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特表2024-525914グリセリン脂肪酸エステルならびに脂肪酸アミドアルキルベタインおよび/またはアルキルベタインを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】グリセリン脂肪酸エステルならびに脂肪酸アミドアルキルベタインおよび/またはアルキルベタインを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20240705BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240705BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K8/44
A61K8/37
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503707
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-02-19
(86)【国際出願番号】 EP2022069237
(87)【国際公開番号】W WO2023001609
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21186918.5
(32)【優先日】2021-07-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク シューフ
(72)【発明者】
【氏名】マルレネ ヒュプナー
(72)【発明者】
【氏名】ペーター シュヴァープ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム フェンツマー
(72)【発明者】
【氏名】ヨヘン クライネン
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AB332
4C083AC122
4C083AC232
4C083AC302
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC662
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC932
4C083AD092
4C083AD202
4C083AD352
4C083CC23
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083EE01
4C083FF01
(57)【要約】
本発明は、グリセリン脂肪酸エステルならびに特定の脂肪酸アミドアルキルベタインおよび/または特定のアルキルベタインを含む組成物、ならびに化粧品配合物の増粘のための該組成物の使用を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下:
A)少なくとも1つのグリセリン脂肪酸エステル、ならびに
B)以下から選択される少なくとも1つのベタイン成分:
B1)一般式I)
【化1】
[式中、
n=1~10、好ましくは2~5、特に3であり、
CO=6~30個の炭素原子を有するアシル基の混合物であり、前記アシル基の混合物が、前記混合物のすべてのアシル基に対して5重量%~50重量%、好ましくは12重量%~25重量%、特に好ましくは13重量%~20重量%のオレイン酸アシル基およびリノール酸アシル基の合計含量を有することを特徴とする]の脂肪酸アミドアルキルベタイン、および
B2)一般式II)
【化2】
[式中、
=6~22個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の、任意にヒドロキシ置換されたアルキル基、またはそれらの混合物である]のアルキルベタイン
を含む組成物において、前記組成物中に存在するすべてのグリセリン脂肪酸エステルと、前記組成物中に存在するすべての脂肪酸アミドアルキルベタインおよびアルキルベタインとの重量比が、1.0:1.5~1.0:8.0であることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記組成物が、3.0重量%~20重量%、好ましくは5.5重量%~15重量%、特に好ましくは6.5重量%~10重量%のグリセリン脂肪酸エステルを含み、ここで、前記重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、合計で10重量%~35重量%、好ましくは12重量%~31重量%、特に好ましくは14重量%~27重量%の脂肪酸アミドアルキルベタインおよびアルキルベタインを含み、ここで、前記重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
前記グリセリン脂肪酸エステルが、8~18個の炭素原子を有するアシル基を、前記グリセリン脂肪酸エステル中に存在するすべてのアシル基に対して少なくとも90重量%含む、請求項1から3までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項5】
前記一般式I)の前記脂肪酸アミドアルキルベタイン中のアシル基の混合物において、8~18個の炭素原子を有するアシル基の含量が少なくとも90重量%であり、ここで、前記重量パーセンテージは、前記混合物中のすべてのアシル基に対するものである、請求項1から4までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項6】
