(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】自動車投光器用照明装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/24 20180101AFI20240705BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20240705BHJP
F21W 102/155 20180101ALN20240705BHJP
【FI】
F21S41/24
F21S41/143
F21W102:155
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503705
(86)(22)【出願日】2022-06-20
(85)【翻訳文提出日】2024-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2022066693
(87)【国際公開番号】W WO2023001462
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ガランダー、ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ピューリンガー、ヤ-コプ
(72)【発明者】
【氏名】クリスト、ベネディクト
(57)【要約】
【課題】セグメント化遠方光用光分布を生成する自動車投光器用照明装置の改善。
【解決手段】セグメント化遠方光用光分布を生成するための自動車投光器用照明装置。照明装置(10)は、規定可能なセグメント化遠方光用光分布(FL)を生成するための複数の導光体(200)を含む光学体(100)、但し複数の導光体(200)は夫々光入射面(210)と出射面(220)を有する、及び、光軸(A)を備え、光学体(100)の光路に後置された投影光学系(300)、但し投影光学系(300)は共通の出射面(220a)から出射する光が主放射方向(X)の方向において照明装置(10)の前方に結像するよう構成されている、を含む。各導光体(200)は2つの横側の側面(230a、230b)と上側の側面(240a)及び下側の側面(240b)とを有し、光学体(100)は第1光放射半部(L1)及び第2光放射半部(L2)を有し、これらの半部は仮想垂直面(VE)によって互いに対し境界形成可能に構成されており、第1光放射半部(L1)の第1導光体(200a)は第1照度極大値(M1)の形成に関与し、第2光放射半部(L2)の第1導光体(200b)は第2照度極大値(M2)の形成に関与し、
入射面(210)の面中心点(FM2)は、対応する出射面(220)の面中心点(FM1)に対し、水平シフト(H-off)と下方へ指向された垂直シフト(V-off)を有し、仮想垂直面(VE)から離れる側に指向されているこれらの第1導光体(200a、200b)の横側の側面(230a)は凸状に形成されており、かつ、入射面(210)のシフトとの組み合わせによって、対応する光源(50)の光を前記光軸(A)の方向へ向けるよう構成されることにより、遠方光用光分布(FL)における第1照度極大値(M1)と第2照度極大値(M2)との間の照度を増大し、かくして、測定スクリーンの交点(HV)は、遠方光用光分布(FL)の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント化遠方光用光分布を生成するための、自動車投光器用の照明装置であって、
前記遠方光用光分布(FL)は、光分布を測定するための測定スクリーンの水平線(H-H)と垂直線(V-V)の交点(HV)が前記遠方光用光分布(FL)の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられるよう形成されかつ前記遠方光用光分布(FL)内に位置付けられた第1照度極大値(M1)及び第2照度極大値(M2)を有し、
前記照明装置(10)は、
・1つの基体(110)と光源(50)の光から規定可能なセグメント化遠方光用光分布(FL)を生成するための前記基体(110)から突出する複数の導光体(200)とを含む光学体(100)、但し前記複数の導光体(200)は夫々光源(50)からの光が入射可能な光入射面(210)と出射面(220)とを有し、前記出射面(220)からは、夫々の導光体(200)において供給可能な光が出射し、隣り合う導光体(200)の出射面(220)は互いに直接的に境を接しかつ前記光学体(100)の共通の出射面(220a)を形成し、前記光学体(100)の複数の導光体(200)は直線(G)に沿って少なくとも1列に配置されている、
