(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】水素タンクシステム用の遮断弁、圧縮ガス容器ならびに水素タンクシステム
(51)【国際特許分類】
F16K 31/06 20060101AFI20240709BHJP
F16K 31/124 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
F16K31/06 385F
F16K31/124
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577246
(86)(22)【出願日】2022-06-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-26
(86)【国際出願番号】 EP2022065936
(87)【国際公開番号】W WO2022263337
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】102021205990.2
(32)【優先日】2021-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ウード シャイチ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス ラウ
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ゾウバリー
【テーマコード(参考)】
3H056
3H106
【Fターム(参考)】
3H056AA02
3H056BB32
3H056CA02
3H056CB03
3H056GG03
3H106DA07
3H106DA35
3H106EE34
3H106KK12
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つの圧縮ガス容器(2)を備えた水素タンクシステム用の遮断弁(1)であって、主弁(3)と、主弁(3)を制御するための制御弁(4)とを備え、主弁(3)は、弁座(5)と協働する往復動可能な弁ピストン(6)を有し、弁ピストン(6)は、弁座(5)とは反対側の端部(7)で制御室(8)を画定しており、制御室(8)は、流入絞り(9)を介して圧縮ガス容器(2)の貯留容積(10)に接続されていて、制御弁(4)の切換位置に応じて、流出絞り(11)を介してガス出口(12)に接続可能であり、主弁(3)は、弁ピストン(6)に作用する開放力および/または保持力を発生させることができるソレノイドコイル(13)を有する、遮断弁(1)に関する。本発明は、さらに、本発明に係る遮断弁(1)を備えた圧縮ガス容器、ならびに少なくとも1つの圧縮ガス容器(2)と本発明に係る遮断弁(1)とを備えた水素タンクシステムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの圧縮ガス容器(2)を備えた水素タンクシステム用の遮断弁(1)であって、主弁(3)と、該主弁(3)を制御するための制御弁(4)とを備え、前記主弁(3)は、弁座(5)と協働する往復動可能な弁ピストン(6)を有し、該弁ピストン(6)は、前記弁座(5)とは反対側の端部(7)で制御室(8)を画定しており、該制御室(8)は、流入絞り(9)を介して前記圧縮ガス容器(2)の貯留容積(10)に接続されていて、前記制御弁(4)の切換位置に応じて、流出絞り(11)を介してガス出口(12)に接続可能であり、前記主弁(3)は、前記弁ピストン(6)に作用する開放力および/または保持力を発生させることができるソレノイドコイル(13)を有する、遮断弁(1)。
【請求項2】
前記ソレノイドコイル(13)は環状に形成されていて、前記弁ピストン(6)に対して同軸に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の遮断弁(1)。
【請求項3】
前記ソレノイドコイル(13)は、前記制御室(8)の、前記弁ピストン(6)とは反対の側に位置していることを特徴とする、請求項1または2記載の遮断弁(1)。
【請求項4】
前記ソレノイドコイル(13)は弁ハウジング(14)内に組み込まれており、該弁ハウジング(14)は、前記制御室(8)を画定していて、好ましくは前記ソレノイドコイル(13)を貫通した前記流出絞り(11)を形成していることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の遮断弁(1)。
【請求項5】
前記主弁(3)の前記弁ピストン(6)に前記弁座(5)の方向でばね(15)のばね力が加えられており、該ばね(15)は、好ましくは、一方で前記弁ピストン(6)に支持されていて、他方で封止スリーブ(16)に支持されており、該封止スリーブ(16)は、前記制御室(8)を画定するために、前記弁ピストン(6)の前記端部(7)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の遮断弁(1)。
