(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】複合ホイールのリム補強コネクタとの対向
(51)【国際特許分類】
B60B 3/04 20060101AFI20240709BHJP
B29C 70/42 20060101ALI20240709BHJP
B60B 5/02 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
B60B3/04 C
B29C70/42
B60B5/02 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577469
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 AU2022050610
(87)【国際公開番号】W WO2022261722
(87)【国際公開日】2022-12-22
(32)【優先日】2021-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517370700
【氏名又は名称】カーボン・レボリューション・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CARBON REVOLUTION LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チー,ジェイドゥン
(72)【発明者】
【氏名】コーベット,ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】デンミード,アシュリー・ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】クウォック,エデン
(72)【発明者】
【氏名】プレッサー,マルクス
(72)【発明者】
【氏名】テイラー,ニコラス
(72)【発明者】
【氏名】トリップピット,バリー
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AD16
4F205AG13
4F205AH20
4F205HA12
4F205HA22
4F205HA35
4F205HB01
4F205HG03
4F205HK04
4F205HK05
(57)【要約】
複合ホイールのスポーク対リム補強コネクタであって、
複合ホイールは、複合ホイールの回転の中心軸線の周りに形成され、かつ中心軸線の周りおよびリム部分の周りに円周方向に延在する円周方向軸線を有する成形環状部を備えるリム部分と、ほぼ円形のハブと円周方向軸線に対してほぼ半径方向に延在するスポーク軸線に沿って延在する複数のスポークであって、複数のスポークは、リム部分とハブとを相互接続するためにリム部分とハブとの間に延在し、各スポークは、外向きに延在するフェース表面、対向する背面およびそれらの間の側面を有する、フェース部分と、を有し、
リム部分は、その中に相補的なリム繊維レイアップを有し、
各スポークは、その中に相補的なスポーク繊維レイアップを有し、
スポーク対リム補強コネクタは、スポーク繊維レイアップの端部の周囲でスポーク軸線を中心として、かつスポーク繊維レイアップのフェース表面上に延在する座部と、スポーク繊維レイアップの側面上に延在する少なくとも2つのスポーク脚部と、を備える少なくとも1つのスポークサドルと、
少なくとも2つのリムタブであって、各リムタブはスポーク脚部の1つからスポーク軸線に対してほぼ垂直に延在し、複合ホイールのリム部分のリム繊維レイアップに組み込まれるように構成されている、少なくとも2つのリムタブと、を備え、
コネクタは、スポーク軸線に対して実質的に垂直に延在する繊維配向を有する連続体を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ホイールのスポーク対リム補強コネクタであって、
前記複合ホイールは、前記複合ホイールの回転の中心軸線の周りに形成され、かつ前記中心軸線の周りおよびリム部分の周りに円周方向に延在する円周方向軸線を有する成形環状部を含む前記リム部分と、ほぼ円形のハブと前記円周方向軸線に対してほぼ半径方向に延在するスポーク軸線に沿って延在する複数のスポークであって、前記複数のスポークは、前記リム部分と前記ハブとを相互接続するために前記リム部分と前記ハブとの間に延在し、各スポークは、外向きに延在するフェース表面、対向する背面およびそれらの間の側面を有する、スポークとを備えるフェース部分と、を有し、
前記リム部分は、その中に相補的なリム繊維レイアップを有し、各スポークは、その中に相補的なスポーク繊維レイアップを有し、
前記スポーク対リム補強コネクタは、
前記スポーク繊維レイアップの端部の周囲で前記スポーク軸線を中心として、かつ前記スポーク繊維レイアップの前記フェース表面上に延在する座部と、前記スポーク繊維レイアップの前記側面上に延在する少なくとも2つのスポーク脚部と、を備える少なくとも1つのスポークサドルと、
少なくとも2つのリムタブであって、前記スポーク脚部の1つから前記スポーク軸線に対してほぼ垂直に延在し、各リムタブが前記複合ホイールの前記リム部分の前記リム繊維レイアップに組み込まれるように構成されている、少なくとも2つのリムタブと、を備え、
前記コネクタは、前記スポーク軸線に対して実質的に垂直に延在する繊維配向を有する連続体を備える、スポーク対リム補強コネクタ。
【請求項2】
前記コネクタが、前記スポーク軸線に対して実質的に垂直に延在する連続的な繊維配向を有する、請求項1に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項3】
各リムタブは、前記複合ホイールの前記リム部分の前記リム繊維レイアップの前記環状本体とほぼ平行に整列するように構成された実質的に平坦な本体を備える、請求項1または2に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項4】
前記スポークサドルは、スポークの前記スポーク繊維レイアップの前記端部の前記側面および前記フェース表面の周りに巻き付けられた平面体を備える、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項5】
各リムタブの前記実質的に平坦な本体は、前記リムタブが接続されて延在する前記スポーク脚部の平坦なフェースに対して約90度に向けられた平坦なフェースを含む、請求項4に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項6】
各リムタブは、前記複合ホイールの前記スポーク繊維レイアップの前記背面の下で隣り合うリムタブに当接するように構成されている、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項7】
隣接するリムタブは、前記複合ホイールの前記スポークの前記背面の下の前記リム繊維レイアップの部分にわたって延在する連続カバーを形成するように構成されている、請求項6に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項8】
各リムタブは、前記複合ホイールの前記スポークの前記背面に隣り合って前記背面の下にある前記リム部分の前記リム繊維レイアップの一部に沿って延在するように構成されたスポーク部分を含む、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項9】
各リムタブの前記スポーク部分、好ましくは各リムタブの上部は、前記複合ホイールの前記スポーク繊維レイアップの背面に向かって湾曲するように構成されている、請求項8に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項10】
各リムタブの前記スポーク部分は、前記スポーク繊維レイアップの前記背面に巻き付くように湾曲して、前記スポーク部分の前記繊維配向が前記スポーク軸線に実質的に垂直からスポーク軸線により整列する方向に移行するのを容易にする、請求項8または9に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項11】
各リムタブは、台形形状のスポーク部分に接続されたほぼ長方形の本体を備える、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項12】
