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特表2024-525922単結晶クラッド層を調製するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】単結晶クラッド層を調製するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   C30B 1/04 20060101AFI20240705BHJP
   C30B 29/28 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C30B1/04
C30B29/28
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503748
(86)(22)【出願日】2022-07-19
(85)【翻訳文提出日】2024-03-18
(86)【国際出願番号】 CN2022106432
(87)【国際公開番号】W WO2023001138
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110814718.4
(32)【優先日】2021-07-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523374747
【氏名又は名称】眉山博雅新材料股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】MEISHAN BOYA ADVANCED MATERIALS CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】王 宇
(72)【発明者】
【氏名】▲顧▼ ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】梁 振▲興▼
【テーマコード(参考)】
4G077
【Fターム(参考)】
4G077AA04
4G077BC25
4G077CA03
4G077EA02
4G077HA01
4G077JA01
(57)【要約】
単結晶クラッド層を調製するための方法および装置であって、該方法は、非晶質相物質を調製し、非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成し、光ファイバを非晶質溶融体中に浸し、非晶質溶融体と光ファイバに基づいて、光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成し、非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、単結晶クラッド層を得ることを含む。該装置は、非晶質相物質調製アセンブリと、非晶質相クラッド層調製アセンブリと、単結晶クラッド層調製アセンブリと、を含む。非晶質相物質調製アセンブリは非晶質相物質を調製するために用いられる。非晶質相クラッド層調製アセンブリは、非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成し、光ファイバを非晶質溶融体中に浸し、および非晶質溶融体と光ファイバに基づいて、光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成するために用いられる。単結晶クラッド層調製アセンブリは非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、単結晶クラッド層を得るために用いられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶クラッド層を調製するための方法であって、
非晶質相物質を調製することと、
前記非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成することと、
光ファイバを前記非晶質溶融体中に浸すことと、
前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成することと、
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、前記単結晶クラッド層を得ることと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記非晶質相物質が溶融して前記非晶質溶融体を形成する溶融温度区間が前記光ファイバの溶融温度より低い、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非晶質相物質を調製することが、
原料を溶融させて原料溶融体を形成することと、
流体を噴射することによって前記原料溶融体に対して分散降温処理を行い、前記非晶質相物質を形成することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流体の噴射方向と水平面とが成す角度が20°~70°の範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記流体の噴射圧力が0.1MPa~2.5MPaの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記流体の噴出口と前記原料溶融体との距離が3cm~12cmの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記非晶質相物質を調製することが、さらに、
前記非晶質相物質を収集し、前記収集過程において、前記非晶質相物質を振動させることを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記光ファイバを前記非晶質溶融体中に浸すことが、
前記光ファイバを前記非晶質溶融体中に水平に載置して浸すことを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成することが、
一定温度下で、前記光ファイバ外周に前記非晶質相クラッド層を形成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記非晶質溶融体の温度を調整することにより前記非晶質溶融体の粘度を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
事前設定引上げ速度で外周に前記非晶質相クラッド層が形成された光ファイバを前記非晶質溶融体から引き上げることをさらに含み、引上げ過程において、前記非晶質相クラッド層が形成された光ファイバに対して後加熱処理を行う、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記事前設定引上げ速度が200mm/h~3000mm/hの範囲内である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行うことが、
前記非晶質相クラッド層外周に結晶化剤層を溶着させることと、
結晶化剤層が溶着している非晶質相クラッド層に対して前記結晶化処理を行うことと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記結晶化処理温度が前記非晶質相クラッド層の溶融温度よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記結晶化処理はアーク放電処理を含み、前記アーク放電の形状が前記非晶質相クラッド層が形成された前記光ファイバの形状と互いに整合する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行う過程において、流動酸素を送り込む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
単結晶クラッド層を調製するための装置であって、
非晶質相物質を調製するための非晶質相物質調製アセンブリと、
非晶質相クラッド層調製アセンブリであって、
前記非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成し、
光ファイバを前記非晶質溶融体中に浸し、
前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成する、ための非晶質相クラッド層調製アセンブリと、
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、前記単結晶クラッド層を得るための単結晶クラッド層調製アセンブリと、を含む、
装置。
【請求項18】
前記非晶質相物質調製アセンブリが、
原料を溶融させて原料溶融体を形成するための原料溶融部材と、分散降温部材であって、
流体を噴射することにより前記原料溶融体に対して分散降温処理を行って、前記非晶質相物質を形成するための噴射素子と、
前記非晶質相物質を収集するための収集素子と、を含む分散降温部材と、を含む、
請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記分散降温部材が、前記非晶質相物質を収集する過程において、前記非晶質相物質を振動させるための振動素子をさらに含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記単結晶クラッド層調製アセンブリが、前記非晶質相クラッド層に対してアーク放電処理を行うことにより、前記結晶化処理を行うためのアーク放電部材を含む、請求項17に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
交差引用
本明細書は、2021年7月19日に提出された中国出願番号202110814718.4の優先権を請求するものであり、そのすべての内容は引用により本文に組み込まれている。
【0002】
本明細書は単結晶光ファイバ技術分野に関し、特に単結晶クラッド層を調製するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
光ファイバ構造に基づくレーザ装置は、その優れた性能により、光電子、光通信、超伝導技術などの分野に幅広く応用されている。単結晶光ファイバは、結晶と光ファイバの優位性を結合させて、より優れた性能、例えば、比較的高い機械強度、比較的高い熱伝導率、比較的高いポンピング効率、比較的高いビーム品質、比較的低い伝送損失などを有している。単結晶ファイバコアの外表面の単結晶クラッド層は光信号をファイバコア内に封じ込めて伝送することができ、単結晶光ファイバのレーザ性能をさらに高めている。従来の単結晶クラッド層の調製は、装置に対する要求が高く、かつ操作難易度が比較的高い。そのため、単結晶クラッド層を簡便かつ速やかに調製するために、単結晶クラッド層を調製するための方法および装置を提供する必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書の実施例のひとつは単結晶クラッド層を調製するための方法を提供しており、該単結晶クラッド層調製方法は、非晶質相物質を調製し、前記非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成し、光ファイバを前記非晶質溶融体中に浸し、前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成し、前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、前記単結晶クラッド層を得ることを含む。
【0005】
本明細書の実施例のひとつは単結晶クラッド層を調製するための装置を提供しており、該装置は、非晶質相物質を調製するための非晶質相物質調製アセンブリと、前記非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成し、光ファイバを前記非晶質溶融体中に浸し、前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成するための非晶質相クラッド層調製アセンブリと、前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、前記単結晶クラッド層を得るための単結晶クラッド層調製アセンブリと、を含む。
【0006】
本明細書では、例示的実施例の方式によりさらなる説明を行うが、これらの例示的実施例については図面を通して詳細な記述を行う。これらの実施例は限定的なものではなく、これらの実施例においては、同じ番号は同じ構造を表している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、いくつかの実施例が示す例示的単結晶クラッド層調製方法に基づくフローチャートである。