【請求項6】
前記制御弁(4)は電磁操作可能であり、前記制御弁(4)の弁要素(19)に連結されている、または弁要素(19)を形成しているソレノイドアーマチュア(18)に作用するための環状のソレノイドコイル(17)を有することを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の遮断弁(1)。
【請求項7】
前記制御弁(4)は、好ましくは前記ソレノイドアーマチュア(18)に軸線方向で支持されている閉鎖ばね(20)を備えることを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の遮断弁(1)。
【請求項8】
前記主弁(3)と前記制御弁(4)とは同軸に配置されていて、軸線方向間隙(21)によって互いに分離されており、前記軸線方向間隙(21)内に、好ましくは非磁性材料から成るディスク状の物体(22)が収容されていることを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の遮断弁(1)。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の遮断弁(1)を備えた水素タンクシステム用の圧縮ガス容器(2)であって、好ましくは、前記遮断弁(1)は容器出口(23)の領域に配置されている、圧縮ガス容器(2)。
【請求項10】
少なくとも1つの圧縮ガス容器(2)と、該圧縮ガス容器(2)を遮断するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の遮断弁(1)とを備えた水素タンクシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの圧縮ガス容器を備えた水素タンクシステム用の遮断弁に関する。本発明は、さらに、本発明に係る遮断弁を備えた水素タンクシステム用の圧縮ガス容器、ならびに少なくとも1つの圧縮ガス容器と本発明に係る遮断弁とを備えた水素タンクシステムに関する。
【0002】
背景技術
水素を燃料電池内または水素内燃機関内で反応させるための自動車用の可搬式の水素タンクシステムが知られている。管路破断または事故の際、制御されない水素漏出を阻止するために、水素タンクは遮断弁によって閉鎖されなければならない。このため、遮断弁は、現行のガイドラインに準拠した無通電状態で自動的に閉鎖する弁として設計されなければならない。
【0003】
自動的な閉鎖機能は、通常、遮断弁の往復動可能な弁ピストンに対して閉鎖方向で直接または間接的に作用するばねによって実現される。
【0004】
開放機能は、通常、電磁操作可能な制御弁を介して間接的に実現される。制御弁の開放により、主弁の弁ピストンに作用していて、この弁ピストンに閉鎖力を加えている制御圧を低減することができる。したがって、減圧が進むにつれ、主弁を開放することができる。減圧は、制御弁の比較的小さな座直径によって実現することができるので、制御弁の開放に必要とされる力は比較的小さい。同時に、主弁の座直径を大きくすることによって、大きな体積流量を得ることができる。このことは、水素タンクシステムにおいて有利である。しかしながら、制御弁の逃し量が主弁の弁出口に供給される場合、全開状態では、どの箇所でも等しい圧力が生じ、遮断弁が自動的な閉鎖機能に基づき降下してしまうリスクがある。その後、負荷が減少するにつれて、圧力は再び低下し、遮断弁は開放される。遮断弁のこの絶え間ない開閉は、水素領域における一般的なプラスチック製座またはエラストマー製座の場合、座領域の摩耗の増大を引き起こしてしまう。
【0005】
前述した先行技術から出発して、本発明の根底にある課題は、水素タンクシステム用の遮断弁を改良して、特に圧縮ガスボンベとして形成された圧縮ガス容器のボンベネック内に遮断弁を組み込むことを可能にするために、制御された開放挙動を有すると同時に可能な限り少ない構成スペースを必要とする遮断弁を提供することである。
【0006】
この課題を解決するために、請求項1の特徴を有する遮断弁が提供される。本発明の有利な改良形態は、従属請求項から知ることができる。さらに、本発明に係る遮断弁を備えた圧縮ガス容器、ならびに少なくとも1つの圧縮ガス容器と本発明に係る遮断弁とを備えた水素タンクシステムが提案される。
【0007】
発明の開示
