(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-07-17
(54)【発明の名称】安眠を促進するための組成物ならびにその製造方法および使用方法
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240709BHJP
A61K 31/122 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/12 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/045 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/216 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/4152 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/7034 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240709BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20240709BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240709BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20240709BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240709BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240709BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240709BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240709BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240709BHJP
A61K 9/14 20060101ALI20240709BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240709BHJP
A61K 36/185 20060101ALI20240709BHJP
A61K 36/41 20060101ALI20240709BHJP
A61K 36/534 20060101ALI20240709BHJP
A61K 36/82 20060101ALI20240709BHJP
A23L 33/105 20160101ALI20240709BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20240709BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20240709BHJP
A23G 3/48 20060101ALI20240709BHJP
A23L 29/231 20160101ALI20240709BHJP
A23L 29/281 20160101ALI20240709BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/122
A61K31/12
A61K31/045
A61K31/05
A61K31/216
A61K31/198
A61K31/353
A61K31/4152
A61K31/7034
A61K31/7048
A61K33/06
A61K31/455
A61P25/20
A61P43/00 121
A61K9/08
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/06
A61K9/14
A61K9/70
A61K36/185
A61K36/41
A61K36/534
A61K36/82
A23L33/105
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L2/00 Q
A23G3/48
A23L29/231
A23L29/281
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023577576
(86)(22)【出願日】2022-06-30
(85)【翻訳文提出日】2024-02-09
(86)【国際出願番号】 US2022035838
(87)【国際公開番号】W WO2023283108
(87)【国際公開日】2023-01-12
(32)【優先日】2021-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523470164
【氏名又は名称】セレスタ カンパニー エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】CELESTA COMPANY LLC
【住所又は居所原語表記】9134 Weathervane Trail, Galesburg, MI 49053 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110003487
【氏名又は名称】弁理士法人東海特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ラフォン,デイビッド,ウィルフレッド
(72)【発明者】
【氏名】オニール,クリスティーン,リン
(72)【発明者】
【氏名】モンマイユール,ジャン-ピエ-ル
【テーマコード(参考)】
4B014
4B018
4B117
4C076
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4B014GB07
4B014GG07
4B014GG12
4B014GG18
4B014GK03
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4B014GL03
4B014GL10
4B014GL11
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4C206ZA05
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(57)【要約】
組成物は、安眠を促進しおよび/または安眠感をもたらす。具体的には、本発明の組成物は、個人または動物の安眠および/または安眠感を促進するために、ホップ抽出物、モクレン樹皮抽出物、メラトニン、マグネシウム、ロディオラ抽出物、L-テアニン、ビタミンB6、ならびにスペアミント抽出物および/または緑茶抽出物の組み合わせを含む。その製造方法および使用方法がさらに提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人間または動物の安眠を促進するために治療有効量で配合された、以下のブレンドを含む食事組成物:
