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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】子宮内膜がんのバイオマーカー
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20240705BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240705BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N33/53 D
G01N33/574 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503876
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-03-12
(86)【国際出願番号】 EP2022070680
(87)【国際公開番号】W WO2023002039
(87)【国際公開日】2023-01-26
(31)【優先権主張番号】21382680.3
(32)【優先日】2021-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512274953
【氏名又は名称】フンダシオ オスピタル ウニベルシタリ バル デブロン-インスティテュート デ レセルカ
(71)【出願人】
【識別番号】518384906
【氏名又は名称】ルクセンブルク インスティテュート オブ ヘルス(エルアイエイチ)
【氏名又は名称原語表記】LUXEMBOURG INSTITUTE OF HEALTH(LIH)
【住所又は居所原語表記】1A-B, rue Thomas Edison, L-1445 Strassen, LUXEMBOURG
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コル デ ラ ルビア,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】コラス オルテガ,エヴァ
(72)【発明者】
【氏名】カブレラ ディアス,シルビア
(72)【発明者】
【氏名】ジル モレノ,アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス ガルシア,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】ディトマー,グナー アルフレッド ギュンター
【テーマコード(参考)】
2G045
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045AA26
2G045CB02
2G045CB15
2G045DA36
2G045FB03
(57)【要約】
本発明は、1つ以上のタンパク質の発現レベルを検出することによって、容易に利用できる単離された婦人科試料において子宮内膜がんを診断および予後判定する方法を提供する。特に、女性生殖管の流体試料からである。本発明はまた、疾患の診断および予後判定に使用するための当該タンパク質を検出するための手段を含むキットを提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮内膜がんの診断および/または予後判定のための方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含むかまたはそれらから選択される婦人科試料採取から選択される試料中、ミッドカイン(MDK)の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、方法。
【請求項2】
前記試料がパップスメアであり、具体的には、パップスメアに含まれる流体および/または頸管粘液である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
表1に列挙されたタンパク質のうちの1つ以上、特に以下のタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップをさらに含む、請求項1から2のいずれか一項に記載の方法:
アポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)。
【請求項4】
前記タンパク質のうちの2、3、または4個の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記単離された試料中、MDK、LCN2;MDK、FN1;MDK、PLBD1;MDK、APOB;MDK、CD44;MDK、FCGBP;MDK、EPS8L1;MDK、ANXA3;MDK、C4BPA;MDK、MMP8;MDK、NEDD-8;MDK、CAMP;MDK、TIMP2;MDK、HSPE1;MDK、CALU;MDK、C1QA;MDK、LDHA;MDK、TIMP2;MDK、PIGR;MDK、KRT8;MDK、PPL;MDK、SPRR1A;MDK、STMN1;MDK、CAPS;MDK、CA1;MDK、CCT6A;MDK、VIM;MDK、TCP1;およびMDK、AGRNからなる群の少なくとも1つの2値のセット;ならびに/または表4および表6のいずれかに列挙された少なくとも1つの2値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記単離された試料中、MDK、ANXA7、CSE1L;MDK、LCN2、FGFBP1;MDK、LCN2、ANXA7;MDK、FGFBP1、LCN2;MDK、APOF、FCGBP;MDK、IMPA1、FCGBP;MDK、LCN2、CD44;MDK、STX7、FCGBP;MDK、ITIH2、FCGBP;MDK、LCN2、EPS8L1;MDK、FGFBP、EPS8L1;MDK、ANXA7、FCGBP;MDK、LCN2、PLBD1;MDK、FCGBP、CD44;MDK、PLBD1、FCGBP;MDK、ANXA3、FCGBP;MDK、PLBD1、LGALS1;MDK、LCN2、IMPA1;MDK、FCGBP、VIM;MDK、FCGBP、LMNB1;MDK、PLBD1、ATP6V1G1;MDK、APOB、PKM;MDK、ITIH2、LCN2;MDK、PLBD1、CALU;MDK、LCN2、APOF;MDK、PLBD1、EPS8L1;MDK、APOC1、ANXA7;MDK、FCGBP、GYG1;MDK、PLBD1、PKM;MDK、FCGBP、LSP1;MDK、TIMP2、CD44;MDK、ANXA3、PLBD1;MDK、PLBD1、HSPE1;MDK、PLBD1、CA1;MDK、FCGBP、HCLS1;MDK、STX7、IMPA1;MDK、ANXA7、STX7;MDK、STX7、EPS8L1;MDK、PLBD1、LSP1;MDK、C1R、ANXA7;MDK、STX7、PEA15;MDK、PLBD1、HCLS1;MDK、LCAT、FCGBP;MDK、PLBD1、LDHA;MDK、APOB、S100A9;MDK、ANXA7、SCEL;MDK、SERPINA3、FCGBP;MDK、FCGBP、ITGB2;MDK、SCEL、ANXA3;MDK、S100A9、PLBD1;MDK、S100A9、LSP1;MDK、C1R、FCGBP;MDK、FGFBP1、FCGBP;MDK、APOC1、S100A9;MDK、PPL、PLBD1;MDK、TCP1、PEA15;MDK、ANXA3、LSP1;MDK、PPL、IMPA1;MDK、S100A9、MMP8;MDK、FGFBP1、PPL;およびMDK、S100A9、PPLからなる群の少なくとも1つの3値のセット;ならびに/または表5および表7のいずれかに列挙された少なくとも1つの3値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記単離された試料中、3値のセット、MDK、ANXA7およびCSE1Lの存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
a)前記女性の生殖管から単離された試料中、インビトロで、MDKの発現レベルを、場合により請求項3から7のいずれか一項に列挙されたタンパク質のうちの1つ以上と組み合わせて決定するステップと、
b)ステップ(a)のMDK、および決定される場合、1つ以上の他の該タンパク質の該レベルを、子宮内膜がんに罹患している対象からの値もしくは値の区間から選択される、各タンパク質の対応する基準値もしくは基準区間と比較するステップ、ならびに/または子宮内膜がんと他の子宮内膜障害もしくは(すなわち、健康な)子宮内膜の状態とを識別するカットオフ値と比較するステップであって、少なくとも該MDKのレベルがこのがんに罹患している対象からの該値または値の区間内にある場合、および/または該カットオフ値に対する少なくとも該MDKのレベルが該子宮内膜がん群に分類される場合、該対象が子宮内膜がんと診断されるステップと
を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
子宮内膜がんの再発または再発リスクの診断方法であって、前記単離された女性の試料中、MUC1、PRSS8、PNP、APEH、MUC16、C9、SERPINC1、SERPINA1、F2、AMBP、HP、SERPINA3、CFB、ORM2、CAT、GNAI2、A1BG、FN1、C7.ASTRGL1、B4GALT1、CAPS、CBX3、CD163、CDV3、DMBT1、DSG3、EHD1、GOLM1、MUC5AC、NME1、NT5E、PDLIM5、RDXおよびVASPからなる群から選択されるタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップをさらに含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
子宮内膜がんサブタイプの診断方法であって、前記単離された女性の試料中、LBP、VWF、GPLD1、SAA4、APOF、C4BPA、SPRR1A、SERPIND1、APOB、SCEL、LCAT、SERPINA3、LMO7、C1R、MUC4、FN1、SPRR1B、C1QA、ITIH2、TIMP2、APOC1、GRN、ANXA3、S100A9、PLBD1、PIGR、SERPINH1、HSPE1からなる群から選択されるタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記発現レベルが前記タンパク質レベルで決定される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質レベルが、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアッセイまたは技術によって決定される、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記タンパク質の発現レベルが、前記タンパク質に結合することができる抗体またはその断片を使用して決定される、請求項11から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記抗体またはその断片oがキットの一部を形成する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液の1つ以上を含む婦人科試料採取から選択される試料における、子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのインビトロのマーカーとしてのMDKの使用。
【請求項16】
固体支持体と、MDKの存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段と、場合により、表1に列挙した1つ以上のタンパク質、特にアポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段とを含む、キット。
【請求項17】
請求項1から14のいずれか一項で定義された方法を実施するためのコンピュータ実装方法であって、MDK、ならびに場合により子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、ならびに/または異なる組織学的サブタイプおよびグレードおよび異なる分子的特徴を含む異なる予後判定を示す異なるECの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる、方法。
【請求項18】
子宮内膜がんの再発または再発リスクの診断方法であって、単離された女性の試料中、MUC1、PRSS8、PNP、APEH、MUC16、C9、SERPINC1、SERPINA1、F2、AMBP、HP、SERPINA3、CFB、ORM2、CAT、GNAI2、A1BG、FN1、C7.ASTRGL1、B4GALT1、CAPS、CBX3、CD163、CDV3、DMBT1、DSG3、EHD1、GOLM1、MUC5AC、NME1、NT5E、PDLIM5、RDXおよびVASPからなる群から選択されるタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップを含み、該試料が、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含むかまたはそれらから選択される婦人科試料採取から選択される試料である、方法。
【請求項19】
子宮内膜がんサブタイプおよび/または子宮内膜がん分子分類の診断方法であって、前記女性の単離された試料中、LBP、VWF、GPLD1、SAA4、APOF、C4BPA、SPRR1A、SERPIND1、APOB、SCEL、LCAT、SERPINA3、LMO7、C1R、MUC4、FN1、SPRR1B、C1QA、ITIH2、TIMP2、APOC1、GRN、ANXA3、S100A9、PLBD1、PIGR、SERPINH1、HSPE1からなる群から選択されるタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップを含み、前記試料が、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア様試料、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含むかまたはそれらから選択される婦人科試料採取から選択される試料である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年7月23日に出願された欧州特許出願第21382680号明細書の利益を主張する。
【0002】
本発明は、子宮内膜がんの診断および予後判定に関する。
【背景技術】
【0003】
子宮内膜がん(EC)は、女性生殖管の最も頻繁に観察される浸潤性腫瘍であり、先進国の女性では4番目に多いがんであり、米国では2021年に66,570例が診断され、12,940例が死亡したと推定されている。その早期診断は、95%の5年生存率に関連する。しかしながら、進行期で診断された場合、5年生存率は、局所転移では69%、遠隔転移では16%と劇的に低下する。現在、その早期診断のためのスクリーニングツールはなく、診断プロセスは、膣からの異常出血(AVB)が最も一般的である関連症状の観察から始まる。EC患者の90%がAVBを経験するが、この症状は疾患に特異的ではなく、試験患者の9%のみが最終的にECを呈する。第1の診断ステップは、子宮内膜にピペル(pipelle)生検の病理学的評価を実施することである。しかしながら、この処置は22%が失敗となり、これらの患者は診断されるために子宮鏡検査などの追加の侵襲的処置を受ける。年間で約700万人の女性が欧州でAVBを経験し、この診断プロセスを開始し、患者に病的状態をもたらし、ヘルスケアシステムに大きな負担をかける。したがって、早期診断の改善は、ECを適切に管理し、疾患に関連する死亡率を減少させるための主要な問題である。良性の子宮内膜病変を有する患者とECを有する患者との識別は、骨盤内検査および経膣超音波検査からなる冗長な診断プロセスと、それに続く子宮内膜生検の確認的組織病理学的検査との後にのみ達成される。この処置で使用される好ましい生検は、子宮吸引(uterine aspirate)および/またはピペル生検と呼ばれ、子宮腔内からの子宮内膜液の低侵襲吸引によって得られる。子宮吸引に対する現在の診断手順は、細胞物質の存在に依存しているため、このプロセスは、残念ながら、それぞれ8%および15%の診断失敗および関連する不適切な採取率を有する。これは、閉経後の女性では最大12%および22%増加する。これらの場合、子宮鏡検査によって誘導される生検を行う必要があり、この侵襲的技術は、子宮穿孔、出血および他の器官に有害となる可能性を含む、合併症のリスク増加を呈する。
【0004】
特許文献1および2は、子宮吸引中で決定することができ、他の子宮内膜状態からのECの鑑別診断に良好な特異性および感度を提供する有用なマーカーを開示している。特許文献2は、ECのサブタイプのうちの2つである、類内膜子宮内膜がん(EEC、endometroid endometrial cancer)と非類内膜EC症例(NEEC)とを区別することを可能とするための、ECの予後判定のための方法を提供している。
【0005】
今日まで、主に組織および血清試料中のECタンパク質バイオマーカーを同定するために多くの研究も行われてきた(例えば、非特許文献1または2を参照されたい)。これらはいずれも臨床的有用性に変換されていない。
【0006】
ECに関する重要な情報を回収するための血漿または血清試料を開示する他の文献は、議論の余地のあるまたは矛盾する結論をもたらす。例えば、非特許文献3では、ECの高リスク患者を特定するのに有用な血清バイオマーカーとして、分泌型ヘパリン結合成長因子であるミッドカイン(MDK)が提案されている。非特許文献4(図2(f)参照)では、子宮内膜症患者を子宮内膜がんサブグループから除外する場合、MDKはECを健常対照と区別することができないことが特定された。実際、Torresらは、TGM2のような血漿マーカーはECを正確に診断することができるが、MDKなどの他のマーカーは子宮内膜症症例を含めることによってEC研究において変化する可能性があり、これは将来の研究設計において考慮される必要があると結論付けている。最後に、MDKはまた、子宮頸部からの組織生検において同定されており、非特許文献5の文献において子宮頸がんに関する情報を提供している。
【0007】
いずれの場合でも、注目すべきは、試験された試料の一部(組織生検、血漿および血清)は非日常的な婦人科試料であり、それらのすべて(子宮吸引を含む)が低侵襲性であり、容易に利用できるスクリーニングおよび/または診断ツールとしてのこれらの使用が妨げられるということである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許第3452829号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第3655778号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】DeSouza LVら、「Endometrial cancer biomarker discovery and verification using differentially tagged clinical samples with multidimensional liquid chromatography and tandem mass spectrometry」、Mol Cell Proteomics MCP、2007年、第6巻、1170~8頁
【非特許文献2】Kemik Pら、「Diagnostic and prognostic values of preoperative serum levels of YKL-40,HE-4 and DKK-3 in endometrial cancer」、Gynecol Oncol、2016年、第140巻、64~9頁
【非特許文献3】Tanableら、「Midkine and its clinical significance in endometrial carcinoma」、cancer Sci、2008年、第99巻(6号)、1125~1130頁
【非特許文献4】Torresら、「CD44,TGM2 and EpCAM as novel plasma markers in endometrial cancer diagnosis」、BMC Cancer、2019年、第19巻、401頁、https://doi.org/10.1186/s12885-019-5556-x.
