(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】インバータの動作方法及びインバータ
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240705BHJP
【FI】
H02M7/48 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505014
(86)(22)【出願日】2022-07-06
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2022068782
(87)【国際公開番号】W WO2023006370
(87)【国際公開日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】102021119899.2
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】シュティッケルマン,ウーヴェ
(72)【発明者】
【氏名】アンル,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770BA11
5H770CA01
5H770CA04
5H770CA05
5H770CA06
5H770DA01
5H770DA03
5H770DA22
5H770DA30
5H770DA33
5H770DA34
5H770DA44
5H770JA10X
5H770JA11Y
5H770JA13Y
5H770JA17Y
5H770KA01Y
(57)【要約】
本発明は、DC入力およびAC出力を備えたインバータ(100)を動作させる方法に関する。DC入力はDC電源(10)に接続でき、ブリッジ回路(110)のブリッジ分岐(125)はパワーチョーク(L1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、 L3ac_a、L3ac_b)、AC出力は、遮断スイッチ(GR)を介してACグリッド(20、30)に接続することができ、インバータ(100)は、ACグリッド(20、30)に電力を供給するように設計されている。本方法は、遮断スイッチ(GR)を開くステップと、ブリッジ回路(110)の少なくとも2つのブリッジ分岐(125)の半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)を制御するステップとを有しており、前記ブリッジ分岐は、DC入力に接続されたDC電源(10)が負荷されるように、AC側で少なくとも1つのパワーチョーク(L1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、L3ac_a、L3ac_b)の後方に接続されている。AC側の少なくとも2つのブリッジ分岐(125)のうちの少なくとも1つから流出する電流の総和は、AC側の少なくとも2つのブリッジ分岐(125)のうちの少なくとも1つの他のブリッジ分岐に流入する電流の総和に相当する。本発明はさらに、インバータに関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC入力およびAC出力を備えたインバータ(100)を動作させるための方法であって、
前記DC入力はDC電源(10)に接続することができ、ブリッジ回路(110)のブリッジ分岐(125)は、パワーチョーク(L1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、L3ac_a、L3ac_b)を介して前記DC電源(10)に接続され、前記AC出力は遮断スイッチ(GR)を介してACグリッド(20、30)に接続でき、前記インバータ(100)は、
-前記遮断スイッチ(GR)を開くステップと、
-前記ブリッジ回路(110)の少なくとも2つのブリッジ分岐(125)の半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)を制御するステップであって、前記ブリッジ分岐は、前記DC入力に接続されたDC電源(10)が負荷されるように、前記AC側の少なくとも1つのパワーチョーク(L1ac,L1ac_a,L1ac_b,L2ac,L2ac_a,L2ac_b,L3ac,L3ac_a,L3ac_b)の後方に接続されている、ステップと、
から成るステップで、前記ACグリッド(20、30)に電力を供給するように設計されており、
