(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-12
(54)【発明の名称】メッシュネットワークにおける狭帯域及び超狭帯域通信のためのエンドポイントクロック周波数調整
(51)【国際特許分類】
H04W 56/00 20090101AFI20240705BHJP
H04W 72/23 20230101ALI20240705BHJP
H03L 7/06 20060101ALI20240705BHJP
【FI】
H04W56/00 130
H04W72/23
H03L7/06 230
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024505123
(86)(22)【出願日】2022-07-25
(85)【翻訳文提出日】2024-03-25
(86)【国際出願番号】 US2022074115
(87)【国際公開番号】W WO2023009986
(87)【国際公開日】2023-02-02
(32)【優先日】2021-07-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523325484
【氏名又は名称】ランディス・ギア・テクノロジー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LANDIS+GYR TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】ファブレガ,ダニエル イー
【テーマコード(参考)】
5J106
5K067
【Fターム(参考)】
5J106AA03
5J106BB01
5J106CC01
5J106CC34
5J106DD17
5J106DD35
5J106GG01
5J106HH01
5J106KK05
5J106KK40
5K067AA13
5K067AA42
5K067DD25
5K067DD30
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE61
(57)【要約】
狭帯域及び超狭帯域通信のためのメッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整するためのシステム及び方法が開示される。エンドポイント装置は、ネットワークにおける基準装置から無線ネットワークを介して基準タイミング信号を受信する。エンドポイント装置は、エンドポイント装置のクロック周波数の現在の値を決定し、さらに、基準タイミング信号の基準周波数とクロック周波数の現在の値との間における周波数差を決定する。周波数差に基づいて、エンドポイントは制御信号を生成し、エンドポイント装置の水晶発振器に制御信号を印加することで水晶発振器の周波数を調整する。エンドポイント装置は、調整された水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、ネットワークにおける他の装置と通信する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュネットワークにおけるエンドポイント装置によって実行される、上記エンドポイント装置の水晶発振器の周波数を調整するための方法であって、
上記方法は、初期通信モードで動作している間、
メッシュネットワークにおける基準装置から上記メッシュネットワークを介して基準タイミング信号を受信することと、
上記エンドポイント装置の水晶発振器の周波数の現在の値を取得することと、
上記基準タイミング信号の基準周波数と上記周波数の現在の値との間における周波数差を決定することと、
上記周波数差に基づいて制御信号を生成することと、
上記制御信号に従って上記水晶発振器の周波数を調整することと、
上記水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することとを含み、
上記方法は、
上記水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することに応答して、上記初期通信モードのデータレートよりも低いデータレートを有する狭帯域又は超狭帯域通信モードに切り換えることと、
上記狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、上記水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、上記メッシュネットワークにおける他の装置に対して通信信号を送信及び受信することとを含む、
方法。
【請求項2】
上記制御信号は、上記周波数差に比例する電圧値を有して生成される電圧制御信号である、
請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記電圧制御信号は、電圧基準信号に基づいて生成される、
請求項2記載の方法。
【請求項4】
上記狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、
上記基準装置から上記メッシュネットワークを介して基準タイミング信号を受信することと、
上記水晶発振器の周波数の更新された現在の値を取得することと、
上記基準周波数と上記周波数の更新された現在の値との間における更新された周波数差を決定することと、
上記更新された周波数差に基づいて第2の制御信号を生成することと、
上記第2の制御信号に従って上記水晶発振器の周波数を調整することと、
上記水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、上記他の装置に対して通信信号を送信及び受信することとをさらに含む、
請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記狭帯域又は超狭帯域通信モードの帯域幅に少なくとも部分的に基づいてしきい値が決定される、
請求項1記載の方法。
【請求項6】
上記水晶発振器は、電圧制御型かつ温度補償型の水晶発振器(VCTCXO)である、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
上記基準タイミング信号は、IEEE802.15.4gのプロトコルに従って、上記基準装置から上記エンドポイント装置に送信される、
請求項1記載の方法。
【請求項8】