・複数の光源(50)、但し少なくとも1つの光源(50)は夫々1つの導光体(200)の入射面(210)に割り当てられている、
・光軸(A)を備え、前記光学体(100)の光路に後置された投影光学系(300)、但し前記投影光学系(300)は、前記共通の出射面(220a)から出射する光が主放射方向(X)の方向において前記照明装置(10)の前方に結像するよう、構成されており、前記投影光学系(300)の光軸(A)は前記交点(HV)と交差しており、前記光軸(A)は前記照明装置(10)の主放射方向(X)に対し平行をなしている、
を含み、
前記主放射方向(X)に対し直角に、第1仮想軸(y)及び第2仮想軸(z)が配されており、前記第1仮想軸(y)と前記第2仮想軸(z)は同様に互いに対し直角に配向されており、前記照明装置(10)が自動車投光器に適切に搭載された状態において、前記第1仮想軸(y)は水平面にかつ前記第2仮想軸(z)は垂直面に配されており、
各導光体(200)は、前記照明装置(10)が自動車に適切に搭載された状態で見て、2つの横側の側面(230a、230b)と、上側の側面(240a)及び下側の側面(240b)とを有し、これらの側面(230a、230b、240a、240b)は、前記入射面(210)から前記共通の出射面(220a)の方向へ延伸しかつ前記導光体(200)を少なくとも部分的に画成すること、
前記光学体(100)は第1光放射半部(L1)及び第2光放射半部(L2)を有し、これらの半部は、前記照明装置(10)が自動車に適切に搭載された状態で見て、前記光学体(100)を貫通して延在する仮想垂直面(VE)であって、当該仮想垂直面(VE)内に前記投影光学系(300)の光軸(A)が延在している仮想垂直面(VE)によって、互いに対し境界形成可能に構成されており、前記第1光放射半部(L1)は前記仮想垂直面(VE)の第1側部(S1)に配置されており、前記第2光放射半部(L2)は前記第1側部(S1)の反対側にある第2側部(S2)に配置されており、
前記仮想垂直面(VE)と直接的に境を接している前記第1光放射半部(L1)の第1導光体(200a)は前記遠方光用光分布(FL)の前記第1照度極大値(M1)の形成に関与し、
前記仮想垂直面(VE)と直接的に境を接している前記第2光放射半部(L2)の第1導光体(200b)は前記遠方光用光分布(FL)の前記第2照度極大値(M2)の形成に関与し、
これらの第1導光体(200a、200b)の入射面(210)は、夫々、対応する出射面(220)に対しシフトを有し、そのため、前記入射面(210)の面中心点(FM2)は、対応する出射面(220)の面中心点(FM1)に対し、前記仮想垂直面(VE)に対し直角に延伸する第1軸(y)に沿って前記仮想垂直面(VE)から遠ざかる方向へ指向された水平シフト(H-off)と、前記第2軸(z)に沿って下方へ指向された垂直シフト(V-off)を有し、及び、
前記仮想垂直面(VE)から離れる側に指向されているこれらの第1導光体(200a、200b)の前記横側の側面(230a)は凸状に形成されており、かつ、前記入射面(210)のシフトとの組み合わせによって、対応する光源(50)の光を前記光軸(A)の方向へ向けるよう構成されることにより、前記遠方光用光分布(FL)における前記第1照度極大値(M1)と前記第2照度極大値(M2)との間の照度を増大し、かくして、測定スクリーンの前記交点(HV)は、前記遠方光用光分布(FL)の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられること
を特徴とする、照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記仮想垂直面(VE)へ指向されている前記これらの第1導光体(200a、200b)の横側の側面(230b)は凹状に形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の照明装置において、
前記これらの第1導光体(200a、200b)の上側の側面(240a)は湾曲するよう形成されている、好ましくは凹状に形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項4】
請求項1~3の何れかに記載の照明装置において、
前記これらの第1導光体(200a、200b)の下側の側面(240b)は湾曲するよう形成されている、好ましくは凸状に形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の照明装置において、
