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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】床洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   A47L 11/293 20060101AFI20240705BHJP
   A47L 11/08 20060101ALI20240705BHJP
   B08B 1/36 20240101ALI20240705BHJP
【FI】
A47L11/293
A47L11/08
B08B1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503687
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-02-29
(86)【国際出願番号】 EP2022070598
(87)【国際公開番号】W WO2023002009
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】102021119016.9
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523024288
【氏名又は名称】アイ-モップ ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】i-mop GmbH
【住所又は居所原語表記】Schwanheimer Strasse 141, 64625 Bensheim, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ルドルフ フランケ
【テーマコード(参考)】
3B116
【Fターム(参考)】
3B116AA31
3B116AB52
3B116BA02
3B116BA13
3B116BB22
3B116BB71
(57)【要約】
本発明は、床洗浄装置(10;110;210;310;410)、好適にはスクラバ型の床洗浄装置、特に好適にはスクラバ型の吸引式の床洗浄装置であって、床用ユニット(12;112;212;312;412)と、床用ユニット(12;112;212;312;412)に割り当てられていて、運転状態で床面(158)に接触するツール(24,26;124,126)と、床洗浄装置(10;110;210;310;410)を誘導するための誘導部分(14;114;214;314;414)と、誘導部分(14;114;214;314;414)を床用ユニット(12;112;212;312;412)に対して相対的に第1の旋回軸線(A)を中心として旋回させるための第1の旋回ジョイント(18,118)を備えたジョイントアセンブリ(16;116)と、床用ユニット(12;112;212;312;412)と誘導部分(14;114;214;314;414)との間にばね力を発生させるためのばね機構(160;260;360;460)とを備え、第1の旋回ジョイント(18,118)は中立位置を有する、床洗浄装置(10;110;210;310;410)において、ばね機構(160;260;360;460)は、中立位置から第1の旋回方向(S1)で変位位置への旋回時に、誘導部分(14;114;214;314;414)に作用しかつばね力に基づき生じる、第1の旋回軸線(A)を中心として中立位置の方向への起立モーメントが、第1の角度範囲では増加し、この第1の角度範囲に続く第2の角度範囲では減少するように、床用ユニット(12;112;212;312;412)と誘導部分(14;114;214;314;414)とに作用結合されていることを特徴とする、床洗浄装置(10;110;210;310;410)に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床洗浄装置(10;110;210;310;410)、好適にはスクラバ型の床洗浄装置、特に好適にはスクラバ型の吸引式の床洗浄装置であって、
床用ユニット(12;112;212;312;412)と、
前記床用ユニット(12;112;212;312;412)に割り当てられていて、運転状態で床面(158)に接触するツール(24,26;124,126)と、
前記床洗浄装置(10;110;210;310;410)を誘導するための誘導部分(14;114;214;314;414)と、
前記誘導部分(14;114;214;314;414)を前記床用ユニット(12;112;212;312;412)に対して相対的に第1の旋回軸線(A)を中心として旋回させるための第1の旋回ジョイント(18,118)を備えたジョイントアセンブリ(16;116)と、
前記床用ユニット(12;112;212;312;412)と前記誘導部分(14;114;214;314;414)との間にばね力を発生させるためのばね機構(160;260;360;460)と
を備え、
前記第1の旋回ジョイント(18,118)は中立位置を有する、
床洗浄装置(10;110;210;310;410)において、
前記ばね機構(160;260;360;460)は、前記中立位置から第1の旋回方向(S1)で変位位置への旋回時に、前記誘導部分(14;114;214;314;414)に作用しかつ前記ばね力に基づき生じる、前記第1の旋回軸線(A)を中心として前記中立位置の方向への起立モーメントが、第1の角度範囲では増加し、該第1の角度範囲に続く第2の角度範囲では減少するように、前記床用ユニット(12;112;212;312;412)と前記誘導部分(14;114;214;314;414)とに作用結合されていることを特徴とする、床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項2】
前記ばね機構(160;260;360;460)は、前記第1の旋回ジョイント(18,118)の一方の側に第1の取付け点(164;264;364;464)を有し、該第1の取付け点(164;264;364;464)は、少なくとも前記第1の角度範囲および前記第2の角度範囲で前記誘導部分(14;114;214;314;414)に連結されていて、前記第1の旋回軸線(A)に対して離間させられていることを特徴とする、請求項1記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項3】
前記第1の取付け点(164;264;364;464)に前記ばね力に基づき作用する力ベクトル(F)の、前記第1の旋回軸線(A)に対する間隔が、前記第1の旋回方向(S1)での旋回時の前記第1の角度範囲および/または前記第2の角度範囲で、少なくとも段階的に減少することを特徴とする、請求項2記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項4】
前記間隔は前記中立位置で最大であることを特徴とする、請求項3記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項5】
前記第1の取付け点(164;264;364;464)は、前記第1の角度範囲および/または前記第2の角度範囲で、前記第1の旋回軸線(A)を中心とした円セグメントに沿った運動を段階的に実施することを特徴とする、請求項2から4までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項6】
前記ばね機構(160;260;360;460)のばね長さが、前記第1の旋回方向(S1)での旋回時に前記第1の角度範囲および前記第2の角度範囲で少なくとも段階的に増加することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項7】
前記ばね機構(160;260;360;460)は引張ばねであることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項8】
前記ばね機構(160;260;360;460)のばね長さが、前記第1の旋回方向(S1)での旋回時に前記第1の角度範囲および前記第2の角度範囲で少なくとも段階的に減少することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項9】