メッシュネットワークにおける複数のエンドポイント装置に基準タイミング信号を送信するように構成された基準装置と、複数のエンドポイント装置とを備えるシステムであって、
上記複数のエンドポイント装置のうちの各エンドポイント装置は、初期通信モードで動作している間、
上記基準装置から上記メッシュネットワークを介して上記基準タイミング信号を受信し、
上記エンドポイント装置の水晶発振器の周波数の現在の値を取得し、
上記基準タイミング信号の基準周波数と上記水晶発振器の周波数の現在の値との間における周波数差を決定し、
上記周波数差に基づいて制御信号を生成し、
上記制御信号に従って上記水晶発振器を調整することで、上記水晶発振器の周波数を調整し、
上記水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定するように構成され、
上記複数のエンドポイント装置のうちの各エンドポイント装置は、
上記水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することに応答して、上記初期通信モードのデータレートよりも低いデータレートを有する狭帯域又は超狭帯域通信モードに切り換え、
上記狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、上記水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、上記基準装置又は上記メッシュネットワークにおける他の装置と通信するように構成される、
システム。
【請求項9】
上記基準装置は、全地球測位システム(GPS)から上記基準タイミング信号を受信するようにさらに構成される、
請求項8記載のシステム。
【請求項10】
上記制御信号は、上記周波数差に比例する電圧値を有して生成される電圧制御信号である、
請求項8記載のシステム。
【請求項11】
上記電圧制御信号は、電圧基準信号に基づいて生成される、
請求項10記載のシステム。
【請求項12】
上記エンドポイント装置は、上記狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、
上記基準装置から上記メッシュネットワークを介して基準タイミング信号を受信し、
上記水晶発振器の周波数の更新された現在の値を取得し、
上記基準周波数と上記周波数の更新された現在の値との間における更新された周波数差を決定し、
上記更新された周波数差に基づいて第2の制御信号を生成し、
上記第2の制御信号に従って上記水晶発振器の周波数を調整し、
上記水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、上記基準装置又は上記他の装置に対して通信信号を送信及び受信するようにさらに構成される、
請求項8記載のシステム。
【請求項13】
上記狭帯域又は超狭帯域通信モードの帯域幅に少なくとも部分的に基づいてしきい値が決定される、
請求項8記載のシステム。
【請求項14】
上記水晶発振器は、電圧制御型かつ温度補償型の水晶発振器(VCTCXO)である、
請求項8記載のシステム。
【請求項15】
ネットワークのエンドポイント装置であって、
水晶発振器の周波数を有する発振信号を発生するように構成された水晶発振器と
コンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、
上記プロセッサによって実行されたとき、上記プロセッサに下記を含む動作を実行させる上記コンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを備え、
上記動作は、初期通信モードで動作している間、
上記ネットワークにおける基準装置から上記ネットワークを介して基準タイミング信号を受信することと、
上記水晶発振器の周波数の現在の値を取得することと、
上記基準タイミング信号の基準周波数と上記水晶発振器の周波数の現在の値との間における周波数差を決定することと、
上記周波数差に基づいて制御信号を生成させることと、
上記水晶発振器に上記制御信号を印加することで上記水晶発振器の周波数を調整することと、
上記水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することとを含み、
上記動作は、
上記水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することに応答して、上記初期通信モードのデータレートよりも低いデータレートを有する狭帯域又は超狭帯域通信モードに上記エンドポイント装置を切り換えさせることと、
上記狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、上記水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、上記エンドポイント装置を上記ネットワークにおける他の装置と通信させることとを含む、
エンドポイント装置。
【請求項16】
上記制御信号は、上記周波数差に比例する電圧値を有して生成される電圧制御信号である、
請求項15記載のエンドポイント装置。
【請求項17】
上記電圧制御信号は、電圧基準信号に基づいて生成される、
請求項16記載のエンドポイント装置。
【請求項18】
上記動作は、上記狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、
上記基準装置から上記ネットワークを介して基準タイミング信号を受信することと、
上記水晶発振器の周波数の更新された現在の値を取得することと、
上記基準周波数と上記周波数の更新された現在の値との間における更新された周波数差を決定することと、
上記更新された周波数差に基づいて第2の制御信号を生成させることと、
上記水晶発振器に上記第2の制御信号を印加することで上記水晶発振器の周波数を調整することと、
上記水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、上記エンドポイント装置を上記ネットワークにおける他の装置と通信させることとをさらに含む、
請求項15記載のエンドポイント装置。
【請求項19】
上記狭帯域又は超狭帯域通信モードの帯域幅に少なくとも部分的に基づいてしきい値が決定される、
請求項15記載のエンドポイント装置。
【請求項20】
上記水晶発振器は、電圧制御型かつ温度補償型の水晶発振器(VCTCXO)である、