各リムタブは、各リムタブが接合部を介してそれぞれのスポーク脚部に接続されており、前記接合部を中心に各リムタブ前記スポーク脚部の前記フェースに対して80度から100度の間、好ましくは約90度傾斜している、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項13】
各接合部は、少なくとも1つの折れ線または曲げ線を備える、請求項12に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項14】
各スポークサドルは、ほぼ湾曲した、好ましくはほぼアーチ状の平面シートを備える、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項15】
各スポーク脚部は、前記スポークの前記スポーク繊維レイアップの前記フェース表面から離れるようにほぼ垂直に延在する、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項16】
前記スポーク脚部は、前記スポーク脚部の前記フェースの外側に、前記複合ホイールの前記リム繊維レイアップに向かってある角度で延在するように構成された少なくとも1つの縁部フランジ部分を含む、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項17】
各スポークシートが、前記複合ホイールの前記リム部分と前記スポーク部との間の界面に位置する前記スポーク繊維レイアップの前記近位端部およびその上に位置する、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項18】
各スポークサドルの前記スポーク脚部は、ほぼ三角形の形状を有する、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項19】
各スポークサドルの前記スポークシートは、前記スポークが前記リム部分に接続する場所に近接した前記スポーク繊維レイアップの前記上面の一部を覆うように成形された上部を含み、前記スポークシートの前記上部は、ほぼ長方形または台形の形状を有する、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項20】
前記スポーク対リム補強コネクタは、織物シート、好ましくは一軸炭素繊維織物シートを備える、先行する請求項のいずれかに記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項21】
前記スポーク対リム補強コネクタは、一体型または連続型の一軸炭素繊維織物を備える、請求項20に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項22】
前記スポーク対リム補強コネクタは、所望の形状および繊維配向を有する少なくとも1つの連続繊維プリフォームを備える、請求項1~19のいずれか1項に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項23】
前記スポーク対リム補強コネクタは、連続繊維印刷(TFP)プリフォームを備える、請求項22に記載のスポーク対リム補強コネクタ。
【請求項24】
先行する請求項のいずれかに記載の少なくとも1つのスポーク対リム補強コネクタを含む繊維レイアップを有する、複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部。
【請求項25】
前記リム部分および前記フェース部分の各々は、前記接続部が準備されたときに少なくとも部分的に未硬化である、請求項24に記載の複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部。
【請求項26】
前記接続部は、前記複合ホイールの前記繊維レイアップを包むマトリックス材料をさらに備える、請求項24または25に記載の複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部。
【請求項27】
前記マトリックス材料は、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性樹脂、類似の化合物またはそれらの組み合わせに基づく樹脂を含む、請求項26に記載の複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部。
【請求項28】
前記接続部分は前記複合ホイールと一体的に形成されている、請求項24~27のいずれか1項に記載の複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部。
【請求項29】
請求項1~23のいずれか1項に記載のスポーク対リム補強コネクタを含む、複合ホイール。
【請求項30】
請求項24~27のいずれか1項に記載の接続部を含む複合ホイール。
【請求項31】
前記複合ホイールは炭素繊維ホイールを備える、請求項29または30に記載の複合ホイール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先相互参照
本出願は、2021年6月18日に出願されたオーストラリア仮特許出願第2021901838号の優先権を主張し、その内容は、この参照により本明細書に組み込まれると理解されるべきである。
【0002】
技術分野
本発明は、一般に、複合ホイールのフェース部分(およびそのスポーク部)とリム部分との間の接続構造に関する。本発明は、複合ホイール、特に車両および/または航空機用の炭素繊維ホイールのフェース部分とリム部分との間の接続構造に配置されるスポーク対リム補強コネクタに特に適用可能である。したがって、その例示的な用途に関連して本発明を以下に開示することが好都合であろう。しかしながら、本発明はその用途に限定されず、多種多様なホイールのフェース部分とリム部分とを接続するために使用できることを理解されたい。
【0003】
発明の背景
本発明の背景に関する以下の議論は、本発明の理解を容易にすることを意図している。しかしながら、議論は、言及された資料のいずれかが出願の優先日に公開された、既知の、または共通の一般知識の一部であることの承認または了解ではないことを理解されたい。
【0004】
複合ホイールは、一般に、リム部分とフェース部分の2つの主要部分を含む。リム部分は、タイヤを受け入れて着座させるように構成されたほぼ環状またはリング状構造を備える。フェース部分は、ホイールを車両に固定するために使用されるハブと、ハブとリムとの間に延在して相互接続する一連のスポークまたはディスクなどの接続構造とを含む。横方向荷重、垂直荷重、およびねじり荷重が、タイヤを介してホイールのリム部分に伝達され、これは接続構造に曲げ応力およびねじり応力を生じさせる。
【0005】
本出願人は、例えば、国際公開第2010/025495号明細書および国際公開第2019/033169号明細書に記載されている一体複合ホイールを製造した。一体複合ホイールの作成は、一般に、別個のリム部分金型および関連する補強材、ならびにフェース部分金型および関連する補強材の使用を必要とする。別個のリムおよびフェース金型部分は、複合ホイール全体を一体的に形成することを可能にする最終成形プロセスのために相互接続される。リム部分とフェース部分との間の堅固で強固な接続部、特にスポークとリムとの間の接続部は、剛性および強度を有する機械的に効率的な構造を提供するとともに、タイヤと道路との間で発生した荷重をリムおよびスポークを介して効率的に伝達するために必要とされる。
【0006】
この接続部および荷重伝達構造は、スポーク繊維レイアップの端部間およびリム繊維レイアップ内に挿入される折り畳みタブを使用して、本出願人の複合ホイールにおいて現在達成されている。これらの折り畳みタブは、積層構造体を一緒に保持するためにリム繊維レイアップの隣り合うプライに組み込まれる。この接続部の1つの形態は、本出願人の国際特許公開第2014/165895A9号明細書に詳述されており、その内容はこの参照により本明細書に組み込まれる。
【0007】
しかしながら、本出願人のホイールの現在の繊維レイアップは、リム部分とスポークの背面の部分、例えば複合ホイールのスポーク半径の背面のフェース構造との間で荷重を伝達するための特定のまたは効果的な手段を有していない。複合ホイールへの特定の荷重条件は、リム部分からスポークを通って車両のホイールマウントへの最適な荷重伝達を提供せず、スポークに高応力領域を生じさせる可能性がある。
【0008】
したがって、複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の改善されたまたは代替の接続部、特に、複合ホイールのスポークとリムとの間の改善された接続部を提供することが望ましい。
