(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-16
(54)【発明の名称】フラン化合物からピロール化合物の二段階合成
(51)【国際特許分類】
C07D 207/323 20060101AFI20240708BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20240708BHJP
【FI】
C07D207/323
C07B61/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023557067
(86)(22)【出願日】2022-03-17
(85)【翻訳文提出日】2023-09-15
(86)【国際出願番号】 US2022020780
(87)【国際公開番号】W WO2022197944
(87)【国際公開日】2022-09-22
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502303175
【氏名又は名称】シェブロン フィリップス ケミカル カンパニー エルピー
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラッセン、ケネス エム.
【テーマコード(参考)】
4H039
【Fターム(参考)】
4H039CA62
4H039CE20
4H039CH60
(57)【要約】
フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成し、次いで、γ-ジカルボニル化合物をアンモニアまたはアンモニウム塩と接触させて、ピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成させることにより、ピロール化合物を製造する。これらの工程を用いて合成できる代表的なピロール化合物は、2,5-ジメチルピロールである。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロール化合物を製造する工程であって、
a)フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することと、
b)前記γ-ジカルボニル化合物をアンモニア、アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせと接触させて、前記ピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成することと、を含む、前記工程。
【請求項2】
前記フラン化合物(F1)、前記γ-ジカルボニル化合物(D1)及び前記ピロール化合物(P1)は、以下の式を有し、
【化1】
式中、R、R
1、R
2、及びR
3が独立して、水素原子、C
1~C
30オルガニル基、またはC
3~C
60シリル基である、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
R、R
1、R
2及びR
3が、独立して、水素原子またはC
1~C
18ヒドロカルビル基である、請求項2に記載の工程。
【請求項4】
R及びR
1が独立してC
1~C
18ヒドロカルビル基であり、R
2及びR
3が水素原子である、請求項2に記載の工程。
【請求項5】
R及びR
1が独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、またはキシリル基である、請求項2に記載の工程。
【請求項6】
前記ピロール化合物は、2,5-ジメチルピロールを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項7】
前記固体酸触媒は、スチレン-ジビニルベンゼン樹脂、4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂、アイオノマー樹脂、スルホン酸基末端パーフルオロビニルエーテル基で修飾したテトラフルオロエチレン樹脂、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項8】
前記固体酸触媒は、スチレン-ジビニルベンゼン樹脂を含む、請求項1に記載の工程。
【請求項9】
ステップa)は、
前記固体酸触媒の最高作動温度未満の温度、及び
水を液相に維持するのに十分な圧力で実施される、請求項1に記載の工程。
【請求項10】
ステップa)は、
80℃~180℃の範囲の温度、及び
25~150psigの範囲の圧力で実施される、請求項1に記載の工程。
【請求項11】
ステップa)が、0.5:1~10:1の範囲の水対前記フラン化合物のモル比で行われる、請求項1に記載の工程。
【請求項12】
ステップa)が、撹拌槽反応器中で、前記フラン化合物対前記固体酸触媒の重量比5:1~50:1の範囲で行われる、請求項1に記載の工程。
【請求項13】
前記フラン化合物の転化率が、少なくとも90モル%である、請求項1に記載の工程。
【請求項14】
前記γ-ジカルボニル化合物への収率が、少なくとも80モル%である、請求項13に記載の工程。
【請求項15】
ステップa)は、固定床反応器中で0.01~5の範囲のフラン化合物WHSVで行われる、請求項1に記載の工程。
【請求項16】
請求項1に記載の工程であって、
ステップb)の前に、前記反応混合物から前記γ-ジカルボニル化合物の少なくとも一部を分離するステップ、及び/または
ステップb)の前に、前記反応混合物から前記固体酸触媒の少なくとも一部を分離するステップをさらに含む、前記工程。
【請求項17】
ステップb)は、前記γ-ジカルボニル化合物を前記アンモニウム塩と接触させることを含み、前記アンモニウム塩が、水酸化アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項18】
請求項1に記載の工程であって、
前記反応生成物混合物は、有機相と水相とを含み、
ステップb)の後に、前記反応生成物混合物から前記水の少なくとも一部を分離するステップをさらに含む、前記工程。
【請求項19】
前記ピロール化合物が、前記フラン化合物を基準として少なくとも70モル%の収率で製造される、請求項1に記載の工程。
【請求項20】
ステップb)の後に、前記反応生成物混合物から前記ピロール化合物の少なくとも一部を分離するステップをさらに含む、請求項1に記載の工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ピロール化合物を製造するための工程に関する。より具体的には、本開示は、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させてγ-ジカルボニル化合物を形成させ、次いでこのγ-ジカルボニル化合物を類似のピロール化合物に変換することに関する。
【背景技術】
【0002】
2,5-ジメチルピロールなどのピロール化合物は、エチレンから1-ヘキセンまたは1-オクテンなどのα-オレフィンを製造するためのオリゴマー化触媒系の成分として使用することができる。しかしながら、ピロール化合物及びそのγ-ジカルボニル前駆体を製造する合成スキームは、しばしば、低い収率、多くの副生成物の形成、ならびに所望のγ-ジカルボニル前駆体化合物の困難な単離及び精製のうちの1つ以上の欠点を有する。したがって、本発明は、一般に、これらの指摘された欠点を克服するピロール化合物を製造するための合成スキームに関する。
【発明の概要】
【0003】
本概要は、下段の発明を実施するための形態にさらに記述されている一連の概念を単純化された形式で紹介するために提供されている。本概要は、特許請求される主題の必須または本質的な特徴を特定することを意図していない。また、本概要は、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されることも意図していない。
【0004】
本明細書には、ピロール化合物を製造するための工程が開示される。これらの工程は、a)フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することと、b)γ-ジカルボニル化合物をアンモニア、アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせと接触させて、ピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成することと、を含み得る。
【0005】
これに限定されるものではないが、本明細書に記載される工程において、フラン化合物(F1)、γ-ジカルボニル化合物(D1)及びピロール化合物(P1)は、以下の式を有し得る。
【化1】
【0006】
これらの式中、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素原子、C1~C30オルガニル基、またはC3~C60シリル基であり得る。特定の態様では、R及びR1はメチル基であり得、R2及びR3は水素原子であり得る。
【0007】
前述の概要及び以下の詳細な説明はいずれも例示であり、単に説明するためのものに過ぎない。したがって、前述の概要及び以下の詳細な説明は、限定的であると見なされるべきではない。さらに、本明細書に記載されたものに加えて、特徴または変形形態も提供され得る。例えば、特定の態様は、詳細な説明に記載されている様々な特徴の組み合わせ及びサブ組み合わせを対象とし得る。
【0008】
以下の図面は本明細書の一部を構成するものであり、かつ本発明の特定の態様をさらに裏付けるために含まれる。本発明は、これらの図面の1つ以上を詳細な説明及び実施例と組み合わせて参照することにより、よりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】2,5-ヘキサンジオンを含む実施例1の反応混合物のガスクロマトグラフプロットを示す。
【
図2】2,5-ヘキサンジオンを含む実施例2の反応混合物のガスクロマトグラフプロットを示す。
【
図3】2,5-ヘキサンジオンを含む実施例3の反応混合物のガスクロマトグラフプロットを示す。
【0010】
定義
本明細書で使用される用語をより明確に定義するために、以下の定義が示される。別段の指示がない限り、以下の定義が本開示に適用される。本開示で用語が使用されるが本明細書で具体的に定義されていない場合、その定義が本明細書で適用される他の開示または定義と矛盾しない限り、またはその定義が適用される請求項を不明瞭もしくは非有効にしない限り、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd Ed(1997)からの定義が適用され得る。参照により本明細書に組み込まれる任意の文書によって提供された任意の定義または用法が、本明細書に記載の定義または用法と矛盾する場合には、本明細書に記載の定義または用法が優先する。
【0011】
本明細書において、主題の特徴は、特定の態様及び/または記述の中で、異なる特徴の組み合わせを想定できるように記載することができる。本明細書に開示されるそれぞれ及びすべての態様、及び/または記述、及び/または特徴について、本明細書に記載されるシステム、組成物、工程、及び/または方法に悪影響を及ぼさないすべての組み合わせは、特定の組み合わせの明確な記載の有無にかかわらず考慮される。さらに、明示的に別段の記載がない限り、本明細書に開示される任意の態様、及び/または記述、及び/または特徴を組み合わせて、本開示と一致する着想工程及びシステムを説明することができる。
【0012】
「a」、「an」及び「the」という用語は、特に指定のない限り、複数の選択肢、例えば少なくとも1つの選択肢を含むことを意図している。例えば、「フラン化合物」または「固体酸触媒」という開示は、特に指定のない限り、フラン化合物もしくは固体酸触媒の1種、または2種以上の混合物もしくは組み合わせを包含することを意味する。
【0013】
一般に、元素の族は、Chemical and Engineering News,63(5),27,1985に公開されている元素周期表のバージョンで示されている番号付けスキームを使用して示される。いつかの場合には、元素の族は、その族に割り当てられた共通名を使用して示すことができ、例えば、第1族元素ではアルカリ金属、第2族元素ではアルカリ土類金属、第3~12族元素では遷移金属、及び第17族元素ではハロゲンまたはハロゲン化物である。
【0014】
