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特表2024-525951自走式自己操舵の床清掃装置及び床清掃システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】自走式自己操舵の床清掃装置及び床清掃システム
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20240705BHJP
【FI】
A47L9/28 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024503996
(86)(22)【出願日】2021-07-23
(85)【翻訳文提出日】2024-02-28
(86)【国際出願番号】 EP2021070753
(87)【国際公開番号】W WO2023001391
(87)【国際公開日】2023-01-26
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505201098
【氏名又は名称】アルフレッド ケルヒャー エスエー ウント コンパニー カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マニュエル ドゥルスト
(72)【発明者】
【氏名】フェードア ウラソフ
(72)【発明者】
【氏名】ハイコ ヘンニゲ
(72)【発明者】
【氏名】ノーマン コーラー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン ホフナー
(72)【発明者】
【氏名】ファビアン シューリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ゲレオン ヒンツ
【テーマコード(参考)】
3B057
【Fターム(参考)】
3B057DE02
3B057DE06
(57)【要約】
本発明は、床面(16)上を走行するための走行装置(20)と、床面(16)を清掃するための少なくとも1つの清掃装置(24)と、制御装置(22)と、センサ装置(38)とを備える自走式自己操舵の床清掃装置に関し、制御装置(22)は、センサ装置(38)からの少なくとも1つの信号に応じて、床清掃装置(10)を環境内で位置付ける又はナビゲートするように形成及び構成され、センサ装置(38)は、床清掃装置の順方向(40)に関して床清掃装置(10)の前側(42)に、ステレオカメラシステム(60)として構成される又はステレオカメラシステム(60)を備える第1の距離測定ユニット(58)と、構造化光を有する走査ユニット(80)として構成される又は走査ユニット(80)を備える第2の距離測定ユニット(78)とを備え、第1の距離測定ユニット(58)の観察領域(76)及び第2の距離測定ユニット(78)の観察領域(86)が、床清掃装置(10)の順方向(40)に向けられて重なり合い、第2の距離測定ユニット(78)は、床清掃装置(10)上で、高さ方向(66)に関して第1の距離測定ユニット(58)の上方に配置される。本発明はまた、床清掃システム(12)に関する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面(16)上を走行するための走行装置(20)と、前記床面(16)を清掃するための少なくとも1つの清掃装置(24)と、制御装置(22)と、センサ装置(38)とを備える自走式自己操舵の床清掃装置であって、
前記制御装置(22)が、前記センサ装置(38)からの少なくとも1つの信号に応じて、前記床清掃装置(10)を環境内で位置付ける及び/又はナビゲートするように形成及び構成され、
前記センサ装置(38)が、前記床清掃装置の順方向(40)に関して前記床清掃装置(10)の前側(42)に、ステレオカメラシステム(60)として構成される又は前記ステレオカメラシステム(60)を備える第1の距離測定ユニット(58)と、構造化光を有する走査ユニット(80)として構成される又は前記走査ユニット(80)を備える第2の距離測定ユニット(78)とを備え、
前記第1の距離測定ユニット(58)の観察領域(76)及び前記第2の距離測定ユニット(78)の観察領域(86)が、前記床清掃装置(10)の前記順方向(40)に向けられて重なり合い、
前記第2の距離測定ユニット(78)が、前記床清掃装置(10)上で、高さ方向(66)に関して前記第1の距離測定ユニット(58)の上方に配置される、
自走式自己操舵の床清掃装置。
【請求項2】
前記走査ユニット(80)が、レーザ走査ユニット又はレーダ走査ユニットであることを特徴とする請求項1に記載の床清掃装置。
【請求項3】
前記走査ユニット(80)が、複数の異なる観察面(84、91、92)に構造化光を放射するように形成される多層走査ユニット(90)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の床清掃装置。
【請求項4】
前記第2の距離測定ユニット(78)の観察面(84、92)が、前記床面(16)上へ斜め下方に向けられること、及び/又は
前記第2の距離測定ユニット(78)の観察面(91)が、前記床面(16)と平行に配向されること
を特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項5】
前記第1の距離測定ユニット(58)の少なくとも1つの光軸(68)が、前記床面(16)と平行に位置合わせされること、及び/又は
前記第1の距離測定ユニット(58)の観察面(72)が、前記床面(16)と平行に又は前記床面(16)に対して垂直に配向されること
を特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項6】
前記センサ装置(38)が、前記前側(42)に第3の距離測定ユニット(94)を備え、該第3の距離測定ユニット(94)が、前記順方向(40)に配向され且つ前記第1の距離測定ユニット(58)の前記観察領域(76)及び/又は前記第2の距離測定ユニット(78)の前記観察領域(86)と重なる観察領域(106)を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項7】
前記第3の距離測定ユニット(94)が、前記高さ方向(66)に関して、前記第2の距離測定ユニット(78)の下方に及び/又は前記第1の距離測定ユニット(58)の上方に配置されることを特徴とする請求項6に記載の床清掃装置。
【請求項8】
前記第3の距離測定ユニット(94)が、ステレオカメラシステム(96)として構成されることを特徴とする請求項6又は7に記載の床清掃装置。
【請求項9】
前記第3の距離測定ユニット(94)の少なくとも1つの光軸(68)が、前記床面(16)と平行に位置合わせされること、及び/又は
前記第3の距離測定ユニット(94)の観察面(102)が、前記床面(16)に対して垂直に又は前記床面(16)と平行に配向されること
を特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項10】
前記第1の距離測定ユニット(58)及び前記第3の距離測定ユニット(94)がそれぞれステレオベースを備え、前記ステレオベースが、互いに対して45°以上、好ましくは90°又は略90°の角度を形成することを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項11】
