(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】二置換1,2,4-トリアジン化合物の塩を含む可溶性薬学的組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 31/53 20060101AFI20240705BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240705BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240705BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20240705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K31/53
A61K47/38
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/34
A61K47/36
A61K47/04
A61K47/14
A61K47/12
A61K9/20
A61P9/12
A61P43/00 111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504002
(86)(22)【出願日】2022-07-20
(85)【翻訳文提出日】2024-03-13
(86)【国際出願番号】 IB2022056709
(87)【国際公開番号】W WO2023002407
(87)【国際公開日】2023-01-26
(32)【優先日】2021-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523147200
【氏名又は名称】ミネラリス・セラピューティクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Mineralys Therapeutics, Inc.
(71)【出願人】
【識別番号】000002956
【氏名又は名称】田辺三菱製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マッキーン,ロバート
(72)【発明者】
【氏名】オオハシ ヨシノリ
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 文則
(72)【発明者】
【氏名】オオシマ ヒロキ
(72)【発明者】
【氏名】ナガタ ヒロオミ
(72)【発明者】
【氏名】ティバート,ロック
(72)【発明者】
【氏名】バダス,エリザベス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076AA44
4C076BB01
4C076CC11
4C076DD28
4C076DD41
4C076DD41A
4C076DD46
4C076EE06H
4C076EE16
4C076EE27
4C076EE31
4C076EE32
4C076EE32H
4C076EE38
4C076FF33
4C076FF36
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC64
4C086GA13
4C086GA15
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA02
4C086NA03
4C086NA05
4C086ZA42
4C086ZC20
(57)【要約】
式(I)を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、薬学的組成物が、化合物の塩の不均化を誘発することを回避する、薬学的組成物、を開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、前記薬学的組成物が、前記化合物の前記塩の不均化を誘発することを回避する、薬学的組成物。
【請求項2】
式:
【化2】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、前記薬学的組成物が、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する前記薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、前記化合物の70%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する、薬学的組成物。
【請求項3】
前記塩が、アニオン塩、又は好ましくはハロゲンアニオン塩、又はより好ましくはHBr塩である、請求項1又は2に記載の薬学的組成物。
【請求項4】
前記薬学的組成物が、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及び無水リン酸水素カルシウムのうちのいずれも含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
前記薬学的組成物が、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を含まない、請求項1~4のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項6】
前記薬学的組成物が、カルシウム、マグネシウム、又はナトリウムを含まない、請求項1~5のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記薬学的組成物が、金属塩を含まない、請求項1~6のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項8】
前記化合物の前記塩が、結晶質形態にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
前記化合物の前記塩が、非晶質形態にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
前記薬学的組成物が、微晶質セルロース、ラクトース、マンニトール、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化シリコーン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ジベヘン酸グリセリル、及びステアリン酸からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項11】
前記薬学的組成物が、微晶質セルロース102、マンニトール400DC、アルファ化デンプン、及びジベヘン酸グリセリルを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
約0.5ミリグラム~約500ミリグラムの前記化合物、又は好ましくは約5ミリグラム~約150ミリグラムの前記化合物を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
前記薬学的組成物が、
a)約30重量%~約60若しくは99重量%のラクトース、マンニトール、又はそれらの組み合わせと、
b)約25重量%~約50又は99重量%の微晶質セルロースと、
c)約1重量%~約10重量%のポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、又はそれらの組み合わせと、
d)約1重量%~約10重量%のタルク、ジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの2つ以上の組み合わせと、を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
前記化合物が、カルシウム塩、ナトリウム塩、又はマグネシウム塩を含む等価な薬学的組成物中の同じ化合物よりも水溶性である、請求項1~13のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項15】
前記薬学的組成物が、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する前記薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、前記化合物の70%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項16】
