(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】人を商品に誘導する方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/06 20230101AFI20240709BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240709BHJP
G07G 1/01 20060101ALI20240709BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20240709BHJP
G06Q 30/015 20230101ALI20240709BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
G06Q30/06
G07G1/00 331Z
G07G1/01 301C
G07G1/12 361Z
G06Q30/015
G01C21/26 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560436
(86)(22)【出願日】2021-07-02
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2021068332
(87)【国際公開番号】W WO2023274554
(87)【国際公開日】2023-01-05
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】516239921
【氏名又は名称】ヴジョングループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】フィラリ・アンサリー・タリク
(72)【発明者】
【氏名】レースル・アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ボッティーヌ・フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジャンドラン・フランソワ・グザヴィエ
【テーマコード(参考)】
2F129
3E142
5L030
【Fターム(参考)】
2F129AA02
2F129CC28
2F129DD40
2F129EE27
2F129EE37
2F129EE43
2F129EE64
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2F129EE90
2F129FF02
2F129FF07
2F129FF11
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2F129FF60
2F129HH12
3E142AA01
3E142CA20
3E142DA07
3E142EA04
3E142GA20
3E142HA03
3E142JA01
5L030BB08
5L030BB72
(57)【要約】
人を商品に誘導する方法であって、当該方法は、以下のステップ、すなわち無線ビーコンを、1つの商品に割り当てられていて、この商品に空間的にほぼ近接して、又はこの商品の決定された場所に設置されている無線ビーコン送信器から放射するステップと、当該放射された無線ビーコンを、人と一緒に局所的に移動可能である無線ビーコン受信器によって受信するステップと、前記無線ビーコン受信器が、前記無線ビーコン送信器の周囲の既定の動作起動領域内に移動したときに、動作を起動するステップと、を含む当該方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を商品(A,B,C)に誘導する方法であって、当該方法は、以下のステップ、すなわち
-1つの商品(A,B,C)に割り当てられていて、この商品(A,B,C)に空間的にほぼ近接して、又はこの商品(A,B,C)の意図された場所に設置されている無線ビーコン送信器(2)から無線ビーコンを放射するステップと、
-当該放射された無線ビーコンを、特に人又は装置と一緒に局所的に移動可能である無線ビーコン受信器(12)によって受信するステップと、
-前記無線ビーコン受信器(12)が、前記無線ビーコン送信器(2)の周囲の既定の動作起動領域内に移動したときに、動作を起動するステップと、
を含む当該方法。
【請求項2】
誘導される人は、オーダーピッカーであり、前記無線ビーコン受信器は、ディスプレイスクリーン(28)を含み、且つ前記オーダーピッカーによって選び取られるべき商品の商品情報又は商品(A,B,C)のリストを表示する電子モバイル機器(12)である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記電子モバイル機器(12)は、前記無線ビーコンを受信する無線ビーコン受信段(29)を含む以下の複数の構成要素:
-携帯情報端末(12)、
-スマートフォン、
-タブレットコンピュータ、
-スマートウォッチ、
-スマートトロリー、
のうちの1つの構成要素によって構成されている請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記無線ビーコン送信器(2)は、前記無線ビーコンを放射する無線ビーコン送信段(19)を含む以下の複数の構成要素:
-電子棚札(2)、
-棚札又は他の装置が取り付け可能であるレール、
-電子レールコントローラであって、当該電子レールコントローラのレールに取り付けられている複数の電子棚札又は他の電子装置を制御するように構成されている電子レールコントローラ、
-商品に取り付けられている電子ラベル、
のうちの少なくとも1つの構成要素によって実現されている請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記動作は、前記商品に空間的にほぼ近接して、又は前記商品の意図された場所に設置されている、及び/又は前記人と一緒に局所的に移動可能である以下の複数の手段:
-ディスプレイスクリーン上に表示された人によって読み取り可能なコンテンツの変更、
-ディスプレイスクリーン上での視覚効果の発生、
-光源による視覚効果の発生、
-振動段による振動の実行、
-音響信号発生段による音響信号の発生、
