(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-16
(54)【発明の名称】ケイ素前駆体化合物、それを含むケイ素含有膜形成組成物、及びケイ素含有膜形成組成物を使用することによって膜を形成するための方法
(51)【国際特許分類】
C23C 16/40 20060101AFI20240708BHJP
【FI】
C23C16/40
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024502454
(86)(22)【出願日】2022-07-13
(85)【翻訳文提出日】2024-03-14
(86)【国際出願番号】 KR2022010214
(87)【国際公開番号】W WO2023287196
(87)【国際公開日】2023-01-19
(31)【優先権主張番号】10-2021-0093732
(32)【優先日】2021-07-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514183215
【氏名又は名称】ユーピー ケミカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キム, ビョン クァン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジン シク
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ダ ソム
【テーマコード(参考)】
4K030
【Fターム(参考)】
4K030AA11
4K030AA14
4K030AA16
4K030BA44
4K030CA04
4K030DA03
4K030JA09
4K030JA10
4K030JA12
(57)【要約】
本発明は、ケイ素前駆体化合物、ケイ素前駆体化合物のための調製方法、ケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜形成組成物、及びケイ素含有膜形成組成物を使用することによって、ケイ素含有膜を形成するための方法に関する。ケイ素含有膜形成組成物は、特定の構造を有するケイ素前駆体化合物を含むことにより、ケイ素含有膜の厚さを、原子層堆積(ALD)によって非常に薄く制御することができ、ケイ素含有複合膜が、ケイ素含有膜を形成するALDサイクルと、別の金属を含む膜を形成するALDサイクルとを組み合わせることによって形成される場合、ケイ素含有複合膜のケイ素量を、少ない範囲に精密に制御することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I-aによって表されるケイ素前駆体化合物。
【化1】
[式I-a中、nは0又は1であり、R
1は水素であり、R
2は、水素、-SiH
3、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基、及び-N(R
aR
b)(式中、R
a及びR
bは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、R
3~R
14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R
3~R
5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R
6~R
8のうちの少なくとも1つは水素ではない。]
【請求項2】
式5~12及び16のうちのいずれか1つによって表される、請求項1に記載のケイ素前駆体化合物。
【化2】
【化3】
【化4】
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【請求項3】
式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物。
【化11】
[式I中、nは0又は1であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、-SiH
3、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基、及び-N(R
aR
b)(式中、R
a及びR
bは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、R
3~R
14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R
3~R
5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R
6~R
8のうちの少なくとも1つは水素ではない。]
【請求項4】
式5~16のいずれか1つによって表されるケイ素前駆体化合物を含む、請求項3に記載のケイ素含有膜を形成するための組成物。
【化12】
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【請求項5】
式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用することを含む、ケイ素含有膜を形成するための方法。
【化24】
[式I中、nは0又は1であり、R
1及びR
2は、それぞれ独立して、水素、-SiH
3、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基、及び-N(R
aR
b)(式中、R
a及びR
bは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、R
3~R
14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C
1~C
4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R
3~R
5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R
6~R
8のうちの少なくとも1つは水素ではない。]
【請求項6】
前記ケイ素含有膜が、化学的気相成長(CVD)又は原子層堆積(ALD)によって形成される、請求項5に記載のケイ素含有膜を形成するための方法。
【請求項7】
前記ケイ素含有膜が、ケイ素含有酸化物膜及びケイ素含有複合金属酸化物膜からなる群から選択される少なくとも1つを含み、
前記膜が堆積法によって形成される場合、水蒸気、酸素、酸素プラズマ、酸化窒素、酸化窒素プラズマ、過酸化水素、及びオゾンからなる群から選択される少なくとも1つを含む酸素供給源が使用される、請求項5に記載のケイ素含有膜を形成するための方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ素前駆体化合物、ケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物、及びケイ素含有膜を形成するための組成物を使用して膜を形成するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、酸化ジルコニウム膜(ZrO2)等の高k誘電体材料に少量のケイ素(Si)をドーピングすることによってリーク電流を低減させる、誘電体膜を半導体装置に適用する技術が、活発に研究されている。誘電体膜に過剰なケイ素が含まれると、誘電率が減少するため、ケイ素含有膜のケイ素含有量を、低レベルに調整する必要がある。
【0003】
これに関して、DRAMの誘電体膜への適用を目的として、酸化ジルコニウム膜(ZrO2)を形成するための原子層堆積(ALD)サイクルと、ケイ素酸化物膜(SiO2)を形成するためのALDサイクルとを組み合わせて、ケイ素含有量が1~4原子%であるケイ素含有膜を形成する方法が開示されている(特許文献1)。
【0004】
また、0.1~0.2nmの厚さを有するSiO2膜を適用することによって、リーク電流が低減された誘電体膜スタックを用いた半導体装置が開示されている(特許文献2)。
【0005】
これらの特許文献は、ケイ素含有量を制御するための、又は、SiO2膜の厚さを制御するための技法を開示しているが、SiO2膜におけるガス供給の成膜速度は、0.6Å/サイクル以上の増加分で制御できるに過ぎず、SiO2膜の厚さをより正確に制御するためには、依然として限界がある。
【0006】
