(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】放出制御型経口製剤及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
A61K 9/22 20060101AFI20240705BHJP
A61K 47/42 20170101ALI20240705BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/04 20060101ALI20240705BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/522 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K9/22
A61K47/42
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/12
A61K47/04
A61K47/14
A61K31/353
A61K31/522
A61P25/00
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504148
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(85)【翻訳文提出日】2024-01-22
(86)【国際出願番号】 CN2021109543
(87)【国際公開番号】W WO2023004733
(87)【国際公開日】2023-02-02
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524028762
【氏名又は名称】寶齡富錦生技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PANION & BF BIOTECH INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100204490
【氏名又は名称】三上 葉子
(72)【発明者】
【氏名】莊 瑞元
(72)【発明者】
【氏名】蘇 育徳
(72)【発明者】
【氏名】呂 紹全
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA38
4C076BB01
4C076CC01
4C076DD29
4C076DD41
4C076DD46
4C076EE16
4C076EE31
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
4C086CB07
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA12
4C086ZA01
(57)【要約】
二層放出制御型経口製剤であり、即時放出層とされた第1成分と、制御放出層とされた第2成分とを含む。第1成分はキサンチン誘導体を含む。第2成分はキサンチン誘導体と腸溶性賦形剤とを含む。前述した第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解90分内における放出は35重量%に達せず、且つ第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解3時間内における放出は50重量%以上に達する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キサンチン誘導体を含む第1成分と、
前記キサンチン誘導体と腸溶性賦形剤とを含む第2成分と
を含み、
前記第2成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解90分内における放出は35重量%に達せず、且つ前記第2成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解3時間内における放出は50重量%以上に達する、
経口製剤。
【請求項2】
前記第2成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解3時間内における放出は50重量%以上~70重量%以下に達する、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項3】
前記第1成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解1時間内における放出は80重量%以上に達する、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項4】
前記第1成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解90分内における放出は100重量%に達し、前記第2成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解8時間~12時間内における放出は90重量%以上に達し、且つ前記第2成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解12時間~18時間内における放出は100重量%に達する、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項5】
前記第2成分中の前記キサンチン誘導体のインビトロ溶解2時間内における放出は40重量%に達しない、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項6】
経口二層錠であり、
前記第1成分で組成された第1層面と、前記第2成分で組成された第2層面とを含む、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項7】
