(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】内釜アセンブリ、調理器具、調理器具の制御方法
(51)【国際特許分類】
A47J 36/16 20060101AFI20240705BHJP
A47J 36/20 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A47J36/16 Z
A47J36/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503807
(86)(22)【出願日】2022-02-17
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 IB2022051400
(87)【国際公開番号】W WO2023002257
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】202110837706.3
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202121696299.0
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515264436
【氏名又は名称】ゼァージアン スーポア エレクトリカル アプライアンス マニュファクチャリング カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホワ リュー
(72)【発明者】
【氏名】カイ カオ
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA03
4B055BA62
4B055CA09
4B055CA13
4B055CB02
4B055CC56
4B055DA02
(57)【要約】
本発明は、内釜アセンブリ、調理器具、および調理器具の制御方法を開示する。内釜アセンブリは、90~200mmの高さを有する内釜と、内釜に支持され、そこから取り外し可能な蒸籠とを備える。蒸籠は、その底壁および互いに接続された側壁によって囲まれた米収容チャンバを備える。蒸籠は、蒸籠と内釜との間に受容空間が形成されるように、内釜に取り付けられる。底壁は、水上昇部と、水上昇部の外縁から外向きに延びる誘導部と、誘導部の外縁から外向きに延びる水下降部とを含み、水上昇部は、水下降部よりも高い位置に配置されている。水上昇部には複数の第1の貫通孔が設けられ、水下降部には複数の第2の貫通孔が設けられている。誘導部56は、第1の貫通孔57の最も外側の境界から第2の貫通孔58の最も内側の境界まで延びる水不透過性ゾーンである。水上昇部と水下降部との間の最大高さの差はH1であり、第1の貫通孔のいずれか1つと第2の貫通孔のいずれか1つとの間の高さの差はH2であり、3mm≦H1≦40mm、および/または3mm≦H2≦40mmである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理器具用の内釜アセンブリ(30)であって、
-[90,200]mmの高さを有する内釜(40)と、
-前記内釜(40)に支持され、そこから取り外し可能な蒸籠(50)であって、底壁(51)と、前記底壁(51)と接続された側壁(52)とを含み、前記底壁(51)と、米を収容するための収容チャンバを囲む側壁(52)とを含み、前記底壁(51)と前記内釜(40)との間、または前記底壁(51)、前記側壁(52)、および前記内釜(40)との間に受容空間(60)が形成されるように、前記蒸籠(50)は、前記内釜(40)に嵌合される、蒸籠(50)とを備え
前記底壁(51)は、水上昇部(54)と、前記水上昇部(54)の外縁から外向きに延びる誘導部(56)と、前記誘導部(56)の外縁から外向きに延びる水下降部(53)とを含み、前記水下降部(53)より上に配置され、前記水上昇部(54)、前記誘導部(56)および前記水下降部(53)に米が収容され、
前記水上昇部(54)は、前記収容チャンバを前記受容空間(60)と連通し、水を通過させ米を通過させない複数の第1の貫通孔(57)を備え、前記水下降部(53)は、前記収容チャンバを前記受容空間(60)と連通し、水を通過させ米を通過させない複数の第2の貫通孔(58)を備え、前記誘導部(56)は、前記第1の貫通孔(57)の最も外側の境界から前記第2の貫通孔(58)の最も内側の境界まで延びる水不透過性ゾーンであり、
前記水上昇部(54)と前記水下降部(53)との間の最大高さの差がH1であり、前記第1の貫通孔(57)のいずれか1つと前記第2の貫通孔(58)のいずれか1つとの間の高さの差がH2であり、
3mm≦H1≦40mm、および/または3mm≦H2≦40mmであって、調理中に、受容空間(60)内の沸騰水が第1の貫通孔(57)を介して収容チャンバに入ることができる、内釜アセンブリ(30)。
【請求項2】
8mm≦H1≦30mm、および/または8mm≦H2≦30mm、より好ましくは、10mm≦H1≦20mm、および/または10mm≦H2≦20mmであることを特徴とする、請求項1に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項3】
水上昇部(54)の水平面上の突起の面積が80mm
2以上であり、底壁(51)の水平面上の突起の面積が[11000,46000]mm
2であり、および/または誘導部(56)の面積が700mm
2以上であり、および/または受容空間(60)の体積が[200,2000]mlであることを特徴とする、請求項1または2に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項4】
前記底壁(51)が、その回転軸として前記蒸籠(50)の前記中心軸と回転対称であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項5】
前記誘導部(56)は、円筒形の側面、切り詰められた円錐形の側面、または円弧形の面、またはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つを含むことを特徴とする、請求項4に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項6】
前記誘導部(56)の上部および前記誘導部(56)の下部は両方とも水平面であり、切り詰められた円錐の側面の形で回転面によって接続されていることを特徴とする、請求項4に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項7】
前記水上昇部(54)が水平面であり、および/または前記水下降部(53)が水平面であることを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項8】
前記蒸籠(50)が、嵌合の位置での接触または近接によって前記内釜に嵌合され、前記嵌合の位置での前記蒸籠(50)と前記内釜(40)との間の距離が1mm以下であることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項9】
嵌合の位置が、前記水上昇部(54)の上部よりも高くないことを特徴とする、請求項8に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項10】
前記嵌合の位置と垂直方向の前記水上昇部(54)の上部との間の最大距離H3は、1≦H1/H3≦15となることを特徴とする、請求項9に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項11】
前記側壁(51)は、前記蒸籠(50)の前記円周方向に沿って間隔を置いて設けられ、前記蒸籠(50)と前記内釜(40)との間の嵌合の位置よりも高い位置に配置された複数の側壁貫通孔(62)を備えることを特徴とする、請求項8から10のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項12】
前記蒸籠(50)が前記内釜(40)に配置されるとき、前記内釜(40)の内面が前記蒸籠(50)と接触し、前記蒸籠(50)が接触することによって前記内釜(40)に嵌合され、前記内釜(40)の前記内面が、前記蒸籠(50)と接触して支持されるように、前記内釜(40)内面は、前記内釜(40)の前記内側に向かって延びるアーク形状の構造、傾斜構造、内側突出構造(42)、またはステップ構造(43)を備えることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項13】
前記蒸籠(50)の外面は、前記蒸籠(50)が前記内釜(40)に配置されるときに前記内釜(40)と接触する円周方向に延びる密封部材(52A)を備え、前記蒸籠(50)が前記内釜(40)にしっかりと嵌合されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項14】
前記内釜(40)の内面は、前記蒸籠(50)が前記内釜(40)に配置されるときに、円周方向に延びる内側突出リブ(44)を備え、前記内側突出リブ(44)と前記蒸籠(50)の外面との間の距離が1mm以下であり、前記蒸籠(50)が前記内釜に近接して嵌合されるか、または、
前記蒸籠(50)の前記側壁(52)の外面は、前記蒸籠(50)が前記内釜(40)に配置されるときに、円周方向に延びる外側突出リブを備え、前記外側突出リブと前記内釜(40)の内面との間の距離は、1mm以下であり、前記蒸籠(50)は、前記内釜(40)に近接して嵌合されることを特徴とする、請求項8から11のいずれか1項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項15】
前記複数の第1の貫通孔(57)が均一に分布し、および/または前記複数の第2の貫通孔(58)が前記水下降部(53)の円周方向に沿って均一に分布することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項16】
前記蒸籠(50)が、金属、木材材料、またはプラスチック材料で作られており、前記蒸籠(50)が一体的に形成されているか、またはその底壁(51)が一体的に形成されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項17】
前記蒸籠(50)は、前記側壁(51)の上部から円周方向に延び、前記側壁(51)に対して前記蒸籠(50)の中心軸に向かって押し下げられる保持部(61)をさらに備えることを特徴とする、請求項1から16のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項18】
前記内釜(40)の内面には、少なくとも1つの水位ラインが設けられ、前記蒸籠(50)が前記内釜(40)に配置されると、少なくとも1つの水位ラインが前記第2の貫通孔(58)よりも低く、および/または少なくとも1つの水位ラインが前記第1の貫通孔(57)よりも低いが前記第2の貫通孔(58)よりも低くないことを特徴とする、請求項1から17のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項19】
少なくとも1つの水位ラインが前記第2の貫通孔(58)よりも低く、前記第2の貫通孔(58)との高さの差が10mm以下であることを特徴とする、請求項18に記載の内釜アセンブリ(30)。
【請求項20】
請求項1から19のいずれか一項に記載の内釜アセンブリ(30)と、前記内釜アセンブリ(30)を加熱するための加熱手段(70)とを備えることを特徴とする調理器具(100)。
【請求項21】
前記加熱手段(70)の公称電力Pは、600W≦P≦1500Wであることを特徴とする、請求項20に記載の調理器具(100)。