一方、SiO2膜の厚さを0.1~0.2nmの範囲内に制御するためには、ケイ素含有膜を形成するための組成物を、充分に小さなALDガス供給の成膜速度で使用することを要する。また、ALDガス供給の成膜速度が小さいと、非常にわずかなケイ素を含む膜を形成する場合に、ケイ素の含有量を制御するのに有利である。
【0007】
したがって、ALDガス供給の成膜速度を制御することによって、ケイ素含有膜の厚さを均一且つ非常に薄くすることができ、ケイ素含有膜のケイ素の含有量を低レベルに制御することができる、新規なケイ素前駆体化合物、及び、このようなケイ素前駆体化合物を含む、膜を形成するための組成物を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許出願公開第2010/0035439号
【特許文献2】米国特許出願公開第2020/0020780号
【発明の開示】
【技術的課題】
【0009】
解決される本発明の技術的課題は、ケイ素含有膜の厚さを非常に薄く、且つケイ素含有膜のケイ素の含有量を非常に低レベルに制御することができる、新規なケイ素前駆体組成物、及び、このようなケイ素前駆体組成物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を提供することである。
【0010】
解決される本発明の別の技術的課題は、上記特性を達成することができるケイ素含有膜を形成するための組成物が使用される、ケイ素含有膜を形成するための方法を提供することである。
【0011】
しかしながら、本発明によって解決される課題は、上記で言及したものに限定されず、言及していない他の課題は、以下の記載から当業者には明らかに理解されるであろう。
【課題に対する解決】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、式I-aによって表されるケイ素前駆体化合物を提供する。
【0013】
【0014】
式I-a中、nは0又は1であり、R1は水素であり、R2は独立して、水素、-SiH3、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基、及び-N(RaRb)(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、R3~R14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R3~R5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R6~R8のうちの少なくとも1つは水素ではない。
【0015】
別の目的を達成するために、本発明は、式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を提供する。
【0016】
【0017】
式I中、nは0又は1であり、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、-SiH3、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基、及び-N(RaRb)(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、R3~R14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R3~R5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R6~R8のうちの少なくとも1つは水素ではない。
【0018】
別の目的を達成するために、本発明は、式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用することを含む、ケイ素含有膜を形成するための方法を提供する。
【発明の有利な効果】
【0019】
本発明の実施形態によるケイ素前駆体化合物は、特定の構造を有することによって、厚さが非常に薄く均一であり、品質に優れたケイ素含有膜を形成することができる。
【0020】
また、本発明の実施形態によるケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物は、原子層堆積(ALD)によってケイ素含有膜の厚さを、非常に薄く均一となるように制御することができる。このように形成され、薄く均一な厚さを有するケイ素含有膜は、誘電体膜スタック等に有利に適用することができる。
【0021】
また、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用してケイ素含有膜を形成するためのALDサイクル(ガス供給サイクル)と、別の金属を含む膜を形成するためのALDサイクルとを組み合わせて、ケイ素と別の金属とを含むケイ素含有複合膜を形成してもよい。このような状況で、ケイ素含有複合膜のケイ素含有量は、狭い範囲内で精密に調整され得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】原子層堆積(ALD)を通じて、本発明の実施例1、4、5、6、及び9、並びに比較例1及び2のケイ素前駆体化合物のそれぞれを含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用してケイ素含有膜が形成される場合の、膜形成温度に対するALDガス供給の成膜速度(GPC)を示すグラフである。
【
図2】本発明の実施例1、4、5、6、及び9におけるケイ素前駆体化合物の熱重量分析(TGA)測定の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明をより詳細に記載する。
【0024】
また、本明細書において、要素が別の要素「上(on)」に形成されると言及される場合、ある要素が別の要素「上」に直接形成されることだけでなく、他の要素(複数可)がそれらの間に介在していることも意味する。
【0025】
本明細書において、別段の指示がない限り、ある部分がある要素を「含む(comprising)」と称される場合、その部分は、他の要素を除外するのではなく、他の部分も含んでもよいことを理解されるべきである。
【0026】
別段の指示がない限り、ここで使用される成分及び反応条件等の数量に関するすべての数及び表現は、「約」という用語によって修飾されているものと理解されるべきである。
本明細書において、別段の特定がない限り、「膜」及び「薄膜」という用語のそれぞれは、「膜」と「薄膜」との両方を表す。
【0027】
本明細書において、「アルキル」又は「アルキル基」という用語は、直鎖又は分枝状アルキル基と、その可能なすべての異性体とを範囲に含む。例えば、アルキル又はアルキル基は、メチル基(Me)、エチル基(Et)、ノルマルプロピル基(nPr)、イソプロピル基(iPr)、ノルマルブチル基(nBu)、イソブチル基(iBu)、tert-ブチル基(tert-Bu、tBu)、及びsec-ブチル基(secBu)等だけでなく、その異性体等も範囲に含むが、アルキル又はアルキル基はこれらに限定されない。
【0028】
[ケイ素含有膜を形成するための組成物]
本発明の実施形態は、式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を提供する。
【0029】
【0030】
式I中、nは0又は1であり、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、-SiH3、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基、及び-N(RaRb)(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、R3~R14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R3~R5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R6~R8のうちの少なくとも1つは水素ではない。
【0031】
本発明の実施形態によるケイ素含有膜を形成するための組成物は、式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を含むため、原子層堆積(ALD)によって、ケイ素含有膜の厚さが、非常に薄く、均一となるように制御することができる。
【0032】