前記第1成分と前記第2成分との重量比は1:1~1:1.2である、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項8】
前記腸溶性賦形剤はゼイン腸溶性コーティングである、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項9】
前記第2成分の重量比を100%としたとき、前記ゼイン腸溶性コーティングの重量比は前記第2成分の5.5%~10%である、
請求項8に記載の経口製剤。
【請求項10】
前記経口製剤中の前記キサンチン誘導体の総重量は50mg~400mgである、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項11】
前記キサンチン誘導体の前記第1成分中の重量は25mg~200mgである、
請求項10に記載の経口製剤。
【請求項12】
前記キサンチン誘導体の前記第2成分中の重量は25mg~200mgである、
請求項10に記載の経口製剤。
【請求項13】
前記第1成分は、緑茶カテキンと、ポリビニルピロリドンと、微結晶セルロースと、クロスポビドンと、ステアリン酸マグネシウムと、二酸化ケイ素とを更に含み、且つ前記緑茶カテキンは前記キサンチン誘導体を含む、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項14】
前記第2成分は、緑茶カテキンと、ポリビニルピロリドンと、微結晶セルロースと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウムと、二酸化ケイ素と、フィルムコーティング145K290001とを更に含み、且つ前記緑茶カテキンは前記キサンチン誘導体を含む、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項15】
前記経口製剤は服用後90分内に前記キサンチン誘導体の最高血中濃度に達する、
請求項1に記載の経口製剤。
【請求項16】
前記第1成分の粉体と前記第2成分の粉体で二層錠を形成することを含む、
請求項1に記載の経口製剤の調製方法。
【請求項17】
前記第2成分の粉体の調製は、
前記腸溶性賦形剤を含むコーティング液を提供することと、
緑茶カテキンを提供することであって、前記緑茶カテキンは前記キサンチン誘導体を含むことと、
前記緑茶カテキンに前記コーティング液を噴霧することで噴霧造粒を行い、重量増加5%~15%の範囲までコーティングすることと
を含む、
請求項16に記載の調製方法。
【請求項18】
前記噴霧造粒の後に乾燥及び篩い分けを行うことで前記第2成分の粉体を形成すること
を更に含む、
請求項17に記載の調製方法。
【請求項19】
前記第1成分の粉体の調製は、
緑茶カテキンを提供することであって、前記緑茶カテキンは前記キサンチン誘導体を含むことと、
ポリビニルピロリドンのアルコール水溶液を前記緑茶カテキンを含む粉体に添加し、造粒を行った後に乾燥及び篩い分けを行うことで前記第1成分の粉体を形成することと
を含む、
請求項16に記載の調製方法。
【請求項20】
持久力運動を行う30分~60分内に前記経口製剤を服用し、且つ前記経口製剤の服用量は3mg/kg~6mg/kgであること
を含む、
請求項1に記載の経口製剤の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は経口製剤に関するものであり、特に、放出制御型経口製剤及びその調製方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
カフェインはキサンチン誘導体であり、且つ水と脂質に可溶な双極性物質であり、その化学構造はアデノシンに非常に似ている。アデノシンは人体エネルギー源アデノシン三リン酸(adenosine triphosphate、ATP)の骨格であり、神経調節物質でもある。アデノシン及びアデノシン化合物自体は覚醒の度合い及び警戒心を低下させる以外に、刺激性の神経伝達物質の濃度も低下させ得る。カフェインとアデノシンの構造は似ており、アデノシンと受容体を競合し、このためカフェインにはリフレッシュ効果がある。また、カフェインは運動時の筋肉が生む痛みの感覚を低減させることができ、これによって運動の抗疲労効果を達成する。
【0003】
報道によると、エリートアスリートの概ね74%が競技前又は競技中にカフェインを補充アイテムとして用いており、特に持久力スポーツアスリートでは更に高い使用普及度を呈する。カフェインが普及している原因は、容易に取得でき、副作用が低く、研究が示すところによると低用量(<6mg/kg)で一定の補充効果を達成できる点にある。
【0004】
一般的に、カフェインの吸収率は服用後30分~90分内に最高の血中濃度に達し、大多数の臨床試験結果に基づき、使用者は運動の30~60分前に服用することにより競技期間にカフェインの補充効果を得ることができる、と提案されている。例えばマラソンといった一般的な持久力運動では、その平均的な競技終了までの時間は約4.5時間である。競技の30~60分前にカフェインを使用した後、概ね競技の3時間~3.5時間前後に半減期よりも低い状態に入り、このとき正に競技の高プレッシャー時期又は所謂壁にぶつかる時期にある。このため、壁にぶつかる時期に生じる疲労感を避けるため、多くの使用者は競技の中段階か後段階(残り1~2時間で競技終了)で中用量か低用量のカフェイン(~3mg/kg)を摂取して補充することがある。
【0005】
しかし、持久力運動を行う間には炭水化物エネルギージェル、電解質、アミノ酸などといった多くのサプリメントを要し、途中でカフェインを携帯して補充する必要があると不便である。また、途中での単一用量のカフェインは約1時間の吸収時間を要し、徐放性剤型のように持続的なカフェイン補充効果を提供することはできない。また、徐放性剤型のカフェインについて、その技術は高分子を通じて体内に徐々に浸透してカフェインを放出するものであるが、人体の胃腸管における特定の放出区間はない。このため、服用後の特定の時間範囲内で所定目標に達するまで放出する放出制御の必要性を満たすことで運動時間全体にわたって血中カフェイン濃度を比較的高い状態に維持して運動パフォーマンスを強化することができない。