前記第1の距離測定ユニット(58)及び前記第3の距離測定ユニット(94)が、前記前側(42)に向かって観察方向にT字配置又は逆T字配置を有することを特徴とする請求項6から10のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項12】
前記第1の距離測定ユニット(58)の観察面(72)又は前記第3の距離測定ユニット(94)の観察面(102)が、前記床清掃装置(10)の中央縦断面(103)と一致することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項13】
前記前側(42)の前記センサ装置(38)が第4の距離測定ユニット(108)を備え、該第4の距離測定ユニット(108)が、前記高さ方向(66)に関して前記第1の距離測定ユニット(58)の下方に配置されると共に、構造化光を有する走査ユニット(122)として構成され又は前記走査ユニット(122)を備え、
前記第4の距離測定ユニット(108)の観察領域(128)が、前記第1の距離測定ユニット(58)の観察領域(76)及び/又は前記第2の距離測定ユニット(78)の観察領域(86)と重なること
を特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項14】
前記高さ方向(66)に関して、前記第2の距離測定ユニット(78)から前記第1の距離測定ユニット(58)までの距離が、前記第4の距離測定ユニット(108)から前記第1の距離測定ユニット(58)までの距離にほぼ等しいことを特徴とする請求項13に記載の床清掃装置。
【請求項15】
前記センサ装置(38)が少なくとも1つの別の距離測定ユニット(120)を備え、該少なくとも1つの別の距離測定ユニット(120)が、構造化光を有する走査ユニット(122)として構成される又は前記走査ユニット(122)を備えると共に、前記順方向(40)に関して前記床清掃装置(10)の後側(44)に配置されることを特徴とする請求項13又は14に記載の床清掃装置。
【請求項16】
前記走査ユニット(110、122)が、前記前側(42)及び前記後側(44)に、前記床清掃装置(10)上で直径方向に相対して配置されること、及び/又は
前記走査ユニット(110、122)の観察領域(118、128)が、前記床清掃装置(10)の360°又は略360°の全周監視を可能にすること
を特徴とする請求項15に記載の床清掃装置。
【請求項17】
前記センサ装置(38)が、前記順方向(40)に関して前記床清掃装置(10)の左側(46)又は右側(48)に配置される少なくとも1つの別の距離測定ユニット(130、134)を備える共に、前記床清掃装置(10)の前記左側又は前記右側に且つ前記床面(16)に向けられる観察領域(140、144)を備えることを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項18】
好ましくは前記床清掃装置(10)の中央縦断面(103)に関して互いに対称を成すように形成される2つの別の距離測定ユニット(130、134)が設けられることを特徴とする請求項17に記載の床清掃装置。
【請求項19】
前記少なくとも1つの別の距離測定ユニット(130、134)が、ステレオカメラシステム(132、136)として形成されることを特徴とする請求項17又は18に記載の床清掃装置。
【請求項20】
前記少なくとも1つの別の距離測定ユニット(130、134)の観察領域(140、144)が、前記第1の距離測定ユニット(58)及び/又は前記第2の距離測定ユニット(78)の観察領域(76、86)と重なることを特徴とする請求項17から19のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項21】
前記センサ装置(38)が、少なくとも1つの超音波測定ユニット(146)を備えることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項22】
前記順方向(40)に放射する超音波センサ(148)を有する超音波測定ユニット(146)が、前記前側(42)に配置されることを特徴とする請求項21に記載の床清掃装置。
【請求項23】
好ましくは前記床清掃装置(10)のハウジング(18)上の共通レセプタクル(154)内に互いに隣接して配置された2つの超音波センサ(152、153)を備える少なくとも1つの超音波測定ユニット(146)が設けられることを特徴とする請求項21又は22に記載の床清掃装置。
【請求項24】
超音波測定ユニット(146)が、前記床清掃装置(10)の前記前側(42)及び/又は左側(46)及び/又は前記右側(48)に、例えば前記床清掃装置(10)の側壁部分(54)前側の区域内に及び/又は前記床清掃装置(10)の後側に配置されることを特徴とする請求項21又は23に記載の床清掃装置。
【請求項25】
前記少なくとも1つの超音波測定ユニット(146)の超音波センサ(152、153)の放射方向が、前記床面(16)から離れるように斜め上方に配向されることを特徴とする請求項21から24のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項26】
前記センサ装置(38)が、好ましくは前記前側(42)に配置され且つ前記順方向(40)に配向された観察領域を有する少なくとも1つの飛行時間(TOF)距離測定ユニットを備えることを特徴とする請求項1から25のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項27】
前記床清掃装置(10)が、清掃作業を実行するために必要な消耗品を前記床清掃装置(10)に供給するための少なくとも1つの接続要素(158、160)を備え、前記少なくとも1つの接続要素(158、160)が前記前側(42)に配置されることを特徴とする請求項1から26のいずれか一項に記載の床清掃装置。
【請求項28】
前記少なくとも1つの接続要素(158、160)が、前記高さ方向(66)において、前記第1の距離測定ユニット(58)と前記第2の距離測定ユニット(78)との間に配置されることを特徴とする請求項27に記載の床清掃装置。
【請求項29】
少なくとも前記第1の距離測定ユニット(58)が、前記前側(42)に配置されたセンサ区域(62)内に配置されること、及び
前記少なくとも1つの接続要素(158、160)が、前記前側(42)の接続区域(64)内に配置され、前記センサ区域(62)が、前記前側(42)において、前記接続区域(64)に対して後方にオフセットして配置されること
を特徴とする請求項27又は28に記載の床清掃装置。
【請求項30】
請求項27から29のいずれか一項に記載の床清掃装置(10)と、前記床清掃装置(10)に消耗品を供給するための少なくとも1つの接続要素(164、166)を備える、この目的のためのドッキングステーション(14)とを備える床清掃システムであって、
前記ドッキングステーション(14)における前記床清掃装置(10)のドッキング位置で、前記床清掃装置(10)の前記少なくとも1つの接続要素(158、160)と前記ドッキングステーション(14)の前記少なくとも1つの接続要素(164、166)とが互いに結合する、床清掃システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面上を走行するための走行装置と、前記床面を清掃するための少なくとも1つの清掃装置と、制御装置と、センサ装置とを備える自走式自己操舵の床清掃装置に関し、前記制御装置は、前記センサ装置からの少なくとも1つの信号に応じて、前記床清掃装置を環境内で位置付ける及び/又はナビゲートするように形成及び構成される。
