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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ナット構造及び電動弁
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/20 20060101AFI20240709BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20240709BHJP
   F16K 31/04 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F16H25/20 H
F16H25/24 B
F16K31/04 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023571807
(86)(22)【出願日】2023-02-08
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2023075060
(87)【国際公開番号】W WO2023165306
(87)【国際公開日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】202220476600.5
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202220482141.1
(32)【優先日】2022-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515266108
【氏名又は名称】浙江盾安人工環境股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Zhejiang DunAn Artificial Environment Co., Ltd
【住所又は居所原語表記】Diankou Industry Zone, Zhuji, Zhejiang, China
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100108213
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 豊隆
(72)【発明者】
【氏名】黄 鴻峰
(72)【発明者】
【氏名】▲ザン▼ 少軍
(72)【発明者】
【氏名】趙 俊
【テーマコード(参考)】
3H062
3J062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062BB30
3H062CC01
3H062EE06
3J062AB24
3J062BA01
3J062BA16
3J062CD03
3J062CD47
3J062CD54
3J062CD64
3J062CD79
3J062CG83
(57)【要約】
本出願は、ナット本体と、ナット本体の外周面に突設され、且つ止め面及び係合面を有する制限構造と、ナット本体の外周面に設けられ、制限構造の係合面を有する側に位置し、一端が係合面を起点とする又は係合面の延在方向を起点とするスパイラルガイド溝と、スパイラルガイド溝内に回転可能に設けられ、止め面に止め嵌めされる止め輪と、を含むナット構造及び電動弁を提供している。この態様を用いると、止め輪をナット本体に組み付ける過程で、係合面は、止め輪の取り付けをガイドする役割を果たし、止め輪のスパイラルガイド溝に近接した一端は、係合面の延在方向に沿ってスパイラルガイド溝内に直接入るため、止め輪の取り付け精度及び取り付け効率を向上させる。止め輪は、止め面に止め嵌めされて、止め輪のスパイラルガイド溝内での移動範囲を制限し、ナット構造の信頼性を確保する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナット本体(10)と、
前記ナット本体(10)の外周面に突設され、且つ止め面(21)及び係合面(22)を有する制限構造(20)と、
前記ナット本体(10)の外周面に設けられ、前記制限構造(20)の前記係合面(22)を有する側に位置し、一端が前記係合面(22)を起点とする又は前記係合面(22)の延在方向を起点とするスパイラルガイド溝(30)と、
前記スパイラルガイド溝(30)内に回転可能に設けられ、前記止め面(21)に止め嵌めされる止め輪(40)と、
を含む、ナット構造。
【請求項2】
前記係合面(22)は、第1ガイド面(221)を含み、
前記第1ガイド面(221)は、前記ナット本体(10)の径方向に対して傾斜して設けられ、
