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特表2024-526002画素駆動回路及びその駆動方法、表示パネル
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画素駆動回路及びその駆動方法、表示パネル
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/32 20160101AFI20240709BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20240709BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240709BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240709BHJP
   H01L 33/62 20100101ALI20240709BHJP
【FI】
G09G3/32 A
G09G3/20 624B
G09G3/20 680H
G09F9/33
H01L33/00 L
H01L33/62
H01L33/00 J
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023534624
(86)(22)【出願日】2021-11-22
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 CN2021132151
(87)【国際公開番号】W WO2022252508
(87)【国際公開日】2022-12-08
(31)【優先権主張番号】202110605113.4
(32)【優先日】2021-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ウェイシン
(72)【発明者】
【氏名】ポン クアンジュン
(72)【発明者】
【氏名】チン ビン
(72)【発明者】
【氏名】ドン シュエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ファンジェン
(72)【発明者】
【氏名】テン ワンポン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティエシ
(72)【発明者】
【氏名】チェン ワンジー
(72)【発明者】
【氏名】グオ カイ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン チュンファン
【テーマコード(参考)】
5C080
5C094
5C380
5F142
5F241
【Fターム(参考)】
5C080AA07
5C080BB05
5C080CC03
5C080DD05
5C080DD20
5C080DD26
5C080DD29
5C080FF11
5C080HH14
5C080JJ02
5C080JJ03
5C080JJ05
5C080JJ06
5C094BA03
5C094BA25
5C094DA06
5C094DA09
5C094DB01
5C380AA03
5C380AB06
5C380AB15
5C380AB34
5C380BA05
5C380BA39
5C380BB01
5C380BB21
5C380BD05
5C380BD08
5C380BD17
5C380CC19
5C380CC26
5C380CC33
5C380CC37
5C380CC62
5C380CC65
5C380CC66
5C380CC77
5C380CD012
5C380CD017
5C380CD018
5C380CD019
5F142AA34
5F142BA32
5F142CA11
5F142CB15
5F142CB16
5F142CB18
5F142CB23
5F142CG01
5F142GA02
5F241AA03
5F241BB07
5F241BB12
5F241BB14
5F241BC03
5F241BC47
5F241BD08
5F241BD09
5F241CA04
5F241CA05
5F241CA12
5F241FF06
(57)【要約】
画素駆動回路(100)は、データ書込回路(1)と、発光制御回路(2)と、発光ダイオードチップ(3)とを含む。データ書込回路(1)は、第1走査信号端子(Gate1)、データ信号端子(Data)、及び第1ノード(N1)に電気的に接続される。発光制御回路(2)は、第1ノード(N1)、イネーブル信号端子(EM)、第1電圧信号端子(VDD)、及び第2ノード(N2)に電気的に接続される。発光制御回路(2)は、第1電圧信号端子(VDD)で受信された第1電圧信号を第2ノード(N2)に伝送するように構成される。発光ダイオードチップ(3)は、第2ノード(N2)と第2電圧信号端子(VSS)とに電気的に接続される。ここで、発光ダイオードチップ(3)は、複数の発光部(32)を含む。発光ダイオードチップ(3)は、第2ノード(N2)からの第1電圧信号と第2電圧信号端子(VSS)で受信された第2電圧信号との協働下で、それに含まれる複数の発光部(32)をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動するか、又は、少なくとも2つの発光部(32)を同じ期間に発光させるように駆動する、ように構成される。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素駆動回路であって、
第1走査信号端子、データ信号端子、及び第1ノードに電気的に接続されるデータ書込回路であって、前記第1走査信号端子で受信された第1走査信号に応答して、前記データ信号端子で受信されたデータ信号を前記第1ノードに伝送するように構成される、データ書込回路と、
前記第1ノード、イネーブル信号端子、第1電圧信号端子、及び第2ノードに電気的に接続される発光制御回路であって、前記第1ノードの電圧と、前記イネーブル信号端子によって伝送されたイネーブル信号との制御下で、前記第1電圧信号端子で受信された第1電圧信号を前記第2ノードに伝送するように構成される、発光制御回路と、
前記第2ノードと第2電圧信号端子とに電気的に接続される発光ダイオードチップと、を含み、
ここで、前記発光ダイオードチップは、複数の発光部を含み、
前記発光ダイオードチップは、前記第2ノードからの第1電圧信号と、前記第2電圧信号端子で受信された第2電圧信号との協働下で、前記複数の発光部をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動するか、又は、少なくとも2つの発光部を同じ期間に発光させるように駆動する、ように構成される、画素駆動回路。
【請求項2】
前記複数の発光部は、少なくとも1つの第1発光部と、少なくとも1つの第2発光部とを含み、
ここで、前記第1発光部の第1ボンディング電極は前記第2ノードに電気的に接続され、前記第1発光部の第2ボンディング電極は前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、
前記第2発光部の第1ボンディング電極は前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、前記第2発光部の第2ボンディング電極は前記第2ノードに電気的に接続される、請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項3】
前記発光制御回路は、第1トランジスタと第2トランジスタとを含み、
前記第1トランジスタの制御電極は前記イネーブル信号端子に電気的に接続され、前記第1トランジスタの第1電極は前記第1電圧信号端子に電気的に接続され、前記第1トランジスタの第2電極は第3ノードに電気的に接続され、
前記第2トランジスタの制御電極は前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2トランジスタの第1電極は前記第3ノードに電気的に接続され、前記第2トランジスタの第2電極は前記第2ノードに電気的に接続される、請求項2に記載の画素駆動回路。
【請求項4】
第1リセット補償回路をさらに含み、
前記第1リセット補償回路は、前記第1走査信号端子、第2走査信号端子、前記第1ノード、前記第2ノード、前記第3ノード、および前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、前記第1リセット補償回路は、前記第1走査信号と、前記第2走査信号端子で受信された第2走査信号との制御下で、前記画素駆動回路をリセットし、前記第2トランジスタの閾値電圧を補償するように構成される、請求項3に記載の画素駆動回路。
【請求項5】
前記第1リセット補償回路は、第3トランジスタ、第4トランジスタ、第5トランジスタ、第6トランジスタ、及び第1コンデンサを含み、
前記第3トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第3トランジスタの第1電極は前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、前記第3トランジスタの第2電極は第4ノードに電気的に接続され、
前記第4トランジスタの制御電極は前記第2走査信号端子に電気的に接続され、前記第4トランジスタの第1電極は前記第3ノードに電気的に接続され、前記第4トランジスタの第2電極は第5ノードに電気的に接続され、
前記第5トランジスタの制御電極は前記第2走査信号端子に電気的に接続され、前記第5トランジスタの第1電極は前記第2ノードに電気的に接続され、前記第5トランジスタの第2電極は前記第5ノードに電気的に接続され、
前記第6トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第6トランジスタの第1電極は前記第4ノードに電気的に接続され、前記第6トランジスタの第2電極は前記第1ノードに電気的に接続され、
前記第1コンデンサの第1端は前記第4ノードに電気的に接続され、前記第1コンデンサの第2端は前記第5ノードに電気的に接続される、請求項4に記載の画素駆動回路。
【請求項6】
複数のスイッチングトランジスタをさらに含み、
前記発光部の第1ボンディング電極は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して前記第2ノードに電気的に接続され、
及び/又は、
前記発光部の第2ボンディング電極は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して前記第2電圧信号端子に電気的に接続される、請求項1に記載の画素駆動回路。
【請求項7】
前記発光部の数は、前記複数のスイッチングトランジスタの数に等しく、
前記発光部の第1ボンディング電極は前記第2ノードに電気的に接続され、前記発光部の第2ボンディング電極は一つのスイッチングトランジスタを介して前記第2電圧信号端子に電気的に接続される、請求項6に記載の画素駆動回路。
【請求項8】
前記発光部の数は、前記複数のスイッチングトランジスタの数よりも少なく、
一つの前記発光部の第1ボンディング電極は前記第2ノードに電気的に接続され、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して他の前記発光部の第1ボンディング電極に電気的に接続され、
一つの前記発光部の第2ボンディング電極は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して他の前記発光部の第1ボンディング電極に電気的に接続され、
他の前記発光部の第2ボンディング電極は第2電圧信号端子に電気的に接続される、請求項6に記載の画素駆動回路。
【請求項9】
前記発光制御回路は、第7トランジスタと第8トランジスタとを含み、
前記第7トランジスタの制御電極は前記第1ノードに電気的に接続され、前記第7トランジスタの第1電極は前記第1電圧信号端子に電気的に接続され、前記第7トランジスタの第2電極は第6ノードに電気的に接続され、
前記第8トランジスタの制御電極は前記イネーブル信号端子に電気的に接続され、前記第8トランジスタの第1電極は前記第6ノードに電気的に接続され、前記第8トランジスタの第2電極は前記第2ノードに電気的に接続される、請求項6~8のいずれか一項に記載の画素駆動回路。
【請求項10】
第2リセット補償回路をさらに含み、
前記第2リセット補償回路は、前記第1走査信号端子、前記第1ノード、および前記第6ノードに電気的に接続され、前記第2リセット補償回路は、前記第1走査信号に応答して前記第7トランジスタの閾値電圧を補償するように構成され、
前記第2リセット補償回路は、さらに、初期信号端子、第3走査信号端子及び第4走査信号端子のうちの少なくとも一方に電気的に接続され、前記第2リセット補償回路は、前記第3走査信号端子で受信された第3走査信号または前記第4走査信号端子で受信された第4走査信号に応答して、前記初期信号端子で受信された初期信号を前記第1ノードに伝送し、前記第1ノードをリセットするようにさらに構成される、請求項9に記載の画素駆動回路。
【請求項11】
前記第2リセット補償回路は、第11トランジスタと第2コンデンサとを含み、
前記第11トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第11トランジスタの第1電極は第7ノードに電気的に接続され、前記第11トランジスタの第2電極は前記第6ノードに電気的に接続され、
前記第2コンデンサの第1端は前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2コンデンサの第2端は前記第7ノードに電気的に接続され、
ここで、前記第7トランジスタの制御電極は、前記第2コンデンサを介して前記第1ノードに電気的に接続され、
前記第2リセット補償回路が第3走査信号端子にさらに電気的に接続される場合、前記第2リセット補償回路は第9トランジスタをさらに含み、
前記第9トランジスタの制御電極は前記第3走査信号端子に電気的に接続され、前記第9トランジスタの第1電極は前記初期信号端子に電気的に接続され、前記第9トランジスタの第2電極は前記第1ノードに電気的に接続され、
前記第2リセット補償回路が第4走査信号端子にさらに電気的に接続される場合、前記第2リセット補償回路は第10トランジスタをさらに含み、
前記第10トランジスタの制御電極は、前記第4走査信号端子に電気的に接続され、前記第10トランジスタの第1電極は、前記初期信号端子に電気的に接続され、前記第10トランジスタの第2電極は、前記第1ノードに電気的に接続される、請求項10に記載の画素駆動回路。
【請求項12】
前記データ書込回路は、第12トランジスタを含み、
前記第12トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第12トランジスタの第1電極は前記データ信号端子に電気的に接続され、前記第12トランジスタの第2電極は前記第1ノードに電気的に接続される、請求項1~11のいずれか一項に記載の画素駆動回路。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の画素駆動回路の駆動方法であって、
データ書込段階と発光段階とを含み、
前記データ書込段階では、第1走査信号端子で受信された第1走査信号に応答して、データ書込回路がオンにされて、データ信号端子で受信されたデータ信号を第1ノードに伝送し、
前記発光段階では、前記第1ノードの電圧とイネーブル信号端子で受信されたイネーブル信号との制御下で、発光制御回路がオンにされて、第1電圧信号端子で受信された第1電圧信号を第2ノードに伝送し、
前記第2ノードからの第1電圧信号と、第2電圧信号端子で受信された第2電圧信号との協働下で、発光ダイオードチップにおける複数の発光部をそれぞれ異なる期間に発光させるか、又は、少なくとも2つの発光部を同じ期間に発光させる、画素駆動回路の駆動方法。
【請求項14】
表示基板であって、
