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特表2024-525898量子化ノイズの影響を低減させるホログラフィックディスプレイシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】量子化ノイズの影響を低減させるホログラフィックディスプレイシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G03H 1/22 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
G03H1/22
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503576
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 GB2022051867
(87)【国際公開番号】W WO2023002175
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】2110495.5
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521309824
【氏名又は名称】ヴィヴィッドキュー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】VividQ Limited
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】フィールドハウス, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ニューマン, アルフレッド ジェームズ
【テーマコード(参考)】
2K008
【Fターム(参考)】
2K008CC01
2K008CC03
2K008FF21
2K008FF24
2K008FF27
2K008HH03
2K008HH26
(57)【要約】
ホログラフィックディスプレイシステム(400)は、少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成された光源(420)と、少なくとも部分的にコヒーレントな光によって放射され、ターゲットライトフィールド、Hの量子化された表現であるライトフィールドを生成するように配列された変調器(404)と、フーリエ平面内で開口(410)を区切る空間フィルタと、を含む。ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(H)は、(i)ターゲットライトフィールドの複素共役、F(H)のフーリエ変換、(ii)ターゲットライトフィールドの複素共役によって乗算されるターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(HH)、(iii)ターゲットライトフィールドの正方形のフーリエ変換、F(H)、及び(iv)ライトフィールドFの複素共役の正方形のフーリエ変換F(H*2)、と実質的に重ならない。開口は、フーリエ平面内でF(H)に実質的に対応する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックディスプレイシステムであって、
少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成された光源と、
前記少なくとも部分的にコヒーレントな光によって放射され、ターゲットライトフィールド、Hの量子化された表現であるライトフィールドを生成するように配列された変調器と、
フーリエ平面内で開口を区切る空間フィルタと、を備え、
前記ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(H)は、(i)前記ターゲットライトフィールドの複素共役、F(H)のフーリエ変換、(ii)前記ターゲットライトフィールドの前記複素共役によって乗算される前記ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(HH)、(iii)前記ターゲットライトフィールドの正方形のフーリエ変換、F(H)、及び(iv)前記ライトフィールドの前記複素共役の正方形のフーリエ変換F(H*2)、と実質的に重ならず、
前記開口は、前記フーリエ平面内でF(H)に実質的に対応する、
前記ホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項2】
前記空間フィルタは、
焦点距離を有するレンズと、
前記開口を区切るフィルタと、を含み、
前記フィルタ及び前記変調器は、前記レンズからの1つの焦点距離の距離において、前記レンズの反対側上に位置付けられる、
請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項3】
前記開口の周長の少なくとも一部は、直線である、請求項1又は2に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項4】
前記フーリエ平面は、複数の連続した単位正方形に区画化され、各々の単位正方形は、前記ターゲットライトフィールドの前記フーリエ変換の1つの複製を受け、前記開口は、単位正方形のおおよそ1/6のエリアを有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項5】
前記開口の周長は、四角形である、請求項1~4のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項6】
前記フィルタは、少なくとも2つの開口を区切る、請求項1~5のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項7】
前記フィルタは、光が遮断される第1の状態と、光が通過することを可能にし、それによって、開口が第2の状態にある部分によって形成される前記第2の状態とを有するように選択的に制御されることができる複数の部分を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項8】
前記変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、請求項1~7のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項9】
前記変調器は、Liquid Crystal on Silicon、LCoS、デバイスである、請求項1~7のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項10】
前記光源は、緑色光を含む複数の波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成され、前記開口は、緑色光に対するF(H)の位置に対応する、請求項1~9のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項11】
前記光源は、複数の波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成され、前記開口の少なくとも1つの側面は、45度に角度付けられる、請求項1~10のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項12】
前記光源は、前記フーリエ平面のゼロ次が少なくとも2つのエミッタの各々に対して異なる位置にあるように位置付けられる前記少なくとも2つのエミッタを含み、前記フィルタは、前記少なくとも2つのエミッタの各々に対して少なくとも1つの開口があり、少なくとも2つの開口を区切る、請求項1~11のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項13】
前記光源は、第1の波長を有する第1のエミッタと、第2の波長を有する第2のエミッタとを含み、前記第1のエミッタ及び前記第2のエミッタは、前記第1のエミッタ及び前記第2のエミッタの一方のF(H)が前記第1のエミッタ及び前記第2のエミッタのもう一方のF(H)内に包含されるように位置付けられる、請求項1~12のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項14】
ホログラフィック画像を表示する方法であって、
量子化のためのターゲットライトフィールド、Hを決定することであって、前記ターゲットライトフィールドは、(i)その複素共役、F(H)のフーリエ変換、(ii)前記ターゲットライトフィールドの前記複素共役によって乗算される前記ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(HH)、(iii)前記ターゲットライトフィールドの正方形のフーリエ変換、F(H)、及び(iv)前記ライトフィールドの前記複素共役の正方形のフーリエ変換F(H*2)、とそれが重ならないように、フーリエ変換、F(H)を有する、前記決定することと、
量子化から結果として生じるF(H)、F(HH)、F(H)、及びF(H*2)に対応する成分がフィルタによって実質的に遮断されるようにフーリエ平面内のF(H)の範囲に対応する開口を区切る前記フィルタを通じて前記ターゲットライトフィールドの量子化されたバージョンを表示することと、
を含む、前記方法。
【請求項15】
前記フーリエ平面内のF(H)の範囲は、少なくとも1つの直線周長を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フーリエ平面内のF(H)の範囲は、四角形周長を有する、請求項14又は15に記載の方法。
【請求項17】
前記フーリエ平面内のF(H)の範囲は、少なくとも2つの連続しない領域を含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ターゲットライトフィールドを前記生成することは、初期のライトフィールドにマスクを適用することを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記フーリエドメインの異なる領域内で複数のターゲットライトフィールドを生成することであって、前記複数のターゲットライトフィールドの各々は、それらのフーリエ変換の範囲がそれらの複素共役の前記フーリエ変換の範囲と重ならないという特性を有する、前記生成することと、
フーリエ平面内のそれらのフーリエ変換の前記範囲に対応する開口を区切るそれぞれのフィルタを通じて、急速に時間的に連続して前記複数のターゲットライトフィールドの各々の量子化されたバージョンを表示することと、