図2図2は、いくつかの実施例が示す例示的単結晶クラッド層調製装置に基づく概略図である。
図3図3は、いくつかの実施例が示す例示的原料溶融部材に基づく構造概略図である。
図4図4は、いくつかの実施例が示す例示的分散降温部材に基づく構造概略図である。
図5A図5Aは、いくつかの実施例が示す例示的クランプ部材に基づく構造概略図である。
図5B図5Bは、別のいくつかの実施例が示す例示的クランプ部材に基づく構造概略図である。
図6A図6Aは、いくつかの実施例が示す例示的動力素子に基づく構造概略図である。
図6B図6Bは、いくつかの実施例が示す例示的アーク放電素子に基づく構造概略図である。
【符号の説明】
【0008】
図中、200は単結晶クラッド層調製装置、210は非晶質相物質調製アセンブリ、211は原料溶融部材、211-1はメインキャビティ、211-11はキャビティ上蓋、211-111は突起、211-12はキャビティ下蓋、211-121はキャビティ下板、211-1211は開孔、211-122はキャビティ下蓋フレーム、211-123はキャビティ下蓋本体、211-1231は引き手、211-13は中間キャビティ、211-2は原料溶融キャビティ、211-3は加熱素子、211-4は運動素子、211-41は接続ロッド、212は分散降温部材、212-1は噴射素子、212-11は噴射口、212-2は収集素子、212-21は収集本体、212-211は収集口、212-212は孔、212-22は収集枠、212-23はバッフル、212-3は振動素子、220は非晶質相クラッド層調製アセンブリ、221はクランプ部材、221-1はクランプ素子、221-2は調節素子、221-3は固定素子、230は単結晶クラッド層調製アセンブリ、231はアーク放電部材、231-1は動力素子、231-11は上下運動駆動部材、231-111は支持台、231-112はスクリュー、231-113はスライダ、231-114は第1駆動モータ、231-12は回転運動駆動部材、231-121は支持フレーム、231-122は接続部材、231-123は安定部材、231-124は第2駆動モータ、231-2はアーク放電素子、240はモニタリングアセンブリ、250は制御アセンブリ、260は表示アセンブリ、270は記憶アセンブリである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書の実施例の技術手法をより明確に説明するために、以下では実施例に対する記述において使用する必要がある図面について簡単に紹介する。以下の記述中の図面は本明細書のいくつかの例示または実施例にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働を行わないことを前提に、さらにこれらの図面に基づいて本明細書をその他の類似の場面に応用することができることは明らかである。言語環境において明らかであるか、または別途説明がある場合を除き、図中の同じ記号は同じ構造または操作を表す。
【0010】
本文で使用する「システム」、「装置」、「ユニット」および/または「モジュール」は、異なるレベルの異なるアセンブリ、素子、部材、部分または組立を区別するための一種の方法であることを理解しておかなければならない。しかし、その他の語句が同じ目的を実現できる場合は、その他の表現によって前記語句を置き換えることができる。
【0011】
本明細書および特許請求の範囲に示すように、上下の文で例外の状況を明確に提示していない限り、「1」、「1つ」、「1種」および/または「該」などの用語は、特に単数を指すものではなく、複数を含むこともできる。一般に、用語の「含む」および「包含する」は、すでに明確に識別されているステップおよび要素を含むことを提示しているにすぎず、これらのステップおよび要素は1つの排他的な羅列を構成せず、方法またはデバイスはその他のステップまたは要素を含む可能性もある。
【0012】
本明細書では、フローチャートを用いて本明細書の実施例のシステムに基づいて実行される操作を説明している。先行または後続の操作は順序通りに精確に実行されるとは限らないことを理解しておかなければならない。反対に、各ステップは逆順または同時に処理することができる。同時に、その他の操作をこれらの過程の中に追加したり、またはこれらの過程からいずれか1段階または数段階の操作を削除したりすることもできる。
【0013】
図1は、いくつかの実施例が示す例示的単結晶クラッド層調製方法に基づくフローチャートである。いくつかの実施例では、該プロセス100は単結晶クラッド層調製装置(例えば、単結晶クラッド層調製装置200)内の1つまたは複数のアセンブリによって実行することができる。いくつかの実施例では、プロセス100は制御システムによって自動的に実行することができる。例えば、プロセス100は制御命令によって実現することができ、制御システムが制御命令に基づいて各アセンブリがプロセス100の各操作を完了するよう制御する。いくつかの実施例では、プロセス100は半自動で実行することができる。例えば、プロセス100の1つまたは複数の操作は操作者によって手動で実行することができる。いくつかの実施例では、プロセス100の完了時に、記述されていない1つ以上の付加的操作を追加し、および/またはここで議論されている1つ以上の操作を削除することができる。また、図1に示す操作の順序は限定的なものではない。図1に示すように、プロセス100は以下のステップを含む。
【0014】
ステップ110では、非晶質相物質を調製する。いくつかの実施例では、ステップ110は非晶質相物質調製アセンブリ210によって実現することができる。
【0015】
いくつかの実施例では、非晶質相物質を調製するための原料を溶融させて原料溶融体を形成し、かつ原料溶融体に対して冷却降温処理を行って非晶質相物質を調製することができる。いくつかの実施例では、原料溶融過程は原料溶融部材(例えば、原料溶融部材211)によって実現することができる。いくつかの実施例では、冷却降温処理は降温部材(例えば、分散降温部材212)によって実現することができる。以下では、非晶質相物質である非晶質YAG(Yttrium Aluminum Garnet,YAl12)を例として説明する。
【0016】
いくつかの実施例では、原料は粉体、塊状、粒子などであってよい。
【0017】
いくつかの実施例では、コストとその後に成長する単結晶クラッド層の性能とに配慮するために、原料の純度を事前設定範囲内にすることができる。いくつかの実施例では、原料の純度は99.0%以上であってよい。いくつかの実施例では、原料の純度は99.9%以上であってよい。いくつかの実施例では、原料の純度は99.99%以上であってよい。いくつかの実施例では、原料の純度は99.999%以上であってよい。
【0018】
いくつかの実施例では、原料と非晶質相物質の成分は、同じであっても異なっていてもよい。
【0019】
いくつかの実施例では、原料はイットリウムを含む酸化物およびアルミニウムを含む酸化物を含むことができる。いくつかの実施例では、イットリウムを含む酸化物は、Yなどを含むことができるが、これらに限らない。いくつかの実施例では、アルミニウムを含む酸化物は、Alなどを含むことができるが、これらに限らない。いくつかの実施例では、イットリウムを含む酸化物およびアルミニウムを含む酸化物を溶融させる過程において、イットリウムを含む酸化物およびアルミニウムを含む酸化物が化学反応(例えば、固相反応)を起こしてYAG溶融体を生成することができる。それに対応して、原料溶融体は即ちYAG溶融体である。
【0020】
いくつかの実施例では、原料は結晶相YAG固体(例えば、YAG多結晶粉体)を含むことができる。いくつかの実施例では、結晶相YAG固体を溶融させてYAG溶融体を形成することができる。それに対応して、原料溶融体は即ちYAG溶融体である。酸化物原料の反応を基にYAG溶融体を生成する方式に比べて、結晶相YAG固体を基にYAG溶融体を獲得する方式は、酸化物原料(例えば、イットリウムを含む酸化物、アルミニウムを含む酸化物)を高温で溶融させる際の成分揮発または偏析を避け、後続過程の正確さを保証することができる。
【0021】
いくつかの実施例では、結晶相YAG固体は固相反応法によって得ることができる。いくつかの実施例では、結晶相YAG固体を調製するために必要な物質(例えば、イットリウムを含む酸化物やアルミニウムを含む酸化物)を事前設定比率で混合した後、事前設定条件下でか焼することで結晶相YAG固体を得ることができる。いくつかの実施例では、事前設定条件には事前設定か焼温度および事前設定か焼時間が含まれる。
【0022】
いくつかの実施例では、調製する結晶相YAG固体の純度および品質を向上させるために、事前設定か焼温度を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1400℃~1700℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1420℃~1680℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1440℃~1660℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1460℃~1640℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1480℃~1620℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1500℃~1600℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1520℃~1580℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼温度は1540℃~1560℃の範囲内とすることができる。
【0023】
いくつかの実施例では、か焼効率を向上させ、かつ調製する結晶相YAG固体の品質を保証するために、事前設定か焼時間を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は5h~25hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は6h~24hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は7h~23hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は8h~22hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は9h~21hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は10h~20hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は10.5h~19.5hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は11h~19hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は11.5h~18.5hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は12h~18hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は12.5h~17.5hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は13h~17hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は13.5h~16.5hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は14h~16hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定か焼時間は14.5h~15.5hの範囲内とすることができる。
【0024】
いくつかの実施例では、結晶相YAG固体は化学的共沈法により得ることができる。いくつかの実施例では、イットリウムおよびアルミニウムを含む金属塩溶液を沈殿剤(例えば、アルカリ性溶液)と混合して、前駆体を含む溶液を得ることができる。さらに、前駆体を含む溶液に対して濾過、乾燥およびか焼処理を行って、結晶相YAG固体を得ることができる。いくつかの実施例では、イットリウムおよびアルミニウムに対応する酸化物(例えば、酸化イットリウムおよび酸化アルミニウム)を酸溶液(例えば、塩酸、硫酸、硝酸)に溶かし、対応する金属塩溶液を得ることができる。それに対応して、イットリウムおよびアルミニウムを含む金属塩溶液は、硝酸アルミニウムや硝酸イットリウム、塩化アルミニウムや塩化イットリウムなどを含むことができる。いくつかの実施例では、沈殿剤はアンモニア水または炭酸水素アンモニウムのうちの少なくとも1種を含むことができる。