前記第1ガイド面(221)の傾斜方向は、前記止め輪(40)を取り付ける際に前記止め輪(40)をガイドするように、前記スパイラルガイド溝(30)の螺旋方向と同じである、請求項1に記載のナット構造。
【請求項3】
前記制限構造(20)は、底面(23)を更に有し、
前記底面(23)は、前記ナット本体(10)の前記スパイラルガイド溝(30)を有する側に位置し、
前記底面(23)の両端は、前記止め面(21)と、前記第1ガイド面(221)にそれぞれ接続される、請求項2に記載のナット構造。
【請求項4】
前記底面(23)は、前記ナット本体(10)の軸線に対して垂直に設けられ、
前記第1ガイド面(221)及び前記底面(23)に垂直な投影面において、前記第1ガイド面(221)と前記底面(23)との接続位置を点Aとし、前記底面(23)と、前記第1ガイド面(221)の前記点Aを通る接線と、の夾角をqとすると、90°≦q≦180°である、請求項3に記載のナット構造。
【請求項5】
前記接線に垂直な方向における前記制限構造(20)の最大幅をdとすると、0.5mm≦d≦1mmである、請求項4に記載のナット構造。
【請求項6】
前記スパイラルガイド溝(30)は、予め設けられた螺線に沿って延在し、
前記止め面(21)に垂直で、前記ナット本体(10)の軸線に平行な投影面において、前記止め面(21)と前記螺線とは夾角Cを形成し、60°≦C≦100°である、請求項3に記載のナット構造。
【請求項7】
前記制限構造(20)は、前記底面(23)に対向して設けられる頂面(24)を更に有し、
前記係合面(22)は、前記第1ガイド面(221)に接続される第2ガイド面(222)を更に含み、
前記頂面(24)の両端は、前記止め面(21)と、前記第2ガイド面(222)と、にそれぞれ接続される、請求項3に記載のナット構造。
【請求項8】
前記頂面(24)は、前記ナット本体(10)の径方向に対して傾斜して設けられ、
前記頂面(24)の傾斜方向は、前記スパイラルガイド溝(30)の螺旋方向と同じである、請求項7に記載のナット構造。
【請求項9】
前記底面(23)は、前記ナット本体(10)の径方向に対して平行に設けられ、
前記頂面(24)と前記底面(23)とは夾角αを形成し、5°≦α≦15°である、請求項8に記載のナット構造。
【請求項10】
前記第1ガイド面(221)は、順に接続される第1弧状セグメント(2211)、直線セグメント(2212)及び第2弧状セグメント(2213)を含み、
前記第1弧状セグメント(2211)は、前記第2ガイド面(222)に接続され、
前記第2弧状セグメント(2213)は、前記底面(23)に接続され、
前記直線セグメント(2212)と前記底面(23)とは夾角βを形成し、10°≦β≦50°である、請求項7に記載のナット構造。
【請求項11】
前記止め輪(40)は、螺旋部材(41)を含み、
前記螺旋部材(41)は、螺旋構造であり、前記スパイラルガイド溝(30)内に回転可能に設けられ、前記螺旋部材(41)の螺旋巻き回数をnとすると、n≧2である、請求項1に記載のナット構造。
【請求項12】
前記螺旋部材(41)の断面直径をeとすると、0.8mm≦e≦1.0mmである、請求項11に記載のナット構造。
【請求項13】
前記螺旋部材(41)のピッチをLとすると、1.3mm≦L≦1.5mmである、請求項11に記載のナット構造。
【請求項14】
係合板(70)を更に含み、
前記係合板(70)は、前記ナット本体(10)に嵌合され、
前記スパイラルガイド溝(30)は、前記制限構造(20)の前記係合板(70)に向いた側に位置する、請求項11に記載のナット構造。
【請求項15】
前記ナット本体(10)に設けられる第2制限構造(60)を更に含み、
前記止め輪(40)の一端は、前記制限構造(20)に止め嵌めされ、
前記止め輪(40)の他端は、前記第2制限構造(60)に止め嵌めされる、請求項11に記載のナット構造。
【請求項16】
前記止め輪(40)は、前記螺旋部材(41)の一端に接続されるフック(42)を更に含み、
前記フック(42)は、前記第2制限構造(60)に止め嵌めされ、
前記螺旋部材(41)の他端は、前記制限構造(20)に止め嵌めされる、請求項15に記載のナット構造。
【請求項17】
前記ナット本体(10)、前記制限構造(20)及び前記第2制限構造(60)は、一体構造である、請求項15に記載のナット構造。
【請求項18】
弁体アセンブリ(50)と、請求項1から17のいずれか一項に記載のナット構造と、を含み、
前記ナット構造は、前記弁体アセンブリ(50)内に位置する、