のうちの少なくとも1つの手段を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記動作起動領域は、
-無線ビーコン送信器(2)で設定された無線ビーコン信号強度によって、及び/又は
-受信信号パラメータの既定の閾値によって予め設定され、
前記信号パラメータは、前記無線ビーコン受信器(12)で受信された無線ビーコンを記述し、前記既定の閾値は、前記無線ビーコン受信器(12)によって設定される請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記動作の起動は、受信された前記無線ビーコンを記述するために使用される信号パラメータの変更に依存する請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記無線ビーコン受信器(12)は、受信された前記無線ビーコンの無線ビーコンデータコンテンツを、特に中央の制御段(8)に送信し、制御段(8)は、前記無線ビーコンデータコンテンツに基づいて、前記無線ビーコンによって前記データコンテンツを放射したそれぞれの無線ビーコン送信器(2)を認識し、当該認識された無線ビーコン送信器(2)に関する動作を起動する請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記制御段(8)は、特定の商品(A,B,C)を特定の無線ビーコン送信器(2)にリンクするデータ構造体を記憶する請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記制御段(8)は、当該制御段(8)が無線ビーコン受信器(12)からデータコンテンツを受信した当該無線ビーコン受信器(12)に関する動作を起動する請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記無線ビーコン受信器(12)が前記既定の動作起動領域から移動されると、起動された前記動作が終了される請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
終了信号が受信されると、起動された前記動作が終了される請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オーダーピッカーを誘導するオーダーピッキングシステムで特に適用される、人を商品に誘導する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、多くのスーパーマーケットが、いわゆる「ピック&コレクト・サービス(pick & collect service)」を自分の顧客に提供している。したがって、顧客は、当該顧客の注文品を注文でき、物品が、(技術用語では、いわゆるオーダーピッカーと呼ばれる)従業員によってスーパーマーケット内で収集され、購入しようとしている顧客のために手配される。当該顧客のために注文された物品を集めるため、オーダーピッカーは、当該注文品を表示するために使用されるこのオーダーピッカーの携帯情報端末(PDA)と一緒に店中にわたって移動し、該当する商品を棚から直接に選び出す。ESLが論理的にリンクされている複数の商品の位置に設置された全ての電子ラベル(ESL)が、ESLの発光ダイオードを点滅させている動作によって当該オーダーピッカーを支援する。当該点滅している発光ダイオードは、当該オーダーピッカーを選び出されるべき商品に誘導する。
【0003】
しかしながら、これは、該当する商品が収集され、オーダーピッカーが当該収集を承認し、該当するESLが点滅を停止するまで、非常の多い数のESLを同時に且つ長期間にわたって点滅させなければならないことがあることを意味する。
【0004】
しかしながら、当該点滅は、多大な電力消費を伴う。当該多大な電力消費は、バッテリの寿命が著しく低下するバッテリ動作型のESLだけで顕著であるのではなくて、電源動作型のESLでも顕著である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、本発明の課題は、上記の問題が解消されるように、人を商品に誘導する改善された方法と、当該改善された方法を実行する改良されたシステムとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載のディスプレイシステムによって解決される。したがって、本発明の対象は、人を商品に誘導する方法である。この場合、当該方法は、以下のステップ、すなわち、商品に割り当てられていて、この商品に空間的にほぼ近接して、又はこの商品の意図された場所に設置されている無線ビーコン送信器から無線ビーコンを放射するステップと、当該放射された無線ビーコンを、特に人又は装置と一緒に局所的に移動可能である無線ビーコン受信器によって受信するステップと、当該無線ビーコン受信器が、当該無線ビーコン送信器の周囲の所定の動作起動領域内に移動したときに、動作を起動するステップと、を含む。
【0007】
本発明による当該手段は、システムの電力消費をもたらす動作の出現が、無線ビーコン送信器に対する無線ビーコン受信器の相対位置に依存するという利点を提供する。したがって、無線ビーコン受信器と無線ビーコン送信器とが、互いに非常に離れているときは、動作が全く起動されず、結果として電力が消費されない。所定の動作起動領域は、人を商品に誘導するために動作を起動し、当該システムでの電力消費を許容することに意義がある領域を規定する。さらにそのために、当該動作起動領域の寸法は、特定の商品に向かう道筋を見つけ出すために人が当該動作を利用できるように、容易に適合され得る。
【0008】
要するに、本発明は、商品を探している人の意識に焦点を合わせることによって、当該システムにおける電力消費を減少させ、取り出しの効率性を向上させるという2つの主要な改良点を提供する。
【0009】
好ましくは、当該方法は、商品の陳列領域内で、特にスーパーマーケット内でそれぞれ適用又は使用される。そこでは、複数の商品又は一群の複数の商品が、所定の位置に陳列されている。
【0010】
当該方法の特別な実施の形態では、無線ビーコン送信器は、商品陳列領域の周辺でこの無線ビーコン送信器を携行する人と一緒に局所的に移動可能である。この無線ビーコン送信器は、この無線ビーコン送信器が取り付けられているか又はこの無線ビーコン送信器が埋設されている装置、例えば人によって手押しされるショッピングカートと一緒に局所的に移動可能でもよい。