請求項15記載のエンドポイント装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、無線ネットワークにおける狭帯域及び超狭帯域通信に関し、より詳しくは、ネットワークのエンドポイント装置におけるクロック周波数を調整することに関する。
【背景技術】
【0002】
適応マルチレート(adaptive multi-rate:AMR)メッシュネットワークのような無線ネットワークにおける狭帯域(narrowband:NB)及び超狭帯域(ultra-narrowband:UNB)通信は、より長い範囲が必要とされるいくつかの場合に望ましい。超狭帯域受信機は高度に選択的であり、受信機をその狭い帯域幅の外側に進入させる可能性があるノイズ及び干渉を拒絶することができ、比較的に弱い受信信号で良好な信号対雑音比(SNR)を達成することを可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、NB及びUNBのシステムは、チャネル帯域幅が小さく、従って、エンドポイント間において安定かつ正確な周波数基準が必要とされるので、特に挑戦的である。これらの安定な周波数基準、例えば、stratum 3の温度補償水晶発振器(temperature-compensated crystal oscillator:TCXO)又は恒温槽付き水晶発振器(oven-controlled crystal oscillator:OCXO)は、通常、大きな電力消費量を必要とし、かさばっていて、コストがかかる。通常の周波数基準(例えば、通常のTCXO)は、それらの安定性が周波数シフトをもたらし、それにより、送受信機の中間周波数(IF)帯域幅の外側に情報スペクトルを配置し、従って、信頼できる通信を妨げるので、信頼できない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
狭帯域及び超狭帯域通信のためのメッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整するための装置及び処理に係る態様及び実施例が開示される。例えば、メッシュネットワークにおけるエンドポイント装置によって実行される方法は、初期通信モードで動作している間、メッシュネットワークにおける基準装置からメッシュネットワークを介して基準タイミング信号を受信することと、エンドポイント装置の水晶発振器の周波数の現在の値を取得することと、基準タイミング信号の基準周波数と周波数の現在の値との間における周波数差を決定することと、周波数差に基づいて制御信号を生成することと、制御信号に従って水晶発振器の周波数を調整することと、水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することとを含む。本方法はさらに、水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することに応答して、狭帯域又は超狭帯域通信モードに切り換えることをさらに含む。狭帯域又は超狭帯域通信モードのデータレートは、初期通信モードのデータレートよりも低い。本方法はまた、狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、メッシュネットワークにおける他の装置に対して通信信号を送信及び受信することを含む。
【0005】
もう1つの実施例では、システムは、メッシュネットワークにおける複数のエンドポイント装置に基準タイミング信号を送信するように構成された基準装置と、複数のエンドポイント装置とを含む。複数のエンドポイント装置のうちの各エンドポイント装置は、初期通信モードで動作している間、基準装置からメッシュネットワークを介して基準タイミング信号を受信し、エンドポイント装置の水晶発振器の周波数の現在の値を取得し、基準タイミング信号の基準周波数と水晶発振器の周波数の現在の値との間における周波数差を決定し、周波数差に基づいて制御信号を生成し、制御信号に従って水晶発振器を調整することで、水晶発振器の周波数を調整し、水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定するように構成される。エンドポイント装置はさらに、水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することに応答して、狭帯域又は超狭帯域通信モードに切り換え、狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、基準装置又はメッシュネットワークにおける他の装置と通信するように構成される。狭帯域又は超狭帯域通信モードのデータレートは、初期通信モードのデータレートよりも低い。
【0006】
さらにもう1つの実施例では、ネットワークのエンドポイント装置は、水晶発振器の周波数を有する発振信号を生成するように構成された水晶発振器とコンピュータ可読命令を実行するように構成されたプロセッサと、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに下記を含む動作を実行させるコンピュータ可読命令を格納するように構成されたメモリとを含む。本動作は、初期通信モードで動作している間、ネットワークにおける基準装置からネットワークを介して基準タイミング信号を受信することと、水晶発振器の周波数の現在の値を取得することと、基準タイミング信号の基準周波数と水晶発振器の周波数の現在の値との間における周波数差を決定し、周波数差に基づいて制御信号を生成させることと、水晶発振器に制御信号を印加することで水晶発振器の周波数を調整することと、水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することとを含む。本動作は、水晶発振器の周波数の誤差が予め決められた条件を満たすと決定することに応答して、狭帯域又は超狭帯域通信モードにエンドポイント装置を切り換えさせることをさらに含む。狭帯域又は超狭帯域通信モードのデータレートは、初期通信モードのデータレートよりも低い。本動作はまた、狭帯域又は超狭帯域通信モードで動作している間、水晶発振器によって発生された発振信号を用いて、エンドポイント装置をネットワークにおける他の装置と通信させることを含む。
【0007】