【0025】
いくつかの実施例では、結晶相YAG固体は、その他の方法、例えば、ゾル-ゲル法、溶媒(例えば、水)熱法などにより得ることもできる。
【0026】
いくつかの実施例では、原料の性質に基づいて、溶融の関連パラメータを確定することができる。いくつかの実施例では、溶融関連パラメータは制御アセンブリ250によって確定することができる。異なる原料に対して、相応の溶融関連パラメータを設定し、原料溶融過程の自動制御を実現することができる。
【0027】
いくつかの実施例では、原料の性質には、原料の状態(例えば、粉体、塊状、粒子)、成分、純度などを含むことができるが、これらに限らない。
【0028】
いくつかの実施例では、溶融関連パラメータには、昇温速度、溶融温度、保持時間などを含むことができるが、これらに限らない。
【0029】
いくつかの実施例では、原料の溶融効率を向上させ、かつ原料溶融体の品質を保証するために、昇温速度を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、昇温速度は1℃/min~12℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は1.5℃/min~11.5℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は2℃/min~11℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は2.5℃/min~10.5℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は3℃/min~10℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は3.5℃/min~9.5℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は4℃/min~9℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は4.5℃/min~8.5℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は5℃/min~8℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は5.5℃/min~7.5℃/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、昇温速度は6℃/min~7℃/minの範囲内とすることができる。
【0030】
いくつかの実施例では、原料を十分に反応または溶融させ(例えば、イットリウムを含む酸化物とアルミニウムを含む酸化物が溶融することで化学反応を起こしてYAG溶融体を生成し、または結晶相YAG固体が溶融してYAG溶融体を形成する)、原料溶融体の品質を保証するために、溶融温度を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、溶融温度は1900℃~2100℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1910℃~2090℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1920℃~2080℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1930℃~2070℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1940℃~2060℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1950℃~2050℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1960℃~2040℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1970℃~2030℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1980℃~2020℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、溶融温度は1990℃~2010℃の範囲内とすることができる。
【0031】
いくつかの実施例では、原料を十分に反応または溶融させて原料溶融体の品質を保証するために、保持時間を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、保温時間は2h~12hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は3h~11hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は3.5h~10.5hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は4h~10hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は4.5h~9.5hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は5h~9hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は5.5h~8.5hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は6h~8hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温時間は6.5h~7.5hの範囲内とすることができる。
【0032】
いくつかの実施例では、上記の文と結び付けて、原料溶融体を得た後、原料溶融体に対して冷却降温処理を行って非晶質相物質を調製することができる。いくつかの実施例では、流体を噴射することによって原料溶融体に対して分散降温処理を行い、非晶質相物質を形成することができる。流体を噴射することにより、原料溶融体を微小な溶融体液滴に分散させることができ、原料溶融体と流体または空気との接触面積を相応に増加させ、原料溶融体を急速に降温させることよって、非晶質相物質の形成効率および品質を向上させることができる。
【0033】
いくつかの実施例では、原料溶融体の性質に基づいて、冷却降温の関連パラメータを確定することができる。いくつかの実施例では、冷却降温関連パラメータは制御アセンブリ250によって確定することができる。異なる原料溶融体に対して、相応の冷却降温関連パラメータを設定し、非晶質相物質の調製過程に自己適応性を持たせるようにして、異なる場面でも品質が比較的高い非晶質相物質を調製することができるよう保証することができる。
【0034】
いくつかの実施例では、原料溶融体の性質には、原料溶融体の種類、温度、粘度などを含むことができるが、これらに限らない。
【0035】
いくつかの実施例では、冷却降温の関連パラメータには、降温速度、降温温度区間、降温過程の圧力などを含むことができるが、これらに限らない。いくつかの実施例では、冷却降温の関連パラメータには、流体性質、噴射角度、噴射圧力、噴射口と原料溶融体との距離などを含むことができるが、これらに限らない。
【0036】
いくつかの実施例では、流体性質には、流体の種類、状態、熱伝導係数などを含むことができる。いくつかの実施例では、流体の種類には、N、CO、空気、不活性ガスなどを含むことができるが、これらに限らない。いくつかの実施例では、流体の状態には、気体状態または液体状態を含むことができる。例えば、Nは窒素ガスまたは液体窒素を指すことができる。液体窒素は、噴射または原料溶融体を分散させる過程において、気化して原料溶融体の熱量を吸収することができ、原料溶融体をより急速に降温させ、非晶質化処理効率を向上させて、非晶質相物質の品質を保証することができる。
【0037】
いくつかの実施例では、噴射角度は流体の噴射方向と水平面とが成す角度を指すことができる。いくつかの実施例では、原料溶融体を急速に降温させて高品質な非晶質相物質を獲得するために、噴射角度を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、噴射角度は20°~70°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射角度は25°~65°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射角度は30°~60°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射角度は35°~55°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射角度は40°~50°の範囲内とすることができる。
【0038】
いくつかの実施例では、噴射圧力とは、流体に加えられる作用力を指すことができる。いくつかの実施例では、原料溶融体を十分に分散させて急速に降温し、高品質な非晶質相物質をさらに獲得するために、噴射圧力を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、噴射圧力は0.1MPa~2.5MPaの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射圧力は0.2MPa~2.2MPaの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射圧力は0.4MPa~2MPaの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射圧力は0.6MPa~1.8MPaの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射圧力は0.8MPa~1.6MPaの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射圧力は、1MPa~1.4MPaの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射圧力は1.1MPa~1.3MPaの範囲内とすることができる。
【0039】
いくつかの実施例では、原料溶融体を十分に分散させて急速に降温し、高品質な非晶質相物質をさらに獲得するために、噴射口と原料溶融体との距離を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、噴射口と原料溶融体との距離は3cm~12cmの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射口と原料溶融体との距離は4cm~11cmの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射口と原料溶融体との距離は5cm~10cmの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射口と原料溶融体との距離は6cm~9cmの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、噴射口と原料溶融体との距離は7cm~8cmの範囲内とすることができる。
【0040】
いくつかの実施例では、非晶質相物質の調製パラメータ(例えば、上記溶解関連パラメータおよび/または冷却降温関連パラメータを含む)は、機械学習モデルによって確定することができる。いくつかの実施例では、制御アセンブリ250および/またはその他の処理デバイスは、原料性質履歴、原料溶融体の性質履歴、非晶質相物質の調製パラメータ履歴(例えば、溶融関連パラメータ履歴、冷却降温関連パラメータ履歴)などに基づいて、機械学習モデルをトレーニングすることができる。例えば、機械学習モデルの入力は原料性質を含むことができ、出力は溶融関連パラメータを含むことができる。また例えば、機械学習モデルの入力は原料溶融体の性質を含むことができ、出力は冷却降温関連パラメータを含むことができる。また例えば、機械学習モデルの入力は原料性質を含むことができ、出力は非晶質相物質の調製パラメータを含むことができる。
【0041】
いくつかの実施例では、機械学習モデルの入力は、環境条件(例えば、湿度、温度)を含むこともできる。
【0042】
いくつかの実施例では、更新された実験データに基づいて機械学習モデルのパラメータを動的に更新し、機械学習モデルの総合学習能力を引き上げて、より正確な非晶質相物質の調製パラメータを確定することもできる。