【0011】
当該無線ビーコン送信器が、商品自体によって(直接的に)、又はこの商品に直接的にリンク/紐付けされていて且つ当該無線ビーコン送信器を運搬するか若しくは当該無線ビーコン送信器を有する別の装置を介して(間接的に)、この商品に論理的にリンク/紐付けされることによって、当該無線ビーコン送信器は、この商品に割り当てられてもよい。この論理的なリンクは、データによって、例えばデータベースに記憶される。
【0012】
さらに、本発明の特に有益な実施の形態及び別の実施の形態が、従属請求項及び以下の説明に記載されている。
【0013】
一般に、当該方法が適用可能であるスーパーマーケット、卸売店等のような店舗は、より少ない又はより多数の電子表示装置を有し得る。設置される表示装置の数は、スーパーマーケットの規模及び/又は商品若しくは商品群の数に依存し得る。
【0014】
このような電子表示装置は、複数の商品群又は商品に隣接した棚レールに沿った複数の位置にある複数の当該棚レール上に設置された複数のいわゆる電子棚札(ESL)として構成されてもよい。これらの商品群又は商品は、当該ESLに論理的にリンクされている。商品及び/又は当該複数の商品群又は商品のための価格情報を表示するため、これらのESLは、一般に低い又は零に近い電力消費のディスプレイスクリーンから(例えば、電子ペーパー又は電気泳動技術によって)構成される。当該ディスプレイによって表示されるコンテンツは、無線信号によって又は有線式にこれらのESLに送信されるコンテンツデータによって提供され、一般に、同様に当該ディスプレイによって表示されるテキスト及び/又は映像を伝達する。
【0015】
このような電子表示装置は、棚レール上に(若しくは棚レールに沿って)設置される又は棚レール自体を構成する、1つ以上のビデオスクリーンを有するいわゆるビデオレールによって構成されてもよい。
【0016】
ESLとは対照的に、ビデオレールは、ビデオディスプレイスクリーンから構成され、したがって映像及び/又は仮想電子棚札を表示できる。当該仮想電子棚札は、ビデオレールのディスプレイに沿って自由に設置され得て、映像に重ね合わせてもよく、又は映像に埋め込まれてもよい。また、当該コンテンツデータは、同様にディスプレイによって表示される映像及び/又は仮想電子棚札を伝達するためにビデオレールに提供される。
【0017】
このような電子表示装置は、当該電子表示装置のディスプレイスクリーン上での状況に固有の表示を可能にするスマートポスターとして構成されてもよい。
【0018】
コンテンツデータは、データ提供システムによって生成され提供される。当該データ提供システムは、クラウドベースの(ソフトウェア及びハードウェア)サービスによって構成されてもよく、又はスーパーマーケットの構内のローカルサーバによって構成されてもよい。どちらの場合でも、ソフトウェアが、それぞれの電子表示装置によって明確に表示されるべきテキスト又は映像を人によって読み取り可能に処理するそれぞれのコンピュータアーキテクチャ上で実行される。当該処理は、適切なデータフォーマットで符号化され、当該電子表示装置に提供されるコンテンツを作成する。
【0019】
一般に、データ提供システムは、無線信号又は有線によってコンテンツデータをそれぞれの電子表示装置に配信するように構成されている通信ネットワークに接続されている。このような通信ネットワークは、それぞれの無線アクセスポイントが一群の複数の電子表示装置と無線通信を実行するように構成されているこれらの無線アクセスポイントを有し得る。このような通信ネットワークは、複数の電子表示装置が好ましくはグループごとに接続されている複数のルータ又はコントローラ等を有してもよい。
【0020】
一般に、データ提供システムは、店舗の全体、棚、当該棚上の商品及び当該それぞれの商品にリンクされた電子棚札の計画を記憶しているデータベースを管理する店舗管理ソフトウェアを有する。このようなデータ構造は、棚割りとして一般的に知られている。それ故に、当該データ提供システムは、自動的に生成されたか又は表示システムの認証されたユーザによって決定された個々のコンテンツをそれぞれ個々の電子表示装置に表示させることを許可する。
【0021】
さらに、データ提供システムは、複数の電子表示装置のうちの1つの電子表示装置又は一群の複数の電子表示装置によって表示されるべきである、人によって読み取り可能なテキスト又は映像を選択又は決定することを、表示システムの認証されたユーザに許可する1つ以上の(携行式又は固定式の)コンピュータ支援型入力装置を有してもよい。このような入力装置は、例えばコンピュータ端末、携帯情報端末、移動電話、タブレットコンピュータ等でもよい。これらの入力装置は、これらの入力装置のコンピュータハードウェア上でユーザインターフェースソフトウェアを実行する。当該ユーザインターフェースソフトウェアは、人によって読み取り可能なテキスト又は映像を選択又は決定するためにユーザとの適切な対話処理を実行することと、店舗管理ソフトウェアにインターフェースで接続することとをユーザに許可するようにプログラミングされている。さらに、これらの入力装置は、人によって読み取り可能なテキスト又は映像の表現をデジタル形式で、例えば中間データフォーマットで又はコンテンツデータとして当該データ提供システムに提供するために必要とされるハードウェア及びソフトウェアを有する。
【0022】
このため、さらに、このような携帯機器は、本明細書では顧客から受け取った注文にしたがって商品を収集するための「オーダーピッカー」と呼ばれる認証されたユーザによって使用されてもよい。以下に、注文を選び取る工程の様々な観点を詳しく説明する。しかしながら、商品が陳列されている商品陳列領域内に人を誘導する当該方法は、顧客がスーパーマーケット中を歩き、当該顧客の買い物リストにしたがって商品を収集する当該顧客の立場で適用されてもよい点に留意すべきである。これに関しては、当該顧客の携帯機器は、当該顧客が携行するスマートフォン又はタブレットコンピュータ等でもよい。
【0023】
