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特表2024-526029手術室内の仮想境界に対する医療専門家の移動の監視
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】手術室内の仮想境界に対する医療専門家の移動の監視
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/20 20180101AFI20240709BHJP
【FI】
G16H40/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573239
(86)(22)【出願日】2022-05-25
(85)【翻訳文提出日】2024-01-18
(86)【国際出願番号】 IB2022054910
(87)【国際公開番号】W WO2022249103
(87)【国際公開日】2022-12-01
(31)【優先権主張番号】63/194,675
(32)【優先日】2021-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/335,358
(32)【優先日】2021-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
2.ZIGBEE
(71)【出願人】
【識別番号】506157570
【氏名又は名称】シラグ・ゲーエムベーハー・インターナショナル
【氏名又は名称原語表記】Cilag GMBH International
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シェルトン・ザ・フォース・フレデリック・イー
(72)【発明者】
【氏名】フィービッグ・ケビン・エム
(72)【発明者】
【氏名】ハリス・ジェイソン・エル
(72)【発明者】
【氏名】シャイブ・チャールズ・ジェイ
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
コンピューティングシステムは、手術室(OR)内の制限アクセスエリアの仮想境界を判定してもよい。コンピューティングシステムは、OR内の医療専門家(HCP)を識別し、HCPの移動を監視してもよい。コンピューティングシステムは、HCPのアクセス認可を判定してもよい。コンピューティングシステムは、HCPが仮想境界エリアに近接しているかどうかを判定してもよい。HCPが仮想境界エリアに近接しており、かつHCPが仮想境界エリアに入ることを認可されていないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPに通知を送信してもよい。通知は、HCPが仮想境界エリアに入ることを認可されていないことを示してもよい。HCPが仮想境界エリアに入ることを認可されているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPが仮想境界エリアに入ることを可能にすることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータ実装方法であって、
手術室(OR)内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定することと、
前記OR内の医療専門家(HCP)を識別することと、
前記OR内の識別された前記HCPの移動を監視することと、
前記識別されたHCPが前記制限アクセスエリアに関連付けられた前記仮想境界に入るためのアクセス認可を有するかどうかを判定することと、
前記HCPの監視された前記移動から、前記HCPが前記仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ前記HCPが前記仮想境界に入ることが認可されていないという判定に基づいて、前記HCPに通知を送信することと、を含み、前記通知は、前記HCPが前記仮想境界に入ることが認可されていないことを示す、コンピュータ実装方法。
【請求項2】
前記HCPに関連付けられたデバイスに前記通知を送信することを含み、前記通知が、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項3】
外科処置中に、外科用器具に関連付けられた位置調整を検出することと、
前記外科用器具に関連付けられた検出された前記位置調整に基づいて、前記仮想境界の場所を調整することと、を更に含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項4】
前記仮想境界が、患者に関連付けられており、前記方法が、
外科処置中に前記患者の再位置決めを検出することと、
前記患者の検出された前記再位置決めに基づいて、前記患者に関連付けられた前記仮想境界を調整することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項5】
前記HCPが、第1のHCPであり、前記移動が、第1の移動であり、前記方法が、
前記OR内の第2のHCPを識別することと、
前記OR内の識別された前記第2のHCPの第2の移動を監視することと、
前記第2のHCPが、制限アクセスエリアに関連付けられた前記仮想境界に入るための部分的なアクセス認可を有すると判定することであって、前記部分的なアクセス認可は、条件が満たされていることに基づいて、前記第2のHCPが前記制限アクセスエリアに入ることを可能にし、前記条件が、緊急事態又は第3のHCPからの認可のうちの少なくとも1つを含む、判定することと、
前記第2のHCPの前記第2の移動が前記仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ前記条件が満たされたという判定に基づいて、前記第2のHCPが前記制限アクセスエリアに関連付けられた前記仮想境界に入ることを可能にすることと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項6】
前記HCPのための前記アクセス認可を判定することが、外科処置中のHCPの役割、前記外科処置中の前記HCPに関連付けられた割り当て、前記HCPに関連付けられた個人用保護具、前記HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、又は制限エリアタイプに少なくとも基づく、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項7】
前記HCPの前記監視された移動に基づいて、前記HCPが前記制限アクセスエリアに入ることを停止したかどうかを判定することと、
前記HCPが前記制限アクセスエリアに入ったという判定に基づいて、前記OR内のディスプレイ又は前記OR内の他のHCPのうちの少なくとも一方に前記通知を送信することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項8】
前記仮想境界が、滅菌手術台、濾過システム、粒子捕捉システム、空中浮遊汚染ゾーン、麻酔科医の機器に関連付けられたエリア、又は外科医に関連付けられたエリアのうちの少なくとも1つに関連付けられている、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項9】
前記仮想境界が、外科用器具に関連付けられており、前記方法が、
外科処置中に、前記外科用器具に関連付けられた通電状態を検出することと、
前記外科用器具に関連付けられた検出された前記通電状態に基づいて、前記外科用器具の前記仮想境界に関連付けられた前記制限アクセスエリアを調整することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項10】
前記制限アクセスエリアを調整することは、
前記検出された通電状態が閾値レベルを上回るという条件に基づいて、前記外科用器具の前記仮想境界に関連付けられた前記エリアを増加させること、又は
前記検出された通電状態が前記閾値レベル未満であるという条件に基づいて、前記外科用器具の前記仮想境界に関連付けられた前記エリアを減少させることを含む、請求項9に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項11】
外科用監視データに基づいて外科工程を識別することであって、前記外科工程が、現在の外科工程又は次の外科工程を含む、識別することと、
識別された前記外科工程に基づいて、前記仮想境界の場所を調整することと、を含む、請求項1に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項12】
前記仮想境界の調整された前記場所の視覚的指示を提供することを含む、請求項11に記載のコンピュータ実装方法。
【請求項13】
請求項1に記載の方法を実装するように構成されたプロセッサを備える、コンピューティングシステム。
【請求項14】
命令を有するコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されるときに、請求項1に記載の方法を実現させる、コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年5月28日の米国特許仮出願第63/194,675号の優先権を主張し、当該仮出願の開示は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願は、同時に出願された以下の出願に関連し、それらの各々の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
・代理人整理番号END9339USNP1号を有する、「METHOD OF MONITORING AND ANALYZING SURGICAL PROCEDURES」と題する米国特許出願第17/335,738号。
【背景技術】
【0003】
外科手術の成功は、いくつかのタイプの手術室(operating room、OR)チームメンバーの専門知識に依存する。手術室職員の役割は様々である。加えて、外科医は、処置の過程を指示することに関わる重要な判定を行う。外科医は、手術に関わる切開を実施し得る。麻酔科医又は看護師麻酔士が、外科手術前に患者に麻酔を安全に投与し、外科手術中に患者を監視し、手術後に患者が麻酔から安全に覚めたことを確認することを担当する場合がある。巡回技術者が、患者を手術室に連れてきて、外科医及び他の人員の外科手術着を結び、器具及び薬剤などの必要とされる追加の用品を送達し、外科手術を文書化する場合がある。器械出し専門職員が、外科手術の前及び後に器具を滅菌し、外科手術中に術野を整理された状態に保ち、外科医に必要な器具を提供し得る。正看護師が、手術室看護師及び器械出し看護師としての役割を果たすことを含む、典型的には外科技術者に関連付けられた職務を実施し得る。加えて、看護師は、外科医の第1のアシスタントとしての役割を果たし得る。ORの人の往来は、手術部位の感染の原因として関係付けられている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
コンピュータ実装方法は、手術室(OR)内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定することと、OR内の医療専門家(health care professional、HCP)を識別することと、OR内の識別されたHCPの移動を監視することと、識別されたHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るためのアクセス認可を有するかどうかを判定することと、HCPの監視された移動から、HCPが仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつHCPが仮想境界に入ることが認可されていないという判定に基づいて、HCPに通知を送信することと、を含んでもよく、通知は、HCPが仮想境界に入ることが認可されていないことを示す。
【0005】
コンピュータ実装方法は、手術室内などの制限エリアにアクセスすることを認可されていない識別されたHCPが、HCPが制限アクセスエリアに近接しているときに通知されることを可能にしてもよい。したがって、HCPには、手術室内の周囲の認識の改善、及び懸念される制限アクセスエリアへの進入に対する通知が提供される。制限アクセスエリアは、高エネルギーデバイスなどの機器の周りの手術ゾーン、アクセスするためにHCPの追加の役割、認証若しくは要件を必要とする手術室内のエリア、又は患者若しくは選択的な患者身体部分の周りに選択的に画定されたゾーンであってもよい。したがって、実施例1の構成は、手術室内の制限アクセスエリアへの認可されていないアクセスを防止する有利な効果を有する。そのような通知により、HCPは、危険な状況を回避し、手術室内の他のHCP、機器又は患者との衝突を回避し、機器に対して不用意な変更が行われることを回避し、患者、機器、他のHCP及び行われる外科処置に対する望ましくない影響を最小限に抑えるために、適切かつ迅速なアクションをとることができるようになる。それにより、患者、機器、監視されているHCP、及び手術室内の他のHCPの安全性が確保される。更に、これらの手術では、通知されなければ認可されていないHCPが滅菌野に偶発的にアクセスすることによって発生し得る、手術台の周りの滅菌エリアなどの手術室内の滅菌野が汚染される可能性が低くなる。したがって、手術室における感染のリスクを最小限に抑えることができる。
【0006】
コンピュータ実装方法は、HCPに関連付けられたデバイスに通知を送信することを含んでもよく、通知が、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの少なくとも1つを含む。
【0007】
通知は、好適な形態で、識別されたHCPに提供されてもよい。
【0008】
コンピュータ実装方法は、外科処置中に外科用器具に関連付けられた位置調整を検出することと、外科用器具に関連付けられた検出された位置調整に基づいて、仮想境界の場所を調整することと、を含んでもよい。
【0009】
仮想境界は、患者に関連付けられてもよく、方法は、外科処置中に患者の再位置決めを検出することと、患者の検出された再位置決めに基づいて、患者に関連付けられた仮想境界を調整することと、を含んでもよい。
【0010】
コンピュータ実装方法は、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界が、機器の位置の変化又は患者の再位置決めに基づいて、適応的に更新されることを可能にしてもよい。
【0011】
HCPは、第1のHCPであってもよく、移動は、第1の移動であってもよく、方法は、OR内の第2のHCPを識別することと、OR内の識別された第2のHCPの第2の移動を監視することと、第2のHCPが、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るための部分的なアクセス認可を有すると判定することであって、部分的なアクセス認可は、条件が満たされていることに基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに入ることを可能にし、条件が、緊急事態又は第3のHCPからの認可のうちの少なくとも1つを含む、判定することと、第2のHCPの第2の移動が仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ条件が満たされたという判定に基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入ることを可能にすることと、を含んでもよい。
【0012】
HCPが制限エリアに近接していることを検出すると、それぞれのアクセス認可ステータスに基づいて、好適なアクションが選択的にとられてもよい。認可されていないHCPには通知が提供され、この通知は、制限エリアに入らないように、又はそうでなければ制限エリアと相互作用しないようにHCPに促してもよい。一方、制限アクセスエリアに関して部分的な認可を有するHCPは、所定の条件が満たされた場合に制限エリアに入ることを認可され、その条件は、緊急事態及び/又は第3のHCPからの認可(外科医又は他の認可されたスタッフからなど)である。
【0013】
HCPのためのアクセス認可を判定することは、外科処置中のHCPの役割、外科処置中のHCPに関連付けられた割り当て、HCPに関連付けられた個人用保護具、HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、又は制限エリアタイプに少なくとも基づいてもよい。
【0014】
コンピュータ実装方法は、HCPが制限エリアにアクセスすることを認可されている(又は部分的な認可を有している)かどうかを判定するための例示的な方法を提供してもよい。
【0015】
コンピュータ実装方法は、HCPの監視された移動に基づいて、HCPが制限アクセスエリアに入ることを停止したかどうかを判定することと、HCPが制限アクセスエリアに入ったという判定に基づいて、OR内のディスプレイ又はOR内の他のHCPのうちの少なくとも一方に通知を送信することと、を含んでもよい。
【0016】
コンピュータ実装方法は、認可されていないHCPが制限エリアに入ったときに、好適な形態の通知が提供又は表示されることを可能にしてもよい。通知は、手術室内のHCP又は他のHCPに適切なアクションをとるように促し、それによって手術室の安全性を確保し、感染を防止する。
【0017】
仮想境界は、滅菌手術台、濾過システム、粒子捕捉システム、空中浮遊汚染ゾーン、麻酔科医の機器に関連付けられたエリア、又は外科医に関連付けられたエリアのうちの少なくとも1つに関連付けられてもよい。
【0018】
仮想境界は、外科用器具に関連付けられてもよく、方法は、外科処置中に外科用器具に関連付けられた通電状態を検出することと、外科用器具に関連付けられた検出された通電状態に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられた制限アクセスエリアを調整することと、を含んでもよい。
【0019】
制限アクセスエリアを調整することは、検出された通電状態が閾値レベルを上回るという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられたエリアを増加させること、又は検出された通電状態が閾値レベル未満であるという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられたエリアを減少させることを含んでもよい。
【0020】
コンピュータ実装方法は、外科用器具の通電状態に従って、制限アクセスエリアの選択的調整を可能にしてもよい。選択的調整は、手術室内のHCP及び他のHCPの安全性に対する更なる保護手段を提供する。
【0021】
コンピュータ実装方法は、外科用監視データに基づいて、外科工程を識別することであって、外科工程が、現在の外科工程又は次の外科工程を含んでもよい、識別することと、識別された外科工程に基づいて、仮想境界の場所を調整することと、を含んでもよい。
【0022】
コンピュータ実装方法は、仮想境界の調整された場所の視覚的指示を提供することを含んでもよい。
【0023】
制限エリア及び対応する認可は、手術中の異なる外科工程において変化してもよい。コンピュータ実装方法は、現在の外科工程又は次の外科工程に従って、仮想境界の場所の動的調整を可能にし、提供される調整された場所の視覚的指示に基づいて、HCRが調整を通知されることを可能にしてもよい。
【0024】
コンピューティングシステムは、上記に記載された方法を実装するように構成されたプロセッサを備えてもよい。
【0025】
コンピュータ可読媒体は、命令を有してもよく、命令は、コンピュータによって実行されるときに、上記に記載された方法を実現させる。
【0026】
コンピューティングシステムは、手術室(OR)内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定してもよい。OR内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、外科用器具のエリア、患者を囲むエリア、手術台、滅菌野エリア、濾過システム、微粒子捕捉システム、空中浮遊汚染ゾーン、麻酔科医の機器に関連付けられたエリア、又は外科医、麻酔科医、器械出し看護師、手術室看護師、若しくは観察者などの医療専門家(HCP)に関連付けられたエリアに関連付けられてもよい。コンピューティングシステムは、仮想境界の場所に関する視覚的指示を提供してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、レーザデバイスを利用して、ORのフロア上に仮想境界エリアの輪郭を描いてもよい。
【0027】
コンピューティングシステムは、OR内のHCPを識別してもよい。コンピューティングシステムは、顔認識、HCPに関連付けられたRFIDタグなどに基づいて、OR内のHCPを識別してもよい。外科処置の間、HCPは、ORの周囲又は内部を移動してもよい。コンピューティングシステムは、識別されたHCPに関連付けられた移動を監視してもよい。
【0028】
コンピューティングシステムは、識別されたHCPに関連付けられたアクセス認可情報を判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPが制限アクセスエリアの仮想境界に入るか、それから出るか、それと相互作用するか、又はその内側にいるためのアクセス認可を有するかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムは、外科処置中のHCPの役割、外科処置中のHCPに関連付けられた割り当て、HCPに関連付けられた個人用保護具(personal protective equipment、PPE)、HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、制限エリアタイプ、又はHCPに関連付けられた証明書に基づいて、HCPのためのアクセス認可を判定してもよい。
【0029】
コンピューティングシステムは、HCPが仮想境界エリアに近接していると判定してもよい。例えば、HCPの監視された移動に基づいて、コンピューティングシステムは、HCPが仮想境界エリアに近接しているかどうか、又はHCPが仮想境界エリアに接近しているかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムは、HCPが仮想境界に入ることを認可されているかどうかを判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPのアクセス認可情報を判定してもよく、HCPが仮想境界エリアに入るか、又は仮想境界エリアと相互作用することを認可されているか、若しくは認可されていないかを判定してもよい。HCPが仮想境界エリアに近接しており、HCPが仮想境界エリアに近接することを認可されていないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPに通知を送信してもよい。通知は、HCPが仮想境界エリアに入ること、又は仮想境界エリアと相互作用することを認可されていないことを示してもよい。通知は、認可されていないHCPによる仮想境界エリアとの不注意な相互作用を防止してもよい。
【0030】
コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたデバイスに通知を送信してもよい。通知は、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの1つ又は2つ以上であってもよく、又はそれらを含んでもよい。コンピューティングシステムは、OR内のディスプレイに通知を送信してもよい。例えば、認可されていないHCPが仮想境界エリアに接近している、かつ/又は仮想境界エリアに入ろうとしている、若しくは仮想境界エリアと相互作用しようとしているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、OR内の1人又は2人以上の他のHCPに通知するために、OR内のディスプレイに通知を送信してもよい。
【0031】
コンピューティングシステムは、外科用器具に関連付けられた制限アクセスエリアの仮想境界を判定してもよい。コンピューティングシステムは、外科処置中に外科用器具の場所を検出し、外科用器具の移動を監視してもよい。外科用器具が移動又は再位置決めされたとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、それに応じて外科用器具の仮想境界エリアを調整してもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具の通電状態を監視してもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具の検出されたエネルギー状態に基づいて、外科用器具エリアの仮想境界を調整してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、高通電状態(例えば、閾値レベルを上回る)を検出した場合、外科用器具の仮想境界エリアを増加させてもよい。コンピューティングシステムは、コンピューティングシステムが低通電状態(例えば、閾値レベル未満)を検出した場合、外科用器具の仮想境界エリアを減少させてもよい。
【0032】
コンピューティングシステムは、外科工程を識別及び/又は監視してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、現在の外科工程又は次の外科工程を識別してもよい。識別された外科工程に基づいて、コンピューティングシステムは、仮想境界を調整してもよい。例えば、外科工程の間、患者の身体は、再位置決めされてもよい。患者の身体は、現在の外科工程のために側方に移動されてもよい。コンピューティングシステムは、例えば、外科工程に従って、患者の身体の再位置決めに基づいて、患者に関連付けられた仮想境界エリアを調整してもよい。
【0033】
コンピューティングシステムは、OR内の1人又は2人以上の他のHCPからHCPのアクセス認可調整要求を受信してもよい。実施例では、先導外科医は、HCPのアクセス認可を増加又は減少させてもよい。実施例では、緊急事態の間、コンピューティングシステムは、HCPのアクセス認可を調整してもよい。緊急事態及び/又は別のHCPからの要求に基づいて、以前に認可されていないHCPが、制限アクセスエリアの仮想境界に入る、仮想境界から出る、又は仮想境界の中にあるためのアクセスを有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】コンピュータ実装医療関係者(healthcare personnel、HCP)監視システムのブロック図である。
図2】外科手術室内のHCP監視システムの一例を示す。
図3】様々なシステムとペアリングされた例示的な外科用ハブを示す。
図4】感知システムのセット、環境感知システム、デバイスのセットなどと接続するように構成された通信外科用ハブのセットを有する外科用データネットワークを示す。
図5】HCP監視システムの一部であり得る、例示的なコンピュータ実装双方向外科用システムを示す。
図6】外科用器具の制御システムの論理図を示す。
図7】センサユニット及びデータ処理及び通信ユニットを有する例示的な感知システムを示す。
図8】外科医バイオマーカレベルに基づいて外科用デバイスの動作パラメータを調整することを示す例示的な外科処置の例示的なタイムラインを示す。
図9】コンピュータ実装双方向HCP監視システムのブロック図である。
図10】コンソール又はポータブルデバイスと通信している外科用器具を有する例示的な外科用システムを示す。
図11】例示的な状況認識外科用システムの図である。
図12】手術室(OR)内の制限アクセスに関連付けられた1つ又は2つ以上の仮想境界の実施例を示す。
図13】OR内の制限アクセスに関連付けられた1つ又は2つ以上の仮想境界の実施例を示す。
図14】OR内の一定仮想境界、選択的仮想境界、又は適応的仮想境界の実施例を示す。
図15】外科用器具に関連付けられた例示的な仮想境界を示す。
図16】外科用器具の認可されていないエネルギーレベル変化についてのコンピューティングシステムの例示的な通知を示す。
図17】OR内の制限アクセスエリアの仮想境界に対するHCP移動を監視する例示的なフローを示す。
図18】OR内のHCPの制御アクセス検証の例示的なフローを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、コンピュータ実装HCP監視システム20000のブロック図である。HCP監視システム20000などの例示的なHCP監視システムは、1つ又は2つ以上のHCP監視システム(例えば、HCP監視サブシステム)20002、20003及び20004を含み得る。例えば、HCP監視システム20002は、コンピュータ実装双方向外科用システムを含んでもよい。例えば、HCP監視システム20002は、例えば、図2に記載されるようなクラウドコンピューティングシステム20008と通信する外科用ハブ20006のうちの少なくとも1つを含み得る。HCP監視システムは、外科用ハブ20006、又はクラウドコンピューティングシステム20008と通信するコンピューティングデバイス20016のうちの少なくとも1つを含み得る。クラウドコンピューティングシステム20008は、少なくとも1つのリモートクラウドサーバ20009と、少なくとも1つのリモートクラウドストレージユニット20010と、を含み得る。例示的なHCP監視システム20002、20003、又は20004は、ウェアラブル感知システム20011、環境感知システム20015、ロボットシステム20013、1つ又は2つ以上のインテリジェント器具20014、ヒューマンインターフェースシステム20012などを含み得る。ヒューマンインターフェースシステムは、本明細書ではヒューマンインターフェースデバイスとも呼ばれる。ウェアラブル感知システム20011は、1つ若しくは2つ以上のHCP感知システム、及び/又は1つ若しくは2つ以上の患者感知システムを含み得る。環境感知システム20015は、例えば、図2に更に記載されるように、例えば、1つ又は2つ以上の環境属性を測定するために使用される、1つ又は2つ以上のデバイスを含み得る。ロボットシステム20013は、例えば、図2に更に記載されるように、外科処置を実施するために使用される複数のデバイスを含み得る。
【0036】
HCP監視システム20002は、クラウドコンピューティングシステム20008の一部であるリモートサーバ20009と通信し得る。一実施例では、HCP監視システム20002は、インターネットサービスプロバイダのケーブル/FIOSネットワーキングノードを介してリモートサーバ20009と通信し得る。一実施例では、患者感知システムは、リモートサーバ20009と直接通信してもよい。HCP監視システム20002及び/又はその構成要素は、GSM/GPRS/EDGE(2G)、UMTS/HSPA(3G)、ロングタームエボリューション(long term evolution、LTE)又は4G、LTEアドバンスト(LTE-Advanced、LTE-A)、ニューラジオ(new radio、NR)又は5Gのセルラープロトコルのうちの1つ又は2つ以上を使用して、セルラー送信/受信ポイント(transmission/reception point、TRP)又は基地局を介してリモートサーバ20009と通信し得る。
【0037】
外科用ハブ20006は、腹腔鏡スコープからの画像と、1つ又は2つ以上の他のスマートデバイス及び1つ又は2つ以上の感知システム20011と、からの情報を表示する1つ又は2つ以上の手段と協働的インタラクションを有し得る。外科用ハブ20006は、1つ又は2つ以上の感知システム20011、1つ又は2つ以上のスマートデバイス、及び複数のディスプレイとインタラクトし得る。外科用ハブ20006は、1つ又は2つ以上の感知システム20011から測定値データを収集し、通知又は制御メッセージを1つ又は2つ以上の感知システム20011に送信するように構成され得る。外科用ハブ20006は、通知情報を含む情報を、ヒューマンインターフェースシステム20012との間で、送信及び/又は受信し得る。ヒューマンインターフェースシステム20012は、1つ又は2つ以上のヒューマンインターフェースデバイス(human interface device、HID)を含み得る。外科用ハブ20006は、音響機器、ディスプレイへの通知情報若しくは制御情報、及び/又は外科用ハブと通信する様々なデバイスへの制御情報を、送信及び/又は受信し得る。
【0038】
例えば、感知システム20001は、図1で議論されるように、ウェアラブル感知システム20011(1つ又は2つ以上のHCP感知システム及び1つ又は2つ以上の患者感知システムを含み得る)と、環境感知システム20015と、を含み得る。1つ又は2つ以上の感知システム20001は、様々なバイオマーカに関連するデータを測定し得る。1つ又は2つ以上の感知システム20001は、1つ又は2つ以上のセンサ、例えば、光センサ(例えば、フォトダイオード、フォトレジスタ)、機械センサ(例えば、モーションセンサ)、音響センサ、電気センサ、電気化学センサ、熱電センサ、赤外線センサなどを使用して、バイオマーカを測定し得る。1つ又は2つ以上のセンサは、フォトプレチスモグラフィ、心電図検査、脳波検査、比色分析、インペディメンタリ、電位差測定、電流測定などの感知技術のうちの1つ又は2つ以上を使用して、本明細書に記載されるように、バイオマーカを測定し得る。
【0039】
1つ又は2つ以上の感知システム20001によって測定されるバイオマーカは、睡眠、深部体温、最大酸素消費量、身体活動、アルコール摂取、呼吸数、酸素飽和度、血圧、血糖、心拍変動、水素の血液電位、水和状態、心拍数、皮膚コンダクタンス、末梢温度、組織灌流圧、咳及びくしゃみ、胃腸運動、消化管撮像、気道細菌、浮腫、精神態様、汗、循環腫瘍細胞、自律神経緊張、概日リズム、並びに/又は月経周期を含んでもよいが、それらに限定されない。
【0040】
バイオマーカは、行動及び心理学、心血管系、腎臓系、皮膚系、神経系、胃腸系、呼吸器系、内分泌系、免疫系、腫瘍、筋骨格系、及び/又は生殖系を含み得るが、これらに限定されない、生理学的系に関連し得る。バイオマーカからの情報は、例えば、コンピュータ実装患者及びHCP監視システム20000によって判定及び/又は使用され得る。バイオマーカからの情報は、コンピュータ実装患者及びHCP監視システム20000によって判定及び/又は使用されて、例えば、上記システムを改善し、及び/又は患者の転帰を改善し得る。1つ又は2つ以上の感知システム20001、バイオマーカ20005、及び生理学的システムは、2021年1月22日に出願された「METHOD OF ADJUSTING A SURGICAL PARAMETER BASED ON BIOMARKER MEASUREMENTS」と題する米国特許出願第17/156,287号(代理人整理番号END9290USNP1)により詳細に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0041】
図2は、外科手術室内のHCP監視システム20002の一例を示す。図2に示されるように、患者は、1人又は2人以上の医療専門家(HCP)によって手術される。HCPは、HCPによって装着された1つ又は2つ以上のHCP感知システム20020によって監視されている。HCP、及びHCPを囲む環境はまた、例えば、手術室内に配備され得るカメラ20021のセット、マイクロフォン20022のセット、及び他のセンサなどを含む1つ又は2つ以上の環境感知システムによって監視されてもよい。HCP感知システム20020及び環境感知システムは、外科用ハブ20006と通信し、更に、図1に示されるように、クラウドコンピューティングシステム20008の1つ又は2つ以上のクラウドサーバ20009と通信し得る。環境感知システムは、1つ又は2つ以上の環境属性、例えば、手術現場内のHCPの位置、HCPの移動、手術現場内の周囲ノイズ、手術現場内の温度/湿度などを測定するために使用され得る。
【0042】
図2に示されるように、主ディスプレイ20023及び1つ又は2つ以上の音声出力デバイス(例えば、スピーカ20019)は、手術台20024のオペレータに見えるように滅菌野に配置される。加えて、可視化/通知タワー20026が、滅菌野の外に配置される。可視化/通知タワー20026は、互いに反対側を向いている第1の非滅菌ヒューマン双方向デバイス(human interactive device、HID)20027及び第2非滅菌HID20029を含み得る。HIDは、ディスプレイであっても、又は人間がHIDと直接インターフェースし得るタッチスクリーンを有するディスプレイであってもよい。外科用ハブ20006によってガイドされるヒューマンインターフェースシステムは、HID20027、20029及び20023を利用して、滅菌野の内側及び外側のオペレータへの情報フローを調整するように構成され得る。一実施例では、外科用ハブ20006により、HID(例えば、主HID20023)は、患者及び/又は外科処置工程に関する通知及び/又は情報を表示し得る。一実施例では、外科用ハブ20006は、滅菌野又は非滅菌エリア内の人に入力を促しても、及び/又は人の入力を受信し得る。一実施例では、外科用ハブ20006により、HIDは、主HID20023上に手術部位のライブ映像を維持しつつ、撮像デバイス20030によって記録される手術部位のスナップショットを非滅菌HID20027又は20029に表示し得る。非滅菌ディスプレイ20027又は20029上のスナップショットにより、例えば、非滅菌オペレータが、外科処置に関連する診断工程を実施し得る。
