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特表2024-526066混合はんだ合金粉末を用いた高信頼性鉛フリーはんだペースト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】混合はんだ合金粉末を用いた高信頼性鉛フリーはんだペースト
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/22 20060101AFI20240709BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20240709BHJP
   B22F 9/00 20060101ALI20240709BHJP
   B22F 1/00 20220101ALI20240709BHJP
   C22C 13/02 20060101ALI20240709BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20240709BHJP
   B23K 1/008 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B23K35/22 310A
B23K35/26 310A
B22F9/00 B
B22F1/00 R
C22C13/02
C22C13/00
B23K1/008 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575629
(86)(22)【出願日】2022-06-07
(85)【翻訳文提出日】2024-02-06
(86)【国際出願番号】 US2022032552
(87)【国際公開番号】W WO2022261130
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】63/209,585
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512285214
【氏名又は名称】インディウム コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェン,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ホンウェン
【テーマコード(参考)】
4K017
4K018
【Fターム(参考)】
4K017AA04
4K017AA08
4K017BA01
4K017BB01
4K017BB02
4K017BB03
4K017BB05
4K017BB06
4K017BB07
4K017BB14
4K017BB18
4K017DA07
4K017DA09
4K018BA20
4K018BB10
4K018BD04
4K018BD10
4K018KA32
(57)【要約】
本開示のいくつかの実施態様は、Sn-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb-In合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Bi合金又はSn-Ag-Cu-Sb-Bi-In合金からなる、10重量%~90重量%の第1のはんだ合金粉末、Sn-Ag-Cu合金又はSn-Ag-Cu-Bi合金からなり、第1のはんだ合金粉末よりも低い固相線温度を有する、10重量%~90重量%の第2のはんだ合金粉末、及びフラックスから本質的になる、はんだペーストを記載する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだペーストであって、
Sn-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb-In合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Bi合金又はSn-Ag-Cu-Sb-Bi-In合金からなる、10重量%~90重量%の第1のはんだ合金粉末、
Sn-Ag-Cu合金又はSn-Ag-Cu-Bi合金からなり、前記第1のはんだ合金粉末よりも低い固相線温度を有する、10重量%~90重量%の第2のはんだ合金粉末、及び
フラックスから本質的になる、はんだペースト。
【請求項2】
前記はんだペーストが、40重量%~90重量%の前記第1のはんだ合金粉末、10重量%~60重量%の前記第2のはんだ合金粉末、及び前記フラックスから本質的になる、請求項1に記載のはんだペースト。
【請求項3】
前記第1のはんだ合金粉末が210℃~245℃の固相線温度を有し、前記第2のはんだ合金粉末が200℃~217℃の固相線温度を有する、
請求項2に記載のはんだペースト。
【請求項4】
前記第1のはんだ合金粉末が、
2~10重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.0~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、又は
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnである、請求項1に記載のはんだペースト。