【請求項22】
請求項20または21に記載の前記調理器具(100)の制御方法であって、前記制御方法は、以下の工程:
-前記加熱手段(70)が、前記内釜(40)の温度が上昇するように前記内釜アセンブリ(30)を加熱するように制御される予熱工程と、
-加熱手段(70)が、受容空間(60)内の水が第1の貫通孔(57)を介して上昇して収容チャンバに入るように前記内釜アセンブリ(30)を断続的に加熱するように制御され、米を浸してすすいだ後に収容チャンバに入る水が、第1の貫通孔(57)および/または第2の貫通孔(58)を介して受容空間(60)に戻るように制御される米のすすぎおよび調理工程と、
-前記加熱手段(70)が前記内釜アセンブリ(30)を加熱するように制御される、米蒸し工程と、を順次含むことを特徴とする制御方法。
【請求項23】
前記調理器具(100)は、調理空間内の前記温度を検出するための温度センサをさらに備え、前記予熱工程において、前記温度センサが前記調理空間内の前記温度が予め設定された温度Tに達することを検出すると、前記制御方法は、前記米のすすぎおよび調理工程に進み、前記予め設定された温度Tは、65℃≦T≦90℃、好ましくは65℃≦T≦80℃となることを特徴とする、請求項22に記載の制御方法。
【請求項24】
前記米のすすぎおよび調理工程において、米を複数回すすぎ、各すすぎの間に、前記加熱手段は、第1の所定の持続時間の加熱を行い、第2の所定の持続時間の加熱を停止し、前記すすぎの回数がNに達するとき、または前記米のすすぎおよび調理工程の持続時間が所定のすすぎ持続時間に達するとき、前記制御方法は、前記米蒸し工程に進み、ここで、Nは自然数であることを特徴とする、請求項22または23に記載の制御方法。
【請求項25】
前記加熱手段(70)は、電磁加熱要素であり、前記第1の予め設定された持続時間は[5,25]秒であり、前記第2の現在の持続時間は[10,35]秒であり、Nは、8以上12以下の自然数であり、および/または前記予め設定されたすすぎ持続時間は[10,30]分であることを特徴とする、請求項24に記載の制御方法。
【請求項26】
前記加熱手段(70)が加熱プレートであり、前記第1の予め設定された持続時間が[7,28]秒であり、前記第2の現在の持続時間が[8,25]秒であり、Nが18以上30以下の自然数であり、および/または前記予め設定されたすすぎ持続時間が[5,15]分であることを特徴とする、請求項24に記載の制御方法。
【請求項27】
予熱処理中の加熱電力が米蒸し工程中の加熱電力よりも高く、米のすすぎおよび調理工程中の加熱電力が米蒸し工程中の加熱電力よりも高いことを特徴とする、請求項22から26のいずれか一項に記載の制御方法。
【請求項28】
前記制御方法は、米の蒸し煮工程をさらに含み、前記米の蒸し工程の持続時間が予め設定された米の蒸し持続時間に達すると、前記制御方法は、前記米の蒸し煮工程に進み、前記米の蒸し煮工程中の前記加熱電力は、前記米の蒸し工程の加熱電力よりも低いことを特徴とする、請求項22から27のいずれか一項に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台所用品の技術分野に関し、特に、内釜アセンブリ、調理器具、および調理器具の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、既存の低糖炊飯器では、蒸籠の上部外縁が内釜の上部外縁に支持され、蒸籠の下に水通過シリンダが設けられている。水通過シリンダの底部は、内釜の内面から離間され、開口部を有する構造を備えている。内釜の水は、加熱された後、水を通すシリンダを介して蒸籠に上昇し、蒸籠に収容された米をすすぐことができる。しかしながら、このタイプの構造を有する炊飯器は、水を通すシリンダの内側に限られた圧力を有し、その結果、水の上昇が悪く、したがって、理想的ではない糖低減効果をもたらす。
【0003】
これを考慮して、本発明は、内釜アセンブリ、調理器具、および調理器具の制御方法を提供し、従来技術の問題を少なくとも部分的に解決する。
【発明の概要】
【0004】
簡略化された形態の一連の概念は、発明の概要セクションに導入されており、発明を実施するための形態セクションでさらに詳細に説明される。本発明の発明の概要セクションは、特許請求された技術的解決策の主要な特徴および本質的な技術的特徴を限定することを意図するものではなく、特許請求された技術的解決策の保護の範囲を定義することを意図するものでもない。
【0005】
上記の問題を少なくとも部分的に解決するために、本発明の第1の態様によれば、調理器具用の内釜アセンブリが開示され、
-[90,200]mmの高さを有する内釜と、
-内釜に支持され、そこから取り外し可能な蒸籠であって、底壁および底壁と接続された側壁を含み、底壁および側壁は、米を収容するための収容チャンバを囲み、蒸籠は、底壁と内釜との間、または底壁、側壁、および内釜との間に受容空間が形成されるように、内釜に嵌合される蒸籠とを供え、
底壁は、水上昇部と、水上昇部の外縁から外向きに延びる誘導部と、誘導部の外縁から外向きに延びる水下降部とを含み、水上昇部は、水下降部よりも高い位置に配置され、水上昇部、誘導部、および水下降部に米が収容され、
水上昇部は、収容チャンバを受容空間と連通し、水を通過させ米を通過させない複数の第1の貫通孔を備え、水下降部は、収容チャンバを受容空間と連通し、水を通過させ米を通過させない複数の第2の貫通孔を備え、誘導部は、第1の貫通孔の最外側の境界から第2の貫通孔の最内側の境界まで延びる水不透過性ゾーンであり、
水上昇部と水下降部との間の最大高さの差がH1であり、第1の貫通孔のいずれか1つと第2の貫通孔のいずれか1つとの間の高さの差がH2であり、
3mm≦H1≦40mm、および/または3mm≦H2≦40mmであって、調理中に、受容空間内の沸騰水が第1の貫通孔を介して収容チャンバに入ることができる。
【0006】
本発明による内釜アセンブリは、水が沸騰し始めた後に水蒸気、ガス、および気泡によって誘導部によって囲まれた空間に適切な圧力が形成されるように、水上昇部と水下降部との間の高さの差または第1の貫通孔と第2の貫通孔との間の高さの差を画定することによって、誘導部の誘導高さを画定する。このような圧力により、受容空間内の沸騰した水は、第1の貫通孔を介して蒸籠に入り、米の上面を駆け抜け、次に中央から周囲に広がり、最終的に第2の貫通孔または第1の貫通孔を介して内釜に戻ることができる。水はすべての米を浸してすすぐことができるので、効果的に糖低減効果と米の風味を保証する。
【0007】
蒸籠を内釜に取り付けることによって、蒸籠の底壁と内側ポートとの間、または底壁、蒸籠の側壁、および内釜との間に受容空間が形成され、すなわち、密封または準密封されたチャンバが蒸籠と内釜との間に形成される。受容空間には、圧力解放が可能な3つのゾーン、すなわち、蒸籠と内釜との間の嵌合の位置、第1の貫通孔、および第2の貫通孔がある。蒸籠と内釜との間の嵌合位置に隙間がないか、または小さな隙間だけであるため、受容空間内の沸騰水は、第1の貫通孔および第2の貫通孔よりもそのゾーンで高い抵抗に遭遇する。したがって、受容空間内の沸騰水が嵌合の場所を通過する可能性は低く、沸騰水が嵌合の場所を通過しても、量は比較的少なく、第1の貫通孔での水の上昇効果への影響は限定的である。
【0008】
受容空間内の水を一定温度に加熱すると、気体や気泡が発生する。気泡は水面に上昇し、気体が増加するにつれて受容空間に圧力を発生させる。水を加熱して沸騰させると、圧力の影響を受けて水面から沸騰した気泡が出てきて、誘導部の底部の内側に蓄積することがある。第1の貫通孔が第2の貫通孔よりも高いため、蒸籠の収容チャンバに米を配置すると、第1の貫通孔に配置された米の厚さは、第2の貫通孔に配置された米の厚さよりも小さくなるため、第1の貫通孔で水が遭遇する米の抵抗は、第2の貫通孔で遭遇する米の抵抗よりも小さくなる。受容空間内の水と気泡による第1の貫通孔で遭遇した米粒の抵抗と自重力のポテンシャルエネルギーの和は、水と気泡による第2の貫通孔で遭遇した米粒の抵抗と自重力のポテンシャルエネルギーの和よりも小さい。したがって、圧力の影響の下で、受容空間内の水および気泡は、水上昇部に設けられた第1の貫通孔を介して蒸籠の収容チャンバに上昇することができ、収容チャンバ内では、蒸籠内の米を浸してすすぐことができる。次に、蒸し籠内の米中のデンプンおよび糖分は、第2の貫通孔および第1の貫通孔を介して受容空間に戻って、米中の糖を低減し、米が部分的に調理されないようにする目的を達成することができる。第2の貫通孔を介して蒸籠に入る少量の沸騰水があるかもしれないが、その量は非常に少ないため、第1の貫通孔の水の上昇効果への影響は非常に限られることを理解することができる。
【0009】
水上昇部、誘導部、および水下降部を底壁に設け、水上昇部、誘導部、および水下降部に米を収容することにより、米を支持する底壁によって蒸籠の入水および排水を直接達成することができる。この構造は非常にシンプルでコストを節約する。さらに、水が底壁を介して、すなわち、米粒の下から蒸籠に突入すると、米粒が巻かれるように、下から米粒を攪拌することができ、したがって、米粒のより良いすすぎ効果を提供する。
【0010】
必要に応じて、8mm≦H1≦30mm、および/または8mm≦H2≦3mm。
【0011】
必要に応じて、10mm≦H1≦20mm、および/または10mm≦H2≦20mm。
【0012】
本発明による内側ポートアセンブリでは、水上昇部と水下降部との間の高さの差または第1の貫通孔と第2の貫通孔との間の高さの差をさらに最適化して、米の糖低減効果および風味をさらに向上させることができる。
【0013】
任意選択で、水上昇部は、平面、曲面、またはそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを含む。
【0014】
本発明による内側ポートアセンブリにより、水上昇部の形状を柔軟に設計することができる。
【0015】
任意選択で、水平面上の水上昇部の突起の面積は、80mm2以上である。
【0016】
本発明による内側ポートアセンブリは、水上昇部が水上昇穴を提供するのに十分な面積を有することを確実にすることができ、したがって、米の糖低減効果および風味を確実にすることができる。
【0017】
任意選択で、水下降部は、平面、曲面、またはそれらの組み合わせのうちのいずれか1つを含む。
【0018】
本発明による内側ポートアセンブリにより、水下降部の形状を柔軟に設計することができる。
【0019】
任意選択で、底壁は、回転軸として蒸籠の中心軸と回転対称である。
【0020】
本発明による内側ポートアセンブリでは、底壁は規則的な形状を有し、加工が容易である。
【0021】
任意選択で、誘導部は、円筒形の側面、切り詰められた円錐形の側面、または円弧形の面、またはそれらの任意の組み合わせのうちのいずれか1つを含む。
【0022】
本発明による内側ポートアセンブリにより、誘導部の形状を柔軟に設計することができる。
【0023】
任意選択で、誘導部の上部および誘導部の下部は両方とも水平面であり、切り詰められた円錐の側面の形で回転面によって接続される。
【0024】
本発明による内側ポートアセンブリでは、誘導部は、切り詰められた円錐形の側面の形態であるように設計されているため、蒸籠は加工が容易である。
【0025】
任意選択で、水上昇部は水平面であり、および/または水下降部は水平面である。
【0026】
本発明による内側ポートアセンブリでは、底壁は、切り詰められた円錐形の形で上向きの突起を提示するように設計されているため、蒸籠は加工および製造が容易である。
【0027】