説明したように、本発明の好適な使用事例では、本発明による方法によって誘導される人は、オーダーピッカーである。本明細書では、無線ビーコン受信器は、オーダーピッカーの、ディスプレイスクリーンを有する電子モバイル機器であり、商品の商品情報又はオーダーピッカーによって選び取られるべき商品のリストを表示する。この商品情報又はこの商品リスト又は製品情報のリストは、この目的のために当該モバイル機器に直接に入力又はアップロードされ得る。それぞれのオーダーピッカーが、複数の顧客の個々の注文を処理できるように、一群の複数のオーダーピッカーのそれぞれのモバイル機器が、注文の選び取りと収集工程とを支援するショッピングアプリケーションを提供する当該データ提供システムからそれぞれのデータを受信してもよい。当該それぞれのデータは、当該モバイル機器にプッシュされ得るか、又は、当該モバイル機器が、当該ショッピングアプリケーションに自動的に同期されてもよい。
【0024】
このような電子モバイル機器は、無線ビーコンを受信する無線ビーコン受信段を含む以下の複数の構成要素:
-携帯情報端末(PDA)、
-スマートフォン、
-タブレットコンピュータ、
-スマートウォッチ、
-スマートトロリー、
のうちの1つの構成要素によって構成され得る。
【0025】
これらの構成要素は、ソフトウェア側及び/又はハードウェア側で注文品の選び取りの作業に適合され得る。これは、このような装置のコンピュータが注文品を選び取るアプリケーションを実行することを意味する。当該アプリケーションは、オーダーピッカーにとって必要である機能を当該モバイル機器側に提供する。無線ビーコンを受信し、無線ビーコンデータコンテンツを抽出し使用し、及び/又は当該無線ビーコンによって伝達された無線ビーコンデータコンテンツをさらに処理するため、これらのモバイル機器は、無線受信器用の電子回路も有する。
【0026】
無線ビーコン送信器は、無線ビーコンを放射する無線ビーコン送信段を含む以下の複数の構成要素:
-電子棚札(一般に、この電子棚札は、棚、特に商品が設置され得る棚床板を画定する棚レールに取り付けられている。このような棚ラベルは、タブレットディスプレイ又は被服タグとして構成されてもよい。)、
-棚札又は他の装置が取り付け可能であるレール(これは、商品表示タブレットの棚レール自体又は(前面)レールが、無線ビーコン送信段の電子装置を有し得ることを意味する。)、
-電子レールコントローラのレールに取り付けられている複数の電子棚札又は他の電子装置を制御するように構成されている当該電子レールコントローラ(この実施の形態では、無線ビーコン送信段の電子装置が、当該レールの中央の位置にあるレールコントローラに内蔵されている。したがって、当該レールコントローラによって制御されるESLは、当該無線ビーコン送信段を構成するために追加の任意の電子装置を必要としない。)、
-商品に取り付けられている電子ラベル(この実施の形態では、当該電子ラベルは、主に複数の商品を識別するために使用され得る無線タグ(RFID-Tag)又は近距離無線通信装置(NFC-Device)として構成されてもよい。この場合、当該電子ラベルの機能性が、当該機能性を本発明による方法に適合させる当該無線ビーコン送信段によって強化される。)、
のうちの少なくとも1つの構成要素によって実現されている。
【0027】
当該動作の目的は、オーダーピッカーが買い物リスト上の複数の商品のうちの少なくとも1つの商品に近いことを当該オーダーピッカーに気付かせることである。したがって、当該商品又は当該商品の陳列個所が空間的に近いときに実行される当該動作は、以下の複数の手段(下記参照)のうちの少なくとも1つの手段を特徴とし、及び/又は当該商品は当該オーダーピッカーと一緒に移動可能であることが有益である。
【0028】
したがって、この機能の第1の観点によれば、当該動作は、商品に(非常に)近接して設置されている電子装置によって(例えば、ESL若しくはレールコントローラ、又はレールタグ若しくはRFIDタグ若しくは商品に取り付けられたNFCタグによって)実行される。この機能の第2の観点によれば、当該動作は、オーダーピッカーと一緒に局所的に移動可能である電子装置(PDA、タブレットコンピュータ、スマートフォン等)によって実行される。この機能の第3の観点によれば、当該動作は、商品に(非常に)近接して設置されている電子装置(「この機能の第1の観点」参照)と、オーダーピッカーと一緒に局所的に移動可能である電子装置(「この機能の第2の観点」参照)とによって、特に同時に実行されてもよい。上記の「下記の手段」を、ここでは以下のように列記する:
-ディスプレイスクリーン上に表示された人によって読み取り可能なコンテンツの変更。例えば、注文番号、商品番号、商品名又は「ここにあります」又は「あなたの近くにあります」のような注記が、人に対して表示され得る。
-ディスプレイスクリーン上での視覚効果の発生。例えば、ディスプレイスクリーンのコンテンツの外観を動的に変化させ、当該コンテンツ自体に注意を引き付けるように、当該ディスプレイスクリーンが、そのコンテンツを速く点滅又は変化できる。
-光源による視覚効果の発生。例えば、点滅若しくは点灯するか又はその色を変化させるLEDが設けられ得る。当該LEDは、局所的に移動可能な電子装置上か又は商品に(近)接して設置されている電子装置上に設けられ得る。
-振動段による振動の実行。これは、オーダーピッカーが当該オーダーピッカーの現時点の作業から目を離すことなしに、動作起動領域に到着したことを当該オーダーピッカーに知らせることを可能にする。当該動作と、商品を収集する目的のために視覚コンテンツをチェックすることとを分離することは、当該オーダーピッカーの作業効率を上げる。何故なら、例えば当該オーダーピッカーのPDAが振動している間に、当該オーダーピッカーは、妨害されずに商品のリストを視覚的にチェックすることを継続できるからである。このため、さらに、顧客又は別のオーダーピッカーであり得る他の人が、当該動作によって妨害されない。
-音響信号発生段による音響信号の発生。また、音響信号は、この動作が商品を収集する目的のために視覚コンテンツをチェックすることから分離され、したがって同様にオーダーピッカーの作業効率を上げるという利点を提供する。何故なら、例えば、当該オーダーピッカーのPDAが、音を発している間に、当該オーダーピッカーは、妨害されずに商品のリストを視覚的にチェックすることを継続できるからである。当然に、当該音は、当該音を発する電子装置の近くにいる他の人によっても聞き取られ得る。異なるオーダーピッカー同士が、互いに妨害しないように、それぞれのオーダーピッカーは、異なる音調を割り当てられ得る。
