(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】少なくとも1種の脂肪アミン、少なくとも6質量%の少なくとも1種の固体脂肪物質及び少なくとも1種の液体脂肪物質を含む化粧用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20240705BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240705BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240705BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240705BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240705BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K8/42
A61K8/41
A61K8/36
A61K8/37
A61K8/34
A61Q5/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503747
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 EP2022070132
(87)【国際公開番号】W WO2023001792
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】セシル・トゥールーザン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィルジニー・ル・ショー
(72)【発明者】
【氏名】エステル・ミレー
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA081
4C083AA082
4C083AA121
4C083AA122
4C083AC071
4C083AC072
4C083AC112
4C083AC152
4C083AC241
4C083AC261
4C083AC271
4C083AC302
4C083AC341
4C083AC351
4C083AC352
4C083AC421
4C083AC422
4C083AC531
4C083AC641
4C083AC642
4C083BB41
4C083CC33
4C083DD31
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE28
4C083EE29
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含有する少なくとも1種の脂肪アミンと、カルボン酸及びモノアルコールの特定の固体エステルを含む25℃より高い融点を有する少なくとも6質量%の少なくとも1種の脂肪物質と、25℃以下の融点を有する少なくとも1種の脂肪物質とを含む化粧用組成物に関する。本発明は、ケラチン繊維の美容的処置のためのプロセスであって、そのような組成物が前記繊維に適用されるプロセス、及びまたケラチン繊維、特に毛髪をケアするためのこの組成物の使用にも関する。本発明はまた、ケラチン繊維、特に毛髪をコンディショニングするための本発明による組成物の使用にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)少なくとも1種のC
8~C
30炭化水素ベースの鎖を含有する1種若しくは複数種の脂肪アミンと、
(ii)前記脂肪アミン(i)とは異なる、25℃より高い融点を有する、組成物の総質量に対して少なくとも6質量%の1種若しくは複数種の脂肪物質と、
(iii)前記脂肪アミン(i)とは異なる、25℃以下の融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質と
を含む化粧用組成物であって、
(ii)少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルから選択される、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質を含む組成物。
【請求項2】
少なくとも1種のC
8~C
30炭化水素ベースの鎖を含有する前記脂肪アミン(i)が、(C
10~C
30)アルキルアミド(C
1~C
8)アルキル(ジ)(C
1~C
6)アルキルアミン、それらの塩及びそれらの溶媒和物;好ましくは、(C
14~C
26)アルキルアミド(C
1~C
6)アルキル(ジ)(C
1~C
4)アルキルアミン、それらの塩及びそれらの溶媒和物;より好ましくは、(C
16~C
24)アルキルアミド(C
2~C
4)アルキル(ジ)(C
1~C
2)アルキルアミン、その塩及びそれらの溶媒和物;さらにより好ましくは、(C
18~C
22)アルキルアミド(C
2~C
4)アルキル(ジ)(C
1~C
2)アルキルアミン、その塩及びそれらの溶媒和物;さらにより好ましくは、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種のC
8~C
30炭化水素ベースの鎖を含有する前記脂肪アミン(i)の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、2質量%以上、好ましくは2質量%~10質量%の範囲、より優先的には2質量%~6質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールの前記エステルが、10~30個の炭素原子、好ましくは12~24個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び10~30個の炭素原子、好ましくは12~24個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルから選択されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールの前記エステルが、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
固体脂肪アルコール、ワックス、バター及びそれらの混合物から、好ましくは固体脂肪アルコール、バター及びそれらの混合物から、より優先的にはセチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、シアバター及びそれらの混合物から選択される、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の追加の脂肪物質(ii)をさらに含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
25℃より高い融点を有する前記脂肪物質の総含有量(ii)が、前記組成物の総質量に対して、6質量%~20質量%、好ましくは7質量%~15質量%、より優先的には8質量%~12質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含む前記脂肪アミン(i)の総含有量と、25℃より高い融点を有する前記脂肪物質(ii)の総含有量との間の質量比が、0.1~1.0、好ましくは0.2~0.7であることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
25℃以下の融点を有する前記脂肪物質(iii)が、植物又は合成起源のトリグリセリド油、トリグリセリドとは異なる脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの液体エステル、及びそれらの混合物、好ましくはヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、アボカド油、ミリスチン酸イソプロピル、及びそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
25℃以下の融点を有する前記脂肪物質(iii)の総含有量が、前記組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~8質量%、より優先的には1質量%~5質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
毛髪などのヒトケラチン繊維の美容的処置の方法であって、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の前記ケラチン繊維への適用を含む方法。
【請求項12】
ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維をコンディショニングするための請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含有する少なくとも1種の脂肪アミンと、カルボン酸及びモノアルコールの特定の固体エステルを含む25℃より高い融点を有する少なくとも6質量%の少なくとも1種の脂肪物質と、25℃以下の融点を有する少なくとも1種の脂肪物質とを含む化粧用組成物に関する。
【0002】
本発明は、ケラチン繊維の美容的処置のためのプロセスであって、そのような組成物が前記繊維に適用されるプロセス、及びまたケラチン繊維、特に毛髪をケアするためのこの組成物の使用にも関する。
【0003】
本発明はまた、ケラチン繊維、特に毛髪をコンディショニングするための本発明による組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0004】
毛髪は、一般に、光や悪天候といった大気中の外的作用因子によっても、また、ブラッシング、コーミング、染色、ブリーチング、パーマネントウェーブ、及び/若しくは縮毛矯正などの機械的若しくは化学的処理によっても、それどころか洗髪の繰り返しによってさえも、損傷を受け、脆くなる。
【0005】
つまり毛髪は、こうした様々な因子によって損傷を受け、時間の経過と共に、特に傷みやすい部分、より具体的には毛先が、乾燥し、キメが粗くなり、脆くなり、又はツヤを失う可能性がある。
【0006】
したがって、このような欠点を克服するために、毛髪をコンディショニングし、特に、滑らかさ、輝き、柔軟性、しなやかさ、軽さ、自然な感触、及びもつれが解けやすい性質という点で満足のいく美容特性を付与する組成物を使用する、ヘアケア処理の力を借りるのが一般的な手法である。
【0007】
毛髪に定期的に適用することが意図されたこのようなヘアケア組成物は、例えば、ヘアコンディショナー、パック、又は美容液であり得、これらは幾分粘稠性のあるジェル、ヘアローション、又はケアクリームの形態であり得る。
【0008】
シリコーンオイル又は非シリコーンオイルの組み合わせを含有する油性セラの形態の組成物を使用することが特に既知の慣行である。
【0009】
しかしながら、そのような組成物は、ケラチン繊維に過剰な油分を与えることが依然としてあまりにも多く、その結果、前記繊維は、脂っこくなるか又はさらに粘着性のある感触になり、且つ痩せ細って、つぶれた外観となる。
【0010】
さらに、シリコーンオイルを含有する組成物を毛髪に適用すると、手触りがあまりよくないという効果が生じることが多く、特に根元から端部に毛髪に沿って指を滑らせつつ、毛髪の房を互いに擦り合わせた場合、毛髪がザラザラし且つ/又はきしむ(すなわち、不快な音を立てる)傾向がある。
【0011】
加えて、そのような組成物で処置した毛髪は、乾かすのが難しいか、又は遅い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上述した欠点を有さず、且つ特に良好な美容的特性をケラチン繊維に付与することにより、長期的にケラチン繊維をコンディショニングすることができる組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的は、その1つの主題が、特に、
(i)少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含有する1種若しくは複数種の脂肪アミンと、
(ii)脂肪アミン(i)とは異なる、25℃より高い融点を有する、組成物の総質量に対して少なくとも6質量%の1種若しくは複数種の脂肪物質と、
(ii)脂肪アミン(i)とは異なる、25℃以下の融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質と
を含む化粧用組成物であって、(ii)少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルから選択される、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質を含む組成物である、本発明によって達成される。
【0014】
本発明による組成物は、ケラチン繊維、特に毛髪に良好な美容的特性を付与することを可能にし、特に、もつれの解けやすさ、滑らかな感触及び滑らかな外観、柔らかさ、輝き、扱いやすさ、及び縮れの抑制に関して良好である。
【0015】
さらに、本発明による組成物は、良好な作業品質を有する。ケラチン繊維上に適用及び分配することが容易である。それは、心地よい感触を有する。それは、ケラチン繊維の簡単なすすぎによって、これらの繊維に油っぽい感触又は外観を残すことなく、非常に良好に除去される。繊維は軽く、詰まって(laden)いないか、又は粘着性がない。
【0016】
この組成物は、例えば、シリコーンを含んでなる非天然ケア製品と同じ作業及びコンディショニング品質、例えば、もつれの解けやすさ、並びに滑らかな感触及び滑らかな外観を得ることを可能にする、組成物、特に天然毛髪ケア組成物(天然由来の成分をベースとする)を得ることを可能にする。
【0017】
本発明の別の主題は、毛髪などのヒトケラチン繊維の美容的処置のためのプロセスであって、上記で定義された組成物の前記ケラチン繊維への適用を含むプロセスでもある。
【0018】
本発明の別の主題は、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維をコンディショニングするための、上記で定義された組成物の使用に関する。
【0019】
本発明の他の主題、特性、態様及び利点は、説明及び実施例を読むことにより、さらにより明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書では、特に指示がない限り、
- 「少なくとも1」という表現は、「1又は複数」という表現と均等であり、それと置き換えることが可能であり;
- 「~」という表現は、「~の範囲」という表現と均等であり、それと置き換えることが可能であり、且つ限界点が含まれることを示唆し;
- 本出願によれば、「ケラチン繊維」という用語は、ヒトケラチン繊維、より特定的には毛髪を示す。
【0021】
本発明の目的では、融点は、ISO規格11357-3;1999に記載されている熱分析(示差走査熱量測定、すなわち、DSC)で観察される吸熱ピークの頂点の温度に相当する。融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、TA Instruments社からMDSC 2920の名称で販売されている熱量計を使用して測定することができる。本出願では、全ての融点は大気圧(1.013×105Pa)で測定される。
【0022】
「脂肪物質」という用語は、25℃及び大気圧(1.013×105Pa)で水に不溶(5質量%未満、好ましくは1質量%未満、さらにより優先的には0.1質量%未満の溶解度)である有機化合物を意味する。脂肪物質は、少なくとも6個の炭素原子及び/又は少なくとも2個のシロキサン基の配列を含む少なくとも1種の炭化水素ベースの鎖をその構造中に有する。さらに、脂肪物質は、一般に、同温度及び圧力条件下において、有機溶媒、例えばクロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、エタノール、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、流動ワセリン又はデカメチルシクロペンタシロキサンに可溶である。
【0023】
好ましくは、本発明による組成物は、シリコーンを含まない。本発明の目的に関して、「シリコーンを含まない」という用語は、組成物の総質量に対して0.05質量%未満のシリコーンを含み、好ましくはシリコーンを含有しない(組成物の総質量に対して0質量%)組成物を指す。
【0024】
少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含有する脂肪アミン(i)
本発明による組成物は、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖、すなわち、8~30個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を含有する1種若しくは複数種の脂肪アミン(i)を含む。
【0025】
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖、すなわち、8~30個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖を含有する脂肪アミドアミンから選択される1種若しくは複数種の脂肪アミン(i)を含む。
【0026】
好ましくは、脂肪アミンは、(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミン、それらの塩及びそれらの溶媒和物から選択される。
【0027】