【0006】
これに基づき、如何にして効果的にキサンチン誘導体の放出を制御することで血中の高濃度を維持し、且つ、例えばマラソンなどの持久力運動を行う期間にパフォーマンスを高めるために別途カフェインを飲む必要がある、又は、長距離ドライブにてカフェインの補充に気を遣う必要がある不便又は煩わしさといった、長時間活動中の複数回の補充/リフレッシュの必要性を満たすかが、現在解決すべき課題である。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、キサンチン誘導体の放出を効果的に制御して血中で高濃度に維持し、これによって長時間の補充/リフレッシュの必要性を満たす経口製剤を提供する。例を挙げると、本発明の経口製剤は、持久力運動期間の別途カフェインを取り出して飲む煩わしさを避けることができ、且つ運動期間全体にわたりカフェインの高い含有量/高い血中濃度を維持することができる。
【0008】
本発明の経口製剤は、第1成分と第2成分とを含む。第1成分はキサンチン誘導体を含む。第2成分はキサンチン誘導体と腸溶性賦形剤とを含む。第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解90分内における放出は35重量%に達せず、且つ第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解3時間内における放出は50重量%以上に達する。
【0009】
本発明の実施形態において、第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解3時間内における放出は50重量%以上~70重量%以下に達する。
【0010】
本発明の実施形態において、第1成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解1時間内における放出は80重量%以上に達する。
【0011】
本発明の実施形態において、第1成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解90分内における放出は100重量%に達し、第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解8時間~12時間内における放出は90重量%以上に達し、且つ第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解12時間~18時間内における放出は100重量%に達する。
【0012】
本発明の実施形態において、第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解2時間内における放出は40重量%に達しない。
【0013】
本発明の実施形態において、前述した経口製剤は経口二層錠であり、第1成分で組成された第1層面と、第2成分で組成された第2層面とを含む。
【0014】
本発明の実施形態において、第1成分と前述した第2成分との重量比は1:1~1:1.2である。
【0015】
本発明の実施形態において、前述した腸溶性賦形剤はゼイン腸溶性コーティングである。
【0016】
本発明の実施形態において、第2成分の重量比を100%としたとき、ゼイン腸溶性コーティングの重量比は第2成分の5.5%~10%である。
【0017】
本発明の実施形態において、経口製剤中の前述したキサンチン誘導体の総重量は50mg~400mgである。
【0018】
本発明の実施形態において、キサンチン誘導体の前述した第1成分中の重量は25mg~200mgである。
【0019】
本発明の実施形態において、キサンチン誘導体の前述した第2成分中の重量は25mg~200mgである。
【0020】
本発明の実施形態において、第1成分は、緑茶カテキンと、ポリビニルピロリドンと、微結晶セルロースと、クロスポビドンと、ステアリン酸マグネシウムと、二酸化ケイ素とを更に含み、且つ前述した緑茶カテキンは前述したキサンチン誘導体を含む。
【0021】
本発明の実施形態において、第2成分は、緑茶カテキンと、ポリビニルピロリドンと、微結晶セルロースと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウムと、二酸化ケイ素と、フィルムコーティング145K290001(Nutrafinish(登録商標)Dietary Supplement Coating 145K290001 Clear (NSC))とを更に含み、且つ緑茶カテキンは前述したキサンチン誘導体を含む。
【0022】
本発明の実施形態において、前述した経口製剤は服用後90分内に前述したキサンチン誘導体の最高血中濃度に達する。
【0023】
本発明の経口製剤の調製方法は、前述した第1成分の粉体と前述した第2成分の粉体で二層錠を形成することを含む。
【0024】
本発明の実施形態において、第2成分の粉体の調製は以下のステップを含む。腸溶性賦形剤を含む封入液を提供する。緑茶カテキンを提供することであって、前述した緑茶カテキンはキサンチン誘導体を含む。緑茶カテキンにコーティング液を噴霧することで噴霧造粒を行い、重量増加5%~15%の範囲までコーティングする。
【0025】
本発明の実施形態において、前述した調製方法は、噴霧造粒の後に乾燥及び篩い分けを行うことで第2成分の粉体を形成することを更に含む。
【0026】
本発明の実施形態において、第1成分の粉体の調製は以下のステップを含む。緑茶カテキンを提供することであって、前述した緑茶カテキンはキサンチン誘導体を含む。ポリビニルピロリドンのアルコール水溶液を緑茶カテキンを含む粉体に添加し、造粒を行った後に乾燥及び篩い分けを行うことで第1成分の粉体を形成する。
