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特表2024-526075固体電解質及び固体電解質を有する固体電気化学セル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】固体電解質及び固体電解質を有する固体電気化学セル
(51)【国際特許分類】
   H01B 1/06 20060101AFI20240709BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240709BHJP
   H01M 4/38 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 4/62 20060101ALI20240709BHJP
   H01M 10/052 20100101ALN20240709BHJP
【FI】
H01B1/06 A
H01M10/0562
H01M4/38
H01M4/66 A
H01M4/62 Z
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023575855
(86)(22)【出願日】2022-06-01
(85)【翻訳文提出日】2024-01-30
(86)【国際出願番号】 US2022072674
(87)【国際公開番号】W WO2022261604
(87)【国際公開日】2022-12-15
(31)【優先権主張番号】17/341,678
(32)【優先日】2021-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523271778
【氏名又は名称】ワットリー,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジャンウ
【テーマコード(参考)】
5G301
5H017
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5G301CD01
5H017AA04
5H017AS02
5H017CC01
5H017EE01
5H017EE05
5H029AJ03
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029DJ07
5H029DJ09
5H029EJ01
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ05
5H029HJ20
5H050AA05
5H050AA06
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA07
5H050CA08
5H050CA09
5H050CA11
5H050CA19
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050CB11
5H050CB12
5H050CB19
5H050DA04
5H050DA10
5H050DA11
5H050EA01
5H050EA23
5H050FA12
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA17
(57)【要約】
固体電解質を含有する固体電気化学セルであって、固体電解質が、固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを含有する、固体電気化学セル。固体電解質のデンドライトは、酸素及び/又は硫黄を更には含有する金属含有化合物を含有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを含有する前記固体電解質材料を含む固体電解質であって、前記1つ以上のデンドライトが金属含有デンドライト材料を含み、前記金属含有デンドライト材料が酸素及び/又は硫黄を更に含有する、固体電解質。
【請求項2】
前記1つ以上のデンドライトが、反応性ガス下で前記固体電解質材料上に及び/又は中に電気化学的に及び/又は化学的に形成される、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項3】
前記金属含有デンドライト材料が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項4】
前記固体電解質材料が、ポリマー材料を約30重量%未満の濃度で含有する、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項5】
前記1つ以上のデンドライトが、10-10S/cm以上のイオン導電率、及び10-1S/cm以下の電気導電率を示す、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項6】
前記1つ以上のデンドライトが、0.1以上のアスペクト比を示す少なくとも1つの枝を有する、請求項1に記載の固体電解質。
【請求項7】
10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有する金属含有材料である固体電解質材料を含む固体電解質であって、前記固体電解質が、前記固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを更に含み、
前記1つ以上のデンドライトが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は両性金属を含有し酸素及び硫黄のうちの少なくとも1つを更に含有するデンドライト材料を含む、固体電解質。
【請求項8】
電極活物質を含む電極と、
固体電解質材料を含有し前記固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを含有する、固体デンドリティック電解質とを含む固体電気化学セルであって、
前記1つ以上のデンドライトが、酸素及び硫黄のうちの少なくとも1つを更に含有する金属含有化合物を含有し、及び
前記固体デンドリティック電解質が、前記電極と接触している、固体電気化学セル。
【請求項9】
前記1つ以上のデンドライトが、前記電極活物質から形成される、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項10】
前記1つ以上のデンドライトが、前記電極に垂直に伸びている少なくとも1つの枝と、0.1以上のアスペクト比を有する少なくとも1つの枝とを有する、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項11】
前記固体電解質の前記1つ以上のデンドライトが、前記電極、追加の電極、及び/又は前記電極又は前記追加の電極に連結された集電体と接触する、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項12】
前記金属含有化合物がアルカリ又はアルカリ土類金属を含有する、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項13】
前記電極活物質が金属又はメタロイドを含有する、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項14】
前記電極が電気導電材料を含有する、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項15】
前記電気導電材料が、ホウ素、窒素、酸素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子でドープされる、請求項14に記載の固体電気化学セル。
【請求項16】
前記電極が、ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を含有する、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項17】
前記固体電解質がポリマー材料の電気吹付けされたフィルムを含有する、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項18】
