内の対応する位置の核酸塩基に相補的であるオリゴマー化合物の核酸塩基の数をオリゴマー化合物の全長で割ることによって計算される。
【0087】
ここで使用される場合、「同一性パーセント」は、第二の核酸の対応する位置にある核酸塩基と同じタイプ(化学修飾とは無関係)である第一の核酸の核酸塩基の数を、第一の核酸の核酸塩基の全数で割ったものを意味する。
【0088】
ここで使用される場合、「調節」は、調節前の分子、機能又は活性の量又は質と比較したときの、分子、機能又は活性の量又は質の変化を意味する。例えば、調節には、遺伝子発現の増加(刺激若しくは誘導)又は減少(阻害若しくは低下)の何れかの変化が含まれる。
【0089】
ここで使用される場合、ヌクレオシド又はある「タイプ」のヌクレオシドに関する「修飾のタイプ」は、ヌクレオシドの化学修飾を意味し、修飾ヌクレオシド及び未修飾ヌクレオシドを含む。従って、別段の指示がない限り、「第一のタイプの修飾を有するヌクレオシド」は、未修飾ヌクレオシドであってもよい。
【0090】
ここで使用される場合、「異なって修飾」されたとは、修飾が存在しないことを含み、互いに異なる化学修飾又は化学置換基を意味する。従って、例えば、たとえ天然に存在するヌクレオシドが未修飾であっても、MOEヌクレオシド及び未修飾の天然に存在するRNAヌクレオシドは、「異なって修飾」されている。同様に、DNAオリゴヌクレオチドとRNAオリゴヌクレオチドは、たとえ両方とも天然に存在する未修飾ヌクレオシドであっても、「異なって修飾」される。同じであるが異なる核酸塩基を含むヌクレオシドは、異なって修飾されてはいない。例えば、2’-OMe修飾糖部分及び未修飾アデニン核酸塩基を含むヌクレオシドと、2’-OMe修飾糖部分及び未修飾チミン核酸塩基を含むヌクレオシドとは、異なって修飾されてはいない。
【0091】
ここで使用される場合、「同じタイプの修飾」とは、修飾が存在しないことを含み、互いに同じである修飾を指す。従って、例えば、二つの未修飾RNAヌクレオシドは、たとえRNAヌクレオシドが未修飾であっても、「同じタイプの修飾」を有している。そのような同じタイプの修飾を有するヌクレオシドは、異なる核酸塩基を含む場合がある。
【0092】
ここで使用される場合、「領域(一つ又は複数)」又は「部分(一つ又は複数)」は、特にここに提供される主題及び定義を参照して、ここに定義されるような機能又は特性を有する複数の連結ヌクレオシドを意味する。典型的には、そのような領域又は部分は、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、又は少なくとも13の連結ヌクレオシドを含む。例えば、そのような領域は、13から20の連結ヌクレオシド、例えば13から16又は18から20の連結ヌクレオシドを含みうる。典型的には、ここで定義される第一の領域は18から20のヌクレオシドから本質的になり、ここで定義される第二の領域は13から16の連結ヌクレオシドから本質的になる。
【0093】
ここで使用される場合、「薬学的に許容される担体又は希釈剤」とは、動物への投与に使用するのに適した任意の物質を意味する。所定の実施態様では、薬学的に許容される担体又は希釈剤は滅菌生理食塩水である。所定の実施態様では、そのような滅菌生理食塩水は医薬品等級の生理食塩水である。
【0094】
ここで使用される場合、「置換基(substituent)」及び「置換基(substituent group)」は、指定された親化合物の原子又は基と置き換わる原子又は基を意味する。例えば、修飾ヌクレオシドの置換基は、天然に存在するヌクレオシドに見出される原子又は基とは異なる任意の原子又は基である(例えば、修飾2’-置換基は、ヌクレオシドの2’位にあるH又はOH以外の任意の原子又は基である)。置換基は保護されていても未保護であってもよい。所定の実施態様では、本開示の化合物は、親化合物の一又は一を超える位置に置換基を有する。置換基はまた、他の置換基で更に置換されてもよく、親化合物に直接又は酸素若しくはアルキル若しくはヒドロカルビル基などの連結基を介して結合されてもよい。
【0095】
そのような置換基は、糖部分上の修飾として存在し得、特に糖部分の2’位に存在する置換基である。特に示されない限り、置換基として使用可能な基には、限定されないが、ハロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アシル、カルボキシル、アルコキシ、アルコキシアルキレン及びアミノ置換基の一つ又は複数が含まれる。ここに記載される所定の置換基は、糖部分の環に直接結合した修飾(糖環に直接結合したフルオロなどのハロなど)、又はそれ自体が糖部分に直接結合している酸素連結原子を介して糖部分の環に間接的に結合した修飾(酸素原子に結合しているメトキシエチレンなどのアルコキシアルキレンなど、全体として糖部分の2’位に結合したここに記載のMOE置換基を提供する)を表しうる。
【0096】
ここで使用される場合、ここで使用される「アルキル」は、飽和直鎖又は分岐鎖の一価C1-6炭化水素基を意味する。メチルが有利には糖部分の2’位の置換基として用いられるアルキルである。アルキル基は典型的には糖の2’位の酸素連結原子に結合し、従って全体として、ここに記載されるオリゴマー化合物の糖部分に-OCH3置換基などの-Oアルキル置換基を提供する。これは当業者にはよく理解されるであろう。
【0097】
ここで使用される場合、「アルキレン」は、一般式-CnH2n-(式中、nは1~6である)の飽和直鎖又は分岐鎖二価炭化水素基を意味する。メチレン又はエチレンが有利なアルキレンである。
【0098】
ここで使用される場合、「アルケニル」は、直鎖又は分岐鎖の不飽和一価C2-6炭化水素基を意味し、エテニル又はプロペニルが糖部分の2’位の置換基としての特定のアルケニルである。当該技術分野でよく理解されているように、アルケニル基中に存在する不飽和度は、少なくとも一つの炭素-炭素二重結合の存在である。アルケニル基は典型的には糖の2’位の酸素連結原子に結合し、従って、全体として、ここに記載されるオリゴマー化合物の糖部分に-OCH2CH=CH2置換基などの-Oアルケニル置換基を提供する。これは当業者にはよく理解されるであろう。
【0099】
ここで使用される場合、「アルキニル」は、直鎖又は分岐鎖の不飽和C2-6炭化水素基を意味し、エチニルが糖部分の2’位の置換基の例である。当該技術分野でよく理解されているように、アルキニル基中に存在する不飽和度は、少なくとも一つの炭素-炭素三重結合の存在である。アルキニル基は典型的には糖の2’位の酸素連結原子に結合し、従って、全体として、ここに記載されるオリゴマー化合物の糖部分に-Oアルキニル置換基を提供する。これは当業者にはよく理解されるであろう。
【0100】
ここで使用される場合、「カルボキシル」は、一般式-CO2Hを有する基である。
【0101】
ここで使用される場合、「アシル」は、ここで定義されるカルボキシル基からヒドロキシル基を除去することによって形成される基を意味し、一般式-C(O)-X(式中、Xは典型的にはC1-6アルキルである)を有する。
【0102】
ここで使用される場合、「アルコキシ」は、C1-6アルキル基などのアルキル基と酸素原子との間に形成される基を意味し、酸素原子は、アルコキシ基を親分子(例えば、糖部分の2’位)に、又はここで定義されるアルキレン基などの別の基に結合させるために使用される。アルコキシ基の例には、限定されないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、sec-ブトキシ及びtert-ブトキシが含まれる。ここで使用されるアルコキシ基は、任意選択的に更なる置換基を含みうる。
【0103】
ここで使用される場合、アルコキシアルキレンは、またここで定義されるアルキレン基に結合する、ここで定義されるアルコキシ基を意味し、アルコキシ基の酸素原子はアルキレン基に結合し、アルキレンは親分子に結合する。アルキレン基は典型的には、糖の2’位の酸素連結原子に結合し、従って、全体として、ここに記載されるオリゴマー化合物の糖部分に、-OCH2CH2OCH3置換基などの-Oアルキレンアルコキシ置換基を提供する。これは当業者にはよく理解されており、ここで定義され当該技術分野で知られているように一般にMOE置換基と呼ばれる。
【0104】
ここで使用される場合、「アミノ」には、第一級アミノ基、第二級アミノ基、及び第三級アミノ基が含まれる。
【0105】
ここで使用される場合、「ハロ」及び「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素から選択される原子を意味する。
【0106】
ここで使用される場合、「mxRNA」という用語は、特に、その全体が出典明示によりここに援用される国際公開第2020/044186A2号に定義されているように理解される。
【0107】
ここで使用される場合、「因子Bb」という用語は、補体活性化内のC3コンバターゼ内のC3bに結合する、対応する一般に知られたタンパク質を意味する。因子BbはCFBの活性サブユニットであり、CFBがC3bに結合した後、例えば補体活性化の代替経路において、因子DによるCFBの因子Baと因子Bbへの切断によって産生されうる。以下に提供される実施例におけるように、因子Bbレベルは、CFB発現のサイレンシングの成功の指標として使用できる。
【0108】
また、ここに記載のオリゴマー化合物は、生理学的に適切な条件下でハイブリダイゼーションを維持するのに十分な相補性がある限り、一方若しくは両方の鎖の一端若しくは両端に一つ若しくは複数の非ハイブリダイズヌクレオシド(オーバーハング)及び/又は一つ若しくは複数の内部非ハイブリダイズヌクレオシド(ミスマッチ)を有しうることもまた理解されるであろう。或いは、ここに記載のオリゴマー化合物は、少なくとも一端が平滑末端でありうる。
【0109】
「含む(comprising)」という用語は、ここでは、特定された方法ステップ又は要素を含むが、そのようなステップ又は要素は排他的なリストを構成せず、従って追加のステップ又は要素が存在する場合があることを意味するために使用される。
【0110】