前記一般式II)のアルキルベタイン中のRが、合計で少なくとも50重量%のラウリル、ミリスチルおよびセチル基、好ましくは少なくとも50重量%のラウリル基を含み、ここで、前記重量パーセンテージは、前記組成物中に存在するアルキルベタイン中のすべてのアルキル基に対するものである、請求項1から5までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、33重量%~83重量%、特に好ましくは48重量%~78重量%の水を含み、ここで、前記重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである、請求項1から6までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、合計で0.1重量%~10重量%の塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムを含み、ここで、前記重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである、請求項1から7までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、0.1重量%~25重量%のグリセリンを含み、ここで、前記重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである、請求項1から8までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、8~18個の炭素原子を有する脂肪酸から選択される脂肪酸を合計で0.1重量%~3重量%含み、ここで、前記重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである、請求項1から9までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が10~40℃の降伏点を有しない、請求項1から10までのいずれか1項記載の組成物。
【請求項12】
請求項1から11までのいずれか1項記載の少なくとも1つの組成物を含む、化粧品配合物、医薬配合物または皮膚科学的配合物。
【請求項13】
配合物、特に水性配合物の増粘のための、請求項1から11までのいずれか1項記載の少なくとも1つの組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリン脂肪酸エステルならびに特定の脂肪酸アミドアルキルベタインおよび/または特定のアルキルベタインを含む組成物、ならびに化粧品配合物の増粘のための該組成物の使用を提供する。
【0002】
先行技術
市場で提供されている多数の化粧品用界面活性剤配合物は、例えばグリセリン脂肪酸エステルであってよい増粘剤と組み合わせて、ヤシ油由来のアルキル鎖分布を有する脂肪酸アミドプロピルベタイン(INCI:コカミドプロピルベタイン)を発泡成分として含む。
【0003】
コカミドプロピルベタインとモノラウリン酸グリセリルとの組み合わせは、非常に効果的な組み合わせとして市場で確立されており、それに応じて、水性プレミックスがANTIL HS 60およびTEGO Betain HS KB 5の商品名でEvonik社から長年販売されている。モノラウリン酸グリセリルは固体であるため、液体プレミックスの利点は、最終配合物への加工が容易なことにある。しかし、現在の先行技術を代表する両製品にはそれぞれ欠点がある。
【0004】
約20重量%のモノラウリン酸グリセリル、28重量%のコカミドプロピルベタイン、5重量%の塩化ナトリウムおよび2重量%のグリセリンを含む高濃度水性混合物ANTIL HS 60は、確かに良好な増粘剤であるが、濁った混合物は、10~40℃の温度で降伏点を有する。その結果、調製して容器に充填した後に気泡が安定化され、トリグリセリドの精製により混入した極微量(ppb)の活性炭が凝集および浮遊することがあり、この活性炭は、その後、生成物表面あるいはまた最終配合物中で黒色粒子として視認可能である。
【0005】
TEGO Betain HS KB 5は、約5重量%のモノラウリン酸グリセリル、24重量%のコカミドプロピルベタイン、4.5重量%の塩化ナトリウム、2重量%のグリセリンおよび0.5重量%の安息香酸ナトリウムから構成される低濃度水溶液であり、10~40℃の温度では降伏点を有しないため、この場合には浮遊および粒子形成は起こらない。しかし、ANTIL HS 60と比較すると、この生成物の増粘性能ははるかに低く、市販の界面活性剤配合物としては不十分である。
【0006】
米国特許出願公開第20080261842号明細書には、エアゾール容器で使用するためのゲルの形態のクレンジング組成物が開示されており、この組成物は、以下を含む:
(a)少なくとも、組成物全体の7重量%以上の量の界面活性剤と、少なくとも1つのグリセリルエステルおよびグリセリルエステル誘導体とベタインおよびガムの少なくとも1つとのブレンドである増粘剤とからなる基材であって、該基材は、9500cpsを超える粘度を有する、基材;および
(b)該組成物の9重量%を超える発泡性材料であって、該発泡性材料の少なくとも一部は、該組成物がエアゾールから吐出された後まで該組成物中で懸濁状態で維持され、該発泡性材料は、4~5個の炭素を有する飽和脂肪族炭化水素であり、該組成物は、該発泡性材料を含む前はゲルの形態である、発泡性材料。
【0007】
本発明の目的は、ベタインおよびグリセリン脂肪酸エステルを含み、10~40℃の降伏点を有しておらず、それと同時に化粧品用界面活性剤系の良好な増粘剤として機能する組成物を提供することであった。
【0008】
驚くべきことに、生成物濃度に関してANTIL HS 60に匹敵する増粘性能を有する生成物が、10~40℃の降伏点を有しない澄明な溶液として得られるというように、先行技術からの上述の2つの欠点を克服し得ることが見出された。
【0009】
本発明の目的の達成にとって重要であるのは、特にベタイン成分の組成であり、これは特にヤシ油やパーム核油のような熱帯植物油をベースとしている。ヤシ油は、その脂肪酸鎖分布、特にオレイン酸含量がパーム核油と異なっており、この含量は、トリグリセリド中に存在するすべての脂肪酸に対して、ネイティブなヤシ油では総じて5重量%~10重量%であり、パーム核油では総じて10重量%~20重量%である。さらに、表Aおよび表Bからわかるように、パーム核油中のカプリル酸含量およびカプリン酸含量は、ヤシ油中のそれよりも低い。総じて、市販のベタインの調製には水添ヤシ脂肪が使用され、その結果、18個の炭素原子を有するアシル基の大部分がステアリン酸の形で存在する。したがって、ベタインの調製に使用され、上記の生成物中に存在する水添ヤシ油のオレイン酸アシル基含量は、5重量%未満である。