前記薬学的組成物が、25℃及び60%の相対湿度で6か月間閉鎖容器内に保管された場合、10%超の不均化を回避するか、好ましくは、前記薬学的組成物が、25℃及び60%の相対湿度で6か月間閉鎖容器内に保管された場合、5%超の不均化を回避するか、又はより好ましくは、前記薬学的組成物が、25℃及び60%の相対湿度で6か月間閉鎖容器内に保管された場合、25℃及び60%の相対湿度で6か月間閉鎖容器内に保管された場合、1%超の前記塩の不均化を回避する、請求項1~15のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項17】
25℃及び60%の相対湿度で6か月間密閉容器内に保管された後、前記薬学的組成物が、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する前記薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、前記化合物の70%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する、請求項1~15のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項18】
前記薬学的組成物が、約5ミリグラム~約20ミリグラムの前記化合物、好ましくは約10ミリグラム~約15ミリグラムの前記化合物、又はより好ましくは約12.5ミリグラムの前記化合物を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項19】
前記薬学的組成物が、
a)約1重量%~約8重量%の化合物と、
b)約50重量%~約60重量%のラクトース、マンニトール、又はそれらの組み合わせと、
c)約25重量%~約40重量%の微晶質セルロースと、
d)約1重量%~約10重量%のポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、又はそれらの組み合わせと、
e)約1重量%~約10重量%のタルク、ジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの2つ以上の組み合わせと、を含む、請求項18に記載の薬学的組成物。
【請求項20】
前記薬学的組成物が、3重量%~8重量%のステアリン酸、好ましくは約5重量%のステアリン酸を含む、請求項19に記載の薬学的組成物。
【請求項21】
前記薬学的組成物が、約15ミリグラム~約35ミリグラムの前記化合物、好ましくは約20ミリグラム~約30ミリグラムの前記化合物、又はより好ましくは約25ミリグラムの前記化合物を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項22】
前記薬学的組成物が、
a)約5重量%~約15重量%の前記化合物と、
b)約30重量%~約50重量%のマンニトールと、
c)約30重量%~約50重量%の微晶質セルロースと、
d)約1重量%~約10重量%のアルファ化デンプンと、
e)約1重量%~約5重量%のジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの組み合わせと、を含む、請求項21に記載の薬学的組成物。
【請求項23】
前記薬学的組成物が、3重量%~8重量%のステアリン酸、好ましくは約5重量%のステアリン酸を含む、請求項22に記載の薬学的組成物。
【請求項24】
前記薬学的組成物が、約80ミリグラム~約120グラムの前記化合物、好ましくは約95ミリグラム~約105ミリグラムの前記化合物、又はより好ましくは約100ミリグラムの前記化合物を含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項25】
前記薬学的組成物が、
a)約30重量%~約40重量%の前記化合物と、
b)約20重量%~約30重量%のマンニトールと、
c)約20重量%~約40重量%の微晶質セルロースと、
d)約1重量%~約10重量%のアルファ化デンプンと、
e)約1重量%~約5重量%のジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの組み合わせと、を含む、請求項24に記載の薬学的組成物。
【請求項26】
前記薬学的組成物が、3重量%~8重量%のステアリン酸、好ましくは約5重量%のステアリン酸を含む、請求項25に記載の薬学的組成物。
【請求項27】
前記薬学的組成物が、錠剤である、請求項1~2625のいずれか一項に記載の薬学的組成物。
【請求項28】
前記錠剤が、コーティングを含む、請求項27に記載の薬学的組成物。
【請求項29】
前記コーティングが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、又はそれらの組み合わせを含む、請求項28に記載の薬学的組成物。
【請求項30】
式:
【化3】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物を作製するための製造方法であって、前記薬学的組成物が、前記化合物の前記塩の不均化を誘発することを回避し、及び/又は前記薬学的組成物が、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する前記薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、前記化合物の70%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有し、
a)式:
【化4】
を有する化合物の塩を得ることと、b)前記塩を1つ以上の賦形剤と混合して、それによって前記薬学的組成物を生成することと、を含む、製造方法。
【請求項31】
前記塩が、アニオン塩、又は好ましくはハロゲンアニオン塩、又はより好ましくはHBr塩である、請求項30に記載の製造方法。
【請求項32】
ステップb)が、
i)前記塩を1つ以上の賦形剤とブレンドすることと、
ii)ステップi)の前記生成物のローラ圧縮と、
iii)ステップii)の前記生成物を粉砕することと、を含む、請求項30又は31に記載の製造方法。
【請求項33】
ステップi)の前記1つ以上の賦形剤が、ステアリン酸、より好ましくは約5重量%のステアリン酸を含む、請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
ステップb)が、ステップiii)の前記生成物を1つ以上の追加の賦形剤とブレンドするステップを更に含み、好ましくは、前記1つ以上の追加の賦形剤が、ステアリン酸を含む、請求項32又は33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記薬学的組成物を錠剤化して、錠剤コアを生成することを更に含む、請求項30~34のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項36】
前記錠剤コアをフィルムコーティングすることを更に含む、請求項35に記載の製造方法。
【請求項37】
前記1つ以上の賦形剤が、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及び無水リン酸水素カルシウムのうちのいずれも含まない、請求項30~36のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項38】
前記1つ以上の賦形剤が、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を含まない、請求項30~37のいずれか一項に記載の製造方法、
【請求項39】
前記1つ以上の賦形剤が、カルシウム、マグネシウム、又はナトリウムを含まない、請求項30~38のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項40】
前記1つ以上の賦形剤が、金属塩を含まない、請求項30~39のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項41】
前記化合物の前記塩が、結晶質形態にある、請求項30~40のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項42】
前記化合物の前記塩が、非晶質形態にある、請求項30~40のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項43】