前記複数の導光体(200)の入射面(210)は共通の垂直面に配置されており、前記共通の垂直面は前記主放射方向(X)に対し直角に配向されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項6】
請求項1~5の何れかに記載の照明装置において、
前記複数の光源(50)は、複数の発光ダイオードとして構成されること
を特徴とする、照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置において、
前記複数の発光ダイオードは、互いに独立に制御可能であり、好ましくは互いに独立にオン・オフ切替可能であり、とりわけ互いに独立に減光可能であること
を特徴とする、照明装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れかに記載の照明装置において、
前記光学体(100)の複数の導光体(200)は、前記直線(G)に沿った丁度1つの列に配置されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の照明装置を少なくとも1つ備える自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメント化遠方光用光分布を生成するための、自動車投光器用の照明装置であって、
前記遠方光用光分布は、光分布を測定するための測定スクリーンの水平線と垂直線の交点が前記遠方光用光分布の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられるよう形成されかつ前記遠方光用光分布内に位置付けられた第1照度極大値及び第2照度極大値を有し、
前記照明装置は、
・1つの基体と光源の光から規定可能なセグメント化遠方光用光分布を生成するための前記基体から突出する複数の導光体とを含む光学体、但し前記複数の導光体は夫々光源からの光が入射可能な光入射面と出射面とを有し、前記出射面からは、夫々の導光体において供給可能な光が出射し、隣り合う導光体の出射面は互いに直接的に境を接しかつ前記光学体の共通の出射面を形成し、前記光学体の複数の導光体は直線Gに沿って少なくとも1列に配置されている、
・複数の光源、但し少なくとも1つの光源は夫々1つの導光体の入射面に割り当てられている、
・光軸を備え、前記光学体の光路に後置された投影光学系、但し前記投影光学系は、前記共通の出射面から出射する光が主放射方向の方向において前記照明装置の前方に結像するよう、構成されており、前記投影光学系の光軸は前記交点と交差しており、前記光軸は前記照明装置の主放射方向に対し平行をなしている、
を含み、
前記主放射方向に対し直角に、第1仮想軸及び第2仮想軸が配されており、前記第1仮想軸と前記第2仮想軸は同様に互いに対し直角に配向されており、前記照明装置が自動車投光器に適切に搭載された状態において、前記第1仮想軸は水平面にかつ前記第2仮想軸は垂直面に配されており、
各導光体は、前記照明装置が自動車に適切に搭載された状態で見て、2つの横側の側面と、上側の側面及び下側の側面とを有し、これらの側面は、前記入射面から前記共通の出射面の方向へ延伸しかつ前記導光体を少なくとも部分的に画成する、
照明装置に関する。
【0002】
本発明は、更に、少なくとも1つの本発明の照明装置を備えた自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0003】
法令で定められたECE規則により、光分布(配光パターン)においては、交点HVが遠方光(ハイビーム)用光分布の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置していることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このことは、照明装置ないし自動車投光器(前照灯)の設計可能性を制限し、とりわけ遠方光用光分布がセグメント化されている場合、著しい制限となる。
【0006】
本発明の課題は改善された照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
【0009】
上記の課題は、光学体が第1光放射半部及び第2光放射半部を有し、これらの半部は、照明装置が自動車に適切に搭載された状態で見て、光学体を貫通して延在する仮想垂直面であって、当該仮想垂直面内に投影光学系の光軸が延在している仮想垂直面によって、互いに対し境界形成(区画)可能に構成されており、第1光放射半部は仮想垂直面の第1側部に配置されており、第2光放射半部は第1側部の反対側にある第2側部に配置されており、