これらの例示的な態様及び特徴は、ここで説明する主題を限定又は定義するためではなく、本願において説明する概念についての理解を支援する実施例を提供するために言及される。ここに説明する主題の他の態様、利点、及び特徴は、本願全体に目を通すことにより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の所定の態様に係る、狭帯域及び超狭帯域通信のためのメッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整するための例示的な動作環境を示すブロック図である、
【
図2】本開示の所定の態様に係る、周波数基準装置と、基準装置から基準タイミング信号を受信するその関連付けられたエンドポイント装置との実施例を示すブロック図である。
【
図3】本開示の所定の態様に係る、狭帯域及び超狭帯域通信のためのメッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整する処理を示すフロー図である、
【
図4】本開示の所定の態様に係る、
図1のネットワーク化されたシステムのエンドポイントのブロック図の実施例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の詳細な説明が添付の図面を参照して読まれるとき、さらに理解される。
【0010】
狭帯域及び超狭帯域通信のためのネットワーク化されたシステムにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整するためのシステム及び方法が提供される。メッシュネットワークのようなネットワーク化されたシステム内では、エンドポイント装置(「ノード」とも呼ばれる)は、他のエンドポイント装置又はネットワーク装置に対してデータを送信及び受信できる、ネットワーク化されたシステムにおける装置であってもよい。ネットワークにおけるエンドポイントのクロック周波数に対して適切な調整を提供するために、エンドポイント装置は、ゲートウェイ又はルーターのような、基準タイミング信号へのアクセスを有するネットワーク装置(「基準装置」と呼ばれる)と直接的に通信している。
【0011】
例えば、基準装置は、基準タイミング信号を受信する受信機を備えた、ネットワークにおけるルーターであってもよい。受信機は、例えば、毎秒1パルス(pps)の基準タイミング信号をGPS情報とともに受信する全地球測位システム(GPS)受信機であってもよい。基準タイミング信号は、NIST-7セシウム周波数標準のような高精度クロックに同期されている装置(例えばGPSクロック)によって発生される。基準装置は、基準タイミング信号をネットワーク内のエンドポイント装置に再送信する。基準タイミング信号を受信するエンドポイントは、それらのクロックを基準クロック精度になるように正確に調整することができ、従って、NB及びUNB通信を可能にする。
【0012】
NB及びUNBの通信のためのエンドポイント装置のクロック周波数を調整するために、エンドポイント装置は、基準装置との通信に失敗しないように、NB又はUNB通信セッションの開始時により大きな帯域幅の通信モードで動作してもよい。基準タイミング信号が基準装置から受信されたとき、エンドポイント装置は、エンドポイント装置の水晶クロック発振器の周波数を調整してもよい。そうするために、エンドポイント装置は、エンドポイント装置の現在のクロック周波数を決定する。エンドポイント装置はさらに、基準タイミング信号の基準周波数と現在の周波数との間における差を計算する。次いで、周波数差を用いて、エンドポイント装置の水晶クロック発振器に供給されることでその周波数を調整する制御信号が生成されてもよい。
【0013】
エンドポイント装置はさらに、調整された周波数と基準周波数との間における周波数誤差を決定する。誤差が許容可能な範囲内にある場合、エンドポイントは、通信のために狭帯域又は超狭帯域モードに切り換えてもよい。誤差がなお大きすぎる場合、エンドポイントは、上述の処理を繰り返すことで、周波数誤差が許容可能な範囲内になるまで、エンドポイント装置の水晶クロック発振器の周波数を調整し続ける。
【0014】
NB又はUNB通信の間に、エンドポイント装置は、基準装置から基準タイミング信号を受信し続ける。従って、エンドポイント装置は、前述したように、基準タイミング信号に基づいて水晶クロック発振器の周波数を調整し続けてもよい。このように、エンドポイント装置のクロック周波数は高精度レベルで保持可能であり、それによって、信頼できるNB又はUNB通信を可能にする。
【0015】
本開示で説明する技術は、狭帯域又は超狭帯域通信の実現可能性及び信頼性を向上させる。上で説明したように、本願で説明する技術なしでは、TCXOのような通常の周波数基準を備えたエンドポイント装置は、通常の周波数基準の低い安定性(例えば、+/-2ppm)に起因して、信頼できる狭帯域又は超狭帯域通信をサポートすることができない。基準装置から受信された基準タイミング信号に基づいてエンドポイント装置のクロック周波数を調整することによって、通常の周波数基準(例えば、通常の水晶クロック発振器)を備えたエンドポイント装置は狭帯域又は超狭帯域通信を行うことができる。
【0016】
さらに、連続的に受信される基準タイミング信号に基づいてクロック周波数を継続的に調整することは、大きな周波数シフトを防ぎ、情報スペクトルが送受信機のIF帯域幅の内側にとどまることを保証し、それによって、信頼できる通信を可能にする。このことは、安定かつ正確な周波数基準を使用する必要性を取り除き、したがって、電力消費量及びエンドポイント装置のサイズを削減する。その結果、エンドポイント装置のための電源及び空間が限定されている場合を含む種々様々のアプリケーションにおいて狭帯域又は超狭帯域通信を行うことができる。
【0017】
図1は、本開示の所定の態様に係る、狭帯域及び超狭帯域通信のためのメッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整するための例示的な動作環境を示すブロック図である、動作環境において、ネットワーク化されたシステム100及びメッシュネットワーク102は、スマート装置(例えば、通信技術を含むリソース消費量メーター、乗物、家電機器など)が、複数のノード(すなわち他のスマート装置)のネットワーク、インターネット、及び/又はイントラネットを介して通信するためのネットワークインフラストラクチャを提供する。
【0018】