基板と、
複数の請求項1~12のいずれか一項に記載の画素駆動回路と、を含み、複数の前記画素駆動回路は、前記基板の一方側に設けられ、
前記画素駆動回路における発光ダイオードチップに含まれる複数の発光部のうち、各発光部は、順次に積層された第1半導体層、量子井戸層、及び第2半導体層を含み、前記第1半導体層と前記第2半導体層とは、異なるドーピングタイプを有し、
ここで、前記発光部は、第1ボンディング電極及び第2ボンディング電極のうちの少なくとも一方をさらに含み、
前記第1ボンディング電極は、前記発光部の第1半導体層に電気的に接続され、
前記第2ボンディング電極は、前記発光部の第2半導体層に電気的に接続される、表示基板。
【請求項15】
前記発光ダイオードチップは、ベースをさらに含み、
前記発光ダイオードチップに含まれる複数の発光部は、前記ベースの同じ側に位置する、請求項14に記載の表示基板。
【請求項16】
前記発光部は、前記第1ボンディング電極と前記第2ボンディング電極とを含み、
異なる前記発光部に含まれる第1ボンディング電極は異なり、異なる前記発光部に含まれる第2ボンディング電極は異なる、請求項14または15に記載の表示基板。
【請求項17】
前記発光部は、直列に配置された複数のサブ発光部を含み、
各サブ発光部は、順次に積層された第1サブ半導体層、第1サブ量子井戸層、及び第2サブ半導体層を含み、
一つの前記サブ発光部の第1サブ半導体層は、前記発光部の第1ボンディング電極に電気的に接続され、
他の前記サブ発光部の第2サブ半導体層は、前記発光部の第2ボンディング電極に電気的に接続される、請求項16に記載の表示基板。
【請求項18】
前記複数の発光部が少なくとも1つの第1発光部と少なくとも1つの第2発光部とを含む場合には、
前記第1発光部の第1半導体層及び前記第2発光部の第2半導体層は、一つの第2ボンディング電極に電気的に接続され、
前記第1発光部の第2半導体層及び前記第2発光部の第1半導体層は、他の第2ボンディング電極に電気的に接続される、請求項14または15に記載の表示基板。
【請求項19】
前記発光ダイオードチップは、複数の接続部をさらに含み、
前記第1発光部の第1半導体層は、1つの接続部を介して前記第2発光部の第2半導体層に電気的に接続され、
前記第2発光部の第1半導体層は、1つの接続部を介して前記第1発光部の第2半導体層に電気的に接続される、請求項18に記載の表示基板。
【請求項20】
前記第1発光部は、直列に配置された複数の第1サブ発光部を含み、前記第2発光部は、直列に配置された複数の第2サブ発光部を含み、
各第1サブ発光部は、順次に積層された第3サブ半導体層、第2サブ量子井戸層、及び第4サブ半導体層を含み、各第2サブ発光部は、順次に積層された第5サブ半導体層、第3サブ量子井戸層及び第6サブ半導体層を含み、
一つの第1サブ発光部の第3サブ半導体層は、前記一つの第2ボンディング電極に電気的に接続され、且つ一つの第2サブ発光部の第6サブ半導体層に電気的に接続され、
一つの第2サブ発光部の第5サブ半導体層は、前記他の第2ボンディング電極に電気的に接続され、且つ一つの第1サブ発光部の第4サブ半導体層に電気的に接続される、請求項18または19に記載の表示基板。
【請求項21】
少なくとも2つの前記発光部の第1半導体層は、一体構造であり、且つ同じ第1ボンディング電極に電気的に接続される、請求項14または15に記載の表示基板。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
この出願は、2021年05月31日に出願された出願番号が202110605113.4である中国特許出願を基礎出願とする優先権を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
【技術分野】
【0002】
本開示は、表示技術分野に関し、特に画素駆動回路及びその駆動方法、表示パネルに関するものである。
【背景技術】
【0003】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、略称LED)は、高効率、高輝度、高信頼性、省エネルギー及び速い反応速度等の多くの利点を有するため、従来のディスプレイ、ニアアイディスプレイ、3D(3Dimension)ディスプレイ及び透明ディスプレイ(transparent displays)等の分野に広く用いられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、画素駆動回路が提供される。前記画素駆動回路は、データ書込回路と、発光制御回路と、発光ダイオードチップとを含む。前記データ書込回路は、第1走査信号端子、データ信号端子、及び第1ノードに電気的に接続される。前記データ書込回路は、前記第1走査信号端子で受信された第1走査信号に応答して、前記データ信号端子で受信されたデータ信号を前記第1ノードに伝送する、ように構成される。前記発光制御回路は、前記第1ノード、イネーブル(enable)信号端子、第1電圧信号端子、及び第2ノードに電気的に接続される。前記発光制御回路は、前記第1ノードの電圧と前記イネーブル信号端子によって伝送されたイネーブル信号との制御下で、前記第1電圧信号端子で受信された第1電圧信号を前記第2ノードに伝送する、ように構成される。前記発光ダイオードチップは、前記第2ノードと第2電圧信号端子とに電気的に接続される。ここで、前記発光ダイオードチップは、ベースと、前記ベースの一方側に設けられた複数の発光部とを含む。前記発光ダイオードチップは、前記第2ノードからの第1電圧信号と、前記第2電圧信号端子で受信された第2電圧信号との協働下で、前記複数の発光部をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動するか、又は、少なくとも2つの発光部を同じ期間に発光させるように駆動する、ように構成される。
【0005】
いくつかの実施例において、前記複数の発光部は、少なくとも1つの第1発光部と、少なくとも1つの第2発光部とを含む。ここで、前記第1発光部の第1ボンディング電極(bonding electrode)は前記第2ノードに電気的に接続され、前記第1発光部の第2ボンディング電極は前記第2電圧信号端子に電気的に接続される。前記第2発光部の第1ボンディング電極は前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、前記第2発光部の第2ボンディング電極は前記第2ノードに電気的に接続される。
【0006】
いくつかの実施例において、前記発光制御回路は、第1トランジスタと第2トランジスタとを含む。前記第1トランジスタの制御電極(control electrode)は前記イネーブル信号端子に電気的に接続され、前記第1トランジスタの第1電極(first electrode)は前記第1電圧信号端子に電気的に接続され、前記第1トランジスタの第2電極は第3ノードに電気的に接続される。前記第2トランジスタの制御電極は前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2トランジスタの第1電極は前記第3ノードに電気的に接続され、前記第2トランジスタの第2電極は前記第2ノードに電気的に接続される。
【0007】
いくつかの実施例において、前記画素駆動回路は、第1リセット補償回路をさらに含む。前記第1リセット補償回路は、前記第1走査信号端子、第2走査信号端子、前記第1ノード、前記第2ノード、前記第3ノード、および前記第2電圧信号端子に電気的に接続される。前記第1リセット補償回路は、前記第1走査信号と、前記第2走査信号端子で受信された第2走査信号との制御下で、前記画素駆動回路をリセットし、前記第2トランジスタの閾値電圧を補償するように構成される。
【0008】
いくつかの実施例において、前記第1リセット補償回路は、第3トランジスタ、第4トランジスタ、第5トランジスタ、第6トランジスタ、及び第1コンデンサ(capacitor)を含む。前記第3トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第3トランジスタの第1電極は前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、前記第3トランジスタの第2電極は第4ノードに電気的に接続される。前記第4トランジスタの制御電極は前記第2走査信号端子に電気的に接続され、前記第4トランジスタの第1電極は前記第3ノードに電気的に接続され、前記第4トランジスタの第2電極は第5ノードに電気的に接続される。前記第5トランジスタの制御電極は前記第2走査信号端子に電気的に接続され、前記第5トランジスタの第1電極は前記第2ノードに電気的に接続され、前記第5トランジスタの第2電極は前記第5ノードに電気的に接続される。前記第6トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第6トランジスタの第1電極は前記第4ノードに電気的に接続され、前記第6トランジスタの第2電極は前記第1ノードに電気的に接続される。前記第1コンデンサの第1端は前記第4ノードに電気的に接続され、前記第1コンデンサの第2端は前記第5ノードに電気的に接続される。
【0009】
いくつかの実施例において、前記画素駆動回路は、複数のスイッチングトランジスタをさらに含む。前記発光部の第1ボンディング電極は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して前記第2ノードに電気的に接続される。及び/又は、前記発光部の第2ボンディング電極は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して前記第2電圧信号端子に電気的に接続される。
【0010】
いくつかの実施例において、前記発光部の数は、前記複数のスイッチングトランジスタの数に等しい。前記発光部の第1ボンディング電極は前記第2ノードに電気的に接続され、前記発光部の第2ボンディング電極は一つのスイッチングトランジスタを介して前記第2電圧信号端子に電気的に接続される。
【0011】
いくつかの実施例において、前記発光部の数は、前記複数のスイッチングトランジスタの数よりも少ない。一つの前記発光部の第1ボンディング電極は、前記第2ノードに電気的に接続され、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して他の前記発光部の第1ボンディング電極に電気的に接続される。一つの前記発光部の第2ボンディング電極は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して前記第2電圧信号端子に電気的に接続され、少なくとも1つのスイッチングトランジスタを介して他の前記発光部の第1ボンディング電極に電気的に接続される。他の前記発光部の第2ボンディング電極は第2電圧信号端子に電気的に接続される。
【0012】
いくつかの実施例において、前記発光制御回路は、第7トランジスタと第8トランジスタとを含む。前記第7トランジスタの制御電極は前記第1ノードに電気的に接続され、前記第7トランジスタの第1電極は前記第1電圧信号端子に電気的に接続され、前記第7トランジスタの第2電極は第6ノードに電気的に接続される。前記第8トランジスタの制御電極は前記イネーブル信号端子に電気的に接続され、前記第8トランジスタの第1電極は前記第6ノードに電気的に接続され、前記第8トランジスタの第2電極は前記第2ノードに電気的に接続される。
【0013】
いくつかの実施例において、前記画素駆動回路は、第2リセット補償回路をさらに含む。前記第2リセット補償回路は、前記第1走査信号端子、前記第1ノード、および前記第6ノードに電気的に接続される。前記第2リセット補償回路は、前記第1走査信号に応答して前記第7トランジスタの閾値電圧を補償するように構成される。前記第2リセット補償回路は、さらに、初期信号端子、第3走査信号端子及び第4走査信号端子のうちの少なくとも一方に電気的に接続される。前記第2リセット補償回路は、前記第3走査信号端子で受信された第3走査信号または前記第4走査信号端子で受信された第4走査信号に応答して、前記初期信号端子で受信された初期信号を前記第1ノードに伝送し、前記第1ノードをリセットするようにさらに構成される。
【0014】
いくつかの実施例において、前記第2リセット補償回路は、第11トランジスタと第2コンデンサとを含む。前記第11トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第11トランジスタの第1電極は第7ノードに電気的に接続され、前記第11トランジスタの第2電極は前記第6ノードに電気的に接続される。前記第2コンデンサの第1端は前記第1ノードに電気的に接続され、前記第2コンデンサの第2端は前記第7ノードに電気的に接続される。ここで、前記第7トランジスタの制御電極は、前記第2コンデンサを介して前記第1ノードに電気的に接続される。前記第2リセット補償回路が第3走査信号端子にさらに電気的に接続される場合、前記第2リセット補償回路は第9トランジスタをさらに含む。前記第9トランジスタの制御電極は前記第3走査信号端子に電気的に接続され、前記第9トランジスタの第1電極は前記初期信号端子に電気的に接続され、前記第9トランジスタの第2電極は前記第1ノードに電気的に接続される。前記第2リセット補償回路が第4走査信号端子にさらに電気的に接続される場合、前記第2リセット補償回路は第10トランジスタをさらに含む。前記第10トランジスタの制御電極は、前記第4走査信号端子に電気的に接続され、前記第10トランジスタの第1電極は、前記初期信号端子に電気的に接続され、前記第10トランジスタの第2電極は、前記第1ノードに電気的に接続される。
【0015】
いくつかの実施例において、前記データ書込回路は、第12トランジスタを含む。前記第12トランジスタの制御電極は前記第1走査信号端子に電気的に接続され、前記第12トランジスタの第1電極は前記データ信号端子に電気的に接続され、前記第12トランジスタの第2電極は前記第1ノードに電気的に接続される。
【0016】
別の態様では、上記した実施例のいずれかに記載の画素駆動回路の駆動方法が提供される。前記駆動方法は、データ書込段階と発光段階とを含む。前記データ書込段階では、第1走査信号端子で受信された第1走査信号に応答して、データ書込回路がオンにされて、データ信号端子で受信されたデータ信号を第1ノードに伝送する。前記発光段階では、前記第1ノードの電圧とイネーブル信号端子で受信されたイネーブル信号との制御下で、発光制御回路がオンにされて、第1電圧信号端子で受信された第1電圧信号を第2ノードに伝送する。前記第2ノードからの第1電圧信号と、第2電圧信号端子で受信された第2電圧信号との協働下で、発光ダイオードチップにおける複数の発光部をそれぞれ異なる期間に発光させるか、又は、少なくとも2つの発光部を同じ期間に発光させる。
【0017】
さらに別の態様では、表示基板が提供される。前記表示基板は、基板と、複数の上記した実施例のいずれかに記載の画素駆動回路と、を含む。複数の前記画素駆動回路は、前記基板の一方側に設けられる。前記画素駆動回路における発光ダイオードチップに含まれる複数の発光部のうち、各発光部は、順次に積層された第1半導体層、量子井戸層、及び第2半導体層を含む。前記第1半導体層と前記第2半導体層とは異なるドーピングタイプを有する。ここで、前記発光部は、第1ボンディング電極及び第2ボンディング電極のうちの少なくとも一方をさらに含む。前記第1ボンディング電極は、前記発光部の第1半導体層に電気的に接続される。前記第2ボンディング電極は、前記発光部の第2半導体層に電気的に接続される。
【0018】
いくつかの実施例において、前記発光ダイオードチップは、ベースをさらに含む。前記発光ダイオードチップに含まれる複数の発光部は、前記ベースの同じ側に位置する。
【0019】
いくつかの実施例において、前記発光部は、前記第1ボンディング電極と前記第2ボンディング電極とを含む。異なる前記発光部に含まれる第1ボンディング電極は異なり、異なる前記発光部に含まれる第2ボンディング電極は異なる。
