(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】極性又は無極性のオイルを増粘するための、少なくとも1種のオイルと少なくとも1種のポリ(イタコン酸エステル)とを含有するコポリマー系増粘組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20240709BHJP
A61K 8/92 20060101ALI20240709BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/92
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577500
(86)(22)【出願日】2022-06-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-15
(86)【国際出願番号】 EP2022067062
(87)【国際公開番号】W WO2022268906
(87)【国際公開日】2022-12-29
(32)【優先日】2021-06-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398057293
【氏名又は名称】ソシエテ・デクスプロワタシオン・デ・プロデュイ・プール・レ・アンデュストリー・シミック・セピック
【氏名又は名称原語表記】SOCIETE D’EXPLOITATION DE PRODUITS POUR LES INDUSTRIES CHIMIQUES SEPPIC
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【氏名又は名称】布施 行夫
(72)【発明者】
【氏名】ボドック,ミルナ
(72)【発明者】
【氏名】イロウス,エステル
(72)【発明者】
【氏名】バルテ,ヴィルジーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ギルボット,ジェローム
(72)【発明者】
【氏名】ダコスタ,ジョージス マヌエル
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA121
4C083AC011
4C083AD091
4C083AD092
4C083BB13
4C083CC02
4C083CC06
4C083DD23
4C083DD30
4C083EE06
4C083EE07
4C083EE11
(57)【要約】
【解決手段】 本発明は、極性又は無極性のオイル(H2)を増粘するためのコポリマー系増粘組成物(C)に関し、該組成物は、少なくとも1種のオイル(H1)と、2種のモノマー単位からなる少なくとも1種のポリ(イタコン酸エステル)(P)とを含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
極性又は無極性のオイル(H2)を増粘するためのコポリマー組成物(C)であって、少なくとも1種のオイル(H1)と少なくとも1種のポリ(イタコン酸エステル)(P)とを含み、前記少なくとも1種のポリ(イタコン酸エステル)(P)が、モノマー単位Aとモノマー単位Bとからなり、前記モノマー単位Aが、
・式(AIId1)の化合物
【化1】
(式中、
YとY’は同一であり、ラジカルR
1O-を表すか、又はYとY’は異なり、HO-ラジカル又はラジカルR
1O-を表し、
R
1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の、脂肪族炭化水素系ラジカルを表す);
・式(IIf1)の化合物
【化2】
(式中、
Y6とY’6は同一であり、式(Y6
1)のラジカルを表すか、又はYとY’は異なり、HO-ラジカル又は式(Y6
1)のラジカルを表し、
【化3】
式(Y6
1)中のR
1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の、飽和又は不飽和の、脂肪族炭化水素系ラジカルを表す);
・式(IIg1)の化合物
【化4】
(式中、
Y7とY’7は同一であり、式(Y7
1)のラジカルを表すか、又はYとY’は異なり、HO-ラジカル又は式(Y7
1)のラジカルを表し、
【化5】
式(Y7
1)中のR’
1-C(=O)は、12~24個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカルを表し、xは1以上5以下の自然数を表す);
からなる群の要素から選択されるモノマーに由来し、
前記モノマー単位Bが、
・式(IIa1)の化合物
【化6】
(式中、Y1とY’1は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y1
1)のラジカル:
【化7】
を表し、式(Y1
1)中、mは2以上10以下の整数である);
・式(IIb1)の化合物
【化8】
(式中、Y2とY’2は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y2
1)のラジカル:
【化9】
を表し、式(Y2
1)中、oは2以上4以下の整数である);
・式(IIc1)の化合物
【化10】
(式中、Y3とY’3は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y3
1)のラジカル:
【化11】
を表す);
・式(IIc1’)の化合物
【化12】
(式中、Y4とY’4は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y4
1)のラジカル:
【化13】
を表す);
・式(IIe1)の化合物
【化14】
(式中、Y5とY’5は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y5
1)のラジカル:
O-(CH
2)
q-OH (Y5
1)
を表し、式(Y5
1)中、qは1以上12以下の整数であり、より具体的には3以上8以下の整数である);
・式(IIh1)の化合物
【化15】
(式中、Y8とY’8は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y8
1)のラジカル:
【化16】
を表し、式(Y8
1)中、R’
1-C(=O)は、12~36個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカルを表し、xは6以上20以下の自然数を表す);
からなる群の要素から選択されるモノマーに由来する、コポリマー組成物(C)。
【請求項2】
20質量%~80質量%のオイル(H1)と、20質量%~80質量%のポリ(イタコン酸エステル)(P)とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の増粘コポリマー組成物(C)。
【請求項3】
前記オイル(H1)が、4℃~45℃、さらに好ましくは15℃~45℃、さらに好ましくは15℃~35℃の温度で液体形態であるオイルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の増粘コポリマー組成物(C)。
【請求項4】
前記オイル(H1)が、鉱油若しくは植物由来の油、又はこれら2つのタイプのオイルの混合物であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の増粘コポリマー組成物(C)。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物(C)を含む局所製剤(F)。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか一項に記載の増粘コポリマー組成物(C)を製造するための方法であって、
a)式(AIId1)、(IIf1)、及び(IIg1)の遊離酸形態の又は部分的に若しくは完全に塩の形態にされた化合物からなる群の少なくとも1つの要素と、式(IIa1)、(IIb1)、(IIc1)、(IIc1’)、(IIe1)、及び(IIh1)の遊離酸形態の又は部分的に若しくは完全に塩の形態にされた化合物からなる群の少なくとも1つの要素と、を含むイタコン酸モノ-及び/又はオリゴエステルの組成物(C0)を製造すること、
b)ステップa)で製造された組成物(C0)とオイル(H1)との混合物(M1)を調製すること、
c)ステップb)の終わりに得られた前記混合物(M1)に熱ラジカル開始剤を導入することによって開始される混合物(M1)の共重合を行うこと、並びに
d)組成物(C)を回収すること、
を含む方法。
【請求項7】
組成物(C)に含まれる前記オイル(H1)の少なくとも一部を除去するステップを含むことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記重合が40℃~80℃の温度で行われることを特徴とする、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ステップb)で架橋性モノマー(AR)が添加されることを特徴とする、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記架橋性モノマー(AR)が、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びメチレンビス(アクリルアミド)から特に選択されるジエチレン性又はポリエチレン性の架橋性モノマーであることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
イタコン酸モノ-及び/又はオリゴエステルの前記組成物(C0)を製造するステップa)が、以下のサブステップ:
i)以下の液体形態の化合物:
・以下の構造を有するオリゴグリセロール:
【化17】
(式中、mは2以上10以下の整数を表す)、
・以下の構造を有する天然ポリオール:
【化18】
(式中、oは2(エリスリトール)、3(キシリトール)、又は4(ソルビトール)に等しい数を表す)、
・以下の構造を有する脱水天然ポリオール:
【化19】
(式中、Xは、水素原子(エリスリタン)、又はラジカル-CH2-OH(キシリタン)、又はラジカル-CH(OH)-CH2-OH(ソルビタン)を表す)、
・以下の構造を有する脂肪族脂肪アルコール:
R1-OH (IId)
(式中、R1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素系ラジカルを表す)、
・下記式(IIe)のα,ω-ジオール:
【化20】
(式中、qは1以上12以下の整数を表す)
・下記式(IIf)の化合物:
【化21】
(式中、R’
1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素系ラジカルを表す)、