前記AC側で前記少なくとも2つのブリッジ分岐(125)のうちの少なくとも1つから流出する電流の総和は、前記AC側で前記少なくとも2つのブリッジ分岐(125)のうちの少なくとも1つの他のブリッジ分岐に流入する電流の総和に相当することを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記インバータ(100)は、単相または多相のACグリッド(20、30)に電力を供給するように設計されており、
前記インバータ(100)は、各相に対して、少なくとも1つのパワーチョーク(L1ac_a、L1ac_b、L2ac_a、L2ac_b、L3ac_a、L3ac_b)のAC側下流に接続される少なくとも2つの並列のブリッジ分岐(125)を有し、
前記ブリッジ分岐(125)の半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)は、前記DC入力に接続された前記DC電源(10)に負荷がかかるように制御され、
前記ブリッジ分岐(125)は、特に、インターリーブモードでの動作のために設計されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記少なくとも1つのパワーチョーク(L1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、L3ac_a、L3ac_b)の下流にある前記ブリッジ回路(110)の前記少なくとも2つのブリッジ分岐(125)の前記AC側の接続は、リレー(R)を閉じることによって実行されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
前記インバータ(100)は三相ACグリッド(20)に電力を供給するように設計されており、
前記インバータ(100)は各相に対して少なくとも1つのブリッジ分岐(125)を有しており、
第1相からの第1のブリッジ分岐(125)及び第2相からの第2のブリッジ分岐(125)は、前記少なくとも1つのパワーチョーク(L1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、L3ac_a、L3ac_b)のAC側下流で互いに接続され、
前記半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)は、前記第1のブリッジ分岐(125)から流出する電流が前記第2のブリッジ分岐(125)に流入するように制御されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の方法において、
前記インバータ(100)は三相ACグリッド(20)に電力を供給するように設計されており、
前記インバータ(100)は各相に対して少なくとも1つのブリッジ分岐(125)を有しており、
3つのブリッジ分岐(125)は、前記少なくとも1つのパワーチョーク(L1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、L3ac_a、L3ac_b)のAC側下流で互いに接続され、
前記半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)は、1つの相の少なくとも1つのブリッジ分岐(125)から流出する電流が分割され、他の2つの相のそれぞれの少なくとも1つのブリッジ分岐(125)に流入するように、又は、2つの相のそれぞれの少なくとも1つのブリッジ分岐(125)から流出する電流が、第3相の少なくとも1つのブリッジ分岐(125)に合わさって流入するように、制御されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の方法において、前記インバータ(100)は、単相のACグリッド(30)に電力を供給するように設計されることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法において、
前記DC入力に接続された前記DC電源(10)に負荷をかけるための半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)は、前記インバータ(100)が前記AC出力の電圧がゼロである電圧制御動作で動作するような方法で制御されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の方法において、
前記DC入力に接続された前記DC電源(10)の負荷の程度は、前記半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)の制御によって調整可能であることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項4または5に従属する、請求項4、5、7または8のいずれか一項に記載の方法において、前記ブリッジ回路(110)は、B6ブリッジ回路であることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項6に従属する、請求項6、7または8に記載の方法において、