【0009】
発明の概要
本発明の第1の態様は、複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部のための補強コネクタに関し、より詳細には、その複合ホイールのスポークとリム部分との間の接続部に関する。
【0010】
本発明の第1の態様は、複合ホイールのスポーク対リム補強コネクタを提供し、
複合ホイールは、複合ホイールの回転の中心軸線の周りに形成され、かつ中心軸線の周りおよびリム部分の周りに円周方向に延在する円周方向軸線を有する成形環状部を備えるリム部分と、ほぼ円形のハブと円周方向軸線に対してほぼ半径方向に延在するスポーク軸線に沿って延在する複数のスポークであって、複数のスポークは、リム部分とハブとを相互接続するためにリム部分とハブとの間に延在し、各スポークは、外向きに延在するフェース表面、対向する背面およびそれらの間の側面を有する、フェース部分と、を有し、
リム部分は、その中に相補的なリム繊維レイアップを有し、各スポークは、その中に相補的なスポーク繊維レイアップを有し、
スポーク対リム補強コネクタは、
スポーク繊維レイアップの端部の周囲でスポーク軸線を中心として、スポーク繊維レイアップのフェース表面上に延在する座部と、スポーク繊維レイアップの側面上に延在する少なくとも2つのスポーク脚部と、を備える少なくとも1つのスポークサドルと、
少なくとも2つのリムタブであって、各リムタブはスポーク脚部の1つからスポーク軸線に対して概して垂直に延在し、複合ホイールのリム部分のリム繊維レイアップに組み込まれるように構成されている、少なくとも2つのリムタブと、を備え、
コネクタは、スポーク軸線に対して実質的に垂直に延在する繊維配向を有する連続体を備える。
【0011】
したがって、本発明のスポーク対リム補強コネクタは、リム(第1のリムタブ)で始まり、スポーク(スポークサドル)の側面およびフェースの周りに巻き付き、リム(第2のリムタブ)で終わる複合ホイールの繊維レイアップ内の連続構成を有する。スポーク対リムコネクタの構成は、複合ホイールが、リムとスポークとの接続部を通る荷重経路との繊維整列によって構成されることを可能にし、その複合ホイールのリム構造とフェース構造との間の荷重の効果的な伝達を補助する本体によってスポーク対リムの接続部を補強する。
【0012】
コネクタの繊維配向は、スポークサドル内のスポーク軸線およびコネクタのリムタブに対して実質的に垂直である。コネクタは、好ましくは、スポーク軸線に対して実質的に垂直に延在する連続繊維配向を有する。したがって、コネクタは、リム繊維レイアップ(リムタブ)で始まり、スポーク繊維レイアップ(スポークサドル)のフェースの周りに巻き付き、リム繊維レイアップ(リムタブ)で終わるコネクタの構成全体にわたって連続的な繊維配向を有することができる。
【0013】
複合ホイールの特定の部分、例えばスポーク繊維レイアップおよびリム繊維レイアップの繊維レイアップは、その中に形状、構成および補強構造を提供するように形成される(すなわち、レイアップされる)その特定の部分の構成繊維であることを理解されたい。繊維レイアップは、一般に、特定の部分の下にある形状で提供され、プリプレグ、セミプレグ、織布または不織布、マット、プリフォーム(連続繊維印刷プリフォームを含む)、予め固化されたプリフォーム、(後述するような)繊維、トウ、トウプレグなどの個々のまたはグループ、インサートなどの形態の繊維を含む。繊維は、一般に、複合ホイールのその特定の部分の要件に合わせて調整された適切な補強および/または荷重伝達構造を提供するように配向される。
【0014】
スポーク対リム補強コネクタは、好ましくは、リムとスポークとの接続部を通る荷重経路との適切な繊維整列を提供しながら、複合ホイールの隣接するリム部分およびスポーク部分の繊維レイアップに係合して一体化されるように構成された材料の成形シートから形成される。したがって、各部分は、実質的に平坦な本体、好ましくは材料のシート、より好ましくは成形された材料のシートから形成することができる。例えば、スポークサドルは、好ましくは、スポークのスポーク繊維レイアップの端部の側面およびフェース表面の周りに巻き付けられた平面体を備える。同様に、各リムタブは、好ましくは、その複合ホイールのリム部分のリム繊維レイアップの環状本体とほぼ平行に整列するように構成された実質的に平坦な本体を備える。
【0015】
リムタブの各々は、複合ホイールのリム部分のリム繊維レイアップに一体化されるように構成される。したがって、各リムタブの実質的に平坦な本体は、リムタブが接続されて延在するスポーク脚部の平坦なフェースに対して約90度に向けられた平坦なフェースを含むことができる。
【0016】
各リムタブはまた、好ましくは、各スポーク繊維レイアップの背面に巻き付いて、スポーク繊維レイアップの周囲および各スポークの下のリム繊維レイアップから各スポーク繊維レイアップの背面までのカバーを完了するように構成される。この構成は、スポークの背面とリム部分との間の繊維整列を可能にして、リム対スポーク接続部を通るその領域内の荷重経路を収容する。これらの実施形態では、各リムタブは、複合ホイールのスポーク繊維レイアップの背面の下で隣り合うリムタブに当接するように構成される。隣接するリムタブは、好ましくは、複合ホイールのスポークの背面の下のリム繊維レイアップの部分にわたって延在する連続カバーを形成するように構成される。
【0017】
リム部分から各スポークの背面への荷重伝達を補助するために、各リムタブは、複合ホイールのスポーク繊維レイアップの背面に隣り合ってその下にあるリム繊維レイアップの一部に沿って延在するように構成されたスポーク部分を含むことが好ましい。荷重伝達は、スポーク繊維レイアップの背面に向かって湾曲するように構成された、各リムタブのスポーク部分、好ましくは各リムタブの上部によってさらに補助することができる。そのような実施形態では、各リムタブのスポーク部分は、スポーク繊維レイアップの背面の周りに巻き付くように湾曲して、スポーク部分の繊維配向がスポーク軸線に実質的に垂直からスポーク軸線により整列する方向に移行するのを容易にすることが好ましい。
【0018】
したがって、リムタブは、複合ホイールのリム繊維レイアップにレイアップされる部分と、スポーク繊維レイアップの背面の少なくとも一部に移行し始め、巻き付く別の部分(リムタブのスポーク部分)とを提供する。これは、リム部分にあるときのスポーク軸線に対して実質的に垂直から、スポークの背面に取り付けられたとき、および/またはスポークの背面にレイアップされたときにより多くのスポーク軸線が整列する方向への、そのリムタブの繊維配向の湾曲した移行を容易にする。全体として、コネクタの繊維配向は、コネクタのスポークサドル(フェース部分)および各リムタブの本体においてスポーク軸線に対して垂直であるが、スポークの背面の少なくとも一部に巻き付くように設計することができる。やはり、これは、リム部分と各スポークの背面との間の荷重伝達を助ける。
【0019】
したがって、コネクタが上記の特徴を含み、複合ホイールの繊維レイアップに配置される場合、コネクタは、その複合ホイールのスポーク繊維レイアップの端部の周りに完全にループまたは包囲する構成を有する。コネクタの材料は、リム繊維レイアップ(リムタブ)内のスポークの背面の下で始まり、スポーク繊維レイアップ(スポークサドル)のフェースの周りに巻き付き、リム(リムタブ)内のスポークの背面の下のリム繊維レイアップで戻り、2つのリムタブはそのスポークの背面の下で当接または他の様態で接合する。
【0020】
スポーク対リム補強コネクタは、複合ホイールの隣接するリム繊維レイアップおよびスポーク繊維レイアップに係合して一体化することができる任意の適切な形状および構成を有することができる。
【0021】
スポークサドルは、スポーク軸線の周りに、好ましくはスポーク軸線に対してほぼ円周方向に、スポーク繊維レイアップの端部の周りに延在する。したがって、スポークサドルは、好ましくはスポーク繊維レイアップの上にほぼアーチ状の形状を形成する、ほぼ湾曲した平面シートを備えることができる。いくつかの実施形態では、各スポークサドルのスポークシートは、スポークがリム部分に接続する場所に近接したスポーク繊維レイアップの上面の一部を覆うように成形された上部を含み、スポークシートの上部は、ほぼ長方形または台形の形状を有する。
【0022】