詳細には、特定の構造を有するケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物は、ALDガス供給の成膜速度(サイクルあたりの成長量)(GPC)が小さく、ALDによって極めて薄いケイ素含有膜を形成することができる。
【0033】
例えば、約0.06nm/サイクルのGPCを有する、従来のケイ素含有膜を形成するための組成物が使用される場合、1回のALDガス供給サイクルは0.06nmの厚さを有するSiO2膜を形成し、2回のALDガス供給サイクルは0.12nmの厚さを有するSiO2膜を形成し、ALDによって0.1nmの厚さを有するSiO2膜を形成することはできない。従来の組成物よりも著しく小さなGPCを有する、本発明のケイ素含有膜を形成するための組成物が使用される場合、ALDによって0.5nm以下の厚さ、例えば、約0.1~0.2nmの厚さを有するSiO2膜を形成するのに有利である。このようにして形成され、極めて薄い厚さを有するSiO2膜は、誘電体膜スタック等に有利に適用することができる(特許文献2参照)。
【0034】
また、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用してケイ素含有膜を形成するためのALDサイクル(ガス供給サイクル)と、別の金属を含む膜を形成するためのALDサイクルとを組み合わせて、ケイ素と別の金属とを含むケイ素含有複合膜を形成する場合、ケイ素含有複合膜のケイ素含有量を精密に制御することができる。例えば、ケイ素含有複合膜のケイ素含有量を1~4元素%に調整する場合、そのステップは精密に制御され得る。
【0035】
また、ケイ素前駆体化合物は非常に揮発性であり、室温では液体状態で存在し、様々な方法で高品質のケイ素含有膜を提供することができるため、製品の多様性、優れた品質及び製造プロセスの観点で有利となり得る。
【0036】
本発明の実施形態によれば、ケイ素含有膜を形成するための組成物は、上記式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を含んでもよい。詳細には、式I中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、-SiH3、直鎖又は分枝状C1~C3アルキル基、及び-N(CH3)2からなる群から選択されてもよく、R3~R14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C1~C3アルキル基からなる群から選択されてもよい。
【0037】
より詳細には、ケイ素含有膜を形成するための組成物は、式5~16のいずれか1つによって表されるケイ素前駆体化合物を含む組成物であってもよい。
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
本発明の実施形態によるケイ素含有膜を形成するための組成物は、上記構造を有するケイ素前駆体化合物を含む。したがって、ケイ素含有膜がALDによって形成される場合に、ALDガス供給の成膜速度を容易に制御することができ、ケイ素含有膜の厚さを、均一且つ非常に薄く制御し、ケイ素含有膜のケイ素の含有量を低く制御することができる。
【0051】
特に、ケイ素含有膜を形成するための組成物を、通例使用されるケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物と比較した場合、SiO2膜のALDガス供給の成膜速度を、低く制御することができる。したがって、高アスペクト比プロセスにおいて、例えば、精密な厚さ制御を要するDRAMキャパシタなどのプロセスにおいて、極めて薄い厚さとともに、優れたステップカバレッジを有するケイ素含有膜を達成できるという、大きな利点もある。
【0052】
詳細には、SiO2膜が、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用したALDによって形成される場合、150℃~450℃、詳細には250℃~400℃又は250℃~350℃の温度範囲において、例えば、0.07~0.4Å/サイクル、例えば、0.1~0.35Å/サイクル、又は、例えば、0.1~0.2Å/サイクルのALDガス供給の成膜速度(GPC)を達成することができる。特に、SiO2膜が、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用したALDによって形成される場合、ALDガス供給の成膜速度は、約300℃において、例えば、0.1~0.3Å/サイクル、例えば、0.15~0.3Å/サイクル、例えば、0.15~0.25Å/サイクル、又は、例えば、0.15~0.2Å/サイクルであり得る。
【0053】
SiO2膜が、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用したALDによって形成される場合、ALDガス供給の成膜速度が、150℃~450℃、詳細には250℃~400℃又は250℃~350℃、例えば、300℃において上記範囲を満足するならば、薄いケイ素含有膜を形成することができ、半導体装置の誘電体膜に使用される極めて薄い膜を形成するのにより有利であり得る。例えば、SiO2膜が、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用したALDによって形成される場合、ALDによって、約0.5nm以下、例えば、0.1~0.2nmの厚さを有するSiO2膜を形成するのに有利であり得る。
【0054】
[ケイ素含有膜を形成するための方法]
本発明の実施形態によれば、式1によって表されるケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物を使用することを含む、ケイ素含有膜を形成するための方法が提供され得る。
【0055】
詳細には、ケイ素含有膜を形成するための方法は、式1によって表されるケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物を使用して、基材(基板)にケイ素含有膜を堆積させることを含み得る。
【0056】
ケイ素含有膜の堆積方法は、任意の方法及び/又は当技術分野で公知の機器を使用してもよく、必要な場合、1種又は複数の追加の反応物質ガス等を使用して行ってもよい。
【0057】
本発明の実施形態によれば、ケイ素含有膜を形成するための方法において、基材を反応チャンバに収容し、次いで、ケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物を、搬送ガス又は希釈ガスを使用して基材上に搬送し、150℃~450℃の堆積温度でケイ素含有膜を形成する。
【0058】
詳細には、ケイ素含有膜を堆積させるための方法は、例えば、250℃~400℃、又は250℃~350℃の温度で、化学的気相成長(CVD)又はALDを使用し得る。ケイ素含有膜を形成するためのこの方法は、メモリ半導体装置の誘電体膜に加えて、他の目的、例えば、メモリ半導体装置、論理半導体装置及び表示装置にも使用され得る。
【0059】
また、搬送ガス又は希釈ガスとして、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ヘリウム(He)、及び水素(H2)からなる群から選択される、単一のガス又は混合ガスを使用することができる。
【0060】
ケイ素酸化物膜、ケイ素含有複合金属酸化物膜又はケイ素含有ナノ多層膜が、ケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物を使用して形成される場合、酸素を含む酸素供給源を、反応ガスとして使用してもよい。
【0061】
すなわち、ケイ素含有膜が、ケイ素含有酸化物膜及びケイ素含有複合金属酸化物膜からなる群から選択される少なくとも1つを含む場合、且つ膜が堆積法によって形成される場合、水蒸気(H2O)、酸素(O2)、酸素プラズマ(O2プラズマ)、酸化窒素(NO、N2O、N2O2)、酸化窒素プラズマ(N2Oプラズマ)、過酸化水素(H2O2)、及びオゾン(O3)からなる群から選択される少なくとも1つを含む酸素供給源が、反応ガスとして使用され得る。
【0062】
ケイ素含有複合金属酸化物膜は、例えば、Hf-Si-O、Zr-Si-O、Ti-Si-0、Zr-Al-Si-O、Ti-Al-Si-O、Zr-Hf-Si-O、及びZr-Hf-Al-Si-Oであってもよいが、これらに限定されない。より詳細には、ケイ素含有複合金属酸化物膜は、ケイ素と1つのタイプの他の金属とを含む三元化合物膜、特に三元酸化物膜、例えば、ZrxSi1-xO2又はHfySi1-yO2であってもよい。ケイ素含有複合金属酸化物膜は、ケイ素と2つのタイプの他の金属とを含む四元化合物膜、特に四元酸化物膜、例えば、ZrxHfySi1-x-yO2であってもよい。