前記ブリッジ回路(110)は、H4ブリッジ回路又はH5ブリッジ回路であることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~8のいずれか一項に記載の方法において、
前記ブリッジ分岐(125)はそれぞれ、TNPC、INPC、またはANPCトポロジを有することを特徴とする方法。
【請求項12】
DC入力およびAC出力と、制御可能な半導体スイッチ(T1、T2、T3、T4、T5、T6)を備えたブリッジ回路(110)と、を備えたインバータ(100)であって、 前記DC入力をDC電源(10)に接続でき、前記ブリッジ回路(110)のブリッジ分岐(125)は、パワーチョーク(L1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、L3ac_a、L3ac_b)を介して前記AC出力に接続され、前記AC出力は遮断スイッチ(GR)を介してACグリッド(20、30)に接続でき、前記インバータ(100)は、前記ACグリッド(20、30)に電力を供給するように設計されており、
前記インバータ(100)は、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法を実行するように設計および構成された制御ユニット(150)を有することを特徴とするインバータ。
【請求項13】
前記DC入力に接続されたDC電源(10)を放電するための、請求項12に記載の前記インバータ(100)の使用。
【請求項14】
前記DC入力に接続されたDC電源(10)の電力利用可能性を決定するための、請求項12に記載の前記インバータ(100)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、DC入力及びAC出力を備えたインバータを動作させる方法、並びにインバータ及びその使用に関する。このインバータは、太陽光発電やその他の特定のDC電圧源をACグリッドに接続するために使用できる。
【背景技術】
【0002】
状況によっては、インバータを動作させるときに、インバータがACグリッドに電力を供給するDC電源を負荷する必要がある。ACグリッドという用語は、例えば、交流電流グリッドまたは交流電圧グリッドを指すために使用される。DCという用語は、直流電流または直流電圧を指すのに使用でき、それに応じて、DC電源は直流電流源または直流電圧源を指す。
【0003】
一例として、ACグリッドの障害またはシステムの制御されたシャットダウンが発生した場合に、特定の時間内に、例えば水素燃料電池やPV(太陽光発電)システムの入力中間回路といった、DC電源を放電する必要がある。この目的のために、放電のためにDC電源の出力側に抵抗を接続できる。これらの抵抗器は、燃料電池または中間回路からの残留エネルギを熱に変換する。通常、残留エネルギが非常に高いため、抵抗器は大量のエネルギを変換できなければならず、そのため非常に大型で高価になる。特に、これらの抵抗器は追加のコンポーネントを表しており、システム全体の制御と動作がより複雑になることを意味する。
【0004】
PVインバータは通常、PV発電機のDC電圧が十分に高く、インバータがACグリッドに接続されるとすぐに朝に起動する。DC電圧が十分に高いにもかかわらず、日射量が非常に低いため、AC側の系統接続によりDC電圧がすぐに再び低下し、AC系統が即座に切断される場合には問題がある。この連続的なスイッチング動作は、通常、一定数のスイッチングサイクルのみを想定して設計されているため、系統切断ポイントの耐用年数に悪影響を及ぼす。この時点で、十分なDC電圧だけでなく十分なDC電力も利用できる場合にのみACグリッド接続を開始するのが合理的である。十分な電力がまだ利用できない場合、同じ問題が風力発電機でも発生する可能性がある。
【0005】
インバータブリッジの上流にDC/DCコンバータを有する2段インバータトポロジーでは、DC電源の利用可能な電力は、DC電源を負荷し、2段インバータの中間回路を特定の電位に充電することによって決定できる。充電プロセスのエネルギ量を使用して、DC電源の電力利用可能性について直接結論を導き出すことができる。
【0006】
単段トポロジでは、DC電源のDC電圧が主に指標として使用される。しかしながらこの場合、定格電流に関する情報が欠落しているため、このインジケーターは信頼できない可能性がある。