電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年3月4日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202220476600.5であり、発明創造の名称が「ナット構造及び電動弁」である特許出願の優先権を主張しており、2022年3月4日に中国国家知識産権局に提出された、出願番号が202220482141.1であり、発明創造の名称が「ナット構造及び電動弁」である特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本出願は電動弁の技術分野に関し、具体的には、ナット構造及び電動弁に関する。
【背景技術】
【0003】
従来技術における電動弁のナット構造は、止め輪をナット本体に組み付ける過程で、止め輪が制限構造の角部等に衝突して摩擦が発生して、止め輪又は制限構造が損傷してしまうことがあり、止め輪をスパイラルガイド溝にねじ込む際に、止め輪がスパイラルガイド溝の縁等に衝突するのを防止するためには、止め輪の移動を手動でガイドする必要があるが、手動ガイドはガイド効果及び効率が低いため、ナット構造の組み立て効率及び組み立て効果が低下する。
【発明の概要】
【0004】
本出願は、従来技術における止め輪の取り付け効率及び取り付け精度を向上させるためのナット構造及び電動弁を提供している。
【0005】
上述の目的を達成するために、本出願の一態様によれば、本出願は、ナット本体と、ナット本体の外周面に突設され、且つ止め面及び係合面を有する制限構造と、ナット本体の外周面に設けられ、制限構造の係合面を有する側に位置し、一端が係合面を起点とする又は係合面の延在方向を起点とするスパイラルガイド溝と、スパイラルガイド溝内に回転可能に設けられ、止め面に止め嵌めされる止め輪と、を含むナット構造を提供している。
【0006】
更に、係合面は第1ガイド面を有し、第1ガイド面はナット本体の径方向に対して傾斜して設けられ、第1ガイド面の傾斜方向は、止め輪を取り付ける際に止め輪をガイドするように、スパイラルガイド溝の螺旋方向と同じである。
【0007】
更に、制限構造は底面を更に有し、底面はナット本体のスパイラルガイド溝を有する側に位置し、底面の両端は、止め面と、第1ガイド面と、にそれぞれ接続される。
【0008】
更に、底面は、ナット本体の軸線に対して垂直に設けられ、第1ガイド面及び底面に垂直な投影面において、第1ガイド面と底面との接続位置を点Aとし、底面と、第1ガイド面の点Aを通る接線と、の夾角をqとすると、90°≦q≦180°である。
【0009】
更に、接線に垂直な方向における制限構造の最大幅をdとすると、0.5mm≦d≦1mmである。
【0010】
更に、スパイラルガイド溝は、予め設けられた螺線に沿って延在し、止め面に垂直で、ナット本体の軸線に平行な投影面において、止め面と螺線とは夾角Cを形成し、60°≦C≦100°である。
【0011】
更に、制限構造は、底面に対向して設けられる頂面を更に有し、係合面は第1ガイド面に接続される第2ガイド面を更に含み、頂面の両端は、止め面と、第2ガイド面と、にそれぞれ接続される。
【0012】
更に、頂面は、ナット本体の径方向に対して傾斜して設けられ、頂面の傾斜方向はスパイラルガイド溝の螺旋方向と同じである。
【0013】
更に、底面は、ナット本体の径方向に対して平行に設けられ、頂面と底面とは夾角αを形成し、5°≦α≦15°である。
【0014】
更に、第1ガイド面は、順に接続される第1弧状セグメント、直線セグメント及び第2弧状セグメントを含み、第1弧状セグメントは第2ガイド面に接続され、第2弧状セグメントは底面に接続され、直線セグメントと底面とは夾角βを形成し、10°≦β≦50°である。
【0015】
本出願の別の態様によれば、弁体アセンブリ及び上述のナット構造を含み、ナット構造は弁体アセンブリ内に位置する、電動弁を提供している。
【0016】
本出願の技術態様を適用すると、ナット本体と、ナット本体の外周面に突設され、且つ止め面及び係合面を有する制限構造と、ナット本体の外周面に設けられ、制限構造の係合面を有する側に位置し、一端が係合面を起点とする又は係合面の延在方向を起点とするスパイラルガイド溝と、スパイラルガイド溝内に回転可能に設けられ、止め面に止め嵌めされる止め輪と、を含むナット構造を提供している。この態様を用いると、止め輪をナット本体に組み付ける過程で、係合面が止め輪の取り付けをガイドする役割を果たし、具体的には、止め輪のスパイラルガイド溝に近接した一端が係合面の延在方向に沿ってスパイラルガイド溝内に直接入るため、従来技術において、止め輪の取り付けを手動でガイドすることによって止め輪又はスパイラルガイド溝が損傷しやすくなることを回避し、止め輪の取り付け精度及び取り付け効率を向上させる。止め輪の組み立て完了後、止め輪の制限構造に近接した一端と止め面とを止め嵌めして、止め輪のスパイラルガイド溝内での移動範囲を制限すると同時に、止め輪が移動過程でスパイラルガイド溝から抜けるのを防止し、ナット構造の信頼性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本出願の一部を構成する明細書の図面は、本出願に対する更なる理解を提供するためのものであり、本出願の模式的な実施例及びその説明は、本出願を解釈するためのものであり、本出願を不適切に限定するものではない。
