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特表2024-526032充電履歴に基づくバッテリ充電アルゴリズムの修正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】充電履歴に基づくバッテリ充電アルゴリズムの修正
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/04 20060101AFI20240709BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
H02J7/04 A
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023573341
(86)(22)【出願日】2022-06-21
(85)【翻訳文提出日】2024-01-26
(86)【国際出願番号】 US2022073055
(87)【国際公開番号】W WO2022272244
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】63/202,736
(32)【優先日】2021-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515301041
【氏名又は名称】アティエヴァ、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キムラ、ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】ナムクーン、ミン ジ
(72)【発明者】
【氏名】ルイ、ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】セナー、ハリソン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ナス、ウォーレン
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB04
5G503CB11
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5H030AA10
5H030AS08
5H030BB01
5H030FF22
5H030FF41
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF52
(57)【要約】
方法は、バッテリについての充電履歴にアクセスする段階、前記充電履歴は、予め規定された時点及び現時点の間に実行された前記バッテリの各充電セッションを識別する;前記バッテリのための充電アルゴリズムから、前記充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、修正された充電アルゴリズムを定義する段階;及び前記バッテリを充電するために、前記修正された充電アルゴリズムを適用する段階を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリについての充電履歴にアクセスする段階、前記充電履歴は、予め定められた時点及び現時点の間に実行された前記バッテリの各充電セッションを識別する;
前記バッテリのための充電アルゴリズムから、前記充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、修正された充電アルゴリズムを定義する段階;及び
前記バッテリを充電するために、前記修正された充電アルゴリズムを適用する段階
を備える方法。
【請求項2】
前記充電履歴が、低速充電又は静止期間のうちの少なくとも1つを含むときに、前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記充電アルゴリズムを強化する段階を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の開始温度又は健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの電圧又は充電の状態又はエネルギーの状態の間の関係において、増加させる段階を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記電圧又は前記充電の状態又は前記エネルギーの状態でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は右に移動させる段階を有する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの温度又は前提条件温度の間の関係において、増加させる段階を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記温度又は前記前提条件温度でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は外側に移動させる段階を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び温度について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの健全性の状態又は容量パラメータ又は年数の間の関係において、増加させる段階を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記健全性の状態又は前記容量パラメータ又は前記年数でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は右に移動させる段階を有する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリについての充電セッション時間の間の関係において、増加させる段階を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記充電セッション時間でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、総充電セッション時間がより短くなるように、前記図において、曲線の最大部分を上方又は右に移動させる段階を有する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの圧力パラメータの間の関係において、増加させる段階を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記圧力パラメータでグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は右に移動させる段階を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記充電履歴が、互いに立て続けの少なくとも2つの高速充電を含むときに、前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の開始温度又は健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの電圧又は充電の状態又はエネルギーの状態の間の関係において、減少させる段階を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記電圧又は前記充電の状態又は前記エネルギーの状態でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は左に移動させる段階を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの温度又は前提条件温度の間の関係において、減少させる段階を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記温度又は前記前提条件温度でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は内側に移動させる段階を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び温度について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの健全性の状態又は容量パラメータ又は年数の間の関係において、減少させる段階を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記健全性の状態又は前記容量パラメータ又は前記年数でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は左に移動させる段階を有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリについての充電セッション時間の間の関係において、減少させる段階を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記充電セッション時間でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、総充電セッション時間がより長くなるように、前記図において、曲線の最大部分を下方又は左に移動させる段階を有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの圧力パラメータの間の関係において、減少させる段階を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記圧力パラメータでグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は左に移動させる段階を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、前提条件付けパラメータを定義する段階;及び
前記バッテリを充電する前に、前記前提条件付けパラメータに従って、前記バッテリに前提条件付けを適用する段階
をさらに備える、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
この出願は、2021年6月22日に出願された「充電履歴に基づくバッテリ充電アルゴリズムの修正」という発明の名称である米国特許出願第63/202,736号に基づく優先権を主張し、この開示は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
この文書は、車両についての充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、バッテリのための充電アルゴリズムを修正することに関する。
【背景技術】
【0003】
今日の社会において、電気車両がより当たり前になっているため、車両を充電する異なる手法が探索されている。ほんの2つの例を挙げると、充電は、公共の場所又は私的な場所(例えば事業所)に設置された充電機器を用いて、又は車両所有者の住宅に設置された私的な充電機器を用いて行われることが可能である。通常、車載バッテリは、その電気化学電池を充電するために、それに印加される直流(DC)を有する必要がある。例えば、DCは、充電機器によって直接でも提供されることが可能である。別の例として、充電機器は、車両が車載充電器を用いてDCに変換する交流(AC)を提供することができる。充電の速度に関する異なる手法が試されてきた。いくつかのそのような手法は、バッテリの劣化に関係し得る。例えば、バッテリ劣化の増大により、バッテリはその容量を経時的に失うことになり得る。
【発明の概要】
【0004】
一態様において、方法は、バッテリについての充電履歴にアクセスする段階、前記充電履歴は、予め規定された時点及び現時点の間に実行された前記バッテリの各充電セッションを識別する;前記バッテリのための充電アルゴリズムから、前記充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、修正された充電アルゴリズムを定義する段階;及び前記バッテリを充電するために、前記修正された充電アルゴリズムを適用する段階を備える。
【0005】
実装形態は、以下の特徴のうちのいずれか又は全てを含むことができる。前記充電履歴が、低速充電又は静止期間のうちの少なくとも1つを含むときに、前記修正された充電アルゴリズムを生成する段階は、前記充電アルゴリズムを強化する段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の開始温度又は健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの電圧又は充電の状態又はエネルギーの状態の間の関係において、増加させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記電圧又は前記充電の状態又は前記エネルギーの状態でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は右に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの温度又は前提条件温度の間の関係において、増加させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記温度又は前記前提条件温度でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は外側に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び温度について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの健全性の状態又は容量パラメータ又は年数の間の関係において、増加させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記健全性の状態又は前記容量パラメータ又は前記年数でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は右に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリのための充電セッション時間の間の関係において、増加させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記充電セッション時間でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、総充電セッション時間がより短くなるように、前記図において、曲線の最大部分を上方又は右に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの圧力パラメータの間の関係において、増加させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記圧力パラメータでグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムを強化する段階は、前記図において、曲線を上方又は右に移動させる段階を有する。