・下記式(IIg)の化合物:
【化22】
(式中、R’
1-C(=O)は、12~24個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカルを表し、xは1以上5以下の整数を表す)、
・以下の式(IIh)の化合物:
【化23】
(式中、R’
1-C(=O)は、12~36個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカルを表し、xは6以上20以下の自然数を表す)
からなる群の要素から選択されるバイオベースのアルコール又はポリオールを反応器に導入すること、
ii)イタコン酸(I)、重合禁止剤、次いでエステル化触媒を、機械撹拌しながら前記反応器に添加すること、
iii)前記反応器内の媒体を、分圧下で120℃~180℃の温度に維持してエステル化反応を行うこと、並びに
iv)イタコン酸モノ-及び/又はオリゴエステルの組成物を回収すること
を含むことを特徴とする、請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
サブステップi)~iii)が120℃~180℃の温度で行われることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
サブステップiii)が500~20mbar、より具体的には500~200mbarの圧力で行われることを特徴とする、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記サブステップiii)が30分~10時間継続されることを特徴とする、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
サブステップii)において、前記重合禁止剤が、1,4-ベンゾキノン、2-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、フェノチアジン、6-tert-ブチル-2,4-キシレノール、ジブチルジチオカルバミン酸銅(II)、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4-tert-ブチルピロカテコール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、及び4-メトキシフェノールから選択されることを特徴とする、請求項11~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
サブステップii)において、前記エステル化触媒が、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸、並びに酸性イオン交換樹脂から選択される酸であることを特徴とする、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、極性又は無極性のオイルを増粘するためのコポリマー組成物、その製造方法、及びこの増粘組成物を含有する局所製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品市場では、オイルを増粘させるニーズがある。ゲルの形成には、ゲル化剤による三次元ネットワークの形成が必要であり、これにより液相又は溶媒の固定化が可能になる。これを行うためには、いくつかの戦略を使用することができる。それらには、弱い相互作用(水素結合、疎水性/疎水性など)や吸収/吸着現象など、様々な種類の相互作用が含まれる。
【0003】
現在提案されている増粘溶液は、高い性能と、汎用性の点でのかなりの優位性とを提供するが、特に配合物の感覚特性や処方条件への影響に関する欠点も有している。これらの物質は、シリカ誘導体、粘土、ポリマー(ポリアミド、ポリアクリレート、ポリウレタンなど)、蜜蝋、硬化植物油、或いは糖脂肪エステル、又はアミドなど、様々な化学的性質を有するものである。
【0004】
様々な性質及び性能のオイル増粘剤が既に市販されているが、その目的は、あらゆるタイプの性質のオイル(極性から無極性)で、様々なタイプのテクスチャー(コンパクトから流体)並びに魅力的な又は少なくとも悪くない感覚特性(脂っぽくない、べたつかない、流れにくい)に関して高い性能を与える、植物由来の材料から得られる構造を見出すことであるため、それらの構造と特性との関係は明確には特定されておらず、このことは主な科学的障壁になっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、最も無極性なものから最も極性の高いものまで、あらゆるタイプのオイルを低用量で効果的に増粘させることができる、単一の普遍的な構造又は物質を見出すことが困難の1つであり、ゲル化機構は、オイル及びゲル化剤の性質によって当然異なる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決手段は、極性又は無極性のオイル(H2)を増粘するためのコポリマー組成物(C)であって、少なくとも1種のオイル(H1)と少なくとも1種のポリ(イタコン酸エステル)(P)とを含み、少なくとも1種のポリ(イタコン酸エステル)が、
- A)
・式(AIId1)の化合物
【化1】
(式中、YとY’は同一であり、ラジカルR
1O-を表すか、又はYとY’は異なり、HO-ラジカル又はラジカルR
1O-を表し、
R
1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素系ラジカルを表す);
・式(IIf1)の化合物
【化2】
(式中、Y6とY’6は同一であり、式(Y6
1)のラジカルを表すか、又はYとY’は異なり、HO-ラジカル又は式(Y6
1)のラジカル:
【化3】
を表し、式(Y6
1)中のR
1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素系ラジカルを表す);
・式(IIg1)の化合物
【化4】
(式中、Y7とY’7は同一であり、式(Y7
1)のラジカルを表すか、又はYとY’は異なり、HO-ラジカル又は式(Y7
1)のラジカル:
【化5】
を表し、式(Y7
1)中のR’
1-C(=O)は、12~24個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカル、より具体的にはドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレイル、リノレイル、リノレノイル、又はイソステアリルラジカルからなる群の要素から選択されるラジカルを表し、xは1以上5以下の自然数を表す);
からなる群の要素から選択されるモノマーに由来するモノマー単位と、
- B)
・式(IIa1)の化合物
【化6】
(式中、Y1とY’1は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y1
1)のラジカル:
【化7】
を表し、式(Y1
1)中、mは2以上10以下の整数である);
・式(IIb1)の化合物
【化8】
(式中、Y2とY’2は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y2
1)のラジカル:
【化9】
を表し、式(Y2
1)中、oは2以上4以下の整数である);
・式(IIc1)の化合物
【化10】
(式中、Y3とY’3は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y3
1)のラジカル:
【化11】
を表す);
・式(IIc1’)の化合物
【化12】
(式中、Y4とY’4は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y4
1)のラジカル:
【化13】
を表す);
・式(IIe1)の化合物
【化14】
(式中、Y5とY’5は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y5
1)のラジカル:
O-(CH
2)
q-OH (Y5
1)
を表し、式(Y5
1)中、qは1以上12以下の整数であり、より具体的には3以上8以下の整数である);
・式(IIh1)の化合物
【化15】
(式中、Y8とY’8は同じであっても又は異なっていてもよく、HO-ラジカル又は式(Y8
1)のラジカル:
【化16】
を表し、式(Y8
1)中、R’
1-C(=O)は、12~36個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカルを表し、xは6以上20以下の自然数を表す);
からなる群の要素から選択されるモノマーに由来するモノマー単位と、
からなる、コポリマー組成物(C)である。
【0007】
Y又はY’が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(AIId1)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0008】
Y6又はY’6が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(IIf1)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0009】
Y7又はY’7が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(IIg1)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0010】
Y1又はY’1が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(IIa1)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0011】
Y2又はY’2が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(IIb1)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0012】
Y3又はY’3が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(IIc1)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0013】
Y4又はY’4が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(IIc1’)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0014】
Y5又はY’5が異なり、且つHO-ラジカルを表す場合、式(IIe1)中に存在するカルボン酸官能基は、遊離酸の形態であるか又は部分的に若しくは完全に塩の形態である。