【0010】
【表1】
【0011】
【表2】
【0012】
発明の詳細な説明
驚くべきことに、本明細書において以下に記載される組成物は、本発明の目的を達成することができ、先行技術の欠点の少なくとも1つを克服することができることが見出された。
【0013】
したがって、本発明は、請求項1記載のグリセリン脂肪酸エステルおよび特定の脂肪酸アミドアルキルベタインおよび/または特定のアルキルベタインを含む組成物を提供する。
【0014】
本発明はさらに、化粧品配合物の増粘のための本発明による組成物の使用を提供する。
【0015】
本発明の利点の1つは、効果的な増粘性能を、特に界面活性剤配合物において示すことである。本発明の利点の1つは、非常に良好な加工性を、特に化粧品用界面活性剤配合物において示すことである。さらなる利点の1つは、10~40℃の降伏点を有しないことである。さらなる利点の1つは、固体粒子が形成されないことである。さらなる利点の1つは、混合物の澄明性および均質性であり、その結果、分離効果を回避することができる。さらなる利点の1つは、予備混合物中のベタインとグリセリンエステルとの比率であり、これはすでに市販の界面活性剤配合物に適しているため、最終配合物の製造が容易になる。さらなる利点の1つは、界面活性剤混合物のマイルドさであり、その結果、主要な界面活性剤を含む最終配合物のマイルドさを、相乗効果により改善することができる。さらなる利点の1つは、最終配合物の皮膚感触および泡特性への好影響を、例えば発泡した配合物中の平均気泡径の減少による泡のクリーミーさの改善の結果として与えることである。
【0016】
本発明は、以下:
A)少なくとも1つのグリセリン脂肪酸エステル、ならびに
B)以下から選択される少なくとも1つのベタイン成分:
B1)一般式I)
【化1】
[式中、
n=1~10、好ましくは2~5、特に3であり、
CO=6~30個、特に8~22個の炭素原子を有するアシル基の混合物であり、該アシル基の混合物が、該混合物のすべてのアシル基に対して5重量%~50重量%、好ましくは12重量%~25重量%、特に好ましくは13重量%~20重量%のオレイン酸アシル基およびリノール酸アシル基の合計含量を有することを特徴とする]の脂肪酸アミドアルキルベタイン、および
B2)一般式II)
【化2】
[式中、
=6~22個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和の、任意にヒドロキシ置換されたアルキル基、またはそれらの混合物である]のアルキルベタイン
を含む組成物において、該組成物中に存在するすべてのグリセリン脂肪酸エステルと、該組成物中に存在するすべての脂肪酸アミドアルキルベタインおよびアルキルベタインとの重量比が、1.0:1.5~1.0:8.0であり、成分B)が、特にB1)から選択されることを特徴とする、組成物を提供する。
【0017】
グリセリン脂肪酸エステルおよびグリセリンの含量は、N-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドでの誘導体化後に、本明細書において以下に記載されるGC-FID法により決定することができる。特に断りのない限り、記載されたパーセンテージ(%)は、すべて質量%である。グリセリンおよびグリセリン部分エステルの質量割合は、本発明の文脈においてGC法によって決定することができ、この方法は、本発明による組成物を可能な限り誘導体化し、次いでGC/FIDによって同時に決定することを含む。
【0018】
この目的のために、本発明による生成物0.10gを、内部標準としてのそれぞれプロパンジオール3mgおよび1-ペンタデカノール20mgとともに、ピリジン:クロロホルム(4:1)5mlに溶解させる。この溶液0.25mlをMSTFA[N-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド]0.5mlと混和する。アルコールを、80℃(30分)の反応によって定量的にそのトリメチルシリルエーテルに転化させ、GC/FIDにより分析する。これを、スプリット/スプリットレスインジェクター、キャピラリーカラムおよび炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラフを用い、以下の条件で行う:
インジェクター:290℃、スプリット40ml
注入量:1μl
カラム:30m×0.32mm DB5-HT 0.1μm
キャリアガス:水素、一定流量、2ml/min
温度プログラム:65℃から10℃/minで365℃まで、その後365℃で15分間コンディショニング
検出器:365℃でFID
水素35ml/min
空気240ml/min
メイクアップガス12ml/min。
【0019】
グリセリン、グリセリンエステル、ならびに内部標準としてのプロパン-1,3-ジオールおよび1-ペンタデカノールを分離する。グリセリンのピーク面積を、内部標準として添加したプロパン-1,3-ジオールのピーク面積と比較して評価し、グリセリン部分エステルのピーク面積を、内部標準として添加した1-ペンタデカノールのピーク面積と比較して評価することにより、グリセリンとグリセリン部分エステルとの質量比を求めることができる。このため、調査対象のグリセリンまたはグリセリン部分エステルと、組成が既知の内部標準との混合物を分析することによって、GCシステムを校正する。
【0020】
ベタイン含量は、Application Bulletin. - Metrohm AG, No. 264/1 dに掲載された”Titrimetric methods for the determination of betains”と題された論文にしたがって決定することができる。