前記充電履歴が、互いに立て続けの少なくとも2つの高速充電を含むときに、前記修正された充電アルゴリズムを生成する段階は、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の開始温度又は健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの電圧又は充電の状態又はエネルギーの状態の間の関係において、減少させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記電圧又は前記充電の状態又は前記エネルギーの状態でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は左に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの温度又は前提条件温度の間の関係において、減少させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記温度又は前記前提条件温度でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は内側に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧及び温度について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの健全性の状態又は容量パラメータ又は年数の間の関係において、減少させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記バッテリの前記健全性の状態又は前記容量パラメータ又は前記年数でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は左に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリのための充電セッション時間の間の関係において、減少させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記充電セッション時間でグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、総充電セッション時間がより長くなるように、前記図において、曲線の最大部分を下方又は左に移動させる段階を有する。前記修正された充電アルゴリズムを定義する段階は、前記バッテリの所与の充電の開始状態又は電圧、温度、及び健全性の状態について、充電電流又は充電電力を、(i)前記充電電流又は前記充電電力、及び(ii)前記バッテリの圧力パラメータの間の関係において、増加させる段階を有する。前記関係が、図の縦軸に前記充電電流又は前記充電電力、及び前記図の横軸に前記圧力パラメータでグラフ化されているときに、前記充電アルゴリズムをディレーティングする段階は、前記図において、曲線を下方又は左に移動させる段階を有する。方法は、前記充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、前提条件付けパラメータを定義する段階;及び前記バッテリを充電する前に、前記前提条件付けパラメータに従って、前記バッテリに前提条件付けを適用する段階をさらに備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、修正された充電アルゴリズムを定義することができるシステムの一例を示す。
【0007】
図2】充電履歴の例を示す。
【0008】
図3A】充電アルゴリズムを強化又はディレーティングする例を示す。
図3B】充電アルゴリズムを強化又はディレーティングする例を示す。
図3C】充電アルゴリズムを強化又はディレーティングする例を示す。
図3D】充電アルゴリズムを強化又はディレーティングする例を示す。
図3E】充電アルゴリズムを強化又はディレーティングする例を示す。
【0009】
図4】充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、バッテリのための前提条件付けパラメータを定義することができるシステムの一例を示す。
【0010】
図5】アクセスしたマイルの関数としてのバッテリの容量維持率の例を示す。
【0011】
様々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
この文書は、次回の充電セッション中に適用されるべき充電アルゴリズムを決定する際に、車両の充電履歴を考慮するためのシステム及び技術の例を説明する。本主題は、異なる使用事例中にバッテリを保護しながら、従来の充電アルゴリズム及び方法よりも高速な充電を提供することができる。いくつかの実装形態において、本主題は、動的プロセスを通じてバッテリ充電率を最大化することができる。例えば、動的プロセスは、最近の充電履歴、現在のバッテリ条件、周囲条件、有能電力、並びにバッテリの電圧、温度、及び累積年数に基づくことが可能である。いくつかの実装形態において、本主題は、バッテリ存続期間を最大化しながら、任意の所与の開始条件において車両のための充電時間を最適化することができる。例えば、ユーザー体験は、バッテリ所有のより長い継続時間のために充電時間を短くすることによって改善されることができる。
【0013】
本主題は、最近のバッテリ履歴を反映する過渡入力に基づいて、アルゴリズムを強化又はディレーティングすることにより、温度、電圧、及び健全性の状態などの従来の入力を伴う単純な充電制御ループを増強するアルゴリズムを提供することができる。例えば、周囲及び/又は周りの条件もまた考慮され得る。最近のバッテリの履歴は、耐用年数を延ばしながら充電セッションの性能を最適化するときに、重要な影響を有し得る。本明細書において説明されるいくつかのアルゴリズムは、最近の履歴が比較的穏やかであった場合、比較的より積極的な(より高い電流/電力の)充電イベントを受容するバッテリの能力の利点を得ることができる。アルゴリズムは、バッテリを準可逆的に劣化させた場合がある最近の積極的な履歴の後に、ディレーティングした充電アルゴリズムを適用することによって、バッテリを回復させることができる。同様に、バッテリシステムの周囲条件(例えば、バッテリ管理システム(BMS:battery management system)、熱、電子機器、構造など)は、充電中にリアルタイムの影響を有し得、これにより、強化された充電アルゴリズムが可能になる。