本明細書に開示される任意の特定の化合物または基について、提示される任意の名称または構造は、特に指定のない限り、特定の置換基のセットから生じ得る全ての配座異性体、位置異性体、立体異性体、及びそれらの混合物を包含することを意図している。この名称または構造はまた、特に指定のない限り、エナンチオマーであれラセミ体であれ、また立体異性体の混合物であれ、当業者によって認識されるようなすべてのエナンチオマー、ジアステレオマー、及び他の光学異性体(存在する場合)を包含する。例えば、ヘキセン(hexene)(またはヘキセン(hexenes))に関する一般的な言及は、6個の炭素原子及び1個の炭素-炭素二重結合を有する全ての直鎖状または分枝状、非環式または環式の炭化水素化合物を含み、ペンタンに関する一般的な言及は、n-ペンタン、2-メチル-ブタン、及び2,2-ジメチルプロパンを含み、ブチル基に関する一般的な言及は、n-ブチル基、sec-ブチル基、iso-ブチル基、及びt-ブチル基を含む。
【0015】
化学的な「基」は、例えばその基が文字通りこの方法で合成されていなくても、親化合物から形式的に除去されて基を生成した水素原子の数によって、その基が参照または「親」化合物からどのように形式的に誘導されるかに従って記述される。例として、「アルキル基」は、形式的にはアルカンから1個の水素原子を除去することによって誘導することができるが、「アルキレン基」は、形式的にはアルカンから2個の水素原子を除去することによって誘導することができる。さらに、より一般的な用語は、形式的には親化合物から任意の数(「1つ以上」)の水素原子を除去することによって誘導される様々な基を包含するために使用することができ、この例では「アルカン基」として記載することができ、これは「アルキル基」、「アルキレン基」を包含し、材料は、状況に応じて、アルカンから除去された3つ以上の水素原子を有する。全体として、特定の「基」を構成することができる置換基、配位子または他の化学的部分の開示は、その基が記載のように使用される場合、化学構造及び結合の周知の規則に従うことを意味する。ある基を「によって誘導される」、「から誘導される」、「によって形成される」または「から形成される」と記載する場合、このような用語は形式上の意味で使用されており、特に指定のない限り、または文脈上別段の要求がない限り、特定の合成方法または手順を反映することを意図したものではない。
【0016】
「オルガニル基」という用語は、本明細書では、IUPACで指定される定義に従って使用され、官能基の種類に関係なく、炭素原子に1つの自由原子価を有する有機置換基である。同様に、「オルガニレン基」とは、官能基の種類に関係なく、有機化合物から2個の水素原子、1個の炭素原子から2個の水素原子または2個の異なる炭素原子のそれぞれから1個の水素原子を除去することによって誘導される有機基を指す。「有機基」とは、有機化合物の炭素原子から1つ以上の水素原子を除去することによって形成される一般化された基を指す。したがって、「オルガニル基」、「オルガニレン基」及び「有機基」は、炭素及び水素以外の有機官能基(複数可)及び/または原子(複数可)を含むことができ、すなわち、有機基は、炭素及び水素に加えて、官能基及び/または原子を含むことができる。「オルガニル基」、「オルガニレン基」または「有機基」は、脂肪族(環式もしくは非環式、または直鎖状もしくは分岐状を含む)であってもよいし、芳香族であってもよい。
【0017】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「炭化水素」という用語は、炭素と水素のみを含む化合物を指す。他の識別子を利用して、炭化水素中の特定の基の存在を示すことができる(例えば、ハロゲン化炭化水素は、炭化水素中の水素原子と同数のハロゲン原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。「ヒドロカルビル基」という用語は、本明細書では、IUPACで指定される定義に従って使用され、炭化水素から水素原子を除去することによって形成される一価の基である。同様に、「ヒドロカルビレン基」とは、炭化水素から2個の水素原子(1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子のそれぞれから1個の水素原子)を除去することによって形成される基を指す。したがって、本明細書で使用される用語に従って、「炭化水素基」は、炭化水素から1個以上の水素原子(特定の基に必要とされる)を除去することによって形成される一般化された基を指す。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」は、非環式基または環式基であってよく、及び/または直鎖状または分岐状であってよい。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」には、炭素と水素のみを含む環、環系、芳香環、及び芳香環系が含まれ得る。「ヒドロカルビル基」、「ヒドロカルビレン基」、及び「炭化水素基」には、例えば、とりわけ、アリール基、アリーレン基、アレーン基、アルキル基、アルキレン基、アルカン基、シクロアルキル基、シクロアルキレン基、シクロアルカン基、アラルキル基、アルキレン基、及びアラルカン基がメンバーとして含まれる。
【0018】
本明細書及び特許請求の範囲で使用される「アルカン」という用語は、飽和炭化水素化合物を指す。他の識別子を利用して、アルカン中の特定の基の存在を示すことができる(例えば、ハロゲン化アルカンは、アルカン中の水素原子と同数のハロゲン原子を置換する1つ以上のハロゲン原子の存在を示す)。「アルキル基」という用語は、本明細書では、IUPACで指定される定義に従って使用され、アルカンから水素原子を除去することによって形成される一価の基である。同様に、「アルキレン基」とは、アルカンから2個の水素原子(1個の炭素原子から2個の水素原子、または2個の異なる炭素原子から1個の水素原子)を除去することによって形成される基を指す。「アルカン基」とは、アルカンから(特定の基に必要な)1つ以上の水素原子を除去することによって形成される基を指す一般用語である。「アルキル基」、「アルキレン基」、及び「アルカン基」は、特に指定のない限り、非環式基または環状基であってもよく、及び/または直鎖状または分岐状であってもよい。第一級、第二級、及び第三級アルキル基は、それぞれアルカンの第一級、第二級、または第三級炭素原子から水素原子を除去することによって誘導される。n-アルキル基は、直鎖アルカンの末端炭素原子から水素原子を除去することによって誘導することができる。
【0019】
「置換された」という用語は、化合物または基を説明するために使用される場合、例えば、特定の化合物または基の置換された類似体を指す場合、その基の水素を形式的に置き換える任意の非水素部分を説明することを意図しており、非限定的であることを意図している。1つ以上の基は、本明細書では「非置換」または「未置換」などの同等の用語で言及される場合もあり、これは、非水素部分がその基内の水素を置換しない元の基を指す。「置換された」は非限定的であり、無機置換基または有機置換基を含むことを意図している。
【0020】
「γ-ジカルボニル化合物」という用語は、連続する2つの炭素原子によって分離された、2つのケトン基、2つのアルデヒド基、またはアルデヒド基とケトン基とを有する化合物を指す。γ-ジカルボニル化合物が、指定された関係にある少なくとも2つの基を含まなければならないが、これらの化合物は、指定された関係を有しても、有さなくてもよい追加のアルデヒド基及び/またはケトン基をさらに含み得る。さらに、特に指定のない限り、γ-ジカルボニル化合物は、他のヘテロ原子及び/または官能基(例えば、エステル基またはアミド基)を含み得る。
【0021】
最小値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書に開示された特徴の記載された任意の最小値「少なくとも」または「以上」と記載することができる。最大値として提供される本開示内の特徴は、代替的に、本明細書に開示された特徴の記載された任意の最大値「以下」または「未満」と記載することができる。
【0022】
本開示内では、有機命名法の通常の規則が優勢される。例えば、置換された化合物または基を参照する場合、置換パターンへの参照は、示された基(複数可)が示された位置にあり、かつ他の全ての示されていない位置が水素であることを示すものとみなされる。例えば、4-置換フェニル基への参照は、4位に非水素置換基があり、2位、3位、5位、及び6位に水素があることを示す。示された位置に加えた位置に置換を有する化合物または基への参照は、含む、または他の代替言語を使用して参照することができる。例えば、4位に置換基を有するフェニル基への参照は、4位に非水素置換基を有し、かつ2位、3位、5位、及び6位に水素または任意の非水素置換基を有するフェニル基を指す。
【0023】
「接触させる」という用語は、本明細書では、特に指定のない限り、構成要素が任意の順序で、任意の方法で、任意の時間の長さで接触または結合するシステム、組成物、工程、及び方法を説明するために使用される。例えば、成分は、任意の適切な技術を使用して、配合または混合によって組み合わせることができる。本明細書において、2つ以上の成分を「接触させる」ことにより、反応生成物混合物または反応混合物が得られる。
【0024】
本開示において、組成物及び工程は、様々な成分またはステップを「含む」という用語で記載されるが、組成物及び工程は、特に指定のない限り、様々な成分またはステップ「から実質的になる」または「からなる」こともできる。
【0025】
開示された全ての生成物の収率は、特に指定のない限り、それぞれの反応における制限反応物に基づく。例えば、触媒工程においてγ-ジカルボニル化合物を生成する制限反応物は、フラン化合物であり得るため、γ-ジカルボニル化合物の収率は、フラン化合物の初期量に基づくことになる。非触媒反応または変換では、制限反応物は、反応の化学量論量に従って他の反応物(複数可)と反応するのに十分なモル数で存在しない反応物である。
【0026】
本明細書に記載のものと類似または同等の任意の方法及び材料を、工程及び反応系の実施または試験において使用することができるが、典型的な方法及び材料を本明細書に記載する。
【0027】
本明細書で言及される全ての出版物及び特許は、例えば、本開示に関連して使用され得る、かかる出版物において記述される構築物及び方法論を説明及び開示する目的で、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本明細書に開示されるのは、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することと、γ-ジカルボニル化合物をアンモニア、アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせと接触させて、ピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成することとによって、ピロール化合物を製造する工程である。一般に、ピロール化合物を製造するための工程の特徴(例えば、とりわけ、フラン化合物、ジカルボニル化合物、ピロール化合物、固体酸触媒、アンモニウム塩、ジカルボニル化合物が形成される条件、及びピロール化合物が形成される条件)は、本明細書において独立して記載され、これらの特徴は、ピロール化合物を製造するための開示された工程をさらに記載するために、制限なく任意の組み合わせで利用され得る。さらに、追加の工程ステップは、開示された工程の任意のステップの前、その間、及び/またはその後に実施することができ、特に指定のない限り、ピロール合成工程をさらに説明するために、制限なく任意の組み合わせで利用することができる。
【0029】
有利なことに、本明細書に開示された工程は、副生成物を最小限に抑えながら、フラン化合物の驚くほど高い転化率及びγ-ジカルボニル化合物への収率を提供する。さらに、所望のピロール化合物に変換する前に、ジカルボニル化合物を容易に単離及び精製することができる。
【0030】
ガンマジカルボニル化合物の合成
ピロール化合物を製造する工程のステップa)では、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することができる。ステップa)におけるフラン化合物(F1)及びγ-ジカルボニル化合物(D1)は、これらに限定されるものではないが、以下の式を有し得る。
【化2】
【0031】