【請求項5】
前記第1のはんだ粉末が、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、又は
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnである、請求項4に記載のはんだペースト。
【請求項6】
前記第2のはんだ合金粉末が、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu及び残りがSnであり、又は
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、1.0~7.0重量%のBi及び残りがSnである、請求項4に記載のはんだペースト。
【請求項7】
前記第1のはんだ合金粉末が、0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P又はZnを含む、請求項4に記載のはんだペースト。
【請求項8】
前記第1のはんだ合金粉末が、95Sn-5Sb、90.6Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb0.01Ni、89.3Sn3.8Ag0.9Cu5.5Sb0.5In、89.7Sn3.8Ag1.2Cu3.8Sb1.5Bi、89Sn3.8Ag0.7Cu3.5Sb0.5Bi2.5In、86.7Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb3.2Bi0.5In0.2Ni、85.1Sn3.2Ag0.7Cu11Sb又は84.6Sn3.2Ag0.7Cu11Sb0.5Inである、請求項4に記載のはんだペースト。
【請求項9】
前記第2のはんだ合金粉末が、91.0Sn2.5Ag0.5Cu6.0Bi、93.5Sn3.0Ag0.5Cu3.0Bi、93.5Sn3.0Ag0.5Cu6.0Bi又は96.5Sn3.5Ag0.5Cuである、請求項6に記載のはんだペースト。
【請求項10】
前記第1のはんだ合金粉末が、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、又は
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.0~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnである、請求項4に記載のはんだペースト。
【請求項11】
方法であって、
Sn-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb-In合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Bi合金又はSn-Ag-Cu-Sb-Bi-In合金からなる、10重量%~90重量%の第1のはんだ合金粉末、
Sn-Ag-Cu合金又はSn-Ag-Cu-Bi合金からなり、前記第1の合金よりも低い固相線温度を有する、10重量%~90重量%の第2のはんだ合金粉末、及び
フラックス
から本質的になるはんだペーストを、2つの部品間に塗布してアセンブリを形成することと、
前記アセンブリをリフローはんだ付けし、前記はんだペーストからはんだ接合部を形成することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記アセンブリをリフローはんだ付けして前記はんだ接合部を形成することが、前記第1のはんだ合金粉末及び前記フラックスからなるはんだペーストから前記はんだ接合部を形成するために必要とされるピーク温度よりも低いピーク温度で前記アセンブリをリフローはんだ付けすることを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のはんだ合金粉末が210℃~245℃の固相線温度を有し、前記第2のはんだ合金粉末が200℃~217℃の固相線温度を有する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記ピーク温度が245℃未満である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記はんだペーストが、40重量%~90重量%の前記第1のはんだ合金粉末、10重量%~60重量%の前記第2のはんだ合金粉末、及び前記フラックスから本質的になる、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1のはんだ合金粉末が、
2~10重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.0~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、又は
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnである、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第2のはんだ合金粉末が、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu及び残りがSnであり、又は
