(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】ウイルス曝露後に対象を分類するためのバイオマーカーおよび方法
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/6851 20180101AFI20240709BHJP
C12Q 1/06 20060101ALI20240709BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20240709BHJP
C12Q 1/6837 20180101ALI20240709BHJP
C07K 14/47 20060101ALN20240709BHJP
【FI】
C12Q1/6851 Z
C12Q1/06 ZNA
C12Q1/686 Z
C12Q1/6837 Z
C07K14/47
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023574570
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 GB2022051405
(87)【国際公開番号】W WO2022254221
(87)【国際公開日】2022-12-08
(32)【優先日】2021-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521244857
【氏名又は名称】プールベグ ファーマ(ユーケー) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】POOLBEG PHARMA(UK) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(72)【発明者】
【氏名】マン,アレクサンダー ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】ゲニゴールト,ガレス
(72)【発明者】
【氏名】バサル,アルナ
【テーマコード(参考)】
4B063
4H045
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA13
4B063QA19
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4B063QQ52
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4H045AA10
4H045AA30
4H045BA10
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4H045EA50
(57)【要約】
対象が、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に、疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測する方法であって、対象から得られた生物学的サンプルをバイオマーカーについて解析することと、バイオマーカーを該バイオマーカーの参照値と比較することとを含み、バイオマーカーは、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kを含む遺伝子群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むか、またはその発現レベルから導き出される方法を開示する。また、関連する予測方法、臨床試験または実地調査を行う方法、コンピュータープログラム、分類アルゴリズム、コンピューター可読媒体、およびコンピューターにより実施される方法も開示する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象が、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に、疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測する方法であって、前記対象から得られた生物学的サンプルをバイオマーカーについて解析することと、前記バイオマーカーを前記バイオマーカーの参照値と比較することとを含み、前記バイオマーカーは、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kを含む遺伝子群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むか、またはその発現レベルから導き出される、方法。
【請求項2】
前記遺伝子群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの遺伝子からなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バイオマーカーは、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2を含む第1の遺伝子サブ群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の遺伝子サブ群はPHF20の発現レベルを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の遺伝子サブ群は、APBA2およびABCA1の1つまたは両方における発現レベルをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の遺伝子サブ群は、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2の1つ、2つ、または3つにおける発現レベルをさらに含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の遺伝子サブ群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つからなる、請求項3~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記バイオマーカーは、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、およびTM9SF2を含む第2の遺伝子サブ群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の遺伝子サブ群は、NOL9、HP、およびMAXの1つ以上における発現レベルを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の遺伝子サブ群は、BST1およびMPRIPの1つまたは両方における発現レベルをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第2の遺伝子サブ群は、TM9SF2の発現レベルをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記第2の遺伝子サブ群は、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、およびTM9SF2の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つからなる、請求項8~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記バイオマーカーは、HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、およびBMP2Kを含む第3の遺伝子サブ群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項14】
前記第3の遺伝子サブ群は、HPおよびHOMER3の1つまたは両方における発現レベルを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第3の遺伝子サブ群は、EPHA4およびBMP2Kの1つまたは両方における発現レベルをさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第3の遺伝子サブ群は、NSUN6の発現レベルをさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第3の遺伝子サブ群は、HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、およびBMP2Kの1つ、2つ、3つ、4つ、または5つからなる、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記バイオマーカーは、疾患の急性症状の発症に向かう相対的な時間経過進行に関連し、前記第1の遺伝子サブ群は、疾患の急性症状の発症に向かう進行における初期段階と関連し、前記第2の遺伝子サブ群は、疾患の急性症状の発症に向かう進行における中期段階と関連し、前記第3の遺伝子サブ群は、疾患の急性症状の発症に向かう進行における後期段階と関連する、請求項3~17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記生物学的サンプルは、前記呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後の約25時間以下において前記対象から得られる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記バイオマーカーは、請求項3~7のいずれか1項に規定する第1の遺伝子サブ群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記生物学的サンプルは、前記呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後の約37~49時間において前記対象から得られる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記バイオマーカーは、請求項8~12のいずれか1項に規定する第2の遺伝子サブ群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記生物学的サンプルは、前記呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後の約49~61時間において前記対象から得られる、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記バイオマーカーは、請求項13~17のいずれか1項に規定する第3の遺伝子サブ群から選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、またはそれ以上の遺伝子の発現レベルを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記バイオマーカーは、コンピューターにおいて生成され、前記遺伝子群の1つ以上の遺伝子、または前記第1の遺伝子サブ群の1つ以上の遺伝子、または前記第2の遺伝子サブ群の1つ以上の遺伝子、または前記第3の遺伝子サブ群の1つ以上の遺伝子の発現レベルを入力変数として用いる分類アルゴリズムの出力変数を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記出力変数は数値を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記分類アルゴリズムは、前記呼吸器ウイルスに曝露された後の所定の時間に対象のグループから得られた生物学的サンプルから測定された前記遺伝子群からの1つ以上の遺伝子の発現レベルを入力変数として用いる訓練データセットから機械学習によって導き出され、前記対象のグループは、前記呼吸器ウイルスに曝露された後に疾患の急性症状を発症したかどうかに応じて2つのクラスに分けられ、前記クラス同士の間を識別する出力変数を生成するために、前記分類アルゴリズムを前記発現レベルに対して運用する、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