【0007】
これに基づいて、本出願の1つの目的は、インバータに接続可能なDC電源を負荷するための改良された方法および改良されたインバータを提供することである。
【発明の概要】
【0008】
この目的は、独立請求項1の特徴を備えた方法によって達成される。この目的は、独立請求項12の特徴を備えたインバータによって、また請求項13および14に記載のインバータの使用によってさらに達成される。この方法の有利な実施形態は、従属請求項に記載されている。
【0009】
インバータは、DC電源に接続するためのDC入力と、遮断スイッチを介してACグリッドに接続するためのAC出力とを有し、ブリッジ回路のブリッジ分岐がパワーチョークを介してAC出力に接続される。AC出力は、遮断スイッチを介してACグリッドに接続され、遮断スイッチを介してACグリッドから切断され得る。このインバータは、DC電源から供給される電力をACグリッドに供給するように設計されている。インバータを動作させる方法は以下の手順を有する。
a)遮断スイッチを開くステップ、
b)ブリッジ回路の少なくとも2つのブリッジ分岐の半導体スイッチを制御するステップであって、前記ブリッジ分岐は、DC入力に接続されたDC電源が負荷されるように、AC側の少なくとも1つのパワーチョークの後方に接続される、ステップ。
【0010】
AC側で少なくとも2つのブリッジ分岐のうちの少なくとも1つから流出する電流の総和は、AC側で少なくとも2つのブリッジ分岐のうちの少なくとも1つの他のブリッジ分岐に流入する電流の総和に相当する。これは、AC側でブリッジ分岐から流出する電流の合計が、AC側でブリッジ分岐に流入する電流の総和に相当することを意味する。
【0011】
したがって、結果として生じる変換損失によりDC側を放電するために、インバータの2つ以上のブリッジ分岐間でエネルギを変換することができる。このようなインバータおよびそのように動作するインバータは、インバータがACグリッドに電力を供給できるDC電源の負荷を可能にする。追加の抵抗部品を使用せずに負荷を適用できる。これにより、よりシンプルでコスト効率の高いインバータ設計が可能になる。さらに、この状況では、ACグリッドに電力を供給する必要がなく、インバータがACグリッドに電力を供給できるDC電源を選択的に負荷することができる。DC電源は、DC電源から電力を引き出し、インバータ内で消費することで負荷がかかる。追加の部品やACグリッドへの給電、および/またはAC出力に接続できる他の部品によって電力を消費する必要はない。この目的のために、ブリッジ回路の効率が例えば98%の場合にインバータの公称電力の約2%程度になるインバータのスイッチング損失が、AC側の負荷やシンクを接続することなく自己消費を実現するために使用される。しかしながら、例えばファンといったシステム内の他の既存のコンシューマを操作することは可能である。インバータの公称電力が100kWの場合、放電電力は2kWになる。この値は、例えば2kWの抵抗器を使用してDC電圧源を放電する場合に比べて、大きな利点となる。
【0012】
これは、ACグリッドに障害が発生した場合に水素燃料電池またはPVシステムの適用の形で、または、水素燃料電池システムまたはPVシステムの制御された停止の適用の形で、例えば、DC側の電荷蓄積システムの急速放電に使用することができる。
【0013】
少なくとも1つのパワーチョークの下流にあるブリッジ回路の少なくとも2つのブリッジ分岐のAC側の接続は、例えば、ステップb)の前にリレーを閉じることによって行うことができる。少なくとも1つのパワーチョークの下流のブリッジ回路の少なくとも2つのブリッジ分岐のAC側の接続がすでに存在しており、このためにリレーを設ける必要がないことも可能である。グリッドから切断された後にこの方法を実行するには、通常、リレーなどのスイッチングデバイスを介してブリッジ分岐の接続を確立する必要がある。各相に2つ以上の並列のブリッジ分岐を有し、例えばインターリーブモードで動作するインバータでは、並列ブリッジ分岐の少なくとも1つのパワーチョークの下流側のブリッジ分岐の接続がすでに存在しており、追加のリレーを使用せずにこれらの並列ブリッジ分岐を使用して本方法を実行できる。それにもかかわらず、この場合、相ごとに2つ以上の並列ブリッジ分岐の1つを、代替的にリレーを介して他の相のブリッジ分岐に接続することもできる。
【0014】
一実施形態では、例えば、各相にブリッジ分岐を有する三相インバータにおいて、一方のブリッジ分岐から流出する電流が、もう一方のブリッジ分岐に流入するように、例えば2つのブリッジ分岐を互いに接続することができる。
【0015】