【0014】
本明細書の例は、車両について言及する。車両は、搭乗者又は積荷、又はその両方を輸送する機械である。車両は、少なくとも1つのタイプの燃料、又は他のエネルギー源(例えば電気)を使用する1つ又は複数のモータを有し得る。車両の例は、限定されないが、車、トラック、及びバスを含む。車輪の数は、車両のタイプ間で異なり得、車輪の1つ又は複数(例えば全て)が、車両の推進のために使用され得る。
【0015】
本明細書の例は、充電、保管、及び使用中に、多数の電気化学電池を保持及び管理するように構成されている個別の構成要素であるバッテリについて言及する。バッテリは、少なくとも1つの電気化学電池を各々が保持する1つ又は複数のモジュールの形で実装されることが可能である。バッテリは、1つ又は複数の負荷(例えば電気モータ)のための唯一の動力源として意図され得、又は同じ又は異なるタイプの1つよりも多いバッテリが使用され得る。2つ又はそれよりも多いバッテリは、システム中で別個に、又はより大きなエネルギー保管ユニットの部品として実装されることが可能である。バッテリは、電気化学電池における電気エネルギーの充電、保管、及び/又は使用を管理するための制御回路を含むことができ、及び/又はバッテリは、外部の構成要素によって制御されることができる。例えば、バッテリ管理システムは、1つ又は複数の回路基板(例えばプリント回路基板)上に実装されることが可能である。本明細書において使用されるバッテリは、任意の多数のタイプのシステムに含まれることができる。いくつかの実装形態において、バッテリは、車両に含まれている。そのような車両は、バッテリ電気車両、プラグインハイブリッド車両、プラグイン燃料電池電気車両、電気車両、全電気車両、ハイブリッド電動鉛直離陸及び着陸車両、電気海上車両、e-バイク又はスクータを含むがこれに限定されない小さな電気移動式選択肢を有することができる。いくつかの実装形態において、本明細書において使用されるバッテリは、携帯用/個人用の電子機器、及び/又は他の電気機械に含まれることができる。
【0016】
本明細書の例は、電気化学電池について言及する。電気化学電池は、エネルギーを蓄え、それを使用時に送出するために、電解質及び2つの電極を含み得る。いくつかの実装形態において、電気化学電池は、再充電可能電池とすることができる。例えば、電気化学電池は、リチウムイオン電池とすることができる。いくつかの実装形態において、電気化学電池は、放電されるときにはガルバニ電池として、充電されるときには電解槽として作用することができる。電気化学電池は、電極のそれぞれに対して少なくとも1つの端子を有することができる。端子、又はその少なくとも一部分は、電解槽の一方の端部に位置付けられることが可能である。例えば、電気化学電池が円筒形状を有する場合、端子のうちの1つは、電池の端部の中心に提供されることが可能であり、円筒を形成する缶は、他の端子を構成することができ、したがってその端部にも存在することができる。角柱形状を含むがこれに限定されない、電気化学電池の他の形状が使用可能である。
【0017】
本明細書の例は、高速充電について言及する。本明細書において使用されるように、高速充電は、0.2Cよりも大きな電流に到達する充電セッションを意味し、ここで、1Cは、バッテリ全体を1時間で放電することになる電流である。
【0018】
本明細書の例は、低速充電について言及する。本明細書において使用されるように、低速充電は、0.2Cよりも小さな又はそれに等しい電流に到達する充電セッションを意味する。
【0019】
本明細書の例は、バッテリの充電履歴について言及する。本明細書において使用されるように、車両についての充電履歴は、予め規定された時点及び現時点の間に実行された車両の各充電セッションを識別する。充電履歴は、予め規定された時点に開始し現時点で終了する時間の特定の範囲を含む。いくつかの実装形態において、予め規定された時点は、過去の1日又は複数日の時間の点を指定する。ほんの数例を挙げると、予め規定された時点は、過去の10、9、8、7、6、5、4、3、又は2日、又は過去の1日であることができる。別の例として、予め規定された時点は、過去の時間のオーダーであることができる。
【0020】
本明細書の例は、バッテリの充電電流について言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの充電電流は、バッテリを充電するために印加されている又はされることになる電流を指す。バッテリを制御するシステム(例えばBMS)は、バッテリに供給される充電電流を制御することができる。例えば、BMSは、充電機器が正しい充電電流を供給するよう制御されるように、充電機器に対して充電電流を指定することができる。
【0021】
本明細書の例は、バッテリの充電電力について言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの充電電力は、バッテリを充電するために印加されている又はされることになる電力を指す。バッテリを制御するシステム(例えばBMS)は、バッテリに供給される充電電力を制御することができる。例えば、BMSは、充電機器が正しい充電電力を供給するよう制御されるように、充電機器に対して充電電力を指定することができる。
【0022】
本明細書の例は、バッテリの1つ又は複数の電圧について言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの電圧は、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数の電圧パラメータのうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、ほんの数例を挙げると、電圧は、端子電圧、開回路電圧(OCV:open-circuit voltage)、ハーフセル電圧、過電圧、分極、及び/又は任意の他の部分電圧測定値を指すことができる。
【0023】
本明細書の例は、バッテリの充電の状態(SOC:state of charge)について言及する。本明細書において使用されるように、SOCは、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数のSOCパラメータのうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、SOCは、アノードのリチウム化割合、カソードの脱リチウム化、及び/又は電池中の全電位容量又はエネルギーのうちの1つ又は複数の測定値を取り込む。
【0024】
本明細書の例は、バッテリのエネルギーの状態(SOE:state of energy)について言及する。本明細書において使用されるように、SOEは、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数のSOEパラメータのうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、SOEは、アノードのリチウム化割合、カソードの脱リチウム化、及び/又は電池中の全電位容量又はエネルギーのうちの1つ又は複数の測定値を取り込む。