【0043】
一態様では、外科用ハブ20006は、可視化タワー20026にいる非滅菌オペレータによって入力された診断入力又はフィードバックを滅菌野内の主ディスプレイ20023に送り、これを手術台にいる滅菌オペレータが見ることができるように構成され得る。一実施例では、入力は、外科用ハブ20006によって主ディスプレイ20023に送られ得る、非滅菌ディスプレイ20027又は20029上に表示されるスナップショットへの修正の形態であり得る。
【0044】
図2を参照すると、外科用器具20031は、外科処置においてHCP監視システム20002の一部として使用されている。ハブ20006は、外科用器具20031のディスプレイへの情報フローを調整するようにも構成され得る。例えば、その開示が参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019/0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において。可視化タワー20026にいる非滅菌オペレータによって入力された診断入力又はフィードバックは、ハブ20006によって滅菌野内の外科用器具ディスプレイに送られ、これを外科用器具20031のオペレータが見ることができる。HCP監視システム20002とともに使用するために好適な例示的な外科用器具は、例えば、2018年12月4日に出願された「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019/0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)であって、「Surgical Instrument Hardware」という見出しの下で記載されており、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0045】
図2は、外科手術室20035内の手術台20024上に横たわっている患者に対して外科処置を実施するために使用されているHCP監視システム20002の一例を示している。ロボットシステム20034は、外科処置においてHCP監視システム20002の一部として使用され得る。ロボットシステム20034は、外科医のコンソール20036と、患者側カート20032(手術用ロボット)と、手術用ロボットハブ20033と、を含み得る。外科医が外科医のコンソール20036を通して手術部位を見る間、患者側カート20032は、患者の身体の低侵襲切開部を通して、少なくとも1つの着脱可能に連結された外科用ツール20037を操作することができる。手術部位の画像は、撮像デバイス20030の配向を変えるために、患者側カート20032によって操作され得る医療用撮像デバイス20030によって取得され得る。ロボットハブ20033を使用して、手術部位の画像を処理し、その後、外科医のコンソール20036を通して、外科医に表示することができる。
【0046】
他のタイプのロボットシステムが、HCP監視システム20002とともに使用するように容易に適合することができる。本開示とともに使用するのに好適なロボットシステム及び外科用ツールの様々な例は、2018年12月4日出願の「METHOD OF ROBOTIC HUB COMMUNICATION,DETECTION,AND CONTROL」と題する米国特許出願公開第2019/0201137(A1)号(米国特許出願第16/209,407号)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0047】
クラウドコンピューティングシステム20008によって実施され、本開示とともに使用するために好適なクラウドベース分析法の様々な例は、2018年12月4日出願の「METHOD OF CLOUD BASED DATA ANALYTICS FOR USE WITH THE HUB」と題する米国特許出願公開第2019/0206569(A1)号(米国特許出願第16/209,403号)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0048】
様々な態様では、撮像デバイス20030は、少なくとも1つの画像センサと、1つ又は2つ以上の光学構成要素と、を含み得る。好適な画像センサとしては、電荷結合素子(Charge-Coupled Device、CCD)センサ及び相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor、CMOS)センサを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0049】
撮像デバイス20030の光学構成要素は、1つ又は2つ以上の照明源、及び/又は1つ又は2つ以上のレンズを含み得る。1つ又は2つ以上の照明源は、術野の一部分を照明するように方向付けられてもよい。1つ又は2つ以上の画像センサは、組織及び/又は外科用器具から反射又は屈折された光を含む、術野から反射又は屈折された光を受信することができる。
【0050】
1つ又は2つ以上の照明源は、可視スペクトル並びに不可視スペクトル内の電磁エネルギーを照射するように構成され得る。可視スペクトルは、場合によっては、光スペクトル又は発光スペクトルとも称され、人間の目に見える(すなわち、人間の目によって検出することができる)電磁スペクトルの一部分であり、可視光、又は単に光と称されることがある。通常人間の目は、空気中の約380nm~約750nmの波長に応答する。
【0051】
不可視スペクトル(例えば、非発光スペクトル)は、可視スペクトルの下方及び上方に位置する(すなわち、約380nm未満及び約750nm超の波長の)電磁スペクトルの一部分である。不可視スペクトルは、人間の目で検出可能ではない。約750nmを超える波長は、赤色可視スペクトルよりも長く、これらは不可視赤外線(infrared、IR)、マイクロ波及び無線電磁放射線になる。約380nm未満の波長は、紫色スペクトルよりも短く、これらは不可視紫外線、X線及びガンマ線電磁放射線になる。
【0052】
様々な態様では、撮像デバイス20030は、低侵襲性処置において使用するように構成されている。本開示とともに使用するのに好適な撮像デバイスの例としては、関節鏡、血管鏡、気管支鏡、胆道鏡、結腸鏡、サイトスコープ(cytoscope)、十二指腸鏡、腸鏡、食道胃十二指腸鏡(胃鏡)、内視鏡、喉頭鏡、鼻咽喉-腎盂鏡(nasopharyngo-neproscope)、S状結腸鏡、胸腔鏡、及び尿管鏡が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
撮像デバイスは、トポグラフィーと下層構造とを区別するために、マルチスペクトル監視を利用し得る。マルチスペクトル画像は、電磁スペクトル全体から特定の波長範囲内の画像データを取り込むものである。波長は、フィルタによって、又は可視光範囲を超える周波数、例えば、IR、及び紫外からの光を含む特定の波長に対する感度を有する器具を使用することによって分離することができる。スペクトル撮像により、人間の目がもつ赤、緑、及び青の受容体では捕捉し得ない追加情報を抽出し得る。マルチスペクトル撮像の使用については、2018年12月4日出願の「METHOD OF HUB COMMUNICATION,PROCESSING,STORAGE AND DISPLAY」と題する米国特許出願公開第2019/0200844(A1)号(米国特許出願第16/209,385号)において「Advanced Imaging Acquisition Module」という見出しの下で詳述されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。マルチスペクトル監視は、処置された組織に対して上述の試験のうちの1つ又は2つ以上を実行するための外科的タスクが完了した後に術野を再配置するのに有用なツールであり得る。いかなる外科手術においても、手術室及び外科用機器の厳格な滅菌が必要であることは自明である。「手術現場」、すなわち、手術室又は処置室において要求される厳格な衛生条件及び滅菌条件は、全ての医療デバイス及び機器の可能な最も高い滅菌性を必要とする。滅菌プロセスの一部としては、撮像デバイス20030並びにその付属品及び構成要素を含む、患者と接触する、又は滅菌野に侵入するあらゆるものを滅菌する必要性が挙げられる。滅菌野は、トレイ内又は滅菌タオル上などの微生物を含まないと見なされる特定のエリアと見なされ得ること、あるいは滅菌野は、外科処置の準備が整った患者の直ぐ周囲のエリアと見なされ得ることは理解されよう。滅菌野は、適切な衣類を着用した洗浄済みのチーム構成員、並びにそのエリア内の全ての備品及び固定具を含み得る。
【0054】
図1に示されるウェアラブル感知システム20011は、1つ又は2つ以上の感知システム、例えば、図2に示されるようなHCP感知システム20020を含み得る。HCP感知システム20020は、医療関係者(HCP)の物理的状態のセット及び/又は生理学的状態のセットを監視し、検出するための感知システムを含み得る。HCPは、一般的に、外科医又は他の医療サービス提供者を支援する1人又は2人以上の医療関係者であってもよい。一実施例では、感知システム20020は、HCPの心拍数を監視するためにバイオマーカのセットを測定してもよい。一実施例では、外科医の手首に装着された感知システム20020(例えば、時計又はリストバンド)は、加速度計を使用して、手の動き及び/又は揺れを検出し、振戦の大きさ及び周波数を判定し得る。感知システム20020は、バイオマーカのセットに関連付けられた測定値データ、及び外科医の物理的状態に関連付けられたデータを、更なる処理のために外科用ハブ20006に送信し得る。1つ又は2つ以上の環境感知デバイスは、環境情報を外科用ハブ20006に送信し得る。例えば、環境感知デバイスは、HCPの手/身体の位置を検出するためのカメラ20021を含んでもよい。環境感知デバイスは、手術現場内の周囲ノイズを測定するためのマイクロフォン20022を含み得る。他の環境感知デバイスは、例えば、温度を測定するための温度計、及び手術現場内の周囲の湿度を測定するための湿度計などのデバイスを含み得る。外科用ハブ20006は、単独で、又はクラウドコンピューティングシステムと通信して、外科医バイオマーカ測定値データ及び/又は環境感知情報を使用して、例えば、振戦を最小限に抑えるために、手持ち式器具の制御アルゴリズム、又はロボットインターフェースの平均遅延を修正し得る。一実施例では、HCP感知システム20020は、HCPに関連付けられた1つ又は2つ以上の外科医バイオマーカを測定し、外科医バイオマーカに関連付けられた測定値データを外科用ハブ20006に送信し得る。HCP感知システム20020は、外科用ハブ20006と通信するために、Bluetooth、Bluetooth Low-Energy(BLE)、Bluetooth Smart、Zigbee、Z-wave、IPv6低電力無線パーソナルエリアネットワーク(IPv6 Low-power wireless Personal Area Network、6LoWPAN)、Wi-FiのRFプロトコルのうちの1つ又は2つ以上を使用し得る。外科医バイオマーカは、ストレス、心拍数などのうちの1つ又は2つ以上を含み得る。手術現場からの環境測定値は、外科医又は患者、外科医及び/又はスタッフの移動、外科医及び/又はスタッフの注意レベルなどに関連する周囲ノイズレベルを含み得る。
【0055】
外科用ハブ20006は、HCPに関連付けられた外科医バイオマーカ測定値データを使用して、1つ又は2つ以上の外科用器具20031を適応的に制御し得る。例えば、外科用ハブ20006は、制御プログラムを外科用器具20031に送信して、そのアクチュエータを制御して、疲労及び細かい運動技能の使用を制限又は補償し得る。外科用ハブ20006は、状況認識及び/又はタスクの重要性若しくは臨界に関する事情に基づいて、制御プログラムを送信し得る。制御プログラムは、制御が必要とされるとき、多くの制御を提供するために動作を変更するように器具に命令し得る。
【0056】
図3は、ウェアラブル感知システム20011、環境感知システム20015、ヒューマンインターフェースシステム20012、ロボットシステム20013、及びインテリジェント器具20014とペアリングされた外科用ハブ20006を有する例示的なHCP監視システム20002を示す。ハブ20006は、ディスプレイ20048と、撮像モジュール20049と、発生器モジュール20050と、通信モジュール20056と、プロセッサモジュール20057と、ストレージアレイ20058と、手術室マッピングモジュール20059と、を含む。特定の態様では、図3に示されるように、ハブ20006は、排煙モジュール20054及び/又は吸引/灌注モジュール20055を更に含む。外科処置中、封止及び/又は切断のために、組織へエネルギーを印加することは、一般に、排煙、過剰な流体の吸引、及び/又は組織の灌注と関連付けられる。異なる供給源からの流体ライン、電力ライン及び/又はデータラインは、外科処置中に絡まり合うことが多い。外科処置中にこの問題に対処することで貴重な時間が失われる場合がある。ラインの絡まりをほどくには、それらの対応するモジュールからラインを抜くことが必要となる場合があり、そのためにはモジュールをリセットすることが必要となる場合がある。ハブモジュール式エンクロージャ20060は、電力ライン、データライン、及び流体ラインを管理するための統合環境を提供し、このようなライン間の絡まりの頻度を低減させる。本開示の態様は、手術部位における組織へのエネルギー印加を伴う外科手術において使用するための外科用ハブ20006を提示する。外科用ハブ20006は、ハブエンクロージャ20060と、ハブエンクロージャ20060のドッキングステーション内に摺動可能に受け入れ可能な組み合わせ発生器モジュールと、を含む。ドッキングステーションはデータ接点及び電力接点を含む。組み合わせ発生器モジュールは、単一ユニット内に収容された、超音波エネルギー発生器構成要素、双極RFエネルギー発生器構成要素、及び単極RFエネルギー発生器構成要素のうちの2つ又はそれ以上を含む。一態様では、組み合わせ発生器モジュールはまた、排煙構成要素と、組み合わせ発生器モジュールを外科用器具に接続するための少なくとも1つのエネルギー供給ケーブルと、組織への治療エネルギーの印加によって発生した煙、流体及び/又は微粒子を排出するように構成された少なくとも1つの排煙構成要素と、リモート手術部位から排煙構成要素まで延在する流体ラインと、を含む。一態様では、流体ラインは、第1の流体ラインであってもよく、第2の流体ラインは、リモート手術部位から、ハブエンクロージャ20060内に摺動可能に受け入れられる吸引及び灌注モジュール20055まで延在してもよい。一態様では、ハブエンクロージャ20060は、流体インターフェースを含んでもよい。特定の外科処置は、2つ以上のエネルギータイプを組織に印加することを必要とする場合がある。1つのエネルギータイプは、組織を切断するのにより有益であり得るが、別の異なるエネルギータイプは、組織を封止するのにより有益であり得る。例えば、双極発生器は組織を封止するために使用することができ、一方で、超音波発生器は封止された組織を切断するために使用することができる。本開示の態様は、ハブモジュール式エンクロージャ20060が異なる発生器を収容して、これらの間の双方向通信を促進するように構成される解決法を提示する。ハブモジュール式エンクロージャ20060の利点のうちの1つは、様々なモジュールの迅速な取り外し及び/又は交換を可能にすることである。本開示の態様は、組織へのエネルギー印加を伴う外科処置で使用するためのモジュール式外科用エンクロージャを提示する。モジュール式外科用エンクロージャは、組織に印加するための第1のエネルギーを発生させるように構成された第1のエネルギー発生器モジュールと、第1のデータ及び電力接点を含む第1のドッキングポートを備える第1のドッキングステーションと、を含み、第1のエネルギー発生器モジュールは、電力及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第1のエネルギー発生器モジュールは、第1の電力及びデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。上記に加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギーとは異なる、組織に印加するための第2のエネルギーを発生させるように構成された第2のエネルギー発生器モジュールと、第2のデータ接点及び第2の電力接点を含む第2のドッキングポートを備える第2のドッキングステーションと、を含み、第2のエネルギー発生器モジュールは、電力接点及びデータ接点と電気係合するように摺動可能に移動可能であり、また第2のエネルギー発生器モジュールは、第2の電力接点及び第2のデータ接点との電気係合から外れるように摺動可能に移動可能である。加えて、モジュール式外科用エンクロージャはまた、第1のエネルギー発生器モジュールと第2のエネルギー発生器モジュールとの間の通信を容易にするように構成されている、第1のドッキングポートと第2のドッキングポートとの間の通信バスを含む。図3を参照すると、発生器モジュール20050、排煙モジュール20054、及び吸引/灌注モジュール20055のモジュール式統合を可能にするハブモジュール式エンクロージャ20060に関する本開示の態様が提示される。ハブモジュール式エンクロージャ20060は、モジュール20059とモジュール20054とモジュール20055との間の双方向通信を更に促進する。発生器モジュール20050は、ハブモジュール式エンクロージャ20060に摺動可能に挿入可能な単一のハウジングユニット内に支持される、一体化された単極構成要素、双極構成要素及び超音波構成要素を有する発生器モジュール20050であってもよい。発生器モジュール20050は、単極デバイス20051、双極デバイス20052、及び超音波デバイス20053に接続するように構成され得る。代替的に、発生器モジュール20050は、ハブモジュール式エンクロージャ20060を介して相互作用する一連の単極発生器モジュール、双極発生器モジュール、及び/又は超音波発生器モジュールを備え得る。複数の発生器が単一の発生器として機能するように、ハブモジュール式エンクロージャ20060は、複数の発生器の挿入と、ハブモジュール式エンクロージャ20060にドッキングされた発生器間の双方向通信と、を促進するように構成することができる。
【0057】
図4は、本開示の少なくとも1つの態様による、医療施設の1つ又は2つ以上の手術室、患者回復室、又は外科手術用に特別に装備された医療施設内の部屋に配置された、感知システムのセット、環境感知システム、及び他のモジュール式デバイスのセットを、クラウドに接続するように構成された通信ハブのセットを有する外科用データネットワークを示す。
【0058】
図4に示されるように、外科用ハブシステム20060は、医療施設内に配置されたモジュール式デバイスをクラウドベースシステム(例えば、リモートストレージ20068に連結されたリモートサーバ20067を含み得るクラウドコンピューティングシステム20064)に接続するように構成されるモジュール式通信ハブ20065を含み得る。モジュール式通信ハブ20065及びデバイスは、外科手術のために特別に装備された医療施設内の部屋において接続され得る。一態様では、モジュール式通信ハブ20065は、ネットワークルータ20066と通信するネットワークハブ20061及び/又はネットワークスイッチ20062を含んでもよい。モジュール式通信ハブ20065はまた、ローカルコンピュータシステム20063に連結し、ローカルコンピュータ処理及びデータ操作を提供し得る。
【0059】
コンピュータシステム20063は、プロセッサと、ネットワークインターフェース20100と、を備え得る。プロセッサは、システムバスを介して、通信モジュール、ストレージ、メモリ、不揮発性メモリ、及び入力/出力(input/output、I/O)インターフェースに連結され得る。システムバスは、任意の様々な利用可能なバスアーキテクチャを使用する、メモリバス若しくはメモリコントローラ、ペリフェラルバス若しくは外部バス、及び/又はローカルバスを含むいくつかのタイプのバス構造のうちのいずれかとすることができ、それらのアーキテクチャの例としては、9ビットバス、業界標準アーキテクチャ(Industrial Standard Architecture、ISA)、マイクロチャネルアーキテクチャ(Micro-Charmel Architecture、MSA)、拡張ISA(Extended ISA、EISA)、インテリジェントドライブエレクトロニクス(Intelligent Drive Electronics、IDE)、VESAローカルバス(VESA Local Bus、VLB)、周辺デバイス相互接続(Peripheral Component Interconnect、PCI)、USB、アドバンストグラフィックスポート(Advanced Graphics Port、AGP)、パーソナルコンピュータメモリカード国際協会バス(Personal Computer Memory Card International Association、PCMCIA)、小型計算機システムインターフェース(Small Computer Systems Interface、SCSI)、又は任意の他の独自バスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
プロセッサは、Texas Instrumentsによって商標名ARM Cortexで知られているものなどの、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであり得る。一態様では、プロセッサは、例えば、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。このプロセッサコアは、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルシリアルランダムアクセスメモリ(serial random access memory、SRAM)、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部読み出し専用メモリ(read-only memory、ROM)、2KBの電気的消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(electrically erasable programmable read-only memory、EEPROM)及び/又は、1つ又は2つ以上のパルス幅変調(pulse width modulation、PWM)モジュール、1つ又は2つ以上の直交エンコーダ入力(quadrature encoder input、QEI)アナログ、12個のアナログ入力チャネルを備える1つ又は2つ以上の12ビットアナログ-デジタル変換器(analog-to-digital converter、ADC)を含む。なお、その詳細は、製品データシートで入手可能である。
【0061】
一実施例では、プロセッサは、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラベースのファミリを備える安全コントローラを備えてもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全特徴部を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成されてもよい。
【0062】
コンピュータシステム20063は、好適な動作環境において、記載したユーザと基本コンピュータリソースとの間で媒介として機能するソフトウェアを含み得ることを理解されたい。このようなソフトウェアとしてはオペレーティングシステムを挙げることができる。ディスク記憶装置上に記憶され得るオペレーティングシステムは、コンピュータシステムのリソースを制御及び割り当てするように機能し得る。システムアプリケーションは、システムメモリ内又はディスク記憶装置上のいずれかに記憶されたプログラムモジュール及びプログラムデータを介して、オペレーティングシステムによるリソース管理を活用し得る。本明細書に記載される様々な構成要素は、様々なオペレーティングシステム又はオペレーティングシステムの組み合わせで実装することができることを理解されたい。
【0063】
ユーザは、I/Oインターフェースに連結された入力デバイスを介してコンピュータシステム20063にコマンド又は情報を入力し得る。入力デバイスとしては、マウス、トラックボール、スタイラス、タッチパッドなどのポインティングデバイス、キーボード、マイクロフォン、ジョイスティック、ゲームパッド、衛星放送受信アンテナ、スキャナ、TVチューナカード、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、ウェブカメラなどを挙げることができるが、これらに限定されない。これら及び他の入力デバイスは、インターフェースポートを介し、システムバスを通してプロセッサ20102に接続する。インターフェースポートとしては、例えば、シリアルポート、パラレルポート、ゲームポート及びUSBが挙げられる。出力デバイスは、入力デバイスと同じタイプのポートのうちのいくつかを使用する。したがって、例えば、USBポートを使用して、コンピュータシステム20063に入力を提供し、コンピュータシステム20063からの情報を出力デバイスに出力してもよい。出力アダプタは、特別なアダプタを必要とし得る出力デバイスの中でもとりわけ、モニタ、ディスプレイ、スピーカ及びプリンタなどのいくつかの出力デバイスが存在できることを示すために提供され得る。出力アダプタとしては、出力デバイスとシステムバスとの間の接続手段を提供するビデオ及びサウンドカードを挙げることができるが、これは例示としてのものであり、限定するものではない。リモートコンピュータなどの他のデバイス及び/又はデバイスのシステムは、入力及び出力機能の両方を提供できることに留意されたい。
【0064】
コンピュータシステム20063は、クラウドコンピュータなどの1つ又は2つ以上のリモートコンピュータ、又はローカルコンピュータへの論理接続を使用するネットワーク化環境で動作し得る。リモートクラウドコンピュータは、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、ワークステーション、マイクロプロセッサベースの機器、ピアデバイス又は他の一般的なネットワークノードなどであり得るが、典型的には、コンピュータシステムに関して説明される要素の多く又は全てを含む。簡潔にするために、リモートコンピュータとともに、メモリストレージデバイスのみが示される。リモートコンピュータは、ネットワークインターフェースを介してコンピュータシステムに論理的に接続され、続いて、通信接続部を介して物理的に接続され得る。ネットワークインターフェースは、ローカルエリアネットワーク(local area network、LAN)及びワイドエリアネットワーク(wide area network、WAN)などの通信ネットワークを包含し得る。LAN技術としては、光ファイバ分散データインターフェース(Fiber Distributed Data Interface、FDDI)、銅線分散データインターフェース(Copper Distributed Data Interface、CDDI)、Ethernet/IEEE802.3、Token Ring/IEEE802.5などを挙げることができる。WAN技術としては、ポイントツーポイントリンク、統合サービスデジタルネットワーク(Integrated Services Digital Network、ISDN)及びその変形などの回路交換ネットワーク、パケット交換ネットワーク並びにデジタル加入者回線(Digital Subscriber Line、DSL)を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0065】
様々な実施例では、コンピュータシステム20063は、画像プロセッサ、画像処理エンジン、メディアプロセッサ、又はデジタル画像の処理のために使用される任意の特殊デジタル信号プロセッサ(digital signal processor、DSP)を備え得る。画像プロセッサは、単一命令複数データ(single instruction,multiple data、SIMD)、又は複数命令複数データ(multiple instruction,multiple data、MIMD)技術を用いた並列コンピューティングを用いて速度及び効率を高めることができる。デジタル画像処理エンジンは、様々なタスクを実施することができる。画像プロセッサは、マルチコアプロセッサアーキテクチャを備えるチップ上のシステムであってもよい。
【0066】
通信接続部とは、ネットワークインターフェースをバスに接続するために利用されるハードウェア/ソフトウェアを指してもよい。例示的な明瞭さのため、通信接続部は、コンピュータシステム20063の内部に示されているが、通信接続部は、コンピュータシステム20063の外部にあってもよい。例示のみを目的として、ネットワークインターフェースへの接続に必要なハードウェア/ソフトウェアとしては、通常の電話グレードモデム、ケーブルモデム、光ファイバモデム、及びDSLモデムを含むモデム、ISDNアダプタ、並びにイーサネットカードなどの内部及び外部技術を挙げることができる。いくつかの例では、ネットワークインターフェースはまた、RFインターフェースを使用して提供されてもよい。
【0067】
外科用ハブシステム20060に関連付けられた外科用データネットワークは、パッシブ、インテリジェント、又はスイッチングとして構成され得る。受動的外科用データネットワークはデータの導管として機能し、データが1つのデバイス(又はセグメント)から別のデバイス(又はセグメント)に、及びクラウドコンピューティングリソースに行くことを可能にする。インテリジェント外科用データネットワークは、往来が監視対象の外科用データネットワークを通過することを可能にし、ネットワークハブ20061又はネットワークスイッチ20062内の各ポートを構成する追加の特徴部を含む。インテリジェント外科用データネットワークは、管理可能なハブ又はスイッチと称され得る。スイッチングハブは、各パケットの宛先アドレスを読み取り、次いでパケットを正しいポートに転送する。
【0068】
手術室に配置されたモジュール式デバイス1a~1nは、モジュール式通信ハブ20065に連結され得る。ネットワークハブ20061及び/又はネットワークスイッチ20062は、ネットワークルータ20066に連結されて、デバイス1a~1nをクラウドコンピューティングシステム20064又はローカルコンピュータシステム20063に接続し得る。デバイス1a~1nに関連付けられたデータは、リモートデータ処理及び操作のためにルータを介してクラウドベースのコンピュータに転送されてもよい。デバイス1a~1nに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム20063に転送され得る。同じ手術室に配置されたモジュール式デバイス2a~2mもまた、ネットワークスイッチ20062に連結されてもよい。ネットワークスイッチ20062は、ネットワークハブ20061に、及び/又はネットワークルータ20066に連結されて、デバイス2a~2mをクラウド20064に接続し得る。デバイス2a~2mに関連付けられたデータは、データ処理及び操作のためにネットワークルータ20066を介してクラウドコンピューティングシステム20064に転送され得る。デバイス2a~2mに関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のためにローカルコンピュータシステム20063に転送されてもよい。
【0069】
ウェアラブル感知システム20011は、1つ又は2つ以上の感知システム20069を含み得る。感知システム20069は、HCP感知システム及び/又は患者感知システムを含み得る。1つ又は2つ以上の感知システム20069は、ネットワークルータ20066のうちの1つを介して直接、又はネットワークルータ20066と通信するネットワークハブ20061若しくはネットワークスイッチング20062を介して、外科用ハブシステム20060のコンピュータシステム20063又はクラウドサーバ20067と通信し得る。
【0070】
感知システム20069は、感知システム20069を、ローカルコンピュータシステム20063及び/又はクラウドコンピューティングシステム20064に接続するために、ネットワークルータ20066に連結され得る。感知システム20069に関連付けられたデータは、データ処理及び操作のために、ネットワークルータ20066を介してクラウドコンピューティングシステム20064に転送され得る。感知システム20069に関連付けられたデータはまた、ローカルでのデータ処理及び操作のために、ローカルコンピュータシステム20063に転送されてもよい。
【0071】
図4に示されるように、外科用ハブシステム20060は、複数のネットワークハブ20061及び/又は複数のネットワークスイッチ20062を複数のネットワークルータ20066と相互接続することによって、拡張され得る。モジュール式通信ハブ20065は、複数のデバイス1a~1n/2a~2mを受け入れるように構成されたモジュール式制御タワー内に収容され得る。ローカルコンピュータシステム20063はまた、モジュール式制御タワーに収容されてもよい。モジュール式通信ハブ20065は、ディスプレイ20068に接続されて、例えば外科処置中に、デバイス1a~1n/2a~2mのうちのいくつかによって取得された画像を表示し得る。様々な態様では、デバイス1a~1n/2a~2mは、例えば、外科用データネットワークのモジュール式通信ハブ20065に接続され得る他のモジュール式デバイスの中でも、内視鏡に連結された撮像モジュール、エネルギーベースの外科用デバイスに連結された発生器モジュール、排煙モジュール、吸引/灌注モジュール、通信モジュール、プロセッサモジュール、ストレージアレイ、ディスプレイに連結された外科用デバイス、及び/又は非接触センサモジュールなどの様々なモジュールを含んでもよい。
【0072】
一態様では、図4に示す外科用ハブシステム20060は、デバイス1a~1n/2a~2m、又は感知システム20069をクラウドベースシステム20064に接続するネットワークハブ、ネットワークスイッチ、及びネットワークルータの組み合わせを備え得る。ネットワークハブ20061又はネットワークスイッチ20062に連結されたデバイス1a~1n/2a~2m又は感知システム20069のうちの1つ又は2つ以上は、リアルタイムにデータ又は測定値データを収集し、データ処理及び操作のためにクラウドコンピュータにデータを転送し得る。クラウドコンピューティングは、ソフトウェアアプリケーションを取り扱うために、ローカルサーバ又はパーソナルデバイスを有するのではなく、コンピューティングリソースを共有することに依存することは理解されるであろう。「クラウド」という語は、「インターネット」の隠喩として使用され得るが、この用語はそのように限定はされない。したがって、「クラウドコンピューティング」という用語は、本明細書では「インターネットベースのコンピューティングのうちの1つのタイプ」を指すように使用することができ、この場合、サーバ、ストレージ及びアプリケーションなどの様々なサービスは、手術現場(例えば、固定式、移動式、一時的又は現場の手術室又は空間)に配置されたモジュール式通信ハブ20065及び/又はコンピュータシステム20063、並びにインターネットを介して、モジュール式通信ハブ20065及び/又はコンピュータシステム20063に接続されたデバイスに配信される。クラウドインフラストラクチャは、クラウドサービスプロバイダによって維持され得る。この文脈において、クラウドサービスプロバイダは、1つ又は2つ以上の手術室内に位置するデバイス1a~1n/2a~2mの使用及び制御を調整する事業体であり得る。クラウドコンピューティングサービスは、スマート外科用器具、ロボット、感知システム、及び手術室内に配置された他のコンピュータ化デバイスによって収集されたデータに基づいて、多数の計算を実施し得る。ハブハードウェアは、複数のデバイス、感知システム、及び/又は接続部がクラウドコンピューティングリソース及びストレージと通信するコンピュータに接続することを可能にする。
【0073】
デバイス1a~1n/2a~2mによって収集されたデータにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用することで、外科用データネットワークは、外科手術結果の改善、コスト低減及び患者満足度の改善を提供することができる。組織の封止及び切断処置後に、組織の状態を観察して封止された組織の漏出又は灌流を評価するために、デバイス1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。クラウドベースのコンピューティングを使用して、身体組織のサンプルの画像を含むデータを診断目的で検査して疾患の影響などの病理を識別するために、デバイス1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。そのようなデータには、組織の位置特定及びマージン確認並びに表現型が含まれ得る。撮像デバイスと一体化された様々なセンサを使用し、かつ複数の撮像デバイスによって捕捉された画像をオーバーレイするなどの技術を使用して、身体の解剖学的構造を識別するために、デバイス1a~1n/2a~2mのうちの少なくともいくつかを用いることができる。画像データを含む、デバイス1a~1n/2a~2mによって収集されたデータは、画像処理及び操作を含むデータ処理及び操作のために、クラウドコンピューティングシステム20064若しくはローカルコンピュータシステム20063又はその両方に転送され得る。データは、組織特異的部位及び状態に対する内視鏡的介入、新興技術、標的化放射線、標的化介入及び精密ロボットの適用などの更なる治療を遂行できるかを判定することによって、外科処置の結果を改善するために分析されてもよい。そのようなデータ分析は、結果分析処理を更に利用し得、標準化された手法を使用することは、外科的治療及び外科医の挙動を確認するか、又は外科的治療及び外科医の挙動に対する修正を提案するかのいずれかのために有益なフィードバックを提供し得る。