ネットワーク化されたシステム100はヘッドエンドシステム104を含み、それは、ネットワーク120からデータのストリームを受信する中央処理システムとして機能してもよい。ネットワーク120は、インターネット、イントラネット、又は他の任意のデータ通信ネットワークであってもよい。メッシュネットワーク102は、様々なエンドポイント装置又はノード112A~112Hを含んでもよい(それらは、本願では、個別に又は集合的に、エンドポイント装置、エンドポイント、又はノード112として呼ばれることがある)。これらのエンドポイント装置112は、配備されたノードの各場所からデータを収集するための測定ノード、ノードにより利用可能なデータを処理するための処理ノード、メッシュネットワーク102においてあるノードから受信されたデータを他のノードに転送するためのルータノードのようなノード、又は、これらの機能の組み合わせを実行するように構成されたノードを含んでもよい。
【0019】
一実施例では、メッシュネットワーク102は、リソース分配ネットワークに関連付けられ、リソース分配ネットワークにおいて得られた測定データ又は他のデータを伝送する。この実施例では、エンドポイント112は、電力メーター、ガスメーター、水道メーター、蒸気メーターなどのような、リソース分配ネットワークを介して顧客構内の様々な地理的位置に配備されるメーターを含んでもよく、リソース分配ネットワークの様々な動作特性を測定するように実装されてもよい。配電網の例において、例示的な特性は、平均又は合計の電力消費量、電気信号のピーク電圧、電力サージ、及び負荷変動を含むが、これらに限定されない。エンドポイント112は、収集されたデータを、メッシュネットワーク102を介してルートノード114A及び114B(これらは、本願では、個別に又は集合的に、ルートノード114と呼ばれることがある)に送信する。
【0020】
メッシュネットワーク102のルートノード114は、エンドポイント112と通信して所定の動作、例えば、エンドポイント112を管理すること、エンドポイント112からデータを収集すること、また、ヘッドエンドシステム104にデータを転送することを行うように構成されてもよい。ルートノード114もまた、それ自体でデータを測定及び処理するノード又はエンドポイント装置として機能するように構成されてもよい。ルートノード114は、ヘッドエンドシステム104と通信することができるパーソナルエリアネットワーク(personal area network:PAN)コーディネータ、ゲートウェイ、ルーター、又は他の任意の装置であってもよい。ルートノード114は、最終的には、生成及び収集したデータを、ネットワーク120を介してヘッドエンドシステム104に送信する。さらに、ルートノード114はまた、ヘッドエンドシステム104からネットワーク管理メッセージを受信し、ネットワーク管理メッセージをエンドポイント112に送信してもよい。同様に、ルートノード114自体又はエンドポイント112もまた、ネットワーク管理メッセージを発行して他のエンドポイント112に送信してもよい。ノード114及び112の間で送信されるデータ及びネットワーク管理は、本願では、集合的に「通信データ」と呼ばれることがある。これらの通信データは、ノード114及び112の間のデータリンク110を介して送信及びルーティングされる。
【0021】
通信データは、典型的には、ノード及びヘッドエンドシステム104の間で、又は、メッシュネットワーク102のノード階層に従ってノード間でルーティングされる。例えば、ネットワーク120を介してヘッドエンドシステム104と直接的に通信するルートノード114Aは、ルートノード114Aよりも下のノード層(例えばレイヤ1)に位置するエンドポイント112A及び112Bに対するデータリンクに起因して、概して、親ノードと呼ばれることがある。動作中に、エンドポイント112は、ノード層を介してルートノード114に、そして最終的にヘッドエンドシステム104に、情報をすべて集めさせてもよい。
【0022】
他のエンドポイント112又はルートノード114と通信するために、各エンドポイント112及びノード114は、電圧制御型かつ温度補償型の水晶発振器(voltage-controlled temperature-compensated crystal oscillator:VCTCXO)のような水晶クロック発振器を備えることで、ネットワーク102における他の装置との通信するための通信帯域幅の範囲内における信号を生成する。温度及びエージングに起因して、水晶クロック発振器は周波数シフトを有する可能性があり、それにより、情報スペクトルを通信帯域幅の外側に配置し、信頼性の低い通信をもたらす。周波数シフトに取り組むために、各エンドポイント112又はノード114は、その通信範囲内にある基準装置から受信された基準タイミング信号118に基づいて、その周波数を調整するように構成される。基準装置は、信頼できるソースから基準タイミング信号を受信する能力を有して構成されたルートノード114又は他のエンドポイント112であってもよい。例えば、ルートノード114は、GPSの受信機を備え、従って、1ppsのタイミング信号をGPS情報とともに受信するルーターであってもよい。GPSクロックが、世界で最も正確なクロックのうちの1つであるNIST-7セシウム周波数標準に同期されるので、ルーターによって受信される1ppsのタイミング信号は、メッシュネットワーク102におけるエンドポイント112のクロック周波数を調整するための基準タイミング信号として作用しうる。狭帯域又は超狭帯域通信のためのメッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数の調整に関する追加の詳細事項は、
図2及び
図3に関して下記に提供される。
【0023】
動作中に、より少数又はより多数のエンドポイント112がメッシュネットワーク102に含まれてもよく、また、より多数のルートノード114がネットワーク化されたシステム100に含まれてもよい。さらに、
図1は特定のネットワークトポロジー(例えばDODAG木構造トポロジー)を示すが、他のネットワークトポロジーもまた可能である(例えば、リングトポロジー、メッシュトポロジー、星トポロジーなど)。
【0024】
図2は、本開示の所定の態様に係る、基準装置201と、周波数調整のために基準装置201から基準タイミング信号118を受信するエンドポイント装置112との実施例を示すブロック図である。