提案される遮断弁は、主弁と、主弁を制御するための制御弁とを備える。主弁は、弁座と協働する往復動可能な弁ピストンを有し、この弁ピストンは、弁座とは反対側の端部で制御室を画定しており、この制御室は、流入絞りを介して圧縮ガス容器の貯留容積に接続されていて、制御弁の切換位置に応じて、流出絞りを介してガス出口に接続可能である。主弁は、弁ピストンに作用する開放力および/または保持力を発生させることができるソレノイドコイルをさらに有する。
【0008】
主弁の弁ピストンに作用する開放力および/または保持力によって、冒頭に記載した間接的な制御の欠点を取り除くことができる。特に、全開状態でどの箇所でも等しい圧力が生じているときに、主弁が降下してしまうことを阻止することができる。したがって、弁ピストンに作用するソレノイドコイルによって、遮断弁の自動的な閉鎖機能を一時的に失効させることができる。
【0009】
ソレノイドコイルの保持力は、主弁の絞りがほぼ解消された場合に初めて必要となるので、比較的小さな保持力で十分である。さらに、弁ピストンの上昇の結果として最小の空隙が生じるので、小さなソレノイドコイルが使用可能となる。ソレノイドコイルの小さな構成サイズによって、遮断弁の所望の小型化が可能となる。
【0010】
遮断弁のガス出口と圧縮ガス容器内の貯蔵圧力との間で圧力が完全に均等化された場合には、制御室内の減圧ひいては空圧的な開放も不可能である。したがって、有利には、主弁における磁力は、主弁をばねの閉鎖力に抗して磁気的に開放することができるような大きさに設定されており、これによって、全動作の間、主弁の規定された開放位置が得られる。設計目的に応じて、主弁の空圧的な開放と磁気的な開放との組み合わせも有利に実現することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、ソレノイドコイルは環状に形成されていて、主弁の弁ピストンに対して同軸に配置されている。したがって、ソレノイドコイルによって、磁力が弁ピストンに均一に作用する磁界を発生させることができる。
【0012】
さらに好ましくは、ソレノイドコイルは、制御室の、弁ピストンとは反対の側に位置している。すなわち、ソレノイドコイルは、弁ピストンに対して軸線方向の間隔を置いて配置されている。弁ピストンの上昇により、この間隔ひいてはソレノイドコイルと弁ピストンとの間の空隙が縮小する。したがって、最大の上昇時に空隙が最小になり、弁ピストンをこの位置に保持するために、僅かな力しか必要とならない。
【0013】
有利には、ソレノイドコイルは弁ハウジング内に組み込まれており、この弁ハウジングは、制御室を画定していて、流出絞りを形成している。これによって、ソレノイドコイルを制御室に対して封止して配置することができる。さらに、流出絞りを取り囲むスペースを、ソレノイドコイルを収容するために利用することができる。したがって、好ましくは、流出絞りはソレノイドコイルを貫通している。こうして、特にコンパクトに構成されたアセンブリが提供される。
【0014】
主弁を確実に閉鎖するために、主弁の弁ピストンに弁座の方向でばねのばね力が加えられていることが提案される。このために、好ましくは、ばねは、一方で弁ピストンに支持されていて、他方で封止スリーブに支持されており、この封止スリーブは、制御室を画定するために、弁ピストンの制御室側の端部を取り囲んでいる。したがって、好ましくは、制御室は、軸線方向では、一方で弁ピストン、他方でソレノイドコイルを収容した弁ハウジングによって画定され、半径方向では、封止スリーブによって画定される。したがって、主弁を比較的簡単に構成することができる。封止スリーブによって、さらに、製造および/または組立てに起因する誤差、特に軸線方向オフセット誤差の補償が簡単に可能となる。
【0015】
制御室を圧縮ガス容器の貯留容積に接続している流入絞りは、弁ピストンの閉鎖運動によって生じる制御室の容積増大を補償し、したがって、主弁の確実な閉鎖挙動を生じさせる。部材数を減じるために、流入絞りは、主弁の弁ピストンをガイドするガイド間隙によって形成されてもよい。ガイドに課される精度要求を引き下げるために、ガイドの領域に封止要素が配置されていてもよい。この場合、流入絞りは、流体案内接続路、特に絞り孔によって別個に形成されていてもよい。
【0016】
制御弁は、有利には電磁操作可能であり、制御弁の弁要素に連結されている、または弁要素を形成しているソレノイドアーマチュアに作用するための環状のソレノイドコイルを有する。ソレノイドアーマチュアと弁要素とが互いに別個の部材を成していて、両部材が単に連結されている場合には、両部材を形成するために互いに異なる材料を使用することができる。したがって、その都度の機能に応じて、それぞれ最適の材料を選択することができる。ソレノイドアーマチュアが同時に弁要素を成している場合には、部材数を減じることができ、ひいては、制御弁の構成を簡単にすることができる。
【0017】
また、主弁の弁ピストンが、ソレノイドアーマチュアによって形成されている、またはソレノイドアーマチュアに連結されていてもよく、これにより、弁ピストンに対応するソレノイドコイルによって弁ピストンに作用が及ぼされる。