前記分類アルゴリズムは、一般化回帰ベースのアルゴリズムまたは決定木を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記分類アルゴリズムは、精度を優先するように構成されている、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記分類アルゴリズムは、陰性的中度(NPV)を優先するように構成されている、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記訓練データセットにおける前記グループの前記対象における疾患の前記急性症状は、前記呼吸器ウイルスに曝露された後の一連の予め設定した時間における疾患の1つ以上の症状を評価することによって判定される、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記1つ以上の症状は、日記カード、任意で視覚的アナログスコア症状日記カード(VAS)を用いて前記対象によって評価され、または任意で、カテゴリー式症状(CAT)が、改訂標準化症状スコア、例えば改訂ジャクソンスコアを用いて記録される、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記訓練データセットにおける対象の前記2つのクラスは、鼻汁、鼻づまり、咽喉痛、くしゃみ、耳痛、咳、息切れ、頭痛、倦怠感、筋肉痛、筋肉および/または関節の痛み、寒気、ならびに発熱を含む前記1つ以上の症状の前記評価に基づく1つ以上のパラメーターによって識別される、請求項31または32に記載の方法。
【請求項34】
前記第1のクラスは、総VASが25単位以上および/または総CATスコアが10単位以上を記録する対象を含む、請求項32または33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1のクラスは、症状のピークまでの総VASもしくはCATの最大変動、隔離期間における総VASもしくはCATの最大変動、または症状のピークまでの総VASもしくはCATの最も急な勾配(回帰直線の傾き)の1つ以上を示す対象を含む、請求項32~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記遺伝子群および前記遺伝子サブ群は、(i)前記ウイルスに曝露された後の一連の予め設定した時間全体にわたって、前記データ訓練セットにおける、前記対象のグループから得られた生物学的サンプルにおける発現レベルを解析すること、および、(ii)疾患の急性症状との名目的関連を示す遺伝子を同定すること、および、(iii)変数選択プロセスを用いて、前記ウイルスに曝露された後の所定の時間における発現レベルが疾患の急性症状を発症するための最大予測値を示す、同定された前記遺伝子の群を選択すること、によって選択される、請求項27~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記変数選択プロセスは、前記呼吸器ウイルスに曝露された後の前記所定の時間における同定された前記遺伝子の前記発現レベルに、勾配ブースティングプロセスを繰り返すこと、および、前記勾配ブースティングプロセスによって最も頻繁に選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの遺伝子のセットを選択することを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記バイオマーカーは、前記バイオマーカーのベースライン値と比較され、前記バイオマーカーの前記ベースライン値は、前記対象が前記呼吸器ウイルスに曝露される前、または曝露される可能性がある前に決定される、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記対象は、前記呼吸器ウイルスに曝露される、または曝露される可能性がある前または後に、医薬品を投与されている、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記対象は、呼吸器ウイルス疾患の診断テスト陽性を有している、呼吸器ウイルス疾患の症状を示す、および/または、呼吸器ウイルスに感染した少なくとも1人の他者に長時間にわたり曝露されている、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
前記対象は、請求項1~31のいずれか1項に規定する同じバイオマーカーまたは異なるバイオマーカーに対して2回以上テストされ、前記テストの1つ以上の結果が陽性である場合、前記対象は急性症状を発症することが予測されるとして示される、請求項1~40のいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
陽性結果が得られるしきい値は、2回以上の前記テストにおいて異なり、少なくとも1つのテストの前記しきい値は、偽陽性を最小にするように構成され、少なくとも他のテストの前記しきい値は、前記1つのテストよりも偽陰性を少なくするように構成されている、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が急性症状を発症することが予測される場合、前記対象に治療処置または予防処置を行うことをさらに含む、請求項1~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記処置は、抗ウイルス剤または免疫調節剤の投与を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
対象が、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に、疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測する方法であって、前記対象から得られた生物学的サンプルにおいて、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを解析することによって、前記呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に経過した時間を推定することと、前記時間において、疾患の急性症状の発症に対する最大予測値を示す、請求項1~37のいずれか1項に規定するバイオマーカーを選択することと、前記バイオマーカーを前記バイオマーカーの参照値と比較することとを含む、方法。
【請求項46】
対象のグループを呼吸器ウイルスに曝露する臨床試験または実地調査を行う方法であって、それぞれの前記対象に対して請求項1~237のいずれか1項に規定するバイオマーカーを解析することと、前記対象が疾患の急性症状を発症する可能性があるかどうかを予測するために、前記バイオマーカーを前記バイオマーカーの参照値と比較することと、疾患の急性症状を発症することが予測される対象を、前記臨床試験または実地調査の第1のサブグループに含めることとを含む、方法。
【請求項47】
前記バイオマーカーは、前記バイオマーカーのベースライン値と比較され、前記バイオマーカーの前記ベースライン値は、前記対象が前記呼吸器ウイルスに曝露される前、または曝露される可能性がある前に決定される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記第1のサブグループの対象は、疾患の急性症状を発症することが予測された後に薬剤を投与される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
インフルエンザ様疾患の急性症状を発症しないことが予測される対象を、第2のサブグループに含めることをさらに含む、請求項46~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記第2のサブグループの対象は、前記試験もしくは調査の間に薬剤を投与されない、または、前記試験もしくは調査の開始後の所定の時間に薬剤を投与される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記呼吸器ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス(HPIV)、メタニューモウイルス(HMPV)、ライノウイルス(HRV)、コロナウイルス、アデノウイルス(HAdV)、エンテロウイルス(EV)、ボカウイルス(HBoV)、パレコウイルス(HPeV)、またはインフルエンザウイルスである、請求項1~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記生物学的サンプルは血液または呼吸器のサンプルである、請求項1~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上の遺伝子の前記発現レベルは、前記生物学的サンプルにおける前記1つ以上の遺伝子のmRNA転写物を定量することによって測定される、請求項1~52のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
生物学的サンプルにおける前記mRNA転写物は、RT-qPCRなどのPCRに基づく方法、または遺伝子発現マイクロアレイ、またはRNA-seqの1つ以上によって定量される、請求項1~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
対象が、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に、疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するためのコンピュータープログラムであって、前記プログラムがコンピューターによって実行されると、前記コンピューターに請求項1~31のいずれか1項に規定するバイオマーカーを生成させる命令を含む、コンピュータープログラム。
【請求項56】
前記コンピュータープログラムは、前記バイオマーカーを前記バイオマーカーの参照値と比較する、請求項55に記載のコンピュータープログラム。
【請求項57】
前記コンピュータープログラムは、前記バイオマーカーを前記バイオマーカーのベースライン値と比較する、請求項55または56に記載のコンピュータープログラム。
【請求項58】
対象が、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に、疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するための分類アルゴリズムであって、前記分類アルゴリズムは、疾患の急性症状を発症した対象における1つ以上の遺伝子の発現レベルを解析することと、疾患の急性症状を発症しない対象における発現レベルと比較することとによって導き出され、前記1つ以上の遺伝子は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kである、分類アルゴリズム。
【請求項59】
対象における疾患の前記急性症状は、疾患の1つ以上の症状を評価することによって判定される、請求項58に記載の分類アルゴリズム。
【請求項60】
前記分類アルゴリズムは、コンピューターにより実施され、1人以上の対象からの前記1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むデータセットをコンピューターにおいて受け取ることと、前記1人以上の対象が疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するソフトウェアを前記コンピューターにおいて実行することとを含む、請求項58または59に記載の分類アルゴリズム。
【請求項61】
コンピューターによって実行されると、前記コンピューターに請求項58~60のいずれか1項に記載の分類アルゴリズムを実行させる命令を含む、コンピューター可読媒体および/またはコンピュータープログラム。
【請求項62】
対象が疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するためのコンピューターにより実施される方法であって、バイオマーカーは、呼吸器ウイルスを接種した後に疾患の急性症状を発症した対象における1つ以上の遺伝子の発現レベルを解析することと、呼吸器ウイルスを接種した後に疾患の急性症状を発症しない対象における発現レベルと比較することとによって生成され、前記1つ以上の遺伝子は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kである、コンピューターにより実施される方法。
【請求項63】
前記方法は、前記バイオマーカーをユーザーに表示するグラフィカルユーザーインターフェースを含む、請求項62に記載のコンピューターにより実施される方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象が例えばインフルエンザウイルスなどの呼吸器ウイルスに曝露されたまたは曝露された可能性があった後に、疾患の急性症状または徴候を発症するであろうかどうかを予測するためのバイオマーカーに関する。本発明は、対象が重篤なまたは合併型の形態の疾患を発症するであろうかどうかを予測するための方法を提供する。本明細書に開示するように、本発明は、バイオマーカーを分析することを含む臨床試験または実地調査を行う方法を含むが、より一般には、本発明のバイオマーカーは、例えば、呼吸器ウイルスに感染した患者を分類して、急性の徴候または症状を発症しやすく、したがって医療行為を必要とし得る人を特定するために、任意の医療または医療以外の状況において使用することができる。対象は、呼吸器疾患を処置または予防するための医薬品を投与されていることがあり、したがって、本発明のバイオマーカーは、予想される医薬品の有効性を予測するためのコンパニオン分析用製品として使用され得る。本発明はさらに、本発明のバイオマーカーを生成または利用するコンピュータープログラム、コンピューター可読媒体、コンピューターにより実施される方法および分類アルゴリズムを提供する。