(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミンという用語において、アルキル基は直鎖状であってもよいか又は分枝状であってもよく、アミドという用語は、基-C(O)-N(R)-又は-N(R)-C(O)-として理解されるべきであり、ここでRは水素原子又は直鎖状若しくは分枝状(C1~C6)アルキルを表す。特に、本発明の(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミンは、式(A):
R1-C(O)-N(H)-R2-NR3-R4 (A)
(式中、
- R1は、直鎖状C10~C30アルキル基であり、
- R2は、直鎖状C1~C8アルキレン基であり、且つ
- R3及びR4は、同一であってもよいか又は異なっていてもよく、C1~C6アルキル鎖を有する直鎖アルキル基である)に相当する。
【0028】
好ましくは、式(A)中:
- R1は、C14~C26の炭素ベースの鎖を有する直鎖状アルキル基であり、より好ましくは、R1は、C16~C24の炭素ベースの鎖を有する直鎖状アルキル基であり、さらに好ましくは、R1は、C18~C22の炭素ベースの鎖を有する直鎖状アルキル基である。
【0029】
好ましくは、式(A)中:
- R2は、直鎖状C1~C6アルキレン基であり、より好ましくは、R2は直鎖状C2~C4アルキレン基であり、さらに好ましくは、R2は-(CH2)3-基である。
【0030】
好ましくは、式(A)中:
- R3及びR4は、同一であってもよいか又は異なっていてもよく、C1~C4炭素鎖を有する直鎖状アルキル基であり;より好ましくは、R3及びR4は同一であり、メチル又はエチルを表し;さらに好ましくは、R3及びR4は-CH3基である。
【0031】
三級置換アミドアミンの化粧用塩及び水和物などの溶媒和物も本発明に従って使用される。
【0032】
本発明による脂肪アミンは、四級化された形態、特に塩化物又は臭化物などのハロゲン化物塩、又はメトスルフェートなどのアルキルスルフェート塩の形態で存在してもよい。
【0033】
好ましくは、本発明による脂肪アミン、特に本発明による脂肪アミドアミンは四級化されていない。
【0034】
式(A)の化合物は、好ましくは以下から選択される:
【0035】
- 次式(A1)のブラシカミドプロピルジメチルアミン:
R-C(O)-N(H)-(CH2)3-N(CH3)2 (A1)
(式中、R-C(O)は、ブラッシカ・カンペストリス(Brassica campestris)種子油(菜種油)由来の脂肪酸であり、ベヘニル(C22)基が大部分を占める)。
【0036】
これらの式(A1)の化合物の中でも、Inolex Chemical CompanyからのProCondition(商標)22を挙げることができる。
【0037】
- 次式(A2)のステアリルアミドプロピルジメチルアミン:
CH3-(CH2)16-C(O)-N(H)-(CH2)3-N(CH3)2 (A2)
【0038】
これらの式(A2)の化合物の中でも、特にEvoniからのTEGO Amid S 18及びClariantからのGenamin SPAを挙げることができる。
【0039】
- 次式(A3)のベヘナミドプロピルジメチルアミン:
CH3-(CH2)20-C(O)-N(H)-(CH2)3-N(CH3)2 (A3)
【0040】
これらの式(A3)の化合物の中でも、Kaoから提供されるAmidet APA-22、又はSolvayから提供されるMackine 601を特に挙げることができる。
【0041】
優先的には、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含有する脂肪アミン(i)は、(C14~C26)アルキルアミド(C1~C6)アルキル(ジ)(C1~C4)アルキルアミン、それらの塩及びそれらの溶媒和物から選択され;より優先的には、(C16~C24)アルキルアミド(C2~C4)アルキル(ジ)(C1~C2)アルキルアミン、それらの塩及びそれらの溶媒和物から選択され;なおより優先的には、(C18~C22)アルキルアミド(C2~C4)アルキル(ジ)(C1~C2)アルキルアミン、それらの塩及びそれらの溶媒和物から;なおより優先的には、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン及びそれらの混合物から選択される。
【0042】
有利には、本発明による組成物において、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含有する脂肪アミン(i)の総含有量は、組成物の総質量に対して、2質量%以上であり、好ましくは2質量%~10質量%の範囲であり、より優先的には2質量%~6質量%の範囲である。
【0043】
好ましくは、(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミン、それらの塩及びそれらの溶媒和物の総含有量は、組成物の総質量に対して、2質量%以上であり、好ましくは2質量%~10質量%の範囲であり、より優先的には2質量%~6質量%の範囲である。
【0044】
好ましくは、ブラシカミドプロピルジメチルアミン、ステアラミドプロピルジメチルアミン、ベヘナミドプロピルジメチルアミン、及びそれらの混合物から選択される(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミンの総含有量は、組成物の総質量に対して、2質量%以上であり、好ましくは2質量%~10質量%の範囲であり、より優先的には2質量%~6質量%の範囲である。
【0045】
固体脂肪物質(ii)
本発明による化粧用組成物は、大気圧(1.013×105Pa)で25℃より高い、好ましくは28℃以上、より優先的には30℃以上の融点を有する、脂肪アミン(i)とは異なる少なくとも1種の脂肪物質(ii)を、組成物の総質量に対して少なくとも6質量%含む。本特許出願において、この脂肪物質又はこれらの脂肪物質は、「固体脂肪物質」とも称される。
【0046】
・ 固体脂肪物質(ii):カルボン酸及びモノアルコールの固体エステル
本発明による化粧用組成物は、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルから選択される、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質(ii)を含む。
【0047】
有利には、本発明で使用することができるカルボン酸及びモノアルコールの固体エステルは、(ポリ)オキシアルキレン化も(ポリ)グリセロール化もされていない。
【0048】
好ましくは、カルボン酸及びモノアルコールの固体エステルは、非シリコーン物質である。
【0049】
好ましくは、これらの固体脂肪エステルは、10~30個の炭素原子、好ましくは12~24個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び10~30個の炭素原子、好ましくは12~24個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルである。飽和カルボン酸は、任意選択的にヒドロキシル化されていてもよく、好ましくはモノカルボン酸である。
【0050】
特に、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0051】
好ましくは、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールの固体エステルは、C10~C26アルキルパルミテート、特にパルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル及びパルミチン酸ステアリル;C10~C26アルキルミリステート、例えば、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリル及びミリスチン酸ミリスチル;C10~C26アルキルステアレート、特にステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸セチル及びステアリン酸ステアリル;並びにそれらの混合物から選択される。
【0052】
特に好ましくは、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールの固体エステルは、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、及びそれらの混合物から選択される。
【0053】
・ 固体脂肪物質(ii):追加の固体脂肪物質(ii)
本発明による化粧用組成物はまた、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルとは異なる、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の追加の脂肪物質(ii)を含んでもよい。