を含む、請求項14~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されるとき、請求項1~13のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステムに、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法によってホログラフィック画像を表示させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラフィック画像を生成するホログラフィ及び方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータにより生成されたホログラフィ、CGHが知られている。ホログラフィックライトフィールドは、コヒーレントなまたは少なくとも部分的にコヒーレントな光を使用して、ディスプレイに対して決定され、ディスプレイの各々の要素(画素)の振幅及び位相に関して定義される。この組み合わせは、観察者によって深度情報により知覚されるライトフィールドを結果としてもたらす。そのようなライトフィールドに対する理想的なホログラフィックディスプレイは、ホログラムの各々の画素における振幅値及び位相値が、ライトフィールドの決定された振幅及び位相に非常に近くに類似するように変化する場合がある、全複素変調の能力を有する。言い換えると、理想的なホログラフィックディスプレイは、位相及び振幅の全ての可能な組み合わせを表示する能力を有する。
【0003】
実際に、CGHに対して使用されるディスプレイは、完全な全複素変調を達成することができない。CGHに対して使用される典型的なディスプレイは、それらが表示することができる非常に制限された値しか有し得ない。例えば、ディスプレイは、振幅または位相のうちに一方を変調する能力を有し得るにすぎない。解像度も、おおよそ5ビットの解像度(32以下の表示可能な値を与える)に、バイナリディスプレイ技術のケースでは、バイナリのみでさえに制限され得る。
【0004】
結果として、全複素ホログラフィック画像の画素は、表示のために、ディスプレイによって再現されることができる値に量子化される。例えば、バイナリディスプレイ(デジタルマイクロミラーデバイス、DMD)の極端なケースでは、ディスプレイ内の各々の画素は、2つの状態のうちの一方のみにあることができる。全複素アルガンド図上の全ての点は、2つの状態のうちの一方にマッピングされる必要がある。
【0005】
ディスプレイに対する量子化の処理は、コントラスト及び/またはノイズが低減するように、知覚される画像内で視認可能な、画像品質を低減させる。
【0006】
Gerchberg Saxtonアルゴリズムなどの反復的方法を通じてディスプレイに対する量子化されたホログラムの品質を改善することが知られている。しかしながら、それらの方法は、多数の反復(おおよそ100回以上)を必要とし、よって、著しい処理リソース及び/または電力を必要とする。これは、動くホログラムに対して殊に明白であり、そのような反復的方法は、フレームレートを低減させ得、及び/またはラグを導入し得る。
【0007】
処理リソース及び/または電力についての低減された要件によりCGHディスプレイの画像品質を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成された光源と、少なくとも部分的にコヒーレントな光によって放射されるように配列された変調器と、フーリエ平面内で開口を区切る空間フィルタと、を含むホログラフィックディスプレイシステムが提供される。ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(H)は、(i)ターゲットライトフィールドの複素共役、F(H)のフーリエ変換、(ii)ターゲットライトフィールドの複素共役によって乗算されるターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(HH)、(iii)ターゲットライトフィールドの正方形のフーリエ変換、F(H)、及び(iv)ライトフィールドFの複素共役の正方形のフーリエ変換F(H*2)、と実質的に重ならず、開口は、フーリエ平面内でF(H)に実質的に対応する。
【0009】
そのような構造は、フーリエ平面(それがその複素共役及び高次項のフーリエ変換と重なることができないことを定義することによる)内のターゲットライトフィールドの範囲に対する制限の組み合わせと、フーリエ平面内のF(H)に対応するような開口の位置付けとによって、表示されたホログラムの画像品質を改善することができる。F(H)によって、それは、非ゼロ値を有するフーリエ平面の一部が意味される。この配列は、ディスプレイに対して量子化によって導入されるフーリエ平面内の追加の成分を防止することが発見されてきた。更に、このようにしてHを決定することが、Gerchberg Saxtonなどの前の反復的方法よりも計算的に単純であり、処理リソースについての要件を低減させる。これは、処理及び/または電力要件を低減させると共に、より高い品質のホログラフィックディスプレイを可能にすることができ、ディスプレイの低コスト化、ポータブル化、電池式デバイスの場合は、バッテリ寿命の延長、のうちの1つ以上であることを可能にする。
【0010】
後により詳細に説明されるように、発明者は、ディプレイに対して量子化によって導入されるノイズが、級数展開によって近似される、フーリエ平面内の追加の成分を結果としてもたらすことを実現した。級数展開の追加の項を考慮し、追加の成分がフィルタによって遮断されるようにそれらがF(H)と重ならないことを保証することによって、追加の画像品質が取得されることができる。級数展開におけるエネルギーは、低次項内に集中する傾向があるため、少なくともF(H)と重ならないことが有益であることを保証し、F(HH)、F(H)及びF(H*2)などの次の高次項も有益であるが、各々の項の影響が小さく、更なる制約を課すことが画像品質に対する観察可能な影響をほとんど有しない点がやってくる。
【0011】
光源は、例えば、レーザまたは他のコヒーレントな光源もしくは準コヒーレントな光源であり得る。それは、単一のエミッタまたは複数のエミッタを含み得、単一の波長または複数の波長を有する光を放出し得る。
【0012】
変調器は、コヒーレントな光または準コヒーレントな光の振幅及び/または位相を変調するのに適切ないずれかの変調器または変調手段であることができる。これは、Liquid Crystal on Silicon(LCoS)デバイス、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)、及び液晶を含む。一実施例では、変調器は、空間光変調器である。
【0013】
空間フィルタは、フーリエ平面を形成するいずれかの適切な手段及びその平面内で光を空間的にフィルタする手段であることができる。一実施例では、空間フィルタは、焦点距離を有するレンズと、開口を区切るフィルタとを含む。フィルタ及び変調器は、レンズからの1つの焦点距離の距離において、レンズの反対側上に位置付けられる。レンズは好ましくは、フーリエレンズであり、複数の素子から形成され得る。いくつかの実施例では、レンズは、レンズアレイであり得、アレイを含むレンズは、撮像エリアにわたって延在する。
【0014】
変調器、レンズ、及びフィルタは、いくつかの実施例では、実質的に同軸であり得る。他の配列、例えば、場合によってはよりコンパクトな配列を可能にする、光路内にミラー及び/またはプリズム素子を有する折り畳み光路も可能である。
【0015】
フィルタは、光が通過することができる開口を区切り、開口の外に光が通過することを全体的に遮断しまたはそうでなければ防止する(例えば、フィルタは、開口の外の光を吸収し、または光路の外の他の場所でそれを反射するように構成され得る)。
【0016】
いくつかの実施例では、F(H)に対する更なる制約が置かれる場合がある。
【0017】
フィルタの存在に起因して、SLMによって生じることができる全てではないフーリエ平面が実際には使用される。これは、表示が暗くなることまたは表示されたホログラムを見ることができるエリアのサイズの縮小を結果としてもたらし得る。F(H)の周長の形状に対する特定の制約が存在しないが、少なくともF(H)、F(H)、F(H*2)、及びF(HH)と重ならない要件を満たす場合、フーリエ平面における関数の動作の分析により、明確に定義された領域を定義できることが示された。いくつかの実施例では、周長の少なくとも一部は、直線であり得る。これは、曲線の周長よりも大きな表示領域を可能にし得る。
【0018】
フーリエ平面は、複数の連続した単位正方形に区画化され得、各々の単位正方形は、ターゲットライトフィールドのフーリエ変換の1つの複製を受ける。開口は次いで、単位正方形のおおよそ1/6のエリアを有し得る。後により詳細に説明されるように、単位正方形は、繰り返すパターンを生じさせる変調器の離散グリッドのフーリエ変換を取った結果である。1/6のエリアは、重ならない制約を満たすことができる開口の最大サイズに対する制限を設定すると理解される。
【0019】
いくつかの実施例では、開口の周長は、四角形である。適切な四角形は、長方形、正方形、及び台形を含む。いくつかの実施例は、右台形を使用し、他の実施例は、開口に対する二等辺台形を使用する。(台形(Trapeziums)は、台形(trapezoid)とも称され得、よって、右台形(right trapezium)は、右台形(right trapezoid)であり、二等辺台形(isosceles trapezium)は、二等辺台形(isosceles trapezoid)である。)
【0020】
いくつかの実施例は、単一の開口を有し得ると共に、他の実施例では、フィルタは、少なくとも2つの開口を区切り得る。少なくとも2つの開口は、連続し得ない。
【0021】
いくつかの実施例では、フィルタは、複数の部分を含み、複数の部分は、光が遮断される第1の状態、または光を通過することを可能にし、それによって、開口が第2の状態にある部分によって形成される第2の状態を有するように選択的に制御されることができる。これは、開口の位置及び範囲が必要に応じて制御されることを可能にする。例えば、適切な応答性ディスプレイにより、異なる位置のターゲットライトフィールドを有するホログラムは、急速に時間的に連続して表示され得る。これは、表示されたホログラムを見ることができる位置の範囲を拡大し得、または知覚された画像品質を増大させ得る。
【0022】
上記議論されたように、空間光変調器は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)であり得る。本明細書で議論されるディスプレイシステム及び方法は、そのバイナリ特性を理由に、DMDの画像品質への著しい改善を提供することができる。他の実施例では、空間光変調器は、Liquid Crystal on Silicon、LCoS、デバイスである。LCoSデバイスは、DMDよりも多くの量子化状態を有し得るが、画像品質における有益な向上も達成される。空間光変調器がDMDなどの振幅専用SLMであるとき、本明細書で説明されるディスプレイシステム及び方法は、改善した(より暗い)ブラックレベルによるホログラムの表示を可能にし得る。
【0023】
開口の位置及びサイズは、光源からの光の波長に基づいた寸法を有する正方形を基準として決定される。いくつかの実施例は、モノクロームディスプレイのための単一の波長を使用し得る。他の実施例では、光源は、カラーディスプレイのために直列に切り替えられることができる赤色、緑色、及び青色などの色の範囲のための2つ以上の異なる波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成される。一実施例では、光源は、緑色光を含む、複数の波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成され、開口は、緑色光のためのF(H)の位置に対応する。緑色光は、495~570ナノメートルの範囲、または530ナノメートルなど、520~560ナノメートルの範囲にある波長を有し得る。別の実施例では、開口は、2つの異なる波長の最小波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を有するF(H)の部分に対応する。そのケースでは、開口は、1つの波長のためにのみ最適化され得る。いくつかの実施例は、例えば、上記議論された選択的に制御可能部分を有する開口を使用して、波長に対応するように開口のサイズを調節し得る。他の実施例では、レンズは、両方の波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を有するF(H)に開口が対応するように構成された光学特性を有する。光学特性は、形状及び屈折率のうちの少なくとも1つを含む。