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、1.0~7.0重量%のBi及び残りがSnである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記第1のはんだ合金粉末が、95Sn-5Sb、90.6Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb0.01Ni、89.3Sn3.8Ag0.9Cu5.5Sb0.5In、89.7Sn3.8Ag1.2Cu3.8Sb1.5Bi、89Sn3.8Ag0.7Cu3.5Sb0.5Bi2.5In、86.7Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb3.2Bi0.5In0.2Ni、85.1Sn3.2Ag0.7Cu11Sb又は84.6Sn3.2Ag0.7Cu11Sb0.5Inである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のはんだ合金粉末が、
1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、又は1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnである、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記第2のはんだ合金粉末が、91.0Sn2.5Ag0.5Cu6.0Bi、93.5Sn3.0Ag0.5Cu3.0Bi、93.5Sn3.0Ag0.5Cu6.0Bi又は96.5Sn3.5Ag0.5Cuである、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
プロセスによって形成されたはんだ接合部であって、前記プロセスが、請求項1~10のいずれか一項に記載のはんだペーストを2つの部品間に塗布してアセンブリを形成することと、
前記アセンブリをリフローはんだ付けし、前記はんだペーストから前記はんだ接合部を形成することと、を含む、はんだ接合部。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
・関連出願の相互参照
本願は、2021年6月11日に出願され、ここに本明細書の一部を構成するものとして内容が援用される、「High Reliability Lead-Free Solder Pastes with Mixed Solder Alloy Powders」と題する米国仮特許出願番号第63/209,585号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
電子機器アセンブリの廃棄によって発生する鉛(Pb)は、環境及びヒトの健康にとって有害であると考えられている。電子機器の相互接続及び電子機器パッケージ産業では、規制によってPb系はんだの使用がますます禁止されている。2006年7月にヨーロッパ連合で施行された特定有害物質使用制限(RoHS)指令によって、Pbはんだ合金のPbフリーはんだ合金への置換が生じた。Sn3.0Ag0.5Cu(SAC305)及びSn3.8Ag0.7Cu(SAC387)といったSnAgCu(「SAC」)はんだ合金が、持ち運びが可能な状態で広く利用される主流の鉛フリーはんだとなった。これらのはんだは、典型的には、125℃以下の動作温度で機能する。また、これらはコンピュータ利用電子機器、ポータブル電子機器及び/又はモバイル電子機器で広く使用されている。新興の自動車電子機器は、内部で使用される装置の使用温度が最大150℃であることを求めている。コンパートメントデバイスの使用温度の傾向は依然として125℃未満であるが、主流のSAC305よりも長い耐用年数が望ましい。
【0003】
このように過酷な電子機器環境にとって、慣習的な二成分又は三成分の鉛フリーSnリッチはんだ合金は、耐久には十分信頼できるものではない。電子機器の動作温度が高くなればなるほど、はんだ合金から形成されたはんだ接合部の微構造はより急速に劣化及び分解する。近年の高信頼性鉛フリーSnリッチはんだ合金の開発は、過酷な熱サイクル又は熱衝撃条件でのはんだ接合部の耐熱疲労性を改善する上で重要な役割を果たすことを実証している。こうした合金では、5.0重量%~9.0重量%のSbは、微細なSnSb金属間化合物(intermetallic compound、IMC)粒子の体積分率を最適化し、はんだ合金から形成されたはんだ接合部の強度と延性のバランスをとるために合金化され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示のいくつかの実施態様は、2種以上の金属はんだ粉末とフラックスを含むはんだペーストに関する。はんだ粉末のうち1種は、慣習的なSnAgCuはんだ合金の融点に相当するか、これよりも僅かに低い、他のものよりも低い融点を有することができ、他のはんだ粉末は、Sbの追加により、慣習的なSnAgCuはんだ合金の融点に相当するか、これよりも高い融点を有することができる。