【0025】
本明細書の例は、バッテリの温度について言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの温度は、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数の温度パラメータのうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、ほんの2つの例を挙げると、温度は、バッテリパックの少なくとも1つの部品の温度、及び/又は電池の内側のコアの温度を含む。
【0026】
本明細書の例は、バッテリの健全性の状態(SOH:state of health)について言及する。本明細書において使用されるように、バッテリのSOHは、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数のSOHのうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、SOHは、バッテリの現在の性能が、その寿命の開始時におけるその性能と比較してどうであるかを示す任意の測定基準を取り込む。例えば、ほんの数例を挙げると、SOHは、限定されないが、容量維持率、インピーダンス変化、OCV変化、微分容量の変化(例えばdQ/dV、ここで、dQは容量の変化であり、dVは電位の変化である)、及び/又は充電セグメント(例えば、一定の電圧充電セグメント)の継続時間の変化を含むことができる。
【0027】
本明細書の例は、バッテリの容量パラメータについて言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの容量パラメータは、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数の容量測定基準のうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、ほんの数例を挙げると、容量パラメータは、蓄積容量、蓄積エネルギー、充電サイクルの累積数、及び/又は車両の累積走行距離を含むことができる。
【0028】
本明細書の例は、バッテリの老朽化について言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの老朽化は、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数の老朽化パラメータのうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、老朽化は、バッテリのSOH、バッテリの容量パラメータ、及び/又はバッテリの暦年数を含むことができる。例えば、バッテリの暦年数は、バッテリ寿命の開始時以来の経過した時間を示す。
【0029】
本明細書の例は、バッテリの充電セッション時間について言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの充電セッション時間は、(例えば、経過した時間の量の観点での)充電セッションの計画された又は実際の継続時間を含む。
【0030】
本明細書の例は、バッテリの圧力パラメータについて言及する。本明細書において使用されるように、バッテリの圧力パラメータは、バッテリ及び/又は1つ又は複数の電気化学電池に関する多数の圧力測定基準のうちのいずれかを含むことができる。いくつかの実装形態において、ほんの数例を挙げると、圧力は、膨潤、液体の体積膨張、固体の体積膨張、(例えば電池内側の)機械的圧力、及び/又は(例えば電池内側の)ガス圧力を含む。圧力変化パラメータ(例えばΔP)は、圧力の変化(例えば圧力パラメータの変化)、及び本明細書の他の場所で述べた変数(例えば、時間の変化に関する圧力の変化)の任意の組み合わせを含むことができる。いくつかの実装形態において、圧力は、物理センサを用いて決定されることが可能である。例えば、ほんの数例を挙げると、物理圧力センサはバッテリ中の電池の中に穿刺されることが可能であり、及び/又はひずみゲージは電池の膨張を測定することができる。いくつかの実装形態において、圧力は、モデルを用いて決定されることが可能である。例えば、モデルは、バッテリ又は電池に関する1つ又は複数の特性又はパラメータを考慮し、現在の圧力パラメータの指示としてモデル出力を提供することができる。
【0031】
図1は、充電履歴102(例えば最近のバッテリ履歴)に少なくとも部分的に基づいて、修正された充電アルゴリズムを定義することができるシステム100の一例を示す。システム100は、本明細書の他の場所に記載されている1つ又は複数の他の例とともに使用することができる。いくつかの実装形態において、1つ又は複数の周囲条件104及び充電履歴102からの最近のバッテリ履歴は、リアルタイムの動的入力として、バッテリ106の強化/ディレーティングされる高速充電のための制御ループに提供されることが可能である。例えば、システム100はここで、周囲条件104への可能性のある様々な入力(例えば、湿度、温度、及び/又は電力など)、及び充電履歴102への可能性のある様々な入力(例えば、圧力、静止時間、及び/又は分極など)を示すフロー図を用いて示されている。入力は、高速充電制御ループ(例えば、この図示における下部のループ)の中に送り込まれる。充電アルゴリズムは、アルゴリズム自体を変化させることによって、及び/又は動的入力(任意選択で周囲条件と一緒に、最近のバッテリ履歴)に基づくファクタを適用することによって、強化又はディレーティングされることが可能である。
【0032】
充電履歴102は、予め規定された時点及び現時点の間で実行されたバッテリ106の各充電セッションを識別することによって、バッテリ106の最近の電池履歴を示すことができる。例えば、バッテリ106が充電されるたびに、システム100は、充電セッションの細目に関して充電履歴を更新することができる。充電履歴102及び周囲条件104は、高速充電セッションの前及び間に考慮されることになる、短期の老朽化ファクタを取り込むことができる。ほんの数例を挙げると、これらのファクタは、限定されないが、絶対圧力、時間の長さ又は累積容量(例えばΣAh)にわたる圧力、最近の充電又は放電電流の平均/2乗平均平方根、負又は正の方向に積層された分極、以前の温度、以前の温度変化、及び/又は以前の静止時間を含んでもよい。
【0033】
充電履歴102は、バッテリが最近経験した電気化学的及び物理的な変化に関する様々な入力を含むことができる。例えば、最近の履歴における長引いた静止及び穏やかなサイクルによって引き起こされる、バッテリにおける分極の緩和及びインピーダンスの減少などの電気化学変化は、強化された充電イベントのための余地を与えることができる。さらに、充電セッション前のバッテリの即座の分極及び抵抗もまた、強化又はディレーティングされた充電イベントを可能にするために、補償されることができる。分極は、1つ又は複数の個別の電池におけるイオン分極を含むことができる。いくつかの実装形態において、分極は、電池の過電圧を測定することによって検出及び/又は判定されることが可能である。過電圧はまた、所与の温度における電池のSOC及び開回路検出(OCD:open-circuit detection)に基づいて計算されることが可能である。例えば、電圧が測定されるとき、OCDは、過電圧及びしたがって分極を取得するために減算され得る。いくつかの実装形態において、分極は、経時的な電圧変化の率、dV/dtによって測定されることが可能である。例えば、静止期間前の電圧降下の率は、静止期間後の電圧降下の率と比較されて、分極の量を決定することができる。いくつかの実装形態において、分極モデルを使用することができる。