【非特許文献5】Moonら、「Immunohistochemical and quantitative competative PCR analysis of midkine and pleiotrophin expression in cervical cancer」、Gynecologic Oncology、2003年、第88巻、289~297頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
結論として、努力にもかかわらず、子宮内膜がんの診断、さらには予後判定を改善するための、診断プロセスを通じて参加する女性の現在の負担を軽減するための信頼できる除外方法、ならびに非侵襲性試料から得られた臨床環境で容易に評価することができる非常に正確なバイオマーカーが依然として必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、婦人科の通常のまたは日常的な管理で使用される方法から得られる単離された試料で検出可能な特定のタンパク質マーカーにより、子宮内膜がん(EC)における貴重な診断情報が得られると決定した。タンパク質を、最初に、対照、ECおよび子宮頸部病変を有する患者を含む60人の患者のコホートから後ろ向きに分析した。次いで、情報価値のあるタンパク質の群を、242人の患者(非EC106人、EC129人およびECの前悪性病変、すなわち過形成7人)のより大きなコホートにおいて後ろ向きに検証した。
【0012】
さらに、本発明者らは、これらの種類の試料でも検出可能ないくつかのタンパク質が、子宮内膜がん(EC)の意義のある予後判定バイオマーカーであることを決定した。これらのタンパク質は、異なる組織学的サブタイプおよびグレードおよび異なる分子的特徴を含む異なる予後判定を示すECを高い感度および高い特異性で識別することを可能にし、したがってこれらのサブタイプ間の偽陽性および偽陰性分類のリスクを最小限に抑えることを可能にする。
【0013】
したがって、第1の態様では、本発明は、ECの診断および/または予後判定のための方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含むかまたはそれらから選択される婦人科試料採取から選択される試料中、ミッドカイン(MDK)の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、方法に関する。
【0014】
MDKは(MKまたはMDK)であり、神経突起成長促進因子2(NEGF2)としても知られている。これは、ヒトにおいてMDK遺伝子によってコードされるタンパク質である。ミッドカインは、低分子量の塩基性ヘパリン結合成長因子であり、プレイオトロフィン(NEGF1、MKと46%相同)とファミリーを形成する。これは、ジスルフィド架橋によって保持された2つのドメインから構成される非グリコシル化タンパク質である。これは、妊娠中期に強く誘導される発生的に重要なレチノイン酸応答性遺伝子産物であり、したがってミッドカインという名称である。主に正常な成体の特定の組織に限定され、腫瘍形成、炎症および組織修復中に強く誘導される。カノニカルアミノ酸配列(アイソフォーム1)は、143アミノ酸の長さを有し、UniProtKBデータベースで受託番号P21741(1991年5月1日のバージョンの配列および2021年4月7日のUniProtKB/Swiss-Protデータベースのリリース189)で同定されている。
【0015】
本発明の別の態様は、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、頸管粘液を含有するパップスメア様試料、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中の、子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのインビトロのマーカーとしてのMDKの使用である。
【0016】
第3の態様では、本発明は、固体支持体と、MDKの存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段と、場合により、アポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL、Sciellin)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段とを含む、新たなキットを提案する。
【0017】
換言すれば、この態様は、固体支持体と、MDKの存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段と、場合により、https://www.uniprot.org/help/uniprotkb:中の2021年7月23日にアクセス可能なリリース番号のUniProtKB/Swiss-Protデータベースにおけるエントリ(受託番号)を示す、以下の表1に列挙される群から選択される1つ以上のタンパク質の存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段とを含む新たなキットとして定義することもできる。
【0018】
【表1】
【0019】
実際、本明細書ではまた、ECの診断および/または予後判定のためのツールとして、示された試料中の上に列挙したタンパク質のうちの1つ以上の発現を検出および/または決定するための手段を含むキットの使用が開示される。
【0020】
最後に、本発明の別の態様は、第1の態様で定義されたインビトロでの方法を実施するためのコンピュータ実装方法であって、MDK、ならびに場合により子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、当該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、当該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、ならびに/または異なる組織学的サブタイプおよびグレードおよび異なる分子的特徴を含む異なる予後判定を示す異なるECの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる、方法である。換言すれば、ECに罹患しているか否かの選択肢の間、および/または異なるECサブタイプ間で罹患しているという選択肢の間、および/または異なるECグレード間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる。
【0021】
この態様は、本明細書で定義される方法のいずれかを実行するためのアルゴリズムから生じる。本発明の意味において、「アルゴリズム」という用語はまた、個々の試料を正しく分類するためのパネルまたは決定図、予測子およびデータの組み合わせの同義語である。
【0022】
本明細書ではまた、ECの診断および/または予後判定のための方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中、以下のタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む方法が開示される。ミッドカイン(MDK)、アポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)。いくつかの例では、本方法は、特に血圧、血糖、年齢、グレード分類または病期分類のスコア(すなわち、Federation of Gynecology and Obstetrics(FIGO)のグレード分類/病期分類システム)、子宮内膜の厚さ、CA125およびHE4分子マーカー、AVB、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、対象の1つ以上の臨床または特徴パラメータを決定するステップをさらに含む。
【0023】
ECの診断および/または予後判定のための方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア様試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中、表1に列挙される群からのタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む方法も開示される。
【0024】
本明細書ではまた、ECの組織型の検出のための特定の予後判定方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、パップスメア様試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中、PIGR、PKMのうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを、場合によりMDKまたは表1の任意の他のタンパク質と組み合わせて決定するステップを含む方法が開示される。特に、PIGRとMDKとの組み合わせは、EC組織学の正確な決定(すなわち、診断)のために0.846に近いAUC値を提供する。注目すべきことに、PIGR、RAB2およびMDKの組み合わせも、0.89のAUC値を生じた。
【0025】
本明細書ではまた、ECのグレード分類のための特定の予後判定方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中、PIGR、HSPE1のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを、場合によりMDKまたは表1の任意の他のタンパク質と組み合わせて決定するステップを含む方法が開示される。特に、PIGRとMDKとの組み合わせは、ECグレードの正確な決定(すなわち、診断)のために0.920付近のAUC値を提供する。
【0026】
ECの診断に関連するさらなる態様では、本発明は、ECに罹患している疑いのある対象を特定する方法であって、
a)外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、パップスメア様試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中、ミッドカイン(MDK)の存在および/または発現レベルをインビトロで決定するステップと、
b)ステップ(a)のMDKのレベルを、子宮内膜がんに罹患している対象からの値もしくは値の区間から選択される、各タンパク質の対応する基準値もしくは基準区間と比較するステップ、および/または子宮内膜がんと他の婦人科障害もしくは状態とを識別するカットオフ値と比較するステップであって、MDKのレベルがこのがんに罹患している対象からの値または値の区間内にある場合、および/またはカットオフ値に対するMDKのレベルが子宮内膜がん群に分類される場合、対象が子宮内膜がんと診断されるステップと
とを含む、方法を提供する。
【0027】
さらなる態様では、本発明は、子宮内膜癌に罹患している疑いのある対象の医療レジメンを開始するかどうかを決定または推奨する方法であって、
a)外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中、ミッドカイン(MDK)の存在および/または発現レベルをインビトロで決定するステップと、
b)ステップ(a)のMDKのレベルを、子宮内膜がんに罹患している対象からの値もしくは値の区間から選択される、各タンパク質の対応する基準値もしくは基準区間と比較するステップ、および/または子宮内膜がんと他の婦人科障害もしくは状態とを識別するカットオフ値と比較するステップであって、MDKのレベルがこのがんに罹患している対象からの値または値の区間内にある場合、および/またはカットオフ値に対するMDKのレベルが子宮内膜がん群に分類される場合、対象が子宮内膜がんと診断されるステップと
とを含む、方法を提供する。
【0028】
i)対象が子宮内膜癌に罹患していると診断された場合、または子宮内膜癌に罹患している疑いがあると診断された場合、医療レジメンの開始が推奨され、
ii)患者が子宮内膜癌に罹患していないと診断された場合、医師による患者の検査の結果を考慮して、フォローアップが場合により行われる、
方法を提供する。
【0029】
試験試料中のマーカーレベルを決定することによって、試料中で検出されたレベルが疾患の拡大(すなわち、重症度)を反映し得るので、当業者は、推奨され得る最も適切な治療をさらに確立することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】対象のコホートの試料で試験し、EC患者と非EC患者(頸管粘液またはパップスメア様試料とも呼ばれる子宮頸部試料)とを比較した、MDKを決定するためのELISAアッセイを使用して得られた結果を示す図である。(A)EC患者と非EC患者との間のタンパク質濃度の分布のドットプロット。(B)ELISAによって評価したMDKのROC分析(受信者動作特性分析(Receiver Operating Characteristic analysis))の曲線。
図2】対象のコホートの試料で試験し、EC患者と非EC患者とを比較する、MDKを決定するための(A)質量分析(LC-MS/MS PRM)または(B)ELISAアッセイを使用して得られた結果を示す図である。 ドットプロットは、EC患者と非EC患者との間のタンパク質濃度の分布を示す。また、LC-MS/MSまたはELISAのいずれかによって評価したMDKのROC分析(受信者動作特性分析)を示す。(C)両方の手法の測定値間の相関。
図3】対象のコホートの試料で試験し、EC患者と非EC患者とを比較した、子宮吸引/ピペル生検/子宮液中のMDKを決定するためのELISAアッセイを使用して得られた結果を示す図である。(A)EC患者と非EC患者との間のタンパク質濃度の分布のドットプロット。(B)ELISAによって評価したMDKのROC分析(受信者動作特性分析(Receiver Operating Characteristic analysis))の曲線。
【発明の詳細な説明】
【0031】
(定義)
本出願において本明細書で使用されるすべての用語は、特に明記しない限り、当技術分野で知られている通常の意味で理解されるものとする。本出願で使用される特定の用語の他のより具体的な定義は、以下に示されるとおりであり、特に明示的に記載された定義がより広い定義を提供しない限り、明細書および特許請求の範囲を通して均一に適用することを意図している。
【0032】
本発明は、女性生殖管の(すなわち、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む)、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、流体を含むパップスメア様試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料における、子宮内膜がんの診断および予後判定のための新たなバイオマーカーを提供する。
【0033】