フムロン、キサントフモール、ミルセノール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第1の物質;
ホノキオール、マグノロール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第2の物質;
メラトニン;
L-テアニン;
マグネシウム;
ロザビン、チロソール、サリドロシド、およびそれらの組み合わせの群から選択される第3の物質;
ロスマリン酸、エピガロカテキンガレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第4の物質;ならびに
ビタミンB6。
【請求項2】
前記第1の物質がホップに由来する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項3】
前記第1の物質がホップ抽出物の形態である、請求項2に記載の食事組成物。
【請求項4】
前記第3の物質がロディオラに由来する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項5】
前記第3の物質がロディオラ抽出物の形態である、請求項4に記載の食事組成物。
【請求項6】
前記第4の物質が、スペアミント、緑茶、およびそれらのブレンドからなる群から選択される成分に由来する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項7】
前記第4の物質が、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらのブレンドからなる群から選択される成分の形態である、請求項6に記載の食事組成物。
【請求項8】
前記第2の物質がモクレンに由来する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項9】
前記第2の物質がモクレン樹皮抽出物の形態である、請求項8に記載の食事組成物。
【請求項10】
前記第1の物質はホップ抽出物由来であり、前記ホップ抽出物は前記ブレンド中に約0.1%~約70%の量で存在し、前記第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、前記モクレン樹皮抽出物は前記ブレンド中に約0.1%~約65%の量で存在し、前記メラトニンは前記ブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、前記マグネシウムは前記ブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、前記第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、前記ロディオラ抽出物は前記ブレンド中に約0.1%~約80%の量で存在し、L-テアニンは前記ブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、前記第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、前記成分は前記ブレンド中に約0.1%~約95%の間の量で存在し、前記ビタミンB6は前記ブレンド中に約0.01%~約30%の間の量で存在する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項11】
前記第1の物質はホップ抽出物由来であり、前記ホップ抽出物は前記ブレンド中に約1%~約20%の量で存在し、前記第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、前記モクレン樹皮抽出物は前記ブレンド中に約1%~約40%の量で存在し、前記メラトニンは前記ブレンド中に約0.1%~約10%の量で存在し、前記マグネシウムは前記ブレンド中に約1%~約40%の量で存在し、前記第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、前記ロディオラ抽出物は前記ブレンド中に約1%~約40%の量で存在し、L-テアニンは前記ブレンド中に約1%~約50%の量で存在し、前記第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、前記成分は前記ブレンド中に約1%~約60%の間の量で存在し、前記ビタミンB6は前記ブレンド中に約0.1%~約10%の間の量で存在する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項12】
前記第1の物質はホップ抽出物由来であり、前記ホップ抽出物は前記食事組成物中に約10mg~約500mgの量で存在し、前記第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、前記モクレン樹皮抽出物は前記食事組成物中に約5mg~約400mgの量で存在し、前記メラトニンは前記食事組成物中に約0.5mg~約700mgの量で存在し、前記マグネシウムは前記食事組成物中に約10mg~約350mgの量で存在し、前記第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、前記ロディオラ抽出物は前記食事組成物中に約20mg~約1000mgの量で存在し、L-テアニンは前記食事組成物中に約20mg~約600mgの量で存在し、前記第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、前記成分は前記食事組成物中に約200mg~約800mgの間の量で存在し、前記ビタミンB6は前記食事組成物中に約2mg~約100mgの間の量で存在する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項13】
前記第1の物質はホップ抽出物由来であり、前記ホップ抽出物は前記食事組成物中に約15mg~約35mgの量で存在し、前記第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、前記モクレン樹皮抽出物は前記食事組成物中に約50mg~約150mgの量で存在し、前記メラトニンは前記食事組成物中に約1mg~約3mgの量で存在し、前記マグネシウムは前記食事組成物中に約100mg~約300mgの量で存在し、前記第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、前記ロディオラ抽出物は前記食事組成物中に約100mg~約500mgの量で存在し、L-テアニンは前記食事組成物中に約100mg~約400mgの量で存在し、前記第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、前記成分は前記食事組成物中に約300mg~約600mgの間の量で存在し、前記ビタミンB6は前記食事組成物中に約5mg~約50mgの間の量で存在する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項14】