【0024】
光源は、複数の波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成され得、開口の1つの側面は、45度に角度付けられる。例えば、少なくとも1つの側面は、フーリエ平面の単位正方形を定義する軸に対して角度付けられ得る。共役、F(H)が全ての波長に対して重ならないように開口が位置付けられることができることを理由に、これは有益であり得る。
【0025】
光源は、ゼロ次のフーリエ平面が少なくとも2つのエミッタの各々に対して異なる位置にあるように位置付けられた少なくとも2つのエミッタを含み得、少なくとも2つのエミッタごとに少なくとも1つの開口があり、フィルタは少なくとも2つの開口を区切る。これは、異なるエミッタに対して開口をタイリングすることによって、フーリエ平面のより大きな部分が覆われることを可能することができる。各々のエミッタは、他のエミッタに対する他の開口(複数可)から独立して、フィルタによって区切られるその自身のそれぞれの開口(複数可)を有し得る。開口は、1つのエミッタに対する開口が別のエミッタに対する開口を有するその開放エリアの少なくとも一部を共有するように少なくとも部分的に重なっていることがある。少なくとも2つのエミッタは、それらのそれぞれの開口により時間系列で動作し得る。例えば、第1のエミッタ及び第1の開口か活性化され、それに時間的に続いて、第2のエミッタ及び第2の開口を活性化する。
【0026】
光源は、第1の波長を有する第1のエミッタ及び第2の波長を有する第2のエミッタを含み得、第1のエミッタ及び第2のエミッタは、第1のエミッタ及び第2のエミッタの一方のF(H)が第1のエミッタ及び第2のエミッタのもう一方のF(H)内に包含されるように位置付けられる。これは、同一の開口が両方のエミッタに対して適切であることを意味することができる。
【0027】
別の態様によって、フーリエ平面内のターゲットライトフィールド、Hのフーリエ変換、F(H)に対応する開口を区切るフィルタが設けられ、フーリエ変換F(H)は、(i)その複素共役、F(H)、(ii)ターゲットライトフィールド、F(HH)の複素共役によって乗算されるターゲットライトフィールドのフーリエ変換、(iii)ターゲットライトフィールド、F(H)の正方形のフーリエ変換、及びフーリエ平面内のライトフィールドF(H*2)の複素共役の正方形のフーリエ変換、と重ならない。ホログラフィックディスプレイ内にそのようなフィルタを位置付けることは、対応するターゲットライトフィールドHを表示するようにディスプレイを制御することと組み合わされるとき、本明細書で議論される画像品質改善からの利点をディスプレイが得ることを可能にし得る。フィルタ及び開口は、フィルタ及び開口に対して上記議論された特徴のいずれかを有し得る。
【0028】
使用中、フィルタは、「瞳孔平面」または「画像平面」を占有することなど、光路内の異なる位置に位置付けられ得る。瞳孔平面は、観察者の動向上で再現されるような変調器の画像に対応する平面であり、開口の設計において更なる自由度を可能にし得る。瞳孔平面、及び瞳孔のような平面は、見られた画像を著しく改変することなく、開口に隙間が存在し得る特性を有する。フィルタが瞳孔平面または瞳孔のような平面に位置付けられないとき、それは画像平面内にあると考えられる。フィルタが画像平面に位置付けられるとき、開口内の隙間は、観察者に対して視認可能であり得、その結果、開口内のそのような隙間を回避することが好ましい。図3及び8を参照して、実施例が後に説明される。
【0029】
更なる態様によれば、量子化のためのターゲットライトフィールド、Hを決定することであって、ターゲットライトフィールドは、(i)その複素共役、F(H)のフーリエ変換、(ii)ターゲットライトフィールドの複素共役によって乗算されるターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(HH)、(iii)ターゲットライトフィールドの正方形のフーリエ変換、F(H)、及び(iv)ライトフィールドの複素共役の正方形のフーリエ変換F(H*2)、とそれが重ならないように、フーリエ変換、F(H)を有する、決定することと、量子化から結果として生じるF(H)、F(HH)、F(H)、及びF(H*2)に対応する成分がフィルタによって実質的に遮断されるようにフーリエ平面内のF(H)の範囲に対応する開口を区切るフィルタを通じてターゲットライトフィールドの量子化されたバージョンを表示することと、を含む方法が提供される。
【0030】
したがって、ターゲットライトフィールド、F(H)のフーリエ変換は、範囲において制限され、フーリエ平面の一部のみを占有する。これにより、画像が暗くなる、及び/または、表示領域が縮小する可能性があるが、この制約は、量子化によって導入される成分がフィルタされ、観察者の目に到達せず、画像品質を改善することを意味する。
【0031】
加えて、F(H)は、ターゲットライトフィールド、F(HH)の複素共役によって乗算されるターゲットライトフィールドのフーリエ変換と重なり得ない。更なる実施例では、F(H)は、加えて、(i)ターゲットライトフィールド、F(H)の正方形のフーリエ変換及びライトフィールドF(H*2)の複素共役の正方形のフーリエ変換、のうちの少なくとも1つと重ならない。
【0032】
フーリエ平面内のF(H)の形状または範囲は、制約を満たすいずれのものであることができるが、いくつかの実施例では、フーリエ平面内のF(H)の範囲は、少なくとも1つの直線周長を有する。フーリエ平面内のF(H)の範囲は、四角形周長を有し得る。フーリエ平面内のF(H)の範囲は、少少なくとも2つの連続しない領域を含み得る。
【0033】
フーリエ平面の正確な領域内でF(H)を有するターゲットライトフィールドは、いずれかの適切な方式において決定されることができる。例えば、フーリエ平面内の初期のライトフィールドにマスクを適用することによって、それが決定されることができる。このようにして、ターゲットライトフィールドの範囲は、フーリエ平面内で制限される。初期のライトフィールドは、フーリエ平面の全アドレス可能範囲を占有するターゲット光フィルタの全複素表現であることができる。マスクは、マスクを下回る値をゼロまたは予め定められた値に設定することによって、フーリエドメイン内で適用され得る。
【0034】
量子化された画像の表示は、例えば、コヒーレントな光または準コヒーレントな光により空間光変調器を照射し、マスクされたライトフィールドの逆フーリエ変換を適合させるようにSLMを制御することによって、いずれかの適切な方法において行われることができる。
【0035】
本発明の方法の利点は、フィルタの位置付け及びF(H)の制限を通じて、計算要件を低減させ、ブラインドの「ドントケア(don't care)」エリアにノイズが入らないことを可能にするように処理が考えられることができることである。言い換えると、開口設計は、厳密なノイズフィールドを評価する必要なく、ノイズが低減することを保証する。これは、Gerchberg Saxton(GS)などの反復フーリエ変換アルゴリズム(IFTA)とは異なる。GS及び他のIFTAでは、画像のリプレイフィールドは、計算的に再構築されるべきであり、反復的に改善されるべきであり、著しい処理リソースを必要とする。いくつかの実施例は、開口との組み合わせでIFTAを使用し得る。ノイズを低減させるためのフィルタのアクションに起因して、必要とされる反復が少ないことを理由に、これは、低減した処理により改善した画像品質を可能にし得る。
【0036】
したがって、位相及び/または振幅において量子化された、いずれかの適切な量子化方法及び解像度が使用されることができる。例えば、量子化は、ディスプレイによって再現されることができる最近値、振幅を増大させることなくディスプレイによって再現されることができる最近値、位相を増大させることなくディスプレイによって再現されることができる最近値などであり得る。いくつかの実施例は、量子化する前に、マスクされたライトフィールドなどに、実数オフセットを適用し得る。実数オフセットは、二乗平均平方根(rms)振幅など、量子化の前の値の平均振幅に基づき得る。別の実施例は、|H+c|^2を量子化し得る。そのような実施例では、好ましい量子化は、SLMにおいて総量子化倍率を最小化する量子化スキームではあり得ない。量子化されたバージョンのHをHとして表わす場合、量子化誤差は、追加のノイズフィールド、E=H-Hとして記述されることができる。通常、F(H)における総量子化倍率は、各々の画素を最近の利用可能な値に量子化することによって達成され得る、Eを最小化することによって最小化される。しかしながら、F(H)、F(H)、F(H*2)、及びF(HH)における組み合わされたノイズ倍率を増大させるが、F(H)におけるノイズ倍率を低減させる、特定の量子化スキームが使用され得る。そのような量子化スキームは、最近傍量子化と比較して、ノイズ倍率Eを増大させ得ると共に、開口を通じて送信されるF(H)におけるノイズ倍率をなおも低減させる。
【0037】
方法は、フーリエドメインの異なる領域内で複数のターゲットライトフィールドを生成することであって、複数のターゲットライトフィールドの各々は、それらのフーリエ変換の範囲がそれらの複素共役のフーリエ変換の範囲と重ならないという特性を有する、生成することと、フーリエ平面内のそれらのフーリエ変換の範囲に対応する開口を区切るそれぞれのフィルタを通じて、急速に時間的に連続して複数のターゲットライトフィールドの各々の量子化されたバージョンを表示することと、を含み得る。これは、ホログラムを見ることができるエリアを増大させることができる。
【0038】
別の態様によれば、プロセッサによって実行されるとき、上記議論されたホログラフィックディスプレイシステムに、上記議論された方法によってホログラフィック画像を表示させる命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体などのコンピュータ可読媒体が提供される。
【0039】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面を参照して行われる、実施例としてのみ与えられる、本発明の好ましい実施形態の以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1A】フーリエ平面内のホログラム、F(H)のフーリエ変換のロケーションの実施例を示す。
図1B】実施例に係るフーリエ平面内のF(H)のロケーションを示す。
図1C】実施例に係るフーリエ平面内のF(HH)のロケーションを示す。
図1D】実施例に係るフーリエ平面内のF(H)のロケーションを示す。
図1E】実施例に係るフーリエ平面内のF(H*2)のロケーションを示す。