【0020】
いくつかの実施例において、前記発光部は、直列に配置された複数のサブ発光部を含む。各サブ発光部は、順次に積層された第1サブ半導体層、第1サブ量子井戸層、及び第2サブ半導体層を含む。一つの前記サブ発光部の第1サブ半導体層は、前記発光部の第1ボンディング電極に電気的に接続される。他の前記サブ発光部の第2サブ半導体層は、前記発光部の第2ボンディング電極に電気的に接続される。
【0021】
いくつかの実施例において、前記複数の発光部が少なくとも1つの第1発光部と少なくとも1つの第2発光部とを含む場合には、前記第1発光部の第1半導体層及び前記第2発光部の第2半導体層は、一つの第2ボンディング電極に電気的に接続され、前記第1発光部の第2半導体層及び前記第2発光部の第1半導体層は、他の第2ボンディング電極に電気的に接続される。
【0022】
いくつかの実施例において、前記発光ダイオードチップは、複数の接続部をさらに含む。前記第1発光部の第1半導体層は、1つの接続部を介して前記第2発光部の第2半導体層に電気的に接続される。前記第2発光部の第1半導体層は、1つの接続部を介して前記第1発光部の第2半導体層に電気的に接続される。
【0023】
いくつかの実施例において、前記第1発光部は、直列に配置された複数の第1サブ発光部を含み、前記第2発光部は、直列に配置された複数の第2サブ発光部を含む。各第1サブ発光部は、順次に積層された第3サブ半導体層、第2サブ量子井戸層、及び第4サブ半導体層を含む。各第2サブ発光部は、順次に積層された第5サブ半導体層、第3サブ量子井戸層及び第6サブ半導体層を含む。一つの第1サブ発光部の第3サブ半導体層は、前記一つの第2ボンディング電極に電気的に接続され、且つ一つの第2サブ発光部の第6サブ半導体層に電気的に接続される。一つの第2サブ発光部の第5サブ半導体層は、前記他の第2ボンディング電極に電気的に接続され、且つ一つの第1サブ発光部の第4サブ半導体層に電気的に接続される。
【0024】
いくつかの実施例において、少なくとも2つの前記発光部の第1半導体層は、一体構造であり、且つ同じ第1ボンディング電極に電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
以下、本開示に係る技術案をより明確に説明するために、本開示のいくつかの実施例の説明に使用される図面について簡単に説明するが、以下の説明における図面は、本開示の幾つかの実施例の図面にすぎないことは明らかである。当業者であれば、これらの図面によって他の図面を取得することもできる。また、以下の説明における図面は、概略図と見なすことができ、本開示の実施例に係る製品の実際の寸法、方法の実際のプロセス、信号の実際のタイミングなどを限定するものではない。
【0026】
図1】一実施形態に係るLEDの電流密度と発光効率との関係図である。
【0027】
図2】本開示のいくつかの実施例に係る表示基板の構造図である。
【0028】
図3】本開示のいくつかの実施例に係る画素駆動回路の構造図である。
【0029】
図4】本開示のいくつかの実施例に係る別の画素駆動回路の構造図である。
【0030】
図5】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の画素駆動回路の構造図である。
【0031】
図6図5に示す画素駆動回路の発光時の等価回路図である。
【0032】
図7図5に示す画素駆動回路の発光時の別の等価回路図である。
【0033】
図8】本開示のいくつかの実施形態に係る、図5に示す画素駆動回路に対応するタイミング制御図である。
【0034】
図9】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の画素駆動回路の構造図である。
【0035】
図10】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の画素駆動回路の構造図である。
【0036】
図11】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の画素駆動回路の構造図である。
【0037】
図12】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の画素駆動回路の構造図である。
【0038】
図13】本開示のいくつかの実施形態に係る、図10図11に示す画素駆動回路に対応するタイミング制御図である。
【0039】
図14】本開示のいくつかの実施例に係る発光ダイオードチップの構造図である。
【0040】
図15】本開示のいくつかの実施例に係る別の発光ダイオードチップの構造図である。
【0041】
図16図15に示す発光ダイオードチップのA-A’線に沿った断面図である。
【0042】
図17】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の発光ダイオードチップの構造図である。
【0043】
図18図17に示す発光ダイオードチップのB-B’線に沿った断面図である。
【0044】
図19】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の発光ダイオードチップの構造図である。
【0045】
図20図19に示す発光ダイオードチップのC-C’線に沿った断面図である。
【0046】
図21】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の発光ダイオードチップの構造図である。
【0047】
図22】本開示のいくつかの実施例に係るさらに別の発光ダイオードチップの構造図である。
【0048】
図23図22に示す発光ダイオードチップのD-D’線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
以下、図面を参照して、本開示のいくつかの実施例の技術案を明確かつ完全に説明する。無論、ここに記載された実施例はあくまで本開示の実施例の一部のみであり、全ての実施例ではないと理解されるべきである。本開示における実施例に基づいて、当業者が取得する他のすべての実施例は、本開示の請求範囲に含まれるものとする。
【0050】
文脈上別段の解釈を要しない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体において、用語「含む(comprise)」及びその他の形式、例えば、第三人称の単数形である「含む(comprises)」及び現在分詞の形式である「含む(comprising)」は、開放、包括的な意味、即ち「含むが、これらに限定されない」と解釈されるべきである。明細書の説明において、用語「1つの実施例(one embodiment)」、「幾つかの実施例(some embodiments)」、「例示的な実施例(exemplary embodiments)」、「例(example)」、「特定の例(specific example)」、又は「幾つかの例(some examples)」などは、この実施例又は例に関連する特定の特徴、構造、材料、又は特性が、本開示の少なくとも1つの実施例又は例に含まれることを示すことが意図される。上記の用語の概略的な表現は、必ずしも同じ実施例又は例を指すわけではない。さらに、説明された特定の特徴、構造、材料、又は特性は、任意の適切な態様で、任意の1つ又は複数の実施例又は例に含まれ得る。
【0051】
以下において、「第1」、「第2」という用語は、単に目的を説明するためのものであり、相対的な重要性を指示又は暗示する又は指示される技術的特徴の数を暗示すると理解されるべきではない。従って、「第1」、「第2」で限定される特徴は、1つ又は複数の該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。本開示の実施例の説明では、特に明記がしない限り、「複数」は2つ以上を意味する。
【0052】
いくつかの実施例を説明する際に、「接続」及びそれに由来する表現を使用する場合がある。例えば、いくつかの実施例を説明する際に、2つ又は2つ以上の構成要素が互いに直接的な物理的又は電気的接触を有することを示すように、「接続」という用語を使用する場合がある。ここに開示される実施例は、必ずしも本明細書に限定されない。
【0053】
「A、B及びCのうちの少なくとも1つ」は、「A、B又はCのうちの少なくとも1つ」と同じ意味を有し、いずれも以下のA、B及びCの組み合わせを含む:Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBの組合せ、A及びCの組合せ、B及びCの組合せ、並びにA、B及びCの組合せ。
【0054】
「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、及びAとBの組合せの3つの組合せを含む。
【0055】
本明細書で使用されるように、文脈に応じて、用語「……場合」は、「……時」又は「……際」又は「……の決定に応答して」又は「……の検出に応答して」を意味すると任意選択的に解釈される。同様に、文脈に応じて、「……が決定された場合」又は「[記載された条件又はイベント]が検出された場合」という文節は、「……が決定される時」、又は「……の決定に応答して」、又は「[記載された条件又はイベント]が検出された時」、又は「[記載された条件又はイベント]が検出されたことに応答して」を意味すると任意選択的に解釈される。
【0056】
本明細書において、「…に適用する」又は「…ように構成される」の使用は、追加のタスク又はステップを実行するように適用又は配置される装置を排除しない開放的且つ包括的な言語を意味する。
【0057】
また、「に基づいて」の使用は、1つ又は複数の前記条件又は値に「基づいて」行われる手順、ステップ、計算、又は他の動作が、実際的には、追加の条件又は前記値を超えることに基づき得るため、開放的且つ包括的であることを意味する。
【0058】
本明細書で使用されるように、「約」、又は「近似」は、記載された値、及び特定値の許容可能な偏差範囲内の平均値を含み、ここで、前記許容可能な偏差範囲は、当業者によって検討されている測定及び特定量の測定に関連する誤差(即ち、測定システムの制限)を考慮して決定される。
【0059】
本明細書では理想化された例示的な図面である断面図及び/又は平面図を参照して例示的な実施形態を説明している。図面において、層及び領域の厚さは明確に表示するために拡大して示した。したがって、例えば製造技術及び/又は公差に起因する、図面に対する形状の変動が想定され得る。したがって、例示的な実施形態は、本明細書に例示された領域の形状に限定して解釈されるべきではなく、例えば製造に起因する形状の偏差を含む。例えば、長方形として示されるエッチング領域は、通常、湾曲した特徴を有する。したがって、図面に示される領域は、本質的に例示的なものであり、それらの形状は、装置の領域の実際の形状を示すことを意図しておらず、例示的な実施形態の範囲を限定することを意図していない。
【0060】
本開示の実施例によって提供される回路に用いられるトランジスタは、薄膜トランジスタ、電界効果トランジスタ、又は同じ特性を有する他のスイッチングデバイスであってもよく、本開示の実施例では、いずれも薄膜トランジスタを例として説明する。
【0061】
いくつかの実施例において、画素駆動回路に用いられる各トランジスタの制御電極は、トランジスタのゲートであり、第1電極は、トランジスタのソースおよびドレインのうちの一方であり、第2電極は、トランジスタのソースおよびドレインのうちの他方である。トランジスタのソース、ドレインは構造的に対称であってもよいため、そのソース、ドレインは構造的に区別されていなくてもよく、すなわち、本開示の実施例におけるトランジスタの第1電極と第2電極とは構造的に区別されていなくてもよい。例示的に、トランジスタがP型トランジスタである場合、トランジスタの第1電極はソースであり、第2電極はドレインである。例示的に、トランジスタがN型トランジスタである場合、トランジスタの第1電極はドレインであり、第2電極はソースである。
【0062】
本開示の実施例によって提供される回路では、「ノード」は、実際に存在する部品を表すものではなく、回路図における関連する電気的接続の合流点を表すものであり、すなわち、これらのノードは、回路図における関連する電気的接続の合流点によって等価的に形成されるノードである。
【0063】
一実施態様において、LEDの発光効率と当該LEDに流れる電流密度との関係を図1に示す。図1から分かるように、低い電流密度、例えばJ1~J2の電流密度では、当該LEDに流れる電流密度が小さく、LEDの発光効率が低い。高い電流密度、例えばJ2~J3の電流密度では、LEDの発光効率が高い。
【0064】
従来の技術では、LEDは、大きな発光面積を有しており、これにより、当該LEDに流れる電流密度が低下しやすくなり、さらにLEDの発光効率が低減しやすくなる。しかし、LEDの発光効率を向上させるために電流密度を増加させる場合、消費電力を増やすことも可能である。そして、LEDが高い発光効率を長時間維持している場合、LEDは高い電流密度の条件下で長時間動作し、これにより、LEDの温度が上昇し、熱蓄積現象が発生し、さらにLEDの構造安定性に影響を与え、LEDの発光効率を低下させる。
【0065】
この点に鑑みて、本開示のいくつかの実施例によって提供される表示基板1000は、図2に示すように、基板200と、基板200の一方側に設けられた複数の画素駆動回路100と、を含む。これらの複数の画素駆動回路100は、表示基板1000に画面表示を行わせるように互いに協働する。
【0066】
上記した基板200の種類が複数あり、実際の必要に応じて選択的に設けることができる。
【0067】
例示的に、基板200はリジット基板であってもよい。当該リジット基板は、例えば、ガラス基板又はPMMA(Polymethyl methacrylate、ポリメチルメタクリレート)基板などの基板であってもよい。
【0068】
例示的に、基板200はフレキシブル基板であってもよい。当該フレキシブル基板は、例えば、PET(Polymethylene terephthalate、ポリエチレンテレフタレート)基板、PEN(Polyethylene naphthalate two formic acid glycol ester、ポリエチレンナフタレート)基板、又はPI(Polyimide、ポリイミド)基板などの基板であってもよい。このとき、表示基板1000は、フレキシブルディスプレイ基板(flexible display substrate)であってもよい。
【0069】
いくつかの例において、図2に示すように、表示基板1000は、基板200の一方側に設けられた複数のゲート線GL、複数のデータ線DL、及び複数の発光制御信号線ELをさらに含んでもよい。ここで、当該複数のゲート線GLは第1方向Xに延伸してもよく、当該複数のデータ線DLは第1方向Xに延伸してもよく、当該複数の発光制御信号線ELは第1方向Xに延伸してもよい。
【0070】
ここで、第1方向Xと第2方向Yとは互いに交差している。第1方向Xと第2方向Yとの間の角度は、実際の必要に応じて選択的に設定することができる。例示的に、第1方向Xと第2方向Yとの間の角度は、85°、89°、又は90°などであってもよい。
【0071】
上記した複数の画素駆動回路100は、例えば、第1方向Xに沿って複数行に配列され、第2方向Yに沿って複数列に配列されていてもよい。
【0072】
例示的に、第1方向Xに沿って1行に配列された画素駆動回路100を同一行の画素駆動回路100と呼び、第2方向Yに沿って1列に配列された画素駆動回路100を同一列の画素駆動回路100と呼ぶことができる。同一行の画素駆動回路100は、例えば、少なくとも1つのゲート線GLに電気的に接続され、かつ、少なくとも1つの発光制御信号線ELに電気的に接続されてもよく、同一列の画素駆動回路100は、例えば、1つのデータ線DLに電気的に接続されてもよい。ここで、画素駆動回路100に電気的に接続されるゲート線GLの数および発光制御信号線ELの数は、画素駆動回路100の構成に応じて決定されてもよい。
