(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】カフェインを徐放する組成物
(51)【国際特許分類】
A23L 2/00 20060101AFI20240709BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240709BHJP
【FI】
A23L2/00 Z
A23L2/52
A23L2/00 F
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577574
(86)(22)【出願日】2022-06-17
(85)【翻訳文提出日】2024-02-14
(86)【国際出願番号】 US2022033989
(87)【国際公開番号】W WO2022266442
(87)【国際公開日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110670135.9
(32)【優先日】2021-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591235706
【氏名又は名称】ペプシコ・インク
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100131808
【氏名又は名称】柳橋 泰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】ワン,ユ
(72)【発明者】
【氏名】ノ,ダソム
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ユェン
(72)【発明者】
【氏名】トラスラー,ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ダミアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャオ,シン
(72)【発明者】
【氏名】ティアン,メン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,シーイー
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ジョージ
【テーマコード(参考)】
4B117
【Fターム(参考)】
4B117LC04
4B117LK06
4B117LK08
4B117LK10
4B117LK13
4B117LL06
4B117LP20
(57)【要約】
本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体、並びにカフェインの放出を遅延させるこれらの複合体を含むエマルジョン及び飲料に関する。当該複合体並びにカフェイン-タンニン酸複合体を含むエマルジョン及び飲料を調製する方法もまた記載される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カフェイン及びタンニン酸を含む、複合体。
【請求項2】
前記複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比が約10:1~約1:10である、請求項1に記載の複合体。
【請求項3】
前記複合体中のカフェイン対タンニン酸の前記重量/重量比が約5:1~約1:5である、請求項1又は2に記載の複合体。
【請求項4】
前記複合体中のカフェイン対タンニン酸の前記重量/重量比が約4:1~約1:4である、請求項1~3のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項5】
前記複合体中のカフェインの重量パーセントが約23%~約35%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項6】
前記複合体中のカフェインの前記重量パーセントが約35%~約53%である、請求項1~4のいずれか一項に記載の複合体。
【請求項7】
クエン酸、ドーパミン、マレイン酸、マロン酸、及びシュウ酸からなる群から選択される追加の化合物を更に含む、請求項1に記載の複合体。
【請求項8】
a.請求項1に記載の複合体を含む少なくとも1つの油を含む油相と、
b.水を含む水相と、
を含む、エマルジョン。
【請求項9】
1つ以上の安定剤を更に含む、請求項8に記載のエマルジョン。
【請求項10】
1つ以上の乳化剤を更に含む、請求項8又は9に記載のエマルジョン。
【請求項11】
前記エマルジョンが、約2重量%~約30重量%の前記少なくとも1つの油を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項12】
前記エマルジョンが、約5重量%~約10%の前記少なくとも1つの油を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項13】
前記少なくとも1つの油が、1つ以上の食用油、1つ以上の食用ワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8~12のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項14】
前記少なくとも1つの油が、ギー、カラシ油、オリーブ油、米糠油、亜麻仁油、落花生油、ゴマ油、アーモンド油、カシュー油、キャノーラ油、大豆油、アボカド油、クルミ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、ヤシ油、パーム核油、カルナウバワックス、蜜蝋、パラフィンワックス、米糠ワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、プロポリスワックス、シェラックワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8~13のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項15】
前記少なくとも1つの油が、ヒマワリ油及び中鎖トリグリセリドからなる群から選択される、請求項8~14のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項16】
約0.1重量%~約15重量%の前記複合体を含む、請求項8~15のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項17】
約1%重量%~約4%重量%の前記複合体を含む、請求項8~16のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項18】
前記エマルジョンが、約0.002重量%~約8重量%の前記1つ以上の安定剤を含む、請求項9~17のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項19】
前記エマルジョンが、約0.08重量%~約1.2重量%の前記1つ以上の安定剤を含む、請求項9~18のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項20】
前記1つ以上の安定剤が、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、スクロース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9~19のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項21】
前記1つ以上の安定剤が、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9~20のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項22】
約4重量%~約40重量%の前記1つ以上の乳化剤を含む、請求項10~21のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項23】
約10重量%の前記1つ以上の乳化剤を含む、請求項10~22のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項24】
前記1つ以上の乳化剤が、寒天、カラギーナン、ジェラン、ゼラチン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、キラヤサポナリア(Quillaja saponaria)サポニン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10~23のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項25】
前記1つ以上の安定剤がアラビアガムである、請求項10~24のいずれか一項に記載のエマルジョン。
【請求項26】
請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体を調製するためのプロセスであって、タンニン酸及びカフェインを無水エタノール又は水性エタノールに添加することと、得られた溶液を噴霧乾燥することと、を含む、プロセス。
【請求項27】
請求項1~6のいずれか一項に記載の複合体を調製するためのプロセスであって、タンニン酸の水溶液をカフェインの水溶液に添加することと、得られた懸濁液を濾過することと、を含む、プロセス。
【請求項28】
請求項8~10のいずれか一項に記載のエマルジョンを調製するためのプロセスであって、前記複合体、少なくとも1つの油、及び任意選択で1つ以上の安定剤の混合物を、水及び任意選択で1つ以上の乳化剤の混合物に添加することと、高速で混合することと、を含む、プロセス。
【請求項29】
請求項8~25のいずれか一項に記載のエマルジョンを含む、飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体並びにこれらの複合体を含むエマルジョンに関する。この複合体は、飲料中で使用される場合にカフェインの放出を遅延させる。タンニン酸及びカフェイン複合体を含む飲料を調製する方法も記載される。
【背景技術】
【0002】
カフェインは、最も広く使用されている薬理学的に活性な化合物のうちの1つである。以前の研究では、カフェインが胃腸管によって吸収され、摂取後15~120分の間にピーク濃度が生じることが決定されている(「Caffeine use in sports,pharmacokinetics in man,and cellular mechanisms of action,」Crit Rev Food Sci Nutr.2005;45(7-8);535-62)。ソフトドリンクなどの飲料からのカフェインの放出を延長することにより、身体がカフェインを徐々に吸収することが可能になり、苛立ち及び「カフェインクラッシュ」を回避することができる。
【発明の概要】
【0003】
第1の態様では、本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を提供する。第1の態様の第1の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約10:1~約1:10である。第1の態様の第2の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約5:1~約1:5である。第1の態様の第3の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約4:1~約1:4である。第1の態様の第5の実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約23%~約35%である。第1の態様の第6の実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約35%~約53%である。