前記1つ以上の賦形剤が、微晶質セルロース、ラクトース、マンニトール、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化シリコーン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ジベヘン酸グリセリル、及びステアリン酸からなる群から選択される、請求項30~42のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項44】
前記1つ以上の賦形剤が、微晶質セルロース102、マンニトール400DC、アルファ化デンプン、及びジベヘン酸グリセリルを含む、請求項30~43のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項45】
前記薬学的組成物が、
a)約30重量%~約60重量%のラクトース、マンニトール、又はそれらの組み合わせと、
b)約25重量%~約50重量%の微晶質セルロースと、
c)約1重量%~約10重量%のポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、又はそれらの組み合わせと、
d)約1重量%~約10重量%のタルク、ジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの2つ以上の組み合わせと、を含む、請求項30~44のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項46】
前記薬学的組成物が、以下の特徴:
a)20重量%~30重量%の微晶質セルロース、
b)20重量%~30重量%のD-マンニトール、及び
c)3重量%~8重量%のステアリン酸、好ましくは約5重量%のステアリン酸のうちの1つ以上又は全てを含む、請求項30~44のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項47】
高血圧の対象において高血圧を治療する及び/又は血圧を低減するための方法であって、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物を前記高血圧の対象に投与することを含む、方法。
【請求項48】
対象においてCYP11β2ベータヒドロキシラーゼを阻害するための方法であって、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項49】
高血圧の対象において高血圧を治療する及び/又は血圧を低減するのに使用するための、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
対象においてCYP11β2ベータヒドロキシラーゼを阻害するのに使用するための、請求項1~29のいずれか一項に記載の組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その全容が参照により本明細書に組み込まれる、2021年7月20日出願の米国仮特許出願第63/223,711号の優先権を主張する。
【0002】
本出願全体を通じて、括弧内で参照されるものを含む、様々な刊行物が参照される。本出願全体で言及される全ての刊行物の開示は、本発明が属する技術及び本発明で用いられ得る当該技術分野における特徴の追加の説明を提供するために、参照により本出願に組み込まれる。
【0003】
本発明は、とりわけ、薬学的組成物、及びそのような薬学的組成物を生成するための製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0004】
その開示全体は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第10,029,993号及び米国特許第10,329,263号は、CYP11β2ベータヒドロキシラーゼ阻害剤について説明している。ヒト対象へのそのような阻害剤の投与を容易にするために、良好な経口吸収特徴を有する製剤が必要とされる。
【発明の概要】
【0005】
本明細書で提供されるのは、式:
【化1】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、薬学的組成物が、化合物の塩の不均化を誘発することを回避する、薬学的組成物である。
【0006】
本明細書で提供されるのは、式:
【化2】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、薬学的組成物が、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する、薬学的組成物である。
【0007】
本開示のこれら及び他の実施形態及び態様は、本明細書に詳細に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】金属塩(クロスカルメロースNa)と共に3日間保管後の、MLS-101から検出された粉末X線回折ピーク(保管条件:60℃/75%RH)。
【
図2】APIの溶解性試験(左)及びAPIのX線回折(右)。
【
図3】様々な条件下での10%APIカプセルの溶解性試験の結果。
【
図4】25℃で閉鎖し、40℃/75%RHの開放容器及び閉鎖容器内で保管後の、錠剤製剤の溶解性試験の結果。
【
図5】DCロット1の最終ブレンド及びコーティングされていない錠剤のXRPD回折図。
【
図6】DCロット4の最終ブレンド及びコーティングされていない錠剤のXRPD回折図。
【
図7】DCロット5の最終ブレンド及びコーティングされていない錠剤のXRPD回折図。
【
図8】ロット6のHSWG製造方法の様々なステップのXRPD回折図。
【
図9】ロット11の最終ブレンド、コーティングされていない錠剤、及びフィルムコーティングされた錠剤のXRPD回折図。
【
図10】ロット13の最終ブレンド、コーティングされていない錠剤、及びフィルムコーティングされた錠剤のXRPD回折図。
【
図11】ロット15の最終ブレンド、コーティングされていない錠剤、及びフィルムコーティングされた錠剤のXRPD回折図。
【
図12】ロット17の最終ブレンド、コーティングされていない錠剤(トライアル#1及び#2)、及びフィルムコーティングされた錠剤(トライアル#2)のXRPD回折図。
【
図13】ロット18の最終ブレンド、コーティングされていない錠剤(トライアル#1、#2、及び#3)、及びフィルムコーティングされた錠剤(トライアル#2)のXRPD回折図。
【
図15】0.1HCl中での12.5mg、25mg、及び100mgの錠剤プロトタイプの溶解性プロファイル。
【
図17】水中での12.5mg錠剤プロトタイプの溶解性プロファイル。
【
図18】0.1NのHCl中での12.5mgの錠剤プロトタイプの溶解性プロファイル。
【発明を実施するための形態】
【0009】
薬学的組成物
本明細書で提供されるのは、式:
【化3】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、薬学的組成物が、化合物の塩の不均化を誘発することを回避する、薬学的組成物である。
【0010】
また本明細書で提供されるのは、式:
【化4】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物であって、薬学的組成物が、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、又は85%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する、薬学的組成物である。実施形態では、薬学的組成物は、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、又は95%超が30分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する。
【0011】
実施形態では、塩は、アニオン塩である。実施形態では、塩は、ハロゲンアニオン塩である。実施形態では、塩は、HBr塩である。実施形態では、塩は、HBr塩以外の塩である。実施形態では、塩は、HBr塩以外のハロゲンアニオン塩である。
【0012】