【0063】
ケイ素含有ナノ多層膜又は誘電体膜スタックは、例えば、ZAZTS(ZrO2/Al2O3/ZrO2/TiO2/SiO2)、ZAZATS(ZrO2/Al2O3/ZrO2/Al2O3/TiO2/SiO2)、HAHTS(HfO2/Al2O3/HfO2/TiO2/SiO2)、HAHATS(HfO2/Al2O3/HfO2/Al2O3/TiO2/SiO2)であってもよいが、これらに限定されない。
【0064】
[ケイ素含有膜]
本発明の実施形態によれば、式1によって表されるケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物を使用して形成される、ケイ素含有膜が提供される。
【0065】
ケイ素含有膜は、数ナノメートル(nm)~数マイクロメートル(μm)の厚さを有してもよく、適用目的に応じて、様々に適用され得る。
【0066】
特に、本発明によれば、半導体装置の誘電体膜に使用することができる、0.5nm以下、0.3nm以下、0.2nm以下、又は0.1nm~0.2nmという極めて薄い厚さを有するケイ素含有膜を形成できることを特徴とする。
【0067】
ケイ素含有薄膜は、基材(基板)上に形成され得る。
【0068】
基材は、ケイ素半導体ウェハ、化合物半導体ウェハ又はプラスチック基材(PI、PET若しくはPES)であってもよいが、これらに限定されない。また、穴又は溝を有する基材を使用してもよく、大きな表面積を有する多孔質基材を使用してもよい。
【0069】
本発明の実施形態によるケイ素含有膜は、熱安定性に優れる特定の構造を有するケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用することによって調製されるため、CVD又はALDによって、ケイ素含有膜を効率的に形成することができる。特に、極めて薄い厚さを有するケイ素含有膜を、150℃~450℃の温度範囲において、表面にパターン(溝)若しくは微細な凹凸を有する基材上、多孔質基材上又はプラスチック基材上でも、均一に形成することができる。この膜は、均一な厚さを有するケイ素含有膜を、基材の表面全体の上に形成し、パターン(溝)の最も深い表面及び微細な凹凸(溝)の上面を覆うことができるという、優れた効果を生じる。
【0070】
ケイ素含有膜は、ケイ素含有酸化物膜、ケイ素含有窒化物膜及びケイ素含有複合金属酸化物膜からなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。詳細には、ケイ素含有膜は、ケイ素含有酸化物膜及びケイ素含有複合金属酸化物膜からなる群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0071】
[ケイ素前駆体化合物及びそれを調製するための方法]
本発明の実施形態によれば、式Iによって表されるケイ素前駆体化合物、詳細には、式5~16のいずれか1つによって表されるケイ素前駆体化合物が提供され得る。
【0072】
詳細な式Iのタイプ及び構造は、上記のとおりである。
【0073】
また、本発明の実施形態によれば、式I-aによって表されるケイ素前駆体化合物が提供される。
【0074】
【0075】
式I-a中、nは0又は1であり、R1は水素であり、R2は独立して、水素、-SiH3、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基、及び-N(RaRb)(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択される。)からなる群から選択され、R3~R14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R3~R5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R6~R8のうちの少なくとも1つは水素ではない。
【0076】
詳細には、ケイ素前駆体化合物は、上記式5~12及び16のいずれか1つによって表されるケイ素前駆体化合物であり得る。
【0077】
ケイ素前駆体化合物は、式I、詳細には式I-aによって表される特定の構造を有するため、熱安定性に優れ、CVD又はALDによって、ケイ素含有膜を容易に形成することができる。
【0078】
特に、ケイ素含有膜が、ケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用して形成される場合、所望の膜厚さ及び所望のケイ素含有量を達成し、表面にパターン(溝)を有する基材、多孔質基材、プラスチック基材又は三次元構造の複雑な形状を有する基材上でも、優れたカバレッジ及び均一な厚さを有する膜が形成されるように組成物を制御することができ、これによって、高品質のケイ素含有膜を提供することができる。ケイ素前駆体化合物は、電子装置の分野における様々な用途に有利に使用できるとともに、優れた特徴を呈することができるという技術的意義を有する。
【0079】
一方、本発明の実施形態によれば、上記式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を調製するための方法が提供される。
式Iによって表されるケイ素前駆体化合物は、様々な方法によって調製され得る。
【0080】
本発明の実施形態によるケイ素前駆体化合物を調製するための方法は、式Aによって表される二ハロゲン化ケイ素前駆体化合物を、式Bによって表されるシリルジアミン金属塩とのハロゲン化物-アミン置換反応に供することを含む。
【0081】
【0082】
式A中、R1及びR2は、それぞれ独立して、水素、-SiH3、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基、及び-N(RaRb)(式中、Ra及びRbは、それぞれ独立して、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択される)からなる群から選択され、X1及びX2は、それぞれ独立して、ハロゲン元素である。
【0083】
【0084】
式B中、nは0又は1であり、R3~R14は、それぞれ独立して、水素、及び、直鎖又は分枝状C1~C4アルキル基からなる群から選択され、ただし、R3~R5のうちの少なくとも1つは水素ではなく、R6~R8のうちの少なくとも1つは水素ではなく、M1及びM2は、それぞれ独立して、アルカリ金属である。
【0085】
式A中、X1及びX2は、それぞれ独立して、Cl、Br、又はIであってもよく、式B中、M1及びM2は、それぞれ独立して、Li又はNaであってもよい。
【0086】
詳細には、次の反応スキーム1からわかるように、式Aによって表されるジハロゲン化ケイ素前駆体化合物と、式Bによって表されるシリルジアミン金属塩とを、アミン配位子の選択的置換のためのハロゲン化物-アミン置換反応に供し、続いてこれを精製して、式1のケイ素前駆体化合物が容易に得られる。
【0087】
【0088】
反応スキーム1中、n、R1~R14、M1、M2、X1、及びX2は、上記で定義したとおりである。
【0089】
上記反応スキーム1を参照すると、約1当量のシリルジアミン金属塩(式B)を、低温のジハロゲン化ケイ素前駆体化合物(式A)に加え、室温を維持しながら、ハロゲン化物-アミン置換反応に供した後、フィルタを通して金属ハロゲン化物塩の形態の反応副生成物を除去し、精製して、式Iによって表されるケイ素前駆体化合物を得る。
【0090】
さらに、上記反応スキーム1において、約1当量のシリルジアミン金属塩(式B)を加えてもよく、約2当量のシリルジアミンを加えてもよく、1~1.5当量のテトラエチルアミン(TEA)とシリルジアミンとの混合物を加えてもよい。
【0091】
ハロゲン化物-アミン置換反応は、-5℃~-30℃の溶媒中で行われ得る。
【0092】
また、溶媒は、5~8個の炭素原子を有するアルカン、トルエン、エーテル、テトラヒドロフラン、及びモノ-~テトラ-エチレングリコールジメチルエーテルからなる群から選択される1つ又は複数を含んでもよい。
【0093】