【背景技術】
【0002】
本発明はさらに、床清掃装置及びドッキングステーションを備える床清掃システムに関する。
【0003】
このような床清掃装置を使用して、床面の自律清掃を行うことができる。この目的のため、走行装置を有する床清掃装置は、制御ユニットによる制御下で床面の上を走行する。清掃装置を用いて床面から汚れを分離し、好ましくはそれによって拾い上げることができる。例えば、床面を濡らすための洗浄液用の貯蔵容器が設けられる。清掃装置は、例えば、汚れを分離するための少なくとも1つの清掃ローラ又はディスクブラシを備えていてもよい。汚れと洗浄液との混合物は、例えば、真空ストリップによって拾い上げられ、汚液容器内へ移されてもよい。
【0004】
センサ装置は、周囲を検出するための様々な種類のセンサユニットを備え得ることが知られている。これらのセンサユニットには、例えば、カメラ、例えばRGBカメラ、赤外線センサユニット、超音波センサユニット、ステレオカメラシステム、及び、例えばレーザスキャナを使用する走査ユニットが含まれる。実際には、確保されるべき床清掃装置の機能的信頼性に関して、必要な数の走査ユニットを実装することが必要であり、一方で、技術的要件を最小限に保つために可能な限り少ない走査ユニットを実装することが必要である。
【0005】
自走式自己操舵の床清掃装置上に様々な種類のセンサユニットを設けることが知られている。例えば、これはWO 2021/026649 A1に記載されており、前側で床に近接する走査ユニットと上側のステレオカメラシステムとが床清掃装置の前側に配置される。
【0006】
EP 2 764 812 B1は、前側の2つのステレオカメラシステムと床に近接する複数の超音波センサユニットとを有する床清掃装置を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 2021/026649 A1
【特許文献2】EP 2 764 812 B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、より高い動作信頼性を実現できるようにする一般的床清掃装置及び床清掃システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
冒頭で述べたタイプの床清掃装置では、この目的は、本発明に従って、前記センサ装置が、前記床清掃装置の順方向に関して前記床清掃装置の前側に、ステレオカメラシステムとして構成される又はそのようなステレオカメラシステムを備える第1の距離測定ユニットと、構造化光を有する走査ユニットとして構成される又はそのような走査ユニットを備える第2の距離測定ユニットとを備え、前記第1の距離測定ユニットの観察領域及び前記第2の距離測定ユニットの観察領域が、前記床清掃装置の前記順方向に向けられて重なり合い、前記第2の距離測定ユニットが、前記床清掃装置上で、高さ方向に関して前記第1の距離測定ユニットの上方の配置されることによって達成される。
【0010】
本発明による前記床清掃装置には、構造化光を有する走査ユニット及びステレオカメラシステムが設けられる。両方の距離測定ユニットの前記観察領域は重なり合い、これは観察領域の交差を意味すると理解され得る。前記制御ユニットは、前記2つの距離測定ユニットの情報を評価し、好ましくは前記情報を補足する及び/又は妥当性をチェックすることができる。前記走査ユニットによって得られた深さ情報は、好ましくは、前記ステレオカメラシステムからの情報によって補足することができ、前記ステレオカメラシステムの視距離は通常、前記走査ユニットの視距離未満である。前記ステレオカメラシステムの上方に前記走査ユニットを配置することにより、特に前記床清掃装置の前に前記順方向に配置された物体を確実に検出することができ、例えば、これに基づいて前記床清掃装置の前記走行経路を制御することができる。さらに、例えば、床により近接する構造が前記ステレオカメラシステムを介して評価される、並びに/或いは、前記床清掃装置の小規模な位置付け及び/又はナビゲーション挙動が改善される。
【0011】
「上方」や「下方」などの位置及び配向情報は、本件では前記床清掃装置の適切な使用を指す。この使用において、前記床清掃装置は、特に、接触面を画定する前記走行装置を介して前記床面上に立つことができ、前記床面の平面は前記接触面と一致する。本件では、前記床面は、例えば、非限定的なやり方で水平に配向されていると見なすことができる。本件では、「順方向」とは、特に、所期の使用において前記床面上を走行するときの前記床清掃装置の主移動方向を指す。本件では、「前側」は、特に、前記床清掃装置の前から上側への移行区域内にある前記床清掃装置の部分を含むことができる。本件における「高さ方向」とは、前記床面と交差する方向、特に前記床面に対して垂直な方向を指す。前記垂直方向に互いに離間されている前記床清掃装置の構成要素間に横方向のオフセットが存在するようにすることができる。
【0012】
前記走査ユニットは、例えば、レーザ走査ユニット(ライダシステム)又はレーダ走査ユニット(レーダシステム)とすることができる。物体を検出するための構造化された可視光及び/又は不可視光を有するレーザ走査ユニットが使用されることが好ましい。本件では、例えば、所定の平面(観察面)内に光が放射される光切断法が用いられる。
【0013】
構造化光を有する走査ユニットは、以下で繰り返し言及されるとおり、例えば本実施形態のように、レーザ走査ユニット又はレーダ走査ユニットでもよい。
【0014】
本発明の好ましい実施形態では、前記走査ユニットは、複数の異なる観察面に構造化光を放射するように形成される多層走査ユニットである。周囲の性質に関するより正確な情報を生成するために、構造化光を複数の互いに異なる平面内に放射することができる。
【0015】
例えば、前記第2の距離測定ユニットの観察面が、前記床面上へ斜め下方に向けられるものとする。このようにして、前記床面のでこぼこ、特に微妙な段差又は急斜面を確実に検出することができる。クリフセンサは、特に、前記第2の距離測定ユニットによって形成することができる。前記観察面は、好ましくは前記床清掃装置の前記前側によって暗くされないため、前記順方向と交差する交差方向に側方に配置された物体も検出することができる。
【0016】
前記床面と前記観察面との間の角度は、例えば、約20°~70°、好ましくは約30°~60°とすることができる。
【0017】
代替的に又は追加的に、前記第2の距離測定ユニットの観察面が、前記床面と平行に配向されるようにすることができる。このようにして、好ましくは、前記順方向だけでなく、横方向にも、好ましくは前記床清掃装置の背後に配置される物体も検出することができる。好ましくは、360°検出が可能である。
【0018】
前記床面に平行な観察面が使用されるとき、前記第2の距離測定ユニットを前記前側の区域内のできるだけ高くに配置することが有利であり得る。
【0019】
前記第1の距離測定ユニットの少なくとも1つの光軸が、前記床面と平行に配向されると好都合であると分かり得る。特に、前記ステレオカメラシステムのカメラの光軸又は前記ステレオカメラシステムによって規定される座標系の軸は、光軸と見なすことができる。
