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特表2024-525895繊維から不織布材料を製造する方法及び装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】繊維から不織布材料を製造する方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   D04H 5/00 20120101AFI20240705BHJP
   D04H 1/4374 20120101ALI20240705BHJP
   D04H 3/14 20120101ALI20240705BHJP
   D01D 5/08 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
D04H5/00
D04H1/4374
D04H3/14
D01D5/08 C
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503539
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-04
(86)【国際出願番号】 EP2022070240
(87)【国際公開番号】W WO2023001836
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21186978.9
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】102021118909.8
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【弁理士】
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】ゴイス・ハンス-ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】ヘルメス・ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】ヤンゼン・マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ターラウ・ノルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴュシュト・マルクス
【テーマコード(参考)】
4L045
4L047
【Fターム(参考)】
4L045AA06
4L045BA34
4L047AA28
4L047AB02
4L047AB03
4L047CB01
4L047CB07
4L047EA05
(57)【要約】
繊維から不織布材料を製造する方法。少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金によって、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントが作製される。さらに、少なくとも1つの解繊装置によって、パルプ短繊維が作製される。解繊装置において、パルプ短繊維から少なくとも1つの短繊維空気流が形成され、短繊維空気流は、出口チャネルを通して案内され、出口チャネルから進出し、初期体積流量V1及び流れ方向S1で、通気性の送出用シーブ状ベルトへ向けて流れる。エンドレスフィラメントは、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金から、フィラメント空気流として、初期体積流量V2で、短繊維空気流へ向けて流れる。フィラメント空気流と短繊維空気流とは、送出用シーブ状ベルトの上方で接触域においてまとめて案内され、エンドレスフィラメント短繊維混合物として、送出領域において送出用シーブ状ベルト上に送り出され、不織布材料又は不織布ウェブが形成される。繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物の送出領域において、空気又はプロセス空気が、体積流量V4で、下方から送出用シーブ状ベルトを通して吸い込まれる。体積流量V4は、体積流量V1とV2との合計よりも大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維から不織布材料(1)を製造する方法であって、
少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)によって、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)によって、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製し、さらに、少なくとも1つの解繊装置(4)によって、パルプ短繊維を作製し、その際、前記解繊装置(4)において、パルプ短繊維から少なくとも1つの短繊維空気流(5)が形成され、短繊維空気流(5)は、出口チャネル(6)を通って案内され、前記出口チャネル(6)から進出し、初期体積流量V1及び流れ方向S1で、通気性の送出用シーブ状ベルト(8)へ向けて流れ、
エンドレスフィラメントは、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)から、フィラメント空気流(9)として、初期体積流量V2で、短繊維空気流(5)へ向けて流れ、
フィラメント空気流(9)と短繊維空気流(5)とは、送出用シーブ状ベルト(8)の上方で接触域(11)においてまとめて案内され、エンドレスフィラメント短繊維混合物(12)として、送出領域(13)において送出用シーブ状ベルト上に送り出され、不織布材料(1)又は不織布ウェブが形成され、
繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)の前記送出領域(13)において、空気又はプロセス空気が、体積流量V4で、下方から前記送出用シーブ状ベルト(8)を通して吸い込まれ、その際、体積流量V4は、体積流量V1とV2との合計よりも大きい、方法。
【請求項2】
少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)が設けられていて、エンドレスフィラメントは、第2のメルトブローン紡糸口金(3)から、第2のフィラメント空気流(10)として、初期体積流量V3で、短繊維空気流れ(5)へ向けて流れ、その際、好適には体積流量V4は、体積流量V1とV2とV3との合計よりも大きく、特に好適には、フィラメント空気流(9)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向(F)で短繊維空気流(5)上流側で流れ、第2のフィラメント空気流(10)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で短繊維空気流(5)の下流側で流れる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィラメント空気流(9)は、流れ方向S2において、少なくとも部分的に又は一部で、短繊維空気流(5)の流れ方向S1に対して角度α1をなして流れ、好ましくは第2のフィラメント空気流(10)は、流れ方向S3において、少なくとも部分的に又は一部で、短繊維空気流(5)の流れ方向S1に対して所定の角度α2をなして流れ、その際、好適には、角度α1及び/又は角度α2は、10°よりも大きい、特に好適には20°よりも大きい、格別に好適には25°よりも大きい、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
短繊維空気流(5)は、前記出口チャネル(6)又は出口チャネル端部(14)から、流れ方向S1において、前記送出用シーブ状ベルト(8)のシーブ状ベルト表面に対して垂直に又は略垂直に流れる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
短繊維空気流(5)とフィラメント空気流(9)との間のスペースで、及び/又は短繊維空気流(5)と第2のフィラメント空気流(10)との間のスペースで、二次空気が吸い込まれる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
短繊維空気流(5)は、前記出口チャネル(6)において加速され、特に前記解繊装置(4)のファン(7)によって加速される、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、一列に配置された複数の口金開口(17)と、前記口金開口(17)の列に対して両側で平行に延在するとともに前記口金開口(17)の方へ傾斜した好ましくは2つの空気流込間隙(18)とを有し、前記空気流込間隙(18)から吹出空気が進出する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、複列に配置された複数の口金開口(17)を有し、好ましくは各前記口金開口(17)に1つの空気流込開口(21)又は独自の空気流込開口(21)が割り当てられていて、前記空気流込開口(21)から吹出空気が進出する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、複列に配置された、口金開口(17)の形態の複数の進出開口と空気流込開口(21)とを有し、前記進出開口又は前記口金開口(17)と前記空気流込開口(21)とは、好ましくは互いに間隔を置いて規則的及び/又は不規則なパターンで配置されていて、好適には、各前記空気流込開口(21)に少なくとも2つの前記口金開口(17)が割り当てられている、及び/又は各前記口金開口(17)に少なくとも2つの前記空気流込開口(21)が割り当てられている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのフィラメント空気流(9)、好ましくは複数のフィラメント空気流(9、10)のエンドレスフィラメントに、前記メルトブローン紡糸口金(2、3)と前記送出用シーブ状ベルト(8)との間において、特にフィラメント空気流(9,10)の、短繊維空気流(5)とは反対の側で水が吹き付けられる、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
短繊維空気流(5)は、空気1kg当たり0.0138kgから0.0833kg、好ましくは0.0222kgから0.0694kg、好適には0.0277kgから0.05kgのパルプ短繊維の割合で前記出口チャネル(6)から進出する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのフィラメント空気流(9)又は複数のフィラメント空気流(9、10は、空気1kg当たり0.002kgから0.5kg、好ましくは0.01kgから0.25kg、好適には0.015kgから0.12kg、特に好適には0.018kgから0.1kgのエンドレスフィラメントの割合で前記メルトブローン紡糸口金(2、3)から進出する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記出口チャネル(6)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の前記シーブ状ベルト表面に対して高さ調整可能であり、前記出口チャネル端部(14)と前記シーブ状ベルト表面との間の距離(a)は、特に200mmから1000mm、好ましくは300mmから750mm、好適には400mmから600mm、特に好適には460mmから530mmであり、合目的的には、吸い込まれる二次空気量は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の前記シーブ状ベルト表面に対する前記出口チャネル(6)の高さ調整によって閉ループ及び/又は開ループで制御可能である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