図1に関して上で説明したように、基準装置201は、1ppsの基準タイミング信号をGPS情報とともに受信するGPS受信機のような、基準タイミング信号を受信する受信機を備えた、メッシュネットワーク102における装置であってもよい。基準装置201は、メッシュネットワークにおけるルートノード114、ルーター、ゲートウェイ、他のエンドポイント装置112、又は他の任意の装置であってもよい。
【0025】
基準装置201は、エンドポイント装置112がそれらの各クロック周波数を基準タイミング信号118に基づいて調整できるように、受信された基準タイミング信号118を、基準装置201と直接的に通信しているエンドポイント112に再送信してもよい。いくつかの実施例では、基準装置201は、IEEE802.15.4g標準的のプロトコルのようなメッシュネットワークプロトコルに従って、基準タイミング信号118をエンドポイント112に再送信する。例えば、基準装置201は、メッシュネットワークプロトコルに従って、周波数シフトキーイング(frequency-shift keying:FSK)変調を用いて、一般的な50kbpsチャネルを介して基準タイミング信号118を再送信してもよい。
【0026】
エンドポイント112は、基準タイミング信号118を受信し、それに応じて、その水晶クロック発振器210の周波数を調整する。そうするために、エンドポイント装置112は、基準タイミング信号118の周波数(「基準周波数」と呼ばれる)と、エンドポイント装置112の水晶クロック発振器210の現在の周波数との間における差を決定する。エンドポイント112の現在の周波数は、水晶クロック発振器210によって発生された発振信号を、基準周波数に対して比較可能になるように処理する、周波数カウンタ202によって決定されてもよい。いくつかの実施例では、周波数カウンタ202は、通常の温度補償水晶発振器(TCXO)を用いて実装されてもよい。
【0027】
基準タイミング信号118の周波数と、エンドポイント装置112の現在の周波数とを周波数差計算器204に入力することで、周波数差を決定してもよい。周波数差に基づいて、制御信号値計算器206は、水晶クロック発振器210の周波数を制御するために使用される制御信号の値を決定する。いくつかの実施例では、制御信号値計算器206は、ルックアップテーブルに従って、周波数差を制御信号の値にマッピングする。水晶クロック発振器210のタイプに依存して、制御信号は、電圧信号又は他のタイプの信号であってもよい。水晶クロック発振器210が電圧制御発振器である実施例では、制御信号は電圧信号であり、ルックアップテーブルは、制御信号のための各電圧値に対する様々な周波数差のマッピングを含んでいる。
【0028】
決定された制御信号値は、ディジタル・アナログ変換器(DAC)208によって制御信号に変換されてもよい。いくつかの実施例では、DAC208のために、正確かつ安定な直列電圧基準信号が使用される。この電圧基準信号は、水晶クロック発振器210の出力周波数に高い精度及び安定性をもたらす。水晶クロック発振器210がVCTCXOである実施例では、この電圧基準信号は、VCTCXOにおける周波数安定性に対して正比例するか、1対1にマッピングされる。DAC出力電圧は、VCTCXCOの出力周波数に対する線形マッピングを表す。電圧基準信号がより安定になると、VCTCXOの出力周波数安定性はより高くなる。このように、正確かつ安定な直列電圧基準信号を用いることによって、エンドポイント装置112内のDACは、受信された基準タイミング信号118と、水晶クロック発振器210から到来する発振信号との間における誤差を正確にマッピングすることができる。DAC208によって出力される制御信号は、基準タイミング信号118の基準周波数と、水晶クロック発振器210の出力周波数との間における差に比例して調整される。次いで、制御信号は、水晶クロック発振器210の周波数を基準タイミング信号118の周波数に対して整列させるように、水晶クロック発振器210を調整するために使用される。一実施例では、水晶クロック発振器210はVCTCXOである。VCTCXOは、単にTCXOのように、高いQ値(quality factor)を有し、従って、低い変調感度(kv)又は同調可能性を有する。感度は、典型的な39MHz装置の場合、通常、+/-8ppm/ボルトのオーダーである。低い感度は、DAC208からの一定の更新を必要とすることなく、長い時間期間にわたって周波数が安定であり続けることを保証する。
【0029】
調整後に水晶クロック発振器210によって発生された発振信号は、次いで、周波数計算のために周波数カウンタ202に提供される。一方、エンドポイント装置112は、基準装置201から基準タイミング信号118を連続的に受信する。このように、上述の調整処理を繰り返すことで、水晶クロック発振器210の周波数精度を維持することができる。この周波数調整は、潜在的には、基準タイミング信号118と同じ精度を達成し、それによって、信頼できる狭帯域又は超狭帯域通信を提供することができる。
【0030】
図2において、周波数差計算器204及び制御信号値計算器206は、ソフトウェア又はハードウェアとして実装されてもよい。さらに、周波数差計算器204及び制御信号値計算器206を別個の構成要素として説明しているが、それらは単一のソフトウェア又はハードウェア構成要素において実装されてもよい。いくつかの実施例では、周波数カウンタ202、周波数差計算器204、制御信号値計算器206、及びディジタル・アナログ変換器208は、エンドポイント装置112のマイクロコントローラにおいて実装されてもよい。
【0031】
図3は、本開示の所定の態様に係る、狭帯域又は超狭帯域通信のためのメッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整する処理300を示すフロー図である、ネットワーク102の1つ又は複数のエンドポイント112は、
図3に示す動作を実施する。例示の目的で、処理300について、図面に示す所定の実施例を参照して説明する。しかしながら、他の実施例も可能である。
【0032】