【0073】
画素駆動回路100は、ゲート線GLからの走査信号、データ線DLからのデータ信号、および発光制御信号線ELからのイネーブル信号を受信して発光することができる。
【0074】
いくつかの例において、図3図5、および図9図12に示すように、画素駆動回路100は、データ書込回路1と、発光制御回路2と、発光ダイオードチップ3とを含む。ここで、データ書込回路1と発光制御回路2とが電気的に接続され、発光制御回路2と発光ダイオードチップ3とが電気的に接続される。
【0075】
例示的に、図5、および図14図23に示すように、発光ダイオードチップ3は、複数の発光部32を含む。
【0076】
例示的に、図5、および図14図23に示すように、発光ダイオードチップ3は、ベース31をさらに含んでもよい。ここで、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32は、当該ベース31の同じ側に位置してもよい。すなわち、上記した複数の発光部32は、同一の発光ダイオードチップ3に属する。
【0077】
なお、上記した発光制御回路2は、第1電圧信号を第2ノードN2に伝送することができる。上記した発光ダイオードチップ32は、第2ノードN2からの第1電圧信号と、第2電圧信号端子VSSで受信された第2電圧信号との協働下で、上記した複数の発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動するか、又は、少なくとも2つの発光部32を同じ期間に発光させるように駆動することができる。
【0078】
データ書込回路1と、発光制御回路2と、発光ダイオードチップ3との間の電気的な接続関係、ならびにデータ書込回路1および発光制御回路2の構成については、以下の関連する説明を参照できるため、ここではその説明を省略する。
【0079】
上記した発光ダイオードチップ3の構造の種類は複数ある。例えば、発光ダイオードチップ3の構造の種類は、ワイヤボンディング(wire-bonding)構造、垂直構造、またはフリップチップ構造であってもよい。
【0080】
以下、発光ダイオードチップ3の構造をフリップチップ構造とすることを例として、図14図23を参照して、上記した発光ダイオードチップ3の構造を模式的に説明する。
【0081】
上記した発光ダイオードチップ3の種類は複数あり、実際の必要に応じて選択的に設けることができる。
【0082】
例示的に、当該発光ダイオードチップ3は、サブミリ発光ダイオード(Mini Light Emitting Diode、略称Mini LED)チップであってもよく、または、マイクロ発光ダイオード(Micro Light Emitting Diode、略称Micro LED)チップであってもよい。
【0083】
上記したベース31の種類は複数あり、実際の必要に応じて選択的に設定することができる。
【0084】
例示的に、当該ベース31は、例えば、リン化ガリウム(GaP)ベース、ガリウム砒素(GaAs)ベース、シリコンベース、炭化ケイ素ベース、サファイアベース等であってもよい。
【0085】
選択的に、発光ダイオードチップ3と画素駆動回路100における発光制御回路2とをボンディングした後、画素駆動回路100における発光ダイオードチップ3が複数の発光部32のみを含むように、発光ダイオードチップ3におけるベース31を剥離することができる。無論、発光ダイオードチップ3と画素駆動回路100における発光制御回路2とをボンディングした後、ベース31を残存させてもよい。具体的には、実際の必要に応じて選択的に設定することができる。
【0086】
例示的に、図14図16に示すように、各発光部32は、順次に積層された第1半導体層321、量子井戸(Multiple Quantum Well、略称MQW)層322および第2半導体層323を含む。ここで、第1半導体層321は、量子井戸層322よりもベース31に近い。第1半導体層321と量子井戸層322とは、例えば直接接触していてもよく、量子井戸層322と第2半導体層323とは、例えば直接接触していてもよい。
【0087】
例えば、量子井戸層322の材料は、窒化ガリウム(GaN)であってもよい。
【0088】
選択的に、第1半導体層321と第2半導体層323は異なるドーピングタイプ(doping types)を有する。
【0089】
例えば、第1半導体層321の材料はP型半導体材料であってもよく、それに対して、第2半導体層323の材料はN型半導体材料であってもよい。または、第1半導体層321の材料はN型半導体材料であってもよく、それに対して、第2半導体層323の材料はP型半導体材料であってもよい。
【0090】
第1半導体層321および第2半導体層323の材料は、複数種類あり、実際の必要に応じて選択的に設定することができる。例示的に、第1半導体層321及び第2半導体層323は、同じ真性半導体材料を有し、この真性半導体材料は、GaN、GaP、砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)及びリン化アルミニウムガリウムインジウム(AlGaInP)のいずれであっても良い。
【0091】
なお、発光ダイオードチップ3におけるベース31の種類は、上記した発光部32における第1半導体層321および第2半導体層323の材料に応じて定めればよい。
【0092】
ここで、第1半導体層321と第2半導体層323にそれぞれ異なる電圧を印加して、両者の間に電界を形成する場合、第1半導体層321と第2半導体層323の真性半導体材料がいずれもGaNであれば、発光部32は緑色光線または青色光線を発光することができ、第1半導体層321及び第2半導体層323の真性半導体材料がいずれもGaP、AlGaAs、またはAlGaInPであれば、発光部32は赤色光線を発光することができる。
【0093】
なお、第1半導体層321と第2半導体層323とにそれぞれ異なる電圧を印加して、両者の間に電界を形成した場合、すなわち、第1半導体層321と第2半導体層323との間に障壁を有するPN接合が形成される場合、第1半導体層321、量子井戸層322、および第2半導体層323の積層方向に沿った重なり領域において少数キャリアと多数キャリアとが再結合する際に、余分なエネルギーが光として放出され、電気エネルギーが光エネルギーに直接変換される。したがって、第1半導体層321、量子井戸層322、および第2半導体層323の積層方向の重なり領域は、基本的に発光部32の発光領域であり、第1半導体層321、量子井戸層322、および第2半導体層323の積層方向の重なり領域の面積は、基本的に発光部32の発光面積である。
【0094】
例示的に、図14図23に示すように、上記した複数の発光部32のうち、任意の隣接する2つの発光部32における量子井戸層322は、互いに独立して設けられ、任意の隣接する2つの発光部32における第2半導体層323は、互いに独立して設けられている。すなわち、これは、各発光部32が対応して一つの発光領域を有することができることを意味する。発光ダイオードチップ3は複数の発光部32を含み、対応して独立した発光領域を複数有する。
【0095】
例示的に、図14図23に示すように、各発光部32は、第1ボンディング電極324および第2ボンディング電極325のうちの少なくとも一方をさらに含む。すなわち、発光部32は、第1ボンディング電極324のみを含んでもよい。あるいは、発光部32は、第2ボンディング電極325のみを含んでもよい。あるいは、発光部32は第1ボンディング電極324と第2ボンディング電極325を含んでもよい。
【0096】
例えば、第1ボンディング電極324のベース31上への正射影形状は、ストライプ状やブロック状などであってもよく、且つ正射影面積が大きい。第2ボンディング電極325のベース31上への正射影形状は、ストライプ状やブロック状などであってもよく、且つ正射影面積が大きい。選択的に、第1ボンディング電極324のベース31上への正射影面積および第2ボンディング電極325のベース31上への正射影面積は、後続に発光ダイオードチップ3を他の回路構造とボンディングして電気的に接続することを容易にするために、いずれも第2半導体層323のベース31上への正射影面積よりも大きい。
【0097】
選択的に、図14図23に示すように、第1ボンディング電極324は対応する発光部32の第1半導体層321に電気的に接続されてもよく、第2ボンディング電極325は対応する発光部32の第2半導体層323に電気的に接続されてもよい。
【0098】
例えば、発光部32が第1ボンディング電極324のみを含む場合には、当該発光部32は、第2ボンディング電極325を他の発光部32と共有するようにしてもよい。発光部32が第2ボンディング電極325のみを含む場合には、当該発光部32は、第1ボンディング電極324を他の発光部32と共有するようにしてもよい。
【0099】
例えば、図14図23に示すように、第2半導体層323のベース31上への正射影は、第1半導体層321のベース31上への正射影の範囲内に位置し、量子井戸層322のベース31上への正射影は、第1半導体層321のベース31上への正射影の範囲内に位置する。このようにして、第1ボンディング電極324と第1半導体層321との電気的接続が容易となる。
【0100】
各発光部32において、第1ボンディング電極324及び第2ボンディング電極325のうちの一方が第2ノードN2に電気的に接続され、他方が第2電圧信号端子VSSに電気的に接続される。これにより、第1電圧信号と第2電圧信号との協働下で、上記した複数の発光部32のうちの少なくとも2つの発光部32を同時に発光させるように駆動するか、又は、複数の発光部32のうちの一つの発光部32をある期間に発光させるように駆動し、他の発光部32を次の期間内に発光させるように駆動することができる。
【0101】
発光ダイオードチップ3は複数の発光部32を含むので、各発光部32に対応する発光領域の面積は、発光ダイオードチップ3の全体の面積よりも小さい。これにより、従来の技術と同様の電圧信号により発光部32を発光させるように駆動する場合には、発光部32に流れる電流密度を向上させることができ、発光部32および発光ダイオードチップ3の発光効率を向上させることができる。
【0102】
これに基づいて、発光ダイオードチップ3が低階調(例えば、0nit~500nit)を表示する必要がある場合には、上記した複数の発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動し、つまり、当該複数の発光部32をそれぞれ順番に発光させるように駆動することができる。これにより、ある発光部32の発光時間が長いことに起因して、発光ダイオードチップ3の温度が上昇してしまうことを回避し、熱蓄積を改善するのに有利であり、ひいては熱蓄積に起因して発光ダイオードチップ3の発光効率が低下してしまうことを回避することができる。
【0103】
発光ダイオードチップ3が高階調(例えば500nit以上)を表示する必要がある場合には、上記した複数の発光部32のうちの少なくとも2つの発光部32を同時に発光させるように駆動することができる。この場合、当該少なくとも2つの発光部32に流れる電流密度、例えば図1に示すJ1~J2の電流密度のような低い電流密度であってもよい。当該少なくとも2つの発光部32は、全体として高い階調の表示を実現することができる。このようにして、各発光部32に流れる電流密度を低減することができ、当該少なくとも2つの発光部32が長時間発光を維持する必要がある場合にも、多くの熱が発生することを回避し、発光ダイオードチップ3の温度が上昇してしまうことを回避し、熱蓄積の現象を改善するのに有利であり、熱蓄積に起因して発光ダイオードチップ3の発光効率が低下してしまうことを回避することができる。
【0104】
したがって、本開示のいくつかの実施例によって提供される表示基板1000は、画素駆動回路100における発光ダイオードチップ3の構造を、発光ダイオードチップ3が独立して発光可能な複数の発光部32を含むように設計することにより、各発光部32の発光面積を小さくすることができ、発光部32に流れる電流密度を向上させることができ、発光ダイオードチップ3の発光効率を向上させるには有利になる。
【0105】
また、表示基板100の表示中には、必要に応じて表示される画面に基づいて、発光ダイオードチップ3における複数の発光部32を順番に発光させるように駆動するか、又は、発光ダイオードチップ3における少なくとも2つの発光部32を同時に発光させるように駆動することができ、これにより、発光部32に流れる電流密度が大きい場合には、当該発光部32の発光時間が長くなってしまうことを避けることができ、発光部32の発光時間が長い場合には、当該発光部32に流れる電流密度が大きくなってしまうことを避けることができ、ひいては、発光ダイオードチップ3の温度が高くなってしまうことを避けることができ、熱蓄積の現象を改善するのに有利であり、ひいては熱蓄積に起因して発光ダイオードチップ3の発光効率が低下してしまうことを避けることができる。
【0106】
ここで、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32の配置形態は、複数種類あり、実際の必要に応じて選択的に設定することができる。
【0107】
いくつかの実施例において、図14図21に示すように、任意の隣接する2つの発光部32における第1半導体層321間に隙間を有し、任意の隣接する2つの発光部32における量子井戸層322間に隙間を有し、任意の隣接する2つの発光部32における第2半導体層323間に隙間を有する。すなわち、当該複数の発光部32は、互いに独立して設けられ、異なる発光部32の発光状態を柔軟に制御することができる。
【0108】
これに基づいて、各発光部32の第1半導体層321と第1ボンディング電極324との接続関係、及び各発光部32の第2半導体層323と第2ボンディング電極325との接続関係は、種々のものが含まれ、実際の必要に応じて選択的に設定することができる。
【0109】
いくつかの例において、図14図16に示すように、各発光部32は、いずれも第1ボンディング電極324および第2ボンディング電極325を含む。そして、異なる発光部32に含まれる第1ボンディング電極324は異なり、異なる発光部32に含まれる第2ボンディング電極325は異なる。
【0110】
すなわち、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32のうち、異なる発光部32は、第1ボンディング電極324も第2ボンディング電極325も共有していない。異なる発光部32に含まれる第1ボンディング電極324間は互いに独立して設けられ、異なる発光部32に含まれる第2ボンディング電極325間は互いに独立して設けられている。
【0111】
例示的に、図14図16に示すように、各発光部32は、層変換(layer-changed)電極326をさらに含む。発光ダイオードチップ3は、層変換電極326の、ベース31から遠い側に設けられた封止層33をさらに含む。ここで、当該層変換電極326と第2半導体層323との間にはパッシベーション層(passivation layer)が設置され、各発光部32の第1半導体層321のベース31上への正射影は、例えば、パッシベーション層のベース31上への正射影の範囲内に位置する。第1ボンディング電極324および第2ボンディング電極325は、封止層33の、ベース31から遠い側に設けられている。各発光部32の第1半導体層321のベース31上への正射影は、例えば、封止層33のベース31上への正射影の範囲内に位置する。
【0112】
例えば、図16に示すように、層変換電極326はパッシベーション層を貫通して第2半導体層323と直接接触して電気的に接続される。層変換電極326のベース31上への正射影と第2半導体層323のベース31上への正射影とが一部重ねられていないので、第2半導体層323を層変換電極326により層変換して他の領域に導くことができ、後続に第2ボンディング電極325との電気的接続を容易にすることができる。