【0004】
第1の態様の第7の実施形態では、複合体は、クエン酸、ドーパミン、マレイン酸、マロン酸、及びシュウ酸からなる群から選択される追加の化合物を含む。
【0005】
第2の態様では、本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含む少なくとも1つの油を含む油相と、水を含む水相と、を含むエマルジョンを提供する。第2の態様の第1の実施形態では、エマルジョンは、1つ以上の安定剤を更に含む。第2の態様の第2の実施形態では、エマルジョンは、1つ以上の乳化剤を更に含む。
【0006】
第2の態様の第3の実施形態では、エマルジョンは、約2重量%~約30重量%の少なくとも1つの油を更に含む。第2の態様の第4の実施形態では、エマルジョンは、約5重量%~約10重量%の少なくとも1つの油を含む。第2の態様の第5の実施形態では、少なくとも1つの油は、1つ以上の食用油、1つ以上の食用ワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第2の態様の第6の実施形態では、少なくとも1つの油は、ギー、カラシ油、オリーブ油、米糠油、亜麻仁油、落花生油、ゴマ油、アーモンド油、カシュー油、キャノーラ油、大豆油、アボカド油、クルミ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、ヤシ油、パーム核油、カルナウバワックス、蜜蝋、パラフィンワックス、米糠ワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、プロポリスワックス、シェラックワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第2の態様の第7の実施形態では、少なくとも1つの油は、ヒマワリ油及び中鎖トリグリセリドからなる群から選択される。
【0007】
第2の態様の第8の実施形態では、エマルジョンは、約0.1重量%~約15重量%の複合体を含む。第9の実施形態では、エマルジョンは、約1重量%~約4重量%の複合体を含む。
【0008】
第10の実施形態では、エマルジョンは、約0.002重量%~約8重量%の1つ以上の安定剤を含む。第2の態様の第11の実施形態では、エマルジョンは、約0.08重量%~約1.2重量%の1つ以上の安定剤を含む。第2の態様の第12の実施形態では、1つ以上の安定剤は、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、スクロース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第2の態様の第13の実施形態では、1つ以上の安定剤は、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0009】
第2の態様の第14の実施形態では、エマルジョンは、約4重量%~約40重量%の1つ以上の乳化剤を含む。第2の態様の第15の実施形態では、エマルジョンは、約10重量%の1つ以上の乳化剤を含む。第2の態様の第16の実施形態では、1つ以上の乳化剤は、寒天、カラギーナン、ジェラン、ゼラチン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、キラヤサポナリア(Quillaja saponaria)サポニン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第2の態様の第17の実施形態では、1つ以上の安定剤はアラビアガムである。
【0010】
第3の態様では、本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を調製するためのプロセスであって、タンニン酸及びカフェインをエタノール又は水性エタノールに添加することと、得られた溶液を噴霧乾燥することと、を含むプロセスを提供する。
【0011】
第4の態様では、本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を調製するためのプロセスであって、タンニン酸の水溶液をカフェインの水溶液に添加することと、得られた懸濁液を濾過することと、を含むプロセスを提供する。
【0012】
第5の態様では、本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むエマルジョンを調製するためのプロセスであって、複合体、少なくとも1つの油、及び任意選択で1つ以上の安定剤の混合物を、水及び任意選択で1つ以上の乳化剤の混合物に添加することと、高速で混合することと、を含むプロセスを提供する。
【0013】
第6の態様では、本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むエマルジョンを含む飲料を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示は、例として示され、添付の図面によって限定されない。
【0015】
【
図1A】カフェインのFT IRスペクトルを示す。
【0016】
【
図1B】タンニン酸のFT IRスペクトルを示す。
【0017】
【
図2A】カフェインとタンニン酸の1:1混合物のFT IRスペクトルを示す。
【0018】
【
図2B】1:1重量/重量比のタンニン酸:カフェインを含む複合体のFT IRスペクトルを示す。
【0019】
【
図3】カフェインとタンニン酸の1:3混合物、水性沈殿法によって調製した1:3の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む複合体、及び1:3の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む複合体のFT IRスペクトルを示す。
【0020】
【
図4】分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析法及び遠心分離によって決定された、様々な量のタンニン酸を含有するカフェイン-タンニン酸複合体からのカフェイン放出速度を示す。
【0021】
【
図5】分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析法によって決定された、タンニン酸、カフェイン、及び追加の有機酸を含む複合体からのカフェイン放出速度を示す。
【0022】
【
図6】分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析法によって決定された、タンニン酸、カフェイン、及び様々な量のドーパミンを含む複合体からのカフェイン放出速度を示す。
【0023】
【
図7A】1%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0024】
【
図7B】1%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、カプセル化されたカフェインの量の経時的な変化を示す。
【0025】
【
図8A】4%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0026】
【
図8B】4%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、カプセル化されたカフェインの量の経時的な変化を示す。
【0027】
【
図9A】5%ステアリン酸及び1%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0028】
【
図9B】5%ステアリン酸及び1%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、カプセル化されたカフェインの量の経時的な変化を示す。
【0029】
【
図10A】5%ステアリン酸及び4%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0030】
【
図10B】5%ステアリン酸及び4%トリオレイン酸ソルビタンを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、カプセル化されたカフェインの量の経時的な変化を示す。
【0031】
【
図11A】1%ポリグリセロールポリリシノレート(polyglycerol polyricinoleate、PGPR)を含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0032】
【
図11B】1%PGPRを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、カプセル化されたカフェインの量の経時的な変化を示す。
【0033】
【
図12A】4%PGPRを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0034】
【
図12B】4%PGPRを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、経時的なカプセル化されたカフェインの量を示す。
【0035】
【
図13A】8%PGPRを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0036】
【
図13B】8%PGPRを含むエマルジョンを透析条件に供し、1Kフィルターを使用して分析した場合の、カプセル化されたカフェインの経時的な量を示す。
【0037】
【
図14A】中鎖トリグリセリドを含むエマルジョンを、分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析条件に供した場合の、遊離カフェインの量の経時的な変化を示す。
【0038】
【
図14B】中鎖トリグリセリドを含むエマルジョンを、分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析条件に供した場合の、経時的なカプセル化されたカフェインの量を示す。
【0039】
【
図15A】ヒマワリ油を含むエマルジョンを、分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析条件に供した場合の、経時的なカプセル化されたカフェインの量を示す。
【0040】
【
図15B】分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析条件に供したヒマワリ油を含むエマルジョンから経時的に放出されたカフェインの量を示す。
【0041】
【
図16】分子量カットオフが14,000である透析バッグを使用する透析条件に供した様々なエマルジョン中のカプセル化されたカフェインの経時的な量を示す。
【0042】
【
図17】シミュレートした胃条件に供した場合の、代表的なエマルジョンを含有する代表的な飲料から放出されるカフェインの量を示す。
【発明を実施するための形態】
【0043】
定義
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈において別途明確に規定されていない限り、複数の指示対象を含む。
【0044】
本明細書で使用されるとき、「又は」という用語は、論理的な分岐(すなわち、及び/又は)であり、「いずれか」、「でない限り」、「代替的に」という用語、及び同様の効果の語でそのように明示的に示されない限り、排他的な分岐を示すものではない。
【0045】