該はんだペーストは、ピークリフロー温度を低下し、プロセスウィンドウを広げ、空隙を減少し、かつ/又は相当の信頼性を維持若しくは高信頼性単一金属対応物ペーストの信頼性を改善させることすらできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態では、はんだペーストは、Sn-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb-In合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Bi合金又はSn-Ag-Cu-Sb-Bi-In合金からなる、10重量%~90重量%の第1のはんだ合金粉末、Sn-Ag-Cu合金又はSn-Ag-Cu-Bi合金からなり、第1のはんだ合金粉末よりも低い固相線温度を有する、10重量%~90重量%の第2のはんだ合金粉末、及びフラックスから本質的になる。
【0006】
いくつかの実施態様では、はんだペーストは、40重量%~90重量%の第1のはんだ合金粉末、10重量%~60重量%の第2のはんだ合金粉末、及びフラックスから本質的になる。
【0007】
いくつかの実施態様では、第1のはんだ合金粉末は210℃~245℃の固相線温度を有し、第2のはんだ合金粉末は200℃~217℃の固相線温度を有する。
【0008】
いくつかの実施態様では、第1のはんだ合金粉末は、2~10重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.5~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、3.0~6.5重量%のSb、0.2~7.0重量%のBi、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、又は1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnである。
【0009】
いくつかの実施態様では、第1のはんだ粉末は、1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnであり、又は1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、9~15重量%のSb、0.1~3.5重量%のIn、任意選択で0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P若しくはZn、及び残りがSnである。
【0010】
いくつかの実施態様では、第2のはんだ合金粉末は、1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu及び残りがSnであり、又は1.5~4.0重量%のAg、0.5~1.2重量%のCu、1.0~7.0重量%のBi及び残りがSnである。
【0011】
いくつかの実施態様では、第1のはんだ合金粉末は、0.001~3.0重量%のNi、Co、Mn、P又はZnを含む。
【0012】
いくつかの実施態様では、第1のはんだ合金粉末は、95Sn-5Sb、90.6Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb0.01Ni、89.3Sn3.8Ag0.9Cu5.5Sb0.5In、89.7Sn3.8Ag1.2Cu3.8Sb1.5Bi、89Sn3.8Ag0.7Cu3.5Sb0.5Bi2.5In、86.7Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb3.2Bi0.5In0.2Ni、85.1Sn3.2Ag0.7Cu11Sb又は84.6Sn3.2Ag0.7Cu11Sb0.5Inである。いくつかの実施態様では、第2のはんだ合金粉末は、91.0Sn2.5Ag0.5Cu6.0Bi、93.5Sn3.0Ag0.5Cu3.0Bi、93.5Sn3.0Ag0.5Cu6.0Bi又は96.5Sn3.5Ag0.5Cuである。
【0013】
一実施形態では、方法は、Sn-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb-In合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Bi合金又はSn-Ag-Cu-Sb-Bi-In合金からなる、10重量%~90重量%の第1のはんだ合金粉末、及びSn-Ag-Cu合金又はSn-Ag-Cu-Bi合金からなり、第1のはんだ合金粉末よりも低い固相線温度を有する、10重量%~90重量%の第2のはんだ合金粉末、及びフラックスから本質的になるはんだペーストを、2つの部品間に塗布してアセンブリを形成することと、アセンブリをリフローはんだ付けして、はんだペーストからはんだ接合部を形成することと、を含む。
【0014】