各スポークサドルは、複合ホイールのリム部分とスポーク部との間の界面に位置するスポーク繊維レイアップの近位端部およびその上に位置する。したがって、コネクタは、リム構造とフェース構造との間の荷重伝達が必要とされるスポーク繊維レイアップの外側端部に配置される。
【0023】
各スポーク脚部は、スポーク繊維レイアップの側面にわたって、好ましくはスポークのスポーク繊維レイアップのフェース表面からほぼ垂直に離れて延在する。したがって、少なくとも2つのスポーク脚部の各々は、スポーク繊維レイアップの対向する側面にわたって延在し、各側面が少なくとも1つのスポーク脚部によって覆われることを確実にする。スポークシートと同様に、スポーク脚部は、好ましくは、スポークのスポーク繊維レイアップの側面にわたって延在する実質的に平坦な本体、好ましくは成形シートを備える。実施形態では、各スポークサドルのスポーク脚部は、ほぼ三角形の形状を有する。
【0024】
スポーク脚部は、スポーク脚部のフェースの外側に、複合ホイールのリム繊維レイアップに向かってある角度で延在するように構成された少なくとも1つの縁部フランジ部分をさらに含んでもよい。縁部フランジ部分は、リム部分と、コネクタが組み込まれる複合ホイールのスポークの側面のフェース構造との間の荷重伝達を補助する。
【0025】
リムタブは、好ましくは、実質的に平坦な本体、好ましくは成形されたシートを備える。多くの実施形態では、各リムタブは、台形形状のスポーク部分に接続されたほぼ長方形の本体を備える。各リムタブは、接合部を介してスポークサドルのそれぞれのスポーク脚部に接続されており、この接合部を中心に各リムタブがスポーク脚部のフェースに対して80度から100度の間、好ましくは約90度傾斜している。各接合部は、好ましくは、少なくとも1つの折れ線または曲げ線を備える。接合部は、好ましくは、スポークシートに接続された各リムタブ間の一体接合部を備えることを理解されたい。この接合部は、一般に、スポーク対リム補強コネクタを形成する連続材料または本体に形成された2つの部分の間に曲げ線または遷移線を備える。
【0026】
スポーク対リム補強コネクタは、例えば一軸布から切断されて形成されてもよい。これらの実施形態では、スポーク対リム補強コネクタは、織物シート、好ましくは一軸炭素繊維織物シートを備える。スポーク対リム補強コネクタは、典型的には、材料の単一のシートまたはプライから形成された一体型として形成される。いくつかの実施形態では、スポーク対リム補強コネクタは、3次元形状として一緒に予め形成された複数の層から形成することができる。スポーク対リム補強コネクタは、好ましくは、一体型または連続型の一軸炭素繊維織物を備える。
【0027】
いくつかの実施形態では、スポークサドルおよびリムタブは、一体型の材料シートに形成されてもよい。他の実施形態では、スポークサドルおよびリムタブは、物理的に相互接続された、例えば縫合または織り合わされた別個の部分として形成されてもよい。このタイプの相互接続は、各層の第1のセクションおよび第2のセクションが織物から形成され、織物の端部が織られ、互いに縫い合わされ、または他の方法で接合されてこれらの部分間の層間結合を強化する実施形態において有利であり得る。
【0028】
縫合接合または緯糸安定化一軸織物などのいくつかの一軸織物構成を使用することができるが、リム対スポークコネクタの好ましい構成は、所望の形状および繊維配向を有する少なくとも1つの連続繊維プリフォームを備える。好ましくは、スポーク対リム補強コネクタは、連続繊維印刷(TFP)プリフォームを備える。TFPプリフォームは、最適な繊維の整列および厚さの変化を可能にするために、連続繊維印刷技術を使用する。これにより、予備成形およびレイアップ作業を通して繊維方向が維持されることが保証される。TFPはまた、プライの厚さのより大きな柔軟性を提供する。TFPは、フラットカットプライでは不可能な繊維整列を可能にする。スポーク対リム補強コネクタは、典型的には、材料の単一のプライから形成された一体型として形成される。しかしながら、実施形態においては、スポーク対リム補強コネクタを、各々が上述の構成を有する2つ以上、好ましくは複数の材料プライから形成することもできることを理解されたい。
【0029】
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様による少なくとも1つのスポーク対リム補強コネクタを含む繊維レイアップを有する複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部を提供する。
【0030】
スポーク対リム補強コネクタは、好ましくは、スポークのリム構造とフェース構造との間の荷重伝達が必要とされるスポーク繊維レイアップの外側端部に配置される。スポーク繊維レイアップの外側端部は、複合ホイールのリム部分とスポークとの間の交差部に近接して位置する。
【0031】
スポーク繊維レイアップは、層内に本発明の第1の態様による1つまたは複数のスポーク対リム補強コネクタを含むことができることを理解されたい。いくつかの実施形態では、本発明の第1の態様による少なくとも2つのスポーク対リム補強コネクタを有する複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続の繊維レイアップ。実施形態では、複数のスポーク対リム補強コネクタがそのレイアップに含まれる。いくつかの実施形態では、(単層または多層構造の)リム補強コネクタに対する複数のスポークを、その繊維レイアップの様々な点に配置することができる。例えば、3つのスポーク対リム補強コネクタを、スポーク繊維レイアップの底部、中央部、および上部に配置することができる。
【0032】
複合ホイールの繊維レイアップは、好ましくは、スポーク対リム補強コネクタが複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部に配置されている場合、注入されていないか、または予め含浸されている、すなわち樹脂を含まないドライ繊維のみである。リム部分およびフェース部分の各々は、接続部を準備する際に、少なくとも部分的に未硬化であることが好ましく、実質的に未硬化であることが好ましい。したがって、複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部は、複合ホイールを形成する樹脂注入および硬化プロセスの前に、複合ホイールのリム部分の繊維レイアップおよびフェース部分の繊維レイアップに一体化することができる。成型(典型的には、RTM成型プロセス(以下を参照))が行われる場合、接続部は、接続部の繊維レイアップを包むマトリックス材料をさらに備える。同様に、マトリックス材料は、複合ホイールの繊維レイアップを包む。マトリックス材料は、好ましくは、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性物質、類似の化学化合物またはそれらの組み合わせをベースとする樹脂を備える。
【0033】
本出願人の複合ホイールは、好ましくは、一体的に形成された複合ホイールとして形成され、複合ホイールのリム部分およびフェース部分は、一体的に形成され接続されている。したがって、複合ホイールの接続部分もまた、好ましくは複合ホイールと一体的に形成される。
【0034】
本発明の第3の態様は、本発明の第1の態様によるスポーク対リム補強コネクタを含む複合ホイールを提供する。
【0035】
本発明の第4の態様は、本発明の第2の態様による接続部を含む複合ホイールを提供する。
【0036】
本発明の第3の態様および第4の態様の両方において、複合ホイールは、好ましくは炭素繊維ホイールを備える。
【0037】
実施形態では、本発明の第4の態様は、複合ホイールの回転の中心軸線の周りに形成され、かつ中心軸線の周りおよびリム部分の周りに円周方向に延在する円周方向軸線を有する成形環状部を備えるリム部分と、ほぼ円形のハブと円周方向軸線に対してほぼ半径方向に延在するスポーク軸線に沿って延在する複数のスポークであって、複数のスポークは、リム部分とハブとを相互接続するためにリム部分とハブとの間に延在し、各スポークは、外向きに延在するフェース面、対向する背面およびそれらの間の側面を有する、フェース部分と、を有する、複合ホイールを提供し、
リム部分は、その中に相補的なリム繊維レイアップを有し、各スポークは、その中に相補的なスポーク繊維レイアップを有し、
複合ホイールは、スポーク対リム補強コネクタを含む繊維レイアップを有する複合ホイールのリム部分とフェース部分との間の接続部を含み、コネクタは、
スポーク繊維レイアップの端部の周囲で、スポーク繊維レイアップのフェース表面上に延在する座部と、スポーク繊維レイアップの側面上に延在する少なくとも2つのスポーク脚部と、を備える少なくとも1つのスポークサドルと、