前記電極又は追加の電極と結合された集電体を更に含む、請求項8に記載の固体電気化学セルであって、前記集電体が金属であり、モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上を含有する、固体電気化学セル。
【請求項19】
前記固体電解質と接触して液化されているか又は前記固体電解質中に溶解されている反応性ガスを更に含む、請求項8に記載の固体電気化学セル。
【請求項20】
前記反応性ガスが酸素及び/又は硫黄を含有する、請求項19に記載の固体電気化学セル。
【請求項21】
前記反応性ガスが、CO、CO、O、NO、NO、SO2、、COS、CS、SF、HS、SO、CHSH、(CHS、及びCSHのうちの1つ以上を含有する、請求項20に記載の固体電気化学セル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この開示は一般的に電池に関し、より具体的には、固体電解質を含有する固体電池に関し、ここで、固体電解質は複数のデンドライト構造物を含有する。
【背景技術】
【0002】
背景
電池、又は電気化学セルは現代技術において至るところで見られ、工業及び医用デバイスのための小さな電気化学システムから、電気車及びグリッドエネルギー貯蔵システムのためのより大きな電気化学システムにまで広範囲の用途で使用されている。
【0003】
おそらく現在の最も知られた且つ広範囲に使用される電池技術はリチウムイオン電池であり、それらは一般的に1つ以上の電気化学セルを備え、各々の電気化学セルは、2つの電極(例えば、正極、負極)、典型的に液体電解質、及びしばしば電極の間のセパレーターを備える。
【0004】
代替の電池技術には、リチウム金属電池が含まれる。リチウム金属電池はリチウムイオン電池に似ているが、リチウム金属の、負極、及び電極活物質を備える。残念なことに、リチウム金属を負極として使用することによって、リチウムイオンとして成長するリチウム金属デンドライトが形成され得、これはリチウム金属に還元され、形成デンドライトの端部に堆積する。導電性リチウム金属デンドライトは、デンドライトの端部が正極材料の表面と電気接続を形成して電池の短絡をもたらすまで伸び続ける。
【0005】
必要とされるのは、向上した性能並びに高められた安全性を提供する代替の電池である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
概要
本開示の固体電池は、従来の液体電解質を使用して形成されるリチウムイオン電池の界面電荷移動抵抗及び/又は粒界抵抗と同様である、低い界面電荷移動抵抗及び/又は低い粒界抵抗を提供する。しかしながら、液体ではなく、固体電解質の使用は、リチウム電池の使用又は貯蔵に伴う安全上の問題を低減する。開示された固体電解質の使用は、他のリチウムイオン電池、特に、他の固体リチウムイオン電池と比較して、より高いエネルギー密度、より高い電力密度、より長いサイクル寿命、低減されたコスト、及び高められた温度性能のうちの1つ以上を示す電池を更にもたらすことができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを有する固体電解質材料を含有する固体電解質を包含することができ、ここで、1つ以上のデンドライトは金属含有デンドライト材料を含み、金属含有デンドライト材料は酸素及び/又は硫黄を更に含有する。
【0008】
本開示は、10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有する金属含有材料である固体電解質材料を含有する固体電解質を包含することができ、ここで、固体電解質は、固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを更に含み、1つ以上のデンドライトは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は両性金属を含有し酸素及び硫黄のうちの少なくとも1つを更に含有するデンドライト材料を含む。
【0009】
本開示は、電極活物質を含む電極と、固体電解質材料を含有し固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを含有する、固体デンドリティック電解質とを備える固体電気化学セルを包含することができ、ここで、1つ以上のデンドライトが、酸素及び硫黄のうちの少なくとも1つを更に含有する金属含有化合物を含有し、固体デンドリティック電解質が、電極と接触している。
【0010】
開示された装置、システム及び方法の開示された特徴、機能、及び利点を本開示の様々な実施形態では独立に達成することができるか、又は更に他の実施形態では組み合わせることができ、その更なる詳細は、以下の説明及び図面を参照して見ることができる。
【0011】
図面の簡単な説明
図面は、必ずしも縮尺通りに描かれていない。図中の要素のいくつかの寸法は、本開示の例示された実施形態のより良い理解を助けるために他の要素に対して大きくされる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示による典型的な電気化学セルを備える例示的な固体電池の概略図である。
図2A】本開示による様々な例示的なデンドライトのモルフォロジーを表わす。
図2B】本開示による様々な例示的なデンドライトのモルフォロジーを表わす。
図2C】本開示による様々な例示的なデンドライトのモルフォロジーを表わす。
図3】本開示による電気化学セルを製造する例示的方法のフローチャートである。
図4】本開示による電気化学セルを製造する代替の例示的方法のフローチャートである。
図5】本開示による電気化学セルを製造する代替の例示的方法のフローチャートである。
図6】本開示による電気化学セルを製造する代替の例示的方法のフローチャートである。
図7】本開示による固体電解質を備える典型的な対称的な電気化学セルの安定なサイクル性能を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
詳細な説明
本開示の固体電池は、固体デンドリティック電解質を含有する1つ以上の電気化学セルを備え、これは、リチウムイオン電池と比較して、特に、他の固体リチウムイオン電池と比較して、より高いエネルギー密度、より高い電力密度、より長いサイクル寿命、低減されたコスト、及び高められた温度性能などのいくつかの有利な特性を示すことができる。
【0014】
別記しない限り、以下の定義が本明細書において用いられる。
【0015】
「電極活物質」は、電解質を通してイオンを輸送することによって及び/又は外部回路を通して電子を輸送することによって反応に関与する電極の部分又は構成要素を意味する。
【0016】
「集電体」は、電気化学セルの回路の固定部分から移動部分に電流を搬送するように構成された電極に隣接した構成要素を意味し、又は逆の場合も同様である。
【0017】
「電解質」は、電気化学セル内でのイオン輸送を提供する材料を意味する。電解質は、電極とのその相互作用によってイオン輸送のための管路として作用する。
【0018】
「電気化学セルの全寿命サイクル」は、電気化学セルが最初の時間の間にその元の容量の80%を示す時点であるとここで推定されるその通常の有用寿命を電気化学セルの寿命が超えていると考えられることを意味することを意図している。
【0019】
電界紡糸としても公知の「電気吹付け」は、電気力を使用して有機溶液又は有機溶融体の帯電糸を延伸して適用する薄膜製造方法である。
【0020】
「実質的に」は、この用語によって修飾される特定の寸法、範囲、形状、概念、又は他の態様に多かれ少なかれ合致していることを意味し、特徴又は構成要素が正確に合致する必要はない。例えば、「実質的に円筒形の」物体は、物体が円筒に似ているが、真の円筒から1つ以上の偏りを有し得ることを意味する。
【0021】
「含む(comprising)」、「包含する(including)」及び「有する(having)」(及びその結合)は、追加の、列挙されていない要素又は方法の工程を含むが必ずしも限定されないことを意味するために互いに交換可能に用いられ、これらを除くことを意図していない非限定的な用語である。
【0022】
「第1の」、「第2の」、及び「第3の」などの用語は、グループ等の様々な要素を区別するか又は同定するために使用することができ、連続的又は数量的限界を示すことを意図していない。
【0023】