【0043】
いくつかの実施例では、制御アセンブリ250は、原料性質および/または原料溶融体の性質と、トレーニングされた機械学習モデルとに基づいて、非晶質相物質の調製パラメータ(例えば、溶融関連パラメータ、冷却降温関連パラメータ)を確定することができる。いくつかの実施例では、制御アセンブリ250は、実際の状況(例えば、環境条件)に基づいて機械学習モデルが出力した非晶質相物質の調製パラメータに対して適応的調整を行い、異なる実際の状況に適応させることができる。
【0044】
いくつかの実施例では、非晶質相物質の調製パラメータはその他の方式で確定することもできる。例えば、統計データ、経験パラメータ、ユーザの自己定義などの方式で確定される。
【0045】
いくつかの実施例では、上記の文と結び付けて、分散された微小な溶融体液滴は、急速降温処理を経て非晶質相物質(微小な非晶質溶融体および/または非晶質相固体粒子)を形成することができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質を調製した後、非晶質相物質を収集することができる。いくつかの実施例では、収集過程において、非晶質相物質を振動させて、微小な非晶質溶融体および/または非晶質相固体粒子が降温部材(例えば、分散降温部材212)内壁に付着することを回避し、原料利用率を向上させることができる。振動過程のより多くの記述については、図4およびその記述を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0046】
ステップ120では、非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成する。いくつかの実施例では、ステップ120は、非晶質相クラッド層調製アセンブリ220によって実現することができる。
【0047】
いくつかの実施例では、非晶質相物質(例えば、非晶質相YAG固体粒子)が溶融して非晶質溶融体を形成する溶融温度区間は、結晶相物質(例えば、YAG単結晶光ファイバ)の溶融温度よりも低い。
【0048】
以下では、非晶質相物質としての非晶質YAG(Yttrium Aluminum Garnet,YAl12)を例として説明する。
【0049】
いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融過程において結晶化が出現することを回避すると同時に、非晶質相物質が溶融して非晶質溶融体を形成することを保証するために、非晶質相物質の溶融温度区間を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1500℃~1800℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1520℃~1780℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1540℃~1760℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1560℃~1740℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1580℃~1720℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1600℃~1700℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1620℃~1680℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、非晶質相物質の溶融温度区間は1640℃~1660℃の範囲内とすることができる。
【0050】
いくつかの実施例では、非晶質相物質を十分に溶融させて非晶質溶融体を形成するために、非晶質相物質の溶融温度区間において保温事前設定時間が必要であり、保温事前設定時間を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、保温事前設定時間は2h~15hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温事前設定時間は3h~13hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温事前設定時間は4h~11hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温事前設定時間は5h~10hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温事前設定時間は6h~9hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、保温事前設定時間は7h~8hの範囲内とすることができる。
【0051】
ステップ130では、光ファイバを非晶質溶融体中に浸す。いくつかの実施例では、ステップ130は、非晶質相クラッド層調製アセンブリ220によって実現することができる。
【0052】
いくつかの実施例では、光ファイバは予め調製を完了しているものであってよい。いくつかの実施例では、まず結晶棒を調製し、その後、酸溶液による溶解細分化、研磨、バフ加工などにより光ファイバを得ることができる。
【0053】
いくつかの実施例では、光ファイバは、ドープまたは非ドープ光ファイバであってよい。YAG単結晶光ファイバを例とすると、光ファイバはドープまたは非ドープYAG単結晶光ファイバであってよい。いくつかの実施例では、ドープYAG中のドープ元素(例えば、希土類元素)は、ドープの位置を変えるという方式でYAG中のY3+を占めることができる。いくつかの実施例では、ドープYAGの分子式はX3x3(x-1)Al12として表すことができ、そのうち、Xはドープ元素(例えば、Nd、Pr、Cr、Tb、Ho、Tm、Ybのうちの少なくとも1種)を表し、xはドープ元素のドープ濃度を表す。いくつかの実施例では、ドープ元素のドープ濃度は実際の需要に基づいて確定することができる。
【0054】
いくつかの実施例では、光ファイバを水平に載置して非晶質溶融体中に浸すことができる。光ファイバを水平に載置することにより、光ファイバ外周の非晶質溶融体に重力の作用下で滑りが生じ、その後に得られる非晶質相クラッド層の厚さが不均一となることを回避することができる。本明細書において、「水平に載置」とは、水平面との夾角が事前設定閾値より小さいことを指すことができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は0°~15°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は、2°~13°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は4°~11°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は6°~9°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は7°~8°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は0°~5°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は、1°~4°の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定閾値は、2°~3°の範囲内とすることができる。
【0055】
いくつかの実施例では、クラッド層の厚さを考慮する必要がないか、または厚さ要求が高くない場合、光ファイバを、例えば垂直載置、傾斜載置などのその他の方式で非晶質溶融体中に浸すこともできる。
【0056】
ステップ140では、非晶質溶融体と光ファイバに基づいて、光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成する。いくつかの実施例では、ステップ140は、非晶質相クラッド層調製アセンブリ220によって実現することができる。
【0057】
いくつかの実施例では、前の文と結び付けて、非晶質相物質(例えば、非晶質相YAG固体粒子)が溶融して非晶質溶融体(例えば、非晶質YAG溶融体)を形成する溶融温度区間は結晶相物質(例えば、YAG単結晶光ファイバ)の溶融温度より低いので、非晶質溶融体(例えば、非晶質YAG溶融体)中に浸された結晶相物質(例えば、YAG単結晶光ファイバ)は腐食されることはない。
【0058】
非晶質溶融体は一定の粘度を有しているので、それに対応して、いくつかの実施例では、一定温度(例えば、非晶質相物質が溶融して非晶質溶融体を形成する溶融温度区間内の特定温度)下で、非晶質溶融体が付着する方式で光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成することができる。
【0059】
いくつかの実施例では、一定温度は一定温度値を含むことができる。いくつかの実施例では、一定温度値は非晶質相物質が溶融して非晶質溶融体を形成する溶融温度区間内の特定温度値を含むことができる。非晶質YAG溶融体を例とすると、特定温度値は1500℃~1800℃の範囲内の特定温度値であってよい。例えば、特定温度値は、1500℃、1550℃、1600℃、1650℃、1700℃、1750℃、1800℃などであってよい。
【0060】
いくつかの実施例では、一定温度は一定温度範囲を含むことができる。いくつかの実施例では、一定温度範囲は、非晶質相物質が溶融して非晶質溶融体を形成する溶融温度区間内の特定温度区間を含むことができる。非晶質YAG溶融体を例とすると、特定温度区間は1500℃~1800℃の範囲内の特定温度区間であってよい。例えば、特定温度区間は、1500℃~1550℃、1550℃~1600℃、1600℃~1650℃、1650℃~1700℃、1700℃~1750℃、1750℃~1800℃などであってよい。
【0061】
非晶質溶融体の粘度は温度変化とともに変化するので、それに対応して、いくつかの実施例では、温度を調整することによって非晶質溶融体の粘度を調節し、非晶質相クラッド層の厚さをさらに調節することができる。
【0062】
いくつかの実施例では、事前設定降温区間内で降温方式により非晶質溶融体を光ファイバ外周に結晶化させて非晶質相クラッド層を成長させることができる。
【0063】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層の品質を保証するために、事前設定降温区間を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は10℃~60℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は15℃~55℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は20℃~50℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は22℃~48℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は24℃~46℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は26℃~44℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は28℃~42℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は30℃~40℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は32℃~38℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定降温区間は34℃~36℃の範囲内とすることができる。