前記第1の物質はホップ抽出物由来であり、前記ホップ抽出物は前記食事組成物中に約20mgの量で存在し、前記第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、前記モクレン樹皮抽出物は前記食事組成物中に約100mgの量で存在し、前記メラトニンは前記食事組成物中に約2mgの量で存在し、前記マグネシウムは前記食事組成物中に約200mgの量で存在し、前記第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、前記ロディオラ抽出物は前記食事組成物中に約200mgの量で存在し、L-テアニンは前記食事組成物中に約200mgの量で存在し、前記第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、前記成分は前記食事組成物中に約485mgの間の量で存在し、前記ビタミンB6は前記食事組成物中に約10mgの間の量で存在する、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項15】
前記食事組成物が、ピル、カプセル、錠剤、ソフトジェル、トローチ、粉末、液体、食品、飲料、グミ、または経口溶解フィルムストリップの形態である、請求項1に記載の食事組成物。
【請求項16】
人間または動物の安眠を促進する方法であって、
フムロン、キサントフモール、ミルセノール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第1の物質;ホノキオール、マグノロール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第2の物質;メラトニン;L-テアニン;マグネシウム;ロザビン、チロソール、サリドロシド、およびそれらの組み合わせの群から選択される第3の物質;ロスマリン酸、エピガロカテキンガレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第4の物質;ならびにビタミンB6;のブレンドを含む、人間または動物の安眠を促進するために治療有効量で配合された食事組成物を提供するステップと、
前記食事組成物を摂取可能な形態に形成するステップと、を含む、方法。
【請求項17】
前記第1の物質はホップ抽出物に由来し、前記第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、前記第3の物質はロディオラ抽出物に由来し、前記第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ホップ抽出物は前記ブレンド中に約0.1%~約70%の量で存在し、前記モクレン樹皮抽出物は前記ブレンド中に約0.1%~約65%の量で存在し、前記メラトニンは前記ブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、前記マグネシウムは前記ブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、前記ロディオラ抽出物は前記ブレンド中に約0.1%~約80%の量で存在し、L-テアニンは前記ブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、前記成分は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、前記ブレンド中に約0.1%~約95%の間の量で存在し、前記ビタミンB6は前記ブレンド中に約0.01%~約30%の間の量で存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ホップ抽出物は前記食事組成物中に約10mg~約500mgの量で存在し、前記モクレン抽出物は前記食事組成物中に約5mg~約400mgの量で存在し、前記メラトニンは前記食事組成物中に約0.5mg~約700mgの量で存在し、前記マグネシウムは前記食事組成物中に約10mg~約350mgの量で存在し、前記第2の物質はロディオラ抽出物由来であり、前記ロディオラ抽出物は前記食事組成物中に約20mg~約1000mgの量で存在し、L-テアニンは前記食事組成物中に約20mg~約600mgの量で存在し、前記成分は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、約200mg~約800mgの間の量で存在し、前記ビタミンB6は前記食事組成物中に約2mg~約100mgの間の量で存在する、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記形態が、ピル、カプセル、錠剤、ソフトジェル、トローチ、粉末、液体、グミ、飲料、食品、または経口溶解フィルムストリップである、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本発明は、2021年7月5日に出願された、「安眠を促進するための組成物および方法(Composition and Method for Promoting Restful Sleep)」と題する米国仮特許出願第63/218,457の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、安眠の促進および/または安眠感に役立つ組成物に関する。具体的には、本発明の組成物は、個人または動物の安眠および/または安眠感を促進するために、ホップ抽出物、モクレン樹皮抽出物、メラトニン、マグネシウム、ロディオラ抽出物、L-テアニン、ビタミンB6、ならびにスペアミント抽出物および/または緑茶抽出物の組み合わせを含む。その製造方法および使用方法がさらに提供される。
【背景技術】
【0003】
睡眠は、人間と動物の生活のかなりの部分を占める、身体的および感覚活動が低下した反復的かつ一時的な状態である。この自然な生物学的プロセスは健康において重要な役割を果たしており、精神的および肉体的な幸福に不可欠である。一方、不眠症は入眠または眠り続けることの困難として定義され、北米の成人人口の約3分の1が罹患している。慢性不眠症は生活の質の低下と病気のリスクの増加に関連している。不眠症の問題は非常に広範囲に及ぶため、経済に影響を与える可能性がある。
【0004】
睡眠は、内因性化学物質と環境要因の影響を受ける選択された脳神経構造の制御下で、生理学的欲求によって引き起こされる複雑な動的プロセスの成果である。
【0005】
哺乳類では、通常、睡眠は、毎日の睡眠/覚醒サイクルを調節するために調和して機能する内部恒常性機構と概日機構とによって誘発される。ホメオスタシス駆動は覚醒時間との関連で睡眠の我々の必要性を追跡するのに対し、概日システムは明/暗のリズムを追跡して活動を光周期と一致させる。
【0006】