特定の実施例に関するものでない限り、量及び部分、特に本発明の範囲を定めるためのものに関する全ての列挙は±10%の許容度を示し、例えば:11%は、9.9%~12.1%を意味する。「溶媒(a solvent)」などの用語については、「1つの(a)」という語は、数値的な語とみなされるべきでなく、文脈が他に指示しない限り、不定冠詞又は代名詞とみなされるべきである。
【0024】
用語「組合せ(combination)」又は「組合せ(combinations)」は、特にことわらない限り、当該構成要素のうちの2つから出発して、このような構成要素の複数又は全てに至るまで全てのタイプの組合せを意味する。
【0025】
2021年2月12日に出願された米国特許出願第17/175,267号には、高エネルギーカソード及び同カソードの製造方法が開示されており、2021年4月1日に出願された米国特許出願第17/220,823号には、高エネルギーカソード及び同カソードの製造方法が開示されており、2021年5月3日に出願された米国特許出願第17/306,457号には、温室効果ガスを含有する電気化学セルが開示されており、それぞれの出願を全ての目的のためにそれらの全体において参照によって本願明細書に組み込むものとする。
【0026】
本開示は、固体電池を目的としている。電池は、フラッシュライト、携帯電話、及び電気自動車などの電気デバイスに電力を供給するための外部接続部と組み合わされた1つ以上の電気化学セルを備える電源である。固体電池は、少なくとも1つの固体電気化学セルを導入する電池である。固体電気化学セルは、固体電解質を導入する電気化学セルである。
【0027】
開示における様々な実施形態の説明は単一の固体電気化学セルを説明する観点から記載されるが、同様な原理は、2つ以上の固体電気化学セル(例えば、電気化学セルパック等)を備える組立体に適用され得ることが理解されるべきである。このような複数セル組立体は、本開示の範囲内に含まれると理解されるべきである。
【0028】
電池12のための例示的な固体電気化学セル10は、図1に概略的に示される。電気化学セル10は正極又は負極、好ましくは正極であり得る電極14を備え、ここで、電極14は、電極活物質16を更に含有することができる。電気化学セル10は、追加の電極活物質20を含有する追加の電極18を更に備えることができる。
【0029】
電極14が負極である場合、追加の電極18は正極であり得、逆の場合も同様である。電極14又は追加の電極18のどちらか、又は両方は、その電極と電気的接触している集電体22を備えることができる。負極と接触している集電体は、負極集電体と称され、他方、正極と接触している集電体は、正極集電体と称される。
【0030】
電気化学セル10は、固体電解質材料26を含有する固体電解質24を更に含有する。固体電気化学セル10の構成要素は典型的に、筐体(すなわち、電池ケース)28内に保持され、これは、電池構成要素を密閉し、電池構成要素を所望のガス組成物又は液体組成物30下に保持することができる。固体電池12は、とりわけ、交互プレートの、又はジェリーロールの、ボタンセル、パウチセル、角型セル、円柱形セル、フローセルの形態を有することができる。
【0031】
電解質
電解質は、電池の電気化学セル内でのイオン輸送を提供する材料である。電解質は、電極とのその相互作用によってイオン輸送のための管路として作用する。電池の充電時に、電解質は、正極から負極へのイオンの移動を促進するが、他方、放電時に、電解質は、負極から正極へのイオンの移動を促進する。再充電可能電池において、電解質は、負極と正極との間のイオン循環を促進する。
【0032】
固体電解質24は、標準温度及び圧力(NTP)で固体材料である固体電解質材料26を含有する。固体電解質材料26はイオン導電性であり、これは、固体電解質材料26が10-10S/cm以上のイオン導電率及び10-1S/cm以下の電気導電率を有することを意味する。好ましくは、固体電解質材料26(及び、したがって固体電解質24)は、10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有する。一実施形態では、固体電解質24は、10-7S/cm以上のイオン導電率を有する。
【0033】
電気化学セル10の固体電解質24は、セル内で固体電解質24が電解質として機能することを可能にする任意の形態を有することができる。例えば、固体電解質24は、例えば、とりわけフィルム、箔、テープ、紙、シート、又は層などの略平面形態を有することができる。
【0034】
本開示の一実施形態では、固体電解質24は、下記のように、所望の固体電解質材料26とポリマー材料とを含有する電気吹付けされた固体電解質フィルムを含有する。このような電気吹付けされた固体電解質フィルムは、本明細書に記載される固体電解質材料70重量%超、好ましくは80重量%超、より好ましくは90重量%超を含有することができる。
【0035】
固体電解質材料26は、ポリマー、ガラス、リン酸塩、フルオロリン酸塩、炭酸塩、アミン、ホウ酸塩、フルオロホウ酸塩、ハロゲン化物、ハレート、オキソハロゲン化物、酸化物(例えば、SiO、TiO、Al、Y、Mg、LiO、LiOH、Li、LiCO、P、GeO、AlPO、LiTi)、ペロブスカイト、反ペロブスカイト(例えば、LiOBr、LiOCl、LiOHBr、LiOHCl)、LISICON型電解質(例えば、Li1+xAlTi2-x(PO、Li2+2xZn1-xGeO、Li(3+x)Ge(1-x)、Li(4-x)Si(1-x)、Li1+x+yAlTi2-xSi3-y12、Li1+xAlGeTi2-x-y12、Li1+x+3yAl(Ge,Ti)2-x(SiPO、Li14ZnGe16、Li4-xGe)、ガーネット(例えば、LiLaZr12、Li7-xLaZr2-xNb12、LiLa3-xCaZr2-xNb12、Li6+xLaZr1+xTa1-x12)、硫化物(例えば、LiPSCl、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li10GeP12、LiPS、Li11、Li3.250.95、Li3+xGe1-x)、チオ-LISICON型電解質(例えば、Li(4-x)Ge(1-x))、オキシ窒化物、又は窒化物等(LISICONは、リチウム超イオン導電体(LIthium Super Ionic CONductor)の頭字語である)のうちの1つ以上を含有することができる。
【0036】
一実施形態では、固体電解質材料26には、10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有する金属含有材料が含まれる。別の実施形態では、固体電解質材料26には、10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有するリチウム含有材料が含まれる。
【0037】
固体電解質24は典型的に、1つ以上の、又は複数のデンドライト32を含有するように改良され、ここで、デンドライトは、固体電解質24上に及び/又は中に成長する枝分れ、樹木状構造物である。デンドライト32の枝分れ構造物は典型的に、固体電解質24上への又は中への金属化合物、又は金属錯体の結晶化によって形成される。デンドライト32の構造物は、同じ又は異なる金属、金属化合物、又は金属錯体を含有することができる、複数の単一結晶ドメインを含有することができる。好ましくは、デンドライト32の成長は、0.1以上、好ましくは1以上、より好ましくは10以上のアスペクト比(長さを直径/厚さで割った値)を有する少なくとも1つの枝を含有する枝分れ、樹木状構造物をもたらす。
【0038】
固体電解質24は複数のデンドライト32を含有することができ、ここでデンドライトは、任意の適したデンドライトモルフォロジー、又は構造を有することができる。単一デンドライト32は、一般的に枝分れ及び樹木状のままで様々なデンドライト構造を示すことができる。例えば、図2A~2Cのそれぞれは、例えば、電解質24の表面であり得る、表面34から伸びる異なったデンドライトモルフォロジーの成長の段階の概略図を提供する。図2Aに示されるように、デンドライト32は、大きな中央の隆起、又は幹を有し、いくつかのずっと小さな、場合により針状の枝が中央の隆起から伸びている、「サボテン型」デンドライト構造を示すことができる。別の選択肢として、図2Bに示されるように、デンドライト32は、より有機的な形態を有し、このようなはっきり識別される中央の幹のない、より丸い枝を備える、「コケ型」デンドライト構造を示すことができる。別の選択肢として、図2Cに示されるように、デンドライト32は、「コケ型」デンドライトの有機的な全体的形態を備えるが、より良く識別され、更に伸びる枝を有し、コケ型デンドライトよりも比較的先の尖っている(針状)ことができる「枝型」デンドライト構造を示すことができる。