例えば、次の反応スキーム2からわかるように、ジクロロシラン(SiH2Cl2)とジリチウム(N1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミン)塩とを、非極性溶媒としてのヘキサン中、約-10℃~-20℃の低温で約5~30時間反応させて、Clとアミンとの間の置換反応を通じて、式8のケイ素前駆体化合物を得る。
【0094】
【0095】
上記反応スキーム2において、ジリチウム(N1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミン)は、n-BuLiとN1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミンとを、低温で、非極性溶媒としてのヘキサン中で反応させることによって調製され得る。
【0096】
反応スキーム2では、反応生成物としての塩(LiCl)及び未反応ジクロロシラン(SiH2Cl2)を安全に除去するため、並びに水分又は酸素によって反応中に起こる分解反応を抑制するために、窒素(N2)又はアルゴン(Ar)のフロー下で反応を行うことが好ましい。
【発明の形態】
【0097】
以下に、実施例を参照しながら、本発明を詳細に記載する。以下の実施例は、本発明の説明のためのものに過ぎず、本発明の範囲はこれらに限定されない。
【実施例】
【0098】
<調製例1>N
1,N
2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンの調製
【化21】
【0099】
約450g(約4.1421モル)のトリメチルシリルクロリドと、約2,500mlのジエチルエーテルとを、5リットル丸底フラスコ中で混合した。約248.94g(約4.1421モル)のエチレンジアミンリジンを、約-20℃の反応系にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約348.18g(収率約82.2%)のN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミン[{(CH3)3Si}HNCH2CH2NH{Si(CH3)3}]を、式2によって表される無色液体化合物として得た。
【0100】
沸点:10Torrにおいて73℃(760Torrにおいて196℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.092(N-Si-CH*
3,s,18H),δ2.599,2.579(N-CH*
2,m,4H)
【0101】
<調製例2>N
1,N
3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミンの調製
【化22】
【0102】
約395.69g(約3.6425モル)のトリメチルシリルクロリドと、約2,000mlのジエチルエーテルとを、5リットル丸底フラスコ中で混合した。約270g(約3.6425モル)の1,3-ジアミノプロパンを、約-20℃の反応系にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約309g(収率約77.6%)のN1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミン[{(CH3)3Si}HNCH2CH2CH2NH{Si(CH3)3}]を、式3によって表される無色液体化合物として得た。
【0103】
沸点:10Torrにおいて80℃(760Torrにおいて204℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.095(N-Si-CH*
3,s,18H),δ1.386(N-CH2-CH*
2,m,2H),δ2.703,2.684(N-CH*
2-CH2,m,4H)
【0104】
<調製例3>N
1,N
2-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,2-ジアミンの調製
【化23】
【0105】
約350g(約3.2216モル)のトリメチルシリルクロリドと、約2,000mlのジエチルエーテルとを、3リットル丸底フラスコ中で混合した。約238.82g(約3.2216モル)の1,2-ジアミノプロパンを、約-20℃の反応系にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約279g(収率約79.1%)のN1,N2-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,2-ジアミン[{(CH3)3Si}HNCH(CH3)CH2NH{Si(CH3)3}]を、式4によって表される無色液体化合物として得た。
【0106】
沸点:10Torrにおいて78℃(760Torrにおいて202℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.091,0.102(N-Si-CH*
3,d,18H),δ0.921,0.936(N-CH-CH*
3,d,3H),δ2.461(N-CH*
2,m,2H),δ2.636,2.651(N-CH*,m,1H)
【0107】
<実施例1>N,N-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタ-2-アミン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化24】
【0108】
約265.55g(2.5M、約0.953モル)のn-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-ヘキサン中n-BuLi)を、5リットル丸底フラスコ中で、約2,000mlの無水ヘキサンと混合した。調製例1において得た約97.47g(約0.4767モル)のN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンを、約-20℃の反応系にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、4時間撹拌した。約64.56g(約0.4767モル)のトリクロロシランを、このようにして形成した、約-20℃のジリチウム(N1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミン)塩溶液にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、4時間撹拌して、2-クロロ-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン溶液を形成した。
【0109】
一方、約119.48g(2.5M、約0.429モル)のn-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-ヘキサン中n-BuLi)を、別の1リットル丸底フラスコ中で、約500mlの無水ヘキサンと混合した。約19.34g(約0.429モル)のジメチルアミンを、約-20℃の上記混合物にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約4時間撹拌した。このようにして形成したリチウムジメチル塩溶液を、約-20℃の2-クロロ-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン溶液にゆっくりと加え、次いで、温度を徐々に室温まで上昇させた後、17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、84.1g(収率約64.1%)のN,N-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタ-2-アミン[{((CH3)3Si)NCH2CH2N(Si(CH3)3)}SiH{N(CH3)2}]を、式5によって表される無色液体化合物として得て、膜を形成するための組成物に使用した。
【0110】
沸点:0.3Torrにおいて36℃(760Torrにおいて217℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.157(N-Si-CH*
3,s,18H),δ2.404(Si-N-CH*
3,s,6H),δ2.942,2.864(N-CH*
2,m,4H),δ4.832(Si-H*,s,1H)
【0111】
<実施例2>N,N-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン-2-アミン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化25】