【背景技術】
【0002】
急性の上気道感染症および下気道感染症は、公衆衛生上の大きな問題であり、世界的に疾病率および死亡率の主要な原因となっている。ウイルスは呼吸器疾患の主な原因であり、RNAウイルス、例えば呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、メタニューモウイルス、ライノウイルス(HRV)、およびコロナウイルスなどを含む(Hodinka,“Respiratory RNA Viruses”,Microbiol Spectr.,2016 Aug;4(4))。
【0003】
CDCの推定によると、2015~2016年の期間に米国において、インフルエンザ疾患は2,500万人、インフルエンザに関連した受診は1,100万人、インフルエンザに関連した入院は31万人、ならびに肺炎およびインフルエンザによる死亡は1万2千人であった(Rolfes et al 2016)。2003年には、インフルエンザによる経済的負担は米国だけで年間約870億ドルと推定された(Molinari et al 2007)。インフルエンザのコストは明らかに相当なものであり、インフルエンザの処置または診断のためのいかなる方法も非常に大きな価値を持つだろう。
【0004】
インフルエンザはあらゆる年齢グループに感染し、無症候性感染や軽度の呼吸器疾患から重度の呼吸器疾患、さらには死に至るまで、様々な結果を引き起こす。そのため、同じインフルエンザウイルスに曝露された様々な対象が、無症状、軽度の症状、不顕性症状であり得、急性症状を示し得、または、医療を受けること、もしくはさらに緊急入院を必要とし得る(Cox et al 1999)。さらに、無症状または不顕性である感染症の割合、それらが伝染する程度、および症状発症前に生じる排出の割合は、管理対策の潜在的な影響、および処置や薬剤投与に関する決定に関係する(Lau et al., 2010)。
【0005】
インフルエンザ、RSV、HRVの試験用の治療薬および薬剤を評価するためのヒト負荷モデルにおける現在の試験デザインは、以下のいずれかに基づく。
a 「全般的投薬(universal dosing)」-ウイルスを接種したすべての対象を、該対象が感染したかどうかに関係なく、接種後の所定の日(例えば、接種後の24時間または28時間)に全般的に処置すること。
b 「誘発性投薬(Triggered dosing)」-対象が以下のいずれか、または両方を有するときにそれらの対象のみを処置すること、
i その最初の(または確定した)PCR陽性の呼吸器サンプル(すなわち、接種後に感染が予想されるもののみを処置する)、
ii ウイルス感染の発症を示す初期の呼吸器症状。
c 「誘発性投薬+全般的投薬」(DeVincenzo et al,NEJM 2014;DeVincenzo et al,NEJM 2015)-これは、一次エンドポイントでは誘発性投薬の原則を用いるが、接種後の所定の日、例えば5日目に、まだ陽性ウイルスサンプル(または症状)を有していないいずれの対象も、その後にいずれにせよ薬剤を投与する。この場合において全般的に薬剤を投与された対象は、2つのサブ解析アプローチである、
i サブグループとしてそれら自体で、
ii 誘発サブグループと組み合わせて、解析に含めることができる。
【0006】
ヒト負荷モデルなどの研究モデルでは、重大な症状を発症するであろう人を事前に知っておくことで、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するようになり得る対象にのみ試験用の薬剤を投薬することができ得る。インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろう人を予測できる方法によって、薬剤の投与に適した対象を特定することができ得る。この投薬のためのボランティア選択方法の利点は、以下を含む。
a インフルエンザ様疾患の急性症状を示すようになるであろう人において薬剤の効果を評価することのみによって、臨床において関連する疾患の軽減を検出する能力が向上する。これは、ウイルスの排出/症状の存在、または接種したすべての人への薬剤の投与に基づいて処置を行う試験デザインとは対照的である。事前に試験に適切な対象を選択することによって、差の検出がより困難な個体群(すなわち、未感染の人、無症候性感染の人、ウイルス量が最小で軽度の感染しかない人)における薬剤の有効性評価に関連する問題を回避する。
b それによって不必要に薬剤にさらされる人が少なくなり得る。
i 薬剤の必要量が減り、製造およびコストに利点がある。
ii 急性症状を発症するであろう人にのみに処置を提供するように選択することによって、ベネフィット対リスクプロファイルを向上した処置レジームを提供する。
iii 試験用の薬剤にさらされる人を少なくすることによって、薬剤と研究との双方についてベネフィット対リスクプロファイルを向上する。
【0007】
したがって、十分な情報を得た上で処置を決定可能とし、適切なレベルの治療を行い、および/または、インフルエンザ様疾患を処置する試験用の薬剤の試験デザインを向上するために、対象がインフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測する方法が依然として必要とされている。
【0008】
Woods等による、「A Host Transcriptional Signature for Presymptomatic Detection of Infection in Humans Exposed to Influenza H1N1 or H3N2」、PLOS ONE、2013年1月、8(1):e52198は、感染症例の94%を検出できる、症候性インフルエンザのウイルス遺伝子シグネチャー(または因子)の生成について記載している。この遺伝子シグネチャーは、曝露後の29時間ほども早くに検出可能であり、臨床症状がピークに達する前の平均43時間(p=0.003、H1N1)および38時間(p値は0.005である、H3N2)で最大精度を達成すると報告されている。
【0009】
Woods等は、症状を示す前に、呼吸器ウイルスに感染した対象を特定するための方法を開示しているが、そのような方法は、個人がインフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するものではない。
【発明の概要】
【0010】
本発明は、対象が呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するためのバイオマーカーを提供し、バイオマーカーは、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に、対象から得られた生物学的サンプルにおいて測定された、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kを含む遺伝子群から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むか、またはその発現レベルから導き出される。
【0011】
本発明の文脈におけるバイオマーカーとは、生物学的状態または病態の測定可能な指標であり、特に、対象が疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するためのアウトプットである。アウトプットは数値のアウトプットでもよい。一部の実施形態において、本発明のバイオマーカーは、遺伝子群における2つ以上の遺伝子の発現レベル、または遺伝子群における少なくとも1つの遺伝子の発現レベルと、本明細書に記載するような少なくとも1つの他の因子との組合せを含む複合バイオマーカーであり得る。
【0012】
対象は、ヒトまたは非ヒト哺乳動物であり得る。
【0013】
疾患の急性症状は、本明細書に開示するように、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の症状からなり得る。
【0014】
インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状は、対象に以下の症状の4つ以上が認められ、これらの症状が、個別または組合せのいずれかにおいて、日常活動を妨げることを意味する。症状は、鼻汁、鼻づまり、咽喉痛、くしゃみ、耳痛、咳、息切れ、喘鳴、胸部絞扼感、頭痛、倦怠感、筋肉痛、筋肉および/または関節の痛み、体温上昇、寒気、ならびに発熱を含む。体温上昇は、38℃以上の体温のことであり、任意で咳とともに生じ、任意で過去8~12(例えば10)日以内に発症したものであり得る。呼吸器ウイルスの接種に関与し、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の症状を評価する、平均的なヒト負荷研究において、対象の一部は急性症状を有し、これらの対象の症状は85パーセンタイルとしてスコア化され、例えば、対象のVASまたはCATの総スコアは85パーセンタイルにあることになる。例えば、VASの総スコアが25単位以上、またはCATスコアが10単位以上であれば、急性症状に相当する。
【0015】
このように、一部の実施形態において、対象は合併型のインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患に進行しやすいと特定され得る。インフルエンザなどの合併した呼吸器疾患は、入院を必要とする疾患、ならびに/または下気道感染の症状もしくは徴候(低酸素血症、呼吸困難、肺浸潤)、中枢神経系の病変、および/もしくは基礎病態の著しい悪化を伴う疾患として定義される。
【0016】
対象が、合併したインフルエンザまたは他の呼吸器疾患などのインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症することが予測される場合、本発明に従って、対象が上述で定義したような急性症状を示すようになるであろうと予測される。対象がインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症するであろうことが予測され得るが、対象は自己回復することがあり、または、対象が急性症状を発症することを防ぐために処置がとられることがあり、例えば、薬剤が投与され得る。このように、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症することが予測される対象は、必ずインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症するわけではない。
【0017】
呼吸器ウイルスは、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、パラインフルエンザウイルス(HPIV)、メタニューモウイルス(HMPV)、ライノウイルス(HRV)、コロナウイルス、アデノウイルス(HAdV)、エンテロウイルス(EV)、ボカウイルス(HBoV)、パレコウイルス(HPeV)、インフルエンザA型およびインフルエンザB型を含むインフルエンザを含む、気道のウイルス感染症のすべてを含む。
【0018】
本発明の文脈における遺伝子群は、対象におけるインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の進行および/または転帰を予測するために、その発現レベルを解析して使用することができる、遺伝子のセットである。遺伝子サブ群は、疾患の進行における特定の段階、例えば、インフルエンザ様疾患もしくは他の呼吸器疾患の急性症状の起こり得る発症に向かう初期段階、中期段階、もしくは後期段階の進行において、または、呼吸器ウイルスの接種後もしくは曝露後の特定の時間点、例えば25時間以下(例えば13~25時間)、もしくは37~49時間、もしくは49~61時間であって、一部の実施形態において、これらの時間枠はそれぞれ初期段階、中期段階、もしくは後期段階と呼ばれることがある、時間点において、予測に用い得る遺伝子群から選択される遺伝子のセットである。一部の状況において、対象がいつ呼吸器ウイルスに曝露されたかを確定できないことがあり、さらに、一部の対象は他の対象よりも早く症状を発症するので、評価された症状に基づいて疾患進行および疾患進行の段階を推定することができる。
【0019】
