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特表2024-525933ミトコンドリア置換を使用して免疫細胞疲弊を低減させるための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ミトコンドリア置換を使用して免疫細胞疲弊を低減させるための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20240705BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 31/20 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 31/18 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 31/14 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20240705BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C12N5/0783 ZNA
C12N5/10
A61P31/12
A61P31/20
A61P31/18
A61P31/14
A61K35/17
A61P1/16
A61P43/00 107
A61P35/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503829
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2024-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2022054638
(87)【国際公開番号】W WO2022243905
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/190,115
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524026492
【氏名又は名称】イメル バイオセラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】五條 理志
(72)【発明者】
【氏名】上 大介
【テーマコード(参考)】
4B065
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065CA24
4B065CA44
4B065CA46
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087BB65
4C087CA04
4C087CA05
4C087NA14
4C087ZA75
4C087ZB22
4C087ZB26
4C087ZB33
4C087ZC55
(57)【要約】
本開示は疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法および組成物であって、疲弊T細胞ミトコンドリアDNA(mtDNA)を減少させるステップと、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、少なくとも1つの疲弊マーカーの発現が少なくとも5%、少なくとも10%、20%(例えば、多くても1.25分の1に)少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく変更された、ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含み、ミトコンドリア置換T細胞が、疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有する、方法および組成物を提供する。さらに、本開示は、ミトコンドリア置換T細胞を投与することを伴う、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)を処置するまたは好転させる方法ならびに慢性感染症(例えば、慢性ウイルス感染症)の症状を好転させるための方法も提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、
内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、前記ミトコンドリア置換T細胞が作製される前記疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.1分の1に低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップ
を含み、
前記ミトコンドリア置換T細胞が、前記疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有する、方法。
【請求項2】
疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、
(a)疲弊T細胞に、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、
(b)内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した前記疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、PD-1の発現が、前記ミトコンドリア置換T細胞が作製される前記疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.1分の1に低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップと
を含み、前記ミトコンドリア置換T細胞が、前記疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有する、方法。
【請求項3】
前記疲弊T細胞の前記単離された外因性ミトコンドリアとのインキュベーションが、ラパマイシンの存在下で行われる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
ラパマイシンが、100nM~1000nMの濃度で存在する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
PD-1の発現が多くても1.2分の1に低減する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
PD-1の発現が多くても1.25分の1に低減する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
PD-1の発現が多くても1.5分の1に低減する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
PD-1の発現が多くても2分の1に低減する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
PD-1の発現が多くても5分の1に低減する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
PD-1の発現が約1.1分の1~約1.5分の1に低減する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)、TOX、またはこれらの組合せの発現を低減させる、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記単離された外因性ミトコンドリアが、細胞1×10個当たりタンパク質約20μg~約80μgである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ミトコンドリア置換T細胞が、少なくとも20%の前記外因性mtDNAを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ミトコンドリア置換T細胞が、TaqMan一塩基多型(SNP)アッセイによって測定して少なくとも20%の外因性mtDNAかつ80%以下の外因性mtDNAを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、少なくともおよそ24時間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、少なくとも36時間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、少なくとも48時間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、約24時間~約72時間である、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記改善されたエフェクター機能が、増大した増殖、増大した細胞傷害、サイトカインの増加した分泌、またはこれらの組合せを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記疲弊T細胞が、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記疲弊T細胞が、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法によって生成されたミトコンドリア置換T細胞。
【請求項23】
請求項20または21に記載の方法によって生成されたミトコンドリア置換T細胞。
【請求項24】
有効量の、請求項22に記載のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
【請求項25】
慢性ウイルス感染症の症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項24に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項26】
前記慢性ウイルス感染症が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、サイトメガロウイルス感染症(CMV)、および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)-2感染症である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
有効量の、請求項23に記載のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
【請求項28】
がんの処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項24または27に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項29】
がんの症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項24または27に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項30】
T細胞疲弊に関連する、T細胞疲弊が伴う、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項24または27に記載の組成物を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、
(a)がん;
(b)ウイルス感染症;
(c)細菌感染症;
(d)肥満症もしくは代謝障害;
(e)アルコール症;
(f)運動過剰;
(g)過度の精神的ストレス;
(h)低酸素症;
(i)傷害;
(j)老化;
(k)加齢性免疫学的機能障害;
(l)線維化疾患;
(m)黄斑疾患;
(n)筋肉変性疾患;または
(o)神経変性疾患
である、方法。
【請求項31】
T細胞疲弊に関連する、T細胞疲弊が伴う、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項24または27に記載の組成物を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、
(a)がん;
(b)ウイルス感染症;
(c)細菌感染症;
(d)肥満症もしくは代謝障害;
(e)アルコール症;
(f)運動過剰;
(g)過度の精神的ストレス;
(h)低酸素症;
(i)傷害;
(j)老化;
(k)加齢性免疫学的機能障害;
(l)線維化疾患;
(m)黄斑疾患;
(n)筋肉変性疾患;または
(o)神経変性疾患
である、方法。
【請求項32】
T細胞疲弊に関連する、またはT細胞疲弊が関与する、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、請求項24または27に記載の組成物を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、
(a)CD8+T細胞機能障害;
(b)CD4+T細胞機能障害;
(c)T細胞プライミングの機能障害;
(d)メモリーT細胞機能障害;
(e)エフェクターB細胞機能障害;
(f)B細胞プライミングの機能障害;
(g)メモリーB細胞機能障害;
(h)先天性リンパ球系細胞機能障害;
(i)先天性T細胞機能障害;または
(j)先天性B細胞機能障害
である、方法。
【請求項33】
前記対象がヒトである、請求項25、26または28から32のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年5月18日出願の米国仮出願第63/190,115号の利益を主張するものである。
【0002】
1.配列表
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。前記ASCIIコピーは2022年5月18日に作成されたものであり、名称は14595-009-228_SL.txt、サイズは2,410バイトである。
【0003】
2.分野
本開示は、一部において、ミトコンドリア置換を使用して免疫細胞疲弊を低減させるための方法および組成物に関する。具体的な態様では、本開示は、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIR(例えば、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップであって、その結果、ミトコンドリア置換T細胞における疲弊マーカー(例えば、プログラム細胞死-1(PD-1))の発現が疲弊T細胞と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%(例えば、多くても1.25分の1に)、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく低減する、ステップを含む、方法に関する。本開示は、そのようなミトコンドリア置換T細胞を使用して疾患(例えば、がん)および慢性ウイルス感染症を処置するための治療方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
3.背景
T細胞疲弊には、一般に、例えば慢性ウイルス感染症およびがんの状況における慢性抗原刺激から生じるT細胞機能障害の状態が伴う(Wherry, E. (2011) Nat Immunol 12, 492-499を参照されたい)。T細胞疲弊の特質として、エフェクター機能が不十分であること、阻害性受容体が持続的に発現していること、および/または、転写の状態が機能的なエフェクターもしくはメモリーT細胞とは異なることが挙げられる。疲弊により、感染症および腫瘍の最適な制御が妨げられる。
【0005】
患者の免疫系が腫瘍を攻撃する力を支持し、強化するための有望な戦略として、がん免疫療法が最近現れた。免疫療法の手法の1つは、患者自身のT細胞を採取し、工学的に操作して患者のがんを処置することを伴うものである。T細胞を工学的に操作するための2つの例示的な手法として、特定のT細胞受容体(TCR)を発現するように患者のT細胞を工学的に操作すること、またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するようにT細胞を工学的に操作することが挙げられる。TCRは、腫瘍細胞の内部に存在する抗原も認識することができる天然に存在する受容体を使用する。これらの抗原の小片は細胞表面と往復し、MHC複合体と称されるタンパク質の集合の一部として免疫系に「提示」される。他方では、CARは、がん細胞の表面上の特定の抗原を認識し得る抗体の部分を含む。治療として潜在性があるにもかかわらず、CAR-T細胞は疲弊もし、それらの機能性を回復することができるように免疫チェックポイント遮断が必要になり得る。
T細胞疲弊はまた、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎(HBV)、およびC型肝炎(HCV)などの種々のヒト慢性ウイルス感染症においても報告されている。T細胞疲弊はまた、より一般的には、マラリアおよびMycobacterium tuberculosisなどのある特定の非ウイルス感染症の間に生じる、抗原が持続する条件下でも発生する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Wherry, E. (2011) Nat Immunol 12, 492-499
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
したがって、慢性的に抗原刺激を受けている状況においてT細胞疲弊を低減および/または逆転させる、まだ対処されていない重要な必要性が存在する。
【0008】
4.概要
一態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、ミトコンドリアDNA(mtDNA)が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、1つ、2つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーの発現(例えば、PD-1発現)が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による1つ、2つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーの発現と比べて、低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーの発現が低減することにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。具体的な実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、20%(例えば、多くても1.25分の1に)、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%(例えば、多くても1.25分の1に)、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。別の実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%(例えば、多くても1.25分の1に)、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含む、方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、核酸配列はRNA(例えば、mRNA)である。一部の実施形態では、核酸配列はDNA(例えば、cDNA)である。
【0009】
具体的な態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有するミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%(例えば、多くても1.25分の1に)、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含み、ミトコンドリア置換T細胞が、疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有する、方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、核酸配列はRNA(例えば、mRNA)である。一部の実施形態では、核酸配列はDNA(例えば、cDNA)である。
【0010】
別の実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(具体的な実施形態では、核酸配列は、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む)をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有するミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含む、方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(具体的な実施形態では、核酸配列は、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む)をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、PD-1の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%(例えば、多くても1.25分の1に)、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含み、ミトコンドリア置換T細胞が、疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有する、方法が本明細書で提供される。一部の実施形態では、核酸配列はRNA(例えば、mRNA)である。一部の実施形態では、核酸配列はDNA(例えば、cDNA)である。
【0011】
一部の実施形態では、PD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ5%~およそ60%、およそ10%~およそ50%、およそ20%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ10%~およそ20%、およそ20%~およそ40%、またはおよそ20%~およそ30%低減する。
【0012】
ある特定の実施形態では、疲弊T細胞の単離された外因性ミトコンドリアとのインキュベーションは、ラパマイシンの存在下で行われる。具体的な実施形態では、ラパマイシンは100nM~1000nMの濃度で存在する。
【0013】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.1分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.15分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.20分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.5分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても2分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても10%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても15%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても20%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても25%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても30%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても35%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても40%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても45%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても50%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても60%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ5%~およそ60%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ10%~およそ50%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ20%~およそ50%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ10%~およそ40%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ10%~およそ30%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ10%~およそ20%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ10%~およそ30%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ20%~およそ40%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ10%~およそ30%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ20%~およそ30%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.1分の1~およそ2.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.1分の1~およそ1.75分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.1分の1~およそ1.5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.1分の1~およそ1.25分の1に低減する。.ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.25分の1~およそ2.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.25分の1~およそ5.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞によるPD-1の発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.25分の1~およそ1.5分の1に低減する。
【0014】
一部の実施形態では、方法により、PD-1、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)、TOX、またはこれらの組合せの発現が低減する。
【0015】
ある特定の実施形態では、単離された外因性ミトコンドリアは、疲弊T細胞1×10個当たりタンパク質約20μg~約80μgである。
【0016】
一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、少なくとも20%の外因性mtDNAを含む。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、TaqMan一塩基多型(SNP)アッセイによって測定して少なくとも20%の外因性mtDNAかつ80%以下の外因性mtDNAを含む。
【0017】
