(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】AEP阻害剤として有用なハロアセチドラジド
(51)【国際特許分類】
C07D 207/16 20060101AFI20240705BHJP
A61K 31/40 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240705BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240705BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
C07D207/16 CSP
A61K31/40
A61P25/28
A61P25/00
A61P25/16
A61P43/00 105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024504970
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022070752
(87)【国際公開番号】W WO2023006645
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】バルテルス,ビョルン
(72)【発明者】
【氏名】バウマン,カールハインツ
(72)【発明者】
【氏名】グリューニンガー,フィオナ
(72)【発明者】
【氏名】ホーフシュトラッサー,レーモ
(72)【発明者】
【氏名】クーン,ベルント
(72)【発明者】
【氏名】モランディ,フェデリカ
(72)【発明者】
【氏名】ピナール,エマニュエル
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086AA03
4C086BC07
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA16
4C086ZC01
(57)【要約】
本発明は、一般式(I)(式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、W、m及びnは本明細書に記載されているとおりである)を有する新規な化合物、該化合物を含む組成物、及び該化合物を使用する方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】
(式中、
R
1は、ハロ又はアルキルであり;
R
2は、H又はハロであり;
R
3は、H又はハロであり;
R
4は、H又はハロであるか;
或いは、R
3及びR
4は、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R
5は、H、ハロ、ハロアルコキシ、アルキニル、アルキニルアルコキシ又はアルコキシフェニルであり;
R
6は、Hであり;
R
7は、Hであり;
Wは、-C(O)-又は-S(O)
2-であり;
mは、0又は1であり;
nは、0又は1である)
の化合物、及び薬学的に許容され得る塩。
【請求項2】
R
1がハロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
R
5が、H、ハロ又はハロアルコキシである、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
Wが-C(O)-である、請求項1~3のいずれかに記載の化合物。
【請求項5】
mが1であり、nが0である、請求項1~4のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
R
3及びR
4が、3員又は4員シクロアルキル環を形成する、請求項1~5のいずれかに記載の化合物。
【請求項7】
R
1が、ハロであり;
R
2が、H又はハロであり;
R
3が、ハロであり;
R
4が、ハロであるか;
或いは、R
3及びR
4が、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R
5が、H、ハロ又はハロアルコキシルであり;
Wが、-C(O)-であり;
mが、1であり;
nが、0である、
請求項1に記載の化合物、及び薬学的に許容され得る塩。
【請求項8】
R
1が、ハロであり;
R
2が、H又はハロであり;
R
3及びR
4が、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R
5が、ハロ又はハロアルコキシルであり;
Wが、-C(O)-であり;
mが、1であり;
nが、0である、
請求項1又は7に記載の化合物、及び薬学的に許容され得る塩。
【請求項9】
R
1が、F又はClであり;
R
2が、H又はFであり;
R
3及びR
4が、3員シクロアルキル環を形成し;
R
5が、クロロ又はトリフルオロメトキシであり;
Wが、-C(O)-であり;
mが、1であり;
nが、0である、
請求項1又は7~8のいずれかに記載の化合物、及び薬学的に許容され得る塩。
【請求項10】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2,2-ジフルオロ-2-フェニル-アセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(3-フェニルプロパノイル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(1-フェニルシクロブタンカルボニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロブタンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2-フェニルアセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(ベンゼンスルホニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(1-フェニルシクロプロパンカルボニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-ベンジルスルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2-フェニルエチルスルホニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-エチニルフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-プロプ-2-インオキシフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2,2-ジクロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2R)-2-クロロプロパノイル-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2S)-2-クロロプロパノイル-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
から選択される、請求項1~9のいずれかに記載の化合物、及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項11】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2,2-ジフルオロ-2-フェニル-アセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロブタンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
から選択される、請求項1~10のいずれかに記載の化合物、及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項12】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
から選択される、請求項1~11のいずれかに記載の化合物、及びその薬学的に許容され得る塩。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法であって、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応
【化2】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、W、n及びmは上で定義されているとおりであり、Xは、F、Cl、Br、OH、O-N-スクシンイミジル(OSu)から選択される適切な官能基である)
を含む、方法。
【請求項14】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を調製するための方法であって、式IVの化合物と式Vの化合物との反応
【化3】
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、W、n及びmは上で定義されているとおりであり、Yは、F、Cl、Br、OH、O-N-スクシンイミジル(OSu)から選択される適切な官能基である)
を含む、方法。
【請求項15】
治療的活性物質として使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
AEPによって調節される疾患の処置で使用するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物と、治療的不活性担体とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項19】
アルツハイマー病を処置又は予防するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項20】
アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための医薬を調製するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項21】
アルツハイマー病を処置又は予防するための医薬を調製するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項22】
アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項23】
アルツハイマー病を処置又は予防するための、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための方法であって、有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項25】
アルツハイマー病を処置又は予防するための方法であって、有効量の請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法。
【請求項26】
請求項13又は請求項14に記載の方法に従って製造された場合の、請求項1~12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項27】
本明細書に記載したとおりの発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、患者における治療及び/又は予防に有用な有機化合物、特にAEP活性を阻害する化合物に関する。
【0002】
本発明は、式I
【化1】
(式中、
R
1は、ハロ又はアルキルであり;
R
2は、H又はハロであり;
R
3は、H又はハロであり;