【0027】
本発明の経口製剤の使用方法は、持久力運動を行う30分~60分内に前述した経口製剤を服用し、且つ前述した経口製剤の服用量は3mg/kg~6mg/kgである。
【0028】
上記に基づき、本発明の実施形態は、第1成分と第2成分とを有する経口製剤を使用することによって、服用後初期に迅速に第1成分が放出されて前期のカフェイン補充を提供し、且つ後の段階において第2成分のカフェインの放出を制御する。これに基づき、本発明の二層放出制御型経口製剤はキサンチン誘導体(例えばカフェイン)の放出を効果的に制御して、その血中濃度を高く維持し、これによって長時間の補充/リフレッシュの必要性を満たすことができる。例を挙げると、本発明の経口製剤は持久力運動期間に別途カフェインを取り出して飲む煩わしさを避けることができ、且つ放出される第2成分を制御することにより運動期間全体においてカフェインの高い含有量/高い血中濃度を維持することのできる時間を延長可能である。また、本発明の経口製剤は長時間ドライブ時にカフェインの補充に気を遣う必要がある不便又は煩わしさを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明の更なる理解のために添付図面が含まれ、且つ添付図面は本明細書に併合されて本明細書の一部を構成する。添付図面は本発明の実施形態を説明し、説明記述と共に本発明の原理を説明するために用いられる。
【0030】
【
図1】本発明の実施形態による経口製剤の概略図である。
【
図2】本発明の実施形態による第1成分粉体の調製フロー図である。
【
図3】本発明の実施形態による第2成分粉体の調製フロー図である。
【
図4】本発明の比較例による長時間作用放出粉体の調製フロー図である。
【
図5】本発明の実施形態による第2成分と比較例のインビトロ溶解曲線図である。
【
図6】本発明による腸溶性造粒と従来のマトリックス混合造粒のインビトロ溶解曲線図である。
【
図7】本発明の実施形態による第1成分のインビトロ溶解曲線図である。
【
図8】本発明の実施形態による経口製剤のインビトロ溶解曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、本発明の実施形態による経口製剤の概略図である。
図1を参照し、本発明の実施形態の経口製剤100は、例えば、第1成分で組成された第1層面102と、第2成分で組成された第2層面104である。例を挙げると、第1層面102は第1成分の粉体102Aを含み、第2層面104は第2成分の粉体104Aを含む。いくつかの実施形態において、経口製剤100の調製方法は、第1成分の粉体102Aと第2成分の粉体104Aを二層式打錠機で二層錠にすることにより経口製剤100を形成する。
図1の経口製剤100は経口二層錠の剤形を例としているが、本発明はこれに限定されない。
【0032】
いくつかの実施形態において、経口製剤100は他の種類の剤形及び調製方法を含んでもよい。実施形態において、経口製剤100の調製は、第1成分の粉体102Aと第2成分の粉体104Aを個別に造粒した後に微粒(pellets)形式でカプセルに充填することを含む。実施形態において、経口製剤100の調製は、第1成分の粉体102Aと第2成分の粉体104Aを個別に造粒した後に微粒(pellets)形式で小袋(sachet)に充填することを含む。もう1つの実施形態において、経口製剤100の調製は、第1成分の粉体102Aと第2成分の粉体104Aを個別に打錠した後に微錠(micro-tablets/mini-tablets)形式でカプセルに充填することを含む。また1つの実施形態において、経口製剤100の調製は、第1成分の粉体102Aと第2成分の粉体104Aを個別に打錠した後に微錠(micro-tablets/mini-tablets)形式で小袋(sachet)に充填することを含む。
【0033】
上記の説明から分かるように、本発明の経口製剤100は二層錠の剤形に限定されない。例を挙げると、経口製剤100が即時放出性(immediate release)とされた第1成分の粉体102Aの層面と、制御放出性(controlled release)とされた第2成分の粉体104Aの層面とを含めば、経口製剤100の剤形にを適切に調整してよい。実施形態において、第2成分の粉体104Aは遅延放出性(delayed release)の層面とされる。以下に、第1成分/第1成分の粉体102Aと第2成分/第2成分の粉体104Aを更に説明する。
【0034】
本発明の実施形態において、第1成分/第1成分の粉体102Aは、緑茶カテキンと、ポリビニルピロリドンと、微結晶セルロースと、クロスポビドンと、ステアリン酸マグネシウムと、二酸化ケイ素とを少なくとも含んでよい。緑茶カテキンはキサンチン誘導体(或いはカフェイン)を含んでよい。いくつかの実施形態において、微結晶セルロースは乳糖又はコーンスターチにより代用されてよい。クロスポビドンは、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、アルファ化澱粉により代用されてよい。
【0035】
実施形態において、第1成分の粉体102Aの調製は以下のステップを含んでよいが、これに限定されない。先ず、緑茶カテキンを提供し、前述した緑茶カテキンはキサンチン誘導体を含む。緑茶カテキン、微結晶セルロース、及びクロスポビドンを篩い分け整粒した後に、均一に混合して高速混合造粒機に投入する。次いで、ポリビニルピロリドンのアルコール水溶液を上記の緑茶カテキンを含む粉体に添加し、造粒機で造粒した後に乾燥及び篩い分けを行う。次いで、クロスポビドン、微結晶セルロース、及び二酸化ケイ素を添加して均一に混合することで第1成分の粉体102Aを形成する。これに基づき、得られた第1成分の粉体102Aは上述した異なる剤形の経口製剤100を形成するのに用いることができる。
【0036】