任意選択で、蒸籠が内側ポートに配置されるとき、内釜の内面は、蒸籠が接触することによって内釜に嵌合されるように、蒸籠と接触しており、内釜の内面は、蒸籠と接触して支持されるように、円弧形状の構造、傾斜構造、内側突出構造、または内釜の内側に向かって延びるステップ構造を備えている。
【0028】
本発明による内釜アセンブリでは、内釜は、シンプルでコンパクトな構造を有し、製品の製造、使用、および維持に便利な蒸籠を支持するように構成される。同時に、蒸籠が内釜に接触すると、水が沸騰し始めた後、受入空間内の水蒸気、ガス、気泡が可能な限り誘導部に集中し、誘導部に十分な圧力を発生させ、水の上昇効果を確保することができる。
【0029】
任意選択で、蒸籠の外面は、蒸籠が内釜に配置されるときに内釜と接触する円周方向に延びるシール部材を備え、その結果、蒸籠は内釜にしっかりと嵌合される。
【0030】
本発明による内釜アセンブリでは、蒸籠は内釜と密封接触しており、これにより、嵌合の位置での圧力解放がよりよく制限され、したがって、水上昇部での水の上昇がより確実になる。
【0031】
任意選択で、内釜の内面には、蒸籠が内釜に配置されるときに 円周方向に延びる内側突出リブが設けられ、内側突出リブと蒸籠の外面との間の距離は1mm以下であり、蒸籠は近接して内釜に嵌合される。または
前記蒸籠の前記側壁の外面は、前記蒸籠が前記内釜に配置されるときに、円周方向に延びる外側突出リブを備え、外側突出リブと内釜の内面との間の距離は、1mm以下であり、その結果、蒸籠は、内釜に近接して嵌合される。
【0032】
本発明による内釜アセンブリでは、蒸籠は、水が沸騰し始めた後、受容空間内の水蒸気、ガス、および気泡が可能な限り誘導部に濃縮され、誘導部に十分な圧力を生成し、第1の貫通孔を通って水が上昇することを確実にするように、できるだけ内釜に接触または接近する。
【0033】
実験により、嵌合の位置で内釜と蒸籠との間の距離が1mmを超えない場合、嵌合の位置での圧力解放を効果的に制御することができ、水が沸騰し始めた後、受容空間内の水蒸気、ガス、および気泡が可能な限り誘導部に集中し、誘導部に十分な圧力を生成し、したがって、第1の貫通孔を通って上昇する水を確実にすることができることが実証されている。
【0034】
任意選択で、蒸籠は、嵌合の場所での接触または近接によって内釜に嵌合され、嵌合の場所での蒸籠と内釜との間の距離は、1mm以下である。
【0035】
本発明による内釜アセンブリでは、蒸籠は、受容空間が密封または準密封空間を形成するように、できるだけ内釜に接触または接近し、水が沸騰し始めた後、受容空間内の水蒸気、ガス、および気泡が可能な限り誘導部に集中し、誘導部に十分な圧力を生成し、第1の貫通孔を通って上昇する水を確保する。
【0036】
実験により、嵌合の位置で内釜と蒸籠との間の距離が1mmを超えない場合、嵌合の位置での圧力解放を効果的に制御することができ、水が沸騰し始めた後、受容空間内の水蒸気、ガス、および気泡が可能な限り誘導部に集中し、誘導部に十分な圧力を生成し、したがって、第1の貫通孔を通って上昇する水を確実にすることができることが実証されている。
【0037】
任意選択で、嵌合の位置は、水上昇部の上部よりも高くない。
【0038】
本発明による内釜アセンブリでは、内釜と蒸籠との間の嵌合位置はできるだけ低く、嵌合位置での圧力解放を効果的に制御し、誘導部で十分な圧力が生成され、第1の貫通孔を通って上昇する水を確実にする。
【0039】
任意選択で、嵌合の位置と垂直方向の水上昇部の上部との間の最大距離H3は、1≦H1/H3≦15となる。
【0040】
本発明による内釜アセンブリでは、内釜と蒸籠との間の嵌合位置はできるだけ低く、嵌合位置での圧力解放を効果的に制御し、誘導部で十分な圧力が生成され、第1の貫通孔を通って上昇する水を確実にする。
【0041】
任意選択で、複数の第1の貫通孔は均一に分布し、および/または複数の第2の貫通孔は、水下降部の円周方向に沿って均一に分布する。
【0042】
本発明による内釜アセンブリでは、第1の貫通孔および第2の貫通孔が均一に分布し、米を浸して均一にすすぐことができる。
【0043】
任意選択で、蒸籠は、金属、木材材料、またはプラスチック材料で作られ、蒸籠は一体的に形成されるか、またはその底壁は一体的に形成される。
【0044】
本発明による内釜アセンブリでは、蒸籠は幅広い材料選択肢を有し、加工が簡単である。
【0045】
任意選択で、蒸籠は、側壁の上部から円周方向に延び、側壁に対して蒸籠の中心軸に向かって押し下げられる保持部をさらに備え、および/または側壁は、蒸籠の円周方向に沿って間隔を空けて設けられ、蒸籠と内釜との間の嵌合の位置よりも高い位置に配置された複数の側壁貫通孔を備える。
【0046】
本発明による内釜アセンブリでは、保持部のおかげで、ユーザによる蒸籠の保持が容易になる。蒸籠と内釜との間の嵌合位置の上の位置に側壁貫通孔を設けることによって、蒸籠内の過剰な水および泡は、側壁貫通孔を介して内釜に排出され得、したがって、釜からのオーバーフローの可能性を低減する。
【0047】
任意選択で、内釜の内面は、少なくとも1つの水位線を備え、蒸籠が内釜に配置されるとき、少なくとも1つの内釜水位線は、第2の貫通孔よりも低く、および/または少なくとも1つの水位線は、第1の貫通孔よりも低く、第2の貫通孔よりも低くない。
【0048】
本発明による内釜アセンブリでは、水位ラインを提供することによって、ユーザは、米の量に基づいて適切な量の水を加えるように指示することができる。第2の貫通孔の下の水位線については、ご飯が水に浸されないように、水位を第2の貫通孔よりも低く設定する必要があり、これにより、ご飯の風味の均一性を確保するだけでなく、予約機能中に長時間浸されたときにご飯が悪くなるのを防ぐことができる。水位ラインはまた、第1の貫通孔よりも低くてもよいが、第2の貫通孔よりも低くてもよく、これは、必要に応じて適切な量の水を追加するようにユーザに指示することができる。例えば、米の量が比較的多い場合、より多くの水が蒸籠に入り、米をすすぐことができる。水位線が1つだけある場合、水位線は、第2の貫通孔の下の位置、または第1の貫通孔よりも低いが第2の貫通孔よりも低くない位置のいずれかで、実際の必要に応じて提供することができる。複数の水位線がある場合、それらのうちのいくつかは、異なる量の米の調理ニーズを満たすように、第2の貫通孔よりも低く、それらのうちのいくつかは、第1の貫通孔よりも低く、第2の貫通孔よりも低くないように配置することができる。例えば、米1カップ(約150g)を調理する場合、水位線は、米をすすぎ、調理ニーズを満たすために少量の水のみが必要であるため、第2の貫通孔の下にある。複数のカップの米を調理するとき、水位線は、第2の貫通孔よりも高いが、第1の貫通孔よりも低い位置にあることができるので、大量の米のために米の上昇および調理効果を確実にするのに十分な量の水がある。水位線はまた、すべて第2の貫通孔よりも低くすることができ、またはすべて第1の貫通孔よりも低くすることができるが、第2の貫通孔よりも低くすることはできないことを理解することができる。ニーズに応じて様々な形状の水位ラインを柔軟に設けることができる。
【0049】
任意選択で、少なくとも1つの水位線は、第2の貫通孔よりも低く、10mm以下である第2の貫通孔との高さの差を有する。
【0050】
本発明による内釜アセンブリでは、水位線の少なくとも一部またはすべてが第2の貫通孔よりも低く、第2の貫通孔とのそれらの高さ差は0よりも大きいが10mm以下であり、これは、米が水に浸されるのを防ぎ、水を迅速に沸騰させ、より迅速にすすぐステップを実行し、同時に、第1の貫通孔を通って水が上昇することを確実にすることができる。
【0051】
任意選択で、水平面上の底壁の突起の面積は、[11000,46000]mm2であり、および/または誘導部の面積は、700mm2以上であり、および/または受容空間の体積は、[200,2000]mlである。
【0052】
本発明による内釜アセンブリでは、受容空間が十分な水を受け入れ、水が水上昇部で効果的に上昇することができるように、構造パラメータが適切に設定される。
【0053】
本発明の第2の態様は、上述の内釜アセンブリと、内釜アセンブリを加熱するための加熱手段とを備える調理器具を提供する。
【0054】
本発明による調理器具は、水が沸騰し始めた後に水蒸気、ガス、および気泡によって誘導部によって囲まれた空間に適切な圧力が形成されるように、水上昇部と水下降部との間の高さの差または第1の貫通孔と第2の貫通孔との間の高さの差を画定することによって、誘導部の誘導高さを画定する。このような圧力により、受容空間内の沸騰した水は、第1の貫通孔を介して蒸籠に入り、米の上面を駆け抜け、次に中央から周囲に広がり、最終的に第2の貫通孔または第1の貫通孔を介して内釜に戻ることができる。水はすべての米を浸してすすぐことができるので、効果的に糖低減する効果と米の風味を保証する。
【0055】
任意選択で、加熱手段の公称電力Pは、600W≦P≦1500Wとなる。
【0056】
本発明による調理器具は、受容空間内の水が迅速に沸騰して十分な水蒸気、ガスおよび気泡を生成することを保証するだけでなく、製品の開発コストおよび使用コストを制御する適切な公称電力を設定する。
【0057】
本発明の第3の態様は、上記の調理器具に適用することができる調理器具の制御方法を提供し、制御方法は、以下の工程を順次含む。
【0058】
前記加熱手段が、前記内釜の温度が上昇するように前記内釜アセンブリを加熱するように制御される予熱工程と、
前記加熱手段が前記内釜アセンブリを断続的に加熱するように制御され、前記受容空間内の水が前記第1の貫通孔を介して前記収容チャンバに上昇し、前記収容チャンバに入った前記水が、前記米を浸してすすいだ後、前記第1の貫通孔および/または前記第2の貫通孔を介して前記受容空間に戻るように米のすすぎおよび調理工程と、
前記加熱手段が前記内釜アセンブリを加熱するように制御される、米蒸し工程。
【0059】
本発明の制御方法によれば、米のすすぎおよび調理工程では、受容空間内の水が沸騰し、誘導部の効果により、水蒸気、ガス、および気泡が第1の貫通孔を介して収容チャンバに入り、米の上面を駆け抜け、次に水が中央から周囲に広がり、米中のデンプンおよび糖分が水と共に内釜に落ちるように米を浸してすすぐ。したがって、糖を低減する目的を達成することができ、米は均一な風味を持ち、部分的に調理されることはない。
【0060】
任意選択で、調理器具は、調理空間内の温度を検出するための温度センサをさらに備え、予熱工程において、温度センサが調理空間内の温度が予め設定された温度Tに達することを検出すると、制御方法は、米のすすぎおよび調理工程に進み、予め設定された温度Tは、65℃≦T≦90℃になる。
【0061】
任意選択で、予め設定された温度Tは、65℃≦T≦80℃になるような温度である。
【0062】
本発明の制御方法によれば、食品材料を最初に予熱する。予熱工程では、米が均一に水分を吸収できるように、米を水蒸気で浸すことができ、調理された米の風味を確保することができる。
【0063】
任意選択で、米のすすぎおよび調理工程では、米を複数回すすぎ、各すすぎ中に、加熱手段は、第1の予め設定された持続時間の加熱を行い、次に、すすぎの回数がNに達するとき、または米のすすぎおよび調理工程の持続時間が予め設定されたすすぎ持続時間に達するとき、制御手段は米の蒸し工程にすすみ、ここで、Nは自然数である。
【0064】
本発明の制御方法によれば、米は、水に完全に浸されながら、米のすすぎおよび調理工程において複数回すすがれ、米の糖分低減効果および風味がより良好である。
【0065】
任意選択で、加熱手段は、電磁加熱素子であり、第1の予め設定された持続時間は[5,25]秒であり、第2の現在の持続時間は[10,35]秒であり、ここで、Nは、8以上12以下の自然数であり、および/または予め設定されたすすぎ持続時間は[10,30]分である。
【0066】