【0034】
電池内で生じる物理的な変化は、圧力の変化という結果をもたらすガス生成又はガス溶解である可能性がある。圧力の直接又は間接的な測定値、並びに電池内の圧力のオンライン/オフラインモデルは、バッテリの最近の履歴にわたって絶対及び圧力変化成長を提供する可能性がある。簡単に言うと、より低い又は減少する圧力は、強化される高速充電のための余地を示す場合があり、逆もまた同様である。他の物理的な変化は、経時的な応力/ひずみのばらつきという結果をもたらすバッテリ材料の体積変化を含む可能性があるが、これに限定されない。最近の温度履歴及び温度変化履歴は、最適な充電を知らせる可能性がある物理的な変化である。
【0035】
バッテリ106は、1つ又は複数の特性108を提供することができる。いくつかの実装形態において、特性108は、バッテリ106の1つ又は複数の動作的な態様を示すことができる。特性108は、バッテリ106の温度(T)、電圧(V)、及び/又はSOHを示すことができる。いくつかの実装形態において、SOHは、バッテリ106の1つ又は複数のセンサ読取値又は他の出力に基づいて、SOHモデル110を用いて決定されることが可能である。例えば、SOHモデル110は、いくつかの測定基準(例えば1-to-0パラメータ)下で、バッテリ106が、その寿命の開始時におけるそれ自体と比較して(例えば、その残りの放電容量の観点で)どうであるかの指示を取り込む。
【0036】
充電履歴102に少なくとも部分的に基づいて、充電アルゴリズム112を制御するために、1つ又は複数の手法が使用可能である。例えば、最も最近の充電セッションが立て続けの積極的な充電を伴っていた場合、充電アルゴリズム112のプロトコルは、安全な充電に基づいて適切にディレーティングされることが可能である。別の例として、以前の充電セッションが低速充電であった場合、次いで充電アルゴリズム112のプロトコルは強化されることが可能である。
【0037】
いくつかの実装形態において、ファクタ114は、修正された充電アルゴリズムを定義するために、充電アルゴリズム112に適用されることが可能である。ファクタ114は、強化又はディレーティングファクタと称されることができ、充電アルゴリズム112に一定の値を適用することを伴うことができる。例えば、充電アルゴリズム112のパラメータが1.0である場合、次いで、パラメータは、(例えば強化によって)1.2に、又は(例えばディレーティングによって)0.8に調節されることが可能である。いくつかの実装形態において、ファクタ114は、非線形の強化又はディレーティングファクタであることができ、又はファクタ114は、充電アルゴリズム112の1つ又は複数の態様に適用されることが可能であるとともに、他のものには、異なるファクタが適用される(又はファクタが適用されない)。
【0038】
いくつかの実装形態において、アルゴリズム116は、修正された充電アルゴリズムを定義するために、充電アルゴリズム112に適用されることが可能である。アルゴリズム116は、強化又はディレーティングアルゴリズムと称されることができ、以前の例におけるファクタを単に適用することではなく、充電アルゴリズム112をより実質的に変更することを伴うことができる。いくつかの実装形態において、充電アルゴリズムは、車両がある年数(例えば50,000マイル(80,467.2キロメートル))に到達した時点でのみ実装される場合がある。そのような車両は、少し老朽化しているので、高速すぎる充電を適用するべきではない。しかしながら、充電履歴102を考察すると、車両が1週間以上静止していたこと、及び最も最近の月に適用された充電セッションが低速充電のみであったことを判定することができる。それに応じて、この時点では、車両のために何らかの充電を推し進めることが可能な場合がある。アルゴリズム116は、次いで、充電アルゴリズム112とは異なるスキーマである修正された充電アルゴリズムを定義するように、充電アルゴリズム112を修正することができる。修正された充電アルゴリズムはまた、車両の耐用年数のより初期に車両に対して定期的に適用されていたが、以来、充電アルゴリズム112に置き換えられたスキーマであってもよい。
【0039】
手短に言えば、以前の例を参照すると、充電履歴102を考慮することによって対処される短期の老朽化ファクタは、およそ1日又は複数日のオーダーであるタイムスパン内に存在することができる。充電アルゴリズム112―又は場合によっては、修正された充電アルゴリズム―に基づくバッテリ106の機能性は、およそ秒又はそれより小さい(例えば、限定されないがミリ秒のレベルを含むほんの一瞬の)オーダーであるタイムスパン内で実行される動作に基づくことができる。最後に、(例えば、SOHモデル110に基づいて)特性108によって示されるようなSOHは、(例えば、およそ1つ又は複数の年のオーダーでの)重要な時間の期間にわたって実質的に変化しないままである状況を示すことができる。
【0040】
システム100の動作は、車両についての充電履歴(例えば充電履歴102)にアクセスすることを含む方法を実行する一例を示し、充電履歴が、予め規定された時点及び現時点の間に実行された車両の各充電セッションを識別する。方法は、充電履歴に少なくとも部分的に基づいて、修正された充電アルゴリズムを定義することを含む。修正された充電アルゴリズムは、車両のための充電アルゴリズム(例えば充電アルゴリズム112)から定義される。方法は、(例えば、システム100の下部のループの一部として)バッテリを充電するために、修正された充電アルゴリズムを適用することを含む。
【0041】
周囲条件104は、ファクタ114によって及び/又はアルゴリズム116によって考慮されることが可能である。ほんの数例を挙げると、周囲条件及び有能電力は、外部湿度、外部温度、構造温度、空気流、利用可能なパック電力、利用可能な充電器電力、及び/又は他の短期ファクタなどのリアルタイムのファクタに関する入力を含むことができる。これらのリアルタイムの条件に応じて、システムに効果的な冷却/加熱力が考察されることができる。
【0042】
図2は、充電履歴200及び202の例を示す。充電履歴200及び/又は202は、本明細書の他の場所に記載されている1つ又は複数の他の例とともに使用することができる。ここで、充電履歴200及び202のそれぞれは、縦軸に充電電流、及び横軸に(例えば日数の観点での)時間を示す図を用いて示されている。充電セッションは、グラフが横軸よりも上にあるときに生じ、放電セッションは、グラフが横軸よりも下にあるときに生じる。
【0043】