【0039】
図2A~2Cの各々において、デンドライト32は、初期デンドライト構造物(最左端)の形成から、表面34と電極、集電体、又は他の電気化学セルの構成要素の表面であり得る、第2の表面36との間に橋かけを生じるために十分に表面34から外側に伸びている成熟デンドライト構造物(最右端)まで、成長の様々な段階で示される。典型的なリチウム系電池の場合、金属デンドライトがこのような間隙にわたって伸びると、デンドライトは、それらの2つの表面の間に電気接続(又は短絡)を形成するであろう。本開示の固体電解質の場合、たとえデンドライト32が間隙にわたって延びて2つの表面の間に橋かけを形成しても、このような電気接続は形成されない。
【0040】
固体電解質24上の及び/又は中の複数のデンドライト32は、図示されたデンドライト構造物、又はそれらの組合せ、又はそれらの混合物のいずれかを含有することができる。本開示の固体電解質上に/中に存在しているデンドライト32の特定の構造物は典型的に、デンドライトを形成するために使用される材料、デンドライトの形成中に電解質材料を囲むガス又は液体組成物、及びデンドライトの形成中の電気化学セル内の条件(温度、圧力等)に依存している。
【0041】
デンドライトは、従来のリチウムイオン又はリチウム金属電池において形成することがこれまで観察されているが、それらの場合においてデンドライトは純粋な金属から構成され、それらの存在は、電池性能の様々な態様に有害であり得る。対照的に、本開示のデンドライトは、金属化合物及び金属錯体(例えば、とりわけ、金属酸化物、金属硫化物)を含有することができ、固体電解質24上に/中に存在する場合、デンドライトが電池性能の様々な態様に有益な効果を与えるようにできる。
【0042】
固体電解質24のデンドライトは、金属含有化合物(例えば金属錯体)を含有することができ、ここで、金属には、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、又は両性金属(例えば、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、スズ、鉛)が含まれ得る。また、金属化合物は酸素又は硫黄の一方又は両方を含有することができる。金属化合物が酸素を含有する場合、得られた材料は、類似した硫化物化合物ほど環境に対して反応性ではあり得ない。本開示のデンドライトは典型的にイオン導電性及び電気絶縁性である。典型的に、デンドライトは、10-10S/cm以上のイオン導電率及び10-1S/cm以下の電気導電率を有する。好ましくは、デンドライトは10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有する。より好ましくは、デンドライトは、10-7S/cm以上のイオン導電率及び10-4S/cm以下の電気導電率を有する。
【0043】
本開示のデンドライトは、好適に反応性のガスを使用して固体電解質24上に及び/又は中に電気化学的に及び/又は化学的に形成され得る。理論に縛られることを望むものではないが、固体電解質中で物理的に比較的弱いスポットがあるところに及び/又は電解質上に物理的に空いているスポットがあるところにデンドライトが形成及び成長すると考えられている。各々のデンドライト32は、電極活物質16又は20から生じることができ、負極集電体及び正極集電体の一方又は両方に略垂直な方向に伸びている少なくとも1つの枝を有することができる。各々のデンドライト32は、電極14、追加の電極18及び/又は集電体22と接触していることができる。
【0044】
固体電解質24上の及び/又は中のデンドライト32の存在は、電解質を導入する電気化学セルの界面電荷移動抵抗及び/又は粒界抵抗を低下させることができる。代わりに、又は更に、反応性ガスの作用は、電極材料の表面に電気活性官能基を付加し、及び/又は電極材料の化学構造を再設計することができる。電極材料のこのような再設計は、得られた電気化学セルが電極の単位質量当たり、又は面積当たりより多くのエネルギーを蓄えることができることに寄与し得る。
【0045】
ポリマー材料が電気絶縁性及び/又はイオン絶縁性であり得る場合、固体電解質24はポリマー材料を含有することができる。ポリマー材料は、10-7S/cm以下のイオン導電率を有することができ、電解質の一部及び/又は一方又は両方の電極を形成することができる。ポリマー材料は、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリ酸化エチレン、ポリカプロラクトン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルピロリドン、及びポリ(4-ビニルピリジン)のうちの1つ以上を、任意の組合せで含有することができる。固体電解質24は、約0.01重量%~約30重量%のポリマー材料、好ましくは約0.1重量%~約20重量%のポリマー材料、より好ましくは約1重量%~約10重量%のポリマー材料の組成を有することができる。
【0046】
固体電解質材料26は、固体粒子の組成物を含有することができる。存在する場合、このような組成物の平均粒径は約5nm~約30μmに変化することができ、約0.1nm~約500nmの平均細孔径を示すことができる。典型的に、固体電解質材料20の平均粒径又は直径は約30μm未満である。好ましくは、固体電解質材料20の平均粒径は約10nm超且つ約20μm未満である。より好ましくは、固体電解質材料20の平均粒径は約20nm超且つ約10μm未満である。固体電解質材料20が固体粒子の組成物を含有する場合、固体電解質材料20の平均細孔径は約500nm未満であり得る。好ましくは、固体電解質材料20の平均細孔径は約0.5nm超且つ約200nm未満である。より好ましくは、固体電解質材料20の平均細孔径は約1nm超且つ約100nm未満である。
【0047】
いくつかの実施形態では、固体電解質材料26の他に、電気化学セル10は、液体、ゲル、又は液化ガスである非固体電解質を更に含有することができる。
【0048】
電極
正極は、電子を外部回路から受け取り、放電中に還元され、充電中に酸化によって電子を外部回路に移動させる電池セルの電極である。正極はカソードと称され得る。負極は、放電中に酸化によって電子を外部回路に移動させ、充電中に電子を外部回路から受け取り、還元される電池セルの電極である。負極はアノードと称され得る。
【0049】
電極14が負極である場合、追加の電極18は正極であり、逆の場合も同様である。電極14又は追加の電極18のどちらか、又は両方が、その電極と電気的接触している集電体22を備えることができる。負極と接触している集電体は負極集電体と称されるが、他方、正極と接触している集電体は正極集電体と称される。
【0050】
電極14及び追加の電極18は、存在する場合、典型的には、同じであっても又は異なっていてもよい1つ以上の電極活物質16、20を含有する。電極活物質16、20は、電解質を通してイオンを輸送すること及び/又は外部回路を通して電子を輸送することによって電気化学反応に関与し、電気化学反応の進行中に電子を得るか又は失う電極の一部分又は構成要素を含有する。電極活物質16、20は、関連電極の全体を構成することができるが、典型的には、電極の構成要素、又は電極上のコーティングである。
【0051】
電極活物質16、20は、出発原料、放電生成物又は充電生成物であり得る。例えば、黒鉛が負極活物質として使用される電気化学セルにおいて、黒鉛(C)が充電中にリチウム化され、LiCになる。次いで、放電中、LiCが脱リチウム化され、Cに戻る。C及びLiCの両方が電極活物質であると考えられる。出発原料、放電生成物及び充電生成物は全て、互いに異なっていることができる。
【0052】