R
4は、H又はハロであるか;
或いは、R
3及びR
4は、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R
5は、H、ハロ、ハロアルコキシ、アルキニル、アルキニルアルコキシ又はアルコキシフェニルであり;
R
6はHであり;
R
7はHであり;
Wは、-C(O)-又は-S(O)
2-であり;
mは、0又は1であり;
nは、0又は1である)
の新規な化合物、及び薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0003】
さらに、本発明は、全てのラセミ混合物、全てのそれらの対応するエナンチオマー及び/又は光学異性体を含む。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
アルツハイマー病(AD)
アルツハイマー病は、主に高齢者に発生し、米国だけで500万人超が罹患する認知症の最も一般的な形態である。この数は2050年までに3倍になると予想されている。ADの有病率は年齢に関連しており、患者はしばしば疾患の後期段階中に施設収容を必要とする。ADは、その重症度、増加する有病率、長期の持続時間及び治療費の高さのために、今後数年で大きな公衆衛生問題となり続けるだろう。
【0005】
現在承認されているADの治療は神経伝達を調節する(例えば、Aricept、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤)。これらの薬物は、いくつかの症候からの短期間の救済をもたらすが、根底にある病態も疾患の経過も変化させない。全段階でのADのためのより有効な処置、特に疾患の進行を減速又は遅延させる新規な処置に対する大きな満たされていない医学的必要性がある。
【0006】
AD脳には2つの異なる主要な組織病理学的病変、すなわち、凝集したAβペプチドを含むアミロイド斑及び凝集したタウタンパク質を含む神経原線維変化がある。細胞外Aβペプチド蓄積は、タウ凝集及びニューロン喪失を含み、認知症に達する病理学的変化のカスケードにおける初期イベントであると考えられている(アミロイドカスケード仮説、Selkoe及びHardy、EMBO Mol Med 2016)。
【0007】
ADのために開発中の最も進歩した薬物は、Aβを低下させることによって疾患進行を改変することを目的としている。これらの薬物には、Aβクリアランスを促進するAβ特異的抗体、ならびにAβ生成を担うタンパク質分解酵素、すなわちβ-及びγ-セクレターゼの低分子阻害剤及びモジュレーターが含まれる。タウ凝集を緩和する戦略は、Aβ低下アプローチを補完するために必要である。いくつかの企業は、ADに対するタウ指向性モノクローナル抗体を追求している。しかしながら、タウ抗体はまだ初期段階の臨床開発中であり、今後数年間でADの標準治療として出現する可能性は低い。
【0008】
ADは、タウオパチーとして知られるより大きな神経変性性認知症疾患群に属する。この疾患群には、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、進行性核上性麻痺(PSP)及び大脳皮質基底核変性症(CBD)が含まれる。タウオパチーの共通の特徴は、細胞内の原線維性タウ凝集体の存在である。ADにおけるタウを標的とする治療アプローチは、原発性タウオパチーに適用可能であり得る。非ADタウオパチーの特異的処置のための承認された薬物はない。
【0009】
タウ凝集及びアルツハイマー病
ニューロン内神経原線維変化の存在は、ADの定義となる病態の1つである。もつれの主成分であるタウタンパク質は、通常、微小管と会合し、微小管を安定化する高度可溶性タンパク質である。AD及び他のタウオパチーでは、タウは、凝集を引き起こさせる構造変化を受ける(Vaquer-AliceaらActa Neuropath 2021)。タウ凝集は、複数の証拠によって実証されるように、タウオパチーにおける疾患発症の中心である:
(1)多くの前頭側頭型認知症関連MAPT変異は、タウ線維集合を促進する;
(2)AD患者の認知能力はタウ凝集体負荷と逆相関する;
(3)AD患者のマルチモーダルイメージングは、タウ凝集体沈着が局所的な脳萎縮及び機能障害と相関することを示す;
(4)単量体ではなく原線維タウを注射すると、マウス脳にもつれが発生する;
(5)細胞に外因的に添加されたタウは、細胞内タウ病態を「播種」するためには、凝集しなければならない。
【0010】
したがって、タウ凝集は、疾患における毒性機能獲得である。したがって、タウ凝集の防止は、AD及び原発性タウオパチーの神経変性から保護することが期待される。
【0011】
AEPによるタウ切断
タウの微小管結合領域(MBTR)は、原線維集合を核とする分子の重要な部分である。構造研究により、中心に位置するMBTRが通常、分子のN末端領域及びC末端領域によって覆われ、それによって溶液中のタウ-タウ相互作用を妨げることが示されている。リン酸化及びタンパク質分解切断などの翻訳後修飾は、タウ分子を開き、MBTRを露出させ、凝集を促進する。AD脳から単離されたPHFタウは、切断型タウ種の大部分を含み、タウ切断がタウ凝集プロセスに不可欠であることを示唆している。
【0012】
リソソームシステインプロテイナーゼAEP/レグマインは、MBTRの両側でタウを切断し、それによってMBTRを露出させ、凝集を促進することが示されている。初代マウスニューロンにおけるAEP活性のストレス誘導性上方制御は、タウ切断を促進する。ニューロンにおけるAEP由来タウフラグメント1~368の過剰発現は強く神経毒性であるが、全長タウの過剰発現はそうではない。タウを切断することに加えて、AEPは、タウリン酸化を促進することによってタウ凝集に間接的に影響を及ぼし得る:AEPは、タウの脱リン酸化を調節する重要な酵素であるプロテインホスファターゼ2Aを(間接的に)阻害することが知られている。
【0013】
ADにおけるAEP
公開されたデータは、AEPがADにおいて上方制御されることを示している(ZhangらNat Med 2014)。他の著者らは、AEPがADにおいて過剰活性化されることを示している(WangらMol Cell 2017;Basurto-Islasら、J Biol Chem 2013)。AEPの上方制御又は過剰活性化に起因するかどうかにかかわらず、AEP切断タウN368フラグメントはAD脳組織において濃縮される(ZhangらNat Med 2014)。タウN368/総タウ比は、AD患者由来のCSFで有意に減少し、18F-GTP1タウPETシグナルと強く負の相関があった(BlennowらBrain 2020)。
【0014】
AEPは、タウ凝集の促進を超えてAD発病に寄与し得る。AEP切断フラグメントタウN368は、BACE1転写因子STAT1への結合を介してBACE1発現及びAβ産生を増強することが最近示された(ZhangらMol Psych 2018)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、式I:
【化2】
(式中、
R
1は、ハロ又はアルキルであり;
R
2は、H又はハロであり;
R
3は、H又はハロであり;
R
4は、H又はハロであるか;
或いは、R
3及びR
4は、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R
5は、H、ハロ、ハロアルコキシ、アルキニル、アルキニルアルコキシ又はアルコキシフェニルであり;
R
6はHであり;
R
7はHであり;
Wは、-C(O)-又は-S(O)
2-であり;
mは、0又は1であり;
nは0又は1である)
の新規な化合物、及び薬学的に許容され得る塩を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「アルキル」という用語は、1~6個の炭素原子の一価の直鎖又は分岐飽和炭化水素基を表す。いくつかの実施形態では、別様に記載されていない場合、アルキルは、1~6個の炭素原子(C1~6-アルキル)又は1~4個の炭素原子(C1~4-アルキル)を含む。C1~6-アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル及びペンチルが挙げられる。特定のアルキル基としては、メチル及びエチルが挙げられる。好ましいアルキル基はメチルである。特定の数の炭素を有するアルキル残基が命名される場合、その数の炭素を有する全ての幾何異性体が包含され得る。したがって、例えば、「ブチル」には、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びt-ブチルが含まれ得、「プロピル」には、n-プロピル及びイソプロピルが含まれ得る。
【0017】
「アルコキシ」という用語は、R’がC1~6-アルキル基である、式-O-R’の基を表す。C1~6-アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ及びtert-ブトキシが挙げられる。特定の例は、メトキシ及びエトキシである。好ましい例はメトキシである。
【0018】
「アルキニル」という用語は、少なくとも1つの部位のアセチレン不飽和を有する(すなわち、少なくとも1つの式C≡Cの部分を有する)、不飽和の非分枝又は分枝の一価炭化水素鎖を指す。いくつかの実施形態では、別様に特定されない限り、アルキニルは、2~6個の炭素原子、又は2~4個の炭素原子を含む。アルキニル基の例としては、それだけに限らないが、エチニル(又はアセチレニル)、プロパ-1-イニル、プロパ-2-イニル(又はプロパルギル)、ブタ-1-イニル、ブタ-2-イニル、及びブタ-3-イニルが挙げられる。特定の例はエチニルである。
【0019】
「アルキニルアルコキシ」という用語は、C1~6アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子がC2~6アルキニル基によって置き換えられているC1~6アルコキシ基を表す。特定の例は、エチニルメトキシ、エチニルエトキシ、プロパ-2-インオキシ、プロピニルメトキシ、プロピニルエトキシである。特定の例はプロパ-2-インオキシである。
【0020】
「アルコキシフェニル」という用語は、オルト位、メタ位又はパラ位で上に定義されているアルコキシ基によって置換されたフェニルを表す。特定の例は4-メトキシフェニルである。
【0021】
「シクロアルキル」という用語は、単環式又は多環式の飽和又は部分不飽和の非芳香族炭化水素を表す。いくつかの実施形態では、別様に記載されていない限り、シクロアルキルは、3~8個の炭素原子、3~6個の炭素原子又は3~5個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、飽和の単環式又は多環式炭化水素である。他の実施形態では、シクロアルキルは、1つ又は複数の二重結合(例えば、アリールもしくはヘテロアリール環に縮合したシクロアルキル、又は1つもしくは2つの二重結合を含む非芳香族単環式炭化水素)を含む。多環式シクロアルキル基は、スピロ、縮合又は架橋多環式部分を含んでいてもよく、各環は飽和又は部分不飽和の非芳香族炭化水素である。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、オクタヒドロペンタレニル、スピロ[3.3]ヘプタニルなどが挙げられる。二環式とは、共有した2個の炭素原子を有する2つの飽和炭素環からなる環系を意味する。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル又はシクロヘプチルである。特定の例は、シクロプロピル及びシクロブタニルである。好ましい例はシクロプロピルである。
【0022】