特に、本発明の遺伝子群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kから選択される1つ以上の遺伝子(2つの遺伝子、3つの遺伝子、4つの遺伝子、5つの遺伝子、6つの遺伝子等を含む)を含み得る。
【0020】
一部の実施形態において、遺伝子群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kから選択される1つ以上の遺伝子(2つの遺伝子、3つの遺伝子、4つの遺伝子、5つの遺伝子、6つの遺伝子等を含む)を含む、16個以下の遺伝子(典型的に10個以下の遺伝子、およびより典型的に6つ以下の遺伝子)からなり得る。
【0021】
一部の実施形態において、遺伝子群はPHF20を含むことができる。一部の実施形態において、遺伝子群はNOL9を含むことができる。一部の実施形態において、遺伝子群はPHF20およびNOL9の両方を含むことができる。
【0022】
本発明の遺伝子群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kから選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの遺伝子からなり得る。このように、例えば、本発明の遺伝子群は、PHF20、および任意でNOL9を含む1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの遺伝子からなり得る。
【0023】
他に記載がない限り、本発明は、本発明の方法の精度、感度、または特異性をさらに向上させることが見出され得る、本明細書に具体的に開示されていない1つ以上のさらなる遺伝子を、遺伝子群内に含む可能性を排除するものではない。
【0024】
第1の遺伝子サブ群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2を含み得る。
【0025】
したがって、第1の遺伝子サブ群はPHF20の発現レベルを含み得る。第1の遺伝子サブ群は、PHF20の発現レベルに加えて、APBA2およびABCA1の1つまたは両方における発現レベルを含み得る。第1の遺伝子サブ群が、PHF20の発現レベルと、APBA2およびABCA1の1つまたは両方における発現レベルとを含む場合、第1の遺伝子サブ群は、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2の1つ、2つ、または3つにおける発現レベルをさらに含み得る。
【0026】
第1の遺伝子サブ群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つからなり得る。
【0027】
第1の遺伝子サブ群は、PHF20である1つの遺伝子からなり得る。第1の遺伝子サブ群は2つの遺伝子からなり得、その1つがPHF20であり得る。第1の遺伝子サブ群は3つの遺伝子からなり得、その1つがPHF20であり得る。第1の遺伝子サブ群は4つの遺伝子からなり得、その1つがPHF20であり得る。第1の遺伝子サブ群は5つの遺伝子からなり得、その1つがPHF20であり得る。第1の遺伝子サブ群は6つの遺伝子からなり得、その1つがPHF20であり得る。
【0028】
第1の遺伝子サブ群は2つの遺伝子からなり得、その一方がPHF20であり、他方がAPBA2およびABCA1であり得る。第1の遺伝子サブ群は、APBA2およびABCA1の1つまたは両方を伴って、PHF20を含む、3つの遺伝子からなり得る。第1の遺伝子サブ群は、APBA2およびABCA1の1つまたは両方を伴って、PHF20を含む、4つの遺伝子からなり得る。第1の遺伝子サブ群は、APBA2およびABCA1の1つまたは両方を伴って、PHF20を含む、5つの遺伝子からなり得る。第1の遺伝子サブ群は、APBA2およびABCA1の1つまたは両方を伴って、PHF20を含む、6つの遺伝子からなり得る。
【0029】
第2の遺伝子サブ群は、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、およびTM9SF2を含み得る。
【0030】
したがって、第2の遺伝子サブ群は、NOL9、HP、およびMAX(特にNOL9)の1つ以上における発現レベルを含み得る。第2の遺伝子サブ群は、HP、MAX、およびNOL9(特にNOL9)の1つ以上における発現レベルに加えて、BST1およびMPRIPの1つまたは両方における発現レベルを含み得る。第2の遺伝子サブ群が、HP、MAX、およびNOL9(特にNOL9)の1つ以上における発現レベルと、BST1およびMPRIPの1つまたは両方における発現レベルとを含む場合、第2の遺伝子サブ群は、TM9SF2の発現レベルをさらに含み得る。
【0031】
第2の遺伝子サブ群は、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、およびTM9SF2の1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つからなり得る。
【0032】
第2の遺伝子サブ群は、NOL9、HP、またはMAX(特にNOL9)である1つの遺伝子からなり得る。第2の遺伝子サブ群は2つの遺伝子からなり得、その1つまたは両方がNOL9、HP、およびMAX(特にNOL9)から選択され得る。第2の遺伝子サブ群は3つの遺伝子からなり得、その1つ、2つ、またはすべてがNOL9、HP、およびMAX(特にNOL9)から選択され得る。第2の遺伝子サブ群は4つの遺伝子からなり得、その1つ、2つ、または3つがNOL9、HP、およびMAX(特にNOL9)から選択され得る。第2の遺伝子サブ群は5つの遺伝子からなり得、その1つ、2つ、または3つがNOL9、HP、およびMAX(特にNOL9)から選択され得る。第2の遺伝子サブ群は6つの遺伝子からなり得、その1つ、2つ、または3つがNOL9、HP、およびMAX(特にNOL9)から選択され得る。
【0033】
第2の遺伝子サブ群は2つの遺伝子からなり得、その一方がNOL9、HP、またはMAX(特にNOL9)であり、他方がBST1またはMPRIPであり得る。第2の遺伝子サブ群は、BST1およびMPRIPの1つまたは両方を伴って、NOL9、HP、またはMAX(特にNOL9)の1つ以上を含む、3つの遺伝子からなり得る。第2の遺伝子サブ群は、BST1およびMPRIPの1つまたは両方を伴って、NOL9、HP、またはMAX(特にNOL9)の1つ以上を含む、4つの遺伝子からなり得る。第2の遺伝子サブ群は、BST1およびMPRIPの1つまたは両方を伴って、NOL9、HP、またはMAX(特にNOL9)の1つ以上を含む、5つの遺伝子からなり得る。第2の遺伝子サブ群は、BST1およびMPRIPの1つまたは両方を伴って、NOL9、HP、またはMAX(特にNOL9)の1つ以上を含む、6つの遺伝子からなり得る。
【0034】
第3の遺伝子サブ群は、HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、およびBMP2Kを含み得る。
【0035】
したがって、第3の遺伝子サブ群は、HPおよびHOMER3の1つまたは両方における発現レベルを含み得る。第3の遺伝子サブ群は、HPおよびHOMER3の1つまたは両方における発現レベルに加えて、EPHA4およびBMP2Kの1つまたは両方における発現レベルを含み得る。第3の遺伝子サブ群が、HPおよびHOMER3の1つまたは両方における発現レベル、EPHA4およびBMP2Kの1つまたは両方における発現レベルを含む場合、第3の遺伝子サブ群は、NSUN6の発現レベルをさらに含み得る。
【0036】
第3の遺伝子サブ群は、HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、およびBMP2Kの1つ、2つ、3つ、4つ、または5つからなり得る。
【0037】
第3の遺伝子サブ群は、HPまたはHOMER3である1つの遺伝子からなり得る。第3の遺伝子サブ群は2つの遺伝子からなり得、その1つまたは両方がHPおよびHOMER3から選択され得る。第3の遺伝子サブ群は3つの遺伝子からなり得、その1つまたは2つがHPおよびHOMER3から選択され得る。第3の遺伝子サブ群は4つの遺伝子からなり得、その1つまたは2つがHPおよびHOMER3から選択され得る。第3の遺伝子サブ群は5つの遺伝子からなり得、その1つまたは2つがHPおよびHOMER3から選択され得る。
【0038】
第3の遺伝子サブ群は2つの遺伝子からなり得、その一方がHPまたはHOMER3であり、他方がEPHA4またはBMP2Kであり得る。第3の遺伝子サブ群は、EPHA4およびBMP2Kの1つまたは両方を伴って、HPおよびHOMER3の1つまたは両方を含む、3つの遺伝子からなり得る。第3の遺伝子サブ群は、EPHA4およびBMP2Kの1つまたは両方を伴って、HPおよびHOMER3の1つまたは両方を含む、4つの遺伝子からなり得る。第3の遺伝子サブ群は、EPHA4およびBMP2Kの1つまたは両方を伴って、HPおよびHOMER3の1つまたは両方を含む、5つの遺伝子からなり得る。
【0039】
一部の実施形態において、上述の遺伝子群のいずれも、本開示の群の本質的な特徴から逸脱することなく、上術で挙げた遺伝子に加えて1~2つの遺伝子をさらに含んでもよい。
【0040】
以下の実施例に示すように、本発明に従って、対象がインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症することを予測するとして同定された遺伝子は、上術で定義したように、急性症状を発症しない対象と比べて、急性症状を示すようになる対象において、ウイルスを接種した後に、発現レベルの変化を示す。このことは、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状をより発症しやすい対象を特定する遺伝子の可能性を示している。ウイルス感染症の症状は、一部の対象では他の対象よりも早く発症するので、本発明における1つ以上の遺伝子の発現の変化は、対象が感染症の任意の症状を示す前に、急性症状を予測するものであり得るか、または、対象が感染症の最初の症状を示し始めるときとほぼ同じときにおける、急性症状の早期診断指標となり得る。
【0041】
生物学的サンプルにおける1つ以上の遺伝子の発現レベルは、遺伝子、特に哺乳動物遺伝子の発現レベルを定量するために当該技術で知られている任意の適切な方法を用いて測定することができる。一部の実施形態において、1つ以上の遺伝子の発現レベルは、生物学的サンプルにおける本発明の1つ以上の遺伝子のmRNA転写物を定量することによって測定することができる。
【0042】
好ましくは、例えばRT-qPCRなどのPCRに基づく方法を用いることができる。RT-qPCRに基づく方法の例は、米国特許第7,101,663号明細書に開示されており、その内容は参照することによって本明細書に援用される。リアルタイムPCRの利点は、使用が比較的容易で便利なことである。
【0043】
あるいは、例えば米国特許第6,040,138号明細書に開示され、その内容が参照することによって本明細書に援用される種類の遺伝子発現マイクロアレイを用いてもよく、それにおいて、生物学的サンプルから単離されたmRNA転写物由来の二本鎖cDNAを転写し、得られたcRNA転写物を断片化することによって得られる、標識された標的cRNA分子のプールを、固体担体上の特定の位置に固定された特異的配列を有するオリゴヌクレオチドプローブとハイブリダイズさせる。cRNA標的を表面結合プローブと共にインキュベートした後、アレイを洗浄し、標的の標識を用いて、アレイ上の所定の検出体にどれだけ標識が結合しているかを定量することができる。表面に結合した所定の標的cRNAの量は、対応する遺伝子の発現レベルに比例する。
【0044】
あるいは、RNA-seqがRNAの定量、発見、およびプロファイリングに用いられ得る。これは、RNAから変換したcDNAに次世代シーケンシングを用いるものである(Wang et al 2009)。
【0045】
好適には、生物学的サンプルは血液サンプルまたは呼吸器サンプルであり得る。特に、サンプルは免疫細胞を含むサンプルであり得る。
【0046】
一部の実施形態において、それぞれの1つ以上の遺伝子の発現レベルは、それぞれの参照レベルと比較することができる。参照レベルは、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を示すしきい値発現レベル、または発症する急性症状の予測値とすることができる。あるいは、参照レベルは、対象がインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症する可能性が低いことを示すベースラインの発現レベルとすることができる。1つ以上の遺伝子の発現が、それぞれのベースラインレベルに対して、例えば少なくとも1.1倍、好ましくは少なくとも1.5倍、または2倍、または3倍、または4倍、または5倍など、最大100倍まで、有意に変化すること(発現の増加または発現の減少)は、インフルエンザ様疾患もしくは他の呼吸器疾患の急性症状を示すか、または対象がインフルエンザ様疾患もしくは他の呼吸器疾患の急性症状を発症するであろうことを予測し得る。