【0074】
感知システム20069によって収集された測定値データにクラウドコンピュータデータ処理技術を適用すると、外科用データネットワークは、改善された外科手術結果、改善された回復結果、低減されたコスト、及び改善された患者満足度をもたらし得る。感知システム20069のうちの少なくともいくつかは、患者を手術する外科医、外科処置のために準備中の患者、又は外科処置後に回復する患者の生理学的状態を評価するために利用されてもよい。クラウドベースのコンピューティングシステム20064は、外科医又は患者に関連付けられたバイオマーカをリアルタイムに監視し、外科処置前に収集された測定値データに少なくとも基づいて手術計画を生成し、外科処置中に外科用器具に制御信号を供給し、術後期間中に患者に合併症を通知するために使用され得る。
【0075】
手術室デバイス1a~1nは、ネットワークハブ20061に対するデバイス1a~1nの構成に応じて、有線チャネル又は無線チャネルを介して、モジュール式通信ハブ20065に接続され得る。ネットワークハブ20061は、一態様では、開放型システム間相互接続(Open System Interconnection、OSI)モデルの物理層上で機能するローカルネットワークブロードキャストデバイスとして実装されてもよい。ネットワークハブは、同じ手術室ネットワーク内に位置するデバイス1a~1nに接続性を提供することができる。ネットワークハブ20061は、パケットの形態のデータを収集し、それらを半二重モードでルータに送信し得る。ネットワークハブ20061は、デバイスデータを転送するための媒体アクセス制御/インターネットプロトコル(media access control、MAC/Internet Protocol、IP)も記憶できない。デバイス1a~1nのうちの1つのみが、ネットワークハブ20061を介して一度にデータを送信し得る。ネットワークハブ20061は、情報の送信先に関するルーティングテーブル又はインテリジェンスを有することができず、全てのネットワークデータを、各コネクション全体に、及びクラウドコンピューティングシステム20064のリモートサーバ20067にブロードキャストする。ネットワークハブ20061は、コリジョンなどの基本的なネットワークエラーを検出し得るが、全ての情報を複数のポートにブロードキャストすることは、セキュリティリスクとなりボトルネックを引き起こすおそれがある。
【0076】
手術室デバイス2a~2mは、有線チャネル又は無線チャネルを介してネットワークスイッチ20062に接続され得る。ネットワークスイッチ20062は、OSIモデルのデータリンク層内で作業する。ネットワークスイッチ20062は、同じ手術室内に配置されたデバイス2a~2mをネットワークに接続するためのマルチキャストデバイスであってもよい。ネットワークスイッチ20062は、フレームの形態のデータをネットワークルータ20066に送信し、全二重モードで機能し得る。複数のデバイス2a~2mは、ネットワークスイッチ20062を介して同時にデータを送信し得る。ネットワークスイッチ20062は、データを転送するためにデバイス2a~2mのMACアドレスを記憶し、使用する。
【0077】
ネットワークハブ20061及び/又はネットワークスイッチ20062は、クラウドコンピューティングシステム20064に接続するためにネットワークルータ20066に連結され得る。ネットワークルータ20066は、OSIモデルのネットワーク層内で作業する。ネットワークルータ20066は、デバイス1a~1n/2a~2m及びウェアラブル感知システム20011のいずれか1つ又は全てによって収集されたデータを、更に処理及び操作するために、ネットワークハブ20061及び/又はネットワークスイッチ20062から受信したデータパケットをクラウドベースコンピュータリソースに送信するためのルートを作成する。ネットワークルータ20066は、例えば、同じ医療施設の異なる手術室、又は異なる医療施設の異なる手術室に配置された異なるネットワークなど、異なる位置に配置された2つ又はそれ以上の異なるネットワークを接続するために利用されてもよい。ネットワークルータ20066は、パケットの形態のデータをクラウドコンピューティングシステム20064に送信し、全二重モードで機能し得る。複数のデバイスが同時にデータを送信することができる。ネットワークルータ20066は、データを転送するためにIPアドレスを使用し得る。
【0078】
一実施例では、ネットワークハブ20061は、複数のUSBデバイスをホストコンピュータに接続することを可能にするUSBハブとして実装されてもよい。USBハブは、デバイスをホストシステムコンピュータに接続するために利用可能なポートが多くなるように、単一のUSBポートをいくつかの階層に拡張することができる。ネットワークハブ20061は、有線チャネル又は無線チャネルを介して情報を受信するための有線機能又は無線機能を含み得る。一態様では、無線USB短距離高帯域無線通信プロトコルが、手術室内に位置するデバイス1a~1nとデバイス2a~2mとの間の通信のために利用され得る。
【0079】
実施例では、手術室デバイス1a~1n/2a~2m及び/又は感知システム20069は、固定及びモバイルデバイスから短距離にわたってデータを交換し(2.4~2.485GHzのISM帯域における短波長UHF電波を使用して)、パーソナルエリアネットワーク(personal area network、PAN)を構築するために、Bluetooth無線技術規格を介してモジュール式通信ハブ20065と通信してもよい。手術室デバイス1a~1n/2a~2m及び又は感知システム20069は、いくつかの無線通信規格若しくは有線通信規格又はプロトコルを介してモジュール式通信ハブ20065と通信してもよく、このような規格又はプロトコルとしては、Bluetooth、Low-Energy Bluetooth、近距離無線通信規格(near-field communication、NFC)、Wi-Fi(IEEE802.11ファミリ)、WiMAX(IEEE802.16ファミリ)、IEEE802.20、ニューラジオ(NR)、ロングタームエボリューション(LTE)、並びにEv-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMA、DECT、及びこれらのイーサネット派生物のみならず3G、4G、5G、及びそれ以降に指定される任意の他の無線プロトコル及び有線プロトコルが挙げられるが、これらに限定されない。コンピューティングモジュールは、複数の通信モジュールを含んでもよい。例えば、第1の通信モジュールは、Wi-Fi及びBluetooth、Low-Energy Bluetooth、Bluetooth Smartなどの短距離の無線通信専用であってもよく、第2の通信モジュールは、GPS、EDGE、GPRS、CDMA、WiMAX、LTE、Ev-DO、HSPA+、HSDPA+、HSUPA+、EDGE、GSM、GPRS、CDMA、TDMAなどの長距離の無線通信専用であってもよい。
【0080】
モジュール式通信ハブ20065は、手術室デバイス1a~1n/2a~2m及び/又は感知システム20069のうちの1つ又は2つ以上の中央接続部として機能し、フレームとして知られるデータタイプを取り扱い得る。フレームは、デバイス1a~1n/2a~2m及び/又は感知システム20069によって生成されたデータを搬送し得る。フレームがモジュール式通信ハブ20065によって受信されると、フレームは増幅されてネットワークルータ20066へ送信され、このネットワークルータは、本明細書に記載されるように、多数の無線通信規格若しくは有線通信規格又はプロトコルを使用することによって、このデータをクラウドコンピューティングシステム20064又はローカルコンピュータシステム20063に転送し得る。
【0081】
モジュール式通信ハブ20065は、スタンドアロンのデバイスとして使用されてもよく、又は大きなネットワークを形成するために互換性のあるネットワークハブ20061及びネットワークスイッチ20062に接続されてもよい。モジュール式通信ハブ20065は、一般に設置、構成、及び維持が容易であるため、手術室デバイス1a~1n/2a~2mをネットワーク形成するための良好な選択肢となり得る。
【0082】
図5は、HCP監視システム20002の一部であってもよいコンピュータ実装双方向外科用システム20070を示している。コンピュータ実装双方向外科用システム20070は、多くの点でHCP感知システム20002と類似している。例えば、コンピュータ実装双方向外科用システム20070は、多くの点でHCP監視システム20002と類似する1つ又は2つ以上の手術用サブシステム20072を含み得る。各サブ外科用システム20072は、リモートサーバ20077及びリモートストレージ20078を含み得るクラウドコンピューティングシステム20064と通信する少なくとも1つの外科用ハブ20076を含み得る。一態様では、コンピュータ実装双方向外科用システム20070は、感知システム20001、インテリジェント外科用器具、ロボット及び手術室内に位置する他のコンピュータ化デバイスなどの複数の手術室デバイスに接続されたモジュール式制御タワー20085を備え得る。
【0083】
図5の実施例に示されるように、モジュール式制御タワー20085は、内視鏡20087に連結され得る撮像モジュール20088、エネルギーデバイス20089に連結され得る発生器モジュール20090、排煙器モジュール20091、吸引/灌注モジュール20092、通信モジュール20097、プロセッサモジュール20093、ストレージアレイ20094、任意選択的にディスプレイ20086及び20084にそれぞれ連結されたスマートデバイス/器具20095、並びに非接触センサモジュール20096に連結され得る。非接触センサモジュール20096は、超音波、レーザタイプ、及び/又は同様の非接触測定デバイスを使用して、手術室の寸法を測定し、手術現場のマップを生成し得る。他の距離センサを利用して、手術室の境界を判定することができる。その全体が参照により本明細書に組み込まれる「INTERACTIVE SURGICAL PLATFORM」と題する2017年12月28日出願の米国仮特許出願第62/611,341号では、同文献中の「Surgical Hub Spatial Awareness Within an Operating Room」の見出しの下に記載されるように、超音波ベースの非接触センサモジュールは、超音波のバーストを送信し、超音波のバーストが手術室の外壁に反射したときのエコーを受信することによって手術室を走査し得る。センサモジュールが、手術室のサイズを判定し、Bluetoothペアリングの距離限界を調整するように構成され得る。レーザベースの非接触センサモジュールは、例えば、レーザ光パルスを送信することによって手術室を走査でき、手術室の外壁に反射するレーザ光パルスを受信し、送信されたパルスの位相を受信したパルスと比較して手術室のサイズを判定し、Bluetoothペアリング距離限界を調整する。
【0084】
モジュール式制御タワー20085はまた、1つ又は2つ以上の感知システム20069及び環境感知システム20015と通信し得る。感知システム20069は、ルータを介して直接的に、又は通信モジュール20097を介して、モジュール式制御タワー20085に接続され得る。手術室デバイスは、モジュール式制御タワー20085を介してクラウドコンピューティングリソース及びデータストレージに連結され得る。ロボット外科用ハブ20082もまた、モジュール式制御タワー20085及びクラウドコンピューティングリソースに接続され得る。とりわけ、デバイス/器具20095又は20084、ヒューマンインターフェースシステム20080は、本明細書に記載されるように、有線通信規格若しくは無線通信規格又はプロトコルを介して、モジュール式制御タワー20085に連結され得る。ヒューマンインターフェースシステム20080は、表示サブシステムと、通知サブシステムと、を含み得る。モジュール式制御タワー20085は、ハブディスプレイ20081(例えば、モニタ、スクリーン)に連結されて、撮像モジュール20088、デバイス/器具ディスプレイ20086、及び/又は他のヒューマンインターフェースシステム20080から受信した画像を表示し、オーバーレイし得る。ハブディスプレイ20081はまた、画像及びオーバーレイ画像とともにモジュール式制御タワー20085に接続されたデバイスから受信したデータを表示し得る。
【0085】
図6は、本開示の1つ又は2つ以上の態様による、外科用器具又は外科用ツールの制御システム20220の論理図を示している。外科用器具又は外科用ツールは、構成可能であってもよい。外科用器具は、撮像デバイス、手術用ステープラ、エネルギーデバイス、エンドカッターデバイスなどの手元にあって、処置に特有の手術用備品を含んでもよい。例えば、外科用器具は、電動ステープラ、電動ステープラ発生器、エネルギーデバイス、高度エネルギーデバイス、高度エネルギージョーデバイス、エンドカッタークランプ、エネルギーデバイス発生器、手術室内撮像システム、排煙器、吸引灌注デバイス、気腹システムなどのうちのいずれかを含んでもよい。システム20220は、制御回路を備え得る。制御回路は、プロセッサ20222及びメモリ20223を備えるマイクロコントローラ20221を含み得る。例えば、センサ20225、20226、20227のうちの1つ又は2つ以上が、プロセッサ20222にリアルタイムなフィードバックを提供する。モータドライバ20229によって駆動されるモータ20230は、長手方向に移動可能な変位部材を動作可能に連結して、Iビームナイフ要素を駆動する。追跡システム20228は、長手方向に移動可能な変位部材の位置を判定するように構成され得る。位置情報は、長手方向に移動可能な駆動部材の位置を、並びに発射部材、発射バー、及びIビームナイフ要素の位置を、判定するようにプログラムされ得る、又は構成され得るプロセッサ20222に提供され得る。追加のモータが、Iビームの発射、閉鎖チューブの移動、シャフトの回転、及び関節運動を制御するために、ツールドライバインターフェースに提供されてもよい。ディスプレイ20224は、器具の様々な動作状態を表示し、データ入力のためのタッチスクリーン機能を含み得る。ディスプレイ20224上に表示された情報は、内視鏡撮像モジュールを介して取得された画像とオーバーレイされ得る。
【0086】
マイクロコントローラ20221は、Texas Instruments製のARM Cortexの商品名で知られているものなど、任意のシングルコア又はマルチコアプロセッサであり得る。一態様では、主マイクロコントローラ20221は、例えば、その詳細が製品データシートで入手可能である、最大40MHzの256KBのシングルサイクルフラッシュメモリ若しくは他の不揮発性メモリのオンチップメモリ、性能を40MHz超に改善するためのプリフェッチバッファ、32KBのシングルサイクルSRAM、StellarisWare(登録商標)ソフトウェアを搭載した内部ROM、2KBのEEPROM、1つ又は2つ以上のPWMモジュール、1つ又は2つ以上のQEIアナログ、及び/又は12個のアナログ入力チャネルを有する1つ又は2つ以上の12ビットADCを備える、Texas Instrumentsから入手可能なLM4F230H5QR ARM Cortex-M4Fプロセッサコアであってもよい。
【0087】
マイクロコントローラ20221は、同じくTexas Instruments製のHercules ARM Cortex R4の商品名で知られるTMS570及びRM4xなどの2つのコントローラベースのファミリを備える安全コントローラを備えてもよい。安全コントローラは、拡張性のある性能、接続性及びメモリの選択肢を提供しながら、高度な集積型安全特徴部を提供するために、とりわけ、IEC61508及びISO26262の安全限界用途専用に構成され得る。
【0088】
マイクロコントローラ20221は、ナイフ及び関節運動システムの速度及び位置に対する精密制御など、様々な機能を実施するようにプログラムされてもよい。一態様では、マイクロコントローラ20221は、プロセッサ20222と、メモリ20223と、を含んでもよい。電気モータ20230は、ギアボックス、及び関節運動又はナイフシステムへの機械的連結部を備えたブラシ付き直流(direct current、DC)モータであってもよい。一態様では、モータドライバ20229は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。他のモータドライバが、絶対位置決めシステムを備える追跡システム20228で使用するために容易に代用され得る。絶対位置決めシステムに関する詳細な説明は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「SYSTEMS AND METHODS FOR CONTROLLING A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年10月19日公開の米国特許出願公開第2017/0296213号に記載されている。
【0089】
マイクロコントローラ20221は、変位部材及び関節運動システムの速度及び位置に対する正確な制御を提供するようにプログラムされ得る。マイクロコントローラ20221は、マイクロコントローラ20221のソフトウェア内で応答を計算するように構成され得る。計算された応答は、実際のシステムの測定された応答と比較されて「観測された」応答を得ることができ、これが実際のフィードバックの判定に使用される。観測された応答は、シミュレートされた応答の滑らかで連続的な性質と、測定された応答とのバランスをとる好適な調整された値であってよく、これはシステムに及ぼす外部の影響を検出することができる。
【0090】
モータ20230は、モータドライバ20229によって制御され得、外科用器具又はツールの発射システムによって利用され得る。様々な形態において、モータ20230は、約25,000RPMの最大回転速度を有するブラシ付きDC駆動モータであってもよい。いくつかの例では、モータ20230としては、ブラシレスモータ、コードレスモータ、同期モータ、ステッパモータ、又は任意の他の好適な電気モータが挙げられ得る。モータドライバ20229は、例えば、電界効果トランジスタ(field-effect transistor、FET)を備えるHブリッジドライバを備えてもよい。モータ20230は、外科用器具又はツールに制御電力を供給するために、ハンドル組立体又はツールハウジングに解放可能に取り付けられた電源組立体によって給電され得る。電源組立体は、外科用器具又はツールに給電するための電源として使用され得る、直列に接続された多数の電池セルを含み得る電池を備えてもよい。特定の状況下では、電源組立体の電池セルは、交換可能及び/又は再充電可能であってもよい。少なくとも1つの例では、電池セルは、電源組立体に連結可能かつ電源組立体から分離可能であり得るリチウムイオン電池であり得る。
【0091】
モータドライバ20229は、Allegro Microsystems,Incから入手可能なA3941であってもよい。A3941は、ブラシ付きDCモータなどの誘導負荷を目的として特に設計された外部Nチャネルパワー金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(metal-oxide semiconductor field-effect transistor、MOSFET)とともに使用するためのフルブリッジコントローラであってもよい。ドライバ20229は、固有の電荷ポンプレギュレータを備えてもよく、これは、完全(>10V)ゲート駆動を7Vまでの電池電圧に供給し、A3941が5.5Vまでの低減ゲート駆動で動作することを可能にする。NチャネルMOSFETに必要な上記の電池供給電圧を供給するために、ブートストラップコンデンサが利用されてもよい。ハイサイド駆動用の内部電荷ポンプにより、DC(100%デューティサイクル)動作が可能となる。フルブリッジは、ダイオード又は同期整流を使用して高速又は低速減衰モードで駆動され得る。低速減衰モードでは、電流の再循環は、ハイサイドのFETによっても、ローサイドのFETによっても可能である。電力FETは、抵抗器で調節可能なデッドタイムによって、シュートスルーから保護され得る。統合診断は、低電圧、温度過昇、及びパワーブリッジの異常を示すものであり、ほとんどの短絡状態下でパワーMOSFETを保護するように構成され得る。他のモータドライバが、絶対位置決めシステムを備えた追跡システム20228で使用するために容易に代用され得る。
【0092】
追跡システム20228は、本開示の一態様による位置センサ20225を備える制御されたモータ駆動回路構成を備え得る。絶対位置決めシステムのための位置センサ20225は、変位部材の位置に対応する固有の位置信号を供給し得る。いくつかの例では、変位部材は、ギア減速機組立体の対応する駆動ギアと噛合係合するための駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表すことができる。いくつかの例では、変位部材は、駆動歯のラックを含むように適合され、構成され得る発射部材を表すことができる。いくつかの例では、変位部材は、発射バー又はIビームを表すことができ、それらの各々は、駆動歯のラックを含むように適合され、構成され得る。したがって、本明細書で使用するとき、変位部材という用語は、一般的に、駆動部材、発射部材、発射バー、Iビーム、又は変位され得る任意の要素など、外科用器具又はツールの任意の移動可能な部材を指すために使用され得る。一態様では、長手方向に移動可能な駆動部材は、発射部材、発射バー、及びIビームに連結され得る。したがって、絶対位置決めシステムは、実際には、長手方向に移動可能な駆動部材の直線変位を追跡することによって、Iビームの直線変位を追跡することができる。様々な態様では、変位部材は、直線変位を測定するために好適な任意の位置センサ20225に連結されてもよい。したがって、長手方向に移動可能な駆動部材、発射部材、発射バー、若しくはIビーム、又はそれらの組み合わせは、任意の好適な直線変位センサに連結されてもよい。直線変位センサは、接触式変位センサ又は非接触式変位センサを含んでもよい。直線変位センサは、線形可変差動変圧器(linear variable differential transformer、LVDT)、差動可変磁気抵抗型変換器(differential variable reluctance transducer、DVRT)、スライドポテンショメータ、移動可能な磁石及び一連の直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、固定された磁石及び一連の移動可能な直線状に配置されたホール効果センサを備える磁気感知システム、移動可能な光源及び一連の直線状に配置された光ダイオード若しくは光検出器を備える光学検出システム、固定された光源及び一連の移動可能な直線状に配置されたフォトダイオード若しくは光検出器を備える光学感知システム、又はこれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0093】
電気モータ20230は、変位部材上の駆動歯のセット、又は駆動歯のラックと噛合係合で取り付けられるギア組立体と動作可能に接続する回転式シャフトを含み得る。センサ要素は、位置センサ20225要素の1回転が、変位部材のいくつかの直線長手方向並進に対応するように、ギア組立体に動作可能に連結され得る。ギアリング及びセンサの構成は、ラックピニオン構成によって直線アクチュエータに、又はスパーギア若しくは他の接続によって回転アクチュエータに接続することができる。電源は、絶対位置決めシステムに電力を供給し、出力インジケータは、絶対位置決めシステムの出力を表示してもよい。変位部材は、ギア減速機組立体の対応する駆動ギアと噛合係合するための、その上に形成された駆動歯のラックを備える長手方向に移動可能な駆動部材を表すことができる。変位部材は、長手方向に移動可能な発射部材、発射バー、Iビーム、又はこれらの組み合わせを表すことができる。
【0094】
位置センサ20225に関連付けられたセンサ要素の1回転は、変位部材の長手方向直線変位d1に相当することができ、d1は、変位部材に連結されたセンサ要素の1回転の後で、変位部材が点「a」から点「b」まで移動する長手方向の直線距離である。センサ構成は、位置センサ20225が変位部材のフルストロークに対して1回又は2回以上の回転を完了する結果をもたらすギアの減速を介して連結され得る。位置センサ20225は、変位部材のフルストロークに対して複数回の回転を完了し得る。
【0095】
位置センサ20225の2回以上の回転に対する固有の位置信号を提供するために、一連のスイッチ(ここでnは1よりも大きい整数である)が、単独で、又はギアの減速との組み合わせで利用されてもよい。スイッチの状態は、マイクロコントローラ20221にフィードバックでき、そのマイクロコントローラは、論理を適用して、変位部材の長手方向の直線変位d1+d2+...dnに対応する固有の位置信号を判定する。位置センサ20225の出力は、マイクロコントローラ20221に供給される。センサ構成の位置センサ20225は、位置信号又は値の固有の組み合わせを出力する、磁気センサ、電位差計などのアナログ回転センサ、又はアナログホール効果要素のアレイを備えてもよい。
【0096】
位置センサ20225は、例えば、全磁界又は磁界のベクトル成分を測定するかどうかに従って分類される磁気センサなど、任意の数の磁気感知要素を備えてもよい。両タイプの磁気センサを生産するために使用される技術は、物理学及び電子工学の多数の側面を含み得る。磁界の感知に使用される技術としては、とりわけ、探りコイル、フラックスゲート、光ポンピング、核摂動(nuclear precession)、SQUID、ホール効果、異方性磁気抵抗、巨大磁気抵抗、磁気トンネル接合、巨大磁気インピーダンス、磁歪/圧電複合材、磁気ダイオード、磁気トランジスタ、光ファイバ、磁気光学、及び微小電気機械システムベースの磁気センサを挙げることができる。
【0097】
絶対位置決めシステムを備える追跡システム20228の位置センサ20225は、磁気回転絶対位置決めシステムを備え得る。位置センサ20225は、Austria Microsystems,AGから入手可能なAS5055EQFTシングルチップ磁気回転位置センサとして実装されてもよい。位置センサ20225は、マイクロコントローラ20221に接続され、絶対位置決めシステムを実現する。位置センサ20225は、低電圧低電力の構成要素であり、磁石の上方に配置され得る位置センサ20225のエリアに、4つのホール効果要素を含み得る。また、高解像度ADC及びスマート電力管理コントローラをチップ上に設けてもよい。加算、減算、ビットシフト、及びテーブル参照演算のみを必要とする、双曲線関数及び三角関数を計算する簡潔で、効率的なアルゴリズムを実装するために、桁毎法及びボルダーアルゴリズムとしても知られる、座標回転デジタルコンピュータ(coordinate rotation digital computer、CORDIC)プロセッサが設けられ得る。角度位置、アラームビット、及び磁界情報は、シリアル周辺インターフェース(serial peripheral interface、SPI)インターフェースなどの標準的なシリアル通信インターフェースを介してマイクロコントローラ20221に送信され得る。位置センサ20225は、12ビット又は14ビットの解像度を提供し得る。位置センサ20225は、小型のQFN16ピン4x4x0.85mmパッケージで提供されるAS5055チップであってもよい。
【0098】
絶対位置決めシステムを備える追跡システム20228は、PID、状態フィードバック、及び適応コントローラなどのフィードバックコントローラを備えてもよく、及び/又はこれを実装するようにプログラムされてもよい。電源は、フィードバックコントローラからの信号を、システムへの物理的入力、この場合は電圧へと変換する。他の例としては、電圧、電流、及び力のPWMが挙げられる。位置センサ20225によって測定される位置に加えて、物理的システムの物理パラメータを測定するために、他のセンサが設けられてもよい。いくつかの態様では、他のセンサとしては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2016年5月24日発行の米国特許第9,345,481号、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、「STAPLE CARTRIDGE TISSUE THICKNESS SENSOR SYSTEM」と題する2014年9月18日公開の米国特許出願公開第2014/0263552号、及びその全体が参照により本明細書に組み込まれる、「TECHNIQUES FOR ADAPTIVE CONTROL OF MOTOR VELOCITY OF A SURGICAL STAPLING AND CUTTING INSTRUMENT」と題する2017年6月20日出願の米国特許出願第15/628,175号に記載されているものなどのセンサ構成を挙げることができる。デジタル信号処理システムでは、絶対位置決めシステムはデジタルデータ取得システムに連結され、ここで絶対位置決めシステムの出力は有限の解像度及びサンプリング周波数を有する。絶対位置決めシステムは、計算された応答を測定された応答に向けて駆動する加重平均及び理論制御ループなどのアルゴリズムを使用して、計算された応答を測定された応答と組み合わせるために、比較及び組み合わせ回路を備え得る。入力を知ることによって物理的システムの状態及び出力がどうなるかを予測するために、物理的システムの計算された応答は、質量、慣性、粘性摩擦、誘導抵抗などの特性を考慮に入れてよい。
【0099】
絶対位置決めシステムは、器具の電源投入時に変位部材の絶対位置を提供することができ、それは、モータ20230がとった前方又は後方へのステップの数を単に計数する、デバイスアクチュエータ、駆動バー、ナイフなどの位置を推定する従来の回転エンコーダが必要する、変位部材をリセット(ゼロ又はホーム)位置に後退又は前進させることがない。
【0100】
例えば、歪みゲージ又は微小歪みゲージなどのセンサ20226は、例えば、アンビルに適用される閉鎖力を示すことができ、クランプ動作中にアンビルに及ぼされる歪みの振幅など、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成されてもよい。測定した歪みは、デジタル信号に変換されて、プロセッサ20222に提供され得る。センサ20226の代わりに、又はこれに加えて、例えば、負荷センサなどのセンサ20227が、閉鎖駆動システムによってアンビルに加えられる閉鎖力を測定してもよい。例えば、負荷センサなどのセンサ20227は、外科用器具又はツールの発射ストローク中にIビームに加えられる発射力を測定してもよい。Iビームは、楔形スレッドと係合するように構成されており、楔形スレッドは、ステープルドライバを上向きにカム作用して、ステープルを押し出してアンビルと変形接触させるように構成されている。Iビームはまた、Iビームを発射バーによって遠位に前進させる際に組織を切断するために使用することができる、鋭利な切刃を含み得る。代替的に、モータ20230によって消費される電流を測定するために、電流センサ20231を利用してもよい。発射部材を前進させるために必要な力は、例えば、モータ20230によって消費される電流に相当し得る。測定した力は、デジタル信号に変換されて、プロセッサ20222に提供され得る。
【0101】
例えば、歪みゲージセンサ20226を使用して、エンドエフェクタによって組織に加えられる力を測定することができる。処置されている組織に対するエンドエフェクタによる力を測定するために、歪みゲージをエンドエフェクタに連結することができる。エンドエフェクタによって把持された組織に加えられた力を測定するためのシステムは、例えば、エンドエフェクタの1つ又は2つ以上のパラメータを測定するように構成され得る微小歪みゲージなどの歪みゲージセンサ20226を備えてもよい。一態様では、歪みゲージセンサ20226は、組織圧縮を示し得る、クランプ動作中にエンドエフェクタのジョー部材に及ぼされる歪みの振幅又は規模を測定してもよい。測定した歪みは、デジタル信号に変換されて、マイクロコントローラ20221のプロセッサ20222に供給され得る。負荷センサ20227は、例えば、アンビルとステープルカートリッジとの間に捕捉された組織を切断するために、ナイフ要素を動作させるために使用される力を測定してもよい。磁界センサは、捕捉された組織の厚さを測定するために利用することができる。磁界センサの測定値も、デジタル信号に変換されて、プロセッサ20222に供給されてもよい。
【0102】
センサ20226、20227によってそれぞれ測定される、組織圧縮、組織の厚さ、及び/又はエンドエフェクタを組織上で閉鎖するために必要な力の測定値は、発射部材の選択された位置、及び/又は発射部材の速度の対応する値を特性決定するために、マイクロコントローラ20221によって使用され得る。一実施例では、メモリ20223は、評価の際にマイクロコントローラ20221によって利用され得る技術、等式及び/又はルックアップテーブルを記憶してもよい。
【0103】
外科用器具又はツールの制御システム20220はまた、図5に示すようにモジュール式通信ハブ20065と通信するための有線又は無線通信回路を備えてもよい。
【0104】
図7は、例示的な感知システム20069を示す。感知システムは、HCP感知システム又は患者感知システムであり得る。感知システム20069は、データ処理及び通信ユニット20236と通信するセンサユニット20235及びヒューマンインターフェースシステム20242を含み得る。データ処理及び通信ユニット20236は、アナログデジタル変換20237と、データ処理ユニット20238と、ストレージユニット20239と、入力/出力インターフェース20241と、トランシーバ20240と、を含み得る。感知システム20069は、外科用ハブ又はコンピューティングデバイス20243と通信することができ、これは次に、クラウドコンピューティングシステム20244と通信する。クラウドコンピューティングシステム20244は、クラウドストレージシステム20078と、1つ又は2つ以上のクラウドサーバ20077と、を含み得る。
【0105】
センサユニット20235は、1つ又は2つ以上のバイオマーカを測定するために、1つ又は2つ以上の生体外又は生体内センサを含み得る。バイオマーカは、例えば、血中pH、水和状態、酸素飽和度、深部体温、心拍数、心拍変動、発汗率、皮膚コンダクタンス、血圧、光曝露、環境の温度、呼吸数、咳及びくしゃみ、胃腸運動、消化管撮像、組織灌流圧、気道中の細菌、アルコール消費、乳酸(汗)、末梢温度、陽性及び楽観、アドレナリン(汗)、コルチゾール(汗)、浮腫、マイコトキシン、VO2 max、術前疼痛、空気中の化学物質、循環腫瘍細胞、ストレス及び不安、錯乱及びせん妄、身体活動、自律緊張、概日リズム、月経周期、睡眠などを含み得る。これらのバイオマーカは、1つ又は2つ以上のセンサ、例えば、光センサ(例えば、フォトダイオード、フォトレジスタ)、機械センサ(例えば、モーションセンサ)、音響センサ、電気センサ、電気化学センサ、熱電センサ、赤外線センサなどを使用して測定され得る。センサは、フォトプレチスモグラフィ、心電図検査、脳波検査、比色分析、インペディメンタリ、電位差測定、電流測定などの感知技術のうちの1つ又は2つ以上を使用して、本明細書に記載されるように、バイオマーカを測定し得る。
【0106】
図7に示されるように、センサユニット20235内のセンサは、測定しようとするバイオマーカに関連付けられた生理学的信号(例えば、電圧、電流、PPG信号など)を測定し得る。測定される生理学的信号は、本明細書に記載されるように、使用する感知技術に依存し得る。感知システム20069のセンサユニット20235は、データ処理及び通信ユニット20236と通信し得る。一実施例では、センサユニット20235は、無線インターフェースを使用してデータ処理及び通信ユニット20236と通信してもよい。データ処理及び通信ユニット20236は、アナログデジタル変換器(ADC)20237と、データ処理ユニット20238と、ストレージ20239と、I/Oインターフェース20241と、RFトランシーバ20240と、を含み得る。データ処理ユニット20238は、プロセッサと、メモリユニットと、を含み得る。
【0107】
