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特表2024-525972医学的に有効なパッチの調製に適した組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】医学的に有効なパッチの調製に適した組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/25 20060101AFI20240705BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 9/70 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20240705BHJP
   A61K 47/46 20060101ALI20240705BHJP
   A61K 47/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K31/25
A61P29/00
A61K9/70 401
A61K47/34
A61K47/14
A61K47/44
A61K47/46
A61K47/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504472
(86)(22)【出願日】2022-07-11
(85)【翻訳文提出日】2024-03-22
(86)【国際出願番号】 EP2022069317
(87)【国際公開番号】W WO2023006402
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】070099/2021
(32)【優先日】2021-07-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524030606
【氏名又は名称】ドロッサファーム アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】インボーデン、ロゲール
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、ユルク
【テーマコード(参考)】
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA72
4C076BB31
4C076CC04
4C076DD34
4C076DD46
4C076EE27
4C076EE53
4C076EE58
4C076FF34
4C076FF36
4C206AA01
4C206AA02
4C206DB13
4C206DB45
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA52
4C206MA83
4C206NA03
4C206NA10
4C206NA11
4C206ZB11
(57)【要約】
抗炎症性活性成分エトフェナマートを皮膚に送達するための医療用パッチの調製に適した組成物であって、前記組成物は、少なくとも、(i)自己接着性ポリシロキサンと、(ii)分散体として成分(i)に含有される薬学的に活性な成分エトフェナマートと(iii)グリセロールと植物油から得られる、中鎖(C10~C16)脂肪酸またはこのような脂肪酸の混合物とのモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択される化合物または化合物の混合物とを含み、および(iv)任意でさらなる添加剤を含み、成分(iii)について、酸価の限界値が0.4、好ましくは0.2であり、過酸化物価の限界値が2.0、好ましくは1.0である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消炎性活性成分エトフェナマートを皮膚に送達するための薬用パッチの調製に適した組成物であって、該組成物は、少なくとも、
(i)自己接着性ポリシロキサンであって、任意に、接着特性を最適化するために、前記接着特性を改変するための自体公知の添加剤を含有する、自己接着性ポリシロキサンと、
(ii)分散体として成分(i)中に含有される、薬学的に活性な物質エトフェナマートと、
(iii)グリセロールと中鎖(C12~C16)脂肪酸またはこのような酸の混合物とのモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択される、好ましくは、グリセロールと中鎖(C10~C16)脂肪酸またはこのような酸の混合物とのモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択される、好ましくは、植物油由来の中鎖トリグリセリド(MKT)の形態である、化合物または化合物の混合物と
を含有し、および
(iv)必要であれば、他の添加剤を含有し、
成分(iii)について、酸価限界が0.4、好ましくは0.2であり、および過酸化物価限界が2.0、好ましくは1.0であることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