人間の場合、覚醒から睡眠への移行は通常、睡眠の必要性が高まり、覚醒を維持する概日信号が低下する夜間に起こる。この現象は通常、メラトニンの増加、コルチゾールの減少、および中核温度の低下を伴う。長年にわたり、睡眠/覚醒の移行、これ自体は恒常性因子によって支配されている、を促進するこの「フリップ/フロップ」メカニズムに影響を与える神経成分とホルモン成分の性質が明らかにされ、理解されてきた。
【0007】
これらの発見は、中枢神経系の主要な抑制性神経伝達物質であるガンマアミノ酪酸(GABA)が睡眠の促進に、また神経ペプチドであるオレキシンが覚醒の調節に重要な役割を果たしていることを強調している。さらに、覚醒時を通じて前脳基底部にアデノシンが蓄積することも、睡眠を誘発する。
【0008】
睡眠誘導神経伝達物質(GABAとアデノシン)は両方とも、GABAのイオンチャネルとなり得る膜受容体、またはアデノシンのGタンパク質共役受容体(GPCR)のアゴニストとして作用する。睡眠薬、鎮静剤、または精神安定剤として広く使用されているベンゾジアゼピンなどの薬物は、GABAおよびGABA-AA受容体の作用を促進するが、広く摂取されている興奮剤であるカフェインはアデノシンA1受容体のアンタゴニストとして作用し、睡眠導入を妨げる。
【0009】
松果体で生成されるホルモンのメラトニンは、眠気を誘発し、夜の睡眠を改善することができる。メラトニンは、GPCRを介してニューロン集団を阻害し、環境信号(光など)と睡眠サイクルの間の仲介者として作用する。
【0010】
睡眠サイクルとさまざまな神経伝達物質については過去数年で多くの理解が進んできたが、現在の睡眠治療は効果がないか、不眠症の問題を解決するのに十分な効果がない。したがって、安眠を促進するための改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法が必要とされている。具体的には、使用者の安眠および安眠感を促進するための、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法が必要とされている。より具体的には、使用者が容易かつ効果的に安眠を達成できるようにするために、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法が必要とされている。
【0011】
さらに、様々な一般的な成分を使用して達成される、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法に対する必要性が存在する。具体的には、複数の植物抽出物または植物から抽出された精製化合物を利用する組成物ならびにその製造方法および使用方法に対する必要性が存在する。より具体的には、その使用者が容易に投与または摂取できる、少なくとも8つの抽出物または精製化合物を一緒に組み合わせてブレンドしたブレンドを利用する組成物およびその使用方法に対する必要性が存在する。
【0012】
さらに、有害な副作用を伴わずに効果的な、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法に対する必要性が存在する。具体的には、不耐症、依存性、もしくは依存症の問題、および/または禁断症状を引き起こさない、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法に対する必要性が存在する。
【0013】
さらに、人間だけでなくペットなどの他の生物にも利用できる、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法に対する必要性が存在する。具体的には、飲料、食品、サプリメント、スナック、ペット用おやつおよびペットフード、チンキ剤の形態、またはその使用者に容易に投与し得るその他の形態であり得る、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、安眠の促進および/または安眠感に役立つ組成物に関する。具体的には、本発明の組成物は、個人または動物の安眠および/または安眠感を促進するために、ホップ抽出物、モクレン樹皮抽出物、メラトニン、マグネシウム、ロディオラ抽出物、L-テアニン、ビタミンB6、ならびにスペアミント抽出物および/または緑茶抽出物の組み合わせを含む。その製造方法および使用方法がさらに提供される。
【0015】
この目的のために、本発明の実施形態では、人間または動物の安眠を促進するために治療有効量で配合された食事組成物が提供される。食事組成物は、フムロン、キサントフモール、ミルセノール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第1の物質;ホノキオール、マグノロール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第2の物質;メラトニン;L-テアニン;マグネシウム;ロザビン、チロソール、サリドロシド、およびそれらの組み合わせの群から選択される第3の物質;ロスマリン酸、エピガロカテキンガレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第4の物質;ならびにビタミンB6;のブレンドを含む。
【0016】
実施形態では、第1の物質はホップに由来する。
【0017】
実施形態では、第1の物質はホップ抽出物の形態である。
【0018】
実施形態では、第3の物質はロディオラに由来する。
【0019】
実施形態では、第3の物質はロディオラ抽出物の形態である。
【0020】
実施形態では、第4の物質は、スペアミント、緑茶、およびそれらのブレンドからなる群から選択される成分に由来する。
【0021】
実施形態では、第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらのブレンドからなる群から選択される成分の形態である。
【0022】
実施形態では、第2の物質はモクレンに由来する。
【0023】
実施形態では、第2の物質がモクレン樹皮抽出物の形態である。
【0024】
実施形態では、第1の物質はホップ抽出物由来であり、ホップ抽出物はブレンド中に約0.1%~約70%の量で存在し、第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、モクレン樹皮抽出物はブレンド中に約0.1%~約65%の量で存在し、メラトニンはブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、マグネシウムはブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、ロディオラ抽出物はブレンド中に約0.1%~約80%の量で存在し、L-テアニンはブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、成分はブレンド中に約0.1%~約95%の間の量で存在し、ビタミンB6はブレンド中に約0.01%~約30%の間の量で存在する。
【0025】