【0021】
本発明によれば、B1)において、RCOが天然油脂に由来する6~30個の炭素原子を有するアシル基の混合物であることが好ましく、したがって、基RCOは、特に天然脂肪酸のアシル基である。脂肪酸は、例えば植物油または動物油のような天然油をベースとして製造することができ、好ましくは6~30個の炭素原子、特に8~22個の炭素原子を有することができる。脂肪酸は、総じて分岐しておらず、通常は偶数個の炭素原子を有する。二重結合は、シス配置を有する。例としては、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ペトロセリン酸、エライジン酸、アラキン酸、ベヘン酸、エルカ酸、ガドレイン酸、リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸が挙げられる。本事例では、成分B1)は、脂肪酸アミドアルキルベタインの混合物である。
【0022】
成分B1)のそれぞれのアシル基含量は、例えば2つの液体クロマトグラフィー法の組み合わせによって実験的に決定することができる。この場合、アシル基中に様々な数の炭素原子を含む混合物の個々のベタインを、まず、R. Gerhardsらにより記載された方法にしたがってHPLC/RIにより分離する(Modern methods for the analysis of cocamidopropyl betaines; Gerhards. R et. al.; Tenside, Surfactants, Detergents; 1996 33(1):1-12)。この方法では、アシル基に16~18個の炭素原子(C16、C18:0、C18:1およびC18:2)を有するベタインのピーク分離が不十分であるため、オレイルアミドプロピルベタイン成分が存在する場合は、この成分を第2のグラジエントHPLC法で分離する。これを、RPカラム(逆相カラム、Hypersil Gold 100mm×3mm;5μ、Thermofisher)で、50℃で、0.05%ギ酸アンモニウム水溶液(pHをギ酸で4.2に調整)およびアセトニトリルのグラジエントで行い(グラジエントプログラム:10%アセトニトリルで開始、1分間保持、次に10%アセトニトリルから95%アセトニトリルまで15分間の線形グラジエント、次に95%アセトニトリルで10分間保持)、個々のベタインフラクションを、CAD(CAD=荷電化粒子検出器、Dionex Corona Ultra RS、Thermo Scientific)で検出する。アシル基が8~14個の炭素原子を含む個々のベタインのアシル基含量、またアシル基が16~18個(C16、C18:0、C18:1およびC18:2)の炭素原子を含むベタインのアシル基含量の合計を、結果として、HPLC/RI測定のピーク面積パーセンテージから決定することができる。その後、HPLC/CAD測定によるそのピーク面積パーセンテージから、HPLC/RI測定によるこれら4種のベタインのピーク面積パーセンテージの合計への標準化後に、アシル基が16~18個(C16、C18:0、C18:1およびC18:2)の炭素原子を含む個々のベタインのアシル基含量が得られる。このために、HPLC/CAD測定で得られたそれぞれのベタインのピーク面積パーセンテージの値に、HPLC/RI測定で得られたこれら4種のベタインのピーク面積パーセンテージの合計を乗じ、次いでこれをHPLC/CAD測定で得られたこれら4種のベタインのピーク面積パーセンテージの合計で除す。
【0023】
成分B2)のアルキル基含量は、類似の方法で決定することができる。
【0024】
「ヤシ脂肪」および「ヤシ油」という用語は、同義で用いられる。「パーム核脂肪」および「パーム核油」という用語は、同義で用いられる。特に断りのない限り、記載されたパーセンテージ(%)は、すべて質量%である。
【0025】
本発明による好ましい組成物は、3.0重量%~20重量%、好ましくは5.5重量%~15重量%、特に好ましくは6.5重量%~10重量%のグリセリン脂肪酸エステルを含むことを特徴とし、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである。
【0026】
本発明によれば、本発明の組成物が、合計で10重量%~35重量%、好ましくは12重量%~31重量%、特に好ましくは14重量%~27重量%の脂肪酸アミドアルキルベタインおよびアルキルベタインを含むことが好ましく、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである。この文脈において、本発明の組成物が、合計で10重量%~35重量%、好ましくは12重量%~31重量%、特に好ましくは14重量%~27重量%の一般式I)の脂肪酸アミドアルキルベタインおよび一般式II)のアルキルベタインを含むことが特に好ましく、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである。
【0027】
本発明による好ましい組成物は、グリセリン脂肪酸エステルが、8~18個の炭素原子を有するアシル基を、グリセリン脂肪酸エステル中に存在するすべてのアシル基に対して少なくとも90重量%含むことを特徴とする。本発明によれば、グリセリン脂肪酸エステル中に存在する8~18個の炭素原子を有するすべてのアシル基に対して、それらの少なくとも50重量%がラウロイル基であることが特に好ましい。
【0028】
本発明による特に好ましい組成物は、グリセリン脂肪酸エステルが、すべてのグリセリン脂肪酸エステルに対して少なくとも70重量%のグリセリン脂肪酸モノエステルを含むことを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、一般式I)の脂肪酸アミドアルキルベタイン中のアシル基の混合物において、8~18個の炭素原子を有するアシル基の含量が少なくとも90重量%であることが好ましく、ここで、重量パーセンテージは、混合物中のすべてのアシル基に対するものである。