【0054】
有利には、本発明で使用することができる固体脂肪物質は、(ポリ)オキシアルキレン化も(ポリ)グリセロール化もされていない。
【0055】
本発明による固体脂肪物質は、好ましくは、25℃において1s-1のせん断速度で測定して、2Pa・sより高い粘度を有する。
【0056】
好ましくは、固体脂肪物質は非シリコーン物質である。
【0057】
25℃より高い融点を有する脂肪物質(ii)は、好ましくは、固体脂肪酸、固体脂肪アルコール、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルとは異なる脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの固体エステル、ワックス、バター、セラミド、固体モノグリセリド、ジグリセリド又はトリグリセリド、及びそれらの混合物から選択される。
【0058】
「脂肪酸」という用語は、6~40個の炭素原子、好ましくは8~30個の炭素原子を含む長鎖カルボン酸を意味する。本発明による固体脂肪酸は、好ましくは10~30個の炭素原子、より好ましくは14~22個の炭素原子を含む。これらの脂肪酸はオキシアルキレン化もグリセロール化もされていない。
【0059】
本発明で使用することができる固体脂肪酸は、特にミリスチン酸、セチル酸、ステアリル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、ベヘン酸、及びこれらの混合物から選択される。
【0060】
「脂肪アルコール」という用語は、6~40個の炭素原子、好ましくは8~30個の炭素原子を含み、少なくとも1個のヒドロキシル基OHを含む長鎖脂肪族アルコールを意味する。これらの脂肪アルコールは、オキシアルキレン化もグリセロール化もされていない。
【0061】
固体脂肪アルコールは、飽和又は不飽和、直鎖状又は分枝状であってよく、8~40個の炭素原子、好ましくは10~30個の炭素原子、より好ましくは12~30個の炭素原子を含む。好ましくは、固体脂肪アルコールは、構造R-OHを有し、Rは、8~40個、好ましくは10~30個の炭素原子、より好ましくは12~30個の炭素原子、さらにより好ましくは12~24個の炭素原子、さらにより好ましくは14~22個の炭素原子を含む、任意選択的に1個若しくは複数個のヒドロキシル基で置換された直鎖アルキル基を示す。
【0062】
使用され得る固体脂肪アルコールは、好ましくは飽和及び直鎖状又は分枝状、好ましくは直鎖状及び飽和の、8~40個の炭素原子、より好ましくは10~30個の炭素原子、さらにより好ましくは12~24個の炭素原子、さらにより好ましくは14~22個の炭素原子を含む(モノ)アルコールから選択される。
【0063】
使用可能な固体脂肪アルコールは、単独で又は混合物として、次に示すものから選択的することができる:
- ミリスチルアルコール(又は1-テトラデカノール);
- セチルアルコール(又は1-ヘキサデカノール);
- ステアリルアルコール(又は1-オクタデカノール);
- アラキジルアルコール(又は1-エイコサノール);
- ベヘニルアルコール(又は1-ドコサノール);
- リグノセリルアルコール(又は1-テトラコサノール);
- セリルアルコール(又は1-ヘキサコサノール);
- モンタニルアルコール(又は1-オクタコサノール);
- ミリシルアルコール(又は1-トリアコンタノール)。
【0064】
好ましくは、固体脂肪アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、アラキジルアルコール、及びそれらの混合物、例えばセチルステアリルアルコール又はセテアリルアルコールから選択される。特に好ましくは、固体脂肪アルコールは、セチルアルコール、ステアリルアルコール又はそれらの混合物、例えばセチルステアリルアルコールから選択され、より好ましくは固体脂肪アルコールはセチルステアリルアルコールである。
【0065】
使用され得る脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの固体エステルは、好ましくは、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルとは異なる、C9~C26カルボン酸及び/又はC9~C26脂肪アルコールから誘導されるエステルから選択される。
【0066】
C3~C22モノ-、ジ-又はトリカルボン酸及びC1~C22アルコールのエステル及びモノ、ジ-又はトリカルボン酸及びC2~C26ジ-、トリ-、テトラ-又はペンタヒドロキシアルコールのエステルも使用され得る。
【0067】
特に、乳酸セチル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸オクチル、オクタン酸セチル、オレイン酸デシル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸オクチル、ペラルゴン酸オクチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジ-n-プロピル、アジピン酸ジオクチル、マレイン酸ジオクチル、パルミチン酸オクチル、及びこれらの混合物が挙げられてよい。
【0068】
本発明の目的のために、ワックスは親油性化合物であって、25℃及び大気圧で固体であり、可逆的な固体/液体状態変化を有し、約40℃より高く、200℃までの範囲であり得る融点を有し、固体状態で異方性結晶組織を有する。一般に、ワックス結晶のサイズは、結晶が光を回折及び/又は拡散して、結晶を含む組成物に多かれ少なかれ不透明な曇った外観を与えるサイズである。ワックスを融点にすることで、油と混和性にし、微視的に均一な混合物を形成することが可能であるが、混合物の温度を周囲温度に戻すと、微視的及び巨視的に検出可能なワックスの再結晶化(白濁)が得られる。
【0069】
特に、本発明で使用するのに適切なワックスは、動物、植物又は鉱物起源のワックス、非シリコーン合成ワックス、及びそれらの混合物から選択することができる。
【0070】
特に、炭化水素ベースのワックス、例えば蜜蝋又は変性蜜蝋(セラ・ベリナ(cera bellina))、ラノリンワックス及びラノリン誘導体、鯨蝋;コルク繊維又はサトウキビワックス、オリーブツリーワックス、米ぬかワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、オウリキュリーワックス、エスパルトグラスワックス、ベリーワックス、シェラックワックス、ジャパンワックス及び櫨蝋、花のアブソリュートワックス;モンタンワックス、オレンジワックス、レモンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、石油ゼリー、褐炭及びオゾケライト;ポリエチレンワックス、フィッシャー-トロプシュ(Fischer-Tropsch)合成によって得られるワックス、ワックス状コポリマー、及びそれらのエステルが挙げられ得る。
【0071】
Microwax HWなどのC2~C60マイクロクリスタリンワックスも挙げられてよい。
【0072】
また、Permalen 50-Lポリエチレンという商品名で販売されているPM 500ポリエチレンワックスも挙げられてよい。
【0073】
直鎖状又は分岐状C8~C32脂肪鎖を含む動物油又は植物油の接触水素化によって得られるワックスも挙げることができる。これらのワックスの中でも、トランス異性化部分水素添加ホホバ油などの異性化ホホバ油、特にDesert Whale社によってIso-Jojoba-50(登録商標)の商品名で製造又は販売されている製品、水素化ヒマワリ油、水素化ヒマシ油、水素化ココナッツカーネル油、水素化ラノリン油及びビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート、特にHeterene社によってHest 2T-4S(登録商標)の名称で販売されている製品が挙げられてよい。
【0074】
セチルアルコールによってエステル化されたヒマシ油の水素化によって得られるワックス、例えばソフィム社によってPhytowax Castor 16L64(登録商標)及び22L73(登録商標)の名称で販売されているものも使用され得る。
【0075】
また、使用され得るワックスは、単独又は混合物としてのC20~C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(アルキル基が20~40個の炭素原子を含む)である。このようなワックスは、特に、Koster Keunen社によってKester Wax K82P(登録商標)、HydroxypolyesterK82P(登録商標)及びKester Wax K80P(登録商標)の名称で販売されている。
【0076】