短繊維空気流(5)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の幅(b)に関して、少なくとも50(kg/h)/m、特に少なくとも75(kg/h)/m、好適には少なくとも100(kg/h)/m、特に好適には少なくとも200(kg/h)/mのパルプ短繊維を案内する及び/又は搬送する、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
不織布材料(1)又は不織布ウェブは、少なくとも1つのカレンダ(15)によって凝固され、その際、好ましくは少なくとも1つの前記カレンダ(15)によって、エンボスパターンが、不織布材料(1)又は不織布ウェブに加工される、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
エンボスパターンは、中断なく形成されていて、エンボスパターンのパターン基本幾何形状は、20mmから50mm、好ましくは25mmから45mm、好適には30mmから40mm、特に好適には32.5mmから37.5mmの範囲のプレス面を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
エンボスパターンは、中断されていて、特に互いに接続されていない複数の要素、好ましくは点及び/又は線から形成されていて、前記要素は、合目的的には2mmよりも小さい、好ましくは1.5mmよりも小さい、好適には1.1mmよりも小さい、特に好適には0.55mmよりも小さいプレス面をそれぞれ有する、請求項15又は16に記載の装置。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法によって繊維から不織布材料を製造する装置において、
前記装置は、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製するための少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)を備え、
さらに、パルプ短繊維を作製するための少なくとも1つの解繊装置(4)と、パルプ短繊維又短繊維空気流(5)を案内する出口チャネル(6)とが設けられていて、
前記装置は、パルプ短繊維とエンドレスフィラメントとをエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)として送り出し、不織布材料(1)又は不織布ウェブを形成するための通気性の少なくとも1つの送出用シーブ状ベルト(8)を備え、
少なくとも1つの吸込装置(16)が設けられていて、前記吸込装置(16)によって、繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)の送出領域(13)で、空気又はプロセス空気が、前記送出用シーブ状ベルト(8)を通して吸込み可能である、装置。
【請求項19】
前記装置は、少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)を有し、第1のメルトブローン紡糸口金(2)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で前記出口チャネル(6)の上流側に配置されていて、第2のメルトブローン紡糸口金(3)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で前記出口チャネル(6)の下流側に配置されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項1から17のいずれか一項に記載の方法に従ってエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)から製造された不織布材料(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維から不織布材料を製造する方法であって、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金によって、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントが作製され、さらに、少なくとも1つの解繊装置によって、パルプ短繊維が作製され、解繊装置において、パルプ短繊維から少なくとも1つの短繊維空気流が形成され、エンドレスフィラメントは、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金から、フィラメント空気流として流れ、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維とは、送出領域において送出用シーブ状ベルト上に送り出され、不織布材料又は不織布ウェブが形成される。本発明は、さらに、繊維から不織布材料を製造する装置に関する。繊維という用語は、本発明の範囲内において、エンドレスフィラメントと短繊維との両方を意味する。エンドレスフィラメントは、そのほぼエンドレスの短繊維の長さに基づき、例えば0.1mmから60mmまでの極めて短い長さを有する短繊維とは異なる。本発明による方法又は本発明による装置によって、少なくともエンドレスフィラメント又はメルトブローンエンドレスフィラメントと短繊維又はパルプ短繊維とを含む不織布材料を製造できる。
【背景技術】
【0002】
冒頭で述べたような方法及び装置は、基本的に、実地において様々な形態で公知である。パルプ短繊維を含む不織布材料は、極めて高い液体吸収性において優れている。パルプ短繊維をベースとするこの不織布材料は、例示的には液体吸収性の布、例えばふき取り用クロスに使用される。液体は、特に水又は水性の液体であってよい。しかし、パルプ短繊維を含む不織布材料の製造に際して、不織布材料の高い液体吸収性と充分な安定性又は強度との間にトレードオフが存在することが分かっている。不織布材料を安定させる又は機械的に安定させるために、不織布材料にエンドレスフィラメントとパルプ短繊維との混合物を使用することが知られている。この場合、エンドレスフィラメントは、本質的に不織布材料の強度又は安定性にとって重要である一方、パルプ短繊維は、結果として得られる製品の液体吸収性を確保する。しかし、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維とからなるこのような不織布材料では、液体吸収性と機械的な強度との間の最適な妥協に関して依然として改善の必要性がある。さらに、実地において公知の方法では、最終製品におけるエンドレスフィラメントとパルプ短繊維との均一な分配が所望されたままとなっていることが分かっている。その点においても改善の必要性がある。というのも、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維とが極めて均一に分配されていると、エンドレスフィラメントの割合が比較的小さくても、不織布材料の機械的な強度と液体吸収性との間の満足のいく妥協を達成し得るからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに対して、本発明の基礎をなす技術的な課題は、エンドレスフィラメント又はメルトブローンエンドレスフィラメントと短繊維又はパルプ短繊維とからなる不織布材料であって、強度又は安定性と液体吸収性との間の最適な妥協において優れていて、特にエンドレスフィラメントとパルプ短繊維との分配の高い均一性が存在する不織布材料を製造できる、冒頭で述べたような態様の方法を提供することである。さらに、本発明の基礎をなす技術的な課題は、そのような不織布材料を製造する装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この技術的な課題を解決するために、本発明の教示によれば、繊維から不織布材料を製造する方法であって、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金によって、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金によって、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製し、さらに、少なくとも1つの解繊装置によって、パルプ短繊維を作製し、その際、解繊装置において、パルプ短繊維から少なくとも1つの短繊維空気流が形成され、短繊維空気流は、出口チャネルを通って案内され、出口チャネルから進出し、初期体積流量V1及び流れ方向S1で、通気性の送出用シーブ状ベルトへ向けて流れ、
エンドレスフィラメントは、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金から、フィラメント空気流として、初期体積流量V2で、短繊維空気流へ向けて流れ、
フィラメント空気流と短繊維空気流とは、送出用シーブ状ベルトの上方で接触域においてまとめて案内され、エンドレスフィラメント短繊維混合物として、送出領域において送出用シーブ状ベルト上に送り出され、不織布材料又は不織布ウェブが形成され、
繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物の送出領域において、空気又はプロセス空気が、体積流量V4で、下方から送出用シーブ状ベルトを通して吸い込まれ、その際、体積流量V4は、体積流量V1とV2との合計よりも大きい。
【0005】
本発明による方法の範囲内で、メルトブローン紡糸口金又は複数のメルトブローン紡糸口金によって、溶融流動性のプラスチックフィラメントが作製されて、高速の吹出空気流に押し出される。吹出空気も同様に、合目的的には、メルトブローン紡糸口金から進出し、その際、吹出空気は、好適には温かい又は高温の吹出空気である。この場合、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金又は複数のメルトブローン紡糸口金から、作製されたエンドレスフィラメントと吹出空気とからなるフィラメント空気流が、短繊維空気流へ向けて流れる。特に溶融流動性のプラスチックフィラメント及び吹出空気の進出に関して、1つ又は複数のメルトブローン紡糸口金の構成については、さらに詳しく後述する。
【0006】
本発明によれば、エンドレスフィラメントは、熱可塑性樹脂から作製される。本発明による方法の範囲内で、好適には、エンドレスフィラメントは、少なくとも1種のポリオレフィンから作製される。少なくとも1種のポリオレフィンは、望ましくはポリプロピレン及び/又はポリエチレンであり、好適にはポリプロピレンである。原則として、エンドレスフィラメントは、ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、又はポリアミドなどの他の熱可塑性樹脂や前述の熱可塑性物質の混合物から作製されてもよい。エンドレスフィラメント又はメルトブローンエンドレスフィラメントは、0.2μmから15μm、好ましくは0.5μmから12μm、好適には0.5μmから10μmの範囲の平均フィラメント径を有することが推奨される。
【0007】
パルプという用語は、本発明の範囲内では、特に繊維素又はセルロースをベースとする繊維材料を意味する。合目的的には、本発明による方法の範囲内で、固体パルプが使用される。固体パルプという用語は、特に繊維素又はセルロースをベースとする乾いた材料を意味する。特に好適には、本発明の範囲内で、固体パルプからなるウェブが使用され、少なくとも1つの解繊装置によってパルプ短繊維へと解繊される。本発明による方法の範囲内で使用されるパルプは、好ましくは調整されている。少なくとも1つの解繊装置で作製されるパルプ短繊維は、合目的的には、0.05mmから5mm、好適には0.1mmから4mm、特に好適には0.1mmから3mmの長さ又は平均長さを有する。
【0008】
本発明の好適な一実施形態によれば、解繊装置は、ソーミルである。本発明によれば、解繊装置において、パルプ短繊維から、短繊維空気流が形成され、短繊維空気流は、出口チャネルを通って案内され、出口チャネルから初期体積流量V1で進出し、流れ方向S1で通気性の送出用シーブ状ベルトへ向けて流れる。出口チャネルは、合目的的には、解繊装置の一部である又は解繊装置に接続されている。初期体積流量V1とは、本発明の範囲内では、出口チャネルから進出した直後の短繊維空気混合物の体積流量を意味する。