【0112】
約92.9g(収率約62.8%)のN,N-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン-2-アミン[{((CH3)3Si)NCH2CH2CH2N(Si(CH3)3)}SiH{N(CH3)2}]を、式6によって表される無色液体化合物として、調製例1において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンの代わりに、調製例2において得たN1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミンを使用したこと以外は実施例1と同じ方法で得て、次いで、これを膜を形成するための組成物に使用した。
【0113】
沸点:0.3Torrにおいて46℃(760Torrにおいて233℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.162(N-Si-CH*
3,s,18H),δ1.495,1.479(N-CH2-CH*
2,m,2H),δ2.451(Si-N-CH*
3,s,6H),δ2.914,2.926(N-CH*
2-CH2,m,4H),δ4.743(Si-H*,s,1H)
【0114】
<実施例3>1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化26】
【0115】
約275.74g(2.5M、約0.990モル)のn-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-ヘキサン中n-BuLi)を、5リットル丸底フラスコ中で、約2,000mlの無水ヘキサンと混合した。調製例1において得た約101.22g(約0.495モル)のN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンを、約-20℃の反応系にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約4時間撹拌した。約50g(約0.495モル)のジクロロシランを、このようにして形成した、約-20℃のジリチウム(N1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミン)塩溶液にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約68.3g(収率約59.4%)の1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)3Si)NCH2CH2N(Si(CH3)3)}SiH2]を、式7によって表される無色結晶質固体化合物として得て、膜を形成するための組成物に使用した。
【0116】
沸点:10Torrにおいて76℃(760Torrにおいて200℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.160(N-Si-CH*
3,s,18H),δ2.848(N-CH*
2,s,4H),δ5.169(Si-H*,s,2H)
【0117】
<実施例4>1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化27】
【0118】
約69.3g(収率約61.9%)の1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン[{((CH3)3Si)NCH2CH2CH2N(Si(CH3)3)}SiH2]を、式8によって表される無色液体化合物として、調製例1において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンの代わりに、調製例2において得たN1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミンを使用したこと以外は実施例3と同じ方法で得て、次いで、これを膜を形成するための組成物に使用した。
【0119】
沸点:10Torrにおいて87℃(760Torrにおいて213℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.145(N-Si-CH*
3,s,18H),δ1.411(N-CH2-CH*
2,m,2H),δ2.915(N-CH*
2-CH2,m,4H),δ5.143(Si-H*,s,2H)
【0120】
<実施例5>4-メチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化28】
【0121】
約87.9g(収率約72%)の4-メチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)3Si)NCH(CH3)CH2N(Si(CH3)3)}SiH2]を、式9によって表される無色液体化合物として、調製例1において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,3-ジアミンの代わりに、調製例3において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,2-ジアミンを使用したこと以外は実施例3と同じ方法で得て、次いで、これを膜を形成するための組成物に使用した。
【0122】
沸点:10Torrにおいて95℃(760Torrにおいて223℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.159,0.172(N-Si-CH*
3,d,18H),δ1.002,1.018(N-CH-CH*
3,d,3H),δ2.571,2.552(N-CH*
2,q,1H),δ2.971,2.960(N-CH*
2,q,1H),δ3.269,3.275(N-CH*-CH3,m,1H),δ5.174,5.181(Si-H*,d,2H)
【0123】
<実施例6>2-メチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化29】
【0124】
約163.47g(2.5M、約0.587モル)のn-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-ヘキサン中n-BuLi)を、3リットル丸底フラスコ中で、約1,000mlの無水ヘキサンと混合した。調製例1において得た約60g(約0.2935モル)のN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンを、約-20℃の反応系にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、4時間撹拌した。約33.76g(約0.2934モル)のジクロロメチルシランを、このようにして形成した、約-20℃のジリチウム(N1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミン)塩溶液にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約50g(収率約69.1%)の2-メチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)3Si)NCH2CH2N(Si(CH3)3)}SiH(CH3)]を、式10によって表される無色液体化合物として得て、膜を形成するための組成物に使用した。
【0125】
沸点:10Torrにおいて81℃(760Torrにおいて205℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.150(N-Si-CH*
3,s,18H),δ0.254,0.259(Si-CH*
3,d,3H),δ2.890(N-CH*
2,s,4H),δ5.215,5.219(Si-H*,d,1H)
【0126】
<実施例7>2-メチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化30】
【0127】