「診断」という用語は、当業者に知られている。本明細書で使用される場合、「診断」は、対象における特定の医学的状態、合併症またはリスクを認識するようになること、疾患もしくは状態の性質の決定、または1つの疾患もしくは状態を別の疾患もしくは状態から区別することとして理解される。これは、可能性のある疾患または障害を決定または特定しようと試みるプロセス、およびこのプロセスによって達する意見の両方を指す。診断は、診断手順の意味において、治療および予後判定に関する医学的決定を行うことを可能にする別個の異なるカテゴリーに個体の状態を分類する試みと見なすことができる。その後、診断意見は、疾患または他の状態に関して記載されることが多い。しかしながら、診断は多くの形態をとり得る。これは、疾患、病変、機能不全または障害の存在を検出し、命名することの問題であり得る。管理または予後判定のためのカテゴリーを帰属させることが課題であり得る。これは、連続体上の異常の程度または分類内の異常の種類のいずれかを示し得る。したがって、「診断」という用語はまた、特に無症候性対象、ECに罹患するリスクを有する対象、ECに罹患していると既に診断されている対象、ECに罹患しており、異なる組織学的サブタイプ(特にEEC対NEEC)およびグレードおよび異なる分子的特徴などを含む異なる予後判定を呈する対象の分類を含む、対象をいくつかの区別された群に分類するための対象の「スクリーニング」または「鑑別診断」を包含する。したがって、本発明の方法は、対象からの分析されたすべての試料の正しい分類のための強力なスクリーニングツールである。
【0034】
一般的に言えば、本明細書に列挙される診断マーカーは、子宮内膜がん試料に対して対照(非がん個体)の単離された試料で発現レベルで差次的に検出される(腫瘍および/またはいくつかのタイプのECの特徴付けを含む)タンパク質である。
【0035】
本明細書で使用される「患者」(または対象)という用語は、典型的にECに関連する1つ以上の徴候または症状を示す任意の対象を指す。本明細書で使用される「患者」という用語はまた、雌の哺乳動物として分類されるすべての動物を指し、家畜および農場の雌の動物、霊長類ならびにヒトを含むが、これらに限定されない。好ましくは、患者は、任意の年齢または人種のヒト女性である。
【0036】
本発明の第1の態様のスクリーニングを含む診断のインビトロでの方法は、(a)無症候性対象、(b)子宮内膜がんに罹患している疑いがあると既に特定されている対象、(c)補完的な確認診断アッセイで子宮内膜がんと既に診断されている対象、または(d)疾患に罹患するリスクが高い対象の試料を用いて実施することができる。
【0037】
本明細書で使用される「基準値」という用語は、対象から収集された試料から得られた値またはデータを評価するための基準として使用される所定の基準に関する。基準値または基準レベルは、絶対値(すなわち、カットオフ値またはカットオフ識別値)、相対値、上限または下限を有する値、値の範囲(すなわち、可能なカットオフ値の範囲)、平均値(average value)、中央値、平均値(mean value)、または特定の対照もしくはベースライン値と比較した値とすることができる。基準値または基準範囲は、例えば、試験されている対象からの試料から得られるがより早い時点での値などの、個々の試料の値に基づくことができる。基準値または範囲は、経時的に年齢が一致する群の対象の集団などからの多数の試料に基づくことができ、または試験される試料を含むもしくは除外する試料のプールに基づくことができる。本発明のバイオマーカーについて基準値を決定した。タンパク質(すなわち、MDK)の基準値は、以下の実施例を考慮して開示されるようなより低い値およびより高い値からのものであり得る。各バイオマーカーの値の範囲(タンパク質レベル)および異なるバイオマーカーの値の特定の組み合わせは、高い感度および特異性で、対象の正しい分類を提供する。
【0038】
発現レベルがタンパク質レベルで決定される場合、「基準発現レベル」はタンパク質量の所定の値であり、発現レベルがmRNAレベルで決定される場合、「基準発現レベル」はmRNA量の所定の値である。試料は、疾患の有無、段階、組織学的サブタイプもしくはグレードまたは経過が以前に適切に行われている対象または対象の群から採取される。この値は、とりわけ、疾患の組織学的サブタイプ、子宮内膜癌を発症するまたは罹患するリスクを決定するために、分析される状態が存在する対象を、そのような状態が存在しない対象から(すなわち、子宮内膜がんを有する対象を、子宮内膜がんを有さない対象から)識別するための閾値として使用される。この基準対照レベルはまた、対象が医療レジメンを開始しなければならないかどうか、およびレジメンがどの程度有効であるかを決定するのにも有用である。「基準対照レベル」が導出される1人または複数の対象には、状態が存在しない対象(複数可)、状態が存在する対象(複数可)、またはその両方が含まれ得る。当業者は、一般知識を利用して、本発明の方法のそれぞれについて基準対照レベルを得るために、より適切に対象または対象群を選択することができる。選択された対象の群から基準値を得るための方法は、最新技術において周知である(Burtis C.A.ら、2008年、第14章、「Statistical Treatment of Reference Values」の節)。特定の場合において、「基準対照レベル」は、従来のROC分析(受信者動作特性分析)によって定義されたカットオフ値である。当業者が理解するように、最適なカットオフ値は、診断または予後判定方法の特定の用途、すなわち目的、診断または予後判定のための標的集団、特異性と感受性との間のバランスなどに従って定義される。
【0039】
本明細書で使用される「予後判定」は、疾患の可能性のある進行および転帰の予測を指す。これには、新生物グレード分類(退形成の増加が新生物の攻撃性と相関するので、新生物における細胞分化のレベルを複製可能な用語で表現しようとする試み)、新生物病期分類(患者における新生物の程度を複製可能な用語で表現しようとする試み)、新生物組織学的サブタイプ、および新生物分子サブタイプが含まれる。本明細書で使用される場合、予後判定は、特定の実施形態では、類内膜子宮内膜がんと非類内膜子宮内膜がんとの間の区別、または低組織学的グレードの子宮内膜がんと高組織学的グレードの子宮内膜がんとの間の区別、または子宮内膜がんの分子サブタイプの間の区別、または再発リスクが高いかもしくは低い患者間の区別を意味する。
【0040】
前述のように、本発明の第1の態様は、子宮内膜がんの診断および/または予後判定のための方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される単離された試料中、MDKの存在および/または発現レベルを決定するステップを含む方法である。
【0041】
外陰から子宮頸部までの女性生殖管からの試料は、婦人科医によって通常1年に1回行われる一般的で日常的な検査から得られる試料である。
【0042】
第1の態様の特定の実施形態では、試料は、パップスメア様試料であり、具体的には、パップスメア様に含まれる流体および/または頸管粘液である。換言すれば、試料は子宮頸部試料であり、具体的には子宮頸部試料に含まれる流体である。この頸管粘液は、日常的な婦人科検査の細胞診分析に使用されるのと同様に、サイトブラシを使用して容易に得ることができる。
【0043】
別の特定の実施形態では、試料は子宮吸引(ピペル生検または子宮液とも呼ばれる)である。これは、婦人科管内の癌腫の存在を決定するために使用される一般的で日常的な婦人科検査から得られ、組織鏡検査または子宮内膜掻爬術による生検よりも損傷および不快感が少ない試料として一般的に知られている。この種の試料においても、MDKによりECと非ECとの区別が可能となることが重要である。
【0044】
この種の日常的な試料において、MDKが情報価値のあるものとして検出されるのはこれが初めてである。したがって、本発明は、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア様試料、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料における、診断マーカーとしてのMDKの使用に関する。特に、本発明は、ECの診断および/または予後判定マーカーとしてのMDKの使用に関する。
【0045】
実施例の節で説明するように、MDKが決定されるとき、女性生殖管のこの部分の任意の試料における特定のレベルの発現で、高い感度および特異性が達成される(例えば、AUC=0.910、SE=82.8、SP=87.8)。これらの生殖管の構造から単離された試料(すなわち、特に子宮頸部からの流体)において追加のマーカーの発現レベルも決定された場合、感度が増加しながら特異性が維持され、真陽性患者のほとんどの分類が可能になった。
【0046】
したがって、第1の態様の方法の別の特定の実施形態では、表1の他のタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップをさらに含む。別のより特定の実施形態では、以下のタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップ:
アポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)。
【0047】
より特定の実施形態では、本方法は、タンパク質のパネル中、MDKを常に含むタンパク質のうちの2、3、4、5、6、7、8、9および10個の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。インビトロでの方法のさらに別の特定の実施形態では、タンパク質のパネル中、MDKを含むのタンパク質のうちの2、3、または4個の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。
【0048】
本方法のより特定の実施形態では、単離された試料中、表4および6のいずれか1つに列挙された群の少なくとも1つの2値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。
【0049】
本方法のより特定の実施形態では、単離された試料中、MDK、LCN2;MDK、FN1;MDK、PLBD1;MDK、APOB;MDK、CD44;MDK、FCGBP;MDK、EPS8L1;MDK、ANXA3;MDK、C4BPA;MDK、MMP8;MDK、NEDD-8;MDK、CAMP;MDK、TIMP2;MDK、HSPE1;MDK、CALU;MDK、C1QA;MDK、LDHA;MDK、TIMP2;MDK、PIGR;MDK、KRT8;MDK、PPL;MDK、SPRR1A;MDK、STMN1;MDK、CAPS;MDK、CA1;MDK、CCT6A;MDK、VIM;MDK、TCP1;およびMDK、AGRNからなる群の少なくとも1つの2値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。
【0050】
本方法のより特定の実施形態では、単離された試料中、表5および7のいずれか1つに列挙された群の少なくとも1つの3値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。
【0051】
別の特定の実施形態では、本方法は、単離された試料中、MDK、ANXA7、CSE1L;MDK、LCN2、FGFBP1;MDK、LCN2、ANXA7;MDK、FGFBP1、LCN2;MDK、APOF、FCGBP;MDK、IMPA1、FCGBP;MDK、LCN2、CD44;MDK、STX7、FCGBP;MDK、ITIH2、FCGBP;MDK、LCN2、EPS8L1;MDK、FGFBP、EPS8L1;MDK、ANXA7、FCGBP;MDK、LCN2、PLBD1;MDK、FCGBP、CD44;MDK、PLBD1、FCGBP;MDK、ANXA3、FCGBP;MDK、PLBD1、LGALS1;MDK、LCN2、IMPA1;MDK、FCGBP、VIM;MDK、FCGBP、LMNB1;MDK、PLBD1、ATP6V1G1;MDK、APOB、PKM;MDK、ITIH2、LCN2;MDK、PLBD1、CALU;MDK、LCN2、APOF;MDK、PLBD1、EPS8L1;MDK、APOC1、ANXA7;MDK、FCGBP、GYG1;MDK、PLBD1、PKM;MDK、FCGBP、LSP1;MDK、TIMP2、CD44;MDK、ANXA3、PLBD1;MDK、PLBD1、HSPE1;MDK、PLBD1、CA1;MDK、FCGBP、HCLS1;MDK、STX7、IMPA1;MDK、ANXA7、STX7;MDK、STX7、EPS8L1;MDK、PLBD1、LSP1;MDK、C1R、ANXA7;MDK、STX7、PEA15;MDK、PLBD1、HCLS1;MDK、LCAT、FCGBP;MDK、PLBD1、LDHA;MDK、APOB、S100A9;MDK、ANXA7、SCEL;MDK、SERPINA3、FCGBP;MDK、FCGBP、ITGB2;MDK、SCEL、ANXA3;MDK、S100A9、PLBD1;MDK、S100A9、LSP1;MDK、C1R、FCGBP;MDK、FGFBP1、FCGBP;MDK、APOC1、S100A9;MDK、PPL、PLBD1;MDK、TCP1、PEA15;MDK、ANXA3、LSP1;MDK、PPL、IMPA1;MDK、S100A9、MMP8;MDK、FGFBP1、PPL;およびMDK、S100A9、PPLからなる群の少なくとも1つの3値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。
【0052】
より特定の実施形態では、本方法は、単離された試料中、MDK、ANXA7およびCSE1Lによって定義されるセットの存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。
さらに別の特定の実施形態では、本方法は、単離された試料中、MDK、LCN2、PEA15、LDHA;MDK、LCN2、PEA15、PKM;MDK、FGFBP1、FCGBP、EPS8L1;MDK、LCN2、HSPE1、CD44;.MDK、FGFBP1、EPS8L1、CTNNB1;MDK、LCN2、IMPA1、LDHA;MDK、IMPA1、FCGBP、PEA15;MDK、IMPA1、FCGBP、PKM;MDK、FCGBP、IMPA1、PEA15;MDK、CCT6A、FGFBP1、EPS8L1;MDK、STX7、FCGBP、PKM;MDK、IMPA1、FCGBP、GYG1;MDK、FGFBP1、SCEL、EPS8L1;MDK、STX7、FCGBP、CA1;MDK、STX7、FCGBP、NAMPT;MDK、FGFBP1、EPS8L1、CAPS;MDK、STX7、FCGBP、FCGBP;MDK、SCEL、STX7、FCGBP;MDK、FGFBP1、ANXA7、CAPS;MDK、FGFBP1、EPS8L1、RAB21;MDK、SCEL、STX7、FCGBP;MDK、STX7、FCGBP、NEDD8-MDP1;MDK、ITIH2、FCGBP、CAPS;MDK、FGFBP1、EPS8L1、PKM;MDK、IMPA1、FCGBP、HCLS1;MDK、APOF、ANXA3、FCGBP;MDK、FGFBP1、EPS8L1、STMN1;MDK、STX7、FCGBP、LGALS1;MDK、FCGBP、LSP1、VIM;MDK、FGFBP1、EPS8L1、LGALS1;MDK、ANXA3、FCGBP、LMNB1;MDK、FCGBP、IMPA1、MMP8;MDK、FGFBP1、EPS8L1、STMN1;MDK、SCEL、IMPA1、PEA15;MDK、FGFBP1、ANXA7、LGALS1;MDK、TCP1、PEA15、LMNB1;MDK、FCGBP、GYG1、CA1;MDK、SCEL、IMPA1、PKM;MDK、FGFBP1、EPS8L1、LDHA;MDK、FCGBP、KRT8、GYG1;MDK、FCGBP、GYG1、LMNB1;MDK、FCGBP、GYG1、LSP1;MDK、FCGBP、KRT8、GYG1;MDK、FCGBP、GYG1、LGALS1;MDK、FCGBP、CAPS、GYG1;MDK、FGFBP1、EPS8L1、LDHA;MDK、FCGBP、CAPS、GYG1;MDK、C1R、FCGBP、LGALS1;MDK、FGFBP1、SCEL、PEA15;MDK、FGFBP1、TIMP2、CHMP4B;MDK、ANXA3、STMN1、PKM;MDK、ANXA7、SCEL、CHMP4B;MDK、FCGBP、GYG1、LDHA;MDK、S100A9、MMP8、LGALS1;MDK、C1R、FCGBP、GYG1;MDK、C4BPA、FGFBP1、PPL;MDK、ITIH2、FGFBP1、PPL;およびMDK、APOC1、FGFBP1、PPLからなる群の少なくとも1つの4値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む。