本明細書で使用されるとき、「約」という用語は、特に指定がない限り、かつ範囲の上限が組成物の100%を超えない限り、記載された値の±10%を指し、後者の場合、その範囲の上限は、99.9%に限定される。したがって、単なる例として、約10重量%の所与の成分を含む組成物は、化合物の9~11重量%を有し得る。同様に、約95重量%の所与の成分を含む組成物は、組成物中の成分の85.5~99.9重量%を有し得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「飲料」は、飲むのに適した食用配合物を指す。飲料の例としては、ソフトドリンク、ファウンテン飲料、冷凍レディ・トゥ・ドリンク飲料、コーヒー飲料、茶飲料、スポーツドリンク、ジュース、乳飲料、及びアルコール飲料が挙げられるが、これらに限定されない。飲料は、炭酸又は非炭酸であり得、透明(clear)、すなわち透明(transparent)、半透明、又は不透明であり得る。本明細書で使用される場合、「ファウンテン飲料」は、飲料シロップと水とを合わせることによって調製された飲料を指し、これは、消費の時点又はその直前に、任意選択で炭酸であり得る。
【0047】
本明細書で使用される場合、「乳化剤」という用語は、水相及び油相がブレンドされてエマルジョンになることを可能にする薬剤を指す。好適な乳化剤の例としては、寒天、カラギーナン、タンパク質由来乳化剤(例えば、乳清タンパク質単離物及びカゼインナトリウム)、ジェラン、ゼラチン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、キラヤサポナリア(Quillaja saponaria)サポニン、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の利点を考慮すれば、更なる乳化剤(emulsifying agent)の例は、食料又は飲料配合物の当業者に明らかであろう。
【0048】
本明細書で使用される場合、「安定剤」という用語は、本明細書に記載されるエマルジョンの1つ以上の油中のカフェイン-タンニン酸複合体を安定化する薬剤を指す。例示的な安定剤としては、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、スクロース、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。本開示の利点を考慮すれば、更なる安定剤の例は、食料又は飲料配合物の当業者に明らかであろう。
【0049】
本明細書において提供される全ての百分率は、特に明記されていない限り、重量百分率である。
【0050】
カフェイン-タンニン酸複合体
本開示は、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を提供する。ある特定の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約10:1~約1:10であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約9:1~約1:9であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約8:1~約1:8であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約7:1~約1:7であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約6:1~約1:6であり得る。ある特定の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約5:1~約1:5であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約4:1~約1:4であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約2:1~約1:4であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約2:1~約1:3であり得る。ある特定の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約1:1であり得る。ある特定の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約1:2であり得る。ある特定の実施形態では、複合体中のカフェイン対タンニン酸の重量/重量比は、約1:3であり得る。
【0051】
ある特定の実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約5%~約95%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約10%~約90%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約15%~約85%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約20%~約80%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約20%~約70%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約20%~約60%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約20%~約50%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約23%~約35%であり得る。いくつかの実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約35%~約53%であり得る。ある特定の実施形態では、複合体中のカフェインの重量パーセントは、約5%、約10%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、約20%、約21%、約22%、約23%、約24%、約25%、約26%、約27%、約28%、約29%、約30%、約31%、約32%、約33%、約34%、約35%、約36%、約37%、約38%、約39%、約40%、約41%、約42%、約43%、約44%、約45%、約46%、約47%、約48%、約49%、約50%、約51%、約52%、約53%、約54%、約55%、約56%、約57%、約58%、約59%、約69%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、又は約90%であり得る。
【0052】
ある特定の実施形態では、複合体は、カフェインと、タンニン酸と、クエン酸、ドーパミン、マレイン酸、マロン酸、及びシュウ酸からなる群から選択される追加の化合物と、を含むことができる。特定の理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載の条件下では、タンニン酸はカフェイン分子と水素結合を形成して、飲料に使用した場合に飲料からのカフェインの放出を遅延させる安定な複合体を提供すると考えられている。カフェイン-タンニン酸複合体の形成は、FT-IRデータなどの分光分析によって支持され、これは本明細書の他の箇所で考察される。驚くべきことに、カフェイン-タンニン酸複合体のFT IRスペクトルは、カフェイン及びタンニン酸の非複合体化混合物のスペクトルと有意に異なる。このデータは、カフェイン及びタンニン酸分子が複合体内で互いに会合していることを実証している。
【0053】
複合体を含む組成物
本開示は更に、本明細書に記載の複合体を含む水性エマルジョンを提供する。これらのエマルジョンは、飲料中で使用される場合、カフェインを徐放する。特定の理論に束縛されるものではないが、エマルジョン粒子は、カフェイン複合体をカプセル化し、飲料中への遊離カフェインの放出を遅延させると考えられている。本開示のエマルジョンは、カフェイン-タンニン酸複合体、水(エマルジョン全体に分散した水相の一部として)、1つ以上の油(エマルジョン全体に分散した油相の一部として)、任意選択的に1つ以上の乳化剤、及び任意選択的に1つ以上の安定剤を含む。エマルジョンは、油中水型エマルジョン又は水中油型エマルジョンであり得る。典型的な実施形態では、エマルジョンは水中油型エマルジョンである。
【0054】
ある特定の実施形態では、エマルジョンは、約0.1重量%~約15重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。ある特定の実施形態では、エマルジョンは、約0.1重量%~約12重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。ある特定の実施形態では、エマルジョンは、約0.1重量%~約10重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.15重量%~約8重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.2重量%~約6重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.25重量%~約5重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.50重量%~約4.5重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.75重量%~約4重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約1重量%~約3.5重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約1.5重量%~約3重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.1重量%、約0.15重量%、約0.2重量%、0.25重量%、約0.35重量%、約0.45重量%、約0.55重量%、約0.65重量%、約0.75重量%、約0.80重量%、約0.85重量%、約0.90重量%、約1.0重量%、約1.25重量%、約1.5重量%、約1.75重量%、約2.0重量%、約2.25重量%、約2.5重量%、約2.75重量%、約3.0重量%、約3.25重量%、約3.5重量%、約3.75重量%、約4.0重量%、約4.25重量%、約4.5重量%、約4.75重量%、約5重量%、約5.25重量%、約5.5重量%、約5.75重量%、約6重量%、約6.25%、約6.5重量%、約6.75重量%、約7重量%、約7.25重量%、約7.5重量%、約7.75重量%、約8重量%、約8.25重量%、約8.5重量%、約8.75重量%、約9重量%、約9.25重量%、約9.5重量%、約9.75重量%、約10重量%、約12重量%、又は約15重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。
【0055】
いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約2重量%~約30重量%の少なくとも1つの油を含む油相を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約2重量%~約25重量%の少なくとも1つの油を含む油相を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約2重量%~約20重量%の少なくとも1つの油を含む油相を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約5重量%~約10重量%の少なくとも1つの油を含む油相を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約6重量%~約9重量%の少なくとも1つの油を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約5重量%、約5.5重量%、約6重量%、約6.5重量%、約7重量%、約7.5重量%、約8重量%、約8.5重量%、約9重量%、約9.5重量%、約10重量%、約15重量%、約18重量%、約20重量%、約23重量%、約25重量%、約28重量%、又は約30重量%の少なくとも1つの油を含むことができる。
