(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】ヒト以外の哺乳動物における腎疾患の予防及び/又は治療のためのSGLT-2阻害剤の使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/00 20060101AFI20240705BHJP
A61K 31/351 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/381 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/382 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/7042 20060101ALI20240705BHJP
A61K 31/7056 20060101ALI20240705BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K31/351
A61K31/381
A61K31/382
A61K31/7034
A61K31/7042
A61K31/7056
A61P13/12
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504881
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-25
(86)【国際出願番号】 EP2022070943
(87)【国際公開番号】W WO2023006747
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505258715
【氏名又は名称】ベーリンガー インゲルハイム フェトメディカ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Boehringer Ingelheim Vetmedica GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100123766
【氏名又は名称】松田 七重
(74)【代理人】
【識別番号】100156982
【氏名又は名称】秋澤 慈
(72)【発明者】
【氏名】クロー カーラ
(72)【発明者】
【氏名】ラング インゴ ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】マターロ ホセ
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084MA52
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZA811
4C084ZA812
4C084ZC611
4C084ZC612
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA07
4C086BB01
4C086BB02
4C086BB03
4C086EA04
4C086EA08
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA52
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA81
4C086ZC61
(57)【要約】
【課題】ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療手段を提供する。
【解決手段】本発明は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防法及び/又は治療のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態の使用を対象とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、より好ましくはネコ又はイヌにおける、1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療の方法における使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項2】
1種又は複数の腎疾患が、腎臓異形成、糸球体症、多発性嚢胞腎、アミロイドーシス、尿細管腎炎/尿細管間質性腎炎(TIN)、急性腎臓疾患、慢性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項1に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項3】
1種又は複数の腎疾患が、急性腎臓疾患、慢性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項2に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項4】
1種又は複数の腎疾患が、慢性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項3に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項5】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤がグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用のための1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項6】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、
(1)式(1)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体
【化1】
(式中、R
1はシアノ、Cl又はメチル(最も好ましくはシアノ)を表し;
R
2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシ(最も好ましくはH)を表し、
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、
R
3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、R
3は最も好ましくはシクロプロピルである)
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は、(C
1-
18-アルキル)カルボニル、(C
1-
18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-
3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの;
(2)式(2)で表されるベラグリフロジン:
【化2】
(3)式(3)で表されるダパグリフロジン:
【化3】
(4)式(4)で表されるカナグリフロジン:
【化4】
(5)式(5)で表されるエンパグリフロジン:
【化5】
(6)式(6)で表されるルセオグリフロジン:
【化6】
(7)式(7)で表されるトホグリフロジン:
【化7】
(8)式(8)で表されるイプラグリフロジン:
【化8】
(9)式(9)で表されるエルツグリフロジン:
【化9】
(10)式(10)で表されるアチグリフロジン:
【化10】
(11)式(11)で表されるレモグリフロジン:
【化11】
(11A)式(11A)で表されるレモグリフロジンエタボネート:
【化12】
(12)式(12)のチオフェン誘導体
【化13】
(式中、Rはメトキシ又はトリフルオロメトキシを表す)
(13)式(13)で表される1-(β-D-グルコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン;
【化14】
(14)式(14)のスピロケタール誘導体:
【化15】
(式中、Rはメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、エチル、イソプロピル又はtert-ブチルを表す);
(15)式(15)のピラゾール-O-グルコシド誘導体
【化16】
(式中、
R
1はC
1-3-アルコキシを表し、
L
1、L
2は互いに独立して、H又はFを表し、
R
6は、H、(C
1-3-アルキル)カルボニル、(C
1-6-アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンジルを表す);
(16)式(16)で表されるソタグリフロジン:
【化17】
(17)式(17)で表されるセルグリフロジン:
【化18】
(18)式(18)で表される化合物:
【化19】
(式中
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、R
3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、R
3は最も好ましくはシクロプロピルである)、
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は、(C
1-18-アルキル)カルボニル、(C
1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの;
(19)式(19)で表されるベキサグリフロジン:
【化20】
(20)式(20)で表されるジャナグリフロジン:
【化21】
(21)式(21)で表されるレモグリフロジン:
【化22】
(22)ワンパグリフロジン
からなる群から選択される、請求項1~5のいずれか1項に記載の使用のための1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項7】
その薬学的に許容される形態が、1種又は複数のSGLT2阻害剤と、1種又は複数のアミノ酸、好ましくはプロリン、より好ましくはL-プロリンとの結晶性複合体であり、最も好ましくは1種又は複数のSGLT2阻害剤、L-プロリン及び結晶水の共結晶である、請求項1~6のいずれか1項に記載の使用のための1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項8】
ヒト以外の動物、好ましくは肉食動物、より好ましくはネコ又はイヌが、このような予防及び/又は治療を必要とするヒト以外の動物患者であり、好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とする肉食動物患者であり、より好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とするネコ患者又はイヌ患者であり、さらにより好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とする非糖尿病性ネコ患者又は非糖尿病性イヌ患者である、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項9】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、経口的、非経口的、静脈内、皮下、又は筋肉内に、好ましくは経口的に投与される、請求項1~8のいずれか1項に記載の使用のための1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項10】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、0.01mg/kg体重~10mg/kg体重の用量で、好ましくは0.01mg/kg体重~5mg/kg体重の用量で、より好ましくは0.01mg/kg体重~4mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~3mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~2mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~1mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.5mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.3mg/kg体重の用量で、最も好ましくは0.05mg/kg体重又は1.0mg/kg体重の用量で投与されることになる、請求項1~9のいずれか1項に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項11】