実施形態では、薬学的組成物は、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちのいずれも含まない。実施形態では、薬学的組成物は、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムのうちのいずれも含まない。実施形態では、薬学的組成物は、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及び無水リン酸水素カルシウム(dibasic calcium phosphate)のうちのいずれも含まない。実施形態では、薬学的組成物は、マグネシウム塩又はナトリウム塩を含まない。実施形態では、薬学的組成物は、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を含まない。実施形態では、薬学的組成物は、マグネシウム又はナトリウムを含まない。実施形態では、薬学的組成物は、カルシウム、マグネシウム、又はナトリウムを含まない。実施形態では、薬学的組成物は、金属塩を含まない。
【0013】
塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちのいずれも含まない。塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムのうちのいずれも含まない。塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及び無水リン酸水素カルシウムのうちのいずれも含まない。塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、マグネシウム塩又はナトリウム塩を含まない。塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を含まない。塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、マグネシウム又はナトリウムを含まない。塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、カルシウム、マグネシウム、又はナトリウムを含まない。塩がHBr塩である実施形態では、薬学的組成物は、金属塩を含まない。
【0014】
塩がHBr塩以外の塩である一実施形態では、薬学的組成物は、金属塩を含み得、カルシウム、マグネシウム、又はナトリウムを含み得、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を含み得、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及び無水リン酸水素カルシウムを含み得る。塩がHBr塩以外である代替的な実施形態では、薬学的組成物は、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及び無水リン酸水素カルシウムのうちのいずれも含まず、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を含まず、カルシウム、マグネシウム、又はナトリウムを含まず、又は金属塩を含まない。
【0015】
実施形態では、化合物の塩は、固体形態にある。実施形態では、化合物の塩は、結晶質形態にある。実施形態では、化合物の塩は、非晶質形態にある。実施形態では、薬学的組成物は、結晶質及び非晶質形態の化合物の塩の混合物を含む。
【0016】
実施形態では、薬学的組成物は、微晶質セルロース、ラクトース、マンニトール、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化シリコーン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ジベヘン酸グリセリル、及びステアリン酸からなる群から選択される1つ以上の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0017】
実施形態では、薬学的組成物は、微晶質セルロース102、マンニトール400DC、アルファ化デンプン、及びジベヘン酸グリセリルを含む。
【0018】
実施形態では、組成物は、約0.5ミリグラム~約500ミリグラムの化合物を含む。実施形態では、薬学的組成物は、約5ミリグラム~約150ミリグラムの化合物を含む。実施形態では、組成物は、約12.5ミリグラム~約100ミリグラムの化合物を含む。実施形態では、薬学的組成物は、12.5ミリグラム、約25ミリグラム、約50ミリグラム、又は約100ミリグラムの化合物を含む。
【0019】
実施形態では、薬学的組成物は、
a)約30重量%~約60重量%のラクトース、マンニトール、又はそれらの組み合わせと、
b)約25重量%~約50重量%の微晶質セルロースと、
c)約1重量%~約10重量%のポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、又はそれらの組み合わせと、
d)約1重量%~約10重量%のタルク、ジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの2つ以上の組み合わせと、を含む。
【0020】
薬学的組成物の実施形態では、化合物は、カルシウム塩、ナトリウム塩、又はマグネシウム塩を含む等価な薬学的組成物中の同じ化合物よりも水溶性である。薬学的組成物の実施形態では、化合物は、ナトリウム塩又はマグネシウム塩を含む等価な薬学的組成物中の同じ化合物よりも水溶性である。薬学的組成物の実施形態では、薬学的組成物は、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、又は70%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する。実施形態では、薬学的組成物は、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、又は95%超が30分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する。
【0021】
実施形態では、薬学的組成物は、
a)25℃+/-2℃及び60%の相対湿度(RH)+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、
b)30℃+/-2℃及び65%RH+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、
c)30℃+/-2℃及び75%RH+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、並びに/又は
d)40℃+/-2℃及び75%RH+/-5%RHで6か月間保管した場合、塩の1%超の不均化を回避する。
【0022】
実施形態では、薬学的組成物は、
a)25℃+/-2℃及び60%の相対湿度(RH)+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、
b)30℃+/-2℃及び65%RH+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、
c)30℃+/-2℃及び75%RH+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、並びに/又は
d)40℃+/-2℃及び75%RH+/-5%RHで6か月間保管した場合、塩の5%超の不均化を回避する。
【0023】
実施形態では、薬学的組成物は、
a)25℃+/-2℃及び60%の相対湿度(RH)+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、
b)30℃+/-2℃及び65%RH+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、
c)30℃+/-2℃及び75%RH+/-5%RHで6若しくは12か月間保管した場合、並びに/又は
d)40℃+/-2℃及び75%RH+/-5%RHで6か月間保管した場合、塩の10%超の不均化を回避する。
【0024】
実施形態では、前述の保管条件は、閉鎖容器内である。実施形態では、前述の保管条件は、開放容器内である。
【0025】
実施形態では、前述の条件下のうちのいずれかでの保管後、薬学的組成物は、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、又は85%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する。実施形態では、前述の条件下のうちのいずれかでの保管後、薬学的組成物は、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、85%超、90%超、又は95%超が30分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する。