実施形態では、第1の物質はホップ抽出物由来であり、ホップ抽出物はブレンド中に約1%~約20%の量で存在し、第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、モクレン樹皮抽出物はブレンド中に約1%~約40%の量で存在し、メラトニンはブレンド中に約0.1%~約10%の量で存在し、マグネシウムはブレンド中に約1%~約40%の量で存在し、第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、ロディオラ抽出物はブレンド中に約1%~約40%の量で存在し、L-テアニンはブレンド中に約1%~約50%の量で存在し、第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、成分はブレンド中に約1%~約60%の間の量で存在し、ビタミンB6はブレンド中に約0.1%~約10%の間の量で存在する。
【0026】
実施形態では、第1の物質はホップ抽出物由来であり、ホップ抽出物は食事組成物中に約10mg~約500mgの量で存在し、第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、モクレン樹皮抽出物は食事組成物中に約5mg~約400mgの量で存在し、メラトニンは食事組成物中に約0.5mg~約700mgの量で存在し、マグネシウムは食事組成物中に約10mg~約350mgの量で存在し、第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、ロディオラ抽出物は食事組成物中に約20mg~約1000mgの量で存在し、L-テアニンは食事組成物中に約20mg~約600mgの量で存在し、第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、成分は食事組成物中に約200mg~約800mgの間の量で存在し、ビタミンB6は食事組成物中に約2mg~約100mgの間の量で存在する。
【0027】
実施形態では、第1の物質はホップ抽出物由来であり、ホップ抽出物は食事組成物中に約15mg~約35mgの量で存在し、第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、モクレン樹皮抽出物は食事組成物中に約50mg~約150mgの量で存在し、メラトニンは食事組成物中に約1mg~約3mgの量で存在し、マグネシウムは食事組成物中に約100mg~約300mgの量で存在し、第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、ロディオラ抽出物は食事組成物中に約100mg~約500mgの量で存在し、L-テアニンは食事組成物中に約100mg~約400mgの量で存在し、第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、成分は食事組成物中に約300mg~約600mgの間の量で存在し、ビタミンB6は食事組成物中に約5mg~約50mgの間の量で存在する。
【0028】
実施形態では、第1の物質はホップ抽出物由来であり、ホップ抽出物は食事組成物中に約20mgの量で存在し、第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、モクレン樹皮抽出物は食事組成物中に約100mgの量で存在し、メラトニンは食事組成物中に約2mgの量で存在し、マグネシウムは食事組成物中に約200mgの量で存在し、第3の物質はロディオラ抽出物由来であり、ロディオラ抽出物は食事組成物中に約200mgの量で存在し、L-テアニンは食事組成物中に約200mgの量で存在し、第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来し、成分は食事組成物中に約485mgの間の量で存在し、ビタミンB6は食事組成物中に約10mgの間の量で存在する。
【0029】
実施形態では、食事組成物が、ピル、カプセル、錠剤、ソフトジェル、トローチ、粉末、液体、食品、飲料、グミ、または経口溶解フィルムストリップの形態である。
【0030】
本発明の別の実施形態では、人間または動物の安眠を促進する方法が提供される。方法は、フムロン、キサントフモール、ミルセノール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第1の物質;ホノキオール、マグノロール、およびそれらの組み合わせの群から選択される第2の物質;メラトニン;L-テアニン;マグネシウム;ロザビン、チロソール、サリドロシド、およびそれらの組み合わせの群から選択される第3の物質;ロスマリン酸、エピガロカテキンガレート、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される第4の物質;ならびにビタミンB6;のブレンドを含む、人間または動物の安眠を促進するために治療有効量で配合された食事組成物を提供するステップと、食事組成物を摂取可能な形態に形成するステップと、を含む。
【0031】
実施形態では、第1の物質はホップ抽出物に由来し、第2の物質はモクレン樹皮抽出物に由来し、第3の物質はロディオラ抽出物に由来し、第4の物質は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される成分に由来する。
【0032】
実施形態では、ホップ抽出物はブレンド中に約0.1%~約70%の量で存在し、モクレン樹皮抽出物はブレンド中に約0.1%~約65%の量で存在し、メラトニンはブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、マグネシウムはブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、ロディオラ抽出物はブレンド中に約0.1%~約80%の量で存在し、L-テアニンはブレンド中に約0.1%~約75%の量で存在し、成分は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、ブレンド中に約0.1%~約95%の間の量で存在し、ビタミンB6はブレンド中に約0.01%~約30%の間の量で存在する。
【0033】
実施形態では、ホップ抽出物は食事組成物中に約10mg~約500mgの量で存在し、モクレン抽出物は食事組成物中に約5mg~約400mgの量で存在し、メラトニンは食事組成物中に約0.5mg~約700mgの量で存在し、マグネシウムは食事組成物中に約10mg~約350mgの量で存在し、第2の物質はロディオラ抽出物由来であり、ロディオラ抽出物は食事組成物中に約20mg~約1000mgの量で存在し、L-テアニンは食事組成物中に約20mg~約600mgの量で存在し、成分は、スペアミント抽出物、緑茶抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され、約200mg~約800mgの間の量で存在し、ビタミンB6は食事組成物中に約2mg~約100mgの間の量で存在する。
【0034】
実施形態では、形態が、ピル、カプセル、錠剤、ソフトジェル、トローチ、粉末、液体、グミ、飲料、食品、または経口溶解フィルムストリップである。