図1F】同一の図における成分の全てを例示する図1A~1Eの複合体を示す。
図1G】成分の全て及び成分の複製の全てのロケーションを示す。
図2A】開口を区切るフィルタの実施例を示す。
図2B】開口を区切るフィルタの実施例を示す。
図2C】開口を区切るフィルタの実施例を示す。
図2D】開口を区切るフィルタの実施例を示す。
図2E】開口を区切るフィルタの実施例を示す。
図2F】開口を区切るフィルタの実施例を示す。
図3】実施例に係る複数の部分を含むフィルタを示す。
図4】実施例に係るホログラフィックディスプレイシステムを示す概略図である。
図5】実施例に係る方法を示す。
図6】実施例に係る表示のためのターゲットにされたホログラムを計算する方法を示す。
図7A図6の方法のシミュレートされた結果を示す。
図7B図6の方法を使用することなく量子化されたホログラムを表示する、シミュレートされた結果を示す。
図8】フーリエ平面内の異なるロケーションに開口を位置付けるために複数の光源を使用する実施例を示す。
図9】異なる波長を有する2つの光源に対するフーリエ平面の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
ホログラフィック画像は、観察者に深度の知覚を与える深度情報を有する画像であり、光の電磁気波の特性を利用することによって生成されることができる。本明細書で使用されるような画像という用語は、静的画像と共に、急速に連続して表示されるホログラフィックフレームのシーケンスを含む動くホログラフィック画像と含むと理解される。更に、本開示は、2次元ホログラム及び3次元ホログラムの両方に関連する。
【0042】
2次元ホログラムは、実質的に単一の画像平面を占有するが、ユーザからの感知された深度において画像平面が位置付けられることができるホログラムである。これは、殊に拡張現実状況において観察者の目により快適に焦点を当てることを可能にすることができ、拡張現実状況では、ホログラムに、関心の点に一致する深度が与えられることができる。3次元ホログラムは、観察者の目に対して適切な深度キューと共に、3次元シーンまたはオブジェクトの外観を与える。
【0043】
CGHでは、表示のためのホログラムは典型的には、ディスプレイの各々の要素(画素)に対応する値のアレイを含む「全複素」ホログラムとして最初に計算される。各々の値は、それぞれの位相及び振幅を有する複素数である。しかしながら、DMD及びLCoS空間光変調器など、CGH画像に対して使用される多くのディスプレイシステムは、それらが再現することができる有限範囲の値を有する。ホログラムを表示するために、全複素の変調されたホログラフィック画像内の各々の画素は、ディスプレイによって再現されることができる値にマッピングまたは量子化される必要がある。一実施例では、ディスプレイは、2つの可能な振幅値または位相値の一方を取る画素を含む画像を生成する能力を有する、バイナリディスプレイである。実施例のバイナリ振幅ディスプレイは、顕微鏡作動ミラーのアレイを含むデジタルマイクロミラーデバイス(DMD)である。光源によって照射されると、各々のミラーは、画素「オン」状態を表す、光学システム内の次の成分に光を方向付けること、または「オフ」状態を表す、ヒートシンクに向かってなど、他の場所に光を方向付けることができる。各々のミラーは、所望のホログラムを生成するために必要に応じて、2つの状態の間で作動されることができる。同様に、バイナリ位相ディスプレイにおいて、各々の画素は、2つの離散的位相の一方において光を放出する能力を有する。
【0044】
全複素の変調された値の連続体を量子化された振幅値及び/または位相値にマッピングすることは、特定の量子化方法が使用されることを必要とする。バイナリ振幅量子化スキームの単純な実施例は、以下の通りである。値が負またはゼロの実部(点がアルガンド図上の第2象限または第3象限にある)を有する場合、点は、アルガンド図上の点(0,0)にマッピングされる。値が正の実数成分を有する場合、点は、アルガンド図上の点(0,1)にマッピングされる。当業者は、多くの代替的な量子化方法が使用されることができ、本開示がいずれの特定の量子化方法にも限定されないことを認識するであろう。しかしながら、この実施例は、DMD上の表示のための点を量子化することから結果として生じる位相情報及び振幅情報における損失を強調する。他の表示技術は、より多くの値を供給し得るが、利用可能な有限状態の数はなおも低く、おそらくは5ビットである(32の値)。いずれかの量子化が、振幅情報及び位相情報における損失を結果としてもたらし、画像品質を低減させることが明白である。
【0045】
発明者は、ディスプレイ装置における物理フィルタを使用して、量子化されたホログラム内の望ましくないノイズ成分を選択的にフィルタアウトすることによって、量子化によって導入されるノイズが低減することができることを示してきた。ターゲットライトフィールドの量子化された表現、Hを級数展開として近似させることによって、量子化されたフィールドが決定されることができ、量子化されたフィールドでは、量子化によって導入される追加の望ましくない成分がフーリエドメイン/フーリエ平面内でフィルタアウトされることができ、ディスプレイシステムにおいて発生した量子化に関わらず、全複素ターゲットフィールドのはるかに改善した近似を可能にする。議論されるディスプレイシステム及び方法は、殊に、Gerchberg Saxtonなど、前の反復的ソフトウェアに基づく技術と比較して、従来のディスプレイデバイスを使用して全複素変調を達成する計算的に高価でない技術を提供し得る。
【数1】

上記式1は、量子化されたターゲットライトフィールド、Hの展開である。所望の成分Hに加えて、量子化によって追加の成分、H、H、H*2、HH、…が導入される。a、b、c、d、e、及びfは、採用される特定の量子化スキームにその値が依存する、スカラ係数である。それらは、数値的に決定されることができるが、本明細書で説明される方法について、それらの決定が必須ではない。H成分のみが望まれるので、展開の残りが考えられる程度が可変であり得ることが認識されよう。例えば、最大のインパクト(最大係数)を有する展開における項のみが考慮され得る。いくつかの実施例は、H項など、式1における成分以外の更なる成分を考慮し得る。他の実施例は、Hなど、式1における成分よりも少ない成分を含み得る。
【0046】
量子化されたホログラム、Hは、表示のための、既知の技術により計算または決定される、初期の全複素ホログラムを量子化することによって表示される。空間光変調器(SLM)を含む、いずれかの適切なディスプレイデバイスが使用されることができる。SLMは、例えば、DMD、LCD、振幅LCoS、または位相LCoSであり得る。光源は、SLMによって変調される少なくとも部分的にコヒーレントな光を生成するように構成され得、例えば、レーザまたは発光ダイオード(LED)であり得る。
【0047】
SLMは、ライトフィールドを生成し、ライトフィールドは、光学システムを通じて観察者によって観察されるとき、ライトフィールドを再度生じさせ、よって、画像が知覚される。従来のシステムは、逆フーリエ変換を生じさせる観察者の目により、SLM上に表示される画像のフーリエ変換を生じさせるレンズを含む。SLMによって再現可能な量子化された値を考慮する反復的技術など、更なるステップを適用することなく、量子化によって導入される誤差を理由に、画像品質は低い。
【0048】
しかしながら、本開示は、SLMによって変調される光がレンズに入射するように、焦点距離、fを有するレンズがSLMの前方で1つの焦点距離に位置付けられる場合、Hのフーリエ変換、F(H)がレンズの背後で1つの焦点距離に生じるという観察を利用する。この位置は、SLMのフーリエ平面と称される。これは、SLMにおける複素振幅のフーリエ変換、潜在的には乗算球状位相項をスケーリングしまたは含むモジュロによって複素振幅が説明される平面である。本ケースでは、Hのフーリエ変換は、上記式1の級数展開のフーリエ変換に関して記述されることができる。フーリエ変換の線形性及び式1を使用して、F(H)は、以下の式2として表現されることができる。

F(H)=aF(1)+bF(H)+cF(H)+dF(H)+eF(H*2)+fF(HH)+… 式2
【0049】
成分F(H)、F(H)、F(H*2)、及びF(HH)は、それらがターゲットフィールド、Hを量子化することによって生成される望ましくない成分に関連することを理由に、本明細書でノイズ成分と称される。それらの成分の効果は、古典的な「ノイズ」として視認可能であるが、画像コントラストにおける低減でもあり、概して、低減した画像品質を結果としてもたらすことが理解される。
【0050】
空間の関数のフーリエ変換(例えば、ターゲットライトフィールド、Hは、空間の関数H≡H(x,y)である)は、そのそれぞれの周波数成分、k及びkにその関数を分解する。式1における定数、aのフーリエ変換は、式2における項aF(1)によって表され、ゼロ次回折ピークとして知られることがある、aによって乗算され、k=k=0に中心がある、デルタ関数である。フーリエ平面内の式2の右側上の成分の各々のロケーションは、図1A~1Gを参照してここでは説明されるように、F(H)のロケーションの知識から決定されることができる。図1A~1Gは、本開示において使用される全体的な原理、及びノイズ成分の関係するロケーションの例示を目的とする。
【0051】
フーリエ平面内の任意のエリアにおいてターゲットにされるF(H)102の実施例は、図1Aにおいて例示される。図1Aは、空間的周波数k軸を表す中心水平線110、及び空間的周波数k軸を表す中心垂直線120を有する、空間的周波数空間内のHのフーリエ変換のプロットである。同等に、図1Aは、空間的x軸を表す水平線110、及び空間的y軸を表す中心垂直線120を有するフーリエ平面のプロットである。この定義により、図1Aにおける各々のセルは、寸法λf/pの側面を有する正方形であり、λは、SLMを照射する光の波長であり、fは、レンズの焦点距離であり、pは、ディスプレイの画素ピッチである。図1Aは、単位正方形のタイリングが開口設計にどのように影響を及ぼすかを示すように、原点に中心がある、4つのセルを表す。例えば、波長λ=520ナノメートル、f=60ミリメートル、及びp=5マイクロメートルによる照射について、フーリエ平面内の正方形の寸法は、6.24ミリメートルであり、これは、フィルタのサイズである。
【0052】
フーリエ平面内のF(H)の位置が知られると、H、F(H)のフーリエ変換の位置は、F(H)の位置から決定されることができる。フーリエ平面内で、これは、線k=-kにおける反射である。結果は、領域104として図1Bに示される。
【0053】
フーリエ平面内の類似の空間的プロットは、展開の高次成分に対して作成されることができる。図1Cは、フーリエ平面100内のF(HH)106の位置を示す。F(HH)は、その複素共役、Hによって乗算される、ターゲットライトフィールド、Hのフーリエ変換である。よって、F(HH)は、フーリエ平面の中心にあり、k及びkにおけるH及びHの二倍の範囲のものである。図1Dは、F(H)102及びF(H)104の二倍の範囲のものでもあり、原点からF(H)102の二倍離れて中心にある、フーリエ平面100内のF(H)108の位置を示す。図1Eは、フーリエ平面100内のF(H*2)110の位置を示す。同様に、F(H*2)110は、F(H)102及びF(H)104の二倍の範囲のものでもあり、F(H)104の二倍離れて中心にある。
