(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】画像差別化マルチプレックスアッセイのための磁性マイクロキャリア
(51)【国際特許分類】
G01N 33/543 20060101AFI20240709BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240709BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20240709BHJP
B32B 27/18 20060101ALI20240709BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240709BHJP
B82Y 5/00 20110101ALI20240709BHJP
B82Y 40/00 20110101ALI20240709BHJP
C12M 1/00 20060101ALN20240709BHJP
C12Q 1/68 20180101ALN20240709BHJP
【FI】
G01N33/543 541A
G01N33/543 575
G01N33/53 M
G01N33/53 D
G01N33/53 Y
G01N33/53 N
G01N33/53 Z
G01N33/569 G
G01N33/569 B
B32B27/18 H
G01N21/64 E
B82Y5/00
B82Y40/00
C12M1/00 A
C12Q1/68
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573096
(86)(22)【出願日】2022-05-26
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022031049
(87)【国際公開番号】W WO2022251437
(87)【国際公開日】2022-12-01
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516250683
【氏名又は名称】プレックスバイオ カンパニー, リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ツァオ, ディーン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュアン, チン-ショウ
(72)【発明者】
【氏名】リン, チェン-ツェー
(72)【発明者】
【氏名】ウー, チェン-テ
(72)【発明者】
【氏名】ルー, フェンカン
【テーマコード(参考)】
2G043
4B029
4B063
4F100
【Fターム(参考)】
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(57)【要約】
マルチプレックスアッセイにおける被分析物検出用のコード化されたマイクロキャリアを本明細書に提供する。マイクロキャリアは、識別用のアナログコードでコード化されており、被分析物検出用の捕捉剤および実質的に透明な磁性ポリマーを含む。アナログコードは、実質的に不透明な層の二次元形状によって生成される。また、本明細書に開示されるコード化されたマイクロキャリアを作製する方法も提供する。本明細書に記載のマイクロキャリアを使用してマルチプレックスアッセイを実行するための方法およびキットをさらに提供する。
【選択図】
図1D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コード化されたマイクロキャリアであって、
(a)第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面および第2の表面が互いに平行である実質的に透明な磁性ポリマー層であって、実質的に透明な磁性ポリマーは、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層;
(b)実質的に不透明な層であって、実質的に不透明な層は、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面に貼り付けられており、実質的に不透明な層の輪郭は、アナログコードを表す二次元形状を構成する、実質的に不透明な層;ならびに
(c)被分析物を捕捉するための捕捉剤であって、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面および第2の表面のうち少なくとも一方に連結されている、捕捉剤、
を含む、コード化されたマイクロキャリア。
【請求項2】
磁性ナノ粒子が、超常磁性である、請求項1に記載のマイクロキャリア。
【請求項3】
磁性ナノ粒子は、直径が約30nm未満であり、直径が約3nm以上である、請求項1または請求項2に記載のマイクロキャリア。
【請求項4】
複数の磁性ナノ粒子が、約10%(重量)未満かつ約0.1%(重量)超の、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項5】
実質的に透明な磁性ポリマー層が、厚さ約0.1μmと約50μmの間である、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項6】
実質的に透明なポリマーが、エポキシ系ポリマーである、請求項1から5のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項7】
エポキシ系ポリマーが、SU-8である、請求項6に記載のマイクロキャリア。
【請求項8】
実質的に不透明な層が、実質的に不透明なポリマーを含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項9】
実質的に不透明な層が、ブラックマトリックスレジストを含む、請求項8に記載のマイクロキャリア。
【請求項10】
実質的に不透明なポリマーが、約230nmと約660nmの間の波長で約1.8(OD)超の吸光度を示す、請求項8に記載のマイクロキャリア。
【請求項11】
実質的に不透明な層が、残留磁気を欠いている金属を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項12】
実質的に不透明な層が、チタンまたはクロムを含む、請求項11に記載のマイクロキャリア。
【請求項13】
実質的に不透明な層が、厚さ約0.05μmと約2μmの間である、請求項1から12のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項14】
アナログコードが、連続または不連続の環を形成する1つまたは複数の、重複するまたは部分的に重複する円弧要素を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項15】
実質的に不透明な層のアナログコードを方向付けるための方向インジケータをさらに含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項16】
方向インジケータが、実質的に不透明な層の非対称性を含む、請求項15に記載のマイクロキャリア。
【請求項17】
マイクロキャリアが、実質的に円形のディスクである、請求項1から16のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項18】
マイクロキャリアが、直径約5μmと約200μmの間である、請求項1から17のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項19】
マイクロキャリアが、直径約40μmである、請求項18に記載のマイクロキャリア。
【請求項20】
マイクロキャリアが、厚さ約50μm未満である、請求項1から19のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項21】
マイクロキャリアが、厚さ約2μmと約10μmの間である、請求項20に記載のマイクロキャリア。
【請求項22】
マイクロキャリアが、厚さ約5μmである、請求項21に記載のマイクロキャリア。
【請求項23】
被分析物が、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される、請求項1から22のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項24】
被分析物を捕捉するための捕捉剤が、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される、請求項1から23のいずれか一項に記載のマイクロキャリア。
【請求項25】
コード化されたマイクロキャリアを作製する方法であって、
(a)第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面および第2の表面が互いに平行である実質的に不透明な層を堆積させること;
(b)堆積された実質的に不透明な層を、アナログコードを表す二次元形状にパターニングすること;
(c)堆積された実質的に不透明な層の第1の表面上に、実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させることであって、実質的に透明な磁性ポリマー層は、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させること;ならびに
(d)堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層を、マイクロキャリア形状にパターニングすること、を含む方法。
【請求項26】
(a)が、実質的に不透明な層を犠牲層上に堆積させることを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
実質的に不透明な層が、リソグラフィによって堆積され、パターニングされる、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
堆積された実質的に不透明な層が、リフトオフプロセスによって堆積され、パターニングされる、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
(a)の前に、犠牲層上に第2のポリマー層を堆積させること;
(a)の前に、堆積された第2のポリマー層にマスクを適用し、それにより、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分と、堆積された第2のポリマー層のマスクされていない部分とを生成すること;
(a)の前に、堆積されマスクされた第2のポリマー層に光を当てることであって、光は、堆積された第2のポリマー層のマスクされていない部分を除去するのに十分な波長のものである、光を当てること;
をさらに含み、
(a)は、実質的に不透明な層を、犠牲層、および堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上に堆積させることを含み;
(b)は、堆積された第2のポリマー層を除去し、それにより、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上の堆積された実質的に不透明な層を除去することによって、堆積された実質的に不透明な層をパターニングすることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第2のポリマー層が、スピンコーティングによって堆積される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
(a)~(d)の前に、基材キャリア上に犠牲層を堆積させることをさらに含む、請求項26から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(a)~(d)の後に、犠牲層をエッチングすることをさらに含む、請求項26から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
(c)の前に、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤を混合して、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を形成することをさらに含む、請求項25から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
実質的に透明なポリマーのモノマーと混合する前に、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤を混合して、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を形成する、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
分散剤が、10%の、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
複数の磁性ナノ粒子が、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物の2.5%を構成する、請求項33から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
溶媒がシクロペンタノンを含む、請求項33から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
分散剤がリン酸ポリマーを含む、請求項33から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
リン酸ポリマーがカルボキシル-PEG-リン酸を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
実質的に透明な磁性ポリマー層が、スピンコーティングまたはスプレーコーティングによって堆積される、請求項25から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層が、フォトリソグラフィー、リフトオフ、またはスパッタリングによってパターニングされる、請求項25から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
被分析物を捕捉するための捕捉剤を、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面および第2の表面のうち少なくとも一方に連結することをさらに含む、請求項25から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
捕捉剤を連結することが、
実質的に透明な磁性ポリマー層の実質的に透明なポリマーを光酸発生剤および光と反応させて架橋ポリマーを生成することであって、光は、光酸発生剤を活性化する波長のものである、架橋ポリマーを生成すること;
架橋ポリマーのエポキシドを、アミンおよびカルボキシルを含む化合物と反応させることであって、化合物のアミンをエポキシドと反応させて、化合物が連結した架橋ポリマーを形成する、架橋ポリマーのエポキシドを反応させること;ならびに
化合物が連結した架橋ポリマーのカルボキシルを捕捉剤と反応させて、捕捉剤を実質的に透明な磁性ポリマー層に連結させること、を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
磁性ナノ粒子が、超常磁性である、請求項25から43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
磁性ナノ粒子は、直径が約30nm未満であり、直径が約3nm以上である、請求項25から44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
複数の磁性ナノ粒子が、約10%(重量)未満かつ約0.1%(重量)の、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む、請求項25から45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
実質的に透明な磁性ポリマー層は、厚さが約0.1μm~約50μmの間である、請求項25から46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
実質的に透明な磁性ポリマー層の実質的に透明なポリマーが、エポキシ系ポリマーである、請求項25から47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
エポキシ系ポリマーが、SU-8である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
実質的に不透明な層が、実質的に不透明なポリマーを含む、請求項25から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
実質的に不透明な層が、ブラックマトリックスレジストを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
実質的に不透明なポリマーが、約230nm~約660nmの間の波長で約1.8(OD)超の吸光度を示す、請求項50に記載の方法。
【請求項53】
実質的に不透明な層が、残留磁気を欠いている金属を含む、請求項25から49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
実質的に不透明な層が、チタンまたはクロムを含む、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
実質的に不透明な層が、厚さ約0.05μm~約2μmの間である、請求項25から54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
アナログコードが、連続または不連続の環を形成する1つまたは複数の、重複する、または部分的に重複する円弧要素を含む、請求項25から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
堆積された実質的に不透明な層を、非対称性を提供するようにパターニングする、請求項25から56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
マイクロキャリアを、(b)において実質的に円形のディスクにパターニングする、請求項25から57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
マイクロキャリアが、直径約5μmと約200μmの間である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
マイクロキャリアが、直径約40μmである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
マイクロキャリアが、厚さ約50μm未満である、請求項25から60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
マイクロキャリアが、厚さ約2μmと約10μmの間である、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
被分析物が、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される、請求項42から62のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
被分析物を捕捉するための捕捉剤が、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される、請求項42から63のいずれか一項に記載の方法。
【請求項65】
請求項25から64のいずれか一項に記載の方法によって製造される、コード化されたマイクロキャリア。
【請求項66】
溶液中の複数の被分析物を検出するための方法であって、
(a)第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させることであって、複数のマイクロキャリアは少なくとも:
(i)第1の被分析物を特異的に捕捉する、請求項1から24および65のいずれか一項に記載の第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および
(ii)第2の被分析物を特異的に捕捉する、請求項1から24および65のいずれか一項に記載の第2のマイクロキャリアであって、第2のアナログコードでコード化されており、第2のアナログコードは第1のアナログコードとは異なる、第2のマイクロキャリア、
を含む、第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させること;
(b)アナログ形状認識を用い、第1のアナログコードおよび第2のアナログコードをデコードして、第1のマイクロキャリアと第2のマイクロキャリアを識別すること;ならびに
(c)第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出すること、を含む方法。
【請求項67】
(b)を(c)の前に行う、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
(c)を(b)の前に行う、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
(b)および(c)を同時に行う、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
第1のアナログコードおよび第2のアナログコードをデコードすることが、
(i)第1および第2のマイクロキャリアの実質的に透明な磁性ポリマー層ならびに/または周囲の溶液に光を通過させることによって第1および第2のマイクロキャリアを照射することであって、光は、第1および第2のマイクロキャリアの実質的に不透明な層を通過できず、第1のマイクロキャリアに対応する第1のアナログコード化光パターンと、第2のマイクロキャリアに対応する第2のアナログコード化光パターンとを生成する、第1および第2のマイクロキャリアを照射すること;
(ii)第1のアナログコード化光パターンをイメージングして第1のアナログコード化画像を生成し、第2のアナログコード化光パターンをイメージングして第2のアナログコード化画像を生成すること;ならびに
(iii)アナログ形状認識を用いて、第1のアナログコード化画像を第1のアナログコードと照合し、第2のアナログコード化画像を第2のアナログコードと照合すること、を含む、請求項66から69のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出することが、 (i)(a)の後、第1および第2のマイクロキャリアを検出剤とともにインキュベートすることであって、検出剤は、第1のマイクロキャリアによって捕捉された第1の被分析物および第2のマイクロキャリアによって捕捉された第2の被分析物と結合する、第1および第2のマイクロキャリアをインキュベートすること;ならびに
(ii)第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を測定すること、を含む、請求項66から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
検出剤が蛍光性検出剤であり、第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を、蛍光顕微鏡法によって測定する、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
検出剤が発光性検出剤であり、第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を、発光顕微鏡法によって測定する、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
溶液が、生物学的試料を含む、請求項66から73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
生物学的試料が、血液、尿、痰、胆汁、脳脊髄液、皮膚または脂肪組織の間質液、唾液、涙、気管支肺胞洗浄、中咽頭分泌物、腸液、経膣部または子宮分泌物および精液からなる群から選択される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
複数のマイクロキャリアを含むマルチプレックスアッセイを実行するためのキットであって、複数のマイクロキャリアは少なくとも:
(a)第1の被分析物を特異的に捕捉する、請求項1から24および65のいずれか一項に記載の第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および
(b)第2の被分析物を特異的に捕捉する、請求項1から24および65のいずれか一項に記載の第2のマイクロキャリアであって、第2のアナログコードでコード化されており、第2のアナログコードは第1のアナログコードとは異なる、第2のマイクロキャリア、を含む、キット。
【請求項77】
第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出するための検出剤をさらに含む、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
第1の被分析物および第2の被分析物を検出するためにキットを使用するための説明書をさらに含む、請求項76または請求項77に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年5月26日出願の米国仮特許出願第63/193,338号の優先権の利益を主張するものであり、その全内容は全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書では、例えばマルチプレックスアッセイにおける被分析物検出に有用な、実質的に透明な磁性ポリマー層を有するコード化されたマイクロキャリア、ならびにそれを作製する方法および使用する方法、ならびにそれに関連するキットを提供する。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、被分析物を捕捉するための捕捉剤を含み、不透明層の二次元形状から作製されたアナログコードでコード化されている。
【背景技術】
【0003】
免疫学的および分子診断アッセイは、研究分野および臨床分野の両方で重要な役割を果たしている。多くの場合、研究または臨床上の意思決定を容易にするために、有意義な結果または結果の俯瞰図を得るために、複数の標的のパネルに対してアッセイを実行する必要がある。このことは、豊富な遺伝子マーカーおよび/またはバイオマーカーが、特定の病状に影響を与えるかまたは特定の病状を予測すると考えられている、ゲノミクスおよびプロテオミクスの時代に特に当てはまる。理論的には、複数の標的のアッセイは、異なる反応器内で各標的を並行して別々に、または連続的に試験することによって達成することができる(すなわち、複数のシングルプレックス)。しかし、シングルプレックス戦略を採用するアッセイは、多くの場合煩雑であるだけでなく、特に分析されるべき標的が多数である場合には、典型的には、大量の試料容量が必要になる。
【0004】
マルチプレックスアッセイでは、単一のアッセイで複数の被分析物(2つ以上)を同時にアッセイする。マルチプレックスアッセイは、多くの標本を一度に分析することができるハイスループットスクリーニング環境において一般的に使用される。多くの被分析物を同時に、かつ多くの標本を並行してアッセイする能力が、マルチプレックスアッセイの顕著な特徴であり、このようなアッセイが薬物発見から臨床的診断に対する機能的なゲノミクスまでの範囲の分野において強力なツールになっている理由である。シングルプレックスとは対照的に、同じ反応器内ですべての標的を組み合わせることによって、試料当たり1つの反応器のみを扱うため、アッセイの煩雑さがはるかに軽減され、はるかに実行しやすくなる。したがって、必要な検査試料の容量を劇的に削減することができ、このことは、試料(例えば、腫瘍組織、脳脊髄液、または骨髄)を大量に回収することが困難および/または侵襲的である場合に、特に重要である。同様に重要なのは、試薬コストを削減し、アッセイのスループットを劇的に増加することができるという事実である。
【0005】
複雑な巨大分子試料の多くのアッセイは、2つの工程から構成される。第1の工程では、標的巨大分子を特異的に捕捉できる薬剤を、固体相表面に付着させる。これらの固定化されている分子を使用して、ハイブリダイゼーション(例えば、DNA、RNAベースのアッセイにおける)または抗原抗体相互作用(イムノアッセイにおける)などの種々の手段によって、複雑な試料から標的巨大分子を捕捉することができる。第2の工程では、検出分子を、捕捉分子および標的の複合体とともにインキュベートしてこの複合体と結合させ、検出分子は、蛍光またはその他の電磁シグナルなどのシグナルを放射する。次に、それらのシグナルの強度によって標的の量を定量する。
【0006】
マルチプレックスアッセイは、それぞれが異なる標的巨大分子に特異的な複数の捕捉剤を利用することによって実行することができる。チップベースアレイマルチプレックスアッセイでは、各タイプの捕捉剤を、チップ上の事前に定義された位置に付着させる。複雑な試料中のマルチプレックス標的の量は、捕捉剤のタイプに対応する各位置での検出分子のシグナルを測定することによって決定する。サスペンションアレイマルチプレックスアッセイ(suspension array multiplex assay)では、微小粒子またはマイクロキャリアを、アッセイ溶液中に懸濁させる。これらの微小粒子またはマイクロキャリアは、埋め込まれるか、印刷されるか、または別様に微小粒子/マイクロキャリアの1つもしくは複数の要素によって生成することができる識別要素を含有する。各タイプの捕捉剤は同じIDを伴う粒子に固定化されており、特定のIDを伴う粒子の表面上の検出分子から放射されるシグナルは、対応する標的の量を反映する。
【0007】
サスペンションアレイマルチプレックスアッセイに関する既存のシステムは、分解能が限定される。一部のマルチプレックスシステムでは、標準的な半導体製造技術を使用して平坦なマイクロビーズ上に印刷されたデジタルバーコードを使用する。しかし、特定の桁数で生成することができる識別子の数は、限定される。固有の識別子の数を増加させるには、バーコードの桁数を増加させる必要があるため、すでに小さなマイクロビーズに印刷するためのより多くのスペースが必要になる。別のタイプのマルチプレックスシステムでは、固有の蛍光色素でコード化された蛍光ビーズなどの色コーディングを使用する。しかし、このような蛍光システムに利用可能な固有の識別子の数は、励起/放射スペクトルの重複により限定されており、例えば、蛍光色素のバッチ間のばらつきにより、識別エラーが発生する場合がある。
【0008】
したがって、例えば、デジタルバーコードサイズまたはフルオロフォア分解能などの制限によって制約されない、アナログコード化マルチプレックスアッセイシステムに対する必要性が存在する。このようなシステムにより、ほぼ無制限の固有の識別子が可能になり、アナログコードの使用による認識エラー(例えば、スペクトルの重複またはバッチ間のフルオロフォアばらつき)が最小限に抑えられる。さらに、容易に操作することができ、および/また例えば生物学的試料もしくは他の液体から容易に分離することができるそのようなシステムのマイクロキャリアが必要とされている。
【0009】
本明細書で引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願は、すべての目的のために、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【0010】
この必要性を満たすために、本明細書では、特に、被分析物を捕捉するための捕捉剤を含む、アナログコードでコード化されたマイクロキャリアを提供する。アナログコードは、実質的に不透明な層の二次元形状から作製され、マイクロキャリアはまた、実質的に透明な磁性ポリマー層も含む。これらの特徴により、磁気引力によりマイクロキャリアを、溶液(例えば、生物学的試料またはアッセイ溶液)から迅速かつ効率的に分離し、便利な微細加工技術を使用して製作することが可能になる。さらに、ある特定の酸化鉄などの超常磁性材料を使用すると、アッセイ手順を複雑にする可能性がある残留磁気が排除される。これらのマイクロキャリアを、例えば、各マイクロキャリアが特定の被分析物を捕捉するための捕捉剤および識別のためのアナログコードを含むマルチプレックスアッセイで使用することができる。このようなマイクロキャリア(micocarriers)を作製する方法および使用する方法、ならびにそれに関連するキットをさらに提供する。
【0011】
したがって、一態様では、コード化されたマイクロキャリアであって、(a)第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面および第2の表面が互いに平行である実質的に透明な磁性ポリマー層であって、実質的に透明な磁性ポリマーは、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層;(b)実質的に不透明な層であって、実質的に不透明な層は、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面に貼り付けられており、実質的に不透明な層の輪郭は、アナログコードを表す二次元形状を構成する、実質的に不透明な層;ならびに(c)被分析物を捕捉するための捕捉剤であって、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面および第2の表面のうち少なくとも一方に連結されている、捕捉剤、を含む、コード化されたマイクロキャリアを本明細書に提供する。
【0012】
いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子は、超常磁性である。いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子は、直径が約30nm未満であり、直径が約3nm以上である。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、約10%(重量)未満かつ約0.1%(重量)超の、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層は、厚さが約0.1μmと約50μmの間である。いくつかの実施形態では、実質的に透明なポリマーはエポキシ系ポリマーである。いくつかの実施形態では、エポキシ系ポリマーは、SU-8である。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、実質的に不透明なポリマーを含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、ブラックマトリックスレジストを含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明なポリマーは、約230nmと約660nmの間の波長で約1.8(OD)超の吸光度を示す。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、残留磁気を欠いている金属を含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、チタンまたはクロムを含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、厚さが約0.05μmと約2μmの間である。いくつかの実施形態では、アナログコードは、連続または不連続の環を形成する1つまたは複数の重複または部分的に重複する円弧要素を含む。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、実質的に不透明な層のアナログコードを方向付けるための方向インジケータをさらに含む。いくつかの実施形態では、方向インジケータは、実質的に不透明な層の非対称性を含む。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、実質的に円形のディスクである。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、直径が約5μmと約200μmの間である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、直径が約40μmである。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、厚さが約50μm未満である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、厚さが約2μmと約10μmの間である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、厚さが約5μmである。
【0013】
いくつかの実施形態では、被分析物は、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、被分析物を捕捉するための捕捉剤は、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される。
【0014】
別の態様では、コード化されたマイクロキャリアを作製する方法であって、(a)第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面および第2の表面が互いに平行である実質的に不透明な層を堆積させること;(b)堆積された実質的に不透明な層を、アナログコードを表す二次元形状にパターニングすること;(c)堆積された実質的に不透明な層の第1の表面上に実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させることであって、実質的に透明な磁性ポリマー層は、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させること;ならびに(d)堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層を、マイクロキャリア形状にパターニングすること、を含む方法を本明細書で提供する。いくつかの実施形態では、(a)は、実質的に不透明な層を犠牲層上に堆積させることを含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層を、リソグラフィによって堆積させパターニングする。いくつかの実施形態では、堆積された実質的に不透明な層を、リフトオフプロセスによって堆積させパターニングする。いくつかの実施形態では、この方法は、(a)の前に、犠牲層上に第2のポリマー層を堆積させること;(a)の前に、堆積された第2のポリマー層にマスクを適用し、それにより、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分と、堆積された第2のポリマー層のマスクされていない部分とを生成すること;(a)の前に、堆積されマスクされた第2のポリマー層に光を当てることであって、光は、堆積された第2のポリマー層のマスクされていない部分を除去するのに十分な波長のものである、光を当てること;をさらに含み、(a)は、実質的に不透明な層を犠牲層、および堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上に堆積させることを含み;(b)は、堆積された第2のポリマー層を除去し、それにより、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上の堆積された実質的に不透明な層を除去することによって、堆積された実質的に不透明な層をパターニングすることを含む。いくつかの実施形態では、第2のポリマー層を、スピンコーティングによって堆積させる。いくつかの実施形態では、この方法は、(a)~(d)の前に、基材キャリア上に犠牲層を堆積させることをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、(a)~(d)の後に、犠牲層をエッチングすることをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、(c)の前に、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤を混合して、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を形成することをさらに含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、実質的に透明なポリマーのモノマーと混合する前に、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤を混合して、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を形成する。いくつかの実施形態では、分散剤は、10%の、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を含む。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物の2.5%を構成する。いくつかの実施形態では、溶媒はシクロペンタノンを含む。いくつかの実施形態では、分散剤はリン酸ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、リン酸ポリマーはカルボキシル-PEG-リン酸を含む。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層を、スピンコーティングまたはスプレーコーティングによって堆積させる。いくつかの実施形態では、堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層を、フォトリソグラフィー、リフトオフ、またはスパッタリングによってパターニングする。