充電履歴200は、充電セッション200A及び200Bの間の長い静止時間を示す。例えば、このことは、より強化された充電電流の印加を可能にすることができ、したがって充電セッション200A~200Bのそれぞれは、強化された充電セッションである。充電履歴202は、静止時間が非常に少ない立て続けの充電シナリオを示す。例えば、強化された充電アルゴリズムは、第1の充電セッション202Aに適用されることが可能であるが、後続のセッション202B及び202Cはディレーティングされている。
【0044】
図3A図3Eは、充電アルゴリズムを強化又はディレーティングする例を示す。図3A図3Eにおけるダイアグラム300~ダイアグラム308のうちのいずれか又は全ては、本明細書の他の場所に記載されている1つ又は複数の他の例とともに使用することができる。ここでダイアグラム300~ダイアグラム308のそれぞれは、縦軸に充電電流又は充電電力、及び横軸に別の変数で示されている。
【0045】
図3Aは、縦軸の充電電流又は充電電力、及び横軸の電圧又はSOC又はSOEの間の関係を定義するダイアグラム300を示す。ダイアグラム300は、バッテリの所与の開始温度又はSOHに適用する。充電アルゴリズムを強化することは、ダイアグラム300において、曲線を上方及び/又は右に移動させることを含むことができる。例えば、矢印300Aは、上方に移動させられる曲線を概略的に示す。別の例として、矢印300Bは、上方及び右に移動させられる曲線を概略的に示す。充電アルゴリズムをディレーティングすることは、逆のやり方で行うことができる。例えば、曲線は、矢印300Aのものとは逆方向に下方に移動させられることが可能である。別の例として、曲線は、矢印300Bのものとは逆方向に下方及び左に移動させられることが可能である。アルゴリズムを強化又はディレーティングするための他の手法を使用することができる。
【0046】
図3Bは、縦軸の充電電流又は充電電力、及び横軸のバッテリの温度又は前提条件温度の間の関係を定義するダイアグラム302を示す。前提条件温度は、次回の充電セッションにおけるバッテリの意図される温度を示すことができる。ダイアグラム302は、バッテリの所与の開始SOC又は電圧及びSOHに適用する。充電アルゴリズムを強化することは、ダイアグラム302において、曲線を上方及び/又は外方側に移動させることを含むことができる。例えば、矢印302Aは、上方に移動させられる曲線を概略的に示す。別の例として、矢印302B~302Cは、外方側に移動させられる曲線を概略的に示す。充電アルゴリズムをディレーティングすることは、逆のやり方で行うことができる。例えば、曲線は、矢印302Aのものとは逆方向に下方に移動させられることが可能である。別の例として、曲線は、矢印302B~302Cのものとは逆方向に内方側に移動させられることが可能である。アルゴリズムを強化又はディレーティングするための他の手法を使用することができる。
【0047】
図3Cは、縦軸の充電電流又は充電電力、及び横軸のバッテリのSOH又は容量パラメータ又は年数の間の関係を定義するダイアグラム304を示す。ダイアグラム304は、バッテリの所与の開始SOC又は電圧及び温度に適用する。充電アルゴリズムを強化することは、ダイアグラム304において、曲線を上方及び/又は右に移動させることを含むことができる。例えば、矢印304Aは、上方及び右に移動させられる曲線を概略的に示す。充電アルゴリズムをディレーティングすることは、逆のやり方で行うことができる。例えば、曲線は、矢印304Aのものとは逆方向に下方及び左に移動させられることが可能である。アルゴリズムを強化又はディレーティングするための他の手法を使用することができる。
【0048】
図3Dは、縦軸の充電電流又は充電電力、及び横軸のバッテリのための充電セッション時間の間の関係を定義するダイアグラム306を示す。ダイアグラム306は、バッテリの所与の開始SOC又は電圧、温度、及びSOHに適用する。充電アルゴリズムを強化することは、ダイアグラム306において、曲線の最大部分307を上方及び/又は右に移動させることを含むことができる。例えば、矢印306Aは、横軸に示される総充電セッション時間がより短くなるように、上方に移動させられる最大部分307を概略的に示す。別の例として、矢印306Bは、横軸に示される総充電セッション時間がより短くなるように、右に移動させられる最大部分307を概略的に示す。充電アルゴリズムをディレーティングすることは、逆のやり方で行うことができる。例えば、曲線は、横軸に示される総充電セッション時間がより長くなるように、矢印306Aのものとは逆方向に下方に移動させられることが可能である。別の例として、曲線は、横軸に示される総充電セッション時間がより長くなるように、矢印306Bのものとは逆方向に左に移動させられることが可能である。アルゴリズムを強化又はディレーティングするための他の手法を使用することができる。
【0049】
図3Eは、縦軸の充電電流又は充電電力、及び横軸のバッテリの圧力パラメータの間の関係を定義するダイアグラム308を示す。ダイアグラム308は、バッテリの所与の開始SOC又は電圧、温度、及びSOHに適用する。充電アルゴリズムを強化することは、ダイアグラム308において、曲線を上方及び/又は右に移動させることを含むことができる。例えば、矢印308Aは、上方及び右に移動させられる曲線を概略的に示す。充電アルゴリズムをディレーティングすることは、逆のやり方で行うことができる。例えば、曲線は、矢印308Aのものとは逆方向に下方及び左に移動させられることが可能である。アルゴリズムを強化又はディレーティングするための他の手法を使用することができる。
【0050】
充電セッションのためにバッテリを準備するための前提条件付けアルゴリズムはまた、充電器における推定された条件又は最近のバッテリ履歴などの同様の動的入力を考慮することができる。図4は、充電履歴404に少なくとも部分的に基づいて、バッテリ402に対する前提条件付けパラメータを定義することができるシステム400の一例を示す。すなわち、システム400は、バッテリ402が以前どのように充電されたかを考慮することによって、バッテリ402にどのように前提条件付けするかを決めることができる。ここで、充電器における推定されたSOCは、バッテリからの典型的な入力とともに、前提条件付けループに送り込まれ、動的入力を取ることによって調節される。例えば、充電器が熱い場所にあり又は減少した利用可能な電力を有すると推定される場合、前提条件付けは、より少ない冷却電力を補償するために、意図的にバッテリをより冷たく保つ場合がある。別の例として、バッテリ圧力において最近の増強があった場合、前提条件付けは、ガス生成を軽減するために最も適した温度を選択する場合がある。システム400は、本明細書の他の場所に記載されている1つ又は複数の他の例とともに使用することができる。
【0051】
いくつかの実装形態において、(例えば、充電ステーションにおける)1つ又は複数の条件406及び充電履歴404からの最近のバッテリ履歴は、リアルタイムの動的入力として、バッテリ402の強化/ディレーティングされる前提条件付けのための制御ループに提供されることが可能である。例えば、システム400はここで、周囲条件406への可能性のある様々な入力(例えば、湿度、温度、及び/又は電力など)、及び充電履歴404への可能性のある様々な入力(例えば、圧力、静止時間、及び/又は分極など)を示すフロー図を用いて示されている。入力は、前提条件付け制御ループ(例えば、この図示における下部のループ)の中に送り込まれる。前提条件付けアルゴリズム408は、動的入力(任意選択で周囲条件と一緒に、最近のバッテリ履歴)に基づいてアルゴリズム自体を変化させることによって、強化又はディレーティングされることが可能である。例えば、車両の熱システム410は、前提条件付けアルゴリズム408に従って、バッテリ402に前提条件付けすることができる。