任意選択で、加熱手段は加熱プレートであり、第1の予め設定された持続時間は[7,28]秒であり、第2の現在の持続時間は[8,25]秒であり、ここで、Nは18以上30以下の自然数であり、および/または予め設定されたすすぎ持続時間は[5,15]分である。
【0067】
本発明による制御方法では、加熱手段は異なるハードウェア部品とすることができ、米の糖の低減効果および均一な風味を達成するために、特定のハードウェア性能に基づいて、米のすすぎおよび調理工程の動作パラメータが設定される。
【0068】
任意選択で、予熱工程中の加熱電力は、米蒸し工程の加熱電力よりも高く、米すすぎおよび調理工程中の加熱電力は、米蒸し工程の加熱電力よりも高い。
【0069】
本発明による制御方法は、米の糖低下と均一な風味を効果的に確保するために、各調理段階の加熱力を適切に設定する。予熱工程では、比較的高い加熱力が使用され、水蒸気によって米をできるだけ浸すことができ、調理された米の均一な風味を確保するのに役立つ。米のすすぎおよび調理工程では、比較的高い加熱電力が使用され、受容空間内の水を沸騰させて十分な水蒸気、ガス、および気泡を生成し、誘導部に十分な圧力を生成して水分を上昇させ、米の糖低減および均一な風味を達成することができる。米を完全に浸してすすいだ後、米の蒸し工程では、蒸籠に大量の水を入れる必要がなくなり、エネルギーを節約するために加熱電力を下げることができる。
【0070】
任意選択で、制御方法は、米の蒸し煮(braising)工程をさらに含み、米の蒸し工程の持続時間が予め設定された米の蒸し持続時間に達すると、制御方法は米の蒸し煮工程に進み、米の蒸し煮工程の加熱パワーは米の蒸し工程の加熱パワーよりも低い。
【0071】
本発明の制御方法によれば、米の蒸し煮工程では、エネルギーを節約するために加熱電力をさらに低下させることができる。同時に、受入れ空間内の水が乾燥するのを防ぎ、米のゼラチン化の程度を増加させない。
【図面の簡単な説明】
【0072】
以下に列挙される本発明の添付図面は、本発明を理解するための本出願の一部を構成する。添付の図面では、本発明の原理を説明するために、本発明の実施形態の例とその説明が示されている。
添付の図面では、
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態による調理器具の部分構造の断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示される調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図3】
図3は、
図2に示される内釜アセンブリの蒸籠の斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明のいくつかの実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図6】
図6は、本発明のいくつかの実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図7】
図7は、本発明のいくつかの実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図8】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図9】
図9は、本発明のいくつかの実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図10】
図10は、本発明のいくつかの実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図11】
図11は、本発明のいくつかの実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図12】
図12は、本発明の特定の実施形態による、調理器具の内釜アセンブリの蒸籠の上面図である。
【
図13】
図13は、本発明の特定の実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図15】
図15は、本発明の特定の実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図16】
図16は、本発明の特定の実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図17】
図17は、本発明の特定の実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【
図18】
図18は、本発明の特定の実施形態による調理器具の内釜アセンブリの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0073】
以下の説明では、本発明のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が記載されている。しかしながら、本発明の実施形態は、それらの詳細のうちの1つ以上なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。他の例では、本発明の実施形態との混同を避けるために、当該技術分野で知られているいくつかの技術的特徴は説明されていない。
【0074】
本発明の実施形態を完全に理解するために、詳細な構造を以下の説明に提示する。明らかに、本発明の実施形態の実施は、当業者に周知の特定の詳細に限定されない。本明細書で使用される「第1の」および「第2の」などの順序数は単なる参照であり、特定の順序などの他の意味を持たないことに留意されたい。加えて、例えば、「第1の部分」という用語は、それ自体が「第2の部分」の存在を意味するものではなく、「第2の部分」という用語自体が「第1の部分」の存在を意味するものでもなく、「上部」、「下部」、「前部」、「後部」、「左」および「右」という用語、ならびに本発明で使用される同様の表現は、説明のためであり、限定のためではない。
【0075】
本発明は、調理器具および調理器具の内釜アセンブリを提供する。本発明による調理器具は、電気炊飯器であることができ、炊飯機能に加えて、お粥作り、スープ作り、および食品蒸しなどの機能を有することができる。
【0076】
本発明の好ましい実施形態による調理器具100および内釜アセンブリ30は、
図1~
図4を参照して以下に詳細に説明される。
【0077】
図1に示されるように、調理器具100は、主に、釜本体10と、釜本体10の上に設けられ、開閉可能な蓋本体20とを備える。内釜アセンブリ30は、釜本体10に設けられる。蓋本体20が釜本体10を覆うと、蓋本体20と内釜アセンブリ30との間に調理スペースが形成される。釜本体10は、丸みを帯びた角または任意の他の適切な形状を有する直方体の形状を有するように構成され得、円筒の形状の受容部を有する。内釜アセンブリ30は、内釜アセンブリ30の清掃を容易にするために、受容部に自由に配置されるか、または受容部から取り外されるように構成される。
【0078】
さらに、加熱手段70、制御手段(図示せず)、および温度検知アセンブリ80は、釜本体10にさらに提供される。加熱手段70は、内釜アセンブリ30の底部に設けられ、例えば、内釜アセンブリ30の下に配置され、内釜アセンブリ30内の食品を加熱する。制御手段は、例えば、調理器具の調理工程を制御するためのマイクロコントロールユニット(または略してMCU)であり得る。温度検知アセンブリ80は、内釜アセンブリ30の温度を検出するために使用され、内釜アセンブリ30の底部の中央に、または内釜アセンブリ30の横に設けることができる。上部温度測定要素(図示せず)はまた、調理空間内の温度を検出するために、蓋体20上にさらに設けることができる。加熱手段70、温度検知アセンブリ80、および上部温度測定要素はすべて、制御手段に電気的に接続される。温度検知部は、温度情報に基づいて、制御手段が例えば加熱手段700のより正確な制御を実行することができるように、測定された温度を制御手段に送信する。
【0079】
本発明では、方向用語「上部」および「下部」は、調理器具100が直立して配置され、蓋体20が閉じた状態にあるときに決定されるそれらの方向を指すことに留意されたい。
【0080】
図1から
図4に示されるように、内釜アセンブリ30は、主に、内釜40と、内釜40内に支持され、そこから取り外し可能な蒸籠50とを備える。好ましくは、蒸籠50は、その中心軸Aに対して回転対称である構造を有するように構成される。好ましくは、蒸籠50の中心軸Aは、垂直方向に延びる。蒸籠50は、底壁51と、底壁51の外縁から上方に延びる側壁52とを備える。底壁51および側壁52は、米を収容するための収容チャンバを囲む。好ましくは、側壁52は、シリンダの形態である。蒸籠50の底壁51の最大外径D2は、蒸籠50を内釜40に容易に配置するように、内釜40の開口部の直径D4よりも小さい。蒸籠50はまた、回転対称ではない構造として構成され得ることが理解され得る。
【0081】
底壁51は、水上昇部54、誘導部56、および水下降部53を備える。水上昇部54は中央に位置し、誘導部56は水上昇部54の外縁から外向きに延び、水下降部53は誘導部56の外縁から側壁52まで外向きに延びる。言い換えれば、蒸籠50の底壁51は、半径方向に外向きに、水上昇部54、誘導部56、および水下降部53を順次備える。水上昇部54は、水下降部53よりも高い。水上昇部54および誘導部56は、底壁51から上向きに突出する突起を囲み、水下降部53は、底壁51の最も低い部分を含み、突起の外周に位置する。米は、水上昇部54、誘導部56、および水下降部53に収容することができる。水下降部53は、底壁51と内釜40との間に密封されたまたは準密封された受容空間60を形成するように、内釜40の内面と接触することができる。受容空間60は、水を受容するために使用される。調理中、受容空間60内の沸騰水は、米を浸してすすぐために蒸籠50に入ることができる。
【0082】
好ましくは、水上昇部54の形状は、水上昇部54がそれらの接合部で誘導部56にスムーズに遷移するように誘導部56の形状と一致し、水下降部53の形状は、水下降部53がそれらの接合部で誘導部56にスムーズに遷移するように誘導部56の形状と一致する。好ましくは、底壁51および側壁52は一体的に形成される(蒸籠50全体が一体的に形成される)か、または水上昇部54、誘導部56および水下降部53は一体的に形成される(底壁51全体が一体的に形成される)。好ましくは、蒸籠50は、金属、木材材料またはプラスチック材料で作られる。蒸籠は、0.2mm~10mm、好ましくは0.3~3mmの壁厚を有する。好ましくは、底壁51は、中心軸Aに対して回転対称であるように構成される。
【0083】
水上昇部54には、受容空間60と連通する第1の貫通孔57が設けられ、水下降部53には、受容空間60と連通する第2の貫通孔58が設けられている。水上昇部54が水下降部53よりも高いので、第1の貫通孔57は、第2の貫通孔58よりも高い。誘導部56は、第1の貫通孔57の最も外側の境界から第2の貫通孔58の最も内側の境界まで延びる水不透過性ゾーンである。誘導部56は、外側底部から内側上部に比較的傾斜している。
図12に示されるように、誘導部56の上部境界、誘導部56の内側境界、および水上昇部54の外側境界は、同じ境界、すなわち、外径D3を有する第1の貫通孔57の最も外側の境界である。誘導部56の下部境界、誘導部56の外側境界、および水下降部53の内側境界は、同じ境界、すなわち、内径D1を有する第2の貫通孔58の最も内側の境界である。水下降部53の内径D1は、水上昇部5の外径D3よりも大きい。
【0084】