センサユニット20235は、測定した生理学的信号を、データ処理及び通信ユニット20236のADC20237に送信し得る。一実施例では、測定した生理学的信号は、ADCに送信される前に、1つ又は2つ以上のフィルタ(例えば、RCローパスフィルタ)を通過してもよい。ADCは、測定した生理学的信号を、バイオマーカに関連付けられた測定値データに変換し得る。ADCは、処理のために測定値データをデータ処理ユニット20238に渡し得る。一実施例では、データ処理ユニット20238は、バイオマーカに関連付けられた測定値データを、外科用ハブ又はコンピューティングデバイス20243に送信し、次に、更なる処理のために測定値データをクラウドコンピューティングシステム20244に送信し得る。データ処理ユニットは、本明細書に記載されるように、無線プロトコルのうちの1つを使用して、測定値データを外科用ハブ又はコンピューティングデバイス20243に送信し得る。一実施例では、データ処理ユニット20238は、最初に、センサユニットから受信した生の測定値データを処理し、処理した測定値データを外科用ハブ又はコンピューティングデバイス20243に送信し得る。
【0108】
一実施例では、感知システム20069のデータ処理及び通信ユニット20236は、外科用ハブ、コンピューティングデバイス20243から、又はクラウドコンピューティングシステム20244のクラウドサーバ20077から直接、監視のためのバイオマーカに関連付けられた閾値を受信し得る。データ処理ユニット20236は、監視されるバイオマーカに関連付けられた測定値データを、外科用ハブ、コンピューティングデバイス20243、又はクラウドサーバ20077から受信した対応する閾値と比較し得る。データ処理及び通信ユニット20236は、測定値データ値が閾値を超えたことを示す通知メッセージをHID20242に送信し得る。通知メッセージは、監視したバイオマーカに関連付けられた測定値データを含み得る。データ処理及びコンピューティングユニット20236は、Bluetooth、Bluetooth Low-Energy(BLE)、Bluetooth Smart、Zigbee、Z-wave、IPv6低電力無線パーソナルエリアネットワーク(6LoWPAN)、Wi-FiなどのRFプロトコルのうちの1つを使用して、外科用ハブ又はコンピューティングデバイス20243への送信を介して通知を送信し得る。データ処理ユニット20238は、GSM/GPRS/EDGE(2G)、UMTS/HSPA(3G)、ロングタームエボリューション(LTE)又は4G、LTEアドバンスト(LTE-A)、ニューラジオ(NR)又は5Gなどのセルラープロトコルのうちの1つ又は2つ以上を使用して、セルラー送信/受信ポイント(TRP)又は基地局への送信を介して、クラウドサーバに直接通知(例えば、HCPについての通知)を送信し得る。一実施例では、感知ユニットは、ルータを介してハブ/コンピューティングデバイスと通信し得る。
【0109】
一実施例では、センサユニットは、センサ及びアナログデジタル変換器(ADC)を含み得る。センサユニット内のADCは、センサによって測定された生理学的信号を、バイオマーカに関連付けられた測定値データに変換し得る。センサユニットは、更なる処理のために、測定値データを、データ処理及び通信ユニットに送信し得る。一実施例では、センサユニットは、集積回路間(inter-integrated circuit、I2C)インターフェースを使用して、測定値データを、データ処理及び通信ユニットに送信し得る。
【0110】
データ処理及び通信ユニットは、データ処理ユニットと、ストレージユニットと、RFトランシーバと、を含む。感知システムは、外科用ハブ又はコンピューティングデバイスと通信し、これは、次に、クラウドコンピューティングシステム20244と通信し得る。クラウドコンピューティングシステム20244は、リモートサーバ20077と、関連するリモートストレージ20078と、を含み得る。センサユニットは、本明細書に記載されるように、1つ又は2つ以上のバイオマーカを測定するために、1つ又は2つ以上の生体外又は生体内センサを含み得る。
【0111】
データ処理及び通信ユニットは、センサユニットから受信した測定値データを処理した後、測定値データを更に処理し、及び/又は測定値データをスマートハブ若しくはコンピューティングデバイス20243に送信し得る。一実施例では、データ処理及び通信ユニットは、更なる処理及び/又は監視のために、センサユニットから受信した測定値データを、クラウドコンピューティングシステム20244のリモートサーバ20077に送信し得る。
【0112】
一実施例では、センサユニットは、患者又は外科医のバイオマーカに関連付けられた1つ又は2つ以上の生理学的信号及び/又は人の物理的状態に関連付けられた1つ又は2つ以上の物理的状態信号を測定するための複数のセンサを含み得る。バイオマーカのリストは、本明細書に開示されるバイオマーカなどのバイオマーカを含み得る。センサユニット内のADCは、複数のセンサによって測定された生理学的信号及び/又は物理的状態信号の各々を、それぞれの測定値データに変換し得る。センサユニットは、1つ又は2つ以上のバイオマーカに、並びに監視されている患者の物理的状態に関連付けられた測定値データを、更なる処理のために、データ処理及び通信ユニットに送信し得る。センサユニットは、センサの各々について個別に、又は全てのセンサについて組み合わされて、測定値データをデータ処理及び通信ユニットに送信し得る。一実施例では、センサユニットは、測定値データを、I2Cインターフェースを介してデータ処理及び通信ユニットに送信し得る。
【0113】
図8は、外科用器具制御を調整するために、1つ又は2つ以上のHCP感知システムからの外科的タスク状況認識及び測定値データを使用する一実施例である。図8は、例示的な外科処置のタイムライン20265と、外科処置の各工程において1つ又は2つ以上の外科用デバイス、1つ又は2つ以上のHCP感知システム、及び/又は1つ又は2つ以上の環境感知システムから受信したデータから外科用ハブが導出し得るコンテキスト情報と、を示す。外科用ハブによって制御され得るデバイスは、高度エネルギーデバイス、エンドカッタークランプなどを含み得る。HCP感知システムは、外科医に関連付けられた1つ又は2つ以上のバイオマーカ、例えば、心拍数、汗の組成、呼吸数などを測定するための感知システムを含み得る。環境感知システムは、環境属性のうちの1つ又は2つ以上を測定するためのシステム、例えば、外科医の位置/移動/呼吸パターンを検出するためのカメラを、例えば、手術現場内の周囲ノイズ及び/又は医療提供者の声のトーン、周囲の温度/湿度などを測定するための空間マイクロフォンを、含み得る。
【0114】
図8に示されるタイムライン20265の以下の説明では、図5も参照されたい。図5は、外科処置において使用される様々な構成要素を提供する。タイムライン20265は、例示的な結腸直腸外科処置の過程中に、看護師、外科医、及び他の医療関係者によって、個別に及び/又は一括して行われ得る工程を示す。結腸直腸外科処置では、状況認識外科用ハブ20076は、HCPが外科用ハブ20076とペアリングされたモジュール式デバイス/器具20095を利用するたびに生成されるデータを含む、外科処置の過程全体を通して様々なデータソースからデータを受信し得る。外科用ハブ20076は、ペアリングされたモジュール式デバイス20095からこのデータを受信し得る。外科用ハブは、感知システム20069から測定値データを受信し得る。外科用ハブは、モジュール式デバイス/器具20095からのデータを、及び/又は感知システム20069からの測定値データを使用して、実施されている処置の工程に対する外科医のストレスレベルが取得されるように、新規のデータが受信されるにつれて、HCPのストレスレベル及び進行中の処置に関する推測(すなわち、コンテキスト情報)を継続的に導出し得る。外科用ハブ20076の状況認識システムは、報告を生成するために処置に関するデータを記録すること、医療関係者が実施している工程を検証すること、特定の処置工程に関連し得るデータ又はプロンプトを(例えば、ディスプレイ画面を介して)提供すること、状況に基づいてモジュール式デバイスを調整する(例えば、モニタを起動する、医療用撮像デバイスのFOVを調整する、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルを変更する)こと、又は本明細書に記載される任意の他のこうした動作を実施すること、のうちの1つ又は2つ以上を実施し得る。一実施例では、これらの工程は、クラウドシステム20064のリモートサーバ20077によって実施され、外科用ハブ20076と通信され得る。
【0115】
(簡潔にするために図8には示されていない)第1の工程として、病院スタッフメンバーは、病院のEMRデータベースから、患者のEMRを検索し得る。EMRにおいて選択された患者データに基づいて、外科用ハブ20076は、実施される処置が胸部処置であることを判定し得る。スタッフメンバーは、処置のために入来する医療用品を走査し得る。外科用ハブ20076は、走査した用品を様々なタイプの処置において利用され得る用品のリストと相互参照し、用品の組み合わせが、胸部処置に一致することを確認し得る。外科用ハブ20076は、異なるHCPによって装着された感知システム20069の各々をペアリングし得る。
【0116】
デバイスの各々が準備され、手術前の準備が完了すると、手術チームは、切開を行い、トロカールを配置することによって開始し得る。手術チームは、もしあれば癒着を切開し、下腸間膜動脈(inferior mesenteric artery、IMA)分岐を識別することによって、アクセス及び準備を実施し得る。外科用ハブ20076は、エネルギー器具が発射されていることを示すRF又は超音波発生器から受信し得るデータに少なくとも基づいて、外科医が癒着を切開する過程にあると推測し得る。外科用ハブ20076は、受信したデータを外科処置の検索された工程と相互参照して、プロセスのこの時点(例えば、上述された処置の工程が完了した後)で発射されているエネルギー器具が切開工程に対応していると判定し得る。
【0117】
解剖後、HCPは、処置の結紮工程(例えば、A1によって示される)に進み得る。図8に示されるように、HCPは、IMAを結紮することによって開始し得る。外科用ハブ20076は、器具が発射されていることを示すデータを高度エネルギージョーデバイス及び/又はエンドカッターから受信し得るので、外科医が動脈及び静脈を結紮していると推測し得る。外科用ハブはまた、HCPの高いストレスレベルを示す(例えば、時間軸上のB1マークが示す)HCPの感知システムのうちの1つから測定値データを受信し得る。例えば、高いストレスレベルは、ベース値からのHCPの心拍数の変化によって示されてもよい。外科用ハブ20076は、前の工程と同様に、外科用ステープル留め及び切断器具からのデータの受信を、プロセスにおいて検索された工程(例えば、A2及びA3が示すような)と相互参照することによって、この推測を導出し得る。外科用ハブ20076は、高ストレス期間中に、高度エネルギージョートリガ比、並びに/又はエンドカッタークランプ及び発射速度を監視し得る。一実施例では、外科用ハブ20076は、補助制御信号を、高度エネルギージョーデバイス及び/又はエンドカッターデバイスに送信して、動作中のデバイスを制御し得る。外科用ハブは、外科用デバイスを操作しているHCPのストレスレベル、及び/又は外科用ハブに知られている状況認識に基づいて、補助信号を送信し得る。例えば、外科用ハブ20076は、図8のA2及びA3によって示されるように、制御補助信号を高度エネルギーデバイス又はエンドカッタークランプに送信し得る。
【0118】
HCPは、上部S状結腸を解放し、続いて下行結腸、直腸、及びS状結腸を解放する次の工程に進み得る。外科用ハブ20076は、HCPの高ストレスマーカ(例えば、D1、E1a、E1b、F1が示すような)を監視し続け得る。外科用ハブ20076は、図8に示されるように、高ストレス期間中に、高度エネルギージョーデバイス及び/又はエンドカッターデバイスに補助信号を送信し得る。
【0119】
結腸を可動化した後、HCPは、処置の分節切除術部分に進み得る。例えば、外科用ハブ20076は、そのカートリッジからのデータを含む外科用ステープル留め及び切断器具からのデータに基づいて、HCPが腸を横切開してS状結腸を除去していると、推測し得る。カートリッジデータは、例えば、器具によって発射されているステープルのサイズ又はタイプに対応することができる。異なるタイプのステープルが異なるタイプの組織に利用されるので、カートリッジデータは、ステープル留め及び/又は横切開されている組織のタイプを示すことができる。様々な器具が特定のタスクに対して良好に適合するので、外科医が、処置中の工程に応じて、外科用ステープル留め/切断器具と手術用エネルギー(例えば、RF又は超音波)器具とを、定期的に交互に切り替えることに留意されたい。したがって、ステープル留め器具/切断器具及び手術用エネルギー器具が使用されるシーケンスは、外科医が処置のどの工程を実施しているかを示し得る。
【0120】
外科用ハブは、HCPのストレスレベルに基づいて制御信号を判定し、外科用デバイスに送信し得る。例えば、期間G1b中に、制御信号G2bがエンドカッタークランプに送信されてもよい。S状結腸を除去すると、切開部が閉じられ、処置の術後部分が開始され得る。患者を麻酔から覚醒させ得る。外科用ハブ20076は、患者に取り付けられた1つ又は2つ以上の感知システムに基づいて、患者が麻酔から覚醒していると推測し得る。
【0121】
図9は、1つ又は2つ以上の感知システム20001を使用してHCPバイオマーカを監視するように構成され得る例示的なコンピュータ実装双方向外科用システムを示す。コンピュータ実装双方向外科用システムは、1つ又は2つ以上の感知システム20069を使用して、HCPバイオマーカを監視するように構成され得る。HCPバイオマーカ及び/又は患者バイオマーカは、外科処置の前、後、及び/又はその間に測定され得る。一態様では、このコンピュータ実装双方向外科用システムは、外科用ハブ、外科用器具、ロボットデバイス、及び手術室又は医療施設を含む様々な外科用システム20069の動作に関するデータを監視し、分析するように構成され得る。コンピュータ実装双方向外科用システムは、クラウドベースの分析システムを含み得る。コンピュータ実装双方向外科用システムは、ローカル分析システムを含み得る。クラウドベースの分析システムは、1つ又は2つ以上の分析サーバを含み得る。
【0122】
監視及び分析システムは、複数の感知システム20268(感知システム20069と同じ又は類似であり得る)、外科用器具20266(器具20031と同じ又は類似であり得る)、及び/又は複数の外科用ハブ20270(ハブ20006と同じ又は類似であり得る)を含み得る。外科用データネットワーク20269(図4に記載される外科用データネットワークと同じ又は類似であり得る)は、外科用ハブ20270をコンピューティングシステム20271(ローカルコンピューティングシステム、エッジコンピューティングシステムであり得るか、又はクラウドコンピューティングシステム20064などのクラウドコンピューティングシステムであり得る)に連結され得る。外科用ハブ20270は、1つ又は2つ以上の外科用器具20266に通信可能に連結され得る。外科用ハブ20270はまた、1つ又は2つ以上の感知システム20268に、及びネットワーク20269を介してコンピュータ実装双方向外科用システムのクラウド20271に、通信可能に連結され得る。外科用ハブ20270及び感知システム20268は、本明細書に記載されるような無線プロトコルを使用して通信可能に連結され得る。コンピューティングシステム20271は、感知システム20268からの測定値データ、及び様々な外科用器具20266の動作に基づいて生成されたデータを、記憶し、処理し、操作し、通信するためのハードウェア及びソフトウェアのローカル又はリモート焦点ソースであり得る。
【0123】
図9に示されるように、コンピューティングシステム20271へのアクセスは、ネットワーク20269を介して達成され得る。ネットワーク20269は、インターネット又は他の何らかの好適なコンピュータネットワークであり得る。コンピューティングシステム20271に連結され得る外科用ハブ20270は、コンピューティングシステムのクライアント側(例えば、クラウドベースの分析システム)と見なすことができる。外科用器具20266は、本明細書に記載されるような、様々な外科処置及び/又は動作の制御及び実装のために、外科用ハブ20270とペアリングされ得る。感知システム20268は、外科医関連バイオマーカの術中HCP監視、術前HCP監視、監視、又は術後HCP監視のために、外科用ハブ20270とペアリングされ得る。環境感知システム20267は、HCPに関連付けられた環境属性を測定する外科用ハブ20270とペアリングされ得る。
【0124】
外科用器具20266、環境感知システム20267、及び感知システム20268は、それらの対応する外科用ハブ20270(これもまた、トランシーバを備え得る)へ、及び外科用ハブ20270らからのデータ伝送のための有線又は無線トランシーバを備え得る。外科用器具20266、感知システム20268、又は外科用ハブ20270のうちの1つ又は2つ以上の組み合わせは、医療行為、手術前の準備、及び/又は手術後の回復の提供のために、医療施設(例えば、病院)内の手術室、焦点治療室(intensive care unit、ICU)室、又は回復室などの特定の場所を示し得る。例えば、外科用ハブ20270のメモリは、位置データを記憶し得る。
【0125】
図9に示されるように、クラウドシステム20271は、1つ又は2つ以上の中央サーバ20272(リモートサーバ20067と同じ又は類似であり得る)、外科用ハブアプリケーションサーバ20276、データ分析モジュール20277、及び入力/出力(「I/O」)インターフェース20278を含み得る。コンピューティングシステム20271の中央サーバ20272は、クラウドコンピューティングシステムを集合的に管理することができ、クライアント外科用ハブ20270による要求を監視し、その要求を実行するためのコンピューティングシステム20271の処理能力を管理することを含む。中央サーバ20272の各々は、ランダムアクセスメモリ(random-access memory、RAM)などの揮発性メモリ、及び磁気記憶デバイスなどの不揮発性メモリを含み得る好適なメモリデバイス20274に連結された1つ又は2つ以上のプロセッサ20273を備え得る。メモリデバイス20274は、機械実行可能な命令を備え、命令は、実行されると、クラウドベースのデータ分析、感知システム20268から受信した測定値データのリアルタイム監視、本明細書に記載されるような動作、推奨、及び他の動作のために、プロセッサ20273に、データ分析モジュール20277を実行させ得る。プロセッサ20273は、独立して、又はハブ20270によって独立して実行されるハブアプリケーションと併せて、データ分析モジュール20277を実行し得る。中央サーバ20272はまた、メモリ20274内に存在し得る集約された医療データのデータベース20275を含み得る。
【0126】
ネットワーク20269を介した様々な外科用ハブ20270への接続に基づいて、コンピューティングシステム20271は、様々な外科用器具20266によって生成された特定のデータ、感知システム20268からのリアルタイムデータ、及び/又は外科用ハブ20270からのデータを集約することができる。そのような集約データは、コンピューティングシステム20271に関連付けられた集約された医療データベース20275内に記憶され得る。コンピューティングシステム20271は、感知システム20268からのリアルタイム測定値データを追跡し、並びに/あるいは測定値データ及び/又は集約データに対してデータ分析及び動作を実施して、洞察をもたらし、並びに/あるいは個々のハブ20270がそれ自体では実現し得ない機能を実施し得る。
【0127】
図9に示されるように、コンピューティングシステム20271及び外科用ハブ20270は、情報を送受信するために通信可能に連結される。I/Oインターフェース20278は、ネットワーク20269を介して複数の外科用ハブ20270に接続される。I/Oインターフェース20278は、外科用ハブ20270と集約医療データデータベース20275との間で情報を転送するように構成され得る。I/Oインターフェース20278は、クラウドベースの分析システムの読み出し/書き込み動作を容易にし得る。このような読み出し/書き込み動作は、ハブ20270からの要求に応じて実行されてもよい。これらの要求は、ハブアプリケーションを介して外科用ハブ20270に送信され得る。I/Oインターフェース20278は、ユニバーサルシリアルバス(universal serial bus、USB)ポート、IEEE1394ポート、並びにコンピューティングシステム20271を外科用ハブ20270に接続するためのWi-Fi及びBluetooth I/Oインターフェースを含み得る、1つ又は2つ以上の高速データポートを含み得る。コンピューティングシステム20271のハブアプリケーションサーバ20276は、外科用ハブ20270によって実行されるソフトウェアアプリケーション(例えば、ハブアプリケーション)に共有機能をホストし、供給するように構成され得る。例えば、ハブアプリケーションサーバ20276は、ハブアプリケーションによって実施されるハブ20270を介する要求を管理し、集約された医療データのデータベース20275へのアクセスを制御し、負荷分散を実施してもよい。
【0128】
コンピューティングシステムは、外科用器具20266、20031などの医療デバイスを使用して実施される医療行為(例えば、術前監視、術中監視、及び術後監視)及び処置の状況において生じる様々な問題に対処し得る。外科用器具20266は、外科手術のパフォーマンスを改善するための技法を実装するために、クラウド20271とインタラクトするように構成されたデジタル外科用デバイスであり得る。コンピューティングシステムは、感知システム20268を使用して術前、術中、及び術後の処置においてHCP又は患者に関連付けられた1つ又は2つ以上のバイオマーカを監視する状況において生じる様々な問題に対処し得る。感知システム20268は、外科医バイオマーカ及び/又は患者バイオマーカを監視する技法を実装するために、外科用ハブ20270及び/又はコンピューティングシステム20271とインタラクトし得る。感知システム20268は、医療行為に参加しているHCPに、及び/又は医療行為が実施される予定であるか、実施されているか、若しくは実施された患者に関連付けられた1つ又は2つ以上のバイオマーカを測定するように構成された1つ又は2つ以上のセンサを有するシステムであり得る。様々な外科用器具20266、感知システム20268、及び/又は外科用ハブ20270は、HCPS及び/又は患者が外科用器具20266又は感知システム20268とコンピューティングシステム20271との間のインタラクションの態様を制御し得るように、ヒューマンインターフェースシステム(例えば、タッチ制御式ユーザインターフェースを有する)を含み得る。聴覚的に制御されたユーザインターフェースなどの制御のための他の好適なユーザインターフェースも使用してもよい。
【0129】
図10は、本開示による例示的な外科用システム20280を示し、有線又は無線接続を介してローカルエリアネットワーク20292及び/又はクラウドネットワーク20293を通じてコンソール20294又はポータブルデバイス20296と通信することができる外科用器具20282を含み得る。コンソール20294及びポータブルデバイス20296は、任意の好適なコンピューティングデバイスであり得る。外科用器具20282は、ハンドル20297と、アダプタ20285と、装填ユニット20287と、を含み得る。アダプタ20285は、ハンドル20297に解放可能に連結し、装填ユニット20287は、アダプタ20285が駆動シャフトから装填ユニット20287に力を伝達するように、アダプタ20285に解放可能に連結する。アダプタ20285又は装填ユニット20287は、装填ユニット20287にかかる力を測定するために、内部に配置される力ゲージ(明示的に図示せず)を含み得る。装填ユニット20287は、第1のジョー20291及び第2のジョー20290を有するエンドエフェクタ20289を含み得る。装填ユニット20287は、装填ユニット20287を再装填するために、装填ユニット20287を手術部位から除去する必要なく、臨床医が複数の締結具を複数回発射し得る生体内装填、つまり複数回発射装填ユニット(multi-firing loading unit、MFLU)であってもよい。
【0130】
第1のジョー20291及び第2のジョー20290は、それらの間に組織をクランプし、クランプされた組織を通して締結具を発射し、クランプされた組織を切断するように構成され得る。第1のジョー20291は、少なくとも1つの締結具を複数回発射するように構成されてもよく、又は交換される前に2回以上発射し得る複数の締結具(例えば、ステープル、クリップなど)を含む交換可能な複数回発射締結具カートリッジを含むように構成されてもよい。第2のジョー20290は、締結具が複数回発射締結具カートリッジから排出される際に、締結具を変形させるか、又は他の方法で固定するアンビルを含み得る。
【0131】
ハンドル20297は、駆動シャフトの回転に作用するように、駆動シャフトに連結されるモータを含み得る。ハンドル20297は、モータを選択的に作動させるための制御インターフェースを含み得る。制御インターフェースは、ボタン、スイッチ、レバー、スライダ、タッチスクリーン、及び任意の他の好適な入力機構又はユーザインターフェースを含んでもよく、これらは、モータを起動するために臨床医によって係合され得る。
【0132】
ハンドル20297の制御インターフェースは、ハンドル20297のコントローラ20298と通信して、モータを選択的に作動させ、駆動シャフトの回転に作用し得る。コントローラ20298は、ハンドル20297内に配置されてもよく、制御インターフェースからの入力、及びアダプタ20285からのアダプタデータ、又は装填ユニット20287からの装填ユニットデータを受信するように構成されてもよい。コントローラ20298は、モータを選択的に起動するために、制御インターフェースからの入力を、並びにアダプタ20285及び/又は装填ユニット20287から受信されたデータを分析し得る。ハンドル20297はまた、ハンドル20297の使用中に臨床医が見ることができるディスプレイを含んでもよい。ディスプレイは、器具20282の発射前、発射中、又は発射後に、アダプタ又は装填ユニットデータの部分を表示するように構成され得る。
【0133】
アダプタ20285は、内部に配置されるアダプタ識別デバイス20284を含み、装填ユニット20287は、内部に配置される装填ユニット識別デバイス20288を含み得る。アダプタ識別デバイス20284は、コントローラ20298と通信し、装填ユニット識別デバイス20288は、コントローラ20298と通信し得る。装填ユニット識別デバイス20288は、装填ユニット識別デバイス20288からコントローラ20298への通信を中継又は通過するアダプタ識別デバイス20284と通信し得ることが理解されるであろう。
【0134】
アダプタ20285はまた、アダプタ20285又は環境の様々な状態(例えば、アダプタ20285が装填ユニットに接続されているか否か、アダプタ20285がハンドルに接続されているか否か、駆動シャフトが回転しているか否か、駆動シャフトのトルク、駆動シャフトの歪み、アダプタ20285内の温度、アダプタ20285の発射回数、発射中のアダプタ20285のピーク力、アダプタ20285に印加される力の総量、アダプタ20285のピーク後退力、発射中のアダプタ20285の休止回数など)を検出するために、その周囲に配置される複数のセンサ20286(1つが示される)を含み得る。複数のセンサ20286は、データ信号の形態でアダプタ識別デバイス20284に入力を提供し得る。複数のセンサ20286のデータ信号は、アダプタ識別デバイス20284内に記憶されてもよく、又はアダプタ識別デバイス20284内に記憶されたアダプタデータを更新するために使用されてもよい。複数のセンサ20286のデータ信号は、アナログ又はデジタルであってもよい。複数のセンサ20286は、発射中に装填ユニット20287に及ぼされる力を測定するための力ゲージを含み得る。
【0135】
ハンドル20297及びアダプタ20285は、電気的インターフェースを介して、アダプタ識別デバイス20284及び装填ユニット識別デバイス20288をコントローラ20298と相互接続するように構成され得る。電気的インターフェースは、直接電気的インターフェースであってもよい(すなわち、エネルギー及び信号を間で伝送するために互いに係合する電気接点を含む)。追加的に、又は代替的に、電気的インターフェースは、エネルギー及び信号をそれらの間で無線送信する(例えば、誘導伝送する)ための非接触電気的インターフェースであってもよい。アダプタ識別デバイス20284及びコントローラ20298は、電気的インターフェースとは別個の無線接続を介して、互いに無線通信し得ることも企図される。
【0136】
ハンドル20297は、コントローラ20298からシステム20280の他の構成要素(例えば、LAN20292、クラウド20293、コンソール20294、又はポータブルデバイス20296)に器具データを送信するように構成されるトランシーバ20283を含み得る。コントローラ20298はまた、図9に図示されるように、1つ又は2つ以上のセンサ20286に関連付けられた器具データ及び/又は測定値データを外科用ハブ20270に送信し得る。トランシーバ20283は、外科用ハブ20270からデータ(例えば、カートリッジデータ、装填ユニットデータ、アダプタデータ、又は他の通知)を受信し得る。トランシーバ20283は、システム20280の他の構成要素からデータ(例えば、カートリッジデータ、装填ユニットデータ、又はアダプタデータ)を受信し得る。例えば、コントローラ20298は、ハンドル20297に取り付けられた取り付けアダプタ(例えば、アダプタ20285)のシリアル番号、アダプタ20285に取り付けられた装填ユニット(例えば、装填ユニット20287)のシリアル番号、及び装填ユニットに装填された複数回発射締結具カートリッジのシリアル番号を含む器具データをコンソール20294に送信してもよい。その後、コンソール20294は、取り付けられたカートリッジ、装填ユニット、及びアダプタにそれぞれ関連付けられたデータ(例えば、カートリッジデータ、装填ユニットデータ、又はアダプタデータ)をコントローラ20298に返信してもよい。コントローラ20298は、ローカル器具ディスプレイ上にメッセージを表示してもよいか、又はトランシーバ20283を介してコンソール20294若しくはポータブルデバイス20296にメッセージを送信して、メッセージを、それぞれディスプレイ20295若しくはポータブルデバイススクリーン上に表示してもよい。
【0137】
図11は、本開示の少なくとも1つの態様による、状況認識外科用システム5100の図を示す。データソース5126は、例えば、モジュール式デバイス5102(患者、HCP、環境及び/又はモジュール式デバイス自体に関連付けられるパラメータを検出するように構成されたセンサを含み得る)、データベース5122(例えば、患者記録を含むEMRデータベース)、及び患者監視デバイス5124(例えば、血圧(blood pressure、BP)監視装置、及び心電図(electrocardiography、EKG)監視装置)、HCP監視デバイス35510、並びに/又は環境監視デバイス35512を含み得る。外科用ハブ5104は、例えば、受信されたデータの特定の組み合わせ又はデータソース5126からデータが受信された特定の順序に基づいて、データから外科処置に関するコンテキスト情報を導出するように構成することができる。受信されたデータから推測されるコンテキスト情報は、例えば、実施されている外科処置のタイプ、外科医が実施している外科処置の特定の工程、手術されている組織のタイプ、又は処置の対象である体腔を含むことができる。受信されたデータから外科処置に関する情報を導出又は推測するための外科用ハブ5104のいくつかの態様によるこの機能は、「状況認識」と称され得る。例えば、外科用ハブ5104は、受信されたデータから外科処置に関連するコンテキスト情報を導出する外科用ハブ5104に関連付けられたハードウェア及び/又はプログラミングである状況認識システムを組み込むことができる。
【0138】
外科用ハブ5104の状況認識システムは、様々な異なる方法でデータソース5126から受信されたデータから、コンテキスト情報を導出するように構成することができる。例えば、状況認識システムは、様々な入力(例えば、データベース5122、患者監視デバイス5124、モジュール式デバイス5102、HCP監視デバイス35510、及び/又は環境監視デバイス35512からのデータ)を、外科処置に関する対応するコンテキスト情報と相関させるために、訓練データで訓練されたパターン認識システム、又は機械学習システム(例えば、人工ニューラルネットワーク)を含むことができる。機械学習システムは、提供された入力から外科処置に関するコンテキスト情報を正確に導出するように訓練することができる。実施例では、状況認識システムは、外科処置に関する事前に特性評価されたコンテキスト情報を、そのコンテキスト情報に対応する1つ又は2つ以上の入力(又は、入力の範囲)と関連付けて記憶する、ルックアップテーブルを含むことができる。1つ又は2つ以上の入力による問い合わせに応答して、ルックアップテーブルは、モジュール式デバイス5102を制御するために状況認識システムの対応するコンテキスト情報を返すことができる。実施例では、外科用ハブ5104の状況認識システムによって受信されたコンテキスト情報は、1つ又は2つ以上のモジュール式デバイス5102の特定の制御調整、又は一連の制御調整と関連付けることができる。実施例では、状況認識システムは、コンテキスト情報を入力として提供された際、1つ又は2つ以上のモジュール式デバイス5102の1つ又は2つ以上の制御調整を生成又は読み出す、更なる機械学習システム、ルックアップテーブル、又は他のかかるシステムを含むことができる。
【0139】
状況認識システムを組み込む外科用ハブ5104は、外科用システム5100に多くの利点を提供することができる。1つの利点は、感知及び収集されたデータの解釈の改善を提供することを含み得、これは、外科処置の過程中の処理精度、及び/又はデータの使用を改善させる。先の例に戻ると、状況認識外科用ハブ5104は、どのタイプの組織が手術されているかを判定することができ、したがって、外科用器具のエンドエフェクタを閉鎖するための予想外に高い力が検出されると、状況認識外科用ハブ5104は、組織タイプに合わせて外科用器具のモータを正しく加速、あるいは減速させることができる。
【0140】
手術されている組織のタイプは、特定の組織間隙測定用の外科用ステープル留め及び切断用器具の圧縮速度及び負荷閾値になされる調整に影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、実施されている外科処置が胸部処置であるのか、又は腹部処置であるのかを推測することができ、これにより、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断用器具のエンドエフェクタによってクランプされている組織が肺組織であるのか(胸部処置の場合)、又は胃組織であるのか(腹部処置の場合)を判定することが可能となる。次いで、外科用ハブ5104は、外科用ステープル留め及び切断用器具の圧縮速度及び負荷閾値を、組織のタイプに合わせて適切に調整することができる。
【0141】
吹送処置中に手術されている体腔のタイプは、排煙器の機能に影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、手術部位が(外科処置が送気を利用していることを判定することによって)圧力下にあるかどうかを判定し、処置タイプを判定することができる。一般に、ある処置タイプが固有の体腔内で行われ得るので、外科用ハブ5104は、手術されている体腔に合わせて適切に排煙器のモータ速度を制御することができる。かくして、状況認識外科用ハブ5104は、胸部処置及び腹部処置の両方用に一貫した量の排煙を提供し得る。
【0142】
行われている処置のタイプは、超音波外科用器具、又は高周波(radio frequency、RF)電気外科用器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。例えば、関節鏡処置では、超音波外科用器具、又はRF電気外科用器具のエンドエフェクタが流体中に浸漬されるので、より高いエネルギーレベルを必要とし得る。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置が関節鏡処置であるかどうかを判定することができる。次いで、外科用ハブ5104は、流体で満たされた環境を補償するために、発電機のRF電力レベル又は超音波振幅(例えば、「エネルギーレベル」)を調整することができる。関連して、手術されている組織のタイプは、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具が動作するのに最適なエネルギーレベルに影響を及ぼし得る。状況認識外科用ハブ5104は、どのタイプの外科処置が行われているかを判定し、次いで、外科処置について予想される組織形状に従って、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルをそれぞれカスタマイズすることができる。更に、状況認識外科用ハブ5104は、単に処置ごとにではなく、外科処置の過程にわたって、超音波外科用器具又はRF電気外科用器具のエネルギーレベルを調整するように構成することができる。状況認識外科用ハブ5104は、外科処置のどの工程が行われているか、又は引き続き行われるかを判定し、次いで、発電機、及び/又は超音波外科用器具若しくはRF電気外科用器具の制御アルゴリズムを更新して、外科処置の工程に従って予想される組織のタイプに適切な値までエネルギーレベルをセットすることができる。