【0052】
バッテリ402は、1つ又は複数の特性414を提供することができる。いくつかの実装形態において、特性414は、バッテリ402の1つ又は複数の動作的な態様を示すことができる。特性414は、バッテリ402の温度(T)、電圧(V)、及び/又はSOHを示すことができる。いくつかの実装形態において、SOHは、バッテリ402の1つ又は複数のセンサ読取値又は他の出力に基づいて、SOHモデル416を用いて決定されることが可能である。例えば、SOHモデル416は、いくつかの測定基準(例えば1-to-0パラメータ)の下、バッテリ402が、その寿命の開始時におけるそれ自体と比較して(例えば、その残りの放電容量の観点で)どうであるかの指示を取り込む。
【0053】
手短に言えば、アルゴリズム412は、充電履歴404に少なくとも部分的に基づいて、前提条件付けパラメータ(例えば、充電ステーションにおけるバッテリ402の結果として生じる温度)を定義することができる。熱システム410は、バッテリが充電される前に、前提条件付けパラメータに従って、バッテリ402に前提条件付けを適用することができる。
【0054】
図5は、アクセスしたマイルの関数としてのバッテリの容量維持率の例を示す。例は、それぞれグラフ500、502、及び504に示されている。アクセスしたマイルは、サイクルあたりのエネルギーを使用することによって決定されることができ、毎サイクルは、ある量のエネルギーを与え、エネルギー及びマイルの間には直接の相関がある。グラフ500、502、及び504のうちのいずれか又は全ては、本明細書の他の場所に記載されている1つ又は複数の他の例とともに使用することができる。
【0055】
グラフ500、502、及び504は、最近のバッテリ充電履歴に焦点を合わせた初期試験を例示している。この研究のために、3つのサイクルパターンが選択された:図の中央のそれぞれの側に位置付けられた2つのセグメントを有するグラフ504に対応する立て続けの(B2B:Back-to-Back)高速充電(FC:Fast Charge);(ほぼ図の中央で終了する)グラフ502に対応する高速充電に次ぐ静止(FC-R:Fast Charge then Rest);及びグラフ500に対応する高速充電に次ぐ低速充電(FC-SC:Fast Charge then Slow Charge)。グラフ504を生成した試験の間、充電及び放電の繰り返しのパターンが中断され次いで再開されて、グラフ504の異なるセグメントによって示されるような容量維持率における回復につながった。
【0056】
グラフ500、502、及び504のそれぞれにおいて、FCプロトコルは、0%SOCから開始し、次いで、充電の最初の20分以内で65%SOCよりも多く、100%SOCまで充電された。ここで、低速充電は同じSOCウインドウに及んだが、充電及び放電は0.2Cで行われた。FC-Rにおける静止は8時間であった。図示は、研究からの電気化学結果を視覚化している。具体的には、高速充電後のディレーティングされた後続の充電は、電池の健全性を改善する。
【0057】
グラフ500、502、及び504における各点々は、1サイクル放電容量である。グラフ500、502、及び504は、電池レベルで行われた測定値を反映している。フルSOCからゼロSOCまで電池を放電することは、容量値を与える。容量値は、0-1スケールを用いて、電池についての寿命の開始時に正規化されている。グラフ500において、低速充電が高速充電よりも穏やかなので、容量は、第1から第2のデータ点まで増加している。低速充電は、200~350kW充電器ではない住宅におけるレベル2充電器への接続と同種である。
【0058】
グラフ500、502、及び504は、同様の走行距離で見ることによって解釈されることが可能である。ここで、グラフ504の102番目のサイクルは、グラフ500のサイクル92及び93とアクセスしたマイルがおよそ同じ数である。この時点では、グラフ504においてとおよそ同じ数のマイルにアクセスしたグラフ500の容量維持率は、グラフ504のものよりもかなり大きい。
【0059】
本明細書の全体を通して使用される用語「実質的に」及び「およそ」は、処理時のばらつきに起因するもの等の小さい変動を説明及び報告するために使用される。例えば、それらは、±5%未満又はそれに等しい、例えば±2%未満又はそれに等しい、例えば±1%未満又はそれに等しい、例えば±0.5%未満又はそれに等しい、例えば±0.2%未満又はそれに等しい、例えば±0.1%未満又はそれに等しい、例えば±0.05%未満又はそれに等しいことを指すことができる。また、本明細書において使用されるとき、「a」又は「an」等の不定冠詞は「少なくとも1つ」を意味する。
【0060】
上記のコンセプト、及び以下でより詳細に論述される追加のコンセプトの全ての組み合わせ(そのようなコンセプトが相互に矛盾しない限り)が、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると企図されていることを理解されたい。特に、本開示の最後に現れる特許請求される主題の全ての組み合わせが、本明細書で開示される本発明の主題の一部であると企図されている。
【0061】
複数の実装形態が説明された。しかしながら、本明細書の趣旨及び範囲から逸脱することなく、様々な修正が加えられ得ることを理解されたい。
【0062】
さらに、図に示されている論理の流れは、望ましい結果を実現するために、示されている特定の順序、又は連続した順序を必要とするものではない。さらに、他のプロセスが提供されてもよく、又は説明された流れからプロセスが排除されてもよく、説明されたシステムに他の構成要素が追加されても、又は説明されたシステムから他の構成要素が削除されてもよい。したがって、他の実装形態が以下の特許請求の範囲に記載の範囲内に属する。
【0063】
説明された実装形態の特定の特徴が本明細書に記載の通り示されてきたが、今や多くの修正、置換、変更、及び均等物が当業者に想起されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、実装形態の範囲に含まれる全てのそのような修正及び変更を包含することを意図していることが理解されるべきである。それらは限定ではなく単なる例として提示されており、形態及び詳細に様々な変更が加えられてもよいことを理解されたい。相互に排他的な組み合わせを除いて、本明細書に記載の装置及び/又は方法の任意の部分が任意の組み合わせで組み合わされてもよい。本明細書に記載の実装形態は、説明された異なる実装形態の機能、構成要素、及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は副次的組み合わせを含むことができる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
【国際調査報告】