【0026】
実施形態では、薬学的組成物は、約5ミリグラム~約20ミリグラムの化合物、好ましくは約10ミリグラム~約15ミリグラムの化合物、又はより好ましくは約12.5ミリグラムの化合物を含む。実施形態では、薬学的組成物は、
a)約1重量%~約8重量%の化合物と、
b)約50重量%~約60重量%のラクトース、マンニトール、又はそれらの組み合わせと、
c)約25重量%~約40重量%の微晶質セルロースと、
d)約1重量%~約10重量%のポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、又はそれらの組み合わせと、
e)約1重量%~約10重量%のタルク、ジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの2つ以上の組み合わせと、を含む。
【0027】
実施形態では、薬学的組成物は、約15ミリグラム~約35ミリグラムの化合物、好ましくは約20ミリグラム~約30ミリグラムの化合物、又はより好ましくは約25ミリグラムの化合物を含む。実施形態では、薬学的組成物は、
a)約5重量%~約15重量%の化合物と、
b)約30重量%~約50重量%のマンニトールと、
c)約30重量%~約50重量%の微晶質セルロースと、
d)約1重量%~約10重量%のアルファ化デンプンと、
e)約1重量%~約5重量%のジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの組み合わせと、を含む。
【0028】
実施形態では、薬学的組成物は、約80ミリグラム~約120グラムの化合物、好ましくは約95ミリグラム~約105ミリグラムの化合物、又はより好ましくは約100ミリグラムの化合物を含む。実施形態では、薬学的組成物は、
a)約30重量%~約40重量%の化合物と、
b)約20重量%~約30重量%のマンニトールと、
c)約20重量%~約40重量%の微晶質セルロースと、
d)約1重量%~約10重量%のアルファ化デンプンと、
e)約1重量%~約5重量%のジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの組み合わせと、を含む。
【0029】
上の薬学的組成物のうちのいずれかの実施形態では、薬学的組成物は、3重量%~8重量%のステアリン酸、好ましくは約5重量%のステアリン酸を含む。
【0030】
錠剤
実施形態では、薬学的組成物は、錠剤である。実施形態では、錠剤は、コーティングを含む。実施形態では、コーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、又はそれらの組み合わせを含む。
【0031】
薬学的組成物を生成するための製造方法
本明細書で提供されるのは、式:
【化5】
を有する化合物の塩と、1つ以上の賦形剤と、を含む、薬学的組成物を作製するための製造方法であって、薬学的組成物が、化合物の塩の不均化を誘発することを回避し、及び/又は薬学的組成物が、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、又は85%超が15分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有し、
a)式:
【化6】
を有する化合物の塩を得ることと、b)塩を1つ以上の賦形剤と混合して、それによって薬学的組成物を生成することと、を含む、製造方法である。
【0032】
一実施形態では、薬学的組成物は、37℃の水の溶解媒体中50rpmでのUSP Apparatus 2 Paddle方法を使用する薬学的組成物のインビトロ溶解性試験において、化合物の70%超、75%超、80%超、又は85%超が30分以内に溶解するような溶解性プロファイルを有する。
【0033】
一実施形態では、塩は、アニオン塩である。一実施形態では、塩は、ハロゲンアニオン塩である。一実施形態では、塩は、HBr塩である。
【0034】
上の製造方法の実施形態では、ステップb)は、
i)塩を1つ以上の賦形剤とブレンドすることと、
ii)ステップi)の生成物のローラ圧縮と、
iii)ステップii)の生成物を粉砕することと、を含む。
【0035】
実施形態では、ステップi)の1つ以上の賦形剤は、ステアリン酸、より好ましくは、約5重量%のステアリン酸を含む。実施形態では、ステップb)は、ステップiii)の生成物を1つ以上の追加の賦形剤とブレンドするステップを更に含み、好ましくは、1つ以上の追加の賦形剤が、ステアリン酸を含む。
【0036】
一実施形態では、製造方法は、薬学的組成物を錠剤化して、錠剤コアを生成することを更に含む。一実施形態では、製造方法は、錠剤コアをフィルムコーティングすることを更に含む。
【0037】
製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、クロスカルメロースナトリウム及びステアリン酸マグネシウムのうちのいずれも含まない。製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムのうちのいずれも含まない。製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、カルメロースカルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸カルシウム、及び無水リン酸水素カルシウムのうちのいずれも含まない。製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、マグネシウム塩又はナトリウム塩を含まない。製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を含まない。製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、マグネシウム又はナトリウムを含まない。製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、カルシウム、マグネシウム、又はナトリウムを含まない。製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、金属塩を含まない。
【0038】
製造方法の一実施形態では、化合物の塩は、固体形態にある。実施形態では、化合物の塩は、結晶質形態にある。実施形態では、化合物の塩は、非晶質形態にある。製造方法の実施形態では、薬学的組成物は、結晶質及び非晶質形態の化合物の塩の混合物を含む。
【0039】
製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、微晶質セルロース、ラクトース、マンニトール、ポリビニルピロリドン、コロイド状二酸化シリコーン、アルファ化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、タルク、ジベヘン酸グリセリル、及びステアリン酸からなる群から選択される。
【0040】
製造方法の一実施形態では、1つ以上の賦形剤は、微晶質セルロース102、マンニトール400DC、アルファ化デンプン、及びジベヘン酸グリセリルを含む。
【0041】
製造方法の一実施形態では、薬学的組成物は、
a)約30重量%~約60重量%のラクトース、マンニトール、又はそれらの組み合わせと、
b)約25重量%~約50重量%の微晶質セルロースと、
c)約1重量%~約10重量%のポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、又はそれらの組み合わせと、
d)約1重量%~約10重量%のタルク、ジベヘン酸グリセリル、コロイド状二酸化シリコーン、又はそれらの2つ以上の組み合わせと、を含む。
【0042】
製造方法の実施形態では、薬学的組成物は、以下の特徴:
a)20重量%~30重量%の微晶質セルロース、
b)20重量%~30重量%のD-マンニトール、及び
c)3重量%~8重量%のステアリン酸、のうちの1つ以上又は全てを含む。
【0043】
使用のための方法及び組成物
また本明細書で提供されるのは、高血圧の対象において、高血圧を治療する及び/又は血圧を低減する方法であって、本明細書で説明される組成物のうちのいずれかを高血圧の対象に投与することを含む、方法である。
【0044】
また本明細書で提供されるのは、対象において、CYP11β2ベータヒドロキシラーゼを阻害する方法であって、本明細書で説明される組成物のうちのいずれかの組成物を対象に投与することを含む、方法である。