【0143】
実施例では、外科用ハブ5104が1つのデータソース5126から導き出される結論を改善するために、追加のデータソース5126からデータを導き出することができる。状況認識外科用ハブ5104は、モジュール式デバイス5102から受信したデータを、他のデータソース5126から外科処置に関して構築したコンテキスト情報で強化することができる。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、医療用撮像デバイスから受信されたビデオ又は画像データに従って、止血が発生したかどうか(例えば、手術部位での出血が止まったかどうか)を判定するように構成することができる。外科用ハブ5104は、生理学的測定(例えば、外科用ハブ5104へと通信可能に接続されたBP監視装置で感知された血圧)を、(例えば、外科用ハブ5104へと通信可能に連結された医療用撮像デバイスからの)止血の視覚データ又は画像データと比較して、ステープルライン又は組織溶着の完全性に関する判定を行うように更に構成することができる。外科用ハブ5104の状況認識システムは、生理学的測定値データを考慮して、視覚化データを分析する際に追加のコンテキストを提供することができる。追加のコンテキストは、視覚化データがそれ自体では決定的ではないか、又は不完全であり得る場合に有用となり得る。
【0144】
例えば、状況認識外科用ハブ5104は、処置の後続の工程で器具の使用が必要とされることを判定された場合に、RF電気外科用器具が接続されている発電機を積極的に起動させ得る。エネルギー源を積極的に起動することは、処置の先行する工程が完了すると直ぐに、器具を使用準備完了にすることを可能にすることができる。
【0145】
状況認識外科用ハブ5104は、外科医が見る必要があると予想される手術部位の特徴部に従って、外科処置の現工程、又は後続の工程が、ディスプレイ上の異なるビュー又は倍率を必要とするかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、表示されたビュー(例えば、視覚化システム108用に医療用撮像デバイスから供給される)を、適宜、積極的に変化させることができ、これにより、ディスプレイは外科処置全体を通して自動的に調整する。
【0146】
状況認識外科用ハブ5104は、外科処置のどの工程が行われているか、又は次に行われるか、及び特定のデータ又はデータ間の比較が外科処置の該当工程に必要とされるかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、外科医が特定の情報を尋ねるのを待機することなく、実施されている外科処置の工程に基づいて、データスクリーンを自動的に呼び出すように構成することができる。
【0147】
外科処置のセットアップ中、又は外科処置の過程中に、エラーがチェックされ得る。例えば、状況認識外科用ハブ5104は、手術室が、行われるべき外科処置用に適切に又は最適にセットアップされているかどうかを判定することができる。外科用ハブ5104は、実施されている外科処置のタイプを判定し、対応するチェックリスト、製品位置、又はセットアップ要件を(例えば、メモリから)読み出し、次いで、現在の手術室のレイアウトを、実施されていると外科用ハブ5104が判定した外科処置のタイプの標準レイアウトと比較するように構成することができる。いくつかの例示では、外科用ハブ5104は、処置のための物品リスト、及び/又は外科用ハブ5104とペアリングされたデバイスのリストを、所与の外科処置のための物品及び/又はデバイスの推奨又は予期されるマニフェストと比較することができる。リスト間に何らかの分断が存在する場合、外科用ハブ5104は、特定のモジュール式デバイス5102、患者監視デバイス5124、HCP監視デバイス35510、環境監視デバイス35512及び/又は他の外科用物品が欠落していることを示すアラートを提供することができる。いくつかの実施例では、外科用ハブ5104は、例えば、近接センサを介してモジュール式デバイス5102及び患者監視デバイス5124の相対距離又は相対位置を判定することができる。外科用ハブ5104は、デバイスの相対位置を、特定の外科処置用に推奨又は予期されるレイアウトと比較することができる。レイアウト間に何らかの分断が存在する場合、外科用ハブ5104は、外科処置の現在のレイアウトが提案レイアウトから逸脱していることを示すアラートを提供するように構成することができる。
【0148】
状況認識外科用ハブ5104は、外科医(又は、他のHCP)が誤りを犯しているかどうか、又は外科処置の過程中に予想される一連のアクションから逸脱しているかどうかを判定することができる。例えば、外科用ハブ5104は、実施されている外科処置のタイプを判定し、機器使用の工程又は順序の対応リストを(例えば、メモリから)読み出し、次いで、外科処置の過程中に実施されている工程又は使用されている機器を、外科用ハブ5104が実施されていることを判定した外科処置のタイプについて予想される工程又は機器と比較するように構成することができる。外科用ハブ5104は、外科処置における特定の工程で予想外のアクションが行われているか、又は予想外のデバイスが利用されていることを示すアラートを提供することができる。
【0149】
外科用器具(及び他のモジュール式デバイス5102)は、各外科処置の特定のコンテキストに合わせて調整され得(異なる組織のタイプへの調整など)、外科処置中のアクションを検証し得る。次の工程、データ、及び表示調整は、処置の固有のコンテキストに従って、手術現場内の外科用器具(及び他のモジュール式デバイス5102)に提供され得る。
【0150】
オブジェクト検出は、デジタル画像及びビデオ内の特定のクラスのセマンティックオブジェクト(人間、機器、又はオブジェクトなど)のインスタンスの検出を扱う、コンピュータビジョン及び画像処理を介して実施され得る。オブジェクト検出は、画像注釈、アクティビティ認識、顔検出、顔認識、ビデオオブジェクト共同セグメント化などのコンピュータビジョンタスクにおいて使用される。オブジェクト検出は、オブジェクトの追跡、例えば、フットボールの試合中のボールの追跡、クリケットのバットの移動の追跡、又はビデオ内の人の追跡に使用される。オブジェクト検出は、ニューラルネットワークベースの手法、及び/又は非ニューラル手法を介して実施され得る。例えば、特徴部が定義され得、定義された特徴部に基づいて、例えば、サポートベクターマシン(support vector machine、SVM)を介して分類が実施され得る。ニューラル技法は、特徴部を具体的に定義することなくオブジェクト検出を実施し得、畳み込みニューラルネットワーク(convolutional neural network、CNN)に基づき得る。
【0151】
移動するオブジェクト検出は、所与の場所又は領域における人又はオブジェクトの物理的な移動を認識するために実施され得る。移動するオブジェクトと静止したエリア又は領域との間でセグメント化を行うことによって、移動するオブジェクトの動きが追跡され得、したがって、後で分析され得る。移動オブジェクト検出は、背景減算、フレーム差分、時間差分、及び又はオプティカルフロー分析を介して実施され得る。
【0152】
スマート及び自己識別型RFシステムを使用して、OR内のHCP及び機器の位置を特定し得る。空間識別センサを使用して、HCP、器具、機器、及び/又は境界の位置が特定され得る。HCP、機器及び/又は境界の位置は、無線センサ及びビーコンを介して、部屋及び/又は患者に対して追跡され得る。
【0153】
ウェアラブル監視システムは、HCP又は患者などの人に連結され得る。超広帯域監視は、OR内の人の場所、及び/又は機器、外科用器具、別の人、境界などに対する人の相対位置を識別するために実施され得る。
【0154】
RF要素識別及び境界監視が実施され得る。RFビーコンは、機器又は器具上に配置され得る。BLEビーコンは、物理OR内に配置され得る。例えば、ビーコンは、部屋の境界の輪郭を描く、ORの角に配置され得る。BLEビーコンは、OR内の大きな構造物などの構造物上に配置され得る。BLEビーコンは、1つ又は2つ以上の境界に対するデバイスの場所を監視するためにデバイス上に配置され得る。
【0155】
例えば、RFIDタグは、器具及び/又はHCPに取り付けられ得る。境界の侵害を防止又は最小限に抑えるために、電磁ゲートがOR内に配置され得る。
【0156】
境界違反は、ビーコンの移動を追跡することによって検出され得る。例えば、外科用ハブは、ビーコンが境界を越えて移動したと判定すると、境界違反を検出し得る。境界違反が境界を横断するデバイスに関連付けられる場合、外科用ハブは、デバイスを非アクティブ化し、HCPに状態の変化をアラートし得る。境界違反がより大きな構造である場合、緊急メッセージを表示して、機器が懸念されていることを示すことができる。
【0157】
RFビーコンを使用して、ORシアター内のHCPSの位置を特定し得る。HCPの場所は、それらの識別バッジを介して追跡され得る。識別バッジは、埋め込まれたRFビーコンを有し得る。RFビーコンは、高周波(high frequency、HF)又は極超短波(ultra-high frequency、UHF)であり得る。読み取り範囲は、流体又は構造を貫通する必要性によって影響されなくてもよい。ORのサイズは変化し得るため、HF又はUHFは、外科用ハブからの潜在的な距離に対応するのに十分なカバレッジを提供することができる。
【0158】
外科用器具は、固有のRFID識別に関連付けられ得る。外科用器具の位置が追跡され得る。外科用器具の現在の使用及び/又は以前の履歴は、場所追跡に基づいて判定され得る。外科用ハブからの外部リーダは、患者の周囲に位置決めされ得る。外部リーダは、OR場に進入する外科用器具を追跡するために使用され得る。低周波数又はHFチップは、器具上で使用され得る。低周波数又は高周波数は、リーダが体液を貫通することを可能にし得る。
【0159】
器具の使用は、その場所に基づいて判定及び追跡され得る。例えば、外科用器具が使用された回数、デバイスが患者内にあった時間の長さ、及び/又はデバイスがOR内に導入される前に滅菌サイクルを通したセキュリティのレベルは、場所追跡を介して判定され得る。器具が患者内に残されたかどうかは、器具の場所追跡を介して検出され得る。
【0160】
OR室撮像は、HCP、器具、及び/又は機器の場所並びにそれらの態様を判定するために、様々な技術を介して複数のソースによって実施され得る。OR、ORの壁、及び/又はそれらの近接内のオブジェクト及び人の位置を特定するために異なるエネルギータイプを通した2つ以上の撮像デバイスが使用され得る。位置及び/又は近接情報は、それらの相互作用を識別及び/又は制御するために使用され得る。器具及び/又は機器は、識別された相互作用に基づいて構成され得る。
【0161】
例えば、超音波エコー場所は、オブジェクトの動き及び場所の測定を判定するために使用され得る。OR視覚又はマルチスペクトル撮像は、ユーザの場所、やりとり、及び通信を監視するために使用され得る。音声監視は、ノイズ生成監視及び追跡を判定及び記録するために使用され得る。
【0162】
システムを調整し、感染を監視し、及び/又は状況認識を理解するために、赤外線(IR)サーモグラフィ監視を使用して、深部温度並びにHCP及び患者の温度の変化を監視し得る。HCPがORに進入すると、HCPのためにIRシグネチャが作成され得る。初期IR関連付け応答は、例えば、外科用ハブを介してログ記録され得る。処置中、HCPのストレスレベルが増加する場合、IRシグネチャは、増加したストレスレベルを表示又は登録し得る。
【0163】
様々な撮像システムが同時に使用され得る。例えば、外科用ハブが、OR内に位置決めされ得る。電源投入されると、外科用ハブは、超音波エコーを使用して、OR境界(例えば、壁)及び部屋をマッピングするための大きな機器場所を判定し得る。グリッドマップは、全ての必要な境界を用いて確立され得る。
【0164】
HCPがORシアターに進入するときに、HCPは、HCPに関連付けられたBLEビーコンを介して進入するものとして識別され得る。外科用ハブは、シアター内へのHCPを検査し得る。外科用ハブは、光学カメラを介してHCPの追跡を開始し得る。IRカメラは、ベースラインストレスレベルについて、識別されたHCPの初期スキャンを実施し得る。処置が開始されると、音声監視システムは、音を監視及び記録し得る。外科用ハブは、声の抑揚及び/又は上昇した神経質な声を監視し得る。音声監視システムは、例えば、ストレスレベルの増加を検証するために、IRカメラと同期することができる。このプロセスは、複数のHCPに対して実施され得る。
【0165】
OR内のHCPは、RFID、NFC、及び/又はウェアラブルデバイスを有するIDバッジを介して認識及び追跡され得る。例えば、HCPが部屋を出入りするとき、HCPが別のウェアラブルデバイスに近づくとき、HCPが外科用ハブに近づくとき、HCPのアイデンティティが判定され得る。外科用ハブは、HCPがORに進入することを検出すると、RFIDリーダ、NFCリーダ、又はウェアラブルデバイスからのHCP識別情報を要求し得る。外科用ハブは、他の情報ソースに基づいてHCPのアイデンティティを確認し得る。外科用ハブは、IDバッジ又はウェアラブルデバイスがオフになるまで、IDバッジ又はウェアラブルデバイスに関連付けられたHCPのアイデンティティを仮定し得る。ウェアラブルデバイスを介してHCP及び/又はユーザ役割を識別することに関連する詳細は、「ACTIVE RECOGNITION AND PAIRING SENSING SYSTEMS」と題された米国特許出願第17/156,324号に見つけられ得、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0166】
OR内のHCPは、OR内の1つ又は2つ以上のカメラによって捕捉されたビデオからのビデオ処理を介して認識及び追跡され得る。キーポイント検出及び分析、バウンディングボックス注釈、ポリゴンメッシュ処理、画像セグメント化、顔認識、ジェスチャ認識、ポイントクラウド、ライン及びスプラインなどの様々な既知の画像又はビデオ処理技術を使用して、ビデオフィードを分析してもよい。
【0167】
手術室内の様々な外科用製品及び器具の場所、移動、及び/又は配向が、識別及び追跡され得る。例えば、ジャイロスコープ又は3軸加速度計を使用して、デバイスの配向及び位置を判定してもよい。
【0168】
例えば、外科用器具は、その上に位置する1つ又は2つ以上の空間位置合わせマーカを介して識別され得る。例えば、可視基準マーカが器具上に配置され得る。外科用ハブは、OR内の1つ又は2つ以上のカメラを介して、外科用器具の場所、移動、及び/又は配向を監視し得る。基準マークは、事前定義されたパターンであり得る。外科用ハブは、外科用器具を特定の基準マークに関連付け得、そのマークを使用して、それが作成し記録する3Dコンピュータ環境で器具を識別しモデル化し得る。位置合わせは、並進、回転、スケール、スキュー、及びパースペクティブの補償を可能にする。これにより、外科用ハブは、器具の一部分が見えなくなってもであっても、器具を検出及び監視することが可能となる。
【0169】
可視監視のために、システムが始動するときにカメラ較正が行われ得る。外科用ハブが距離及び焦点距離に対してカメラを較正し得るように、ハブカメラビュー内の較正マーカの事前定義されたセットが固定され得る。外科用ハブは、それ自体からOR内の別の較正プリセットスケールまでの正確な長さを判定し得、測定値及びスケールを使用して、カメラ及び焦点距離を較正し得る。
【0170】
例えば、外科用ハブは、測定システムを介して正確な距離を判定し得る。例えば、レーザドップラー、超音波ピンギング、RF、及び/又は他のエネルギーデジタル通信を利用する測定システムは、距離測定を実施し、測定値を外科用ハブに送信し得る。測定システムは、外科用ハブに含まれ得る。
【0171】
距離は、能動的及び/又は受動的電子信号処理から推測され得る。例えば、信号強度を監視し、放出電力、放出デバイスアンテナ経路、フライト経路、受信デバイスアンテナ経路、及び/又は受信機感度を補償することによって、2つのペアリングされたシステム又はデバイス間の距離、2つのシステム又はデバイス間の距離が判定され得る。例えば、UHF又はHF RFIDタグ付きオブジェクトは、未知のタグと組み合わせて、事前定義されたタグ及び距離の組み合わせを通して追跡され得る。タグは、製品、デバイス、又は器具を識別するために使用され得、識別されると、製品、デバイス、又は器具がOR内で追跡されることを可能にし得る。タグは、識別された製品、デバイス又は器具に関する更なる情報を提供し得る。RFIDマップは、RFIDリーダアンテナによって検出された任意の未知のタグの位置を特定するために、既知の場所(例えば、ランドマーク)を有するパッシブ又はアクティブ基準タグから生成され得る。リーダと共通の検出されたタグとの間の距離は、大規模経路損失伝搬モデルを使用して測定され得る。未知のタグと検出されたランドマークとの間の距離(例えば、タグ間距離)が計算され得る。
【0172】
ミリ波レーダは、オブジェクトを追跡するために使用され得る。ミリ波レーダは、数マイクロメートル程度の精度を達成し得る。周波数変調連続波(frequency-modulated continuous wave、FMCW)を使用して動作するレーダでは、レーダビート信号の周波数及び/又は位相を使用して、レーダセンサとレーダ信号が反射されたオブジェクトとの間の距離を判定し得る。
【0173】
手術室の境界のマッピング又は評価が実施され得る。例えば、外科用ハブ20006は、その手術室を周期的にマッピングすることによって、動作中の空間認識を維持し得、これは、外科用ハブ20006が移動されたかどうかを判定する際に役に立つことができる。再評価は、周期的に実施することができ、又は手術室内にあると見なされるHCP監視システム20002のデバイスの変化を観察するなどのイベントによってトリガすることができる。変化は、手術室の境界内にあると以前に見なされなかった新しいデバイスの検出であり得る。変化は、以前に手術室内に常駐すると見なされたペアリングされたデバイスの消失、切断、又はペアリング解除であり得る。外科用ハブ20006は、ペアリングされたデバイスとの接続を連続的に監視して、ペアリングされたデバイスの消失、接続解除、又はペアリング解除を検出し得る。
【0174】
手術室マッピングモジュールは、コンパス及び統合Bluetoothトランシーバを含有し得る。病院環境又は地理的位置によって顕著に影響されない他の通信機構が利用され得る。Bluetooth Low Energy(BLE)ビーコン技術は、約1~2メートルの精度で屋内距離測定を達成し得、より近位(0~6メートル以内)での改善された精度を有する。距離測定の精度を改善するために、コンパスがBLEとともに使用される。手術室マッピングモジュールは、BLE及び/又はコンパスを利用して、モジュールが患者に対してどこに位置しているかを判定し得る。例えば、互いに対向する2つのモジュール(コンパスによって検出される)は、それらの間の距離が1メートル超である状態で、モジュールが患者の両側にあることを明確に示し得る。手術室内により多くの「ハブ」対応モジュールが存在すると、三角測量技法に起因して、達成可能な精度がより高くなる。手術室マッピングモジュールは、本明細書に記載されるように、外科用ハブ20006内に含まれ得る。手術室マッピングモジュールは、本明細書に記載されるように、外科用ハブ20006と動作可能に通信し得る。
【0175】
手術室マッピングモジュールは、手術室内に常駐するデバイス及び/又は外科用モジュールの物理的場所をマッピングし得る。この情報は、ユーザインターフェースによって使用されて、手術室の仮想マップを表示し得、ユーザが、どのモジュールが存在して有効化されているか、及びそれらの現在の状態をより容易に識別することを可能にする。外科用ハブ20006によって収集されたマッピングデータは、例えば、手術室が物理的にどのようにセットアップされているかを識別するために分析され得る。
【0176】
例えば、外科用ハブ20006は、送信無線信号強度及び方向を評価することによってデバイスの位置を判定し得る。Bluetoothプロトコルについて、受信信号強度インジケーション(Received Signal Strength Indication、RSSI)は、受信された無線信号強度の測定値である。一態様では、HCP監視システム20002のデバイスは、USB Bluetoothドングルを備えることができる。外科用ハブ20006は、USB Bluetoothビーコンをスキャンして距離情報を取得し得る。例えば、可変減衰器を有するBluetoothアクセスポイント上の複数の高ゲインアンテナは、RSSI測定よりも正確な結果を生成し得る。ハブ外科用ハブ20006は、複数のアンテナからの信号強度を測定することによってデバイスの場所を判定し得る。
【0177】
外科用ハブ20006は、HCP監視システム20002の構成要素が手術室に持ち込まれると、それらを識別することができる。例えば、HCP監視システム20002のデバイスは、例えば、バーコード又はRFIDタグなどの外科用ハブ20006によって認識可能な識別子を備えることができる。NFCもまた、利用され得る。外科用ハブ20006は、手術室内に持ち込まれたデバイスを検出するための好適なリーダ又はスキャナを備え得る。[手術室における外科用ハブの空間認識に関連する詳細は、2018年3月29日に出願された「SPATIAL AWARENESS OF SURGICAL HUBS IN OPERATING ROOMS」と題された米国特許出願第15/940,666号に見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0178】
コンピューティングシステムは、図1図3に関して本明細書で記載されるようなHCP監視システム20000、20002、20003、又は20004などのHCP監視システムであり得るか、又はそれを含み得る。コンピューティングシステムは、HCP監視システム20000、20002、20003、及び/又は20004に動作可能に接続されたコンピューティングシステムであり得る。コンピューティングシステムは、図9に関して本明細書に記載されるコンピューティングシステム20271であり得るか、又はそれを含み得る。コンピューティングシステムは、例えば、図4に関して本明細書に記載されるコンピュータシステム20063であり得るか、又はそれを含み得る。コンピューティングシステムは、例えば、図4に関して本明細書に記載されるコンピュータシステム20064であり得るか、又はそれを含み得る。コンピューティングシステムは、図1図3に関して本明細書に記載されるような外科用ハブ20006、図4の外科用ハブシステム20060、図5のコンピュータ実装双方向外科用システム20070、図7の外科用ハブ若しくはコンピューティングデバイス20243、図9の外科用ハブ20270、図10のコンソール20294、及び/又は図11の外科用ハブ5104であり得るか、又はそれらを含み得る。例えば、コンピューティングシステムは、1つ又は2つ以上の外科処置に関連付けられた外科用監視データを取得し得る。外科処置は、1つのOR又は複数のORで起き得る。
【0179】
外科用監視データは、外科用ハブを介して取得され得る。例えば、外科用ハブは、図1に関して本明細書に説明されるウェアラブル感知システム20011及び/又は環境感知システム20015などの様々な感知システムから外科用監視データを取得し得る。外科用ハブは、図11に関して本明細書に説明されるように、HCP監視デバイス35510、環境監視デバイス35512、患者監視デバイス5124、及び/又はモジュール式デバイス5102から外科用監視データを取得し得る。外科用監視データは、図11を参照して本明細書で説明される状況認識データを含んでもよい。
【0180】
コンピューティングシステムは、図1に関して本明細書に説明されるウェアラブル感知システム20011及び/又は環境感知システム20015などの様々な感知システムから外科用監視データを取得し得る。外科用監視データは、図11に関して本明細書に記載されるように、HCP監視デバイス35510、環境監視デバイス35512、患者監視デバイス5124、及び/又はモジュール式デバイス5102から取得され得る。
【0181】
コンピューティングシステムは、OR内の制限アクセスに関連付けられた仮想境界を判定してもよい。本明細書で説明される仮想境界は、OR内の制限アクセスに関連付けられたエリアであってもよいか、又はそれを含んでもよい。例えば、OR内の制限アクセスに関連付けられたエリアは、円、楕円、長方形、正方形などの囲まれたエリアであってもよい。
【0182】
図12は、OR内の制限アクセスに関連付けられた1つ又は2つ以上の仮想境界の実施例を示す。図12に示すように、OR36000は、1つ又は2つ以上の仮想境界を含んでもよく、仮想境界の各々は、対応する制限アクセスに関連付けられてもよい。
【0183】
仮想境界は、OR内の麻酔科医のための制限アクセスエリアに関連付けられてもよい。制限アクセスエリアは、本明細書では仮想境界エリアと呼ばれてもよい。例えば、麻酔科医36005のための仮想境界エリアは、例えば、図12に示されるように、麻酔科医のための制限アクセスエリアであってもよく、又はそれを含んでもよい。麻酔科医36005のための仮想境界エリアは、OR内の医療専門家(HCP)へのアクセスを限定してもよく、麻酔科医、麻酔科医スタッフ、及び/又は麻酔科医の機器へのアクセスを可能にすることができる。例えば、麻酔科医は、例えば、外科処置中に、麻酔科医36005のための仮想境界エリアに入ること、仮想境界エリアから出ること、かつ/又は仮想境界エリアに配置されることを可能にされてもよい。本明細書で説明されるように、コンピューティングシステムは、麻酔科医36005のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定してもよい。コンピューティングシステムは、OR内のHCPの移動を監視してもよい。麻酔科医及び/又は麻酔科医スタッフ以外のHCPが麻酔科医36005の仮想境界エリアに近接している、かつ/又は麻酔科医36005の仮想境界エリアに入ろうとしているとコンピューティングシステムが判断した場合、コンピューティングシステムは、1人又は2人以上のHCPに通知を送信してもよい。通知は、HCPが麻酔科医36005のための、仮想境界エリアに入ること、又は仮想境界エリアと相互作用するためのアクセス認可を有していないことを示してもよい。
【0184】
麻酔科医36005の仮想境界エリアは、麻酔科医に関連する仮想境界エリアの1つ又は2つ以上のサブセットであってもよく、又はそれを含んでもよい。例えば、仮想境界エリア36010は、外科処置中に麻酔科医が配置されるエリアに関連付けられてもよい。仮想境界エリア36015は、麻酔科医看護師などの麻酔科医スタッフ、及び/又は麻酔科医のためのディスプレイなどの麻酔科医の機器のための仮想境界エリアであってもよい。仮想境界エリア36020は、麻酔科医のための麻酔科医器具が配置され得る仮想境界エリアであってもよい。
【0185】
仮想境界エリアは、OR内の外科医のための制限アクセスエリアに関連付けられてもよい。例えば、外科医36025のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界エリアが図12に示されてもよい。外科医36025のための仮想境界は、OR内の外科医が外科手術中に入る、出る、かつ/又は入るための制限アクセスエリアであってもよい。外科医36025のための仮想境界は、外科医が手術の外科工程中に手術する、制限アクセスエリアであってもよく、又はそれを含んでもよい。外科医36025のための仮想境界エリアは、現在の外科工程において手術している/手術する外科医へのアクセスを限定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、OR36000内の外科医36025のための仮想境界エリアを判定してもよい。コンピューティングシステムは、OR内のHCPの移動を監視してもよい。現在の外科工程について、コンピューティングシステムは、現在の外科工程を実行しようとしている先導外科医などの外科医を識別してもよい。コンピューティングシステムは、先導外科医が、外科医36025のための仮想境界エリアにアクセスする(例えば、入る、出る、又は配置される)ことを可能にしてもよい。識別された外科医以外のHCPが外科医36025のための仮想境界エリアに近接しているか、又は仮想境界エリアに入ろうと/仮想境界エリアと相互作用しようとしているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPに通知を送信して、HCPが外科医36025のための仮想境界エリアに入るか、又は仮想境界エリアと相互作用するためのアクセス認可を有していないことをアラートし、アクセスを限定してもよい。
【0186】
本明細書に説明されるように、外科医36025のための仮想境界エリアは、制限アクセスエリア(図示せず)の1つ又は2つ以上のサブセットであってもよく、又はそれを含んでもよい。例えば、外科医36025のための仮想境界エリアのサブセットは、手術の現在の外科工程を実行している外科医のための仮想境界エリアを含んでもよい。外科医36025のための仮想境界エリアのサブセットは、外科処置のための補助外科医のための仮想エリアを含んでもよい。外科医36025のための仮想境界エリアのサブセットは、インターンなどの観察者のための仮想境界エリアを含んでもよい。コンピューティングシステムは、外科医、補助外科医、及び/又は観察者などの識別されたHCPが、対応する仮想境界エリアにアクセスし、他のHCPへのアクセスを限定することを可能にしてもよい。
【0187】
仮想境界は、OR内の手術台のための制限アクセスエリアに関連付けられてもよい。例えば、手術台36030のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界が、図12に示されてもよい。手術台36030のための仮想境界エリアは、外科処置の現在の工程を実行する外科医及び/又は患者などの外科医を可能にする制限アクセスエリアであってもよい。例えば、手術台36030のための仮想境界エリアは、患者が外科手術のために位置決めされる滅菌エリアであってもよい。手術台36030のための仮想境界エリアは、滅菌されてもよい。コンピューティングシステムは、手術台36030のための仮想境界エリアへのアクセスを限定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、患者が手術台36030のための仮想境界エリアに入って、位置決めされることを可能にしてもよい。コンピューティングシステムは、手術台36030のための仮想境界エリアへのアクセスを制御し、手術台36030のための仮想境界エリアへのアクセス認可を有するHCPが入ること、出ること、かつ/又は配置されることを可能にしてもよい。本明細書に記載されるように、コンピューティングシステムは、手術台36030のための仮想境界エリアに入るか、又は仮想境界エリアと相互作用して、アクセスをブロックすることを認可されていないHCPに通知を送信してもよい。
【0188】
仮想境界は、器械出し看護師のための制限アクセスエリアに関連付けられてもよい。例えば、器械出し看護師36035のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界が、図12に示されてもよい。本明細書に記載されるように、器械出し看護師36035のための仮想境界エリアは、例えば、外科処置中に、器械出し看護師が入ること、出ること、かつ/又は配置されることを可能にする制限アクセスエリアであってもよい。コンピューティングシステムは、アクセス認可を有する器械出し看護師が、器械出し看護師36035のための仮想境界エリアと相互作用すること、又は仮想境界エリア内にいることを可能にしてもよい。コンピューティングシステムは、認可されていないHCPが、器械出し看護師36035のための仮想境界エリアにアクセスすること、又は仮想境界エリアと相互作用することを阻止し、認可されていないHCPに通知を送信してもよい。
【0189】
仮想境界は、手術室看護師のための制限アクセスエリアに関連付けられてもよい。例えば、手術室看護師36040のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界が、図12に示されてもよい。本明細書に記載されるように、手術室看護師36040のための仮想境界エリアは、例えば、外科処置中に、手術室看護師が入ること、出ること、かつ/又は配置されることを可能にする制限アクセスエリアであってもよい。コンピューティングシステムは、アクセス認可を有する手術室看護師が、手術室看護師36040のための仮想境界エリアと相互作用すること、又は仮想境界エリア内にいることを可能にしてもよい。コンピューティングシステムは、認可されていないHCPに通知を送信してもよく、手術室看護師36040のための仮想境界エリアにアクセスしているか、又は仮想境界エリアと相互作用している認可されていないHCPのアクセスをブロックしてもよい。
【0190】
仮想境界エリアは、外科用器具、滅菌トレイ台、及び/又は他の手術関連機器のための1つ又は2つ以上の制限アクセスエリアに関連付けられてもよい。例えば、外科用器具、滅菌トレイ台、及び/又は他の手術関連機器36045、36050、36055、36060、36065のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界が、図12に示されてもよい。手術関連機器の実施例は、濾過システム、粒子捕捉システム、及び/又は空中浮遊汚染ゾーンのうちの1つ又は2つ以上を含んでもよい。本明細書に説明されるように、コンピューティングシステムは、アクセス認可を有するHCPが、外科用機器のための仮想境界エリアに入ること、仮想境界エリアから出ること、仮想境界エリアと相互作用すること、かつ/又は仮想境界エリアに配置されることを可能にすることを可能にしてもよい。例えば、滅菌トレイ台36045のための仮想境界エリアに入るためのアクセス認可を有する器械出し看護師は、外科手術中に滅菌トレイ台36045のための仮想境界エリアに入っても/仮想境界エリアから出てもよい。コンピューティングシステムは、滅菌トレイ台36045のための仮想境界エリアと相互作用する(例えば、仮想境界エリアに入る)アクセス認可を有しない他のHCPが、滅菌トレイ台36045のための仮想境界エリアと相互作用することを阻止してもよい。コンピューティングシステムは、HCPが滅菌トレイ台36045のための仮想境界エリアに入るためのアクセス認可を有していないことを示す通知を認可されていないHCPに送信してもよい。
【0191】
図12に示すように、1つ又は2つ以上の仮想境界エリアが重複してもよい。例えば、外科医のための仮想境界エリア36025は、手術台36025のための仮想境界エリア36025の内側にあってもよい。実施例では、外科手術の間、器械出し看護師は、外科医に外科用器具を手渡しすることによって外科医を補助していてもよい。器械出し看護師のための仮想境界エリア36035は、外科医のための仮想境界エリア36025及び/又は手術台のための仮想境界エリア36030と重複してもよい。
【0192】
外科用器具に関連付けられた仮想境界及び/又は患者に関連付けられた仮想境界は変化してもよい。例えば、外科用器具のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、外科用器具がオフ位置にあること又はオン位置にあることに基づいて、(例えば、外科用器具が外科処置中に使用されている間に)変化してもよい。患者に関連付けられた仮想境界エリアは、患者の身体が動かされ、回転され、再位置決めされるなど、外科処置中に変化してもよい。
【0193】
図13は、OR36100内の制限アクセスに関連付けられた1つ又は2つ以上の仮想境界の他の実施例を示す。本明細書で説明されるように、仮想境界は、麻酔科医のための制限アクセスエリア36105に関連付けられてもよい。麻酔科医の仮想境界エリア36105は、麻酔科医看護師の仮想境界エリア36110を含んでもよい。麻酔科医看護師が麻酔科医の機器を手渡すことによって外科処置中に麻酔科医を補助する際に、麻酔科医看護師は、麻酔科医のための仮想境界エリア36105に入る、仮想境界エリアから出る、かつ/又は仮想境界エリアの内側に配置されるためのアクセスを有してもよい。
【0194】
本明細書に記載されるように、仮想境界は、手術台及び/又は手術エリアのための制限アクセスエリア36120に関連付けられてもよい。手術台及び/又は手術エリアのための仮想境界エリア36120は、外科医のための仮想境界エリア36115を含んでもよい。外科医が手術台上にいる患者を手術する必要があるとき、外科医は、手術台及び/又は手術エリアのための仮想境界エリア36120と相互作用する(例えば、仮想境界エリアに入る、仮想境界エリアから出る、仮想境界エリアの内側に配置される)ことを認可されてもよい。
【0195】
本明細書で説明されるように、仮想境界は、看護師のための制限アクセスエリア36125に関連付けられてもよい。看護師は、外科処置中に外科医を補助してもよい。例えば、看護師は、外科用器具を外科医に手渡してもよい。看護師は、外科医のための仮想境界エリア36115及び/又は手術台及び/又は手術エリアのための仮想境界エリア36120と相互作用すること、又はそこに入ること、そこから出ること、かつ/又はそこに配置されることを認可されてもよい。
【0196】