【0030】
本発明によれば、一般式I)の脂肪酸アミドアルキルベタイン中のアシル基の混合物が、重量パーセンテージで示される、以下に列挙されるそれぞれのアシル基の量を含むことが好ましく、ここに列挙されないさらなるアシル基が存在してもよく、記載される重量パーセンテージは、混合物中に存在するすべてのアシル基に対するものである:
【表3】
【0031】
本発明によれば、一般式I)の脂肪酸アミドアルキルベタイン中のアシル基の混合物が、混合物のすべてのアシル基に対して10重量%~30重量%、好ましくは12重量%~21重量%、特に好ましくは13重量%~17重量%のオレイン酸アシル基含量を有することが好ましい。
【0032】
本発明によれば、一般式I)の脂肪酸アミドアルキルベタイン中のアシル基の混合物が、混合物のすべてのアシル基に対して0.5重量%~5.0重量%、好ましくは1.0重量%~4.0重量%のリノール酸アシル基(C18:2)含量を有することが好ましい。
【0033】
本発明による特に好ましい成分B1)は、存在する脂肪酸アミドアルキルベタイン中のアシル基の混合物が、混合物のすべてのアシル基に対して12重量%~21重量%のオレイン酸アシル基含量、および混合物のすべてのアシル基に対して1.5重量%~4.0重量%のリノール酸アシル基含量を有することを特徴とする。
【0034】
本発明によれば、一般式I)の脂肪酸アミドアルキルベタイン中のアシル基の混合物が、表Aおよび表Bからわかるように、パーム核油のアシル基分布に対応することが非常に特に好ましく、ここで、両表からのアシル基1つあたりのそれぞれの最低および最高重量パーセンテージ限界値が適用される。
【0035】
本発明による特に好ましい組成物は、一般式II)のアルキルベタイン中のRが、合計で少なくとも50重量%のラウリル、ミリスチルおよびセチル基、好ましくは少なくとも50重量%のラウリル基を含むことを特徴とし、ここで、重量パーセンテージは、組成物中に存在するアルキルベタイン、特に一般式II)のアルキルベタイン中のすべてのアルキル基に対するものである。
【0036】
本発明によれば、本発明の組成物が33重量%~83重量%、特に好ましくは48重量%~78重量%の水を含むことが好ましく、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである。
【0037】
含水量は、DIN 51777およびDGF C-III 13aに準拠して、当業者に周知のカールフィッシャー滴定により決定される。
【0038】
本発明による好ましい組成物は、合計で0.1重量%~10重量%の塩化ナトリウムおよび/または塩化カリウムを含むことを特徴とし、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである。塩含量は、DGF H-III 9に準拠して決定することができる。
【0039】
本発明によれば、本発明の組成物が0.1重量%~25重量%のグリセリンを含むことが好ましく、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである。
【0040】
本発明による好ましい組成物は、8~18個の炭素原子を有する脂肪酸から選択される脂肪酸を合計で0.1重量%~3重量%含むことを特徴とし、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものである。脂肪酸含量は、例えば、M. J. Cooper , M. W. Anders. Anal. Chem., 1974, 46 (12), pp 1849-1852にしたがってHPLC分析により決定することができる。
【0041】
本発明によれば、本発明の組成物が10~40℃の降伏点を有しないことが好ましい。降伏点の存在は、実施例において後述するように決定される。
【0042】
本発明の組成物は、本発明によれば、好ましくは、3.1~12.9、好ましくは3.6~7.9、特に好ましくは4.1~6.9の範囲のpHを有する。本発明に関連する「pH」とは、ISO 4319(1977)に準拠して校正されたpH電極を用いて5分間撹拌した後に25℃で測定される値として定義される。
【0043】
加えて、当業者に公知のテクニカルグレードのベタイン品質の不純物および副産物、ならびに防腐剤も、本発明の組成物中に、いずれの場合も1重量%まで存在することができ、ここで、重量パーセンテージは、組成物全体に対するものであり、これは例えば、未転化アミン基、グリコール酸または安息香酸ナトリウムである。
【0044】
本発明はさらに、配合物、特に化粧品の、好ましくは水性の、非常に特に好ましくは界面活性剤含有の水性の配合物の増粘のための、本発明の少なくとも1つの組成物の使用を提供する。
【0045】
本発明はさらに、配合物、特に化粧品配合物、医薬配合物または皮膚科学的配合物の形態の配合物を提供する。
【0046】
本発明の配合物は、以下の群から選択される少なくとも1つの追加成分をさらに含むことができる:
エモリエント剤
乳化剤
界面活性剤
増粘剤/粘度調整剤/安定剤
紫外線保護フィルター
酸化防止剤
ヒドロトロープ(またはポリオール)、
固形分およびフィラー
皮膜形成剤
真珠光沢添加剤
消臭および制汗活性物質
昆虫忌避剤
セルフタンニング剤
防腐剤
コンディショニング剤
香料
着色料
臭気吸収剤
化粧品活性物質
ケア添加剤
過脂肪剤、および
溶媒、