更に、「含む(includes)」という用語が詳細な説明又は特許請求の範囲の何れかで使用される限り、そのような用語は、「含む(comprising)」が請求項に移行語として用いられる場合に解釈されるように、「含む(comprising)」という用語と同様の形で包括的であることが意図される。
【0111】
次の非限定的な実施態様(項)が提供される:
1.補体因子B(CFB)の発現を阻害することができるオリゴマー化合物であって、CFB遺伝子から転写されたRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的である少なくとも第一の核酸塩基配列を有する連結ヌクレオシドの少なくとも第一の領域を含み、第一の核酸塩基配列が、次の配列:表1aの配列(配列番号:1から250、751及び752)、又はそれらの一部から選択され、前記一部が有利には少なくとも18ヌクレオチドの長さを有する、化合物。
【0112】
第一の領域はアンチセンス領域又はガイド領域とも呼ばれ、第二の領域はセンス領域又はパッセンジャー領域とも呼ばれる。以下の特定の実施態様に開示されるように、二つの領域は同じ鎖上に、有利には隣接した形で位置しうる。これにより、mxRNAとも呼ばれるヘアピン分子が生じる。一方、二つの領域は、二本鎖RNA(dsRNA)を生じさせる別個の鎖上に位置し得、有利には各鎖がそれぞれの領域からなる。
【0113】
更に、前記領域は、muRNA(上記を参照)のビルディングブロックとして機能しうる。換言すれば、ここで定義される第一の領域及び第二の領域は、次のmuRNAの定義に従って、それぞれ第一の領域及び第三の領域として使用されうる:
少なくとも、
(a)CFB遺伝子から転写されるRNAの少なくとも第一の部分に少なくとも部分的に相補的である第一の核酸部分;
(b)別の遺伝子から転写されるRNAの少なくとも第二の部分に少なくとも部分的に相補的である第二の核酸部分;
(c)(a)の第一の核酸部分と少なくとも部分的に相補的であり、それと共に第一の核酸二重鎖領域を形成する第三の核酸部分;
(d)(b)の第二の核酸部分と少なくとも部分的に相補的であり、それと共に第二の核酸二重鎖領域を形成する第四の核酸部分
を含む、核酸コンストラクト(muRNA)。
【0114】
muRNAの特定の実施態様及びそれに関連する更なる態様は、国際公開第2020/065602号に開示されている。
特定の核酸塩基配列は、配列番号:751及び752のものである。
【0115】
2.第一の核酸塩基配列に少なくとも部分的に相補的であり、次の配列:表1bの配列(配列番号:251から500、753及び754)、又はそれらの一部から選択される、少なくとも第二の核酸塩基配列を有する連結ヌクレオシドの少なくとも第二の領域を更に含み、前記一部が有利には少なくとも8、9、10若しくは11ヌクレオチドの長さを有する、1項に記載のオリゴマー化合物。
特定の核酸塩基配列は配列番号:753及び754のものである。
3.第一の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号:94、247、13、106、28、135、132、32、83、102、62、241、9、54、143、103、128、53、150、82、36、25、71、17、5、141、90、127、75、95、751、及び752の配列、又はそれらの一部から選択される、1項又は2項に記載のオリゴマー化合物。
4.第二の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号:344、497、263、356、278、385、382、282、333、352、312、491、259、304、393、353、378、303、400、332、286、275、321、267、255、391、340、377、325、345、753及び754、又はそれらの一部から選択される、3項に記載のオリゴマー化合物。
5.第一の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号:13、53、62、83、102、106、135、751、及び752、又はそれらの一部から選択される、1項から4項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
6.第二の核酸塩基配列が、次の配列:配列番号263、303、312、333、352、356、385、753及び754、又はそれらの一部から選択される、5項に記載のオリゴマー化合物。
7.連結ヌクレオシドの第一の領域が18から35、18から20、18若しくは19、又は19の連結ヌクレオシドから本質的になる、1項から6項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
8.連結ヌクレオシドの第二の領域が10から35、10から20、10から16、又は10から15の連結ヌクレオシド、例えば11、12、13又は14の連結ヌクレオシドから本質的になり、14が特に有利である、2項から7項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
9.第二のヌクレオシド領域の少なくとも一部に直接的又は間接的に連結された第一のヌクレオシド領域の少なくとも一部を含む少なくとも一つの相補的二重鎖領域を含み、有利には二重鎖領域が、10から19、12から19、又は12から15の塩基対、13又は14の塩基対、又は14の塩基対の長さを有し、任意選択的に、二重鎖領域内に一つのミスマッチが存在する、2項から8項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
10.第一のヌクレオシド領域及び第二のヌクレオシド領域のそれぞれが5’から3’への方向性を有し、それによってそれぞれその5’領域及び3’領域を規定する、9項に記載のオリゴマー化合物。
11.第一のヌクレオシド領域の5’領域が、例えば相補的塩基対形成によって、第二のヌクレオシド領域の3’領域に直接的又は間接的に連結され、有利には第一のヌクレオシド領域の5’末端ヌクレオシドが、第二のヌクレオシド領域の3’末端ヌクレオシドと塩基対形成している、10項に記載のオリゴマー化合物。
12.第一のヌクレオシド領域の3’領域が、第二のヌクレオシド領域の5’領域に直接的又は間接的に連結され、有利には、第一のヌクレオシド領域が、例えばリン酸、ホスホロチオエート、又はホスホロジチオエートにより、第二のヌクレオシド領域に直接的かつ共有結合的に連結されている、11項又は13項に記載のオリゴマー化合物。
【0116】
これは、互いに直接融合している二つの領域を含むか又はそれらからなる単一オリゴヌクレオチドの形成に相当する。先の実施態様で規定されたような塩基対形成により、そのようなオリゴヌクレオチドはヘアピン構造をとることになる。特にサイズに関して最適化されたヘアピンは、以下の更なる実施態様の主題である。
【0117】
13.一つ又は複数のリガンドを更に含む、1項から12項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
14.一つ又は複数のリガンドが、第二のヌクレオシド領域及び/又は第一のヌクレオシド領域に結合している、13項に記載のオリゴマー化合物。
15.一つ又は複数のリガンドが、3’領域で、有利には第二のヌクレオシド領域及び/又は第一のヌクレオシド領域の3’末端に、及び/又は第二のヌクレオシド領域の5’末端に結合している、10項に従属する、14項に記載のオリゴマー化合物。
16.一つ又は複数のリガンドが、細胞膜又は細胞表面上の特定の標的に結合する、脂質、糖、アプタマー、ビタミン及び/又はペプチドなどの任意の細胞指向性部分である、13項から15項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
17.一つ又は複数のリガンドが一つ又は複数の糖を含む、16項に記載のオリゴマー化合物。
18.一つ又は複数の糖が、単糖、二糖、三糖、四糖、オリゴ糖又は多糖でありうる、17項に記載のオリゴマー化合物。
19.一つ又は複数の糖が、一つ又は複数のヘキソース部分を含むか、又はそれらからなる、18項に記載のオリゴマー化合物。
20.一つ又は複数のヘキソース部分が、一つ又は複数のガラクトース部分、一つ又は複数のラクトース部分、一つ又は複数のN-アセチル-ガラクトサミン部分、及び/又は一つ又は複数のマンノース部分である、19項に記載のオリゴマー化合物。
21.一つ又は複数の糖が一つ又は複数のN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む、20項に記載のオリゴマー化合物。
22.二つ又は三つ、有利には三つのN-アセチル-ガラクトサミン部分を含む、21項に記載のオリゴマー化合物。
23.一つ又は複数のリガンドが、直鎖状配置又は分岐状配置でオリゴマー化合物に、有利にはその第二のヌクレオシド領域に結合している、13項から22項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
【0118】
特定のリガンドは次の通りであり、「歯ブラシ(toothbrush)」とも呼ばれる:
24.一つ又は複数のリガンドが、二分岐又は三分岐配置としてオリゴマー化合物に結合している、23項に記載のオリゴマー化合物。
25.連結ヌクレオシドの第一の領域と連結ヌクレオシドの第二の領域とからなる、1項から24項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
【0119】
領域の各々が別個の鎖を構成し、それによって二重鎖RNA(dsRNA)が生じうる。特に有利なdsRNAは、19ヌクレオシドの第一鎖の長さと14又は15、有利には14ヌクレオシドの第二の領域の長さを有するものである。領域又は鎖の長さを定義するために使用される場合、「ヌクレオシド」及び「ヌクレオチド」(「nt」と略されることもある)という用語は同等に使用される。
或いは、上で述べたように、二つの領域を融合させてヘアピンを生じさせることもできる。
【0120】