前記ばね機構(160;260;360;460)は圧縮ばねであることを特徴とする、請求項8記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項10】
前記ばね機構(160;260;360;460)はばねダンパ要素を備えることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項11】
前記ばね機構(160;260;360;460)は、さらに、前記起立モーメントが、前記第1の角度範囲および/または前記第2の角度範囲での前記中立位置に対する旋回角で、前記第1の旋回ジョイント(18,118)に前記第1の旋回軸線(A)を中心として作用するトルク、特に前記誘導部分(14;114;214;314;414)の重量に基づき生じるトルクを補償するように、前記床用ユニット(12;112;212;312;412)と前記誘導部分(14;114;214;314;414)とに作用結合されていることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項12】
前記ばね機構(160;260;360;460)は、さらに、前記ばね力および/または前記起立モーメントの値が前記中立位置で0であるように、前記床用ユニット(12;112;212;312;412)と前記誘導部分(14;114;214;314;414)とに作用結合されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項13】
前記第1の旋回方向(S1)での旋回時に前記第2の角度範囲に、前記起立モーメントが負の符号を有する第3の角度範囲が続いていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項14】
前記第3の角度範囲で前記第1の旋回方向(S1)での旋回時に、前記起立モーメントの値が増加することを特徴とする、請求項13記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項15】
前記ばね機構(160;260;360;460)は、さらに、前記第2の角度範囲から前記第3の角度範囲への移行時に、取付け点(164;264;364;464)に前記ばね力に基づき作用する力ベクトル(F)が前記第1の旋回軸線(A)を通って延びるように、前記床用ユニット(12;112;212;312;412)と前記誘導部分(14;114;214;314;414)とに作用結合されていることを特徴とする、請求項13または14記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項16】
前記第3の角度範囲の、中立位置とは反対側の終端における前記中立位置に対する旋回角が、少なくとも70°、好適には少なくとも80°、特に好適には少なくとも90°であることを特徴とする、請求項13から15までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項17】
前記第2の角度範囲の、前記中立位置とは反対側の終端における前記中立位置に対する旋回角が、少なくとも70°、好適には少なくとも80°、特に好適には少なくとも90°であることを特徴とする、請求項1から16までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項18】
前記ばね機構(160;260;360;460)は、前記第1の旋回方向(S1)とは逆向きの第2の旋回方向(S2)での前記中立位置からの旋回時に、第4の角度範囲で前記誘導部分(14;114;214;314;414)にばね力を加えないことを特徴とする、請求項1から17までのいずれか1項記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項19】
第1の取付け点(164;264;364;464)はキャリッジ(470)に形成されており、該キャリッジ(470)は、前記中立位置から前記第2の旋回方向(S2)への旋回時に前記誘導部分(14;114;214;314;414)に対して相対的にキャリッジガイド(468)内で走行可能であることを特徴とする、請求項18記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【請求項20】
前記キャリッジガイド(468)は、前記キャリッジ(470)に前記誘導部分(14;114;214;314;414)に対して相対的に円弧形の運動を予め設定しており、円弧形状の中心点が前記第1の旋回軸線(A)に配置されていることを特徴とする、請求項19記載の床洗浄装置(10;110;210;310;410)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床洗浄装置、好適にはスクラバ型の床洗浄装置、特に好適にはスクラバ型の吸引式の床洗浄装置であって、
- 床用ユニットと、
- 床用ユニットに割り当てられていて、運転状態で床面に接触するツールと、
- 床洗浄装置を誘導するための誘導部分と、
- 誘導部分を床用ユニットに対して相対的に第1の旋回軸線を中心として旋回させるための第1の旋回ジョイントを備えたジョイントアセンブリと、
- 床用ユニットと誘導部分との間にばね力を発生させるためのばね機構と
を備え、
第1の旋回ジョイントは中立位置を有する、
床洗浄装置に関する。
【0002】
請求項1の前提部の特徴を有する床洗浄装置は、国際公開第2020/234904号に基づき公知である。この床洗浄装置では、誘導部分と床用ユニットとの間にコイルばねが配置されており、このコイルばねは、誘導部分の、誘導部分と床用ユニットとを結合する領域を取り囲んでいる。コイルばねは、一方の端部で床用ユニットに不動に取り付けられていて、他方の端部で誘導部分に不動に取り付けられている。これによって、誘導部分は、床用ユニットに対して相対的にいわゆる中立位置である約90°の角度でばね力に基づき保持される。使用者が誘導部分を中立位置から床用ユニットに対して相対的に旋回させると、コイルばねは、中立位置の方向への逆向きに作用する戻し力を発生させる。この戻し力は、中立位置に対する旋回角の増加に連れて増加する。
【0003】
この床洗浄装置が使用者によって運転されて操作されると、使用者は、誘導部分の中立位置が人間工学的な欠点に結び付いていることを認識する。使用者の手が誘導部分を掴むと、使用者の足が床用ユニットと衝突することになる。そして、使用者の足を床用ユニットに対して離間させて位置させると、使用者は、誘導部分を中立位置に保つために腕を伸ばす必要がある。しかしながら、このように腕を伸ばした状態を保つことは不快であり、人間工学的に好ましくない。したがって、使用者は、誘導部分を、腕を伸ばして掴む必要がないようにするために、運転時に誘導部分を中立位置から自分の身体の方向に旋回させる。しかしながら、この位置では、使用者は、誘導部分がコイルばねの戻し力によって中立位置を新たにとらないようにするために、コイルばねによって発生させられた戻し力に抗して作業しなくてはならない。戻し力の強さに関連するが、戻し力を、誘導部分の重量に基づき発生する、旋回方向での旋回軸線を中心としたトルクによって補償することも可能である。しかしながら、使用者が誘導部分を旋回させればさせるほど、使用者はより大きな力で戻し力に抗して作業する必要があるので、大きな旋回角へと旋回させることは、ほとんど不可能であるかまたは全く不可能である。
【0004】
別の従来技術としては、欧州特許第3031378号明細書が参照される。この明細書に基づき公知の床洗浄装置では、床洗浄装置を必要に応じて運転位置と省スペースの運搬位置または保管位置との間で移動させることができるような手段が講じられている。この公知の床洗浄装置では、誘導部分が、運転位置で床用ユニットに対して相対的に自由に旋回可能である。これによって、誘導部分を使用者の方向に簡単に旋回させることができるので、使用者は誘導部分を簡単に掴むことができる。また、自由な旋回によって大きな旋回角をとることができ、このような旋回角は、特に省スペースの位置をとるために必要である。しかしながら、誘導部分の自由な旋回可能性によって、誘導部分の重量のかなりの部分が、全旋回中に使用者もしくは使用者の腕に負荷をかける。
【0005】