【0064】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層の厚さを均一にし、かつその品質を保証するために、降温速度を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、降温速度は0.2℃/h~8℃/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、降温速度は0.3℃/h~7℃/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、降温速度は0.4℃/h~6℃/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、降温速度は0.5℃/h~5℃/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、降温速度は1℃/h~4.5℃/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、降温速度は1.5℃/h~4℃/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、降温速度は2℃/h~3.5℃/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、降温速度は2.5℃/h~3℃/hの範囲内とすることができる。
【0065】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層の形成過程において、監視アセンブリ(例えば、モニタリングアセンブリ240)によって非晶質相クラッド層の関連パラメータを監視することができる。さらに、制御アセンブリ(例えば、制御アセンブリ250)は、関連パラメータに基づいてクラッド層形成パラメータをリアルタイムで調整することができる。
【0066】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層の関連パラメータには、非晶質相クラッド層の成長厚さ、均一性、外表面の平坦度などを含むことができるが、これらに限らない。
【0067】
いくつかの実施例では、クラッド層形成パラメータには、一定温度値、一定温度範囲、降温区間、降温速度、光ファイバと非晶質溶融体との接触時間などを含むことができるが、これらに限らない。
【0068】
例えば、非晶質相クラッド層の異なる位置の厚さまたは平坦度の差値が事前設定範囲より大きい場合は、非晶質相クラッド層の厚さが不均一であるか、または平坦度が比較的悪いことを表している。それに対応して、制御アセンブリ(例えば、制御アセンブリ250)は降温区間を縮小し、降温速度を下げることにより、非晶質相クラッド層の厚さまたは平坦度を調整することができる。また例えば、非晶質相クラッド層の厚さが事前設定クラッド厚さを下回る場合、制御アセンブリ(例えば、制御アセンブリ250)は、光ファイバと非晶質溶融体との接触時間を増加させることにより、非晶質相クラッド層の厚さを調整することができる。
【0069】
いくつかの実施例では、クラッド層形成パラメータは機械学習モデルによって確定および/または調整することができる。いくつかの実施例では、制御アセンブリ(例えば、制御アセンブリ250)および/またはその他の処理デバイスは、非晶質相クラッド層の関連パラメータ履歴およびクラッド層形成パラメータ履歴に基づいて、機械学習モデルをトレーニングすることができる。機械学習モデルの入力は、光ファイバ関連パラメータ(例えば、光ファイバの種類、光ファイバの大きさ)および非晶質相クラッド層の関連パラメータ(例えば、非晶質相クラッド層の厚さ、表面平坦度)を含むことができ、出力はクラッド層形成パラメータを含むことができる。
【0070】
いくつかの実施例では、機械学習モデルの入力は、環境条件(例えば、湿度、温度)を含むこともできる。
【0071】
いくつかの実施例では、更新された実験データに基づいて機械学習モデルのパラメータを動的に更新し、機械学習モデルの総合学習能力を引き上げて、より正確なクラッド層形成パラメータを確定することもできる。
【0072】
いくつかの実施例では、制御アセンブリ(例えば、制御アセンブリ250)は、光ファイバ関連パラメータ、非晶質相クラッド層の関連パラメータおよびトレーニングされた機械学習モデルに基づいて、クラッド層形成パラメータを確定および/または自動調整することにより、非晶質相クラッド層の成長過程における自動リアルタイム制御を実現することができる。いくつかの実施例では、実際の状況(例えば、環境条件)に基づいて機械学習モデルが出力するクラッド層形成パラメータに対して適応的調整を行い、異なる実際の状況に適応させることができる。
【0073】
いくつかの実施例では、クラッド層形成パラメータはその他の方式によって確定することもできる。例えば、統計データ、経験パラメータ、ユーザの自己定義方などの方式で確定される。
【0074】
いくつかの実施例では、光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成した後、外周に非晶質相クラッド層が形成された光ファイバを事前設定引上げ速度で非晶質溶融体から引き上げることができる。
【0075】
事前設定引上げ速度は非晶質相クラッド層の品質に影響することがあり、さらにはその後に調製される単結晶クラッド層の品質にも影響する。例えば、事前設定引上げ速度が小さすぎると、非晶質相クラッド層が非晶質溶融体から引き上げられる過程において結晶化が発生し、さらには非晶質相クラッド層の品質に影響する。また事前設定引上げ速度が大きすぎると、外周に非晶質相クラッド層が形成された光ファイバは、高速で引き上げられることで温度勾配が大きすぎてひび割れることがあり、さらには非晶質相クラッド層の品質に影響する。よって、いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層の品質を保証するために、事前設定引上げ速度を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は200mm/h~3000mm/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は300mm/h~2500mm/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は400mm/h~2000mm/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は500mm/h~1500mm/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は600mm/h~1300mm/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は700mm/h~1200mm/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は800mm/h~1100mm/hの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定引上げ速度は900mm/h~1000mm/hの範囲内とすることができる。
【0076】
いくつかの実施例では、引上げ過程において、非晶質相クラッド層が形成された光ファイバに対して後加熱処理を行うこともできる。いくつかの実施例では、後加熱処理は後加熱部材(例えば、抵抗加熱部材、誘導加熱部材)によって実現することができる。後加熱処理は、1つの温度場を形成することで、外周に非晶質相クラッド層が形成された光ファイバを非晶質溶融体から引き上げる際に温度勾配が大きすぎてひび割れることを回避することができる。本明細書の実施例では、特に説明のない限り、温度場と温度勾配を置き換えて使用することができる。いくつかの実施例では、後加熱処理で形成される温度場は、軸方向(即ち引上げ方向)に温度勾配が逓増する、軸方向に温度勾配が逓減する、または軸方向に温度勾配が一定の温度場であってよい。
【0077】
ステップ150では、非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、単結晶クラッド層を得る。いくつかの実施例では、ステップ150は、単結晶クラッド層調製アセンブリ230によって実現することができる。
【0078】
いくつかの実施例では、結晶化処理はアーク放電処理を含むことができる。いくつかの実施例では、アーク放電処理とは、アーク放電プラズマが生成する高温を利用して非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行うことを指すことができる。いくつかの実施例では、電圧または電流を制御することによって、アーク放電プラズマが生成する温度を制御することができる。いくつかの実施例では、該温度(「結晶化処理温度」と呼ぶことができる)は非晶質相クラッド層の溶融戻りを回避するために、非晶質相クラッド層の溶融温度より低くてよい。いくつかの実施例では、アーク放電処理はアーク放電部材(例えば、アーク放電部材231)によって実現することができる。アーク放電処理は、生成するエネルギーが集中し、昇温が速いので、結晶化効率を高めることができ、かつアーク放電の形状は非晶質相クラッド層が形成された光ファイバの形状(例えば、柱形)と互いに整合することができ、結晶化過程をより十分なものにし、結晶化処理の一致性を向上させる。
【0079】
いくつかの実施例では、結晶化処理はその他の処理方式、例えば、加熱処理、レーザアニール処理などをさらに含むこともできる。
【0080】
以下では、YAG非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行ってYAG単結晶クラッド層を得ることを例として説明する。
【0081】
いくつかの実施例では、結晶化処理効率を高め、かつ単結晶クラッド層の品質を保証するために、結晶化処理温度を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、結晶化処理温度は1000℃~1500℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、結晶化処理温度は1050℃~1450℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、結晶化処理温度は1100℃~1400℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、結晶化処理温度は1150℃~1350℃の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、結晶化処理温度は1200℃~1300℃の範囲内とすることができる。
【0082】
いくつかの実施例では、結晶化処理時間は非晶質相クラッド層の厚さに基づいて確定することができる。
【0083】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行う過程において、流動酸素を送り込むことにより、単結晶クラッド層に酸素欠陥が発生することを回避し、単結晶クラッド層の品質をさらに向上させることができる。
【0084】
いくつかの実施例では、単結晶クラッド層の品質を保証するために、酸素流速を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、酸素流速は1L/min~20L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は2L/min~19L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は3L/min~18L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は4L/min~17L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は5L/min~16L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は6L/min~15L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は7L/min~14L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は8L/min~13L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は9L/min~12L/minの範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、酸素流速は10L/min~11L/minの範囲内とすることができる。
【0085】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層外周に結晶化剤層を溶着させ、かつ結晶化剤層が溶着している非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行うことができる。
【0086】
いくつかの実施例では、結晶化剤にはMgO、Ga、Cr、ZrO、Laなどを含むことができるが、これらに限らない。
【0087】