【0029】
動作起動領域は、無線ビーコン送信器で設定された無線ビーコン信号強度によって、及び/又は受信信号パラメータの既定の閾値によって既定され、当該信号パラメータは、当該無線ビーコン受信器で受信された無線ビーコンを示し、当該既定された閾値は、当該無線ビーコン受信器によって設定される。
【0030】
無線ビーコン信号強度が、無線ビーコン送信器によって設定される場合、動作起動領域は、基本的に当該無線ビーコン送信器によって規定される。当該動作起動領域は、無線ビーコンが無線ビーコン受信器によって確実に受信され得るような領域である。基本的に、当該無線信号強度は、当該無線ビーコンを放射するために使用される無線信号出力によって設定される。当該無線信号出力は、当該無線ビーコンが受信されて処理され得る当該無線ビーコン送信器から測定される最大距離を決定する。或る実施の形態では、動作起動領域をモデル化又は変更するため、可変又は適合可能な無線信号強度が、無線ビーコン送信器側で使用されてもよい。
【0031】
受信信号パラメータの既定の閾値が、無線ビーコン受信器によって設定される場合、当該受信信号パラメータは、受信される無線ビーコン信号に由来する。一般に、当該受信は、当該無線ビーコン受信器によって実行されてもよい。この場合、例えば受信品質又はいわゆる受信信号強度インジケータ(RSSI、ミリワット又はミリワットに対するデシベル(dBm)単位の出力レベル)が、当該受信器の電子装置によって計算される。したがって、当該無線ビーコン送信器は、このパラメータのレベル又は値をこのパラメータに対する既定の閾値として規定できる。この実施の形態では、動作起動領域は、無線ビーコンが受信されて処理され得る当該無線ビーコン送信器から測定される距離間の最大距離よりも狭く規定され得る。当該無線ビーコンは、無線ビーコン受信器側の様々な理由に対する操作中に、動作起動領域の幅を修正又は変更するために使用されてもよい。当該無線ビーコンは、動作起動領域の幅を柔軟に調整することを可能にする。
【0032】
また、両機能の組み合わせが、動作起動領域を規定するために適用されてもよい。
【0033】
さらに、動作の起動が、受信される無線ビーコンを表すために使用される信号パラメータの変化に依存することが有益である。
【0034】
他方で、この機能は、動作が起動されなければならないか否かを決定する必要があるときに、無線信号受信器の異なる位置を考慮することを可能にする。例えば、オーダーピッカーが、商品からさらに離れているのではなくて、より近くにいるときに、異なる動作が起動され得る。
【0035】
他方では、この機能は、動作が起動されなければならないか否かの決定がなされる必要があるときに、無線信号受信器の移動軌跡を考慮することを可能にする。一般に、無線信号受信器の移動軌跡は、当該無線信号受信器を携行するオーダーピッカーの、信号パターンにおける一時的な変化に対応する移動によって描かれる。例えば、オーダーピッカーが、商品から遠ざかるときではなくて、商品に近づくときに、異なる動作が起動され得る。
【0036】
いくつかの実施の形態では、例えば、無線信号受信器が、無線ビーコン送信器の機能を担うESL上での動作を起動するように構成されてもよい。無線ビーコンが、この無線ビーコン送信器から送信され、無線ビーコン受信器によって受信される。これは、当該無線ビーコン送信器と当該ESLとが互いに直接に通信し得る特別な技術課題を必要とする。
【0037】
しかしながら、本発明の観点によれば、無線ビーコン受信器は、受信された無線ビーコンのデータコンテンツを、特に中央の制御段に送信し、当該制御段は、当該データコンテンツに基づいて、当該無線ビーコンによって当該データコンテンツを放出したそれぞれの無線ビーコン送信器を識別し、当該識別された無線ビーコン送信器に関する動作を起動する。当該制御段は、店内の複数の商品と複数のESLと複数の無線ビーコン送信器との間の関係を知り、当該制御段は、これらのESLによって表示されたコンテンツを制御し、これらのESLの動作も制御するので、当該制御段は、動作を実行するために当該受信されたデータコンテンツに基づいて特定の1つのESLに応答できる。この例では、当該起動される動作は、複数のESLのうちの当該データコンテンツに由来するESLだけの1つのスクリーン又はLEDの点滅でもよい。
【0038】
-例えば中央の-コンテンツ段は、データ提供システムによって構成されてもよい。
【0039】
この場合、制御段が、特定の1つの商品を特定の1つの無線ビーコン送信器にリンクするデータ構造体を記憶することが有益である。無線ビーコン送信器が、例えばESLに埋設されている場合、当該無線ビーコン送信器のIDデータと当該ESLとの間の論理リンクも、当該中央制御段によって記憶され、したがって当該特定のESLにリンクされている特定の商品も、当該ESLの無線ビーコン送信器によって放射された無線ビーコンにリンクされる。
【0040】
したがって、本発明の別の観点によれば、当該制御段は、当該データコンテンツを受信した無線ビーコン受信器に関する動作を起動する。この機能は、特に、オーダーピッカーに対してパーソナライズ化されている動作を起動するために使用され得る動作を、当該オーダーピッカーのモバイル機器上で起動することを可能にする。
【0041】
作業の完了の確認が、オーダーピッカーから受信されない限り、当該起動される動作は保留されてもよい。当該保留は、長時間持続する電力消費を引き起こし得る。したがって、無線ビーコン受信器が、既定の動作起動領域から離脱したときに、当該起動された動作が終了されることが有益である。当該動作の終了は、当該作業が完了しているか否かにかかわらず、当該オーダーピッカーの移動に依存する動作を停止することを可能にする。したがって、作業が依然として継続中であるが、電力を消費する動作は、所定の期間内に終了される、すなわち当該オーダーピッカーが当該動作起動領域から離れた直後に終了される。
【0042】
しかしながら、本発明のさらなる観点によれば、終了信号が受信されたときに、起動された動作が終了される。このような終了信号は、例えばオーダーピッカーのモバイル機器とのNFC通信によって、当該オーダーピッカーのモバイル機器を介して又は直接に当該オーダーピッカーからESLで受信され得る。