【0016】
いくつかの実施形態では、この方法は、被分析物を捕捉するための捕捉剤を、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面および第2の表面のうち少なくとも一方に連結することをさらに含む。いくつかの実施形態では、捕捉剤を連結することは、実質的に透明な磁性ポリマー層の実質的に透明なポリマーを光酸発生剤および光と反応させて架橋ポリマーを生成することであって、光は、光酸発生剤を活性化する波長のものである、架橋ポリマーを生成すること;架橋ポリマーのエポキシドを、アミンおよびカルボキシルを含む化合物と反応させることであって、化合物のアミンがエポキシドと反応して、化合物が連結した架橋ポリマーを形成する、架橋ポリマーのエポキシドを反応させること;ならびに化合物が連結した架橋ポリマーのカルボキシルを捕捉剤と反応させて、捕捉剤を実質的に透明な磁性ポリマー層に連結すること、を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子は、超常磁性である。いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子は、直径が約30nm未満であり、直径が約3nm以上である。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、約10%(重量)未満かつ約0.1%(重量)超の、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層は、厚さが約0.1μmと約50μmの間である。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層の実質的に透明なポリマーは、エポキシ系ポリマーである。いくつかの実施形態では、エポキシ系ポリマーは、SU-8である。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、実質的に不透明なポリマーを含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、ブラックマトリックスレジストを含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明なポリマーは、約230nmと約660nmの間の波長で約1.8(OD)超の吸光度を示す。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、残留磁気を欠いている金属を含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、チタンまたはクロムを含む。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、厚さが約0.05μmと約2μmの間である。いくつかの実施形態では、アナログコードは、連続または不連続の環を形成する1つまたは複数の重複または部分的に重複する円弧要素を含む。いくつかの実施形態では、堆積された実質的に不透明な層を、非対称性を提供するようにパターニングする。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアを、(b)において実質的に円形のディスクにパターニングする。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、直径が約5μmと約200μmの間である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、直径が約40μmである。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、厚さが約50μm未満である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、厚さが約2μmと約10μmの間である。
【0018】
いくつかの実施形態では、被分析物は、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される。
【0019】
いくつかの実施形態では、被分析物を捕捉するための捕捉剤は、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片からなる群から選択される。
【0020】
一態様では、本明細書に提供される方法のいずれかによって製造されるコード化マイクロキャリアを本明細書に開示する。
【0021】
別の態様では、溶液中の複数の被分析物を検出するための方法であって、第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させることであって、複数のマイクロキャリアは少なくとも:(i)第1の被分析物を特異的に捕捉する本明細書に記載の実施形態のいずれかによる第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および(ii)第2の被分析物を特異的に捕捉する本明細書に記載の実施形態のいずれかによる第2のマイクロキャリアであって、第2のアナログコードでコード化されており、第2のアナログコードは第1のアナログコードとは異なる、第2のマイクロキャリア、を含む、第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させること;(b)アナログ形状認識を用い、第1のアナログコードおよび第2のアナログコードをデコードして、第1のマイクロキャリアと第2のマイクロキャリアを識別すること;ならびに(c)第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出すること、を含む方法を開示する。いくつかの実施形態では、(b)を(c)の前に行う。いくつかの実施形態では、(c)を(b)の前に行う。いくつかの実施形態では、(b)および(c)を同時に行う。いくつかの実施形態では、第1のアナログコードおよび第2のアナログコードをデコードすることは、(i)第1および第2のマイクロキャリアの実質的に透明な磁性ポリマー層ならびに/または周囲の溶液に光を通過させることによって第1および第2のマイクロキャリアを照射することであって、光は、第1および第2のマイクロキャリアの実質的に不透明な層を通過できず、第1のマイクロキャリアに対応する第1のアナログコード化光パターンと、第2のマイクロキャリアに対応する第2のアナログコード化光パターンとを生成する、第1および第2のマイクロキャリアを照射すること;(ii)第1のアナログコード化光パターンをイメージングして第1のアナログコード化画像を生成し、第2のアナログコード化光パターンをイメージングして第2のアナログコード化画像を生成すること;ならびに(iii)アナログ形状認識を用いて、第1のアナログコード化画像を第1のアナログコードと照合し、第2のアナログコード化画像を第2のアナログコードと照合すること、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出することは、(i)(a)の後、第1および第2のマイクロキャリアを検出剤とともにインキュベートすることであって、検出剤は、第1のマイクロキャリアによって捕捉された第1の被分析物および第2のマイクロキャリアによって捕捉された第2の被分析物と結合する、第1および第2のマイクロキャリアをインキュベートすること;ならびに(ii)第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を測定すること、を含む。いくつかの実施形態では、検出剤は蛍光性検出剤であり、第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を、蛍光顕微鏡法によって測定する。いくつかの実施形態では、検出剤は発光性検出剤であり、第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を、発光顕微鏡法によって測定する。いくつかの実施形態では、溶液は、生物学的試料を含む。いくつかの実施形態では、生物学的試料は、血液、尿、痰、胆汁、脳脊髄液、皮膚または脂肪組織の間質液、唾液、涙、気管支肺胞洗浄、中咽頭分泌物、腸液、経膣部または子宮分泌物および精液からなる群から選択される。
【0023】
一態様では、複数のマイクロキャリアを含むマルチプレックスアッセイを実行するためのキットであって、複数のマイクロキャリアは少なくとも:(a)第1の被分析物を特異的に捕捉する、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および(b)第2の被分析物を特異的に捕捉する、本明細書に記載の実施形態のいずれかによる第2のマイクロキャリアであって、第2のアナログコードでコード化されており、第2のアナログコードは第1のアナログコードとは異なる、第2のマイクロキャリアを含む、キットが、本明細書に記載される。
【0024】
いくつかの実施形態では、キットは、第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出するための検出剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、キットは、第1の被分析物および第2の被分析物を検出するためにキットを使用するための説明書をさらに含む。
【0025】
本明細書に記載の種々の実施形態の特性の1つ、一部、またはすべてを組み合わせて、本発明の他の実施形態を形成することができることを理解すべきである。本発明のこれらおよび他の態様は、当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A-B】例示的マイクロキャリアの2つの図を示す。
【
図1C-D】例示的マイクロキャリアを使用した被分析物検出用の例示的アッセイを示す。
【
図2A】それぞれが固有のアナログコードを有するマイクロキャリアの3つの例を示す。
【
図2B】いくつかの実施形態による、固有のアナログコードを有するマイクロキャリアの例を示す。
【
図2C】いくつかの実施形態による、固有のアナログコードを有するマイクロキャリアの例を示す。
【
図3】例示的マイクロキャリアを製造するための方法を示す。
【
図4】例示的マイクロキャリアを製造するための方法を示す。上面図(左)および断面図(右)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
一態様では、マルチプレックスアッセイにおける分析物検出用のコード化されたマイクロキャリアを本明細書に提供する。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、(a)第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面および第2の表面が互いに平行である実質的に透明な磁性ポリマー層であって、実質的に透明な磁性ポリマーは、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層;(b)実質的に不透明な層であって、実質的に不透明な層は、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面に貼り付けられており、実質的に不透明な層の輪郭は、アナログコードを表す二次元形状を構成する、実質的に不透明な層;ならびに(c)被分析物を捕捉するための捕捉剤であって、実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面および第2の表面のうち少なくとも一方に連結されている、捕捉剤、を含む。
【0028】
別の態様では、コード化されたマイクロキャリアを作製する方法であって、(a)第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面および第2の表面が互いに平行である実質的に不透明な層を堆積させること;(b)堆積された実質的に不透明な層を、アナログコードを表す二次元形状にパターニングすること;(c)堆積された実質的に不透明な層の第1の表面上に実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させることであって、実質的に透明な磁性ポリマー層は、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させること;ならびに(d)堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層を、マイクロキャリア形状にパターニングすること、を含む、方法を本明細書で提供する。
【0029】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法によって製造されるコード化されたマイクロキャリアを本明細書にさらに提供する。
【0030】
別の態様では、溶液中の複数の被分析物を検出するための方法であって、(a)第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させることであって、複数のマイクロキャリアは少なくとも:(i)第1の被分析物を特異的に捕捉する本開示の第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および(ii)第2の被分析物を特異的に捕捉する本開示の第2のマイクロキャリアであって、第2のアナログコードでコード化されており、第2のアナログコードは第1のアナログコードとは異なる、第2のマイクロキャリア、を含む、第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させること;(b)アナログ形状認識を用い、第1のアナログコードおよび第2のアナログコードをデコードし、第1のマイクロキャリアと第2のマイクロキャリアを識別すること;ならびに(c)第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出すること、を含む、方法を提供する。
【0031】
さらに別の態様では、複数のマイクロキャリアを含むマルチプレックスアッセイを実行するためのキットまたは製造品を本明細書で提供する。複数のマイクロキャリアは、少なくとも、(a)第1の被分析物を特異的に捕捉する本開示の第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および(b)第2の被分析物を特異的に捕捉する本開示の第2のマイクロキャリアであって、第2のアナログコードでコード化されており、第2のアナログコードは第1のアナログコードとは異なる、第2のマイクロキャリア、を含む。
【0032】
I.一般的技術
本明細書において記載された技術の実践では、別途指示がない限り、ポリマー技術、微細加工、微小電気機械システム(MEMS)製作、フォトリソグラフィー、マイクロ流体工学、有機化学、生化学、オリゴヌクレオチド合成および改変、バイオコンジュゲート(bioconjugate)化学、核酸ハイブリダイゼーション、分子生物学、微生物学、遺伝学、組換えDNA、ならびに当技術内の関連分野における従来技術を使用する。これらの技術は、本明細書で引用した参考文献に記載されており、文献で十分に説明されている。
【0033】
分子生物学および組換えDNA技術に関して、例えば、(Maniatis, T.ら(1982)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor;Ausubel, F. M. (1987)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience;Ausubel, F. M. (1989)、Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience;Sambrook, J.ら(1989)、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbor;Innis, M. A. (1990)、PCR Protocols: A Guide to Methods and Applications、Academic Press;Ausubel, F. M. (1992)、Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates;Ausubel, F. M. (1995)、Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates;Innis, M. A.ら(1995)、PCR Strategies, Academic Press;Ausubel, F. M. (1999)、Short Protocols in Molecular Biology: A Compendium of Methods from Current Protocols in Molecular Biology, Wiley、およびその年次更新を参照されたい。
【0034】
DNA合成技術および核酸化学に関して、例えば、Gait, M. J. (1990)、Oligonucleotide Synthesis: A Practical Approach、IRL Press;Eckstein, F. (1991)、Oligonucleotides and Analogues: A Practical Approach、IRL Press;Adams, R. L.ら(1992)、The Biochemistry of the Nucleic Acids、Chapman & Hall;Shabarova, Z.ら(1994)、Advanced Organic Chemistry of Nucleic Acids、Weinheim;Blackburn, G. M.ら(1996)、Nucleic Acids in Chemistry and Biology、Oxford University Press;Hermanson, G. T. (1996)、Bioconjugate Techniques, Academic Press)を参照されたい。
【0035】