【0009】
通気性の送出用シーブ状ベルトは、本発明の好適な一実施形態によれば、連続的に可動な通気性の送出用シーブ状ベルト、特にエンドレスに循環走行する送出用シーブ状ベルトである。
【0010】
作製されたエンドレスフィラメントは、本発明によれば、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金から、フィラメント空気流として、初期体積流量V2で、短繊維空気流へ向けて流れる。この場合、初期体積流量V2とは、特にエンドレスフィラメントに吹出空気を及ぼした後の、メルトブローン紡糸口金の直ぐ下に存在するフィラメント空気流の体積流量を意味する。
【0011】
本発明によれば、繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物の送出領域で又は少なくとも送出領域で、空気又はプロセス空気が、送出用シーブ状ベルトを通して吸い込まれる。そのために、合目的的には、少なくとも1つの吸込装置又は吸込ファンが、送出用シーブ状ベルトの下方、特に送出領域の下方に配置されている。本発明によれば、送出用シーブ状ベルトを通して吸い込まれる体積流量V4は、体積流量V1とV2との合計よりも大きいので、V4>(V1+V2)が成立する。本発明による方法の特に好適な一実施形態によれば、体積流量V4は、体積流量V1とV2との合計の1.05倍から30倍、好ましくは5倍から25倍、好適には10倍から20倍に相当する。
【0012】
本発明の特に好適な一実施形態によれば、少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金、特に2つのメルトブローン紡糸口金が設けられている。エンドレスフィラメントは、特に好適には第2のメルトブローン紡糸口金から第2のフィラメント空気流として初期体積流量V3で短繊維空気流の方へ流れる。初期体積流量V3とは、この場合、特にエンドレスフィラメントに吹出空気を及ぼした後の、メルトブローン紡糸口金又は第2のメルトブローン紡糸口金の直ぐ下に存在する体積流量を意味する。格別に特に好適には、この場合、体積流量V4は、体積流量V1とV2とV3との合計よりも大きいので、特にV4>(V1+V2+V3)が成立する。本発明による方法の特に好適な一実施形態によれば、体積流量V4は、体積流量V1とV2とV3との合計の1.05倍から30倍、好ましくは5倍から25倍、好適には10倍から20倍に相当する。
【0013】
フィラメント空気流は、送出用シーブ状ベルトの送り方向Fで短繊維空気流の上流側で流れ、第2のフィラメント空気流は、好適には送出用シール状ベルトの送り方向Fで短繊維空気流の下流側で流れることが認められる。
【0014】
本発明の範囲内において、フィラメント空気流は、その流れ方向S2において、少なくとも一部で又は部分的に短繊維空気流の流れ方向S1に対して角度α1をなして流れる。合目的的には、第2のフィラメント空気流は、その流れ方向S3において、少なくとも一部で又は部分的に短繊維空気流の流れ方向S1に対して角度α2をなして流れる。本発明の特に好適な一実施形態は、角度α1及び/又は角度α2が10°よりも大きい、特に好適には20°よりも大きい、格別に好適には25°よりも大きいことを特徴とする。したがって、2つのフィラメント空気流は、本発明の範囲内において、短繊維空気流へ向けて流れる。1つ又は複数のフィラメント空気流がその流れ方向S2又はS3において短繊維空気流の流れ方向S1に対して角度α1又はα2をなして流れることは、本発明の範囲内において、特に、フィラメント空気流の流れベクトルが、少なくとも一部で又は部分的に、短繊維空気流の流れ方向S1又は流れベクトルに対して角度α1又はα2をなして延びることを意味する。流れ方向及び流れベクトルという用語は、本発明の範囲内において、特にそれぞれの流れの平均的な流れ方向又は流れベクトルを意味する。
【0015】
本発明の範囲内において、特に好適には、少なくとも1つのフィラメント空気流、特に複数のフィラメント空気流が、その流れ方向S2又はS3において、少なくとも接触域で又は接触域の直ぐ手前で、短繊維空気流の流れ方向S1に対して角度α1又はα2をなして流れる。この場合、角度α1及びα2とは、特にフィラメント空気流が接触域で短繊維空気流に当接する傾斜角度を意味する。本発明の好適な一実施形態によれば、少なくとも1つのフィラメント空気流、特に2つのフィラメント空気流が、その流れ方向において、全体の流れ経路に沿って、特に真っ直ぐに又は本質的に真っ直ぐに、それぞれのメルトブローン紡糸口金から接触域まで短繊維空気流の流れ方向S1に対して角度α1又はα2をなして流れる。この場合、特に好適には、少なくとも1つのフィラメント空気流又は複数のフィラメント空気流及び/又は短繊維空気流が、ガイド手段なく、メルトブローン紡糸口金又は出口チャネルから接触域へ向けて流れる。
【0016】
角度α1及び/又は角度α2は、10°よりも大きい、特に好適には20°よりも大きいことが既に前述されている。角度α1及び/又は角度α2は、25°よりも大きい、好ましくは30°よりも大きい、好適には35°よりも大きい、例えば40°よりも大きいことが実証されている。角度α1及び/又は角度α2は、10°から75°、好適には20°から70°、特に好適には25°から65°、格別に特に好適には30°から65°、例えば35°から60°の範囲の値を有することが推奨される。本発明の範囲内において、角度α1と角度α2とは、同じ値を有するので、2つの繊維空気流は、接触域で、特に両側で短繊維空気流又は中央の短繊維空気流に対して両側で対称に当接する。しかも原則として、角度α1と角度α2とは、異なる値を有してもよい。
【0017】
本発明による方法の好適な一実施形態によれば、短繊維空気流は、出口チャネル又は出口チャネル端部から、その流れ方向S1において、送出用シーブ状ベルトのシーブ状ベルト表面に対して垂直に又は略垂直に流れる。したがって、短繊維空気流の流れ方向S1は、特に、通気性の送出用シーブ状ベルトのシーブ状ベルト表面に対して垂直又は略垂直に向けられている。このことは、本発明の範囲内において、特に、短繊維空気流の流れベクトルが、シーブ状ベルト表面の面状の延伸部分に対して垂直又は略垂直に延びることを意味する。
【0018】
短繊維空気流とフィラメント空気流との間のスペース及び/又は短繊維空気流と第2のフィラメント空気流との間のスペースで二次空気が吸い込まれることは、本発明の範囲内である。この場合、二次空気は、特に体積流量Vsekで吸い込まれ、Vsekは、合目的的には、吸い込まれる全体の二次空気の総体積流量である。この場合、好適には、V4≧(V1+V2+Vsek)及び/又はV4≧(V1+V2+V3+Vsek)が成立する。V4は、体積流量V1、V2、Vsekの合計及び/又は体積流量V1、V2、V3、Vsekの合計の1倍から30倍、好ましくは5倍から25倍、好適には10から20倍に相当することが推奨される。二次空気との用語は、本発明の範囲内において、特に付加的にフィラメント空気流及び/又は短繊維空気流の流れの動きによって吸い込まれる空気であって、メルトブローン紡糸口金の吹出空気に相当しない、及びパルプ短繊維と一緒に出口チャネルから進出する空気に相当しない空気を意味する。メルトブローン紡糸口金からの吹出空気及び出口チャネルからパルプ短繊維と一緒に進出する空気は、本発明の範囲内において、特に一次空気と称される。その他、空気という用語には、本発明の範囲内において、空気と同様の気体混合物又は流体混合物が含まれる。
【0019】
合目的的には、短繊維空気流は、出口チャネルにおいて加速され、特に解繊装置のファンによって加速される。したがって、解繊装置は、好適な実施形態によれば、解繊装置に空気を供給するファンを有する。短繊維空気流を形成するための空気流が解繊装置において解繊工程及び/又はファンによって形成されることは、本発明の範囲内である。本発明の好適な一実施形態によれば、解繊装置は、ソーミルである。この場合、短繊維空気流を形成するための空気流は、好ましくは、ソーミルにおける粉砕工程及び/又はソーミルのファンによって形成される。より好適な実施形態によれば、出口チャネル内で加速された短繊維空気流は、初期体積流量V1で出口チャネルから進出する。
【0020】
本発明の一特に好適な実施形態によれば、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金は、一列に配置された複数の口金開口と、好ましくは両側で口金開口の列に対して平行して延在するとともに口金開口の方へ傾斜した2つの空気流込間隙とを有し、空気流込間隙から吹出空気が進出する。合目的的には、少なくとも2つの、特に2つのメルトブローン紡糸口金がこのように構成されている。1つ又は複数のメルトブローン紡糸口金が、一列に配置された複数の口金開口を有するとは、本発明の範囲内において、特に、メルトブローン紡糸口金が単列の口金開口しか有しないことを意味する。このようなメルトブローン紡糸口金は、単列口金とも称される。合目的的には、1つ又は複数のメルトブローン紡糸口金は、少なくとも2つ、特に2つの空気流込間隙をそれぞれ有し、空気流込間隙は、両側で口金開口の列に対して平行に延在する。空気流込間隙の両側で平行に延在することは、本発明の範囲内において、特に、空気流込間隙の長手延伸部分が、口金開口の列の長手延伸部分に対して平行に延在することを意味する。さらに、空気流込間隙は、望ましくは、口金開口の方へ又は口金開口の列の方へ傾斜している。これにより、特に、空気流込間隙から進出する吹出空気又は空気流込間隙から進出する面状の吹出空気流が、押し出されたエンドレスフィラメントのカーテンを、側方から又はそれぞれ反対側から流入角度で及ぼされることが達成される。形成されたエンドレスフィラメントの流れ方向に対する吹出空気の流入角度は、好ましくは30°よりも小さい、好適には20°よりも小さい。好適には、1つ又は複数のメルトブローン紡糸口金の2つの空気流込間隙から到来するエンドレスフィラメントには、均一に又は対称に吹出空気が及ぼされる。しかも原則的には、吹出空気の温度及び/又は体積流量に関して均一ではない又は非対称の、エンドレスフィラメントへの作用も、メルトブローン紡糸口金の2つの空気流込隙間によって可能である。
【0021】
本発明の別の好適な一実施形態によれば、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金が、複数の数に配置された複数の口金開口を有し、この場合、好適には、各口金開口に1つの空気流込開口又は独自の空気流込開口が割り当てられていて、空気流込開口から吹出空気が進出する。溶融流動性のプラスチックフィラメントが進出するための複数の列に配置された口金開口を有するそのようなメルトブローン紡糸口金は、多列口金とも称される。少なくとも2つ、特に2つのメルトブローン紡糸口金がこのように構成されていることは、本発明の範囲内である。メルトブローン紡糸口金の各口金開口が1つの空気流込開口又は独自の空気流込開口を有することは、本発明の範囲内において、特に、対応する空気流込開口が口金開口に直接に割り当てられている又は割当て可能であることを意味する。メルトブローン紡糸口金の空気流込開口が、それぞれの口金開口を取り囲み、特に口金開口に対して同軸に配置されていることは、本発明の範囲内である。この場合、合目的的には、プラスチック溶融物に対して平行に又は溶融流動性のプラスチックフィラメントに対して同軸に、吹出空気は、口金開口に割り当てられた空気流込開口から進出し、生成されたフィラメントを被覆するように取り囲む。
【0022】