【0047】
一部の実施形態において、方法は各遺伝子の個別の参照レベルに関与し得る。遺伝子の少なくとも1つ、好ましくは遺伝子の2つ以上の発現が、それぞれの参照レベルに対して変化することは、本発明に従って、インフルエンザ様疾患もしくは他の呼吸器疾患の急性症状を示すか、またはインフルエンザ様疾患もしくは他の呼吸器疾患の急性症状の発症を予測し得る。
【0048】
一部の実施形態において、遺伝子または各遺伝子の参照レベルは、同じ対象におけるその遺伝子について以前に測定された発現レベルであってもよい。特に、遺伝子または各遺伝子の参照レベルは、対象が例えばインフルエンザなどの呼吸器ウイルスに感染していないことが分かっている時に測定した、対象の遺伝子のベースライン発現レベルを含み得る。対象において、以前に1回を超える機会に測定された、1つ以上の遺伝子の以前の発現レベルが利用可能である場合、各遺伝子の参照レベルは、複数の以前のレベルの平均値を含み得る。
【0049】
このように、一部の状況において、対象を一度テストして、1つ以上の遺伝子のベースラインレベルを得て、これが、その後に、ウイルス感染症が疑われるまたは日常的な検査の場合に、現在の発現レベルとの比較に用いられて、対象がインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症する可能性があるかどうかを予測し得る参照レベルを形成することができる。
【0050】
呼吸器ウイルスへの曝露、または呼吸器ウイルスへの曝露の可能性は、市中感染の呼吸器ウイルス感染症への曝露、自宅において、介護施設、病院、または軍事状況内での呼吸器ウイルスへの曝露を含む、呼吸器ウイルスとの任意の接触、または接触の可能性を含む。また、曝露は、ヒト負荷モデルおよび/または臨床試験における対象への接種も含む。
【0051】
上述で説明したように、対象がいつ呼吸器ウイルスに曝露されたかを把握することはいつも可能なわけではない。さらに、様々な対象が異なる時間点で症状を示し、一部の対象は他の対象よりも早く症状を示す。したがって、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の進行は、相対的なスケールで測定することができ、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状の起こり得る発症に向かう初期段階、中期段階、または後期段階の進行と呼ぶことができる。他の状況、例えばヒト負荷モデルにおける接種後において、呼吸器ウイルスへの曝露の正確なタイミングが分かっており、曝露からの時間を時間単位で、例えば曝露後25時間以下(例えば13~25時間)を測定することが可能である。
【0052】
以下の図面および実施例において説明するように、1つ以上の遺伝子を含む単一の遺伝子群を、第1のアルゴリズムを用いて解析することができる。あるいは、遺伝子群と遺伝子サブ群の組合せを解析することができる。異なる遺伝子群および遺伝子サブ群を、例えば、同じ生物学的サンプル、または類似の、もしくは同じ時間枠内に得られたサンプルを用いて、同時に解析することができる。異なる遺伝子群および遺伝子サブ群は、第1のアルゴリズムを用いて第1の時間点で採取されたサンプルにおいて解析された第1の遺伝子群または遺伝子サブ群、および第2のアルゴリズムを用いて第2の時間点で採取されたサンプルにおいて解析された第2の遺伝子群または遺伝子サブ群、および第3のアルゴリズムを用いて第3の時間点で採取されたサンプルにおいて解析された第3の遺伝子群または遺伝子サブ群等を用いて、順次で解析することができる。
【0053】
上述したように、本発明のバイオマーカーは、遺伝子発現レベル、例えば対象の年齢を含む、多くの入力変数もしくは因子に基づくことができ、または、対象が罹患し得る他の基礎病態、例えば喘息などを、バイオマーカーを計算するために用いる変数に含めてもよい。したがって、バイオマーカーは複合バイオマーカーであり得る。バイオマーカーのアウトプットは数値でもよい。数値は、しきい値、参照レベル、ベースラインレベルを用いて決定することができ、例えば、所定の参照レベルを超える数値は、対象がインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症するであろうことを予測する。
【0054】
バイオマーカーは、コンピューターにおいて生成され得、遺伝子群の1つ以上の遺伝子、または第1の遺伝子サブ群の1つ以上の遺伝子、または第2の遺伝子サブ群の1つ以上の遺伝子、または第3の遺伝子サブ群の1つ以上の遺伝子の発現レベルを入力変数として用いる分類アルゴリズムの出力変数を含む。
【0055】
分類アルゴリズムは、該アルゴリズムが最大数の適正な予測を生成するように、精度を優先するように構成することができる。したがって、分類アルゴリズムは、真陰性である陰性テスト結果の割合である陰性的中度(NPV)を優先するように構成することができ、その目的は、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症しないと予測されたが、実際にインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症するようになる対象の数を最小にすることである。
【0056】
分類アルゴリズムは、呼吸器ウイルスに曝露された後の所定の時間に対象のグループから得られた生物学的サンプルから測定された遺伝子群からの1つ以上の遺伝子の発現レベルを入力変数として用いる訓練データセットから機械学習によって導き出され得、対象のグループは、呼吸器ウイルスに曝露された後にインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症したかどうかに応じて2つのクラスに分けられ、クラス同士の間を識別する出力変数を生成するために、分類アルゴリズムを発現レベルに対して運用する。
【0057】
対象をその症状スコアに基づいて2つ以上のクラスに分類するために、数多くの分類アルゴリズムが当業者に利用可能である。同様に、2つ以上のクラスと1つ以上の遺伝子のそれぞれの発現レベルとを含む訓練データセットを用いて、1つ以上の遺伝子のそれらの発現レベルに基づいて新たな対象を分類することができる分類アルゴリズムを導き出すために、数多くの機械学習技術が利用可能である。機械学習プロセスを用いて構築された分類アルゴリズムの性能は、当業者が1つ以上の遺伝子のそれらの発現レベルに基づいた対象の分類に最適な分類アルゴリズムを得ることができるように、1つ以上の既知の検証方法、例えば交差検証を用い、統計パラメーター(例えば精度、感度、特異度)を計算して検証することができる。
【0058】
訓練データセットにおけるグループの対象のインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状は、呼吸器ウイルスに曝露された後の一連の予め設定した時間におけるインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の1つ以上の症状を評価することによって判定することができる。1つ以上の症状は、日記カード、任意で視覚的アナログスコア症状日記カード(VAS)を用いて対象によって評価され、または任意で、カテゴリー式症状(CAT)が、改訂標準化症状スコア、例えば改訂ジャクソンスコアを用いて記録される。評価される症状は、鼻汁、鼻づまり、咽喉痛、くしゃみ、耳痛、咳、息切れ、頭痛、倦怠感、筋肉痛、筋肉および/または関節の痛み、寒気、ならびに発熱を含み得る。
【0059】
第1のクラスの対象は、総VASが25単位以上、および/もしくは総CATスコアが10単位以上を記録し得、または、症状のピークまでの総VASもしくはCATの最大変動、隔離期間における総VASもしくはCATの最大変動、もしくは症状のピークまでの総VASもしくはCATの最も急な勾配(回帰直線の傾き)の1つ以上を示し得る。
【0060】
典型的に、機械学習プロセスと得られた分類アルゴリズムとは、コンピューターを用いて実行され得る。
【0061】
遺伝子群および遺伝子サブ群は、(i)ウイルスに曝露された後の一連の予め設定した時間全体にわたって、データ訓練セットにおいて、対象のグループから得られた生物学的サンプルにおける発現レベルを解析すること、および、(ii)インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状との名目的関連を示す遺伝子を同定すること、および、(iii)変数選択プロセスを用いて、ウイルスに曝露された後の所定の時間における発現レベルがインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症するための最大予測値を示す、同定された遺伝子の群を選択すること、によって選択され得る。
【0062】
変数選択プロセスは、呼吸器ウイルスに曝露された後の所定の時間における同定された遺伝子の発現レベルに、勾配ブースティングプロセスを繰り返すこと、および、勾配ブースティングプロセスによって最も頻繁に選択される1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの遺伝子のセットを選択することを含み得る。変数選択プロセスは、添付図面の
図6に示されており、勾配ブースティングマシン(GBM;Friedman 2001;Friedman 2002)によって実行される。本発明の文脈において、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症した対象と、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状を発症しなかった対象との間の遺伝子の発現差異解析は、3次p-スプラインモデルを適用して行われた。3次スプライン解析から得られた名目的関連は、勾配ブースティングマシンを含む変数選択プロセスに入力され、反復探索が、50個の開始点(シード)を用いて行われて、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患の急性症状の発症における最良の遺伝子予測因子を決定した。
【0063】
バイオマーカーは、臨床試験において対象をグループに割り当てる、または処置決定を行うために用いられ得る。1つのサブグループに割り当てられた対象には薬剤が投与される一方、別のサブグループに割り当てられた対象には薬剤が投与されないか、または試験もしくは研究の後期になるまで薬剤が投与されない。また、バイオマーカーは、薬剤を投与した対象が呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に疾患の急性症状を発症する可能性があるかどうかを評価することによって、薬剤の有効性をモニタリングするために使用され得る。薬剤は、治療剤や、例えばワクチンなどの予防剤を含んでいてもよい。
【0064】
したがって、本発明は、対象が呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に疾患の急性症状または合併症状を発症するであろうかどうかを予測する方法であって、本発明におけるバイオマーカーを解析することと、バイオマーカーを該バイオマーカーの参照値と比較することとを含む方法を提供する。
【0065】
本発明はまた、対象のグループを呼吸器ウイルスに曝露する臨床試験または実地調査を行う方法であって、各対象に対して本発明におけるバイオマーカーを解析することと、対象が疾患の急性症状を発症する可能性があるかどうかを予測するために、バイオマーカーを該バイオマーカーの参照値と比較することと、疾患の急性症状を発症することが予測される対象を、臨床試験または実地調査の第1のサブグループに含めることと、疾患の急性症状を発症しないことが予測される対象を、第2のサブグループに含めることとを含む方法を提供する。
【0066】
上述で説明したように、本発明の方法は、バイオマーカーを該バイオマーカーの参照値または該バイオマーカーのベースライン値と比較することを含むことができる。バイオマーカーのベースライン値は、対象が呼吸器ウイルスに感染していないことが分かっている時に決定することができる。疾患は、インフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患であり得る。
【0067】
薬剤は、医学的処置に使用されるすべての物質を含み、ワクチン、薬剤、プラセボ、および試験用の薬剤、例えば、臨床試験の研究対象となる試験用の薬剤を含む。したがって、薬剤は、認可された、認可されていない、および試験用の薬剤を含む。また、薬剤は、すでに市販の承認を有しているが、異なる用途に対して、もしくは異なる方法で製剤化したときの有効性に対してテストされている、または承認された用途についてさらなる情報を得るためにテストされている製品も含む。
【0068】