約51.8g(収率約66.3%)の2-メチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン[{((CH3)3Si)NCH2CH2CH2N(Si(CH3)3)}SiH(CH3)]を、式11によって表される無色液体化合物として、調製例1において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンの代わりに、調製例2において得たN1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミンを使用したこと以外は実施例6と同じ方法で得て、次いで、これを膜を形成するための組成物に使用した。
【0128】
沸点:0.3Torrにおいて40℃(760Torrにおいて223℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.147(N-Si-CH*
3,s,18H),δ0.283,0.289(Si-CH*
3,d,3H),δ1.408,1.417(N-CH2-CH*
2,m,1H),δ1.475,1.485(N-CH2-CH*
2,m,1H),δ2.906,2.914(N-CH*
2,m,4H),δ5.046(Si-H*,d,1H)
【0129】
<実施例8>2,4-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化31】
【0130】
約61g(収率約59.8%)の2,4-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)3Si)NCH(CH3)CH2N(Si(CH3)3)}SiH(CH3)]を、式12によって表される無色液体化合物として、調製例1において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンの代わりに、調製例3において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,2-ジアミンを使用したこと以外は実施例6と同じ方法で得て、次いで、これを膜を形成するための組成物に使用した。
【0131】
沸点:0.3Torrにおいて45℃(760Torrにおいて230℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.154,0.157(N-Si-CH*
3,q,18H),δ0.251,0.304(Si-CH*
3,q,3H),δ1.043(N-CH-CH*
3,t,3H),δ2.578,3.019(N-CH*
2,m,2H),δ3.265,3.280(N-CH*,m,1H),δ5.205,5.232(Si-H*,d,1H)
【0132】
<実施例9>2,2-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化32】
【0133】
約302.12g(2.5M、約1.084モル)のn-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-ヘキサン中n-BuLi)を、5リットル丸底フラスコ中で、約2,000mlの無水ヘキサンと混合した。調製例1において得た約110.89g(約0.542モル)のN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンを、約-20℃の反応系にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約4時間撹拌した。約70g(約0.542モル)のジクロロジメチルシランを、このようにして形成した、約-20℃のジリチウム(N1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミン)塩溶液にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約89.5g(収率約63.3%)の2,2-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)3Si)NCH2CH2N(Si(CH3)3)}Si(CH3)2]を、式13によって表される無色液体化合物として得て、膜を形成するための組成物に使用した。
【0134】
沸点:0.3Torrにおいて35℃(760Torrにおいて216℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.139(N-Si-CH*
3,s,18H),δ0.235(Si-CH*
3,s,6H),δ2.904(N-CH*
2,s,4H)
【0135】
<実施例10>2,2-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化33】
【0136】
約109.4g(収率約64.4%)の2,2-ジメチル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロヘキサン[{((CH3)3Si)NCH2CH2CH2N(Si(CH3)3)}Si(CH3)2]を、式14によって表される無色液体化合物として、調製例1において得たN1,N2-ビス(トリメチルシリル)エタン-1,2-ジアミンの代わりに、調製例2において得たN1,N3-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,3-ジアミンを使用したこと以外は実施例9と同じ方法で得て、次いで、これを膜を形成するための組成物に使用した。
【0137】
沸点:0.3Torrにおいて44℃(760Torrにおいて229℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.139(N-Si-CH*
3,s,18H),δ0.281(Si-CH*
3,s,6H),δ1.463(N-CH2-CH*
2,m,2H),δ2.935(N-CH*
2,t,4H)
【0138】
<実施例11>2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化34】
【0139】
約54.27g(約0.903モル)のエチレンジアミンと、約1,000mlの無水ヘキサンと、約800mlのジエチルエーテルとを、3リットル丸底フラスコ中で混合した。約116.54g(約0.903モル)のジクロロジメチルシランを、約-20℃の上記混合物にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約46.4g(収率約64.1%)の2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)2SiCl)NCH2CH2N(ClSi(CH3)2)}Si(CH3)2]を、白色固体化合物として得た。
【0140】
また、約4.08g(約0.1077モル)の水素化リチウムアルミニウムと、約200mlの無水ヘキサンと、約200mlのジエチルエーテルとを、別の2リットル丸底フラスコ中で混合した。約46.4g(約0.903モル)の上記で得た2,2-ジメチル-1,3-ビス(クロロジメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタンを、約-20℃の混合物にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約42.4g(収率約64.2%)の2,2-ジメチル-1,3-ビス(ジメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)2SiH)NCH2CH2N(HSi(CH3)2)}Si(CH3)2]を、式15によって表される無色液体化合物として得て、膜を形成するための組成物に使用した。
【0141】
沸点:10Torrにおいて77℃(760Torrにおいて201℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.156,0.163(N-Si-CH*
3,d,12H),δ0.230(Si-CH*
3,s,6H),δ2.899(N-CH*
2,s,4H),δ4.756(N-Si-H*,m,2H)
【0142】
<実施例12>4-メチル-2-シリル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン、及びそれを含むシリコーン含有膜を形成するための組成物の調製
【化35】
【0143】