【0113】
例えば、図16に示すように、第1ボンディング電極324は、封止層33及びパッシベーション層を貫通して第1半導体層321と直接接触して電気的に接続される。第2ボンディング電極325は、封止層33を貫通して層変換電極326と直接接触し、第2ボンディング電極325は、当該層変換電極326により第2半導体層323と電気的に接続される。
【0114】
選択的には、層変換電極326の材料は、光透過率が高い材料である。例えば、層変換電極326の材料は、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、略称ITO)である。
【0115】
上記した複数の発光部32を互いに独立して設け、異なる発光部32に含まれる第1ボンディング電極324と第2ボンディング電極325とを互いに独立して設けることにより、各発光部32の発光状態を独立して制御することが容易となる。
【0116】
本例では、図17及び図18に示すように、上記した発光部32のうち、少なくとも1つの発光部32は、例えば、直列に配置された複数のサブ発光部32aを含んでもよい。この場合、発光部32は高圧発光部と称することができるが、当該発光部32の第1ボンディング電極324と第2ボンディング電極325との間の電圧差は、残りの発光部32の第1ボンディング電極324と第2ボンディング電極325との間の電圧差の複数倍であってもよい。ここで、当該残りの発光部32は、複数のサブ発光部32aを含まない構成となっている。発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32のうち、各発光部32がいずれも直列に配置された複数のサブ発光部32aを含む場合には、この発光ダイオードチップ3は、高圧チップと称することができる。
【0117】
例えば、図17及び図18に示すように、各サブ発光部32aは、順次に積層された第1サブ半導体層321a、第1サブ量子井戸層322a、及び第2サブ半導体層323aを含む。ここで、任意の隣接する2つのサブ発光部32aにおける第1サブ半導体層321a間には隙間を有し、任意の隣接する2つのサブ発光部32aにおける第1サブ量子井戸層322a間には隙間を有し、任意の隣接する2つのサブ発光部32aにおける第2サブ半導体層323a間には隙間を有する。即ち、当該複数のサブ発光部32aは、互いに独立して設けられている。
【0118】
選択的には、図17及び図18に示すように、一つのサブ発光部32aの第1サブ半導体層321aは、当該一つのサブ発光部32aが属する発光部32の第1ボンディング電極324に電気的に接続される。他のサブ発光部32aの第2サブ半導体層323aは、当該他のサブ発光部32aが属する発光部32の第2ボンディング電極325に電気的に接続される。
【0119】
上述した一つのサブ発光部32aと上述した他のサブ発光部32aとの関係は、発光部32に含まれるサブ発光部32aの数に関係する。
【0120】
なお、図17及び図18に示すように、各サブ発光部32aは、例えば、第2サブ半導体層323aに電気的に接続されたサブ層変換電極326aをさらに含んでもよい。
【0121】
例えば、図17および図18に示すように、発光部32は、2つのサブ発光部32aを含む。この場合、発光部32は、ブリッジ電極327を1つ含んでもよい。
【0122】
上記したブリッジ電極327の一端は、上記した一つのサブ発光部32aのサブ層変換電極326aに電気的に接続されてもよく、さらに、当該サブ層変換電極326aを介して当該一つのサブ発光部32aの第2サブ半導体層323aに電気的に接続されてもよい。このブリッジ電極327の他端は、パッシベーション層を貫通して上記した他のサブ発光部32aの第1サブ半導体層321aに電気的に接続されてもよい。
【0123】
このようにして、上記した一つのサブ発光部32aと上記した他のサブ発光部32aとは、このブリッジ電極327を介して層変換して接続されて、直列配置を実現することができる。当該発光部32の発光を駆動する過程においては、電気信号は、当該発光部32の第1ボンディング電極324、上記した一つのサブ発光部32aの第1サブ半導体層321a、上記した一つのサブ発光部32aのサブ層変換電極326a、ブリッジ電極327、上記した他のサブ発光部32aの第1サブ半導体層321a、上記した他のサブ発光部32aのサブ層変換電極326a、及び、当該発光部32の第2ボンディング電極325を順次介して、これら2つのサブ発光部32aを同時に発光させるように駆動することができる。
【0124】
またさらに、発光部32は、3つのサブ発光部32aを含む。この場合、発光部32は、2つのブリッジ電極327を含んでもよい。上記した一つのサブ発光部32aは、一つのブリッジ電極327を介して第3サブ発光部32aと直列に配置されてもよく、当該第3サブ発光部32aは、他のブリッジ電極327を介して上記した他のサブ発光部32aと直列に配置されてもよい。ここで、隣接する2つのサブ発光部32aの間の電気的な接続方式は、上記の例における説明を参照することができ、ここでその説明を省略する。
【0125】
上記したブリッジ電極327のベース31上への正射影形状は、複数種類あり、サブ発光部32aの配置位置に応じて設けられることができる。
【0126】
例えば、ブリッジ電極327のベース31上への正投影形状は、ストライプ状、U字状、又はH字状などを含む。
【0127】
いくつかの他の例において、図19図21に示すように、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32は、少なくとも1つの第1発光部32bと、少なくとも1つの第2発光部32cとを含む。すなわち、第1発光部32bの数は、1つ又は複数であってもよく、第2発光部32cの数は、1つ又は複数であってもよい。
【0128】
例示的に、図19及び図20に示すように、第1発光部32bの第1半導体層321及び第2発光部32cの第2半導体層323は、1つの第2ボンディング電極325cに電気的に接続される。すなわち、第1発光部32bの第1半導体層321と第2発光部32cの第2半導体層323とは、一つの第2ボンディング電極325cを共有している。
【0129】
図19及び図20に示すように、本例における第2ボンディング電極325cは、例えば第2発光部32cの第2ボンディング電極325cである。無論、上記した第2ボンディング電極325cは、さらに第1発光部32bの第1半導体層321に電気的に接続されるため、この第2ボンディング電極325cを第1発光部32bの第1ボンディング電極324とみなしてもよい。本開示は、発光ダイオードチップ3の構造を明確に説明するために、上記した第2ボンディング電極325cが第2発光部32cに割り当てられる。
【0130】
例示的に、図19及び図20に示すように、第1発光部32bの第2半導体層323及び第2発光部32cの第1半導体層321は、他の第2ボンディング電極325bと電気的に接続される。すなわち、第1発光部32bの第2半導体層323と第2発光部32cの第1半導体層321とは、他の第2ボンディング電極325bを共有している。
【0131】
図19及び図20に示すように、本例における第2ボンディング電極325bは、例えば第1発光部32bの第2ボンディング電極325bである。無論、上記した第2ボンディング電極325bは、さらに第2発光部32cの第1半導体層321に電気的に接続されるため、この第2ボンディング電極325bを第2発光部32cの第1ボンディング電極324とみなしてもよい。本開示は、発光ダイオードチップ3の構造を明確に説明するために、上記した第2ボンディング電極325bが第1発光部32bに割り当てられる。
【0132】
電気信号の伝送過程において、電気信号は、上記した第2発光部32cの第2ボンディング電極325cから、第1発光部32bの第1半導体層321と第1発光部32bの第2半導体層323とを順次介して第1発光部32bの第2ボンディング電極325bに伝送され、これにより、第1発光部32bを発光させるように駆動することができる。あるいは、電気信号は、第1発光部32bの第2ボンディング電極325bから、第2発光部32cの第1半導体層321と第2発光部32cの第2半導体層323とを順次介して第2発光部32cの第2ボンディング電極325cに伝送され、これにより、第2発光部32cを発光させるように駆動することができる。
【0133】
上記した第1発光部32bと第2発光部32cとの間の配置形態は、逆バイアス配置と呼ぶことができる。電気信号の伝送方向を調整することにより、第1発光部32bと第2発光部32cとを順番に発光させることができる。
【0134】
上記した複数の発光部32が複数の第1発光部32bと複数の第2発光部32cとを含む場合には、当該複数の第1発光部32bと複数の第2発光部32cとは、複数のグループに分けられ、各グループは、1つの第1発光部32bと1つの第2発光部32cとを含み、当該第1発光部32bと第2発光部32cとは、逆バイアスされている。
【0135】
無論、上記した第1発光部32bと第2発光部32cとの間には、第1発光部32bと第2発光部32cとを逆バイアスに配置できるようになっていれば、他の配置形態があってもよい。
【0136】
本例において、図19および図20に示すように、発光ダイオードチップ3は、例えば複数の接続部34をさらに含む。
【0137】
例えば、図19に示すように、逆バイアスされる第1発光部32b及び第2発光部32cのうち、第1発光部32bの第1半導体層321は、1つの接続部34を介して第2発光部32cの第2半導体層323と電気的に接続される。
【0138】
選択的に、図20に示すように、当該接続部34の一端は、パッシベーション層を貫通して第1発光部32bの第1半導体層321に直接接触して電気的に接続される。当該接続部34の他端は、第2発光部32cの層変換電極326に電気的に接続され、さらにこの層変換電極326を介して第2発光部32cの第2半導体層323に電気的に接続することができる。
【0139】
このようにして、第1発光部32bの第1半導体層321と第2発光部32cの第2半導体層323との間の電気的接続、及び第1発光部32bの第1半導体層321と対応する第2ボンディング電極325cとの間の電気的接続が実現される。
【0140】
例えば、図19及び図20に示すように、逆バイアスされる第1発光部32b及び第2発光部32cのうち、第2発光部32cの第1半導体層321は、1つの接続部34を介して第1発光部32bの第2半導体層323と電気的に接続される。
【0141】
選択的に、図19及び図20に示すように、当該接続部34の一端は、パッシベーション層を貫通して第2発光部32cの第1半導体層321に直接接触して電気的に接続される。当該接続部34の他端は、第1発光部32bの層変換電極326に電気的に接続され、さらにこの層変換電極326を介して第1発光部32bの第2半導体層323に電気的に接続することができる。
【0142】
このようにして、第2発光部32cの第1半導体層321と第1発光部32bの第2半導体層323との間の電気的接続、及び第2発光部32cの第1半導体層321と対応する第2ボンディング電極325bとの間の電気的接続が実現される。
【0143】
上記した接続部34の材料は、複数種類あり、実際の必要に応じて選択的に設けることができる。例示的に、接続部34の材料としては、クロム(Cr)、チタン(Ti)等を用いることができる。例えば、接続部34の材料は、上記のいくつかの例におけるブリッジ電極327の材料と同じである。
【0144】
上記した接続部34のベース31上への正投影形状は、種々の形状があり、第1発光部32bと第2発光部32cとの相対的な位置関係に応じて決定されることができる。
【0145】
例えば、接続部34のベース31上への正射影形状は、ストライプ状、U字状、又はH字状等を含む。
【0146】
本例において、図21に示すように、上記した第1発光部32bは、例えば直列に配置された複数の第1サブ発光部32bbを含む。ここで、各第1サブ発光部32bbは、順次に積層された第3サブ半導体層321bと、第2サブ量子井戸層322bと、第4サブ半導体層323bとを含む。当該複数の第1サブ発光部32bb間は、例えば、互いに独立して設けられる。
【0147】
図21に示すように、上記した第2発光部32cは、例えば、直列に配置された複数の第2サブ発光部32ccを含む。ここで、各第2サブ発光部32ccは、順次に積層された第5サブ半導体層321c、第3サブ量子井戸層322c、及び第6サブ半導体層323cを含む。この複数の第2発光部32c間は、例えば、互いに独立して設けられている。
【0148】
例えば、図21に示すように、上記した複数の第1サブ発光部32bbのうちの1つの第1サブ発光部32bbの第3サブ半導体層321bは、対応する第2ボンディング電極325cと電気的に接続され、上記した複数の第2サブ発光部32ccのうちの1つの第2サブ発光部32ccの第6サブ半導体層323cと電気的に接続される。
【0149】
ここで、この第1サブ発光部32bbは、上記した複数の第1サブ発光部32bbのうち、最初に電気信号を受信する第1サブ発光部32bbである。すなわち、電気信号の伝送過程において、電気信号は、上記した対応する第2ボンディング電極325bを通過した後、まず、当該第1サブ発光部32bbに伝送され、その後、残りの第1サブ発光部32bbに伝送される。この第2サブ発光部32ccは、上記した複数の第2サブ発光部32ccのうち、最後に電気信号を受信する第2サブ発光部32ccである。すなわち、電気信号の伝送過程において、電気信号はまず、他の第2サブ発光部32ccを通過して、その後、当該第2サブ発光部32ccを通過して、上記した対応する第2ボンディング電極325bに伝送される。
【0150】
なお、本例における第2ボンディング電極325cは、例えば、第2サブ発光部32ccの第2ボンディング電極325である。無論、上記した第2ボンディング電極325cは、さらに第1サブ発光部32bbの第3サブ半導体層321bに電気的に接続されるため、当該第2ボンディング電極325cを第1サブ発光部32bbの第1ボンディング電極324とみなしてもよい。本開示は、発光ダイオードチップ3の構造を明確に説明するために、上記した第2ボンディング電極325cが第2サブ発光部32ccに割り当てられる。
【0151】
例えば、図21に示すように、上記した複数の第2サブ発光部32ccのうちの一つの第2サブ発光部32ccの第5サブ半導体層321cは、対応する他の第2ボンディング電極325bと電気的に接続され、上記した複数の第1サブ発光部32bbのうちの一つの第1サブ発光部32bbの第4サブ半導体層323bと電気的に接続される。
【0152】
ここで、当該第2サブ発光部32ccは、上記した複数の第2サブ発光部32ccのうち、最初に電気信号を受信する第2サブ発光部32ccである。すなわち、電気信号の伝送過程において、電気信号は、上記した対応する他の第2ボンディング電極325bを通過した後、まず、当該第2サブ発光部32ccに伝送され、その後、残りの第2サブ発光部32ccに伝送される。この第1サブ発光部32bbは、上記した複数の第1サブ発光部32bbのうち、最後に電気信号を受信する第1サブ発光部32bbである。すなわち、電気信号の伝送過程において、電気信号は、まず、他の第1サブ発光部32bbを通過して、その後、当該第1サブ発光部32bbを通過して、上記した対応する第2ボンディング電極325bに伝送される。
【0153】
なお、本例における第2ボンディング電極325bは、例えば、第1サブ発光部32bbの第2ボンディング電極325bである。無論、上記した第2ボンディング電極325bは、さらに第2サブ発光部32ccの第5サブ半導体層321cに電気的に接続されるため、当該第2ボンディング電極325bを第2サブ発光部32ccの第1ボンディング電極324とみなしてもよい。本開示は、発光ダイオードチップ3の構造を明確に説明するために、上記した第2ボンディング電極325bが第1サブ発光部32bbに割り当てられる。