【0020】
前記第1の距離測定ユニットの観察面は、前記床面と約±30°以下、好ましくは約±15°以下、例えば±5°以下の角度を形成するようにすることができる。
【0021】
特に、前記第1の距離測定ユニットの観察面は、前記床面と平行に又は前記床面に対して垂直に配向されるようにすることができる。前記観察面は、例えば、前記ステレオカメラシステムの2つのカメラの光軸によって画定される。
【0022】
前記床面に平行な配向により、前記床面と交差するように、特に前記床面に対して垂直に配向された物体の構造を確実に検出することができる。前記観察面が前記床面に対して垂直に配向されるとき、前記床面に対して角度を成して、特に前記床面と平行に配向された構造を確実に検出することができる。
【0023】
物体点への方向(長さ及び角度)を三角測量で決定することができる2つ以上のカメラを有するカメラは、特に、ステレオカメラシステムと見なすことができる。対応するカメラが、立体画像を形成するために組み合わせることができる画像データセットを作成することができる。前記カメラは、異なる設計のものとすることができる。例えば、少なくとも1つのカメラがTOF(飛行時間)カメラとすることができる。前記カメラは、可視スペクトル及び/又は赤外線スペクトルにおいて感度を有することができる。前記ステレオカメラシステムは、測定結果を改善するため、光、例えば構造化光を周囲に放射するための投影装置を備えることができる。例えば、ドットパターン、ラインパターン又は格子パターンが周囲に投影される。前記投影光は、好ましくは赤外線スペクトルであり、可視スペクトルの投影光も考えられる。
【0024】
前記ステレオカメラシステムは、前記物体点の位置に関する情報が直接評価される光学測定システムを形成することができる。或いは、前記ステレオカメラシステムの信号が前記制御ユニットに供給され、前記評価は前記制御ユニットで実行されるようにすることができる。
【0025】
前記センサ装置は、前記前側に第3の距離測定ユニットを備え、該第3の距離測定ユニットは、前記順方向に配向され且つ前記第1の距離測定ユニットの前記観察領域及び/又は前記第2の距離測定ユニットの前記観察領域と重なる観察領域を備えると好都合であり得る。周囲に関するさらなる情報は、前記第3の距離測定ユニットを介して収集することができ、提供された情報は、既存の情報を補足することができる、及び/又は前記情報の妥当性チェックに使用することができる。
【0026】
前記第3の距離測定ユニットは、前記高さ方向に関して、前記第2の距離測定ユニットの下方に及び/又は前記第1の距離測定ユニットの上方に配置されると好ましい。
【0027】
前記第3の距離測定ユニットが、ステレオカメラシステムとして構成されると有利であることが分かる。
【0028】
前記第3の距離測定ユニットの少なくとも1つの光軸が、前記床面と平行に位置合わせされると有利であり得る。
【0029】
前記第3の距離測定ユニットの観察面は、前記床面と約±30°以下、好ましくは約±15°以下、例えば±5°以下の角度を形成するようにすることができる。
【0030】
特に、前記第3の距離測定ユニットの観察面は、前記床面に対して垂直に又は前記床面と平行に配向されるようにすることができる。
【0031】
前記第1の距離測定ユニットに関連して、前記光軸及び前記観察面に関する上の記載が参照される。
【0032】
ステレオカメラでは、各々のカメラがステレオベースを画定し、これらのカメラは前記ステレオベースに沿って互いに離間されることが知られている。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、前記第1の距離測定ユニット及び前記第3の距離測定ユニットはそれぞれステレオベースを備え、前記ステレオベースは、互いに対して45°以上、好ましくは90°又は略90°の角度を形成する。
【0034】
このような実施形態は、例えば、好ましい方向を有する特定の反復構造をより確実に検出することを可能にする。例えば、反復構造が、前記距離測定ユニットのうちの1つの前記ステレオベースと平行に配向される(且つ、前記ステレオベースと交差するように、特に前記ステレオベース対して垂直に繰り返される)場合、この構造は、この距離測定ユニットでは同じように上手く検出することができない。しかしながら、前記構造は、角度を付けて配向された別の距離測定ユニットによって確実に検出することができる。このようにして、両方の距離測定ユニットの情報を補足することができ、距離測定ユニットで測定中に起こり得る如何なるアーチファクトも前記第2の距離測定ユニットを用いて改ざんすることができる。
【0035】
特に、一方のステレオベースが前記床面と平行に位置合わせされ、他方のステレオベースが前記床面に対して垂直に位置合わせされる、前記ステレオベース間の90°の角度が好都合であり得る。例えば、これは、水平に位置合わせされた前記ステレオカメラシステムを用いて、柱、パイプ、レールなどの垂直に細長い物体を確実に検出する可能性を提供する。垂直に配向された前記距離測定ユニットを用いて、バリアゲート、エッジ、バリアテープなどの水平に配向された物体を確実に検出することができる。
【0036】
前記第1の距離測定ユニット及び前記第3の距離測定ユニットは、前記前側に向かって観察方向にT字配置又は逆T字配置を有するようにすることができる。
【0037】
前記第1の距離測定ユニットの観察面又は前記第3の距離測定ユニットの観察面が、前記床清掃装置の中央縦断面と一致するようにすることができる。
【0038】
前記観察面は、前記中央縦断面を有する前記床面と約±30°以下、好ましくは約±15°以下、例えば±5°以下の角度を形成するようにすることができる。
【0039】
任意に存在する「第3の」距離測定ユニットについては上で説明した。任意に存在する「第4の」距離測定ユニットについては以下で説明する。「第3の」及び「第4の」という用語は、単に本説明の理解を単純化する役割を果たすにすぎないことは言うまでもない。前記2つの距離測定ユニットは、互いに独立して設けることができるので、例えば、上で説明した「第3の」距離測定ユニットが設けられない場合、以下で「第4の」と呼ばれる距離測定ユニットを前記「第3の」距離測定ユニットとすることができる。
【0040】
前記センサ装置が前記前側に第4の距離測定ユニットを備え、該第4の距離測定ユニットは、前記高さ方向に関して前記第1の距離測定ユニットの下方に配置されると共に、構造化光を有する走査ユニットとして構成される又はそのようなユニットを備え、前記第4の距離測定ユニットの観察領域が、前記第1の距離測定ユニットの観察領域及び/又は前記第2の距離測定ユニットの観察領域と重なると有利であり得る。周囲は、特に、前記走査ユニット、好ましくはレーザ走査ユニットを介して空間的深さで検出することができる。前記別の距離測定ユニット(存在する場合、前記第3の距離測定ユニットを含む)からの情報は、妥当性について補足及び/又はチェックすることができる。前記走査ユニットを前記別の距離測定ユニットの下方に配置することは、前記走査ユニットが前記走行装置の近くに配置されるので、小さな公差チェーンに関して有利であると分かり得る。これは、周囲に関する好ましくは比較的有効な情報を検出する可能性を提供する。例えば、前記走査ユニットは、前記床清掃装置のシャーシ上に配置され、前記シャーシ上に前記走行装置も保持される。
【0041】