26.第一の領域と第二の領域の間に、連結ヌクレオシドの介在する第三の領域が存在する、1項から24項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
27.第一のヌクレオシド領域、第三のヌクレオシド領域、及び第二のヌクレオシド領域を含むか、又はそれらからなる一本鎖を含むか、又はそれらからなり、一本鎖が二量体化し、それにより、第一のヌクレオシド領域の少なくとも一部が、少なくとも部分的に相補的な二重鎖領域を形成するように、第二のヌクレオシド領域の少なくとも一部に直接的又は間接的に連結される、26項に記載のオリゴマー化合物。
【0121】
換言すれば、オリゴマー化合物は、第一のヌクレオシド領域及び第二のヌクレオシド領域を含む一本鎖を含み、第一のヌクレオシド領域の少なくとも一部が、少なくとも部分的に相補的な二重鎖領域を形成するように、第二のヌクレオシド領域の少なくとも一部に直接的又は間接的に連結される。上で述べたように、第三の領域は任意選択的である。
【0122】
28.第一のヌクレオシド領域及び第二のヌクレオシド領域を含むか、又はそれらからなる一本鎖を含むか、又はそれらからなり、一本鎖が二量体化し、それにより、第一のヌクレオシド領域の少なくとも一部が、少なくとも部分的に相補的な二重鎖領域を形成するように、第二のヌクレオシド領域の少なくとも一部に直接的又は間接的に連結される、9項から25項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
29.第一のヌクレオシド領域及び第二のヌクレオシド領域が一本鎖上で直接隣接している、28項に記載のオリゴマー化合物。
30.第一のヌクレオシド領域が、第二のヌクレオシド領域と比較してより多数の連結ヌクレオシドを有する、28項又は29項に記載のオリゴマー化合物。
31.第一のヌクレオシド領域の追加数の連結ヌクレオシドが、第一のヌクレオシド領域及び第二のヌクレオシド領域を連結するヘアピンループを形成する、29項に記載のオリゴマー化合物。
【0123】
そのような化合物は、ここではヘアピン又はmxRNAとも呼ばれる。第二の領域は第一の領域に比べて短いため、同程度の長さの二つの領域を有する従来のsiRNAと比較して、化合物はサイズの点で最適化(又は小型化)される。
【0124】
有利には、ループは4つ又は5つの連結ヌクレオシドを有する。特に有利なのは、第一の領域の長さが19ヌクレオシド、第二の領域の長さが14ヌクレオチド、及びヘアピンループの長さが5ヌクレオチドであり、ヘアピン内の5ヌクレオチドが第一の領域の5つの3’末端ヌクレオシドである。ヘアピン又はmxRNAのそのような分子構造は、ここでは「14-5-14」とも呼ばれる。
【0125】
32.一本鎖が、配列番号:751及び752から選択される核酸塩基配列を有し、有利には、一本鎖が、配列番号:753及び754から選択される追加の核酸塩基配列を有する、27項から31項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
33.一本鎖が、表3から、特に配列「13(5)a+s」及び「106-13(4)as+s」から、又は表4から選択される、32項に記載のオリゴマー化合物。
34.ヘアピンループが、第一のヌクレオシド領域の3’領域に存在し、任意選択的に、一つ又は二つ以上の3’末端ヌクレオチドの核酸塩基が許容する程度まで該一つ又は二つ以上の3’末端ヌクレオチドが、第二のヌクレオシド領域を折り畳んで第二のヌクレオシド領域を形成し若しくは第二のヌクレオシド領域に寄与する、10項に従属する、33項に記載のオリゴマー化合物。
【0126】
これは「スピルオーバー」とも呼ばれる構造デザインである。これは、二重鎖に含まれるガイド配列の領域の3’末端の核酸塩基と、同じガイド配列のまさに3’末端の核酸塩基との間に自己相補性がある場合にのみ可能である。例えば、これを13-5-13デザインとして実行することで、更なる小型化が可能になる。第一の「13」は二重鎖に含まれるガイド配列の領域を指し、5はガイド配列によってまた形成されるループの長さであり、第二の13は二重鎖の第二の領域を指し、ガイド配列の一つの核酸塩基とパッセンジャー領域の12の核酸塩基によって5’から3’方向に形成される。而して、19ヌクレオチドのガイド配列の長さは維持されるが、パッセンジャー配列は12ヌクレオチドに短縮される。
【0127】
更なる例は、以下でより詳細に検討されるように、コンストラクト106-13(4)によって実行される13-4-13デザインである。
【0128】
35.第三のヌクレオシド領域と任意選択的に第一のヌクレオシド領域の、有利には1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10の連結ヌクレオシドからなる、3’末端部分、及び/又は第二のヌクレオシド領域の、有利には1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは10の連結ヌクレオシドからなる、5'末端部分が、ヘアピンを形成する、26項又は27項に記載のオリゴマー化合物。
36.ヘアピンループが、4から10、有利には4又は5の連結ヌクレオシドを含む、29項から31項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
37.表2に示される配列(配列番号:501から750、755又は756)の何れか一つの核酸塩基配列を有するか又は含む、29項から34項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
38.ヌクレオシド間結合を含み、少なくとも一つのヌクレオシド間結合が修飾ヌクレオシド間結合である、1項から37項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
39.修飾ヌクレオシド間結合がホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合である、38項に記載のオリゴマー化合物。
【0129】
特定の修飾ヌクレオシド間結合は、続く特定の実施態様の主題である。所定の修飾ヌクレオシド間結合は当該技術分野で知られており、例えば、Hu等,Signal Transduction and Targeted Therapy(2020)5:101に記載されている。
【0130】
40.1から15のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、39項に記載のオリゴマー化合物。
41.7、8、9又は10のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、40項に記載のオリゴマー化合物。
42.第一のヌクレオシド領域の5’領域に一つ又は複数のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、10項に従属する、39項から41項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
43.第二のヌクレオシド領域の5’領域に一つ又は複数のホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、10項に従属する、39項から42項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
44.ヘアピンループ内に存在するヌクレオチドの数に依存して、ヘアピンループの少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの隣接ヌクレオシド間にホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、31項から33項の何れか一項に従属する、39項から43項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
45.ヘアピンループ内に存在する各隣接ヌクレオシド間にホスホロチオエート又はホスホロジチオエートヌクレオシド間結合を含む、44項に記載のオリゴマー化合物。
46.少なくとも一つのヌクレオシドが修飾糖を含む、1項から45項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
【0131】
特定の修飾糖は、続く特定の実施態様の主題である。所定の修飾糖は当該技術分野で知られており、例えば、Hu等,Signal Transduction and Targeted Therapy(2020)5:101に記載されている。
【0132】
47.修飾糖が、2’修飾糖;ロックド核酸(LNA)糖、(S)拘束エチル二環式核酸、及び拘束エチル(cEt)糖などの立体構造的に制限されたヌクレオチド(CRN)糖、トリシクロDNA、モルホリノ、非ロック核酸(UNA)糖、グリコール核酸(GNA)、D-ヘキシトール核酸(HNA)、及びシクロヘキセン核酸(CeNA)から選択される、46項に記載のオリゴマー化合物。
48.2’修飾糖が、2’-O-アルキル修飾糖、2’-O-メチル修飾糖、2’-O-メトキシエチル修飾糖、2’-O-アリル修飾糖、2’-C-アリル修飾糖、2’-デオキシ修飾糖、例えば、2’-デオキシリボース、2’-F修飾糖、2’-アラビノ-フルオロ修飾糖、2’-O-ベンジル修飾糖、及び2’-O-メチル-4-ピリジン修飾糖から選択される、47項に記載のオリゴマー化合物。
49.少なくとも一つの修飾糖が2’-O-メチル修飾糖である、48項に記載のオリゴマー化合物。
50.少なくとも一つの修飾糖が2’-F修飾糖であり、任意選択的に最大5つの糖が2’-F修飾糖である、48項又は49項に記載のオリゴマー化合物。
51.糖がリボースである、49項又は50項に記載のオリゴマー化合物。
52.第一のヌクレオシド領域の5’領域の第一のヌクレオシドから下流の2位及び14位の何れかのヌクレオシドの糖が、2’-O-メチル修飾を含まない、10項に従属する、49項から51項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