いくつかの実施態様では、アセンブリをリフローはんだ付けしてはんだ接合部を形成することは、第1のはんだ合金粉末及びフラックスからなるはんだペーストからはんだ接合部を形成するために必要とされるピーク温度よりも低いピーク温度でアセンブリをリフローはんだ付けすることを含む。例えば、混合されたはんだ合金粉末とフラックスとを含むはんだペーストは245℃未満の温度(例えば、約240℃)でリフローはんだ付けされるが、第1のはんだ合金粉末とフラックスとからなるはんだペーストからはんだ接合部を形成するために必要とされるピーク温度は、245℃超、250℃超、255℃超又はそれ以上であり得る。いくつかの実施態様では、アセンブリは、245℃未満のピーク温度でリフローはんだ付けされる。いくつかの実施態様では、アセンブリは、約240℃~245℃未満のピーク温度でリフローはんだ付けされる。いくつかの実施態様では、アセンブリは、約240℃以下のピーク温度でリフローはんだ付けされる。いくつかの実施態様では、アセンブリは、約235℃~約240℃のピーク温度でリフローはんだ付けされる。
【0015】
一実施形態では、はんだ接合部は、Sn-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb合金、Sn-Ag-Cu-Sb-In合金、Sn-Ag-Cu-Sb-Bi合金又はSn-Ag-Cu-Sb-Bi-In合金からなる、10重量%~90重量%の第1のはんだ合金粉末、Sn-Ag-Cu合金又はSn-Ag-Cu-Bi合金からなり、第1の合金よりも低い固相線温度を有する、10重量%~90重量%の第2のはんだ合金粉末、及びフラックスから本質的になるはんだペーストを、2つの部品間に塗布してアセンブリを形成することと、アセンブリをリフローはんだ付けし、はんだペーストからはんだ接合部を形成することと、を含む、プロセスによって形成される。
【0016】
開示された技術の他の特徴及び態様は、開示された技術の実施態様に従って、例として特徴を示す添付の図面と併用して以下の詳細な説明から明らかになるであろう。発明の概要は、特許請求の範囲及び同等物によって定義される、本明細書に記載されている任意の発明の範囲を限定しようと意図したものではない。
【0017】
前述の概念(こうした概念が、相互に矛盾していない限り)のすべての組合せは、本明細書に開示された発明の主題の一部であると考えられることを理解されたい。特に、本開示の最後に現われる特許請求された主題の組合せすべては、本明細書に開示された発明の主題の一部であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本明細書に開示される技術は、1つ以上の種々の実施形態に従って、含まれている図を参照して詳細に記載される。図は、例示のみを目的として提供されており、例示的な実施態様を単に示している。
【0019】
図1A】リフロー後に形成された3つのはんだ接合部の空隙率を示すプロットであり、同一のリフロープロファイルは、240℃のピーク温度を有する。
【0020】
図1B図1Aの3つのはんだ接合部の接着せん断強度をメガパスカルで示すプロットである。
【0021】
図2】リフロー後に形成された6つのはんだ接合部の空隙率を示すプロットであり、同一のリフロープロファイルは、240℃のピーク温度を有する。
【0022】
図3】3つの異なるはんだペーストから作製され、同一プロファイル下でリフローされたCu-Cu接合部の25℃~175℃の範囲の温度での接着せん断強度を示す。
【0023】
図4A】本開示の実施態様による、混合された合金粉末はんだペーストから形成されたはんだ接合部の熱サイクル試験後の断面図を示す。
【0024】
図4B】熱サイクル試験後の単一合金粉末はんだペーストから形成されたはんだ接合部の断面図を示す。
【0025】
図5】リフロー後に形成された9つのはんだ接合部の空隙率を示すプロットであり、同一のリフロープロファイルは、240℃のピーク温度を有する。
【0026】
図6】リフロー後に形成された、テストボード上のMLF68部品の7つのはんだ接合部の空隙率を示すプロットであり、同一のリフロープロファイルは、240℃のピーク温度を有する。
【0027】
図7】熱サイクル試験(-40/125℃)の2000サイクル後の7つのはんだ接合部の断面図を示す。
【0028】
図は、網羅的であること、又は開示された正確な形態に本発明を限定することを意図したものではない。本発明は、修正及び変更を伴って実施することができ、開示された技術は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されることができる。
【発明の詳細な説明】
【0029】
上述のように、5.0重量%~9.0重量%のSbをSnAgCuはんだに加え、高温で過酷な電子機器環境での信頼性を著しく改善した。ただし、典型的なSnAgCuはんだ合金に5.0~9.0重量%のSbを合金化することで、ペースト範囲(すなわち、合金の固相線温度と液相線温度との範囲)が広がり、一般的に使われている融点が約217℃のSnAgCuはんだと比較して、はんだ合金の融点を約8~11℃上昇させ得る。SnAgCuSb、SnAgCuSbIn又はSnAgCuBiSb系はんだ合金の融点が上昇することによって、235~240℃の慣習的なSACリフロー温度は、少なくとも10℃上昇して245~250℃でなければならない。