いくつかの実施例では、結晶化剤をエタノールまたは水と事前設定質量比で混合し、懸濁液を形成することができる。さらに、非晶質相クラッド層を懸濁液中に浸して、非晶質相クラッド層外周に結晶化剤層を溶着させる。いくつかの実施例では、結晶化剤層とは、懸濁液が非晶質相クラッド層外周に付着して形成される、結晶化剤を含む液膜を指すことができる。
【0088】
いくつかの実施例では、結晶化剤層を非晶質相クラッド層外周に安定的に溶着させることで、結晶化処理をさらに進めて高品質な単結晶クラッド層を得るために、事前設定質量比を事前設定範囲内に制御する必要がある。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:2~1:26の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:3~1:24の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:4~1:22の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:5~1:20の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:6~1:18の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:7~1:16の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:8~1:14の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:9~1:12の範囲内とすることができる。いくつかの実施例では、事前設定質量比は1:10~1:11の範囲内とすることができる。
【0089】
結晶化処理の過程においては、光ファイバは、非晶質相クラッド層の結晶化処理のシード層または基板として、結晶化過程を光ファイバの外表面(または非晶質相クラッド層の内表面)から非晶質相クラッド層の外表面に向かって進行させることができる。結晶化剤層を導入することによって、結晶化過程を非晶質相クラッド層の外表面から非晶質相クラッド層の内表面(または光ファイバの外表面)に向かって進行させることができる。つまり、結晶化剤層を導入することにより、非晶質相クラッド層の結晶化処理を同時に非晶質相クラッド層の内表面および非晶質相クラッド層の外表面から非晶質相クラッド層の中間部位に向かって進行させることができるので、非晶質相クラッド層の結晶化処理を相応に加速することができ、結晶化時間が短縮され、結晶化処理効率が向上する。
【0090】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行った後、さらに単結晶クラッド層外周を洗浄して、単結晶クラッド層外周に残存する結晶化剤層を除去することができる。いくつかの実施例では、洗浄方式には浸漬、超音波振動などを含むことができるが、これらに限らない。
【0091】
注意しなければならないのは、プロセス100に関する上記の記述は例示および説明のためのものにすぎず、本明細書の適用範囲を限定するものではないということである。当業者については、本明細書の指導により、プロセス100に対して各種の修正および変更を行うことができる。但し、これらの修正および変更は依然として本明細書の範囲内にある。例えば、プロセス100は、YAG単結晶クラッド層に限定されることなく、その他のクラッド層の調製にも用いることができる。また例えば、原料を溶融させて原料溶融体を形成した後、比較的速い冷却速度で原料溶融体を急速冷却することで、非晶質相物質を形成することもできる。
【0092】
図2は、いくつかの実施例が示す例示的な単結晶クラッド層調製装置に基づく概略図である。
【0093】
いくつかの実施例では、単結晶クラッド層調製装置200は、非晶質相物質調製アセンブリ210と、非晶質相クラッド層調製アセンブリ220と、単結晶クラッド層調製アセンブリ230と、を含むことができる。
【0094】
非晶質相物質調製アセンブリ210は非晶質相物質を調製するために用いることができる。非晶質相物質の調製に関連する記述については、本明細書のその他の部分(例えば、図1およびその関連する記述)を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0095】
いくつかの実施例では、非晶質相物質調製アセンブリ210は原料溶融部材211と分散降温部材212とを含むことができる。
【0096】
いくつかの実施例では、原料溶融部材211は原料を溶融させて原料溶融体を形成するために用いることができる。いくつかの実施例では、原料溶融部材211は、メインキャビティ211-1と、原料溶融キャビティ211-2と、加熱素子211-3と、運動素子211-4と、を含むことができる。より詳細な記述は図3およびその記述を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0097】
いくつかの実施例では、分散降温部材212は原料溶融体に対して分散降温処理を行って、非晶質相物質を形成するために用いることができる。いくつかの実施例では、分散降温部材212は、噴射素子212-1と、収集素子212-2と、振動素子212-3と、を含むことができる。より詳細な記述は図4およびその記述を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0098】
非晶質相クラッド層調製アセンブリ220は、非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成し、光ファイバを非晶質溶融体中に浸し、非晶質溶融体と光ファイバに基づいて、光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成するために用いることができる。非晶質相クラッド層の形成に関連する記述については、本明細書のその他の部分(例えば、図1およびその関連する記述)を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0099】
いくつかの実施例では、非晶質相クラッド層調製アセンブリ220は、クランプ部材221およびクラッド層調製キャビティ(図中未表示)を含むことができる。
【0100】
いくつかの実施例では、クラッド層調製キャビティは非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成するために用いることができる。
【0101】
いくつかの実施例では、クランプ部材221によって光ファイバをクランプして、光ファイバを非晶質溶融体中に浸すことができる。いくつかの実施例では、クランプ部材221は、クランプ素子221-1と、調節素子221-2と、固定素子221-3と、を含むことができる。より詳細な記述は図5A図5Bおよびその記述を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0102】
単結晶クラッド層調製アセンブリ230は、非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行って単結晶クラッド層を得るために用いることができる。非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行って単結晶クラッド層を得ることに関連する記述については、本明細書のその他の部分(例えば、図1およびその関連する記述)を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0103】
いくつかの実施例では、単結晶クラッド層調製アセンブリ230はアーク放電部材231を含むことができる。
【0104】
いくつかの実施例では、アーク放電部材231は非晶質相クラッド層に対してアーク放電処理を行うために用いることができる。いくつかの実施例では、アーク放電部材231は動力素子231-1およびアーク放電素子231-2を含むことができる。より詳細な記述は図6A図6Bおよびその記述を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0105】
いくつかの実施例では、単結晶クラッド層調製装置200はモニタリングアセンブリ240および制御アセンブリ250をさらに含むことができる。モニタリングアセンブリ240は非晶質相クラッド層の関連パラメータをモニタリングするために用いることができる。制御アセンブリ250は関連パラメータに基づいてクラッド層形成パラメータをリアルタイムで調整するために用いることができる。いくつかの実施例では、制御アセンブリ250は前述のような機械学習モデルをトレーニングするために用いることもできる。非晶質相クラッド層の関連パラメータ、関連パラメータに基づくクラッド層形成パラメータのリアルタイム調整、および機械学習モデルのトレーニングに関する記述については、本明細書のその他の部分(例えば、図1およびその記述)を参照すればよいので、ここでは繰り返し述べない。
【0106】
いくつかの実施例では、単結晶クラッド層調製装置200は、溶融関連パラメータ、冷却降温関連パラメータ、非晶質相クラッド層の関連パラメータなどを表示するための表示アセンブリ260をさらに含むことができる。
【0107】
いくつかの実施例では、単結晶クラッド層調製装置200は、実験データ、統計データ、機械学習モデルなどを記憶するための記憶アセンブリ270をさらに含むことができる。
【0108】
注意しなければならないのは、上記の単結晶クラッド層調製装置200に関する記述は例示および説明のためのものにすぎず、本明細書の適用範囲を限定するものではないということである。当業者については、本明細書の指導により単結晶クラッド層調製装置200に対して各種の修正および変更を行うことができる。但し、これらの修正および変更は依然として本明細書の範囲内にある。
【0109】
図3は、本明細書のいくつかの実施例が示す例示的原料溶融部材に基づく構造概略図である。
【0110】
図3に示すように、原料溶融部材211は、メインキャビティ211-1と、原料溶融キャビティ211-2と、加熱素子211-3と、運動素子211-4と、を含むことができる。
【0111】
いくつかの実施例では、メインキャビティ211-1は原料溶融部材211の各素子を収容する場所であってよい。いくつかの実施例では、メインキャビティ211-1の形状には、円柱形、直方体、立方体などを含むことができるが、これらに限らない。いくつかの実施例では、メインキャビティ211-1は密封することができる。
【0112】
いくつかの実施例では、メインキャビティ211-1には、メインキャビティ211-1に対して保温を行うための保温層を設けることができる。いくつかの実施例では、保温層の材質には、グラファイトフェルト、ジルコニアフェルト、保温レンガなどの保温材料を含むことができるが、これらに限らない。
【0113】
いくつかの実施例では、メインキャビティ211-1は、キャビティ上蓋211-11と、キャビティ下蓋211-12と、中間キャビティ211-13と、を含むことができる。いくつかの実施例では、キャビティ上蓋211-11およびキャビティ下蓋211-12の形状および大きさが中間キャビティ211-13と互いに整合することにより、メインキャビティ211-1の密封を実現することができる。
【0114】
いくつかの実施例では、キャビティ上蓋211-11の内側に突起211-111を設けることができる。いくつかの実施例では、キャビティ上蓋211-11および/または突起211-111は保温材料により得ることができる。いくつかの実施例では、突起211-111の大きさを中間キャビティ211-13の上部と互いに整合させることで、中間キャビティ211-13の余分な空間を減少させ、その保温効果を高めることができる。
【0115】
いくつかの実施例では、キャビティ下蓋211-12は保温材料により得ることができる。いくつかの実施例では、キャビティ下蓋211-12は、キャビティ下板211-121と、キャビティ下蓋フレーム211-122と、キャビティ下蓋本体211-123と、を含むことができる。
【0116】
いくつかの実施例では、キャビティ下板211-121上にキャビティ下板211-121を貫通する開孔211-1211を設け、原料溶融体の通過に用いることで、それに対して後続の分散降温処理を行って非晶質相物質を形成することができる。
【0117】
いくつかの実施例では、キャビティ下蓋フレーム211-122はキャビティ下板211-121上に均一または不均一に分布することができる。
【0118】