本発明の実施形態において、第2成分/第2成分の粉体104Aは、緑茶カテキンと、腸溶性賦形剤と、ポリビニルピロリドンと、微結晶セルロースと、中鎖トリグリセリドと、ステアリン酸マグネシウムと、二酸化ケイ素と、フィルムコーティング145K290001(Nutrafinish(登録商標)Dietary Supplement Coating 145K290001 Clear (NSC))とを含んでよい。緑茶カテキンはキサンチン誘導体(或いはカフェイン)を含んでよい。コーティング145K290001はヒドロキシプロピルセルロース、トリアセチン、及びタルクの混合物である。腸溶性賦形剤はゼイン腸溶性コーティングであってよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、微結晶セルロースは乳糖又はコーンスターチにより代用されてよい。中鎖トリグリセリドは、グリセロール、ポリエチレングリコール(PEG)、鉱物油、又は脂肪酸により代用されてよい。また、いくつかの実施形態において、腸溶性賦形剤は、ゼイン腸溶性コーティングのほか、エチルアクリレート/メタクリル酸共重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、セルロースアセテートフタレート、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなど、又はそれらの混合物であってよい。
【0038】
実施形態において、第2成分の粉体104Aの調製は以下のステップを含んでよいが、これに限定されない。先ず、適量のアルコール水溶液を測り、中鎖トリグリセリドを攪拌しながら添加した後、腸溶性賦形剤とされたゼインとフィルムコーティング145K290001を混合した後にアルコール水溶液中にゆっくりと添加して完全に溶解分散させてコーティング液を得る。次いで、緑茶カテキンを提供し、前述した緑茶カテキンはキサンチン誘導体を含む。緑茶カテキンに前述したコーティング液を噴霧し、5%~15%の範囲で重量が増加するまで造粒した後、乾燥及び篩い分け整粒を行う。更に、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、及び二酸化ケイ素を均一に混合した後に第2成分の粉体104Aが形成される。これに基づき、得られた第2成分の粉体104Aは上述した異なる剤形の経口製剤100を形成するのに用いることができる。
【0039】
本発明の実施形態において、経口製剤100中のキサンチン誘導体(カフェイン)の総重量は50mg~400mgである。例を挙げると、キサンチン誘導体の第1成分中の重量は25mg~200mgであり、且つキサンチン誘導体の第2成分中の重量は25mg~200mgである。いくつかの実施形態において、経口製剤100中の第1成分と第2成分の重量比は1:1~1:1.2である。また、第2成分の重量比を100%とした場合、腸溶性賦形剤とされたゼイン腸溶性コーティングの重量比は第2成分の5.5%~10%である。前述したゼイン腸溶性コーティングの重量比が上記範囲に制御された場合、比較的理想的な制御放出効果を達成することができ、特に、腸溶性物質コーティングは、前段階での放出を減少させ、腸に達した後に再び放出させる効果を達成する。
【0040】
本発明の経口製剤100中、第1成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解1時間内における放出は80重量%以上に達する。第1成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解90分内における放出は100重量%に達する。また、第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解90分内における放出は35重量%に達せず、且つ第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解3時間内における放出は50重量%以上に達する。いくつかの実施形態において、第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解3時間内における放出は50重量%以上~70重量%以下に達する。また、第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解2時間内における放出は40重量%に達せず、第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解8時間~12時間内における放出は90重量%以上に達し、且つ第2成分中のキサンチン誘導体のインビトロ溶解12時間~18時間内における放出は100重量%に達する。これに基づき、本発明の経口製剤100中、第1成分(第1成分の粉体102A)は即時放出層とすることができ、第2成分(第2成分の粉体104A)は制御放出層とすることができ、これにより初期に即時放出し、後段階までの放出を制御する(又は遅延放出)二層放出制御の経口製剤100を達成する。
【0041】
本発明の実施形態において、キサンチン誘導体のインビトロ溶解のデータは、その体内溶解の結果をシミュレート/照らし合わせるために使用することができる。いくつかの実施形態において、インビトロ溶解の測定方法は、撹拌パドル装置(即ちUSP装置II)を用いて毎分50回転~75回転、及び37±0.5℃の温度において試験するものである。試験される経口製剤は少なくとも3つの胃腸管をシミュレートするのに十分な(pH値の範囲が1.2~6.8の間)緩衝液中で行う。例を挙げると、総試験時間が4時間である試験を行う場合、0~1時間の段階はpHH1.2の緩衝液中において、1~2時間の段落ではpHH4.5の緩衝液中に置き換え、2~4時間の段階ではpH6.8の緩衝液中に置き換えて試験する。更に具体的には、pH1.2の緩衝液は胃液(gastric fluid)環境をシミュレートするために用いられ、pH4.5の緩衝液は十二指腸液(duodenal fluid)環境をシミュレートするために用いられ、pH6.8の緩衝液は腸液(intestinal fluid)環境をシミュレートするために用いられる。