このことによって、プリント回路基板アセンブリ(printed circuit board assembly、PCBA)部品が、リフロー温度の上昇に耐久することができないことから、Sb含有SnAgCuSb合金を用いてはんだ付けする時にプロセスウィンドウが狭められることがある。プロセス温度の上昇に加え、高信頼性Snリッチはんだ合金は、典型的には、場合によってはSbを加えることによってペースト範囲がより広くなることから、慣習的なSnAgCuプロセスプロファイルを使用するSnAgCu合金に劣る空隙性能を示す。要約すると、SnAgCuはんだ合金に5.0重量%~9.0重量%の量でSbを加えることで信頼性を著しく改善し得るが、これははんだ合金の融点を上昇し、ペースト範囲を広げることになる。このことは、SAC305及びSAC387といった主流の鉛フリーはんだと比較すると、より高いリフローピーク温度、より狭いプロセスウィンドウ、及び/又は不十分な空隙性能を引き起こすことがある。
【0030】
これらの変更に対処するために、本開示の実施態様は、2種以上の選択された金属はんだ粉末とフラックスを含む新規はんだペーストに関する。このはんだペーストは、(1)リフローピーク温度を低下させること、(2)プロセスウィンドウを広げること、(3)空隙率を減少させること、及び/又は(4)同等の信頼性を維持すること、又はさらには高信頼性単一粉末対応物ペーストの信頼性を改善することを目標としている。はんだ粉末のうち1種は、慣習的なSnAgCuはんだ合金の融点に相当するか、これよりも僅かに低い他のものよりも低い融点を有し得、他のはんだ粉末は、Sbの追加により、慣習的なSnAgCuはんだ合金の融点に相当するか、これよりも高い融点を有し得る。例えば、少なくとも2種のはんだ合金粉末を有するはんだペーストの一実施態様では、第1のはんだ合金粉末は、210~245℃の範囲であり得るより高い固相線温度を有し、第2のはんだ合金粉末は、200~217℃の範囲であり得るより低い固相線温度を有する。
【0031】
いくつかの実施態様では、より高い融点のはんだ合金は、SnSb、SnAgCuSb、SnAgCuSbIn、SnAgCuBiSb、SnAgCuBiSbIn又はそれらの変形を含み得る。いくつかの実施態様では、Bi、In、Ni及び/又はCoの添加剤は、より高い融点のはんだ合金中に含まれ、その延性を向上し、濡れ性能を改善し得る。表1は、慣習的なSnAgCu合金(合金E~Hとして示される)と比較した、本開示による、より高い融点の例示的なはんだ合金の組成(合金A~D及びI~Kとして示される)を示す。本開示による、より高い融点のはんだ合金は、慣習的なSnリッチSnAgCuはんだ合金と比較すると、改善された信頼性とより高い融点を提供し得る。
【表1】
【0032】
最終はんだ接合部の良好な空隙性能及び高信頼性、並びに245℃の最大プロセス温度を維持するために、より高い融点はんだ合金とより低い融点はんだ合金との比が調整され得る。より高い固相線温度のはんだ合金に対するより低い固相線温度のはんだ合金の重量%が不十分である場合、必要とされるプロセス温度は、245℃超であり得る。一方、より低い固相線温度のはんだ合金の重量%が十分以上である場合、はんだ接合部の信頼性は、より高い固相線温度のはんだ合金の不足により損なわれる可能性がある。したがって、ペースト中での第1のはんだ合金と第2のはんだ合金との比率は、高信頼性性能と低プロセス温度ウィンドウの両方を充足するように、注意深く設計される必要があり得る。この目的のために、より高い固相線温度のはんだ粉末は、10重量%~90重量%のはんだペーストを含み得、より低い固相線温度のはんだ粉末は、10重量%~90重量%のはんだペーストを含み得る。特定の実施態様では、より高い固相線温度のはんだ粉末は、40重量%~90重量%のはんだペーストを含み得、より低い固相線温度のはんだ粉末は、10重量%~60重量%のはんだペーストを含み得る。
【0033】
以下の表2は、本開示による、鉛フリー混合はんだ粉末ペーストの例示的な組成を示す。第1に、より高い固相線温度及び高信頼性のはんだ合金(表1では合金#A)は、Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb3.2Bi0.5In0.2Niであり、第2に、より低い固相線温度のはんだ合金は、SnAgCuBiはんだ合金(表1では合金#H又は#Fのいずれか)である。
【表2】
【0034】
以下の表3は、本開示による、鉛フリー混合はんだ粉末ペーストの例示的な組成を示す。第1に、より高い固相線温度及び高信頼性のはんだ合金(表1では合金#B)は、Sn3.2Ag0.7Cu5.5Sb0.01Niであり、第2に、より低い固相線温度のはんだ合金は、SnAgCuはんだ合金(合金#E)又はSnAgCuBiはんだ合金(合金#G)である。
【表3】
【0035】
以下の表4は、本開示による、鉛フリー混合はんだ粉末ペーストの例示的な組成を示す。第1に、より高い固相線温度及び高信頼性のはんだ合金は、表1では合金#A、#J及び#Kであり、第2に、より低い固相線温度のはんだ合金は、SnAgCuBiはんだ合金(合金#F又は#H)である。
【表4】
【0036】