「ハロゲン」、「ハライド」及び「ハロ」という用語は、本明細書では互換的に使用され、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードを表す。特定のハロゲンはフルオロ及びクロロである。
【0023】
「ハロアルコキシ」という用語は、C1~6-アルコキシ基の少なくとも1個の水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子によって置き換えられているC1~6-アルコキシ基を表す。ハロアルコキシの例は、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロエトキシ及びトリフルオロエトキシである。特定の例はトリフルオロメトキシである。
【0024】
「薬学的に許容され得る塩」という用語は、生物学的にも別様にも望ましくないものではない、遊離塩基又は遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指す。塩は、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、特に塩酸、ならびに有機酸、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸、及びN-アセチルシステインを用いて形成される。加えて、これらの塩は、無機塩基又は有機塩基の遊離酸への添加から調製され得る。無機塩基から誘導される塩としては、それだけに限らないが、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩が挙げられる。有機塩基から誘導される塩としては、それだけに限らないが、第一級、第二級、及び第三級アミン、天然に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えばイソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リジン、アルギニン、N-エチルピペリジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂の塩が挙げられる。式Iの化合物は、双性イオンの形態でも存在し得る。式Iの化合物の特に好ましい薬学的に許容され得る塩は、ギ酸を用いて形成される塩、及び塩酸塩、二塩酸塩又は三塩酸塩を生じる、塩酸を用いて形成される塩である。
【0025】
略語のuMはマイクロモルを意味し、記号μMと同等である。
【0026】
略語のuLはマイクロリットルを意味し、記号μLと同等である。
【0027】
略語のugはマイクログラムを意味し、記号μgと同等である。
【0028】
式Iの化合物は、いくつかの不斉中心を含み得、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えば、ラセミ体など、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性のラセミ体又はジアステレオ異性のラセミ体の混合物の形態で存在し得る。
【0029】
カーン・インゴルド・プレローグ順位則によれば、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置のものであり得る。
【0030】
また、本発明のある実施形態は、本明細書に記載されている式Iの化合物及びその薬学的に許容され得る塩又はエステル、特に本明細書に記載されている式Iの化合物及びその薬学的に許容され得る塩、より具体的には、本明細書に記載されている式Iの化合物を提供する。
【0031】
本発明のある実施形態は、
R1が、ハロ又はアルキルであり;
R2が、H又はハロであり;
R3が、H又はハロであり;
R4が、H又はハロであるか;
或いは、R3及びR4が、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R5が、H、ハロ、ハロアルコキシ、アルキニル、アルキニルアルコキシ又はアルコキシフェニルであり;
R6がHであり;
R7がHであり;
Wが、-C(O)-又は-S(O)2-であり;
mが、0又は1であり;
nが、0又は1である、本明細書に記載されている式Iの化合物、及び薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0032】
本発明のある実施形態は、R1がハロである、本明細書に記載されている式Iの化合物を提供する。
【0033】
本発明のある実施形態は、R5が、H、ハロ又はハロアルコキシである、本明細書に記載されている式Iの化合物を提供する。
【0034】
本発明のある実施形態は、Wが-C(O)-である、本明細書に記載されている式Iの化合物を提供する。
【0035】
本発明のある実施形態は、mが1であり、nが0である、本明細書に記載されている式Iの化合物を提供する。
【0036】
本発明のある実施形態は、R3及びR4が、3員又は4員シクロアルキル環を形成する、本明細書に記載されている式Iの化合物を提供する。
【0037】
本発明のある実施形態は、
R1がハロであり;
R2が、H又はハロであり;
R3がハロであり;
R4がハロであるか;
或いは、R3及びR4が、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R5が、H、ハロ又はハロアルコキシルであり;
Wが-C(O)-であり;
mが1であり;
nが0である、本明細書に記載されている式Iの化合物、及び薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0038】
本発明のある実施形態は、
R1がハロであり;
R2が、H又はハロであり;
R3及びR4が、3員又は4員シクロアルキル環を形成し;
R5が、ハロ又はハロアルコキシルであり;
Wが-C(O)-であり;
mが1であり;
nが0である、本明細書に記載されている式Iの化合物、及び薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0039】
本発明のある実施形態は、
R1が、F又はClであり;
R2が、H又はFであり;
R3及びR4が3員シクロアルキル環を形成し;
R5が、クロロ又はトリフルオロメトキシであり;
Wが-C(O)-であり;
mが1であり;
nが0である、本明細書に記載されている式Iの化合物、及び薬学的に許容され得る塩を提供する。
【0040】
本明細書に記載されている式Iの化合物の特定の例は、
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2,2-ジフルオロ-2-フェニル-アセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(3-フェニルプロパノイル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(1-フェニルシクロブタンカルボニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロブタンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2-フェニルアセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(ベンゼンスルホニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(1-フェニルシクロプロパンカルボニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-ベンジルスルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2-フェニルエチルスルホニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-エチニルフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-プロプ-2-インオキシフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2,2-ジクロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2R)-2-クロロプロパノイル-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2S)-2-クロロプロパノイル-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
及びその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0041】
本明細書に記載されている式Iのさらなる特定の例は、
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2,2-ジフルオロ-2-フェニル-アセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロブタンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
及びその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0042】
本明細書に記載されている式Iの最も特定の例は、
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2R)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
2-[((2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド;
及びその薬学的に許容され得る塩から選択される。
【0043】
本明細書に記載されている式Iの化合物を製造する方法は本発明の目的である。
【0044】
一般的な合成スキーム
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、W、n、及びmが上記のとおりである式Iの化合物は、スキーム1に示されるように入手することができる。R
1及びR
2が上記のとおりである式IIの化合物を、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、W、n、及びmが上記のとおりであり、Wの性質に応じて、XがF、Cl、Br、OH、O-N-スクシンイミジル(OSu)から選択される適切な官能基である式IIIの化合物と反応させることができる。具体的には、W=-C(O)-の場合、Xは、F、Cl、Br、OH、O-N-スクシンイミジル、好ましくはCl及びOHから選択することができる。X=OHの場合、反応は、例えば当技術分野で公知の標準的なアミドカップリング条件下で行われる。X=F、Cl、Br又はOSuの場合、反応は、化学量論量の適切な化学的に不活性な塩基、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミンの存在下、適切な極性非プロトン性又は非極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド又はジクロロメタン中で行うことができる。W=-S(O)
2-の場合、Xは、F、Cl、好ましくはClから選択することができる。反応は、化学量論量の適切な化学的に不活性な塩基、例えばトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンなどの第三級アミンの存在下、適切な極性非プロトン性又は非極性溶媒、例えばジメチルホルムアミド又はジクロロメタン中で行われる。
【化3】
スキーム1