具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間は、少なくともおよそ24時間である。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間は、少なくとも36時間である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間は、少なくとも48時間である。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間は、約24時間~約48時間、約36時間~48時間、約24時間~約72時間、または約48時間~約72時間である。
【0018】
一部の実施形態では、改善されたエフェクター機能は、以下のうちの1つ、2つもしくはそれよりも多く、または以下の全てを含む:増大した増殖、増大した細胞傷害、またはサイトカインの増加した分泌。
【0019】
ある特定の実施形態では、疲弊T細胞は、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。具体的な実施形態では、疲弊T細胞は、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている。
【0020】
別の態様では、本明細書に記載の方法によって生成されたミトコンドリア置換T細胞、およびそのような細胞を含む組成物が本明細書で提供される。
【0021】
別の態様では、有効量の本開示のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物が本明細書で提供される。
【0022】
別の態様では、慢性ウイルス感染症の症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、有効量の本開示のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、慢性ウイルス感染症は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、サイトメガロウイルス感染症(CMV)、または重症急性呼吸器症候群(SARS)-コロナウイルス(CoV)-2感染症である。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0023】
別の態様では、がんの処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、有効量の本開示のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0024】
別の態様では、有効量の、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含むミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている。
【0025】
別の態様では、がんの処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む本明細書に記載のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。別の態様では、がんの症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む本明細書に記載のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0026】
別の態様では、T細胞疲弊に関連する、T細胞疲弊が伴う、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む本明細書に記載のミトコンドリア置換T細胞を含む組成物を投与するステップを含み、疾患または状態が、(a)がん;(b)ウイルス感染症(例えば、慢性ウイルス感染症);(c)細菌感染症;(d)肥満症もしくは代謝障害;(e)アルコール症;(f)運動過剰;(g)過度の精神的ストレス;(h)低酸素症;(i)傷害;(j)老化;(k)加齢性免疫学的機能障害;(l)線維化疾患;(m)黄斑疾患;(n)筋肉変性疾患;または(o)神経変性疾患である、方法が本明細書で提供される。別の態様では、T細胞疲弊に関連する、T細胞疲弊が伴う、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む本明細書に記載のミトコンドリア置換T細胞を含む組成物を投与するステップを含み、疾患または状態が、(a)がん;(b)ウイルス感染症(例えば、慢性ウイルス感染症);(c)細菌感染症;(d)肥満症もしくは代謝障害;(e)アルコール症;(f)運動過剰;(g)過度の精神的ストレス;(h)低酸素症;(i)傷害;(j)老化;(k)加齢性免疫学的機能障害;(l)線維化疾患;(m)黄斑疾患;(n)筋肉変性疾患;または(o)神経変性疾患である、方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0027】
別の態様では、T細胞疲弊に関連する、またはT細胞疲弊が関与する、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、本明細書に記載のミトコンドリア置換T細胞を含む組成物を投与するステップを含み、疾患または状態が、(a)CD8+T細胞機能障害;(b)CD4+T細胞機能障害;(c)T細胞プライミングの機能障害;(d)メモリーT細胞機能障害;(e)エフェクターB細胞機能障害;(f)B細胞プライミングの機能障害;(g)メモリーB細胞機能障害;(h)先天性リンパ球系細胞機能障害;(i)先天性T細胞機能障害;(j)先天性B細胞機能障害、または(k)(a)~(j)の組合せである、方法が本明細書で提供される。別の態様では、(a)CD8+T細胞機能障害;(b)CD4+T細胞機能障害;(c)T細胞プライミングの機能障害;(d)メモリーT細胞機能障害;(e)エフェクターB細胞機能障害;(f)B細胞プライミングの機能障害;(g)メモリーB細胞機能障害;(h)先天性リンパ球系細胞機能障害;(i)先天性T細胞機能障害;(j)先天性B細胞機能障害、または(k)(a)~(j)の組合せに関連するまたはそれを伴う疾患または状態の症状を好転させるための方法が本明細書で提供される。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
5.図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】ヒトT細胞疲弊のモジュレーションを例示する実験系のスキーム。エフリンB型受容体4(EPHB4)特異的キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の、EPHB4を構成的に発現するヒト横紋筋肉腫細胞であるRh30との3日間の共培養により、疲弊マーカーであるPD-1が増加した。3日目に、XbaIR mRNAを使用してCAR-T細胞における内因性ミトコンドリアDNAを枯渇させた。5日目に、正常ヒト由来線維芽細胞(NHDF)由来ドナーミトコンドリアをCAR-T細胞と共培養して、ミトコンドリア置換(Mir)CAR-T細胞(Mir CAR-T細胞)を生成させた。7日目に、FACSおよびTaqMan SNPアッセイを実施した。
【0029】
図2】mtDNA含量の代理マーカーである12S rRNAが3日目に半減し、それにより、XbaIRによって有効なmtDNA減少が引き起こされたことが確認され(図2A)、7日目にTaqMan SNPアッセイを実施し、それにより、Mir CAR-T細胞が約40%のNHDF由来ドナーmtDNAを含有する一方、疲弊CAR-T細胞と親CAR-T細胞(YG細胞と称される)は区別がつかず、どちらに含有されるNHDF由来ドナーmtDNAも無視できる量であることが示された(図2B)。略語:エレクトロポレーション(EP);正常ヒト皮膚線維芽細胞(NHDF)。
【0030】
図3-1】7日目の、無染色CAR-T細胞(図3A)、対照としてのCAR-T細胞(図3B)、およびMir CAR-T細胞(図3C)におけるCD3/PD-1発現のFACS分析。x軸はPD-1であり、y軸はCD3である。
図3-2】同上。
図3-3】同上。
【0031】
図4-1】2日目のPD-1抗原の発現分析(図4A)、および、Mir CAR-T細胞では親疲弊CAR-T細胞と比べてPD-1抗原の発現が低減していることを例示する平均蛍光強度(MFI)の棒グラフ(図4B)。
図4-2】同上。
【発明を実施するための形態】
【0032】
6.詳細な説明
疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、T細胞疲弊のマーカー(例えば、プログラム細胞死-1(PD-1))の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるT細胞疲弊のマーカーの発現と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%(例えば、多くても1.25分の1に)、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、またはそれよりも大きく低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを伴う、方法が本明細書で提供される。本明細書に開示されるミトコンドリア置換T細胞には、例えば慢性ウイルス感染症の症状またはがんの症状を好転させるための治療としての有用性がある。
【0033】
本明細書で使用される場合、「ミトコンドリア置換T細胞」という用語は、一般に、内因性ミトコンドリアおよび/または内因性mtDNAが外因性ミトコンドリアおよび/または外因性mtDNAによって置換されたT細胞を意味することが意図されている。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、T細胞内の全ての内因性ミトコンドリアおよび/または内因性mtDNAが外因性ミトコンドリアおよび/または外因性mtDNAによって置換されたものである。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、外因性ミトコンドリアによって置換された内因性ミトコンドリアを有する。そのような状況では、内因性ミトコンドリアの外因性ミトコンドリアによる置換は、mtDNAを評価することによって評価される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、ある特定のパーセンテージの内因性mtDNAが外因性mtDNAによって置換されたものである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、T細胞内の内因性ミトコンドリアおよび/または内因性mtDNAの約5%もしくはそれよりも多く、約10%もしくはそれよりも多く、約20%もしくはそれよりも多く、約30%もしくはそれよりも多く、約40%もしくはそれよりも多く、約50%もしくはそれよりも多く、約60%もしくはそれよりも多く、約70%もしくはそれよりも多く、約80%もしくはそれよりも多く、約90%もしくはそれよりも多く、または約95%もしくはそれよりも多くが外因性ミトコンドリアおよび/または外因性mtDNAによって置換されたものである。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、T細胞内の内因性ミトコンドリアおよび/または内因性mtDNAの約5%~約10%、約10%~約20%、約10%~約30%、約10%~約40%、約20%~約40%、約25%~約50%、約25%~約75%、約50%~約75%、約40%~約50%、約75%またはそれよりも多く~約85%、約75%~約95%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約30%~約85%、約40%~約85%、約50%~約85%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約30%~約75%、約40%~約75%、約50%~約75%、約60%~約90%、約60%~約85%、約60%~約80%、約60%~約75%が外因性ミトコンドリアおよび/または外因性mtDNAによって置換されたものである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、T細胞内の内因性ミトコンドリアおよび/または内因性mtDNAの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%が外因性ミトコンドリアおよび/または外因性mtDNAによって置換されたものである。
【0034】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、ミトコンドリアに関して使用される場合、一般に、その天然の生物学的環境の他の細胞構成成分から物理的に分離されたまたは取り出されたミトコンドリアを指す。具体的な実施形態では、下記の実施例に記載されている技法を使用してミトコンドリアを単離する。
【0035】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、細胞に関して使用される場合、一般に、参照される細胞が天然に見いだされる場合の少なくとも1つの構成成分を実質的に含まない細胞を意味する。用語は、その天然の環境において見いだされる場合の一部または全部の構成成分から取り出された細胞を含む。用語はまた、細胞が天然に存在しない環境において見いだされる場合の少なくとも1つ、一部または全部の構成成分から取り出された細胞も含む。したがって、単離された細胞は、それが天然に見いだされる場合、または天然に存在しない環境において成長する、貯蔵されるもしくは存在する場合の他の物質から部分的にまたは完全に分離されたものである。単離された細胞の具体的な例として、他の細胞型(例えば、非T細胞)から富化された、部分的に純粋な細胞(例えば、T細胞)、および実質的に純粋な細胞(例えば、T細胞)が挙げられる。したがって、単離されたものである参照される細胞は、50%、60%、70%、80%、90%、95%、99%、または100%、他の細胞および/または物質を含まず純粋なものであり得る。具体的な実施形態では、下記の実施例に記載されている技法を使用して、参照される細胞を単離する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「外因性」という用語は、当業者には一般に理解される。一般に、「外因性」という用語は、レシピエント細胞に由来するものではない細胞内材料(例えば、ミトコンドリアまたはmtDNA)を指す。例えば、下記の実施例に記載のように、外因性ミトコンドリアまたはmtDNAを、T細胞に導入された線維芽細胞から単離することができる。
【0037】
本明細書で使用される場合、「内因性」という用語は、当業者には一般に理解される。一般に、「内因性」という用語は、レシピエント細胞に対してネイティブな細胞内材料(例えば、ミトコンドリアまたはmtDNA)を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、一般に、関連性のある条件下で所望の結果(複数可)を実現するために必要な化合物または組成物の量を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、「約」または「およそ」という用語は、数と併せて使用される場合、一般に、参照される数だけでなく、参照される数の1%、5%、10%、15%または20%以内の任意の数を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「十分な期間」という用語は、一般に、所望の結果(複数可)がもたらされる時間の量を指す。
【0041】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、一般に、動物を意味することが意図されている。対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物、例えば、イヌ、ネコ、ウシ科動物、ウマ科動物、マウス、ラット、ウサギ、またはこれらのトランスジェニック種であり得る。「対象」は、「患者」、例えばヒト患者を指す場合もあることが理解される。
【0042】
本明細書で使用される場合、「XbaIR」という用語は、以下のDNAの配列を認識し、切断する制限エンドヌクレアーゼXbaIであるという典型的な意味を有する:
【化1】
【0043】
本明細書で使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、一般に、適当なアッセイ(例えば、ヌクレオチドに関してはPCR、またはタンパク質に関してはイムノアッセイ)の検出閾値またはそれに近い量を意味することが意図されている。用語は、XbaIRまたはXbaIをコードするヌクレオチド(例えば、MTSとXbaIRとを含む融合タンパク質)に関して使用される場合、一般に、mtDNAの置換に干渉しない量を意味することが意図されている。
【0044】
本明細書で提供される実施形態の実施には、別段の指定のない限り、当業者の技能の範囲内である分子生物学、微生物学、および免疫学の従来の技法が用いられる。そのような技法は、文献において十分に説明されている。参考とするのに特に適したテキストの例として、以下が挙げられる:Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Third Ed., Cold Spring Harbor Laboratory, New York (2001); Ausubel et al., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley and Sons, Baltimore, MD (1999); Glover, ed., DNA Cloning, Volumes I and II (1985); Gait, ed., Oligonucleotide Synthesis (1984); Hames & Higgins, eds., Nucleic Acid Hybridization (1984); Hames & Higgins, eds., Transcription and Translation (1984); Freshney, ed., Animal Cell Culture: Immobilized Cells and Enzymes (IRL Press, 1986); Immunochemical Methods in Cell and Molecular Biology (Academic Press, London); Scopes, Protein Purification: Principles and Practice (Springer Verlag, N.Y., 2d ed. 1987); and Weir & Blackwell, eds., Handbook of Experimental Immunology, Volumes I-IV (1986)。
6.1 疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製する方法
【0045】
本開示は、外因性ミトコンドリアの疲弊T細胞への導入により、T細胞疲弊表現型を減少させることができるという発見に一部基づく。さらに、本開示は、外因性ミトコンドリアの疲弊T細胞への導入により、疲弊T細胞のエフェクター機能を改善することができるという発見に一部基づく。したがって、一態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカー(例えば、PD-1発現またはIL-2分泌)のレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカーのレベルと比べて、変更された(例えば、低減または増加した)ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.1倍に増加するか、または0.1分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.2倍に増加するか、または0.2分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.3倍に増加するか、または0.3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.4倍に増加するか、または0.4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.5倍に増加するか、または0.5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.6倍に増加するか、または0.6分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.7倍に増加するか、または0.7分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.8倍に増加するか、または0.8分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.9倍に増加するか、または0.9分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.0倍に増加するか、または1.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.1倍に増加するか、または1.1分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.15倍に増加するか、または1.15分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.20倍に増加するか、または1.20分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.25倍に増加するか、または1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.3倍に増加するか、または1.3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.4倍に増加するか、または1.4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.5倍に増加するか、または1.5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.75倍に増加するか、または1.75分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも2倍に増加するか、または2分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも2.5倍に増加するか、または2.5分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも3倍に増加するか、または3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも4倍に増加するか、または4分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも5倍に増加するか、または5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ1.25倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の減少~およそ1.25分の1の減少を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ1.0倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の減少~およそ1.0分の1の減少を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ0.8倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の減少~およそ0.8分の1の減少を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ0.6倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の減少~およそ0.6分の1の減少を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8倍の増加~およそ1.25倍の増加を示すか、またはおよそ0.8分の1の減少~およそ1.25分の1の減少を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.5倍の増加~およそ1.25倍の増加を示すか、またはおよそ0.5分の1の減少~およそ1.25分の1の減少を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8倍の増加~およそ1.0倍の増加を示すか、またはおよそ0.8分の1の減少~およそ1.0分の1の減少を示す。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ1.25倍~およそ1.50倍、およそ1.50倍~およそ2倍、およそ1.75倍~およそ2倍、もしくはおよそ2倍~およそ4倍に増加するか、またはおよそ1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、もしくはおよそ2分の1~およそ4分の1に減少する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞における2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による2つ、3つまたはそれよりも多くのマーカーのレベルと比べて変更される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、変更されることにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルで変更される。一部の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、タンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルおよびタンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞を生成するための本明細書で提供される方法は、in vitroまたはex vivoで実施される。
【0046】