【0154】
選択的に、上記した複数の第1サブ発光部32bbのうち、任意の隣接する2つの第1サブ発光部32bbの間の接続方式は、上記したいくつかの実施例における任意の隣接する2つのサブ発光部32aの間の接続方式を参照することができる。上記した複数の第2サブ発光部32ccのうち、任意の隣接する2つの第2サブ発光部32cc間の接続方式は、上記したいくつかの実施例における任意の隣接する2つのサブ発光部32a間の接続方式を参照することができる。ここではその説明を省略する。
【0155】
他のいくつかの実施例において、図22および図23に示すように、各発光部32における量子井戸層322は独立して設けられ、発光部32における第2半導体層323は独立して設けられる。少なくとも2つの発光部32における第1半導体層321は、一体構造をなしている。
【0156】
これにより、図22及び図23に示すように、上記した少なくとも2つの発光部32の第1半導体層321は同一の第1ボンディング電極324に電気的に接続されてもよい。すなわち、これら少なくとも2つの発光部32は、1つの第1ボンディング電極324を共有している。
【0157】
電気信号の伝送過程において、電気信号は、上記した第1ボンディング電極324を通過して上記した少なくとも2つの発光部32の第1半導体層321に同時に伝送されてもよい。上記した少なくとも2つの発光部32の第2ボンディング電極325と第2ノードN2又は第2電圧信号端子VSSとの間の接続関係を制御することにより、これら少なくとも2つの発光部32を同時に発光させるように駆動するか、又はこれら少なくとも2つの発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動することができる。
【0158】
少なくとも2つの発光部32における第1半導体層321を一体構造とすることにより、第1半導体層321のパターニングプロセスを回避して発光ダイオードチップ3の製造工程を簡素化するとともに、第1ボンディング電極324の設置数を減らして発光ダイオードチップ3の構造を簡素化することができる。
【0159】
例えば、図22および図23に示すように、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32における第1半導体層321は一体構造をなしている。このように、ベース31の一方側に第1半導体層321の材料を形成した後、複数の発光部32の第1半導体層321を形成することができ、これにより、パターニングプロセスをさらに低減し、発光ダイオードチップ3の製造工程をさらに簡素化するのに有利である。
【0160】
以下、図3図5、および図9図12を参照して、上記した画素駆動回路100の構造について模式的に説明する。
【0161】
いくつかの例において、図3図5、および図9図12に示すように、上記した画素駆動回路100に含まれるデータ書込回路1は、第1走査信号端子Gate1、データ信号端子Data、及び第1ノードN1に電気的に接続される。ここで、データ書込回路1は、第1走査信号端子Gate1で受信された第1走査信号に応答して、データ信号端子Dataで受信されたデータ信号を第1ノードN1に伝送するように構成される。
【0162】
例示的に、第1走査信号のレベルがデータ書込回路1をオンさせるために必要なレベルである場合、データ書込回路1は、当該第1走査信号の制御下でオンにされ、データ信号を受信して第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1を充電することができる。
【0163】
いくつかの例において、図3図5、及び図9図12に示すように、上記した画素駆動回路100に含まれる発光制御回路2は、第1ノードN1、イネーブル信号端子EM、第1電圧信号端子VDD及び第2ノードN2に電気的に接続される。ここで、発光制御回路2は、第1ノードN1の電圧及びイネーブル信号端子EMによって伝送されたイネーブル信号の制御下で、第1電圧信号端子VDDで受信された第1電圧信号を第2ノードN2に伝送するように構成される。
【0164】
例示的に、第1ノードN1の電圧が発光制御回路2をオンさせるために必要な電圧であり、且つイネーブル信号のレベルが発光制御回路2をオンさせるために必要なレベルである場合、発光制御回路2は、第1ノードN1の電圧及びイネーブル信号の制御下でオンにされ、第1電圧信号を受信して第2ノードN2に伝送することができる。
【0165】
いくつかの例では、図3図5、および図9図12に示すように、上記した画素駆動回路100に含まれる発光ダイオードチップ3は、第2ノードN2および第2電圧信号端子VSSに電気的に接続される。ここで、当該発光ダイオードチップ3は、複数の発光部32を含む。発光ダイオードチップ3は、第2ノードN2からの第1電圧信号と第2電圧信号端子VSSで受信された第2電圧信号との協働により、発光ダイオードチップ3に含まれた複数の発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動するか、又は、少なくとも2つの発光部32を同じ期間に発光させるように駆動する、ように構成される。
【0166】
例示的に、同じ期間内において、第1電圧信号はハイレベルであり、第2電圧信号のレベルはローレベルである。あるいは、第1電圧信号はローレベルであり、第2電圧信号のレベルはハイレベルである。すなわち、同じ期間内において、第1電圧信号と第2電圧信号との間には、電圧差が存在する。第1電圧信号と第2電圧信号との協働下で、第2ノードN2と第2電圧信号端子VSSとの間に、発光部32を発光させるように駆動するための電気信号が生成されることができる。この電気信号は、異なる発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動するか、又は、少なくとも2つの発光部32を同一期間に同時に発光させるように駆動することができる。
【0167】
本開示のいくつかの実施例に係る画素駆動回路100によって実現できる有益な効果は、上記のいくつかの実施例に係る表示基板1000によって実現できる有益な効果と同じであるので、ここではその説明を省略する。
【0168】
なお、ここでいう「電気的接続」とは、直接的な電気的接続であっても、間接的な電気的接続であってもよく、具体的には、実際の必要に応じて選択的に設けることができる。
【0169】
いくつかの実施例において、図5に示すように、上記した複数の発光部32は、少なくとも1つの第1発光部32bと、少なくとも1つの第2発光部32cとを含む。
【0170】
いくつかの例において、図5に示すように、第1発光部32bの第1ボンディング電極324は上記した第2ノードN2に電気的に接続され、第1発光部32bの第2ボンディング電極325は第2電圧信号端子VSSに電気的に接続される。第2発光部32cの第1ボンディング電極324は第2電圧信号端子VSSに電気的に接続され、第2発光部32cの第2ボンディング電極325は第2ノードN2に電気的に接続される。
【0171】
ここで、構造的には、第1発光部32bの第1ボンディング電極324と第2発光部32cの第2ボンディング電極325とは同一のボンディング電極であってもよく、第1発光部32bの第2ボンディング電極325と第2発光部32cの第1ボンディング電極324とは同一のボンディング電極であってもよい。具体的には、上記したいくつかの実施例における説明を参照することができ、ここではその説明を省略する。
【0172】
上記したように、第1発光部32bと第2発光部32cとは、逆バイアスされている。このように、第1電圧信号がハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルである場合、第1発光部32bを第1電圧信号と第2電圧信号との作用により発光させることができる。第1電圧信号がローレベルであり、第2電圧信号のレベルがハイレベルである場合、第2発光部32cを第1電圧信号と第2電圧信号との作用により発光させることができる。つまり、発光ダイオードチップ3の表示中に、第1発光部32bと第2発光部32cとを順番に発光させるようにしてもよい。
【0173】
このように、発光ダイオードチップ3が低階調を表示する必要がある場合には、第1発光部32bと第2発光部32cとをそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動することができる。これにより、第1発光部32bまたは第2発光部32cの発光時間が長いことに起因して、発光ダイオードチップ3の温度が上昇してしまうことを回避し、熱蓄積を改善するのに有利であり、熱蓄積に起因して発光ダイオードチップ3の発光効率が低下してしまうことを回避することができる。
【0174】
また、第1発光部32bと第2発光部32cとを逆バイアスして設けることにより、発光ダイオードチップ3の表示寿命を向上させるのに有利となる。
【0175】
例示的に、図5に示すように、第1発光部32bの第1ボンディング電極324と第2ノードN2との間の電気的接続は、直接的な電気的接続である。第1発光部32bの第2ボンディング電極325と第2電圧信号端子VSSとの間の電気的接続は、直接的な電気的接続である。第2発光部32cの第1ボンディング電極324と第2電圧信号端子VSSとの間の電気的接続は、直接的な電気的接続である。第2発光部32cの第2ボンディング電極325と第2ノードN2との間の電気的接続は、直接的な電気的接続である。
【0176】
発光ダイオードチップ3における発光部32の配置形態に基づいて、いくつかの例において、図5に示すように、発光制御回路2は、第1トランジスタT1と第2トランジスタT2とを含んでもよい。ここで、第1トランジスタT1は例えばN型トランジスタであり、第2トランジスタT2は例えばP型トランジスタである。
【0177】
例示的に、図5に示すように、第1トランジスタT1の制御電極はイネーブル信号端子EMに電気的に接続され、第1トランジスタT1の第1電極は第1電圧信号端子VDDに電気的に接続され、第1トランジスタT1の第2電極は第3ノードN3に電気的に接続される。
【0178】
例えば、イネーブル信号端子EMによって伝送されたイネーブル信号のレベルがハイレベルである場合には、第1トランジスタT1は、イネーブル信号の制御下でオンにされ、第1電圧信号を受信して第3ノードN3に伝送することができる。
【0179】
例示的に、図5に示すように、第2トランジスタT2の制御電極は第1ノードN1に電気的に接続され、第2トランジスタT2の第1電極は第3ノードN3に電気的に接続され、第2トランジスタT2の第2電極は第2ノードN2に電気的に接続される。
【0180】
例えば、第1ノードN1の電圧がローレベルである場合には、第2トランジスタT2は、第1ノードN1の電圧の制御下でオンにされ、第3ノードN3からの第1電圧信号を第2ノードN2に伝送することができる。
【0181】
いくつかの例において、図5に示すように、データ書込回路1は、第12トランジスタT12を含んでもよい。ここで、第12トランジスタT12は、例えばN型トランジスタである。
【0182】
例示的に、図5に示すように、第12トランジスタT12の制御電極は第1走査信号端子Gate1に電気的に接続され、第12トランジスタT12の第1電極はデータ信号端子Dataに電気的に接続され、第12トランジスタT12の第2電極は第1ノードN1に電気的に接続される。
【0183】
例えば、第1走査信号端子Gate1によって伝送された第1走査信号のレベルがハイレベルである場合には、第12トランジスタT12は、第1走査信号の制御下でオンにされ、データ信号を受信して第1ノードN1に伝送して、第1ノードN1を充電することができる。
【0184】
また、いくつかの例において、図4および図5に示すように、画素駆動回路100は、第1リセット補償回路4をさらに含んでもよい。当該第1リセット補償回路4は、第1走査信号端子Gate1、第2走査信号端子Gate2、第1ノードN1、第2ノードN2、第3ノードN3、および第2電圧信号端子VSSと電気的に接続される。ここで、第1リセット補償回路4は、第1走査信号と、第2走査信号端子Gate2で受信された第2走査信号との制御下で、画素駆動回路100をリセットし、第2トランジスタT2の閾値電圧を補償するように構成される。
【0185】
画素駆動回路100をリセットし、第2トランジスタT2の閾値電圧を補償することにより、発光制御回路2における第2トランジスタT2を対応する期間に良好にオンさせることができ、これにより、第2トランジスタT2が第1電圧信号を損失なく伝送できるようにして、第1発光部32bまたは第2発光部32cの発光状態を正確に制御するのに有利である。
【0186】
いくつかの例において、図5に示すように、第1リセット補償回路4は、第3トランジスタT3、第4トランジスタT4、第5トランジスタT5、第6トランジスタT6及び第1コンデンサC1を含んでもよい。ここで、第3トランジスタT3及び第4トランジスタT4は例えばいずれもN型トランジスタであり、第5トランジスタT5及び第6トランジスタT6は例えばいずれもP型トランジスタである。
【0187】
例示的に、図5に示すように、第3トランジスタT3の制御電極は第1走査信号端子Gate1に電気的に接続され、第3トランジスタT3の第1電極は第2電圧信号端子VSSに電気的に接続され、第3トランジスタT3の第2電極は第4ノードN4に電気的に接続される。
【0188】
例えば、第1走査信号のレベルがハイレベルであり、且つ第2電圧信号のレベルがローレベルである場合には、第3トランジスタT3は、第1走査信号の制御下でオンにされ、第2電圧信号を受信して第4ノードN4に伝送し、第4ノードN4を放電してリセットすることができる。
【0189】
例示的に、図5に示すように、第4トランジスタT4の制御電極は第2走査信号端子Gate2に電気的に接続され、第4トランジスタT4の第1電極は第3ノードN3に電気的に接続され、第4トランジスタT4の第2電極は第5ノードN5に電気的に接続される。
【0190】
例えば、第2走査信号のレベルがハイレベルである場合には、第4トランジスタT4は、第2走査信号の制御下でオンにされ、第3ノードN3からの信号を第5ノードN5に伝送することができる。
【0191】
例示的に、図5に示すように、第5トランジスタT5の制御電極は第2走査信号端子Gate2に電気的に接続され、第5トランジスタT5の第1電極は第2ノードN2に電気的に接続され、第5トランジスタT5の第2電極は第5ノードN5に電気的に接続される。
【0192】
例えば、第2走査信号のレベルがローレベルである場合には、第5トランジスタT5は、第2走査信号の制御下でオンにされ、第2ノードN2からの信号を第5ノードN5に伝送することができる。
【0193】
例示的に、図5に示すように、第6トランジスタT6の制御電極は第1走査信号端子Gate1に電気的に接続され、第6トランジスタT6の第1電極は第4ノードN4に電気的に接続され、第6トランジスタT6の第2電極は第1ノードN1に電気的に接続される。
【0194】
例えば、第1走査信号のレベルがローレベルである場合には、第6トランジスタT6は、第1走査信号の制御下でオンにされ、第4ノードN4からの信号を第1ノードN1に伝送することができる。
【0195】
例示的に、図5に示すように、第1コンデンサC1の第1端は第4ノードN4に電気的に接続され、第1コンデンサC1の第2端は第5ノードN5に電気的に接続される。第4ノードN4がリセットされた後、第4ノードN4と第5ノードN5との間の電圧差は、実質的に一定に維持される。
【0196】
以下、図5に示した画素駆動回路の構造と、図8に示したタイミング図とを参照して、画素駆動回路の駆動方法について模式的に説明する。
【0197】
いくつかの例において、1フレームの表示段階において、画素駆動回路の駆動方法は、データ書込段階S1、補償段階S2、及び発光段階S3を含む。ここで、発光段階S3は、例えば、第1発光段階S31及び第2発光段階S32を含む。