少なくとも2つのリムタブであって、各リムタブがスポーク脚部の1つからスポーク軸線に対して概して垂直に延在し、各リムタブが複合ホイールのリム部分のリム繊維レイアップに組み込まれるように構成されている、少なくとも2つのリムタブと、を備え、
コネクタは、スポーク軸線に対して実質的に垂直に延在する繊維配向を有する連続体を備える。
【0038】
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、合成繊維、例えばアクリル、ポリエステル、PAN、PET、PE、PPまたはPBO繊維など、バイオ繊維、例えば麻、ジュート、セルロース繊維など、鉱物繊維、例えばロックウールなど、金属繊維、例えば鋼、アルミニウム、真鍮、銅など、ホウ素繊維またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される繊維を含むがこれらに限定されない多種多様な繊維を本発明で使用することができる。
【0039】
一旦成形されて複合ホイールに形成されると、接続部、リム部分およびフェース部分は、樹脂、金属、および繊維などのマトリックス材料を備える。繊維は、プリプレグ、セミプレグ、織布または不織布、マット、プリフォーム、予め固化されたプリフォーム、繊維、トウ、トウプレグなどの個々のまたはグループを含む任意の適切な形態で提供され得る。接続部のレイアップ(マトリックス材料の固化、硬化などの前の時点までの準備)中、マトリックス材料は、繊維を備える層(例えば、プリプレグまたはセミプレグ)に備わっていなくてもよく、または繊維を備える層の間に備わっていなくてもよい。しかしながら、マトリックス材料は、固化が行われた後に連続マトリックスを形成すべきである。
【0040】
本発明の第1の態様によるスポーク対リムコネクタを備える複合ホイールは、任意の適切なプロセスによって形成することができることを理解されたい。そのプロセスは、手動レイアッププロセス、自動レイアッププロセス、または手動プロセスと自動プロセスの組み合わせであり得る。
【0041】
したがって、本発明は、第5の態様において、複合ホイールのリム部分とフェース部分とを接続するための方法を提供し、方法は、
ほぼ円形のハブと、ハブからスポーク軸線に沿って延在する複数のスポークと、リム部分繊維レイアップに相互接続するための接続要素とを含む、選択された炭素繊維レイアップを有するフェース部分繊維レイアップを形成するステップと、
リム部分の設計された構成を提供するように成形された環状金型フェースを有する環状金型ツールを提供するステップと、
複合ホイールのリム繊維レイアップと複合ホイールのフェース部分繊維レイアップとの間の接続要素を環状金型フェース上に配置するステップと、
本発明の第1の態様によるスポーク対リムコネクタを接続要素の周りに配置し、各コネクタのスポークサドルを各スポークの繊維レイアップの端部の上に配置し、各リムタブを複合ホイールのリム繊維レイアップと整列させて配置するステップと、
各リムタブをその中に組み込むようにリム部分繊維レイアップを形成するステップと、を含む。
【0042】
リム部分およびフェース部分は、本出願人の国際公開第2019/033169号明細書に教示されているように形成することができ、その内容は、この参照により本明細書に組み込まれると理解されるべきであることを理解されたい。
【0043】
接続部の繊維は、好ましくは、マトリックス材料に注入および/または含浸され、次いで硬化および/または固化される。したがって、本方法は、好ましくは、
接続部の各層と接触するマトリックス材料を提供するステップと、
接続部を硬化させるステップと、を含む。
【0044】
マトリックス材料、および接続部、ホイールなどの関連部品の硬化は、硬化、固化、乾燥または同様のプロセスを包含することを理解されたい。
【0045】
複合ホイールは、好ましくは単一の本体として形成される。これは、典型的には、マトリックス材料の同時注入および/または含浸、次いで複合ホイールの各部分の硬化、固化などを含む。そのような実施形態では、リム部分およびフェース部分の各々は、好ましくは、接続部が準備された時点で少なくとも部分的に未硬化である。接続部分は、好ましくは複合ホイールと一体的に形成される。そのような実施形態では、リム部分およびフェース部分の各々は、好ましくは、それらの間の接続部が準備される時点で少なくとも部分的に未硬化である。したがって、本方法は、好ましくは、
ホイールの各リム部分およびフェース部分と接触するマトリックス材料を同時に提供するステップと、
ホイールのリム部分とフェース部分とを共硬化させるステップと、を含む。
【0046】
マトリックス材料が樹脂を含む場合、様々な樹脂送達システムを第2の態様の方法と共に使用することができる。いくつかの実施形態では、樹脂の少なくとも一部は、樹脂注入および/または樹脂トランスファ成形および/または真空アシスト樹脂トランスファ成形によって提供される。
【0047】
一旦成形されて複合ホイールに形成されると、リム部分およびフェース部分ならびにそれらの間の接続は、樹脂、金属、および繊維などのマトリックス材料を備える。接続部のレイアップ(マトリックス材料の固化、硬化などの前の時点までの準備)中、マトリックス材料は、繊維を備える層(例えば、プリプレグまたはセミプレグ)に備わっていなくてもよく、または繊維を備える層の間に備わっていなくてもよい。しかしながら、マトリックス材料は、固化が行われた後に連続マトリックスを形成すべきである。
【0048】
マトリックス材料は、繊維を備える2つの隣り合う層の中または間に備わっている必要はない。好ましい実施形態では、この場合、繊維を備える隣り合う層を少なくとも一時的におよび少なくとも部分的に固定するために、このような層の対の少なくともいくつかの間に接着剤を設けることができる。
【0049】
接続部、リム部分および/またはフェース部分の繊維は、好ましくは、マトリックス材料に注入および/または含浸され、次いで硬化、固化などされる。したがって、接続部は、好ましくは、構成繊維を包むマトリックス材料をさらに含む。任意の適切なマトリックス材料を使用することができる。いくつかの実施形態では、樹脂が使用される。樹脂は、好ましくは、不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性樹脂、類似の化学化合物またはそれらの組み合わせをベースとする。好ましい実施形態では、樹脂はエポキシ系である。
【0050】
複合ホイールの炭素繊維レイアップは、好ましくは、プリプレグ、セミプレグ、織布または不織布、マット、プリフォーム、予備固化化プリフォーム、繊維、トウ、またはトウプレグの個々のまたはグループのうちの少なくとも1つとして提供される。複合ホイールの繊維レイアップの繊維要素は、少なくとも1つの織物シート、好ましくは多軸織物として提供することができる。しかしながら、プライは、任意の適切な織りまたは形態、例えば平織プライまたは綾織プライを有することができることを理解されたい。
【0051】
プリプレグは、繊維、繊維トウ、織布または不織布などの実質的にまたは完全に含浸された集合体を指すことを理解されたい。同様に、セミプレグは、繊維または繊維トウの部分的に含浸された集合体を指すことが理解されるべきである。部分含浸は、固化および/または硬化中に、乾燥繊維を通る、または乾燥繊維に沿ったガスの除去を向上させる。セミプレグの例は、繊維の部分含浸層である。
【0052】
織布および不織布は、実質的に乾燥している、すなわち樹脂などのマトリックス材料によって含浸されていない個々の繊維または繊維トウの集まりであることを理解されたい。繊維トウは、多数の個々の繊維、例えば1000本、1万本または10万本の繊維の束であることも理解されるべきである。トウプレグは、少なくとも部分的に含浸された繊維トウである。
【0053】
レイアップされた材料は、典型的には、樹脂が材料を透過するように樹脂を注入される。複合ホイールは、一旦複合ホイールに成形されて形成されると、樹脂(繊維および他の構成材料を一緒に結合する)を含む。レイアップ(樹脂の固化、硬化などの前の時点までの準備)中、樹脂は、繊維を含む層(例えば、プリプレグまたはセミプレグ)に備わっていなくてもよく、または繊維を備える層の間に備わっていなくてもよい。しかしながら、樹脂は、固化が行われた後に連続マトリックスを形成すべきである。
【0054】
樹脂、および複合ホイールまたはフェイシアなどの関連部品の硬化は、硬化、固化、乾燥または同様のプロセスを包含することを理解されたい。