このような1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態が1日当たり1回又は1日当たり2回投与されることになる、請求項1~10のいずれか1項に記載の使用のための1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項12】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンであり、ベラグリフロジンが、単一のSGLT-2阻害剤として、好ましくは経口的に、より好ましくは1日当たり1回又は2回、0.01mg/kg体重~1mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.5mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.3mg/kg体重の用量で、最も好ましくは1日1回の0.05mg/kg体重又は1.0mg/kg体重の用量で投与されることになる、請求項1~11のいずれか1項に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項13】
単一のSGLT-2阻害剤としてのベラグリフロジンが、1日1回の0.01mg/kg体重~1.0mg/kg体重の用量で、好ましくは0.05mg/kg体重又は1.0mg/kg体重の用量で経口投与されることになる、請求項12に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項14】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、1種又は複数の他の活性医薬成分、好ましくは、別のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態;1種若しくは複数のACE阻害剤、例えば、ベナゼプリル、ラミプリル若しくはエナラプリル;1種若しくは複数のカルシウムチャネル遮断剤、例えば、ジルチアゼム若しくはアムロジピン;1種若しくは複数のアンジオテンシン受容体遮断剤、例えば、テルミサルタン;1種若しくは複数のカルシウムチャネル増感剤及び/若しくは陽性変力物質、例えば、ピモベンダン及び/若しくはジギタリスアルカロイド;並びに/又は1種若しくは複数のリン吸着薬、例えば、キトサンからなる群から選択される1種又は複数の他の活性医薬成分の投与前、投与後又は投与と同時に投与されることになる、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項15】
予防的及び/又は治療効果が、以下の臨床的及び/又は生化学的パラメーターのうちの1種又は複数:
- 改善された腎臓の効率、これは、タンパク質尿の減少、並びに血清SDMA及び/又は血清クレアチニンの減少及び/又は安定化を特徴とする;
- 3-ヒドロキシ酪酸及び/又は対応するアシルカルニチン、すなわちヒドロキシブチリルカルニチンの血漿レベルの増加、並びに分枝鎖のアミノ酸(例えば、バリン、ロイシン及びイソロイシン)のうちの1種又は複数の血漿レベルの増加を特徴とする、肝臓におけるケトン体産生の増加;
- 血圧の改善;
- 補水状態の改善;
- 腎不全の開始の遅延、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い遅延、又は1種若しくは複数の腎疾患、特に慢性腎臓疾患の進行の遅延及び/若しくは停止、並びに/又は1種若しくは複数の腎疾患、特にCKDの分類ステージの改善(例えば、第3相から第2相への改善);
- ヒト以外の哺乳動物患者の生存時間の延長、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い生存時間の延長、及び/又はより低い腎臓に関連する死亡率及び/又は罹患率;
- 改善された臨床徴候、例えば、多飲、多尿、嘔吐及び/又は嗜眠の減少;
- より高い生活の質
を特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の使用のための、1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載の使用のための、請求項1~15のいずれか1項に記載の1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態を含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬の分野、特に獣医学的薬の分野に関する。本発明は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療における1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
慢性腎臓疾患(CKD)は、伴侶動物、特にネコ及びイヌなどの肉食動物において罹患及び死亡の重大な原因であり、ネコにおける有病率1.0~3.0%及びイヌにおける有病率0.5~1.0%は、高齢期において実質的に増加する。CKDに関連するネフロンの損傷は普通不可逆的であり、多くの場合進行性である。
国際獣医腎臓病研究グループ(international renal interest society)(IRiS)は、水分補給した、安定した患者において、少なくとも2度の機会で評価した空腹時血液クレアチニン又は空腹時血液対称ジメチルアルギニン(SDMA)濃度又は(好ましくは)両方に当初基づく、異なるステージにCKDを分類した。次いで、患者は、タンパク質尿及び血圧に基づき以下の下位ステージへと分けられる:
1-正常な血液クレアチニン又は血中SDMAの正常値若しくは軽度の増加。いくらかの他の腎臓の異常が存在する(腎臓触診、又は腎臓の画像化による異常な知見、腎臓が原因のタンパク質尿、異常な腎臓生検結果、連続的に収集した試料中の血液クレアチニン又はSDMA濃度の増加)。持続的に上昇する血液SDMA濃度(>14μg/dl)を使用して、早期CKDを診断することができる。
2-クレアチニンの正常値又は穏やかな増加、軽度の腎臓の高窒素血症(azotaemia)(多くの研究機関に対するクレアチニンに対する基準範囲内に位置する範囲の下端にあるが、スクリーニング試験としてクレアチニン濃度に反応しないことは、基準限界上側近くのクレアチニン値を有する患者は多くの場合排泄不全を有することを意味する)。SDMAの穏やかな増加。臨床徴候は普通軽度であるか、又は存在しない。
3-中程度の腎臓の高窒素血症。多くの腎外の徴候が存在し得るが、これらの範囲及び重症度は変動し得る。徴候が存在しない場合、症例はステージ3の初期と考えられ得るが、多くの又は顕著な全身性徴候の存在はステージ3の後期としての分類を正当化することができる。
4-全身性臨床徴候の危険性の増加及び尿毒性の発症。
【0003】
治療のための標準的ケアは普通、腎臓の血行動態を標的とする、ACE阻害剤(例えばエナラプリル)、カルシウムチャネル遮断剤(例えばジルチアゼム及びアムロジピン)、アンジオテンシン受容体遮断剤(例えばテルミサルタン)からなる。加えて、必要に応じて、臨床徴候(例えば嘔吐、悪心、体重損失、食欲不振)を治療し、腎臓病食を疾患の対処のために利用することができる。
【0004】
最新技術の治療介入は、腎臓の状態により誘発される2次的状態の対症治療のための、独自経路に対する特定の作用に基づく。ヒトにおいて、SGLT-2阻害剤の使用下での有益な腎臓作用が観察された(DAPA-CKD ClinicalTrials.gov number、NCT03036150)。しかし、ネコ科動物及びイヌ科動物のような肉食動物の腎臓に対する直接的作用は不明のままである。注目すべきなのは、種の間で解剖学的、生理学的及び病態生理学的差異があることである。このような差異に対する最初の証拠は、ネコおけるCKDの有病率を、イヌと比較したもの(ネコ1.0~3.0%及びイヌ0.5~1.0%)、ヒト(11~13%の間であり、大部分はステージ3)と比較したものによって明らかとなる。また、人々及びイヌとは対照的に、顕著なタンパク質尿を有する原発性糸球体症はネコにおいて著しく稀な知見であり、CKDを有する高齢のネコの大部分は原発性糸球体疾患の組織学的証拠を有さない。典型的な組織学的特徴として、間質の炎症、管状萎縮、及び2次的糸球体硬化症を有する線維症が挙げられる。加えて、人々において、心血管疾患(CVD)は罹患及び死亡の主要な原因であり、この場合CKDはCVD危険性の促進因子として、及びCVD事象に対する独立したリスクファクターとしてみなされる。等級分けされたCVD危険性と、年齢、性別及び他のリスクファクターとは無関係である糸球体濾過速度(GFR)との間の逆相関が存在する。これは、ヒト以外の哺乳動物、例えば肉食動物、例えば、イヌ及びネコには当てはまらず、心血管疾患(心筋症、弁疾患)の病因は、人々において観察される病因(冠疾患)と比較して有意に異なる。
【0005】
Wheeler et al. (Diabetes Ther (2020) 11:2757-2774)は、2型糖尿病ヒト患者における慢性腎臓疾患の進行におけるSGLT-2阻害剤の作用を概説している。
Dekkers and Gansevoort (Nephrol Dial Transplant (2020) 35: i33-i42)は、ヒトの非糖尿病性腎臓疾患におけるSGLT-2阻害剤の適用の可能性について記載している。
EP3508222は、SGLT-2阻害剤を含めて、老化細胞を排除するための薬剤又は医薬組成物を開示している。
WO2021/092341は、伴侶動物における慢性腎臓疾患、高血圧及び心不全の対処のためのナトリウム-グルコースに関連したトランスポーター阻害剤を開示している。
【発明の概要】
【0006】
上記文献の開示にもかかわらず、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療に対する医学的必要性が存在する。
本発明は、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療の方法における使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びにヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0007】
一態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数の腎疾患が、腎臓異形成、糸球体症、多発性嚢胞腎、アミロイドーシス、尿細管腎炎/尿細管間質性腎炎(TIN)、急性腎臓疾患、慢性腎臓疾患からなる群から選択される1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0008】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
一態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数の腎疾患が急性腎臓疾患、慢性腎臓疾患からなる群から選択される、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0009】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
一態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数の腎疾患が、慢性腎臓疾患からなる群から選択される1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0010】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0011】
別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数のSGLT-2阻害剤がグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体である、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0012】
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、
(1)式(1)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体
【化1】
(式中、R
1は、シアノ、Cl又はメチル(最も好ましくはシアノ)を表し、
R
2はH、メチル、メトキシ又はヒドロキシ(最も好ましくはH)を表し、
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル(methlysulfonyl)、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、
R
3は、シクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから好ましくは選択され、最も好ましくは、R
3はシクロプロピルである)
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基が(C
1-18-アルキル)カルボニル、(C
1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの;