【0045】
或いは、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、W、n、及びmが上記のとおりである式Iの化合物は、スキーム2に示されるように入手することができる。R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、W、n、及びmが上記のとおりである式IVの化合物を、R
1及びR
2が上記のとおりであり、YがF、Cl、Br、OH、O-N-スクシンイミジル(OSu)、好ましくはCl及びOHから選択される適切な官能基である式Vの化合物と反応させることができる。Y=OHの場合、反応は、例えば当技術分野で公知の標準的なアミドカップリング条件下で行われる。Y=F、Cl、Br又はOSuの場合、反応は、化学量論量の適切な塩基、例えばピリジンの存在下、適切な極性非プロトン性又は非極性溶媒、例えばジクロロメタン中で行うことができる。
【化4】
スキーム2
【0046】
R3、R4、R5、R6、R7、W、n、及びmがそれぞれ上記のとおりである式III及びIVの中間体化合物は、当技術分野で公知の方法によって入手することができる。
【0047】
本発明のある実施形態は、式IIの化合物と式IIIの化合物との反応を含む、上に定義されている式Iの化合物を調製する方法である。
【0048】
本発明のある実施形態は、式IVの化合物と式Vの化合物との反応を含む、上に定義されている式Iの化合物を調製する方法である。
【0049】
本発明の別の実施形態は、本発明の化合物と治療的不活性担体、希釈剤又は賦形剤とを含有する医薬組成物又は医薬、ならびにこのような組成物及び医薬を調製するために本発明の化合物を使用する方法を提供する。一例では、式Iの化合物が、周囲温度で、適切なpHで、及び所望の程度の純度で、生理学的に許容され得る担体、すなわち、使用される投与量及び濃度においてレシピエントに対して非毒性である担体と混合することによって、ガレヌス投与形態に製剤化され得る。製剤のpHは、特定の用途及び化合物の濃度に主に依存するが、好ましくは約3~約8の範囲のどこかである。一例では、式Iの化合物は、pH5の酢酸緩衝液で製剤化される。別の実施形態では、式Iの化合物は無菌である。化合物は、例えば、固体もしくは非晶質組成物として、凍結乾燥製剤として、又は水溶液として保管され得る。
【0050】
組成物は、良好な医療行為と一致した様式で製剤化、投薬、及び投与される。本文脈で考慮する因子としては、処置される特定の障害、処置される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床症状、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医学専門家に既知の他の因子が挙げられる。
【0051】
本発明の化合物は、経口、局所(頬側及び舌下を含む)、直腸、膣、経皮、非経口、皮下、腹腔内、肺内、皮内、髄腔内及び硬膜外及び鼻腔内、ならびに局所処置が所望される場合、病巣内投与を含む任意の適切な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内又は皮下投与を含む。
【0052】
本発明の化合物は、任意の簡便な投与形態、例えば錠剤、粉末、カプセル剤、溶液、分散液、懸濁液、シロップ、スプレー、坐剤、ゲル、エマルジョン、パッチ等で投与され得る。このような組成物は、医薬調製物における従来の構成成分、例えば希釈剤、担体、pH調整剤、甘味剤、充填剤、及びさらなる活性剤を含有することができる。
【0053】
典型的な製剤は、本発明の化合物及び担体又は賦形剤を混合することによって調製される。適切な担体及び賦形剤は、当業者に周知であり、例えば、Ansel,Howard C.ら、Ansel’s Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems.Philadelphia:Lippincott、Williams&Wilkins、2004;Gennaro,Alfonso R.ら、Remington:The Science and Practice of Pharmacy.Philadelphia:Lippincott、Williams&Wilkins、2000;及びRowe,Raymond C.Handbook of Pharmaceutical Excipients.Chicago、Pharmaceutical Press、2005に詳細に記載されている。製剤はまた、薬物(すなわち、本発明の化合物又はその医薬組成物)の優れた見栄えを提供、又は医薬品(すなわち、医薬)の製造を補助するために、1種以上の緩衝剤、安定化剤、界面活性剤、湿潤剤、滑沢剤、乳化剤、懸濁化剤、保存剤、抗酸化剤、乳白剤、流動促進剤、加工助剤、着色剤、甘味剤、芳香剤、香味剤、希釈剤及び他の既知の添加剤も含み得る。
【0054】
式Iの化合物及びそれらの薬学的に許容され得る塩は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質ゼラチンカプセル、注射液又は局所製剤の製造のための薬学的に不活性な、無機又は有機アジュバントを用いて加工することができる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩等を、例えば、錠剤、糖衣錠及び硬質ゼラチンカプセル用のそのようなアジュバントとして、使用することができる。
【0055】
軟質ゼラチンカプセルに適したアジュバントは、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固形物質及び液状ポリオール等である。
【0056】
溶液及びシロップの製造に適したアジュバントは、例えば、水、ポリオール、サッカロース、転化糖、グルコース等である。
【0057】
注射液に適したアジュバントは、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0058】
坐剤に適したアジュバントは、例えば、天然又は硬化油、ワックス、脂肪、半固形又は液状ポリオール等である。
【0059】
局所眼用製剤に適したアジュバントは、例えば、シクロデキストリン、マンニトール又は当技術分野で公知の多くの他の担体及び賦形剤である。
【0060】
さらに、医薬調製物は、保存剤、可溶化剤、粘度上昇物質、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、香味剤、浸透圧を変化させるための塩類、緩衝剤、マスキング剤又は抗酸化剤を含有することができる。これらはまた、さらに他の治療上価値のある物質を含有することができる。
【0061】
投与量は、広範囲内で変化することができ、当然、各特定の症例で個々の要件に適合される。一般に、経口投与の場合、体重1kgあたり約0.1mg~20mg、好ましくは体重1kgあたり約0.5mg~4mg(例えば、1人あたり約300mg)の1日投与量は、好ましくは1~3回の個別投与に分けられ、これは、適切であれば、例えば、同量からなり得る。局所投与の場合、製剤は、0.001重量%~15重量%の医薬を含み得、0.1~25mgの間であり得る必要用量は、1日あたりもしくは1週間あたりの単回投与によって、又は1日あたりの複数回投与(2~4回)によって、又は1週間あたりの複数回投与によってのいずれかで投与され得る。しかしながら、これが示されていると示されている場合には、本明細書に与えられている上限又は下限を超え得ることは明らかであろう。
【0062】
本発明はまた、特に、以下のものに関する:
治療的活性物質として使用するための式Iの化合物;
AEPによって調節される疾患の処置に使用するための式Iの化合物。
【0063】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための、式Iの化合物の使用である。
【0064】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、又はピック病を処置又は予防するための、式Iの化合物の使用である。
【0065】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病を処置又は予防するための、式Iの化合物の使用である。
【0066】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための医薬を調製するための、式Iの化合物の使用である。
【0067】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、又はピック病を処置又は予防するための医薬を調製するための、式Iの化合物の使用である。
【0068】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病を処置又は予防するための医薬を調製するための、式Iの化合物の使用である。
【0069】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための式Iの化合物である。
【0070】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、又はピック病を処置又は予防するための式Iの化合物である。
【0071】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病を処置又は予防するための式Iの化合物である。
【0072】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための方法である。
【0073】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、又はピック病を処置又は予防するための方法である。
【0074】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病を処置又は予防するための方法である。
【0075】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、大脳皮質基底核変性症(CBD)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム(FTDP-17)、リティコ・ボディグ病(グアムのパーキンソン認知症複合)、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、脳炎後パーキンソニズム、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)、ピック病、又は大脳皮質基底核変性症を処置又は予防するための方法であって、有効量の式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法である。
【0076】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病、原発性年齢関連タウオパチー(PART)認知症、前頭側頭型認知症(FTD-MAPT)、慢性外傷性脳症(CTE)、進行性核上性麻痺(PSP)、又はピック病を処置又は予防するための方法であって、有効量の式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法である。
【0077】
本発明のある実施形態は、アルツハイマー病を処置又は予防するための方法であって、有効量の式Iの化合物を、それを必要とする患者に投与することを含む、方法である。
【0078】
また、本発明のある実施形態は、記載されている方法のいずれか1つに従って製造された場合の、本明細書に記載されている式Iの化合物を提供する。
【0079】