成分(iii)の前記中鎖トリグリセリドが、パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ナタネ油、落花生油、トウモロコシ油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油もしくは小麦胚種油から、またはこのような油の混合物から、好ましくはパーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油もしくはナタネ油、またはこのような油の混合物から得られたことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
自体公知の少なくとも1つの自己接着性ポリシロキサンを成分(i)として含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
接着特性を改変するための自体公知の少なくとも1つの添加剤をさらに含む、自体公知の少なくとも1つの自己接着性ポリシロキサンを成分(i)として含有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物であって、
前記少なくとも1つの添加剤が、前記ロジン化合物、好ましくは脱水素化もしくは水素化されたロジン、ロジングリセロールエステルから選択される、および/またはテルペン樹脂、ポリテルペン樹脂から、α-もしくはβ-ピネンから、または低粘度シリコーン、好ましくは末端シラノール基を有するポリシロキサン、および/またはポリジメチルシロキサン、好ましくはジメチコノールから選択される、
組成物。
【請求項5】
成分(i)の前記自己接着性ポリシロキサンが、前記自己接着性ポリシロキサンの他の特性に悪影響を及ぼすことなく、前記活性成分を含有する前記自己接着性ポリシロキサンの粘度を低下させる化合物または化合物の混合物[成分(iii)]を含有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
成分(i)の前記自己接着性ポリシロキサンが、前記組成物の総重量を基準として、2~15重量%、好ましくは5~10重量%の成分(iii)の前記化合物を含有することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物であって、前記組成物の総重量に対して計算された、1.0重量%~25.0重量%、好ましくは2.0重量%~20重量%、好ましくは2.5重量%~15重量%の量、好ましくは5重量%~約10重量%の量の前記活性成分エトフェナマートを含有することを特徴とする、組成物。
【請求項8】
0.1μm~500μm、好ましくは1.0μm~100μmの範囲の平均液滴サイズを有する高度に分散された分布で前記活性成分エトフェナマートを含有することを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
完成したパッチにおいて前記皮膚に直接接着することが意図された、加工されるこの組成物の接着力が、0.8N/25mm~1.4N/25mmの範囲であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
完成したパップ剤において中間層として使用される、加工されるこの組成物の接着力が、0.8N/25mm~2.0N/25mmの範囲、好ましくは0.9N/25mm~1.7N/25mmの範囲であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物であって、前記組成物が、さらなる添加剤[成分(iv)]、好ましくは皮膚を通じた前記薬学的活性物質の浸透を促進する添加剤、安定剤および/または香料を含有することを特徴とする、組成物。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物であって、前記組成物が、浸透加速剤として作用する成分(iii)の化合物を、好ましくは、98:2~2:8の範囲、好ましくは9:1~3:7の範囲、好ましくは約1:2の活性成分対浸透加速剤の重量比で含有することを特徴とする、組成物。
【請求項13】
前記自己接着性ポリシロキサン[成分(i)]が、前記活性成分エトフェナマート[成分(ii)]および成分(iii)の少なくとも1つの化合物と一緒に、任意で成分(iv)の化合物と一緒に、所望の分散体が形成されるまで、激しく撹拌しながら、80℃~200℃の範囲、好ましくは140℃~190℃の範囲、特に160℃~190℃の範囲の温度まで加熱されることを特徴とする、請求項1~12のいずれか一項に記載の組成物を調製するための方法。
【請求項14】
前記自己接着性ポリシロキサンが、溶媒の存在下において、高温で、好ましくは40℃~90℃の範囲で、好ましくは前記溶媒の沸点の範囲で、前記所望の分散体が形成されるまで、激しく撹拌しながら、前記活性成分と一緒に、任意で、皮膚浸透促進剤および任意でさらなる添加剤と一緒に加熱されることを特徴とする、請求項1~12のいずれかに記載の組成物を調製するための方法。