ブロック301において、処理300は、エンドポイント装置112が初期通信モードで動作することを含む。初期通信モードにおいて、エンドポイント装置112は、NB又はUNB通信の帯域幅又はデータレート(例えば、100bps~6.25kbps)よりも大きな帯域幅又はより高いデータレート(例えば50kbps)を有する信号を用いて通信する。初期通信モードにおけるより大きな帯域幅及びより高いデータレートは、通信に失敗することなく、より大きな周波数誤差を許容する。言いかえると、エンドポイント装置112は、水晶クロック発振器210の周波数が基準周波数から大きなずれを有しても、基準装置201から基準タイミング信号118を受信することができる。
【0033】
初期通信モードで動作している間、エンドポイント装置112は、ブロック302において、基準装置201から基準タイミング信号118を受信する。いくつかの実施例では、基準装置201は、チャネルホッピングシーケンスに従う複数の異なる周波数チャネルにおいて、基準タイミング信号118を送信する。このように、複数の異なるチャネルにおいて動作するエンドポイント装置112はすべて、基準タイミング信号118を受信することができる。ブロック304において、エンドポイント装置112は、水晶クロック発振器210の現在の周波数を決定する。エンドポイント装置112は、周波数カウンタ202を用いることで、水晶クロック発振器210によって発生された発振信号の現在の周波数をカウントしてもよい。
【0034】
ブロック306において、処理300は、エンドポイント装置112が、基準タイミング信号118の基準周波数と水晶クロック発振器210の現在の周波数との間における差を計算することを含む。エンドポイント装置112はさらに、例えばルックアップテーブルを介して、周波数差を制御信号の値にマッピングする。例えば、水晶クロック発振器210がVCTCXOである場合、制御信号は電圧制御信号であり、エンドポイント装置112は周波数差を制御信号の電圧値にマッピングする。いくつかの実施例では、マッピングは、周波数差が制御信号に対する電圧値に比例してマッピングされるという点でリニアである。次いで、制御信号値を使用することで、例えばディジタル・アナログ変換器208を介して、制御信号を生成する。いくつかの実施例では、DACが周波数差を電圧制御信号に正確にマッピングできるように、正確かつ安定な直列電圧基準信号がDAC208に供給される。
【0035】
ブロック308において、処理300は、エンドポイント装置112が、水晶クロック発振器210に制御信号を提供することで、水晶クロック発振器210の周波数を調整することを含む。水晶クロック発振器210がVCTCXOである実施例では、DAC208によって生成された電圧制御信号がVCTCXOに提供され、それにより、VCTCXOによって発生された発振信号の周波数が、基準周波数により近づくように調整される。
【0036】
いくつかのシナリオにおいて、特に、基準周波数と水晶クロック発振器210の周波数との間における初期差が大きい場合、ブロック302~308に関連する動作は、基準周波数に一致するように水晶クロック発振器210の周波数を次第に変化させるように、複数回にわたって繰り返される必要がある。予め決められた回数の調整又は予め決められた時間期間の後に、エンドポイント装置112は、ブロック310において、周波数誤差が許容可能であるか否か、又は、周波数誤差の条件が満たされるか否かを決定する。一実施例では、周波数誤差は、チャネル帯域幅に対する周波数差の割合になるように決定される。周波数誤差がしきい値、例えば10%より小さい場合、周波数誤差が許容可能である、又は、条件が満たされる。この実施例では、許容可能な絶対的な周波数差は、帯域幅に依存する。より大きな帯域幅は、基準周波数からのより大きな周波数のずれを許容し、又はその逆が成り立つ。許容可能な周波数誤差を決定するために使用されるチャネル帯域幅は、初期通信モードの帯域幅ではなく、意図されたNB又はUNB通信の帯域幅であることに注意する。
【0037】
ブロック310において、周波数誤差が許容可能ではないと決定される場合、エンドポイント装置112は、初期通信モードに残ることで、水晶クロック発振器210の周波数を調整し続ける。周波数誤差が許容可能な範囲内にある場合、エンドポイント装置112は、意図された狭帯域又は超狭帯域モードにおいて動作するために、ブロック312においてNB又はUNB通信モードに切り換える。ブロック313においてNB又はUNB通信モードで動作している間、エンドポイント装置112は、水晶クロック発振器210の周波数を、基準周波数に一致するか又は近づくように調整し続ける。そうするために、エンドポイント装置112は、ブロック302に類似した方法で、ただし狭帯域又は超狭帯域通信チャネルを介して、基準装置201から基準タイミング信号118を受信し続ける。水晶クロック発振器210の周波数が許容可能な範囲内になるように調整されたので、エンドポイント装置112は、狭帯域又は超狭帯域通信チャネルを介して、基準タイミング信号118及び他の通信信号を確実に受信することができる。エンドポイント装置112がNB又はUNB通信モードで動作する間に実行される周波数調整は、エンドポイント装置112の周波数が基準周波数から過度に遠くにシフトしてNB又はUNB通信の信頼性を損なうことがないことを保証する。
【0038】
ブロック316において、エンドポイント装置112は、水晶クロック発振器210の現在の周波数を決定する。ブロック318において、エンドポイント装置112は、基準周波数と水晶クロック発振器210の現在の周波数との間における周波数差を計算する。差に基づいて、エンドポイント装置112は制御信号を生成する。ブロック320において、水晶クロック発振器210は、制御信号を用いて水晶クロック発振器210の周波数を調整する。ブロック314~320は、ブロック302~308にそれぞれ類似している。ブロック322において、エンドポイント装置112は、NB又はUNB通信を介して、水晶クロック発振器210によって発生された信号を用いて、ネットワークにおける他の装置と通信する。エンドポイント装置112が基準装置201から基準タイミング信号118を受信し続けるとき、エンドポイント装置112は、ブロック314~320における調整動作を繰り返すことで、水晶クロック発振器210の周波数が基準周波数と同じ又は近いことを保証する。
【0039】