【0055】
様々な樹脂送達システムを使用することができる。いくつかの実施形態では、樹脂の少なくとも一部は、樹脂注入および/または樹脂トランスファ成形および/または真空アシスト樹脂トランスファ成形によって提供される。したがって、筋膜層は、当技術分野で知られている様々な樹脂ベースの成形システムによって形成することができる。1つの好ましいシステムは、樹脂トランスファ成形(RTM)である。
【0056】
複合ホイールの繊維レイアップの繊維および繊維要素は、実質的に炭素繊維を備える。しかしながら、ガラス繊維、アラミド繊維、合成繊維、例えばアクリル、ポリエステル、PAN、PET、PE、PPまたはPBO繊維など、バイオ繊維、例えば麻、ジュート、セルロース繊維など、鉱物繊維、例えばロックウールなど、金属繊維、例えば鋼、アルミニウム、真鍮、銅など、ホウ素繊維またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される繊維を含むがこれらに限定されない多種多様な他のまたは代替の繊維も本発明の複合ホイールの繊維レイアップに含まれ得ることを理解されたい。好ましい実施形態では、繊維は、炭素繊維、または炭素繊維と上記のタイプの繊維の1つまたは複数との混合物を含む。
【0057】
繊維要素は、プリプレグ、セミプレグ、織布または不織布、マット、プリフォーム、予め固化されたプリフォーム、繊維、トウ、トウプレグなどの個々のまたはグループを含む任意の適切な形態で提供され得る。実施形態では、繊維要素は、少なくとも1つの織物シート、好ましくは多軸織物として提供される。接続部のレイアップ(樹脂の固化、硬化などの前の時点までの準備)中、樹脂は、繊維を備える層(例えば、プリプレグまたはセミプレグ)に備わっていなくてもよく、または繊維を備える層の間に備わっていなくてもよい。しかしながら、樹脂は、固化が行われた後に連続マトリックスを形成すべきである。
【0058】
本明細書における「複合」という用語は、層状であるか否かにかかわらず、硬化または未硬化の繊維を備える任意のタイプの複合材料を意味することを理解されたい。さらに、硬化または未硬化のプリフォームおよび事前固化プリフォームは、複合材料および複合体の重要なサブグループである。
【0059】
「硬化複合繊維材料」の「硬化」という用語は、複合繊維材料が、複合繊維材料内の硬化性樹脂を硬化、硬化、または硬化させるために少なくとも部分的な硬化プロセスを受けたことを示すことも理解されたい。
【0060】
図面の簡単な説明
本発明を、本発明の特定の好ましい実施形態を示す添付の図面を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【
図1】本発明の一実施形態によるスポーク対リム補強コネクタを含む、フェース部分とそのリム部分との間の接続部を含む複合ホイールの斜視図である。
【
図2】
図1に示す複合ホイールのリム対面接続領域のより詳細な図である。
【
図3A】
図1および
図2に示す複合ホイールのスポークおよびリム繊維レイアップに配置された、本発明の一実施形態によるスポーク対リムコネクタの斜視図である。
【
図3B】複合ホイールのスポークおよびリム繊維レイアップにおけるコネクタの位置をさらに示す、
図3Aに示すスポーク対リムコネクタの断面斜視図である。
【
図3C】複合ホイールのスポークおよびリム繊維レイアップにおけるコネクタの位置をさらに示す、
図3Aおよび
図3Bに示すスポーク対リムコネクタのさらなる斜視図である。
【
図5A】本発明の一実施形態によるスポーク対リム補強コネクタを形成する連続繊維印刷プリフォームの連続繊維構成の概略図である。
【
図5B】本発明の一実施形態によるスポーク対リム補強コネクタを形成する、成形された一軸炭素繊維織物シートの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
詳細な説明
最初に
図1を参照すると、スポーク対リムとの接続部110内に一体化された本発明のスポーク対リム補強コネクタ300(
図3Aおよび
図4)を含む複合ホイール100の斜視図が示されている。図示された複合ホイール100は、一体成形体として形成されるものとして本出願人によって開発された。複合ホイール100の一般的な製造プロセスは、国際特許公開番号2010/025495号明細書および国際特許公開番号2019/033169号明細書に記載されており、その内容はこの参照により本明細書に組み込まれると理解されるべきである。
【0063】
図示の複合ホイール100は、以下の2つの主要部分を含む。
A).リム部分102は、タイヤ(図示せず)が取り付けられるホイール軸X-X(
図1)の周りに円周方向に延在する環状構造を備える。および
B).円形ハブ106および一連のスポーク108を備えるフェース部分104(
図2)。ハブ106は、ホイールを車両のホイールマウントに固定するために使用される締結ボルト(図示せず)を受け入れるように構成された5つの締結開口部107を含む。スポーク108は、一端でハブ106に接続され、他端でリム部分102に接続され、かつスポーク軸線S-S(
図1および
図3)にほぼ沿ってスポーク軸線S-Sの周りに延在する細長いアームを備える。各スポーク108は、外側に延在するフェース表面130と、対向する背面132と、側面134とを有する。図示のハブ106およびホイール構成は5つの締結開口部を有するが、複合ホイール100のハブ106は、例えば異なる数(例えば、4、6、またはそれ以上)の締結開口部を有する他の構成を有することができ、または中央締結開口部を有するセンターロックホイールを備えることができることを理解されたい。
【0064】
リム部分102は、その中に相補的な形状および構成の繊維レイアップを有し、フェース部分104および構成スポーク108は、その中に相補的な形状および構成の繊維レイアップを有する。繊維レイアップは、複合ホイール100をその周りに成形することができ、かつ炭素繊維ホイールのこれらの部分について上述した表面および形状を反映することができる補強骨格および繊維構造を提供する。したがって、リム部分102、フェース部分104、およびスポーク108の繊維レイアップの部分および位置は、この特許明細書の複合ホイール100の構成部分の文脈で説明される。
【0065】
国際公開第2010/025495号明細書に記載されているように、そのような成形された一体型複合ホイール100の作成は、別個のリム部分金型(図示せず)およびフェース部分金型(図示せず)の使用を必要とする。
【0066】
いくつかの実施形態では、使用時に、リム部分102は、リム部分金型に着座した補強織物に典型的に具現化された繊維の第1のセットをレイアップすることによって形成され、フェース部分104は、フェース部分金型に着座した補強織物に典型的に具現化された繊維の第2のセットを別々にレイアップすることによって形成される。リム部分金型およびフェース部分金型からの補強織物は、次いで、組み合わされた金型に一緒に組み立てられ、リム部分102とフェース部分104との間の接続が補強材でレイアップされた状態で、別個の部分が接続点110で相互接続される。接続部を形成した後、ホイール100のリム部分102、フェース部分104の各々の補強材に樹脂を注入および/または含浸させ、次いで硬化させて成形された一体型ホイール100を製造する。
【0067】
他の実施形態では、リム部分102は、少なくとも1つの環状に巻かれた細長い繊維トウから形成されたフープトウ層の交互の層から形成された積層体として形成することができ、本出願人の国際公開第2019/033169号明細書に教示されているようなバイアスプライ層の内容は、この参照により本明細書に組み込まれると理解されるべきである。その明細書に記載されているように、フェース部分104は、リム部分102をレイアップしながらリム部分102に相互接続される。リム部分102の繊維レイアップはまた、フェース部分104とリム部分102との間の接続をリム部分102の繊維レイアップに直接含めることができるように、フェース部分104のレイアップが完了した後にレイアップされる。国際公開第2019/033169号明細書に記載されているように、フェース部分104は、接続部分またはタブを有する補強材でレイアップされる。フェース部分104レイアップからの接続部分は、リム部分とフェース部分との相互接続部を形成するために、リム部分の繊維レイアップの上および中に敷設される。
【0068】