本発明の組成物にマイクロワックスを使用することも可能であり;特に、Micro Powders社によってMicroCare 350(登録商標)の名称で販売されている製品などのカルナウバマイクロワックス、Micro Powders社によってMicroEase 114S(登録商標)の名称で販売されている製品などの合成ワックスマイクロワックス、Micro Powders社によってMicroCare 300(登録商標)及び310(登録商標)の名称で販売されている製品などのカルナウバワックスとポリエチレンワックスとの混合物から構成されるマイクロワックス、Micro Powders社によってMicroCare 325(登録商標)の名称で販売されている製品などのカルナウバワックスと合成ワックスとの混合物から構成されるマイクロワックス、Micro Powders社によってMicropoly 200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)及び250S(登録商標)の名称で販売されている製品などのポリエチレンマイクロワックス、並びにMicro Powders社によってMicroslip 519(登録商標)及び519L(登録商標)の名称で販売されている製品などのポリテトラフルオロエチレンマイクロワックスが挙げられ得る。
【0077】
ワックスは好ましくは、鉱物ワックス、例えばパラフィン、石油ゼリー、褐炭又はオゾケライトワックス;植物ワックス、例えばココアバター、シアバター又はコルク繊維又はサトウキビワックス、オリーブツリーワックス、米ぬかワックス、水素化ホホバワックス、オウリキュリーワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、エスパルトグラスワックス、又は花のアブソリュートワックス、例えばBertin社(フランス)によって販売されているカシスの花のエッセンシャルワックス;動物由来のワックス、例えば蜜蝋又は変性蜜蝋(セラ・ベリナ(cera bellina))、鯨蝋、ラノリンワックス及びラノリン誘導体、マイクロクリスタリンワックス、及びそれらの混合物から選択される。
【0078】
バターも使用されてよい。
【0079】
本発明の目的のために、「バター」という用語(「ペースト状脂肪物質」とも呼ばれる)は、25℃の温度及び大気圧(760mmHg)において、液体画分及び固体画分を含む、可逆的な固体/液体状態変化を有する親油性脂肪化合物を意味することが意図される。好ましくは、本発明によるバターは、25℃以上の融解開始温度及び60℃未満の融解終了温度を有する。
【0080】
好ましくは、特定のバターは植物由来であり、例えば、Ullmann’s Encyclopedia of Industrial Chemistry(「Fats and Fatty Oils」、A.Thomas、オンライン公開:2000年6月15日、DOI:10.1002/14356007.a10_173、ポイント13.2.2.2)に記載されているものである。シアバター、ボルネオタロー、及び関連油脂(植物性バター))。
【0081】
より特に、シアバター、ニロティカシアバター(ブチロスパーマム・パーキー(Butyrospermum parkii))、ガラムバター、(ブチロスパーマム・パーキー(Butyrospermum parkii))、ボルネオバター又は脂肪又はテンカワン獣脂(ショレア・ステノプテラ(Shorea stenoptera))、ショレアバター、イリッペバター、マフアバター又はバッシア・マフア・ロンギホリア(Bassia madhuca longifolia)バター、モーラバター(マフア・ロンギフォリア(Madhuca latifolia))、カチアウバター(マフア・モットレヤナ(Madhuca mottleyana))、プルワラバター(M.ブチラセア(M.butyracea))、マンゴーバター(マニフィーラ・インディカ(Mangifera indica))、ムルムルバター(アストロカリウム・ムルムル(Astrocaryum murumuru))、コカムバター(ガルシニア・インディカ(Garcinia indica))、ウクウババター(ビロラ・セビフェラ(Virola sebifera))、ツクマバター、パインヤバター(クパニャン)(ペンタデスマ・ブチラセア(Pentadesma butyracea))、コーヒーバター(コーヒーノキ(Coffea arabica))、アンズバター(アンズ(Prunus armeniaca))、マカダミアバター(マカデミア・ターニフォリア(Macadamia ternifolia))、ブドウ種子バター(ブドウ(Vitis vinifera))、アボカドバター(パーシア・グラティッシマ(Persea gratissima))、オリーブバター(オリーブ(Olea europaea))、甘扁桃バター(プルヌス・アミグダルス・ズルシス(Prunus amygdalus dulcis))、ココアバター及びヒマワリバターが挙げられ得る。
【0082】
好ましいバターの一例はシアバターである。
【0083】
公知の様式で、シアバターはブチロスパーマム・パーキー(Butyrospermum parkii)の木の果実(「カーネル」又は「ナッツ」とも呼ばれる)から抽出される。それぞれの果実には45%~55%の脂肪分が含まれており、一般的に抽出及び精製される。
【0084】
シアバターには脂肪酸トリグリセリドが含まれている。
【0085】
シアバターの脂肪酸分布は様々で、特にナッツの地理的原産地によって異なり、ステアリン酸及びオレイン酸の合計割合は非常に大きく優勢で、一般的に脂肪酸の総質量に対して80質量%より高い。
【0086】
本発明による組成物に使用され得るセラミド、又はグリコセラミドのようなセラミド類似体は公知であり、特にDawning分類によるクラスI、II、III及びVのセラミドが挙げられ得る。
【0087】
使用され得るセラミド又はその類似体は、好ましくは次式に対応する:
【化1】
(式中、
- R
1は、C
14~C
30脂肪酸から誘導される、直鎖状又は分枝状飽和又は不飽和のアルキル基を示し、この基はアルファ位ヒドロキシル基、又はオメガ位でヒドロキシル基によって置換され、飽和又は不飽和C
16~C
30脂肪酸によってエステル化されることが可能であり;
- R
2は、水素原子、(グリコシル)
n基、(ガラクトシル)
m基又はスルホガラクトシル基を示し、nは1~4の整数であり、mは1~8の整数であり;
- R
3は、飽和又は不飽和のC
15~C
26炭化水素ベースの基を示し、アルファ位において、この基は1個若しくは複数個のC
1~C
14アルキル基によって置換されていることが可能であり;
天然セラミド又はグリコセラミドの場合、R
3はC
15~C
26アルファ-ヒドロキシアルキル基を示してもよく、このヒドロキシル基は任意選択的にC
16~C
30α-ヒドロキシ酸でエステル化されていることが理解される)。
【0088】
好ましくは、R1がC14~C30脂肪酸から誘導された飽和又は不飽和のアルキル基を示し、R2がガラクトシル又はスルホガラクトシル基を示し、R3が-CH=CH-(CH2)12-CH3基を示すセラミドが使用される。
【0089】
特に好ましいセラミドは、R1がC16~C22脂肪酸から誘導された飽和又は不飽和アルキルを示し、R2が水素原子を示し、R3が飽和又は不飽和直鎖状C15基を示す化合物である。
【0090】
R1がC12~C22脂肪酸から誘導された飽和又は不飽和アルキル基を示し;R2がガラクトシル又はスルホガラクトシル基を示し;そしてR3が飽和又は不飽和C12~C22炭化水素ベースの基、好ましくは-CH=CH-(CH2)12-CH3基を示す化合物も使用され得る。
【0091】
特に好ましい化合物として、2-N-リノレオイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール;2-N-オレイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール;2-N-パルミトイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール;2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール;2-N-ベヘノイルアミノオクタデカン-1,3-ジオール;2-N-[2-ヒドロキシパルミトイル]アミノオクタデカン-1,3-ジオール;2-N-ステアロイルアミノオクタデカン-1,3,4-トリオール、特にN-ステアロイルフィトスフィンゴシン、2-N-パルミトイルアミノヘキサデカン-1,3-ジオール、N-リノレオイルジヒドロスフィンゴシン、N-オレオイルジヒドロスフィンゴシン、N-パルミトイルジヒドロスフィンゴシン、N-ステアロイルジヒドロスフィンゴシン、及びN-ベヘノイルジヒドロスフィンゴシン、N-ドコサノイル-N-メチル-D-グルカミン、セチル酸N-(2-ヒドロキシエチル)-N-(3-セチルオキシ-2-ヒドロキシプロピル)アミド、及びビス(N-ヒドロキシエチル-N-セチル)マロンアミド;及びそれらの混合物も挙げられ得る。好ましくは、N-オレオイルジヒドロスフィンゴシンも使用されるであろう。