53.第一のヌクレオシド領域の5’領域の第一のヌクレオチドから下流の9位から11位の何れかの第一のヌクレオシド領域のヌクレオシドの何れかと位置が対応する、第二のヌクレオシド領域のヌクレオシドの糖が2’-O-メチル修飾を含まない、10項に従属する、49項から52項の何れかに記載のオリゴマー化合物。9位から11位は、2、1又は0の2’-O-メチル置換を含みうる。
54.第二のヌクレオシド領域の3’末端位置が2’-O-メチル修飾を含まない、49項から53項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
55.第一のヌクレオシド領域の5’領域の第一のヌクレオチドから下流の2位及び14位の何れかのヌクレオシドの糖が、2’-F修飾を含む、53項又は54項に記載のオリゴマー化合物。
56.第一のヌクレオシド領域の5’領域の第一のヌクレオチドから下流の9位から11位の何れかの第一のヌクレオシド領域のヌクレオシドの何れかと位置が対応する、第二のヌクレオシド領域のヌクレオシドの糖が、2’-F修飾を含む、53項から55項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
57.第二のヌクレオシド領域の3’末端位置が、2’-F修飾を含む、55項又は56項に記載のオリゴマー化合物。
58.第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が修飾され、及び/又は第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる偶数番目のヌクレオチドの一つ又は複数が修飾され、典型的には、偶数番目のヌクレオチドの修飾が、奇数番目のヌクレオチドの修飾とは異なる第二の修飾である、10項に従属する、53項から57項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
59.第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が、第一のヌクレオシド領域の奇数番目のヌクレオシドの修飾とは異なる修飾によって修飾されている、58項に記載のオリゴマー化合物。
60.第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる偶数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が、52項に記載の第一のヌクレオシド領域の偶数番目のヌクレオシドの修飾とは異なる修飾によって修飾されている、58項又は59項に記載のオリゴマー化合物。
61.第一のヌクレオシド領域の修飾された偶数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数が、第一のヌクレオシド領域の異なって修飾された奇数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数に隣接する、58項から60項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
62.第二のヌクレオシド領域の修飾された偶数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数が、第二のヌクレオシド領域の異なって修飾された奇数番目のヌクレオシドの少なくとも一つ又は複数に隣接する、58項から61項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
63.第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数の糖が2’-O-メチル修飾糖である、58項から62項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
64.第一のヌクレオシド領域の5’領域から始まる偶数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が2’-F修飾糖である、58項から63項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
65.第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる奇数番目のヌクレオシドの一つ又は複数の糖が2’-F修飾糖である、58項から64項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
66.第二のヌクレオシド領域の3’領域から始まる偶数番目のヌクレオシドの一つ又は複数が2’-O-メチル修飾糖である、58項から65項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
67.第一のヌクレオシド領域の複数の隣接ヌクレオシドの糖が共通の修飾によって修飾されている、46項から66項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
68.第二のヌクレオシド領域の複数の隣接ヌクレオシドの糖が共通の修飾によって修飾されている、46項から67項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
69.ヘアピンループの複数の隣接ヌクレオシドの糖が共通の修飾によって修飾されている、30項から33項の何れか一項に従属する、58項から68項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
70.共通の修飾が2’-F修飾糖である、67項から69項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
71.共通の修飾が2’-O-メチル修飾糖である、67項から69項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
72.複数の隣接2’-O-メチル修飾糖が、第一のヌクレオシド領域及び/又は第二のヌクレオシド領域の少なくとも8つの隣接ヌクレオシドに存在する、71項に記載のオリゴマー化合物。
73.複数の隣接2’-O-メチル修飾糖が、ヘアピンループの3つ又は4つの隣接ヌクレオシドに存在する、71項に記載のオリゴマー化合物。
74.ヘアピンループが、修飾糖を有する少なくとも一つのヌクレオシドを含む、30項から33項の何れか一項に従属する、46項に記載のオリゴマー化合物。
75.前記少なくとも一つのヌクレオシドが、異なる修飾糖を有するヌクレオシドに隣接している、74項に記載のオリゴマー化合物。
76.修飾糖が2’-O-メチル修飾糖であり、前記異なる修飾糖が2’-F修飾糖である、75項に記載のオリゴマー化合物。
77.未修飾糖部分を有する一つ又は複数のヌクレオシドを含む、1項から76項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
78.未修飾糖が第二のヌクレオシド領域の5’領域に存在する、77項に記載のオリゴマー化合物。
79.未修飾糖がヘアピンループ内に存在する、31項から36項の何れか一項に従属する、77項又は78項に記載のオリゴマー化合物。
80.第一のヌクレオシド領域及び/若しくは第二のヌクレオシド領域の一つ又は複数のヌクレオシドが逆位ヌクレオシドであり、その糖の3’炭素と隣接ヌクレオシドの糖の3’炭素を介して隣接ヌクレオシドに結合し、並びに/又は第一のヌクレオシド領域及び/若しくは第二のヌクレオシド領域の一つ又は複数のヌクレオシドが逆位ヌクレオシドであり、その糖の5’炭素と隣接ヌクレオシドの糖の5’炭素を介して隣接ヌクレオシドに結合している、1項から79項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
81.平滑末端である、1項から80項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
82.第一のヌクレオシド領域又は第二のヌクレオシド領域の何れかがオーバーハングを有する、1項から80項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
83.オリゴマー化合物が、表3に記載の化合物から選択される、37項から82項の何れか一項に記載のオリゴマー化合物。
84.1項から80項の何れかに記載のオリゴマー化合物と、生理学的に許容される添加物とを含む組成物。
85.1項から83項の何れかに記載のオリゴマー化合物を含む薬学的組成物。
86.薬学的に許容される添加物、希釈剤、抗酸化剤、及び/又は保存料を更に含む、85項に記載の薬学的組成物。
87.オリゴマー化合物が唯一の薬学的活性剤である、85項又は86項に記載の薬学的組成物。
88.薬学的組成物が一又は複数種の更なる薬学的活性剤を更に含む、85項又は86項に記載の薬学的組成物。
89.更なる薬学的活性剤が、自然免疫系及び/若しくは適応免疫系を調節する薬剤、例えば、CFBとは異なる免疫系標的、有利にはインターロイキン-6に向けられている更なるオリゴマー化合物;インターロイキン-6の発現若しくはレベルを低下させる薬剤;又は補体成分を標的とする抗体などの薬剤、例えばエクリズマブである、88項に記載の薬学的組成物。
90.オリゴマー化合物と更なる薬学的活性剤が、同時に又は任意の順序で投与される、88項又は89項に記載の薬学的組成物。
91.ヒト又は動物用医薬又は治療に使用するための、1項から83項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
92.疾患又は障害を治療、改善及び/又は予防する方法において使用するための、1項から83項の何れかに記載のオリゴマー化合物。
93.疾患又は障害が、補体成分関連疾患若しくは障害、又はCFB発現レベルの低下を必要とする疾患若しくは障害である、92項の使用のための化合物。