本発明の別の好適な一実施形態によれば、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金は、口金開口及び空気流込開口の形態の複数列に配置された複数の進出開口を有し、この場合、進出開口又は口金開口と空気流込開口とは、好ましくは互いに離間して規則的及び/又は不規則なパターンで配置されていて、この場合、好適には空気流込開口の少なくとも90%、特に各空気流込開口に、少なくとも2つの口金開口が割り当てられている、及び/又は好適には口金開口の少なくとも90%、特に各口金開口に、少なくとも2つの空気流込開口が割り当てられている。少なくとも2つ、特に2つのメルトブローン紡糸口金がこのように構成されていることは、本発明の範囲内である。本発明のこの実施形態は、プラスチック溶融物又は溶融流動性のプラスチックフィラメントがそこから進出するそれぞれの口金開口に、独自の空気流込開口が直接に割り当てられていないことを特徴とする。むしろ好ましくは、各口金開口に、少なくとも2つの空気流込開口が割り当てられている。これらの空気流込開口から、この実施形態の範囲内において、吹出空気が進出する。好適には、口金開口は、次のように、すなわちそこからポリマー溶融物のみが進出し、ポリマー溶融物が、特にそれぞれの口金開口に直接に割り当てられた又は口金開口に対して同軸に進出する吹出空気なしに口金開口から進出するように、構成されている。空気流込開口から、合目的的には、吹出空気のみが進出する。この好適な実施形態の範囲内において、メルトブローン紡糸口金の進出開口の一部は、口金開口の形態で構成されていて、進出開口の一部又は別の一部は、空気流込開口の形態で構成されている。この実施形態の範囲内において、直接に隣り合うメルトブローン紡糸口金の進出開口の間隔は、口金全体の少なくとも1つの口金方向で同一である又は本質的に同一であることが推奨される。さらに好適には、進出開口の総数における口金開口の割合は、10%から50%、好ましくは12%から45%、好適には15%から40%である。
【0023】
本発明のより好適な実施形態によれば、少なくとも2つ、特に2つのメルトブローン紡糸口金が設けられているとき、好適には、2つのメルトブローン紡糸口金又は全てのメルトブローン紡糸口金は、口金開口及び空気流込開口又は空気流込間隙に関して同一に構成されている。しかも、基本的に、少なくとも2つの異なるメルトブローン紡糸口金を、本発明による方法の範囲内において組み合わせてもよい。その他の点では、好適には、メルトブローン紡糸口金の進出開口、特に口金開口及び/又は空気流込開口は、丸く又は円形に形成されている。
【0024】
本発明は、本発明による特別な流れ特性によって、特に送出用シーブ状ベルトを通して吸い込まれる体積流量に対する短繊維空気流と1つ又は複数のフィラメント空気流との初期体積流量の合計の割合によって、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維とからなる不織布を製造できる方法を提供でき、この不織布は、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維と分配の極めて高い均一性と、特に不織布材料の安定性又は強度と液体吸収性との間の最適な妥協とにおいて優れている。この場合、特に有利な結果は、1つ又は複数のフィラメント空気流が(それぞれ)短繊維空気流の流れ方向に角度をなして流れ、特に2つのフィラメント空気流が両側で中央の短繊維空気流に対して傾斜して、特に好適には対称的に流れると得られる。送出用シーブ状ベルト上に送り出されるエンドレスフィラメント短繊維混合物は、合目的的には、パルプ短繊維が埋め込まれたエンドレスフィラメントの母材である。
【0025】
本発明による好適な実施形態によれば、少なくとも1つのフィラメント空気流、好ましくは複数のフィラメント空気流のエンドレスフィラメントに、メルトブローン紡糸口金と送出用シーブ状ベルトとの間において、特にフィラメント空気流の、短繊維空気流とは反対の側で水が吹き付けられる。エンドレスフィラメントに水を吹き付けるために、好ましくは、1つ又はそれぞれ1つの水ノズルが設けられていて、水ノズルは、特にそれぞれのフィラメント空気流の、短繊維空気流とは反対の側に配置されている。したがって、合目的的には、少なくとも1つの水ノズル又は複数の水ノズルは、フィラメント空流の外側に位置する。水ノズルがそれぞれのメルトブローン紡糸口金に割り当てられていて、好適にはフィラメント流れ方向でメルトブローン紡糸口金の下方に、特に直ぐ下に配置されていることは、本発明の範囲内である。したがって、エンドレスフィラメントには、メルトブローン紡糸口金から進出した後で、特に進出直後に水が吹き付けられる。このようにすると、作製されたエンドレスフィラメントの的確な冷却を達成できる。
【0026】
好適には、短繊維空気流は、空気1kg当たり0.0138kgから0.0833kg、好ましくは0.0222kgから0.0694kg、好適には0.0277kgから0.05kgのパルプ短繊維の割合で出口チャネルから進出する。短繊維空気流は、空気1kg当たり0.0138kgを超える、好ましくは0.0222kgを超える、好適には0.0277kgを超えるパルプ短繊維の割合で出口チャネルから進出することが、推奨される。合目的的には、空気1kg当たりのパルプ短繊維の割合は、解繊装置の速度によって開ループ及び/又は閉ループ式に制御可能であり、特に解繊装置の引き込み速度によって開ループ及び/又は閉ループ式に制御可能である。
【0027】
さらに好適には、少なくとも1つのフィラメント空気流又は複数のフィラメント空気流は、空気1kg当たり0.002kgから0.5kg、好ましくは0.01kgから0.25kg、好適には0.015kgから0.12kg、特に好適には0.018kgから0.1kgのエンドレスフィラメントの割合でメルトブローン紡糸口金から進出する。少なくとも1つのフィラメント空気流、好ましくは複数のフィラメント空気流は、(それぞれ)空気1kg当たり0.002kgを超える、好ましくは0.01kgを超える、好適には0.015kgを超える、特に好適には0.018kgを超えるエンドレスフィラメントの割合でメルトブローン紡糸口金から進出することが、推奨される。フィラメント空気流、特に2つのフィラメント空気流は、空気1kg当たり同じ割合のエンドレスフィラメントがメルトブローン紡糸口金から進出することも、さらに本発明の範囲内である。本発明による方法の代替的な実施形態によれば、フィラメント空気流、特に2つのフィラメント空気流は、空気1kg当たり異なる割合のエンドレスフィラメントがメルトブローン紡糸口金から進出する。空気1kg当たりフィラメント空気流がメルトブローン紡糸口金から進出するエンドレスフィラメントの割合は、推奨される本発明の実施形態によれば、熱可塑性樹脂の質量流量及び/又はメルトブローン紡糸口金の空気流込間隙又は空気流込開口から進出する吹出空気の閉ループ及び/又は開ループ式の制御によって調整できる。本発明の特に好適な実施形態によれば、送り出された不織布材料中のエンドレスフィラメントの割合は、10重量%から35重量%、好ましくは15重量%から30重量%、好適には20重量%から28重量%である。
【0028】
既に前述したように、短繊維空気流は、本発明の有利な実施形態によれば、出口チャネルにおいて、解繊装置のファンによって加速される。その関連において好適には、解繊装置のファンによって吸い込まれる空気は、調整されている。特に好適には、ファンによって吸い込まれる調整された空気は、28℃のとき65%を超える相対空気湿度を有する。
【0029】
出口チャネルが送出用シーブ状ベルトのシーブ状ベルト表面に対して高さ調整可能であることは、本発明の範囲内である。合目的的には、出口チャネル端部とシーブ状ベルト表面との間の距離aは、200mmから1000mm、好ましくは300mmから750mm、好適には400mmから600mm、特に好適には460mmから530mmである。したがって、出口チャネル又は出口チャネル端部は、送出用シーブ状ベルトのシーブ状ベルト表面に対してこの範囲で高さ調整可能である。格別に特に好適には、吸い込まれる二次空気量は、送出用シーブ状ベルトのシーブ状ベルト表面に対する出口チャネルの高さ調整によって閉ループ及び/又は開ループで制御可能である。本発明による方法の範囲内において、出口チャネルの高さは、V4≧(V1+V2+Vsek)及び/又はV4≧(V1+V2+V3+Vsek)が成立するように調整されることが推奨される。この場合、吸い込まれる二次空気量とは、特に短繊維空気流と少なくとも1つの、好ましくはと2つのフィラメント空気流又はとの間で吸い込まれる二次空気又は二次空気量を意味する。出口チャネル端部との用語は、本発明の範囲内において、特に出口チャネルの、送出用シーブ状ベルト寄りの出口チャネルの端部を意味する。好適には、出口チャネルの壁部は、出口チャネル端部の領域で、出口チャネル端部が内側断面で一定に又は拡散又は収束して形成されるように、構成されている。このようにすると、接触域におけるエンドレスフィラメントとパルプ短繊維との後での混合に影響を与えることができる。出口チャネル端部とシーブ状ベルト表面との間の距離aは、本発明の範囲内において、特にシーブ状ベルト表面に対して垂直に計測される。吸い込まれる二次空気量の閉ループ及び/又は開ループ式の制御が可能であることによって、特に二次空気供給に関して、機能がより確実となるような影響を流れ特性に与えることが可能である。出口チャネル又は出口チャネル端部の高さ調整又は高さ調整性能によって、本発明の範囲内において、特に角度α1及び/又はα2と組み合わせて、その他に接触域の位置も調整又は制御可能である。これにより、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維との混合に、特に出口チャネル端部の領域における出口チャネルの壁部の構成と組み合わせて、好適には内側断面で一定の、出口チャネル端部の領域における出口チャネルの壁部の構成によって、有利な影響を与えることができる。
【0030】
本発明によれば、フィラメント空気流、好ましくは複数の又は2つのフィラメント空気流と短繊維空気流とは、接触域において送出用シーブ状ベルトの上方でまとめて案内される。この接触域で、望ましくはフィラメント空気流と短繊維空気流との混合が行われる。本発明の好適な一実施形態によれば、エンドレスフィラメント短繊維混合物は、接触域から送出用シーブ状ベルトへ均一又は本質的に均一の混合物として流れる。本発明による流れ特性及び好適には所定の角度で短繊維空気流とフィラメント空気流とまとめて案内することによって、本発明の範囲内において、パルプ短繊維とエンドレスフィラメントとの最適な混合及び分配を行うことができるので、接触域に続いて、均一又は本質的に均一のエンドレスフィラメント短繊維混合物が送出用シーブ状ベルトへ流れ、送り出されて織布材料又は不織布ウェブが形成される。エンドレスフィラメント短繊維混合物が接触域から送出用シーブ状ベルト又は送出域へ、その流れ方向に関してシーブ状ベルト表面に対して垂直に又は略垂直に流れると有利である。
【0031】
短繊維空気流が、送出用シーブ状ベルトの幅に関して、少なくとも50(kg/h)/m、特に少なくとも75(kg/h)/m、好適には少なくとも100(kg/h)/m、特に好適には少なくとも200(kg/h)/mのパルプ短繊維を案内又は搬送することは、本発明の範囲内である。送出用シーブ状ベルトの幅とは、本発明の範囲内において、特に、送出用シーブ状ベルトの長手延在部分又は搬送方向に対して横向き、特に垂直の送出用シーブ状ベルトの最大幅を意味する。本発明の範囲内において、少なくとも2つ、特に少なくとも3つ、好適には少なくとも4つの解繊装置が、好適には付属のファン及び/又は出口チャネルと共に、送出用シーブ状ベルトの幅に沿って配置され得る。このようにすると、少なくとも1m、特に少なくとも2m、好ましくは少なくとも3m、好適には少なくとも4mの幅の送出用シーブ状ベルトであっても、送出用シーブ状ベルトの全幅にわたるパルプ短繊維又は短繊維空気流の特に均一な供給を行うことができる。
【0032】
本発明による方法の特に好適な実施形態は、不織布材料又は不織布ウェブは、少なくとも1つのカレンダによって凝固され、その際、好ましくは少なくとも1つのカレンダによって、エンボスパターンが、不織布材料又は不織布ウェブに加工されることを特徴とする。凝固を少なくとも1つのカレンダによって「インライン」で行うことが推奨される。このことは、本発明の範囲内において、特に、少なくとも1つのカレンダによる凝固が、エンドレスフィラメント短繊維混合物の送り出しに続いて行われ、不織布材料又は不織布ウェブが生成されることを意味する。本発明による方法の代替的で好適な一実施形態によれば、少なくとも1つのカレンダによる不織布材料又は不織布ウェブの凝固は、「オフライン」で行われる。このことは、本発明の範囲内において、特に不織布材料又は不織布ウェブが、送出用シーブ状ベルト上に送り出した後で送出用シーブ状ベルトから取り出されて巻き取られ、後の時点になってから再び繰り出されて、少なくとも1つのカレンダに供給されることを意味する。