【0054】
図1Fは、図1A~1Eの複合体であり、フーリエ平面100内の各々の成分102、104、106、108、110の相対的位置を例示する。ターゲットライトフィールド、Hが画素のグリッド上でサンプリングされることを理由に、フーリエ平面内のフィールドは、成分102、104、106、108、110の繰り返すパターンを形成する正方形のグリッド上で繰り返す。図1Gは、図1Fにおいて表される成分の各々と共に、フーリエ平面内の成分の複製の各々を示す。F(H)102のロケーションについて、図1B~1Eにおいて考慮された量子化によって導入されるノイズ成分がF(H)と重ならない。更に、グリッド上でのサンプリングによって生じるそれらの追加の成分の他の複製のいずれも、F(H)と重ならない。
【0055】
F(H)によって占有されるエリアを可変にすることがノイズ成分の各々によって占有されるエリアにどのように影響を及ぼすかが認識されよう。例えば、フーリエ平面内のF(H)のエリアを拡大することは、ノイズ成分をそれに対応して成長させる。F(H)が十分な範囲に到達すると、それは、ノイズ成分のうちの1つ以上に重なり始める。更に、フーリエ平面内の原点に対してF(H)を並進移動及び/または回転させることは、ノイズ成分の対応する並進移動及び/または回転を生じさせる。
【0056】
図1Gから見ることができるように、考慮されるノイズ成分の効果は、フーリエ平面内の空間フィルタにより除去されることができる。結果として生じるフィルタされたフーリエ平面の逆フーリエ変換は、フィルタされていないフーリエ平面のフーリエ変換よりも元の全複素関数Hに似ている。そのようなフィルタリングは、Gerchberg Saxtonの複数回の反復など、追加の計算ステップを必要とするのではなく、ホログラムの表示の一部として物理的に行うことができる。以下でより詳細に説明されるように、図6を参照して、フーリエ平面の特定の領域をターゲットにするCGHは、マスク関数を適用することによってなど、決定するのに相対的に容易である。これは、前の反復的方法よりも処理リソース及び/または電力を著しく必要としない。
【0057】
実施例では、フィルタリングは、F(H)がターゲットにされたフーリエ平面内の領域に対応する開口を区切るフィルタを位置付けることによって行われる。フィルタは、レンズ(例えば、レンズがSLMからの1つの焦点距離である場合、レンズのフーリエ平面は、反対側での1つの焦点距離である)のフーリエ平面内に位置しており、したがって、フィルタは、ノイズ成分を物理的に遮断することができる。開口は、F(H)に対応する光がフィルタを通過すること、よって、ホログラムを見ることができるターゲット平面に到達することを可能にする。考慮されるノイズ成分とのF(H)の重なりがないようにF(H)の位置を選択することは、F(H)に対応する光がターゲット平面に到達すると共に、ノイズ成分を遮断することを保証する。
【0058】
上記議論されたように、フーリエ平面内のF(H)のロケーションが決定されると、例えば、図1A~1Gの方法を使用して、ノイズ成分のロケーションも決定されることができる。考慮されるノイズ成分を重ならないF(H)の多くの可能なロケーションも可能である。いくつかの実施例は、考慮されるノイズ成分がF(H)と重ならないという条件に従うフーリエ平面内の領域を最大化し得る。F(H)によって網羅される領域を最大化することは、フィルタを通過する光の量を最大化し、ターゲット平面におけるホログラムの輝度を増大させる。これはまた、フーリエ平面内のホログラムのエリアを最大化し、ホログラムを見ることができるエリアを増大させる。ホログラムによって占有されるフーリエ平面のエリアは、観察者の瞳孔がホログラムを見るように位置付けられることができる、ホログラフィックディスプレイシステムの「アイボックス」と一致する。
【0059】
F(H)がフーリエ平面内で占有することができると共に、F(H)、F(HH)、F(H*2)、及びF(H)に関連するノイズ成分の重ならない条件を満たす最大エリアF(H)が、フィルタの総エリアの1/6であることにそれは従う。更に、開口の形状は、上記説明された重ならない条件によって制約される。図2A~2Eは、最大エリア条件を満たす実施例の開口202、212、222、232、242、252を区切るフィルタ200、210、220、230、240、250を示す。開口202、212、222、232、242、252のいずれもが円形でないことが分かる。これは、円が平坦な2次元空間を完全にタイルすることができないので、円が最大エリア条件を満たすことができないことを理由とし得る。
【0060】
フィルタ200、210、220、230、240、250は、例示を目的として1の相対的な側面の長さを有する単位正方形として示されるが、実際には、λf/pに等しい長さを有する。図2A~2Fは、開口を含むフィルタを区切り、開口は、F(H)が開口においてターゲットにされる場合、図1A~1Gについて上記考慮された少なくともノイズ成分がフィルタの非開口部分によって遮断され、また、単位正方形のエリアの1/6が使用される、という条件を満たす。図2A~2Fは、上記条件を満たす可能なフィルタのいくつかのみを示し、したがって、本明細書で説明されるフィルタが、図2A~2Fにおいて表されるフィルタに限定されないことを示す。同様に、いくつかの実施例では、フィルタは、最大エリアを占有しようとし得ず、重ならない条件をなおも満たすより小さなエリアを占有し得る。これは、場合によっては、開口の境界周長における回析効果をより効果的にフィルタ及び回避し、またはフィルタの位置合わせのための許容範囲を増やすことを可能にするために、F(H)とそのノイズ成分との間の「バッファ」エリアを可能にする。
【0061】
図2Aは、実施例に係る長方形開口202を区切る実施例のフィルタ200を示す。長方形開口202は、フィルタの側面から、このケースでは、垂直側面から延在し、フィルタ200の1/2幅の幅、及びフィルタの1/3幅の高さを有する。より具体的に、領域は、垂直軸上で中心にあり、左側面に位置する。長方形開口202は、F(H)、F(H)、F(H*2)、及びF(HH)がフィルタによって遮断されるように位置付けられる。特に、F(H)は、水平軸に沿って開口202に隣接し、垂直軸上の同一の範囲を占有する領域203を占有する。F(HH)、F(H)、及びF(H*2)は、開口202の上下でフィルタ200の全幅を延在する領域204を占有する。
【0062】
フィルタの中心を通じて延在する垂直線の周りでのフィルタ200の反射、フィルタの中心を通じて延在する水平線の周りでの反射、フィルタの中心の周りでの90度の回転、フーリエ平面の原点を通じて延在する軸の周りでの反射、及び原点の周りでの反射も可能であり、また、重ならないノイズ成分の制約を満たすことが理解される。例えば、図2Aに示されるように、代替的な形式は、遮断される開口及び領域202として領域203を有し得る。
【0063】
図2Bは、長方形開口212を区切る別の実施例のフィルタ210を示す。このケースでは、開口212の高さは、フィルタの1/6の高さであり、開口は、垂直軸上で2/3から5/6までの位置を占有する。開口212の幅は、フィルタ210の全幅に等しい。フィルタ210において更に示されるのは、フィルタ210における実線によって示される部分または領域214である。部分214は、開口212が代わりに位置付けられ、同一の効果を与える領域を表す。部分214は、図2Aについて上記議論されたように、開口212の反射及び回転である。
【0064】
図2Cは、2つの開口222、224を区切るフィルタ220を示し、2つの開口222、224の各々は、台形の形状を有し、フィルタの同一の側面から延在する。より具体的に、この実施例では、開口222、224は右台形である。開口222は、基部または水平軸から延在し、フィルタ220の基部の長さの1/6の長さの基部を有するフィルタ220の基部に沿って1/4の中心にある。開口222の最上部は、フィルタ220の左下隅をフィルタ220の上右隅に接続する線に対応する。開口222の最上部及び基部は、基部に垂直な2つの直線によって接続される。同様に、開口224は、フィルタ220の基部に沿って3/4の中心にある。フィルタ220に沿った中間を示すように中心の垂直の点線が示され、開口222、224の最上部の位置を示すようにフィルタ220の左下隅及び右上隅をつなぐ対角線の点線が示される。フィルタ220は、F(H)が開口222、224において同時にターゲットにされる場合、ノイズ成分とのいずれの重なりもなしにF(H)の範囲が最大化されるという条件をなおも満たす。図2Bにあるように、図2Cも、開口222、224の回転及び/または反射を通じて開口222、224と同一の効果を与えるように、開口として代わりに区切られるフィルタ226、228の部分を示す。それらの部分226、228は再度、フィルタ220において実線によって示される。
【0065】
図2Dは、フィルタの側面から、このケースでは、基部軸または水平軸から延在する単一の台形形状開口232を区切るフィルタ230を示す。より具体的に、開口232は右台形である。開口232の基部は、フィルタ230の基部または水平軸に沿った中間で中心にある。基部は、フィルタ230の1/3長さの幅幅を有する。開口232の左エッジは、基部に垂直であり、フィルタ230の1/3幅の長さを有する直線である。開口232の右エッジは、基部に垂直であり、フィルタの2/3幅の長さを有する直線である。2つのエッジの上端は、更なる直線によって接続される。実線によって示される、フィルタ234の部分は、回転及び/または反射によって領域232に関連する同一の効果を達成するために、開口として代わりに区切られる領域を示す。
【0066】
図2Eは、フィルタの2つの垂直の側面の間で延在する2つの開口242及び244を区切るフィルタ240を示す。各々の開口242、244は、台形、より具体的に、二等辺台形の形状を有する。開口244は、フィルタ240の1/6の幅の基部を有し、フィルタ240の基部に沿って1/4の中心にある。開口244は、フィルタの1/6の幅の長さを有する左エッジを有し、フィルタ240の左エッジに沿って1/4の中心にある。左エッジの下隅は、直線によって基部の左エッジに接続され、左エッジの上隅は、更なる直線によって基部の右エッジに接続される。
【0067】
開口242は、フィルタ240の基部に沿って3/4の中心にあり、フィルタ240の1/6幅の長さを有する基部を有する。開口242は更に、フィルタの左エッジに沿って上方に3/4の中心にあり、フィルタ240の1/6幅の長さを有する左エッジを有する。開口242の左エッジの下隅は、直線によって開口242の基部の左隅に接続され、左エッジの上隅は、更なる直線によって基部の右エッジに接続される。
【0068】
フィルタ240において実線として示される、フィルタ246、248の部分は、開口242、244の回転及び反射によって同一の効果を達成するようにフィルタが代わりに開口を区切る場所を示す。
【0069】
図2Fは、台形、より具体的に、二等辺台形の形状を有する単一の開口252を区切るフィルタを示す。開口252は、2つの垂直側面の間で延在する。それは、フィルタの基部上で中心にあるフィルタ250の1/3幅の長さを有する基部を有する。フィルタ250の1/3幅の長さを有する左エッジは、フィルタ250の左エッジ上で中心にある。基部の左隅は、直線によって左エッジの下隅につなげられ、基部の右隅は、直線によって左エッジの上隅につなげられる。フィルタ250において実線によって指定される、フィルタ254の部分は、同一の効果を達成するようにフィルタ250が代わりに開口を区切る場所を示す。部分254は、開口252の回転及び/または反射によって開口252に関連する。