したがって、使用者は、従来技術に基づき公知の床洗浄装置では、誘導部分を床用ユニットに対して相対的に旋回させる場合に、使用者の腕および身体へのかなりの負荷を甘受しなくてはならない。さらに、国際公開第2020/234904号に基づき公知の床洗浄装置では、旋回角の増加に連れて必然的に増加する戻し力に基づき、誘導部分を床用ユニットに対して完全にまたは少なくともほぼ完全に旋回させられた位置であって、床洗浄装置が僅かな高さサイズを有することになる位置にもたらすことが、ほとんど不可能である。つまり、床洗浄装置をコンパクトに収納もしくは保管することが、ほとんど不可能である。
【0006】
本発明の課題は、冒頭に記載した形態の床洗浄装置を改良して、前述した欠点のうちの少なくとも1つを克服することである。さらに、本発明の課題は、冒頭に記載した形態の床洗浄装置を改良して、使用者に快適な操作位置を可能にすることである。
【0007】
この課題は、冒頭に記載した形態の床洗浄装置において、ばね機構が、中立位置から第1の旋回方向で変位位置への旋回時に、誘導部分に作用しかつばね力に基づき生じる、第1の旋回軸線を中心として中立位置の方向への起立モーメントが、第1の角度範囲では増加し、この第1の角度範囲に続く第2の角度範囲では減少するように、床用ユニットと誘導部分とに作用結合されていることが特定されている、床洗浄装置によって解決される。
【0008】
中立位置以外での誘導部分の、使用者に対して負荷をかける重量は、起立モーメントによって減じられる。第2の角度範囲では、起立モーメントは減少し、これにより、使用者は、第2の角度範囲では過剰な力を加えることなしに、第1の旋回方向での旋回を簡単に行うことができる。このことは、例えば誘導部分の重量によって生じさせることができ、これによって、使用者が、第2の角度範囲で第1の旋回方向において作用を加える必要はなくなる。床洗浄装置の、誘導部分が中立位置に対して例えば完全に旋回させられているコンパクトな位置は、使用者が大きな力を加えることなしに得ることができる。第1の角度範囲では、第1の旋回方向で増加する起立モーメントによって、例えば誘導部分の重量に基づき生じる、第1の旋回軸線を中心として同様に増加するトルクを完全にまたは少なくとも部分的に補償することができる。これによって、まさに、第1の角度範囲では、誘導部分ひいては床洗浄装置全体の極めて易動性の誘導が可能となる。全体として、本発明によって、使用者による誘導部分の快適な誘導を達成することができ、これによって、全体として床洗浄装置の快適で人間工学的な操作が行われる。言い換えると、床洗浄装置の易動性の操作を可能にすることができる。
【0009】
本発明の1つの改良形態によれば、ばね機構は、旋回ジョイントの一方の側に第1の取付け点を有し、この第1の取付け点は、少なくとも第1の角度範囲および第2の角度範囲で誘導部分に連結されていて、第1の旋回軸線に対して離間させられていることが特定されていてよい。このように構成されていると、ばねによって発生させられた力は、所定の箇所で誘導部分に導入される。ここで付言しておくと、取付け点は、ばね機構を誘導部分に連結する連結装置の一部であってよい。むしろ、取付け点は連結装置と同じ意味を有していてよい。
【0010】
本発明の1つの別の構成によれば、第1の取付け点にばね力に基づき作用する力ベクトルの、第1の旋回軸線に対する間隔が、第1の旋回方向での旋回時の第1の角度範囲および/または第2の角度範囲で、少なくとも段階的に減少してよい。このように構成されていると、旋回軸線に対するばね力のてこ腕を短くすることができる。これによって、起立モーメントを一緒に決定する係数を低減することができる。
【0011】
本発明の1つの改良形態によれば、間隔は中立位置で最大であることが特定されていてよい。このように構成されていると、起立モーメントを一緒に決定する係数を中立位置で最大にすることができる。
【0012】
本発明の1つの別の態様によれば、第1の取付け点は、第1の角度範囲および/または第2の角度範囲で、第1の旋回軸線を中心とした円セグメントに沿った運動を少なくとも段階的に実施することが特定されていてよい。
【0013】
本発明の1つの改良形態によれば、ばね機構のばね長さが、第1の旋回方向での旋回時に第1の角度範囲および第2の角度範囲で少なくとも段階的に増加することが特定されていてよい。
【0014】
本発明の1つの態様によれば、ばね機構は引張ばねであることが特定されていてよい。
【0015】
本発明の代替的な構成によれば、ばね機構のばね長さが、第1の旋回方向での旋回時に第1の角度範囲および第2の角度範囲で少なくとも段階的に減少することが特定されていてよい。
【0016】
本発明の1つの態様によれば、ばね機構は圧縮ばねであることが特定されていてよい。
【0017】
1つの改良形態によれば、ばね機構は、使用者によって適合可能なばね硬さ、特にばね定数を有することが特定されていてよい。このように構成されていると、ばね力ひいては発生する起立モーメントを誘導部分の重量または使用者の好みに適合させることができる。
【0018】
本発明の1つの別の構成によれば、ばね機構はばねダンパ要素を備えることが特定されていてよい。ばねとダンパとから成る組合せによって、ばね機構は、ばね作用を発生させると同時にさらに減衰作用も発生させる。これによって、第1の旋回軸線を中心とした旋回運動における衝撃がより小さくなる。さらに、誘導部分の旋回運動をより迅速に減衰することができる。
【0019】
本発明の1つの改良形態によれば、ばね機構は、特に調整可能なばね定数を有することが特定されていてよい。
【0020】
代替的に、ばね機構は、逓増するばね特性線または逓減するばね特性線を有するか、または逓増するばね特性線と逓減するばね特性線との組合せを有することが特定されていてよい。このような構成では、ばね特性線は、まず、逓増し、次いで、逓減するように形成されていることが特定されていてよい。さらに、ばね特性線は、第1の旋回方向での第1の旋回軸線を中心とした旋回時に第1の角度範囲では逓増するように構成されていて、第2の角度範囲では逓減するように構成されていることが特定されていてよい。
【0021】
本発明の1つの構成によれば、ばね機構は、さらに、起立モーメントが、第1の角度範囲および/または第2の角度範囲での中立位置に対する少なくとも1つの旋回角で、第1の旋回ジョイントに第1の旋回軸線を中心として作用するトルク、特に誘導部分の重量に基づき生じるトルクを補償するように、床用ユニットと誘導部分とに作用結合されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、使用者のために、使用者の身体に全くまたはほとんど負荷をかけない快適な操作位置を生じさせることができる。全体として、誘導部分の有利に易動性の操作が得られ、このような操作は、確かに、一方では、まさに小さな旋回角で使用者に対して極めて僅かな負荷をかけることがあるが、しかしながら、他方では、使用者は大きな力を要することなしに、誘導部分を第1の旋回軸線を中心として大きな旋回角で旋回させることができる。まさに大きな旋回角、特に補償後の角度範囲における第1の旋回方向での旋回角では、誘導部分の重量が、第1の旋回方向での更なる旋回をサポートすることができるかまたは使用者の力作用なしでさえ行うことができる。
【0022】
この場合、本発明の1つの態様によれば、補償は、70°~20°、好適には50°~20°、特に好適には45°~20°の範囲における、中立位置に対する旋回角で生じることが特定されていてよい。
【0023】
本発明の1つの別の態様によれば、補償は、45°、30°、25°または20°の、中立位置に対する旋回角で生じることが特定されていてよい。
【0024】
本発明の1つの改良形態によれば、さらに、ばね機構は、さらに、ばね力が第1の角度範囲および/または第2の角度範囲で正弦波状の推移を有するように、床用ユニットと誘導部分とに作用結合されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、ばねにおけるばね力が、ばね定数にもかかわらず、非線形に増加する推移も有することができる。これによって、ばね力は、第1の角度範囲でまず強く増加し、ばね力の増加は、第1の旋回方向での旋回が進むにつれてより少なくなる。まず、正弦波形状に基づき、少なくとも小さな旋回角に対して、ほぼ線形の推移さえ得ることができる。
【0025】