【0053】
第1の態様の別の実施形態では、場合により上記または下記の実施形態のいずれかと組み合わせて、本方法は以下のステップを含む。
a)女性の生殖管から単離された試料中、インビトロで、MDKの発現レベルを、場合により先の実施形態のいずれか1つに列挙されたタンパク質のうちの1つ以上と組み合わせて決定するステップと、
b)ステップ(a)のMDKのレベル、および決定された場合、1つ以上の他のタンパク質のレベルを、子宮内膜がんに罹患している対象からの値もしくは値の区間から選択される各タンパク質についての対応する基準値もしくは基準区間と比較するステップ、および/または子宮内膜がんと他の子宮内膜障害もしくは子宮内膜の状態とを識別するカットオフ値と比較するステップと、
c)少なくともMDKのレベルが、このがんに罹患している対象からの値もしくは値の区間の範囲内である場合、および/またはカットオフ値に対する少なくともMDKのレベルが子宮内膜がん群に分類される場合、対象を子宮内膜がんと診断するステップ。
【0054】
他の婦人科障害または状態という表現は、健康な子宮内膜、子宮内膜症、子宮内膜ポリープ、子宮内膜筋腫、萎縮性子宮内膜、子宮の生理学的損傷、または膣からの異常出血を引き起こし得る任意の他の状態を含むが、これらに限定されない。
【0055】
本発明に開示される方法の別の特定の実施形態では、特に血圧、血糖、年齢、グレード分類または病期分類のスコア(すなわち、Federation of Gynecology and Obstetrics(FIGO)の病期)、子宮内膜の厚さ、CA125およびHE4分子マーカー、AVB、ならびにそれらの組み合わせからなる群から選択される、対象の1つ以上の臨床または特徴パラメータを決定するステップをさらに含む。
【0056】
第1の態様またはその実施形態のいずれかによる方法の別の特定の実施形態では、MDKおよび他のタンパク質の発現レベルは、タンパク質レベルで決定される。
【0057】
より特定の実施形態では、タンパク質レベルは、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、ラテラルフローアッセイ、質量分析、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアッセイまたは技術によって決定される。
【0058】
別の特定の実施形態では、タンパク質の発現レベルは、タンパク質に特異的に結合することができる抗体またはその断片を使用して決定される。
【0059】
より特には、当該抗体またはその断片はキットの一部を形成する。
【0060】
あるいは、発現レベルはmRNAレベルで決定される。以下、この代替方法についてさらに詳細に説明する。
【0061】
第2の態様では、本発明は、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、パップスメア様試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料における、子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのインビトロのマーカーとしてのMDKの使用に関する。
【0062】
第2の態様の特定の実施形態では、試料はパップスメアであり、具体的には、パップスメアに含まれる流体および/または頸管粘液である。
【0063】
第2の態様の別の特定の実施形態でも、MDKは、アポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)の1つ以上を含む複数のバイオマーカーのパネルにおけるインビトロのマーカーとして使用される。
【0064】
第2の態様の別の特定の実施形態でも、MDKは、表1に列挙された群からの他のタンパク質のうちの1つ以上を含む複数のバイオマーカーのパネルにおけるインビトロのマーカーとして使用される。
【0065】
MDKを含むバイオマーカーのこれらのパネルは、特定の実施形態では、2つからすべての列挙されたマーカーを含む。特に、パネルは、2、3、4、5、6、7、8、9、および10個のバイオマーカーを含み、そのうちの1つはMDKである。
【0066】
表1のタンパク質のうちの1つ以上を含むバイオマーカーのパネルも開示される。特定の例では、2つからすべての列挙されたマーカーを含むパネル。特に、パネルは、2、3、4、5、6、7、8、9、および10個のバイオマーカーを含む。
【0067】
MDKおよび/または上に列挙した1つ以上のタンパク質によるECの診断は、示されるように、これらのタンパク質の発現レベルを決定するための手段を含むキットの使用によって行うことができる。前述のように、本発明の第3の態様は、固体支持体と、MDKの存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段と、場合により、表1に列挙した1つ以上のタンパク質、特にアポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)からなる群から選択される1つ以上の存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段とを含む、キットである。
本発明の意味における「デバイス」または「キット」は、ECの診断および/もしくは予後判定のため、または一旦診断された医療レジメンについての患者の選択のためのアッセイまたは方法を実施するために使用することができる、本発明によるバイオマーカー(試料中の目的のタンパク質のレベル)またはバイオマーカーのパネル(の組み合わせ)を決定するためのアッセイまたは方法である。例は、目的のタンパク質の存在およびレベルを検出するための試薬手段を含む、当技術分野で公知のキャリアプレート、テストストリップ(test stripes)、バイオチップアレイ、電気化学センサなどである。本明細書で使用されるキットは、輸送および貯蔵を可能にするように包装された本発明の方法を実施するために必要な異なる試薬(または試薬手段)を含む製品を指す。キットの構成要素を包装するのに適した材料には、水晶、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート)、ボトル、バイアル、紙、または封筒が挙げられる。本方法を実施するための異なるフォーマットの説明書も、いくつかの実施形態では、当該キットに含まれる。説明書の特定のフォーマットは、リーフレット、例えば電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ)、または光学媒体(例えば、CD-ROM、DVD)、またはオーディオ材料などの、読み取りまたは理解が可能な説明書を記憶することができる電子支援から選択される。
【0068】
本発明のキットの特定の実施形態では、MDK、LCN2;MDK、FN1;MDK、PLBD1;MDK、APOB;MDK、CD44;MDK、FCGBP;MDK、EPS8L1;MDK、ANXA3;MDK、C4BPA;MDK、MMP8;MDK、NEDD-8;MDK、CAMP;MDK、TIMP2;MDK、HSPE1;MDK、CALU;MDK、C1QA;MDK、LDHA;MDK、TIMP2;MDK、PIGR;MDK、KRT8;MDK、PPL;MDK、SPRR1A;MDK、STMN1;MDK、CAPS;MDK、CA1;MDK、CCT6A;MDK、VIM;MDK、TCP1;およびMDK、AGRNからなる群の少なくとも1つの2値のセットの発現レベルを検出および/または定量するための手段(すなわち、試薬手段)を含む。
【0069】
別の特定の実施形態では、2値のセットは、以下の表4および/または表6の少なくとも1つから選択される(実施例を参照)。
【0070】
本発明のキットの別の特定の実施形態では、MDK、ANXA7、CSE1L;MDK、LCN2、FGFBP1;MDK、LCN2、ANXA7;MDK、FGFBP1、LCN2;MDK、APOF、FCGBP;MDK、IMPA1、FCGBP;MDK、LCN2、CD44;MDK、STX7、FCGBP;MDK、ITIH2、FCGBP;MDK、LCN2、EPS8L1;MDK、FGFBP、EPS8L1;MDK、ANXA7、FCGBP;MDK、LCN2、PLBD1;MDK、FCGBP、CD44;MDK、PLBD1、FCGBP;MDK、ANXA3、FCGBP;MDK、PLBD1、LGALS1;MDK、LCN2、IMPA1;MDK、FCGBP、VIM;MDK、FCGBP、LMNB1;MDK、PLBD1、ATP6V1G1;MDK、APOB、PKM;MDK、ITIH2、LCN2;MDK、PLBD1、CALU;MDK、LCN2、APOF;MDK、PLBD1、EPS8L1;MDK、APOC1、ANXA7;MDK、FCGBP、GYG1;MDK、PLBD1、PKM;MDK、FCGBP、LSP1;MDK、TIMP2、CD44;MDK、ANXA3、PLBD1;MDK、PLBD1、HSPE1;MDK、PLBD1、CA1;MDK、FCGBP、HCLS1;MDK、STX7、IMPA1;MDK、ANXA7、STX7;MDK、STX7、EPS8L1;MDK、PLBD1、LSP1;MDK、C1R、ANXA7;MDK、STX7、PEA15;MDK、PLBD1、HCLS1;MDK、LCAT、FCGBP;MDK、PLBD1、LDHA;MDK、APOB、S100A9;MDK、ANXA7、SCEL;MDK、SERPINA3、FCGBP;MDK、FCGBP、ITGB2;MDK、SCEL、ANXA3;MDK、S100A9、PLBD1;MDK、S100A9、LSP1;MDK、C1R、FCGBP;MDK、FGFBP1、FCGBP;MDK、APOC1、S100A9;MDK、PPL、PLBD1;MDK、TCP1、PEA15;MDK、ANXA3、LSP1;MDK、PPL、IMPA1;MDK、S100A9、MMP8;MDK、FGFBP1、PPL;およびMDK、S100A9、PPLからなる群の少なくとも1つの3値のセットの発現レベルを検出および/または定量するための手段(すなわち、試薬手段)を含む。
【0071】
別の特定の実施形態では、3値のセットは、以下の表5および/または表7の少なくとも1つから選択される(実施例を参照)。
【0072】
本発明のキットの別の特定の実施形態では、MDK、LCN2、PEA15、LDHA;MDK、LCN2、PEA15、PKM;MDK、FGFBP1、FCGBP、EPS8L1;MDK、LCN2、HSPE1、CD44;.MDK、FGFBP1、EPS8L1、CTNNB1;MDK、LCN2、IMPA1、LDHA;MDK、IMPA1、FCGBP、PEA15;MDK、IMPA1、FCGBP、PKM;MDK、FCGBP、IMPA1、PEA15;MDK、CCT6A、FGFBP1、EPS8L1;MDK、STX7、FCGBP、PKM;MDK、IMPA1、FCGBP、GYG1;MDK、FGFBP1、SCEL、EPS8L1;MDK、STX7、FCGBP、CA1;MDK、STX7、FCGBP、NAMPT;MDK、FGFBP1、EPS8L1、CAPS;MDK、STX7、FCGBP、FCGBP;MDK、SCEL、STX7、FCGBP;MDK、FGFBP1、ANXA7、CAPS;MDK、FGFBP1、EPS8L1、RAB21;MDK、SCEL、STX7、FCGBP;MDK、STX7、FCGBP、NEDD8-MDP1;MDK、ITIH2、FCGBP、CAPS;MDK、FGFBP1、EPS8L1、PKM;MDK、IMPA1、FCGBP、HCLS1;MDK、APOF、ANXA3、FCGBP;MDK、FGFBP1、EPS8L1、STMN1;MDK、STX7、FCGBP、LGALS1;MDK、FCGBP、LSP1、VIM;MDK、FGFBP1、EPS8L1、LGALS1;MDK、ANXA3、FCGBP、LMNB1;MDK、FCGBP、IMPA1、MMP8;MDK、FGFBP1、EPS8L1、STMN1;MDK、SCEL、IMPA1、PEA15;MDK、FGFBP1、ANXA7、LGALS1;MDK、TCP1、PEA15、LMNB1;MDK、FCGBP、GYG1、CA1;MDK、SCEL、IMPA1、PKM;MDK、FGFBP1、EPS8L1、LDHA;MDK、FCGBP、KRT8、GYG1;MDK、FCGBP、GYG1、LMNB1;MDK、FCGBP、GYG1、LSP1;MDK、FCGBP、KRT8、GYG1;MDK、FCGBP、GYG1、LGALS1;MDK、FCGBP、CAPS、GYG1;MDK、FGFBP1、EPS8L1、LDHA;MDK、FCGBP、CAPS、GYG1;MDK、C1R、FCGBP、LGALS1;MDK、FGFBP1、SCEL、PEA15;MDK、FGFBP1、TIMP2、CHMP4B;MDK、ANXA3、STMN1、PKM;MDK、ANXA7、SCEL、CHMP4B;MDK、FCGBP、GYG1、LDHA;MDK、S100A9、MMP8、LGALS1;MDK、C1R、FCGBP、GYG1;MDK、C4BPA、FGFBP1、PPL;MDK、ITIH2、FGFBP1、PPL;およびMDK、APOC1、FGFBP1、PPLからなる群の少なくとも1つの4値のセットの発現レベルを検出および/または定量するための手段(すなわち、試薬手段)を含む。
【0073】
第1の態様の別の特定の実施形態では、特に婦人科試料および/または子宮頸部試料中でMDKレベルが決定される診断および/または予後判定のための方法は、子宮内膜がんの再発または再発リスクの診断方法であって、単離された女性の試料中、MUC1、PRSS8、PNP、APEH、MUC16、C9、SERPINC1、SERPINA1、F2、AMBP、HP、SERPINA3、CFB、ORM2、CAT、GNAI2、A1BG、FN1、C7、ASTRGL1、B4GALT1、CAPS、CBX3、CD163、CDV3、DMBT1、DSG3、EHD1、GOLM1、MUC5AC、NME1、NT5E、PDLIM5、RDXおよびVASPからなる群から選択されるタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップをさらに含む、方法である。
【0074】
前の段落に列挙された他の1つ以上と組み合わせたMDKは、特定の実施形態では、子宮頸部試料および/または子宮吸引中で決定される。