【0018】
図1】本出願の実施例によって提供されるナット構造の構成模式図を示す。
図2図1のナット構造のナット本体及びスパイラルガイド溝の構成模式図を示す。
図3図2で選択された位置の拡大図を示す。
図4図3の寸法記入図を示す。
図5】本出願の実施例によって提供されるナット構造の別の模式図を示す。
図6図5のナット構造の正面図を示す。
図7図5のナット構造における止め輪の構成模式図を示す。
図8図5のナット構造において止め輪が第2制限構造に当接する模式図を示す。
図9】本出願の別の実施例によって提供される電動弁の構成模式図を示す。
【0019】
ここで、上述の図面には以下の符号が含まれる。
10 ナット本体、
20 制限構造、21 止め面、22 係合面、221 第1ガイド面、2211 第1弧状セグメント、2212 直線セグメント、2213 第2弧状セグメント、222 第2ガイド面、23 底面、24 頂面、
30 スパイラルガイド溝、
40 止め輪、41 螺旋部材、42 フック、
50 弁体アセンブリ、
60 第2制限構造、
70 係合板。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本出願の実施例における図面を参照して本出願の実施例における技術態様について明確且つ完全に説明するが、説明される実施例は本出願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことは明らかである。本出願における実施例に基づいて、当業者が創造的な労力なしに得られる全ての他の実施例は、いずれも本出願の保護の範囲に属する。
【0021】
図1から図8に示すように、本出願の実施例は、ナット本体10と、ナット本体10の外周面に突設され、且つ止め面21及び係合面22を有する制限構造20と、ナット本体10の外周面に設けられ、制限構造20の係合面22を有する側に位置し、一端が係合面22を起点とする又は係合面22の延在方向を起点とするスパイラルガイド溝30と、スパイラルガイド溝30内に回転可能に設けられ、止め面21に止め嵌めされる止め輪40と、を含むナット構造を提供している。
【0022】
本実施例では、止め輪40をナット本体10に組み付ける過程で、係合面22が止め輪40の取り付けをガイドする役割を果たし、具体的には、止め輪40のスパイラルガイド溝30に近接した一端が係合面22の延在方向に沿ってスパイラルガイド溝30内に直接入るため、従来技術において、止め輪の取り付けを手動でガイドすることによって止め輪又はスパイラルガイド溝が損傷しやすくなることを回避し、止め輪40の取り付け精度及び取り付け効率を向上させる。止め輪40の組み立て完了後、止め輪40の制限構造20に近接した一端と止め面21とを止め嵌めして、止め輪40のスパイラルガイド溝30内での移動範囲を制限すると同時に、止め輪40が移動過程でスパイラルガイド溝30から抜けるのを防止し、ナット構造の信頼性を確保する。
【0023】
図2及び図3に示すように、係合面22は第1ガイド面221を有し、第1ガイド面221はナット本体10の径方向に対して傾斜して設けられ、第1ガイド面221の傾斜方向は、止め輪40を取り付ける際に止め輪40をガイドするように、スパイラルガイド溝30の螺旋方向と同じである。
【0024】
このようにすると、第1ガイド面221によって止め輪40の取り付けをガイドすることによって、スパイラルガイド溝30に入る前の、止め輪40のスパイラルガイド溝30に近接した側の傾斜方向が螺旋方向と同じになり、止め輪40がスパイラルガイド溝30に入りやすくなり、従来技術において、止め輪40のスパイラルガイド溝30に近接した側の軸線とスパイラルガイド溝30の螺旋方向との夾角が大きすぎるために、止め輪40がスパイラルガイド溝30に入る際に、止め輪40がスパイラルガイド溝30に衝突して摩擦が発生して、止め輪40又はスパイラルガイド溝30が損傷してしまうことを回避し、止め輪40の取り付け信頼性及び取り付け精度を確保する。
【0025】
具体的には、制限構造20は底面23を更に有し、底面23はナット本体10のスパイラルガイド溝30を有する側に位置し、底面23の両端は、止め面21と、第1ガイド面221と、にそれぞれ接続される。具体的には、底面23はナット本体10の径方向に沿って延在する。