したがって、一態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカー(例えば、PD-1発現またはIL-2分泌)のレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカーのレベルと比べて、変更された(例えば、低減または増加した)ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも5%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも10%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも15%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも20%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも25%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも30%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも35%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも40%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ45%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも50%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも60%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも70%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも80%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも90%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも95%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも100%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも200%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも300%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも400%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも500%増加する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%増加または低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞における2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による2つ、3つまたはそれよりも多くのマーカーのレベルと比べて変更される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、変更されることにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルで変更される。一部の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、タンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルおよびタンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞を生成するための本明細書で提供される方法は、in vitroまたはex vivoで実施される。
【0047】
別の態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(具体的な実施形態では、核酸配列は、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む)を用いたトランスフェクトまたは形質転換を行って、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)ミトコンドリアDNA(mtDNA)が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカー(例えば、PD-1発現またはIL-2分泌)のレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカーのレベルと比べて、変更された(例えば、低減または増加した)ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.1倍に増加するか、または0.1分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.2倍に増加するか、または0.2分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.3倍に増加するか、または0.3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.4倍に増加するか、または0.4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.5倍に増加するか、または0.5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.6倍に増加するか、または0.6分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.7倍に増加するか、または0.7分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.8倍に増加するか、または0.8分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.9倍に増加するか、または0.9分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.0倍に増加するか、または1.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.1倍に増加するか、または1.1分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.15倍に増加するか、または1.15分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.20倍に増加するか、または1.20分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.25倍に増加するか、または1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.3倍に増加するか、または1.3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.4倍に増加するか、または1.4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.5倍に増加するか、または1.5分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも2倍に増加するか、または多くても2分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも2.5倍に増加するか、または多くても2.5分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも3倍に増加するか、または多くても3分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも5倍に増加するか、または多くても5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍~およそ1.25倍に増加するか、またはおよそ0.2分の1~およそ1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍~およそ1.0倍に増加するか、またはおよそ0.2分の1~およそ1.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍~およそ0.8倍に増加するか、またはおよそ0.2分の1~およそ0.8分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍~およそ0.6倍に増加するか、またはおよそ0.2分の1~およそ0.6分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8倍~およそ1.25倍に増加するか、またはおよそ0.8分の1~およそ1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.5倍~およそ1.25倍に増加するか、またはおよそ0.5分の1~およそ1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8倍~およそ1.0倍に増加するか、またはおよそ0.8分の1~およそ1.0分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ1.25倍~およそ1.50倍、およそ1.50倍~およそ2倍、およそ1.75倍~およそ2倍、もしくはおよそ2倍~およそ4倍に増加するか、またはおよそ1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、もしくはおよそ2分の1~およそ4分の1に低減する。
【0048】
別の態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(具体的な実施形態では、核酸配列は、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む)を用いたトランスフェクトまたは形質転換を行って、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)ミトコンドリアDNA(mtDNA)が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカー(例えば、PD-1発現またはIL-2分泌)のレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカーのレベルと比べて変更された(例えば、低減または増加した)ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも5%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも10%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも15%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも20%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも25%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも30%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも35%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも40%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ45%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも50%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも60%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも70%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも80%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも90%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも95%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも100%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも200%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも300%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも400%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも500%増加する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%増加または低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞における2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による2つ、3つまたはそれよりも多くのマーカーのレベルと比べて変更される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、変更されることにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルで変更される。一部の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、タンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルおよびタンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞を生成するための本明細書で提供される方法は、in vitroまたはex vivoで実施される。
【0049】
具体的な態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(具体的な実施形態では、核酸配列は、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む)をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)ミトコンドリアDNA(mtDNA)が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカー(例えば、PD-1発現またはIL-2分泌)のレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカーのレベルと比べて変更された(例えば、低減または増加した)ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.1倍に増加するか、または0.1分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.2倍に増加するか、または0.2分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.3倍に増加するか、または0.3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.4倍に増加するか、または0.4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.5倍に増加するか、または0.5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.6倍に増加するか、または0.6分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.7倍に増加するか、または0.7分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.8倍に増加するか、または0.8分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも0.9倍に増加するか、または0.9分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.0倍に増加するか、または1.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.1倍に増加するか、または1.1分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.15倍に増加するか、または1.15分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.2倍に増加するか、または1.2分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.25倍に増加するか、または1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.3倍に増加するか、または1.3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.4倍に増加するか、または1.4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.5倍に増加するか、または1.5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも1.75倍に増加するか、または1.75分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも2.5倍に増加するか、または2.5分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも3倍に増加するか、または多くても3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも4倍に増加するか、または4分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも2倍に増加するか、または多くても2分の1に低減する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも5倍に増加するか、または多くても5分の1に低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ1.25倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の低減~およそ1.25分の1の低減を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ1.0倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の低減~およそ1.0分の1の低減を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ0.8倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の低減~およそ0.8分の1の低減を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2倍の増加~およそ0.6倍の増加を示すか、またはおよそ0.2分の1の低減~およそ0.6分の1の低減を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8倍の増加~およそ1.25倍の増加を示すか、またはおよそ0.8分の1の低減~およそ1.25分の1の低減を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.5倍の増加~およそ1.25倍の増加を示すか、またはおよそ0.5分の1の低減~およそ1.25分の1の低減を示す。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8倍の増加~およそ1.0倍の増加を示すか、またはおよそ0.8分の1の低減~およそ1.0分の1の低減を示す。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ1.25倍~およそ1.50倍、およそ1.50倍~およそ2倍、およそ1.75倍~およそ2倍、もしくはおよそ2倍~およそ4倍に増加するか、またはおよそ1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、もしくはおよそ2分の1~およそ4分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞における2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による2つ、3つまたはそれよりも多くのマーカーのレベルと比べて変更される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、変更されることにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルで変更される。一部の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、タンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルおよびタンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞を生成するための本明細書で提供される方法は、in vitroまたはex vivoで実施される。
【0050】
具体的な態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、(a)疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(具体的な実施形態では、核酸配列は、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む)をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、(b)ミトコンドリアDNA(mtDNA)が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカー(例えば、PD-1発現またはIL-2分泌)のレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による少なくとも1つのT細胞疲弊のマーカーのレベルと比べて変更された(例えば、低減または増加した)ミトコンドリア置換T細胞を生成するステップとを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも5%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも10%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも15%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも20%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも25%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも30%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも35%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも40%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ45%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも50%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも60%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも70%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも80%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも90%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも95%増加または低減する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも100%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも200%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも300%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも400%増加する。ある特定の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、少なくとも500%増加する。一部の実施形態では、少なくとも1つの疲弊マーカーは、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%増加または低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞における2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による2つ、3つまたはそれよりも多くのマーカーのレベルと比べて変更される。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、変更されることにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルで変更される。一部の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、タンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーのレベルが、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、RNAレベルおよびタンパク質レベルで変更される。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞を生成するための本明細書で提供される方法は、in vitroまたはex vivoで実施される。
【0051】
種々のT細胞疲弊のマーカーが当技術分野で公知である。T細胞疲弊マーカーの非限定的な例としては、機能的T細胞と比べた「免疫チェックポイント受容体」と称される免疫応答を阻害する細胞表面分子[例えば、プログラム細胞死-1(PD-1)、T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)、CD160、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、2B4/CD244/SLAMF4]の発現の上昇、ケモカイン(例えば、TNF-アルファ、インターフェロン-ガンマ、cc(ベータ))の産生の低減、ならびにサイトカイン産生(例えば、IL-2)の低減が挙げられる。T細胞機能を決定するためのアッセイは当技術分野で公知であり、それらとして、6.3節に記載されているものなどのアッセイが挙げられる。
【0052】
一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べてレベルが上昇したT細胞疲弊マーカーを含む。ある特定の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大した、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CD150、CTLA-4、または2B4/CD244/SLAMF4からなる群から選択される免疫チェックポイント受容体を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したPD-1を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したTIM3を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したLAG3を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したTIGITを含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したCD150を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したCTLA-4を含む。一実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大した2B4/CD244/SLAMF4を含む。