好ましくは、第1の貫通孔57は、水上昇部54の最も高い位置(したがって、底壁51の最も高い位置)に設けられ、第2の貫通孔58は、水下降部53の最も低い位置(したがって、底壁51の最も低い位置)に設けられる。好ましくは、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58は、均一に分布する。例えば、第1の貫通孔57は、水上昇部54の円周方向に沿って等間隔で設けられ、第2の貫通孔58は、水下降部53の円周方向に沿って等間隔で設けられる。好ましくは、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58は、円形の貫通孔として構成される。第1の貫通孔57および第2の貫通孔58の形状は、本実施形態に限定されないことが理解できる。必要に応じて、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58はまた、楕円形、多角形、または任意の他の適切な形状を有するように構成することができる。好ましくは、各第1の貫通孔57の直径は、3mm以下であるか、または各第1の貫通孔57の面積は、8mm2以下であり、一方、各第2の貫通孔58の直径は、3mm以下であるか、または各第2の貫通孔58の面積は、8mm2以下である。そのような寸法では、蒸籠50内の米粒は、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58を介して受容空間60に落ちることができない。
【0085】
水が受け入れられる準密封された受容空間60は、底壁51と内釜40との間に形成される。
図5~
図11に示すように、一般に、水位は、蒸籠の底壁51を超えず、すなわち、水面と底壁51との間に空の誘導チャンバ65が残される。水上昇部54および誘導部56によって囲まれた突起の下の空間は、誘導チャンバ65の主要部分を形成する。調理中、加熱温度が上昇するにつれて、誘導チャンバ65内の空気圧は徐々に増加し、受容空間60内の水は、より多くの水蒸気および気泡を生成し、これは、誘導チャンバ65内の空気圧をさらに増加させる。安全のために、また水が飛散するのを防ぐために、空気圧は一般的に4kPa未満であり、例えば、約1.8kPaに上昇することができる。誘導部56は、外底部から内頂部に比較的傾斜しているため、水を加熱して沸騰させると、圧力の作用下で水と共に沸騰した気泡が水面から出てきて、誘導部56の収集作用下で水上昇部54の底部内に濃縮される。米の表面が比較的平坦である場合、水上昇部54が水下降部53よりも高いため、水上昇部54における米の厚さは水下降部53における米の厚さよりも低く、抵抗差、すなわち、第1の貫通孔57における米の抵抗は、第2の貫通孔58における米の抵抗よりも小さい。したがって、受容空間60内の水および気泡は、圧力の影響下で、水上昇部54に設けられた第1の貫通孔57を通って米の上面まで蒸籠50内に上昇する。したがって、水およびガスは、比較的中央に位置する水上昇部54から蒸籠50の内側に入り、次に周囲に広がる。次に、水は、周囲の第2の貫通孔58を介して受容空間60に戻り、それによって、蒸籠50内の米を浸してすすぐ。したがって、蒸籠50内の米中のデンプンおよび糖分は、水と共に第2の貫通孔58を介して受容空間60に戻って、米中の糖分を減少させる目的を達成することができる。同時に、中央に位置する米の表面と円周に位置する米の表面の両方を水に浸すことができ、米が半調理されるのを効果的に防ぐことができる。
【0086】
本発明では、誘導部56の集合効果により、局所的な高圧帯が形成される水上昇部54の底部内に多数の気泡が集中する。同時に、水上昇部54における米の抵抗は比較的小さい。したがって、第1の貫通孔57は、水を上昇させる目的を達成することができ、水は米の上面に突進することができる。本発明では、いくつかの水が第1の貫通孔57を介して受容空間60に戻ることができ、いくつかの水が第2の貫通孔58を介して蒸籠50に入ることができることが理解できる。
【0087】
具体的には、水上昇部54は、平面(
図2に示されるように)、上方に突出する湾曲面、下方に押し下げる湾曲面、または平面と湾曲面の組み合わせ(
図5および
図6に示されるように)を含み得る。水下降部53は、平面(
図2に示されるように)、上向きに突出する湾曲面、下向きに押し下げる湾曲面、または平面と湾曲面の組み合わせ(
図7および
図8に示されるように)を含み得る。誘導部56は、シリンダ側面、切り詰められた円錐形側面、または円弧形状の面のいずれか1つ、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る(
図9~11に示されるように)。
図1から
図4に示される実施形態では、底壁51は、その軸として蒸籠50の中心軸Aと回転対称であるように構成される。水上昇部54は、円形平面であるように構成され、水下降部53は、環状平面であるように構成される。誘導部56の上部および下部 は、平面であるように構成され、それぞれ、水上昇部54および水下降部53に接続される。誘導部56の上部および下部は、切り詰められた円錐形の側壁の形状の回転面を介して互いに接続されている。
図13および14に示される実施形態では、水上昇部54は、規則的な正多角形の形状であるように構成され、誘導部56は、一緒につなぎ合わされた複数の傾斜した平らな壁から構成されるように構成される。
【0088】
水を上昇させ、水が蒸籠50内の米を十分に浸すことができるようにするために、水上昇部54の高さは、上昇する水の量を制御する重要な要因である。水上昇部54と水下降部53との間の最大の高さの差H1(すなわち、底壁51の高さ)が比較的小さい場合、誘導部56の収集効果を十分に達成することができず、底壁51上の米の厚さの差は大きくなく(すなわち、水上昇部54に蓄積された米も比較的高い)、水上昇部54で蒸籠50に入る水が米の上面を駆け抜けることが困難になる。したがって、米の表面を水に浸すことはほとんどできず、半調理または比較的硬い米につながる。一方、水上昇部54の高さH1が大きすぎると、第1の貫通孔57が受容空間60内の水面から遠すぎ、誘導チャンバ65内の気泡によって持ち上がる水が比較的少なく、誘導チャンバ65内の空気圧が十分に上昇することができない。この場合、第1の貫通孔57を介して上昇する水の量が不十分であり、米の表面を水に浸すことが困難であり、容易に半調理された表面につながり、比較的糖低減効果が低い
本発明の発明者らは、実験によって得られ、水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1が調理結果に及ぼす影響を試験した。実験では、加熱手段70の公称出力は1200Wであり、内釜40の体積は4Lであり、内釜40の開口部の直径D4は201mmであり、蒸籠50の体積は2.6Lであり、蒸籠の底壁51の最大外径D2は198mmであり、誘導部56の外径D1は165mmであり、すべての第1の貫通孔57の総面積は117mm2であり、すべての第2の貫通孔58の総面積は197m2であり、蒸籠50に収容される米の量は3カップ(約450g)であり、受容空間60に収容される水の量は850mlである。
【0089】
表1に示すように、水上昇部54と水下降部53の高さの差H1が3mm未満の場合、米の糖含有量(低減される糖)は比較的高い。さらに、蒸籠50に入る水は、第1の貫通孔57で米の比較的大きな抵抗に遭遇するため、米の表面を水に浸すことが困難であり、業界標準よりも低い含水量をもたらすため、米の表面を駆け抜けることが困難である。一方、水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1が40mmを超える場合、糖含有量(低減される糖)は業界標準を満たしているが、高さ差H1が非常に大きいため、第1の貫通孔57に上昇するために受容空間で発生する気泡によって克服される重力ポテンシャルエネルギーが増加し、上昇する水の量が不十分になり、蒸籠50に入る水が米の表面を浸すことができなくなるため、水分含有量は業界標準よりも低い。水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1が3mm≦H1≦40mmである場合、第1の貫通孔57を介して上昇する水の量は、蒸籠50に入る水が比較的容易に米の表面を駆け抜け、したがって米を完全に浸すのに十分であり、米の一貫性を確保し、したがって、良好な糖低減効果および米のより良い風味を提供する。より好ましくは、H1は、8mm≦H1≦30mmのようなものであり、より良い糖低下効果を提供する。より好ましくは、H1は、10mm≦H1≦20mmのようなものであり、最適な糖低下効果を提供する。
【0090】
【0091】
なお、業界標準では、水分含有量は58%~65%、還元糖含有量は≦0.3mg/100g、ゼラチン化度は85%~95%、耐性デンプン含有量は≧8%である。また、米を水に完全に浸す従来の調理モードでは、得られた米の還元糖含有量は約0.529mg/100gであり、耐性デンプン含有量は約5.40%である。したがって、本発明による調理器具100の糖低減効果は、従来の調理モードよりも優れているだけでなく、業界標準よりも優れている。
【0092】
本発明では、第1の貫通孔57は主に水が通過するための孔として機能し、第2の貫通孔58は主に水が通過するための孔として機能する。第1の貫通孔57と第2の貫通孔58との間の高さの差は、水上昇部54と水下降部53との間の高さの差を本質的に表すことができる。本発明では、第1の貫通孔57のいずれか1つおよび第2の貫通孔58のいずれか1つは、高さの差H2を有し、好ましくは、H2は、3mm≦H2≦40mmである。より好ましくは、H2は、8mm≦H2≦30mmのようなものである。さらにより好ましくは、H2は、10mm≦H2≦20mmのようなものである。
【0093】
第1の貫通孔57および第2の貫通孔58は、第1の貫通孔57の上に配置された米の厚さが第2の貫通孔58の上に配置された米の厚さよりも小さく、したがって、第1の貫通孔57における米の抵抗(重力)が第2の貫通孔58における抵抗(重力)よりも小さくなるように、適切な高さの差を有する。受容空間60内の水および気泡によって遭遇する米粒の抵抗と、第1の貫通孔57におけるそれら自身の重力ポテンシャルエネルギーとの合計は、第2の貫通孔58における合計よりも小さい。したがって、受容空間60内の水および気泡は、圧力の影響下で、第1の貫通孔57を介して蒸籠50の収容チャンバに上昇し、米の上面を駆け抜け、次に収容チャンバ内の蒸籠50内の米を浸してすすぐことができる。次に、蒸籠50内の米中のデンプンおよび糖の含有量は、第2の貫通孔58および第1の貫通孔57を介して水と共に受容空間60に戻って、米中の糖を低減し、米が半調理されるのを防ぐという目的を達成する。
【0094】
誘導部56は、誘導部56の底部の内側に水泡を集めるように傾斜するように配置されている。本発明を通じて、蒸籠50の中心軸Aを通過する長手方向断面平面内の角度Eも上昇する水の量に影響を与え、したがって調理結果に影響を与える可能性があることが発見された。
図5~
図11に示すように、角度Eは、誘導部56と蒸籠50の長手方向断面と中心軸Aとの間の交点線の2つの端部(M点およびN点)を接続する線との間に形成される角度である。M点は、長手方向断面平面における第2の貫通孔58の最も内側の境界を表し、N点は、長手方向断面平面における第1の貫通孔57の最も外側の境界を表す。M点およびN点は、両方とも、底壁51の上面に位置する第1の貫通孔57および第2の貫通孔58の境界に位置するか、または両方とも、底壁51の下面に位置する第1の貫通孔57および第2の貫通孔58の境界に位置するべきである。
図5~
図11に示すように、M点およびN点は共に、底壁51の下面に位置する第1の貫通孔57および第2の貫通孔58の境界に位置する。
【0095】