同様に、本発明の目的は、本明細書に記載されている式Iの化合物と、治療的不活性担体とを含む医薬組成物である。
【0080】
ここで、本発明を、限定的な特徴を有さない以下の実施例によって説明する。
【0081】
調製例がエナンチオマー、エピマー及び/又はジアステレオ異性体の混合物として得られる場合、純粋なエナンチオマーは、例えばキラルクロマトグラフィー又は結晶化などの当業者に公知の方法によって得ることができる。
【0082】
略語
以下の略語を実験部で使用した:
THF=テトラヒドロフラン;
MTBE=メチル-tert-ブチルエーテル;
DMF=ジメチルホルムアミド;
TLC=薄層クロマトグラフィー;
rt=室温、20~25℃;
Cbz=ベンジルオキシカルボニル;
BOC=t-ブチルオキシカルボニル;
HPLC=高速液体クロマトグラフィー;
HBTU=ヘキサフルオロホスフェートベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム;
HATU=ヘキサフルオロホスフェートアザベンゾトリアゾールテトラメチルウロニウム。
【0083】
出発物質
基礎化学品及び溶媒は購入し、さらなる精製なしにそのまま使用した。中間体Int-1、Int-13、Int-14は、市販されているか、又は当技術分野で公知の方法を使用して合成され得る。
【0084】
中間体
中間体7:2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化5】
【0085】
工程1:ベンジル2-(2-tert-ブトキシカルボニルヒドラジノ)アセテート(Int-2)
【0086】
tert-ブチルカルバゼート(49761mg、376mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(65mL、376mmol)をトルエン(500mL)に溶解し、ベンジル2-ブロモアセテート(Int-1、75.00g、327mmol)を添加した。混合物を75℃で16時間撹拌した。冷却後、混合物をフィルタにかけ、濾液を濃縮して黄色油を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、220g、石油エーテル/酢酸エチル、勾配100:1~40:1(v/v))によって精製し、生成物含有画分を合わせ、真空中で濃縮すると、標記化合物が無色油(60.00g、214mmol、収率65%)として得られた。MS m/z(ESI):225.2 [M-CH2=C(CH3)2]+。
【0087】
工程2:ベンジル2-ヒドラジノアセテート塩酸塩(Int-3)
【0088】
ベンジル2-(2-tert-ブトキシカルボニルヒドラジノ)アセテート(Int-2、58.0g、207mmol)を酢酸エチル(200mL)に溶解し、塩化水素の酢酸エチル中溶液(4M、300mL、1200mmol)を添加した。大量の白色沈殿が形成された。混合物を25℃で5時間撹拌した。その後、混合物をフィルタにかけ、固体を酢酸エチル(200mL)で洗浄し、真空中で乾燥させると、標記化合物が白色固体(42.0g、194mmol、収率94%)として得られた。MS m/z(ESI):181.2 [M+H]+。
【0089】
工程3:ベンジル(2S)-2-[[(2-ベンジルオキシ-2-オキソ-エチル)アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-4)
【0090】
ベンジル2-ヒドラジノアセテート塩酸塩(Int-3、1.10g、5.08mmol)をジクロロメタン(15mL)に溶解し、Z-PRO-OH(1.27g、5.08mmol)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(2.65mL、15.2mmol)及びN-[3-(ジメチルアミノ)プロパ-1-イル]-N-エチルカルボジイミド塩酸塩(1.261g、6.60mmol)を0℃で添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。その後、反応物を冷水(30mL)で希釈し、ジクロロメタン(2×15mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮して黄色油を得た。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、25g、石油エーテル/酢酸エチル、勾配10:1~1:2(v/v))によって精製すると、標記化合物が黄色油(1800mg、4.37mmol、収率86%)として得られた。MS m/z(ESI):412.3 [M+H]+。
【0091】
工程4:ベンジル(2S)-2-[[(2-アミノ-2-オキソ-エチル)アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-5)
【0092】
ベンジル(2S)-2-[[(2-ベンジルオキシ-2-オキソ-エチル)アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-4、10.0g、24.3mmol)のアンモニアのメタノール中溶液(7N、10mL、700mmol)中溶液を25℃で14時間撹拌した。その後、混合物を濃縮して淡黄色油を得た。淡黄色油を水(100mL)に溶解し、メチルtertブチルエーテルで抽出した(5×70mL、乳化のために全ての抽出プロセスが20分間静止する必要があり、少量のEtOHの添加が分離に有益であった)。水溶液を凍結乾燥させると、標記化合物(15.9mg、49.6mmol、収率68%)が淡黄色固体として得られた。MS m/z(ESI):321.3 [M+H]+。
【0093】
工程5:ベンジル(2S)-2-[[(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-(2-フルオロアセチル)アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-6)
【0094】
ベンジル(2S)-2-[[(2-アミノ-2-オキソ-エチル)アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-5、4.20g、13.1mmol)をジクロロメタン(35mL)に溶解し、溶液を-78℃に冷却した(アセトン/ドライアイス)。次いで、フルオロアセチルクロリド(1645mg、17.0mmol)のジクロロメタン(15mL)中溶液を-78℃で滴加した。混合物を-78℃で0.5時間撹拌した。混合物を25℃に加温し、1.5時間撹拌した。その後、これを真空中で濃縮すると、粗標記化合物が淡黄色固体(4.90g、12.9mmol、収率98%)として得られ、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS m/z(ESI):403.2 [M+H]+。
【0095】
工程6:2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7)
【0096】
ベンジル(2S)-2-[[(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-(2-フルオロアセチル)アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-6、3.90g、10.2mmol)をメタノール(50mL)に溶解し、パラジウム炭(10%、800mg)を添加した。得られた混合物を水素雰囲気(水素バルーン)下、25℃で4時間撹拌した。その後、混合物をceliteパッドを通してフィルタにかけ、メタノール(50mL)で洗浄し、濾液を真空中で濃縮すると、標記化合物が淡黄色固体(2.50g、10.1mmol、収率99%)として得られた。MS m/z(ESI):269.1 [M+H]+。
【0097】
中間体12:2-[2-[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]ヒドラジノ]アセトアミド
【化6】
【0098】
工程1:ベンジル(2S)-2-[[(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-tert-ブトキシカルボニル-アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-9)
【0099】
ベンジル(2S)-2-[[(2-アミノ-2-オキソ-エチル)アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-5、5.00g、15.6mmol)をジクロロメタン(100mL)に溶解し、ジ-t-ブチルジカーボネート(4088mg、18.7mmol)、引き続いてトリエチルアミン(4.73g、46.8mmol)を添加した。混合物を25℃で16時間撹拌した。その後、反応混合物を真空中で濃縮し、粗生成物を逆相クロマトグラフィーによって精製した。凍結乾燥後、標記化合物を白色固体(3.00g、7.14mmol、収率46%)として単離した。MS m/z(ESI):421.1 [M+H]+。
【0100】
工程2:tert-ブチルN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-N-[[rac-(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]カルバメート(Int-10)
【0101】
テトラヒドロフラン(60mL)中のベンジル(2S)-2-[[(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-tert-ブトキシカルボニル-アミノ]カルバモイル]ピロリジン-1-カルボキシレート(Int-9、1.50g、3.57mmol)及びパラジウム炭(10%m/m、100mg)の混合物を、水素雰囲気(バルーン)下、25℃で48時間撹拌した。その後、混合物をceliteパッドでフィルタにかけ、テトラヒドロフラン(50mL)で洗浄し、濾液を真空中で濃縮すると、標記化合物が白色固体(1.00g、3.49mmol、収率98%)として得られた。
【0102】
工程3:tert-ブチルN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-N-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]カルバメート(Int-11)
【0103】
tert-ブチルN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-N-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]カルバメート(Int-10、120mg、0.420mmol)をジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、HATU(148mg、0.630mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(163mg、1.26mmol)及び1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボン酸(103mg、0.420mmol)を添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した。その後、反応混合物を逆相クロマトグラフィー(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(100mg、0.190mmol、収率46%)として得られた。MS m/z(ESI):515.1 [M+H]+。