【0033】
少なくとも1つのカレンダが少なくとも1つのカレンダローラ対を有し、カレンダローラ対を通して、不織布材料又は不織布ウェブが好適には押圧されて案内される、ことが推奨される。合目的的には、カレンダのカレンダローラの1つは、平滑な外面を有する平滑ローラである、及び/又はカレンダのカレンダローラの1つは、その外面にエンボスパターンを有する。本発明の好適な一実施形態によれば、カレンダ又はカレンダローラ対は、温度調整されている。カレンダローラの温度は、本発明の範囲内において、好ましくはエンドレスフィラメントの熱可塑性樹脂の融点よりも低い。好適には、カレンダローラ温度は、本発明による方法の範囲内において、50℃から150℃である。1つ又は複数のカレンダローラの線圧が10daN/cmから120daN/cmであることもまた本発明の範囲内である。
【0034】
特に好適には、エンボスパターンは、中断なく形成されていて、エンボスパターンのパターン基本幾何形状は、20mmから50mm、好ましくは25mmから45mm、好適には30mmから40mm、特に好適には32.5mmから37.5mmの範囲のプレス面を有する。パターン基本幾何形状とは、本発明の範囲内において、特にエンボスパターンの繰返し要素を基礎とする幾何形状を意味する。当然ながら、その関連において、パターン基本幾何形状又は繰返し要素は、好適にはそれぞれ同一の大きさ又は本質的に同一の大きさであるので、得られるエンボスパターンは、規則的なエンボスパターンである。中断されないエンボスパターンはハニカム構造であり、そのパターン基本幾何形状又はその繰返し要素は合目的的には六角形又は正六角形であることが、本発明の範囲内である。この場合、エンボスパターンは、好ましくは複数の同一の大きさの互いに隣接する正六角形からなり、その際、六角形の内面は、好ましくはエンボス加工の非プレス部分を形成する。
【0035】
本発明の別の好適な一実施形態によれば、エンボスパターンは、中断部分を有し、特に互いに接続されていない複数の要素、好ましくは点及び/又は線から形成されていて、この場合、要素は、合目的的には2mmよりも小さい、好ましくは1.5mmよりも小さい、好適には1.1mmよりも小さい、特に好適には0.55mmよりも小さいプレス面をそれぞれ有する。本発明の範囲内において、中断されていないエンボスパターンと中断部分を有するエンボスパターンとを組み合わせることも可能である。
【0036】
有利には、エンボスパターンのパターン基本幾何形状又は要素の高さは、0.3mmから2.0mm、好ましくは0.4mmから1.8mm、好適には0.5mmから1.6mmである。この場合、パターン基本幾何形状の高さとは、エンボスパターンのプレス面と非プレス領域との間の高さの差又は平均的な高さの差を意味する。さらに、不織布材料又は不織布ウェブの表面全体におけるエンボスパターンのプレス面の割合が2.5%から25%、好ましくは5%から15%、好適には5.25%から12.5%であることは、本発明の範囲内である。
【0037】
その他に、当然ながら、エンボスパターンの前述の形態に関して、エンボスパターンを有する、カレンダローラ対の対応するローラは、その外面に補完的なエンボスパターンを有する。カレンダ又はカレンダローラは、特に、2.5%から25%まで、好ましくは5%から15%まで、好適には5.25%から12.5%までのプレス面部分又はプレス面を有する。
【0038】
技術的課題を解決するために、本発明は、さらに、特に前述の方法によって繊維から不織布材料を製造する装置を教示し、この場合、装置は、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製するための少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金を備え、さらに、パルプ短繊維を作製するための少なくとも1つの解繊装置と、パルプ短繊維又短繊維空気流を案内する出口チャネルとが設けられていて、装置は、パルプ短繊維とエンドレスフィラメントとをエンドレスフィラメント短繊維混合物として送り出し、不織布材料又は不織布ウェブを形成するための通気性の少なくとも1つの送出用シーブ状ベルトを備え、少なくとも1つの吸込装置が設けられていて、吸込装置によって、繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物の送出領域で、空気又はプロセス空気が、送出用シーブ状ベルトを通して吸込み可能である。
【0039】
好適な実施形態によれば、装置は、少なくとも2つの、特に2つのメルトブローン紡糸口金を有する。好適には、第1のメルトブローン紡糸口金は、送出用シーブ状ベルトの送り方向で出口チャネルの上流側に配置されていて、第2のメルトブローン紡糸口金は、送出用シーブ状ベルトの送り方向で出口チャネルの下流側に配置されている。少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金、好ましくは少なくとも2つ又は2つのメルトブローン紡糸口金が、出口チャネルに対して傾斜角をなして配置されていることは、本発明の範囲内である。メルトブローン紡糸口金と出口チャネルとの間の傾斜角は、合目的的には(それぞれ)少なくとも10°、好ましくは少なくとも20°、好適には少なくとも25°である。さらに好適には、メルトブローン紡糸口金と出口チャネルとの間の傾斜角は、(それぞれ)少なくとも30°、特に好適には少なくとも35°、例えば少なくとも40°である。望ましくは、少なくとも、1つのメルトブローン紡糸口金と出口チャネルとの間、好ましくは2つのメルトブローン紡糸口金と出口チャネルとの間の傾斜角は、(それぞれ)10°から75°、好適には20°から70°、特に好適には25°から65°、格別に好適には30°から65°である。このようにすると、メルトブローン紡糸口金から、フィラメント空気流は、送出用シーブ状ベルトへ向けて短繊維空気流の流れ方向S1に対して角度α1又はα2をなして、短繊維空気流へ向けて流れてよい。望ましくは、メルトブローン紡糸口金と出口チャネルとの間の傾斜角は、それぞれ調整可能又は調節可能である。
【0040】
好適には、出口チャネルは、送出用シーブ状ベルトのシーブ状ベルト面に対して高さ調整可能に構成されている。出口チャネル端部とシーブ状ベルト表面との間の距離aは、200mmから1000mm、好ましくは300mmから750mm、好適には400mmから600mm、特に好適には460mmから530mmの範囲で調整可能である、ことが実証されている。
【0041】
本発明による装置の好適な実施形態によれば、解繊装置は、出口チャネルにおいてパルプ短繊維又は短繊維空気流を加速する少なくとも1つのファンを有する。
【0042】
本発明は、さらに、前述の方法に従って及び/又は前述の装置を用いて製造されたエンドレスフィラメント短繊維混合物からなる不織布材料を教示する。不織布材料は、望ましくは、0.1mmから3mm、好ましくは0.2mmから2mm、好適には0.3mmから1.5mmの範囲の厚さを有する。不織布材料の厚さは、本発明の範囲内において、特に、好ましくは所定の凝固ステップ又はカレンダ加工ステップの後で、特に不織布材料の面状の延在部分に対して横向き、特に垂直又は略垂直の不織布材料の最大厚さを意味する。
【0043】
本発明は、本発明による方法によって、安定性又は強度に関してのみならず液体吸収性に関しても全ての要求を満たす、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維とからなる不織布材料を製造できるようにするという認識に基づいている。その点において、本発明による手段によって、不織布材料の強度と液体吸収性との間の最適な妥協が可能である。本発明による流れ特性と、1つ又は複数のメルトブローン紡糸口金とパルプ短繊維用の出口チャネルとの好適には所定の配置とによって、特にエンドレスフィラメントとパルプ短繊維との最適な混合が実現されるので、結果として、不織布材料は、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維との極めて均一な分配が得られる。このようにすると、比較的小さなエンドレスフィラメントの割合で、全ての要求を満たす不織材料を提供できる。さらに強調しておくと、本発明による手段は、あまり煩雑ではなく、したがって本発明による方法は、高い経済性において優れている。このことは、本発明による装置にも当てはまる。
【0044】
以下、本発明を、単に一実施例を示した図面に基づいて詳説する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明による方法を実施するための、本発明による装置の縦断面図を示す。
図2】第1の実施形態の本発明によるメルトブローン紡糸口金の下面図を示す。
図3図2による対象の鉛直断面図を示す。
図4】第2の実施形態の本発明によるメルトブローン紡糸口金の下面図を示す。
図5】第3の実施形態のメルトブローン紡糸口金の下面図を示す。
図6A】エンボスパターンを有する、本発明による不織布材料の一部の平面図を示す。
図6B図6AのA―A線に沿った横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明による、繊維から不織布材料1を製造する装置を示す。2つのメルトブローン紡糸口金2、3を通して、熱可塑性樹脂からなるエンドレスフィラメントが作製される。本発明の範囲内において、実施例では、熱可塑性樹脂は、ポリプロピレンであってよい。図1において看取されるように、パルプから、好適にはそして実施例では固体パルプ19から、少なくとも1つの解繊装置4によって、パルプ短繊維が作製される。解繊装置4は、合目的的にはそして実施例では、ソーミルである。解繊装置4において、本発明によれば、パルプ短繊維から少なくとも1つの短繊維空気流5が発生する。短繊維空気流5は、好適にはそして実施例では解繊装置4のファン7によって、出口チャネル6において加速される。ファン7は、解繊装置4に、合目的的にはそして実施例では空気を供給する。短繊維空気流5を発生させるための空気流は、本発明の範囲内において、実施例では、解繊装置4又はソーミルにおける粉砕工程に基づいて及びファン7によって発生する。
【0047】
加速された短繊維空気流5は、本発明によれば、出口チャネル6から初期体積流量V1で進出する。初期体積流量V1とは、本発明の範囲内において、特に出口チャネル6から進出した直後の短繊維空気流5の体積流量を意味する。短繊維空気流5は、通気性の送出用シーブ状ベルト8のシーブ状ベルト表面に対して垂直に又は略垂直に方向付けられた流れ方向S1で、送出用シーブ状ベルト8へ向けて流れる。通気性の送出用シーブ状ベルト8は、合目的的にはそして実施例では、エンドレス循環走行式の送出用シーブ状ベルト8として構成されている。
【0048】
メルトブローン紡糸口金2、3によって作製されたエンドレスフィラメントは、合目的的にはそして実施例では、初期体積流量V2又V3を有するフィラメント空気流9、10として、メルトブローン紡糸口金2、3から短繊維空気流5へ向けて流れる。初期体積流量V2又はV3とは、特に、メルトブローン紡糸口金2、3の直ぐ下方でエンドレスフィラメントに吹出空気が加えられた後で存在するフィラメント空気流9、10の体積流量を意味する。
【0049】
本発明の範囲内において、実施例では、第1のフィラメント空気流9は、送出用シーブ状ベルト8の送り方向Fでみて短繊維空気流5の上流側で流れる。フィラメント空気流9は、その流れ方向S2に関して、短繊維空気流5の流れ方向S1に対して角度α1をなして流れる。第2のフィラメント空気流10は、送出用シーブ状ベルト8の送り方向Fでみて短繊維空気流5の下流側で流れる。この第2のフィラメント空気流10は、その流れ方向S3に関して、短繊維空気流5の流れ方向S1に対して角度α2をなして流れる。したがって、フィラメント空気流9、10は、好ましくはそして実施例では、中央の短繊維空気流5の両側から、角α1又α2をなして短繊維空気流5へ流れる。本発明の範囲内において、角度α1及びα2は、好適には20°よりも大きく、特に好適には25°よりも大きい。図示された実施例では、角度α1及びα2は、それぞれ約30°であってよい。好適には、実施例の範囲内において、角度α1と角度αと2は、同一の値又は本質的に同一の値を有する。