これらの式中、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素原子、C1~C30オルガニル基、またはC3~C60シリル基であり得る。R、R1、R2、及びR3のいずれかは、同じであっても異なっていてもよいと考えられる。
【0032】
一態様では、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、C1~C18オルガニル基(例えば、C1~C18ヒドロカルビル基)、またはC3~C48シリル基であり得る。別の態様では、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、C1~C12オルガニル基(例えば、C1~C12ヒドロカルビル基)、またはC3~C36シリル基であり得る。さらに別の態様では、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素、C1~C8オルガニル基(例えば、C1~C8ヒドロカルビル基)、またはC3~C24シリル基であり得る。したがって、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素またはC1~C18ヒドロカルビル基(またはC1~C12もしくはC1~C8ヒドロカルビル基)であり得る。
【0033】
一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、または置換アラルキル基であり得、あるいは、アルキル基、または置換アルキル基であり得、あるいは、シクロアルキル基、または置換シクロアルキル基であり得、あるいは、アリール基、または置換アリール基であり得、あるいは、アラルキル基、または置換アラルキル基であり得、あるいは、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基であり得、あるいは、アルキル基であり得、あるいは、置換アルキル基であり得、あるいは、シクロアルキル基であり得、あるいは、置換シクロアルキル基であり得、あるいは、アリール基であり得、あるいは、置換アリール基であり得、あるいは、アラルキル基であり得、あるいは、置換アラルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、アルキル基は、C1~C20、C1~C10、またはC1~C5アルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、置換アルキル基は、C1~C20、C1~C10、またはC1~C5置換アルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、シクロアルキル基は、C4~C20、C4~C15、またはC4~C10シクロアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、置換シクロアルキル基は、C4~C20、C4~C15、またはC4~C10置換シクロアルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、アリール基は、C6~C20、C6~C15、またはC6~C10アリール基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、置換アリール基は、C6~C20、C6~C15、またはC6~C10置換アリール基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、アラルキル基は、C7~C20、C7~C15、またはC7~C10アラルキル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、置換アラルキル基は、C7~C20、C7~C15、またはC7~C10置換アラルキル基であり得る。置換アルキル基(一般的または特定)、置換シクロアルキル基(一般的または特定)、置換アリール基(一般的または特定)、及び/または置換アラルキル基(一般的または特定)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基、またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルビル基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンであり得、あるいは、ヒドロカルビル基であり得、あるいは、ヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基(一般的及び特定)、及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルボキシ基は、置換R、R1、R2、及び/またはR3基をさらに説明するために制限なく利用され得る。
【0034】
一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、またはオクチル基であり得、あるいは、メチル基、エチル基、n-プロピル(1-プロピル)基、iso-プロピル(2-プロピル)基、tert-ブチル(2-メチル-2-プロピル)基、またはネオペンチル(2,2-ジメチル-1-プロピル)基であり得る。いくつかの態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得るアルキル基は、置換され得る。置換アルキル基(一般的または特定)の各置換基は、独立して、ハロゲンまたはヒドロカルボキシ基であり得、あるいはハロゲンであり得、あるいはヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換ハロゲン及び置換ヒドロカルボキシ基は、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得る置換アルキル基をさらに記載するために制限なく利用され得る。
【0035】
一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、シクロペンチル基、置換シクロペンチル基、シクロヘキシル基、または置換シクロヘキシル基であり得、あるいは、シクロペンチル基または置換シクロペンチル基であり得、あるいは、シクロヘキシル基または置換シクロヘキシル基であり得る。一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとしてとして利用され得る置換シクロアルキル基は、2-置換シクロヘキシル基、2,6-ジ置換シクロヘキシル基、2-置換シクロペンチル基、または2,5-ジ置換シクロペンチル基であり得、あるいは、2-置換シクロヘキシル基または2,6-ジ置換シクロヘキシル基であり得、あるいは、2-置換シクロペンチル基または2,5-ジ置換シクロペンチル基であり得、あるいは、2-置換シクロヘキシル基または2-置換シクロペンチル基であり得、あるいは、2,6-ジ置換シクロヘキシル基または2,5-ジ置換シクロペンチル基であり得る。一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用される多置換シクロアルキル基の1つ以上の置換基は、同一であっても異なっていてもよく、あるいは、多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、同一であってもよく、あるいは、多置換シクロアルキル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。特定の数の環炭素原子を有する置換シクロアルキル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルビル基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンであり得、あるいは、ヒドロカルビル基であり得、あるいは、ヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基(一般的及び特定)、及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルボキシ基は、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得る置換シクロアルキル基(一般的または特定)をさらに記載するために制限なく利用され得る。
【0036】
非限定的な態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、シクロヘキシル基、2-アルキルシクロヘキシル基、または2,6-ジアルキルシクロヘキシル基であり得、あるいは、シクロペンチル基、2-アルキルシクロペンチル基、または2,5-ジアルキルシクロペンチル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定)は、本明細書において独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得るアルキルシクロヘキシル基(一般的及び特定)、ジアルキルシクロヘキシル基(一般的及び特定)、アルキルシクロペンチル基(一般的または特定)、及び/またはジアルキルシクロペンチル基(一般的及び特定)をさらに記載するために、制限なく利用され得る。一般に、ジアルキルシクロヘキシル基またはジアルキルシクロペンチル基のアルキル置換基は同じであってもよく、あるいは、ジアルキルシクロヘキシル基またはジアルキルシクロペンチル基のアルキル置換基は異なっていてもよい。いつかの非限定的な態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。他の非限定的な態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、2-メチルシクロヘキシル基、2-エチルシクロヘキシル基、2-イソプロピルシクロヘキシル基、2-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得、あるいは、2,6-ジメチルシクロヘキシル基、2,6-ジエチルシクロヘキシル基、2,6-ジイソプロピルシクロヘキシル基、または2,6-ジ-tert-ブチルシクロヘキシル基であり得る。
【0037】
一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、フェニル基または置換フェニル基であり得、あるいはフェニル基であり得、あるいは置換フェニル基であり得る。一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得る置換フェニル基は、2-置換フェニル基、3-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-ジ置換フェニル基、2,6-ジ置換フェニル基、3,5-ジ置換フェニル基、または2,4,6-トリ置換フェニル基であり得、あるいは、2-置換フェニル基、4-置換フェニル基、2,4-ジ置換フェニル基、または2,6-ジ置換フェニル基であり得、あるいは、3-置換フェニル基または3,5-ジ置換フェニル基であり得、あるいは、2-置換フェニル基または4-置換フェニル基であり得、あるいは、2,4-ジ置換フェニル基または2,6-ジ置換フェニル基であり得、あるいは、2,4,6-トリ置換フェニル基であり得る。一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用される多置換フェニル基の1つ以上の置換基は、同一であっても異なっていてもよく、あるいは、多置換フェニル基の全ての置換基は、同一であってもよく、あるいは、多置換フェニル基の全ての置換基は、異なっていてもよい。置換フェニル基(一般的または特定)の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルビル基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンであり得、あるいは、ヒドロカルビル基であり得、あるいは、ヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基(一般的及び特定)、及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルボキシ基は、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得る置換フェニル基(一般的または特定)をさらに記載するために制限なく利用され得る。