【0053】
一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大した、TOX、TOX2、およびNR4Aからなる群から選択される転写因子を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したTOXを含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したTOX2を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて発現が増大したNR4Aを含む。
【0054】
一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べてレベルが低下したT細胞疲弊マーカーを含む。ある特定の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて低減したケモカイン産生(例えば、TNF-アルファ、インターフェロン-ガンマ、CC(β-ケモカイン))、および/または低減したサイトカイン産生(例えば、IL-2)を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて低減したTNF-αの産生を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて低減したIFN-γの産生を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて低減したCCケモカインの産生を含む。一部の実施形態では、疲弊T細胞は、機能的T細胞と比べて低減したIL-2の産生を含む。
【0055】
したがって、一実施形態では、本開示の疲弊T細胞では免疫チェックポイント受容体の発現が増大しており、本明細書で提供される方法に従って疲弊T細胞から作製されたミトコンドリア置換T細胞では疲弊T細胞と比べて免疫チェックポイント受容体の発現が低減している。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では少なくともPD-1の発現が疲弊T細胞と比べて低減している。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも10%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも20%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも30%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも40%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも50%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも60%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも70%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも80%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも90%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞ではPD-1発現は、疲弊T細胞と比べて少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、およそ10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%低減する。
【0056】
具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.1分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.2分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.25分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.3分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.4分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.5分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.6分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.7分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.8分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても1.9分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても2分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても3分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても4分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて多くても5分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、疲弊T細胞と比べて5分の1よりも大きく低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2分の1~およそ1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2分の1~およそ1.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2分の1~およそ0.8分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.2分の1~およそ0.6分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8分の1~およそ1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.5分の1~およそ1.25分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ0.8分の1~およそ1.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて、およそ1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、またはおよそ2分の1~およそ4分の1に低減する。
【0057】
具体的な実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.1分の1に低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.2分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.25分の1に低減する。一部の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.50分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.75分の1に低減する。一部の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても2分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても2.5分の1に低減する。一部の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても3分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、多くても4分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.1分の1~およそ1.25分の1に低減する。一部の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、またはおよそ2分の1~およそ4分の1に低減する。一部の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、またはおよそ2分の1~およそ4分の1に低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1および1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1および1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊マーカーの発現と比べて低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による同じ1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのマーカーの発現と比べて低減することにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による同じマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。一部の実施形態では、核酸配列はRNA(例えば、mRNA)である。一部の実施形態では、RNAは修飾されていないRNAである。一部の実施形態では、RNAは修飾されたRNAである。一部の実施形態では、核酸配列はDNA(例えば、cDNA)である。一部の実施形態では、DNAは修飾されていないDNAである。一部の実施形態では、DNAは修飾されたDNAである。修飾されたRNAまたは修飾されたDNAの非限定的な例として、トリチル化塩基、およびイノシンなどの通常のものではない塩基が挙げられる。
【0058】
具体的な実施形態では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップを含む、方法が本明細書で提供される。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも10%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも15%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも20%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも25%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも30%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも35%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも40%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも45%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも50%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも60%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも70%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも80%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも90%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、PD-1発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、およそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、およそ10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1および1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1および1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊マーカーの発現と比べて低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による同じ1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのマーカーの発現と比べて低減することにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による同じマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。一部の実施形態では、核酸配列はRNA(例えば、mRNA)である。一部の実施形態では、RNAは修飾されていないRNAである。一部の実施形態では、RNAは修飾されたRNAである。一部の実施形態では、核酸配列はDNA(例えば、cDNA)である。一部の実施形態では、DNAは修飾されていないDNAである。一部の実施形態では、DNAは修飾されたDNAである。修飾されたRNAまたは修飾されたDNAの非限定的な例として、トリチル化塩基、およびイノシンなどの通常のものではない塩基が挙げられる。
【0059】
具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1および1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて低減する。具体的な実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞による1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くのT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて低減することにより、T細胞の1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能が示される。ある特定の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、それらの由来となる疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、それらの由来となる疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、1つのPD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、それらの由来となる疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0060】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減し、少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べておよそ1.1分の1~およそ1.25分の1、1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、またはおよそ2分の1~およそ4分の1に低減し、少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0061】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べておよそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、およそ10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%低減し、少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0062】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減し、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4からなる群から選択される少なくとも1種の免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べておよそ1.1分の1~およそ1.25分の1、1.25分の1~およそ1.50分の1、およそ1.50分の1~およそ2分の1、およそ1.75分の1~およそ2分の1、またはおよそ2分の1~およそ4分の1に低減し、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4からなる群から選択される少なくとも1種の免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0063】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4からなる群から選択される少なくとも1種の免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べておよそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、およそ10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%低減し、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4からなる群から選択される少なくとも1種の免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0064】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4からなる群から選択される少なくとも1種の免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べておよそ5%~およそ50%、およそ10%~およそ50%、およそ10%~およそ40%、およそ10%~およそ30%、およそ20%~およそ50%、およそ20%~およそ40%、およそ10%~およそ20%、およそ20%~およそ30%、およそ25%~およそ50%、またはおよそ40%~およそ60%低減し、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4からなる群から選択される少なくとも1種の免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも1種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0065】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびTIGITの発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびCTLA-4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0066】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびTIGITの発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1およびCTLA-4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0067】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減し、少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIGIT、およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、およびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0068】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIGIT、およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、およびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも2種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0069】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減し、少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGITおよび2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGIT、およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGITおよびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0070】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGITおよび2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGIT、およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGITおよびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも3種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0071】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減し、少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGIT、CD160および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGIT、LAG3およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGIT、TIM3、およびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0072】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGIT、CD160および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGIT、LAG3およびCD160の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、CTLA-4、TIGIT、TIM3、およびLAG3の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも4種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現が疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0073】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減し、少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、およびCTLA-4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0074】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、およびCTLA-4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも5種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0075】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減し、少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0076】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現が、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減し、少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現も低減する。例として、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1、TIM3、LAG3、TIGIT、CD160、CTLA-4、および2B4/CD244/SLAMF4の発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、PD-1の発現および少なくとも6種の追加的な免疫チェックポイント受容体の発現は、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0077】
プログラム細胞死-1(PD-1)の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.1分の1、多くても1.25分の1、多くても1.5分の1、多くても2.0分の1、多くても2.5分の1、多くても3.0分の1、または多くても4.0分の1に低減したミトコンドリア置換T細胞は、T細胞上の発現ならびにT細胞内の発現の両方を包含することが理解される。プログラム細胞死-1(PD-1)の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現が、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%低減したミトコンドリア置換T細胞は、T細胞上の発現ならびにT細胞内の発現の両方を包含することが理解される。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞上の、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞上のPD-1の発現、一部の実施形態では対応する1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現と比べて低減する。ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、PD-1の発現、一部の実施形態では1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現が、疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べて、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞内のPD-1の発現と比べて、一部の実施形態では対応する1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの他のT細胞疲弊のマーカーの発現と比べて低減する。
【0078】