【0013】
(2)式(2)で表されるベラグリフロジン:
【化2】
(3)式(3)で表されるダパグリフロジン:
【化3】
【0014】
(4)式(4)で表されるカナグリフロジン:
【化4】
【0015】
(5)式(5)で表されるエンパグリフロジン:
【化5】
【0016】
(6)式(6)で表されるルセオグリフロジン:
【化6】
【0017】
(7)式(7)で表されるトホグリフロジン:
【化7】
【0018】
(8)式(8)で表されるイプラグリフロジン:
【化8】
(9)式(9)で表されるエルツグリフロジン:
【化9】
【0019】
(10)式(10)で表されるアチグリフロジン:
【化10】
(11)式(11)で表されるレモグリフロジン:
【化11】
【0020】
(11A)式(11A)で表されるレモグリフロジンエタボネート:
【化12】
【0021】
(12)式(12)のチオフェン誘導体
【化13】
(式中、Rはメトキシ又はトリフルオロメトキシを表す)
(13)式(13)で表される1-(β-D-グルコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン:
【化14】
【0022】
(14)式(14)のスピロケタール誘導体:
【化15】
(式中、Rはメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、エチル、イソプロピル又はtert-ブチルを表す)
【0023】
(15)式(15)のピラゾール-O-グルコシド誘導体
【化16】
(式中、
R
1はC
1-3-アルコキシを表し、
L
1、L
2は、互いに独立して、H又はFを表し、
R
6は、H、(C
1-3-アルキル)カルボニル、(C
1-6-アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンジルカルボニルを表す)
【0024】
(16)式(16)で表されるソタグリフロジン:
【化17】
【0025】
(17)式(17)で表されるセルグリフロジン:
【化18】
【0026】
(18)式(18)で表される化合物:
【化19】
(式中、
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、R
3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、R
3は最も好ましくはシクロプロピルである)、
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基が(C
1-18-アルキル)カルボニル、(C
1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの、
【0027】
(19)式(19)で表されるベキサグリフロジン:
【化20】
【0028】
(20)式(20)で表されるジャナグリフロジン:
【化21】
(21)式(21)で表されるレモグリフロジン(Rongliflozin):
【化22】
(22)ワンパグリフロジン(Wanpagliflozin)
からなる群から選択される、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0029】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0030】
さらに別の態様では、本発明はまた本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、その薬学的に許容される形態が、1種又は複数のSGLT2阻害剤と、1種又は複数のアミノ酸、好ましくはプロリン、より好ましくはL-プロリンとの結晶性複合体であり、最も好ましくは1種又は複数のSGLT2阻害剤、L-プロリン及び結晶水の共結晶である、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0031】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0032】
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌがこのような予防及び/又は治療を必要とするヒト以外の哺乳動物患者であり、好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とする肉食動物患者であり、より好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とするネコ患者又はイヌ患者であり、さらにより好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とする非糖尿病性ネコ患者又は非糖尿病性イヌ患者である、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0033】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数のSGLT-2阻害剤が経口的、非経口的、静脈内、皮下又は筋肉内に、好ましくは経口的に投与される、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0034】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0035】
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、0.01mg/kg体重~10mg/kg体重の用量で、好ましくは0.01mg/kg体重~5mg/kg体重の用量で、より好ましくは0.01mg/kg体重~4mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~3mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~2mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~1mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.5mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.3mg/kg体重の用量で、最も好ましくは0.05mg/kg体重(イヌ)又は1.0mg/kg体重(ネコ)の用量で投与されることになる1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0036】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、このような1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態が、1日当たり1回又は2回投与されることになる、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0037】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンであり、ベラグリフロジンが、単一のSGLT-2阻害剤として、好ましくは経口的に、より好ましくは1日当たり1回又は2回、0.01mg/kg体重~1mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.5mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.3mg/kg体重の用量で、最も好ましくは0.05mg/kg体重(イヌ)又は1.0mg/kg体重(ネコ)の用量で投与されることになる1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0038】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、ベラグリフロジンが単一のSGLT-2阻害剤として、1日1回の0.01mg/kg体重~1.0mg/kg体重の用量で、好ましくは1日1回の0.05mg/kg体重(イヌ)又は1.0mg/kg体重(ネコ)の用量で経口投与されることになる1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0039】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤をこのようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、1種又は複数の他の活性医薬成分、好ましくは、別のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態、1種若しくは複数のACE阻害剤、例えば、ベナゼプリル、ラミプリル若しくはエナラプリル;1種若しくは複数のカルシウムチャネル遮断剤、例えば、ジルチアゼム若しくはアムロジピン;1種若しくは複数のアンジオテンシン受容体遮断剤、例えば、テルミサルタン;1種若しくは複数のカルシウムチャネル増感剤及び/若しくは陽性変力物質、例えば、ピモベンダン及び/若しくはジギタリスアルカロイド;並びに/又は1種若しくは複数のリン吸着薬、例えば、キトサンからなる群から選択される1種又は複数の他の活性医薬成分の投与前、投与後又は投与と同時に投与されることになる、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0040】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0041】
さらに別の態様では、本発明はまた、本明細書で開示及び/又は特許請求された使用のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態であって、予防的及び/又は治療効果が以下の臨床的及び/又は生化学的パラメーターのうちの1種又は複数:
- 改善された腎臓の効率、これは、タンパク質尿の減少、並びに血清SDMA及び/又は血清クレアチニンの減少及び/又は安定化を特徴とする;
- 3-ヒドロキシ酪酸及び/又は対応するアシルカルニチン、すなわちヒドロキシブチリルカルニチンの血漿レベルの増加、並びに分枝鎖のアミノ酸(例えば、バリン、ロイシン及びイソロイシン)のうちの1種又は複数の血漿レベルの増加を特徴とする、肝臓におけるケトン体産生の増加;
- 血圧の改善;
- 補水状態の改善;
- 腎不全の開始の遅延、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い遅延、又は1種若しくは複数の腎疾患、特に慢性腎臓疾患の進行の遅延及び/若しくは停止、並びに/又は1種若しくは複数の腎疾患、特にCKDの分類ステージの改善(例えば、第3相から第2相への改善);
- ヒト以外の哺乳動物患者の生存時間の延長、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い生存時間の延長、及び/又はより低い腎臓に関連する死亡率及び/又は罹患率;
- 改善された臨床徴候、例えば、多飲、多尿、嘔吐及び/又は嗜眠の減少;
- より高い生活の質
を特徴とする1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態に関する。
【0042】
ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおいて、1種又は複数の腎疾患を予防する及び/又は治療する対応する方法であって、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種又は複数のSGLT-2阻害剤を、このようなヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、特にネコ又はイヌに投与することを含む方法、並びに本明細書で開示及び/又は特許請求されたような、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ又はイヌにおける1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための医薬の調製のための、1種又は複数のSGLT-2阻害剤の対応する使用もまた本発明に含まれることを意図する。
【0043】
本発明は、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような使用/方法のための、本明細書で開示及び/又は特許請求されたような1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態を含む医薬組成物にさらに関する。
【0044】
本発明による利点は、以下のうちの1種又は複数である:
- 改善された腎臓の効率、これは、タンパク質尿の減少、並びに血清SDMA及び/又は血清クレアチニンの減少及び/又は安定化を特徴とする;