【0015】
前記増粘組成物(C)により、極性及び無極性のオイル(H2)を増粘することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の目的のためには、「塩の形態にされた」という用語は、モノマー中に存在する酸官能基が、特にナトリウムカチオン又はカリウムカチオンなどのアルカリ金属塩、又は窒素塩基のカチオン、例えばアンモニウム塩、リシン塩、又はモノエタノールアミン塩(HOCH2-CH2-NH4
+)などのカチオンとの塩形態で結合したアニオン形態であることを意味する。これらは、好ましくはナトリウム塩又はアンモニウム塩である。
【0017】
「1つ以上のヒドロキシル基で任意選択的に置換されていてもよい、6~36個の炭素原子を含む、飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族炭化水素系ラジカル」という用語は、上で定義した式(AIId1)、式(Y61)、及び式(IIf1’)におけるラジカルR1について、
- 飽和直鎖アルキルラジカル、例えば、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ウンデシル、n-ドデシル、n-トリデシル、n-テトラデシル、n-ペンタデシル、n-ヘキサデシル、n-ヘプタデシル、n-オクタデシル、n-ノナデシル、n-エイコシル、及びn-ドコシルラジカル;
- オクテニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、ノナデセニル、エイコセニル、ドコセニル、4-ドデセニル、及び5-ドデセニルラジカルなどの不飽和直鎖ラジカル;
- ヒドロキシドデシル、ヒドロキシテトラデシル、ヒドロキシヘキサデシル、ヒドロキシオクタデシル、ヒドロキシエイコシル、及びドロキシドコシルラジカル、例えば12-ヒドロキシオクタデシルラジカルなどの、1つ又は2つのヒドロキシル基で置換された、6~36個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の脂肪族ラジカル;
- 式(1)のイソアルカノールから誘導されるラジカル:
(CH3)(CH3)CH-(CH2)r-CH2-OH (1)
(式中、rは2~20の整数、例えばイソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、イソヘプタデシル、イソオクタデシル、イソノナデシル、イソエイコシル、又はイソドコシルラジカルを表す);
- ゲルベアルコールに由来する、式(2)の分岐アルキルラジカル:
CH(CsH2s+1)(CtH2t+1)-CH2-OH (2)
(式中、tは4~18の整数であり、sは2~18の整数であり、s+tの合計は6以上22以下であり、例えば2-ブチルオクチル、2-ブチルデシル、2-ヘキシルオクチル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、2-ドデシルヘキサデシル、又は2-テトラデシルオクタデシルラジカルである)
を表す。
【0018】
さらにより具体的な態様によれば、上で定義した式(AIId1)及び(IIf1)の定義において、R1は、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-ノニル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、n-エイコシル、n-ドコシル、2-ヘキシルデシル、2-オクチルデシル、2-ヘキシルドデシル、2-オクチルドデシル、2-デシルテトラデシル、及び12-ヒドロキシオクタデシルラジカルからなる群の要素の少なくとも1つから選択されるラジカルを表す。
【0019】
特定の態様によれば、ポリ(イタコン酸エステル)(P)は架橋ポリ(イタコン酸エステル)(P)である。
【0020】
本発明の目的のためには、「架橋ポリ(イタコン酸エステル)(P)」という用語は、先に定義したポリ(イタコン酸エステル)を表し、また、ポリエチレン系架橋性モノマー(AR)に由来する少なくとも1種のモノマー単位からなる。
【0021】
「ポリエチレン系架橋性モノマー(AR)」という用語は、その化学式に少なくとも2つのエチレン結合が含まれ、且つ上述したポリ(イタコン酸エステル)を構成するモノマーが関与するラジカル重合反応中に2つ以上のポリマー鎖の連結を可能にする化合物を意味する。ラジカル重合プロセスの開始前にポリエチレン系架橋性モノマー(AR)をモノマーに添加することで、架橋ポリ(イタコン酸エステル)を調製することができる。
【0022】
ポリエチレン系架橋性モノマー(AR)は、2つ以上のイタコン酸分子と1分子のポリオールとの間のエステル化の結果として、ラジカル重合プロセスで使用されるモノマー組成物の構成成分であってもよい。
【0023】
本発明の目的のためには、「ポリオール」という用語は、少なくとも2つのヒドロキシル基で置換された脂肪族分子を意味する。
【0024】
本発明の目的のためには、「極性オイル」という用語は、その分子構造中に極性基、すなわち永久双極子/永久双極子タイプの水分子との静電相互作用を形成することができる基を含む疎水性化合物を意味する。
【0025】
本発明の目的のためには、「無極性オイル」という用語は、永久双極子/永久双極子タイプの水分子との静電相互作用を形成することができない疎水性化合物を意味する。
【0026】
本発明の目的のためには、「疎水性化合物」という用語は、水と物理的に相互作用できない化合物を意味する。
【0027】
本発明の目的のためには、「オイル」という用語は、疎水性であり且つ水に不溶性である化合物及び/又は化合物の混合物を意味する。
【0028】
場合によっては、本発明による解決手段は、以下の特徴のうちの1つ以上を有し得る:
- 組成物(C)が、20質量%~80質量%、好ましくは40質量%~60質量%、さらに好ましくは43質量%~57質量%のオイル(H1)と、80質量%~20質量%、好ましくは60質量%~40質量%、さらに好ましくは57質量%~43質量%のポリ(イタコン酸エステル)(P)とを含有する;
- オイル(H1)が、4℃~45℃、好ましくは15℃~45℃、さらに好ましくは15℃~35℃の温度で液体形態であるオイルである;
- オイル(H1)が、鉱油若しくは植物油、又はこれら2つのタイプのオイルの混合物である;
- 質量比(P)/(H1)が、5/1~1/5、好ましくは4/1~1/4、より好ましくは3/1~1/3、さらに好ましくは1/2~2/1である。
【0029】
鉱油は、好ましくは以下から選択される:
・パラフィン、イソパラフィン、又はシクロパラフィン、例えばEmogreen(商標)L15、Emogreen(商標)L19、Emosmart(商標)L15、Emosmart(商標)L19、Emosmart(商標)V21、Isopar(商標)L、Isopar(商標)H、Isopar(商標)G、又はIsopar(商標)Mの名称で販売されているアルカンとイソアルカンとシクロアルカンとの混合物、
・白色鉱油、例えばMarcol(商標)52、Marcol(商標)82、Drakeol(商標)6VR、Eolane(商標)130、Eolane(商標)150の名称で販売されている製品、
・11~19個の炭素原子を含む直鎖アルカン、より具体的にはn-ウンデカン、n-ドデカン、n-トリデカン、さらに具体的にはn-ウンデカンとn-トリデカンとの混合物、
・7~20個の炭素原子を含む分岐アルカン、例えばイソドデカン、イソペンタデカン、イソヘキサデカン、イソヘプタデカン、イソオクタデカン、イソノナデカン、若しくはイソエイコサン、又はINCI名によって識別されるそれらのいくつかの混合物:C7~8イソパラフィン、C8~9イソパラフィン、C9~11イソパラフィン、C9~12イソパラフィン、C9~13イソパラフィン、C9~14イソパラフィン、C9~16イソパラフィン、C10~11イソパラフィン、C10~12イソパラフィン、C10~13イソパラフィン、C11~12イソパラフィン、C11~13イソパラフィン、C11~14イソパラフィン、C12~14イソパラフィン、C12~20イソパラフィン、C13~14イソパラフィン、C13~16イソパラフィン;
・1つ以上の直鎖又は分岐のアルキルラジカルで任意選択的に置換されていてもよいシクロアルカン;
・ヘミスクアラン(又は2,6,10-トリメチルドデカン、CAS番号:3891-98-3)、スクアラン(又は2,6,10,15,19,23-ヘキサメチルテトラコサン)、水添ポリイソブテン、又は水添ポリデセン。
【0030】
植物油は、好ましくは、以下の分類に属するオイルから選択される:
・式(IV)の親油性エステル
【化17】
(式中、R2-(C=O)-は、8~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐のアシルラジカルを表し、R3は、R2とは独立して、1~24個の炭素原子を含む飽和又は不飽和の直鎖又は分岐の炭化水素系鎖を表し、式(IV)の化合物は、例えば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸プロピル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ブチル、ラウリン酸2-ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ヤシ脂肪酸メチル、ヤシ脂肪酸エチル、ヤシ脂肪酸プロピル、ヤシ脂肪酸イソプロピル、ヤシ脂肪酸ブチル、ヤシ脂肪酸2-ブチル、ヤシ脂肪酸ヘキシル、ヤシ脂肪酸オクチル、ヤシ脂肪酸デシル、ヤシ脂肪酸オクチル及びデシル、ミリスチン酸メチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸プロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸2-ブチル、ミリスチン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸エチル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ブチル、パルミチン酸2-ブチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸オクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸プロピル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸2-ブチル、オレイン酸ヘキシル、オレイン酸オクチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸プロピル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸2-ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸オクチル、イソステアリン酸メチル、イソステアリン酸エチル、イソステアリン酸プロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ブチル、イソステアリン酸2-ブチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸イソステアリルを表し、