【0038】
非限定的な態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、フェニル基、2-アルキルフェニル基、3-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、3,5-ジアルキルフェニル基、または2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得、あるいは、2-アルキルフェニル基、4-アルキルフェニル基、2,4-ジアルキルフェニル基、2,6-ジアルキルフェニル基、または2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得、あるいは、2-アルキルフェニル基または4-アルキルフェニル基であり得、あるいは、2,4-ジアルキルフェニル基または2,6-ジアルキルフェニル基であり得、あるいは、3-アルキルフェニル基または3,5-ジアルキルフェニル基であり得、あるいは、2-アルキルフェニル基または2,6-ジアルキルフェニル基であり得、あるいは、2,4,6-トリアルキルフェニル基であり得る。アルキル置換基(一般的及び特定)は、本明細書に独立して記載され、これらのアルキル置換基は、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得る任意のアルキル置換フェニル基をさらに記載するために、制限なく利用され得る。一般に、ジアルキルフェニル基(一般的または特定)またはトリアルキルフェニル基(一般的または特定)のアルキル置換基は、同じであってよく、あるいはジアルキルフェニル基またはトリアルキルフェニル基のアルキル置換基は、異なっていてよい。いつかの非限定的な態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、2-tert-ブチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基であり得、あるいは、フェニル基、2-メチルフェニル基、2-エチルフェニル基、2-n-プロピルフェニル基、2-イソプロピルフェニル基、または2-tert-ブチルフェニル基であり得、あるいは、フェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,6-ジエチルフェニル基、2,6-ジ-n-プロピルフェニル基、2,6-ジイソプロピルフェニル基、2,6-ジ-tert-ブチルフェニル基、2-イソプロピル-6-メチルフェニル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。
【0039】
一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、ベンジル基または置換ベンジル基であり得、あるいはベンジル基であり得、あるいは置換ベンジル基であり得る。置換ベンジル基の各置換基は、独立して、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルビル基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンであり得、あるいは、ヒドロカルビル基であり得、あるいは、ヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基(一般的及び特定)、及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルボキシ基は、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得る置換ベンジル基(一般的または特定)をさらに記載するために制限なく利用され得る。
【0040】
一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、アシル基または置換アシル基であり得、アシル基であり得、あるいは置換アシル基であり得る。一態様では、アシル基は、C1~C20、C1~C15、C1~C10、またはC1~C5アシル基であり得る。一態様では、置換アシル基は、C1~C20、C1~C15、C1~C10、またはC1~C5置換アシル基であり得る。いくつかの態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかは、独立して、アルカノイル基、置換アルカノイル基、ベンゾイル基、または置換ベンゾイル基であり得、あるいは、アルカノイル基または置換アルカノイル基であり得、あるいは、ベンゾイル基または置換ベンゾイル基であり得、あるいは、アルカノイル基であり得、あるいは、置換アルカノイル基であり得、あるいは、ベンゾイル基であり得、あるいは置換ベンゾイル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、アルカノイル基は、C1~C20、C1~C10、またはC1~C5アルカノイル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、置換アルカノイル基は、C1~C20、C1~C10、またはC1~C5置換アルカノイル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、ベンゾイル基は、C7~C20、C7~C15、またはC7~C10ベンゾイル基であり得る。本明細書に開示される任意の態様では、置換ベンゾイル基は、C7~C20、C1~C15、またはC1~C10置換ベンゾイル基であり得る。置換アルカノイル基(一般的または特定)及び/または置換ベンゾイル基(一般的または特定)の各置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルビル基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンであり得、あるいは、ヒドロカルビル基であり得、あるいは、ヒドロカルボキシ基であり得る。置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基(一般的及び特定)、及び置換ヒドロカルボキシ基(一般的及び特定)は、本明細書において独立して開示される。これらの置換ハロゲン、置換ヒドロカルビル基、及び置換ヒドロカルボキシ基は、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用され得る置換アルカノイル基及び/または置換ベンゾイル基をさらに記載するために制限なく利用され得る。
【0041】
本明細書に記載される様々な態様は、ハロゲン(またはハロ、ハロゲン化物)、ヒドロカルビル、ヒドロカルボキシ、アルキル、及び/またはアルコキシ置換基などの非水素置換基に言及する。一態様では、置換基を求める任意の態様における各非水素置換基は、ハロゲン、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルビル基であり得、あるいは、ハロゲンまたはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ヒドロカルビル基またはヒドロカルボキシ基であり得、あるいは、ハロゲンであり得、あるいは、ヒドロカルビル基であり得、あるいは、ヒドロカルボキシ基であり得る。各ヒドロカルビル置換基は、独立して、C1~C10ヒドロカルビル基、あるいはC1~C5ヒドロカルビル基であり得る。各ヒドロカルボキシ置換基は、独立して、C1~C10ヒドロカルボキシ基、あるいはC1~C5ヒドロカルボキシ基であり得る。各ハロゲン化物置換基は独立して、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物であり得、あるいは、フッ化物または塩化物であり得、あるいは、フッ化物であり得、あるいは、塩化物であり得、あるいは、臭化物であり得、あるいはヨウ化物であり得る。
【0042】
一態様では、任意のヒドロカルビル置換基は、独立して、アルキル基、アリール基、またはアラルキル基であり得、あるいは、アルキル基であり得、あるいは、アリール基であり得、あるいはアラルキル基であり得る。一態様では、任意のアルキル置換基は、独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、2-ペンチル基、3-ペンチル基、2-メチル-1-ブチル基、tert-ペンチル基、3-メチル-1-ブチル基、3-メチル-2-ブチル基、またはネオペンチル基であり得、あるいは、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert-ブチル基、またはネオペンチル基であり得、あるいは、メチル基であり得、あるいは、エチル基であり得、あるいは、イソプロピル基であり得、あるいは、tert-ブチル基であり得、あるいはネオペンチル基であり得る。一態様では、任意のアリール置換基は、独立して、フェニル基、トリル基、キシリル基、または2,4,6-トリメチルフェニル基であり得、あるいは、フェニル基であり得、あるいは、トリル基であり得、あるいは、キシリル基であり得、あるいは、2,4,6-トリメチルフェニル基であり得る。一態様では、任意のアラルキル置換基は、独立して、ベンジル基またはエチルフェニル基(2-フェニルエト-1-イルまたは1-フェニルエト-1-イル)であり得、あるいは、ベンジル基であり得、あるいは、エチルフェニル基であり得、あるいは、2-フェニルエト-1-イル基であり得、あるいは、1-フェニルエト-1-イル基であり得る。
【0043】
一態様では、任意のヒドロカルボキシ置換基は、独立して、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアラルコキシ基であり得、あるいは、アルコキシ基であり得、あるいは、アリールオキシ基であり得、あるいはアラルコキシ基であり得る。一態様では、任意のアルコキシ置換基は、独立して、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、イソブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペントキシ基、2-ペントキシ基、3-ペントキシ基、2-メチル-1-ブトキシ基、tert-ペントキシ基、3-メチル-1-ブトキシ基、3-メチル-2-ブトキシ基、またはネオペントキシ基であり得、あるいは、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert-ブトキシ基、またはネオペントキシ基であり得、あるいは、メトキシ基であり得、あるいは、エトキシ基であり得、あるいは、イソプロポキシ基であり得、あるいは、tert-ブトキシ基であり得、あるいはネオペントキシ基であり得る。一態様では、任意のアリールオキシ置換基は、独立して、フェノキシ基、トロキシ基、キシロキシ基、または2,4,6-トリメチルフェノキシ基であり得、あるいは、フェノキシ基であり得、あるいはトロキシ基であり得、あるいはキシロキシ基であり得、あるいは2,4,6-トリメチルフェノキシ基であり得る。一態様では、任意のアラルコキシ置換基は、独立してベンゾキシ基であり得る。
【0044】
一態様では、R、R
1、R
2、及び/またはR
3のいずれかは、独立して、C
3~C
60シリル基であり得、あるいは、C
3~C
48シリル基であり得、あるいは、C
3~C
36シリル基であり得、あるいは、C
3~C
24シリル基であり得、あるいは、C
3~C
15シリル基であり得る。いくつかの態様では、R、R
1、R
2、及び/またはR
3のいずれかであり得るシリル基は、式(Si1)を有し得る。
【化3】
【0045】
一般に、式Si1を有するシリル基のR1s、R2s、及びR3sは、独立して、オルガニル基またはヒドロカルビル基であり得、あるいは、オルガニル基であり得、あるいは、ヒドロカルビル基であり得る。式Si1を有するシリル基のR1s、R2s及びR3sとして利用できるオルガニル基及び/またはヒドロカルビル基は、非水素フラン置換基及びジカルボニル置換基として本明細書に開示されるオルガニル基及びヒドロカルビル基と同じ炭素数を有し得る。例えば、R1s、R2s、及びR3sは、独立して、C1~C15ヒドロカルビル基であり得る。一態様では、式Si1を有するシリル基のR1s、R2s、及びR3sは、独立して、アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール、アラルキル基、または置換アラルキル基であり得、あるいは、アルキル基であり得、あるいは、置換アルキル基であり得、あるいは、シクロアルキル基であり得、あるいは、置換シクロアルキル基であり得、あるいは、アリール基であり得、あるいは、置換アリール基であり得、あるいは、アラルキル基であり得、あるいは置換アラルキル基であり得る。アルキル基、置換アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、及び置換アラルキル基は、潜在的な非水素フラン置換基及びジカルボニル置換基として本明細書において独立して記載され、式Si1を有するシリル基のR1s、R2s、及びR3sとして、制限なく利用され得る。