微細加工に関して、例えば、(Campbell, S. A. (1996)、The Science and Engineering of Microelectronic Fabrication、Oxford University Press;Zaut, P. V. (1996)、Microarray Fabrication: a Practical Guide to Semiconductor Processing、Semiconductor Services;Madou, M. J. (1997)、Fundamentals of Microfabrication、CRC Press;Rai-Choudhury, P. (1997)。Handbook of Microlithography, Micromachining, & Microfabrication: Microlithography)を参照されたい。
【0036】
II.定義
本発明を詳細に説明する前に、本発明は特定の組成物または生物学的システムに限定されず、当然、変化する可能性があることを理解すべきである。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのみのものであり、限定することを意図しないことも理解すべきである。
【0037】
本明細書で使用される「マイクロキャリア」という用語は、捕捉剤を連結することができる物理的基質を指すことができる。本開示のマイクロキャリアは、任意の好適な幾何学的形態または形状をとることができる。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、ディスク形状であってもよい。典型的には、マイクロキャリアの形態または形状は、10-4~10-7mのオーダーの少なくとも1つの寸法を含む(したがって、接頭辞「マイクロ」)。
【0038】
本明細書で使用される「ポリマー」という用語は、反復モノマーを含む任意の巨大分子構造を指すことができる。ポリマーは、天然(例えば、自然界において見出される)であっても、または合成(例えば、人工ポリマー、例として、非天然モノマーから構成されるポリマーおよび/もしくは自然界において見出されない構成または組み合わせでポリマー化されているポリマー)であってもよい。
【0039】
本明細書で使用される「実質的に透明」および「実質的に不透明」という用語は、光(例えば、赤外線、可視光、UVなどの特定の波長の)がポリマー層などの基材を通過する能力を指すことができる。実質的に透明なポリマーは、透明、半透明、および/または光を透過するポリマーを指すことができ、一方、実質的に不透明なポリマーは、光を反射および/または吸収するポリマーを指すことができる。材料が実質的に透明であるか実質的に不透明であるかは、材料を照射する光の波長および/または強度、ならびに材料を通って移動する光(またはその減少もしくは非存在)を検出する手段に依存し得ることを理解すべきである。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な材料は、例えば、光学顕微鏡法(例えば、明視野、暗視野、位相差、微分干渉コントラスト(DIC)、ノマルスキー型干渉コントラスト(NIC)、ノマルスキー、ホフマン変調コントラスト(HMC)、または蛍光顕微鏡法)によってイメージングされる場合に、周囲の材料または画像領域と比較したときに、透過光の知覚できる減少を引き起こす。いくつかの実施形態では、実質的に透明な材料は、例えば、光学顕微鏡法(例えば、明視野、暗視野、位相差、微分干渉コントラスト(DIC)、ノマルスキー型干渉コントラスト(NIC)、ノマルスキー、ホフマン変調コントラスト(HMC)、または蛍光顕微鏡法)によってイメージングされる場合に、知覚できる量の透過光が材料を通過することを可能にする。
【0040】
本明細書で使用される「アナログコード」という用語は、例えばデジタルコードとは対照的に、コード化された情報が非量子化および/または非離散的様式で表される任意のコードを指すことができる。例えば、デジタルコードは、限定された値(例えば、0/1タイプの値)のセットに関して離散位置でサンプリングされる一方で、アナログコードは、より大きな範囲の位置で(もしくは連続的な全体として)サンプリングすることができ、かつ/またはより広い値のセット(例えば、形状)を含有し得る。いくつかの実施形態では、アナログコードは、1つまたは複数のアナログ形状認識技術を使用して読み取るか、またはデコードすることができる。
【0041】
本明細書で使用される「捕捉剤」という用語は、広義の用語であり、目的の被分析物を特異的に認識できる任意の化合物または物質を指すために通常の意味で使用される。いくつかの実施形態では、特異的認識は、特異的結合を指すことができる。捕捉剤の非限定的な例には、例えば、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片が含まれる。
【0042】
本明細書で使用される「被分析物」は、広義の用語であり、その存在、不存在、または量が決定されるべき物質として通常の意味で使用され、限定されないが、分析され得る生物学的試料または細胞もしくは細胞集団などの試料中の物質または化学成分を指す。被分析物は、天然に存在する結合メンバーが存在する物質、または結合メンバーを調製することができる物質であり得る。被分析物の非限定的な例には、例えば、抗体、抗体断片、抗原、ポリヌクレオチド(DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、またはRNAアナログ分子など)、ポリペプチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、小分子、オルガネラ、ホルモン、サイトカイン、成長因子、ステロイド、ビタミン、毒素、薬物、および上記物質の代謝物、ならびに細胞、細菌、ウイルス、真菌、藻類、菌類胞子などが含まれる。
【0043】
「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、モノクローナル抗体(免疫グロブリンFc領域を有する完全長抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体、ダイアボディ、および単鎖分子)、ならびに抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)2、およびFv)を含む。
【0044】
本明細書で使用される場合、「試料」は、検出されるべき分子などの材料を含有する組成物を指す。一実施形態では、試料は、「生物学的試料」(すなわち、生物源(例えば、ヒト、動物、植物、細菌、真菌、原生生物、ウイルス)から得られる任意の材料)である。生物学的試料は、固体材料(例えば、組織、細胞ペレットおよび生検)ならびに生体液(例えば、尿、血液、唾液、リンパ液、涙、汗、前立腺液、精液(seminal fluid)、精液(semen)、胆汁、粘液、羊水および口腔洗浄物(頬側細胞を含有する))を含む任意の形態であり得る。固体材料は、典型的には、流体と混合されている。試料はまた、水、空気、土壌、または他の任意の環境源などの環境試料を指すことができる。
【0045】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、その内容に別段の明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「分子」への言及は、任意選択で、2つ以上のそのような分子の組み合わせなどを含む。
【0046】
本明細書で使用される「約」という用語は、当技術分野の当業者に容易に知られるそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における値またはパラメータの「約」への言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(および説明する)。
【0047】
本明細書に記載される本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態、「を含むこと(comprising)」、「からなること(consisting)」、および「から本質的になること(consisting essentially of)」を含むことが理解される。
【0048】
III.コード化されたマイクロキャリア
本明細書では、被分析物検出、例えばマルチプレックス被分析物検出に好適なコード化されたマイクロキャリアを提供する。コード化されたマイクロキャリアの複数の構成が本明細書で企図され、説明され、例示される。
【0049】
いくつかの態様では、本明細書では、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層、およびその輪郭が、アナログコードを表す二次元形状を構成する、実質的に不透明な層を含むコード化されたマイクロキャリアを提供する。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、実質的に透明な磁性ポリマー層(例えば、一方の表面または両表面上の)に連結した被分析物を捕捉するための捕捉剤をさらに含む。いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む。本開示のコード化されたマイクロキャリアの構成、パラメータ、および任意選択の特徴は、以下の非限定的な説明で提供する。
【0050】
いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層は、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層は、実質的に透明なポリマー、例えばエポキシ系ポリマー中の磁性ナノ粒子の懸濁液を含む。例えば、磁性ナノ粒子は、安定な分散液(例えば、シクロペンタノンもしくはg-ブチロラクトンを含むがこれらに限定されない溶媒、および/またはリン酸ポリマーを含むがこれらに限定されない分散剤を使用して)中に作製して、溶解ポリマーまたはモノマー形態のポリマーと混合することができる。実質的に透明なポリマー層に磁性特性を組み込むことは、マイクロキャリアの全体的なサイズ(例えば、面積)の縮小が可能になり、それにより、1枚のウエハから製造することができるマイクロキャリアの数を増加させて、単位あたりのコストを削減することによって、専用の磁性層(例えば、磁性環など)を使用するよりも有利である。加えて、実質的に透明な磁性ポリマー層は、他の専用磁性層(例えば、ニッケル層)が必要とする場合があるように、環境から絶縁するためにポリマー層の間に挟む必要がない。この簡素化された2層モデルにより、機能性を犠牲にすることなく製造コストが削減され、製造の一貫性が向上する。磁性ナノ粒子懸濁液およびそれをエポキシ系ポリマーと混合することに関する例示的説明および技術は、例えば、Suter, Marcel. Photopatternable superparamagnetic nanocomposite for the fabrication of microstructures. Diss. ETH Zurich、2011;およびSuter, M. (2011) Sensors and Actuators B: Chemical 156:433~43頁に見出すことができる。
【0051】
いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子は、超常磁性ナノ粒子である。理論に拘束されることを望むものではないが、(ニッケルなど、磁場の除去後に若干の残留磁気を伴う磁性材料とは対照的に)、得られるマイクロキャリアは、残留磁気を示さない、および/または相互に低い磁気引力を示し、したがって、溶液中でそれらが互いに有害な相互作用をするのを防ぐため、このような材料はマイクロキャリアの製作に有利であると考えられる。また、そのような材料(例えば、SU-8/酸化鉄(II、III)もしくは酸化鉄(III)ナノ粒子混合物または懸濁液であり、ニッケルまたは希土類金属の使用に取って代わることができる)は、(例えば、本明細書に記載のようにイメージングされた場合に)画像認識性を向上させた非常に薄い磁性層を可能にするため、アナログコード化(例えば、本明細書に記載のような)に固有に好適であるとも考えられる。これらのマイクロキャリアは、製作がより簡単であるとも考えられる。ある特定の実施形態では、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(III)(Fe2O3;酸化第二鉄もしくはマグヘマイトとしても知られる)および/または酸化鉄(II、III)(Fe3O4;マグネタイトとしても知られる)を含む。ある特定の実施形態では、エポキシ系ポリマーは、SU-8である。
【0052】
いくつかの実施形態では、本開示の磁性ナノ粒子は、直径が約30nm未満である。いくつかの実施形態では、本開示の磁性ナノ粒子は、直径が約3nm以上である。いくつかの実施形態では、本開示の磁性ナノ粒子は、およそ以下のサイズ(nm単位):30、25、20、15、10、または5のいずれか未満の任意のサイズ(例えば、直径)であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の磁性ナノ粒子は、およそ以下のサイズ(nm単位):3、5、10、15、20、または25のいずれか以上の任意のサイズ(例えば、直径)であり得る。すなわち、磁性ナノ粒子は、30、25、20、15、10、または5nmの上限と、3、5、10、15、20、または25nmの独立して選択される下限とを有する任意のサイズ(例えば、直径)であり得、下限は上限未満である。
【0053】
いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層は、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、複数の磁性ナノ粒子は、約10%(重量)未満および/または約0.1%(重量)超の混合物を含む。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、混合物の約2.5%(重量)を構成する。いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層は、およそ以下の濃度(重量%):10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、または0.3、のいずれか未満の濃度で、複数の磁性ナノ粒子を含む混合物を含む。いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層は、およそ以下の濃度(重量%):0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、または8、のいずれか超の濃度で、複数の磁性ナノ粒子を含む混合物を含む。すなわち、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層は、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、または0.3%の上限と、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、または8%の独立して選択される下限とを有する濃度で複数の磁性ナノ粒子を含む混合物を含むことができ、下限は上限未満である。
【0054】
いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明なポリマーは、エポキシ系ポリマーを含む。本明細書に記載の組成物の製作に好適なエポキシ系ポリマーには、限定されないが、Hexion Specialty Chemicals, Inc.(Columbus、OH)によって提供されるエポキシ樹脂のEPON(商標)ファミリー、およびThe Dow Chemical Company(Midland、MI)によって提供される任意の数のエポキシ樹脂が含まれる。好適なポリマーの多くの例は、当技術分野で一般に公知であり、限定されないが、SU-8、EPON1002F、EPON165/154、およびポリ(メチルメタクリレート)/ポリ(アクリル酸)ブロックコポリマー(PMMA-co-PAA)が含まれる。追加のポリマーについては、例えば、Warad, IC Packaging: Package Construction Analysis in Ultra Small IC Packaging、LAP LAMBERT Academic Publishing (2010);The Electronic Packaging Handbook、CRC Press (Blackwell編)、(2000);およびPechtら、 Electronic Packaging Materials and Their Properties、CCR Press、第1版、(1998)を参照されたい。これらのタイプの材料は、水性環境で膨潤しないという利点を有し、マイクロキャリアの集団内で均一なマイクロキャリアのサイズおよび形状が確実に維持される。いくつかの実施形態では、実質的に透明なポリマーはフォトレジストポリマーである。いくつかの実施形態では、エポキシ系ポリマーは、エポキシ系のネガ型近UVフォトレジストである。いくつかの実施形態では、エポキシ系ポリマーは、SU-8である。
【0055】
いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、厚さが約0.1μm以上の実質的に透明な磁性ポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、厚さが約50μm以下の実質的に透明な磁性ポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、厚さが約0.1μmと約50μmの間の実質的に透明な磁性ポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、およそ以下の厚さ(μm単位):50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、または0.3のいずれか以下の厚さを有する実質的に透明な磁性ポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、およそ以下の厚さ(μm単位):0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、または45のいずれか以上の厚さを有する実質的に透明な磁性ポリマー層を含む。すなわち、本開示のマイクロキャリアは、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、または0.3μmの上限と、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、または45μmの独立して選択される下限とを有する厚さの、実質的に透明な磁性ポリマー層を含むことができ、下限は上限未満である。
【0056】
いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、実質的に不透明な層を含む。例えば、実質的に不透明な層は、実質的に不透明なポリマーまたは金属から作製することができる。
【0057】
いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、1つもしくは複数の不透明または有色の色素と混合した本明細書に記載のポリマー(例えば、SU-8)を含む。他の実施形態では、実質的に不透明な層はブラックマトリックスレジストを含む。当技術分野で公知の任意のブラックマトリックスレジストを使用することができる;例示的ブラックマトリックスレジストおよびそれに関連する方法については、例えば米国特許第8,610,848号を参照されたい。いくつかの実施形態では、ブラックマトリックスレジストは、例えば、ブラックマトリックスの一部としてLCDのカラーフィルタ上にパターニングされた、黒色顔料で着色されたフォトレジストであってもよい。ブラックマトリックスレジストは、限定されないが、Toppan Printing Co.(Tokyo)、Tokyo OHKA Kogyo(Kawasaki)、およびDaxin Materials Corp.(Taichung City、Taiwan)によって販売されているものを含むことができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、約230nmと約660nmの間の波長で約1.8(OD)超の吸光度を呈する実質的に不透明なポリマーを含む。例えば、ポリマーは、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、400、410、420、430、440、450、460、470、480、490、500、510、520、530、540、550、560、570、580、590、600、610、620、630、640、650、および660nmからなる群から選択される1つまたは複数の波長で約1.8(OD)超の吸光度を呈することができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、金属を含む。いくつかの実施形態では、金属は、残留磁気を欠いている。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層は、ニッケル、チタン、銅、および/またはクロムを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、厚さが約0.05μm以上の実質的に不透明な層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、厚さが約2μm以下の実質的に不透明な層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、厚さが約0.05μmと約2μmの間の実質的に不透明な層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、およそ以下の厚さ(μm単位):2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.125、0.1、または0.075のいずれか以下の厚さを有する実質的に不透明な層を含む。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、およそ以下の厚さ(μm単位):0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、または1.8のいずれか以上の厚さを有する実質的に不透明な層を含む。すなわち、本開示のマイクロキャリアは、2、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.45、0.4、0.35、0.3、0.25、0.2、0.15、0.125、0.1、または0.075μmの上限と、0.05、0.075、0.1、0.125、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、または1.8μmの独立して選択される下限とを有する厚さの、実質的に不透明な層を含むことができ、下限は上限未満である。
【0061】
いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、二次元形状を構成する実質的に不透明な層でコード化することができる。例えば、上述したように、二次元形状は、マイクロキャリアの実質的に透明な層と対照をなす実質的に不透明な層の形状を構成していてもよく、またはマイクロキャリア自体の形状(例えば、外周)を構成していてもよい。すなわち、コードは、(例えば、マイクロキャリアの層の表面上の蛍光性部分または他の可視部分によって生成されるコードではなく)実質的に不透明な層自体の形状である。複数の分解可能な特徴的な種類を包含することができる任意の二次元形状を使用することができる。いくつかの実施形態では、二次元形状は、線形、円形、楕円形、長方形、四辺形、またはより高次の多角形の態様、要素、および/または形状のうちの1つまたは複数を含む。
【0062】
いくつかの実施形態では、実質的に不透明なポリマー層の二次元形状は、実質的に透明なポリマー層の中心部分を取り囲む1または複数の環を含む。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の環のうちの少なくとも1つは不連続部を含む。さまざまな数および構成の不連続部を有する1つまたは複数の環(例えば、2つの環)を使用して形成された例示的で非限定的な二次元形状が、
図2Bに示されている。
【0063】
いくつかの実施形態では、アナログコードは、連続または不連続の環(例えば、マイクロキャリアの中心部分を取り囲む)を形成する、1つまたは複数の重複または部分的に重複する円弧要素を含む。二次元形状は、実質的に透明な磁性ポリマー層を通過した光と、実質的に不透明な層の通過をブロックされた光とによって生成されるパターンによってコードの画像が形成されるように、マイクロキャリアをイメージングすることによって(例えば、光学顕微鏡によって)デコードされる。不連続な環を形成する重なり合う円弧要素からなる二次元形状の非限定的な例が
図2Cに示されている。
【0064】
いくつかの実施形態では、実質的に不透明なポリマー層の二次元形状は、ギア形状を含む(例えば、
図2Aを参照)。本明細書で使用されるギア形状は、実質的に球形、楕円形、または円形の本体の外周上に配置された複数の形状(例えば、ギアの歯)を指すことができ、複数の形状のうちの少なくとも2つは空間的に分離されている。いくつかの実施形態では、ギア形状は、複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、アナログコードは、複数のギアの歯のうちの1つまたは複数のギアの歯の高さ、複数のギアの歯のうちの1つまたは複数のギアの歯の幅、複数のギアの歯のうちのギアの歯の数、および複数のギアの歯のうちの1つまたは複数のギアの歯の配置から選択される1つまたは複数の態様によって表される。有利には、ギア形状は、ギアの歯の高さ、ギアの歯の幅、ギアの歯の数およびギアの歯の配置を含む複数の態様を包含しており、これらは、可能性のある固有の二次元形状の多くの多様性を生成するために変動する場合がある。しかし、本開示のギア形状はコード化のために使用されており、他のギアと(例えば、トルクを伝達する機械ギアと)物理的に噛み合う必要がないために、本開示のギアの歯は、1つのギア形状内または複数のギア形状間のいずれかで、同一の形状または噛み合う形状に関する必要性によって制約されていないことが認識されるべきである。したがって、本開示のギアの歯と考えることができる形状の多様性は、機械ギアの場合よりもはるかに多い。
【0065】
いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、幅約1μmと約10μmの間の1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、幅約1μm、幅約1.5μm、幅約2μm、幅約2.5μm、幅約3μm、幅約3.5μm、幅約4μm、幅約4.5μm、幅約5μm、幅約5.5μm、幅約6μm、幅約6.5μm、幅約7μm、幅約7.5μm、幅約8μm、幅約8.5μm、幅約9μm、幅約9.5μm、または幅約10μmの1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、およそ以下の幅(μm単位):10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、または1.5のいずれか未満の1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、およそ以下の幅(μm単位):1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5のいずれか超の1つまたは複数のギアの歯を含む。すなわち、複数のギアの歯は、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、または1.5の上限と、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5の独立して選択される下限とを有する幅の範囲のいずれかであり得る、1つまたは複数のギアの歯を含むことができ、下限は上限未満である。
【0066】
いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、高さ約1μmと約10μmの間の1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、高さ約1μm、高さ約1.5μm、高さ約2μm、高さ約2.5μm、高さ約3μm、高さ約3.5μm、高さ約4μm、高さ約4.5μm、高さ約5μm、高さ約5.5μm、高さ約6μm、高さ約6.5μm、高さ約7μm、高さ約7.5μm、高さ約8μm、高さ約8.5μm、高さ約9μm、高さ約9.5μm、または高さ約10μmの1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、およそ以下の高さ(μm単位):10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、または1.5のいずれか未満の1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、およそ以下の高さ(μm単位):1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5のいずれか超の1つまたは複数のギアの歯を含む。すなわち、複数のギアの歯は、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、または1.5の上限と、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5の独立して選択される下限とを有する高さの範囲のいずれかであり得る、1つまたは複数のギアの歯を含むことができ、下限は上限未満である。ギアの歯が延びる隣接する外周セグメントが不均一である場合、ギアの歯は基準点に応じて異なる測定可能な高さを有する場合があることを理解すべきである。
【0067】
いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、約1μmと約10μmの間の間隔で離れている1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、約1μmの間隔、約1.5μmの間隔、約2μmの間隔、約2.5μmの間隔、約3μmの間隔、約3.5μmの間隔、約4μmの間隔、約4.5μmの間隔、約5μmの間隔、約5.5μmの間隔、約6μmの間隔、約6.5μmの間隔、約7μmの間隔、約7.5μmの間隔、約8μmの間隔、約8.5μmの間隔、約9μmの間隔、約9.5μmの間隔、または約10μmの間隔で離れている1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、およそ以下の幅の間隔(μm単位)10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、または1.5:のいずれか未満で離れている1つまたは複数のギアの歯を含む。いくつかの実施形態では、複数のギアの歯は、およそ以下の幅の間隔(μm単位):1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5のいずれか超で離れている1つまたは複数のギアの歯を含む。すなわち、複数のギアの歯は、10、9.5、9、8.5、8、7.5、7、6.5、6、5.5、5、4.5、4、3.5、3、2.5、2、または1.5の上限と、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、または9.5の独立して選択される下限とを有する幅の間隔の範囲のいずれかで離れている場合がある、1つまたは複数のギアの歯を含むことができ、下限は上限未満である。
【0068】
いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、実質的に不透明な層のアナログコードを方向付けるための方向インジケータをさらに含む。イメージング(例えば、本明細書に記載される顕微鏡または他のイメージングの形態)および/または画像認識ソフトウェアによって可視および/または検出可能なマイクロキャリアの任意の特徴は、方向インジケータとして機能し得る。方向インジケータは、例えば画像認識アルゴリズムに対して、アナログコードの画像を均一な方向(すなわち、実質的に不透明な層の形状)に方向付けるための基準点として機能し得る。有利なことに、アルゴリズムは、特定のアナログコードの画像を同じ方向のアナログコードのライブラリと比較する必要があるだけで、可能なすべての方向ですべてのアナログコードを含むライブラリと比較する必要がないため、このことにより、画像認識が簡素化される。いくつかの実施形態では、方向インジケータは、その輪郭または形状の不連続性など、実質的に不透明な層の非対称性を含む。例えば、方向インジケータは、マイクロキャリアのアナログコードを表す二次元形状の非対称性などの可視的特徴を含んでもよい(例えば、
図2A~
図2Cに示すように)。
【0069】
いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、実質的に円形のディスクである。本明細書で使用される場合、実質的に円形の形状は、形状の外周のすべての点と形状の幾何学的中心との間の距離がほぼ同一である任意の形状を指すことができる。いくつかの実施形態では、幾何学的中心と外周上の所与の点とを結ぶ可能性のある半径のいずれかの変動が、長さの10%以下の変動を呈する場合、形状は実質的に円形であると考えられる。本明細書で使用される場合、実質的に円形のディスクは、形状の厚さがその直径よりも大幅に小さい任意の実質的に円形の形状を指すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、実質的に円形のディスクの厚さは、その直径の約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、または約5%未満であり得る。ある特定の実施形態では、実質的に円形のディスクの厚さは、その直径の約20%であり得る。輪郭がギア形状である本開示のマイクロキャリアもまた、実質的に円形のディスクと考えることができることを理解すべきである;例えば、1つまたは複数のギアの歯を除いたマイクロキャリアの形状は、実質的に円形のディスクを構成することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、直径が約200μm未満である。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの直径は、約200μm未満、約180μm未満、約160μm未満、約140μm未満、約120μm未満、約100μm未満、約80μm未満、約60μm未満、約40μm未満、または約20μm未満である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの直径は、約5μm超、約10μm超、約20μm超、約30μm超、約40μm超、約50μm超、約60μm超、約70μm超、約80μm超、約90μm超、約100μm超、約120μm超、約140μm超、または約150μm超である。いくつかの実施形態では、本開示のマイクロキャリアは、およそ以下のサイズ(μm単位):200、180、160、140、120、100、80、60、40、または20のいずれか未満の任意のサイズ(例えば、直径)であり得る。いくつかの実施形態では、本開示の磁性ナノ粒子は、およそ以下のサイズ(μm単位):5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、または150のいずれか以上の任意のサイズ(例えば、直径)であり得る。すなわち、磁性ナノ粒子は、200、180、160、140、120、100、80、60、40、または20μmの上限と、5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、120、140、または150μmの独立して選択される下限とを有する任意のサイズ(例えば、直径)であり得、下限は上限未満である。
【0071】
いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの直径は、約180μm、約160μm、約140μm、約120μm、約100μm、約90μm、約80μm、約70μm、約60μm、約50μm、約40μm、約30μm、約20μm、または約10μmである。ある特定の実施形態では、マイクロキャリアは、直径が約40μmである。
【0072】
いくつかの実施形態では、マイクロキャリアは、厚さが約50μm未満である。例えば、いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの厚さは、約70μm未満、約60μm未満、約50μm未満、約40μm未満、約30μm未満、約25μm未満、約20μm未満、約15μm未満、約10μm未満、または約5μm未満である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの厚さは、およそ以下の厚さ(μm単位):50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、または2のいずれか未満である。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの厚さは、およそ以下の厚さ(μm単位):1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、または45のいずれか超である。すなわち、マイクロキャリアの厚さは、50、45、40、35、30、25、20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、または2の上限と、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、または45の独立して選択される下限とを有する厚さ(μm単位)の範囲のいずれかであり得、下限は上限未満である。
【0073】
いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの厚さは、約50μm、約45μm、約40μm、約35μm、約30μm、約25μm、約20μm、約19μm、約18μm、約17μm、約16μm、約15μm、約14μm、約13μm、約12μm、約11μm、約10μm、約9μm、約8μm、約7μm、約6μm、約5μm、約4μm、約3μm、約2μm、または約1μmである。いくつかの実施形態では、マイクロキャリアの厚さは、約50μmと約2μmの間、約20μmと約2μmの間、または約10μmと約2μmの間である。ある特定の実施形態では、マイクロキャリアは、厚さが約5μmである。
【0074】
いくつかの態様では、本開示のマイクロキャリアは、捕捉剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、特定のマイクロキャリア種に対する捕捉剤は、「固有の捕捉剤」であってもよく、例えば、捕捉剤を、特定の識別子(例えば、アナログコード)を有する特定のマイクロキャリア種と会合させる。捕捉剤は、溶液中に存在する1つまたは複数の被分析物(生体分子または化学化合物など)を結合できる任意の生体分子または化学化合物であり得る。生体分子捕捉剤の例には、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片が含まれるが、これらに限定されない。化合物捕捉剤の例には、化学ライブラリの個々の成分、小分子、または環境毒素(例えば、殺虫剤または重金属)が含まれるが、これらに限定されない。
【0075】