【0026】
図3及び図4に示すように、底面23は、ナット本体10の軸線に対して垂直に設けられ、第1ガイド面221及び底面23に垂直な投影面において、第1ガイド面221と底面23との接続位置を点Aとし、底面23と、第1ガイド面221の点Aを通る接線と、の夾角をqとすると、90°≦q≦180°である。このようにすると、止め輪40の組み付けに有利になる。具体的には、係合面22は、接線と底面とによって形成される領域内に位置し、q<90°又はq>180°であると、係合面22の延在方向とスパイラルガイド溝30の螺旋方向とが逆になり、止め輪40を組み付けることができなくなる。qを90°~180°に限定することによって、係合面22の延在方向とスパイラルガイド溝30の螺旋方向とが同じであることを確保することができ、止め輪40を係合面22の延在方向に沿ってスパイラルガイド溝30に組み付けやすくなり、止め輪40の取り付け信頼性を確保する。
【0027】
具体的には、接線に垂直な方向における制限構造20の最大幅をdとすると、0.5mm≦d≦1mmである。本実施例では、止め輪40は、互いに接続された螺旋部材及びフックを含み、最大幅dを限定することによって、dが大きすぎるために、螺旋部材のピッチ領域内に制限構造20を収容することができなくなること、又は螺旋部材のピッチが押し伸ばされ、ひいては押し伸ばされることで壊れることを防止すると同時に、dが小さすぎるために、制限構造20の、止め輪40の取り付けに対するガイドの役割が不明瞭になることを防止する。本実施例では、dの上限及び下限を限定することによって、止め輪40の取り付けに対するガイドが容易になり、止め輪40の取り付け信頼性を確保する。
【0028】
更に、スパイラルガイド溝30は、予め設けられた螺線に沿って延在し、止め面21に垂直で、ナット本体10の軸線に平行な投影面において、止め面21と螺線とは夾角Cを形成し、60°≦C≦100°である。
【0029】
本実施例では、Cが制限され、即ち、螺線に対する制限構造20の回転が制限されるが、C>100°であると、止め面21がスパイラルガイド溝の螺旋方向と同じ方向、ひいては平行になるため、止め輪40が止め面21に沿って、制限構造20の上からスパイラルガイド溝30から抜けてしまい、C<60°であると、止め面21がスパイラルガイド溝30に近接した側に向かって回転して、スパイラルガイド溝30と鋭角を形成するが、この場合、止め面21は止めの役割を果たすことができず、頂面24は、制限構造20の回転によって止め面21が位置していた位置まで回転し、頂面24の延在方向がスパイラルガイド溝の螺旋方向と同じになり、ひいては平行になり、止め輪40が頂面24に沿って、制限構造20の上からスパイラルガイド溝30から抜けてしまう。本実施例では、Cの両端の範囲を制限することによって、止め輪40が制限構造20によって止められている過程で、スパイラルガイド溝30から抜けるのを効果的に防止し、止め輪40に対する制限構造20の止めの信頼性を確保している。
【0030】
図3に示すように、制限構造20は、底面23に対向して設けられる頂面24を更に有し、係合面22は、第1ガイド面221に接続される第2ガイド面222を更に含み、頂面24の両端は、止め面21と、第2ガイド面222と、にそれぞれ接続される。
【0031】
本実施例では、第2ガイド面222は、ナット本体10の軸線方向に沿って延在するように設けられ、止め輪40の取り付けに対するガイドを補助する役割を果たす。同時に、第2ガイド面222を設けることによって、制限構造20の第1ガイド面221側の構造強度を増加し、制限構造20の信頼性を確保する。
【0032】
具体的には、頂面24は、ナット本体10の径方向に対して傾斜して設けられ、頂面24の傾斜方向はスパイラルガイド溝30の螺旋方向と同じである。このようにすると、頂面24が止め輪40の取り付けをガイドすることによって、頂面24と係合面22とによって形成される夾角が大きすぎるために、止め輪40が押し伸ばされることで壊れることを防止し、止め輪40の取り付け信頼性を確保する。
【0033】
図3及び図4に示すように、底面23は、ナット本体10の径方向に対して平行に設けられ、頂面24と底面23とは夾角αを形成し、5°≦α≦15°である。このようにすると、αの角度が小さすぎるために、止め輪40が頂面24と止め面21との接続位置にしか接触することができず、頂面24がガイドの役割を果たすことができなくなることを防止するか、又はαの角度が大きすぎるために、止め輪40が頂面24と係合面22との接続位置にしか接触することができず、頂面24がガイドの役割を果たすことができなくなることを防止する。止め輪40の取り付けに対する頂面24のガイドの信頼性を確保している。