仮想境界は、助手のための制限アクセスエリア36130に関連付けられてもよい。助手は、OR内の1人又は2人以上のHCPに関連付けられたデバイスに応答してもよい。例えば、助手は、外科医のために携帯電話及び/又はページャに応答してもよい。助手の役割は非手術関連であってもよいので、助手に関連付けられたアクセス認可は、最小レベル(例えば、デフォルトレベル又は基本レベル)であってもよい。例えば、助手は、OR内の他の仮想境界と相互作用する、仮想境界に入る、仮想境界から出る、仮想境界に配置されるためのアクセス認可を有しなくてもよい。加えて、かつ/又は代替的に、助手のための仮想境界エリア36130は、コンピューティングデバイスが助手の移動を監視するための境界又はバリアとして使用されてもよい。例えば、助手が助手のための仮想境界エリア36130から出る、かつ/又は仮想境界エリアを離れる場合、コンピューティングシステムは、助手に通知を送信してもよい。通知は、助手が助手のために指定された仮想境界エリア36130の外側にいる可能性があり、他の仮想境界エリアを滅菌野で潜在的に汚染する可能性があることを示してもよい。
【0197】
本明細書で説明されるように、仮想境界は、観察者のための制限アクセスエリア36135に関連付けられてもよい。観察者は、外科処置を観察するために、手術台の近くに(例えば、隣に、又は近接して)配置されてもよい。観察者に関連付けられたアクセス認可は、最小レベル(例えば、デフォルトレベル又は基本レベル)であってもよい。例えば、観察者の役割は、外科処置を観察し、外科処置に干渉しないことである。観察者は、OR内の他の仮想境界と相互作用する、仮想境界に入る、仮想境界から出る、仮想境界に配置されるためのアクセス認可を有しなくてもよい。加えて、かつ/又は代替的に観察者のための仮想境界36135は、コンピューティングデバイスが観察者の移動を監視するための境界又はバリアとして使用されてもよい。例えば、観察者が観察者の仮想境界エリア36135に存在する、かつ/又は仮想境界エリアを離れる場合、コンピューティングシステムは、観察者に通知を送信してもよい。通知は、観察者が観察者のために指定された仮想境界エリア36135の外側にいる可能性があり、他の仮想境界エリアを滅菌野で汚染する可能性があることを示してもよい。
【0198】
図13に示すように、仮想境界は、手術安全チェックリスト(surgical safety checklist、SSC)36140のための制限アクセスエリアに関連付けられてもよい。実施例において、コンピューティングシステムは、HCPが個人保護機器(personal protection equipment、PPE)を装着しているかどうかを判定してもよい。HCPが外科手術のために適切なPPEを装着していないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPに通知を送信してもよい。通知は、HCPがSSC36140及びHCPのための仮想境界エリアに近接しており、PPEを装着していない可能性があることを示してもよい。実施例において、コンピューティングシステムは、HCPがSSC36140のための仮想境界エリアに入ることを可能にしてもよい。コンピューティングシステムは、(例えば、HCPがSSC36140のための仮想境界エリア内にあるときに)HCPが外科処置に好適なPPEを装着しているかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムが、HCPがSSC36140のための仮想境界エリアに近接しており、SSC36140のための仮想境界エリアから出ようとしている、かつ/又は仮想境界エリアを離れようとしていると判定した場合、コンピューティングシステムは、通知をHCPに送信してもよい。通知は、HCPが外科処置に好適である適切なPPEを装着しておらず、HCPがSSC36140のための仮想境界エリアから出る、かつ/又は仮想境界エリアを離れる場合に危険にさらされる可能性があることをHCPに示してもよい。
【0199】
本明細書で説明する制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、仮想境界エリア(例えば、一定仮想境界エリア)、選択的境界エリア、及び/又は適応的境界エリアに関連付けられてもよい。図14は、OR36200内の仮想境界エリア(例えば、一定仮想境界エリア)、選択的仮想境界エリア、及び/又は適応的仮想境界エリアの実施例を示す。仮想境界エリア(例えば、一定仮想境界エリア)は、OR内の事前定義された、かつ/又は事前構成された機器エリアに関連付けられてもよい。例えば、仮想境界エリアは、手術ゾーンのための滅菌野エリア36205、麻酔科医のための仮想境界エリア36210、高エネルギー機器エリアなどの外科用器具のための仮想境界エリア36215などに関連付けられてもよい。本明細書で説明される仮想境界エリアは、不変(例えば、未調整又は一定)であってもよい。仮想境界エリアは、高リスクエリアに関連付けられてもよい。例えば、高リスクエリアは、感染疾患、伝染疾患、及び/又は放射性材料を用いた外科手術のための手術ゾーンに関連付けられてもよい。
【0200】
仮想境界エリアは、例えば、外科医の選好、病院のガイドライン、保健機関プロトコルなどに基づいて、OR内の機器エリアの周りの事前定義されたエリアであってもよい。仮想境界エリアは、(例えば、疾病管理予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)、世界保健機関(World Health Organization)などの保健機関のガイドラインに従う)高リスクエリアの周りの事前定義されたエリアであってもよい。
【0201】
機器エリアに関連付けられた仮想境界エリアが、調整されてもよい。機器エリア及び/又は高リスクエリアは、例えば外科処置中に移動及び/又はシフトされてもよい。機器エリア及び/又は高リスクエリアの移動及び/又はシフトされたエリアに基づいて、機器のための仮想境界エリアは、それに応じて(例えば、機器とともに)移動及び/又はシフトされてもよい。
【0202】
機器エリア及び/又は高リスクエリアのための仮想境界エリアは、調整されてもよく、例えば、自動的に自己調整されてもよい。実施例では、外科用機器は、(例えば、図15に示され、かつ説明されるように)外科用器具がオン位置又はオフ位置にあるときに、移動及び/又はシフトされてもよい。外科用機器に関連付けられた仮想境界エリアは、それに応じて、自己調整されてもよい。実施例では、外科手術の間、患者の身体は、再位置決め及び/又は移動されてもよい。患者の再位置決め及び/又は移動された身体に基づいて、高リスクエリアに関連付けられた仮想境界エリアは、それに応じて調整されてもよい。
【0203】
機器エリア及び/又は高リスクエリアのための仮想境界エリアは、コンピューティングシステムによって調整されてもよい。実施例において、コンピューティングシステムは、外科用機器がオン位置にあるか、又はオフ位置にあるかを判定してもよい。コンピューティングシステムは、外科用機器がオン位置又はオフ位置にあるとコンピューティングシステムが判定したときに、機器エリアの仮想境界エリアを調整してもよい。
【0204】
実施例では、コンピューティングシステムは、外科手術中に患者の身体の位置を監視及び/又は追跡してもよい。コンピューティングシステムは、患者が高リスクエリアであると判定してもよい。患者の身体の位置が再位置決め、移動、調整などされたとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、(例えば、患者の身体に関連付けられた)高リスクエリアの仮想境界エリアを調整してもよい。
【0205】
機器エリア及び/又は高リスクエリアのための仮想境界エリアは、HCPによって調整されてもよい。実施例では、外科用器具は、外科処置中にHCPによって移動されてもよい。HCPは、外科用器具が移動されている際に、外科用器具のための仮想境界エリアを調整してもよい。実施例では、HCPは、現在の外科工程又は処置のために、患者の身体を再位置決めしてもよい。患者の再位置決めに基づいて、HCPは、高リスクエリアに関連付けられた(例えば、患者の身体に関連付けられた)仮想境界エリアをそれに応じて調整してもよい。
【0206】
本明細書で説明される制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、選択的境界エリアを有してもよい。例えば、外科医などのHCPは、患者の周りの手術ゾーンの仮想境界エリアを画定してもよい。図14に示すように、そのようなエリアは、患者36220の胃又は胃の周りに焦点を合わせられてもよい。高エネルギー外科用器具などの外科用器具は、選択的仮想境界エリアの内側で、例えば、患者36220の胃の上又は周囲で起動されてもよい。外科用器具は、選択的仮想境界エリアの外側で非アクティブであってもよい。例えば、コンピューティングシステムは、例えば、HCPによって生成されたなどの選択的仮想境界を識別してもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具の場所及び/又は位置を監視してもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具のエネルギー状態を監視してもよい。外科用器具が選択的仮想境界エリアの境界内に位置し、かつ/又は位置決めされているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を起動させる(例えば、低エネルギー状態から高エネルギー状態への移行)ための信号を生成してもよい。外科用器具が選択的仮想境界エリアの外側に位置し、かつ/若しくは位置決めされているとコンピューティングシステムが判定した場合、かつ/又は手術状態のエネルギー状態が選択的仮想境界エリアの外側にある間にアクティブ化されている場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を非アクティブ化する信号を生成してもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具が選択的仮想境界エリアの外側で起動されたことを示すアラートをHCPに送信してもよい。
【0207】
本明細書で説明される制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、適応的境界を有してもよい。外科処置の間、患者の身体は、再位置決め又は移動されてもよい。外科用器具の(例えば、HCPによって生成された)選択的仮想境界は、再位置決め及び/又は移動を検出すると、変更又は調整されてもよい。例えば、図14に示されるように、患者の身体は、再位置決めされてもよく(例えば、その側面に再位置決めされてもよく)、選択的仮想境界エリアは、縮小されてもよく、かつ/又は患者の腕は、外科用器具が高エネルギー状態にあることを可能にされてもよい選択的仮想境界エリア内にあってもよい。適応的仮想境界エリア36225は、患者の身体の変化及び/又は再位置決めに基づいて生成されてもよく、外科用器具は、患者の再位置決めされた腕エリアに対して、高エネルギー状態で起動されなくてもよい。
【0208】
コンピューティングシステムは、適応的仮想境界エリアを生成し、かつ/又はHCPによって生成された適応的仮想境界エリアを識別してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、患者の位置及び選択的仮想境界エリアを監視してもよい。患者の位置が変化されたこと、かつ/又は選択的仮想境界エリアが調整される必要があることをコンピューティングシステムが検出及び/又は判定する場合、コンピューティングシステムは、変更に適応するように適応的仮想境界エリアを生成してもよい。適応的仮想境界エリアは、一時的であってもよく、患者の身体が変更される(例えば、以前の位置に戻って変更される)場合、オフにされてもよい。HCPは、適応的仮想境界エリアを生成してもよい。HCPが患者の身体を再位置決めする際、HCPは、コンピューティングシステムに適応的仮想境界エリアを示してもよく、コンピューティングシステムは、HCPによって画定された適応的仮想境界エリアを識別してもよい。
【0209】
本明細書で説明される仮想境界は、HCPによって事前構成されてもよい。例えば、外科処置の準備をするHCPは、OR内の1つ又は2つ以上の仮想境界エリアを事前構成してもよい。仮想境界エリアは、外科用器具の配置、手術台の配置、外科用滅菌トレイ台の配置、麻酔科医ゾーンなどに基づいてもよい。HCPは、仮想境界エリアを手動で入力及び/又は調整してもよい。
【0210】
コンピューティングシステムは、HCP及び/又は外科処置に関連付けられた過去のデータに基づいて、1つ又は2つ以上の仮想境界エリアを判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、同じ外科処置が同じHCPによって実行されたことを判定してもよい。過去のデータに基づいて、コンピューティングシステムは、1つ又は2つ以上の仮想境界エリアを事前構成してもよい。過去のデータは、異なるORからのデータ、HCPの選好、術前データなどであってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0211】
本明細書に記載されるように、外科手術は、感染症、空中浮遊汚染などに関連してもよい。仮想境界は、感染症制御追跡、浮遊汚染物質ゾーン監視などのために作成されてもよい。例えば、仮想境界は、濾過システムエリア、粒子捕捉システムエリア、空中浮遊汚染ゾーンなどに関連付けられてもよい。
【0212】
コンピューティングシステムは、OR内のHCPを識別してもよい。本明細書で説明されるように、コンピューティングシステムは、IDタグ、カメラフィード、顔認識などに基づいて、HCPを識別してもよい。OR内のHCPの識別に基づいて、コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたアクセス認可を判定してもよい。コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたアクセス認可をルックアップ、ダウンロード、及び/又は判定してもよい。アクセス認可は、それぞれのHCPが仮想境界エリアと相互作用する、仮想境界エリアに入る、仮想境界エリアから出る、かつ/又は仮想境界エリア内に位置決めされるためのアクセス認可情報であってよく、又はアクセス認可情報を含んでもよい。
【0213】
コンピューティングシステムは、OR内の識別されたHCPの移動を監視してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPの移動を追跡してもよい。コンピューティングシステムは、例えば、OR内のカメラシステム、HCPに関連付けられたRFIDタグなどに基づいて、HCPの移動を監視してもよい。
【0214】
HCPの監視された移動及びHCPに関連付けられたアクセス認可に基づいて、コンピューティングシステムは、HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界と相互作用するためのアクセス認可を有するかどうかを判定してもよい。本明細書で説明されるように、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、外科用機器エリア、高リスクエリア、感染症制御エリア、空中浮遊汚染エリアなどに関連付けられてもよい。
【0215】
HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界と相互作用する、又は仮想境界に入るアクセス認可を有しておらず(例えば、入るための認可がなく)、仮想境界エリアに近接しているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、通知をHCPに送信してもよい。HCPへの通知は、HCPが仮想境界エリアと相互作用すること、又は仮想境界エリアに入ることを認可されていないことを示してもよい。コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたデバイスに通知を送信してもよく、通知は、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの1つ又は2つ以上であってもよく、又はそれらを含んでもよい。コンピューティングシステムは、OR内のディスプレイ及び/又はOR内の1人又は2人以上の他のHCPに関連付けられたデバイスに通知を送信してもよい。
【0216】
仮想境界エリアと相互作用するか、又は仮想境界エリアに入ることが認可されていないHCPに通知を送信した後、HCPが仮想境界エリアに接近し続ける、かつ/又は仮想境界エリアの近くに移動し続けるとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、OR内のディスプレイ及び/又はOR内の1人又は2人以上の他のHCPに関連付けられたデバイスに通知を送信してもよく、OR内の1人又は2人以上の他のHCPにアラートしてもよい。
【0217】
HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るためのアクセス認可を有するとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPが仮想境界エリアと相互作用すること、仮想境界エリアに入ること、仮想境界エリアから出ること、かつ/又は仮想境界エリア内に位置決めされることを可能にしてもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPへの通知の送信をスキップしてもよい。
【0218】
本明細書に説明されるように、仮想境界は、滅菌野エリアの周りの静的(例えば、一定)境界に関連付けられてもよい。コンピューティングシステムは、OR内のHCPの移動を監視してもよく、適切な滅菌機器を装着していない1人又は2人以上のHCPに通知を送信してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPが滅菌野のための仮想境界エリアの近接エリアに接近している際に、滅菌ガウンを装着していない、かつ/又は滅菌野エリアの仮想境界に入ることについて認証されていないHCPに通知を送信してもよい。HCPに通知を送信した後、HCPが滅菌野エリアのための仮想境界エリアと相互作用しようとしている(例えば、仮想境界エリアに入ろうとしている)とコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、OR内のディスプレイ及び/又は器械出し看護師などの他のHCPに通知を送信し、かつ/又はOR全体に通知をブロードキャストして、認可されていないHCPが滅菌野エリアのための仮想境界エリアと相互作用すること、又は仮想境界エリアに入ることを阻止又は妨害してもよい。コンピューティングシステムは、通知を送信し、認可されていないHCPが仮想境界エリアと相互作用するのを阻止することによって、滅菌野エリアのための仮想境界エリアにおける潜在的な汚染を防止してもよい。
【0219】
本明細書で説明されるように、仮想境界は、感染性患者を治療するためのエリアに関連付けられてもよい。動的一定仮想境界は、エアロゾル化された粒子が遊離し得るエリアの周りに作成されてもよい。エリアのための仮想境界は、濾過システムエリア及び/又は粒子捕捉システムエリアに関連付けられてもよい。コンピューティングシステムは、OR内のHCPの移動を監視してもよい。コンピューティングシステムは、感染性患者の治療などの伝染性及び/若しくは感染性外科手術を扱うための、PPEを有するOR内のHCP並びに/又は証明書若しくはアクセス認可を有するHCPを識別してもよい。HCPが、感染性患者のための仮想境界エリアに入るためのPPE、証明書、及び/又はアクセス認可を有していないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、通知をHCPに送信してもよい。コンピューティングシステムは、通知を使用して、例えば、通知を介して、感染性患者のための仮想境界エリアを避けるようにHCPにアラートしてもよい。
【0220】
制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、機器エリアであってもよく、又はそれを含んでもよい。本明細書で説明するように、機器エリアの仮想境界は、機器エリアを囲む事前定義された境界であってもよい。機器が外科処置中に動き回るとき、機器の周りの仮想境界は一定に留まってもよい。例えば、事前定義された所定の仮想境界エリアは、モニタ、手術台、滅菌台、外科用機器などのために生成されてもよい。一定の事前定義された仮想境界が、外科処置中に存在してもよい。コンピューティングシステムは、外科処置中に機器の移動を監視し(例えば、追跡し続け)てもよい。コンピューティングシステムは、機器が手術中に移動して回る際に、機器のための仮想境界エリアから認可されていないHCPを締め出してもよい。コンピューティングシステムは、認可されたHCPが、機器のための一定の事前定義された仮想境界エリアと相互作用すること、仮想境界エリアに入ること、仮想境界エリアから出ること、仮想境界エリア内に位置することを可能にしてもよい。
【0221】
図15に示されるロボットアームなどの外科用器具は、OR内の1人又は2人以上のHCPに通知を送信してもよい。例えば、移動の前及び/又は間に、外科用器具は、移動が生じていることをOR内のHCPに示してもよい。外科用器具及び/又はコンピューティングシステムは、移動が終了する仮想境界エリアを示し、調整されたエリアをHCPに示してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、外科用器具に関連付けられた仮想境界エリアの調整された位置を示すために、視覚的指示(例えば、着色レーザなど)を提供してもよい。視覚的指示は、認可されていないHCPが外科用器具のための仮想境界エリアから締め出されることを可能にし、必要に応じて、認可されたHCPが仮想境界内に再配置されることを可能にしてもよい。
【0222】
HCP及び/又は機器は、外科用器具の移動、例えば端部の移動を阻止してもよい。外科用器具が完全な端部移動に達することができないと外科用器具が判定した場合、外科用器具は、通知をHCPに送信してもよい。例えば、外科用器具は、邪魔にならないように移動するようにHCPに可聴アラートを提供し、端部移動に達する外科用器具をブロックしている機器を移動するようにHCPに求め、かつ/又は外科用器具を再調整するようにHCPに求めてもよい。外科用器具は、例えば、外科用器具がHCP及び/又は機器と接触せず、現在の外科処置を妨害せず、かつ/又は損傷を引き起こさないことを確実にするために、HCPに視覚的指示を提供してもよい。
【0223】
本明細書で説明されるように、仮想境界は、選択的仮想境界エリアに関連付けられてもよい。例えば、選択的仮想境界エリアは、OR内の機器の使用に基づいてもよい。選択的仮想境界エリアは、外科用器具の通電状態に基づいて調整されてもよい。例えば、外科用器具がオフモード及び/又は低通電状態にあるとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、外科医、器械出し看護師、観察者などの1人又は2人以上のHCPへのアクセスを可能にするための選択的仮想境界エリアを判定又は識別してもよい。外科用器具が高通電状態にある(例えば、外科医が現在の外科工程中に外科用器具を使用している場合)とコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を使用していない他のHCPを除外するように選択的仮想境界エリアを調整してもよい。例えば、外科用器具が高通電状態にある場合、コンピューティングシステムは、他のHCPをブロックし、現在の外科工程を実行している外科医へのアクセスを可能にしてもよい。
【0224】
外科用器具に関連付けられた選択的仮想境界エリアは、どのアームがアクティブであるか、かつ/又は外科用器具のアームがどこに位置決めされて到達できるかに基づいて設定されてもよい。例えば、外科用器具(例えば、外科用器具のアーム)がオフモードであり、かつ/又は移動していない場合、選択的仮想境界エリアは(例えば、一時的に、かつ/又はアームが動作するまで)除去されてもよい。
【0225】
図15は、OR36300内にアームを有する例示的な外科用器具を示す。外科用器具はオフモードであってもよく、オフモード36305に関連付けられた仮想境界エリアが生成されてもよい。外科用器具のアームの仮想境界エリアは、オフ位置36315にあってもよい。外科用器具が動作している、かつ/又はオンモードである場合、オンモードに関連付けられた外科用器具の周りの選択的仮想境界エリア36310が生成されてもよい。オンモード36310のための外科用器具の周りの選択的仮想境界エリアは、オフモード36305に関連付けられた仮想境界エリアよりも大きいエリアを有し、外科用器具が移動して回ることを可能にしてもよい。オン位置36320に関連付けられた手術境界のアームの選択的仮想境界エリアが生成されてもよい。選択的仮想境界36320は、アームが使用中(例えば、動作中)に占有することができる空間に基づいて調整されてもよい。例えば、オンモード36320における外科用器具のアームの選択的仮想境界エリアは、アームの移動の掃引運動をカバーしてもよい。
【0226】
例えば、図15に示す外科用器具は、撮像システムであってもよい。例えば、ハイブリッドORは、撮像デバイスの周りに構築されてもよい。例えば、撮像デバイスは、コンピュータ化されたX線撮像(CT)デバイス、磁気共鳴(magnetic resonance、MR)デバイスなどの非モバイル撮像デバイスであってもよい。撮像デバイスは、例えば、仮想境界エリアを介して、HCPによって回避される必要がある高エネルギー撮像構成要素を含んでもよい。撮像デバイスは、手動又は給電下で再位置決めを必要とし得るブーム及び/又は他の可動構成要素を含んでもよい。画像デバイスのブームは、画像デバイスが使用されているときに選択的仮想境界エリアを有してもよい。ブームが使用されているとき、選択的仮想境界エリアは、HCPが撮像デバイスとの不注意な相互作用及び/又は撮像デバイスに関連付けられた任意の危険から防ぐように生成されてもよい。
【0227】
撮像デバイスは、例えば、図15に示されるようなモバイル撮像システムであってもよい。モバイル撮像システムは、ORの中及び/又は内部に移動されてもよい。可動撮像システムは、例えば、安定アームを介して、撮像が必要とされる部位に操作されてもよい。モバイル撮像システムの位置決めのエンベロープ及び/又は曝露エリアは、対応する選択的仮想境界エリアを有してもよい。
【0228】
例示的なモバイル撮像システムは、CアームX線などの蛍光透視法、3D撮像機、及び/又は超音波撮像であってもよい。図15に示されるように、モバイル撮像デバイスの安定アームは、撮像デバイスが使用されているときに、選択的仮想境界エリアを有してもよい。モバイル撮像デバイス36325の安定アームのための選択的仮想境界は、撮像レビューを必要とする患者の腕又は腕の周りに焦点を合わせられてもよい。撮像デバイスの安定アームが動作しているとき、選択的仮想境界エリア36325は、HCPが撮像デバイスとの不注意な相互作用及び/又は撮像デバイスに関連付けられた任意の危険から防ぐように生成されてもよい。
【0229】
本明細書で説明される撮像デバイスに関連付けられた仮想選択境界は、ORのフロアに輪郭を描かれてもよい。撮像デバイスに関連付けられた仮想選択境界は、垂直境界、又は三次元境界を含んでもよい。例えば、図15に示される移動システムは、ペース、例えば、フロアから3フィート離れた2フィートの球状境界を必要とする場合があり、整形外科の手の手術中のレビューのために患者の腕の撮像部位に焦点を合わせてもよい。
【0230】
制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、1つ又は2つ以上の条件に基づいて、調整されてもよい。例えば、本明細書に説明されるように、放射性デバイス及び/又は高エネルギー撮像機器のための仮想境界は、例えば、電力レベル及び/又は撮像焦点に基づいて、OR内のHCPへの不慮の曝露を最小限にするように調整されてもよい。仮想境界エリアは、機器の物理的境界、ORのサイズ、及び/又は器具の通電状態(例えば、電力レベル)に基づいてもよい。
【0231】
制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界は、外科工程及び/又は感染の可能性に基づいて、調整されてもよい。例えば、挿管又は抜管を行うとき、患者は、患者の頭部及び/又は肩部のエリアの周りに生成された仮想境界エリアを有してもよい。仮想境界エリアは、気管支鏡処置などの外科処置の間、小さくてもよく、かつ/又は濾過システムによって含有されてもよい。挿管又は抜管中に、仮想境界エリアを調整してもよい。例えば、挿管又は抜管中に、仮想境界エリアは、調節されてもよく、例えば、呼吸からのエアロゾルがより大きいゾーンを汚染する可能性に起因して、より大きくなるように調整されてもよい。患者の頭部及び/又は肩部エリアの周りの仮想境界は、適応的仮想境界エリアを含んでもよい。例えば、患者エリアの周りの適応的仮想境界は、動的に調整されてもよく、患者が咳をするか又は空気を強制的に排出する際に調整(例えば、反応)されてもよく、エアロゾル及び仮想境界エリアは、制限エリアを拡張することによって、調整されてもよい。
【0232】
コンピューティングシステムは、外科用器具のための適応的仮想境界エリアが変更された場合、OR内のHCPに通知してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、外科用器具のための仮想境界エリア、例えば、適応的仮想境界エリアが変更されたことをHCPに通知してもよい。コンピューティングシステムは、曝露レベルについて仮想境界エリア内の認可されたHCPを監視し、かつ/又はHCPが使用しているPPEが適切であることに対して検証してもよい。
【0233】
仮想境界エリアは、レーザ光を用いて示されてもよい。OR内のHCPは、レーザ光を見て、OR内の仮想境界エリアがどこに位置するかを視覚的に認識してもよい。仮想境界エリアは、異なるタイプの仮想境界エリアを表すために、異なる色を有してもよい。例えば、一定仮想境界エリアは、選択的及び/又は適応的仮想境界エリアとは異なるレーザ色を有してもよい。異なるレーザ光は、仮想境界エリアに関連付けられた危険レベル、電力レベルなどについての情報を提供してもよい。
【0234】
仮想境界エリアは、ORのレイアウト、外科用器具の場所/位置、及び/又はOR内の機器エリアによって画定されてもよい。本明細書に記載されるように、仮想境界エリアは、外科処置中の外科用器具及び/又は機器の移動に基づいて、調整されてもよい。仮想境界エリアは、患者の再位置決め(例えば、患者を側方に移動させること)又はOR台及び滅菌手術トレイ台の再位置決めに基づいて、調整されてもよい。
【0235】
コンピューティングシステムは、認可されていないHCPが、OR内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に接近している、近接している、かつ/又は近くにあるとコンピューティングシステムが判定したときに、認可されていないHCPに通知を送信してもよい。コンピューティングシステムは、例えば、HCPの安全性を確保するために、境界相互作用に関する通知を認可されたHCPに送信してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、仮想境界に出入りする前及び/又は後に、認可されたHCPに通知を送信してもよい。HCP(例えば、認可された及び/又は認可されていないHCP)への通知は、仮想境界エリアとの偶発的又は不注意な相互作用を防止してもよい。
【0236】
本明細書で説明されるように、コンピューティングシステムは、制限アクセスエリアの仮想境界内のHCPに、又は仮想境界エリアへの接近時に、通知を送信してもよい。コンピューティングシステムは、触覚通知、視覚通知、可聴通知、視覚触覚通知のうちの1つ又は2つ以上を使用してもよい。通知は、モダリティ及び/又はフィードバックであってもよく、又はそれらを含んでもよい。通知は、警告を提供し、制限アクセスエリアの仮想境界の場所などの周囲についての認識を提供し、滅菌エリアなどの他のもの又は機器との衝突を防止し、かつ/又は個人が、制御されたエリア又は境界の近くにいるか又はそれに違反している場合の指示を提供してもよい。
【0237】
コンピューティングシステムは、視覚フィードバックを提供してもよい。コンピューティングシステムは、視覚インジケータを提供し、OR内の制限アクセスエリア又はゾーンの仮想境界を表示してもよい。コンピューティングシステムは、レーザプロジェクタを利用して、制限エリア又はゾーンの仮想境界を、フロア上、壁上、かつ/又はOR内に投影して(例えば、輪郭を描いて)もよい。例えば、コンピューティングシステムは、レーザプロジェクタを使用して、仮想エリア及び/又はゾーンの視覚的指示をOR内のHCPに提供してもよい。コンピューティングシステムは、異なる色を使用して、制限エリア/ゾーンに関連付けられた異なる仮想境界を表してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、青色を使用して、滅菌野エリアのための仮想境界を示し、オレンジ色を使用して、高エネルギー機器のための仮想境界を示し、紫色を使用して、麻酔科医の機器のための仮想境界を示すなどしてもよい。コンピューティングシステムは、認可されていないHCPが制限アクセスエリアの仮想境界に接近しているときに、光の色を変更してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、認可されていないHCPが制限アクセスエリアの仮想境界の近くにある場合に、光を黄色にし、認可されていないHCPが制限アクセスエリアの仮想境界に入る/制限アクセスエリアの仮想境界と相互作用する場合に、光を赤色にしてもよい。
【0238】
コンピューティングシステムは、OR内のHCPに関連付けられた役割、許可、証明書などのうちの1つ又は2つ以上に基づいて、制限アクセスエリア/ゾーンに関連付けられた仮想境界のために、1つ又は2つ以上のレーザマーキングを使用してもよい。例えば、滅菌エリア/ゾーンの仮想境界は、正しい認証及び/又は承認されたクレデンシャルを有するHCPが仮想境界の近く又は内部にあるときに緑色を示してもよい。不正確な認証及び/又は不適切なクレデンシャルを有する認可されていないHCPが仮想境界の近く又は内部にある場合、コンピューティングシステムは、赤色を使用して、認可されていないHCPに警告及び/又はアラートを提供してもよい。
【0239】
コンピューティングシステムは、制限アクセスエリアのための仮想境界を生成し得、仮想境界は、拡張現実(augmented reality、AR)眼鏡などのARデバイスを使用して可視であってもよい。例えば、コンピューティングシステムは、本明細書で説明されるような着色ゾーンを生成してもよく、かつ/又はORフロア上にレーザ光を生成してもよく、HCPは、ARデバイスを使用して、仮想境界を見てもよい。
【0240】
コンピューティングシステムは、ORを表示してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、OR、OR内のHCP、及びOR内のHCPの移動、外科用機器などのうちの1つ又は2つ以上を表示してもよい。コンピューティングシステムは、制限アクセスエリアの1つ又は2つ以上の仮想境界を表示してもよい。コンピューティングシステムは、認可されていないHCPが仮想境界エリアに接近している、かつ/又は仮想境界エリアと相互作用している場合、仮想境界エリアを強調表示してもよい。コンピューティングシステムは、ORの鳥瞰図をOR内のHCPに提供してもよい。OR表示及び表示された情報は、外科医などのHCPが、1つ又は2つ以上の仮想境界エリアを強化すること、かつ/又は強調表示されている仮想境界エリアをオーバーライドすることを可能にしてもよい。
【0241】
コンピューティングシステムは、可聴フィードバックを提供してもよい。コンピューティングシステムは、制限アクセスエリアの仮想境界の近くにあるか、又は制限アクセスエリアの仮想境界と相互作用するHCPに可聴トーン又は可聴情報を提供してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、認可されたHCPが境界エリアに接近している際に、又は認可されていないHCPが仮想境界エリアに接近しているか、若しくは仮想境界エリアと相互作用している場合に、仮想境界エリアに関する可聴情報をブロードキャストしてもよい。コンピューティングシステムは、画定された仮想境界エリアに基づいて、異なるトーンを提供してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、滅菌野エリアのための仮想境界、患者エリアのための仮想境界、機器エリアのための仮想境界、クリティカルエリアのための仮想境界について異なるトーンを有してもよい。
【0242】
コンピューティングシステムは、異なる仮想境界エリア及び/又は仮想境界エリアに対するHCPの近さに基づいて、異なるトーンレベルを提供してもよい。例えば、認可されていないHCPが仮想境界エリアに接近している場合、コンピューティングシステムは、短い静かな可聴フィードバックをHCPに提供してもよい。認可されていないHCPが仮想境界エリアに近づいている際、可聴フィードバックは、長く、より大きな可聴フィードバックであってもよい(例えば、可聴フィードバックのレベルを増加させる)。コンピューティングシステムは、例えば、HCPに関連付けられたデバイスを介するなどして、対応するHCPに可聴フィードバックを提供してもよい。コンピューティングシステムがOR内で可聴フィードバックをブロードキャストしている場合、コンピューティングシステムは、例えば、混乱を最小限に抑えるために、他のHCPへの可聴フィードバックをノイズキャンセルしてもよい。