リム部分102とフェース部分104との間の機械的に効率的な接続部、特にリム接続部110への各スポークは、ホイール100に剛性および強度を提供するために重要である。この点において、横方向、垂直方向、およびねじり荷重は、タイヤを介してホイール100のリム部分102に伝達される。これらの荷重は、リム接続部110への各スポークにおいて、効率的に分解される必要があるスポーク108を介して曲げ応力およびねじり応力を伝達する。
【0069】
本発明のスポーク対リム接続部110は、リム補強材と、リム部分102と、本発明のスポーク対リム補強コネクタ300によって補強される複合ホイール100のフェース部分104のスポーク108との相互接続によって形成される。この接続部110は、
図2および
図3により詳細に示されている。
【0070】
最初に
図2を参照すると、
図1に示す複合ホイール100のスポーク対リム接続部110のより詳細な図が示されている。外部的には、接続領域110は、リム部分102の外面114に配向され、その構成に溶け込むように構成されている。
【0071】
ここで
図3および
図4を参照すると、
図1および
図2に示す複合ホイール100のリム部分102とフェース部分104との間の接続部110内のスポーク対リム補強コネクタ300の一実施形態の位置決めの概略図が示されている。図示されたスポーク対リム補強コネクタ300は、以下のように、リム部分102の繊維レイアップの隣り合う部分および複合ホイール100のスポーク部分108を通って延在する2つの別個の部分を備える。
【0072】
(1)スポーク108の繊維レイアップの端部150に巻き付いているスポークサドル310。スポークサドル310は、スポーク108の端部150の繊維レイアップの周りで、スポーク軸線S-Sの周りでほぼ円周方向に、かつスポーク108のフェース表面130の繊維レイアップ上に延在する上部スポーク座部312と、スポーク108の繊維レイアップの側面134上で、かつスポーク108のフェース表面130の繊維レイアップからほぼ垂直に離れるように延在する少なくとも2つのスポーク脚部316とを備える。
【0073】
(2)スポーク軸線S-Sに対してほぼ垂直にスポークサドル310のスポーク脚部316から延在し、複合ホイール100のリム部分102の内面140の繊維レイアップと位置合わせされる2つのリムタブ320。各リムタブ320は、リムタブ320が接続されて延在するスポーク脚部316の平坦なフェース321に対して約90度に向けられた平坦なフェース322を含むことができる。各リムタブ320は、複合ホイール100のリム部分102の繊維レイアップに一体化されるように配置され構成されている。
【0074】
図3A、
図3B、および
図3Cに示すように、各スポークサドル310は、複合ホイール100のリム部分102とスポーク部108との間の接続領域110に位置するスポーク108の端部150の繊維レイアップに、その上に、またはその中に位置する。各スポークサドル310は、端部150の繊維レイアップのすべての層の上に配置することができ、またはスポーク108の端部150の繊維レイアップ内の1つまたは複数の層の下に組み込むことができる。ほとんどの場合、スポークサドル310は、実用的には繊維レイアップの最上層の近くに配置される。したがって、コネクタ300は、リム構造とフェース構造との間の荷重伝達が必要とされるスポーク108の繊維レイアップの外側端部に配置される。スポーク対リム補強コネクタ300は、リム部分102(第1のリムタブ320)の内面140で始まり、スポーク108(スポークサドル310)のフェース表面130の周りに巻き付き、リム部分102(第2のリムタブ320)の内面140で終わる、接続領域110の繊維レイアップ上およびその中の連続構成位置を有する。
図3Bおよび
図3Cに示すように、スポークサドル310は、スポーク108の端部150の繊維レイアップに一体化されている。
【0075】
図4に最もよく示されているように、スポークサドル310およびリムタブ320の各々は、実質的に平坦な材料シートから形成される。しかしながら、他の実施形態においては、スポーク対リム補強コネクタを、各々が上述のおよび図示された構成を有する複数の材料プライから形成することもできることを理解されたい。図示のスポークサドル310は、スポーク108の端部150の側面134の繊維レイアップおよびフェース表面130の周りに巻き付けられた平面体を備える。スポークサドル310は、スポーク108の繊維レイアップ上にほぼアーチ状の形状を形成する。図示のスポークサドル310は、スポーク108がリム部分102に接続する場所に近接して、スポーク107のフェース表面130の繊維レイアップの一部を覆うように成形された、ほぼ長方形の(またはリム部分102の近くの端部が考えられる場合、おそらくわずかに台形の)形状の上部318を含む。各スポークサドル310のスポーク脚部316は、ほぼ三角形の形状を有する。
図3Bは、スポーク部分108の繊維レイアップ内の上部318を示す。
【0076】
図3Aおよび
図4に最もよく示されているように、各スポーク脚部316はまた、スポーク脚部316のフェース321の外側に、複合ホイール100のリム部分102の内面140の繊維レイアップに向かってある角度で延在するように構成された一連の縁部フランジ部分319を含む。縁部フランジ部分319は、リム部分102とスポーク108の側面134およびスポークフェース130との間の荷重伝達を補助する。
【0077】
各リムタブ320はまた、複合ホイール100のリム部分102の環状本体の内面140およびその繊維レイアップとほぼ平行に整列するように構成された実質的に平坦な本体を備える。リムタブ320の各々は、複合ホイール100の繊維レイアップまたはリム部分102に一体化されるように構成される。
【0078】
図示のリムタブ320は、台形形状のスポーク部分326に接続されたほぼ長方形の本体324を備える。各リムタブ320は、曲げ線または折れ線として形成された一体型接合部330(
図5A)を介してそれぞれのスポーク脚部316に接続され、その周りで各リムタブ320はスポーク脚部316のフェース321に対して約90度傾斜している。
【0079】
図3Bおよび
図3Cに示すように、リムタブ320、より具体的にはリムタブ320のほぼ長方形の本体324は、リム部分102の繊維レイアップに一体化されている。同様に、スポークサドル310は、スポーク108の端部150の繊維レイアップに一体化されている。
【0080】
各リムタブ320の構成は、各リムタブ320が各スポーク108の背面132で繊維レイアップの周りに巻き付き、各スポーク108の繊維レイアップの下のリム部分102の内面140の繊維レイアップから各スポーク108の背面132の繊維レイアップまでスポーク108の周りのカバーを完了することを可能にする。
図3A、
図3B、および
図3Cに示すように、各リムタブ320は、スポーク108の背面132の繊維レイアップの下で隣り合うリムタブ320に当接して連続カバーを形成するように構成される。
【0081】
各リムタブ320の台形形状のスポーク部分326は、スポーク108の背面132(およびその繊維レイアップ)の繊維レイアップの少なくとも一部の周りに巻き付く背面132の繊維レイアップに向かって湾曲して、スポーク軸線S-Sに実質的に垂直な状態から、スポーク軸線S-Sがスポーク部分326の遠位部分により整列した状態になる方向へのスポーク部分326の(
図4の湾曲した矢印F7およびF8によって示されるような)繊維配向の移行を可能にするように構成される。いくつかの実施形態(図示せず)では、スポーク部分326の遠位部分は、スポーク108の背面132(およびその繊維レイアップ)と位置合わせされるように構成することができる。しかしながら、図示の実施形態では、スポーク部分326の遠位部分は、スポーク108の背面132(およびその繊維レイアップ)までの移行曲線の途中でのみ終わっている。
【0082】
コネクタ300内の繊維配向は、繊維方向矢印F1~F6(
図4)によって示されるように、構成繊維が、コネクタ300を形成するスポークサドル310およびリムタブ320内のスポーク軸線S-Sに対して実質的に垂直に配向されるように構成される。したがって、コネクタ300は、リム部分102(リムタブ320)で始まり、スポーク108(スポークサドル310)のフェース表面の周りに巻き付き、リム部分102(リムタブ320)で終わるスポーク軸線S-Sに対して実質的に垂直に延在する連続的な繊維配向を有する。さらに、スポーク部分326の移行繊維配向(F7およびF8)を考慮すると、コネクタ300の繊維配向は、コネクタ300のスポークサドル310内のスポーク軸線S-Sに対して垂直である。コネクタ300の繊維配向はまた、リムタブ320のフェース部分322においてスポーク軸線S-Sに対して垂直である。しかしながら、ここで、コネクタ300の繊維配向は、繊維配向F7およびF8が移行して、スポークがコネクタ300のリムタブ320のスポーク部分326により整列するように、スポーク半径の背面に巻き付く。