本発明の1つの改良形態によれば、起立モーメントは、第1の角度範囲および/または第2の角度範囲に、正弦波形状と余弦波形状との特性の組合せ、特に正弦波形状と余弦波形状との積に相当する推移を有することが特定されていてよい。
【0026】
本発明の1つの態様によれば、第1の旋回軸線は、洗浄すべき床面に対して実質的に平行に延びていることが特定されていてよい。この場合、さらに、運転状態において、誘導部分の長手方向軸線が、中立位置で、洗浄すべき床面に対して実質的に垂直に配置されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、使用者にとって快適な中立位置を得ることができ、この中立位置から旋回を行うことができる。
【0027】
代替的に、運転状態において、誘導部分の長手方向軸線が、中立位置で、洗浄すべき床面に対して第1の旋回軸線を中心として所定の角度を成して配置されていることが特定されていてよい。好適には、この角度は、1°~45°、特に好適には10°~30°の範囲にある。
【0028】
本発明の1つの改良形態によれば、さらに、床用ユニットに、洗浄すべき床面に対して平行な推進方向が割り当てられており、中立位置において、誘導部分の長手方向軸線は、推進方向に対して実質的に垂直に配置されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、床洗浄装置の通常の使用時に、旋回が、第1の旋回軸線を中心として使用者の方向および使用者から離れる方向に行われる。
【0029】
本発明の1つの別の構成によれば、さらに、ばね機構は、さらに、ばね力の値が中立位置で0であるように、床用ユニットと誘導部分とに作用結合されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、起立モーメントも中立位置で0であり、これによって、誘導部分は中立位置でばね機構による影響を受けない。第1の角度範囲が中立位置に続いていると、これによって、第1の角度範囲は、ばね力および起立モーメントの値がそれぞれ0の状態で始まる。
【0030】
代替的に、中立位置でのばね力の値は0とは異なっていてよい。このような場合には、ばね力の値は、少なくとも予め設定された限界値を超えていることが特定されていてよい。さらに、ばね機構に中立位置で予荷重が加えられていることが特定されていてよい。
【0031】
本発明の1つの改良形態によれば、第1の旋回方向での旋回時に第2の旋回範囲に、起立モーメントが負の符号を有する第3の角度範囲が続いていることが特定されていてよい。このように構成されていると、起立モーメントは、もはや誘導部分の中立位置の方向もしくは第1の旋回方向とは逆向きの方向に作用するのではなく、負の符号に基づき中立位置から離れる方向もしくは第1の旋回方向の方向に作用するようになる。このことは、特に、例えば床洗浄装置のために、誘導部分が、中立位置ではなく、床用ユニットに対して第1の旋回軸線を中心として旋回させられた位置に配置された停止位置が設けられている場合に有利である。このようになっていると、誘導部分が、第3の角度範囲でばね機構によってこの停止位置へと押し退けられる。これによって、一方では、床洗浄装置を停止位置にもたらすことが使用者に容易になる。同時に、床洗浄装置は、逆向きに作用する起立モーメントに基づき停止位置に確実に留まる。このようにして、例えば、停止位置での床洗浄装置の確実な運搬が可能になる。他方では、使用者には、同時に、第1の角度範囲および第2の角度範囲で快適な操作が可能になり、このような操作時には、誘導部分が使用者の手に重い負荷をかけることがなく、誘導部分は、作用する起立モーメントによって支持されている。同時に、第1の旋回軸線を中心とした誘導部分の自由な旋回が可能であり、このことは、操作を極めて容易にする。これによって、全体として、床洗浄装置の極めて易動性の操作が可能になる。
【0032】
本発明の1つの別の態様によれば、第3の角度範囲で第1の旋回方向での旋回時に、起立モーメントの値が増加することが特定されていてよい。停止位置が設けられていると、これによって、誘導部分は、第1の旋回方向での第3の角度範囲における旋回が増加するにつれて、停止位置へとより強く押し退けられる。停止位置は、確実に維持することができる。
【0033】
1つの態様によれば、ばね機構のばね特性線は、第1の旋回方向での第1の旋回軸線を中心とした旋回時に、第3の角度範囲で逓増するように形成されていることが特定されていてよい。
【0034】
本発明の1つの改良形態によれば、さらに、ばね機構は、さらに、第2の角度範囲から第3の角度範囲への移行時に、第1の取付け点にばね力に基づき作用する力ベクトルが第1の旋回軸線を通って延びるように、床用ユニットと誘導部分とに作用結合されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、起立モーメントの値が第2の角度範囲から第3の角度範囲への移行時に0であることを達成することができる。これによって、起立モーメントの方向反転が生じる一種の頂点が形成される。
【0035】
このような構成に関連して、ばね機構は、さらに、ばね力の値が第2の角度範囲から第3の角度範囲への移行時に0とは異なっているように、床用ユニットと誘導部分とに作用結合されていることが特定されていてよい。つまり、このように構成されていると、ばね力は作用するが、しかしながら、このばね力は、第1の旋回軸線を中心とした起立モーメントを発生させない。
【0036】
本発明の1つの改良形態によれば、第1の旋回方向での旋回は、第2の角度範囲または第3の角度範囲を越えることができないということが特定されていてよい。このように構成されていると、第1の旋回方向での第1の旋回軸線を中心とした旋回可能性を制限することが可能になる。このことは、例えば、誘導部分が床用ユニットと接触することによって達成することができる。このようにして、例えば、床洗浄装置のための規定の停止位置を設けることができる。
【0037】
念のために付言しておくと、旋回角とは、概して、誘導部分が床用ユニットに対して相対的に第1の旋回軸線を中心として旋回する場合の中立位置に対する角度を意味している。
【0038】
本発明の1つの構成によれば、第3の角度範囲におけるばね力は、正弦波状の推移を有することが特定されていてよい。
【0039】
本発明の1つの態様によれば、第1の角度範囲から第2の角度範囲への移行時における中立位置に対する旋回角は、80°~10°、好適には70°~30°であることが特定されていてよい。このことは、負荷を使用者に全くかけないかまたは僅かしかかけない、床洗浄装置の快適な操作を可能にする。同時に、45°を上回る旋回角にわたる旋回も容易に可能である。
【0040】
本発明の1つの構成によれば、第1の角度範囲から第2の角度範囲への移行時における中立位置に対する旋回角は、実質的に70°であることが特定されていてよい。
【0041】
本発明の1つの別の態様によれば、第2の角度範囲の、中立位置とは反対側の終端における中立位置に対する旋回角は、少なくとも70°、好適には少なくとも80°、特に好適には少なくとも90°であることが特定されていてよい。
【0042】
本発明の1つの別の態様によれば、第3の角度範囲の、中立位置とは反対側の終端における中立位置に対する旋回角は、少なくとも70°、好適には少なくとも80°、特に好適には少なくとも90°であることが特定されていてよい。
【0043】
本発明の1つの構成によれば、ばね機構は、第1の旋回方向とは逆向きの第2の旋回方向での中立位置からの旋回時に、第4の角度範囲で誘導部分にばね力を加えないことが特定されていてよい。このように構成されていると、誘導部分を第4の範囲で自由に旋回させることができる。
【0044】
本発明の1つの改良形態では、第1の取付け点は、第1の旋回方向とは逆向きの第2の旋回方向での中立位置からの旋回に関して、第4の角度範囲において、ばね機構が誘導部分にばね力を加えないように、誘導部分から少なくとも段階的に切り離されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、第4の角度範囲では、ばね機構の影響なしに旋回を簡単に行うことができる。
【0045】
1つの態様によれば、第4の角度範囲は第1の角度範囲に続いていることが特定されていてよい。このとき、誘導部分の中立位置は、第1の角度範囲を第4の角度範囲に接続することが特定されていてよい。
【0046】