また、本発明は、対象が呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に例えばインフルエンザ様疾患などの疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するためのコンピュータープログラムであって、プログラムがコンピューターによって実行されると、コンピューターに本発明におけるバイオマーカーを生成させる命令を含むコンピュータープログラムを提供する。
【0069】
本発明は、対象が呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に例えばインフルエンザ様疾患または他の呼吸器疾患などの疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するための分類アルゴリズムであって、該分類アルゴリズムは、疾患の急性症状を発症した対象における1つ以上の遺伝子の発現レベルを解析することと、疾患の急性症状を発症しない対象における発現レベルと比較することとによって導き出され、1つ以上の遺伝子は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kである、分類アルゴリズムをさらに提供する。
【0070】
本発明は、コンピューターによって実行されると、コンピューターに本発明における分類アルゴリズムを実行させる命令を含む、コンピューター可読媒体および/またはコンピュータープログラムをさらに提供する。
【0071】
また、本発明は、対象が例えばインフルエンザ様疾患などの疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測するためのコンピューターにより実施される方法であって、バイオマーカーは、呼吸器ウイルスを接種した後に疾患の急性症状を発症した対象における1つ以上の遺伝子の発現レベルを解析することと、呼吸器ウイルスを接種した後に疾患の急性症状を発症しない対象における発現レベルと比較することとによって生成され、1つ以上の遺伝子は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4、およびBMP2Kである、コンピューターにより実施される方法を提供する。
【0072】
また、本発明は、バイオマーカーをユーザーに表示するグラフィカルユーザーインターフェースを含む、コンピューターにより実施される方法を提供する。また、本発明のコンピューターにより実施される態様は、1つを超えるコンピューター、例えば異なる場所で動作する2つ以上のコンピューターによって実行され得ることも考慮される。2つ以上のコンピューターは、例えばインターネットなどのデータチャンネルを介して通信することができる。
【0073】
また、本発明は、対象が呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に疾患の急性症状を発症するであろうかどうかを予測する方法であって、対象から得られた生物学的サンプルにおいて、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、DCUN1D2、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2、HOMER3、NSUN6、EPHA4から選択される1つ以上の遺伝子の発現レベルを解析することによって、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後に経過した時間を推定することと、上述の時間において、疾患の急性症状の発症に対する最大予測値を示す、本明細書に記載するバイオマーカーを選択することと、バイオマーカーを該バイオマーカーの参照値と比較することとを含む方法を提供する。
【0074】
例えば、一部の実施形態において、経過した時間は、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後の約1日(すなわち、約23~26時間、例えば25時間)と推定することができる。その場合、選択されたバイオマーカーは、本明細書に記載する第1の遺伝子サブ群からの1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むことができる。
【0075】
経過した時間は、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後の約1.5~2日(すなわち、約37~49時間)と推定することができる。その場合、選択されたバイオマーカーは、本明細書に記載する第2の遺伝子サブ群からの1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むことができる。
【0076】
経過した時間は、呼吸器ウイルスに曝露された、または曝露された可能性があった後の約2~2.5日(すなわち、約49~61時間)と推定することができる。その場合、選択されたバイオマーカーは、本明細書に記載する第3の遺伝子サブ群からの1つ以上の遺伝子の発現レベルを含むことができる。
【0077】
また、本発明は、本発明における方法においての使用のためのキットを提供する。キットは、本明細書に記載する遺伝子群または第1、第2、もしくは第3の遺伝子サブ群からの1つ以上の遺伝子に対応する、1つ以上のヌクレオチドまたは1つ以上のペプチドの検出、任意での定量を可能にする1つ以上の試薬を含み得る。キットは、血液、血清、血漿、尿、唾液、組織生検、便、痰、皮膚、鼻、または咽頭サンプルなどだが、これらに限定されるものではない、生物学的サンプル中の、またはそれらから抽出された1つ以上の分析物を検出するためのものであり得る。キットは、ラテラルフローアッセイなどのアッセイを行うためのデバイスを含んでもよい。デバイスは、例えば(病院または他の医療施設とは対照的に)自宅において、患者が(医師の助けなしに)自主的に使用できるように構成することができる。デバイスは、毛細管流を支援することができる多孔性材料のストリップを含むことができ、サンプルを受け入れるためのゾーン、分析物を検出するための試薬を含むゾーン、検出ゾーン、およびコントロールゾーンが存在する。使用の際、試薬と分析物との反応は、検出ゾーンにおいて、例えば検出ゾーンの材料の色の変化によって検出することができる。使用の際、コントロールゾーンは、検出ゾーンにおいて検出された反応を評価するための参照部として機能し得る。デバイスは、1つを超えるテストストリップを含むことができ、例えば、デバイスは、同じまたは別個の受け入れゾーンと連通する2つ、3つ、4つ、5つ、または6つのテストストリップを含むことができる。
【0078】
上述の遺伝子についての参考文献および配列表は、本説明の末尾に記載されている。参考文献および配列表は、必然的に特定のアレルを開示するものであり、例示のためにのみ含まれていることが理解されよう。本発明は、このような特定のアレルの使用に限定されるものではなく、1つ以上の遺伝子の様々な変異体の発現産物を使用して実施することもできる。
【0079】
以下は、本発明の実施形態の添付の図面に関して例示のためのみとして記載する。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】
図1は、以下の実施例1に記載するような典型的な臨床研究において対象がどのように行程を経るかを示すチャートである。
【
図2】
図2は、感染(左)および非感染(右)の対象における総VASのピークレベルを示すグラフである。
【
図3】
図3は、VASスコアの最大変動の変化を示すグラフであり、ピーク時にインフルエンザ様疾患の急性症状を有していた4人の個体にはすべて、30単位を超える総VASの変動の変化が認められたことを示す。
【
図4】
図4は、3つの研究(hVIVO-1、Duke-1、Duke-2)にわたって感染(左)および非感染(右)の対象におけるピークのカテゴリー式スコアのピークレベルを示すグラフである。
【
図5】
図5は、研究のための調整を課した後に、より高い均質性を示す、主成分分析である。
【
図6】
図6は、勾配ブースティングマシンによって行われる変数選択プロセスを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、対象を行為(例えば、薬剤の投与、追加の臨床評価)のためのグループに割り当てるために1~3のアルゴリズムを並行して実行するシナリオを示すフロー図である。そのシナリオは、ヒトウイルス負荷モデル内、実地調査内、または対象が呼吸器ウイルスに曝露される地域社会においてである。
【
図8】
図8は、対象をヒトウイルス負荷モデル内で行為(例えば、薬剤の投与、追加の臨床評価)のためのグループに割り当てるために各遺伝子アルゴリズムを順次で用いるシナリオを示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0081】
実施例1
以下に記載するように、3つの別個の研究における対象は、隔離期間中のそのピーク症状のスコアに基づいて、インフルエンザ様疾患の急性症状を示した対象のサブセットを含むと判定された。
【0082】
方法
トランスクリプトミクス解析を行うため、接種後の隔離期間全体にわたってAffymetrix(登録商標)HG-U133 Plus 2.0マイクロアレイを用いた。インフルエンザ様疾患の急性症状を発症した対象と、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症しなかった対象との間の発現差異解析を、3次p-スプラインモデルを適用して行った。3次スプライン解析から得られた名目的関連を変数選択プロセスに入力し、接種後の1日目の朝、2日目の朝、および2日目の夜におけるインフルエンザ様疾患の急性症状の6つの最良の遺伝子予測因子を決定した。これらの遺伝子は、ウイルスへの曝露後の様々な時間でモデル内においてインフルエンザ様疾患の急性症状を発症した対象と、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症しなかった対象とを識別するために用いることができた。
【0083】
この解析では、3つの別個の研究からのデータを組み合わせており、その最大のものはhVIVOによって実施され(hVIVO-1)、一般に公開されている2つの研究もデューク大学医療センターのhVIVO負荷モデルで実施された(Duke-1(Zaas et al 2009)およびDuke-2(Woods et al 2013):GEOではGSE52428として索引付けされ、一般に公開されている)。
【0084】
表1は、各研究について、用いたウイルス、対象の数、用いたマイクロアレイプラットフォーム、PaxGene血液サンプルを採取した時間点、症状を測定するために日記カードで用いた方法(VAS=視覚的アナログスケール、CAT=改訂ジャクソンスコア/カテゴリー式)、1日に得た日記カードの数、およびインフルエンザ感染を確認するために用いた方法を示す。
【表1】
【0085】
hVIVO-1では、60人の健康なボランティアにインフルエンザA型 H3N2 Perth/16/2009を鼻腔内接種し、そのうち27人をこの解析に用いた。Duke-1では、17人の健康なボランティアにインフルエンザA型 H3N2 A/Wisconsin/67/2005を鼻腔内接種した。Duke-2では、24人の健康なボランティアにインフルエンザA型 H1N1 A/Brisbane/59/2007を鼻腔内接種した。すべてのボランティアがインフォームドコンセントに同意し、登録前に詳細な検診を受け(
図1)、使用したインフルエンザ株に対して相当なベースライン抗体を有する人は除外した。約48時間の隔離後(研究の0日目の正午頃)、標準的なピペッティング方法を用いて、対象の両側鼻孔に所定用量のインフルエンザA型を滴下した。ボランティアは、隔離から退院するまで、そして各経過観察受診時に、臨床測定およびサンプルの採取を受けた。
【0086】
hVIVO-1では、60人の対象のうちの33人が接種後に感染し(ウイルス排出の確認によって証明)、25人は感染していないと特定され、2人は不確定であった。最初の27人に接種し、各対象の全サンプルを遺伝子マイクロアレイアッセイ用に送った後に、中間解析を行った。27人の対象のうちの1人は隔離を完了しなかったため、解析から除外した。有効なマイクロアレイデータを有する26人の対象のうち、13人が感染確認として、11人が感染していないとして特定され、2人は不確定であった。
【0087】
Duke-1では、17人の対象のうちの9人が接種後に感染し(ウイルス排出の確認によって証明)、8人が感染していないとして特定された。4つの希釈(6.41TCID50/mL、5.25TCID50/mL、4.41TCID50/mL、および3.08TCID50/mL)を使用し、4~5人の対象に各用量を投与した。
【0088】