【0083】
この繊維配向は、任意の適切な方法で形成することができる。繊維配向を示すコネクタ300の2つの実施形態を
図5Aおよび
図5Bに示す。
【0084】
図5Aは、スポーク対リム補強コネクタ300の連続繊維印刷(TFP)プリフォーム形態300Aを示す。この実施形態は、最適な繊維の整列および厚さの変化を可能にして繊維レイアウト400を形成するために、連続繊維印刷技術を使用する。これにより、予備成形およびレイアップ作業を通して繊維方向が維持されることが保証される。
【0085】
図5Bに示すように、スポーク対リム補強コネクタ300Bは、適切な形状および構成に切断され、次いで
図3および
図4に示すように成形される繊維方向F10を有する一軸織物から代替的に形成されてもよい。縫合接合または緯糸安定化一軸織物などの任意の適切な一軸織物構成を使用することができる。
【0086】
前述のように、スポーク対リム補強コネクタは、典型的には、材料の単一のプライから形成された一体型として形成される。しかしながら、やはり、実施形態においては、スポーク対リム補強コネクタを、各々が上述の構成を有する複数の材料プライから形成することもできることを、理解されたい。
【0087】
前述のように、
図1、
図2、および
図3に示す本出願人の複合ホイール100は、好ましくは、一体的に形成された複合ホイールとして形成され、複合ホイール100のリム部分102およびフェース部分104は、一体的に形成され接続されている。接続部分110およびその中のスポーク対リム補強コネクタ300もまた、複合ホイール100と一体的に形成されている。
【0088】
図示されたスポーク対リム補強コネクタ300は、複合ホイール100のリム部分102とフェース部分104との間の接続部をレイアップすることによって、複合ホイール100のスポークとリムとの接続部110を補強するために使用される。
【0089】
例えば、本出願人の国際公開第2019/033169号明細書に記載されているように、フェース部分104は、フェース部分104レイアップに含まれる接続構造を使用してリム部分102に相互接続され、その後のレイアッププロセス中にリム部分102レイアップに一体化される。リム部分102の繊維レイアップはまた、フェース部分104とリム部分102との間の接続をリム部分102の繊維レイアップに直接含めることができるように、フェース部分104のレイアップが完了した後にレイアップされる。フェース部分104の繊維レイアップは、ほぼ円形のハブ106と、ハブ106からスポーク軸線S-Sに沿って延在する複数のスポーク108と、接続部分またはタブ(図示せず)とを含む選択された炭素繊維レイアップを有する。フェース部分104レイアップからの接続部分は、リム部分とフェース部分との相互接続部を形成するために、リム部分102の繊維レイアップの上および中に敷設される。このプロセス中、スポーク対リムコネクタ300を、各コネクタ300のスポークサドル310を、所望の層(多くの場合、そのレイアップの最上層または上層に近い)の各スポーク108の端部150のレイアップ内に配置し、各リムタブ320を、複合ホイール100のリム部分102の繊維レイアップと整列させて、フェース部分104のレイアップに一体化させる。リム部分102の設計された構成を提供するように成形された環状金型工具(図示せず)が提供され、接続部分およびリムタブ320は、その環状金型工具内に配置される。次いで、リム部分102の繊維レイアップおよび構造は、各リムタブ320をその中に組み込むようにレイアップされる。
【0090】
図示の実施形態は、複合ホイール100のリム接続部に対するスポークの接続部分110における単一のスポーク対リム補強コネクタ300の位置決めを示しているが、フェース部分104レイアップにおけるスポーク繊維レイアップは、これらの層内の1つ以上のスポーク対リム補強コネクタ300を含むことができることを理解されたい。実施形態では、複数のスポーク対リム補強コネクタ300がそのレイアップに含まれる。例えば、3つのスポーク対リム補強コネクタ300を、フェース部分104のスポーク繊維レイアップの底部、中央部、および上部に丁寧に配置することができる。
【0091】
リム部分102およびフェース部分104の繊維レイアップまたは繊維構造は、多層構造を備える。層の数は、リム部分102の設計ならびに複合部材のサイズおよびタイプに応じてかなり変化し得る。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の層を使用することができ、例えば4~10層、または4~20層、例えば4、6、8、10、12、14、16、18または20層などのほんの数層を使用することができる。他の実施形態では、リム部分102の所望の品質および/または特性を得るために、より多くの、例えば20、30、50、100またはそれ以上の層が必要とされる。
【0092】
炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維、合成繊維、例えばアクリル、ポリエステル、PAN、PET、PE、PPまたはPBO繊維など、バイオ繊維、例えば麻、ジュート、セルロース繊維など、鉱物繊維、例えばロックウールなど、金属繊維、例えば鋼、アルミニウム、真鍮、銅など、ホウ素繊維またはこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される繊維を含むがこれらに限定されない多種多様な繊維を本発明で使用することができることを理解されたい。好ましい実施形態では、繊維は炭素繊維を備える。
【0093】
炭素繊維層の繊維体積分率は、選択された繊維目付の材料から様々な層を形成することによって制御することができる。各層の繊維目付は、50から400g/m2、好ましくは180から250g/m2、より好ましくは180から220g/m2、さらにより好ましくは約200g/m2である。
【0094】
図示の複合ホイール100(
図1)は、単一の本体として形成されるように意図されている。これは、例示的な実施形態では樹脂であるマトリックス材料を、リム部分102、フェース部分104および接続部分110(スポーク対リム補強コネクタ300を含む)を含むすべての部分に同時に注入および/または含浸し、次いで複合ホイール100の各部分を硬化させることを含む。使用される樹脂は、好ましくはエポキシ系である。しかしながら、任意の適切な樹脂、例えば不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性樹脂、類似の化学化合物またはそれらの組み合わせを使用することができることを理解されたい。樹脂注入および/または樹脂トランスファ成形および/または真空アシスト樹脂トランスファ成形を含むがこれらに限定されない様々な樹脂送達システムを使用することができる。
【0095】
したがって、複合ホイール100の形成されたリム部分102およびフェース部分104は、積層された積層体の繊維、典型的には不飽和ポリエステル、ポリウレタン、ポリビニルエステル、エポキシ、熱可塑性樹脂、類似の化学化合物またはそれらの組み合わせに基づく樹脂を含むマトリックス材料も含む。しかしながら、他のマトリックス材料も適用可能であり得ることを理解されたい。
【0096】
接続部を形成した後、ホイールのリム部分102、フェース部分104、および接続部の各々の補強材に樹脂を注入および/または含浸させ、次いで硬化させる。
【0097】
当業者は、本明細書に記載された本発明が、具体的に記載されたもの以外の変形および修正を受けやすいことを理解するであろう。本発明は、本発明の精神および範囲内に入るすべてのそのような変形および修正を含むことが理解される。
【0098】
「備える」、「備える」、「含まれる」または「含む」という用語が本明細書(特許請求の範囲を含む)で使用される場合、それらは、記載された特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を特定するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在を排除しないと解釈されるべきである。
【国際調査報告】