試験中、溶解開始の30分、60分、90分、120分、150分、180分、240分の後に溶液を収集し、対照群(standard)を通じてその溶解率を算出する。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態において、経口製剤100は服用後90分内にキサンチン誘導体(カフェイン)の最高血中濃度に達する。経口製剤100が持久力運動のサプリメントとされる場合、その使用方法は持久力運動を行う前30分~60分内に経口製剤100を服用するというものであり、且つ前述した経口製剤100の服用量を服用者の体重で算出すると3mg/kg(キロ毎に3ミリグラム)~6mg/kgである。本発明の経口製剤100を服用した後、持久力運動期間に別途カフェインを取り出して飲む煩わしさを避けることができ、且つ制御放出の第2成分の使用によってカフェインの高い含有量/高い血中濃度を少なくとも6時間~8時間維持することができる。
【0043】
いくつかの実施形態において、持久力運動の選手は競技の30分前の時間に本発明の経口製剤100を服用してよい。例を挙げると、選手の体重が60キログラムの場合、約180mg~360mgの経口製剤100を服用する。また、経口製剤100中の第1成分と前述した第2成分の重量比は1:1~1:1.2である。経口製剤100を服用後の1時間~2時間内に、経口製剤100の第1成分(即時放出層)は既に80重量%以上のキサンチン誘導体(カフェイン)を放出していることから、使用者は持久力運動の前期(開始から2時間)においてキサンチン誘導体の高い血中濃度を維持することができ、補充効果を提供することができる。
【0044】
持久力運動の後期において、経口製剤100の服用後2時間~4.5時間内の場合、第1成分は既に全て放出されて半減期に入っているため、第1成分のキサンチン誘導体(カフェイン)の血中濃度はゆっくりと減少する。これに比べ、経口製剤100の第2成分(制御放出層)は運動前期の場合、服用後90分の時間内でキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は35重量%に達せず、服用3時間内にはじめて放出が50重量%~70重量%以下に達する。このため、第2成分(制御放出層)は持久力運動の後期(2時間~4.5時間)にキサンチン誘導体(カフェイン)の高い血中濃度を維持して持久力運動選手に第2剤のカフェイン促進(caffeine boost)効果を与えることができる。
【0045】
これに基づき、持久力運動選手は持久力運動期間全体においてキサンチン誘導体(カフェイン)の高い血中濃度を維持して運動関連パフォーマンスを促進/サポートすることができる。また、第2成分中のキサンチン誘導体(カフェイン)は服用12時間~18時間内ではじめて放出が100重量%に達することから、たとえ持久力運動が終了した後でも、カフェインの放出が持続する期間、その補充/リフレッシュ効果を延長して維持し続けることもできる。
実験例
【0046】
本発明の経口製剤100と従来のマトリックス型(matrix type)長時間作用放出剤形のインビトロ溶解放出の効果の差異を証明するため、下記実施例で詳細に説明する。以下では、先ず第1成分の粉体102A、第2成分の粉体104A、従来のマトリックス型の長時間作用放出粉体の調製を説明する。
第1成分の粉体の調製例
【0047】
図2は、本発明の実施形態による第1成分粉体の調製フロー図である。
図2中で使用する各材料を表1に記載の調製例A1~調製例A5中の含有量で調合する。
【0048】
表1:第1成分の粉体の処方表
【0049】
【0050】
図2のステップA10及び表1を参照し、先ず、緑茶カテキン、微結晶セルロース、クロスポビドンを混合調合する。次いで、ステップA12のように篩い分け整粒を行った後、ステップA14で上記成分を均一に混合した後に高速混合造粒機内に投入する。更に、ステップA16のようにポリビニルピロリドンをアルコール水溶液95%中に添加し、ステップA18で攪拌して完全に溶解させる。次いで、ステップA20を参照し、ステップA18で得た液体をステップA14で得た粉体に添加し、高速混合造粒機で湿式造粒を行う。湿式造粒が完了した後、ステップA22で乾燥処理を行い、ステップA24で篩い分け整粒を行う。更に、ステップA26でクロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、及び二酸化ケイ素を表1に記載の含有量で調合し、ステップA28で篩い分け処理を行う。次いで、ステップA30でステップA28で得た粉体とステップA24で得た粉体とを混合する。これに基づき、ステップA32で第1成分の粉体を得ることができる。
第2成分の粉体の調製
【0051】
図3は、本発明の実施形態による第2成分粉体の調製フロー図である。
図3中で使用する各材料を表2に記載の調製例B1~調製例B4中の含有量で調合する。
【0052】
表2:第2成分の粉体の処方表
【0053】
【0054】
図3のステップB10及び表2を参照し、浄水とアルコールを混合配合してアルコール水溶液とする。次いで、ステップB12で中鎖トリグリセリドを提供し、ステップB14で中鎖トリグリセリドを攪拌しながらアルコール水溶液に添加して混合する。次いで、ステップB16を参照し、ゼイン腸溶性コーティングとフィルムコーティング145K290001を混合した後、ステップB18で上記アルコール水溶液中にゆっくりと添加して混合する。ステップB20で、アルコール水溶液中に添加した成分を完全に溶解分散するまで攪拌することでコーティング液を形成する。コーティング液を得た後、ステップ22で緑茶カテキンを提供し、且つステップB24でステップB20のコーティング液を緑茶カテキンに噴霧造粒を行う。ステップB24で元成流動造粒ベッド(型番FBDD-2)で噴霧造粒を行い、且つそのパラメータは表3に示すとおりである。