特定の態様によれば、式(IV)の化合物は、商品名DUB 810Cとして販売されている製品などのココイルカプリレートカプレート、ヤシ脂肪酸プロピル、ヤシ脂肪酸イソプロピル、パルミチン酸プロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチルを表す)。
・式(V)のトリグリセリド
【化18】
(式中、R4-(C=O)、R5-(C=O)、及びR6-(C=O)は、同じであっても又は異なっていてもよく、8~24個の炭素原子を含む直鎖又は分岐の飽和又は不飽和のアシル基、より具体的には、オクタノイル、デカノイル、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレイル、リノレイル、リノレノイル、又はイソステアリル基からなる群の要素から選択されるアシル基を表す)。
【0031】
「オイル(H2)」という用語は、先に定義したオイル(H1)、より具体的には、上述した鉱油、並びにR4-(C=O)、R5-(C=O)、及びR6-(C=O)が同じであっても又は異なっていてもよく、オクタノイル基、デカノイル基、及びドデカノイル基からなる群の要素から選択されるアシル基を表す式(V)の化合物、を意味する。
【0032】
本発明の主題は、先に定義した組成物(C)を含む局所製剤(F)でもある。言い換えると、局所製剤(F)は、組成物(C)と少なくとも1種のオイル(H2)との混合物を含む。
【0033】
上で定義した製剤(F)の定義において使用される「局所使用」という表現は、化粧品、皮膚化粧品、皮膚医薬品、若しくは医薬品組成物の場合の直接的な適用であるか、或いは、例えば繊維製品若しくは紙ワイプの形態の身体衛生製品、又は皮膚若しくは粘膜と接触することが意図された衛生製品の場合などの間接的な適用であるかにかかわらず、前記製剤が、皮膚、毛髪、頭皮、又は粘膜への適用を可能にするように調製されていることを意味する。
【0034】
好ましくは、この局所製剤(F)は化粧品製剤である。
【0035】
前記局所製剤(F)は、通常オイル状組成物の形態であるか、又は油中水型、水中油型、水中油中水型、若しくは油中水中油型のいずれかにかかわらず、懸濁液、エマルション、マイクロエマルション、若しくはナノエマルションの形態である。
【0036】
前記局所製剤(F)は、ボトル、ポンプボトル型の装置、エアゾール装置内の加圧形態、格子などの透かし加工された壁を備えた装置、又はボールアプリケーター(別名ロールオン)を備えた装置の中に包装することができる。
【0037】
通常、前記局所組成物(F)は、局所使用のための製剤、特に化粧品、皮膚化粧品、医薬品、又は皮膚医薬品製剤の技術分野で通常使用される賦形剤及び/若しくは有効成分、例えば増粘及び/又はゲル化界面活性剤、安定剤、フィルム形成化合物、屈水剤、可塑剤、乳化剤及び共乳化剤、乳白剤、真珠光沢剤、過脂肪剤、金属イオン封鎖剤、キレート剤、酸化防止剤、香料、防腐剤、調整剤、体毛及び皮膚の漂白向けである白色剤、皮膚又は毛髪に関する処理作用に貢献することを意図される活性成分、日焼け防止剤、顔料又は無機充填材、目視効果を提供する又は活性成分の封入向けである粒子、剥離性粒子、又はテクスチャリング剤も含有する。
【0038】
前述した組成物(C)とオイル(H2)との混合物は、好ましくは50℃~85℃の温度、より好ましくは80℃の温度で調製される。その後、得られた均質な油状組成物は、室温、15℃~30℃まで冷却される。
【0039】
オイル(H2)の増粘は、最終的には、動粘度値を測定することによって、粘稠な又はゲル化した液体の稠度を評価することにより、視覚的に評価される。
【0040】
組成物(C)が有効であるとみなされるためには、少なくとも粘稠な又はゲル化した性状が達成されなければならない。
【0041】
本発明の主題は、本発明による増粘コポリマー組成物(C)を調製するための方法であって、
a)式(AIId1)、(IIf1)、及び(IIg1)の遊離酸形態の又は部分的に若しくは完全に塩の形態にされた化合物からなる群の少なくとも1つの要素と、式(IIa1)、(IIb1)、(IIc1)、(IIc1’)、(IIe1)、及び(IIh1)の遊離酸形態の又は部分的に若しくは完全に塩の形態にされた化合物からなる群の少なくとも1つの要素と、を含むイタコン酸モノ-及び/又はオリゴエステルの組成物(C0)を製造すること、
b)ステップa)で製造された組成物(C0)とオイル(H1)との混合物(M1)を調製すること、
c)ステップb)の終わりに得られた前記混合物(M1)に熱ラジカル開始剤を導入することによって開始される混合物(M1)の共重合を行うこと、並びに
d)組成物(C)を回収すること、
を含む方法でもある。
【0042】
先に定義した方法のステップc)における「熱開始剤」という用語は、前記構造に固有の温度に置かれた場合に、少なくとも1つの共有結合のホモリシスによって少なくとも2つのラジカルを生成させ、前記ラジカルによるラジカル重合の開始を可能にする分子を表す。
【0043】
特定の態様によれば、熱開始剤は、ラウロイルペルオキシド、アゾビス(イソブチロニトリル)若しくはAIBN、ベンゾイルペルオキシド若しくはBPO、アゾビス((2-メチルブチロニトリル)若しくはAMBN、4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)若しくはACVA、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、クメンヒドロペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、又はtert-ブチルヒドロペルオキシドからなる群の要素から選択される。
【0044】
増粘組成物(C)を調製するための方法は、好ましくは、以下の特徴のうちの1つ以上を含む:
- この方法は、組成物(C)に含まれるオイル(H1)の少なくとも一部を除去するステップを含む。これにより、より濃縮された組成物(C)を得ることができる、
- 重合が、40℃~80℃の温度で行われる、
- 架橋性モノマー(AR)が、ステップb)で添加される、
- 架橋性モノマーが、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジアリル尿素、トリアリルアミン、トリメチロールプロパントリアクリレート、及びメチレンビス(アクリルアミド)から特に選択されるジエチレン性又はポリエチレン性の架橋性モノマーである、
- イタコン酸モノ-及び/又はオリゴエステルの組成物(C0)を製造するステップa)が、以下のサブステップを含む:
i)以下の液体形態の化合物:
・以下の構造を有するオリゴグリセロール:
【化19】
(式中、mは2以上10以下の整数を表す)、
・以下の構造を有する天然ポリオール:
【化20】
(式中、oは2(エリスリトール)、又は3(キシリトール)、又は4(ソルビトール)に等しい数を表す)、
・以下の構造を有する脱水天然ポリオール:
【化21】
(式中、Xは、水素原子(エリスリタン)、又はラジカル-CH2-OH(キシリタン)、又はラジカル-CH(OH)-CH2-OH(ソルビタン)を表す)、
・以下の構造を有する脂肪族脂肪アルコール:
R1-OH (IId)
(式中、R1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素系ラジカルを表し、
特定の態様によれば、R1は、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、オレイル、リノレイル、リノレニル、アラキジル、ベヘニル、エルシル、及び12-ヒドロキシステアリルラジカルから選択される脂肪族炭化水素系ラジカルを表す)、
・下記式(IIe)のα,ω-ジオール:
【化22】
(式中、qは1以上12以下の整数を表す)、
・下記式(IIf)の化合物:
【化23】
(式中、R’
1は、6~36個の炭素原子を含み且つ任意選択的に1つ以上のヒドロキシル基で置換されていてもよい、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の脂肪族炭化水素系ラジカルを表し、
特定の態様によれば、R’
1は、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチル、n-デシル、n-ドデシル、n-テトラデシル、n-ヘキサデシル、n-オクタデシル、オレイル、リノレイル、リノレニル、アラキジル、ベヘニル、エルシル、及び12-ヒドロキシステアリルラジカルから選択される脂肪族炭化水素系ラジカルを表し、
より具体的には、式(IIf)の化合物はバチルアルコールであり、その構造は以下:
【化24】
の通りである)、
・下記式(IIg)の化合物:
【化25】
(式中、R’
1-C(=O)は、12~24個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカル、より具体的には、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレイル、リノレイル、リノレノイル、又はイソステアリルラジカルからなる群の要素から選択されるラジカルを表し、xは1以上5以下の自然数を表し;より具体的には、式(IIg)の化合物は、次式:
【化26】
を有するモノステアリン酸グリセリルである)、及び
・以下の式(IIh)の化合物:
【化27】
(式中、R’
1-C(=O)は、12~36個の炭素原子を含む、直鎖又は分岐の飽和又は不飽和の炭化水素系アシルラジカル、より具体的には、ドデカノイル、テトラデカノイル、ヘキサデカノイル、オクタデカノイル、エイコサノイル、ドコサノイル、オレイル、リノレイル、リノレノイル、又はイソステアリルラジカルからなる群の要素から選択されるラジカルを表し、xは6以上20以下の自然数を表し;より具体的には、式(IIh)の化合物は、ラウリン酸ポリグリセリル-6であり、その構造は以下:
【化28】
の通りである)
からなる群の要素から選択されるバイオベースのアルコール又はポリオールを反応器に導入すること;
ii)イタコン酸(I)、重合禁止剤、次いでエステル化触媒を、機械撹拌しながら反応器に添加すること、