一部の実施形態では、T細胞疲弊のマーカーは細胞内タンパク質である。T細胞疲弊のマーカーとして適切な細胞内タンパク質の非限定的な例としては、転写因子TOX、TOX2、およびNR4Aが挙げられる。したがって、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて多くても2分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて多くても5分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて多くても10分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて多くても15分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて多くても20分の1に低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて20分の1よりも大きく低減する。
【0079】
一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて少なくとも20%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて少なくとも30%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて少なくとも40%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて少なくとも50%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて少なくとも60%低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて70%よりも大きく低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて80%よりも大きく低減する。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞では、TOX、TOX2、および/またはNR4Aの発現が、疲弊T細胞における対応するマーカーの発現と比べて90%よりも大きく低減する。ある特定の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルで低減する。一部の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてタンパク質レベルで低減する。ある特定の実施形態では、発現は疲弊T細胞による対応するマーカーの発現と比べてRNAレベルおよびタンパク質レベルで低減する。
【0080】
一部の実施形態では、疲弊T細胞は、1つまたは複数の老化のマーカーを示す。老化のマーカーの例としては、共刺激分子(例えば、CD27、および/またはCD28)の発現の低減;KLRG-1および/もしくはCD57の発現の増大;G1調節タンパク質(例えば、p15、p16、およびp21)の上方調節;Cdk2およびサイクリンD3発現の下方調節;Cdk2およびCdk6キナーゼ活性の低下;ヒトテロメラーゼRNA構成成分(hTERC)発現の喪失;テロメラーゼ活性の低下;TIGITの発現の増大;またはこれらの組合せが挙げられる。老化細胞は、一般に、1つまたは複数の表現型マーカー、例えば、炎症性サイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα))、増殖因子、およびプロテアーゼの分泌の増加、ならびに細胞集団倍加の低減および/もしくは速度の低下、テロメアの短縮、DNA損傷応答(DDR)の増大、またはこれらの組合せも示す。
【0081】
本明細書で提供されている通り、本明細書に記載の方法、例えば、6.1節に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、ミトコンドリア置換T細胞の由来となる疲弊T細胞と比べて1つ、2つまたはそれよりも多くの改善されたエフェクター機能を示す。例えば、ミトコンドリア置換T細胞において改善することができるT細胞のエフェクター機能に関しては6.3節を参照されたい。
【0082】
ある特定の実施形態では、改善されたエフェクター機能は、増大した増殖、増大した細胞傷害、サイトカインの増加した分泌、またはこれらの組合せを含む。具体的な実施形態では、改善されたエフェクター機能は、増大した増殖を含む。ある特定の実施形態では、改善されたエフェクター機能は、増大した細胞傷害を含む。一部の実施形態では、改善されたエフェクター機能は、サイトカインの増加した分泌を含む。
【0083】
本明細書で提供されている通り、一態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法は、疲弊T細胞に、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップを伴う。一部の実施形態では、XbaIRをコードするヌクレオチド配列はDNAを含む。一部の実施形態では、XbaIRをコードするヌクレオチド配列はRNAを含む。本明細書で提供されている通り、一態様では、疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法は、疲弊T細胞に、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップを伴う。一部の実施形態では、核酸配列はRNA(例えば、mRNA)である。一部の実施形態では、RNAは修飾されていないRNAである。一部の実施形態では、RNAは修飾されたRNAである。一部の実施形態では、核酸配列はDNA(例えば、cDNA)である。一部の実施形態では、DNAは修飾されていないDNAである。一部の実施形態では、DNAは修飾されたDNAである。修飾されたRNAまたは修飾されたDNAの非限定的な例として、トリチル化塩基、およびイノシンなどの通常のものではない塩基が挙げられる。
【0084】
ヌクレオチド(例えば、プラスミドDNA発現ベクターカセット内に存在する状態でまたはmRNAとして)を導入するための様々な方法が当技術分野で公知である。一部の実施形態では、ヌクレオチドをエレクトロポレーションする。具体的な実施形態では、エレクトロポレーション法は、MaxCyte Flow Electroporationなどのフローエレクトロポレーションである。他の具体的な実施形態では、エレクトロポレーション法にはLonzaのNucleofector(商標)技術などのヌクレオフェクション技術が含まれる。しかし、ヌクレオチドを導入するための上記の方法は非限定的なものであり、ただ単に例示的な方法であることが意図されていること、および、当技術分野で公知の任意の方法をヌクレオチドを導入するために使用することができることが理解される。例えば、一部の実施形態では、ヌクレオチドを、カチオン性脂質トランスフェクション、またはヌクレオチドを細胞に導入する任意の他の手段によって導入する。一部の実施形態では、ヌクレオチドをウイルスによる形質導入によって導入する。
【0085】
ある特定の実施形態では、特に臨床的状況においては、医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準)および医薬品の臨床試験の実施に関する基準を満たしたMaxCyteエレクトロポレーターをmRNAトランスフェクションのために使用することができる。MaxCyteエレクトロポレーターを製造者のプロトコールに従って使用してトランスフェクションを実施することができる。さらに、上記の方法はただ単に例示的なものであること、およびmRNAを導入する任意の手段を使用することができることが理解される。
【0086】
ミトコンドリア標的化配列(MTS)をエンドヌクレアーゼコード配列に隣接させて組み入れ、それによりミトコンドリアを標的とする融合タンパク質を生じさせることにより、エンドヌクレアーゼのミトコンドリアへの特異的標的化を実施することができる。強力なMTSが同定され、それらのN末端に融合されたタンパク質を特定の区画に標的化することが可能であることが示されており、それらはミトコンドリア標的化配列と呼ばれる。本発明の方法に適したMTSは当業者に周知である(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,039,587号B2を参照されたい)。例えば、ミトコンドリアマトリックスに対するMTS、例えば、シトクロムcオキシダーゼサブユニットIV(COX4)、サブユニットVIII(COX8)、またはサブユニットX(COX10)由来の標的化ペプチドであるMTSを使用することができる。原理上は、任意の核にコードされたミトコンドリアマトリックスもしくは内膜酵素に由来する任意の標的配列、または融合タンパク質をミトコンドリアによって移入されたタンパク質にすることが可能な人工配列(5.5を超える疎水性モーメント、少なくとも2つの塩基性残基、両親媒性アルファヘリックスコンフォメーション;例えば、Bedwell et al., Mol Cell Biol. 9(3) (1989), 1014-1025を参照されたい)が本発明の目的に関して有用である。
【0087】
ある特定の実施形態では、MTSは、ヒトMTSである。別の実施形態では、MTSは別の種に由来するものである。そのような配列の非限定的な例は、シトクロムcオキシダーゼサブユニットX(COX10)MTS(MAASPHTLSSRLLTGCVGGSVWYLERRT)(配列番号1)、およびシトクロムcオキシダーゼサブユニットVIII(COX8)MTS(MSVLTPLLLRSLTGSARRLMVPRA)(配列番号2)である。MTS配列の追加的な非限定的な例は、核DNAによってコードされ、細胞質において翻訳(産生)され、ミトコンドリアに輸送される個々のミトコンドリアタンパク質それぞれの天然のMTS、ならびにクエン酸シンターゼ(cs)、リポアミドデヒドロゲナーゼ(LAD)、およびC6ORF66(ORF)である。種々のMTSは各ミトコンドリア酵素とそれらの間で交換可能であり得る。したがって、一部の実施形態では、MTSは、ミトコンドリアマトリックスタンパク質を標的とするものである。具体的な実施形態では、ミトコンドリアマトリックスタンパク質は、ヒトシトクロムCオキシダーゼのサブユニットVIIIである。
【0088】
ある特定の態様では、本明細書で提供される方法は、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列(具体的な実施形態では、核酸配列は、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む)でトランスフェクトもしくは形質転換された、または他の仕方でそれらを含む疲弊T細胞を培養して、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップを伴う。具体的な態様では、本明細書で提供される方法は、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列でトランスフェクトもしくは形質転換された、または他の仕方でそれらを含む疲弊T細胞を培養して、最小の細胞傷害性で、細胞が、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を少なくとも実質的に含まないものになるまで内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップを伴う。具体的な態様では、本明細書で提供される方法は、XbaIRをコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列でトランスフェクトもしくは形質転換された、または他の仕方でそれらを含む疲弊T細胞を培養して、最小の細胞傷害性で、細胞がXbaIRを少なくとも実質的に含まないものになるまで内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップを伴う。当業者に公知のまたは本明細書に記載の技法を使用して細胞傷害性を測定することができる。当業者に公知のまたは本明細書に記載の技法(例えば、実施例におけるもの)を使用して、XbaIRをコードするヌクレオチドの量(例えば、PCRもしくはqPCR)、またはXbaIRもしくは融合タンパク質の量(例えば、免疫ブロット)を評価することができる。
【0089】
一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約1日~約10日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約2日~約7日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約1日~約5日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約2日~約4日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約2日~約3日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約1日~約4日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約1日~約3日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約2日~約7日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約1日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約2日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約3日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約4日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約5日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約6日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約7日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約8日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約9日である。一部の実施形態では、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるために十分な期間は、約10日である。
【0090】
ある特定の態様では、本明細書で提供される方法は、疲弊T細胞の単離された外因性ミトコンドリアとの、有効量のラパマイシンまたはその誘導体の存在下でのインキュベーションを伴う。一部の実施形態では、ラパマイシンまたはその誘導体は、約100ナノモル(nM)~約1000nMの濃度である。一部の実施形態では、ラパマイシンまたはその誘導体は、約200ナノモル(nM)~約500nMの濃度である。一部の実施形態では、ラパマイシンまたはその誘導体は、約300ナノモル(nM)~約600nMの濃度である。一部の実施形態では、ラパマイシンまたはその誘導体は、約400ナノモル(nM)~約700nMの濃度である。
【0091】
ある特定の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約100nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約150nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約200nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約250nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約300nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約350nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約400nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約450nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約500nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約550nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約600nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約650nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約700nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約750nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約800nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約850nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約900nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、約1000nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンまたはその誘導体は、1000nMよりも高い濃度である。
【0092】
ラパマイシン誘導体(例えば、ラパマイシン類似体、「ラパログ(rapalog)」としても公知)の非限定的な例としては、例えば、テムシロリムス(CAS番号162635-04-3;C56H87NO16)、エベロリムス(CAS番号159351-69-6;C53H83NO14)、リダフォロリムス(CAS番号572924-54-0;C53H84NO14P)、WYE-125132(WYE-132)、およびゾタロリムス(ABT-578)が挙げられる。
【0093】
具体的な実施形態では、本明細書で提供される方法は、疲弊T細胞の単離された外因性ミトコンドリアとの、有効量のラパマイシンの存在下でのインキュベーションを伴う。一部の実施形態では、ラパマイシンは、約100ナノモル(nM)~約1000nMの濃度である。一部の実施形態では、ラパマイシンは、約200nM~約500nMの濃度である。一部の実施形態では、ラパマイシンは、約300nM~約600nMの濃度である。一部の実施形態では、ラパマイシンは、約400nM~約700nMの濃度である。ある特定の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約100nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約150nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約200nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約250nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約300nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約350nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約400nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約450nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約500nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約550nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約600nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約650nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約700nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約750nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約800nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約850nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約900nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、約1000nMの濃度である。一部の実施形態では、有効量のラパマイシンは、1000nMよりも高い濃度である。
【0094】
ミトコンドリア置換T細胞を生成させるために疲弊T細胞と共にインキュベートされている単離された外因性ミトコンドリアの量は、単離されたミトコンドリアと共インキュベートされる疲弊T細胞の量などの因子に依存する。一般に、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約5μg~約100μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約10μg~約90μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約20μg~約80μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約30μg~約70μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約5μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約10μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約20である。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約30μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約40μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約50μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約60μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約70μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約80μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約90μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり約100μgである。一部の実施形態では、疲弊T細胞と共にインキュベートされる単離された外因性ミトコンドリアの量は、T細胞1×10個当たり100μgよりも多い。
【0095】
本明細書で提供されている通り、本開示の単離された外因性ミトコンドリアは、健康かつ機能的なミトコンドリアを有する種々の型の細胞から得ることができる。ミトコンドリア機能を決定するためのアッセイが当技術分野で公知であり、それらとして、6.3節に記載されているものなどのアッセイが挙げられる。本明細書で提供される方法における使用のためのミトコンドリアの例示的な供給源としては、線維芽細胞、血小板細胞、ならびに他のリンパ球系細胞が挙げられる。ある特定の実施形態では、単離された外因性ミトコンドリアを線維芽細胞から得る。一部の実施形態では、単離された外因性ミトコンドリアを血小板細胞から得る。一部の実施形態では、単離された外因性ミトコンドリアをリンパ球系細胞から得る。
【0096】
本明細書で提供されている通り、単離された外因性ミトコンドリアは、レシピエント細胞に対して自己であっても同種であってもよい。一部の実施形態では、単離された外因性ミトコンドリアは、レシピエント細胞に対して同種である。例えば、単離された外因性ミトコンドリアをレシピエント細胞とは異なる対象から得ることができる。他の実施形態では、単離された外因性ミトコンドリアは自己である。例として、例示的な自己単離された外因性ミトコンドリアとしては、同じ対象から、より早い時点で、例えば、胎盤または臍帯血から単離されたミトコンドリアを挙げることができる。別の例示的な自己外因性mtDNAとして、例えば、レシピエント細胞と同じ対象から単離され、改変された後にレシピエント細胞と置き換えられるドナーmtDNAを挙げることができる。
【0097】
ミトコンドリアの単離は、これだけに限定されないが、本明細書に記載のものを含めたいくつかの周知の技法のいずれかによって実現することができる。ある特定の実施形態では、ミトコンドリアの移入における使用のための外因性ミトコンドリアを、例えば、Qproteumミトコンドリア単離キット(Qiagen、USA)、またはMITOISO2ミトコンドリア単離キット(Sigma、USA)などの市販のキットを使用して単離する。他の実施形態では、ミトコンドリアの移入における使用のための外因性ミトコンドリアを手動で単離する(例えば、Preble et al. J. Vis. Exp. 2014, 91: e51682;Gasnier et al. Anal Biochem 1993; 212 (1): 173-8およびFrezza et al. Nat Protoc 2007; 2 (2): 287-95を参照されたい)。例えば、例示的なミトコンドリアの手動での単離として、ドナー細胞をペレット化し、培養下で成長させた細胞およそ10個に由来する1~2mLの細胞ペレットを洗浄し、低張性緩衝剤中で細胞を膨潤させ、DounceまたはPotter-Elvehjemホモジナイザーを用い、ぴったり合う乳棒を使用して細胞を破砕し、分画遠心法によってミトコンドリアを単離することによってドナー細胞からミトコンドリアを単離することが挙げられる。手動での単離として、例えば、スクロース密度勾配超遠心分離、または自由流動電気泳動も挙げることもできる。いかなる特定の方法にも縛られることを望まずに、本明細書に記載のキットおよび手動での方法は例示であること、および任意のミトコンドリアの単離方法を使用することができ、それが当業者の技能の範囲内に入ることが理解される。具体的な実施形態では、8節に記載の方法体系を使用してミトコンドリアを単離し、移入させる。
【0098】
一部の実施形態では、単離されたドナーミトコンドリアは、他の細胞小器官を含まず実質的に純粋なものである。他の実施形態では、単離されたミトコンドリアは不純物を含有する場合があり、ミトコンドリアが豊富である。例えば、一部の実施形態では、単離されたミトコンドリアは、約90%純粋、約80%純粋、約70%純粋、約60%純粋、約50%純粋、またはそれらの間の任意の整数である。一般に、単離されたドナーミトコンドリアに含有されるいずれの不純物も、ミトコンドリアの移入時にレシピエント細胞の生存能にも機能にも影響を及ぼさないことが理解される。具体的な実施形態では、外因性ミトコンドリア、外因性mtDNA、またはこれらの組合せの移入には、ミトコンドリアではない細胞小器官の移入は伴わない。
【0099】
単離されたミトコンドリアの数量および品質は、これだけに限定されないが、本明細書および引用された参考文献に記載のものを含めたいくつかの周知の技法によって容易に決定することができる。例えば、一部の実施形態では、単離されたミトコンドリアの数量を、総タンパク質含量の評価によって決定する。総タンパク質含量を評価するためには、BiuretおよびLowryの手順(例えば、Hartwig et al., Proteomics, 2009 Jun; 9 (11): 3209-14を参照されたい)、ならびにBradfordタンパク質アッセイ(Bradford. Anal Biochem. 1976; 72: 248-54))などの様々な方法が利用可能である。他の実施形態では、単離されたミトコンドリアの数量をmtDNAコピー数によって決定する。