94.疾患又は障害が、自己免疫疾患、CFBなどの補体成分の異常な上方制御を含む補体系機能不全、ドライ型AMD及び地図状萎縮を含む加齢黄斑変性症(AMD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、C3糸球体症(C3G)、IgA腎症及び原発性膜性腎症などのIg媒介腎臓病変、喘息、リウマチ性疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、抗好中球細胞質抗体(ANCA)血管炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、糸球体腎炎、乾癬、皮膚筋炎水疱性類天疱瘡、志賀毒素大腸菌関連溶血性尿毒症症候群、重症筋無力症(MG)、視神経脊髄炎(NMO)、デンスデポジット病、C3神経障害、寒冷凝集素病、体液性及び血管性移植拒絶、移植片機能不全、心筋梗塞、移植に対する感作、並びに敗血症から選択される、93項の使用のための化合物。
95.疾患又は障害が、ドライ型AMD及び地図状萎縮を含む加齢黄斑変性症(AMD)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、並びにC3糸球体症(C3G)から選択される、93項又は94項の使用のための化合物。
96.治療を必要とする個体に、1項から83項の何れかに記載のオリゴマー化合物を投与することを含む、疾患又は障害を治療する方法。
97.オリゴマー化合物が個体に皮下又は静脈内投与される、96項に記載の方法。
98.遺伝子機能解析ツールとして研究に使用するための、1項から83項の何れかに記載のオリゴマー化合物の使用。
99.疾患又は障害の治療のための医薬の製造における、1項から83項の何れかに記載のオリゴマー化合物の使用。疾患及び障害は、上記の91項に記載されているものと同じであってもよい。
【0133】
[オリゴマー化合物によって達成される効果]
ここに記載のオリゴマー化合物は、例えばここに開示される実施例に示されているように、例えば、インビトロで、補体因子Bの遺伝子発現の有意な低下を引き起こす。加えて、例えば実施例に示すような非ヒト霊長類の血漿中のBbレベルの有意な低下を、哺乳動物におけるRNAiの成功を示すここに記載のオリゴマーコンストラクトを使用することによって達成することができる。特に、これらの効果は、例えば非ヒト霊長類では、13週間などの長期間にわたって持続する場合がある。特に、その切断産物Bbを介して定量されるCFBレベルは、本発明のオリゴマーコンストラクトを使用することによって、例えば最大74%まで、大幅に低下させることができる。
【0134】
更に、驚くべきことに、所定の実施態様において、述べられた効果は、より長い長さを有する従来のshRNA分子と比較して、例えば30又は33ヌクレオシドの低減された長さを有するshRNAコンストラクトの形態のここに記載されるオリゴマー化合物を使用することによって達成されることが見出された。これは、例えば、必要とされる単位が少ないため、shRNA分子の合成をより効率的にしうる。
【0135】
前述の効果は、哺乳動物において、特に限定されないが、ここの実施例に示されるような非ヒト霊長類に対して、約1mg/kg体重から約10mg/kg体重以上の投薬量の本発明のオリゴマー化合物を使用することによって達成することができる。
【0136】
特に、前述の効果は、哺乳動物において、特に限定されないが、ここの実施例に示されるような非ヒト霊長類に対して、約1から約3mg/kg体重以上の投薬量を使用して一又は一より多い、例えば3用量で得られた。
【0137】
また、驚くべきことに、所定の実施態様では、従来のshRNA分子と比較してそのリボース単位のそれぞれの2’位に、合計で5のフッ素置換など、少ない数のフッ素置換を有するshRNAコンストラクトの形態のここに記載のオリゴマー化合物を使用することによって、前述の有益な効果を達成できることがまた見出された。
【0138】
shRNAコンストラクトの形態であるここに記載の所定のオリゴマー化合物については、驚くべきことに、従来のshRNA分子のセンス鎖の長さより短い11又は14ヌクレオシドの長さを任意選択的に有するshRNA内の短センス鎖を使用することによって、前述の効果を達成できることが見出された。
【0139】
[本発明のオリゴマー化合物のコンストラクト]
次の表は、ここに記載されるオリゴマー化合物のアンチセンス鎖及びセンス鎖の核酸塩基配列、並びに一本鎖オリゴマー化合物の核酸塩基配列、及び修飾オリゴマー化合物の定義(表記には、核酸塩基配列、糖修飾、及び該当する場合には修飾リン酸が含まれる)を示す。
【0140】
使用される表記は当該技術分野で共通であり、次の意味を持つ:
Aはアデニンを表し;
Uはウラシルを表し;
Cはシトシンを表し;
Gはグアニンを表す。
Pは、有利ではあるが必須ではない末端リン酸基を表し;
mは、基礎となるヌクレオシドの糖の2’位のメチル修飾を表し;
fは、基礎となるヌクレオシドの糖の2’位のフルオロ修飾を表す。
rは未修飾(2’-OH)リボヌクレオチドを示し;
(ps)又は#はホスホロチオエートヌクレオシド間結合を表し;
iは、3’-3’又は5’-5’の何れかでありうる逆位ヌクレオシド間結合を表し;
vpはビニルホスホネートを表し;
mvpはメチルビニルホスホネートを表し;
3×GalNAcは3価GalNAcを表す。
【0141】
[特定のコンストラクトの使用表記法と特徴]
更に、本発明のコンストラクトの一つの配列を記述するために「13(5)」のような表記が使用される場合、数字「13」は、例えば、CFBを用いたRNAiに適した、第一の態様に係るその18ヌクレオチドの一部を含む、配列番号:13のアンチセンス配列に基づく配列を示し、丸括弧内の数字、すなわちこの場合の5は、shRNAのヘアピンループ内に存在するヌクレオシドの数を示す。13(5)の特定の場合では、配列番号:13の5’末端AがUに置換されている。コンストラクト13(5)は、14-5-14デザインを実施する。
【0142】
「106-13(4)」の場合、最初の数字(106)は、コンストラクトが配列番号:106のガイド配列に由来することを再び示す。数字13は、13塩基対の短縮された二重鎖を指し、(4)は4ヌクレオチドのループ領域を指す。言い換えれば、106-13(4)は13-4-13デザインに従った分子であり、19ヌクレオチドのガイド配列を持ち、その5’末端の13ヌクレオチドは二重鎖領域内の塩基対形成に関与し、隣接する4つのヌクレオチドがループを形成し、2つの3’末端ヌクレオチド(ガイド配列内の18位と19位)が折り返され、それぞれガイド配列の13位と12位と塩基対を形成する。このようなスピルオーバー(ループを越えて伸びるガイド配列のヌクレオチド)により、パッセンジャー領域の更なる短縮が可能となり、この場合、長さは11ヌクレオチドのみとなる。ガイド領域の2つの3’末端ヌクレオチドは、パッセンジャー領域の隣接する11ヌクレオチドと共に、ガイド領域の5’末端の13ヌクレオチドと塩基対を形成する一続きの13連続ヌクレオチドを形成する。コンストラクト13(5)と比較すると、106-13(4)は、スピルオーバーと5ヌクレオチドではなく4ヌクレオチドであるループ長のため、3ヌクレオチド短い。
【0143】
一般的に言えば、ここで使用される場合、表記の後の「as」は配列がアンチセンス配列であることを示す一方、「s」は配列がセンス配列であることを示す。従って、センス鎖に連結されたアンチセンス鎖は「as+s」と表記される。
【0144】
以下の表1a及び1bは、実施例による250のオリゴマー化合物のアンチセンス鎖及びセンス鎖の核酸塩基配列を示す。表1a内の番号は、配列表の対応するエントリー番号と一致する。表1bについては、次の点が適用される:配列表のエントリー番号=表のエントリー番号+250、但し、エントリー「13(5)as」は配列番号751を指し、「106-13(4)as」は配列番号752(表1a)を指し;エントリー「13(5)s」は配列番号753を指し、「106-13(4)s」は配列番号754を指す。
【0145】
以下の表2は、実施例に従って選択された250のヘアピンコンストラクトの核酸塩基配列を示す。核酸塩基配列は、表1aのアンチセンス配列と表1bの対応するセンス配列との直接融合である。表2については、次が適用される:配列表のエントリー番号=表のエントリー番号+500、但し、配列番号755を指す「13(5)as+s」で示されるコンストラクトと配列番号756を指す「106-13(4)as+s」で示されるコンストラクトを除く。
【0146】
以下の表3は、252のヘアピンを、完全な修飾情報(修飾糖と該当する場合は修飾リン酸)と共に示す。
注=上記コンストラクトの各々は、5’末端基にリン酸修飾がある場合とない場合がある。更に、独立して、上記コンストラクトの各々は、3’末端基に結合した「3×GalNAc」がある場合とない場合がある。有利には、コンストラクトは、3×GalNAcリガンド、特にここで定義される歯ブラシ(toothbrush)リガンドを用いる。特に有利なのは、5’リン酸を加えて有するコンストラクトであり、これは厳密な要件ではないが、その非存在下では、投与される分子にそのリン酸が存在しない場合には哺乳動物細胞がそのようなリン酸を付加することになる。
【0147】
以下の表4は、コンストラクト「106-13(4)as+s」及び「13(5)as+s」をそれらのヌクレオシド間結合と共に示す。
表中の命名法に関する注意:
Nf:2’-フルオロ残基
n:2’-O-メチル残基
(invA):逆位リボA
(invG):逆位リボG
s:ホスホロチオエート
p:リン酸
(SO-GaNAc):ここでは「歯ブラシ(toothbrush)」とも呼ばれるSirnaomicsモノ-GalNAcビルディングブロック
上表の配列に対応する配列では、アンチセンス(ガイド)鎖の5’ヌクレオシド(本願の特許請求の範囲に記載された第一の領域)は、RNA分子中に存在しうる任意の核酸塩基を含み得、換言すれば、アデニン(A)、ウラシル(U)、グアニン(G)又はシトシン(C)の何れかでありうる。加えて、センス(パッセンジャー)鎖の3’ヌクレオシド(本出願の特許請求の範囲に記載された第二の領域)は、RNA分子中に存在しうる任意の核酸塩基を含み得、換言すれば、アデニン(A)、ウラシル(U)、グアニン(G)又はシトシン(C)の何れかでありうるが、有利には、アンチセンス(ガイド)鎖(ここで定義される第一の領域)の5’核酸塩基に相補的な核酸塩基である。