【0070】
それらは、F(H)がフーリエ平面内のその級数展開の成分と重ならないという要件を満たすことができる開口の形状の実施例にすぎず、開示は、いずれの特定の形式にも限定されないことが認識されよう。例えば、使用可能なエリアを最大化するために有用であることができる、直線の側面を上記説明された全てのフィルタが有するが、他の実施例は、曲線の側面を使用し得、またはフィルタの使用可能なエリアを最大化しないように選び得ることが認識されよう。
【0071】
上記議論は、全ての望ましくない成分が遮断されるように開口のエリアを最大化することを考慮してきたが、いくつかの実施例は、より大きな開口をなおも使用し得る。概して、高次ノイズ成分は、フーリエ平面内で均等に分散されず、中心よりもそれらの周囲で低い出力及び/または振幅を有する傾向がある。したがって、開口のサイズは、はるかに多いノイズを導入することなく、上記説明された1/6基準をわずかに超えて増大し得る。例えば、開口は、フーリエ平面内の単位正方形の1/5~1/6のエリアを有し得、ホログラムをターゲットにせず、開口を有しないことを比較して、開口をターゲットにするホログラムによる改善された性能をなおも示し得る。
【0072】
これまでの議論は、フィルタ内の位置が時間的に変化しないという点で静的である開口を考慮してきた。それらの実施例では、開口を区切るフィルタの最大エリアは、総エリアの1/6である。これは、改善された画像品質に関して上記議論された利点を有するが、ホログラムを見ることができるエリアが低減することを意味する。更なる実施例では、ホログラムを知覚することができる効果的に観察可能なエリア(「アイボックス」と称される場合がある)は、光が通過することを可能にするかまたは観察者に到達する光を遮断するかのいずれかのために選択的に制御される複数の部分を使用して増大することができる。開口は次いで、光が通過することを可能にするフィルタの部分を含む。部分は、図2A~2Fに示された開口202、212、222、232、242、252の少なくとも2つが連続して使用されることを可能にするように構成され得る。このようにして、フーリエ平面内のF(H)の位置は、経時的に可変であり得る。DMDなどの適切に高速なディスプレイを仮定して、ディスプレイは次いで、単一のフレーム周期内に異なる位置の間で急速に切り替えられることができる。観察者は、視覚持続性を通じて、そのような一連の急速に表示されたホログラムを単一のホログラムとして知覚する。
【0073】
しかしながら、本開示は、上記開口条件との組み合わせで使用される上記議論された時間多重技術または/及び量子化スキームに限定されない。ウィンドウ化されたIFTAなど、他のアルゴリズム的方法は、画像品質を高めるための手段として、フーリエ平面内の単位正方形のエリア未満である区切り開口を使用し得る(すなわち、各々の部分開口は、1つの回折次数未満に及ぶ)。すなわち、いくつかの実施例では、ウィンドウ化されたGSなど、ウィンドウ化されたIFTAを利用して、フーリエ平面の部分領域のみを制約し、フィルタによって遮断される「ドントケア領域」または「ノイズ領域」を有することができ、それによって、選ばれた部分領域内で画像品質を改善するが、視野(フィルタが画像平面内にあるとき)またはアイボックス(フィルタが瞳孔平面内にあるとき)のいずれかを低減させる。全視野またはアイボックスは、各々の部分領域を時間多重し、「ドントケア」領域を遮断することによって再現されることができ、その結果、観察者は、視覚持続性を通じて単一のホログラムを知覚する。これは、処理リソースに対する要件を増大させ得るが、計算電力がそのような反復的方法を適用するために利用可能であるとき、これは、本分野において既知の他の方法よりも利点を有し得る。
【0074】
空間フィルタリングが画像平面内にあるとき、空間フィルタの全ての開口の結合が、画像内で視認可能であるいずれかの隙間または不規則な外形などを有する場合、使用されることができる開口の組に対して、及び実際の物理的に切り替え可能な開口の仕様に対してこれが制約している。しかしながら、空間フィルタリングが瞳孔平面内にある場合、いずれかの隙間または不規則な外形は、観察者に対して明瞭でない(隙間、不規則性、または外形が存在する場合、それらは、観察者が気付く可能性が低い、ボケへの僅かな相違及び点拡がり関数として視認可能であるにすぎない)。
【0075】
1つのステップ位相検索(OSPR)アルゴリズムも、視覚持続性を活用するが、本開示の方法は、計算リソースの使用が低い、より高い品質結果を与えることができる。OSPRでは、フーリエ平面の全体を使用するが、異なるランダムな位相パターンによる多くのホログラムは、急速に時間的に連続して表示され、観察者の目は、全体的に低減したノイズにより(ノイズ均し)単一のホログラムを知覚するためにそれらを組み合わせる。ここでの概念は、ノイズの効果を均すのではなく、同一の視覚持続性効果を使用し、平均化は、使用されるフーリエ平面の部分、よって、観察可能なエリアを増大させるために使用される。更に、OSPRにあるように、異なるランダムな位相パターンにより複数のホログラムを計算するのではなく、ここでの方法は、計算的に集中的でない、同一のランダムな位相パターンによりホログラムを単純にマスクすることができる。それにも関わらず、他の実施例は、各々の表示されたホログラムに対して異なるランダムな位相パターンを使用し得、本明細書で開示される開口をOSPRに効果的に適用する。
【0076】
いくつかの実施例は、本明細書で説明される開口とOSPRを組み合わせ得る。そのケースでは、開口によって提供されるノイズ低減を理由に、OSPRは、より低いビット深度を利用し得る。OSPRは、計算的に集中的でないようになり、及び/または時間平均効果の利点を最大化して、OSPRにおいてノイズを低減させるように、フレームをより即時的に処理することができる。
【0077】
部分は、フィルタの各々の単位セル内でタイリングされることができ、その結果、単位セル、すなわち、寸法λf/pを有するフィルタの部分ごとに複数の部分が存在する。SLMは次いで、ホログラフィックライトフィールド、Hを生成するように構成され得、その結果、F(H)は、フィルタの1つ以上の非活性化された部分においてターゲットにされる。フィルタの非活性化された部分を、それらの部分をターゲットにするSLMによって生成されるホログラフィックライトフィールドと同期させることは、ターゲット平面において生成されるホログラムの有効エリアにおける増大を可能にする。フィルタの部分が、100ヘルツまたは200ヘルツ以上よりも大きいまたはそれに等しいなど、十分な速度において活性化及び非活性化される場合、観察者は、切り替えを知覚し得ない。これは、アイボックスのサイズにおける更なる効果的に増大を可能にする。図1Cを参照して上記議論されたように、中央ゼロ次モードが上記式2における定数項から形成され、よって、それがノイズ期間の最大出力を制約するように常に遮断される。しかしながら、いくつかの実施例では、「ゼロ次」は、異なる位置に位置し得(エシェル回折格子が使用されるとき)、それらの実施例では、最高出力ノイズ期間を包含するフーリエ平面の一部は、遮断される。
【0078】
図3は、フィルタ300の実施例を示し、フィルタ300は、光が通過するか否かを可能にするように制御されることができるエリアに対応する、複数の部分を含む。それらは、301~316とラベル付けられる。フィルタ300の部分は、回転及び反射が含まれる、図2C及び2Dにおいて例示された開口と類似の開口に対応する。より具体的に、部分301、302、303、304、305、306、307、308は各々、図2Dにあるような単一の台形形状領域を含むと共に、部分309、310、311、312、313、314、315、及び316は各々、2つの台形形状領域を含む。どの時点においても、開口301~316(1つよりも多い領域を含み得る)の単一の1つは、光が通過することを可能にする状態にあると共に、全ての他の部分は、光が通過しない状態にある。それに対応して、ホログラフィックライトフィールド、Hは、光が通過することを可能にする部分(複数可)にF(H)が対応するようにターゲットにされ得る。使用中、コントローラは、SLMに適切なホログラムを供給し得、フィルタを制御し得、よって、関連する部分は、光が通過することを可能にする。一部のSLMは、全ての16個の開口301~316が単一のフレーム周期内に表示されることができるのに十分に即時的に動作し得る。ラベル付けられるように開口301~316からインクリメントすることと、ラベル付けられるように開口316~301からデクリメントすることとを含む、動作のいずれかのシーケンスが使用されることができる。
【0079】
ゼロ次モードに対応するフィルタ300の中央部分317は、F(HH)及びゼロ次に対応する光がフィルタ300を通過することを防止するように常に遮断される。更に、部分のこの特定の配列により、フィルタ300の外部領域318が常に遮断される。フィルタ300は、静的開口202、212、222、232、242、252を含むフィルタ200、210、220、230、240、250により可能であるよりも大きなアイボックスを提供する。常に遮断される、中央部分317の存在は、瞳孔平面内に位置付けられるこのフィルタを使用するのに良好に適合させ、そのケースでは、遮断された中央部分が知覚された画像に著しく影響を及ぼさない。画像平面内に位置付けられるフィルタも使用されることができるが、遮断された中央部分は、そのケースでは、より視認可能であり得る。
【0080】
図3の制御可能部分は、様々な方法において製造されることができる。例えば、フィルタ300は、液晶から製造され、光が通過することを実質的に可能にするか、または光を実質的に遮断するかのいずれかのために動作し得る。液晶は、piセルまたは強誘電体LCD(FLCD)などの高い切り替え速度を有し得る。他の実施例は、DMDをフィルタとして使用し得、DMDは、ライトフィールドを変調しないように制御されるが、変調された光のどの部分が通過することを可能にするかを制御する。別の実施例は、回転チョッパホイールを使用し得、チョッパホイールは、複数の開口及びチョッパホイールに同期されるレーザの各々を定義するように回転する。チョッパホイールは、例えば、回転位置を制御するように、ステッピングモータまたは類似のものを使用し得る。もちろん、フィルタ300は、分子に基づくシャッタ、量子光学シャッタ、プラズモニックメタマテリアルシャッタを含む、いずれかの適切なシャッタ技術の実施例を利用する。
【0081】
図3のフィルタ300は、常に遮断される領域を含むが、他の実施例も、それらの遮断される領域を制御可能にすることを可能にし得る。そのような実施例は、必要に応じて、空間フィルタリングを完全に無効にされることを可能にする。これは、ユーザが、空間フィルタリング、またはGerchberg Saxton反復的処理などの代替的な画像処理による動作の間で選ぶことを可能にし得る。代わりに、または加えて、必要とされないときに光路からフィルタを取り除き、本開示の方法により使用されるときに光路にフィルタを配置する機構を提供することによってなど、フィルタは、光路に選択的に配置され得る。
【0082】