電極活物質16、20は、電気化学セル10の適切な構成要素の選択によって、例えば、固体電解質24及びその追加の構成要素の組成物を選択することによって、任意選択的に、その後に、集電体を電気化学セル10に適用することによってin situ生成することができる。電極活物質16、20の特定の組成物は特に重要でなく、イオンを貯蔵及び放出することができる任意の電極活物質は、この開示のための適切な電極活物質であり得る。
【0053】
例えば、電極活物質16、20は、とりわけ、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム)、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム、カルシウム)、両性金属(例えば、ベリリウム、アルミニウム、亜鉛、スズ、及び鉛)、メタロイド(例えば、ケイ素、酸化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ素化合物、ヒ素、アンチモン、スズ)、無機炭素(例えば、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンドット)、硫黄、硫黄化合物(硫化物、例えば二硫化チタンリチウム(LTS)、MV0.5Ti0.5(式中、Mは金属である)など)、酸化物(例えば、MTi12、TiO、TiNb、Nb、MVO、HTi13、MMnBO、M、MMoO、M7、M’1-xM’’O、M’1-w(M’’M’’’)O、M1-w(MnNiCo)O、M1-w(MnNiCoAl)O、M1-w(NiCoAl)O、M’1-w(NiCoM’’)O、M’1-w(NiMnM’’)O、M’M’’M’’’、M、M’M’’PO、M’M’’M’’’1-xPO(式中、M’、M’’、及びM’’’は異なった金属である)の形態の材料、チタン酸リチウム(LTO)、リチウム鉄リン酸塩(LFP)、リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物(NMC)、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物(NCA)、リチウムコバルト酸化物(LCO)、リチウムニッケル酸化物(LNO)、及びリチウムマンガン酸化物(LMO))であり得る。
【0054】
代わりに、又は更に、電極活物質16、20は、有機材料(例えば、トルキセノン、トルキセノン誘導体、フェノキサジン、フェノキサジン誘導体、フェノチアジン、フェノチアジン誘導体、キノン、キノン誘導体、ジアミン誘導体、フェナジン、フェナジン誘導体、キノキサリン、キノキサリン誘導体、ピラジン、ピラジン誘導体、シクロヘキサン、シクロヘキサン誘導体、トリアジン、トリアジン誘導体、メラミン、メラミン誘導体、ジメトキシベンゼン、ジメトキシベンゼン誘導体、シクロプロペニウム誘導体、アミド誘導体、アミノ酸、アミノ酸誘導体、ビオロゲン、ビオロゲン誘導体、ニトロキシド誘導体)、ハロゲン、ハロゲン化合物(ハロゲン化物など)、又はそれらの任意の組合せを含有することができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、電極活物質16、20は、1つ以上の有機部分を含有することができ、ここで、有機部分は、より大きな化合物のフラグメント又は置換基である。電極活物質16、20が有機部分を含有する場合、それは、上記のような、有機化合物に由来し得る。有機部分の例には、とりわけ、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アシル基、アルキルアミノ基、及びアリール基が含まれる。一態様では、電極活物質は、とりわけ、ホウ素、窒素、酸素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び/又は臭素などのヘテロ原子を含有する有機化合物を含有する。代わりに、又は更に、電極活物質は、1つ以上の芳香族基を含有する有機化合物を含有する。電極活物質が金属又は金属化合物又は錯体を含有するとき、金属は好ましくはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。より好ましくは金属はアルカリ金属であり、このような材料は、得られた電気化学セルに高いエネルギー密度をもたらす能力を与えることができる。
【0056】
いくつかの場合、電気化学セル10は、それ自体は電極活物質を含有しない基材(例えば集電体22)に電極活物質を適用することによって形成される電極又は追加の電極を備えることができる。電気化学セルの初期充電又は放電によって基材に堆積、又はインターカレートすることによって電極活物質を基材に適用することができる。電極は、電解質材料を更に含有することができる。電極活物質を電解質材料と混合することができる。これらの実施形態では、固体電解質24を電極14又は18と共に配置することができ、集電体22と電極との間に配置することができる。いくつかの実施形態では、集電体22は、電気化学セル10の筐体28に相当する。
【0057】
電極活物質16、20は、固体粒子の組成物として存在することができる。適切な電極活物質の平均粒径は約5nm~約50μmに変化することができ、約0.1nm~約1μmの平均細孔径を示すことができる。好ましくは、電極活物質の平均粒径は約500nm超且つ約50μm未満である。より好ましくは、電極活物質の平均粒径は約1μm超且つ約30μm未満である。電極活物質16、20が固体粒子の組成物として存在する場合、電極活物質の平均細孔径は約1μm未満であり得る。好ましくは、電極活物質の平均細孔径は約1nm超且つ約500nm未満である。より好ましくは、電極活物質の平均細孔径は約5nm超且つ約200nm未満である。
【0058】
電極14及び追加の電極18は、存在する場合、電気導電材料を含有することができる。電気導電材料は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、非晶質炭素、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、及びグラフェンナノリボンのうちの1つ以上を含有する多孔性炭素材料を含有することができる。とりわけ、カーボンナノチューブは、その高いアスペクト比及び耐久性のために好ましい。多孔性炭素材料は、ホウ素、窒素、酸素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子でドープされ得る。とりわけ、窒素又はフッ素は、より低い電荷移動抵抗を可能にするために好ましい。電気導電材料が電気化学セル10の運転中にイオンを貯蔵及び放出することができる限り、電気導電材料はまた、電極活物質16、20として機能することができる。更なる態様及び実施形態では、多孔性炭素材料は、粒子、粉末、紙、フォーム、繊維、シート、ディスク、ロッド、及び/又は箔の形態を有することができる。
【0059】
電極14、18のために有用な電気導電材料は、約5nm~約50μmの平均粒径又は直径を有することができる。典型的に、電気導電材料の平均粒径又は直径は約50μm未満である。好ましくは、電気導電材料の平均粒径は約50nm超且つ約40μm未満である。より好ましくは、電気導電材料の平均粒径は約500nm超且つ約30μm未満である。電気導電材料は、約1μm未満の平均細孔径を有することができる。例えば、電気導電材料は、約0.1nm~約1μmの平均細孔径を有することができる。好ましくは、電気導電材料の平均細孔径は約1nm超且つ約500nm未満である。より好ましくは、電気導電材料の平均細孔径は約5nm超且つ約200nm未満である。
【0060】
電極活物質16、20を構成する粒子と電極14、18の電気導電材料の粒子の平均粒径又は直径は、逆に相関し得る。例えば、電極活物質の平均粒径は約10μm~約50μmの範囲である場合、電気導電材料の平均粒径は約10nm~約500nmであり得、又は逆の場合も同様である。典型的に、電極活物質及び電気導電材料のうちの1つ以上が、約50nm超且つ約50μm未満、好ましくは約500nm超且つ約40μm未満、より好ましくは約1μm超且つ約30μm未満の平均粒径又は直径を有する粒子を含有する。
【0061】