【0045】
また本明細書で提供されるのは、高血圧の対象において、高血圧を治療すること及び/又は血圧を低減することに使用するための、本明細書で説明される組成物のうちのいずれかである。
【0046】
また本明細書で提供されるのは、対象において、CYP11β2ベータヒドロキシラーゼを阻害することに使用するための、本明細書で説明される組成物のうちのいずれかである。
【0047】
定義
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び/又は科学的用語は、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書で説明されるものと同様又は等価な方法及び材料は、本発明の実施形態の実施又は試験で使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料は、以下に説明されている。矛盾する場合は、定義を含む特許明細書が優先されるであろう。加えて、材料、方法、及び実施例は、例示に過ぎず、必ずしも限定することを意図するものではない。
【0048】
考察において、別段の記載がない限り、本発明の実施形態の1つ又は複数の特徴の条件又は関係特徴を修飾する「実質的に」及び「約」などの形容詞は、条件又は特徴が、それが意図される用途の実施形態の動作について許容される許容範囲内に定義されることを意味すると理解される。別段の指示がない限り、本明細書及び特許請求の範囲における「又は」という単語は、排他的な又はではなく包括的な「又は」であるとみなされ、それが結合する項目のうちの少なくとも1つ及び任意の組み合わせを示す。
【0049】
本明細書の上及び他の場所で使用される「a」及び「an」という用語は、列挙された構成要素のうちの「1つ以上」を指すことが理解されるべきである。別段の具体的な記載がない限り、単数形の使用が複数形を含むことが当業者には明らかであろう。したがって、「a」、「an」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本出願において互換的に使用される。
【0050】
本教示の良好な理解を目的として、教示の範囲をいかなる方式においても限定することなく、別段の指示がない限り、本出願及び特許請求の範囲において使用される量、パーセンテージ、又は割合、及び他の数値を表す全ての数は、全ての場合に「約」という用語によって修飾されていると理解されるものである。したがって、別段相反する指示がない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、得られるであろう所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、各数値パラメータは、報告された有効数字に照らして、及び通常の端数処理技法を適用することによって、少なくとも解釈されるべきである。
【0051】
本出願の明細書及び特許請求の範囲では、「含む(comprise)」、「含む(include)」、及び「有する(have)」という動詞の各々及びそれらの活用形は、動詞の1つ又は複数の目的語が必ずしも動詞の1つ又は複数の対象の構成要素、要素、又は部分の完全な列挙ではないことを示すために使用される。本明細書で使用される他の用語は、当該技術分野におけるそれらの周知の意味によって定義されることを意味する。
【0052】
本明細書で使用される場合、「ALDSI」及び「MLS-101」は、式(A)によって表される二置換1,2,4-トリアジン化合物の臭化水素化物(HBr)塩を指す。
【化7】
【0053】
本発明の「ALDSI」、「MLS-101」、及び「化合物」の重量及び/又は強度は、HBr塩の重量ではなく、HBr塩中の遊離塩基の重量を指す。
【0054】
式(A)の化合物及びその薬学的に許容される塩は、例えば、それらの開示は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる、米国特許第10,029,993号及び欧州公開第3549935号に説明される製造方法によって作製することができる。
【0055】
本発明は、MLS-101が、金属塩、特にカルシウム塩、マグネシウム塩、及びナトリウム塩を含有する薬学的賦形剤と組み合わせると、不均化を受けるという驚くべき発見に関する。したがって、本発明の各薬学的組成物は、MLS-101の不均化を回避し、その水溶性を維持するために、金属塩を含有する賦形剤を「含まない」(特に、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はナトリウム塩を「含まない」)。当業者は、薬学的組成物が、そのような微量の金属塩を含有する場合、そのような微量が、許容される閾値制限を上回る不均化を引き起こさない場合、本発明の範囲内であることを理解するであろう。したがって、「含まない」という用語の使用は、許容される閾値制限を上回る不均化を引き起こさないように十分に低い量の金属塩を包含する。本明細書で使用される場合、10%の不均化は、不均化の許容される閾値制限である。いくつかの実施形態では、不均化の下限閾値が好ましい場合がある。例えば、本発明の実施形態では、組成物は、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%超の不均化を回避する。
【0056】
本発明の薬学的組成物は、「治療有効量」又は「予防有効量」の本発明の化合物を含み得る。「治療有効量」は、所望の治療結果を達成するために必要な投薬量及び期間の間の有効な量を指す。治療有効量の化合物は、疾患状態、年齢、性別、及び個体の体重などの要因に応じて変動し得る。治療有効量はまた、治療的に有益な効果が、化合物の任意の毒性又は有害な効果を上回るものである。「予防有効量」は、所望の予防的結果を達成するために必要な投薬量及び期間の間の有効な量を指す。典型的には、予防用量は、疾患の初期段階の前又は初期段階の対象において使用されるので、予防有効量は、治療有効量よりも少ないであろう。
【0057】
概論
前述の実施形態について、本明細書に開示の各実施形態は、他の開示の実施形態の各々に適用可能であることが企図される。
【0058】
本明細書で使用される場合、全ての見出しは、単に編成のためのものであり、いかなる様式でも本開示を制限することを意図していない。いずれの個々のセクションの内容も、全てのセクションに等しく適用可能であり得る。本明細書に開示の様々な要素の全ての組み合わせは、本発明の範囲内である。
【0059】
本発明の追加の目的、利点、及び新規の特徴は、限定することを意図しない以下の実施例を検討すると、当業者により明白になるであろう。加えて、上に記載され、以下の特許請求の範囲のセクションで特許請求される本発明の様々な実施形態及び態様の各々は、以下の実施例において実験的な支援を見出す。
【0060】
明確にするために、別個の実施形態の文脈において説明される本発明のある特定の特徴はまた、単一の実施形態で組み合わされて提供され得ることが理解される。逆に、簡潔性のために、単一の実施形態の文脈において説明される本発明の様々な特徴はまた、別個に、又は任意の好適な部分組み合わせで、又は本発明の任意の他の説明される実施形態において好適であるように提供され得る。様々な実施形態の文脈において説明されるある特定の特徴は、実施形態がそれらの要素を伴わずに動作しない場合を除き、これらの実施形態の本質的な特徴とはみなされない。
【0061】
本発明のより完全な理解を容易にするために、実施例が以下に提供される。以下の実施例は、本発明を作製及び実施する例示的なモードを例示している。しかしながら、本発明の範囲は、例示のみを目的とするこれらの実施例に開示の特定の実施形態に限定されない。
【実施例】
【0062】
実施例1
塩不均化のリスク評価
ALDSI由来のピークは、金属塩(クロスカルメロースNa)を含むALDSIの3日間の保管後に検出された。(保管条件:60℃/75%RH)
【0063】
図1に示されるように、ALDSIは、金属塩の存在下で不均化する傾向が高い。
【0064】
塩不均化及び不均化リスクを低減するための戦略の研究
金属塩の存在下でのALDSIの塩不均化の発見後、不均化リスクを低減するための戦略を模索した。
【0065】
結果の概要:
塩不均化のリスクは、賦形剤の適切な選択によって低減され得る。
【0066】
可能性のある要因が塩不均化に与える影響の試験
温度及び湿度
試料:API(ALDSI)
【0067】
保管条件:開放容器内で、25℃/60%RH、40℃/75%RH、及び60℃/75%RH(相対湿度)
【0068】