【0046】
一態様では、R、R1、R2、及び/またはR3のいずれかとして利用できる任意のシリル基は、独立してトリヒドロカルビルシリル基であり得る。いくつかの態様では、シリル基は、トリアルキルシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、またはトリ-t-ブチルシリル基)、トリフェニルシリル基、またはトリ(置換フェニル)シリル基であり得、あるいは、トリアルキルシリル基であり得、あるいは、トリフェニルシリル基であり得、あるいは、トリ(置換フェニル)シリル基であり得る。ヒドロカルビル基、アルキル基、及び置換フェニル基は、潜在的な非水素フラン置換基及びジカルボニル置換基として本明細書において独立して記載され、式Si1を有するシリル基のR1s、R2s、及びR3sとして、制限なく利用され得る。
【0047】
本明細書のいくつかの態様では、R、R1、R2、及びR3の少なくとも1つは水素原子ではない。例えば、R及びR1は、独立して、C1~C18ヒドロカルビル基であり得、R2及びR3は、水素原子であり得る。適切なヒドロカルビル基が本明細書に開示されており、R及びR1は独立して、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、またはキシリル基であり得る。特定の態様では、R及びR1はメチル基であり得、R2及びR3は水素であり得る。
【0048】
一態様では、開示された工程で利用されるフラン化合物は、2,5-ジメチルフラン、2,5-ジエチルフラン、2-エチル-5-メチルフラン、2-エチル-5-n-プロピルフラン、2,5-ジ-n-プロピルフラン、2,5-ジイソプロピルフラン、2,5-ジ-n-ブチルフラン、2,5-ジ-n-ペンチルフラン、2,5-ジ-n-ヘキシルフラン、2,5-ジ-n-ヘプチルフラン、2,5-ジ-n-オクチルフラン、2,3,5-トリエチルフラン、2,3,5-トリ-n-ブチルフラン、2,3,5-トリ-n-ペンチルフラン、2,3,5-トリ-n-ヘキシルフラン、2,3,5-トリ-n-ヘプチルフラン、2,3,5-トリ-n-オクチルフラン、2,3,4,5-テトラエチルフラン、2,3,4,5-テトラ-n-ブチルフラン、2,3,4,5-テトラ-n-ヘキシルフラン、2,5-ジベンジルフラン、2,4-ジメチルフラン、2-メチル-4-イソプロピルフラン、2,4-ジメチル-3-エチルフラン、2,4-ジエチルフラン、2-エチル-4-イソプロピルフラン、2-メチル-4-sec-ブチルフラン、2-エチル-4-sec-ブチルフラン、2-メチル-4-イソブチルフラン、2-エチル-4-イソブチルフラン、2-メチル-4-t-ブチルフラン、2-エチル-4-t-ブチルフラン、2-メチル-4-ネオペンチルフラン、2-エチル-4-ネオペンチルフラン、3,4-ジメチルフラン、3,4-ジエチルフラン、3,4-ジイソプロピルフラン、3,4-ジ-sec-ブチルフラン、3,4-ジイソブチルフラン、3,4-ジ-t-ブチルフラン、3,4-ジ-ネオペンチルフランなど、及びそれらの任意の組み合わせを含む(または本質的にそれらからなる、またはそれらからなる)ことができる。本発明と一致する特定の態様では、開示された工程で利用されるフラン化合物は、2,5-ジメチルフランを含む(または本質的にそれからなる、またはそれからなる)ことができる。
【0049】
驚くべきことに、本明細書においてγ-ジカルボニル化合物を製造するステップa)は、フラン化合物及び固体酸触媒を水と接触させた場合に特に有効である。理論に縛られることを望まないが、水を使用した場合に観察される反応収率及び転化率の改善は、例えば、1種以上の反応物とその生成物または中間体との間の遷移状態を安定化させることによって、水がフラン化合物と固体酸触媒との反応を促進する結果であると考えられる。しかし、水は、他のいかなる手段によって、フラン化合物の転化率及びγ-ジカルボニル化合物への収率を高めることができる。
【0050】
一般に、ステップa)における接触(または反応)の適切な手順は特に限定されない。例えば、フラン化合物、固体酸触媒、及び水は、γ-ジカルボニル化合物の許容可能な収率を生み出す任意の順序、方法、またはプロセスで接触させることができる。一態様では、固体酸触媒と接触させる前に、フラン化合物を水と混合することができる。
【0051】
ステップa)における成分の特定の比率は、フラン転化率及びγ-ジカルボニル化合物の収率に関して有利であることが判明し得る。例えば、ステップa)は、少なくとも0.25:1、0.5:1、1:1、または1.5:1の水対フラン化合物の最小モル比で行うことができ、追加的にまたは代替的に、ステップa)は、50:1、25:1、10:1、7.5:1、または5:1以下の水対フラン化合物の最大モル比で行うことができる。一般に、水対フラン化合物のモル比は、本明細書に開示される任意の最小モル比から本明細書に開示される任意の最大モル比までの範囲内にあり得る。したがって、水対フラン化合物のモル比に適した非限定的な範囲としては、0.25:1~50:1、1:1~50:1、0.5:1~25:1、0.5:1~10:1、1:1~10:1、1:1~7.5:1、または1.5:1~5:1が含まれ得る。ステップa)における水対フラン化合物のモル比に適した他の範囲は、本開示から容易に見出される。
【0052】
典型的には、ステップa)は、水を液相に維持するのに十分な圧力で行うことができる。例えば、ステップa)は、少なくとも5psig(34kPa)、10psig(69kPa)、25psig(172kPa)、40psig(276kPa)、または50psig(345kPa)の圧力で行うことができ、追加的または代替的に、ステップa)は、200psig(1.38MPa)、175psig(1.21MPa)、150psig(1.03MPa)、または125psig(0.86MPa)以下の圧力で実施することができる。一般的に、ステップa)における圧力は、本明細書に開示された任意の最小圧力から本明細書に開示された任意の最大圧力までの範囲内にあり得る。したがって、ステップa)における圧力に適した非限定的範囲としては、5psig(34kPa)~200psig(1.38MPa)、10psig(69kPa)~200psig(1.38MPa)、25psig(172kPa)~175psig(1.21MPa)、25psig(172kPa)~150psig(1.03MPa)、40psig(276kPa)~150psig(1.03MPa)、または50psig(345kPa)~125psig(0.86MPa)が含まれ得る。ステップa)及びγ-ジカルボニル化合物の形成のための他の適切な圧力範囲は、この開示から容易に見出される。これらの圧力範囲はまた、ステップa)(またはγ-ジカルボニル化合物の形成)がそれぞれの圧力範囲に入る単一の固定圧力ではなく、一連の異なる圧力で行われる状況を包含することも意味する。
【0053】
一態様では、ステップa)は、固体酸触媒の最大作動温度(または熱安定性温度)未満の任意の温度で実施することができる。別の態様では、ステップa)は、固体酸触媒の融解温度未満の任意の温度で行うことができ、またはステップa)は、固体酸触媒の軟化点/温度未満の任意の温度で行うことができる。例えば、特定の固体酸触媒に応じて、ステップa)は、80℃、90℃、100℃、110℃、または120℃の最低温度で行うことができ、追加的または代替的に、180℃、170℃、155℃、または150℃の最高温度で行うことができる。一般的に、ステップa)における温度は、本明細書に開示された任意の最小温度から本明細書に開示された任意の最大温度までの範囲内にあり得る。したがって、ステップa)における温度及びγ-ジカルボニル化合物の形成に適した非限定的な範囲としては、80℃~180℃、80℃~155℃、90℃~170℃、90℃~155℃、100℃~170℃、100℃~155℃、110℃~170℃、110℃~150℃、120℃~180℃、120℃~175℃、または120℃~150℃が含まれ得る。他の適切な温度及び温度範囲は、この開示から容易に見出される。これらの温度範囲はまた、ステップa)(またはγ-ジカルボニル化合物の形成)がそれぞれの温度範囲に入る単一の固定温度ではなく、一連の異なる温度で行われる状況を包含することも意味する。
【0054】
一態様では、ステップa)は、撹拌槽反応器において実施され得る。撹拌槽反応器において、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させる(またはγ-ジカルボニル化合物を形成させる)時間は、特に制限されず、任意の適切な時間にわたって実施することができる。それにもかかわらず、ステップa)の撹拌槽反応器における最小平均滞留時間は、5分、10分、15分、30分、または1時間であり得、追加的にまたは代替的に、最大平均滞留時間は、10時間、8時間、7時間、5時間、または3時間であり得る。一般に、ステップa)の撹拌槽反応器における平均滞留時間は、本明細書に開示される任意の最小時間から本明細書に開示される任意の最大時間までの範囲内にあり得る。したがって、平均滞留時間に適した非限定的な範囲としては、5分~10時間、10分~8時間、15分~7時間、30分~5時間、30分~3時間、1時間~10時間、1時間~7時間、1時間~5時間、または1時間~3時間が含まれ得る。平均滞留時間の他の適切な範囲は、この開示から容易に見出される。
【0055】
撹拌槽反応器におけるフラン化合物と固体酸触媒との重量比(フラン:触媒)は特に限定されない。一態様では、ステップa)は、少なくとも5:1、7.5:1、または10:1のフラン対触媒の最小重量比で実施することができ、追加的にまたは代替的に、ステップa)は、50:1、40:1、または25:1以下のフラン対触媒の最大重量比で実施することができる。一般に、フラン対触媒の重量比は、本明細書に開示される任意の最小重量比から本明細書に開示される任意の最大重量比までの範囲内にあり得る。したがって、フラン対触媒の質量比に適した非限定的な範囲としては、5:1~50:1、5:1~25:1、7.5:1~40:1、7.5:1~25:1、10:1~50:1、10:1~40:1、または10:1~25:1が含まれ得る。ステップa)におけるフラン対触媒の重量比に適した他の範囲は、本開示から容易に見出される。
【0056】
一態様では、ステップa)は、固定床反応器中で実施され得る。そのような態様では、フラン化合物-触媒の接触時間(または反応時間)は、重量時間空間速度(WHSV)、すなわち、単位時間当たりで所定の重量の固体酸触媒と接触するフラン化合物反応物の重量の比(単位はg/g/hr)で表すことができる。それに限定されないが、ステップa)は、0.01、0.05、0.1、0.15、または0.2の最小WHSV値で行うことができ、追加的または代替的には、ステップa)は、10、5、4、3、2、または1の最大WHSV値で行うことができる。一般に、ステップa)のWHSVは、本明細書に開示される任意の最小WHSVから本明細書に開示される任意の最大WHSVまでの範囲にあり得る。したがって、WHSVに適した非限定的な範囲は、0.01~10、0.01~5、0.05~4、0.05~2、0.1~10、0.1~3、0.15~4、0.15~2、0.2~3または0.2~1が含まれ得る。他の適切なWHSV範囲は、本開示から容易に見出される。
【0057】