電気化学セル10の電極14、18は典型的に、電極活物質及び/又は固体電解質がその上に又は中に堆積又は形成される、基材としての、又は電極体としての、電気導電材料を含有する。同じ又は異なる配合物を有し得る、任意の適した電気導電材料を開示された電極のために使用することができる。電極活物質16、20及び/又は電気導電材料は、平面表面に造形され得、及び/又は粒状固体であり得る。電極活物質、電気導電材料、及び/又は固体電解質が粒状である場合、単一粒子は、とりわけ、球形、立方体、直方体、円錐、角錐、円筒形、四角柱、六角柱、半球形、三角柱、五角柱、八角柱、環状体、八面体、及び十二面体、又はそれらの任意の組合せなど、任意の適した形状を有することができる。
【0062】
電極14、18及び/又は固体電解質24は、ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を更に含有することができる。電極14、18がポリマーバインダーを含有する場合、固体電極を電極活物質から形成するのを助けるためにポリマーバインダーが存在することができる。この開示のための適切なポリマーバインダーは、とりわけ、ポリカプロラクトン、ポリ(アクリル酸)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリアクリロニトリル、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリビニルピロリドン、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ乳酸、ポリビニルブチラール、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリカーボネート、スチレン-ブタジエン-ゴム、ナトリウムカルボキシメチルセルロースのうちの1つ以上を含有することができる。特定の実施形態では、ポリマーバインダーは、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)又はポリ(フッ化ビニリデン)のうちの1つを含有する。
【0063】
電極14、18がカルボン酸を含有する場合、イオンを電極の電極活物質中に及びから外に輸送するのを促進するためにカルボン酸が存在することができる。存在する場合、カルボン酸は、モノカルボン酸又はポリカルボン酸であり得る。カルボン酸がポリカルボン酸である場合、それは蓚酸であり得る。
【0064】
電極14、18が可塑剤を含有する場合、可塑剤は、有機又はポリマー材料をより軟質に、より可撓性にするために、及び/又はその可塑性を増加させるためにそれに添加される材料を含有する。典型的な可塑剤には、非限定的な例として、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、スルホラン、3-メチル-2-オキサゾリジノン、ブチレンカーボネート、フタレート誘導体、トリメリテート、アジペート、セバケート、マレエート、又はそれらの任意の組合せが含まれる。一実施形態では、適した可塑剤はスクシノニトリルを含有することができる。
【0065】
存在する場合、追加の導電材料、ポリマーバインダー、及び可塑剤と共に電極の電気導電材料を、任意の適した適用技術を使用して集電体に適用することができる。例えば、電気導電材料をフィルムとして流延し、次いで所望の集電体上に堆積させることができる。
【0066】
集電体
各集電体22は、電極14、18で発生した電流を集めるブリッジング構成要素として機能し、外部回路と接続される。各集電体22は典型的に、その関連電極に隣接している。典型的に、各集電体は電気導電材料であるか、又はこれを含有する。
【0067】
同じであっても又は異なっていてもよい、各集電体22は、任意の適した及び相溶性の電気導電材料を含有することができる。集電体22は、アルカリ土類金属、遷移金属、希土類金属、後遷移金属、及びアルカリ金属、又はそれらの任意の組合せなどの1つ以上の金属を含有することができる。特に、集電体22は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金、銀、銀合金、ニッケル、ニッケル合金、二相鋼、ステンレス鋼の少なくとも1つ、又はそれらの任意の組合せを含有することができる。代わりに、又は更に、集電体22は、モリブデン、チタン、及びジルコニウム金属又は金属合金のうちの1つ以上を含有する金属集電体を含むことができる。集電体22は、例えば電気導電材料でコートされることによって電気導電材料と接触していることができる。この実施形態では、電気導電材料は、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンドット、活性炭、非晶質炭素、微孔質炭素、メソ多孔性炭素、多孔性炭素、黒鉛、グラフェン、酸化グラフェン、グラフェンナノリボン、並びにそれらの混合物及び組合せである多孔性無機炭素材料であり得る。いくつかの実施形態では、多孔性無機炭素材料は、粒子、粉末、ロッド、又はそれらの任意の組合せの形態であり得る。特に、集電体は、紙、フォーム、フェルト、繊維、フィルム、シート、テープ、布、ディスク、糸、箔、又はそれらの任意の組合せの形態の独立した炭素材料を含有することができる。
【0068】
集電体22に孔を開けることができ、ここで、細孔径は、約500nm以上(例えば、約500nm~約5mm、好ましくは約500nm~約1mm、より好ましくは約500nm~約200μm)であり得、細孔間の距離は約10μm以上(例えば、約10μm~約10mm、好ましくは約50μm~約10mm、より好ましくは約200μm~約10mm)であり得る。
【0069】
セパレーター
いくつかの実施形態では、固体電解質24は、電極14を追加の電極18から又は追加の電極18と結合した集電体22から隔てることによってセパレーター38の機能を果たすことができる。別の選択肢として、電気化学セル10は、固体電解質24と異なる追加のセパレーター38を備えることができる。固体電解質24及び/又はセパレーター38(存在する場合)は、負極と正極との間の接触を避けるために、1つ以上の集電体22よりもそれらの幅及び長さにおいて大きくなり得る。
【0070】
セパレーター38は、存在する場合、電極14と接触していることができるか、又はセパレーター38は、固体電解質24と接触していることができる。電気化学セル10が追加の電極18を備える場合、電極14と追加の電極18との間にセパレーター38を配置することができる。電極14と追加の電極18との間の接触、個々の集電体22の間の接触、正極と負極集電体との間の接触、又は負極と正極集電体との間の接触を避けるために、セパレーター38は、集電体22よりもその幅及び長さの一方又は両方において大きくなり得る。セパレーター38は、電気化学セル10内のイオン輸送を提供すると共に電極14及び追加の電極18とのその相互作用によってイオン輸送のための管路として作用する電解質を含有することができる。
【0071】
セパレーター38は、固体電解質24と接触していることができ、例えばポリマーフィルムなどのポリマー材料を含有することができる。存在する場合、ポリマー材料は、とりわけポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(テトラフルオロエチレン)、又はポリ(塩化ビニル)であり得る。典型的に、ポリマーフィルムは、存在する場合、ポリプロピレン及び/又はポリエチレンを含有する。代わりに、又は更に、セパレーター38は、不織繊維(とりわけ、ナイロン、ポリエステル、及びガラスなど)、ガラス、セラミック、又はそれらの任意の組合せを含有することができる。いくつかの実施形態では、セパレーター38は、ガラス繊維を含有する。いくつかの実施形態では、セパレーター38は、液体ベースの電解質の湿潤性を高めるための界面活性剤コーティング又は処理剤を含有することができる。
【0072】
反応性ガス
電気化学セル10は、反応性ガスを更に含有することができ、これは、任意の与えられた温度又は圧力のガスであり、固体電解質24上に及び/又は中にデンドライト32を形成するために固体電解質24の固体電解質材料26又は電極活物質16、20と化学的に又は電気化学的に反応する化合物である。本開示の実施形態では、反応性ガスは、少なくとも1個の酸素原子を有する化合物(例えば、CO、CO、O、NO、NO、及びSO)及び/又は少なくとも1個の硫黄原子を有する化合物(例えば、S、COS、CS、SF、HS、SO、CHSH、(CHS、及びCHCHSHを含有することができる。
【0073】