前記第4の距離測定ユニットの観察面は、好ましくは前記床面と平行に配向される。
【0042】
前記高さ方向に関して、前記第2の距離測定ユニットから前記第1の距離測定ユニットまでの距離は、前記第4の距離測定ユニットから前記第1の距離測定ユニットまでの距離にほぼ等しいようにすることができる。これは、前記第1の距離測定ユニットの前記観察領域が別の観察領域と重なるのに好都合である。
【0043】
前記センサ装置は、好ましくは少なくとも1つの別の距離測定ユニットを備え、該少なくとも1つの別の距離測定ユニットは、構造化光を有する走査ユニット、特にレーザ走査ユニットとして構成される又は前記走査ユニットを備える。前記別の走査ユニットは、特に、前記順方向に関して前記床清掃装置の後側に配置される。前記床清掃装置の周囲に関する追加の情報は、前記後側の走査ユニットを介して得ることができる。
【0044】
前記走査ユニットの観察領域が、好ましくは前記床面と平行に配向され、前記観察領域は、好ましくは、上述の前記第4の距離測定ユニットの前記観察領域と共通の観察面を画定する。
【0045】
前記前側及び前記後側の前記走査ユニットは、有利には、前記床清掃装置上の互いに直径方向に相対して配置される。ここで、例えば、対応する走査ユニットが角区域内に、例えば、前側走査ユニットが左前に、後側走査ユニットが右後に配置されると、或いは前側走査ユニットが右前に、後側走査ユニットが左後に配置されると有利であると分かり得る。
【0046】
前記走査ユニットの前記観察領域は、互いに組み合わせて、好ましくは、前記床清掃装置の360°又は略360°の全周監視を可能にする。このようにして、前記床清掃装置の特に高度な動作信頼性を達成することができる。
【0047】
前記センサ装置が、前記順方向に関して前記床清掃装置の左側又は右側に配置される少なくとも1つの別の距離測定ユニットを備えると共に、前記床清掃装置の前記左側又は前記右側に且つ前記床面に向けられる観察領域を備えると好都合であり得る。ここで、前記左側に配置された距離測定ユニットが前記左側に対する観察領域を有し、前記右側に配置された距離測定ユニットが前記右側に対する観察領域を有することが理解される。前記少なくとも1つの別の距離測定ユニットにより、動作信頼性を高めることができる。前記床清掃装置の側方区域をさらに監視することができ、これは、特に進行方向が左又は右に変化する場合に有利である。
【0048】
有利には、2つの別の距離測定ユニットが、前記左側に1回及び前記右側に1回設けられる。前記距離測定ユニットは、好ましくは前記床清掃装置の中央縦断面に関して互いに対称を成すように形成される。
【0049】
本発明の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの別の距離測定ユニットは、ステレオカメラシステムの形をとる。例えば、これは、進行方向が変化した場合の高い機能安全性に関して、特に前記床清掃装置の近傍区域を監視する可能性を提供する。
【0050】
前記床清掃装置の遠隔区域は、好ましくは、前記前側の上側、前記前側の底部、及び前記後側の底部にある走査ユニットで監視することができる。
【0051】
前記少なくとも1つの別の距離測定ユニットの観察領域は、例えば、前記第1の距離測定ユニット及び/又は前記第2の距離測定ユニットの観察領域と重なる。さらに、前記第3の距離測定ユニット及び/又は前記第4の距離測定ユニット及び/又は前記後側の前記別の距離測定ユニットの視界との重なりを提供することができる。
【0052】
前記少なくとも1つの別の距離測定ユニットの前記観察領域は、例えば、前記床面上の前記床清掃装置の車線と交差することができる。前記「車線」には、清掃ツールなどの清掃ユニットを考慮に入れることなく前記床清掃装置の前記ハウジングを前記床面上に投影することからもたらされる、前記床面の区域を設けることができる。
【0053】
異なるセンサユニット、特に上述した距離測定ユニットの好ましい多様性と異なる視野は、測定データなどの情報の追加及び/又は妥当性チェックを許容し、前記床清掃装置の動作信頼性を高めるのに役立つ。例えば、ゴーストポイント、ゴーストエッジ、ゴースト障害物などのアーチファクトを大幅に低減することができる。前記床清掃装置は故障しにくいため、清掃性能を高めることができる。
【0054】
上述の目的のために、代替的又は追加的に、前記センサ装置は、超音波を周囲に放射し、周囲から反射された超音波を受信するための少なくとも1つの超音波測定ユニットを備えることが有利に提供される。超音波は、例えば、ガラスなどの反射率の低い物体を確実に検出することを可能にする。
【0055】
特に、前記順方向に放射する超音波センサを有する超音波測定ユニットが、前記前側に配置されるようにすることができる。例えば、超音波が、前記床面と略平行に放射される。前記超音波測定ユニットは、前記第1の距離測定ユニットから得られた情報を補足する及び/又は妥当にするために、できるだけ前記第1の距離測定ユニットの近くに配置されることが好ましい。
【0056】
互いに隣接して配置された2つの超音波センサを備える少なくとも1つの超音波測定ユニットが設けられると好都合であり得る。前記超音波センサは、好ましくは、前記床清掃装置のハウジング上の共通レセプタクル内に配置される。このようにして達成された超音波センサの対配置の結果として、実際には、より良好な測定結果を達成することができる。例えば、前記測定ユニットの前記超音波センサ間のクロストークが監視及び評価される。クロストークが成功すると、両方の超音波センサが機能していることを確認するための監視が提供される。クロストークがないときには、超音波センサの故障を検出することができる。対になった前記超音波センサの配置により、特に前記床清掃装置に近い検出区域を監視することができる。
【0057】
前記超音波測定ユニットは、より幅が広い検出区域を生成するために互いに隣接して配置された3つ以上の超音波センサ、例えば3つの超音波センサを備えることができる。
【0058】
前記床清掃装置の前記超音波測定ユニットは、好ましくは、互いに別々に制御することができる。本件では、前記測定ユニットは、同期して又は別々に、例えばクロック方式で動作することができる。
【0059】
前記測定ユニットは、好ましくは、前記床清掃装置及び/又は前記検出された周囲の移動パラメータに応じて制御することができる。例えば、移動速度及び/又は移動方向に応じて作動が行われる。例えば、前記別の距離測定ユニットの如何なる情報もチェック及び/又は補足するために、前記超音波測定ユニットの目標制御を行うことができる。
【0060】
例えば、超音波測定ユニットが、前記床清掃装置の前記前側及び/又は左側及び/又は前記右側に配置されると有利であると分かり得る。例えば、超音波測定ユニットは、前記床清掃装置の左右であって、側壁部分前側の、例えば前記前側への移行区域に近接する区域又は前記移行区域上の区域内に配置される。有利には、少なくとも1つの超音波測定ユニットが、前記後側に、及び/又は、前記床清掃装置の左右の側壁部分後側の、例えば前記後側への移行区域に近接する区域若しくは前記移行区域上の区域内にあることができる。
【0061】
全体として、前進走行中に進行方向が左右に変化する場合の周囲の監視は、前記超音波測定ユニットを介して監視することができると有利である。
【0062】