仮想垂直面と直接的に境を接している第1光放射半部の第1導光体は遠方光用光分布の第1照度極大値の形成に関与し、
仮想垂直面と直接的に境を接している第2光放射半部の第1導光体は遠方光用光分布の第2照度極大値の形成に関与し、
これらの第1導光体の入射面は、夫々、対応する出射面に対しシフトを有し、そのため、入射面の面中心点は、対応する出射面の面中心点に対し、仮想垂直面に対し直角に延伸する第1軸に沿って仮想垂直面から遠ざかる方向へ指向された水平シフトと第2軸に沿って下方へ指向された垂直シフトを有し、及び、
仮想垂直面から離れる(に背く)側に指向されているこれらの第1導光体の横側の側面は凸状に形成されており、かつ、入射面のシフト(ずれ)との組み合わせによって、対応する光源の光を光軸の方向へ向けるよう構成されることにより、遠方光用光分布における第1照度極大値と第2照度極大値との間の照度を増大し、かくして、測定スクリーンの交点は、遠方光用光分布の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられること、
によって解決される。
【0010】
仮想垂直面へ指向されているこれらの第1導光体の横側の側面は凹状に形成されることが可能である。
【0011】
これらの第1導光体の上側の側面は湾曲するよう形成される、好ましくは凹状に形成されることが可能である。
【0012】
これらの第1導光体の下側の側面は湾曲するよう形成される、好ましくは凸状に形成されることが可能である。
【0013】
複数の導光体の入射面は共通の垂直面に配置されており、共通の垂直面は主放射方向に対し直角に配向されることが可能である。
【0014】
複数の光源は複数の発光ダイオードとして構成されることが可能である。
【0015】
複数の発光ダイオードは、互いに独立に制御可能であり、好ましくは互いに独立にオン・オフ切替可能であり、とりわけ互いに独立に減光可能である。
【0016】
光学体の複数の導光体は、直線に沿った丁度1つの列に配置されることが可能であり、好ましくは、該直線は投影光学系の光軸に対し直角をなす。
【0017】
上記の課題は、本発明の照明装置を少なくとも1つ備える自動車投光器(前照灯)によっても解決される。
【0018】
以下において、本発明は例示的図面を用いて詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】セグメント化遠方光用光分布を生成するための、光源からの光が入射可能な複数の導光体を備えた光学体と該光学体に後置された投影光学系とを含む、例示的照明装置の一例の上面図。
【
図3】導光体の光入射面と光出射面がずらされている様子を示す模式図。
【
図4】2つの照度極大値を有する、
図1の照明装置によって生成可能なセグメント化遠方光用光分布の一例。
【実施例】
【0020】
図1は、セグメント化された遠方光(ハイビーム)用光分布FLを生成するための、自動車投光器(前照灯)用正面装置10の一例を示す。遠方光用光分布FLは第1及び第2照度極大値M1、M2を有する。これらの極大値は、光分布を測定するための測定スクリーンの水平線H-Hと垂直線V-Vの交点HVが遠方光用光分布FLの最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置するよう形成されかつ遠方光用光分布FL内に位置付けられている。この遠方光用光分布FLの一例は
図4に示されている。
【0021】
この条件は、とりわけ欧州連合の官報L250/82に規定された、法令で定められたECE規則に関係するものである。
【0022】
一般的に、等照度曲線は可視(視認)面における相応の照度の分布を規定するものであり、同じ照度の点(複数)は曲線即ち等照度曲線で互いに結び付けられている。
【0023】
図示の例では、照明装置10は複数の光源50と1つの光学体100を含み、光学体100は1つの基体110と、光源50の光から規定(設定)可能なセグメント化遠方光用光分布FLを生成するための該基体110から突出する複数の導光体200を含み、複数の導光体200は夫々光源50からの光が入射可能な光入射面210と出射面220を有し、出射面220からは、夫々の導光体200において供給可能な光が出射する。隣り合う導光体200の出射面220は互いに直接的に境を接し、光学体100の共通の出射面220aを形成する。光学体100の導光体(複数)200は直線Gに沿った丁度1つの列に配置されており、直線Gは投影光学系の光軸Aに対し直角をなしている(直角に配向されている)。