しかしながら、一実施形態では、例えば三相インバータの3つのブリッジ分岐すべてを、例えば、一方のブリッジ分岐から流れ出る電流が分割されて他方のブリッジ分岐に流れるように、または、2つのブリッジ分岐から流出する電流が合わせて第3のブリッジ分岐に流入するように、相互に接続することができる。
【0016】
この方法の一実施形態では、DC入力に接続されたDC電源に負荷をかけるための半導体スイッチは、インバータがAC出力の電圧がゼロになる電圧制御動作で動作するように制御される。このような実施形態では、特に三相システムの三相すべてのブリッジ分岐を接続する場合、半導体スイッチの制御は通常の供給動作と同じ方法で行うことができ、インバータの調整だけが、電圧制御動作において、ブリッジ分岐の接続により存在する短絡に対応する出力電圧の公称値ゼロに調整しなければならない。3相インバータを2相接続し、出力電圧ゼロの電圧制御運転を行う場合、三相インバータの通常動作で発生する120°の位相シフトの代わりに、追加的に電流間の180°の位相シフトをこの方法において設定する必要がある。
【0017】
三相インバータ用のブリッジ回路は、例えばB6ブリッジ回路とすることができる。
【0018】
例えば、合計2つのブリッジ分岐を有するH4ブリッジ回路またはH5ブリッジ回路を備えた単相インバータを備えた一実施形態では、これらの2つのブリッジ分岐を互いに接続することができる。
【0019】
単相システムにおいても、インバータがAC出力の電圧がゼロの電圧制御動作で動作するような方法で、DC入力に接続されたDC電源を負荷するための半導体スイッチの制御を行うことができる。
【0020】
三相インバータもしくは単相インバータのブリッジ分岐を2つだけ接続する場合、あるいは1相の並列ブリッジ分岐を2つだけ接続する場合、ブリッジ分岐の半導体スイッチは、DC/DCコンバータとして動作するようにそれぞれ制御できる。2つのブリッジ分岐間のDC電圧差によって、ブリッジ分岐間の接続を流れる電流が決まる。
【0021】
この方法の一実施形態では、DC入力に接続できるDC電源の負荷の程度は、半導体スイッチの制御によって調整できる。特に、負荷の程度は、この方法に半導体スイッチが使用されるブリッジ分岐を選択することによって調整できる。例えば、接続されたブリッジ分岐間の電圧差を介して2つのブリッジ分岐をDC/DCコンバータとして動作させるときに流れる電流を調整することにより、負荷の調整が可能になる。これは、例えばV(I,t)電圧特性を記録することにより、燃料電池を監視するためにも使用できる。
【0022】
ブリッジ分岐をDC/DCコンバータとして制御することは、3つ以上の接続されたブリッジ分岐でも可能である。
【0023】
この方法の適用に関して、インバータブリッジのトポロジは、上述のB6、H4、またはH5回路に限定されず、少なくとも2つのブリッジ分岐を有する任意のトポロジを含み得る。ブリッジ分岐は、ハーフブリッジの代わりに、たとえば、INPCとしても知られるNPC、TNPCとしても知られるBSNPC、またはANPCトポロジを有し得る。
【0024】
インバータは、DC入力およびAC出力と、制御可能な半導体スイッチを備えたブリッジ回路とを有する。DC入力はDC電源に接続でき、ブリッジ回路はパワーチョークを介してAC出力に接続される。AC出力は遮断スイッチを介してACグリッドに接続でき、インバータはDC電源から供給される電力をACグリッドに供給するように設計されている。インバータはさらに、前述の方法を実行するように設計および構成された制御ユニットを有する。この目的のために、制御ユニットは、例えば、メモリおよびプロセッサを備えた計算ユニットとして設計され、方法ステップに対応する命令がプロセッサ上で実行され得る。
【0025】
このようなインバータは、例えば、DC入力に接続されたDC電源を放電するために使用することができる。放電は、半導体スイッチの最大電力損失までの放電電力で行うことができる。
【0026】
このようなインバータは、例えば、DC入力に接続されたDC電源の電力利用可能性を決定するために使用することもできる。
【0027】
DC電源のDC側電力利用可能性を判定する適用の場合、例えば、インバータの最大電力損失までの短期負荷をDC電源に適用することができ、判定された電流値と電圧値からDC電源の負荷容量を判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
本出願の発明は、図を用いて以下でより詳細に説明される。
【
図1】
図1は、インバータの動作方法を概略的に示す
【
図2】
図2は、DC電源およびACグリッドを備えたインバータ、並びに相分岐の例示的な実施形態を概略的に示す
【
図3】