【0050】
合目的的にはそして実施例では、フィラメント空気流9、10と短繊維空気流5とは、送出用シーブ状ベルト8の上方で接触域11においてまとめて案内され、エンドレスフィラメント短繊維混合物12として、送出領域13において、送出用シーブ状ベルト8上に送り出され、不織布材料1又は不織布ウェブが形成される。好適にはそして実施例では、フィラメント空気流9、10は、その流れ方向S2又はS3に関して、接点域11の領域又は直前で、短繊維空気流5の流れ方向S1に対して角度α1又はα2をなして流れる。この場合、角度α1及びα2とは、本発明の範囲内において、実施例では、特に、フィラメント空気流9、10が接点領域11において短繊維空気流5に当接する傾斜角を意味する。好適にはそして実施例では、両方のフィラメント空気流9、10は、それぞれのメルトブローン紡糸口金2、3から接触域11までの全ての流路に沿って、それらの流れ方向S2又はS3に関して、短繊維空気流5の流れ方向S1に対する角度α1又はα2をなして流れる。望ましくはそして実施例では、この場合、フィラメント空気流9、10は、真っ直ぐに又は本質的に真っ直ぐに流れる。好適にはそして図1による実施例では、フィラメント空気流9、10は、その上対称的に短繊維空気流5へ向けて流れ、接触域11において対称的に短繊維空気流5に当接する。両方のフィラメント空気流9、10及び短繊維空気流5は、好ましくはそして実施例では、ガイド手段なくメルトブローン紡糸口金2、3又は出口チャネル6から接触域11へ向けて流れる。
【0051】
望ましくはそして実施例では、フィラメント空気流9、10と短繊維空気流5との間のスペースで二次空気が吸い込まれる。この場合、二次空気は、特に体積流量Vsekで吸い込まれ、その際、Vsekは、合目的的には、全体として吸い込まれた二次空気の総体積流量である。さらに、本発明によれば、繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物12の送出領域13で又は少なくともこの送出領域13で、空気又はプロセス空気が、体積流量V4で、下方から送出用シーブ状ベルト8を通して吸い込まれる。そのために、本発明の範囲内において、実施例では、吸込装置16又は吸込ファンが、送出用シーブ状ベルト8の下方に、特に送出領域13の下方に設けられている。好適には、体積流量V4は、体積流量V1、V2及びV3の合計よりも大きい。さらに好適には、体積流量V4は、体積流量V1、V2、V3及びVsekの合計以上である。
【0052】
本発明の好適な一実施形態によれば、メルトブローン紡糸口金2、3は、列状に配置された複数の口金開口17をそれぞれ有し、口金開口17から、本発明による方法の範囲内において、好ましくは、溶融流動性のプラスチックフィラメントが押し出される。口金開口17の列に対して両側で平行に、好適にはそれぞれ2つの空気流込間隙18が延在する。このことは、図2及び図3から看取される。空気流込間隙18から、好適には、吹出空気が進出する。口金開口17から押し出されたプラスチックフィラメントは、合目的的には、吹出空気流内に押し出される。メルトブローン紡糸口金2、3は、本発明の範囲内において、図2及び図3による実施例では、単列の口金開口17を有し、その場合には単一列口金として構成されている。空気流込間隙18が口金開口17の列に対して両側で平行に延在することは、本発明の範囲内において、特に、空気流込間隙18の長手方向延在長さが口金開口17の列の長手方向延在長さに対して平行に延在することを意味する(図2)。空気流込間隙18は、好適には、図2及び図3による実施形態の範囲内において、口金開口17の方へ又は口金開口17の列の方へ傾斜している。この場合、空気流込間隙18から進出する吹出空気又は面状の吹出空気流は、押し出されたエンドレスフィラメントに、この場合側方から流込角(図3)をなして加えられる。
【0053】
図4は、メルトブローン紡糸口金2、3の別の好適な一実施形態の底面図を示す。図4に示すメルトブローン紡糸口金2、3の好適な実施形態では、複数列に配置された複数の口金開口17が設けられていて、この場合、各口金開口17には、1つの空気流込開口21又は独自の1つの空気流込開口21が割り当てられていて、空気流込開口21から吹出空気が進出する。複数列に配置された、溶融流動性のプラスチックフィラメントが進出するための口金開口17を有するそのようなメルトブローン紡糸口金は、多列口金とも称される。好適にはそして図4に示す実施例では、各空気流込開口21は、具象的な1つの口金開口17に直接に割り当てられている。空気流込開口21は、好適にはそして図4に示す実施例では、それぞれの口金開口17を同軸に取り囲む。このようにすると、プラスチック溶融物又は溶融流動性のプラスチックフィラメントに対して平行に、同軸に、吹出空気が、それぞれの口金開口17に割り当てられた空気流込開口21から流出する。
【0054】
メルトブローン紡糸口金2、3の別の好適な一実施形態は、図5に示されている。メルトブローン紡糸口金2又は複数のメルトブローン紡糸口金2、3は、この好適な実施形態によれば、口金開口17(図5に塗りつぶしていない円として示されている)及び空気流込開口21(図5に塗りつぶした円として示されている)の形態の、複列に配置された複数の進出開口を有する。合目的的にはそして実施例では、進出開口又は口金開口17と空気流込開口21とは、規則的なパターンで互いに対して間隔を置いて配置されている。この場合、各口金開口17に少なくとも2つの空気流込開口21が割り当てられている。このことは、特に、各口金開口17に対して直接に隣り合って少なくとも2つの空気流込開口21が配置されていることを意味する。さらに、好適にはそして実施例では、各空気流込開口21に対して直接に隣り合って少なくとも2つの口金開口17が配置されている。空気流込開口21から、図5に示す好適な実施形態の範囲内において、吹出空気のみが進出する。好適には、口金開口17は、そこからポリマー溶融物のみが進出し、ポリマー溶融物が、特にそれぞれの口金開口17に直接に割り当てられた又は口金開口17に対して同軸に進出する吹出空気なしに、口金開口17から進出するように構成されている。合目的的には、図5に示す実施例では、口金開口17の形態のメルトブローン紡糸口金2又は複数のメルトブローン紡糸口金2、3の進出開口の一部と、空気流込開口21の形態の進出開口の一部又は別の一部とが形成されている。本実施形態の範囲内において、実施例では、メルトブローン紡糸口金2、3の縦方向及び横方向の、メルトブローン紡糸口金の直接に隣り合う進出開口の間隔は、口金2、3の全体で互いに同一又はほぼ同一である。
【0055】
本発明の範囲内において、実施例では、フィラメント空気流9、10に、メルトブローン紡糸口金2、3と送出用シーブ状ベルト8との間で、フィラメント空気流9、10の、短繊維空気流5とは反対の側で水が吹き付けられる。そのために、水ノズル20がそれぞれ設けられていて、水ノズル20は、合目的的にはそして実施例では、それぞれのフィラメント空気流9、10の、短繊維空気流5とは反対の側に配置されている。したがって、水ノズル20は、望ましくはそして実施例では、フィラメント空気流9、10の外側に位置し、特に好適にはフィラメント流れ方向でメルトブローン紡糸口金2、3の下方に又は直ぐ下に配置されている。
【0056】
吸い込まれる二次空気量は、本発明による方法の範囲内において、又は本発明による装置によって、好適には、送出用シーブ状ベルト8のシーブ状ベルト表面に対する出口チャネル6又は出口チャネル端部14の高さ調整によって開ループ及び/又は閉ループで制御可能である。望ましくは、出口チャネル6の高さは、V4≧(V1+V2+Vsek)及び/又はV4≧(V1+V2+V3+Vsek)が成立するように調整される。出口チャネル6は、好ましくは、送出用シーブ状ベルト8のシーブ状ベルト表面に対して高さ調整可能に構成されている。出口チャネル端部14とシーブ状ベルト表面との間の距離aは、合目的的には、200mmから1000mm、好適には300mmから750mmである。距離aは、本発明の範囲内において、出口チャンネル端部14とシーブ状ベルト表面との間で、シーブ状ベルト表面に対して垂直に計測される。出口チャネル端部14の領域で、出口チャネル6の壁部は、好適にはそして実施例では、出口チャネル端部14が内側横断面で拡散して形成されるように、構成されている。出口チャネル6の高さ調整性又は高さ調整と、出口チャネル6又は出口チャネル端部14の壁部の構成とによって、本発明の範囲内において、特に角度α1及びα2の選択と組み合わせて、接触域11の状態を調節又は制御できる。これにより、エンドレスフィラメントとパルプ短繊維との混合に有利に影響を及ぼすこともできる。
【0057】
好適には、エンドレスフィラメント短繊維混合物12は、接触域11から送出用シーブ状ベルト8へ均一な又は本質的に均一な混合物として流れる。均一なエンドレスフィラメント短繊維混合物12は、これに続いて合目的的には、送出領域13で、送出用シーブ状ベルト8上に送り出され、不織布材料1又は不織布ウェブが形成される。望ましくはそして図1による実施例では、エンドレスフィラメント短繊維混合物12は、その流れ方向に関してシーブ状ベルト表面に対して垂直に又は略垂直に、接触域11から送出用シーブ状ベルト8へ又は送出領域13へ流れる。
【0058】
不織布材料1は、本発明による方法の好適な一実施形態によればそして実施例では、少なくとも1つのカレンダ15によって「インライン」で凝固させられる。実施例では、少なくとも1つのカレンダ15は、少なくとも1つのカレンダローラ対を有し、カレンダローラ対を通って、不織布材料1が、好ましくは押圧力を掛けられて案内される。さらに好適には、少なくとも1つのカレンダ15によって、エンボスパターンが、不織布材料1又は不織布ウェブに加工される。そのために、カレンダ15のカレンダローラの少なくとも1つは、その外面にエンボスパターンを有してよい。
【0059】
図6Aは、エンボスパターンを有する、本発明による不織布材料の一部の平面図を示す。図6Bは、A-A線に沿った図6Aによる対象の断面図を示す。好適にはそして図6Aによる実施例では、エンボスパターンは、中断なく形成されている。エンボスパターンのパターン基本幾何形状又は繰返し要素は、好ましくは正六角形であるので、エンボスパターンは、好適にはそして実施例では、等しい大きさの、互いに隣接する複数の正六角形からなり、その点において特にハニカム状のエンボスパターンとして形成されている。図6Bにおいて、六角形の内面が、合目的的には、エンボスパターンのプレスされない部分を形成することが看取される。
【0060】
エンボスパターンのパターン基本幾何形状又は要素の高さhは、0.3mmから2.0mmであることが望ましい。図6A及び図6Bによる実施例では、パターン基本幾何形状又は正六角形の高さは、約1.5mmであってよい。この場合、パターン基本幾何形状の高さhとは、エンボスパターンのプレス面と非プレス領域との間の高さの差は又は平均的な高さの差を意味する。さらに本発明の範囲内において、不織布材料の表面全体におけるエンボスパターンのプレス面の割合は、2.5%から25%、好ましくは5%から15%である。その他、当然ながら、カレンダローラ対のエンボスパターンを有するローラに対応するローラは、外側表面に補完的なエンボスパターンを有する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2024-04-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維から不織布材料(1)を製造する方法であって、