【0243】
コンピューティングシステムは、触覚フィードバックを提供してもよい。HCPは、電話、スマートウォッチ、スマートトラッカーなどの1つ又は2つ以上のデバイスを装着していてもよい。例えば、HCPは、手首及び/又は足首(例えば、手袋、手、靴、足など)にデバイスを装着していてもよい。HCPは、各四肢に手首バンド及び/又は足首バンドを有し得るデバイスを装着してもよい。コンピューティングシステムは、制限アクセスエリアのための仮想境界に接触するリスクがある四肢に触覚フィードバックを提供してもよい。例えば、認可されていないHCPの左足が滅菌野エリアのための仮想境界の近くにある場合、コンピューティングシステムは、認可されていないHCPの左足首上にあるデバイスに触覚フィードバックを送信してもよい。コンピューティングシステムは、触覚フィードバックを左足首デバイスに送信し、HCPがその方向(例えば、左方向)にステップする、又は歩くことができないという通知を提供してもよい。
【0244】
コンピューティングシステムは、異なるレベルの触覚フィードバックを提供してもよい。コンピューティングシステムは、HCPが制限アクセスエリアの仮想境界に近づいている、かつ/若しくは接近している、又はそこから離れているときに、触覚フィードバックのレベルを増加又は減少させてもよい。例えば、認可されていないHCPが制限アクセスエリアの仮想境界に接近している場合、コンピューティングシステムは、触覚フィードバックの強度を増加させ、かつ/又は触覚フィードバックのパルスを増加させてもよい。認可されていないHCPが制限アクセスエリアの仮想境界から離れて移動している場合、コンピューティングシステムは、触覚フィードバックの強度を減少させ、かつ/又は触覚フィードバックのパルスを減少させてもよい。
【0245】
認可されていないHCPが特定のデバイスへの(例えば、左足首デバイスへの)触覚フィードバックを無視しているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、認可されていないHCPが装着している1つ又は2つ以上のデバイスに触覚フィードバックを送信してもよい。
【0246】
コンピューティングシステムは、本明細書に説明される1つ又は2つ以上のフィードバックを組み合わせてもよく、視覚触覚複合現実(visuo-haptic mixed reality、VHMR)を提供してもよい。
【0247】
コンピューティングシステムは、HCPを監視してもよく、HCPに対するアクセス認可を判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、制限アクセスエリアの仮想境界を越えることの許容可能性を判定してもよい。コンピューティングシステムは、環境パラメータ及び/又は個人的パラメータを検出して、例えば、仮想境界エリアを越えることの許容可能性を判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、クレデンシャル、証明書、及び/又はHCPに関連付けられた他のアクセス制御レベル情報のうちの1つ又は2つ以上に基づいて、環境パラメータ及び/又は個人パラメータを検出してもよい。
【0248】
コンピューティングシステムは、HCPの無菌監視を実行してもよい。例えば、HCPが無菌試験に合格したとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPが制限アクセスエリアの仮想境界に入ることを可能にしてもよい。HCPが無菌試験に不合格であるとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたアクセス認可を取り消し、HCPが制限アクセスエリアの仮想境界に入ることを認可しないことがある。
【0249】
外科手術は感染のリスクを有するので、OR内のHCPは、外科感染症を予防するための技術において広範な教育を受けてもよい。例えば、OR内のHCP(例えば、外科医又は器械出し看護師など)は、ガウン及び/若しくは手袋などの滅菌保護具を適切に着脱する方法、細菌汚染のリスクを低減するために手を洗う方法、並びに/又は滅菌器具若しくは包帯の汚染を防止するために外科用器具/ツールを管理する方法を認識してもよい。完全に滅菌された保護具を装着していない手術室看護師(例えば、器械出し看護師及び/又は外科医よりも滅菌されていない保護具)は、OR内の滅菌エリアなどの制限アクセスエリアの仮想境界に入ることを認可されていない場合がある。コンピューティングシステムは、OR内の手術室看護師の移動を監視し、手術室看護師が滅菌野エリアの仮想境界に入ること又は滅菌野エリアの仮想境界と相互作用することを防止し、手術台の周りの滅菌エリアを汚染することを防止してもよい。
【0250】
コンピューティングシステムは、HCPを監視してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、例えば、必要な工程が完了したことを検証するために、手術前及び手術後について、HCPを監視してもよい。コンピューティングシステムが、HCPがORに入る前又は手術を行った後の適切な手洗いなどの工程を完了できなかったと判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPに通知を送信し、かつ/又はHCPのアクセス認可を取り消してもよい。コンピューティングシステムは、一時的に、例えば、工程が完了するまで、HCPに対するアクセス認可を取り消してもよい。
【0251】
コンピューティングシステムは、手術中に機器を監視してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、破損の任意の兆候から外科用手袋を監視してもよく、又は裂け目について外科用ガウンを監視してもよい。コンピューティングシステムが裂け目又は破損を検出した場合、コンピューティングシステムは、機器を交換するための通知をHCPに送信してもよい。
【0252】
コンピューティングシステムは、外科用デバイスへのバッテリ移載を監視してもよい。例えば、外科用デバイスのための電池パック(例えば、リチウム及び/又はリチウムイオン電池パック)は、滅菌されない場合がある。バッテリパックは、無菌移送を追跡する埋め込みRFIDチップを有してもよい。例えば、バッテリパックは、手術のためにORに入ってもよい。コンピューティングシステムは、バッテリパックから(例えば、RFIDビーコンを介して)アラートを受信してもよく、コンピューティングシステムは、ORに入るバッテリパックを識別してもよい。コンピューティングシステムは、バッテリパックを追跡し、OR内の制限アクセスエリアの仮想境界に基づいて、HCPに通知を送信してもよい。
【0253】
コンピューティングシステムは、バッテリバックに関連付けられた処置工程を監視してもよい。処置工程が見逃されたか、又は不正確に行われた場合、コンピューティングシステムは、潜在的な問題についてHCPにアラートしてもよい。
【0254】
コンピューティングシステムは、外科用器具のための制限アクセスエリアの仮想境界を識別してもよい。外科用器具は、高通電状態を使用して外科工程を実行することが可能であってもよい。コンピューティングシステムは、外科処置中に外科用器具に関連付けられた通電状態を検出してもよい。コンピューティングシステムは、手術の外科工程を識別してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、外科用監視データに基づいて、外科工程を識別してもよい。外科工程は、現在の外科工程又は次の外科工程であってもよく、又はそれを含んでもよい。
【0255】
識別された外科工程及び検出された通電状態に基づいて、コンピューティングシステムは、外科用器具の仮想境界エリアを調整してもよい。例えば、コンピューティングシステムが、外科用器具が高通電状態にあり、外科工程と一致することを検出した場合、コンピューティングシステムは、例えば、仮想境界エリアを増加させることによって、外科用器具の仮想境界を調整してもよい。通電状態が閾値レベルを上回ることをコンピューティングシステムが検出した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具のための仮想境界エリアを増加させてもよい。通電状態が閾値レベル未満であることをコンピューティングシステムが検出した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具のための仮想境界エリアを減少させてもよい。
【0256】
外科用器具が高通電状態にあるが、外科工程と一致しないとコンピューティングシステムが判定した場合、例えば、異常が存在する場合、コンピューティングシステムは、外科用器具の仮想境界エリアを調整してもよい。例えば、外科処置の現在の工程が外科用器具をオンにする、かつ/又は使用する必要がないときに外科用器具が高通電状態を有することをコンピューティングシステムが検出した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具の仮想境界エリアを増加させてもよい。コンピューティングシステムは、例えば、外科用器具との不注意な接触を防止するために、HCPに通知を送信してもよい。
【0257】
図16は、外科用器具の認可されていないエネルギーレベル変化についてのコンピューティングシステムの例示的な通知を示す。図16に示すように、コンピューティングシステムは、OR36400内の制限アクセスエリアの1つ又は2つ以上の仮想境界を識別してもよい。OR内の制限アクセスエリアの1つ又は2つ以上の仮想境界は、麻酔科医エリア36420のための仮想境界エリア、手術台エリア36410のための仮想境界エリア、外科用器具エリア36415のための仮想境界エリア、及び/又は患者36425の手術エリアのための仮想境界エリアを含んでもよい。本明細書で説明するように、コンピューティングシステムは、OR内のHCPの移動を監視してもよい。コンピューティングシステムは、HCPがOR内の制限アクセスエリアの仮想境界に入るか、それから出るか、それと相互作用するか、又はその内部にあるためのアクセス認可を有するかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムは、外科処置中のHCPの役割、外科処置中のHCPに関連付けられた割り当て、HCPに関連付けられたPPE、HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、又は制限エリアタイプのうちの1つ又は2つ以上に基づいて、HCPのアクセス認可を判定してもよい。
【0258】
コンピューティングシステムは、OR内の外科用器具のエネルギーレベルを監視してもよい。コンピューティングシステムが外科用器具のエネルギーレベルの変更を検出する場合、コンピューティングシステムは、認可されたHCPによってエネルギーレベルが変更されたと判定してもよい。外科用器具36415のための仮想境界エリアに入った、認可されていないHCPによってエネルギーレベルが変更されたとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、通知を送信してもよい。コンピューティングシステムは、通知をディスプレイ36405に送信し、認可されていないHCPが外科用器具のエネルギーレベルを不注意に変更したことを他のHCPに通知してもよい。コンピューティングシステムは、HCPが外科用器具36415の仮想境界に近接している、又は仮想境界内に存在する認可を有していないことを示す通知を、ディスプレイ36405及び/又は認可されていないHCPに送信してもよい。
【0259】
外科医などの別のHCPが、認可されていないHCP及び/又は認可されていないHCPによる認可されていないエネルギーレベル変化に関する通知を見た場合、外科医、例えば、先導外科医は、認可されていないHCPに関連付けられたアクセス認可を調整してもよい。例えば、認可されていないHCPは、先導外科医を補助している別の外科医であってもよい。補助外科医は、手術台エリア36410のための仮想境界内にあるためのアクセス認可を有してもよい。補助外科医は、外科用器具36415のための仮想境界エリアに入る、又は仮想境界エリア内にあるためのアクセス認可を有していない場合がある。先導外科医は、補助外科医のアクセス認可を調整してもよい。例えば、先導外科医は、ディスプレイ36405上の通知を見た後に、補助外科医のアクセス認可を調整してもよく、補助外科医が外科用器具36415のための仮想境界エリアに入る、又は仮想境界エリア内にあることを可能にしてもよい。
【0260】
別のHCPは、緊急事態に基づいて、認可されていないHCPのアクセス認可を調整してもよい。例えば、先導外科医が外科用器具を操作するために追加の手を必要とする緊急事態の間、先導外科医は、本明細書に記載されるように、外科用器具36415のための仮想境界エリアに入る、又は仮想境界エリア内にあるための補助外科医のアクセス認可を調整してもよい。
【0261】
コンピューティングシステムは、OR内の外科処置に関連付けられた外科用器具などの機器を識別してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、手術前処置のためにHCPによって作成された手術計画をダウンロードしてもよく、外科処置のために使用される1つ又は2つ以上の外科用器具を識別してもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するためのHCPによる制御入力を検出してもよい。HCPによる制御入力は、外科用器具をオン又はオフにすることであってもよい。HCPによる制御入力は、外科用器具のエネルギーレベルを調整することであってもよい。HCPによる制御入力は、外科用器具の位置を調整することであってもよい。
【0262】
コンピューティングシステムは、外科用器具に関連付けられたHCPのアクセス制御レベルを判定してもよい。例えば、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルは、HCPが外科用器具を制御する認可を有するかどうかを含んでもよい。HCPに関連付けられたアクセス制御レベルは、階層化されてもよい。例えば、段階的アクセス制御レベル(例えば、第1の段階的アクセス制御レベル)は、外科用器具をオンにすること又はオフにすることであってもよい。別の段階的アクセス制御レベル(例えば、第2の段階的アクセス制御レベル)は、外科用器具のエネルギーレベルを調整することであってもよい。例えば、外科用器具のエネルギーレベルを調整することに関連付けられた第2の段階的アクセス制御レベルは、外科用器具をオン又はオフにすることに関連付けられた第1の段階的アクセス制御レベルよりも高い段階であってもよい。
【0263】
コンピューティングシステムは、HCPによって検出された制御入力を有効にするかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルに基づいて、HCPによる制御入力を有効にするかどうかを判定してもよい。アクセス制御レベルに基づいて、HCPが外科用器具を制御することを認可されている(例えば、HCPが外科用器具を制御するための制御入力を有効にすることを認可されている)とコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するために、HCPによる制御入力を有効にしてもよい。HCPに関連付けられたアクセス制御レベルに基づいて、HCPが外科用器具を制御することを認可されていない(例えば、HCPが外科用器具を制御するための制御入力を有効にすることを認可されていない)とコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するために、HCPによる制御入力をブロックしてもよい。
【0264】
コンピューティングシステムが、外科用器具を制御しようとするHCPによる制御入力をブロックする場合、コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたデバイスにアラートを送信してもよい。アラートは、HCPによる制御入力がブロックされたことを通知するHCPへの通知、及び/又はHCPに関連付けられたアクセス制御レベル情報であってもよく、又はそれらを含んでもよい。コンピューティングシステムは、OR内のディスプレイにアラートを送信してもよい。例えば、図16に示すように、コンピューティングシステムは、OR内のディスプレイ36405にアラートを送信してもよい。アラートは、HCPによる制御入力がブロックされたことを示してもよい。
【0265】
コンピューティングシステムは、図1図3に関して本明細書で記載されるようなHCP監視システム20000、20002、20003、又は20004などのHCP監視システムであってもよいか、又はそれを含んでもよい。コンピューティングシステムは、HCP監視システム20000、20002、20003、及び/又は20004に動作可能に接続されたコンピューティングシステムであり得る。コンピューティングシステムは、図9に関して本明細書に記載されるコンピューティングシステム20271であり得るか、又はそれを含み得る。コンピューティングシステムは、例えば、図4に関して本明細書に記載されるコンピュータシステム20063であり得るか、又はそれを含み得る。コンピューティングシステムは、例えば、図4に関して本明細書に記載されるコンピューティングシステム20064であってもよいか、又はそれを含んでもよい。コンピューティングシステムは、図1図3に関して本明細書に記載されるような外科用ハブ20006、図4の外科用ハブシステム20060、図5のコンピュータ実装双方向外科用システム20070、図7の外科用ハブ若しくはコンピューティングデバイス20243、図9の外科用ハブ20270、図10のコンソール20294、及び/又は図11の外科用ハブ5104であってもよいか、又はそれらを含んでもよい。例えば、コンピューティングシステムは、1つ又は2つ以上の外科処置に関連付けられた外科用監視データを取得し得る。外科処置は、1つのOR又は複数のORで起き得る。
【0266】
本明細書で説明するように、コンピューティングシステムは、HCPの移動を監視してもよい。コンピューティングシステムは、HCPが手術台に近接していると判定してもよい。コンピューティングシステムは、例えば、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルに基づいて、HCPが外科用器具を制御する認可を与えられていないと判定してもよい。コンピューティングシステムは、アクセス制御レベル調整メッセージを外科医などの別のHCPに送信してもよい。アクセス制御レベル調整メッセージは、手術台に対するHCPの近接度に基づいて、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルが調整を必要とするかどうかを問い合わせてもよい。コンピューティングシステムは、外科医などの別のHCPからアクセス制御レベル調整要求を受信してもよい。アクセス制御レベル調整要求は、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルに対する変更を示してもよい。コンピューティングシステムは、別のHCPからアクセス制御レベル調整要求を受信したことに基づいて、HCPのアクセス制御レベルを調整してもよい。本明細書に記載されるように、アクセス制御レベル調整要求は、HCPが外科用器具を制御する(例えば、外科用器具をオン/オフにする、かつ/又は外科用器具に関連付けられたエネルギーレベルを調整する)ことを可能にしてもよい。コンピューティングシステムは、アクセス制御レベル調整通知をHCPに送信してもよい。コンピューティングシステムは、アクセス制御レベル調整通知をOR内のディスプレイに送信してもよい。アクセス制御レベル調整通知は、(例えば、外科医による)アクセス制御レベル変化を認可したHCPを示してもよい。
【0267】
コンピューティングシステムは、外科処置における外科工程に基づいて、HCPに関連付けられた外科用器具のための制御アクセスレベルを調整してもよい。コンピューティングシステムは、現在の外科工程を識別してもよい。現在の外科工程に基づいて、コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルを調整するかどうかを判定してもよい。例えば、外科処置の初期工程において、外科医に関連付けられた外科用器具のための制御アクセスレベルは、外科用器具をオン又はオフにすることであってもよい。外科医が、外科処置の初期工程において外科用器具に関連付けられたエネルギーレベルを調整しようと試みる場合、コンピューティングシステムは、外科医による制御入力をブロックしてもよい。
【0268】
コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルを調整して、HCPが外科処置における現在の外科工程に関連付けられた外科用器具を制御することを可能にしてもよい。例えば、コンピューティングシステムは、現在の外科工程が、切開を行うために外科用器具を使用することを伴うと判定してもよい。コンピューティングシステムは、外科医の制御レベルを調整してもよい。外科医は、外科用器具のエネルギーレベルを調整してもよく、例えば、外科用器具の低通電状態から高通電状態に調整することによって、切開を行うことが可能であってもよい。
【0269】
HCPが現在の外科工程を完了した後、コンピューティングシステムは、次の外科工程と一致するHCPに関連付けられたアクセス制御レベルを再調整してもよい。例えば、外科医が現在の外科工程のための切開を行い、次の外科工程が外科用器具の高通電段階を伴わないとコンピューティングシステムが判定した後、コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルを再調整して、外科医の制御入力をブロックし、例えば、外科用器具の高通電レベルを増加又は維持してもよい。
【0270】
コンピューティングシステムは、器具の通電状態に基づいて、器具に関連付けられたHCPのアクセス制御レベルを調整してもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具の通電状態を識別してもよい。外科用器具が高通電状態を有することをコンピューティングシステムが識別した場合、コンピューティングシステムは、HCPのアクセス制御レベルを調整し、外科用器具を制御するためのHCPによる制御入力をブロックしてもよい。例えば、外科用器具の不注意な制御を防止するために、コンピューティングシステムは、外科用器具が高通電状態にあるとコンピューティングシステムが判定したときに、器械出し看護師による制御入力をブロックしてもよい。
【0271】
外科用器具が低通電状態を有する、又はオフにされていることをコンピューティングシステムが識別した場合、コンピューティングシステムは、HCPのアクセス制御レベルを調整し、外科用器具を制御するためのHCPによる制御入力を有効にしてもよい。例えば、外科用器具が低通電状態にあるか又はオフにされているとコンピューティングシステムが判定したときに、コンピューティングシステムは、器械出し看護師が外科用器具をオン又はオフにすることを可能にしてもよい。
【0272】
コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値に基づいて、HCPの制御アクセスレベルを調整してもよい。HCPに関連付けられたバイオマーカは、疲労レベル、ストレスレベル、又はHCPが動作していた時間量のうちの1つ又は2つ以上であってもよく、又はそれらを含んでもよい。コンピューティングシステムは、外科医などのHCPに関連付けられたバイオマーカを監視してもよい。コンピューティングシステムは、HCPの監視されたバイオマーカに基づいて、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルを調整するかどうかを判定してもよい。HCPが増加した疲労レベル、増加したストレスレベル、又は閾値超過手術時間を有することをHCPに関連付けられたバイオマーカが示す場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するためのHCPからの制御入力をブロックしてもよい。コンピューティングシステムは、増加した疲労レベル、増加したストレスレベル、又は閾値超過手術時間を示すアラートをHCPに送信してもよい。
【0273】
HCPが減少した疲労レベル、減少したストレスレベル、又は閾値未満手術時間を有することをHCPに関連付けられたバイオマーカが示す場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するためのHCPからの制御入力を有効にしてもよい。コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられた現在の疲労レベル、現在のストレスレベル、又は現在の手術時間を示すアラートをHCPに送信してもよい。
【0274】
実施例では、コンピューティングシステムは、感知システムからHCPに関連付けられた測定値データを受信してもよい。測定値データに基づいて、コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられた上昇した疲労レベルを判定してもよい。測定値データは、外科医などのHCPが、知覚された誤りに対して過補正と呼ばれることがある入力の変化の時間が長すぎることを示してもよい。コンピューティングシステムは、反復補正、過補正、又は振動反応を、HCPに関連する疲労及び/又は上昇疲労レベルの指標として解釈することができる。例えば、HCPのバイオマーカ測定値に基づいて、コンピューティングシステムは、HCPの水和/脱水に関連する値を判定してもよい。脱水は、エネルギーレベルに影響を与え、人を疲労させ、疲労させる可能性がある。体液が少ないと、心拍数が上昇する傾向がある。コンピューティングシステムは、水和レベルに関連して心拍データを分析し、ストレス及び他の心臓上昇事象を水和と区別することができる。コンピューティングシステムは、ベースライン測定値を採用して、進行中の慢性事象から急性事象を区別し、疲労と脱水とを区別し得る。
【0275】
実施例では、コンピューティングシステムは、OR内のHCPに関連付けられた感知システム(例えば、外科医に関連する感知システム)から測定値データを受信してもよい。測定値データは、HCPが増加したストレスレベルを有することを示してもよい。例えば、増加したストレスレベルは、例えば、ベース値からのHCPの心拍数の変化によって示されてもよい。コンピューティングシステムは、対応する感知システムからのデータの受信を相互参照することによって、HCPの増加したストレスレベルを導出/推論してもよい。
【0276】
HCPの疲労レベルは、例えば、器具使用データに基づいて、測定/判定されてもよい。コンピューティングシステムは、外科用器具を操作するHCP及び手術室内の他のユーザの疲労の重み付けされた尺度を計算することができる。疲労の重み付けされた尺度は、累積的な協調事象及び寄与に基づくことができる。例えば、疲労の重み付けされた尺度は、経時的な閉鎖トリガなどのアクチュエータを制御する際にHCPが経験するストレスの強度及び経時的にHCPによって加えられる力に基づくことができる。
【0277】
エネルギーレベル及び疲労レベルの測定に関する詳細は、2021年1月22日に出願された「METHOD OF ADJUSTING A SURGICAL PARAMETER BASED ON BIOMARKER MEASUREMENTS」と題する米国特許出願第17/156,287号(代理人整理番号END9290USNP1)に記載されており、その開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0278】
本明細書に記載されるように、コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するためのHCPによる制御入力を調整及び/又は限定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、アクセス制御レベルなどの許可、及び/又は滅菌野、手術台、若しくは外科医などの他のHCPなどの制限アクセスエリアの仮想境界への近接性に基づいて、外科用器具を制御するためのHCPによる制御入力を限定してもよい。
【0279】
コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられた認証に基づいて、外科用器具を制御しようとするHCPによる制御入力を調整してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられた認証を使用して、HCPが制御入力を行う、かつ/又は外科用器具の設定を変更する許可を有するかどうかを判定してもよい。認証及び/又は許可に基づいて、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力を有効にし、かつ又はブロックしてもよい。
【0280】
コンピューティングシステムは、HCPに関連付けられた認証に基づいて、機器へのHCPの制御入力を限定及び/又は調整してもよい。コンピューティングシステムは、例えば、HCPに関連付けられた認証に基づいて、機器の事前定義されたセット及び/又は識別された機器に関連付けられた制御を識別してもよい。コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力を監視して、例えば、HCPが機器と相互作用する、かつ/又は機器を制御するように認証されている機器の不注意な調整及び/又は制御を防止してもよい。
【0281】
例えば、麻酔科医は、麻酔機器を制御(例えば、完全制御)するための認証を有してもよい。他のHCPは、麻酔機器の部分的な制御を有してもよい。例えば、麻酔専門看護師及び/又は麻酔科医の研修医は、麻酔機器の部分的な制御を有してもよい。HCPに関連付けられた認証に基づいて、コンピューティングシステムは、HCPが機器を制御することを可能にしてもよいか、又は阻止してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、例えば麻酔科医に関連付けられた認証に基づいて、麻酔科医が、鎮静及び/又は呼吸機器などの麻酔機器の設定を制御すること、かつ/又は麻酔機器の制御相互作用を有することを可能にされていると判定してもよい。
【0282】
器械出し看護師などの他のHCPに関連付けられた認証に基づいて、コンピューティングシステムは、器械出し看護師が設定を制御する許可を有していないこと、かつ/又は麻酔機器のための制御相互作用を有していないことを判定してもよい。HCPが麻酔機器の設定を制御又は調整する許可を有していないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックし、機器と相互作用すること、かつ/又は機器を制御することが認証されていないHCPによる機器の不注意な調整を防止してもよい。
【0283】
コンピューティングシステムは、外科医又は麻酔科医などの別のHCPからオーバーライド要求を受信してもよい。例えば、外科医は、機器の制御入力及び/又は調整設定をオーバーライドして(例えば、ロックアウトをオーバーライドして)、例えば、機器の不注意な調整と意図又は緊急調整とを区別してもよい。
【0284】
実施例では、外科手術全体を通して、1つ又は2つ以上の外科用器具が使用されてもよい。外科用器具は、治療処置を適用するためにある形態のエネルギーを必要とし、かつ/又は外科用器具を機能させるための電気機械制御を有してもよい。外科用器具の一実施例は、腹腔鏡デバイスであってもよい。外科用器具は、外科手術を通して複数回使用されてもよい。外科用器具は、手術台の上/外に配置され、他のHCPに手渡され、かつ/又は外科手術後に処分されてもよい。
【0285】
コンピューティングシステムは、例えば、確認に基づいて、HCPによる制御入力を限定及び/又は調整してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、視覚的確認に基づいて、HCPによる制御入力を限定及び/又は調整してもよい。コンピューティングシステムは、視覚的確認に基づいて、不注意な制御入力を検出し、外科用器具のモータ電力にエネルギーが印加されることを防止してもよい。コンピューティングシステムは、制御入力が許可を有する適切な(例えば、正しい)証明を有する認可されたHCPの手からのものであり、かつ/又は認可されたHCPによって起動されているとコンピューティングシステムが判定した場合、制御入力を有効にしてもよい。
【0286】
本明細書に説明されるように、コンピューティングシステムは、標的手術ゾーンのための制限アクセスエリアの仮想境界を生成し、外科用器具を制御するためのHCPによる制御入力を限定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、標的手術ゾーンの仮想境界内の認可されたHCPによる制御入力を有効にし、不注意な制御を防止し、かつ/又は他のHCP若しくは患者を傷つけることを防止してもよい。
【0287】
コンピューティングシステムは、外科医がいる場合など、他のHCPへの近接性に基づいて、HCPに関連付けられたアクセス制御レベルを調整してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、器械出し看護師又は関係者が円形ステープラを操作することが認可されていない可能性があると判定してもよい。コンピューティングシステムは、器械出し看護師又は関係者が外科医の制限アクセスエリアの仮想境界に近接しているか、又はその中にいる可能性があると判定してもよい。器械出し看護師又は関係者が外科医エリアの仮想境界に近接しているか、又はその中にいるとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、器械出し看護師又は関係者に関連付けられたアクセス制御レベルを調整してもよい。コンピューティングシステムは、器械出し看護師又は関係者による制御入力、例えば、円形ステープラをオンにすることを有効にしてもよい。
【0288】
コンピューティングシステムは、外科手術の外科工程を認識及び/又は識別してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、外科手術が完了したこと、かつ/又は外科手術のために外科用器具がもはや必要とされないことを識別してもよい。手術が完了したとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具の起動を監視してもよく、かつ/又は給電状態にあってもよい。外科用器具が起動されている、かつ/又は高通電状態にある、又はオンにされているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、例えば、HCPが器具を清掃及び/又は処分している間に外科用器具を不注意に起動することを防止するために、HCPによる制御入力をブロックしてもよい。
【0289】
手術が完了し、外科用器具が電池式デバイスであるとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、例えば、電池式デバイスのドレイン回路を使用して、エネルギー除去工程を開始してもよい。コンピューティングシステムは、エネルギー除去工程中にHCPによる制御入力を限定(例えば、ブロック)してもよい。
【0290】
コンピューティングシステムは、ガスシステム用のHCPによる制御入力を調整及び/又は限定してもよい。ORにおける外科手術の間、医療用空気、酸素、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、及び/又は他のガスが供給されてもよい。コンピューティングシステムは、動作中に供給されるガスをオン/オフにする、又は増加/減少させるための制御入力を検出する場合、ガスを供給するためにデバイスを制御するための制御入力を行うHCPのアクセス制御レベルを判定してもよい。コンピューティングシステムは、外科工程を判定し、ガスがオン/オフにされる、又は増加/減少する必要があることを確認してもよい。HCPがガスレベルを調整するためのアクセス制御レベルを有し、ガスのHCPの制御が現在の外科工程と一致するとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力を有効にしてもよい。HCPがアクセス制御レベルを有していない、及び/又はガスの使用が現在の外科工程と一致しないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックしてもよい。コンピューティングシステムは、本明細書で説明されるように、アラートをHCPに送信してもよい。
【0291】
コンピューティングシステムは、デバイスの通電状態を制御してもよい。コンピューティングシステムは、HCPの場所、制限アクセスエリアの仮想境界、HCPが適切なPPEを装着しているかどうか、閾値曝露時間、HCPのバイオマーカ測定値、患者のバイオマーカ測定値などに基づいて、放射線デバイスなどのデバイスの通電状態を制御してもよい。本明細書に説明されるように、コンピューティングシステムは、HCPが患者に近接して(例えば、患者、手術台、及び/又は外科医の仮想境界内に)、かつ手術エリア内にあると判定すると、デバイスの通電状態を制御し、HCPによる制御入力を有効にして、デバイスを制御してもよい。
【0292】