固定床反応器の態様では、フラン化合物からγ-ジカルボニル化合物への転化は、固定床反応器に複数回通過させるか、あるいは固定床反応器(複数可)に1回通過させることによって達成できる。フラン化合物のγ-ジカルボニル化合物への転化が、固定床反応器に複数回通過させることによって達成できる態様では、フラン化合物の平均1回通過転化率(または、γ-ジカルボニル化合物への平均1回通過モル収率)は、少なくとも5モル%、少なくとも10モル%、少なくとも15モル%、少なくとも20モル%、または少なくとも25モル%であり得、追加的または代替的に、フラン化合物の平均1回通過転化率(またはγ-ジカルボニル化合物への平均1回通過モル収率)は、75モル%以下、60モル%以下、50モル%以下、40モル%以下、または30モル%以下であり得る。一般的に、フラン化合物の平均1回通過転化率(またはγ-ジカルボニル化合物への平均1回通過モル収率)は、本明細書に開示されるフラン化合物の任意の最小平均1回通過転化率(またはγ-ジカルボニル化合物への最小平均1回通過モル収率)から、本明細書に開示されるフラン化合物の任意の最大平均1回通過転化率(またはγ-ジカルボニル化合物への最大平均1回通過モル収率)までの範囲にあり得る。したがって、フラン化合物の平均1回通過転化率(またはγ-ジカルボニル化合物への平均1回通過モル収率)に適した非限定的な範囲としては、5モル%~75モル%、10モル%~60モル%、10モル%~50モル%、15モル%~40モル%、20モル%~40モル%、または10モル%~30モル%が含まれ得る。フラン化合物の平均1回通過転化率(またはγ-ジカルボニル化合物への平均1回通過モル収率)の他の適切な範囲は、この開示から容易に見出される。一般に、モル収率はフラン化合物のモルに基づく。
【0058】
予想外なことに、ステップa)は、撹拌槽反応器または固定床反応器のいずれで実施しても、フラン化合物を効率的に変換し、異なる触媒を用いた、及び/または水の存在下でない類似の反応で観察されるよりも高い収率でγ-ジカルボニル化合物を生成する。ステップa)におけるフラン化合物の総転化率(またはγ-ジカルボニル化合物への総モル収率)は、少なくとも70モル%、より多くの場合、少なくとも80モル%、少なくとも85モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、または少なくとも97モル%であり得る。総モル収率はフラン化合物のモルに基づく。
【0059】
別段の指示がない限り、ジカルボニル生成物(またはジカルボニル生成物を含む反応混合物)の組成態様は、モル%で開示される。本明細書におけるモル%での組成の開示は、面積%(本明細書に記載されるように、ガスクロマトグラフを使用して決定された面積百分率)での同じ組成の開示も包含することを意味し得、それは、開示された工程及び結果として得られる生成物がしばしばこの方法で分析または評価されるからである。フラン化合物の面積%またはモル%での転化率を利用することができるが、面積%及びモル%を使用するこれらの転化率は同一ではない。代表例として、γ-ジカルボニル化合物が少なくとも90モル%の収率で製造され得るという開示は、あるいはγ-ジカルボニル化合物が少なくとも90面積%の収率で製造され得るという開示も意味する。
【0060】
本明細書に開示されるピロール化合物を製造する工程は、ステップa)の後、典型的には、所望のγ-ジカルボニル化合物、残留フラン反応物、固体触媒、水、及び副生成物を含む反応混合物を生じる。多くの場合、ステップa)後の反応混合物からγ-ジカルボニル化合物の少なくとも一部(場合によっては全部)を単離または分離することが望ましい。これは、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはこれらの技術の2つ以上の組み合わせを含むがこれらに限定されない任意の適切な技術を使用して達成することができる。
【0061】
追加的にまたは代替的に、本明細書に開示される工程は、ステップb)の前に、任意の適切な技術または本明細書に開示される任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、ステップa)の後に反応混合物から固体酸触媒の少なくとも一部(場合によっては全部)を分離するステップをさらに含み得る。例えば、固体酸触媒を反応混合物から分離し、次いで残りの反応混合物をステップb)で使用することができ、あるいは反応混合物から単離したγ-ジカルボニル化合物をステップb)で使用することができる。
【0062】
ピロール化合物の合成
ステップb)では、γ-ジカルボニル化合物(ステップa)からの反応混合物中、またはそこから部分的もしくは完全に分離したもの)をアンモニア、アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせと接触させ、ピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成することができる。これに限定されないが、ピロール化合物は次の式を有し得る。
【化4】
【0063】
ピロール化合物は、フラン化合物(例えば、フラン化合物(F1)からγ-ジカルボニル化合物(例えば、γ-ジカルボニル化合物(D1))を経て生成される。したがって、式(P1)中のR、R1、R2、及びR3は、本明細書においてフラン化合物(F1)及びγ-ジカルボニル化合物(D1)について記載したものと同じである。したがって、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素原子、本明細書に開示される任意のC1~C30オルガニル基、または本明細書に開示される任意のC3~C60シリル基であり得る。例えば、R、R1、R2、及びR3は、独立して、水素原子またはC1~C18ヒドロカルビル基であり得、あるいは、R及びR1は独立して、C1~C18ヒドロカルビル基であり得、R2及びR3は水素原子であり得、あるいは、R及びR1はメチル基であり得、R2及びR3は水素原子であり得る。
【0064】
一態様では、開示された工程によって調製されるピロール化合物は、2,5-ジメチルピロール、2,5-ジエチルピロール、2-エチル-5-メチルピロール、2-エチル-5-n-プロピルピロール、2,5-ジ-n-プロピルピロール、2,5-ジイソプロピルピロール、2,5-ジ-n-ブチルピロール、2,5-ジ-n-ペンチルピロール、2,5-ジ-n-ヘキシルピロール、2,5-ジ-n-ヘプチルピロール、2,5-ジ-n-オクチルピロール、2,3,5-トリエチルピロール、2,3,5-トリ-n-ブチルピロール、2,3,5-トリ-n-ペンチルピロール、2,3,5-トリ-n-ヘキシルピロール、2,3,5-トリ-n-ヘプチルピロール、2,3,5-トリ-n-オクチルピロール、2,3,4,5-テトラエチルピロール、2,3,4,5-テトラ-n-ブチルピロール、2,3,4,5-テトラ-n-ヘキシルピロール、2,5-ジベンジルピロール、2,4-ジメチルピロール、2-メチル-4-イソプロピルピロール、2,4-ジメチル-3-エチルピロール、2,4-ジエチルピロール、2-エチル-4-イソプロピルピロール、2-メチル-4-sec-ブチルピロール、2-エチル-4-sec-ブチルピロール、2-メチル-4-イソブチルピロール、2-エチル-4-イソブチルピロール、2-メチル-4-t-ブチルピロール、2-エチル-4-t-ブチルピロール、2-メチル-4-ネオペンチルピロール、2-エチル-4-ネオペンチルピロール、3,4-ジメチルピロール、3,4-ジエチルピロール、3,4-ジイソプロピルピロール、3,4-ジ-sec-ブチルピロール、3,4-ジイソブチルピロール、3,4-ジ-t-ブチルピロール、3,4-ジ-ネオペンチルピロールなど、及びそれらの任意の組み合わせを含む(または本質的にそれらからなる、またはそれらからなる)ことができる。本発明と一致する特定の態様では、開示された工程によって調製されるピロール化合物は、2,5-ジメチルピロールを含む(または本質的にそれからなる、またはそれからなる)ことができる。
【0065】
γ-ジカルボニル化合物(ステップa)から得られたもの、またはそこから部分的もしくは完全に分離したものを使用)をアンモニア及び/またはアンモニウム塩と接触させて、ステップb)において所望のピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成することができる。一態様では、ステップb)は、γ-ジカルボニル化合物をアンモニアと接触させることを含み得る。別の態様では、ステップb)は、γ-ジカルボニル化合物をアンモニウム塩と接触させることを含み得る。適切なアンモニウム塩の非限定的な例としては、水酸化アンモニウム(例えば、アンモニアの水溶液としての液体水酸化アンモニウム)、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウムなど、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。したがって、ステップb)は、γ-ジカルボニル化合物を、水酸化アンモニウム、あるいは酢酸アンモニウム、あるいは炭酸アンモニウム、あるいは重炭酸アンモニウム、あるいは塩化アンモニウム、あるいは硝酸アンモニウム、あるいはリン酸アンモニウム、あるいは硫酸アンモニウムと接触させることを含み得る。
【0066】
ステップb)は、任意の適切な温度で行うことができる。これに限定されないが、ステップb)は、50℃、60℃、70℃、80℃、または90℃の最低温度で行うことができ、追加的または代替的に、170℃、160℃、150℃、140℃、または130℃の最高温度で行うことができる。一般的に、ステップb)における温度は、本明細書に開示された任意の最小温度から本明細書に開示された任意の最大温度までの範囲内にあり得る。したがって、ステップb)における温度及びピロール化合物の形成に適した非限定的な範囲としては、50℃~170℃、60℃~160℃、70℃~150℃、80℃~160℃、80℃~130℃、90℃~170℃、または90℃~140℃が含まれ得る。他の適切な温度及び温度範囲は、この開示から容易に見出される。これらの温度範囲はまた、ステップb)(またはピロール化合物の形成)がそれぞれの温度範囲に入る単一の固定温度ではなく、一連の異なる温度で行われる状況を包含することも意味する。
【0067】
ステップb)の継続時間も特に限定されない。それにもかかわらず、ステップb)の最小接触時間(または反応時間)は、15分、30分、1時間、または2時間であり得、追加的にまたは代替的に、最大接触時間(または反応時間)は、10時間、8時間、6時間、5時間、または4時間であり得る。一般に、ステップb)の接触時間(反応時間)は、本明細書に開示される任意の最小時間から本明細書に開示される任意の最大時間までの範囲内にあり得る。したがって、接触時間(または反応時間)に適した非限定的な範囲としては、15分~10時間、30分~8時間、30分~4時間、1時間~6時間、1時間~4時間、2時間~10時間、2時間~6時間、または2時間~5時間が含まれ得る。ステップb)の継続時間の他の適切な範囲は、本開示から容易に見出される。
【0068】
ステップb)の反応生成物混合物は、所望のピロール化合物を含む。しかしながら、多くの場合、反応生成物混合物は二相を有することができ、有機相と水相を含む。反応生成物混合物から水相を除去することは有利であり得るので、開示される工程は、プロセスb)の後に、反応生成物混合物から水の少なくとも一部(場合によっては全部)を分離する(例えば、相切断を使用する)ステップをさらに含み得る。
【0069】
付加的または代替的に、本明細書に開示されるピロール化合物を製造する工程は、ステップb)の後に、反応生成物混合物からピロール化合物の少なくとも一部を分離するか、または少なくとも一部(場合によっては全て)を単離するステップをさらに含み得る。これは、抽出、濾過、乾燥、蒸発、蒸留などの任意の適切な技術、またはそれらの任意の組み合わせを使用して達成することができる。
【0070】
予想外なことに、開示された二段階合成は、フラン化合物をγ-ジカルボニル化合物に効率的に変換し、その後、ピロール化合物を驚くほど高い収率で生成する。例えば、ピロール化合物に対するモル収率は、少なくとも60モル%、より多くの場合、少なくとも70モル%、少なくとも80モル%、少なくとも90モル%、少なくとも95モル%、または少なくとも97モル%であり得る。モル収率はフラン化合物の初期モルに基づく。別段の指示がない限り、ピロール生成物(またはピロール生成物を含む反応生成物混合物)の組成態様は、モル%で開示される。本明細書におけるモル%での任意の組成態様の開示は、面積%(本明細書で記載されるように、ガスクロマトグラフを使用して測定される面積百分率)での同じ組成態様の開示も包含することを意味し、それは、面積%とモル%を用いた数値は同一ではないが、開示された工程及び結果として得られる生成物がしばしばこの方法で分析または評価されるからである。代表的な例として、ピロール化合物が少なくとも90モル%の収率で製造できるという開示は、ピロール化合物が少なくとも90面積%の収率で製造できるという開示も意味する。