本発明の1つの改良形態では、第1の取付け点はキャリッジに形成されており、このキャリッジは、中立位置から第2の旋回方向への旋回時に誘導部分に対して相対的にキャリッジガイド内で走行可能であることが特定されていてよい。このように構成されていると、第4の角度範囲で誘導部分から切り離されている取付け点の誘導運動が可能になる。
【0047】
本発明の1つの別の態様によれば、キャリッジガイドは、キャリッジに誘導部分に対して相対的に円弧形の運動を予め設定しており、円弧形状の中心点が第1の旋回軸線に配置されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、ばね機構が第4の角度範囲でばね力の変化を被らないことを達成することができる。全体として、第4の角度範囲での第1の旋回軸線を中心とした誘導部分の旋回を容易にすることができる。
【0048】
本発明の1つの改良形態によれば、キャリッジは、中立位置から第1の旋回方向への旋回時に、第1の角度範囲および/または第2の角度範囲および/または第3の角度範囲でキャリッジストッパに当接することが特定されていてよい。このように構成されていると、中立位置を起点としたキャリッジストッパへのキャリッジの当接時に、ばね力を床用ユニットと誘導部分との間で発生させることができる。
【0049】
本発明の1つの態様によれば、ばね機構は、床用ユニットに配置された第2の取付け点を有することが特定されていてよい。
【0050】
本発明の1つの有利な改良形態によれば、ジョイントアセンブリは、第2の旋回軸線を中心とした床用ユニットに対して相対的な誘導部分の旋回運動を可能にする第2の旋回ジョイントを有することが特定されていてよい。このように構成されていると、全体として、床用ユニットに対して相対的な誘導部分の旋回可能性を増加させることができる。これによって、床洗浄装置がフレキシブルにかつ容易に操作可能となる。
【0051】
本発明の1つの態様によれば、第2の旋回軸線は、第1の旋回軸線に対して実質的に垂直に配置されていることが特定されていてよい。
【0052】
本発明の更なる1つの態様によれば、第2の旋回軸線は、中立位置で推進方向に対して実質的に平行に配置されていてよい。このように構成されていると、全体として床洗浄装置の良好な操作快適性もしくは良好な取扱い可能性を得ることができる。
【0053】
本発明の1つの改良形態によれば、ツールが、駆動装置によって床面に対して相対的に運動可能であることが特定されていてよい。このように構成されていると、床洗浄装置の清掃性能の少なくとも一部を駆動装置によって提供することができる。これによって、使用者によって可能な単位面積当たりの処理能力を高めることができる。さらに、操作快適性を高めることができる。
【0054】
本発明の1つの別の構成によれば、床洗浄装置は、推進方向への床面に対する推進作用を発生させるように構成されていることが特定されていてよい。このように構成されていると、使用者のための操作快適性を高めることができる。
【0055】
この場合、1つの改良形態では、ツールは、推進作用を少なくとも部分的に運転状態で発生させることが特定されていてよい。このように構成されていると、床洗浄装置の所要の構成要素の数を減じることができる。そして、推進作用を発生させるための別個の推進ユニットを不要にすることができる。これによって、コストを節約することができる。
【0056】
1つの態様によれば、ばね機構は、ボーデンワイヤ、リンク機構、レバーおよび/または伝動装置によって床用ユニットおよび/または誘導部分に連結されていることが特定されていてよい。
【0057】
1つの有利な改良形態によれば、ばね機構は、実質的に床用ユニット内にまたは床用ユニットに接してまたは誘導部分内にまたは誘導部分に接して配置されていて、ボーデンワイヤ、リンク機構、レバーおよび/または伝動装置によって床用ユニットもしくは誘導部分、特に第1の取付け点もしくは第2の取付け点に連結されていることが特定されていてよい。
【0058】
本発明の1つの構成によれば、第2の旋回軸線は、床面に対して垂直に延びかつ推進方向を規定する方向ベクトルを有する旋回軸線平面に位置していることが特定されていてよい。
【0059】
本発明の1つの改良形態によれば、誘導部分は、床用ユニットに対して相対的に第1の旋回軸線を中心とした旋回に関して、特に第1の旋回方向で一時的に固定可能または支持可能であることが特定されていてよい。このように構成されていると、操作快適性を高めることができる。
【0060】
本発明の1つの態様によれば、ジョイントアセンブリは、第1の旋回ジョイントを第2の旋回ジョイントに結合する結合要素を有し、結合要素は、床用ユニットに対して第1の旋回軸線を中心として旋回可能であり、誘導部分は、結合要素に対して第2の旋回軸線を中心として旋回可能であることが特定されていてよい。
【0061】
本発明の1つの構成によれば、誘導部分は、第2の旋回軸線に対して垂直にかつ中立位置で第1の旋回軸線に対して垂直に配向された長手方向軸線を有することが特定されていてよい。
【0062】
本発明の1つの改良形態によれば、床用ユニットのツールは、運転状態で床面に対して実質的に平行に方向付けられた回転軸線を有する少なくとも1つの回転駆動されるブラシ、回転駆動されるプレート、回転駆動されるディスク、回転駆動される多角形の洗浄要素またはこれに類するものを有することが特定されていてよい。
【0063】
本発明の1つの改良形態によれば、ツールは、第1の回転軸線を有する第1のツール要素を有し、第1の回転軸線は、運転状態において、床面に対する垂線に対して平行に方向付けられているかまたは僅かに傾けられて、好適には0.5°~2.5°、特に好適には1.5°の角度で傾けられて方向付けられており、さらに、ツールは、第2の回転軸線を有する第2のツール要素を有し、第2の回転軸線は、運転状態において、床面に対する垂線に対して同様に平行に方向付けられているかまたは僅かに傾けられて、好適には0.5°~2.5°、特に好適には1.5°の角度で傾けられて方向付けられており、第1のツールと第2のツールとは、互いに逆方向に回転するように構成されており、第1の回転軸線と第2の回転軸線とは、互いに逆向きの回転方向で傾けられていることが特定されていてよい。
【0064】
本発明の1つの態様によれば、床洗浄装置は、さらに、パーティクルおよび/または液体を床面から吸い上げるように構成されたパーティクル収容ユニット、例えば吸引ユニットを備えてよい。これによって、清掃性能を改善することができる。
【0065】
このような構成では、吸引ユニットは、床用ユニットまたは誘導部分に配置された、負圧を発生させるように構成された少なくとも1つの吸引タービンを備えることが特定されていてよい。
【0066】
1つの改良形態によれば、床洗浄装置は、吸い上げられたパーティクルおよび/または液体を捕集するように構成された捕集タンクもしくは排水容器を備え、捕集タンクは、特に、誘導部分または床用ユニットに取外し可能に配置されている。
【0067】
本発明の1つの別の構成によれば、床洗浄装置は、洗浄剤を、好適には供給装置を介して少なくとも1つのツールに提供するように構成された洗浄剤タンクもしくは清水容器を備え、洗浄剤タンクは、床用ユニットまたは誘導部分に配置されていてよい。このように構成されていると、清掃性能を高めることができる。洗浄剤としては、水または洗浄添加物を含んだ水を用いることができる。
【0068】
タンクおよび容器という用語は、本願の範囲内では同義として使用することができる。
【0069】
以下に、本発明の実施形態を以下の図面に基づき例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】本発明に係る床洗浄装置の第1の実施例の立体図である。
図2】本発明に係る床洗浄装置の第2の実施例の概略図である。