Duke-2では、24人の対象のうちの9人が接種後に感染し(ウイルス排出の確認によって証明)、15人が感染していないとして特定された。4つの希釈(2.35TCID50/mL、1.8TCID50/mL、1.25TCID50/mL、および1.4TCID50/mL)を使用し、4~6人の対象に各用量を投与した。1人の対象を二次感染により除外した。
【0089】
対象は、hVIVO研究における上皮被覆液からの定性的ウイルス培養および定量的インフルエンザRT-PCRデータに基づいて、インフルエンザ感染が確認された。上皮被覆液を、鼻咽頭のFLOQスワブから1日2回採取した(1日目の朝から開始、最初のサンプルは接種後の約20時間)。鼻腔採取を隔離期間にわたって続けた。Dukeの研究では、対象の感染状態をWoods等、2013年から入手した。
【0090】
対象は、隔離期間にわたって1日3回、カテゴリー式および連続式(視覚的アナログスケール、VAS)の症状日記カードにおいて、その症状を自己評価した。カテゴリー式症状は、改訂標準化症状スコアを用いて記録された。改訂ジャクソンスコアでは、対象は、上気道症状(鼻汁、鼻づまり、咽喉痛、くしゃみ、および耳痛)、下気道症状(咳、および息切れ)、ならびに全身症状(頭痛、筋肉痛、および筋肉および/または関節の痛み)からなる10個の症状を、「症状なし」、「気になる程度」、「気になるが活動できる」、および「気になって日常活動ができない」の0~3のスケールにおいて順位付けする必要がある。hVIVO-1では、10個の症状に加え、喘鳴、および寒気/発熱を含んだ。さらに、安静時息切れおよび安静時喘鳴も、これらの症状のみのためにグレードを追加して記録した(グレード4=安静時症状)。VAS症状を10cmの線に沿って測定し、単位はmmとした。
【0091】
どの対象が有意な症状を有すると考えられるかを決定するために、最初にhVIVO-1においてカテゴリー式スコアと並行して記録されたVASデータを用いて対象を特定した。hVIVO-1の評価可能なすべての58人の参加者に対して、隔離期間中の各時間点における総VASスコアを計算した。ピークVASスコアを各参加者に対して決定し、非感染の個体の範囲は0~20単位であることが観察された。しかしながら、感染者のなかでも、4人の個体において総VAS>25単位を認めた(
図2)。4人の個体は、症状のピークまでの総VASの最大変動、隔離期間における総VASの最大変動、症状のピークまでの総VASの最も急な勾配(回帰直線の傾き)というさらなる点で他の参加者と識別することができた。
【0092】
この4人を隔離の早期に特定できたかどうかという疑問を解決するため、隔離期間における変動および変動の変化の区分での推定を計算した。
【0093】
VASスコアの最大変動の変化を示すグラフであり、ピーク時に最も重篤な症状を有していた4人の個体にはすべて、30単位を超える総VASの変動の変化が認められることが観察された。残りの個体の最大変動変化は25単位未満であった。さらに、この変化は、4例のうち3例で症状のピークの前である、時間点2である2日目において一貫して観察された(表2)。
【表2】
【0094】
Duke-1およびDuke-2を解析に含める際、Duke-1およびDuke-2ではVASが利用できなかったので、カテゴリー式症状スコアに使用するために、重症度スコアを適応させる必要があった。VASについて行ったもの(上述)と同様の解析を、今度は3つの研究について、カテゴリー式症状スコアにおいて行った。3つの研究にわたって、11人の個体が10単位以上の総カテゴリー式スコアのピークを有することが観察された(マイクロアレイデータを有する10人の対象)。これらには、すでに述べたhVIVO-1の4人の構成員が含まれた。また、H1N1研究からは4人の個体、H3N2研究からは3人の個体がこのしきい値を超えた(
図4)。VASのように、カテゴリー式スコアの変動の急激な変化は、インフルエンザ様疾患の急性症状と関連していた。
【0095】
所定の間隔で、血液をRNA PAXGene(登録商標)採取管に採取した。これは、-1日目、播種の日の朝(接種前の約5時間)に1回行われ、その後、残りの隔離期間に、hVIVO-1およびDuke-2では12時間ごとに、Duke-1では8時間ごとに行われた。
【0096】
3つの研究すべてにおいて、マイクロアレイにはGeneChip(登録商標)Human Genome U133A 2.0 Array(Affymetrix,Santa Clara,CA)を使用した。Dukeの両研究のマイクロアレイデータは、両研究を網羅したLiu等、2016年から入手した。公開データは、hVIVO-1で利用可能な54,675個のプローブセットのサブセットである22,277個のプローブセットを含んでいた。
【0097】
主成分分析(PCA)は、3つのトランスクリプトミクスデータセットが系統的に異なることを示した(
図5)。直接的なプーリングは偽りの結果を招き得るとの結論になった。したがって、研究のための調整を、トランスクリプトミクスの測定値およびPCAの繰り返しに適用した(
図5)。
【0098】
情報価値のないプローブセットを除外するために、2つのグループ、すなわち重度と非重度とを考慮した。各グループの各分子に対して、経時の変動および個体間の変動を反映したフィルター比を計算した。推奨されたしきい値のもとで、13,806個のプローブセットが少なくとも1つのグループにおいて情報価値があり、さらに検討された。
【0099】
インフルエンザ様疾患の急性症状を発症した対象(n=10)と、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症しなかった対象(n=56)との間の発現差異解析を、3次p-スプラインモデルを適用して行った(Straube et al)。グループ×時間の交互作用の検定を適用し、合計1052個の転写物が偽発見率(FDR)の調整後にq<0.05を示した(Benjamini et al 1995)。
【0100】
分子シグネチャーを構築するために、3次p-スプライン解析から得られた名目的関連を変数選択プロセスに入力して、接種後の3つの時間点、つまり1日目、2日目の朝、および2日目の夜(それぞれ接種後約13~25時間、37~49時間、および49~61時間)におけるインフルエンザ様疾患の急性症状の発症における最良の予測因子を決定した。
【0101】
変数選択は勾配ブースティングマシン(GBM;Friedman 2001;Friedman 2002)によって行われ、最良の結果を得るために、選択される分子の数を6つに制限した。
図6はその後のプロセスを示す。
【0102】
ロジスティック回帰を適用して、選択された変数の予測モデル(シグネチャーまたは遺伝子群または遺伝子サブ群)を作成した。シグネチャーの性能(感度、特異度、陽性的中度、および陰性的中度)を、モデルが基づいている時間点と、考慮される他のすべての時間点において決定した。感度は、テスト結果が陽性となる場合の割合である。特異度は、テスト結果が陰性となる場合の割合である。陽性適中度(PPV)は、テスト結果が陽性であるうち、真陽性である割合である。陰性的中度(NPV)は、テスト結果が陰性であるうち、真陰性である割合である。AUC(受信者動作特性(ROC)曲線下面積)を決定した。
【0103】
1日目(午前)のシグネチャー
表3は勾配ブースティングによって選択された変数を示し、表4はロジスティック回帰から得たシグネチャーを示し、最後に、表5は考慮されるすべての時間点におけるテスト性能特性を示す。1日目のデータでは、シグネチャーまたは遺伝子サブ群は良好な結果を示す(AUC>0.80)ことが見てとれる。
【0104】
このシグネチャーまたは遺伝子サブ群は、PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2遺伝子を含む。
表3は、1日目(午前)に選択された変数を示す。
【表3】
表4は、1日目(午前)のシグネチャーを示す。
【表4】
表5は、1日目(午前)のシグネチャーのテスト性能を示す。
【表5】
【0105】
2日目(午前)のシグネチャー
表6は勾配ブースティングによって選択された変数を示し、表7はロジスティック回帰から得たシグネチャーを示し、最後に、表8は考慮されるすべての時間点におけるテスト性能特性を示す。2日目(午前)において、シグネチャーは良好な結果を示す。
【0106】
このシグネチャーまたは遺伝子サブ群は、MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、TM9SF2遺伝子を含む。
表6は、2日目(午前)に選択された変数を示す。
【表6】
表7は、2日目(午前)のシグネチャーを示す。
【表7】
表8は、2日目(午前)のシグネチャーのテスト性能を示す。
【表8】
【0107】
2日目(午後)のシグネチャー
表9は勾配ブースティングによって選択された変数を示し、表10はロジスティック回帰から得たシグネチャーを示し、最後に、表11は考慮されるすべての時間点におけるテスト性能特性を示す。
【0108】
このシグネチャーまたは遺伝子サブ群は、HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、BMP2K遺伝子を含む。
表9は、2日目(午後)に選択された変数を示す。
【表9】
表10は、2日目(午後)のシグネチャーを示す。
【表10】
表11は、2日目(午後)のシグネチャーのテスト性能を示す。
【表11】
【0109】
遺伝子サブ群が同定されると、対象がインフルエンザ様疾患の急性症状を発症するようになるかどうかを良好に予測するために必要な遺伝子の最小数を決定することができた。AUC値が0.8以上であれば、対象がインフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろうことが良好に予測される。相対的な影響が最も低いパラメーターを考慮から外し、更新したシグネチャーを導き出した。更新されたモデルに対して、モデル性能(感度、特異度、PPV、およびNPV)を導き出した。ROC曲線を作成し、AUCを集計した。さらにモデルパラメーターを、相対的な影響の大きい順に順次外した。このようにして、異なる時間点における5つ、4つ、3つ、2つ、および1つの遺伝子に基づくシグネチャーに対して、モデル性能を決定した(表12~表14)。1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、または6つの遺伝子のいずれも、インフルエンザ様疾患の急性症状の発症を予測し得ることが見てとれる。
表12は、1日目午前のアルゴリズム性能のAUC値を示す。
【表12】
表13は、2日目午前のアルゴリズム性能のAUC値を示す。
【表13】
表14は、2日目午後のアルゴリズム性能のAUC値を示す。
【表14】
【0110】
実施例2
個体のグループをヒトウイルス負荷モデルに動員し、呼吸器ウイルスを接種する。インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するように進行であろう対象を事前に特定し、これらの対象に試験用または認可された薬剤(薬剤/ワクチン/プラセボ)を最も早い時期に選択的に投薬できるようにすることは有益である。これにより、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろう/発症したであろう個体において薬剤の効果を評価することのみによって、臨床において関連する、薬剤に対する疾患の軽減を検出する能力が向上することとなる。また、これにより、対象が試験用の薬剤に不必要に曝露されることを減少することにもなる。また、これにより、必要な薬剤の量も減少することになる。
【0111】
呼吸器ウイルス、特にインフルエンザを用いたヒト負荷研究において試験用の薬剤の有効性を評価するための適格性について、ボランティアを検査する。
【0112】
適格なボランティアがクリニックに到着し、ウイルスに曝露する(例えば、接種)前に、ベースラインサンプルおよび臨床測定を行う。ベースライン値は、接種前に様々な時間点において1つ以上の血液サンプルを用いて得られる。
【0113】
血液サンプルは、ウイルス曝露の前後に定期的に、その疾患の臨床測定と並行して、行われる(例えば、paxgeneのRNAサンプルを1日に2回、3回、またはそれ以上)。
【0114】
特定の遺伝子群およびサブ群の発現レベルを、paxgeneの血液からリアルタイムで測定する。実施例1のように、転写物の発現を測定するために用いたAffymetrix HG-U133 Plus 2.0マイクロアレイチップを使用して、血液を遺伝子発現について評価する。RMAバックグラウンド補正および分位正規化を用いて、マイクロアレイデータを前処理した。所与の時間点における各遺伝子の絶対値を用いることもでき、またあるいは、ベースライン遺伝子レベルを得て利用可能である場合に、ウイルス曝露後の遺伝子レベルを各対象においてベースライン正規化することもできる(すなわち、その遺伝子もしくは遺伝子群もしくは遺伝子サブ群について、対象のベースライン発現レベルと比較する)。