約217.5g(2.5M、約0.7809モル)のn-ブチルリチウムヘキサン溶液(n-ヘキサン中n-BuLi)を、3リットル丸底フラスコ中で、約1,500mlの無水ヘキサンと混合した。調製例3において得た約85.3g(約0.3905モル)のN1,N2-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,2-ジアミンを、約-20℃の上記混合物にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約4時間撹拌した。約105g(約0.3905モル)のヘキサクロロジシランを、このようにして形成した、約-20℃のジリチウム(N1,N2-ビス(トリメチルシリル)プロパン-1,2-ジアミン)塩溶液にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約134g(収率約82.9%)の2-クロロ-4-メチル-2-(トリクロロシリル)-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)3Si)NCH(CH)3CH2N(Si(CH3)3)}SiClSiCl3]を、無色液体化合物として得た。
【0144】
一方、約17.18g(約0.4528モル)の水素化リチウムアルミニウムと、約600mlの無水ヘキサンと、約200mlのジエチルエーテルとを、別の2リットル丸底フラスコ中で混合した。約134.04g(約0.3234モル)の上記で得た2-クロロ-4-メチル-2-(トリクロロシリル)-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタンを、約-20℃の混合物にゆっくりと加え、次いで、撹拌しながら温度を徐々に室温まで上昇させた後、約17時間撹拌した。反応が完了したら、反応中に形成した塩を濾過によって除去し、減圧蒸留によって溶媒及び揮発性副反応物質を除去して、約58.7g(収率約65.6%)の4-メチル-2-シリル-1,3-ビス(トリメチルシリル)-1,3-ジアザ-2-シラシクロペンタン[{((CH3)3Si)NCH(CH)3CH2N(Si(CH3)3)}SiHSiH3]を、式16によって表される無色液体化合物として得て、膜を形成するための組成物に使用した。
【0145】
沸点:0.3Torrにおいて49℃(760Torrにおいて236℃)
1H-NMR(C6D6):δ0.166(N-Si-CH*
3,t,18H),δ0.988,0.996(N-CH-CH*
3,q,3H),δ2.564(N-CH*
2,t,1H),δ2.930,2.942,2.971(N-CH*
2,m,1H),δ3.205,3.303(N-CH*-CH3,m,1H),δ3.376,3.414(Si-H*,q,3H),δ5.698,5.730(Si-H*,d,1H))
【0146】
比較例1
トリス(ジメチルアミド)シラン(3DMAS又はTDMAS)[SiH(NMe2)3](UP Chemical Co.,Ltd.製)を使用した。
【0147】
比較例2
ジメチルアミンの代わりに環状アミンピロリジンが置換されている、トリス(ピロリジノ)シラン(TPYS)[SiH[N(CH2)4]3(UP Chemical Co.,Ltd.製)を使用した。
【0148】
[試験実施例]
<試験実施例1>ケイ素前駆体化合物の熱重量分析
上記実施例の中の実施例1、4、5、6、及び9において調製したケイ素前駆体化合物について、熱重量分析(TGA)を行い、結果を
図2に示す。
【0149】
図2からわかるように、実施例1、4、5、6、及び9において調製したケイ素前駆体化合物は、残留物をほぼ残さずに揮発するため、化学的気相成長法又は原子層堆積法によってケイ素含有膜を形成する目的に好ましい。
【0150】
<試験実施例2>ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用したALD堆積
実施例1、4、5、6、及び9のケイ素前駆体化合物のそれぞれを含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物と、反応ガスとしてのオゾン(O3)とを使用して、ALDによってSiO2膜を形成した。
【0151】
詳細には、膜形成組成物のそれぞれを、ステンレス鋼で作製された容器に入れた。アルゴン(Ar)搬送ガスを約200sccmの流量で流して、膜形成組成物をガス状態で、ALD反応器(反応チャンバ)に供給した。比較例1及び実施例6のケイ素前駆体化合物のそれぞれを含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を含むステンレス鋼容器を、室温に維持した。実施例4、5、及び9のケイ素前駆体化合物のそれぞれを含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を含むステンレス鋼容器を、40℃に維持した。実施例1のケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を含むステンレス鋼容器を、60℃に維持した。比較例2のケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を含むステンレス鋼容器を、使用のために95℃に加熱した。
【0152】
一方、ケイ素基材を、硫酸(H2SO4)と過酸化水素(H2O2)とが4:1の比で混合されたピラニア溶液に、10分にわたって浸漬した後、取り出した。次いで、希釈水性HF溶液に2分にわたって浸漬して、未処理の酸化物膜が除去されたケイ素表面を形成した。次いで、ケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物を使用して、ALDによってSiO2膜を形成した。ここで、ALD反応器のプロセス圧力を1Torrに維持し、ケイ素基材を、150℃、200℃、250℃、300℃、350℃、400℃、及び450℃の温度に加熱した。
【0153】
次のALDガス供給サイクルを100回繰り返して、SiO2膜を形成した:ケイ素膜を形成するための組成物を、ガス状態で約3秒にわたって供給し;アルゴン(Ar)ガスを約10秒にわたって供給して、反応器内に残存する膜を形成するための組成物(ガス)を除去し;オゾン(O3)を反応ガスとして約5秒にわたって供給し;アルゴン(Ar)ガスを約10秒にわたって供給して、反応器内に残存するオゾン(O3)を除去した。
【0154】
ALDガス供給の成膜速度(GPC)を測定するために、このようにして形成したSiO
2膜の厚さを、楕円偏光計(Nano View SEMG-1000)を使用して測定した。結果を下の表1及び
図2に示す。
【0155】
【0156】
表1及び
図1からわかるように、実施例1、4、5、6、及び9のケイ素前駆体化合物のそれぞれを含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用して、ALD堆積を行った場合、ALDガス供給の成膜速度は、比較例1及び2よりも著しく低かった。特に、本発明のケイ素前駆体化合物を含むケイ素含有膜を形成するための組成物を、キャパシタ誘電体膜又はDRAMの誘電体膜を形成するための温度である約300℃で使用した、ALDガス供給の成膜速度は、約0.15~0.20Å/サイクルと非常に低かった。
【0157】
対照的に、比較例1のケイ素前駆体化合物(3DMAS)を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用した場合、SiO2膜のALDガス供給の成膜速度は、0.48Å/サイクルであった。比較例2のケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用した場合、SiO2膜のALDガス供給の成膜速度は、0.51Å/サイクルであった。本発明の実施例のケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用した場合、GPCは約2/5であった。
【0158】
また、比較例1又は2のケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用した場合、SiO2膜を、0.5Å/サイクルの増分で、例えば、0.5、1.0及び1.5Å/サイクルでのみ調整することができた。対照的に、本発明のケイ素前駆体化合物を含む、ケイ素含有膜を形成するための組成物を使用した場合、膜厚さを、約0.2Å/サイクルの増分で調整することができ、SiO2膜厚さを2.5倍正確に調整することができた。
【国際調査報告】