【0024】
ここで、1つの光源50は夫々1つの導光体200の入射面210に割り当てられている。複数の光源50は、この場合、発光ダイオード(複数)として構成されているが、これらの発光ダイオードは互いに独立に制御可能であり、好ましくは互いに独立にオン・オフ切替可能であり、とりわけ互いに独立に減光可能である。
【0025】
更に、導光体(複数)200の入射面(複数)210は(照明装置10が自動車に適切に搭載された状態で見た場合における)共通の垂直面に配されている。該垂直面は主放射方向Xに対して直角に配されている。
【0026】
更に、照明装置10は、光軸Aを備え、例えば1つ以上の投影レンズを含むことが可能な、光学体100の光路に後置された(下流側に配置された)投影光学系300を含む。投影光学系300は、共通の出射面220aから出射する光が主放射方向Xの方向において照明装置10の前方に結像するよう、構成されている。ここで、投影光学系300の光軸Aは交点HVと交差しており、光軸Aは照明装置10の主放射方向Xに対し平行をなしている。
【0027】
更に、主放射方向Xに対し直角に、第1及び第2仮想軸y、zが配されている。第1仮想軸yと第2仮想軸zは同様に互いに対し直角に配向されている。照明装置10が自動車投光器に適切に搭載された状態では、第1仮想軸yは水平面に、第2仮想軸zは垂直面に配されている。
【0028】
更に、各導光体200は、照明装置10が自動車に適切に搭載された状態で見て、2つの横側(水平方向側)の側面230a、230bと、上側及び下側の側面240a、240bとを有する。これらの側面230a、230b、240a、240bは、入射面210から共通の出射面220aの方向へ延伸し、かつ、導光体200を少なくとも部分的に(abschnittsweise)画成する(境界を形成する)。
【0029】
図1及び
図2に示されているように、光学体100は第1及び第2光放射半部L1、L2を有する。これらの半部は、照明装置10が自動車に適切に搭載された状態で見て、主放射方向Xの軸及び第2軸zによって規定されかつ光学体100を貫通して延在する仮想垂直面VEであって、当該仮想垂直面VE内に投影光学系300の光軸Aが延在している仮想垂直面VEによって、互いに対し境界形成(区画)可能に構成されている。この場合、各光放射半部L1、L2は同数の導光体200を有する。
【0030】
第1光放射半部L1は仮想垂直面VEの第1側部S1に配置されており、第2光放射半部L2は第1側部S1の反対側にある第2側部S2に配置されている。
【0031】
仮想垂直面VEと直接的に境を接している(すぐ隣にある)第1光放射半部L1の第1導光体200aは遠方光用光分布FLの第1照度極大値M1の形成に関与し、仮想垂直面VEと直接的に境を接している(すぐ隣にある)第2光放射半部L2の第1導光体200bは遠方光用光分布FLの第2照度極大値M2の形成に関与する。
【0032】
これらの第1導光体200a、200bの入射面210は、夫々、対応する出射面220に対しシフト(ずれ)、とりわけ平行シフト(ずれ)(Parallelversatz)を有し、そのため、入射面210の面中心点FM2は、対応する出射面220の面中心点FM1に対し、仮想垂直面VEに対し直角に延伸する第1軸yに沿って仮想垂直面VEから遠ざかる方向へ指向された水平シフトH-offと、第2軸zに沿って下方へ指向された垂直シフトV-offを有する。これは、とりわけ
図3に明確に示されている。
【0033】
仮想垂直面VEから離れる(に背く)側に指向されているこれらの第1導光体200a、200bの横側の側面230aは凸状に形成されており、かつ、入射面210のシフト(ずれ)との組み合わせによって、対応する光源50の光を光軸Aの方向へ向けるよう構成されることにより、遠方光用光分布FLにおける第1照度極大値M1と第2照度極大値M2との間の照度を増大し、かくして、測定スクリーンの交点HVは、遠方光用光分布FLの最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられる。
【0034】
更に、仮想垂直面VEへ指向されているこれらの第1導光体200a、200bの横側の側面230bは凹状に形成されている。更に、これらの第1導光体200a、200bの上側の側面240aは湾曲するよう、とりわけ凹状に形成されている。これらの第1導光体200a、200bの下側の側面240bは湾曲するよう、とりわけ凸状に形成されている。
【0035】
これによって、2つの照度極大値M1、M2間の照度の増大は更に増強される。
【符号の説明】
【0036】