- 3-ヒドロキシ酪酸及び/又は対応するアシルカルニチン、すなわちヒドロキシブチリルカルニチンの血漿レベルの増加、並びに分枝鎖のアミノ酸(例えば、バリン、ロイシン及びイソロイシン)のうちの1種又は複数の血漿レベルの増加を特徴とする、肝臓におけるケトン体産生の増加;
- 血圧の改善;
- 補水状態の改善;
- 腎不全の開始の遅延、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い遅延、又は1種若しくは複数の腎疾患、特に慢性腎臓疾患の進行の遅延及び/若しくは停止、並びに/又は1種若しくは複数の腎疾患、特にCKDの分類ステージの改善(例えば、第3相から第2相への改善);
- ヒト以外の哺乳動物患者の生存時間の延長、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い生存時間の延長、及び/又はより低い腎臓に関連する死亡率及び/又は罹患率;
- 改善された臨床徴候、例えば、多飲、多尿、嘔吐及び/又は嗜眠の減少;
- より高い生活の質。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本発明の実施形態がさらに詳細に記載される前に、本明細書で使用される場合及び添付の特許請求の範囲において、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が他を明確に指示していない限り、複数の参照を含むことに注目されたい。
他に定義されていない限り、本明細書で使用されているすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者により一般的に理解されている意味と同じ意味を有する。すべての付与された範囲及び値は、当業者により他に示されていない限り又は他が公知でない限り、1~5%変動してもよく、したがって、「約」という用語は通常、説明及び特許請求の範囲から省略された。本明細書に記載されているものと類似又は同等の任意の方法及び材料を本発明の実施又は試験に使用することができるが、好ましい方法、デバイス、及び材料はここに記載されている。本明細書に記述されているすべての刊行物は、本発明に関連して使用され得る刊行物に報告されているような、物質、賦形剤、担体、及び方法論を記載及び開示する目的のために、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書におけるいかなるものであっても、本発明が以前の発明によって、そのような開示に先行する権利がないと同意したと解釈されることはない。
【0046】
本発明の過程で、「肉食動物」及び「ヒト以外の主に肉食性の哺乳動物」という用語は、交換可能なように使用される。好ましい一実施形態では肉食動物はヒト以外の主に肉食性哺乳動物であり、さらに好ましくはイヌ科動物であり、特にイヌ、及び/又はネコ科動物、特にネコである。別の好ましい実施形態では、「ヒト以外の哺乳動物」は、ウシ、イヌ科動物、ヤギ、ウマ、ネコ科動物、ウサギ目の動物、ヒツジ、ブタ、げっ歯類からなる群から選択される。より好ましくは、ウシ、雌ウシ、イヌ、ヤギ、ウマ、ポニー、ロバ、ネコ、ヒツジ、ブタ、ウサギ、ラット、マウスからなる群から選択される。さらにより好ましくはイヌ科動物及び/又はネコ科動物からなる群から選択される。最も好ましくはイヌ及び/又はネコからなる群から選択される。
【0047】
哺乳動物は脊椎動物の1つのクラスであり、その雌は乳腺があることを特徴とし、その一方で雄と雌の両方は、汗腺、毛髪、聴力に使用される3つの中耳骨、及び脳内の新皮質領域を特徴とする。このクラス内では胎盤が好ましく、妊娠中の胎盤の使用を特徴とする。哺乳動物はこれらの摂食行動に関してさらに分割することができる。一部の哺乳動物は餌動物を餌にする。これは肉食性食事(及び食虫性の餌を含む)。草食性と呼ばれる他の哺乳動物は植物を食べる。雑食性動物は餌食と植物の両方を食べる。肉の中に見出されるタンパク質、脂質、及びミネラルは特化した消化方式がわずかしか必要とされないので、肉食性哺乳動物は単純な消化管を有する。他方で、植物は、複合多糖、例えば、セルロースを含有する。したがって、草食動物の消化管は、これらの物質を発酵させる細菌を受け入れ、これらを消化可能にする。本発明は特に肉食動物、主にヒト以外の肉食性哺乳動物に対して設計されている。このような哺乳動物として、特にすべてのネコ型亜目(feliforms)、例えば、飼い慣らしたネコ又は大型のネコ、及び大部分のイヌ型亜目(caniforms)、例えば、イヌ、オオカミ及びキツネが挙げられる。現代の生活における伴侶動物の経済的重要性により、本発明は特にイヌ及び/又はネコに対して設計されている。
【0048】
本発明の過程で、「腎臓異形成」という用語は、腎臓(複数可)は存在するが、これらの発達が異常であり、腎臓の組織学的構造の奇形をもたらす、稀な腎臓の奇形を指す。
本発明の過程で、「糸球体症」という用語は、付随する状態を伴う、又は伴わない糸球体腎炎の発症を指す。
本発明の過程で、「多発性嚢胞腎」という用語は、液体充填した嚢が腎臓組織内に発症する遺伝性障害を指す。
本発明の過程で、「アミロイドーシス」という用語は、アミロイドフィブリルとして公知の異常なタンパク質が(腎臓)組織内に蓄積する疾患のグループを指す。
本発明の過程で、「急性腎臓疾患」という用語は、腎臓不全又は腎障害の突然の症状の発現を指す。
【0049】
本発明の過程で、「尿細管腎炎」及び「尿細管間質性腎炎(TIN)」という用語は交換可能なように使用され、慢性腎臓疾患(CKD)をもたらし得る急性腎損傷(AKI)の多くの場合の原因を指す。TINは炎症細胞による腎臓間質の免疫媒介性浸潤に関連し、これは線維症へと進行し得る。
本発明の過程で、「慢性腎臓疾患(CKD)」という用語は、病態生理学的プロセスを指し、残りの腎機能は糸球体の濾過速度を生理学的レベルで維持するほど十分ではない。CKDはまた複雑な臨床的な症候群と定義することもでき、これは腎臓の異常な構造及び機能に基づき、体重減少、口臭、乏しい毛髪品質、タンパク質尿、高血圧、高窒素血症、多尿、多飲、嘔吐及び貧血を特徴とする。これはネフロン損傷において進行により大半が慢性の状態であり、糖尿病、虚血発作、有毒性侵襲、一部のウイルス感染症及び高血圧をもたらす心臓の状態を含む異なる因子で開始される。
【0050】
本発明による使用のためのSGLT-2阻害剤として、これらに限定されないが、グルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、例えば、WO01/27128、WO03/099836、WO2005/092877、WO2006/034489、WO2006/064033、WO2006/117359、WO2006/117360、WO2007/025943、WO2007/028814、WO2007/031548、WO2007/093610、WO2007/128749、WO2008/049923、WO2008/055870、WO2008/055940、WO2009/022020又はWO2009/022008に記載されているグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体が挙げられる。
【0051】
さらに、本発明による使用のための1種又は複数のSGLT-2阻害剤は、以下の化合物又はその薬学的に許容される形態からなる群から選択することができる:
(1)式(1)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体
【化23】
(式中、R
1はシアノ、Cl又はメチル(最も好ましくはシアノ)を表し、
R
2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシ(最も好ましくはH)を表し、
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、
R
3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、最も好ましくは、R
3はシクロプロピルである)
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は、(C
1-18-アルキル)カルボニル、(C
1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの;
【0052】
(2)式(2)で表されるベラグリフロジン:
【化24】
【0053】
(3)式(3)で表されるダパグリフロジン:
【化25】
【0054】
(4)式(4)で表されるカナグリフロジン:
【化26】
(5)式(5)で表されるエンパグリフロジン:
【化27】
【0055】
(6)式(6)で表されるルセオグリフロジン:
【化28】
【0056】
(7)式(7)で表されるトホグリフロジン:
【化29】
【0057】
(8)式(8)で表されるイプラグリフロジン:
【化30】
(9)式(9)で表されるエルツグリフロジン:
【化31】
【0058】
(10)式(10)で表されるアチグリフロジン:
【化32】
【0059】
(11)式(11)で表されるレモグリフロジン:
【化33】
(11A)式(11A)で表されるレモグリフロジンエタボネート:
【化34】
【0060】
(12)式(12)のチオフェン誘導体
【化35】
(式中、Rはメトキシ又はトリフルオロメトキシを表す);
【0061】
(13)式(13)で表される1-(β-D-グルコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン;
【化36】
【0062】
(14)式(14)のスピロケタール誘導体:
【化37】
(式中、Rはメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、エチル、イソプロピル又はtert-ブチルを表す)
【0063】
(15)式(15)のピラゾール-O-グルコシド誘導体
【化38】
(式中、
R
1はC
1-
3-アルコキシを表し、
L
1、L
2は、互いに独立して、H又はFを表し、
R
6は、H、(C
1-3-アルキル)カルボニル、(C
1-6-アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンジルカルボニルを表す);
【0064】
(16)式(16)で表されるソタグリフロジン:
【化39】
【0065】
(17)式(17)で表されるセルグリフロジン:
【化40】
【0066】
(18)式(18)で表される化合物:
【化41】
(式中、
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、R
3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、R
3は最も好ましくはシクロプロピルである)、
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は(C
1-18-アルキル)カルボニル、(C
1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの;
【0067】
(19)式(19)で表されるベキサグリフロジン:
【化42】
【0068】
(20)式(20)で表されるジャナグリフロジン:
【化43】
(21)式(21)で表されるレモグリフロジン:
【化44】
(22)ワンパグリフロジン。
【0069】
「ベラグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のベラグリフロジン並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物、その合成方法及びその共結晶は、例えばWO2007/128749、WO2014/016381及びWO2019/121509に記載されている。
「ダパグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のダパグリフロジン並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物及びその合成方法は、例えばWO03/099836に記載されている。好ましい水和物、溶媒和物及び結晶形態は、例えば特許出願WO2008/116179及びWO2008/002824に記載されている。
「カナグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のカナグリフロジン、並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物及びその合成方法は、例えばWO2005/012326及びWO2009/035969に記載されている。好ましい水和物、溶媒和物及び結晶形態は、例えば特許出願WO2008/069327に記載されている。
【0070】
「エンパグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のエンパグリフロジン、並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物及びその合成方法は、例えばWO2005/092877、WO2006/120208及びWO2011/039108に記載されている。好ましい結晶形態は、例えば特許出願WO2006/117359及びWO2011/039107に記載されている。
「アチグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のアチグリフロジン、並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物及びその合成方法は、例えばWO2004/007517に記載されている。
【0071】
「イプラグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のイプラグリフロジン、並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物及びその合成方法は、例えばWO2004/080990、WO2005/012326及びWO2007/114475に記載されている。
「トホグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のトホグリフロジン、並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物及びその合成方法は、例えばWO2007/140191及びWO2008/013280に記載されている。
「ルセオグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のルセオグリフロジン、並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。
【0072】
「エルツグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のエルツグリフロジン、並びにその水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。化合物は、例えばWO2010/023594に記載されている。
「レモグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のレモグリフロジン、並びにレモグリフロジンのプロドラッグ、特にレモグリフロジンエタボネートを含む、その水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。その合成方法は、例えば特許出願EP1213296及びEP1354888に記載されている。
「セルグリフロジン」という用語は、本明細書で利用する場合、上記構造のセルグリフロジン、並びにセルグリフロジンのプロドラッグ、特にセルグリフロジンエタボネートを含む、その水和物及び溶媒和物、及びその結晶形態を含む、その薬学的に許容される形態を指す。その製造方法は、例えば特許出願EP1344780及びEP1489089に記載されている。
【0073】
上記式(16)の化合物、すなわちソタグリフロジン、及びその製造は、例えばWO2008/042688又はWO2009/014970に記載されている。
好ましいSGLT-2阻害剤はグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体である。任意に、グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は、このような1つ又は複数のSGLT-2阻害剤において、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されていてもよい。
【0074】
さらに好ましいのは本明細書で上記に開示されている式(1)のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体である。しかしさらに好ましいのは、式(18)のグルコピラノシル置換ベンゾニトリル誘導体:
【化45】
(式中、
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、R
3は好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、R
3は最も好ましくはシクロプロピルである)、
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基が(C
1-18-アルキル)カルボニル、(C
1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されている。
【0075】
好ましくは、このようなSGLT-2阻害剤は式(2)に示されているようなベラグリフロジンである。任意に、ベラグリフロジンのβ-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は、(C1-18-アルキル)カルボニル、(C1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されていてもよい。
よって、好ましい実施形態では、本発明による少なくとも1種のSGLT-2阻害剤はグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体のSGLT-2阻害剤、好ましくは式(1)のSGLT-2阻害剤、より好ましくは式(18)のSGLT-2阻害剤であり、又はより好ましくは式(2)のSGLT-2阻害剤、すなわちベラグリフロジンであり、いずれの場合も本明細書の上記定義された通りである。
【0076】
本明細書で、本発明によるSGLT-2阻害剤及び/又はこれらの使用についての言及は、特に述べられていない限り、薬学的に許容される形態のSGLT-2阻害剤を包含する。
本発明によると、任意の薬学的に許容される形態のSGLT-2阻害剤、例えば式(1)、好ましくは式(18)、より好ましくは式(2)を使用することができる。例えば、結晶形態を使用することができる。プロドラッグ形態もまた本発明に包含される。
プロドラッグ形態は、例えば、エステル及び/又は水和物を含むことができる。「プロドラッグ」という用語はまた、プロドラッグが哺乳動物の対象に投与された場合、本発明の活性化合物をin vivoで放出する任意の共有結合した担体を含むことも意図する。本発明の化合物中に存在する官能基を修飾して、この修飾が所定の操作により又はin vivoで開裂されて、本発明の親化合物となるように、本発明の化合物のプロドラッグを調製することができる。
【0077】
本発明による使用のための結晶形態は、SGLT-2阻害剤と1種又は複数のアミノ酸との複合体(例えばWO2014/016381を参照されたい)-いわゆる共結晶を含む。このような使用のためのアミノ酸は天然アミノ酸であってよい。アミノ酸はタンパク新生アミノ酸(L-ヒドロキシプロリンを含む)又は非タンパク新生アミノ酸であってもよい。アミノ酸はDアミノ酸又はLアミノ酸であってよい。一部の好ましい実施形態では、アミノ酸はプロリン(Lプロリン及び/又はDプロリン、好ましくはLプロリン)である。例えば、ベラグリフロジンとプロリン(例えばLプロリン)及び結晶水の結晶性複合体/共結晶が好ましい。
よって、1種又は複数の天然アミノ酸と、SGLT-2阻害剤との結晶性複合体/共結晶、例えば、1種又は複数の天然アミノ酸とグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体SGLT-2阻害剤、好ましくは式(1)のSGLT-2阻害剤、より好ましくは式(18)のSGLT-2阻害剤、又はより好ましくは式(2)のSGLT-2阻害剤(ベラグリフロジン)との結晶性複合体/共結晶が本明細書で開示される。
【0078】
ある特定の医薬活性は、それが市販の医薬として承認される以前に薬学的活性のある薬剤により満たされるべき基本的必要条件である。しかし、薬学的活性のある薬剤が従わなければならない様々な追加の必要条件が存在する。これら必要条件は様々なパラメーターに基づき、これらパラメーターは活性物質それ自体の性質に関連している。限定的ではないが、これらパラメーターの例は、様々な環境条件下での活性剤の安定性、医薬製剤の生産中のその安定性、及び最終医薬組成物における活性剤の安定性である。医薬組成物を調製するために使用される医薬有効物質はできるだけ純粋であるべきであり、長期的貯蔵におけるその安定性は様々な環境条件下で保証されなければならない。これは、実際の活性物質に加えて、例えば、その分解生成物を含有する医薬組成物の使用を阻止するために必要不可欠である。このような場合、医薬における活性物質の含有量は特定されたものよりも少なくなり得る。
製剤における医薬の均一な分布は、特に医薬が低用量で付与されなければならない場合、重大な要素である。均一な分布を確実にするため、活性物質の粒径は、例えば粉砕により適切なレベルまで減少させることができる。プロセス中には硬質な状態が必要とされるにもかかわらず、粉砕(又は微粉化)の副作用としての医薬有効物質の分解はできるだけ回避しなければならないので、活性物質が粉砕プロセス全体にわたり極めて安定していることが絶対必要とされる。活性物質が粉砕プロセス中に十分に安定している場合に限り、均質な医薬製剤を生成することが可能であり、均質な医薬製剤は常に特定された量の活性物質を再現可能な方式で含有する。
【0079】
所望の医薬製剤を調製するための粉砕プロセスに生じ得る別の問題は、このプロセスにより引き起こされるエネルギーの入力及び結晶の表面上の応力である。これはある特定の状況において、多形の、非晶質化への変化又は結晶格子における変化をもたらし得る。医薬製剤の薬学的品質は、活性物質が同じ結晶形態を常に有することを必要とするので、結晶性の活性物質の安定性及び特性は、同様にこの観点からも厳格な必要条件の対象となる。
医薬有効物質の安定性もまた、特定の医薬の貯蔵寿命を判定するために医薬組成物において重要である;貯蔵寿命は医薬が任意の危険性なしに投与され得る間の時間の長さである。したがって、様々な貯蔵条件下での上記の医薬組成物における医薬の高い安定性は、患者と製造業者の両方にとって追加の利点である。
水分の吸収は、水の取り込みにより引き起こされる質量の増加により、医薬有効物質の含有量を減少させる。水分を吸収する傾向のある医薬組成物は、貯蔵中、例えば、適切な乾燥剤の添加により、又はそれが水分から保護される環境に薬物を保管することにより、水分から保護しなければならない。したがって、好ましくは、医薬有効物質はよくてもわずかな吸湿性を有する程度であるべきである。
【0080】
さらに、明確な結晶形態の入手の可能性は、再結晶化による原薬の精製を可能にする。
上で示された必要条件とは別に、一般的に心に留めておくべきことは、医薬組成物の固体状態に対する任意の変化は、その物理的及び化学的安定性を改善することが可能であり、同じ医薬の安定性の低い形態よりも著しい利点をもたらすことである。
天然アミノ酸とSGLT-2阻害剤(例えばグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体、又は式(1)若しくは式(18)のSGLT-2阻害剤、又は、特に式(2)のSGLT-2阻害剤、すなわちベラグリフロジン)との結晶性複合体/共結晶は、本明細書でこれより以前に記述されている重要な必要条件を満たす。
本発明による使用のためのSGLT-2阻害剤は、医薬組成物として調製することができる。これらは固体製剤又は液体製剤として調製することができる。どちらの場合にも、これらは経口投与、好ましくは経口投与のための液体形態で(例えばWO2017/032799)好ましくは調製される。しかし、SGLT-2阻害剤はまた、例えば、非経口投与に対しても調製することができる。固体製剤は、錠剤、顆粒状形態、及び他の固体形態、例えば、坐剤を含む。固体製剤の中でも、錠剤及び顆粒状形態が好ましい。
【0081】
本発明の意図内での医薬組成物は、本発明によるSGLT-2阻害剤及び1種又は複数の賦形剤を含んでもよい。意図した医学的作用を可能にする又は支持する任意の賦形剤を使用することができる。このような賦形剤は当業者に対して利用可能である。有用な賦形剤は、例えば、粘着防止剤(粉末(粒剤)とパンチ面との間の接着を減少させ、よって錠剤パンチへの固着を阻止するために使用される)、結合剤(成分を一緒に保持する溶液結合剤又は乾式結合剤)、コーティング(空気中の水分による劣化から錠剤成分を保護し、大きな又は不快な味の錠剤を飲み込みやすくする)、崩壊剤(希釈による錠剤の粉砕を可能にする)、充填剤、希釈剤、香味料、色、流動促進剤(流れ調整剤-粒子間摩擦及び接着を減少させることで粉末の流れを促進する)、滑沢剤(成分が一緒に群がり、錠剤パンチ又はカプセル充填機に固着するのを阻止する)、保存剤、吸着剤、甘味剤などである。
本発明による製剤、例えば固体製剤は、糖及び糖アルコール、例えばマンニトール、ラクトース、デンプン、セルロース、微結晶性セルロース及びセルロース誘導体、例えばメチルセルロースなどの群から選択される担体及び/又は崩壊剤を含み得る。