いくつかの実施例では、キャビティ下蓋本体211-123は保温材料により得ることができる。キャビティ下蓋本体211-123上には引き手211-1231を設けることができる。いくつかの実施例では、引き手211-1231によってキャビティ下蓋本体211-123をキャビティ下板211-121の下部に載置するとともに、それをキャビティ下蓋フレーム211-122上に係合して、中間キャビティ211-13を密封することができる。いくつかの実施例では、引き手211-1231によってキャビティ下蓋本体211-123をキャビティ下蓋フレーム211-122から移動させて、原料溶融体が開孔211-1211を通過して後続の分散降温処理を行いやすいようにすることができる。
【0119】
いくつかの実施例では、原料溶融キャビティ211-2は原料を載置して溶融するために用いることができる。いくつかの実施例では、原料溶融キャビティ211-2はメインキャビティ211-1の内部に位置することができる。いくつかの実施例では、原料溶融キャビティ211-2の材質には、グラファイト、石英、アルミナ、ジルコニア、イリジウム、白金、タングステン、タンタル、モリブデンのうちの少なくとも1種を含むことができるが、これらに限らない。
【0120】
いくつかの実施例では、加熱素子211-3は原料溶融キャビティ211-2を加熱して原料を溶融するために用いることができる。いくつかの実施例では、加熱素子211-3の加熱方式には、抵抗加熱、誘導加熱などを含むことができるが、これらに限らない。いくつかの実施例では、加熱素子211-3が抵抗加熱素子である場合、それは高抵抗グラファイト、ケイ素モリブデン棒(MoSi)、ニッケルクロム線(Ni-Cr)、鉄クロムアルミ線(Fe-Cr-Al)、ニッケル鉄線(Ni-Fe)、ニッケル銅線(Ni-Cu)、炭化ケイ素棒(SiC)などを含むことができるが、これらに限らない。
【0121】
いくつかの実施例では、運動素子211-4は原料溶融キャビティ211-2を動かすために用いることができる。いくつかの実施例では、運動素子211-4が原料溶融キャビティ211-2を事前設定角度傾斜させることで、原料溶融キャビティ211-2内部の原料溶融体を注出し、開孔211-1211を通過させることができる。
【0122】
いくつかの実施例では、運動素子211-4は接続ロッド211-41を含むことができる。いくつかの実施例では、中間キャビティ211-13上に接続ロッド211-41が貫通する貫通孔を設けることができる。接続ロッド211-41の片端は原料溶融キャビティ211-2と固定接続することができ、他端は中間キャビティ211-13上の貫通孔を貫通することができる。
【0123】
いくつかの実施例では、手動方式で接続ロッド211-41を回転させ(例えば、スパナで回転させる)、原料溶融キャビティ211-2を動かすことができる。
【0124】
いくつかの実施例では、運動素子211-4はさらに駆動素子(図中未表示)を含むことができる。駆動素子は、接続ロッド211-41の運動を駆動して、原料溶融キャビティ211-2を動かすために用いることができる。
【0125】
図4は、本明細書のいくつかの実施例が示す例示的分散降温部材に基づく構造概略図である。
【0126】
図4に示すように、分散降温部材212は噴射素子212-1および収集素子212-2を含むことができる。
【0127】
いくつかの実施例では、噴射素子212-1は流体を噴射するために用いることができる。いくつかの実施例では、噴射素子212-1は噴射本体(図中未表示)および噴射口212-11を含むことができる。いくつかの実施例では、図4に示すように、流体を噴射口212-11から噴射することで、原料溶融部材211(例えば、開孔211-1211)から流出する原料溶融体Rに対して分散降温処理を行い、非晶質相物質を形成することができる。
【0128】
いくつかの実施例では、収集素子212-2は非晶質相物質を収集するために用いることができる。いくつかの実施例では、収集素子212-2は、収集本体212-21と、収集枠212-22と、バッフル212-23と、を含むことができる。
【0129】
いくつかの実施例では、収集本体212-21は、部分的に開口している(図4の点線Lで示す)内部空胴を有する環状キャビティであってよい。いくつかの実施例では、収集本体212-21の開口弧度(図4の点線Lで示す)は、噴射口212-11と収集本体212-21との距離、噴射角度、噴射圧力などに基づいて確定することができる。いくつかの実施例では、収集本体212-21の材質には、一部の微小な非晶質溶融体をさらに放熱させ、非晶質相固体粒子を冷却形成できるよう、グラファイト、銅、アルミニウム、銀など比較的高い熱伝導係数を有する材料を含むことができるが、これらに限らない。
【0130】
いくつかの実施例では、収集本体212-21の環状キャビティ外側下部に収集口212-211が設けられている。
【0131】
いくつかの実施例では、収集枠212-22は、収集口212-211の下部に設置して、非晶質相物質(例えば、微小な非晶質溶融体、非晶質相固体粒子)を収集するために用いることができる。
【0132】
いくつかの実施例では、図4に示すように、バッフル212-23は収集本体212-21の環状キャビティの内側に均一または不均一に配置することができる。いくつかの実施例では、収集本体212-21の内側上のバッフル212-23付近に孔212-212を設けることができることで、分散降温処理によって得られた微小な非晶質溶融体および/または非晶質相固体粒子(図4にBで示す)がバッフル212-23と衝突して減速した後、孔212-212を通って収集本体212-21のキャビティ内部に進入し、さらに収集口212-211から収集枠212-22に進入することができる。
【0133】
いくつかの実施例では、分散降温部材212はさらに収集過程において用いる振動素子212-3を含むことができ、分散降温処理を経た後の非晶質相物質(例えば、非晶質溶融体、非晶質相固体粒子)を振動させることで、微小な非晶質溶融体および/または非晶質相固体粒子が分散降温部材212(例えば、収集本体212-21)の内壁に付着することを回避して、原料利用率を高める。
【0134】
いくつかの実施例では、振動素子212-3は収集本体212-21上に設置することができる。いくつかの実施例では、振動素子212-3はオシレータを含むことができるが、これに限らない。
【0135】
図5Aは、本明細書のいくつかの実施例が示す例示的クランプ部材に基づく構造概略図である。図5Bは、本明細書の別のいくつかの実施例が示す例示的クランプ部材に基づく構造概略図である。
【0136】
いくつかの実施例では、クランプ部材221は、クランプ素子221-1と、調節素子221-2と、固定素子221-3と、を含むことができる。
【0137】
いくつかの実施例では、クランプ素子221-1は少なくとも2つのクランプロッドを含むことができる。少なくとも2つのクランプロッドは固定素子221-3の片端に均一に配置することができる。いくつかの実施例では、図5Aに示すように、クランプロッドが光ファイバをクランプする側は弧度を有することができる。いくつかの実施例では、図5Bに示すように、クランプロッドが光ファイバをクランプする側は弧度を有していなくてもよい。
【0138】
いくつかの実施例では、調節素子221-2および固定素子221-3は互いに整合することができ、クランプ素子221-1の開または閉の度合いを調節することで、光ファイバを安定的にクランプするために用いられる。
【0139】
いくつかの実施例では、図5Aおよび図5Bに示すように、調節素子221-2は固定素子221-3の外周に設置することができる。いくつかの実施例では、固定素子221-3の外周に雄ネジを設け、調節素子221-2の内部に雌ネジを設けることができる。雄ネジと雌ネジは互いに整合することができる。調節素子221-2の固定素子221-3上での回転の正逆の過程を調節(例えば、時計回りまたは反時計回りの回転)することにより、調節素子221-2の片端にクランプ素子221-1の開または閉の度合いを調節させることができる。
【0140】
図6Aは、いくつかの実施例が示す例示的動力素子に基づく構造概略図である。図6Bは、いくつかの実施例が示す例示的アーク放電素子に基づく構造概略図である。
【0141】
いくつかの実施例では、アーク放電部材231は動力素子231-1およびアーク放電素子231-2を含むことができる。
【0142】
いくつかの実施例では、動力素子231-1は非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMの上下運動および/または回転運動を駆動するために用いることができる。いくつかの実施例では、動力素子231-1は上下運動駆動部材231-11および回転運動駆動部材231-12を含むことができる。
【0143】
いくつかの実施例では、上下運動駆動部材231-11は、非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMの上下運動を駆動するために用いられる、支持台231-111と、スクリュー231-112と、スライダ231-113と、第1駆動モータ231-114と、を含むことができる。
【0144】
いくつかの実施例では、支持台231-111は、スクリュー231-112、スライダ231-113および第1駆動モータ231-114を支持するために用いることができる。
【0145】
いくつかの実施例では、スクリュー231-112は支持台231-111上に設置することができる。いくつかの実施例では、スクリュー231-112は支持台231-111のロッドの一部と平行に設置することができる。
【0146】
いくつかの実施例では、スライダ231-113はスクリュー231-112上に被装することができる。いくつかの実施例では、スライダ231-113の片端は回転運動駆動部材231-12(例えば、支持フレーム231-121)に接続(例えば、溶接)することができる。
【0147】
いくつかの実施例では、第1駆動モータ231-114はスクリュー231-112の回転を駆動するために用いることができ、それによってスライダ231-113をスクリュー231-112に沿って上下運動させ、さらに回転運動駆動部材231-12を上下運動させる。
【0148】
いくつかの実施例では、回転運動駆動部材231-12は、支持フレーム231-121と、接続部材231-122と、安定部材231-123と、第2駆動モータ231-124と、を含むことができ、非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMの回転運動を駆動するために用いられる。
【0149】
いくつかの実施例では、支持フレーム231-121は非晶質相クラッド層が安定的に形成された光ファイバMを支持するために用いることができる。いくつかの実施例では、支持フレーム231-121の高さは非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMと互いに整合することができる。
【0150】
いくつかの実施例では、接続部材231-122は非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMを接続固定するために用いることができる。いくつかの実施例では、接続部材231-122は支持フレーム231-121と接続(例えば、溶接)することができる。いくつかの実施例では、接続部材231-122の構造はクランプ部材221と同じであっても異なっていてもよい。
【0151】
いくつかの実施例では、安定部材231-123は支持フレーム231-121と接続(例えば、溶接)することができる。いくつかの実施例では、安定部材231-123は非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMと互いに整合する凹孔を設け、非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMを安定させて、それに偏移が発生することを防止するために用いることができる。
【0152】
いくつかの実施例では、第2駆動モータ231-124は伝達部材(例えば、ベルト、歯車)によって接続部材231-122を回転させることで、さらには非晶質相クラッド層が形成された光ファイバMを回転させるために用いることができる。
【0153】
いくつかの実施例では、アーク放電素子231-2は、非晶質相クラッド層に対してアーク放電処理を行うことで、非晶質相クラッド層外周に高温領域Gを形成するために用いることができる。
【0154】
実施例1
化学量論比に基づいて純度が99.9%を上回るY粉体とAl粉体を計量し、均一に混合した後、坩堝内に投入する。坩堝をマッフル炉内に置き、か焼温度1400℃~1700℃、か焼時間5h~25hでか焼を行い、YAG多結晶粉体を得る。
【0155】
1℃/min~12℃/minの昇温速度でYAG多結晶粉体に対して加熱処理を行い、加熱処理の過程において流量が1L/min~5L/minの流動するアルゴンガスおよび窒素ガスを送り込む。1900℃~2100℃まで昇温し、2h~12h保温してYAG溶融体を得る。