上記角度Eが小さすぎる場合、誘導部56の軸方向断面の面積(すなわち、水上昇部54、誘導部56および水位によって囲まれた空間によって形成される三次元形状の軸方向断面の面積、例えば、水上昇部54および誘導部56によって囲まれた切り詰められた円錐の軸方向断面の面積)および誘導部56内の空間(すなわち、水上昇部54、誘導部56によって囲まれた空間および水位、例えば、水上昇部54および誘導部56によって囲まれた切り詰められた円錐)は比較的小さく、従って、誘導部56の底部内に集中する水および気泡の体積は比較的小さい。したがって、第1の貫通孔57を介して上昇する水の量は比較的少なく、米を徹底的に浸すことが困難であり、半調理または比較的硬い米に容易につながり、比較的糖低減効果が低い。一方、上述した角度Eが大きすぎると、軸方向断面の面積と誘導部56内の空間が比較的大きくなる。したがって、受容空間60内の比較的大量の水および気泡は、それらが第1の貫通孔57のレベルまで上昇するために濃縮される必要がある(すなわち、比較的大きな圧力が必要である)。加えて、所与の圧力下で、第1の貫通孔57を通って流れる受容空間60内の水の速度が低下し、これは水の上昇を助長しない。したがって、第1の貫通孔57を介して比較的少量の水分しか上昇することができず、米を徹底的に浸すことが困難であり、半調理または比較的硬い米に容易につながり、比較的糖低減効果が低い。本発明の発明者らは、実験および試験を通じて、上記角度Eが30°≦E≦85°であるとき、第1の貫通孔57を介して上昇する水の量が、米を完全に浸すことができ、したがって、良好な糖低減効果および米の風味を確実にすることができることを発見した。より好ましくは、上述の角度Eは、55°≦E≦80°のようなものである。
【0096】
誘導部56の面積と水平面上の誘導部56の突起の面積との間の比率Fはまた、角度Eのサイズを反映することができることが理解され得る。好ましくは、Fは、1<F≦6のようなものである。
【0097】
水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1と角度Eとの比率も、調理結果に影響を与える可能性がある。高さの差H1と角度Eとの比率が比較的小さい場合、すなわち、水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1が比較的小さい場合、または角度Eが比較的大きい場合、上記の説明から、どちらの状況も水があがりにくく、容易に半調理または硬い米につながることがわかる。高さの差H1と角度Eとの比率が比較的大きい場合、すなわち、水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1が比較的大きい場合、または角度Eが比較的小さい場合、上記の説明から、どちらの状況も水の上昇につながるものではないことがわかる。実際、この場合、第1の貫通孔47を介して上昇する水の量は比較的少なく、米を徹底的に浸すことが困難であり、容易に半調理または硬い米につながり、糖を低減させる結果が得られない。本発明の発明者らは、水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1と角度Eとの比が0.035mm/°≦H1/E ≦1.33mm/°であるとき、受容空間60内の水および気泡が米の表面を駆け抜けることが比較的容易であり、第1の貫通孔57を通って上昇する水の量を確保することができるため、蒸籠50に入る水が米を完全に浸すことができるため、糖低減効果が比較的良好であり、米の風味がより良いことを、実験および試験を通じて発見した。好ましくは、角度Eに対する高さの差H1の比は、0.12mm/°≦H1/E≦0.36mm/°となる。
【0098】
誘導部56の傾斜度を反映する角度E、および底壁51の高さH1は、水上昇部54および誘導部56によって囲まれた空間の体積Vに影響を与えることが理解され得る。角度Eまたは高さH1が大きいほど、体積Vは大きくなり、角度Eまたは高さH1が小さいほど、体積Vは小さい。上記のように、角度Eと高さH1が過度に大きくまたは小さい場合、調理結果に影響を与える。すなわち、角度Eおよび高さH1は、適切な値の範囲を有する。したがって、体積Vはまた、適切な値の範囲を有する。好ましくは、体積Vは、26000mm3≦V≦800000mm3である。
【0099】
水上昇部54の最大外径D3と水下降部53の最小内径D1との比率もまた、上述の角度Eのサイズを反映することができることが理解され得る。したがって、D3対D1の比率は、適切な値の範囲を有するべきである。好ましくは、0.02≦D3/D1≦0.5である。より好ましくは、0.1≦D3/D1≦0.25である。D1は、好ましくは100~240mmである。D3は、好ましくは10~60mmである。
【0100】
水の十分な上昇を確実にするために、水上昇部54および誘導部56の面積は小さくしすぎることはできないことが理解できる。そうでなければ、体積Vが小さすぎる場合もあれば、高さH1が小さすぎる場合もあれば、角度Eが大きすぎる場合もある。好ましくは、水上昇部54の面積は80mm2以上であり、誘導部56の面積は700mm2以上である。
【0101】
第1の貫通孔57の総面積および第2の貫通孔58の総面積は、小さくしすぎることはできないことが理解され得る。そうでなければ、水の上昇または下降の速度が低下し、米を水で徹底的に浸してすすぐのに役立たない。第1の貫通孔57の総面積が減少すると、水が上昇する時間が延長され、対応する調理時間も延長される。同時に、第1の貫通孔57の総面積の減少は、水上昇部54の面積の減少を意味し、これは、誘導チャンバ65内の圧力を増加させ、上昇した水が噴出され、蓋を開くときに危険を引き起こす。第2の貫通孔58の面積の減少は、水の下降を妨げ、特定のゾーンでの水の蓄積をもたらし、これは、米の含糖率を低下させるのに役立たない。概して、第1の貫通孔57の総面積は、20mm2以上であり、第2の貫通孔58の総面積は、50mm2以上である。しかし、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58の総面積も大きくしすぎることはできない。第1の貫通孔57の総面積が増加すると、第1の貫通孔57の分布範囲が大きくなり、上昇水流が分散され、流速および圧力が低下し、水上昇部54を通って突進することが困難になる。さらに、第2の貫通孔58の過度に大きな総面積は、第2の貫通孔58を介して蒸籠50に入る水の量を増加させ、したがって、水上昇部54を通って上昇する水の量を減少させ、これはまた、調理結果に影響を与え、特に不均一な風味を引き起こしやすくなる。さらに、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58の総面積が大きすぎると、水上昇部54および水下降部53の面積が増加し、これは、誘導部56の面積および傾斜角度に影響を与え得る。好ましくは、第1の貫通孔57の総面積は60~600mm2の範囲であり、第2の貫通孔58の総面積は100~600mm2の範囲である。より好ましくは、第1の貫通孔57の総面積は60~400mm2の範囲であり、第2の貫通孔58の総面積は100~400mm2の範囲である。
【0102】
水上昇部54の上述の面積、誘導部56の面積、第1の貫通孔57の総面積、および第2の貫通孔58の総面積を確実にするために、底壁51は十分な外径を有するべきであることが理解され得る。好ましくは、水平面上の底壁51の突起の面積は、11000~46000mm2である。
【0103】
底壁51の最大外径D2が大きいほど、蒸籠50内に収容できる米が多いことが理解できる。この場合、米を完全に浸してすすぐためには、より多くの上昇する水が必要である。したがって、底壁51の水上昇機能において主導的な役割を果たす水上昇部54および誘導部56の寸法は、蒸籠50の寸法と一致するべきである。好ましくは、水平面上の底壁51の投影面積に対する水平面上の誘導部56の投影面積の比率は、0.25から0.9の範囲である。好ましくは、水上昇部54の最大外径D3と底壁51の最大外径D2との比は、0.05≦D3/D2≦0.5である。
【0104】
概して、内釜40の高さH5は、90~200mm、好ましくは100mm~155mmである。本発明の発明者は、受容空間60の体積が200mlから2000mlの範囲であるとき、受容空間60に受容される水の量が蒸籠50内の米の量の必要性を満たすことができることを、実験を通じて発見した。受容空間60の容積を確保するために、蒸籠50の寸法は、内釜40の寸法と一致しなければならない。特に、蒸籠50の高さH4は、内釜50の高さH5と一致しなければならない。好ましくは、0.5≦H4/H5≦0.9である。
【0105】
蒸籠の高さH4が大きいほど、蒸籠50に収容できる米の量が大きくなり、水上昇部54における米の厚さが増加し得ることを理解することができる。上述したように、水上昇部54における米の厚みが増加すると、水の上昇に対する抵抗が増加し、調理結果に影響を及ぼす。一方、水上昇部54と水下降部53との間の高さの差H1の増加(すなわち、底壁51の高さ)は、水上昇部54における米の厚さを減少させることができる。上述したように、底壁51の高さH1は、適切な範囲内でなければならない。したがって、蒸籠50の高さH4は、底壁51の高さH1が蒸籠50の高さH4と一致するように、適切な範囲内にあるべきである。好ましくは、0.05≦H1/H4≦0.4である。より好ましくは、0.08≦H1/H4≦0.3である。
【0106】
蒸籠50は、内釜40に支持される。本発明によるいくつかの実施形態では、蒸籠50は、内釜40の内面とその底壁51と接触し、その結果、内釜40は、接触によって内釜40に蒸籠50を取り付けることを達成しながら、蒸籠50を支持することができる。
【0107】
図示されていない実施形態では、蒸籠50は、内釜40の内面とその側壁で接触することができるため、内釜40は、接触によって内釜40に蒸籠50を取り付けることを達成しながら、蒸籠50を支持することができる。
【0108】
図示されていない別の実施形態では、蒸籠50は、内釜40の内面とその底壁51およびその側壁の両方で接触することができるため、内釜40は、接触によって内釜40に蒸籠50を取り付けることを達成しながら、蒸籠50を支持することができる。
【0109】
図1から
図3に示されるように、蒸籠50は、円周方向に延び、水下降部53の最も外側の境界に設けられた支持部59をさらに備える。支持部59は、蒸籠50の底壁51と側壁52を接続し、蒸籠50の軸方向断面内の円弧形状である。支持部59は、円周方向に沿って内釜40の内面と接触し、底壁51と内釜40との間に密封された、または比較的密封された受容空間60を形成するように、内釜40の内面上に支持される。好ましくは、蒸籠50と内釜40との間の嵌合の位置S(すなわち、支持部59が内釜40と接触し、内釜40によって支持される位置)は、底壁51の水下降部53の最低位置と同じレベルにあるか、またはそれよりも高い。好ましくは、蒸籠50と内釜40との間の嵌合の位置Sは、水上昇部54の最も高い位置と同じレベルにあるか、またはそれよりも低い。
【0110】