【0056】
典型的には、ある特定の実施形態では、少なくとも1つの油は、1つ以上の食用油及び/又は1つ以上の食用ワックスを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、ギー、カラシ油、オリーブ油、米糠油、亜麻仁油、落花生油、ゴマ油、アーモンド油、カシュー油、キャノーラ油、大豆油、アボカド油、クルミ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、ヤシ油、パーム核油、カルナウバワックス、蜜蝋、パラフィンワックス、米糠ワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、プロポリスワックス、シェラックワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上の油を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、ヒマワリ油又は中鎖トリグリセリドを含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、ヒマワリ油を含むことができる。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの油は、中鎖トリグリセリドを含むことができる。
【0057】
典型的には、ある特定の実施形態では、カフェイン-タンニン酸複合体は、エマルジョンの分散油相内に含有され得る。ある特定の実施形態では、油相は、約5重量%~約50重量%のカフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約10重量%~約45重量%の複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約15重量%~約40重量%の複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約20重量%~約35重量%の複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約25重量%~約35重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約16重量%、約17重量%、約18重量%、約19重量%、20重量%、約21重量%、約22重量%、約23重量%、約24重量%、約25重量%、約26重量%、約27重量%、約28重量%、約29重量%、約30重量%、約31重量%、約32重量%、約33重量%、約34重量%、約35重量%、約36重量%、約37重量%、約38重量%、約39重量%、約40重量%、約41重量%、約42重量%、約43重量%、約44重量%、約45重量%、約46重量%、約46重量%、約48重量%、約49重量%、又は約50重量%の、カフェイン及びタンニン酸を含む複合体を含むことができる。
【0058】
本明細書に記載されるエマルジョンは、1つ以上の安定剤を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、上記エマルジョンは、約0.002重量%~約8重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.002重量%~約6重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、上記エマルジョンは、約0.002重量%~約4重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、上記エマルジョンは、約0.002重量%~約2重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.003重量%~約1.5重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、上記エマルジョンは、約0.005重量%~約1重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.01重量%~約0.9重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、上記エマルジョンは、約0.05重量%~約0.8重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.1重量%~約0.8重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.2%~約0.7重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、上記エマルジョンは、約0.3重量%~約0.6重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約0.002重量%、約0.003重量%、約0.004重量%、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.1重量%、約0.15重量%、約0.2重量%、約0.25重量%、約0.3重量%、約0.35重量%、約0.4重量%、約0.45重量%、約0.5重量%、約0.55重量%、約0.6重量%、約0.65重量%、約0.7重量%、約0.75重量%、約0.8重量%、約0.85重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.2重量%、約1.4重量%、約1.6重量%、約1.8重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、又は約8重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。
【0059】
いくつかの実施形態では、エマルジョンの油相は、1つ以上の安定剤を含むことができる。ある特定の実施形態では、油相は、約0.1重量%~約30重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約0.1重量%~約25重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約0.1重量%~約20重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。ある特定の実施形態では、油相は、約0.1重量%~約10重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約0.2重量%~約9重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約0.5重量%~約8%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約1重量%~約8重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、油相は、約0.1重量%、約0.2重量%、約0.3重量%、約0.4重量%、約0.5重量%、約0.6重量%、約0.7重量%、約0.8重量%、約0.9重量%、約1重量%、約1.5重量%、約2重量%、約2.5重量%、約3重量%、約3.5重量%、約4重量%、約4.5重量%、約5重量%、約5.5重量%、約6重量%、約6.5重量%、約7重量%、約7.5重量%、約8重量%、約8.5重量%、約9重量%、約9.5重量%、約10重量%、約12重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、又は約30重量%の1つ以上の安定剤を含むことができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、スクロース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、及びこれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、トリオレイン酸ソルビタンを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、ステアリン酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、エチルセルロースを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、ポリグリセロールポリリシノレートを含むことができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、トリオレイン酸ソルビタンとステアリン酸との混合物を含むことができる。
【0062】
本明細書に記載されるエマルジョンは、水相も含むことができる。特定の態様では、エマルジョンは、約80重量%~約98重量%の水相を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約85重量%~約95%の水相を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約90重量%~約95重量%の水相を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約91重量%~約94重量%の水相を含むことができる。いくつかの実施形態では、上記エマルジョンは、約92重量%の水相を含むことができる。
【0063】
本明細書に記載されるエマルジョンは、1つ以上の乳化剤を更に含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約4重量%~約40重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約4重量%~約30重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約4重量%~約20重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約4重量%~約15重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約5重量%~約14重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約6重量%~約13重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約7重量%~約12重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約8重量%~約11重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、又は約30重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。
【0064】