以下の表5は、本開示に従って、単一はんだ合金(表1では合金#A及び#H)及び混合したはんだペーストの8種の合金(表2ではM#2-6及び#2-8並びに表4ではM#4-1及び#4-5)についての固相線温度及び液相線温度を列挙している。固相線温度及び液相線温度を、TA Q2000 DSCで動作される示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、DSC)で測定した。
【表5】
【0037】
示されるように、40重量%の合金#Hを合金#Aに混合することによって、はんだ接合部の融点は4℃に低下する。これは、合金#Aのみを含有するはんだペーストと比較すると、より低いピーク温度下でのリフローの実現可能性を実証している。
【0038】
図1A図1Bは、同一リフロープロファイルが240℃のピーク温度を有し、リフロー後に形成された3つのはんだ接合部の空隙率(図1A)及びメガパスカル(MPa)での接着せん断強度(図1B)をそれぞれ示すプロットである。3つのはんだ接合部は、単一の合金(合金#A)はんだペースト並びに混合したはんだペースト(表2ではM#2-6及びM#2-8)を使用して形成された。3mm×3mmのCuダイをリフローして有機溶接可能保護剤(OSP)基板上へとはんだ付けし、ダイ付着はんだ接合部を形成した。空隙率をX線で測定し、接着せん断強度をCONDOR 250 XYZTECせん断試験機を用いて異なる温度で捕捉した。
【0039】
一般的に言えば、はんだ接合部のせん断強度がより高いことは、信頼性がより良好であることを示唆している。図1A図1Bに示されるように、(1)対応する単一の合金はんだペースト(合金#A)及び(2)混合はんだペーストM#2-8と比較して、高温(125℃~150℃の下)の接着せん断強度を維持しながらも、M#2-6中に合金#Aを低量で有することによって良好な空隙性能(すなわち、より低い空隙率)がもたらされる。空隙性能と接着強度の両方の組合せを考慮すると、M#2-6(60重量%の合金#A及び40重量%の合金#H)は、M#2-8(80重量%の合金#A及び20重量%の合金#H)を上回った。
【0040】
図2は、リフロー後に形成された6つのはんだ接合部の空隙率を示すプロットであり、同
一のリフロープロファイルは、240℃のピーク温度を有する。6つのはんだ接合部を、単一の合金(合金#A)混合はんだペースト及び5種のはんだペースト(表2ではM#2-11、M#2-13、M#2-14、M#2-15及びM#2-17)を使用して形成した。混合はんだペースト(#A及び#F)中の選択された低い固相線温度のはんだ合金(#F)の量についての空隙性能の傾向は、プロットから認識される。はんだ中の合金#Fの量が高くなればなるほど、空隙率は低くなる。ただし、信頼性を維持するため、合金#Aと合金#Fとの混合比は、ある特定のレベルを超えて維持される必要があり得る。
【0041】
図3は、合金#A、合金#F及びM#2-14から作製され、同一プロファイル下でリフローされたCuーCu接合部の25℃~175℃の範囲の温度での接着せん断強度を示す。混合はんだペーストM#2-14から作製されたはんだ接合部は、単一の合金はんだペースト(#A及び#F)から作製されたはんだ接合部の両方よりも、温度範囲全体を通じてより高い接着強度を呈した。これは、良好な信頼性を示している。これは、合金#Aと合金#Fの50重量%対50重量%の混合比は、空隙性能を改善するだけでなく、接着せん断強度及び場合によっては関連する信頼性もまた向上させることを実証した。
【0042】
M#2-14の実施形態を含み、50重量%の合金#A及び50重量%の合金#Fからなるはんだ接合部の熱疲労信頼性を、組み立てられたチップ抵抗器テストボードを用いた加速熱サイクル(accelerated thermal cycling、ATC)試験を使用して評価した。2つの異なるサイズの抵抗器0603及び0805を有する組み立てられたチップ抵抗器テストボードによって、導通テスト、すなわち、本来の位置での熱サイクル中の連続モニタリングが可能になった。ATC用の公称温度サイクルプロファイルは、1)それぞれの極限温度(TC1)にて10分間の滞留時間で-40~125℃、及び2)それぞれの極限温度(TC2)にて10分間の滞留時間で-40~150℃であった。はんだ接合部は、50%の抵抗増加を故障基準として設定したデータロガーを使用してモニタリングした。TC1下での4000サイクル後、及びTC2下での2500サイクル後には、どの抵抗器にも故障はなかった。TC1下での2500サイクル後のはんだ接合部の断面では、ひずみが最大であった接合部の角周辺には明らかな亀裂成長は見られなかった。テストは、M#2-14から作製されたはんだ接合部が、一般的に使用される業界標準の合金#Eよりもはるかに熱的に安定していたことを実証した。図4A図4Bはそれぞれ、TC1下での2500サイクル後のM#2-14(図4A)及び合金#E(図4B)から形成されたはんだ接合部の断面を示す。合金#Eのはんだ接合部は、M#2-14のはんだ接合部が無傷に近かったのに対し、TC1下での2500サイクル後には激しい亀裂を呈した。
【0043】