特に少なくとも1つの界面活性剤、好ましくは少なくとも1つの界面活性剤および水。個々の群の例示的な代表物として使用できる物質は、当業者に公知であり、例えば、ドイツ特許出願DE 102008001788.4から得ることができる。この特許出願は、参照により本明細書に組み込まれ、したがって本開示の一部を形成するとみなされる。さらなる任意成分およびこれらの成分の使用量に関しては、当業者に公知の関連ハンドブック、例えばK. Schrader, “Grundlagen und Rezepturen der Kosmetika” [Fundamentals and Formulations of Cosmetics], 2nd edition, pages 329 to 341, Huethig Buch Verlag, Heidelbergが明示的に参照される。各添加剤の量は、使用目的によって異なる。関連する用途のための典型的な出発配合物は、先行技術として知られており、例えば、関連する基剤および活性物質の製造業者のパンフレットに記載されている。これらの既存の配合物を、総じてそのまま採用することができる。しかし、必要であれば、調整および最適化のために、簡単な試験により直接的に所望の変更を行うことができる。
【0047】
以下に示す実施例は、本発明を例示的に説明するものであり、本発明を実施例で特定された実施形態に限定する意図はなく、本発明の適用範囲は、本明細書および特許請求の範囲の全体から明らかである。
【0048】
実施例:
以下の例にしたがって調製した組成物の増粘性能をよりよく比較できるようにするために、試験配合物において同等の活性含量を使用した。活性含量は、本明細書において、当業者によって決定され得る「乾燥残分」という用語と同様に用いられる。これは、100%から、DIN 51777、DGF E-III 10およびDGF C-III 13 aに準拠してカールフィッシャー滴定によって決定されたそれぞれの試料の含水量を差し引いたものである。あるいは、乾燥残分は、DGF B-II 3/C-III 12に準拠して決定することもできる。グリセリンをさらなる溶媒として使用した例2では、活性含量を測定するために、含水量に加えて添加したグリセリン含量を100%から差し引いた。
【0049】
本発明による例1:
精製パーム核油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して15.8%のオレイン酸アシル基および2.2%のリノール酸アシル基を含み、さらに水55.3%、INCI名コカミドプロピルベタインのパーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン33.6%、塩化ナトリウム7.1%、グリセリン2.5%およびパーム核油由来脂肪酸1.5%から構成されるもの)114.8gと水68.8gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル(ここおよびさらなる例では、少なくとも90%のモノラウリン酸グリセリルを含むテクニカルグレードの品質)16.4gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、3500mPa・sの粘度を有する、淡黄色がかった澄明な均質の液体であった。活性含量は33.9%であり、成分A:Bの比は1:2.35であった。
【0050】
本発明による例2:
C12/C14アルキルベタイン(水62.4%、ココベタイン(INCI)30.8%および塩化ナトリウム6.8%から構成されるもの)70.8gとグリセリン16.7gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル12.5gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、950mPa・sの粘度を有する、淡黄色がかった澄明な均質の液体であった。活性含量は43.3%であり、成分A:Bの比は1:1.74であった。
【0051】
本発明による例3:
C12/C14アルキルベタイン(水62.4%、ココベタイン(INCI)30.8%および塩化ナトリウム6.8%から構成されるもの)81.0gと水10.0gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル9.0gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、600mPa・sの粘度を有する、淡黄色がかった澄明な均質の液体であった。活性含量は39.5%であり、成分A:Bの比は1:2.77であった。
【0052】
本発明によらない例4:
水添ヤシ油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して<1%の不飽和脂肪酸アシル基を含み、さらに水55.0%、コカミドプロピルベタイン(INCI)34.0%、塩化ナトリウム6.5%、グリセリン2.5%およびヤシ油由来脂肪酸2.0%から構成されるもの)96.0gを80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル22.0gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、3400mPa・sの粘度を有する、わずかに黄色がかった濁った液体であり、本発明による例とは対照的に、生成物中に存在する気泡を24時間超にわたって安定化させた。これは、活性炭の残留物による浮遊および粒子の形成を招きかねず、これは特に比較的大きなスケールで表面に見えるようになる。活性含量は55.5%であり、成分A:Bの比は1:1.48であった。
【0053】
本発明によらない例5:
水添ヤシ油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して<1%の不飽和脂肪酸アシル基を含み、さらに水67.0%、コカミドプロピルベタイン(INCI)26.0%、塩化ナトリウム4.8%、グリセリン1.6%およびヤシ油由来脂肪酸0.6%から構成されるもの)95.0gを80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル5.0gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、80mPa・sの粘度を有する、淡黄色がかった澄明な液体であった。活性含量は36.4%であり、成分A:Bの比は1:4.94であった。
【0054】
本発明によらない例6:
精製パーム核油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して15.8%のオレイン酸アシル基および2.2%のリノール酸アシル基を含み、さらに水55.3%、INCI名コカミドプロピルベタインのパーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン33.6%、塩化ナトリウム7.1%、グリセリン2.5%およびパーム核油由来脂肪酸1.5%から構成されるもの)96.0gを80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル23.0gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、6700mPa・sの粘度を有する、わずかに黄色がかった濁った液体であり、本発明による例とは対照的に、生成物中に存在する気泡を24時間超にわたって安定化させた。さらに、この混合物は、22℃で4日後に相分離を示した。活性含量は55.4%であり、成分A:Bの比は1:1.40であった。
【0055】
本発明によらない例7:
精製パーム核油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して15.8%のオレイン酸アシル基および2.2%のリノール酸アシル基を含み、さらに水55.3%、INCI名コカミドプロピルベタインのパーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン33.6%、塩化ナトリウム7.1%、グリセリン2.5%およびパーム核油由来脂肪酸1.5%から構成されるもの)96.0gと水72.0gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル23.0gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、2200mPa・sの粘度を有する、わずかに黄色がかった濁った液体であり、本発明による例とは対照的に、生成物中に存在する気泡を24時間超にわたって安定化させた。さらに、この混合物は、22℃で48時間後に相分離を示した。活性含量は34.5%であり、成分A:Bの比は1:1.40であった。
【0056】
本発明によらない例8:
精製パーム核油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して15.8%のオレイン酸アシル基および2.2%のリノール酸アシル基を含み、さらに水55.3%、INCI名コカミドプロピルベタインのパーム核脂肪酸アミドプロピルベタイン33.6%、塩化ナトリウム7.1%、グリセリン2.5%およびパーム核油由来脂肪酸1.5%から構成されるもの)96.5gと水30.0gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル3.5gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、90mPa・sの粘度を有する、淡黄色がかった澄明な液体であった。活性含量は35.9%であり、成分A:Bの比は1:9.26であった。
【0057】
本発明による例9:
精製ヤシ油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して6.1%のオレイン酸アシル基および1.5%のリノール酸アシル基を含み、さらに水54.2%、コカミドプロピルベタイン(INCI)34.3%、塩化ナトリウム6.8%、グリセリン2.6%およびヤシ油由来脂肪酸2.1%から構成されるもの)114.8gと水68.8gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル(ここおよびさらなる例では、少なくとも90%のモノラウリン酸グリセリルを含むテクニカルグレードの品質)16.4gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、3100mPa・sの粘度を有する、淡黄色がかった澄明な均質の液体であった。活性含量は34.5%であり、成分A:Bの比は1:2.40であった。
【0058】
本発明によらない例10:
精製ヤシ油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して6.1%のオレイン酸アシル基および1.5%のリノール酸アシル基を含み、さらに水54.2%、コカミドプロピルベタイン(INCI)34.3%、塩化ナトリウム6.8%、グリセリン2.6%およびヤシ油由来脂肪酸2.1%から構成されるもの)96.0gと水81.0gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル23.0gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、1750mPa・sの粘度を有する、わずかに黄色がかった濁った液体であり、本発明による例とは対照的に、生成物中に存在する気泡を24時間超にわたって安定化させた。さらに、この混合物は、22℃で5日後に相分離を示した。活性含量は33.5%であり、成分A:Bの比は1:1.43であった。
【0059】
本発明によらない例11:
精製ヤシ油をベースとする脂肪酸アミドプロピルベタイン(ベタインのすべてのアシル基に対して6.1%のオレイン酸アシル基および1.5%のリノール酸アシル基を含み、さらに水54.2%、コカミドプロピルベタイン(INCI)34.3%、塩化ナトリウム6.8%、グリセリン2.6%およびヤシ油由来脂肪酸2.1%から構成されるもの)96.5gと水30.0gとの溶液を80℃に加熱した。撹拌しながら、モノラウリン酸グリセリル3.5gを30分以内に分割して添加し、次いでこの混合物を80℃でさらに30分間撹拌した。その後、この混合物を22℃まで放冷した。生成物は、80mPa・sの粘度を有する、淡黄色がかった澄明な液体であった。活性含量は36.7%であり、成分A:Bの比は1:9.46であった。