少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)によって、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)によって、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製し、さらに、少なくとも1つの解繊装置(4)によって、パルプ短繊維を作製し、その際、前記解繊装置(4)において、パルプ短繊維から少なくとも1つの短繊維空気流(5)が形成され、短繊維空気流(5)は、出口チャネル(6)を通って案内され、前記出口チャネル(6)から進出し、初期体積流量V1及び流れ方向S1で、通気性の送出用シーブ状ベルト(8)へ向けて流れ、
エンドレスフィラメントは、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)から、フィラメント空気流(9)として、初期体積流量V2で、短繊維空気流(5)へ向けて流れ、
フィラメント空気流(9)と短繊維空気流(5)とは、送出用シーブ状ベルト(8)の上方で接触域(11)においてまとめて案内され、エンドレスフィラメント短繊維混合物(12)として、送出領域(13)において送出用シーブ状ベルト上に送り出され、不織布材料(1)又は不織布ウェブが形成され、
繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)の前記送出領域(13)において、空気又はプロセス空気が、体積流量V4で、下方から前記送出用シーブ状ベルト(8)を通して吸い込まれ、その際、体積流量V4は、体積流量V1とV2との合計よりも大きい、方法。
【請求項2】
少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)が設けられていて、エンドレスフィラメントは、第2のメルトブローン紡糸口金(3)から、第2のフィラメント空気流(10)として、初期体積流量V3で、短繊維空気流れ(5)へ向けて流れ、その際、好適には体積流量V4は、体積流量V1とV2とV3との合計よりも大きく、特に好適には、フィラメント空気流(9)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向(F)で短繊維空気流(5)上流側で流れ、第2のフィラメント空気流(10)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で短繊維空気流(5)の下流側で流れる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
フィラメント空気流(9)は、流れ方向S2において、少なくとも部分的に又は一部で、短繊維空気流(5)の流れ方向S1に対して角度α1をなして流れ、好ましくは第2のフィラメント空気流(10)は、流れ方向S3において、少なくとも部分的に又は一部で、短繊維空気流(5)の流れ方向S1に対して所定の角度α2をなして流れ、その際、好適には、角度α1及び/又は角度α2は、10°よりも大きい、特に好適には20°よりも大きい、格別に好適には25°よりも大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
短繊維空気流(5)は、前記出口チャネル(6)又は出口チャネル端部(14)から、流れ方向S1において、前記送出用シーブ状ベルト(8)のシーブ状ベルト表面に対して垂直に又は略垂直に流れる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
短繊維空気流(5)とフィラメント空気流(9)との間のスペースで、及び/又は短繊維空気流(5)と第2のフィラメント空気流(10)との間のスペースで、二次空気が吸い込まれる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
短繊維空気流(5)は、前記出口チャネル(6)において加速され、特に前記解繊装置(4)のファン(7)によって加速される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、一列に配置された複数の口金開口(17)と、前記口金開口(17)の列に対して両側で平行に延在するとともに前記口金開口(17)の方へ傾斜した好ましくは2つの空気流込間隙(18)とを有し、前記空気流込間隙(18)から吹出空気が進出する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、複列に配置された複数の口金開口(17)を有し、好ましくは各前記口金開口(17)に1つの空気流込開口(21)又は独自の空気流込開口(21)が割り当てられていて、前記空気流込開口(21)から吹出空気が進出する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、複列に配置された、口金開口(17)の形態の複数の進出開口と空気流込開口(21)とを有し、前記進出開口又は前記口金開口(17)と前記空気流込開口(21)とは、好ましくは互いに間隔を置いて規則的及び/又は不規則なパターンで配置されていて、好適には、各前記空気流込開口(21)に少なくとも2つの前記口金開口(17)が割り当てられている、及び/又は各前記口金開口(17)に少なくとも2つの前記空気流込開口(21)が割り当てられている、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのフィラメント空気流(9)、好ましくは複数のフィラメント空気流(9、10)のエンドレスフィラメントに、前記メルトブローン紡糸口金(2、3)と前記送出用シーブ状ベルト(8)との間において、特にフィラメント空気流(9,10)の、短繊維空気流(5)とは反対の側で水が吹き付けられる、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
短繊維空気流(5)は、空気1kg当たり0.0138kgから0.0833kg、好ましくは0.0222kgから0.0694kg、好適には0.0277kgから0.05kgのパルプ短繊維の割合で前記出口チャネル(6)から進出する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つのフィラメント空気流(9)又は複数のフィラメント空気流(9、10は、空気1kg当たり0.002kgから0.5kg、好ましくは0.01kgから0.25kg、好適には0.015kgから0.12kg、特に好適には0.018kgから0.1kgのエンドレスフィラメントの割合で前記メルトブローン紡糸口金(2、3)から進出する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記出口チャネル(6)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)のシーブ状ベルト表面に対して高さ調整可能であり、出口チャネル端部(14)と前記シーブ状ベルト表面との間の距離(a)は、特に200mmから1000mm、好ましくは300mmから750mm、好適には400mmから600mm、特に好適には460mmから530mmであり、合目的的には、吸い込まれる二次空気量は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の前記シーブ状ベルト表面に対する前記出口チャネル(6)の高さ調整によって閉ループ及び/又は開ループで制御可能である、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
短繊維空気流(5)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の幅(b)に関して、少なくとも50(kg/h)/m、特に少なくとも75(kg/h)/m、好適には少なくとも100(kg/h)/m、特に好適には少なくとも200(kg/h)/mのパルプ短繊維を案内する及び/又は搬送する、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
不織布材料(1)又は不織布ウェブは、少なくとも1つのカレンダ(15)によって凝固され、その際、好ましくは少なくとも1つの前記カレンダ(15)によって、エンボスパターンが、不織布材料(1)又は不織布ウェブに加工される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
エンボスパターンは、中断なく形成されていて、エンボスパターンのパターン基本幾何形状は、20mmから50mm、好ましくは25mmから45mm、好適には30mmから40mm、特に好適には32.5mmから37.5mmの範囲のプレス面を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
エンボスパターンは、中断されていて、特に互いに接続されていない複数の要素、好ましくは点及び/又は線から形成されていて、前記要素は、合目的的には2mmよりも小さい、好ましくは1.5mmよりも小さい、好適には1.1mmよりも小さい、特に好適には0.55mmよりも小さいプレス面をそれぞれ有する、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法によって繊維から不織布材料を製造する装置において、
前記装置は、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製するための少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)を備え、
さらに、パルプ短繊維を作製するための少なくとも1つの解繊装置(4)と、パルプ短繊維又短繊維空気流(5)を案内する出口チャネル(6)とが設けられていて、
前記装置は、パルプ短繊維とエンドレスフィラメントとをエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)として送り出し、不織布材料(1)又は不織布ウェブを形成するための通気性の少なくとも1つの送出用シーブ状ベルト(8)を備え、
少なくとも1つの吸込装置(16)が設けられていて、前記吸込装置(16)によって、繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)の送出領域(13)で、空気又はプロセス空気が、前記送出用シーブ状ベルト(8)を通して吸込み可能である、装置。
【請求項19】
前記装置は、少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)を有し、第1のメルトブローン紡糸口金(2)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で前記出口チャネル(6)の上流側に配置されていて、第2のメルトブローン紡糸口金(3)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で前記出口チャネル(6)の下流側に配置されている、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
請求項1からのいずれか一項に記載の方法に従ってエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)から製造された不織布材料(1)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0060
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0060】
エンボスパターンのパターン基本幾何形状又は要素の高さhは、0.3mmから2.0mmであることが望ましい。図6A及び図6Bによる実施例では、パターン基本幾何形状又は正六角形の高さは、約1.5mmであってよい。この場合、パターン基本幾何形状の高さhとは、エンボスパターンのプレス面と非プレス領域との間の高さの差は又は平均的な高さの差を意味する。さらに本発明の範囲内において、不織布材料の表面全体におけるエンボスパターンのプレス面の割合は、2.5%から25%、好ましくは5%から15%である。その他、当然ながら、カレンダローラ対のエンボスパターンを有するローラに対応するローラは、外側表面に補完的なエンボスパターンを有する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下を含む。
1.