【請求項15】
生じた分散体を室温でパッチに加工するのに十分な量の溶媒が添加されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室温で液体である薬学的活性成分を皮膚に送達するための、特に消炎性活性成分エトフェナマートを送達するための医学的に活性なパッチの調製に適した組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明による組成物は、最高の可能な濃度の活性成分を含有し、比較的長期間にわたって薬学的に有効な濃度で活性成分をパッチから皮膚に放出することを可能にする。液体活性物質は担体材料中に安定に埋め込まれなければならず、担体材料と適合性でなければならないので、室温で液体である活性物質については、これは達成することが困難である。組成物から製造されたパッチを可能な限り長期間にわたって保存し、使用するためには、組成物が可能な限り長期間にわたって安定な状態を保つことが重要である。
【発明の概要】
【0003】
消炎性活性成分であるエトフェナマートおよび以下に記載されている成分を含有する薬学的に活性な組成物は、医療用パッチの製造に非常に適しており、組成物中に含有される薬学的に活性な成分は、長期間にわたって薬学的に活性な濃度でパッチから皮膚に送達され、組成物から製造されたパッチは安定な状態を保ち、十分に長期間にわたって使用することができることがここに見出された。
【0004】
本発明は、消炎性活性成分エトフェナマートを皮膚に送達するための医療用パッチの調製に適した組成物に関し、この組成物は、少なくとも、
(i)接着特性を最適化するために、接着特性を改変するための自体公知の添加剤を任意で含有する自己接着性ポリシロキサンと、
(ii)分散体として成分(i)中に含有される薬学的活性成分エトフェナマートと、
(iii)グリセロールと中鎖(C12~C16)脂肪酸またはこのような酸の混合物とのモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択される、好ましくは、グリセロールと中鎖(C10~C16)脂肪酸またはこのような酸の混合物とのモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択される、好ましくは、植物油由来の中鎖トリグリセリド(MKT)の形態である、化合物または化合物の混合物と、
を含有し、および
(iv)必要であれば、さらなる添加剤
を含有し、
成分(iii)について、酸価限界が0.4、好ましくは0.2であり、および過酸化物価限界が2.0、好ましくは1.0であることを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0005】
植物油から得られる中鎖トリグリセリドは、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ナタネ油、落花生油、トウモロコシ油、ヘーゼルナッツ油、ホホバ油もしくは小麦胚種油から、またはこのような油の混合物から、好ましくはパーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油もしくはナタネ油、またはこのような油の混合物から得られるものである。
【0006】
本発明による組成物は、好ましくは、活性成分エトフェナマートがそこから皮膚に放出される担体材料として本発明の組成物を含有する医療用パッチの生産のために使用される。このような類似のパッチは、欧州特許第2’120’896号(Drossapharm AG)に記載されている。本発明による組成物は、好ましくは、欧州特許第2’120’896号(Drossapharm AG)に記載されている方法と同様にパップ剤に加工される。
【0007】
本発明による組成物は、成分(i)として自己接着性ポリシロキサンを含有する。自己接着性ポリシロキサンは自体公知であり、例えば、DuPontから商標名LIVEO(R)で、異なる組成のシリコーン接着剤として市販されている。本発明によれば、これらは成分(i)として使用され得る。このような自己接着性シリコーンポリマーは、例えば、例えば脱水素化もしくは水素化されたロジン、ロジングリセロールエステルなどのロジン化合物、テルペン樹脂、α-もしくはβ-ピネンからのポリテルペン樹脂、または低粘度シリコーンもしくは末端シラノール基を有するポリシロキサン、または例えばジメチコノールなどのポリジメチルシロキサンなどの、接着特性を改変するための自体公知の添加剤をさらに含有することができる。
【0008】
溶媒を添加せずに本発明による組成物を「ホットメルト」として加工するのに適した自己接着性ポリシロキサンは、例えば、DuPontからLIVEO(R)BIO-PSA 7-4560シリコーン接着剤として市販されている。このようなシロキサン化合物は、例えば、CAS番号68440-70-0およびCAS番号63148-62-9およびこれらの混合物、例えば、少なくとも60重量%の濃度のCAS番号68440-70-0の化合物と10.0重量%~30.0重量%の濃度のCAS番号63148-62-9の化合物で知られている。