【0198】
データ書込段階S1では、第1走査信号のレベルがハイレベルであり、第2走査信号のレベルがハイレベルであり、イネーブル信号のレベルがハイレベルであり、データ信号のレベルがハイレベルであり、第1電圧信号のレベルがハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルである。
【0199】
第1走査信号端子Gate1で受信された第1走査信号に応答して、データ書込回路1における第12トランジスタT12はオンにされ、データ信号端子dataで受信されたデータ信号を第1ノードN1に伝送する。データ信号のレベルはハイレベルであるため、この時、データ信号によって第1ノードN1を充電することにより、第1ノードN1の電圧をハイレベルにすることができる。
【0200】
また、この段階では、第1リセット補償回路4における第3トランジスタT3は、第1走査信号の制御下でオンにされ、ローレベルの第2電圧信号を受信して第4ノードN4に伝送し、第4ノードN4をリセットする。第1リセット補償回路4における第4トランジスタT4は、第2走査信号の制御下でオンにされ、発光制御回路2における第1トランジスタT1はイネーブル信号の制御下でオンにされ、第1トランジスタT1は、ハイレベルの第1電圧信号を受信して第3ノードN3に伝送することができ、第4トランジスタT4は、第3ノードN3からの第1電圧信号を第5ノードN5に伝送し、第5ノードN5をリセットすることができる。すなわち、この段階では、第1コンデンサC1もリセットされる。
【0201】
補償段階S2では、第1走査信号のレベルがハイレベルであり、第2走査信号のレベルがハイレベルであり、イネーブル信号のレベルがローレベルであり、データ信号のレベルがハイレベルであり、第1電圧信号のレベルがハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルである。
【0202】
第1リセット補償回路4における第3トランジスタT3及び第4トランジスタT4はオン状態を維持し、第5ノードN5は漏電し、第1電圧信号の電圧値からVData-Vth_tft2に低下する。ここで、VDataはデータ信号の電圧値を示し、Vth_tft2は第2トランジスタT2の閾値電圧を示す。
【0203】
発光段階S3における第1発光段階S31では、第1走査信号のレベルがローレベルであり、第2走査信号のレベルがハイレベルであり、イネーブル信号のレベルがハイレベルであり、データ信号のレベルがローレベルであり、第1電圧信号のレベルがハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルである。
【0204】
第1リセット補償回路4における第4トランジスタT4はオン状態を維持し、第1リセット補償回路4における第6トランジスタT6は第1走査信号の制御下でオンにされる。
【0205】
発光制御回路2における第1トランジスタT1はイネーブル信号の制御下でオンにされ、このとき、発光制御回路2における第2トランジスタT2の制御電極と第1電極との間の電圧差Vgsは、第4ノードN4の電圧と第5ノードN5の電圧との差、即ち、Vgs=VSS-(VData-Vth_tft2)となる。このとき、発光制御回路2における第2トランジスタT2はオンにされている。発光制御回路2は、第1電圧信号端子VDDで受信された第1電圧信号を第2ノードN2に伝送する。
【0206】
第1電圧信号のレベルがハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルであるため、第1電圧信号と第2電圧信号との協働下で、発光ダイオードチップ3における第1発光部32bは発光可能となり、第2発光部32cはオフ状態になることが可能である。
【0207】
第1発光部32bの数が1つの場合には、当該1つの第1発光部32bを発光させるように駆動することができ、第1発光部32bの数が少なくとも2つの場合には、当該少なくとも2つの第1発光部32bを同時に発光させるように駆動することができる。
【0208】
第1発光部32bの数が一つの場合を例にとると、画素駆動回路100の等価回路図を図6のようにしてもよく、当該第1発光部32bに流れる電流Iは以下の通りである。
【0209】
【数1】
【0210】
発光段階S3における第2発光段階S32では、第1走査信号のレベルがローレベルであり、第2走査信号のレベルがローレベルであり、イネーブル信号のレベルがハイレベルであり、データ信号のレベルがローレベルであり、第1電圧信号のレベルがローレベルであり、第2電圧信号のレベルがハイレベルである。
【0211】
第1リセット補償回路4における第6トランジスタT6はオン状態を維持し、第1リセット補償回路4における第5トランジスタT5は第2走査信号の制御下で、オンにされる。
【0212】
発光制御回路2における第1トランジスタT1はオン状態を維持する。発光制御回路2における第2トランジスタT2の制御電極と第1電極との電圧差Vgsは変化しないので、第2トランジスタT2はオン状態を維持する。
【0213】
第1電圧信号のレベルがローレベルであり、第2電圧信号のレベルがハイレベルであるため、第1電圧信号と第2電圧信号との協働下で、発光ダイオードチップ3における第2発光部32cは発光可能となり、第1発光部32bはオフ状態になることが可能である。
【0214】
第2発光部32cの数が1つの場合には、当該1つの第2発光部32cを発光させるように駆動することができ、第2発光部32cの数が少なくとも2つの場合には、当該少なくとも2つの第2発光部32cを同時に発光させるように駆動することができる。
【0215】
第2発光部32cの数が一つの場合を例にとると、画素駆動回路100の等価回路図を図7のようにしてもよく、当該第2発光部32cに流れる電流Iは、依然として以下の通りである。
【0216】
【数2】
【0217】
発光段階S3では、第1発光部32bまたは第2発光部32cに流れる電流は、第2トランジスタT2の閾値電圧に関係なく、すなわち、第1リセット補償回路4を設けることにより、第2トランジスタT2の閾値電圧を補償して、第1発光部32bまたは第2発光部32cの発光状態に影響を与えることを回避し、発光ダイオードチップ3の表示安定性を向上させ、表示輝度のムラ及び/又は不安定性が生じることを防止することができる。
【0218】
以上から分かるように、画素駆動回路100の表示中に、発光ダイオードチップ3における複数の発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるか、又は、少なくとも2つの発光部32を同じ期間に発光させる、ように駆動することができる。
【0219】
いくつかの実施例において、図10図12に示すように、画素駆動回路100は、複数のスイッチングトランジスタSWをさらに含む。ここで、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32のうち、発光部32の第1ボンディング電極324は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタSWを介して第2ノードN2に電気的に接続され、および/または、発光部32の第2ボンディング電極325は、少なくとも1つのスイッチングトランジスタSWを介して第2電圧信号端子VSSに電気的に接続される。
【0220】
例示的に、発光部32の第1ボンディング電極324は、1つまたは複数のスイッチングトランジスタSWを介して第2ノードN2に電気的に接続されてもよく、発光部32の第2ボンディング電極325は、第2電圧信号端子VSSに電気的に直接接続されてもよい。あるいは、発光部32の第1ボンディング電極324は、第2ノードN2に電気的に直接接続されてもよく、発光部32の第2ボンディング電極325は、1つまたは複数のスイッチングトランジスタSWを介して第2電圧信号端子VSSに電気的に接続されてもよい。あるいは、発光部32の第1ボンディング電極324は、1つまたは複数のスイッチングトランジスタSWを介して第2ノードN2に電気的に接続されてもよく、発光部32の第2ボンディング電極325は、1つまたは複数のスイッチングトランジスタSWを介して第2電圧信号端子VSSに電気的に接続されてもよい。
【0221】
いくつかの例において、図12に示すように、上記した複数のスイッチングトランジスタSWの数は、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32の数に等しい。このとき、各発光部32の第1ボンディング電極324は、第2ノードN2に電気的に直接接続されてもよく、発光部32の第2ボンディング電極325は一つのスイッチングトランジスタSWを介して第2電圧信号端子VSSに電気的に接続されてもよい。
【0222】
本例において、上記した複数の発光部32のうち、少なくとも2つの発光部32は、例えば、同じ第1ボンディング電極324を共有してもよい。この場合、当該少なくとも2つの発光部32の第1半導体層321は、一体構造をなしてもよい。
【0223】
各発光部32と第2電圧信号端子VSSとの間にスイッチングトランジスタSWを設けることで、このスイッチングトランジスタSWにより対応する発光部32のオン状態を制御することができ、異なるスイッチングトランジスタSWにより複数の発光部32のオン状態を独立して制御することができ、これにより、当該複数の発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるか、又は、少なくとも2つの発光部32を同じ期間に発光させることができる。
【0224】
いくつかの例において、図10及び図11に示すように、上記した複数のスイッチングトランジスタSWの数は、発光ダイオードチップ3に含まれる複数の発光部32の数よりも多い。この場合、一つの発光部32の第1ボンディング電極324は、第2ノードN2に電気的に直接接続され、少なくとも1つのスイッチングトランジスタSWを介して他の発光部32の第1ボンディング電極324に電気的に接続されてもよい。当該発光部の第2ボンディング電極325は、さらに少なくとも1つのスイッチングトランジスタSWを介して第2電圧信号端子VSSに電気的に接続され、少なくとも1つのスイッチングトランジスタSWを介して他の発光部32の第1ボンディング電極324に電気的に接続されてもよい。当該他の発光部32の第2ボンディング電極325は第2電圧信号端子VSSに電気的に直接接続されてもよい。
【0225】
上記した複数の発光部32は、例えば、互いに独立して設けられ、各発光部32は、いずれも第1ボンディング電極324と第2ボンディング電極325とを含み、異なる発光部32間でボンディング電極が共有されていない。
【0226】
スイッチングトランジスタSWにより、異なる発光部32と第2ノードN2及び第2電圧信号端子VSSとの接続関係を設定することにより、各発光部32のオン状態を独立して制御することができ、複数の発光部32のオン状態を異なるスイッチングトランジスタSWにより独立して制御することにより、当該複数の発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるか、又は、少なくとも2つの発光部32を同じ期間に発光させることができる。
【0227】
例示的に、図10に示すように、スイッチングトランジスタSWの数を3個とし、発光部32の数を2個とする。上記した3個のスイッチングトランジスタSWは、例えば、それぞれ、第1スイッチングトランジスタSW1、第2スイッチングトランジスタSW2、第3スイッチングトランジスタSW3と称することができ、上記した2個の発光部32は、例えば、それぞれ、発光部32d、発光部32eと称することができる。
【0228】
例えば、図10に示すように、発光部32dの第1ボンディング電極324は、第2ノードN2に電気的に直接接続され、当該発光部32dの第2ボンディング電極325は、第1スイッチングトランジスタSW1を介して第2電圧信号端子VSSに電気的に接続され、第3スイッチングトランジスタSW3を介して発光部32eの第1ボンディング電極324に電気的に接続される。発光部32eの第1ボンディング電極324は、さらに第2スイッチングトランジスタSW2を介して第2ノードN2に電気的に接続され、当該発光部32eの第2ボンディング電極325は、第2電圧信号端子VSSに電気的に直接接続されてもよい。
【0229】
選択的に、第1スイッチングトランジスタSW1がオンにされ、第2スイッチングトランジスタSW2がオフにされ、第3スイッチングトランジスタSW3がオフにされる場合、発光部32dが発光する。第1スイッチングトランジスタSW1がオフにされ、第2スイッチングトランジスタSW2がオンにされ、第3スイッチングトランジスタSW3がオフにされる場合、発光部32eが発光する。
【0230】
第1スイッチングトランジスタSW1がオフにされ、第2スイッチングトランジスタSW2がオフにされ、第3スイッチングトランジスタSW3がオンにされる場合、発光部32dと発光部32eは同時に発光し、且つ両者は直列に配置される。第1スイッチングトランジスタSW1がオンにされ、第2スイッチングトランジスタSW2がオンにされ、第3スイッチングトランジスタSW3がオフにされる場合、発光部32dと発光部32eは同時に発光し、且つ両者は並列に配置される。
【0231】
第1スイッチングトランジスタSW1、第2スイッチングトランジスタSW2及び第3スイッチングトランジスタSW3のオン状態を調整することにより、上記した2つの発光部32に対する独立制御を実現することができる。例えば、当該2つの発光部32のうちの一方を発光させるように駆動するか、又は、当該2つの発光部32を順番に発光させるように駆動するか、又は、当該2つの発光部32を同時に発光させるように駆動することができる。複数の発光方式を有することで、画素駆動回路100の実際の駆動能力や消費電力の要求に応じて、発光部32の組み合わせ発光方式を総合的に選択することが可能となる。
【0232】
例示的に、図11に示すように、スイッチングトランジスタSWの数を6個とし、発光部32の数は3個とする。上記した6個のスイッチングトランジスタSWは、例えば、それぞれ、第1スイッチングトランジスタSW1、第2スイッチングトランジスタSW2、第3スイッチングトランジスタSW3、第4スイッチングトランジスタSW4、第5スイッチングトランジスタSW5、第6スイッチングトランジスタSW6と称することができ、上記した3個の発光部32は、例えば、それぞれ、発光部32d、発光部32e、発光部32fと称することができる。
【0233】
例えば、図11に示すように、発光部32dの第1ボンディング電極324は、第2ノードN2に電気的に直接接続され、当該発光部32dの第2ボンディング電極325は、第1スイッチングトランジスタSW1を介して第2電圧信号端子VSSに電気的に接続され、第3スイッチングトランジスタSW3を介して発光部32eの第1ボンディング電極324に電気的に接続される。発光部32eの第1ボンディング電極324は、さらに、第2スイッチングトランジスタSW2を介して第2ノードN2に電気的に接続され、当該発光部32eの第2ボンディング電極325は、第2電圧信号端子VSSに電気的に直接接続され、第5スイッチングトランジスタSW5を介して発光部32fの第1ボンディング電極324に電気的に接続されてもよい。発光部32fの第1ボンディング電極324は、さらに、第4スイッチングトランジスタSW4および第2スイッチングトランジスタSW2を介して第2ノードN2に電気的に接続され、当該発光部32fの第2ボンディング電極325は、第2電圧信号端子VSSに電気的に直接接続されてもよい。
【0234】