本開示の固体電解質材料26又はデンドライト32は、気相ではない場合でも反応性ガスによって形成又は改質され得る。反応性ガスは任意選択的に、加圧下で液化され、電気化学セル10の筐体28内に保持され得る。液化ガスは、固体電解質24と接触して存在することができ、及び/又は固体電解質24中に溶解されることができる。反応性ガスは、電極14、18のどちらか又は両方と接触して維持され得るが、反応性ガスは、電極活物質として使用されることを意図されていない。
【0074】
固体電気化学セルの調製
固体電気化学セル10の調製には、固体電解質24の調製、より具体的には、固体電解質24上のデンドライト32の形成が必ず含まれる。固体電解質材料26と、固体電解質24上にデンドライトの形成をもたらす反応性ガスとを組み合わせる任意の方法が本開示の固体電解質を調製する適した方法であるが、固体電解質24を導入する電気化学セルに反応性ガスの存在下で電圧又は電流を印加することによって、改良された固体電解質を形成することが特に便利であり得る。すなわち、電気化学セル10を組み立てることができ、次いで、反応性ガスを電気化学セル10に加えることができ、電圧又は電流の後続の印加によって固体電解質上にデンドライトの形成をもたらすようにする。
【0075】
反応性ガスリッチ雰囲気をセル筐体28内に導入することによって、化学的及び/又は電気化学的反応のために標準的でないデンドライト32を電極14及び/又は18の表面上に及び/又は固体電解質材料26の表面上に形成することができる。デンドライト32の形成中に形成されるガラスを選択された反応性ガス、代替の(すなわち、第2の)反応性ガス、及び/又は不活性ガスでパージすることができる。代わりに、既存のガスをパージする代わりに、真空を電気化学セル10に印加することによって筐体内の反応性ガスの分圧を低減することができるか、又は反応性ガスを除去することができる。以下の方法のいずれも、パージ工程の後に行われる電圧又は電流を電気化学セル10に印加する1つ以上の追加の工程を任意選択的に更に含むことができることは理解されるべきである。
【0076】
本開示の固体電気化学セルは、電気化学セル筐体を提供することと、所望の電気化学セルの構成要素(例えば、所望の電極、所望の固体電解質)を電気化学セル筐体内に入れることと、選択された電気化学セルの構成要素を電気化学セル筐体内で圧縮することと、所望の反応性ガスを電気化学セル筐体に提供して電気化学セル筐体内の周囲雰囲気の全て又は一部に取って代わることと、次に電気化学セル筐体を封止することとによって作製することができる。別の選択肢として、所望の反応性ガスを提供する代わりに、電気化学セル筐体を反応性ガス雰囲気下で封止することができる。
【0077】
一実施形態では、電気化学セルの構成要素を電気化学セル筐体内に入れることは、電気化学セルの構成要素を以下の順序で入れることを包含ことができる:i)負極集電体、ii)負極、iii)固体電解質(セパレーター)、iv)正極、及びv)正極集電体。別の選択肢として、電気化学セルの構成要素の順序を逆にすることができる。電気化学セルの構成要素を圧縮する工程は、電極と追加の電極とが明らかに隔てられたままであるように電気化学セルの構成要素に加えられる圧力の注意深い制御を必要とするべきである。100MPa以下(例えば、約0.1MPa~約100MPa、好ましくは約0.5MPa~約70MPa、より好ましくは約1MPa~約50MPa)のスタック圧力で、例えばプレスを使用して電気化学セルの構成要素を圧縮することができる。有利には、本明細書に記載される同様な工程の間に加えられる圧力は、電気化学セルの製造中に従来の固体電気化学セルに典型的に加えられる圧力(ここで、このような圧力は500MPaよりも大きくなり得る)よりも低くなり得る。
【0078】
上記のように、本開示の固体電気化学セル10は、固体電解質材料26及び/又はポリマー材料を含有する電気吹付けされた固体電解質フィルムを任意選択的に備える。また、一方又は両方の電極14、18は、このような電気吹付けされた材料を任意選択的に含有することができる。とりわけ、流量、印加電圧、印加電流、ノズル寸法、ノズルのタイプ、及びノズルの先端と集電体との間の距離などの1つ以上の電気吹付けパラメーターを調節して電気吹付けプロセスを最適にすることができる。電気吹付けは、有利には、ポリマー材料の伸長及び薄化を可能にでき、これは、電解質材料を強く固めてクラッキングのないミクロン厚の独立したフィルム(例えば、>5μm)を製造できるだけでなく、従来の適用技術と比べて、固体電解質材料26の表面を比較的少量のポリマー材料で覆うことができる。
【0079】
本開示による電気化学セルを製造する典型的且つ例示的方法が図3のフローチャート40に示される。フローチャート40の方法は、工程42で、所望の電気化学セルの構成要素を電気化学セル筐体内に所望の順序で入れることと、工程44で、電気化学セルの構成要素を圧縮して固体電解質が電極材料と均質に接触しているようにすることと、工程46で、電気化学セル筐体を反応性ガスリッチ雰囲気下で封止することと、工程48で、反応性ガスリッチ雰囲気下で電圧又は電流を電気化学セルに印加して所望のデンドライト構造物を形成することと、工程50で、電圧又は電流の印加中に発生したフォーミングガスを反応性ガスで電気化学セル筐体からパージすることとを含む。
【0080】
本開示による電気化学セルを製造する代替の典型的方法が図4のフローチャート52に示される。図4は、本開示による電気化学セルを製造する代替の典型的方法のフローチャートである。フローチャート52の方法は、工程54で、所望の電気化学セルの構成要素を電気化学セル筐体内に所望の順序で入れることと、工程56で、電気化学セルの構成要素を圧縮して固体電解質が電極材料と均質に接触しているようにすることと、工程58で、電気化学セル筐体を封止することと、工程60で、反応性ガスを電気化学セル筐体内に導入して周囲ガスを電気化学セル筐体から移動させることと、工程62で電圧又は電流を反応性ガス雰囲気下で電気化学セルに印加することと、工程64で、電圧又は電流の印加中に発生した一切のフォーミングガスを電気化学セル筐体からパージすることとを包含する。
【0081】
本開示による電気化学セルを製造する代替の典型的方法が図5のフローチャート66に示される。フローチャート66の方法は、工程68で、所望の電気化学セルの構成要素を電気化学セル筐体内に所望の順序で入れることと、工程70で、電気化学セルの構成要素を圧縮して固体電解質が電極材料と均質に接触しているようにすることと、工程72で、外部電気化学セル筐体を反応性ガスリッチ雰囲気下で封止することと、工程74で、電圧又は電流を反応性ガス雰囲気下で電気化学セルに印加することと、工程76で、真空を適用することによって又は電気化学セル筐体を不活性ガスでパージすることによって電気化学セルの構成要素積層体中の反応性ガスの分圧を低減するか又は反応性ガスを除去することとを包含する。フローチャート66の方法の文脈において、電気化学セルの構成要素の積層体中の反応性ガスの分圧は、0.9atm以下まで、好ましくは0.5atm以下まで、より好ましくは0.1atm以下まで低下させることができる。
【0082】
本開示による電気化学セルを製造する代替の典型的方法が図6のフローチャート78に示される。フローチャート78の方法は、工程80で、所望の電気化学セルの構成要素を電気化学セル筐体内に所望の順序で入れることと、工程82で、電気化学セルの構成要素を圧縮して固体電解質が電極材料と均質に接触しているようにすることと、工程84で、電気化学セル筐体を封止することと、工程86で、反応性ガスを電気化学セル筐体内に導入して周囲ガスを電気化学セル筐体から移動させることと、工程88で、電圧又は電流を反応性ガス雰囲気下で外部電気化学セル筐体に印加することと、工程90で、真空を適用することによって又は電気化学セル筐体を不活性ガスでパージすることによって電気化学セルの構成要素積層体中の反応性ガスの分圧を低減するか又は反応性ガスを除去することとを包含する。フローチャート78の方法の文脈において、電気化学セルの構成要素の積層体中の反応性ガスの分圧は、0.9atm以下まで、好ましくは0.5atm以下まで、より好ましくは0.1atm以下まで低下させることができる。
【0083】