図3は、半導体スイッチを備えたブリッジ分岐の例示的な実施形態を示す。
【
図4】
図4は、三相ブリッジ回路の例示的な実施形態を示す。
【
図5】
図5は、三相ブリッジ回路の例示的な実施形態を示す。
【
図6】
図6は、三相ブリッジ回路の例示的な実施形態を示す。
【
図7】
図7は、三相ブリッジ回路の例示的な実施形態を示す。
【
図8】
図8は、三相ブリッジ回路の例示的な実施形態を示す。
【
図9】
図9は、
図8の2つのブリッジ分岐の動作を概略的に示す。
【
図10】
図10は、単相ブリッジ回路の例示的な実施形態を示す。
【
図11】
図11は、単相ブリッジ回路の例示的な実施形態を示す。
【0029】
各図において、同一または類似の要素は同じ参照符号で示されている。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、インバータ100を動作させる方法を示す。インバータ100は、単相または多相、例えば二相または三相として設計することができ、単相、二相、または三相のACグリッドに適宜接続できる。この方法は以下のステップを有する。
a)インバータをACグリッドに接続する遮断スイッチが開く。
b)ブリッジ回路110の少なくとも2つのブリッジ分岐125の半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6は、インバータ100のDC入力に接続されたDC電源10が負荷されるように制御される。
【0031】
少なくとも2つのブリッジ分岐125は、少なくとも1つのパワーチョークL1ac、L1ac_a、L1ac_b、L2ac、L2ac_a、L2ac_b、L3ac、L3ac_a、L3ac_bのAC側下流に接続される。したがって、AC側の少なくとも2つのブリッジ分岐125のうちの少なくとも1つから流出する電流の総和が、AC側の少なくとも2つのブリッジ分岐125のうちの少なくとも1つの他のブリッジ分岐に流れる電流の総和に相当するように、半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6を制御できる。これは、AC側のブリッジ分岐125から流出する電流の総和が、AC側のブリッジ分岐125に流入する電流の総和に相当することを意味する。
【0032】
図2は、
図1の方法のために構成されたそのようなインバータ100を示す。インバータ100はDC入力とAC出力を有し、DC入力はDC電源10に接続され、ブリッジ回路110の3相分岐120、130はAC出力に接続される。AC出力は三相ACグリッド20に接続され、インバータ100は、DC電源10によって供給される電力をACグリッド20に供給するように設計されている。インバータ100は、ACグリッド20の相ごとに1つの相分岐120、130を有する。
【0033】
各相分岐120、130は、ブリッジ分岐125と、インダクタやコンデンサなどの受動部品とを有する。AC出力に接続するために、各相分岐120、130は、1つまたは複数のパワーチョークL1ac、L1ac_a、L1ac_bと、DC電源10の中心電位Mまたは負の電位DC-に接続するためのコンデンサC1acとを有する。相分岐120、130は、モノリシック相分岐120として、またはいくつかの並列相分岐125、ここでは例えば2つの並列相分岐125を備えた相分岐130として設計することができる。並列相分岐125は、好ましくは、ブリッジ分岐125の半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6が互いにオフセットしてクロック制御されるインターリーブ方法を使用して動作される。
【0034】
さらに、インバータ100は、ブリッジ分岐125の半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6を制御するための制御ユニット150を備える。
【0035】
インバータ100のDC側に追加のDC/DCコンバータを統合することが可能である。例えば、IGBTまたはMOSFETとして設計されたSiまたはSiC部品を、半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6の電力半導体として選択することができる。この方法は、例えば、3レベルの3L、2レベルの2L、またはマルチレベルのトポロジに使用することができるが、これらに限定されない。
【0036】
一例として、
図3は、ブリッジ分岐125の可能なトポロジを示している。図示されているのは、代替的にBSNPCトポロジとも称されるTNPCトポロジ、代替的に(標準)NPCトポロジとも称されるINPCトポロジ、ANPCトポロジ、さらには、例えばB6、H4、またはH5回路で使用されるハーフブリッジHBの半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6の配置である。