【0009】
溶媒を添加して本発明による組成物を調製するのに適した自己接着性ポリシロキサンは、例えば、DuPontからLIVEO(R)BIO-PSA 7-4603またはLIVEO(R)BIO-PSA 7-4201として市販されている。本発明による組成物を調製するための適切なポリシロキサンは、当業者によって容易に選択可能である。
【0010】
適切な自己接着性ポリシロキサンは、例えば、シラノール基を含有するジメチルポリシロキサンの、有機溶媒に可溶性のシリケート樹脂との縮合、および残存するシラノール基の、反応性トリメチルシリル化合物とのその後の反応によって得られる。このようなポリシロキサンは、酢酸エチル、酢酸プロピルなどの有機溶媒、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼンまたはトルエンなどの飽和および芳香族炭化水素に可溶性である。
【0011】
好ましい態様は、本発明による組成物の自己接着性ポリシロキサンが、自己接着性ポリシロキサンの他の特性に悪影響を及ぼすことなく、活性成分を含有する自己接着性ポリシロキサンの粘度を低下させる化合物または化合物の混合物[成分(iii)]を含有することに存する。
【0012】
[成分(iii)]の化合物は、グリセロールと中鎖(C10~C16)脂肪酸またはこのような酸の混合物とのモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択され、好ましくは、グリセロールと中鎖(C12~C16)脂肪酸またはこのような酸の混合物とのモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択され、好ましくは、植物油から、好ましくはパーム油、パーム核油、ヤシ油、オリーブ油、ヒマシ油および/またはナタネ油から得られる、好ましくは中鎖トリグリセリド(MKT)の形態である。
【0013】
定められた分析値を有する植物油は、「精製」油または「半合成」油とも呼ばれ、対応する天然油と比較してより高い純度を有する。これは、例えば、言及された酸価および過酸化物価の値によって示される。
【0014】
このような精製油または半合成油は植物油として表明されており、好ましくはカプロン酸(C)を最大2%、カプリル酸(C)50~80%、カプリン酸(C10)を20~50%、ラウリン酸(C12)を最大3%およびミリスチン酸(C14)を最大1%含有する組成を有する。
【0015】
酸価(欧州ISO規格660による)は、1(一)グラムの脂肪または油中に存在する遊離脂肪酸を中和するのに必要なミリグラム単位での水酸化カリウムの質量を指す。
【0016】
過酸化物価は、DIN規定に従って、「脂肪1キログラム当たりの酸素のミリ当量」で表される。この価は、脂肪1キログラム当たりのミリモルでの過酸化物として結合する酸素原子の量に対応する。
【0017】
定められた分析値を有する植物油を生産するために、例えば、出発生成物、例えばヤシ油またはパーム油を加水分解的に切断し、分別蒸留後に得られた中鎖飽和脂肪酸をグリセロールで、所望の比率で再エステル化することが可能である。これらの方法は公知である。
【0018】
使用される自己接着性ポリシロキサン[成分(i)]は、組成物の総重量を基準として、好ましくは、約2~15重量%、好ましくは約5~10重量%の成分(iii)の化合物を含有する。
【0019】
本発明による組成物は、化学式:
【化1】

すなわち、2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル(α,α,α-トリフルオロ-m-トリル)アントラニラート(エトフェナマート)
に対応する薬学的活性成分エトフェナマート[成分(ii)]を含有する。
【0020】
本発明による組成物は、組成物の総重量に対して計算された、好ましくは1.0重量%~25.0重量%、好ましくは2.0重量%~20重量%、好ましくは2.5重量%~15重量%の範囲の量、好ましくは約5重量%~約10重量%の量の活性成分エトフェナマートを含有する。
【0021】
本発明による組成物は、0.1μm~500μm、好ましくは1.0μm~100μmの範囲の平均液滴サイズを有する高度に分散された分布で活性成分を含有する。
【0022】
完成したパップ剤において皮膚に直接接着するべき、加工される組成物の接着力、すなわち担体層の接着力は、好ましくは0.8N/25mm~1.4N/25mmの範囲である。
【0023】
完成したパップ剤において中間層として使用される、塗布される組成物の接着力は、好ましくは0.8N/25mm~2.0N/25mmの範囲、好ましくは0.9N/25mm~1.7N/25mmの範囲である。
【0024】