【0018】
制御弁を閉鎖するために、制御弁は、好ましくは閉鎖ばねを備え、これによって、閉鎖がばね力によって行われる。このために、好ましくは、閉鎖ばねは、制御弁のソレノイドアーマチュアに軸線方向で支持されている。さらに好ましくは、閉鎖ばねのばね力によって、ソレノイドアーマチュアおよび場合によってはソレノイドアーマチュアに連結された弁要素に、制御室を画定している弁ハウジングによって形成される封止座の方向に軸線方向で予荷重が加えられている。こうして、軸線方向でもコンパクトなアセンブリを提供することができる。
【0019】
有利には、主弁と制御弁とは同軸に配置されていて、軸線方向間隙によって互いに分離されており、この軸線方向間隙内に、好ましくは非磁性材料から成るディスク状の物体が収容されている。この物体は、制御弁の磁気回路と、弁ピストンに作用する保持力を発生させるための、弁ハウジング内に収容されたソレノイドコイルとを磁気的に分離するために用いられる。
【0020】
さらに、本発明に係る遮断弁を備えた水素タンクシステム用の圧縮ガス容器が提案される。この遮断弁の所要構成スペースは少ないので、圧縮ガス容器内に遮断弁を簡単に組み込むことができる。好ましくは、遮断弁は圧縮ガス容器の容器出口の領域に配置されている。こうすると、管路破断または事故の場合に、遮断弁によって圧縮ガス容器を閉鎖することができるので、ガスが制御されずに流出しなくなる。容器出口の領域は、特にボンベネックの形態を有してもよい。そのように成形された容器出口は、特に安定していて、ひいては、遮断弁の組込み箇所として特に良好に適している。
【0021】
本発明に係る遮断弁を圧縮ガス容器に組み込むことにより、1つには、安全性要求が充足される。なぜならば、この遮断弁は自動的に閉鎖されるからである。もう1つには、主弁の弁座を介した大きな水素体積流量が可能になる。なぜならば、この主弁は間接的に、具体的には電磁操作可能な制御弁によって制御されるからである。別のソレノイドコイルが設けられていることによって、さらに、特に全開状態において遮断弁が不都合に降下してしまうことを阻止する保持力を発生させることができる。僅かな保持力しか必要とならないので、小さな構成サイズのソレノイドコイルを使用することができる。このことは、遮断弁の構成の小型化をアシストする。
【0022】
さらに、少なくとも1つの圧縮ガス容器と、圧縮ガス容器を遮断するための本発明に係る遮断弁とを備えた水素タンクシステムが提案される。有利には、水素タンクシステムは複数の同一の圧縮ガス容器を備え、これらの圧縮ガス容器のそれぞれが、本発明に係る遮断弁を備えている。したがって、これらの圧縮ガス容器を、必要に応じて、互いに独立して遮断することができ、交換することができる。
【0023】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付の図面に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】閉鎖位置における本発明に係る遮断弁の概略的な縦断面図である。
【0025】
図面の詳細な説明
図面に示した圧縮ガス容器2用の遮断弁1は、主弁3と制御弁4とを有する。制御弁4は電磁操作可能である。
【0026】
主弁3は、往復動可能な弁ピストン6を有し、この弁ピストン6は弁座5と協働する。弁ピストン6の、弁座5とは反対側の端部7は、封止スリーブ16内に収容されており、この封止スリーブ16は、弁ピストン6ならびに弁ハウジング14と共に制御室8を画定している。封止スリーブ16には、ばね15のばね力によって、弁ハウジング14に対して軸線方向で予荷重が加えられる。同時に、ばね15のばね力は、弁座5に弁ピストン6を押し付ける。
【0027】
主弁3を開放するためには、まず制御弁4が開放されなければならない。このためには、ソレノイドコイル17が通電されることによって磁場が形成され、この磁場の磁力が、制御弁4の弁要素19に連結された往復動可能なソレノイドアーマチュア18に作用する。したがって、ソレノイドアーマチュア18の運動によって制御弁4が開放される。制御弁4が開放されると、ガスは、制御室8から、弁ハウジング14に形成された流出絞り11を介して流出するので、制御室8内の圧力が低下し、弁ピストン6に加えられている各力の比によって、主弁3の開放が可能となる。次いで、ガスは、圧縮ガス容器2の貯留容積10から弁座5を介してガス出口12にて流出する。制御弁4の逃し量もガス出口12に導入されるので、遮断弁1が全開である場合、どの箇所にも等しい圧力が生じる。このことは、制御室8内の圧力も再び上昇することを意味する。遮断弁1が不都合に降下してしまうことを阻止するために、弁ハウジング14内に、弁ピストン6に作用する保持力を発生させることができる別のソレノイドコイル13が組み込まれている。ソレノイドコイル13は小さな構成サイズを有する。なぜならば、主弁3を開放状態に保つために、大きな力は必要ないからである。このことは、特に、主弁3の絞りが完全に解消されている場合、ソレノイドコイル13と弁ピストン6との間の空隙が極めて小さいためである。