【0082】
イヌ科動物に適した製剤に対する製造手順は当業者には公知であり、固体製剤に対して、例えば、直圧縮、乾式造粒及び湿式造粒法を含む。直圧縮プロセスでは、活性成分及びすべての他の賦形剤は圧縮装置内に一緒に配置し、これに圧縮装置を直接適用して、この材料をプレスして錠剤を得ることができる。生成した錠剤は、その後コーティングして、例えば、最新技術から公知の材料により、これらを物理的に及び/又は化学的に保護してもよい。
例えば単回液体用量などの投与のための単位、又は固体製剤の単位、例えば錠剤は、本発明による使用のために、0.1mg~10mg、又は例えば、0.3mg~1mg、1mg~3mg、3mg~10mg;又は5~2500mg、又は例えば、5~2000mg、5mg~1500mg、10mg~1500mg、10mg~1000mg、又は10~500mgのSGLT-2阻害剤を含んでもよい。当業者であれば理解している通り、ヒト以外の哺乳動物、例えば、肉食動物、特にネコ及び/又はイヌへの投与のための、本明細書で開示されている固形製剤又はあらゆる製剤内のSGLT-2阻害剤の含有量は、必要に応じて、処置すべきこのようなヒト以外の哺乳動物の体重に比例して増加又は低減してもよい。
一実施形態では、本発明による使用のための医薬組成物は、経口又は非経口投与に対して、好ましくは経口投与に対して設計されている。特に経口投与は、賦形剤により改善され、賦形剤は、例えば、記載されているような意図した患者に対して、医薬組成物の臭い及び/又は触覚特性を改変する。
【0083】
本発明による使用のためのSGLT-2阻害剤が経口投与のために製剤化される場合、イヌ科動物への投与に適した製剤をもたらす特性、例えば、嗜好性及び/又は噛み応えを賦形剤から得ることが好ましい。
液体製剤もまた好ましい。液体製剤は、例えば、溶剤、シロップ剤又は懸濁剤であってよい。これらの液体製剤は、ヒト以外の哺乳動物、例えばイヌ科動物に直接投与されてもよいし、又はヒト以外の哺乳動物、例えばイヌ科動物の飼料及び/又は飲料(例えば飲料水など)と混合してもよい。液体製剤の1つの利点(顆粒状形態の製剤と同様)は、このような剤形は正確な投薬を可能にすることである。例えば、SGLT-2阻害剤は、ヒト以外の哺乳動物、例えばイヌ科動物の体質量に比例して正確に投薬することができる。液体製剤の典型的な組成物は当業者には公知である。
【0084】
当技術分野の熟練した医師は、本発明の使用に適した用量を決定することができる。好ましい単位の投薬単位として、mg/kg体重、すなわちヒト以外の哺乳動物の体質量当たりのSGLT-2阻害剤(単位:mg)が挙げられる。本発明のSGLT-2阻害剤は、例えば、1日当たり0.01~10mg/kg体重の用量、例えば1日当たり0.01~5mg/kg体重、例えば1日当たり0.01~4mg/kg体重、例えば1日当たり0.01~3mg/kg体重、例えば1日当たり0.01~2mg/kg体重、例えば1日当たり0.01~1.5mg/kg体重、例えば、1日当たり0.01~1mg/kg体重、例えば1日当たり0.01~0.75mg/kg体重、例えば1日当たり0.01~0.5mg/kg体重、例えば1日当たり0.01~0.4mg/kg体重、又は1日当たり0.1~3.0mg/kg体重、好ましくは1日当たり0.2~2.0mg/kg体重、より好ましくは1日当たり0.1~1mg/kg体重又は1日当たり0.5~1mg/kg体重で投与されてもよい。別の好ましい実施形態では、用量は1日当たり0.01~1mg/kg体重、好ましくは1日当たり0.01~0.5mg/kg体重、より好ましくは1日当たり0.02~0.4mg/kg体重、例えば、1日当たり0.03~0.3mg/kg体重である。
当技術分野で熟練した医師は、所望の用量による投与に対する本発明のSGLT-2阻害剤を調製することができる。
【実施例】
【0085】
以下の実施例は、本発明をさらに例示する役目を果たすが、これは、本明細書で開示されている本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
(実施例1)
探索的臨床フィールド実験-ネコ
健康診断及びバイオマーカーレベルを介して診断された、CKD(IRiSステージ3)と診断された、顧客が所有する患者は、1日1回のベラグリフロジン0.1mg/kg体重で経口的に治療する。実験期間の間、体重、ボディコンディションスコア、バイオマーカーレベル(クレアチニン及びSDMA)、同時に生じる状態の存在及びさらなる薬物に対する必要性を、臨検中、研究者がその場所で、標準ベースで試験する。試験したパラメーターはクレアチニン及びSDMAレベル、タンパク質尿、血圧、生活の質、及び補水状態である。さらに、腎不全の開始の遅延、ネコ患者の生存時間、IRiSステージの進行及び腎臓に関連した死亡率及び/又は罹患率としての変数が観察されている。実験結果は腎機能に対する有益な作用及び疾患の進行の遅延を確定している。
【0086】
(実施例2)
探索的臨床フィールド実験-イヌ
健康診断及びバイオマーカーレベルを介して診断された、CKDと診断された(IRiSステージ3)顧客が所有する患者は、1日1回のベラグリフロジン0.3mg/kg体重で経口的に治療する。実験期間の間、体重、ボディコンディションスコア、バイオマーカーレベル(クレアチニン及びSDMA)、タンパク質尿、同時に生じる状態の存在及びさらなる薬物に対する必要性を、臨検中、研究者がその場所で、標準ベースで試験する。試験したパラメーターはクレアチニン及びSDMAレベル、タンパク質尿、血圧及び補水状態である。さらに、腎不全の遅延した開始、イヌ患者の生存時間、IRiSステージの進行及び腎臓に関連した死亡率及び/又は罹患率としての変数が観察される。実験結果は、腎機能に対する有益な作用及び疾患の進行の遅延を確定している。
【0087】
(実施例3)
CKDを有するネコにおける探索的臨床フィールド試験
3匹の動物臨床において治験を行った。全体的には、慢性腎臓疾患(CKD)を有する9匹のネコが実験に含まれ、150日まで、1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンで経口的に治療した(登録時期に応じて)。
【0088】
国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS 2019)で推奨されているように、CKDの診断は、互いに少なくとも2週間開けて行われた血清クレアチニン濃度の2回の測定に基づいた(過去の値及びスクリーニング、及び絶食したネコにおけるスクリーニング時の値)。登録の認定に対して必要とされる、血清クレアチニンレベルは、≧2.2mg/dLであり、<5.0mg/dLであった。
IRIS CKDのステージ分けに従い(IRIS 2019)、実験全体にわたり疾患ステージ分けを血清クレアチニンレベルに基づき実施した。
登録時、9匹のうちの5匹のネコがステージ2(ケース200-001、200-005、200-006、300-003、300-008)にあり、9匹のうちの4匹がステージ3(ケース200-003、200-004、200-007、400-004)にあった
【0089】
ケース400-004-改善:
ケース400-004は、腎臓病食を与えている、6.9kg、年齢12才、去勢したヨーロピアンキャットである。飼い主によると、スクリーニング時、食欲は正常であり、飲水行動は過剰であり、全体的な生活の質は良好であった。スクリーニング時、ネコにはいかなる薬物も与えなかった。1つの非重篤な有害事象が報告された(飼い主は下痢を報告)。治療なしで、24時間以内に回復した。実験全体にわたり、ネコは併用治療を受けなかった。
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンの経口的治療の結果、臨床徴候並びに生化学的パラメーターは、状態の改善(表1及び2)を実証した。これは血清クレアチニン及びBUN濃度の低減に基づいた。血清カリウム及びリン酸塩レベルは基準範囲内のままであった。加えて、全尿タンパク質は減少した一方、UPC比は正常範囲内のままであった。飼い主によると、飲水行動は過剰から正常へと改善された。治療中のベラグリフロジンの予想された糖尿病の作用を確認した。
ケース400-004は実験を完了した。
【0090】
【0091】
【0092】
ケース300-008-安定:
ケース300-008は標準的な食餌を与えている、年齢12才、2.5kg、去勢したヨーロピアンキャットである。飼い主によると、食欲は正常であり、飲水行動は過剰であり、全体的な生活の質はスクリーニング時に良好であった。スクリーニング時、ネコにはいかなる薬物も与えなかった。実験の間、いかなる有害事象も報告されなかった。実験全体にわたり、ネコは併用治療を受けなかった。
【0093】
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療の結果、臨床徴候並びに生化学的パラメーターは状態の安定化を実証した。血清クレアチニン濃度は安定したままであり、血清カリウム及びリン酸塩レベルは基準範囲内のままであった(表3)。それに応じて、全尿タンパク質及びUPC比は基準範囲内のままであった。飼い主の評価によると、飲水行動は過剰から正常へと改善された(表4)。治療中のベラグリフロジンの予想された糖尿病の作用を確認した。
ケース300-008は実験を完了した。
【0094】
【0095】
【0096】
ケース200-004-改善:
ケース200-004は、慢性腎臓疾患、IRISステージ3と診断され、腎臓病食を与えている、年齢14才、3.9kg、去勢したペルシャネコである。飼い主によると、スクリーニング時、食欲は正常であり、飲水行動は正常であり、全体的な生活の質は非常に良好であった。ネコは、スクリーニングの3カ月前に目撃された3種の予め存在する医学的状態を有することが報告されていた:歯石、血尿及び赤血球減少症。これらすべてがスクリーニング時に進行中であった。結果的に、ネコはブチルスコポラミン及びベータ-グルカンメチオニン(beta-glucan-methonin)の4日間(0日目~3日目)及び20日(1日目~20日目)の投与をそれぞれ受けた。実験中はいかなる有害事象も報告されなかった。
【0097】
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療の結果、臨床徴候は正常なままであった一方、生化学的パラメーターは状態の改善を示した。血清クレアチニンは臨床的に関連性のある量だけ低減し、結果的にIRIS疾患ステージが改善した(3から2へ(表5))。
飼い主によると、生活の質は非常に良好なままであった。実験全体にわたり、ネコの食欲及び飲水行動は正常なままであった。(表6)
ケース200-004は実験を完了した。
【0098】
【0099】
【0100】
ケース200-005-安定:
ケース200-005は、標準的な食餌を与えている、慢性腎臓疾患、IRISステージ2と診断された、年齢8才、7.0kg、去勢したサバンナキャットである。スクリーニング時において、飼い主によると、食欲及び飲水行動は正常であり、全体的な生活の質は非常に良好であった。予め存在する1種の医学的状態(過去の3カ月)がスクリーニング時に報告された:弛んだ歯。ネコは実験全体にわたり併用治療を受けなかった。試験参加後はいかなる有害事象も報告されなかった。
【0101】
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療の結果、臨床徴候並びに生化学的パラメーターは状態の安定化を実証した。血清クレアチニンは低減した一方、BUNは安定したままであった(表7)。血清カリウムレベルは安定したままであった。飼い主によると、生活の質は良好であると分類された。ネコの食欲及び飲水行動は、実験全体にわたり正常なままであった(表8)。治療中のベラグリフロジンの予想された糖尿病作用を確認した。それに応じて、全尿タンパク質は減少し、その一方でUPC比は0.1のままであった。
【0102】
ケース200-005は実験を完了した。
【0103】
【0104】
【0105】
ケース200-001-安定:
ケース200-001は、慢性腎臓疾患、IRISステージ2と診断された、腎臓病食を与えている年齢14才、2.8kg、去勢したペルシャネコである。飼い主によると、スクリーニング時、食欲及び飲水行動は正常であり、全体的な生活の質は非常に良好であった。3種の医学的状態が予め存在する(過去3カ月)ことがスクリーニングにおいて報告された:白内障、歯の歯石、嘔吐。2種の有害事象がこの患者に対して報告された:1日のペクチン応答性下痢及び膵炎。膵炎はアモキシシリン、プレドニゾロン及びリン酸塩遮断剤で処置した。患者は膵炎のため実験から早期に除外した。膵炎は高齢のネコにおいて同時に生じる疾患として公知である。
【0106】
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療の結果、臨床徴候並びに生化学的パラメーターは、状態の安定化を実証している。血清クレアチニンは安定したままであり、90日目における1回の単一の測定では増加した一方、BUNは安定したままであった(表9)。血清カリウムレベルは、基準範囲内で低減した。ベラグリフロジンの予想された糖尿病の作用を確認した。それに応じて、全尿タンパク質は減少した。UPCは0.4から0.2へと改善した。飼い主によると、生活の質は非常に良好なままであった。ネコの食欲及び飲水行動は実験全体にわたり正常なままであった(表10)。