10 照明装置
50 光源
100 光学体
110 基体
200 導光体
200a、200b 第1導光体
210 光入射面
220 光出射面
220a 共通の光出射面
230a、230b 横側の側面
240a 上側の側面
240b 下側の側面
300 投影光学系
X 主放射方向
A 光軸
G 直線
FL 遠方光用光分布
L1 第1光放射半部
L2 第2光放射半部
M1 第1照度極大値
M2 第2照度極大値
S1 第1側部
S2 第2側部
VE 仮想垂直面
H-off 水平シフト
V-off 垂直シフト
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セグメント化遠方光用光分布を生成するための、自動車投光器用の照明装置であって、
前記遠方光用光分布(FL)は、光分布を測定するための測定スクリーンの水平線(H-H)と垂直線(V-V)の交点(HV)が前記遠方光用光分布(FL)の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられるよう形成されかつ前記遠方光用光分布(FL)内に位置付けられた第1照度極大値(M1)及び第2照度極大値(M2)を有し、
前記照明装置(10)は、
・1つの基体(110)と光源(50)の光から規定可能なセグメント化遠方光用光分布(FL)を生成するための前記基体(110)から突出する複数の導光体(200)とを含む光学体(100)、但し前記複数の導光体(200)は夫々光源(50)からの光が入射可能な光入射面(210)と出射面(220)とを有し、前記出射面(220)からは、夫々の導光体(200)において供給可能な光が出射し、隣り合う導光体(200)の出射面(220)は互いに直接的に境を接しかつ前記光学体(100)の共通の出射面(220a)を形成し、前記光学体(100)の複数の導光体(200)は直線(G)に沿って少なくとも1列に配置されている、
・複数の光源(50)、但し少なくとも1つの光源(50)は夫々1つの導光体(200)の入射面(210)に割り当てられている、
・光軸(A)を備え、前記光学体(100)の光路に後置された投影光学系(300)、但し前記投影光学系(300)は、前記共通の出射面(220a)から出射する光が主放射方向(X)の方向において前記照明装置(10)の前方に結像するよう、構成されており、前記投影光学系(300)の光軸(A)は前記交点(HV)と交差しており、前記光軸(A)は前記照明装置(10)の主放射方向(X)に対し平行をなしている、
を含み、
前記主放射方向(X)に対し直角に、第1仮想軸(y)及び第2仮想軸(z)が配されており、前記第1仮想軸(y)と前記第2仮想軸(z)は同様に互いに対し直角に配向されており、前記照明装置(10)が自動車投光器に適切に搭載された状態において、前記第1仮想軸(y)は水平面にかつ前記第2仮想軸(z)は垂直面に配されており、
各導光体(200)は、前記照明装置(10)が自動車に適切に搭載された状態で見て、2つの横側の側面(230a、230b)と、上側の側面(240a)及び下側の側面(240b)とを有し、これらの側面(230a、230b、240a、240b)は、前記入射面(210)から前記共通の出射面(220a)の方向へ延伸しかつ前記導光体(200)を少なくとも部分的に画成すること、
前記光学体(100)は第1光放射半部(L1)及び第2光放射半部(L2)を有し、これらの半部は、前記照明装置(10)が自動車に適切に搭載された状態で見て、前記光学体(100)を貫通して延在する仮想垂直面(VE)であって、当該仮想垂直面(VE)内に前記投影光学系(300)の光軸(A)が延在している仮想垂直面(VE)によって、互いに対し境界形成可能に構成されており、前記第1光放射半部(L1)は前記仮想垂直面(VE)の第1側部(S1)に配置されており、前記第2光放射半部(L2)は前記第1側部(S1)の反対側にある第2側部(S2)に配置されており、
前記仮想垂直面(VE)と直接的に境を接している前記第1光放射半部(L1)の第1導光体(200a)は前記遠方光用光分布(FL)の前記第1照度極大値(M1)の形成に関与し、
前記仮想垂直面(VE)と直接的に境を接している前記第2光放射半部(L2)の第1導光体(200b)は前記遠方光用光分布(FL)の前記第2照度極大値(M2)の形成に関与し、
これらの第1導光体(200a、200b)の入射面(210)は、夫々、対応する出射面(220)に対しシフトを有し、そのため、前記入射面(210)の面中心点(FM2)は、対応する出射面(220)の面中心点(FM1)に対し、前記仮想垂直面(VE)に対し直角に延伸する第1軸(y)に沿って前記仮想垂直面(VE)から遠ざかる方向へ指向された水平シフト(H-off)と、前記第2軸(z)に沿って下方へ指向された垂直シフト(V-off)を有し、及び、