【0037】
図4は、リレーRが相を相互に接続するモノリシック相分岐120を有する三相ブリッジ回路110を示す。インバータ100をACグリッド20から切り離すための遮断スイッチGRは開いている。各相分岐120は、ブリッジ分岐125と、パワーチョークL1ac、L2ac、L3acおよびコンデンサC1ac、C2ac、C3acなどの受動部品とを有し、ブリッジ分岐125は、パワーチョークL1ac、L2ac、L3acを介してAC出力に接続される。AC出力の各相は、遮断スイッチGRを介してACグリッド20に接続され得る。
【0038】
可能なエネルギフロー140は、DC電源10に負荷をかけるための損失発生の潜在的な経路を表す。負荷の流れ140は、リレーRの1つを介して発生し、この例では、相1と相2の間に示されている。
【0039】
本実施形態では、インバータ100の2相のAC側短絡を適用する。この目的のために、2つのAC相はパワーチョークL1ac、L2acの後方でリレーRを介して短絡され、半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6は、例えば、システムがDC/DCコンバータ動作で動作するように、制御される。代替的に、180°位相がずれた2つのAC信号が生成され、AC出力の電圧がゼロに調整されるように、半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6を制御することもできる。
【0040】
図5は、インターリーブトポロジにおける相分岐130を有する三相ブリッジ回路110を示す。遮断スイッチGRは、インバータ100をACグリッド20から切り離すために開いている。相分岐130の各相は、並列するサブ相1a、相1b、相2a、相2b、相3a、相3bを有する。各サブ相は、パワーチョークL1ac_a、L1ac_b、L2ac_a、L2ac_b、L3ac_a、L3ac_bおよびコンデンサC1ac、C2ac、C3acといった、それぞれのブリッジ分岐125と受動部品を備えており、ブリッジ分岐125はパワーチョークL1ac_a、L1ac_b、L2ac_a、L2ac_b、L3ac_a、L3ac_bを介してAC出力に接続される。AC出力の各相は、遮断スイッチGRを介してACグリッド20に接続することができる。
【0041】
リレーRは、
図5の三相ブリッジ回路110において任意に使用することができる。しかしながら、この方法は、リレーRを使用せずにここで実施することもできる。可能なエネルギフロー140は、DC電源10に負荷をかけるための損失発生の潜在的な経路を表す。図示の例では、負荷の流れ140はリレーRなしで発生する。負荷の流れ140は、例えば、サブ相1aとサブ相1bの接続点を介して直接発生し得る。
【0042】
代替的に、例えば相1と相2との間の任意選択のリレーRを介した、
図4に示すような可能なエネルギフロー140も、
図5による三相ブリッジ回路110において可能である。
【0043】
図6は、モノリシック相分岐120を有する三相ブリッジ回路110を備えた実施形態を示しており、3相すべてが2つのリレーRを介して接続されている。ブリッジ分岐125内の半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6の制御は、電力がAC側短絡回路に供給され、エネルギフロー140が可能になるように実行される。
【0044】
本実施形態では、インバータ100の3相のAC側短絡を適用する。この目的のために、3つのAC相はリレーRを介してパワーチョークL1ac、L2ac、L3acの後方で短絡され、システムが短絡に同期するように半導体スイッチが制御される。代替的に、ブリッジ分岐をDC/DCコンバータとして動作させることもできる。
【0045】
図7は、インターリーブ相分岐130を備えた三相ブリッジ回路110の実施形態を示しており、3相の全て、したがってサブ相も2つのリレーRを介して接続されている。ブリッジ分岐125内の半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6の制御は、電力がAC側短絡回路に供給され、エネルギフロー140が可能になるように実行される。代替的に、ここでもブリッジ分岐をDC/DCコンバータとして動作させることができる。
【0046】