【0104】
工程4:2-[2-[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]ヒドラジノ]アセトアミド(Int-12)
【0105】
tert-ブチルN-(2-アミノ-2-オキソ-エチル)-N-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]カルバメート(Int-11、50mg、0.10mmol)をジクロロメタン(0.3mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(0.1mL)を添加した。混合物を25℃で1時間撹拌した。その後、反応混合物を真空中で濃縮すると、粗標記化合物が白色固体(40mg、0.10mmol、収率99%)として得られ、これをさらに精製することなく次の工程に使用した。MS m/z(ESI):415.1 [M+H]+。
【0106】
中間体18:2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化7】
【0107】
工程1:メチル(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボキシレート(Int-15)
【0108】
メチルL-プロリネート塩酸塩(1.34g、7.93mmol、Int-13)をジクロロメタン(25mL)に溶解し、溶液を0℃に冷却した(氷浴)。次いで、ピリジン(3.1g、3.2mL、39.6mmol)を添加し、引き続いて4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-スルホニルクロリド(2.69g、9.51mmol、Int-14)のジクロロメタン(25mL)中溶液を滴加した。黄色反応混合物を0℃~23℃で3時間攪拌した。その後、反応混合物を氷冷クエン酸水溶液(5%m/m、50mL)に注ぎ入れ、相分離後、水層をジクロロメタン(3×50mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、フィルタにかけ、濾液を真空中で濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、80g、n-ヘプタン/酢酸エチル、勾配100:0~20:80(v/v))によって精製すると、生成物含有画分の濃縮後、標記化合物が白色固体(2.55g、6.79mmol、収率86%)として得られた。MS m/z(ESI):376.1 [M+H]+。
【0109】
工程2:(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボン酸(Int-16)
【0110】
メチル((4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)スルホニル)-L-プロリネート(2.52g、6.71mmol、Int-15)をテトラヒドロフラン(20mL)、メタノール(5mL)及び水(10mL)の混合物に溶解した。水酸化リチウム一水和物(321mg、7.62mmol)を添加し、反応混合物を室温(23℃)で2時間撹拌した。混合物をクエン酸水溶液(5%m/m、pH3~4まで)の添加によってゆっくり酸性化し、酢酸エチル(2×20mL)で抽出し、合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮すると、標記化合物が白色固体(2.40g、6.64mmol、収率99%)として得られた。さらなる精製は行わない。MS m/z(ESI):362.1 [M+H]+。
【0111】
工程3:2-[2-[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]ヒドラジノ]アセトアミド(Int-17)
【0112】
((4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)スルホニル)-L-プロリン(100mg、277μmol、Int-16)及び1-ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(56.8mg、360μmol)のジクロロメタン(2mL)中懸濁液を0℃に冷却した(氷浴)。1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(70.4mg、360μmol)を添加し、撹拌を0℃で1時間続けた。次いで、エチルアミノグリシネート塩酸塩(85.6mg、553μmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(95mg、125μl、719μmol)を添加した。反応混合物を室温(23℃)に加温し、30分間撹拌した。その後、これを水(5mL)に注ぎ入れ、酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(20mL)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。粗物質をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、12g、n-ヘプタン/酢酸エチル、勾配100:0~0:100(v/v))によって精製すると、標記化合物が無色ガム(115mg、249μmol、収率90%)として得られた。MS(ESI)m/z:462.2[M+H]+。
【0113】
工程4:(S)-2-(2-(((4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)スルホニル)プロリル)ヒドラジンイル)アセトアミド(Int-18)
【0114】
エチル(S)-(1-((4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)スルホニル)ピロリジン-2-カルボキサミド)グリシネート(505mg、1.09mmol、Int-17)のジメチルホルムアミド(500μL)中溶液を0℃に冷却した(氷浴)。アンモニア(メタノール中7M、15.6mL、109mmol)を添加し、引き続いてシアン化ナトリウム(5.4mg、109μmol)を添加した。反応混合物を0℃で2時間及び室温(23℃)で15時間撹拌した。その後、反応混合物を真空中で濃縮し、水/ブライン(1:1v/v、10mL)に注ぎ入れ、ジクロロメタン/メタノール(9:1v/v、2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮すると、標記化合物が白色固体(454mg、1.05mmol、収率96%)として得られた。MS(ESI)m/z:433.2[M+H]+。
【実施例】
【0115】
実施例1
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2,2-ジフルオロ-2-フェニル-アセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化8】
【0116】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、206mg、0.840mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、2,2-ジフルオロ-2-フェニル酢酸(80mg、0.46mmol)、HBTU(211mg、0.56mmol)、及びN-メチルモルホリン(94mg、0.93mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Shim-pack C18 150*25*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル、10分以内で勾配76:24~56:44)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(30mg、0.07mmol、収率16%)として得られた。MS(ESI)m/z:401.2[M+H]+。
【0117】
実施例2
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(3-フェニルプロパノイル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化9】
【0118】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、50mg、0.20mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、3-フェニルプロピオン酸(30.5mg、0.20mmol)、HBTU(92mg、0.24mmol)及びN-メチルモルホリン(41mg、0.41mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル、11分以内で勾配81:19~51:49)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物を白色固体(13mg、0.03mmol、収率17%)として単離した。MS(ESI)m/z:379.1[M+H]+。
【0119】
実施例3
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(1-フェニルシクロブタンカルボニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化10】
【0120】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、84mg、0.34mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、1-フェニルシクロブタンカルボン酸(50mg、0.28mmol)、HATU(129mg、0.34mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.1mL、0.57mmol)を添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(22mg、0.05mmol、収率18%)として得られた。MS(ESI)m/z:405.2[M+H]+。
【0121】
実施例4
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロブタンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化11】
【0122】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、70mg、0.28mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、1-(4-クロロフェニル)-1-シクロブタンカルボン酸(50mg、0.24mmol)、HATU(108mg、0.28mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.04mL、0.24mmol)を添加した。混合物を25℃で12時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(23mg、0.05mmol、収率21%)として得られた。MS(ESI)m/z:461.2 [M+Na]+。
【0123】
実施例5
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2-フェニルアセチル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化12】