【0071】
固体酸触媒
ピロール化合物を製造するための本明細書に開示された工程のステップa)では、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成する。任意の適切な固体酸触媒を使用することができる。適切な固体酸触媒の例示的かつ代表的な例としては、固体酸触媒樹脂が含まれ得る。固体酸触媒樹脂としては、スチレン-ジビニルベンゼン樹脂、官能化スチレン-ジビニルベンゼン樹脂、4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂、官能化4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂、アイオノマー樹脂、スルホン酸基末端パーフルオロビニルエーテル基で修飾したテトラフルオロエチレンポリマー樹脂、またはそれらの任意の組み合わせが含まれ得、あるいは、スチレンジビニルベンゼン樹脂、4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂、アイオノマー樹脂、スルホン酸基末端パーフルオロビニルエーテル基で修飾したテトラフルオロエチレン樹脂など、及びそれらの組み合わせが含まれ得る。これらの固体酸触媒の種類のいくつかは、Amberlyst(登録商標)resin及びNafion(登録商標)resinの商品名で入手可能である。
【0072】
本発明の一態様では、ステップa)は、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することを含み、固体酸触媒はスチレン-ジビニルベンゼン樹脂を含む。別の態様では、ステップa)は、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することを含み、固体酸触媒は4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂を含む。さらに別の態様では、ステップa)は、フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することを含み、固体酸触媒は、スルホン酸基末端パーフルオロビニルエーテル基で修飾したテトラフルオロエチレン樹脂を含む。
【実施例】
【0073】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、これらは、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。本明細書の説明を読んだ後、他の様々な態様、修正及びその等価物が、本発明の精神または添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、当業者にとって自明である。
【0074】
ガスクロマトグラフ(GC)分析は、HP-Innowaxカラム(ポリエチレングリコール、キャピラリー30m×0.25mm×25μm公称)を使用し、Agilent 7890 GCシステムで、40℃を2分間保持した後、40℃から220℃まで8℃/分の速度で昇温し、その後15℃/分で270℃まで昇温し、15分間保持した。GC分析カラム溶離液は、炎イオン化型検出器を使用して測定した。2,5-ジメチルフラン(
図1~3の保持時間は約3分間)及び2,5-ヘキサンジオン(
図1~3のピークのサイズに応じて、保持時間は約12.2~12.6分間)の標準を使用して、反応物及び生成物を同定し、反応の経過をモニターした。
【0075】
実施例1~5
フラン化合物(2,5-ジメチルフラン、DMF)からγ-ジカルボニル化合物(2,5-ヘキサンジオン)の合成
すべての液体原材料をオートクレーブに加圧した。固体を使用する場合は、オートクレーブを閉じる前に固体を加えた。次に、オートクレーブを窒素で50psigまで加圧し、圧力を3回解放してシステムから空気を除去した。約50~75psigの窒素をオートクレーブに加え、次いで所望の温度に加熱した。反応条件において、圧力は、90~140psigの範囲にあった。反応を、転化が停止するまでGCによってモニターした。いつかの初期サンプルは二相性であった。サンプルが二相性の場合、GC分析のために、2-プロパノールをサンプルに添加してサンプルを均質化した。
【0076】
実施例1では、表Iにまとめたように、DMFを水及び濃硫酸と混合した。反応を100℃で3時間実施し、続いて140℃で1時間実施した。
図1は、実施例1の反応混合物のGCプロットである。DMFの転化率は93面積%(約93モル%、モル百分率の値は面積百分率に相当する)であった。硫酸を使用する変換は許容可能であったが、2,5-ヘキサンジオンを含む反応混合物を使用して塩基(例えば、アンモニアまたはアンモニウム塩)と反応させて後続のピロール化合物を形成する前に、硫酸が存在すると、分離工程が困難になる。
【0077】
実施例2では、表IIにまとめたように、DMFを水及びメタンスルホン酸(>99%)と混合した。反応を140℃で3時間行った。
図2は、実施例2の反応混合物のGCプロットである。DMFの転化率は95.7面積%(約95.7モル%)であった。GC曲線の上で、15~25分の範囲内の多数の成分に留意されたい。実施例1と同様に、2,5-ヘキサンジオンを含む反応混合物を使用して塩基(例えば、アンモニアまたはアンモニウム塩)と反応させて後続のピロール化合物を形成する前に、残留メタンスルホン酸が存在すると、分離工程が困難になる。
【0078】
実施例3では、表IIIにまとめたように、DMFを水及びAmberlyst 36(スチレンジビニルベンゼン固体酸触媒樹脂)と混合した。最後の窒素パージサイクルの後に、75psigの窒素を加え、反応器の内容物を145℃に加熱した。反応を1時間ごとにサンプリングして進行状況をモニターし、4時間後に完了したとみなした。圧力は125~140psigの範囲であった。
図3は、実施例3の反応混合物のGCプロットである。予想外にも、反応混合物は、約3面積%(モル%)の2,5-ジメチルフラン及び97面積%(モル%)の2,5-ヘキサンジオンを含んでいた。DMF転化率は97面積%(モル%)であった。
【0079】
実施例4では、実施例3の反応混合物をさらに処理して、2,5-ヘキサンジオンを単離した。反応器から水を抜き、ロータリーエバポレーターを使用して、粗反応混合物から残留水を除去した。水を除去するために使用した条件は、70℃の水浴で、圧力は100torr未満に減圧した。このステップの後、267.5gの粗生成物がケトル内に残った。
【0080】
次いで、この粗生成物を真空蒸留して、純粋なオーバーヘッド生成物を得た。フラスコを400torrで80℃に加熱して、残っている軽質成分を除去した。最終的に、温度を120℃に上昇させ、圧力を50torrに低下させ、高純度のオーバーヘッド2,5-ヘキサンジオン生成物(GCによる純度が約98面積%)を得た。全体を通して5:5の還流比を使用した。この蒸留は、完了するまで複数日にわたって約25時間を要した。
【0081】
約221gの高純度のオーバーヘッド生成物を収集した(収率72面積%)。しかしながら、最終的なケトル(42.5g)も、GCにより純度98面積%であったが、色が若干暗くなり、フラスコ内の液位が原因で、これ以上蒸留できなかった。この材料も回収されれば、2,5-ヘキサンジオンの全体的な収率は、86面積%(約86モル%)であろう。有益なことに、2,5-ヘキサンジオンは、実施例3の反応混合物から非常に純粋に分離しやすいことがわかった。
【0082】
実施例5では、表IVにまとめたように、DMFを水及びAmberlyst 15(固体酸触媒;スチレンジビニルベンゼン)と混合した。最後の窒素パージサイクルの後に、50psigの窒素を加え、反応器の内容物を110℃に加熱した。反応を1時間ごとにサンプリングして進行状況をモニターし、20時間後に完了したとみなした。実施例3と同様に、DMF転化率は97面積%(モル%)であった。
【0083】
硫酸及びメタンスルホン酸(実施例1~2)と比較して、固体酸触媒を使用したDMFの高い転化率に加えて、固体酸触媒の使用には更なる利点がある。硫酸及びメタンスルホン酸の場合、塩基を使用した抽出、またはアンモニアとの塩形成という、更なる除去ステップが必要になる。抽出には追加の溶媒が必要になる。さらに、2,5-ヘキサンジオンを単離するステップなど、水を除去する際に酸が存在すると、逆反応が起こり、DMFが再形成され得る。対照的に、固体酸触媒が使用される場合、水を除去する前に固体触媒を簡単に濾過できるため、このような問題は関係ない。
【0084】
構成例6
γ-ジカルボニル化合物(2,5-ヘキサンジオン)からのピロール化合物(2,5-ジメチルピロール)の構成的合成
2,5-ヘキサンジオン(142g、純度約90%)を、スターバー、加熱マントル、還流冷却器、及び窒素出入口を備えた250mLの丸底フラスコに装入することができる。反応フラスコを60℃に加熱し、炭酸アンモニウム(150g)を90分間かけて装入する。この加熱段階でガスの発生が明らかになる。ガスの発生が停止したら、温度を30分間かけて80℃に上げる。室温に冷却した後、二相反応混合物を分液漏斗で分離する。反応中に生成した水相を有機相から分離し、有機相を追加の125mLの水で洗浄する。合計90gの2,5-ジメチルピロール(ジオンを基準としてモル収率85%)が、GC分析により決定された純度96面積%(約96モル%)で収集される。
【0085】
【0086】
以上、多数の態様及び特定の例を参照して本発明を説明した。先の詳細な説明に照らして、多くの変形例が当業者に自明であろう。このような明白な変形はすべて、添付の特許請求の範囲の意図する範囲内にある。本発明の他の態様としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない(態様は「含む」として説明されるが、あるいは、「本質的にからなる」または「からなる」こともできる):
【0087】
態様1.ピロール化合物を製造する工程であって、
a)フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することと、
b)前記γ-ジカルボニル化合物をアンモニア、アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせと接触させて、前記ピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成することと、を含む、前記工程。
【0088】
態様2.前記フラン化合物(F1)、前記γ-ジカルボニル化合物(D1)及び前記ピロール化合物(P1)は、以下の式を有し、
【化5】
式中、R、R
1、R
2、及びR
3が独立して、水素原子、C
1~C
30オルガニル基、またはC
3~C
60シリル基である、態様1に記載の工程。
【0089】
態様3.R、R1、R2及びR3の少なくとも1つが水素原子ではない、態様2に記載の工程。
【0090】
態様4.R、R1、R2、及びR3が独立して、水素原子またはC1~C18ヒドロカルビル基である、態様2または態様3に記載の工程。
【0091】
態様5.R及びR1が独立して、C1~C18ヒドロカルビル基であり、R2及びR3が水素原子である、態様2または3に記載の方法。
【0092】
態様6.R及びR1が独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、またはキシリル基である、態様2~5のいずれか1項に記載の工程。
【0093】
態様7.R及びR1がメチル基であり、R2及びR3が水素である、態様2~6のいずれか1項に記載の工程。
【0094】