【0035】
したがって、本発明の利点および目的は、安眠を促進するための改良された組成物ならびにその製造および使用方法を提供することである。
【0036】
具体的には、本発明の利点および目的は、使用者の安眠および安眠感を促進するために必要とされる改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法を提供することである。
【0037】
より具体的には、本発明の利点および目的は、使用者が安眠状態を容易かつ効果的に達成できるように必要とされる改良された組成物ならびにその製造および使用方法を提供することである。
【0038】
さらに、本発明の利点および目的は、様々な一般的な成分を使用して達成される、改良された組成物ならびにその製造および使用方法を提供することである。
【0039】
具体的には、本発明の利点および目的は、複数の植物抽出物または植物から抽出された精製化合物を利用する組成物ならびにその製造方法および使用方法を提供することである。
【0040】
より具体的には、本発明の利点および目的は、その使用者が容易に投与または摂取できる、少なくとも8つの抽出物または精製化合物を一緒に組み合わせてブレンドしたブレンドを利用する組成物およびその使用方法を提供することである。
【0041】
さらに、本発明の利点および目的は、有害でなく効果的な、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法を提供することである。
【0042】
具体的には、本発明の利点および目的は、不耐症、依存性、もしくは依存症の問題、および/または禁断症状を引き起こさない、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法を提供することである。
【0043】
さらに、本発明の利点および目的は、人間だけでなくペットなどの他の生物にも利用できる、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法を提供することである。
【0044】
具体的には、本発明の利点および目的は、飲料、食品、サプリメント、スナック、ペット用おやつおよびペットフード、チンキ剤、経口溶解ストリップの形態、またはその使用者に容易に投与し得るその他の形態であり得る、改良された組成物ならびにその製造方法および使用方法を提供することである。
【0045】
本発明のさらなる特徴および利点は、現在の好ましい実施形態の詳細な説明および図面に記載されており、それらから明らかになるであろう。
現在の好ましい実施形態の詳細な説明
【0046】
本発明は、安眠の促進および/または安眠感に役立つ組成物に関する。具体的には、本発明の組成物は、個人または動物の安眠および/または安眠感を促進するために、ホップ抽出物、モクレン樹皮抽出物、メラトニン、マグネシウム、ロディオラ抽出物、L-テアニン、ビタミンB6、ならびにスペアミント抽出物および/または緑茶抽出物の組み合わせを含む。その製造方法および使用方法がさらに提供される。
【0047】
本発明の目的上、「安眠」という用語は、すぐに眠りに落ち、リフレッシュしたと感じるのに十分な睡眠として定義される。したがって、「安眠」は客観的および主観的な手段で測定され得る。
【0048】
本明細書に記載される本発明の組成物は、体の回復と気分の安定化をサポートしながら、コルチゾール、GABA、およびメラトニン系を含む、安眠感を促進およびサポートする生物学的成分を標的とするように設計されている。
【0049】
本発明の組成物は、様々な量の抽出物または成分(すなわち、植物由来の精製化合物)を含み、これらが一緒に組み合わされて、安眠感を促進するように設計されたブレンドとなる。
【0050】
好ましくは、本発明は、水性媒体に可溶な成分のブレンドを含む。具体的には、本発明の組成物は、その使用者が摂取可能な飲料または食品の形態で投与されることが好ましい。本発明の組成物の他の形態としては、ピル、カプセル、錠剤、ソフトジェル、トローチ、粉末、液体、およびグミが挙げられ得る。本明細書に記載される本発明は、人間および/またはペットなどの動物によって摂取され得る。
【0051】
本発明の実施形態では、組成物は、摂取後の人間および/または動物の安眠および/または安眠感を促進する治療有効量で、フムロン、キサントフモール、ミルセノール、およびそれらの組み合わせ群から選択される第1の物質、ロスマリン酸および/またはエピガロカテキンガレート(ECGC)、ホノキオールおよび/またはマグノロール、L-テアニン、メラトニン、マグネシウム、ビタミンB6、ならびにロザビン、サリドロシド、およびそれらの組み合わせの群から選択される第2の物質のブレンドを含み得る。具体的には、第1の物質はホップに由来し得、組成物に組み込まれ得るホップ抽出物中に存在することが好ましい。好ましい実施形態では、物質はフムロン、キサントフモール、およびミルセノールの組み合わせを含む。さらに、ロスマリン酸はスペアミント抽出物中に存在することが好ましく、ECGCは組成物に組み込むことができる緑茶抽出物中に存在することができる。さらに、ホノキオールおよび/またはマグノロールはモクレンに由来してもよく、好ましくは組成物に組み込まれ得るモクレン樹皮抽出物中に存在する。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、組成物は、摂取後の安眠および/または安眠感を促進する治療有効量で、ホップ抽出物、マグノリア抽出物、ロディオラ抽出物、スペアミント抽出物および/または緑茶抽出物、L-テアニン、メラトニン、マグネシウム、ならびにビタミンB6のブレンドを含んでもよい。具体的には、組成物は、以下の範囲で上に列挙した成分のブレンドを含むことができる: 約0.1%~約70%のホップ抽出物、約0.1%~約65%のモクレン抽出物、約0.01%~約75%のメラトニン、約0.1%~約75%のL-テアニン、約0.1%~約75%のマグネシウム、約0.1%~約80%のロディオラ抽出物、約0.1%~約95%のスペアミント抽出物、緑茶抽出物、またはスペアミント抽出物と緑茶抽出物のブレンド、および約0.01%~約30%のビタミンB6。
【0053】
より好ましくは、組成物は、以下の範囲で上に列挙した成分のブレンドを含むことができる:約1%~約20%のホップ抽出物、約1%~約40%のモクレン抽出物、約0.1~約10%のメラトニン、約1%~約50%のL-テアニン、約1%~約40%のマグネシウム、約1%~約40%のロディオラ抽出物、約1%~約60%のスペアミント抽出物、緑茶抽出物、またはスペアミント抽出物と緑茶抽出物のブレンド、および約0.1%~約10%のビタミンB6。
【0054】
最も好ましくは、組成物は、以下の量で上に列挙した成分のブレンドを含むことができる:約1.6%のホップ抽出物、約8.2%のモクレン抽出物、約0.16%のメラトニン、約16.4%のL-テアニン、約16.4%のマグネシウム、約16.4%のロディオラ抽出物、約39.9%のスペアミント抽出物、緑茶抽出物、またはスペアミント抽出物と緑茶抽出物のブレンド、約0.82%のビタミンB6。