【0124】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、50mg、0.20mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、フェニル酢酸(28mg、0.20mmol)、HBTU(92mg、0.24mmol)及びN-メチルモルホリン(41mg、0.41mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル、勾配88:12~58:42)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物を白色固体(22mg、0.06mmol、収率30%)として単離した。MS(ESI)m/z:365.1[M+H]+。
【0125】
実施例6
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化13】
【0126】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、50mg、0.20mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、1-(4-クロロフェニル)シクロプロパンカルボン酸(48mg、0.24mmol)、HBTU(92mg、0.24mmol)及びN-メチルモルホリン(41mg、0.41mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル、10分以内で勾配73:27~43:57)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(18mg、0.04mmol、収率21%)として得られた。MS(ESI)m/z:425.0[M+H]+。
【0127】
実施例7
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(ベンゼンスルホニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化14】
【0128】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、50mg、0.20mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、ベンゼンスルホンクロリド(0.03mL、0.22mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.07mL、0.41mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(29mg、0.08mmol、収率37%)として得られた。MS(ESI)m/z:409.2 [M+Na]+。
【0129】
実施例8
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(1-フェニルシクロプロパンカルボニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化15】
【0130】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、50mg、0.20mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、1-フェニル-1-シクロプロパンカルボン酸(33mg、0.20mmol)、HBTU(92mg、0.24mmol)及びN-メチルモルホリン(41mg、0.41mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物を白色固体(23mg、0.06mmol、収率29%)として単離した。MS(ESI)m/z:413.3 [M+Na]+。
【0131】
実施例9
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-ベンジルスルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化16】
【0132】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、50mg、0.20mmol)をジメチルホルムアミド(1.5mL)に溶解し、α-トルエンスルホニルクロリド(0.03mL、0.22mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.07mL、0.41mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(32mg、0.08mmol、収率39%)として得られた。MS(ESI)m/z:423.2 [M+Na]+。
【0133】
実施例10
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-(2-フェニルエチルスルホニル)ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化17】
【0134】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、100mg、0.41mmol)をジメチルホルムアミド(1.0mL)に溶解し、2-フェニルエタンスルホニルクロリド(83mg、0.41mmol)、及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.14mL、0.81mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物を白色固体(40mg、0.10mmol、収率24%)として単離した。MS(ESI)m/z:415.2[M+H]+。
【0135】
実施例11
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-エチニルフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化18】
【0136】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、100mg、0.41mmol)をジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、1-(4-エチニルフェニル)シクロプロパンカルボン酸(75.6mg、0.41mmol)、HBTU(185mg、0.49mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.21mL、1.22mmol)を添加した。混合物を25℃で4時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(100mg、0.24mmol、収率59%)として得られた。MS(ESI)m/z:415.2[M+H]+。
【0137】
実施例12
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化19】
【0138】
2-(2-((1-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロプロパン-1-カルボニル)-L-プロリル)ヒドラジニル)アセトアミド(Int-12、35mg、84μmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、ピリジン(8.7mg、8.8μl、110μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2-フルオロアセチルクロリド(11mg、7.8μl、110μmol)を添加した。反応混合物を0℃で1時間攪拌した。その後、さらなる分のピリジン(8.7mg、8.8μl、110μmol)及び2-フルオロアセチルクロリド(11mg、7.8μl、110μmol)を添加し、撹拌を0℃で1時間続けた。次いで、これを真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(12g、酢酸エチル/n-ヘプタン、勾配0:100~100:0、次いでメタノール/酢酸エチル、勾配0:100~10:90)によって精製すると、標記化合物が白色固体(34mg、収率85%)として得られた。MS(ESI)m/z:475.2[M+H]+。
【0139】
実施例13
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化20】
【0140】
(S)-2-(2-(((4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)スルホニル)プロリル)ヒドラジンイル)アセトアミド(Int-18、50mg、116μmol)をジクロロメタン(1.5mL)に懸濁し、ピリジン(10.1mg、10.2μl、127μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2-フルオロアセチルクロリド(12.5mg、9.1μl、127μmol)のジクロロメタン(100μl)中溶液を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。その後、さらなる分のピリジン(10.1mg、10.2μl、127μmol)及び2-フルオロアセチルクロリド(12.5mg、9.1μl、127μmol)のジクロロメタン(100μl)中溶液を添加し、撹拌を0℃で30分間続けた。次いで、これをジクロロメタン(5mL)で希釈し、水(5mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(12g、酢酸エチル/n-ヘプタン、勾配0:100~100:0、次いでメタノール/酢酸エチル、勾配0:100~10:90)によって精製すると、生成物含有画分の濃縮後、標記化合物が白色固体(54mg、収率95%)として得られた。MS(ESI)m/z:493.2[M+H]+。
【0141】
実施例14
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-1-[1-(4-プロプ-2-インオキシフェニル)シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化21】
【0142】
2-[(2-フルオロアセチル)-[[(2S)-ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド(Int-7、228mg、0.92mmol)をジメチルホルムアミド(2mL)に溶解し、1-(4-プロプ-2-インオキシフェニル)シクロプロパンカルボン酸(100mg、0.46mmol)、HBTU(351mg、0.92mmol)及びN,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.24mL、1.39mmol)を添加した。混合物を20℃で2時間撹拌した。その後、これを分取HPLC(Phenomenex luna C18 150*25mm*10um、溶離液(水+0.225%ギ酸)/アセトニトリル、11分以内で勾配83:17~50:50)によって直接精製した。凍結乾燥後、標記化合物が白色固体(64mg、0.13mmol、収率30%)として得られた。MS(ESI)m/z:445.1[M+H]+。
【0143】
実施例15