【0107】
【0108】
【0109】
ケース200-006-安定:
ケース200-006は、慢性腎臓疾患、IRISステージ2と診断された、標準的な食餌を与えている、年齢16才、3.7kg、去勢したヨーロピアンキャットである。飼い主によると、スクリーニング時、食欲は弱い一方で、飲水行動は過剰であり、全体的な生活の質は良好であった。予め存在する医学的状態(過去の3カ月)に関して、以下がスクリーニングで報告された:体重減少、遅い摂食、白内障、歯肉炎。3種の有害事象が報告された:下痢、嘔吐並びに膀胱炎。下痢はペクチンで処置し、24時間以内に解消した。嘔吐は硫酸バリウム、並びにグルコース、生理食塩水、ビタミン複合体及びマロピタントの単一の注射で処置した。膀胱炎が来診2の直前に診断され、アモキシシリン及びメタミゾールで処置した。3日後下痢が解消され、2日後に膀胱炎がそれぞれ解消された。
【0110】
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療の結果、臨床徴候並びに生化学的パラメーターは、安定した状態を実証している。血清クレアチニン及びBUNは安定したままであった(表11)。血清カリウムレベルは基準範囲内のままであった。治療中の予想されたベラグリフロジンの糖尿病の作用を確認した。全尿タンパク質及びUPCは基準範囲内のままであった。飼い主によると、生活の質は良好なままであった。ネコの食欲は改善されて正常となり、飲水行動は改善されて、正常となったが、再度悪化して過剰となった(潜在的には膀胱炎により)(表12)。
全体的には、ネコの状態は安定したままである。ベラグリフロジンでの治療中、来診2及び3において、悪化したパラメーター、タンパク質尿及び水の取り込みは膀胱炎に関係し得る。
ケース200-006は実験を完了した。
【0111】
【0112】
【0113】
ケース200-007-安定:
ケース200-007は、慢性腎臓疾患、IRISステージ3と診断された、標準的な食餌を与えている年齢18才、4.1kgの去勢したヨーロピアンキャットであった。飼い主によると、スクリーニング時、食欲は正常であった一方、飲水行動は過剰であり、全体的な生活の質は非常に良好であった。スクリーニングにおいて、以下の予め存在する医学的状態(過去3カ月)が報告された:体重減少、左耳先端の外周における色素沈着の増加、白内障、リンパ球減少症及び白血球減少症。この患者に対して報告された有害事象は、3回の嘔吐の発生、2回の食欲不振の発生及び1回の軽度貧血の発生、白血球減少症を含んだ。嘔吐及び食欲不振の治療は生理食塩水、グルコース、マロピタント、プレドニゾロン、ブチルスコポラミン、シプロヘプタジン塩酸塩、オメプラゾール及びアモキシシリンクラブラン酸の単一の投与を含んだ。
【0114】
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療の結果、飲水行動は改善されて正常となった一方、生活の質は非常に良好から良好へと変化した(表14)。血清クレアチニンレベルは穏やかに増加した(表13)。血清カリウムレベルは基準範囲内で安定したままであった。治療中のベラグリフロジンの予想された糖尿病の作用を確認した。全尿タンパク質及びUPCは穏やかに増加した。
CKDのさらにかなり進行したステージに基づき、ネコの状態は、評価した疾患に対して安定しており、予想された範囲内であると考えることができる。
ケース200-007は実験を完了した。
【0115】
【0116】
【0117】
総括:
慢性腎臓疾患は進行性の疾患であり、衰退する腎機能を特徴とする。影響を受けたネコは予測不可能な疾患の時間経過を示し、代償機能喪失前に安定した腎機能の期間がある。疾患に関連した高窒素血症及び臨床徴候は後期にのみ明らかとなり、この時点で、75%又はこれよりも多くの腎臓組織が影響を受けている。腎機能の改善は予想することができない。臨床徴候における改善は、疾患の進行により、腎臓の治療を行わない限り予想されない。
【0118】
CKDに伴う合併症として、全身性高血圧、2次的な腎臓の副甲状腺機能亢進症、低カリウム血症、貧血、及び代謝性アシドーシスが挙げられる。CKD患者の生存時間の短縮に対して特定されたリスクファクターとして、UPC、血漿クレアチニン、リン酸塩(相関するリンとして測定)又はウレアの増加、高い血液白血球カウント数、並びに貧血の徴候(低いヘモグロビン及びヘマトクリット値(haematocrit))が挙げられる。今日まで、CKD患者の治療ゴールは以下の通りである:
・ゆっくりとした疾患進行(根底にある原因を補正する、特定されたリスクファクターを安定化する、付随する合併症を治療する)
・生活の質を確実にする(臨床徴候を最小化する)
【0119】
実験には軽度から中程度の高窒素血症を有する9匹のネコが登録した(進行したIRISステージ2及びIRISステージ3)。ネコ200-004を除いて(治療開始後、全タンパク質及びUPCについてのいかなるデータも記録されなかった)すべてのネコに対して、治療中のベラグリフロジンの予想された糖尿病の作用を確認した。腎臓病食又はリン吸着薬(スクリーニング前、患者は食餌/リン吸着薬の投与により安定させなければならなかった)を除き、いかなる併用腎臓療法もネコには施されなかった。
【0120】
2匹のネコは、30日目で早期に実験からすでに除外された。これらのネコは短期間のみ治療され、利用可能なベラグリフロジンで治療中、関連性のある臨床検査値のパラメーターの2種の推奨された測定のうちの1種しか行っていなかったので、これらのネコはさらに評価しなかった。
・ケース200-003は、登録時に慢性腎臓疾患のさらにかなり進行したステージのCKD(IRISステージ3)と診断された、腎臓病食が与えられている、年齢15才、3.9kg、去勢したヨーロピアンキャットである。ベラグリフロジンでの治療中、高品質の生活並びに食欲及び飲水行動が改善して正常になったが、残念なことに、臨床検査値のパラメーターの単一の測定の悪化に基づき(IRISステージ3のネコと予想される)、ネコは早期に除外した。
・ケース300-003は、慢性腎臓疾患、IRISステージ2と診断された、腎臓病食を与えている、年齢13才、4.3kg、去勢したヨーロピアンキャットである。飼い主によると、スクリーニング時、食欲及び飲水行動は正常であり、全体的な生活の質は非常に良好であった。歯痛、摂食障害及び猫破歯細胞性吸収病変(FORL)がこのネコに対して報告され、麻酔下での(麻酔、抗生剤及び鎮痛剤の投与)抜歯/クリーニングで処置し、これに続いて、患者は、臨床検査値のパラメーターが安定し、評価した臨床徴候は悪化しなかったが、早期に除外された。
【0121】
>90日間処置したすべての他のネコは、利用可能な治療下で少なくとも2つの時間点に対するデータを有し、したがって評価された。疾患の進行、並びに本実験におけるIRISステージ分けは最も信頼できるバイオマーカー:血清クレアチニンに基づいた。
残りの7匹のネコのうち、3匹のネコは、観察期間内に血清クレアチニンの低減≧10%を予想外に示した。これらのネコにおける血清クレアチニンの改善は、他の大部分の腎臓に関連性のある臨床検査値のパラメーター及び/又は臨床徴候の改善された又は安定した状態を伴った。これらのネコのうちの1匹において1つのカテゴリーだけIRISステージ分けが改善された。これは、疾患のかなり進行したステージ(ステージ3→ステージ2)では、疾患進行が予測されているため、極めて予期せぬことである。ネコはあらゆる腎臓の標準的ケア処置を受けなかったので、これは特に1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療のプラス効果を確定するものである。
【0122】
他のネコ(4匹のネコ)は、CKD(血清クレアチニン)及び臨床徴候に関係した臨床検査値のパラメーターの安定した状態を示した。
1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療下で観察されたCKDの合併症はなかった。
CKDに関係した臨床徴候は、ネコの大部分において良好な/安定したままであるか、又は改善されたかのいずれかであった。特に臨床徴候における改善は、腎臓の治療が投与されない限り、CKD患者において予想されない。
【0123】
CKDにおける進行のリスクファクターは予防されるべきであり、リスクファクターとして、血清リン酸塩レベル、血清カリウムレベル、ヘマトクリット値、UPC及び血圧が挙げられる。この実験では以下の観察がなされた:
・血清リン濃度:
CKD患者に対する国際獣医腎臓病研究グループの標的内に血漿リン濃度を維持することは、生存時間を改善するということを示す、文献における強力な証拠がある。この実験では、5匹のネコに低リン酸塩の食餌を与えたのに対して、4匹のネコには標準的な食餌を与えた。この臨床試験のすべての評価したケースにおいて、低リン酸塩の食餌及び/又はリン吸着薬の投与とは無関係に、血清リン酸塩レベルは、実験全体にわたり、研究機関の基準範囲内のままであった(90日目のケース200-001に対する1つの測定を除いて)。これはリンホメオスタシスに対するベラグリフロジンの有益な作用、したがってCKDネコにおいて利点となることを示唆している。
・血清カリウムレベルは、すべての処置したネコにおいて基準範囲内に留まった。これは、CKDネコにおける公知の合併症である低カリウム血症を、1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンの経口的治療で阻止することを示唆している。
・腎疾患の貧血の検出のためにヘマトクリット値をモニターした。ヘマトクリット値は1mg/kg体重のベラグリフロジンでの経口的治療下にあるすべてのネコにおいて基準範囲内のままであった。これは貧血を防止する作用を示唆している。
・すべての患者において、タンパク質尿は基準範囲の≦0.33のままであった。これは、1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンの経口的治療によるタンパク質尿の進行の防止を示唆している。
・心臓収縮期血圧は、すべてのネコにおいて実験の過程において<160mmHgのままであった。
【0124】
結論:
1日1回の1mg/kg体重の用量でネコ科動物のCKD患者に経口的に投与したベラグリフロジンは、IRISステージ2及び3のCKDのネコの腎臓パラメーター及び臨床徴候を安定化させた、又は改善までもたらした(例えば、ケース200-001ではUPCが改善され、ケース200-006では食欲が正常化され、ケース200-007、400-004、及び300-008では飲水行動が正常化された)。3匹のネコにおいて血清クレアチニンが低減し、さらにはIRISステージの改善、1つのケースではIRISステージ3から2への改善さえもたらした。CKDネコにおいて、疾患に関係した臨床徴候の改善又は腎臓の臨床検査値のパラメーターの改善、さらにIRISステージの低下までもの改善は非常に予期せぬことである。特に、未処置のネコ及び進行した疾患ステージのネコに対しては、疾患の進行性病理により、時間の経過と共に悪化が予想されている。この試験で評価したネコのいずれも、あらゆる腎臓の標準的ケア(腎臓病食又はリン吸着薬の投与の場合、スクリーニング時においてすでに患者は安定していなければならなかった)を受けておらず、ネコ科動物のCKD患者における1日1回の1mg/kg体重のベラグリフロジンによる経口的治療の有益な作用を確定した。加えて、疾患進行に対するリスクファクターは、安定したままであり、基準範囲内であった(例えばUPC、血圧、カリウム、リンなど)。これは、疾患進行及び起こり得る標的器官の損傷に対するベラグリフロジン治療の予防的作用を示唆している。
【0125】
(実施例4)
CKDを有する、顧客所有のイヌにおける探索的臨床的フィールド試験
健康診断及びバイオマーカーレベルを介して診断された、CKDと診断された顧客の所有する患者を、1日1回ベラグリフロジン0.05mg/kg体重で経口的に処置した。実験期間の間、体重、ボディコンディションスコア、バイオマーカーレベル(クレアチニン及びSDMA)、タンパク質尿、同時に生じる状態の存在及びさらなる薬物に対する必要性を、臨検の間、その場所で研究者が標準ベースで試験した。試験したパラメーターはクレアチニン及びSDMAレベル、タンパク質尿、血圧並びに補水状態である。さらに、腎不全の開始の遅れとしての変数として、イヌ患者の生存時間、IRiSステージの進行並びに腎臓に関連した死亡率及び/又は罹患率を観察した。実験結果は腎機能及び疾患の進行の遅れに対する有益な作用を確定している。
【0126】
【手続補正書】
【提出日】2024-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒト以外の哺乳動物、好ましくは肉食動物、より好ましくはネコ又はイヌにおける、1種又は複数の腎疾患の予防及び/又は治療のための、1種若しくは複数のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態