図5は、リフロー後に形成された9つのはんだ接合部の空隙率を示すプロットであり、同一のリフロープロファイルは、240℃のピーク温度を有する。9つのはんだ接合部を、単一の合金(合金#B)はんだペースト及び8種の混合はんだ合金ペースト(表3ではM#3-2、M#3-4、M#3-6、M#3-8及びM#3-11、M#3-13、M#3-15、M#3-17)を使用して形成した。プロットは、混合はんだ合金ペースト中のより高い固相線温度はんだ合金(#B)に対するより低い固相線温度はんだ合金(#E又は#G)の比率がより高いことが、一般には、より良好な空隙性能と相関することを示している。
【0044】
図6は、リフロー後に形成された7つのはんだ接合部の空隙率を示すプロットであり、同一のリフロープロファイルは、240℃のピーク温度を有する。図6の右上に示されるように、はんだ接合部は、MicroLeadFrame(登録商標)部品(MLF68)とテストボードの間に形成された。7つのはんだ接合部を、単一の合金(合金#A)はんだペースト及び6種の混合はんだ合金ペースト(表2ではM#2-14、並びに表4ではM#4-1から4-5)を使用して形成した。プロットは、混合はんだ合金ペーストが、単一合金はんだペーストよりも良好な空隙性能を有することを示している。プロットはまた、混合はんだ合金ペースト中のより高い固相線温度はんだ合金(#A)に対し、より低い固相線温度はんだ合金(例えば、#F又は#H)の比率が高いことが、一般には、より良好な空隙性能と相関することを示している。
【0045】
合金#E(一般的に使用される業界標準)、M#2-14及びM#4-1から4-5を含むはんだ接合部の熱疲労信頼性を、組み立てられたチップ抵抗器(1206抵抗器)テストボードを用いて、ATCテスト、上記のようなTC1を使用して評価した。TC1下での2000サイクル後のはんだ接合部の断面を比較した。図7は、TC1下での2000サイクル後に合金#E、M#2-14及びM#4-1から4-5から形成されたはんだ接合部の断面を示す。断面に示された亀裂拡大は、本開示による混合粉末はんだペーストから作製されたはんだ接合部が、一般的に使用される業界標準の合金#Eよりもはるかに熱的に安定していたことを実証している。
【0046】
開示された技術の種々の実施形態を上述したが、これらは例としてのみ提示され、限定ではないことを理解されたい。同様に、種々の図は、開示された技術についての例示的な構造又は他の構成を示し得る。これは、開示された技術に含まれることができる特徴及び機能を理解する一助とするために行われている。示された実施形態及びそれらの種々の代替は、示された例に制限されることなく実装することができる。加えて、フロー図、動作説明及び方法のクレームに関しては、ステップが本明細書に提示される順序が、文脈が別段指示しない限り、種々の実施形態が列挙された機能を同じ順序で実行するために実装されることを義務づけようとするものではない。
【0047】
開示された技術が種々の典型的な実施形態及び実施態様という点から上述されているが、1つ以上の個々の実施形態に記載されている種々の特徴、態様及び機能は、それらが記載されている特定の実施形態への適用性に限定されてはいないものの、代わりに、こうした実施形態が記載されているか否かに関わらず、及びこうした特徴が記載の実施形態の一部として提示されているか否かに関わらず、開示された技術の他の実施形態のうちの1つ以上に単独又は種々の組合せで適用されることができることを理解されたい。したがって、本明細書に開示された技術の幅及び範囲は、上記の典型的な実施形態のうちのいずれかによって限定されるべきではない。
【0048】
本明細書に使用される用語及び語句、並びにこれらの変形は、特段明記されない限り、限定ではなくオープンエンドとして解釈されるべきである。前述の例としては、「を含む」という用語は、「を含むが限定されない」などの意味として解釈されるべきであり、「例」という用語は、その網羅的又は限定的な一覧ではなく、議論における項目の典型例を提供するために使用され、「1つの(a)」又は「1つの(an)」という用語は、「少なくとも1つの(at least one)」、「1つ以上の(one or more)」などという意味として解釈されるべきであり、「従来の(conventional)」、「慣習的な(traditional)」、「通常の(normal)」、「標準的な(standard)」、「公知の(known)」といった形容詞及び同様の意味の用語は、記載の項目を、所定の期間又は所定の時点で利用可能な項目に限定するものとして解釈されるべきではない。ただし、代わりに、現在又は将来の任意の時点で利用可能であり得る、又は公知である、従来の、慣習的、通常の、又は標準的な技術を包含するように解釈されるべきである。同様に、本明細書が当業者にとって明白である、又は公知である技術を指す場合には、こうした技術は、現在又は将来の任意の時点で当業者に明白である、又は公知であるものを包含する。
【0049】
場合によっては、「1つ以上の(one or more)」、「少なくとも(at least)」、「これに制限されない(but not limited to)」といった広がりのある用語及び語句の存在は、こうした広がりのある語句が存在し得ない場合には、より狭い場合が意図されるか必要とされることを意味すると解釈されるべきではない。
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
【国際調査報告】