2-[((2R)&(2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化22】
【0144】
(S)-2-(2-(((4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)スルホニル)プロリル)ヒドラジンイル)アセトアミド(Int-18、45mg、104μmol)をジクロロメタン(1.5mL)に懸濁し、ピリジン(9.0mg、9.2μl、114μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2-クロロ-2-フルオロアセチルクロリド(15.3mg、10.2μl、114μmol)のジクロロメタン(100μl)中溶液を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。その後、さらなる分のピリジン(9.0mg、9.2μl、114μmol)及び2-クロロ-2-フルオロアセチルクロリド(15.3mg、10.2μl、114μmol)のジクロロメタン(100μl)中溶液を添加し、撹拌を0℃で15分間続けた。次いで、これをジクロロメタン(5mL)で希釈し、水(5mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(12g、酢酸エチル/n-ヘプタン、勾配0:100~100:0、次いでメタノール/酢酸エチル、勾配0:100~10:90)によって精製すると、生成物含有画分の濃縮後、標記化合物が白色固体(35mg、収率64%)として得られた。MS(ESI)m/z:527.1[M+H]+。
【0145】
実施例16
2-[((2R)&(2S)-2-クロロ-2-フルオロ-アセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化23】
【0146】
2-(2-((1-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロプロパン-1-カルボニル)-L-プロリル)ヒドラジニル)アセトアミド(Int-12、100mg、241μmol)をジクロロメタン(2mL)に溶解し、ピリジン(24.8mg、25.2μl、314μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2-クロロ-2-フルオロアセチルクロリド(41.9mg、27.9μl、314μmol)を添加した。反応混合物を0℃で1時間攪拌した。その後、さらなる分のピリジン(24.8mg、25.2μl、314μmol)及び2-クロロ-2-フルオロアセチルクロリド(41.9mg、27.9μl、314μmol)を添加し、撹拌を0℃で1時間続けた。次いで、これを真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(25g、酢酸エチル/n-ヘプタン、勾配0:100~100:0、次いでメタノール/酢酸エチル、勾配0:100~10:90)によって精製すると、標記化合物が白色固体(133mg、収率99%)として得られた。MS(ESI)m/z:507.2 [M-H]-。
【0147】
実施例17
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[4-(4-メトキシフェニル)フェニル]スルホニルピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化24】
【0148】
(S)-2-(2-(((4’-メトキシ-[1,1’-ビフェニル]-4-イル)スルホニル)プロリル)ヒドラジンイル)アセトアミド(Int-18、50mg、116μmol)をジクロロメタン(1.5mL)に懸濁し、ピリジン(10.1mg、10.2μl、127μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2-クロロアセチルクロリド(14.5mg、10.2μl、127μmol)のジクロロメタン(100μl)中溶液を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。次いで、これをジクロロメタン(5mL)で希釈し、水(5mL)で洗浄し、有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空中で濃縮した。残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(12g、酢酸エチル/n-ヘプタン、勾配0:100~100:0、次いでメタノール/酢酸エチル、勾配0:100~20:80)によって精製すると、生成物含有画分の濃縮後、標記化合物が白色固体(55mg、収率91%)として得られた。MS(ESI)m/z:509.1[M+H]+。
【0149】
実施例18
2-[(2-クロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化25】
【0150】
2-(2-((1-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロプロパン-1-カルボニル)-L-プロリル)ヒドラジニル)アセトアミド(Int-12、35mg、84μmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、ピリジン(8.7mg、8.8μl、110μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2-クロロアセチルクロリド(12.7mg、8.9μl、110μmol)のジクロロメタン(80μL)中溶液を添加した。反応混合物を0℃で30分間攪拌した。その後、さらなる分のピリジン(8.7mg、8.8μl、110μmol)及び2-クロロアセチルクロリド(12.7mg、8.9μl、110μmol)のジクロロメタン(80μL)中溶液を添加し、撹拌を0℃で30分間続けた。次いで、これを真空中で濃縮し、残渣をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(12g、酢酸エチル/n-ヘプタン、勾配0:100~100:0、次いでメタノール/酢酸エチル、勾配0:100~10:90)によって精製すると、標記化合物が白色固体(36mg、収率87%)として得られた。MS(ESI)m/z:491.2[M+H]+。
【0151】
実施例19
2-[(2,2-ジクロロアセチル)-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化26】
【0152】
2-(2-((1-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロプロパン-1-カルボニル)-L-プロリル)ヒドラジニル)アセトアミド(Int-12、25mg、60μmol)をジクロロメタン(1.2mL)に溶解し、ピリジン(7.2mg、7.3μl、90μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2,2-ジクロロアセチルクロリド(13.3mg、90μmol)を添加した。反応混合物を0℃で3時間撹拌した。次いで、これを真空中で濃縮し、残渣を分取HPLC(YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm、アセトニトリル/水+0.1%トリエチルアミン、勾配20:80~98:2)によって精製すると、標記化合物が白色固体(12mg、収率37%)として得られた。MS(ESI)m/z:525.3[M+H]+。
【0153】
実施例20
2-[(2R)&(2S)-2-クロロプロパノイル-[[(2S)-1-[1-[4-(トリフルオロメトキシ)フェニル]シクロプロパンカルボニル]ピロリジン-2-カルボニル]アミノ]アミノ]アセトアミド
【化27】
【0154】
2-(2-((1-(4-(トリフルオロメトキシ)フェニル)シクロプロパン-1-カルボニル)-L-プロリル)ヒドラジニル)アセトアミド(Int-12、40mg、97μmol)をジクロロメタン(1mL)に溶解し、ピリジン(13.1mg、13.3μl、166μmol)を添加した。溶液を0℃に冷却し(氷浴)、2-クロロプロピオニルクロリド(18.4mg、14.4μl、145μmol)を添加した。反応混合物を0℃で1.5時間撹拌した。次いで、これを真空中で濃縮し、残渣を分取HPLC(YMC-Triart C18、12nm、5μm、100×30mm、アセトニトリル/水+0.1%トリエチルアミン、勾配20:80~98:2)によって精製すると、標記化合物が白色固体(17mg、収率35%)として得られた。MS(ESI)m/z:505.3[M+H]+。
【0155】
AEP活性酵素アッセイ手順:
このアッセイは、蛍光発生基質、Z-Ala-Ala-Asn-Rh110-(D-Pro)(Biosyntan、ベルリン、Ord.Nr.80773)を使用し、これはレグマインによって切断されると蛍光を発し、492nm、発光530nmで励起されると監視することができる。アッセイ測定の前に、レグマイン(社内、構築物名:hLGMN(V18-Y433)_VD-8xHis-S2-r)を、活性化緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、100mM NaCl、pH4.0)で1.1mg/mlから0.1mg/mlに希釈し(11倍)、37℃で2時間インキュベートすることによって活性化する。活性化酵素溶液ストックを-80℃で保管する。測定のために、その後、以下の溶液を384ウェルマイクロプレート(Corning384未処理、黒色/透明、カタログ番号:3540)に分注する。陰性対照として8.5uLのアッセイ緩衝液(20mMクエン酸、60mM Na2HPO4、1mM EDTA、0.1% CHAPS、pH5.8、0.5mM TCEP(新たに添加))又は8.5uLの活性化酵素溶液(アッセイ緩衝液(20mMクエン酸、60mM Na2HPO4、1mM EDTA、0.1% CHAPS、pH5.8、0.5mM TCEP(新たに添加))中0.5nMレグマイン(最終))及び1.5uLの事前希釈化合物溶液(100uMから0.1nM、水中1%DMSO(最終))。25℃で30分間インキュベートした後、アッセイ緩衝液(20mMクエン酸、60mM Na2HPO4、1mM EDTA、0.1% CHAPS、pH5.8、0.5mM TCEP(新たに添加))中5uLの基質溶液(0.5uM Z-Ala-Ala-Asn-Rh110-(D-Pro)(最終))を添加し、蛍光を、例えばPHERAstar又はSpectramax機器をキネティックモードで使用して、励起490nm及び発光530nmで、プレートリーダーで測定する(最初の30分間を分析する)。
【0156】
AEP活性酵素アッセイの結果を、表1に式Iの化合物に対して提供する。
【表1】
【0157】
実施例A
式Iの化合物は、以下の組成の錠剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用され得る:
錠剤あたり
有効成分 200mg
微結晶セルロース 155mg
コーンスターチ 25mg
タルク 25mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 20mg
425mg
【0158】
実施例B
式Iの化合物は、以下の組成のカプセル剤を生産するために、有効成分として、それ自体公知の様式で使用され得る:
カプセルあたり
有効成分 100.0mg
コーンスターチ 20.0mg
ラクトース 95.0mg
タルク 4.5mg
ステアリン酸マグネシウム 0.5mg
220.0mg
【国際調査報告】