底壁51の最高点(すなわち、水上昇部54の最高点)の位置よりも高くない(またはそれよりも低い)嵌合の位置Sは、嵌合の位置Sにおける圧力解放を効果的に制御することができる。支持部59と内釜40の内面との間の密封は、絶対密封ではなく接触によって密封されるため、ガスは、2つの間の隙間を通過することができる。言い換えれば、嵌合の位置Sはまた、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58のような圧力解放能力を有する。受容空間60内の水は、特定の温度に加熱された後、水面から出てくる水泡を生成することができる。嵌合の位置Sが比較的低い場合、水面から出てくる水泡は、嵌合の位置Sに到達する。嵌合の位置Sの隙間が非常に小さい場合、水の張力のために、ガスが嵌合の位置Sの隙間を通過することが困難であり、したがって、嵌合の位置Sでガス、水蒸気、および水泡が遭遇する抵抗は、第1の貫通孔57で遭遇する抵抗よりも高い。したがって、水上昇部54で上昇する水は影響を受けない。嵌合の位置Sが高くなると、水泡が嵌合の位置Sの高さに達しにくくなり、嵌合の位置Sを介してガスが漏れやすくなる。嵌合の位置Sが高いほど、嵌合の位置Sでの圧力解放能力が高くなり、水上昇部54での水上昇への影響が大きくなる。一方、嵌合の位置Sが受容空間60の水面から比較的長い距離にある場合、支持部59および内釜40によって囲まれたガスおよび気泡を受容するための空間はより大きい。誘導部56と同様に、支持部59はまた、受容空間60内の気泡および気泡を収集することができ、その結果、誘導チャンバ65内のガスがそらされる。嵌合の位置Sが高いほど、嵌合の位置Sでの流量分流能力が高くなり、嵌合の位置Sでの圧力解放能力が高くなるため、水上昇部54での水上昇への影響が大きくなる。したがって、嵌合の位置Sはできるだけ低く配置し、嵌合の位置Sの隙間はできるだけ小さくする必要がある。
【0111】
嵌合の位置Sが底壁51の最低点(すなわち、水下降部53の最低点)の位置よりも低くない(または同じレベルで高い)場合、水下降部53の様々な構造および形状の間の柔軟な選択を可能にしながら、嵌合の位置Sの隙間が可能な限り小さいように、蒸籠50の外面と内釜40との間の円周方向の嵌合が容易になる。
【0112】
本発明の発明者らは、実験および試験を通じて、嵌合の位置Sが、好ましくは、水上昇部54の最も高い位置よりも高くなく、水下降部53の最も低い位置よりも低くないことを発見した。嵌合の位置Sと水上昇部54の上部との間の垂直方向の高さの差がH3であり、底壁51の高さH1と高さの差H3との比が1≦H1/H3≦15であるとき、第1の貫通孔57を介してより多くの水が上昇し、それによって水による米のすすぎが改善される。したがって、糖低下効果と米の風味がより優れている。
【0113】
図1~3に示される実施形態では、内釜40と蒸籠50が嵌合の位置Sで互いに接触しているため、2つの間に非常に小さな隙間があるため、準密封構造が形成される。したがって、嵌合の位置Sを介してガスが逃げるための抵抗は非常に大きい。したがって、第1の貫通孔57で水が遭遇する抵抗は、第2の貫通孔58および/または支持部59の嵌合の位置Sで遭遇する抵抗よりも小さい。したがって、第1の貫通孔57を介して蒸籠50に上昇する水は、米を通ってその表面に突進し、周囲に広がり、米の完全浸漬を達成することができる。加熱が停止すると、受容空間60内の圧力が低下し、蒸籠50内の液体は、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58を介して受容空間60に戻ることができる。これを繰り返すことで、米をすすぐ調理工程が達成される。
【0114】
図5~
図11に示される実施形態では、蒸籠50と内釜40との間の接触は、
図2に示される実施形態と同じである。そのような実施形態では、内釜40は、円弧形の内釜側壁によって蒸籠50を支持する。内釜40はまた、内釜の側壁に形成された傾斜斜面によって蒸籠50を支持することができることが理解され得る。言い換えれば、内釜40の軸方向断面平面において、その側壁は、曲線の代わりに傾斜した直線を含み、直線は、内釜40の内側底部から外側上部に傾斜している。
【0115】
図15に示される実施形態では、蒸籠50の支持および内釜40と蒸籠50との間の嵌合は、依然として、内釜40と蒸籠の底壁51との間の円周方向の接触によって達成される。この実施形態では、内釜40は、円周方向に、および内釜40の内側に向かって半径方向に延びる内側突出部42を備えている。内側突出部42は、底壁51と接触するように配置される。内側突出部42が底壁51と接触する接触位置は、蒸籠50と内釜40との間の嵌合の位置Sである。言い換えれば、内釜40は、内側に突出する内釜側壁と接触することによって、蒸籠50を支持する。この実施形態では、好ましくは、嵌合の位置Sと水上昇部54の上部との間の垂直方向の高さの差H3と底壁51の高さH1との間の高さの差H3は、1≦H1/H3≦15となることが理解され得る。
【0116】
図16に示される実施形態では、蒸籠50の支持および内釜40と蒸籠50との間の嵌合は、依然として、内釜40と蒸籠の底壁51との間の円周方向の接触によって達成される。この実施形態では、内釜40は、内釜40の下部の内径がその上部の内径よりも小さいように、その側壁上および半径方向内側に円周方向に延びるステップ部43を備えている。ステップ部43のステップ面43Aは、蒸籠の底壁51がステップ面43A上に支持されることができるように、内釜40の側壁から内釜の内側に向かって水平に延びる平面である。具体的には、底壁51は、内釜40と接触するようにステップ面43A上に支持され、底壁51がステップ面43Aと接触する位置は、蒸籠と内釜との間の嵌合の位置Sである。言い換えれば、内釜40は、内側に延びるステップを有するその側壁によって蒸籠50を支持する。この実施形態では、好ましくは、嵌合の位置Sと水上昇部54の上部との間の垂直方向の高さの差H3と底壁51の高さH1とは、1≦H1/H3≦15となることが理解され得る。
【0117】
支持部59が円弧形状、ストレート形状、または鋭角であるように構成されているかどうかにかかわらず、内釜40は、円弧形状の側壁、傾斜した側壁、内側に突出する側壁、または内側に延びるステップを有する側壁によって接触することによって、常に蒸籠50を支持することができることが理解され得る。
【0118】
内釜40が、蒸籠の底壁51と接触することによって蒸籠50を支持する上記の実施形態では、内釜40と蒸籠50との間の嵌合は、内釜嵌合部を備えた内釜40の内面と、蒸籠の底壁51の外面と、蒸籠嵌合部を備え、蒸籠50が内釜40に配置されたときに蒸籠嵌合部が内釜嵌合部と接触し、蒸籠50が内釜40に取り付けられるように理解されるべきである。蒸籠嵌合部が内釜嵌合部と接触している位置は、蒸籠と内釜との間の嵌合位置Sであり、嵌合位置Sと水上昇部54の上部との間の垂直方向の高さの差H3と底壁51の高さH1とは、1≦H1/H3≦15のようなものである。
【0119】
本発明によるいくつかの他の実施形態では、蒸籠50は、蒸籠が内釜40内に支持される接続部を備え、蒸籠50は、接続部以外の位置で内釜40に嵌合される。
【0120】
具体的には、接続部は、蒸籠50の上部縁部55であり得、蒸籠50は、それによって、内釜の開口フランジ41上に吊り下げられる。
図17および18に示されるように、蒸籠50は、側壁52の上部境界から外向きに延びる上部縁部55を含み、内釜40の開口部にはフランジ41が設けられ、上部縁部55はフランジ41上に支持される。言い換えれば、蒸籠50は、内釜40に吊り下げられる。そのような実施形態では、蒸籠の底壁51は、内釜と接触していない。このような支持モードでは、蒸籠の側壁52と内釜の側壁との間に隙間があることが理解できる。受容空間60内の水が沸騰し始めると、隙間は、沸騰水によって生成された水蒸気、ガス、および気泡を迂回させることができる。このような実施形態は、水上昇部54で水の上昇に対する隙間の影響を低減するために、水上昇部54で水の上昇を確実にするために以下の対策をそれぞれ採用する。
【0121】
図17に示される実施形態では、蒸籠50の外面(例えば、その側壁52の外面)には、円周方向に延びるシール要素52Aが設けられている。例えば、側壁52の外面には、円周溝を設けることができる。次いで、弾性材料(例えば、ゴムまたはシリカゲル)で作られたシール要素52Aは、シール要素52Aが側壁52の外面から突出するように、溝に接合されるか、または溝内に直接スリーブされる。蒸籠50が内釜40に配置されるとき、シーリング要素52Aは、蒸籠の側壁と内釜の側壁との間の隙間をブロックするように、内釜40の内面と接触することができる。この実施形態では、内釜40および蒸籠50は、密封要素52Aによって嵌合される。蒸籠嵌合部は、密封要素52Aによって具現化され、内釜嵌合部は、密封要素52Aに対応する内釜40の内面の位置に設けられる。内釜嵌合部と蒸籠嵌合部との接触位置は、嵌合の位置である。好ましくは、密封された嵌合の位置Sは、水上昇部54の上部よりも高くない。
【0122】
図18に示される実施形態では、内釜40の内面は、円周方向に延び、蒸籠50の外面(例えば、その側壁52の外面)に近づく内側突出リブ44を備えている。そのような実施形態では、内釜40と蒸籠50との間の嵌合は、近接による嵌合として理解され得る。内釜40の内釜嵌合部は、内側突出リブ44によって具現化され、蒸籠嵌合部は、内側突出リブに対応する側壁52の外面の一部である。この実施形態では、蒸籠50が内釜40に配置されるとき、内釜嵌合部と蒸籠嵌合部との間に隙間が存在し得ることを理解することができる。好ましくは、嵌合の位置Sでは、内釜40と蒸籠50との間の距離は、1mmを超えない。
【0123】
蒸籠50の外面はまた、円周方向に延び、内釜40の内面に近づく外側突出リブを備えることができることが理解され得る。そのような近接による嵌合の実施形態では、蒸籠嵌合部は、その外面で外側突出リブによって具現化され、内釜嵌合部は、外側突出リブに対応する内釜40の内面の一部である。好ましくは、嵌合の位置Sでは、内釜40と蒸籠50との間の距離は、1mmを超えない。
【0124】
好ましくは、近接による嵌合の一実施形態では、嵌合の位置Sは、水上昇部54の上部よりも高くない。好ましくは、嵌合の位置Sと水上昇部54の上部との間の高さの差H3と底壁51の高さH1とは、1≦H1/H3≦15のようなものである。
【0125】
図示されていない実施形態では、蒸籠50の底部は、下方に延びる複数の支持脚、または内釜40の底壁と接触するための支持シリンダを備える。支持脚または支持シリンダは、蒸籠の接続部分である。蒸籠50および内釜40は、支持脚または支持シリンダ以外の位置に取り付けられ、例えば、密封要素または突出リブによって取り付けられる。
【0126】
図に示す実施形態は、
図17および18に示す実施形態では、受容空間60は、蒸籠の底壁51、蒸籠の側壁52、および内釜40によって区切られる。
【0127】
図に示す実施形態は、
図2、
図5~11、および
図15~16に示す実施形態では、内釜40および蒸籠50は、接触によって嵌合される。しかし、処理方法の不完全さのために、内釜40と蒸籠50が円周に沿ってすべて接触したままであることを保証することができないことを理解することができる。言い換えれば、これらの実施形態では、内釜嵌合部と蒸籠嵌合部との間に隙間が存在し得る。好ましくは、蒸籠50が内釜40に配置されるとき、内釜嵌合部と蒸籠嵌合部との間の距離は、1mm(1mm以下)を超えない。したがって、内釜嵌合部と蒸籠嵌合部との間に隙間が存在する場合でも、隙間が非常に小さいため、蒸籠の側壁51と内釜40との間、または蒸籠の底壁51と蒸籠の側壁52と内釜40との間に準密閉チャンバを形成することができる。隙間サイズの上記の範囲は、隙間での受容空間60内の沸騰水に対する抵抗が第1の貫通孔57および第2の貫通孔58における抵抗よりも大きくなることを保証することができるため、受容空間60内の沸騰水が隙間を通過することが困難であり、したがって、水上昇部54で水が上昇することを保証する。
【0128】
要するに、蒸籠50が内釜40に配置されるとき、蒸籠嵌合部および内釜嵌合部は、互いに接触しているか、または互いに近づいており、蒸籠50と内釜との間の嵌合位置における距離は、1mm以下である。
【0129】
図2に示されるように、蒸籠50は、側壁52の上部から円周方向に延び、側壁52に対して蒸籠50の中心軸Aに向かって押し下げられるように構成された保持部61をさらに備え、その結果、蒸籠50は、ユーザによって容易に保持および移動することができる。