典型的には、水相は、1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約5重量%~約40重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約5重量%~約30重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約5重量%~約20重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、約5重量%~約15重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、水相は、約6重量%~約14重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、水相は、約7重量%~約13重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、水相は、約8重量%~約12重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、水相は、約9重量%~約11重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。いくつかの実施形態では、水相は、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%、約10重量%、約11重量%、約12重量%、約13重量%、約14重量%、約15重量%、約20重量%、約25重量%、約30重量%、約35重量%、又は約40重量%の1つ以上の乳化剤を含むことができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、1つ以上の乳化剤は、寒天、カラギーナン、ジェラン、ゼラチン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、キラヤサポナリア(Quillaja saponaria)サポニン、1つ以上のタンパク質由来乳化剤(例えば、乳清タンパク質単離物及び/又はカゼインナトリウム)又はそれらの混合物からなる群から選択され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の乳化剤はアラビアガムであり得る。
【0066】
ある特定の実施形態では、エマルジョンは、a)約5重量%~約30重量%の少なくとも1つの油であって、約10:1~約1:10の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約20重量%~約40重量%の複合体を含み、任意選択で約0.1重量%~約10重量%の1つ以上の安定剤を含む少なくとも1つの油と、b)任意選択で約5重量%~約15重量%の1つ以上の安定剤を含む水相と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、a)ギー、カラシ油、オリーブ油、米糠油、亜麻仁油、落花生油、ゴマ油、アーモンド油、カシュー油、キャノーラ油、大豆油、アボカド油、クルミ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、ヤシ油、パーム核油、カルナウバワックス、蜜蝋、パラフィンワックス、米糠ワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、プロポリスワックス、シェラックワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約5重量%~約30重量%の少なくとも1つの油であって、約10:1~約1:10の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約20重量%~約40重量%の複合体を含み、任意選択で、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、スクロース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約0.1重量%~約10重量%の1つ以上の安定剤を含む、少なくとも1つの油と、b)任意選択で、寒天、カラギーナン、ジェラン、ゼラチン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)サポニン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約5重量%~約15重量%の1つ以上の乳化剤を含む水相と、を含むことができる。
【0067】
ある特定の実施形態では、エマルジョンは、a)約5重量%~約10重量%の少なくとも1つの油であって、約10:1~約1:10の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約20重量%~約40重量%の複合体を含み、任意選択で約0.1重量%~約10重量%の1つ以上の安定剤を含む少なくとも1つの油と、b)任意選択で約5重量%~約15重量%の1つ以上の安定剤を含む水相と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、a)ギー、カラシ油、オリーブ油、米糠油、亜麻仁油、落花生油、ゴマ油、アーモンド油、カシュー油、キャノーラ油、大豆油、アボカド油、クルミ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、ヤシ油、パーム核油、カルナウバワックス、蜜蝋、パラフィンワックス、米糠ワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、プロポリスワックス、シェラックワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約5重量%~約10重量%の少なくとも1つの油であって、約10:1~約1:10の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約20重量%~約40重量%の複合体を含み、任意選択で、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、スクロース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約0.1重量%~約10重量%の1つ以上の安定剤を含む、少なくとも1つの油と、b)任意選択で、寒天、カラギーナン、ジェラン、ゼラチン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)サポニン、1つ以上のタンパク質由来乳化剤(例えば、乳清タンパク質単離物及び/又はカゼインナトリウム)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約5重量%~約15重量%の1つ以上の乳化剤を含む水相と、を含むことができる。
【0068】
ある特定の実施形態では、エマルジョンは、a)約6重量%~約9重量%の少なくとも1つの油であって、約5:1~約1:5の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約20%~約40%の複合体を含み、任意選択で約0.2重量%~約9重量%の1つ以上の安定剤を含む、少なくとも1つの油と、b)任意選択で約8重量%~約12重量%の1つ以上の乳化剤を含む水相と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、a)ギー、カラシ油、オリーブ油、米糠油、亜麻仁油、落花生油、ゴマ油、アーモンド油、カシュー油、キャノーラ油、大豆油、アボカド油、クルミ油、ブドウ種子油、ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、ヤシ油、パーム核油、カルナウバワックス、蜜蝋、パラフィンワックス、米糠ワックス、キャンデリラワックス、ヒマワリワックス、サトウキビワックス、プロポリスワックス、シェラックワックス、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約6重量%~約9重量%の少なくとも1つの油であって、約5:1~約1:5の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約20重量%~約40重量%の複合体を含み、任意選択で、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、スクロース、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約0.2重量%~約9重量%の1つ以上の安定剤を含む、少なくとも1つの油と、b)任意選択で、寒天、カラギーナン、ジェラン、ゼラチン、グアーガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、アラビアガム、キラヤ・サポナリア(Quillaja saponaria)サポニン、1つ以上のタンパク質由来乳化剤(例えば、乳清タンパク質単離物及び/又はカゼインナトリウム)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約8重量%~約12重量%の1つ以上の乳化剤を含む水相と、を含むことができる。
【0069】
ある特定の実施形態では、エマルジョンは、a)約1:3の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約30重量%の複合体を含み、約0.2重量%~約9重量%の1つ以上の安定剤を含む、約8%の少なくとも1つの油と、b)約10重量%の1つ以上の乳化剤を含む水相と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、a)ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、及びカルナウバワックスからなる群から選択される約8重量%の少なくとも1つの油であって、約1:3の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約30重量%の複合体を含み、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約0.2重量%~約9重量%の1つ以上の安定剤を含む、少なくとも1つの油と、b)10重量%のアラビアガムを含む水相と、を含むことができる。
【0070】
ある特定の実施形態では、エマルジョンは、a)約1:1の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約30重量%の複合体を含み、約0.2重量%~約9重量%の1つ以上の安定剤を含む、約8%の少なくとも1つの油と、b)約10重量%の1つ以上の乳化剤を含む水相と、を含むことができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、a)ヒマワリ油、中鎖トリグリセリド、及びカルナウバワックスからなる群から選択される約8重量%の少なくとも1つの油であって、約1:1の重量/重量比のカフェイン:タンニン酸を含む約30重量%の複合体を含み、トリオレイン酸ソルビタン、ステアリン酸、エチルセルロース、ポリグリセロールポリリシノレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される約0.2重量%~約9重量%の1つ以上の安定剤を含む、少なくとも1つの油と、b)10重量%のアラビアガムを含む水相と、を含むことができる。
【0071】
プロセス
ある特定の実施形態では、カフェイン-タンニン酸複合体は、高剪断条件下で混合しながら、水中の適切な濃度のタンニン酸の溶液を水中の適切な濃度のカフェインの溶液に添加して沈殿物を形成し、次いで沈殿物を単離し、乾燥させ、粉砕することによって調製することができる。典型的には、水に添加されるタンニン酸の量は、タンニン酸の全量が使用される水の量に可溶性であるような、所与の温度でのその溶解度に基づく。いくつかの実施形態では、タンニン酸は室温で水に添加することができる。いくつかの実施形態では、タンニン酸は、約60℃で水に添加することができる。同様に、水に最初に添加されるカフェインの量は、カフェインの全量が使用される水の量に可溶性であるような、所与の温度でのその溶解度に基づく。いくつかの実施形態では、カフェインは、室温で水に添加され得る。いくつかの実施形態では、カフェインは、約60℃で水に添加することができる。
【0072】