図8は、インターリーブ相分岐130を備えた三相ブリッジ回路110の実施形態を示す。三相インバータ100は、例えばインターリーブにおけるANPCトポロジにおいて、2つのそれぞれのサブ相を有する。ブリッジ分岐125は、例えばANPCトポロジで設計され、この例示的な実施形態では相間にリレーRは提供されない。したがって、インバータ100は、3つの相のそれぞれに対して2つのブリッジ分岐を有し、それらはAC側とDC側の両方で並列に接続される。任意選択で、インバータ100は、相当たりさらに多くのサブ相を有し得る。
【0047】
ACグリッド20は、遮断スイッチGRを介してインバータ100から切断することができる。
【0048】
図8のインバータ100を動作させる方法は、例えば以下のステップを有している。
a)遮断スイッチGRを開いてインバータ100をACグリッド20から切り離す。その結果、サブ相1aと1b、サブ相2aと2b、サブ相3aと3bが互いに並列に接続される。
b)相のAC側の動作方法をAC電流制御からDC電流制御または電圧制御に切り替える。ブリッジ分岐125の半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5、T6が、パワーチョークL1ac_a、L1ac_b、L2ac_a、L2ac_b、L3ac_a、L3ac_bおよびコンデンサC1ac、C2ac、C3acに接続されたブリッジ分岐125がDC/DCコンバータの機能を果たす(
図9)ような方法で、制御される。
【0049】
図9は、これを相1aおよび1bに基づいて例示的に示している。電力損失の調整、したがって安全で信頼性の高いACグリッド接続および/またはDC電源の所望の放電電力のための所望のDC電力の特定も、2つのDC/DCコンバータの出力電圧の公称値として設定された電圧Vc1とVc2の差から生じる電流Iを介して実行できる。
【0050】
図10は、単相インバータ100のH4トポロジにおけるブリッジ回路110を示す。H4トポロジの相分岐120は、三相B6ブリッジ回路の相分岐120と同じである。ブリッジ分岐125は、ハーフブリッジとして設計され、パワーチョークL1acおよびL2acを介してAC出力に接続され、AC出力は、遮断スイッチGRを介してACグリッド30に接続することができる。相分岐120は、この方法を実行するために、特に自己消費を達成するために、リレーRを介して接続することができる。
【0051】
図10の下部には、この方法を実行するための、特に自己消費を達成するための負荷の流れ140が、2つの相を接続するリレーRを備えた単相H4トポロジの例として、示されている。遮断スイッチGRは開いており、リレーRを介してハーフブリッジT1/T2とT3/T4の間で負荷の流れ140を実現できる。ブリッジ分岐125の半導体スイッチT1、T2、T3、T4の制御は、
図4、
図8及び
図9の制御と同様に、パワーチョークL1acおよびL2acに関連してブリッジ分岐125を動作させることによって実行される。コンデンサC1acおよびC2acはDC/DCコンバータとして、あるいはブリッジ分岐125をインバータブリッジとして動作させることによって、その出力電圧は既存の短絡に従ってゼロに調整される。
【0052】
図11は、2つの相を接続するためのリレーRを備えた単相H5トポロジについて、特に自己消費を達成するための方法を実行するための負荷の流れ140の例を示す。遮断スイッチGRは開いており、リレーRを介してハーフブリッジT1/T2とT3/T4の間で負荷の流れ140を実現できる。ブリッジ分岐125の半導体スイッチT1、T2、T3、T4、T5の制御は、
図4、
図8及び
図9の制御と同様に、パワーチョークL1acおよびL2acおよびコンデンサC1acおよびC2acと接続してブリッジ分岐125をDC/DCコンバータとして動作させることによって、または、ブリッジ分岐125を、既存の短絡に従って出力電圧がゼロに調整されるインバータブリッジとして動作させることによって、ここで実行される。
【0053】
符号の一覧
10 DC電源
20 ACグリッド、多相
30 ACグリッド、単相
100 インバータ
110 ブリッジ回路
120 相分岐、モノリシック
125 ブリッジ分岐
130 相分岐、インターリーブ
140 エネルギフロー
150 制御ユニット
GR 遮断スイッチ
R リレー
C1ac、C2ac、C3ac コンデンサの容量
L1ac、L1ac_a、L1ac_b、
L2ac、L2ac_a、L2ac_b、
L3ac、L3ac_a、L3ac_b パワーチョーク
a)、b) 方法のステップ
DC+ 正の直流電位
DC- 負の直流電位
M 中心電位
AC 交流電圧、交流
L1、L2、L3 ACグリッド導体
N ACグリッド中性線
I 電流
VC1、VC2 電圧
T1、T2、T3、T4、T5、T6 半導体スイッチ
【国際調査報告】