【0148】
方法は、特定の順序で実施される一連の行為であるとして示され、説明されているが、該方法はその順序によって限定されないことが理解され、認識されるべきである。例えば、一部の行為は、ここに記載されているものとは異なる順序で発生する場合がある。加えて、ある行為は別の行為と同時に発生する場合がある。更に、場合によっては、ここに記載の方法を実行するために全ての行為が必要なわけではないことがある。
【0149】
ここに記載の方法のステップの順序は例示的であるが、ステップは任意の適切な順序で、又は必要に応じて同時に実行することができる。加えて、ここに記載の主題の範囲から逸脱することなく、任意の方法にステップを追加又は置換したり、或いは個々のステップを削除したりすることができる。上述の実施例の何れかの態様を、記載された他の実施例の何れかの態様と組み合わせて、更なる実施例を形成することができる。
【0150】
特定の実施態様の上記の説明は、単なる例として与えられたものであり、当業者であれば様々な修正を加えることができることが理解されるであろう。上で説明したことには、一つ又は複数の実施態様の例が含まれる。もちろん、前述の態様を説明する目的で、上記の化合物、組成物又は方法の考えられる全ての修正及び変更を記載することは不可能であるが、当業者であれば、様々な態様の多くの更なる修正及び置換が可能であることを認識できるであろう。従って、記載された態様は、添付の特許請求の範囲に含まれる全てのそのような変更、修正、及び変形を包含することを意図している。
【実施例】
【0151】
次の実施例は、本開示の所定の実施態様を例証するもので、限定するものではない。更に、特定の実施態様が提供される場合、発明者は、それらの特定の実施態様の一般的な応用を企図している。例えば、特定のモチーフ又は修飾パターンを有するオリゴヌクレオチドの開示は、同じ又は類似のモチーフ又は修飾パターンを有する追加のオリゴヌクレオチドに対する合理的な裏付けを提供する。
【0152】
ここに開示されるRNAiコンストラクトの合成は、当業者に知られている合成方法、例えばhttps://en.wikipedia.org/wiki/Oligonucleotide_synthesis{2022年2月16日に検索}に開示されている合成方法を使用して実施されており、このウェブサイトに開示された方法は、その全体が出典明示によりここに援用される。この参考文献に開示された合成方法との唯一の違いは、担体上に固定化されたGalNAcホスホラミダイトが合成方法において最初の合成ステップ中に使用されることである。
【0153】
実施例1:
[材料と方法]
細胞培養:
HepG2(ATCC cat.85011430)細胞を、10% FBS、20mM L-グルタミン、10mM HEPES pH7.2、1mM ピルビン酸ナトリウム、1×MEM非必須アミノ酸、及び1×Pen/Strep(EMEM完全)を補填したEMEMに隔週で通過させて維持した。
【0154】
CFB標的同定と二重鎖調製:
CFBを標的とするオリゴマー化合物を、RefSeq配列ID NM_001710.5に示されるヒトCFB mRNA配列に対するバイオインフォマティクス分析によって同定した。250個の化合物を非対称二重鎖として合成用に選択した。化合物を分子生物学等級の水に50μMまで溶解し、95℃で5分間加熱することによってアニーリングし、続いて室温まで徐々に冷却した。
【0155】
CFB-一次スクリーニング:
トランスフェクションの日に、HepG2細胞をトリプシン処理によって収集し、計数し、20%のFBSを含む50μLの完全EMEM中、ウェル当たり10000細胞で96ウェル組織培養処理プレートに播種した。細胞を4時間静置した後、RNAiMax(ThermoFisher)を介して、2ピコモルの各CFB標的化オリゴマー化合物を三連でトランスフェクションした。簡単に言うと、8ピコモルの各化合物を100μLのOptiMEMで希釈し、100μLのOptiMEM中の0.8μLのRNAiMaxと穏やかに混合して、合計200μLの複合体を作製した。50μLの各RNAiMax複合化化合物をHepG2細胞のそれぞれの三連ウェルに加え、100μL容量中20nMの化合物、10%FBSの50/50 EMEM/OptiMEMの最終混合物を得た。
【0156】
トランスフェクションの72時間後、細胞を収集し、PureLink Pro96 total RNA Purification Kit(ThermoFisher,12173011A)を製造元のプロトコルに従って使用して、RNAを単離した。収集したRNAを、Luna Universal Probe One-Step RT-qPCR Kit(NEB,E3006)を使用したTaqman qPCRによってCFB発現についてアッセイした。共通のGAPDH VICプローブ(ThermoFisher,4326317E)と多重化された二種の別個のCFB Taqmanプローブセットを使用して、各サンプルに対して二種の別個のqPCRアッセイを実施した。サーモサイクリングとデータ取得は、Applied Biosystems QuantStudio 3 リアルタイムPCRシステムを用いて実施した。
【0157】
CFB-二次スクリーニング:
一次スクリーニングのデータに基づいて、最良パフォーマンスの30のCFB標的コンストラクトの更に狭いセットを用量曲線で試験した。前と同様に、HepG2細胞をトリプシン処理によって収集し、20%のFBSを含む50μLの完全EMEM中、ウェル当たり10000細胞で96ウェル組織培養プレートに播種し、4時間静置した。トランスフェクション複合体を、180μLのOptiMEM中の36ピコモルの各化合物を180μLのOptiMEM中の2.16μLのRNAiMaxと穏やかに混合して合計360μLの複合体を作製することによって、形成した。次に、ベースのOptiMEMを用いて2倍希釈系列を実施した。各希釈液50μLを各三連のHepG2細胞に加え、10%FBSで100μL容量の50/50EMEM/OptiMEM中、50nMから0.32nMまでの最終希釈系列を作製した。
【0158】
トランスフェクションの72時間後、細胞を収集し、PureLink Pro 96 total RNA Purification Kit(ThermoFisher,12173011A)を製造元のプロトコルに従って使用してRNAを単離した。収集したRNAを、Luna Universal Probe One-Step RT-qPCR Kit(NEB,E3006)を使用したTaqman qPCRによってCFB発現についてアッセイした。共通のGAPDH VICプローブ(ThermoFisher,4326317E)と多重化されたCFB Taqmanプローブセットを使用して、各サンプルに対して単一のqPCRアッセイを実施した。サーモサイクリングとデータ取得は、Applied Biosystems QuantStudio 3 リアルタイムPCRシステムを用いて実施した。
【0159】
実施例2:
[結果]
以下の表5は、実施例に従って選択された30の特定のコンストラクトについてのIC50値(nM)を示す。最大KD%は、最大に達成されたノックダウンを示し、0%はノックダウンなし、100%は完全なノックダウンである。
【0160】
1桁から2桁前半のナノモル範囲のIC50データは、ここに記載の多数のコンストラクトの優れた性能を実証している。
【0161】
実施例3
[材料と方法]
細胞培養:
ヒト初代肝細胞(5ドナープール-セキスイゼノテック,HPCH05+)を実験直前に解凍し、肝細胞プレーティングサプリメントパック(Gibco,CM3000)を補充した1×完全ウィリアムズ培地(Gibco,A1217601)で培養した。化合物の安定性のために、FBS濃度を、製造レシピから最終2.5%(5%ではなく)に変更した。
1×完全WEM: 2.5% FBS、1μM デキサメタゾン、Pen/Strep(100U/mL/100μg/mL)、4μg/ml ヒトインスリン、2mM GlutaMAX、15mM HEPES,pH7.4。
肝細胞を、コラーゲンI(ラットの尾)被覆96ウェル組織培養プレート(Gibco,A1142803)上に播種した。
【0162】
CFB化合物の調製:
化合物を水中200μMまで溶解し、95℃で5分間加熱してアニールし、続いて氷上で急冷した。
【0163】
CFB化合物のトランスフェクション:
トランスフェクションの日に、初代ヒト肝細胞を45mLのヒトOptiThaw(セキスイゼノテック,K8000)中で解凍し、200gで5分間遠心分離した。細胞を2×完全WEMに再懸濁し、計数した。ついで、細胞を、96ウェル1型ラット尾コラーゲンプレート上でウェル当たり25000細胞で50μLの2×完全WEMに蒔き、トランスフェクション前に4時間静置して付着させた。
【0164】
化合物をベースのWEM中で2μMまで更に希釈した。7段階の5倍希釈系列を、2μMから0.000128μMのベースWEMで調製した。50μLの各希釈液を、100μL容量の1×完全WEM中で1μMから0.000064μMまでの最終希釈系列として、蒔いた肝細胞のそれぞれの三連に加えた。
【0165】
トランスフェクションの72時間後、細胞を収集し、PureLink Pro 96 total RNA Purification Kit(ThermoFisher,12173011A)を製造元のプロトコルに従って使用してRNAを単離した。収集したRNAを、Luna Universal Probe One-Step RT-qPCR Kit(NEB,E3006)を使用したTaqman qPCRによってCFB発現についてアッセイした。共通のGAPDH VICプローブ(ThermoFisher,4326317E)と多重化されたCFB Taqmanプローブセットを使用して、各サンプルに対して単一のqPCRアッセイを実施した。サーモサイクリングとデータ取得は、Applied Biosystems QuantStudio 3/5 リアルタイムPCRシステムを用いて実施した。
【0166】
[結果]
この実施例のインビトロ研究の結果を
図1に示す。
【0167】
実施例4
非ナイーブカニクイザルへの単回/反復皮下注射後のSTP144Gの薬力学研究
[研究プロトコル]
次の研究プロトコルは、動物実験と研究が完了する前に起草されたため、未来時制が使用されている。しかし、研究は既に完全に実施されているため、研究プロトコルの次の説明において、「未来時制」の各使用は「過去時制」として考慮されるべきである。
【0168】
1 研究情報
1.1 研究目的
この研究の目的は、雄カニクイザルへの単回/反復皮下(SC)投与後のSTP144Gの薬力学(PD)を決定することである。
【0169】
1.2 規制順守
この研究は、WuXi AppTec社(以下、WuXi)で、動物福祉法及び実験動物の管理及び使用に関するガイドに準拠したIACUCガイドラインと共にWuXi施設内動物管理使用委員会(IACUC)標準動物手順に従って行われる。
【0170】
この研究は、このプロトコル及びプロトコル修正(該当する場合)及び関連する研究特有の手順、及び該当するWuXi標準作業手順(SOP)及び一般に認められている優良試験所規範に従って実施される。この研究は、優良試験所規範規制の範囲内とはみなされない。
【0171】
【0172】
2.2 陰性対照とビヒクル
ビヒクルはWuXi AppTec社で調製される。詳細は生データに文書化される。
【0173】
2.3 製剤調製
直ぐに注射できる製剤は、Sirnaomicsによって提供される。
【0174】
【0175】
3.2 動物の世話
3.2.1 環境条件
部屋は、相対湿度(目標平均範囲40%から70%、この範囲から3時間を超えて逸脱した場合は逸脱と記録される)及び温度(目標平均範囲18℃から26℃、この範囲からの逸脱は逸脱と記録される)が、1時間当たり10から20回の換気で、制御され、監視される。研究活動により中断が必要とされる場合を除き、部屋は12時間の明暗サイクルとされる。
【0176】
3.2.2 ハウジング
動物は、順応期間中、適用される動物福祉法及び規制に従ってケージ内にペアで収容される。実験中、サルは個別にケージ内に収容される。
【0177】
餌と給餌
動物には1日2回餌を与える。ストックサルには、毎日約120グラムの認定サル食餌が与えられる。これらの量は、群の食物摂取量又は個体の体重変化及び/若しくは認定された食餌の変化に基づいて、必要に応じて調整されうる。
動物は、血清化学検査のための血液採取前に一晩絶食させられる。
【0178】
投与製剤の投与
投与スケジュールとサンプリングについては、
図2をまた参照のこと。
【0179】
飲み水
逆浸透(RO)水が全ての動物に自由に与えられる。
【0180】
3.2.3 餌と水の分析
RO水は3か月ごとに分析され、餌の全てのバッチが使用前に分析される。餌と水の分析は施設の記録に保管される。
【0181】
3.2.4 環境の充実
充実したおもちゃが提供される。
【0182】
4.1 観察と検査
4.1.1 臨床観察
1日二回(およそ午前9時30分と午後4時)、ケージ側で一般的な健康状態と外観の観察が行われる。動物の健康状態を確認するために、研究開始前に動物の身体検査が行われる。投与日には、投与から2、4及び6時間後に動物を観察する。研究全体を通じて認められた全身状態、注射部位、行動、活動、排泄、呼吸、又はその他の異常な観察が生データに記録される。必要に応じて、追加の臨床観察が実施され、記録される。臨床観察により動物の状態の悪化が示された場合、スタッフ獣医師又は獣医学技師が各動物を評価し、治験責任者に通知される。治験責任者又は指名された者は、評価によって正当化される場合、治験依頼者に通知する。
【0183】
4.1.2 体重
全ての動物の体重を毎週測定する。投与日には、投与前に動物の体重を測定する。
【0184】
4.1.3 臨床病理検査のための血液採取
全ての血液サンプルは、拘束され、鎮静されていない動物の末梢血管から採取される。
【0185】
(1)血液学的検査のための血液採取:動物から全血(少なくとも1.0mL)をカリウム(K2)EDTAを含む市販のチューブに室温(RT)において採取する。血液サンプルはRTの臨床病理学検査室に送られ、表8に列挙されている血液学的パラメータについて試験される。
赤血球数(RBC)、赤血球分布幅(RDW)、ヘマトクリット(HCT)、血小板数(PLT)、ヘモグロビン(HGB)、平均血小板容積(MPV)、平均赤血球容積(MCV)、白血球数(WBC)、及び示差(絶対及びパーセント)、平均赤血球ヘモグロビン(MCH)、可能性のある細胞診用の血液塗抹標本、平均赤血球ヘモグロビン濃度(MCHC)、絶対網状赤血球数(Retic)、ヘモグロビン濃度分布幅(HDW)及び血小板分布幅(PDW)
血液塗抹標本は各血液学サンプルから調製される。血液塗抹標本はラベル付けされ、染色されて保管される。血液塗抹標本は、血液学分析の結果を調査するために読み取られる場合がある。追加の血液塗抹標本試験が必要であると判断された場合、その後塗抹標本を評価することができ、この評価は研究計画修正に記載される。
【0186】
(2)臨床化学検査のための血液採取: 抗凝固剤を含まない全血サンプル(約1.4mL)を、分離ゲルを含む市販のプレーンチューブに採取し、RT及び直立状態で少なくとも30分間保持し、臨床病理学検査室に送る。サンプルは血清に処理され、表8に列挙されているパラメータについて試験される。
アルカリホスファターゼ(ALP)、総タンパク質量(TP)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アルブミン(ALB)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、g-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)、ビリルビン、総(TBIL)、グロブリン(GLB)、リン(P)、アルブミン/グロブリン比クレアチニン(CRE)、ナトリウム(Na)、グルコース(GLU)、クロライド(Cl)、カルシウム(Ca)、トリグリセリド(TG)、総コレステロール(TCHO)、尿素(UREA)、カリウム(K)、クレアチンキナーゼ(CK)、乳酸デヒドロギナーゼ(LDH)、グルタミン酸デヒドロギナーゼ(GLDH)
【0187】
4.1.4 薬力学(PD)のための血液採取
血液: 全ての血液サンプルは、拘束され鎮静されていない動物の末梢血管から採取される。
投与後
血液量: 全量およそ5.0mL
頻度: 表8を参照。実際のサンプル採取時間が研究記録に記録される。投与後最初の一時間以内に採取されるサンプルでは、±1分は許容される。残りの時点では、予定時間の5%以内に採取されるサンプルは許容され、プロトコル逸脱とはみなされない。
サンプル処理: CFB ELISAでは、2mLの血液が濡れた氷上でK
2EDTAを含むチューブ(治験依頼者が要求した会社から購入)に採取される。次に、全ての血液が4回上下逆にして混合される。サンプルは遠心分離(4℃において1000gで20分)され、およそ1mLの血漿が二本のチューブに素早く移される(チューブ当たりおよそ0.50mL)。全てのチューブは急速冷凍され、ついでELISAによるCFBタンパク質の分析のため、WuXi SHサイト、宛先:Zhang Ronghua(zhang_ronghua@wuxiapptec.com)に発送(ドライアイス上で)されるか又はバックアップとして保管されるまで、-80℃で保存される必要がある。
血清: 抗凝固剤なしで全血サンプル(およそ3.0mL)が血清分離チューブに採取される。チューブを穏やかに4回逆さにする。ついで、RT及び直立状態で30分保持して凝固させ、ついでサンプルを遠心分離(4℃において3200gで10分)し、およそ1.5mLの血清を三本のチューブに素早く移す(チューブ当たりおよそ0.5mL)。一本はELISAによるCFBタンパク質の分析のため、(ドライアイス上で)WuXi SHサイト、宛先:Zhang Ronghua(zhang_ronghua@wuxiapptec.com)に4Cで発送され、他の二本は急速凍結され、バックアップとして-80℃で保存される必要がある。
【0188】
[プロトコルの修正と逸脱]
承認されたプロトコルへの変更は、治験責任者及び治験依頼者によって承認された修正の形で行われる。修正にはプロトコル変更が明確に記載され、変更の発効日と変更の正当性が含まれる。治験責任者及び治験代表者は、緊急又は重大な変更が必要なときに物理的にその場にいない場合、電話又は電子的手段によってプロトコル変更を承認してもよい。上記のように行われたかかる変更に対するあらゆる承認は適切に文書化され、適切に作成された書面によるプロトコル修正が伴わなければならない。修正には、発効日から45日以内に治験責任者が署名し、日付を記入しなければならない。
【0189】
プロトコル及びSOPからの全ての逸脱と逸脱の理由は文書化され、治験責任者によって承認される。治験依頼者の代表者には、研究の結果に影響を与える可能性のある逸脱の発生、及び講じられた是正措置について直ちに通知される。データ解釈に影響を与える可能性のあるプロトコル及びSOPの逸脱は、最終レポートに含まれる。
【0190】
[資料のアーカイブ化]
被験物質の調製、被験物質の追跡、生存中のデータ、プロトコル、プロトコル修正(該当する場合)、及びこの研究の結果として作成されたオリジナルの最終レポートは、WuXi AppTec(Wuzhong District,Suzhou,Jiangsu Province 215104,P.R.China)でアーカイブ化される。WuXi AppTecは、この研究の結果として生成される生データをアーカイブ化する責任を負い、保管期間は研究完了日から少なくとも2年間であるべきである。
【0191】
[統計的解析]
次のセクションは、予定外の機会に記録されたデータには適用されない。そのようなデータは個別に報告される。
【0192】