iii)反応器内の媒体を、分圧下で120℃~180℃の温度に維持してエステル化反応を行うこと、並びに
iv)イタコン酸モノ-及び/又はオリゴエステルの組成物を回収すること。
【0045】
本発明の目的のためには、「重合禁止剤」という用語は、モノマーに添加されるときに、前記モノマーの望ましくない重合の開始を調節するか、又は迅速に停止する化合物を意味する。これらの重合禁止剤の中でも、キノン、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、1,4-ベンゾキノン、2-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、カテコール、例えば4-tert-ブチルピロカテコール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、6-tert-ブチル-2,4-キシレノール、tert-ブチルヒドロキノン、4-メトキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、芳香族ニトロ化合物、例えばニトロベンゼン、ニトロフェノール、ニトロクレゾール、ニトロソ化合物、フェノチアジン、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、及び銅塩などの金属塩、例えばジブチルジチオカルバミン酸銅(II)を挙げることができ、
- サブステップi)~iii)は120~180℃の温度で行われ、
- サブステップiii)は500~20mbar、より具体的には500~200mbarの圧力で行われ、
- サブステップiii)は30分~10時間継続され、
- サブステップii)において、重合禁止剤は、1,4-ベンゾキノン、2-tert-ブチル-1,4-ベンゾキノン、フェノチアジン、6-tert-ブチル-2,4-キシレノール、ジブチルジチオカルバミン酸銅(II)、1,1-ジフェニル-2-ピクリルヒドラジル、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、4-tert-ブチルピロカテコール、2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、ヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキノン、及び4-メトキシフェノールから選択され、
- サブステップii)において、エステル化触媒は、硫酸、塩酸、リン酸、硝酸、次亜リン酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、及びトリフルオロメタンスルホン酸、並びに酸性イオン交換樹脂から選択される酸である。
【0046】
化学量論的モル比(IIa)/(I)は、0.25以上2.0以下である。
【0047】
化学量論的モル比(IIb)/(I)は、0.25以上2.0以下である。
【0048】
化学量論的モル比(IIc)/(I)は、0.25以上2.0以下である。
【0049】
化学量論的モル比(IId)/(I)は、0.25以上2.0以下である。
【0050】
化学量論的モル比(IIe)/(I)は、0.25以上2.0以下である。
【0051】
化学量論的モル比(IIf)/(I)は、0.25以上2.0以下である。
【0052】
化学量論的モル比(IIg)/(I)は、0.25以上2.0以下である。
【0053】
化学量論的モル比(IIh)/(I)は、0.25以上2.0以下である。イタコン酸モノ-又はオリゴエステル(A)の組成は、巨視的指標(酸価及びエステル価)の測定、及び内部較正を有する紫外線(UV)検出器と連結された高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定される残留イタコン酸含有量によって特徴付けられる。
【0054】
最後に、イタコン酸の転化率が決定される。エステル化反応が正しく進行したとみなされるためには、75%以上の転化率が達成されなければならない。
【0055】
前記組成物(F)において先に定義した前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる発泡性及び/又は洗浄性の界面活性剤の例としては、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性の発泡性及び/又は洗浄性の界面活性剤が挙げられる。
【0056】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせられ得る発泡性及び/又は洗浄性のアニオン界面活性剤としては、アルキルエーテルスルフェートの、アルキルスルフェートの、アルキルアミドエーテルスルフェートの、アルキルアリールポリエーテルスルフェートの、モノグリセリドスルフェートの、α-オレフィンスルホネートの、パラフィンスルホネートの、アルキルホスフェートの、アルキルエーテルホスフェートの、アルキルスルホネートの、アルキルアミドスルホネートの、アルキルアリールスルホネートの、アルキルカルボキシレ-トの、アルキルスルホスクシネートの、アルキルエーテルスルホスクシネートの、アルキルアミドスルホスクシネートの、アルキルスルホアセテートの、アルキルサルコシネートの、アシルイセチオネートの、N-アシルタウレートの、アシルラクチレートの、N-アシル化アミノ酸誘導体の、N-アシル化ペプチド誘導体の、N-アシル化タンパク質誘導体の、N-アシル化脂肪酸誘導体のアルカリ金属塩の、アルカリ土類金属塩の、アンモニウム塩の、アミン塩の、又はアミノアルコール塩が挙げられる。
【0057】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる発泡性及び/又は洗浄性の両性界面活性剤には、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン、スルタイン、アルキルアミドアルキルスルホベタイン、イミダゾリン誘導体、ホスホベタイン、アンホポリアセテート及びアンホプロピオネートが含まれる。
【0058】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる発泡性及び/又は洗浄性のカチオン界面活性剤には、特に、第四級アンモニウム誘導体が含まれる。
【0059】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる発泡性及び/又は洗浄性の非イオン界面活性剤には、より特に、オクチルポリグルコシド、デシルポリグルコシド、ウンデシレニルポリグルコシド、ドデシルポリグルコシド、テトラデシルポリグルコシド、ヘキサデシルポリグルコシド又は1,12-ドデカンジイルポリグルコシドなどの、線状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の脂肪族基を含む、及び8~16個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド;INCI名PEG-40水素化ヒマシ油で販売される製品などの、エトキシル化水素化ヒマシ油誘導体;Polysorbate 20、Polysorbate 40、Polysorbate 60、Polysorbate 70、Polysorbate 80又はPolysorbate 85などの、ポリソルベート;ココナツアミド;又はN-アルキルアミンが含まれる。
【0060】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる増粘性及び/又はゲル化界面活性剤の例としては、エトキシル化メチルポリグルコシドエステル、例えば、それぞれ、名称GlucamateTM LT及びGlucamateTM DOE-120で販売されるPEG 120メチルグルコーストリオレエート及びPEG 120メチルグルコースジオレエートなどの、任意選択的にアルコキシル化されたアルキルポリグリコシド脂肪エステル;名称CrothixTM DS53で販売されるPEG 150ペンタエリスリチルテトラステアレート又は名称AntilTM 141で販売されるPEG 55プロピレングリコールオレエートなどの、アルコキシル化脂肪エステル;名称ElfacosTM T211で販売されるPPG-14ラウレスイソホリルジカルバメート又は名称ElfacosTM GT2125で販売されるPPG-14パルメス-60ヘキシルジカルバメートなどの、脂肪鎖ポリアルキレングリコールカルバメートが挙げられる。
【0061】
前記組成物(F)において先に定義した前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、グルカン又はグルコースホモポリマー、グルコマンノグルカン、キシログリカン、ガラクトマンナン(その主D-マンノース鎖上のD-ガラクトース単位の置換度(DS)は、0~1、より具体的には1~0.25である)、例えば、カッシアガム(DS=1/5)、ローカストビーンガム(DS=1/4)、タラガム(DS=1/3)、グアーガム(DS=1/2)、又はフェヌグリークガム(DS=1)起源のガラクトマンナンなどの、単糖類のみからなる多糖類が挙げられる。
【0062】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、硫酸化ガラクタン、より特にカラギーナン及び寒天、ウロナン、より特にアルギン、アルギン酸塩及びペクチン、単糖類とウロン酸とのヘテロポリマー、より特にキサンタンゴム、ゲランガム、アラビアゴム滲出液及びカラヤゴム滲出液、又はグルコアミノグリカンなどの、単糖類誘導体からなる多糖類が挙げられる。
【0063】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる増粘剤及び/又はゲル化剤の例としては、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルセルロースなどの、セルロース誘導体、シリケート,デンプン、親水性デンプン誘導体又はポリウレタンが挙げられる。
【0064】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる安定剤の例としては、単結晶ワックス、より特にオゾケライト、塩化ナトリウム若しくは塩化マグネシウムなどの、無機塩、又はポリシロキサンポリアルキルポリエーテルコポリマーなどの、シリコーンポリマーが挙げられる。
【0065】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる溶媒の例としては、グリセロール、ジグリセロール、グリセロールオリゴマー、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,2-プロパンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトールなどの有機溶媒、エタノール、イソプロパノール若しくはブタノールなどの、水溶性アルコール、又は水と前記有機溶媒との混合物が挙げられる。