いくつかの実施形態では、カフェイン-タンニン酸複合体は、適切な量のタンニン酸及び適切な量のカフェインを無水エタノール又は0.1%~60%w/wの水を含有するエタノールに添加し、溶液が形成されるまで撹拌し、次いで得られた溶液を噴霧乾燥することによって調製することができる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約0.5%~約55%w/wの水を含むことができる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約1%~約50%w/wの水を含むことができる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約2%~約40%w/wの水を含むことができる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約3%~約30%w/wの水を含むことができる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約4%~約20%w/wの水を含むことができる。いくつかの実施形態では、エタノールは、約0.1%、約0.5%、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、又は約80% w/wの水を含むことができる。
【0073】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるエマルジョンを調製する目的のために、沈殿物を小さな粉末に粉砕し、篩に通すことができる。ある特定の実施形態では、使用される篩は、40メッシュの篩であり得る。いくつかの実施形態では、エマルジョンを調製する前に、得られた粉末をジェットミルに通すことができる。
【0074】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるエマルジョンは、カフェイン-タンニン酸複合体を少なくとも1つの油に添加することによって調製することができる。いくつかの実施形態では、油相が安定剤を含む場合、油とカフェイン-タンニン酸複合体との混合物に安定剤を添加することができる。いくつかの実施形態では、油、安定剤、及び複合体を粉砕チャンバ内で合わせることができ、得られた混合物を、酸化ジルコニウム粉砕ボールなどの非反応性粉砕ボールで更に処理することができる。いくつかの実施形態では、粉砕ボールは直径約2mmであってもよいが、他の直径のボールを適宜使用することができる。いくつかの実施形態では、粉砕ボールは、直径が約0.5mm、約1mm、又は約2mmであり得る。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約50時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約24時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約20時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約15時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約10時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約8時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約6時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約1~約4時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約24~約50時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約30~約45時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物をチャンバ内で約35~約40時間粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物を約500~約2000rpmで粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物を約500~約1500rpmで粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物を約750~約1250rpmで粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物を約900~約1100rpmで粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物を約1000rpmで粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物は、約15℃~約90℃の温度でチャンバ内で粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物は、約15℃~約75℃の温度でチャンバ内で粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物は、約15℃~約60℃の温度でチャンバ内で粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物は、約15℃~約50℃の温度でチャンバ内で粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物は、約18℃~約35℃の温度でチャンバ内で粉砕することができる。いくつかの実施形態では、混合物は、約20℃~約30℃の温度でチャンバ内で粉砕することができる。典型的には、いくつかの実施形態では、得られたスラリーを粉砕ボールから分離することができる。
【0075】
エマルジョンが乳化剤を含む、ある特定の実施形態では、乳化剤は、乳化前に水相に添加することができる。いくつかの実施形態では、水相は、1つ以上の乳化剤を温水にゆっくりと添加することによって調製することができる。いくつかの実施形態では、水を約40℃~約60℃の温度に加熱することができる。いくつかの実施形態では、水を約50°Cの温度に加熱することができる。いくつかの実施形態では、添加後に混合物を冷却することができる。
【0076】
いくつかの実施形態では、得られた油相及び水相を合わせ、乳化することができる。ある特定の実施形態では、油相を水相に添加することができる。他の実施形態では、水相を油相に添加することができる。ある特定の実施形態では、油相及び水相は、同じ速度で同時に、又は異なる速度で合わせることができる。いくつかの実施形態では、合わせた油相及び水相を高速下で混合することができる。いくつかの実施形態では、合わせた油相及び水相は、高剪断ミキサーで混合することができる。いくつかの実施形態では、合わせた油相及び水相を約10,000~約30,000rpmで混合することができる。いくつかの実施形態では、合わせた油相及び水相を約15,000~約25,000rpmで混合することができる。いくつかの実施形態では、合わせた油相及び水相を約20,000rpmで混合することができる。いくつかの実施形態では、合わせた油相及び水相は、約30秒~約5分間混合することができる。いくつかの実施形態では、合わせた油相及び水相を約1分間混合することができる。
【0077】
飲料
本開示はまた、本明細書に開示されるエマルジョンを含む飲料シロップ及び飲料を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、飲料は、約50ppm~約900ppmの飲料中のカフェイン濃度を提供するのに十分な体積の本明細書に記載されるエマルジョンのうちの1つ以上を含有することができる。いくつかの実施形態では、飲料中のカフェイン濃度は、約75ppm~約850ppm、約100ppm~約800ppm、約125ppm~約750ppm、約150ppm~約700ppm、約175ppm~約650ppm、約200ppm~約550ppmのカフェイン、又は約225ppm~約500ppmであり得る。いくつかの実施形態では、飲料中のカフェイン濃度は、約50ppm、約75ppm、約100ppm、約125ppm、約150ppm、約175ppm、約200ppm、約225ppm、約250ppm、約275ppm、約300ppm、約325ppm、約350ppm、約375ppm、約400ppm、約425ppm、約450ppm、約475ppm、約500ppm、約525ppm、約550ppm、約575ppm、約600ppm、約625ppm、約650ppm、約675ppm、約700ppm、約725ppm、約750ppm、約775ppm、又は約800ppmであり得る。いくつかの実施形態では、飲料中のカフェインの濃度は、約400ppmであり得る。
【0078】
ある特定の実施形態では、カフェインの一部分は、飲料が消費された後、約30分~約180分間、タンニン酸に結合したままである。いくつかの実施形態では、カフェインの一部分は、飲料が消費された後、約45分間~約150分間、又は約60分間~約120分間、タンニン酸に結合したままである。いくつかの実施形態では、カフェインの一部分は、飲料が消費された後、約30分間、約40分間、約50分間、約60分間、約70分間、約80分間、約90分間、約100分間、約120分間、約130分間、約140分間、約150分間、約160分間、約170分間、又は約180分間、タンニン酸に結合したままである。
【0079】
ある特定の実施形態では、飲料を消費してから90分後、タンニン酸に結合したカフェインの割合は、約50%~約99%であり得る。いくつかの実施形態では、タンニン酸に結合したカフェインの割合は、約65%~約95%、約70%~約90%、又は約75%~約85%であり得る。いくつかの実施形態では、飲料が消費されてから90分後、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、又は約99%のカフェインがタンニン酸に結合されている。
【0080】
特定の実施形態において、飲料は、炭酸清涼飲料若しくは非炭酸清涼飲料、ファウンテン飲料、冷凍レディ・トゥ・ドリンク飲料、コーヒー、お茶若しくは他の醸造飲料、乳飲料、香味水、強化水、フルーツジュースなどのジュース(希釈及びレディ・トゥ・ドリンク濃縮ジュースを含む)、フルーツジュースフレーバドリンク、スポーツドリンク、スムージー、エナジードリンクなどの機能強化飲料、又はアルコール飲料であることができる。特定の実施形態では、飲料は、炭酸ソフトドリンクであり得る。いくつかの実施形態では、飲料は、カフェイン添加水であり得る。
【0081】
ある特定の実施形態では、飲料は、1つ以上の甘味料を含むことができる。飲料実施形態の甘味料としては、カロリー炭水化物甘味料、天然高甘味度甘味料、合成高甘味度甘味料、他の甘味料、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0082】