図2A~2F及び3の先の議論では、単一の照射波長の光によって生成されるとしてF(H)が議論されてきた。しかしながら、本明細書で説明される原理は、複数の照射波長の光を網羅するように拡張されることができる。そのような光は、複数の単一のモードレーザ、または複数の波長において動作する単一の光源など、複数の光源によって生成される。複数の照射波長のケースでは、ノイズ成分とのF(H)の重なりがない条件が第1の波長の光に対して厳密であるが、第2の波長の光に対してのみ近似するように、開口(複数可)が選択され得る。これは、マルチカラーホログラムの近似する全複素変調を可能にする。
【0083】
図4は、一般的には、ホログラフィック光学システム400を示す。システム400は、少なくとも部分的にコヒーレントな光を生成するように構成される光源402を含む。システム400は更に、少なくとも部分的にコヒーレントな光によって照射されるように配列される空間光変調器(SLM)404を含む。システム400は更に、レンズ406を含む。レンズ406は、焦点距離、fを有し、SLM404からの1つの焦点距離に位置付けられる。システム400は更に、開口410を区切るフィルタ408を含む。フィルタ408は、SLM404からレンズ406の反対側で、レンズ406からの1つの焦点距離に位置付けられる。
【0084】
SLM404は、上記議論されたように、ターゲットライトフィールド、Hの量子化された表現であるライトフィールドを生成するように構成される。ホログラフィック光学システム400の配列は、フィルタ408の位置と一致する平面においてライトフィールドのフーリエ変換、F(H)が形成されるようである。この平面は、レンズ406によって撮像されるようなSLM404のフーリエ平面である。ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(H)がターゲットライトフィールドの複素共役、F(H)の少なくともフーリエ変換及びSLM404のフーリエ平面内の二次成分と重ならないように、ターゲットライトフィールドが決定される。更に、フィルタ408内の開口は、フーリエ平面内のF(H)に対応し、その結果、F(H)の外側のターゲットライトフィールドの部分が遮断される。
【0085】
光源402は、例えば、レーザモジュールまたはLEDを含み得る。光源402は、1つの波長、または複数の波長(例えば、赤色、緑色、及び青色に対応する)において少なくとも部分的にコヒーレントな光を生成するように構成される。
【0086】
SLM404は、光の位相、振幅、バイナリ位相、及びバイナリ振幅のうちの少なくとも1つを変調するように構成され得る。SLM404は、例えば、DMD、LCD、振幅LCoS、または位相LCoSであり得る。
【0087】
フィルタ408は、F(H)によってターゲットにされるエリアに対応し、上記議論されたような構成を有する図2A~2F及び3に示されたフィルタのいずれかであり得る。示されるように、SLM404、レンズ406、及びフィルタ408は、同軸である。よりコンパクトなディスプレイを可能にし得る、折り畳み光路などの他の構成が使用され得る。
【0088】
明確さのために、図4は、透過SLMを表し、ここで議論される原理は、これに限定されず、反射SLMに等しく適用されることができることを理解されよう。同様に、同一の原理が、SLM以外の他のタイプの変調器に適用される。
【0089】
本開示に係るホログラフィックディスプレイの理論及び全体的な構造を説明したので、動作のその方法がここで説明される。図5は、ホログラフィック画像内の量子化ノイズを低減させる方法500を示す。方法500は、例えば、図4に示されたホログラフィック光学システム400のコントローラによって実行されることができる。502において、方法500は、量子化のために、ターゲットライトフィールド、Hを生成することを含む。ターゲットライトフィールドは、その複素共役、F(H)及びフーリエ平面内の二次成分と重ならない特性を有する、フーリエ変換、F(H)を有する。F(H)は、例えば、図2及び3を参照して記議論されたように、それらの特性を有する領域を占有するとして、予め決定されることができる。この領域においてホログラムをターゲットにする方法は、図6を参照して以下で説明される。
【0090】
次に、504において、ターゲットライトフィールドの量子化されたバージョンは、フーリエ平面内のF(H)の範囲に対応する開口を区切るフィルタを通じて表示され、その結果、少なくとも、その複素共役、F(H)のフーリエ変換及び二次成分がフィルタによって遮断される。
【0091】
図6は、処理の効果を示す、各々のステップにおいて画像の実施例の表現と共に、フーリエ平面の予め定義された領域においてターゲットとするホログラムを計算する実施例の方法600を示す。方法600は、ホログラフィックディスプレイシステムからローカルまたはリモートであり得る処理システムによって実行され得る。方法600によって決定されるホログラフィックフレームは、SLM404などのSLMに出力される。
【0092】
方法600は、ターゲットライトフィールドを受信することによって、ブロック602において開始する。ターゲットライトフィールドは、ホログラフィック光学システムによって表示されることになる1つの画像レイヤを表す2次元アレイである。ターゲットライトフィールドは、各々の画素にそれぞれのランダムな位相因子を適用することによって、複素ターゲットライトフィールド602に変換される。これは、複素平面内で各々の画素値を回転させるように作用し、各々の画素に虚数成分を与える。位相値は、ライトフィールドにわたって統計的に均一な分散を有する。各々のランダムな位相因子eiθは、画素のマトリックスを含むターゲットライトフィールドに適用されるランダム数のマトリックスを含み得る。
【0093】
ブロック604において、複素ターゲットライトフィールドは、観察者の瞳孔においてライトフィールドを刺激するようにフーリエ変換(高速フーリエ変換、FFTなど)を受ける。シミュレートされた瞳孔は次いで、開口瞳孔を形成するようにブロック606においてマスクされる。マスクを適用することは、開口の外側でシミュレートされたライトフィールドの全ての部分に対して、振幅をゼロに設定する。開口瞳孔は、ブロック604からの全てのフィールド未満の部分領域であり、部分領域の形状は、使用される特定のマスクによって指令される。実際に、使用される特定のマスクは、ホログラフィック光学システムのフィルタにおいて選択される開口と一致する。例えば、図6に示されるように、開口瞳孔を形成するために使用されるブロック606におけるマスクは、図2Aに示された開口202に対応する。方法600では、結果として生じるF(H)は、開口202に対応するフーリエ平面内のエリアにおいてターゲットにされる。
【0094】
これまで、画像は、無限に位置付けられるとして知覚され、よって、ブロック608において、デフォーカスゼルニケ多項式は、SLMと一致する平面上のターゲット深度において焦点ボケ画像を結果としてもたらすブロック606の出力に適用される。概して、デフォーカスゼルニケ多項式の特性は、ホログラフィック光学システムのパラメータによって決定される。例えば、SLMは、N×Mの画素及び画素ピッチpを有する。焦点距離、fを有するレンズは、SLMからの1つの焦点距離に位置付けられ、SLMは、単一の波長、λの光により照射される。深度dにおけるレイヤ、及び光学無限性におけるSLMについて、開口瞳孔606は、デフォーカスゼルニケ多項式によって乗算され:exp(2πi(2r-1)/4dλ)、rは、開口領域の中心からの各々のサンプル点の半径距離(メートルでの)である。瞳孔の空間的サンプリングは、点ごとのrの値をそれから決定することができる、決定x-方向でのfλ/pN及びy-方向でのfλ/pMである。方法は、ゼルニケ多項式の使用に限定されず、放物線位相関数などの他の方法が使用され得る。
【0095】
ブロック606におけるマスクした後にデフォーカスゼルニケ多項式を適用することによって、多項式がブロック604の後に適用された場合よりもフィールドの範囲が小さいことを理由に、必要とされる処理が低減され得る。しかしながら、ブロック608は、いくつかの実施例では、ブロック604の後及びブロック606の前に発生し得る。
【0096】
ブロック608からの焦点ボケ開口瞳孔は、ブロック610において逆フーリエ変換を受け、SLMの深度におけるライトフィールドを結果としてもたらす。開口がフーリエ平面内に制限されるが、逆フーリエ変換は、SLMの全範囲が画像を表示するためになおも使用されることを意味することが観察されることができる。(フーリエドメイン内の時間可変波形をフィルタすることが、時間的に同一の長さの時間ドメイン波形をなおも結果としてもたらすのと同様に、フーリエ平面をフィルタすることは、表示のために使用されるSLMの全範囲をなおも結果としてもたらす。)
【0097】
ブロック610からの結果として生じるライトフィールドは次いで、結果として生じるライトフィールドの量子化された表現を形成するように量子化されることができる。上記議論されたように、いずれかの適切な量子化スキームが適用されることができる。処理600は、SLM404などのSLMによって形成されるホログラフィックライトフィールドを決定し、その結果、ライトフィールドのフーリエ変換は、フィルタにおける予め定義された開口に対応するフーリエ平面のエリア内で形成される。
【0098】
図6を見ると、ブロック610における画像は、ブロック602におけるよりも低い品質であるように見える。これは、いくつかの理由による。1つ目に、ブロック602における画像が理想的であり、よって、ブロック610における画像は、より高い品質であることができない。2つ目に、ブロック610における画像は、デフォーカスゼルニケ多項式の効果を示す。開口が存在しなかった場合、ブロック610における画像は、表されるよりも低い品質の画像である。
【0099】
図7Aは、F(H)を開口にターゲットにすることと共に上記説明された開口を使用して、図6の方法のシミュレートされた結果を示す。図7Bは、開口を使用せずに量子化されたフィールドHを表示することと、F(H)を開口にターゲットにすることとのシミュレートされた結果を示す。図7Bは、図7Aよりも顕著に低い品質である。
【0100】
これまでに議論されたように、図6は、単一の画像レイヤを考慮する。これは、観察者の目に対する焦点キューに正確な深度のホログラフィック画像を提供することができる。当業者は、図6の処理が異なる距離において複数のレイヤに対して繰り返されることができ(対応するデフォーカスゼルニケ多項式により)、各々のレイヤは、3次元シーンを生成するように独立して計算され、共に合計されることを知るであろう。
【0101】
いくつかの実施例では、フィルタは、図3に示されたフィルタ300など、光を通過させまたは遮断するように選択的に制御されることができる複数の部分を含む。このケースでは、異なる部分は、結果として生じるホログラムの有効なアイボックスを拡大するように活性化及び非活性化されることができる。処理600を使用して、ブロック604において決定されたシミュレートされた瞳孔に、対応するマスクを適用して、ブロック606において適切な開口瞳孔を生成することによって、フーリエ平面の異なる領域においてF(H)をターゲットにすることが単純に達成されることができることが明白である。よって、図3の実施例と同様に、ターゲットへの16個の領域が存在する場合、ブロック606、608、及び610は、開口ごとに繰り返される。ホログラフィックディスプレイは次いで、対応する開口が光をフィルタを通じて通過させることを可能にすると同時に、結果として生じる複素フィールドを表示するように制御される。