【0115】
どの個体がインフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろうかを特定するために、3つの別個の遺伝子サブ群を用いることができる(すなわち、3つのアルゴリズム)。
a.3つの遺伝子サブ群は以下のとおりである。
i.サブ群A:PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2
ii.サブ群B:MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、およびTM9SF2
iii.遺伝子サブC:HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、およびBMP2K
【0116】
ある場合では、異なる遺伝子サブ群が異なる時間点において用いられる(
図8、サブ群A、続いてサブ群B、続いてサブ群C)。あるいは、サブ群を順次で用いる代わりに、1つ、2つ、または3つの遺伝子サブ群を同時に使用し(
図7)、接種後のいくつかの時点で繰り返してもよい。
a.両方の手法において、いずれかのテストにおいて陽性結果であれば、直ちに対象に試験用の薬剤(薬剤/ワクチン/プラセボ)の投与を開始する。
b.あるいは、2つの陽性結果または3つの陽性結果が投与を開始するために必要となる。
【0117】
各遺伝子サブ群に対して、陽性結果が得られるしきい値を変更することによって、ストリンジェンシーを変えることができる。例えば、遺伝子サブ群1のしきい値を、よりストリンジェントに設定して、偽陽性を避けることができる。また遺伝子サブ群2をより低いストリンジェンシーで設定し、遺伝子サブ群3をさらに低いストリンジェンシーで設定して、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろうすべての対象をできるだけ早くに特定して投薬する見込みを高める。
【0118】
遺伝子サブ群の使用に加えて、結果を、対象が試験に関連する呼吸器ウイルス感染症を有していることを確認する診断テスト(例えば、ウイルステスト)と組み合わせることができる。
【0119】
遺伝子サブ群の使用に加えて、結果を症状の変動/勾配の変化の測定と組み合わせることができる。
【0120】
薬剤の投与と並行して開始することができる他の行為は、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症することが予測される人の観察/サンプル/測定を増やすこと、またはインフルエンザ様疾患の急性症状を発症しないことが予測される人の観察/サンプル/測定を減らすことを含む。
【0121】
本発明を試験デザインの意思決定の一部として用いることによって、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症する可能性が最も高い対象のみを、試験用の薬剤の有効性のための統計解析に含み、これには上述のような利点がある。
【0122】
一部の場合では、アルゴリズムが陽性テスト結果を報告しない場合、曝露または接種後の所定の時間点(例えば4日目)において、対象に投薬することができる。これらの対象は、解析のためのさらなるサブグループを形成する。
【0123】
実施例3
個体のグループを有効性の実地調査に動員し、呼吸器ウイルス、特にインフルエンザを地域社会において感染させる。曝露の後、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろう対象を事前に特定し、これらの対象に試験用または認可された薬剤(薬剤/ワクチン/プラセボ)を最も早い時期に選択的に投薬できるようにすることは有益であり得る。これにより、インフルエンザ様疾患の急性症状を示すようになるであろう個体において薬剤の効果を評価することのみによって、臨床において関連する疾患の軽減を検出する能力が向上し得る。これにより、対象が試験用の薬剤に不必要に曝露されることを減少し、必要な薬剤の量を減らし得る。
【0124】
この例では、呼吸器ウイルス、特にインフルエンザに対する臨床実地試験において試験用の薬剤の有効性を評価するための適格性について、ボランティアを検査している。
【0125】
適格なボランティアがクリニックに到着し、研究に登録する際にベースラインサンプルおよび臨床測定を行う。ベースライン値は、登録後かつ地域社会において呼吸器ウイルス感染症に罹患する前の様々な時間点における1つ以上の血液サンプルを用いて得られ得る。
【0126】
血液サンプル(例えば、paxgeneのRNAサンプルを1日に2回、3回、またはそれ以上)を、呼吸器感染症を有する家庭内接触者からウイルスに曝露された後、または、呼吸器疾患の初期症状を示した後に、採取する(試験対象は、これらの症状を記録する研究用質問票/症状日記カードを使用している場合もあれば、使用していない場合もある)。
【0127】
特定の遺伝子サブ群を、実施例1および2に記載された方法を用いて、paxgeneの血液においてリアルタイムで測定する。所与の時間点における各遺伝子の絶対値を用いることもでき、またあるいは、ベースライン遺伝子レベルを得て利用可能である場合に、ウイルス曝露後の遺伝子レベルを各対象においてベースライン正規化することもできる(すなわち、ベースラインと比較する)。
【0128】
どの個体がインフルエンザ様疾患の急性症状を有するように進行するであろうかを特定するために、3つの別個の遺伝子サブ群を用いることができる(すなわち、3つのアルゴリズム)。
a.3つの遺伝子サブ群は以下のとおりである。
i.サブ群A:PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2
ii.サブ群B:MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、およびTM9SF2
iii.遺伝子サブC:HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、およびBMP2K
【0129】
ある場合では、1つ、2つ、または3つの遺伝子サブ群を同時に使用し(
図7)、経時でいくつかの時点で繰り返してもよい。
a.いずれかのテストにおいて陽性結果であれば、直ちに対象に試験用の薬剤(薬剤/ワクチン/プラセボ)の投与を開始する。
b.あるいは、2つの陽性結果または3つの陽性結果が投与を開始するために必要となる。
【0130】
各遺伝子サブ群に対して、陽性結果が得られるしきい値を変更することによって、ストリンジェンシーが変わり得る。例えば、遺伝子サブ群1のしきい値を、よりストリンジェントに設定して、偽陽性を避けることができる。また遺伝子サブ群2をより低いストリンジェンシーで設定し、遺伝子サブ群3をさらに低いストリンジェンシーで設定して、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するであろうすべての対象をできるだけ早くに特定して投薬する見込みを高める。
【0131】
遺伝子サブ群の使用に加えて、結果を、対象が試験に関連する呼吸器ウイルス感染症を有していることを確認する診断テスト(例えば、ウイルステスト)と組み合わせることができる。
【0132】
遺伝子サブ群の使用に加えて、症状日記カードを使用する場合に、結果を症状の変動/勾配の変化の測定と組み合わせることができる。
【0133】
薬剤の投与と並行して開始することができる他の行為は、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症するようになることが予測される人の観察/サンプル/測定を増やすこと、またはインフルエンザ様疾患の急性症状を発症しないことが予測される人の観察/サンプル/測定を減らすことを含む。
【0134】
本発明を試験デザインの意思決定の一部として用いることによって、インフルエンザ様疾患の急性症状を発症する可能性が最も高い人のみを、試験用の薬剤の有効性のための統計解析に含み、これには上述のような利点がある。
【0135】
一部の場合では、アルゴリズムが陽性を報告しない場合、曝露後の所定の時間点(例えば4日目、5日目)において、対象に投薬することができ、これらの対象は2次的なサブグループの解析を形成する。
【0136】
実施例4
対象は、地域社会において呼吸器ウイルスに感染し得、または地域社会において感染者に長期間にわたり曝露され得る。地域社会の状況には、自宅(家族、家庭内接触者)、職場、移動中(例えば、電車、客車、飛行機、船など)、介護施設内(入居者同士、家族訪問者、介護者)、病院の入院患者として(入院患者同士、医療従事者、訪問者)、軍事状況内(軍関係者同士)を含む。曝露の後、インフルエンザ様疾患の急性症状を有するように進行するであろう人を事前に特定し、最も早い時期に介入できるようにすることは有益であり得る。介入には、医療専門家への紹介支援、可能であり得るよりも早期に抗ウイルス剤での処置(例えばタミフル)、免疫調節剤の投与または抗ウイルス剤と免疫調節剤との併用投与、他者との分離(隔離)、研究への参加(IMP試験、感染研究)、疾患/バイオマーカーのモニタリングのためのサンプル採取開始を含む。
【0137】
対象は、地域社会において呼吸器ウイルスに感染し、または地域社会において感染者に長期間にわたり曝露される。
【0138】
以下の1つ以上の開始点に従って、ウイルス曝露後の血液サンプルを採取し、遺伝子レベルを定量することができる。
a.診断テスト陽性(例えば、ウイルス複製、診断バイオマーカーに基づく)
b.呼吸器ウイルス疾患の初期症状
c.感染した接触者に長時間にわたり曝露
【0139】
特定の遺伝子群または遺伝子サブ群を、血液サンプルにおいてリアルタイムで測定する(例えば、ポイントオブケア検査を用いて)。所与の時間点における各遺伝子の絶対値を用いることもでき、またあるいは、ベースライン遺伝子レベルを得たかまたはそれが利用可能である場合に、ウイルス曝露後の遺伝子レベルを各対象においてベースライン正規化することもできる(すなわち、ベースラインと比較する)。
【0140】
ある場合では、どの個体がインフルエンザ様疾患の急性症状を発症する可能性があるかを特定するために、3つの別個の遺伝子サブ群を用いる(すなわち、3つのアルゴリズム)。
a.3つの遺伝子サブ群は以下のとおりである。
i.サブ群A:PHF20、ABCA1、APBA2、MORC2、SNU13、およびDCUN1D2
ii.サブ群B:MAX、NOL9、MPRIP、HP、BST1、およびTM9SF2
iii.遺伝子サブC:HOMER3、NSUN6、HP、EPHA4、およびBMP2K
【0141】
他の場合では、1つ、2つ、または3つの遺伝子サブ群を同時に使用し(
図7)、いくつかの時点で繰り返してもよい。
a.いずれかのテストにおいて陽性結果であれば、以下の1つ以上を開始することができる。
i.医療専門家への紹介支援
ii.可能であり得るよりも早期に抗ウイルス剤での処置(例えばタミフル)
iii.免疫調節剤の投与または抗ウイルス剤と免疫調節剤との併用投与
iv.他者との分離(隔離、感染バリアの使用、例えばマスク)
v.研究への参加(例えば、IMP試験、疾患研究、感染研究)
vi.疾患/バイオマーカーのモニタリングのためのサンプル採取開始
b.あるいは、2つの陽性結果または3つの陽性結果が、上術で列記したような行為を開始するために必要となる。
【0142】
各遺伝子サブ群に対して、陽性結果が得られるしきい値を変更することによって、ストリンジェンシーが変わり得る。例えば、遺伝子サブ群1のしきい値を、よりストリンジェントに設定して、偽陽性を避けることができる。また遺伝子サブ群2をより低いストリンジェンシーで設定し、遺伝子サブ群3をさらに低いストリンジェンシーで設定して、できるだけ早くに特定および介入する見込みを高める。
【0143】
遺伝子サブ群の使用に加えて、結果を、対象が呼吸器ウイルス感染症を有していることを確認する診断テストと組み合わせることができる(まだ行われていない場合)。
【0144】
遺伝子配列
以下に、同定された各遺伝子における、GeneChip(登録商標)Human Genome U133A 2.0 Array(Affymetrix,Santa Clara,CA)に固有のプローブ名(probe name)、遺伝子ID(gene ID)、および遺伝子全体の全配列(full sequence of the entire gene)を含む。本発明は、GeneChip(登録商標)Human Genome U133A 2.0 Arrayの使用に限定されず、本明細書に開示する1つ以上の遺伝子の発現レベルは、該1つ以上の遺伝子を表すそれぞれの核酸配列に特異的に結合することができる、任意の適切なプローブを使用して、当業者に既知の任意の適切な方法を用いて測定することができるということが理解されるであろう。
【0145】
参考文献
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【配列表】
【国際調査報告】