図7は、本開示による固体電解質を含有する典型的な対称的な電気化学セルの有利な安定なサイクル性能を示すグラフである。固体電気化学セルは、リチウム金属箔と本開示に従って形成される固体電解質とを備え、室温で、5mA/cmの電流密度で3,500サイクル及び900時間を超えるすぐれたサイクル性能を示した。固体電解質フィルムを2つのリチウム金属箔の間に配置した。Li1.3Al0.3Ti1.7(PO(LATP)を固体電解質材料として選択した。固体電解質フィルムは独立しており、電気吹付け技術によって製造された。LATPと、ポリカプロラクトンと、ポリ(エチレンオキシド)とを含む電解質フィルムの重量比は95:1:4であった。電解質フィルムの厚さは約30μmであった。電気化学セルのスタック圧力を測定すると約8MPaであった。固体電解質とポリ(エチレンオキシド)のブレンドをポリカプロラクトンを含む極薄ナノフィルムでコートしようとして、ポリカプロラクトンを同軸ノズルの外側領域に電気吹付けし、LATPとポリ(エチレンオキシド)のブレンドをコア領域に電気吹付けした。固体電気化学セルを反応性ガス(例えば、二酸化炭素)雰囲気下で充電して電解質材料中に及び上にデンドライトを形成し、次に不活性ガス(例えば、アルゴン)でパージして反応性ガスに取って代わった。
【0084】
本開示の方法に対して、図面及び説明は方法の工程の特定の順序を例証することができるが、このような工程の順序は、上に異なって明記しない限り、描写及び説明されるものと異なり得ることは理解されるべきである。また、上に異なって明記しない限り、2つ以上の工程を同時に又は部分的に一致して実施することができる。更に、1つ以上の工程を次の工程の前に繰り返すことができる。
【実施例
【0085】
実施例
この欄は、一連のパラグラフとして制限なしに示される開示された電解質、電気化学セル、及び方法の更なる態様及び特徴を説明し、それらの一部又は全てが、明確にするために及び効率のために英数字によって明示することができる。これらのパラグラフの各々を任意の適した方法で1つ以上の他のパラグラフ、及び/又は本出願のどこかからの開示と組み合わせることができる。下記のパラグラフのいくつかは、他のパラグラフを明確に参照し、それらを更に制限し、いくつかの適した組合せの実施例を制限なしに提供する。
【0086】
A1. 固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを含有する固体電解質材料を含む固体電解質であって、1つ以上のデンドライトが金属含有デンドライト材料を含み、金属含有デンドライト材料が酸素及び/又は硫黄を更に含有する、固体電解質。
【0087】
A2. 1つ以上のデンドライトが、反応性ガス下で固体電解質材料上に及び/又は中に電気化学的に及び/又は化学的に形成される、パラグラフA1に記載の固体電解質。
【0088】
A3. 金属含有デンドライト材料が、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含有する、パラグラフA1に記載の固体電解質。
【0089】
A4. 固体電解質材料が、ポリマー材料を約30重量%未満の濃度で含有する、パラグラフA1~A3のいずれかに記載の固体電解質。
【0090】
A5. 1つ以上のデンドライトが、10-10S/cm以上のイオン導電率、及び10-1S/cm以下の電気導電率を示す、パラグラフA1~A3のいずれかに記載の固体電解質。
【0091】
A6. 1つ以上のデンドライトが、0.1以上のアスペクト比を示す少なくとも1つの枝を有する、パラグラフA1~A3のいずれかに記載の固体電解質。
【0092】
A7. パラグラフA1~A3のいずれかに記載の固体電解質を含有する固体電気化学セル。
【0093】
B1. 10-8S/cm以上のイオン導電率及び10-3S/cm以下の電気導電率を有する金属含有材料である固体電解質材料を含む固体電解質であって、固体電解質が、固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを更に含み、1つ以上のデンドライトが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は両性金属を含有し酸素及び硫黄のうちの少なくとも1つを更に含有するデンドライト材料を含む、固体電解質。
【0094】
B2. A7.パラグラフB1に記載の固体電解質を含有する固体電気化学セル。
【0095】
C1. 電極活物質を含む電極と、固体電解質材料を含有し固体電解質材料上に及び/又は中に形成される1つ以上のデンドライトを含有する、固体デンドリティック電解質とを含む固体電気化学セルであって、1つ以上のデンドライトが、酸素及び硫黄のうちの少なくとも1つを更に含有する金属含有化合物を含有し、固体デンドリティック電解質が、電極と接触している、固体電気化学セル。
【0096】
C2. 1つ以上のデンドライトが、電極活物質から形成される、パラグラフC1に記載の固体電気化学セル。
【0097】
C3. 1つ以上のデンドライトが、電極に垂直に伸びている少なくとも1つの枝と、0.1以上のアスペクト比を有する少なくとも1つの枝とを有する、パラグラフC1及びC2のいずれか1つに記載の固体電気化学セル。
【0098】
C4. 固体電解質の1つ以上のデンドライトが、電極、追加の電極、及び/又は電極又は追加の電極に連結された集電体と接触する、パラグラフC1に記載の固体電気化学セル。
【0099】
C5. 金属含有化合物がアルカリ又はアルカリ土類金属を含有する、パラグラフC1、C2、及びC4の1つに記載の固体電気化学セル。
【0100】
C6. 電極活物質が金属又はメタロイドを含有する、パラグラフC1に記載の固体電気化学セル。
【0101】
C7. 電極が電気導電材料を含有する、パラグラフC1に記載の固体電気化学セル。
【0102】
C8. 電気導電材料が、ホウ素、窒素、酸素、硫黄、リン、フッ素、塩素、及び臭素から選択される1つ以上のヘテロ原子でドープされる、パラグラフC7に記載の固体電気化学セル。
【0103】
C9. 電極が、ポリマーバインダー、可塑剤、及びカルボン酸のうちの1つ以上を含有する、パラグラフC1、C2、C4、及びC6~C8のいずれか1つに記載の固体電気化学セル。
【0104】
C10. 固体電解質がポリマー材料の電気吹付けされたフィルムを含有する、パラグラフC1、C2、C4、及びC6~C8のいずれか1つに記載の固体電気化学セル。
【0105】
C11. 電極又は追加の電極と結合された集電体を更に含む、パラグラフC1、C2、C4、C6~C8、及びC10のいずれか1つに記載の固体電気化学セルであって、集電体が金属であり、モリブデン、チタン、及びジルコニウムのうちの1つ以上を含有する、固体電気化学セル。
【0106】
C12. 固体電解質と接触して液化されているか又は固体電解質中に溶解されている反応性ガスを更に含む、パラグラフC1、C2、C4、C6~C8、及びC10のいずれか1つに記載の固体電気化学セル。
【0107】
C13. 反応性ガスが酸素及び/又は硫黄を含有する、パラグラフC12に記載の固体電気化学セル。
【0108】
C14. 反応性ガスが、CO、CO、O、NO、NO、SO2、、COS、CS、SF、HS、SO、CHSH、(CHS、及びCSHのうちの1つ以上を含有する、パラグラフC12に記載の固体電気化学セル。
【0109】
結論
上に明らかにされた本開示は、独立の実用性を有する複数の異なった実施例を包含することができる。これらの各々は1つ以上の例示的な形態において開示されたが、本明細書において開示されて説明されるその特定の実施形態は、多数の別形態があり得るので、制限的な意味で考えられるべきでない。欄の見出しが本開示内で用いられる限りにおいて、このような見出しは、組織目的のためだけのものである。本開示の主題は、本明細書に開示される様々な要素、特徴、機能、及び/又は特性の全ての新規な且つ自明でない組合せ及び副組合せを含む。以下のクレームは、新規な且つ自明でないとみなされる特定の組合せ及び副組合せを特に示す。特徴、機能、要素、及び/又は特性の他の組合せ及び副組合せは、本出願又は関連出願からの優先権を請求する出願において請求され得る。このようなクレームはまた、元のクレームより範囲において広いか、狭いか、等しいか、又は異なっているかにかかわらず、本開示の主題内に含まれるとみなされる。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】