【0075】
したがって、子宮内膜がんの再発または再発リスクの診断方法であって、以下のタンパク質(すなわち、存在または非存在および/またはそれらのレベル):MUC1、PRSS8、PNP、APEH、MUC16、C9、SERPINC1、SERPINA1、F2、AMBP、HP、SERPINA3、CFB、ORM2、CAT、GNAI2、A1BG、FN1、C7、ASTRGL1、B4GALT1、CAPS、CBX3、CD163、CDV3、DMBT1、DSG3、EHD1、GOLM1、MUC5AC、NME1、NT5E、PDLIM5、RDX、およびVASPの1つ以上が、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分の、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、パップスメア様試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される単離された試料中で決定される方法も開示される。
【0076】
以下の実施例に示すように、これらのマーカーは、再発性EC患者と非再発性EC患者とを区別するための注目に値する精度(AUC>0.75)を与えた。特に、ASTRGL1、B4GALT1、CAPS、CBX3、CD163、CDV3、DMBT1、DSG3、EHD1、GOLM1、MUC16、MUC5AC、NME1、NT5E、PDLIM5、PRSS8、RDXおよびVASPから選択される1つまたは複数のマーカーは、単離された試料中、存在非存在統計分析のみでそのような区別を可能にした。
【0077】
例えば、第1の態様の方法について示される試料の種類または決定されるマーカーの数に関するすべての特定の実施形態は、子宮内膜がんの再発または再発リスクの診断を可能にする方法のいずれかにも適用される。
【0078】
「再発」については、再燃または再発性としても知られており、過去の(典型的には医学的な)状態の再発である。「再発リスク」は、そのような再発の確率に関する。
【0079】
したがって、子宮内膜がんの再発または再発リスクを診断するための方法の特定の実施形態では、本方法は以下のステップを含む:
a)女性の生殖管から単離された試料中、インビトロで、列挙されたタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルを決定するステップと、
b)ステップ(a)のこれらの1つ以上の他のタンパク質のレベルを、再発性から生じる子宮内膜がんに罹患している対象からの値または値の区間から選択される各タンパク質についての対応する基準値または基準区間と比較するステップと、
c)少なくともタンパク質のうちの1つのレベルが、子宮内膜がんの再発に罹患している対象からの値または値の区間の範囲内である場合、対象を子宮内膜がんの再発と診断するステップ。
【0080】
第1の態様の別の特定の実施形態では、特に婦人科試料および/または子宮頸部試料でMDKレベルが決定される診断および/または予後判定のための方法は、子宮内膜がんサブタイプおよび/または子宮内膜がん分子分類の診断方法であって、単離された女性の試料中、LBP、VWF、GPLD1、SAA4、APOF、C4BPA、SPRR1A、SERPIND1、APOB、SCEL、LCAT、SERPINA3、LMO7、C1R、MUC4、FN1、SPRR1B、C1QA、ITIH2、TIMP2、APOC1、GRN、ANXA3、S100A9、PLBD1、PIGR、SERPINH1、HSPE1からなる群から選択されるタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップをさらに含む、方法である。
【0081】
前の段落に列挙された他の1つ以上と組み合わせたMDKは、特定の実施形態では、子宮頸部試料および/または子宮吸引中で決定される。
【0082】
したがって、本明細書ではまた、子宮内膜がんサブタイプおよび/または子宮内膜がん分子分類の診断方法であって、以下のタンパク質(すなわち、存在または非存在および/またはそれらのレベル):LBP、VWF、GPLD1、SAA4、APOF、C4BPA、SPRR1A、SERPIND1、APOB、SCEL、LCAT、SERPINA3、LMO7、C1R、MUC4、FN1、SPRR1B、C1QA、ITIH2、TIMP2、APOC1、GRN、ANXA3、S100A9、PLBD1、PIGR、SERPINH1、HSPE1の1つ以上が、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分の、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される単離された試料中で決定される、方法も開示される。
【0083】
例えば、第1の態様の方法について示される試料の種類または決定されるマーカーの数に関するすべての特定の実施形態は、それらの間の分子的区別の点から子宮内膜がんの種類の診断を可能にする方法のいずれかにも適用される。
【0084】
子宮内膜がん分子サブタイプの診断方法の特定の例では、サブタイプは、POLE超変異またはPOLE変異(POLEMut)、MSI:マイクロサテライト不安定性(MSI)またはミスマッチ修復タンパク質発現の喪失に基づくMMR欠損(MMRd);低コピー数(低CN)または特異的分子プロファイルなし(NSMP);高コピー数(高CN)または変異様免疫染色(p53 abn)に基づくp53異常からなる群から選択される。
【0085】
実施例のデータは、患者のパップスメア様試料(子宮頸部試料、頸管粘液とも呼ばれる)で分析したこれらのマーカーのそれぞれで得られたECサブタイプ間の統計的有意性を示す。
【0086】
子宮内膜がんサブタイプの診断のための診断方法の特定の実施形態では、本方法は以下のステップを含む:
a)女性の生殖管から単離された試料中、インビトロで、列挙されたタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルを決定するステップと、
b)ステップ(a)のこれらの1つ以上の他のタンパク質のレベルを、特定の子宮内膜がんサブタイプに罹患している対象からの値または値の区間から選択される各タンパク質についての対応する基準値または基準区間と比較するステップと、
c)少なくともタンパク質のうちの1つのレベルが、その子宮内膜がんサブタイプに罹患している対象からの値または値の区間の範囲内である場合、対象を当該子宮内膜がんサブタイプと診断するステップ。
【0087】
本発明のキットの別の特定の実施形態では、タンパク質の発現レベルを検出するための手段は、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、ラテラルフローアッセイ、質量分析、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアッセイまたは技術を実施するための手段である。
【0088】
さらにより特定の実施形態では、キット中のタンパク質の発現レベルを検出するための手段は、抗体またはその断片である。
【0089】
さらに別のより特定の実施形態では、キットは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を実施するためのものである。
【0090】
本発明のキットの別の特定の実施形態では、個々の試料を分類するためのパネル図をさらに含む。
【0091】
好ましい実施形態では、異なるバイオマーカー(タンパク質)のレベルをアッセイするための試薬手段は、キットを形成するバイオマーカーをアッセイするための、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%の総量の試薬を含む。したがって、MDK(および場合により、先に列挙したタンパク質のうちの1つ以上)のレベルをアッセイするための試薬を含むキットの特定の場合において、当該バイオマーカーに特異的な試薬(すなわち、タンパク質に特異的に結合する抗体)は、キットに存在する少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%の抗体を含む。したがって、これらのキットは、MDK(および場合により、先に列挙したタンパク質のうちの1つ以上)のレベルを検出するための試薬手段を主に含む単純化されたキットである。
【0092】
別の特定の実施形態では、本発明のキットは診療現場での試験として考えられる。より具体的には、それらはラテラルフロー試験または電気化学センサの形態である。
【0093】
別の特定の実施形態では、本発明によるキットは、支持体(特に固体支持体)および生体流体試料、特に子宮頸部の全流体の堆積のための1つ以上の試料入口ポートと、マーカータンパク質、特に抗体に特異的に結合する手段/試薬を含む反応領域とを含み、試料入口ポートは反応領域と接続されている。別のより特定の実施形態では、キットは、検出されるマーカー(1、2または3または4)と同数の試料入口ポートと、それに接続された対応する反応領域とを含む。別の実施形態では、キットは、1つの単一の入口インポートと、同じ数の反応領域に接続する毛細管トラックを備え、当該毛細管トラックは、各対応する接続された反応領域に試料の一部を導く。2つ以上の反応領域を含むキットはマルチプレックスキットである。
【0094】
より特定の実施形態では、キットは、2セット~80セットの組み合わせの発現レベルを検出するための手段を含む。
【0095】
本発明のキットがELISAキットである特定の場合において、それらは、固体支持体と、検出される標的タンパク質に特異的に結合する抗体またはその断片とを含み、これらの抗体は、シグナルを生成することができるレポーター分子とコンジュゲートされる。
【0096】
「固体支持体」には、ニトロセルロース膜、ガラスまたはポリマーが挙げられる。最も一般的に使用されるポリマーは、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニルまたはポリプロピレンである。固体支持体は、ストリップ、チューブ、ビーズ、ディスクもしくはマイクロプレート、またはイムノアッセイを行うのに適した任意の他の表面の形態であり得る。
【0097】
本明細書で使用される「レポーター分子」は、その化学的性質により、抗原結合抗体の検出を可能にする分析的に同定可能なシグナルを提供する分子を意味する。検出は定性的または定量的のいずれであってもよい。このタイプのアッセイにおいて最も一般的に使用されるレポーター分子は、酵素、フルオロフォアまたは放射性核種含有分子(すなわち、放射性同位体)のいずれかである。酵素イムノアッセイの場合、酵素は、一般にグルタルアルデヒドまたは過ヨウ素酸塩によって第2の抗体にコンジュゲートされる。しかしながら、容易に認識されるように、多種多様な異なるコンジュゲーション技術が存在し、これらは当業者に容易に利用可能である。一般的に使用される酵素には、とりわけ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、β-ガラクトシダーゼおよびアルカリホスファターゼが挙げられる。特定の酵素と共に使用される基質は、一般に、対応する酵素による加水分解時に、検出可能な色変化の生成のために選択される。例えば、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート/ニトロブルーテトラゾリウムは、アルカリホスファターゼコンジュゲートとの使用に適している。ペルオキシダーゼ複合体の場合、1,2-フェニレンジアミン、5-アミノサリチル酸、3,3:5,5:テトラメチルベンジジンまたはトリジンが一般的に使用される。上記の発色基質ではなく蛍光生成物を生じる蛍光発生基質を使用することも可能である。蛍光発生基質の例は、フルオレセインおよびローダミンである。特定の波長の光の照射によって活性化されると、蛍光色素標識抗体は光エネルギーを吸収し、分子内に励起状態を誘導し、続いて光学顕微鏡で視覚的に検出可能な特徴的な色の光を放出する。免疫蛍光法およびEIA技術はいずれも当技術分野において十分に確立されており、本方法にとって特に好ましい。しかし、他のレポーター分子、例えば放射性同位体、化学発光および生物発光分子および/または色素および他の発色性物質も使用され得る。
【0098】
特定のレポーター分子コンジュゲート抗体の選択は、大部分は、本発明の試験キットの意図される使用および使用者によって決定される。
【0099】
バイオマーカーレベルを測定するための結合アッセイは、固相または均一フォーマットを使用し得る。適切なアッセイ方法には、サンドイッチまたは競合的結合アッセイが含まれる。サンドイッチイムノアッセイの例は、両方とも参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,168,146号明細書および米国特許第4,366,241号明細書に記載されている。競合イムノアッセイの例としては、その各々が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第4,235,601号明細書、米国特許第4,442,204号明細書および米国特許第5,208,535号明細書に開示されているものが挙げられる。
【0100】
マルチプレックスアッセイフォーマット、例えば、結合試薬アレイの使用による多重化、標識のスペクトル識別を使用する多重化、例えばLuminex(登録商標)システムを使用して粒子に対して行われる結合アッセイのフローサイトメトリー分析の多重化を使用して、複数のバイオマーカーを測定することができる。
【0101】
本発明のアッセイ(方法およびキット)は、任意の好適な方法によって行われ得る。一実施形態では、バイオマーカーレベルは、単一の試料において測定され、それらの測定は、アッセイプレートの単一のウェル、単一のアッセイカートリッジ、単一のラテラルフローデバイス、単一のアッセイチューブなどを含むがこれらに限定されない、単一のアッセイチャンバまたはアッセイデバイスにおいて行われ得る。バイオマーカーレベルは、当業者が利用可能ないくつかの技術のいずれか、例えば、直接の物理的測定(例えば、質量分析)または結合アッセイ(例えば、イムノアッセイ、凝集アッセイおよびイムノクロマトグラフィーアッセイ)を使用して測定され得る。この方法はまた、化学反応、例えば、光学吸光度の変化、蛍光の変化、化学発光または電気化学発光の生成、反射率、屈折率または光散乱の変化、表面からの検出可能な標識の蓄積または放出、酸化または還元または酸化還元種、電流または電位、磁場の変化などから生じるシグナルを測定するステップを含み得る。適切な検出技術は、標識のフォトルミネッセンス(例えば、蛍光、時間分解蛍光、エバネッセント波蛍光、アップコンバージョン燐光体(up-converting phosphors)、多光子蛍光などの測定を介して)、化学発光、電気化学発光、光散乱、光学吸光度、放射能、磁場、酵素活性(例えば、光学吸光度もしくは蛍光の変化を引き起こすか、または化学発光を引き起こす酵素反応を介して酵素活性を測定することによって)を介した標識の測定を通じて標識結合試薬の関与を測定することによって結合事象を検出することができる。あるいは、標識の使用を必要としない検出技術、例えば、分析物の質量(例えば、表面弾性波測定)、屈折率(例えば、表面プラズモン共鳴測定)、または固有の発光の測定に基づく技術を使用してもよい。
【0102】