【0055】
本発明の組成物は、賦形剤および/または乳化剤、甘味料、増量剤、口当たり剤および/または風味剤、ならびに食品および/または飲料組成物に適した他の薬剤もしくは成分をさらに含んでもよい。本発明において好ましい量および割合は、本明細書に記載の組成物中に提供される追加の成分に関係なく、上に挙げた有効成分のブレンドの合計に対して測定されることに留意すべきである。
ホップ
【0056】
ホップ(Humulus lupulus)は、伝統的にビールの風味付けに使用されてきた重要な農業用多年草植物である。ビールのホップフレーバーは通常、フラボノイド、フェノール酸、芳香油、タンニン、および樹脂を豊富に含む植物の球果および花から生成される。ホップ抽出物はビール業界でのその使用以外にも、不安を軽減し、睡眠を助ける鎮静剤としても使用されている。動物と細胞モデルの両方における前臨床試験研究では、睡眠プロセスに関与することが知られているGABA-Aおよびセロトニン系との相互作用によるものと推定される睡眠増強および抗不安活性が実証されている。人間では、それらの鎮静作用で知られる植物のポリハーブブレンドに含まれるホップが睡眠の質を改善するのに効果的であることが示されている。バレリアンとホップの組み合わせは、睡眠を調節するアデノシン、メラトニン、およびGABA-A系に同時に作用するため、特に効果的であることが示されている。
【0057】
本発明の実施形態では、組成物はホップ抽出物、具体的にはホップ球果抽出物を含んでもよい。組成物の1回分の量には、約1mg~約1000mgのホップ球果抽出物、好ましくは約10mg~約500mg、が含まれ得る。好ましい実施形態では、組成物は、1回分当たり約20mgのホップ球果抽出物を含み得る。
【0058】
本発明のホップ抽出物は、フムロン、キサントフモールおよびミルセノールからなる群から選択される少なくとも1つの物質を含む。好ましくは、ホップ抽出物は、フムロン、キサントフモール、およびミルセノールの組み合わせを含む。本発明の食事組成物は、ホップ抽出物またはホップ球果抽出物の形態ではなく、精製フムロン、キサントフモール、および/またはミルセノールを使用して配合され得ることに留意されたい。
モクレン抽出物
【0059】
モクレン(Magnolia officinalis)は中国原産の木である。その樹皮抽出物は、鎮静作用および抗不安作用のために伝統的な中国医学で使用されてきた。特徴付けられているモクレン樹皮抽出物の2つの主要な生理活性成分は、マグノロールとホノキオールである。NREM(ノンレム)睡眠の量を増やしながら、非急速眼球運動(ノンレム、NREM)睡眠までの睡眠潜時を短縮するために、マグノロールとホノキオールは両方とも、GABA-A受容体のベンゾジアゼピン部位のそれらの調節を通じて、マウスで実証されている。レム睡眠量はほぼ変化ない。モクレン抽出物の鎮静効果は、人間においてもさらに証明されている。さらに、両方の化合物はカンナビノイドとアデノシン系も調節する。
【0060】
本明細書の組成物には、入眠および睡眠の質を改善するためのモクレン樹皮抽出物が含まれる。前記組成物の1回分の量には、約1mg~約1000mg、好ましくは約5mg~約400mgのモクレンが含まれる。前記組成物の好ましい用量は、約100mgのモクレンを含む。
【0061】
本発明のモクレン抽出物は、好ましくは約2%の量のホノキオールおよびマグノロールを含み、これらのそれぞれは本発明の組成物の有効成分であると考えられる。本発明の食事組成物は、モクレン抽出物の形態ではない精製ホノキオールおよび/またはマグノロールを使用して配合され得ることに留意されたい。
メラトニン
【0062】
メラトニンは、暗闇に反応して脳の松果体でアミノ酸トリプトファンから生成されるホルモンであるが、光はその生成を抑制する。その結果、メラトニンレベルは明/暗サイクルに従って一日を通して変動し、真夜中にピークを迎える。睡眠調節におけるメラトニンの役割は広く研究されている。入眠時間を短縮し、睡眠時間を延長する機能がある。特定の神経標的に対する作用は、中央時計機構と睡眠/覚醒サイクルへのその影響の基礎となる。
【0063】
日光が少ないこと、夜間に長時間ブルーライトにさらされること、交代勤務、および加齢はすべてメラトニン生成に影響を与え、睡眠障害および睡眠障害を引き起こし得る。外因性メラトニンは睡眠を改善し、体内時計を正常化するのに役立ち得る。実際、メラトニンの補給は、時差ぼけだけでなく、フリーランニングリズム障害または高神経質症候群の治療にも使用されている。特定の植物には、フィトメラトニンとも呼ばれるメラトニンが豊富に含まれている。
【0064】
本明細書に記載の組成物は、入眠および睡眠の質を改善するためにメラトニンを含んでもよい。本発明の組成物の1回分の量は、約.1mg~約1000mgのメラトニン、好ましくは約0.5mg~約700mgのメラトニンを含む。本発明の組成物の好ましい用量は、約2mgのメラトニンを含む。
L-テアニン
【0065】
「テアニン」としても知られるL-テアニン(N-エチル-L-グルタミン)は、茶葉に豊富に含まれるアミノ酸で、一部のキノコにも含まれる。緑茶(Camellia sinensis)は、その鎮静効果が伝統的な中国医学でよく知られている。動物モデルでは、テアニンは血圧などのストレスのマーカーを低下させる。人間では、テアニンを投与すると、急性ストレス課題中に心拍数と唾液免疫グロブリン A(s-IgA)とが減少した。摂取後すぐにアルファ脳波が生成されることで確認されている、リラックスを誘発し、心理的ストレスを軽減するこの能力は、いくつかの研究で示されているように、鎮静および睡眠に役立つ。この効果は、広範囲の神経伝達物質、特にグルタメートの調節に関連しているようである。
【0066】
本発明の実施形態では、睡眠組成物は、約10mg~約1000mgのL-テアニン、好ましくは約20mg~約600mgのL-テアニンを含む。本組成物中のL-テアニンの好ましい用量は、1回分当たり約200mgを含む。
マグネシウム
【0067】
マグネシウムは骨の成長と維持に重要なミネラルである。それは、神経、筋肉、および胃腸の機能にとっても重要である。マグネシウムは通常、人間および動物の食事に含まれており、特に繊維が豊富な植物に由来し得る。
【0068】
マグネシウムは、神経細胞機能における重要な役割に加えて、グルタミン酸作動性およびGABA作動性の神経伝達を調節し、ならびにアンジオテンシン II(ATII)に対抗してHPA系に影響を与えると考えられている。
【0069】
3つのシステムはすべてストレスと睡眠の調節に関与しているため、睡眠の質とストレス軽減に対するマグネシウムサプリメントの効果に関する研究で有望な結果が実証されたことは驚くべきことではない。
【0070】
本発明の実施形態では、睡眠組成物は、約1mg~約1000mgのマグネシウム、好ましくは約10mg~約350mgのマグネシウムを含むことができる。本発明におけるマグネシウムの好ましい用量は、約200mgのマグネシウムを含む。