【0043】
上記のように、多様な無線ビーコン送信器及び無線ビーコン受信器が提供され得て、多様な異なる動作が起動され得る。この方法は、実際には、例えば以下のように実行され得る:
オーダーピッカーが、無線ビーコン受信段を有するスマートトロリーを営業所の通路を通り抜けるように手押しする。当該オーダーピッカーは、同様に無線ビーコン受信段を有するスマートウォッチを身に着けている。この例では、当該スマートトロリーと当該スマートウォッチとの双方がそれぞれ、無線ビーコン受信段を構成する。この場合、無線ビーコン送信器は、LEDを有するESLとして実装され得る。当該オーダーピッカーが、当該オーダーピッカーの探している複数の商品のうちの1つの商品に割り当てられているESLに近づき、その動作起動領域に入ると、第1動作が起動され得る。スマートトロリーとスマートウォッチとの双方が、その商品が近くにあることを示すテキストを表示することを、これらの動作は含み得る。同時に、信号が、ESL側での動作を起動するサーバ又はデータ提供システムに送信され得る。これらの動作は、ESLがテキストを表示すること及びLEDが点滅することを含み得る。当該オーダーピッカーが、その商品又はその無線ビーコン送信器に近づき続けると、当該スマートウォッチが振動し始める。その商品までの距離が減少するほど、当該振動の強さ又は当該振動の周波数が増大する。これは、その商品を探す必要なしに、その商品が陳列されている場所を当該オーダーピッカーが知覚できることを意味する。この例において、当該オーダーピッカーが、その商品をショッピングカート内に置くと、このことが、パターン認識又はNFCインターフェース又はQRコードの読み取りを介して当該オーダーピッカーによって自動的に認識され得る。このとき、当該オーダーピッカーをその商品に誘導するために起動された動作が停止される。これは、どのように当該手段が組み合わせられ得るかの一例にすぎない点に再度留意すべきである。他の組み合わせが可能である。
【0044】
一般に、この発明の構成で使用される無線ビーコンは、ここで説明されている情報を伝達するあらゆる無線信号であり得る。好適な実施の形態では、使用される無線ビーコンは、ブルートゥース無線ビーコンである。さらに好適な実施の形態では、使用される無線ビーコンは、ブルートゥースの低電力無線ビーコンである。したがって、無線ビーコンを送信し受信するために使用される機器は、生成しようとされる無線ビーコンの種類にしたがって構成される。
【0045】
最後に、この特許出願の明細書に記載されている電子機器は、周知のディスクリート電子回路及び/又は集積電子回路によって構成され得る点に言及する。必要なインターフェースが提供された場合、当業者は、データ通信及び/又は信号通信を可能にするために適切なインターフェース回路を選択し構成することができる。プログラミング可能な装置が、1つのマイクロプロセッサと幾つかの周辺電子回路とから構成されてもよい。このようなプログラミング可能な装置は、マイクロコントローラ又は特定用途向けIC(ASIC)等によって構成され得る。このような装置上でのソフトウェアルーチンの実行が、ここで説明されているコンピュータによって実行される機能を提供する。
【0046】
本発明のこれらの観点及び他の観点は、下記の図から得られる。
【0047】
以下に、本発明を、添付図を参照して、代表的であるが、本発明の範囲を限定しない実施の形態に基づいて再度説明する。当該異なる複数の図では、同じ構成要素は、同じ参照番号によって付記されている。これらの図は概略的に描かれている。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】モバイル機器によってオーダーピッカーを誘導するために使用される電子棚札システムを示す。
【
図2】当該システムで使用される電子棚札システムのブロック図である。
【
図3】当該システムで使用されるモバイル機器のブロック図である。
【
図4】モバイル機器がショップピッカーによって移動されるときの棚通路に沿った図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、スーパーマーケットの建屋内に設置されている(ここではシステム1と略記された)電子棚札表示システム1の基本概念を示す。このシステムは、(ここではESLと略記された)複数の電子棚札2から構成されている。ESL2は、(ここではレール3と略記された)棚レール3上に設置されている。レール3は、棚5の棚板4の前縁部に設置されている。
【0050】
棚レール4は、図の簡略化のために図示されていない商品を陳列するために使用される。
【0051】
ESL2は、商品の商品情報及び価格情報を、顧客自身によって、場合によってはデジタル購入を用いて当該商品を選び取る当該顧客に対して表示するために使用される。しかしながら、特に商品情報は、顧客自身によって当該商品を選び取りたくない当該顧客によって決定された注文にしたがって当該商品を選び取るオーダーピッカー又はストアピッカーによっても使用される。人によって読み取られ得る当該情報は、ESL2のディスプレイスクリーン6によって表示される。さらに、ESL2は、人によって知覚され得る光信号を放射するための(LED7と略記された)発光ダイオード7を有する。LED7は、当該光信号が放射されたときに、顧客又はオーダーピッカーの注意をそれぞれのESL2に引き付けるために使用される。したがって、それぞれのESL2が論理的に紐付けされている特定の商品を見つけ出すため、LED7は、顧客又はオーダーピッカーを当該それぞれのESL2に誘導するために使用され得る。ディスプレイスクリーン6が前から見えるときにだけ、表示される情報が非常に読み取りやすいELSディスプレイスクリーン6とは対照的に、LED7の点滅は、該当するESL2を横から見ることによっても明確に知覚され得る。これは、棚通路に沿って見渡すときでも、LED7の点滅が完全に知覚され得て、したがって当該LED7は顧客又はオーダーピッカーを離れた所から目的とする商品に誘導するのに有益な素子であることを意味する。LED7によって放射