いくつかの実施形態では、捕捉剤は、マイクロキャリアの表面(いくつかの実施形態では、マイクロキャリア表面の少なくとも中心部分)に連結する。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、マイクロキャリアに化学的に付着することができる。他の実施形態では、捕捉剤を、マイクロキャリアの表面に物理的に吸収させることができる。いくつかの実施形態では、捕捉剤とマイクロキャリア表面との間の付着結合は、共有結合であり得る。他の実施形態では、捕捉剤とマイクロキャリア表面との間の付着結合は、塩橋もしくは他のイオン結合、1つもしくは複数の水素結合、疎水性相互作用、ファンデルワールス力、ロンドン分散力、機械的結合、1つもしくは複数のハロゲン結合、金親和性、インターカレーション、またはスタッキングを含むがこれらに限定されない非共有結合であり得る。
【0076】
いくつかの態様では、同じ被分析物に対する2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)の捕捉剤をそれぞれ、本明細書に記載のマイクロキャリアと会合させることができる。この実施形態では、特定の被分析物に対する各捕捉剤は、被分析物/捕捉剤結合の解離定数によって測定されるように、異なる親和性で被分析物に結合する。したがって、組成物中の複数のマイクロキャリア内には、同じ被分析物に結合する捕捉剤を伴うマイクロキャリアの2つ以上の部分母集団が存在し得るが、各部分母集団に会合する捕捉剤は、異なる親和性で被分析物に結合する。いくつかの実施形態では、捕捉剤のいずれかについての被分析物の解離定数は、10-6M以下、例として10-7Mまたは10-8Mである。他の実施形態では、捕捉剤のいずれかについての被分析物の解離定数は、約10-10M~約10-6M、例として約10-10M~約10-7M、約10-10M~約10-8M、約10-10M~約10-9M、約10-9M~約10-6M、約10-9M~約10-7M、約10-9M~約10-8M、約10-8M~約10-6M、または約10-8M~約10-7Mである。いくつかの実施形態では、任意の2つの捕捉剤に対する被分析物の解離定数は、約3log10と同程度だけ、例として、約2.5log10、2log10、1.5log10、または1log10と同程度だけ異なる。
【0077】
いくつかの実施形態では、本開示の被分析物は、1つまたは複数の被分析物を捕捉するためにマイクロキャリアに連結する。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の被分析物は、本明細書に記載される生物学的試料などの試料から捕捉することができる。いくつかの実施形態では、被分析物は、限定されないが、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および抗体断片を含んでもよい。他の実施形態では、被分析物は、化学ライブラリの個々の成分、小分子、または環境毒素(例えば、殺虫剤または重金属)などの、捕捉剤に結合することができる化合物(小分子化合物など)である。
【0078】
いくつかの態様では、試料(生物学的試料など)中の被分析物は、捕捉剤に結合すると検出可能なシグナルを放出することができるシグナル放出実体で標識することができる。いくつかの実施形態では、シグナル放出実体は比色ベースのものとすることができる。他の実施形態では、シグナル放出実体は、フィコエリトリン、青色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、およびそれらの誘導体を含むが限定されない蛍光ベースのものであり得る。他の実施形態では、シグナル放出実体は、32P、33P、22Na、36Cl、2H、3H、35S、および123Iで標識された分子を含むがこれらに限定されない放射性同位元素ベースのものであり得る。他の実施形態では、シグナル放出実体は、ルシフェラーゼ(例えば、化学発光ベース)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない光ベースのものである。いくつかの実施形態では、試料中に存在する生体分子または化合物は、マイクロキャリアと接触する前にシグナル放出実体で標識することができる。他の実施形態では、試料中に存在する生体分子または化合物は、マイクロキャリアと接触した後にシグナル放出実体で標識することができる。
【0079】
IV.コード化されたマイクロキャリアを作製する方法
本開示のある特定の態様は、コード化されたマイクロキャリア、例えば、本明細書に記載されるマイクロキャリアを作製するための方法に関する。コード化されたマイクロキャリアを作製するための方法は、本明細書、例えば、上のIII節および/または以下の実施例に記載されるマイクロキャリアの特徴または態様の1つまたは複数を含み得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、方法は、実質的に透明な磁性ポリマー層(例えば、実質的に透明なポリマーと、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む磁性ナノ粒子などの複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む)を堆積させること、堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層を、本開示のマイクロキャリア形状にパターニングすること、実質的に不透明な層を、(例えば、堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層の少なくとも一部の上に)堆積させること、ならびに堆積された実質的に不透明な層を、本開示のアナログコードを表す二次元形状にパターニングすること、を含む。例えば、実質的に透明な磁性ポリマー層は、本開示の基材上に堆積させることができる。
【0081】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)第1の表面および第2の表面を有し、第1の表面および第2の表面が互いに平行である実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させることであって、実質的に透明な磁性ポリマー層は、実質的に透明なポリマーと複数の磁性ナノ粒子との混合物を含み、磁性ナノ粒子は、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む、実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させること;(b)堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層を、マイクロキャリア形状にパターニングすること;(c)実質的に不透明な層を、堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面の上に堆積させること;ならびに(d)堆積された実質的に不透明な層を、アナログコードを表す二次元形状にパターニングすること、を含む。いくつかの変形形態では、工程(a)は、実質的に透明な磁性ポリマー層を犠牲層上に堆積させることを含む。いくつかの変形形態では、堆積された実質的に不透明な層を、リフトオフプロセスによってパターニングする。いくつかの変形形態では、方法は、(c)の前および(a)の後に、堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面上に第2のポリマー層を堆積させること;(c)の前および(a)の後に、堆積された第2のポリマー層にマスクを適用し、それにより、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分と、堆積された第2のポリマー層のマスクされていない部分とを生成すること;(c)の前および(a)の後に、堆積されマスクされた第2のポリマー層に光を当てることであって、光は、堆積された第2のポリマー層のマスクされていない部分を除去するのに十分な波長のものである、光を当てること;を含み、(c)は、堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層の第1の表面および堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上に、実質的に不透明な層を堆積させることを含み;(d)は、堆積された第2のポリマー層を除去し、それにより、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上の堆積された実質的に不透明な層を除去することによって、堆積された実質的に不透明な層をパターニングすることを含む。
【0082】
いくつかの実施形態では、方法は、実質的に不透明な層を堆積させること、堆積された実質的に不透明な層を、本開示のアナログコードを表す二次元形状にパターニングすること、(例えば、堆積された実質的に不透明な層の少なくとも一部の上に、)実質的に透明な磁性ポリマー層(例えば、実質的に透明なポリマーと、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む磁性ナノ粒子などの複数の磁性ナノ粒子との混合物を含む)を堆積させること、ならびに堆積された実質的に透明な磁性ポリマー層を、本開示のマイクロキャリア形状にパターニングすること、を含む。例えば、実質的に不透明な層は、本開示の基材上に堆積させることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層または実質的に不透明な層を、基材上に堆積させることができる。好適な基材は、標準的な半導体および/または微小電気機械システム(MEMS)製造技術で使用される基材を含むことができる。いくつかの実施形態では、基材は、ガラス、シリコン、石英、プラスチック、ポリエチレンテレフタレート(PET)、酸化インジウムスズ(ITO)コーティングなどを含み得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、犠牲層は、基材、例えば、本明細書に記載の基材または基材キャリア上に堆積させることができる。いくつかの実施形態では、犠牲層は、限定されないが、ポリビニルアルコール(PVA)またはOmniCoat(商標)(MicroChem;Newton、MA)を含むポリマーから作製することができる。犠牲層は、例えば製造業者の指示に従って、適用、使用、溶解または剥離することができる。
【0085】
いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層または実質的に不透明な層を、犠牲層上に堆積させる。実質的に透明な磁性ポリマー層、またはアナログコードを表す二次元形状を構成する平面状の実質的に不透明な層を使用して、平面状のマイクロキャリア表面を生成するために、対応する層を平面状の犠牲層上に堆積させることができる。
【0086】
本開示の任意選択の犠牲層および/または基材/基材キャリアを使用するいくつかの実施形態では、溶媒を使用して、犠牲層を溶解、エッチング、もしくは剥離することができ、および/または基材/基材キャリアを除去することができる。製作(例えば、フォトレジスト除去などの標準的な半導体またはMEMS製作プロセス)に有用なさまざまな溶媒が、当技術分野において公知である。いくつかの実施形態では、溶媒は、DMSOベースまたは1-メチル-2-ピロリドン(NMP)ベース溶媒などのフォトレジスト剥離用溶媒である。いくつかの実施形態では、溶媒は、AZ(登録商標)300T(AZ Electronic Materials;Somerville、NJ)などのAZ(登録商標)フォトレジスト剥離剤である。
【0087】
いくつかの実施形態では、堆積された実質的に不透明な層を、リフトオフプロセスによってパターニングする。いくつかの実施形態では、実質的に不透明な層を、第2のポリマー層を堆積させること(例えば、堆積されている場合には実質的に透明な磁性ポリマー層上に、そうでない場合には犠牲層上に);堆積された第2のポリマー層にマスクを適用すること;堆積されマスクされた第2のポリマー層に光を当てること;実質的に不透明な層を、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上に(堆積されている場合は実質的に透明な磁性ポリマー層上に、そうでない場合は犠牲層上に)堆積させること;ならびに堆積された第2のポリマー層を除去すること、によってパターニングする。いくつかの実施形態では、光は、堆積された第2のポリマー層のマスクされていない部分を除去するのに十分な波長のものである。このように、堆積された第2のポリマー層のマスクされた部分上の堆積された実質的に不透明な層を除去することによって、堆積された実質的に不透明な層をパターニングする。いくつかの実施形態では、第2のポリマー層を、スピンコーティングによって堆積させる。
【0088】
いくつかの実施形態では、コード化されたマイクロキャリアを作製するための本明細書に記載の方法は、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層のための、実質的に透明なポリマーのモノマーと複数の磁性ナノ粒子(例えば、酸化鉄(II、III)または酸化鉄(III)を含む磁性ナノ粒子)との混合物を生成することをさらに含む。例えば、実質的に透明なポリマーのモノマーおよび複数の磁性ナノ粒子は、ボルテックスまたは超音波処理によって混合することができる。
【0089】
いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層を堆積させる前に、コード化されたマイクロキャリアを作製するための本明細書に記載の方法は、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤を混合して、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を形成することをさらに含む。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物の2.5%を構成する。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、およそ以下の濃度(実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物に対する重量%):10、9、8、7、6、5、4、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、または0.3のいずれか未満を含む。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、およそ以下の濃度(実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物に対する重量%):0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、または8のいずれか超を含む。すなわち、本開示の複数の磁性ナノ粒子は、10、9、8、7、6、5、4、3、2.5、2、1.5、1、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、または0.3%の上限と、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、または8%の独立して選択される下限とを有する濃度を有することができ、下限は上限未満であり、濃度は、実質的に透明なポリマーのモノマー、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物に対する重量%である。
【0090】
いくつかの変形形態では、実質的に透明なポリマーのモノマーと混合する前に、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤を混合して、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を形成する。いくつかの実施形態では、分散剤は、10%の、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物を含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、およそ以下の濃度(複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物に対する重量%):90、80、70、60、50、40、30、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.1のいずれか未満を含む。いくつかの実施形態では、複数の磁性ナノ粒子は、およそ以下の濃度(複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物に対する重量%):0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、50、60、70、80、または90のいずれか超を含む。すなわち、本開示の複数の磁性ナノ粒子は、90、80、70、60、50、40、30、20、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%の上限と、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、30、40、50、60、70、80、または90%の独立して選択される下限とを有する濃度を有することができ、下限は上限未満であり、濃度は、複数の磁性ナノ粒子、溶媒、および分散剤の混合物に対する重量%である。
【0091】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される溶媒は、シクロペンタノンもしくはg-ブチロラクトン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される分散剤は、リン酸ポリマーを含むか、またはリン酸基を含有する。いくつかの実施形態では、分散剤は、ポリエチレングリコール(PEG)ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、ポリエステルポリマーを含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、リン酸ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、1つまたは複数のカルボキシル基を有するポリマーを含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、1つまたは複数のリン酸基を有するポリマーを含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、PEG-リン酸部分を有するポリマーを含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、例えば、J. Mater. Chem.、2021年、22、19806に記載されているようなカルボキシル-PEG-リン酸を含む。いくつかの実施形態では、分散剤は、リン酸ポリエステルを含む。いくつかの実施形態では、分散剤の100%が、カルボキシル-PEG-リン酸である。いくつかの実施形態では、分散剤の90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、1%、または0.1%が、カルボキシル-PEG-リン酸である。いくつかの実施形態では、分散剤により、混合物中の磁性ナノ粒子および実質的に透明なポリマーのモノマーを安定に維持することが可能になり、それによって製造されるマイクロキャリアのロット間のばらつきを低減する。いくつかの実施形態では、磁性ナノ粒子を、分散剤としてリン酸ポリエステルポリマーを含む溶媒と混合することにより、磁性ナノ粒子と、実質的に透明なポリマーのモノマーとを含む混合物を、およそ以下の日数:5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、または50のいずれか超の間、安定に維持することが可能になる。
【0093】
いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層は、スピンコーティングによって堆積させる。いくつかの実施形態では、本開示の実質的に透明な磁性ポリマー層は、スプレーコーティングによって堆積させる。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層を、フォトリソグラフィーによって堆積および/またはパターニングする。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層を、リフトオフによって堆積および/またはパターニングする。いくつかの実施形態では、実質的に透明な磁性ポリマー層を、スパッタリングによって堆積および/またはパターニングする。
【0094】
いくつかの実施形態では、本開示の実質的に不透明な層は、リソグラフィによって堆積させる。いくつかの実施形態では、本開示の実質的に不透明な層は、リフトオフによって堆積させる。
【0095】
いくつかの実施形態では、捕捉剤は、本開示のマイクロキャリア、例えば、本明細書に記載されるマイクロキャリア、および/または本明細書に記載される方法のいずれかによって製造されるマイクロキャリアに連結することができる。本明細書に記載される捕捉剤のいずれか、または本明細書に記載される被分析物を捕捉するのに好適な当技術分野で公知の任意の捕捉剤は、本開示の方法および/またはマイクロキャリアにおいて用途を見出すことができる。
【0096】
いくつかの実施形態では、捕捉剤は、本開示のポリマー層、例えば、本明細書に記載の実質的に透明な磁性ポリマー層に連結することができる。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、ポリマー層の第1の表面または第2の表面の一方または両方に連結することができる。いくつかの実施形態では、捕捉剤は、ポリマー層の少なくとも中心部分(例えば、本明細書に記載の中心部分)に連結することができる。いくつかの実施形態では、ポリマーはエポキシ系ポリマーを含むか、または別様にエポキシド基を含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、捕捉剤の連結は、ポリマーを光酸発生剤および光と反応させて架橋ポリマーを生成することを含む。いくつかの実施形態では、光は、光酸発生剤を活性化する波長のもの、例えばUV光または近UV光である。光酸発生剤は、Sigma-Aldrich(St. Louis)およびBASF(Ludwigshafen)から市販されている。当技術分野で公知の任意の好適な光酸発生剤を使用することができ、限定されないが、トリフェニルもしくはトリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート;トリアリールスルホニウムヘキサフルオロホスフェート;トリフェニルスルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート;トリフェニルスルホニウムトリフレート;トリス(4-tert-ブチルフェニル)スルホニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネートもしくはトリフレート;ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウム含有光酸発生剤、例としてビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、p-トルエンスルホネート、およびトリフレート;Boc-メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフレート;(tert-ブトキシカルボニルメトキシナフチル)-ジフェニルスルホニウムトリフレート;(4-tert-ブチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ニトレート、ペルフルオロ-1-ブタンスルホネート、トリフレート、もしくはp-トルエンスルホネート;(4-フルオロフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート;N-ヒドロキシナフタルイミドトリフレート;N-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミドペルフルオロ-1-ブタンスルホネート;(4-ヨードフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート;(4-メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート;2-(4-メトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン;(4-メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート;(4-メチルチオフェニル)メチルフェニルスルホニウムトリフレート;(4-フェノキシフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート;(4-フェニルチオフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフレート;またはproduct-finder.basf.com/group/corporate/product-finder/de/literature-document:/Brand+Irgacure-Brochure--Photoacid+Generator+Selection+Guide-English.pdfにおいて記載されている光酸発生剤のいずれか、を含む。いくつかの実施形態では、光酸発生剤はスルホニウム含有光酸発生剤である。
【0098】
いくつかの実施形態では、捕捉剤を連結することは、架橋ポリマーのエポキシドをアミン、カルボキシル、チオールなどの官能基と反応させることを伴う。あるいは、表面のエポキシ基を酸化してヒドロキシル基にすることもでき、これはその後、ポリ(アクリル酸)などの水溶性ポリマーのグラフト重合の開始位置として使用される。次に、ポリ(アクリル酸)のカルボキシル基を使用して、捕捉剤のアミノ基またはヒドロキシル基と共有結合を形成させる。
【0099】
いくつかの実施形態では、捕捉剤を連結することは、架橋ポリマーのエポキシドを、アミンおよびカルボキシルを含有する化合物と反応させることを伴う。いくつかの実施形態では、化合物のアミンがエポキシドと反応して、化合物が連結した架橋ポリマーを形成する。理論に拘束されることを望むものではないが、ポリマーが架橋される前に、捕捉剤をポリマーに連結することができると考えられる;ただし、これにより、得られる表面の均一性が低下する場合がある。第一級アミンおよびカルボキシル基を有する任意の化合物を使用することができる。化合物は、限定されないが、グリシン、アミノウンデカン酸、アミノカプロン酸、アクリル酸、2-カルボキシエチルアクリル酸、4-ビニル安息香酸、3-アクリルアミド-3-メチル-1-ブタン酸、グリシジルメタクリレートなどを含み得る。いくつかの実施形態では、化合物が連結した架橋ポリマーのカルボキシルを、捕捉剤のアミン(例えば、一級アミン)と反応させて、捕捉剤を実質的に透明なポリマーに連結する。
【0100】
上述の方法に好適な種々の捕捉剤および被分析物の説明は、本開示全体、例えば、上のIII節に見出すことができる。
【0101】
V.マルチプレックスアッセイ
本開示のある特定の態様は、コード化されたマイクロキャリア、例えば本明細書に記載のマイクロキャリアを使用することによって、溶液中の被分析物を検出するための方法に関する。本明細書、例えば上のIII節およびIV節、ならびに/または以下の実施例に記載されるマイクロキャリアの特徴または態様のうちの1つまたは複数を含む、コード化されたマイクロキャリアを使用する被分析物検出のための方法。有利なことに、これらのコード化されたマイクロキャリアによって、従来のマルチプレックスアッセイと比較して、多数の可能性のある固有のマイクロキャリアを伴う改良されたマルチプレックスアッセイでの被分析物検出および認識エラーの低減が可能になる。本明細書で使用される被分析物検出方法は、当技術分野で公知の任意の好適なアッセイ容器、例えばマイクロプレート、ペトリ皿、または他の任意の数の周知のアッセイ容器で実行することができる。
【0102】
いくつかの実施形態では、溶液中の被分析物を検出する方法は、第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させることであって、複数のマイクロキャリアは少なくとも、第1の被分析物を特異的に捕捉し、第1のアナログコードでコード化されている本開示の第1のマイクロキャリアと、第2の被分析物を特異的に捕捉し、第2のアナログコードでコード化されている本開示の第2のマイクロキャリアとを含む、第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させること;アナログ形状認識を用い、第1のアナログコードおよび第2のアナログコードをデコードし、第1のマイクロキャリアと第2のマイクロキャリアを識別すること;ならびに第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出すること、を含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、方法は、第1の被分析物および第2の被分析物を含む溶液を複数のマイクロキャリアと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、複数のマイクロキャリアは、第1の被分析物を特異的に捕捉する(例えば、マイクロキャリアに連結した、第1の被分析物に特異的な捕捉剤を使用して)、本開示の第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および第2の被分析物を特異的に捕捉する(例えば、マイクロキャリアに連結した、第2の被分析物に特異的な捕捉剤を使用して)、本開示の第2のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードとは異なる第2のアナログコードでコード化されている、第2のマイクロキャリア、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の被分析物は異なっていてもよい。他の実施形態では、第1および第2の被分析物は同じであってもよく、例えば第1および第2のマイクロキャリアは、同じ被分析物を重複して認識してもよく(これは、例えば品質管理の目的で有用であり得る)、または第1および第2のマイクロキャリアは、同じ被分析物の異なる領域を認識してもよい(例えば、同じ抗原の異なるエピトープを認識する抗体)。
【0104】
本開示の方法は、任意の好適な溶液中の被分析物を検出するために使用することができる。いくつかの実施形態では、溶液は、生物学的試料を含む。生物学的試料の例には、限定されないが、血液、尿、痰、胆汁、脳脊髄液、皮膚または脂肪組織の間質液、唾液、涙、気管支肺胞洗浄、中咽頭分泌物、腸液、経膣部または子宮分泌物および精液を含まれる。いくつかの実施形態では、生物学的試料はヒト由来のものであり得る。他の実施形態では、溶液は、生物学的試料でない試料、例として、環境試料、実験室で調製された試料(例えば、調製、単離、精製および/または合成された1つまたは複数の被分析物を含有する試料)、固定試料(例えば、ホルマリン固定試料、パラフィン包埋試料、またはFFPE試料)などを含む。
【0105】
いくつかの実施形態では、分析はマルチプレックス化されており、すなわち、シグナル放出実体からのシグナルが、少なくとも2つの目的の被分析物、少なくとも3つの目的の被分析物、少なくとも4つの目的の被分析物、少なくとも5つの目的の被分析物、少なくとも10個の目的の被分析物、少なくとも15個の目的の被分析物、少なくとも20個の目的の被分析物、少なくとも25個の目的の被分析物、少なくとも30個の目的の被分析物、少なくとも35個の目的の被分析物、少なくとも40個の目的の被分析物、少なくとも45個の目的の被分析物、もしくは少なくとも50個の目的の被分析物、またはそれより多くについて、反応検出システムによって検出されるように、各溶液(例えば、試料)が分析される。
【0106】
いくつかの実施形態では、方法は、アナログ形状認識を用い、第1のアナログコードおよび第2のアナログコードをデコードして、第1のマイクロキャリアと第2のマイクロキャリアを識別することを含む。概念的には、このデコードは、各マイクロキャリアのアナログコード(例えば、溶液または試料中の)をイメージングすること、各画像をアナログコードのライブラリと比較すること、および各画像をライブラリからの画像と照合することを伴うことができ、このようにして、コードを確実に識別する。任意選択で、本明細書に記載されるように、方向インジケータ(例えば、非対称性)を含むマイクロキャリアを使用する場合、デコードは、各画像を回転させて、特定の方向に整列させる(部分的に、例えば、方向インジケータに基づいて)工程をさらに含み得る。例えば、方向インジケータがギャップを含む場合、ギャップが所定の位置または方向(例えば、画像の0°の位置)に達するまで、画像を回転させることができる。
【0107】
種々の形状認識ソフトウェア、ツールおよび方法が、当技術分野において公知である。そのようなAPIおよびツールの例には、限定されないが、Microsoft(登録商標)Research FaceSDK、OpenBR、Face and Scene Recognition from ReKognition、Betaface API、および種々のImageJのプラグインが含まれる。いくつかの実施形態では、アナログ形状認識には、限定されないが、画像プロセシング工程、例として、前景抽出、形状検出、二値化(例えば、自動または手動の画像二値化)などを含めてもよい。
【0108】
本明細書に記載の方法およびマイクロキャリアが、限定されないが、顕微鏡、プレートリーダーなどを含む種々のイメージング装置に適合し得ることは、当業者には理解される。いくつかの実施形態では、アナログコードをデコードすることは、第1および第2のマイクロキャリアの実質的に透明な部分(例えば、実質的に透明なポリマー層)および/または周囲の溶液に光を通過させることによって、第1および第2のマイクロキャリアを照射することを含んでもよい。次に、光は、第1および第2のマイクロキャリアの実質的に不透明な部分(例えば、実質的に不透明なポリマー層)を通過できないか、またはより低い強度もしくは他のかなりの差を伴って通過して、第1のマイクロキャリアに対応する第1のアナログコード化光パターンと、第2のマイクロキャリアに対応する第2のアナログコード化光パターンとを生成することができる。
【0109】
上で説明したように、任意のタイプの光学顕微鏡法を、本開示の方法に使用することができ、この光学顕微鏡法には、限定されないが、以下:明視野、暗視野、位相差、微分干渉コントラスト(DIC)、ノマルスキー型干渉コントラスト(NIC)、ノマルスキー、ホフマン変調コントラスト(HMC)、または蛍光顕微鏡法のうちの1つもしくは複数が含まれる。ある特定の実施形態では、アナログコードは、明視野顕微鏡法を使用してデコードすることができ、被分析物は蛍光顕微鏡法を使用して検出することができる。
【0110】
いくつかの実施形態では、アナログコードをデコードすることは、第1のアナログコード化光パターンをイメージングして第1のアナログコード化画像を生成し、第2のアナログコード化光パターンをイメージングして第2のアナログコード化画像を生成することをさらに含んでもよい。すなわち、イメージングされた光のパターンは、マイクロキャリアの実質的に透明な/実質的に不透明な領域のパターンに対応し、そのようにしてアナログコードの画像を生成することができる。このイメージングは、限定されないが、画像を捕捉すること、画像を二値化すること、およびアナログコードのより正確な、精密な、またはロバストなイメージングを達成するために所望の任意の他の画像加工工程を含む工程を含んでもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、アナログコードをデコードすることは、アナログ形状認識を用いて、第1のアナログコード化画像を第1のアナログコードと照合し、第2のアナログコード化画像を第2のアナログコードと照合すること、をさらに含んでもよい。いくつかの実施形態では、画像は、例えば、画像と典型的なアナログコード画像との間の所定量の偏差または不一致を許容する、所定の閾値内でアナログコード(例えば、各画像ファイルは固有の二次元形状/アナログコードに対応する、画像ファイルのライブラリからの画像ファイル)と照合することができる。そのような閾値は、経験的に決定してもよいし、当然ながら、アナログコードのために使用された特定のタイプの二次元形状および可能性のある二次元形状のセット間のばらつきの程度に基づいてもよい。
【0112】
いくつかの実施形態では、方法は、第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出すること、を含む。当技術分野において公知の任意の好適な被分析物検出技術を使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1および第2のマイクロキャリアは、1つまたは複数の検出剤とともにインキュベートすることができる。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の検出剤は、第1のマイクロキャリアによって捕捉された第1の被分析物および第2のマイクロキャリアによって捕捉された第2の被分析物と結合する。いくつかの実施形態では、方法は、第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を測定すること、をさらに含む。
【0113】
いくつかの実施形態では、溶液(生物学的試料など)中の被分析物は、捕捉剤に結合すると検出可能なシグナルを放出することができる検出剤(例えば、シグナル放出実体)で標識することができる。いくつかの実施形態では、検出剤は、比色ベースのものとすることができる。他の実施形態では、検出剤は、フィコエリトリン、青色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質、黄色蛍光タンパク質、シアン蛍光タンパク質、およびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない蛍光ベースのものであり得る。他の実施形態では、検出剤は、32P、33P、22Na、36Cl、2H、3H、35S、および123Iで標識された分子を含むがこれらに限定されない放射性同位元素ベースのものであり得る。他の実施形態では、検出剤は、ルシフェラーゼ(例えば、化学発光ベース)、ホースラディッシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、およびそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない光ベースのものである。いくつかの実施形態では、溶液中に存在する生体分子または化合物は、マイクロキャリア組成物と接触する前に検出剤で標識することができる。他の実施形態では、溶液中に存在する生体分子または化合物は、マイクロキャリア組成物と接触した後に、検出剤で標識することができる。さらに他の実施形態では、検出剤は、目的の被分析物、例えば、DNA分子、DNAアナログ分子、RNA分子、RNAアナログ分子、ポリヌクレオチド、タンパク質、酵素、脂質、リン脂質、炭水化物部分、多糖類、抗原、ウイルス、細胞、抗体、小分子、細菌細胞、細胞小器官、および/または抗体断片に特異的に結合する分子または巨大分子構造に連結することができる。
【0114】
いくつかの実施形態では、検出剤は蛍光性検出剤であり、第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を、蛍光顕微鏡法(例えば、蛍光顕微鏡またはプレートリーダー)によって測定する。他の実施形態では、検出剤は発光性検出剤であり、第1および第2のマイクロキャリアに結合した検出剤の量を、発光顕微鏡法(例えば、発光顕微鏡またはプレートリーダー)によって測定する。
【0115】