繊維から不織布材料(1)を製造する方法であって、
少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)によって、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)によって、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製し、さらに、少なくとも1つの解繊装置(4)によって、パルプ短繊維を作製し、その際、前記解繊装置(4)において、パルプ短繊維から少なくとも1つの短繊維空気流(5)が形成され、短繊維空気流(5)は、出口チャネル(6)を通って案内され、前記出口チャネル(6)から進出し、初期体積流量V1及び流れ方向S1で、通気性の送出用シーブ状ベルト(8)へ向けて流れ、
エンドレスフィラメントは、少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)から、フィラメント空気流(9)として、初期体積流量V2で、短繊維空気流(5)へ向けて流れ、
フィラメント空気流(9)と短繊維空気流(5)とは、送出用シーブ状ベルト(8)の上方で接触域(11)においてまとめて案内され、エンドレスフィラメント短繊維混合物(12)として、送出領域(13)において送出用シーブ状ベルト上に送り出され、不織布材料(1)又は不織布ウェブが形成され、
繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)の前記送出領域(13)において、空気又はプロセス空気が、体積流量V4で、下方から前記送出用シーブ状ベルト(8)を通して吸い込まれ、その際、体積流量V4は、体積流量V1とV2との合計よりも大きい、方法。
2.
少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)が設けられていて、エンドレスフィラメントは、第2のメルトブローン紡糸口金(3)から、第2のフィラメント空気流(10)として、初期体積流量V3で、短繊維空気流れ(5)へ向けて流れ、その際、好適には体積流量V4は、体積流量V1とV2とV3との合計よりも大きく、特に好適には、フィラメント空気流(9)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向(F)で短繊維空気流(5)上流側で流れ、第2のフィラメント空気流(10)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で短繊維空気流(5)の下流側で流れる、上記1の方法。
3.
フィラメント空気流(9)は、流れ方向S2において、少なくとも部分的に又は一部で、短繊維空気流(5)の流れ方向S1に対して角度α1をなして流れ、好ましくは第2のフィラメント空気流(10)は、流れ方向S3において、少なくとも部分的に又は一部で、短繊維空気流(5)の流れ方向S1に対して所定の角度α2をなして流れ、その際、好適には、角度α1及び/又は角度α2は、10°よりも大きい、特に好適には20°よりも大きい、格別に好適には25°よりも大きい、上記1又は2の方法。
4.
短繊維空気流(5)は、前記出口チャネル(6)又は出口チャネル端部(14)から、流れ方向S1において、前記送出用シーブ状ベルト(8)のシーブ状ベルト表面に対して垂直に又は略垂直に流れる、上記1から3のいずれか一つの方法。
5.
短繊維空気流(5)とフィラメント空気流(9)との間のスペースで、及び/又は短繊維空気流(5)と第2のフィラメント空気流(10)との間のスペースで、二次空気が吸い込まれる、上記1から4のいずれか一つの方法。
6.
短繊維空気流(5)は、前記出口チャネル(6)において加速され、特に前記解繊装置(4)のファン(7)によって加速される、上記1から5のいずれか一つの方法。
7.
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、一列に配置された複数の口金開口(17)と、前記口金開口(17)の列に対して両側で平行に延在するとともに前記口金開口(17)の方へ傾斜した好ましくは2つの空気流込間隙(18)とを有し、前記空気流込間隙(18)から吹出空気が進出する、上記1から6のいずれか一つの方法。
8.
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、複列に配置された複数の口金開口(17)を有し、好ましくは各前記口金開口(17)に1つの空気流込開口(21)又は独自の空気流込開口(21)が割り当てられていて、前記空気流込開口(21)から吹出空気が進出する、上記1から6のいずれか一つの方法。
9.
少なくとも1つの前記メルトブローン紡糸口金(2、3)は、複列に配置された、口金開口(17)の形態の複数の進出開口と空気流込開口(21)とを有し、前記進出開口又は前記口金開口(17)と前記空気流込開口(21)とは、好ましくは互いに間隔を置いて規則的及び/又は不規則なパターンで配置されていて、好適には、各前記空気流込開口(21)に少なくとも2つの前記口金開口(17)が割り当てられている、及び/又は各前記口金開口(17)に少なくとも2つの前記空気流込開口(21)が割り当てられている、上記1から6のいずれか一つの方法。
10.
少なくとも1つのフィラメント空気流(9)、好ましくは複数のフィラメント空気流(9、10)のエンドレスフィラメントに、前記メルトブローン紡糸口金(2、3)と前記送出用シーブ状ベルト(8)との間において、特にフィラメント空気流(9,10)の、短繊維空気流(5)とは反対の側で水が吹き付けられる、上記1から9のいずれか一つの方法。
11.
短繊維空気流(5)は、空気1kg当たり0.0138kgから0.0833kg、好ましくは0.0222kgから0.0694kg、好適には0.0277kgから0.05kgのパルプ短繊維の割合で前記出口チャネル(6)から進出する、上記1から10のいずれか一つの方法。
12.
少なくとも1つのフィラメント空気流(9)又は複数のフィラメント空気流(9、10は、空気1kg当たり0.002kgから0.5kg、好ましくは0.01kgから0.25kg、好適には0.015kgから0.12kg、特に好適には0.018kgから0.1kgのエンドレスフィラメントの割合で前記メルトブローン紡糸口金(2、3)から進出する、上記1から11のいずれか一つの方法。
13.
前記出口チャネル(6)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の前記シーブ状ベルト表面に対して高さ調整可能であり、前記出口チャネル端部(14)と前記シーブ状ベルト表面との間の距離(a)は、特に200mmから1000mm、好ましくは300mmから750mm、好適には400mmから600mm、特に好適には460mmから530mmであり、合目的的には、吸い込まれる二次空気量は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の前記シーブ状ベルト表面に対する前記出口チャネル(6)の高さ調整によって閉ループ及び/又は開ループで制御可能である、上記1から12のいずれか一つの方法。
14.
短繊維空気流(5)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の幅(b)に関して、少なくとも50(kg/h)/m、特に少なくとも75(kg/h)/m、好適には少なくとも100(kg/h)/m、特に好適には少なくとも200(kg/h)/mのパルプ短繊維を案内する及び/又は搬送する、上記1から13のいずれか一つの方法。
15.
不織布材料(1)又は不織布ウェブは、少なくとも1つのカレンダ(15)によって凝固され、その際、好ましくは少なくとも1つの前記カレンダ(15)によって、エンボスパターンが、不織布材料(1)又は不織布ウェブに加工される、上記1から14のいずれか一つの方法。
16.
エンボスパターンは、中断なく形成されていて、エンボスパターンのパターン基本幾何形状は、20mm から50mm 、好ましくは25mm から45mm 、好適には30mm から40mm 、特に好適には32.5mm から37.5mm の範囲のプレス面を有する、上記15の方法。
17.
エンボスパターンは、中断されていて、特に互いに接続されていない複数の要素、好ましくは点及び/又は線から形成されていて、前記要素は、合目的的には2mm よりも小さい、好ましくは1.5mm よりも小さい、好適には1.1mm よりも小さい、特に好適には0.55mm よりも小さいプレス面をそれぞれ有する、上記15又は16の装置。
18.
上記1から17のいずれか一つの方法によって繊維から不織布材料を製造する装置において、
前記装置は、熱可塑性樹脂からエンドレスフィラメントを作製するための少なくとも1つのメルトブローン紡糸口金(2)、好ましくは少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)を備え、
さらに、パルプ短繊維を作製するための少なくとも1つの解繊装置(4)と、パルプ短繊維又短繊維空気流(5)を案内する出口チャネル(6)とが設けられていて、
前記装置は、パルプ短繊維とエンドレスフィラメントとをエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)として送り出し、不織布材料(1)又は不織布ウェブを形成するための通気性の少なくとも1つの送出用シーブ状ベルト(8)を備え、
少なくとも1つの吸込装置(16)が設けられていて、前記吸込装置(16)によって、繊維又はエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)の送出領域(13)で、空気又はプロセス空気が、前記送出用シーブ状ベルト(8)を通して吸込み可能である、装置。
19.
前記装置は、少なくとも2つのメルトブローン紡糸口金(2、3)を有し、第1のメルトブローン紡糸口金(2)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で前記出口チャネル(6)の上流側に配置されていて、第2のメルトブローン紡糸口金(3)は、前記送出用シーブ状ベルト(8)の送り方向で前記出口チャネル(6)の下流側に配置されている、上記18の装置。
20.
上記1から17のいずれか一つの方法に従ってエンドレスフィラメント短繊維混合物(12)から製造された不織布材料(1)。
【国際調査報告】