図3a】それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図3b】それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図3c】それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図3d】それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図4a】力ベクトルの代替的な方向付けを含む、それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図4b】力ベクトルの代替的な方向付けを含む、それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図4c】力ベクトルの代替的な方向付けを含む、それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図4d】力ベクトルの代替的な方向付けを含む、それぞれ異なる旋回角に対する床洗浄装置の詳細の概略図である。
図5】本発明に係る床洗浄装置の第3の実施例の概略図である。
図6】本発明に係る床洗浄装置の第4の実施例の概略図である。
図7】第1の旋回角を有する場合の本発明に係る床洗浄装置の第5の実施例の概略図である。
図8】第2の旋回角を有する場合の本発明に係る床洗浄装置の第5の実施例の概略図である。
【0071】
図1には、本発明に係る床洗浄装置10の第1の実施例が斜視図で示してある。床洗浄装置10は、ジョイントアセンブリ16によって互いに枢動自在に結合された床用ユニット12と誘導部分14とを備えている。
【0072】
ジョイントアセンブリ16は第1の旋回ジョイント18を備えており、この第1の旋回ジョイント18は、第1の旋回軸線Aを中心とした、床用ユニット12に対して相対的な誘導部分14の旋回を可能にする。さらに、ジョイントアセンブリ16は第2の旋回ジョイント20を備えており、この第2の旋回ジョイント20は、第2の旋回軸線Bを中心とした、床用ユニット12に対して相対的な誘導部分14の旋回を可能にする。第1の旋回軸線Aと第2の旋回軸線Bとは、互いに離間させられてかつ互いに直交して結合要素22に配置されており、この結合要素22は、第1の旋回ジョイント18を第2の旋回ジョイント20に結合している。
【0073】
床用ユニット12には、ブラシ状の2つのツール24,26が割り当てられている。両ツール24,26は、床用ユニットハウジング28を越えて床の方向に突出していて、さらに、床用ユニットハウジング28内に配置された駆動装置(詳しくは図示しない)によって駆動されている。ツール24,26は、床洗浄装置10の運転状態でツール24,26の回転に基づき推進方向Vにおける推進作用が発生するように、床面に対して傾けられている。床用ユニットハウジング28の前方上面には、互いに離間させられた2つの運搬ローラ30,32が配置されている。床用ユニットハウジング28には、さらに、吸引ユニットの構成部分として吸引レール34が配置されており、この吸引レール34は、床用ユニットハウジング28の後方で円弧形に延在していて、床用ユニットハウジング28を少なくとも部分的に取り囲んでいる。吸引レール34には支持ホイール36が配置されており、本実施例では支持ホイール36のうちの1つだけが見えていて、第2の支持ホイールは床用ユニット12によって隠されている。さらに、床用ユニットハウジング28には容器38が取り付けられており、この容器38は、床洗浄装置10へのエネルギ供給のためのバッテリ用の容器として働く。床用ユニット12の上側には、さらに、ホース接続要素40が形成されており、このホース接続要素40には、吸引ユニットの吸引ホース42が連結されている。
【0074】
吸引ホース42はその他方の端部で排水容器44に連結されており、この排水容器44は、誘導部分14のシャフト45に配置されている。このようにして、吸引レール34によって床面もしくは洗浄面(図示せず)から収容された汚水を吸引ホース42を介して排水容器44に搬送することができる。排水容器44は、シャフト45に取外し可能に連結されている。
【0075】
シャフト45には、さらに、シャフト45の、排水容器44とは反対に位置する側に、清水容器46が形成されている。このようにして、清水管路(図示せず)を介して、床用ユニット12とツール24,26の領域における床とに清水を供給することができる。清水と呼ぶのは、洗浄のために設けられている液体のことである。この液体は必ずしも純粋な水である必要がない。この液体は、洗浄剤であってもよいし、洗浄剤または洗浄物質を添加した水であってもよい。
【0076】
シャフト45には、排水容器44および清水容器46の下に、吸引ユニットの、排水容器44に連結された吸引タービン47が形成されており、この吸引タービン47は、排水容器44内で汚水を吸い込むための負圧を発生させる。
【0077】
誘導部分14もしくはシャフト45は、長手方向軸線Lを有しており、この長手方向軸線Lは、第2の旋回軸線Bに直交して配置されている。本実施例では、第2の旋回ジョイント20は変位させられていないので、長手方向軸線Lも第1の旋回軸線Aに対して直交して配向されている。
【0078】
シャフト45の上側の端部にはグリップ48,50が配置されており、これらのグリップ48,50は断面円形に形成されていて、長手方向軸線Lに対して直交して配向されたグリップ軸線Gに沿って延在している。本実施例では、グリップ軸線Gは、さらに、第1の旋回軸線Aに対して平行に配置されている。同様にシャフト45には、グリップ48,50の下に操作要素52,54が形成されている。これらの操作要素52,54を用いて、床洗浄装置10の機能を作動させるかまたは停止させることができる。
【0079】
本発明に係るばね機構は、図1からはまだその詳細が分からない。それというのは、ばね機構は、ジョイントアセンブリ16によって覆われているからである。したがって、以下の図面に関連させて、ばね機構について詳細に触れる。
【0080】
図2には、本発明に係る床洗浄装置110の第2の実施例が概略的に示してあり、この図は、推進方向Vで右から見た図である。図1とは異なり、床洗浄装置110は簡略化されていて、単に概略的にしか示していない。
【0081】
この実施例でも誘導部分114のシャフト145を認識することができ、このシャフト145に、清水容器146と排水容器144と吸引タービン147とが取り付けられている。さらに、シャフト145の上側の端部にはグリップ148,150が配置されている。
【0082】
誘導部分114は、ジョイントアセンブリ116によって床用ユニット112に連結されている。より正確に言えば、誘導部分114は、ジョイントアセンブリ116の第2の旋回ジョイント120に連結されている。さらに、床用ユニット112には支持ブラケット156が形成されており、この支持ブラケット156は、ジョイントアセンブリ116もしくは第1の旋回ジョイント118を床用ユニット112の床用ユニットハウジング128に連結している。しかしながら、この種の取付けは概略的な図示によるものであり、図1から分かるように、第1の旋回ジョイント118を支持ブラケット118なしに床用ユニットに直接取り付けることによって解決されていてもよい。
【0083】
床用ユニット112には、ブラシ状のツール124,126が配置されており、このツール124,126は、洗浄すべき床面158に接触している。さらに、床用ユニット112の容器138を認識することができる。
【0084】
さらに、本発明に係るばね機構160が示してあり、このばね機構160は、その一方の端部で第1の取付け点164を介してシャフト145の結合要素延長部162に連結されていて、他方の端部で第2の取付け点166を介して床用ユニット112の支持ブラケット156に連結されている。結合要素延長部162は、旋回ジョイント118もしくは第1の旋回軸線Aを越えてシャフト145の延長部を形成していて、第1の取付け点164を第1の旋回軸線Aから離間させている。第2の取付け点166は、支持ブラケット156にほぼ第1の旋回軸線Aとほぼ同じ高さで配置されている。ばね機構160は、本実施例では引張ばねとして形成されており、この引張ばねは、誘導部分114の中立位置で床用ユニット112と誘導部分114との間に力を発生させない。言い換えると、ばね機構160は中立位置では変位していない。しかしながら、本実施例では、誘導部分114は、中立位置から第1の旋回軸線Aを中心として床用ユニット112に対して相対的に約30°の旋回角だけ第1の旋回方向S1に旋回させられている。これによって、本実施例ではコイルばねの形態のばね機構160は伸ばされていて、ばね力を発生させており、このばね力は、第1の取付け点164に作用し、ここでは、ばね機構160の、両方の取付け点164,166の間で自由な推移に基づき、第2の取付け点166の方向に引っ張る。このばね力は、ばね機構160の方向にもしくは第1の取付け点164から第2の取付け点166に方向付けられた力ベクトルであると言うことができる。この力ベクトルは、第1の旋回軸線Aに対して離間させられていて、これによって、第1の旋回軸線を中心として誘導部分114の中立位置の方向で誘導部分114に作用するトルク、いわゆる起立モーメントを発生させる。