前記仮想垂直面(VE)から離れる側に指向されているこれらの第1導光体(200a、200b)の前記横側の側面(230a)は凸状に形成されており、かつ、前記入射面(210)のシフトとの組み合わせによって、対応する光源(50)の光を前記光軸(A)の方向へ向けるよう構成されることにより、前記遠方光用光分布(FL)における前記第1照度極大値(M1)と前記第2照度極大値(M2)との間の照度を増大し、かくして、測定スクリーンの前記交点(HV)は、前記遠方光用光分布(FL)の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられること
を特徴とする、照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の照明装置において、
前記仮想垂直面(VE)へ指向されている前記これらの第1導光体(200a、200b)の横側の側面(230b)は凹状に形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項3】
請求項
1に記載の照明装置において、
前記これらの第1導光体(200a、200b)の上側の側面(240a)は湾曲するよう
又は凹状に形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項4】
請求項
1に記載の照明装置において、
前記これらの第1導光体(200a、200b)の下側の側面(240b)は湾曲するよう
又は凸状に形成されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項5】
請求項
1に記載の照明装置において、
前記複数の導光体(200)の入射面(210)は共通の垂直面に配置されており、前記共通の垂直面は前記主放射方向(X)に対し直角に配向されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項6】
請求項
1に記載の照明装置において、
前記複数の光源(50)は、複数の発光ダイオードとして構成されること
を特徴とする、照明装置。
【請求項7】
請求項6に記載の照明装置において、
前記複数の発光ダイオードは、互いに独立に制御可能であり、
又は互いに独立にオン・オフ切替可能であり、
又は互いに独立に減光可能であること
を特徴とする、照明装置。
【請求項8】
請求項
1に記載の照明装置において、
前記光学体(100)の複数の導光体(200)は、前記直線(G)に沿った丁度1つの列に配置されていること
を特徴とする、照明装置。
【請求項9】
請求項1~8の何れかに記載の照明装置を少なくとも1つ備える自動車投光器。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
【特許文献1】US 2021 180760 A1
【特許文献2】CN 209688723 U
【特許文献3】US 2020 103086 A1
【特許文献4】US 2016 265732 A1
【特許文献5】WO 2020 083711 A1
【特許文献6】EP 3388734 A1
【特許文献7】US 2009 016074 A1
【特許文献8】DE 10 2017 212095 A1
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の第1の視点により、セグメント化遠方光用光分布を生成するための、自動車投光器用の照明装置が提供される。該照明装置において、
前記遠方光用光分布は、光分布を測定するための測定スクリーンの水平線と垂直線の交点が前記遠方光用光分布の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられるよう形成されかつ前記遠方光用光分布内に位置付けられた第1照度極大値及び第2照度極大値を有する。
前記照明装置は、
・1つの基体と光源の光から規定可能なセグメント化遠方光用光分布を生成するための前記基体から突出する複数の導光体とを含む光学体、但し前記複数の導光体は夫々光源からの光が入射可能な光入射面と出射面とを有し、前記出射面からは、夫々の導光体において供給可能な光が出射し、隣り合う導光体の出射面は互いに直接的に境を接しかつ前記光学体の共通の出射面を形成し、前記光学体の複数の導光体は直線に沿って少なくとも1列に配置されている、