選択的に、第1スイッチングトランジスタSW1がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32dが発光する。第2スイッチングトランジスタSW2がオンにされ、第6スイッチングトランジスタSW6がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32eが発光する。第2スイッチングトランジスタSW2がオンにされ、第4スイッチングトランジスタSW4がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32fが発光する。
【0235】
第3スイッチングトランジスタSW3がオンにされ、第6スイッチングトランジスタSW6がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32dと発光部32eが同時に発光し、かつ両者は直列に配置される。第1スイッチングトランジスタSW1がオンにされ、第2スイッチングトランジスタSW2がオンにされ、第6スイッチングトランジスタSW6がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32dと発光部32eが同時に発光し、且つ両者は並列に配置される。無論、異なるスイッチングトランジスタSWのオン状態を調整することにより、発光部32dと発光部32fを同時に発光させることができ、かつ、両者は直列又は並列に配置されることができる。異なるスイッチングトランジスタSWのオン状態を調整することにより、発光部32eと発光部32fを同時に発光させることができ、両者は直列又は並列に配置されることができる。ここではその説明を省略する。
【0236】
第3スイッチングトランジスタSW3がオンにされ、第5スイッチングトランジスタSW5がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32d、発光部32e、及び発光部32fが同時に発光し、且つ三者が直列に配置される。第1スイッチングトランジスタSW1がオンにされ、第2スイッチングトランジスタSW2がオンにされ、第4スイッチングトランジスタSW4がオンにされ、第6スイッチングトランジスタSW6がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32d、発光部32e及び発光部32fが同時に発光し、且つ三者が並列に配置される。第2スイッチングトランジスタSW2がオンにされ、第3スイッチングトランジスタSW3がオンにされ、第4スイッチングトランジスタSW4がオンにされ、第6スイッチングトランジスタSW6がオンにされ、残りのスイッチングトランジスタSWがオフにされる場合、発光部32d、発光部32e及び発光部32fが同時に発光し、且つ発光部32dと発光部32eとが直列に配置され、発光部32dと発光部32fとの間及び発光部32eと発光部32fとの間が並列に配置される。無論、異なるスイッチングトランジスタSWのオン状態を調整することにより、発光部32d、発光部32e及び発光部32fが同時に発光する場合、発光部32dと発光部32fが直列に配置され、発光部32dと発光部32eとの間及び発光部32eと発光部32fとの間は並列に配置されてもよく、あるいは、発光部32eと発光部32fとが直列に配置され、発光部32dと発光部32eとの間及び発光部32dと発光部32fとの間が並列に配置されてもよい。ここではその説明を省略する。
【0237】
異なるスイッチングトランジスタSWのオン状態を調整することにより、異なる発光部32の発光状態を独立して制御することができる。複数の発光方式を有することで、画素駆動回路100の実際の駆動能力や消費電力の要求に応じて、発光部32の組み合わせ発光方式を総合的に選択することが可能となる。
【0238】
発光ダイオードチップ3における発光部32の配置態様によっては、いくつかの例において、図10図12に示すように、発光制御回路2は、第7トランジスタT7と第8トランジスタT8とを含んでもよい。ここで、第7トランジスタT7及び第8トランジスタT8は、例えば、いずれもP型トランジスタである。
【0239】
例示的に、図10図12に示すように、第7トランジスタT7の制御電極は第1ノードN1に電気的に接続され、第7トランジスタT7の第1電極は第1電圧信号端子VDDに電気的に接続され、第7トランジスタT7の第2電極は第6ノードN6に電気的に接続される。
【0240】
例えば、第1ノードN1の電圧がローレベルである場合、第7トランジスタT7は第1ノードN1の電圧の制御下でオンにされ、第1電圧信号を受信して第6ノードN6に伝送することができる。
【0241】
例示的に、図10図12に示すように、第8トランジスタT8の制御電極はイネーブル信号端子EMに電気的に接続され、第8トランジスタT8の第1電極は第6ノードN6に電気的に接続され、第8トランジスタT8の第2電極は第2ノードN2に電気的に接続される。
【0242】
例えば、イネーブル信号端子EMによって伝送されたイネーブル信号のレベルがローレベルである場合、第8トランジスタT8は、イネーブル信号の制御下でオンにされ、第6ノードN6からの第1電圧信号を第2ノードN2に伝送することができる。
【0243】
いくつかの例において、図10図12に示すように、データ書込回路1は、第12トランジスタT12を含んでもよい。ここで、第12トランジスタT12は、例えばP型トランジスタである。
【0244】
例示的に、図10図12に示すように、第12トランジスタT12の制御電極は第1走査信号端子Gate1に電気的に接続され、第12トランジスタT12の第1電極はデータ信号端子Dataに電気的に接続され、第12トランジスタT12の第2電極は第1ノードN1に電気的に接続される。
【0245】
例えば、第1走査信号端子Gate1によって伝送された第1走査信号のレベルがローレベルである場合、第12トランジスタT12は第1走査信号の制御下でオンにされ、データ信号を受信して第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1を充電することができる。
【0246】
また、いくつかの例において、図9図12に示すように、画素駆動回路100は、第2リセット補償回路5をさらに含んでもよい。この第2リセット補償回路5は、第1走査信号端子Gate1、第1ノードN1および第6ノードN6に電気的に接続される。ここで、第2リセット補償回路5は、第1走査信号に応答して、第7トランジスタT7の閾値電圧を補償するように構成される。
【0247】
例示的に、図9図12に示すように、第2リセット補償回路5は、さらに、初期信号端子Vintと第3走査信号端子Gate3と第4走査信号端子Gate4とのうちの少なくとも一方に電気的に接続されてもよい。第2リセット補償回路5は、さらに、第3走査信号端子Gate3で受信された第3走査信号または第4走査信号端子Gate4で受信された第4走査信号に応答して、初期信号端子Vintで受信された初期信号を第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1をリセットするように構成される。
【0248】
例えば、第2リセット補償回路5が第3走査信号端子Gate3に電気的に接続される場合、第2リセット補償回路5は、第3走査信号端子Gate3で受信された第3走査信号に応答して、初期信号端子Vintで受信された初期信号を第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1をリセットするように構成される。第2リセット補償回路5が第4走査信号端子Gate4に電気的に接続される場合、第2リセット補償回路5は、第4走査信号端子Gate4で受信された第4走査信号に応答して、初期信号端子Vintで受信された初期信号を第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1をリセットするように構成される。
【0249】
第1ノードN1をリセットし、第7トランジスタT7の閾値電圧を補償することにより、発光制御回路2における第7トランジスタT7を対応する期間に良好にオンさせ、第7トランジスタT7が第1電圧信号を損失なく伝送できるのに有利であり、発光部32の発光状態を正確に制御することができる。
【0250】
いくつかの例において、図10図12に示されたように、第2リセット補償回路5がさらに第3走査信号端子Gate3に電気的に接続される場合、第2リセット補償回路5は、第9トランジスタT9を含む。ここで、第9トランジスタT9は、例えば、P型トランジスタである。
【0251】
例示的に、図10図12に示すように、第9トランジスタT9の制御電極は第3走査信号端子Gate3に電気的に接続され、第9トランジスタT9の第1電極は初期信号端子Vintに電気的に接続され、第9トランジスタT9の第2電極は第1ノードN1に電気的に接続される。
【0252】
例えば、第3走査信号のレベルがローレベルである場合、第9トランジスタT9は、第3走査信号の制御下でオンにされ、初期信号を受信して第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1をリセットすることができる。
【0253】
いくつかの例において、図10図12に示されたように、第2リセット補償回路5がさらに第4走査信号端子Gate4に電気的に接続される場合、第2リセット補償回路5は、第10トランジスタT10を含む。ここで、第10トランジスタT10は、例えばP型トランジスタである。
【0254】
例示的に、図10図12に示すように、第10トランジスタT10の制御電極は上記第4走査信号端子Gate4に電気的に接続され、第10トランジスタT10の第1電極は初期信号端子Vintに電気的に接続され、第10トランジスタT10の第2電極は第1ノードN1に電気的に接続される。
【0255】
例えば、第4走査信号のレベルがローレベルである場合、第10トランジスタT10は、第4走査信号の制御下でオンにされ、初期信号を受信して第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1をリセットすることができる。
【0256】
いくつかの例において、図10図12に示すように、第2リセット補償回路5は、第11トランジスタT11及び第2コンデンサC2をさらに含む。ここで、第11トランジスタT11は、例えばP型トランジスタである。
【0257】
例示的に、図10図12に示すように、第11トランジスタT11の制御電極は第1走査信号端子Gate1に電気的に接続され、第11トランジスタT11の第1電極は第7ノードN7に電気的に接続され、第11トランジスタT11の第2電極は第6ノードN6に電気的に接続される。
【0258】
例えば、第1走査信号のレベルがローレベルである場合、第11トランジスタT11は、第1走査信号の制御下でオンにされ、第7ノードN7からの信号を第6ノードN6に伝送することができる。
【0259】
例示的に、図10図12に示すように、第2コンデンサC2の第1端は第1ノードN1に電気的に接続され、第2コンデンサC2の第2端は第7ノードN7に電気的に接続される。ここで、第7トランジスタT7の制御電極は、第2コンデンサC2を介して第1ノードN1に電気的に接続される。
【0260】
以下、図10図12に示した画素駆動回路の構造と、図13に示したタイミング図とを参照して、画素駆動回路の駆動方法について模式的に説明する。
【0261】
いくつかの例において、1フレームの表示段階において、画素駆動回路の駆動方法は、リセット段階t1、データ書込段階t2、発光段階t3を含む。
【0262】
リセット段階t1では、第1走査信号のレベルがハイレベルであり、第3走査信号のレベルがローレベルであり、第4走査信号のレベルがハイレベルであり、イネーブル信号のレベルがハイレベルであり、データ信号のレベルがローレベルであり、第1電圧信号のレベルがハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルである。
【0263】
第2リセット補償回路5における第9トランジスタT9は、第3走査信号の制御下でオンにされ、初期信号を受信して第1ノードN1に伝送し、第1ノードN1をリセットする。
【0264】
データ書込段階t2では、第1走査信号のレベルがローレベルであり、第3走査信号のレベルがハイレベルであり、第4走査信号のレベルがハイレベルであり、イネーブル信号のレベルがハイレベルであり、データ信号のレベルがハイレベルであり、第1電圧信号のレベルがハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルである。
【0265】
第1走査信号端子Gate1で受信された第1走査信号に応答して、データ書込回路1における第12トランジスタT12は、オンにされ、データ信号端子Dataで受信されたデータ信号を第1ノードN1に伝送する。データ信号のレベルがハイレベルであるため、この時、第1ノードN1の電圧がハイレベルになるようにデータ信号により第1ノードN1を充電することができる。
【0266】
また、この段階において、第2リセット補償回路5における第11トランジスタT11は、第1走査信号の制御下で、オンにされ、第7トランジスタT7の閾値電圧を補償する。このとき、第7ノードN7の電圧は、VDD+Vth_tft7である。ここで、VDDは第1電圧信号の電圧値を示し、Vth_tft7は第7トランジスタT7の閾値電圧を示す。
【0267】
発光段階t3では、第1走査信号のレベルがハイレベルであり、第3走査信号のレベルがハイレベルであり、第4走査信号のレベルがローレベルであり、イネーブル信号のレベルがローレベルであり、データ信号のレベルがローレベルであり、第1電圧信号のレベルがハイレベルであり、第2電圧信号のレベルがローレベルである。
【0268】
発光制御回路2における第8トランジスタT8は、イネーブル信号の制御下で、オンにされる。
【0269】
第2リセット補償回路5における第10トランジスタT10は、第4走査信号の制御下で、オンにされ、第1ノードN1の電圧がVDataからVintにジャンプするように、初期信号を受信して第1ノードN1に伝送する。このとき、第7ノードN7の電圧はVDD+Vth_tft7-(VData-Vint)にジャンプし、第7トランジスタT7は飽和状態にあり、第7トランジスタT7の第1電極と制御電極との間の電圧差Vsgは、第1電圧信号の電圧値と第1ノードN7の電圧との差であり、即ち、Vsg=VDD-[VDD+Vth_tft7-(VData-Vint)]=VData-Vint-Vth_tft7である。発光制御回路2は、第1電圧信号端子VDDで受信された第1電圧信号を第2ノードN2に伝送する。
【0270】
本例において、第1電圧信号のレベルはハイレベルであり、且つ第2電圧信号のレベルはローレベルである。スイッチングトランジスタSWのオン状態を制御することにより、複数の発光部32をそれぞれ異なる期間に発光させるように駆動するか、又は、少なくとも2つの発光部32を同じ期間に発光させるように駆動することができる。
【0271】
複数の発光部32のうちの一つの発光部32を発光させるように駆動する場合を例にとると、この発光部32に流れる電流Iは以下の通りである。
【0272】
【数3】
【0273】
発光段階S3では、発光部32に流れる電流は、第7トランジスタT7の閾値電圧に関係なく、すなわち、第2リセット補償回路5を設けることにより、第7トランジスタT7の閾値電圧を補償して、発光部32の発光状態に影響を与えることを回避し、発光ダイオードチップ3の表示安定性を向上させ、表示輝度のムラ及び/又は不安定性が生じることを防止することができる。
【0274】
上記は本開示の具体的な実施形態に過ぎないが、本開示の保護範囲はこれに限定されず、いかなる当業者であれば本開示の技術的範囲内で容易に想到できる変更又は置換は、すべて本開示の技術的範囲内に包含するものである。従って、本開示の保護範囲は、特許請求の範囲に記載された保護範囲を準拠するものとする。
図1
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【国際調査報告】