【0100】
内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性ミトコンドリアにさらされていない疲弊T細胞よりも多くの量の外因性mtDNAが検出可能になる任意の期間であってよい。一部の実施形態では、内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性mtDNAと共にインキュベートしていない疲弊T細胞に移入される外因性mtDNAの量と比べて、外因性mtDNAの少なくとも20%が疲弊T細胞に移入される任意の期間である。一部の実施形態では、内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性mtDNAと共にインキュベートしていない疲弊T細胞に移入される外因性mtDNAの量と比べて、外因性mtDNAの少なくとも30%が疲弊T細胞に移入される任意の期間である。一部の実施形態では、内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性mtDNAと共にインキュベートしていない疲弊T細胞に移入される外因性mtDNAの量と比べて、外因性mtDNAの少なくとも40%が疲弊T細胞に移入される任意の期間である。一部の実施形態では、内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性mtDNAと共にインキュベートしていない疲弊T細胞に移入される外因性mtDNAの量と比べて、外因性mtDNAの少なくとも50%が疲弊T細胞に移入される任意の期間である。一部の実施形態では、内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性mtDNAと共にインキュベートしていない疲弊T細胞に移入される外因性mtDNAの量と比べて、外因性mtDNAの少なくとも60%が疲弊T細胞に移入される任意の期間である。一部の実施形態では、内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性mtDNAと共にインキュベートしていない疲弊T細胞に移入される外因性mtDNAの量と比べて、外因性mtDNAの少なくとも70%が疲弊T細胞に移入される任意の期間である。一部の実施形態では、内因性mtDNAが減少した疲弊T細胞を単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートして、ミトコンドリア置換T細胞を生成するために十分な期間は、外因性mtDNAと共にインキュベートしていない疲弊T細胞に移入される外因性mtDNAの量と比べて、外因性mtDNAの大多数(すなわち、50%よりも多く)、約20%~約95%、約25%~約90%、約30%~約85%、約35%~約80%、約40%~約75%、約30%~約60%、40%~約70%、約40%~約85%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約90%、約65%~約95%が疲弊T細胞に移入される任意の期間である。当業者に公知のまたは本明細書に記載の技法(例えば、実施例におけるもの)を使用して、外因性mtDNAの疲弊T細胞への移入を評価することができる。
【0101】
一般に、十分な期間は、少なくともおよそ12時間および2週間未満である。一部の実施形態では、十分な期間は、少なくとも12時間である。一部の実施形態では、十分な期間は、少なくとも24時間である。一部の実施形態では、十分な期間は、少なくとも36時間である。一部の実施形態では、十分な期間は、少なくとも48時間である。一部の実施形態では、十分な期間は、およそ2日間またはそれよりも長期である。一部の実施形態では、十分な期間は、およそ7日間またはそれよりも長期である。一部の実施形態では、十分な期間は、およそ2日間~およそ7日間である。一部の実施形態では、十分な期間は、およそ1日間~およそ7日間である。
【0102】
例として、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)が減少した疲弊T細胞と単離された外因性ミトコンドリアの単純な共インキュベーションを使用してミトコンドリアの移入を実施することもできる。しかし、T細胞と単離された外因性ミトコンドリアを必要に応じて遠心分離することによってミトコンドリアの移入を促進することも可能である。ミトコンドリアの移入の他の手段としては、熱ショック、インジェクション、および/またはナノブレードの使用が挙げられる。
【0103】
遠心分離条件は、当業者が容易に決定することができ、細胞およびミトコンドリアが傷つかず、ミトコンドリアの移入が促進される限りはスピードおよび時間を変動させることができる。例として、遠心分離する条件には、室温、およそ1,500相対遠心力(RCF、「g」とも表される)でおよそ5分間遠心分離することが含まれ得る。具体的な実施形態では、遠心分離することは下記の実施例に記載の通りである。
【0104】
一実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ500RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ750RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,000RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,500RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,000RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,500RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ3,000RCFでおよそ5分間である。
【0105】
一実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ500RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ750RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,000RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,500RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,000RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,500RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ3,000RCFでおよそ10分間である。
【0106】
別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ500RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ750RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,000RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,500RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,000RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,500RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ3,000RCFでおよそ15分間である。
【0107】
別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ500RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ750RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,000RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ1,500RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,000RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ2,500RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、室温、およそ3,000RCFで1時間未満である。
【0108】
一実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ500RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ750RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,000RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,500RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,000RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,500RCFでおよそ5分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ3,000RCFでおよそ5分間である。
【0109】
別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ500RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ750RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,000RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,500RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,000RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,500RCFでおよそ10分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ3,000RCFでおよそ10分間である。
【0110】
別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ500RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ750RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,000RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,500RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,000RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,500RCFでおよそ15分間である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ3,000RCFでおよそ15分間である。
【0111】
別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ500RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ750RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,000RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ1,500RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,000RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ2,500RCFで1時間未満である。別の実施形態では、遠心分離することは、約4℃、およそ3,000RCFで1時間未満である。
【0112】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法によって生成されたミトコンドリア置換T細胞における外因性mtDNAのコピー数と内因性mtDNAのコピー数の比は、4超:1である。一部の実施形態では、比は約4:1である。一部の実施形態では、比は約3:1である。一部の実施形態では、比は約2:1である。一部の実施形態では、比は約1:1である。一部の実施形態では、比は約0.75:1である。一部の実施形態では、比は約0.5:1である。一部の実施形態では、比は約0.25:1である。一部の実施形態では、比は約0.1:1である。
【0113】
本明細書で提供される方法に従って置換される内因性mtDNAのレベルは、外因性mtDNAによる内因性mtDNAの完全な置換(すなわち、100%の置換)がもたらされるものである必要はない。例えば、一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも10%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも15%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも20%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも25%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも30%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも35%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも40%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも45%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも50%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも55%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも60%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも65%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも70%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも80%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの少なくとも90%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの100%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの大多数(すなわち、50%よりも多く)が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約20%~約95%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約25%~約90%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約30%~約85%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約35%~約80%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約40%~約75%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約20%~約95%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約30%~約60%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約40%~約70%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約40%~約85%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約40%~約80%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約30%~約85%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約50%~約80%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約60%~約90%が外因性mtDNAによって置換されている。一部の実施形態では、内因性mtDNAの約65%~約95%が外因性mtDNAによって置換されている。当業者に公知のまたは本明細書に記載の技法(例えば、実施例におけるもの)を使用して、外因性mtDNAによる内因性mtDNAの置換を評価することができる。
【0114】
本明細書で提供されている通り、本明細書で提供される方法に従って減少する内因性mtDNAコピー数のレベルは、完全な枯渇である必要はない。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の大多数(すなわち、50%よりも多く)が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約20%~約95%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約25%~約90%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約30%~約90%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約30%~約85%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約35%~約80%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約40%~約75%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約20%~約95%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約30%~約60%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約40%~約70%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約40%~約85%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約40%~約80%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約30%~約85%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約50%~約80%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約60%~約80%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約60%~約90%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約65%~約95%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約10%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約10%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約20%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約30%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約40%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約50%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約60%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約70%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約80%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約85%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約90%が減少する。一部の実施形態では、内因性mtDNAコピー数の約95%が減少する。当業者に公知のまたは本明細書に記載の技法(例えば、実施例におけるもの)を使用して、減少の前後の内因性mtDNAコピー数の量を評価することができる。
【0115】
ある特定の実施形態では、T細胞はCD4+T細胞である。一部の実施形態では、T細胞はCD8+T細胞である。ある特定の実施形態では、T細胞はダブルポジティブCD4+CD8+T細胞である。一部の実施形態では、T細胞はTregであるまたはTregを含む。ある特定の実施形態では、T細胞は、エフェクターT細胞であるまたはエフェクターT細胞を含む。一部の実施形態では、T細胞は、メモリーT細胞、エフェクターT細胞、Treg、もしくはこれらの組合せである、またはメモリーT細胞、エフェクターT細胞、Treg、もしくはこれらの組合せを含む。
【0116】
一部の実施形態では、T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)またはT細胞受容体(TCR)を発現するように遺伝子改変されたT細胞である。例えば、TCRは、腫瘍細胞の内部に存在する抗原も認識することができる天然に存在する受容体を使用する。他方、CARは、がん細胞の表面上の特定の抗原のみを認識することができる抗体の部分を含む。CAR-T細胞およびTCR T細胞は、免疫療法において使用されるにもかかわらず、疲弊したものになり得る。したがって、本明細書で提供される通り、一部の実施形態では、本明細書に記載の方法、例えば、6.1節に記載の方法に従って疲弊T細胞から作製されるミトコンドリア置換T細胞は、CAR-T細胞またはTCR T細胞であってよく、がんの症状を処置するまたは好転させるために対象に投与することができる。本明細書に記載のミトコンドリア置換T細胞が有益であり得る非限定的な例示的ながんの型としては、血液がん(例えば、急性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(mantel cell lymphoma))、ならびに固形腫瘍が挙げられる。具体的な実施形態では、対象はヒト対象である。
【0117】
CARは、一般に、細胞外標的結合性ドメイン、ヒンジ領域、CARを細胞膜に繋ぎ止める膜貫通ドメイン、および活性化シグナルを伝達する1つまたは複数の細胞内ドメインを含むように設計される。CARは、共刺激ドメインの数に応じて第1世代(細胞内ドメイン、例えば、CD3ζのみ)、第2世代(1つの共刺激ドメインと細胞内ドメイン)、または第3世代CAR(1つよりも多くの共刺激ドメインと細胞内ドメイン)に分類することができる。新世代CARも開発中である(例えば、Guedan S, et al. Mol Ther Methods Clin Dev. 2018 Dec 31; 12: 145-156を参照されたい)。血液学的悪性腫瘍に対するCAR標的(例えば、CD19、BCMA)および固形腫瘍に対するCAR標的(例えば、HER2、PSCA)が当技術分野で公知であり、いずれの標的も本開示との使用に適する(例えば、Dotti G, et al. Immunol Rev. 2014; 257 (1): 107-126を参照されたい)。CAR-T細胞は、CAR-T細胞の投与を受ける対象に対して自己であっても同種であってもよい。一部の実施形態では、CAR-T細胞は対象に対して同種である。他の実施形態では、CAR-T細胞は自己である。
【0118】
ある特定の実施形態では、CARは、腫瘍抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、腫瘍抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、1つまたは複数の共刺激分子、および1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。具体的な実施形態では、CARは、腫瘍抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含む。具体的な実施形態では、CARは、腫瘍抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、細胞内ドメインおよび少なくとも1つの共刺激ドメインを含む。別の具体的な実施形態では、CARは、腫瘍抗原認識ドメイン、膜貫通ドメイン、2つまたはそれよりも多くの共刺激ドメインおよび細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、CARは、構成的にまたは誘導性に発現されるケモカインを含む。ある特定の実施形態では、CARは、サイトカイン受容体の細胞内ドメイン(例えば、IL-2Rβ鎖断片)を含む。
【0119】
一部の実施形態では、T細胞は、TCRを発現するように遺伝子改変されたT細胞である。TCRは、一般に、アルファペプチド鎖およびベータペプチド鎖からなるヘテロ二量体を使用して、MHC分子によって提示されるポリペプチド断片を認識し、また、TCR T細胞は、特定の抗原を認識することができる遺伝子操作されたTCR産物である。一般に、人工的に設計された高親和性TCRが遺伝子操作技術によってT細胞にコードされ、それにより、T細胞による腫瘍細胞の認識の間の特異的認識および親和性の両方が増強される。TCR-T細胞は、TCR-T細胞の投与を受ける対象に対して自己であっても同種であってもよい。一部の実施形態では、TCR-T細胞は対象に対して同種である。他の実施形態では、TCR-T細胞は自己である。例えば、CAR T細胞を作製する1つの方法についての実施例などの当業者に公知の技法を使用して、CAR-T細胞およびTCR T細胞を作製することができる。
【0120】
ある特定の実施形態では、TCR T細胞は、血液学的悪性腫瘍上の抗原(例えば、CMV、WT1、HA-1)を認識する。ある特定の実施形態では、TCR T細胞は、固形腫瘍上の抗原(例えば、HBV、p53、変異型KRAS)を認識する。ある特定の実施形態では、TCR T細胞は、HIVに関連するSL9を認識する。
【0121】
本明細書で提供されている通り、本開示に記載の疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法は、ミトコンドリア置換T細胞を老化T細胞から作製することにも適用可能である。老化細胞は、一般に、1つまたは複数の表現型マーカー、例えば、炎症性サイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、増殖因子、およびプロテアーゼの分泌の増加、ならびに細胞集団倍加の低減および/または速度の低下、テロメアの短縮、DNA損傷応答(DDR)の増大、またはこれらの組合せを示す。