【0055】
表3:噴霧造粒パラメータ
【0056】
【0057】
噴霧造粒後、ステップB26で乾燥処理を行い、ステップB28で篩い分け整粒を行う。更に、ステップB30で微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸マグネシウム、及び二酸化ケイ素を表2に記載の含有量で調合し、ステップB32で篩い分け処理を行う。次いで、ステップB34でステップB28で得た粉体とステップB32で得た粉体とを混合する。これに基づき、ステップB36で第2成分の粉体を得ることができる。
【0058】
従来の長時間作用放出粉体の調製例
【0059】
図4は、本発明の比較例による長時間作用放出粉体の調製フロー図である。
図4で使用する各材料は表4に記載の調製例C5中の含有量で調合する。
【0060】
表4:長時間作用放出粉体の処方表
【0061】
【0062】
図4のステップC10及び表4を参照し、緑茶カテキン、微結晶セルロース、ゼイン腸溶性コーティングを混合する。次いで、ステップC12のように篩い分け整粒後、ステップC14で上記成分を均一に混合した後に高速混合造粒機内に投入する。更に、ステップC16及びステップC18でポリビニルピロリドンとアルコール水溶液95%を提供する。また、ステップC20でポリビニルピロリドンをアルコール水溶液95%中に添加して混合し、完全に溶解するまで攪拌する。ステップC22でゼイン腸溶性コーティングを提供し、次いでステップC24で上記アルコール水溶液中に添加して混合して懸濁分散させる。ステップC26を参照し、ステップC24で得た液体を上記ステップC14の粉体に添加し、高速混合造粒機で湿式造粒を行う。湿式造粒後に、ステップC28で乾燥処理を行い、ステップC30で篩い分け整粒を行う。更に、ステップC32でステアリン酸マグネシウム及び二酸化ケイ素を表4に記載の含有量で調合し、ステップC34で篩い分け処理を行う。次いで、ステップC36でステップC30で得た粉体とステップC34で得た粉体とを混合する。これに基づき、ステップC38で従来の長時間作用放出粉体を得ることができる。
インビトロ溶解試験I
【0063】
本発明の第2成分(調製例B1~B4)と従来の長時間作用放出粉体(調製例C5)のカフェイン放出効果の差異を確認するため、以下の方式でインビトロ溶解試験を行った。
【0064】
本実験例のインビトロ溶解試験において、撹拌パドル装置(即ちUSP装置II)を用いて毎分50回転及び37±0.5℃の温度において試験を行った。本発明の第2成分(調製例B1~B4)と従来の長時間作用放出粉体(調製例C5)を、0~1時間の段階でpHH1.2の模擬胃液中で、1~2時間の段階でpHH4.5の模擬十二指腸液中で、及び2~4時間の段階でpH6.8の模擬腸液中で試験を行った。そのうち、異なる時点(30分、60分、90分、120分、150分、180分、240分)において一定の含有量の溶液を採取してキサンチン誘導体の濃度を算出した。そのうち、紫外可視分光光度計(UV/VIS)を使用して濃度分析を行い、対象群(standard)を通じてその溶解率を確認し算出した。試験結果は
図5及び表5に示すとおりであった。
【0065】
表5:第2成分(制御放出層)と比較例のインビトロ溶解表
【0066】
【0067】
図5は、本発明の実施形態による第2成分と比較例のインビトロ溶解曲線図である。
図5及び表5を参照し、調製例B1(Ex1)及び調製例B2(Ex2)は比較的好ましい制御放出効果を有することが分かる。インビトロ溶解2時間内でそのキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は30重量%に達せず、それぞれ僅かに23.5重量%及び17.9重量%である。また、調製例B1(Ex1)及び調製例B2(Ex2)のキサンチン誘導体(カフェイン)は、2.5時間後にはじめてそれぞれ48.1重量%及び44.1重量%に達している。このため、調製例B1(Ex1)及び調製例B2(Ex2)で調製された第2成分は2時間後にはじめて明らかなキサンチン誘導体(カフェイン)促進効果を開始でき、腸管環境(pH6.8)に進入した後にはじめて制御放出を行うことができる。これに基づき、調製された第2成分は効果的に服用の後期に補充されてキサンチン誘導体の血中の高濃度を維持することができる。
【0068】
調製例B4(Ex4)を参照し、許容可能な制御放出効果を有する。
図5及び表5に示すように、調製例B4の成分は、インビトロ溶解90分内のキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は35重量%に達せず、且つインビトロ溶解2時間内のキサンチン誘導体(カフェインの)放出は40重量%に達していない。このため、調製例B4の第2成分も、キサンチン誘導体を補充して血中で高濃度に維持するのに利するよう、服用後期(2時間後)に放出を遅延させるよう制御することができる。上記表2に示すように、調製例B1、B2、B4のゼイン腸溶性コーティングの重量比は第2成分の5.5重量%~10重量%の範囲内に制御されており、このため本発明の制御放出効果を達成可能である。
【0069】
これらと比較し、調製例B3(Ex3)を参照し、腸溶性賦形剤とされたゼイン腸溶性コーティングの重量比が前述した第2成分の3重量%(
図2を参照)である場合、制御放出効果を効果的に達成することができない。
図5に示すように、調製例B3の成分のインビトロ溶解90分内のキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は既に40重量%を超えており、且つ従来の長時間作用放出粉体(調製例C5)の溶解曲線に類似している。このため、調製例B3の第2成分は特定時間段階の制御放出効果を効果的に達成することができない。
【0070】