【0092】
好ましくは、25℃より高い融点を有する追加の脂肪物質(ii)は、固体脂肪アルコール、ワックス、バター及びそれらの混合物から、より好ましくは固体脂肪アルコール、バター及びそれらの混合物から、さらにより好ましくは、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、シアバター及びそれらの混合物から選択される。
【0093】
有利には、本発明による組成物において、脂肪アミン(i)とは異なる、25℃より高い融点を有する脂肪物質(ii)の総含有量は、組成物の総質量に対して、6質量%~20質量%、好ましくは7質量%~15質量%、より優先的には8質量%~12質量%の範囲である。
【0094】
有利には、本発明による組成物において、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコール及び追加の固体脂肪物質のエステル(ii)から選択される、脂肪アミン(i)とは異なる、25℃より高い融点を有する脂肪物質(ii)の総含有量は、組成物の総質量に対して、6質量%~20質量%、好ましくは7質量%~15質量%、優先的には8質量%~12質量%の範囲である。
【0095】
有利には、本発明による組成物において、脂肪アミン(i)とは異なる、すなわち、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコール及び固体脂肪アルコールから選択される追加の固体脂肪物質のエステル(ii)の25℃より高い融点を有する脂肪物質(ii)の総含有量の合計含有量は、組成物の総質量に対して、6質量%~20質量%、好ましくは7質量%~15質量%、優先的には8質量%~12質量%の範囲である。
【0096】
有利には、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含有する脂肪アミン(i)の総含有量と、脂肪アミン(i)とは異なる、25℃より高い融点を有する脂肪物質(ii)の総含有量との間の質量比は、0.1~1.0、好ましくは0.2~0.7である。
【0097】
好ましい実施形態において、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含む脂肪アミン(i)の総含有量と、固体脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの固体エステル、バター及びそれらの混合物の総含有量との間の質量比は、0.1~1.0、好ましくは0.2~0.7である。
【0098】
別の好ましい実施形態において、少なくとも1種のC8~C30炭化水素ベースの鎖を含む脂肪アミン(i)の総含有量と、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコール及び追加の固体脂肪物質の総含有量のエステル(ii)との間の質量比は、0.1~1.0、好ましくは0.2~0.7である。
【0099】
別の好ましい実施形態において、(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミンの総含有量と、脂肪アミン(i)とは異なる、25℃より高い融点を有する脂肪物質(ii)の総含有量との質量比は、0.1~1.0、好ましくは0.2~0.7である。
【0100】
さらに別の好ましい実施形態において、(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミンの総含有量と、固体脂肪アルコール、脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの固体エステル、バター及びそれらの混合物の総含有量との間の質量比は、0.1~1.0、好ましくは0.2~0.7である。
【0101】
さらに別の好ましい実施形態では、(C10~C30)アルキルアミド(C1~C8)アルキル(ジ)(C1~C6)アルキルアミンの総含有量と、少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコール及び追加の固体脂肪物質のエステル(ii)の総含有量との質量比は、0.1~1.0、好ましくは0.2~0.7である。
【0102】
液体脂肪物質(iii)
本発明による化粧用組成物は、脂肪アミン(i)とは異なる、大気圧(1.013×105Pa)において25℃以下、好ましくは20℃以下の融点を有する少なくとも1種の脂肪物質(iii)を含み、好ましくは脂肪エステルを含む。言い換えると、これらの脂肪物質は大気圧で液体であり、固体状態ではない。
【0103】
本特許出願において、この脂肪物質又はこれらの脂肪物質は、「液体脂肪物質」又は「油」とも呼ばれる。
【0104】
有利には、本発明で使用することができる液体脂肪物質は、(ポリ)オキシアルキレン化されていない。
【0105】
好ましくは、本発明で使用することができる液体脂肪物質は、非シリコーン脂肪物質である。
【0106】
「非シリコーン脂肪物質」という用語は、Si-O結合を一切含有しない脂肪物質を指し、「シリコーン脂肪物質」という用語は、少なくとも1つのSi-O結合を含有する脂肪物質を指す。
【0107】
より詳細には、本発明による融点が25℃以下である液体脂肪物質(iii)は、C6~C16液体炭化水素、16個を超える炭素原子を含む液体炭化水素、動物由来の非シリコーン油、植物又は合成由来のトリグリセリド型の油、フルオロ油、液体脂肪アルコール、トリグリセリドとは異なる脂肪酸及び/又は脂肪アルコールの液体エステル、並びにこれらの混合物から選択される。
【0108】
脂肪アルコール、脂肪エステル及び脂肪酸は、より詳細には、少なくとも1つの飽和又は不飽和で直鎖状又は分枝状炭化水素ベースの基であって、6~40個、より良好には8~30個の炭素原子を含み、任意選択的に、特に1個若しくは複数個(特に1~4個)のヒドロキシル基で置換されている基を含有することを想起されたい。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0109】
C6~C16の液体炭化水素に関して、後者は直鎖状、分岐状、又は任意選択的に環状であってもよく、好ましくはアルカンから選択される。その例として、ヘキサン、シクロヘキサン、ウンデカン、ドデカン、イソドデカン、トリデカン又はイソヘキサデカン若しくはイソデカンなどのイソパラフィン及びその混合物を挙げることができる。
【0110】
16個より多い炭素原子を含む液体炭化水素は、直鎖又は分枝であり得、鉱物又は合成由来であり得、好ましくは流動パラフィン又は流動ワセリン、ポリデセン、Parleam(登録商標)などの水添ポリイソブテン及びその混合物から選択される。
【0111】
動物由来の炭化水素ベースの油の中で、ペルヒドロスクアレンが挙げられ得る。
【0112】
植物又は合成由来のトリグリセリド油は、好ましくは、6~30個の炭素原子を含む液体脂肪酸トリグリセリド、例えば、ヘプタン酸又はオクタン酸トリグリセリド、或いは例えば、ヒマワリ油、トウモロコシ油、大豆油、カボチャ(marrow)油、グレープシード油、ゴマ種子油、ヘーゼルナッツ油、アプリコット油、マカダミア油、アララ(arara)油、ヒマシ油、アボカド油、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド、例えば、Stearinerie Dubois社により販売されているもの又はDynamit Nobel社によりMiglyol(登録商標)810、812及び818という名称で販売されているもの、ホホバ油及びシアバター油、並びにこれらの混合物から選択される。
【0113】
フッ素油に関しては、BNFL Fluorochemicals社によってFlutec(登録商標)PC1及びFlutec(登録商標)PC3の名称で販売されているパーフルオロメチルシクロペンタン及びパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン;パーフルオロ-1,2-ジメチルシクロブタン;パーフルオロアルカン、例えば、3M社によってPF 5050(登録商標)及びPF 5060(登録商標)の名称で販売されているドデカフルオロペンタン及びテトラデカフルオロヘキサン、又はAtochem社によってForalkyl(登録商標)の名称で販売されているブロモパーフルオロオクチル;ノナフルオロメトキシブタン及びノナフルオロエトキシイソブタン;パーフルオロモルホリン誘導体、例えば、3M社によってPF 5052(登録商標)の名称で販売されている4-トリフルオロメチルパーフルオロモルホリンから選択され得る。
【0114】