別の態様では、本発明は、ECの診断および/または予後判定のための、第3の態様および/またはその実施形態のいずれか1つによる本発明のキットの使用に関する。
【0103】
したがって、特定の実施形態において、本発明は、本発明の方法のいずれかにおける本発明のキットの使用に関する。
【0104】
本発明の態様および実施形態のいずれかについて上記または下記に提供される実施形態のいずれかでは、MDKおよび場合により任意の他のタンパク質の発現レベルがタンパク質レベルで決定される。この実施形態では、タンパク質マーカーには、天然配列ペプチド、アイソフォーム、キメラポリペプチド、ポリペプチドの修飾形態およびその誘導体を含むマーカーのすべてのホモログ、断片および前駆体が含まれるが、これらに限定されない。
【0105】
上記または下記に提供される特定の実施形態では、発現レベルは、示されるように、免疫化学によって決定される。次の段落は、この選択肢をより詳細に示している。
【0106】
本明細書で使用される「免疫化学」という用語は、試料中の抗原(通常はタンパク質およびペプチドであり、この場合、単独でまたは組み合わせた、上に列挙したタンパク質のいずれか)を、当該抗原に特異的に結合する抗体の原理を利用することによって検出するための様々な技術を指す。抗体-抗原相互作用の可視化は、いくつかの方法で達成することができる。最も一般的な例では、抗体は、発色反応を触媒することができるペルオキシダーゼなどの酵素にコンジュゲートされる。あるいは、抗体は、フルオレセインまたはローダミンなどのフルオロフォアにタグ付けすることもできる。免疫化学技術は、直接的または間接的であり得る。直接法は一段階染色法であり、抗原と直接反応する標識抗体(例えば、FITCコンジュゲート抗血清)を含む。この技術は1つの抗体のみを利用し、したがって単純かつ迅速であるが、間接的な方法に伴うようなシグナル増幅がほとんどないため感度が低く、間接的な方法よりもあまり一般的に使用されない。間接法は、試料中の標的抗原に結合する非標識一次抗体(第1の層)と、一次抗体と反応する標識二次抗体(第2の層)とを含む。この方法は、二次抗体が蛍光または酵素レポーターにコンジュゲートされている場合、各一次抗体へのいくつかの二次抗体の結合に起因するシグナル増幅のため、直接検出戦略よりも感度が高い。
【0107】
二次抗体がいくつかのビオチン分子にコンジュゲートされ、アビジン、ストレプトアビジンまたはニュートラアビジン酵素の複合体をリクルートすることができる場合、さらなる増幅を達成することができる。間接法は、そのより高い感度とは別に、比較的少数の標準的なコンジュゲート(標識)二次抗体のみを生成する必要があるという利点も有する。直接法では、目的の抗原ごとに各一次抗体を標識する必要があり得る。(特定の標的核酸配列に特異的に結合するように設計された)タグ付き核酸プローブを標識抗体で後に検出することができる場合、免疫化学技術を使用して特定の核酸配列を検出することもできることに留意しなければならない。したがって、タンパク質の検出は、標的タンパク質RNAの特異的配列に結合するように設計されたタグ付き核酸を使用し、次いでタグに選択的に結合する標識抗体で当該タグ付き核酸を検出することによって行うことができる。
【0108】
適切なイムノアッセイ手順には、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA、例えばマルチプレックスELISA)、酵素イムノドットアッセイ、凝集アッセイ、抗体-抗原-抗体サンドイッチアッセイ、抗原-抗体-抗原サンドイッチアッセイ、免疫クロマトグラフィー、または当業者に周知の他のイムノアッセイフォーマット、例えばラジオイムノアッセイ、化学発光アッセイ、ラテラルフローアッセイもしくは電気化学アッセイ、ならびにタンパク質マイクロアレイフォーマットが挙げられる。
【0109】
したがって、上記または下記の態様のいずれかのいくつかの態様では、タンパク質の発現レベルはイムノアッセイによって測定される。別の実施形態では、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせて、タンパク質の発現レベルは、ELISA、より詳細にはマルチプレックスELISAによって決定される。
【0110】
あるいは、タンパク質の発現レベルは、生物発光、蛍光、化学発光、電気化学、または質量分析によって決定することができる。
【0111】
あるいは、タンパク質の発現レベルは、質量分析によってタンパク質のプロテオタイプペプチド(proteotypic peptides)(所与のプロテオームにおいて試験タンパク質と独自に関連するアミノ酸配列を有するペプチド)のレベルを測定することによって決定することができる。
【0112】
前述のように、上記または下記に提供される実施形態のいずれかと組み合わせた本発明の態様のいずれかのいくつかの実施形態では、タンパク質の発現レベルは、標的タンパク質に結合することができる抗体またはその断片を使用して決定される。これらの抗体は、本発明のキットにおける標的タンパク質の発現を決定するための「手段」として使用することができる。次の段落は、この選択肢をより詳細に示している。
【0113】
「標的タンパク質に結合することができる抗体またはその断片」という用語は、標的タンパク質に選択的に結合することができる任意の免疫グロブリンまたはその断片として理解されるべきである。これには、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体が含まれる。「その断片」という用語は、標的タンパク質のエピトープに結合するのに適したサイズおよび立体構造を有する抗体の任意の部分を包含する。適切な断片には、F(ab)、F(ab’)およびFvが挙げられる。「エピトープ」は、免疫系(B細胞、T細胞または抗体)によって認識される抗原の部分である。
【0114】
特異的検出に使用される抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得る。抗体を調製し、特徴付けるための周知の手段が、最新技術において存在する。ポリクローナル抗体を生成するための方法は、先行技術において周知である。簡潔には、動物をタンパク質で免疫することによってポリクローナル抗体を調製する。次いで、免疫化動物から血清を収集し、抗体を単離する。抗血清の産生には、広範囲の動物種を使用することができる。典型的には、抗血清の産生に使用される動物は、ウサギ、マウス、ラット、ハムスター、モルモットまたはヤギであり得る。
【0115】
さらに、モノクローナル抗体(MAb)は、周知の技術を使用して調製することができる。典型的には、手順は、疾患に関連するタンパク質で適切な動物を免疫することを含む。免疫組成物は、抗体産生細胞を刺激するのに有効な量で投与することができる。モノクローナル抗体を調製するための方法は、一般に、ポリクローナル抗体調製物と同じラインに従って開始される。免疫原を抗原として動物に注射する。抗原は、完全または不完全フロイントアジュバントなどのアジュバントと混合されてもよい。およそ2週間の間隔で、同じ抗原で免疫化を繰り返す。
【0116】
標的タンパク質(すなわち、MDKおよび場合により列挙されたタンパク質のうちの1つ以上)を検出するための抗体またはその断片は、キットに含めることができる。キットは、抗体-タンパク質相互作用を可視化するための他の手段(添加剤、溶媒)をさらに含み得る。
【0117】
あるいは、MDKの発現レベル、および決定される場合、上に列挙したタンパク質のうちの1つ以上のレベルは、mRNAレベルで決定される。次の段落は、この選択肢をより詳細に示している。
【0118】
したがって、キットまたはその使用の別の実施形態では、キットはマイクロアレイである。
【0119】
別の実施形態では、キットは、タンパク質子宮内膜がんマーカーをコードする遺伝子の定義されたセットを含むマイクロアレイである。その発現が子宮内膜疾患によって有意に変化する、分析される特定のタンパク質(リストのうちの2から11個)について上に提供されたすべての実施形態もまた、マイクロアレイの特定の実施形態である。
【0120】
さらに、本発明のキットは、構成的遺伝子によってコードされるタンパク質を検出するための試薬を含む。当該追加の試薬の利用可能性は、バイオマーカーの発現の差が、発現の相対レベルの実際の差よりも試料中の総タンパク質量の異なる量に起因することを排除するために、異なる試料(例えば、分析される試料および対照試料)で行われた測定を正規化することを可能にする。本発明における構成的遺伝子は、常に活性であるかまたは絶えず転写され、構成的に発現され、必須の細胞機能を実行するタンパク質をコードする遺伝子である。構成的に発現され、本発明で使用することができるタンパク質には、β-2-ミクログロブリン(B2 M)、ユビキチン、18-Sリボソームタンパク質、シクロフィリン、GAPDH、PSMB4、チューブリンおよびアクチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
一実施形態では、マーカーのそれぞれ1つのmRNAの量は、例えば、1つ以上のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応によって検出される。他の実施形態中、mRNAの量は、1つ以上のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーまたはそのようなポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブを用いるハイブリダイゼーション技術を使用して検出される。
【0122】
mRNA検出を使用する場合、本発明の方法は、単離されたmRNAを試薬と組み合わせて、当技術分野で周知の標準的な方法に従ってcDNAに変換し、変換されたcDNAを、核酸プライマーの適切な混合物と共に容器内の増幅反応試薬(cDNA PCR反応試薬など)で処理するステップと、容器の内容物を反応させて、増幅産物を産生するステップと、増幅産物を分析して、試料中のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーの1つ以上の存在を検出するステップによって行うことができる。mRNAの場合、分析ステップは、ノーザンブロット分析を使用して、試料中のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーの存在を検出することによって達成され得る。分析ステップは、増幅産物中のポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカーの存在を定量的に検出し、検出されたマーカーの量を、同様のプライマーを使用して誘導された正常組織および悪性組織におけるそのようなマーカーの既知の存在または非存在についての予想値のパネルと比較することによってさらに達成され得る。
【0123】
別の実施形態では、本発明は、mRNAを、(a)試料からmRNAを単離し、mRNAを試薬と組み合わせてcDNAに変換するステップと、(b)増幅反応試薬、およびポリヌクレオチド子宮内膜がんマーカー子宮内膜がんマーカーの1つ以上にハイブリダイズして増幅産物を産生する核酸プライマーで、変換されたcDNAを処理するステップと、(c)タンパク質子宮内膜がんマーカーをコードするmRNAの存在量を決定するために増幅産物を分析するステップと、(d)決定されたmRNAの量を、同様の方法を用いて誘導された正常組織および疾患組織(例えば、悪性組織)についての予想値のパネルに対して検出された量と比較するステップによって検出する方法を提供する。
【0124】
本発明の特定の実施形態では、RT-PCRを使用して、検出および分析のためにタンパク質子宮内膜がんマーカーのmRNAを増幅することができる。本発明の他の実施形態は、定量的RT-PCRを使用して、タンパク質子宮内膜がんマーカーのmRNA量を定量的に決定する。本発明のさらなる実施形態は、定量化および分析のためにリアルタイムRT-PCRを使用する。
【0125】
本明細書に列挙されるすべてのタンパク質、または本明細書の対応する表中のUniprotKB(https://www.uniprot.org/help/uniprotkb)データベース受託番号は、2021年7月23日にアクセス可能なバージョン(データベースリリース)に対応する。
【0126】
AGRINは、Uniprotデータベース受託番号O00468である。このタンパク質は、神経筋接合部の形成および維持に関与するヘパリン硫酸基底膜糖タンパク質である。
【0127】
PIGRは、高分子免疫グロブリン受容体としても公知であり、Uniprotデータベース受託番号P01833、2007年6月26日-v4である。この受容体は、上皮細胞の基底外側表面で高分子IgAおよびIgMに結合する。
【0128】
CD44抗原としても知られているCD44は、Uniprotデータベース受託番号P16070、2010年10月5日-v3である。HAに対する親和性を介して、およびおそらくオステオポンチン、コラーゲン、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)などの他のリガンドに対する親和性を介して、細胞-細胞および細胞-マトリックス相互作用を媒介する。
【0129】
L-乳酸デヒドロゲナーゼA鎖としても知られているLDHAは、Uniprotデータベース受託番号P00338、2007年1月23日-v2である。このタンパク質は、ピルバートから(S)ラクタートを合成する副経路のステップ1に関与する。
【0130】
これらのタンパク質のいくつかは、組織試料におけるECグレード分類/診断に関連している。しかしながら、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中の値と相関する意義のあるデータはない。上記のように、これらの種類の試料中のマーカーの検出は、婦人科疾患の臨床診療における日常的な試料採取からデータを収集し、コストおよび重要なことに侵襲的組織生検を回避する利点を意味する。
【0131】
本発明のさらなる態様は、特に予後判定に応じて、子宮内膜がんに罹患している対象の医療レジメンを開始するかどうかを決定または推奨する方法であった。この方法の特定の実施形態では、
a)外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料中、ミッドカイン(MDK)の存在および/または発現レベルをインビトロで決定するステップと、
b)ステップ(a)のMDKのレベルを、子宮内膜がんに罹患している対象からの値もしくは値の区間から選択される各タンパク質についての対応する基準値もしくは基準区間と比較するステップ、および/または子宮内膜がんと他の婦人科の障害もしくは状態とを識別するカットオフ値と比較するステップと、
c)MDKのレベルが、このがんに罹患している対象からの値もしくは値の区間の範囲内である場合、および/またはカットオフ値に対するMDKのレベルが子宮内膜がん群に分類される場合、
i)対象が子宮内膜癌に罹患していると診断された場合、または子宮内膜癌に罹患している疑いがあると診断された場合、子宮全摘出術および両側卵管卵巣摘出術からなり、場合により骨盤および傍大動脈のリンパ節切除術および大網切除術で補完される医療レジメンの開始が推奨され、
ii)患者が子宮内膜癌に罹患していないと診断された場合、医師による患者の検査の結果を考慮して、場合によりフォローアップが行われるように、