【0066】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができるターマルウォーター又はミネラルウォーターの例としては、少なくとも300mg/Lの無機質化を有するターマルウォーター又はミネラルウォーター、特にAvene水、Vittel水、Vichy basin水、Uriage水、La Roche-Posay水、La Bourboule水、Enghien-les-Bains水、Saint-Gervais-les-Bains水、Neris-les-Bains水、Allevard-les-Bains水、Digne水、Maizieres水、Neyrac-les-Bains水、Lons-le-Saunier水、Rochefort水、Saint Christau水、Les Fumades水及びTercis-les-Bains水が挙げられる。
【0067】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる屈水剤の例としては、キシレンスルホネート、クメンスルホネート、ヘキシルポリグルコシド、2-エチルヘキシルポリグルコシド及びn-ヘプチルポリグルコシドが挙げられる。
【0068】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる乳化界面活性剤の例としては、非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤が挙げられる。
【0069】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる乳化非イオン界面活性剤の例としては、例えば名称MontaneTM 40、MontaneTM 60、MontaneTM 70、MontaneTM 80及びMontaneTM 85で販売される製品の、ソルビトールの脂肪酸エステル;例えば名称SimulsolTM 165で販売される135molのエチレンオキシドでエトキシル化されたステアリン酸とグリセリルステアレートとを含む組成物の、グリセリルステアレートと5mol~150molのエチレンオキシドでエトキシル化されたステアリン酸とを含む組成物;マンニタンエステル、エトキシル化マンニタンエステル;スクロースエステル;メチルグルコシドエステル;例えばテトラデシルポリグルコシド、ヘキシルデシルポリグルコシド、オクタデシルポリグルコシド、ヘキサデシルポリキシロシド、オクタデシルポリキシロシド、エイコシルポリグルコシド、ドデコシルポリグルコシド、2-オクチルドデシルポリキシロシド、12-ヒドロキシステアリルポリグルコシドの、線状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の脂肪族基を含み、14~36個の炭素原子を含むアルキルポリグリコシド;14~36個の炭素原子含む線状若しくは分岐状の、飽和若しくは不飽和の脂肪アルコールと、上で記載されたようなアルキルポリグリコシドとの組成物、例えば名称MontanovTM 68、MontanovTM 14、MontanovTM 82、MontanovTM 202、MontanovTM S、MontanovTM WO18、MontanovTM L、FluidanovTM 20X及びEasynovTMで販売される組成物が挙げられる。
【0070】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができるアニオン界面活性剤の例としては、グリセリルステアレートシトレート、セテアリルスルフェート、ステアリン酸ナトリウム又はステアリン酸トリエタノールアンモニウムなどの、石鹸、及び塩化されているN-アシル化アミノ酸誘導体、例えばステアロイルグルタミン酸塩が挙げられる。
【0071】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができるカチオン乳化界面活性剤の例としては、アミンオキシド、クオタニウム-82並びに特許出願国際公開第96/00719号パンフレットに記載されている界面活性剤及び主に、その脂肪鎖が少なくとも16個の炭素原子を含むものが挙げられる。
【0072】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる乳白剤及び/又は真珠光沢剤の例としては、パルミチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ヒドロキシステアリン酸ナトリウム、パルミチン酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、エチレングリコールモノステアレート、エチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート、ポリエチレングリコールジステアレート又は12~22個の炭素原子を含む脂肪アルコールが挙げられる。
【0073】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができるテクスチャリング剤の例としては、名称AminohopeTM LLで販売されるラウロイルリジンなどの、N-アシル化アミノ酸誘導体、名称DryfloTMで販売されるデンプンオクテニルスクシネート、名称MontanovTM 14で販売されるミリスチルポリグルコシド、セルロース繊維、綿繊維、キトサン繊維、タルク、セリサイト又はマイカが挙げられる。
【0074】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができる防臭剤の例としては、アルカリ金属シリケート、硫酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、塩化亜鉛又は乳酸亜鉛などの、亜鉛塩;セチルトリメチルアンモニウム塩又はセチルピリジニウム塩などの、第四級アンモニウム塩;グリセリルカプレート、グリセリルカプリレート又はポリグリセリルカプレートなどの、グリセロール誘導体;1,2-デカンジオール、1,3-プロパンジオール;サリチル酸;重炭酸ナトリウム;シクロデキストリン;メタリックゼオライト;TriclosanTM;アルミニウムブロモハイドレート、アルミニウムクロロハイドレート、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、アルミニウムジルコニウムクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムトリクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムテトラクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムペンタクロロハイドレート、アルミニウムジルコニウムオクタクロロハイドレート、硫酸アルミニウム、乳酸ナトリウムアルミニウム、アルミニウムクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムセスキクロロハイドレートとプロピレングリコールとの錯体、アルミニウムクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体、アルミニウムジクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体、又はアルミニウムセスキクロロハイドレートとポリエチレングリコールとの錯体などの、アルミニウムクロロハイドレートとグリコールとの錯体が挙げられる。
【0075】
前記組成物(F)において上で定義されたような前記増粘組成物(C)と組み合わせることができるワックスの例としては、蜜ろう、カルナバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、木ろう、コルクファイバーワックス、サトウキビワックス、パラフィンワックス、リグナイトワックス、マイクロクリスタリンワックス、ラノリンワックス;オゾケライト、ポリエチレンワックス、シリコーンワックス、植物ワックス、周囲温度で固体である脂肪アルコール及び脂肪酸、又は周囲温度で固体であるグリセリドが挙げられる。本特許出願において、用語「ワックス」は、水に溶けない、45℃以上の温度において固体外観を有する化合物及び/又は化合物の混合物を指す。
【0076】
前記組成物(F)において従前に定義されたような前記増粘組成物(C)と合わせ得る活性成分の例として、ビタミン及びそれらの誘導体、特に、それらのエステル、例えば、レチノール(ビタミンA)及びそのエステル(例えば、パルミチン酸レチニル)、アスコルビン酸(ビタミンC)及びそのエステル、アスコルビン酸の糖誘導体(例えば、アスコルビルグルコシド)、トコフェロール(ビタミンE)及びそのエステル(例えば、酢酸トコフェリル)、ビタミンB3又はB10(ナイアシンアミド及びその誘導体);皮膚上の淡色化又は脱色作用を示す化合物、例えば、名称Sepiwhite(商標)MSH、Sepicalm(商標)VGで販売されているω-ウンデシレノイルフェニルアラニン、ω-ウンデシレノイルフェニルアラニンのグリセロールモノエステル及び/又はジエステル、ω-ウンデシレノイルジペプチド、アルブチン、コウジ酸、ヒドロキノン;鎮静作用を示す化合物、特に、Sepicalm(商標)S、アラントイン及びビサボロール;抗炎症剤;保湿作用を示す化合物、例えば、尿素、ヒドロキシ尿素、グリセロール、ポリグリセロール、グリセリルグルコシド、ジグリセリルグルコシド、ポリグリセリルグルコシド、キシリチルグルコシド;ポリフェノールに富んだ植物抽出物、例えば、ブドウ抽出物、マツ抽出物、ワイン抽出物又はオリーブ抽出物;スリミング又は脂肪分解作用を示す化合物、例えば、カフェイン又はその誘導体、Adiposlim(商標)、Adipoless(商標)、フコキサンチン;N-アシルタンパク質;N-アシルペプチド、例えば、Matrixyl(商標);N-アシルアミノ酸;N-アシルタンパク質の部分的水解物;アミノ酸;ペプチド;タンパク質の完全水解物;ダイズ抽出物、例えば、Raffermine(商標);コムギ抽出物、例えば、Tensine(商標)又はGliadine(商標);植物抽出物、例えば、タンニンに富んだ植物抽出物、イソフラボンに富んだ植物抽出物又はテルペンに富んだ植物抽出物;淡水又は海産藻類の抽出物;海生植物抽出物;一般に、海産抽出物、例えば、サンゴ;エッセンシャルワックス;細菌抽出物;セラミド;リン脂質;抗菌作用又は浄化作用を示す化合物、例えば、Lipacide(商標)C8G、Lipacide(商標)UG、Sepicontrol(商標)A5、オクトピロックス(商標)又はSensiva(商標)SC50;賦活化又は刺激特性を示す化合物、例えば、Physiogenyl(商標)、パンテノール及びその誘導体、例えば、Sepicap(商標)MP;アンチエイジング活性剤、例えば、Sepilift(商標)DPHP、Lipacide(商標)PVB、Sepivinol(商標)、Sepivital(商標)、Manoliva(商標)、Phyto-Age(商標)、Timecode(商標);Survicode(商標);抗光老化活性剤;真皮表皮接合部の損なわれていない状態を保護する活性剤;細胞外マトリックスの構成要素、例えば、コラーゲン、エラスチン又はグリコサミノグリカンの合成を増加させる活性剤;化学的細胞間情報伝達に有利に作用する活性剤、例えば、サイトカイン、又は物理的細胞間情報伝達に有利に作用する活性剤、例えば、インテグリン;皮膚上の「熱の発生」の感覚を生じさせる活性剤、例えば、皮膚の微小循環の活性化物質(例えば、ニコチン酸誘導体)又は皮膚上の「フレッシュネス(freshness)」の感覚を生じさせる製品(例えば、メントール及び誘導体);皮膚の微小循環を改善させる活性剤、例えば、静脈緊張剤;排出活性剤;うっ血除去の目的を有する活性剤、例えば、イチョウ(Ginkgo