本発明での使用のために適切な液体脂肪アルコールは、より詳細には、直鎖状又は分枝状飽和又は不飽和アルコール、好ましくは、6~40個の炭素原子、好ましくは8~30個の炭素原子を含む不飽和又は分枝状アルコールから選択される。その例として、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、リノレニルアルコール、リシノレイルアルコール、ウンデシレニルアルコール及びリノレイルアルコール、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【0115】
上記のトリグリセリドとは異なる液体脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステルに関しては、とりわけ、飽和又は不飽和の直鎖C1~C26又は分枝C3~C26脂肪族一価酸又は多価酸と、飽和又は不飽和の直鎖C1~C26又は分枝C3~C26脂肪族一価アルコール又は多価アルコールとのエステルが挙げられてよく、このエステルの総炭素数は6以上であり、より有利には10以上である。
【0116】
モノアルコールのエステルに関しては、好ましくは、本発明のエステルを誘導するアルコール及び酸のうちの少なくとも1種は分枝である。
【0117】
モノエステルの中では、ベヘン酸ジヒドロアビエチル、ベヘン酸オクチルドデシル、ベヘン酸イソセチル、乳酸イソステアリル、乳酸ラウリル、乳酸リノレイル、乳酸オレイル、オクタン酸イソステアリル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸オクチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸イソセチル、ラウリン酸イソセチル、ステアリン酸イソセチル、オクタン酸イソデシル、オレイン酸イソデシル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸イソステアリル、アセチルリシノール酸メチル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、エルカ酸オクチルドデシル、エルカ酸オレイル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸アルキル、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ステアリン酸イソブチル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0118】
好ましくは、一価酸及び一価アルコールのモノエステルの中では、パルミチン酸エチル、又はパルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸アルキル、例えばミリスチン酸イソプロピル又はミリスチン酸エチル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸イソデシル、及びネオペンタン酸イソステアリル、並びにこれらの混合物が使用されるであろう。
【0119】
さらにこの変形の文脈に入る、C4~C22ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC1~C22アルコールとのエステル、及びモノカルボン酸、ジカルボン酸又はトリカルボン酸とC2~C26ジヒドロキシアルコール、トリヒドロキシアルコール、テトラヒドロキシアルコール又はペンタヒドロキシアルコールとのエステルもまた、使用することができる。
【0120】
とりわけ、セバシン酸ジエチル;セバシン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジイソプロピル;アジピン酸ジ-n-プロピル;アジピン酸ジオクチル;アジピン酸ジイソステアリル;マレイン酸ジオクチル;ウンデシレン酸グリセリル;ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル;モノリシノール酸ペンタエリスリチル;テトライソノナン酸ペンタエリスリチル;テトラペラルゴン酸ペンタエリスリチル;テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル;テトラオクタン酸ペンタエリスリチル;ジカプリル酸プロピレングリコール;ジカプリン酸プロピレングリコール;エルカ酸トリデシル;クエン酸トリイソプロピル;クエン酸トリイソステアリル;トリ乳酸グリセリル;トリオクタン酸グリセリル;クエン酸トリオクチルドデシル;クエン酸トリオレイル;ジオクタン酸プロピレングリコール;ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール;ジイソノナン酸ジエチレングリコール;及びジステアリン酸ポリエチレングリコール;並びにその混合物を挙げることができる。
【0121】
組成物はまた、脂肪エステルとして、C6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸の糖エステル及びジエステルを含み得る。「糖」という用語は、幾つかのアルコール官能基を有し、アルデヒド又はケトン官能基を含むか又は含まず、且つ少なくとも4つの炭素原子を含む、酸素を有する炭化水素系の化合物を指すことを想起されたい。これらの糖は、単糖、オリゴ糖又は多糖であり得る。
【0122】
好適な糖の例として、スクロース、グルコース、ガラクトース、リボース、フコース、マルトース、フルクトース、マンノース、アラビノース、キシロース及びラクトース並びにその誘導体、とりわけメチル誘導体などのアルキル誘導体、例えばメチルグルコースを挙げることができる。
【0123】
脂肪酸の糖エステルは、とりわけ、上述の糖と、直鎖又は分枝の飽和又は不飽和のC6~C30、好ましくはC12~C22脂肪酸とのエステル又はエステル混合物を含む群から選択することができる。これらが不飽和である場合、これらの化合物は、1~3個の共役又は非共役の炭素-炭素二重結合を含み得る。
【0124】
本変形形態によるエステルは、モノ-、ジ-、トリ-及びテトラエステル、ポリエステル並びにこれらの混合物からも選択され得る。
【0125】
これらのエステルは、例えば、オレイン酸エステル、ラウリン酸エステル、パルミチン酸エステル、ミリスチン酸エステル、ベヘン酸エステル、ヤシ油脂肪酸エステル、ステアリン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、カプリン酸エステル、アラキドン酸エステル、又はこれらの混合物、特に、オレオパルミチン酸エステル、オレオステアリン酸エステル、及びパルミトステアリン酸エステルといった混合エステルなどである。
【0126】
より詳細には、モノエステル及びジエステル、特に、スクロース、グルコース、又はメチルグルコースのモノ-又はジオレイン酸エステル、ステアリン酸エステル、ベヘン酸エステル、オレオパルミチン酸エステル、リノール酸エステル、リノレン酸エステル、及びオレオステアリン酸エステル、並びにこれらの混合物が使用される。
【0127】
挙げられ得る一例は、Amerchol社によってGlucate(登録商標)DOという名称で販売されている製品であり、これはメチルグルコースジオレエートである。
【0128】
好ましくは、一価酸と一価アルコールとの液体エステルが使用されるであろう。
【0129】
好ましくは、脂肪アミン(i)とは異なる、25℃以下の融点を有する脂肪物質(iii)は、植物又は合成由来のトリグリセリド油、トリグリセリドとは異なる液体脂肪酸及び/又は脂肪アルコールエステル、及びそれらの混合物から選択され、より優先的には、ヒマワリ油、大豆油、オリーブ油、アボカド油、ミリスチン酸イソプロピル、及びそれらの混合物から選択される。
【0130】
有利には、本発明による組成物において、脂肪アミン(i)とは異なる、25℃以下の融点を有する脂肪物質(iii)の総含有量は、組成物の総質量に対して、0.1質量%~10質量%、好ましくは0.5質量%~8質量%、より優先的には1質量%~5質量%の範囲である。
【0131】
好ましくは、組成物は、
- 少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルから選択される、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質(ii)、
- 植物由来のトリグリセリド油から選択される、25℃以下の融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質(iii)
を含む。
【0132】
より好ましくは、組成物は、
- 少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和カルボン酸及び少なくとも10個の炭素原子を含む直鎖状又は分枝状飽和モノアルコールのエステルから選択される、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質(ii)、