【0122】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化細胞から作製され、ミトコンドリア置換T細胞は、単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートされていない老化T細胞と比較して老化の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化細胞から作製され、炎症性サイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα))の分泌の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化細胞から作製され、増殖因子の分泌の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化細胞から作製され、プロテアーゼの分泌の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化細胞から作製され、増大した増殖を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化細胞から作製され、テロメア短縮の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化細胞から作製され、DNA損傷応答(DDR)の低減を有する。
【0123】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞から作製され、ミトコンドリア置換T細胞は、単離された外因性ミトコンドリアと共にインキュベートされていない疲弊T細胞と比較して老化の低減を有する。ある特定の実施形態は、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞から作製され、炎症性サイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα))の分泌の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞から作製され、増殖因子の分泌の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞から作製され、プロテアーゼの分泌の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞から作製され、増大した増殖を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞から作製され、テロメア短縮の低減を有する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞から作製され、DNA損傷応答(DDR)の低減を有する。
【0124】
具体的な実施形態では、実施例8.1に記載の方法を使用してミトコンドリア置換T細胞を生成するための方法が本明細書で提供される。
6.2 処置方法
【0125】
本明細書で提供されている通り、本開示の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、例えば6.2.1節、6.2.2節および6.2.3節に記載の方法における、細胞に基づく治療(単数または複数)としての使用に適している。例えば、一部の実施形態では、有効量の、6.1節に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞を薬学的に許容される担体と組み合わせて、医薬組成物をもたらすことができる。
【0126】
一部の実施形態では、本明細書に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞を含む組成物(例えば、医薬組成物)が本明細書で提供される。一部の実施形態では、有効量の、本明細書に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物(例えば、医薬組成物)が本明細書で提供される。
【0127】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される」という用語は、担体に関して使用される場合、担体、希釈剤または賦形剤が毒性でも他の点で望ましくないものでもなく(すなわち、材料を、いかなる望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく対象に投与することができる)、製剤の他の成分と適合性であることを意味するものとする。「担体」という用語は、治療薬と共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。そのような医薬担体は、生理食塩溶液などの滅菌された液体であり得る。生理食塩溶液は、医薬組成物が静脈内投与される場合の担体であり得る。生理食塩溶液および水性デキストロースおよびグリセロール溶液も液体担体、特に注射液として用いることができる。組成物はまた、所望であれば、微量の湿潤剤もしくは乳化剤、またはpH緩衝剤を含有してもよい。
【0128】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約1×10~約1×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約10×10~約900×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約50×10~約800×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約100×10~約700×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約200×10~約900×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約250×10~約750×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約50×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約150×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約300×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約450×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約600×10個である。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約850×10個である。
【0129】
特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、例えば、対象の体重、または疾患もしくは障害の負荷量に基づいてなど、経験的に決定される。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約1.0×10個/kg~細胞約1.0×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約1.0×10個/kg~細胞約500×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約1.0×10個/kg~細胞約50×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約1.0×10個/kg~細胞約10×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約1.0×10個/kg~細胞約5.0×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約10×10個/kg~細胞約600×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約50×10個/kg~細胞約750×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約1.0×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約2.5×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約5.0×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約10.0×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約50.0×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約250.0×10個/kgである。一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞の有効量は、細胞約500×10個/kgである。
【0130】
ある特定の実施形態では、T細胞疲弊が生じやすい、治療に適用される任意のT細胞療法に対してミトコンドリア置換が有益であり得る。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、がんによってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、ウイルス感染症によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、細菌感染症によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、真菌感染症によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、肥満症または代謝障害によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、アルコール症によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、運動過剰によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、過度の精神的ストレスによってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、低酸素症によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、傷害によってT細胞疲弊が引き起こされる状態の処置における使用に適している。
【0131】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、加齢によってT細胞老化が引き起こされる状態の処置における使用に適している。
【0132】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、加齢性免疫学的機能障害の処置における使用に適している。
【0133】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、CD8+T細胞機能障害が認められる疾患状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、CD4+T細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、T細胞プライミングの機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、メモリーT細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、B細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、B細胞プライミングの機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、メモリーB細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、先天性リンパ球系細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、先天性T細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、先天性B細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、CD8+T細胞機能障害が認められる状態の処置における使用に適している。
【0134】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、T細胞疲弊が関与するがん患者における疾患状態の処置における使用に適している。例えば、PD-1のリガンドであるPD-L1および/またはPD-L2の発現が、例えば、食道がん、肝細胞癌、軟部肉腫、非小細胞肺がん、乳がん、卵巣がん、黒色腫、膵がん、子宮頸がん、および結腸がんなどのいくつかのヒト悪性腫瘍の予後と相関する。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、腫瘍へのT細胞浸潤の欠如または低減が認められる固形がん患者の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、T細胞疲弊表現型または老化表現型のいずれかを示すT細胞を有するがん患者の処置における使用に適している。
【0135】
抗がん治療により、処置を受けるがん患者において組織機能障害、および種々の加齢性症状の早発が促進される恐れがある(Wang B, et al., Trends Cancer. 2020 Oct; 6 (10): 838-857を参照されたい)。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、抗がん治療により誘発された老化細胞の蓄積および残存の処置における使用に適している。
【0136】
ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、T細胞疲弊またはT細胞老化が認められる線維化疾患の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、T細胞疲弊またはT細胞老化が認められる黄斑疾患の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、T細胞疲弊またはT細胞老化が認められる筋肉変性疾患の処置における使用に適している。ある特定の実施形態では、本明細書で提供されるミトコンドリア置換T細胞、例えば、6.1節または下に記載の実施例に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞は、T細胞疲弊またはT細胞老化が認められる神経変性疾患の処置における使用に適している。
【0137】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞を用いた処置の結果、以下のうちの1つ、2つ、もしくはそれよりも多く、または全てがもたらされる:(1)1つまたは複数の症状の重症度、進行、広がり、および/または発生頻度の低減、(2)1つまたは複数の症状および/または根本原因の消失、(3)1つまたは複数の症状および/またはそれらの根本原因の発生の防止、ならびに(4)損傷の改善または矯正。具体的な実施形態では、処置には、状態、疾患または障害に対する治療的処置ならびに予防的または抑制的措置が含まれる。
【0138】
一部の実施形態では、例えば、6.2.1節、6.2.2節および6.2.3節に記載の方法において、細胞に基づく治療(単数または複数)として使用するためのミトコンドリア置換T細胞は、ミトコンドリア置換T細胞の投与を受ける対象に対して自己または同種である。一部の実施形態では、例えば、6.2.1節、6.2.2節および6.2.3節に記載の方法において、細胞に基づく治療として使用するためのミトコンドリア置換T細胞は、ミトコンドリア置換T細胞の投与を受ける対象に対して自己である。一部の実施形態では、例えば、6.2.1節、6.2.2節および6.2.3節に記載の方法において、細胞に基づく治療として使用するためのミトコンドリア置換T細胞は、ミトコンドリア置換T細胞の投与を受ける対象に対して同種である。
6.2.1 加齢性疾患を処置する方法
【0139】
一態様では、加齢性疾患の症状を処置するまたは好転させるための方法であって、対象に、有効量の、6.1節に記載の方法に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。本明細書で提供される方法の一部の実施形態では、加齢性疾患は、自己免疫疾患、またはがんからなる群から選択される。具体的な実施形態では、対象はヒトである。
【0140】
ある特定の実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、以下のうちの1つ、2つもしくはそれよりも多く、または全てを含む:(1)1つまたは複数の症状の重症度、進行、広がり、および/または発生頻度の低減、(2)1つまたは複数の症状および/または根本原因の消失、(3)1つまたは複数の症状および/またはそれらの根本原因の発生の防止、ならびに(4)損傷の改善または矯正。一実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、症状の重症度の低下を含む。一実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、症状の進行の低減を含む。別の実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、症状の広がりの低減を含む。別の実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法により、症状の発生頻度が低減する。別の実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、症状の排除を含む。別の実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状の発生の防止を含む。別の実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)による損傷の改善を含む。別の実施形態では、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)の症状を好転させるための方法は、加齢性疾患(例えば、がんまたは自己免疫疾患)による損傷の矯正を含む。
【0141】
具体的な実施形態では、がんの処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の方法(例えば、6.1節または実施例において)に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。別の具体的な実施形態では、がんの症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の方法(例えば、6.1節または実施例において)に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。特定の実施形態では、疲弊T細胞およびミトコンドリア置換T細胞は、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、疲弊T細胞およびミトコンドリア置換T細胞は、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている。他の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている。
【0142】
別の具体的な実施形態では、それを必要とする対象における抗がん治療により誘発された老化細胞の蓄積および残存を処置するための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の方法(例えば、6.1節または実施例において)に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。別の具体的な実施形態では、それを必要とする対象における抗がん治療により誘発された老化細胞の症状を好転させるための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の方法(例えば、6.1節または実施例において)に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。
6.2.2 慢性感染症を処置する方法
【0143】
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、B型肝炎(HBV)、およびC型肝炎(HCV)などの種々のヒト慢性ウイルス感染症、ならびにマラリアおよびMycobacterium tuberculosisなどの非ウイルス性慢性感染症においてT細胞疲弊も報告されている。したがって、一態様では、それを必要とする対象における慢性感染症の症状を好転させるための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の方法(例えば、6.1節または実施例において)に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。
【0144】
ある特定の実施形態では、慢性感染症は、ウイルス感染症である。本明細書に記載のミトコンドリア置換T細胞を用いた処置に適したウイルス感染症の非限定的な例としては、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、B型肝炎(HBV)感染症、C型肝炎(HCV)感染症、サイトメガロウイルス感染症、およびSARS-CoV-2感染症が挙げられる。一実施形態では、慢性ウイルス感染症はHIVである。一実施形態では、慢性ウイルス感染症はHBV感染症である。別の実施形態では、慢性ウイルス感染症はHCV感染症である。別の実施形態では、慢性ウイルス感染症はサイトメガロウイルス感染症である。一実施形態では、慢性ウイルス感染症はSARS-CoV-2感染症である。他の実施形態では、慢性感染症は非ウイルス感染症である。例えば、ある特定の実施形態では、慢性感染症は細菌または真菌感染症である。
【0145】
ある特定の実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、以下のうちの1つ、2つ、もしくはそれよりも多く、または全てを含む:(1)1つまたは複数の症状の重症度、進行、広がり、および/または発生頻度の低減、(2)1つまたは複数の症状および/または根本原因の消失、(3)1つまたは複数の症状および/またはそれらの根本原因の発生の防止、ならびに(4)損傷の改善または矯正。一実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、症状の重症度の低下を含む。一実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、症状の進行の低減を含む。別の実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、症状の広がりの低減を含む。別の実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法により、症状の発生頻度が低減する。別の実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、症状の排除を含む。別の実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、慢性感染症の症状の発生の防止を含む。別の実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、慢性感染症による損傷の改善を含む。別の実施形態では、慢性感染症の症状を好転させるための方法は、慢性感染症による損傷の矯正を含む。
6.2.3 ミトコンドリア病または障害を処置する方法
【0146】
別の態様では、それを必要とする対象に対する、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法であって、対象に、有効量の、本明細書に記載の方法(例えば、6.1節または実施例において)に従って生成されたミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物を投与するステップを含む、方法が本明細書で提供される。
【0147】
ミトコンドリア複合体IIIは、調節性T細胞(Treg)の抑制機能のために必須である。例えば、Treg細胞は免疫調節性遺伝子発現および抑制機能を維持するためにミトコンドリア複合体IIIを必要とすることが示されている(Weinberg, S. et al. Nature vol. 565,7740 (2019) : 495-499を参照されたい)。ミトコンドリア複合体III欠損症は、遺伝子疾患である。ミトコンドリア複合体III欠損症は、一般に、BCS1L、UQCRBおよびUQCRQ遺伝子の核DNAの変異によって引き起こされ、常染色体劣性様式で遺伝する。しかし、MTCYB遺伝子のミトコンドリアDNAの変異によって引きこされる場合もあり、その場合、母親から伝わるまたは散発的に生じ、軽症の状態がもたらされ得る。
【0148】
したがって、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞はTreg細胞であり、ミトコンドリア置換T細胞は、ミトコンドリア複合体III欠損症を有する対象に投与される。具体的な実施形態では、対象はヒト対象である。
【0149】
ある特定の実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、以下のうちの1つ、2つ、3つもしくはそれよりも多く、または全てを含む:(1)1つまたは複数の症状の重症度、進行、広がり、および/または発生頻度の低減、(2)1つまたは複数の症状および/または根本原因の消失、(3)1つまたは複数の症状および/またはそれらの根本原因の発生の防止、ならびに(4)損傷の改善または矯正。一実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、症状の重症度の低下を含む。一実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、症状の進行の低減を含む。別の実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、症状の広がりの低減を含む。別の実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法により、症状の発生頻度が低減する。別の実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、症状の排除を含む。別の実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状の発生の防止を含む。別の実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、ミトコンドリア複合体III欠損症による損傷の改善を含む。別の実施形態では、ミトコンドリア複合体III欠損症の症状を好転させるための方法は、ミトコンドリア複合体III欠損症による損傷の矯正を含む。
6.3 生物学的アッセイ
【0150】
具体的な実施形態では、疲弊T細胞からのミトコンドリア置換T細胞の上首尾の生成により、ミトコンドリア置換を伴わない疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有するT細胞がもたらされる。種々の機能アッセイを使用して、ミトコンドリア置換T細胞の表現型を評価(assess)および評価(evaluate)することができる。