前記少なくとも1つの超音波測定ユニットの超音波センサの放射方向が、前記床面から離れるように斜め上方に配向されると好都合であると分かり得る。実際には、例えば、このようにして干渉の影響を低減できることが見出されている。前記超音波センサの前記放射方向と前記床面との間の角度は、例えば、約10°~40°とすることができる。
【0063】
超音波センサは、例えばビーム形成要素を備えてもよい。このビーム形成要素は、音場を形成するために及び/又は干渉の影響を抑制するために、例えば円錐形になるように構成される。
【0064】
好ましい実施形態では、前記センサ装置は、少なくとも1つの飛行時間(TOF)距離測定ユニットを備えてもよい。前記TOF距離測定ユニットは、好ましくは前記前側に配置され、前記順方向に配向された観察領域を有することができる。前記TOF距離測定ユニットは、例えば、正面障害物、低反射率を有する表面、及び/又は前記床面の傾斜を検出するのに役立つ。
【0065】
前記床清掃装置が、清掃作業を実行するために必要な消耗品を前記床清掃装置に供給するための少なくとも1つの接続要素を備え、前記少なくとも1つの接続要素が前記前側に配置されると好都合である。例えば、前記床清掃装置の洗浄液及び/又は電池用電気エネルギーは、前記接続要素を介して供給することができる。
【0066】
本発明の好ましい実施形態では、前記少なくとも1つの接続要素は、前記高さ方向において、前記第1の距離測定ユニットと前記第2の距離測定ユニットとの間に配置される。
【0067】
少なくとも前記第1の距離測定ユニットは、前記前側に配置されたセンサ区域内に配置され、前記少なくとも1つの接続要素は、前記前側の接続区域内に配置され、前記センサ区域は、前記前側において、前記接続区域に対して後方にオフセットして配置されるようにすることができる。これは、前記少なくとも1つの接続要素を介した前記床清掃装置のドッキングを容易にし、前記距離測定ユニットは、前記オフセットによって後方から保護される。
【0068】
冒頭で述べたように、本発明はまた、床清掃システムにも関する。
【0069】
本発明による床清掃システムは、少なくとも1つの接続要素を有する上述したタイプの床清掃装置と、前記床清掃装置用のドッキングステーションとを備え、このドッキングステーションは、前記床清掃装置に消耗品を供給するための少なくとも1つの接続要素を備え、前記ドッキングステーション上の前記床清掃装置のドッキング位置で、前記床清掃装置の前記少なくとも1つの接続要素と前記ドッキングステーションの前記少なくとも1つの接続要素とが互いに結合する。
【0070】
前記床清掃装置の説明に関連して既に述べた利点は、本発明による前記床清掃システムでも達成することができる。本発明による前記床清掃システムの有利な実施形態は、本発明による前記床清掃装置の有利な実施形態からもたらされる。上の記述が参照される。
【0071】
本発明の好ましい実施形態の以下の説明は、図面と併せて、本発明をより詳細に説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0072】
図1】好ましい実施形態における本発明による床清掃装置の斜視図。
図2図1の床清掃装置の正面図
図3図2の詳細Aの拡大図。
図4】距離測定ユニットの2つの観察領域を有する図1の床清掃装置の斜視図。
図5】別の距離測定ユニットの2つの観察領域を有する図1の床清掃装置の斜視図。
図6図1の床清掃装置、車線、及び距離測定ユニットの4つの観察領域の平面図。
図7図6の矢印7の観察方向の図であり、床清掃装置は左から示され、さらに走査ユニットの観察面が示されている。
図8】走査ユニットの観察領域が示されている、床清掃装置の平面図。
図9】超音波測定ユニットの観察領域が示されている、床清掃装置の平面図。
図10】床清掃装置及びドッキングステーションを備える、本発明による床清掃システムの概略図。
【発明を実施するための形態】
【0073】
図面には、全体として参照番号10で示されている、本発明による床清掃装置の有利な実施形態が示されている。床清掃装置10は、図10に概略的に示され、床清掃装置10に加えてドッキングステーション14を備える、本発明による床清掃システム12の好ましい実施形態の一部である。
【0074】
床清掃装置10は、自走式自己操舵するように構成され、床面16の自律清掃を許容する。特に、床清掃装置10は清掃ロボットを形成する。
【0075】
床清掃装置10は、床面16上を走行するために下側に配置された走行装置20を有するハウジング18を備える。動作を制御するため、床清掃装置10は制御装置22を備える(図1及び図10)。
【0076】
床面16を清掃するために、床清掃装置10は清掃装置24を備える。清掃装置24は、清掃ローラ(図示せず)を有する床清掃ヘッド26の形をとる清掃ツール、サイドブラシ28、及び吸引ストリップ30を備える。
【0077】
さらに、床面16を濡らすために、洗浄液、特に水用の貯蔵容器32が設けられる。汚れは、清掃ツールで床面16から分離される。洗浄液と汚れの混合物は、吸引ストリップ30によって拾い上げられ、汚液容器34内に移送される。
【0078】
電気エネルギーを供給するために、床清掃装置10は、少なくとも1つの再充電可能な、特に電池36を備える。
【0079】
したがって、床清掃装置10はスクラバー真空である。しかしながら、本発明は、この種の床清掃装置に限定されない。
【0080】
周囲内での位置付け及び/又はナビゲーションのために、床清掃装置10は、制御装置22に動作可能に接続されたセンサ装置38を備える。センサ装置38は、以下で説明する複数のセンサユニットを備える。
【0081】
センサ装置38の少なくとも1つの信号に応じて、制御装置22は、例えば清掃作業を行うために、床清掃装置10を制御することができる。例えば、障害物を検出したり、必要に応じて床清掃装置10を停止させたり、障害物を迂回させたりすることができる。
【0082】
複数のセンサユニットは、周囲ができるだけ完全に監視されることを確実にするのに役立つ。ここで特に重要なのは、床清掃装置10が所期の使用中に床面16上を走行することができる順方向40に周囲を監視することである。順方向40は、例えば、直進走行中に主移動方向に沿って配向され得る。前進走行中に進行方向が左右に変化するのを監視することも重要である。
【0083】
位置及び配向の仕様に関して冒頭で与えられた説明を参照されたい。以下では、床清掃装置10は、床面16上の走行装置20を介して目的通りに配置され、床面16は特に水平に配向され得ると想定される。
【0084】
順方向40に関して、床清掃装置10は、前側42、後側44、左側46、右側48、及び上側50を有する。隣接する側面42~50は、互いに移行区域を画定することができる。例えば、移行区域52は、それぞれ、左側46と前側42との間、及び右側48と前側42との間に形成される。後部では、側壁部分54が、左右への移行区域52に隣接する。
【0085】
移行区域56が、前側42と上側50との間に形成される。
【0086】
移行区域は、ハウジング18の同じハウジング部品又は異なるハウジング部品によって形成することができる。
【0087】
センサ装置38は、センサユニットとして第1の距離測定ユニット58を備え、第1の距離測定ユニット58は、ステレオカメラシステム60(これ以降、ステレオカメラ60)として構成される。
【0088】
ステレオカメラ60は前側42に配置される。本例では、ステレオカメラ60は、前側42の、後述する接続区域64に対して後方にオフセットされたセンサ区域62内に配置される。
【0089】