態様8.前記ピロール化合物は、2,5-ジメチルピロール、2-メチル-5-エチルピロール、2,5-ジエチルピロール、2-エチル-5-メチルピロール、2-エチル-5-n-プロピルピロール、2,5-ジ-n-プロピルピロール、2,5-ジイソプロピルピロール、2,5-ジ-n-ブチルピロール、2,5-ジ-n-ペンチルピロール、2,5-ジ-n-ヘキシルピロール、2,5-ジ-n-ヘプチルピロール、2,5-ジ-n-オクチルピロール、2,3,5-トリエチルピロール、2,3,5-トリ-n-ブチルピロール、2,3,5-トリ-n-ペンチルピロール、2,3,5-トリ-n-ヘキシルピロール、2,3,5-トリ-n-ヘプチルピロール、2,3,5-トリ-n-オクチルピロール、2,3,4,5-テトラエチルピロール、2,3,4,5-テトラ-n-ブチルピロール、2,3,4,5-テトラ-n-ヘキシルピロール、2,5-ジベンジルピロール、2,4-ジメチルピロール、2-メチル-4-イソプロピルピロール、2,4-ジメチル-3-エチルピロール、2,4-ジエチルピロール、2-エチル-4-イソプロピルピロール、2-メチル-4-sec-ブチルピロール、2-エチル-4-sec-ブチルピロール、2-メチル-4-イソブチルピロール、2-エチル-4-イソブチルピロール、2-メチル-4-t-ブチルピロール、2-エチル-4-t-ブチルピロール、2-メチル-4-ネオペンチルピロール、2-エチル-4-ネオペンチルピロール、3,4-ジメチルピロール、3,4-ジエチルピロール、3,4-ジイソプロピルピロール、3,4-ジ-sec-ブチルピロール、3,4-ジイソブチルピロール、3,4-ジ-t-ブチルピロール、3,4-ジ-ネオペンチルピロール、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る、態様1に記載の工程。
【0095】
態様9.前記ピロール化合物は、2,5-ジメチルピロールを含む、態様1に記載の工程。
【0096】
態様10.前記固体酸触媒は、スチレン-ジビニルベンゼン樹脂、4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂、アイオノマー樹脂、スルホン酸基末端パーフルオロビニルエーテル基で修飾したテトラフルオロエチレン樹脂、またはそれらの任意の組み合わせを含む、態様1~9のいずれか1項に記載の工程。
【0097】
態様11.前記固体酸触媒は、スチレン-ジビニルベンゼン樹脂を含む、態様1~9のいずれか1項に記載の工程。
【0098】
態様12.前記固体酸触媒は、4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂を含む、態様1~9のいずれか1項に記載の工程。
【0099】
態様13.前記固体酸触媒は、スルホン酸基末端パーフルオロビニルエーテル基で修飾したテトラフルオロエチレン樹脂を含む、態様1~9のいずれか1項に記載の工程。
【0100】
態様14.ステップb)は、前記γ-ジカルボニル化合物をアンモニアと接触させることを含む、態様1~13のいずれか1項に記載の工程。
【0101】
態様15.ステップb)は、前記γ-ジカルボニル化合物を前記アンモニウム塩(例えば、水酸化アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせ)と接触させることを含む、態様1~13のいずれか1項に記載の工程。
【0102】
態様16.ステップa)は、水と本明細書に記載の前記フラン化合物との任意のモル比(例えば、他に開示されている水と前記フラン化合物とのモル比の中でも、0.5:1~10:1、1:1~7.5:1、または1.5:1~5:1の範囲)で行われる、態様1~15のいずれか1項に記載の工程。
【0103】
態様17.ステップa)は、前記固体酸触媒の最大作動温度未満の任意の温度で行われる、態様1~16のいずれか1項に記載の工程。
【0104】
態様18.ステップa)は、本明細書に開示される任意の温度(例えば、他の開示された温度の中でも80℃~180℃、100℃~155℃、または120℃~150℃の範囲)で行われる、態様1~17のいずれか1項に記載の工程。
【0105】
態様19.ステップa)は、水を液相に維持するのに十分な圧力で行われる、態様1~18のいずれか1項に記載の工程。
【0106】
態様20.ステップa)は、本明細書に開示される任意の圧力(例えば、他の開示された圧力の中でも25~150psigまたは50~125psigの範囲)で行われる、態様1~19のいずれか1項に記載の工程。
【0107】
態様21.ステップa)は、撹拌槽反応器または固定床反応器で実施される、態様1~20のいずれか1項に記載の工程。
【0108】
態様22.ステップa)は、撹拌槽反応器内で、本明細書に開示される任意の時間(例えば、他の開示された時間の中でも10分間~8時間、または1時間~5時間)にわたって実施される、態様1~21のいずれか1項に記載の工程。
【0109】
態様23.ステップa)は、撹拌槽反応器内で、本明細書に開示される前記フラン化合物と前記固体酸触媒との任意の重量比(例えば、開示されるフラン化合物と前記固体酸触媒との他の重量比の中でも、5:1~50:1、7.5:1~40:1、または10:1~25:1の範囲)で実施される、態様21または22に記載の工程。
【0110】
態様24.ステップa)が撹拌槽反応器内で実施され、前記フラン化合物の転化率(または前記γ-ジカルボニル化合物への収率)は、本明細書に開示される任意のモル転化率(またはモル収率)(例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%)である、態様21~23のいずれか1項に記載の工程。
【0111】
態様25.ステップa)は、固定床反応器内で、本明細書に開示される任意のフラン化合物WHSV(例えば、開示されるフラン化合物WHSVの中でも0.01~5、0.05~4、0.1~3、0.15~2、または0.2~1の範囲)で実施される、態様21に記載の工程。
【0112】
態様26.ステップa)が固定床反応器内で実施され、前記フラン化合物の1回通過転化率(または前記γ-ジカルボニル化合物への1回通過収率)が、本明細書に開示される任意の1回通過モル転化率(または1回通過モル収率)(例えば、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも75%、または少なくとも90%)である、態様21または25に記載の工程。
【0113】
態様27.ステップb)の前に、任意の適切な技術または本明細書に開示される任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留等、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、前記反応混合物から前記γ-ジカルボニル化合物の少なくとも一部(場合によっては全部)を分離するステップをさらに含む、態様1~26のいずれか1項に記載の工程。
【0114】
態様28.ステップb)の前に、任意の適切な技術または本明細書に開示される任意の技術、例えば、抽出、濾過、蒸発、蒸留、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、前記反応混合物から前記固体酸触媒の少なくとも一部(場合によっては全部)を分離するステップをさらに含む、態様1~27のいずれか1項に記載の工程。
【0115】
態様29.ステップb)は、本明細書に開示される任意の温度(例えば、他の開示された温度の中でも70℃~150℃の範囲、または80℃~130℃の範囲)で行われる、態様1~28のいずれか1項に記載の工程。
【0116】
態様30.ステップb)は、本明細書に開示される任意の時間(例えば、他の開示された時間の中でも30分間~8時間、または2時間~5時間)にわたって実施される、態様1~29のいずれか1項に記載の工程。
【0117】
態様31.前記反応生成物混合物は、有機相と水相とを含む、態様1~30のいずれか1項に記載の工程。
【0118】
態様32.ステップb)の後に、前記反応生成物混合物から前記水の少なくとも一部(場合によっては全部)を分離するステップ(例えば、相切断)をさらに含む、態様1~31のいずれか1項に記載の工程。
【0119】
態様33.ステップb)の後に、任意の適切な技術または本明細書に開示される任意の技術、例えば、抽出、濾過、乾燥、蒸発、蒸留等、またはそれらの任意の組み合わせを使用して、前記反応生成物混合物から前記ピロール化合物の少なくとも一部(場合によっては全部)を分離するステップをさらに含む、態様1~32のいずれか1項に記載の工程。
【0120】
態様34.前記ピロール化合物が、本明細書に開示される任意のモル収率(例えば、前記フラン化合物を基準として、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも97%)で製造される、態様1~33のいずれか1項に記載の工程。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロール化合物を製造する工程であって、
a)フラン化合物、固体酸触媒、及び水を接触させて、γ-ジカルボニル化合物を含む反応混合物を形成することであって、水対前記フラン化合物のモル比は、0.5:1~10:1の範囲である、前記形成することと、
b)前記γ-ジカルボニル化合物をアンモニア、アンモニウム塩、またはそれらの組み合わせと接触させて、前記ピロール化合物を含む反応生成物混合物を形成することと、を含む、前記工程。
【請求項2】
前記フラン化合物(F1)、前記γ-ジカルボニル化合物(D1)及び前記ピロール化合物(P1)は、以下の式を有し、
【化1】
式中、R、R
1、R
2、及びR
3が独立して、水素原子、C
1~C
30オルガニル基、またはC
3~C
60シリル基である、請求項1に記載の工程。
【請求項3】
R、R
1、R
2及びR
3が、独立して、水素原子またはC
1~C
18ヒドロカルビル基である、請求項2に記載の工程。
【請求項4】
R及びR
1が独立してC
1~C
18ヒドロカルビル基であり、R
2及びR
3が水素原子である、請求項2に記載の工程。
【請求項5】
R及びR
1が独立して、メチル基、エチル基、n-プロピル基、iso-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基、またはキシリル基である、請求項2に記載の工程。
【請求項6】
前記ピロール化合物は、2,5-ジメチルピロールを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項7】
前記固体酸触媒は、スチレン-ジビニルベンゼン樹脂、4-ビニルピリジンジビニルベンゼン樹脂、アイオノマー樹脂、スルホン酸基末端パーフルオロビニルエーテル基で修飾したテトラフルオロエチレン樹脂、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項8】
前記固体酸触媒は、スチレン-ジビニルベンゼン樹脂を含む、請求項1に記載の工程。
【請求項9】
ステップa)は、
前記固体酸触媒の最高作動温度未満の温度、及び
水を液相に維持するのに十分な圧力で実施される、請求項1に記載の工程。
【請求項10】
ステップa)は、
80℃~180℃の範囲の温度、及び
25~150psigの範囲の圧力で実施される、請求項1に記載の工程。
【請求項11】
水対前記フラン化合物の前記モル比は、1:1~7.5:1の範囲である、請求項1に記載の工程。
【請求項12】
ステップa)が、撹拌槽反応器中で、前記フラン化合物対前記固体酸触媒の重量比5:1~50:1の範囲で行われる、請求項1に記載の工程。
【請求項13】
前記フラン化合物の転化率が、少なくとも90モル%である、請求項1に記載の工程。
【請求項14】
前記γ-ジカルボニル化合物への収率が、少なくとも80モル%である、請求項13に記載の工程。
【請求項15】
ステップa)は、固定床反応器中で0.01~5の範囲のフラン化合物WHSVで行われる、請求項1に記載の工程。
【請求項16】
請求項1に記載の工程であって、
ステップb)の前に、前記反応混合物から前記γ-ジカルボニル化合物の少なくとも一部を分離するステップ、及び/または
ステップb)の前に、前記反応混合物から前記固体酸触媒の少なくとも一部を分離するステップをさらに含む、前記工程。
【請求項17】
ステップb)は、前記γ-ジカルボニル化合物を前記アンモニウム塩と接触させることを含み、前記アンモニウム塩が、水酸化アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の工程。
【請求項18】
請求項1に記載の工程であって、
前記反応生成物混合物は、有機相と水相とを含み、
ステップb)の後に、前記反応生成物混合物から前記水の少なくとも一部を分離するステップをさらに含む、前記工程。
【請求項19】
前記ピロール化合物が、前記フラン化合物を基準として少なくとも70モル%の収率で製造される、請求項1に記載の工程。
【請求項20】
ステップb)の後に、前記反応生成物混合物から前記ピロール化合物の少なくとも一部を分離するステップをさらに含む、請求項1に記載の工程。
【請求項21】
ステップa)は、110℃~170℃の範囲の温度で行われる、請求項1に記載の工程。
【国際調査報告】