信頼できるNB又はUNBをサポートするシステムは、物のインターネット(Internet of Things:IoT)における種々様々のアプリケーションを有する。例えば、NB又はUNBシステムは、スマート都市、ユーティリティ、及びインフラストラクチャネットワークを含むアプリケーションのための、小電力かつ広域(low power wide area:LPWA)のセンサ/制御ネットワークに使用されてもよい。NB又はUNB通信の高いリンクバジェットのために、広域に散乱した数千個のエンドポイントは、コンセントレータとして動作する基地局(BS)であって、10平方キロメートルごとに1つのBSのような、低い配備密度を有する基地局によってサービス提供を受けてもよい。
【0040】
さらに、上述の説明は、メッシュネットワークにおけるエンドポイント装置のクロック周波数を調整することに焦点を合わせているが、本願において提示する技術は、NB又はUNB通信からの恩恵を受ける他のタイプの無線ネットワークにもあてはまる。
【0041】
例示的なノード
図4は、メッシュネットワーク102のエンドポイント112又はノード114の構成要素のブロック図の例である。ノード400の構成要素の一部又はすべては、
図1のエンドポイント112又はノード114のうちの1つ又は複数に属してもよい。ノード400は通信モジュール416を含む。通信モジュール416の機能は、メッシュネットワーク102における他のノードに対して、通信データ、基準タイミング信号118、及び他のネットワーク通信メッセージのような様々な信号を送信及び受信することを含む。
【0042】
通信モジュール416は、アンテナ及び無線装置のような通信装置412を含んでもよい。代替として、通信装置412は、無線又は有線通信を可能にする任意の装置であってもよい。通信装置412は、メッシュネットワーク102における他のノードからのRF通信を送信及び受信できる、RF送受信機のような送受信装置を含んでもよい。通信モジュール416はまた、プロセッサ413及びメモリ414を含んでもよい。プロセッサ413は、
図1~
図3に関して上述した動作のうちの1つ又は複数のような、通信モジュール416によって実行される機能を制御する。メモリ414は、プロセッサ413によってその機能を実行するために使用されるデータを格納するために利用されてもよい。通信モジュール416はさらに、水晶クロック発振器210と、
図4には図示しない他の構成要素、例えば、周波数カウンタ202及びDAC208とを含む。
【0043】
いくつかの実施例では、ノード400は、オプションで、ローカル又はシリアル接続430を介して通信モジュール416に接続された計測モジュール418を含んでもよい。計測モジュール418の機能は、リソースを管理するために必要な機能、特に、リソースへのアクセスを可能にして使用リソースを測定する機能を含む。計測モジュール418は、プロセッサ421、メモリ422、及び測定回路423を含んでもよい。測定回路423は、リソースの測定を取り扱い、センサデータを収集するためのセンサとして使用されてもよい。計測モジュール418におけるプロセッサ421は、計測モジュール418によって実行される機能を制御する。メモリ422は、その機能を実行するためにプロセッサ421によって必要とされるデータを格納する。計測モジュール418はまた、ノード400の特性(例えば電力状態)を検出するために、例えば測定回路423において、検出回路を含んでもよい。通信モジュール416及び計測モジュール418は、電力状態データを含む、他のモジュールによって必要とされるデータを提供するために、ローカル接続430を通じて互いに通信する。通信モジュール416及び計測モジュール418の両方は、メモリ又はもう1つのタイプのコンピュータ可読媒体に格納されたコンピュータ実行可能な命令を含んでもよく、また、モジュール内の1つ又は複数のプロセッサは、本願において説明した機能を提供する命令を実行してもよい。
【0044】
全体考察
特許請求の範囲に記載された主題についての詳細な理解を提供するために、本明細書において多数の特定の詳細事項を述べている。しかしながら、当業者は、特許請求の範囲に記載された主題がこれらの特定の詳細事項なしで実施されてもよいことを理解するであろう。他の例では、特許請求の範囲に記載された主題を不明瞭にしないように、通常の技術を有する者によって知られるであろう方法、装置、又はシステムについては詳述していない。
【0045】
本願において説明した特徴は、任意の特定のハードウェアアーキテクチャ又は構成に限定されない。計算装置は、1つ又は複数の入力を条件とした結果を提供する構成要素からなる任意の適切な装置を含んでもよい。適切な計算装置は、格納されたソフトウェア(すなわち、コンピュータシステムのメモリ上に格納されたコンピュータ可読命令)にアクセスする多目的のマイクロプロセッサに基づくコンピュータシステムを含み、このソフトウェアは、汎用の計算装置から本願の主題の1つ又は複数の態様を実装する特別な計算装置になるように計算システムをプログラミング又は構成する。計算装置のプログラミング又は構成に使用されるソフトウェアにおいて、本願に含まれる開示内容を実装するために、任意の適切なプログラミング、スクリプティング、他のタイプの言語、又は言語の組み合わせが使用されてもよい。
【0046】
本願において開示した方法の態様は、そのような計算装置の動作において実行されてもよい。上述の実施例において提示したブロックの順序は変更されてもよく、例えば、ブロックが並べかえられてもよく、組み合わされてもよく、及び/又はサブブロックに分割されてもよい。所定の複数のブロック又は複数の処理を並列に実行してもよい。
【0047】
本願における「~ように適応化される」又は「~ように構成される」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適応化又は構成された装置を除外しない、オープンかつ包括的な用語を意図している。さらに、「~に基づく」の使用は、記載された1つ又は複数の条件又は値「に基づく」処理、ステップ、計算、又は他の動作が、実際に、記載したものを越える追加の条件又は値に基づいてもよいという点で、オープンかつ包括的であることを意図している。本願に含まれた見出し、リスト、及び番号は、説明の簡単化のみを目的とし、限定を意図していない。
【0048】
本願の主題をその特定の態様に関して詳述したが、当業者は、上述したことを理解することにより、そのような態様の変更、変形、及び等価物を容易に作成しうることが認識されるであろう。従って、本開示が限定ではなく例示の目的で提示され、当業者に容易に明らかになるように、本願の主題に係るそのような変更、変形、及び/又は追加を含むことを除外しないことは理解されるべきである。
【国際調査報告】