【0130】
加えて、蒸籠の側壁52には、複数の側壁貫通孔62が設けられている。蒸籠50内の過剰な水および泡は、側壁の貫通孔62を介して内釜40に排出され得、オーバーフローの可能性を低減する。側壁貫通孔62は、側壁52の上部に設けられている。具体的には、側壁貫通孔62は、蒸籠嵌合部よりも高い。言い換えれば、側壁貫通孔62は、受容空間60内の沸騰水によって生成されるガスおよび気泡が側壁貫通孔62を介して蒸籠50に入ることが困難であるように、嵌合の位置の上に設けられる。この配置はまた、嵌合の位置の圧力解放能力を制限し、したがって、水上昇部54で水が上昇することを確実にすることができる。好ましくは、側壁貫通孔62は、側壁52の円周に沿って間隔を置いて設けられ、蒸籠50内の過剰な水および泡は、側壁貫通孔62を介して内釜40に排出され得、したがって、オーバーフローの可能性を低減する。
【0131】
内釜40の内面には、少なくとも1つの水位線(図示せず)、異なる量の米に対応する異なる水位線が設けられている。蒸籠50が内釜40に配置されるとき、少なくとも1つの水位線は、第2の貫通孔58よりも低く、例えば、第2の貫通孔の0~10mm下にある。水位が第2の貫通孔58よりも低い場合、米は水から分離され、調理中にのみ水と接触し、水が沸騰しているときにのみ、第1の貫通孔57を介して収容チャンバに入る。したがって、すべての米を同時にすすぎ、浸すことができ、米の風味の一貫性を維持するのに役立つ。加えて、水位が第2の貫通孔58の下にある場合、比較的少量の水で調理するのに十分であり、これは、受容空間60内の水をより速く沸騰させるために加熱することを可能にしながら、水を節約するのに役立つ。言い換えれば、これは、以下で詳細に説明されるすすぎステップのより迅速な実行を可能にする。同時に、予約機能を備えた調理器具の場合、受容空間60内の水は、待機期間中に蒸籠50の収容チャンバ内の米と直接接触せず、それによって悪臭を回避する。特に夏季には、米を水に長時間浸すと、悪臭がより強くなり、米が腐敗して食べられなくなることさえある。第2の貫通孔58の下に水位線を設けることによって、悪臭および腐敗を回避することができ、予約の期間を延長することができる。必要に応じて、異なる量の米、または内釜および蒸籠の異なる寸法について、蒸籠50が内釜40に配置されるとき、内釜40の内面の水位線はまた、第1の貫通孔57よりも低いが、第2の貫通孔58よりも高いか、または同じレベルにあることができることが理解され得る。
【0132】
さらに、蒸籠50の内面には、少なくとも1つの蒸籠水位線(図示せず)が設けられている。受容空間60内の水をより迅速に沸騰させるために加熱することができるように、すすぎステップ(以下に詳細に説明する)をより迅速に実行することができるように、水の量が可能な限り少ないことを保証しながら、必要に応じて異なる量の水を追加することができる。
【0133】
内釜40および蒸籠50上の複数の水位線は、ユーザの参照のために異なる量の米に対応する水の量の表示を提供する。
【0134】
調理器具100の炊飯工程を以下に説明する。
【0135】
まず、水位ラインに従って適切な量の水を内釜40に添加する。内釜40に複数の水位線がある場合、調理される米の量に対応する水の量が追加される。次に、蒸籠に米を入れ、その中に米を収容した蒸籠を内釜に入れる。次に、対応する炊飯プログラムを選択して調理する。
【0136】
好ましい実施形態では、調理器具100の炊飯工程は、以下のステップを順次含む。
1.予約工程
予約工程は、ユーザが事前に調理器具に食品を置き、次に、予約期間および調理モード(炊飯またはお粥作りなど)を設定して、現在の瞬間から予約期間が経過した瞬間に調理器具が調理モードの要件に基づいて調理を完了できるようにすることを意味する。上記のように、水位が第2の貫通孔58よりも低い場合、米と水を分離し、より長い予約期間を設定することができる。予約が不要な場合は、このステップをスキップして調理器具を直接予熱処理に進めることができる。
2.予熱工程
予熱工程では、制御手段は、加熱手段70を制御して、内釜アセンブリ30を加熱する。好ましくは、加熱電力は1200Wである。最高温度測定要素が、温度が予め設定された温度Tに達したことを検出すると、調理器具は、米のすすぎおよび調理工程に進む。本実施形態では、予め設定された温度Tは、65℃≦T≦90℃である。好ましくは、現在の温度Tは、65℃≦T≦80℃である。
3.米のすすぎと調理工程
米のすすぎおよび調理工程は、本発明による調理器具の糖低減効果を達成することを可能にする重要なステップである。
【0137】
制御手段は、受容空間60内の沸騰水が上昇し、第1の貫通孔57を介して収容チャンバに入るように、加熱手段70を制御して、内釜アセンブリ30を断続的に加熱する。水を浸してすすいだ後、収容チャンバに入った水は、第1の貫通孔57および第2の貫通孔58を介して受容空間60に戻る。米のすすぎと調理の工程では、米をN回(Nは自然数)など、複数回すすぐ。各すすぎの間、加熱手段70は、第1の予め設定された持続時間の間加熱を実行し、次いで第2の予め設定された持続時間の間加熱を停止する。
【0138】
内釜アセンブリ30の公称出力Pは、受容空間60内の圧力および生成される気泡の数を調整することができ、それによって、第1の貫通孔57を介して上昇する水の量に影響を与え、さらに調理結果に影響を与える。内釜アセンブリ30の公称電力Pが小さすぎる場合、例えば、公称電力Pが600W未満の場合、受容空間60で生成される気泡および気泡が十分ではなく、受容空間60内の圧力が比較的低く、したがって、水の上昇を助長しない。したがって、第1の貫通孔57を介して上昇する水の量は比較的少ないため、米は水に徹底的に浸すことができず、容易に半調理米または硬い米になる。内釜アセンブリ30の公称電力Pが大きすぎる場合、加熱手段自体が高価であり、高消費電力を有し、これは、ユーザの使用コストを増加させる。内釜アセンブリ30の公称出力Pが600W≦P≦1500Wであるとき、第1の貫通孔57を介して上昇する水の量は、水が米を完全に浸すことができるように確保され得、したがって、糖低減効果および米の風味を確保する。同時に、比較的低い電力消費に加えて、加熱手段のコストは比較的低く、使用コストを削減し、ユーザの使用経験を向上させることができる。
【0139】
米のすすぎおよび調理工程では、好ましくは、加熱電力は600~1500Wである。より好ましくは、加熱電力は1200Wである。各すすぎの間に、加熱中に沸騰水が上昇し、第1の貫通孔57を介して収容チャンバに入ることができ、収容チャンバに入る水は水を浸し、すすぐ。加熱が停止すると、収容チャンバ内の水が受容空間に戻る。
【0140】
すすぎの回数がN回(加熱のN回)に達するか、または米のすすぎおよび調理工程の持続時間が所定のすすぎ持続時間に達すると、調理器具は米の蒸し工程に進む。
【0141】
任意選択で、加熱手段70は電磁加熱素子であり、洗浄Nの回数は8~12回であり、第1の予め設定された持続時間は5~25秒であり、第2の予め設定された持続時間は10~35秒であり、予め設定された洗浄持続時間は10~30分である。
【0142】
任意選択で、加熱手段70は加熱プレートであり、洗浄Nの回数は18~30回であり、第1の予め設定された持続時間は7~28秒であり、第2の予め設定された持続時間は8~25秒であり、予め設定された洗浄持続時間は5~15分である。
4.米の蒸し(steaming)工程
米の蒸し工程では、制御手段は、受容空間60内の水が沸騰し、米が水蒸気で蒸して調理されるように、加熱手段70を制御して内釜アセンブリ30を加熱する。好ましくは、米蒸し工程では、加熱電力は700Wである。米蒸し工程の持続時間が予め設定された米蒸し持続時間(例えば、6~10分)に達すると、調理器具は米の蒸し煮(braising)工程に進む。
【0143】
5.米の蒸し煮(braising)工程
炊飯器は、蒸し(steaming)工程を終えた後、蒸し煮(braising)工程に進む。米の蒸し煮工程は、調理工程の後期段階であり、その間、米の蒸し工程の後、内釜40および蒸籠50内に比較的高い温度が維持され、食品が蒸しによって完全に調理されることを確実にする。蒸し煮工程の持続時間が予め設定された蒸し煮持続時間(例えば、8~15分)に達すると、調理器具は保温工程に進む。好ましくは、米の蒸し煮工程では、加熱電力は500Wである。予熱工程の加熱電力は、米の蒸し工程および米の蒸し煮工程の加熱電力よりも高い。米のすすぎと調理工程の加熱力は、米の蒸し工程と米の蒸し煮工程の加熱力よりも高い。米の蒸し工程の加熱力は、米の蒸し煮工程の加熱力よりも高い。
6.保温工程
蒸し工程が終わると、実質的な調理作業が完了する。しかし、ユーザがすぐに食べないことがある場合、調理プログラムはさらに、調理された食品の温度を維持するための保温工程を提供し、暖かい食品をユーザが必要とするときにいつでも提供できるようにする。保温工程中の温度は、下限温度および上限温度内になるように制御される。温度検知アセンブリ80が、内釜アセンブリ30の温度が下限よりも低いことを検出すると、制御手段は、加熱手段70を動作させるように制御する。温度検知アセンブリ80が、内釜アセンブリ30の温度が上限よりも高いことを検出すると、制御手段は、加熱手段70を制御して動作を停止する。一般的に、保温工程の温度は70~80℃に制御される。
【0144】
別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本発明の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で使用される用語は、特定の実装を説明することのみを目的としており、本発明を限定することを意図するものではない。「提供される」などの用語は、ある部分が別の部分に直接取り付けられていること、またはある部分が中間部分を介して別の部分に取り付けられていることを意味し得る。1つの実施形態において本明細書に記載される特徴は、特徴が他の実施形態において適用可能でないか、または他に記載されない限り、別の実施形態に単独で、または別の特徴と組み合わせて適用されてもよい。
【0145】
本発明は、上述の実施形態によって説明されてきたが、上述の実施形態は、例示および説明の目的のためのものであり、本発明を説明された実施形態の範囲に限定することを意図するものではないことを理解されたい。当業者は、本発明の教示に従って様々な変形および修正を行うことができ、それらの変形および修正はすべて、本発明によって請求される保護の範囲内にあることを理解するであろう。
【符号の説明】
【0146】
100:調理器具
10:釜本体
20:蓋体
30:内釜アセンブリ
40:内釜
41:フランジ
42:内側突出部
43:ステップ部
43A:ステップ面
44:内側突出リブ
50:蒸籠
51:底壁
52:側壁
52A:密封要素
53:水下降部
54:水上昇部
55:上部縁部
56:誘導部
57:第1の貫通孔
58:第2の貫通孔
59:支持部
60:受容空間
65:誘導チャンバ
61:保持部
62:側壁貫通孔
70:加熱手段
80:温度検知アセンブリ
A:蒸籠の中心軸
D1:誘導部の外径/水下降部の内径
D2:蒸籠の底壁の最大外径
D3:誘導部の内径・水上昇部の外径
D4:内釜の開口部の直径
E:中心軸と、蒸籠の中心軸を通過する断面における誘導部の両端を接続する線との間の角度
H1:底壁の高さ/水上昇部と水下降部の最大高さの差
H2:第1の貫通孔と第2の貫通孔の高さの差
H3:嵌合の位置と水上昇部の上部との高さの差
H4:蒸籠の高さ
H5:内釜の高さ
M:蒸籠の中心軸を通過する断面内の誘導部の下縁
N:蒸籠の中心軸を通過する断面内の誘導部の上縁
S:蒸籠と内釜との間の嵌合位置
【国際調査報告】