【0156】
YAG溶融体を注出し、噴射素子を起動して、液体窒素を噴射することによってYAG溶融体に対して分散降温処理を行い、微小な非晶質YAG溶融体および非晶質YAG固体粒子を得る。噴射角度は20°~70°、噴射圧力は0.1MPa~2.5MPa、噴射素子の噴射口とYAG溶融体との距離は3cm~12cmである。分散降温処理の過程において、非晶質YAG溶融体と非晶質YAG固体粒子を振動させる。
【0157】
1500℃~1800℃で非晶質YAG溶融体と非晶質YAG固体粒子を溶融し、かつ2h~15h保温して、非晶質YAG溶融体を得る。
【0158】
クランプ部材を利用してドープYAG単結晶光ファイバコアをクランプし、それを水平面との夾角0°~15°で非晶質YAG溶融体中に浸す。非晶質YAG溶融体の温度を1500℃~1800℃の範囲内に維持し、非晶質YAG溶融体をドープYAG単結晶光ファイバコア外周に付着させ、非晶質YAGクラッド層を形成する。
【0159】
200mm/h~3000mm/hの引上げ速度で外周に非晶質YAGクラッド層が形成されたドープYAG単結晶光ファイバを非晶質YAG溶融体から引き上げ、かつそれを懸濁液中に浸すことで、非晶質YAGクラッド層外周に結晶化剤層を溶着させる。そのうち、懸濁液はMgOとエタノールを1:2~1:26の質量比で混合し、形成したものである。結晶化剤層が溶着している非晶質YAGクラッド層を加熱して結晶化処理を行い、結晶化処理温度1000℃~1500℃、結晶化処理時間2~5日で、YAG単結晶クラッド層を得る。結晶化処理の過程において、流速1L/min~20L/minの流動酸素を送り込む。YAG単結晶クラッド層を脱イオン水中に投入し、かつ超音波振動させることで、YAG単結晶クラッド層外周に残存する結晶化剤層を除去する。
【0160】
本明細書の実施例がもたらす可能性のある有益な効果は以下を含むが、それらに限らない。(1)単結晶クラッド層の調製方法は簡単で手軽であり、調製過程において不純物(例えば、フラックス)を引き込むことがなく、環境を汚染せず、エネルギー消費が低い。(2)単結晶クラッド層調製装置は簡単で、高圧設備が必要なく、操作およびメンテナンスがしやすい。(3)噴射流体方式で溶融体に対して急速分散降温処理を行うことで、高品質な非晶質相物質を得ることができ、さらに高品質な非晶質相クラッド層および単結晶クラッド層を調製し得ることができる。(4)調製過程全体における調製パラメータのモニタリング、制御および調整により、単結晶クラッド層の品質が向上する。(5)結晶化剤層を導入することにより、非晶質相クラッド層の結晶化処理を、非晶質相クラッド層の内表面および非晶質相クラッド層の外表面から同時に非晶質相クラッド層の中間部位に向かって進行させることができ、非晶質相クラッド層の結晶化処理を加速し、結晶化時間を短縮し、結晶化処理効率を高めることができる。
【0161】
説明しておかなければならないが、実施例が異なると、生じる可能性のある有益な効果も異なるので、異なる実施例において、生じる可能性のある有益な効果は、上記の任意の1種または数種の組み合わせであってもよいし、また獲得できる可能性があるその他の何らかの有益な効果であってもよい。
【0162】
上記の文で基本的な概念については説明したが、当業者にとっては、上記の詳細な開示は単なる例であって、本明細書に対する限定を構成するものではないことは明らかである。ここで明確に説明されていなくても、当業者であれば、本明細書に対して各種の変更、改良および修正を行うことができる。この種の変更、改良および修正は本明細書において提案されているので、この種の変更、改良および修正は引き続き本明細書のモデル実施例の主旨および範囲に属する。
【0163】
それと同時に、本明細書では特定の語句を使用して本明細書の実施例を記述している。例えば「1つの実施例」、「一実施例」、および/または「いくつかの実施例」とは、本明細書の少なくとも1つの実施例に関する何らかの特徴、構造または特性を指すものである。よって、本明細書中の異なる箇所において2回または複数回言及されている「一実施例」または「1つの実施例」または「1つの代替的実施例」は、必ずしも同じ実施例を指しているわけではないということを強調し、注意しておく。また、本明細書の1つまたは複数の実施例における何らかの特徴、構造または特性は、適切に組み合わせることができる。
【0164】
また、請求項の範囲において明確に説明されていない限り、本明細書に記載されている要素および序列を処理する順序、数字や文字の使用、またはその他の名称の使用は、本明細書のプロセスおよび方法の順序を限定するためのものではない。上記の開示においては、各種の例を通して現在有用であると見なされているいくつかの発明の実施例について議論しているが、この種の細部は説明の目的を果たしているにすぎず、付加的な請求項は開示された実施例に限定されるわけではなく、反対に、請求項は本明細書の実施例の本質および範囲に適合するすべての修正および等価の組み合わせをカバーすることを目的としていることを理解しておかなければならない。例えば、上記のシステムアセンブリはハードウェアデバイスによって実現することができるが、記述したシステムを既存のサーバやモバイルデバイスにインストールするなど、ソフトウェアソリューションのみによって実現することもできる。
【0165】
同じ理由で、注意しなければならないのは、本明細書で開示する記述を簡略化し、それによって1つまたは複数の発明の実施例の理解を助けるために、本明細書の実施例に対する前の文の記述において、様々な特徴を1つの実施例、図面またはそれに対する記述の中にまとめることもあり得るということである。しかし、この種の開示方法は、本明細書の対象が必要とする特徴が請求項の中で言及されている特徴より多いことを意味しているわけではない。実際には、実施例の特徴は、上記で開示されている単一の実施例のすべての特徴より少ないと思われる。
【0166】
いくつかの実施例では、成分、属性の数量を記述する数字を使用しているが、実施例の記述のために用いられるこのような数字は、いくつかの例示において、「約」、「近い」または「ほぼ」という修飾語を使用して修飾されることを理解しておかなければならない。別途説明がない限り、「約」、「近い」または「ほぼ」は、前記の数字が±20%の変動を許容することを表す。それに対応して、いくつかの実施例では、明細書および請求項の中で使用する数値パラメータはいずれも近似値であり、該近似値は個別の実施例に必要な特性に基づいて変更することができる。いくつかの実施例では、数値パラメータは規定の有効桁数を考慮し、かつ一般的な桁数を保留する方法を採用しなければならない。本明細書のいくつかの実施例においてその範囲の広さを確認するために用いられる数値フィールドおよびパラメータは近似値であるが、具体的な実施例では、このような数値は実行可能な範囲内でできる限り精確に設定される。
【0167】
本明細書に引用される各特許、特許出願、特許出願の開示物、および文章、書籍、明細書、出版物、ドキュメントなどのその他の材料については、ここにそのすべての内容を本明細書に組み込んで参考とする。本明細書の内容と一致しない、または矛盾が生じた出願履歴書類が除外されるほか、本明細書の請求項の最も広い範囲に対して制限を有する文書(現在または今後、本明細書内に追加されるもの)も除外される。説明しておかなければならないが、本明細書の付属材料における記述、定義、および/または用語の使用が、本明細書の記載内容と一致しない、または矛盾する部分については、本明細書の記述、定義、および/または用語の使用を基準とする。
【0168】
最後に、本明細書に記載されている実施例は、本明細書の実施例の原則を説明するためにのみ用いられることを理解しておかなければならない。その他の変形も本明細書の範囲に属する可能性がある。よって、限定ではなく例示として、本明細書の実施例の代替配置を本明細書の教示と一致していると見なすことができる。それに対応して、本明細書の実施例は、本明細書で明確に紹介および記述されている実施例だけに限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
【手続補正書】
【提出日】2024-03-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶クラッド層を調製するための方法であって、
非晶質相物質を調製することと、
前記非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成することと、
光ファイバを前記非晶質溶融体中に浸すことと、
前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成することと、
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、前記単結晶クラッド層を得ることと、を含む、
方法。
【請求項2】
前記非晶質相物質が溶融して前記非晶質溶融体を形成する溶融温度区間が前記光ファイバの溶融温度より低い、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非晶質相物質を調製することが、
原料を溶融させて原料溶融体を形成することと、
流体を噴射することによって前記原料溶融体に対して分散降温処理を行い、前記非晶質相物質を形成することと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記流体の噴射方向と水平面とが成す角度が20°~70°の範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記流体の噴射圧力が0.1MPa~2.5MPaの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記流体の噴出口と前記原料溶融体との距離が3cm~12cmの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記非晶質相物質を調製することが、さらに、
前記非晶質相物質を収集し、前記収集過程において、前記非晶質相物質を振動させることを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項8】
前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成することが、
一定温度下で、前記光ファイバ外周に前記非晶質相クラッド層を形成することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非晶質溶融体の温度を調整することにより前記非晶質溶融体の粘度を調節する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
事前設定引上げ速度で外周に前記非晶質相クラッド層が形成された光ファイバを前記非晶質溶融体から引き上げることをさらに含み、引上げ過程において、前記非晶質相クラッド層が形成された光ファイバに対して後加熱処理を行い、
前記事前設定引上げ速度が200mm/h~3000mm/hの範囲内である
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行うことが、
前記非晶質相クラッド層外周に結晶化剤層を溶着させることと、
結晶化剤層が溶着している非晶質相クラッド層に対して前記結晶化処理を行うことと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記結晶化処理温度が前記非晶質相クラッド層の溶融温度よりも低い、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記結晶化処理はアーク放電処理を含み、前記アーク放電の形状が前記非晶質相クラッド層が形成された前記光ファイバの形状と互いに整合する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行う過程において、流動酸素を送り込む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
単結晶クラッド層を調製するための装置であって、
非晶質相物質を調製するための非晶質相物質調製アセンブリと、
非晶質相クラッド層調製アセンブリであって、
前記非晶質相物質を溶融して非晶質溶融体を形成し、
光ファイバを前記非晶質溶融体中に浸し、
前記非晶質溶融体と前記光ファイバに基づいて、前記光ファイバ外周に非晶質相クラッド層を形成する、ための非晶質相クラッド層調製アセンブリと、
前記非晶質相クラッド層に対して結晶化処理を行い、前記単結晶クラッド層を得るための単結晶クラッド層調製アセンブリと、を含む、
装置。
【国際調査報告】