高さ方向66に関して、ステレオカメラ60は、床清掃装置10の中央区域内に、本例では高さの約40%~60%の範囲内に配置される。
【0090】
ステレオカメラ60は、ステレオカメラ60のカメラ70の対応する光軸68が床面16と平行に位置合わせされるように配向される(図7)。本実施例では、ステレオカメラ60の観察面72もまた床面16と平行に配向され、観察面72は両方のカメラ70の光軸68の進路によって画定される。
【0091】
ステレオカメラ60は、構造化光(例えば、ドットパターン、ラインパターン又は格子パターン)を投影して測定結果を改善するための投影装置74をさらに備える。ステレオカメラ60は、2次元画像を記録するためのRGBカメラ75も有する。
【0092】
ステレオカメラ60は、可視範囲内で及び/又は赤外線範囲内で感度を有することができる。
【0093】
ステレオカメラ60のカメラ70はステレオベースを画定し、ステレオベースは、本例では観察面72内を走る。本例では、ステレオベースは床面16と平行に位置合わせされる。
【0094】
図4図6及び図7は、ステレオカメラ60の観察領域76を示しており、観察領域76は順方向40に走り、前方に向かって広がっている。
【0095】
前側42において、床清掃装置10は、構造化光を有する走査ユニット80として、特にライダシステム82として構成された第2の距離測定ユニット78を備える。ライダシステム82は、高さ方向66に関してステレオカメラ60の上方に、本実施形態では床清掃装置10の高さの70%~90%程度の範囲内に配置される。
【0096】
ライダシステム82は、観察面84に構造化光を順方向40に放射する。観察面84は、観察領域76と重なる観察領域86を形成する。
【0097】
本例では、観察領域86はまた、床清掃装置10を越えて左右にも延びる(図8)。
【0098】
観察面84は、本実施例では床面16に対して約30°~40°の角度で傾斜している(図7)。
【0099】
長距離検出の可能性により、ライダシステム82は周囲の物体を確実に検出することができる。近接区域は、ステレオカメラ60を用いてより正確にチェックすることができる。観察領域86が床面16に対して傾斜しているため、ライダシステム82は、本例では特に急斜面を検出するために使用することができ、クリフセンサとして機能することができる。
【0100】
代替的に又は走査ユニット80に加えて、本発明による床清掃装置10は、図7に概略的に示した距離測定ユニットを備えることができ、この距離測定ユニットは、本開示の意義の範囲内で第2の距離測定ユニットとすることができ、参照番号88が割り当てられる。距離測定ユニット88は、特に、ライダシステムとして構成された走査ユニット90、具体的には、複数の異なる観察面91、92に構造化光を放射するように形成される多層走査ユニットである。
【0101】
観察面91は、例えば床面16と平行に配向され、好ましくは床清掃装置10の周囲が360°又は略360°の円周角で監視されることを許容する。観察面92は、例えば、観察面84のように床面16に対して傾斜して配向され得る。
【0102】
走査ユニット90は、構造化光が放射される2つのみの観察面よりも多い数の観察面を有することができることが理解される。
【0103】
本例において、センサ装置38は、ステレオカメラシステム96(これ以降、ステレオカメラ96)として構成された、別のセンサユニットとしての第3の距離測定ユニット94を備える。ステレオカメラ96は、好ましくは、ステレオカメラ60と同一又は機能的に同一であるように構成される。本例において、ステレオカメラ96は、光軸98及びカメラ100を備え、観察面102を画定する。ステレオカメラ96は、投影装置104及びRGBカメラ105を備える。ステレオカメラ96は、順方向40に向けられた観察領域106を有し、観察領域106は、観察領域76及び86と重なり、前方に向かって広がっている。
【0104】
光軸98は、床面16と平行に位置合わせされる。本実施例では、観察面102は床面16に対して垂直に配向される。観察面102は、床清掃装置10の中央縦断面103内にある。
【0105】
ステレオカメラ96は、観察面102内を走るセンサベースを備える。
【0106】
ステレオカメラ60及び96のセンサベースは、互いに角度を成して位置合わせされ、本例での角度は90°である(図2及び図3)。
【0107】
ステレオカメラ60及び96のこのような配置は、水平構造及び垂直構造を有する物体をより良く認識するために有利である。垂直構造を有する物体は、ステレオカメラ60を介してより良く認識することができ、水平構造を有する物体は、ステレオカメラ96を介してより良く認識することができる。2つのステレオカメラ60、96の信号に基づいて、制御装置38は、ゴーストポイント、ゴーストエッジ、及び/又はゴースト障害物を除外することが可能である。
【0108】
本例では、ステレオカメラ96は、高さ方向66において、ステレオカメラ60の上方に且つライダシステム82の下方に配置される。前側42の平面図では、ステレオカメラ60、96は互いに逆T字の形で配置される。
【0109】
周囲をさらに監視するために、センサ装置38は、構造化光を有する走査ユニット110として、特にライダシステム112として構成された第4の距離測定ユニット108の形をとるセンサユニットを備える。ライダシステム112は、前側42に、高さ方向66に関してステレオカメラ96の下方に配置される。特に図2から分かるように、ライダシステム112は、床清掃装置10の左前に配置される。本例では、ライダシステム112は、小さな公差チェーンに関連して、走行装置20も保持されるシャーシ114上に床面に近接して配置される。
【0110】
ライダシステム112は観察面116に構造化光を放射し、構造化光は、本例では床面16と平行に配向される。ライダシステム112は、全体的に、観察領域76、86、及び106と重なる観察領域118を有する。
【0111】
観察領域118は、略270°の円周角にわたって広がり、床清掃装置10の左後、床清掃装置10に隣接する左、及び床清掃装置10に隣接する右で物体が検出されることを許容する(図8)。
【0112】
床清掃装置10から遠く離れて配置された物体は、特にライダシステム112で検出することができる。近い区域は、ステレオカメラ60及び96を用いてさらに監視される。
【0113】
高さ方向66に関して、ステレオカメラ60は、観察面84と観察面116との間に存在する前側42付近のデッドスペースを可能な限り最良のやり方で監視できるようにするため、ライダシステム112及び82からほぼ同じ距離を有する(図7)。
【0114】
センサ装置38は、別のセンサユニットとして、構造化光を有する走査ユニット122として、特にライダシステム124として構成された別の距離測定ユニット120を備える。ライダシステム124は観察面126に光を放射し、観察面126は、好ましくは観察面116と一致し、床面16と平行に配向される。
【0115】
ライダシステム124の観察領域128は、略270°の範囲にわたって広がり、床清掃装置10の右後、床清掃装置10に隣接する右、及び床清掃装置10の左後で物体が検出されることを許容する(図8)。
【0116】
ライダシステム124は、床清掃装置10上にライダシステム112に対して直径方向に配置され、本例では、特に左後に、好ましくはシャーシ114上に配置される。図2及び図8はそれぞれ、対応する位置を破線で示している。