組成物は、任意でさらなる添加剤[成分(iv)]を含有し得る。したがって、流動パラフィン、例えばTween(R)60(ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート)またはTween(R)80(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート)などのポリソルベート(すなわち、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル化合物)、例えばポリエチレングリコール400などのポリエチレングリコール、プロピレングリコールおよびポリプロピレングリコール、クエン酸トリエチルなどの多塩基酸とアルコールとのエステル、ならびにこれらの化合物の混合物などの、活性成分を含有する自己接着性ポリシロキサンの粘度を同様に低下させる化合物も使用することができる。
【0025】
組成物は、皮膚を通じた薬学的活性成分の浸透を促進する化合物、安定剤および香料などの他の添加剤を含有し得る。対応する化合物は自体公知であるが、それらの存在は絶対に必要なわけではない。
【0026】
本発明は、少なくとも1つの自己接着性ポリシロキサン[成分(i)]と、活性成分エトフェナマート[成分(ii)]と、成分(iii)によるモノ、ジまたはトリエステル化合物から選択される化合物または化合物の混合物と、任意で成分(iv)による1つまたは複数の添加剤とを含む本発明による組成物を調製するための方法であって、活性成分エトフェナマート[成分(ii)]および成分(iii)の少なくとも1つの化合物と一緒に、任意で成分(iv)の少なくとも1つの化合物と一緒に、所望の分散体(dispersion)が形成されるまで、激しく撹拌しながら、80℃~200℃の範囲、好ましくは140℃~190℃の範囲、特に160℃~190℃の範囲の温度まで自己接着性ポリシロキサン[成分(i)]を加熱することを含む、方法にも関する。必要であれば、次いで、形成された分散体は、次いで冷却させ得る。
【0027】
この分散体は、指定された温度範囲、好ましくは120℃~140℃の範囲、好ましくは80℃~120℃の範囲、特に約100℃で無溶媒でさらに処理され、意図される基材に所望の量で薄い層として塗布され得る。
【0028】
少なくとも1つの自己接着性ポリシロキサンと、活性成分エトフェナマートとを、任意で、皮膚を通じた浸透を促進する作用物質および任意でさらなる添加剤と一緒に含む本発明による組成物を調製するためのさらなる方法は、自己接着性ポリシロキサンが、溶媒の存在下において、高温で、好ましくは40℃~90℃の範囲で、好ましくは前記溶媒の沸点の範囲で、所望の分散体が形成されるまで、激しく撹拌しながら、活性成分と一緒に、任意で、皮膚を通じた浸透を促進する作用物質および任意でさらなる添加剤と一緒に加熱されることを特徴とする好ましくは、得られる分散体を室温でパップ剤に加工することができるような、すなわち得られる分散体を室温で意図される基材に所望の量で薄い層として塗布することができるような、多量の溶媒が添加される。
【0029】
あるいは、形成された分散体から溶媒を概ねまたは完全に除去し、残存する分散体を高温で概ねまたは完全に溶媒なしでさらに処理し、それを薄い層として所望の量で意図される基材に塗布することが可能である。
【0030】
使用される溶媒は、好ましくは、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼンまたはトルエンなどの飽和および/または芳香族炭化水素などの有機溶媒である。好ましくは、溶媒の沸点に応じて50℃~90℃の範囲の温度で、好ましくは約60℃~70℃の温度で、約30分~60分の時間、得られた分散体からまたはパッチに塗布された層のいずれかから溶媒を蒸発させる。
【0031】
そこから生産されるパップ剤において、表面のまたは接着剤層のおよび/もしくは担体層のコーティングは、それぞれの事例において、30g/m~300g/mの範囲、好ましくは40g/m~200g/mの範囲、特に約40g/m~100g/mの範囲である。
【0032】
言及された成分(iii)の化合物は、いくつかの事例においては、浸透加速剤としても作用することができる。皮膚を通じた浸透を促進する化合物は、活性成分の皮膚への投与または角質層の透過を促進する添加剤である。活性成分:浸透増強剤の重量比は、好ましくは98:2~2:8の範囲、好ましくは9:1~3:7の範囲、好ましくは約1:2である。
【実施例
【0033】
以下の例は、本発明を限定することなく、本発明を例示する。
【0034】
例1
酢酸エチルに溶解された1,274部の自己接着性ポリシロキサン(*DuPontからのLIVEO(R)BIO-PSA 7-4560)[成分(i)]および28部の精製オリーブ油[成分(iii)]ならびに600部の純粋な酢酸エチル[成分(iv)]とともに、70部のエトフェナマート[成分(ii)]をガラスの丸底フラスコに入れ、十分な分散体が形成されるまで70℃~77℃の温度で、磁気撹拌プレート上で激しく混合する。これを冷却し、室温で2.5時間激しく撹拌する。次いで、得られた混合物をパップ剤に加工することができる。
*ジメチコンとのトリメチルシリル化ポリシリケートα-ヒドロ-ω-ヒドロキシポリ(ジメチルシロキサン)重縮合物
【0035】
例2
28部のマクロゴール400(peg400)をさらに含有する出発混合物を用いて、例1を繰り返す。
【国際調査報告】