本発明の腸溶性造粒と従来のマトリックス型混合造粒との差異を更に確認するため、調製例B2(Ex2)と調製例C5(Ex5)の試験結果を単独で比較する。
図6は、本発明による腸溶性造粒(Ex2)と従来のマトリックス混合造粒(Ex5)のインビトロ溶解曲線図である。調製例B2(Ex2)と調製例C5(Ex5)は同一のゼイン腸溶性コーティングと緑茶カテキンの比率を有する(いずれも10重量%と71.43重量%)。しかし、調製例B2は腸溶性造粒(enteric granulation)の方式(
図3のステップ)で調製され、調製例C5はマトリックス型混合造粒(matrix mixing)の方式(
図4のステップ)で調製されており、両者の調製方式には大きな差異がある。
【0071】
図6を参照し、たとえ同一の重量比のゼイン腸溶性コーティングを用いて造粒を行ったとしても、本発明の腸溶性造粒(enteric granulation)のステップで調製された粉体でなければ制御放出の効果を効果的に達成することはできないことが分かる。
図6に示すように、調製例C5のインビトロ溶解90分内のキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は既に40重量%に達しており、徐放性の剤形に属する。これと比較し、本発明の調製例B2のインビトロ溶解2時間内のキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は20重量%に達せず、且つインビトロ溶解150分内のキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は46重量%に達することができ、制御下で放出を遅延する効果を明らかに達成している。
インビトロ溶解試験II
【0072】
本発明の第1成分が即時放出の効果を有することを確認するため、調製例A1の第1成分を使用してインビトロ溶解試験を行った。また、本発明の経口製剤100の溶解効果を確認するため、調製例A1の第1成分に調製例B1の第2成分を配合(A1+B1)、及び調製例A2の第1成分に調製例B2の第2成分を配合(A2+B2)して二層錠の経口製剤を形成し、インビトロ溶解試験を行った。インビトロ溶解試験のステップは「インビトロ溶解試験I」で言及したものと類似しており、このため再度繰り返し述べない。差異は、経口製剤(二層錠)の溶解試験において溶液の採取を1440分(24時間)まで継続した点にある。試験結果は
図7及び
図8に示すとおりである。
【0073】
図7は、本発明の実施形態による第1成分(即時放出層)のインビトロ溶解曲線図である。
図7を参照し、本発明の調製例A1で調製して得た第1成分は明らかな即時放出効果を有することが分かる。
図7の試験結果が示すように、インビトロ溶解60分内のキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は既に80%以上に達しており、且つインビトロ溶解90分内のキサンチン誘導体(カフェイン)の放出は既に100%に達している。これに基づき、本発明の第1成分は効果的に服用後の前期(2時間内)にキサンチン誘導体を即時放出し、その血中の高濃度を維持し、補充効果を提供することができる。
【0074】
図8は、本発明の実施形態による経口製剤のインビトロ溶解曲線図である。
図8を参照し、調製例A1を調製例B1で形成された経口二層錠を配合するか調製例A2を調製例B2で形成された経口二層錠を配合するかに関わらず、いずれもインビトロ溶解90分内のキサンチン誘導体(カフェイン)の50%以上の放出を達成することができる。即ち、経口二層錠の第1成分は既に全て放出され、第2成分はゆっくりと制御放出される。また、インビトロ溶解90分~720分(12時間)内において、キサンチン誘導体(カフェイン)の放出は90%以上まで増加し、インビトロ溶解12時間~18時間内の放出は100重量%に達する。これに基づき、第1成分の即時放出と第2成分の制御放出とを通じて、本発明の二層放出制御型経口製剤はキサンチン誘導体(カフェイン)の放出を効果的に制御して、その血中の高濃度を維持し、これにより長時間の補充/リフレッシュの必要性を満たすことができる。
【0075】
上記をまとめると、本発明の実施形態は第1成分と第2成分とを有する経口製剤を使用し、且つ第2成分は腸溶性造粒方式により調製された腸溶性賦形剤を有する。このため、本発明の経口製剤は服用後の初期に第1成分を即時放出して前期のカフェイン補充を提供し、且つ後の段階で第2成分のカフェインを制御放出する。第2成分が食用腸溶性材質を有するため、アルカリ性の腸管環境において徐々に溶解することができ、第2段階放出の結果をもたらす。これに基づき、本発明の二層放出制御型経口製剤はキサンチン誘導体(カフェイン)の放出を効果的に制御して、その血中の高濃度を維持し、これにより長時間の補充/リフレッシュの必要性を満たすことができる。例を挙げると、本発明の二層放出制御型経口製剤は、例えばマラソンなどの持久力運動を行う期間にパフォーマンスを高めるために別途カフェインを飲む必要がある、又は、長時間ドライブでカフェインの補充に気を遣う必要がある不便又は煩わしさといった、長時間活動中に複数回補充/リフレッシュする必要性を満たすことができ、且つ放出される第2成分を制御することにより運動期間全体においてカフェインの高い含有量/高い血中濃度を維持することでき、且つ運動後も補充/リフレッシュ効果の提供を維持することができる。
【符号の説明】
【0076】
100:経口製剤
102:第1層面
102A:第1成分の粉体
104:第2層面
104A:第2成分の粉体
A10、A12、A14、A16、A18、A20、A22、A24、A26、A28、A30、A32:ステップ
B10、B12、B14、B16、B18、B20、B22、B24、B26、B28、B30、B32、B34、B36:ステップ
C10、C12、C14、C16、C18、C20、C22、C24、C26、C28、C30、C32、C34、C36、C38:ステップ
【国際調査報告】