- 固体脂肪アルコールから選択される、25℃より高い融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質(ii)、
- 植物由来のトリグリセリド油から選択される、25℃以下の融点を有する1種若しくは複数種の脂肪物質(iii)
を含む。
【0133】
本発明による組成物は、一般に水を含む。
【0134】
水は、有利には、組成物の総質量に対して65質量%~95質量%、より好ましくは70質量%~90質量%、好ましくは75質量%~85質量%を占める。
【0135】
有機溶媒
本発明による組成物はまた、さらに1種若しくは複数種の水混和性有機溶媒を含んでもよい。
【0136】
好ましくは、有機溶媒は、エチルアルコール又はイソプロピルアルコールなどの非芳香族C1~C6アルコール、ベンジルアルコール及びフェニルエチルアルコールなどの芳香族アルコール、又はグリセロール若しくはソルビトールなどのポリオールから選択される。
【0137】
それらが本発明による組成物中に存在する場合、有機溶媒は一般に、組成物の総質量に対して0.1質量%~15質量%、好ましくは0.5質量%~10質量%を占める。
【0138】
エマルジョン
好ましい実施形態によれば、本発明による組成物は、水中油型エマルジョンの形態である。
【0139】
エマルジョンの形態である場合、本発明による組成物は、一般に、非常に低い多分散性を有し、すなわち、粒子は非常に均質なサイズを有する。本発明による組成物中に存在する粒子は、連続水性相内の液体油(又は油性相)粒子である。
【0140】
添加物
本発明による化粧用組成物はまた、任意選択的に、本発明の化合物とは異なる1種若しくは複数種の添加剤を含んでもよく、その中でも、脂肪アミンとは異なる界面活性剤、例えば、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性界面活性剤及びそれらの混合物、カチオン性、アニオン性、非イオン性又は両性ポリマー又はそれらの混合物、抗フケ剤、抗脂漏剤、パンテノールを含むビタミン及びプロビタミン、日焼け止め剤、封鎖剤、可塑剤、可溶化剤、酸性化剤、鉱物性又は有機増粘剤、特に高分子増粘剤、不透明化剤、真珠光沢剤、酸化防止剤、ヒドロキシ酸、香料、保存剤及び充填剤が挙げられ得る。
【0141】
言うまでもなく、当業者は、本発明に従う組成物に本質的に関連する有利な特性が、想定される添加により悪影響を受けない、又は実質的に悪影響を受けないように、この又はこれらの任意選択的な付加的な化合物を注意深く選択するであろう。
【0142】
上述の添加剤は、一般に、それぞれ、組成物の総質量に対し0~20質量%の量で存在し得る。
【0143】
本発明の主題は、毛髪などのヒトケラチン繊維の美容的処置の方法であって、上記で定義された組成物の、前記ケラチン繊維への塗布を含む方法でもある。
【0144】
本発明による組成物は、任意選択的にシャンプーで洗浄された、乾いた又は濡れたケラチン物質に適用することができる。好ましくは、本発明による組成物は、湿ったケラチン繊維に塗布される。
【0145】
一実施形態によれば、次いでケラチン繊維を水ですすぎ、任意選択的にシャンプーで洗浄した後に水ですすぎ、その後、乾燥させるか又は乾燥するまで放置する。
【0146】
この実施形態では、本発明に係る組成物は、1~15分、好ましくは2~10分の範囲であり得るリーブオン時間にわたり塗布され得る。
【0147】
好ましい一実施形態によれば、ケラチン繊維は、本組成物の塗布後にすすがれない。次いで、ケラチン繊維は、乾燥させ且つ/又は形を整えるために(例えば、加熱アイロンによる矯正のために)、加熱及び/又は機械的処置を受け得る。
【0148】
本発明の主題は、ケラチン繊維、特に毛髪などのヒトケラチン繊維をコンディショニングするための、上記で定義された組成物の使用でもある。
【0149】
本組成物は、リンスオフ又はリーブオンモード、好ましくはリーブオンモードにおいて(即ちケラチン繊維を組成物の塗布後にすすがない)、濡れているか又は乾燥した毛髪に使用され得る。
【0150】
以下の実施例は、本発明を説明する上で役立つが、限定的性質を呈示するものではない。
【実施例】
【0151】
下記の実施例において、全ての量は、他に示さない限り、組成物の総質量に対する活性材料(AM)の質量パーセントとして示す。
【0152】
実施例1
本発明による組成物A及びBを、以下の成分から調製した。
【0153】
【0154】
ヘアケア組成物(コンディショナー)として使用することが可能である組成物が得られた。
【0155】
1gの組成物A又はBを、事前にシャンプーした2.7gの濡れた毛髪(損傷した毛髪)の束に適用した。
【0156】
製品を5分間放置した後、束をお湯(38℃)で15秒間すすいだ。
【0157】
その後、ヘアドライヤーを使用して束を乾燥させた。
【0158】
本発明による組成物A及びBは、非常に良好な美容的特性を得ることを可能にし、それはシリコーン非天然ヘアケア組成物(コンディショナー)で得られるものと少なくとも同等であった。
【0159】
特に、本発明による組成物は、適用が容易であり、ケラチン繊維上に広がりやすかった。
【0160】
これらの組成物はまた、クリーム状のテクスチャーを有していた。
【0161】
組成物A及びBは、頭髪のもつれの解けやすさを改善することを可能にし、ケラチン繊維に滑らかで柔らかい感触を与えた。これらはまた、毛髪に扱いやすさを与えた。
【0162】
本発明による組成物A及びBは、損傷した毛髪のコンディショニングに特に適切であった。
【0163】
実施例2
本発明による組成物C及び比較組成物C’を、以下の成分(g%AM)から調製した:
【0164】
【0165】
ヘアケア組成物(コンディショナー)として使用することが可能である組成物が得られた。
【0166】
毛髪1gあたり0.4gの組成物を、シャンプーで事前に洗浄し、すすいだSA20毛髪(損傷した毛髪)の濡れた束に適用した。
【0167】
製品を3分間放置した後、束をお湯(38℃)で15秒間すすいだ。
【0168】
この2種の組成物を5人の評価者がブラインド条件下で評価し、以下の基準についてそれぞれ0点から5点(0.5点刻み)の点数をつけた:
- 適用時のしなやかさ:繊維をよりしなやかにする組成物の能力、
- すすぎ後の滑らかな感触:束に沿って指を滑らせることの容易さ。
【0169】
以下の結果が得られた:
【0170】
【0171】
100%の場合において、本発明の組成物Cは、比較組成物C’と比較して、繊維のしなやかさ及びその滑らかな感触に関して有意に高い結果を得ることが可能であることが観察される。
【0172】
実施例3
本発明による組成物A1及びA2並びに比較組成物B1及びB2を、以下の成分(g%AM)から調製した:
【0173】
【0174】
【0175】
- プロトコル:
各組成物A1、A2、B1及びB2を、標準化された様式で、事前に洗浄した濡れた天然毛髪の房に、毛髪の束1gあたり0.4gの組成物の割合で適用した。
【0176】
各組成物を約15秒間放置した後、毛髪の束を15秒間水ですすいだ。その後、毛髪の房を2本の指の間に通して絞り出し、濡れた状態で評価し、その後平らにして自然乾燥させた後、再度評価した。
【0177】
組成物A1を組成物B1と比較し、組成物A2を組成物B2と比較した。
【0178】
- 濡れた毛髪に対する性能:分配のしやすさ、豊かな感触
濡れた毛髪について、2人の専門家によってブラインド条件下で、毛髪の分配のしやすさ及び豊かな手触りに対する本発明の影響を評価した。
【0179】
各専門家は、最も容易で均一な分配を示す組成物を選択した。
【0180】
本発明による組成物A1及びA2はそれぞれ、比較組成物B1及びB2よりも毛髪の房の表面に分配しやすい。
【0181】
次に、専門家は、適用直後の毛髪の被覆及び柔らかさを触覚的に評価することにより、毛髪に最も豊かな感触を与える組成物を選出した。
【0182】
本発明による組成物A1及びA2でそれぞれ処理された毛髪は、比較組成物B1及びB2で処理されたものよりも豊かな感触(より被覆され、より柔らかい)を有していた。
【0183】
- 乾燥した毛髪に対する性能:滑らかで均質な感触
乾燥した毛髪について、2人の専門家によってブラインド条件下で、毛髪の滑らかで均質な手触りに対する本発明の影響を評価した:2人の専門家はそれぞれ、最も滑らかで均質な手触りを有する束を選択した。
【0184】
手触りの滑らかさと均質さを評価するために、専門家は親指と人差し指との間に毛髪の束を挟み、根元から毛先まで束に沿って指を滑らせた;
【0185】
毛髪が柔らかいかどうか、ざらつきがないかどうか、指に引っかからないかどうか、手触りが根元から毛先まで均質かどうかを評価した。
【0186】
本発明による組成物A1及びA2は、比較組成物B1及びB2と比較して、乾燥した毛髪の滑らかな手触り及び均質性の点で改善された性能を示した。
【国際調査報告】