【0117】
床清掃装置10の360°全周監視は、2つの距離測定ユニット108、120を介して行うことができる。
【0118】
センサ装置38は、それぞれステレオカメラシステム132又は136(これ以降、ステレオカメラ132、136)として構成された、別のセンサユニットとしての距離測定ユニット130及び134を備える。
【0119】
ステレオカメラ132は、床清掃装置10上の左後かつ上部において、左側46と後側44との間の移行区域138の近くに配置される。観察領域140は、左側の方へ且つ床面16上に向けられ、前方に向かって広がっている。観察領域140は、観察領域76、86、106及び118と重なり、本例では床清掃装置10の車線142と交差する(図6)。
【0120】
ステレオカメラ132は、特に進行方向が左へ変化した場合に周囲を監視するのに役立つ。
【0121】
対応する方法で、ステレオカメラ136が、右側48と後側44との間の移行区域138の近くの上部右後側に配置される。観察領域144は、右側の方へ且つ床面16上に向けられ、前方に向かって広がっている。観察領域144は、観察領域76、86、106、118及び128と重なり、本例では車線142と交差する。
【0122】
ステレオカメラ136は、特に、進行方向が右へ変化した場合に周囲を監視するのに役立つ。
【0123】
ステレオカメラ132及び136は、中央縦断面103に対して互いに対称を成すように形成される。
【0124】
周囲をさらに監視するために、センサ装置38は、超音波測定ユニット146の形をとるセンサユニットを備える。本実施例では、複数の超音波測定ユニット146が設けられ、複数の超音波測定ユニット146は、特に前側42、移行区域52上、及び側壁部分54上に配置される。
【0125】
超音波測定ユニット146は、前側42に配置され、本例では中央縦断面103上に配置される。好ましくは、この測定ユニット146の超音波センサ148は、ステレオカメラ60とステレオカメラ96との間に配置される(図2及び図3)。超音波センサ148は、順方向40に向けられたローブ状の超音波場150(図9)を生成する。
【0126】
本実施例では、別の測定ユニット146は、特に、対で互いに隣接して配置された超音波センサ152、153をそれぞれ備え、共通レセプタクル154内に配置されることを特徴とする。超音波センサ152、153の対配置により、超音波センサ152、153の一方の故障は、クロストークを監視することにより決定することができる。さらに、実際には、超音波センサ152、153を対にして配置することにより、特に近傍区域をより良く監視できることが見出されている。
【0127】
2つの超音波センサ152、153を有する対応する測定ユニット146は、基本的に漏斗状の超音波場156を生成する(図9)。
【0128】
超音波センサ152、153の放射方向が、床面16から離れるように斜め上方に配向されると好都合であると分かり得る。実際には、それにより干渉の影響を低減できることが見出されている。放射方向と床面との間の角度は、例えば、約10°~40°とすることができる。
【0129】
2つの超音波センサ152、153を有する第1の測定ユニット146が、前側42に配置される。2つのセンサを有する別の測定ユニット146が、それぞれ、左前と右前の移行区域52上に配置される。左側46の側壁部分54の下流と右側48の側壁部分54の下流にそれぞれ、2つのセンサを有する測定ユニット146(これらのうち、測定ユニット146を受容する1つの凹部のみが図2及び図3に示されている)が配置される。
【0130】
一方では側壁部分54上に、他方では移行区域52上にある測定ユニット146は、中央縦断面103に関して互いに対称を成すように形成される。
【0131】
床清掃装置10の前方、左、及び右の近傍区域は、超音波測定ユニット146を介して確実に監視することができる(図9)。
【0132】
床清掃システム12については後で論ずる。床清掃システム12は、既に述べた接続区域64を備える。洗浄液を供給するための接続要素158、及び電気エネルギーを供給するための別の接続要素160が、接続区域64上に配置される。接続要素158、160は、カバー162の背後に配置される。
【0133】
床清掃装置10がドッキングステーション14上のドッキング位置にまで移動する場合、接続要素158、160は、ドッキングステーション14の対応する接続要素164又は166に結合することができる(図10)。これにより、貯蔵容器32の充填及び電池36の充電が許容される。ドッキング中、カバー162は、好ましくは自動的に開放される。
【0134】
前側42のステレオカメラ96及び超音波測定ユニット146は、ステレオカメラ60と同様にセンサ区域62内に配置され、接続区域64に対してオフセットされる。このようにして、センサユニットは、床清掃装置10のドッキング中にも保護される。
【0135】
接続区域64は、センサ区域62の上方に且つライダシステム82の下方に配置される。
【0136】
床清掃装置10は別の接続要素168を備え、別の接続要素168は、ドッキング位置で、ドッキングステーション14の対応する接続要素170に結合する。汚液容器34は、ドッキング位置で接続要素168、170を介して空にすることができる。
【0137】
接続要素168は、高さ方向66に関して、センサ区域62の下方に、且つ本例ではライダシステム112の上方に配置される(図2)。
【符号の説明】
【0138】
10…床清掃装置
12…床清掃システム
14…ドッキングステーション
16…床面
18…ハウジング
20…走行装置
22…制御装置
24…清掃装置
26…床清掃ヘッド
28…サイドブラシ
30…吸引ストリップ
32…リザーバ
34…汚液タンク
36…電池
38…センサ装置
40…順方向
42…前側
44…後側
46…左側
48…右側
50…上側
52…移行区域
54…側壁部分
56…移行区域
58…第1の距離測定ユニット
60…ステレオカメラシステム
62…センサ区域
64…接続区域
66…高さ方向
68…光軸
70…カメラ
72…観察面
74…投影装置
75…RGBカメラ
76…観察領域
78…第2の距離測定ユニット
80…走査ユニット
82…ライダシステム
84…観察面
86…観察領域
88…距離測定ユニット
90…走査ユニット
91…観察面
92…観察面
94…第3の距離測定ユニット
96…ステレオカメラシステム
98…光軸
100…カメラ
102…観察面
103…中央縦断面
104…投影装置
105…RGBカメラ
106…観察領域
108…第4の距離測定ユニット
110…走査ユニット
112…ライダシステム
114…シャーシ
116…観察面
118…観察領域
120…距離測定ユニット
122…走査ユニット
124…ライダシステム
126…観察面
128…観察領域
130…距離測定ユニット
132…ステレオカメラシステム
134…距離測定ユニット
136…ステレオカメラシステム
138…移行区域
140…観察領域
142…車線
144…観察領域
146…超音波測定ユニット
148…超音波センサ
150…超音波場
152…超音波センサ
153…超音波センサ
154…レセプタクル
156…超音波場
158…接続要素
160…接続要素
162…カバー
164…接続要素
166…接続要素
168…接続要素
170…接続要素
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】