【0151】
一部の実施形態では、ミトコンドリア置換T細胞は、ミトコンドリア置換を伴わないT細胞と比べてミトコンドリア機能の改善を有する。ミトコンドリア機能を評価する方法は当業者には理解されよう。例えば、Seahorse Bioscience XF Extracellular Flux Analyzerなどの細胞に基づくアッセイを使用して基礎酸素消費量、解糖速度、ATP産生、および呼吸容量の決定を実施して、ミトコンドリア機能不全を評価することができる。同様に、Oroboros 02K呼吸計を使用して、定量的な機能的ミトコンドリア診断を確立することもできる。上記のアッセイ例は例示的なものであり、ミトコンドリア機能を評価するための全ての方法を包括するものではないことが理解される。
【0152】
細胞増殖の増大もT細胞機能の改善の指標であることができる。T細胞の細胞増殖を測定するための例示的なアッセイは、混合リンパ球反応(MLR)アッセイである。MLRアッセイは、一般に、ミトコンドリア置換T細胞、例えばCD4+T細胞の集団をリンパ球の異なる集団と組み合わせ、増殖を測定することを伴う。一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞と比較して細胞増殖の増大を有する。
【0153】
例えば、細胞傷害性T細胞における、ミトコンドリア置換細胞の機能を評価するために使用することができる別の例示的なアッセイは、細胞傷害性T細胞(CTL)アッセイである。CTLアッセイは、特定の抗原に対するT細胞の存在および細胞傷害活性を示し、この免疫機能に対する試験項目の影響を調査することを可能にするものである。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞と比較してCTL応答の増大を有する。
【0154】
Ca2+シグナル伝達は、T細胞活性化のために、多数のシグナル伝達経路を迅速に活性化し、統合して、遺伝子の発現および機能に広範にわたる変化を生じさせる手段として極めて重要である。Ca2+シグナル伝達を評価するための様々なアッセイが当技術分野で公知である(Samakai E, et al., Signaling Mechanisms Regulating T Cell Diversity and Function. Boca Raton (FL): CRC Press/Taylor & Francis; 2018. Chapter 10.を参照されたい)したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞と比較してCa2+シグナル伝達の増大を有する。
【0155】
テロメア長もミトコンドリア置換細胞の機能の指標として役立つことができる。テロメア長は、当技術分野で公知の任意の方法を使用して評価することができる。1つの例示的な技法は、qPCRによって絶対的なテロメア長を測定することによるものである。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞と比較してテロメア短縮の低減を有する。
【0156】
一部の実施形態では、ミトコンドリア置換細胞は、T細胞疲弊の低減を示す。疲弊マーカー(例えば、PD-1/TIM3/LAG3)についてのFACS分析を使用して、T細胞疲弊を評価することができる。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、疲弊T細胞と比較して疲弊の低減を有する。
【0157】
本明細書で提供されている通り、一部の実施形態では、ミトコンドリア置換細胞を生成するために使用されるT細胞は老化したものであり、ミトコンドリア置換細胞は、老化の低減を示す。したがって、老化関連分泌表現型(SASP)を評価することは、機能アッセイとして役立ち得る。SASPには、炎症性サイトカイン(例えば、インターフェロンガンマ(IFNγ)および/または腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)、増殖因子、およびプロテアーゼの分泌の増加、ならびに細胞集団倍加の低減および/または速度の低下、テロメアの短縮、DNA損傷応答(DDR)の増大、またはこれらの組合せが含まれる。老化マーカー(例えば、CD57/KIR/KLRG1)についてのFACS分析を用いることもできる。したがって、一部の実施形態では、本明細書で提供される方法に従って生成されるミトコンドリア置換T細胞は、老化T細胞と比較して老化の低減を有する。
6.4 ヌクレオチドおよびタンパク質検出アッセイ
【0158】
当業者に公知のまたは本明細書に記載の技法(例えば、実施例におけるもの)を使用して、XbaIRをコードするヌクレオチドの量(例えば、PCRもしくはqPCR)、またはXbaIRもしくは融合タンパク質の量(例えば、免疫ブロット、ELISA)評価することができる。
7.実施形態
【0159】
本発明は、以下の非限定的な実施形態を提供する。
【0160】
A1
疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、
内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、プログラム細胞死-1(PD-1)の発現が、前記ミトコンドリア置換T細胞が作製される前記疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.1分の1に低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップ
を含み、
前記ミトコンドリア置換T細胞が、前記疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有する、方法。
【0161】
A2
疲弊T細胞からミトコンドリア置換T細胞を作製するための方法であって、
(a)疲弊T細胞に、ミトコンドリア標的化配列(MTS)とXbaIRとを含む融合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸配列をエレクトロポレーションして、内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数を減少させるステップと、
(b)内因性ミトコンドリアDNA(mtDNA)コピー数が減少した前記疲弊T細胞を、単離された外因性ミトコンドリアと共に十分な期間にわたってインキュベートして、PD-1の発現が、前記ミトコンドリア置換T細胞が作製される前記疲弊T細胞によるPD-1の発現と比べて、多くても1.1分の1に低減したミトコンドリア置換T細胞を生成するステップと
を含み、前記ミトコンドリア置換T細胞が、前記疲弊T細胞と比べて改善されたエフェクター機能を有する、方法。
【0162】
A3
前記疲弊T細胞の前記単離された外因性ミトコンドリアとのインキュベーションが、ラパマイシンの存在下で行われる、実施形態A1またはA2に記載の方法。
【0163】
A4
ラパマイシンが、100nM~1000nMの濃度で存在する、実施形態A3に記載の方法。
【0164】
A5
PD-1の発現が多くても1.2分の1に低減する、実施形態A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0165】
A6
PD-1の発現が多くても1.25分の1に低減する、実施形態A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0166】
A7
PD-1の発現が多くても1.5分の1に低減する、実施形態A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0167】
A8
PD-1の発現が多くても2分の1に低減する、実施形態A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0168】
A9
PD-1の発現が多くても5分の1に低減する、実施形態A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0169】
A10
PD-1の発現が約1.1分の1~約1.5分の1に低減する、実施形態A1からA4のいずれか一項に記載の方法。
【0170】
A11
T細胞免疫グロブリンおよびムチンドメイン含有タンパク質3(TIM3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG3)、T細胞免疫グロブリンおよびITIMドメイン(TIGIT)、TOX、またはこれらの組合せの発現を低減させる、実施形態A1からA10のいずれか一項に記載の方法。
【0171】
A12
前記単離された外因性ミトコンドリアが、細胞1×10個当たりタンパク質約20μg~約80μgである、実施形態A1からA11のいずれか一項に記載の方法。
【0172】
A13
前記ミトコンドリア置換T細胞が、少なくとも20%の前記外因性mtDNAを含む、実施形態A1からA12のいずれか一項に記載の方法。
【0173】
A14
前記ミトコンドリア置換T細胞が、TaqMan一塩基多型(SNP)アッセイによって測定して少なくとも20%の外因性mtDNAかつ80%以下の外因性mtDNAを含む、実施形態A1からA12のいずれか一項に記載の方法。
【0174】
A15
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、少なくともおよそ24時間である、実施形態A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0175】
A16
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、少なくとも36時間である、実施形態A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0176】
A17
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、少なくとも48時間である、実施形態A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0177】
A18
前記ミトコンドリア置換T細胞が生成されるのに十分な期間が、約24時間~約72時間である、実施形態A1からA14のいずれか一項に記載の方法。
【0178】
A19
前記改善されたエフェクター機能が、増大した増殖、増大した細胞傷害、サイトカインの増加した分泌、またはこれらの組合せを含む、実施形態A1からA18のいずれか一項に記載の方法。
【0179】
A20
前記疲弊T細胞が、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)をコードする外因性ポリヌクレオチドを含む、実施形態A1からA19のいずれか一項に記載の方法。
【0180】
A21
前記疲弊T細胞が、T細胞受容体(TCR)またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子改変されている、実施形態A1からA19のいずれか一項に記載の方法。
【0181】
A22
実施形態A1からA19のいずれか一項に記載の方法によって生成されたミトコンドリア置換T細胞。
【0182】
A23
実施形態A20またはA21に記載の方法によって生成されたミトコンドリア置換T細胞。
【0183】
A24
有効量の、実施形態A22に記載のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
【0184】
A25
慢性ウイルス感染症の症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、実施形態A24に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【0185】
A26
前記慢性ウイルス感染症が、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、サイトメガロウイルス感染症(CMV)、および重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)-2感染症である、実施形態A25に記載の方法。
【0186】
A27
有効量の、実施形態A23に記載のミトコンドリア置換T細胞と、薬学的に許容される担体とを含む組成物。
【0187】
A28
がんの処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、実施形態A24またはA27に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【0188】
A29
がんの症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、実施形態A24またはA27に記載の組成物を投与するステップを含む、方法。
【0189】
A30
T細胞疲弊に関連する、T細胞疲弊が伴う、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、実施形態A24またはA27に記載の組成物を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、
(a)がん;
(b)ウイルス感染症;
(c)細菌感染症;
(d)肥満症もしくは代謝障害;
(e)アルコール症;
(f)運動過剰;
(g)過度の精神的ストレス;
(h)低酸素症;
(i)傷害;
(j)老化;
(k)加齢性免疫学的機能障害;
(l)線維化疾患;
(m)黄斑疾患;
(n)筋肉変性疾患;または
(o)神経変性疾患
である、方法。
【0190】
A31
T細胞疲弊に関連する、T細胞疲弊が伴う、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の症状の好転を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、実施形態A24またはA27に記載の組成物を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、
(a)がん;
(b)ウイルス感染症;
(c)細菌感染症;
(d)肥満症もしくは代謝障害;
(e)アルコール症;
(f)運動過剰;
(g)過度の精神的ストレス;
(h)低酸素症;
(i)傷害;
(j)老化;
(k)加齢性免疫学的機能障害;
(l)線維化疾患;
(m)黄斑疾患;
(n)筋肉変性疾患;または
(o)神経変性疾患
である、方法。
【0191】
A32
T細胞疲弊に関連する、またはT細胞疲弊が関与する、またはT細胞疲弊によって引き起こされる疾患または状態の処置を、それを必要とする対象において行うための方法であって、前記対象に、実施形態A24またはA27に記載の組成物を投与するステップを含み、前記疾患または状態が、
(a)CD8+T細胞機能障害;
(b)CD4+T細胞機能障害;
(c)T細胞プライミングの機能障害;
(d)メモリーT細胞機能障害;
(e)エフェクターB細胞機能障害;
(f)B細胞プライミングの機能障害;
(g)メモリーB細胞機能障害;
(h)先天性リンパ球系細胞機能障害;
(i)先天性T細胞機能障害;または
(j)先天性B細胞機能障害
である、方法。
【0192】
A33
前記対象がヒトである、実施形態A25、A26またはA28からA32のいずれか一項に記載の方法。
【実施例
【0193】
8.実施例
この節の実施例は実例として提示するものであり、限定として提示するものではない。以下の実施例は本発明の例示的な実施形態として提示される。以下の実施例は、本発明の広い範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例1)
8.1 実施例1:ミトコンドリア置換を使用して免疫細胞疲弊を低減させるための方法および組成物
【0194】
以下の実施例では、疲弊T細胞に対してミトコンドリア置換を使用してMir T細胞を生成することにより、疲弊T細胞の表現型マーカーを低減することができることを実証する。
8.1.1 材料および方法
【0195】
初代ヒトTリンパ球の単離および細胞培養:末梢血は、倫理委員会による承認の下、自由意志で募集に応じた健康な人から善意で提供された。ヘパリン添加静脈血を標準的な手順に従って肘正中皮静脈から取得した(NP-EN0507、NIPRO、Osaka、Japan)。1.077g/mlのPercoll(GE Healthcare Life Sciences、Buckinghamshire、England)を用いた密度勾配遠心分離を使用してヒト末梢血単核細胞(PBMC)をヒト末梢血から単離した。細胞を、10%ウシ胎仔血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン(Thermo Fisher Scientific incorporated)、20μMのIL-7、および10μMのIL-15を補充したTexMACS培地(Miltenyi Biotec)中、抗CD3抗体および抗CD28抗体(Miltenyi Biotec)を用いて活性化した細胞培養プレート上で培養した。細胞を、加湿5%COインキュベーター中、37℃でインキュベートした。
【0196】
CAR T細胞の生成:CAR T細胞は、健康な志願者から採血された末梢血のT細胞から、横紋筋肉腫において発現されるエフェドリンB型受容体4(EPHB4)のリガンドを有する組換えベクターを移入することによって生成されたものであった(Kubo, H., et al. (2021). "Development of non-viral, ligand-dependent, EPHB4-specific chimeric antigen receptor T cells for treatment of rhabdomyosarcoma." Mol Ther Oncolytics 20: 646-658を参照されたい)。
【0197】
CAR T細胞の疲弊の誘導:EPHB4のリガンドを発現するCAR T細胞を、いかなるサイトカインシグナル伝達も伴わずに、EPHB4を発現する横紋筋肉腫細胞であるRh30細胞と共培養(co-cultivate)した。3日間共培養した後、CAR T細胞は、疲弊T細胞のマーカーであるPD-1を有意に発現した。CAR Tが存在し、持続的な抗原刺激があり、支持性シグナル(CD3、CD28、IL-7、およびIL-15)が存在しない環境は固形腫瘍の微小環境を模倣するものである。
【0198】
ミトコンドリアの単離およびヒトT細胞への移入:ミトコンドリアをDsRed-Mt EMCから以前に記載されている通り分画遠心法によって単離した。簡単に述べると、細胞を培養皿からプロテアーゼ阻害薬混合物(Sigma-Aldrich,St.Louis、Missouri、USA)を含有するホモジナイゼーション緩衝剤[HB;20mMのHEPES-KOH(pH7.4)、220mMのマンニトールおよび70mMのスクロース]を用いて回収した。細胞ペレットをHB中に再懸濁させ、氷上で5分間インキュベートした。細胞を、氷上で27ゲージの針で10回突き刺すことによって破裂させた。ホモジネートを2回遠心分離して(400×g、4℃;5分間)、破壊されなかった細胞を除去した。ミトコンドリアを遠心分離(6000×g、4℃;5分間)によって回収し、HB中に再懸濁させた。単離されたミトコンドリアの量をBio-Radタンパク質アッセイキット(Bio-Rad Laboratories,incorporated、Richmond、CA、USA)を使用してタンパク質濃度として表した。疲弊CAR-T生成プロトコールの3日後に、細胞にMTSと融合したXbaIRをエレクトロポレーションによって受けさせて、mtDNAコピー数を減少させた。遺伝子移入後、細胞を、CD3/CD28をコーティングしたディッシュ上、完全なT細胞成長培地中に再プレーティングした。ミトコンドリアの移入を、単離されたミトコンドリアをCAR-T由来のρ(-)細胞と共インキュベートし、その後、遠心分離(室温、1,500×gで5分間)することによって実施した。
【0199】
ミトコンドリアDNAのD-ループ配列の直接配列決定:DNA全体を細胞からNucleoSpin Tissue(MACHEREY-NAGEL GmbH & Co.KG)を使用して抽出した。抽出されたDNAを鋳型として使用し、GoTaq(登録商標)Green Master Mix(Promega KK.)をGoTaq(登録商標)Green Master Mix Protocolに従って使用してミトコンドリアDNAのD-ループ配列を増幅させた。プライマー配列は、フォワードプライマー:5’-ctctgttctttcatggggaagc-3’(配列番号3)およびリバースプライマー:5’-cataaactgtggggggtgtct-3’(配列番号4)であった。増幅後、PCR産物を1%アガロースゲルで電気泳動し、1,134bpのバンドをNucleoSpin GelおよびPCR Clean-up kit(MACHEREY-NAGEL GmbH & Co.KG)を使用して精製した。抽出されたPCR産物を、PCR増幅に使用したフォワードプライマーおよびApplied Biosystems 3730xl DNA analyzer(Thermo Fisher Scientific Inc.)を使用して配列決定した。
【0200】
TaqMan一塩基多型(SNP)アッセイを使用したmtDNAに対するヘテロプラスミー分析:ヘテロプラスミー比を決定するために、TaqMan SNPアッセイ用の野生型(NHDF)対立遺伝子特異的TaqManプローブおよび変異型(YG細胞)対立遺伝子特異的TaqManプローブを設計した。抽出されたDNA(10ng)を、CFX connect real-time system(Bio-Rad Laboratories,Incorporated)でTaqMan Universal PCR Master Mix kit(Thermo Fisher Scientific Incorporated)を用いた、以下の条件:最初の変性(95℃で10分間)後、40サイクルのPCR(95℃で15秒間および60℃で1分間)の下での定量的PCRのために使用した。プライマー配列は、フォワードプライマーとして5’-TTACTGCCAGCCACCATGAA-3’(配列番号5)およびリバースプライマーとして5’-TTGATGTGGATTGGGTTTTTATGT-3’(配列番号6)であった。野生型(NHDF)に対するプローブはFAM-ACAGGTGGTAAGTATT-MGB(配列番号7)であり、変異(YG細胞)に対するプローブはVIC-CAGGTGGTAAGTAT-MGB(配列番号8)であった。野生型配列または変異体配列のいずれかについて増幅されたmtDNA D-ループ断片を含有するプラスミドの分かっているコピー数を使用して較正曲線を作成した。TaqMan SNPの検証により、mtDNA配列に基づいてYG細胞をNHDF細胞と区別可能であることが示された(図2B)。
【0201】
CAR-T細胞におけるPD-1発現の分析:CAR-T細胞(5×10個)をヒト横紋筋肉腫Rh-30細胞(1×10個)と3日間共培養して疲弊させた。培養した細胞をPBSで洗浄し(300×gで5分間)、1×10個をMACS緩衝剤(Miltenyi Biotec)200μl中に懸濁させ、FITC抗ヒトCD279(PD-1)抗体(329904、BioLegend,Inc.)およびPE抗ヒトCD3抗体(300408、BioLegend,Inc.)各5μl、ならびに7-AAD(559925、Becton,Dickinson and Company)1μlを添加した。混合物を37℃で30分間インキュベートした。MACS緩衝剤で洗浄後、混合物をMACS緩衝剤500μlに懸濁させ、細胞表面上のPD-1発現についてCell Sorter MA900(Sony)を使用して分析した。PD-1およびCD3の発現レベルをFlowJoソフトウェア(Becton,Dickinson and Company)を使用して分析した。
【0202】
FlowJoソフトウェアを使用した平均蛍光強度の測定:FlowJoソフトウェア(バージョン10.6)の統計関数である幾何平均蛍光強度法を使用して平均蛍光強度(MFI)を測定した。簡単に述べると、作業空間内でFITC群を選択し、統計関数ボタンをクリックする。次いで、幾何平均を選択し、ダイアログ内でFITCパラメータを選択し、追加ボタンをクリックする。次いで、MFI値が作業空間内に表示される。
8.1.2 結果
【0203】
Rh30ヒト横紋筋肉腫細胞(2×10個)を6ウェルディッシュに播種し、DMEM+10%FBS中で培養した。翌日(「0日目」)、EPHB4特異的キメラ抗原受容体CAR-T細胞(1×10個)を同じ6ウェルディッシュに添加し、Rh30細胞と3日間共インキュベートした。0日目および3日目のCAR-T細胞による疲弊マーカーPD-1の発現レベルについてのFACS分析から、CD3+/PD1+細胞のパーセンテージが1.84%から共培養後には23.8%まで上昇したことが示された(図1)。したがって、共培養により疲弊CAR-T細胞が生成された。
【0204】
3日目に、CAR-T細胞にXbaIR mRNAをエレクトロポレーションすることにより、疲弊CAR-T細胞における内因性ミトコンドリアDNAを枯渇させた。陰性対照として、疲弊CAR-T細胞にXbaIR mRNAを伴わずエレクトロポレーションのみを行い、同じエレクトロポレーションに供し、CAR-T細胞をXbaIR mRNAと接触させた。mtDNA含量の代理マーカーである12S rRNAが3日目に半減し、それにより、XbaIRによって有効なmtDNA減少が引き起こされたことが確認される(図2A)。
【0205】
エレクトロポレーション後、CAR-T細胞を、IL-7/IL-15を伴うCD3/28をコーティングしたディッシュに再プレーティングし、2日間培養した(図1)。5日目に、正常ヒト由来線維芽細胞(NHDF)由来ドナーミトコンドリアを、XbaIRと接触させたまたは接触させていないエレクトロポレーションより導入したCAR-T細胞とさらに2日間共培養して、それぞれMir CAR-T細胞または陰性対照疲弊CAR-T細胞を生成させた。7日目にFACSおよびTaqMan SNPアッセイを実施した。
【0206】
7日目に測定したTaqMan SNPアッセイの結果から、Mir CAR-T細胞が約40%のNHDF由来ドナーmtDNAを含有することが示された(図2B)。さらに、7日目のFACS分析から、CD3+/PD-1+細胞のパーセンテージが無染色細胞については0.045%(図3A)、ミトコンドリア枯渇を受けていない疲弊CAR-T細胞については63.8%(図3B)、および疲弊Mir CAR T細胞については66.8%(図3C)であることが示された。
【0207】
ミトコンドリア置換の2日後のPD-1抗原の発現分析から、疲弊Mir CAR-T細胞上のPD-1発現が、XbaIRのエレクトロポレーションによる導入がなされていない疲弊CAR-T細胞と比べておよそ1.3分の1に低減した(すなわち24%低減した)ことが明らかになった(図4Aおよび表1)。変化倍率は、疲弊CAR-T細胞におけるPD-1抗原計数を疲弊Mir CAR-T細胞におけるPD-1抗原計数で割ることによって算出した。変化パーセントは以下の通り算出した:[[(疲弊Mir CAR-T細胞におけるPD-1抗原計数)-(疲弊CAR-T細胞におけるPD-1抗原計数)]÷疲弊CAR-T細胞におけるPD-1抗原計数]×100。
【0208】
表1
【表1】
【0209】
さらに、平均蛍光強度の棒グラフから、Mir CAR-T細胞ではPD-1の強度が低下することが示され、それにより、PD-1抗原の発現が低減することが示される(図4B)。
【0210】
総合すると、これらの結果から、疲弊T細胞におけるミトコンドリア置換により、疲弊の例示的な表現型マーカーであるPD-1の発現を低減させることができることが実証される。そのようなPD-1の発現が低減したMir T細胞には、がんおよび慢性ウイルス感染症などの種々の状態の処置における有用性がある。
【0211】
上記の実施形態は、ただ単に例示的なものであることが意図されており、当業者は、特定の化合物、材料、および手順の多数の等価物を理解するまたは常套的な実験だけを使用して確認することができる。そのような等価物は全て、本発明の範囲内に入り、添付の特許請求の範囲に包含されるものとみなされる。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図4-1】
図4-2】
【配列表】
2024525933000001.app
【国際調査報告】