biloba)、アイビー、セイヨウトチイキ、タケ、ナギイカダ属(Ruscus)、ナギイカダ、センテラ・アジアティカ(Centella asiatica)、ヒバマタ、ローズマリー又はヤナギ抽出物;皮膚をタンニング又は褐変するための薬剤、例えば、ジヒドロキシアセトン(DHA)、エリトルロース、メソ酒石酸アルデヒド、グルタルアルデヒド、グリセルアルデヒド、アロキサン又はニンヒドリン、植物抽出物、例えば、シタン属(Pterocarpus)及びバフィア属(Baphia)の赤色木材の抽出物、例えば、プテロカルプス・サンタリヌス(Pterocarpus santalinus)、プテロカルプス・オスン(Pterocarpus osun)、アフリカンパドウク(Pterocarpus soyauxii)、アフリカキノカリン(Pterocarpus erinaceus)、カリン(Pterocarpus indicus)又はカムウッド(Baphia nitida)、例えば、欧州特許出願公開第0971683号明細書において記載されているもの;ヒトの皮膚のタンニング及び/若しくは褐変を促進及び/若しくは加速することにおけるそれらの作用、並びに/又はヒトの皮膚を着色することにおけるそれらの作用について知られている薬剤、例えば、カロテノイド(及びより特定すると、β-カロテン及びγ-カロテン)、カロテノイド、ビタミンE及びビタミンKを含有する、Provital社によってブランド名Carrot Oilで販売されている製品(INCI名:ノラニンジン(Daucus carota)、ヒマワリ(Helianthus annuus)ヒマワリ油);紫外線への曝露と組み合わせて、ヒトの皮膚のタンニングの加速に対するそれらの効果について知られているチロシン及び/又はその誘導体、例えば、チロシン及びリボフラビン(ビタミンB)を含有する、Provital社によってブランド名SunTan Accelerator(商標)で販売されている製品、Zymo Line社によってブランド名Zymo Tan Complexで販売されているチロシン及びチロシナーゼの複合体、アセチルチロシンを含有する、Mibelle社によってブランド名MelanoBronze(商標)で販売されている製品(INCI名:アセチルチロシン、セイヨウニンジンボク抽出物(セイヨウニンジンボク(Vitex agnus-castus)))、Unipex社によるブランド名Unipertan VEG-24/242/2002で販売されている製品(INCI名:ブチレングリコール及びアセチルチロシン及び加水分解された植物性タンパク質及びアデノシン三リン酸)、マロー種子の抽出物(又はヘチマ油)を含有する、Sedermaによってブランド名Try-Excell(商標)で販売されている製品(INCI名:オレオイルチロシン及びヘチマ(Luffa cylindrica)(種子)油及びオレイン酸)、Alban Mullerによってブランド名Actibronze(商標)で販売されている製品(INCI名:加水分解されたコムギタンパク質及びアセチルチロシン及びグルコン酸銅)、Synergaによってブランド名Tyrostan(商標)で販売されている製品(INCI名:カリウムカプロイルチロシン)、Synerga社によってブランド名Tyrosinolで販売されている製品(INCI名:イソステアリン酸ソルビタン、オレイン酸グリセリル、カプロイルチロシン)、Alban Muller社によってブランド名InstaBronze(商標)で販売されている製品(INCI名:ジヒドロキシアセトン及びアセチルチロシン及びグルコン酸銅)、Exymol社によってブランド名Tyrosilaneで販売されている製品(INCI名:メチルシラノール及びアセチルチロシン);メラニン形成の活性化におけるそれらの効果について知られているペプチド、例えば、Infinitec Activos社によるブランド名Bronzing SFペプチド粉末で販売されている製品(INCI名:デキストラン及びオクタペプチド-5)、そのα-MSHアゴニスト作用について知られているアセチルヘキサペプチド-1を含む、ブランド名Melitaneで販売されている製品(INCI名:グリセリン及び水及びデキストラン及びアセチルヘキサペプチド-1)、Lipotec社によってブランド名Melatimes Solutions(商標)で販売されている製品(INCI名:ブチレングリコール、パルミトイルトリペプチド-40)、糖及び糖誘導体、例えば、Provital社によってブランド名Tanositol(商標)で販売されている製品(INCI名:イノシトール)、海産由来のオリゴ糖(マグネシウム及びマンガンイオンとキレート化しているグルロン酸及びマンヌロン酸)を含有する、Codif International社によってブランド名Thalitan(商標)(又はPhycosaccharide(商標)AG)で販売されている製品(INCI名:水及び加水分解されたアルギン(ラミナリア・ディギタータ(Laminaria digitata))及び硫酸マグネシウム及び硫酸マンガン)、Alban Muller社によってブランド名Melactiva(商標)で販売されている製品(INCI名:マルトデキストリン、ビロードマメ(Mucuna pruriens)種子抽出物)、フラボノイドに富んだ化合物、例えば、Silab社によってブランド名Biotanningで販売されており、且つ(ヘスペリジンタイプの)レモンフラボノイドに富んでいることが知られている製品(INCI名:加水分解されたシトラス・オーランティアム・ダルシス(citrus Aurantium dulcis)果物抽出物);頭髪及び/又は体毛をトリートメントすることを意図する薬剤、例えば、前記メラニン形成細胞の老化及び/又はアポトーシスに関与する細胞毒性剤に対して前記メラニン形成細胞を保護することを意図する毛包のメラニン形成細胞を保護するための薬剤、例えば、欧州特許出願公開第1515688A2号明細書として公表された欧州特許出願において記載されているものから選択されるドパクロムトートメラーゼ活性の模倣物、合成SOD模倣分子、例えば、マンガン錯体、抗酸化化合物、例えば、シクロデキストリン誘導体、アスコルビン酸に由来するケイ酸含有化合物、リシン又はアルギニンピロリドンカルボキシレート、ケイ皮酸のモノ及びジエステル並びにビタミンCの組合せ、並びにより一般に、欧州特許出願公開第1515688A2号明細書として公表された欧州特許出願において言及されているものが挙げられる。
【0077】
前記組成物(F)において従前に定義されたような前記増粘組成物(C)と合わせ得る抗酸化剤の例は、EDTA及びその塩、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、BHA(ブチルヒドロキシアニソール)、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)、トコフェロール誘導体、例えば、酢酸トコフェリル、抗酸化化合物の混合物、例えば、AkzoNobel社によってINCI名:グルタミン酸二酢酸四ナトリウムで販売されているDissolvine GL47Sを含む。
【0078】
前記組成物(F)において従前に定義されたような前記増粘組成物(C)と合わせ得る日焼け止め剤の例は、修正されたCosmetics Directive76/768/EEC、Annex VIIにおいて出現するそれらの全てを含む。
【0079】
前記組成物(F)において従前に定義されたような前記増粘組成物(C)と合わせ得る有機日焼け止め剤には、安息香酸誘導体のファミリー、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、特に、PABAのモノグリセリルエステル、N,N25-プロポキシPABAのエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAのエチルエステル、N,N-ジメチルPABAのエチルエステル、N,N-ジメチルPABAのメチルエステル及びN,N-ジメチルPABAのブチルエステル;アントラニル酸誘導体のファミリー、例えば、ホモメンチル-N-アセチルアントラニレート;サリチル酸誘導体のファミリー、例えば、サリチル酸アミル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸エチルヘキシル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ベンジル及びp-イソプロパノールフェニルサリチレート;ケイ皮酸誘導体のファミリー、例えば、エチルヘキシルシンナメート、エチル4-イソプロピルシンナメート、メチル2,5-ジイソプロピルシンナメート、p-メトキシプロピルシンナメート、p-メトキシイソプロピルシンナメート、p-メトキシイソアミルシンナメート、p-メトキシオクチルシンナメート(p-メトキシ-2-エチルヘキシルシンナメート)、p-メトキシ-2-エトキシエチルシンナメート、p-メトキシシクロヘキシルシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート又はグリセリルジ-パラ-メトキシモノ-2-エチルヘキサノイルシンナメート;ベンゾフェノン誘導体のファミリー、例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシ-4’-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホネート、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル4’-フェニルベンゾフェノン-2-5-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクチルオキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン;3-(4’-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-(ベンジリデン)-d,l-カンファー、カンファーベンザルコニウムメトスルフェート;ウロカニン酸、エチルウロカネート;スルホン酸誘導体のファミリー、例えば、2-フェニルベンゾイミダゾール-5-スルホン酸及びその塩;トリアジン誘導体のファミリー、例えば、ヒドロキシフェニルトリアジン、エチルヘキシルオキシヒドロキシフェニル-4-メトキシフェニルトリアジン、2,4,6-トリアニリノ(p-カルボ-2’-エチルヘキシル-1’-オキシ)-1,3,5-トリアジン、4,4-((6-(((1,1-ジメチルエチル)アミノ)カルボニル)フェニル)アミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイルジイミノ)ビス(2-エチルヘキシル)ベンゾエート、2-フェニル-5-メチルベンゾオキサゾール、2,2’-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル(methyphenyl))ベンゾトリアゾール;ジベンザジン;ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4’’-t-ブチルベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン;ジフェニルアクリレート誘導体のファミリー、例えば、2-エチルヘキシル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート、エチル2-シアノ-3,3-ジフェニル-2-プロペノエート;ポリシロキサンのファミリー、例えば、ベンジリデンシロキサンマロネートが挙げられる。
【0080】
前記組成物(F)において従前に定義されたような前記増粘組成物(C)と合わせ得る、「ミネラルサンブロック」としてまた知られているミネラル日焼け止め剤は、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、黄色、赤色若しくは黒色酸化鉄、又は酸化クロムを含む。これらのミネラルサンブロックは、微粒子化しても、若しくはしなくてもよく、表面処理に供していても、若しくは供していなくてもよく、任意選択的に水性若しくは油性の前分散物の形態であってもよい。
【0081】
本発明を、下記の実施例によってより詳細にこれから説明する。
【実施例】
【0082】
E.1- 本発明によるイタコン酸モノ-及び/又はオリゴエステル(A)の組成物の調製:
E.1.1- モノステアリン酸イタコン酸グリセリル組成物(AIIg)の調製:
108.5g(1モル当量)のモノステアリン酸グリセリル(IIgA)、39.6g(1モル当量)のイタコン酸(I)、及び1000ppm(/反応媒体)の4-メトキシフェノール(又はMEHQ)を機械撹拌しながら135℃で反応器に入れる。次いで、0.5%(/反応媒体)の50%H3PO2水溶液を添加し、反応媒体を約500mbarの制御された真空に置く。エステル化反応が始まり(生成した水の蒸留)6時間継続する。6時間後、125.7gのモノステアリン酸イタコン酸グリセリル組成物(AIIg)が単離され、追加のステップを行わずにこれをそのまま特性評価する。
【0083】
E.1.2- イタコン酸バチルアルコール組成物(AIIf)の調製:
108.5g(1モル当量)のモノステアリン酸グリセリル(IIgA)及び39.6g(1モル当量)のイタコン酸(I)を、50.3g(1モル当量)のバチルアルコール(IIf)及び19.2g(1モル当量)のイタコン酸(I)で置き換えて、段落E.1.1-に記載の手順と同じ手順を行った。61.2gのイタコン酸バチルアルコール組成物(AIIf)が単離され、これを特性評価する。
【0084】
E.1.3- イタコン酸ステアリルアルコール組成物(AIId17)の調製:
108.5g(1モル当量)のモノステアリン酸グリセリル(IIgA)及び39.6g(1モル当量)のイタコン酸(I)を、74.0g(1モル当量)のステアリルアルコール(IId17)及び35.9g(1モル当量)のイタコン酸(I)で置き換えて、段落E.1.1-に記載の手順と同じ手順を行った。100.3gのイタコン酸ステアリルアルコール組成物(AIId17)が単離され、これを特性評価する。
【0085】
E.1.4- ラウリン酸イタコン酸ポリグリセロール-6組成物(AIIh)の調製:
108.5g(1モル当量)のモノステアリン酸グリセリル(IIg)及び39.6g(1モル当量)のイタコン酸(I)を、160.1g(1モル当量)のラウリン酸ポリグリセロール-6(IIhB)及び32.3g(1モル当量)のイタコン酸(I)で置き換えて、段落E.1.1-に記載の手順と同じ手順を行った。XXXgのラウリン酸イタコン酸ポリグリセリル-6組成物(AIIh)が単離され、これを特性評価する。
【0086】
E.1.5- 1-エイコサノールと1-ドコサノールとの混合物からのイタコン酸エステル組成物(AIId18)の調製:
1モル当量のステアリルアルコールを1モル当量の1-エイコサノールと1-ドコサノールとの等モル混合物に置き換えて、段落E.1.3-に記載の手順と同じ手順を使用した。107.0gのイタコン酸ステアリルアルコール組成物(AIId18)が単離され、これを特性評価する。
【0087】
E.1.6- 結果及び結論:
調製した全ての組成物(A)の分析的特徴が以下の表1にまとめられている。
【0088】
【0089】
【0090】
全体として、前述したエステル化条件により、100~350mgKOH/gのエステル価を有する組成物(A)の単離が可能になり、エステル化種がかなり形成されたことが証明される。
【0091】
全ての場合において、酸価は0よりも大きく、60~350mgKOH/gの範囲にある。これらの値は、イタコン酸(I)の全てのカルボン酸官能基がエステル化されているわけではないことを示している。
【0092】
最後に、回収した組成物(A)の最終質量、この最終質量に含まれておりGCにより測定される残留イタコン酸(I)のパーセント割合、及び最初に使用されたイタコン酸(I)の質量から計算される転化率は、一貫して75%を超えており、エステル化反応が十分に進行していることを示している。
【0093】
E.2- 本発明によるポリ(イタコン酸エステル)(P)の調製:
E.2.5- 組成物(C1)を得るための、DUB 810C中でのイタコン酸バチルアルコール組成物(AIIf)とラウリン酸イタコン酸ポリグリセロール-6組成物(AIIh)との共重合:
23.3gの組成物(AIIf)及び4.3gの組成物(AIIh)を、反応器中で28.1gのDUB 810Cに溶解する。溶液を50℃の温度で約400rpmで撹拌しながら均一にし、次いで媒体から酸素を除去するために窒素を45分間吹き込む。その後、媒体を80℃の温度に加熱する。次いで、110mgのラウロイルペルオキシドを添加して、重合反応を開始する。媒体がより粘稠になる。2時間後、55mgのラウリルペルオキシドを導入する。さらに3時間維持した後、組成物(C1)はワックス様の外観を呈し、これは熱いうちにコンディショニングされる。
【0094】
E.2.6- 組成物(C2)を得るための、DUB 810C中でのイタコン酸バチルアルコール組成物(AIIf)とラウリン酸イタコン酸ポリグリセロール-6組成物(AIIh)との共重合:
組成物(AIIf)の量を23.3gから20.5gに減らし、組成物(AIIh)の量を4.3gから8.3gに増やして、段落E.2.5-に記載の手順と同じ手順を行った。組成物(C2)を単離した。
【0095】
E.2.7- 組成物(C3)を得るための、Isopar(商標)M中でのモノステアリン酸イタコン酸グリセリル組成物(AIIg)とラウリン酸イタコン酸ポリグリセロール-6組成物(AIIh)との共重合:
23.3gの組成物(AIIf)を24.0gの組成物(AIIg)に置き換え、28.1gのDUB 810Cを28.1gのIsopar(商標)Mに置き換えて、段落E.2.5-に記載の手順と同じ手順を行った。
【0096】
E.2.8- 組成物(C4)を得るための、DUB 810C中でのイタコン酸1-エイコサノール及び1-ドコサノール組成物(AIId18)とラウリン酸イタコン酸ポリグリセロール-6組成物(AIIh)との共重合:
20.5gの組成物(AIIf)を20.5gの組成物(AIId18)に置き換えて、段落E.2.6-に記載の手順と同じ手順を行った。組成物(C4)を単離した。
【0097】
E.2.10- まとめの表:
【0098】
【0099】
E.3- 組成物(C)の増粘特性の評価:
80℃で、0.7gの組成物(C1)~(C3)を5gの2つの異なるオイル(H2):Primol(商標)352及びEmogreen(商標)L19に溶解する。その結果得られた溶液を室温まで冷却し、それらの増粘を視覚的に評価する、及び/又は適切なスピンドル(M)を備えた6rpm(V6)の速度のLVTタイプのブルックフィールド(又はBKF)粘度計を使用して25℃の温度で測定する。
【0100】
25℃で観察した得られた結果が下の表3にまとめられている。
【0101】
【0102】
BKF粘度計、スピンドル3、速度6rpm、25℃を使用して行った粘度測定について得られた結果は、下の表4にまとめられている。
【0103】
【0104】
全体として、化学構造と極性が異なる両方のオイル(H2)について、粘稠な又はゲル化した稠度が視覚化された。
【0105】
増粘は、25℃における動粘度の測定によって確認される。これは、この25℃の同じ温度では、Primol(商標)352は165mPa.sの粘度(BKF LVT M2V6)を示し、DUB(商標)810Cは10mPa.sの粘度(BKF LVT M2V6)を示し、Emogreen(商標)L19は10mPa.s以下の粘度(BKF LVT M2V6)を示すためである。
【0106】
増粘したオイル、すなわち(C1)~(C4)は、いずれも、前記皮膚に塗布した後に、垂れ又はべたつきを全く示さず、或いは皮膚への脂っぽい感触を有さい(正式な資格を持ち訓練を受けた評価者のパネルによって評価)。
【0107】
これらの実施例は、本発明に従って行われる方法により、粉末形態である先行技術のゲル化ポリマーとは異なり、有利なことに、植物由来の出発物質に由来するモノマーの重合によって得られるポリマーを含むゲル化剤を液体形態で得ることができ、これはオイル(H1)中で調製後すぐに使用可能であることを示している。
【国際調査報告】