好適なカロリー炭水化物甘味料の例としては、スクロース、フルクトース、グルコース、エリトリトール、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、D-タガトース、トレハロース、ガラクトース、ラムノース、シクロデキストリン(例えば、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、及びγ-シクロデキストリン)、リブロース、トレオース、アラビノース、キシロース、リキソース、アロース、アルトロース、マンノース、イドース、ラクトース、マルトース、転化糖、イソトレハロース、ネオトレハロース、パラチノース、又はイソマルツロース、エリトロース、デオキシリボース、グロース、イドース、タロース、エリトルロース、キシルロース、プシコース、ツラノース、セロビオース、グルコサミン、マンノサミン、フコース、グルクロン酸、グルコン酸、グルコノ-ラクトン、アベクオース、ガラクトサミン、キシロオリゴ糖(キシロトリオース、キシロビオースなど)、ゲンチオオリゴ糖(gentio-oligoscaccharide)(ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオースなど)、ガラクトオリゴ糖、ソルボース、ニゲロオリゴ糖、フルクトオリゴ糖(ケストース、ニストースなど)、マルトテトラオール、マルトトリオール、マルトオリゴ糖(マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース、マルトヘキサオース、マルトヘプタオースなど)、ラクツロース、メリビオース、ラフィノース、ラムノース、リボース、高フルクトースコーン/デンプンシロップ(例えば、HFCS55、HFCS42、若しくはHFCS90)などの異性化液糖、カップリングシュガー、大豆オリゴ糖、並びにグルコースシロップが挙げられる。
【0083】
本明細書で使用される場合、「天然高甘味度甘味料」という語句には、レバウジオシドA、レバウジオシドB、レバウジオシドC(ズルコシドB)、レバウジオシドD、レバウジオシドE、レバウジオシドF、レバウジオシドH、レバウジオシドI、レバウジオシドJ、レバウジオシドK、レバウジオシドL、レバウジオシドM、レバウジオシドN、レバウジオシドO、レバウジオシドR、レバウジオシドS、レバウジオシドT、レバウジオシドU、レバウジオシドV、ズルコシドA、ルブソシド、ステビア、ステビオシド、モグロシドIV、モグロシドV、羅漢果(Luo Han Guo)甘味料、シアメノシド、モナチン及びその塩(モナチンSS、RR、RS、SR)、クルクリン、グリチルリチン酸及その塩、ソーマチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、ヘルナンズルシン(hernandulcin)、フィロズルチン、グリシフィリン、フロリジン、トリロブタイン(trilobtain)、バイユノシド、オスラジン、ポリポドシドA、プテロカリオシドA、プテロカリオシドB、ムクロジオシド、フロミソシド(phlomisoside)I、ペリアンドリンI、アブルソシド(abrusoside)A、並びにシクロカリオシドIが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
天然高甘味度甘味料には、改質天然高甘味度甘味料も含まれる。改質天然高甘味度甘味料としては、天然に改変された天然高甘味度甘味料が挙げられる。例えば、改質天然高甘味度甘味料としては、発酵されたか、酵素と接触されたか、誘導体化されたか、又は置換された天然高甘味度甘味料が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、少なくとも1つの改質天然高甘味度甘味料を、少なくとも1つの天然高甘味度甘味料と組み合わせて使用することができる。別の実施形態では、少なくとも1つの改質天然高甘味度甘味料は、天然高甘味度甘味料なしで使用することができる。改質天然高甘味度甘味料は、天然高甘味度甘味料の代わりに使用することができ、又は本明細書に記載の実施形態のいずれかのために天然高甘味度甘味料と組み合わせて使用することができる。
【0085】
本明細書において使用される際、「合成甘味料」という語句は、自然には見られず、高甘味度甘味料である任意の組成物を指す。本発明の実施形態に好適な合成甘味料の非限定的な例としては、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、アリテーム、サッカリン、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン、シクラメート、ネオテーム、N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)プロピル]-L-a-アスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル、N-[3-(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)-3-メチルブチル]-L-a-アスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル、N-[3-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロピル]-L-aアスパルチル]-L-フェニルアラニン1-メチルエステル、及びこれらの塩(適宜)、並びにこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0086】
二酸化炭素を使用して、本明細書に開示される飲料のある特定の実施形態に発泡をもたらすことができる。飲料を炭酸化するための当該技術分野において既知である技術及び炭酸化装置のうちのいくつかを使用することができる。二酸化炭素は、飲料の味及び外観を向上させることができ、好ましくない細菌を抑制及び/又は破壊することで飲料の純度を保護する助けとなることができる。ある実施形態では、例えば、飲料は、約4.0体積までの二酸化炭素のCO2レベルを有し得る。他の実施形態では、例えば、約0.5~5.0体積の二酸化炭素を有し得る。本明細書で使用されるとき、二酸化炭素の1体積とは、60°F(16℃)及び1気圧における水などの、所定量の所定の液体によって吸収される二酸化炭素の量を指す。気体の体積は、それが溶解される液体が占めるのと同じ空間を占める。二酸化炭素含量は、所望の発泡のレベル及び飲料の味又は口当たりに対する二酸化炭素の影響に基づいて当業者によって選択され得る。
【0087】
いくつかの実施形態では、飲料は、一般に、飲料組成物中に典型的に見られるもののいずれかを含む追加の成分を更に含むことができる。そのような付加成分の例としては、限定はされないが、カラメル、及び他の着色剤又は染料、発泡剤又は消泡剤、ガム、乳化剤、茶固形物、濁り構成要素並びにミネラル及び非ミネラル栄養補助食品が挙げられる。非ミネラル栄養補助食品の成分の例としては、当業者に既知であり、例えば、抗酸化剤及びビタミン類(ビタミンA、D、E(トコフェロール)、C(アスコルビン酸)、B(チアミン)、B2(リボフラビン)、B6、B12及びKなど)、ナイアシン、葉酸、ビオチン、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。任意選択的な非ミネラル栄養補助食品は、典型的には、良好な製造規範のもとで一般的に許容される量で存在する。例示的な量は、推奨一日摂取量(RDV)が確立されている場合、約1%~約100%のRDVであり得る。特定の例示的実施形態では、非ミネラル栄養補助食品成分(複数可)は、確立されている場合、約5%~約20%のRDVの量で存在し得る。
【0088】
ある特定の実施形態では、飲料は、1つ以上の防腐剤も含むことができる。4未満のpHを有する溶液(特に、3未満のpHを有する溶液)は、典型的には「微生物安定性(micro-stable)」であり、すなわち、微生物の増殖に抵抗し、更なる防腐剤を必要とせずに消費の前に長期間貯蔵するのに好適である。しかしながら、所望により、付加的な防腐剤系を使用することができる。本明細書で使用する場合、用語「防腐システム」又は「防腐剤」は、安息香酸塩(安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、及び安息香酸カリウムなど)、ソルビン酸塩(ソルビン酸ナトリウム、ソルビン酸カルシウム、及びソルビン酸カリウムなど)、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム及びクエン酸カリウムなど)、ポリリン酸塩(ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)など)、並びにこれらの混合物などの、既知の化学防腐剤、並びに、アスコルビン酸、EDTA、BHA、BHT、TBHQ、デヒドロ酢酸、ジメチルジカーボネート、エトキシキン、ヘプチルパラベン、及びこれらの組み合わせなどの酸化防止剤を含むがこれらに限定されない、飲料組成物での使用に認可された、全ての好適な防腐剤を含む。適用される法律及び規則の下で、命じられた最大濃度を超えない量で防腐剤を使用することができる。いくつかの実施形態では、飲料はソルビン酸カリウムを含むことができる。
【0089】
ある特定の実施形態において、飲料は、ルチン、ケルセチン、フラボノン(flavonone)、フラボン、ジヒドロフラボノール、フラボノール、フラバンジオール、ロイコアントシアニジン、フラバノールグリコシド、フラボノングリコシド、イソフラボノイド、及びネオフラボノイドからなる群から選択される酸化防止剤を含むことができる。特に、フラボノイドとしては、限定はされないが、クルセチン、エリオシトリン、ネオエリオシトリン、ナリルチン、ナリンジン、ヘスペリジン、ヘスペレチン、ネオヘスペリジン、ネオポンシリン、ポンシリン、ルチン、イソロイホリン、ロイホリン、ジオスミン、ネオジオスミン、シネンセチン、ノビレチン、タンゲリチン、カテキン、カテキンガレート、エピガロカテキン、エピガロカテキンガレート、ウーロン茶重合ポリフェノール、アントシアニン、ヘプタメトキシフラボン、ダイジン、ダイゼイン、ビオカニン(biochaminn)A、プルネチン、ゲニスチン、グリシテイン、グリシチン、ゲニステイン、6,7,4’トリヒドロキシイソフラボン、モリン、アピゲニン、ビテキシン、バルカレイン、アピイン、クプレスフラボン、ダチセチン、ジオスメチン、フィセチン、ガランギン、ゴシペチン、ゲラルドール、ヒノキフラボン、プリムレチン、プラトール、ルテオリン、ミリセチン、オリエンチン、ロビネチン、クェルセタゲチン、及びヒドロキシ-4-フラボンであり得る。
【0090】
本明細書に記載の飲料はまた、任意選択で、1つ以上の好適な食品グレードの酸を含むことができる。例示的な酸は、水溶性有機酸、及びその塩であり、リン酸、ソルビン酸、アスコルビン酸、安息香酸、クエン酸、酒石酸、プロピオン酸、酪酸、酢酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、リンゴ酸、吉草酸、カプロン酸、マロン酸、アコニット酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アミノ酸、及びこれらのいずれかの組み合わせを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、飲料はリンゴ酸及び/又はリン酸を含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、エマルジョンは、飲料を調製するために使用することができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、飲料を提供するために希釈することができる飲料シロップに添加することができる。いくつかの実施形態では、エマルジョンは、予め調製された飲料に添加することができる。
【0092】
本明細書に記載の実施形態は、以下に示す例を参照して更に詳述される。これらの実施例は、説明することのみを目的としており、本明細書に記載の実施形態がこれらの実施例に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、実施形態は、本明細書でもたらされる教示の結果として明らかになる任意の変形例及び全ての変形例を包含すると解釈されるべきである。
【実施例】
【0093】
実施例1A:カフェイン-タンニン酸複合体を調製するための一般的手順
タンニン酸を水に添加し、完全に溶解するまで撹拌した。別の容器で、カフェインを水に添加し、完全に溶解するまで撹拌した。カフェイン溶液(1.5%w/w水溶液)を3000rpmの剪断下に置き、200g/分の速度でタンニン酸溶液(形成される複合体に応じて1当量又は3当量のいずれかの1.5%w/wタンニン酸溶液)で処理した。分析目的のために、混合物を一晩平衡化し、実施例2に記載の手順を用いて分析を実行した。