いくつかの実施形態では、各被分析物/捕捉剤は、特異的検出剤とともに使用することができる。非限定的な例として、検出剤は、被分析物に特異的に結合する抗体;または被分析物がリガンド-受容体対の同族リガンド/受容体である場合、リガンド-受容体対のリガンドもしくは受容体に連結した検出剤(例えば、蛍光、発光、酵素、もしくは他の検出剤)であってもよい。この技術は、捕捉抗体および検出抗体を含むサンドイッチELISAまたはタンパク質マイクロアレイに概念的に類似している(ただし、この場合、この例の薬剤は厳密に抗体に限定されないことに注意すべきである)。別の非限定的な例として、検出剤は、標識された目的の被分析物などの目的のタンパク質に連結した蛍光性または他の検出可能なプローブであってもよい。例えば、反応を使用して、検出剤を目的の溶液(試料など)中の1つまたは複数のタンパク質に連結することができ、これは、次に捕捉剤(抗原捕捉タイプのタンパク質マイクロアレイと概念的に類似する)によって捕捉される。
【0116】
他の実施形態では、複数の固有の被分析物/捕捉剤を汎用検出剤とともに使用することができる。非限定的な例として、検出剤は、被分析物が抗体である場合、抗体のFc領域に結合する薬剤であってもよく;被分析物がDNAまたはRNAなどのポリヌクレオチドである場合、オリゴヌクレオチド(例えば被分析物とハイブリダイズする一本鎖オリゴヌクレオチド)に連結した蛍光性または他の検出可能なプローブであってもよい。後者のシナリオは、マイクロアレイ技術と概念的に類似する。
【0117】
いくつかの実施形態では、検出工程は、例えば、夾雑物を低減するための、捕捉剤および/またはマイクロキャリア表面に非特異的に結合したあらゆる物質を除去するためなどの、1つまたは複数の洗浄工程を含んでもよい。いくつかの実施形態では、磁気分離工程を使用して、本開示の磁性層または材料を含有するマイクロキャリアを洗浄することができる。他の実施形態では、当技術分野において公知の他の分離工程を使用することができる。
【0118】
いくつかの実施形態では、デコード工程を、検出工程の後に行ってもよい。他の実施形態では、デコード工程を、検出工程の前に行ってもよい。さらに他の実施形態では、デコード工程を、検出工程と同時に行ってもよい。
【0119】
VI.キットまたは製造品
本開示の複数のマイクロキャリアを含有するキットまたは製造品を、本明細書でさらに提供する。これらのキットまたは製造品は、特に、マルチプレックスアッセイ、例として、本明細書に記載の例示的マルチプレックスアッセイを実行する際に、用途を見出すことができる(例えば、上のV節を参照されたい)。
【0120】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、第1の被分析物を特異的に捕捉する(例えば、マイクロキャリアに連結した、第1の被分析物に特異的な捕捉剤を使用して)、本開示の第1のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードでコード化されている、第1のマイクロキャリア;および第2の被分析物を特異的に捕捉する(例えば、マイクロキャリアに連結した、第2の被分析物に特異的な捕捉剤を使用して)、本開示の第2のマイクロキャリアであって、第1のアナログコードとは異なる第2のアナログコードでコード化されている、第2のマイクロキャリア、を含んでもよい。いくつかの実施形態では、第1および第2の被分析物は異なっていてもよい。他の実施形態では、第1および第2の被分析物は同じであってもよく、例えば第1および第2のマイクロキャリアは、同じ被分析物を重複して認識してもよく(これは、例えば品質管理の目的で有用であり得る)、または第1および第2のマイクロキャリアは、同じ被分析物の異なる領域を認識してもよい(例えば、同じ抗原の異なるエピトープを認識する抗体)。キットまたは製造品は、本明細書に記載される(例えば、上のIII節を参照のこと)、または本明細書に記載される方法を使用して製造される(例えば、上のIV節を参照のこと)マイクロキャリアのいずれかを含んでもよい。
【0121】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、第1のマイクロキャリアに結合した第1の被分析物の量および第2のマイクロキャリアに結合した第2の被分析物の量を検出するための、本開示の1つまたは複数の検出剤をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、第1の被分析物に対する検出剤は、第2の被分析物に対する検出剤と同じであってもよい。他の実施形態では、第1の被分析物に対する検出剤は、第2の被分析物に対する検出剤と異なっていてもよい。
【0122】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、1つまたは複数の被分析物、例えば第1および第2の被分析物を検出するためにキットまたは製造品を使用するための説明書をさらに含んでもよい。これらの説明書は、例えば本明細書に記載の方法のいずれかにおいて、キットまたは製造品を使用するためのものであり得る。
【0123】
いくつかの実施形態では、キットまたは製造品は、1つまたは複数の検出剤(例えば、上述のような)を、任意の説明書、または検出剤を1つまたは複数の被分析物に連結するのに、または被分析物を認識する1つまたは複数の巨大分子に、検出剤を連結するのに好適な任意の試薬とともに、さらに含み得る。キットまたは製造品は、アッセイ(例えば、マルチプレックスアッセイ)においてマイクロキャリアを使用するための任意の追加の構成要素であって、限定されないが、プレート(例えば、96ウェルもしくは他の類似のマイクロプレート)、皿、顕微鏡スライド、もしくは他の好適なアッセイ容器;非一時的なコンピュータ可読記憶媒体(例えば、アナログ形状もしくはコード認識のためのソフトウェアおよび/または他の命令を含有する);洗浄剤;バッファー;プレートシーラー;混合容器;希釈剤または保存溶液などを含む、構成要素をさらに含み得る。
【実施例】
【0124】
本発明は、以下の実施例を参照することによってより完全に理解されるであろう。しかし、それらは本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書に記載の実施例および実施形態は、例示のみを目的としており、それらの見地からの種々の修正または変更が当業者に提案され、本出願の精神および範囲ならびに添付の特許請求の範囲内に含まれるべきであることが理解される。
【0125】
ここで、マルチプレックスアッセイ(例えば、被分析物検出)のためのマイクロキャリアおよびそれらの製造方法に、注意を向ける。以下の実施例は、特に、本明細書に記載の方法、アッセイ、およびキットまたは製造品に用途を見出すことができる、被分析物検出用のアナログコード化されたマイクロキャリアの例示的実施形態を示す。これらの例示的実施形態は、決して限定することを意図するものではなく、本明細書に記載される態様および特徴のいくつかを示すために提供されることに留意すべきである。
【0126】
実施例1:
二次元のアナログコードでコード化されたマイクロキャリア
上述したように、アナログコード化されたマイクロキャリアは、膨大な数の可能性のある固有の識別子および認識エラーの低減により、マルチプレックス化アッセイにとって非常に有利である。この実施例では、識別用のアナログコードとして使用することができる、二次元形状でコード化された種々のタイプのマイクロキャリアについて説明する。本開示のコード化されたマイクロキャリアは、以下に記載される任意選択の特徴の一部またはすべてを任意の組み合わせで含み得ることが理解されるべきである。
【0127】
図1Aおよび
図1Bは、例示的マイクロキャリア100の2つの図を示す。マイクロキャリア100は、直径が約40μm、厚さが2~10μmの円形のディスクである。
図1Aは、ディスクの円形面から見たマイクロキャリア100の図を提供し、
図1Bは、
図1Aに示す表面に直交するマイクロキャリア100の側面図を示す。マイクロキャリア100の2つの構成要素が示されている。第1に、実質的に透明なポリマー層102がマイクロキャリアの本体を提供する。層102を、例えば、上述のように、ポリマー、例えば、SU-8を使用して生成することができる。いくつかの実施形態では、層102は、例えば上述したように、実質的に透明な磁性ポリマーである。
【0128】
実質的に不透明な層104を、層102の表面に貼り付ける。
図1Bにおいて示されるマイクロキャリア100の断面図は、層104の不連続な図を示す一方で、
図1Aにおいて示される図は、層104が、複数の歯を伴う円形のギアのような形状であることを示す。これは単なる例示的形状である;他の形状は上述されており、例えば
図2A~
図2Cに示されている。有利には、層104の形状は層102の外周内に適合する。これにより、複数の種のマイクロキャリアにわたって均一な全体形状を維持しながら、さまざまなアナログコードのそれぞれが、1種のマイクロキャリアの固有の識別子を表すことが可能になる。別の言い方をすると、複数の種の集団内の各マイクロキャリア種は、異なる二次元のギア形状(すなわち、アナログコード)を有してもよいが、各マイクロキャリアは同じ外周を有し、これにより物理的特性(例えば、サイズ、形状、溶液中での挙動など)の均一性が向上する。層104を、例えば、上述のように、ポリマー、例として色素と混合したSU-8を使用して、ブラックマトリックスレジストを使用して、または残留磁気を欠く金属を使用して生成してもよい。
【0129】
層104は、層102の中心部分106を取り囲む。被分析物を捕捉するための捕捉剤を、層102の一方または両方の表面(すなわち、上面/下面)上で、少なくとも中心部分106に連結する。有利には、これにより、層104に起因する干渉の可能性を全く伴わずに、中央部分106をイメージングすることが可能になる。
【0130】
図1Cおよび1Dは、被分析物検出用のマイクロキャリア100を使用する例示的アッセイを示す。
図1Cは、マイクロキャリア100が、少なくとも中心部分106において、1つまたは複数の表面に連結されている捕捉剤108を含み得ることを示す。マイクロキャリア100を、捕捉剤108に捕捉されている被分析物110を含有する溶液と接触させる。上述のように、種々の捕捉剤を、小分子、核酸およびタンパク質(例えば、抗体)からオルガネラ、ウイルスおよび細胞までの範囲の異なるタイプの被分析物を捕捉するために使用してもよい。
図1Cは、被分析物110を捕捉する単一のマイクロキャリア種(すなわち、マイクロキャリア100)を示すが、マルチプレックスアッセイにおいて複数のマイクロキャリア種が使用されており、各種は、特定の被分析物を認識する特定の捕捉剤を有する。
【0131】
図1Dは、マイクロキャリア100を「読み取る」ための例示的プロセスを示す。このプロセスは、同時にまたは別々に達成することができる2つの工程を含む。第1に、捕捉剤108による被分析物110の捕捉を検出する。
図1Dに示される例では、検出剤114は、被分析物110に結合する。マイクロキャリア100に連結されている捕捉剤によって捕捉されていない被分析物を、検出の前に洗い落としてもよく、その結果、マイクロキャリア100に結合した被分析物だけが検出される。検出剤114は、検出用の試薬も含む。一例として、検出剤114は、フルオロフォアの励起スペクトル内の波長の光116によって励起される場合、光118(例えば、光子)を放射するフルオロフォアを含んでもよい。光118を、任意の好適な検出方法、例として、蛍光顕微鏡、プレートリーダーなどによって検出してもよい。
【0132】
加えて、マイクロキャリア100を、その固有の識別子について読み取る。
図1Dにおいて示される実施例では、光112を使用して、マイクロキャリア100を含有する領域を照射する(いくつかの実施形態では、光112は、光116および光118と異なる波長を有し得る)。光112がマイクロキャリア100を含有する領域を照射する場合、
図1Dにおいて示されるように、光は実質的に透明なポリマー層102を通過するが、実質的に不透明なポリマー層104によってブロックされる。これにより、例えば光学顕微鏡法(例えば、微分干渉コントラストまたはDIC顕微鏡法を使用する)によってイメージングすることができる光パターンが生成される。この光パターンは、マイクロキャリア100の二次元形状(すなわち、アナログコード)に基づく。標準的な画像認識技術を使用して、マイクロキャリア100の画像によって表されるアナログコードをデコードすることができる。
【0133】
被分析物検出および識別子イメージング工程は、任意の順序で、または同時に行うことができる。有利には、
図1Dに示される両方の検出工程は、1つのイメージング装置上で達成することができる。一例として、蛍光顕微鏡法および光学(例えば、明視野)顕微鏡法の両方が可能な顕微鏡を使用して、マイクロキャリア100に結合した被分析物110の量(例えば、検出剤114によって検出されるような)を定量し、層102および104によって作成されたアナログコードをイメージングすることができる。これにより、必要な機器が少なくなり、より効率的なアッセイプロセスが可能になる。
【0134】
図2Aは、例示的ギア形状のコード化スキームの3つの実施形態、すなわちマイクロキャリア200、202、および204を示す。マイクロキャリア200、202、および204の固有のコードを、単純な「充填または非充填」スキームを使用して生成する。
図2Bは、形状の数(例えば、コードZN_10の7つの異なる形状と比較した、コードZN_3の2つの異なる形状)および/または形状のサイズ(例えば、コードZN_2の大型、小型、および中間サイズの形状)を使用するコードの10個の例示的実施形態を示す。
【0135】
図2Cは、連続または不連続の環形状を使用する別のコード形式を示しており、コードは、形状全体(例えば、1つまたは複数の円弧要素で構成される)における数、パターン、二次元幅、および/または厚さの全体的な差異によって表すことができる。環形状の不連続性は、例えば、デコードの一部としてコードの画像を方向付けるために使用することができる非対称性を提供する。重要なのは、上述のように、アナログ画像認識を用いると、より複雑なコード化スキームが利用可能になるため、可能性のある固有のコードの数が大幅に増加することである。
【0136】
実施例2
二次元のアナログコードを使用したマイクロキャリアの製造方法
実施例1においてマイクロキャリアの例示的実施形態を説明してきたが、ここでマイクロキャリアの製造方法に注目する。上述のように、本開示のマイクロキャリアは、所望の構成および/または任意選択の特徴に応じて、1つ、2つ、またはそれ以上の構成層から作製することができる。
【0137】
図3は、実質的に透明な磁性ポリマー層および実質的に不透明な層を有する本開示のマイクロキャリアを製造するための例示的プロセス300を示す。
【0138】
302において、実質的に透明な磁性ポリマー層304を、犠牲層306上に堆積させた。いくつかの実施形態では、層304を、スピンコーティングによって堆積させる。層304は、超常磁性要素、例えば磁性ナノ粒子を有する任意の実質的に透明なポリマーから作製することができる。
【0139】
312において、堆積層304をマイクロキャリア形状にパターニングし、マイクロキャリア形状308bを製造した(マイクロキャリア形状308aおよび308cの部分図も示す)。すなわち、堆積層304を、複数のマイクロキャリア形状を製造するようにパターニングし、各形状は、マイクロキャリア形状にパターニングした実質的に透明な磁性ポリマー層を含んでいた。いくつかの実施形態では、層304は、フォトリソグラフィーを使用してパターニングする。いくつかの実施形態では、層304は、リフトオフプロセスを使用してパターニングする。
【0140】
322において、実質的に不透明な層を、各マイクロキャリア上(例えば、堆積されパターニングされた実質的に透明な磁性ポリマー層308a、308b、および308c上)に堆積させパターニングした。この図では、実質的に不透明な層310aは、実質的に透明な磁性ポリマー層308a上に堆積されパターニングされており、実質的に不透明な層310bは、実質的に透明な磁性ポリマー層308b上に堆積されパターニングされており(この図では、層310bは断面のため不連続に見えるが、連続的または不連続的のいずれかであり得る)、実質的に不透明な層310cは、実質的に透明な磁性ポリマー層308c上に堆積されパターニングされていた。層310a、310b、および310cを、アナログコード、例として
図2A~
図2Cに示される例示的タイプのアナログコードにパターニングした。この例では、層310a、310b、および310cを堆積させ、複数のアナログコード形状にパターニングし、各アナログコード形状はマイクロキャリアに属していた。アナログ形状は、互いに同じであっても異なっていてもよい(例えば、犠牲層306は、便宜上同時に製造された1つの形状のマイクロキャリアをすべて、または2つ以上の異なるアナログ形状を表すマイクロキャリアを含有することができる)。いくつかの実施形態では、層310a、310b、および310cを、リソグラフィによって堆積させる。いくつかの実施形態では、層310a、310b、および310cを、リフトオフプロセスによってパターニングする。層310a、310b、および310cは、任意の不透明な材料、例として実質的に不透明なポリマー(例えば、ブラックマトリックスレジストまたは約230nmと約660nmの間の波長で約1.8(OD)を超える吸光度を呈するポリマーを含む)または金属(例えば、チタンもしくはクロムなどの、残留磁気を欠く)から作製することができる。
【0141】
あるいは、
図4に示すように、実質的に透明な磁性ポリマー層および実質的に不透明な層の堆積およびパターニングの順序を逆にすることもできる。
図4は、実質的に透明な磁性ポリマー層および実質的に不透明な層を有する本開示のマイクロキャリアを製造するためのプロセス400を示す。
【0142】
402には、犠牲層404が示されている。
【0143】
412において、実質的に不透明な層406を犠牲層404上に堆積させ、パターニングした。層406を、アナログコード、例として
図2A~
図2Cに示される例示的タイプのアナログコードにパターニングした。この例では、層406を堆積させ、複数のアナログコード形状にパターニングし、各アナログコード形状はマイクロキャリアに属していた。アナログ形状は、互いに同じであっても異なっていてもよい(例えば、犠牲層404は、便宜上同時に製造された1つの形状のマイクロキャリアをすべて、または2つ以上の異なるアナログ形状を表すマイクロキャリアを含有することができる)。いくつかの実施形態では、層406を、リソグラフィによって堆積させる。いくつかの実施形態では、層406を、リフトオフプロセスによってパターニングする。層406は、任意の不透明な材料、例として実質的に不透明なポリマー(例えば、ブラックマトリックスレジストまたは約230nmと約660nmの間の波長で約1.8(OD)を超える吸光度を呈するポリマーを含む)または金属(例えば、チタンもしくはクロムなどの、残留磁気を欠く)から作製することができる。
【0144】
422において、実質的に透明な磁性ポリマー層408を、層406および犠牲層404上に堆積させた。いくつかの実施形態では、層408を、スピンコーティングによって堆積させる。層408は、超常磁性要素、例えば磁性ナノ粒子を有する任意の実質的に透明なポリマーから作製することができる。
【0145】
432において、層408をマイクロキャリア形状410にパターニングし、マイクロキャリア形状410a、410b、および410cを製造した。すなわち、堆積層408を、複数のマイクロキャリア形状を製造するようにパターニングし、各形状は、マイクロキャリア形状にパターニングした実質的に透明な磁性ポリマー層を含む。いくつかの実施形態では、層408は、フォトリソグラフィーを使用して、例えばマスク414を使用してパターニングする。いくつかの実施形態では、層304は、リフトオフプロセスを使用してパターニングする。
【0146】
任意選択で、322および/または432の後、犠牲層306および/または404を、例えばエッチングによって除去することができる。
【0147】
理解を明確にするために、前記の発明を例示および実施例によってある程度詳細に説明したが、その説明および実施例は本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本明細書で引用されるすべての特許および科学文献の開示は、参照によりその全体が明示的に組み込まれる。
【国際調査報告】