【0028】
遮断弁1を閉鎖するためには、制御弁4のソレノイドコイル17への通電が終了させられる。これによって、閉鎖ばね20が、ソレノイドアーマチュア18と弁要素19とをそれぞれの出発位置に戻し、制御弁4を閉鎖する。制御弁4が閉鎖されると、ガスがもはや制御室8から流出絞り11を介して流出することができなくなり、ガスは、制御室8を圧縮ガス容器2の貯留容積10に接続している流入絞り9を介してしか制御室8内に流入することができなくなるので、制御室8内の圧力が再び上昇する。この圧力は、主弁3の弁ピストン6に閉鎖力を加え、この閉鎖力がばね15のばね力と共に主弁3の閉鎖をもたらす。
【0029】
主弁3の弁ピストン6に対応するソレノイドコイル13を制御弁4の磁気回路から分離するために、制御弁4と弁ハウジング14との間に軸線方向間隙21が設けられており、この軸線方向間隙21内に、非磁性材料から成るディスク状の物体22が配置されている。
【0030】
図面に示した遮断弁1は簡単に構成されていて、構成スペースをほとんど必要としないため、遮断弁1を容器出口23の領域で圧縮ガス容器2内に組み込むことができる。
【図】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの圧縮ガス容器(2)を備えた水素タンクシステム用の遮断弁(1)であって、主弁(3)と、該主弁(3)を制御するための制御弁(4)とを備え、前記主弁(3)は、弁座(5)と協働する往復動可能な弁ピストン(6)を有し、該弁ピストン(6)は、前記弁座(5)とは反対側の端部(7)で制御室(8)を画定しており、該制御室(8)は、流入絞り(9)を介して前記圧縮ガス容器(2)の貯留容積(10)に接続されていて、前記制御弁(4)の切換位置に応じて、流出絞り(11)を介してガス出口(12)に接続可能であり、前記主弁(3)は、前記弁ピストン(6)に作用する開放力および/または保持力を発生させることができるソレノイドコイル(13)を有する、遮断弁(1)。
【請求項2】
前記ソレノイドコイル(13)は環状に形成されていて、前記弁ピストン(6)に対して同軸に配置されていることを特徴とする、請求項1記載の遮断弁(1)。
【請求項3】
前記ソレノイドコイル(13)は、前記制御室(8)の、前記弁ピストン(6)とは反対の側に位置していることを特徴とする、請求項1または2記載の遮断弁(1)。
【請求項4】
前記ソレノイドコイル(13)は弁ハウジング(14)内に組み込まれており、該弁ハウジング(14)は、前記制御室(8)を画定していて、好ましくは前記ソレノイドコイル(13)を貫通した前記流出絞り(11)を形成していることを特徴とする、請求項1
または2記載の遮断弁(1)。
【請求項5】
前記主弁(3)の前記弁ピストン(6)に前記弁座(5)の方向でばね(15)のばね力が加えられており、該ばね(15)は、好ましくは、一方で前記弁ピストン(6)に支持されていて、他方で封止スリーブ(16)に支持されており、該封止スリーブ(16)は、前記制御室(8)を画定するために、前記弁ピストン(6)の前記端部(7)を取り囲んでいることを特徴とする、請求項1
または2記載の遮断弁(1)。
【請求項6】
前記制御弁(4)は電磁操作可能であり、前記制御弁(4)の弁要素(19)に連結されている、または弁要素(19)を形成しているソレノイドアーマチュア(18)に作用するための環状のソレノイドコイル(17)を有することを特徴とする、請求項1
または2記載の遮断弁(1)。
【請求項7】
前記制御弁(4)は、好ましくは前記ソレノイドアーマチュア(18)に軸線方向で支持されている閉鎖ばね(20)を備えることを特徴とする、請求項1
または2記載の遮断弁(1)。
【請求項8】
前記主弁(3)と前記制御弁(4)とは同軸に配置されていて、軸線方向間隙(21)によって互いに分離されており、前記軸線方向間隙(21)内に、好ましくは非磁性材料から成るディスク状の物体(22)が収容されていることを特徴とする、請求項1
または2記載の遮断弁(1)。
【請求項9】
請求項1
または2記載の遮断弁(1)を備えた水素タンクシステム用の圧縮ガス容器(2)であって、好ましくは、前記遮断弁(1)は容器出口(23)の領域に配置されている、圧縮ガス容器(2)。
【請求項10】
少なくとも1つの圧縮ガス容器(2)と、該圧縮ガス容器(2)を遮断するための、請求項1
または2記載の遮断弁(1)とを備えた水素タンクシステム。
【国際調査報告】