【0094】
固体複合体を単離するために、沈殿物を濾過によって収集し、乾燥させ、手で粉砕した後、40メッシュの篩に通した。得られた粉末を、任意選択で、ジェットミル(Fluid Energy Processing and Equipment Company,Model 00 Jet-O-Mizer system)に、が指定した製造手順に従って通した。
【0095】
実施例1B:噴霧乾燥を用いたカフェイン-タンニン酸複合体の調製
150gのタンニン酸、50gのカフェイン、及び5%w/wの水を含有する800gの水性エタノールの混合物を、溶液が透明になるまで穏やかに撹拌した。カフェイン昇華を回避するために蒸発温度を178℃未満に維持しながら溶液を噴霧乾燥して、カフェイン-タンニン酸複合体を得た。
【0096】
実施例1C:噴霧乾燥を用いたカフェイン-タンニン酸複合体の別の調製
150gのタンニン酸、100gのカフェイン、及び650gの水性エタノール(5%重量/重量)、及び100gの水の混合物を、溶液が透明になるまで穏やかに撹拌した。カフェイン昇華を回避するために蒸発温度を178℃未満に維持しながら溶液を噴霧乾燥して、カフェイン-タンニン酸複合体を得た。
【0097】
実施例2:遠心分離を使用してカフェイン-タンニン酸複合体を分析するための手順
実施例1で調製した水性カフェイン-タンニン酸混合物の試料を、1)1K分子量カットオフ膜(遊離カフェインなどの1kDa未満の分子量を有する任意の水溶性構成要素を除去するため)を有する遠心分離チューブの試料ホルダーにピペットで移した。試料をカットオフ膜を通して濾過するために、チューブを5,300rpmで30分間遠心分離した(Beckman Coulter Life Science Avanti JE Rotor:JS5.3スイングバケットローター)。濾液を超高性能液体クロマトグラフィー用に調製し、遊離カフェインの量を分析した。3:1複合体調製物からの濾液中の遊離カフェイン含量は、230ppmであると決定された。1:1複合体調製物からの濾液中の遊離カフェイン含量は、1300ppmであると決定された。
【0098】
1:1重量/重量のカフェイン:タンニン酸及び1:3重量/重量のカフェイン:タンニン酸複合体の試料をFT IRによって分析し、同じ比率の試薬の非複合体化混合物と比較した。
図1A、1B、2A、2B及び3に示すように、複合体のFT IRスペクトルは混合試薬のものと異なり、カフェイン及びタンニン酸が複合体内で会合していることが更に確認される。
【0099】
実施例3:透析を使用してタンニン酸複合体からのカフェインの放出速度を決定するための手順
各/カフェイン-タンニン酸複合体(0.2g)を9.8gの水に加え、透析バッグに入れ、両側を密封した。バッグを90gの水を含有するビーカーに入れ、穏やかに撹拌した。各サンプリング時間において、透析バッグ外側の水からアリコートを取り出し、0.1μmフィルターを通して濾過した。得られた濾液のカフェイン含量をHPLCで分析した。
図4に示すように、全てのカフェイン-タンニン酸複合体は、カフェインの放出を遅延させた。
【0100】
実施例4:カフェイン-タンニン酸-追加の酸複合体を調製するための一般的手順
カフェイン(1g)を水(99g)に添加し、全ての固体が溶解するまで撹拌した。タンニン酸(2g)及び追加の酸(シュウ酸、マロン酸、マレイン酸、又はクエン酸、3g)を95gの水に加え、全ての固体が溶解するまで混合物を撹拌した。得られたタンニン酸溶液をカフェイン水溶液にゆっくり添加し、得られた混合物を5分間撹拌した後、遠心分離して沈殿物を回収した。カフェイン放出を、実施例5に記載されるように透析によって決定した。
【0101】
実施例5:透析を用いてカフェイン-タンニン酸複合体からのカフェインの放出速度を決定するための手順
実施例4からの各複合体(0.2g)及び水(9.8g)を透析バッグに加え、続いて各端部を密封した。バッグを90gの水中に入れた。各サンプリング時間において、透析バッグ外側の水からアリコートを取り出し、0.1μmフィルターを通して濾過した。得られた濾液のカフェイン含量をHPLCで分析した。結果を
図5に示す。全ての複合体は、非複合体化カフェインと比較して、カフェインを遅延放出させた。
【0102】
実施例6:カフェイン-タンニン酸-ドーパミン複合体を調製する手順
カフェイン(1g)を水(99g)に添加し、全ての固体が溶解するまで撹拌した。タンニン酸(2g又は3g)及びドーパミン(3g)を95gの水に添加し、全ての固体が溶解するまで混合物を撹拌した。この溶液をカフェイン水溶液にゆっくり添加し、得られた混合物を5分間撹拌した後、遠心分離して沈殿物を回収した。カフェイン放出を透析によって決定した。各複合体(0.2g)及び水(9.8g)を透析バッグに加え、各端部を密封した。バッグを90gの水中に入れた。30分後、透析バッグ外側の水からアリコートを取り出し、0.1μmフィルターを通して濾過した。得られた濾液のカフェイン含量をHPLCで分析した。試料を分析のために30分毎に2時間、次いで1時間毎に更に5時間採取した。
図6に示すように、複合体は、遊離カフェインと比較して、カフェインを遅延放出させた。
【0103】
実施例7:カフェイン-タンニン酸エマルジョンを調製するための一般的手順
実施例1からのカフェイン-タンニン酸複合体を乾燥させ、手で粉砕した後、40メッシュの篩に通した。得られた粉末を、任意選択で、ジェットミル(Fluid Energy Processing and Equipment Company,Model 00 Jet-O-Mizer system)に、指定した製造手順に従って通した。
【0104】
安定剤(ポリグリセロールポリリシノレート(PGPR))、トリオレイン酸ソルビタン(Span(登録商標)85)、オレイン酸ソルビタン(Span(登録商標)80)、又はエチルセルロース(Ethocel(登録商標))、1.68g)を油(ヒマワリ又は中鎖トリグリセリド(MCT)、19.32g)に溶解し、粉砕チャンバ内でジェット粉砕された複合体粉末(9g)と合わせ、酸化ジルコニウム粉砕ボール(ボール直径2mm、60mL)で処理し、穏やかに撹拌した。粉砕チャンバを密封し、ボールミル(E-Max 220V)内で39時間、1000rpm、20℃~30℃の温度で粉砕した。得られたスラリーを、真空フラスコ及びメッシュスクリーンを用いて粉砕ボールから分離した。
【0105】
脱イオン水(900g)を50℃に加熱し、100gのアラビアガム粉末でゆっくり処理し、次いで室温に冷却した。油スラリー(4g)をアラビアガム溶液(46g)に撹拌しながら添加し、油相が装置及び容器に最小限に粘着することを確実にした。合わせたら、混合物を高剪断ミキサーに入れ、20,000rpmで1分間合わせて、92%の水相(すなわち、10%のアラビアガム溶液)及び8%の油相(すなわち、ヒマワリ油中の8%のポリグリセロールポリリシノレート(PGPR)、30%の複合体充填; ボールミルスラリー)を含むエマルジョンを調製した。正味のカフェイン含量:0.6%w/w。Horiba LA-950粒径分析器を製造業者の指示に従って使用して、エマルジョンの粒径を決定した。エマルジョンのカフェイン放出プロファイルを、実施例9の遠心分離法又は実施例8に記載の透析手順を使用して決定した。
【0106】
実施例8:透析を使用してエマルジョンからのカフェインの放出速度を決定するための手順
pH3.0緩衝液中の1%カフェインの溶液を570gのpH3.0緩衝液に添加して、100ppmの遊離カフェイン溶液を得た。逆浸透水を用いて透析バッグを調製した。過剰の水を除去し、バッグの底を折り畳み、クランプした。エマルジョン(30g)を透析バッグに添加し、バッグの上部を折り畳み、クランプした。カフェイン添加緩衝液を入れたビーカーに小さな撹拌棒を加え、透析バッグをビーカーに加えた。ビーカーを撹拌プレート上に置き、ゆっくり撹拌した(<100rpm)。5分後、バッグ外側の水の試料を、0.1μmフィルターを取り付けたシリンジに採取した。試料をゆっくりと濾過してガラスバイアルに入れ、濾液を超高速液体クロマトグラフィーによって分析して遊離カフェインを分析した。Parafilm(登録商標)をシステムの上部に配置して密封し、蒸発を防止した。1日後、4日後、7日後及び12日後に、次いで約6ヶ月までのエマルジョンの貯蔵寿命の間に任意選択で1週間に1回、系を再びサンプリングした。
【0107】
表2は、透析条件下で調製及び分析されたエマルジョンを示す。全てのエマルジョンは、別段の記載がある場合を除き、92:8の重量/重量比の水相:油相を含有し、水相中に15%のアラビアガムを含有する。代表的な実施例についての経時的な遊離及びカプセル化カフェインの量を
図14A~16に示す。
図14A、14B、15A、15B、及び16に示すように、MCT及びヒマワリ油の両方が、経時的に安定したレベルのカプセル化カフェインを提供した。
【表1-1】
【表1-2】
【0108】
実施例9:遠心分離を使用してエマルジョンからのカフェインの放出速度を決定するための手順
典型的な実験では、10gのエマルジョンを140gのpH3緩衝液と混合した。設計されたサンプリング時間で、アリコートを取り出し、1K分子量カットオフを有する遠心分離チューブに充填した。カットオフ膜を通して試料を濾過するために、チューブを5,300rpmで30分間遠心分離した。表3に示したエマルジョンについて経時的に測定した遊離カフェイン及びカプセル化カフェインの量を
図7A~13Bに示す。各図に示されるように、カプセル化されたカフェインの割合(又は遊離カフェインの量)は、経時的に安定したままである。
【表2】
【0109】
実施例10:代表的な飲料の調製
以下に示す成分を合わせて、クエン酸緩衝液を形成した。
【表3】
【0110】
表3に列挙される8%PGPRのエマルジョンをクエン酸緩衝液(pH3)で15倍に希釈して、カフェイン濃度を400ppmとすることによって、代表的な飲料を調製した。
【0111】
実施例11:胃モデルによる代表的な飲料のカフェイン放出プロファイルの決定
クエン酸緩衝液(pH3、60mL)、胃粘膜ムチン溶液(50mLの水中の1.5gの胃粘膜ムチンから調製、21.5mLの溶液を使用)、及びペプシン(0.2%溶液、21.5mL)を合わせ、水浴中で37℃まで少なくとも30分間平衡化させた。平衡化期間後、代表的な飲料を添加し、試料を採取してT=0を表し、1.5N HClを0.25mL/分の速度でポンプ注入した。30.0mLが添加されるまで、又はpH=<1.8になるまで、HClを添加した。試料を30分毎に採取した。pH=<1.8(約2時間マーク)の後、ポンプを停止した。5N NaOH、NaHCO
3、パンクレアチン、及び胆汁酸塩を添加して、腸上部へのシフトをシミュレートした。混合物を3時間撹拌し、実施例9に記載の遠心分離法を用いて30分毎にサンプリングした。結果を
図17に示す。グラフに示すように、飲料からのカフェインの放出は、飲料がモデルの小腸部分に到達するまで遅延した。T=0測定は、いずれかの希釈時に又は試料のモデルへの添加によりカフェインの初期放出があったことを示すことに留意されたい。
【0112】
これらの結果は、本明細書に記載されるカフェイン複合体及びエマルジョンを飲料に添加することが、飲料が消費された後のカフェインの放出を遅延させることができ、これらの飲料の消費に関連する場合がある苛立ち及び「カフェインクラッシュ」を排除することを実証する。
【0113】
本開示の広がり及び範囲は、上記の例示的な実施形態のいずれによっても限定されるべきではないが、続く特許請求の範囲及びそれらの等価物に従ってのみ規定されるべきである。
【0114】
本出願に記載又は参照された全ての特許、特許出願、及び他の参考文献は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【国際調査報告】