試料採取時点:3日間及び1週間
【0069】
ALDSIの溶解性試験
試験方法:JP Apparatus for Paddle方法(Apparatus2)
【0070】
回転数:0~30分間50rpm、及び30分間250rpm。
【0071】
溶解媒体:溶解性試験用JP Second Fluid(日本薬局方に説明されているように、リン酸緩衝液(pH6.8)と水(1:1)との混合物。)
【0072】
結果
ALDSIは、XRPDで溶解の遅延又は新しいピークの出現を示さなかった(
図2を参照されたい)。
【0073】
結論
賦形剤の不在下では、温度及び湿度に起因する塩不均化のリスクは最小限である。
【0074】
薬学的製造方法
圧縮の影響
API単独を300、600、及び900キログラムの力(すなわち、それぞれ、約2942、5884、及び8826ニュートン)で圧縮して、溶解性を評価した。
a)試料間の溶解性に差はなかった。
b)試料を60℃/75%RHで保管した場合(3日間又は1週間)、溶解性に経時的な変化はなかった。
【0075】
結論:圧縮は、塩不均化のリスクに対して最小限の影響を有する。
【0076】
湿式造粒の影響
API単独を大、中、少量の水で練り、溶解性を評価した。
a)試料間の溶解性に差はなかった。
【0077】
結論:湿式造粒条件は、塩の不均化のリスクに対して最小限の影響を有する。
【0078】
研削条件の影響
API単独を1、3、20、及び30分間研削して、溶解性を評価した。
a)試料間の溶解性に差はなかった。
b)試料を60℃/75%RHで保管した場合(3日間又は1週間)、溶解性に経時的な変化はなかった。
【0079】
結論:研削は、塩不均化のリスクに対して最小限の影響を有し得る。
【0080】
一般的に使用される賦形剤に起因する不均化
製剤条件
1:1(w/w)の比でAPI及び賦形剤
【0081】
乳鉢内で混合(力を加えずに約10分間)
【0082】
保管条件
60℃/75%RH、開放容器内で1週間
【0083】
試験
X線回折(XRD)
【0084】
溶解性試験後の残留物:
a)塩不均化後には水溶性が著しく減少するので、残留物を伴わない試料は、不均化を受けなかったとみなした。ALDSI遊離塩基は黄色であるので、黄色の残留物は、塩不均化を表すとみなした。白色の残留物は、不溶性賦形剤であり、ALDSI遊離塩基として塩不均化はないとみなした。
【0085】
結果
金属塩との相互作用に起因する塩不均化の潜在的リスクを示した。
【表1】
【0086】
10%APIカプセルの安定性試験I
10%APIカプセルの製剤
金属塩を含まない賦形剤を選択した。
【0087】
製剤化方法
D-マンニトールとタルクとを混合し、ふるいにかけた。ふるいにかけた混合物にAPIを添加し、ブレンドし、ふるいにかけ、HPMCカプセル内に充填した。
【表2】
【0088】
10%APIカプセルの安定性試験II
図3は、様々な条件下での10%APIカプセルの溶解性試験の結果を示す。
【表3】
【0089】
結論
試験した3つの製剤において、溶解の遅延又は関連物質の増加のリスクはなかった。不均化を引き起こさないとみなされる賦形剤と共に製剤化した10%APIカプセルは、塩不均化のリスクが低い薬学的製剤であり得る。
【0090】
錠剤(製剤)の研究I
製剤
塩不均化のリスクを回避することができる製剤を設計するために、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC)及び3つの潤滑剤を選択し、これらは、上に提示される研究の結果に基づいて、塩不均化(「一般的に使用される賦形剤に起因する不均化」)のリスクを有しないとみなした。
【0091】
製剤化方法
API顆粒、崩壊剤、及び潤滑剤をポリエチレンバッグ内で混合した。圧力依存性を確認した後、順次、混合物に錠剤化(900キログラムの力、すなわち約8826ニュートン)を施した。
【表4】
【0092】
錠剤の研究II(安定性試験結果)
溶解性試験結果
25℃で閉鎖し、40℃/75%RHの開放容器及び閉鎖容器内で1か月間保管後の溶解性:いずれの製剤においても、初期値からの変化はない。
【0093】
60℃で保管後の溶解性が低減した理由:錠剤を個々の潤滑剤の融点に近い温度で保管したので、錠剤中の潤滑剤が溶解した。
【0094】
【0095】
純度試験結果
全ての製剤は、試験した全ての保管条件下で初期値から変化を示さなかった。
【表5】
【0096】
実施例2
序論
この実施例は、即時放出特徴を有する12.5、25、及び100mgのMLS-101フィルムコーティングされた錠剤剤形の製剤開発を記録している。
【0097】
MLS-101の物理化学的特性は、以前に評価されており、重大な問題は識別されていないので、化合物は、直接圧縮又は造粒(乾式及び湿式)製造方法のいずれかによって製剤化することができることが示唆された。
【0098】
製剤開発活動及び評価された異なる製剤の実験室分析から提供される情報によって、その製造方法を開発することができる薬物製品を識別するためのより有望なアプローチを決定する。
【0099】
目的
以下の異なるアプローチを使用して、MLS-101の即時放出経口固体剤形(OSD)を開発すること:
a)直接圧縮(DC)、
b)ローラ圧縮(RC)、
c)高せん断湿式造粒(HSWG)、
【0100】
開発された剤形の安定性を評価すること。
【0101】
材料
この研究には、表6に列挙された材料を使用した。全ての材料を室温(RT)で保管した。
【表6】
【0102】
方法
結晶状態評価
X線粉末回折-USP<941>:該当する場合、3~56°2θ、0.6mm発散スリット、1.0mm散乱プレート、及び3.0mm受容窓の範囲にわたって、0.2秒のステップ時間で0.01°2θ(3°2θ/分の走査速度)の増分のCu Kα線(λ=1.54184Å)で、Bruker X線回折計モデルD2 Phaser(Karlsruhe,Germany)を使用するX線粉末回折(XRPD)によって、異なる製造ステップでの試料の結晶状態を研究した。分析中に15rpmの一定回転数下に試料を保持しながら、低体積試料ホルダを使用して試料を分析した。
【0103】
製剤開発アプローチ
表7は、直接圧縮(DC)製剤ロット1、2A、2C、3A~5、ローラ圧縮(RC)ロット2B、及び高せん断湿式造粒(HSWG)ロット6の組成を提示する。表8は、プラセボブレンドロット7~10(アクティブロット1、4~6に対応する)を提示する。表8はまた、金属イオンを含有する賦形剤を含まない「新しい」(以下に解説する)DC製剤プロトタイプロット11、13、及び15の組成を含有し、それぞれ、それぞれのプラセボロット12、14、及び16、並びに追加のロット17~19を含む。
【0104】
MLS-101は、金属塩を含有する賦形剤の存在下で塩不均化を受けやすいことが発見された。したがって、塩不均化リスクを低減するために、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムなどの賦形剤を含まない追加の「新しい」DCロット11、13、15、17、18、及び19(表8)を提案した。
【0105】
MCCをSMCCに置き換え、潤滑剤を3%に増加させた100mgのFB錠剤ロット19を、ロット18に従って調製した。
【0106】
ロット1~5、11、13、15、及び17~19のブレンドは、GlobePharma MaxiBlend4qt VブレンダモデルMB-Iを使用して実施した。
【0107】
Patterson-Kelly BlendMaster 0.5L Vブレンダを使用して、プラセボを処理した。全てのプラセボ賦形剤(Opadryを含む)を600μmのふるいで粉砕し、3分間ブレンドした。潤滑剤を同じふるいでスクリーニングし、Vブレンダに添加し、更に2分間混合した。
【表7】
【表8】
【0108】
分析試験
外観、含有量均一性、アッセイ、関連物質、水含有量、及び溶解性プロファイルを含む分析試験によって、薬物製品の品質属性を評価した。
【0109】
安定性プログラム
第1のR&D安定性研究は、12.5mgMLS-101FCTロット1、25mgFCTロット4、並びに100mgFCTロット5及び6に対して実施した。
【0110】
第2のR&D安定性研究は、12.5mgMLS-101FCTロット11、13、及び15に対して実施した。
【0111】
第3のR&D安定性研究は、それぞれ、25mg及び100mgのMLS-101FCTロット17及び18に対して実施した。
【0112】