【0034】
具体的には、第1ガイド面221は、順に接続される第1弧状セグメント2211、直線セグメント2212及び第2弧状セグメント2213を含み、第1弧状セグメント2211は第2ガイド面222に接続され、第2弧状セグメント2213は底面23に接続され、直線セグメント2212と底面23とは夾角βを形成し、10°≦β≦50°である。このようにすると、βの角度が小さすぎる又は大きすぎるために、直線セグメント2212の延在方向とスパイラルガイド溝30の螺旋方向との角度が大きくなりすぎることを回避し、止め輪40が直線セグメント2212のガイドによってスパイラルガイド溝30内にスムーズに入ることができるようにし、止め輪40の取り付け信頼性を確保する。
【0035】
図5から図8に示すように、止め輪40は螺旋部材41を含み、螺旋部材41は、螺旋構造であり、スパイラルガイド溝30内に回転可能に設けられ、螺旋部材41の螺旋巻き回数をnとすると、n≧2である。本実施例では、螺旋部材41の螺旋巻き回数nを限定することによって、従来技術において、止め輪40がスパイラルガイド溝30の軸方向に沿って回転する過程で、螺旋部材41の螺旋巻き回数が小さすぎるために、螺旋部材41とスパイラルガイド溝30との接触面積が小さくなり、特に、止め輪40がスパイラルガイド溝30の両端に移動してきた場合、一部の螺旋部材41がスパイラルガイド溝30内に位置し、他の部分がスパイラルガイド溝30外に位置することによって、螺旋部材41とスパイラルガイド溝30との接触面積が更に小さくなって、螺旋部材41がスパイラルガイド溝30から抜けやすくなることを回避し、止め輪40のスパイラルガイド溝30内での移動の信頼性を確保し、更にはナット構造の信頼性を確保する。
【0036】
図6に示すように、螺旋部材41の断面直径をeとすると、0.8mm≦e≦1.0mmである。このようにすると、螺旋部材41の直径eに対する限定によって、螺旋部材41とスパイラルガイド溝30との接触面積が大きくなる。e>1.0mmであると、螺旋部材41の大半がスパイラルガイド溝30外に位置するため、螺旋部材41自身がスパイラルガイド溝30内に位置する面積が小さくなって、移動過程で抜けやすくなり、e<0.8mmであると、螺旋部材41の大半又は全体がスパイラルガイド溝30内に位置するため、螺旋部材41がスパイラルガイド溝30内で移動する過程で、スパイラルガイド溝30の弧状面に沿ってがたつきやすくなり、螺旋部材41がスパイラルガイド溝30から抜けてしまうため、上述のパラメータ制限によって、止め輪40のスパイラルガイド溝30内での移動の信頼性を確保し、ナット構造の信頼性を確保することができる。
【0037】
図7に示すように、螺旋部材41のピッチをLとすると、1.3mm≦L≦1.5mmである。このようにすると、螺旋部材41とスパイラルガイド溝30とに押し付けが発生して、螺旋部材41又はスパイラルガイド溝が損傷することを防止する。具体的には、螺旋部材41のピッチLが小さすぎると、螺旋部材41をスパイラルガイド溝30に組み付ける過程で、スパイラルガイド溝30の隣り合う2つの巻き間の距離による制限によって、螺旋部材41がナット本体10の軸線方向に沿って外向きの張力を受けるため、螺旋部材41が膨張して損傷してしまい、螺旋部材41のピッチLが大きすぎると、螺旋部材41をスパイラルガイド溝30に組み付ける過程で、スパイラルガイド溝30の隣り合う2つの巻き間の距離による制限によって、螺旋部材41がナット本体10の軸線方向に沿って内向きの収縮力を受けるため、螺旋部材41が押し付けられて損傷してしまう。
【0038】
具体的には、スパイラルガイド溝30は、ナット本体10の外周面に位置する螺旋状の凹溝である。このようにすると、スパイラルガイド溝30をナット本体10の外周面に直接設けることによって、従来技術における、ナット本体、止め輪及び制限バネの組み立てが複雑であるという問題を回避し、制限バネを再び取り付ける必要がなく、取り付け過程が簡素化され、止め輪40及びナット本体10の自動取り付けの実現が容易になり、ナット構造の生産効率が更に向上する。
【0039】
選択的には、本態様は、従来技術における、制限バネを有するナット構造にも適用することができるが、この場合のスパイラルガイド溝は、ナット本体の外周面に嵌合される制限バネとナット本体の外周面との間に形成される螺旋領域となる。
【0040】
図1から図8に示すように、ナット構造は、ナット本体10に設けられる制限構造20を含み、止め輪40の一端は制限構造20に止め嵌めされる。このようにすると、制限構造20がナット本体10の軸線方向に沿った一方向への止め輪40の移動を制限することによって、止め輪40がスパイラルガイド溝30から完全に抜けるのを防止し、ナット構造の信頼性を確保する。