【0085】
第1の取付け点164は、第1の旋回軸線Aを中心とした床用ユニット112に対して相対的な誘導部分114の旋回時に、第1の旋回軸線Aを中心とした円弧に沿って運動する。これによって、ばね機構160の方向付けと協働して、ばね機構160は、誘導部分114が床用ユニット112に対して相対的に第1の旋回軸線Aを中心として第1の旋回方向S1で旋回させられた場合に伸ばされる。第1の取付け点164は、第2の取付け点166から離れる。つまり、ばね力はまず強く増加する。しかしながら、旋回が進めば進むほど、ばね機構112の伸びの増加は、それに応じて小さくなる。これによって、ばね力も相応に僅かしか増加しない。同時に、ばね力に基づき発生する力ベクトルは、旋回が進めば進むほど第1の旋回軸線Aに接近する。旋回が進めば進むほど、力ベクトルはより大きく第1の旋回軸線Aに接近する。このことも円弧形状に起因することである。中立位置に対して約90°の旋回時に、力ベクトルは第1の旋回軸線Aを通って延びるので、ばね力は起立モーメントを発生することができない。ばね機構160の配置形態に基づき生じる変化するばね力と、第1の旋回軸線Aを中心とした第1の取付け点164の生じる推移と、第1の旋回軸線Aに対する発生した力ベクトルの生じる変化する間隔とのこの協働によって、起立モーメントは、誘導部分114が床用ユニット112に対して相対的に中立位置を起点として第1の旋回軸線Aを中心として第1の旋回方向S1で旋回する場合に、第1の角度範囲では増加し、これに続く第2の角度範囲では減少する。第2の角度範囲に続く第3の角度範囲では、起立モーメントMは負であり、その値が増加する。
【0086】
本発明の根底にある作用原理を明らかにするために、作用原理を例として示す図3a~図3dおよび図4a~図4dが参照される。
【0087】
全ての図3a~図3dにはそれぞれ、第2の実施形態からも知られている結合要素延長部162が示してあり、結合要素延長部162は、概略的にかつ異なる旋回角に対して示してある。さらに、簡単にするために、本実施例ではばね力で示してある力ベクトルFは、第1の旋回ジョイント118の第1の旋回軸線Aに対して一定の方向付けおよび配向を有していると仮定されている。しかしながら、これは、その他の図から明らかであるように必須ではない。例えば概略的に示したばね機構160によって発生させられた力ベクトルFは、図3aでは長手方向軸線Lに対して直交するように配向されていて、左を指している。図3aには、誘導部分114が床用ユニット112に対して相対的に中立位置にある場合が示してある。上述したように、ばね機構は中立位置ではばね力を発生させないので、力ベクトルFは値0を有している。さらに、図3には、ばね機構によって発生させられた、中立位置の方向への起立モーメントMが示してある。しかしながら、ばね機構160は、上述したように、中立位置でばね力を発生させないので、起立モーメントMの値もまた同様に0である。
【0088】
図3bには、誘導部分114が床用ユニット112に対して相対的に第1の旋回軸線Aを中心として第1の旋回方向A1で中立位置から旋回させられている場合が示してある。これによって、図示の結合要素延長部162もまた相応に旋回させられている。これにより、本実施例では約45°である旋回角αが生じている。第1の取付け点164は、図3aに示した中立位置に対して右に向かって旋回させられていることを認識することができる。この位置変化に基づき、ばね機構は伸ばされ、この伸びによってばね力は高められる。このばね力は、第1の旋回軸線Aを中心とした起立モーメントMを発生させ、この起立モーメントMは中立位置の方向に作用する。
【0089】
図3cには、90°の旋回角αが示してある。第1の取付け点164が、図3aに示した中立位置に対しても図3bに示した旋回角に対してもさらに右に向かって旋回させられていることを認識することができる。より正確に言えば、第1の取付け点164は、いまや第1の取付け点164と第1の旋回軸線Aとの間の間隔の値だけ、図3aに示した中立位置に対して旋回させられている。そして、この位置変化に基づきばね機構160は伸ばされる。しかしながら、ばね力Fもしくは発生する力ベクトルFは、いまや第1の旋回軸線Aを通って延びているので、起立モーメントMの値は0である。
【0090】
図3dには、90°を上回る旋回角α、つまり、中立位置に対して約110°の旋回角αが示してある。中立位置に対してばね機構160は、さらに右に向かって旋回させられているので、ばね機構160は伸ばされている。これによって、同様にばね力が発生させられる。しかしながら、ばね力によって生じる力ベクトルFは、いまや第1の旋回軸線Aを中心として他方の側で延びていて、これによって、負である起立モーメントMを発生させる。このことは、本実施例では起立モーメントMのための矢印によって示してあり、この起立モーメントMは、図3a~図3cとは逆向きの配向を有している。つまり、最終的には、もはや中立位置の方向に第1の旋回方向S1とは逆向きに向けられているのではなく、第1の旋回方向S1の方向に作用する起立モーメントMが発生させられる。これは、誘導部分114に対して、ばね機構が誘導部分114を中立位置から押し離すことを意味している。
【0091】
ばね機構160の配置形態に基づき発生する変化するばね力と、第1の旋回軸線Aを中心として発生する第1の取付け点164の推移と、発生する力ベクトルと第1の旋回軸線Aとの間で発生して変化する間隔との協働によって、起立モーメントMは、誘導部分114が床用ユニット112に対して相対的に中立位置を起点として第1の旋回軸線Aを中心に第1の旋回方向S1の方向に旋回するときに、第1の角度範囲では増加し、それに続く第2の角度範囲では減少する。第2の角度範囲には第3の角度範囲が続いており、この第3の角度範囲では起立モーメントMは負であり、起立モーメントMの値は、第1の旋回方向における旋回の増加に連れて増加する。例えば第1の角度範囲は、ばね定数を備えたばね機構160では、0から約70°までの旋回角αである。次いで、第2の角度範囲は、例えば約70~90°までの旋回角αである。本実施例では、起立モーメントMは、第1の角度範囲の開始時におけるばね力が存在しないことに基づき0であり、第2の角度範囲の終了時にも、てこ腕が存在しないことに基づき同様に0である。第1の角度範囲と第2の角度範囲との合計は、本実施例では約90°の旋回角αを生じさせる。第3の角度範囲は、90°の旋回角αで始まる。
【0092】
図4a~図4dにはそれぞれ、図3a~図3dに関連して示した、異なる旋回角に対する結合要素延長部162が示してあり、力ベクトルFは、図3a~図3dとは異なり変化する方向付けを有している。さらに簡単にするために、第1の旋回軸線Aを中心とした旋回時における力ベクトルFの方向付けは等しいままであると仮定されている。しかしながら、このことは、その他の図から明らかになるように必須ではない。より正確に言えば、力ベクトルFは、確かに第1の取付け点164で設定してあるが、しかしながら、力ベクトルFは、長手方向軸線に対して約60°の角度だけ傾けられていて、左上を指している。図3aに関連しても述べたように、ばね機構160は中立位置ではばね力を発生しない。したがって、図4aに示した力ベクトルFの値は0であり、起立モーメントMも0である。
【0093】
図4bには、約45°の旋回角αに対する結合要素延長部162が示してある。第1の取付け点164は、図4aに示した中立位置に対して右に向かって旋回させられているので、ばね機構160は長さ変化させられていて、ばね力を発生しており、このばね力は、第1の取付け点164に作用する力ベクトルFによって示してある。言い換えると、第1の取付け点164はいまや第2の取付け点166からさらに離されている。力ベクトルFは、第1の旋回軸線Aに対して離間させられているので、力ベクトルFは、第1の旋回軸線Aを中心とした起立モーメントMを発生させ、この起立モーメントMは、本実施例では時計回り方向に配向されていて、したがって、第1の旋回方向S1とは逆向きに作用する。これによって、誘導部分114は、ばね機構160によって中立位置の方向に押し退けられる。