を含む医薬組成物。
【請求項2】
1種又は複数の腎疾患が、腎臓異形成、糸球体症、多発性嚢胞腎、アミロイドーシス、尿細管腎炎/尿細管間質性腎炎(TIN)、急性腎臓疾患、慢性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項3】
1種又は複数の腎疾患が、急性腎臓疾患、慢性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項2に記載の、
医薬組成物。
【請求項4】
1種又は複数の腎疾患が、慢性腎臓疾患からなる群から選択される、請求項3に記載の、
医薬組成物。
【請求項5】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤がグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の
医薬組成物。
【請求項6】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、
(1)式(1)のグルコピラノシル置換ベンゼン誘導体
【化1】
(式中、R
1はシアノ、Cl又はメチル(最も好ましくはシアノ)を表し;
R
2は、H、メチル、メトキシ又はヒドロキシ(最も好ましくはH)を表し、
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、
R
3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、R
3は最も好ましくはシクロプロピルである)
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は、(C
1-
18-アルキル)カルボニル、(C
1-
18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-
3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの;
(2)式(2)で表されるベラグリフロジン:
【化2】
(3)式(3)で表されるダパグリフロジン:
【化3】
(4)式(4)で表されるカナグリフロジン:
【化4】
(5)式(5)で表されるエンパグリフロジン:
【化5】
(6)式(6)で表されるルセオグリフロジン:
【化6】
(7)式(7)で表されるトホグリフロジン:
【化7】
(8)式(8)で表されるイプラグリフロジン:
【化8】
(9)式(9)で表されるエルツグリフロジン:
【化9】
(10)式(10)で表されるアチグリフロジン:
【化10】
(11)式(11)で表されるレモグリフロジン:
【化11】
(11A)式(11A)で表されるレモグリフロジンエタボネート:
【化12】
(12)式(12)のチオフェン誘導体
【化13】
(式中、Rはメトキシ又はトリフルオロメトキシを表す)
(13)式(13)で表される1-(β-D-グルコピラノシル)-4-メチル-3-[5-(4-フルオロフェニル)-2-チエニルメチル]ベンゼン;
【化14】
(14)式(14)のスピロケタール誘導体:
【化15】
(式中、Rはメトキシ、トリフルオロメトキシ、エトキシ、エチル、イソプロピル又はtert-ブチルを表す);
(15)式(15)のピラゾール-O-グルコシド誘導体
【化16】
(式中、
R
1はC
1-3-アルコキシを表し、
L
1、L
2は互いに独立して、H又はFを表し、
R
6は、H、(C
1-3-アルキル)カルボニル、(C
1-6-アルキル)オキシカルボニル、フェニルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル又はベンジルカルボニルを表す);
(16)式(16)で表されるソタグリフロジン:
【化17】
(17)式(17)で表されるセルグリフロジン:
【化18】
(18)式(18)で表される化合物:
【化19】
(式中
R
3は、シクロプロピル、水素、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、イソ-ブチル、tert-ブチル、3-メチル-ブタ-1-イル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-ヒドロキシ-シクロプロピル、1-ヒドロキシ-シクロブチル、1-ヒドロキシ-シクロペンチル、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル、エチニル、エトキシ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、2-ヒドロキシル-エチル、ヒドロキシメチル、3-ヒドロキシ-プロピル、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパ-1-イル、3-ヒドロキシ-3-メチル-ブタ-1-イル、1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-メチル-エチル、2,2,2-トリフルオロ-1-ヒドロキシ-1-トリフルオロメチル-エチル、2-メトキシ-エチル、2-エトキシ-エチル、ヒドロキシ、ジフルオロメチルオキシ、トリフルオロメチルオキシ、2-メチルオキシ-エチルオキシ、メチルスルファニル、メチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルフィニル、エチルスルホニル、トリメチルシリル、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又はシアノを表し、R
3は、好ましくはシクロプロピル、エチル、エチニル、エトキシ、(R)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシ又は(S)-テトラヒドロフラン-3-イルオキシから選択され、R
3は最も好ましくはシクロプロピルである)、
又はその誘導体であり、β-D-グルコピラノシル基の1つ又は複数のヒドロキシル基は、(C
1-18-アルキル)カルボニル、(C
1-18-アルキル)オキシカルボニル、フェニルカルボニル及びフェニル-(C
1-3-アルキル)-カルボニルから選択される基でアシル化されているもの;
(19)式(19)で表されるベキサグリフロジン:
【化20】
(20)式(20)で表されるジャナグリフロジン:
【化21】
(21)式(21)で表されるレモグリフロジン:
【化22】
(22)ワンパグリフロジン
からなる群から選択される、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項7】
その薬学的に許容される形態が、1種又は複数のSGLT2阻害剤と、1種又は複数のアミノ酸、好ましくはプロリン、より好ましくはL-プロリンとの結晶性複合体であり、最も好ましくは1種又は複数のSGLT2阻害剤、L-プロリン及び結晶水の共結晶である、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項8】
ヒト以外の動物、好ましくは肉食動物、より好ましくはネコ又はイヌが、このような予防及び/又は治療を必要とするヒト以外の動物患者であり、好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とする肉食動物患者であり、より好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とするネコ患者又はイヌ患者であり、さらにより好ましくはこのような予防及び/又は治療を必要とする非糖尿病性ネコ患者又は非糖尿病性イヌ患者である、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項9】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、経口的、非経口的、静脈内、皮下、又は筋肉内に、好ましくは経口的に投与される、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項10】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、0.01mg/kg体重~10mg/kg体重の用量で、好ましくは0.01mg/kg体重~5mg/kg体重の用量で、より好ましくは0.01mg/kg体重~4mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~3mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~2mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~1mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.5mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.3mg/kg体重の用量で、最も好ましくは0.05mg/kg体重又は1.0mg/kg体重の用量で投与されることになる、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項11】
このような1種若しくは複数のSGLT2阻害剤又はその薬学的に許容される形態が1日当たり1回又は1日当たり2回投与されることになる、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項12】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤がベラグリフロジンであり、ベラグリフロジンが、単一のSGLT-2阻害剤として、好ましくは経口的に、より好ましくは1日当たり1回又は2回、0.01mg/kg体重~1mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.5mg/kg体重の用量で、さらにより好ましくは0.01mg/kg体重~0.3mg/kg体重の用量で、最も好ましくは1日1回の0.05mg/kg体重又は1.0mg/kg体重の用量で投与されることになる、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項13】
単一のSGLT-2阻害剤としてのベラグリフロジンが、1日1回の0.01mg/kg体重~1.0mg/kg体重の用量で、好ましくは0.05mg/kg体重又は1.0mg/kg体重の用量で経口投与されることになる、請求項12に記載の
医薬組成物。
【請求項14】
1種又は複数のSGLT-2阻害剤が、1種又は複数の他の活性医薬成分、好ましくは、別のSGLT-2阻害剤又はその薬学的に許容される形態;1種若しくは複数のACE阻害剤、例えば、ベナゼプリル、ラミプリル若しくはエナラプリル;1種若しくは複数のカルシウムチャネル遮断剤、例えば、ジルチアゼム若しくはアムロジピン;1種若しくは複数のアンジオテンシン受容体遮断剤、例えば、テルミサルタン;1種若しくは複数のカルシウムチャネル増感剤及び/若しくは陽性変力物質、例えば、ピモベンダン及び/若しくはジギタリスアルカロイド;並びに/又は1種若しくは複数のリン吸着薬、例えば、キトサンからなる群から選択される1種又は複数の他の活性医薬成分の投与前、投与後又は投与と同時に投与されることになる、請求項1に記載の
医薬組成物。
【請求項15】
予防的及び/又は治療効果が、以下の臨床的及び/又は生化学的パラメーターのうちの1種又は複数:
- 改善された腎臓の効率、これは、タンパク質尿の減少、並びに血清SDMA及び/又は血清クレアチニンの減少及び/又は安定化を特徴とする;
- 3-ヒドロキシ酪酸及び/又は対応するアシルカルニチン、すなわちヒドロキシブチリルカルニチンの血漿レベルの増加、並びに分枝鎖のアミノ酸(例えば、バリン、ロイシン及びイソロイシン)のうちの1種又は複数の血漿レベルの増加を特徴とする、肝臓におけるケトン体産生の増加;
- 血圧の改善;
- 補水状態の改善;
- 腎不全の開始の遅延、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い遅延、又は1種若しくは複数の腎疾患、特に慢性腎臓疾患の進行の遅延及び/若しくは停止、並びに/又は1種若しくは複数の腎疾患、特にCKDの分類ステージの改善(例えば、第3相から第2相への改善);
- ヒト以外の哺乳動物患者の生存時間の延長、好ましくは少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12カ月若しくはこれよりも長い生存時間の延長、及び/又はより低い腎臓に関連する死亡率及び/又は罹患率;
- 改善された臨床徴候、例えば、多飲、多尿、嘔吐及び/又は嗜眠の減少;
- より高い生活の質
を特徴とする、請求項1に記載の
医薬組成物。
【国際調査報告】