【0060】
例1~例5の降伏点の決定:
降伏点を、レオロジー試験のガイドライン(Thomas G. Mezger, “Das Rheologie Handbuch” [The Rheology Handbook], 2nd edition, Hannover, Vincentz Network, 2006, ISBN 3-87870-175-6)に基づいて決定した。試験を、Anton Paar社(オーストリア、グラーツ)製MCR 302 Modular Compact Rheometerで実施した。測定システムとしてPP-50プレートを使用し、温度をペルチェ素子で制御した。試料の粘度が低いため、TEGO Betain KB 5の温度勾配を、円筒状の形状で測定した。温度勾配を、加熱速度2℃/分、荷重0.2パスカル、周波数1Hzで測定した。周波数依存性測定を、0.1Hz~10Hz、0.2Paで様々な温度で行った。測定前に、試料を10分間熱処理した。
【0061】
化粧品産業の原料は、標準的に10℃~40℃の温度で保管されるため、これにより、関連する温度範囲が規定される。試料の小さなたわみによる貯蔵弾性率(G`)が、試料の損失弾性率(G`)より大きいとき、試料は降伏点を示す。この挙動は、所定の振動パラメーターの(角)周波数に依存する可能性があり、そのため、様々な周波数でG`>G``であるかを調べる必要がある。この試験は、恒温、0.2パスカル(Pa)の低荷重、0.1Hz~10Hzの周波数範囲で行われる。この測定の上流では、0℃~40℃の温度範囲を基準G`>G``に関して試験するために、1Hzの一定周波数(および0.2Paの荷重)での測定を行った。すでに1Hzの周波数でG`<G``であれば、降伏点は存在し得ないため、様々な周波数でのより複雑な測定を必要としない。比G`/G``は、損失角として知られているものを使用して表すこともできる。この角度の値は0°~90°の範囲であり、45°以下ではG`>G``であり、45°超ではG`<G``である。
【0062】
温度依存性測定の結果を表1に示す:
【表4-1】
【0063】
【表4-2】
【0064】
読みやすくするため、45°より大きい位相角(すなわちG`<G``)は通常のフォントで表示し、45°より小さい位相角(すなわちG`>G``)はイタリック体で表示している。例4の試料の位相角がすべて45°よりはるかに小さいのに対して、調査した温度範囲の他の物質は、45°より大きい位相角を主に有していることが顕著であり、このことは、これらの試料がこの温度範囲に降伏点を有し得ないことを意味する。
【0065】
次に、例5の試料は全温度範囲にわたって位相角が90°であったため、これを除くすべての試料について、10℃において様々な周波数で位相角を測定した。結果を表2に示す:
【表5】
【0066】
1Hzで実施した温度依存性測定では、例1の両試料は、10重量%の水の添加の有無にかかわらず、物質が降伏点を有する可能性があることを示したが、周波数依存性測定では、1Hz以下の周波数では、その基準はもはや存在しないことが示された。対照的に、HS60を含む試料は、すべての周波数にわたって38°~39°、つまり45°より小さい位相角を示した。
【0067】
同じ測定を25℃で行い、結果を表3に示す:
【表6】
【0068】
例4および例3の試料は、いずれも位相角が45°より小さいことを示しており、したがってこれらの試料はこの範囲に降伏点がある。しかし、例3の試料について表1から明らかなように、20℃より低い温度では、降伏点は決定的に消失しており、なぜならば、この温度より低い試料は位相角が45°を超え、したがってG`<G``となるためである。
【0069】
最後に、例4の試料を40℃でのさらなる周波数依存性測定に供することにより、この温度でG`>G``であるか、あるいは45°未満の位相角を有するか否かを確認した。表4からわかるように、例4の試料について調査した3つの温度すべてにおける位相角は45°未満であり、したがって、例4の試料は10℃~40℃の温度範囲に降伏点を有する。
【0070】
【表7】
【0071】
単純なクレンジング配合物における増粘性能:
22℃で撹拌しながら個々の成分を水と混合し、これにより最終配合物組成物に対して95重量%になるように必要な量の水を添加することによって、以下に規定する配合物を製造した。撹拌1時間後、それぞれ増粘剤として例1~例5、例8、例9および例11による組成物を添加し、クエン酸でpHを5.2に調整し、100重量%まで配合物に水を満たした。均質化し、22℃で少なくとも24時間静置した後、スピンドル62を用い、毎分30回転、温度22℃でブルックフィールド粘度計にて粘度を測定した。例6、例7および例10は、相分離の問題のため、試験から除外した。以下に示すパーセンテージは、すべて重量パーセンテージである。
【0072】
【表8-1】
【0073】
【表8-2】
【0074】
表に示した例1~例5、例8、例9および例11による組成物の量を、双方のクレンジング配合物に添加した。それぞれの水の添加量は、100%とすべての供給原料の合計との差で与えられる。
【0075】
比較的複雑なガイドライン配合物における増粘性能:
粘度測定を、ブルックフィールド粘度計(Brookfield RVDV-I Prime)を用いて以下の条件で行った:
温度:23℃
スピンドル:LV 2
回転数:30RPM
【表9】
【0076】
調製:SLESおよびTEGIN G 1100を65℃に加熱し、次いでゆっくりと冷却する。成分Bを相Aに順次添加した。TEGO Carbomerを撹拌しながら水中に取り込み、NaOHで中和する。次に相Cを相ABに加える。最後に、残りの原料を指示された順序で添加し、pHを調整する。
【0077】
【表10】
【0078】
【表11】
【0079】
調製:配合物成分を撹拌しながら指示された順序で混合する。次いで、pHをクエン酸で調整する。
【0080】
粘度の比較:
【表12】
【国際調査報告】