対象を子宮内膜がんと診断するステップと
を含む。
【0132】
通常は確立された予後判定に応じて、子宮内膜がんに罹患している対象の医療レジメンを開始するかどうかを決定または推奨する別の特定の実施形態の方法では、放射線療法、小線源療法、ホルモン療法、化学療法、標的療法およびそれらの組み合わせから選択されるアジュバント治療が推奨される。
【0133】
子宮内膜がんに罹患している対象の医療レジメンを開始するかどうかを決定または推奨するこの方法は、子宮内膜がんの再発もしくは再発リスクの診断のための以前に開示された方法、ならびに/または子宮内膜がんサブタイプおよび/もしくは子宮内膜がん分子分類の診断にも適用可能である。
【0134】
したがって、本明細書ではまた、この疾患に罹患している対象におけるECの治療のための方法であって、第1の態様またはその実施形態のいずれか1つの診断および/または予後判定の方法を実施するステップを含み、場合により骨盤および傍大動脈のリンパ節切除術ならびに/または大網切除術で補完される、子宮全摘出術および/または両側卵管卵巣摘出術によって対象を治療するステップをさらに含む、方法も開示される。提案される治療方法の特定の実施形態では、対象はまた、放射線療法、小線源療法、ホルモン療法、化学療法、標的療法およびそれらの組み合わせから選択される推奨されるアジュバント治療を受ける。
【0135】
さらにまた、対象の単離された試料中、MDK、および/または場合により表1に列挙されたタンパク質のうちの1つ以上のレベルを検出する方法であって、
(a)対象から、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含む婦人科試料採取から選択される試料を取得するステップと、
(b)単離された試料中のミッドカイン(MDK)の存在および/または発現レベルを、(i)当該試料を、対応するタンパク質に結合することができる手段と接触させ、当該結合を検出することによって、または(ii)当該試料を、当該タンパク質に翻訳されることになる対応するRNAに結合することができる手段と接触させ、当該結合を検出することによって、検出するステップと
を含む、方法が開示される。
【0136】
本発明の別の態様は、上記の態様および実施形態で定義された診断および/もしくは予後判定の方法のいずれかを実施するための、または子宮内膜がんの再発もしくは再発リスクならびに/もしくは子宮内膜がんサブタイプおよび/もしくは子宮内膜がん分子分類の診断のための上記で開示された方法のいずれかを実施するためのアルゴリズムを提供することである。
【0137】
示されるように、この第4の態様は、第1の態様で定義された方法を実施するためのコンピュータ実装方法であって、MDK、ならびに場合により子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、当該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、当該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、ならびに/または異なる組織学的サブタイプおよびグレードおよび異なる分子的特徴を含む異なる予後判定を示すECの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる、方法に関する。
【0138】
特定の実施形態では、アルゴリズムは、ECを診断するおよび/またはECを予後判定するための、特にECサブタイプ、特にEECまたはNEECを決定することによる疾患の予後判定のための、コンピュータ実装方法である。このアルゴリズムは、試料がECに罹患している対象に由来するか否かの決定を行うことを可能にし、また、ECに罹患している対象に由来する試料がEECまたはNEECに罹患しているかどうかの決定を行うことを可能にする。より特定の実施形態では、アルゴリズムは推奨治療を提供する。したがってまた、上記で定義された方法を実施するためのコンピュータ実装方法であって、ECの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、当該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、当該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、および/または異なるECサブタイプの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる、方法が提供される。
【0139】
換言すれば、本発明のアルゴリズムの別の特定の実施形態では、ECの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、当該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、当該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、および/または異なるECサブタイプの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる。
【0140】
特定の実施形態では、アルゴリズムは、FIGOのものなどの既知のグレード分類または病期分類システムに従って、ECを診断するおよび/またはECを予後判定するための、特にECグレード分類、特に低グレードまたは高グレードECを決定することによる疾患の予後判定のための、コンピュータ実装方法である。別の特定の実施形態では、アルゴリズムは、ECを診断するおよび/またはECを予後判定するための、特に類内膜対非類内膜子宮内膜がんなどのEC組織サブタイプを決定することによる疾患の予後判定のための、コンピュータ実装方法である。このアルゴリズムは、試料がECに罹患している対象に由来するか否かの決定を行うことを可能にし、また、ECに罹患している対象に由来する試料が低グレードまたは高グレードのECに罹患しているかどうかの決定を行うことを可能にする。より特定の実施形態では、アルゴリズムは推奨治療を提供する。したがってまた、上記で定義された方法を実施するためのコンピュータ実装方法であって、ECの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、当該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、当該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、および/または異なるECグレードの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる、方法が提供される。
【0141】
換言すれば、本発明のアルゴリズムの別の特定の実施形態では、ECの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、当該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、当該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、および/または異なるECグレードの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる。
【0142】
本発明のインビトロでの方法は、診断および/または予後判定情報を提供する。一実施形態では、本発明の方法は、(i)診断および/または予後判定情報を収集するステップと、(ii)情報をデータキャリアに保存するステップとをさらに含む。
【0143】
本発明の意味において、「データキャリア」は、紙などの子宮内膜癌の診断および/または予後判定のための意義のある情報データを含む任意の手段として理解されるべきである。キャリアはまた、予後判定データを保持することができる任意の実体またはデバイスであり得る。例えば、キャリアは、ROM、例えばCD ROMもしくは半導体ROMなどの記憶媒体、または磁気記録媒体、例えばフロッピーディスクもしくはハードディスクを含むことができる。さらに、キャリアは、電気もしくは光ケーブルを介して、または無線もしくは他の手段によって伝達され得る、電気または光信号などの伝送可能なキャリアであってもよい。診断/予後判定データが、ケーブルまたは他のデバイスもしくは手段によって直接伝達され得る信号で具現化される場合、キャリアは、そのようなケーブルまたは他のデバイスもしくは手段によって構成され得る。他のキャリアは、USBデバイスおよびコンピュータアーカイブに関する。適切なデータキャリアの例は、紙、CD、USB、PC内のコンピュータアーカイブ、または同じ情報を有する音声登録である。
【0144】
明細書および特許請求の範囲を通して、「含む」という語およびこの語の変形は、他の技術的特徴、添加剤、成分またはステップを除外することを意図するものではない。さらに、「含む」という語は、「からなる」の場合を包含する。本発明のさらなる目的、利点および特徴は、説明を検討すると当業者に明らかになるか、または本発明の実施によって習得され得る。以下の実施例は例示として提供され、それらは本発明を限定することを意図するものではない。さらに、本発明は、本明細書に記載の特定の好ましい実施形態のすべての可能な組み合わせを網羅する。
【実施例
【0145】
実施例1:発見コホート。検証コホートおよびマーカーの情報の分析。頸管粘液試料中のMDKレベルの分析からの情報価値のあるデータ(日常的な非侵襲的婦人科試料採取)
【0146】
材料および方法:パップスメアに含まれる流体、すなわち頸管粘液試料を使用して潜在的なバイオマーカーを同定するための発見段階は、ショットガン標識を含まないプロテオミクス手法を使用して実施された。試験には60人の患者(EC患者20人、子宮内膜がんまたは子宮頸部病変なしでAVBを患っている対照20人、子宮内膜病変なしで子宮頸部病変を患っている対照20人)が含まれていた。MaxQuantおよびRソフトウェアを使用してデータを分析した。発見段階で同定された75個のタンパク質に対応する110個のペプチドのレベルを、質量分析(LC-PRM)によって242人(非EC106人、EC129人、ECの前悪性腫瘍7人)の患者の検証段階でさらに測定した。分析は、Skylineソフトウェア、SPSSおよびRソフトウェアを使用して行った。検証試験に含まれた患者の臨床病理学的特徴を表2に示す。
【0147】
結果:発見試験により、本発明者らの試料中の1つ以上のペプチドで同定された合計2,888個のタンパク質を決定することが可能になった。統計分析により、さらに評価および検証されるEC患者と非EC患者との間で異なって発現される75の潜在的なタンパク質を同定することが可能になった。検証段階では、EC患者と非EC患者とを比較してECの非侵襲的診断に達するための、子宮頸部試料で測定されたこれらのタンパク質のうちの60個の大きな可能性が明らかになった(adj.p値<0.05、倍率変化>2、AUC>0.7)(表3)。具体的には、19個のタンパク質がAUC>0.75を達成し、7個のタンパク質がAUC>0.8を達成した。さらに、質量分析によって得られた結果を再現し、最良の性能のタンパク質のELISAアッセイを、ECを診断する(127人のEC患者と106人の非EC患者とを比較する)ためのこのデータセットにおいてAUC=0.91に達するすべての試料で試験した(図1)。検証試験により、EC患者の組織学的サブタイプおよびグレードを区別するための予後判定のバイオマーカーとして有意なタンパク質のセットを同定することが可能になった。具体的には、低グレード(G1)EC患者35人と高グレード(G3)EC患者37人とを比較した場合、34個のタンパク質バイオマーカーのセットは有意な調整されたp値を有し(表3、太字)、39個のタンパク質は1.3より高い倍率変化を有していた(表3、影付き)。低グレードおよび中間グレード、G1およびG2と、高グレード(G3)との比較も行った。有意かつ高発現のタンパク質を表3に示す。組織学的サブタイプに関して、類内膜子宮内膜がん(EEC)102人と非類内膜子宮内膜がん患者25人とを比較した場合、33個のタンパク質のセットが差次的に発現され(1.3倍より高い倍率変化)、31個のタンパク質が有意であると同定された(adj.p値<0.05)。これらの結果をすべて表3に示す。表8および9はまた、組み合わせてEC患者の組織学的サブタイプおよびグレードを区別することを可能にする2つまたは3つのタンパク質パネルを示す。
【0148】
次の表3は、他のマーカーであるMDKのAUC、SEおよびSPを示す。MDKが最良の値を提供したことに留意されたい。
【0149】
【表2】
【0150】
【表3】
【0151】
MDKを2パネルおよび3パネルのタンパク質バイオマーカーで組み合わせた場合、組み合わせのAUC値は、主にECを診断するための感度を増加させることによって、MDK単独と比較して増加した。データを次の表4および表5に示す。同様に、予後判定に関する有意な情報を提供するタンパク質を表6および7に組み合わせた。先に示したように、女性生殖管の他の障害と共通する疾患の総体症状を考慮すると、感度は重要である。
【0152】
【表4】
【0153】
【表5】
【0154】
【表6】
【0155】
【表7】

【0156】
【表8-1】
【0157】
【表8-2】
【0158】
【表9-1】
【0159】
【表9-2】
【0160】
実施例2:疾患の再発を示すマーカー。
発見試験には20人の患者が含まれ、そのうち9人が5年間のフォローアップ後に再発した。これらの再発女性は、手術後10ヶ月~119ヶ月の間に再発する。具体的には、類内膜EC4人(G2 2人およびG3 2人)および非類内膜EC5人が再発したが、EEC10人(G1 2人、G2 7人、G3 1人)および非EEC1人は再発しなかった。したがって、再発患者9人と非再発患者11人とを比較した。
【0161】
統計分析は、AUC>0.75を有する19個のタンパク質が再発性EC患者と非再発性EC患者とを区別することを示した(MUC1、PRSS8、PNP、APEH、MUC16、C9、SERPINC1、SERPINA1、F2、AMBP、HP、SERPINA3、CFB、ORM2、CAT、GNAI2、A1BG、FN1およびC7)。さらに、存在非存在統計分析によって、再発EC患者と非再発EC患者との間で18個の差次的発現タンパク質が同定された(ASTRGL1、B4GALT1、CAPS、CBX3、CD163、CDV3、DMBT1、DSG3、EHD1、GOLM1、MUC16、MUC5AC、NME1、NT5E、PDLIM5、PRSS8、RDXおよびVASP)。
【0162】
次の表10(A)および(B)は、データを示す。
【0163】
【表10A】
【0164】
【表10B】
【0165】
次の表11に、使用したバイオマーカーの名称を列挙する。
【0166】
【表11】
【0167】
実施例3;ELISA-EC診断(MDK)
MDKは、質量分析(MS)および抗体ベースのアッセイ(ELISA技術)の両方で測定した場合、良好なEC診断バイオマーカーである。241人の患者(n=EC128人、非EC113人)の頸管粘液中のMDKのレベルは、EC患者と非EC患者とを区別するための統計的差異を示し、MSによって測定した場合に0.91のAUC、ELISAアッセイによって測定した場合に0.92のAUCを達成した。両方の手法の測定値間で0.91の相関を示す。