・複数の光源、但し少なくとも1つの光源は夫々1つの導光体の入射面に割り当てられている、
・光軸を備え、前記光学体の光路に後置された投影光学系、但し前記投影光学系は、前記共通の出射面から出射する光が主放射方向の方向において前記照明装置の前方に結像するよう、構成されており、前記投影光学系の光軸は前記交点と交差しており、前記光軸は前記照明装置の主放射方向に対し平行をなしている、
を含む。
前記主放射方向に対し直角に、第1仮想軸及び第2仮想軸が配されており、前記第1仮想軸と前記第2仮想軸は同様に互いに対し直角に配向されており、前記照明装置が自動車投光器に適切に搭載された状態において、前記第1仮想軸は水平面にかつ前記第2仮想軸は垂直面に配されている。
各導光体は、前記照明装置が自動車に適切に搭載された状態で見て、2つの横側の側面と、上側の側面及び下側の側面とを有し、これらの側面は、前記入射面から前記共通の出射面の方向へ延伸しかつ前記導光体を少なくとも部分的に画成する。
前記光学体は第1光放射半部及び第2光放射半部を有し、これらの半部は、前記照明装置が自動車に適切に搭載された状態で見て、前記光学体を貫通して延在する仮想垂直面であって、当該仮想垂直面内に前記投影光学系の光軸が延在している仮想垂直面によって、互いに対し境界形成可能に構成されており、前記第1光放射半部は前記仮想垂直面の第1側部に配置されており、前記第2光放射半部は前記第1側部の反対側にある第2側部に配置されている。
前記仮想垂直面と直接的に境を接している前記第1光放射半部の第1導光体は前記遠方光用光分布の前記第1照度極大値の形成に関与する。
前記仮想垂直面と直接的に境を接している前記第2光放射半部の第1導光体は前記遠方光用光分布の前記第2照度極大値の形成に関与する。
これらの第1導光体の入射面は、夫々、対応する出射面に対しシフトを有し、そのため、前記入射面の面中心点は、対応する出射面の面中心点に対し、前記仮想垂直面に対し直角に延伸する第1軸に沿って前記仮想垂直面から遠ざかる方向へ指向された水平シフトと、前記第2軸に沿って下方へ指向された垂直シフトを有する。及び、
前記仮想垂直面から離れる側に指向されているこれらの第1導光体の前記横側の側面は凸状に形成されており、かつ、前記入射のシフトとの組み合わせによって、対応する光源の光を前記光軸の方向へ向けるよう構成されることにより、前記遠方光用光分布における前記第1照度極大値と前記第2照度極大値との間の照度を増大し、かくして、測定スクリーンの前記交点は、前記遠方光用光分布の最大照度の80%の等照度曲線の内部に位置付けられる。
本発明の第2の視点により、本発明の照明装置を少なくとも1つ備える自動車投光器が提供される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0008】
以下に本発明の好ましい形態を示す。
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1に記載の照明装置において、
前記仮想垂直面へ指向されている前記これらの第1導光体の横側の側面は凹状に形成されていることが好ましい。
(形態3)形態1又は2に記載の、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記これらの第1導光体の上側の側面は湾曲するよう又は凹状に形成されていることが好ましい。
(形態4)形態1~3の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記これらの第1導光体の下側の側面は湾曲するよう又は凸状に形成されていることが好ましい。
(形態5)形態1~4の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記複数の導光体の入射面は共通の垂直面に配置されており、前記共通の垂直面は前記主放射方向に対し直角に配向されていることが好ましい。
(形態6)形態1~5の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記複数の光源は、複数の発光ダイオードとして構成されることが好ましい。
(形態7)形態6に記載の照明装置において、
前記複数の発光ダイオードは、互いに独立に制御可能であり、又は互いに独立にオン・オフ切替可能であり、又は互いに独立に減光可能であることが好ましい。
(形態8)形態1~7の何れかに記載の、とりわけ形態1に記載の照明装置において、
前記光学体の複数の導光体は、前記直線に沿った丁度1つの列に配置されていることが好ましい。
(形態9)上記本発明の第2の視点参照。
【国際調査報告】