後に別段の記載がされていない限り、全ての数値データ(Provantisによって直接収集され分析されたものを除く)は、マイクロソフトエクセルソフトウェアを使用して群平均と標準偏差の計算に供される。これらの記述統計は、分析対象の変数とデータセット分類変数(例えば、性別、測定機会、及び記述統計がどの下位区分で報告されるべきかを特定するために使用されうる任意の他の関連変数)によって決定されて、対象のデータセットごとに提示される。
【0193】
データセットの各群に含まれる非欠損値が3つ未満の場合、次の推論データ解析は実行されない。
【0194】
二群を超える群がある場合は常に、0.05の有意水準でルビーン検定を使用して群分散の均一性が評価される。群分散間の差異が有意であることが判明しない場合(p>0.05)、パラメトリック一元配置分散分析(ANOVA)が実施される。ANOVA検定によって平均間の有意差が示された場合(p≦0.05)、ダネット検定を使用して、対照群と各治療群の間の群平均比較を実施する。
【0195】
ルビーン検定で不均一な群分散(p≦0.05)が示され、データセットに正の値のみが含まれている場合は、対数変換が実施される。変換されたデータがまだ分散の均一性の検定に合格しない場合(p≦0.05)、又はデータにゼロ及び/又は負の値が含まれている場合は、ノンパラメトリックのクラスカル・ワリス検定を使用して、考慮される全ての群を比較する。クラスカル・ワリス検定が有意である場合(p≦0.05)、順位に関するダネット検定を使用して、対象のペアワイズ群比較を実施する。
【0196】
比較する群が2群だけの場合は、前述のようにルビーン検定が実施されるが、一元配置ANOVAの代わりに2サンプルのt検定が実施され、クラスカル・ワリスの代わりにウィルコクソンの順位和検定が実施され、ダネット検定又は順位に関するダネット検定は実施されない。
【0197】
対象の各ペアワイズ群比較は、5%の有意水準で両側検定を介して実行される。有意な結果は、p≦0.001、p≦0.01、又はp≦0.05の何れかとして報告され、ここで、pは観察された確率を表す。
【0198】
[結果]
因子Bbの最大減少と反応期間(
図3Aを参照):
> 106-13(4)
- 5週目で74%の最大抑制
- 2週目から13週目までで>60%減少
- 2週目から10週目まで平均BLQ
> 13-5
- 6週目で59%の最大抑制
- 2週目から13週目までで>50%減少
- どの時点でも平均BLQなし
因子Bbの最大減少と反応期間(
図3Bを参照):
> 106-13(4)
- 6週目で68%の最大抑制
- 4週目から13週目までで>50%減少
- 6週目の平均BLQ
> 13-5
- 6週目で68%の最大抑制
- 2週目から13週目までで>50%減少
- 6週目から11週目まで平均BLQ
【0199】
実施例5
ヒト化肝臓マウスモデルにおけるインビボでの用量反応と持続反応
この研究の目的は、ヒト化肝臓UPA-SCIDマウスモデルにおける補体因子B(CFB)を標的とするGalNAc-siRNAコンストラクトについての選択された候補リードの用量反応及び持続反応効果を評価することである。被験物質は皮下投与によって投与され、投与後14日及び42日で評価される。エンドポイントには、肝臓パンチ生検の収集と、それぞれ因子Bb ELISA及び溶血アッセイにおける因子Bb及びCFB活性の評価のための血清及び血漿サンプルの収集が含まれる。
【0200】
【0201】
[投与製剤]
試験物質は直ぐに投与できる製剤として受け取られるため、調製は必要とされない。
【0202】
[被験物質と対照物質の識別]
全ての被験物質、陽性対照、及びビヒクル対照の保存容器には、少なくとも識別情報(入手可能な場合はロット/バッチ番号を含む)、保管条件、有効期限/再試験日(入手可能な場合)を含むラベルが貼られる。
【0203】
[試験系]
[試験系の正当性]
ヒト化肝臓uPA-SCIDマウスは、最大95%のヒト肝細胞の生着;正常なヒト肝臓の組織学及び機能;ヒト特異的代謝及び排泄経路;ヒト遺伝子、mRNA、及びタンパク質の発現;ヒト様脂質プロファイル、ヒトアルブミンの産生及びヒト様胆汁排泄、並びに幅広い研究への応用性を有していると報告されている。従って、ヒト化肝臓uPA-SCIDマウスは、肝臓でCFBが産生されるため、CFB標的を含む治療薬の評価に理想的な試験系である。
【0204】
[動物]
雌ヒト化肝臓uPA-SCIDマウス(約22~24週齢)を、使用の少なくとも7日前に順応させた。投与前に良好な健康状態にあった動物のみが研究に割り当てられる。動物は、局所的又は全身的な毒性の出現について毎日監視される。全ての動物はクリーンルームに収容され、動物の取り扱いは、適切に消毒された個人用保護具を着用した訓練を受けた職員によって、滅菌された生物学的安全キャビネット内で実施される。
【0205】
[方法論]
[研究概要]
0日目に、以下の研究概要に従って、全ての研究動物に皮下注射により投与する。臨床観察は毎日記録される。研究デザインには、32匹の雌マウス(治療群当たり4匹のマウスと2匹の余分のマウス)が必要とされる。14日目に、4匹のビヒクル動物(群1A)、8匹のCFB mxRNA#13-5動物(群2A及び群2B)、並びに8匹のCFB mxRNA#106-13(4)動物(群3A及び群3B)が安楽死される。42日目に、4匹のCFB mxRNA#13-5動物(群2C)及び4匹のCFB mxRNA#106-13(4)動物(群3C)が安楽死される。各時点において、血清及び血漿の最終採血、肝臓パンチ生検、及び残りの肝臓組織の収集が実施される。
【0206】
【0207】
[体重]
体重は、(一般的健康評価のため)受け取り時、-1日目、及び安楽死前の最終時点で収集される。
【0208】
[投与(0日目)]
0日目に、研究概要表に従って全てのマウスにビヒクル又は被験物質が皮下注射される。各動物は首筋に200μLの注射量で皮下注射される。
【0209】
[連日の観察]
全ての動物は少なくとも一日一回、臨床徴候について観察される。ヒト化マウスは免疫機能の低下により日和見感染を起こしやすいためである。スタッフは、ベースラインで存在する僅かに波立った毛及び前かがみの姿勢を超えて更に顕著になる、波立った毛及び前かがみの姿勢、並びに活動性の低下を含む、感染を示す場合のある臨床症状についてマウスを監視する。これらのマウスで注意すべき一般的な感染症には、感染した皮膚創傷、蜂窩織炎、膿瘍(皮膚及び内臓)、中耳炎、結膜炎、全眼球炎、並びに肝臓、心臓、肺、子宮、副性腺に関わる限局性及び広範囲の感染症が含まれる。感染を示すものではないが、腹部膨満(肝臓組織の生着に関連する)が観察される場合があり、観察された場合は書き留められる。
【0210】
[予定外の死と瀕死の動物]
重篤な影響を示している瀕死の動物は獣医師と相談するか、獣医師と研究責任者の推奨に従って安楽死させる。研究対象の他の動物の死亡を含め、有害な臨床徴候が観察される場合には、動物を多い頻度で監視する(一日二回まで、観察間隔は少なくとも5時間)。異常所見は観察次第で記録される。
【0211】
死亡しているのが発見された動物からサンプルが収集され、死骸は更なる評価を行わずに処分される。
【0212】
[最終手順(14日目及び42日目)]
予定された間隔(14日目及び42日目)で残っている全てのマウスはCO2による窒息によって安楽死させられ、最終血液採取が、血清及び血漿への処理のために、心臓スティック又は下大静脈を介して採取される(最大量、採取部位は研究記録に記録される)。最終体重は安楽死の前に収集される。
【0213】
[血漿及び血清の処理]
それぞれ14日目と42日目の最終採取後、血液は因子Bb分析のために血漿に、溶血アッセイのために血清に処理される。血液サンプル量は、血漿及び血清の処理のために均等に分割される。
【0214】
[血漿]
血液サンプルはK2 EDTA採血管に入れられ、8~10回反転されて十分な混合が確保される。サンプルは氷上に冷たく維持され、サンプル収集から60分以内に2~4℃、≦1300×gに設定した機器で10分間遠心分離される。各血漿サンプルはラベルを付けた二本の新鮮な収集チューブに等分され、分析が実施されるまで-70℃以下で冷凍保存される。
【0215】
[血清]
血液サンプルは抗凝固剤を含まない採血管に入れられ、30~60分間凝固させられる。次に、室温に設定した機器内で2500×gで5分間遠心分離し、サンプルを血清に処理する。各血清サンプルはラベルを付けた新鮮な収集チューブに等分され、収集直後にドライアイスで急速冷凍される。サンプルチューブには研究番号とサンプルタイプのラベルが貼られ、分析が実施されるまで-70℃以下で保存される。
【0216】
[臓器処理]
採取した各肝臓(それぞれ左葉、中葉、右葉から採取)から三(3)つの肝臓パンチ生検(2mm)を取得し、RNALaterを含む別々のラベル付き2mLチューブに入れる。肝臓パンチ生検はRNALaterに15分間浸漬し、その後急速冷凍して-70℃以下で保存する。
【0217】
[結果]
ヒト化肝細胞を持つマウス(約20から25%のマウス肝細胞を保持)を使用して、二種の特定の化合物の性能を研究した。
【0218】
図5は、研究プロトコルの概要を示している。
図6は、2週間後及び6週間後の陰性対照と比較した、二種の化合物によるmRNAレベルでのノックダウンを示す。
図7は、2週間後及び6週間後の陰性対照と比較した、血漿中のCFB(「因子B」)並びに因子Bbの量(CFB及び補体経路の下方制御についての更なる読み出しとして)を示す。
【0219】
データは、両化合物についてmRNAレベルとタンパク質レベルの両方での有意なノックダウンを示しており、106-13(4)は13(5)よりも優れている。前者の化合物では程度は低いものの、6週間後にはある程度のリバウンドが見られる。
【0220】
補体経路の成分Bbを含むタンパク質レベルに関して、更により持続的なノックダウンが観察される。特に、化合物106-13(4)は、6週間後も依然として64%減少レベルで血漿中のBbノックダウンを示している。このような所見は、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週間毎などの長い間隔での投与を必要とする好ましい投与計画を示している。
【配列表】
【国際調査報告】