【0094】
図4cには、約60°の旋回角αに対する結合要素延長部162が示してある。これによって、第1の取付け点164は、確かに、図4bに比べてさらに第2の取付け点166から離されているので、ばね機構160はさらに増加されたばね力を発生させている。しかしながら、力ベクトルFは、いまや第1の旋回軸線Aを通って延びているので、起立モーメントMの値は0である。
【0095】
図4dには、約90°の旋回角αに対する結合要素延長部162が示してある。これによって、第1の取付け点164は、確かに、図4cに比べてさらに第2の取付け点166の近くに位置しているので、ばね機構160は、比較的減少させられたばね力を発生している。しかしながら、いまや力ベクトルFは、第1の旋回軸線Aに対して間隔を置いて延びているので、力ベクトルFは、起立モーメントMを発生させる。このとき、力ベクトルは、旋回軸線Aの他方の側で延びているので、起立モーメントはいまや負である。図4dには、このことが、起立モーメントMの逆向きの配向によって示してあり、この起立モーメントMは、いまやもはや時計回り方向ではなく、反時計回り方向に作用している。これによって、起立モーメントは、第1の旋回方向S1の方向に作用する。これによって、誘導部分114は、ばね機構160のばね力に基づき中立位置から押し離される。
【0096】
図3a~図3dとの比較から認識できるように、ばね機構160の変化する方向付けに基づき、旋回角αの、起立モーメントMが増加する第1の角度範囲と、旋回角αの、起立モーメントMが減少する第2の角度範囲と、旋回角αの、起立モーメントMが負である第3の角度範囲であって、起立モーメントMが第1の旋回方向S1における旋回時に値を増加する第3の角度範囲とを発生させるためには、既に90°の旋回角αの角度範囲で十分である。
【0097】
図5には、本発明に係る床洗浄装置210の第3の実施例が概略的に示してある。床洗浄装置210は、図2に基づき知られた床洗浄装置110をベースにしているので、合致している構成部分については新たに触れずに、図2に関連して行った説明が参照される。しかしながら、第1の取付け点264は、この実施例では、結合要素延長部262にではなく、結合要素222自体に配置されている。これによって、第1の取付け点264は、いまや第1の旋回軸線Aの他方の側に位置している。さらに、第2の取付け点266は支持ブラケット256に配置されているが、しかしながら、また図2とは異なり第1の旋回軸線Aの他方の側に配置されている。ばね機構260は、この実施例でも中立位置でばね力を加えない引張ばねとして形成されている。
【0098】
これによって、認識できるように、本発明に係る作用は、ばね機構260と取付け点266,264との代替的な配置形態によっても得ることができる。さらに、結合要素延長部262も省くことができる。
【0099】
図6には、本発明に係る床洗浄装置310の第4の実施例が概略的に示してある。この床洗浄装置310は、図2に基づき知られた床洗浄装置110をベースにしているので、合致している構成部分については新たに触れずに、図2に関連して行った説明が参照される。しかしながら、ばね機構360は、この実施例では圧縮ばねとして形成されている。第1の取付け点364は、同様に結合要素延長部362に配置されている。第2の取付け点366は、図5から知られるように床用ユニット312の支持ブラケット356に配置されている。ばね機構360は、第1の取付け点364と第2の取付け点366とに取り付けられている。ばね機構360は、このばね機構360が中立位置ではばね力を発生しないように形成されている。これによって、中立位置を起点とした第1の旋回軸線Aを中心とした第1の旋回方向S1での誘導部分314の旋回時に、旋回角の第1の角度範囲では、誘導部分314を中立位置の方向に押し退ける起立モーメントは増加し、旋回角の第2の角度範囲では、誘導部分314を中立位置の方向に押し退ける起立モーメントは減少する。したがって、第1の角度範囲および第2の角度範囲で、起立モーメントは第1の旋回方向S1とは逆向きに作用する。これに対して、旋回角の第3の角度範囲、本実施例では約90°の旋回角以上では、起立モーメントは第1の旋回方向の方向に作用する。
【0100】
図7には、第1の旋回角αが0の場合の本発明に係る床洗浄装置410の第5の実施例が概略的に示してある。したがって、誘導部分414は中立位置にある。第5の実施例は、図2に示した第2の実施例をベースとしているので、図2に関連して行った説明が参照される。第2の実施例に加えて、本実施例の床洗浄装置410は、代替的な結合要素延長部462を備えて形成されており、この結合要素延長部462は、円セグメントの形状を有している。結合要素延長部462には、円弧形のキャリッジガイド468が形成されており、この円弧形状は、第1の旋回軸線Aに対してほぼ均一な間隔を置いて延びている。キャリッジガイド468内には、キャリッジ470が配置されており、このキャリッジ470に第1の取付け点464が配置されている。キャリッジガイド468は、キャリッジ470が誘導部分414の図示の中立位置で当接するキャリッジストッパ472を形成している。
【0101】
第2の実施形態のように、ばね機構460は、中立位置でばね力を発生させない引張ばねである。キャリッジ470は、キャリッジガイド468内で走行可能に支持されている。第1の旋回軸線Aを中心とした第1の旋回方向S1の方向での誘導部分414の旋回は、上述したように、ばね力と起立モーメントとを角度範囲における異なる旋回角に対して生じさせる。しかしながら、誘導部分414が、第1の旋回方向S1とは逆に、第2の旋回方向S2で中立位置から第1の旋回軸線Aを中心として旋回させられると、少なくとも旋回角αの第4の旋回範囲内では、ばね力は発生させられず、ひいては、起立モーメントも発生させられない。これについて以下に図8に関連して説明する。
【0102】
図8には、旋回角が変化させられた場合の、本発明に係る床洗浄装置410の第5の実施例が概略的に示してある。したがって、床洗浄装置410は、図7に示した床洗浄装置に相当しているが、しかしながら、誘導部分414は、中立位置から第1の旋回方向S1とは逆向きに第2の旋回方向S2の方向で約30°の旋回角αだけ第1の旋回軸線Aを中心として旋回させられている。ここで認識できるように、キャリッジ470はキャリッジガイド468内で移動させられていて、もはやキャリッジストッパ472に当接しておらず、キャリッジストッパ472に対して離間させられて位置している。このことは、ばね機構460に起因することであり、このばね機構460は、キャリッジ470をキャリッジガイド468に沿って移動させることによって、誘導部分414の中立位置でも有している変位していない状態を維持している。これによって、第1の取付け点464もキャリッジ470と一緒に結合要素延長部462に対して相対的に移動させられるが、しかしながら、床用ユニット412および第2の取付け点466に対しては相対的にその位置を変化させていない。
【0103】
全体として、これによって、誘導部分414は、ばね機構460がばね力を誘導部分414に加えることなしに、第4の角度範囲では中立位置を起点として第1の旋回軸線Aを中心として第2の旋回方向S2の方向で旋回させられ、また中立位置へと旋回して戻させる。第4の角度範囲は、本実施例では約90°である。しかしながら、キャリッジガイド468もしくは結合要素延長部462は他の構成を有していてもよいので、より大きな第4の角度範囲またはより小さな第4の角度範囲を提供することができる。同時にばね機構460は、誘導部分414が中立位置から第1の旋回方向S1で第1の旋回軸線Aを中心として床用ユニット412に対して相対的に旋回させられる場合にばね力を発生させる。これによって、第5の実施例は、第4の角度範囲における自由な旋回の利点と、ばね力によって影響される、上述したような第1の角度範囲、第2の角度範囲および第3の角度範囲における旋回の利点とを1つにまとめている。
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図4a
図4b
図4c
図4d
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】