ロディオラ抽出物
【0071】
ロディオラロゼアは、「黄金の根」、「北極の根」、および「バラの根」とも呼ばれ、ヨーロッパとアジアが原産の植物である。伝統医学では、パフォーマンスを向上させ、疲労および感染症による衰弱を軽減するそのアダプトゲン効果と抗炎症効果のために使用されてきた。「アダプトゲン」は、有害な生物学的、化学的、および物理的ストレス要因に対する非特異的耐性を与える薬剤である。
【0072】
ロディオラロゼアの根からは、脂肪酸、フラボノイド(例えば、リドニン、リジオリン、リジオシン、アセチルロダルギン、およびトリシン)、タンニン、ポリフェノール(例えば、没食子酸、クロロゲン酸、ヒドロキシ桂皮酸)ならびに(例えば、β-シトステロール、デュコステロール)を含む多くの化合物が単離されてる。
【0073】
サリドロシド、チロソール、ロザビン(rosavinまたはrosavine)は、抗酸化作用、心臓保護作用、適応促進作用、およびその他の治療効果を示す3つの主要な化合物である。
【0074】
ロディオラ根抽出物に含まれるこれら3つの成分の組み合わせは、ストレスと疲労の軽減、および気分の改善、および免疫系のサポートに貢献することが前臨床および臨床研究で調査され実証されている。
【0075】
本発明の実施形態では、本発明の組成物は、約1mg~約1200mgのロディオラ抽出物、好ましくは約20mg~約1000mgのロディオラ抽出物を含む。ロディオラ抽出物の好ましい用量は、1回分当たり約200mgである。
スペアミント抽出物および/または緑茶抽出物
【0076】
スペアミント抽出物は、認知機能、気分、および睡眠を改善することで知られるハッカ(Mentha)属(シソ(Lamiacea)科)の植物であるスペアミント植物から得られる。ポリフェノールのロスマリン酸(RA)は抗酸化物質であり、スペアミント抽出物の主成分である。マウスの臨床研究で観察されたように、RAはGABA-A系を介して鎮静作用を示すことが証明されている。
【0077】
人間では、スペアミント抽出物ロスマリン酸をECGCと組み合わせると、睡眠の質と日中の機能が改善された。前臨床研究では、ECGCがGABA作動性系を介して急性ストレス反応を軽減することが示されている。
【0078】
緑茶抽出物はCamellia sinensisという植物から抽出される。紅茶、緑茶、およびウーロン茶はすべて同じ植物から作られるが、異なる加工方法を使用して製造される。緑茶には、ストレス反応を軽減することで知られる最も活性型のエピガロカテキンガレート(EGCG)を含むポリフェノールが含まれている。
【0079】
本発明の実施形態では、本発明の睡眠組成物は、約1mg~約1000mg、好ましくは約200mg~約800mgのスペアミント抽出物、緑茶抽出物、および/またはそれらのブレンドを含む。スペアミント抽出物の好ましい用量は、1回分当たり約485mgである。
ビタミンB6
【0080】
ピリドキシンとして知られるビタミンB6は、欠乏症に関連する不眠症に苦しむ人々に役立つことが示されている。具体的には、このような欠乏症は、胃腸障害に関連した腎機能不全または吸収不良の問題から生じることがよくある。ビタミンB6は、5-HTPからメラトニンへの変換を改善することにより、生合成経路のレベルで作用する。ビタミンB6をメラトニンおよび5-HTPまたはマグネシウムの前駆体であるトリプトファンと組み合わせて投与すると、睡眠時間と睡眠の質が向上する。最近では、ポリ-ガンマ-グルタミン酸と組み合わせた研究で、同様の睡眠状態の改善が観察された。
【0081】
好ましい実施形態では、組成物は、約2mg~約100mg、好ましくは約5mg~約50mgのビタミンB6を、好ましくは水溶性の形態で含む。最も好ましい実施形態では、組成物は約10mgのビタミンB6を含む。
【実施例】
【0082】
飲料Aは、表1に示すように、本明細書に記載の成分を以下の量で含んでいた。
【表1】
【0083】
飲料Aは、参加者による摂取に適した飲料を形成するために追加の不活性成分を含む「モクテル」に形成された。飲料Bは、モクテル飲料を形成するのと同じ不活性成分を含み、表1に示す成分を含まないプラセボ組成物であった。
【0084】
参加者には、飲料Aまたは飲料Bが毎日提供された。睡眠活動を測定するヘッドバンドを使用して、睡眠特性が追跡された。さらに、参加者は睡眠の特徴を詳しく記録した日記を付けていた。以下のグラフは、本発明のブレンドを含む組成物である飲料Aを摂取したグループにおける睡眠特性の顕著な改善を示す、ヘッドバンドデータからの平均睡眠特性を示す。
グラフA
【0085】
グラフAは、飲料Aを摂取した対象(A)と飲料Bを摂取した対象(B)で観察された2週間にわたる総睡眠時間を比較した。客観的な睡眠パラメーターの統計分析により、飲料Aのブレンドは飲料Bと比較して総睡眠時間が大幅に向上したことが示された(信頼水準95%超)。
グラフB
【0086】
グラフBは、飲料Aを摂取した対象(A)と飲料Bを摂取した対象(B)で観察された2週間にわたる入眠潜時を比較した。客観的な睡眠パラメーターの統計分析により、飲料Aのブレンドは飲料B(SOL)と比較して入眠潜時が大幅に向上したことが示された(信頼水準90%超)。
グラフC
【0087】
グラフCは、飲料Aを摂取した対象(A)と飲料Bを摂取した対象(B)で観察された2週間にわたる睡眠効率を比較した。客観的な睡眠パラメーターの統計分析により、飲料Aのブレンドは飲料Bと比較して睡眠効率が大幅に向上したことが示された(信頼水準95%超)。
【0088】
上のグラフA~Cのデータは、本発明のブレンドの顕著な相乗効果を表す。
飲料の例
【0089】
本発明の実施形態では、飲料の例は、表2に示すように、以下の量で配合された。
【表2】
上記の成分を一緒にブレンドして、サングリアフレーバーの飲料を形成した。
水質調整粉末の例
【0090】
本発明の実施形態では、水改質粉末の例は、表3に示すように、以下の量で配合された。
【表3】
上記の成分を一緒にブレンドして、飲料用の水の量に分散するための粉末を形成した。
グミの例
【0091】
本発明の一実施形態では、表4に示すように、以下の量でグミを配合した。
【表4】
上記の成分を一緒にブレンドして、摂取用のグミを形成した。一人前の分量には、それぞれ約9グラムのグミが2個含まれている。
【0092】
本明細書に記載の現時点で好ましい実施形態に対する様々な変更および修正が当業者には明らかであることに留意されたい。このような変更および修正は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、またそれに付随する利点を損なうことなく行うことができる。さらに、本明細書全体にわたる「発明」への言及は非限定的なものであり、本明細書に提示される特許請求の範囲の限定は本発明全体を説明することを意味するものではないことに留意されたい。さらに、本明細書に例示的に開示された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない任意の要素がなくても適切に実施することができる。
【国際調査報告】