された当該光信号の良好な可視性は、光ガイドによって向上される。当該光ガイドは、LED7を包囲し、LED7によって放射された光を横に偏向させるように構成されている。この光ガイドは、放射された光の横方向の可視性を向上させるようにディスプレイスクリーン6の表面から突出している。当該光ガイドは、図に詳しく示されていない。
【0052】
この例示的な実施の形態では、ESL2は無線ビーコン送信器の役割も果たす。
【0053】
さらに、
図1は、ESL2がコンテンツデータD1によって伝達された情報を表示できるように、当該コンテンツデータD1を通信ネットワーク9経由でESL2に提供するためのデータ提供システムを示す。この場合、当該データ提供システムは、要求されたショップマネジメントのソフトウェアアプリケーションを実行し、バックオフィス又はスーパーマーケットの(図示されていない)別個のサーバルーム内に設置されているサーバ8である。したがって、サーバ8は、制御段としての機能を果たすように構成されている。通信ネットワーク9は、(ここではLAN10と略記された)有線ローカルエリアネットワークから構成される。LAN10は、サーバ8を(ここではWLAN-AP11と略記された)無線ローカルエリアネットワークのアクセスポイントに接続する。WLAN-AP11は、モバイル機器12と通信するように使用される。この例では、以下で説明するように、モバイル機器12は、無線ビーコン受信器でもあり、この無線ビーコン受信器用の対応する構成要素を有する。モバイル機器12は、商品とESL2との間の紐付けを確立するためのスーパーマーケットの従業員によって使用される一種の携帯情報端末である。この工程では、モバイル機器12のバーコードスキャナ(
図3参照)によって、商品上又は商品の包装上の、商品のEANコードであるバーコードがスキャンされ、ESL2のディスプレイスクリーン6上に表示されたESL2のIDコードもスキャンされる。その後に、モバイル機器12は、WLAN-AP11によってWLAN-通信C1を介して当該スキャンされたコードをサーバ8に伝達する。このサーバ8では、店内のESL2と当該店内に陳列された商品との間の論理リンクを記憶するデータ構造体が作成される。当該作成の前に、当該店内に設置されたESL2が、当該店内で使用される準備ができているように、サーバ8によって最初に登録されている。当該店内の棚割りが、サーバ8によって当該データ構造体に完成され記憶されるように、位置情報も、モバイル機器12によって提供されてもよい。
【0054】
この実施の形態では、ヒューマンリーダブルコンテンツ、特に商品情報及び/又は位置情報を表示するため、モバイル機器12は、ディスプレイスクリーン28を有する。
【0055】
図1は、(ここでは、それぞれがESL-AP13と略記された)2つの電子棚札アクセスポイントも示す。コンテンツデータD1をESL2に供給するため、及び/又は所定のパラメータを設定するため、又は所定の操作条件をESL2から受信若しくは要求するため、これらのESL-AP13は、ESL通信C2中にESL2と通信するためのサーバ8のために使用される。ESL2及びESL-AP13は、WLAN通信C1で使用されるプロトコルと一般に異なるESL通信プロトコルを使用するように構成されている。このようなESL通信プロトコルに関する幾つかの例が、本出願で例示されている、特許協力条約の特許出願明細書のWO2015/124197A1(第2-22頁)で公開されている出願人のジグビー(登録商標)又は占有タイムスロット通信プロトコルである。ここでは、それぞれのESL-AP13が、当該それぞれのESL-AP13で登録されているそれぞれのESL2に接続できる。ここでは、
図1の右半分に位置する棚5上に設置されたESL2は、この棚5の真上に示されたESL-AP13に割り当てられていて、この図の左側の棚5上に設置されたESL2は、この棚5の真上に示されたESL-AP13に割り当てられている。ESL2との適切な無線通信を保証するため、2つのESL-AP13は、異なる無線通信路で操作され、WLAN-AP11によって占有された無線通信路の使用を回避する。
【0056】
以下で、
図2に示されたESL2の電子装置のブロック図を説明する。
【0057】
ESL2は、ESL通信C2を実行するように構成されているESL-無線モジュール14を有する。一般に、ESL-無線モジュール14は、従来のアンテナ回路に接続されている従来の送受信回路から構成されている。ESL2は、ESL無線モジュール14と、第1LEDモジュール16、第1ディスプレイモジュール17、第1バッテリモジュール18及び無線ビーコン送信段19のような他のモジュールとを介した通信を制御するESLコントローラ15も有する。バッテリモジュール18は、ESL2の電源として働き、基準電位GND1に対する第1供給電圧VCC1を提供する。コンテンツデータD1によって伝達された情報を表示するため、ディスプレイモジュール17は、ディスプレイスクリーン6と、このディスプレイスクリーン6をドライブするための電子装置とを有する。ディスプレイスクリーン6の操作を制御するため、ディスプレイモジュール17は、(図示されていない)個別のコントローラを有してもよい。LEDモジュール16は、少なくとも1つのLED7と、ESLコントローラ15の制御下でLED7をドライブするための電子装置とを有する。無線ビーコン送信段19は、アンテナ回路に接続されている無線信号送信電子装置を有する。両者は、従来の回路であるので、
図2に詳しく示されていない。無線ビーコンを発信したそれぞれのESL2を個々に確認するため、無線ビーコン送信段19は、データコンテンツとして固有のIDコードを伝達する無線ビーコンを発信するように構成されている。それぞれのESL2と固有のIDコードとの間の論理リンクが、上記のデータ構造体に記憶される。最も簡単な形態では、当該データコンテンツは、ESL2を商品に紐付けするために既に使用された当該ESL2の固有のIDコードでもよい。ESL2のこれらの電子モジュールは、第1(データ/信号)バス21によって接続されている。
【0058】
以下で、