【0041】
具体的には、ナット構造は係合板70を更に含み、係合板70はナット本体10に嵌合され、スパイラルガイド溝30は、制限構造20の係合板70に向いた側に位置する。このようにすると、係合板70によってナット本体10と弁体アセンブリ50との接続を実現し、接続の信頼性を確保する。
【0042】
図6及び図8に示すように、ナット構造は、ナット本体10に設けられる第2制限構造60を更に含み、止め輪40の他端は第2制限構造60に止め嵌めされる。このようにすると、第2制限構造60がナット本体10の軸線方向に沿った別の方向への止め輪40の移動を制限することによって、止め輪40がスパイラルガイド溝30から完全に抜けるのを防止し、ナット構造の信頼性を確保する。
【0043】
具体的には、スパイラルガイド溝30は、制限構造20と第2制限構造60との間に位置し、図6に示すように、制限構造20は、止め輪40の、ナット本体10の軸線に沿った上向きの移動を制限し、第2制限構造60は、止め輪40の、ナット本体10の軸線に沿った下向きの移動を制限し、止め輪40の螺旋部材41の巻き回数を2回以上に設計して、制限構造20が止め輪40を上止めして制限する際に、少なくとも1巻きの螺旋部材がスパイラルガイド溝30に完全に位置することができるようにし、止め輪40が制限構造20に止められている場合、一部の螺旋部材41がスパイラルガイド溝30内に位置するか、又は螺旋部材41が全部スパイラルガイド溝30から抜けてしまって、止め輪40がスパイラルガイド溝30から抜けるのを防止する。
【0044】
図7及び図8に示すように、止め輪40は、螺旋部材41の一端に接続されるフック42を更に含み、フック42は第2制限構造60に止め嵌めされ、螺旋部材41の他端は制限構造20に止め嵌めされる。このようにすると、フック42が第2制限構造60に止め嵌めされることによって、螺旋部材41の下端が第2制限構造60に止め衝突する過程で、粉末が発生しない又は少量の粉末が発生することを確保し、止め衝突によって発生する粉末がスパイラルガイド溝30に入ってきて、螺旋部材41のスパイラルガイド溝30内での移動を妨害することを防止し、ナット構造の性能を確保する。
【0045】
選択的には、螺旋部材41の断面直径はフック42の断面直径と等しく、フック42は、ナット本体10の径方向に沿って、ナット本体10の外周面から離れる方向に向かって延在する。
【0046】
具体的には、ナット本体10、制限構造20及び第2制限構造60は一体構造である。このようにすると、制限構造20、第2制限構造60及びナット本体10の一体加工成形が容易になり、加工コストが削減され、ナット構造の生産効率が向上する。
【0047】
選択的には、制限構造20及び第2制限構造60は、いずれもナット本体10の外周面から突出して設けられる制限カムである。
【0048】
図9に示すように、本出願の別の実施例は、弁体アセンブリ50及び上述のナット構造を含み、ナット構造は弁体アセンブリ50内に位置する、電動弁を提供している。
【0049】
本実施例では、ナット構造における止め輪40をナット本体10に組み付ける過程で、係合面22は、止め輪40の取り付けをガイドする役割を果たし、具体的には、止め輪40のスパイラルガイド溝30に近接した一端は、係合面22の延在方向に沿ってスパイラルガイド溝30内に直接入るため、止め輪40の取り付け精度及び取り付け効率を向上させる。止め輪40の組み立て完了後、止め輪40の制限構造20に近接した一端と止め面21とを止め嵌めして、止め輪40のスパイラルガイド溝30内での移動範囲を制限すると同時に、止め輪40が移動過程でスパイラルガイド溝30から抜けるのを防止し、ナット構造の信頼性を確保し、電動弁の信頼性を更に確保する。
【0050】
また、本実施例では、電動弁におけるナット構造の螺旋部材41の螺旋巻き回数nを限定することによって、螺旋部材41がスパイラルガイド溝30から抜けやすくなることを回避し、止め輪40のスパイラルガイド溝30内での移動の信頼性を確保し、ナット構造の信頼性を確保し、更には電動弁の信頼性を確保する。
【0051】
上述したものは、本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願を制限するためのものではなく、当業者にとって本出願は様々な変更及び変化が可能である。本出願の精神及び原則の範囲内でなされたいかなる修正、同等の置換、改良等はいずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】