【0168】
データを図2に示し、(A)質量分析(LC-MS/MS PRM)データまたは(B)MDKを決定するためのELISAアッセイ由来データを示す。被験者のコホートの試料で試験し、EC患者と非EC患者とを比較した。(C)では、両方の手法の測定値間の相関は、高い相関レベルとなることができ、これによってマーカーを診療現場での実施のためのものとすることができる。
【0169】
実施例4;-子宮液中のMDK
MDKのレベルはまた、子宮内膜生検、具体的にはピペル生検から得られた子宮液中のECの潜在的な診断マーカーであることが実証された。具体的には、MDKレベルは、EC患者(n=118)と非EC患者(n=129)との間でp値<0.0001およびAUC=0.69を示した。したがって、日常的な婦人科検査中に試料の種類から得ることができるMDKからの情報に加えて、このマーカーは、子宮内膜生検などの他のより侵襲的な試料採取からの情報も提供する。これらの生検は、特定の疾患が疑われる場合に行われることがあり、その結果、このマーカーが分析される場合、初期のECまたはECではない可能性の分析も同時に検出することができる。
【0170】
データを図3に示し、ここでは、対象のコホートの試料で試験し、EC患者と非EC患者とを比較した、子宮液中のMDKを決定するためのELISAアッセイからのデータを示す。(A)EC患者と非EC患者との間のタンパク質濃度の分布のドットプロット。(B)ELISAによって評価したMDKのROC分析(受信者動作特性分析(Receiver Operating Characteristic analysis))の曲線。
【0171】
実施例5;分子分類
合計28個のタンパク質(LBP、VWF、GPLD1、SAA4、APOF、C4BPA、SPRR1A、SERPIND1、APOB、SCEL、LCAT、SERPINA3、LMO7、C1R、MUC4、FN1、SPRR1B、C1QA、ITIH2、TIMP2、APOC1、GRN、ANXA3、S100A9、PLBD1、PIGR、SERPINH1、HSPE1)は、ECの分子サブグループ:POLEエキソヌクレアーゼドメインホットスポット変異(POLE)超変異またはPOLE変異(POLEMut)の存在、MSI:マイクロサテライト不安定性(MSI)またはミスマッチ修復タンパク質発現の喪失に基づくMMR欠損(MMRd);低コピー数(低CN)または特異的分子プロファイルなし(NSMP);高コピー数(高CN)または変異様免疫染色に基づくp53異常(p53 abn)-FC:倍率変化を有意に区別することができた。
【0172】
データを表12に示す:
【表12】
【0173】
さらなる態様/実施形態は、以下の項で定義される。
【0174】
条項1.子宮内膜がんの診断および/または予後判定のための方法であって、外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液およびそれらの組み合わせを含むかまたはそれらから選択される婦人科試料採取から選択される試料中、ミッドカイン(MDK)の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、方法。
【0175】
条項2.試料がパップスメアであり、具体的には、パップスメアに含まれる流体および/または頸管粘液である、条項1に記載の方法。
【0176】
条項3.表1に列挙されたタンパク質のうちの1つ以上、特に以下のタンパク質のうちの1つ以上の存在および/または発現レベルを決定するステップをさらに含む、条項1から2のいずれかに記載の方法:
アポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)。
【0177】
条項4.タンパク質のうちの2、3、または4個の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、条項1から3のいずれかに記載の方法。
【0178】
条項5.単離された試料中、MDK、LCN2;MDK、FN1;MDK、PLBD1;MDK、APOB;MDK、CD44;MDK、FCGBP;MDK、EPS8L1;MDK、ANXA3;MDK、C4BPA;MDK、MMP8;MDK、NEDD-8;MDK、CAMP;MDK、TIMP2;MDK、HSPE1;MDK、CALU;MDK、C1QA;MDK、LDHA;MDK、TIMP2;MDK、PIGR;MDK、KRT8;MDK、PPL;MDK、SPRR1A;MDK、STMN1;MDK、CAPS;MDK、CA1;MDK、CCT6A;MDK、VIM;MDK、TCP1;およびMDK、AGRNからなる群の少なくとも1つの2値のセット;ならびに/または表4および表6のいずれかに列挙された少なくとも1つの2値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、条項4に記載の方法。
【0179】
条項6.単離された試料中、MDK、ANXA7、CSE1L;MDK、LCN2、FGFBP1;MDK、LCN2、ANXA7;MDK、FGFBP1、LCN2;MDK、APOF、FCGBP;MDK、IMPA1、FCGBP;MDK、LCN2、CD44;MDK、STX7、FCGBP;MDK、ITIH2、FCGBP;MDK、LCN2、EPS8L1;MDK、FGFBP、EPS8L1;MDK、ANXA7、FCGBP;MDK、LCN2、PLBD1;MDK、FCGBP、CD44;MDK、PLBD1、FCGBP;MDK、ANXA3、FCGBP;MDK、PLBD1、LGALS1;MDK、LCN2、IMPA1;MDK、FCGBP、VIM;MDK、FCGBP、LMNB1;MDK、PLBD1、ATP6V1G1;MDK、APOB、PKM;MDK、ITIH2、LCN2;MDK、PLBD1、CALU;MDK、LCN2、APOF;MDK、PLBD1、EPS8L1;MDK、APOC1、ANXA7;MDK、FCGBP、GYG1;MDK、PLBD1、PKM;MDK、FCGBP、LSP1;MDK、TIMP2、CD44;MDK、ANXA3、PLBD1;MDK、PLBD1、HSPE1;MDK、PLBD1、CA1;MDK、FCGBP、HCLS1;MDK、STX7、IMPA1;MDK、ANXA7、STX7;MDK、STX7、EPS8L1;MDK、PLBD1、LSP1;MDK、C1R、ANXA7;MDK、STX7、PEA15;MDK、PLBD1、HCLS1;MDK、LCAT、FCGBP;MDK、PLBD1、LDHA;MDK、APOB、S100A9;MDK、ANXA7、SCEL;MDK、SERPINA3、FCGBP;MDK、FCGBP、ITGB2;MDK、SCEL、ANXA3;MDK、S100A9、PLBD1;MDK、S100A9、LSP1;MDK、C1R、FCGBP;MDK、FGFBP1、FCGBP;MDK、APOC1、S100A9;MDK、PPL、PLBD1;MDK、TCP1、PEA15;MDK、ANXA3、LSP1;MDK、PPL、IMPA1;MDK、S100A9、MMP8;MDK、FGFBP1、PPL;およびMDK、S100A9、PPLからなる群の少なくとも1つの3値のセット;ならびに/または表5および表7のいずれかに列挙された少なくとも1つの3値のセットにおける、タンパク質の存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、条項4に記載の方法。
【0180】
条項7.単離された試料中、3値のセット、MDK、ANXA7およびCSE1Lの存在および/または発現レベルを決定するステップを含む、条項6に記載の方法。
【0181】
条項8.
a)女性の生殖管から単離された試料中、インビトロで、MDKの発現レベルを、場合により請求項3から7のいずれか一項に列挙されたタンパク質のうちの1つ以上と組み合わせて決定するステップと、
b)ステップ(a)のMDK、および決定される場合、1つ以上の他のタンパク質のレベルを、子宮内膜がんに罹患している対象からの値もしくは値の区間から選択される、各タンパク質の対応する基準値もしくは基準区間と比較するステップ、ならびに/または子宮内膜がんと他の子宮内膜障害もしくは(すなわち、健康な)子宮内膜の状態とを識別するカットオフ値と比較するステップであって、少なくともMDKのレベルがこのがんに罹患している対象からの値または値の区間内にある場合、および/またはカットオフ値に対する少なくともMDKのレベルが子宮内膜がん群に分類される場合、対象が子宮内膜がんと診断されるステップと
を含む、条項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0182】
条項9.発現レベルがタンパク質レベルで決定される、条項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【0183】
条項10.タンパク質レベルが、イムノアッセイ、生物発光アッセイ、蛍光アッセイ、化学発光アッセイ、電気化学アッセイ、質量分析、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるアッセイまたは技術によって決定される、条項1から9のいずれかに記載の方法。
【0184】
条項11.タンパク質の発現レベルが、タンパク質に結合することができる抗体またはその断片を使用して決定される、条項9から10のいずれか一項に記載の方法。
【0185】
条項12.当該抗体またはその断片oがキットの一部を形成する、条項11に記載の方法。
【0186】
条項13.外陰、膣、子宮頸部、子宮、卵管および卵巣のうちの1つ以上を含む女性生殖管部分からの、頸管粘液、細胞診、パップスメア試料、子宮内膜生検、子宮液、子宮洗浄液の1つ以上を含む婦人科試料採取から選択される試料における、子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのインビトロのマーカーとしてのMDKの使用。
【0187】
条項14.固体支持体と、MDKの存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段と、場合により、表1に列挙した1つ以上のタンパク質、特にアポリポタンパク質B(APOB)、補体C1qサブコンポーネントサブユニットA(C1QA)、フィブロネクチン1(FN1)、セルピンファミリーDメンバー1(SERPIND1)、アポリポタンパク質F前駆体(APOF)、アポリポタンパク質C1(APOC1)、TCP1サブユニット6Aを含有するシャペロン(CCT6A)、リポ多糖結合タンパク質前駆体(LBP)、血清アミロイドA4(SAA4)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、リポカリン2(LCN2)、レシチン:コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)、C4b結合タンパク質アルファ鎖(C4BPA)、補体C1r(C1R)、線維芽細胞成長因子結合タンパク質1(FGFBP1)、スモールプロリンリッチタンパク質1B(SPRR1B)、スモールプロリンリッチタンパク質1A(SPRR1A)およびメタロプロテイナーゼ組織阻害因子2(TIMP2)、リポカリン-2(LCN2)、ホスホリパーゼBドメイン含有1(PLBD1)、CD44抗原、IgG結合タンパク質Fc断片(FCGBP)、上皮成長因子受容体キナーゼ基質8様タンパク質1(EPS8L1)、アネキシンA3(ANXA3)、マトリックスメタロプロテイナーゼ-8(MMP8)、NEDD-8タンパク質、カテリシジン抗菌ペプチド(CAMP)、熱ショックタンパク質ファミリーE(Hsp10)メンバー1(HSPE1)、カルメニン(CALU)、乳酸デヒドロゲナーゼA(LDHA)、ポリマー免疫グロブリン受容体(PIGR)、ケラチン8(KRT8)、ペリプラキン(PPL)、スタスミン1(STMN1)、カルシフォシン(CAPS)、炭酸脱水酵素1(CA1)、ビメンチン(VIM)、T複合体1(TCP1)、アグリン(AGR)、アネキシンA7(ANXA7)、イノシトールモノホスファターゼ1(IMPA1)、シンタキシン7(STX7)、インター-アルファ-トリプシン阻害因子重鎖2(ITIH2)、ガレクチン1(LGALS1)、ATPアーゼH+輸送V1サブユニットG1(ATP6V1G1)、ピルビン酸キナーゼアイソザイムM1/M2(PKM)、グリコゲニン1(GYG1)、リンパ球特異的タンパク質1(LSP1)、造血細胞特異的Lyn基質1(HCLS1)、増殖およびアポトーシスアダプタータンパク質15(PEA15)、S100カルシウム結合タンパク質A9(S100A9)、サイエリン(SCEL)、セルピンファミリーAメンバー3(SERPINA3)、インテグリンサブユニットベータ2(ITGB2)、IgG結合タンパク質のFc断片(FCGBP)、NEDD8-MDP1タンパク質(NEDD8-MDP1)、荷電多胞体タンパク質4B(CHMP4B)、およびエキスポーチン-2(XPO2)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質の存在を検出するためのおよび/または発現レベルを決定するための手段とを含む、キット。
【0188】
条項15.条項1から3のいずれか一項で定義された方法を実施するためのコンピュータ実装方法であって、MDK、ならびに場合により子宮内膜がんの診断および/または予後判定のためのタンパク質のうちの1つ以上の発現レベルの決定後、当該レベルに値および/またはスコアが与えられ、場合により計算値を得るために数式で計算され、当該レベル、スコアおよび/または計算値に応じて、ECに罹患しているか否かの選択肢の間で、ならびに/または異なる組織学的サブタイプおよびグレードおよび異なる分子的特徴を含む異なる予後判定を示す異なるECの間で罹患しているという選択肢の間で決定が行われる、方法。
【0189】
参照文献リスト
●DeSouza LV, et al, "Endometrial cancer biomarker discovery and verification using differentially tagged clinical samples with multidimensional liquid chromatography and tandem mass spectrometry", Mol Cell Proteomics MCP- 2007, vol. no.6, pp.:1170-8.
●EP3452829B1
●EP3655778A1
●Tanable et al., "Midkine and its clinical significance in endometrial carcinoma", cancer Sci-2008, vol. no. 99(6), pp.: 1125-1130
●Kemik P, et al. "Diagnostic and prognostic values of preoperative serum levels of YKL-40, HE-4 and DKK-3 in endometrial cancer", Gynecol Oncol- 2016; vol. no.140, pp.:64-9.
●Burtis C. A. et al., 2008, Chapter 14, section "Statistical Treatment of Reference Values"
図1
図2
図3
【国際調査報告】