図3に示されたモバイル機器12の電子装置のブロック図を説明する。モバイル機器12は、WLAN通信C2を実行するように構成されているWLAN無線モジュール22を有する。このWLAN無線モジュール22は、従来のアンテナ回路に接続されている従来の送受信回路から構成されている。モバイル機器12は、モバイル機器コントローラ23も有する。このモバイル機器コントローラ23は、WLAN無線モジュール22と、第2LEDモジュール24、従来のLCDディスプレイ26を有してもよい第2ディスプレイモジュール25、第2バッテリモジュール27、既に上述したビーコンスキャナモジュール28及び無線ビーコン受信段29のような他のモジュールとを介した通信を制御する。LEDモジュール24は、少なくとも1つの別のLED30を有する。ユーザ(従業員/オーダーピッカー)の注意を引き付けるため、当該別のLED30は、モバイル機器コントローラ23の制御下で光信号を放射するために使用される。ディスプレイモジュール25は、モバイル機器コントローラ23の制御下で指示、特に買い物リスト又は買い物リストの項目をオーダーピッカーに対して表示するために使用される。無線ビーコン受信段29は、ESL2によって発信された無線ビーコンを受信し、そのデータコンテンツをモバイル機器コントローラ23に伝達するように構成されている。当該データコンテンツは、WLAN通信C1中にモバイル機器コントローラ23からWLAN無線モジュール22を介してサーバ8に伝達される。モバイル機器12のこれらの電子モジュールは、第2(データ/信号)バス31によって接続されている。
【0059】
サーバ8で受信されたデータコンテンツは、モバイル機器12がそれぞれの無線ビーコンを発信したESL2の周囲の受信領域に入ったことを、このサーバ8が特定することを可能にする。サーバ8は、棚割りを記憶し管理するので、個々のESL2の位置が、このサーバ8に既知である。その結果、このサーバ8は、モバイル機器12が当該受信されたデータコンテンツの発信源であるそれぞれのESL2の周囲の所定の領域内にあることも知る。
【0060】
以下で、オーダーピッカーを誘導する方法を、
図4を参照して説明する。
図4には、2つの棚5が示されている。単純化の理由から、左側及び右側のそれぞれの通路の範囲を画定する複数のレール3だけが示されている。この場合、当該通路は、これらのレール3に設置された複数のESL2の無線ビーコン送信段19の伝達範囲(例えば、5メートル)よりも著しく長い長さ(例えば、30メートル)を有することを前提とする。オーダーピッカーが、注文をサーバ8から当該オーダーピッカーのモバイル機器12にダウンロードし、モバイル機器12のスクリーン28が、当該注文した商品A、B及びCのリストを商品A~Cの数と一緒にリストに表示してあることも前提とする。
図4に示された座標のy軸に沿って歩く場合、これは、当該通路を通り抜けるように移動するときに、当該オーダーピッカーが、当該オーダーピッカーのモバイル機器12を携行することを意味する。
【0061】
収集される商品に関しては、これらの商品は、棚5上の位置A、B及びCに陳列されていることを前提とする。符号を
図4に記入し過ぎることを避けるため、商品A、B及びCに紐付けされているESL2の符号だけが示されている。
【0062】
モバイル機器12が、通路に入り、ビーコン信号を当該通路の左側及び右側の第1ESL2の無線ビーコン送信段19から受信する。それぞれのデータコンテンツが、当該受信された無線ビーコンから取り出され、サーバ8に送信される。このサーバ8では、商品Aに紐付けされているESL2が認識され、当該認識されたESL2が、連続する複数の線33によって図示されている動作としてそのLED7を点滅させることを開始するためにサーバ8によって指令される。当該指令は、オーダーピッカーに注意を喚起させ、当該オーダーピッカーは、商品Aを左側の棚から取り出す。このとき、当該オーダーピッカーは、サーバ8に伝達された商品Aに対する注文を認証する。このサーバ8では、LED7の点滅を停止するための指令が、商品Aに紐付けされているESL2に送信される。
【0063】
当該オーダーピッカーが、棚5に沿って歩き続けると、当該オーダーピッカーのモバイル機器12が、商品Cに紐付けされているESL2によって発信された無線ビーコンの受信領域に入る。商品Aの事項で既に説明した手続きにしたがって、ここでも、それぞれのESL2のLED7が、動作として点滅を開始する。商品Bが、商品A-Cのリストにおいて商品Cより上にリストアップされているので、商品Cが、商品Bの代わりにディスプレイスクリーン28の中央に直ちに置かれるように、このリストにおけるこれらの商品の順序が、動作として直ちに変更される。同様に、商品Cに対する順序が承認されると、商品Cに紐付けされているESL2のLED7の点滅が終了される。
【0064】
最終的に、オーダーピッカーが、通路を通り抜けるようにさらに移動し、商品Bに紐付けされているESL2の無線ビーコンの受信領域に到達すると、当該オーダーピッカーが、商品Bを手に取り、この商品Bに対する注文を承認するまで、それぞれのESL2が、動作としてそのLED7の点滅を開始することをサーバ8によって指令される。その後に、当該LED7の点滅は停止される。
【0065】
図4では、矢印34は、オーダーピッカーが購入されるべき商品A、B及びCに向かって点滅しているLED7によって誘導される間に、オーダーピッカーが棚5に沿って移動する道筋を示す。この場合では、本発明は、2つの棚間の通路に基づいて説明したが、この方法は、当然に、より複雑な通路の構造又は棚の構造を用いても良好に使用され得る点に留意すべきである。
【0066】
この特許出願の明細書に記載されている電子装置は、周知のディスクリート式及び/又は組み込み式の電子装置によって構成されてもよい点に留意すべきである。インターフェースが必要とされる場合、当業者は、データ及び/又は信号の伝達を可能にするための適切なインターフェース回路(送受信器)を選択し構成することができる。プログラミング可能な装置が、1つのマイクロプロセッサと幾つかの周辺電子装置とから構成されてもよい。このようなプログラミング可能な装置は、マイクロコントローラ又は特定用途向けIC(ASIC)等によって構成され得る。このような装置上でのソフトウェアルーチンの実行が、ここで説明されているコンピュータによって実行される機能を提供する。
【0067】
最後に、上記の詳しく説明された実施の形態は、当業者が本発明の範囲から逸脱することなしに様々な方法で変更できる例示にすぎない点に再度留意すべきである。完全を期すため、不定冠詞「1つ」の使用は、それぞれの特徴が複数を示し得ないことを意味しない点も言及する。
【国際調査報告】