【0102】
図8は、各々が異なる角度から変調器を照射する、複数の光源を使用することによってこの時に、フーリエ平面のより大きなエリアが網羅されることができる別の方法を表す。角度における変化は、各々の光源のフーリエ平面が異なる位置に位置し、事実上、フーリエ平面内のゼロ次の位置を並進移動させることを意味する。図8は、それぞれの位置802a、802b、及び802cに位置するゼロ次を有するフーリエ平面を結果としてもたらす3つの光源による、図式的なこの効果を示す。図2Aを参照して上記議論された開口を使用して、開口はそれにしたがって、フーリエ平面内で804a、804b、及び804cに位置付けられる。使用中、光源は、時間系列で動作し、開口の位置は、光源に同期される。図8から、これによりフーリエ平面のより大きなエリアを網羅する方法が分かる。この処理の全体を通じて、変調器によって表示されるデータも、光源に同期される対応する時間系列で動作すると共に、開口の位置における変化は、光源の異なる角度に起因する。
【0103】
図8の開口は、フーリエ平面の実質的に均一な網羅を可能にし、例えば、図3の中央の遮断された部分317を回避する。これにより、フィルタのどの位置でも使用するのに適しているが、フィルタが画像平面内に位置付けられるときに有益であり得る。
【0104】
図8に示されるように、光源ごとに単一の開口804a、804b、804cが存在するが、光源ごとの複数の開口は加えて、更に大きなエリアを満たすように、光源ごとに時間多重されることができる。例えば、図8のオフセット光源は、図3の単一の光源の複数の開口位置と組み合わされる。同様に、上記説明されたように、開口の他の形状が使用されることができる。
【0105】
図9は、異なる波長を有する2つの光源に対するフーリエ平面906a、906bの実施例を表す。この実施例では、光源は、物理的に分離され、よって、ゼロ次が異なる位置902a、902bに位置する。加えて、上記説明されたように、光源の異なる色は、異なる波長によって、フーリエ平面がスケーリングされ、単位正方形の寸法が変化することを意味する。この実施例では、変調器に対する光源の角度及び/または位置は、開口904bが開口904a内に位置するように選ばれており、このケースでは、それは開口904a内に全体的に位置する。光源角度または位置のシフトなしに、開口904a、904bが完全には重ならず、性能を低減させる可能性がある。使用中、両方の光源に対して開口904bを使用することは、両方の光源に対するノイズ低減の利点を与えるが、開口904aの全範囲が使用されないことを理由に、1つの光源に対して輝度をわずかに低減させる。
【0106】
図9に示されるように、光源ごとに単一の開口904a、904bが存在するが、光源ごとの複数の開口は加えて、より大きなエリアを満たすように、光源ごとに時間多重されることができる。例えば、図9のオフセット光源は、図3の単一の光源の複数の開口位置と組み合わされることができる。同様に、上記説明されたように、開口の他の形状が使用されることができる。
【0107】
上記実施形態は、本発明の例示的な実施例として理解されることになる。本発明の更なる実施形態が想定される。いずれか1つの実施形態に関連して説明されたいずれかの特徴が単独で使用され得、または説明された他の特徴との組み合わせで使用され得、また、実施形態のいずれかのその他の1つ以上の特徴との組み合わせで使用され得、または実施形態のいずれかのその他のいずれかの組み合わせで使用され得ることが理解されることになる。更に、添付の特許請求の範囲において定義される、本発明の範囲から逸脱することなく、上記説明されていない同等物及び修正も採用され得る。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィックディスプレイシステムであって、
少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成された光源と、
前記少なくとも部分的にコヒーレントな光によって放射され、ターゲットライトフィールド、Hの量子化された表現であるライトフィールドを生成するように配列された変調器と、
フーリエ平面内で開口を区切る空間フィルタと、を備え、
前記ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(H)は、(i)前記ターゲットライトフィールドの複素共役、F(H)のフーリエ変換、(ii)前記ターゲットライトフィールドの前記複素共役によって乗算される前記ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(HH)、(iii)前記ターゲットライトフィールドの正方形のフーリエ変換、F(H)、及び(iv)前記ライトフィールドの前記複素共役の正方形のフーリエ変換F(H*2)、と実質的に重ならず、
前記開口は、前記フーリエ平面内でF(H)に実質的に対応する、
前記ホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項2】
前記空間フィルタは、
焦点距離を有するレンズと、
前記開口を区切るフィルタと、を含み、
前記フィルタ及び前記変調器は、前記レンズからの1つの焦点距離の距離において、前記レンズの反対側上に位置付けられる、
請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項3】
前記開口の周長の少なくとも一部は、直線である、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項4】
前記フーリエ平面は、複数の連続した単位正方形に区画化され、各々の単位正方形は、前記ターゲットライトフィールドの前記フーリエ変換の1つの複製を受け、前記開口は、単位正方形のおおよそ1/6のエリアを有する、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項5】
前記開口の周長は、四角形である、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項6】
前記フィルタは、少なくとも2つの開口を区切る、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項7】
前記フィルタは、光が遮断される第1の状態と、光が通過することを可能にし、それによって、開口が第2の状態にある部分によって形成される前記第2の状態とを有するように選択的に制御されることができる複数の部分を含む、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項8】
前記変調器は、デジタルマイクロミラーデバイスである、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項9】
前記変調器は、Liquid Crystal on Silicon、LCoS、デバイスである、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項10】
前記光源は、緑色光を含む複数の波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成され、前記開口は、緑色光に対するF(H)の位置に対応する、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項11】
前記光源は、複数の波長において少なくとも部分的にコヒーレントな光を放出するように構成され、前記開口の少なくとも1つの側面は、45度に角度付けられる、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項12】
前記光源は、前記フーリエ平面のゼロ次が少なくとも2つのエミッタの各々に対して異なる位置にあるように位置付けられる前記少なくとも2つのエミッタを含み、前記フィルタは、前記少なくとも2つのエミッタの各々に対して少なくとも1つの開口があり、少なくとも2つの開口を区切る、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項13】
前記光源は、第1の波長を有する第1のエミッタと、第2の波長を有する第2のエミッタとを含み、前記第1のエミッタ及び前記第2のエミッタは、前記第1のエミッタ及び前記第2のエミッタの一方のF(H)が前記第1のエミッタ及び前記第2のエミッタのもう一方のF(H)内に包含されるように位置付けられる、請求項1に記載のホログラフィックディスプレイシステム。
【請求項14】
ホログラフィック画像を表示する方法であって、
量子化のためのターゲットライトフィールド、Hを決定することであって、前記ターゲットライトフィールドは、(i)その複素共役、F(H)のフーリエ変換、(ii)前記ターゲットライトフィールドの前記複素共役によって乗算される前記ターゲットライトフィールドのフーリエ変換、F(HH)、(iii)前記ターゲットライトフィールドの正方形のフーリエ変換、F(H)、及び(iv)前記ライトフィールドの前記複素共役の正方形のフーリエ変換F(H*2)、とそれが重ならないように、フーリエ変換、F(H)を有する、前記決定することと、
量子化から結果として生じるF(H)、F(HH)、F(H)、及びF(H*2)に対応する成分がフィルタによって実質的に遮断されるようにフーリエ平面内のF(H)の範囲に対応する開口を区切る前記フィルタを通じて前記ターゲットライトフィールドの量子化されたバージョンを表示することと、
を含む、前記方法。
【請求項15】
前記フーリエ平面内のF(H)の範囲は、少なくとも1つの直線周長を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記フーリエ平面内のF(H)の範囲は、四角形周長を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記フーリエ平面内のF(H)の範囲は、少なくとも2つの連続しない領域を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記ターゲットライトフィールドを前記生成することは、初期のライトフィールドにマスクを適用することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記フーリエドメインの異なる領域内で複数のターゲットライトフィールドを生成することであって、前記複数のターゲットライトフィールドの各々は、それらのフーリエ変換の範囲がそれらの複素共役の前記フーリエ変換の範囲と重ならないという特性を有する、前記生成することと、
フーリエ平面内のそれらのフーリエ変換の前記範囲に対応する開口を区切るそれぞれのフィルタを通じて、急速に時間的に連続して前記複数のターゲットライトフィールドの各々の量子化されたバージョンを表示することと、
を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項20】
プロセッサによって実行されるとき、請求項1~13のいずれか一項に記載のホログラフィックディスプレイシステムに、請求項14~19のいずれか一項に記載の方法によってホログラフィック画像を表示させる命令を含むコンピュータ可読媒体。
【国際調査報告】