コンピューティングシステムは、放射線科医又は放射線科技術者などのHCPが適切なPPEを装着しているかどうかを監視/判定してもよい。HCPが適切なPPEを装着していないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックし、アラートを送信してもよい。適切なPPEの実施例は、鉛エプロン、鉛ガラス、鉛シールドなどのうちの1つ又は2つ以上であってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0293】
コンピューティングシステムは、HCPが放射線デバイスから許容可能なクリアランスなどの適切な距離にあるかどうかを監視/判定してもよい。HCPが適切な距離内、例えば、曝露エリア内にないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックし、アラートを送信してもよい。
【0294】
コンピューティングシステムは、放射線デバイスに対するHCPの曝露時間を監視/判定してもよい。例えば、HCPが閾値曝露時間を超えるとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックし、アラートを送信してもよい。
【0295】
コンピューティングシステムは、HCP又は患者に関連付けられたバイオマーカを監視/判定してもよい。例えば、HCPが増加した疲労レベル及び/又は増加したレベルを有するとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックし、アラートを送信してもよい。コンピューティングシステムは、患者に関連付けられたバイオマーカを監視してもよい。患者に関連付けられたバイオマーカが突然変化した、例えば、緊急事態又は合併症が発生したとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックし、アラートを送信してもよい。コンピューティングシステムは、患者に関連付けられたバイオマーカに基づいて、患者のタイプを判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、患者が小児患者又は妊娠患者であると判定してもよい。放射線への被曝を最小限に抑えるために、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロック又は調整し、アラートを送信してもよい。
【0296】
図17は、本明細書で説明されるように、OR内の制限アクセスエリアの仮想境界に対するHCP移動を監視する例示的なフロー36450を示す。例えば、36455において、コンピューティングシステムは、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定してもよい。コンピューティングシステムは、図1図3に関して本明細書に記載されるような外科用ハブ20006、図4の外科用ハブシステム20060、図5のコンピュータ実装双方向外科用システム20070、図7の外科用ハブ若しくはコンピューティングデバイス20243、図9の外科用ハブ20270、図10のコンソール20294、及び/又は図11の外科用ハブ5104であってもよいか、又はそれらを含んでもよい。仮想境界は、図12図13に関して本明細書に記載される、麻酔科医36005、36105のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、外科医36025、36115のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、手術台36030、36120のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、器械出し看護師36035、36125のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、手術室看護師36040のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、外科用器具、滅菌トレイ台、及び/若しくは他の手術関連の機器36045、36050、36055、36060、36065のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、観察者36135のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、SSC36140のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、助手のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界、麻酔看護師36110のための制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界であってもよく、又はそれらを含んでもよい。
【0297】
36460において、コンピューティングシステムは、OR内のHCPを識別してもよい。36465において、コンピューティングシステムは、識別されたHCPの移動を監視してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に近接しているかどうかを判定してもよい。コンピューティングシステムは、HCPが記述されたアクセスエリアに関連付けられた仮想境界と相互作用しようとしている(例えば、入る、出る、又は離れる)ことを判定してもよい。
【0298】
36470において、コンピューティングシステムは、本明細書で説明されるように、HCPが、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界と相互作用するか、又は仮想境界に入る/仮想境界から出るためのアクセス認可を有することを判定してもよい。36475において、コンピューティングシステムは、通知をHCPに送信してもよい。例えば、(例えば、36465におけるHCPの監視された移動に基づいて)HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に近接しているとコンピューティングシステムが判定した場合、かつ(例えば、36470におけるHCPアクセス認可の判定に基づいて)HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界と相互作用すること、又は仮想境界に入る/出ることが認可されていないとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPが仮想境界に入ることが認可されていないことを示す通知をHCPに送信してもよい。(例えば、36465におけるHCPの監視された移動に基づいて)HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に近接しているとコンピューティングシステムが判定した場合、かつ(例えば、36470におけるHCPアクセス認可の判定に基づいて)HCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界と相互作用すること、又は仮想境界に入る/出ることが認可されているとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、通知をHCPに送信することをスキップしてもよい。
【0299】
図18は、本明細書で説明されるコンピューティングシステムにおいて実行され得る、ORにおけるHCPの制御アクセス検証の例示的なフロー36500を示す。コンピューティングシステムは、図1図3に関して本明細書に記載されるような外科用ハブ20006、図4の外科用ハブシステム20060、図5のコンピュータ実装双方向外科用システム20070、図7の外科用ハブ若しくはコンピューティングデバイス20243、図9の外科用ハブ20270、図10のコンソール20294、及び/又は図11の外科用ハブ5104であってもよいか、又はそれらを含んでもよい。
【0300】
36505において、コンピューティングシステムは、外科処置に関連付けられた外科用器具を識別してもよい。例えば、本明細書に記載されるように、コンピューティングシステムは、術前処置中にHCPによって生成された手術計画をダウンロードしてもよい。コンピューティングシステムは、手術に使用される1つ又は2つ以上の外科用器具を識別し、外科処置に使用される1つ又は2つ以上の器具を識別してもよい。
【0301】
36510において、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力を検出してもよい。例えば、本明細書に記載されるように、制御入力は、外科用器具をオン/オフにしてもよく、又は外科用器具の通電状態を変更してもよい(例えば、低通電状態から高通電状態へ、又は高通電状態から低通電状態へ)。
【0302】
36515において、コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するためのHCPのアクセス制御レベルを判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、HCPが外科用器具を制御するためのアクセス制御認可を有するかどうかを判定してもよい。
【0303】
36520において、コンピューティングシステムは、HCPによって制御入力を有効にするかどうかを判定してもよい。例えば、HCPが外科用器具を制御するためのアクセス制御認可を有するとコンピューティングシステムが判定した場合、コンピューティングシステムは、外科用器具を制御するためのHCPによる制御入力を有効にしてもよい。HCPが外科用器具を制御することを認可されていない(例えば、アクセス制御認可を有していない)と判定した場合、コンピューティングシステムは、HCPによる制御入力をブロックしてもよい。
【0304】
コンピューティングシステムは、OR内の場所及び/又は制限アクセスエリアの仮想境界における曝露時間に基づいて、HCP又は機器を監視してもよい。コンピューティングシステムは、ローカル記録に基づいて、HCPがどれだけ長くORにあったか、かつ/又はデバイスがどれだけ長くORにあったかを判定してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、誰が長く電池式デバイス(ENDO)がORにセットアップされたかを判定してもよい。電池式デバイスは、いったんデバイスがセットアップされ、電池が設置されると、12時間の保管耐用期間を有してもよい。コンピューティングシステムは、電池式デバイスが保管耐用期間を超えてセットアップされている場合、電池式デバイスが最適な性能を有していない可能性があると判定してもよい。
【0305】
コンピューティングシステムは、デバイスのORにおける曝露時間を監視/判定してもよい。デバイスがセットアップされた後、デバイスが特定の耐用期間を有してもよいので、コンピューティングシステムは、例えば、デバイスを交換するために、HCPにアラートを送信してもよい。
【0306】
コンピューティングシステムは、OR内のデバイスの場所を追跡してもよい。例えば、コンピューティングシステムは、OR内かつ/又は制限アクセスエリアの仮想境界間のデバイスの移動、HCPとのデバイスの相互作用などを記録してもよい。
【0307】
以下は、特許請求され得るか、又はされ得ない付番された態様の非網羅的リストである。
態様1.コンピューティングシステムであって、
プロセッサを備え、プロセッサが、
手術室(OR)内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定すること、
OR内の医療専門家(HCP)を識別すること、OR内の識別されたHCPの移動を監視すること、
識別されたHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るためのアクセス認可を有するかどうかを判定すること、及び
HCPの監視された移動から、HCPが仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつHCPが仮想境界に入ることが認可されていないという判定に基づいて、HCPに通知を送信することであって、通知は、HCPが仮想境界に入ることが認可されていないことを示す、送信することを行うように構成されている、コンピューティングシステム。
【0308】
態様2.プロセッサが、
HCPに関連付けられたデバイスに通知を送信することであって、通知が、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの少なくとも1つを含む、送信することを行うように構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0309】
態様3.仮想境界が、外科用器具に関連付けられており、プロセッサが、
外科処置中に外科用器具に関連付けられた位置調整を検出し、
外科用器具に関連付けられた検出された位置調整に基づいて、仮想境界の場所を調整するように更に構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0310】
態様4.仮想境界が、患者に関連付けられており、プロセッサが、
外科処置中に患者の再位置決めを検出し、
患者の検出された再位置決めに基づいて、患者に関連付けられた仮想境界を調整するように更に構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0311】
態様5.HCPが、第1のHCPであり、アクセス認可が、第1のアクセス認可であり、移動が、第1の移動であり、プロセッサが、
OR内の第2のHCPを識別すること、
OR内の識別された第2のHCPの第2の移動を監視すること、
第2のHCPが、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るための部分的なアクセス認可を有すると判定することであって、部分的なアクセス認可は、条件が満たされていることに基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに入ることを可能にし、条件が、緊急事態又は第3のHCPからの認可のうちの少なくとも1つを含む、判定すること、及び
HCPの第2の移動が仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ条件が満たされたという判定に基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入ることを可能にすることを行うように構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0312】
態様6.プロセッサが、
HCPの監視された移動に基づいて、HCPが制限アクセスエリアに入ることを停止したかどうかを判定し、
HCPが制限アクセスエリアに入り続けているという判定に基づいて、OR内のディスプレイ又はOR内の他のHCPのうちの少なくとも一方に通知を送信するように構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0313】
態様7.仮想境界が、滅菌手術台、濾過システム、粒子捕捉システム、空中浮遊汚染ゾーン、麻酔科医の機器に関連付けられたエリア、又は外科医に関連付けられたエリアのうちの少なくとも1つに関連付けられている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0314】
態様8.仮想境界が、外科用器具に関連付けられており、プロセッサが、
外科処置中に外科用器具に関連付けられた通電状態を検出し、
外科用器具に関連付けられた検出された通電状態に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられた制限アクセスエリアを調整するように構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0315】
態様9.プロセッサが、
検出された通電状態が閾値レベルを上回るという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられた制限アクセスエリアを増加させ、
検出された通電状態が閾値レベル未満であるという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられた制限アクセスエリアを減少させるように構成されている、態様8に記載のコンピューティングシステム。
【0316】
態様10.プロセッサが、
外科用監視データに基づいて外科工程を識別することであって、外科工程が、現在の外科工程又は次の外科工程を含む、識別すること、及び
識別された外科工程に基づいて、仮想境界の場所を調整することを行うように構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0317】
態様11.プロセッサが、
OR内の判定された仮想境界の視覚的指示を提供するように構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0318】
態様12.プロセッサが、
外科処置中のHCPの役割、外科処置中のHCPに関連付けられた割り当て、HCPに関連付けられた個人用保護具、HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、又は制限エリアタイプのうちの少なくとも1つに基づいて、HCPのためのアクセス認可を判定するように構成されている、態様1に記載のコンピューティングシステム。
【0319】
態様13.方法であって、
手術室(OR)内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定することと、
OR内の医療専門家(HCP)を識別することと、OR内の識別されたHCPの移動を監視することと、
識別されたHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るためのアクセス認可を有するかどうかを判定することと、
HCPの監視された移動から、HCPが仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつHCPが仮想境界に入ることが認可されていないという判定に基づいて、HCPに通知を送信することと、を含み、通知は、HCPが仮想境界に入ることが認可されていないことを示す、方法。
【0320】
態様14.HCPに関連付けられたデバイスに通知を送信することを含み、通知が、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの少なくとも1つを含む、態様13に記載の方法。
【0321】
態様15.外科処置中に外科用器具に関連付けられた位置調整を検出することと、
外科用器具に関連付けられた検出された位置調整に基づいて、仮想境界の場所を調整することと、を更に含む、態様13に記載の方法。
【0322】
態様16.HCPが、第1のHCPであり、アクセス認可が、第1のアクセス認可であり、移動が、第1の移動であり、方法が、
OR内の第2のHCPを識別することと、
OR内の識別された第2のHCPの第2の移動を監視することと、
第2のHCPが、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るための部分的なアクセス認可を有すると判定することであって、部分的なアクセス認可は、条件が満たされていることに基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに入ることを可能にし、条件が、緊急事態又は第3のHCPからの認可のうちの少なくとも1つを含む、判定することと、
HCPの第2の移動が仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ条件が満たされたという判定に基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入ることを可能にすることと、を含む、態様13に記載の方法。
【0323】
態様17.外科処置中のHCPの役割、外科処置中のHCPに関連付けられた割り当て、HCPに関連付けられた個人用保護具、HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、又は制限エリアタイプに少なくとも基づいて、HCPのためのアクセス認可を判定すること、又は
HCPの監視された移動に基づいて、HCPが制限アクセスエリアに入ることを停止したかどうかを判定すること、及び
HCPが制限アクセスエリアに入り続けているという判定に基づいて、OR内のディスプレイ又はOR内の他のHCPのうちの少なくとも一方に通知を送信することを含む、態様13に記載の方法。
【0324】
態様18.仮想境界が、滅菌手術台、濾過システム、粒子捕捉システム、空中浮遊汚染ゾーン、麻酔科医の機器に関連付けられたエリア、又は外科医に関連付けられたエリアのうちの少なくとも1つに関連付けられている、態様13に記載の方法。
【0325】
態様19.仮想境界が、外科用器具に関連付けられており、方法が、
外科処置中に外科用器具に関連付けられた通電状態を検出することと、
検出された通電状態が閾値レベルを上回るという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられたエリアを増加させることと、検出された通電状態が閾値レベル未満であるという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられたエリアを減少させることと、を含む、態様13に記載の方法。
【0326】
態様20.外科用監視データに基づいて外科工程を識別することであって、外科工程が、現在の外科工程又は次の外科工程を含む、識別することと、
識別された外科工程に基づいて、仮想境界の場所を調整することと、
仮想境界の調整された場所の視覚的指示を提供することと、を含む、態様13に記載の方法。
【0327】
以下は、特許請求され得るか、又はされ得ない付番された態様の非網羅的リストである。
実施例1.コンピュータ実装方法であって、
手術室(OR)内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定することと、
OR内の医療専門家(HCP)を識別することと、
OR内の識別されたHCPの移動を監視することと、
識別されたHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るためのアクセス認可を有するかどうかを判定することと、
HCPの監視された移動から、HCPが仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつHCPが仮想境界に入ることが認可されていないという判定に基づいて、HCPに通知を送信することと、を含み、通知は、HCPが仮想境界に入ることが認可されていないことを示す、コンピュータ実装方法。
【0328】
実施例1は、手術室内などの制限エリアにアクセスすることを認可されていない識別されたHCPが、HCPが制限アクセスエリアに近接しているときに通知されることを可能にしてもよい。したがって、HCPには、手術室内の周囲の認識の改善、及び懸念される制限アクセスエリアへの進入に対する通知が提供される。制限アクセスエリアは、高エネルギーデバイスなどの機器の周りの手術ゾーン、アクセスするためにHCPの追加の役割、認証又は要件を必要とする手術室内のエリア、又は患者若しくは選択的な患者身体部分の周りに選択的に画定されたゾーンであってもよい。したがって、実施例1の構成は、手術室内の制限アクセスエリアへの認可されていないアクセスを防止する有利な効果を有する。そのような通知により、HCPは、危険な状況を回避し、手術室内の他のHCP、機器又は患者との衝突を回避し、機器に対して不用意な変更が行われることを回避し、患者、機器、他のHCP及び行われる外科処置に対する望ましくない影響を最小限に抑えるために、適切かつ迅速なアクションをとることができる。それにより、患者、機器、監視されているHCP、及び手術室内の他のHCPの安全性が確保される。更に、これらの手術では、そうでなければ、認可されていないHCPが滅菌野に偶発的にアクセスすることによって発生し得る、手術台の周りの滅菌エリアなどの手術室内の滅菌野が汚染される可能性が低くなる。したがって、手術室における感染のリスクを最小限に抑えることができる。
【0329】
実施例2.HCPに関連付けられたデバイスに通知を送信することを含み、通知が、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの少なくとも1つを含む、実施例1に記載のコンピュータ実装方法。
【0330】
実施例2の構成によれば、通知は、好適な形態で、識別されたHCPに提供されてもよい。
【0331】
実施例3.外科処置中に外科用器具に関連付けられた位置調整を検出することと、
外科用器具に関連付けられた検出された位置調整に基づいて、仮想境界の場所を調整することと、を更に含む、実施例1又は2に記載のコンピュータ実装方法。
【0332】
実施例4.仮想境界が、患者に関連付けられており、方法が、
外科処置中に患者の再位置決めを検出することと、
患者の検出された再位置決めに基づいて患者に関連付けられた仮想境界を調整することと、含む、実施例1~3のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0333】
実施例3及び4は、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界が、機器の位置の変化又は患者の再位置決めに基づいて、適応的に更新されることを可能にしてもよい。
【0334】
実施例5.HCPが、第1のHCPであり、移動が、第1の移動であり、方法が、
OR内の第2のHCPを識別することと、
OR内の識別された第2のHCPの第2の移動を監視することと、
第2のHCPが、制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入るための部分的なアクセス認可を有すると判定することであって、部分的なアクセス認可は、条件が満たされていることに基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに入ることを可能にし、条件が、緊急事態又は第3のHCPからの認可のうちの少なくとも1つを含む、判定することと、
第2のHCPの第2の移動が仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ条件が満たされたという判定に基づいて、第2のHCPが制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界に入ることを可能にすることと、を含む、実施例1~4のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0335】
実施例5によれば、HCPが制限エリアに近接していることを検出すると、それぞれのアクセス認可ステータスに基づいて、好適なアクションが選択的にとられてもよい。認可されていないHCPには通知が提供され、この通知は、制限エリアに入らないように、又はそうでなければ制限エリアと相互作用しないようにHCPに促してもよい。一方、制限アクセスエリアに関して部分的な認可を有するHCPは、所定の条件が満たされた場合に制限エリアに入ることを認可され、その条件は、緊急事態及び/又は第3のHCPからの認可(外科医又は他の認可されたスタッフからなど)である。
【0336】
実施例6.HCPのためのアクセス認可を判定することが、外科処置中のHCPの役割、外科処置中のHCPに関連付けられた割り当て、HCPに関連付けられた個人用保護具、HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、又は制限エリアタイプに少なくとも基づく、実施例1~5のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0337】
実施例6は、HCPが制限エリアにアクセスすることを認可されている(又は部分的な認可を有している)かどうかを判定するための例示的な方法を提供してもよい。
【0338】
実施例7.HCPの監視された移動に基づいて、HCPが制限アクセスエリアに入ることを停止したかどうかを判定することと、
HCPが制限アクセスエリアに入ったという判定に基づいて、OR内のディスプレイ又はOR内の他のHCPのうちの少なくとも一方に通知を送信することと、を含む、実施例1~6のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0339】
実施例7は、認可されていないHCPが制限エリアに入ったときに、好適な形態の通知が提供又は表示されることを可能にしてもよい。通知は、手術室内のHCP又は他のHCPに適切なアクションをとるように促し、それによって手術室の安全性を確保し、感染を防止する。
【0340】
実施例8.仮想境界が、滅菌手術台、濾過システム、粒子捕捉システム、空中浮遊汚染ゾーン、麻酔科医の機器に関連付けられたエリア、又は外科医に関連付けられたエリアのうちの少なくとも1つに関連付けられる、実施例1~7のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0341】
実施例9.仮想境界が、外科用器具に関連付けられている方法であり、方法が、
外科処置中に外科用器具に関連付けられた通電状態を検出することと、
外科用器具に関連付けられた検出された通電状態に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられた制限アクセスエリアを調整することと、を含む、実施例1~7のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0342】
実施例10.制限アクセスエリアを調整することが、
検出された通電状態が閾値レベルを上回るという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられたエリアを増加させること、又は
検出された通電状態が閾値レベル未満であるという条件に基づいて、外科用器具の仮想境界に関連付けられエリアを減少させることを含む、実施例9に記載のコンピュータ実装方法。
【0343】
実施例9及び10は、外科用器具の通電状態に従って、制限アクセスエリアの選択的調整を可能にしてもよい。選択的調整は、手術室内のHCP及び他のHCPの安全性に対する更なる保護手段を提供する。
【0344】
実施例11.外科用監視データに基づいて外科工程を識別することであって、外科工程が、現在の外科工程又は次の外科工程を含む、識別することと、
識別された外科工程に基づいて、仮想境界の場所を調整することと、を含む、実施例1~10のいずれか1つに記載のコンピュータ実装方法。
【0345】
実施例12.仮想境界の調整された場所の視覚的指示を提供することを含む、実施例11に記載のコンピュータ実装方法。
【0346】
制限エリア及び対応する認可は、手術中の異なる外科工程において変化してもよい。実施例11及び12は、現在の外科工程又は次の外科工程に従って、仮想境界の場所の動的調整を可能にし、提供される調整された場所の視覚的指示に基づいて、HCRが調整を通知されることを可能にしてもよい。
【0347】
実施例13.実施例1~12のいずれか1つに記載の方法を実装するように構成されたプロセッサを備える、コンピューティングシステム。
【0348】
実施例14.命令を有するコンピュータ可読媒体であって、命令は、コンピュータによって実行されるときに、実施例1~12のいずれか1つに記載の方法を実現させる、コンピュータ可読媒体。
【0349】
〔実施の態様〕
(1) コンピュータ実装方法であって、
手術室(OR)内の制限アクセスエリアに関連付けられた仮想境界を判定することと、
前記OR内の医療専門家(HCP)を識別することと、
前記OR内の識別された前記HCPの移動を監視することと、
前記識別されたHCPが前記制限アクセスエリアに関連付けられた前記仮想境界に入るためのアクセス認可を有するかどうかを判定することと、
前記HCPの監視された前記移動から、前記HCPが前記仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ前記HCPが前記仮想境界に入ることが認可されていないという判定に基づいて、前記HCPに通知を送信することと、を含み、前記通知は、前記HCPが前記仮想境界に入ることが認可されていないことを示す、コンピュータ実装方法。
(2) 前記HCPに関連付けられたデバイスに前記通知を送信することを含み、前記通知が、視覚通知、可聴通知、触覚通知、又は拡張現実通知のうちの少なくとも1つを含む、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(3) 外科処置中に、外科用器具に関連付けられた位置調整を検出することと、
前記外科用器具に関連付けられた検出された前記位置調整に基づいて、前記仮想境界の場所を調整することと、を更に含む、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(4) 前記仮想境界が、患者に関連付けられており、前記方法が、
外科処置中に前記患者の再位置決めを検出することと、
前記患者の検出された前記再位置決めに基づいて、前記患者に関連付けられた前記仮想境界を調整することと、を含む、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(5) 前記HCPが、第1のHCPであり、前記移動が、第1の移動であり、前記方法が、
前記OR内の第2のHCPを識別することと、
前記OR内の識別された前記第2のHCPの第2の移動を監視することと、
前記第2のHCPが、制限アクセスエリアに関連付けられた前記仮想境界に入るための部分的なアクセス認可を有すると判定することであって、前記部分的なアクセス認可は、条件が満たされていることに基づいて、前記第2のHCPが前記制限アクセスエリアに入ることを可能にし、前記条件が、緊急事態又は第3のHCPからの認可のうちの少なくとも1つを含む、判定することと、
前記第2のHCPの前記第2の移動が前記仮想境界に近接しているという判定に基づいて、かつ前記条件が満たされたという判定に基づいて、前記第2のHCPが前記制限アクセスエリアに関連付けられた前記仮想境界に入ることを可能にすることと、を含む、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
【0350】
(6) 前記HCPのための前記アクセス認可を判定することが、外科処置中のHCPの役割、前記外科処置中の前記HCPに関連付けられた割り当て、前記HCPに関連付けられた個人用保護具、前記HCPに関連付けられたバイオマーカ測定値、又は制限エリアタイプに少なくとも基づく、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(7) 前記HCPの前記監視された移動に基づいて、前記HCPが前記制限アクセスエリアに入ることを停止したかどうかを判定することと、
前記HCPが前記制限アクセスエリアに入ったという判定に基づいて、前記OR内のディスプレイ又は前記OR内の他のHCPのうちの少なくとも一方に前記通知を送信することと、を含む、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(8) 前記仮想境界が、滅菌手術台、濾過システム、粒子捕捉システム、空中浮遊汚染ゾーン、麻酔科医の機器に関連付けられたエリア、又は外科医に関連付けられたエリアのうちの少なくとも1つに関連付けられている、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(9) 前記仮想境界が、外科用器具に関連付けられており、前記方法が、
外科処置中に、前記外科用器具に関連付けられた通電状態を検出することと、
前記外科用器具に関連付けられた検出された前記通電状態に基づいて、前記外科用器具の前記仮想境界に関連付けられた前記制限アクセスエリアを調整することと、を含む、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(10) 前記制限アクセスエリアを調整することは、
前記検出された通電状態が閾値レベルを上回るという条件に基づいて、前記外科用器具の前記仮想境界に関連付けられた前記エリアを増加させること、又は
前記検出された通電状態が前記閾値レベル未満であるという条件に基づいて、前記外科用器具の前記仮想境界に関連付けられた前記エリアを減少させることを含む、実施態様9に記載のコンピュータ実装方法。
【0351】
(11) 外科用監視データに基づいて外科工程を識別することであって、前記外科工程が、現在の外科工程又は次の外科工程を含む、識別することと、
識別された前記外科工程に基づいて、前記仮想境界の場所を調整することと、を含む、実施態様1に記載のコンピュータ実装方法。
(12) 前記仮想境界の調整された前記場所の視覚的指示を提供することを含む、実施態様11に記載のコンピュータ実装方法。
(13) 実施態様1に記載の方法を実装するように構成されたプロセッサを備える、コンピューティングシステム。
(14) 命令を有するコンピュータ可読媒体であって、前記命令は、コンピュータによって実行されるときに、実施態様1に記載の方法を実現させる、コンピュータ可読媒体。
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【国際調査報告】