ブリスタ当たり10FCTで、Aclar(登録商標)ブリスタ内に錠剤を包装した。ブリスタ材料Pentapharm Aclar PA160/02(254/15、クリア、160mm幅、色#:71/9400、Klocknerロット0075966400)及びホイルは、25μmのAluminium lidding push through(Constancia AL109CSMであった。
【0113】
また、最悪の場合の安定性条件を誘導するために、キャップせずに(いわゆる「開放」)、60ccの丸い白色の不透明な高密度ポリエチレン(HDPE)瓶(Drug Plastics & Glass Co.)内に小さい1錠の錠剤を包装した。
【0114】
インダクションシールされたチャイルドレジスタンスポリプロピレンキャップ(Berry)を有する60ccの丸い白色の不透明なHDPE瓶(Drug Plastics & Glass Co.)内にプラセボブレンドを包装した。
【0115】
中程度(30℃/65%RH)、長期(25℃/60%RH)、及び加速(40℃/75%RH)安定性条件のICH推奨下で、安定性プロトタイプをインキュベートした。余分な試料を、参照のために5℃でインキュベートした。表9、表10、及び表11に提示される安定性プロトコルに従って、チャンバ内に、ブリスタ及び開放瓶を配置し、24時間/7日間監視した。
【表9】
【表10】
【表11】
【0116】
製剤開発
結晶状態評価結果
DCロット1、4、及び5(それぞれ、
図5、
図6、
図7)、並びにHSWGロット6(
図8)(金属塩を含有する賦形剤と共に調製)は、各々、(各製剤で使用した賦形剤が異なることに起因して)最終ブレンドで異なるXRP回折図を示し、予想通りの結晶質特徴ピークを提示した。コーティングされていない錠剤のXRPDは、それぞれの最終ブレンドからのものと比較すると、全てのロットでより少ない強度を示したが、いずれの他の顕著な変化もなかった。ロット6では、様々な製造ステップからの試料は、最終ブレンドのものと同様のXRPDパターンを提示した。
【0117】
金属塩を含有する賦形剤を用いずに調製した新しいDCロット11、13、及び15(それぞれ、
図9、
図10、及び
図11)でも、XRPDパターンは互いに異なっていた。以前のロットとは対照的に、コーティングされていない錠剤は、それぞれの最終ブレンドのものよりも高い強度の結晶質ピークを示した。フィルムコーティングされた錠剤のXRPDパターンでは、対応するコーティングされていない錠剤のXRPDパターンと比較すると、大きい変化は観察されなかった。
【0118】
ロット13と同じ賦形剤と共に調製したが、それぞれ、約9%及び36%の薬物負荷で調製したDCロット17及び18(それぞれ、
図12及び
図13)では、XRPDパターンは、コーティングされていない錠剤トライアル#2試料(中程度又は高圧縮力)までの最終ブレンドに関して、ロット13のパターンと概して同様であった。しかしながら、(高薬物負荷で調製した)ロット18のXRPDパターンは、最大圧縮力で圧縮したトライアル#3からの錠剤の結晶質ピークの顕著に低減した強度を提示した。繰り返すが、フィルムコーティングされた錠剤のXRPDパターンでは、対応するコーティングされていない錠剤のものと比較すると、大きい変化は観察されなかった。
【0119】
分析試験
FCTロット1及び4~6の外観、アッセイ、分解生成物、及び溶解性に関する初期分析結果は、
図14及び
図15に見出すことができる。薬物製品は、97~100%、かつ0.05%以上不純物を含まずに構成されるアッセイを提示した。しかしながら、最初の30分以内に、ロット1、4、5、及び6では、それぞれ、55、72、73、及び86%が放出され、水中での低溶解性が認められた。比較して、0.1NのHCl中での溶解性プロファイルは、同じロットでは、同じ30分以内にそれぞれ、96、94、90、及び93%の放出を示した。
【0120】
次いで、スウェーデンオレンジ色のカプセルサイズ「0」ロット1A(APIのみを充填したカプセル)及び1B(ロット1からの最終的な非圧縮ブレンド)を使用して、更なる調査を行った。結果は、迅速な水溶性を示し、30分以内にカプセルロット1B(最終ブレンドロット1)の約33%の低回収率に対して比較すると、15分以内にカプセルロット1A(APIのみを含む)は104%放出した。評価したプロトタイプに使用した金属イオン含有賦形剤(すなわち、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム)は、塩不均化を誘発した可能性があり、したがって、水に溶解しにくいAPI遊離塩基を生成したと仮定した。この仮説は、以前に解説されるプロトタイプ作製の第2ラウンドにつながる潜在的なリスクとして明らかにした。
【0121】
FCTロット11、13、及び15(全て12.5mgのMLS-101遊離塩基)の外観、アッセイ、分解生成物、溶解性、及び含有量均一性についての金属イオン賦形剤を含まない新しい製剤の結果は、
図16、
図17、及び
図18に見出すことができる。全ての薬物製品は、0.05%以上の不純物を提示しなかった。ロット11及び13は、同様のアッセイ結果を提示した。ロット13では15分以内に水及び0.1NのHCl中にそれぞれ、98及び96%が放出され、ロット11では15分以内に両方の媒体中に約87%が放出され、より迅速な溶解性が認められた。ロット11及び13では、それぞれ、98及び96%のLCの含有量均一性結果が得られた。他方では、マンニトールと共に調製したロット15は、88.5%の量でAPIを含有しており、したがって、ロット15は、15分以内に、88.5%の低いアッセイ、水及び0.1NのHCl中にそれぞれ、92及び89%が放出された低い溶解性プロファイル、並びに89.6%LCの低い含有量均一性を提示した。
【0122】
結論
高い薬物負荷(36.28%)の微晶質セルロース及びリン酸二カルシウムと共に調製したDC製剤ロット5の最終的に潤滑剤が添加されたブレンドは、0.38g/cm3の最低かさ密度を提示し、「まずまずの」流れを示した。0.64g/cm3の最高かさ密度は、低薬物負荷(4.54%)のマンニトール400DCと共に調製したDCロット15で得られ、「良好な」流れを示した。(薬物負荷に関係なく)ロット1、4、11、及び13、並びにHSWGロット6の他の全てのDC製剤は、0.41~0.58g/cm3の範囲のかさ密度を提示し、「ほど良い」流れを示した。
【0123】
ほとんどの製剤は、RSD1.8%未満(RSD3.7%のロット3Aを除く)、及び脆化性0.5%未満を有し、目標重量を満たす錠剤を生成した。概して、高い圧縮力又は中程度の力で圧縮したDC製剤錠剤は、(タルクを含み、コロイド状二酸化ケイ素を含まずに調製した)ロット11を除いて、キャッピング、ラミネーション、ピッキング、又は粘着性を示さなかった。低い圧縮力で圧縮した錠剤は、クロムチップパンチが使用された場合、パンチ上への粉末の薄膜の付着、又は軽微なピッキングさえも明らかにした。
【0124】
DC製剤の崩壊時間(DT)は、2分未満であり、HSWGロット6のものは、7分未満であった。DTは良好であり、即時放出経口固体剤形に概して受け入れられている目標≦15分であった。
【0125】
ロット1、4~6の最初の分析結果は、塩不均化に関する潜在的な問題を明らかにした。評価したプロトタイプに使用した金属イオン含有賦形剤(すなわち、リン酸二カルシウム、クロスカルメロースナトリウム、及びステアリン酸マグネシウム)は、塩不均化を誘発した可能性があり、したがって、水に溶解しにくいAPI遊離塩基を生成したと仮定した。この仮説は、プロトタイプ作製の第2ラウンドにつながる潜在的なリスクとして確認された。
【0126】
したがって、充填剤として微晶質セルロース及び/又はマンニトール、崩壊剤としてクロスポビドンXL、アルファ化デンプン、及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、並びに潤滑剤としてタルク、ジベヘン酸グリセリル、及びステアリン酸と共に製剤化したより新しいロット11、13、及び15は、アッセイ、分解生成物、(水及び0.1NのHCLの両方への)溶解性に関する有望なデータを提示した。含有量均一性について、ロット11及び13はまた、有望なデータを提示した。具体的には、配合物は、配合物の溶解性プロファイル及びXRPDによって実証されるように、10%未満の不均化を実証した。
【0127】
結果は、DC製剤ロット13が有望であるように思われたことを示している。したがって、25mg及び100mgのコーティングされた錠剤を、微晶質セルロース102、マンニトール400DC、アルファ化デンプン、及びジベヘン酸グリセリルを含む賦形剤と共に調製する。
【国際調査報告】